言いながら、一真への想いがあふれ出して、涙がどんどん出てくる。
「一真と付き合ってると、私、つらいばっかだよ。悲しいばっか」
涙にそそのかされるように、過剰な言葉がどんどん出てくる。自分でも止められなかった。一真は、はあ、と大きいため息をついて顔を覆った。
「マジかよ。勘弁してくれよ・・・・・・そういう話なら、また今度にしよう」
一真は、スーツの上着をつかんで、身を起こした。帰りたい、この場を去りたい、と全身が言っていた。
ダメだ。いまこの会話の結末があいまいになってしまったら、きっとこのあと自分は壊れてしまう。そんな焦りが舞を突き動かした。
「待ってよ。一真、私のこと、もう好きじゃなくなったんだったら言ってよ。逃げないでよ!」
そう言ったら、急に涙がどんどん流れ出し、嗚咽がこぼれた。悲しみがあふれ出す泉のようだ。一真の腕をギュッと握りしめた。
そんな風に追い詰めていいことなんかあるはずない。忙しくて疲れている一真にどうしてそんなことを言ってしまったのだろう。
きっと、一真は、その言葉に仰天して、謝ってくれる。自分を見てくれる。どこかでそう思っていたのは確かだった。
だけど、一真は目をつぶって、苦悩の表情をしたかと思うと、腕を握っていた舞の手を振り払った。