中村勘九郎、中村七之助兄弟らによる全国巡業公演が今年も開催される。「春暁特別公演2018」と銘打ち、3月中旬の埼玉を皮切りに全国12か所を巡るふたりに、話を聞いた。春暁特別公演2018 チケット情報普段、歌舞伎の舞台を生で観ることができない全国の人たちに、歌舞伎の楽しさを届けたい、と2005年より毎年開催、兄弟ふたりが中心になってのこの巡業は、「最初の頃は不安でした。が、継続は力なり。この公演を見て歌舞伎を好きになったという方が多く、やってきて良かったなと思います」と話す勘九郎。上演演目も、初めて歌舞伎を観る人も存分に楽しめるものをと工夫を重ねてきた。今回、勘九郎が演じる「浦島」は、かの昔話の主人公の後日談。「海から戻ってきた浦島が、竜宮城での思い出を踊りで見せます。その後玉手箱を開けたらどうなるか──、皆知っていることですが(笑)、これが意外と古風な早変わりで、楽しく観ていただけると思います」(勘九郎)。いっぽう、七之助が踊るのは華やかさに満ち満ちた「枕獅子」。「『鏡獅子』の元となったとても古風な踊りです。僕が演じるのは傾城で、その切ない女心を格式高い曲調で踊ります。『鏡獅子』よりもさらに華やかなところもあり、春にぴったりですね」(七之助)。中村屋門弟らによる「鶴亀」も、春にふさわしい、おめでたい雰囲気に溢れた舞踊だ。この巡業公演ならではのお楽しみ、「芸談」の時間も。「芝居のことも、プライベートのこともざっくばらんに話すトークショーです」と勘九郎。この時間はいつもスーツ姿での登場だが──「いまだに『おおーっ!』と声があがる。あれは絶対、『着物じゃない?スーツだ!』『普通の人だ!』ということでしょう(笑)。生で観る歌舞伎は初めてという人は?と聞くと、半分以上の方が手を上げられる。まだまだ、ですね」と七之助も言葉に力を込める。質疑応答のコーナーでは、「どんなニックネームで呼べばいいか」という斬新な質問も。「屋号以外で?じゃあ何か考えてください、と返すと、『カン』と『シチ』って(笑)──」と七之助。「そんな掛け合いもできるんです」と勘九郎も楽しげだ。都市によってシャイだったり積極的だったりとか客席の雰囲気は様々だが、客席との直接の交流が生まれるかけがえのない時間といえるだろう。2019年の大河ドラマ主演を控える勘九郎だが、これを逃すと勘九郎の生の舞台はしばらくお預けとなるだけに、兄弟揃っての公演は見逃せない。公演は3月17日(土)さいたま市文化センター 大ホールから4月5日(木)鎌倉芸術館 大ホールまで全12か所で開催、チケットは発売中。取材・文加藤智子
2018年01月30日2月の博多座は、中村勘九郎、中村七之助、尾上松也といった人気花形揃い踏みで「二月花形歌舞伎」を上演。昼の部は、幕末の鹿児島を舞台に運命に翻弄される若者を描いた『磯異人館』、早替りを交えながら七役を見事に演じ分ける様が魅力の『お染の七役』。夜の部は時代物の勇壮さと様式美が堪能できる『義経千本桜 渡海屋・大物浦』、一目惚れの恋をテーマにした三島由紀夫作の喜劇『鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)』といったバラエティに富んだ名作揃いだ。2月2日(金)の開幕を前に、中村勘九郎、中村七之助に話を聞いた。二月花形歌舞伎 チケット情報博多座は5年ぶりの出演となるふたり。勘九郎が「父(故・中村勘三郎)との思い出が多い劇場ですので、来たかったんですよ」と語る博多座での公演だけに、演目にもかなり気を配った。博多の友人が多い七之助はリサーチも入念に行なったとか。「わかりやすくて派手なものがいい、という声が多かったんです。表面的にわかりやすいだけではなく、情愛の深いものや、様々な感動がある演目ばかり。歌舞伎にもいろいろなジャンルがあるんだと思って頂けると思います」(七之助)父、祖父が演じてきた思い出深い演目『鰯賣~』は夜の部で上演。2014年の「中村勘三郎三回忌追善公演」で初めて兄弟でやり、今回は2回めとなる。「九州では父も祖父もやっていないので、九州初上陸の演目となります。三島由紀夫先生が六代目歌右衛門と私の祖父に当てて書いてくださった作品で、逆シンデレラストーリーの超ハッピーエンドな物語。残念ながら直接父から教わる機会はなかったのですが、大好きな作品だったので父が演じていた時の息づかいなどもしっかり覚えています。ふわっとした愛嬌や色気が漂うような空気感が出せれば」と勘九郎。そして七之助が七役を演じ分ける『お染の七役』は昼の部で上演される。「早替りはもちろん楽しんで頂きたいのですが、実は今回台本も少し変えようと思ってまして。お家騒動に至るまでの登場人物の思惑や背景をもう少し詳しく表現します。冒頭に関してはほとんど新作になってますね。新しくなった『お染の七役』は博多座が初上演。しかも今回は兄も早替りするんです。同じ演目でふたりの役者が同時に早替りするのはあまりないので、お楽しみに!」と七之助。「え?今、初めて聞きました(笑)」と驚く勘九郎に、「大丈夫、大丈夫(笑)」と七之助が笑顔で返すなど、兄弟ならではの率直なやりとりが微笑ましく、どんな舞台になるのか期待が高まる。同世代であり、子どもの頃からの仲である尾上松也が全演目に出演するのも話題。「気楽に楽しんで騒いで頂いて。あ、他のお客様にご迷惑にならない程度に(笑)。熱い博多の気質で、どんちゃん騒ぎながら観て頂けたら嬉しいです」(七之助)「今回出てくださる先輩方は皆さま寛容な方ばかりなので、騒いでもきっと許してくださると思います(笑)」(勘九郎)2月2日(金)から25日(日)まで博多座で上演。チケット発売中。
2018年01月17日グランフロント大阪のナレッジキャピタル1階にあるメルセデスブランドの発信拠点「Mercedes me Osaka」で、大阪が誇る伝統芸能・文楽とのコラボが実現。12月26日(火)よりラッピングカーの展示がスタートし、除幕式が行われた。「初春文楽公演」「うめだ文楽2018」チケット情報1月3日(水)より大阪・国立文楽劇場で上演される『初春文楽公演』、2月2日(金)よりグランフロント大阪北館4階のナレッジシアターにて上演される『うめだ文楽2018』。両公演の上演演目である『傾城恋飛脚新口村の段(けいせいこいびきゃくにのくちむらのだん)』。遊女梅川を身請けするために300両の金を横領し、梅川と共に実父・孫右衛門の住む新口村へと逃げた忠兵衛。そこで繰り広げられる、親子の情愛や男女の愛を描いた物語だ。降りしきる雪の中、追ってから逃れようとする忠兵衛と梅川の、美しくも悲しいふたりの姿が涙を誘う人気作となっている。その美しい世界を表現したアートワークで、メルセデス・ベンツの車両をラッピング。和と洋がスタイリッシュに融合した、斬新なコラボレーションだ。除幕式では、人形遣いの吉田玉勢(たませ)と吉田簑紫郎(みのしろう)が文楽人形の梅川と忠兵衛を操り、パフォーマンスを行った。梅川を操る簑紫郎は「メルセデスさんという伝統のあるメーカーさんにご協力いただいて、伝統芸能を紹介させていただくというのはすごくありがたいなと思います。このお芝居の時代にこのような車があったら、新口村まで20日間もかけずに、すぐに辿り着けますね(笑)」と笑いを誘い、忠兵衛を操る玉勢は「すごく美しくラッピングされていて、感激しています」とコメントした。コラボラッピングカーの展示は12月26日(火)から2月4日(日)まで。『初春文楽公演』『うめだ文楽2018』のチケットは発売中。
2017年12月27日狂言師野村萬斎が1998年から毎年1月に開催してきた「万作萬斎新春狂言会」が20回を超え、来年でサンケイホールブリーゼでの公演も10年目。常連客と共に、初めて狂言を観るという人も多い。この公演は、新春を寿ぐ華やかさや明るさに満ちて心地よく、狂言デビューにオススメだ。「万作萬斎新春狂言2018」チケット情報舞台にはお正月飾りのしめ縄。プログラムは毎年、野村家の元旦の行事である謡初(うたいぞめ)の披露から始まる。今年は『雪山』。会場の空気が引き締まり、新年の幕開きにふさわしい。次に人気の萬斎トーク。くわしくわかりやすく、とても楽しい演目解説だ。そして大名狂言『二人大名』、休憩を挟んで大変珍しい鬼狂言『政頼(せいらい)』。毎年、演目はその年の干支にちなんだものを選び、上演する。2018年は戌年。「関西の能楽界に呼ばれ、週に1度は京阪神に来ています」という超多忙な萬斎が、演目の見どころや想いを語った。『二人大名』は、野遊びに出たふたりの大名がお供がいなくて体裁が悪いと、出合った男に無理やり太刀を持たせるが、逆にその太刀で脅されて…という演目。「狂言では刃傷沙汰にはならないんですよ(笑)。鶏や犬のマネをさせるという、大名のもて遊び方がおもしろい。今年は酉年で来年は戌年だからね、干支を意識してます(笑)。最後には起上がり小法師のマネをするんですが、子供番組(NHK「にほんごであそぼ」)でもやっている内容なので、お子様同伴で来られるのもおすすめです」。『政頼』は、仏教が栄えて不景気になった地獄が舞台。鬼たちを引き連れた閻魔大王が、極楽と地獄に分かれる六道の辻まで亡者を迎えに出る。やってきた鷹匠・政頼を地獄に落とそうとするが…。萬斎が約10年前に復活させた演目で、大人数での上演となる。「和泉流として関西でやるのは初めてです。正月早々、地獄の話で申し訳ないですが、鷹狩は帝王の遊びだと鷹匠の誉れを語るところはお正月らしいですね。そして、地獄にも犬がいたので鷹狩をしてみせる…はい、こちらも犬が出ます(笑)。閻魔大王と鷹匠が友情を築くという、めずらしい展開でほのぼの感もある話ですが、これは鷹狩のシーンをどう見せるかがキモ。その生命線である鷹を手間暇かけて新たに作り、飛んでいるように見える工夫をしていますので、是非お楽しみに。鷹匠の狂言を観て、“一富士、二鷹、三なすび”と、縁起のいい夢を見ていただければ(笑)」。公演は1月25日(木)・26日(金)大阪・サンケイホールブリーゼにて。チケットは発売中。取材・文:高橋晴代
