俳優の中村雅俊と五十嵐淳子夫妻の三女でモデルの中村里砂が、芸能界デビュー1周年を迎えた。2010年にモデルデビューを果たし、女性誌『LARME』(徳間書店)のレギュラーモデルを務めるなど、ガーリー系女子の間で高い人気を誇っているが“2世”であることを公表したのはタレント活動を始めた1年前から。活動の場を広げたのも自らの意思で、「テレビに出演することも全部決まってから報告した」という。「最初は両親とも、すごく驚いていました」と話す中村が、芸能界デビュー後の変化や両親への思いを語った。<全身ショット>中村里砂、キュートなミニスカ&バニー風衣装2014年、両親の結婚記念日でもある2月1日から本格的にタレント活動をスタートさせた中村。1年間を振り返り「改めてデビューと言われると恥ずかしいですね」と照れ笑いを浮かべる。自身としては「モデル業に加えて、テレビという活動の場がひとつ増えた程度にしか捉えていなかった」というが、テレビ露出が増えることでファン層の変化や広がりを実感。「これまでのわたしを知らない人にも、常に新しいわたしを発信していけたら」という思いと旺盛なサービス精神から、最近ではバラエティ番組で家族とのエピソードやプライベートを明かして注目を集めている。「仕事が忙しい時には、お母さんが作るあたたかいごはんは、やっぱり嬉しいですね」と良好な親子関係を明かした中村。「すごく料理が上手なんですよ。ごはんも土鍋で炊くなどしてこだわっていて。特に和食がおいしいんです」と、母・五十嵐淳子の料理を絶賛した。また、2月1日は父・中村雅俊の誕生日だが、「プレゼントってあげたことがなくて…」とポツリ。「何をあげればいいかわからないんです。今年は渡せたらいいなと思います」と、娘としての顔ものぞかせる。家族のエピソードを語ることが増えたが、ここまで両親の力を借りることなく自らで道を切り開いてきた。“2世タレント”という言葉の裏に“親の七光り”という特権を見る視聴者は多いが、「自分のやっていることには責任を持ちたいし、やるからには1ミリも妥協したくない」と力を込める。もともと自立心は旺盛で、「(幼少の頃から)なんでも自分で決めたいタイプ。両親がダメといっても聞かない子だった」という中村。「小さい頃から舞台などは連れられて観に行く機会も多くて、役者の仕事をやってみたら、と言われたこともあった」というが、自らの意思でモデル業からスタート。「みんなでひとつのものを作り上げる作業が好き」だったこともあり、モデルの仕事を続けているうちに、俳優業にも自然と興味を抱くようになった。「両親とは進んできた道が違うから、自分はマイペースに」と語る中村。その大きな瞳からは、持ち前の自立心と、芸能生活2年目に挑む決意が感じられた。
2015年02月01日11月30日より幕を開けた京都・南座での「吉例顔見世興行」。今年は『新檜舞台開き』と銘打ち、新装開場以来23年ぶりに全面張り替えを行った檜舞台の上で行われる。吉例顔見世興行ぴあスペシャル☆特別席<後半分>チケット情報演目は、昼の部、夜の部とも、歌舞伎の故郷・京都に所縁のあるものが多く、歌舞伎三大名作の一つ『仮名手本忠臣蔵』から、江戸の生世話、新歌舞伎、上方の名作、歌舞伎舞踊までと、「吉例顔見世興行」を毎年観ている方から、歌舞伎を初めて観る方まで幅広く、歌舞伎の多彩な魅力を堪能できる豪華な狂言立てとなっている。<昼の部>の『藤十郎の恋』は、初世中村鴈治郎ゆかりのお家芸を中村扇雀がいよいよ顔見世で披露。芝居の役作りのため茶屋の女房に偽りの恋を仕掛けるという菊池寛の傑作だ。『新口村』は、中村梅玉・片岡我當・片岡秀太郎という上方ゆかりの俳優達がしっとりと演じる叙情溢れる名作。『魚屋宗五郎』は、顔見世には七年ぶりの出演となる松本幸四郎が至芸で魅せる江戸世話物の代表作。そして、一昨年に急逝した中村勘三郎が新しい歌舞伎座での上演を熱望していた『仮名手本忠臣蔵七段目』も見逃せない。片岡仁左衛門が中村勘九郎、七之助とともに勘三郎を偲んで演じる。