チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (24/342)
『竜二』(‘83)で監督デビューし、『チ・ン・ピ・ラ』(’84)、『野蛮人のように』(’85)ほか数々のヒット作を手がけた福岡市出身の映画監督・川島透。ユニバーシアード福岡大会開閉会式の総合ディレクターや小説執筆など、これまで多彩な才能を見せてきた川島が、満を持して挑むのが舞台の作・演出だ。福岡に戻ったころから“10年来の飲みの友達”という手島曜(78-spirit主催)ら福岡の演劇人による長年の説得で実現にこぎつけた舞台『無用の人』。作品への意気込みと見どころを、川島とプロデューサー兼出演の手島ほか出演者に聞いた。主人公は、やくざを辞め『演劇による更生プログラム』を受けることになった男。渡された台本を読み、演じるうちに、男は台本のエピソードやセリフが、劇中の人物のモノか自分のモノか分からなくっていく…。「最初は演出だけという話でしたが、アイデアを話すうちに脚本も書くことに。脚本の執筆期間は約1カ月。書き始めるまで2週間かかりましたが、書き始めたら一気に筆が進みました」。もともと芝居好きで、かなりの数の芝居を見てきているという川島。「とはいえ、『観る』と『やる』では大違い。芝居は編集できないので、そこが一番怖い部分です。とにかく“映画監督・川島透”に怒られないような作品となるよう一生懸命つくります」と抱負を語った。劇中では主人公“オレ”を手島曜、“オマエ”を立石義江、“アンタ”をともなが舞が演じる。その3人すべてが主人公、つまり、主人公の中の異なるキャラクターが自問自答をする内容になるそう。「以前から川島監督のファンで尊敬していたので、脚本をいただき『これが川島作品だ』と震えながら読みました。10年間の説得が実り、最初はプロデューサーとして浮かれる気持ちの方が強かったのですが、今は役者として事の重大さをひしひしと実感しています」と本作のプロデューサーも兼ねる手島。「脚本を読んでセリフの多さに驚くと同時に、川島監督はやはり“映像の人”だと感じました。今から3人で背負うのだ、と武者震いする心境ですが、役者としてのすべてを注ぎ込み、監督が台本に描かれた“映像”を舞台の上で表現できればと思います。」と立石が意気込み、ともながが「川島監督が描く主人公は、やくざなのにキュートで、キャラクターへの強い愛を感じます。私たちのセリフもほとんどあてがきで感激しました。監督に『こいつらと一緒にやれてよかった』と思ってもらえるような舞台にしたいです。」と締めくくった。“笑いあり、歌ありダンスあり、一人芝居なのに超大作”…自らを「エンターテインメント志向の監督」と称し、「おふざけや戯れのなかに、リアルな“人間”を見つめるのが好き」と語る川島が、どんな舞台を見せてくれるのか今から楽しみだ。公演は11月19日(土)、20日(日)、ぽんプラザホールにて。チケットは発売中。
2022年11月11日11月16日(水)より東京・草月ホールにて舞台『ジパング!』が開幕する。本作の舞台は16の地域からなり、「ジパング」と呼ばれている倭の國。16國のひとつ宮の國では、王・巨埃(きょぼ)の息子、慈陀(じだ)と阿図(あず)が剣と戦鼓――打ち鳴らす音によって戦士たちの能力を高める太鼓の腕を磨き、競い合っていた。ある日、巨埃が暗殺されたことにより、兄弟の運命は激動の渦に飲み込まれていく……。戦士としての力量に優れ、明るく優しい阿図を演じるのは、佐藤信長。阿図は「強くて、まっすぐで、勇気があって、正しいことは正しいと自分の意志を貫き通す。兄のことも本当に尊敬していて、(物語の中で出会う少年)ククに対してもすごく優しい。本当にいいやつ」だという。“ザ・主人公”といえそうな阿図だが、佐藤自身とはかけ離れているそう。しかし未熟な部分も描かれ、そこは自分自身と重なっていると感じたのだとか。「それ以外はあまり共通点がないので、今までにない引き出しを開けなくてはいけない」と表情を引き締める。そんな阿図と深く関わるのが、兄の慈陀と、共に育った摂津。慈陀役の寺西拓人、摂津役の高田彪我をはじめ共演者たちとは、先行して始まった殺陣稽古・太鼓稽古で交流を深めた。「寺西くんは同い年。実力があって殺陣も太鼓もすごく綺麗。見習いたいところがたくさんあります。高田くんはすごくフレンドリー。年下とは思えないぐらいしっかりしていて、一緒にやっていてすごく楽しい」と、劇中同様に厚い信頼が芽生えている様子。彼らの関係性も、注目したいポイントだ。そして気になるのは、殺陣に加えて和太鼓をフィーチャーし、物語に組み込んでいること。その迫力は、本作の大きな魅力となるはずだ。既に佐藤自身も、和太鼓の虜になっているらしい。稽古1日目で手にマメができたそうだが、「プロの奏者の方と呼吸が合うと、本当に気持ちよくて。すごく良い引き出しが増えたような気がします」と、今後も機会があれば続けたいと語った。さらに、「ストーリーはわかりやすく、見せるべきところを見せて、キャラクターもキャストの皆さんがすごく濃いものにしている。とても面白い、女性はもちろん男性にも好まれる作品になりそう」という佐藤。「殺陣や太鼓をやってらっしゃる方が観た時に納得してもらえるものに」と、基本はしっかり押さえつつ、舞台としての見せ方との整合性も図って完成度を高めたいと、意欲を見せた。「皆で志高く進めています。その集大成を本番で見せたい」。和太鼓の響きと共に、彼らの思いが観客を圧倒してくれそうだ。公演は11月16日(水)から20日(日)まで、東京・草月ホールにて。※高田彪我の高は、正しくははしごだか文:金井まゆみ
2022年11月11日岩井秀人が脚本・演出を手がける、PARCO劇場開場50周年記念シリーズ ミュージカル『おとこたち』。本作に出演する藤井隆が、稽古前の想いを語った。岩井が主宰するハイバイによって2014年に初演、2016年に再演された本作が、今回は前野健太による音楽でミュージカルとして立ち上がる。岩井と前野は『世界は一人』(2019年)でタッグを組み、オリジナル音楽劇を創作した経緯が記憶に新しい。劇中で描かれる“おとこたち”4人のおかしくも壮絶な人生は、初演時にNHK総合『クローズアップ現代』で取り上げられ、求められる理想像と現実のギャップに苦しむ男性の生きづらさや幸せについて議論されるきっかけになった。藤井が岩井と初顔合わせした『いきなり本読み!』は、集まったキャストが初めて渡された台本を“いきなり”読み合わせる企画。発案者の岩井が配役を入れ替えながら演出することで、演劇が生まれる様子や俳優の秘めた底力がステージ上に現れる人気イベントだ。2021年秋に参加した様子を振り返り、藤井は「ハプニングがよしとされる状況で“うまくやろう”と思うこと自体おこがましかった」とコメント。岩井について「闇雲にでも走ってみる、思い切ってジャンプする、そういった挑戦を大切にされる演出家さんだと感じました」と述べる。直近では『大地 Social Distancing Version』(2020年)に出演するなど、PARCO劇場との縁が深い藤井。奇しくもミュージカルデビュー作『ボーイズ・タイム〜つよく正しくたくましく!!』(1999年)も同劇場だった。その後も折々に音楽劇やミュージカルへ携わってきた藤井にストレートプレイとの違いについて尋ねると、「長いセリフより歌詞の方が覚えやすいんですよね」とひと言。「通常なら何度も稽古を重ねることで定まる登場人物の感情が、音楽劇だとメロディに乗るぶん没入しやすい。だから覚えやすいんじゃないかな」と役との向き合い方を明かした。芸人やタレントの顔を持ち合わせる藤井は、舞台の魅力をどこに感じているのだろう。そう問いかけると、自身のルーツである吉本新喜劇を掲げながら「客席をドカンと湧かせる先輩の姿を見て楽しさを知りました」「テレビ収録でも、お客さんが目の前にいてくださるのが好きですね」と笑う。そんな中で「まだまだ油断できない状況が来春には少しでも落ち着いて、お客さんと劇場で会えることを楽しみにしています」と語り、インタビューを結んだ。キャストは藤井のほかにユースケ・サンタマリア、吉原光夫、大原櫻子、川上友里、橋本さとしが名を連ねている。公演は2023年3月12日(日)~4月2日(日)、東京・PARCO劇場にて。その後、4月8日(土)・9日(日)に大阪・森ノ宮ピロティホール、4月15日(土)・16日(日)に福岡・キャナルシティ劇場へ巡演する。東京公演の一般発売は、11月19日(土)10時にスタート。取材・文:岡山朋代