2017年12月27日ワイドショー、週刊誌、スポーツ新聞などで報道された芸能ニュースをコラムニストの木村隆志が、「芸能界のしがらみ無視」で厳選紹介! 芸能人の熱愛・破局・スキャンダル・事件……これさえ見れば、一週間の芸能ニュースをサクッとつかめる。■5位:木村拓哉がついに語った。中居正広との関係、新しい地図の3人『FRIDAY』が木村拓哉(45)の独占インタビューを掲載。SMAP解散から一年になろうとしている今、何を思っているのか興味深い。ドラマロケ中に同誌の直撃を受けた木村は、「撮影し通しの一年でした」と俳優として映画・ドラマに忙しい日々を振り返った。心境の変化については、「そりゃあ無かったら変でしょ(笑)。でも、そこは前向きに切り替えてやらせてもらってますよ」とポジティブにコメント。バッシングを受けたことに対して聞かれると、「(文句を)言ってもしょうがないじゃん、だって。自分の気持ちや思っていること、わかってほしいことはありますよ。でも、それを言ってもね……」「自分のラジオ番組で触れることも最初は考えていたんです。でも、それを口にしたところで何の解決にもならないし」と率直に語った。さらに、同じジャニーズ事務所残留組の中居正広(45)とコミュニケーションを取っているかと聞かれ、「ないない。でも、ああだ、こうだいう報道が多いけど、(言われているような確執は)全然ないですよ」。新しい地図の3人には、「彼らは自分たちなりに考えて(退社の)判断をした」「そこは悔いのないように頑張ってほしいなと思います。彼らは(SMAP解散を)選択した。でも、敵になったわけじゃないから」「応援してほしいなって思います」と男気を見せた。マスコミにもファンにもいろいろ言われているが、この人も苦しい思いをしたのは間違いない。連日記者たちが自宅へ押しかけ、SNSはバッシングの声であふれかえっている。達観した受け答えは、「今はただ時がすぎるのを待っている」からなのか。■4位:斉藤由貴の不倫相手が「パンツ仮面」流出の犯人を告発!斉藤由貴『週刊文春』が斉藤由貴と医師男性とのダブル不倫を報じてから約4カ月。当時、斉藤は会見で否定したが、『FLASH』が2人のキス写真、医師男性の「パンツ仮面」写真を立て続けに報じたことで認めざるを得ず、騒動は収束した。その後、斎藤は来年の大河ドラマへの出演を辞退するなど、活動休止状態に追い込まれたが、来年早々には舞台復帰が決まっているほか、映画公開もあるという。しかし、ここにきて『週刊女性』の報道で、再び怪しいムードが漂いはじめている。医師男性が自身のクリニックホームページに、「モルモン教団に属する(斉藤の)家族が不正入手したものを加工し、故意にメディアに情報提供したことが確認されています。かくの如く倒錯した団体と当院は無関係です」とつづったのだ。斉藤は夫ともどもモルモン教徒で知られているだけに、写真流出の犯人は「僕の妻ではない」「斉藤の夫だ」と言いたいのだろうか。ほどなくこの文言はホームページから削除。斉藤の事務所は、削除される前の文言を「私どもの見解は“おかしなことをおっしゃっている”ということでしかなく、まったくありえない。事実無根です」と不満の意を表した。今回の一件は、単なる医師男性の暴発だったのか。もし「悪いことをした」という非があったとしても、あんな写真をさらされた恨みは簡単に消えないだろう。■3位:日本人女性が決死の告白! ボブ・サップからの「DV地獄6年」ボブ・サップ『週刊文春』が格闘家ボブ・サップ(44)のDV疑惑を報じた。サップと言えば、2000年代にK-1や総合格闘技で大活躍したほか、バラエティ番組にも引っ張りダコ。日本国内屈指の人気者になったあと露出は減っていたが、いまだネームバリューは衰えていない。同誌にDV被害を告白したのは、サップと約6年間交際していた日本人女性(39)。2人は2010年の年末に出会い、翌春から交際がはじまり、女性はサップのマネージメント業務も手がけていたという。しかし、交際数カ月後、女性はサップの異変に気づく。発作的に「浮気しただろ」などとい言いがかりをつけられる日が続き、2012年12月10日には初めて暴行を受ける。深夜0時ごろ、女性は1.5mの高さから床に投げつけられ、身体中を殴られた。同誌は全身にアザができ、顔が腫れ上がった女性の写真を掲載。さらに「苦痛に耐えきれず、『殺して』と自分から包丁を差し出したこともあった」「暴行で室内が血だらけになり、ホテルから二十万円請求された」などのコメントを掲載した。サップのパワーで殴られたら……写真とコメントを通して壮絶な様子が伝わってくる。DVは今年1月に女性がサップのもとを離れるまで続いた。女性は逃げられなかった理由について、「肉体的にも精神的にも暴力を受け続けると、何かをしようとする気力さえも奪われてしまう」とコメント。サップからの謝罪メッセージも掲載された以上、今後は日本での活動は極めて不可能に近いだろう。格闘技イベントならまだしも、テレビ番組出演は考えられない。■2位:相葉雅紀の帰宅を待つ同い年の女。しかも親公認、交際5年超だった『FLASH』が相葉雅紀(34)の交際を報じた。12月10日22時前、嵐のメンバーが乗った航空機が羽田空港に到着。福岡でのライブを終えての帰京だったが、相葉が迎えの車に乗り込んだそのころ、自宅の部屋に明かりがついていたという。この現象は東京ドームでのライブや、生放送の『FNS歌謡祭』出演時も同じで、常に相葉を待っている一人の女性と一匹のトイプードルがいるらしい。女性は関西出身で相葉と同い年のおっとり系美女。しかも交際5年超で両親にも紹介しているというから、真剣度はハンパない。過去を振り返ると、2010年2月にも相葉の部屋を水川あさみ(34)が訪れる様子が報じられていたが、「トップアイドルは相手の部屋に行くのではなく、来てもらうのが基本」ということだろう。ともあれ、今回の報道でさらに会いづらくなるのは間違いない。女性とトイプードルに会えないとしたら、相葉はさぞかし嘆いているのではないか。■1位:桐谷美玲と三浦翔平に熱愛発覚。同じマンションで疑似同棲!桐谷美玲(左)と三浦翔平『女性セブン』が、「桐谷美玲(28)と三浦翔平(29)の交際スタート」を報じた。しかも、「同じマンションの廊下をはさんで向かいの部屋に住んでいる」というからアツアツムードが伝わってくる。2人が疑似同棲しているマンションは、都心の閑静な住宅街にあり、警備員が目を光らせるほか、エントランスにコンシェルジュが常駐し、ラウンジ、パーティールーム、ミーティングスペース、ドッグランなどが併設された超高級仕様。居住フロアにしかエレベーターが止まらないなどのセキュリティが高く、「他の住人と顔を合わせる可能性も低い」という。2人が知り合ったのは5年以上前。当時から仲間うちで食事に行くなどのつき合いがあったようだが、昨年ドラマ『好きな人がいること』で共演したとき、三浦は本田翼(25)と交際していた。その後、今年春ごろに破局してから急接近し、最近になって交際をはじめたという。セキュリティの高いマンションなら、「記者が張り込めない」し、「部屋を行き来して好きな時間に会える」などいいこと尽くめ。実に芸能人向きであり、高畑充希(26)と坂口健太郎(26)のカップルも最近、同じマンションに引っ越したらしい。しばらく一般人との交際が多かったが、ここに来て20代同士の人気者カップルが増えているのは、いかにも芸能界らしくてどこかほほ笑ましさを感じる。□おまけの1本「もえのあずきは爆食ホステスだった。従業員と交際の過去も」『FLASH』が報じたのは、大食い女王であり、アイドル・もえのあずき(29)の過去。もえのは約5年前に六本木の老舗クラブからスカウトされ、2012年2月末から9月末までの約7カ月間、ホステスとして働いていたという。同誌はさらに、「真面目で月3人の同伴ノルマはクリア」「酒が異常に強かった」「しつこく交際を迫る客に閉口して辞めた」などのエピソードに加えて、「もえのがスカウトマンに告白して交際し、半同棲生活を送っていた」という過去も掲載。ただ、つんく♂プロデュースのアイドルグループ「バクステ外神田一丁目」のメンバーとしてデビューしたのは、2012年3月だから、思い切り期間が重なっている。所属事務所は、「勧誘されて1日体験入店しただけ。衣装が合わなかったのと、悪いと思って辞めた」「スカウトの男性とご飯には行ったが、交際の事実はない」と報道を否定した。しかし、掲載された彼女のホステス姿は生々しく、アイドルとは異なる色気を放っている。店を辞めたもえのは、2013年9月から『元祖!大食い王決定戦』に大食いアイドルとして出演し、女王戦3年連続優勝するなど、トップの座に君臨。他のバラエティ番組やイベントからも声がかかるなど順風満帆だけに、この過去は消したいのではないか。■プロフィール木村隆志コラムニスト、芸能・テレビ解説者、タレントインタビュアー。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超える重度のウォッチャーであり、雑誌やウェブに毎月20~30本のコラムを執筆するほか、業界通として各メディアに出演&情報提供。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもあり、著書は『トップ・インタビュアーの聴き技84』など。