続いて、<夜の部>は『仮名手本忠臣蔵九段目』から上演。坂田藤十郎、幸四郎をはじめとする東西の大顔合わせで楽しめる、義太夫狂言の傑作だ。仁左衛門が江戸っ子の“粋”を颯爽と漂わせ、踊り上げる華やかな一幕である『お祭り』に続いては、祇園界隈を舞台とした新歌舞伎の名作『鳥辺山心中』。悲恋の物語を中村橋之助・片岡孝太郎がしとやかに演じる。最後は、狐と鷹に身を扮してのダイナミックな舞踊劇を勘九郎・七之助が若さと力量を存分に発揮し激しい踊りで魅せる。歌舞伎ならではの手法を取り入れた圧倒的な迫力に注目!江戸時代からの“芝居正月”の伝統を古式ゆかしく今に伝える南座の「吉例顔見世興行」。今年も豪華な顔ぶれと狂言立てが出揃った。特に今年は東から幸四郎、勘九郎、七之助といった様々なジャンルで活躍する人気俳優が出演。中村兄弟は仁左衛門と共に亡き父・勘三郎を偲び、南座の新しくなった檜舞台で熱演を繰り広げる。これらの作品を1階の桟敷席または2階最前列の特別席からたっぷりと楽しめるのが、「ぴあスペシャル☆特別席」だ。通常、プレイガイドでの取り扱いのない特別席を、この「吉例顔見世興行」に限ってチケットぴあで発売中!(後半分 12/14~12/26)。なかなか手に入らないプレミアムシートでの歌舞伎鑑賞は、至極の時間を味わえるに違いない。
2014年12月08日1世紀に渡り親しまれてきた新宿の老舗食品メーカー「中村屋」が、新宿本店ビルの建て替えにあたり、新たに「中村屋サロン美術館」を開館する。10月29日のグランドオープンに先駆けた内覧会では、開館記念特別展「中村屋サロン―ここで生まれた、ここから生まれた―」がお披露目された。新宿中村屋ビル3階に設えられた中村屋サロン美術館は、展示室と多目的スペースを備えた約240平方メートルの文化芸術施設としてオープンする。白と赤の壁、木製の什器とレトロなランプが落ち着いた雰囲気。開館記念展は、中村屋から広まった近代日本の芸術潮流であり、また館名の由来ともなった「中村屋サロン」にスポットを当てる。荻原守衛、中村彝、高村光太郎、會津八一、中原悌二郎ら関連する作家による絵画、彫刻および書など約50点を集め、明治から昭和に掛けての芸術家達の文化交流の様相を提示した。中村屋の創業者である相馬愛蔵・黒光夫妻は芸術に深い理解を示した文化人である。愛蔵と同郷の彫刻家・荻原守衛(碌山)を中心に、中村屋には多くの芸術家達が自然と集い、その様子がさながらヨーロッパのサロンのようであったことから、夫妻のもとに開花した芸術潮流は「中村屋サロン」と呼ばれた。同館の染谷省三館長は、「ここ新宿中村屋で生まれ、発信された芸術文化は中村屋のアイデンティティーである。それを後世に伝え、また人々の文化的集いの場“サロン”となる美術館にしたい」と話す。本展の目玉となる作品が、萩原守衛によるブロンズ彫像『女』だ。不安定な膝立ちのポーズに秘められた躍動感を感じる一作であり、その造形美は必見である。同館の太田美喜子学芸員は、「美術史上ではよく知られた“中村屋サロン”の一般認知度の低下を食い止めるとともに、若者にその存在をもっと知ってもらいたい」と言い、若い世代の鑑賞者に向けて、出品作の中から中村彝の油彩画『小女』を推薦した。相馬夫妻の長女・俊子をモデルに制作された本作は、肺病に侵された画家とモデルの恋のエピソードで有名。俊子の強いまなざしときりりとした太い眉、頬にさす紅色の生命感が鮮烈で、どこか現代にも通ずる魅力を持った作品だ。その他、高村光太郎の『自画像』や、鶴田吾郎の『盲目のエロシェンコ』など有名作が出展され、コンパクトながら見どころの多い展覧会にまとめられた。かつて多くの企業美術館が立ち並んだ新宿。新たな新宿の芸術サロンとしての同館の今後に注目したい。【イベント情報】中村屋サロン美術館 開館記念特別展「中村屋サロン―ここで生まれた、ここから生まれた―」会場:中村屋サロン美術館住所:東京都新宿区新宿3-26-13 新宿中村屋ビル3階会期:2014年10月29日から2015年2月15日時間:10:30から19:00休館日:火曜日、1月1日(火曜が祝祭日の場合は開館、翌日休館)入館料:300円
