すっかり秋らしくなりました。街中のファッションも次第に秋色に染まっていきます。今年はパープルを着ている人が多い気がします。もともとワインレッドは大好きな色。それがこの秋のトレンドカラーなら早速手持ちの服に合わせてみようかな、と思ったものの、いざ挑戦してみると、色がきれいなだけにカラーコーディネートがうまくいきません。インパクトのある色をおしゃれに着こなすってなかなか難しい。■『クローゼットは3色でいい』出典:クローゼットは3色でいい著者:杉山律子発行:KADOKAWA単行本:192ページ発売日:2017/5/26価格:1300円+税[公式サイト]こんな本を見つけました。『クローゼットは3色でいい』。なかなか思い切ったタイトルです。著者は売れっ子パーソナルスタイリストの杉山律子さん。本の帯には「手持ちの服を着まわせ、誰でもかっこいいコーデが組めるステップ」と書かれています。それができたら苦労しないと、半信半疑で読み始めたものの……。結論、たいへん参考になりました。「おしゃれになるには順番があるのです」これが冒頭の一文。……着こなし方は、おしゃれに向き合った分だけ、「体得」していけるもの。基本を知らない人が上級者のマネをしていきなりトレンドファッションに身を包み、カッコよくアレンジしようとしても、「がんばってる感」が目立つだけ……と、文章が続きます。うわあ、耳が痛い。自分の体型を知り、基本の服を揃えるだったらどうすればいいの?という私の心の中の問いに、この本は明解な答えを与えてくれます。まずは、自分の体型を知り、基本の服を揃えることが肝要だと著者は言います。著者の提唱する体型別着こなし術はとても具体的。「下半身が細い人は、スキニーパンツで細い脚をアピールしすぎないよう注意」「首が長い人こそタートルではなくクルーネックを着るべき」という具合に。特に胸にぐさりときたのは、「無理すれば入るからといって小さいサイズを選んではいけない」というアドバイス。「ちょいゆる」つまり、「ちょっとだけゆるいサイズ感」にすることは、すべての体型の人に共通するスタイルアップのコツだと、著者は言います。でも……ぴったりサイズのほうが痩せて見えないのかな?自分のベースカラーを見つける自分の体型と基本の服をしっかり押さえたところで、話はようやく自分に似合う色選びというテーマに進んでいきます。「自分をセンスよく見せるベースカラーを3色選べば、クローゼットのなかはその3色でじゅうぶん。さらに、その1色は必ず白にするべし」というのが筆者の説。白はコーディネートのアクセントになる万能カラーだから、必ず一カ所に白を使うのが、洗練されたファッションへの近道なのだとか。でも……秋冬に白はどうかなあ?ベースカラーの3色のうち1色が白ならば、あとの2色はどうすればよいかというと、まずは黒かネイビーのどちらかを選ぶというのが著者の提案。多くの人は黒派とネイビー派に大きく分けられるとか。そして、残りの1色はグレー、ベージュ、トープ、カーキの4色から選ぶのだそうです。著者の提案はどこまでも明快です。でも……そんな地味で平凡な色ばかりでいいの?自分のおしゃれを身につけるための正攻法ベースカラーを決めたら、まずは上下の色のトーンを合わせるコーディネートから始め、次にベースカラーのうちの2色を使ったワンツーコーデに進みます。さらにプラスワンカラーとして、一色ずつ個性的な色や存在感のある小物を足していくというのが著者のアプローチ。色の足し方、柄の取り入れ方、小物の色合わせ方などは、カラーチャートや写真を使ってわかりやすく解説されています。必ず押さえておくポイントは、トップスでもアクセサリーでも靴でも、主張のある主役級のアイテムを取り入れるときは、それ以外のトーンを抑えること、だとか。でも……それって面白味に欠けるのでは?自分を知るクローゼットの整理法本書の最後の章は、プロの整理収納アドバイザーでもある著者らしく、クローゼットの整理整頓法について触れています。「クローゼットのなかを似合う色の服に厳選する」「アイテムごとにグラデーション収納する」「太って見える服はいますぐ手放す」など、など、著者の提案には迷いがありません。でも……着たことのない色やデザインに挑戦してはいけないの?■究極のおしゃれとはなにか実は本書を読みながらずっと思っていました。