2017年12月24日「大阪が誇る伝統芸能『文楽』の魅力を、みんなと分かち合いたい」という思いで在阪の放送局が集まり、ナレッジキャピタルと共に2015年から毎年開催している『うめだ文楽』。2018年2月には4度目の公演が行われ、若手技芸員による上演のほか、桂南光、NAOTOら様々な分野から招いたゲストと技芸員によるトークショーも展開。演目は「傾城恋飛脚 新口村の段」で、親子の情愛、男女の愛を描いた涙を誘う物語だ。「うめだ文楽2018」チケット情報会場のナレッジシアターが入るグランフロント大阪北館1階の「カフェラボ」では演目に登場する遊女・梅川の名にちなんだ梅を使った2種類のコラボドリンク「梅みるく&ももスムージー」(550円)と「ホット梅ロゼサングリア」(550円)を2月4日(日)まで期間限定で販売する。12月21日には「カフェラボ」にて技芸員によるPRパフォーマンスが行われ、人形遣いの吉田簑紫郎、吉田玉彦、吉田玉延が梅川を巧みに操り、居合わせた人々にスムージーを受け渡した。お昼過ぎ、様々な客がくつろぐ店内に遊女、梅川が現れた。非日常的な場面にざわめきが起きつつも、梅川からドリンクを受け取ったお客様は皆、笑顔に。小さな子どもたちは驚きを隠せない様子だったが、その一挙手一投足を興味深く見つめていた。「お客様が寛いでおられる中でお邪魔にならなかったか、気を遣いました」と、梅川のかしらを操り、本公演のリーダーも務める簑紫郎。「文楽は堅苦しい、難しいのではというイメージがあると思うので、いつもとは違うアプローチで知っていただくきっかけになったと思う」とPRイベントも楽しんだ様子。若手の技芸員にとって成長の場ともなっている『うめだ文楽』。簑紫郎は「梅川は遊女なので色香を保ちつつ、湿っぽさや疲れきった様子をどう見せるか。クライマックスでの情けをかける場面も見せどころです」と気合を入れる。本番では「新口村」にたどりつくまでの場面をスクリーンで見せる。「ストーリーがわからなくても楽しんでもらえると思います。人形がきれいだな、太夫の語りがすごいな、三味線の音色がいいなとか、そんな感じでいいので、ニュートラルに見てほしいです」と誘う。『うめだ文楽2018』は2月2日(金)~4日(日)までナレッジシアターで開催。チケット発売中。なお、文楽人形「梅川」によるコラボドリンクサーブは12月22日(金)14時00分~14時20分にも実施される。◆販売期間:12月21日(木)~2月4日(日)◆文楽人形「梅川」によるコラボドリンクサーブ12月22日(金)14時00分~14時20分取材・文:岩本和子
2017年12月21日1月2日(火)より大阪松竹座にて上演される「坂東玉三郎初春特別舞踊公演」に向けて、玉三郎が記者会見を行った。「坂東玉三郎 初春特別舞踊公演」チケット情報玉三郎が大阪松竹座の初春公演を勤めるのは4年ぶりで、今回は中村壱太郎とふたりで「なるべく彩りに富んだ舞踊をお見せしたい」と語る玉三郎。新年の挨拶と自身の思いを伝える『口上』から始まり、元禄期の華やかな花見の風情を描いた『元禄花見踊(げんろくはなみおどり)』、美しい秋の情景を歌った長唄の名曲と、季節感あふれる舞踊が楽しめる『秋の色種(あきのいろくさ)』、女方の魅力が詰まった冬の名作『鷺娘(さぎむすめ)』、美しく気品にあふれた吉原絵巻『傾城(けいせい)』を上演。春夏秋冬の美しさを感じられる演目が堪能できる。また、共演の壱太郎については「近年はすっかり大人になられて、いろんな役に挑んでらっしゃる。大変勉強家で、分からないところがあればたびたび聞きにこられます。ゆだねられるところもあり、頼れる存在です」と信頼を寄せ、「以前博多座で演じられていた『芸道一代男(げいどういちだいおとこ)』では、裾をからげて芝居をしているときの足元がとてもきれいだったのが印象的でした。かなり踊りの勉強をされているのだろうと思いました」とコメント。壱太郎が勤める『鷺娘』についても高い期待を寄せた。「劇場ではお正月らしくにぎやかにお迎えしたい」と、獅子舞をはじめ、ロビーを華やかに飾るとのこと。新年の幕開けに、美しいふたりの共演を堪能したい。公演は1月2日(火)から26日(金)まで大阪松竹座にて。チケットは12月5日(火)より発売開始。
2017年12月05日芸暦四十周年を迎えた桂雀々。上方落語の雄が明治座に初登場し、記念の公演を開く。昼の部は「地獄八景亡者戯二〇一八」を披露し、夜の部は「雀々と落語天国愉快戯」と銘打って、東京の落語家仲間も登場。6年前から東京に拠点を移し、関東でも着実にファンを増やしているその実力と上方ならではの楽しさが味わえる、絶好の機会となりそうだ。桂雀々 芸暦四十周年記念公演 チケット情報天才と呼ばれた故・桂枝雀に入門して今年で40年。師匠の芸をしっかりと受け継ぎながら、桂雀々は独自のパワーのある笑いを作り上げてきた。「大阪以上に大都会で、いろんなところから才能が集まっている東京で勝負してみたい」と、拠点を東京に移したのが51歳のとき。「粋な言葉遣いでいなせでカッコいい江戸落語のなかに、とにかく笑ってもらうことが大事な上方落語がポンと入り、衝撃があったみたいです。言ってみれば僕だけ飛び出す絵本のような(笑)。でも、それを楽しんでくださる方がだんだんと増えてきた。本当にありがたいことです」。伝わりづらい上方独自の言葉を変える工夫もしながら、でも、肝心の笑いは徹底的に。「上方落語には、大阪で言うところの、“あほな”登場人物がいっぱい出てくるんです。そして、まさかこんな人おらへんやろと思うような人が昔もいたんやな、人間って変わらへんなというところを面白がっていただく。そのキャラクターをどう味付けするか、どう可愛げのある人物にしていくかが、上方落語の要じゃないかなと思いますね」。四十周年記念公演に選んだ「地獄八景亡者戯」は、その上方落語の魅力がまさしく堪能できる演目だろう。サバにあたって突然死んでしまった男が冥土の旅の途中でさまざまな亡者に出会い、鬼や閻魔大王など地獄の番人たちも登場する。大師匠である故・桂米朝が作り上げた1時間を超す大ネタだ。明治座では、さらに、「明治座の舞台機構も存分に使って、あの世を体感してもらいたい」というのだから、楽しさ倍増だ。夜の部は「好きな噺家さんに集まっていただいて、憧れていた口上をやらせていただきます。ただし、ずっと頭を下げて皆が話すのを聞いている普通の口上とは違って、僕もどんどん喋り倒しますから(笑)」と、こちらも期待せずにはいられない。自らを「笑いの添乗員」という雀々。気持ちよくその世界に引っ張っていける自信があるからこその言葉だろう。観る者はただ身を委ねていればいいだけだ。公演は2018年2月18日(日)。チケットの一般発売は11月12日(日)午前10時より。なお、チケットぴあではインターネット先行を実施中、11月11日(土)午後11時30分まで受付。取材・文:大内弓子
2017年11月09日大阪生まれで同志社大学文学部に在学中、9月に20歳になったばかりの観世流能楽師・大槻裕一。文字を書くより先に謡(うたい)を謡っていて、初舞台は2歳。中学3年生の時にシテ方観世流能楽師で人間国宝の大槻文蔵の芸養子となり、グングン成長して、今や若手の注目株だ。師父・文蔵と「大槻文蔵裕一の会」を主催し、2014年には移動式能舞台を大阪城の本丸に設置、天守閣をバックに薪能も企画した。15年に続き、今年も10月7日(土)~9日(月・祝)に二十六世観世宗家の当代・観世清和や狂言師・野村萬斎らを迎えて開催。能の未来を切り拓き、広く一般に親しんでもらえるよう果敢に挑戦する若き能楽師が、大槻能楽堂でまた新たなイベントをスタートさせる。それが『能×アート奇跡のセッションシリーズVOL.1BORDERLESS』。第1回目のゲストには、元宝塚歌劇団宙組初代トップスター・姿月あさとを迎える。ふたりの思いを聞いた。「BORDERLESS」チケット情報「2歳からずっと能だけをやってきて、ほかの分野の方や自分とは違う一芸を極めている方とセッションしてみたいと思っていたんです。能楽堂のステキな空間を生かしながら、芸の世界で生きる辛いことや楽しいことのお話ができればと。お客様にも知っていただき、またこの企画によって、自分が新たに能を再確認することの意味も大きいと思っています」と裕一。彼は、母親がファンだった姿月の宝塚現役時代のDVD『ミーアンドマイガール』を見て「その時のかっこ良かった姿月さんの姿が忘れられなくて。ダメもとでオファーしました。1回目から大きな挑戦です」。その姿月は今年、宝塚で初舞台を踏んでから30周年。様々なコンサートやイベントを自らプロデュースし、開催している。「その一環としても、こういう形のイベントが出来るのはうれしいですね。これまで、お三味線の方とのコラボはありますけれど、お能や狂言、歌舞伎の方たちといった古典芸能の方とは初めて。退団してから17年。誰と出会うか、どんな仕事と出会うかは運だと思うので、すごく楽しみです」。今回、姿月はソロで歌も歌い、裕一は能のダイジェスト版ともいえる舞囃子を舞う予定。さらにふたりのセッションやトークショーも企画されている。「日本人として、知らないことがいっぱいある」という姿月は、お能はまったくの初心者だ。「自分も含めて、これまでお能を知らなかった方に知っていただくきっかけになれば」。裕一は「“極める”という思いを持って進んでいる人は、全然違う分野でも一緒、きっと繋がる部分があると思います。今後も続けていきたいですね」。能楽堂から発信する、若き能楽師の挑戦を応援したい。公演は、11月26日(日)大阪・大槻能楽堂にて開催。チケットは発売中。取材・文:高橋晴代
