中村勘九郎、七之助を中心に中村屋一門が出演して、2005年から毎年全国を巡業してきた『春暁特別公演』『陽春特別公演』。2020年には一度中止になったものの、2021年の「春暁」には勘九郎の息子である勘太郎と長三郎が巡業公演に初参加、大きな話題を呼んだ。元々は、若いファンから“地方に住んでいると、交通費や宿泊費がかかってなかなか歌舞伎を観に行くことが出来ない”という手紙をもらったことから始まったという、兄弟ふたりが中心の巡業公演。今年も趣向を凝らした演目を用意し、「全国の皆様に楽しんでいただけるように」(勘九郎)と意気込んでいる。まずは勘九郎と七之助、さらに中村屋の部屋子で十八代目勘三郎から「第三の息子」と呼ばれた鶴松を中心に、3月6日から全国16ヶ所を回る『春暁特別公演 2022』。勘九郎と鶴松が出演する「高坏」は、コミカルなストーリーと、次郎冠者(勘九郎)が高下駄で軽快に“和製タップ”を踏むのが見どころだ。七之助が4役を演じる「隅田川千種濡事」も、わずか数秒の早替り(舞台上での早替りも!)で毎回盛り上がる人気の演目。勘九郎は「『高坏』は、父も祖父も踊ってきた中村屋を代表する作品。高下駄で踊る技術も必要ではあるのですが、まずは桜満開の下で踊る春の雰囲気を楽しんでいただけたら」と話す。そして3月30日から全国5カ所を巡る『陽春特別公演 2022』は、勘太郎・長三郎の「玉兎」と、勘九郎・七之助が出演する「色彩間苅豆」の2演目。「玉兎」は元々ひとりの舞踊で、勘太郎が歌舞伎座でも魅せてくれた演目だ。今回は長三郎が加わり二羽の兎に扮する珍しいバージョン。一方の「色彩~」は男女の因果因縁を描いた物語で、百姓与右衛門、実は浪人久保田金五郎を勘九郎が、悲しい運命に翻弄される腰元かさねを七之助が演じる。「親の怨念から顔が醜く変わってしまう哀しい女性ですが、与右衛門への気持ちを大切に」と七之助。勘九郎も「今の女性にも共感していただけるのでは」と語る。また、毎年オンエアされているテレビ番組でも微笑ましい成長ぶりが注目されている勘太郎と長三郎。今年11歳と9歳になるふたりながら、舞台上では芝居心あふれる姿をしっかりと見せてくれる。「最近はいっそう稽古事に身が入っていて、とても心強いですよ」と勘九郎も“共演者”として頼もしげだ。「春暁」「陽春」共にトークコーナーとミニ歌舞伎塾もあるので、歌舞伎ファンはもちろん、歌舞伎ビギナーも盛り上がり必至。楽しみな本番に期待したい。取材・文/佐藤さくら
2022年01月24日今年で17年目を迎える中村屋一門恒例の全国巡業公演。歌舞伎俳優の中村勘九郎、中村七之助がリモート会見で見どころを語った。2022年春は『春暁特別公演』に加え、勘太郎、長三郎の子役を交えた『陽春特別公演』の2公演を上演する。生の歌舞伎の楽しさに触れ「元気になってお帰りいただきたい」と声を揃えるふたり。歌舞伎のいろはを解く「歌舞伎塾」や素顔が垣間見られる人気の「トークコーナー」を交えた構成で、演目にも趣向を凝らす。「中村勘九郎 中村七之助 春暁特別公演2022」「中村勘九郎 中村七之助 中村勘太郎 中村長三郎 陽春特別公演2022」チケット情報『春暁特別公演』で勘九郎はお家芸「高坏(たかつき)」に出演する。花見の席で大名から高坏を買うよう命じられた次郎冠者(勘九郎)。しかし、それが何か分からず「高坏買いましょう」と声を張り上げて歩き出すと、そこへ高足売が現れて……。下駄でタップという趣向が楽しい軽妙洒脱な舞踊劇だ。「祖父の十七代目中村勘三郎が今の演出、振りにしたもので、中村屋にとっても大切な演目のひとつ。華やかな作品でお花見気分を味わって」と勘九郎が陽気に盛り上げる。七之助が勤めるのは心中物「隅田川千種濡事(すみだがわちぐさのぬれごと)」。四世鶴屋南北作「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)」(通称「お染の七役」)の大詰めを長唄の舞踊劇に仕立てたオリジナル演目で、七之助はお染、久松、お光、土手のお六の4役を踊る。「歌舞伎のエンターテインメント性を生でご覧いただける絶好の機会」であると同時に、男女の演じ分けや早替りなど役者、七之助の魅力を存分に堪能できる。続く『陽春特別公演』は勘太郎、長三郎の幼い兄弟が清元で踊る「玉兎」で幕が開く。息子の成長を見守る勘九郎は「何より芝居好きなのが嬉しい」と目を細める。ふたりともすでに踊りは入っているが、「今回はひとりで踊るものをふたり用に変える構成」につき、ブラッシュアップした内容でお届けする。また、今公演では勘太郎、長三郎がイラストを担当した手ぬぐいなどの公演記念グッズを初めて販売することも明かされた。打って変わり、勘九郎と七之助は清元を代表する名作怪談舞踊劇「かさね」を。腰元かさね(七之助)が最愛の与右衛門(勘九郎)に鎌で殺されたことに始まる因果因縁の物語。「男女のドロドロした部分や清元の名文句、名調子、その美しさも見せる。現代の女性にもドラマティックに観ていただけます」と勘九郎。最終的には顔が醜くなり足が折れどん底に突き落とされるかさね。七之助は「女性としてすべてが崩れる様を見せられたら」と語り、踊りでは勘九郎と阿吽の呼吸で魅了する。「互いが磁石のようにべったり引っ付いたり、拒絶し合ったり関係性にメリハリを付けるのが効果的で、そこが踊りの面白さ、深さになってくる。『玉兎』とはガラッと違う踊りを楽しんでいただきたい」とアピールした。『春暁特別公演』は3月6日(日)から26日(土)まで奈良、滋賀、兵庫ほか全国16か所にて、続く『陽春特別公演』は3月30日(水)から4月4日(月)まで大阪・フェニーチェ堺大ホールほか全国5か所にて。チケットは両公演、1月15日(土)10時よりプリセールを実施。取材・文:石橋法子
2022年01月14日中村勘九郎、中村七之助を中心に、中村屋一門が行う全国巡業公演『春暁特別公演2022』『陽春特別公演2022』の開催を前に、両名がリモート取材会を行い、意気込みを語った。地方の歌舞伎ファンに向けた特別公演で、2005年から毎年欠かさず上演。2020年は中止となったが、昨年3月~4月の春暁特別公演で再開し、中村勘太郎、中村長三郎が巡業公演に初参加したことも話題を集めた。『春暁特別公演2022』で披露する「高坏(たかつき)長唄囃子連中」について、勘九郎は「とても華やかな演目。今はお花見が自由にできないですけど、ぜひお花見気分を味わっていただければ」とアピール。また、今回、栃木公演が実現することで“47都道府県制覇”を達成し「やっとですね、念願が叶った」と喜びの声をあげた。高下駄を新調したことも明かし、「以前は父の下駄を使っていたが、やはり人それぞれのサイズ感もあるので。今回が初お目見えになる」。七之助は「隅田川千種濡事(すみだがわちぐさのぬれごと)」にて、四役早替りに挑むことになり「エンターテインメント性が高いので、ぜひ生でお楽しみいただければ」と語った。一方、『陽春特別公演2022』ではふたりの共演で「色彩間苅豆かさね」を披露。「清元(連中)の代表的な作品で、名調子もある。女と男のドロドロした部分も含めて、ストーリーも面白い」(勘九郎)、「かさね役はフランス公演で演じさせていただいたが、日本では初めて。自分自身、すごく楽しみにしている」(七之助)と見どころを紹介した。また、『陽春特別公演2022』の「玉兎(たまうさぎ)」では、勘九郎の息子である勘太郎、長三郎がそれぞれ、月之助役、兎之助役で出演することも決定。勘九郎が「プレッシャーもあるでしょうが、稽古事にも身が入っていて、すくすく成長しており、とても心強い。芝居好きなのが何よりうれしい」と目を細めると、七之助も「特に長三郎は、責任感が高まったように見える」と太鼓判。勘太郎と長三郎の得意な絵をモチーフに、手ぬぐいなどのオフィシャルグッズが発売されることも明かされた。新型コロナウイルスの感染状況が依然不透明な中での全国巡業となるが、勘九郎は「まだまだ歌舞伎を生でご覧になったことがない方がたくさんいらっしゃる。47都道府県制覇に満足せず、より精力的に続けていきたい」と抱負のコメント。七之助は「まだまだ大変な状況ですが、私たちにできることは、お客様に今の苦しみを忘れていただき、少しでも元気になってお帰りいただくこと」と背筋を伸ばした。取材・文:内田涼<公演概要>「中村勘九郎 中村七之助『春暁特別公演2022』」2022年3月6日(日) ~3月26日(土) 全国16カ所【一】高坏(たかつき)長唄囃子連中次郎冠者:中村勘九郎、大名某:中村小三郎、太郎冠者:中村仲助(昼)/中村仲侍(夜)、高足売:中村鶴松【二】トークコーナー中村勘九郎、中村七之助、中村鶴松【三】於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)より「隅田川千種濡事(すみだがわちぐさのぬれごと)」長唄囃子連中許嫁 お光/油屋娘お染:中村七之助、丁稚 久松/土手のお六/猿回し夫婦 長三:中村いてう、猿回し夫婦 お作:澤村國久「中村勘九郎 中村七之助『陽春特別公演2022』」2022年3月30日(水) ~4月4日(月) 全国5カ所【一】玉兎(たまうさぎ) 清元連中月之助:中村勘太郎、兎之助:中村長三郎【二】トーク&ミニ歌舞伎塾中村勘九郎、中村七之助、中村勘太郎、中村長三郎【三】色彩間苅豆かさね 清元連中与右衛門:中村勘九郎、かさね:中村七之助
2022年01月08日「現在歌舞伎座で行われている12月大歌舞伎には、七之助さん目当ての女性客が連日殺到するほどの人気ぶりです」(芸能関係者)歌舞伎界を代表する女形として活躍する中村七之助(38)。人気絶頂の七之助だが、プライベートでは人知れず転期を迎えていた。「’14年8月に交際が報じられた女性・Aさんと今年の夏ごろに別れたそうです。Aさんは北川景子似の一般人で、おしとやかな性格の人でした」(歌舞伎関係者)七之助といえばこれまでエステティシャンの女性やトリンドル玲奈(29)との交際が報じられるなど、梨園きってのモテ男。しかし、Aさんとの交際には、“特別な思い”を抱いていたという。「七之助さんはよくAさんを都内の実家に連れて帰るなど、家族も公認の恋人でした。2年ほど前からは都内のマンションで同棲を開始し、『ずっとそばにいてほしい』と伝えたと聞いています。結婚目前と報じられたこともありました」(前出・歌舞伎関係者)本誌も2人が’17年9月に沖縄県・波照間島でバカンスを楽しむ様子や、歌舞伎公演の休憩時間に自宅で待つAさんのもとへタクシーで駆けつける七之助の姿を目撃。しかし、結婚間近で7年交際したAさんとの別れを選んだという。12月中旬、話を聞くべく本誌は公演終わりの七之助に声をかけた。■「振られたというか…」――最近、Aさんと破局されたとお聞きしました。「残念ながら、実はそうなんです」開口一番、あっさり認めた七之助。どちらから切り出したかを聞くと――。「振られちゃったというか。うーん、いろいろねえ……」結婚間近と報じられていたことについて話を聞くと、「結婚のけの字もなかったですよ」と答えたうえで、こう断言したのだ。「最近は本当に僕自身も、もう結婚する気がなくなってきてしまっていて。こればっかりは正直な今の気持ちですから。しょうがないですね」七之助から飛び出した“非婚宣言”。前出の歌舞伎関係者は背景に兄である中村勘九郎(40)と梨園妻の厳しさがあると指摘する。「勘九郎さんには2人の男の子がいて、長男が勘太郎を、次男が長三郎を襲名しています。以前より跡継ぎのことを考えなくてよくなったことで、結婚に対する意識が薄れてしまったのでしょう。またAさんのことは本当に好きだったそうですが、結婚すると贔屓筋への挨拶回りなど、相当な負担を強いることにもなります。七之助さんはかつてインタビューで『おかみさん業は精神的にかなりキツイ仕事』とも言っていました。急いで結婚する必要もなくなったことで、Aさんのことも考えて前向きに交際を解消したのだと思います」最後に新しい恋について聞くと、「それはもうぜんぜん……」と語ってその場を去った七之助。本誌に破局を明かし非婚宣言した七之助が、梨園妻との“花道”を歩く日は果たして――。
