本連載の第107回と第108回で紹介してきた「高速スタートアップ」だが、その構造から、新たに増設したハードウェアを正しく認識しないケースも少なくない。そこで今回は、高速アップスタート有効時のコールドブート(通常の起動)に関するTipsをお送りする。○完全シャットダウンを実行する高速スタートアップ有効時に発生するデメリットは第108回で述べたように、電源オフ時に行った更新(ハードウェアの換装や増設など)を正しく認識しないケースである。そのため、複数のOSを起動可能にするマルチブート環境などは完全シャットダウンの実行、そしてコールドブートの実行が求められるのだ。その方法は多岐にわたるが、もっともスタンダードなのが下記の手順。これでハイバネーションファイルに保存する工程をバイパスし、ハイブリッドシャットダウン(通常のシャットダウン)ではなく完全シャットダウンを実行する仕組みだ。ホストドライブがSSDの場合、アクセススピードが速いため、高速スタートアップの恩恵を受けているか否かの判断が難しい。その際は「イベントビューアー」で確認すると確実だ。「システム」から確認できる「イベント 27, Kernel-Boot」で示される「ブートの種類」は高速スタートアップの有無を意味し、「0x01」ならば高速スタートアップは有効、「0x00」ならば無効となる。ちなみに、設定やハードウェア構成が高速スタートアップをサポートしており、コールドブートを実行していない場合、「イベント 18, Kernel-Boot」のメッセージを確認してほしい。「このシステムには0x01ブートオプションがあります」と示された場合、何らかの理由でコールドブートを実行していることを意味する。例えばディスクの整合性に問題があり、OS起動時にチェックディスクを実行するDirty(ダーティー)ビットフラグが立っている場合、高速スタートアップはキャンセルされる。このような手順で、高速スタートアップの動作を確認することが可能だ。○その他の完全シャットダウン方法上記の手順以外にも、Windows 8.1は完全シャットダウンを実行する方法を多数用意している。以下にその手順を紹介するので、お好みの方法を使ってみて頂きたい。次回は、高速スタートアップ関連のまとめとして、ハイバネーションファイルに関するTipsを紹介する予定だ。阿久津良和(Cactus)
2015年03月13日スペイン・バルセロナでモバイルデバイスの展示会「MWC 2015」が3月2日から5日(現地時間)まで開催された。Microsoftもスマートフォン「Lumia 640」「Lumia 640 XL」を同イベントに合わせて発表。Nokiaブランド時代から数えて第4世代にあたる製品だ。Lumia 640とLumia 640 XLは、スペックを見る限りでは、Noka Lumia 1320クラスのリプレース版やNoka Lumia 63xシリーズの後継機種にあたる。つまり、両機ともミッドレンジの製品であり、多くのユーザーが待望するフラグシップモデルではない。ただし、Lumia 640とLumia 640 XLには、Office 365 Personalの無料サブスクリプション1年分と、1TBのOneDrive容量、60分/月のSkype無料通話権が付属する。さらに、搭載OSはWindows Phone 8.1 Update 2ながらも、Windows 10へのアップグレードパスを提供する予定だと、Microsoft Devicesグループ担当EVPのStephen Elop氏は述べていた。注目したいのは価格だ。Lumia 640の3Gモデルは139ユーロ(約18,000円)、LTEモデルは159ユーロ(約20,000円)。Lumia 640 XLの3Gモデルは189ユーロ(約25,000円)、LTEモデルモデルは219ユーロ(約28,000円)と、スマートフォンとしては気軽に購入できる価格帯だ。Elop氏はMWC2015の登壇時だけではなく、公式ブログでも「開発者には、ユニバーサルアプリに取り組んでほしい」と語っている。デバイスが普及するためには、その上で動作するアプリケーションの存在が欠かせないからだ。それと連動するように、ユニバーサルアプリのテクニカルリーダーであるKevin Gallo氏は「Windows 10はWindowsプラットフォームの統合を目指した取り組みの完成形」と公式ブログで述べている。下図をみれば、Gallo氏の語る内容が伝わるだろう。クラウドサービスやNUIなどの技術やサービスを背景に、PCやスマートフォンといったデバイス上で同一のアプリケーションを動作可能にする。これがMicrosoftの目指すユニバーサルアプリだ。そして同社はこれらの基盤を"One Windows Platform"と称している。ユニバーサルアプリは多方面で推進されている。GDC 2015でもMicrosoftは、Xbox Live SDKの提供やDirectX 12に関するアナウンスを行ったが、ユニバーサルアプリについても強調している。Xbox部門のリーダーを務めるPhil Spencer氏は「所有するゲームをどのデバイスでもプレイする環境が重要」と述べた。Xbox OneとWindows 10の連動は以前のレポート記事でも紹介したが、その一環として、どちらかで対応タイトルを購入すると、Xbox OneやWindows 10いずれでもプレイ可能になるシステムを展開する。すでにPlayStation 4やPlayStation Vitaで実現している"クロスバイ"を導入した形だ。ここにはスマートフォンやタブレットが含まれないため、One Windows Platformとは言い切れない。だが、各方面に分散していたリソースを集約させ、同じプラットフォームで体験するという観点から見れば、同列に扱っても構わないだろう。プレビュー版が使用可能になった「Office for Windows 10」はユニバーサルアプリとして2015年後半にリリースされる予定だ(デスクトップ版となる「Office 2016(仮)」も同様)。このようにMicrosoftは、あらゆる角度からユニバーサルアプリ化を突き進み、エンドユーザーに利便性を強調しつつ、開発者に情報提供と参加を求めている。デバイスやOSに縛られる時代は終わりつつあるのだ。阿久津良和(Cactus)
2015年03月09日前回は高速スタートアップについて述べたが、必ずしもメリットばかりではない。例えばBIOSやUEFIの設定画面などは、起動が速すぎるゆえに呼び出しにくくなった。今回は、高速スタートアップ機能にまつわる設定やTipsを紹介しよう。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○高速スタートアップで発生するデメリットとはWindows 8.1の高速スタートアップは、休止状態で用いるハイバネーションファイルを利用しているため、通常の起動やシャットダウン実行時も透過的に高速スタートアップを実行する。つまり、ストレージや物理メモリーの増設などPCのハードウェア構成を変更する場合、ハイバネーションファイルに含まれる情報と実際の状況に食い違いが発生してしまうのだ。また、PCの電源を入れた直後にBIOSやUEFIを呼び出す場合、特定のタイミングで「F2」キーや「Del」キーなどを押すが、高速スタートアップ有効時はあっという間にWindowsの起動が始まってしまう。高速スタートアップで得られるメリットの裏側には、こうしたデメリットもある。○高速スタートアップを無効にする高速スタートアップを無効にするには、「電源ボタンの動作の変更」から「高速スタートアップを有効にする」のチェックボックスを外し、PCを再起動すればよい。なお、休止状態を使用しない場合はハイバネーションファイルも不要になる。その際は管理者権限でコマンドプロンプトを起動し、「powercfg /h off」と実行してハイバネーションファイルの削除と休止状態を無効に切り替えるといいだろう。高速スタートアップを有効にする手順は前回の記事を参照して欲しい。○BIOS/UEFIの呼び出し方前述のようにWindows 8以降、BIOS/UEFIの設定画面は呼び出しにくくなっている。BIOS搭載PCの場合、PCをシャットダウンせずに再起動を実行し、画面が消えた瞬間に呼び出しキーを連打するのが簡単だ。UEFI搭載PCの場合、設定チャームの「電源」ボタンに並ぶ「再起動」を「Shift」キーを押しながらクリックすれば、オプションの選択から呼び出せる。このモードは「PC設定」の「保守と管理」→「回復」の「今すぐ再起動する」ボタンや、管理者権限でコマンドプロンプトを起動してから「shutdown /r /o」を実行してもよい。オプションの選択モードに切り替わったら、「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「UEFIファームウェアの設定」→「再起動」とアイコン/ボタンをクリック/タップする。これでお使いのPCによって構成は異なるものの、UEFI設定画面が現れる仕組みだ。高速スタートアップに関するTipsはもう少しあるので、この続きは次回お送りする。阿久津良和(Cactus)
2015年03月07日Windows 8から加わった「高速スタートアップ」。ハイブリッドブートやハイブリッドシャットダウンとも呼ばれ、OS起動時に行う初期化などのプロセスを簡略化することで、起動時間を短縮する機能だ。最近はホストドライブにSSDを用いることが多いため、その恩恵や機能自体に意識が向かないことがありかもしれない。そこで今回は改めて、高速スタートアップの概要や機能の有無について紹介する。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○高速スタートアップとは昔話から始めると、Windows 9xの時代はPCの「電源」ボタンを押してから、インスタントコーヒーを用意して口に含んでもOSの起動が終わらない環境は珍しくなかった。これには、PC全体としての性能、ストレージ性能、ユーザープロフィールの肥大化など多様な原因が考えられる。それだけに格好のチューニング材料として、デフラグやレジストリダイエット、起動サービスの取捨選択など多彩な方法が用いられてきたものだ。バージョンを重ねたWindows 7は、デバイスドライバー初期化の並行処理やサービスを一定条件下で開始するトリガー開始サービスなどの改善を加え、OSの起動時間は大幅に短くなった。それでもまだ、ユーザーニーズを完全に満たしてはいない。Windows 8では、起動プロセスの一部を休止状態に用いるハイバネーションファイルから読み取ることで、起動時間をさらに短縮している。これが「高速スタートアップ」機能だ。上図はMicrosoftの公式ブログから抜粋したものである。これをご覧頂ければ、通常の起動(コールドブート)と高速起動の違いは一目瞭然だろう。高速スタートアップ有効時は、ユーザーセッション終了後に簡易的な休止状態へと移行し、セッション0(システムセッション)の内容をファイルへ待避。次回起動時は、同ファイルを読み込むことで、起動に必要な必要最小限のドライバー読み込みやレジストリ情報の展開といった一部の処理をバイパスしている。○高速スタートアップが使えるのに無効?このような仕組みでWindows 8以降は高速スタートアップを実装しているが、同機能が使えるPCにもかかわらず、「電源ボタンの動作の変更」から高速スタートアップの有無を選択できない場合がある。お使いのPCで高速スタートアップ機能が使えるか否かは、コマンドプロンプト上で「powercfg /a」を実行すれば分かる。「以下のスリープ状態がこのシステムで利用可能です」というメッセージとともに、「高速スタートアップ」が並ぶはずだ。古いPCをお使いの場合、「休止状態は使用できません」と示される。○休止状態を有効にする高速スタートアップ機能は、休止状態で用いるハイバネーションファイル(hiberfil.sys)を使用する。つまり、「使えるのに無効?」という状態は、休止状態を無効にしている可能性が高いのだ。休止状態を有効にするには管理者権限でコマンドプロンプトを起動し、「powercfg /h on」と実行すればよい。すると「powercfg /a」と実行したときの結果が変化するはずだ。ただし、この状態ではまだ「電源オプション」から操作できない。一度、OSがハイバネーションファイルの存在を認識しなければならないからだ。単純にPCを再起動してもよいが、コマンドプロンプトを起動した状態であれば、「shutdown /r /t 0」と実行して再起動すると簡単である。PC再起動後に「電源ボタンの動作の変更」に「高速スタートアップを有効にする」が加わり、自動的に有効になるはずだ。今回いくつかのPCで検証したところ、本操作で有効にならないケースも散見するが、お使いのPCも同様の結果が出た場合は、休止状態に対応しているか(ACPI S4をサポートしているか)確認してほしい。阿久津良和(Cactus)