2017年11月08日フランス国王ルイ16世の王妃マリー・アントワネットの生涯を題材にした能『~薔薇に魅せられた王妃~現代能 マリー・アントワネット』が12月12日(火)に上演される。それに先駆け記者発表会が行われ、演出と出演の人間国宝の観世流シテ方能楽師・梅若玄祥、振付・長唄作調の藤間勘十郎、脚本の植田紳爾、女優の未沙のえる、プロデューサーの西尾智子が登壇した。能『~薔薇に魅せられた王妃~現代能 マリー・アントワネット』チケット情報宝塚歌劇団の名作『ベルサイユのばら』を手掛けた植田が脚本を担当し、霊的な存在が主人公となる「夢幻能」として描かれ、アントワネットの後半生を描く本作。玄祥と植田は、漫画『ガラスの仮面』(原作・美内すずえ)を題材にした新作能『紅天女』(2006年初演)以来のタッグとなる。植田は「宝塚歌劇団で『ベルサイユのばら』を再演する度に原作漫画を読み直し、アントワネットの資料を読み直してくる中で、こんなに悲劇的な女性はいないという思いが深くなってきました。僕が一番謎に思っているのは、目隠しもせずに堂々とひとりで断頭台に上がっていったときの思い。恐怖や恨みがある中で、目隠しも断り、首を落とされた。そのときの彼女の心境について今回、脚本を書くうえで感じたのは、アントワネットというひとりの女性が、最期の日に未来が見られたのではないかということ。だからこそああして上がっていったんだと考えました。今回の脚本はそういったことをテーマにしています」と内容を明かす。玄祥は「僕も宝塚が好きなものですから、『ベルサイユのばら』は何十回と拝見していて、その中で、いつかこのマリー・アントワネットという女性を演じてみたいと思っておりました。植田先生には、見事に夢幻能として、死後の世界でマリー・アントワネットが語る、舞うというカタチを取っていただきました。私共にとっては演じやすいカタチになりましたが、題材が題材です。人気がある作品を能としてやるというのは難しいことかもしれないですが、挑戦してみます」と語った。未沙は「宝塚時代に『ベルサイユのばら』初演にも出演しておりました。伝統芸能である能に携わらせていただくだけで本当に光栄。今はドキドキワクワクしています!」、玄祥の息子でもある勘十郎も「なにせ植田先生がいらっしゃいますし、父はどんなものでもすぐお能にしてしまいますので(笑)、見事なマリー・アントワネットをつくると思います。すごい先輩方がおられますから、存分に自分の力を発揮したいと思います」と期待を語る。西尾も「話を知っていると、とっつきやすい」と話すなど、能を知らない層の初めての作品にもオススメだ。公演は、12月12日(火)に東京・国立能楽堂にて。同日15時開演の追加公演のチケットが現在発売中。
2017年11月01日大阪が世界に誇る伝統芸能「文楽」の魅力をもっと多くの人に届けたいと、2015年にスタートした『うめだ文楽』。20代から40代の若手技芸員たちによる熱演や、テレビ局が主催する公演ならではの、バラエティ豊かなゲストと技芸員によるトークショーも親しみやすいと好評だ。「うめだ文楽2018」チケット情報毎公演、世代やジャンルを問わず多彩なゲストが登場するトークショー。今回は落語家の桂南光、ヴァイオリニスト・作編曲のNAOTO、モデル・アーティストの三戸なつめ、タレントの石田靖、作家の三浦しをんに決定。公演回ごとにさまざまな目線で文楽の魅力を知ることができそうだ。4度目の開催となる今年は、『傾城恋飛脚~新口村の段~(けいせいこいびきゃくにのくちむらのだん)』を上演。近松門左衛門の『冥土の飛脚』を改作したもので、実際に起こった横領事件をもとにした、歌舞伎でも上演される人気作だ。「新口村の段」は遊女梅川を身請けするため300両の金を横領した忠兵衛が、実父・孫右衛門の住む大和国・新口村へと逃げていく場面から始まる。梅川の孫右衛門を思いやる気持ち、目隠しで対面を果たす父と子など、涙なしには見られない『傾城恋飛脚』のクライマックス。降りしきる雪の中を追っ手から逃れようとする忠兵衛と梅川、美しくも悲しいふたりの姿は必見!『うめだ文楽2018』は、2018年2月2日(金)から4日(日)まで大阪・グランフロント大阪 北館4F ナレッジシアターにて開催。チケットは10月28日(土)10:00より一般発売開始。
2017年10月10日来年2月に4度目となる『うめだ文楽2018』の開催が決定した。大阪が世界に誇る「文楽」という芸能の魅力をもっと分かち合いたいという思いで2015年2月から始まった本公演。拠点の国立文楽劇場を飛び出し、大阪駅からすぐのグランフロント大阪内にあるナレッジシアターで上演を重ね、2016年、2017年と3年連続で公演を成功に導いた。「うめだ文楽2018」チケット情報「文楽」を初めて見る人にも親しみやすい演目を、ナレッジシアターという劇場構造を生かした演出を取り入れて上演する。通常公演では主役を担うことのない大曲に若手技芸員たちがチャレンジする場でもあり、豊竹希太夫、鶴澤寛太郎、吉田幸助ら将来を嘱望される担い手たちのキラキラとした熱情も会場を満たしている。また、日替わりゲストとのトークショーも好評で、文楽をあらゆる角度から楽しめると好評だ。2018年は『傾城恋飛脚~新口村の段~』を上演する。本作は近松門左衛門の『冥土の飛脚』を改作したもので、実際に起こった横領事件を基にした、歌舞伎でも上演される人気作だ。「新口村の段」は遊女梅川を身請けするため300両の金を横領した忠兵衛が、実父・孫右衛門の住む大和国・新口村へと逃げていく場面から始まる。梅川の孫右衛門を思いやる気持ち、目隠しで対面を果たす父と子など、涙なしには見られない『傾城恋飛脚』のクライマックス。降りしきる雪の中を追っ手から逃れようとする忠兵衛と梅川、美しくも悲しい二人の姿は必見だ。10月28日(土)の一般発売に先駆け、ぴあスペシャルシートの先行受付が9月30日(土)より始まる。
2017年09月22日笑福亭鶴瓶が毎年行っている「笑福亭鶴瓶落語会」。昨年、一昨年と好評を博した「山名屋浦里」。タモリ氏原案の同作は、中村勘九郎の手により歌舞伎化されるなど話題になった。さて、今年の独演会は?まずは表現者と代表作の関係について話を聞いた。【チケット情報はこちら】「少し前に松山千春が飛行機で歌って話題になったでしょ?出発が遅れてイラだつ乗客の空気を和ませたらしいですが、一番イライラしてたのは間違いなく松山千春です(笑)。本人にも電話しましたけど、さすがだなぁと。代表曲がある人でも、実際にあの行動ができる人はあまりいてないと思いますから。代表作という意味では、『山名屋浦里』が僕のそれになってくれたらうれしいし、実際に今年もあの噺をやってほしいとの声も関係者からはあったんです。でも、今年メインになるのは別のネタです。新しい挑戦をしたかったから」演目は『妾馬(めかうま)』。東京では『八五郎出世』の名で知られる人情噺。笑福亭鶴瓶は昭和の天才喜劇人・藤山寛美の大ファンなのだが、そのエッセンスを落語に盛り込めないかと試行錯誤を繰り返してきた。その挑戦は難しく成立には至らなかったが、今回、純粋におもしろそうと始めた『妾馬』を自分流にアレンジするうちに、その魅力が松竹新喜劇に通じていることに気づく。「お殿様にさえ歯に衣が着せられない、アホやけど魅力的な町人が主人公なんですけど、ある場面の八五郎がね、寛美先生なんです。自分としてはベタな笑いというものをいままで避けてきたんですけど、この噺でのその手のやりとりがラストの盛り上がりにちゃんとつながるんやなぁと気づけたのが発見でした。この間なんて、江戸時代の噺なのに小学生が笑ってくれて。『山名屋浦里』を作るまでにいろいろともがいた経験が活きている気がするし、落語には終わりがないなぁとも感じています。ただ、僕としてはそのおもしろさが松竹新喜劇の魅力に通じてると思うけど、『全然違う』とか『そもそも落語じゃない』という否定的な意見があってもうれしいです。岡本太郎さんの奥様が言うてたんですけど、賛否両論あってこその表現だと僕も思っていますから」鶴瓶流松竹新喜劇的落語の出来栄えとは?『青木先生』などの私落語、『山名屋浦里』に続く代表作がうまれるのか?ある意味で観客のハードルを上げる賛否両論OKの心意気に、落語家笑福亭鶴瓶が『山名屋浦里』でつかんだ手応えと、次のステージに向かっていることを予感せずにはいられない。笑福亭鶴瓶落語会は10月26日(木)大阪・森ノ宮ピロティホールを皮切りに全国で開催。取材・文:唐澤和也
