開催中の第67回ヴェネチア国際映画祭で9月2日(現地時間)夜、コンペティション部門に出品されている『ノルウェイの森』の公式上映が行われた。主演の松山ケンイチに菊地凛子、水原希子、そしてトラン・アン・ユン監督らは、大勢のファンと報道陣が見守る中、レッドカーペットを通り、公式上映が行われるサラ・グランデに入場。イタリアでも広く読まれている村上春樹のベストセラーの映画化とあって、夜の9時半過ぎという時間にもかかわらず、1,016席の会場はほぼ満席。松山さんらは早速、観客のスタンディング・オベーションで迎えられた。上映中、原作でも印象深いワタナベ(松山さん)と緑(水原さん)のやりとりにクスクス笑いが起こることも。そして、エンドロールでビートルズの「ノルウェーの森」が流れると、観客は立ち上がって称賛の拍手。エンディングの途中から場内は明るくなり、そのまま数分にわたって拍手が鳴り響いた。松山さんは「終わってお客さんに拍手していただけて、大成功と感じました。すごく嬉しいし、これから海外でも配給されることを思うと、たくさんの方に観ていただけるだろうなと確信できました。最高の一日となりました。(お客さんの反応は)全然予想とは違いましたね。ヨーロッパの人たちと一緒に観るのは初めてだったので、すごくいい経験をさせてもらいました」と充実した表情で語った。菊地さんも「これまでも映画祭に来る機会は多かったのですが、日本の製作する日本の映画で来たいという願いがあったので、今回、村上春樹さんの原作を、トラン・アン・ユンとキャストのみなさんと作ることができ、このような反応が自分の元に届いてきたのはとても嬉しかったです。これからどうやって広がっていくのかすごく楽しみです」と現地の観客の反応を喜んだ。水原さんは「私は映画に観入ってしまい、自分のシーンでも泣いてしまいそうになり(笑)、正直、映画が終わってみなさんが拍手してくれてホッとしたというか、言葉が何も出てこないというか、感動してボーッとしてしまいました。すごく幸せでした」と感動を素直に口にし、喜びの表情。現地の反応はというと「映像がすごくきれいでよかった。話は重かったが、脚本が気に入った」(20代・女性)、「日本の男女の関係は分からないところもあるが、非常に入り込めた」(30代・女性)、「シニカルなラブストーリーで楽しかった。映像美も含めて入り込めた」(30代・男性)とおおむね高い評価で、特に映像表現に関して称賛の声が多く寄せられているという。映画祭はまだ始まったばかりだが、コンペティションの行方も気になるところ。トラン監督にとっては『シクロ』以来となる2度目の金獅子賞受賞なるか?そして松山さん、菊地さん、水原さんらキャスト陣への評価は?『ノルウェイの森』、日本での公開は12月11日(土)より全国東宝系にて。■関連作品:第67回ヴェネチア国際映画祭 [映画祭]ノルウェイの森 2010年12月11日より全国東宝系にて公開© 2010「ノルウェイの森」村上春樹/アスミック・エース、フジテレビジョン■関連記事:『ノルウェイの森』に質問続出! 凛子、松山ケンイチと「楽屋にこもって話し合った」ヴェネチア国際映画祭開幕!ナタリー・ポートマン、過激なシーンも「覚悟してたわ」村上春樹原作の“逆輸入”短編映画でナスターシャ・キンスキーの娘がヌード披露ヴェネチア国際映画祭、「ヴェネチア3Dアワード」審査委員長に清水崇が就任ナタリー・ポートマンがダークサイドに?主演作がヴェネチアでオープニング上映決定
2010年09月03日9月2日(現地時間)昼、第67回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション出品作『ノルウェイの森』の公式記者会見が行われ、松山ケンイチ、菊地凛子、水原季子、監督のトラン・アン・ユンらが出席した。世界中で読まれている村上春樹のベストセラー小説の映画化であり、各国の記者たちから熱心な質問が矢継ぎ早に飛んだ。原作ではリアルに書かれていたワタナベ(松山さん)と、直子(菊地さん)の性描写が、詩的な表現になっているのはどうしてか?という質問に対して監督は「具体的に描くよりも、キャラクターの表情に焦点を当てたかった。特に最初にワタナベと直子が関係を持つシーンは大切なので」と説明。 また、香港の演技派トニー・レオンが20年後のワタナベを演じるといううわさがあったことに関しては、「トニー・レオンの起用を考えていたのは事実。だが、村上さんから許可を得られなかった」と認めた。香港の記者から、セックスシーンの心の準備をどうしたか?と聞かれた松山さんは「監督からは表情を中心に撮ると事前に説明されていたわけではなかったので、原作通りなら過激だろうと覚悟をしていました。けれど、時間をかけて作り上げることが出来た」と答えた。また菊地さんは「松山さんは、役に対して真摯に向き合う方。(セックスシーンについては)楽屋に2人でこもって、いろいろ話し合いました。