2022年11月11日ヨーロッパで高い人気を誇るピアニスト、マルティン・ヘルムヒェンが来日する。12月19日、20日の2日間、東京都交響楽団の定期演奏会にソリストとして出演、エリアフ・インバルの指揮でベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」を弾く。ヘルムヒェンは1982年ベルリン生まれ。ドイツのハノーファー音楽大学で学び、2001年のクララ・ハスキルコンクールの優勝後に演奏活動を開始している。ソロではシューマン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトなどの作品を中心にCDを数多く発表。室内楽にも熱心で、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタを全曲録音している。2019~20年にベルリン・ドイツ交響楽団とベートーヴェンのピアノ協奏曲全5曲をアルバムリリースし、グラモフォン・アワードを受賞した。聴いてみると、ピアノパートに出てくるシンプルな音階が、ヘルムヒェンが弾くと輝くように美しく正確で、豊かな音楽になっていることに気づく。余計な装飾がなく完成されたベートーヴェンの書いた音を、圧倒的なテクニックで引き締まった演奏として聴かせる。そんなヘルムヒェンのピアニズムは、大理石のギリシャ彫刻のような存在感があり、独創的な解釈が聴き手を魅了する。指揮のエリアフ・インバルは、イスラエル出身。1991年に東京都交響楽団と初共演して以来、マーラーやショスタコーヴィチなど数多くのライブCDを録音してきた巨匠だ。特別客演指揮者、プリンシパル・コンダクターを経て、現在は都響の桂冠指揮者をつとめている。きわめて高度な演奏力を誇る都響は、難易度の高い要求をインバルが出してもきっちりと音にしてくれることは間違いない。そこに40歳と、演奏家として脂がのっているヘルムヒェンが、ベートーヴェンで正面から組み合う。ピアノとオケの音が端正に、まばゆく、火花を散らしながら疾走する様子が思い浮かぶ。相当に聴きごたえのあるコンサートとなりそうだ。チケットは、好評販売中。(文・音楽ライター山本美芽)
2022年11月10日yahyel x 鬼の右腕の共演が話題の東京公演に続き、yahyel x kZmの2組が共演する『After Fanaticism』大阪公演の開催が決定した。12月8日(木)、圧倒的なライブパフォーマンスに定評がある2組の競演が大阪・梅田クラブクアトロで実現する。「After Fanaticism」チケット情報大阪では特に揃うことのなかった2組による貴重なライブ。ここでしか見られない特別な一夜になること間違いなし!チケットは、11月13日(日)23:59までチケットぴあにて最速先着先行を受付中。
2022年11月09日小室哲哉初となるオーケストラ公演「billboard classics 小室哲哉 Premium Symphonic Concert 2022 -HISTORIA-」において、日本が初めて体感するハイトーンボイスを持つ世界レベルの実力派シンガーBeverlyがゲストボーカルとして出演することが決まった。また西宮公演にはかつて小室哲哉と「PANDORA」として活動した浅倉大介の出演も決定。「billboard classics 小室哲哉 Premium Symphonic Concert 2022 -HISTORIA-」チケット情報多くのクリエイターがほれ込む世界的レベルの実力派シンガーBeverly。2018年1月に小室哲哉と浅倉大介によるユニット「PANDORA」が手掛けた『仮面ライダービルド』の主題歌「Be The One」にフィーチャリング・ボーカリストとして参加した時より交流が続いており、2022年6月には小室哲哉が書き下ろし、Beverlyが作詞を担当したという新曲「One Vision」が収録された「from JPN」も発売されている。今回も「Be The One」をはじめ数曲を歌唱する予定。今回のBeverlyの出演に対し、小室は「今回のコンサートはこれまでのヒット曲のメロディー、サウンドをフルオーケストラと紐解き奏でていくコンセプトですが、歌詞も含めて伝えるパートはハイトーンとエネジェティックが魅力のBeverlyに表現してもらいたいと思った。」また、一方のBeverlyも「こんな素敵なコンサートのゲストボーカルとして出演できるのは本当にうれしいこと。オーケストラの迫力に負けないよう、小室さんの世界を一緒に作り上げていきたいです。」と互いに熱く語っている。PANDORA=“箱”にはボーカリスト、アート、さらにはテクノロジーとのコラボレーションによる新しいエンタテインメントが詰まっているというコンセプトで2017年にスタートした「PANDORA」。小室哲哉の引退により約18か月という短期間の活動であったが、小室哲哉が音楽活動へ復帰し、今回のオーケストラコンサートの西宮公演にBeverlyとともに浅倉大介のゲスト出演が決まったことで「PANDORA」としての再集結となり、ファンにとっては貴重な一夜となるに違いない。公演は、11月27日(日)オーチャードホール、12月9日(金)兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホールにて。チケットは発売中。
2022年11月09日全国3都市ツアーを行う、ダンスエンターテインメント集団・梅棒の『シン・クロス ジンジャー ハリケーン』。キャストの遠山晶司と鶴野輝一(いずれも梅棒)が、稽古初期の段階でインタビューに応じた。伊藤今人の作・総合演出、梅棒メンバーのみで上演された『クロス ジンジャー ハリケーン』(2015年)をバージョンアップさせる本作。小さな島を舞台に巻き起こる、愛と友情と男の意地を賭けた“ビッグスペクタクル”が展開される。キャストは他に梅澤裕介、塩野拓矢、櫻井竜彦、楢木和也、天野一輝、野田裕貴、多和田任益という現在活動中の梅棒メンバーが名を連ね、東京公演には日替わりゲストとして高橋健介、小越勇輝、千葉涼平の参加も発表された。初演当時、フランス留学帰りで主人公の野球少年に抜擢された遠山。開幕直前に重い捻挫をしてしまい、怪我をしている設定に変更を余儀なくしたことで「最後のブラッシュアップができずに本番を迎えてしまった」と過去の後悔を率直に語る。野球少年と同じ島で暮らす受験少年に扮した鶴野も「公演期間中に立て直した記憶がいまでも残っているほど、過去イチ必死だった」と遠山を励ますように同調し、再演に際して「7年前より成長した梅棒をお見せしたい」と意気込んだ。バージョンアップのポイントを尋ねると、遠山は「新メンバーの存在が大きいですね」と2020年に梅棒の一員となった多和田の名前を挙げる。鶴野は初演時から活動休止・卒業している2名(大村紘望、飯野高拓)にも想いを巡らせ、「顔ぶれの変化によってグループとしての個性が転じた梅棒と時代に合う楽曲を選びました」とコメント。取材日に渡されたプロットによれば、初演からコミックソングが減って爽やかな現代のアーティストが増えているような……? そう印象を伝えると、二人とも「それがいまの梅棒かもしれませんよ」と笑顔を見せた。クリエーションの手法も初演時から変化している。遠山いわく「昔は楽曲ありきで話をつくっていたけど、近年はストーリーが先行していますね」「浮き沈みのあるドラマをつくるにはこの音楽、と逆算で考えるようになりました」──。