2015年03月06日日本マイクロソフトが現在の代表執行役 社長、"樋口体制"となったのは、2008年4月。前代表執行役 社長であるDarren Huston氏から引き継ぎ、そのまま8年目を迎えると誰もが想像していただろう。だが、本日2015年3月2日、社長の交代が発表された。現代表執行役 社長の樋口泰行氏は、2015年7月1日付けで代表執行役 会長に就任する。その後を引き継ぐのは、本日から代表執行役 副社長に就任し、7月1日付けで代表執行役 社長となる平野拓也氏だ。本稿では日本マイクロソフトが行った記者会見のレポートをお送りする。○本社に続いて企業変革を加速させる日本マイクロソフト日本マイクロソフト代表執行役社長である樋口泰行氏のキャリアは、松下電器産業(現・パナソニック)から始まった。その後の経歴を見ても、アップルコンピュータやコンパックコンピュータ(現・日本ヒューレット・パッカード)と、名だたる企業名が並ぶ。日本マイクロソフトへは代表執行役兼COOとして2007年3月に入社し、翌年の2008年4月からは同社の"顔"を担ってきた。その樋口氏が今年7月1日から会長職に就任し、その後を平野拓也氏が担う。樋口氏は「2015年3月末で(社長に就任して)8年目を迎えるが、Microsoft本社が企業変革を急ピッチで進めているなか、我々もリーダーをリフレッシュし、変革を加速させるよいタイミングだ」と、今回の社長交代について感想を述べた。また、「古川享氏(1986年から1991年まで社長職。その後2005年に退職)以来の会長職を新設した」と7月1日以降の会長職就任までの流れを説明し、「外資系企業では突然責任者を解任するケースも少なくない。それを反面教師にしながら、数年前から引き継ぎを考えていた。顧客やパートナーに迷惑をかけないシームレスな(社長職の)移行が我が社の使命である」と、コミカルな樋口節を交えながら、今回の社長交代にあたる意気込みを表した。まずは平野氏のプロフィールを確認したい。マイクロソフトのWebサイトから確認できるように、平野氏は2005年8月入社、翌年の2006年から5年間はエンタープライズ向け事業を率いてきた。2011年からドイツのMicrosoft Central Eastern Europeのジェネラルマネージャーとして、ヨーロッパからモンゴルまで25カ国のビジネスを担当し、昨年(2014年)から日本マイクロソフトに復帰。執行役専務マーケティング&オペレーションズを担当していた。筆者が寄稿したOffice系の発表会レポートでも何度か姿を見せていたため、見覚えのある読者も少なくないだろう。平野氏は「樋口が社長に就任してから社外内に多くの企業変革があり、その後を引き継ぐ重責を感じている」と述べつつも、「よく名前と外見が合わないという質問を受けるが、私は日本人の父親とアメリカ人の母親を持つ、北海道生まれの『道産子』。あくまでもベースは日本人であると言い切っている」と、自己のアイデンティティと日本市場にコミットする日本マイクロソフトの"顔"になる所感を述べた。あくまでも本日時点で平野氏は代表執行役 副社長のため、「詳細は7月1日の就任時に改めて述べたい」と前置きしつつも、樋口氏が常日頃から語っていた「日本に根付いて信頼される会社」を引き継ぎ、「顧客が使いたくなる製品と愛される会社、そして(IT業界に対して)先手を打てる会社を目指す」 という。樋口氏は自身が後継に選んだ平野氏を「能力や経験、熱意とあらゆる面で新リーダーとしてもっともふさわしい人材」と評していた。Microsoftには、米国とカナダを除いた世界240カ国以上の海外拠点(100カ所)におけるビジネスを統括するMicrosoft Internationalという部署があり、今回の記者会見にあたっては、MS Internationalのプレジデントを努めるJean-Philippe Courtois氏も登壇。Courtois氏は「樋口は(日本マイクロソフトを)先進国6カ国の成長率で過去3年間トップを飾る企業に育てた」と評価しつつ、平野氏を「日本のビジネスの部門において全てを経験し、グローバルな経験も得てきたからこそ、今後も(日本マイクロソフトは)高い実績と成功を続けられると信じている」と期待の弁を述べた。疑問が残るのは、このタイミングで社長職という大きな人事異動を行う点だ。各発表会で提示する日本マイクロソフトの利益は上向き傾向にあるため、現行の樋口体制でも問題はない様に見える。だが、樋口氏が「数年前から(引き継ぎを)考えていた」と述べているように、社長交代案は樋口氏とCourtois氏の間で以前から暖めていたようだ。次期社長という話題が平野氏に明かされたのは、約3週間前にMicrosoftが開催した全世界リーダー会議の場。本来、執行役専務である平野氏は出席しない会議だったが、樋口氏は「後学のため」という理由で同行させたという。その後、今回登壇した3人が食事をしながら、社長交代をCourtois氏の口から平野氏に告げたとのことだ。平野氏は「普段は参加しない場面に出席し、ビジネスのことで頭がいっぱいで不意を突かれた」とその時の焦りを正直に述べつつも、「一瞬、理解できなかったが、その直後に(社長就任を)深呼吸しながら快諾した」という。個人的な意見を述べれば、平野氏のアドバンテージはその年齢にある。1970年生まれと壮年に数えられるが、その体格のよさは同世代の筆者から見ても若々しく、経歴を鑑みても十分だ。7月1日までの4カ月間。シームレスな移行を実現するため、日本マイクロソフトの意思決定や今後の戦略的な計画に平野氏が加わり、新たな組織作りや来期の予算策定を行う。さらに会長職に就任する樋口氏は「1人で社内と社外の仕事をするのは大変だった。平野をサポートすべく、トップ営業、財界や政府との交流、日本の顧客が求める品質向上、オリンピックを始めとする社会貢献。これらを担いつつ平野をサポートしていく」と会長職に向けた意気込みを述べた。筆者個人としては樋口節が聞けなくなるのは残念だが、企業変革を実践しているMicrosoftに次いで自社も変わろうとしている日本マイクロソフト、そして7月1日以降の平野氏に注目したい。阿久津良和(Cactus)
2015年03月02日第104回で簡単に触れたように、Windowsには「ジャンクション」と呼ばれるソフトリンクが存在する。ジャンクションを利用すれば、GUI操作では実現できないようなフォルダー構成を実現することも可能だ。そこで今回は、ハードリンクやソフトリンクの概要と、ジャンクションを利用した応用例を1つ紹介する。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○ハードリンクとソフトリンクとは一般的なOSは、ファイルの実体となるデータ領域にアクセスするためのリンク機能を備えている。語弊はあるが単純にいうと、ファイルの実体そのものに複数の名称を付ける「ハードリンク」や、ファイルやディレクトリに対して別名のアクセス経路を設定する「ソフトリンク」に大別される。このうちハードリンクは、Windows NT 3.1時代からサポートしていた。ソフトリンクに類するジャンクションやシンボリックリンクは、実装時期の相違や機能的な長短がある。そのため、古いアプリケーションでは誤認識するケースもあるので、あらかじめ注意してほしい。まずはジャンクションとシンボリックリンクの違いについて述べよう。○ジャンクションとシンボリックリンクの違いジャンクションはWindows 2000からサポートした機能で、一般ユーザーでも気軽に使用できる。一方のシンボリックリンクはWindows Vista以降でサポートし、相対パスや共有フォルダーのリンクも作成できるが、管理者権限が必要だ。いずれも「mklink」コマンドで作成できる。ここで1つ例を紹介しよう。通常のコマンドプロンプトを起動し、ディレクトリ「foo」に対するシンボリックリンクを作成するため「mklink /d bar foo」と実行する。しかし、下図のように管理者権限が必要な旨を示すエラーメッセージが現れるだけだ。一般ユーザー権限で実行する場合、「mklink /j bar foo」と実行してディレクトリジャンクションを作成しなければならない。もちろん管理者権限を持つコマンドプロンプトであれば、ディレクトリのシンボリックリンクは作成できる。ジャンクションとシンボリックリンクは視覚的にも相違点が多い。コマンド「dir」で確認すると、ジャンクションは「<JUNCTION<」、シンボリックリンクは「<SYMLINKD<」と現される(ファイルに対するシンボリックリンクは「<SYMLINK<」)。前回も述べたようにエクスプローラー上で開くと、一見しただけではジャンクションなのか、シンボリックリンクなのかも判断できない。だが、プロパティダイアログを確認するとシンボリックリンクに関しては「ショートカット」タブが加わる仕組みだ。○リンク機能でOneDriveフォルダーに加えるこのような手順でジャンクションやシンボリックリンクを作成できるが、ポイントはその使い方である。例えば筆者は、普段の作業内容をドキュメントフォルダー下の特定フォルダーに格納しているが、困るのが外出先で作業を続行するケースだ。もちろんOneDriveフォルダー(%USERPROFILE%\SkyDrive)下に作業フォルダーを移動させれば済む話だが、過去の資料などを含めると数百GB(ギガバイト)あっても足りず、ISPのアップロード制限も気になってしまう。そこでおすすめしたいのが、作業中のフォルダーだけをOneDriveフォルダーのジャンクション/シンボリックリンクとして作成する方法だ。下図では「%USERPROFILE%\Documents\Work」フォルダーのジャンクションをOneDriveフォルダーに作成している。ファイルの追加や更新時にはデータのアップロードが発生するため、ネットワークトラフィックは増加してしまうが、職場や自宅で作業中の内容を外出先でも編集したい方は試してみてほしい。阿久津良和(Cactus)
2015年02月28日PCやタブレットによっては、Windows 8.1のインストールメディアが付属しない。付属する場合も、ユーザーのうっかりミスで紛失・破損したというケースは珍しくない。これは、Microsoftが提供するサーバーからWindows 8.1用インストールメディアをダウンロードすることで解決できる。その作成手順を入念に紹介しよう。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○USBメモリーやDVD-Rにインストールメディアを作成ではさっそく取りかかる。あらかじめ4GB以上のUSBメモリーやDVD-Rメディアを用意してから、ダウンロードサイトにアクセスし、リンクをクリック/タップして「mediacreationtool.exe」を実行する。次に、インストールメディアの言語やエディションを選択。もし、自分が使っているWindows 8.1の構成が分からない場合は、「システム」を開いて「Windowsのエディション」や「システムの種類」を確認すればよい。続くステップでは、インストールメディアの選択をうながされる。冒頭で述べたように、USBメモリーとISO形式(DVDメディア用)の2種類が選択できるが、後からDVD-Rメディアに書き込む手間を省くのであれば、前者の「USBフラッシュドライブ」を選択した方が簡単だ。中身をすべて削除して構わないUSBメモリーをPCに接続してステップを進めると、USBメモリーの検出や初期化確認をうながしてくる。問題がないようであれば、そのまま先に進もう。これでWindows 8.1用インストールメディアのダウンロードおよび、USBメモリーへの書き込みが行われる。なお、ここで示される所要時間は、あくまでもネットワーク速度やストレージへの書き込み速度を踏まえた推測時間だ。上図では約100分と示されたが、今回仮想マシン上のWindows 8.1で動作検証を行ったところ、ダウンロード完了までに約70分、メディア構築に約30分、合計して約100分と見事に合致した。また、インストールメディアを構成するファイルは「%TEMP%{GUID}\MediaCreationToolExpanded\WindowsInstallationMediaCreationTool\Download」フォルダーにダウンロードされる。その後「%HOMEDRIVE%\ESD\Windows」フォルダーで構築処理をしたのち、USBメモリーへの書き込みやISO形式ファイルの生成を行う仕組みだ。後は上図のようにウィザードを終了させれば作業完了。USBメモリーにはWindows 8.1のセットアップに必要なファイルを格納しているため、PCやタブレットをUSBメモリーから起動すれば、Windows 8.1のセットアップといった操作が可能になる。阿久津良和(Cactus)
2015年02月27日Microsoftおよび日本マイクロソフトは、契約を締結した学校の教員や学生に対して、office 365 ProPlusが追加費用なしで使用できるライセンス特典「Teacher Advantage」「Student Advantage」を提供している。さらに、2015年2月22日(現地時間)に公式ブログにて、Student Advantageの申請プロセスを大幅に削減する改善を発表した。日本マイクロソフトも同様の施策を2月24日から開始。加えて、大学内IDを利用してOffice 365のダウンロードを可能にする「学認Office 365ダウンロードポータル」を、2015年4月20日から実施する。○サインアップだけでOffice 365が利用できる「セルフサインアップ」最初に登壇した日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター統括本部 文教本部長の中川哲氏は、自社の教育向けクラウドサービスを"国内最大級"と評しながら、Office 365 Educationの国内利用者数が2014年12月時点で、220万人に達したことを明らかにした。前回調査は2014年5月時点で170万人であることから、7カ月で50万人のユーザーが増加し、1日にならすと2,380人の増加傾向にあるという。日本マイクロソフトは、利用シーンや使用PC台数によって、教育機関に対するライセンス契約を多数用意している。今回のStudent Advantageが対象となるのは、教育機関向け総合契約となるESSおよびOVS-ESプログラムが対象だ。両プログラムの違いは日本マイクロソフトのWebサイトで確認いただきたいが、中川氏によればESS/OVS-ESプログラムを締結している教育機関の学生が、Office365 ProPlusを無料で使用できることは意外に知られていないという。中川氏は自社の利用プロセスに問題があると反省しつつ、米Microsoft本社も導入した「セルフサインアップ」を、2015年2月24日から国内でも開始することを明らかにした。従来は下図のような複雑なプロセスを教育機関側が実行しなければならず、学生も学校側からのアナウンスがなければ、Office 365を利用できるか否かを知るすべは少ないという。今後はセルフサインアップのWebサイトにアクセスすることで、学内のメールアドレスに対してOffice 365をダウンロードするポータルサイトへのURLが届く。後は、Office 365 ProPlusのダウンロードおよびインストールを実行するという仕組みだ。中川氏は「教育機関側は事前にユーザーアカウントの作成などを行わずに済むため、大幅な改善」と、現在は約28万人というStudent Advantageを利用しているユーザーが、約150万人へと大きく増加すると自信を見せた。○学内ID向け「学認Office 365ダウンロードポータル」日本独自の施策として、ライセンス認証を行うKMSサーバーなどを用意せず、学内のIDを利用してOffice 365 ProPlusを利用可能にする「学認Office 365ダウンロードポータル」を4月20日から開始することも発表した。多くの教育機関は独自のIDシステムで学生を管理し、各種サービスを提供するが、本施策はそのIDシステムを利用するというものだ。今回、日本マイクロソフトと提携してSSO(シングルサインオン)システムを提供する国立情報学研究所 学術認証推進室教授の中村素典氏は「学認(学術認証フェデレーション)の導入によって、大学間で仕組みが異なる部分をクラウドで吸収する。さらにSSOサーバーを経由し、eラーニングシステムや電子ジャーナルなど、学生向けに各種サービスが提供可能になる」と、"学認"の概要を説明した。既に"学認"に参加している教育機関は150に達し、利用者数も教育者や学生を合わせて110万人を超えたという。気になるのは認証システムだ。"学認"参加教育機関は、日本マイクロソフトとライセンスを締結する。教育機関のシステム管理者は、利用申請を経た後にMicrosoftの認証サーバーと各教育機関のデータベースを利用して、各ユーザーの認証を行う。中川氏は「("学認"との連携により)Student Advantageの利用者は、35万人を追加した約185万人に増加することを期待したい」と語った。もちろんこれらの施策は、Microsoftおよび日本マイクロソフトにとって金銭的なメリットは少ない。その点について中川氏は「経済格差から生まれる教育格差を埋めると同時に、誰もが高度な教育を安価に習得できる仕組みが不可欠。我々はその一端を担いたい」と、自社の教育に携わる商品を安価に提供する理由だと述べている。技術の革新と発展によって、特定の業種が不要になっていくのは歴史が証明してきた。「将来的にもイノベーションを起こす役割は不可欠だ」と述べる日本マイクロソフトの心意は、未来のIT業界を担う学生にも伝わるのではないだろうか。阿久津良和(Cactus)
