串田和美の新作舞台『ガード下のオイディプス −スフィンクスの謎解き–』が、2024年10月18日(金) から28日(月) に東京・すみだパークシアター倉で上演される。このたび、串田和美に加え、本作に出演する大空ゆうひのコメントが到着した。本作は、数々のヒット作を生み出し、日本の演劇界を牽引してきた串田が、自身が探し求める演劇活動「自由劇場」を再開するため始動した「フライングシアター自由劇場」の第4作目として上演される。ソポクレス『オイディプス王』にインスピレーションを得た作品で、古代ギリシア、戦後の日本、今を舞台に、男性6人、女性2人の8人の演者で『オイディプス王』に出てくる様々な役とともに、コロスや大道芸人を全員で演じ、歌や生演奏も取り入れて物語が展開する。出演は大空ゆうひ、串田和美のほかに、現在放送中のNHK大河ドラマ『光る君へ』では清少納言の父としての出演も記憶に新しい大森博史、映画・ドラマ・舞台と幅広く活躍するさとうこうじ、声楽家としても活動し、数々のミュージカルにも出演する俳優・山野靖博、2021年より俳優活動を開始し、急躍進を続けている串田十二夜、5歳より新体操を始め、その身体能力を生かして俳優として活動する大野明香音、伝説のバンド・ボガンボスのメンバーで、串田作品では音楽劇『もっと泣いてよフラッパー』やコクーン歌舞伎『切られの与三』でも音楽を担当したDr.kyOn、そして、カンパニーを先導する串田和美が名を連ねた。キービジュアルは回顧展も記憶に新しい、日本を代表するイラストレーター宇野亞喜良が手がけている。■串田和美 コメントこの作品はもちろんソポクレス原作の『オイディプス王』が大元になっているが、串田が新たに大幅に改作し、オイディプス幼少期のエピソードや、ひとり流浪の旅に出ること、スフィンクスの謎解きの場など、さらに実際の母イオカステとの場などを加え、それらを大道芸人たちが、倉庫の中で、歌や滑稽な会話を交えながら演じる、21世紀の視点から2500年以前と、1000年先の人類を見据える、滑稽で深刻な音楽劇です。■大空ゆうひ コメント自分の感覚のアンテナをピンピンに張ったり、緩めて柔らかい感性を総動員させたり、稽古が終わるとアタマから湯気が出そうな稽古場での日々です。昨年、別の座組でイオカステ役を演じたこともあり、今回は新しい目線で彼女を見つめることが面白い。8人で創る『ガード下のオイディプス』見たことのないオイディプスになるはず。ぜひ観にいらして下さい。シアター倉にてお待ちしています!<公演情報>『ガード下のオイディプス −スフィンクスの謎解き–』作・演出・美術:串田和美音楽:Dr.kyOn【キャスト】大空ゆうひ大森博史さとうこうじ山野靖博串田十二夜大野明香音Dr.kyOn串田和美日程:2024年10月18日(金)〜10月28日(月)会場:東京・すみだパークシアター倉公式サイト:
2024年10月04日フライングシアター自由劇場による『あの夏至の晩 生き残りのホモサピエンスは終わらない夢を見た』が6月6日(木)、東京・新宿村LIVEにて開幕する。数々の作品を世に送り出し、1996年に解散した串田和美率いるオンシアター自由劇場。27年のブランクを経て、昨年、フライングシアター自由劇場として復活。かつてアンダーグラウンド・シアター自由劇場のあった、現・ライブハウス音楽実験室・新世界での独り芝居『月夜のファウスト』を第一歩に、12月には『仮面劇・預言者』を東京と松本で上演した。今回、第2回公演として串田が選んだのがウィリアム・シェイクスピア『夏の夜の夢』を原作にした『あの夏至の晩 生き残りのホモサピエンスは終わらない夢を見た』。『夏の夜の夢』といえば森の妖精たちの戯れによって恋人たちの騒動が巻き起こる滑稽な幻想劇。ファンタジックな設定、コミカルな展開が愛され、これまでも世界中で繰り返し上演され続けているほか、映画や絵本、ダンス、オペラ、音楽にもなっている。串田はこれまでも、この作品の演出を三度経験している。しかし、今回はそれぞれに出自がバラバラの8人の俳優を集め、原作を改めて解体し、見知らぬ、あるいはごく身近な人類が共有する「夢」と捉え直す。それにより、現代を生きる我々の世界を見つめる。上段左から)大空ゆうひ、川上友里、皆本麻帆、小日向星一下段左から)串田十二夜、谷山知宏、島地保武、串田和美出演は元宝塚歌劇団トップスターの大空ゆうひ、コンテンポラリーダンサー島地保武、劇団はえぎわで個性を光らせる川上友里、数々のミュージカルや演劇作品で注目を集める皆本麻帆、舞台だけでなくドラマでも活躍する小日向星一、俳優歴わずか2年ながら躍進中の串田十二夜、花組芝居で男役・女形両方をこなす谷山知宏。もちろん、串田自身も出演する。さまざまなルーツをもつ俳優たちが集められ、創り出す「夢」は、ここでしか観られないものになるだろう。同作は東京での上演ののち、ルーマニア・シビウ国際演劇祭で公演を行い、7月5日(金)からは松本・信毎メディアガーデンにて上演される。文:釣木文恵大空ゆうひ「今までみたことのないような、なのに既視感のあるような夢を8人で創造したい」キャストコメント【キャストコメント】大空ゆうひ終わらない夢ってなんだろう。私達がいなくなっても夢のようなものは残っていたりするのかも知れない。串田さんのもと集まったホモサピエンス達、個性は違えど何か不思議なご縁を感じます。今までみたことのないような、なのに既視感のあるような夢を8人で創造したい。劇場でお待ちしています。川上友里シェイクスピアの作品に接するのは初心者でございます。(今年の2月「マクベス」に出演致しましたがそれが初めてです)とにかく外国の方の作品は人の名前にすごく距離を感じまして内容が入ってこないという状態におちいります。まず日本人の名前に変えて台本を改めて読んでみます。今思いつきました。6月6日からお客様とともに良い時間を過ごせるよう稽古に励みます。ご来場心よりお待ちしております。皆本麻帆みんなで作品のことや、そうじゃないことをおしゃべりする時間が豊かで贅沢でした。こどもの頃のじぶんを思い出しながら記憶がほどけていく感覚で、経験したことなのか、ただそう思い込んでいただけなのか、、、本稽古ではたくさん感じて見つけて出逢っていきたいです。小日向星一数回のプレ稽古でも串田さんの世界観の面白さをたくさん浴びました。演劇の持つ力や自由さに気付かされてハッとさせられる瞬間が何度もあり、この座組にいられて幸せだなぁと思いました。これから本稽古に入りどんな舞台ができあがるのか、心からワクワクしています。とても素敵な共演者の方々とスタッフの皆様とご一緒に誠実に作品をつくっていきたいと思います。串田十二夜串田和美演出による4回目の夏の夜の夢に出演できること、また新宿、シビウ、松本という場所で闘えること、本当に嬉しく思います。生き残りのホモサピエンスを彷徨わせつつも色んな所に連れて行ってくれる作品な気がしています。皆様のご感想がとても楽しみです。是非お越しください!谷山知宏自由劇場。私が遠くから勝手にもちろん知っていた演劇人串田さん。お話を聞いてるだけでも演劇を感じて私はニヤッとしてしまう。そして、もう、すぐにセンスを感じずにはいられない出自の違う演者の皆様方。この中でご一緒に作品をつくっていけることがひとつ夢のように、うれしい楽しい時間。8人の夏の夜の夢。男女8人恋物語?w ぜひお楽しみに!!島地保武プレ稽古での座りっぱなしの4時間は、本稽古に向けての深いプレパレーションになりました。近頃は歩きながらモゴモゴと台詞を口ずさんでみたり、なりきって代官山を歩いてみたり、妻をパックと呼んでみたりしてます。演劇をしてみると現実をとらえる力がつくような気がしています。同時に、しばらくは世界のあわいに身を置くことになりそうです。串田和美“夢”というものは一体何なのだろう? 夢の中で、今誰かが見ている夢の中に自分が紛れこんでいるんじゃないか? と思うことがある。君は誰?私は君?魚かな?いやいや我々人間には名付けようのない宇宙の何かが見ている夢かもしれない。・・・。自分も入れて8人の出演者の内4人が初めて一緒に芝居を創る人たち。早くもすごーく良いチームだなあと感じ、ワクワクしている。<公演情報>フライングシアター自由劇場 第二回公演『あの夏至の晩 生き残りのホモサピエンスは終わらない夢を見た』原作:ウィリアム・シェイクスピア『夏の夜の夢』翻訳:松岡和子脚色・演出・美術:串田和美出演:大空ゆうひ / 川上友里 / 皆本麻帆 / 小日向星一串田十二夜 / 谷山知宏 / 島地保武 / 串田和美【東京公演】2024年6月6日(木)~6月12日(水)会場:新宿村LIVE【ルーマニア公演(シビウ国際演劇祭2024正式招聘作品)】2024年6月21日(金)・22日(土)会場:Studio Hall TNRS【松本公演】2024年7月5日(金)~7月7日(日)会場:信毎メディアガーデン公式サイト:
2024年06月03日元宝塚トップスターやコンテンポラリーダンサー、花組芝居など出自の異なる8人の俳優たちが20以上の役を演じる21世紀の串田版・シェイクスピア『夏の夜の夢』(有)自由劇場(代表:串田和美)主催、『あの夏至の晩 生き残りのホモサピエンスは終わらない夢を見た』が東京公演、松本公演の二都市上演、及びルーマニアでの招聘公演が実施されます。この度、アフタートークの詳細が決定いたしました。東京公演のチケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて発売中です。【東京公演】2024年6月6日(木) 〜 6月12日(水) / 新宿村LIVE(東京都 新宿区 北新宿 2-1-2)【ルーマニア公演】2024年6月21日(金) ~ 6月22日(土) (シビウ国際演劇祭2024正式招聘作品)【松本公演】2024年7月5日(金) ~ 7月7日(日) / 信毎メディアガーデン(長野県松本市中央2丁目20-2)カンフェティにて東京公演チケット発売中 公式ホームページ 俳優・演出家・舞台美術家の串田和美率いる演劇プロジェクト「フライングシアター自由劇場」の第二作目となる本公演は、Wシェイクスピアの人気作『夏の夜の夢』を、串田の独特の発想のもと、21世紀版に新たに作ります。串田はこれまでに同作の演出を三度手がけてきましたが、今回は元宝塚トップスターやコンテンポラリーダンサー、劇団はえぎわや花組芝居など出自の異なる8人の俳優とともに、現代の我々の世界を見据えた、新たな『夏の夜の夢』をお届けいたします。この度、東京公演と松本公演のアフタートーク詳細が決定いたしました。本作の出演者たちや脚色・演出・美術を担当する串田和美に加え、俳優・ダンサーの森山未來や、演劇ジャーナリストの内田洋一など、多彩なゲストを迎えたアフタートークにもご注目ください。アフタートーク詳細▼東京公演6月8日(土) 17:00回終演後松岡和子(翻訳家)×平松麻(画家)×草生亜紀子(ライター・翻訳者)×串田和美6月9日(日) 17:00回終演後大空ゆうひ・島地保武・串田和美(以上、出演者)×森山未來(俳優・ダンサー)6月11日(火) 18:30回終演後川上友里・皆本麻帆・小日向星一・串田十二夜・谷山知宏(以上、出演者)×内田洋一(演劇ジャーナリスト)▼松本公演7月6日(土) 17:00回終演後大空ゆうひ・川上友里・皆本麻帆・小日向星一・串田十二夜・谷山知宏・島地保武・串田和美(以上、出演者)【ゲストプロフィール】松岡和子(翻訳家)1942年、旧満州新京(現・長春)生まれ。翻訳家、演劇評論家、東京医科歯科大学名誉教授。英米の小説や評論、現代劇の翻訳を経て、1995年からシェイクスピア劇の翻訳に取り組む。彩の国さいたま芸術劇場の故蜷川幸雄芸術監督のもと彩の国シェイクスピア・シリーズで翻訳を担当。2021年、全戯曲の個人訳による『シェイクスピア全集』(筑摩書房ちくま文庫)を完結させ、その功績により菊池寛賞、朝日賞などを受賞。主な著書に『すべての季節のシェイクスピア』『深読みシェイクスピア』他。評伝、草生亜紀子著『逃げても、逃げてもシェイクスピア』(新潮社)がある。平松麻(画家)1982年生まれ。東京都出身。油彩画をメインに展覧会での作品発表を軸に活動する。自身の体内に実在する景色を絵画にし、「雲」をモチーフに据えた心象風景を描く。新聞・雑誌・書籍の挿画や文筆も手掛ける。2024年6月6日~7月5日「104 GALERIE」にて「ロバート・ボシシオ、平松麻、ドナータ・ヴェンダース|グループ展」に出品。草生亜紀子(ライター・翻訳者)The Japan Times、新潮社などを経て独立。現在、国際人道支援NGOで働きながら、フリーランスとして翻訳・原稿執筆を行う。著書に『理想の小学校を探して』、中川亜紀子名で訳した絵本に『ふたりママの家で』がある。『逃げても、逃げてもシェイクスピア翻訳家・松岡和子の仕事』(新潮社刊)を4月に上梓。国際基督教大学、米Wartburg大学卒業。森山未來(俳優・ダンサー)5歳から様々なジャンルのダンスを学び、15歳で本格的に舞台デビュー。「関係値から立ち上がる身体的表現」を求めて、領域横断的に国内外で活動を展開している。公開待機作は、「大いなる不在」(7月12日)「化け猫あんずちゃん」(7月19日)。ポスト舞踏派。内田洋一(演劇ジャーナリスト)1960年、東京生まれ、83年、早稲田大学政治経済学部卒後、日本経済新聞社入社。84年から文化記者となり、演劇を中心に音楽、美術などを担当。現在編集委員。著書に『風の演劇評伝別役実』『現代演劇の地図』『危機と劇場』『日本の演劇人野田秀樹』『風の天主堂』、編著に『阪神大震災は演劇を変えるか』など。公演概要『あの夏至の晩 生き残りのホモサピエンスは終わらない夢を見た』《原作》ウィリアム・シェイクスピア『夏の夜の夢』《翻訳》松岡和子《脚色・演出・美術》串田和美■出演者大空ゆうひ川上友里皆本麻帆小日向星一串田十二夜谷山知宏島地保武串田和美■東京公演[公演日程]6月6日(木) 19:006月7日(金) 14:006月8日(土) 13:00/17:00★6月9日(日) 13:00/17:00★6月10日(月) 19:006月11日(火) 14:30/18:30★6月12日(水) 14:00※当日券販売は開演1時間前/受付開始・客席開場は開演30分前★アフタートーク開催![会場]新宿村LIVE〒169-0074 東京都新宿区北新宿2-1-2 B2階*東京メトロ丸の内線「⻄新宿駅」1番出口から徒歩7分*都営大江戸線/東京メトロ丸の内線「中野坂上駅」A1出口から徒歩8分[チケット料金(税込/全席指定)]●一般:前売 7,800 円 / 当日 8,000 円●ペアチケット:15,000円(枚数限定|当日券取扱なし)●U-25:5,000円(枚数限定|当日券取扱なし|要身分証明書)●高校生以下:4,000 円(枚数限定|当日券取扱なし|要身分証明書)●エンジェルシート:12,000円※公演をサポートするエンジェルとなって、特別席で観劇しませんか?お申し込みは団体メールアドレスにて受付いたします。(枚数限定|当日券取扱なし|上演台本など特典付き)[チケット取り扱い]カンフェティ(一般/事前精算) ローソンチケット(一般・ペアチケット・U-25・高校生以下/事前精算) 団体予約(エンジェルシート/事前精算) flyingtheatre.jg@gmail.com [「9人の夢」ー演劇と絵による夢の展覧会ー]入り口から会場に続く階段の壁面にて、画家の平松麻による本公演をイメージした絵画展を同時開催!ぜひご観劇と合わせてお楽しみください。[備考]・客席までは階段のみのご案内となります。エレベーターの利用を希望される方は公演3日前までにご連絡ください。・小学生以上の方はチケットが必要です。小学生未満のお客様は保護者の膝上にてご観劇の場合のみ無料、お席が必要な場合は有料。・公演中止を除き、チケットの変更/払い戻しはいたしません。[お問合せ]MAIL: flyingtheatre.jg@gmail.com TEL:080-3207-7399HP: ■ルーマニア公演(シビウ国際演劇祭2024正式招聘作品)[公演日程]6月21日(金) 21:006月22日(土) 16:00■松本公演[公演日程]7月5日(金)18:307月6日(土)13:00/17:00★7月7日(日)14:00※当日券販売は開演1時間前/受付開始・客席開場は開演30分前★アフタートーク開催![会場]信毎メディアガーデン〒390-0811 長野県松本市中央2丁目20-2*JR「松本」駅から徒歩8分*松本ICから車で15分[チケット料金(税込/全席自由)]●一般:前売 4,500円 / 当日5,000円●U-25:前売 2,500円 / 当日3,000円●3歳未満:無料[チケット取り扱い]窓口:信毎メディアガーデン1階まちなか情報局(9:00~18:00)WEB:信毎メディアガーデンWebショップ [演劇と絵による夢の展覧会を、松本市内2箇所で同時開催!]宣伝絵画を手がけた画家・平松麻が、本作にインスパイアされながら描き下ろした原画展です。8人の俳優が演じる舞台を、9人目となる画家や観客それぞれが受け取るーーーー。演劇と絵画のあいだを流れるボーダレスな世界をぜひお楽しみください。①栞日sioribi〒390-0815長野県松本市深志3-7-8TEL:0263-50-5967会期:6月17日(月)~7月7日(日)(7:00~20:00 ※水曜定休)②信毎メディアガーデン一階フロア内会期:6月17日(月)~7月7日(日)(8:00~22:00 ※7月2日休館)[お問合せ]信濃毎日新聞松本本社まちなか情報局(平日 9:00~17:00)TEL:0263-32-1150 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2024年05月18日この度、2024年3月2日(土)よりシネ・ヌーヴォにて公開中チャン・チー監督によるアートサスペンス『海街奇譚(※読み:うみまちきたん)』のチャン・チー監督と串田壮史(マイマザーズアイズ)監督のコラボ対談が実現いたしました。世界の映画祭で評価された現代的な映画作り、自由な発想で生み出すアート映画の技法など、貴重な意見交換が披露されました。(左から)チャン・チー監督、串田壮史監督コラボ対談2024年3月2日(土)よりシネ・ヌーヴォにて公開中チャン・チー監督によるアートサスペンス『海街奇譚(※読み:うみまちきたん)』のチャン・チー監督と串田壮史(マイマザーズアイズ)監督のコラボ対談が実現!公式インタビューが解禁。姿を消した妻を探しに、彼女の故郷である離島の港町へ訪れた男。相次ぐ海難事故で住民の行方不明が続く寂れた町で、妻の面影を持つ女と出会うが…。カブトガニの仮面、消えた“仏”の頭、永遠の8月5日、呪われた海。夢と現、過去と現在を彷徨する迷宮の物語を、1987年生まれで本作が長編デビュー作となる中国の新たな才能チャン・チー監督が、卓越した映像感覚と比類なきイマジネーションで描き出す幻惑の映画体験。第41回モスクワ国際映画祭審査員特別賞(シルバー・ジョージ)と第18回イスタンブール国際インディペンデント映画祭批評家協会賞(メインコンペティション)を受賞。映像表現も高く評価され、第27回カメライメージ映画祭ではゴールデンフロッグ賞・撮影監督デビュー部門の2部門ノミネートを果たしている。原題の「海洋動物(かいようどうぶつ)」が示すとおり、作中には海の生物をメタファーとした様々な演出が登場。いずれもチー監督自身が生まれ育った港町がモチーフとなっているが、それらの海の生き物たちが作中において何を意図しているのかを類推しながら楽しむことができるのも、本作の魅力の一つとなっている。また、キャスティングも本作のセールスポイントのひとつで、主演の妻を探す男を演じたチュー・ホンギャンは本業が機械技師という変わり種。その妻を演じたシューアン・リンは妻役以外にも2役を演じ、そのファム・ファタール的な存在感が新鮮な魅力に満ちている。■映画『海街奇譚』チャン・チー監督×串田壮史監督:特別座談会『海街奇譚』劇中場面より「越境するアートハウス映画の“表現と視座”」串田:映画『海街奇譚』を面白いと感じたのは、まず、主人公が俳優業という設定です。俳優であるからこそ、本当の自分を隠しつつ、自分が考えた役をこの街で演じているに過ぎない、信用できない語り手として存在しており、もはや今の時代は何が現実で何が嘘かを区別せずに生きるべきであると、強く訴えられました。私たちが今生きるべき姿を提示している、とても現代的な映画ですね。AIとか、役というアバターでの生活、時代に根差している作品です。チャン:あなたの前作『写真の女』にも同じような現代性を感じましたよ。加工で美しく盛った写真を自分自身の姿だと思い込んでいく様子は、とても現代的です。より作家性が際立ったのが、『マイマザーズアイズ』ではないでしょうか。