これを受けて鶴野も「総合演出の今人から頼まれて振付やシーンをつくっていた当時に比べて、最近は全体をパートで割り振ってみんなで議論しながらつくっています」と述べる。外部の作品に振付として参加するメンバーが多く、つくり手としての経験値やスキルが上がった賜物だろう。成長した梅棒をぜひその目に焼き付けてみては。公演は11月18日(金)~27日(日)に、東京・サンシャイン劇場にて。その後、12月3日(土)・4日(日)に愛知・名古屋市芸術創造センター、12月8日(木)~10日(土)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールへ巡演する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2022年11月08日自由で開放的な音楽。この人が日本びいきなのはうれしい。5月に続いて来日したチェロ奏者のミッシャ・マイスキー。1986年の初来日以来、これでじつに53回目の来日だという。今回の目玉は東京と名古屋でのJ.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲演奏。全6曲を第1、4、5番と第3、2、6番に分けて2日間で弾く。曲ごとの調性の組み合わせや、舞曲の構成の違いなどを吟味して割り振っているのだが、「1+4=5」「3×2=6」という数字遊びも気に入っているそう。東京公演の2日目を聴いた[10月31日(月)サントリーホール]。第3番の冒頭〈プレリュード〉からいきなり豊かな歌が始まる。生き生きと、そしてときに床を足で踏み鳴らしながら激しく。大胆なルバートを用いることもためらわないが、“弾き飛ばす”ようなところは一小節もない。彼はこう言っている。「よくエモーショナルな演奏と言われるけど、こだわりを持って細かく読み込んでいるからこそ自由がもたらされる。それが音楽だと思うんだ」〈サラバンド〉の前で少し間を空けて弾き始めるのは3曲とも同様。この緩徐楽章の深い表現、とくに第2番のそれには心を打たれた。熱演で汗をかくからか、1曲ずつシャツを着替えて出てくるのも彼のスタイルだ。おしゃれ。そしてじつは、アンコールが大きな見どころだった。正直、3曲の無伴奏チェロ組曲だけで大満足。アンコールはなくてもいいのではと感じていたのだけれど、別趣向のサプライズが用意されていた。無伴奏リサイタルなのにアンコールだけ意外にもピアノが用意され、スラリとしたイケメンの若者が現れた(当然のように着替えて出てきたマイスキーとお揃いのシャツ)。マイスキー家には6人の子供たちがいる。その次男のマクシミリアン君だ。「4歳の時に最初に日本に来た彼がもう18歳だよ」とマイスキー。長女リリー(ピアノ)や長男サーシャ(ヴァイオリン)がすでにデビューしているが、マクシミリアン君も続くのだろう。長くしなやかな指で美しい音を奏でた。弾いたのはすべてバッハで、チェロ・ソナタ第3番(3楽章すべて!)、コラール前奏曲 《いざ来たれ、異教徒の救い主よ》、《G線上のアリア》を、30分ほどたっぷり。ほぼコンサート第2部だ。愛息のサントリーホール・デビューを飾る父子共演に、客席もスタンディングオベーションで応える。ハロウィンの夜のサントリーホールが親密であたたかな雰囲気に包まれた。(取材・文:宮本明)
2022年11月08日11月27日(日)に東京・東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)で開幕するミュージカル『東京ラブストーリー』。初日を約3週間後に控えた過日、現在進行形でクリエーションが進む現場から「稽古場のぞき見&トーク」イベントが生配信された。柴門ふみが1988年に発表した漫画(小学館)をミュージカル化する本作。脚本・歌詞を佐藤万里、演出を豊田めぐみ、音楽をジェイソン・ハウランドが手がけ、「空キャスト」「海キャスト」の2チーム制で上演される。なお原作や91年のTVドラマでバブル期だった時代背景は、ミュージカルで2018年春にスライド。“コロナ前”の東京で希望を抱きながら暮らす永尾完治(柿澤勇人/濱田龍臣)、赤名リカ(笹本玲奈/唯月ふうか)、三上健一(廣瀬友祐/増子敦貴:GENIC)、関口さとみ(夢咲ねね/熊谷彩春)の四者を中心とする恋愛模様が描かれる。チケットぴあ編集部は、生配信の舞台裏に潜入。本番直前までウォーミングアップを欠かさないキャストを横目に緊張を隠せずにいる、増子と熊谷の初々しい司会ぶりに目を細めた。二人による曲紹介を挟みながら、イベントは劇中冒頭の「恋人たちの伝説〜出会い」「願いの星」「この街で生きる」の3曲で幕開け。物語の始まりを予感させる「願いの星」では、柿澤がアダルトながらも甘く優しい歌声を響かせる。続く「この角を曲がれば」では、海キャストの濱田カンチと唯月リカが芝居を交えたパフォーマンスを行った。タオルメーカーの東京支社へ転勤になったばかりの頼りないカンチを、濱田はフレッシュに造形。そんな彼を同僚として翻弄交じりにリードする様子を、唯月は大きな笑顔やジェスチャーで表現する。また空キャストの廣瀬は、アンサンブルと妖しいダンスを繰り広げる「56人の女たち」で稀代のプレイボーイぶりを遺憾なく発揮した。女遊びの激しい三上に戸惑いを覗かせる夢咲バージョンのさとみに、優しい言葉をかける柿澤カンチ。二人が一緒にいる様子を目撃して切なくなるリカの激情を、笹本は一幕ラストで繰り広げられる「24時間の愛」に乗せて高らかに歌い上げる。7曲が披露されたあとのトークで、長崎尚子役の綺咲愛里が「両チームとも見せ方が異なっていて違う作品を観ているみたい」とアピールすると、和賀夏樹役の高島礼子も「タイムリーに作品を知っている世代にはリカ派が多かった。でも最近はさとみが素敵に思える。私自身は尚子。年齢によって惹かれる人物が異なるくらいキャラクターの幅が豊かですし、キャストによって差別化される楽しみがありますよね」と続く。各登場人物の心情がチーム別にどう表現されるのか、ぜひ目に焼き付けたい。東京公演は、12月18日(日)まで。その後、1月下旬に向けて大阪・愛知・広島と巡演する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2022年11月08日2023年1月より、cinema staff × ヒトリエ SPLIT TOUR 「Versus Feedback」が開催される。盟友とも言える2組のツーマンライブ!公演は、1月16日(月)大阪・BIGCAT、19日(木)愛知・ダイアモンドホール、26日(木)東京・Spotify O-EASTにて。cinema staff/ヒトリエチケット情報チケットは11月8日(火)23:59までオフィシャルHP先行(抽選)を受付中。先行特典として“Versus Feedback” ステッカーをプレゼント。ご購入はお早めに。
2022年11月07日2022年にデビュー50周年を迎えたJACKSON BROWNE(ジャクソン・ブラウン)の、6年ぶりとなる来日公演が2023年3月に開催される。JACKSON BROWNEチケット情報本来であれば2021年7月のアルバム『ダウンヒル・フロム・エヴリホェア』リリースから時を経たず実現していたはずの来日公演だが、コロナ禍による空白期間を経てようやく実現する。聴く者の心に迫る、類い稀なる歌声と優しく憂愁に満ちたメロディ。今回の公演も観る者の心にきっと何かを刻み込むに違いない。公演は、2023年3月20日(月)大阪・フェスティバルホール、3月22日(水)広島JMSアステールプラザ 大ホール、3月24日(金)愛知・名古屋市公会堂、2023年3月27日(月)・28日(火)東京・オーチャードホールにて開催。チケットは、11月6日(日)23:59までいち早プレリザーブを受付中。
