ウーマンエキサイトがお届けする恋愛の新着記事一覧 (3/104)
「彼氏に気を遣いすぎて疲れる」と題する投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。24歳のトピ主さんには交際1か月になる29歳の恋人がいますが、彼は極度の寂しがり屋のため「彼が寂しく思ってる時に私は彼を安心させなきゃいけない、慰めなきゃいけない」とトピ主さんが常に気にかけてあげるような関係になっているそうです。どうすればこのようなタイプの男性とうまくやっていけるでしょうか? とアドバイスを求めています。親密な人間関係において「疲れてしまう」原因は「彼の掴みどころがない所が魅力」だと感じてはいるものの、自分に余裕がない状況のため、彼に合わせるのが疲れてきた……とトピ主さん。「相性が良くないのは重々承知して」おり、「付き合ったら絶対に苦労する」と自覚した上で交際をスタートさせたそうです。そのため、別れるという選択肢は今のところ考えていないとのこと。交際を継続する前提で考えていきますね。まず、恋人など親密な人間関係において「疲れる」と感じるのは、どんなときが多いのか。主に以下のような状況があげられるかと思います。(1)自分のほうが払っている犠牲が多いと感じるとき(2)相手に対する期待が叶えられないとき(3)自分が快適だと感じる距離よりも相手が近すぎる、または遠すぎるとき(4)意思疎通がうまくいかないとき例えば、トピ主さんはメールの文言にもかなり気を遣っており、意識的に多めに連絡しているとか。しかしこちらが頑張っても、彼は「返事返ってこなかったり遅かったりとかなり自由」な態度。自分は相手のために頑張っているのに、相手は自分のために頑張ってくれない……というのは(1)や(2)のストレスと言えるでしょう。また、彼は「自由人」「他の人とは違う世界観で生きている人」という記述もあり、意思疎通が思うように成り立っていないストレスは(4)に属するかと思います。できるだけ疲れないようにするためには、上記の4つの状況を感じる機会を減らすことが肝心です。つまり、「犠牲を払っていると感じてしまう行動はしない」「相手に過度な期待をしない」「自分が心地いいと感じる距離感の調整に励む」「もっと積極的かつ工夫して意思疎通を試みる、あるいは完全な意思疎通はある程度、諦める」といったことになるかと思います。「理想の女性を演じてしまった」のはなぜだろう?要するに、今よりも少し自分勝手になったり、自分らしさを貫いたりすることが肝心だと総括できそうですね。しかしトピ主さんは、今までそうあることが難しかった。「包容力のある甘えさせてくれる女性が好きなんだなと勝手に理想の女性像を作り出し、そうなろうと必死でした」とのことですが、なぜそのような無理をしてしまったのかについても、良い機会なので考えておきましょう。投稿には、「尽くしても思った反応が返ってこず勝手に怒って空回りしていた」「自分に自信がなく」という記述があります。ここから分かるのは、トピ主さんの心の奥に、「もっと彼に愛されていると感じたい(愛されている自信を得たい)」という願望があること。それを叶えてほしくて、「わがままな彼のため」という大義名分を掲げつつも、自分から積極的に働きかけてしまっていたのかもしれませんね。「自分が彼の愛情を感じたい、彼にもっと愛情深く関わってほしいと思っていること」を、まずは丸ごと認めてあげましょう。その上で、3つのことを心がけるといいと思います。ひとつ目は、変に大人ぶらずに素直になること。「連絡はこのくらいがいい」「こういうときは優しくしてもらえたら嬉しい」と自分の願望を素直に表現し、彼からの働きかけがあったときは素直に喜んでいれば、片方だけが我慢することのない関係性が築きやすいと思います。二つ目は、自分の中で“基準”を持ち、判断しながら行動をすること。彼に望まれたとしても、やりたくないことはやらない、でも心からやってあげたいと思うことはやってあげる。そのような無理のない愛情であれば彼も息苦しくないでしょうし、こちらから“相手を尊重する愛し方”を示すことができるでしょう。三つ目、彼に頼らなくても“安心した心持ち”でいられるよう努力することも大切です。“クレクレ病”になりすぎないよう、恋愛中だからこそ恋愛にばかり頼らず、振り回されすぎず、自分らしさや自分の時間を大切にする心がけをしていきましょう。大好きな彼が付き合おうと決めたのは他ならぬトピ主さんなのですから、「もっと安心して穏やかに、肩の力を抜いてマイペースに進めていこう!」と思っているくらいでいいのではないかなと思いました。好きな人と付き合えたのですから、ぜひ目一杯、幸せな気持ちで楽しんでくださいね。ただし、どう試行錯誤しても不安にさせられるような相手ならば、交際を考え直すことも検討してみるといいと思います。応援しています。(外山ゆひら)
2019年03月25日「1人で生きていけて何が悪い!」と題する投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。ひとりで生きていけそうな女性が男性に敬遠されたり、それが理由で振られてしまったりするのは何故か?と疑問を投げかけているトピ主さん。ひとりでも生きていける男女が一緒にいるのが本物の愛ではないか……と持論を展開し、「それなのになぜ、ひとりでも生きていけそうな女性は男性からの評判が良くないのでしょうか?」と問いかけています。「ひとりで生きられそうな女性への偏見」がある理由は?「それなりの職業に就けば(女性も)自分の生活費ぐらい自分で賄える」と主張しているトピ主さん。「女性が1人で生きていけるのは当たり前なのに、所詮女性は男性の助けなしでは生きていけないという偏見があるように思う」「随分と舐められたものです」等々、憤慨に近い表現も。この問題を考える際には、大きく2つのポイントがあるように思います。ひとつはご存知のとおり、これまでの時代背景です。女性が一人前に学ぶことができ、どんな仕事にも就ける社会はいつの時代もあったわけではなく、過去を振り返れば、女性は男性の庇護下に置かれるのが当たり前だった時代も長くありました。今でも完全に平等になっていない国は多いですし、日本も先進国の中では女性の地位向上がかなり遅れているというデータもあり、“今までどおり”の価値観を強く信じている人や「そういうもの」として問題に感じていない人が今も社会の中に一定数いることが、トピ主さんが偏見を感じるひとつの大きな理由だと思います。とはいえ、昔に比べれば教育や就職において等しい権利を得られる状況になっており、戦ってそういう環境を作ってきてくれた先人たちには感謝したいですよね。もうひとつは、「役に立ちたい」という普遍的な心理。仕事でもそうですが、誰かの役に立てると生きがいを感じて頑張れる、という人は少なくありません。恋愛でも「自分が役に立てていると感じたい」と考える人は、男女とも一定数います。「自分を頼りにし、支えとしてくれる女性」が側にいてくれると頑張る力が湧いてきたり、自分の存在意義を感じられたりする……という男性も少なからずいることが、そうした女性を好む傾向を生んでいると推測できます。「自分には女性を幸せにする力がある」と感じられることは、多くの男性にとって自信にもなるようです。従来は「女性は身の回りの世話をすることで夫や子どもの役に立ち、男性は外でお金を稼ぐことで女性と子どものために役に立つ」という関係性が一般的でした。しかし最近は女性も稼ぐ時代になり、お金以外の繋がりを見出している夫婦も出てきていますし、お互いに家事や育児を分担することで役立ちあう、という関係性も増えてきている。スローペースながら、少しずつ価値観は多様化してきていると言えるかと思います。「本物の愛」ってなんだろう?また投稿には、「女性がお金のために男性と一緒にいるのは本物の愛ではないと思います」という主張も。どんな理由であれ、女性が人生をかけてその相手のそばにいることを選び、また男性も“お金”という点で自分を頼りにしてくれることが嬉しいと感じているならば、それはそれで十分に必要としあえている関係、という見方もできますよね。それに、愛が「相手のために何かをすること」だとするならば、その“何か”はカップルごとに違っていてもいいのではないでしょうか。「お金を稼ぐことが相手のため」という夫婦もいれば、「相手のために自分の時間を使うこと」や「欠点や弱みを受け止めてあげること」を愛だと感じるカップルもいる。“本物の愛”の定義もカップルそれぞれで違う――と考えてみれば、ひとくくりにして語ることの無意味さに気付けるかもしれません。議論を大きくせず、個人単位で見ていこう「男性は〜女性は〜」という分析や議論は楽しいものですが、それを批判材料にしてしまうと敵対心が強まり、また新たな偏見を生むことも多く、お互いにとって良いことが少ないように思います。実際に異性と関わっていく際には、努めて“ひとくくり”にして考えず、個人単位で見ていくのがおすすめです。トピ主さんが今まで出会った男性の中には、「ひとりでも生きていけそうな女性」を好まない男性が少なからずいたのでしょうが、そうではない考えの男性も必ずいます。「私はそちらの人と仲良くしたい!」という気持ちをしっかり持っておきましょう。自立している女性を嫌う男性がいても、それが理由で振られたとしても、「そういう人とは合わないから、こちらからも遠慮しようっと」「自立している私は素敵だもの!」と自分が信じる価値観を貫いていってくださいね。偏見に縮こまることなく、かつ自分と違う考えの人を無用に批判することもなく自然体で生きていれば、いずれきっと自分の価値観を共有できる男性に出会えると思います。応援しています。(外山ゆひら)
2019年03月18日「彼氏の真意について」と題する投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。26歳のトピ主さんは最近、交際1年になる彼氏が元カノをご飯に誘っている内容のLINEを見てしまったそうです。「結局これって私は彼のキープってことですよね? それとも私は遊び相手か何かなのでしょうか?」と問いかけています。「見てしまう」ことで、自分自身が失うものもあるLINEを見るまで、トピ主さんは二人の関係に問題を感じていたわけではなかったようです。告白をしてきた時の彼は真剣に見えたし、結婚前提とも言ってくれているし、イベントの時はプレゼントをくれるなど喜ばせてくれる……といった記述も見られます。今回のことでよく実感できたかと思いますが、他人のプライベートなやりとりを見る場合には、相応の“覚悟”が必要。「彼の人間性をしっかり見極めて、伴侶にふさわしいか判断したい」「嘘や悪事を暴いて、別れの決心をしたい」といった気持ちで行動するならば話は別ですが、そのような覚悟がないまま見てしまうと、自分自身を大いに苦しめることになります。見てしまったら、見る前には戻れません。どんなに見なかったふりをしようと思っても、心に黒いものを抱えてしまいますし、「詮索」という行動によって信頼関係に溝ができてしまう可能性もある。結果、二人の交際がうまくいかなくなる大きな原因と成り得てしまいます。恋人のプライベートが気になる気持ちはよくわかりますが、詮索行動をする場合は、必ず事前に「もし不誠実なやりとりを見つけたら、自分はどうするのか」を考えておくこと。実際にそうした事実を目にしたときに「つらいけど、結婚を決める前に真実を知れてよかった」と思えそうならば、行動しても後悔は少ないでしょう。そうした覚悟ができない、あるいは現状の関係に満足していて手放したくないと思うならば、自分の手を汚してまで詮索はしない、という選択もあります。自ら暴くような行動はせず、しかし「もし不誠実な相手だと分かったときには、迷わず別れる」と決心しておく。「自分が幸せな状態でいられること」を何よりも大切にする……という行動指針もあるとぜひ覚えておいてくださいね。“被害者”にならず、今後の方針を決めようとはいえ、元カノを誘っている彼の態度を正当化しているわけではありません。トピ主さんが今後取れるスタンスとしては、以下3つの選択肢があるかと思います。1)「自分は本命なの?キープなの?」と不安を抱えたまま、付き合い続ける2)彼に対して「不誠実な態度を改めなければ別れる」と意思表示をする3)「元カノには振られるだろうし、いざとなればこちらから去ればいい」と肝を据えて、泰然と様子見をする悲しい気持ちになるのは当然ですが、1のように自分を可哀想な立場だと捉えて悲観的にならないよう、どうか踏ん張ってほしいなと思います。“被害者”になっても、状況が良くなることはありません。詮索したことを責められたとしても、2のように毅然と「勝手に見たのは悪かったけど、不誠実な相手とは一緒にいられない」とトピ主さん側が主張してもいいわけです。あるいは3の選択肢もあります。元カノは彼の誘いを無視しているようですし、復縁の意思もなさそうな状況。「元カノへの未練を引きずっていたものの、結局うまくいかず、時間とともに新しい彼女との愛情が深まっていき、最終的に結婚した」といった実例も知っています。「どうせ私から離れられない」「他に行くところなんてないはず」くらいにドンと構えられるならば、様子見をしてみるのもひとつ。あまり長くフラフラしている様子であれば、友達なども巻き込みつつ釘を刺すか、私を軽んじることは許さないという意思を”態度で”伝えていくのも一案です。「自分たちの関係強化」が最大の武器に元恋人や新しく知り合う異性など、交際中も誘惑は色々とありますよね。牽制したり、相手の言動を束縛したりして防げるものも多少はありますが、別々の人間である以上、相手を縛ることには限界があります。それよりも「自分たちの関係を強固にしていくこと」に注力したほうが、いい結果が得られることもしばしば。「この相手と過ごす時間が一番楽しくて、有意義で、幸せだ」と感じ合えるほど、自然にそちらに足が向き、他の異性が色褪せて見えてしまうことも多いように思います。彼の不誠実な態度が判明した以上、「私を不安にさせるような恋人は要らない、誠実に私だけを愛してくれる人を探す!」と決心する選択もありますが、もし今後も彼と交際を続けようと決めるならば、「自分たちの関係強化」についても今以上に尽力してみることをおすすめします。応援しています。(外山ゆひら)
2019年03月11日「連絡も取れない元彼と会いたい」と題する投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。最近結婚が決まり、遠方に引っ越すことになったというトピ主さん。「引越前にやりたいことや会いたい人」を考えたところ、元カレの存在が浮かび上がってきたそうです。電話には出てくれないものの、共通の友達もいるため「会おうと思えば会える」そうで、一度でいいので彼に会うか話すかしたい、と思いをつづっています。相手側の意向は、「行動」からも推測できる彼はもともと長い間、友人だった男性。とてもいい関係で、居なくなってほしくないという思いから、「恋愛感情ではないのに告白してしまった」とか。しかし結局、交際は上手くいかず振られてしまい、その際、トピ主さんは彼にひどいことも言ってしまったそうです。別れて1年後、彼が怪我をしたと聞いて電話をかけ、「私のことを許してくれたら連絡してほしい」と伝えたものの、その後3年間、トピ主さんがお酒の勢いで何度か電話をかけてみても、彼は出なかったそうです。電話の際、こちらが酔っているかどうかは相手が知り得ないこと。つまりこの3年間、彼は「トピ主さんと話すこと」を望まなかった、ということでしょう。気持ちはどうあれ、少しでもトピ主さんと話したければ一度くらいは電話に出たでしょうし、出られなくとも「かけなおす」という選択肢があったはずです。「行動しない」というのも、ひとつの大きな意思表示。そう考えれば、「彼は自分と連絡を取りたくないのだろう」と判断し、そっとしておくのもひとつの愛情・思いやりの形ではないか……とも感じました。「自分の気が済むほう」を選択すれば、さらに距離ができる可能性もさりながら、投稿には「会えば必ず嫌な顔はしないのはわかっている」という記述も。彼はきっとこれまでも、トピ主さんの気持ちに寄り添ってくれるような人だったのでしょうね。「私の自己満で彼を苦しめていいのか」と気遣う気持ちもつづられていますが、今のトピ主さんは「とにかく一度会って全てを伝えれば、もう酔って電話もしないし、自分の気も済むだろう!」という強い思いに駆られているようです。連絡をしてみないことには諦められない! と思うならば、できるだけ真摯に、友人づてにでも会いたい気持ちを伝えてみるのが一番だと思います。ただし、相手の気持ちよりも、自分の気が済むほうを優先すれば、よりいっそう心の距離は遠のいてしまうかもしれない。彼のなかでの“思い出”の印象をさらに濁してしまう可能性があることは、心得ておくといいでしょう。また、今の彼には大切な女性がいて、その人を傷つけるようなことはしたくないから電話に出ない、という可能性も考えられます。トピ主さんの婚約者だって、元彼に連絡をしたことを知れば傷つかないとも限らない。連絡を取ることで、「自分と彼以外にも影響を与える可能性がある」という点も考慮はしておきましょう。“感傷”をどう処理するのがベストか、考えてみよう投稿から察するに、トピ主さんは今も「彼に許してほしい」という気持ちがあるようですね。「(彼の)おかげで人に愛されることに怯えないで、結婚を決められた」といった感謝の気持ちも伝えたい……とのこと。ただ、トピ主さんは既に一度、電話で謝っています。その後、連絡が取れないということは、彼の中では「済んだこと」あるいは「もう考えたくないこと」になっている可能性も感じます。悪いことをしたと反省するときは、まず謝るのが先決です。しかし謝ってもダメならば、責任を持って自分のしたことを受け止め、その後の教訓としていくほかありません。「暴言を吐いて彼を傷つけたのは事実だし、その行動に責任を取ろう」というふうに考えてみると、諦めがつきやすいかもしれませんね。思いが募って苦しいならば、“出さない手紙”だと割り切って、紙やメモに気持ちを書きつづってみるのがおすすめです。直接、相手に渡したり送ったりしなければ、誰に迷惑をかけることもない。昇華できない思いというのは古今東西、多くの芸術作品にもなっていますよね。感傷はとかく独りよがりなものですし、“甘く苦い青春の思い出”として、自分だけのものにしておくのも一種の美学ではないかな、とは思います。もちろん、それが絶対的な正解ということではありませんし、連絡をした結果「彼に会えて話して満足」となる可能性もゼロではありません。気持ちをぶつけてみなければ気が済まない! 拒否される(嫌われる)覚悟も持てる! ということならば思いきって連絡してみるのもひとつです。行動がもたらす影響や結果を十分に検討した上で、最終的には、ご自身の信念と照らし合わせながら判断してみてはいかがでしょうか。(外山ゆひら)
2019年03月04日「振られたのに…」と題する女性からの投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。交際していた彼氏を怒らせてしまい、先日振られたばかりというトピ主さん。しかし、別れた翌日からいつもどおりLINEが来るそうです。まだ未練は残っており、復縁したいトピ主さんとしては期待してしまう。「どういうつもりかはっきり聞くべきでしょうか?」と問いかけています。“決定権”を握られていると思うと、悩みは尽きない「復縁できないのならやりとりしたくない自分と、このまま繋がっていたい自分がいます」と相反する気持ちを吐露しているトピ主さん。出口なく悩んでしまう理由は、「この状況をどうにかする“決定権”を彼のほうが握っている」と思い込んでいるからだと思います。そしてトピ主さんはその決定に従うしかないと感じている――。しかし、本当にそうでしょうか。別れを告げられた理由がなんにせよ、「関係をどうしていくか」を決める権利は双方にあります。彼がどう考えているかとは別にして、トピ主さんとしても現状、以下いずれかの選択をすることができるかと思います。(A) 復縁するかがハッキリしない状態では、連絡を取らない(B) 彼との関わりを続けると決め、連絡を断つことはしない「どういうつもりか」を彼にはっきり聞いてみるのもひとつですが、彼自身も自分がどうしたいか、明確に自覚できていない可能性も感じます。彼も未練があるから連絡をしてくるのでしょうが、問い詰めたところで、今すぐ答えは得られないかもしれません。彼が明確な意思決定をしないならば、トピ主さんが先に(A)か(B)を選んでみては。相手の出方や決定を待つのではなく、「自分がこうしたい、これが正しいと思うからこうしよう!」と決めて動くようにすると、悩みは随分、軽くなってくると思います。強い意志を持って、自分の選択を貫こうでは(A)か(B)、どちらが復縁できる確率が高いのか。二人の性格やこれまでの関係性にもよるので一概には言えませんが、それぞれの選択肢について検討してみましょう。自分たちに合うと思うほうをぜひ検討してみてください。まずは(A)から。連絡を止める場合、「ハッキリ宣言して連絡を断つ」か、「何も説明を言わず返事をするのを止める」といった選択がありますが、どちらにしても、彼に何らかの“感情”を呼び起こさせることは間違いないと思います。怒るか、焦るか、すがってくるか、冷たくしてくるか……。いずれにしても、彼に『この関係について再考する機会』を与える可能性は高いでしょう。そうして少し距離を置くことで内省の時間を持ち、改めてお互いの大切さに気付いたならば、復縁後いい関係が築ける可能性は高いと思います。この場合、簡単に意思を曲げず「なあなあな関係にはならない」という意思を持っておくこと。「本当にお互いを必要としているならば、いずれ元の関係に戻るだろう」とどっしり構えておくのも一案です。一方(B)の選択だと、彼との関わりを続けると決め、別れ話などなかったように振る舞ってみるのもひとつの方法です。もし万が一「もう彼女じゃないから」などと彼に線引きをされたときは、「毎日連絡が来るから、まだ付き合っているんだと思ってた」なんて反論してもいいかもしれません。(B)の選択をする場合は、「絶対に復縁する!」「こちらの決意や気持ちに巻き込んでやる!」くらいの強い気持ちを秘めておくといいと思います。「別れの理由」を繰り返さないように復縁が叶った場合、どうすれば二人がうまくいくかについても考えておきましょう。二人が別れたのは、彼に対して会いたい、寂しいなどとしつこく送ってしまい、「彼を追い詰めてしまった」ことが原因。別れを切り出された後も泣いてすがってしまい、「最終的に嫌いとまで言われてしまい、かなり怒らせてしまいました」とのこと。同じことを繰り返さないためには、復縁後、トピ主さんは彼に「会いたい、寂しい」とばかり言わず、自分の生活を充実させる努力が必要になってくるでしょう。今のうちに、その練習をしておいてもよさそうですね。また彼のほうも、これまで交際にあまり時間を割いていなかったならば、多少の改善努力が必要になるかもしれません。「会う時間をもっとたくさん作ってくれ、寂しい気持ちにならない男性のほうが私に合うかもしれない」と思うならば、この機会にそうした別の可能性を探ってみるのもひとつです。お互いに「今度は同じ失敗を繰り返さないようにしよう」と協力しあう気持ちがなければ、また同じ問題でぶつかってしまう可能性も。復縁できた場合でも、その後は少し慎重に、自立心を持って接していきましょう。願いが叶うといいですね。応援しています。(外山ゆひら)
2019年02月25日「結婚したいといつ言えばいいのでしょうか?」と題する女性からの投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。30歳のトピ主さんは4歳年上の男性と交際して1年。彼のことは大好きで、「すごく大事にしてくれている」とも感じているそうですが、これまで一度も「結婚」という言葉が出てこないことに悩んでいます。自分から結婚話もしてみたものの、「それとなーく流される(冗談でかわされる)感じ」とのこと。「どうしたら冗談ではぐらかされないですか」「結婚したいといつ言えばいいのでしょうか」とアドバイスを求めています。相手の結婚の意思を「本気で確認」できない理由トピ主さんはなぜ、結婚の意思を彼にうまく聞くことができないでいるのか。「何度も結婚の話題を出すと焦ってると思われそうで、怖い」とのこと。相手の気持ちが盛り下がるかもしれない不安やためらいも、ひとつの理由なのでしょう。しかし投稿を読む限り、一番大きいのは、「望まない答えでも受け入れて、人生を前に進めたい」という意思や覚悟がまだしっかり固まっていないからだと推察しました。トピ主さんが「今年じゅうに結婚したい」と伝え、もし彼が本気で返答してくれた場合には、以下のいずれかのフレーズが予想されます。1)「君とは、結婚する気がない」2)「君と結婚するつもりはあるけれど、近々は無理だから待っていてほしい」3)「君と結婚するつもりはあるけれど、今すぐと言うなら他を当たってほしい」4)「わかった、今年じゅうに結婚しよう」トピ主さんが一番聞きたいのは4ですよね。それ以外の答えを受け止める心の準備ができていなかったから、今までは、彼に話をはぐらかされても深追いができなかったのでしょう。こちらが本気の覚悟を持って聞いていないから、本気の答えを得られなかった……ということです。相手の“本気の意思”を知りたいときは、どんな答えが返ってきても、それを受け止める“本気の覚悟”が必要だという点は、ぜひ心に留めておいてくださいね。「自分はどんな風に生きていきたいか」をイメージしてみよう「自分の願いどおりではないかもしれない事実」を知ることは、誰にとっても怖いことですが、それを受け止める勇気を持てない限り、停滞を抜け出せないのも事実。そう考えれば、トピ主さんは「別れるかもしれないという恐れ」よりも「彼、もしくは誰かと結婚をしたい気持ち」が上回ったタイミングで、本気で彼の意思を確かめる勇気が湧いてくるかもしれませんね。このままの状態が続いて結果的に結婚に至らなかった場合、交際していた期間を「人生の無駄だった」と思うか、「それでも彼といられて幸せだった」と捉えるかはその人次第。仮定の話ですが、トピ主さんはそのとき自分がどんなふうに感じると予想しますか? 「無駄だった」と思ってしまいそうならば、決断の時期が近づいているのかもしれませんね。あわせて、「これから自分がどう生きたいか」も具体的にイメージしてみましょう。「早く温かい家庭を築きたい」「子どもが何人欲しい」「家庭という基盤を作り、しっかり仕事に集中したい」等々、トピ主さんなりに描くものがあると思います。人生は有限です。限られた時間をどのように生きるかは、自分にしか決められません。「彼以外の相手と生きる道も、ひとつの選択肢としてあるかもしれない」と考えられるようになれば、彼に意思を確認することもおそらく難しくないはず。もちろん、「私の思い描く人生は絶対に彼の側にある!」と思えたときは、その強い気持ちをしっかりぶつけてみるといいと思います。視点を変えれば、結果の意義も180度変わってくる万が一、彼との結婚が決まらなくても、いずれ「あの別れは、この人に出会うために必要なことだった!」なんて思えるようになる可能性もあります。つまり、今回「NO」という返事が返ってきても、それは絶望どころか、希望のはじまりかもしれない、ということ。視点を変えれば、物事の見え方や意義は180度違ってくるので、その点もぜひ覚えておいてくださいね。「深掘りしようとすると、私が泣いちゃう気がして」とのことですが、子どものように泣いて駄々をこねても、自分の欲しいものが必ず手に入るわけではないことは、トピ主さんもきっともう理解しているはず。ですが、どんな結果でも受け止める覚悟さえあれば、大人は“自分の欲しいもの”に手を伸ばしてみるチャレンジが許されている。その「覚悟」ができたときが、結婚について尋ねる最適なタイミングと言えるかもしれませんね。応援しています。(外山ゆひら)