2015年02月24日Satya Nadella氏がCEO(最高経営責任者)に就任した2014年2月から1年が経過した。以前のMicrosoftと同じ企業とは思えないほど、その姿勢やアクションは大きく変化し、日本マイクロソフト関係者の言葉の端々からも戸惑いと期待とが伺える。Nadella氏が発したキーワード「モバイルファースト、クラウドファースト」は、人々が持ち歩くデバイスだけではなく、出向いた先にあるデバイスを含むモバイル、そして、これらがすべてクラウドへ常につながった世界をMicrosoftが目指すというものだ。そこにはデバイスはもとよりOSというプラットフォームの仕切りすら存在しない。その姿勢をよく現しているのが、iOS/Android向けのアプリケーションやサービスだ。以前のレポート記事でも紹介したように、クロスプラットフォームに対する取り組みはOfficeチームが特に際立っている。もちろんOSのような縛りが存在しないからこそフットワークも軽く、iOSやAndroidといった他のOS版をリリースできるのだろう。Officeチームはさらにオンラインストレージという分野でもクロスプラットフォーム化を推し進めている。2014年11月にはDropboxとの提携を発表し、iOS/Android版OfficeアプリケーションからDropbox上のファイル編集を可能にした。Microsoftが自社のオンラインストレージであるOneDriveにこだわらず、他社製オンラインストレージをサポートしたことに驚きを覚えた方も少なくないだろう。だが、前述したNadella氏の方針を踏まえれば、それすらも不思議な話ではない。そしてOfficeチームは新たな施策を発表した。ポイントは「Cloud Storage Partner Program」の設立と、「Office Online(旧Office Web Apps: 2014年3月に改称)」もオンラインストレージを統合したという2点。2月17日にリリースしたiOS版Officeのバージョン1.6は、iCloudなどオンラインストレージ上のファイル編集・保存を可能にした。ただし、OneDriveやDropboxと異なり、Microsoftアカウントによる「サービスの追加」には未対応。ファイルピッカー画面から「その他」を選び、さらに「場所」から使用するオンラインストレージサービスを選択する仕組みになっている。OneDriveやDropbox上のファイルをシームレスに編集できる経験をすると、煩雑な印象を受ける。なお、筆者が確認した限りでは、2月19日にリリースした同バージョン1.6.1でも結果は同様だった。Officeチーム担当CVPであるKirk Koenigsbauer氏は、Windows 10に対応するユニバーサルアプリや、Android向けOfficeにも今後、同様の機能に取り組んでいることを明らかにした。BoxのCEOであるAaron Levie氏も、新プログラムの創立メンバーとして参画したことをうれしく思うと表明している。そして、Office Onlineの統合は、iOS向けOfficeと同様にOffice Onlineからもオンラインストレージを使用可能にするというもの。ただし執筆時点では動作せず、オンラインストレージ名もMicrosoftがサンプルとして使用する仮想企業"Contoso"であるため、開発中なのだろう。Koenigsbauer氏はローンチ時期を明らかにしていない。Koenigsbauer氏が述べるように本発表は、「小さな拡張に見えるが、Officeアプリケーションやユーザーにとって重要なステップ」であり、冒頭から述べてきたクロスプラットフォーム化を加速させるファーストステップとなるだろう。Windows 10はデバイスサイズを問わない"One Windows"、Officeはクロスプラットフォーム化、そしてサービスやあらゆるデバイスの背後に位置するクラウド。Nadella氏の「モバイルファースト、クラウドファースト」は着実に歩みを進めている。阿久津良和(Cactus)
2015年02月23日●9つのシナリオでOfficeのフル活用を提案日本マイクロソフトは20日、「Office Premium」搭載PCの拡充と、Surfaceに関するキャンペーンの実施、そして新たなデバイス(周辺機器)を発表した。今回は各キャンペーン内容と新デバイス「Universal Mobile Keyboard」「Wireless Display Adapter」に関して報告する。○9つのシナリオでOfficeのフル活用を提案登壇した日本マイクロソフト 執行役 コンシューマー&パートナーグループ オフィスプレインストール事業統括本部長の宗像淳氏は、2014年10月にリリースしたOffice Premium搭載PCの反響について「アップグレードにお金がかからない点がうれしいなど、仕組みを理解している方には好評を得た。だが、より便利な使い方や目的を実現する具体的な方法が分からないという声も寄せられている」と述べた。そこで日本マイクロソフトは、学生、社会人、ファミリーという3つのターゲットに対して、PCにそれほど詳しくないユーザー向けに、9つのシナリオを提案。「Office搭載パソコンで変わる新生活」と題した販売促進を行い、さらなるOffice搭載PCの販売台数向上を目指す。例えば「学生」であれば、新学期をパワフルに迎えるため、講義内容のテキストや画像、音声といったデータをOneNoteに集約。そしてOneDrive経由で共有すれば効率的に講義をまとめられると宗像氏は語る。その他にもスマートフォンで撮影した画像をOneDriveに保存し、撮りためた写真をPowerPointのテンプレートを使ってフォトムービー作成や、フリーハンドによるメモやイラストの保存といったシナリオも説明した。宗像氏の説明によると学生の間でOneNoteの利用はさほど多くなく、使い方や応用例を提案すると驚く学生も少なくないという。●社会人やファミリー、Officeをどう使うと便利?「社会人」なら、外出先で仕事をする機会も多い(職種にもよるが)。そこでOneNoteの撮影機能と、マルチデバイスで利用できる点を踏まえたシナリオを提案した。また、クリッピングを用いてカップル同士の情報共有や、結婚式の2次会といったライフイベント時もPowerPointでスライド作成し、情報共有にSkypeのグループ通話を使うと便利だとアピール。宗像氏は販売店やユーザーの声に耳を傾けるほど、「具体的な提案が重要であることが分かった。だからこそ今回のシナリオ提案に至っている」と説明した。そして「ファミリー」。Office Premium搭載PCを買うと、OneDriveの容量が1TBに増える点や、Officeが自動バージョンアップされる点を踏まえつつ、撮りためた写真を使ってフォトムービーの作成シナリオを提案。さらに家族旅行のアジェンダ作成シナリオや、Skype同士の無料通話と固定電話(海外は固定&携帯電話)に対して毎月60分間無料であることをアピール。宗像氏は「そもそもTBという単位やクラウドを理解していないエンドユーザーが多く、そのまま説明しても呪文のようになってしまう。この点を重視して顧客対応しなければならない」と述べつつ、テクニカルサポートを何度でも受けられる点も強調した。これらのシナリオで提案したテンプレートは、日本マイクロソフトのWebページ「楽しもうOfficeライフ」からダウンロード可能。昨年(2014年)末の時点で約715万ページビューに達し、年賀状用テンプレートも60万本のダウンロードを数えたことに対して、宗像氏は「数千万枚の年賀状がPowerPointで作られたことになって喜んでいる」と述べつつ、「楽しもうOfficeライフ」色々な使い方を見付けて欲しいと語った。なお、2015年2月20日から同年4月19日の間「Office 365 Solo」購入者に対して、3,000円をキャッシュバックするキャンペーンも実施する。●モバイルキーボードとMircastの新モデル○持ち歩きたいモバイルキーボード、プレゼンに使えるワイヤレスアダプタ次に登壇した日本マイクロソフト Surface&PCハードウェア戦略本部長 三野達也氏はまず、「Surface Pro 3」が2-in-1デバイスとして広くエンドユーザーに受け入れられた点をアピールした。同社の独自調査によれば、デバイス性能や起動&シャットダウンの速さなどが評価され、全体の満足度は91.9パーセントに達したという。三野氏は「街中でもSurfaceを使っている方を見かけるようになり、認知度も高まったように感じる」と述べた。なお上図の折れ線グラフは、Surface Pro 3の販売累計台数をイメージ化したもので、具体的な数字は明らかにしていない。だが、より幅広いユーザーに受け入れてもらうためのIntel Core i3モデルの追加や、Surface Pro 3 Type Coverプレゼントキャンペーンのタイミングで上昇していることが見て取れるはずだ。この勢いを加速させるため、本日(2015年2月20日)から4月5日まで、学生向けに10,000のキャッシュバックを行う「Surface学割キャンペーン」と、2014年末同様の「Surface Pro 3専用キーボードをプレゼント」を実施する。ちなみに2014年末のキャンペーンでは、Surface Pro 3 Type Cover赤色モデルが品薄になり、出荷を一時停止している状態だが、この点はいまだ改善されていない。三野氏は「現在、再提供を行うため準備中」と述べ、購入時に選択できる配色は限られる。そして新デバイス「Universal Mobile Keyboard」の説明が行われた。形状や名称からも分かるように、持ち運びを前提にしたモバイルキーボードだ。Bluetoothによって、Windows 8やiOS、Android搭載デバイスで接続し、カバー(取り外し可能)の溝部分にデバイスを立て掛けるように使用する。最大3台までの同時接続を可能にしており、本体右側にあるスイッチを切り替えることで、各OSで異なるキーボードレイアウトに対応する仕組みだ。また下図のとおり、キーボードレイアウトは日本語配列のみで英語配列の販売は予定されていない。もう1つの「Wireless Display Adapter」は、ワイヤレスディスプレイ規格であるMiracastを使用し、HDMI入力端子を備えたTVに接続することで、タブレットやスマートフォンの画面をワイヤレスで表示するデバイスだ。なお、USBは給電のみに用いるが、HDMI入力端子とUSBポートが離れている場合を想定し、180ミリメートルのHDMI拡張ケーブルが付属する。会場ではWireless Display Adapterを使ったデモンストレーションも行われたが、接続までに少々の時間を要した。MiracastはWi-Fi Direct経由で接続するため、ネットワークデバイスが多数ある状態で混雑していたのだろう。最終的にはWindows 8.1の画面が大型ディスプレイに映し出され、リビングのTVで動画や写真鑑賞、職場のプロジェクターでプレゼンテーションといった用途に利用できるとアピールした。今回のキャンペーンは特設サイト「新生活応援! 春トク情報特集」で確認できる。阿久津良和(Cactus)