2022年11月04日PARCO劇場が、珠玉の名曲を楽しむパーティー会場になる。第1幕はコメディ仕立てのお芝居と大人気のミュージカルナンバー、第2幕は様々なジャンルから選んだキャストお気に入りの名曲パフォーマンス&トーク、というバラエティショー。日替わりのゲストが出演するなか、全公演をリードする“ホスト”を務めるのは、小林遼介、そして咲妃みゆ。「こういうバラエティショーも初めてです。毎公演を初日のような気持ちで、ゲスト出演の方々も含め、皆さまに楽しんでいただけるショーをお届けできたら」と意欲を語った。ホスト自身も、芝居に歌にと多くの場面で活躍する。毎回顔ぶれの変わるゲストとの共演は「新鮮な風を吹き込んでくださることに頼り切ってはいけない。自分自身で型を決め過ぎず、ゲストの方々との化学反応を楽しみ、順応したい」。目指すは“柔らかいホスト”なのだとか。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』をモチーフにしたコメディ仕立ての第1幕は、限られた稽古日数のなかで、相棒となる小林遼介との軽妙なやりとりをつくり上げていかなくてはならない。「しっかりとコミュニケーションをとっていこう」と話し合ったというふたり。「とても優しくて気さくで、場を和ませてくださる」小林と咲妃が、どのようなかけ合いを見せてくれるのか楽しみだ。しかし真知子という役を演じつつ有名なミュージカルナンバーを歌い上げることには、意外に苦労しているとも言う。「お芝居の着地点を意識しながら、ミュージカルナンバーを歌う時はそれに合わせたカラーで楽曲をしっかりお届けしなくてはいけない。歌い上げつつお芝居との切り替えも意識して……難しいです!」と苦笑する咲妃だった。第2幕は、まだ楽曲リストを確認した段階だとか。しかし「早く聴いてみたい」ラインナップで、「私自身、第2幕は舞台袖でお客様と一緒に皆さんの歌声を楽しみたい」そう。トークでは、芝居とはまた違うゲストの一面も感じられる。歌に芝居にトークと極上のパーティーで、「プレゼントを開ける時のワクワクするような気持ち」と咲妃も語るドキドキワクワクが楽しめそうだ。取材・文:金井まゆみ
2022年11月04日サン=テグジュペリの『星の王子さま』の世界をダンスで描く、KAAT DANCE SERIES『星の王子さま サン=テグジュペリからの手紙』を2023年1月21日(土)からKAAT神奈川芸術劇場で上演する。本作は、森山開次が演出・振付のもと、名著『星の王子さま』を身体表現で描いた作品として2020年11月に初演された。言葉に重きが置かれた作品を身体で表現するという挑戦は、美術・衣裳・音楽各々のアーティストによる豊かな表現も相まって、独創的な世界観を生み出し、観客を魅了。コンテンポラリーダンスとしては異例の満員御礼となった。今回はその再演となるが、新たな出演者や創作が加わる予定だという。再演にあたって、森山は「大枠としては初演でやったことをそのままやっていきたいと思っていますが、演者たちのより深く、より豊かな表現を生かしていきたいとも思っています」。そして「言葉が大切にされていて、その言葉のファンも多い作品をダンス化していくわけですが、筋書きをなぞるだけの作品にならないように。ダンスだからこそできる豊かな表現を通じて、お客様がいろいろな言葉を見つけていく……。そんな作品になったらいいなと思っています。僕たちが発する身体にナンセンスな動きもたくさんあるでしょう。でも、お客様がその動きから言葉を見つけ出していくというやり取りこそが重要なんです。僕たちがたくさんの想像を膨らませて『こんなつもりでやるから見てね』『どういうふうに見える?』という問いかけをしていけば、きっとお客様が本では感じられない、ダンスの舞台だからこそ感じる『星の王子さま』が作れるのではないかと」。初演についても「演者の豊かな身体表現を殺さないように、想像力やそのときに感じたリアルを大切にして、身体を型にはめないような振付や演出にしたつもり」と振り返る森山。「スタッフもダンサーも僕が絶大な信頼をしている素晴らしいメンバーがそろって、むしろあの座組みで失敗はできないなという心配はありましたが、みんなの想像力に助けられながら、舞台を作り上げることができました」。2023年はコロナ禍が収まっているだろうか。観客へのメッセージとして森山は「コロナ禍で旅することがなかなかできない時間が長かった。この物語はサン=テグジュペリが飛行機で遠い土地に降りたところからスタートして、いろいろなことを発見したり、振り返ったりする、旅の物語とも言えます」。そして「普段生活の中で見落としている大切なものを、旅することで気づけるという物語の構成。ぜひお客様には劇場に旅をするようなつもりで見にきていただき、楽しんでほしいです。きっと本を読むのとは違った『星の王子さま』を体験いただけると確信しています」。公演は1月29日(日)まで。取材・文:五月女菜穂
2022年11月02日秦の始皇帝陵から発見された兵馬俑をはじめ、春秋戦国・漢時代を含めた約200点の文物が来日。「日中国交正常化50周年記念兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産」として、11月22日から翌年2月5日まで、東京・上野の森美術館で開催される。そこで展覧会ナビゲーターと音声ガイドを担当する谷原章介に、本展の魅力を語ってもらった。漫画やゲームをきっかけに、昔から古代中国史に強い興味があったと言う谷原。当時の中国について、「やっぱりスケールが違いますよね」と切り出す。「自分が死んだあとにあれだけのことを成し遂げられた、やらせることが出来たわけですから。その権力の大きさは、この展覧会からもひしひしと伝わってくるものがあります。それこそ兵馬俑がバーッと並んでいる現地の写真を見た時、この人はなんてことをやったんだ!と驚かれた方も多いのではないでしょうか。同じころ日本では、やっと稲作を覚えたくらいですから(笑)。それほど当時の中国というのは、間違いなく世界で一番文明が発達し、国力が強い国だった。本展ではその一端をご覧いただけると思います」展覧会の理解をより深めることが出来るのが、谷原が担当する音声ガイド。その収録では、「あまり声を張らず、ぼそぼそっと話すことを意識しました」とのこと。これだけスケールの大きな展覧会であれば、その逆でも良さそうだが…。「一級の美術品が並ぶわけですから。悠久の時を経て、ここまで残り続けてきた国宝級の文物というのは、もうそれだけで断然説得力があるんですよね。お客様にしても、スポーツ観戦時のように高揚しているわけではなく、すごく静謐な気持ちでご覧になっているはず。その気持ちに寄り添うには、僕も静かに、落ち着いたトーンでガイドした方がいいだろうと思いました」これまでも好評を得てきた兵馬俑の展覧会だが、今回は36体もの兵馬俑が来日。過去最大級のスケールを誇る。「今って記憶もスマホ、記録もスマホ、調べ物もスマホと、なんでもスマホを通してしまいますよね。でも実際にこういった本物の文物を目の前にすると、そのエネルギーに圧倒されると思うんです。しかも今回は位の高い将軍俑の中から、これまで来日したことのない一体が展示されます。ぜひそのすごさを生で体感していただきたいですね。別に無理に歴史を学んだりする必要もないですし、純粋に楽しんでいただけたらと。でも…もし詳しく知りたいという方がいれば、ぜひ音声ガイドを利用してみてください!」取材・文:野上瑠美子
2022年11月01日11月12日(土)なんばHatchにて『MAGIC HOUR VOL.01』が開催される。このたび、タイムテーブル発表とともに、SUMMER SNOWMAN(OPENING ACT)の出演が決定した。すでに発表されている出演アーティストは、iri、(sic)boy、BIM(BAND SET)、Mega Shinnosuke、Yogee New Waves。「MAGIC HOUR VOL.01」チケット情報MAGIC HOUR(マジックアワー)とは、日没前と日没後が絶妙に混ざり合う状態の時間のことを言い、本イベントはライブという空間で、あらゆる音楽が混ざり合いクロスオーバーさせることで、新たな体験とグルーヴ、音楽を楽しめる場にしていくという。チケットは発売中。
