恋愛情報『【小説】時間の奴隷/恋愛部長』

2019年6月18日 22:00

【小説】時間の奴隷/恋愛部長

舞は、うつむいたまま黙りこくる。由佳は、今さらのように慌ててフォローした。

「もちろん、そんなことないって私は思いたいよ!でも目をそらしちゃいけないこともあるから。友達だから言うんだよ!」

舞は、ずきずき痛む胃を押さえて、席を立った。そして、「ごめん、帰るね」とだけ言って、なにかアワアワ言っている「友達」を置いて、喫茶店を出た。会わなければよかった。相談なんかしなければよかった。

ぐるぐると後悔だけがめぐる。
あとちょっとで崩れ落ちそうな心を必死で保ってきたのに。もうダメだ。決壊だ。舞は目を閉じて立ちすくんだ。

不安がまるで真夏の入道雲のように膨らんでいる。その底は真っ黒。

一真は、もう私を必要としてない。邪魔なだけ。
もうどうでもいい存在。

そんな凶器のような言葉が次々浮かんで切りつけてくる。

信じよう、待っていよう、そんな風に思えた自分が今はもう信じられない。

一真の何を信じればいいのだろう?もう何ヶ月も会っていない、形だけの「恋人」を。

もしかしたら、一真だって、もう別れたいのかもしれない。仕事の邪魔になる彼女なんて。学生時代に付き合っていた女なんか、もう新しさも驚きもない。

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