2014年10月22日中村アン 秋冬イベント出演抜群のプロポーションにストレートな発言で人気急上昇中の中村アンさん。バラエティ番組にひっぱりだこの彼女はタレントとして活躍の幅を広げています。もちろん、本業ともいえるモデルのお仕事もノリにのっていて、彼女のオフィシャルブログによれば、8月~10月にかけて複数のファッションイベントに出演が決まっています。ヘビロテアイテムは?同ブログでは、彼女のプライベートをのぞき見ることができ、7月23日付けの記事ではヘビロテアイテムを紹介。「カシウエアの触りに病みつきです」と愛用品を大絶賛しています。また、私服も公開されており、同ブログ7月26日付け記事では、オーシャンパシフィックの水着写真が載せられています。「かわいいし 形がキレイだししっかりしてる」とモデルらしいコメントも。もう秋物ですトレンドの先取りがモデルの宿命。同ブログ7月27日付けの記事では、「and GIRL」の撮影で秋物の撮影をしたことを明かしました。スタッフが半袖のなか、長袖のトップスや厚手のパンツをスマートに着こなす姿はさすがプロ!モノトーンのシックなコーディネイトが秋らしさを誘っています。しかし、同日の私服はスイカ柄のワンピース。スタバのドリンクを片手にまだまだ夏を楽しんでいる写真がアップされています。【参考】・中村アン オフィシャルブログ
2014年07月29日資生堂ギャラリーは、昨年永眠したグラフィックデザイナー兼アートディレクターの中村真の没後初となる回顧展「中村誠の資生堂 美人を創る」を開催している。6月29日まで。本展では、資生堂のイラスト広告を写真広告へと転換させた中村の創作プロセスを、自宅に遺されていた記録写真や校正刷りポスターなどの未公開資料を交えながら展示。モデルに山口小夜子を起用した香水の広告など、数々のポスターも紹介する。デザイン評論家の柏木博、グラフィックデザイナーの佐藤卓と松永真を迎えてのトークショーも6月22日の14時より資生堂銀座ビル3階の花椿ホールにて実施(申し込み制)。中村は1926年岩手生まれ。東京美術学校(現・東京藝術大学)を卒業後し、49年に資生堂に入社。写真を用いた写真表現で頭角を表し、50年代半ばから80年代まで多くの広告を製作した。資生堂の宣伝部政策室長から顧問までを務め、国際グラフィック連盟などで幅広く活動し、93年に紫綬褒章受章。2013年6月永眠。【イベント情報】「中村誠の資生堂 美人を創る」展会場:資生堂ギャラリー住所:東京都中央区銀座8-8-3東京銀座資生堂ビル地下1階会期:6月3日から6月29日時間:11:00から19:00(日曜日は18:00まで)休館日:月曜日入場無料
2014年06月10日戦前のイラスト広告を写真へ資生堂ギャラリー(東京都中央区)で昨年永眠した中村誠氏の回顧展「中村誠の資生堂 美人を創る」が開催される。中村誠氏は資生堂の広告を数多く手がけてきたグラフィックデザイナーでアートディレクター。1949年に資生堂に入社してから戦前の資生堂のイラスト広告を写真広告へ転換させた人物として知られている。ただ単にイラストから写真へ変えただけでなく、その仕事内容は実に繊細なもの。中村氏は生前「計数に表現することのできない表情とか、雰囲気、空気感を大切にしてきた」と語っていた。資生堂が確立していた独自のイラスト広告の伝統を受け継ぎながら、製版の工夫、大胆なトリミングといった手法により広告を進化させていった。(画像はプレスリリースより)「一業、一社、一生、一広告」中村氏が築いたスタイルは他の人ではできなかったということは、こんなエピソードからうかがえる。「一業、一社、一生、一広告」、これは中村氏が企業デザイナーとして掲げていたモットー。「企業のアイデンティティーをビジュアライズするのがアートディレクターの仕事」と語っており、生涯、企業イメージの創出に力を注いだ。そんな実直な意識のもと生み出された広告だからこそ、見る人に深い印象を与えるものになったのだろう。中村氏の広告は国内だけでなく海外でも賞を得るなど世界的に高く評価されている。回顧展は2014年6月3日(火)~6月29日(日)11:00-19:00 (日曜のみ11:00-18:00) 開催される。【参考】・株式会社資生堂 プレスリリース(PRTIME)