2021年12月21日11月11日よりTBS赤坂ACTシアターにて、『赤坂大歌舞伎』が開幕。出演者コメントと舞台写真が公開された。赤坂大歌舞伎とは、十八代目中村勘三郎の「芸能の街・赤坂で歌舞伎を!」という一言から2008年にスタートし、誰にでも親しみやすい演目で幅広く人気を博してきた名物シリーズ。2013年からは中村勘九郎、中村七之助兄弟が亡き父の遺志を継いで公演を続け、さらなる進化を遂げてきた。今回上演される演目は『廓噺山名屋浦里(やまなやうらざと)』、『越後獅子(えちごじし)』、『宵赤坂俄廓景色(よいのあかさかにわかのさとげしき)』の3作。『廓噺山名屋浦里』は、江戸時代に名を馳せた花魁「扇屋の花扇」にまつわる実話で2015年、このTBS赤坂ACTシアターにて、笑福亭鶴瓶が落語として披露。その翌年には「この落語を歌舞伎にしたい」と熱望した中村勘九郎が、中村七之助らとともに、八月納涼歌舞伎の一演目として舞台化し、大きな話題となった。以来、再演を待ち望む声も多いこの作品が、ゆかりの地TBS赤坂ACTシアターで、5年ぶりの上演を果たす。『越後獅子』は長唄にのせて、手おどり、足拍子、布さらしと、様々な踊りの表現を披露。舞台を締めくくる『宵赤坂俄廓景色』は、今回の赤坂大歌舞伎ならではの趣向を取り入れ、赤坂がかつて花街だった時代を想起させるような、華やかな作品となる。現在赤坂Bizタワーにて『赤坂大歌舞伎』のフォトスポットも設置されている。記念すべき第1回公演に出演の中村扇雀をはじめ、片岡亀蔵、中村虎之介、中村鶴松と魅力溢れる顔ぶれに加え、勘九郎の長男、中村勘太郎(10歳)と次男、中村長三郎(8歳)が『赤坂大歌舞伎』に初登場。勘九郎は、「赤坂大歌舞伎を見てくださった方々からは、わかりやすかった、という感想をよくいただきます。今は歌舞伎を見たことがない方が多いので、少しでも多くの方々に歌舞伎の世界を感じていただければいいなと思います」とコメント。七之助も「今回の演目は、どれ1つとして予習をしてくる必要はありませんので、なにも考えずにお席に座ってくだされば大丈夫です。わたしたちもお客様の反応をダイレクトに感じさせていただきます」と意気込みを語った。出演者コメント●中村勘九郎平成20年に父が赤坂大歌舞伎をはじめ、一回り、あっという間ですけれど、また赤坂に大歌舞伎開催できることをとても嬉しく思います。●中村七之助4年ぶりの赤坂大歌舞伎。こういう状況下で開催が出来たことがとても嬉しいです。●中村扇雀歌舞伎は敷居が高いという方が多いですが、赤坂大歌舞伎ではそんな敷居を乗り越えられるような、どなたが見ても楽しめるような歌舞伎をやろう と演目を選び、その結果、多くの新しいお客様に見ていただけました。初めて歌舞伎をご覧になる方も楽しめて、最後にはあっと驚く仕掛けもあるので、歌舞伎にご縁のなかった方も、コロナが落ち着いてどこかに出かけようという時は「赤坂大歌舞伎」に足を運んでいただきたいと思います。■公演概要TBS開局70周年記念赤坂大歌舞伎日程:2021年11月11日(木)~11月26日(金)会場:TBS赤坂ACTシアター(東京都港区赤坂5-3-2 赤坂サカス内)一、『廓噺山名屋浦里』出演:中村勘九郎中村七之助 中村虎之介中村鶴松片岡亀蔵中村扇雀原作:くまざわあかね脚本 :小佐田定雄演出:今井豊茂美術:中嶋正留二、『越後獅子』長唄囃子連中出演:中村勘太郎『宵赤坂俄廓景色』長唄囃子連中出演:中村勘九郎中村七之助 中村虎之介中村長三郎中村鶴松片岡亀蔵中村扇雀
2021年11月12日渋谷・コクーン歌舞伎 第十八弾『天日坊(てんにちぼう)』が、2022年2月に東京・渋谷のBunkamura シアターコクーンにて上演される。チケットの発売は2021年12月を予定している。宮藤官九郎×串田和美の『天日坊』再び演出家・串田和美と十八世中村勘三郎がタッグを組み1994年に誕生した“渋谷・コクーン歌舞伎”。古典歌舞伎を一から読み直し、現代に重ね合わせて新しい角度から演出する斬新な手法で、『東海道四谷怪談』や『夏祭浪花鑑』など次々と話題作を生んできた。中でも、2012年に宮藤官九郎の脚本、串田和美の演出・美術により初演から145年の時を超えて上演された『天日坊』は、自らの運命を探し求めて邁進する主人公・天日坊の姿が観客の胸を打ち、大きな反響を呼んだ。そんな人気作品『天日坊』が10年ぶりに再演され、大河ドラマ『いだてん』の脚本も記憶に新しい宮藤官九郎と演出家・串田和美が再びタッグを組むことに。中村勘九郎、中村七之助、中村獅童が続投キャストには、前回に続き中村勘九郎、中村七之助、中村獅童が名を連ね、疾走感溢れる作品を舞台上から観客に届ける。『天日坊』あらすじふとしたきっかけから将軍頼朝の落胤になりすまし鎌倉を目指す法策(後の天日坊)。旅の途中で盗賊・地雷太郎とその妻お六と出会い、思いもよらぬ自分の運命を知る・・・「俺は誰だあっ!」狙うは天下!若者たちは壮大な野望と純粋な希いを胸に疾駆する。彼らの人生を賭けた大勝負がはじまるー。公演概要渋谷・コクーン歌舞伎 第十八弾『天日坊』上演時期:2022年2月チケット発売:2021年12月予定会場:Bunkamura シアターコクーン住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1原作:河竹黙阿弥「五十三次天日坊」演出・美術:串田和美脚本:宮藤官九郎出演:中村勘九郎、中村七之助、中村獅童、ほか
2021年10月15日歌舞伎俳優の中村勘九郎、中村七之助が9月24日、オンライン発表会見を行い、TBS赤坂ACTシアターで上演されるTBS開局70周年記念「赤坂大歌舞伎」(11月11日~)への意気込みを語った。十八代目中村勘三郎が2008年にスタートさせた名物シリーズ「赤坂大歌舞伎」。2013年からは中村勘九郎、中村七之助兄弟が亡き父の遺志を継ぎ、公演を重ねてきたが、昨年5月に予定されていた6回目の上演は、コロナ禍の影響で中止を余儀なくされ、演目も新たに今秋の上演が改めて決定した。今回上演される演目は『廓噺山名屋浦里(さとのうわさやまなやうらざと』、『越後獅子(えちごじし)』、『宵赤坂俄廓景色(よいのあかさかにわかのさとげしき)』の3作。『廓噺山名屋浦里』は笑福亭鶴瓶の落語をもとに、「この落語を歌舞伎にしたい」と熱望した勘九郎が七之助らとともに舞台化し、今回が5年ぶりの再上演となる。勘九郎は初演を振り返り、「ラストは大団円というより、美しさと幻想の中で終わるので、カーテンコールが起こる演目ではないが、実際にはカーテンコールが起こって、拍手も鳴りやまなかった。鶴瓶さんとタモリさんがいらっしゃっていて、おふたりも舞台にあがって一緒にご挨拶してくださった」としみじみ。昨年の中止については「あとは稽古に入るだけという段階だったので、とても残念でしたし、悔しい思いをした。去年の分も今年にかけている」と闘志を燃やしていた。七之助も「花魁浦里は女形の後輩に人気があって、終わった後、ここぞとばかりに『やりたい、やりたい』とみんな楽屋にやって来た」と初演での印象的なエピソードを回想。「女形は一生懸命汗水たらしても、途中で出なくなって幕切れもあるが、花魁浦里はとってもメインで、いろんな色を見せながら、最後まで残るので“得”なんですよね(笑)」とやりがいを熱弁していた。『越後獅子』は長唄にのせて、手おどり、足拍子、布さらしと、様々な踊りの表現を披露。舞台を締めくくる『宵赤坂俄廓景色』は、赤坂がかつて花街だった時代を想起させるような華やかな作品で、勘九郎の長男・勘太郎、次男・長三郎が初登場することも話題を集める。勘九郎は「父が遺してくれたものですし、僕としても出てほしい思いがある」といい、「大人になって、どれくらい覚えているかはわかりませんが、『出た』という記憶や劇場の空気を味わうのと、そうでないかは全然違いますから、ありがたいですね。堂々と踊ってほしい」と目を細めていた。劇場は大規模な改修工事に入ることが決定しており、その大きな節目の作品として「赤坂大歌舞伎」が華を添える形になる。加えて、コロナ禍での上演となるが、勘九郎は「まだ探り探りの状況が続くと思うが、お客様が満席になっている風景を子どもたちに伝えたいですね」と希望を示し、「以前の熱狂を味わえる日は来ると思うので、需要がある役者として、需要がある作品を積極的にやっていきたいです」と決意を新たにしていた。チケット発売は9月25日(土)より。取材・文:内田涼▼公演概要TBS開局70周年記念「赤坂大歌舞伎」日程:2021年11月11日(木)~11月26日(金)会場:TBS赤坂ACTシアター(東京都港区赤坂5-3-2 赤坂サカス内)一、『廓噺山名屋浦里』出演:中村勘九郎 中村七之助 中村虎之介 中村鶴松 片岡亀蔵 中村扇雀原作:くまざわあかね脚本:小佐田定雄演出:今井豊茂美術:中嶋正留二、『越後獅子』長唄囃子連中出演:中村勘太郎『宵赤坂俄廓景色』長唄囃子連中出演:中村勘九郎 中村七之助 中村虎之介 中村長三郎 中村鶴松 片岡亀蔵 中村扇雀