2019年02月18日「婚活って女性同士のダメ出しが厳しいです…」と題する女性からの投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。数年前から婚活をしているトピ主さんですが、既婚女性の多い職場に勤めており、「同僚や先輩からの上から目線のアドバイスにウンザリ」しているそうです。ダメ出しをされたり、アクセサリーから食べ物のことまで細かくアドバイスをされたりで気が滅入ることもしばしば。「女性同士の恋話ってもっと楽しいイメージでしたが、結婚すると価値観や物の考え方が固定化してしまうのでしょうか?」と問いかけています。大人になると、「恋バナ」が楽しくなくなる理由職場の既婚女性との恋バナが楽しくない理由は、現在進行形で見えている景色が違うから……ということに尽きるでしょう。以前、数人で未婚女性の恋愛相談を聞いた際、既婚女性が「そんな頃もあったな〜とか思っちゃう!」と陽気に発言し、その場では笑っていた未婚女性が、後から「あの言葉に少し傷ついた」と教えてくれたことがありました。今まさに真剣に恋愛に取り組んでいる彼女からすれば、恋愛のフェーズで悩んでいる自分が愚かに感じられ、傷ついたのだろうと思います。だからと言って、「私は真剣に話してるんだから!」なんて本音をぶつければ、既婚女性たちは聞き役に徹するしかなくなり、会話も弾まなくなってしまうでしょう。要するに、相手に嫌な思いをさせようという意図がなくても、”今見えている景色”が違うだけで、うまく話が噛み合わないこともある……ということです。学生時代の恋バナが楽しかったのは、お互いに同じような立場・状況だったから、という理由も少なからずあると考えられます。恋愛はナイーブな部分を含む話題ですし、自分と同じように婚活に励んでいる友達か、ごく親しい友人か、あるいはカウンセラーなど第三者である相手を選んだほうが、快く楽しく話せると思います。「今の関心事」以外に目が向かなくなりがちなのは、誰でも同じ既婚女性からのアドバイスについて、「一昔前のテクニックみたいのが多くて正直役に立ちません」とトピ主さん。ですが、それはある程度、仕方のないことではないでしょうか。彼女たちはもう“恋愛テクニック”が不要な生活をしており、だから新しい情報も更新されない。それで何ひとつ、困ってもいないわけです。「恋愛」のフェーズを過ぎた人が、「家庭生活」「住宅」「子育て」「教育」「介護」などに関心が移っていくのは自然なことです。人は過去を忘れていく生き物ですし、目の前の関心事以外にエネルギーを割く余裕がない人もいます。そういう意味では、トピ主さんも今婚活のことで精一杯だからこそ誰かに気持ちを聞いてほしくなり、つい職場でも話してしまうのかもしれませんね。女性の多い職場で、マウンティング合戦を避けるには?無論、女性同士のコミュニケーションにおいて、恋愛や結婚の話題を一切しないのが難しいことも理解しています。多様な人が集う職場では、「皆が分かる無難な話題」として恋愛や家庭の話題が選ばれるケースも少なくありません。あれこれ言われたくなければ、自分の話題を極力出さないのもひとつのテクニックです。話したい気持ちをぐっと堪え、こちらから話題を提供しないようにしていれば、そのうち別の話題に移行していくことでしょう。嫌な発言をされた際、毅然と怒るのもひとつですが、波風を立てるのが嫌ならば、あえて「そんなふうに言われると傷つきます……」なんてしょんぼりしてみせるのも一案。そうすれば、追撃はしてこないと思います。職場でのサバイバルスキルは色々あるので、ぜひご自身に合った方法を考えてみてくださいね。また投稿内には、「男性社員から私だけチヤホヤされることが多い」「その分、ダメ出しが厳しくなってる気がする」「既婚の方はもう旦那さんがいてモテる必要もないと思う」といった記述も。実際に”嫉妬”も含まれているのかもしれませんし、上から目線の言動をされれば「私のほうが女として勝っている」と反発したくなる気持ちもよくわかりますが、マウンティングにマウンティングで返せば、マウンティング合戦が激化するだけ。結婚していようといまいと、異性に優しくされて「嬉しい」と感じる気持ちがなくなるわけではないことも、心得ておきましょう。さまざまな立場の人がいる職場でのコミュニケーションは本当に難しいと思いますが、TPOに応じて“本音を出す加減”をコントロールするのも大人の知恵のひとつ。できるだけ気持ちをすり減らさず、「自分が気分よくいるためにはどうすれば賢明か」を考え、ぜひ実行していってみてくださいね。そうしていたほうが、きっと現在進行中のお相手とうまくいく確率も上がると思います。応援しています。(外山ゆひら)
2019年02月11日「恋愛にだけネガティブな自分が嫌です」と題する女性からの投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。一流の学歴や情熱を持てる仕事、そして良い友人にも恵まれており、スタイルも良く美人と言われることも多い…という31歳のトピ主さん。恋愛経験も人並みにはあるものの、自分からアプローチした経験はゼロ。現在、職場に気になる男性がいるものの進展せず、どうアプローチすればいいかについて悩んでいます。恋愛に「プラスになる自信」と「マイナスになる自信」の違い今回はまず、恋愛にまつわる「自信」についてお話ししたいと思います。トピ主さんは容姿、収入、良好な人間関係など有形無形のさまざまなものを持っている自覚があり、そのための努力もしてきた……という自負があるようですね。「(恋愛以外のことには)チャレンジ精神がある」といった一文も見られます。「私には素晴らしいところがある」という自負をしっかり持てていることは、恋愛にもポジティブに働くことが多いです。しかし一方で、「私は素晴らしいから」⇒「相手も自分に好意があるに違いない」という類の自信を持ちすぎてしまうと、恋愛ではマイナスに働くこともあります。「一般的に見て魅力があることが、真剣な恋愛感情に繋がるか」というと、そうとも限らないのが恋愛。若い頃、あるいは人によっては、ステータスとしての恋愛を望む気持ちが強く、“他者から見てすごい相手”を選びたがる人もいますが、多くの人は、それが仮に欠点であろうとも「自分が好きになる何か」を備えている人を好きになりやすいです。つまり、どんなに恵まれた人でも、“自分の好きな相手”に好かれるかどうかの確率は五分五分である、と言えるかと思います。(生活を重視して結婚相手を選ぶケースに関しては、論点がズレてくるので今回は割愛します)自己分析し、「今のふたりの距離感」を冷静に捉えてみようそういった意味で、人生のおおよそのことをうまくいかせてきたトピ主さんが“恋愛にだけネガティブ”なのは、恋愛が「成功するかどうかが最も不確実な挑戦」だからかもしれませんね。トピ主さんは「彼に振られるかもしれない可能性」を受け止められそうですか? そこまで思いつめておらず、「今ならまだ傷が浅いから大丈夫!」と思えるうちに動いてしまう……というのもひとつですが、そもそも失敗や傷つくことへの恐れが強い人もいるので、”ダメもと”でもアプローチできる性格かどうか、自己分析してみるのもおすすめです。続いて、今回の彼とのケースについて考えていきましょう、こちらから話しかけてタメ口で話せるようになり、仕事帰りに何度か一緒に駅まで歩いたことはある……とのこと。しかしそれ以上進展がない。彼の連絡先を知らず、食事等にも行っていない理由について、トピ主さんは「私が多忙」「毎日職場で会うから」「彼は独りが好きそうで、LINEや電話はただの連絡ツールとしか捉えてないようだから」等々と分析していますが、客観的に事象だけを見れば、「今のところトピ主さんのことは同僚としか思っておらず、プライベートな関係になろうと思っていないから」という可能性もあるわけです。アプローチをするにあたっては、「相手が自分を好きにならない可能性もあること」は心得ておくことが賢明。本当に有効な作戦も考えにくくなりますし、これが悪化すると、ストーカーの心理と近しいものになってしまいかねません。彼がトピ主さんに恋愛感情を持っていようがいまいが、トピ主さんの素晴らしさは一ミリも変わりません。そして、仮に振られたとしても「縁がなかった」「見る目がないのね」など好きなように捉えてOKです。ただ、これから仲良くなりたいというときには、「相手が自分に近寄ってこない理由」を自分の都合よく解釈したり、逆に極端に悲観的になったりしないよう、落ち着いて“今の距離感”を理解するよう努めていくのがおすすめです。どんなアプローチをすれば、同僚以上の関係になれる?アプローチとは、「ちょっと踏み込んでは下がる」という地道な働きかけの繰り返しです。今のトピ主さんたちの関係であれば、一緒に帰るチャンスがあったときに「軽く飲んで帰らない?」なんて誘ってみるのもいいですし、彼の関心事に積極的に興味を持ってみるのもひとつ。長く会話が弾むようになれば、「彼女と話していると楽しいな」と思われるようになり、自然にふたりで過ごす機会が増えていく可能性もあるでしょう。そのようにしばらく働きかけても反応が薄いなら、さっぱり諦めるのも有意義な選択です。「やっぱり自分からアプローチするなんて無理だ」と思うなら、今の段階で諦めてしまうという道もありますが、「ダメもとでも、五分五分の確率でも、この恋にチャレンジしてみたい」と決心するならば、今の状況を冷静に捉えた上で「ここから自分はどうしてみたいか」を考え、行動に移していきましょう! 応援しています。(外山ゆひら)
2019年02月04日「他人と暮らすストレス」と題する投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。トピ主さんは36歳。「何かあったとき怖いという理由で一人では暮らせない」ため同棲をしていますが、「他人と暮らすことにものすごくストレスを感じてしまう」ことに悩んでいます。これまでの交際を振り返っても、「ひとりじゃなきゃ駄目な時間があることを理解してくれる人」は中々いないとのこと。「結婚して幸せな家庭を築けている人が羨ましい」「どうやって相手を受け入れたらいいのか」と問いかけています。人と暮らすことにストレスを感じてしまう人の傾向「ものすごくワガママ」で「色んなことに過敏」と自己分析されているトピ主さん。他人と暮らすことに多大なストレスを感じてしまうのは、「自分の好きなように過ごしたい思い」が強い一方で「”我がまま”に振る舞いきれない人」に多いように思います。本当に“我がまま”になれる人は、他人と一緒に暮らしていても比較的自由に振る舞いますし、自分の時間が欲しくなればふらりといなくなるなどマイペースを貫くので、耐えられないほどのストレスにはなりにくいです。他人との摩擦に敏感で、「誰かと一緒に暮らしていると自分のしたいことができない!」と感じる人ほどストレスは大きくなりやすい、と言えるでしょう。期待に応えられない“負い目”もストレスに!?トピ主さんは、「他人と一緒に眠ること」が一番のストレスだそうですね。一緒に寝ると相手のいびきなどで寝不足になり、体調を崩して仕事に影響が出てしまうことも。「スキンシップも極力避けたい」「ひとりで眠りたい」ものの、それを理解してくれる男性はなかなかいない。現在の同棲相手からも、「同じ布団で寝たい」と何度も言われているそうです。おそらくトピ主さんは「スキンシップ=愛情」だと感じる度合が低く、またパーソナルスペース(他人に近づかれると不快に感じる空間)もそれなりに広いのでしょう。「人間としての何かが欠落しているのか」とのことですが、異性とのスキンシップがあまり好きではない人も一定数いますので、自分だけが変だと思う必要はありません。もしかしたら「恋人の期待に応えられない」という負い目もまた、ストレスにつながっているのかもしれませんね。だからといって無理して一緒に寝て、仕事に支障が出るようなことが続けば、ストレスは今以上に溜まり、彼との未来にもどんどん後ろ向きになってしまうでしょう。そう考えれば、「トピ主さんがひとりで眠ることは、ふたりの良好な関係維持のために必要なこと」だとも言えます。「別々に寝ることが、いかにトピ主さんの気持ちや恋愛関係をいい状態に保ってくれるか」について、彼にプレゼンをしてみるのもひとつです。もっと現実的に折り合う形を探したい!ということならば、「最初は彼のベッドに一緒に入り、いびきをかき始めたら、そっと別の部屋へ移動して自分のベッドで眠る」といった折衷案もあります。でもそれも毎日では疲れてしまいますよね。「週末だけはそういう時間を持つ」などメリハリをつけて、お互いの要求のバランスを取ってみるのも一案です。「ひとりの時間が欲しい」という人は少なくない「ひとりになりたい時間があるのは、何らおかしいことではない!」と真に理解することも、ストレスを減らす助けになると思います。未婚・既婚問わず、「ひとりの時間が欲しい」と口にする人はたくさんいますし、どんなに仲の良い家族だって、一緒にいるのがわずらわしいな、と思ってしまう瞬間はあるもの。たまには少し距離を取ったほうがいい状態が保てる、という関係性も少なくありません。また、“ひとりの精神状態”になれる場所を確保しておくのもおすすめです。互いの自室を持つのがベストだと思いますが、トイレやベランダでそうした時間を確保している人もいます。家の中が難しければ、お気に入りのカフェなど外で探してみるのもひとつ。ちなみに、「飛行機や新幹線のグリーン席に乗っているときが一番、”ひとりになりたい欲”を叶えられる時間」だと教えてくれた既婚の友人もいました。そうして時々は上手に息抜きもしながら、共同生活の楽しさやいいところを享受している人も少なくない、ということです。彼が寂しがるならば「常に一緒にいたり、スキンシップをしたりすること」ではない形で、トピ主さんなりの愛情表現をしていきましょう。それを受容するかは彼次第ですが、少なくとも「私はこう感じる、こういう関係だと嬉しい」ということは根気強く伝えていくといいと思います。応援しています。(外山ゆひら)
2019年01月28日「相手の性格はどこまで受け入れる?」と題する投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。トピ主さんは36歳。婚活で知り合った男性の性格のことで悩んでいます。その彼はSNSに頻繁に自撮りを投稿する習慣があり、トピ主さんは「37歳にもなってそんな事してるの?と結構引いてしまった」そうです。ただ、それを除けば「彼に決めたい」と思っていて、年齢も近く、エスコートしてくれるし、話しやすいし、優しいし、食事していても嫌ではない。彼の個性として受け入れるべきか、それともこういうタイプを夫にすると大変なのか……と問いかけています。「絶対に許せないこと」と、「好きな点・尊敬できる点」を書き出してみよう理解できない彼の自撮り行動に対し、「自己顕示欲が強いのか、かまってちゃんなのか、極度の寂しがり屋なのか」と分析をしているトピ主さん。ただそんな彼だけれども、何かを強要したり勧めたりしてくるわけではない。何より、婚活ではかなり年上の男性からの申込みばかりで、「こんなに年が近い人で、話して疲れない人はもういないかも」という焦りもあり、彼を選びたい気持ちもあるようです。人間関係は、相手に多少理解できないところがあっても、「絶対にこれは嫌だ、許せない」というほどのことはなく、かつ相手に「好きなところ」や「尊敬できる部分」があれば続きやすいです。彼がこの両方を満たしているかどうか、まずは検討してみましょう。表題にもありますが、「相手の何もかもを受け入れなくては……」とまで極端には考えなくていいと思います。どんなに大好きな恋人でも、親しい友達でも、長く付き合っていく中では、「ここはちょっと考え方が違うな」「相手のこういうところだけは苦手かも」などと思ってしまう瞬間はあるもの。しかしそこを許容しあい、良いところを見て魅力を感じあえるならば、仲良くしていくことができます。恋愛では一時期、ネガティブな部分がまったく見えなくなるほど相手にのめり込むこともありますが、そのような状態は長く続かないのが常です。ということで、以下について自分の考えを書き出してみましょう。(1)自分がパートナーに対して、「絶対にこれは嫌だ、許せない」と思うのはどんなこと?(2)「その彼」の好きなところ、尊敬できるところはどんなところ?トピ主さんが「絶対にこれは嫌だ、許せない」と思うのはどんなことでしょうか。彼の言動や挙動の中に、そう感じる瞬間がないか振り返ってみるといいでしょう。併せて、その彼の好きなところ、尊敬できると思うのはどんなところなのか。「絶対に許せない」と思うほどのことがないならば、気に入っている部分もあるわけですし、交流を続けてみてもいいのでは。そして、(2)もしっかり確信できるようになると、結婚に対しても前向きな気持ちが強くなってくるかもしれませんね。「結婚を決める」ために必要な確信とは重要な決定で迷うときは、「すぐに決めないで様子を見る」という選択肢も検討してみてくださいね。知り合ってすぐに結婚を決めてうまくいく例もありますが、トピ主さんの心には迷いがあり、その“勢い”も付いていない。ならば普通に楽しい交流をするなかで、様子見をしてみるのが最善のように思いました。結婚は人生を左右する大きな出来事ですし、「この人とやっていこうかな、やっていきたいな」と思う瞬間が来てから決断しても遅くはありません。お見合いのシステム上、すぐに答えを出さなければならないならば、「まだ気持ちが追いつかないので、ゆっくり関係を進めたい」と伝えた上で、結婚は確約せずに交際を始める……というのも一案。「今すぐ彼を断ったときの後悔と、付き合った後でダメになったときの後悔と、どちらが大きいだろう?」といった観点で考えてみるのもおすすめです。もちろん、どんなに交際に時間をかけても相手のすべてを知ることは不可能なので、迷いがゼロになることはないかもしれません。しかし少なくとも、「この人とやっていってみよう」と思えるくらいにまで気持ちが固まらなくては、結婚は決まらない。そう考えれば、その彼とはまだ結婚を決めるには時期尚早、ということなのかも。彼側の気持ちや事情もあるでしょうし、トピ主さん側だけで決められることではないですが、結果的に「急がば回れ」になってしまうのは本意ではないですよね。長引かせたくないならば「半年で最終結論を出そう」などと期間を決めた上で、少しだけ余裕を持って関わってみてはいかがでしょうか。応援しています。(外山ゆひら)
2019年01月21日「生活費と家事の分担は比例でしょうか」と題する投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。同棲中の彼との家事分担について、不満を抱えているトピ主さん。以前、共働きをしていた頃は、彼も幾つかの家事を担当してくれていたものの、今は脱いだ靴下ひとつ片付けないそうです。同棲によって彼の支出は増えておらず、「お小遣いを頂いているわけではない為、養われている感覚は薄い」とのこと。「生活費を出してもらっている上で家事もしてほしいと思うのはやはり図々しいでしょうか」と問いかけています。「私ができるのはここまで」というラインを明確にしようトピ主さんは、介護を理由に一旦退職したものの、株配当などで現在も収入があるとのこと。今は教習所やボランティア活動で多忙だし、近々再就職先も決まっているそうです。以前は互いに得意な家事を負担しあえており、きれい好きなところも彼の好きなところだった。しかしトピ主さんが退職して以降、「脱いだ靴下は脱ぎっぱなし、出された料理のお皿も出しっぱなし、ゴミは何日でも無視」という状況になってしまったといいます。「どんなに私が忙しくても、在宅雑務だと暇なように思われるのか」とのことですが、トピ主さんが「やってしまう」ことで、彼に「やってもらえる」と思われてしまった可能性を感じました。家にいる時間が長くなると、家事の必要性にも先に気づきやすいですよね。渋々でもトピ主さんが多くの家事をやっていた結果、彼は「自分がやらなくても大丈夫なのだな」と理解してしまったのかも。トピ主さんが再就職すれば状況も変わるかもしれませんが、おそらく一緒に暮らしたことで、以前より二人の関係に緊張感がなくなっていることも影響しているのでしょう。家庭運営には、双方の「意思」と「合意」が必要そもそも、「片方は家事(+育児)、片方は仕事」という分担で円満にやっていけるのは、(A)双方に「共に家庭を作っていこう」という“意思”があり、(B)双方が「分担するのが家庭にとって合理的だ」と実感できている場合に限られるように思います。同棲は(A)を満たしていないですよね。投稿にも「一生養われる夫婦であればまだわかりますがただの同棲です」という一文がありますが、何の約束もないまま負担を強いられているからこそ、いっそう不満が募っているのでしょう。このまま一緒に暮らしていても嫌悪感を募らせるだけならば、思いきって一旦、同棲を解消するか、結婚について具体的に話してみるのもひとつです。その際には、ぜひ「お互いに合理的だと思える家事と生活費負担のバランス」についても話し合い、折り合えるポイントを探っていきましょう。今は変化の過渡期。どうすればうまく家事分担できる?2016年に総務省が行った「社会生活基本調査」によれば、共働き夫婦が担う家事の一日の平均時間は夫14分、妻180分。家庭差はあれど、男女の家事負担のアンバランスは、先進国のなかでもかなり特異なようです。「家事は女性がするもの」と認識している人がまだまだ男女共に少なくない現在の日本で、この価値観や習慣を変えるのは一朝一夕には難しいですよね。男女それぞれが自立した生活習慣と経済観念を持つことが必要ですし、会社の仕組みも変わらなくてはなりません。少しずつ変化も見られていますが、言ってみれば、今は価値観や制度の“過渡期”。だからと言って、諦めずに自分の家庭だけでもどうにかしたい!と思うなら、とにかくよく話し合う習慣をつけることが一助になると思います。日本はハイコンテクスト文化の国で、「察してほしい」「言わなくても分かるだろう」「交渉や議論が苦手」という人が多いのは事実。「今ある不満や感情をぶつけるため」ではなく、「人生のパートナーとして、どうしたらこの問題を解決できるか」という視点から何度でも話し合い、双方が譲歩できる形を探していく。時間はかかりますが、そうした地道なコミュニケーションこそが、良好な関係維持を支えてくれるでしょう。今のトピ主さんたちの場合は、「二人のための話し合いや努力ができる相手かどうか」ということを、同棲を通じて見ていってもいいかもしれませんね。応援しています。(外山ゆひら)
2019年01月14日「どうしても結婚したい」と題する投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。トピ主さんはこれまで色々と出会いの場に行ってきたものの、うまくいっていないという40歳女性。職場でも男性と会話できない、男性を好きでない時もある……とのことですが、それでも「どん詰まりまで来て、結婚しか目標がありません」「自分の男が欲しい」と心境をつづり、そのためにはどうすればいいかと問いかけています。意欲もあるし、モテるのに、うまくいかない理由は?投稿からまず感じたのは、トピ主さんの前向きさ。“どん詰まり”などと書いていますが、それ以上に強い意志を感じます。長らく婚活を続けていると、疲弊してモチベーションを失っていくこともあるものですが、トピ主さんは30歳代から頑張ってきて、今なお「結婚したい!」という強く思っていて、それを胸を張って主張できる。うまく使いこなせれば、この意欲はひとつの強みになると思います。無用な焦りではなく、“常に前に進む力”に変えていきましょう。「どこに行っても男性が気にかけてくれますし、この人と結婚するかな、という人も何人かいた」「何気にモテる」というトピ主さん。一方で、「自分に自信が持てない」「男性とのコミュニケーションがうまくいかない」という自覚があり、それが婚活の成功しない理由だと考えているようです。今回はこの2点について、一緒に考えていきましょう。男性と“普通のコミュニケーション”を取るためにはまず、男性とのコミュニケーションについて。最近はお見合いで話をしても“独り言”を言っているような感覚になるそうで、相手が閉口するとこちらも言うことがなくなり、楽しくないと思わせているだろうな……といった気持ちになってしまうとか。未だに恥ずかしさがある上、「歳を取るたびに、男性に断られることが怖くなり、接触を避けるようになった」とのことで、職場の男性も避けているそうです。これは、異性を“異性として”しか見ていない人に多い兆候です。「自分が相手の、そして相手が自分の恋愛対象になるかどうか」という意識が強すぎて、恋心が芽生える前段階の“普通のコミュニケーション”が取れず、結果、恋心が生まれない……という悪循環が起きてしまう。「自分は相手に気に入られているだろうか」という自意識が強すぎると、不自然でくつろげない雰囲気を作ってしまいがちです。これを解消するためには、「男性に恋愛対象として見られないことがあっても別に構わないし、気軽に会話できるくらいの関係で終わってもいい」と思えるようになることが肝心。そう思えていると、普通のコミュニケーションを取れる相手が増え、そのなかから副次的に恋愛も生まれてきやすいです。職場の男性とだって、普通の知人として楽しく会話をしてみたって何ら損はないはず。異性としてではなく“人として”好かれることだって、ささやかでも日々を豊かにしてくれるトピ主さんの財産になると思います。「望んで、望まれる人」に出会えればいい。価値を委ねない。続いて、自信について。誰かに評価してもらえる自分になるために自信を付けよう……といった決意表明もされていますが、評価してもらうための自信では脆く、本当の自信になりえない可能性も感じます。自信とは、自分で自分を信じるということ。「誰かに評価されない自分でも大丈夫。私は私でいいんだ」と静かに受け入れられている状態=自信を身につけている、自尊心を持てている、ということになります。自分がいいと思った異性に好かれないことがあれば、がっかりして当然。でも、その際に「私は女としてダメなんだ」という考えに繋げない訓練をしましょう。相手側にも好みや事情があるわけですし、その相手が人生に登場する前から、トピ主さんなりの暮らしをしていたはず。「残念だけど、その気のない相手と関わっている暇はないしね!」と、自分の人生を一番に考えていきましょう。加えて、自分の価値を他人に委ねすぎないこと。自分の存在価値のすべてを恋愛相手からもらおうとせず、自分の好きなモノや趣味、友人・知人やコミュニティ等からも大いに受け取っていきましょう。自分で稼いできたのでお金にはこだわりがなく、男性の容姿や優しさを重視してきた、というトピ主さん。今後はその希望条件に、ぜひ「お互いに心から望みあえる人」という項目も付け加えてみてください。別に全員に望まれなくてもいい。友達や知り合いで終わる人がいてもいい。でもその中から、一緒にいたいと望み、望まれる人に出会いたい――。そんな決意ができたとき、きっと普段の生活や男性との関わり方にも変化が起きてくると思います。応援しています。(外山ゆひら)