2014年05月30日6月28日、東京・歌舞伎座新開場柿葺落「八月納涼歌舞伎」に出演する坂東三津五郎、中村福助、中村扇雀、中村橋之助、坂東彌十郎、中村勘九郎、中村七之助が揃いの浴衣に身を包み、歌舞伎座タワー5階の屋上庭園で制作発表会見を行った。歌舞伎座の建替え前は8月の恒例となっていた「納涼歌舞伎」。新しく開場した歌舞伎座で4年ぶりに復活する。三津五郎は「この納涼歌舞伎を引っ張ってくれた中村屋(勘三郎)は新しい歌舞伎座での納涼歌舞伎を楽しみにしていました。残念なことにそれは叶いませんでしたが、彼のいない穴を感じさせないよう、ここにいる7人で力を合わせて、一生懸命盛り上げていきます。どうぞご声援のほどよろしくお願いします」と挨拶。続けて福助が、「我々にとって、とても大切な興行です。勘三郎の兄さんも上から力を貸してくれることと思います。勘九郎と七之助が中村屋代表で力をいっぱい出してくれるでしょう。心の中では兄さんと一緒に勤めていきたいと思います」とコメントした。また、扇雀、橋之助、彌十郎もそれぞれ次のように語った。「まさか自分が『狐狸狐狸ばなし』の伊之助をやるとは夢にも思わなかった。新しい歌舞伎座で前へ前へと進んでいく私たちの姿をみなさんにお見せしたい」(扇雀)、「先輩方の情熱を間近でみて、芝居の面白さ、作り方を見てきました。その熱い思いを継いでいくのが、僕たちの使命であり、中村屋の兄貴への恩返しだと思っています」(橋之助)、「中村屋がいつも、“俺たちチームだから”と言ってました。中村屋が見ていたらどう思うか、OKサインもらえるかなって思いながら、今後は観客のみなさまからOKサインをいただけるよう懸命に勤めたい」(彌十郎)。勘三郎への想いを込めて意気込みを語る出演者たち。それを受けて勘三郎の息子である勘九郎と七之助は「納涼歌舞伎は父が楽しみにしていた公演です。いろんなものをやりたいという企画が本当に進んでおりました。今回は残念なことになってしまいましたが、父が歌舞伎座で一番最初に踊りたかった演目であろう、『鏡獅子』を七之助と交代で踊らせていただき、ほんとうに幸せです。父の意思と魂を引き継いで一生懸命勤めたいと思います」(勘九郎)、「みなさまがおっしゃってくださった想いは、空の上で父も喜んでいると思います。そして出られない悔しさもいっぱいだと思います。私もチームの一員として戦力になれるように勤めてまいります」(七之助)と話していた。公演は8月2日(金)から24日(土)まで、東京・歌舞伎座にて。チケットは7月12日(金)より一般発売開始。なお、チケットぴあではプレリザーブ先行を7月4日(木) 11:00より7月10日(水) 11:00まで受付。
2013年07月04日人間国宝で歌舞伎俳優の坂田藤十郎が5月30日、都内で会見を行い、今夏上演される近松座30周年記念『松竹大歌舞伎近松座公演』への意気込みを語った。『松竹大歌舞伎近松座公演』チケット情報昨年、東日本大震災の影響でやむなく中止となったが、今年は震災の影響のあった岩手や福島も回り、改めて開催されることになった。会見で藤十郎は「昨年は震災が起こり、巡業に伺うことができませんでした。今年、また同じメンバーでやらないと言ってもらえたのでぜひ伺いたい。震災に遭われた方に少しでもわれわれの歌舞伎を見てもらい、喜んでいただきたい」と語った。上方を代表する近松門左衛門の作品の上演を目的に、近松座を立ち上げてから今年で30年。