恋愛情報『【小説】時間の奴隷/恋愛部長』

2019年6月18日 22:00

【小説】時間の奴隷/恋愛部長

えっと思って舞が目を上げた。

「もう、無理。俺には無理だわ。・・・・・・いまそんな余裕ない。俺、舞を不幸にしてまで、付き合っていく自信ないから、ごめん・・・・・・」

一真はうつむいて、ぶるぶる震えていた。感情を必死に押し殺そうとしているようだった。

「もう、俺のことは見捨ててくれ。舞」

舞は、頭の中が真っ白になるような感覚に襲われた。


「え、なにそれ。どういう意味?」

「俺のこと、もう待たなくていい。他の誰かと付き合っていい。お前はお前で、幸せになってくれ。俺はもう、無理だ」

「別れたいってこと?そうなの?一真・・・・・・なんで」

一真は暗い目を上げて、心底疲れたような声で言った。

「お前がつらいって言ったんじゃないか。

だから、もうやめよう。もう、俺にはお前を幸せにできる自信ないんだよ」

舞は、そこで初めて、はっきりと自分の心を知った。
絶対に別れたくない、という気持ちを。そうだ、初めから、別れる気なんかなかった。なのに、なんで。一真を追いつめるようなことを言ったんだろう。

「やだ・・・・・・嘘。やだよ。別れたくないよ。一真、別れたくなんかないよ」

一真に取りついたが、もう遅かった。

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