2019年01月07日「男性の気持ちは?」と題する投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。アプローチを受け、今春から交際を始めた恋人がいるトピ主さん。しかし彼は経営者で非常に忙しく、交際3か月過ぎた頃からデートの間隔が空くように。そのこと自体は理解しているものの、最近は何度もドタキャンが続いており、また「3度目の無理になったメール」が届いたとのこと。「会う約束をされるたびに、当日メールで断られることが、堪えます」と悩める心境をつづっています。「予定を振り回されること」がストレスの原因かも忙しい彼との付き合いは、「寂しいけれど納得していた」とトピ主さん、しかしここへ来て、「この先待つべきか辛い」と心境に陥ってしまっている。約束をして、リスケして、またダメで……という繰り返しに疲れ果てているようですね。いっそ最初から、数か月会えないと言ってくれた方が楽なのに!といった心境にもなっている様子。「会えないガッカリ感」だけでなく、「何度も予定を振り回されている状況」にも嫌気が指してきているのかもしれません。彼にも会いたい気持ちがあるからこそ、かつトピ主さんの気持ちが自分から離れてほしくないと思っているからこそ、何度も約束をするのでしょうし、その気持ち自体に嘘はないのだろうと思います。立場上、忙しいのも仕方ない。しかしだからといって、トピ主さんの時間や予定を何度も振り回していい、ということにはなりませんよね。特に「当日無連絡キャンセル」「約束の時間の直前に無理になったメール」などは、怒って然るべき行為。それをされると嫌な気持ちになる、という点はきちんと伝え、「忙しいなかでも、ストレスなくうまく会える方法に変えていこう」と提案してみてはいかがでしょうか。多忙な彼と、上手く付き合っていくコツということで、トピ主さんのストレスが少なくなる“会い方”を、いくつかご提案してみますね。1)会えるかどうかはっきりしないときは、自分から断る当日になって連絡が付かないときなどは、待たずに「今日はもう会うの、やめよう」と自分から先に連絡を入れてしまいましょう。「相手を待ち続けて、結局ドタキャンになった」というのと、「自分から断った」というのでは、その後の気分や感触も違ってくると思います。2)「自分が会いたいとき」に当日連絡してみる「会う約束を”される”」という表記もありますが、彼に予定の主導権を握られていることも、おそらくストレスの原因。通常、仕事の忙しさには波があり、タイミングが合えば突発的に会う時間を作れることもあるでしょうから、事前に約束をするのではなく、会いたくなったときに「今日もし空いてたら、会えない?」と自分から積極的に提案していくのも一案です。偶然会えたらその時間を思いきり楽しみ、ダメならあっさり受け入れ、次の機会を狙いましょう。3)事前にドタキャンになった場合の予定を立てておくドタキャンを許し続けるのはあまり良くないと思いますが、今後も約束して会うのであれば、事前にドタキャンになった場合の予定を立てておくのもひとつ。「会えなくなったら、〇〇に出かけて楽しもうっと!」と決めておけば、ドタキャンになっても、「彼のせいで休日を無駄にされた」と嫌な気分になる度合は減らせるでしょう。4)「彼は遠方にいる」くらいに考え、日常生活に組み込まない彼は「10月から大きな仕事が入り、1年半ぐらいはかかりっぱなし」という状況とのこと。社運をかけたプロジェクトなのかもしれませんね。この時期を別れずに乗り越えたいと思うなら、ひとつのたとえですが、いっそ「1年半、遠洋漁業に出てしまった」とでも考え、彼は近くに“いないもの”として生活するのもひとつ。たまにふらっと港に帰ってきたら、デートを楽しむ……といった会い方で満足できるならば、今の状況でも交際は続けられるかもしれません。ただそのためには、「恋人がいなくても有意義な休日を過ごせるスキル」を身につける必要も。また、せめてもメールや電話での連絡頻度は増やすようにしないと、気持ちが離れてしまいかねないので要注意です。「どんな人と、どんな人生を送りたいか」を考えていこうそのうち忙しさが落ち着く時期も来るかもしれませんが、彼は今後も、基本的には“仕事に没頭する人生”を送る可能性もあります。「そういう男性と生きていくこと」について、トピ主さんはどう考えていますか? 結婚を考えているならば、それを見極めることも必要ですよね。「自分はこの先、どんな人生を送りたいのか」「どんなパートナーと一緒だったら、人生の喜びをより感じられそうなのか」。視野を広げつつ、そうしたことを考え続けていけば、そのうちに、彼との交際をどうするかという結論も見えてくると思います。連続ドタキャンはしんどかったでしょうが、「大事なことを考えるためのいい機会」だと捉えてみるのも一案。ここから少し、時間をかけて「彼との人生」という選択肢についてじっくり探ってみてはいかがでしょうか。応援しています。(外山ゆひら)
2018年12月24日「男性の気持ちは?」と題する投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。トピ主さんは交際半年になる1歳上の恋人がいる、30歳代前半の女性。しかし彼は忙しく、クリスマスやバレンタイン、誕生日などに会えなかったり、会えたとしても「特別に高価な食事、外食もなく」、「プレゼントを後日買いに行こう」という約束も流れてしまったり、ということが続いているそうです。「特別な日にひと言、相手のことを思ってメールや電話ができない」理由は、自分への気持ちが無いからか……とトピ主さんは悩み、「こういった悲しさ、不安や不満が起きてる時点で(彼との交際は)難しいのでしょうか?」と問いかけています。彼のよさを知っているなら、「そういう人」と受け入れるのもひとつまず、記念日をどの程度大切に思うかは、人によってかなり差があります。一般的には女性のほうが記念日を大切にする傾向はありますが、そうではない女性からの投稿( URL )は発言小町内にも見られます。女性でも記念日を特別視しない人もいることは理解しておくといいでしょう。状況から察するに、彼は記念日やイベント全般にあまり興味がない様子。一方で、「空いた時間で、会いに来てご飯や疲れがないときは外出したりもします」とのこと。デートの機会は設けており、トピ主さんとの交際を全く重んじていないわけではなさそうです。「忙しい中、時間を割いて会いに来ること=愛情」と受け止められるならば、何ら交際上の問題は起きていない、という捉え方もできます。「彼はそういう人(記念日に興味がない人)なのだな」と相手の人となりを受け入れることも、ひとつの愛情の形。それ以外の彼のよさや魅力をしっかり自覚できているならば、それ以上の過剰な期待は捨て、“そういう彼”と心地よく付き合っていく方法を探るのも、ひとつの懸命な方法です。彼にこだわりが薄いなら、価値観の近い相手を探したほうが幸せかも?しかしながら、絶対にそうしたほうがいい、という話ではありません。言葉は厳しいですが、記念日で揺らぐくらいの“好き”ならば、それほど彼を特別な存在とは思えていない可能性も感じます。「お互いいい年齢なので、出会いは大切にしたい」とのことですが、このままでは付き合い続けたところで、不満ばかりになってしまうかも。それならば今の時点で見切りをつけるのも、ひとつの選択。世の中には、トピ主さんと同様、記念日を祝うのが好きな男性もいますし、近い価値観の相手を探したほうが幸せを感じられるかもしれません。互いの違いを受け入れ、ポジティブな感情を伝えていこう「いや、彼とは付き合い続けたいし、記念日も諦めたくない!」という強い気持ちがあるならば、今後は“感情の表し方”を変えていくのがおすすめです。「好きな相手が喜んでくれるなら、苦手なことでも少しは頑張ってみよう」という気持ちは、個人差はあれ、多くの人の心にあるものです。しかしトピ主さんは今まで、記念日に会えたときでも「寂しい、怒り、悲しい」などの不満アピールしかしておらず、それが悪循環を生んでいるようにも感じました。仮に、彼がラグビー観戦が大好きだとして、トピ主さんは興味はないものの「彼のために」と思って同行したとします。しかし彼が「もっと盛り上がりたかったのに、楽しくなさそうだった」と不満をぶつけてきたらどうでしょうか。「じゃ、もう二度と付き合わない!」なんて嫌な気持ちになりませんか?逆に「俺の好きなものに付き合ってくれてありがとう、うれしかった」と言われたら、「また行ってあげよう」「少しくらい、私もルールを勉強してみようかな?」なんて優しい気持ちにもなれそうですよね。「こうしてくれるのが当たり前」ではなく、相手が自分に寄り添ってくれることに感謝の気持ちを持てると、人間関係は好循環に向かいやすいです。まずは、「私は記念日を大切にしたいタイプで、でも彼はそうではないようだ」という前提を受け入れること。その上で、「一緒にお祝いして、あなたとの思い出を作りたい。それができたら、私はとても幸せな気持ちになれる」ということを丁寧に伝えていきましょう。そして本当に付き合ってくれたときは、何度でも喜びと感謝を伝えることをおすすめします。おわりに投稿のタイトルは「男性の気持ちは?」となっていますが、男性というよりは「その彼」がどういう人で、どういう考えを持っていて、今どんな気持ちになっているか……をしっかり見ていくようにすると、満足な交際にしていくヒントも見えてきやすいです。悲観的にならず、今ある状況から自分の未来を良い方向に向かわせるには、どうするのがベストなのかを、ぜひ落ち着いて考えてみてくださいね。応援しています。(外山ゆひら)
2018年12月17日「婚約者の家族と家族にならなければいけないのか、不安です。」と題する投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。同棲中の彼氏と先日婚約したトピ主さん。互いの両親への挨拶について話し合った際、“彼の家族が苦手”なトピ主さんが彼の実家に泊まりたくない旨を伝えたところ、彼は「いつも自分の家族を嫌うようで嫌な感じ」と不機嫌に。トピ主さんは今後も同じ揉め事が続くような気がして不安を感じており、結婚相手の家族とどれくらいの距離感で接していますか? と読者に意見を求めています。「自分の家族のほうが大切」なのは、お互い様彼の家族が苦手な理由は、「トピ主さんの家族が『ちゃんと見ていてくれながらも放任』なのに対し、彼の家族は過干渉な感じがする」からとのこと。加えて、二世帯住宅住まい、連絡が頻繁、こまめに帰省しているのに将来的に帰ってほしそうにするなど、結婚に対する考え方も違うと思う……と持論を展開しています。義家族との関係は「自分の家族と同じやそれ以上には絶対になれないと思う」とのことですが、「自分の家族と義家族を同等に大切には思えない」というのは、事情があるケースを除けば、かなり一般的なことではないでしょうか。それは彼のほうも同じで、彼にとっては大切な家族だからこそ、トピ主さんの言動に対して不機嫌になったのでしょう。無論、彼にとって大切な家族だからと言って、トピ主さんが心から好きになる必要もなければ、一緒になってどっぷり付き合う義務もありません。しかしながら、彼の家族に対する思いや行動は制限しないよう心がけたほうが、円満な結婚生活は維持しやすいようには思います。“食わず嫌い”なら、試してからでも遅くないかも?過干渉な“感じがする”、将来的に帰ってほし“そうにする”……等々、投稿を見る限り、彼の家族への嫌悪感は直接関わって生まれたものではない様子。あくまで彼越しに見る実家の印象や情報から、自分に合わなそうだと感じているのかな?と推測しました。もしそのように“食わず嫌い”の状況なのであれば、一旦は“試食”してみるのも一案です。他ならぬ結婚したい相手の家族ですし、「自分には合わない」と判断するのは、多少歩み寄る努力をしてみた後でも遅くはありません。そうしてみて「やっぱり苦手だ」と思ったならば、遠くに住んでいるわけですし、最低限の付き合いで済ますこともできるでしょう。それに彼の家族に直接会って優しくされたら、心象が変わってくる可能性もあります。価値観が違う部分があっても、お互いに最低限、人として思いやりあえる言動がとれるならば、親密にはならずとも、適度に円満にやっていくことはできると思います。今後への不安を解消するためには彼とは一応の仲直りをしたものの、今後のことが不安だというトピ主さん。改善を目指すならば、(1)「落ち着いて話し合う」か、(2)「深刻に捉えず、一旦流してみる」か、どちらかの方法がおすすめです。まず(1)ですが、感情的に嫌っているのではなく、「価値観が違うと感じていること」「干渉し合わない関係が理想であること」などを、まずは落ち着いて彼に伝えてみましょう。彼も前回よりは理解を見せ、折り合えるポイントを提案してくるかもしれません。その場合は許容できる妥協点を探ってみるのも一案です。ただし、問題をトラブルとして抱えやすく、プレッシャーを感じやすい性格のカップルの場合、話し合うことで問題がより深刻になってしまうことも。その可能性を感じるならば、(2)がおすすめです。今回は旅館に泊まることになったし、一応の仲直りもした。であれば、この問題は今後、具体的な検討事項が出てきてから考えてもいいわけです。その折には彼の家族の態度や、彼や自分の考えが多少変わっていた、なんてことも十分あり得るでしょう「自分は、どんな家族になりたいのか?」を考えてみようまた併せて、「結婚して、どんな家族になりたいのか」もしっかり考えてみましょう。家族の在りように「絶対にこうあるべき」というルールはありません。大事なのは、自分と相手がどうしたいのか。「常に一緒に行動するような家族になりたい」のか、「楽しい雰囲気の家庭を作りたいのか」のか、「お互いの自由やペースも大事に、自分らしく寄り添える家族」を目指すのか、「子育てなどでも、あまり親に頼らずにやっていく自立した家族」になりたいのか……等々。大きな目標が定まっていれば、取るべき行動指針も決まりやすいですし、それを彼と叶えていくにはどうしたらいいのか、彼が相手で本当にいいのか、といったことも見えてくるでしょう。迷いや不安は、結婚という重大な決断の際にはつきもの。マリッジブルーの一種かも? なんて俯瞰的に捉えつつ、目指す家族像について、そして「今ある状況下で自分はどうするのが最善か」について、しっかりと吟味する時間を設けてみるといいと思います。納得して結婚できるといいですね。応援しています。(外山ゆひら)
2018年12月11日「友達以上恋人未満の彼との今後」と題する投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。婚活パーティーで知り合った30歳の男性と1年間交際している、35歳のトピ主さん。気が合って優しい彼だけれど、「お互いが契約社員」ということが気になり、今後の付き合いをどうすべきか悩んでいます。今まで結婚の話はしたことがないものの、「彼に結婚願望があるか聞くべきか? 聞くとしたら、どう切り出すべきか?」などと読者に意見を求めています。「契約社員同士の結婚」で心配なことは?今勤めている彼の会社は福利厚生がとても良いため、「できれば転職せずこのままいてほしい」とトピ主さん。しかし、「そこで正社員になるには最短5年かかる」とのこと。一方のトピ主さんは、「全くの異業種に就いて間もないので、正社員になるのは当分先」という状況。「このまま子どもができても大変」という思いがあり、身体の関係を持たずに交際をしているそうです。契約社員が正社員と違う点は、雇用期間に最長5年という定めがあり、雇い止めが起こる可能性があること。賞与や退職金が少ない(ない)ケースが多いこと、昇進・昇給の機会が少ない(ない)可能性があること、住宅手当や出産休暇・育児休暇などを享受できないケースがあること……等々が挙げられるかと思います。「結婚も出産も、私は、チャンスがあるならしてもよいかなとは思っている」とのことですが、投稿内容から察するに、トピ主さんは結婚後に世帯収入・支出のバランスが変わったときの心配をしている様子。契約形態にもよりますが、出産となれば一定期間、トピ主さん側の収入がストップする可能性があり、その後は教育費なども必要になる。そうなると今の雇用状況では、将来的に経済的な不安や不満を抱える可能性があると感じている――。彼が大好きで仕方ないから結婚したい、とまでの情熱的な動機はなさそうですが、彼の人間性に不満や不安はないよう様子。「仮に出産しても、経済的にどうにかやっていけそうだと思えるならば、この彼との結婚話を進めたい」という心境なのだろうと推測します。結婚の意思が固まらなければ、変化も起こせないかも?トピ主さんと同様の状況で、結婚するために正社員へと職を変えた例はいくつも知っています。「どちらかが正社員になれば、安心して結婚できる」ということならば、正社員になるのに最低5年以上もかかる会社に固執せず、すぐに正社員になれる企業への入社を彼に促したり、トピ主さん自身も得意な業種で正社員になれる道を探してみたり、といった選択肢もあるでしょう。あるいは、副業をして世帯収入を増やす、生活費を下げられる地域に引っ越す、親世帯とともに暮らす、支出をぐっと控えて貯蓄に励む……といった方法もあります。ただ、どれにしても基本的に“双方の協力”が必要になりますよね。つまり、お互いの「結婚への意思」がまず固まらなければ、そうした“変化”も起こしていけない可能性が高い、ということです。となれば、まずは結婚について彼と話し合ってみることが先決。聞き方は、「結婚について、どう考えてる?」と落ち着いてストレートに聞いてみるのが一番だと思います。彼もトピ主さんとの結婚や子どもを持つことを望んでいるならば、「じゃあ、どうすれば経済的不安が少なくできるか」という次の段階の話に進めることもできるはず。将来についてきちんと話し合いができ、「彼とならこの先、何が起きても乗り越えていけそうだ」と思えれば、その段階でトピ主さんの不安もいくぶんか軽減することでしょう。ハードルを越えるには、強い気持ちや意思が必要結婚に限りませんが、人生に現れるハードルを乗り越えるためには、ある程度「意思」や「強い気持ち」が必要です。今回の例で言うならば、ハードル=経済的不安になりますが、トピ主さんの心に「この彼と結婚したい!」という気持ちがそこまでないのならば、ハードルの低い(ない)相手を探したほうが結婚話はスムーズに進むかもしれません。自分の気持ちが分からなければ、「私のこの先の人生に、彼の存在が不可欠だと思えるか」について自問自答をしてみるといいと思います。YESならば、上述したような「経済的な不安を減らしながら、一緒に生きていく具体的な方法」を考えていけばいいですし、そこまで思えないならば、経済的に不安のない相手を探してみるのもひとつ。あるいは、「結婚や出産はチャンスがあれば」程度で強いこだわりがないならば、自立しあったパートナーとして付き合い、今後のことは気持ちや流れに任せる、という道もあるでしょう。彼のほうも彼なりに考えていることがあるかもしれませんし、まずは現状の自分の気持ち、そして彼の結婚への意思をきちんと「確かめること」から始めてみてはいかがでしょうか。納得いく答えが出るといいですね。応援しています。(外山ゆひら)
2018年12月10日過去、「女性の幸せ」が「リッチな結婚相手をつかまえて、優雅な専業主婦生活を満喫」だったとしたら、現代版のそれは、「仕事も家庭も両立。自己実現にも手を抜かず、充実した毎日を満喫」といったところでしょうか。 前回 登場した笑美さんのように、結婚しても働き続ける女性は増え続け、仕事で昇進、起業する方も増えてきました。「キャリアを築かなくちゃ生き残れない」「社会的承認されたい」とする風潮も出てきたように思います。以前にも触れましたが、現代社会はさまざまなことを「あきらめなくていい社会」であると同時に「あきらめさせてくれない社会」。バリっと動いて、仕事と家庭を両立。そのうえ余裕もあって、上質なものに囲まれる暮らしを送り、さらに自分を高めて一目置かれる意識高い系妻になりたい。妻、ママ、仕事人としての麗しいハーモニー…。そんなこと、本当にできますか?どれだけ時代が変わり、便利な社会になっても、私たちに与えられた体は1つ。そして1日は24時間。思いつくすべてのことを実現しようなどと考え出したら、エネルギーも時間も足りなくなって当然なのです。ところが「幸せ」演出できるツールがあるがゆえに、つい頑張ってしまう。ネットそのものが悪いわけでは決してありません。上手に使えば、とても有益なサービスです。けれどもSNSは、女性の大敵でありモンスターワイフの卵でもある「虚栄心」「嫉妬心」「比較魂」を刺激してやみません。投稿する写真、ちょっと盛っちゃおう。これは誰にでもある盛り心。うわ、ママ友のAさんのインスタのお部屋の写真、ものすごくきれい! え? 整理収納アドバイザーに合格? Aさんだってフルタイムで働いてて、子どももいるのに。よーし、私だって負けてられない! Aさんにできたなら、私にだってできるはずだわ…。ネット上の幸せ画像は「ステキな私の輝く一場面」のみを披露する公式の場なので要注意。資格取得で忙しすぎて、家事や育児がおろそかになり、夫婦ケンカが増えた、セックスレスになった…などという舞台裏が暴露されることは非常に少ないからです。「あの人にできるなら、私も頑張ればできるかしら」そうして勝手に自分の足りなさを悔しく思ったり、不必要な課題を自己に押し付けたりします。「アレもコレもやらなきゃ」と、いつもソワソワ。職場でも家庭でもグッタリ。忙しく頑張っているはずなのに、いつも何かが足りない気がして、欠乏感や飢餓感はいつまでも癒えることがない…。常に何かに追い立てられているかのように落ち着きがなく、必死の形相の妻と一緒にいては、夫や子どもの心も休まるはずがありません。そんな妻が外面だけは異様に良く、対外的な「幸せな私」演出に異常な執念を燃やしている…これでは夫の心は離れていきます。向上心旺盛で、努力家だと自分で思っている場合、夫もそう見てくれているかどうか立ち止まらなければなりません。「向上心」がいつしか「強迫観念」にすり替わっていることも…。早速確認してみましょう。■「キラキラ系モンスター 新型幸せなふり」度チェックここでは、あなたの「キラキラ系モンスター 新型幸せなふり」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか?1. 家庭と仕事を両立できてこそ一人前だと思う。2. 自分や自分の生活について、足りないところ、改善の余地がある点ばかりに目がいき、いつも焦っている。3. 根性論が嫌いではない。 4. 「常に上を目指しててポジティブね」と言われる。5. スケジュール管理表は埋めてしまいたいタイプだ。6. 「やるべきこと」「やりたいこと」をリストアップして、つぶしていくことで達成感を得る。7. 休息日には「ためになること」をしていないと不安で、「のんびり過ごす」ことに罪悪感を抱いてしまう。8. 「忙しそうね」と言われるとうれしくなる。 9. ステキと感じる対象が目に入るとスマホですぐ撮ってしまう。10.身近な人に「結婚・出産後も社会で活躍を」と期待されている気がする。■あなたの「キラキラ系モンスター 新型幸せなふり」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果「キラキラ系モンスター 新型幸せなふり」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。○の数が3個以上6個未満は、新型幸せなふり度「C」(努力するのは良いことですが、常に「頑張りモード」で疲れが溜まり始めていませんか?)○の数が6個以上8個未満は、新型幸せなふり度「B」(常にせわしなく動き回り、立ち止まることに不安を覚えるようになってきます)○の数が8個以上は、新型幸せなふり度「A」(「幸せな私」「充実した私」という理想に向かってアンストッパブルに爆走中。そんなに息切れして、本当に「幸せ」ですか?)いろいろなことがどんどん便利になってゆく世の中。あらゆる分野で「効率アップ」が叫ばれ、頭を使って最新の技術やサービスも味方につければ、何でもできそうな気がしてきます。残念ながら、それは幻想。誰にも、何でもできるほどの時間なんてあるわけがないのです。自分の人生を納得できるものにするためには、自分が本当にやりたいこと・実際にやることを選択する必要があります。さまざまな可能性にあふれている社会では、そんな「取捨選択」が難しいもの。山積みの選択肢のどれも手に取ってみたくて、そしてすべてが手に入るような気がして、「何かを捨てるなんてムリ!」と思うこともあるでしょう。でも、無数の選択肢を前に何一つ捨てられないのは 何一つ選べないのと同じです。そんな状態では、どこへも進めません。また最近気になるのは、「朝活」や「タイムマネジメント」に傾倒して、「多くをこなす」ことが人生の目標になっているような妻、特にワーキングマザーです。やりたいこと、達成したい目標があって、そのための時間を捻出するための朝活やタイムマネジメントに励むのは、大いに結構。ところが、仕事と家庭の両立に悩み、「私の効率が悪いのがいけないんだわ」と悩んだ末に、効率アップをうたったメソッドに飛びつき、効率アップ自体が目標になってしまうと、おかしなことになってきます。そんな考え方にとらわれた妻たちは、無限に続くTo Doリストを自分に押し付けて、常にフル回転で息切れしているような状態に。こうした妻たちもやはり、自分が本当にやりたいこと・やるべきことを、一度立ち止まってしっかり考えてみたほうがいいのではないでしょうか。「自分が本当に求めるもの」を考える際に重要なこと、それは女心に巣食うモンスター「幸せなふり」が、あなたの本音をねじ曲げようとしているのに気づくこと。「出産後も以前と同じように働きたい」それは、本音ですか? 「そうしなければならない」と周囲が思っているから?「スタイリッシュなおもてなしができる妻、ママになりたい」向上心は大事。でも、本当はそんな面倒なことはしたくないけれど、ママ友たちに圧倒されて、「これくらいできなくちゃダメ」と追われているのかもしれません。■意外過ぎる本音「自分が本当にほしいものは何?」前回登場した笑美さんも、そんな自問自答を繰り返しました。そうして見えてきたのは「意外過ぎる本音」だったそうです。「私は昔からいわゆる努力家でした。向上心も旺盛なほうだと思ってきました。でも、世間体とか、まわりにどう思われるかとか、そういうことを一度全部脇に置いて、今の自分が本当に求めていることを考えてみたら…それは、『どうしてもやらなきゃいけないことだけこなしたら、あとは極力何もせずゆったり過ごす』ことだったんです」それではなぜ、タイムマネジメントまで学んで「少しでも多くのことをこなす」生活を長年続けてきたのでしょう?「私の実家はごくごく普通の、決して裕福とは言えない家庭でした。それでも両親は私のために高い学習塾の授業料を払ってくれて、おかげで私は地元でトップクラスの高校に進学することができた。だから高校時代は、勉強一筋でした。結果、いわゆる一流大学に合格できたわけですが、今度は都内での一人暮らしのために、親から仕送りを受けることになって。ずっと『親に申し訳ない』っていう気持ちが大きかったんですよね。大学で全身おしゃれに決めた同級生を見てうらやましいと思っても、いつも同じ大型衣料品店の似たような服を着ていた母の姿を思い出すと、私だけファッションなんかにうつつを抜かしていたらいけない気がして…。勉強も就活も頑張って、いい企業に就職できて。自分の面倒を自分で見られるようになって、初めてファッションやインテリアにお金をかけられるようになった時はすごくうれしかったです。自分がどんどん洗練されていくような、人生がどんどんアップグレードされていくような気がして。一度そうなったら、『もう昔みたいな、さえない自分には絶対に戻りたくない』と強く思うようになりました」そうして変身した笑美さんは文哉さんと再会を果たし、結婚・出産。娘さんが生まれて、「子どもが幼稚園に通い始めるまでは、仕事をセーブしようか」といったことも考えたといいます。それでは一体何が、笑美さんをフルタイムでの仕事復帰へと駆り立てたのでしょう。「やっぱり『まわりがみんなそうしていたから』というのが大きいですね。大学時代の友人たちにしても、職場の同期や先輩にしても。だから子どもが生まれたから仕事をセーブするなんていうのは、私の甘えや能力の低さの表れのような気がしたんです。それに、おしゃれな暮らしを維持したければ、お金もかかりますし…。あとはやっぱり、両親への申し訳なさというか。教育を受けさせた娘が、出産を機にあっさり第一線を退いたりしたら、両親は失望するんじゃないかって」子どもの幼稚園入学までは、のんびり子育てがしたい。笑美さんはそんな自分の本音にフタをして、バリキャリママの道をひた走り始めます。自分の本音に逆らった生き方はつらいもの。そんなつらさを紛らわせて走り続けるためには、ごほうびが必要です。笑美さんにとってそのごほうびは、「ステキな暮らし」でした。「これだけ頑張ってクタクタになるまで働いてるんだから。自分を癒すためにも、もっとステキな暮らしをしなくちゃって」ところが「ステキな暮らし」の参考にとチェックし始めたSNSやママ友との交流は、笑美さんをさらに追い詰めていきます。「世のワーママたちは家庭と仕事を両立しながら、ここまで充実して洗練された暮らしをしているのかと衝撃を受けて…それができない自分はダメなんだ。能力や効率が低いんだって落ち込みました」家庭+仕事だけでクタクタだった笑美さんに、「ステキな暮らし、ステキな自分」という目標が新たな「To Do」としてのしかかります。それは笑美さんにとってもはやごほうびではなくなり、遂行すべきタスクに変わりました。けれども体調不良により、笑美さんにはイヤでも自分の生き方を見直さざるを得ない転機が訪れます。そして時を同じくして、「理想のワーママ」の舞台裏を図らずも知ることに。「そこからは少しずつ、目が覚め始めました。今後の働き方について、夫とも話し合いました。夫婦でバリバリ働かなくちゃまともな暮らしができないってずっと思ってたんですけど、それは今の街に住み続けて、今のペースで自分や子どもの習い事にお金をかけ続けたらの話。夫が前々から希望していた通り、私たちの地元へ引っ越せば家賃はグッと安くります。娘にも、習い事やレジャーで本当に好きなものとそうでないものについて、初めてまともに本人に聞きました。そうしたら、娘自身は興味を持っていないのに、私が勝手に押し付けていたことがたくさんあって…。私はお金だけでなく、娘の時間や気持ちまで犠牲にしていたんだって猛反省しました」娘さんが本当に求めていたのは、ママが普通に家にいて、いつ話しかけても怒られない暮らし。訳も分からずあちこち連れ回されるのではなく、家でママと一緒に塗り絵をしたり、本を読んでもらったりする休日でした。「それを聞いて、いろいろ考えさせられて。私が望んでいるのも、『最低限やるべきことだけやったら、あとはあれこれ詰め込まず、余裕を持って家族と過ごせる生活』だと気づいたんです」今は娘さんの小学校入学前に、地元に戻ることも視野に入れ始めたという笑美さんと文哉さん。「仕事を辞める。地元に戻る。習い事や資格取得をやめる…。これまで追い求めてきた『キラキラした今風の幸せ』とは真逆を行く生き方です。でも、私が本当に幸せになるための道はこっちなんだと、時間はかかりましたがようやく気づくことができました」そう言って微笑む笑美さんからは、偽りのない余裕が感じられます。家でもカリカリした怖い顔でいることがなくなって、家庭の雰囲気も良くなったそうです。幸せの形は、人それぞれ。自分にとって何が本当の幸せか、ハッキリと見極めるのは容易ではないこともあります。ましてネット時代、他人のライフスタイルが輝いて見えて、うらやんだりねたんだり、まねをしたくなることもあるでしょう。自分の暮らしぶりを発信する機会を得た分、「幸せなふり」をしたくなってしまう場面も急増。「幸せなふり」をするのに忙しく、自分の本当の幸せについて考える余裕がなくなるという不健全な状況に陥る妻たちも急増中です。幸せのカギは、あなたの中にあります。キラキラした投稿の中にではありません。世間体、虚栄心などに邪魔されて、自ら幸せに背を向けて走り続けては疲弊します。あなた自身の声と、あなたの家族の声に耳を澄ませてみてください。外野からの雑音や「幸せなふり」モンスターに、心を乗っ取られないように。
