映画『それいけ!アンパンマン』の記念すべき劇場映画第30作目が、『それいけ!アンパンマンかがやけ!クルンといのちの星』のタイトルで6月30日(土)より公開されることが決定。あわせて特報映像も到着した。1988年10月からTVアニメがスタート、翌年の1989年3月には劇場版が初公開された「アンパンマン」シリーズ。昨夏に公開された『それいけ!アンパンマンブルブルの宝探し大冒険!』は興行収入5億円を超え、乳幼児向けの作品では2015年の第27弾から異例の3年連続で5億円超えという快挙を達成。そんなシリーズが、今年はいよいよ記念すべき映画シリーズ第30作目に突入。30年の節目となる本作は、好奇心旺盛でちょっと不思議な子“クルン”とアンパンマンたちが、いのちの星の故郷を救うために奮闘する物語。TVアニメの第1話に登場し、アンパンマン誕生のきっかけとなる“いのちの星”が映画のストーリーに大きく関わってくるという。物語は、アンパンマンワールドでは年に一度の星祭りの準備でみんな大忙し。そんなある日、何でも吸い込んでしまうばいきんまんのゴミ箱から黒い卵が突然飛び出し、中からクルンという元気な子どもが現れた。クルンは自分がどこからやってきたのか分からないちょっと不思議な子。そんなクルンは毎日楽しくみんなと過ごしていたが、ある日黒い星がたくさん降ってきて、木や草が枯れてしまう大事件がおこる。「もしかしたらいのちの星の故郷によくないことが起こっているのかもしれない」と、アンパンマンたちはいのちの星の故郷をめざし、宇宙へ出発。果たしてアンパンマンとクルンたちはいのちの星を救うことができるのか?そしてクルンの正体とは――!?そして、“なんのために生まれて なにをして生きるのか”というアンパンマンの原点である「アンパンマンのマーチ」を改めて映画のメインテーマ曲に捉え、本作を彩る。また、映画の冒頭には毎年大好評のアンパンマンたちと一緒に歌って手拍子で楽しめるパートが今年も登場!星祭りを舞台に“星にいのる”や、“サンサンたいそう”と、楽しい歌が満載だ。『それいけ!アンパンマンかがやけ!クルンといのちの星』は6月30日(土)より全国にて公開。(cinemacafe.net)
2018年01月05日8月24日、東京・全労済ホール/スペース・ゼロにおいて「マリアと緑のプリンセス」のゲネプロが行われた。“いのち”のミュージカルと銘打たれた本作は、主人公・マリアが通う劇団ボアベールで様々な夢を追いかける彼女たちの悩みや葛藤を描いた作品となっている。舞台「マリアと緑のプリンセス」チケット情報現実の生活と将来の夢の狭間で悩みを抱えるマリアの葛藤を、劇団ハーベストで活躍中の加藤梨里香が2年ぶりに好演。2年前に「花より男子 The Musical」で3000人を超えるオーディションを勝ち抜き、ヒロイン・牧野つくし役を射止めた加藤の実力は本物で、今作でも繊細な思春期の女性の心の移り変わりを、歌で、演技で、細やかに演じきっていた。劇団で子ども達に演技を教えるビリーを演じるのは小野田龍之介。大舞台での座長も経験し、益々磨きのかかったその圧巻の歌唱力とダンスは必見である。演出家を目指し、劇団では演出見習い兼掃除係として働くトニーは、演劇集団D-BOYSの山田悠介が演じる。山田はミュージカル初挑戦とのことだが、とても初挑戦とは思えない仕上がりとなっている。最大の目玉は、今作よりの出演となる歌舞伎俳優の中村鴈治郎である。鴈治郎が演じるマシューは、陽気な日系ハワイ人で、かつてラスベガスでショーのプロデューサーを務めていたという人物。父親を早くに失くしたマリア親子を公私共に支えるマシューを、おおらかな包容力で演じていた。座組全体の活力を体現するような力強い歌声と演技は圧巻のひと言。こちらもミュージカル初挑戦とは到底思えないパフォーマンスを披露していた。物語のテーマとしては、とても分かりやすく「命のあり方」や「人を思う気持ち」がとても丁寧に描かれている。単純なテーマこそ見えにくくなってしまうのが常だが、本作では狭き門をオーディションで勝ち抜いたジュニアキャストが素晴らしい才能を披露し、作品の一部として、「子役」ではなく“プリンシパル”をしっかりと演じているからこそ明確に見えてくる。鴈治郎と山田の“新たなる挑戦”と、子ども達が体現する無限の可能性。加藤や小野田、吉川らのハイレベルなパフォーマンスに包まれ、確かな実力を持ったキャストが結集し、良質なエンタメとしてはもちろんだが、夏休み最後の思い出として、是非とも家族揃っての観劇をお奨めしたい。東京公演はすでに終了。8月29日(火)・30日(水)大阪・サンケイホールブリーゼ、9月2日(土)KAAT 神奈川芸術劇場 ホールで上演。
