俳優で演出家の江守徹が、ローランド・エメリッヒ監督の最新作『もうひとりのシェイクスピア』を「これはもうひとつのシェイクスピア劇だ」と絶賛している。イギリスを代表する劇作家シェイクスピアによる名作の数々は、実際には別人が書いていた…。そんな大胆な仮説に切りこむ歴史ミステリー。江守は俳優として、舞台『オセロ』『マクベス』『リチャード三世』といったシェイクスピア作品に出演。また、初の演出作品に『ハムレット』を選ぶなどシェイクスピアに造詣が深い。その他の画像映画は現時点でシェイクスピアの名作を代筆した“最有力候補”と目される貴族作家・オックスフォード伯が自身の名誉を封印した物語を、エリザベス一世との愛憎、宮廷を舞台にした政治謀略の渦などを交え重厚に描く。江守は「エリザベス女王役のヴァネッサ・レッドグレイヴに先ずはびっくり」と現在75歳のベテラン女優にも賞賛の声を寄せる。江守をはじめ、各界の著名人も本作を絶賛しており、シェイクスピアの4大悲劇として知られる作品『リア王』『ハムレット』『オセロ』『マクベス』を全て演じた歌舞伎俳優の松本幸四郎は「“もうひとり”の存在によって、シェイクスピア作品はより魅力的に甦る。歴史、恋、政争…すべてにリアリティがもたらされた」と賛辞を送る。また、宝塚歌劇団出身の麻実れいは、「魅力的な歴史ミステリー。美しく華やかで面白く、この映画そのものがシェイクスピアでした!」とこちらも手放しの高評価。さらに、彩の国シェイクスピア・シリーズの企画委員長である河合祥一郎氏は、著書『謎ときシェイクスピア』(新潮社刊)で“別人説”を否定こそしているが、「シェイクスピア通をうならせる仕上がり。史実の奇想天外な解釈に仰天しつつ楽しみました」と映画そのものの完成度に舌を巻いている。『もうひとりのシェイクスピア』12月22日(土)TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー文:内田 涼
2012年12月17日ローランド・エメリッヒ監督の新作『もうひとりのシェイクスピア』が12月22日(土)より公開される。これまで『ロミオとジュリエット』や『ハムレット』などの作者は劇作家・シェイクスピアとされていながらも、“別の人物が作品を書いた”という謎の別人説も伝えられている。その最有力候補である人物のドラマを描いた本作に、著名人から多くの絶賛の声が寄せられている。その他の写真そもそも、文学史上歴史的な謎として知られる“シェイクスピア別人説”は、彼に対する記述がほとんど残されていないということからはじまったという。この謎を解き明かそうと研究する学者たちはさまざまな説をとなえているが、現在もっとも有力とされている人物は、貴族であり作家のオックスフォード伯。本作ではこの謎を基に、女王エリザベス一世と若き日に許されない恋に落ちた伯の知られざるドラマを描いている。シェイクスピアの4大悲劇として知られる作品『リア王』『ハムレット』『オセロ』『マクベス』を全て演じた歌舞伎俳優の松本幸四郎は「“もうひとり”の存在によって、シェイクスピア作品はより魅力的に甦る。歴史、恋、政争…すべてにリアリティがもたらされた」と絶賛。宝塚歌劇団出身の麻実れいは、「魅力的な歴史ミステリー、美しく華やかで面白く、この映画そのものがシェイクスピアでした!」とコメントしている。さらに、彩の国シェイクスピア・シリーズの企画委員長である河合祥一郎氏は、著書『謎ときシェイクスピア』(新潮社刊)で論議を否定していたが、「シェイクスピア通をうならせる仕上がりです。史実の奇想天外な解釈に仰天しつつ楽しみました」と高く評価している。近年では『ピラミッド 5000年の嘘』など、歴史の謎に迫った作品が多く公開されているが、本作ではあえて歴史の謎を紐解くために論破するという手法をとらず、謎の裏側に隠された人間ドラマを描いている。“シェイクスピア別人説”が正しいか否かは別として、多くの著名人の心を捉えた本作の公開を心待ちにしたい。『もうひとりのシェイクスピア』12月22日(土)TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
2012年11月28日日本でも毎年、人気の俳優、一流の演出家で必ず舞台公演が行われているシェイクスピア。しかし、18世紀の昔から“シェイクスピア別人説”が議論されていたことをご存じだろうか?『インデペンデンス・デイ』などで知られる巨匠ローランド・エメリッヒ監督がこの文学史上最大の謎に切り込んだ衝撃の問題作『もうひとりのシェイクスピア』。欧米で大激論を巻き起こした本作の予告編が遂に解禁となった。16世紀末、エリザベス朝――。当代一流の知識人、詩人、劇作家として知られたひとりの貴族がいた。その名は、第17代オックスフォード伯爵エドワード・ド・ヴィア。彼こそがシェイクスピア作とされる名作の数々を著した作者…。しかし何故、彼はその真実を隠さねばならなかったのか?数奇な運命に翻弄された悲劇の男の物語がいま、明かされる。生涯が謎に包まれ、自筆の原稿が何一つとして見つかっていないシェイクスピアの別人説を、長年研究してきた脚本家ジョン・オーロフと共に、10年以上夢見てきた映画化を実現させたエメリッヒ監督。