2018年11月25日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。今回ご紹介するのは、社会が変わっても相変わらず多くの女性たちの心にはびこるモンスターの卵、「幸せなふり」にがんじがらめにされてしまった妻のケースです。「幸せなフリ」は、妻たちを本当の幸せから遠ざける。それは拙著 『モンスターワイフ 幸せなふりはもうしない』 でも、こちらの連載でもお伝えしてきた通りです。前の時代は「経済的に苦しいのに、余裕があるふりをしたくて専業主婦の座に固執する」という「幸せなふり」が蔓延していました。ところが、現代版の「幸せなフリ」モンスターは、これとは様子が異なります。「家庭も仕事も両立できて当然。両立に疲れて、所帯じみてくたびれた雰囲気になるのはお断り。きっちり仕事して、家庭でも良き妻・良き母で、そのうえ自分磨きも怠らず、充実した日々を楽しまなきゃ!」現代社会が生み出したキラキラ系モンスター「新型幸せなふり」は、そんなふうに考えて生きています。確かに、理想的な生き方のように聞こえます。けれども、そんな妻たちの実情はどうでしょう。自分のためにも家族のためにも、意識の高い「キラキラ系」を目指して頑張ってきたものの、気付けば「新型幸せなふり」モンスターに足元をすくわれていた…なんてことも。■子どものため、夫のため…いつも努力が空回り「キラキラ系モンスター 新型幸せなふり」代表:笑美(仮名)37歳の場合「できた…!」娘の明日の弁当の下ごしらえをした笑美は、達成感と疲労感の両方でいっぱいになった。時計を見ると、もう22時半。いけない、早くお風呂に入らなきゃ。最近、顔のむくみが気になりお風呂でリンパマッサージを始めたので、22時にはバスタイムと決めていたのに…今日は仕方がない。明日からは、もう少しお弁当作りの効率を上げなくちゃ。そんなことを考えながらエプロンを外していると、一人娘の優乃(ゆの)がトイレに起きてきた。笑美のほおが、思わずゆるむ。「じゃじゃーん!」笑美は眠そうな優乃をキッチンに招き入れると、お弁当のデザインを見せた。ところが…。「えーっ! ママ、何これ!? お野菜と果物ばっかり。優乃、いつもみたいなお弁当がいい!」優乃は、顔をしかめてすごい勢いで嫌がる。気付くと笑美は、キッチンカウンターに手のひらを思い切り叩きつけていた。調理器具がシンクにカンッという音を立てて転がり落ちる。「なんで!? どうしてそんなこと言うの? 優乃ちゃんのために、ママがどれだけ頑張ってるか…」怯えた顔で立ちすくんでいる娘の姿が、涙でにじんでゆく。野菜ソムリエの資格取得のために、かかった時間と労力。そしてお金。忙しかったのに。疲れていたのに。家族のため、娘の健康のためにと、どうにか時間とエネルギーをやりくりして頑張った。それなのに、この反応は何?ああ、もうイヤ。こんなに頑張っているのに、どうしていつもダメなんだろう。自分のためにも家族のためにも、私はいつだって努力している。いつまでたっても「幸せになりたい」という飢餓感でいっぱいなのか…。物音を聞きつけて、夫の文哉が飛んで来た。優乃はすぐさま文哉にしがみつく。笑美は無言で娘と夫の横を通り過ぎ、できかけのお弁当をまるごとゴミ箱に放り込んだ。そして振り返ることなく、キッチンを出て行く。その心は虚しさと徒労感で、重く重く沈んでいた。■インスタでは「完璧・理想なワーママ」その仮面の下は…笑美と文哉は、千葉の高校の同級生だった。と言っても高校時代の2人は、ただの仲の良いクラスメート止まり。それぞれ別の都内の大学に進学し、都内で就職した後、28歳の時にたまたま再会。そこから交際が始まった。笑美は大手飲料メーカー勤務。広報という仕事柄、ファッションに気をつかうようになり、すっかり垢抜けた笑美は再会した文哉を驚かせた。文哉は電機メーカーで開発に携わっていた。こちらも優良企業で、笑美と文哉はお似合いのカップル。旧知の仲であることもあり、2人の交際は順調に進み、再会から2年後には結婚。その翌年には娘も生まれて、一家の人生は順風満帆と思われた。ところが…笑美が1年の育児休業を終えて職場復帰を果たした頃から、夫婦間のすれ違いや衝突が少しずつ増えていくことに。理由は明らかだ。笑美が忙しすぎたのだ。「最初は時短勤務からでもいい」と言ってくれた会社には、夫に相談もせず「フルタイムで問題ありません」と即答。せっかく就職した大企業、せっかくつかんだ希望の職種、やるからには、順調なキャリアアップを目指したい。自分の産休・育休中にもバリバリ働いていた、独身の同期や子どものいない同僚に、これ以上差をつけられるわけにはいかなかった。長時間利用可能な保育所に高い料金を支払って、笑美は仕事に邁進(まいしん)した。育児をおろそかにしているのかといえば、そんなことはまるでない。満員の通勤電車の中ではスマホを片手に、知育玩具や、情操教育に良いとされる絵本を検索・購入。週末も持ち帰った仕事で忙しいことが多い中、子どもに人気のスポットをリサーチして、できる限り娘を連れ出すようにする。さらに笑美は、自分磨きにも余念がない。美容・健康関連の習い事に参加したり、仕事に役立ちそうな資格について調べたり…あまりに休む間もなく常に忙しくしているので、文哉が思わず「大丈夫? やることだらけでパンクしない?」と心配したことがある。すると、笑美はその翌週には、「文哉の言う通りね。もっと効率よく物事をこなすために、タイムマネジメントのオンライン講座を受講することにしたの」と言い出す始末だった。文哉は徐々に、笑美のことが理解できなくなっていった。どうして妻はいつもスケジュールをギュウギュウにして、常に何かに追われる生活を続けているのだろう? スマホのカレンダーはぎっしりうまっている。忙しくても、本人がそれを楽しんでいるのなら構わない。けれども笑美は楽しそうにはとても見えないし、むしろ疲れて殺伐として見える。それを指摘しようものなら、笑美は「私はやりたくてやってるの」「文哉に迷惑かけてないじゃない」と、全否定だ。そして、家の外やSNSでは、笑美は疲れ切った顔の上に「充実した毎日を楽しむ幸せなワーキングマザー」という仮面を貼り付けていた。ついさっきまで家でくたびれ切った顔をして不機嫌オーラ全開だった妻が、ママ友に会った途端、1オクターブ高い声で満面の笑みを振りまいている。夫に子どもの世話を押し付けてブツブツ言いながら資格試験の勉強をしていた妻のインスタグラムには、試験対策テキストとブランド物のコーヒーカップの写真が「#資格試験」「#自分に投資」「#充実した時間」といったハッシュタグとともに投稿されている。そんな妻の様子に、文哉は首をひねるばかりだ。この頃から、2人の夫婦仲にすきま風が吹くようになる。■セレブエリアへ引越し、理想がさらにエスカレート…娘の優乃の保育園入園前にもう少し大きなアパートに引っ越そうという話になった時、笑美と文哉の意見が対立した。「生活の質は住む場所で決まる」と主張し、都内の子育て世代に人気の街に住みたいという笑美。千葉の2人の地元である町に戻れば、両家の両親から育児のサポートが得られるうえに、家賃も大幅に節約できると訴える文哉。結局いつも通り、「子どものためにも上質な生活を」と熱弁する笑美に文哉が屈することになった。家賃ははね上がったが、元の家賃に上乗せられた金額の大半を笑美が負担するということで、この一件はどうにか丸く収まった。しかし、新たな街に引っ越すと、笑美の「より上質な生活」を目指す熱意はさらに過熱していった。その背後にあったのは新たな街でできた、新しいママ友たちの存在だった。皆いつもおしゃれで、家を訪ねればインテリア雑誌に出てくるような部屋。子どもの誕生日パーティーに招かれれば、海外の盛大なバースデーパーティーのような華やかな飾り付け…。彼女たちの生活を垣間見るたびに、笑美は「私にはやるべきことがまだまだある」と痛感した。そして、この頃から笑美は、ママ友たちと自分を比べては落ち込み、ふさぎ込むことが多くなっていった。「凜花ちゃんママのインスタで遠足の日のお弁当を見たんだけど、本当にすごいの。私、あんな凝ったお弁当作ったことない…。もしかして優乃に、みじめな思いをさせてたかしら」「怜ちゃんのピアノの発表会のお疲れさまパーティーに呼ばれたんだけどね。お部屋の飾り付けもお料理もすごくスタイリッシュで、洗練されてて。怜ちゃんのママはテーブルコーディネートの資格を持ってるんですって。うちもこれからお客さんを呼ぶ機会が増えるかも知れないし、私もテーブルコーディネートくらい勉強しておかないとダメよね…」笑美はそんなことを言って、いつも自分にないものを探し出しては嘆いてばかりいる。文哉はずっと、妻は向上心の塊のようなタイプなのだと思っていた。しかし、これでは「向上心が旺盛」なのか、「自分へのダメ出しが過ぎる」のか分からない。「俺はそもそも、そこまで弁当やらテーブルコーディネートやらに凝る必要性を感じないんだけどさ。笑美の場合、凝りたくたって仕方がないじゃないか。フルタイムで働いて、家でも持ち帰りの仕事だろ。人脈づくりの異業種交流会にまで顔を出して、それでいつキャラ弁作りや、テーブル・部屋の飾り付けまで時間をさけって言うんだよ」文哉は至極当然の指摘をしたつもりだったが、笑美は不満げに口を尖らせる。「『時間がない』なんてただの言い訳よ。要は自分の時間とエネルギーをどう活用するかなの。そのためにタイムマネジメントや、目標達成戦略を勉強して…」「言い訳じゃないよ。事実だよ。『家庭と仕事の両立』だけでも大変だ、大変だって、みんな言ってるのにさ。それに加えてアレもコレもだなんて、苦しくならないほうがおかしいよ」それでも笑美は引き下がらない。「そんなことないわ。私より忙しくても、私よりずっと多くのことを実現できている人はいっぱいいるわ」「『いっぱいいる』って…例えば、誰? ていうかさ、どうしてそんなに『多くのことを実現』しなきゃならないわけ? 一体何をどれだけ実現すれば、笑美は満足なんだよ?」いつになく執拗に追及してくる文哉に、笑美はたじろいだ。私よりずっと多くのことを実現できている人…一つの顔が、笑美の脳裏に浮かんだ。■夫や子どもに八つ当たり「どうして理想通りにならないの?」文哉に詰め寄られた時、笑美の頭の中に浮かんだのは淑美の顔だった。淑美というのは笑美の大学時代の友人、寛人の妻だ。大学卒業後も寛人とは時々会っていたのだが、文哉に寛人を紹介すると、意気投合。今ではこの男2人のほうが、仲の良い友人同士になっていた。こうした事情で笑美と文哉は時々、寛人とその妻の淑美に会う機会があったのだ。淑美は大手出版社勤務。人気女性ファッション誌の編集部で働いている。そんな彼女は、いつ会っても最高にファッショナブル。編集者の仕事は多忙なはずだが、疲れなど感じさせない優雅な雰囲気だ。一人娘の恵麻も、いつ会っても髪型にも服装にも、しっかりと手がかけられている。淑美のインスタグラムには、美しい料理の写真の数々。彼女は野菜ソムリエの資格を持ち、お菓子作り教室にも長く通っていたという。まさに、完璧な女性。仕事も家庭も完璧に両立しながら苦労をまるで感じさせず、余裕たっぷりでキラキラと輝いている…。淑美さんのような人が奥さんなら、寛人は最高に幸せなはず。恵麻ちゃんだって、自慢のママが大好きに違いない。そんなことを考えていたら、笑美はだんだん悲しく、みじめになってきた。何もかも完璧な淑美のような女性がいる一方で、私は足りないものだらけ…。妻が押し黙っているのを見て、自分の説得が功を奏したのだと勘違いした文哉。彼は気を良くして言った。「な! スーパーウーマンなんていないんだよ。笑美はもう十分頑張ってるよ。これ以上、あれもこれもやらなきゃなんて、焦る必要なんて全然ないじゃないか」残念ながら、そんな夫の言葉が笑美の心に響くことはなかった。笑美はますます仕事にも、家事・育児にも、自分のステップアップにも熱中し、彼女の生活は多忙を極めた。笑美の「向上心」は、夫の目にはもはや「強迫観念」のように見えた。彼女は楽しそうにしていることなどまるでなく、いつも疲れてイライラ、カリカリ。夫や娘に当たることも増えた。特に笑美が家族のために良かれと思ってしたことが受け入れられないと、ヒステリックに激怒するようになった。ママ友から聞いてきた習い事に、優乃が興味を示さない。クタクタの体にムチ打って、ネットで高評価のイベントに優乃を連れて行ったのに、優乃が喜ばなかった。聞いたこともない「スーパーフード」を突然朝食に出し、味が苦手な文哉が断った…。そんなことが起きるたびに、笑美は大爆発。「私がこんなに頑張ってるのに」「死ぬほど疲れてるのに、あなたのためにやってあげたのよ」が、激昂した笑美の口癖になっていた。文哉と優乃は次第に、笑美の顔色をうかがってビクビクしながら過ごすようになっていった。家庭がそんな状況になっても、笑美は家の外やSNS上での「ステキなワーキングマザー」の仮面だけは絶対に手放さなかった。「スーパーフード」をめぐってケンカになったその日のインスタグラムには、文哉が手を付ける前の朝食の写真が投稿され、「#夫の健康管理」「#パパいつもおつかれさま」などと書き込まれていた時には、文哉は妻の異常性を感じずにはいられなかった。■とうとう病気を発症! それでもキラキラ生活にしがみつく妻ある日、熱があろうが頭痛がひどかろうが、意地でも会社を休まなかった笑美が、尋常ではない腹痛に襲われて病院に駆け込むことに。そこで彼女はストレスによる心の病気という診断を下される。笑美から話を聞いた文哉は驚き、「通院の頻度は?」「どんな治療をするんだ? 薬はもらったのか?」と妻を質問攻めにした。しかし、文哉を驚かせたのは、笑美の答えだった。「しないわよ、通院なんて。残業ができないだけでも大きなハンデなのに、加えて通院のために半休なんてとんでもないわ。薬も勧められたけど、飲むと眠くなったりだるくなったりするんですって。そんな薬飲んでちゃ、仕事にならないわ」普段、穏やかな文哉も、この時ばかりは猛抗議した。健康が第一。きちんと通院して薬も飲んで、働き方も見直すべきだと文哉は主張する。しかし笑美は「この病気の原因がストレスだって言うなら、定期的に通院したり、毎日眠くなる薬を飲んで仕事をしなきゃいけないのが最大のストレス」だと言い張り、聞く耳を持たない。この議論は未曾有の夫婦ケンカに発展した。どちらも自分の言い分が絶対に正しいと信じているので、仲直りの糸口すら見えないまま、険悪なムードで日々が過ぎてゆく。その間も笑美は、毎日絶不調の体を引きずるようにして仕事と家事・育児、ママ友付き合いをどうにかこうにか回していた。顔にはいつもの笑顔を貼り付けていたが、正直、心身ともに限界だった。そして迎えた、ある週末。前々から寛人・淑美夫妻と約束していた、キャンプの日がやって来た。笑美は最悪な顔色と微妙な夫婦仲のまま、まぶしすぎる淑美と顔を合わせたくなかったが、仕方がない。寛人が誘ったもう一家族も加えた三家族分のキャンプ場がすでに予約されているからだ。鬱々とした気分のまま、笑美はキャンプ場に向かった。淑美が雑誌の撮影にも使用したその場所は、従来の「キャンプ場」のイメージを覆すものだった。新しいキャンプ体験ができる最近流行のグランピング施設で、どこもかしこも清潔でセレブ感が漂う。これなら雑誌の撮影現場にもなるだろう。子どもたちが安全に目一杯遊べる遊び場も併設されている。一言で言うと「さすが淑美さん」としか言いようのないキャンプ場だった。優乃は早速歓声を上げながら、淑美の娘・恵麻と、もう一家族の子どもたちと遊んでいる。その楽しそうな姿を見て、笑美はまた心が沈んだ。こんな場所があるなんて、私、全然知らなかった…情報収集不足だわ。恵麻ちゃんはきっと、優乃よりずっとたくさん楽しい場所に連れて行ってもらえてるのよね。それに、今日も恵麻ちゃんのファッションは完璧。子ども用のアウトドアウエアに、こんなにかわいいアイテムがあるなんて…。ひたすら落ち込んでゆく今日の笑美に、キラキラと輝く淑美の姿を眺め続けるのはキツすぎた。淑美がもう一人のママとの話に花を咲かせている間に、笑美はそそくさと退散。一人になれそうな場所を探して歩いた。■憧れの女性だったのに…親友の告白で知る現実木陰に腰を下ろして缶ジュースをすすっていると、誰かが近づいてくる。振り向くと、そこには寛人が立っていた。「よっ!って、笑美、お前何だよ、ジュースかよ!? ビール持って来ようか?」いつも通りの屈託のない寛人の笑顔に、笑美もつられて微笑みながら「今はジュースでいい」と答える。まさか「ストレスによる心の病気でおなかの調子が悪いから、アルコールは控えている」なんて言えない。寛人が笑美の隣に腰を下ろしながら、笑美の顔をのぞき込む。「笑美、なんか今日元気なくないか?」鋭い指摘にギクッとする。けれど、今自分が抱えている鬱々とした気分、健康問題、夫婦ケンカ…何をどこから、どう寛人に話せばいいのだろう。考えがまとまらないまま、気付くと笑美はつぶやいていた。「寛人は幸せ者だよね…」「はぁ? 何だよ急に?」「淑美さんみたいな、いっつもきれいでおしゃれで余裕があって、職場でも家庭でも完璧な奥さんがいて。私なんてさ、もうダメダメだよ。仕事に追われてヒーヒー言ってるし、家でも頑張ってるつもりなのに、一人で空回ってる感じ。家族に喜んでもらいたいのに、全然うまくいかなくて…」いけない、涙目になってきた。笑美は思わず寛人から顔を背ける。寛人はしばらく黙っていたが、キョロキョロとあたりをうかがうと、低い声で話し始めた。「ここだけの話だぞ。淑美ってさ、確かに余裕しゃくしゃくみたいに見えるけど、本当は全然そんなことないんだぜ。毎日ボロボロになって帰ってくるし、特に締め切り前なんて殺気立っててさ。家でもいらだってて、恵麻が怖がることもあるくらいだよ」「うそ…そんなの全然想像できない。私、淑美さんのインスタもチェックしてるんだけど、いつもすごく豪華なお料理の写真をアップしてるじゃない。恵麻ちゃんにお菓子作ってあげたりとか」「あれなー。なんか『職場のみんながインスタやってるから、私もやらなきゃ』とかって言って始めたんだけど、“ステキな暮らし”の演出に躍起になってるよ。俺は見栄えだけいいワケの分からん洋食より、普通に肉じゃがが食いてえって言っても、即却下。やたら手の込んだ洋菓子作って、恵麻の反応がイマイチだと腹立てるしな。ハッキリ言って、家族からするとはた迷惑なことも結構あるよ」何だか耳が痛い…あの「完璧な淑美さん」が、家では実は、私と同じようなことをしている…? 笑美はポカンと口を開けたまま、寛人の話を聞いていた。「知り合った頃、仕事をバリバリ楽しんでる淑美をいいなって思ったのは事実だよ。でも 仕事を楽しんでるからって淑美を好きになって結婚したわけじゃない。結婚しても、子どもが生まれても、仕事は昔と変わらずバリバリ、家庭でも完璧な妻、母で、ファッションや習い事は独身貴族並みなんて、どう考えてもムリだろ?俺はただ、淑美に昔みたいにニコニコしててもらいたいだけなんだ。そのために仕事をセーブしたければ、すればいい。家事や育児で手抜きをしたければ、すればいい。でも淑美には、そんな選択肢はあり得ないんだよ。『ここまで全力疾走してきたんだから、ここで足を止めるわけにはいかない』みたいに思ってるみたいで」そのうちぶっ倒れたり、ノイローゼになるんじゃないかって、結構真面目に心配してるんだ、と寛人は苦笑した。ずっと憧れていた、理想としてきた「いつも余裕の完璧な女性」の実態を知って、笑美は脱力してしまった。淑美さんのようになれれば、「私にはあれが足りない、これも足りない」なんて自分を責めなくてすむようになるはず。そうすれば、いつも感じている欠乏感や飢餓感から解放されて、自分に自信が持てるはず。幸せになれるはず。ずっとそう思っていた。けれども「ゴール」にたどり着いたところで、見える景色はどうやら今と大差ないようだ。それなら…それなら私は、どうやって幸せになればいいんだろう。どうやって家族を幸せにすればいいんだろう。寛人の話を聞き終わる頃には、笑美の涙も乾いていた。遠くから、「おーい、寛人、笑美! 肉焼くぞー」という文哉の声が聞こえてくる。2人は顔を見合わせると、同時に立ち上がった。みんなのところへ足早に戻りながら、「今夜は少し、文哉と話してみようかな」と笑美は思った。
2018年11月24日「恋愛(自分から男性を好きになる)するにはどうすれば…」と題する投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。アラサーのトピ主さんは、これまで告白されて付き合ってみた彼氏は何人もいたものの、どの相手も好きになれず別れてきたという女性。「二次元や芸能人の男性は大大大好きで、胸が苦しいほど恋している人がたくさんいる」ものの、これまで自発的に男性を好きになった経験はゼロ。現実でも恋愛がしたい、男性に恋するってどうしたらいいのか……と問いかけています。二次元や芸能人への恋が“ラク”な理由一方通行の恋は深く傷つくことの少ない、とてもラクな関係。二次元や芸能人の男性ならば「大大大好き」になれるのは、相手のほうは自分のことを見ていない気楽さがあるからとも推測できます。一方、「双方向に心を通わせていくということが分かりません」とのことですが、現実で双方向の幸せな恋愛関係を築くためには、時に勇気や努力、責任感や忍耐力なども必要になってきます。どちらがいい悪い、ということは一切ありませんが、両方を同じ“恋愛”だと混同すると少し迷いが生じやすいかもしれません。トピ主さんは「本来の性格を出せるような安心できる男性」に出会いたいとのことですし、架空または遠い世界の相手への恋については別物として楽しみながら、現実世界では「ドキドキよりも、安心できる相手を探していこう」と決めてみてもいいのかな? と思いました。「誰かに好かれないことがあってもいい」と思えることが第一歩さて、トピ主さんは普段、「人付き合いが苦手で、家族やごく親しい友人にしか本来の性格を出さず一生懸命明るい自分を演じている」とのこと。これまでの彼氏は“外面の私”を好きになったからか、キャラを勝手に決め付けられて居心地が悪く、また嫌な面ばかりが目について別れに至ってきた……とのこと。とはいえ、「男性嫌い」というわけではなく、仕事では尊敬する男性も仲良くできる男性もいるそうです。恋をすれば、多くの人が”本来の自分”を出せなくなるもの。相手によく思われたくて不自然かつ挙動不審になってしまい、そのためにひどく思い悩む……なんてことも日常茶飯事です。ただトピ主さんの場合は、たいして好きではない男性に対しても“本来の自分”を出すことができない。おそらく「誰にも嫌われたくない」という気持ちが強いからではないかなと推測します。「知り合った人に、好かれないことがあってもいい」と考えられないために過度に演じてしまうのであれば、恋愛に限らず、まずは日常生活でこの思い込みを少しでもなくしていくことが、トピ主さんが現実の男性に恋をするための第一歩ではないかと思いました。何より、目の前の人物が「素の自分を見せても大丈夫な相手」かどうかは、一旦、演じない自分を見せてみないことには分かりません。素の自分を出して、それで嫌われることがあっても、「そういうこともあるよね」「残念だけど、縁がない相手なのだろう」とさらりと流すことに、少しずつ慣れていく訓練をしてみるのがおすすめです。あわせて、「世の中には、家族や友人のように素の私を好いてくれる人もいるはず!」と前向きに信じ続けることも重要です。不安になるときは、「浅く広く100人に嫌われないでいるより、ひとりの誰かに深く愛されてみたい」「私を好きだと言ってくれる人たちに、好いてもらえたらいい!」と何度も自分に言い聞かせていきましょう。「本物を得るためには、時に偽物を捨てる勇気も必要」なんて捉えてみるのも一案です。完璧を捨て、「自分の気持ち」を大切にしていこうまた、「相手にどう思われるか」ばかりを気にしていると、自発的な恋をするのも難しくなりやすいです。人間関係でもできるだけ”自分の気持ち”に焦点を当て、それを軽視しないでいきましょう。自分の気持ちを重んじていれば、告白されても「私が相手を好きだ」と自覚できるまで交際を承諾しない姿勢も貫けるはず。まずは知人・友人としてよく知り合ってからにすれば、勝手な幻想を抱かれる機会も減るだろうと思います。最後に補足ですが、過去の交際男性のアラを探したくなるのは、「恋愛がうまくいかない理由」をどうにか自分に納得させようとしているから、という可能性も考えられます。トピ主さんの中に「うまくいかない恋があってもいい」という前提がないために、一つひとつの恋の終わりに納得できる理由を付けたくなってしまうのかもしれません。恋が終わることは“失敗”ではなく、かつ何があってもトピ主さんが素敵であることに変わりない、ということは覚えておいてくださいね。多くの「恋愛」と「別れ」はセットですが、そこではかけがえのない思い出や成長が得られることもあり、またそれだからこそ、生涯を共にできる相手に出会える素晴らしさに気づけることもある。その前提のもと、「完璧でない自分も許容する強さ」と「本物の愛を手に入れる勇気」を持てるならば、きっとトピ主さんの恋模様にも変化が起きてくると思います。応援しています。(外山ゆひら)