2017年08月28日いま子育て奮闘中の現役父母の現場の声と、乳幼児教育に関する専門家のアドバイスなどが収められているドキュメンタリー映画『いのちのはじまり:子育てが未来をつくる』。育児のヒントをくれるテキストとしての役割を持つとともに、重大な未来への提言も行われています。それはこれからの社会の根本に関わること。よりよい平和な社会を築こうと思ったら、きちんと子どもたちの権利を守る社会を作らないといけないということです。■「将来の夢がない」と答える世界の子どもたちの現実映画の後半で、切実に訴えるのは貧困が子どもに及ぼす影響。たとえば、ひとりで幼い妹弟のめんどうをみる小学生の少女に、「“将来の夢”は?」と聞く場面があります。少女の答えはひとこと「夢はない」。それを受け、作品はこう続けます。「危険な環境や厳しい状況で生きる子どもたちは、たまに悪い日があるのではなく、年中それが続くと思う。そのような状況下ではポジティブな対話は成立せず、大きなストレスがかかる」と。さらにこうした状況下では、「うつ病や薬物乱用、深刻な精神疾患などになるリスクが高まる」と警鐘を鳴らします。こうした調査結果を踏まえた上で、作品が示すメッセージは「これからの未来を築くであろう子どもたちの未来を守ることが、最終的に豊かな社会を築く礎になること」。ある人はインタビューで訴えます。「育児をするのは政府でも施設でもない、人間が子どもを育てるのです。大事なのは大人が子どもに必要なものを与えてあげること。ただ、いまの社会は、それを訳あってできない親を処罰することはあっても、助けようとしない」。さらにこう続けられます。「子どもを助けるには、まず親を助けなくてはならない。育児に仕事に頑張っている人は不平等に思うかもしれない。“それができない人の責任まで負えない”と。ただ、長い目でみたとき、自分の子どもが将来良い人生を送るには、社会に尽くす人間が同世代にどれだけいるかが重要なんです」と。こういわれると思わずだれもが納得するのではないでしょうか。■子どもへの投資は、アメリカの株式市場よりも高い子どもの未来を守ることについて、ユニークな研究報告も。いかにもアメリカらしい研究なのですが、乳幼児に1ドル投資した場合の利益を調べたそう。すると結果は、1ドル投資すると生涯7ドルが戻る計算になったとのこと。これはアメリカの株式市場よりもずっと高いリターン率だそうです。くわえて、犯罪は減り、社会の不平等も軽減するとの結果も出ているということから、乳幼児の投資はいいことずくめ! 作品では、「子どもへの支援は、よりよい社会への投資」と訴えます。こうしたリポートを耳にすると、私たちを取り巻く子どもたちの環境を当てはめて考えずにはいられません。とくに、子育て世代にとっては無視できないのではないでしょうか?ひとりの子を持つ親として自分もこれまでの経験を振り返ると、「保育園に入れる」ただこれだけで、どれだけの労力を必要としたことか…。待機児童問題は、相当以前からあるはずなのに、いっこうに解消されていない。最近のニュースを見ても、子どもをめぐる状況はいい方向へ向かっているとはいいがたいのではないだろうか。日本では、毎日の食べ物がない、戦争により生死があぶない。こういったことはないかもしれません。それでも、所得格差による教育格差問題は、社会問題となっています。選挙で子育て支援や教育の充実はよく公約にあがる。でも、本当に実行されているかといったら、正直かなり疑問が残るのが現実ではないでしょうか。保育園の増設を訴えて、実際に保育園の開設が予定されても、周辺住民の反対運動が巻き起こって白紙に戻ってしまう。公園で子どもがちょっと大きな声を出しただけで、区役所に苦情が寄せられる。身の危険や周囲の反感を恐れてマタニティマークをつけない妊婦が増えている現状など、日本のあちらこちらで子どもをめぐる“現在”が次々と浮かびあがります。もう少しだけ「子どもに理解を示す寛容な社会に日本はなれないのか?」と、考えずにはいられないのは自分だけではないはずです。この作品が子どもの未来について考えるきっかけになってくれることを切に願います。『いのちのはじまり:子育てが未来をつくる』2017年6月24日(土)アップリンク渋谷、ユジク阿佐ヶ谷、7月1日(土)よりCINEMA Chupki TABATA、横浜シネマリン他にて全国順次公開公式サイト: 公開記念トークショー(6月24日~7月1日)開催
2017年06月24日“育児に正解はない”とは、よくいわれることですが、そういわれても何が正解かを求めてしまうのが育児。「ここは叱るべきか」などと、自分の育児法に日々頭を悩ませている子育て世代の親御さんはけっこう多いのでは?そういった中で、今回ご紹介するドキュメンタリー映画『いのちのはじまり:子育てが未来をつくる』は、良い意味で、子育てに関するひとつの指針を与えてくれる1作といっていいかもしれません。■世界中の育児に奮闘する家庭の悩みと喜びとはブラジルのエステラ・ヘネル監督がてがけた本作は、ブラジル、アメリカ、フランス、イタリア、インド、中国など世界9ヶ国の、現在育児に奮闘中の家庭を訪問。