私と串田監督は同世代の映像作家でお互いイギリスで映像制作を学んだ出自も共通しています。串田:私の監督した2作品はどちらも「デヴィッド・クローネンバーグの影響を受けた」と評されています。意識した自覚は無いのですが。チャン:『海街奇譚』を海外の映画祭で上映したとき「冷たいマルホランド・ドライブのよう」とデイヴィッド・リンチ監督作品との親和性を指摘されました。私は意識しましたよ(笑)。串田:それはチャン監督が映画を撮るにあたり、中国国内だけではなく、最初から海外の国際映画祭で勝負しようという意気込みがあったからですよね。青を基調とし、昼と夜でその色彩設計が異なるバランスで調整されている美しさは、舞台演出を映画として昇華していると感銘を受けましたし、俳優さんたちの演技も抑制が効いていて、アジア映画に留まらないという洗練された雰囲気に満ちていましたね。自戒を込めて言うと、日本のインディーズ監督の作品は身近な暴力を描きがちで、創造力が半径数メートルの身近な世界で止まっているんです。チャン:『マイマザーズアイズ』にも暴力が出てきましたね。しかし、とても芸術的であると感じましたよ。中国は審査制度があり、過度な暴力表現は出来なかったため、『海街奇譚』では、主人公がカメラを使い、撮影という行為でもって殺人を行う抽象的な暴力演出を行いました。チェロの弓で人体を引き裂く『マイマザーズアイズ』しかり、私たちは芸術を生み出す道具を用いて殺人を描くという唯一無二の共通点がありますね。串田:作家自身が描きたいという自由な発想を用いて、アートハウス映画を作る環境は、年々厳しくなっています。私もあなたも自身で制作したインディペンデント映画を映画館で上映できる最後の世代になるかもしれません。最近は、現代的な作品作りは映画の在り方そのものを考え直す時期に差し掛かっていると感じています。離島の港町を舞台に描かれる幻想的なビジュアルイメージをモスクワ国際映画祭はじめ高い評価をチャン・チー監督と最新作『マイマザーズアイズ』にて世界主要ホラー映画祭での受賞経験を持つ串田壮史監督との対談では、共にアジア出身の監督でありながら、自国の文化にとらわれない自由な発想と表現を国際マーケットでアピールする重要性と、減少するインディペンデント映画の劇場公開においては自分達が最後の世代かもしれないという危機意識も露わにした。<チャン・チー監督プロフィール>1987年、中国浙江省寧波生まれ。ノッティンガム大学国際コミュニケーション学科卒業、北京電影学院演出科修了。舞台演出家、舞台美術家としても活動。2010年から2015年まではCMや短編映画などを手がけ、2016年に中編『Edge Of Suspect』でデビュー。2019年に長編デビュー作『海街奇譚』にてモスクワ国際映画祭審査員特別賞を受賞。2021年の長編第2作『ANNULAR ECLIPSE』は釡山国際映画祭に出品された。学生時代から演劇を学んでおり、演出を手がけた最新の舞台は、2021年に上演された戯曲「三字奇譚」。同作品は浙江省文化芸術基金の資金提供対象に選ばれている。チャン・チー監督<串田壮史(くしだたけし)監督プロフィール>1982年大阪生まれ。ピラミッドフィルム所属。2020年に発表した長編デビュー作『写真の女』は、世界中の映画祭で40冠を達成し、8か国でのリリースが決定している。長編第二作『マイマザーズアイズ』は、スクリームフェストやフライトフェストなど、世界の主要ホラー映画祭に選出されている。現在、長編第三作の製作中。串田壮史監督【『海街奇譚』 ※読み:うみまちきたん】<公式サイト> 2019年/112分/中国/映倫 G/原題「海洋動物」/英題「In Search of Echo」脚本・監督:チャン・チー撮影 :ファン・イー視覚効果 :リウ・ヤオ音楽 :ジャオ・ハオハイ美術 :ポン・ボー共同脚本 :ウー・ビヨウ編集 :シュー・ダドオ出演 :チュー・ホンギャン、シューアン・リン、ソン・ソン、ソン・ツェンリン、チュー・チィハオ、イン・ツィーホン、ウェン・ジョンシュエ配給・宣伝:Cinemago (C)Ningbo Henbulihai Film Productions/Cinemago姿を消した妻を探しに、彼女の故郷である離島の港町へ訪れた男。相次ぐ海難事故で住民の行方不明が続く寂れた町で、妻の面影を持つ女と出会うが…カブトガニの仮面、消えた“仏”の頭、永遠の8月5日、呪われた海。夢と現、過去と現在を彷徨する迷宮の物語を、1987年生まれで本作が長編デビュー作となる中国の新たな才能チャン・チー監督が、卓越した映像感覚と比類なきイマジネーションで描き出す幻惑の映画体験。第41回モスクワ国際映画祭審査員特別賞(シルバー・ジョージ)と第18回イスタンブール国際インディペンデント映画祭批評家協会賞(メインコンペティション)を受賞。また映像表現も高く評価され、第27回カメライメージ映画祭ではゴールデンフロッグ賞・撮影監督デビュー部門の2部門ノミネートを果たしている。<公開概要>2024年3月2日(土) シネ・ヌーヴォ3月9日(土) CinemaKOBE、川崎市アートセンター3月15日(金) アップリンク京都 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年03月07日4月1日(土)夜6時30分放送土曜ゴールデンシアター特別企画「シアターコクーンと申します~33年の歩み休館、そしてこれから~」BS松竹東急<BS260ch・全国無料放送>では、4月1日(土)夜6時30分より土曜ゴールデンシアター特別企画「シアターコクーンと申します~33年の歩み休館、そしてこれから~」を放送いたします。2023年4月10日(月)から2027年度までの間、オーチャードホールを除き休館となる渋谷の複合文化施設「Bunkamura」。今回、中でも長年にわたり劇場文化を支えてきた「シアターコクーン」に焦点を当て、シアターコクーンの歴代の芸術監督をはじめ、舞台を彩ってきた俳優陣、共に歩んできたBunkamura社員から新聞記者まで、数々の関係者の証言により、その功績を深掘りします。さらに、シアターコクーン初のライブ配信となった舞台「プレイタイム」(2020年。出演:森山未來、黒木華)も放送。また、ナレーションは、開館から33年のシアターコクーンと同い年の岡田将生が担当するなど、演劇ファンはもちろん、広くエンターテインメント好きの方には必見の内容でお送りします。©Bunkamura「Bunkamuraシアターコクーン」芸術監督 松尾スズキ コメント撮影:細野晋司「シブヤデマタアイマショウ」(3/30~4/9上演。松尾が総合演出・構成台本・出演)は、シアターコクーン休館前の最後の舞台となります。再演ではありますが、前回を踏襲しながらも新たなものを模索していきたい。ひとつの日常がいったん終わりを迎える節目に居合わせるというのは、滅多にないこと。その寂しさもショーの一部にできたらと思っています。私も60歳になり、何にでも別れはつきまとうとわかってきました。楽しいショーが終わったあとに、切なさみたいなものを感じてもらえたら。シアターコクーンは、デパートの隣にあって、華やかで賑やかなイメージです。でも、私のような猥雑なものも受け入れてくれる懐の深さがある。歌舞伎があったり、海外の演出家を呼んでみたりと、挑戦ができる場所だなと思います。ひとつの劇場に対して番組が作られるのは、なかなかないことです。シアターコクーンという劇場がいったん終わりを迎える、そんな貴重なひとときを楽しんでもらえたらと思います。株式会社東急文化村 常務執行役員加藤真規 コメントはじめに、これまでシアターコクーンに足をお運びいただいたお客様皆様に感謝申し上げます。数多くの作品を世に送り出してきた劇場の節目にこのような番組を企画していただき光栄です。国内外の劇作家、演出家、俳優、様々な才能がこの舞台を踏んでくださいました。そんな方々のシアターコクーンへの思いが伝わるならば、これ以上の喜びはありません。32年間にわたり仕事をし続けた劇場が休館することとなりました。寂しさはありません、思い出されるのはひとつひとつの舞台を作り上げる上で、本当に毎回毎回様々な試練、それを乗り越えて得た感動や達成感です。すべての作品が私にとって宝物であり、これを肥やしにまた数年後、シアターコクーンでさらなる挑戦を続けていければと思っています。松尾芸術監督!私も60歳ですがもうしばらくお力を貸してください!番組プロデューサー BS松竹東急湯浅敦士 コメントシアターコクーンを訪れると、あの席であの芝居を観たなあと、鮮明に思い出すことがあります。それは、劇場という空間で演劇人と観客によって生み出された一種の特異な空気や感動が、僕の記憶に深く刻まれているからだと思います。あらゆる演劇は空間がなければ成立しません。劇場史を中心に描く演劇愛と感謝にあふれた番組を制作したいと思いました。BS松竹東急だからこそできる視点の番組だと思います。どうぞご期待ください。【番組概要】【 番組名 】土曜ゴールデンシアター特別企画「シアターコクーンと申します~33年の歩み休館、そしてこれから~」【 放送日時 】4月1日(土)夜6時30分~夜9時【 番組内容 】2023年4月10日(月)より2027年度までの間、オーチャードホールを除いて休館となる複合文化施設「Bunkamura」。中でも長年にわたり劇場文化を支えてきたシアターコクーンの功績に迫る。歴代の芸術監督でもある、串田和美、松尾スズキにインタビューし、これまでの歴史や演劇の発信に懸けた想いも送る。また、1999年から2016年の間、芸術監督を務めた蜷川幸雄の作品を振り返るなど、BS松竹東急ならではの視点で、「Bunkamura」が創出している“これまでの、そしてこれからの劇場文化”を紹介。加えて、2020年に新型コロナウイルスの影響で一時休館となったシアターコクーンが、初のライブ配信に挑戦した話題作「プレイタイム」も放送する。出演は森山未來、黒木華。また、コクーン アクターズ スタジオなど、休館後の「Bunkamura」のこれからについても伝える。●出演/串田和美松尾スズキ大竹しのぶ笹野高史多部未華子中村勘九郎中村七之助野村萬斎加藤真規山口宏子●舞台「プレイタイム」出演/森山未來黒木華●ナレーション/岡田将生「プレイタイム」撮影:細野晋司【 関連番組 】渋谷・コクーン歌舞伎「佐倉義民傅」4月9日(日)夜6時~夜9時▼中村勘三郎最後の渋谷・コクーン歌舞伎出演作。出演は、中村勘三郎、中村橋之助(現・芝翫)、中村七之助、笹野高史、片岡亀蔵、坂東彌十郎、中村扇雀2ケ月連続企画 「Bunkamuraル・シネマ」セレクション4月8日(土)〜5月20日(土)の土曜夜9時▼ミニシアター「Bunkamuraル・シネマ」で上映され好評を博した名作の中から、世界三大映画祭受賞作を含めて、珠玉の7作品を特集放送[ 放送予定作品 ]〈ジャック・ドワイヨン監督の代表作〉「ポネット」(「Bunkamuraル・シネマ」歴代興行収入1位)〈クシシュトフ・キェシロフスキ監督の「トリコロール」三部作〉「トリコロール/青の愛」(ヴェネチア国際映画祭 1993年金獅子賞受賞)「トリコロール/白の愛」(ベルリン国際映画祭 1994年銀熊賞(監督賞)受賞)「トリコロール/赤の愛」(全米映画批評家協会賞外国語映画賞受賞)〈ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督の代表作〉「ロゼッタ」(カンヌ国際映画祭 1999年パルム・ドール受賞)ほか【 放送局 】BS松竹東急(BS260ch・全国無料放送)【 番組「お知らせ」ページ 】 【 局公式Twitter 】@BS260_official©Bunkamura 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年03月16日プロの料理レシピサイト「E・レシピ」がご紹介する今日の夕食にオススメの献立は、 「簡単おいしい!基本の炊き込みご飯 by 山下 和美さん」 「巾着卵」 「大根の合わせみそ汁」 の全3品。 具だくさんの炊き込みご飯に、食べ応えのある煮物と赤だしを合わせました。 【主食】簡単おいしい!基本の炊き込みご飯 by 山下 和美さん 鶏肉とゴボウの入った簡単炊き込みご飯です。冷めてもおいしいので、おにぎりもおすすめです。 調理時間:1時間10分 カロリー:349Kcal レシピ制作:フードコーディネーター 山下 和美 材料(2人分) <具> 鶏もも肉 75g ゴボウ 1/4本 ニンジン 1/8本 シメジ 1/4パック お米 1合 <調味料> 酒 大さじ1 みりん 大さじ1 薄口しょうゆ 小さじ2 だし汁 150~170ml 貝われ菜 適量 【下準備】 お米は炊く30分以上前に水洗いし、ザルに上げておく。鶏もも肉は細かく刻む。 ゴボウはタワシでこすりながら水洗いし、ささがきにして水に放ち、水気をきる。ニンジンは皮をむき、細切りにする。シメジは石づきを切り落とし、小房に分ける。 【作り方】 1. 炊飯器に洗い米を入れ、<調味料>の材料を加え、お米1合分の目盛りまでだし汁を足す。<具>の材料をのせてスイッチを入れる。 2. 炊き上がったら、器によそって貝われ菜をのせる。 【副菜】巾着卵 半熟の黄身があふれ、油揚げからはジュワッとお出汁が染み出ます。 調理時間:15分 カロリー:324Kcal レシピ制作:フードコーディネーター 山下 和美 材料(2人分) 油揚げ (いなり用)4枚 卵 4個 小松菜 1/2束 <合わせだし> だし汁 300ml 酒 大さじ2 みりん 大さじ2 砂糖 大さじ1 薄口しょうゆ 大さじ2 【下準備】 油揚げはめん棒で軽く押さえ、1辺を切り落として袋状に開く。小松菜は根元を切り落とし、長さ4cmに切る。 【作り方】 1. 油揚げに卵を入れ、つま楊枝で留める(4個作る)。小鍋に<合わせだし>の材料を入れて中火にかける。 2. 煮たったらそっと油揚げを入れ3分程煮る。裏返してさらに5分程煮る。残った煮汁で小松菜にサッと火を通し、器に盛り合わせる。 【副菜】大根の合わせみそ汁 いつものみそ汁に赤みそをプラス。コクが出ます。 調理時間:10分 カロリー:48Kcal レシピ制作:フードコーディネーター 山下 和美 材料(2人分) 大根 2cm 白ネギ 1/4本 だし汁 400ml みそ 大さじ1 赤みそ 大さじ1 七味唐辛子 適量 【下準備】 大根は皮をむき、棒状に切る。白ネギは斜めに切る。 【作り方】 1. 鍋にだし汁と大根を入れて中火にかけ、大根が透明になったら、白ネギを加える。 2. 煮たったら弱火にしてみそと赤みそを溶き入れ、器に注ぎ、七味唐辛子を振る。
2023年02月27日プロの料理レシピサイト「E・レシピ」がご紹介する今日の夕食にオススメの献立は、 「ピリ辛タレでお箸が止まらない!鶏もも肉のネギまみれ by 山下 和美さん」 「ゴマ油香る!カニカマの中華風卵焼き by 山下 和美さん」 「セロリの漬物」 の全3品。 ゴマ油のきいた中華の献立。ビールが飲みたくなりそうです。 【主食】ピリ辛タレでお箸が止まらない!鶏もも肉のネギまみれ by 山下 和美さん ジューシーな鶏もも肉をフライパンで焼いて薬味のきいたたっぷりのネギでいただきます。ピリ辛のタレが食欲をそそります! 調理時間:15分 カロリー:698Kcal レシピ制作:フードコーディネーター 山下 和美 材料(2人分) 鶏もも肉 2枚 塩コショウ 少々 片栗粉 適量 青ネギ 1束 塩 少々 <タレ> 砂糖 小さじ2 しょうゆ 大さじ1.5 酢 大さじ1.5 ゴマ油 大さじ1.5 ラー油 少々 ショウガ (すりおろし)1片分 サラダ油 適量 糸唐辛子 適量 【下準備】 鶏もも肉は余分な脂を取り除き、食べやすい大きさに切って塩コショウし、全体に片栗粉をまぶす。青ネギは小口切りにする。 【作り方】 1. 抗菌袋に青ネギと塩を入れ、袋の上から軽くもんでしんなりさせる。<タレ>の材料を加えて混ぜ合わせる。 2. フライパンにサラダ油を中火で熱し、皮を下にして鶏もも肉を並べ入れ、両面をこんがりと焼く。器に盛って(1)をかけ、糸唐辛子をのせる。 【副菜】ゴマ油香る!カニカマの中華風卵焼き by 山下 和美さん カニ風味かまぼこが入った卵焼きの中華風アレンジ。ゴマ油で焼くと風味もアップ!お弁当にもぴったりです。 調理時間:10分 カロリー:145Kcal レシピ制作:フードコーディネーター 山下 和美 材料(2人分) 溶き卵 3個分 カニ風味カマボコ 2本 ネギ (刻み)大さじ1 <調味料> だし汁 大さじ2 砂糖 小さじ1/2 塩 少々 ゴマ油 適量 【下準備】 カニ風味カマボコはほぐす。ボウルにゴマ油以外の材料を全て入れて混ぜ合わせる。 【作り方】 1. 卵焼き器を中火で熱し、ゴマ油を薄くひき、卵液の1/3量を流し入れて全体に広げる。周りがかたまってきたら奥側から手前に巻き、巻き終わったら奥側へ寄せる。 2. 再びゴマ油をひき、同量の卵液を流し入れ、同様に焼く。残りの卵液も同様に焼く。巻きすで形を整え、食べやすい大きさに切って器に盛る。 【副菜】セロリの漬物 急いでいる時は、セロリを薄く切れば味がしみやすくなります。 調理時間:5分+冷やす時間 カロリー:65Kcal レシピ制作:フードコーディネーター 山下 和美 材料(2人分) セロリ 1本 塩 少々 ゴマ油 大さじ1 ニンニク (すりおろし)1/4片分 赤唐辛子 (刻み)1本分 【下準備】 セロリは筋を引き、幅1cmの斜め薄切りにする。 【作り方】 1. 抗菌袋に<調味料>の材料とセロリを混ぜ合わせて袋の外からもみ、しんなりするまで冷蔵庫で冷やし、器に盛る。
2023年02月26日2月に長野・まつもと市民芸術館小ホールと東京・東京芸術劇場シアターウエストで上演される舞台『博士の愛した数式』より、脚本・演出の加藤拓也と「博士」役・串田和美のオフィシャルインタビューが到着した。湖に手を入れたら毒がついていた。そんな美しさがある舞台『博士の愛した数式』が上演される。原作は、第1回本屋大賞を受賞した小川洋子のミリオンセラー小説。脚本・演出は、気鋭の演出家として高い評価を受ける劇団た組の加藤拓也が務め、事故によって80分しか記憶が持続しない「博士」を串田和美が演じる。51歳差の2人の演劇人が名作にどう挑むのか。稽古に入る前の胸の内を語ってもらった。――加藤さんと串田さんは劇団た組の『今日もわからないうちに』(2019年)で初めてご一緒されました。そのときに印象的だったことはなんですか。串田僕にはないものをいっぱい持っていて、それが興味深く感じられましたね。たとえば、加藤くんの作品は、ごく普通に日常にあるものを淡々と描いているようで、そこからだんだんありえない世界が生まれてくる。僕はどちらかと言うと、途方のないものを描いているようで、よく見たらこれって誰もが知っているものだったというタイプなので。自分とまったく違うところがとても面白かったです。加藤串田さんが自分の台詞を全部書かれていて。そうやって覚えるんだっていうのが印象的でした。串田それは作家の書いた言葉を自分のものにしたいからなんですね。自分で書いた台詞は、自分の思考を通って出てきたものだからすっと出てくるんですよ。でも他人が書いた言葉はそうじゃない。自分ではこう言わないというような台詞がたくさんあるわけ。そういうものを、さも自分が思いついた言葉のように思い込もうとするために書くんです。――それで言うと、加藤拓也という作家の言葉はいかがでしたか。串田自分からは距離のあるものでした。でもそれが面白いんですよね。自分から遠い言葉がすっと出る人になろうとする努力が役者の楽しみだから。そういう意味でもとても楽しい公演でした。――そんな加藤さんにとって、小川洋子さんという作家の文体や言葉はどう映りましたか。加藤惚れ惚れしますよね。文章のリズムとか、言葉のチョイスとか、僕にはないものがたくさんあって、そこに非常に魅力を感じながら上演台本にさせていただきました。まるで湖の中にそっと手を入れてみて、水面が揺れないようにゆっくりと手を抜くと、手のあたりに毒がついちゃっていたような、そういう美しさを小川洋子さんの文章には感じます。――湖、というのは今回の演出を語る上でキーになるフレーズでしょうか。加藤なるかもしれないですね。僕は小川洋子さんの小説の美しさを人に説明するとき、常に湖と毒というワードを使っています。そういうイメージが僕の中にはありますね。――では、上演台本にするにあたって、そこに自分のカラーを注入したいという気持ちは。加藤まったくなかったです。結局演劇として構成していくときに、僕が演出をするので僕の主観が入るし、俳優の主観、美術や音響、照明みんなの主観が入ってくるから、やっぱり別の形になるんですね。だから、無理に自分の色を出そうとか、そういうことは一切考えていないです。いかに庭の石のようにそこにいられるか――音楽は、これまで加藤さんが何度も組んできた谷川正憲さんが務めます。谷川さんのギターの生演奏は、加藤さんの演出の特徴の一つです。加藤谷川さんは空気に敏感な人です。今まではずっと俳優から受け取ったものを谷川さんが音にして出すというつくり方をしてきました。でも今回はその逆をやろうと。お芝居をつくる段階から谷川さんに入ってもらって。たとえば、読み合わせからちょっと音を鳴らしてもらったり。そういう遊びを交えてつくりたいなと考えています。――それはなぜそうしたいと思ったんですか。加藤どうなるかわからないからです。俳優の感情がまだ何もできてないときに音が入ると、それに引っ張られることもあると思うんですけど、それが全部ダメなわけではないかなと。今回はもっと自由にアクティングを立ち上げたいなという気持ちがありますね。串田じゃあ稽古だから流す音楽もあるということ?加藤そうですね。本番は流さないということもあります。もちろんぐちゃぐちゃになるかもしれない。でも、俳優だけではなく、みんながこの原作に持っているイメージを1回見てみたいんですよね。『博士の愛した数式』ビジュアル――最後に、お2人はこの作品の中で描かれる「博士」と「私」と「ルート」の関係性についてどんなことをお感じになりますか。加藤すごく不思議な関係ですよね。家族という関係でもなければ、職業的な関係でもないし、非常に美しい関係だなと思います。野生の動物だと、子どもを自立するまで育てる動物もいれば、産んだらぽいってしちゃう動物もいるじゃないですか。じゃあ、どこからが家族なんだろうと考えると、結構不思議で曖昧です。人間のルールだなっていう感じがしますね、家族って。3人は、そこにとらわれてないところが美しいなと思います。串田このお話は、「私」が感じ取らなければ何も起こらなかった。彼女の感性がとても素晴らしいんですよね。特別な人でもなんでもない彼女が、「博士」という人を受け止めたから関係が動いていく。そして、「ルート」はそんな彼女を母親に持ったからこういう子どもになったんだなと頷ける瑞々しい感性の持ち主。逆に言うと、「博士」は何も動かないんです。ただ庭の石のようにじっとしているだけ。そんな「博士」を見て「私」が動くお話です。だから、僕としてはいかに庭の石のようにそこにいられるかが今回のテーマですね。文=横川良明<公演情報>『博士の愛した数式』原作:小川洋子『博士の愛した数式』(新潮文庫刊)脚本・演出:加藤拓也音楽・演奏:谷川正憲(UNCHAIN)出演:串田和美/安藤聖/井上小百合/近藤隼/草光純太/増子倭文江 【松本】日程:2023年2月11日(土)~16日(木)場所:まつもと市民芸術館小ホール【東京】日程:2023年2月19日(日)~26日(日)場所:東京芸術劇場シアターウエスト問合せ:まつもと市民芸術館チケットセンター(10:00~18:00)TEL 0263-33-2200FAX 0263-33-3830公式サイト:
2023年01月28日欠落や喪失をテーマとした作品を描き続けている作家・小川洋子によるミリオンセラー小説『博士の愛した数式』が舞台化される。交通事故による脳の損傷をきっかけに、記憶が80分しか持続しなくなってしまった元数学者の「博士」と、彼の新しい家政婦である「私」と、その息子のぎこちないながらも驚きと歓びに満ちた日々を、美しい数式と共に描いた悲しくも温かな奇跡の愛の物語。気鋭の演出家として注目を集める「劇団た組」の加藤拓也による脚本・演出のもと、「博士」役を80歳を迎えた串田和美、「私」役を演技力に定評のある個性派女優の安藤聖、「ルート」役は元乃木坂46で現在は女優として活躍している井上小百合が務める。実は、脚本と演出の加藤は2015年に本作を舞台化しているのだが、「はじめてこの作品をやったときは、今よりも目が届かなかった部分がたくさんあるし、今改めて取り組んだらもっといい作品になるんじゃないかと思ったんです」と話し、「原作者の小川洋子さんが書いた言葉のニュアンスは大事にしたいと思っています。空間に小説の匂いみたいなものが残るようにできれば」という。加藤とは2019年に『今日もわからないうちに』という作品でタッグを組んだ串田。当時のことを「新しい感覚や世代と、自分がどう関わるのか。転校生みたいな気分で、すごく緊張したんですよね。もちろん楽しかったんだけど」と振り返りつつ、今回の加藤からのオファーを受けたという。「串田さんが今までやっていないことを提案していきたいです」と話す加藤に対し、串田は「それがすごい楽しみですね。怖いけど、できないかもしれないけど。長くやっていると、なかなかそう言ってくれる人がいなくなってくるから」と期待を寄せた。加藤も串田も原作ファン。串田は「読み終わった後、いろいろ解釈したくないというか、色気が漂うというか、ミステリアスな感じがしてね。それは普遍的で、(原作が書かれて20年以上経つ)今も変わらずにあると思う」などとその魅力を話す。なお、本作の企画制作は、まつもと市民芸術館。その点、加藤は「松本は、いろいろな文化がさまざまな場所から集まってきて、東京とは空気が違う。あの空気の中で、このように空気を大切にしている作品を立ち上げるというのは非常にいいことなのではないかなと思います」とコメントした。松本公演は2023年2月11日(土・祝)〜16日(木)、まつもと市民芸術館。東京公演は2023年2月19日(日)〜26日(日)、東京芸術劇場シアターウエスト。取材・文:五月女菜穂
2023年01月24日舞台『博士の愛した数式』が上演される。原作は、第1回本屋大賞を受賞した小川洋子のミリオンセラー小説。脚本・演出は、気鋭の演出家として高い評価を受ける劇団た組の加藤拓也が務め、事故によって80分しか記憶が持続しない「博士」を串田和美が演じる。51歳差の2人の演劇人が名作にどう挑むのか。稽古に入る前の胸の内を語ってもらった。湖に手を入れたら毒がついていた。そんな美しさがある――加藤さんと串田さんは劇団た組の『今日もわからないうちに』(2019年)で初めてご一緒されました。そのときに印象的だったことはなんですか。串田:僕にはないものをいっぱい持っていて、それが興味深く感じられましたね。たとえば、加藤くんの作品は、ごく普通に日常にあるものを淡々と描いているようで、そこからだんだんありえない世界が生まれてくる。僕はどちらかと言うと、途方のないものを描いているようで、よく見たらこれって誰もが知っているものだったというタイプなので。自分とまったく違うところがとても面白かったです。加藤:串田さんが自分の台詞を全部書かれていて。そうやって覚えるんだっていうのが印象的でした。串田:それは作家の書いた言葉を自分のものにしたいからなんですね。自分で書いた台詞は、自分の思考を通って出てきたものだからすっと出てくるんですよ。でも他人が書いた言葉はそうじゃない。自分ではこう言わないというような台詞がたくさんあるわけ。そういうものを、さも自分が思いついた言葉のように思い込もうとするために書くんです。――それで言うと、加藤拓也という作家の言葉はいかがでしたか。串田:自分からは距離のあるものでした。でもそれが面白いんですよね。自分から遠い言葉がすっと出る人になろうとする努力が役者の楽しみだから。そういう意味でもとても楽しい公演でした。――そんな加藤さんにとって、小川洋子さんという作家の文体や言葉はどう映りましたか。加藤:惚れ惚れしますよね。文章のリズムとか、言葉のチョイスとか、僕にはないものがたくさんあって、そこに非常に魅力を感じながら上演台本にさせていただきました。まるで湖の中にそっと手を入れてみて、水面が揺れないようにゆっくりと手を抜くと、手のあたりに毒がついちゃっていたような、そういう美しさを小川洋子さんの文章には感じます。――湖、というのは今回の演出を語る上でキーになるフレーズでしょうか。加藤:なるかもしれないですね。僕は小川洋子さんの小説の美しさを人に説明するとき、常に湖と毒というワードを使っています。そういうイメージが僕の中にはありますね。――では、上演台本にするにあたって、そこに自分のカラーを注入したいという気持ちは。加藤:まったくなかったです。結局演劇として構成していくときに、僕が演出をするので僕の主観が入るし、俳優の主観、美術や音響、照明みんなの主観が入ってくるから、やっぱり別の形になるんですね。だから、無理に自分の色を出そうとか、そういうことは一切考えていないです。いかに庭の石のようにそこにいられるか――音楽は、これまで加藤さんが何度も組んできた谷川正憲さんが務めます。谷川さんのギターの生演奏は、加藤さんの演出の特徴の一つです。加藤谷川さんは空気に敏感な人です。今まではずっと俳優から受け取ったものを谷川さんが音にして出すというつくり方をしてきました。でも今回はその逆をやろうと。お芝居をつくる段階から谷川さんに入ってもらって。たとえば、読み合わせからちょっと音を鳴らしてもらったり。そういう遊びを交えてつくりたいなと考えています。――それはなぜそうしたいと思ったんですか。加藤どうなるかわからないからです。俳優の感情がまだ何もできてないときに音が入ると、それに引っ張られることもあると思うんですけど、それが全部ダメなわけではないかなと。今回はもっと自由にアクティングを立ち上げたいなという気持ちがありますね。串田じゃあ稽古だから流す音楽もあるということ?加藤そうですね。本番は流さないということもあります。もちろんぐちゃぐちゃになるかもしれない。でも、俳優だけではなく、みんながこの原作に持っているイメージを1回見てみたいんですよね。――最後に、お2人はこの作品の中で描かれる「博士」と「私」と「ルート」の関係性についてどんなことをお感じになりますか。加藤すごく不思議な関係ですよね。家族という関係でもなければ、職業的な関係でもないし、非常に美しい関係だなと思います。野生の動物だと、子どもを自立するまで育てる動物もいれば、産んだらぽいってしちゃう動物もいるじゃないですか。じゃあ、どこからが家族なんだろうと考えると、結構不思議で曖昧です。人間のルールだなっていう感じがしますね、家族って。3人は、そこにとらわれてないところが美しいなと思います。串田このお話は、「私」が感じ取らなければ何も起こらなかった。彼女の感性がとても素晴らしいんですよね。特別な人でもなんでもない彼女が、「博士」という人を受け止めたから関係が動いていく。そして、「ルート」はそんな彼女を母親に持ったからこういう子どもになったんだなと頷ける瑞々しい感性の持ち主。逆に言うと、「博士」は何も動かないんです。ただ庭の石のようにじっとしているだけ。そんな「博士」を見て「私」が動くお話です。だから、僕としてはいかに庭の石のようにそこにいられるかが今回のテーマですね。(文:横川良明)<公演概要>『博士の愛した数式』原作:小川洋子『博士の愛した数式』(新潮文庫刊)脚本・演出:加藤拓也音楽・演奏:谷川正憲(UNCHAIN)出演:串田和美安藤聖井上小百合近藤隼草光純太増子倭文江【松本】日程:2023年2月11日(土)~16日(木)場所:まつもと市民芸術館小ホール【東京】日程:2023年2月19日(日)~26日(日)場所:東京芸術劇場シアターウエスト一般発売日:2022年12月10日(土)10:00~主催:一般財団法人松本市芸術文化振興財団後援:松本市、松本市教育委員会助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)独立行政法人日本芸術文化振興会共催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場(東京公演のみ)企画制作:まつもと市民芸術館公式サイト: お問い合わせ :まつもと市民芸術館チケットセンター(10:00~18:00)TEL:0263-33-2200FAX:0263-33-3830 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年01月19日アイルランドが生んだ名匠ウィリアム・トレヴァー極上の物語を朗読と歌・生演奏で綴るOnpuma主催、アイルランド大使館後援、音楽朗読劇『オン・ザ・ザッテレ』が2022年12月26日 (月) ~2022年12月28日 (水)に新宿文化センター小ホール(東京都新宿区新宿6-14-1)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて11月5日(土)10:00より発売開始です。カンフェティにて11月5日(土)10:00よりチケット発売開始 公式ホームページ Twitter(@OntheZattere) アイルランド発・極上の物語世界を、豪華俳優陣日替わりキャストによる朗読、歌、生演奏でお届けします。アイルランドが生んだ短篇の名匠、ウィリアム・トレヴァー。天性のストーリーテラーの手による物語を、父親役に渡辺哲、串田和美、山崎一、娘役に寺崎裕香、内田靖子、長尾純子を日替わりで迎え、色鮮やかに朗読で綴ります。またバンド生演奏とともに物語世界を行き来する存在として、サルーンシンガー役に池田有希子、秋本奈緒美(ダブルキャスト)。他では観られない、唯一無二の化学反応をぜひお見逃しなく!◆Story◆11月初旬のヴェネツィア。心の行き違いを抱えた父と娘が、夜の霧をかき分けるようにザッテレ河岸を歩いていく。父・ミスターアンウィルは海運会社を定年退職し、長年連れ添った妻を11ヶ月前に亡くした。その数ヶ月後、住んでいたフラットを引き払い、父と暮らすために実家に戻ってきた娘・ベリティ。初めて迎えるふたりだけの休暇、アンウィルはベリティを連れて、毎年のように妻と訪れていた思い出の地、ヴェネツィアの定宿へとやって来たのだが・・・公演概要音楽朗読劇『オン・ザ・ザッテレ』公演期間:2022年12月26日 (月) ~2022年12月28日 (水)会場:新宿文化センター小ホール(東京都新宿区新宿6-14-1)■出演者26日:渡辺哲、寺崎裕香27日:串田和美、内田靖子28日:山崎一、長尾純子サルーンシンガー(Wキャスト):池田有希子、秋本奈緒美演奏:奥田祐(ピアノ)、梶谷裕子(ヴァイオリン)、星野敦(チェロ)■スタッフ作:ウィリアム・トレヴァー訳:栩木伸明脚色:香蕉Magnolia音楽・作詞作曲:岡田あゆみ/奥田祐照明:大場正之(lom)音響:佐藤こうじ(Sugar:Sound)/杉田幸弘舞台監督:白石定(STAGEWORKS)制作・運営:小野塚央製作統括:奥田祐後援:アイルランド大使館主催:Onpuma■公演スケジュール12月26日(月) 17:00◆ / 19:45◆12月27日(火) 13:45◆ / 19:45□12月28日(水) 11:00□ / 13:45□※受付開始・開場は開演の30分前【サルーンシンガー(Wキャスト)】◆=池田□=秋本■チケット料金一般:3,500円(全席指定・税込) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年11月05日10月1日(土)から10日(月・祝)までの10日間にわたって長野県松本市で開催される演劇的フェスティバル「FESTA松本2022」が開幕した。本イベントは、まつもと市民芸術館の総監督を務める串田和美が、かねてから構想していた演劇やダンスなどを集めた演劇祭を、自ら総合ディレクターとなって2021年に立ち上げ、パフォーマンスを日常的なものとして楽しんでほしいという想いのもと、まつもと市民芸術館を主会場に、市街地を一つの劇場に見立てて行われる。「FESTA松本2022」URL パンフレットPDF 開幕に先駆けて9月29日(木)に信毎メディアガーデン前にて行われた前夜祭では、伊佐津カルテットのジャズ演奏に始まり、TCアルプによる司会のもと、『スカパン』出演の大森博史、小日向文世や、『別役実 三部作』演出の千葉哲也など、各公演の出演者や演出家らが自らそれぞれの演目を紹介。『バッタの夕食会』出演者と伊佐津カルテットによる劇中楽曲演奏では、公演の出演者たち、そして足を止めた多くの街の人たちが音楽と共に一つに。「FESTA松本2022」開幕に向けた祝いの前夜祭を大いに楽しんだ。撮影:山田毅串田は「FESTA松本2022」開催にあたって、「街と一緒に何かを作ることがすごく大事だと思っている。街の人たちがふと通りかかって観てくれたらそれで十分だし、いろんな人たちがいろんな楽しみ方を見つけてくれたらいいんじゃないかなと思います。」とコメント。「FESTA松本2022」では、今回初参加で第十回市川森一脚本賞を最年少で受賞した注目の若手演出家・加藤拓也の劇団た組『ドードーが落下する』、2023年NHK大河ドラマ出演でも話題の千葉哲也演出『別役実 三部作』、大森博史が主宰する演劇ユニット・Grass919が贈る六つの物語『ミッツアロのカラス』など珠玉の演劇作品はもちろんのこと、島地保武、酒井はなのユニットAltneu(アルトノイ)による芥川龍之介の名作を題材にしたコンテンポラリーダンス『杜子春 -Toshishun-』、日本を代表する振付家たちがコロナ禍に創作した選りすぐりのダンス作品『パフォーミングアーツ・セレクション2022』などのダンス作品も上演。さらに昨年に引き続き、松本の名所・縄手通りが10月9日(日)限りの一日、丸ごと劇場になる「秋の縄手通りカーニバル」にてプロのアーティスト以外にも、市民パフォーマーのパフォーマンスが投げ銭スタイルで楽しめる。そして今回はフリンジ企画も加わり、様々なジャンルのアーティストたちが参加、市内のゲストハウスやカフェなどで行われ、FESTA松本をさらに盛り上げる。10日間で約20プログラムが予定されている「FESTA松本2022」は、10月10日(月・祝)まで。詳細はFESTA松本ホームページにて確認を。「FESTA松本2022」URL ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー串田のライフワークともいえる作品であり、今回の目玉公演でもある『スカパン』は、フランスの傑作喜劇「スカパンの悪巧み」を串田が独自の解釈と脚色で再演を重ねてきた伝説の名作。1994年オンシアター自由劇場での初演以来となる、当時メンバーの大森博史、小日向文世の3人が揃う。串田の息子・串田十二夜、小日向文世の長男・小日向星一も出演と、2組の親子共演も見どころだ。9月30日(金)にはプレビュー公演としてまつもと市民芸術館にて『スカパン』を上演。前日に行われた囲み会見では、串田、大森、小日向がコメント。「この組み合わせっていうのはとにかく嬉しい。自分が一生懸命作ってきた自由劇場の同じ志を持った仲間とこうやってできることってそうはないなと。幸せなことだなと思う。」(串田)、「串田さんがこうして作っている『スカパン』のなんともいえないゾクゾクした世界にうまくリンクしてやってけたら。」(大森)、「自由劇場時代、一緒にやってきたこの仲間とゆっくり、もう一度じっくり楽しんで舞台に立ちたい。」(小日向)と、元オンシアター自由劇場主宰とメンバーという深く長い関係性の3人ならではのざっくばらんな空気の中で質問に答えていた。撮影:山田毅今回は、注目の『スカパン』を観劇した演劇ジャーナリストの川添史子氏からレポートが届いた。串田和美(まつもと市民芸術館の総監督)が総合ディレクターを務める「FESTA松本2022」開幕直前の9月30日、『スカパン』のプレビュー公演が開催された。劇場が薄暗くなると、遠くからカモメの声、そしてざわめき。光が入るともやの中から人形のように無表情の人たちの群れが現れ、すれ違い――。小さな空間が次第に舞台であるナポリの港町に変容し、観客はゆっくりとこの世界へ誘われる。空の色、光の加減、雲の形が徐々に変化するような“ひと色ではない”感覚は、この串田版『スカパン』を覆う気分ともシンクロする。モリエールが描いた原作の見どころは、口がうまくて世渡り上手のスカパンが、若者の恋の手助けをし、威張った金持ち二人を手玉に取ってとっちめる“悪だくみ”っぷり。だが串田版は、ただ底抜けに陽気な喜劇ではない。いたずらしたり大騒ぎしたり、人々と一緒にいる時は明るく振る舞うスカパンだが、犬小屋のような家に戻って一人で過ごす場面などに、彼の孤独と貧しさがふと垣間見える。合間、合間にインサートされる底辺で暮らす男の「生活感」が、物語に陰影を与えるのだ。スカパンがアルレッキーノ(イタリアで16世紀ごろに生まれた喜劇「コメディア・デラルテ」の召使役・道化役)の仮面をつけ、一人無言で踊る場面も印象的。随所で流れる流浪の民の音楽は、根無草で生きてきたスカパンの、ハードだったであろう人生を思わせる。左右にサッと引かれ、どんどん場面を変化させ運んでいくブレヒト幕は、舞台にスピードとリズムを与えていた(幕の隙間から役者がちょっと顔を出すのもチャーミング)。