2015年02月20日Windows Vista以降、一部のユーザーフォルダーはプロパティに「場所」タブを用意し、そのフォルダーが存在する場所を移動させる仕組みが加わっている。例えば、SDメモリーカードをタブレットに装着し、ドキュメントフォルダーを移動することで、Cドライブの空き容量を確保する使い方などに便利な機能だ。だが、その設定は各フォルダーから実行するため、すべての場所を確認するのは難しい。そこで今回は、移動可能なユーザーフォルダーを別ドライブに移動する方法と、設定可能なフォルダーを紹介する。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○フォルダーのプロパティ、「場所」タブを使うフォルダーを別ドライブに移動する手順は簡単だ。フォルダーのプロパティダイアログにある「移動」タブから、異なるドライブを選択するだけでよい。最近はホストドライブにSSDを採用するPCが多いが、大量のデータを格納するのであれば、やはりHDDの方が容量やコスト面で優れている。ここでは例として、ドキュメントフォルダーをDドライブに移動する手順を紹介しよう。なお、一部のフォルダーは初期状態で表示されないため、第22回や第24回の記事を参考に、すべてのファイル/フォルダーを表示する設定に変更して欲しい。下図のとおり「場所」タブには、現在のフォルダーが存在する場所が示されており、既定は「%USERPROFILE%\Documents」フォルダーとなる。「移動」ボタンを押すとコモンダイアログが起動し、移動先となるフォルダーの選択をうながされる。コモンダイアログ上からも新規フォルダーを作成できるため、ここでフォルダーを作成した方が簡単だ。移動先のフォルダーを選択し終えると、「移動」タブで示したフォルダーも同時に変化する。最後にファイル/フォルダーの移動確認をうながすメッセージが現れるので、実行を意味する「はい」ボタンを押せば操作完了だ。下図はユーザーフォルダーから開いたドキュメントフォルダーと、Dドライブからたどって開いたドキュメントフォルダー。ご覧のとおりアドレス欄が示したパスは異なるが、フォルダーの内容は同じだ。このような手順で一部のフォルダーは移動できる。ただし、リムーバブルディスクへ移動する際は注意が必要だ。OS起動時にそのドライブが存在しないと、誤動作の原因となりかねない。もちろんOSが稼働中にリムーバブルディスクを着脱することも避ける必要がある。この点に注意して、本機能を利用して欲しい。○移動可能なフォルダーをチェックするプロパティに「移動」タブが現れるフォルダーは、一部に限られる。少々難しい話になるが、対応するフォルダーの場所情報は、レジストリの「HKEYCURRENTUSER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\User Shell Folders」キーなどに格納されている。前述の手順は、ファイル/フォルダーの実体を移動し、格納情報を書き換えているにすぎない。この連載ではレジストリの操作は扱わないが、突如「移動」タブが消えてしまうようなトラブルに見舞われた場合、構造を知っておけば対処することも可能だろう。ダイアログから変更可能なフォルダーは下記にまとめたが、一部のユーザーフォルダーを移動させると、Windowsストアアプリが正常に動作しなくなる場合がある。このトラブルが発生したときに、当該フォルダーを元の場所へ戻しても回復しないケースを確認している。少々面倒だが、システムドライブをバックアップしてから試すと安全だ。阿久津良和(Cactus)
2015年02月20日2015年1月にOS担当EVP(エグゼクティブバイスプレジデント)であるTerry Myerson氏が明らかにしたように、MicrosoftはWindows 10においてWindows 7/8.1/8.1からの無償アップグレードを提供する。残念ながらWindows Vistaは対象外だが、Windows Vistaのファーストリリースは2006年11月であることを踏まえると、当時のPCでWindows 10が快適に動作するとは考えにくい。もっとも、技術的な観点から見れば、Windows Vista以降、カーネルを含める基礎設計はドラスティックに変化しておらず、機能拡張やUIの変化にとどめている以上、Windows Vistaからのアップグレードは難しくないはずだ。これは商業的な側面が影響している可能性が高い。IDC Japanの調査情報によれば、2014年下半期におけるWindows Vista搭載PCの稼働台数や約340万台。日本マイクロソフトが中心となって運営しているWDLC(Windows Digital Lifestyle Consortium)は、今春の販売促進キャンペーンとしてWindows Vista搭載PCをターゲットにしている。さて、そのWindows 10が搭載する機能に関して注目すべきは、パーソナルデジタルアシスタント「Cortana(コルタナ)」だ。すでに同種の自然言語処理システムは、Appleの「Siri(シリ)」、Googleの「Google Now」が普及しており、これで各プラットフォームの音声インターフェースが出そろうことになる。iPhoneユーザーならご承知のとおり、日本語に対応した直後のSiriは誤認識も多く、子どものおもちゃ程度だった。しかし、Siriで取得したデータをもとに精度を高め、現在ではメモ作成やメール返信などにも使えるレベルに迫ってきた。Cortanaや検索に関するプログラムマネージャーのMarcus Ash氏は、公式ブログで「Cortanaは対話のなかでユーザーの好みを学び、パーソナライズした情報へ素早くアクセス可能にする」と語り、Google Nowに近い動作を目指していると説明した。CortanaがストレージやOneDrive上のファイル検索やユーザー行動に基づいた情報カードの提示、メール作成、リマインダーに対応していることは、Windows 10テクニカルプレビュー ビルド9926でも確認できる。Siriが日本語をサポートした直後の状態を鑑みれば、当初の音声認識に過度な期待を持つべきではないが、Ash氏が語っているとおり、Cortanaが次世代のNUI(ナチュラルユーザーインターフェース)につながる存在となるは明らかだ。もちろん従来のデスクトップPCでCortanaが常に動作していても利便性は大きくない。ポイントはWindows 10がPCやタブレットだけではなく、スマートフォンでも動作する点だ。2015年2月12日(米国時間)に「Windows 10テクニカルプレビュー for Phones」がリリースされたが、Windows 10はPC/タブレット/スマートフォンという異なるデバイスで同じコアプラットフォーム化を目指している。そのため、Windows 10を搭載したPCとスマートフォン両者があれば、Cortanaの情報カードが示した通勤情報をWindowsストアアプリの「地図」で確認し、その情報をスマートフォン上でナビゲーションするようなシナリオも実現可能。たとえばオフィスのWindows 10搭載PCで取引先などへの外出予定を登録し、外出時に所持するWindows 10 for Phones搭載スマートフォンで目的地までの移動を確認するといった具合だ。このシナリオからCortanaの存在が、Windows Phoneの訴求性を高めると同時に、日本再上陸の可能性を押し上げることにつながると述べても構わないだろう。Cortanaは、Windows 10の登場に伴って日本でも広く使われることとなる。執筆時点では英語と中国語がβレベル、ドイツ語やイタリア語、フランス語にスペイン語はαレベルの段階のため、我々日本人がパーソナルデジタルアシスタントの恩恵を受けるのは、まだ先の話。だが、今後もWindowsを使い続けるユーザーにとってWindows 10の存在は、我々のデジタル生活を変える大きなターニングポイントとなるだろう。阿久津良和(Cactus)
2015年02月16日Windows 8.1の自動メンテナンスのように、PCのスリープ状態から勝手に復帰するイベントに悩まされるユーザーは少なくない。だが、スリープを解除する条件は複雑で見付けづらいのが現状だ。そこで、スリープ解除を行ったイベントや原因、それを取り除く方法を紹介する。○スリープ解除の問題を探すWindows 8.1におけるスリープ解除の原因は各種デバイス、もしくはプログラムから発生するイベントのいずれかとなる。まずは管理者権限でコマンドプロンプトを起動し、「Powercfg」コマンドのオプション「LASTWAKE」を試して欲しい。こちらは最後にスリープ状態を解除した情報を表示するものだ。上図のチェックポイントは「Type」と示された部分だ。「Fixed Feature」と示しているように、システムデバイスの1つである「ACPI Fixed Featureボタン」でスリープを解除したことを意味している。例えばTypeが「Wake Timer」となる場合は、サービスやタスクがスリープを解除したことを示す。蛇足だが、LASTWAKEオプションはWindows 7時代の表記と異なり、デバイス名を指すInstance Pathが示されなくなったようだ。次にチェックするのは、デバイスがスリープ解除している場合。こちらは条件にマッチするデバイスの一覧を示すオプション「DEVICEQUERY」と、条件としてスリープ状態を解除できるデバイスの一覧を返す「wakeprogrammable」、スリープ状態を解除できるように構成されたデバイスを返す「wakearmed」を使用する。上図のように、ネットワークカードやキーボード、マウスがスリープ解除を可能にするデバイスであることが確認できた。さらに試したいのが、アクティブなスリープ解除タイマーを列挙する「WAKETIMERS」オプションだ。サービスやタスクによってスリープを解除するプログラムを確認するために用意され、前回の自動メンテナンスなどが含まれる。そのほかイベントビューアーで確認する方法もあるが、コマンドラインから操作した方が提示される情報もシンプルで分かりやすいだろう。○スリープ解除を行うデバイスを無効にするスリープ解除の原因がデバイスにある場合、デバイスがスリープ状態を解除できないように変更するオプション「DEVICEDISABLEWAKE」を使用する。こちらは「powercfg /devicedisablewake "デバイス名"」と実行するため、「デバイスマネージャー」や先の「wake_programmable」を使って、デバイス名を確認して欲しい。もっとも上図のように、「デバイスマネージャー」のプロパティダイアログにある「このデバイスで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする」のチェックを外しても結果は同じだ。個別にダイアログを確認するよりも、コマンドラインから操作した方が簡単だが、お好みに応じて使い分けると便利だろう。なお、スリープ解除を行っているのがウェイクタイマーの場合は、個別にタスクを無効にするか、前回紹介した電源プランの詳細設定でスリープ解除を無効にするのが簡単である。一概にどちらの方法がベストとは言い切れないので、ご自身のスタイルに合わせて選んで欲しい。阿久津良和(Cactus)
2015年02月14日Windows 8から加わった「自動メンテナンス」は、指定した時間にPCが待機状態の場合、ディスクのフラグメント(断片化)の改善など一連の保守処理を実行する機能だ。概要や設定は第76回でも説明したが、夜半にPCのスリープ状態が解除されて困る場面もある。今回は自動メンテナンスによるスリープ解除を制御する方法を紹介したい。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○スリープ解除の許可を無効にするWindows 8.1における自動メンテナンスの実行時刻は、既定で毎日の朝(深夜)3時。PCの電源を切らずにスリープで運用していれば、自動的にメンテナンスが実行されるため、本来であればそのまま有効にした方が便利である。だが、PCが起動する際の物音で目を覚ましてしまうなど弊害を感じるユーザーも少なくない。スリープ解除に関しては2つのチェックポイントがある。1つめが自動メンテナンスの設定。こちらに用意された「スケジュールされたメンテナンスによるコンピューターのスリープ解除を許可する」をオフにすることで、スリープ解除は実行されない。もう1つが電源プランだ。アクティブな電源プランの詳細設定には、「スリープ解除タイマーの許可」という項目が用意されているが、デスクトップPCの場合は1つ、バッテリ駆動するモバイルデバイスの場合は「バッテリ駆動」「電源に接続」、それぞれの状態に合わせて「無効」を選択すればよい。前者は自動メンテナンス固有のスリープ解除設定、後者はWindows 8.1全体のスリープ解除設定のため、他の機能も影響を及ぼすことを覚えておいて欲しい。WindowsはACPI Wake Alarmデバイスを検出しない場合、RTC(Real Time Clock)を使ってスリープ解除を制御している。先の「スリープ解除タイマーの許可」が有効な場合、PCがスリープ/休止状態に入る前、RTCでスリープ解除イベントをプログラミングし、自動メンテナンスを始めとするアクションを実現する仕組みだ。それでもスリープ解除される場合は、他に原因がある可能性が高い。そこで次回はスリープ解除の原因を探る手順を紹介する。阿久津良和(Cactus)
2015年02月13日Windows 8.1上で古めのアプリケーションを実行する際、「プログラム互換性アシスタント」という機能が動作することがある。Windows Vista時代から実装され、現在のWindows 8.1でも当然使われている。だが、さらに以前から実装していた「互換モード」と混同しがちだ。今回は両者の違いを解説し、プログラム互換性アシスタントを無効にするTipsをお送りする。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○「互換性モード」と「プログラム互換性アシスタント」まずは実装時期が古い「互換モード」から説明しよう。Windows XP時代から実装した互換モードは、実行するアプリケーションに渡すWindowsのバージョン情報や機能を抑止することで、互換性問題を回避するというもの。いわば「アプリケーションをだましている」のだ。そもそもアプリケーションのインストーラーは、OSのバージョンをチェックする機能を備えており、アプリケーションが正しく動作するたに様々な確認を行うのが通例だ。そこで古いOS上で動作しているように見せるのが、Windowsが持つ互換モードの主目的となる。なお、互換性情報はレジストリエントリに記録した情報を次回起動時に読み取る仕組みだ。一方の「プログラム互換性アシスタント(Program Compatibility Assistant)」は、古いアプリケーションを実行するときに発生する問題を検知し、対処するためのサービスだ。互換性問題の検知例としては、アプリケーションの実行に必要なコンポーネントの欠落や、セットアップ時にデバイスドライバーが正しくインストールされなかった場合など、多岐にわたる。とはいえ、プログラム互換性アシスタントも万全ではない。「OSに対応していないアプリケーションを実行せざるを得ない状況」が問題なのだが、プログラム互換性アシスタントが提示する情報も限られており、ユーザー自身で対処した方が早いケースが少なくないのだ。○プログラム互換性アシスタントを無効にするプログラム互換性アシスタントはWindowsのサービスとして稼働しているため、「サービス」からプログラム互換性アシスタントの本体「Program Compatibility Assistant Service」を停止すればよい。「スタートアップの種類」を「無効」に変更すれば、即座にサービスを止めて、次回以降の起動時も稼働しなくなる。プログラム互換性アシスタントを再び有効にするには、「Program Compatibility Assistant Service」の「スタートアップの種類」を「自動」に変更してから開始すればよい。○コマンドラインから制御するコマンドラインからの操作に慣れている方なら、ダイアログをたどらずに以下の手順を実行した方が簡単だ。管理者権限でコマンドプロンプトを起動し、「sc」コマンドを使って「Program Compatibility Assistant Service」の省略名である「PcaSvc」を制御する。なお、コマンドラインからサービスを復帰させ、スタートアップを自動起動に戻す場合は、「sc config PcaSvc start=auto」「sc start PcaSvc」を、管理者権限を持つコマンドプロンプト上から実行する。阿久津良和(Cactus)