2017年09月19日坂東玉三郎が太鼓芸能集団鼓童と出会って17年。2006年に上演された音楽舞踊劇『アマテラス』に続く共演2作目となる「幽玄」。東京、新潟、名古屋に継ぐ博多座公演の開幕直前、玉三郎と太鼓芸能集団 鼓童のメンバーに話を聴いた。【チケット情報はこちら】鼓童代表・船橋裕一郎は「玉三郎さんからは『お客様がどう感じるか』をまず考えなさい、と言われ続けました。太鼓は演者が出したい音で演奏する事も多くて、そこは大きな課題でしたね。稽古、公演を重ね、これまでとはひと味違うお客様の反応を感じた時、自分たちが太鼓の新しい領域に入っていけたのかなと感じました」。鼓童入団2年目の大塚勇渡は、今回が初めての玉三郎との共演。「ソロで玉三郎さんと共演するシーンがあるんですが、初めて冷や汗というか脂汗を体感しました(笑)。同じ舞台に立ちながら、日々玉三郎さんの存在の大きさを実感しています」と緊張感を感じながらも楽しんでいる様子。そして『アマテラス』では音楽監督・スサノオ役を務めた石塚充は「鼓童の舞台では、人間の汗とか息遣いを感じるような生活に即した民俗音楽を題材にすることが多かったんです。でも能楽は人間を超越していて、自分というものを排除しているイメージ。大きなハードルでしたが、修行のような稽古を重ねるうちに段々と“自分じゃないもの”に突き動かされているような、自分というものが離れていくような感覚に出会えるようになりました」この“自分から離れる”という事は、今作のテーマのひとつであった、と玉三郎が続けて語る。「人間の肉体とか直接の表現、自分たちが太鼓を叩くことを楽しむだけでは、舞台芸術として幅や奥行きが出ない。叩くということを見せるだけじゃなくて、お客様が違う世界にまで飛んでいけるような音楽を作らなければならない。そこは本当に考えましたね」。能の代表的な演目「羽衣」「道成寺」「石橋」を題材にしている本作。なんとなく敷居が高いイメージだが、玉三郎は「夕焼けが綺麗だな、というような心地よい時間を自由に楽しんで欲しい」と語る。「私たちは能そのものを演じることはできません。様式は生かしながら楽しんでもらえる演奏にして、お客様には自由に空間とか時間を遊んでいただきたいですね。舞台の基準というか到達点もその時々によってずれていきます。だからきっと初演のオーチャードホールからも変わっているんじゃないでしょうか。そうじゃなきゃ芸能じゃないんです。今回、幽玄という言葉では表現しづらい世界ですが、実際に観ていただければ、劇場の空間全体の音や雰囲気を楽しんでいただけると思います」と、新たな挑戦に自信を覗かせた。博多座公演は9月18日(月・祝)まで上演中、ロームシアター京都メインホール公演は9月21日(木)から23日(土・祝)まで。チケットは発売中。
2017年09月04日当代(二代目)中村吉右衛門が、祖父で養父でもある初代吉右衛門の功績を讃え、その芸を継承すべく始まった“秀山祭”が、今年も開かれる。12年目、10回目の記念すべき公演に先立ち、吉右衛門の取材会が行われた。秀山祭九月大歌舞伎 チケット情報今年の秀山祭九月大歌舞伎では、『極付幡随長兵衛』幡随長兵衛と『ひらかな盛衰記』船頭松右衛門実は樋口次郎兼光を演じる吉右衛門。どちらも先代が演じて大当りし、当代の初舞台とも関わりのある演目だ。『極付幡随長兵衛』を「黙阿弥の名作で、初代の長兵衛を相手に私が長松で初舞台を勤めた演目でもあります。初代が私を見下ろして涙を流す子別れの場面では、本当に涙と唾がかかってきたのを覚えています」と振り返る吉右衛門。『逆櫓』については「木曽義仲の四天王のひとりである樋口が漁師に化け、逆櫓をネタに義経を船に乗せて討とうとする奇想天外な話。実はこちらも初代の樋口で私が槌松を演じて初舞台を踏む予定でしたが、顔(化粧)をすると泣き出すのでとりやめになりまして。初舞台としてふたつの芝居に出るのも珍しいですが、それをやめさせられた役者は前代未聞」と笑いつつ、「子供だったので覚えてはおりませんけれども、『逆櫓』に必要な、世話と時代、漁師と侍の使い分けが、初代は素晴らしかっただろうと思います。その芸を伝えていけたら」と意気込んだ。また、初代と当代の当たり役である『彦山権現誓助剱 毛谷村』六助と、当代が松貫四の名で書き下ろし、二役早替りで演じた『再桜遇清水』清玄と浪平には、染五郎が挑む。初代の芸風を「江戸っ子で、でも体には上方の血が入っており、それらが混じり合って醸し出す役なり役者なりの雰囲気が、お客様にとって心地よく、受けたのではないかと思います。そしてそこには江戸の香りがありました」と分析する吉右衛門。「伝統歌舞伎の使命は、江戸の文化を伝えること」とも語るが、そうした江戸の香りは、若い世代はどう伝承し得るだろうか?「私が若いころにはまだ江戸の匂いをもつ役者さんがいましたから、そういう方達を見て学ぼうとしてきましたし、着物が似合うようにと何年間か着物だけで過ごしたこともあります。今はそうしたものが失われつつありますが、どんな世の中になっても、稽古は一生懸命やって、先人から教わり、人の芝居をよく見て、(出演する芝居の)番数も多くこなすことが大切。演出家がいない歌舞伎では、自分の引き出しから色々なものを出しながら、主役を見て合わせます。芝居をたくさん観たり経験したりしていないと、立ち位置がわからず、全体の構図が崩れてしまいます」。その言葉からは、現代劇とは異なる手法と美学でもって育まれてきた歌舞伎の奥深さもうかがえる。「名優だった初代の型や演出の優れたところをお伝えするため、私は命を懸けてきましたし、これから先もそうしていきたい。それが私の天命だと思っております」と吉右衛門は言う。先人の芸を継承し、次世代へと繋ぐ秀山祭の開幕はまもなくだ。取材・文:高橋彩子
2017年08月16日~納涼歌舞伎〜みなさんは歌舞伎をご覧になりますか?見たことがないという方には、八月の納涼歌舞伎をおすすめします。お値段も、他の月に比べて少しお安くなりますから、足を運びやすいと思います。ゾーっとするような演目やコワーイ怪談話が上演されますから、さぞかし肝が冷えることでしょう。地方の方は、歌舞伎座に足を運ぶのが難しいかもしれませんが、夏は地方巡業もあるようですから、お近くで公演がありましたら、ぜひ一度お出かけください。歌舞伎については、「おしゃれ大図鑑」にも書きましたが、とにかく衣装がすばらしい。色の合わせ方の勉強にもなりますし、女性らしい仕草を学ぶこともできます。普段は聞き慣れない邦楽も、歌舞伎座では心に染み入るようです。それは、わたくしたち日本人のDNAが歌舞伎という総合芸術に反応するからなのです。歌舞伎を楽しんだら、生活の中にもぜひ歌舞伎の美意識を取り入れていただきたいものです。
2017年08月03日今秋、待望の新橋演舞場での再演が決定した『スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)ワンピース』。累計20万人を動員した作品の再演に際し、製作発表記者会見が行なわれ、主人公ルフィを演じる市川猿之助、脚本・演出を務める横内謙介、そして松竹株式会社取締役副社長の安孫子 正が登壇した。『スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)ワンピース』チケット情報安孫子副社長の挨拶では「初演の初日が終わった後、いつ再演しようかとすぐに考えた」と同作の勢いを感じる印象的なひと言が。「歌舞伎好きの人だけでなく、ワンピース好きの人、特に小中学生の来場も多く、幅広い層に観てもらうことができた。ぜひ多くの人に歌舞伎を知ってもらうきっかけになれば」と語った。「2年前の会見時は、歌舞伎界と漫画界を敵に回すのではと思っていた。猿之助さんの原作未読発言もあり、「そんなこと言っちゃダメだ!」とまるでウソップのような気持ちでした」と会場を笑わせたのは脚本・演出を務める横内。初演では東京公演を経て、よりワンピースへの理解が深まったと語り、特に印象的だったことについて「東京では手下1、2としていたキャラクターに、大阪、福岡ではそれぞれ役名をあたえたら、役者たちがより輝きはじめた」ことをあげ、「東京公演後の練り直しが多かった分、東京で観てくれた人たちにまた観てもらわないといけないという気持ちがあった」と再演を喜んだ。原作の尾田栄一郎から「何をやってもルフィにしか見えないから大丈夫」と言われたという猿之助は、今作について「再演ということになりますが、また新たなワンピースという気持ちで作っております。一度観た方は本当に同じ作品だろうかという驚きをもって、初めての方にはワンピースの世界を楽しんでもらえればと。ぜひ期待してください」と意気込みを語った。また特別マチネとして開催される、麦わらの一味に若手を抜擢した『麦わらの挑戦』ついては「これまで先輩である僕に支えられていた部分があると思いますので、僕がシャンクスに回ったときに、ルフィ役の尾上右近、そしてルフィを支える若手の彼らがどうなるかお手並み拝見ですね」と話した。質疑応答では今作の演出プランについて聞かれ、「(主題歌を担当する)ゆずのステージからインスピレーションをもらっています。5月にゆず20周年のライブを見て刺激を受けたので、演出、最新技術を取り入れてみたいなと思っています」と語る場面も。歌舞伎で表現する新たなワンピースの世界。原作者も太鼓判を押すルフィとその仲間たちの冒険を、ぜひ劇場で体験してみてほしい。公演は10月6日(金)から11月25日(土)まで。チケットの一般発売は10月公演分が8月20日(日)、11月公演分が9月18日(月・祝)より。