気持ちだけではなく、どう見えるべきか、といったテクニカルな話もしました」と語った。プレス試写の反応は、賛否両論。アジア系記者からは好意的意見が聞けたが、ヨーロッパの記者からは厳しい声も。あるイタリアの女性記者は「映像は美しいけれど、セックスについて言葉で語りすぎている」と語っていた。さて、夜の公式上映での反応はいかに?(photo/text:Ayako Ishizu)■関連作品:ノルウェイの森 2010年12月11日より全国東宝系にて公開© 2010「ノルウェイの森」村上春樹/アスミック・エース、フジテレビジョン第67回ヴェネチア国際映画祭 [映画祭]■関連記事:『ノルウェイの森』にスタンディング・オベーション松山ケンイチ「確信」得た!ヴェネチア国際映画祭開幕!ナタリー・ポートマン、過激なシーンも「覚悟してたわ」村上春樹原作の“逆輸入”短編映画でナスターシャ・キンスキーの娘がヌード披露ヴェネチア国際映画祭、「ヴェネチア3Dアワード」審査委員長に清水崇が就任ナタリー・ポートマンがダークサイドに?主演作がヴェネチアでオープニング上映決定
2010年09月03日9月1日(水)よりイタリア・ヴェネチアで開催される第67回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門への出品が決まった『ノルウェイの森』、『十三人の刺客』の監督およびキャストの喜びのコメントが到着した。『十三人の刺客』は、暴政の限りを尽くす将軍の弟を討つべく送り込まれた13人の男たちが文字通り、命を懸けて戦う姿を描いた本格時代劇。数々のヒット作を世に送り出し、海外でも高い評価を受ける三池崇史監督がメガホンを握り、役所広司をはじめ、山田孝之、伊勢谷友介、松方弘樹、松本幸四郎に稲垣吾郎など錚々たるメンバーがキャストに名を連ねる。三池監督は「やったね。ヴェニスをサムライの血で染めてあげましょう」と短い言葉に喜びと決意を込める。監督と共に現地入りする予定の主演の役所さんは「(出品の知らせを聞いたときは)『やったー!』と。ヴェネチアのお客さんに日本の時代劇を楽しんでもらうことが一番ですね。映画の初号上映後のスタッフ・キャストの異常な盛り上がりが、ヴェネチアの映画祭会場でも見られるのではないかと期待しています。日本映画のお家芸である時代劇が海外で評価されるのは本当に嬉しいことです」と喜びを語る『ノルウェイの森』は、いわずと知れた日本を代表する作家・村上春樹の大ベストセラーの映画化作品で、すでに『シクロ』でヴェネチアの最高賞である金獅子賞を受賞しているトラン・アン・ユンが監督を務めるとあって、公開前から世界的な注目を集めている。映画祭には、監督に加え主演の松山ケンイチに菊地凛子、水原希子らがヴェネチア入りする予定だという。トラン・アン・ユン監督は「私が是枝裕和監督とお会いしたのはヴェネチア映画祭のときでした。後に、ロッテルダムで再会し、そこで橋口亮輔監督と知り合うことになりました。そのとき、3人で語り明かしたことが、いまでも素晴らしい思い出です。私たちは2人の“村上氏”(※村上春樹と村上龍)について語り合い、私は『ノルウェイの森』、2人は『69 sixty nine』と『限りなく透明に近いブルー』の話をしました。まさか、数年後に日本映画を出品するためにヴェネチアの地に戻り、その作品が『ノルウェイの森』になろうとは思ってもみませんでした!」と感慨深げ。松山さんは「光栄なことです。一足早く海外の方に観てもらうのですが、どんな反応を示すのか興味津々です。きっと素晴らしい経験になると思います」と期待に胸を膨らます。すでに発表されているように、今年の審査員長を務めるのは、日本映画、そして三池作品のファンとして知られるクエンティン・タランティーノ。三池監督作品にはイタリアでも多くのファンが存在し、また、小説の「ノルウェイの森」は同国でも出版されて、こちらも高い評価を得ているとあって、おそらく現地での期待も高く、金獅子賞受賞の可能性は十分にあると言える。世界最古の歴史を誇る国際映画祭で、この2作がどのように受け止められるのか?ヴェネチア国際映画祭は9月1日(水)より11日(土)までの日程で開催。『十三人の刺客』は9月25日(土)より、『ノルウェイの森』は12月11日(土)より全国東宝系にて公開。■関連作品:ノルウェイの森 2010年12月11日より全国東宝系にて公開© 2010「ノルウェイの森」村上春樹/アスミック・エース、フジテレビジョン十三人の刺客 2010年9月25日より全国東宝系にて公開© 2010「十三人の刺客」製作委員会■関連記事:ヴェネチア国際映画祭ラインナップ発表。『ノルウェイの森』など日本映画3本が登場異例!『ノルウェイの森』主題歌にザ・ビートルズ原盤の「ノルウェーの森」が決定高良健吾初のフォトブックが発売撮影現場&箱根プライベート旅行の様子も!あのシーンも原作の種田そのまま!『ソラニン』高良健吾の落書き顔公開2010年、最も活躍すると思う俳優は?1位は不動のジョニー・デップ!