育休を経ての職場復帰時期について頭を悩ます母親や、世間からの目を気にしながら子育てをするレズビアンカップルなど、人種も社会的立場もさまざまな人々からそれぞれの育児の悩みや喜びを聞き出すとともに、ユニセフ本部でECD(乳幼児期の子どもの発達)世界キャンペーンを統括するピア・ブリットらいわば幼児教育のエキスパートたちへのインタビューを収録した内容になっています。すべての言葉や提示内容をもちろんうのみにすることはできません。それでも子育て中の身としては、子育て方法についていろいろなことに気づかせてくれるエピソードが満載。子を持つ親としての見地に立ったとき、知ってて損はないと思える情報がたくさんあります。■赤ちゃんは、“最高の科学者”とりわけ、目からうろこともいうべきエピソードが子どもの頭脳メカニズムについて。おそらく日本では、「生まれたばかりの赤ちゃんの頭の中は白紙でまっさらな状態。そこからひとつづついろいろなことを学んでいく」と、認識されているのではないでしょうか?実際、哲学者や心理学者、精神学者も長らくそういう認識できたそうです。でも、それはもう古い考え方。過去30年の研究から、現在では赤ちゃんは“この世界で最も学ぶ能力が高い存在”と判明し、“最高の科学者”と呼べるぐらいの能力を持っているそう。赤ちゃんは理性に欠け、自己中心的で物事に集中することができないと思われてきました。でもじつはまったく逆。集中することしかできない存在だったのです。赤ちゃんは集中して身の回りで起きることに敏速に反応し、それらで得た情報を吸収・活用してこの世界を理解しているそうです。たとえば小さなお子さんをお持ちのなら、何度言い聞かせても、子どもがスプーンを床に落とし続けるといった経験をしたことがあるのではないでしょうか? これも赤ちゃんが学んでいる証拠。赤ちゃん自身が「スプーンを落としたらどういうことになるのか?」と推測や仮設を立てて、予測どおりの反応になるのか、それとも違った反応があるのか? ひとつひとつ確認して学んでいるそうです。こんなことを赤ちゃんが考えているとは正直驚き。でも、この見地に立つと、赤ちゃんもひとりの人格があることがよくわかって、子育てのストレスが少し和らぐのではないでしょうか。■生活環境によって子どもの学習能力が異なってくるこの赤ちゃんの驚異の学習能力につながる話では、少しショッキングなデータも映画では示されています。社会階級別に子どもの聞く言葉を調査した結果、一般的な家庭の子どもより生活保護家庭の子どものほうが4歳時点で、聞いていた言葉の数が3000万語も少なかったそうです。この言葉の数の差は思っているよりも重要とのこと。親が話しかけるたびに、乳幼児の脳は刺激されるそうで、親がいろいろと話すことで赤ちゃんは自分が家族の一員という帰属意識を深め、たとえば祖母や祖父の昔話などからより広い世界を知っていくそうです。そう考えるとふだんからのコミュニケーションや触れあいはすごく大事。働きすぎといわれる日本人としてはちょっと考えさせられる事例です。“仕事が忙しくて子どもの顔をまともにみていない”なんていうお父さんにはちょっと耳の痛い話かもしれません。■探求心や創造力が養われなくなってしまう原因は?もうひとつ日本の親として耳が痛い話が示されています。それは、子どもにあまりモノを与えすぎないこと。じつは、子どもの自主性と創造性を伸ばす秘訣(ひけつ)は、自由を与え、モノは何も与えないことなのだとか。身の回りにあるもので遊ばせれば、子どもは勝手に創造力を働かせて自分が望むものを作り始める。たとえば段ボールでおもちゃを作ってみたりする。そのような場を与えることが大切。なんでも与えてしまうと、むしろほしいものはすぐに手に入ると思ってしまって、探求心や創造力が養われなくなってしまう可能性があるそうです。また、自分だけでいろいろと想像を巡らせる自由な場と自由を与えてあげることも重要とのこと。子どもは自由を与えられることで、自主性を学ぶ。それが自立していくことにつながっていくことが示されています。もちろん、これらがすべて正解というわけではありません。でも、育児が一辺倒ではない、さまざまな子どもとの向き合い方があることを教えてくれます。この映画で語られていることを育児のひとつ参考にしてみてはいかがでしょう?『いのちのはじまり:子育てが未来をつくる』2017年6月24日(土)アップリンク渋谷、ユジク阿佐ヶ谷、7月1日(土)よりCINEMA Chupki TABATA、横浜シネマリン他にて全国順次公開公式サイト: 公開記念トークショー(6月24日~7月1日)開催
