えっと思って舞が目を上げた。
「もう、無理。俺には無理だわ。・・・・・・いまそんな余裕ない。俺、舞を不幸にしてまで、付き合っていく自信ないから、ごめん・・・・・・」
一真はうつむいて、ぶるぶる震えていた。感情を必死に押し殺そうとしているようだった。
「もう、俺のことは見捨ててくれ。舞」
舞は、頭の中が真っ白になるような感覚に襲われた。
「え、なにそれ。どういう意味?」
「俺のこと、もう待たなくていい。他の誰かと付き合っていい。お前はお前で、幸せになってくれ。俺はもう、無理だ」
「別れたいってこと?そうなの?一真・・・・・・なんで」
一真は暗い目を上げて、心底疲れたような声で言った。
「お前がつらいって言ったんじゃないか。
だから、もうやめよう。もう、俺にはお前を幸せにできる自信ないんだよ」
舞は、そこで初めて、はっきりと自分の心を知った。
絶対に別れたくない、という気持ちを。そうだ、初めから、別れる気なんかなかった。なのに、なんで。一真を追いつめるようなことを言ったんだろう。
「やだ・・・・・・嘘。やだよ。別れたくないよ。一真、別れたくなんかないよ」
一真に取りついたが、もう遅かった。