2018年11月12日「セクハラ」「パワハラ」に続き、「モラハラ」に注目が集まる今日この頃。「モラハラ」と聞くと、夫が妻に「俺の稼ぎのほうが多いよな!」とすごむような光景を思い浮かべがちですが、モラハラの加害者はいつも夫とは限りません。実は、強力なモラハラ系モンスターワイフも、そこかしこで暗躍しているのです。モラハラの恐ろしいところは、DVなどと違って、加害者に加害者意識がない場合が多いこと。 前回 ご紹介した友梨佳さんのケースではどうでしょう。夫の裕貴さんの目に映る友梨佳さんは、完全なモラハラモンスター。しかし、当の友梨佳さんには何の悪気もなく、まさか自分がモラハラをしているなどとは夢にも思っていません。それどころか、「自分は家族のためにしている。家族を正しい方向へ導いている」という気でいるのです。夫と妻、それぞれに見える現実が完全に乖離(かいり)したまま、ついに夫は「妻を断舎離する」というところまで追いつめられてしまいました。その後、友梨佳さんと裕貴さんはどうなったのでしょうか。離婚も辞さない覚悟の裕貴さんに対して、友梨佳さんは夫がなぜ自分を捨てたがるのか、まったく理解できずに大混乱。「離婚だとか、そんなこと考えられません。私は夫を愛しているんですから。愛しているからこそ、夫にも消費社会の呪縛や物欲から解放された、本当に自由で健全な生き方をして欲しくて…。一体、夫はどうしたら、私の思いを理解してくれるのでしょうか?」「悪気がないからタチが悪い」というケースの典型例です。この期に及んでまだ、友梨佳さんは自分がモラハラの加害者であると認識できずにいるのです。このままではいつまでたっても、2人の主張は平行線をたどるだけでしょう。あなたも知らず知らずのうちに、モラハラ妻になりつつありませんか? 自分の中に危険な傾向を見つけたら、早め早めにリスクを摘み取ることが重要。早速、以下のチェックテストをどうぞ。■「モラハラ系モンスター 暴走ダンシャリアン」度チェックここでは、あなたの「モラハラ系モンスター 暴走ダンシャリアン」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか?1. 物事の「違い」を尊重するよりも、「優劣」をはっきりさせたい性格だ。2. 自分がいいと思ったものは、人にすすめずにはいられない。3. 自分のやり方が受け入れられないとイラっとする。4. 善意と熱意を持って接すれば、相手を変えることはきっとできる。5. 家族が効率の悪いことやムダなことをしていると、すぐに口出ししてしまう。6. 不必要と思えば、人もモノも遠ざけたくなる。7. 自分のことを道徳的、常識的な人間だと信じている。 8. 夫に直して欲しいところ、変えて欲しいことが即座に5つは思い浮かぶ。9. 夫婦けんかの中で、相手の癖や生活習慣を否定したことがある。10. 子どもたちの前で夫を「悪い大人の見本」扱いしてしまったことがある。■あなたの「モラハラ系モンスター 暴走ダンシャリアン」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果「モラハラ系モンスター 暴走ダンシャリアン」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。○の数が3個以上6個未満は、暴走ダンシャリアン度「C」(「自分こそ正義」「家族は私のやり方を見習うと幸せになる」という態度をとり始めていませんか?)○の数が6個以上8個未満は、暴走ダンシャリアン度「B」(自分のスタイルを夫にゴリ押しすることが多いのでは? 要注意!)○の数が8個以上は、暴走ダンシャリアン度「A」(夫もあなたと同じ、個性を尊重されるべき個人です。夫の気持ちやポリシーを切り捨てないで!))■モラハラモンスターにならないための「2つの心得」「セクハラやパワハラの定義は難しいが、被害者がセクハラだ、パワハラだと感じたなら、それはセクハラであり、パワハラである」と言いますね。モラハラも同じです。妻にどれほど悪気がなかろうと、善意しかないと言っても、夫が妻の言動をモラハラだと感じたなら、それはモラハラ以外の何物でもないのです。「それじゃあモラハラを避けるために、具体的に妻はどうしたらいいんですか?」そんな声が聞こえてきそうです。大丈夫。モラハラモンスターワイフ化を防止するための心得が、ちゃんとあります。どんな時も妻たちに心に留めておいて欲しいのは、以下の2つの点。一つ目は、「他人が操作して人を変えることはできない」ということです。これは、夫婦関係のみならず、あらゆる人間関係の基本です。大の大人が、それもプライドを傷つけられるのが大嫌いな男性たちが、「あなたのここがよくない」「こうしなくちゃダメよ」などと妻から言われると、気持ちよくはありません。誰しも大人になるまでに、さまざまな経験をして、たくさんの選択を重ねて、今の自分があります。本人にしか分からない心の傷があり、本人にしかわからないこだわりがある。そうしたことが、各人の「個性」を形成しています。それなのに、いくら妻だからといって、自分ではない別の人間が「ああしろ、こうしろ」と指図してきたのでは、それは夫にとってストレスにしかなりません。「自分なりのこだわり」を単なる「ムダ」と切り捨てられた時にも、夫のプライドは傷つきます。夫独自のやり方があるのに「そんなんじゃダメ。もっとこうして」とダメ出しされたり、個人の好みの問題にまで口を出されて、自分のスタイル、自分の趣味を否定されたり…。それが続くと、夫は妻に自分の人格や人間性を否定されていると感じるようになります。それを子どもの前でやるなどというのは、言語道断。夫の自尊心をひどく傷つける行為です。「自分と夫は別の人間」「夫を自分の思い通りに変えることなどできない」という事実が見えていない、あるいは事実に目をつむっている妻が多いのです。だから、それと気づかぬまま夫にモラハラ攻撃を続けてしまう。さらに、自分の善意のアドバイスや指示が夫に受け入れられないと、妻たちは傷つき、腹を立てます。そして「アドバイス」はいつしか「命令」になり、夫に自分の要望を飲ませよう、夫を自分の望み通りに変えようと躍起になります。こうなると、もはや夫にとって妻はモラハラモンスターでしかありません。夫がしていることや持っているものが、ムダか否か。それを決めるのは妻ではなく、夫本人です。「でも、相手はほかの誰でもない、私の夫なんだもの。自分の夫だからこそ、自分がいいと思うものはすすめたいし、よりよく変わってもらいたいんです」そんな妻の気持ちも分かります。では、どうすればいいのか?人を変えることはできないし、変えようとしてはいけません。人というのは自ら変わりたいと思った時に、初めて変わることができるのです。「あなたにこうして欲しい」「あなたにこう変わって欲しい」を上から目線で押しつけない。夫を変えようとするのではなく、夫が自ら「変わろう」と思うような機会を提供するのです。例えば、「夫のファッションセンスが理解不能。もういい大人なんだから、もっとちゃんとした格好をしてよ。一緒に外出するのも恥ずかしいから、私が選んだものを着てちょうだい」というのが、妻のホンネだとします。それをそのまま伝えたら、夫は自分の趣味を否定された気持ちになって傷ついたり、腹を立てたりするでしょう。では、「夫の着るものを変える」というゴールは同じであっても、伝え方を変えてみたら?「もっと正統派のおしゃれのほうが、あなたの魅力が引き立つと思うのよね。ちょっとあなたに着てみて欲しいお洋服があるんだけど…」まずは、相手の好みや趣味を否定しない。そして、妻の好み(夫自身の趣味ではない)を受け入れるか否かの選択権を、あくまで夫に委ねてみるのです。この後者の方法であれば、夫が「自分を否定された」と思うことも、「自分を曲げるよう強要されている」と感じることもないでしょう。このやり方であれば、妻の「要望」が夫に対する「モラハラ」になることもないのです。■妻のモラハラ行為「実は自信のなさの裏返し?」モラハラモンスター化防止のため、そして夫と幸せで安定した関係を築くために大切なポイントの二つ目は「自信」です。「モラハラモンスターって、自分や自分のやり方に自信過剰な人がなるんじゃないの? それなのに、モラハラモンスター化防止に大切なのは自信…?」そう思った方もいるでしょう。確かにモラハラ系モンスターは一見、「我が道に自信満々」というタイプに見えます。けれども、最近急増中なのは「自信満々に見えて、実は本当の意味での自信をまったく持てずにいるタイプ」のモラハラモンスターワイフです。「私の人生、これでいいのかしら?」などと、自分の生き方に漠然とした不安を抱いている妻。彼女たちは「新しいライフスタイル」や「洗練」といった言葉に弱く、常に「よりよい暮らし」を目指さなければならないような気がしています。これまでにも何度かお話ししてきましたが、ある種の妻たちにとって現代社会は非常に危険な社会です。自分自身のことをしっかり理解できず、自分のスタイルを確立できていないと、情報に流されてしまいます。インターネットによって無限の情報にアクセスすることができるようになりましたし、SNSの普及で人の暮らしをのぞき見ること、自分のライフスタイルを発信することが可能になりました。人の暮らしぶりや持ち物にいちいち嫉妬して張り合いたがる。自分だって幸せだと、見えを張りくなる。自分のスタイルが確立できていないから、ちょっとおしゃれに見える他人のスタイルをすぐにまねしたくなる。新しいもの、話題のものにすぐに飛びついて夢中になる。けれど、それが本当に自分が求めているものなのか、自分に合ったものなのか確信が持てないから、不安をかき消すために周りの人まで巻き込もうとするのです。本当に自分のこと、自分の求めるものを知っていて、自分の生き方に満足している人の心は安定し、落ち着いています。そんな妻は、以下のようなこととは無縁です。「没頭できるものがないと、不安で落ち着かない」「よさそうなものを目にすると、とりあえず片っ端から飛びつかずにはいられない」「何かが『マイブーム』になると、周囲の人にも加わって欲しくて仕方がない」自分の信条がしっかりしている人ほど、人の生き方も尊重できます。そして、人に押しつけられたライフスタイルや人にねじ曲げられたテイストでは、結局うまくいかないことも分かっています。自分に自信を持ち、自分の生き方に満足している妻は、「私もOK、あなたもOK、みんなOK!」と考えられるのです。そんな妻の心には、モラハラモンスターも侵入できません。知らず知らずのうちに、夫を全否定してその心を荒ませるモンスターワイフと化さないように。「私は私、夫は夫」という冷静な線引きができ、「私は私の生き方に満足」と思える、理性的なハッピーワイフを目指してください。
2018年11月11日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。「親しき仲にも礼儀あり」とは、人生の真実。とはいえ「親しい」どころのレベルではなく「運命共同体」である夫婦の間で、このことをきちんと理解できていないケースが多いのは非常に残念なことです。夫婦としてどれだけ親しい、近しい関係にあろうとも、夫はあなたとは別の人間。あなたとは違う感じ方、考え方、好み、ポリシーを持っていて当然なのです。ところが、そんな当然のことを認められない、認めたくない場面が出てきてしまうのが、夫婦生活の難しいところ。「この人の、こういうところがどうしても理解できない。苦手」「親身になってアドバイスしてるのに、まったく聞く耳を持ってくれなくて頭にきちゃう」相手が知人や友人ならば、距離を置くという選択をすることも可能です。けれども、夫婦となると、そうはいきません。毎日顔を合わせなければならないし、簡単に距離を置くことなどできない。今後もおそらく、ずっと一緒にいる相手。お墓もおそらく一緒…。だからこそ、夫を自分の都合がいいようにしたい。夫に気になる言動があったら、直して欲しい。夫にも、自分のやり方に従って欲しい。そう思うようになってしまうのです。「長い人生を共にする、代えなどきかないパートナー」だと思うからこそ、「相手と自分は違う人間」という当たり前過ぎる事実が見えなくなる。相手を支配したいと思うようになってしまう…。妻の中のこうした傾向は、夫の人格を否定する「モラハラ系モンスター」の卵。このタイプのモンスターワイフは、夫という自分とは別の人間の存在を無意識に否定し、夫婦仲を崩壊させます。あなたも知らないうちに、モラハラ系モンスターへの第一歩を踏み出し始めていないでしょうか?悪気などまるでなく、けれども気づけば完全なモラハラモンスターと化していた友梨佳さんのケースを参考にしてみてください。■断捨離に狂ったモラハラ系妻「家から次々とモノがなくなっていく…」「モラハラ系モンスター 暴走ダンシャリアン」代表:友梨佳(仮名)34歳の場合裕貴は我が家のドアの前に立つと、ドアノブに手をかけて大きくひとつ深呼吸をした。最近ではこの瞬間が、一日の中で最も緊張する時間かもしれない。意を決して家の中に入る。リビングに異変はない。そこから見えるキッチンも、問題なさそうだ。鍋の中をのぞき込みながら「おかえり」とつぶやくように言った妻の友梨佳の様子も、いつもと変わりない。よかった。今日我が家では、何も起こらなかったようだ…そう胸をなで下ろして洗面所のドアを開けた裕貴はギョッとした。洗面所が、異様に広々として見える。それもそのはず、1年半前に友梨佳に懇願されて渋々購入した乾燥機が、跡形もなく消え去っているのだ。裕貴が唖然としていると、いつの間にか彼の背後に立っていた友梨佳が、不気味な笑いを浮かべて言った。「どう?スッキリしたでしょ。乾燥機も断捨離しちゃった。やたら場所を取るし、やっぱり服を傷めちゃうし。それにね、ネットで見たんだけど、乾燥機にかかる平均的な1カ月分の電気代って…」裕貴は嬉々としてしゃべり続ける妻の声が、遠のいていくのを感じた。勘弁してくれ。毎日毎日、家の中から何かしらなくなっていく。最初は、去年のクリスマスにねだられたホームベーカリーだった。次はトースター。続いて炊飯器が消えた。そして、今度は乾燥機?裕貴は文字通り頭を抱えると、「断捨離」の素晴らしさについてお決まりの熱弁を続けている妻をその場に残して、フラフラと寝室に逃げこんだ。■浪費と衝動買いを繰り返す「片づけられない妻」友梨佳と裕貴は、ともに27歳の時に結婚した。いわゆる「授かり婚」で、長女の芽衣は今年7歳。2歳下には長男の海斗もいる。少々いい加減でだらしないところはあるが、基本的に明るくニコニコしている友梨佳。優柔不断なところもあるけれど、穏やかで優しい裕貴。2人の結婚生活は、それなりにうまくいっていた。けれど、経済的な不安はあった。裕貴は小さなメーカー勤務で、収入はそれほど多くない。それなのに働くのが嫌いな友梨佳は第一子妊娠を理由に、ほとんど独断でショッピングモールの販売員の仕事を辞めてしまったのだ。長男の幼稚園入園後、夫にせっつかれてようやく友梨佳は重い腰を上げ、パート先を探し始めた。友梨佳の口癖は「好きなことしかしたくない」。そんな調子なので彼女の仕事探しはなかなか進まず、夫婦けんかも増えた。妻の「好きなこと」は、世の中にあまりないように裕貴には見えた。しょっちゅう「何か楽しいことないかなぁ」などと言いながらダラダラとネットサーフィンを続け、その時々の流行の商品やサービスを購入したりする。だが、どれも1カ月もしないうちに、友梨佳はきれいサッパリ忘れ去ってしまう。そんな性格の反動なのか、数年に一度、何かにハマると友梨佳はすさまじい勢いで熱中した。彼女が好条件とは言えない雑貨屋のパートの職にあっさり収まったのも、そのショップの雑貨にハマったからだった。キッチン小物やらベランダ用の置き物やらガーデニング用品やら、友梨佳はしょっちゅう細々したものを購入してパートから帰って来る。稼いだそばから浪費してしまうのも困りものだったが、それ以上に裕貴を困惑させたのは、どんどんひどくなる家の散らかりぶり。「春になったらハーブを植えるのよ。そのハーブを使ってお料理するの。すてきじゃない?」友梨佳はそんなことを言って自分の妄想にうっとりしているが、実際に春が来る頃にはそんな妄想などすっかり忘れているに違いないと、裕貴はため息をつく。一体どうして妻は、「ベランダ」というより「エアコンの室外機置き場」と言ったほうがいい小さな小さなスペースのために、これだけ大量のモノを購入してくるのだろう。キッチンだってそうだ。同じようなものをすでに持っていても、「デザインがすてき」、「ひと工夫あって使いやすい」などと言って、似たようなものを山ほど買ってしまう。おかげでキッチンも、モノだらけでグチャグチャ。その収納のために「すきま収納」家具が欲しいと友梨佳が言い出した時には、さすがの裕貴も異議を唱えた。「家具を増やして収納することより、少しはモノを減らすことも考えてくれよ。似たようなものがいっぱいあるじゃないか。同じようなものは処分するなり、ネットで売るなりできないのか?」自分の要望が通らず、友梨佳は逆上した。「何よ。私は家族のためにおうちをすてきな場所にしようと思って、そのためのアイテムを買いそろえてるのに。それに、料理なんてほとんどしない裕貴に、キッチン用品の使い勝手なんて分からないでしょ。何にも分からないくせに、口出ししないでよ」こうして始まった冷戦は結局、友梨佳が自分のパート代ですきま収納家具を購入し、裕貴がそれを黙認するまで続くことになった。この家が足の踏み場もない状態になるのも、時間の問題だな…。さらに狭くなったキッチンをながめながら、裕貴はがっくりと頭をたれた。 ■断捨離に目覚めた妻「トースター、炊飯器、次は…」やりすぎで生活崩壊ところが、事態は思わぬ展開を見せた。雑貨コレクターと化していた友梨佳が、断捨離ブームに乗っかったのである。「モノに依存しても、本当の幸せは得られないって気づいたの。それどころか、モノをためこむことで、幸せは逃げていってしまうみたい。これからはできる限り、シンプルライフを目指すわ」断捨離に関する本や雑誌を、散らかり放題のテーブルに山積みにして満足そうに笑う友梨佳。どうせ断捨離のムック本やら、お片付け講座のDVDやらが増えて、さらに部屋が狭くなるだけに違いない。そう思っていた裕貴だったが、翌週から本当に部屋が片づき始めた。毎晩裕貴が帰宅すると、友梨佳は夫の帰りを待ち構えていたかのようにやって来て、すごい勢いでまくし立てた。「今日はゴミ袋4つ分捨てちゃった」「しゃもじはね、厳選してこれ一つだけ残すことに決めたの」「私はこれまで新しいモノを買うことで、『新しい自分』になれるような気がしてたんだけど、今は違うの…」友梨佳は何やら、断捨離によってすさまじい充足感・達成感を得ているらしい。その没頭ぶりは多少異常なような気もしたが、とにもかくにも部屋が片づくのは素晴らしい。裕貴はそう思い、妻の変化に目を細めていた。しかし、そんなふうに呑気に構えていられたのは最初のうちだけ。裕貴はすぐに、断捨離にハマり過ぎた妻についていけなくなっていった。似たようなものが山ほどある、鍋しきやら調味料ケースを断捨離してくれるのは大歓迎。だが、さんざんねだられて買ったばかりのホームベーカリーを手放したと聞いた時には、裕貴も驚いた。「まだ新品同様だったじゃないか。これからまだまだ使えたのに…」「そういう問題じゃないのよ」決然とした口調で、まるでその道の専門家か何かのように友梨佳が解説する。「『まだ使えるモノ』であっても、『実際には使っていないモノ』を家に置いておくのが大問題なわけ。使われていない不要なものは、負のエネルギーを出すようになっちゃうんだから」確かにホームベーカリーは購入直後に2、3度使われたきり、まったく使用されていなかった。費用を負担した裕貴としては「もったいない」という気持ちはあったが、これからもずっと使われない運命にあるモノに、決して広くない家の中の空間を占拠させておくほうが「もったいない」のかもしれない。裕貴はそう考えて、自分を納得させることにした。ところが、しばらくしてトースターまで捨てたと言われた時には裕貴は訳が分からなくなった。「トースターは毎日使ってるじゃないか」すると友梨佳は、「まったく、これだから何も知らない人は…」と言わんばかりの顔で答えた。「トーストなんて、フライパンでもできるんだから。ミニマリストの間では、家電を減らしてほかのもので代用するのは常識よ、常識」ミニマリスト…? ついこの間まで「私って『ステラレネーゼ』なの」などと言っていた妻が、一体いつの間にミニマリストになったというのだ。裕貴はひたすら理解に苦しんだ。その間にも友梨佳の断捨離熱は、ひたすら過熱していった。次に姿を消したのは、炊飯器。友梨佳に言わせれば、「時短料理ブームの時に買った圧力鍋を使えば、あっという間にごはんが炊けるから炊飯器なんていらない」とのことだった。ところが、そこはもともとズボラな友梨佳のこと。「フライパンでトースト」も「圧力鍋で炊飯」も1週間と続かず、朝食のパンは「トーストしなくたっていいじゃない」とそのまま出されるようになり、ごはんの代わりに麺類ばかり出される日が続いた。「今日は米が食べたい」と裕貴が何日か連続でリクエストすると、とうとう「そんなにごはんが食べたければ、コンビニでパックのやつ買ってきたら?」などと言い出す始末。この頃になると、断捨離に関する夫婦けんかが急増した。「何でもかんでも後先考えずに処分して、生活に支障が出てきてるじゃないか」「支障って何よ? 家の中はどんどんスッキリ、快適になってきてるじゃない。きれいなものはネットフリマで売ると2000円位になるのよ。上等じゃない!」「なんだよ、その言い方。俺は前みたいに毎日普通に米が食べたいし、子どもたちだって朝はトーストが食べたいって言ってるだろ。快適、快適って言い張ってるのは、友梨佳だけじゃないか」こんな時、友梨佳はお決まりの「あきれた」「あなたは何も分かってない」という顔をする。そして、やれやれと首を振りながら言うのだ。「あなたは本当の『快適』の意味が理解できてないのよ。麺か米か? パンがトーストしてあるかどうか? そんなことが本当に重要だと思ってるの? だとしたら、あなたはこの過剰消費社会に踊らされてるのよ。あれこれ用途別に家にモノを増やして、それで快適な生活を手に入れているつもりなんだとしたら、そんなの健全じゃないわ。モノだらけの空間は精神衛生上よくないし、お金も浪費…」「じゃあコンビニの白米パックやコインランドリーは何なんだよ!」裕貴はすかさず反論した。「乾燥機なんてスペースばっかり取って服を傷めるって言って処分しておいて、やっぱり干すのが面倒でコインランドリーに頼ってるのは一体、何なんだ? せっかく買ったものを何にも考えずに処分して、新たな出費まで発生してるようじゃ、それこそ浪費以外の何物でもないじゃないか」「どうしてあなたは、いつもそうなの!?」ここで友梨佳は、まさかの逆ギレ。「私はいつだって家族のために、最善のライフスタイルを目指して頑張ってる。それなのにあなたは、いつもそうやってあげ足を取って、ケチをつけて…。どうして私の気持ちを分かってくれないの!?」こうして友梨佳の大爆発で、何の解決にもならないまま、けんかが強制終了されるのがいつものパターン。友梨佳は自分のやり方が通らなければ逆上し、泣きわめく。裕貴はそんな日々に疲れきっていた。けれども実は、この頃はまだよかったのだ。友梨佳の断捨離テリトリーが、主婦の主戦場であるキッチンや洗面所に限られていた頃は…。 ■「パパ、ダメね~」子どもを味方に断捨離を強要する妻そのうち友梨佳はベッドまで断捨離したいと言い出した。さらには、裕貴の個人的な持ち物にまで、連日うるさく口出しするようになる。「ねえ、このカタログ捨てていいでしょ」「この漫画本、全然読んでないじゃない。売りましょう」「あなたのクローゼットで、こんなシャツ見つけたんだけど。悪趣味よ。全然あなたに似合わない。捨てちゃっていいわよね」自分の持ち物にまで、断捨離に狂った妻の魔の手が伸びてきそうになり、裕貴も自分の身を守るために徐々に攻撃的になっていく。もはや断捨離をめぐる衝突は、日常の一部と化していた。ひたすら断捨離の素晴らしさを説き、それを夫にも押しつけようとする友梨佳。そんな妻を異常だと感じ、抵抗する裕貴。自分が理想とするライフスタイルを認められず、じれにじれた友梨佳は、とうとうこの問題に子どもたちまで巻き込み始めた。裕貴と口論になると、これ見よがしに子どもたちに向かって大声で言うのだ。「パパったら、いらないものをいつまでもためこんでダメねぇ。整理整頓ができなきゃダメって、幼稚園でも習うわよねぇ」「あーあ。パパはまだ、使わないものを捨てられずにいる。芽衣ちゃんと海斗くんは、パパみたいな大人になっちゃダメだぞー」子どもたちの前で「ダメな大人の見本」扱いされるにいたって、裕貴の妻を見る目も完全に変わってしまった。以前はズボラでミーハーで、とても「できた奥さん」とは言えなくても、それなりにかわいいところもあって、一緒にいて楽しいこともあった。けれども、今の友梨佳は独裁者だ。家庭内で自分の設定したルールが通らなければ即、激怒。自分のやり方こそ正しく、これを認められないのはお前がダメだからだという態度。そのうえ、子どもたちの前で、「パパはダメ人間」と毎日のように繰り返す。一体なぜこんな妻と一緒にいるのか。裕貴はいよいよ分からなくなってきた。■ついに夫のコレクションまで断捨離、その結果…そんなある日、決定的な出来事が起きた。大けんかの翌日、仕事から帰った裕貴がパソコン部屋に入ると、コレクションしていた映画のキャラクターのフィギュアが消えていた。何が起きたか、疑問に思うまでもなく一瞬で分かった。友梨佳が捨ててしまったのだ。持ち主である裕貴に何の相談もなく、何の許可も得ずに。裕貴専用のパソコンの横の、小さな箱に収められた、本当にささやかなコレクションだった。そんな小さな空間であっても、友梨佳は自分にとって「ムダなもの」にスペースを取られるのが、どうにも我慢ならなかったらしい。裕貴はリビングで、ミニマリストのブログに夢中になっている友梨佳に話しかけた。「お前の言う通り、健全な人生のためには、思いきっていらないものを捨てる覚悟も必要かもな」友梨佳はびっくりした顔でスマホから顔を上げたが、その顔はすぐに輝くばかりの笑顔に変わった。「もう! やっと分かってくれたのね! そうよ。ムダを排除して、本当に必要なものだけを持つことが一番大事なの。そういう生き方を、子どもたちにも早い段階から見せてあげることが…」友梨佳の弾んだ声を、裕貴がキッパリとした口調でさえぎった。「それなら俺が真っ先に断舎離すべきは、友梨佳、お前だよ」今ではガランとしたリビングで、友梨佳はポカンと口を開けたまま裕貴を見上げていた。「私が進む道こそが、我が家が進むべき道」と断捨離に没頭した友梨佳さん。夫の意見も持ち物も勝手に断捨離した結果、自分自身が夫の断捨離対象になってしまいました。果たしてこの夫婦の行く末は? 次回は、モラハラ系モンスターの診断チェックテスト、そして友梨佳さん、裕貴さん夫婦の結末をご紹介しましょう。