2017年06月23日今日も世界中を夢中にさせるディズニー・アニメーション。そんな夢と魔法の世界が、今年お台場にやってきます!約450枚にもなる原画は、ほぼ日本初上陸。ミッキー誕生の瞬間から、最新作「モアナと伝説の海」まで、ディズニー・アニメーションの高度な技術の結集と豊かな想像力に満ち溢れた裏側が今ここに。ウォルト・ディズニーの夢へようこそ。秘密の鍵をにぎる 圧倒的な原画の数々円筒の中を覗き込めば、先ほどまで止まっていた絵が動き出す…そんな、魔法のような体験で幕を開ける本展覧会。手書きの鉛筆の線が、いのちを得たかのように生き生きと躍動を始めます。ミッキーのデビュー作「蒸気船ウィリー」からミッキーの仲間たちの初期の姿、世界初の長編カラーアニメーション「白雪姫」。現在のディズニー・アニメーションの礎を築いた初期作品群には、最高峰の技術と研究がなされていました。そんなディズニー作品の秘密を、約500点にもなる珠玉の原画の数々とともに紐解きましょう。アナ雪 ズートピア、そしてモアナ 魔法の世界はこれからも2013年に公開され、全世界中で異例の大ヒットとなった3DCGアニメーション「アナと雪の女王」や心温まる兄弟愛と激しいロボットアクションが人気を博した「ベイマックス」、そして動物たちが多様性の社会を生きる話題作「ズートピア」など、ディズニー・アニメーションは時代や変化する価値観を反映し、進化を続けてきました。初期のコンセプトアートといった、貴重なバックグラウンドを垣間見ることができるのも魅力のひとつ。知られることのなかった舞台裏は、スタッフの熱い情熱と温かい愛情で満ち溢れています。ぜひその目で確かめて。取材・文/おゝしろ実結イベント情報イベント名:ディズニー・アート展 いのちを吹き込む魔法催行期間:2017年04月08日 〜 2017年09月24日住所:東京都江東区青海2丁目3番6号電話番号:03-5777-8600
2017年05月10日「ディズニー・アート展いのちを吹き込む魔法」が、東京・お台場の日本科学未来館で開催されます。期間は2017年4月8日(土)~9月24日(日)です。約90年にわたるディズニー・アニメーションの歴史を紐解く、原画やスケッチ、コンセプトアートなど約450点が日本にやってくる貴重な機会。ディズニーファンならずとも、見逃せない展覧会です。「ディズニー・アート展いのちを吹き込む魔法」が開催決定●約90年分の原画が出展!その数なんと450点以上《アナと雪の女王》より 2013年© Disney Enterprises, Inc.「ディズニー・アート展 いのちを吹き込む魔法」では、ディズニー・アニメーション・リサーチ・ライブラリーのキュレーターが厳選した450点以上の原画が出展されます。日本でディズニー作品についての展覧会は過去2回開催されましたが、初期のミッキーマウスから、最新作「モアナと海の伝説」までが一堂に展示されるのは、初の試みです。《モアナと伝説の海》より 2016年© Disney Enterprises, Inc.●ディズニー・アニメーションの想像力と技術の秘密に迫る《ピノキオ》より 1940年© Disney Enterprises, Inc.ディズニー・アニメーションは想像力を駆使しながら、つねにその時代の最新技術をとりいれることで、いのちを吹き込む技=魔法を生み出してきました。展覧会では、傑作の裏に隠された数々の魔法を解き明かし、その鮮やかな魔法を生み出すために費やされたリサーチや開発といった側面もフィーチャーされます。副題のとおり、まさに「いのちを吹き込む魔法」の秘密に迫る内容です。●ミッキーマウスのデビュー作、 その貴重な原画が初登場《蒸気船ウィリー》より 1928年© Disney Enterprises, Inc.ミッキーマウスの公式デビュー作は1928年に公開された『蒸気船ウィリー』ですが、実はその前に、『プレーン・クレイジー』という作品が作られています。事情があり公開の順番は前後されましたが、ミッキーマウスの真のデビュー作とも言うべき作品です。この両作品の貴重な原画を、同時初公開。とても90年近く前に描かれたとは思えない、鮮やかな鉛筆画のタッチをじっくりと堪能しましょう。気になる作品をチェックしよう●1.動き出すいのち~躍動するキャラクター~《ミッキーのハワイ旅行》より 1937年© Disney Enterprises, Inc.回転する円筒をスリットから覗き込むと絵が動いて見える“ゾートロープ”、重ねられた紙をパラパラとめくることで、そこに描かれている絵が動いて見える“パラパラマンガ”。アニメーションのルーツはそんな素朴な“動かす喜び”から始まりました。1928年、ウォルト・ディズニーは『蒸気船ウィリー』を公開。一枚の絵に“いのちを吹き込む魔法”の歴史のはじまりが、ここにあります。●2.魔法のはじまり~あくなき研究と開発の日々~《バンビ》より 1942年© Disney Enterprises, Inc.ウォルト・ディズニーは、“キャラクターとアニメーションの動きに合った音楽を付ける”というミッキーマウスの短編を作ると同時に、“音楽に合わせてキャラクターやアニメーションを作る”というシリー・シンフォニーの短編制作を開始しました。この二つのシリーズで作画や映像の技法や表現を試行錯誤し、アニメーションならではの、“いのちを吹き込む魔法”を磨き上げます。