2017年07月28日歌舞伎俳優・坂東彌十郎さんが今回、まず訪れたのは、歌舞伎界にも隠れファンが大勢いる、下町が誇るスイーツの名店「マリーズ(MARRYS)」です。彌十郎さん、店内のイートインコーナーに陣取って、まずは大好きな「シュークリーム(1個250円/税別)」をペロリ。さらに同店の看板商品「両国すふれ(1個210円/税別)」までいただいて大満足なご様子です。 続いて、彌十郎さんが向かったのが「吉良邸跡」。そう、忠臣蔵のクライマックスの舞台、歌舞伎とは切っても切れない場所です。実際にこの場所に足を運ぶのは初めて、という彌十郎さん。何やら新しい発見があったようです。 【マリーズ(MARRYS)】住所:東京都墨田区千歳1丁目6-5TEL:03-3846-7188営業時間:9:30~19:00定休日:火曜日、第3月曜日 【吉良邸跡(本所松坂町公園)】住所:東京都墨田区両国3-13-9 坂東彌十郎(ばんどう・やじゅうろう)1956年、往年の銀幕の大スター・初代坂東好太郎の三男として生まれる。祖父は十三代目守田勘彌。1973年5月、歌舞伎座 『奴道成寺』 の観念坊で初舞台。八代目坂東三津五郎、三代目市川猿之助のもとで芸を磨く。近年ではコクーン歌舞伎や平成中村座など、十八代目中村勘三郎との共演も多数。平成中村座の海外公演にも参加してきた。また、今年(2016年)5月には、ヨーロッパ(フランス、スイス、スペイン)で歌舞伎の自主公演を敢行。大好評を博した。長男は初代坂東新悟(26)。
2017年07月03日歌舞伎俳優・坂東彌十郎さんが今回、訪問したのは、いまからおよそ360年前の明暦3年(1657年)に開かれた浄土宗の寺院「回向院」です。 門をくぐって境内に足を踏み入れると、まず見えてくるのが、相撲の町・両国らしい「力塚」。じつは明治42年(1909年)に両国国技館が完成するまで、春秋2回の相撲興行の定場所はここ回向院の境内でした。この力塚は、昭和11年に相撲協会が歴代相撲年寄の慰霊のために建立。その後も新弟子たちが、力が授かるようにと祈願に訪れます。歌舞伎界いち背が高く、濡髪長五郎など力士を演じることも少なくない彌十郎さん。まずは力塚にお参りです。 そして、境内のさらに奥に足を踏み入れると……意外にも、ここ回向院も、歌舞伎とは縁の深いお寺だったのでした。 【諸宗山 回向院】住所:東京都墨田区両国2-8-10 TEL:03-3634-7776 坂東彌十郎(ばんどう・やじゅうろう)1956年、往年の銀幕の大スター・初代坂東好太郎の三男として生まれる。祖父は十三代目守田勘彌。1973年5月、歌舞伎座 『奴道成寺』 の観念坊で初舞台。八代目坂東三津五郎、三代目市川猿之助のもとで芸を磨く。近年ではコクーン歌舞伎や平成中村座など、十八代目中村勘三郎との共演も多数。平成中村座の海外公演にも参加してきた。また、今年(2016年)5月には、ヨーロッパ(フランス、スイス、スペイン)で歌舞伎の自主公演を敢行。大好評を博した。長男は初代坂東新悟(26)。
2017年06月19日6月2日福岡・博多座で「六月博多座大歌舞伎」が開幕。中村橋之助が八代目中村芝翫を襲名。同時に、長男の国生が四代目中村橋之助、二男の宗生が三代目中村福之助、三男の宜生が四代目中村歌之助を襲名という、歌舞伎界初となる親子4人同時襲名披露として大きな話題を呼んでいる。その初日、中村芝翫が博多座ロビーで鏡開きを行ない、公演に対する思いを語った。六月博多座大歌舞伎「昨年の東京・歌舞伎座、そして今年お正月の大阪松竹座に続き、大好きな博多座で親子4人揃って、襲名披露ができます事、本当に嬉しく思います。先輩方、後輩、素晴らしい役者さんたち。スタッフの皆様、劇場に足を運んでくださるお客様。そして今日も朝から裏で頑張ってくれている家内。そんな皆様の支えあってこそですね。本当に有り難いです」と笑顔で挨拶する芝翫。詰めかけたファンも「成駒屋!」「八代目!」と掛け声で答える。今回は昼夜それぞれ親子4人の共演演目(昼:「車引」、夜:「祝勢揃壽連獅子」)が上演となるが、特に「車引」は並々ならぬ思いがあるとか。「橋之助の梅王丸は吉右衛門の兄さま、福之助の桜丸は菊之助さん、そして歌之助の杉王丸は染五郎さんがそれぞれ教えてくださって。倅たちもそれぞれ、役者への思いというものが少しずつピントが合ってきたように思います。本当に歌舞伎界全てで支えてくださって有り難いですね。身に余る光栄でもあり、なんとか恩返ししなくてはと思っております」残念ながら、休演となった中村獅童も今回の博多座公演は非常に楽しみに思っていたようで「博多の皆様によろしく」と電話をもらったとか。「この芝翫という名前は個人の名前ではない。中村芝翫という会社の社長に就任したようなものですよね。そして、私は八代目芝翫を大きくして業績もあげなきゃいけないということ。そしてそれを倅の誰かにこっそりと渡してやりたいと思いますね(笑)」と語り、博多手一本で締めくくった。6月26日(月)まで上演。チケット発売中。
2017年06月02日歌舞伎俳優・坂東彌十郎さんと歌舞伎に所縁の町を歩く「楽・食・歌舞伎 彌十散歩」。今回、彌十郎さんは東京・隅田川の東岸、両国の町を歩きます。 両国国技館に代表されるように“相撲の町”という印象ばかりが強い両国ですが、どうしてどうして、歌舞伎にまつわるお寺や史跡、それにグルメスポットも少なくありません。まずは彌十郎さん、歌舞伎をはじめとした江戸の文化をいまに伝える「江戸東京博物館」に足を運びます。常設されている江戸歌舞伎最初の劇場、中村座の実寸大模型に彌十郎さん、目をキラキラと輝かせるのでした。 【江戸東京博物館】住所:東京都墨田区横網1-4-1TEL:03-3626-9974(代表)開館時間:9:30~17:30(土曜日は19:30まで)※入館は閉館の30分前まで休館日:毎週月曜(月曜が祝日または振替休日の場合はその翌日)、年末年始常設展観覧料:一般600円(480円)、大学生・専門学校生480円(380円)、高校生・中学生(都外)と65歳以上300円(240円)、中学生(都内在学または在住)と小学生以下は無料※()内は20名以上の団体料金 ※平成29年7月21日(金)から平成29年8月25日(金)の毎金曜日17:30~21:00(サマーナイト・ミュージアム割引)大学生・専門学校生、高校生・中学生(都外):無料/一般・65歳以上は2割引(要証明) ※平成29年10月から翌年3月まで改修工事により全館休館となりますので、あらかじめご了承ください。 坂東彌十郎(ばんどう・やじゅうろう)1956年、往年の銀幕の大スター・初代坂東好太郎の三男として生まれる。祖父は十三代目守田勘彌。1973年5月、歌舞伎座 『奴道成寺』 の観念坊で初舞台。八代目坂東三津五郎、三代目市川猿之助のもとで芸を磨く。近年ではコクーン歌舞伎や平成中村座など、十八代目中村勘三郎との共演も多数。平成中村座の海外公演にも参加してきた。また、今年(2016年)5月には、ヨーロッパ(フランス、スイス、スペイン)で歌舞伎の自主公演を敢行。大好評を博した。長男は初代坂東新悟(26)。
2017年05月22日6月に行なわれる日本舞踊協会の3年ぶりの新作、日本舞踊未来座『賽 SAI』(東京・国立劇場小劇場)に先がけ、5月27日(土)に『未来座SAI 大人のたしなみ講座~日本舞踊~』と題したイベントの開催が決定した。講師は第一線で活躍する各流派の日本舞踊家らが勤め、講座内では歌舞伎俳優で松本流家元の市川染五郎(松本錦升)の舞踊も披露される。未来座SAI 大人のたしなみ講座~日本舞踊~ チケット情報未来座『賽 SAI』は日本舞踊協会が新たなシリーズとして立ち上げる舞踊公演の第一弾。“SAI”とは「Succession And Innovation」(継承と革新)の頭文字と、賽子の賽の字を重ね合わせ、振られた賽子のように姿を変える日本舞踊の多彩さや進化への決意を表している。第一弾公演は水をテーマに4つの作品を上演。絶え間ない水の流れと過去、現在、未来へと移ろう時の流れが重なり合っていく様を、日本舞踊で表現する。今回のイベントは6月「未来座」上演の前に、日本舞踊をもっと身近に感じて欲しいと企画されたもの。初心者でも楽しめる内容で3講座を開催。講師は、大河ドラマ「おんな城主 直虎」で所作指導を務める橘芳慧、人間国宝・七世中村芝翫より中村流家元を継承した中村梅彌、『NINAGAWAマクベス』への出演経験を持つ花柳輔太朗が担当。いずれの講座も定員30名までという少人数の濃密な空間で日本舞踊の楽しさを教わることができる。会場は、親子丼発祥の鶏料理の老舗「玉ひで」。当日は浴衣の無料貸出しもある(事前チケット購入必要)。<イベント概要>◆日時:2017年5月27日(土)【第一限講座】“美しい所作を!” 講師:橘 芳慧13:30~15:00(12:45~受付)大河ドラマ「おんな城主 直虎」で所作指導を務める橘流家元・橘芳慧による日本舞踊の基本的な所作を学ぶ。【第二限講座】“日本舞踊を知ろう!” 講師:中村梅彌16:00~17:30(15:15~受付)中村流家元・中村梅彌による日本舞踊の振りや動きの意味を学ぶ。【第三限講座】“実践!踊ってみる!”講師:花柳輔太朗18:30~20:00(17:45~受付)花柳流花柳会理事・花柳輔太朗による6月に開催される第一回日本舞踊 未来座『賽=SAI=』公演の演目のひとつ『当世うき夜猫』の振付を学ぶ。イベント詳細は日本舞踊協会公式サイトに掲載。イベントは有料で、参加には「未来座」と講座のセット券が必要。チケットはチケットぴあにて発売中。