「そこまで色やアイテムを絞り込んで、一皮むけたおしゃれ上級者になれるのかしら」と。でも、改めて街ゆく人を眺めてみると、目を惹くおしゃれな人は著者の提案するコーディネート術に見事に当てはまっていることに気づきます。ベージュのトップスに薄ブラウンのパンツで、大きめの白のバッグを肩にかけて颯爽と歩く社会人女性。全身グレーのグラデーションで、耳元に大きめの白パールのピアスをつけた上品なマダム。黒Tシャツと黒デニムに真っ白なスニーカーを履いている大学生。どの人も、特別な色やデザインを着ているわけではないのに、なんとなく洗練されています。しかも、どこかに必ず白を取り入れている……。■究極のおしゃれとは、「個性的になる」ことではなく「個性を輝かせる」こと「おしゃれ」とは何かがなんとなくわかってきたところで、騙されたと思って、著者の言葉に従ってみることにしました。まずは、クローゼットの整理から。実際にやってみると、自分のクローゼットには、黒、白、ベージュが圧倒的に多いことを発見。自分のベースカラーは思いのほかあっさり決まってしまいました。手持ちの服を、色、アイテムごとに、スーツも上下ばらばらにして並べてみると、違う景色が見えてくるから不思議です。色からコーディネートを考えるというアプローチは、実際にやってみると意外に失敗がなく、色のトーンを合わせて素材を変えたり、ワンピースに同系色のスーツのジャケットを合わせたりと、いままでにない発想で組み合わせを楽しむきっかけを与えてくれました。人の意見には素直に耳を傾けてみるものです。ちょうど衣替えの季節、良い本に出会いました。美しく生きている人は、自分のことが客観的に見えている人なんですね。
2017年10月06日積んであるあの本が、私を待っている……。少し早く帰れそうな夜、DRESS世代に、じっくりと読み進めてほしい本をご紹介する連載【積読を崩す夜】。9回目は、『身の丈に合った服で美人になる』(著:小山田早織)を取り上げます。著者の持論は「美人=努力家」。お金をかけたり背伸びをしたりすることなく、最大限おしゃれになる方法を、明解な小山田ロジックにより紐解きます。■美人=努力家身の丈に合った服を努力して着るこの本でいう“美人”とは努力家のこと。きれいになるためにベストを尽くせる人です。日頃、仕事で会うモデルたちを見ていて思うこと。それは、何の努力もせずにはきれいでいられないということです。私もアシスタント時代には人生の最高体重を記録し、お腹やお尻を隠すチュニックをよく着ていました。自分が努力を怠った結果とはいえ、着たいのに着られない服があるのはみじめで辛かったのを覚えています。その経験から、何よりも大切と痛感したのは、生まれ持った外見を活かしながら、理想の自分へと近づくための努力。その過程が自信となって表情にも表れ、女性を美しく見せるのだと思います。(9ページより引用)著者が考える身の丈に合った服、とは、無理なく買えるトレンド感のある服のことを指しています。着古して毛玉ができていたり、流行遅れになった高級服よりも、手の届く範囲でシーズンごとに流行を取り入れているほうがよっぽどおしゃれ。それを叶えてくれるのがユニクロ・ZARA・無印良品・GAP・H&Mの6大コスパブランドであるのだとか。さらに、シーズンごとに新しい服に挑戦していると、自然におしゃれの基礎力がつき、服を見る目が養われるといいます。服を着ていく上での気構えが、きれいになるために努力する姿勢。どんなに服を揃えても、きれいに着こなす努力を怠っては意味がありません。つねにベストコンディションな自分を目指して、旬の服を努力して着る。その姿勢こそが自信となって女性を美しく見せてくれるのかもしれません。■走り回る日こそ、ヒール靴朝起きて、「今日は忙しくなりそう」と思ったら、ヒール靴を選びます。この話をすると「忙しいなら、スニーカーやバレエシューズのほうがラクじゃない? 」と返されることが多いのですが、私は“忙しい日こそきれいを磨く日”と考えてヒール靴。はくだけでぺたんこ靴より1.5倍のカロリー消費できるという話を聞いたことがあるし、ふくらはぎの筋肉が鍛えられて美脚にも近づける。バランスだってよく見えるし、気持ちも引き締まる。そんな絶好の機会を見逃すなんて、私にはもったいなくてできません。