そして、これらのノウハウをもとに大きな賭け、世界初の長編カラーアニメーション映画の制作に挑みました。その研究と開発の努力が、魅力的な作品とともに解説されています。●3.作品世界のひろがり~魔法の使い手たち~《ふしぎの国のアリス》より 1951年© Disney Enterprises, Inc.1950年代に入ると『ふしぎの国のアリス』や『眠れる森の美女』など、立て続けに名作が生み出されました。ナイン・オールド・メンをはじめとするベテランアニメーターたちと、メアリー・ブレアやアイヴァンド・アールなど新進気鋭のアーティストたちが登場。アートスタイルの異なる作品群がさらにディズニー作品の世界観をひろげることになりました。●4.新たな次元へ~デジタルがもたらした革新~《リトル・マーメイド》より 1989年© Disney Enterprises, Inc.『リトル・マーメイド』のヒットをきっかけに、ディズニー・アニメーションは見事に復活、二度目の黄金時代を迎えます。この頃より、CGをはじめとしたデジタル技術を徐々に取り入れ、デジタルならではの表現も多く登場。また、自らの意思で力強く生きるプリンセスやヒーローたちを盛り立てる、豪華絢爛なミュージカルシーンや美しい楽曲が、多くのファンを獲得しました。●5.いのちの新時代~多様な社会や地球の未来に向けて~《ベイマックス》より 2014年© Disney Enterprises, Inc.1995年、世界初のフル3DCG映画『トイ・ストーリー』が公開されました。3DCGという新たな手法が取り入れられ、アニメーションの世界はさらに広がります。2006年にディズニーとピクサーが一緒になってからは、ジョン・ラセターが両社の作品の製作総指揮としてクオリティ管理を担当。作品では、多様な価値観や地球の未来など、より社会的なテーマが色濃く描かれていくようになりました。オリジナルグッズと特典付きチケットも見逃せない●オリジナルグッズも多数登場会場では、作品の魅力を生かしたオリジナル商品も販売されます。コンセプトアートから、あの有名原画まで、いろいろな場面をきりとった絵柄が可愛いプレミアム豆皿、ルートートとコラボし使いやすいバッグなど、豊富な品ぞろえです。詳しくは公式ホームページをチェックしてみましょう!●会場では手にはいらない!プレミアムグッズつきチケット通常チケットの他に、早割ペアチケットやプレミアムグッズつきチケットも発売されます。『アナと雪の女王』の原画の世界を1冊の本に閉じ込めた、オリジナルカプセルがついた「カプセルトイ付チケット」や、可愛らしいミッキーのマスキングテープがついた「マスキングテープ付チケット」など、ファンにはたまらない特典が目白押し。お出かけの予定が決まっているのなら、事前にこちらの購入もおすすめです。詳しくは公式サイトをチェックしてみましょう。歴史的にも価値の高い手描きの原画やスケッチが世の中に公開されることは非常に珍しく、今回はそのほとんどが日本初公開です。ディズニー・アニメーションが歩んできた想像力と技術革新の軌跡は、きっと子どもも大人も夢中に、そして、未来の創造性に思いを馳せるきっかけとなるはずです。展覧会の開催が、いまから待ち遠しいですね。【開催概要】ディズニー・アート展 いのちを吹き込む魔法開催期間:2017年4月8日(土)~9月24日(日)開館時間:10:00〜17:00※入場券の購入および会場への入場は閉館時間の30分前まで会場:日本科学未来館1階 企画展示ゾーン休館日:火曜日※5月2日、7月25日、8月1日、8日、15日、22日、29日は開館チケット:当日大人(19歳以上)1,800円、中人(小学生~18歳以下)1,200円、小人(3歳~小学生未満)600円※土曜は中人1,100円前売大人(19歳以上)1,600円、中人(小学生~18歳以下)1,000円、小人(3歳~小学生未満)500円※土曜は中人900円公式サイト:
2017年02月01日星野 源のエッセイ集『いのちの車窓から』が、2017年3月30日(木)に発売される。本書は、雑誌『ダ・ヴィンチ』で2014年12月号よりスタートした連載に、新たに書き下ろしを加えたエッセイ集。最終回を目前に最高視聴率をさらに更新した話題のドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』撮影現場での秘話や、念願だった紅白出場、大ヒット曲「SUN」「恋」ができるまで、さらに別人としてこっそりツイッターを利用していたエピソードなど、約2年間にわたり星野源が見てきたもの・感じてきたことが収録されている。タイトルの『いのちの車窓から』とは、雑誌『ダ・ヴィンチ』での連載名。普段かけている度の強い眼鏡のレンズ越しに周囲を見ている自分を、なんとなく“窓の内側”にいるように感じていることから、そのように題されたという。