元オンシアター自由劇場のメンバーとして、数々の舞台を串田と共にして来た大森博史(アルガント役)と小日向文世(ジェロント役)が出演というのもジンとくる趣向。軽快に動いて、転げ回って、喋りまくるスカパン串田(驚異的な80歳!)と、終始むっすりとした表情を浮かべるこの守銭奴たちとの味のあるやりとりはユーモラスで、客席を沸かせる。恋に夢中、青春を謳歌する若者たち、オクターヴ(小日向星一)&イアサント(湯川ひな)、レアンドル(串田十二夜)&ゼルビネット(皆本麻帆)の2組のカップルも、周囲が見えない猪突猛進ぶりで笑いを誘う。人生が暮れるのは早い……このバラ色の頬の子どもたちも、すぐに大人になるだろう!今回は、串田親子、小日向親子と、2組の親子共演が実現したユニークな舞台でもある。また、若い頃から串田の元で活動している、武居卓、細川貴司、下地尚子といったTCアルプメンバーがくっきりと個性の輪郭を見せ、頼もしい戦力として活躍するのも、嬉しく眺めた。自然と「人生の時間」について思考が至る座組み/キャスティングである。頼まれるとイヤと言えないスカパンを都合よく利用する若者、使用人に無慈悲な資産家たち。人間の残酷でエゴイスティックな部分を戯画的に拡大してみれば、ここでも“光と影の行ったり来たり”が随所でピリリと効いてきて、なんとも言えない現実味、どんな時代にもある世界のリアルを映し出す。めでたしめでたし、絵に描いたようなハッピーエンドにも、少し苦味が混じる。舞台を見る方たちのために詳細は秘密にしておくが、これまた“ひと色ではない”幕切れである。撮影:山田毅撮影:山田毅ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー公演日程の前半はまつもと市民芸術館の小ホールで、後半は劇場を飛び出し松本城大手門枡形跡広場を会場に野外劇へと変貌する。同じ演目でもガラリと雰囲気が変わり、日が暮れていく松本の街中で、時間によって変わる街の空気や音など野外劇ならではの楽しみ方ができる。是非、秋の松本と共に楽しんでもらいたい。【公演情報】公演名:『スカパン』原作:モリエール「スカパンの悪巧み」潤色・演出・美術:串田和美出演:串田和美大森博史武居卓小日向星一串田十二夜皆本麻帆湯川ひな細川貴司下地尚子/小日向文世公演日程: 松本公演まつもと市民芸術館 小ホール9月30日(金)19:00 ※プレビュー公演10月1日(土)15:0010月2日(日)13:00松本城大手門枡形跡広場(屋外公演)10月6日(木)、8日(土)、9日(日)、10日(月・祝)全日16:30※『スカパン』は松本公演を皮切りに、水戸、北九州、神奈川でも上演。【概要】開催名:FESTA松本2022(フェスタまつもと2022)日程:10月1日(土)~10月10日(月・祝)会場:まつもと市民芸術館、信毎メディアガーデン、上土劇場、松本城大手門枡形跡広場、スイート縄手本店ほか主催:一般財団法人松本市芸術文化振興財団企画制作:まつもと市民芸術館TCアルプ総合ディレクター:串田和美(まつもと市民芸術館 総監督)公式ホームページ お問い合わせ:まつもと市民芸術館TEL.0263-33-3800撮影:山田毅撮影:山田毅撮影:山田毅FESTAフライヤー.pdf : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年10月01日9月30日(金) より開幕する舞台『スカパン』演出・主演の串田和美と、元オンシアター自由劇場のメンバーでもある小日向文世の対談動画が公式ホームページにて公開された。動画には、和やかな雰囲気のなか二人がリラックスした表情で熱く語る演劇論、そして自由劇場時代の話などを収録。また、串田和美のライフワークとも言える本作についての串田のロングインタビューも到着した。松本を皮切りに水戸、北九州、横浜で上演される舞台『スカパン』。松本城大手門枡形跡広場での野外公演(10月6日〜10日)では、東欧の民族音楽に室内楽の視点を取り入れた全く新しいアンサンブル「ISOLATION ORCHESTRA」の出演が決定。ギデオン・ジュークス(Tuba)、竹内理恵(Sax&Cl)、松本みさこ(Acc)、ふーちん(Per)4人が、開演前と舞台の終盤で生演奏。繊細さと野生味を合わせ持った音楽で舞台を盛り上げる。なお、この特別演出は、野外公演のみのとなっている。『スカパン』串田×小日向インタビュー<串田和美ロングインタビュー>ライフワークに再び挑戦。二世代が揃うユニークな座組み――『スカパン』の原作である、モリエール『スカパンの悪だくみ』の舞台は港町ナポリ。若者たちの恋の手助けをするため、頭の回転が早い召使いスカパンがひと肌脱ぎ、金持ちを手玉に取ったり、威張った主人をとっちめたり……という喜劇です。まずはこの戯曲と串田さんの出会いから伺えますか。串田僕がまだ俳優座の養成所にいた19歳か20歳の頃、戦後初となるコメディ・フランセーズの来日公演(1962年)で観たのが最初です。スカパンを演じたロベール・ウィルシュという俳優が、確か足元はスニーカーで、ぴょんぴょんとはね回りながら曲芸のように芝居をやっていて、とても新鮮だったんですね。その当時モリエールやシェイクスピアといった古典は、言葉を重視した、台詞の言い回しによって客席から拍手が起こるような演技が主流で、この身体的なスカパンは衝撃的でした。余談ですが、養成所の同期、(その後一緒にオンシアター自由劇場を結成する)佐藤信も同じ公演を観ているんです。彼も感動して、終演後に「誰かと話したい」という思いにかられたのに、友達みんながスッと帰っちゃったらしい。がっかりしながらふと横を見たら同じように「誰かと話したい、この気分」という顔をした僕がいて(笑)、夜通し喋った……なんて懐かしい思い出もあります。――串田さんがタイトルロールを演じる『スカパン』の初演は、1994 年シアターコクーンでした。串田もとは喜劇だけど、スカパンという一人の人間が“生きのびる知恵”として口八丁、手八丁で喋りながら動いているというか、人物の根っこや息遣いがうまく出せないかなと考えたのが初演。古い翻訳調の言葉ではなく、内藤俊人さんという大森博史さんの知り合いに新しく訳してもらって、そのテキストをもとに半分オリジナルの脚本を作りました。再演以降は僕が演出してますが、初演は(オンシアター自由劇場のメンバーだった)真名古敬二さんに演出してもらって、劇団みんなで試行錯誤しながらつくったんです。――以前お話を伺った時も「親知らずが奥でうずいているみたいな戯曲」と表現していましたが、串田さんの『スカパン』は、ただ底抜けに楽しい喜劇ではありません。いたずらしたり大騒ぎしたり、スカパンは人々と一緒にいる時は明るく振る舞っていますが、家に戻って一人で食事をする場面などに彼の孤独が垣間見えたり……原作にはない、底辺で暮らす男の「生活感」を感じさせる場面が印象的に挿入されます。串田僕にとってこの作品は、喜劇でなきゃいられないというか、必死で喜劇であろうとする感じがあるというか、奇妙な憂鬱感が感じられる戯曲なんです。スカパンの源流はおそらく、イタリアで16世紀ごろに生まれた喜劇「コメディア・デラルテ」の召使いで、道化役のザンニ、アルレッキーノですよね。ザンニの黒いお面は炭鉱の町出身であることを表していると本で読んだこともありますし、労働者でベルガモ訛りの田舎っぺ……こういったキャラクター造形にはどこか差別的なニュアンスも感じ取れます。そんなことも考えながら、こき使われながらも、たくましく生き抜く術を身につけたスカパンの背景を想像していきました。――原作ではハッピーエンドですが、串田版の終盤でスカパンは、騙されていたことを知った父親二人に雇われた男に襲われてケガを負います。串田原作ではスカパンは死にそうな「フリ」をして主人に赦しを乞いますが、僕の『スカパン』は裏切った仲間に殴られて、最後は孤独の中に死んでいきます。これは『シラノ・ド・ベルジュラック』(エドモン・ロスタン作)の幕切れの場面をイメージしているんです。――そうなんですね!串田瀕死の重傷を負っていることを(長年恋心を抱いていた)ロクサーヌに隠しながら、落ち葉が散る中で死んでいくシラノ……あれも痛切な最期ですよね。『シラノ・ド・ベルジュラック』の台詞に、モリエールの名前が出てくるじゃないですか。――上演ではカットされることも多いですが、確かに戯曲には「モリエールがシラノの作品をパクってる」(※)と茶化したようなユーモラスな会話があります。なるほど串田版『スカパン』のラストシーンには、作家であるモリエールに関連する趣向が引用されているのですね。串田さんはこの作品を何度も上演していますが、繰り返しやりたいと感じる魅力を教えてください。※17世紀に実在したシラノ・ド・ベルジュラックとモリエールは同時代の文化人。『スカパンの悪だくみ』に、シラノが書いた戯曲『愚弄された衒学者』から拝借した台詞があることは広く知られている串田スカパンという人物像、生き方、性分が好きなんでしょうね。いつも一生懸命で、人を面白がらせたり、困った若い人がいると「しょうがないな」と助けてあげる。しかも正義感からではなく、そうせざるを得ない性格というか。ずっと動き回る役なので、僕もいつまで演じられるかわからないけど(笑)、スカパンがすごく年をとったバージョンもありえるかな?なんて考えてみたり。ライフワークと言える作品です。――今回は、元オンシアター自由劇場のメンバーである、大森博史さん(アルガント役)と小日向文世さん(ジェロント役)が参加します。息子たちに翻弄される父親たちですね。また串田さんのご子息・串田十二夜さんがジェロントの息子レアンドル役、小日向文世さんのご長男の小日向星一さんがアルガントの息子オクターヴ役として出演。なんと今作では、2組の親子共演が実現します。串田なんだか歌舞伎みたいになってきちゃいました(笑)。大森さん、小日向さんとは、お互い「演劇勘、鈍ってないだろうな?」とピリッとした緊張感もあるでしょうし、同時になんとも言葉に言い表せない、どこかが通じているような感覚もある。稽古が楽しみです。子どもたちの世代もいつの間にか知り合いになっていて、知らない間に一緒に芝居をしていたり、僕のワークショップに参加したり。不思議ですよね。FESTA 松本 2022での『スカパン』上演――これまでの『スカパン』についても振り返ります。初演の翌年、1995年にシアターコクーンで再演し、同年フランス・アヴィニョンでも上演。2015年にルーマニア・シビウ国際演劇祭にも招待され、ブカレストでも上演と海外でも上演されています。串田アヴィニョンでは、古い教会に自分たちで座席を組んで上演しました。初日の公演が終わって楽屋に戻ったら、客席の方からガタガタっと崩れるような音がしたんです。「客席が壊れた、どうしよう!」と思って舞台に戻ったら、観客が立ち上がって足踏みをしていたという(笑)。あちらの観客は、感動を足踏みで表現するなんて知らなかったので驚きました。ルーマニアでは、近年日本でも演出を手掛ける演出家のシルヴィウ・プルカレーテが「これがスカパンだ!」なんて言ってくれました。国が変わっても通じることがあるんだと、嬉しい思い出も詰まった作品です。――2004年「まつもと市民芸術館」のこけら落とし公演、2013年には芸術館10周年記念の1本にも選ばれ、串田さんの演劇人生と並走する作品に成長しました。2015年、シビウ国際演劇祭の凱旋公演では、信濃毎日新聞社の松本新本社ビル建設予定の更地で“Flying Theatre 空中劇場”と称した仮設舞台、ピカデリーホール(現上土劇場)、松本市美術館の芝生の中庭の3カ所で上演。野外公演はまた格別な楽しさ、生活に身近な感覚があります。今年の松本公演も、まつもと市民芸術館(小ホール)に加え、松本城大手門枡形跡広場で上演されます。串田僕は、「触っちゃいけません」と言わんばかりの近寄り難い作品をつくるのではなく、常に演劇で「事件」を起こしたいと考えているんです。と言っても殺人事件とか物騒なものではなく(笑)、何年か経った後に観客の中で「あの時観た、あの感じ」を思い出してもらえるという意味での事件。「野外公演は、観客側も参加しているみたいな感覚が味わえる」と言ってくださる方もいますし、上演する場所にはこだわりたいですね。もちろん劇場でも事件は起こせますが、道端で投げ銭でやるような芝居にだって事件が起こせると思っています。そうそう、松本に来る直前の2003年の1月から2月にかけて水戸芸術館で毎週末『スカパン』を上演したこともあります。その時は水戸の役者にも参加してもらいました。今年また水戸で出来るのも、なんだか不思議な縁を感じます。――以前『スカパン』の取材で串田さんと、フランスの演出家アリアーヌ・ムヌーシュキン(太陽劇団)が監督した映画『モリエール』のお話をしたことがありますが、あの映画でも、モリエールが野外でお芝居を上演する場面が出てきますね。串田そうそう、野外劇の舞台が風に飛ばされていったりね(笑)。あの時代、モリエールが旅をしながら芝居をしていると、物見遊山の人たちが集まってきたり、訳もわからず眺めている人がいたり。野外はそういった雑多な感じがいいんですよね。1966年に東京・西麻布の硝子店の地下に劇場をつくって僕の演劇人生がスタートしたわけですが、シアターコクーンでやるようになっても「自由劇場のあの感じ」を700人の客席でどう表現できるか、そのことはいつも頭にありました。近頃は、演劇が商品のように扱われている演劇が増えている気がして、それを全否定はしないけれど、「僕が長い人生をかけてやってきたことは、そうじゃないんだよなぁ」とは感じます。こうしたことは、松本で芝居づくりを始めてからより深く考えるようになりました。――今回の『スカパン』は、串田さんが総合ディレクターを務める《FESTA 松本 2022》での上演になります。同フェスは昨年コロナ禍の中でスタートしました。串田《FESTA 松本 2021》を体験してくれた木工家の三谷龍二さんが文章に「共に生きる演劇という印象を持った」と書いてくださったんですが、「フェスタ=お祭り」がなぜ生まれたかを歴史に照らし合わせて考えてみると、災害が起きた時に天に祈ったり、困難な状況の中にあっても未来のことを考えて、元気を出すためですよね。昨年コロナ禍の大変な中で動き出した時も、豪華でなくていいから、とにかくみんなが楽しめるようなものを……との思いでスタートしました。必ずしも演劇に特化せず、道端で絵を描いている人がいてもいいし、路上とか、広場とか、今年もできるだけお金がかからない方法で、市民のみんなが参加してくれる形を見つけたいと思います。――先ほど話題にも出た「商品化された演劇」ではないですけど、観客数や話題性、数字だけを求めた“経済化”ではなく、偶然、その日、その時を一緒に過ごした人たちが熱をもらえるような演劇。串田熱量は数字で測れないからどうしようもないけど(笑)、僕はそういうものが演劇だと思っています。ノーベル賞の授賞式を欠席したボブ・ディランが、「私はパフォーマーとして5万人の前でも、50人の前でも演奏したことがありますが、50人の前で演奏することの方が難しい。5万人の人格はひとつともいえるけど、50人はそうはいきません」と言っていて、なるほどボブ・ディランはいいこと言うな(笑)、と思いました。数字にできないことってね、あるんですよ。文=川添史子<公演情報>『スカパン』『スカパン』メインビジュアル【スタッフ】原作:モリエール『スカパンの悪巧み』訳:内藤俊人潤色・美術・演出:串田和美【出演】串田和美 / 大森博史 / 武居卓 / 小日向星一 / 串田十二夜 / 皆本麻帆 / 湯川ひな / 細川貴司 / 下地尚子 / 小日向文世【松本公演】■まつもと市民芸術館 小ホール9月30日(金) 19:00 ※プレビュー公演10月1日(土) 15:0010月2日(日) 13:00■松本城大手門枡形跡広場(屋外公演)10月6日(木)・8日(土)・9日(日)・10日(月・祝) 全日16:30問い合わせ:まつもと市民芸術館チケットセンター 0263-33-2200(10:00~18:00)【水戸公演】2022年10月15日(土)~16日(日)会場:水戸芸術館ACM劇場問い合わせ:水戸芸術館 ACM 劇場 029-227-8123(10:00~18:00 月曜休館)【北九州公演】2022年10月23日(日)会場:北九州芸術劇場 中劇場問い合わせ:北九州芸術劇場(093-562-2655(10:00~18:00))【神奈川公演】2022年10月26日(水)~30日(日)会場:KAAT 神奈川芸術劇場<大スタジオ>問い合わせ:チケットかながわ 0570-015-415(10:00~18:00)
2022年09月26日9月30日から松本、水戸、北九州、横浜で上演する舞台「スカパン」。開幕に先駆けて、演出・主演の串田和美のロングインタビューが到着!公式ホームページにて小日向文世との対談映像も公開されました。また、松本城大手門枡形跡広場での野外公演(10月6日〜10日)では、東欧の民族音楽に室内楽の視点を取り入れた全く新しいアンサンブルISOLATION ORCHESTRAの出演が決定!ギデオン・ジュークス(Tuba)、竹内理恵(Sax&Cl)、松本みさこ(Acc)、ふーちん(Per)4人が、開演前と舞台の終盤で生演奏。繊細さと野生味を合わせ持った音楽で舞台を盛り上げます。野外公演のみの特別演出に、是非ご期待下さい!<串田和美×小日向文世 ツーショットインタビュー><串田和美ロングインタビュー>ライフワークに再び挑戦。二世代が揃うユニークな座組み――『スカパン』の原作である、モリエール『スカパンの悪だくみ』の舞台は港町ナポリ。若者たちの恋の手助けをするため、頭の回転が早い召使いスカパンがひと肌脱ぎ、金持ちを手玉に取ったり、威張った主人をとっちめたり……という喜劇です。まずはこの戯曲と串田さんの出会いから伺えますか。串田:僕がまだ俳優座の養成所にいた19歳か20歳の頃、戦後初となるコメディ・フランセーズの来日公演(1962年)で観たのが最初です。スカパンを演じたロベール・ウィルシュという俳優が、確か足元はスニーカーで、ぴょんぴょんとはね回りながら曲芸のように芝居をやっていて、とても新鮮だったんですね。その当時モリエールやシェイクスピアといった古典は、言葉を重視した、台詞の言い回しによって客席から拍手が起こるような演技が主流で、この身体的なスカパンは衝撃的でした。余談ですが、養成所の同期、(その後一緒にオンシアター自由劇場を結成する)佐藤信も同じ公演を観ているんです。彼も感動して、終演後に「誰かと話したい」という思いにかられたのに、友達みんながスッと帰っちゃったらしい。がっかりしながらふと横を見たら同じように「誰かと話したい、この気分」という顔をした僕がいて(笑)、夜通し喋った……なんて懐かしい思い出もあります。――串田さんがタイトルロールを演じる『スカパン』の初演は、1994年シアターコクーンでした。串田:もとは喜劇だけど、スカパンという一人の人間が“生きのびる知恵”として口八丁、手八丁で喋りながら動いているというか、人物の根っこや息遣いがうまく出せないかなと考えたのが初演。古い翻訳調の言葉ではなく、内藤俊人さんという大森博史さんの知り合いに新しく訳してもらって、そのテキストをもとに半分オリジナルの脚本を作りました。再演以降は僕が演出してますが、初演は(オンシアター自由劇場のメンバーだった)真名古敬二さんに演出してもらって、劇団みんなで試行錯誤しながらつくったんです。――以前お話を伺った時も「親知らずが奥でうずいているみたいな戯曲」と表現していましたが、串田さんの『スカパン』は、ただ底抜けに楽しい喜劇ではありません。いたずらしたり大騒ぎしたり、スカパンは人々と一緒にいる時は明るく振る舞っていますが、家に戻って一人で食事をする場面などに彼の孤独が垣間見えたり……原作にはない、底辺で暮らす男の「生活感」を感じさせる場面が印象的に挿入されます。串田:僕にとってこの作品は、喜劇でなきゃいられないというか、必死で喜劇であろうとする感じがあるというか、奇妙な憂鬱感が感じられる戯曲なんです。スカパンの源流はおそらく、イタリアで16世紀ごろに生まれた喜劇「コメディア・デラルテ」の召使いで、道化役のザンニ、アルレッキーノですよね。ザンニの黒いお面は炭鉱の町出身であることを表していると本で読んだこともありますし、労働者でベルガモ訛りの田舎っぺ……こういったキャラクター造形にはどこか差別的なニュアンスも感じ取れます。そんなことも考えながら、こき使われながらも、たくましく生き抜く術を身につけたスカパンの背景を想像していきました。――原作ではハッピーエンドですが、串田版の終盤でスカパンは、騙されていたことを知った父親二人に雇われた男に襲われてケガを負います。串田:原作ではスカパンは死にそうな「フリ」をして主人に赦しを乞いますが、僕の『スカパン』は裏切った仲間に殴られて、最後は孤独の中に死んでいきます。