2015年02月07日Windows 8.1から数えて、次のWindowsでなくなる予定のアプリビュー。表示形式を「カテゴリ順」に変更すると、Windowsストアアプリ/デスクトップアプリを種類ごとに表示するが、実際はWindowsストアアプリとデスクトップアプリは個別に並んでいることが見て取れる。デスクトップアプリのカテゴリはフォルダー単位で管理しているため、ユーザーが自由にカスタマイズすることが可能だ。今回は、アプリビューに並ぶデスクトップアプリの表示カテゴリを作成するTipsを紹介する。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○アプリビューとプログラムフォルダーの関係Windows 7以前のプログラムメニューは、フォルダーごとにショートカットファイルを格納し、ユーザーはそれをたどることで、アプリケーションを起動してきた。そのロジックはWindows 8.1も基本的には同じである。上図に並んだ"カテゴリ"は、「%APPDATA%\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs」フォルダーや「%ProgramData%\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs」フォルダーの内容を示しているに過ぎない。ちなみに前者はサインイン中のユーザー用プログラムフォルダー、後者はシステム全体(すべてのユーザーが参照する)プログラムフォルダーである。○"カテゴリ"用フォルダーを作成する単純に考えれば、プログラムフォルダーの名称を変更することで、アプリビューの"カテゴリ"名も変更できるはずだ。前述したユーザー用もしくはシステム全体のプログラムフォルダーを開き、任意のフォルダーを作成。そしてフォルダー内にショートカットファイルを追加すればよい。フォルダーにショートカットファイルを追加する際、実行形式ファイルのショートカットファイルを作成してコピーする方法や、検索チャームからショートカットファイルを格納したフォルダーを開き、そしてコピーする方法がある。この辺りは使い慣れた方法を選んでほしい。○変更内容を適用するスタート画面/アプリビューはエクスプローラーに含まれるため、今回実行した内容を反映させるには、Windows 8.1に再サインインしなければならない。だが、スタートアッププログラムが多い場合は処理に時間がかかるため、今回はエクスプローラーの再起動で対応する。それではアプリビューを確認してほしい。上図と比べると一目瞭然だが、新たな"カテゴリ"名(Tools)が加わり、追加したショートカットファイルが並んでいる。このような手順でWindows 8.1でも独自の"カテゴリ"を追加し、アプリケーションのショートカットファイルを整理できるのだ。ただし、アプリビューは複数のアプリケーションを並べることはできない点に注意してほしい。先の手順では「Tools」フォルダーにPowerShellとコマンドプロンプトのショートカットファイルを加えたが、後者が並んでいないことにお気付きだろう。これは"Windowsシステムツール"にコマンドプロンプトが存在するためだ。この仕様は上図の手順で回避し、アプリビューに独自のカテゴリを作成してほしい。阿久津良和(Cactus)
2015年02月06日第10回からWindows 10テクニカルプレビュー ビルド9926に関する変更点を紹介してきたが、本ビルドに関しては今回がひとまず最後となる。Windows 10は単なるリニューアルにとどまらず、新HTMLレンダリングエンジンの搭載やデスクトップアクセサリをWindowsストアアプリと融合させるなど、過去の決別と新技術への移行を実現するOSとなる予定だ。今回は「Project Spartan」採用予定の新エンジン"Edge"とメディアファイルサポートの拡充、そして「電卓」についてご報告する。○IE11でも有効にできる新HTMLレンダリングエンジンMicrosoftは先のメディアブリーフィングで「Project Spartan」を発表した(呼称について筆者は当初プロジェクト名"Spartan"という認識だったが、同社の公式ブログに本稿も合わせる)。Project Spartanについても色々と述べたいものの、ご承知のとおりWindows 10テクニカルプレビュー ビルド9926には搭載されていない。しかも標準搭載のInternet Explorer 11の更新バージョンは11.0.8と、Windows 8.1のそれより古いのである。この更新バージョンとは、Internet Explorerに適用した更新プログラムを示し、バージョン4.xから取り入れられたものだ。あくまでもWindows 10は異なるOSであるため、更新バージョンをインクリメントする必要がないのかもしれない。既に開発チームの意識はProject Spartanに向いているのかと思いきや、Internet ExplorerチームのJason Weber氏は先のブログで「Windows 10は次期Internet ExplorerとProject Spartan両者を搭載する予定」と述べている。詳しくは記事を改めるとして、本稿ではビルド9926上のInternet Explorer 11について述べることにしよう。ビルド9926のInternet Explorer 11には、アドレス欄に「about:config」と入力することで簡単なカスタマイズを行う機能を備えている。Mozilla FirefoxのようにWebブラウザーの動作を端から端まで変更するような自由度はないものの、User Agent(ユーザーエージェント: WebサーバーへOSやブラウザーの情報を送信することで、適切なページにナビゲーションするなど、さまざまな理由で用いられてきたWeb技術の1つ)の変更やHTMLレンダリングエンジンの変更が可能だ。冒頭の「Custom User Agent」は、文字どおりUser Agentを変更するための設定項目である。ここで<Enabled>を選択し、テキストボックスの内容を必要に応じて変更することで、"ユーザーエージェント偽装"が可能だ。View My User AgentというWebサイトで動作を確認したところ、既定値である「Mozilla/5.0 (Windows NT 6.3; Trident/7.0; Touch; rv:11.0) like Gecko」から変更したことを確認できた。なお、既定値は<Dsiabled>である。次の項目である「Enable Experimental Web Platform Features」は、既定値で<Automatic(自動)>だが、ここを<Enabled>に変更して先のWebサイトにアクセスしたところ、User Agentは「Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/39.0.2171.71 Safari/537.36 Edge/12.0」に変化した。そもそもInternet Explorerは、Trident(トライデント 別名MSHTML)というInternet Explorer 4.x時代から続くHTMLレンダリングエンジンを使い続けてきた。先のUser AgentからもTrident 7.0が使用されていることを確認できるが、前述の設定である"実験的なWebブラットフォーム機能"を有効にした際のUser Agentには、"Edge/12.0"という文字列が含まれる。このように次期Internet ExplorerやProject SpartanのHTMLレンダリングエンジンは「Edge」と呼ばれるものが採用される予定だ。Edgeの存在は以前の公式ブログで確認できる。Weber氏の説明と読み合わせつつ既定値が<Automatic>であることを踏まえると、Windows 10が搭載するInternet ExplorerやProject Spartanは、必要に応じてレンダリングエンジンを切り替え、適切にWebコンテンツを表示させる仕組みになる予定なのだろう。続く項目も確認したいところだが、「Standard Document Scroll Properties」と「Use full stacking context for fixed position elements」に関しては具体的な動作を確認できなかった。主にHTML5の仕様に即した設定と思われるが、曖昧なことは述べられないため、機能を把握した時点で改めてご報告する。なお、前者の既定値は<Off>、後者の既定値は<On>だった。○Windows 10はMKV/FLAC形式をサポートしたが……Windows 10のリーク版で話題になっていたMKVおよびFLACへの対応だが、オープンソースへのコミットを表明しているMicrosoftらしく、いずれの形式も再生できることを確認した。そもそもMKVとは、オープンソースのメディアコンテナ形式「Matroska Video」の略称。例えば動画コーデックはVFW(Video for Windows)やQuickTime、MPEG1/2/4などをサポートしている。後者もオープンソースの音楽形式ファイル。圧縮しても音質劣化が発生しない可逆圧縮形式として、愛用している方も少なくないだろう。Windows 8.1以前のWindows Media Playerも、コンテナを認識するコーデックやツールをインストールすることで対応可能だったが、Windows 10テクニカルプレビュー ビルド9926はユーザーカスタマイズを必要とせず、両形式に対応。エクスプローラーの詳細表示で確認したところ、それぞれ「MKVビデオ」「FLACオーディオ」という種類名が示された。MKV形式ファイルの動画再生は特に気になるところはなかったが、問題はFLAC形式である。一般的に音楽CDをFLACで圧縮する場合、トラック情報などを記録するCUE形式ファイルを一緒に作成する場合が多い。音楽CD全体を圧縮したFLAC形式ファイルはCUE形式ファイルがなければ、トラック間のギャップも識別できず、音楽CDと同じ感覚で再生することはできないのだ。そこで音楽CDを1つのファイルにまとめるMKA(Matroska Audio)形式ファイルも作成してみたが、未対応らしくエラーメッセージを出すにとどまった。このように結果になるのは残念だが、サポートするメディア形式の拡充は素直に評価していいだろう。さらに今後の開発でサポートの幅が広がることを期待したい。○定番デスクトップアプリのストアアプリ化が進む?その他の変更点として顕著なのが、一部デスクトップアプリの廃止だ。本ビルドでは長年使われ続けつつ、Windows 7のタイミングで大幅な機能拡張を行った「電卓」を廃止し、Windows 10はWindowsストアアプリ版のみとなる。一見すると機能ダウンとも取れるものの、"ハンバーガースタイル"ボタンを開くと指数/プログラマー電卓に加え、温度や速度といった単位変換機能を備えていることが確認できる。これはWindowsストアアプリがウィンドウ化し、互いの存在が衝突するための判断と見て構わないだろう。本ビルドは電卓のみWindowsストアアプリに限定されているが、今後も使用頻度は高くないが、ないと困るユーティリティ系デスクトップアプリは、さらにWindowsストアアプリ化する可能性が高まりそうだ。これで筆者が確認したビルド9926の目新しい箇所は紹介し終えたので、続きは新ビルドリリース後にお送りしたい。もっともエンジニアリングジェネラルマネージャーのGabriel Aul氏はTwitter上で新ビルドのリリースタイミングを早めることを明らかにし、本稿執筆時は本来社内向けであるビルド9931を誤ってリリースしてしまったことをMicrosoft Community上で詫びていることから、次なる公開ビルドは近々にリリースされそうだ。阿久津良和(Cactus)■前回の記事はこちら・短期集中連載「Windows 10」テクニカルプレビューを試す(第14回) - 「Settings(設定)」からWindows 10の新機能を探る■バックナンバー 一覧へのリンク