そんな彼の「窓」=「視点」から覗いたものを丁寧に描写したエッセイでは、自分自身が覗く「窓」次第で変わるであろう生きる楽しさを、温かく、時に吹き出してしまうようなユーモアあふれる言葉で紡いでいる。カバーイラストはアニメ「キルラキル」のキャラクターデザインなどを務めた”すしお”。シングル「恋」のジャケットを担当した吉田ユニが装丁を手掛けた。カバーにはサプライズも仕込んであるというのでぜひ手に取ってみては。星野 源は、本著の発売にあたって次のようにコメントを残している。「星野源のエッセイ集が3月に発売になります。自分の中で、年々書くことが楽しくなってきていて、その最中に生まれた文章が一冊にまとまると思うと、とても嬉しいです。『いのちの車窓から』には、この2年間自分が見つめてきた景色と、それによって心が動いた瞬間の両方が詰まっています。言葉にできない想いを言葉にする為に向き合う文筆の作業は、とても面白いです。是非読んでいただきたいです。よろしくお願いします」【書籍情報】星野 源 エッセイ集『いのちの車窓から』発売日:2017年3月30日(木)価格:1,200円+税仕様:四六判/200ページ程度予定ISBN:978-4-04-069066-7
2016年12月23日ディズニー・アニメーションの歴史を紐解く「ディズニー・アート展 いのちを吹き込む魔法」が、17年4月8日から9月24日まで東京・江東区にある日本科学未来館1階の企画展示ゾーンにて開催される。クリエイターたちが想像力を羽ばたかせたスケッチに、その時代の最新技術を駆使することで、いのちを吹き込む技=魔法を生み出してきたディズニー・アニメーション。同展では“いのちを吹き込む魔法”と題し、これまでに発表されてきたディズニー・アニメーション作品の原画やスケッチ、コンセプトアートなど約450点を展示。ミッキーマウス誕生作となった『蒸気船ウィリー』から、『白雪姫』や『ダンボ』などの初期の作品、『アナと雪の女王』、『ズートピア』、17年3月日本公開予定の最新作『モアナと伝説の海』まで、約1世紀に及ぶディズニーアニメーションの歴史を紐解く。なお、ディズニーが歴史的にも価値の高い手描きの原画やスケッチを公開することは非常に珍しく、今回展示されるほとんどの資料が日本初公開。数々のディズニー作品の“いのちが吹き込まれた瞬間”に立ち会うことができる貴重な機会となっている。【イベント情報】「ディズニー・アート展 いのちを吹き込む魔法」会場:日本科学未来館1階 企画展示ゾーン住所:東京都江東区青海2-3-6会期:17年4月8日~9月24日《蒸気船ウィリー》より1928年(c)Disney Enterprises, Inc.
2016年11月29日「ねえママ、とんかつは、生きた豚さんだったの?」「面倒なのに、犬の散歩に行かないといけないの?」「体のなかは、どうなっているの?」ある日、子どもからこんな質問をされたら、一体どのように答えたらよいのでしょうか? 大切な問題ですが、どこまで話してもよいものなのか…。とまどいますよね。ちょっぴり深刻ですが、避けて通ることのできないテーマである「いのち」。その「いのち」を親子で話し合うときに、おすすめの3冊の本を紹介します。いのちを食べるとは?『 いのちの食べかた 』(森達也・著/イースト・プレス)子どもたちが大好きな「お肉」。ですが、「どうやって、牛さんはステーキになったの?」と訊かれたら、とても答えにくくはありませんか?「小さな子には残酷!」「食肉業の歴史を話すべきなのかしら?」そんな疑問が頭をよぎります。でも、ウソはつきたくないですよね。『いのちの食べかた』は、事実に目をそむけることなく、動物が食卓に上るまでをたんたんと書いています。たしかに、家畜が食肉になる過程はどうしても刺激が強いものです。しかし、『いのちの食べかた』には動物たちを苦しませて命を絶つと肉がまずくなるため、できるだけ恐怖や苦しみをあたえないように工夫していることなどが、詳しくつづられています。だから逆に、この本を読むとほかの生物の命をいただいている、という後ろめたさから解放されます。命を提供してくれた牛や豚や、食肉の加工にたずさわるすべての方々へ、感謝の気持ちを伝えたくなる1冊です。犬が語る「どうして?」『 どうして? 犬を愛するすべての人へ 』(原作・ジム・ウィリス/文・石黒謙吾/絵・木内達朗/アスペクト)ペットは大切な家族です。でもそれは、なぜでしょうか? 子犬を引き取った人は、最初のうち、小さくてめずらしいその存在に、ご飯をあげたり、ブラッシングをしたり、こまめに世話をしてあげるはずです。ところが、日にちがたつと、散歩に行ったり、遊んであげたりするのも面倒になるかもしれません。特に子どもは興味の対象がうつろいやすいもの。だけど、ワンちゃんは生きています。「毎日、面倒を見る約束だったでしょ!?」と声を荒げても、子どもの心は動きません。そんなときは、この絵本を開いてみてください。「どうして?」この言葉は、いたずら好きの子犬に飼い主が言ったセリフでした。やがてその子犬は、かしこく忠実に成長していきます。