これは『シラノ・ド・ベルジュラック』(エドモン・ロスタン作)の幕切れの場面をイメージしているんです。――そうなんですね!串田:瀕死の重傷を負っていることを(長年恋心を抱いていた)ロクサーヌに隠しながら、落ち葉が散る中で死んでいくシラノ……あれも痛切な最期ですよね。『シラノ・ド・ベルジュラック』の台詞に、モリエールの名前が出てくるじゃないですか。――上演ではカットされることも多いですが、確かに戯曲には「モリエールがシラノの作品をパクってる」(*)と茶化したようなユーモラスな会話があります。なるほど串田版『スカパン』のラストシーンには、作家であるモリエールに関連する趣向が引用されているのですね。串田さんはこの作品を何度も上演していますが、繰り返しやりたいと感じる魅力を教えてください。串田:スカパンという人物像、生き方、性分が好きなんでしょうね。いつも一生懸命で、人を面白がらせたり、困った若い人がいると「しょうがないな」と助けてあげる。しかも正義感からではなく、そうせざるを得ない性格というか。ずっと動き回る役なので、僕もいつまで演じられるかわからないけど(笑)、スカパンがすごく年をとったバージョンもありえるかな?なんて考えてみたり。ライフワークと言える作品です。*17世紀に実在したシラノ・ド・ベルジュラックとモリエールは同時代の文化人。『スカパンの悪だくみ』に、シラノが書いた戯曲『愚弄された衒学者』から拝借した台詞があることは広く知られている――今回は、元オンシアター自由劇場のメンバーである、大森博史さん(アルガント役)と小日向文世さん(ジェロント役)が参加します。息子たちに翻弄される父親たちですね。また串田さんのご子息・串田十二夜さんがジェロントの息子レアンドル役、小日向文世さんのご長男の小日向星一さんがアルガントの息子オクターヴ役として出演。なんと今作では、2組の親子共演が実現します。串田:なんだか歌舞伎みたいになってきちゃいました(笑)。大森さん、小日向さんとは、お互い「演劇勘、鈍ってないだろうな?」とピリッとした緊張感もあるでしょうし、同時になんとも言葉に言い表せない、どこかが通じているような感覚もある。稽古が楽しみです。子どもたちの世代もいつの間にか知り合いになっていて、知らない間に一緒に芝居をしていたり、僕のワークショップに参加したり。不思議ですよね。FESTA松本2022での『スカパン』上演――これまでの『スカパン』についても振り返ります。初演の翌年、1995年にシアターコクーンで再演し、同年フランス・アヴィニョンでも上演。2015年にルーマニア・シビウ国際演劇祭にも招待され、ブカレストでも上演と海外でも上演されています。串田:アヴィニョンでは、古い教会に自分たちで座席を組んで上演しました。初日の公演が終わって楽屋に戻ったら、客席の方からガタガタっと崩れるような音がしたんです。「客席が壊れた、どうしよう!」と思って舞台に戻ったら、観客が立ち上がって足踏みをしていたという(笑)。あちらの観客は、感動を足踏みで表現するなんて知らなかったので驚きました。ルーマニアでは、近年日本でも演出を手掛ける演出家のシルヴィウ・プルカレーテが「これがスカパンだ!」なんて言ってくれました。国が変わっても通じることがあるんだと、嬉しい思い出も詰まった作品です。――2004年「まつもと市民芸術館」のこけら落とし公演、2013年には芸術館10周年記念の1本にも選ばれ、串田さんの演劇人生と並走する作品に成長しました。2015年、シビウ国際演劇祭の凱旋公演では、信濃毎日新聞社の松本新本社ビル建設予定の更地で“Flying Theatre空中劇場”と称した仮設舞台、ピカデリーホール(現上土劇場)、松本市美術館の芝生の中庭の3カ所で上演。野外公演はまた格別な楽しさ、生活に身近な感覚があります。今年の松本公演も、まつもと市民芸術館(小ホール)に加え、松本城大手門枡形跡広場で上演されます。串田:僕は、「触っちゃいけません」と言わんばかりの近寄り難い作品をつくるのではなく、常に演劇で「事件」を起こしたいと考えているんです。と言っても殺人事件とか物騒なものではなく(笑)、何年か経った後に観客の中で「あの時観た、あの感じ」を思い出してもらえるという意味での事件。「野外公演は、観客側も参加しているみたいな感覚が味わえる」と言ってくださる方もいますし、上演する場所にはこだわりたいですね。もちろん劇場でも事件は起こせますが、道端で投げ銭でやるような芝居にだって事件が起こせると思っています。そうそう、松本に来る直前の2003年の1月から2月にかけて水戸芸術館で毎週末『スカパン』を上演したこともあります。その時は水戸の役者にも参加してもらいました。今年また水戸で出来るのも、なんだか不思議な縁を感じます。――以前『スカパン』の取材で串田さんと、フランスの演出家アリアーヌ・ムヌーシュキン(太陽劇団)が監督した映画『モリエール』のお話をしたことがありますが、あの映画でも、モリエールが野外でお芝居を上演する場面が出てきますね。串田:そうそう、野外劇の舞台が風に飛ばされていったりね(笑)。あの時代、モリエールが旅をしながら芝居をしていると、物見遊山の人たちが集まってきたり、訳もわからず眺めている人がいたり。野外はそういった雑多な感じがいいんですよね。1966年に東京・西麻布の硝子店の地下に劇場をつくって僕の演劇人生がスタートしたわけですが、シアターコクーンでやるようになっても「自由劇場のあの感じ」を700人の客席でどう表現できるか、そのことはいつも頭にありました。近頃は、演劇が商品のように扱われている演劇が増えている気がして、それを全否定はしないけれど、「僕が長い人生をかけてやってきたことは、そうじゃないんだよなぁ」とは感じます。こうしたことは、松本で芝居づくりを始めてからより深く考えるようになりました。――今回の『スカパン』は、串田さんが総合ディレクターを務める《FESTA松本2022》での上演になります。同フェスは昨年コロナ禍の中でスタートしました。串田:《FESTA松本2021》を体験してくれた木工家の三谷龍二さんが文章に「共に生きる演劇という印象を持った」と書いてくださったんですが、「フェスタ=お祭り」がなぜ生まれたかを歴史に照らし合わせて考えてみると、災害が起きた時に天に祈ったり、困難な状況の中にあっても未来のことを考えて、元気を出すためですよね。昨年コロナ禍の大変な中で動き出した時も、豪華でなくていいから、とにかくみんなが楽しめるようなものを……との思いでスタートしました。必ずしも演劇に特化せず、道端で絵を描いている人がいてもいいし、路上とか、広場とか、今年もできるだけお金がかからない方法で、市民のみんなが参加してくれる形を見つけたいと思います。――先ほど話題にも出た「商品化された演劇」ではないですけど、観客数や話題性、数字だけを求めた“経済化”ではなく、偶然、その日、その時を一緒に過ごした人たちが熱をもらえるような演劇。串田:熱量は数字で測れないからどうしようもないけど(笑)、僕はそういうものが演劇だと思っています。ノーベル賞の授賞式を欠席したボブ・ディランが、「私はパフォーマーとして5万人の前でも、50人の前でも演奏したことがありますが、50人の前で演奏することの方が難しい。5万人の人格はひとつともいえるけど、50人はそうはいきません」と言っていて、なるほどボブ・ディランはいいこと言うな(笑)、と思いました。数字にできないことってね、あるんですよ。text:川添史子<公演概要>【公演名】『スカパン』【スタッフ】原作:モリエール『スカパンの悪巧み』訳:内藤俊人潤色・美術・演出:串田和美【出 演】串田和美大森博史武居卓小日向星一串田十二夜皆本麻帆湯川ひな細川貴司下地尚子/小日向文世【チケット】好評発売中。詳細は各会場のホームページにて。【公演日程】松本公演まつもと市民芸術館小ホール9月30日(金)19:00※プレビュー公演10月1日(土)15:0010月2日(日)13:00松本城大手門枡形跡広場(屋外公演)10月6日(木)、8日(土)、9日(日)、10日(月・祝)全日16:30問い合わせ:まつもと市民芸術館チケットセンター0263-33-2200(10:00~18:00)スカパン : 水戸公演10月15日(土)~16日水戸芸術館ACM劇場問い合わせ:水戸芸術館ACM劇場029-227-8123(10:00~18:00月曜休館) 北九州公演10月23日(日)北九州芸術劇場 中劇場問い合わせ:北九州芸術劇場093-562-2655(10:00~18:00) 神奈川公演10月26日(水)~30日(日)KAAT 神奈川芸術劇場問い合わせ:チケットかながわ0570-015-415(10:00~18:00) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年09月22日串田和美が、記憶が80分しかもたない数学博士に挑戦。脚本・演出は新進気鋭の演出家として注目を集める加藤拓也。2023年2月、長野県の松本と東京で、舞台『博士の愛した数式』の上演が決定した。同作は、欠落や喪失をテーマとした作品を描き続けている芥川賞作家で、紫綬褒章も受章している小川洋子が03年に発表し、翌04年第55回読売文学賞を受賞、第1回本屋大賞を受賞したミリオンセラー作品だ。06年には映画化もされている。交通事故による脳の損傷をきっかけに、記憶が80分しか持続しなくなってしまった元数学者「博士」と、彼の新しい家政婦である「私」と、その息子のぎこちないながらも驚きと歓びに満ちた日々を、美しい数式と共に描いた悲しくも温かな奇跡の愛の物語だ。「博士」は、今年80歳を迎えた串田和美が演じる。俳優で演出家、また舞台美術家でもある串田は、1966年、劇団自由劇場を結成(後のオンシアター自由劇場)。85年から96年までは、東京のBunkamuraシアターコクーンの初代芸術監督を務め、コクーン歌舞伎やレパートリーシステムの導入で劇場運営の礎を築いた。2003年4月、まつもと市民芸術館館長兼芸術監督に就任(08年から芸術監督、21年より総監督)。なお、本公演の企画制作は、まつもと市民芸術館が担当している。まつもと市民芸術館において、串田は『信州・まつもと大歌舞伎』『空中キャバレー』『K.テンペスト』など、劇場を自由自在に使いこなす演出や地域を巻き込んだ “松本ならでは”の事業を次々と実現してきた。16年には「Flying Theatre 空中劇場」、17年「トランクシアター」シリーズを始動し、劇場以外での上演にも精力的に取り組んでいる。07年に読売演劇大賞最優秀演出賞受賞。08年には紫綬褒章、13年に旭日小綬章を受章。15年には代表作のひとつである『スカパン』がルーマニアのシビウ国際演劇祭に正式招聘され、同年にシビウ・ウォーク・オブ・フェイム賞を受賞し、今秋、同作品の4都市ツアーが予定されている。「私」役を担うのは、1990年に『アニー』でデビューを飾り、舞台・映像問わず活躍を続け演技には定評のある個性派女優・安藤聖。「ルート」役は、元「乃木坂46」で、女優に転身後、幅広く活躍をする井上小百合。そのほか、2007年に串田和美の呼びかけで結成された劇団「TC(Theater Company)アルプ」の旗揚げメンバーである近藤隼、串田作品ではすっかりおなじみの草光純太、そして「未亡人」役は82年より劇団青年座に所属し、コメディーからシリアスまで幅広い役どころをこなす増子倭文江が演じる。脚本・演出を手掛けるのは、気鋭の演出家として注目を集める、「劇団た組」の加藤拓也だ。1993年生まれの加藤は、高校在学中に構成作家として創作活動をスタート。18歳でイタリアに渡りMVを作り始めた。2015年には、「劇団た組」で『博士の愛した数式』を上演している。その後も押見修造の『惡の華』、西原理恵子の『パーマネント野ばら』など有名原作を続々と舞台化。『平成物語』(フジテレビ系)、『俺のスカート、どこ行った?』(日本テレビ)、『きれいのくに』(NHK総合)など映像の脚本も担当し、2022年6月には、加藤のオリジナル脚本である『わたし達はおとな』で、映画監督デビューを飾っている。なお、今回の『博士の愛した数式』は、劇団た組が上演したものとは異なるバージョンとなる。今回、上演決定にあたり、「博士」役の串田和美と脚本・演出の加藤拓也からコメントが到着!「博士」役:串田和美この小説を読んだとき、何故だか分からないけど、わぁ。この役をやってみたいなぁ。と、思ったのが最初の印象です。僕はずっと『記憶』と言う物に興味があって、記憶がなくなるって、どういう事なんだろうなぁと。そしたら、加藤くんもこの作品が好きで、やったことがあるって聞いて、だったら、いつか一緒にやりたいねって話して・・・それがこうして実現して嬉しいです。まだ若かった加藤くんがいきなり僕に電話をくれて、それなら会わなきゃ行けないねって、吉祥寺で待ち合わせをしました。そこには、かわいらしい顔の男の子が立っていて、「あれ?君が加藤くん?」と(笑)それが加藤くんとの始まりでした。それからたくさん話をして、そして一緒に仕事をしました。ワークショップで松本に来てくれた時、加藤くんが「串田さんが松本に居るの分かる気がする。」と松本を好きになってくれました。そんな加藤くんと、松本でどんな稽古になるのか、どんな舞台になるのか、今からとてもワクワクしています!脚本・演出:加藤拓也(劇団た組)串田さんと初めて会ったのは吉祥寺の喫茶店でした。喫茶店が開店したばかりの、僕と串田さんの二人とマスターしか居ない静かな場所で、静かに話をしました。あまりに年齢の離れた僕に、少し照れているような仕草で僕を見つめる優しい眼差しが印象的でした。演劇を一緒にやりたいんですけれどというお誘いが直接的過ぎたのかもしれません。それから僕は串田さんに一緒に演劇をすることになりました。大量の台詞とバットで殴られ体を半分に折って冷蔵庫に詰められるというアクション付きです。とても大変な役回りでしたが、公演が終わる度にニコニコしながら演劇が楽しいんだと言っていました。はっきりと覚えています。僕はこの人のことが好きになりました!『博士の愛した数式』は数年前に一度上演しました。小川洋子さんの柔らかな言葉と、思いがけない毒と、この小説のことが好きだったからです。水面に波を立てないように手を入れ、底から血液を拾う、そんな言葉達が好きになりました。そんな話を稽古中に串田さんにすると、串田さんもこの小説が好きだと言っていました。その時にもう一度やりたいと思いました。串田さんを博士で、串田さんと初めて会った時の、あの少し照れているような仕草と眼差しが博士なんだと思ったのです。そして演奏は谷川さんにお願いしました。俳優を見ながら音楽を作る、そして小川洋子さんの言葉に寄り添える人はこの人しか居ないと思ったからです。この作品を上演できることが本当に嬉しいです。是非観に来てください。<STORY>[ぼくの記憶は80分しかもたない]博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた──。主人公である「私」は、ある初老の男性「博士」の元へ家政婦として派遣される。「博士」とは、交通事故の後遺症で記憶が80分しかもたない元大学教師の数学博士。彼の「私」への第一声は、「君の靴のサイズはいくつかね?」だった。数字で物を語る博士に、初めは戸惑う「私」だが、やがて安らぎを見出していく。ある日、「私」に10歳の息子がいることを知った「博士」は、一人で留守番している息子を、学校が終わったら「博士」の家に向かわせるようにと「私」に告げる。「博士」は、息子の頭がルート記号のように平らだったことから、息子を「ルート」と名付けた。こうして、「博士」と「私」、そして、「ルート」との、やさしく、穏やかな生活が始まった。<公演概要>『博士の愛した数式』原作:小川洋子『博士の愛した数式』(新潮文庫刊)脚本・演出:加藤拓也音楽・演奏:谷川正憲(UNCHAIN)出演:串田和美安藤聖井上小百合近藤隼草光純太増子倭文江【松本】日程:2023年2月11日(土)~16日(木)場所:まつもと市民芸術館小ホール【東京】日程:2023年2月19日(日)~26日(日)場所:東京芸術劇場シアターウエスト一般発売日:2022年12月10日(土)10:00~主催:一般財団法人松本市芸術文化振興財団後援:松本市、松本市教育委員会助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)独立行政法人日本芸術文化振興会提携:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場(東京公演のみ)企画制作:まつもと市民芸術館公式サイト: お問い合わせ :まつもと市民芸術館チケットセンター(10:00~18:00)TEL:0263-33-2200FAX:0263-33-3830 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年09月21日串田和美が主宰する劇団「オンシアター自由劇場」で1994年に初演され、その後、串田のライフワークとして上演を重ねている『スカパン』。串田の80歳の節目に上演される今回、自由劇場時代からの盟友である小日向文世の出演が決定した。さらに共演者には、同じく盟友の大森博史や、ふたりの息子・串田十二夜と小日向星一といった顔ぶれも。そこで串田と小日向に、昔話にも花を咲かせつつ、今回の上演に寄せる想いを語り合ってもらった。自分じゃないなにかに、催促されるような感覚――上演回数も多い串田さんの代表作『スカパン』ですが、このタイミングでの上演を決めた理由は?串田まつもと市民芸術館の杮落とし公演や10周年記念プログラムなど、これまで節目、節目で上演してきました。そういう意味では今年度末にまつもとの総監督を退任することがひとつと、あとは80歳になったことがひとつ。そこに初演時に一緒やった、コヒ(=小日向)と大森(博史)とも久しぶりに出来たらいいな、というアイデアがフッと浮かんだんです。――串田さんの中で、『スカパン』の再演を重ねる理由はどんなところにあるのでしょうか?串田若いころは次々と新しいもの、今までにやったことのないものを探すのが楽しかったんです。でもだんだんとやり残したことが体の中に溜まっていって、自分じゃないなにかに、「あれもう一回やってよ」と催促されるような感覚が出てきて。ほら、舞台って生き物だから、いつも同じようには出来ないですよね。この時代、この肉体、外側の条件も内側の条件も折り合いをつけながらやっていくもの。でもだからこそ面白い現象が起きるんじゃないかと思います。――小日向さんにとっては約30年ぶりの『スカパン』になりますが、当時特に印象に残っていることは?小日向まだ少年だった中村七之助(当時11歳)くんが出ていたんですが、彼いつも平気な顔で、本番前も全然緊張していなかったんですね。でもある日突然ビクビクしているから、「どうしたの?」と聞いたら、「今日お父さん(=故中村勘三郎)が観に来る」って(笑)。串田(笑)。小日向七之助くんにとっては客前に立つより、お父さんのほうがよっぽど怖いんだなと。それが一番印象に残っている出来事ですね。――いかに勘三郎さんが厳しい父親だったかがわかるエピソードですね。串田うちは全然怖がられていないと思いますけど(笑)、そちらはどうですか?小日向うちもどうかな~(笑)。演出も美術も出来る串田の一番は、実は役者――今回はそれぞれのご子息、串田十二夜さんと小日向星一さんが出演されることも大きな話題です。小日向星一も結構舞台のお話をいただいているようですが、串田さんの作品に参加するのは初めて。彼にとっては今までにない稽古になるでしょうから、きっといろいろ戸惑うと思うんです。でも本当にいい機会だと思いますし、絶対に経験しておくべきことだと思います。『スカパン』出演者:上段左から)串田和美、大森博史、小日向文世中段左から)小日向星一、串田十二夜、皆本麻帆、湯川ひな下段左から)武居卓、細川貴司、下地尚子串田十二夜は初舞台からまだ1年経っていないですからね。ただ這っているころからずっとお芝居を見て育ってきたわけで(笑)、これは役者としてなかなか面白いパターンではないかなと思います。小日向十二夜くんの芝居を観るの、すごく楽しみです!――串田さんは80歳にしてタイトルロールのスカパンを演じられるわけですが、小日向さんから見た役者・串田和美の魅力とは?小日向串田さんは演出も美術も全部自分で出来る人ですが、一番は実は役者だと思うんです。いつも嬉々としてやっていますし、コロナになった時もひとり公園で芝居(※2020年6月、長野県内にある公園の四阿で串田が上演したひとり芝居『月夜のファウスト』)をやり始めたでしょ?やっぱりこれだよなと。僕にそんな勇気はないですけど、串田さんはいつでもどこでもやっちゃう。串田バカだね~(笑)。小日向いやいや。