2010年07月30日29日(木)、9月1日(水)から11日(土)まで開催の第67回ヴェネチア国際映画祭のラインナップが発表になり、日本から村上春樹原作、トラン・アン・ユン監督の『ノルウェイの森』と三池崇史監督の『十三人の刺客』がコンペティション部門に、『愛のむきだし』の園子温監督の『冷たい熱帯魚』がオリゾンティ部門に選出された。今年のコンペティション部門の特徴は、エントリー作品を撮った監督の平均年齢が若いこと。平均年齢47歳というのは同映画祭史上最年少だという。その中にはオープニング上映作である『Black Swan』(原題)のダレン・アロノフスキー(41歳)、『Somewhere』(原題)のソフィア・コッポラ(39歳)が含まれる。ほかにはポール・ジアマッティ、ダスティン・ホフマン主演の『Barney’s Version』(原題)、ドイツのトム・ティクヴァ監督の新作『Drei』(原題)が上映される。ベン・アフレックの監督第2作『The Town』(原題)はコンペティション外で上映、弟のケイシーが俳優引退後のホアキン・フェニックスに密着したドキュメンタリー『I Am Still Here: The Lost Year of Joaquin Phoenix』(原題)も上映される。今年のコンペティション部門の審査員長は、日本映画、加えて三池ファンとしても知られるクエンティン・タランティーノ。最高賞・金獅子賞の行方が早くも気になる。ちなみに金獅子功労賞は、これもタランティーノが大好きなジョン・ウー監督に贈られることが決定している。(text:Yuki Tominaga)■関連作品:ノルウェイの森 2010年12月11日より全国東宝系にて公開© 2010「ノルウェイの森」村上春樹/アスミック・エース、フジテレビジョン十三人の刺客 2010年9月25日より全国東宝系にて公開© 2010「十三人の刺客」製作委員会■関連記事:ヴェネチア出品決定で松山ケンイチ、役所広司らの喜びのコメント到着!異例!『ノルウェイの森』主題歌にザ・ビートルズ原盤の「ノルウェーの森」が決定高良健吾初のフォトブックが発売撮影現場&箱根プライベート旅行の様子も!あのシーンも原作の種田そのまま!『ソラニン』高良健吾の落書き顔公開2010年、最も活躍すると思う俳優は?1位は不動のジョニー・デップ!
2010年07月30日村上春樹の大ベストセラーを映画化した『ノルウェイの森』の主題歌に、タイトルの由来にもなっているザ・ビートルズの「ノルウェーの森」の原盤が使用されることが決まった。世界配給の日本映画で、ビートルズの原盤が主題歌として提供されるのは初めてのこととなる。1987年に刊行されて以来、日本のみならず世界中で出版されている村上さんの代表作を映画化した本作。原作では、学生運動が盛り上がりを見せていた時代、主人公であるワタナベと彼の死んだ親友の恋人であった直子、同じ大学に通う緑らを中心に、若者たちの喪失や再生、青春の苦悩が綴られる。デビュー作『青いパパイヤの香り』以来、常に質の高い作品を送り出しているトラン・アン・ユン監督の下、松山ケンイチ、菊地凛子、玉山鉄二といった俳優陣で映画化されることが2008年に発表され、注目を集めてきた。原作の「ノルウェイの森」というタイトルは、ザ・ビートルズが1965年に発表した名盤「ラバー・ソウル」に収められている「ノルウェーの森」に由来しており、劇中でも登場人物が同曲を弾き語りで演奏するなど、作品の中で重要な役割を果たしている。一見、同曲を主題歌で使用することは当然のことのように思えるが、さにあらず。ビートルズの楽曲の原盤をこうした形で使用するのは容易ではなく、撮影前の段階から交渉は難航。本作の小川真司プロデューサーは、一時、原盤ではなく「ノルウェーの森」のカヴァー曲を主題歌にすることも検討したというが、同曲を仮あてした編集を見て、やはり原盤以外にありえないと思い直し、1年以上の交渉を経てようやく使用許諾を得たとのこと。ビートルズのカヴァー曲が映画に使用されることは多々あるが、彼らの演奏による原盤の使用許可が出るのは非常に稀なことで、日本での窓口であるEMI MUSIC JAPANのシニアプロデューサーである藤村美智子さんも「1999年にザ・ビートルズの制作担当になって以来、様々なビートルズ楽曲使用に関するオファーをいただきましたが、実現したことも、実現に近づいたことさえもなかったので今回の主題歌使用に許諾が出たことは、正直大変驚きました」と驚きを隠さない。さらに藤村さんは「交渉を始めた時点で、(本国)EMI-UKの担当者は既に原作を読んでいたようで、“『ノルウェイの森』は素晴らしい作品だ”とコメントしていたので、村上春樹さん、そして彼の小説の素晴らしさがイギリスでも知られているのだと思ったのを記憶しています。楽曲使用の許諾にもきっと大きな影響があったのではないでしょうか?」