しかし、楽しい日々は長くは続きませんでした。人の事情だけで、安楽死されることになった犬が、今度は人間に問いかけます。「どうして?」と。この本には悪役が登場しません。けれども、誰の心のなかにでも存在する「まいいか」という気持ちが重なると、結果的に取り返しがつかない事態をまねくことを、わかりやすく表現しています。体のなかを大冒険!『 最高に美しい人体図鑑 』(監訳・奈良信雄/エクスナレッジ)テレビで手術のシーンが出てきたら、目をそらす人は多いのではないでしょうか。体のなかは、気持ち悪い! おどろおどろしい!そんなイメージがあるかもしれません。しかし本当は、人体は美しいのです。この図鑑では筋肉や骨、血管や胃腸などを、大きくて詳しいイラストで紹介しています。あざやかな色彩と立体感がある描写は迫力満点。まるで、体内側にもぐりこんだような臨場感にあふれています。パーツのひとつひとつを拡大しているため、「人体図鑑」特有の生々しさははなく、「宇宙図鑑」を眺めているようなスケールの大きさが魅力的です。親子で体のなかのフロンティアを大冒険してみませんか?「いのち」は、軽い話題ではないからこそ、親子でしっかり、納得いくまで話し合いたいテーマですよね。紹介した本を読みながら、子どもと話してみるのもいいかもしれません。
2016年03月12日『あの日のように抱きしめて』『陽だまりハウスでマラソンを』など、心に迫る良作が数多いドイツ映画。今年は、ある夫婦のいのちと向き合う5日間の旅を通して、人生の素晴らしさを伝える『君がくれたグッドライフ』が、5月21日(土)より日本公開されることが決定した。年に1度、決まって自転車での旅に出る6人の仲間たち。持ち回りで行き先を決めるのだが、今年はハンネス(フロリアン・ダーヴィト・フィッツ)とキキ(ユリア・コーシッツ)夫婦は、ベルギーを選ぶ。友人たちは「チョコレート以外に何があるのか」とボヤくが、ハンネスの選択には、ある深い理由があった。ALS(筋萎縮性側索硬化症)と宣告された彼は、尊厳死の許される国ベルギーをめざして、今回を人生最期の旅にすると決めていたのだ。真実を知った仲間たちは大きなショックを受けるが、彼の願いを叶えることを決意。いつものように、旅行中に実行しなければならない“ムチャな課題”を出し、実行するたび笑顔で笑い合う旅は、このままずっと続くかのようにみえたが…。トロント、ロカルノなどヨーロッパをはじめ世界各国の国際映画祭で上映されるや、尊厳死をテーマにした作品にもかかわらず、愛し合う夫婦と仲間たちの美しい旅に笑い声が響き、涙があふれ、「どう死ぬかではなく、どう生きるかを描いた映画だ」と絶賛を受けた本作。本国ドイツでも数々の賞に輝いた。ALSを宣告される主人公ハンネスを演じるのは、『ヴィンセントは海へ行きたい』でドイツ映画賞「主演男優賞」を獲得、本作でもジュピター賞を受賞した国民的俳優、フロリアン・ダーヴィト・フィッツ。また、妻役を演じたユリア・コーシッツも、ドイツ映画批評家協会賞にノミネートされるなど高い評価を受けている。2人とも、“もし自分なら”“自分の愛する人だったら”と自らに問いかけずにはいられない、胸に迫るリアルな心情を見事に演じている。監督は、世界各国の映画祭で高く評価されているクリスティアン・チューベルト。公開決定と併せて解禁となったポスタービジュアルは、最期の旅で心からの笑顔を見せるハンネス&キキ夫婦を大きく捉えており、いのちと真摯に向き合った2人と、仲間たちが臨むかけがえのない旅のひとコマが胸に迫る、印象的なビジュアルとなっている。『君がくれたグッドライフ』は5月21日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年02月04日公開より8か月たった今も、ドキュメンタリー作品としては異例の全国82劇場(9月までの劇場数)で公開が続く『天のしずく辰巳芳子“いのちのスープ”』。このほど、世界14大映画祭のうち唯一の“美食映画部門”といえる「第61回サンセバスチャン国際映画祭 キュリナリー・シネマ部門」への正式出品が決定した。本作は、料理家・作家である辰巳芳子の台所仕事や、今では緩和医療の現場でも広く知られている嚥下障害の父親のために作った “いのちのスープ”と、スープを軸とした出会いや活動を収めたドキュメンタリー作品。制作にかかった歳月は、構想3年、撮影に1年以上。料理家“辰巳芳子”の生き方と言葉には、日本人が忘れてしまった、当たり前の暮らしの中にあった小さな幸福感を感じさせると、全国各地で感動を呼んでいる。メイン館となった東京都写真美術館ホールでは、昨年11月からの公開でドキュメンタリー映画としての興行収入ランキング歴代3位を記録。“希望を与える映画”として今年の1月からは東北地方でも公開され、以降も自然発生的に全国での公開劇場が増えている珠玉の作品だ。