本当にすごい人だと思いますよ。――そんな串田さんにとって、改めてスカパンという役を演じる面白さとは?串田毎回新しい発見があるんですよね。再演って面白いもので、役や脚本が自分よりも成長しているのか、それとも自分が成長出来ているのか、その競争みたいなところがあって。だから自分の成長がそのお芝居に見合っているのか、ちょっとドキドキする。それはコヒに関しても同じで、嬉しい、懐かしいって気持ちと共に、ちょっと緊張する感覚もあるんです。小日向僕もそうですよ。串田さんには絶対に“冴えてない”と思われたくないですし、やっぱり串田さんを喜ばせたいなと思います。役と共に年を重ね、目指すは90歳のスカパン!?――小日向さんとは劇団(※オンシアター自由劇場)時代から長いおつき合いになりますが、役者としての魅力とは?串田コヒは面白いですよ。最近昔の動画を見るようになったのですが、コヒが出て来ると面白くなる。大森も面白いし、もちろん笹やん(=笹野高史)も面白い。これに僕と吉田日出子さんも入れた5人がいれば、十分だなって思いますね。小日向当時よく言いましたよ!研究生はもう入れなくてもいいんじゃないですか?って。でも新しい人を入れないと淀むからダメだって。串田えっ、そうだった?(笑)――そういう意味で今回は、串田さん、小日向さん、大森さんと精鋭がそろいますね。小日向いや、みんな年取ったからわかんないですよ(笑)。串田でも自分が年を取るのと同じように、スカパンはちゃんと役も年を取ってくれるからいいなと思うんですよね。小日向僕は今回ジェロントを演じますが、自由劇場に在籍していた時のような、面白い人物像を作っていきたいです。面白いっていうのは愛すべきとか、興味深い人物という意味で。あとは若い人を羨ましがらせたいですね。あれがあるから早く自分も年を取りたい、そんなふうに思わせるなにかを見つけられたらいいなと。70近い俳優がやる素敵さを見せたいですね。串田そうだよ。クリント・イーストウッドなんて90越えてあのカッコ良さだよ。小日向だよね!串田さん、まだ10年あるじゃない(笑)。串田90歳とかで、杖をつきながらスカパンやるのもいいかもしれないね(笑)。――10年後の『スカパン』も期待しつつ……、この作品を通し、今のお客さまにはどんなことが伝えられたらと思いますか?串田わからないことや人と違うことを怖がらないで欲しいですね。逆にそれを自慢するくらい、それぞれの違いを面白いものとして興味を持ってもらえたらいいなと。教わることは、なにも偉い人からだけじゃない。わからないことや違うことから学ぶこと、感動することはたくさんあるんだと、この作品が発見させてくれるのではないかと思います。取材・文=野上瑠美子撮影=源賀津己<公演情報>『スカパン』【松本公演】2022年9月30日(金)~10月10日(月) ※9月30日プレビュー公演会場:まつもと市民芸術館 小ホール、松本城大手門枡形跡広場【神奈川公演】2022年10月26日(水)~2022年10月30日(日)会場:KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオほか、水戸公演(10月15日・16日)、北九州公演(10月23日)あり
2022年09月05日共演の元オンシアター自由劇場の大森博史、小日向文世からコメントも到着。明日、8月6日に80歳の誕生日を迎える串田和美のライフワーク作品『スカパン』。今回新たに撮り下ろした新ビジュアルが公開されました。フランスの劇作家モリエールの喜劇「スカパンの悪巧み」を、串田和美が独自の解釈と脚色で作り上げた伝説の名作『スカパン』。1994年、串田和美が主宰の「オンシアター自由劇場」として芸術監督を務めていたシアターコクーンでの初演以来、芸術監督(当時※現・総監督)を務めるまつもと市民芸術館で2004年の柿落とし記念公演、13年に同館10周年記念プログラムの大きな柱として再演。さらに 15年には、シビウ国際演劇祭に正式招聘され、凱旋公演では、松本市内3ヶ所、屋外でも上演するなど、串田和美が人生の節目毎に上演してきた人気作品です。2022年の上演では「オンシアター自由劇場」のメンバーで初演時にも共演した大森博史、小日向文世の出演が決定。また串田和美の息子で昨年、本格的な舞台デビューをはたした串田十二夜と、小日向文世の長男で俳優として舞台、大河ドラマ等にも出演、活躍の場を広げる小日向星一とのW親子共演が発表されています。大森は今作に向けて「串田さんは新たにいろいろな思いを持ち込んでくるでしょう。」と心待ちにしている様子。小日向も、22年ぶりの串田との共演に「今からワクワクしております。」と話します。上演のたびに作品を熟成させていく演出家・串田和美。80歳で舞台に立つ今回も歩みを止めることなく、これまでにない新しい『スカパン』に挑みます。ぜひご期待ください。大森博史コメント僕が最後にスカパンに出たのは1994年アヴィニョンの演劇祭に自由劇場が参加した時のように思います、と言う事はもう28年前。その時もアルガント役を演じました。観に来てくれたパリかどこかの演劇学校の高校生たちが足を踏み鳴らしてカーテンコールしてくれたのを覚えています。あれから随分いろいろな芝居をやりましたし、多少歳を取りました(笑)小日向さん、コヒ(愛称)とは2000年の『ヴォヤージュ』以来、つまり22年振りの共演です。 お客様が楽しみにしている以上に僕はコヒと芝居するのは嬉しいです。いろいろな発想やアイデアがぶつけ合わせられるでしょう、相変わらずのコヒであったり全く新しいコヒであったり楽しみだ!そして串田さんとは深い所では信頼していますが、串田さんは新たにいろいろな思いを持ち込んで来るでしょう、益々今度のスカパンが楽しみだ!小日向文世コメント自由劇場時代の座長でもある串田さん演出の「スカパンの世界」、そして80歳で演じる「串田スカパン」でご一緒できることを嬉しく思っています。解散後にも一度だけ串田さん、大森さんとご一緒しているのですが、それ以来22年ぶりの共演です。劇団時代を思い出す、あのお二人の息遣い・・・今からワクワクしております。そして、今回は息子とも初共演となるのですが、今はまだピンと来ておりません。稽古が始まって、そこに息子がいるときにどんな感情が湧き上がるのか・・・楽しみでもあり、不安でもあります。<公演概要>【公演名】『スカパン』【スタッフ】原作:モリエール『スカパンの悪巧み』訳:内藤俊人潤色・美術・演出:串田和美【出 演】串田和美大森博史武居卓小日向星一串田十二夜皆本麻帆湯川ひな細川貴司下地尚子/小日向文世【公演日程】松本公演まつもと市民芸術館小ホール9月30日(金)19:00※プレビュー公演10月1日(土)15:0010月2日(日)13:00松本城大手門枡形跡広場(屋外公演)10月6日(木)、8日(土)、9日(日)、10日(月・祝)全日16:30【チケット一般発売日】8月6日(土)10:00~問い合わせ:まつもと市民芸術館チケットセンター0263-33-2200(10:00~18:00) スカパン | まつもと市民芸術館 : 水戸公演10月15日(土)~16日(日)水戸芸術館ACM劇場【チケット一般発売日】9月3日(土)9:30~問い合わせ:水戸芸術館ACM劇場029-227-8123(10:00~18:00月曜休館) 北九州公演10月23日(日)北九州芸術劇場 中劇場【チケット一般発売日】9月11日(日)10:00~問い合わせ:北九州芸術劇場093-562-2655(10:00~18:00) 神奈川公演10月26日(水)~30日(日)KAAT 神奈川芸術劇場【チケット一般発売日】8月27日(土)10:00~問い合わせ:チケットかながわ0570-015-415(10:00~18:00) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年08月05日『天才 柳沢教授の生活』ほか人気作品の原画など約150点を紹介する『漫画家・山下和美展 ライフ・イズ・ビューティフル』が7月30日(土)より世田谷文学館にて開催される。自身の父親をモデルに、Y大学経済学部の柳沢教授と周囲の人々との悲喜こもごもを描いた『天才 柳沢教授の生活』や、時間と空間を自由に超える少年の目を通して「人間とは何か」を問いかける『不思議な少年』など、人間の本質に迫る作品で知られる山下和美。2021年には、世界と断絶した山村を舞台に描いた『ランド』で第25回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞している。一方で山下はデビュー直後の作品から、人間が暮らし集う場所としての「家」にも並々ならぬこだわりを持って描いてきた。その思いが募り、日本の伝統的な建築様式で書院造りに茶の湯のための茶室(数寄屋)を取り入れた、数寄屋造りの自宅を建設することに。その完成に至る顛末を『数寄です!』『続・数寄です!』にコミックエッセイとして綴っている。また、2019年には、世田谷区豪徳寺にある明治時代の洋館(旧尾崎邸)を保存するため建築家らとともに行動し、そのドキュメントを『世田谷イチ古い洋館の家主になる』で紹介。さらに最新作『ツイステッド・シスターズ』でも同洋館をモデルにした館を舞台とするなど、「家」に重心を置いた山下作品は進化を続けている。同展では、山下のライフワークである『天才 柳沢教授の生活』『不思議な少年』、『ランド』、そして世田谷の自宅と洋館にまつわる『数寄です!』『続・数寄です!』『世田谷イチ古い洋館の家主になる』『ツイステッド・シスターズ』の原画を展示するほか、柳沢教授のモデルとなった父・古瀬大六撮影の写真、先に漫画家デビューしていた姉たちの作品、さらに学生時代に描いた漫画やイラスト、創作資料や手塚治虫文化賞受賞記念トロフィーまで、約150 点の作品と資料を公開する。『天才 柳沢教授の生活』原画(C)山下和美『続・数寄です!』原画(C)山下和美【開催概要】シーズン展示『漫画家・山下和美展 ライフ・イズ・ビューティフル』会期:2022年7月30日(土)~9月4日(日)会場:世田谷文学館1階文学サロン時間:10:00~18:00(ミュージアムショップは17:30まで)休館日:月曜(祝日の場合開館翌日休)料金:無料展覧会公式サイト:
2022年07月12日フランスの劇作家・モリエールの喜劇『スカパンの悪巧み』を串田和美が独自の解釈と脚色で作り上げた伝説の名作『スカパン』が、10月1日(土)からまつもと市民芸術館 小ホールにて上演開始となる。1994年、串田自身が主宰する「オンシアター自由劇場」として当時、芸術監督を務めていたシアターコクーンにて初演された『スカパン』。翌95年には本国フランス・アヴィニョン演劇祭で上演、芸術監督(当時※現・総監督)を務めるまつもと市民芸術館では2004年の柿落とし記念公演、13年には同館10周年記念プログラムの大きな柱としても再演。さらに15年には、シビウ国際演劇祭に正式招聘され、凱旋公演では松本市内3カ所、屋外でも上演するなど、串田にとってライフワークとも言える人気作品だ。今回の公演でも、串田自身がスカパンを演じる。またオクターヴの父親アルガント役に国内外さまざまな演出家の作品で独特な存在感が光る大森博史、そしてレアンドルの父親ジェロント役をオールラウンドプレーヤーにして、実力派俳優として幅広い世代から支持される小日向文世が演じる。かつて串田が主宰していた「オンシアター自由劇場」でしのぎを削りあい、初演時にも出演した3人の再びの共演となる。さらに串田の息子で昨年、本格的な舞台デビューをはたした串田十二夜がレアンドル役、そして小日向文世の長男で俳優として舞台、大河ドラマ等にも出演、活躍の場を広げる小日向星一がオクターヴ役として出演する点も注目だ。なお、小日向親子の舞台での共演は本作が初めて。ほかにも武居卓、皆本麻帆、湯川ひな、細川貴司、下地尚子と個性豊かなメンバーが集結している。<串田和美・コメント>まだ僕が俳優学校に通っていた19歳か20歳の頃、フランスのコメディ・フランセーズによる来日公演『スカパンの悪だくみ』を観た思い出は、今でも記憶に残っています。それから数十年後、自分なりのスカパン像をつくり上げて演じたのが1994年のシアターコクーン。モリエールの芝居には、喜劇と言い切れない不思議な憂鬱感が漂っていて、そこを面白がることで現代性を発見できたような手応えがありました。その後、フランスのアヴィニョンやルーマニアのシビウ、水戸芸術館など国内外で上演を重ね、芸術監督を務めるまつもと市民芸術館のオープニングでもこの作品を選びました。このライフワークとも言える作品に、今回、オンシアター自由劇場で一緒に芝居をつくっていた大森博史さんと小日向文世さんが参加してくれます。お互い「演劇勘、鈍ってないだろうな?」とピリッとした緊張感もあるでしょうし、同時になんとも言葉に言い表せない、どこかが通じているような感覚もある。しかも小日向さんの息子である星一くん、僕の息子十二夜も出演し、二世代が揃うユニークな座組みになりました。この一座で、FESTA松本を皮切りに、水戸芸術館、北九州芸術劇場、KAAT神奈川芸術劇場をまわります。スカパンはいつも一生懸命で、人を面白がらせたり、「しょうがないな」と言いつつ若者たちのために一肌脱ぐ人間。正義感とも違う「そうせざるを得ない性分」なんでしょう。この生き様は何度演じても飽きないですし、また演じられることに、大きな喜びを感じています。■舞台情報『スカパン』原作:モリエール『スカパンの悪巧み』潤色・演出・美術:串田和美出演:串田和美、大森博史、武居卓、小日向星一、串田十二夜、皆本麻帆、湯川ひな、細川貴司、下地尚子 / 小日向文世<松本公演>10月1日(土)~10日(月・祝)会場:まつもと市民芸術館 小ホール、他<茨城公演>10月15日(土)・16日(日)会場:水戸芸術館<北九州公演>10月23日(日)会場:北九州芸術劇場 中劇場<神奈川公演>10月26日(水)~30日(日)会場:KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ公式サイト:
2022年06月09日共演に元オンシアター自由劇場のメンバー、大森博史、小日向文世が決定!!フランスの劇作家:モリエールの喜劇「スカパンの悪巧み」を、串田和美が独自の解釈と脚色で作り上げた伝説の名作『スカパン』。1994年、串田和美が主宰の「オンシアター自由劇場」として当時、芸術監督を務めていたシアターコクーンにて初演。翌95年には本国フランス・アヴィニョン演劇祭で上演。芸術監督(当時※現・総監督)を務めるまつもと市民芸術館では2004年の柿落とし記念公演、13年には同館10周年記念プログラムの大きな柱として再演。さらに 15年には、シビウ国際演劇祭に正式招聘され、凱旋公演では、松本市内3ヶ所、屋外でも上演するなど、串田和美が節目毎に上演してきたライフワークとも言える人気作品です。原作はモリエールの晩年の傑作『スカパンの悪巧み』。古典フランス喜劇を、現代の我々が実感を持てる作品に脚色し直し、誕生した『スカパン』。 今回の公演でも、串田自身がスカパンを演じます。またオクターヴの父親アルガント役に国内外さまざまな演出家の作品で独特な存在感が光る大森博史、そしてレアンドルの父親ジェロント役に、ドラマ、映画、舞台とジャンルを超え、コミカルな役からシリアスな役まで巧みに演じるオールラウンドプレーヤーにして、実力派俳優として幅広い世代から支持され続ける小日向文世が決定。かつて串田が主宰していた「オンシアター自由劇場」で鎬(しのぎ)を削りあい、初演時にも出演した3人が再び共演致します。そしてもう一つ特筆すべきは2組の親子共演。串田和美の息子で昨年、本格的な舞台デビューをはたした串田十二夜がレアンドル役、そして小日向文世の長男で俳優として舞台、大河ドラマ等にも出演、活躍の場を広げる小日向星一がオクターヴ役として出演。小日向親子の舞台での共演は本作が初めてとなります。その他、武居卓、皆本麻帆、湯川ひな、細川貴司、下地尚子と個性豊かなメンバーが集結致しました。単なる再演ではなく上演のたびに作品を熟成させていく演出家・串田和美。2022年80歳を迎える串田の渾身の『スカパン』にどうぞご期待ください。<STORY>舞台は港町ナポリ、スカパンは、口がうまくて世渡り上手。仲間のシルヴェストルは器用な彼がちょっとうらやましい。彼らはそれぞれオクターヴとレアンドルの従僕。年頃の二人は揃って恋に夢中だ。イアサントと勝手に籍まで入れたオクターヴ。何も知らない父親が、突然、結婚話を持ってきた。資産家の父親に逆らったら、何の取り柄もないオクターヴは間違いなく一文無し。......どうしよう?同じ頃、レアンドルは大好きなゼルビネットをジプシーから取り返すため膨大な金が必要に。しかも残された時間はあと2時間。 ......どうしよう?たすけて!スカパン!「それじゃあその金はね、あんたらの親父さんからいただくことにしましょう」どうやら秘策があるらしい。スカパンは、いったいどんな手を使うのか?そして愛し合う恋人たちの恋の行方はいかに?<公演概要>【公演名】『スカパン』【スタッフ】原作:モリエール『スカパンの悪巧み』潤色・演出・美術:串田和美【出 演】串田和美大森博史武居卓小日向星一串田十二夜皆本麻帆湯川ひな細川貴司下地尚子/小日向文世【公演日程】松本公演10月1日(土)~10日(月祝)まつもと市民芸術館 小ホール、他茨城公演10月15日(土)~16日(日)水戸芸術館北九州公演10月23日(日)北九州芸術劇場 中劇場神奈川公演10月26日(水)~30日(日)KAAT 神奈川芸術劇場企画制作:まつもと市民芸術館【お問い合わせ】まつもと市民芸術館TEL:0263-33-3800まつもと市民芸術館公式HP: ※詳細は決まり次第ホームページにてお知らせいたします。スカパン | まつもと市民芸術館 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年06月09日シェイクスピアの 4大悲劇の一つで、数々の名優たちがタイトルロールを演じてきた『リア王』を、まつもと市民芸術館が『KING LEAR ―キング・リア―』のタイトルで上演。その濃密で贅沢な公演のゲネプロ・レポートが届いた。本作は、シェイクスピア劇の若きスペシャリストである木村龍之介が演出し、主人公のリア王は串田和美が、実に45年ぶりに演じる。防災シートで作られた銀色の紗幕の向こうで、立ち尽くす王。「世界滅びあなたは揺れて…」とソプラノ歌手の歌声が響き、王の手前では人々がゆっくりとうごめく。歌声に銃声や爆撃音が重なり、彼らが「逃げまどう人々」であることが明らかになると、場内にはリアルな緊迫感が充満。紗幕は血の色の照明を浴びせられる…。シェイクスピア劇を現代の視点で捉えた演出に定評のある木村龍之介らしい、“まさに今、世界で起こっていること”を想起せずにはいられないプロローグを経て、本編はスタート。リア王の宮殿・大広間に集まった人々が談笑し、場内の空気は先ほどとは打って変わって和やかだ。上機嫌の老王は娘たちへの領土の分割を宣言し、上の 2人の娘ゴネリルとリーガンは王への愛を語るが、末娘のコーディリアはリップサービスを拒否。「私はお父様を愛しています。それ以上でも以下でもありません」というすげない言葉で老王を怒らせてしまう。『リア王』では姉たちが最初から悪女然 として登場することが多いが、今回の舞台の彼女たちは、面倒くさい父親に(いつものように)調子を合わせているといったていで「企み」感はなく、むしろ率直すぎる末娘の「KY」ぶりが際立って見えるのが新鮮だ。王は末娘を追放して領土をゴネリルとリーガンに分け与え、彼女たちの館にひと月ごとに逗留することを決定。しかしゴネリルたちにとって、気まぐれで何を言い出すかわからない父の相手など、迷惑でしかない。いわば老親の介護にプレッシャーを感じる娘たちが、次第に野心や愛欲にまみれて道を踏 み外してゆく過程を、ゴネリル役の毛利悟己、リーガン役の下地尚子が登場の度、隠れた本性をあらわしながらヴィヴィッドに表現。対するコーディリア役の加賀凪は、真っ直ぐで嘘がつけないがゆえに 悲劇の端緒を切ることになるヒロインをきっぱりとした口跡で演じ、姉たちと好対照をなしている。グロスター役の武居卓は軽率にもエドマンドを深く傷つけ、大き過ぎる代償を払うことになる伯爵を人間くさく演じ、一度は王から遠ざけられるも、変装をしてまで忠義を尽くすケント役の近藤隼は終始、一貫した正義感と安定感のオーラをまとってこの役を演じている。また、エドマンドは本作一の策略家だが、その邪悪さのきっかけは、父であるグロスター伯爵からの心無い言葉。この役を演じる串田十二夜は、この台詞を吐かれた瞬間にひどく顔を歪ませ、エドマンドの人間性がこの時、根底から変わってしまったことを印象付けている。しかし本作の見どころはなんと言っても、実に 45年ぶりだという串田和美のリア王だ。上の娘たちからのおべっかに相好を崩し、裏切られたと知ると せわしなく歩き回りながら「地獄の悪魔!」と悪態をつく。大自然に向かって叫んだかと思えば、「俺は忍耐の鑑になってみせる」と言って踏ん張る。遂に狂気に囚われながらも、「生まれ落ちると泣くのはな、この阿呆の檜舞台に引き出されたのが悲しいからだ」と鋭い洞察を述べ、最も愛した存在を喪うと、その亡骸を呆然と引きずり、最後に残った僅かな感情を使い果たして倒れ込む。そうした姿、台詞の一つ一つが串田の肉体を通して圧倒的な 迫真性を持って発せられ、愚かしく、間違いも犯してきたが過酷な運命に果敢に立ち向かうこの主人公から、観客は目が離せなくなる。80歳のリアと同年代であり、リアと同じ、いやそれ以上の強靭な精神の持ち主である串田だからこその表現なのだろう。彼…串田リアが見せる「真に人生を生ききる姿」が、悲劇的な結末にもかかわらず、観るものの魂を熱く鼓舞する、この春必見の舞台である。主演:串田和美 コメントシェイクスピアの壮大な作品に取り組むにあたり、普段は演出も兼ねることが多いのですが、今回は役者に専念できて嬉しかったし、タイトルロールということで興奮と喜びを感じながら稽古してきました。その分、期待に応えなければという緊張感で一杯です。演出:木村龍之介 コメント串田和美さんとの出会いから始まった今回の『リア王』は、ある時代を特定した作品ではなく、もっと 普遍的で雄大な時間を感じられる作品になっていると思います。なぜ、この悲劇が400年前から演じ続けられているのか、この作品を見て感じてもらえれば嬉しいです。今も、400年前も、同じ悩みを抱えながら、どんな辛い状況になっても前を向いて生きていこうとする、そのエネルギーの中に真実があるんだなと。悲劇ではあるのですが、私たちが生きていく上で前向きになれるような舞台をお届けしたいと思っております。取材・文 松島まり乃 / 撮影 山田毅公演概要【公演名】KING LEAR ―キング・リア―【日時】2022年3月12日(土)~16日(水)【会場】まつもと市民芸術館 小ホール【作】W.シェイクスピア【翻訳】松岡和子【演出】木村龍之介【出演】リア王 串田和美コーンウォール公爵 岩崎MARK雄大フランス王 オズワルド 大山大輔コーディリア 加賀凪エドマンド 串田十二夜ケント伯爵 近藤隼リーガン 下地尚子グロスター伯爵 武居卓道化 深沢豊オールバニー公爵 細川貴司エドガー 堀田康平ゴネリル 毛利悟巳【チケット料金(整理番号付き自由席・税込)】一般:4,000 円、U18:2,000 円(枚数限定)※未就学児入場不可 当日券あり【問い合わせ】 まつもと市民芸術館チケットセンター(10:00~18:00)TEL:0263-33-2200まつもと市民芸術館公式HP: ( )