当初は自主公演のような形ではじめたという。「江戸歌舞伎と上方歌舞伎、この両方が隆盛にならないといけないと思い、はじめました。上方の役者を先祖に持つ私としては、近松の作品だけを取り上げて、とにかく上方歌舞伎を一生懸命やるんだという気持ちで取り組みました」と当時を振り返る。出演は、藤十郎のほか、中村翫雀、中村扇雀、中村亀鶴、中村壱太郎、中村虎之介と一門の役者が揃う。「30年前の第一回公演『心中天網島』の時は血縁(の役者)は誰も出ていなかったけれど、今回は上方歌舞伎の血の流れている役者が大勢出ていることに、深いものを感じます」と感慨もひとしおの様子。「平成24年度(社)全国公立文化施設協会主催・中央コース『松竹大歌舞伎近松座公演』は6月30日(土)から7月31日(火)まで東京、兵庫ほか各地を回る。また、演目は30周年を記念し、『お目見得御挨拶』『夕霧名残の正月』『曽根崎心中』を上演する。
2012年06月01日4月2日、東京・隅田公園内の仮設劇場・平成中村座にて中村勘三郎が出演する『四月大歌舞伎』が開幕した。江戸の芝居小屋を再現した同劇場だが、昨年11月からのロングラン公演も残すところあと2か月となった。平成中村座『四月大歌舞伎』チケット情報『四月大歌舞伎』の第1部は待望の『法界坊』を上演する。平成中村座が誕生した2000年の第1回公演で上演されたもので、隅田川を舞台に繰り広げられるご当地ものは、まさに平成中村座の代表作。大阪、ニューヨーク公演と上演を重ね、進化を続けた演目だけに、勘三郎の気合も充分。病気復帰以来、初の『法界坊』となったが、アドリブも満載で、場内を走りまわるなど大熱演だった。さらに終盤の舞踊『双面水照月』では、舞台の奥が開き、現実の世界が登場。舞台の向こうに見える東京スカイツリーをバックに、桜吹雪の中での立回りという演出に、観客は大きな拍手と大歓声を送っていた。演出は串田和美。第2部は『小笠原騒動』を上演。1999年に京都・南座で復活上演を果たし、東京、名古屋、福岡と全国で喝采を浴びた話題作が、平成中村座に初登場する。こちらは、終盤の水車と本水を使った演出が見どころで、中村橋之助と中村勘九郎が豪快な立回りをみせる。第1部、2部ともに出演は、勘三郎のほか、中村扇雀、中村橋之助、中村勘九郎、中村七之助、笹野高史と平成中村座ではおなじみの顔ぶれが揃う。勘三郎は今月の上演に際し次のようにコメントを寄せた。『法界坊』については「浅草寺境内に建てたりいろいろな土地で続けてきました。外に出ると浅草だったり大阪、名古屋、さらにはニューヨークだったりするのが面白い。今回はスカイツリーが現れます。花見の季節にもぴったりなのでお楽しみに」。『小笠原騒動』については「本水をつかった演出をやるのが面白い」と語っていた。また、平成中村座の魅力は「役者とお客様の距離も近く、アットホームな雰囲気があります。“生きてる”感じが強い。だから“芝居が生きる”」と話し、「これからも平成中村座は続けていきます」と意欲を見せていた。公演は4月26日(木)まで。チケットは発売中。
2012年04月03日2月より六代目中村勘九郎襲名披露興行を行う中村勘太郎が都内で取材会を行い、現在の心境を語った。襲名興行は2月に東京・新橋演舞場にて、3月に東京・浅草の平成中村座で上演後、主要都市を回る。新橋演舞場二月大歌舞伎<中村勘太郎改め六代目中村勘九郎襲名披露>チケット情報「演舞場と中村座で襲名興行ができるのは、なんだか勘九郎らしいですね。父が19歳の時から夢見て建てた中村座で初の襲名ができる。うれしいですね」と勘太郎。父・勘三郎が勘九郎時代に築いてきた功績は数限りない。1994年よりほぼ毎年、若者の街渋谷で『コクーン歌舞伎』を上演。また、現代の作家に新作歌舞伎を創って欲しいという思いから、串田和美、野田秀樹、渡辺えり、宮藤官九郎などに演出や執筆を依頼し新たなファンを掘り起こした。2000年には中村座にゆかりある浅草に仮設劇場を建て、“平成中村座”として公演を行った。