2018年11月10日「女性からの告白は嬉しいでしょうか」と題する投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。今年7月末に婚活パーティーでマッチングした2歳年上の男性に片想いをしている、という20歳代後半のトピ主さん。5回のデートで8割支払いをしてくれ、有給をとってくれた機会もあったものの、彼が自分に好意を持ってくれているのか自信がなく、「12月を期限と決めて彼からの告白を待つか、私から告白してしまおうか」と悩んでおり、アドバイスを求めています。早めに白黒をつけたい? それとも成就まで粘りたい?告白は通常、前向きに関係を一歩前進させるためにするもの。書面を交わすわけではないですが、軽い契約関係にも近く、他の異性を見ずお互いだけだと誓いあう、場合によっては将来を考えるといった約束も暗に含まれています。その約束をしたいと思えるほど、双方の好意が高まっているか。双方が「関係を一歩前に進めたい」と思っているか。そのタイミングを読み間違えると、“成就する告白”にはならないケースが非常に多いです。トピ主さんが近々告白したい理由は、「彼が自分に好意を持ってくれているのか自信がないから」という動機なのですよね。自分の不安を解消するために告白を“してしまおう”ということならば、うまくいく可能性はあまり高くないように感じました。もちろん、「とりあえず告白して、ダメならさっさと終わらせて次に行きたい!」ということならば、自分の好きなタイミングで告白してみてもいいと思います。しかし、成就を目標にするのであれば、不安を解消するためにイチかバチかの“告白爆弾”を投げ込むより、彼の好意が1ミリでも高まるよう地道な努力をコツコツと続けたほうが、結果的に成就につながる可能性は高いと思います。今うまくいかないなら、諦めてさっさと次に行きたいのか。それとも、もう少し粘って成就を目指したいのか――。どちらが良い悪いということもないので「自分がどうしたいのか」を熟考し、まずはそのスタンスを決めるといいでしょう。双方の好意がアンバランスだと、告白はうまくいきにくい一方的に彼のインスタアカウントを知った、というトピ主さん。彼は忙しいと言いながら接待や食べ歩きなどしている様子で、「#美味しい#楽しいなど(のハッシュタグを)つけていてイライラします」とのこと。さらに連絡頻度は数日〜1週間に1回程度で、こちらから送ったLINEに彼は「返信か既読をつける(読んだサイン)」「電話はしない」。デートも1回目だけは彼からの誘いで、残りの4回は私主体で進めた……といった数々の記述を見る限り、明らかにトピ主さんのほうが“前のめり”であることが伝わります。これだけトピ主さんのほうから働きかけをしているのであれば、多少なりとも好意は伝わっているはず。「トピ主さんから彼への関心度>彼からトピ主さんへの関心度」という状況では告白はうまくいきにくいです。成就を目指すならば、当面は「せめて同じくらいの関心を持てるようなバランスまで持っていく」のを目標にしてみてはいかがでしょうか。具体的には、「彼のほうからも自発的な連絡が来る状況を作る」「彼からの誘いと、こちらからの誘いが同じくらいの頻度になるようにする」ことを目指す。そのためには今よりぐっとペースをゆるめ、連絡がこない・誘われないからと言って、しびれを切らして自分から連絡したり、誘ったりするのをやめる必要があります。彼のSNSを詮索する行為も、「こちらからの彼への関心度」を高めてしまうだけなので、やめたほうがトピ主さんにとって有益でしょう。一旦、「彼に出会う前の自分に戻ろう!」と決めて、元の生活に戻ってみるのも一案です。「好意を伝えれば、距離が縮まる」わけではない「私も態度に出にくいのでもっと好意を伝えて心の距離も縮めたいと思います」という記述もありますが、明確に好意を伝える=心の距離が縮まる、とは限りません。むしろ恋愛では、好意を伝えたことで相手から距離を取られてしまうケースも多くあります。自分が“相手との間に感じている距離”よりも近づいてこようとされると、人は不快に感じ、意識的あるいは無意識的に引いてしまうのが常。彼にとって今のトピ主さんは、「時々会ってデートを楽しみたい相手」だけど、まだ「日常生活でも寄り添いたいほどの近い距離」には感じていない様子。その点は心得ておきましょう。とはいえ、「時々は会いたい相手」であることをプラスに捉えれば、絶望的な状況ということもありません。少し時間をかけて成就を目指す気持ちがあるならば、上述したように一歩ずつバランスを見ながら、彼の好意が高まるよう、お互いの好意が等しいバランスになるよう、“今までとは違ったスタンス”を実行していくのがベストではないかと思いました。応援しています。(外山ゆひら)
2018年11月05日「男と結婚できる気がしない」と題する投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。学生時代から6年付き合った彼氏と別れたのち、結婚相手を探しているものの、「男性の誰でもいい、という雰囲気に最近ウンザリしている」というトピ主さん。「このままだとどの男性とも結婚できないような気がして男性不信に陥っている」そうで、現状打破の方法やアドバイスを求めています。恨みや苛立ちが、望むような異性との出会いを遠ざけているのかも何度もお見合いパーティや合コン、飲み会などで男性と出会ってきたものの、トピ主さんの望む“一途で浮気をしない堅実な男性”は一切いません、とのこと。今のトピ主さんの目には、女であれば誰でもいいお持ち帰り目的の男性ばかり……という世の中に見えているようですね。否定的な断定表現が並んだりすることからも、トピ主さんの苛立ちが伝わってきます。トピ主さんは、「出会いたいタイプの男性に出会えない」ことに苛立っている。でももしかしたら、その苛立ちこそが好みの異性と出会う確率を下げているのかもしれません。逆の立場で考えてみるとわかりやすいと思います。「一途な女性がいない!」とイラついて女性に恨みを持っているような男性と、トピ主さんは仲良くなってみたいと思いますか? 異性を恨む気持ちがあると、どうしても望むような良縁はできにくいです。「恨み」は、実は相手に執着しているからこその感情でもあります。相手が望むように愛さなければ「悲しい」と感じるのが常ですが、恨みや苛立ちが募るのは、「どうして私の人生の責任を取ってくれなかったの?」「私を幸せにしてよ!」と相手にすがるような気持ちがあるためです。相手の存在を自分から切り離せず、少し精神的に依存してしまっている……とも言えるでしょう。もしかしたら、トピ主さんは異性に裏切られた過去や、「元彼に幸せにしてほしかった」といった思いを今も抱えており、その恨みを別の男性たちにぶつけてしまっているのかもしれません。心が健やかな状態ではないために、その危うさを見抜かれ、真面目な恋愛をする気がない男性を惹きつけてしまい、そのことがさらに男性不信に繋がり…という悪循環が生まれている可能性を感じました。“男性不信”を解消し、いい出会いをするには?でも大丈夫。失恋などをきっかけとした一時的な男性不信であれば、時間と共に解消できることも少なくありません。ただそのためには、「普通の人間関係を楽しむ感覚」を取り戻すことが不可欠です。まずは、異性と知り合うたび「この人は恋愛対象だろうか」などと考えることを、ちょっとお休みしましょう。小学校くらいの男女の関係をイメージしてみるといいかもしれません。「その先」を考えず、ただ目の前の今この瞬間、一緒に仕事や遊びに取り組み、その場だけを楽しんでみる。人として男性と接することができるようになると、自然と彼らの“人として魅力”を感じ取れる場面も少しずつ増えてくると思います。いわゆる“恋愛モード”で関わるだけでは、「人として愛せる部分」を見つけづらいのは男性だって同じ。男女とも異性を真摯に愛するときは、相手の“異性としての魅力”だけでなく、人として相手のここが好きだ、尊敬できる……といった部分を含めて好意や愛情を抱くのが常です。自分が恋愛モードでしか異性を見ていないからこそ、恋愛モードで“しか”女性を見ていない軽薄な男性ばかりに出会ってしまうのかもしれない――。そう仮定してみると、どうすれば真面目に交際ができる相手を見つけられるのか、具体的な方法も見えてくるかもしれません。年齢的な焦りも感じている様子ですが、イライラしながら婚活をして男性不信を強めるよりは、自分なりに気持ちの準備が整うまでしばらくお休みしてみたほうが、結果的にいい状況を招くかもしれません。「心の元気」を取り戻すところから始めよう確かな愛や幸せを掴むには、心の健康や勇気も必要です。悲しみや傷つきを受け止める勇気がないときや、「もし何か起きても乗り越えられる、私なら大丈夫!」と自分の力を信じるパワーがないときは、どうしても正面から恋愛や相手に向き合えないからです。「男性を恨んだままの一生を過ごしたくない」「誠実に愛しあえる相手を見つけたい」と思うならば、まずは男女問わず人としての付き合いを楽しめるような、元気な心の状態に戻すことを目標にしてもいいかもしれませんね。その間に、「恋愛があったらいいけど、なくてもそれなりに楽しいな」と思える生き方を構築するのもおすすめです。「自分で自分を楽しませること」は、「誰かに楽しませてもらうこと」より難しいもの。でもだからこそ、それができるようになると”人としての魅力”が増し、ひいては、いい恋愛を手に入れる力になっていくと思います。応援しています。(外山ゆひら)
2018年10月29日ようやく授かったわが子が、かわいくて仕方がない。この子のためなら、なんだってしてあげたい。食事の内容もインテリアも、頭の中、心の中まで、とにかく子ども第一。いつも笑顔で甲斐甲斐しく子どもの世話を焼く、愛情いっぱいの母親…。とても理想的な母親に見えます。実際、母親としては百点満点といえるでしょう。ところが、時間も気力も体力も子どもだけに傾注した結果、夫婦仲が崩壊。 前回 ご紹介したケースの主人公、亜由美さんはそんな女性でした。亜由美さんと敬二さんのように、目に見える大きな衝突にはいたらなくとも、妊娠・出産という夫婦にとっての一大イベントをへて、夫婦仲が冷えきってしまうのは決して珍しいことではありません。特に、妻が「母」でしかなくなり、「妻」として機能しなくなってしまった、機能不全の夫婦。そんな夫婦は年月をへるごとに、どんどん夫婦仲が悪化していく傾向にあります。確かに母親業は重労働。持てる時間もエネルギーも、すべて吸い取られゆく…そんな気持ちも分かります。わが子を愛すればこそ、わが子のために良い母親になろうとすればこそ、疲労度もアップ。「そんな毎日の中で、夫になんか構っていられない」「夫は大人なんだから、自分のことは自分でやってくれなくちゃ。これ以上、私を忙しくしないで」「どうせ頼りにならない夫が、たまに育児に口をはさんでくると頭にきちゃう。いつも子どもの面倒を見ているのは私だし、私のほうがずっと子どものことを分かってるのに。思いつきみたいに余計なことを言って、私の足を引っ張らないで!」「こっちがクタクタに疲れてるのにセックスとか言われると、もうドン引き。そもそも子どもが生まれてそんな気分になれないから、誘われると『気持ち悪い』と思っちゃう」そんな風に言いたくなる気持ちも、分からないでもありません。妊娠・出産による環境やホルモンバランスの変化で、妻が夫を拒絶するようになってしまう。本能的に子どもを守り育てることに必死で、「足を引っ張られた」と感じたら、相手が夫でも攻撃対象となり、「敵」とみなしてしまう。これらはよく知られた事実です。生後間もない、か弱い赤ちゃんを守り抜くために、女性に備わった本能。しかし、ただ事実を事実として、本能を本能として受け入れるだけでは、なにも変わりません。こうした事実を踏まえたうえで、どう対処していくべきかを考えましょう。その第一歩として、あなたが本能のなすがままに「夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」モンスターと化してしまう危険度をチェックしてみてください。■「今時モンスター 夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」度チェックここでは、あなたの「今時モンスター 夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか?1. 子どもさえいてくれれば、夫は留守でも構わない。2. 子どもには持てる限りの時間とお金と労力を、すべて注いであげたい。3. 子育てこそ、女性の最大の幸せだと思う。4. 育児や子どもの教育について、夫はあてにならないと思う。5. 母親がどれだけ育児や教育に関する知識を持っているかで、子どもの人生は決まると思う。6. 妊娠中、産後を通して、育児書とネットが最高の友だちだった。7. 育児以外の仕事、人間関係の優先順位が下がるのは仕方がない。8. 妊娠・出産をへて、夫にイライラすることが急増した。9. 産後、夫の誘いを断り続けている。 10. 子どもが生まれてから、夫を家事や育児の足手まといだと感じるようになった。■あなたの「夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果「夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。○の数が3個以上6個未満は、“子どもが恋人”ママ度「C」(今はまだ、ただの「いいお母さん」ですが…「いい奥さん」であることも忘れないようにしてください)○の数が6個以上8個未満は、“子どもが恋人”ママ度「B」(「夫に回す時間や労力はない」という生活になりつつありませんか?)○の数が8個以上は、“子どもが恋人”ママ度「A」(「子どもさえいてくれれば、夫のことなんかどうでもいい」という態度に、夫は相当傷ついているはず)夫の敬二さんをズタボロに傷つけた、「夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」モンスターの必殺技。それは「夫を完全無視」。夫として尊重されず、父親として頼りにされず、男として求められない。だから家庭に居場所がない。「あなたの考え? 気持ち? したいこと? そんなの興味ないわよ」「あなたは精子バンクとATMとしてだけ機能してくれれば、それでいいの」そんな亜由美さんの態度に敬二さんはずっと傷つき、怒りを募らせていました。幸い女性の産後うつに関しては、少しずつ情報が増えてきています。赤ちゃんの誕生で突然環境が変わり、心身ともに疲労困ぱいしている妻に、夫が言ってはならない禁句があるそうです。それは…「母親になったんだから頑張れ」「ママなんだから我慢しないと」なんだそう。では、子どもの誕生後の夫の状況は? 男性は出産という、肉体的な大ダメージを受けずにすみます。ホルモンバランスの変化による、精神的なゆらぎもないでしょう。だからこそ、「いかにして夫が妻を産後うつから守るか」が重要視されていますね。けれど、夫だって父親1年生。なんでもかんでも「父親なんだから我慢」「妻は心身ともに参っているんだから、夫が我慢してやれ。折れてやれ」と言われていては、不満がたまるのは当然です。こんなことを言う妻がよくいます。「私は妊娠・出産で体の状態が変わってセックスどころじゃないのに、夫に求められると本当にゲンナリするんです。確かに男性は妊娠も出産も経験しないから、女性の体や心の変化を体感することはできません。でも、ちょっと想像すれば分かりますよね? あんなにおなかが大きくなって、人ひとりを生み出すんですよ。ちょっと考えれば、セックスどころじゃないことくらい、分かりますよね? そう思うと、本当に夫にイライラして」身も心も疲れ切っている時期に、そう思ってしまうのは無理もないかも知れません。けれど…そんな妻たちこそ、思いやりを持たなければ。男性は妻の妊娠期間中といえども、自動的に性欲スイッチがオフになるわけではありません。女性が男性の性欲のメカニズムを体感することはできませんが、ちょっと考えれば、「妻の妊娠中であれ産後であれ、夫の性欲は普通に存在する」のです(妊娠中の妻は対象にならない夫もいますが)。それでも新たな命を育み、生み出すために、妻は全身全霊で頑張っている。それが分かっているから、夫たちは自分の性欲を我慢するのです。それなのに、夫が頃合いを見計らって、勇気を出して、「そろそろ、どう?」とおうかがいを立ててきた時に、妻が相手をさげすむような態度で冷たく拒絶したら…夫だって「やってられない」という気持ちになってしまいます。そして「産後セックスレス」へまっしぐら。とはいえ「妊娠・出産・育児で体がつらかろうと、夫の誘いは断るべからず!」などと言うつもりはありません。もちろん応じることができればそれに越したことはありませんが、無理は禁物。妻たちに覚えておいてもらいたいこと。それは、子どものことだけで手一杯だからと夫のことを後回しにして、『そんなの当然』と開き直っていては、あっという間にモンスターワイフ化してしまうということです。これはセックスに限らず、夫婦の生活全般についていえることです。産後、時間も心身のエネルギーも、まずは子どもに回っていくのは避けられません。そこで妻が「仕方ないでしょ。あなた、父親でしょ。私の手をわずらわせないで」という態度を取るか。それとも「ごめんね。私も忙しくて疲れてて、あなたのことはいつも後回しで…」と、相手の抱える不満に理解を示すのか。夫に傾けることのできる時間やエネルギーの量が同じでも、妻の気持ちや態度によって、夫婦関係に大きな差が出てくるのです。■子育ては十数年、夫婦生活は数十年…どちらが大切?ここで、 亜由美さんのケース を振り返ってみましょう。子どもに夢中になった亜由美さんは、早々に夫をバッサリと切り捨ててしまいました。夫の気持ちや要望など、お構いなし。子どもさえニコニコしていればそれでよく、いつでも「あなた父親でしょ。子どものために、これくらいできるでしょ? こんなことも我慢できないの?」という態度。朝から晩まで、子どもにベッタリ。育児、教育に関する情報も徹底リサーチしているので、「わが子のことを一番よく理解しているのも、わが子にとってなにが良いかを知っているのも自分」と信じて疑わない。だから、夫が妻の育児・教育方針に意見しても、聞く耳を持ちません。最近の傾向に、「検索魔ママ」の急増があります。子どものことで知りたいことがあれば、すぐにネットで検索。初めての育児で疑問に直面した時にも、ネットのママコミュニティで質問し、教育の悩みも、ネットの相談サービスを利用します。育児書もおもちゃもおやつも、すべてネットで高評価のアイテムを検索してワンクリックで購入するのです。本来なら、子どもの父親である夫にも相談してしかるべき事柄まで、妻がネットでリサーチして自己完結。最高の相談相手であるべき夫が隣に座っているのに、妻はまったく目もくれず、ネットで見知らぬ他人に子育て相談…などという奇妙な現象まで発生しています。妻のこうした行為は、夫が父親として成長する機会を奪ってしまいます。妻に頼られ、子どもに求められ、家族に尊敬されてこそ、夫は成長していくのですから。こうした妻は普段、夫をスマホの育児アプリ以下の扱いをしておきながら、ネットや育児書で見つけた「理想の父親像」を夫に押しつけようとしたりもします。こうなると夫は当然、息苦しくて仕方がない。発言権を与えられず、「子どものために」と妻が独善的に設定したルールを強要される。夫が妻の思い通りに動かなければ、さんざん目の敵にされ、非難される。そして、それ以外の時には、見向きもされない。妻の妊娠中や育児中の、夫の浮気。どんな事情があれ決して正当化されてはならないし、許されることではありません。しかし、家庭に居場所を失った夫たちが、外に救いを求めた結果なのかもしれないという想像はできます。その後、亜由美さんと敬二さんは冷戦状態に突入しました。態度をあらためるつもりもなく、夫婦関係について話し合う気もないまま、「ねえ、2人目」という催促しかしてこない亜由美さんから、敬二さんの心は完全に離れてしまいました。催促を拒絶された亜由美さんも、子どもの前では相変わらずニコニコしていますが、敬二さんと2人きりになると、以前以上に冷たい態度を貫いているそうです。「離婚も真剣に考えましたよ。でも、妻は絶対に親権を譲らないでしょうし、僕も息子と離れるのはつらい。それに妻は、子どもを置いて働きに出るなんてことは考えられないでしょう。となると離婚した場合、一体僕は毎月いくら、妻と息子に払い続けなければならなくなるのか…」八方ふさがりです、と頭を抱える敬二さん。育児の真っただ中で時間的、体力的制約があっても。「正直今は、子どものことしか考えられない」という気持ちであっても。亜由美さんが夫に対してもう少し思いやりを示せていたら、状況は変わっていたはずです。息子の前でだけ演じる「見せかけの幸せ」ではなく、本当に幸せな家族でいられたかもしれないのです。もう子どものことで手一杯。子どもさえいてくれればそれでいい。セックスなんて、もう興味ないわよ。今そんな風に思っているあなたも、ちょっと考えてみてください。夫が忙しさを理由に、あなたの寂しさや不満を無視するようになったら? 子どもに手がかからなくなったら? 子どもが家を出たら? 夫にセックスを冷たく断られ続けたら、どんな気持ちになりますか?家族は夫婦に始まり、夫婦に終わります。子どもが巣立ってからも夫婦関係は続きます。熟年離婚や空の巣症候群のリスクは大きいのです。「今は子どものことしか考えられない」というあなたも、もう少し先のことを考えてみてください。そうして、今より少し思いやりを持って夫に接することができるようになり、夫婦仲がやんわりすれば…。それはあなたが愛してやまない、お子さんの幸せにもつながります。
2018年10月28日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。「子どもが生まれたら、子ども中心の生活」。それが大多数の夫婦の現実かも知れません。けれど、そんなライフスタイルが、夫婦仲にヒビを入れる可能性があることも忘れてはなりません。自分の子どもがかわいいのは当然です。しかし、子どものことしか見えなくなり、夫との関係をおろそかにしていると…家族の基礎である夫婦仲が、確実にぜい弱化していきます。夢中で子どもを追いかけ回しているうちに、気づけば夫を置いてけぼりにしていた…。夫との間に、決定的な亀裂が入っていた…。今回ご紹介するのは、そんな亜由美さんのケースです。■悲劇は妊活から始まった…“子どもが恋人”ママモンスター誕生「今時モンスター 夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」代表:亜由美(仮名)38歳の場合「はるくん! タマネギもちゃんと食べなきゃダメだぞ~」大好物のナポリタンで口のまわりを真っ赤にした息子の陽翔(はると)に向かって、亜由美は言った。口では怒りながらも、亜由美の顔は満面の笑み。もうすぐ4歳になるひとり息子が、かわいくてかわいくて仕方がない。郊外の住宅街。子ども部屋やリビングのみならず、ダイニングスペースまで亜由美が厳選したおもちゃであふれ返る家。水色のエプロンをした亜由美は、満ち足りた顔で愛情いっぱいのまなざしを陽翔に向けている。陽翔も甘えん坊特有の上目づかいで、亜由美の顔を見つめている。絵に描いたような幸せな食卓…の片隅に亜由美の夫・敬二は、いつもの仏頂面で座っていた。「あら、あなた、食べないの?」敬二の手つかずのナポリタンを見て、亜由美は言った。「あのさあ、何度言わせるんだよ。俺はケチャップ嫌いだって言ってるだろ。それに甘ったるいタマネギも。なのに昨日はオムライス、今日はナポリタンってこれ…」さっきまで笑顔だった亜由美が、キッと鋭い視線を敬二に向ける。そして、そんな様子を息子には気取られまいと、視線とは裏腹の明るい声を上げて言った。「やだ~、パパがそんなこと言ってちゃダメだよねぇ。はるくんは、タマネギ食べれるでしょ? ほ~ら、パパに、お手本見せてあげて!」妻の取ってつけたような高い声と笑顔に、敬二はうんざりして顔を背けた。妻はいつもこうだ。息子のことしか考えていない。俺のことなんてどうでもいいと思っている…いや、そもそも夫のことなんて、なんにも考えていないのだ。昔はこんなじゃなかった。俺たちだって昔は、仲の良い夫婦だったのだ。そう、妊活が始まるまでは…。もちろん息子はかわいい。けれど、今の家庭の状況、夫婦関係を考えるにつけ、敬二は「こんなはずじゃなかった」という思いをぬぐい去ることができなかった。■奥ゆかしかった妻が「排卵日セックス」要求亜由美が大学生、敬二はすでに会社員として働いていた頃に2人は出会った。敬二の仲の良い同期の恋人が亜由美の大学の友人で、ダブルデートをすることになったのだ。5歳も年下の、しかもまだ学生をしている女の子となにを話したらいいんだ? やたらキャピキャピした子が来たらどうしよう?と心配していた敬二。しかし、自分と同じ奥手で真面目過ぎるくらいの亜由美に、一瞬で好感を持った。亜由美のほうも同じだった。それまでまともに男性と交際したことがなかった亜由美だが、誠実で頼りがいのあるお兄さんのような敬二に、どんどんひかれていった。こうして、晴れて付き合い始めた2人。交際は亜由美が中堅企業の一般職に就いてからも順調に進み、亜由美が27歳、敬二が32歳の時に結婚した。亜由美は家庭的なタイプで、子どもも大好き。きっと理想的な妻になってくれるだろうと、敬二は幸せに浸っていた。そして実際、2人の結婚生活は楽しかった。亜由美が30歳の時に、妊活を始めるまでは。心から子どもを望んでいたのに、自分が妊娠しづらい体質であることが分かった亜由美。思うように妊活の成果が出ないとひどく落ち込んだり、感情的になることも増えていった。彼女の穏やかで落ち着いた人柄を愛していた敬二にとって、これはつらかった。けれど、もちろん妻の苦しみは理解できる。だから敬二は、懸命に妻のサポートを続けた。ところが、亜由美の変化はそれだけではなかった。妊活に取り組む夫婦にとって避けては通れない道とはいえ、敬二は亜由美の寝室での変貌ぶりに衝撃を受ける。奥手で恥ずかしがり屋で、奥ゆかしいところがたまらなくかわいらしかった亜由美が、堂々と排卵日セックスを要求。そのうえ、ネットで見つけてきた「妊娠しやすい体位」を事細かに指示してくるわ、事後にも「妊娠しやすいから」と、いつまでも奇妙な姿勢を取っているわ…。分かっている。妻は一生懸命なのだ。必死なのだ。それは自分にだって、よく分かっている。頭ではよくよく分かっているのだ。だから、敬二はなんとか、亜由美と同じだけの熱意をもって妊活に参加しようとした。それでも、なかなか気持ちが追いつかず、排卵日セックスをひどく億くうに思うようになっていった。でも、これも今だけだ。ずっと続くわけじゃない。妊活さえ成功すれば、自分たちは元通りになれる。元のかわいい亜由美が戻ってきてくれるはずだ。そう自分に言い聞かせて、敬二は耐えた。そして2人の努力がついに実り、亜由美は妊娠。これで妻も穏やかではにかみ屋で、いつも自分を頼って慕ってくれていた昔の妻に戻ってくれるはず…敬二はそう信じていた。だが、事態は彼が望む方向へは進まなかった。妊活中、あれほどセックスを要求してきた亜由美が、妊娠後はセックスのセの字もなくなったのだ。■セックス拒否の妻「子どもが生まれれば…」我慢、我慢の日々妊活中の「必要に迫られてするセックス」から解放された今こそ、昔のような2人に戻れるのではないか。子どもが生まれるまでの数カ月間は、夫婦だけで過ごす最後の時間になる。2人で楽しい時間を過ごしたい。子どもが生まれたら行けないような場所にも行っておきたい。セックスだって子どもが生まれたらしばらくは、なかなかできないかも知れない…。そう考えた敬二はある日、リビングのソファでいかにも幸せそうに妊婦向けの雑誌を眺めている亜由美の隣に座り、肩を抱きながら久しぶりに妻を誘った。すると、妻の表情が一瞬にして激変した。「冗談よね?」妻のこわばった、相手を非難するような表情に敬二は困惑した。「え…、いや、安定期に入ったしさ。妊娠が分かってから俺たち、一度もしてないだろ。それに、おなかが大きくなったら、また難しいだろうしさ…。もちろん、絶対に激しくなんかしないし」「なに言ってるのよ!」亜由美は敬二から飛び退くようにして立ち上がり、敬二をにらみつけた。「安定期に入ったからって、赤ちゃんが無事に生まれてくる保証なんてどこにもないのよ! 赤ちゃんに万が一のことがあったらって、不安にならないわけ!? こんな時にセックスだなんて、敬二さん、どうかしてるわ。