とも語っている。トラン・アン・ユン監督は「原作における『ノルウェーの森』という曲の重要性から、原盤を起用するのは必然的な事でした。映画をご覧になった観客が、たったいま体験したドラマの余韻に浸るための空間作りが出来るように、特定の場所にこの曲を使用しました」とファンの期待をあおる。小川プロデューサーも「まだ村上さんから映画の許諾をいただく前、一番最初にトラン監督にメールを送ったときに、原作映画化の許諾と同じぐらいビートルズの原盤を使うのは難しいよ、と書いたのを覚えています。自分の中ではそれぐらい、この曲と原作が分かちがたい印象を持っていたので実現できてよかったと思っています。原作では冒頭でビートルズの曲が流れ、主人公のワタナベはそれまでの出来事の全てをふり返り、時の流れを思い起こします。映画で生のビートルズのメロディを聞くと、原作の大人になったワタナベのかき乱されるような感情を実感できると思います」と監督同様、自信をうかがわせるコメント。果たしてどのシーンでどのように使用されているのか――?そのシーンがもたらすのは寂寥感か?青春の苦味か?それとも…。映画『ノルウェイの森』は12月11日(土)より全国東宝系にて公開。■関連作品:ノルウェイの森 2010年12月11日より全国東宝系にて公開© 2010「ノルウェイの森」村上春樹/アスミック・エース、フジテレビジョン■関連記事:高良健吾初のフォトブックが発売撮影現場&箱根プライベート旅行の様子も!あのシーンも原作の種田そのまま!『ソラニン』高良健吾の落書き顔公開2010年、最も活躍すると思う俳優は?1位は不動のジョニー・デップ!2010年、最も活躍する俳優は?『かいじゅうたちのいるところ』Tシャツを3名様プレゼント“堕天使”ジョシュ・ハートネットが語る『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』
2010年07月14日僕は基本的に吹き替え映画が嫌いである…というか嫌いだった。できれば演じた人の生の声を聞きたいという願望がどこかにあったのだ。しかし、その吹き替えが、このところ好きになってきている。海外の映画館に足を運ぶことが多くなったことが大きな原因だと思う。イタリアでブラッド・ピッドが「チャオ!」と言って登場したり、ロシアでマイク・マイヤーズが「スパシーバ!」などと言っているのは、それだけで楽しい気持ちにさせてくれる。先日もタイ滞在中、邦画『フラガール』のタイ語吹き替えをテレビで観た。松雪泰子が「サワディカ〜」と言い、豊川悦司が「コップンカ」と言っていた。ベトナムのリゾート地・ニャチャンで現地在住の人たちと飲みながら、こういった吹き替えの話をしていた。僕がその日の晩、ホーチミンに深夜特急で移るので送別会と称して飲み会を開いてくれたのである。そのとき、一人の男性がベトナムの映画館の吹き替えは面白いですよと教えてくれた。「どこが面白いんですか?」と聞くと、「明日、ホーチミンに到着したら、行ってみてくださいよ」と言って詳しくは教えてくれなかった。そういえば、ベトナムに来てから一度も映画館に入っていなかった。どこかベトナムの街は映画館の存在が薄い。映画館だけではなく、映画自体のイメージが薄いのかもしれない。ハリウッド製作のベトナム戦争映画は度々、耳にするが、ベトナムが製作に携わった映画となると『夏至』や『青いパパイヤの香り』(共にトラン・アン・ユン監督作)といった名作は思い浮かぶが、どれもかなり前の作品である。ニャチャンから深夜特急でホーチミンまで移動すると、早速、ホーチミンの映画館を探し始めた。水上人形劇やミュージカル、サーカス小屋など劇場は見つかるのだが、映画館は意外に見つからない。かなり歩き回って、コメディが上演している劇場の隣でひっそりと香港映画を上映している映画館を見つけた。中に入ると客席には怪しい空気が漂っていた。カップル専用の2人用の椅子が並び、50名程度の小さな劇場でアベックが一組だけ目に入った。いかにもイチャついている感じである。そんな中で映画は始まった。香港の時代劇アクション映画は、暗い声の中年女性の吹き替えのナレーションから始まった…いや、ナレーションが長すぎる。しばらくして、この女性一人で全ての声を吹き替えていることがわかった。若い女性の声が中年女性の声になるのはまだいいが、若い男性の声も中年女性の声なのである。しかも僕がナレーションと思っていたほど、彼女の吹き替えの声は抑揚がなく、テンションが低いのである。刀で斬りかかる掛け声でさえも、抑え気味の声で進行していくのだ。まぁ、アベックがいちゃつくことに集中するには、これくらいの邪魔にならないテンションの方がいいのかもしれないけど。(photo/text:ishiko)