2021年09月24日中村勘九郎、中村七之助を中心に、中村屋一門が2005年より毎年行う全国巡業公演『錦秋特別公演』が10月より全国15カ所で開催される。昨年はコロナ禍によりやむなく中止。今年の巡業は中村勘太郎、中村長三郎が初めて参加した春公演に次いで2度目となる。「昨年伺えなかった土地に春と秋、2回に分けて伺えるのがうれしい」と勘九郎。七之助は「待っていてくださる方がいることがありがたい。春公演ではたくさんの拍手に、役者は居てもいいんだと思えた」と振り返る。それぞれ感謝の思いを胸に、合同取材会で秋公演への想いを語った。「中村勘九郎 中村七之助 錦秋特別公演 2021」チケット情報演目は『浦島』『甦大宝春日龍神(よみがえるたいほうかすがりゅうじん)』『トークコーナー』の全3つ。昔ばなしの後日談を舞踊化した『浦島』は成長株の鶴松が勤める。勘九郎は「歌舞伎を初めて観る方にはストーリー性も分かりやすく曲調も華やか。二枚扇というお扇子を使って踊るテクニカルな踊りは目にも楽しい」と解説。生前、父である中村勘三郎(18代目)が勘九郎の浦島をひどく気に入っていたと言い「鶴松にもしっかり継承できれば」と語る。『甦大宝春日龍神』は春日大社「第六十次式年造替記念」として2014年に創作された奉納舞踊。前半は春日の野の四季折々の素晴らしさを芝居仕立てで踊り、後半は龍神、龍女が荒々しく舞い踊る。「神がかったものに触れることによって、神秘的な思いになっていただければ」と勘九郎。七之助も奉納当日に、龍神の存在を感じるような出来事があったと明かす。「水の神様なので当日は雨だろうと話していたら、踊っている間は降らなかったのに踊り終えた瞬間に土砂降りの雨が降ってきた。野外だったので、兄と二人で『願いが通じたね』と。そういう摩訶不思議な現象が起こったりする。今回はとくに世の中が平穏無事であることを強く思いながら踊りたい」。最後の「トークコーナー」はスーツ姿の2人が等身大の素顔を垣間見せる人気コーナー。2年ほど前から定番だった七之助への結婚に関する質問がパタリと止んだ。「お客様も諦めたのかな」と勘九郎。当の本人は、結婚願望はないと言うが「こればっかりは分からないですよね。理想? 考えたこともないですけど、芝居が好きってことかな。同じものを楽しめる人だったらいいなと思います」。芝居は「心の栄養」とは勘九郎。「辛い状況が続くなかで、歌舞伎という非現実の世界へ飛び込むことによって、少しでもお客様を癒すことができればうれしい。感染対策を徹底して安心安全にご覧いただくというのが私たちの想いです」。七之助も「舞台で得た感動を明日への希望につなげていただければ幸いですし、僕らがやる意味もそこにある」と決意を語った。公演は、10月5日(火)東京・品川きゅりあん大ホールを皮切りに、全国を巡演。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2021年09月01日江戸時代の伝説の歌舞伎役者・初代 中村仲蔵の下克上物語を、忠臣蔵を軸にドラマ化した「忠臣蔵狂詩曲 No.5 中村仲蔵 出世階段」が今年12月に放送決定。主演は中村勘九郎が務め、上白石萌音、中村七之助、尾上松也、藤原竜也、段田安則、市村正親ら豪華キャストが共演する。落語や講談で人気の「中村仲蔵」は、初代 中村仲蔵(1736ー1790)が裸一貫からはい上がる実話をベースとした下克上物語。今回、その物語を国民的人気を誇る「忠臣蔵」を軸にドラマ化。大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」以来の映像作品主役となる勘九郎さんが、その傑出した身体表現力で天才俳優の一代記を演じる。また、もうひとつの主役ともいえるのが、江戸の芝居小屋。初代 中村勘三郎が興した中村座(猿若座)に始まるとされる芝居小屋は、江戸時代を通じて庶民最大の娯楽場となった。日の出から日没まで熱気に満ちていたという当時の芝居小屋を巨大セットで再現。小屋に生きる裏方や地方(歌舞伎音楽の演奏家)、稲荷町(いなりまち)と呼ばれた大部屋役者たちなど、芝居小屋を取り巻く人々も生き生きと描き、江戸歌舞伎の熱狂と魅力を伝えていく。超人気演目「仮名手本忠臣蔵」の五段目で、全く見せ場のない地味な役を割り当てられた仲蔵に一発大逆転はあるのか?厳しい階級制度で縛られた当時の歌舞伎界で、貧困やいじめに苦しみながらも、血の滲むような努力と才智でスターの座をつかんだ仲蔵の痛快な出世物語を、年末にエンターテインメント巨編として放送する。仲蔵の才能を見抜いて抜擢をする当時の大スター・四代目 市川團十郎、それを妬んで敵対する人気歌舞伎役者や座付き作者など、ひと癖もふた癖もある実在の江戸の演劇人たちを演じるのは現代の演劇界のオールスター。今回、勘九郎さんら5名のキャスト陣からコメントが到着した。中村勘九郎/初代 中村仲蔵 役「不思議な縁を感じます」中村仲蔵のことは父(十八代目中村勘三郎)が三代目仲蔵の伝記「手前味噌」に大変感銘を受け愛読していたので、よく聞いていました。仲蔵ゆかりの志賀山三番叟を踊ったこともあります。江戸時代、初代勘三郎が興した中村座に出演し、中村座を救った人でもあるので、その役を演じられることに不思議な縁を感じます。今回とても素晴らしい芝居小屋のセットに足を踏み入れ、思わず泣きました。持って帰りたい!仲蔵は差別を受け大変苦労した人ですが、芝居が好きという情熱に支えられていたと思います。「好き」こそ人を奮い立たせ、上達させ、信念を与えるものです。そんな情熱を感じていただけたら本望です。上白石萌音/仲蔵の妻・お岸 役「朗らかに務めたい」「令和元年版 怪談牡丹燈籠」以来、再び源(孝志)監督のもとでお芝居ができることが心底うれしいです。脚本はやはり本当に面白く、夢中で読んでしまいました。お岸は、こんな女房が家で待っていたら愉 しいだろうな、というような女性です。三味線と唄で仲蔵さんを癒やし、励まし、勇気づけられるよう、朗らかに務めたいと思います。これ以上ないほど豪華な出演者の皆様による「芝居」の真髄。もうすでに完成が待ち遠しいです。ぜひご期待ください。藤原竜也/謎の侍 役「もっと一緒に演っていたい」僕の撮影は2日間だけでしたが、内容の濃い2日間でした。勘九郎さんと空気を合わせて、芝居を作っていく感じがとても楽しかったです。「もっともっと一緒に演っていたいな」って思わせてくれるような人ですね。刀や傘のさばき方は非常に難しかったですが子供のころから厳しく作法を仕込まれている歌舞伎俳優さんから直接教えてもらえたのは貴重な経験でした。最初から最後まで楽しめる贅沢な作品になると思います。段田安則/狂言作者・金井三笑 役「演じがいがあります」勘九郎さんが仲蔵を演じられるのは、ピッタリだと思いますが、その仲蔵をいじめる狂言作者の役ということで演じがいがあります。今も昔も嫌味な演出家やプロデューサーはいて、大人の事情で配役が決まったりとかあったのでしょうね。みんな芝居が心底好きでそのためなら命がけというのも一緒でしょう。ヒエラルキーの厳しい世界で成り上がっていくサクセスストーリーですが、そうそう簡単に成功はさせませんよ。大きな障害として立ちはだかって仲蔵をいじめたいです。(笑)市村正親/四代目 市川團十郎(二代目 松本幸四郎)役「歌舞伎役者を演じられるのは役者人生のごほうび」歌舞伎は昔から演技の勉強のために拝見していました。勘三郎さん(十八代目)の芝居に感激してファンレターを送ったこともあります。今回歌舞伎役者を演じられるのは役者人生のごほうび。天国で勘三郎さんもびっくりしていることでしょう。歌舞伎は見るとやるとでは大違い!ミュージカルでも「歌いすぎるな、芝居しろ」と言いますが、歌舞伎独特の語調の心地よさを感じさせながら、ぐっと 芝居心を入れるのにはどうすればいいのか、悩みながら一生懸命演じています。ドラマ「忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段」は12月、NHK BSプレミアム・BS4Kにて前・後編放送(各89分)。(text:cinemacafe.net)
2021年07月20日「ミヤさんを呼んできて」監督から指示され、走るスタッフ。その数分後、日の光に照らされながら公民館から現れたのは松本潤(37)。日傘をさそうとするスタッフに、松本は笑顔で「大丈夫!」と優しく断り、撮影場所まで颯爽と歩いていく。5月上旬のこの日、都内の下町エリアでは松本が主人公・深山大翔を演じる人気ドラマシリーズの映画『99.9‐刑事専門弁護士‐THE MOVIE(仮)』の撮影が行われていた。「弁護士役ということで難しい法律用語が頻出するのですが、松本さんは『懐かしい!』と楽しみながら役作りに励んでいるそうです」(映画関係者)映画化に際し、松本は映画の公式HPでこう意気込みを見せる。《先の見えない大変な日々が続いていますが、観てくれる人の笑顔を想像しながらスタッフ一丸となって真面目に楽しんで制作していきたいと思います!!》嵐が活動を休止してからあまり表舞台には姿を見せていなかったが、本格的に再始動した松本。“新たな代表作”の準備にも余念がないと、NHK関係者は言う。「主演を務める’23年放送の大河ドラマ『どうする家康』(NHK)の役作りとして一時は髭を伸ばし、親友の中村七之助さんや尾上松也さんに和服での所作などを教わっていたそうです」かつてないほど俳優業に邁進する松本だが、コロナ禍前には別の“未来予想図”もあったようだ。「嵐や後輩の演出も手掛けていた松本さんは、休止後にNYで演出の勉強をすることも考えていたそうですが、コロナ禍で断念。大河のオファーを発表直前まで悩んだのも、そのことが頭にあったからなのでしょう」(舞台関係者)そして、松本は“退路”を断つ決断を下したという。「嵐の休止中、松本さんは俳優活動に専念する考えでいるそうです。バラエティや情報番組を中心に活躍する櫻井翔さん(39)と相葉雅紀さん(38)など、それぞれのフィールドで奮闘するメンバーの姿から刺激を受け、『自分は俳優で天下を取る!』と決意したといいます」(前出・舞台関係者)「女性自身」2021年5月25日号 掲載
2021年05月12日女優の中村アンがブランドアンバサダーを務めるアンダーアーマーの新ムービー「THE ONLY WAY IS THROUGH 前へ -中村アン」が1日、公開された。今回の新ブランドムービーでは、現代の女性のNEW NORMALなライフスタイルシーンを等身大の姿で切り取り、スポーツやトレーニングを習慣化することで身体と心が強くなれるということを表現。不安定で目まぐるしく変化する現在の状況でも、逆境に負けずに進み続ける女性像を描いた。あわせて公開されたビジュアルでは、引き締まった美尻や背中が印象的なバックショットなど、中村がトレーニングに励む姿を披露している。