2015年02月03日20年以上も前からWindowsの設定項目を管理していたコントロールパネルだが、Windows 10は各設定項目をモダンUI(ユーザーインターフェース)ベースの「Settings(設定)」に移行させつつある。そこからはWindows 10が備える新機能や、Microsoftの目指す方向性が垣間見ることができるはずだ。そこで今回はSettingsに加わった新項目を1つずつ紹介する。○新項目が並ぶ「システム」「ネットワークとインターネット」今回は第12回で予告した「Settings(設定)」の項目を精査しよう。ビルド9879まではWindows 8.1と同じ構成だったが、ビルド9926はコントロールパネルの「カテゴリ」表示に近い階層を採用している。まず「システム」で確認できる新項目は「通知と操作」。こちらはWindowsストアアプリの通知関係とAction Centerに並ぶタイルの取捨選択が可能だ。「Cortanaと検索」も新項目だが、日本語環境では動作しないため、今回は割愛する。続く「音声認識」はコントロールパネルにあった同名のアプレットを移行させた設定項目だ。こちらも同様に音声合成に関する設定が可能だが、用意した音声は英語のみ。アプレット側で日本語の「Microsoft Haruka」を選択すると音声が使用できない旨を示すメッセージが現れた。なお、音声認識エンジンはWindows 8.1と同じバージョン8.0だが、Cortana(コルタナ)の役割と重複するため、そのまま機能削除に至るのではないだろうか。「ストレージセンサー」はデバイスに接続したストレージの空き容量を視覚的に把握し、ドキュメントや動画といったファイルの保存先を選択するというもの。実のところビルド9879にも同様の設定項目が用意されていたが、ビルド9926は各設定項目を1ページ内にまとめている点が新しい。本機能を他のPCで検証したところリムーバブルディスクを認識したが、ドロップダウンリストから保存先として選択できなかった。原因は不明だがストレージ容量で困りがちなタブレットやスマートフォンで活躍しそうな設定項目である。「ウィンドウ化」も新項目だが、そこに並ぶ設定項目はWindows 8.1で各所に散らばっていたAeroスナップに関するものを1つにまとめたに過ぎない。他方で本ビルドから新たに加わった「マップ」は、同名のWindowsストアアプリなどが使用する地図情報の更新や、オフラインマップのダウンロードを可能にしている。執筆時点で日本は含まれていないものの、コピーライトにゼンリンの名が並んでいることから、日本のオフラインマップは今後追加されると見て構わないだろう。入力言語やIME、表示言語、合成音声などを追加する設定として「オプション機能」が用意された。最初にインストール済みオプションが並び、選択すると現れる<アンインストール>ボタンから削除が可能。また、「機能の追加」からインストールを実行できる。ただし、言語パックで日本語化した環境では、不要なオプションが多数並んでいたが、日本語および英語以外のオプションを削除しても0.3GB(ギガバイト)程度しか節約できないため、神経質になる必要はないだろう。なお、「タブレットモード」も新項目だが、同モードの有無を切り替えるスイッチが1つ並ぶだけなので、ここでは割愛する。「ネットワークとインターネット」に移ると「携帯電話」と過去のビルドで見かけない項目が現れた。動作検証できないため推測の域を超えないが、Bluetoothなど接続した携帯電話経由でインターネットにアクセスするテザリングの設定を行うのではないだろうか。また、「詳細設定」からは、「ネットワークと共有センター」や「ホームグループ」といった項目が現れる。これまでコントロールパネルなどから設定していた項目を移行させたのは、One Windowsという同一のUXを実現するための仕様変更だろう。○Windows 10はロック画面のランダム表示やジオフェンス機能をサポート「パーソナル設定」は背景画像やロック画面、色やサウンドといった設定を行う項目だが、ビルド9926は開発途上のためか、ロック画面や簡易/詳細ステータス用アプリケーションの選択などの設定にとどまっている。気になるのはロック画面の選択肢として「Windows既定」「画像」「スライドショー」の3種類を用意した点。後者2つはWindows 8.1にも存在したが、前者のWindows既定は「%SystemRoot%\Web\Screen」フォルダーに格納した画像をランダム表示するという選択肢だ。ただし、同フォルダーに含まれない画像ファイルもロック画面に現れたことを踏まえると、他のフォルダーも参照している可能性は高い。障がい者向けの補助機能として役立つ「簡単操作」にも新規項目を確認できる。それが「字幕」だ。どのようなシチュエーションで字幕を表示させるのか確認できなかったが、字幕や背景の色や透明度、サイズといった設定項目を用意し、ドロップダウンリストから自由に設定できる。聴覚障がいを持つユーザーでも視覚的に内容を把握する機能として強く期待したい。「プライバシー」の「位置情報」も設定項目が大幅に充実している。Windows 8.1やWindows 10テクニカルプレビュー ビルド9879は位置情報使用の有無程度だったが、本ビルドは位置情報プラットフォームの有無や、履歴情報の管理が可能。さらにスマートフォン向けOSでは一般的になりつつあるジオフェンス(特定範囲の仮装境界線)使用の有無も選択できる。ジオフェンスに関してはGPSデバイスを備えるが必要なため、スマートフォン上でWindows 10を使用する際は有効になりそうだ。そして最後は「保守と管理」の「バックアップ」である。OneDriveへのアプリケーション情報や個人設定をバックアップする項目に加え、「Local backup」という項目が加わっている。当初はディスク全体のバックアップ機能が復活するのかと期待していたものの、こちらは個人ファイルを別ドライブなどに逐一バックアップする「ファイル履歴」に対する設定項目だ。「保守と管理」の一覧に「ファイル履歴」がない時点で気付くべきだったが、Settingsから機能の有無は制御できず、コントロールパネルのファイル履歴からバックアップ設定を有効にすることで、スイッチがオンになる。「詳細オプション」で開く画面も用意していないことから、単に開発途上にあると見るのが正しそうだ。さて、次回はWindows 10上のデスクトップアプリやOSの機能に注目する。阿久津良和(Cactus)■前回の記事はこちら・短期集中連載「Windows 10」テクニカルプレビューを試す(第13回) - 新WindowsストアアプリとUI用フォントを探る■バックナンバー 一覧へのリンク
2015年02月02日SDメモリーカードには書き込みを禁止するロックタブがあるが、より使用頻度が高いUSBメモリーは、書き込み禁止スイッチを備えるメディアが少ない。そこでWindows 8.1の設定によって、USBメモリーを書き込み禁止にする方法を紹介しよう。PC側でリムーバブルディスクを書き込み禁止にするレジストリ設定はそこそこ有名だが、別の方法もあることをご存じだろうか。今回は「diskpart」というコマンドを使って、USBメモリーやUSB HDDへの書き込みを禁止するTipsを紹介しよう。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○「diskpart」で書き込みを抑止する前回は「ローカルグループポリシーエディター」を使ったが、これはWindows 8.1 ProやEnterpriseエディションでのみ用意された機能だ。今回の「diskpart」コマンドは、無印のWindows 8.1でも利用できる。diskpartコマンドは、Windows 2000時代から使われてきた、ディスクパーティションを操作するコマンドラインベースのユーティリティだ。Windows 8.1でストレージを増設する場合、「ディスクの管理(diskmgmt.msc)」を使用する機会が多いため、diskpartの使用場面は多くない。だが、パーティションの作成やフォーマット、ドライブ文字の割り当てなど、diskpartの能力は、ディスクの管理に引けを取らない。今回使用するのは、ストレージに対する属性の確認や設定を行う「attributes」だ。早速使い方を紹介しよう。管理者権限でコマンドプロンプトを起動し、diskpartを起動するとプロンプトが現れる。diskpartは内部コマンドを入力して対話的にストレージ操作を行うタイプのユーティリティツールだ(スクリプトによる自動化も可能)。diskpartでは、最初に操作するパーティションやディスクを確認し、選択する必要がある。まずは、PCが認識しているストレージの一覧を確認する「list disk」を実行しよう。下図で示した例では、ディスク0がHDD、ディスク1がUSBメモリーだ。分かりにくい場合は空き容量を参考に判断するとよい。続けてディスクを選択するため、「select disk 1」を実行する。これでUSBメモリーが操作対象となった。後は「attributes disk set readonly」を実行して、選択したディスクに対するリードオンリー属性(書き込み禁止)を割り当てるだけだ。diskpartを終了するには「exit」コマンドを実行する。では、動作を確認してみよう。下図は順番にフォーマット、新規作成、ファイルコピーを試したものだが、その結果はポリシー設定と大きく異なった。例えばフォーマット操作はダイアログから実行した時点で注意メッセージが現れる。ファイルの新規作成は完全なエラーとなった。そしてファイルコピーはアクセス権限ではなく、禁止であることを示すメッセージが現れる。前回の結果と見比べてみると面白いだろう。書き込み禁止を解除するには、diskpartの「select disk」でディスク(USBメモリー)を操作対象にしてから、「attributes disk clear readonly」と実行してほしい。ちなみに、前回のポリシー設定(ローカルグループポリシーエディター)はOSレベルで書き込みを抑止し、diskpartはマウントしたストレージに対して書き込みを抑止する。場面に応じて使い分けると便利だ。前述のとおり、diskpartはスクリプトによる自動実行機能をサポートしている。例えば今回の書き込み禁止設定は下記の内容をスクリプトファイルとして作成し、「diskpart /s {スクリプトファイル}」と実行すればよい。select disk ●attributes disk set readonlyだが問題は、リムーバブルディスクに割り当てられるディスク番号が固定されない点だ。そのため、誤ったディスク番号を指定すると意図しないディスクがリードオンリーとなり、Windows 8.1の動作に悪影響を及ぼすため、詳細は見合わせることにした。ご了承頂きたい。阿久津良和(Cactus)
2015年01月31日ようやくUI(ユーザーインターフェース)が日本語化し、Windows 10に興味を持つ多くのユーザーは仮想マシンや実機へのインストールを試していることだろう。そこで最初に目に付くのは日本語化したデスクトップではないだろうか。UI用フォントの変更は全体の雰囲気を左右する大きな存在だが、ビルド9926はこれまでと異なる日本語フォントを採用している。そこで本ビルドリリース後として第4回を数える本稿では、UI用フォントと新たに加わったWindowsストアアプリについて報告しよう。○ビルド9926から加わった新WindowsストアアプリUI用フォントについて述べる前に、Windows 10テクニカルプレビュー ビルド9926から加わったWindowsストアアプリを確認したい。本ビルドには従来の「ストア」と、今後メインになるであろう「ストア(ベータ)」の2種類を用意している。そもそもWindowsストアアプリは全画面表示を前提に設計していた。もちろんPCやタブレットに限らずWVGAといったスマートフォンも考慮されている。だが、Windows 10からWindowsストアアプリはウィンドウ表示をサポートしなければならず、PC/タブレット/スマートフォンと解像度が異なるデバイスで同一のUX(ユーザーエクスペリエンス)を実現するため、ストアのデザインを刷新する予定だ。構成要素は従来と同じながらもページ構成は縦方向に広がるように変更し、PCとスマートフォンでの視認性を高めている。気になるのは"ハンバーガースタイル"と呼ばれるアプリメニューの呼び出し機能を用意していない点だ。Windowsストアアプリの更新情報やアプリ本体の設定もワンクリックで呼び出すデザインに変更していることから、あくまでも"ハンバーガースタイル"ボタンは一時的もしくはPC専用となり、スマートフォンでの使用を前提としたUIデザインが主流になる可能性もあるだろう。昨日のメディアブリーフィングでMicrosoftが発表したように、Xbox OneとWindows 10の連動もビルド9926におけるポイントの1つ。そのハブとなるWindowsストアアプリが「Xbox」だ。Xbox LIVEのフレンドリストやチャット、実績といった情報をPCやスマートフォンから制御するというものだ。現時点ではストリーミングプレイに対応していないため、既にリリース済みの「Xbox One(360) SmartGlass」というWindowsストアアプリをベースに拡張したような存在となる。オンライン/オフラインの切り替えやアバター編集といったカスタマイズ系機能も未実装、GameDVR(ゲーム動画を録画し、共有する機能)にアクセスする方法も確認できなかった。残念ながら現時点では、取り立てて目新しさを感じることはできないと述べるのが正直な感想である。もっともWindowsストアアプリは、OS本体とは別プロセスで更新してきた過去の例があるため、今後はXbox Liveゴールドメンバーシップを購入しているユーザーなら楽しめるかもしれない。○UI用フォントは「Yu Gothic UI」に変更一部のユーザーはWindows 10テクニカルプレビュー ビルド9926をインストールして、フォント周りの違和感を覚えたかもしれない。Windows 10テクニカルプレビューに限った話ではないが、英語版のUI用フォントはSeigo UIが用いられてきたが、日本語の言語パックをインストールすると、フォントはYu Gothic UIに切り替わる。これが違和感の正体だ(ちなみにWindows 8.1のUI用フォントはMeiryo UI)。ちなみにYu Gothic UIは以前のビルドでも存在したが、日本語の言語パック適用時は遊ゴシックや遊明朝も加わる仕組みである。こちらのフォントはWindows 8.1から追加された標準日本語フォントだが、バージョン0.95と(Windows 8.1付属のバージョン1.55から)低いものの、フォントスタイルとして「中(Medium)」を新たに追加した。さて、UIフォントがYu Gothic UIに切り替わることで覚える違和感は行間にあるのではないだろうか。下図は仮想マシンとSurface Proにビルド9926をインストールし、クイックアクセスメニューを表示させた状態だが、行間が明らかに異なる。そもそもWindows 8移行はHigh DPI(高DPI)へ対応し、一般的なPCの解像度である96DPIを高解像度ディスプレイで使用する際、文字を始めとするUI要素は小さくなってしまう。そのため、DPIを手動もしくは自動で変更する仕組みが求められている(DPI変更自体はWindows XP時代から可能だった)。Surface Proの解像度は1,920×1,080ピクセルのため、DPIの初期値は150パーセントの144DPIとなるが、行間1つ取ってもバランスよく感じないだろうか。そもそも.NET Framework APIであるWindows Forms(High DPI未対応)とWPF(Windows Presentation Foundation: High DPI対応)で作成した場合、表示内容が異なる点のは有名な話だ。具体的にWindows 10テクニカルプレビューでどの箇所に影響が発生しているのか確認できないものの、開発途上にあるプレビュー版だからこそ、このような食い違いが発生しているのではないだろうか。さて次回は、「Settings(設定)」に加わった新項目を中心に、Windows 10テクニカルプレビューの変更点を報告する。阿久津良和(Cactus)■前回の記事はこちら・短期集中連載「Windows 10」テクニカルプレビューを試す(第12回) - 新コンパネ「Settings」とチャームバーに代わる「アクションセンター」■バックナンバー 一覧へのリンク