本作が出品される「キュリナリー・シネマ部門」とは、ベルリン国際映画祭と共同で2011年より設立した、“食”、“ガストロノミー”(食と文化・科学とのかかわり)をテーマとした映画を取り扱う部門。日本からは、料理評論家の服部幸應が国際アドバイザリー委員として携わっており、世界で初めての調理科学・食科学専門の4年生大学である「バスク・キュリナリー・センター」とのコラボレーションのもと、地元の一流レストラン・シェフが映画をオマージュした料理を開発。映画のチケットとレストランでの食事券をセットで販売をする、という世界の映画ファンと美食家たちが注目する、チケット入手の困難な人気部門となっている。当部門では過去に、東京・銀座の「すきやばし次郎」店主である、鮨職人・小野二郎氏をドキュメントした『二郎は鮨の夢を見る』(2013年2月)や、ミシュラン三ツ星レストランの代表格である、スペインのカタルーニャ地方にある「レストラン・エル・ブリ」の厨房に密着をしたドキュメンタリー『エル・ブリの秘密世界一予約のとれないレストラン』(2011年12月公開)なども上映されており、その後は世界公開へとつながる可能性も秘めた、いわば登竜門。この出品決定に併せて、初の日本人ゲストとして同部門へ、監督を務めた河邑厚徳も参加することが発表された。かつて日本の暮らしに、当たり前のようにあった“いのちのスープ”の優しさは、世界の美食家たちをも癒やしてくれるに違いない。『天のしずく辰巳芳子“いのちのスープ”』は全国にて公開中。第61回サンセバスチャン国際映画祭「キュリナリー・シネマ部門」開催期間:9月20日~9月28日(text:cinemacafe.net)■関連作品:天のしずく辰巳芳子“いのちのスープ” 2012年11月3日より東京都写真美術館ホールほか全国にて公開(C) 2012天のしずく製作委員会
2013年07月22日2009年にこの世を去った後も多くの賛辞を集めている天才舞踊家ピナ・バウシュの世界を3D映像で描いた映画『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』が25日(土)から日本公開になる前に、本作を手がけたヴィム・ヴェンダース監督がインタビューに応じた。その他の写真『ベルリン・天使の詩』や『エンド・オブ・バイオレンス』など作家性の高い作品で熱狂的なファンを生み出しているヴェンダース監督と、天才舞踊家にして振付家でもあるピナ・バウシュが出会ったのは1985年のこと。初めて彼女の舞台を観たヴェンダース監督は大きな衝撃を受けたという。「私は映画監督ですから、俳優に演技指導をして『ああ動け、こう動け』と指示します。でも私はピナのダンスを観て、自分がいかに身体表現について無知であったのか思い知らされました。もし、それがひとつの言語であるならば、私は文盲であるとさえ思いました」。それ以来、ふたりは親交を続け、すぐに共同で映画を撮る計画が持ち上がる。しかし、既存のダンスの枠組みを超え、ダンサーひとりひとりの身体が抱える“揺らぎ”を活かしながら斬新な演出を試みるピナの芸術をカメラで写し取る計画は、想像以上に難航したそうだ。「ピナに『とにかく早く撮ってよ!』とせっつかれた時期もありました。彼女の作品は“瞬間芸術”ですから、誰かが踊らなければ、初めから何も存在していなかったのと同じです。きっと自分の作品をカタチとして残したかったのでしょう。しかし同時に彼女は、自分の公演がテレビ放映されると決まって『自分の作品がちゃんと伝わっていない』と思っていました。どのような方法を用いれば、ピナの芸術が魅力的に残せるのか? それは我々にとって常に重要な課題だったのです」。ときに運命は残酷なことをする。ヴェンダース監督が“デジタル3D”という空間表現に長けた新技術を用いれば、ピナの芸術を映像にできると確信した時、ピナの余命は残りわずかになっていた。彼女の急死によって一時期、製作は中断されたが、ヴェンダース監督は「私もこの映画に出演したダンサーも彼女から様々なものをもらったのに、お礼を言う間もなかった。映画を撮ることで彼女にお礼を言い、別れのあいさつがしたい」と撮影を開始。彼女が生前にのこした4つの代表作を中心に、舞踏家ピナ・バウシュの世界を3D映像で捉えた。「彼女はそれまでは存在しなかった芸術をゼロから作り上げた人で、同時に彼女がいなければ存在しなかった芸術はたくさんある」というヴェンダース監督は“ピナの芸術”がこれからも受け継がれてほしいと語る。「彼女が40年前に作り上げたものは、すでに二代に渡って受け継がれています。彼女の芸術を捉えたこの映画も、後世に受け継がることを願っていますし、それはピナの願いでもあると思います」。『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』2月25日(土) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿バルト9ほか全国順次3D公開
2012年02月23日