2017年05月18日松本幸四郎、中村吉右衛門、片岡仁左衛門、市川左團次、片岡秀太郎、中村歌六、中村雀右衛門、中村又五郎、尾上松緑、市川猿之助、尾上松也らが出演する歌舞伎座「六月大歌舞伎」。昼の部は『名月八幡祭(めいげつはちまんまつり)』『浮世風呂(うきよぶろ)』『御所桜堀川夜討(ごしょざくらほりかわようち)弁慶上使』、夜の部は『鎌倉三代記(かまくらさんだいき)』『曽我綉侠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)御所五郎蔵』『一本刀土俵入(いっぽんがたなどひょういり)』が上演される。歌舞伎座六月大歌舞伎 チケット情報今回、『名月八幡祭』の船頭三次、『浮世風呂』の三助政吉、『一本刀土俵入』のお蔦を演じる猿之助に話を聞いた。四代目市川猿之助の襲名披露公演「松竹大歌舞伎」(2014年)以来、お蔦を演じる猿之助。「(お蔦は)好きな役なので、『一本刀土俵入』ができることが嬉しい」と語り、今回「高麗屋のおじさん(幸四郎)とできるってことが嬉しい。もうすぐお名前変わられちゃうから」(幸四郎は2018年に二代目松本白鸚を襲名)と感慨深げに話す。大阪公演(2001年)での七世芝翫のお蔦を見ていた猿之助に芝翫のお蔦の魅力を尋ねると「薄情なところがいいでしょ。親切だけど情があっちゃダメな役だから。それがだんだん時代が変わって、わが身の不幸さと茂兵衛を重ね合わせちゃってそこに情が移って…っていうのは現代的な解釈。片方は全く覚えてないのに、片方はそれを一生覚えてて恩返しするっていうのが大事なとこ」と改めて解説した。『名月八幡祭』は初役となるが「(縮屋新助を演じるのが)松緑さんだから、ぜひ出たいと思って」と笑顔。初役に対して「この前、(三次を演じた事がある)竹三郎さんが、四世菊次郎さんから言われた小道具の扱いとかそういうポイントを教えてくれた」と明かす。歌舞伎座では約16年ぶりとなる『浮世風呂』は「この時期のものだからね。ちょっと季節感を出そうと思って」と猿之助の提案だったそう。なめくじ役をかつては自身も演じており「なめくじはいい役ですよ。本当は僕はなめくじのほうがいいんだけど、やっぱり主役の三助をやらなきゃいけない」と笑う。取材後、「あっという間に6月ですよ!」と猿之助。5月には大阪松竹座公演で宙乗り通算1000回を達成し、10、11月にはスーパー歌舞伎II『ワンピース』と続く。「六月大歌舞伎」ではどのような姿をみせてくれるのか期待が高まる。公演は、6月2日(金)から26日(月)まで東京・歌舞伎座にて。チケットは発売中。取材・文:中川實穗
2017年05月16日赤坂大歌舞伎 新作歌舞伎「夢幻恋双紙 赤目の転生」が、4月6日に東京・TBS赤坂ACTシアターにて開幕した。作・演出は、昨年の『母と惑星について、および自転する女たちの記録』(2016年)での第20回鶴屋南北戯曲賞の受賞も記憶に新しい気鋭の劇作家・蓬莱竜太。中村勘九郎たっての願いで初めての歌舞伎の作・演出に挑んだ。「赤坂大歌舞伎」チケット情報舞台は江戸時代。気の弱い男・太郎(勘九郎)が愛する歌(中村七之助)を幸せにするために転生を繰り返していくという物語だ。全編、現代語のセリフで書かれており、歌舞伎を普段見慣れていないひとにも聞き取りやすく、蓬莱の描く登場人物たちの心の機微がそのまま伝わってくる。切り絵を用いた舞台美術や、歌舞伎には珍しくピアノを使った音楽など、歌舞伎の枠にとどまらない演出も随所に施された。前日の会見で蓬莱は「歌舞伎の役者さんたちが『新しい歌舞伎だね』と言ってくださる。演劇のひと(ファン)が見ると歌舞伎のおもしろさを十分に堪能できるし、歌舞伎のひと(ファン)が見ると、また演劇のおもしろさも味わえるんじゃないかなと。両方をミックスしたような融合が見ものなのでは」と手ごたえ十分。蓬莱とのタッグを熱望していた勘九郎は「念願叶って蓬莱さんに作・演出をしていただいて、すごく充実した稽古を過ごすことができた。1日1日のライブ感を大切に、ひとりでも多くのお客様に僕たちの思いを届けられたら」と意気込み。七之助は、歌という自身の役について「歌は表面的には周りに好かれます。男性は女性の表面的な言葉だったりを真に受けますが、同じ言葉でも女性の心の中では鬱憤が蓄積されていたり。歌は悪い人間ではないけれども、心の中では人間の普遍的な、なくてはならない感情がずっと動いているひとだと思う」と解説。古典歌舞伎の女形では、自分の感情をそのまま言葉にすることはそうそうないが、今回の役では自分の気持ちをストレートに表現する。役作りにあたってモデルにした女性は?という記者からの質問に「全世界の女性です」と答えるなど、古典作品とはひと味違った七之助の女形も見どころだ。出演は勘九郎、七之助のほか、市川猿弥、中村鶴松、中村いてう、中村亀鶴、片岡亀蔵ら。亀蔵、猿弥は口をそろえ「お客様の反応を早く知りたい。今はそれが何よりの楽しみ」と新しい歌舞伎への自信を覗かせた。公演は4月25日(火)まで。チケットは発売中。
2017年04月07日3月21日、「五月花形歌舞伎」の取材会が行われた。これは大阪松竹座で5月に開催されるもので、市川猿之助、中村勘九郎、中村七之助の3人が2009年2月以来、じつに8年ぶりに大阪で共演するというもの。「五月花形歌舞伎」チケット情報取材会は、席に着くやいなや猿之助が手持ちのスマホで勘九郎を撮影するなど、終始和やかな雰囲気。かつて共演を重ねてきた「浅草歌舞伎」の思い出に話が及び、「楽しかった」と3人から笑顔がこぼれる。勘九郎が「『浅草歌舞伎』は1年の始まりでもあり、締めくくりでもあった」と話すと、七之助も「公演が終わって飲みに行くなんてことはほとんどなかった。でもお互いが舞台の上で理解しあい、熱気が生まれ充実していた」と懐かしんだ。当時は若手だった彼らも、8年という時を経て実力も人気もぐっと高まったタイミングで催される今回の公演。中村屋と澤瀉屋、それぞれの家が得意とする演目にお互いが出演するのがひとつの見どころだ。昼の部で上演される『金幣猿島郡(きんのざいさるしまだいり)』は三代猿之助四十八撰の内のひとつで、宙乗りもあり、エンタテインメント性の高い演目。猿之助はこの公演中、5月16日(火)の公演で宙乗り1000回を達成することとなる。驚く勘九郎、七之助に「あっという間でしたね。それでもおじ(猿翁)の記録を更新するにはあと4000回やらないといけないですから」と淡々と話す猿之助。「最初は力んでいたが、年を重ねて無駄な力が抜けた」と道のりを振り返った。勘九郎、七之助はともに初役であり、「演じるのが楽しみ」と顔をほころばせる。夜の部で上演される『怪談乳房榎』は中村勘三郎が繰り返し工夫を重ねながら上演をしてきた演目。勘九郎、七之助も赤坂ACTシアターを始め数々の劇場で演じてきたが、松竹座での上演は初となる。今回磯貝浪江役を演じることとなる猿之助は、勘三郎との思い出として「『あなたは(観客に)魔法の粉を振りまくからね』と言ってくださったことがあった。それはいまも誇りです」と明かすと、勘九郎が「猿之助さんの芝居を観た父が僕に電話をしてきて、『俺に似てる!』と褒めていた」と笑わせた。若い頃に同じ舞台で共演を重ねた3人が、それぞれに経験を重ねて再びあいまみえる。その成長と息の合った演技に期待したい。公演は、5月2日(火)から26日(金)まで大阪松竹座にて上演。チケットの一般発売は4月5日(水)10:00より。一般発売に先駆け、チケットぴあでは、4月4日(火)23:59までインターネット先行先着(プリセール)を実施中。取材・文:釣木文恵
2017年03月31日2011年から恒例となった「明治座 五月花形歌舞伎」。今年は片岡愛之助を中心に、昼の部では『月形半平太』『三人連獅子』を、夜の部では『南総里見八犬伝』の通し狂言を上演する。3月24日に行われた制作発表では、愛之助が意気込みを語り、また新たな歌舞伎が生まれることを予感させた。「明治座 五月花形歌舞伎」チケット情報歌舞伎に馴染みのない人にもわかりやすくエンターテインメント性に富んだ演目で、好評を博してきた「明治座 花形歌舞伎」。今年も、「初めて歌舞伎をご覧になる方にもうってつけの公演」と愛之助は太鼓判を押す。確かに、新国劇から誕生して映画やドラマでもお馴染みとなった『月形半平太』を初めて歌舞伎にするという試みに、明治座での上演ならではの意欲を感じずにいられない。「せっかく初めて歌舞伎にするので、音楽などの演出方法もいろいろ考えています」。『月形半平太』といえば、「春雨じゃ。濡れてまいろう」の名台詞が有名だが、かつて月形半平太を演じたことのある里見浩太朗から、「歌うように言ったほうがいい」とアドバイスを受けたそう。「頑張って二枚目にしなければなと思っていますが(笑)、上方の人間としては、はんなりした部分も出せたらなと。色気のある部分や、強さ、忠義の心など、いろいろな要素を楽しんでいただけるよう作っていきたいと思います」。『三人連獅子』は、日本舞踊の楳茂都流の家元を継いだ愛之助にとって思い入れのある演目だ。「先代の家元が亡くなってから、先代がたくさん作っていた歌舞伎舞踊が上演される機会が少なくなって、知っていただく機会をできるだけ作りたいと思っていたので、思いが叶いました」。通常の父と子の『連獅子』とは違い、父・母・子が登場し、「親子の情愛がわかりやすく描かれている」とアピール。ぜひ目撃してみたい。そして、夜の部の『南総里見八犬伝』は、通し狂言として最初から最後までを一気に観ることのできるいい機会。「普段はあまり上演しない場面もありますから、みんなで見つめ直しながら、新たな八犬伝ができれば」。周りには、中村萬太郎、中村壱太郎、坂東新悟、中村種之助、中村米吉、中村隼人、中村橋之助、中村福之助など、浅草歌舞伎でもお馴染みの次代を担う花形役者が揃う。「みんながのびのびと楽しみながら自分の役を膨らませていくことで、お客さんにも芝居の楽しさが伝わるはず」と愛之助。座頭としてのその熱が、活気あふれる舞台を作ることだろう。公演は5月3日(水・祝)から27日(土)まで。チケット発売中。取材・文:大内弓子