あなた、それでも父親なの!?」まるで汚いものでも見るような目つき。相手を完全に突き放し、見下した口調。まったく予想していなかった妻からの反応に、敬二は傷つく。と同時に、心には不満も芽生えた。つい数カ月前まで、こっちが引くくらい求めてきたくせに…。子どもさえできれば、俺はお払い箱かよ。俺は精子バンクか。そんな思いを、敬二はグッと飲み込む。4年近い不妊治療の末に、やっと授かったわが子。亜由美がナーバスになるのも無理はない。そうでなくとも、妊娠中の女性は気持ちが不安定になることがあるという。この件に関しては、自分が悪い。子どもが無事に生まれて、少し落ち着いたら、きっと妻も元に戻ってくれるはずだ。それまで自分が夫として、父親として、しっかりサポートしていかなければ。セックスにこだわらず、夫婦仲を良くしたうえで、わが子を迎える日に備える。敬二はそう思うことにした。ところがその後、敬二の心は妻からどんどん離れていくことに。正確には、亜由美が敬二にまったく関心を示さなくなり、敬二も「仲良し夫婦」を目指すのをあきらめてしまった、といった状態だ。亜由美はヒマさえあればあらゆる妊婦向け雑誌やウェブサイトを読みふけり、とにかく生まれてくる子どものことしか眼中にない。2人で並んで座っていても、スマホの妊婦向けアプリに夢中で、敬二が話しかけると露骨に面倒臭そうな顔をする。クレジットカードの請求がびっくりするような額になっていて、敬二が亜由美に問いただしたこともあった。すると妊娠中に食べると良いらしい健康食品をネットで見つけては、あれこれ注文したとのことだった。これまたネットでどこかの国の聞いたこともない教育法の情報を見つけてきては、なにやら高価な材料を取り寄せて、寝具やら知育玩具やらを作り始めたりもしている。正直、敬二はついていけなかった。子どもを迎える準備といえば、夫婦で子ども服やおもちゃを見に行って、ああでもない、こうでもないと、楽しく頭を悩ませるシーンを想像する。ところが実際には、「プロの妊婦」と化した妻がどんなことでもリサーチにリサーチを重ね、完璧かつ最高の条件を用意して子どもの誕生を待ち構えている。そこに敬二が入り込む余地はない。すると今度は「あなたの子でもあるのに、やる気あるの?」と亜由美に責められる。そんな生活に、敬二は嫌気がさし始めた。そうこうしているうちに待望の第一子、陽翔が生まれた。■夫は邪魔者? 息子を溺愛すぎる妻亜由美の母親ぶりは申し分ない。赤ん坊の夜泣きの対応をどちらがするかで夫婦けんかになるなどという話も聞くが、亜由美と敬二の間にそんな問題は皆無。どんなに疲れていても陽翔が少し声を上げれば、亜由美は飛び起きてすっ飛んでいく。「亜由美、疲れてるだろ。俺が見るよ」と敬二が言っても、「ダメ。はるくんには特別なあやし方があるんだから」と言って、亜由美は陽翔を渡そうとしない。妊娠が判明した直後からさんざん育児書を読みあさっていただけあって、亜由美の母親としてのパフォーマンスは最高だった。ところが…敬二の亜由美に対する不満は、息子の誕生後も募る一方だった。亜由美の献身的な母親ぶりには、もちろん感謝している。けれど、今の亜由美は陽翔の母親であって、それ以外の何者でもない。夫のことなどまるで眼中になく、夫の意見など完全スルー。彼女が夫を必要とするのは、子どもにかけるお金が欲しい時だけだ。もはや亜由美には、「妻」らしさがまるでない。夫との関係になど、まったく関心がないように見える。セックスに誘えば「疲れてるから」「はるくんがいつ目を覚ますかわからないから」と、いつもいつも同じ言い訳。そして「こんなに疲れてるのに、一体なにを言い出すのよ」「隣の部屋で子どもが寝てるのに、信じられない」という、軽蔑に満ちたまなざし。産後十分な期間待ったつもりなのに、一体、何度冷たく断られたかわからない。食事も、家の中のあれこれの配置も、生活パターンもすべて息子が中心。そして亜由美は、それを夫にも強要してくる。敬二の好きな和食が食卓に上ることはほとんどなくなり、陽翔の好物の洋食ばかりが用意される毎日。さらに亜由美は「父親がお酒を飲む姿を子どもに見せたくない」と、敬二のささやかな楽しみだった晩酌まで禁止する。シンプルにまとめて居心地の良かったリビングも、今では陽翔の「知育玩具」だらけ。壁にも目がチカチカするような「あいうえお」や「ABC」の表が何枚も貼り付けられている。敬二がこだわって選んだテレビボードに陽翔がシールを貼ってしまっても、亜由美は黙ってニコニコしていた。育児や教育の方針についても、亜由美は絶対君主制を敷いている。陽翔とずっと一緒にいるのは自分だし、自分は育児についてものすごく勉強しているのだから、自分のやり方こそ絶対に正しいと言う。例えば、亜由美が陽翔を甘やかし過ぎている気がして、敬二が少し強い口調で陽翔に注意でもしようものなら、すぐさま亜由美は飛んできて陽翔を擁護する。「叱らない育児」「ほめて伸ばす教育」という類の本を片っ端から読んでいる亜由美は、敬二が陽翔に少しでもきつい口調になると、もう我慢ならない。そして、そんな亜由美の言動について、陽翔のいるところで反論しようものなら、ギロリとにらまれ小声で「後で」と言われる。亜由美は「子どもに両親が言い争う姿を見せてはならない」という主旨の心理学者の記事をネットで読んだらしい。陽翔が起きている間は、意見することすら禁じられるようになった。そして陽翔が寝静まった「後で」2人の関係・問題について話し合おうとしても、亜由美は「疲れてるのよ」と言って、自分もさっさと寝てしまう。「あなたとの関係なんて、どうでもいいのよ」。敬二はそう言われているように感じていた。この家の王様は陽翔で、亜由美はその忠実な従者。そして、自分は…この家庭にとって自分は、ただのATMだ。いつしか敬二はそんな風に感じるようになっていた。■「俺は精子バンクか?」夫の怒りがついに爆発!そんなある日。敬二が寝室に入ると、いつもは先にひとりで寝ている亜由美が、珍しく起きて待っていた。「どうしたんだよ」敬二がいぶかしげにたずねると、亜由美は言った。「ねえ、はるくんももう4歳でしょ。私、もう1人、子どもが欲しいの」そして久しぶりに、本当に久しぶりに、敬二に向かって笑顔を見せた。この笑顔を、俺はずっと待っていた。待っていたはずなのに…。敬二は自分が奥歯をかみしめているのに気づいた。「ねえ、なんとか言って…」亜由美が言い終わる前に、敬二が怒鳴り声を上げた。「ふざけるな!」一瞬にして亜由美の顔から笑顔が消え失せ、目が一気につり上がる。「シッ! ちょっとなんなのよ、はるくんが起きちゃう…」亜由美の言葉をさえぎって、敬二は怒鳴り続けた。「おまえは俺のことなんか、精子バンクかATMとしか思ってないんだよな。さんざん俺を無視しやがって、欲しいものがある時だけ愛想よく笑ってみせて…もう、うんざりなんだよ!」ようやく授かったわが子を溺愛する亜由美さん。母親としては完璧ですが、妻としては…夫に我慢を強要し続け、ついに沸点まで追いつめてしまいました。母親の役目は、確かに大仕事。けれども妻の「完全ママ化」は、夫婦関係の悪化を招いてしまいます。あなたも「母親」としての役割しか見えなくなって、夫を無視して暴走するモンスターに変身してしまう危険性を抱えてはいませんか?幸せな子どもは、幸せな家庭から。幸せな家庭は、幸せな夫婦から。愛するわが子のためにも、夫婦仲をもっと大切にしましょう。その第一歩として、まずは、次回ご紹介する「夫は邪魔者“子どもが恋人”ママ」チェックテストをお試しください。
2018年10月27日夢を追う男性との恋愛に悩む女性からの投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。トピ主さんは2年間交際中の彼氏から、先日別れを告げられたといいます。彼は飲食店を開く夢を持っており、修行中の身。「今はお前を幸せには出来ない」「俺がしっかり自立して変わって大人になったら、甘えずちゃんとやれるようになったら必ず迎えに行く」などと言われたそうです。悔しいけど彼がまだ好きだというトピ主さんは、「彼の言葉を本当に信じていいのか、1年くらい待っていれば迎えに来てくれるのか」と悩んでいます。別れの口実なの!? 彼の真意は…。別れの前は話し合う時間も取れず、お互いに感情が蓄積し、「爆発してしまう寸前まで我慢してる日々」だったとか。彼が「夢を追いかけている今の状態で交際を続けるのは難しい」と判断せざるを得なくなった状況が、それなりにあったのだろうと推測します。経緯はともあれ、今の彼には「交際」が重荷になってしまった。トピ主さんも、そういう状況の彼の決断を受け入れるしかない、という心境には至っているようですね。とはいえ、今回はいわば“期間限定”の別れの要請。「必ず迎えに行く」とまで言われてしまっては、彼をまだ好きなトピ主さんとしては期待してしまいますよね。読者の中には別れるための口実だと指摘する意見もあるようですが、仮にそうならば「1年くらい待っていてほしい」などと具体的に期待をもたせる発言は避けるようにも思います。とすれば、おそらく彼のほうもトピ主さんに多少は未練があるのでしょう。「今の自分では無理だけど、夢を叶えた後ならトピ主さんを幸せにできるかもしれない」という言葉も本心かもしれません。ただし、それも“今この瞬間”の気持ちに過ぎず、夢を叶えた後に同じ気持ちでいるかどうかは、彼本人も保証はできないこと。男女関係では、「一旦離れること」が吉となるケースもあれば、凶となるケースもあり、今後については五分五分という印象を受けました。夢を追いかける男性との交際は難しい?夢を追いかけている時期の男性と付き合うのは、なぜ難しいのか。物理的な忙しさもありますが、「恋愛にうつつを抜かしている場合じゃない、一分一秒も惜しい」という心理にも陥りやすく、恋愛を楽しむ心の余裕がなくなりやすいのが一番の理由でしょう。定期的に会って楽しむような交際が難しいことに加えて、先々が不透明で将来の約束もできない――。そう考えれば、夢を追う時期の男性との交際を円満に継続できるのは、相手の夢が叶うだろうと楽天的に信じられたり、相手が夢を叶えていく過程を一緒に楽しめたり、”普通の交際”を期待せず相手を適度に放っておけたりする女性に限られてくるように思います。自分の未来を明るく信じていてくれる女性の存在は、男性にとっても心強いもの。頻繁に遊べなくても、顔を合わせれば幸せな笑顔を見せてくれる、離れている間は自分の生活を好きに楽しんで過ごしていてくれる……。そのような女性であれば、夢が叶うまでの時期も乗りきりやすくはなるでしょう。「夢が叶うまでの時期」と書きましたが、夢を追いかけている男性にしても、一生ずっと追いかけ続ける人は稀(まれ)です。実際に夢を叶える人もいれば、どこかのタイミングで諦める人もいる。夢を追い続けるにしても、がむしゃらに没頭する期間は限定的で、年齢を重ねる中で生活とうまく両立させていけるようになることもあります。トピ主さんの彼も、おそらく「1年後くらいにはお店を開く」という見込みで動いているからこそ、その期間を口にしたのではないでしょうか。「本当に戻ってきたら考えよう」くらいで丁度いいかも無論「夢がある」と言いながら、そのための行動をしていなかったり、目の前の楽しみにかまけていたりしている男性ならば、話は別です。彼が口先ばかりの人物であれば夢を叶える日も、トピ主さんを迎えに来る日も、永遠に来ない可能性が高いでしょう。彼は本気の努力をしているのかどうか。有言実行するだろうと信じられるかどうか。そのあたりも一度考えてみるといいかもしれませんね。待つにしても、「その約束だけを頼りにしながら1年間を過ごす」のはおすすめしません。万が一、約束が守られなかったとき、「私の1年を返して!」と言いたくなるような日々の過ごし方はしないほうがベターです。どう転んでもトピ主さんの人生ですから、自分の人生のハンドルは自分で握っておくこと。「彼が本当に戻ってきたら考えよう」と思っているくらいで丁度いいかもしれませんね。しばらくはつらいでしょうが、「本当に縁がある相手なら、いずれまた接点があるだろう」と腹を据えつつ、新たな可能性も拓いていくのがベストのように思いました。応援しています。(外山ゆひら)
2018年10月22日「まともに恋愛できたことがない」と悩む女性からの投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。25歳のトピ主さんは「自分から好きになった人じゃないと付き合えない」といいます。好きになった相手に対しては、最初はいい感じでも毎回都合よく扱われる結果に終わり、アプローチしてくれる男性に対しては「恋愛感情を持てない」。そろそろ結婚も考えたい、失恋で傷つくのはもう本当に嫌だ……と心境を語り、どうしたら良い人を見抜けるのか、どうしたら自分が好きだと思う人に愛してもらえるのか、と問いかけています。「好きな人に愛される確率」を上げるには?「好きではない人には好かれるのに、好きな人には本気で好きにはなってもらえない」。こういった悩みを持つ方は、「好きな異性」と「そう思っていない異性」への態度が“極端”に違うことが多いように感じます。もちろん、相手によって態度が多少変わるのは当然のこと。ただ、恋愛のチャンスはあるのに、なかなか望むような関係構築ができず悩んでいる方は、そのような“極端な”傾向がないかどうか、一度自身の行動を振り返ってみるのがおすすめです。投稿を読む限り、トピ主さんもそういった傾向がありそうですね。理由は後ほど説明しますが、恋愛の成就率を上げるためには、今後好きな人ができたとき、以下の点を心がけてみるといいかもしれません。・「相手が誰でも、異性に対しては同じように接すること」を心がける・「好きではない人」に取っているような言動を、時々「好きな人」に対しても取ってみる良い男性を見抜くためには、「舞い上がりすぎないこと」なぜ、女性が好きな男性を“特別扱い”しすぎると、男性は本気になりにくいのか。すべてのケースに当てはまるわけではないですが、男性の心が本気になる前に女性があからさまに相手を特別扱いし、関係を先に進めようとすると、男性側はまだ気持ちが育っていないので恋の実感を得られず、本気の関係になりにくい……といった傾向はあるようです。また恋愛関係においては、女性側の態度次第で「男性の身勝手な行動が増長されるか、抑制されるか」が大きく変わることもあります。もちろん男性も千差万別ですし、女性が自分の責任だと感じる必要はないのですが、これまでの恋愛でも、トピ主さんが好きな相手を過剰に“特別扱い”せずにいれば、男性が本気になった例もあったかもしれないなと感じました。加えて、「自分ばかりを見つめてくる異性」に対しては、慢心して疎かに扱ってしまいやすい……というのも男女問わずの心理傾向です。「どうしたら良い人を見抜けるのか」との問いかけもされていますが、上記を踏まえて考えると、「すぐに舞い上がらないこと」はかなり有効だと思います。具体的には、どんなに好みの人と知り合っても「運命の人だ!」などと盲信せず、「この男性は、お互いを幸せにしようと思いあえる相手なのか?」ということを判断していく目は持っておく。舞い上がるような気持ちは恋愛の醍醐味でもありますが、それは正式に付き合ってからでも遅くないですよね。これまでの経験で、「舞い上がった後にひどく傷つく可能性もあること」は身をもって知ったはず。「恋を永続的に楽しいものにするために、すぐに舞い上がらないようにしよう!」という決意を、しっかり胸に留めておくといいでしょう。「女性は愛してくれる人を選ぶべき」と言われる理由また投稿には、「女性は愛してくれる人と結ばれたほうがいいのか」といった内容の記述も見られます。こう言われるのは、男女の違いが多少関係していると思います。社会的成功や収入などが自尊心の根源となっていることが多い男性と比べ、女性は「人に愛されること」が自分の価値だと感じやすい傾向がある。そのため、多くの女性にとって「誰かに本気で愛されていると感じること」は自尊心を満たし、安心や幸福感を生み出してくれる。そのゆえに、上記のように言われるのだろうと分析します。しかし、トピ主さんが「誰かに愛されること」よりも、「誰かを強く愛すること」に情熱を傾けたい、そういう自分でいることが生きるエネルギーや誇りになる! というタイプならば、話は別です。その場合は、中途半端ではなく“本気”の覚悟を決めて、愛する人を特別扱いする……という道もあります。樹木希林さんなどはそうした方だったのかなと推測しますが、揺るがない姿勢で相手に向き合うならば、成就の結果や男性側の態度が徐々に変わっていく可能性もあるでしょう。「いや、私はそういうタイプではない、愛されないと不安になる」ということならば、定説どおり、愛してくれる男性を選ぶ努力をしたほうが幸せな恋愛・結婚ができるかもしれません。ともあれ、まずは好きになった相手との成就を目指してみたい……ということであれば、ぜひ「過度に態度を変えない」「すぐに舞い上がらない」といったことを強く心がけながら臨んでみてくださいね。応援しています。(外山ゆひら)
2018年10月15日大好きだった仕事を辞めて、妊活に専念。ところが、思ったように結果が得られず、焦燥感と挫折感、そして仕事をあきらめたことへの後悔にさいなまれ、精神のバランスを崩してしまった麻子さん。日常生活も夫婦仲もどんどんおかしくなっていきますが、彼女はもはや妊活のことしか考えられない状態。専業主婦ならぬ「専業ベビ待ち」の誕生… 前回 ご紹介したのは、そんなケースでした。子どもを持つか否か。それは夫婦にとって、非常に大きな決断です。特に女性の間には、「女に生まれたからには、自分の子どもを生みたい。育てたい」という人が多いかもしれません。けれど…社会が女性たちを半ば強制的に、まずは「就活」に放りこみ、そして「婚活」、そしてこれもクリアしたら、数年後には「妊活」を用意している、というようなところはないでしょうか。「仕事に生きがい求めるのが普通よ。当然働かなきゃね。就活、就活」「結婚はしなきゃダメでしょ。結婚して一人前。みんな結婚に憧れてるでしょ。条件が合う人を求める婚活は今や常識」「女性なら子どもが欲しくて当然だよね。高齢出産年齢の35歳が近づいてきてるよ。早く妊活しないと!」まるでそんな風に言われているように感じてしまいます。「○活」という言い方をされると、それは「みんながやっていること」であり、「みんながやるべきこと」であるような気がしてきます。そして、「みんながやっていること、やるべきこと」である以上、社会に飛び交う情報の量は増える一方。今では、専門家や一部の著名人のみならず、一般の個人も自身の意見や経験を気軽にSNSなどを通して発信できるのですから、注目度の高いテーマに関する情報量はもはや無限です。「○活」に放り込まれた女性たちは、この膨大な量の情報に目がくらんでしまいます。情報がどんどん流れ込んできて、取捨選択する暇もない。そんな状況に疲れて自分を、そして自分のしたいことを、いつしか見失ってしまいます。とても便利な反面、自分を見失いそうになる社会に生きている私たち。そして、生まれ持った性格が、現代社会のこうした性質の悪影響を受けやすいタイプだったりすると…妻はいとも簡単に、モンスターワイフへまっしぐらに落ちてしまいます。あなたはそんな「ハイリスクな性格」に当てはまりませんか? 以下のチェックリストで確認してみてください。■「妊活系モンスター 専業ベビ待ち」度チェックここでは、あなたの「妊活系モンスター 専業ベビ待ち」度をチェックしてみましょう。以下の質問で、〇はいくつありますか?1. 自他ともに認めるコツコツ型の努力家だ。2. 人生設計をバッチリ考えているタイプだ。3. しないで後悔するより、失敗してもいいからチャレンジする。4. 子どもがいない自分の未来が想像できない。 5. なにかを途中でやめたくなっても、投資した時間、お金、労力を惜しむあまり、やめることができなかった経験がある。6. 物事を始める前には、関連する情報を集められるだけ集めたい。7. 他人のブログを3つ以上継続して読んでいる。8. チェックするブログ、SNSの発信者に対して、競争心を燃やしていることがある。9. 女性の幸せは結婚と出産にあると思う。10. これまでに大きな挫折を経験したことがない。■あなたの「専業ベビ待ち」度は何レベル? 「モンスターワイフ」判定結果「専業ベビ待ち」度をチェックする質問に、あなたはいくつ〇がありましたか? 下の判定結果と照らし合わせて、自分のモンスターワイフ度を確認しましょう。○の数が3個以上6個未満は、専業ベビ待ち度「C」(あなたも「専業ベビ待ち」の卵を抱えている可能性があります)○の数が6個以上8個未満は、専業ベビ待ち度「B」(妊活が長引くにつれて、「専業ベビ待ち」がそのシッポを出し始めます。要注意!)○の数が8個以上は、専業ベビ待ち度「A」(かなり「専業ベビ待ち」化しやすい性格。一度立ち止まって自分と夫の幸せの形について、冷静に考えてみてください)妊活を始める以前の麻子さんの人生は、なにもかもが順調に運んでいました。生まれ持った真面目で頑張り屋な性格が、うまく機能していたのです。もちろん人生において、努力は重要な要素。努力すれば手に入るものも、努力を惜しめば手に入りません。けれど、世の中にはどれだけ努力しても、手に入らないものがあるのも事実。例えば、あなたがいくら魔法使いになりたくても、残念ながらなれません。「欲しいもの」がそれくらい分かりやすく、「手に入らないもの」なら問題ないのです。ところが、技術の進歩により、少し前までは完全に不可能だったことの多くが、今日では可能になりつつあります。ひと昔前の「不治の病」が、今では手術や薬で完治可能になり、スマホ1台で海の向こうの人々と、顔を見ながら話せる時代です。そんな世界では、「可能」と「不可能」の境界線がどんどん曖昧(あいまい)になっています。これって無理なのかな…どうにかならないか、ネットで調べてみよう。えっ、そんな方法があるの? SNSでこんなことを言っている人もいる。時間とお金をかければ、私だってできるかも…という錯覚。できることが増えるのは素晴らしい。欲しいものをあきらめなくていいのも素晴らしい。けれど…私たちの社会は「あきらめなくていい社会」であると同時に、「あきらめさせてくれない社会」にもなりつつある気がするのです。こんな方法もある。こんな商品もサービスもある。こんな成功体験談だってある。これらをすべて片っ端から試せば、私だって望むものが手に入るんじゃない? 努力を惜しまない人ほど、なにごとも徹底的にやりたい人ほど、そう考えがちです。でも、考えてみてください。どれだけ技術が進歩しようと、あらゆる情報や商品・サービスが瞬時に手に入る世の中になろうと、私たちに与えられた時間は1日24時間、体は1つしかありません。ただでさえ、誰もが忙しい現代社会。そこに膨大な情報や広告が流れこみ、あれもやらなきゃ、これも買わなきゃ、こっちも試してみなきゃ…と急き立てられるようになったら、心身ともに疲れきってしまうのは目に見えています。ところが努力家タイプの人は、「ほどほどにする」「ほどほどでやめる」ということができない人が多い。「これだけ情報も技術も豊富にあふれているんだもの。あきらめさえしなければ、必ずゴールにたどり着けるはず」「こんなに多くの選択肢に恵まれた時代に生きてるんだから、全部試す前にあきらめるなんて、逃げ。負けよ」「うまくいった人がたくさんいるんだから。私だってこのまま頑張り続ければ、いつかは必ず…」と、いつしか思いこまされてしまうのです。■妊活「いつまで、どれだけ?」引き際が見えない社会あきらめさせてくれない社会。「引き際」が見えなくなる社会。そんな私たちの社会において過度に「頑張り屋」な性格は、妻の精神を崩壊させるモンスターの卵となりうるのです。典型的な「努力の人」である麻子さんは、こうして妊活モンスターに取りつかれてしまいました。「どんなに不妊治療の副作用がつらくても、妊活がどんなに苦痛でも、ゴールまで絶対に立ち止まらずに走りきる」「大切な仕事をあきらめてまで妊活を選んだのだから、ここで手をゆるめたり、あきらめたりするわけにはいかない。絶対に妊活を成功させなければならない」本人は明確なゴールに向かって、前向きに全力疾走しているつもりなのです。ところが、取捨選択しきれないほどの情報や広告というノイズに混乱させられて、いつしか迷走、暴走するようになってしまいます。そうすると…「この治療は副作用がキツすぎて、体がもたないわ。別の方法がないか、お医者さんに相談してみよう」「毎日毎日、健康第一の妊活メニューばっかりで飽きちゃった。今日はガッツリお肉だらけにしちゃおうかしら。そういえば夫も『久しぶりに焼き肉が食べたい』って言ってたっけ。夫婦で気晴らし、気晴らし!」なんて考えは、絶対に浮かびません。ゴールに向かう足を少しでも止めたら、それは努力家の妻にとっては「逃げ」なのですから。もちろん「子どもをあきらめる」なんていう選択肢もありませんし、「いつまで妊活を続けるか」という冷静な見通しもありません。不妊治療で心も体も疲れはて、泣く泣く妊活を終了するも、長年続いた苦しい日々で夫婦関係は破綻状態。経済的にも危機的状況…というケースもあります。子どもを持つ未来へのビジョン、それにともなうリスクと心的負担は、妊活を開始する前、できるだけ冷静なうちに夫と共有してください。そうすれば妻が迷走・暴走を始めそうになった時に、夫がストッパーとして機能することが可能です。さらに、将来のビジョンを共有することにより、「妻だけがひとりで暴走し、夫は置いてけぼり」という状況に陥るのを防ぎ、妊活による夫婦仲の悪化防止にもつながります。「結婚はゴールではなくスタート」だと、よく言います。妊娠・出産も同じです。子どもを授かったその日から、夫婦は父親と母親という新しい役割を担って、新たなスタートをきるのです。ところが、とにかく妊娠することしか頭にない妊活中の妻は、夫との関係など考える余裕がなくなってしまうことが多いように感じます。「子どもが生まれてから忙しくて、夫婦仲が…」となげく妻が多いのですが、実は早くも妊活中から、夫婦仲にヒビが入り始めているケースが少なくないのです。「待ちに待った、待望の赤ちゃんを迎えるその日には、仲良しのパパとママでいたい」そんな思いを頭の片隅にでも常に置いておけば、夫を完全に無視した暴走は避けることができるでしょう。■「隣の芝生は青い」子持ちの親友と会って気づいたことさて、 前回 のリアルエピソードで、大暴走を繰り広げてしまっていた麻子さんは、その後どうなったのでしょうか。実は男性側が原因の不妊も多いという情報をネットでたて続けに目にした麻子さんは、俊さんを病院へ連れて行き、精液検査を受けさせます。ところが、俊さんの側には問題のないことが判明。これを機に麻子さんの精神状態は、ますます悪化していきました。「不妊の原因は私だけにある。私だけが悪いんだ。全部私のせいなんだ…」いつもそんな風に思いつめているため、事あるごとに夫に突っかかるようになります。俊さんは妻をサポートし、一緒に頑張っているつもりでしたが、麻子さんは少しでも気に入らないことがあると、「夫の協力が足りない」と不満爆発。そして「そうよね、あなたの問題じゃないものね」「当事者じゃないあなたには、分からないわよね」などと、嫌味のオンパレードです。ある日、治療のステージアップを宣言した麻子さんに「これ以上は経済的に苦しい」と俊さんが反論したことが、大戦争に火をつけました。「人生で一番重要なことを話し合ってるのに、あなたが心配してるのは、お金!? そっか、そうよね、不妊はあなたのせいじゃなく、私のせいなんだもの。そりゃあ、お金を出したくないのも当然よね。それならいいわ。私、実家の両親に借金を申し込みに行って来るから」「俺たちもうとっくに実家から独立して、夫婦として新しい家庭を持ってるのに、それは違うだろ。自分たちで費用の工面ができないようなことをどんどん押し進めるって、俺はなにか違うと思う」そんなやり取りの後、麻子さんは旅行カバンに最低限の荷物を放りこんで家を飛び出します。初めは夫に言い放った通り、実家に帰って借金のお願いをするつもりでした。