2022年10月31日卓越した才覚と統率力で激動の時代を生き抜き、仙台藩62万石の基礎を築いた伊達政宗。のちに“独眼竜”と称えられた人気戦国武将の素顔に迫る『特別展 独眼竜伊達政宗』が、福岡市博物館で開催されている。初日に行なわれた開会式と内覧会の模様を交えて、本展の見どころをご紹介。この展覧会は、現在、大規模改修のため休館中という仙台市博物館の特別協力で実現したもの。政宗の人柄を伝える直筆の手紙や肖像画、斬新なデザインで都びとを魅了した伊達軍団の武具・甲冑、政宗の多才ぶりをうかがわせる書画、さらには政宗の家臣・支倉常長(はせくらつねなが)がヨーロッパから持ち帰った国宝「慶長遣欧使節関係資料」など、約100点が公開されている。興味深いのは、政宗とは“戦国武将の同級生”ともいえる、福岡藩初代藩主・黒田長政、柳川藩初代藩主・立花宗茂とのコラボ企画。政宗の甲冑の中で最も有名な「黒漆五枚胴具足(くろうるしごまいどうぐそく)」や、長政・宗茂所用の甲冑を同じ空間で見られるのが、本展最大の見どころの1つだ。長政や宗茂の鎧が、細長い鉄板を重ねて作られているのに対し、政宗の甲冑は厚さ4.5ミリほど鉄の板を5枚繋げて作られた「五枚胴具足」と呼ばれるもの。伝統的に馬上戦が主流だった東北の名家・伊達家ならではのスタイルで、兜を含む総重量は21㎏を超えるそう。有名な三日月の前立てが付いた兜、密教の大日如来(だいにちにょらい)を象徴した旗印、「伊達=かっこいい」といわれるようになった由来ともいわれる紺地に金星(金色の丸)の旗印などにも注目だ。非常に筆まめだったという政宗。直筆の書簡には、旅先から母に送った手紙や、愛娘たちへの愛情こもった手紙もある。日々の出来事を小まめに書き綴っていた政宗は「今でいえばLINEやTwitterをよくしているようなタイプだったのかもしれない」という学芸員の解説にも納得。なかには「昨日飲みすぎて二日酔いのため、今日の会議には出られない」という内容の書付などもあり、人間味あふれる政宗の人となりがうかがえる。武将としての才覚だけでなく、文芸全般に秀でた文化人としての資質、1613年家臣をローマに遣わすなど、いち早く世界を見ていたグローバル思考のリーダーシップを兼ね備えていた政宗。その魅力に全方位から迫る本展覧会をぜひお見逃しなく!『特別展 独眼竜 伊達政宗』は11月27日(日)まで福岡市博物館にて開催。※会期中、10月30日(日)までの前期、11月1日(火)~11月27日(日)の後期で一部展示の入れ替えあり
2022年10月31日現代社会におけるコミュニケーションの諸問題を独自の手法で描き出す劇作家・山本卓卓(範宙遊泳)の言葉と、老若男女から電車や犬に至るまで25役を巧みに演じ分けるダンサー北尾亘(Baobab)の身体が織りなす『となり街の知らない踊り子』。2015年の初演以来国内外で上演され高評価を得てきた本作が、2022年11月4日(金)から6日(日)まで、東京芸術劇場シアターイーストで上演される。今回はどんなステージになるのか。山本は「これまでよりも、もっと大きくて広いことをやろうとしている。今までは言葉と身体、どちらかを生かすために、どちらかが犠牲になっていたのですが、今回は、身体と言葉と物語という3つの柱がちゃんと際立って立つようになっている」と話す。あうるすぽっとのホワイエやシドニーの教会など、劇場らしからぬ場所での上演を重ねてきたこともあり、東京芸術劇場での公演は「一つの節目。本作をこの規模の劇場で上演するのは初めてなので、楽しみです」。一方、北尾は自身の身体について語る。「初演と現在の自分の身体は全く違うものになっていて。年齢的なことを言うと、初演の方が張りや体力があるような捉え方をされるかもしれませんが、僕としては今、身体の状態に対してすごくポジティブ。それは、この作品が『ダンス』でもあり『演劇』でもありながら、そのどちらとも取れないハイブリッドな形であって、自身の思考や人生でどういう時間を経験してきたかがすごくダイレクトに身体に現れるから。戯曲に対しての考察や思い、蓄積してきたものはどんどん増えている一方なので、そういう意味で、今がベストコンディションと言えます」。演劇とダンスという領域をシームレスに行き来する2人。お互いについて、山本は「もちろん(北尾は)コンテンポラリーダンサーであり、クリエイターなんですけど、言葉にするなら“友達”というのが近い。それは馴れ合いではなくて、自分の思っていることをちゃんと話せるし、話してくれる存在」と話す。北尾も「(山本と)最初の出会いが演劇を通してではなく、もっと近い距離から関係性が始まっているので、フラットにもの作りができる」と言い、「身体がしっかりと演劇の中に含まれないといけないというような話もよくします。僕も身体だけ動かしていればダンスは成立するとは全く思わないし、言葉の力や人との関係性という演劇的なことに対してシームレスでいたいと思っている。そういう意味で、絶大な信頼と親愛の念を抱いています」。観客へのメッセージとして、山本は「テレビにもYouTubeにも他の舞台表現にもないことをやっていると思います。その時を捉えてしか僕たちは作れない。見逃されたらもうこのバージョンはお終いなので、出会えたら嬉しいですね」と話した。取材・文:五月女菜穂
2022年10月31日大阪駅から徒歩約9分と、アクセス抜群な梅田スカイビル27階に位置する「絹谷幸二 天空美術館」。大人はもちろん、子どももアートに親しめるスポットとして人気を集めている。絹谷幸二 天空美術館 チケット情報日本画壇の第一線で活躍し文化勲章を受章した絹谷幸二の作品は、色彩に満ちたエネルギッシュなもの。富士山や龍、風神雷神、七福神などを大胆に描いた作品は、見ているだけでワクワクするような喜びに満ちている。絵画だけでなく、カラフルな立体展示も展示。子どもをのせた龍が回転する立体作品もあるなど、バラエティ豊かなラインナップが特徴だ。ぜひ体験したいのが、絵の中に飛び込む3D映像体験。高さ約3メートル、幅約14メートルの大型ラウンドスクリーンに、夜空を駆ける風神雷神、大きな口を開けて観客に向かい来る龍神が登場。音楽と3Dで絵画の世界を表現した映像は、アトラクション感覚でアートが楽しめるとリピーターが続出。さらに画家本人が館内やアトリエを紹介するVR体験もあり、誰もがアートの世界を身近に感じられると好評だ。美術館では、絹谷藝術の原点ともいえる壁画の古典技法「アフレスコ」を体験できるワークショップを定期的に開催。さらに、子どもたちに絵を描く楽しみを伝えたいと「キッズ絵画コンクール」も行っている。3000点を超える応募があった第1回に引き続き、本年度もコンクールを開催。「私の夢、大好きな時」をテーマに、全国の小・中学生から作品を募る。受賞・入選作品は、2023年3月18日(土)~5月31日(水)の期間、館内で展示するほか、カタログにも掲載予定だ。応募の締め切りは、2023年1月30日(月)必着。詳細は公式ホームページにて掲載する。何かを始めたくなる秋。家族でアートにふれてみるのはいかがだろうか。