2009年11月18日オスカー候補になったあの『バベル』への出演以降、菊地凛子の活躍は世界へ広がっている。ライアン・ジョンソン監督、エイドリアン・ブロディ共演の『The Brothers Bloom』、イザベル・コイシェ監督の『Map of the sounds of Tokyo』、マイケル・ハフストローム監督、渡辺謙共演の『Shanghai』、村上春樹のベストセラーを映画化するトラン・アン・ユン監督の『ノルウェイの森』──待機作のいずれも海外の監督との仕事だ。そして、国際女優として一歩、また一歩、前進していく彼女が新たに興味を示したのは、第77回アカデミー賞で脚本賞に輝いたアメリカ映画の名作『サイドウェイ』を日本人キャスト、外国人スタッフ、オール海外ロケで作った異色の日本映画である。「タフになるために作品を選んでいきたい」「海外だからという理由で作品を選んでいるわけではないんです。ただ、自分ができないなと思うものや、怖くてイヤだなと思うような演技に挑戦したい時期なんですよね。海外の作品は海外であるだけで大変な思いがあるから…タフになるために国内外問わずそういう作品を選んでいきたい。でも、個人的には日本食が好きなので、撮影が終わって美味しいものが食べられる日本が本当は一番いいんですけどね(笑)」と、穏やかな口調、やわらかな物腰で話すが、その志はかなり高い。今回の『サイドウェイズ』でももちろん挑戦はあった。彼女が演じるミナ・パーカーという役は、生まれも育ちもアメリカという設定。流暢な英語とたどたどしい日本語を会話に混ぜ込む演技は「すっごく大変でしたね」とふり返るが、そんな苦労を微塵も感じさせない演技はさすがだ。さらに、言葉だけでなく細かな動きも研究したのだという。「向こうの人の独特な動きがあるので、撮影現場にいたミナっぽい女性の動きを参考にしたり、ハーフの友達に『このセリフ言ってみて』と微妙なアクセントを聞いたりしました。難しい役柄ではあったけれど、ミナは前向きで明るい女の子。痛みや辛さがない分、楽しかったですね」。「大変だったけれど、楽しかった」と笑顔を見せる背景には、小日向文世、生瀬勝久、鈴木京香という実力ある俳優が共演陣に揃っていたこと、やり甲斐のある環境だったことも挙げられるだろう。「ほんとに。日本映画でこれだけ有名な俳優さんと仕事をするのは久々だったので、最初はちょっと緊張しましたけど、小日向さんが笑うとみんながフワ〜っとして心地いい気分になったり、生瀬さんは役柄通り英語もすぐに覚えて積極的に話していたし、京香さんはマイペースに生きている面倒見のいいお姉さんという感じで、すごくいい現場でした」。撮影は約1か月間カリフォルニアで行われ、「時間があるときはみんなでご飯を食べに行ったりしました」と、キャラクター同様に密な関係を築けたと語る。「毎日美味しいワインが飲めて、いい現場!」特に共演が多かった生瀬さんについては、彼のアドリブ力に「新鮮な気持ちになれた」と驚きを隠さない。「生瀬さんのアドリブはすごいんです。セリフは一緒なのに毎回動きとかちょっとしたことを変えてくる。『この人、すごいなぁ』って思っていました」。中でも笑えるのは、大介とミナの喧嘩シーンだ。「生瀬さんがお兄ちゃん的な優しい方だったので、遠慮なくブッていこうと思ってブッたら赤くなっちゃって。あっ、でも(打つ瞬間は)本当のフライパンじゃないですよ。あのシーンを本物のフライパンを使っていたら殺しかねないですからね(笑)」と、撮影時のエピソードを語ってくれた。「洋酒全般は何でも飲みますね」という菊地さん。今回の撮影を通してカリフォルニア・ワインの美味しさを知り「毎日美味しいワインが飲めて、いい現場でした!」と幸せな笑顔を見せる。そして、“菊地凛子”流の映画『サイドウェイズ』の見方をこう提案する。「この映画を観るとワインを飲みたくなると思うんです。だから、ワイン好きな人は夕方頃に映画を観て、その後に1本のワインを誰かと開ける…そういうのもひとつの見方かなって思います。あと、ナパ・バレーはワイナリー以外何もないところですけど、観たらナパに行きたくなる人、多いと思いますよ」。(text:Rie Shintani/photo:Hirarock/stylist:Yuta Kaji/hair & makeup:Yasushi Miyata)■関連作品:サイドウェイズ 2009年10月31日より全国にて公開© 2009 Twentieth Century Fox Film Corporation and Fuji Television Network, Inc.■関連記事:菊地凛子&鈴木京香、仲良くぶどう柄でペアルック?『サイドウェイズ』舞台挨拶菊地凛子、流暢な英語で「ワイン大好き」『サイドウェイズ』、本場ナパで大盛況舞台挨拶&生演奏付き!『サイドウェイズ』プレミア試写会に25組50名様ご招待ファッション小噺vol.112日本女優の美肌のヒミツはこれだった!