2021年04月01日「松本さんと久しぶりに会った人が、彼が髭を生やしていてビックリしたそうです。他人目があるところでは必ずマスクをしているので、意外に気づかれていないそうですが……」(芸能関係者)’23年の大河ドラマ『どうする家康』への主演が決まった松本潤(37)。嵐の活動休止から3カ月。しばらく表舞台から離れている松本だが、プライべートでは徳川家康さながらに髭をたくわえた生活を送っているという。「大河ドラマの役づくりの一環で、まず自分の髭面がどう映るか確認してみたかったそうです。嵐の活動中は、なかなかできなかったことですから。これだけの期間、仕事が入っていないのも人生で初めてだとか。今まで経験できなかったことができるようになっていることに、本人は嬉しくて仕方ないようです」そう語るのは、松本の知人だ。「本来なら当面、演出の勉強でNYに長期滞在する予定でした。しかし、コロナ禍で断念したんです」そのため、時間のある今のうちに大河ドラマのイメージを把握しておきたいのだという。「彼が意欲的なのは、現在放送中の大河ドラマ『青天を衝け』でまさに北大路欣也さんが徳川家康を演じているからでしょうね。毎週欠かさず見ているといいます。北大路さんとは’08年の映画『花より男子ファイナル』で共演していますから、尊敬する大先輩の風格ある演技に触発されているようです」(前出・松本の知人)松本が時代劇に挑戦するのは’08年、黒澤明監督のリメイク作品となった映画『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』、’19年のNHK SPドラマ『永遠のニシパ北海道と名付けた男松浦武四郎』に次いで3作目となる。「とはいえ、1年以上にわたって時代劇の主役を演じる経験はありません。そのため、親しい人たちに心構えを聞いたところ、『隠し砦の三悪人』の黒澤明監督が主演の三船敏郎さんに“ふだんの日常生活で和服を着る”よう指示したという逸話を耳にしたそうです。そこで、和服を実際に毎日着ることはしないまでも、松本さんの友人である中村七之助さんや尾上松也さんに和服の所作や振舞いを聞いたり、時代劇の映像を見たりして、今から家康像のイメージを作り上げているそうです」大河開始2年前から、早くも自宅で“なりきり家康”として修業中の身の松本だが――。「とはいえ、主演映画『99・9-刑事専門弁護士-THE MOVIE(仮)』(今冬公開予定)の撮影がまもなく始まります。5年ぶりの復活を松本さんも喜んでいました。もちろん髭を剃ることになるでしょうから、“なりきり”生活はクランクアップまで一時中断ですね」(前出・松本の知人)3カ月の沈黙を経て、再び俳優業にいどむ松本。嵐の活動中とはまた違った姿を見せてくれそうだ。「女性自身」2021年4月6日号 掲載
2021年03月26日3月4日(木)より上演される歌舞伎座『三月大歌舞伎』の第1部『猿若江戸の初櫓』に、『二月大歌舞伎』に引き続き中村勘九郎と中村七之助が出演する。『猿若江戸の初櫓』は、新年を迎えた江戸の町を舞台に猿若の機転を利かせた働きが奉行に認められ、江戸で初めて官許の櫓をあげた芝居小屋の開場を許されるまでが描かれる、江戸歌舞伎の幕開けをモチーフにした作品。歌舞伎座では1987(昭和62)年1月に江戸歌舞伎360年を記念した「猿若祭」で初演された舞踊劇だ。上演中の『二月大歌舞伎』第3部で三十三回忌追善が行われている十七世中村勘三郎の“勘三郎”の名跡の始まり、初世勘三郎ゆかりの演目で、勘九郎が猿若、七之助が出雲の阿国を勤める。平成29年2月歌舞伎座『猿若江戸の初櫓』より、猿若=中村勘九郎(c)松竹平成29年2月歌舞伎座『猿若江戸の初櫓』より、出雲の阿国=中村七之助(c)松竹上演に際し、作品ゆかりの地「江戸歌舞伎発祥之地」記念碑を訪れたふたり。「父が子供の頃に“ここに中村座があったんだよ”、と教えてくれたのを思い出します。」と在りし日に思いを馳せた勘九郎は、「(初世勘三郎は)江戸の真ん中に(中村座を)建てるというプロデュース能力、座元としての手腕に優れていた人、祖父も父もプロデュース能力に優れていた人でした。これは不思議な“中村勘三郎”という名前に宿った魂なのかな、と思います」と語り、七之助も「ここから始まったんだ、という思いです。本来なら父がここに立って写真を撮っているはずであろうと思いますが、改めて兄弟で中村屋を背負うこと、また今月立派に勤めている勘太郎と長三郎のふたりも背負っていくんだなというプレッシャーと楽しみと、半分半分な気持ちです」と語った。中村勘九郎『猿若江戸の初櫓』について勘九郎は、「私たちが初舞台の時(1987年1月)に初演した踊りで、父の襲名など区切り区切りで踊らせていただきました。(中略)397年歌舞伎が続けられているというのも先人たちや歌舞伎を愛する人々の思いが詰まったパワーがあってこそ。このコロナ禍に於いて、再出発というような気持でめでたく舞えたら」と意気込みを語り、七之助も「中村屋にとって所縁のあるものを兄弟で歌舞伎座の序幕からやらせていただけるのは本当に幸せ。」と感慨深げ。「(演じる出雲の阿国は)華やかさもありつつ、途中厳かに踊るところもあって、とても緩急があります。振付も面白くて、賑やかで綺麗ですので、まだまだいろいろある時期ですが、何も考えず明るく楽しんでいただけたら」と活気あふれる舞踊劇の見どころを語った。『三月大歌舞伎』は3月4日(木)から29日(月)まで東京・歌舞伎座にて、3部制で上演。中村七之助歌舞伎座『三月大歌舞伎』演目【第一部】11:00開演一、『猿若江戸の初櫓』二、『戻駕色相肩』【第二部】14:00開演一、『熊谷陣屋』二、『雪暮夜入谷畦道』【第三部】18:30開演一、『楼門五三桐』二、『隅田川』(Aプロ)二、上 『雪』(Bプロ)下 『鐘ヶ岬』(Bプロ)2021年3月4日(木)~2021年3月29日(月)会場:東京・歌舞伎座
2021年02月22日女優の中村アンがブランドアンバサダーを務めるアンダーアーマーの新ムービー「THE ONLY WAY IS THROUGH 前へ -TRAINING 中村アン」が15日、公開された。今回のムービーでは、不安定で目まぐるしく変化する現在の状況でも体と心を強く持ち、逆境に負けず前に進み続ける女性を中村が表現。真剣な表情でトレーニングに打ち込み、鍛え抜かれた美ボディを披露した。「不安や悩み、葛藤があったとしても、トレーニングやスポーツのあるライフスタイルを通じて心は強くなり、自分と向き合うことでポジティブな気持ちが生まれる」そんなブランドメッセージを通じて、女性たちを勇気づけることを目的としたムービーに仕上がっている。
2021年02月15日主演ドラマ『俺の家の話』(TBS系)がスタートし、プロレスラーの役作りのために3カ月で約12キロ増量したことが話題になっている長瀬智也(42)。3月でジャニーズ事務所を退所する彼の個性的すぎる俳優人生を振り返ります。そこには、老若男女問わず誰をも引き寄せてしまう、唯一無二の魅力がありました――!【’95年7月】ドラマ『カケオチのススメ』家庭教師の彼女(永作博美)を持つ浪人生を演じた。当時16歳。ドラマの制作発表には子犬を抱っこしながら登場。【’96年1月】ドラマ『白線流し』卒業式に学帽の白線とスカーフを川に流す儀式をもとに作られた青春群像劇。連ドラ初主演ドラマで繊細な高校生役を。【’97年7月】ドラマ『D×D』特殊能力を持つ2人の青年が、数々の怪事件を解決していくサスペンスホラー。岡田准一との共演が話題となった。【’98年7月】ドラマ『ラブとエロス』未亡人のカスミ(浅野温子)のかわいい年下彼氏・次郎を熱演。このドラマの影響で年下彼氏が女性の憧れに。【’00年4月】ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』宮藤官九郎と初めてタッグを組んだドラマ。渡辺謙に小雪、窪塚洋介と、錚々たるメンバーのなか主演を務めた。【’05年4月】ドラマ『タイガー&ドラゴン』ヤクザが落語に目覚め、弟子入りして奮闘する物語。岡田准一とW主演。落語ブームの火付け役となった作品。【’05年4月】映画『真夜中の弥次さん喜多さん』しりあがり寿の人気漫画の実写化。歌、ダンス、お色気ありのドタバタ時代劇。中村七之助との共演も話題に。【’06年7月】ドラマ『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』ヤクザの組長を目指す27歳の真喜男(長瀬)が、ひょんなきっかけで高校生になるというはちゃめちゃコメディ。【’07年10月】ドラマ『歌姫』笑って泣けるラブストーリー。会見では共演の高田純次が得意の適当発言をし大爆笑。豪快な笑顔も長瀬の魅力のひとつ。【’13年1月】ドラマ『泣くな、はらちゃん』漫画の中のキャラクターが現実世界に生きている女性に恋をする物語。ロケ地巡りがはやるほどの人気ぶりだった。【’13年10月】ドラマ『クロコーチ』昭和の未解決事件“三億円事件”を追いかけながら、政治家の弱みを握って恐喝する悪徳刑事役を演じた。【’16年6月】映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』こちらも宮藤官九郎監督・脚本の超絶地獄コメディ。長瀬の演じた鬼は元々人間だったという深いメッセージも。【’17年7月】ドラマ『ごめん、愛してる』韓国で社会現象を起こしたドラマのリメーク。不遇の人生を送っていた男が初めて本気で人を愛するラブストーリー。「長瀬さんは宮藤官九郎さんとの出会いによって、イケメン王道路線からキャラ変し、役者としての幅を広げられましたね」そう語るのは『ジャニーズは努力9割』を著書に持つ、元祖ジャニヲタの霜田明寛氏。「ご本人が『僕はドラマに育ててもらったし、好きなんです』と話されていましたが、実際にずっと連ドラで活躍されていますね。役者を始めたころは『白線流し』で繊細な青年を、『ラブとエロス』では年下彼氏を演じ、王道路線だった長瀬さん。しかし『池袋ウエストゲートパーク』で“素人童貞”を演じ、ジャニーズではなかった“非モテ系”を確立しました。その後、二宮和也さんが童貞役を演じるなど、後輩たちに新しい道を作りました」そんな霜田氏の印象にとくに残っているのは、『泣くな、はらちゃん』だという。「顔芸がすごかったし、そもそも人間の役でもなかった(笑)。ついにここまできたか、と。物語のピュアな代弁者でありながら、色気を出したり消したりできる類まれな魅力の持ち主です」クドカンとの作品についてはこう続ける。「ただ面白いだけじゃない。登場人物の背景が奥深く描かれています。『俺の家の話』はまさに2人の集大成、介護や相続など社会問題を詰め込みながら説教臭くなく、純粋に楽しめます。長瀬さんは後輩から慕われ、年上の人からも好かれてカリスマ性も持っている。今後もその人柄と才能を発揮されるでしょう」「女性自身」2021年2月16日号 掲載