(12ページより引用)何とも耳が痛い話で、走るときは楽なほうについ逃げがちなのが足元のおしゃれです。そのためにも、著者は走れるヒール靴を日常的にこまめに試着して探しているといいます。そして、足に合う靴に出会えたら運命の一足だと思って即購入。それほど、走れるヒール靴に出会える確率は低いようです。著者のおすすめはバビロンとプールサイド。はく前のクッション性、はいたときの甲やかかとのチェック、店内を最低二周して痛くないか、脱げないかを見極める。やはり、ここでも美人になるための努力が必要なようです。そうはいっても著者は、1日ヒールで足が痛くなるときのために、バッグにぺたんこ靴を忍ばせておくことも推奨しています。それだと気持ちに余裕も生まれますね。■ブランド物は思い出と一緒に買うデイリーなコーディネートを上品に格上げしてくれるブランドのレザーバッグは、私にとって欠かせないアイテムです。ただし、流行に任せて買うことはありませんし、少しでも安く買いたいからと、ネットで買うこともありません。たとえば、シャネルのチェーンバッグ。ココ・シャネルには伝記を読んで感銘を受けていました。なので、シャネルの精神が感じられるバッグは、スタイリストを目指していたときから、いつか絶対手にしたいと思っていました。それもパリのカンボン通りにある本店で。念願叶って買ったバッグは、私に自信を与えてくれました。孫の代まで受け継げるよう大切に使いたいと思っています。(38ページより引用)デイリーなプチプラブランドを上手に取り入れるとはいっても、良いものも一品は身に着けたいものです。そういう意味でも、やたらにブランド物を身につけるのではなく、志やストーリーを持った良品を末長く持ち続けたいものです。たとえば著者は、前述のシャネルバッグをスタイリストとして独り立ちした記念にパリのシャネル本店で購入しています。あるいは、初めて表紙を担当した記念にセリーヌのバッグを表参道の路面店で購入。どういう場所で、どういうものを、どんなタイミングで購入するのか……。物を見るたびに、そのときの状況や心持ちまで、鮮やかに蘇ってきそうです。身の丈に合った服を身にまとい、思い出がつまった良品を手に。今日も1日美しくがんばっていくエネルギーを発していきたいものです。『身の丈に合った服で美人になる』書籍情報出典:身の丈に合った服で美人になる著者:小山田早織発行:講談社単行本 : 128ページ発売日:2017/9/6価格:1200円+税[公式サイト]著者小山田早織さんプロフィール日本一忙しいスタイリスト・小山田早織。『with』『GISEL』をはじめ、各ファッション誌で活躍中。日本テレビ『ヒルナンデス!』では、流行を分かりやすく噛み砕いたコメントで人気に。自身のブランド「TOKYO STYLIST THE ONE EDITION」も手掛ける。Instagramのフォロワーは5.8万超え。
2017年10月05日積んであるあの本が、私を待っている……。少し早く帰れそうな夜、DRESS世代に、じっくりと読み進めてほしい本をご紹介する連載【積読を崩す夜】。8回目は、『パリが教えてくれたボン・シックな毎日』(著:弓・シャロー)を取り上げます。著者の弓・シャローさんは日本の名家出身で、在仏51年の79歳。パリでデザイナーとして活躍してきました。のびのびと楽しい、本物のボン・シック(=趣味の良い)なおしゃれの仕方、暮らし方などを教えてくれます。■パリは住む人の美意識を育てる街そして、暮らし始めてすぐに気が付いたのが、パリの街の鏡の多さ。全身が映る鏡が至るところにあるのです。建物の入り口やエレベーターの中、レストランやカフェの店内……。人々は日に何度も自分の全身をチェックする(させられる?)ことになって、さすがにおしゃれな国は違うと思いました。「センスは1日では磨かれない」ことを感じます。(31ページより引用)著者は、日本の名家に生まれましたが、戦争を通じて生活が激変したといいます。しかし、モダンで先進的な考えを持った祖父母や父母のもとで、既成概念にとらわれない進路を選択していきます。絵が好きだったことから、女子美術大学、セツ・モードセミナーにと進み、やがてファッションへの道が開かれていきます。日本での仕事は順調そのもの。