2009年10月14日悪の組織に属する忍者がなぜ全身真っ白?日本の観客からはそんな声が聞こえてきそうだが、そんなことは問題ではない!この男には不思議と白が似合う。案の定と言うべきか、イ・ビョンホンはインタビュールームにも全身白で、甘い笑顔を携えて現れた。念願のハリウッド進出作となった『G.I.ジョー』では冷酷な暗殺者に扮し、激しいアクションを披露。気負いや緊張などまるで感じさせず、クールにパリの街を壊滅に追い込んでいる。来年で40歳を迎えるが、その人気はとどまるところを知らぬビョンホン。人々を魅了してやまない笑顔を封印して挑んだ本作、さらに今後について話を聞くために韓国へ飛んだ。3作品に連続出演。「かなり疲れました」作品との出会いは2005年のカンヌ。主演作『甘い人生』が映画祭で上映され、各国メディアから絶賛を浴びた翌日だった。「それより前に、トラン・アン・ユン監督(『夏至』、『ノルウェイの森』)が直接、韓国にいらしてくださり『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』への出演の交渉をしていたんです。でも、出演を決断するまでに1年ほどの時間を要しました。その間にカンヌで『甘い人生』が上映され、エージェントから『こういう映画があるが、出てみないか?』とお話をもらったんです」。奇しくも、『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』と本作『G.I.ジョー』は同じ年に立て続けに公開されることに。「撮影の順番で言うと、まず『グッド・バッド・ウィアード』(※8月29日より公開)があって、次に『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』。『G.I.ジョー』は最後でした。『グッド・バッド・ウィアード』でかなり体を作っていたので、続く2作での準備が容易になった部分はあります。でも、立て続けの撮影だったこともあり、かなり疲れていたのも事実です」。これまでになく、ハードなアクションが求められた本作。撮影中にひざの靭帯を損傷するという大ケガを負っている。「空中でキックするというシーンがあったんです。テコンドーの技を応用したものなんですが、なかなかいい映像が撮れず、僕の方からもお願いして十数回やり直したんです。緊張のせいか、(靭帯が)切れた瞬間は分かりませんでした。でも、少しして足が言うことを聞かなくなってきまして…。いよいよおかしくなって病院に行ったら、お医者さんからは『俳優だか何だか知らないけど、2〜3週間は安静にしてなさい』と言われました。幸いなことにその後しばらくはアクションシーンの撮影はなく、プラハで無事に撮影を終えることが出来ました」。ビョンホン自身が求めたファイトシーンのインパクト「実は、その病院でちょっとおもしろい話がありまして…」。いたずらっぽい笑顔を浮かべ、そのときのエピソードを語ってくれた。「行った先の病院は、看護師さんも医師もみんな日本人だったんです。看護師さんは私に気づいて大喜びしてくれたんですが、その医師は私のことを全く知らず『本当に映画俳優なの?』という表情でしたね(笑)。たまたま、近くに置いてあった雑誌に僕の写真が載っていて『これ、僕です』と見せたら『本当だったんですね』とようやく納得してくれまして、なかなか楽しい時間を過ごすことができました」。また劇中、忍者の衣裳を脱ぎ捨て、その美しき肉体を惜しみなく披露しているが、これは彼自身のアイディアだという。「ラストのファイトシーンは、もう少しインパクトがあった方がいいのではないかと考え、僕からも様々なアイディアを出しました。例えば、彼の武器はいかにも“近未来”という感じですが、これについても監督とかなり話し合いました。その流れの中で『服を破って脱ぎ捨ててはどうか?』と提案したんです」。激しいアクションに加え、最新のVFXを駆使した刺激的な映像が魅力の本作。中でも、ビョンホン演じるストームシャドーは、一撃でエッフェル塔を倒壊させてしまう。ちなみにビョンホン自身は2年前にパリの街で撮影された写真集、その名も「パリイ」をリリースしており、折に触れてパリへの並々ならぬ思いを語っていたのだが、その胸中やいかに…?「もう、僕は二度とフランスに行けないんじゃないかと思ってます。この作品がフランスで公開されて、僕がパリの街を歩いていたら、危険な目に遭うかもしれないですね(苦笑)」。中学生の頃の日記の1ページ目に書いたのは…本格アクション大作で、ハリウッド進出を果たしたが、自らに訪れた“変化”についてこう語る。「確かに『G.I.ジョー』は、これまで出演してきた心理を細かく描くような作品とは大きく方向性が異なります。ではなぜこの作品への出演を決めたのか?と考えたとき、思い当たったのは、子供の頃から映画館という空間が大好きだったということ。アニメやアクション映画を観て、新しい世界、希望を感じ取っていました。