恋愛情報『【小説】時間の奴隷/恋愛部長』

2019年6月18日 22:00

【小説】時間の奴隷/恋愛部長

たぶん、仕事時間の総量で言ったら、自分の業務時間の10倍くらい、一真は働いているんじゃないかと思う。

一真の業界の特徴だとは思うが、仕事の結果に対するハードルは新人だろうが容赦なく高い。実際に会社に申告する時間よりもずっと長く仕事をして、ようやく先輩たちの「普通」に追いつくんだ、と一真は語っていた。

その頃はまだ、仕事にやりがいがあって、目がキラキラしていたし、舞に、職場の雰囲気を語れるだけの気持ちの「余裕」は残っていた。

でも、2年目、3年目になるにつれ、一真の表情からは、イキイキしたものは失われていった。ただただ日々の激務に追われ、寝ないまま次の仕事に入ることも増えた。

寝ていなければ仕事の効率も落ちるし、凡ミスも増える。それは刻一刻と動くシビアな数字データを扱う一真の仕事では死を意味したので、一真は必死で眠りと格闘し、わずかな時間を休息に充てるようになった。


舞は、その一部始終を聞いたわけではないけれど、どんどん目つきが変わって行き、別人になって行く一真を呆然と見ていた。

スマホを気にする女性


いつの間にか、月に一度会うことも叶わないくらい、2人の関係は希薄なものに変わっていた。メッセージを送っても、ろくな返事は返ってこなかった。

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