2022年03月14日シェイクスピアの4大悲劇の一つで、数々の名優たちがタイトルロールを演じてきた『リア王』を、まつもと市民芸術館が『KING LEAR ―キング・リアー』のタイトルで上演。シェイクスピア劇の若きスペシャリストである木村龍之介が演出し、主人公のリア王は串田和美が、実に45年ぶりに演じるという。まつもと市民芸術館小ホールでの、濃密で贅沢な公演のゲネプロ・レポートをお届けする。防災シートで作られた銀色の紗幕の向こうで、立ち尽くす王。「世界滅びあなたは揺れて…」とソプラノ歌手の歌声が響き、王の手前では人々がゆっくりとうごめく。歌声に銃声や爆撃音が重なり、彼らが「逃げまどう人々」であることが明らかになると、場内にはリアルな緊迫感が充満。紗幕は血の色の照明を浴びせられる…。シェイクスピア劇を現代の視点で捉えた演出に定評のある木村龍之介らしい、“まさに今、世界で起こっていること”を想起せずにはいられないプロローグを経て、本編はスタート。リア王の宮殿・大広間に集まった人々が談笑し、場内の空気は先ほどとは打って変わって和やかだ。上機嫌の老王は娘たちへの領土の分割を宣言し、上の2人の娘ゴネリルとリーガンは王への愛を語るが、末娘のコーディリアはリップサービスを拒否。「私はお父様を愛しています。それ以上でも以下でもありません」というすげない言葉で老王を怒らせてしまう。『リア王』では姉たちが最初から悪女然として登場することが多いが、今回の舞台の彼女たちは、面倒くさい父親に(いつものように)調子を合わせているといったていで「企み」感はなく、むしろ率直すぎる末娘の「KY」ぶりが際立って見えるのが新鮮だ。王は末娘を追放して領土をゴネリルとリーガンに分け与え、彼女たちの館にひと月ごとに逗留することを決定。しかしゴネリルたちにとって、気まぐれで何を言い出すかわからない父の相手など、迷惑でしかない。いわば老親の介護にプレッシャーを感じる娘たちが、次第に野心や愛欲にまみれて道を踏み外してゆく過程を、ゴネリル役の毛利悟己、リーガン役の下地尚子が登場の度、隠れた本性をあらわしながらヴィヴィッドに表現。対するコーディリア役の加賀凪は、真っ直ぐで嘘がつけないがゆえに悲劇の端緒を切ることになるヒロインをきっぱりとした口跡で演じ、姉たちと好対照をなしている。グロスター役の武居卓は軽率にもエドマンドを深く傷つけ、大き過ぎる代償を払うことになる伯爵を人間くさく演じ、一度は王から遠ざけられるも、変装をしてまで忠義を尽くすケント役の近藤隼は終始、一貫した正義感と安定感のオーラをまとってこの役を演じている。また、エドマンドは本作一の策略家だが、その邪悪さのきっかけは、父であるグロスター伯爵からの心無い言葉。この役を演じる串田十二夜は、この台詞を吐かれた瞬間にひどく顔を歪ませ、エドマンドの人間性がこの時、根底から変わってしまったことを印象付けている。しかし本作の見どころはなんと言っても、実に45年ぶりだという串田和美のリア王だ。上の娘たちからのおべっかに相好を崩し、裏切られたと知るとせわしなく歩き回りながら「地獄の悪魔!」と悪態をつく。大自然に向かって叫んだかと思えば、「俺は忍耐の鑑になってみせる」と言って踏ん張る。遂に狂気に囚われながらも、「生まれ落ちると泣くのはな、この阿呆の檜舞台に引き出されたのが悲しいからだ」と鋭い洞察を述べ、最も愛した存在を喪うと、その亡骸を呆然と引きずり、最後に残った僅かな感情を使い果たして倒れ込む。そうした姿、台詞の一つ一つが串田の肉体を通して圧倒的な迫真性を持って発せられ、愚かしく、間違いも犯してきたが過酷な運命に果敢に立ち向かうこの主人公から、観客は目が離せなくなる。80歳のリアと同年代であり、リアと同じ、いやそれ以上の強靭な精神の持ち主である串田だからこその表現なのだろう。彼…串田リアが見せる「真に人生を生ききる姿」が、悲劇的な結末にもかかわらず、観るものの魂を熱く鼓舞する、この春必見の舞台である。主演:串田和美 コメントシェイクスピアの壮大な作品に取り組むにあたり、普段は演出も兼ねることが多いのですが、今回は役者に専念できて嬉しかったし、タイトルロールということで興奮と喜びを感じながら稽古してきました。その分、期待に応えなければという緊張感で一杯です。演出:木村龍之介 コメント串田和美さんとの出会いから始まった今回の『リア王』は、ある時代を特定した作品ではなく、もっと普遍的で雄大な時間を感じられる作品になっていると思います。なぜ、この悲劇が400年前から演じ続けられているのか、この作品を見て感じてもらえれば嬉しいです。今も、400年前も、同じ悩みを抱えながら、どんな辛い状況になっても前を向いて生きていこうとする、そのエネルギーの中に真実があるんだなと。悲劇ではあるのですが、私たちが生きていく上で前向きになれるような舞台をお届けしたいと思っております。(取材・文 松島まり乃 / 撮影 山田毅)公演概要【公演名】KING LEAR -キング・リア-【日時】2022年3月12日(土)~16日(水)【会場】まつもと市民芸術館 小ホール【作】W.シェイクスピア【翻訳】松岡和子【演出】木村龍之介【出演】リア王 串田和美コーンウォール公爵 岩崎ⅯARK雄大フランス王オズワルド 大山大輔コーディリア加賀 凪エドマンド串田十二夜ケント伯爵近藤 隼リーガン下地尚子グロスター伯爵武居 卓道化深沢 豊オールバニー公爵細川貴司エドガー堀田康平ゴネリル毛利悟巳【チケット料金(整理番号付き自由席・税込)】一般:4,000円、U18:2,000円(枚数限定)※未就学児入場不可当日券あり【お問い合わせ】まつもと市民芸術館チケットセンター(10:00~18:00)TEL:0263-33-2200KING LEAR -キング・リア- | まつもと市民芸術館 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年03月12日串田和美が総監督を勤める「まつもと市民芸術館」が3月、『KING LEAR ―キング・リア―』を上演。末娘の真の愛情を見抜けず、その姉たちの甘言に惑わされたことに端を発する老王の悲劇を描いたシェイクスピア劇を、串田が45年ぶりに主演するのが話題だ。60年代から演劇界の先端を走ってきた彼が今、『リア王』、日本の演劇界、そして松本での活動について思うこととは。近年、最も注目される演出家の一人で、屈指の“シェイクスピアおたく”としても知られる木村龍之介との対談をお届けする。また未発表だった配役も発表となった。――お二人はどんなきっかけで出会われたのですか?木村龍之介(以下・木村)「2017年に僕らのカンパニー(カクシンハン)で『タイタス・アンドロニカス』を上演した時、串田さんが観に来て下さったんです。串田さんの優しさだと思うのですが、終演後“面白かったです”と言ってくださって、嬉しかったです」串田和美(以下・串田)「いろんな人と仕事をしたいなと常にアンテナを張っているのだけど、『タイタス~』は僕の家の近くで上演されていて、行きやすかった(笑)。その翌年、オンラインのシェイクスピア講座でご一緒して、その時、“何か(シェイクスピア劇を)やりましょう”という話をしたんですよね」木村「僕は大学時代、駒場東大前から渋谷まで、電車代を節約するためによく歩いていて、その途中に「シアターコクーン”という劇場があるぞ!」と知っていろいろ見るようになったのですが、串田さんが演出したコクーン歌舞伎『夏祭浪花鑑』を立見で観てびっくりしたんです。最後にパトカーが現れたりして、なんて粋で自由なんだろう、と。まるで“魔法使い”のような演出家だし、俳優としてもいい意味でのへそ曲がりというか(笑)、魅力に溢れたかっこいい方で、まさかご一緒できるようになるとは思っていませんでした」――お二人にとって、シェイクスピア劇とはどんな存在でしょうか?木村「高校三年生の時に9・11(アメリカ同時多発テロ)が起こり、いったい世の中どうなっているんだろう、と僕は衝撃を受けました。大学に入れば何か答えが見つかるかと思いましたが、勉強すればするほど謎が深まるばかり。それがある日、大学図書館で何気なく『マクベス』に出会いまして。冒頭の魔女の台詞を読んで、僕が抱いていた謎が解けるのではないかと思えて、シェイクスピア戯曲を読むようになり、自分でも演出するようになりました。これまで14、15作演出していますが、シェイクスピア劇は面白いとしか思ったことはないです」串田「僕も出会いは『マクベス』。かつて自由劇場という劇団をやっていて、一回目の解散というか、主要メンバーがだーっといなくなってから初めてやった作品です。当時は“本当に芝居やるの?”というような俳優ばかりだったから(笑)、そのままじゃできないと思って、エチュードみたいなものを入れて『阿呆劇 マクベス』というタイトルでやりました。その後、演劇集団・円にいた家高勝さんの演出でシェイクスピア劇をいろいろやって、まだ30ちょっとだった時に(注・34歳)、『リア王』もやりましたね。シェイクスピア劇は難しいという人もいて、確かに人名はややこしい。『マクベス』なんてマクベスにマルカムにマクダフ、なんでみんな“マ”なんだ!って思うでしょ(笑)。でも、話の中身はわかりやすいし、今に通じることがたくさんあります。ギリシャ悲劇もそうだけど、この行き詰った世の中にあって、シェイクスピア劇に触れると“おっ”と思えるような気付きがある。昔の人の作品から世界や人間を読み取り直すことができ、面白いんです。この古典をどれだけ今のもの、僕らみんなのものに出来るか考えながら、これからもシェイクスピア作品に関わっていきたいと思っています」――今回、『リア王』を選ばれたのは…。串田「僕から提案したんだっけ?(笑)」木村「僕が選ぶとしても、やっぱり『リア王』ですね。年齢的に串田さんにぴったりということもありますし、稽古をしながら“今やるべき作品”だな、とますます感じます。世代間で価値観が対立したり、閉塞感があったり、王様の発言に対して取り巻きや家族が物申すようなところにも“今”を感じますね。“良い時代は過ぎ去った。”といった台詞も今っぽいし、(当時流行した)ペストとコロナの流行という相似性、あらすじ、全て含めて、総合的に立ち上る雰囲気として、“今の物語”ととらえてもおかしくないと感じます。僕はいつも、もしシェイクスピアの脳が現代まで保管されていたら、今の風景を見てどう書くだろうと思いながら演出に取り組んでいます。『リア王』はイギリスが“ブリテン”と呼ばれていた時代の話だけど、シェイクスピア自身はこの時代についてあまり詳しくなかったらしく、ある種のファンタジーとして書かれています。僕は今回、この物語を“崩壊しつつある世界の王の物語”として描いていきたいと思っています」串田「一般的に、“主人公”って正しいものを提示していそうだな、と思うでしょう? でもこのリア王は間違ったこともいっぱいしているし、悪役に思われている娘たちの言い分のほうが、現代人には当然に聞こえるかもしれません。昨日も稽古で、最初からリア王がいい人で娘たちが悪者と見えないようにやろう、という話をしていました。そんな迷惑をかけたり過ちをおかした人が、やけくそになって嵐の中に飛び出したりするうち、いろんなものが見えてきます。世の中はいい人だらけならいいけれど、決してそうはならない。それはなぜなのか。私たちが生きて行く上でのヒントのようなものが見えてくる作品だな、と稽古しながら思っています」今回の『リア王』でまた新しい発見がある(串田)――稽古の手応えはいかがでしょうか?串田「何日か本読みをやってそこからは立ち稽古、という感じではなく、立ち稽古の途中で本読みもやり、今やっているところから少し離れた場面もやり、といろんなことがミックスされた稽古で、僕が演出する時と似た作り方です。ひょっとして開幕間際まで“ここ変えようか”と言われるかな、と思っていますよ。『リア王』は30代でも一度やったけれど、今回の稽古で新たな発見は多々ありますね。微妙だけど、(言葉の意味合いの)深さはこっちの方にあったんだな、とか。黙って本を読むだけではわからないことに、集団で(台詞を)発しているうち気づける…というのが、お芝居の面白さ。キャスティングが違えば気づかなかったこともあるだろうし、そのあたりも楽しみながら作っています」木村「串田さんが台詞を発することによっていただくインスピレーションも多々ありますし、松本で創作しているということ自体、僕にとっては刺激になっています。皆でたくさんの扉をノックしながら、どういう形になっていくかな、していこうかな、と試行錯誤していて、ものすごくいい稽古をさせていただいていると感じています。あと、まつもと市民芸術館は僕が東京で芝居をやっている時の環境より段違いに素晴らしく、小道具部屋一つとってもずらりと揃っていて、楽しくて仕方がないです。だからこそ、きちんとした形にまとめあげないとと思っていますが、今のところ、とてもいい創作の旅をしています」一筋縄ではいかない串田和美のリア王(木村)――串田さんの“リア王”像、いかがですか?木村「一筋縄ではいかない人物ですね。シェイクスピアはきっと、人間とは一筋縄ではいかない存在だ、ということを描こうとしていたと思うのですが、串田さんのリア王はまさにそれが、串田さんの肉体、感性を通して滲み出ています。芝居ってそういう“人間”を観るものであって、押し込めるのは違う作業だと思うので、残りの稽古でさらに串田さんの中からふわふわと出てくるものがあるといいなと思っています」串田「劇中、“80歳を超えて…”という台詞があるのだけど、シェイクスピアの時代(16世紀)に80過ぎまで生きる人って、なかなかいなかったですよね。ある意味幻想的というか、80過ぎの人物を主人公とする感覚って、ちょっとSF的だと思うんです。今で言えば、200歳とは言わないまでも、120歳でまだ駄々をこねている親父。僕も今年の夏に80になるけど、自由に生きたいとは思いつつ、(周囲に)迷惑はかけたくない。『リア王』はこの、リアリティに欠けた部分に何かがあって、そこが面白さなんだな、と感じています」――先日、木村さんは今回の上演に関連したレクチャーで、シェイクスピアの原動力の一つには、当時、“熊いじめ”という残酷な見世物が非常に人気を集めており、それがエンタメの主流になってしまうことへの反抗心があったかも、と指摘されていましたが、お二人は今の日本で演劇を上演することの意義をどうとらえていらっしゃいますか?木村「“熊いじめ”だけに熱狂するというのは、あるべき人間の姿ではないと思っていますが、僕ら人間はつい、そういったもので社会を満たしてしまう危うさがあると思います。いっぽう、演劇は全く別のもので空間を満たします。“熊いじめ”的なものより、演劇のほうがもっといいんじゃないかと感じてほしいし、世の中から“熊いじめ”的なものがなくなっていくように、演劇を広めていきたい。そんな思いを持って活動しています」串田「1966年に演劇活動を始めた頃、僕はいつか、東京にたくさん劇場が出来たらいいなと思っていたけれど、だんだんそうなってきた今、理想像とどこか似て非なるものがあります。どういうことかというと、演劇に限らず文化って、多数決で評価するものではないはずですよね。絵や音楽も、その時評価されなくても後で再発見されることもあるし、メジャーはそれぞれにある筈です。僕らが若かった頃も、皆でお小遣いを貯めて芝居をやって、そういうものの中から強い影響力を持つ作品が生まれました。失敗しても、こんな割の合わないことに情熱を燃やしていたんだという自負を持って皆でバイトをしたりしていたけど、今はそういうことに向ける視線が薄れてしまって、多数決主義、商業が中心。個人の努力ではどうにもならない部分があるような気がします。それがいい悪いではなく、もう少し違う価値観があった筈じゃないかな、と思うんですね。調べてみると、シェイクスピアの時代も僕らの体験した“あの頃”に似ていて、彼の一座は劇場が燃えたり追い出されたり、テムズ川をわたって別なところに劇場を立てたり。シェイクスピアもそんなことをやっていた時代があって、どこか親しみを感じます。最後には世間に認められるようになっていくけど、最初の頃の志は忘れないでやっているんですよね。それで地方でもの作りをするのはどうだろうと考えていた時に、ここ(松本)の話をいただいたんです。もちろん東京でも演劇はできるけど、地方都市で何かが見つかるかな、と思って芸術監督をお受けしました。まだまだ(理想には)辿り着いていない気がするけれど、こちらに来て、市民の税金で成り立っている公共劇場なので、芝居をご覧になる方はもちろん、観にいらっしゃらない方からも“ここにこの劇場があっていいね”と思ってもらえるようにならないといけない、ということを発見しました。演劇って刹那的で、映像で記録したとしても、あの“生(なま)”の時間は(終演と同時に)消えてしまう。だからこそ、これから生まれる人たちにも、とっくに亡くなった人たちにも届くようなものを作りたい、と切実に思っています。これを実現するには、あと3回くらい生きないと辿り着かないかもしれないけれど(笑)、そのことに気が付いて、こういうところで喋ったり、次の人にバトンタッチできればいいのかもしれません。公共劇場の役割ってそういうところにあるのかな、と思っています。松本で作った芝居を全国や海外で上演したい(串田)串田「来年度の3月でここの総監督は終わりで、あと1年で何をしようかと考えていますが、松本産のリンゴを自慢するように、もっと松本で作った芝居を全国や海外で上演できたら、と思っています。東京では作れない、地方ならではの舞台。それが本当にひと味違うということが広まっていったら、全国的にも意味があるんじゃないかな。過疎化している町が(演劇によって)元気になるかもしれないし、温泉やお城がなくても大丈夫だよということになるかもしれません。人間の生き方も、経済ばかりを追う風潮も変わるのではないでしょうか。僕らの若い時は“発展”という言葉は素晴らしく聴こえたけれど、今はあまり魅力的ではない、と多くの人が気づいている。そういう中で、ここ松本には芝居という自慢がある。