2021年02月05日本日2月2日(火)より歌舞伎座で上演される「二月大歌舞伎」第三部の特別ポスター2枚が公開された。公開されたのは「二月大歌舞伎」第三部で十七世中村勘三郎三十三回忌追善狂言として上演される、十七世に所縁の『奥州安達原 袖萩祭文』、十七世の孫にあたる中村勘九郎・七之助兄弟が出演する『連獅子』のポスター。1月中旬に篠山紀信が中村勘九郎、中村七之助、中村勘太郎、中村長三郎のスチール撮影を実施。篠山は勘太郎、長三郎兄弟の初舞台の際にも『門出二人桃太郎』の撮影をしており、当日は和やかなムードで撮影が行われた。『奥州安達原』では、十七世勘三郎の当り役であった安倍貞任と袖萩をそれぞれ勘九郎と七之助が務め、また娘お君を長三郎が務める。ポスターに写るのは、むしろを被って雪道を進む袖萩とお君の親子。お君は目の見えない母親に寄り添い、甲斐甲斐しくその手を引く。このあとに待ち受ける悲劇を思うと、ふたりの健気な姿がよりいっそう胸に迫ってくるだろう。『連獅子』では、親獅子の精を勘九郎が、仔獅子の精を勘太郎が勤め、十七世勘三郎を偲ぶ。きりりと引き締まった表情のふたりからは、親から子へと、中村屋が大切に演じてきた『連獅子』を継いでいくという喜びと覚悟が伝わってくる。本公演では最年少の9歳にして、仔獅子の精に初めて挑む勘太郎。指の先にまで込められた気合が感じられる、鮮やかかつ力強い一枚に仕上がった。これらの特別ポスターは、歌舞伎座のほか、東京メトロの主要駅に掲出される。また、歌舞伎座地下2階の木挽町広場や、1階お土産処「木挽町」などでも販売されるので、ぜひ注目してほしい。【公演概要】「二月大歌舞伎」開催日:2月2日(火)~27日(土)※8日(月)・18日(木)休演劇場:歌舞伎座第一部:10:30~第二部:14:15~第三部:17:30〜※当初の発表から開演時間を変更しております( )
2021年02月02日義太夫狂言に新歌舞伎、鶴屋南北作品に舞踊と、2月の歌舞伎座も見どころの多い演目が揃った。第一部は時代物の名作『本朝廿四孝』の『十種香」。戦国時代、長尾謙信の娘・八重垣姫は許嫁で切腹した武田勝頼の姿絵を仏間にかけて香を焚き菩提を弔う。その絵にそっくりな男・花づくりの簑作が現れ、姫は一目で恋に落ち、腰元の濡衣に仲立ちを頼む。その簑作こそ本物の勝頼だった……。八重垣姫は歌舞伎の立女方がつとめる大役「三姫」のひとつで、品格の中に濃い情愛を表現するのが難しいとされる。配役は以下の通り。八重垣姫中村魁春武田勝頼市川門之助白須賀六郎中村松江原小文治市川男女蔵腰元濡衣片岡孝太郎長尾謙信中村錦之助もう一本は『泥棒と若殿』。荒れ果てた屋敷へ泥棒に入った伝九郎は侍に出刃を向けて金を要求するが、金はないと突っぱねられる。この侍が実は松平成信、領主の次男だった。御家騒動に巻き込まれ幽閉されて飢え死にしそうになっているのだった。伝九郎は不憫に思い、成信の世話をしはじめ、ふたりの奇妙な同居生活が始まる。立場の異なるふたりに芽生える絆……山本周五郎の原作。伝九郎尾上松緑松平成信坂東巳之助梶田重右衛門中村亀鶴鮫島平馬坂東亀蔵第二部は片岡仁左衛門と坂東玉三郎の麗しさとふたりの至芸を堪能する二幕。『於染久松色読販』は『桜姫東文章』や『東海道四谷怪談』を生み出した鶴屋南北の原作。土手のお六と鬼門の喜兵衛は悪事を働く夫婦者。お六のもとへ、かつて使えていた奥女中の竹川から手紙が届くところからドラマが動き始める。惚れた男のために悪事を働く「悪婆」と呼ばれる婀娜なお六と、強悪な喜兵衛の夫婦による、アンチヒーロー・ヒロインの魅力をたっぷりと。土手のお六坂東玉三郎山家屋清兵衛河原崎権十郎油屋太郎七坂東彦三郎鬼門の喜兵衛片岡仁左衛門もう一本は『神田祭』。江戸前のすっきりした踊りを見せる粋な鳶頭にあでやかな芸者。祭囃子に浮き立つ江戸の情緒を堪能したい。清元舞踊の一幕。鳶頭片岡仁左衛門芸者坂東玉三郎第三部は十七世中村勘三郎三十三回忌追善狂言二本が上演される。『奥州安達原』「袖萩祭文」。雪の降る中盲目の袖萩が幼い娘お君に手を引かれて父・平傔仗直方のもとへとやってくる。親の反対を押し切って駆け落ちした袖萩は対面を許されないため、三味線を手に祭文になぞらえて身の上を語り、娘の姿を一目見せようとする。そこへ夫の安倍貞任が姿を現し……。袖萩中村七之助安倍貞任中村勘九郎娘お君中村長三郎安倍宗任中村芝翫平傔仗直方中村歌六浜夕中村東蔵八萬太郎義家中村梅玉もう一本は『連獅子』。文殊菩薩が住むといわれる清涼山のふもとの石橋に狂言師の右近と左近が手獅子を持って現れ、石橋の由来や、獅子の親が仔を谷底へ落とすという故事を踊って見せる。能の「石橋」を題材とした長唄の舞踊。ユーモラスな間狂言「宗論」をはさんで、後半は親獅子と仔獅子の勇壮な舞を楽しみたい。狂言師右近後に親獅子の精中村勘九郎狂言師左近後に仔獅子の精中村勘太郎法華の僧蓮念中村鶴松浄土の僧遍念中村萬太郎新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言を受け、開演時間が早まった。第一部は10:30、第二部が14:15、第三部が17:30となっているのでご注意を。文:五十川晶子歌舞伎座『二月大歌舞伎』2021年2月2日(火)~2021年2月27日(土)会場:東京・歌舞伎座
2021年02月02日1月に続き3部制で行われる2月の歌舞伎座の第3部は、「十七世中村勘三郎三十三回忌追善狂言」の2演目。十七世勘三郎は、現在の勘九郎が6歳、七之助が4歳の時に亡くなったふたりの祖父で、立役(男役)も女方も自在、78年の生涯につとめた役の数がなんと800以上という、正真正銘の歌舞伎界のレジェンドだった。勘九郎は、「祖父は父(十八代目勘三郎)に、『歌舞伎座で追善ができるような役者になっとくれ』とずっと言っておりまして、三十三回忌は父が必ずやるものと、僕たちも思っていたんですけれども……」と、一瞬だけうつむいた後、「その父の遺志を引き継いで、(コロナ禍の)大変な時期に追善ができるという喜びと感謝の気持ちで、一生懸命やらせていただきます」と、きっぱり言って覚悟を見せた。父はすでにないが、心強い弟の七之助と、芝居心いっぱいで頼もしい長男・勘太郎と次男・長三郎。若き中村屋ファミリーが一丸となって、多才で偉大、かつチャーミングだった十七代目の当たり役に挑む。『連獅子』親獅子の精:中村勘九郎、仔獅子の精:中村勘太郎撮影:篠山紀信『連獅子』は、厳しい獅子の子育てのさまが、幼い頃から父に教えを受ける歌舞伎俳優の親子の姿に重なる人気舞踊。中村屋では、十八世勘三郎が歌舞伎座で仔獅子役を初めて踊ったのが13歳、勘九郎と七之助が10歳と、最年少記録を作ってきた。七之助は、「(初役の兄が踊るのを)大変そうだなあ。がんばれ! という気持ちで観ていました。自分が踊ることになるとはあまり思っていなかったんですが、その2年後に踊ってみて、本当に苦しかった思い出があります。父からは、『ぜんぶ出し切れ。うまい下手じゃない。火の玉みたいに踊りなさい』と言われたことが、すごく耳に残っています」。今回仔獅子を踊る勘太郎は9歳で、父の最年少記録を更新。「抜かれた!」と悔しそうな勘九郎は、「七之助が言ったとおり、うまい下手ではなく魂で踊るのが大切なんですが、その前にまず、踊りの基礎がなっていないといけない。形があって、その中に心を入れるという作業が重要なんです。父もよく言っていましたが、お客様は後ジテの毛振りを喜んでくださるけど、それはおまけみたいなもの。前ジテがとても大事な踊りだということを、肝に銘じて踊ってほしいですね」と親獅子らしい威厳。体力をつけるためにランニングや腹筋をしているという勘太郎は、「お父ちゃま達が軽そうに踊ってたから、あんまり重くないんだなと思っていたんですけど、(衣裳や鬘を)着てみたらものすごく重くて、写真撮影が終わった後に踊ったら、死にそうになりました」と告白(泣きそうになったらしい)。『袖萩祭文』袖萩:中村七之助、お君:中村長三郎撮影:篠山紀信『袖萩祭文』は、盲目となり雪のなか門付け芸で三味線を弾きながら勘当された親に許しを乞う袖萩と、そんな母をかいがいしく労る娘のお君の姿が、涙を誘う義太夫狂言。七之助が初役で袖萩をつとめ、7歳の長三郎が、しどころの多いお君に挑戦する。「奥州で最強とされた安倍一族の話ですが、ここは一族の成り立ちや絆、プライドなどの要素が詰まった素晴らしい場面で、袖萩はそのキーポイントになる役。お君ちゃんはいろいろな仕事をしなければなりませんが、それが仕事に見えず、袖萩と深い愛情で繋がっている母娘と見ていただけるよう、一生懸命につとめます」と甥っ子を慈しむように話す七之助に対し、いつも周囲をハラハラさせながら、本番には強いという実績がある長三郎は、「緊張と楽しみがくっついてます」と、大物らしい含蓄に富むコメント。泉下の十七世と十八世が、大きな力で4人を見護り、一段と成長させてくれることだろう。後列左から、中村七之助、中村勘九郎、前列左から、中村長三郎、中村勘太郎(c)松竹取材・文:伊達なつめ歌舞伎座『二月大歌舞伎』2021年2月2日(火)~2021年2月27日(土)会場:東京・歌舞伎座
2021年01月30日《初めに聞いた時はビックリしました。自分に大河のオファーが!?しかも誰もが知っている、あの家康を!?》こうコメントを発表したのは、松本潤(37)。今年から嵐が活動休止に入り、各メンバーがソロとして活動するなか、メディアへの出演がなかった松本だが、驚きの吉報とともに“帰還”した。1月19日、’23年放送のNHK大河『どうする家康』で主演を務めることが発表されたのだ。「近年、大河ドラマの視聴率が伸び悩んでいることもあって、NHKは、復活には若い世代の視聴者が必須と考えていました。そこで白羽の矢が立ったのが、『花より男子』や『99・9-刑事専門弁護士-』(ともにTBS系)といった多数の人気作に出演した松本さん。シリアスからコミカルまでこなせて、嵐のメンバーとして初の大河出演と話題性も抜群で、局内の期待はすでに相当なものだといいます」(NHK関係者)昨年11月にオファーを受け、当初は不安もあったという松本。’08年に『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCES』で時代劇に初挑戦した際、松本はこう吐露していた。《時代劇は好きです。しかし所作やタテなど独特のしぐさが求められ、芝居も細かく作りこむ世界。演じる側になり、ますます、時代劇の敷居の高さを感じていました》(『マリ・クレール』’08年6月号)そんな松本を支えるのは頼れる“仲間たち”だ。「’22年の大河『鎌倉殿の13人』で主演を務める小栗旬さん(38)とは長年の大親友。引き受けるにあたっての心がまえなどを小栗さんにも相談していたそうです。また、大河ドラマでは和服での裾さばきなどが要求されます。高校時代の同級生であり仲のいい中村七之助さん(37)が、歌舞伎で培ったノウハウを伝授するのではないでしょうか」(松本の知人)そして、嵐史上初の大役を松本が務め終えた先の“偉業”を予想するのはあるテレビ局関係者。「大河終了後の’24年は嵐の結成25周年イヤー。昨年、コロナ禍で周年ツアーができなかったV6など、ジャニーズで25周年をコンサートでファンと一緒に祝えたグループはいまだいません。ただでさえ嵐は休止前ラストイヤーを思うようにできず、完全燃焼とはいかなかった。櫻井翔さん(39)もかねてから『復活はある』と語っていますし、’24年に再集結して“悲願”を達成する可能性は大いにあるでしょう」「女性自身」2021年2月9日号 掲載