自分もそうした作品に出ることで、希望を与えられるのではないかと思ったんです。少し美化し過ぎた言い方かもしれませんが。子供の頃のアクションヒーローですか?ブルース・リーはもちろんですし、ジャッキー・チェンとはいまでは義兄弟のような関係ですが、中学の頃から思い出があります。中学生のときに『酔拳』を観て、その帰りに買った日記帳の1ページ目に『ジャッキーのようになりたい』って書いたんです(笑)。彼にその話をしたら面白がってました」。来年“不惑”と言われる40歳を迎えるビョンホンだが、今後思い描く俳優人生について聞いてみた。「ありきたりな答えかもしれませんが、年齢を意識したことはありません。そのせいで、いまだに子供っぽいところが残っていたりして、突拍子もない行動をしてしまうのかもしれないですね(笑)。(ハリウッド進出を果たし)新たな段階に足を踏み入れたのかな、とも思いますが、自分は俳優として長く韓国を拠点としてきました。それは今後も変わらないでしょう。もちろん、この映画を気に入っていただけて、ハリウッドの方に再び声を掛けていただけるなら、断る理由はないですね」。スクリーンの中での“狂気”をも漂わせる姿とは打って変わって、笑みを絶やさず気さくにこちらの質問に答えてくれるビョンホン。日本のエンターテイメントに話が及ぶと、こんな打ち明け話も!「中学生の頃に初めて(映画雑誌の)『SCREEN』や『ROADSHOW』に出会いました。といいますか、映画の1シーンとしてセクシーな写真が載っていて、みんなで破れそうになるくらい奪い合ってました(笑)」。にわかに想像しがたいが…この男、我々に見せていない秘密をまだまだ抱えているのかも――?今後、日本での活躍にもぜひ期待したい。■関連作品:G.I.ジョー 2009年8月7日より丸の内ルーブルほか全国にて公開©2009 by Paramount Pictures■関連記事:ビョンホン登場にファン熱狂夏の超大作『G.I.ジョー』豪華キャストが大挙!シエナ・ミラー、ラジオDJの不躾な質問に激怒!オンエア中に罵倒劇中より刺激的?セクシー・ボンデージの美女軍団が『G.I.ジョー』を応援!パリ崩壊の決定的瞬間!新型ウイルスが猛威、革命記念日のパリで大規模テロ発生?この夏、最強のアクション『G.I.ジョー』衝撃映像到着!ビョンホン暴走でパリが…
2009年08月06日国際的な喝采を浴びた『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』に、『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』など研ぎ澄まされた映像世界で多くの観客を魅了してきた押井守の、自身の監督作としては8年ぶりの実写長編作品となる『アサルトガールズ』の公開が決定。主人公の3人の女ハンターたちを黒木メイサ、菊地凛子、佐伯日菜子が演じることが発表され、黒木さんが写った場面写真が公開された。押井監督が『Avalon(アヴァロン)』以来となる長編実写映画の舞台として選んだのは、熱核戦争後の荒廃した砂漠の戦場、巨大モンスター<スナクジラ>の群れが地を這い、強襲揚陸艦が宇宙を飛ぶ世界。黒木さん、菊地さん、佐伯さんの3人は、突然変異の超大物<マダラスナクジラ>を仕留めようと、アサルトライフル(突撃銃)やパワフルな銃器を手にフィールドを駆け巡る。今回解禁となったのは、銃弾を体に巻いた黒木さんが写った写真のみ。いまだ物語の詳細については不明だが、話題の映画への出演に加え、歌手としてもめざましい活躍を見せる黒木さんに、カンヌ招待作『Map of the sounds of Tokyo』(原題)に、トラン・アン・ユン監督による『ノルウェイの森』と邦画という枠を超えて注目を集める菊地さん、ドラマ、映画、さらには舞台と各方面での活躍が光る佐伯さんの3人が、押井監督の下でどのような化学変化を見せるのか、期待が集まる。『アサルトガールズ』は12月19日(土)よりテアトル新宿、池袋テアトルダイヤほか全国にて順次公開。■関連作品:アサルトガールズ 2009年12月19日よりテアトル新宿、池袋テアトルダイヤほか全国にて順次公開© 2009八八粍・デイズ/ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントスカイ・クロラ The Sky Crawlers 2008年8月2日より渋谷東急ほか全国にて公開© 森博嗣/「スカイ・クロラ」製作委員会■関連記事:【ヴェネチアレポート09】あの三巨匠だけじゃない!世界で活躍する日本人俳優たち【ヴェネチアレポート08】凛子「私にとっては金」『スカイ・クロラ』公式上映【ヴェネチア映画祭】いよいよ開幕!オープニングはブラピ&ジョージ×コーエン兄弟『スカイ・クロラ』に続き、押井守が初の実写TVシリーズ「ケータイ捜査官7」を制作!『ポニョ』興収100億突破の次は1,000万人動員、ヴェネチアでの活躍にも期待!