ここに来てからそういうことをたくさん考えるようになりましたね。すぐに出来ることではないけれど、長い旅の一歩、二歩目くらい歩ければと思っています」松本の空、松本の劇場で感じたことで新しい『リア王』が生まれてきている(木村)木村「僕はこれまで生きてきて、“これがいい”と周囲で言われているものがいいと感じられず、演劇をやってきました。シェイクスピア劇をやるというのは、僕にとっては(人間としての)“脱皮”のプロセスで、今回、松本に来て創作しているのもそういうイメージがあります。僕自身、この劇場で何度か観劇していますが、東京での観劇体験とは確実に違いますね。より、演劇の面白さに身を包ませることが出来るような気がします。ここだから見える俳優の姿だったり、世界観というものも間違いなくあります。僕も今回、松本の空、松本の皆さんから感じたもので、これまでにない『リア王』が生まれてきていると感じています。皆さんに御覧いただいて、人間って面白いねと感じていただけるといいなと思っています」串田「今回は松本だけでの上演になるので、もしかしたら首都圏から観に来て下さる方もいらっしゃるかもしれません。もしかしたらチケット代より高い交通費と時間をかけていらっしゃる人もいるかもしれない。いい空気と芝居を体験できた、行って良かったと感じられるものを作らないと、という緊張感は僕らにもあります。きっと何かを感じ取っていただけるんじゃないかな。ぜひ楽しんでいただきたいです」(取材・文=松島まり乃)<公演概要>【公演名】KING LEAR -キング・リア-【日時】2022年3月12日(土)~16日(水) 全5回【会場】まつもと市民芸術館 小ホール【作】W.シェイクスピア【翻訳】松岡和子【演出】木村龍之介【出演】リア王串田和美コーンウォール公爵岩崎ⅯARK雄大フランス王 オズワルド大山大輔コーディリア加賀 凪エドマンド串田十二夜ケント伯爵近藤 隼リーガン下地尚子グロスター伯爵武居 卓道化深沢 豊オールバニー公爵細川貴司エドガー堀田康平ゴネリル毛利悟巳【チケット料金(整理番号付き自由席・税込)】一般:4,000円、U18:2,000円(枚数限定)※未就学児入場不可【お問い合わせ】まつもと市民芸術館チケットセンター(10:00~18:00)TEL:0263-33-2200KING LEAR -キング・リア- | まつもと市民芸術館 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年02月28日1994年5月に演出家・串田和美と十八世中村勘三郎がタッグを組み幕を開けた“コクーン歌舞伎”。古典歌舞伎を現代に通じる新たな解釈を取り入れた斬新な演出で、話題作を生み出してきた同シリーズの第十八弾『天日坊』が2月1日、渋谷・Bunkamuraシアターコクーンにて開幕した。演出・美術の串田和美と脚本の宮藤官九郎によって練り上げられ、河竹黙阿弥の隠れた名作を現代に蘇らせた本作は観る者の胸に刺さり大きな反響を呼び、2012年の初演時、千穐楽には当日券を求める人々が列をなすほど大変好評を博した。<ストーリー>ふとしたきっかけから将軍頼朝の落胤になりすまし鎌倉を目指す法策(後の天日坊)。旅の途中で盗賊・地雷太郎とその妻・お六と出会い、思いもよらぬ自分の運命を知る・・・「俺は誰だあっ!」狙うは天下! 若者たちは壮大な野望と純粋な希いを胸に疾駆する。彼らの人生を賭けた大勝負がはじまる―開幕に際し、法策(後の天日坊)を勤める中村勘九郎、人丸お六を勤める中村七之助、地雷太郎を勤める中村獅童のコメントと舞台写真が到着。【中村勘九郎】法策という人物を一言で表すなら“無”結局最後まで自分が誰なのかわからない。そうした精神的な複雑さに加えて、ずっと出ずっぱりな上に衣裳も重い。もう毎回、ぐったりでした。今まで生きたなかで一番疲れた役です。その法策としてまた生きる。もう一度“無”になってその場その場で感じることを大切に、その一方でビジュアル部分もしっかりと見せていきたいと思います。【中村獅童】前回ご覧くださった方の中には、コクーン史上最高傑作とおっしゃってくださる方もいらして、再演を望む声も多く本当にうれしかったです。その期待に応えられるよう、今回はさらに進化したものをお見せしたいと思います。江戸時代のアウトローのかっこよさを感じていただけたらと思います。【中村七之助】初演はちょうどスカイツリーがオープンした年でエレベータ―を降りたところに浮世絵が飾ってあったんです。マーメイドドレスのようなシルエットで髑髏柄の着物を着た女性の絵を見ると「人丸お六」と書いてあったんです。衣裳や小道具はそれを参考に作らせていただきました。前回は時間的に間に合わなかった部分もありましたので、今回はこだわっていきたいと思っています。以上、第十八弾「天日坊」本公演プログラムより抜粋公演は2月26日(土)まで、東京渋谷のBunkamuraシアターコクーンにて。
2022年02月02日まつもと市民芸術館総監督を務める串田和美がシェイクスピア四大悲劇の「リア王」を演じる舞台『KING LEAR -キング・リア-』の宣伝ビジュアルが公開されました。44年前、自由劇場時代に「リア王」を演じ、その後も多くのシェイクスピア作品を手がけてきた串田自らが舞台に立ち、全身全霊で挑むーその舞台を演出するのはシェイクスピア作品を上演し続けてきたカクシンハンの木村龍之介。裏切られ狂気に囚われていく孤独な老王リア。誰もが知る本作で、互いにシェイクスピアを追求し続ける木村龍之介×串田和美がどのような化学反応を起こすのか…ご期待ください!串田和美 コメント「リア王」は、当時、何を考えていたのか思い出せないくらい昔、今から44年前の自由劇場時代に演じたのですが、その時とはまた違う解釈が沸いてきて、長く生きていくのは良いことだなぁと感じています。この作品は若いころに感じた魅力とは全然違う、かといって歳を重ねたから悟れるものじゃない。分からないものは分からない、怒りはさらに沸いてくるし、それが虚しいことも感じながら、それでも怒りしかない。そんな風に感じていて、そう感じさせるシェイクスピアは、すごい作家だと改めて思います。演出の木村さんは、僕が育った時代のおっかない演出家とは違い(笑)紳士的でとても丁寧。でもきっとそういう人ほど、芯が強くて心の奥の方には絶対に譲らないものを持っていると思っています。老王リアが娘たちに裏切られていく話です。騙したり、騙されたり、そしてそこに「怒り」を覚え、その先に悲しみがある・・・そういう物語は、現代でも実感できると思います。今までにはない新しい舞台が生まれると思います。是非、ご期待ください。串田和美プロフィール1942年生まれ。俳優、演出家、舞台美術家。まつもと市民芸術館総監督。TCアルプ座長。1966年、劇団自由劇場を結成(後のオンシアター自由劇場)。『上海バンスキング』など数々の作品で人気を集める。85年~96年まで東京のBunkamuraシアターコクーン初代芸術監督を務める。2003年4月、まつもと市民芸術館館長兼芸術監督に就任(08年から芸術監督、21年より総監督)。まつもと市民芸術館での主な作品は『信州・まつもと大歌舞伎』『空中キャバレー』『K.テンペスト』など。劇場を自由自在に使いこなす演出や地域を巻き込んだ企画など、“松本ならでは”の事業を次々と実現。16年には「Flying Theatre 空中劇場」、17年「トランクシアター」シリーズを始動し、劇場以外での上演にも精力的に取り組んでいる。07年に第14回読売演劇大賞最優秀演出賞受賞。08年に紫綬褒章、13年に旭日小綬章を受章。15年には代表作のひとつである『スカパン』がルーマニアのシビウ国際演劇祭に正式招聘され、同年にシビウ・ウォーク・オブ・フェイム賞を受賞。木村龍之介プロフィール1983年生まれ。演出家・作家。カクシンハン主宰。東京大学で英米文学を専攻し、シェイクスピアを研究。シェイクスピアシアター、蜷川カンパニー、文学座附属演劇研究所などで俳優・演出を学び、劇団カクシンハンを立ち上げ、『ハムレット』『夏の夜の夢』『リア王』『タイタス・アンドロニカス』『薔薇戦争 〜ヘンリー六世 + リチャード三世〜』『マクベス』など、シェイクスピア作品を連続上演し、全作品の演出を務める。外部作品では、『新作能 鷹姫』や『ローマ帝国の三島由紀夫』を演出。公演概要【公演名】KING LEAR -キング・リア-【日時】2022年3月12日(土)~16日(水)全5回公演【会場】まつもと市民芸術館 小ホール【作】W.シェイクスピア【翻訳】松岡和子【演出】木村龍之介【出演】串田和美/岩崎MARK雄大、大山大輔/加賀 凪、串田十二夜、近藤 隼、下地尚子、武居 卓、深沢 豊、細川貴司、堀田康平、毛利悟巳【チケット料金(整理番号付き自由席・税込)】一般:4,000円、U18:2,000円(枚数限定)※未就学児入場不可【チケット一般発売日】2022年1月29日(土)10:00~【お問い合わせ】まつもと市民芸術館チケットセンター(10:00~18:00)TEL:0263-33-2200KING LEAR -キング・リア- | まつもと市民芸術館 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年01月21日渋谷・コクーン歌舞伎 第十八弾『天日坊(てんにちぼう)』が、2022年2月に東京・渋谷のBunkamura シアターコクーンにて上演される。チケットの発売は2021年12月を予定している。宮藤官九郎×串田和美の『天日坊』再び演出家・串田和美と十八世中村勘三郎がタッグを組み1994年に誕生した“渋谷・コクーン歌舞伎”。古典歌舞伎を一から読み直し、現代に重ね合わせて新しい角度から演出する斬新な手法で、『東海道四谷怪談』や『夏祭浪花鑑』など次々と話題作を生んできた。中でも、2012年に宮藤官九郎の脚本、串田和美の演出・美術により初演から145年の時を超えて上演された『天日坊』は、自らの運命を探し求めて邁進する主人公・天日坊の姿が観客の胸を打ち、大きな反響を呼んだ。そんな人気作品『天日坊』が10年ぶりに再演され、大河ドラマ『いだてん』の脚本も記憶に新しい宮藤官九郎と演出家・串田和美が再びタッグを組むことに。中村勘九郎、中村七之助、中村獅童が続投キャストには、前回に続き中村勘九郎、中村七之助、中村獅童が名を連ね、疾走感溢れる作品を舞台上から観客に届ける。『天日坊』あらすじふとしたきっかけから将軍頼朝の落胤になりすまし鎌倉を目指す法策(後の天日坊)。旅の途中で盗賊・地雷太郎とその妻お六と出会い、思いもよらぬ自分の運命を知る・・・「俺は誰だあっ!」狙うは天下!若者たちは壮大な野望と純粋な希いを胸に疾駆する。彼らの人生を賭けた大勝負がはじまるー。公演概要渋谷・コクーン歌舞伎 第十八弾『天日坊』上演時期:2022年2月チケット発売:2021年12月予定会場:Bunkamura シアターコクーン住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1原作:河竹黙阿弥「五十三次天日坊」演出・美術:串田和美脚本:宮藤官九郎出演:中村勘九郎、中村七之助、中村獅童、ほか
2021年10月15日『COCOONMovie!!』初日舞台挨拶が6日にBunkamuraシアターコクーンで行われ、松尾スズキ、大竹しのぶ、宮沢りえ、小池徹平、中井美穂(MC)が登場した。同企画はシアターコクーン過去作品の収録映像蔵出し上映会となっており、芸術監督の松尾がこの20年間シアターコクーンで上演した作品の中から3作品(『女教師は二度抱かれた』『キレイ-神様と待ち合わせした女-』『ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン』)、初代・芸術監督である串田和美作品(『もっと泣いてよフラッパー』)、二代目・芸術監督である蜷川幸雄作品(『下谷万年町物語』)、松尾が“演劇を始めたころの素朴な喜び”を求めプロデュースした二人芝居『命、ギガ長ス』と、その創作過程を追った WOWOWオリジナル・ドキュメンタリー『ノンフィクションW 松尾スズキ 人生、まだ途中也』を上映する。演劇の配信なども増えているものの、松尾は今回の試みについて「大きなところでやったものは大きなところで見たいんじゃないか。どうせならコクーンという劇場が空いてる時間を使って、過去のものいっぱいありますから、上映できる機会があれば」と意図を明かす。大竹は「自分の出てる劇場中継とか見ること自体があまり好きじゃなくて。『アップになるな~!』みたいな」と苦笑。「あとは全体を見てお芝居なので……というのがあったんですけど、松尾さんのお話を聞いて、今だからこそできることだし、劇場の空気を味わいたいと思ってこの企画を考えてくれたことが素敵だなと思います」と称賛した。ラインナップの中でも、蜷川幸雄演出の『下谷万年町物語』に出演していた宮沢は「それまでも何度かご一緒できる機会があったんですけど、何せ弱虫な私はとけこむことができなくて。『下谷万年町物語』で改めて『ここで飛び込まなきゃ私はダメになると思ったところがあった」と振り返る。「本当にもう希望と絶望のシーソーに乗っているような。毎日稽古で叱咤を受け、死に物狂いでやってて、本番も暗転前にヒロポンを持って踊るシーンがあるんですけど、終わった直後にもう立てなくて。これ以上できないという限界を毎日超えていた」と語った。『キレイ-神様と待ち合わせした女-』に出演した小池は、「松尾さんが『歌を聞かせてくれ』というので、アカペラでWaTの『僕のキモチ』を1人で歌ったのを覚えています」と明かす。松尾は「小池君はコクーンのデビューが『キレイ』だったんだよね。すごく力が入ってます。力が入った小池君を見てください」と紹介し、小池は「ありがとうございます」と苦笑していた。
2020年10月06日『COCOONMovie!!』初日舞台挨拶が6日にBunkamuraシアターコクーンで行われ、松尾スズキ、大竹しのぶ、宮沢りえ、小池徹平、中井美穂(MC)が登場した。同企画はシアターコクーン過去作品の収録映像蔵出し上映会となっており、芸術監督の松尾がこの20年間シアターコクーンで上演した作品の中から3作品(『女教師は二度抱かれた』『キレイ-神様と待ち合わせした女-』『ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン』)、初代・芸術監督である串田和美作品(『もっと泣いてよフラッパー』)、二代目・芸術監督である蜷川幸雄作品(『下谷万年町物語』)、松尾が“演劇を始めたころの素朴な喜び”を求めプロデュースした二人芝居『命、ギガ長ス』と、その創作過程を追った WOWOWオリジナル・ドキュメンタリー『ノンフィクションW 松尾スズキ 人生、まだ途中也』を上映する。『女教師は二度抱かれた』に出演した大竹は、「とにかく阿部(サダヲ)ちゃんとか大人計画の方のお芝居がびっくりで、毎日楽しいんですけど、大人計画の方って舞台ではあんなに思い切ったことなさるくせに普段はすごい喋らなくて、おとなしくて。恥ずかしがり屋なのかよくわからないところがある」と振り返る。「私は誕生日だったんですけど、普通は稽古場でハッピーバースデーとかやるのに何にもなく終わっちゃって。そうなんだって思ったら帰りにプロデューサーの方が『しのぶさん、お誕生日おめでとう』ってケーキをくれて、『そんならみんなで言ってくれたらいいじゃんか!』と言ったのが思い出です」とエピソードを披露した。さらに大竹が「『松尾さん、お誕生日おめでとうくらい言ってださいよ』と言ったら、『僕はそういうの苦手なんで』と言ってそれからずっと変わってないです」と訴えると、松尾は「その後からやるようになりました」と苦笑。また、同作には星野源が出演し音楽も務めたが、大竹は「すごくいい、覚えやすいし独特なメロディ」と星野の楽曲を称賛する。「源ちゃんも繊細な方でした。みんな繊細だからいやになっちゃいます。でも大好きなんです」とラブコールを送った。
2020年10月06日シェイクスピアの「テンペスト」を“K.(串田版)”として串田和美が再構築する「K.テンペスト2019」が5月16日より開幕。演出・潤色・美術を手掛ける串田に話を聞いた。【チケット情報はこちら】2014年、2017年に続く三度目の上演となる本作は、串田が「この芝居は最初から決まっていることはなくて、ワイワイ話すなかでつくってきました。今回もそうやって話したい」と語るように、キャストと共に約6週間のワークショップ・創作期間を経てつくりあげる作品。話す内容は毎公演違うそうで、「今回は“許すってなんだろう”という話をしようかなと思っています。この作品でプロスペローは実の兄弟であるアントーニオに裏切られた復讐をしようとしているけれども、最後には許さなきゃいけない。じゃあ“許す”とか“謝る”ってなんだろうという話がしたい」と構想を語る。ベーシックなものとは違う、「出演者がお客さんと喋ったり、シェイクスピアの本を読んだりしているうちにだんだんお芝居になっていって、ときどきまたフッと喋っている状態に戻ったりするようなスタイル」(串田)で上演される本作は、広場で自由に演劇を観るようなカタチの場がつくられ、座る席も自由。これまでの手ごたえとしては、観客の「“こんなん“で”いいんだ” “これ“で”演劇なんだ”という反応」が印象的だったと串田は振り返る。「演劇が苦手な人って“理解できなかったらどうしよう”とか“あれ?みんな笑ってるけど…”とか、そういうのがあるでしょう。だけどそれは自由だし、なによりそこに“居合わせた”という感覚“で”いいんだってことを感じ取った人がたくさんいた。前回、僕の隣にいる人がそわそわしているから“どうしたの?”って聞いたら“なんだか嬉しい気持ちになって。なんでしょう、この気持ち!”って子供みたいになってて。嬉しかったな」と明かす。「演劇って、このごろは“商品をつくっているんだから”という意識が強い人も多いけど、すべて“作品”だし、僕は“作品”というより“事件”…小さなね、だといいなと思いながらつくっています」初めて観る人にとってはもちろん、新キャストが参加することで前作、前々作を観た人にとっても新しい体験となる。そんな本作は、5月19日(日)まで長野・まつもと市民芸術館 特設会場、5月22日(水)から26日(日)まで東京・東京芸術劇場 シアターイーストにて上演後、ルーマニアとセルビアを巡演。写真・文:中川實穗(なかがわみほ)
2019年05月17日串田和美が演出を手掛け、安蘭けいが出演するベルトルト・ブレヒトの喜劇『マン イスト マン』が1月26日に開幕した。【チケット情報はこちら】物語は、英軍隊の機関銃隊のおバカな4人組が寺院で賽銭泥棒をはたらき、ひとりが逃げ遅れてしまうことから始まる。鬼軍曹にひとり足りないことがバレないよう何とかしたい3人は、酒屋のおかみにキュウリを運ばされるお人よしの男に助けを頼み――。人間とは何か。笑いとユーモアの中でアイデンティティをめぐるストーリーだ。S席はテーブルがあって料理付き、A席も座席で飲食ができる“キャバレーシアター”。客席には振るとパチパチ拍手音が鳴る“パタパタ”が配られ、開演までコック姿のキャストたちが“ブーイング笛”を販売。上演中に拍手もブーイングもできるカジュアルな雰囲気だ。安蘭と串田が登場して挨拶すると、物語はスタート。作品は“S席の料理を作ったコックたちによるお芝居”として始まり、登場人物の名前も料理にちなんだ名前に変更されている。客席からは舞台袖も丸見え。コック達が次のシーンの準備をしているのも、舞台上の芝居を見てブーイング笛を鳴らしている(!)のも見え、「難解」と言われるブレヒト作品への構えが自然と取り払われていく。出演者は、おかみベグビック役の安蘭、鬼軍曹役の串田、そしてコックとして物語の登場人物を演じる武居卓や小椋毅、海老澤健次らオーディションで選ばれた12人のメンバー。前半ではコックたちの場面と『マン イスト マン』の物語を行き来しながら彼らが案内役として客席を引っ張るが、S席の観客が食事を終えた頃には物語は一直線に進み始める。劇中には歌やダンスがちりばめられ、『リトル・ナイト・ミュージック』(2018年4~5月)ぶりとなる安蘭の歌や、串田のクラリネット演奏も見どころ。音楽・ピアノ演奏を担当する元ボ・ガンボスのDr.kyOnによる歌にも注目だ。ここでしか体験できないものがたくさん詰まった本作。ブレヒト作品に初挑戦したい人にもオススメしたい。KAAT 神奈川芸術劇場とまつもと市民芸術館による初の共同プロデュース作品『マンイストマン』は、2月3日(日)まで神奈川・KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオで上演中。その後、2月8日(金)から13日(水)まで長野・信毎メディアガーデン1Fホールにて上演。取材・文:中川實穗
2019年01月28日