2022年10月27日池田純矢が作・演出を手掛けるエン*ゲキシリーズ第6弾の即興音楽舞踏劇 『砂の城』が東京で上演中だ。これまで、自らが脚本・演出を手掛け、コメディーなど多くの作品を創作してきた池田。初となる即興音楽舞踏劇に込めた思いについて、池田と出演の鈴木勝吾に聞いた。エン*ゲキ#6 即興音楽舞踏劇「砂の城」 チケット情報「クリストファー・ノーランみたいなうまい脚本が好き。でもハッピーで楽しく遊園地みたいな作品も好きで、そういうのを作るのは僕の個性でもある。ただ、自分のドロドロとしたエゴや恥ずかしい、醜い、汚いと思っている部分と向き合うことでしか優れた作品は書けないと思っているんです」と池田。今作の物語は架空の王国を舞台に、王座を狙う太子・ゲルギオス(池田)、次期領主として期待される青年・テオ(中山優馬)、テオの幼なじみのアデル(鈴木)らが絡み、王位継承やもろく崩れていく関係性を描く。池田に即興音楽舞踏劇にした理由を尋ねると「例えば、ミュージカルでテンポやハモりを気にすると、感情と真逆になる時がある。音楽が感情を語るのは理解していますが、いつもどちらかというと、あえて音楽に感情を寄せて表現していた。今回はその逆で自分の生の感情に音楽を寄せたい。今の自分を見せる最高の表現は即興性だと思ったんです」と言い切る。このエン*ゲキシリーズに最初からかかわり何作も出演してきた鈴木は、「今回が一番挑戦的だなと。違う思いを込めて作っているんだろうなとすごく感じますね」と話す。ダンスは音楽のシーンだけに使われるのではない。常に舞台上に存在しているという。「作曲されたものもありますが、半分はピアニストの即興です。だから音楽もダンスも限りなく即興に近い。セリフも個々の俳優がリアルに正直に感じられるなら変えてもいい」と池田。鈴木も「僕はダンサーではありませんが、今回のダンスは即興で相手に感情を伝える身体表現なのでお芝居と一緒だ」と言う。鈴木は池田のことをライバルであり友達だと語る。「俳優は孤独な仕事なので、ほかの人は皆、ライバルだと思うんです。ライバルではないのは嘘でもあるし、相手に対しても自分に対しても失礼」と鈴木が言えば、池田は「ライバルは相手を倒したいというイメージがあって、僕は勝ちゃんのことを倒したいと思ってない」と笑った。池田が今作で俳優たちに望むことは、「お芝居をしないこと」だと言う。「感じるまま、思うままにやってほしい。それが物語を作るんです」。これに対し、鈴木は「何もしない=何かするだと思っていて。役としてそこに生きればいい。型にはまったことをしてほしくないという意味ですよね? すごく怖いけど楽しいです」とすかさず言い、息の合う様子を見せてくれた。東京公演は10月30日(日)まで紀伊國屋ホールにて上演中、大阪公演は11月3日(木・祝)から11月13日(日)までABCホールにて。チケット発売中。取材・文:米満ゆう子
2022年10月27日明治座、東宝、ヴィレッヂ。歴史もカラーも異なる三社から、同じ年齢の男性プロデューサー三名が集まり立ち上げた“三銃士企画”。2020年の第一弾公演『両国花錦闘士』に続く第二弾は、『リチャード三世』を昭和の歌謡界に置き換えて描く音楽劇『歌妖曲 ~中川大志之丞変化~』。作・演出を手掛けるのは、舞台に映像と縦横無尽の活躍を見せる倉持 裕。本格的な舞台初挑戦となる中川大志が、主演として初座長を務める。舞台稽古が始まり、「今まさに、出演者全員で芝居とそれぞれの役を創り上げている最中」という中川と共演の松井玲奈、池田成志に本作の見どころや意気込みを聞いた。中川が演じるのは、芸能界の大手プロダクション「鳴尾一族」の末っ子・鳴尾定。醜い風貌をもって生まれたことから存在を闇に葬られて生きてきた定だが、闇医者の施術により絶世の美男子に変身。“桜木輝彦”として昭和40年代の歌謡界で瞬く間にスターダムに駆け上がるが、一族への強い復讐心から、やがて破滅の道へと突き進んでいく…というストーリー。タイトルから分かる通り、本作は中川を主人公に当て書きされたもの。『LIFE!~人生に捧げるコント~』で中川を知り尽くしている倉持も「“三銃士企画”の趣旨であるスペクタクルやケレン味にハマる俳優として、これまでに見たことのないスーパーキャラクターを演じられると確信している」と、期待を寄せる。光が強いほどその裏に濃い影ができるように、「“桜木輝彦”として生まれ変わった定のなかに渦巻く愛憎は強く激しい」と感じたと語る中川は「その源を自分なりに見つけ出し、役の持つエネルギーを表現したい」と日々役づくりに励んでいるそう。また、クセのある登場人物たちが繰り広げる、ケレン味満載のドラマも見どころのひとつ。松井が演じるのは、鳴尾家に怨恨を抱くレコード会社の女社長、蘭丸杏。「杏は、ずっと復讐に燃えている人物ですが、その裏にはきっといろんな感情や経験があるはず。それを自分なりに肉付けして、人間らしい豊かなキャラクターにしていきたいです」と意気込む。また、鳴尾プロダクション社長で、元映画スターの鳴尾勲を演じる池田は、「笑わせようとするのではなく、真面目に演じれば演じるほど滑稽で笑える…、そんな昭和的なドラマを楽しんでほしい」と締めくくった。劇中の楽曲は、すべて舞台のために書き下ろされたオリジナル。平成生まれの中川と松井には「すべてが斬新」という昭和歌謡の世界をたっぷり楽しめる音楽劇。約1年半前からボイストレーニングを始めたという中川の歌と、3歳から12歳までジャズダンスを習っていたという踊りにも期待したい。11月6日(日)~11月30日(水)東京・明治座、12月8日(木)~12月12日(月) 福岡・キャナルシティ劇場、12月17日(土)~12月25日(日)大阪・新歌舞伎座にて上演。チケットは発売中。
2022年10月27日ハローキティやマイメロディをはじめ、実に450以上ものキャラクターを生み出し、2020年には創業60周年を迎えたサンリオ。その歴史=日本の“カワイイ”文化の歩みを紐解く史上最大規模の展覧会「サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化60年史」が、京都市京セラ美術館にて開催されている。「サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化60年史」チケット情報まず、本展のシンボル・アートである約4mもの『Unforgettable Tower』(増田セバスチャン作)に出迎えられ、サンリオの歩みを5章に分けて追う展示内容に。創業当初は水森亜土ややなせたかしら外部のイラストレーターを起用したグッズ作りや出版業にも力を入れていたという原点に触れながら、最初のオリジナルキャラクター・パティ&ジミーなど、数々のキャラクターを深掘りする。キャラ誕生に至る背景からは、当時のスタッフたちの情熱がひしひしと感じられることだろう。特に数多く残るマイメロディの原画は、そのデザイン性の高さと普遍性に驚かされるに違いない。その他、時代に合わせてモチーフも変化していく様子や、今はお目にかかることができない懐かしいキャラクターにもスポットを当てる。商品開発、ショップづくりのモットーといった細部までこだわりを投影する姿勢に、ものづくりの奥深さを知る機会にも。圧巻は1975年に創刊し、現在まで絶えず発行を続ける機関紙『いちご新聞』のギャラリーだ。表紙で埋め尽くされた壁で“カワイイ”の変遷を一望できるほか、両親への感謝やいじめ問題にも寄り添った過去記事も。サンリオがキャラクターに投影する「カワイイ」「楽しい」「思いやり」「友情」といったメッセージを『いちご新聞』からも、しっかり届けていることが分かる。ハローキティに迫る第4章では、子どものものだったキャラクターグッズを大人も持ちたくなるものへと発展させ、さらには日本の“カワイイ”文化を世界へも浸透させたハローキティの活躍ぶりを提示。気鋭作家たちがサンリオをモチーフに創作した現代アートとのコラボも見応えたっぷりだ。なお、本展は撮影OKとあって、巨大なハローキティやマイメロディなどのフォトスポットも多数。オリジナルグッズが並ぶミュージアムショップも長居は必至と、じっくり時間をかけて巡りたい。商業性よりもいかにカワイイか、いかにときめきをもたらすキャラクターかを追求し、3世代以上にわたり愛され続けるサンリオキャラクター。それらが生まれた源泉や、“カワイイ”がもたらす未来をも見据えた「サンリオ展」は、12月11日(日)まで。取材・文・撮影:後藤愛