しかし、自分の力を試してみたいという希望を持って28歳のときに、単身パリへと向かいます。英語、フランス語の勉強をしながら、ファッションデザインの仕事につながり、そしてディオールのアシスタントデザイナーに。加えて日本の雑誌のスタイリングや、テレビ番組のルポなど、幅広く活躍するようになります。そんな著者は、世界中のいろいろな街を訪れた中で、美しい街といえば、やはりパリであるといいます。街の景観そのものもシックであると同時に、住む人の美意識を育てるような街のあり方にポイントがあるようです。日本の街中はパリほどには鏡がないのかもしれません。しかし、ショーウィンドウに映る自分の姿や、ちょっとした鏡を意識して探せば、パリジェンヌの美に対する意気込みを真似することができそうです。正面から見た自分の姿だけではなく、街中に映る自分の姿をこまめにチェックして、パリ的・美の感性を磨きたいものですね。■アクセサリーのつけ方で体型もイメージも変わって見えるまず、コサージュやブローチを着ける位置。鏡を見ながら「ここだ!」と思ったところから5センチほど上、鎖骨の上ぐらいでしょうか。そこがバランスのいい定位置。そこに留めましょう。たいていの方が下を見ながら着けているので、どうしても下のほうに着けてしまうみたいですね。なるべく上に留めたほうがシャープで洗練された印象を与えますよ。(55ページより引用)そもそも日本人には、若いうちから日常的にコサージュやブローチをつける習慣があまりないのかもしれません。つけ慣れていないからか、たまにつけると、とってつけた感がどうしても否めません。フランス映画を見ていると、カジュアルなジーンズにストール、そして大きなブローチなんていう粋なパリジェンヌのスタイリングを目にすることがあります。まずは、ジャケットの胸元に、巻き物のアクセントにと、コサージュやブローチに挑戦してみたくなります。つける位置も思い切って、「気持ち上目の位置」でチャレンジしたいものです。著者はさらに、ネックレスとブローチの合わせ技の提案をしてくれます。細めのロングネックレスやラリエットを首にぐるぐると巻いた後、最後にブローチを引っかけるだけで、一味違う目を引くアクセサリーを演出できるといいます。既成概念にとらわれないおしゃれの仕方、それがボン・シックのようです。■老いが出やすいパーツの手入れを怠らない手は年齢を如実に映し出す場所ですよね。私はまず日焼けをしないように気を付けています。それから、朝夕の顔につけるクリームを手にもお裾分け。顔にクリームをつけるとき、私は左手の甲に乗せてから顔に伸ばしますが、このとき残ったクリームを左手の甲と右手の甲をこすり合わせて、両手首まで伸ばすのです。たったこれだけのことですが、習慣化すればかなり差が出ますよ。(132ページより引用)著者は、姿勢、ヘアスタイル、爪などの手元に老いが出やすいといいます。毎朝、自己流のストレッチで体をほぐし、髪の毛のカラーリングとツヤのお手入れは欠かさないのだとか。爪については、お茶を出す、物を手渡す、口元に手を当てるなど、他人からよく見られやすいパーツです。著者は、短めに切った爪にピンクベージュのマニキュアをこまめに塗り替えているといいます。そして手。何かと酷使する手は、どのようにお手入れすることがベストなのか、本当に悩ましいところです。顔につけるクリームや化粧水を、ついでに手の甲につけるくらいなら、日常的に継続できそうな気がしますね。効果的にポイントの部分をしっかりケアすることで、パリのマダム流・美しさをキープできるのではないでしょうか。『パリが教えてくれたボン・シックな毎日』書籍情報出典:パリが教えてくれたボン・シックな毎日著者:弓・シャロー発行:扶桑社単行本 : 206ページ発売日:2017/4/27価格:1500円+税[公式サイト]著者 弓・シャローさんプロフィール1938年、東京麻布・鳥居坂に生まれる。1966年、渡仏。31歳でフランス人航空エンジニアのジャン・クロード・シャローと結婚し、ひとり息子をもうける。デザイナー、イラストレーター、スタイリスト、ジャーナリストとして活躍。