2009年07月22日いま、世界で最も注目を集める映画監督のひとり、トラン・アン・ユンの最新作『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』がついに公開を迎えた。この俊英ベトナム系フランス人監督は、物語の中心に“痛み”と“狂気”をまとった3人の男たちを据えたが、木村拓哉、イ・ビョンホンという日韓のスターと共に、アメリカから監督の招集に応じたのはジョシュ・ハートネット。ハリウッドの大作に背を向け、己の道を突き進む姿は自らが演じた探偵・クラインそのもの。何が彼を突き動かすのか?その柔和な笑顔の奥に迫った。「監督は独特の“声”を持っている」今回の出演の決め手を「何よりトラン・アン・ユン監督の存在」と語るジョシュ。以前から監督の作品を観て、その表現力に心酔していたという。「独特のユーモア、“声”を持っている監督だと感じて、前から一緒に仕事がしてみたいと思ってたんだ。でも、最初の段階では、クラインは45歳という設定。当時27歳の僕には無理だと思っていたよ。初めて監督と会って5分くらい話をしたとき、彼はただ、ニヤニヤしてるだけでほとんど喋らなかった。そのミーティングが終わって車に戻るまでにエージェントから『君に決まったらしい』って電話があったんだ」。何ともこの2人らしいやり取りとも言えるが…。では実際に監督の演出はどうだったかというと?「彼は現場でもすごく優しくて、知的な人間だよ。いつもいろんなことを考えていて、僕の演技を見終わるとこう言うんだ。『うん、少し違うことをやってみようか。もうちょっと面白いことをやってみない?』ってね。演出というよりは、僕にもっと実験することを求めているような感じかな。物腰はすごくソフトで静かなんだけど、鉄の意思を持ってる。アーティストとして確固たる自信を持っていて、何が正しいかということをよく分かっているんだ」。今回演じたクラインは、かつての殺人の記憶に苦悩する元刑事の探偵。木村さん扮する青年・シタオを始め、捜している人物に“同化”するという独特のアプローチ方法をとるが、ジョシュ自身はこの男にどうやってなりきったのだろうか?「監督が現場で物語をどんどん変えていくというタイプだったので、僕としてはまず、どんな変更があっても自分のキャラクターから離れないように心がけたよ。昨年、自分でプロデュースした作品では、徹底的なリサーチを基にキャラクターを自分で作り上げていったけど、今回に関しては“狂気”を秘めた男なんて周りにいないからリサーチのしようもなかった。想像力を武器に作っていったよ」。この世の地獄に舞い降りた堕天使と悪魔と救世主クライン、シタオ、そしてビョンホンが扮したス・ドンポと非常に複雑な内面を抱えた3人を、ジョシュはどのように捉えたのか?その考察は興味深い。「クラインに関して、“狂気”と表現したけど、もちろんそれだけじゃなく、彼は捜している人物にあまりにも共感し、同化してしまうところがある。それは欠点であり、自らを痛めつける原因になってしまうけど、そうせずにはいられないんだ。作品自体、非常に宗教的で、監督が描いているのはこの地球上に存在する地獄だと思う。クラインは、そこで苦悩し、迷う“堕天使”とも言うべき存在なんだ。ドンポはまさにこの世の“悪”を体現している人物だ。でも冷血な彼にも一つだけ弱点があって、それはある女性を愛し過ぎているということ。彼の執着心は、まさに人間が持つ欲望を象徴している。そして、シタオは現世におけるイエス・キリスト、救世主と言える。とはいえ、簡単にカテゴライズできないのがこの映画、キャラクターたちの特徴。観る人に全ての解釈を委ねているんだ」。この説明を聞いただけでも、本作がハリウッドのブロックバスター(莫大な予算で作られた作品)とは一線を画した作品だとお分かりいただけるだろう。ハリウッドでの“成功”に背を向け、こうしたアート志向の作品への出演を続けることについて、彼はこう語る。「確かに、ハリウッドで仕事をしていれば、いろんな監督と仕事をするチャンスがある。もちろん役柄もね…例えばヒーローの役だったり。でも、僕自身は一人のアーティストとして、もう少し実験的なことに挑戦していくのが好きなんだ。エージェントから何か言われないかって?実際、解雇したヤツも数人いるよ(笑)。まあ、僕の存在が忘れられないように、もう少しバランスを取る必要があるとは自分でも思っているんだけどね。でも、こういうことをやってるときの方が楽しいんだ。中でも今回の作品は、もう二度と経験できないだろうっていうぐらい、ユニークなものになったし満足してるよ」。最後にお気に入りのシーンを尋ねると、とびっきりの笑顔を浮かべながら「ドンポが部下をハンマーで殴り殺すところ!」との答えが…。ハリウッドという大きなエネルギーの中心にいながら、常に新たな“実験”に挑み続ける、そんな男の素顔が垣間見えた。■関連作品:アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン 2009年6月6日よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国にて公開© Lam Duc Hien, Photographerノルウェイの森 2010年秋、全国東宝系にて公開■関連記事:“ホスト”キムタクのもてなしでビョンホン、ジョシュ揃い踏み3,660人が悲鳴!キムタク最新作、日本でワールド・プレミア開催決定前売特典にポスターも!キムタク×イ・ビョンホン競演作6月公開監督が明かす「かつてない拓哉」の姿とは?原作ファンの賛否やいかに?村上春樹の「ノルウェイの森」が遂に映画化!
2009年06月07日