2022年10月27日近年、エンタテインメントの一ジャンルとして確かな地位を確立した「動画投稿」とそのクリエイター(YouTuber)にフィーチャーした初の大型展示「動画クリエイター展」が先日より、東京・台場の「日本科学未来館」にて開催されている。同展は「爆誕」「傑作」「体験」「未来」という構成となっており、特に「傑作」では、“実験系”から“教育系”、歌や料理など様々なジャンルで、若い世代を中心に絶大な人気を誇る9組(おめがシスターズ、鹿の間、しらスタ、葉一、はじめしゃちょー、ひまひま、フィッシャーズ、ポッキー、リュウジ)のYouTuberに着目。各クリエイターのブースが置かれ、彼らの撮影スタジオが忠実に再現されているほか、限定動画やその素顔やクリエイティブに迫るインタビュー、実際に撮影で使用されている貴重なアイテムなどが展示されている。チャンネル登録者数1000万人を超える人気YouTuberはじめしゃちょーのブースには、ファンにはおなじみの巨大なクマのぬいぐるみが展示されており、フィッシャーズは動画にも登場した巨大ロボ、おめがシスターズは、こちらもファンにはおなじみの“うんちゃん”の巨大なオブジェを展示している。また、ここだけで見られる限定動画も各クリエイターの工夫と遊び心が満載。鹿の間は「簡単に韓国アイドル顔になるメイクテクニック」の動画を上映。ゲーム実況のポッキーは、普段はゲームをプレイする側だが、本展ではポッキー自らゲーム"動画クリエイター展への大冒険"を制作している。「体験」ではクリエイターたちのオリジナルコンテンツを通して動画の世界を体験することができる。「フィッシャーズ企画!仲間とともにヒーローになってみた!」では、フィッシャーズふんするヒーロー「大漁戦団サカナンジャー」と一緒に浜辺を汚すゴミ怪人たちを的当てでやっつけるゲームが体験できる。「はじめしゃちょー公認! 開封の舞っぽいことをしてみた」では、タイミングに合わせて箱を叩くと、はじめしゃちょーの動画でおなじみの“開封の舞”が出来上がる。また「爆誕」では、インターネットの興隆からSNSの発達、動画発信…と現代にいたるまでの変遷をたどり、いかにして動画クリエイターが台頭したのかを知ることができる貴重な機会となっている。特別展「動画クリエイター展」は日本科学未来館にて2023年4月2日(日)まで開催。文章:くろずなおき
2022年10月26日が~まるちょばの2023年新春公演『猛烈・炸裂・ドッカンコメディー!!』が、1月8日(日)大阪・松下IMPホールにて開催される。が~まるちょば『猛烈・炸裂・ドッカンコメディー!!』チケット情報従来の言葉のないストーリーを紡いでいく唯一無二の舞台公演とは異なる、最初から最後までオンリーコメディーパフォーマンスで構成された、が~まるちょば100%のライブショーとなっている。ついにこのバージョンで、大阪初開催が決定した。小さなお子さんからご年輩の方々まで、幅広い世代が一緒に楽しむことができる、他に類を見ないショーは必見だ!チケットは一般発売に先駆け、11月3日(木・祝) 23:59までオフィシャル先行(抽選)を受付中。
2022年10月26日東京芸術劇場の注目企画「VS」の第5弾は阪田知樹VS高木竜馬[11月10日(木)]。二人のピアニストが相対するシリーズ。今回が一番の「VS」かもしれない。阪田と高木が選んだのはリストとタールベルク。1837年、パリの聴衆の人気を二分していた彼らが競演した「対決」は音楽史のエピソードとして有名だ。つまり、今回のテーマそのものが「VS」なのだ。高木に聞いた。「歴史上の実際の『VS』を現代に蘇らせる。すごく面白いですよね。でも、ヴィルトゥオーゾの二人のピアニストですから、どの曲もすごく難しいです。特にリストの《悲愴協奏曲》は、2台ピアノの域を超えて、お互いのソロが重なり合うような作品。久しぶりに血がたぎっています(笑)」同世代の二人。高木は1992年生まれ、阪田が1993年生まれ。「阪田さんはいつも楽屋がとても賑やかになるほど、ずっとしゃべっています(笑)。それが音楽に関することばかりで、知識量に圧倒されます。ピアノ曲だけでなく、オペラやオーケストラ曲にも造詣が深い。僕も、指揮を勉強していたこともあって、オーケストラ曲を好んで聴きます。なので、僕たちが2台ピアノを弾く意義のひとつとして、大編成のオーケストラが弾いているようなサウンドを出したい。二人で深めていけたらなと考えています」多彩な響きは2台ピアノの醍醐味だ。「2台のピアノが1+1=2ではなく、100にも200にもなる。二人の音楽性が同じ方向ならもちろん楽しいですし、それが違っても、新しい解釈が得られるので、リハーサルの時からとても刺激になって楽しいんです」二人の共演はこれが2度目。今年6月に一度、3台ピアノを弾いた。「こちらの音をものすごく聴いてくれるので、とても自然に呼吸を共有できます。その一方で、本番特有のスパークも眩いばかりです。昨年のエリザベート王妃国際コンクールでのリストのソナタも凄まじい演奏でした。置いていかれないように頑張ります!」生で聴くタールベルクはレア。高木がソロで弾く《エジプトのモーゼの主題による幻想曲》は、史実の二人の対決時に実際に弾かれた曲だ。「ヴィルトゥオーゾな広がりのなかに詩情があって、初めて聴く方にも楽しめる要素が散りばめられています。その魅力を届けるのが僕の責任。阪田さんとバトルなのか一緒に盛り上がるのか、火花が散るような演奏をしたいと思います。ぜひ会場で、それを直接感じてください」(宮本明)
2022年10月26日ゴスペラーズ初のフルオーケストラツアー『billboard classics Gospellers Premium Symphonic Concert 2022』が、11月15日(火)より全国5都市で開催される。「billboard classics The Gospellers Premium Symphonic Concert 2022」 チケット情報メンバーの北山陽一、村上てつや、そしてツアーで指揮を務める田中祐子の3名によるクロストークが公開された。YouTube上にも期間限定で本人たちの音声が公開されているのでぜひチェックを。公演は、11月15日(火)・16日(水)東京文化会館 大ホール、11月19日(土)札幌文化芸術劇場hitaru、11月23日(水・祝)福岡サンパレス、11月25日(金)兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール、12月4日(日)愛知県芸術劇場 大ホールにて。チケットは発売中。●BBJニュースゴスペラーズ、オーケストラツアーに向けて指揮者・田中祐子を交えたクロストークが公開●Billboard JAPAN特集【北山陽一×村上てつや×田中祐子(指揮)】ゴスペラーズ初のオーケストラツアーに向けたミュージッククロストーク!3人の音楽家によるファーストセッション【特別リハーサル編vol.1】●YouTube期間限定公開【ゴスペラーズ×田中祐子】オーケストラツアーに向けたミュージッククロストーク大公開!3人の音楽家によるファーストセッション【特別リハーサル編】
2022年10月25日神戸市混声合唱団と神戸市室内管弦楽団による恒例の合同定期演奏会が11月13日(日)、神戸文化ホールで開催される。今年は「プーランク讃」と題し、20世紀フランスの作曲家、フランシス・プーランクを代表する2大宗教声楽曲『スターバト・マーテル』(悲しみの聖母)と『グローリア』を取り上げる。フランス6人組の1人でもあるプーランクは、これまで日本では主に知的で洒脱な歌曲や室内楽の作曲家として知られてきた。今回演奏される2曲は、オペラ『カルメル会修道女との対話』などと並び、重要でありながら紹介される機会の極めて少ない作品と言えるだろう。神戸市室内管弦楽団・神戸市混声合唱団 合同定期演奏会 プーランク讃≪スターバト・マーテル≫≪グローリア≫チケット情報「悲しみと祈りを湛えた『スターバト・マーテル』、神を讃える喜びに満ちた『グローリア』。ともに純度の高いハーモニーを持ちながら対照的な2曲であり、プーランクを知る上で欠かせない作品だと思います」。そう語るのは指揮を務める神戸市混声合唱団音楽監督の佐藤正浩。指揮者、ピアニストとして数々の実績を持ち、現在オペラ、合唱の分野で日本を代表する1人である。「プーランクは私のライフワーク」と語り、これまでにも積極的にその作品を演奏してきた。今回のプログラムの実現には合同演奏を行う2つの団体の在り方も大きく関わっているという。「プロの合唱団自体が全国的に少ない中にあって、神戸市は混声合唱団と室内オーケストラという2つのプロ団体を抱える唯一の自治体です。このことの可能性はとても大きくて、合同演奏会では規模の大きな作品を良質な形で届けることができる。『スターバト・マーテル』と『グローリア』を1つのコンサートで聴ける機会はまずありません。これはわれわれでなければできない企画だと考えています」。佐藤はそのように力を込める。ソプラノ独唱にはオペラで活躍する中村恵理を迎える。「『スターバト・マーテル』の独唱には透明な高音が求められることが多いのですが、私は2曲とも力強い中村さんのソプラノがふさわしいと考えています。彼女の生命力に溢れた声が、作品をさらに魅力的なものにしてくれると思います」。日本のプーランク受容にひとつの足跡を残すであろう今回の演奏会。すでに全国の音楽ファンから熱い視線が注がれている。文:逢坂聖也
