不倫の恋は不道徳という認識が強いですが、最終的には覚悟の問題。現在進行で不倫している人にとっては、どこまで進むのか、割り切るのか、そして壊すのか……。 一口に不倫といっても状況によってそれぞれ覚悟は違います。いずれにせ不倫の恋の現実は厳しいのが常。あらゆるパターンの小説を読み、自分が進むべき方向を予習しておきましょう。不倫をしていないあなたも、不倫のリアルを覗いてみては? ■『フリン』椰月美智子 隣室に住む高校時代の恋人と、惰性で逢瀬を重ねる主婦の友美。14歳にして知性、野性味、誠実さが滲み出ている息子の友人に「スイッチが入ってしまった」42歳の美代子など、同じリバーサイドマンションに暮らす人々の秘めたる恋と日常を綴る連作短編集。不倫という言葉の奥深さを再認識。角川文庫514円 ■『やさしい訴え』小川洋子 不実な夫から離れ、山の別荘へと移り住んだ瑠璃子は、近くに暮らすチェンバロ製作者の新田と女弟子の薫に出会う。やがて瑠璃子は新田と関係を持つが、自分には入り込むことのできない新田と薫の世界に激しい嫉妬を抱き始める。言葉にできない想いの深さが聴こえてくるような物語。文春文庫524円 ■『カムフラージュ』有吉玉青 恋人がいる一方で、指導教官の岩瀬とも交際している大学院生の柚葉。二人の関係をカムフラージュするために、岩瀬は柚葉を息子の家庭教師に迎えるが、岩瀬の妻・麗子にも、年下の恋人・五郎がいた―。複雑に絡み合う愛憎関係にある人々の本音と、衝撃のラストが実に印象的!小学館文庫630円 写真・土佐麻理子 ※『anan』2015年5月13日号より
2015年05月10日友人たちに否定されても、ダメ男ばかり好きになってしまうあなた。大切なのは、ダメな部分が、人にとっては問題でも、自分にとっては問題がないかの見極めです。プレイボーイとダメ男が登場する小説で、共感しつつも我が身をもう一度振り返ってみましょう。 ■『婚活1000本ノック』南 綾子 心の底から結婚したい!と願いつつ、どうにも外見を重視してしまいがちな主人公が、本気で婚活に挑む長編作。作者の実体験が投影されているだけに、女子の本音と婚活の理想と現実がリアルすぎて震えます。同時に、ずっと目を逸らしてきた自分自身と向き合うきっかけにもなるはず。新潮社1500円 ■『ニシノユキヒコの恋と冒険』川上弘美 息をするように甘い言葉を口にして、見目麗しく清潔で、少年ぽさを失わず、いつでもどんな女性でも、優しく抱けるニシノユキヒコとは、結局のところどんな男だったのか。関係を持った、年齢も立場も異なる10人の女性が語り尽くす連作集。ダメ男好きの心を直撃&感嘆必至です!新潮文庫490円 ■『潤一』井上荒野 住所も仕事も定まらず、女たちの間を流れたゆたい続ける伊月潤一26歳。<私(わたし)が潤一に会ったのは>で始まる14歳から62歳までの9人の女たちと、潤一自身の告白から、その姿を描き出す連作短編集。同じ「ダメ男」でもニシノユキヒコとはかなり異なるタイプ。読み比べもおススメ!新潮文庫400円 写真・土佐麻理子 ※『anan』2015年5月13日号より
2015年05月10日