2015年01月30日●Nadella氏のCEO就任で変化するMicrosoft Research研究所Microsoftは全社を挙げて「プロダクティビティ&プラットフォームカンパニー」への変革に注力している。その一端を垣間(かいま)見られたのが、1月29日に日本マイクロソフトが開催した「2015 Technology Update」だ。例年1月に行う記者説明会は、今年で5回目となる。登壇した同社CTO(最高技術責任者)兼 日本マイクロソフトディベロップメント代表取締役社長の加治佐俊一氏は、現在進行中の研究プロジェクトやMicrosoftの技術進化をアピールした。○Nadella氏のCEO就任で変化するMicrosoft ResearchIT技術の進歩は目覚ましい。かつて一部の好事家しか使っていなかったスマートフォンも今やフィーチャーフォンに置き換わり、街中を見渡せば多くの人がスマートフォンのディスプレイをのぞき込んでいる。Microsoft CEO(最高経営責任者)であるSatya Nadella氏が発した有名なキーワード「モバイルファースト、クラウドファースト」に対して加治佐氏は、「モバイルとは、単に人がデバイスを持ち歩くだけではなく、人々の出向いた先にあるデバイスも含まれる。そして、これらがすべてクラウドへ常につながった世界を指す」と、先のキーワードが持つ意味を説明した。もちろんキーワードを唱(とな)えるだけでは、ビジョンを示したに過ぎない。実現するには基盤となる技術力やインフラ、開発・運用能力が必要となる。その技術力を生み出すのが、1991年からMicrosoftが運営してきた研究所「Microsoft Research」だ。同研究所といえば、創設者のRichard Rashid氏(現在はOSエンジニアリンググループに所属)が有名だ。当時のCTOだったNathan Myhrvold氏は「ハードウェアの進化が速まりつつあるため、IT技術を基礎から研究し、未来へ投資すべきだ」と、Bill Gates氏やMicrosoft経営陣に提案したという。その結果、翌年の1991年にはRashid氏を迎えて研究所を設立した、というのが大まかな流れだ。Microsoft Researchは、"最先端の技術研究"、"革新的な技術の取り込み"、そして"自社製品へ未来を築く"という3つの使命を持ち、従来は3年以上先の自社製品に実装できる技術を研究してきた。これ自体は現在も変わらないが、Nadella氏のCEO就任後は研究期間にこだわることなく、研究プロジェクトチームがそのまま開発チームに加わるケースもあると加治佐氏は語る。Microsoft Researchの研究結果から生み出された製品は、枚挙に暇がない。NUI(ナチュラルユーザーインタフェース)デバイスのKinectはあまりにも有名だが、Microsoftが発表したヘッドマウンテンディスプレイ「Microsoft HoloLens」や、80インチクラスの巨大デバイス「Surface Hub」も同様である。時をさかのぼればIMEの変換技術など、我々が意識しない部分にも研究結果が活かされているのだ。●Microsoft Researchの注目プロジェクトを披露○Microsoft Researchの注目プロジェクトを披露加治佐氏は、Google Labsの猫をモチーフにした機械学習プロジェクトを引き合いに、プロジェクト「Adam」を紹介していたが、さらなる注目株として、いくつかのプロジェクトを披露した。1つめは「Handpose」。HCI(ヒューマンコンピューターインタラクション: 人とコンピューターの対話型操作を実現する)の研究プロジェクトでは、Xbox One用Kinectを使用し、人の手や指がディスプレイにリアルタイムに映し出される映像を紹介した。明るい場所だけでなく、暗い部屋でも赤外線を使って追従できるが、その際は若干のフレームレート低下が発生するという。加治佐氏の説明によれば、この研究プロジェクトはKinect for Windows V2が内包する深度センサーを応用している。2つめは「RoomAlive」。以前に寄稿した記事でも紹介した「IllumiRoom」を進化させ、没入型の現実世界を拡張するプロジェクトだ。上図をご覧になれば分かるように、IllumiRoomはあくまでも前方の空間をゲームなどの仮想世界と現実世界をつなげたものだ。対してRoomAliveは、文字どおり部屋全体を対象に現実社会とつなげている。たとえば部屋全体にゲーム画面を貼り付けて、そこに現れるキャラクターを撃つ・踏む「Whack-A-Mole」や、仮想的な罠を仕掛けた場所に人が近づくと罠が発動する「Traps」といったサンプルを披露。個人的には、リビングなど既存の物理環境と、仮想的な環境をシームレスに両立する本プロジェクトは期待大だ。3つめの「ViiBoard」は、離れた場所と場所をボードや映像・音声を使ってつなげる研究プロジェクト。以前からMicrosoft Researchは、遠隔地同士のコミュニケーションシステムをさまざまな角度から研究しているが、ViiBoardはビデオカメラと音声、そして共有するホワイトボードをインターネット経由で相互的につなげて、リアルタイムコミュニケーションを実現するというもの。こちらは会場でデモンストレーションを披露したので、下図をご覧頂きたい。最後は「Sway」だ。2014年後半にMicrosoftが発表したOfficeスイートの1つだが、こちらもMicrosoft Research出身。会場ではベータテスト中のWeb版だけではなく、開発途中のiPhone版を使ってSwayの機能を紹介した。Swayは撮影した画像や思い浮かんだテキストといった内容を組み合わせ、独自のデザインエンジンを介した1つのコンテンツを生み出すツールである。会場では日本マイクロソフトの開発担当者である鵜飼佑氏が登壇し、同社広報チームが作ったコンテンツや、即興で作成したコンテンツを披露した。一昔前はユーザーが発する情報はWebページというのがお決まりの流れだったが、現在は動画をはじめ多様な選択肢が存在する。Swayは、このような飛躍的なアイディアを具現化するツールとして研究されてきた。なお、Swayに関しては現在取材を進めているので、タイミングを見てその内容や注目ポイントを改めて紹介する。●未来を見据えるMicrosoftの目指す先とは○未来を見据えるMicrosoftの目指す先とは話は前後するが、加治佐氏はMicrosoft/日本マイクロソフトの開発モデルに関しても言及していた。Microsoft Researchの変革と同じ、Microsoftの開発姿勢は俊敏な開発モデルを採用し、テレメトリー的にユーザーフィードバックを重要視する姿勢にシフトしているという。昨年からプレビュー版を公開しているWindows 10も約80万件のフィードバックを踏まえ、柔軟な開発に活かしているそうだ。開発モデルの革新は社内にとどまらない。従来は競合相手といわれていた企業や、オープンソース陣営とも手を取る姿勢を打ち出したのは記憶に新しい。開発環境であるVisual Studioの事実上の無償化や、iOS/Android用アプリケーションを開発できる「Xamarin」との連動は業界どころか、日本マイクロソフト社内でも驚愕の事実として伝えられたそうだ。とある関係者は「(Microsoft/日本マイクロソフトは)どこへ向かうのか?」と、先の発表を聞いた時の感想を筆者に語っていた。近年のMicrosoft/日本マイクロソフトは、過去のいわば"帝国的"な発想で突き進んできた同社を知るユーザーとして、違和感どころか、"異なる企業ではないか?"と首をかしげるようなアクションを次々と打ち出している。Gates氏、Steven Ballmer氏、そしてNadella氏、CEOが変わることでこれほど企業の姿勢が変化するのは米国的とは理解しつつも、「モバイルファースト、クラウドファースト」や、IoT(Internet of Things)の具現化など、現状を踏まえると素直に納得できるだろう。最後に加治佐氏は、リアルタイム翻訳を実現した「Skype Translator」を引き合いに出し、「2015年中に日本語版をリリースできる」と述べている。パーソナルアシスタントシステムのCortana(コルタナ)しかり、同システムを搭載するWindows 10しかり、Microsoft/日本マイクロソフトは2015年もIT業界の中心に位置しそうだ。阿久津良和(Cactus)
2015年01月30日タブレットの操作性を向上させたモダンUI(ユーザーインターフェイス)は、PCのユーザビリティを部分ながら低下させた。その結果Windows 10はPCやタブレット、スマートフォンなど異なるデバイスで同じWindowsを実現する「One Windows」を目指している。最新のWindows 10テクニカルプレビューは、UI面にどのような変化を加えているのか。今回もUIに関する調査結果を報告する。○チャームバーは廃止? 新「Settings(設定)」ビルド9926にアップデートし、最初に設定を確認しようと[Win]+[I]キーを押したところ、設定チャームではなく、「Settings(設定)」が現れた。ビルド9879以降のリーク版でも確認されていたが、これまでとはまったく異なる構成である。どちらかと言えばコントロールパネルのモダンUIベース版と述べた方が正しいだろう。もっとも、現時点では外郭を整えた程度にとどまり、設定項目などはWindows 8.xと同じだ。軽く確認した限りではいくつかの新項目も確認できたが、相違点については今後の連載で紹介したい。Windows 8.xはコントロールパネルと「設定」の両者が存在し、設定項目の重複していたため、使用しているデバイスに応じて使い分ければよかった。だが、第10回でも述べたとおり、ビルド9926はコントロールパネルからWindows Updateを削除するなど、本格的な移行に着手した。今後のコントロールパネルに関して公式な発言はないものの、Windows 3.x時代から続いてきたコントロールパネルは、ようやくその役目を終えそうだ。Settingsのリニューアルにより、ビルド9926は設定チャームだけでなく検索チャームも廃止している([Win]+[Q]キーは廃止。[Win]+[W]キーおよび[Win]+[F]キーは[F3]キーと同等)。しかし、共有チャームとデバイスチャームはそのままだ。もっとも、各チャームを呼び出したところ前者はタスクバーの上に描かれているが、後者はタスクバーの下に描かれることを鑑みると、内部的には異なるロジックで処理されているのだろう。こちらもコントロールパネルと同じく今後について語られていないものの、後述する「アクションセンター」の動作を踏まえると、デバイスチャームと同じロジックに移行すると思われる。ちなみにショートカットキーに関しては、プレゼンテーション表示モードを切り替える[Win]+[P]キーは、デバイスチャームと統合した。BluetoothデバイスやMiracastデバイスとの接続を主体とするため、こちらのショートカットキーが割り当てられたのだろう。○通知機能を内包する「アクションセンター」チャームバーはタブレットモードでもデスクトップと同じく現れない。だが、その代わりを担うのが「Action Center(アクションセンター)」だ。本来はトースト通知の内容をさかのぼるため、Windows Phone 8.xの通知センター機能を取り込んだものだが、ビルド9926は通知履歴に加えて、設定チャームの下部に並んでいたネットワークやボリューム、電源操作といった各機能を呼び出すためのタイルが並ぶ。なお、Action Centerの呼び出しは通知領域のボタンや、ディスプレイ右端からのスワイプ、[Win]+[A]キーを使用する。タイル表示部分も展開することですべての機能可能だ。UIというアプローチと異なるが、ここで各タイルの機能を説明しておきたい。もちろんPCやタブレットが保持していない機能に関するタイルは表示されず、仮想マシン上の実験環境では「Airplane mode」や「Rotation Lock」は現れなかった。また、タイル表示部分の開閉状態はサインアウトまで保持されるが、再サインインすると閉じた状態に戻る。正直なところWindows 8.1でも設定チャームを開く場面は非常に少なく、デスクトップPCの場合は「PC設定の変更」を呼び出すことも皆無のため、設定チャームの廃止およびAction Centerの機能拡張は歓迎すべき仕様変更ではないだろうか。