2021年01月29日2021年1月25日、歌舞伎役者の中村勘九郎さんと、息子である長男の勘太郎さん、次男の長三郎さんがトーク番組『徹子の部屋』(テレビ朝日系)に出演しました。中村さん親子は、4年前にも同番組に3人で出演。2021年1月現在、9歳になった勘太郎さんと、7歳になった長三郎さんの成長ぶりに、MCを務めるタレントの黒柳徹子さんは頬を緩ませていました。歴史好きは隔世遺伝?中村勘太郎と亡き勘三郎の共通点2人の成長ぶりに触れながら、それぞれの好きなことについて黒柳さんが質問。すると、勘太郎さんは、「歴史が好きで、歴史博士になりたい」と回答しました。その後、勘太郎さんは黒柳さんに、オリジナルの武将クイズを出題。黒柳さんも答えが分からないほど難題なクイズを出題し、博識ぶりを見せつけたのです。父親の勘九郎さんによると、亡き十八代目中村勘三郎さんも歴史が大好きだったのだとか。(勘太郎さんは)本当に好きなんですよ、歴史が。これ、隔世遺伝で。うちの父が史学科出身で、歴史が大好きだったので。もし生きていたら彼と、とてもマニアックな話で盛り上がってるんだろうなと思いまして。徹子の部屋ーより引用中村勘太郎と長三郎、『BTS』にドハマり中また、勘太郎さんと長三郎さんは「歌とダンスも大好き」と話し、現在、韓国のアイドルグループ『BTS』に夢中になっていることを明かしました。勘太郎さんと長三郎さんは黒柳さんの前で、『BTS』の楽曲『Dynamite』の歌と踊りを披露。母親が歌うのを聞いて、英語の歌詞も完ぺきに覚えてしまったのだそうです。2人のなめらかな英語の発音と、勘太郎さんの完ぺきなダンスは視聴者を驚かせています。・何気なく見ていた『徹子の部屋』で勘太郎くんと長三郎くんの、英語の発音のよさにびっくり。・突然の『BTS』がかわいすぎて癒されましたー!さすが、歌もダンスも上手ですね。・勘九郎くん、長三郎くん、かわいすぎてもう胸がいっぱい!話し方から、所作から、本当に素敵だなあ。『BTS』の歌と踊りも、もっと見ていたかった。・勘太郎さんと長三郎さんの『BTS』が、インパクト強すぎて思わず目がくぎ付けになった!とっても上手!番組の最後に黒柳さんは、「今度は、勘太郎さんと長三郎さんの2人でいらしてね」とひと言。父親の勘九郎さんが「もう僕はいらないですか!?」と反応すると、「もうその頃には2人でお話しできるでしょうから」とスタジオを笑わせていました。これからの勘太郎さんと長三郎さんの成長ぶりが楽しみですね。[文・構成/grape編集部]
2021年01月25日映画版では描かれなかった宮崎駿の名作漫画全7巻の壮大な物語全てを新作歌舞伎化した「風の谷のナウシカ」のBlu-ray&DVDが、本日1月20日(水)リリースされた。この度、必見の名シーンが映像で到着した。宮崎作品初の歌舞伎舞台化、同時にスタジオジブリの関連作品歌舞伎舞台化も初となった本作。主人公ナウシカを尾上菊之助、ナウシカと対する皇女クシャナを中村七之助が演じ、新橋演舞場で上演された本作のチケットは即日完売、全国の映画館でディレイビューイングとして上映もされ話題となった。今回到着した映像は、<火の7日間>で世界を焼き尽くした「巨神兵」が、歌舞伎の舞台でも姿を現す必見の名シーン。巨大な産業文明は滅び、大地のほとんどは巨大な蟲が生き、有毒な瘴気を発する菌類の森、腐海に覆われる。それでも人間同士の争いは止むことがなく、トルメキア王国と土鬼諸侯国連合帝国の2大国が対立。そして、土鬼帝国の聖都・シュワの奥深くでは、兵器「巨神兵」が目を覚まそうとしていた。巨神兵と対峙するのは皇兄・ナムリス(坂東巳之助)。弟・ミラルパ(坂東巳之助/2役)を亡き者にして土鬼神聖皇帝の座についたナムリスは、旧世界の兵器を手中にし、世界をも手に入れるべく動き出す。そして旧世界の英知を封印した、古代文字で覆われたシュワの墓所。ついに辿り着いたナウシカたちに主は世界の再建について語りかける――。声を担当したのは、重要無形文化財保持者(人間国宝)の中村吉右衛門だ。世界の再建の秘密を知り、それでも墓所を倒し、闇へ帰すことを選択したナウシカ。本作では蘇った旧世界の兵器「巨神兵オーマ」と、シュワの「墓所」との戦いを、それぞれ「オーマの精」(尾上右近)と「墓の主の精」(中村歌昇)として顕現させることで表現している。なお、今回リリースされるBlu-ray&DVDには、昼の部を前編、夜の部を後編として収録。名場面を収めたフォトブック、映像特典なども収録されている。(cinemacafe.net)
2021年01月20日永山瑛太と中村七之助撮影/高梨俊浩’16年に開催された『伊藤若冲展』は最大320分待ちを記録。平成に入ってから爆発的人気を獲得した奇想の絵師・伊藤若冲。江戸時代中期、京都の青物問屋の長男として生まれるも、絵師として身を立てるようになったのは40歳を過ぎてから。その人生には謎も多く、綿密な考証と大胆な仮説に基づき、初めてスペシャルドラマ化される。若冲を演じるは、中村七之助。W主演を務めるのは永山瑛太。若冲の才能を開花させた僧侶・大典顕常を演じる。■最初はあまり話さなかったけど――初共演、お互いの印象は?七之助「僕はあまりテレビのお仕事をさせていただく機会がないので、最初にお会いしたときは“うわ、瑛太だ”って感じで(笑)。映画が大好きなので、いつも“いい役者さんだな〜”と思って見ていましたから」瑛太「ちゃんとお会いしたのは撮影2日目。大典に出会った若冲がひと目惚れというか、衝撃を受けるシーン。普段なら自分から共演者の方とのコミュニケーションを図るんですが、なんか違ったドキドキ感が心の中に芽生えてしまいまして。男性の方に使っていい言葉なのかはわからないですけど、ついつい見惚れてしまうというか。すごくキレイなたたずまいで、妖艶。正直、緊張もありました。やっぱり小さいころからずっと歌舞伎界を担ってきた方ですから」七之助「そのシーンで瑛太さんの目を見た瞬間、これは言葉では言い表せませんが、役者としてビビッときた。“あ、これは引っ張ってくれるな”と。もともと私、女方を演じてますから、立役さんに引っ張ってもらって能力が伸びる、みたいなスキルを持っているので(笑)。瞬間、“任せておけば大丈夫だな”と思い、実際にそうさせていただきました」――週刊女性の撮影中も終始、話をしては笑っていた2人。すっかり仲よしに?七之助「最初はお互いに話さなかったんですよ。緊張もあって」瑛太「僕は本番直前まで世間話すると、セリフが飛んでいっちゃうので(笑)。でも撮影の後半には“じゃあ今日はおでんに行こう”みたいな感じになってましたね」七之助「徐々にお食事やお酒に。最後の日なんて、楽しかったですよ。“次はこんな作品でこんなことをやりたい”なんて話を監督と3人でして」――独自に磨いた画才をいかんなく発揮させた若冲と、名プロデューサーのような大典。演じた役との共通点は?瑛太「俳優をやり始めて20年近くたちましたが、始めたころは“誰もやったことのない表現にチャレンジしよう”“主演を張ろう”といった野心や目立ちたい気持ちが強かったんですが、ここまで俳優をやってこられて、現時点では主演がどうとかではなく、“誰かのスパイスのような存在に”という気持ちのほうが強いです。自分が何かを成し遂げるよりも、信用して好きになった人が世間に評価されるところまで行ってほしい。そう願う感覚は、大典と共通していると思います」七之助「若冲と自分、似ているところはほとんどないんじゃないかな(笑)。アハハハ。この人、絵のことしか考えていない。お酒は飲まない、女性にも興味がない。ストイック中のストイック。僕は欲まみれの人間なので(笑)、全然似てないです。きっと若冲は、役者なんて絶対できないだろうね」■若冲と大典2人の間には愛が!?――研究者の中には2人の間にはLOVEが生まれていた、と考察する人もいますが?瑛太「そうですね。伊藤若冲との出会いで、大典は“この人を絶対につかんで離したくない”“自分が世に送り出したい”という気持ちが芽生えていて。この2人の出会いは性別の垣根がなくなってしまっていたようなところがあって。でも、客観的に視聴者の方が見ると、俗にいうBLなんじゃないかっていうくらい。あえてものすごく顔を近づけたり、唇と唇がくっつくんじゃないかくらいの距離で説得したり。そんなシーンもあります」七之助「台本は“手を強く握る”だけだったけどね(笑)」瑛太「どんどんどんどん詰めていく。もう、押し倒してしまうんじゃないか、ぐらいの勢いで。そこは1回だけ監督にも“やりすぎかな”と言われ(笑)。エンターテイメントとして、見ている人がドキドキするような芝居にチャレンジできたと思います」七之助「滑稽なシーンでは決してなく。大典が、若冲に仏を描いてもらいたい一心のシーン。ただ、視聴者の方にはBLに見えても面白いかな、と」瑛太「僕は女優さんとの恋愛作品をいくつもやってきましたけど、初めてでしたね。男性と、という役柄は。“抱きしめる”でもいろんな抱きしめ方があるじゃないですか。ドキドキして、手がびしょびしょになりました。すごい体験をしました」七之助「僕は女方ですから、男の人を好きになるのは慣れてはいるんですけど(笑)。でも失礼な言い方かもしれないけど、瑛太さんで僕はすごく演じやすかった。おざなりでやるような相手だと共倒れする危険性があるんですが、瑛太さんはまったくそうではなかった。やっぱり、これだけイイ男ですしね(笑)」終始、相手をリスペクトしつつ相思相愛でした!正月時代劇『ライジング若冲〜天才 かく覚醒せり〜』2021年1月2日(土)夜7:20〜8:35(NHK総合・BS4K)※90分の完全版を1月16日(木)夜9時〜10時30分(BSプレミアム)で放送予定