2017年03月30日歌舞伎俳優の市川海老蔵が21日、自身のブログを更新。長男・勸玄くんの「歌舞伎役者になる」宣言に泣きそうになったことを明かした。3月22日は勸玄くんの4歳の誕生日。その前夜に更新したブログで、海老蔵は「3歳最後の日に歌舞伎役者になる。宣言は泣きそうになったな」と明かし、「でもまだまだわからないあたたかく見守ります」と記した。そして、誕生日当日の22日、「ええーーーーまさかまさか!のプレゼントみつかったー」と勸玄くんに渡す前に見つかってしまったことを報告した報告。その後、「実はカンカンへの誕生日プレゼントがもう1つあるんです」と切り出し、それは「踊りの先生を紹介する」というプレゼントだと告白した。さらに、「昨日から4歳になったら、稽古する!と言い切ってまして、よって、24時間頭をひねくり回して、先生を見つけまして、承諾も受けました。帰って報告です」と、「歌舞伎俳優になる」宣言をした息子への愛情たっぷりにつづった。
2017年03月22日赤坂大歌舞伎 新作歌舞伎「夢幻恋双紙 赤目の転生(ゆめまぼろしかこいぞうしあかめのてんせい)」。その4月6日(木)の開幕を前に赤坂氷川神社で公演成功祈願が行われ、中村勘九郎、中村七之助、作・演出の蓬莱竜太をはじめ、出演者の市川猿弥、中村鶴松、中村いてう、中村亀鶴、片岡亀蔵が出席した。赤坂大歌舞伎 チケット情報「赤坂大歌舞伎」5回目にして初の新作歌舞伎としても注目を集めている本作。作・演出は『母と惑星について、および自転する女たちの記録』(2016年)での第20回鶴屋南北戯曲賞受賞も記憶に新しく、勘九郎、七之助と同世代でもある劇作家・蓬莱が務める。成功祈願後に行われた囲み取材で、勘九郎は「赤坂大歌舞伎として成功祈願というものを初めてやらせていただきました。身の引き締まる思いです」と挨拶。現在真っ最中の稽古について蓬莱は「初めて歌舞伎の演出をやらせていただいていますが、劇団のようにみんなが一緒になって作っているという印象で、リラックスして充実した稽古ができています。歌舞伎と現代劇は違うと思って入ったのですが、そういうことをあまり意識しなくていいという空気を作ってくださって。自由に歌舞伎を発想していいんだという風に勘九郎さんも七之助さんも言ってくださるので、その言葉を鵜呑みにしてやっております」。本作が描くのは、男と女の業。愛する歌(七之助)を幸せにするために転生を繰り返す男・太郎を演じる勘九郎は「(今作で描くものが)普遍的だったり日常の会話だったりするので。そこで転生していく男としていろいろな言葉を浴びせられるのは…まあ疲れますね!歌舞伎でも、突拍子もなく殺されるとか自分の子供を身代わりにしたりとかいう感情の苦しさはあるんですけど、(本作のように)日常にあることを言われ続けるというのは、意外とクるものがあります」と古典とは違う感覚を明かす。“恋愛あるある”が描かれたストーリーについて七之助は「世の男性は少なからず体験したことはあるんじゃないかという台詞が散りばめられています。だからこそ表面だけで演じたらペラペラになっちゃう。ひとつ芯を持って掘り下げないと、せっかく蓬莱さんの描いた作品を台無しにしてしまうので、今はその稽古中ですね」。さらに成功祈願を行った赤坂氷川神社が東京三大縁結び神社のひとつであることにかけ「この作品に出合えたことも縁だと思いますし、普段の歌舞伎ではあまり一緒にならない出演者たちが集まっていることも縁。それを大切にしたい」と本作ならではの“縁”を語り、稽古の充実を感じさせた。出演者のこれまでにない姿が見られそうな本作。公演は4月6日(木)から25日(火)まで、東京・TBS赤坂ACTシアターにて。チケットは発売中。取材・文:中川實穗
2017年03月15日サラ・ベルナール、ヘレン・ミレンといった世界の名女優が演じてきた古典劇『フェードル』に、大竹しのぶが挑む。演じるのは、義理の息子への破滅的な想いに身を焦がす女性だ。その激情をいかに表現し、今に何を伝えるのか。大竹の言葉に、古典だから味わえる面白さがあることが、早くも見えてきた。舞台『フェードル』チケット情報これまでにギリシャ悲劇やシェイクスピア劇を経験してきた大竹にとっても、古典は久しぶりとなる。持ちかけたのは、数々の賞を獲得した『ピアフ』などでタッグを組んでいる演出の栗山民也。「普通に劇場で準備してるときに、いきなり、『古典やろうよ』と言われて(笑)。私もずっとまたやりたいなと思っていたので、ぜひという感じでした」。古典劇に惹かれるのは、そこに「演劇の原点がある」と感じるからだ。今回の『フェードル』も同様である。「書かれている台詞の言葉に力があって、愛はとことん愛、憎しみはとことん憎しみ、というふうに中途半端なことがないんです。それだけのエネルギーを持った言葉を発するにはやはりこちらも強くないと。だから演劇の原点だなと想いますし、『フェードル』はとくに、登場人物それぞれが自分の発した言葉に翻弄されていくところが、すごく面白いなと思うんです」。『フェードル』は、17世紀のフランスの劇作家ジャン・ラシーヌが、ギリシャ悲劇『ヒッポリュトス』から題材をとって創り上げた作品。国を出たまま行方不明となっている王(今井清隆)を夫に持ちながら、義理の息子(平岳大)への思慕に狂わんばかりのフェードル。ついにその恋心を告白するも、王が突然帰還し、さらに息子には別に思う娘(門脇麦)がいることがわかり、運命は悲劇へと向かっていく。「改めて、人間って昔も今も何ひとつ変わっていないんだなと思います。たとえば不倫の恋をしてしまうこともそう。それを、“私はもう死んだほうがいい。死ぬの、死ぬの、死ぬの!”というふうに激しく描かれているので、きっと笑えると思うんですね。古典といっても難しい話ではなく、まさに今の私たちと同じ人間の話であって。人間って本当に愚かだなって笑ってもらえればいいなと思います」。演じる側としても古典は「アドレナリンがどんどん出てきて楽しい」ときっぱり。「だから、そのエネルギーを、たとえば闘牛を観て興奮するのと同じような感覚で観てもらえればいいなと(笑)。それぐらいエネルギーが放出されている舞台にしたいと思います」。人間が本来持つ激烈を見せつけられることで、生き方をも揺さぶられるかもしれない。公演は4月8日(土)から30日(日)まで東京・シアターコクーンにて。その後、新潟、愛知、兵庫を巡演。取材・文:大内弓子
2017年02月27日「六本木歌舞伎」の第2弾となる「座頭市」(脚本:リリー・フランキー/演出:三池崇史)が、2月4日に東京・EX THEATER ROPPONGIにて開幕。3日のゲネプロ後におこなわれた囲み取材に主演の市川海老蔵と寺島しのぶが登場し、本作について語った。六本木歌舞伎 チケット情報ふたりが舞台共演するのは22年ぶり。ゲネプロを終えた海老蔵は「しのぶさんは音羽屋(尾上菊五郎)さんのお嬢さまですから、いろんな意味で感慨深い。歌舞伎という名目の舞台の上で、お姉さんが白塗りをして歌舞伎役者のように演じているのを見ていると、もし男だったらとか、この後どうなっていくんだろうなとか、考えます」と感無量の様子。寺島も、「歌舞伎の要素をこんなにやらせていただいて、もう感謝ですよ。(歌舞伎のことを)好きだったんだなぁって思いますね」としみじみと語った。舞台は六本木温泉宿場町。一見、江戸時代のように見えるセットには六本木ヒルズ、劇中にはダンスにラップ、台詞には時事ネタも散りばめられ、現代を取り入れたちょっとおかしな江戸の世。大衆演劇と歌舞伎をミックスさせたような、老若男女が楽しめ、気軽に観劇できる作品だ。もちろん見どころはふんだん。代名詞ともいえる眼力を封じられて座頭市を演じる海老蔵は、圧倒的な太刀さばきで鮮やかな立ち回りを魅せる。江戸随一の花魁・薄霧と、盲目の少女・おすずの2役を演じる寺島は、花道を使った豪華絢爛な花魁道中や、2役の早替りなどを披露。そして、クライマックスは圧巻。三味線や鳴り物、拍子木が盛大に鳴り響く中、目をみはるような大仕掛けも待っている。また、劇中にはふたりの濡れ場もあり、台詞はすべてアドリブ。「リリーさんが、お願いだから自分が書いたっていうふうにならないようにしてくれって言うんです」(しのぶ)、「でも、台本を読むと、ああいうようにしてほしいって書いてあるんですよ」(海老蔵)というふたり。回を追うごとに、やりとりがエスカレートしていきそうだ。六本木歌舞伎「座頭市」は2月20日(月)まで上演。チケット発売中。取材・文:門 宏
2017年02月09日