2017年09月07日積んであるあの本が、私を待っている……。少し早く帰れそうな夜、DRESS世代に、じっくりと読み進めてほしい本をご紹介する連載【積読を崩す夜】。7回目は、『和食の食べ方を知れば、女性はもっと美しくなる』(著:エリカ・アンギャル)を取り上げます。2013年にユネスコ無形文化遺産にも登録された和食は、いまや世界中で大ブーム。エリカ・アンギャルが提案する、その美容効果や、ダイエットに有効な食べ方をご紹介します。■一汁三菜は美ボディを作る奇跡のバランス食一汁三菜の食事は、糖質だけでなく、魚や大豆製品などのたんぱく質も同時にとるため、血糖値が急激に上がりにくく、ごはんを食べ過ぎない限り太ることはありません(中略)しかしながら、現代女性でいつも一汁三菜の食事をとっている人は減っているようです。忙しくて何品も作る暇がないことも大きな理由でしょう。だからといってあきらめないでください。一汁三菜の栄養バランスを一品で満たすことも可能です。おすすめは、具だくさん味噌汁です。味噌汁に、野菜数種と、ツナや卵、豆腐などのたんぱく質もたっぷり加えればいいのです。(33~34ページより引用)一汁三菜とは、汁物、主菜、副菜2品にごはんという、和食の基本的な献立のことをいいます。たとえば、焼き魚が主菜、おひたし・ひじきが副菜、そして味噌汁にごはんというラインナップが一汁三菜に値します。一汁三菜の食事は、たんぱく質や良質の脂質、糖質など、あらゆる栄養をバランスよくとることができるといいます。低糖質ダイエットなどの影響からか、ごはんは太りやすいという理由で、和食全般を敬遠する人が多いのだとか。むしろ、食パンやベーグルだけの食事のほうが、血糖値の観点でいうと、一汁三菜よりも太りやすいようです。しかし、忙しい毎日を過ごす現代に生きる私たちが、毎日、一汁三菜を作って食べるということは実際にはなかなか難しいものです。そういうときは、味噌汁にいろいろな具材を入れればよいというアイディアは嬉しいですね。具だくさんの味噌汁といっしょに、おにぎりなどを加えれば、立派な一汁三菜に。工夫して、毎日の食生活に一汁三菜の考え方を取り入れていきたいものです。■「枝豆ダイエット」が海外で大流行?海外で大人気になっている日本の食材のひとつに、枝豆があります(中略)良質の植物性たんぱく質を含むうえ、女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボンも豊富です。満腹感も高く、小腹がすいたときのおやつにもぴったりです。また日本ではあまり知られていませんが、抗酸化成分も含まれています。このように枝豆は、実は栄養バランスのとれた“スーパーフード”なのです。そのため海外ではヘルシーな食べ物として知られており、枝豆を間食にする“枝豆ダイエット”も流行中。(98ページより引用)枝豆といえば、日本では、居酒屋のおつまみや、夏のビールのおともというイメージが強いかもしれませんが、実はビューティー成分の宝庫であると著者はいいます。また、日本では枝豆を塩ゆでして食べるタイプがスタンダード。しかし、海外ではゆでた枝豆をペースト状にしてオイルや塩、にんにくを加えた“フムス”を、野菜スティックやライスクラッカーにつけて食べたりと、さまざまなアレンジを楽しんでいるようです。満腹感も高く、小腹が空いたときのおやつにもぴったりな枝豆。その枝豆に、大豆イソフラボンや抗酸化成分が豊富に含まれているということは、覚えておきたいものです。大豆イソフラボンといえば、豆腐が有名。女性の体の中で女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをするため、豆腐などの大豆食品をよく摂ると、更年期などのトラブルに対する予防効果があると著者はいいます。3カ月、毎日大豆イソフラボンを40g摂取するとシワが減り、8週目には肌の弾力が増えるという実験結果も出ているとか。夏場の食欲が落ちやすい時期に、枝豆や豆腐を積極的にいただくことで、美肌効果の期待ができそうです。■腹筋よりも1日3杯の緑茶でお腹痩せ緑茶には、抗酸化作用が高い“カテキン”や“ポリフェノール”が多く含まれます(中略)1日2杯(各250ml)の緑茶を飲むと、4週間でDNAの損傷が20%軽減するという研究結果があり、これはカテキンによるものと考えられます。また、最近の研究では、食事やライフスタイルを変えることなく、1日3杯の緑茶を飲むだけで、2ヶ月で体重が平均1.2kg、ウエストが約2cm減ったという結果が出たそうです。