その後この一座は日本国内のみならず、世界各地で上演を行っている。そんな勘九郎の名を継ぐ重責については「とりあえず怖い」と話す。「やっぱり戦ってきた名前ですから。(中村座やコクーンでの上演は)歌舞伎を愛してもらいたい、色々な人に知ってもらいたいって。危機感をずっと持っていたんでしょうね。お客様が入ってくれなきゃ話にならないですし。ただ、新しいことをするとよく思わない人もいますよ。いいものをすることによって戦うというか。熱い魂を持って戦ってきた名前ですね」12月の中村座は勘太郎として最後の舞台出演になる。「今月はいい最後を迎える事ができるんじゃないかな。『積恋雪関扉』の関兵衛は今までの役者人生の中で一番苦心した役ですね。演じた者にしかわからない苦しみや疲れがあります。勘太郎という名前で関兵衛をやらせてもらい、偉大なる先輩方が愛した役で、同じ疲れを自分自身で体感でき、歌舞伎ってこういう楽しさもあるんだなと思いました」今年は震災はもちろん、長男の誕生、父の病気、祖父(七代目中村芝翫)の逝去と勘太郎にとっても大きな出来事が続いた。「すごい年になっちゃいましたね。(父の代役を務めた際)命を削ってでもやりますと言ってたら、本当にそれぐらい大変でした(笑)」2月興行では『土蜘』の僧智籌と、『河内山』松江出雲守、『春興鏡獅子』の弥生での出演が決定している。「『土蜘』は、今まで中村屋にあまり縁のなかった役ですが楽しいです。弥生は、祖父(七代目中村芝翫)と1対1でずっと稽古をやってました。父も祖父もすごく大事にしています。おじいちゃま(十七代目中村勘三郎)も。全員の血が入っているから大切にしなければと思いますね。3人とは体型が違うので、当時振り付けられた踊りをどうこの身長で踊るかですね」襲名興行まであと僅か。「今月の“勘太郎”最後をまずは楽しみたいです。襲名はお祭りですからね。お客様にも楽しんで頂いて、一緒に祝って欲しいです」。公演は2月2日(木)から26日(日)まで新橋演舞場で上演。その後、3月平成中村座、9月に大阪・松竹座、10月に名古屋・御園座、12月に京都・南座、2013年2月に博多・博多座で上演される。
2011年12月22日歌舞伎俳優の中村勘太郎が、来年2月に六代目中村勘九郎襲名披露の成功を祈願して11月27日、東京・浅草寺でお練りを行った。父、中村勘三郎と弟の中村七之助らとともに雷門前を出発し、ゆっくりと本堂までお練りを開始。晴天となったこの日、人気役者を一目見ようと2万5千人が集まり、「中村屋!」と声がかかると笑顔で応えていた。新橋演舞場二月大歌舞伎<中村勘太郎改め六代目中村勘九郎襲名披露>チケット情報勘太郎は「勘九郎という、父が46年間名乗っていた名前を継ぐプレッシャーはあります。みなさまからの笑顔とご声援を胸に、1年間しっかり務めたいと思います」と挨拶。また勘三郎は「勘九郎っていい名前ですけど大した事ありません。(自分が)勘三郎を継いだ時のほうがプレッシャーがありました。気楽にいい勘九郎にしてもらいたい」とエールを送った。勘九郎を名乗る実感がまだ湧かないという勘太郎だが、「謙虚な気持ちと向上心と、ハングリー精神を忘れないように務めたい」と話し、気持ちを引き締めていた。なお、勘太郎としての出演は今年12月の『平成中村座』(東京・浅草)が最後となる。襲名披露は、来年2月2日(木)から26日(日)まで東京・新橋演舞場にて興行を行い、その後、3月に平成中村座、9月に大阪・松竹座、10月に名古屋・御園座、12月に京都・南座、2013年2月に福岡・博多座と各地を回る。新橋演舞場のチケットは12月23日(金)より発売。