ところが道中、数時間電車に揺られて冷静になってくると、夫の言い分も一理あるという気がしてきました。それに突然実家に帰って、「夫は不妊治療の費用をこれ以上出す気がないみたいだから、お金を貸してください」などと言ったら、一体両親はどう思うか…そんなことも考えました。悩んだ末に麻子さんは、里帰りを中止。とはいえ、もう実家の近くまで来ていたので、何年も会っていなかった地元の親友、夏海さんに会いに行くことに。自身の妊活中に夏海さんの妊娠と出産を知った麻子さん。辛うじて「おめでとう」は言えました。しかし、彼女のSNSに投稿されたフニャフニャとかわいらしい赤ちゃんの写真を見て心が荒れに荒れて以来、夏海さんに連絡を取ることもなければ、彼女のSNSをチェックすることもなくなっていたのです。そんな麻子さんの突然の訪問にもかかわらず、夏海さんは大歓迎してくれました。ほとんど涙目になりながら、「息子がちっちゃくてどこへも行けないし、夫はほとんど家にいないし、母は父の看病でここへはなかなか来れないし…もう何日も、まともに人と話してないよ。だから来てくれて本当にうれしい」と言うのです。確かに夏海さんは、疲れ切った顔をしていました。疲労と寝不足のせいか、むくみきった顔。肌はどんよりくもって、髪もボサボサです。そんな夏海さんの姿は、麻子さんがSNSから勝手に想像して激しく嫉妬していた「幸せなママ像」とは大きくかけ離れたものでした。親友との久しぶりの再会に一気に気がゆるんだのか、夏海さんは愚痴が止まりません。「もう、生まれたその日から戦争よ。自分の時間なんて、これっぽっちもありゃしない。トイレにすら自由に行けないし、忙しすぎて洗顔や歯磨きをしそびれることもしょっちゅう。本当にもう、赤ちゃんの奴隷になった気分。夫の出張中なんてノイローゼ寸前って感じで、『私の人生を返して!』って叫んで、赤ちゃんを放り捨てたくなっちゃうことすらあるの…」こんなこと誰にも言えないけど、とつぶやきながら、夏海さんはとうとう泣き出してしまいました。「麻子は都会に住んで、おしゃれな旦那様と2人で、おしゃれなお店めぐりとかしてるんでしょ? あ、麻子は料理上手だから、おうちでしゃれた料理を振る舞ってワインで乾杯とか? 麻子がうらやましいよ…私なんて外食もまともな料理も、一体いつになったらできるのか…」麻子さんが妊活に悪戦苦闘していることを知らない夏海さんは、そんなことまで言い出したそうです。「これを言ったのが旧知の親友でなければ、思いっきりひっぱたいていたところですけど」と苦笑する麻子さん。「彼女にそんなことを言われたら、『隣の芝生は青い』っていうのは本当なのかなぁっていう気が、ちょっぴりしてきて…」帰りの電車の中、麻子さんは夏海さんの様子や言葉を思い出しながら考えました。「私はこれまで苦もなく妊娠できた女性や、妊活に成功できた女性は勝ち組で絶対的に幸せ、私は負け組で絶対的に不幸なのだと思っていた。私もどうにかして、一刻も早く、勝ち組の側に回らなければ。向こう岸に渡れさえすれば、私も幸せになれる…そんな気がしていた。向こう岸から見たら、私の生活もうらやましく見えるだなんて、思ってもみなかった。向こう岸に渡れたとしても、結局『隣の芝生は青い』のだとしたら…一体どうしたら、どうなれば、私は自分の芝生に満足できるのだろう」答えが出ないまま帰宅した麻子さん。出迎えた俊さんは、麻子さんに謝ってくれたそうです。「麻子がどれだけ子どもが欲しくて頑張ってるか知ってるのに、真っ先にお金の話をするなんて、あまりに思いやりに欠けていたよ。ごめん。前からずっと言いたかったのは、俺は子どもを持つことだけが人生の幸せだとは思わないっていうことなんだ。俺たちずっと時間もお金も、ひたすら妊活のためだけに費やしてきただろ。食べ歩きも旅行も、なにもかも忘れたみたいに、妊活のことだけ考えて…。こんな生活をずっと続けるのは、健康的じゃないと思うんだ。麻子に仕事を辞めるのを勧めたのは、肉体的な負担だけじゃなく、精神的なストレスも軽減できたらって思ったからなんだよ。それなのに妊活一色の生活で鬱々として、働いていた時以上にストレスがたまるんじゃ、元も子もないじゃないか。俺は子どもが欲しくて麻子と結婚したわけじゃないよ。麻子と楽しく過ごしたくて、麻子と結婚したんだ」その日からは、少しずつですが「妊活メニュー」じゃない普通のごはんを料理して食べるのを楽しんだり、ヨガや温活セラピーをスケジュールいっぱいにつめこむのはやめて、夫とのんびり外出したりするようになった麻子さん。毎日の暮らしの中に少しずつ楽しみを見いだせるようになると、以前なら絶対に持つことができなかった視点も持てるようになったといいます。「もしも子どもを授かれなくても、その時は2人で楽しくやっていこう」「一生2人きりならちょっと冒険して、セレクトショップをオープンしたりするのも面白そう」今ではそんなことを、夫婦で話すこともあるそうです。この世には手に入るものもあれば、手に入らないものもある。自分が持っているもの、自分が手に入れられたものの中に喜びを見いだすことが、自分の芝生に満足できるポイントなのではないでしょうか。自分の芝生に満足している妻の心には、モンスターもつけ入ることはできません。
2018年10月14日夫の愛が冷めてゆく…それは、妻にモンスターワイフの影が見えるから…。まずは「就活」に勤しみ、その後「婚活」も闘い抜いた女性たちの次なる闘いは「妊活」…。社会に、世間に、次から次へと「○○活動」を押し付けられているような気がして、息がつまるような思いをしている女性も少なくないのではないでしょうか。ある行動が「○活」と呼び名を持つようになると、それは「みんながしていること」と認識されるようになります。するとメディアによる情報提供が増え、個人間で体験や意見を交換し合う場も一気に増加。SNS全盛時代の今、その傾向は強まる一方です。スマホひとつあれば24時間、いつでもどこでも、あらゆる情報が流入してくる時代。もちろん、情報というものは、うまく活用できればとても有益なものです。けれど、世間に氾濫する情報に流され、溺れ、SNSにあふれる「体験談」と自分の現状を比較して苦しむ…そんな女性が増えている気がしてなりません。特に「妊活」中の女性は、そんな情報社会の犠牲者にならないよう、ご自分の身を守ってほしいと思います。今回は、そんな思いをこめて、麻子さんのケースをご紹介しましょう。■妊活のはてに…「なにもかも、どうでもいい」「妊活系モンスター 専業ベビ待ち」代表:麻子(仮名)36歳の場合「あぁ、またソファで寝ちゃった…」午後3時。リビングのソファで目覚めた麻子は、ぼんやりつぶやいた。おかしな姿勢で長時間寝ていたせいで、体のあちこちが痛い。そうでなくても、最近の麻子は全身が絶不調だ。いつもだるくて気分が悪く、体が重くて仕方がない。眠い目を開けると、目に入って来たのは散らかり放題の部屋。床にはビールや酎ハイの空き缶と、いかにも体に悪そうなおつまみの空袋が転がっている。ダイニングチェアには、洗ったままの洗濯物…いや、あのトレーナーはまだ洗濯してなかったっけ。ゴミ箱もいっぱいで、今にも中身があふれそうだ。でももう、なにもかもどうでもいい、と麻子は思った。眼前のカオスをこれ以上見ていたくなくて、目をつむる。そして、窮屈な姿勢のまま、彼女は再び眠りについた。■学業、就職、結婚…「努力さえすれば夢はかなう」麻子はこれまで、ずっと優等生だった。大人にやりなさいと言われたことには疑問を抱くこともなく、いつでも素直に従う子ども。おとなしく真面目で勉強もできたから、親や教師の覚えもめでたいタイプだ。そして、そこそこのレベルの公立大学に進学する。料理自慢の母に似て、趣味は料理とお菓子作り。周囲からはいつも「いいお嫁さんになりそう」と言われていた。そして麻子本人も、「私は特別、興味のある仕事なんてないけれど、家事は苦にならないタイプ。子どもが大好きだし、早く結婚して幸せな家庭を築きたい」と思っていた。ところが大学入学後、ほどなくして出会ったあるアクセサリーブランドが、麻子の人生を大きく変えた。若い女性を対象としたそのブランドのアイテムは、どれも繊細でかわいらしい。お値段的にも、アルバイトを頑張れば学生でも手が届く価格だ。麻子は家庭教師のアルバイトに励むかたわら、暇さえあればこのアクセサリーショップに通いつめ、バイト代がたまるたびに1つずつお気に入りを増やしていった。大学3年生になる頃には、ショップの店員全員と顔見知りになるほどだった。そんなある日、麻子は、このショップが販売員を募集していることを耳にする。大好きなアイテムに囲まれて働くことができたら、どんなに幸せだろう。麻子は、早速ショップの責任者に懇願したが、「うちでは学生のアルバイトは採用していない」という回答。それでも麻子はあきらめられなかった。自分がどれほどこのブランドに夢中か、どれほどブランドのコンセプトを熟知しているか、もしも採用してもらえたら、どれほど骨身を惜しまずに働くかを熱弁した。すでに麻子と何度も顔を合わせており、麻子のブランドへの熱烈な愛着を理解していたこの責任者は、麻子の希望を本社にかけ合ってくれた。「この子はうちの商品のことは、もう社員並みに熟知している」という責任者の推薦のおかげで、麻子は例外として学生ながらアルバイト採用されることになる。採用時に誓った通り、麻子は本当によく働いた。大好きなブランドのショップで働くのが、楽しくて仕方なかった。彼女の熱心な働きぶりは本社にもたびたび伝わり、麻子は大学卒業後、正社員としてこのブランドで働けることになった。麻子にはさらに大きな夢が芽生える。今は販売部にいるけれど、いつかはデザイン部で働きたい。そんな思いを胸に、24歳の麻子は新たな目標に向かって走り出した。忙しく働きながら、アクセサリーのデザインの勉強を始めたのだ。そして27歳の時に、ついにデザイン部へ異動。すべてが思い通りに運び、麻子は有頂天になってしまう。「私の人生、なにもかもうまくいっている。努力してるから当然よ。頑張ればなんだってできるの。努力さえ惜しまなければ、どんなことだって達成できるんだから」麻子は充実感でいっぱいだった。デザイン部でも人一倍努力し、成果を認められた麻子。「いいお嫁さん」という以前のゴールを忘れたわけではなかったが、仕事に没頭して気づけば29歳。しかし、人生が充実している時には、忙しく過ごしていても良縁が転がりこむものだ。麻子に人一倍目をかけていたデザイン部の先輩が、夫の大学時代の後輩を紹介してくれたのだ。麻子より2歳年上の俊は、小さな雑貨輸入会社勤務。こだわりを持つ大人を対象とした文具の輸入を担当しており、自分の仕事や扱う商品に誇りを持って生き生きと働いていた。仕事に情熱を傾ける2人は、あっという間に意気投合。精力的に仕事を楽しみつつ、料理上手で家事もテキパキこなす麻子に、俊がプロポーズするまでに時間はかからなかった。やさしく思いやりにあふれ、自分のことも自分の仕事も尊重してくれる俊からのプロポーズに、麻子は「はい!」と即答した。30歳の秋だった。■「妊娠しない…」結婚3年目の不安仕事と結婚生活の両立もうまくいった。ブランドの新作発表前になると、麻子はオフィスに泊まりこみ徹夜で働くこともあったが、俊は麻子を応援してくれた。学生時代から一人暮らしをしていた俊は、家事も自分でこなせる。多忙な麻子が家事に手が回らない時にも、2人が衝突するようなことは皆無だった。そして、互いに仕事が落ち着いている時期には、一緒に旅行へ出かけ、おしゃれなショップやカフェを回ったりして、楽しい時間を過ごした。ところが、結婚3年目。麻子はある不安を抱き始めた。夫婦生活は普通にある。そして子どもが欲しい麻子は、避妊をしていない。それなのに、3年たっても妊娠しない。危機感を抱いた麻子は、ネットで「タイミング法」や「妊娠しやすい体の作り方」について調べ、実践し始めた。「妊活」と銘打ったサイトが、山のように見つかる。「私はこうして妊娠した」といった成功者のアドバイスを、あれこれ試す日々。けれど1年続けても、効果はあらわれなかった。病院嫌いの麻子だったが、さすがに専門のクリニックにかけこんだ。さまざまな検査の結果、ホルモンのバランスが原因で、麻子は妊娠しづらい体質であることが判明。目の前が真っ暗になった。結婚して、子どもを生んで、温かい家庭を築く。それはもう、ずっと昔から当たり前に実現されるべき幸せの形として、いつも麻子の心の中にあった。全力で情熱を傾けられる仕事に出会って、優先順位が2番目になっていただけのこと。忘れたわけでも、あきらめたわけでもない。けれど、私ももうすぐ34歳。「第1子は35歳までに」と、みんなが言っている。仕事は相変わらず最高に面白いけれど、そろそろ「妊活」にも時間を割くべきではないのか。そうしなければ、きっと後悔する…。そう考えた麻子は、ホルモン治療を受け始めることにした。夫の俊は「子どもは好きだけれど、授からなければそれでも構わない」という考え方だが、麻子の願いを知っていたため、「2人で治療を頑張っていこう」と言ってくれた。翌週から、麻子のホルモン療法が始まった。■不妊治療「仕事と子ども、どっちをとる?」副作用に関する説明は受けていた。受けてはいたのだが…。いざ治療が始まると、麻子は想像以上の苦痛にさいなまれることになった。頭痛と吐き気に悩まされ、体が重くて仕方がない。そんな体調不良のせいなのか、それとも精神面への副作用なのかわからないが、気分もひたすら重く、鬱々としてしまう。そんな状態なので、なかなか仕事に集中できない。ただでさえクリニック通いで、以前より職場に迷惑をかけているのに…。麻子は肉体的にも精神的にも追いつめられ、ギリギリと歯を食いしばりながら毎日仕事に通っていた。そんなある日。新作発表前の怒涛(どとう)のスケジュールについて行けなくなった麻子は、とうとうオフィスで倒れてしまう。連絡を受けて、あわててかけつけた俊の車の助手席で目を覚ました麻子は、消え入りそうな声で「ごめんなさい」とつぶやいた。涙が流れて止まらない。普段ならすぐにやさしい言葉をかけてくれるであろう俊が、この日はいつになく強張った顔のまま、麻子のほうを見ずに黙って運転を続ける。そして重苦しい沈黙の後、思い切ったように俊は口を開いた。「麻子にとって仕事がどれだけ大切か、俺も分かってるつもりだよ。でも、最近の麻子はあまりにしんどそうで、俺、見てられなくて…。こんなこと、本当は言いたくないけど…」「待って」苦しそうに、慎重に言葉を選びながら話す夫を麻子がさえぎる。「分かってるの、私も。仕事も子どもも、本当は両方あきらめたくないのよ。でも、両方同時には手に入らないんだとしたら、タイムリミットが迫ってる妊活のほうを優先しないといけないのよね…」麻子の顔は、涙でグチャグチャになっていた。俊は人気のない場所に車をとめると、麻子にハンカチを渡し、彼女の手を握った。「麻子、ずっと忙しかっただろ。いくら楽しんで働いていたとはいえ、やっぱり激務は体にこたえたと思うし、ストレスもあったと思う。一緒に見た妊活サイトにも『ストレスは大敵』とか、『リラックスできるライフスタイルになった途端、妊娠』とかって話が載ってただろ。麻子もあっさり、そんなことになるかもよ。それに麻子、『時間に余裕があれば、もっと気合いを入れて料理したいのに』っていつもボヤいてたじゃないか。そういうことを、のんびり楽しんだらいいんじゃないかな。俺も豪華な料理が食べられるようになるの、楽しみだなぁ」努めておどけたようにそう言う俊のやさしさに、麻子は泣き笑いの顔で応えた。こんなにやさしい人が夫で、本当によかった。今まで仕事を全力で頑張ってきた分、これからは妊活を全力で頑張ろう。大丈夫。きっとうまくいく。これまでずっとそうやって、なにもかもうまくいってきたんだから…。夫の手を握り返しながら、麻子はそう心に誓った。そして、その翌日には、会社に退職届を提出する。■結果が出ない妊活「好きだった仕事まで辞めたのに…」その3カ月後に退職して、麻子は生まれて初めて専業主婦になった。それまで朝から晩までオフィスで働いてきたため、最初の1週間は戸惑いがあまりにも大きく、なにもできないまま終わってしまった。が、翌週からは気を取り直して、妊活成功のためのスケジュールを練り始めた。ネットで妊活情報をリサーチしていてしょっちゅう見かけた「温活」スタジオや、ヨガ教室。「これまでは時間がなくて無理だったけど、これからは行けるのよね」妊活に効果的なメニューも毎日用意するのは難しかったけれど、これからはレシピを検索する時間も、買い物に行く時間も、料理する時間もいくらでも取れる。「あ、お野菜はできるだけ、農薬が使われていないものを選ぶべきなんだった。有機野菜のお取り寄せサービスも、契約しちゃおうかな」こうしてあっという間に、長い長い「妊活To Doリスト」が出来上がった。これを一つ一つきちんとこなしていけば、必ず妊娠というゴールにたどり着けるはず。ただの大学生だった私が大好きなブランドの正社員になって、デザイン部にまでたどり着けたように…。麻子は再び、自分の中にやる気とエネルギーが満ちあふれるのを感じた。ところが、やる気が大きければ大きいほど、費やした労力や金額が大きければ大きいほど、それが報われなかった時の絶望感も大きい。なんの成果も得られないまま、妊活に専念する生活が半年も過ぎると、麻子は仕事を辞めたことを激しく後悔するようになった。あんなに大好きだった仕事をあきらめて…今の私は毎日毎日、温活のために退屈で死にそうになりながらよもぎ蒸しに通って、授かりヨガに通って。大好きなお酒もコーヒーもダメ、お料理だって塩分ひかえめじゃなくちゃダメ、苦手な発酵食品も食べなくちゃいけない。仕事を辞めればストレスがなくなって妊娠しやすくなるなんて、大ウソよ。ネットの「妊活成功体験談」なんて、信じるんじゃなかった。働いていた頃よりこの妊活生活のほうが、私にとってはよっぽどストレスだわ。ストレスと欲求不満と後悔で、麻子は頭がおかしくなりそうだった。それでも必ず赤ちゃんを授かれるというのなら我慢できる。でも、そんな保証はどこにもないのだ。仕事の繁忙期はキツかったが、いつでも終わりが見えていた。けれども妊活はいつ終わるのか、いつ終えることができるのか、誰にも分からない…。でも大事な、大好きな仕事をあきらめてまで妊活を選んだのだ。なにがなんでも、絶対に成功させなければならない。いや、絶対に成功させてみせる。「これまでずっと、そうやって欲しいものを手に入れてきたんだから。もっと頑張らなくちゃ。頑張れば、必ず道は開けるんだから」麻子はそう思い、より強力なホルモン療法を希望した。医師には「あなたは副作用が強く出るタイプだから、あせらないほうがいい」と言われたが、麻子は譲らなかった。治療の副作用が以前にも増してひどくなってからも、麻子は日々熱心に妊活に励んだ。毎日何時間もネットサーフィンを続け、「コレで妊娠!」といった情報を見つけては、サプリメントであれエクササイズであれ、なんでもとり入れた。それでも妊娠できないまま1年が過ぎると、麻子は精神的にひどく追いつめられていった。日々の努力もむなしく無情にも生理が来てしまうたびに、麻子は荒れるようになる。普段「健康的なライフスタイル」「健康的な食生活」を徹底している反動で、まるで体を傷めつけるかのような暴挙に出るようになったのだ。生理が来たその日にはお酒を浴びるように飲み、塩辛いおつまみや油分でギトギトのファストフードを、気分が悪くなるまで胃につめこむ。よもぎ蒸しもエクササイズも当然すっぽかして、ひたすら飲み食いしながらテレビの前でボンヤリ…。翌日は、強烈な二日酔いと自己嫌悪に襲われて、無気力感でいっぱいになり、なにもできずに1日が終わる。そしてこの「なにもできない日」の日数が、毎月次第に増えていく。気づけば生理が来てから1週間は病的な無気力感に襲われて、妊活もまったく再開できないような状態になっていた。そして「魔の1週間」が終わっても、体や心は常に重い。麻子の頭にはもう、妊活以外のことはなにひとつ思い浮かばなくなっていた。妊活をしている時以外は、空気が抜けた風船のように、常にソファに寝そべっているような状態。基本的な家事も手につかず、洗濯物、洗い物、ゴミがどんどんたまっていく。この頃になると、麻子は自分の感情をコントロールすることができなくなっていた。毎日欠かさずチェックしている妊活ブログで妊娠の報告を目にして、手にしていたマウスを壁に投げつけて壊してしまったことがある。麻子の現状を知らない友人からメールで妊娠を知らされた時には、ベッドに潜りこんで金切り声を上げて怒り狂い、メールにはとうとう返信せずじまいになってしまった。献身的に麻子を支えてきた夫の俊も、急激に変わっていく妻をもてあますようになっていった。俊は基本的に残業や出張が少なく、また多くの夫が苦手とする「排卵日セックス」にもいつも協力的だったはずなのに…。■ついに夫から「排卵日セックス」拒否「今日は絶対に早く帰ってきてね」と麻子が念を押していたある日、俊から電話が入る。「麻子、本当にごめん! イタリアから来た新しい仕入先のお偉いさんのフライトが、急にキャンセルになっちゃって。彼、日本は初めてだし、日本語も全然分からないし、俺がアテンドしないといけないんだ。本当に申し訳ないけど、今夜は…」俊が言い終わる前に、麻子はものすごいけんまくで怒鳴り始めた。「冗談じゃないわ! こっちは年にたったの12回しかチャンスがないのよ! そのたった12回のために、私が毎日どれだけつらい思いをしてるか、俊は全然分かってない。そんな外国人なんかほっといて、とっとと帰って来なさいよ!」その時「イタリア人のお偉いさん」は、俊の隣にいたらしい。低い声で短く「悪いけど」と一言告げて、俊は電話を切ってしまった。麻子は背中を震わせ、しゃくりあげながら泣いた。事の重大さを、夫はまったく分かっていない。チャンスは月に1度だけ。そして私は、刻一刻と年を取っている。妊娠できる可能性は、どんどん低くなっていく。だから少しでも早く結果を出すべく、私は最大限の努力をしているのだ。それなのに夫はなぜ、私の全身全霊をかけた努力を無にするようなことができるのか…。気づけばクッションカバーが破れ、写真立ては倒れ、コップも床で粉々になって、リビングは惨憺(さんたん)たる状態。麻子はソファに倒れこみ、涙でぬれた顔のまま目をつむる。毎日毎日、つらいだけ。楽しいことなんて、なにひとつない。妊活のための運動、妊活のための料理…私はまるで、妊活のためだけに生きながらえているゾンビみたい。それでも…それでも努力が実るその日まで、なんとか、どうにか、頑張り続けなければ…。麻子はスマホを手に取り、毎日何度となくチェックしている『ベビ待ちコミュニティ』のページを開いた。そして無表情のまま、深夜まで妊活情報を探し続けた。スマホはもはや、地獄の入り口に化していた。順風満帆な仕事を楽しみ、幸せな結婚も果たした麻子さん。真面目な努力家で家庭的な奥さんです。そんな麻子さんが、突如、妊活モンスターに変身。妊活というのは重大なテーマだけに、事がうまく運ばないと、それまで「いい奥さん」だった妻まで一気にモンスターワイフと化してしまう恐れがあります。あなたも麻子さんのように、妊活モンスターの泥沼に引きずり込まれないように。次回の後編をチェックして、注意点を確認してください。
2018年10月13日「結婚の意味。若くても結婚したい!」と題する女性からの投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。トピ主さんは22歳。就職を控えた学生で、9か月前から国際遠距離恋愛をしている恋人がいます。「彼氏彼女以上の結びつきがほしい」という理由から今すぐ結婚したいと考えているものの、「日本とアメリカの終わりの見えない遠距離、交際一年未満、さらに若くでの結婚」となるため、トピ主さんは「反対されそうな要素満々」だと感じているそう。結婚するのに一番必要な要素は何なのでしょうか? と問いかけています。結婚「する」のは簡単。肝心なのはその後かも?彼は将来の話もたくさんするし、長期休みにはお互いの実家に泊まり、親とも仲良くなった。しかしながら、「彼の気持ちは分かりません」とのこと、まだはっきりと彼の意思を確認はしていないようですね。何はさておき今回、まず初めにクリアにしなければならないのは、「彼の結婚への意思」ではないでしょうか。どんなに条件が揃っていても、二人の意向が合致しなければ結婚はできませんし、逆にどんなに逆風が吹いていても、二人の意思が固まっていれば結婚自体は可能になります。投稿内で、「結婚には、『十分な交際年月、十分なお金、適齢、性格相性、生活スタイルの相性、理想の人生設計が同じ』などの要素が必要とされているが、それらが無くても結婚は成り立つのでは」と持論を展開しているトピ主さん。確かに結婚を「する」だけならば、そうした要素は必要ないでしょう。しかし、結婚後の長い人生を考えたときに、上記のような要素が必要だと考える人が多くなるのだと推測できます。結婚は「する」だけで終わらず、「生活」として継続させていく必要がある。二人の生活がうまくいかなくなれば、当然ながら別れもあるわけです。生活していくとなれば、「人生設計」も大きく影響してきますよね。トピ主さんの思いを否定するわけではないですが、「結婚=強い結びつきを得ること」というよりは、その決意や絆を育てていく“過程”のほうに大きな意味があり、さらにその後の生活こそが、真に「結婚」と呼ばれるものだ――。そんなふうに考えてみてもいいのかなと思いました。「急いで結婚したくてたまらない理由」を考えてみよう彼はまだあと1年半、学生生活が残っている状況とのこと。そのような中で、「なぜ今すぐ結婚したいと思うのか」についても突きつめて考えてみましょう。投稿を読む限り、「国際遠距離のままでも籍だけ入れたい」というよりは、今後アメリカで頑張って働いていくために、彼の近くにいて自分を支えてほしい!と思っているようですね。もしかしたら異国の地での就職や、国際間の遠距離で将来が見えないことに不安もあり、それを解消するために結婚を望んでいるのかもしれません。「彼といることは私にとって人生が良い方向に動く、と感じるので結婚したい気持ちがでてきた」という記述もありますが、「私のためにアメリカに来てほしい」というのは、あくまでトピ主さん目線の話。彼のほうは、どのような人生を思い描いているのでしょうか。どんな仕事を志しているのか、渡米して働く意思を持っているのか、その場合、いつを目処にしているか……等々。彼は「アメリカに来て同棲したい」という発言もしていたそうですが、それは卒業後の話をしているのかもしれないですよね。同棲と結婚では大きく意味合いも違います。今すぐ渡米して結婚となれば、彼は転校か留学か退学かという選択も考えなくてはなりませんし、就職先も、就職する国を決めることも、人生を左右する大きな決断となるのは間違いないでしょう。お互いの人生に対する考えや意思を知り、その上で譲歩しあったり、努力しあったりしながら、「二人で生きていく形」を見つけ出していく。そのように“人生を伴走しようとする姿勢”こそが、結婚に一番必要な要素のような気もします。「今がベストなタイミング」だと二人が思うかどうか結婚の時期は、そのカップルにとって“ベストなタイミング”で訪れることが多いように思います。交際期間が短い人もいれば長い人もいますし、年齢も関係ありません。トピ主さんたちだって、誰に何を言われようと双方が「今がそのときだ」と思うならば、うまくいく可能性だってちゃんとあると思います。しかしながら、片方が「今がそのときだ」と思えていない場合は、あまり焦りすぎないことをおすすめします。お互いに「彼(彼女)しかいない」と決めてはいても、ベストなタイミングだけを見計らっている、そんなカップルも世の中には沢山います。目の前にある“今”の幸せを大切にしながら、「この先も離れないだろう」と穏やかに信じられる、そんな関係のほうがハッピーな未来が訪れやすいようにも思います。自分の人生、彼の人生、お互いにとって「今がベストなタイミング」なのかどうか。それを考えた上で、まずは彼の結婚に対する意思や考えをしっかり聞いてみるところから始めてみてはいかがでしょうか?(外山ゆひら)
2018年10月08日リアル・モンスターワイフ、再び
シリーズ・モンスターワイフ
実録・ポジティブな離婚