2022年10月25日GREENSとShangri-Laがお届けする独創感あふれるオムニバスライブイベント『GS 2 NIGHT』が、12月14日(水)Shangri-Laにて開催される。出演アーティストは、703号室、新山詩織、ナカムラマユの3組。新しい時代を作っていくストーリーに攻めこんでいく!「GS 2 NIGHT」チケット情報チケットは、10月30日(日)23:59までオフィシャル最速先行(抽選)受付中。
2022年10月24日10月22日(土)、浅利演出事務所主催の舞台『アンドロマック』が東京・自由劇場で開幕した。本作は17世紀を代表するフランスの劇作家ジャン・ラシーヌの傑作で、トロイ戦争後のギリシャを舞台に4人の男女の壮絶な恋愛模様を描いた物語。1966年初演で称賛された故浅利慶太氏による演出で、今回が6度目、浅利演出事務所公演としては2018年以来4年ぶり2度目の上演となる。長台詞が特徴的な本作。浅利氏によって確立された「朗誦術」を出演者らが見事に体得し、ともすれば冗長で大仰になりがちな台詞が実に自然に耳に届く。登場人物の心模様が浮き彫りとなり、壮大な人間ドラマが繰り広げられる。タイトルロールのアンドロマック役は、2002年から同役を演じ本年版演出も手掛ける野村玲子。凛とした佇まいで亡夫への貞節を誓い愛息を守る姿は、どこまでも気品高く、悲しいほどに高潔だ。トロイ戦争の悲惨さと夫の在りし日の姿を語る長台詞は怒りと愛に満ちていて、圧巻である。そのアンドロマックに心奪われ、ギリシャ中を敵に回しても愛を貫こうとするピリュスを演じる阪本篤は、同事務所公演初参加。自身が主宰する「温泉ドラゴン」の公演でも定評のある持ち前の存在感が一国の王の威厳を感じさせる一方で、アンドロマックに対し真正面から愛の言葉を語るその低い声は時に激しく時に優しく響き、見る者を魅了する。坂本里咲が演じるのは、婚約者ピリュスに裏切られ復讐に燃える王女エルミオーヌ。野村同様2002年公演から同役を演じ、4度目の出演となる。恋する可憐な姫の姿と、プライド高く狡猾に復讐を企む姿が表裏一体となる女の情念の凄まじさを見事に表現。2幕の独白、そして自らも制御できないほど心乱れる演技は必見だ。そして、エルミオーヌを一途に愛し尽くす勇者オレスト役には、前回2018年公演でピリュスを演じた近藤真行が初役で挑む。純粋で、恋に盲目な故の決断力と行動力が逆に男らしさを感じさせる。他、重臣・侍女らとして山口嘉三、服部幸子(ともに劇団昴)、坂本岳大、田野聖子が脇を固める。親友のように優しく、乳母のように愛情深く、共に国を想って手厳しく、恋に悩める主人らを導く。たった1日の出来事とは思えない濃密さで展開する『アンドロマック』。古典劇特有の悲劇性をベースに、現代の私たちと同じように悩み苦しむ姿は人間の本質をあぶり出す。シンプルな舞台セットと照明家・吉井澄雄氏の鮮やかな照明に彩られ、“言葉”がひたすらに輝きを放つ様が心地よい。公演は10月29日(土)まで。
2022年10月24日愛知・東京・兵庫で開催される『ビルボードクラシックス スヌーピー プレミアム・シンフォニック・クリスマスコンサート 2022』において、公演会場で発売されるスペシャルな公演オリジナルグッズと新たな出演者が決定した。「ビルボードクラシックス スヌーピー プレミアム・シンフォニック・クリスマスコンサート 2022」チケット情報ファン注目のグッズラインナップには、Tシャツ、マグカップ、トートバッグ、ハンドタオル、キーホルダーの定番アイテムに加え、シリーズ3年目となる今年は巾着ポーチとファブリックポスターが新たに加わり、全7アイテムの販売が決定。本公演のキーアートであるスヌーピーとチャーリー・ブラウンが三日月のブランコに仲良く腰掛けた愛らしいイラストがあしらわれている。公演当日は各会場にて、それぞれ開場時間の1時間半前から先行物販も実施される。さらに、今回のゲストコーナーには、スヌーピーに加えて、チャーリー・ブラウンが満を持しての初登場。ゲストボーカルの城田優をはじめ出演者と賑やかでチャーミングなやりとりに注目が集まる。また、名古屋と兵庫公演には高木マーガレットが司会者として出演することが決定した。彼女はPEANUTSへの愛情と造詣の深さには一目置かれた存在。ファンはもちろん、ここから入門という方へも、PEANUTSの世界観と素敵な音楽を、より深くわかりやすく楽しんでもらうことが期待できる。公演は、12月3日(土)愛知県芸術劇場 大ホール、12月21日(水)東京文化会館 大ホール、12月24日(土)兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホールにて。チケットは発売中。
2022年10月24日鴻上尚史が率いる「虚構の劇団」の解散公演『日本人のへそ』が2022年10月21日(金)東京の座・高円寺1にて開幕。アメリカ帰りの教授のもとに集められた吃音患者たち。教授の指導者のもと「アイオワ方式吃音療法」によって、患者の一人であるヘレン天津の半生を題材にした演劇に取り組むことになった。ヘレンは、岩手県の農村に生まれ、集団就職で上京。さまざまな職を転々とし、浅草でストリッパーになる。その後、ヤクザの女となり、最後には政治家の東京の妻になる。劇がフィナーレを迎えようとするとき、予想外の事件が発生してーーというあらすじ。鴻上は、井上ひさしのデビュー作を解散公演の演目として選んだ。喜劇であり、ミュージカルであり、推理劇であり。そして、日本語を活かした言葉遊び、どんでん返しに次ぐどんでん返し。鴻上は「若い井上さんの才気とエネルギーに満ちあふれた、まさに、おもちゃ箱をひっくり返して、遊び倒した素敵な作品。そのハチャメチャさ、ワイザツさ、ぶっ飛び方、遊び方は、ちょっと比類ないもの」とコメントしている。初日を前に行われたゲネプロ(総通し舞台稽古)を観た。2007年に旗揚げ準備公演でスタートした「虚構の劇団」をタイムリーに追ってきた身としては、いつか来るとは分かっていながら、劇団の解散ということに寂しさを感じていた。だが、この虚構の劇団版『日本人のへそ』を観て気づく。鴻上が旗揚げ当初に掲げていた「プロの劇団になること」という目標をとうに達成していること、そして、あの頃は駆け出しだった俳優たちがこれからの演劇界を盛り上げてくれるであろう頼もしい存在になっていることに。特に旗揚げメンバーの小沢道成、小野川晶、三上陽永、渡辺芳博の活躍は言うまでもなかろう。本作でも彼/彼女らの個性と技量が発揮されていた。鴻上の「15年間どうもありがとうございました。解散公演、盛大な花火を打ち上げたいと思います」という言葉の通り、大輪の花火を打ち上げ、有終の美を飾ってくれたと思う。そのほかの劇団員、客演のメンバーも含めて、劇団が総力をあげてぶつかった『日本人のへそ』。この熱量をぜひ見届けてほしい。上演時間は約2時間35分(途中休憩あり)。座・高円寺1での公演は10月30日(日)まで。大阪公演は11月4日(金)~6日(日)、近鉄アート館。愛媛公演は11月12日(土)~13日(日)、あかがねミュージアムあかがね座。12月1日(木)~11日(日)には東京芸術劇場シアターウエストでも上演される。取材・文:五月女菜穂
2022年10月21日