2021年01月02日中村憲剛の偉大さはイベント名を見ても理解できる。12月21日に行われた引退セレモニーの正式名称は『おフロの恋人! LOTTE presents 中村憲剛引退セレモニー&優勝報告会』である。勝点83、26勝、88得点、得失点差57、2位に勝点18差、最少敗戦3試合などなど、記録尽くめで史上最速優勝を果たした川崎フロンターレの優勝報告会の前に、引退セレモニーと謳われているのだ。名前だけではない。2時間半ほどのプログラムの中で、鬼木達監督や谷口彰悟主将のあいさつなど優勝報告セレモニーは15分ほど。時間配分も大半は引退セレモニーが占めた。福田紀彦川崎市市長より市民栄誉賞が授与された (C)J.LEAGUE等々力陸上競技場に1万3000人を集めるなどセレモニーは異例の規模で行われたが、決して華美ではなかった。中村がどれだけクラブ・川崎市に愛され、中村がどれほどクラブ・川崎市に愛されていたかわかるあたたかいイベントであった。式はホームタウン活動で親交が深かった中原消防署や中原警察署、河川協力団体のとどろき水辺の楽校、フロンターレ算数ドリルで関わった川崎市立有馬小学校の関係者が感謝の言葉を並べてスタート。キングカズこと三浦知良をはじめ、川島永嗣、ジュニーニョなど盟友・戦友たちもビデオメッセージを送った。福田紀彦川崎市市長から市民栄誉賞が授与され、36名ものクラブOBも登壇した。さらに本人も登場。チームメイトからのメッセージ、家族からの花束贈呈、スキマスイッチ常田真太郎、SHISHAMOからのあいさつ、川崎市の小学生からの手作りシャーレのプレゼントなど、涙あり、笑いあり、感動ありのラインナップとなった。中村憲剛引退セレモニーに1万3000人が集った (C)J.LEAGUEエース・小林悠は涙ながらに「苦楽をともにした憲剛さんと初めて優勝した時を超える感動はこの先も絶対にない。一緒に抱き合って喜び合えたことが本当にうれしかった。憲剛さんがいなかったら、今の僕は絶対にないと断言できます。僕にとって大きな存在でした」と感謝の念を表した。長男・龍剛くんは「中村憲剛選手の18年間のサッカー人生は出来すぎでした。悲しい時も悔しい時もともに乗り越えてきた家族として、ありがとうと伝えたいです。引退、おめでとう。そして、ありがとう」と12歳とは思えぬクオリティの手紙を披露した。中村は集まったゆかりのある人々、チームメイト、クラブ関係者、そしてファン・サポーターに感謝の言葉を並べた。「みんながありがとうと言ってくれたけど、ありがとうと言いたいのは僕の方。何でもない大学生を拾ってくれたフロンターレには感謝しかありません。僕はフロンターレで学んだ。それは地域密着、『川崎市のみなさんを笑顔に、元気にする』こと。自分がただサッカーをやっていればいいという発想の人間だったら、ここまでプレイヤーとして続けられなかったと思うし、フロンターレもここまで大きくなることはなかったと思っている。本当にそういった意味でフロンターレに拾ってもらって心からよかったと思っているし、この18年間、本当に感謝の気持ちしかない。頼もしい後輩たちにフロンターレは任せて、僕は先のステージに進みたい。今日の景色は一生忘れません。本当に感謝しています。フロンターレ、最高です」胴上げの回数はもちろん背番号にちなみ14回 (C)J.LEAGUE場内一周では神輿にものった (C)J.LEAGUEチームメイトたちによって背番号と同じ14回を2セット胴上げされた中村は場内を一周。ファン・サポーターとの別れを惜しんだ。セレモニーを終えた後、中村は記者会見に登場し、「もう何だろ。すごいことが起きたんだなと。感情が揺さぶられて、心地よい疲労感で気持ちよかった。一生忘れられない光景がまたひとつ増えました。本当に引退するんだなと」と率直な感想を語った。さらに「夢見心地。今もフワっとしている。本当に感謝しかない。本当に幸せ者だなと。入れてくれたのもそうだし、ここまで大きく育ててくれたのもそう。僕も還元していかないといけない」と続けた。泣いたことを指摘されると、「泣かない方がおかしい(笑)。感情を揺さぶられすぎて、わけがわからなくなかった。みんなの思いがありがたすぎて。基本泣き虫だから、案の定泣きました」と頬を緩めた。チームを代表してメッセージを送る小林悠(川崎フロンターレ) (C)J.LEAGUE小林からのメッセージについて質問されと、「いつ泣くかなと見ていたが、あいつにしか話せない話をしてくれたので、僕も感極まった。僕の方こそ感謝している。彼が優勝させてくれたんで」と言い、龍剛くんの手紙について問われると、「息子の文章力の高さにちょっと引いた(笑)。彼が息子であることを僕は誇りに思う。もちろん妻もふたりの娘もそう。4人がいなければ、僕はここまでがんばれなかった。心の底から感謝している」と振り返った。サッカーを志す子どもたちへメッセージも送った。「僕自身足が遅かったり、体が小さかったりと劣等感を持っていた。劣等感を武器に変えることで道が切り開けて、40歳までやれた。可能性に蓋をせずに、毎日毎日トレーニングしていけば誰でも必ず道は開ける。受け入れてくれる素晴らしいクラブが川崎にはあると伝えたかった」次なる夢の日本代表監督について、コメントを求められると、「過程を経て、タイミングが合って初めてなれるもの。そうなるには本当に勝たないといけないし、評価されないといけない。自分から目指しますなんて軽々しく口にできないが、目指すのは自由」と口にした。大いなる目標の前に、目の前に迫った目標がある。もうひとつのタイトル『天皇杯』である。次なる戦いに向けて、中村は「今日は感情を揺さぶられすぎたので、今日は切り替えられない。明日トレーニングがある。明日からしっかり切り替えていきたい。みんなとサッカーできるのもあと10日。まず準決勝に向けてしっかり準備をして全力で向かっていきたい。(国立での決勝については)正直そこまで考えていない。相手のあることなので、勝てる保証はどこにもない。準決勝、等々力でやるのは最後。そこで全力を尽くすことしか考えていない」とキッパリ。中村憲剛の勇姿が見られるのも最大あと2試合 (C)J.LEAGUE中村憲剛は、そして川崎フロンターレは12月27日(日)・等々力陸上競技場での『天皇杯』準決勝でブラウブリッツ秋田×福山シティFCの勝者と対峙し、1月1日(金・祝)・国立競技場での『天皇杯』決勝を目指す。準決勝のチケットは予定枚数終了、決勝のチケットは12月26日(土)午前10時より一般発売。取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)チケット情報
2020年12月22日今月も引き続き、四部完全入れ替え制での上演だ。桟敷を含め、前後左右を開けた千鳥型の席配置となる。第一部は『弥生の花浅草祭』。江戸時代、三月に催されていた浅草神社の三社祭の山車人形を題材に、常磐津、清元、長唄と音楽が変化していく中を、ふたりの役者がそれぞれ四役を踊り分けていく躍動感あふれる変化舞踊だ。片岡愛之助が竹内宿禰、悪玉、国侍、獅子の精を、尾上松也が神功皇后、善玉、通人、獅子の精を踊り分ける。第二部は古典落語『星野屋』を題材に、2018年に上演された新作歌舞伎。青物問屋の星野屋昭蔵に囲われている元芸者のおたか。金の工面に困った昭蔵はおたかに別れ話を切り出す。一緒に心中することになってしまったが、おたかに死ぬ気はさらさらなく……。中村七之助のおたか、市川中車の昭蔵、市川猿弥が母お熊、片岡亀蔵が和泉屋藤助。個性あふれる面々がだましだまされる面白さを味わいたい。第三部は近松門左衛門作の人形浄瑠璃として初演された『傾城反魂香』。絵師の浮世又平は生来言葉が不自由で、女房おとくがいつも彼の代弁をする。師匠の土佐将監を尋ね土佐の名字を名乗りたいと申し出るが、又平には功績がなく、弟弟子に先を越されてしまう。又平は絶望し、死を覚悟する。最期に手水鉢に自画像を描くと筆の勢いが奇跡を招いて……。相手を思い合う夫婦の愛情に心が温まる。実直な又平に中村勘九郎、かいがいしいおとくに市川猿之助、弟弟子の狩野雅楽之助に市川團子、将監の北の方に中村梅花、将監光信に片岡市蔵。第四部は『日本振袖始』。日本神話を扱った近松門左衛門作の舞踊劇だ。出雲国の八岐大蛇を鎮めるために、毎年ひとりずつ娘が人身御供に差し出される。今年は稲田姫が捧げられることになる。どこからともなく現れる岩長姫だが、実は大蛇の化身だった。毒酒とも知らずに好物の酒を次々飲み干し、ついには稲田姫をも。そこへ素戔嗚尊が姫と宝剣を取り戻しに現れて……。坂東玉三郎の岩長姫実は八岐大蛇、中村梅枝の稲田姫、尾上菊之助の素戔嗚尊。文:五十川晶子歌舞伎座『十二月大歌舞伎』2020年12月1日(火)~2020年12月26日(土)会場:東京・歌舞伎座※坂東玉三郎新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者と認定されたため、12月1日(火)~7日(月)は下記の配役にて上演。【第四部】『日本振袖始』12月1日(火)~7日(月)岩長姫実は八岐大蛇尾上 菊之助素盞嗚尊坂東彦三郎12月9日(水)~26日(土)岩長姫実は八岐大蛇坂東玉三郎素盞嗚尊尾上菊之助
2020年12月01日十月大歌舞伎が初日を迎えた。八月、九月とイレギュラーな形とはいえ、初日から楽日までほぼ無事に上演してきた歌舞伎座。今月も同じスタイルで幕を開ける。第一から第四部までの四部制で、それぞれ劇場の表も裏もその都度総入れ替えで、万全の準備をしての上演だ。そして今月も秋らしくじっくりと楽しめるお芝居に、心浮き立つ舞踊とバラエティに配慮した狂言建てとなっている。第一部は『京人形』。日光東照宮の眠り猫で有名な左甚五郎のエピソードを盛り込んだユニークな舞踊劇だ。この甚五郎が廓で見染めた小車太夫に生き写しの人形を彫ると、不思議なことに人形は動き出して……。中村芝翫の左甚五郎、市川門之助の女房おとく、中村七之助が京人形の精を演じる。第二部は『角力場』。義太夫狂言の『双蝶々曲輪日記』の二段目に当たる。大坂堀江の角力小屋では、人気の濡髪長五郎と素人力士出身の放駒長吉の取り組みが始まろうとしている。しかし放駒が濡髪に勝ってしまうという大番狂わせが起こる。実は濡髪はわざと勝ちを譲ったのだった。放駒は真剣に勝負しなかったことを怒り……。風格ある濡髪と若くて元気な放駒という対照的な二人の取組、達引が描かれるのが魅力だ。松本白鸚が濡髪、市川高麗蔵が藤屋吾妻、中村勘九郎が山崎屋与五郎と放駒の二役。第三部『梶原平三誉石切』。梶原平三景時ら平家方の武将たちが鶴ケ丘八幡宮に参詣でやってくる。そこへ源氏方の六郎太夫と娘の梢が刀を買ってもらおうと訪れる。刀の目利きでもある景時は、二人の罪人を重ねて斬る「二つ胴」で刀の真価を試すことにするのだが……。義太夫狂言の時代物、かつ上演されることの多い人気演目だ。知勇に優れる捌き役の梶原平三景時に片岡仁左衛門、六郎太夫娘梢に片岡孝太郎、大庭三郎景親に坂東彌十郎、青貝六郎太夫に中村歌六。第四部は『口上』『楊貴妃』。坂東玉三郎の挨拶に続いて、映像と舞踊公演の企画解説がある。唐の時代、玄宗皇帝は絶世の美女・楊貴妃を寵愛する。次第に政治をおろそかにするようになり、国は傾いてしまう。原因は寵姫にあり、と周囲の者たちにより楊貴妃は命を奪われるのだが……。夢枕獏が玉三郎に書き下ろした作品だ。京劇の女方の手法と、能楽、歌舞伎を融合させた、この世のものとは思えない美しい舞台を堪能したい。歌舞伎座『十月大歌舞伎』10月2日(金)~27日(火)第一部11:00~第二部13:30~第三部16:20~第四部19:30~※10月8日(木)・19日(月)は休演文・五十川晶子