(104~105ページより引用)日本人におなじみの緑茶は、海外では“奇跡の飲み物”と呼ばれていて、健康やダイエット、そしてアンチエイジングにも効果的であると著者はいいます。緑茶の中のカテキンは、血圧や体脂肪の調節効果、血糖値の改善効果まで見込めるようです。さらに、緑茶のうまみのもとであるテアニンという成分には、リラックス効果もあるのだとか。たしかに、緑茶をいただくと、どこかほっとする気がします。緑茶には、胃がんなどのがんを防ぐ効果もあるとされていますが、お茶の産地でもある静岡県掛川市は、がんによる死亡率が日本一低いのだとか。緑茶を1日3杯飲んでリラックス。DNA損傷を防いでくれるうえにスリムになれるのだとしたら、こんなにうれしいことはないですね。『和食の食べ方を知れば、女性はもっと美しくなる』書籍情報和食の食べ方を知れば、女性はもっと美しくなれる著者:エリカ・アンギャル発行:学研プラス単行本 : 192ページ発売日:2017/6/29価格:1300円+税[公式サイト]著者 エリカ・アンギャルさんプロフィールオーストラリア・シドニー生まれ。シドニー工科大学卒業、健康科学学士。1985年初来日。伝統和食をこよなく愛し見聞を広げる。2004年より8年間ミス・ユニバース・ジャパン公式栄養コンサルタントを務める。
2017年08月10日積んであるあの本が、私を待っている……。少し早く帰れそうな夜、DRESS世代に、じっくりと読み進めてほしい本をご紹介する連載【積読を崩す夜】。6回目は、『大人美容 始めること、やめること』(著:地曳いく子、山本浩未)を取り上げます。同じ化粧品、同じメイク法がなんだか急にしっくりこない……。おしゃれと美容のプロが、年齢と共に美しくなるハウツーを教えてくれます。■『大人美容 始めること、やめること』で教わった、化粧品のルール化粧品の場合も、私は2年に1回のタイミングで「アップデート」を行っています。ファンデーション・アイシャドウ・口紅といったメイクアップアイテムを見直して、今の気分に合っていないものは、思いきって整理。パッと見は同じような色でも、新しいものをつけてみると違うのは「質感」。ファンデーションのツヤ感、アイシャドウのパール感、口紅の発色……こうした、新しい質感が「今っぽい顔」を作ってくれるわけです。(25ページより引用)本の中には幾度となく、「アップデートがなにより大切」と説かれています。ベーシックなメイク道具ほど、素人には変化がぱっと見たところ、わかりにくいものです。たとえば、使い慣れたシックなチーク、パールのアイシャドウ。店頭に並んでいるものと自分の手元にあるものは、ほとんど同じように見えますが、実際につけてみると何か違って見えるから不思議です。たしかに、筆者自身も美容部員の方に、「同じカラーでも、毎年買い替えたほうがよいですよ」と、薦められたことがあります。その年の流行は微妙に違うもの。お気に入りだからといって、同じアイテムを使い続けていたら、どうなってしまうのでしょうか……。「質感」が古いと、どことなく古い顔になってしまうということは、たしかに納得できるところです。また、化粧品には流行のほかにも、使用期限というタイムリミットもあるといいます。マスカラも開封してしばらくすると、何やら質感に変化が出てきます。肌にのせるものは、いろいろな意味で新鮮であることは大切でしょう。自分が気に入っていて、ポリシーのある色使いをしていたとしても、プロの意見を聞きながら、定期的にアップデートすること。これこそが、大人が始めることであり、やめることの第一歩かもしれません。■「ひと手間」を習慣にする洗面台置き「よし、今日からお手入れひと手間を頑張ろう!」と決心しても、それを忘れてしまっては意味がありませんよね。私はいつも、まつ毛美容液を塗るのを忘れていたので、洗面台の歯ブラシ置き場に置いて、朝晩歯を磨くついでに塗るようにしました。2ヶ月もするとちゃんと生えてきて、「やっぱり続ければ効果があるんだ!」と感動。以来、ハンドクリームなど習慣づけたい基本アイテムは、全部洗面台に置いています。習慣にしたほうがいいものは、置き場所を工夫すると忘れにくく、面倒にもなりません。