2011年11月28日ベストセラー作家・今野敏の人気シリーズ“隠蔽捜査”が、高橋いさをの演出で初の舞台化。真面目一徹な警察官・竜崎伸也を主人公に、現在5作目まで刊行されている同シリーズの1作目『隠蔽捜査』と2作目『果断・隠蔽捜査2』を同じ俳優陣で同時に舞台化した。竜崎演じる上川隆也、その同期の伊丹を演じる中村扇雀ら数名を除き、キャストは10月『1』『2』で全く別の役を演じ分ける。そうした独特のスタイルも話題を呼ぶ2本の舞台が東京・THEATRE1010で19日、ともにプレビュー公演として幕を開けた。「隠蔽捜査」&「果断・隠蔽捜査2」チケット情報まず昼に上演されたのは、シリーズの序章となる『隠蔽捜査』。東大卒のエリート警察官僚・竜崎が自らの正義に基づいて巨大組織と対峙した結果、警察庁を追われて所轄に左遷されるまでを描く。実力派の上川が、実に魅力的な竜崎を生み出している。堅物で表情ひとつ変えないが、本人にはまるで無自覚なユーモアが随所ににじみ出ている点など、どこか上川本人のキャラクターとも重なるようで“ハマり役”の印象が強い。またそうした竜崎の重層的な魅力を、中村扇雀、近江谷太朗ら芸達者な相手役が上手く引き出している。物語の終盤、竜崎は不器用で生真面目すぎる選択によって自らエリート官僚の道を絶つ。だがそれは敗北でなく、歪みに慣れきった社会や人々をわずかばかりでも正すための第一歩だ。脚本の笹部博司がいう『現代のドン・キホーテ(=竜崎)』のこの先の活躍に期待を抱かせる、清々しいラストだった。続く夜公演は『果断・隠蔽捜査2』。大森署の署長に就任した竜崎が自ら指揮を執って制圧した立てこもり事件に意外な事実が発覚し、彼が再び窮地に立つ。『1』とほぼ同一のセットで繰り広げられる本作は、終始緊迫したムードの前作と比べると動きや笑いが多く、アクティブな印象を受ける。ストーリーテラーの役割を軽妙な芝居でこなす、竜崎の部下役・小林十市が好演。署内の人間味あふれる部下に囲まれ、竜崎のキャラクターにも柔らかな変化が見られる。また多くのキャストが『1』とは大きく異なるキャラクターを演じるのも、両作品観劇する観客にとっては大きな見どころのひとつとなるだろう。なおこの2本は2部作ではあるが、1話完結でストーリーテラーによる説明描写もふんだんにあるので、どちらかだけでも十分楽しめる。ユニークなスタイルの演劇を、各々の感性で味わってもらいたい。公演は10月19日(水)から30日(日)まで東京・THEATRE1010、11月3日(木・祝)から6日(日)まで兵庫・新神戸オリエンタル劇場、その他各地でも上演。
2011年10月20日今年9月、東京・新橋演舞場『秀山祭九月大歌舞伎』興行で、三代目中村又五郎、四代目中村歌昇をそれぞれ襲名する歌舞伎俳優の中村歌昇と長男の中村種太郎が、中村吉右衛門、中村歌六らとともに8月22日、東京・浅草寺で「お練り」を行った。チケット情報鳴物の山車と木遣り(きやり)に先導され、雷門を盛大に出発。1万人の人で賑わう仲見世を経て、「播磨屋!」、「又播磨!」などの掛け声が飛び交う中、本堂に向かい成功を祈願した。朝から激しく降っていた雨も「お練り」が始まるとすっかり止み、天さえも味方につけているかのよう。なお、浅草寺での「お練り」は2005年1月の中村勘三郎以来6年7か月ぶり。三代目又五郎を襲名する中村歌昇は、「本日は本当にありがとうございます。お天気の悪い中、木遣りの方々、お囃子のあやめ連の方々、浅草の芸子の皆様、ありがとうございます。皆様のご声援に応えるべく、この道一層の精進をいたし、ひとかどの役者になることが、皆様へのご恩返しだと思っております」とコメント。また、四代目歌昇を襲名する中村種太郎は「このようにお練りをさせていただくことは、色々な方々のお力があってのことだと思っております。感謝の気持ちを持って、一所懸命舞台を勤めることが一番の恩返しだと思ってております」と抱負を語った。播磨屋一門の長である中村吉右衛門は「本日はお足元の悪いなか、かくも賑々しくお運びいただき誠にありがとうございます。皆様方のお力によって、舞台で力を発揮できることと思います。ぜひとも又五郎、歌昇をどうぞ宜しくお願いいたします」と締めた。公演は同劇場にて9月1日(木)から25日(日)まで上演。チケットは発売中。
2011年08月23日