2020年10月02日9月27 日(日)に浅草寺 五重塔 特設舞台にて、中村勘九郎 中村七之助歌舞伎生配信特別公演が開催されることが決定した。【チケット情報はこちら】中村勘九郎、中村七之助を中心に、中村勘太郎、中村長三郎、中村鶴松も加わり東京・浅草の浅草公会堂の舞台から歌舞伎を無観客ライブ配信する同公演。中村勘九郎、中村七之助による『連獅子』を浅草寺 五重塔 特設舞台にて披露する。チケットは9月11日(金)10時より発売。■中村勘九郎 中村七之助歌舞伎生配信特別公演9月27日(日)19 時 配信※見逃し配信10月4日(日)24時まで (期間内は何度でも視聴可)野外特設舞台のため、雨天の場合は中止いたします。当日9月27日(日)17 時に開催か中止かを決定いたします。中止の場合は、10月31日(土)19 時配信に、日程変更いたします。料金: 3,500 円(消費税込み)
2020年09月10日女優の中村アンが出演するアンダーアーマー新ブランドムービー「THE ONLY WAY IS THROUGH. 前へー中村アン」が、28日に公開された。今年4月からアンダーアーマーのブランドアンバサダーを務めている中村。2020年ブランドメッセージ「THE ONLY WAY IS THROUGH. 前へ」は目標達成のために努力を続ける人々の精神・宣言を表現し、“究極の美ボディ”を追い求め、キープし続ける姿を捉えた。今回の新ブランドムービーでは、中村がトレーニングに打ち込む姿勢と意志にフォーカス。常に変わり続ける環境下でも揺るがず、自分らしくありのままに進む中村の姿を通じて、「一歩が踏み出せない」という女性たちを勇気づけ、スポーツに対する壁が少しずつなくなっていくことを目指している。「トレーニングも仕事も人生全体的に挑戦し続ける。恐怖に勝って、前に進む姿勢はすごく共感できます」と語る中村。「ANNE’S STORY」ムービーでは、「フィットネスはちょっと怖い、できないかもみたいなのがあるじゃないですか」と問いかけ、「でも、その恐怖の“一歩前”に進むと景色が変わって、波に乗れる瞬間が来る。やっぱりその瞬間が楽しいし、その“恐怖に勝つ”ことはすべてのことに共通していると思います」と力強い言葉を残している。
2020年08月31日視聴率は毎回20%超えと絶好調のドラマ『半沢直樹』(TBS系)を盛り上げる歌舞伎役者の面々が、劇場で見られる!クラスターに見舞われた舞台の報道が続く中、採算度外視といえる超厳重なコロナ対策の下、5カ月ぶりの幕が開いたーー。東京・銀座の歌舞伎座で「八月花形歌舞伎」が開幕した。新型コロナウイルスの影響で3月から公演中止となっていた歌舞伎座。本来なら5、6、7月と市川海老蔵(42)の團十郎白猿襲名披露興行があり、歌舞伎フィーバーを迎えていた可能性も高い。だが、自粛の続くライブエンタテインメント全般の現状を思えば、幕が開くだけで、まずは御の字だ。プログラムはコロナ仕様。通常なら二部制ないし三部制のところ、今回は幕間なしの四部制だ。そのぶんチケット代も安いので、案外、初心者でも足を運びやすいかもしれない。第一部は『連獅子』。半沢直樹で話題の片岡愛之助(48)が登場し、中村壱太郎(30)とともに、勇壮な獅子の毛振りを見せてくれる。地方(じかた)と呼ばれる演奏者たちはみな黒いマスク着用。これが意外にも儀式性を高め、今しか味わえない高揚感がある。第二部は中村勘九郎(38)と坂東巳之助(30)による『棒しばり』。亡き二人の父である十八世勘三郎と十世三津五郎もコンビで得意とした演目だ。狂言由来のユーモラスなやりとりに、歌舞伎のたくましさが発揮されている。第三部『吉野山』には半沢直樹の怪演で名を馳せた市川猿之助(44)が登場。正体が実は狐という佐藤忠信役でキレのいい踊りを見せる。お相手の中村七之助(37)の美しさにも息を呑む。この第三部、関係者の微熱で8月5日の公演が中止となったが、PCR検査で陰性だとわかり、翌日には即再開。各部ごとに出演者スタッフを総入れ替えする対策をとっていたため他の部への影響もなく、かえって感染予防対策の厳重さを印象づけた。第四部は松本幸四郎(47)らによる『与話情浮名横櫛』。「源氏店」という、台詞のある一幕だが、ヒロインのお富(中村児太郎・26)が、藤八(片岡亀蔵・58)にソーシャルディスタンスを保ちながら化粧を施す演出が面白い。客席数をぐっと制限してもなお満員とは言いがたいが、舞台上と客席の一体感は別格だ。入場時の検温や消毒といった段取りも、日々細かくアップデートされているという。四百年に及ぶ歴史のなかで、何度も危機に見舞われてきた歌舞伎。逆境にある今こそ、この芸能の本質が味わえるときなのかもしれない。「女性自身」2020年9月1日 掲載
2020年08月22日まだかまだかと首を長くして待っていた歌舞伎ファンの皆様、ついに本日から歌舞伎座が再開される。3月以来、配信や無観客上演など、様々な試みを続けてきた歌舞伎俳優たちだが、ようやく歌舞伎座の舞台に立てる。彼らの喜びもひとしおだろう。今回、新型コロナウィイルス感染予防のための厳重な対策の下、各部とも総入れ替え制の4部制となる。出演者や演奏者など関係者の人数を減らしての上演となり、客席も通常より約1000席分を減らす。花道付近や桟敷席は販売せず、市松模様のように前後左右に空間を置いた座席となる。第一部は『連獅子』。能の「石橋」を基にした松羽目物と呼ばれるジャンルの中でも迫力ある舞踊だ。文殊菩薩が住むといわれる霊地清涼山。そのふもとの石橋に、狂言師の右近と左近が手獅子を携えて現れ、石橋の由来を踊る。また文殊菩薩の遣いである霊獣の獅子が、仔獅子を谷底へ蹴落とし、自力で這い上がってきた仔だけを育てるという故事を踊って見せる。やがて満開の牡丹の花の中、親獅子と仔獅子の精が現れる。前半は親子の獅子の厳しくも温かい情愛を描き、ユーモラスな宗教論争がくり広げられる間狂言「宗論」を挟んで、後半は獅子の精が豪快かつ華麗な毛振りを見せる。片岡愛之助、中村壱太郎、中村橋之助、中村歌之助の出演だ。第二部も松羽目物の舞踊で、こちらは狂言を題材としたユーモラスな『棒しばり』。両手を縛られ自由が利かない中で存分に踊って見せるのが見どころだ。次郎冠者と太郎冠者は無類の酒好き。ある日主人の曽根松兵衛は、自分の外出中に酒を盗み飲まれないように一計を案じる。次郎冠者は両手を棒に縛りつけ、太郎冠者は後ろ手に縛ってしまう。それでも協力しながら、なんとか酒蔵で酒にありつくふたり。酌み交わしてほろ酔い気分になり踊りだす。そこへ主が帰館して……。明るく楽しい雰囲気とともに、踊り手の巧みな技も存分に楽しみたい。中村勘九郎、坂東巳之助、中村扇雀の出演。『八月花形歌舞伎』チラシ第三部は義太夫狂言の傑作で歌舞伎三大名作ともいわれる『義経千本桜』の中の一幕であり、人気の舞踊演目だ。満開の桜に覆われた吉野山。源義経の愛妾静御前は、都を落ち延びた恋しい義経を追って旅を続けている。供をするのは義経の忠臣佐藤忠信。だが実はこの忠信は、静が義経から預かった「初音の鼓」の皮に使われた狐夫婦の子供だった。忠信と静の連れ舞や源平合戦を物語るところなど、見どころの多い美しい道行だ。また随所で狐を思わせる忠信のしぐさも見逃せない。こちらは市川猿之助、市川猿弥、中村七之助の出演。第四部はお芝居の演目。『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』。男女の不思議なめぐりあいを描く傑作だ。鎌倉の源氏店に住む和泉屋の大番頭、多左衛門の妾宅で、湯上りの化粧をしているお富。そのお富に番頭の藤八がしつこく付きまとっている。そこへ小遣いをたかりにやってきたのは蝙蝠の安五郎と相棒の与三郎。この与三郎、かつて芸者お富と密会を重ねた伊豆屋の若旦那だ。当時お富を囲っていた旦那に知られてしまい、お富は身投げ、与三郎も全身に三十四か所もの傷を負わされる。互いに死んだと思っていたのに、こんなところでまさかの再会。与三郎の「しがねえ恋の情けが仇」という名セリフが聞きどころだ。松本幸四郎、中村児太郎、片岡亀蔵、市川中車、坂東彌十郎が出演する。8月26日(水)まで。文:五十川晶子
2020年08月01日『中村勘九郎 中村七之助 歌舞伎生配信特別公演』が、ライブ動画配信サービスのPIA LIVE STREAMにて配信される。歌舞伎界にとって初の取り組みとなる、実際の劇場を用いた無観客生配信に挑む勘九郎・七之助の兄弟に話を聞いた。【チケット情報はこちら】9月に全国17ヵ所で開催予定だった『中村勘九郎 中村七之助 錦秋特別公演2020』の中止を受けて企画された本公演。東京・浅草公会堂から世界に向けてリアルタイムで歌舞伎が届けられる試みは、勘九郎いわく「制約があって大劇場に足を運びづらいお客様の声を受け、中村屋自ら全国各地へ出向く」という“錦秋”15年来の構想と重なる。出演者には勘九郎と七之助のほか、勘九郎の長男・中村勘太郎、次男・中村長三郎、そして中村鶴松らが名を連ねた。演目には、舞踊「お祭り」を再構成した新作の舞踊「猿若揃江戸賑(さるわかそろうえどのにぎわい)厄祓浅草祭(やくはらいあさくさまつり)」がラインアップされた。見せ場で大向こうから「待ってましたっ!」と掛け声がかかり、役者が「待っていたとはありがてぇ!」と応じる活気に満ちたやり取りが特徴だが、オンライン視聴している観客とどうやって双方向のコミュニケーションを図るのか──。七之助は「合図にあわせて配信のチャット機能に、テキストで“待ってました!”と書き込んでもらえたら」とコメント。なおチャット機能に寄せられたメッセージは、舞踊後に行われる勘九郎・七之助による芸談(トーク)に即時反映される。「錦秋で設けている質問コーナーを配信でも」と企むのは勘九郎。「相互的なやり取りでライブ感を味わっていただけたら」と続く。カメラは手持ち・固定合わせて4台が稼働し、「シネマ歌舞伎」のようなズームアップや多様なアングルにも対応する予定だ。カメラクルーは稽古に密着し、スイッチのタイミングを検討して本番に臨むという。七之助は「劇場で捕らえることが難しい役者の表情や細やかな所作、小道具に着目してご覧になるのがポイントでしょうか」と映像における歌舞伎の楽しみ方を紹介した。「僕たちの仕事は生活に必要じゃない」「ノアの方舟に絶対乗れない職業」──。勘九郎はコロナ禍における役者の“業”を痛感する一方で、「医療従事者の皆さんをはじめ、方舟の乗客を笑顔にして見送るのが僕らの役割」と自負する。七之助も「兄と甥、4人揃って初めて舞い踊る姿をリラックスして楽しんでもらえたら」と続き、インタビューを結んだ。配信は7月18日(土)13時、19日(日)11時の2回。チケットはそれぞれ当日22時まで販売され、24時まで見逃し配信が視聴できる。ぴあでは16日(木)23:59まで、海外在住者に向けた英語の販売ページも設けられる。取材・文:岡山朋代カメラマン:源賀津己
2020年07月10日