本作では、別人説の中で現在もっとも有力とされている“第17代オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィア”が真の作者ではなかったか、という説が描かれる。“真の作者”オックスフォード伯に扮するのは英国出身のリス・エヴァンス。『アメイジング・スパイダーマン』で演じた悪役・リザードが記憶に新しい彼だが、そのときとはまるで別人のような演技で、英国俳優の底力を見せている。今回公開となった予告編では、リスの気品あふれる姿が見られるのと共に、エメリッヒ監督の真骨頂と言える、最新VFXで再現した16世紀末ロンドンの色鮮やかな街並みがたっぷりと堪能できる。中でも、エリザベス1世崩御の葬列シーンの迫力は圧巻!シェイクスピアの時代を目の前に蘇らせたかのような臨場感あふれる劇場のシーンは、演劇ファンならずとも鳥肌が立つこと間違いなし。真偽のほどはさておき、「もし彼が真の作者だったら」、なぜ彼は未来永劫その真実を隠さねばならなかったのだろうか?日本でも論争を巻き起こしかねない本作だが、まずはこちらの予告編から大いなる謎の一端を覗いてみて。『もうひとりのシェイクスピア』は12月22日(土)よりTOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。※こちらの予告編映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:もうひとりのシェイクスピア 2012年12月22日よりTOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館ほか全国にて公開© 2011 Columbia Pictures Industries, Inc. and Beverly Blvd LLC All Rights Reservedアメイジング・スパイダーマン 2012年6月30日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて公開© 2012 Columbia Pictures Industries, Inc. MARVEL, and all Marvel characters including the Spider-Man character ™ & © 2012 Marvel Characters, Inc. All Rights Reserved.
2012年10月12日蜷川幸雄演出による〈彩の国シェイクスピア・シリーズ〉の第26弾として『トロイラスとクレシダ』が上演される。本作はシェイクスピアが戯曲を書いた時代のスタイルそのままに、全キャストを男優が演じる「オールメール・シリーズ」の6作目にして初の悲劇。主演の山本裕典をはじめ、月川悠貴、細貝圭、長田成哉、佐藤祐基、塩谷瞬、内田滋ら若い俳優が多く出演する。7月下旬、熱気溢れる稽古場を訪ねた。『トロイラスとクレシダ』チケット情報物語は古代ギリシアのトロイ戦争が舞台。トロイの王子トロイラス(山本)は、神官の娘クレシダ(月川)に狂おしいほど思いを寄せていた。クレシダの叔父パンダロス(小野武彦)の取り持ちによってふたりは永遠の愛を誓い合い結ばれるが、捕虜交換によりクレシダは敵国ギリシア軍へ送られる。時がたち、軍使としてギリシア陣営に訪れたトロイラスが見たものは、新たな恋人と抱き合っているクレシダの姿だった。「勇気もって、言葉で言葉で!」蜷川の声が、エネルギッシュに鋭く、テンポよく次々と飛んでいる。気持ちの乗っていないセリフには「うそつき!」、手を抜いて演じているとみれば「省エネ!」と厳しい言葉も浴びせるが、そのスピードに役者は落ち込んでいる暇はない。蜷川には今回、若い世代を育てたいという思いがあり「最近の若い俳優たちは、自分の日常生活に近い芝居はできるけれど、シェイクスピアやギリシア悲劇のような、縦軸としての教養を必要とする戯曲は、違和感があってできない。今回のセリフは特に論理的。彼らにとって異質な言語をぶちこむ」と実に意欲的だ。厳しい言葉の裏には若い俳優たちへの愛情と優しさが透けて見える。気になるセリフには一つひとつ、どこを強調するのか、語尾の言い方などを具体的に演出していく。「屁理屈を言うよりもね、具体的で早いでしょ」と話すように、指示は的確で明快だ。稽古場を訪れた日は、トロイラスとクレシダがふたりで初めて朝を迎えたシーンの稽古中。やっていて難しいところはと山本に訊くと「ヒロインとは言え、相手は男性。いちゃつくところは抵抗がないと言えばうそになりますね」と照れ笑い。蜷川とは2回目のタッグとなるが「自分は無知なところがすごくあるので、今回は1から100まで鍛えてもらう感じで挑みます。毎日大変ですが、これを乗り越えれば役者としてまた一歩成長できるのかな」と話していた。稽古を終えた蜷川は「よし、ここは明後日くらいには熟成してくるだろう」とぼそり。多くの俳優を育ててきた蜷川には、すでに完成形が見えているようだ。強い言葉を浴びせながらも、期待に応えようと四苦八苦する若手俳優たちの姿に、蜷川が嬉しそうな表情をみせるのが印象的な稽古場だった。公演は8月17日(金)から9月2日(日)まで埼玉・彩の国さいたま芸術劇場にて上演。その後、大阪、佐賀、愛知を巡演する。取材・文:大林計隆
2012年08月06日