(30ページより引用)毎日忙しいと、必要最低限のお手入れをしたら、早く寝てしまいたいと思うところです。しかし、行動の動線上にお手入れグッズを置いておけば、自分にも負担なく継続できそうです。たしかに、手がきれいな人に聞いてみると、だいたい「特別なことはしていないけれど、ハンドクリームを水回りに1本置くようにしている」と答えてくれます。それ以来、筆者もキッチンと洗面台には置くようにしています。また、基礎化粧品でケアしたついでに、手の甲にも残った化粧品を擦り込んでいる、とか。洗顔後に化粧水をつけ忘れることはなくても、プラスアルファのお手入れについては、つい手を抜いてしまいがち。今までは年齢が持つ力で何とかやってこられたのかもしれませんが、40~50代に向かっていくときには、ちょっとしたひと手間を習慣化していくことが大切なようです。お金をかけたスペシャルケアを数カ月に1回どかんと施すよりも、毎日の積み重ねこそが効果を呼ぶこともあります。どんなに忙しくても、これからの時間をより大切に、できるだけ美しく過ごすためにも、ひと手間を習慣化する「洗面台置き」は始めてみたいことのひとつです。■「落とす・補う・守る」の基本を守るだけ「落とす」は、クレンジング。メイクや角質など、役目の終わったもの・必要のなくなったものを落とすことが目的です。「キュッキュッとしないと落とした気がしない」という人も多いのですが、それは落としすぎ。なんといっても大人はドライフルーツですから、洗いすぎて乾かないように要注意。「補う」は、落としたあとのお肌に潤いを与えること。水気が残っている肌にオイルを1滴なじませてから化粧水を入れるとよりしっとりします。「守る」は、夜なら化粧水のあとにクリームで蓋をする、昼ならUVカットクリームで紫外線をガードすることです。(132ページより引用)落として補って守る。一通りの基本をきちんとして、少しでもきれいをアップデートできるのであれば、今日から早速実践したいものです。そういう筆者も、30代会社員時代には、残業してやっとの思いで自宅に帰り、食事の準備や家のことをすべて終えると、疲れ果ててメイクを落とさないまま、ソファで寝落ちしてしまうことも、しばしばでした。当時はあまりに忙しくて、買い物に行く時間もとれず、通販で買う気力すらないときも。そんなタイミングで乳液のストックを切らしてしまい、やむなくハンドクリームを顔に塗って代用したことも。ずいぶんと肌を酷使してきました。そのツケを感じる今日この頃。だからこそ、洗いすぎて落としすぎないこと、その後に特別なアイテムではなかったとしても、きちんと補うこと。やはり大人世代は、始めることとやめることをしっかりと見極めて、美容のスタイルを作っていくことが重要なのでしょう。『大人美容 始めること、やめること』書籍情報出典:大人美容 始めること、やめること著者:地曳いく子、山本浩未発行:宝島社単行本 : 173ページ発売日:2017/4/13価格:1200円+税[公式サイト]著者 地曳いく子さん、山本浩未さんプロフィール地曳いく子さん1959年生まれ、東京は築地出身の江戸っ子。ファッション誌のスタイリストとしてキャリア30年超を誇る。ファッション迷子になりがちな50歳からの着こなしについていち早く提言した書籍『50歳、おしゃれ元年。』(集英社)を皮切りに、「週2回は同じ服を着てもいい」「いろいろなテイストを着こなさなくてもいい」など、ファッション界のタブーに切り込んだ書籍『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』(ともに宝島社)が累計44万部を突破するなど、時代に新風をもたらす新しいおしゃれの切り口がつねに注目を集める。山本浩未さん1964年生まれ、広島県福山市出身。資生堂ビューティークリエーション研究所を経て独立。「今すぐ実践できるテクニック」を発信するヘアメイクアップの第一人者。明るいキャラクターと明快なメイク理論が人気となり、メイクアップや美容コラムの執筆など多数の連載を持つほか、テレビや講演会、トークショーでも活躍。化粧品や美容グッズの開発にも携わる。近年は、美容だけでなく健康的に美しく暮らすライフスタイルも提案し、世代を超えた女性たちの支持を集めている。
2017年07月18日