○ビルド9926で加わった細かい改善点最後にビルド9926における細かい改善点も確認していこう。2014年10月のTechEd Europeカンファレンスでデモンストレーションしたタッチパッドジェスチャー機能も、本ビルドで動作を確認できた。こちらは3本指でタッチパッドを下方向にスワイプすると、デスクトップ上の各ウィンドウが最小化するというもの。続いて上方向にスワイプすると元の状態に戻り、さらに上方向にスワイプすると、[Win]+[Tab]キーを押した時と同じ「Task View」に切り替わる。ショートカットキー[Win]+[D]キーの動作にTask Viewを加えたような機能だ。さらに左右へ3本指でスワイプするとアクティブウィンドウを順に切り替えるジェスチャーも加わっている。そもそもタッチパッドを用いたスワイプ操作はWindows 8.x時代で実現し、画面端からのスワイプ操作や、2本指でタップするとWindowsストアアプリのアプリボタンを呼び出すといった機能が備わっていた。今回の3本指を用いたジェスチャーは、元から備える機能を補完する形で加わったと見るべきだろう。もっとも個人的にタッチパッドは好みではないため、今後も使う機会は少なそうだ。エクスプローラーの動作に関してもわずかな変更箇所がある。コントロールパネルの「フォルダーオプション」は「エクスプローラーのオプション」に改称し、<全般>タブに「エクスプローラーで開く」という新たなドロップダウンリストを追加した。こちらはエクスプローラー起動時のフォーカスを選択する設定項目で、既定値の「クイックアクセス」や「PC」を選択した場合はナビゲーションウィンドウの各項目を選択した状態になる。Windowsストアアプリのタイトルバーにも改良が加わった。"ハンバーガースタイル"と呼ばれるボタンはそのままだが、アプリケーションアイコンの除外と(タイトルバーのない)全画面切り替えボタンを追加。また、デスクトップアプリのタイトルバーデザインとデザインを統一し、全体の整合性を整えている。既にお使いのユーザーはタスクバーのデザインも変化していることに気付いたことだろう。Windows 8.1は起動済みアプリケーションのボタンはハイライト表示し、ウィンドウがアクティブな場合はさらに明るくなる仕組みだ。ビルド9926もアクティブウィンドウのボタンに対する効果は同じだが、非アクティブウィンドウは濃青色のアンダーライン表示に変更している。ロジック自体は従来のWindowsと同じながらも、直感的にアプリケーションが起動しているか否か分かりにくくなってしまった。従来よりもシンプルで好ましいが、アンダーラインの幅をより太くすれば便利そうだ。次回は設定項目やアプリケーションなどについて紹介する。阿久津良和(Cactus)■前回の記事はこちら・短期集中連載「Windows 10」テクニカルプレビューを試す(第11回) - 日本語対応が期待大のCortanaと開発途上の新スタートメニュー■バックナンバー 一覧へのリンク
2015年01月29日Windows 10テクニカルプレビュー ビルド9926は、当初の予定どおりコンシューマー系機能を強化した。Windows 8.xユーザーのフィードバックを踏まえて、デスクトップPCやタブレットでの操作性を両立するための新たなUI(ユーザーインターフェイス)を目指している。今回はWindows 10に加わる新UIに注目し、その変更点を報告したい。○新たな検索ハブとなるCortanaと検索ボックスWindows 10の新UIにおける最大の注目ポイントは、パーソナルデジタルアシスタントである「Cortana(コルタナ)」だが、音声検索を実行できるのは英語環境のみ。日本語用言語パックを導入した場合、場所や表示言語を米国/英語に切り替えたアカウントを用意してもCortanaは有効にならなかった。Cortanaに関する設定は「設定(Settings)」の「Cortanaと検索」から実行できるものの、日本語環境の場合<Cortanaと検索の設定をカスタマイズする>を選択しても反応がない。これはCortanaが米国および英語表示でのみ利用可能、としているためだろう。日本語環境でも設定画面を呼び出せるが、肝心のスイッチはグレーアウトしているため使用不可能である。そこでビルド9926をISO形式ファイルから新規インストールした環境を用意したところ、一連の設定(Cortanaのライセンス確認やユーザー名の登録)を経てCortanaが使用可能になった。もっとも筆者の稚拙な発音では正しく認識されず、音声ナビゲーションを享受できなかったのは残念である。だが、検索ボックスのウィンドウ自体は単なる検索結果を提示する場所ではなく、学習機能を備えたスマートインフォメーションツールという側面も持つ。ユーザーの検索結果から好みを学習し、推奨すべきニュースや天気といった情報をBing経由で取得し、提案する「Notebook」や、あらかじめ日時や場所を登録してユーザーに行動をうながす「Reminders」、任意の場所を登録して簡単に地図を表示する「Places」と3つの機能を用意している。ただし、いずれも日本語環境では動作しなかった。今後日本語への対応が期待されるCortanaだが、前述した各種機能を踏まえるとMicrosoftの開発者は、従来の検索チャームを始めとする検索系機能を1箇所に集約させる意図があるのだろう。その証(あか)しではないが、テキストによる検索を実行すると、アプリケーションや設定項目、Webの検索結果などが現れる。ちょうどWindows 7の検索ボックス、Windows 8.xの検索チャームと同じだ。さらに<Webを検索>を選択すれば、Internet Explorerが起動してBingによる検索結果を示し、<自分の物を検索>を選択するとローカルストレージやOneDrive上のファイル、画像やメールといった固有のファイルを検索することもできる。ここで昔からのショートカットキーが使えるか[F3]キーを押してみたところ、フォーカスが検索ボックスに移動するものの、なぜかスタートメニューも一緒に開いていた。○イチから作り直した新スタートメニューそのスタートメニューも以前のビルドから大きく変化した。本ビルドではXAML(XMLベースのマークアップ言語)で再構築し、Windows 7以前のスタートメニューと動作が異なる。具体的には、モダンUIのスタート画面とスタートメニューを融合した形から、2-in-1 PCでの動作を考慮した"Expand Start"というモードを用意した。Windows 10はUIをタッチ操作とキーボード&マウス向けに切り替える機能として「Continuum」を実装しているが、タブレットモードに切り替えずともタッチ操作を中心とするタブレットはキーボード&マウス&タッチ操作という、3つの操作性を実現している。このように大きく変化したスタートメニューだが、エンジニアリングジェネラルマネージャーのGabriel Aul氏は、「新スタートメニューの開発は始まっていない」と公式ブログで述べている。Aul氏の発言どおり、ビルド9926のスタートメニューは未成熟な部分が少なくない。例えば<All apps>を選択してもアプリビューを狭い領域に収めた状態で、スクロールによる選択を強いるのはUIデザイン的に大きな問題と言える。だが、「将来的にスタートメニューのサイズ変更や透過処理、ドラッグ&ドロップやジャンプリストなどに機能を加える予定」と説明しているように、本ビルドにおける新スタートメニューは必要最小限のひな形的存在と見るのが正しいだろう。高いニーズによって復活したスタートメニューだからこそ、今後の開発で強化することを期待したい。Continuumにも関しても正しく動作するのは本ビルドから。今回Surface Proでキーボードを着脱すると、画面右下に「タブレットモードを開始しますか?」「タブレットモードを終了しますか?」というメッセージが現れる。同デバイスで確認した限りだが、1~2秒程度でデスクトップ/タブレットモードは正常に切り替わった。今回はここいらで筆を置き、次回もUI面に関する改善点を紹介する。阿久津良和(Cactus)■前回の記事はこちら・短期集中連載「Windows 10」テクニカルプレビューを試す(第10回) - 日本語が加わったビルド9926登場!■バックナンバー 一覧へのリンク
2015年01月28日既報のとおり、Windows 10などMicrosoftの次期製品・サービスを発表するメディアブリーフィングが開催された。ここでは、当日のレポート記事を補足するべく、もう少し詳しい内容を述べておきたい。なお、1月23日に公開されたWindows 10の新ビルドについては、こちらの別記事を参照いただきたい。○Windows 10やSpartanと融合する「Cortana」まず、Windows 10に関しては大方の予想どおりパーソナルデジタルアシスタント「Cortana」が統合されることになった。音声による操作やWeb上の情報検索、ローカルファイルの検索など自然な対話で情報やデバイスを制御することを目的としている。同機能はWindows Phone 8.1に引き続き、Windows 10 for phones(仮)も同様のUIも実装することとなった。Cortanaは新しいブラウザ「Spartan(開発コード名)」でも使用できる。Spartanはキーボードやペンを使ってWebページに直接注釈をつける機能や、クリッピングにコメントを加えてOneNoteや他のユーザーと共有するといった機能を搭載する予定だが、ポイントはCortanaによる検索だ。デモンストレーションを行ったOSグループCVPのJoe Belfiore氏によれば、メールやメッセージから蓄積したデータをもとにユーザーのアクションを想定し、音声入力を行う際に適切なアクションを提示するという。○疑問が残るWindows 10のXbox Oneサポート機能XboxとWindows 10の関係についても補足しておこう。そもそもXbox OneにはGame DVRと呼ばれるプレイ映像を録画し、編集・共有する機能が備わっている。新たなWindows 10が備えるWindowsストアアプリ「Xbox」は、このGame DVRをサポートし、Xbox Oneでプレイした結果を共有できるというものだ。正直なところGame DVRのサポートは、さほど驚くことではない。また、今回発表したストリーミング機能はLANを経由し、Windows 10デバイス上でXbox Oneゲームをプレイ可能にするというものだ。Wii UとWii U GamePad、PlayStation 3とPSPにおけるリモートプレイのように、ストリーミング機能を用いたゲームプレイはすでに一般化していると述べても過言ではない。さらに、このクロスデバイスプレイはDirectX 12対応ゲームに限られ、現時点では一部のゲームに限定される。さらに有償のXbox Liveゴールドメンバーシップの契約が必要なため、コアなゲーマーでない限り、Xbox OneのサポートはWindows 10のチャームポイントとはならないだろう。○80インチ超の4Kディスプレイを搭載した「Surface Hub」今でも多くの会議室にはホワイトボードが設置されているが、近い将来は「Microsoft Surface Hub」に置き換わるかもしれない。端的に説明すると、55インチまたは84インチの4Kディスプレイを備えたSurfaceだが、独自のロック画面を持ちつつもタッチ操作や内蔵カメラ、マイクといったSurface Pro 3と同じ機能を備えたデバイスである。MicrosoftはSurface Hubを、「インスタントリモート会議やデジタルホワイトボード機能を持ち、会議参加者のデバイスにコンテンツ転送も可能になる」と説明した。このあたりはWindowsの共有機能やリモート操作機能を踏まえれば、容易に想像がつくだろう。もっとも、Surface Hubは今日明日リリースされる製品ではなく、公式サイトには今後開催するIgniteやWPCといったイベント名が並んでいる。これらのことからSurface Hubのリリースは、2015年後半から2016年前半あたりになりそうだ。2013年にMicrosoft創業者のBill Gates氏が、自宅にある80インチのPerceptive Pixelディスプレイを指し、「そのうち価格もこなれて普及するよ」とネットで語っていたことを思い出す。○魔法の瞬間を体現する「Microsoft HoloLens」個人的に今回の発表で本命となったのが「Microsoft HoloLens」だ。Microsoftは仮想空間と現実世界を融合する試みを続けており、2013年には「IllumiRoom」も発表し、2014年はパワーアップした「Kinect for Windows v2センサー」をリリースしている。そして2015年はHoloLensだ。内蔵レンズでユーザーの視線を追いかけ、その先にあるホログラフィーが発する音を内蔵スピーカーで聞き取る。これらの処理に必要な専用ユニットを搭載し、PCやクラウドサーバーといったユニットを必要とせず、単独で数TBの処理を可能とするデバイスだ。1月21日のプレスブリーフィングでは、OSグループのテクニカルフェローであるAlex Kipman氏がHoloLensの説明を行い、同グループの開発メンバーが「HoloStudio」と呼ばれる仮想ツールボックスでホログラフィーによるオブジェクトを作るデモンストレーションを披露している。Kipman氏はWindows 10と同じマイルストーンで開発が進むと述べ、Windows 10にはHoloLensを制御するAPIを組み込むという。前述したIllumiRoomはいまだ世に登場していないが、HoloLensは2015年内には現実のものとなりそうだ。すでにOculus Riftなど仮想ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は存在するが、いまだSDKを利用したサンプルの域を脱せず、我々の生活やUX(ユーザーエクスペリエンス)を変えるに至っていない。Windows 10のAPIサポートおよびSDKのリリースによって、HoloLensは他社の追従を許さない重厚なプラットフォームになる可能性がある。HoloLensはMicrosoft CEOであるSatya Nadellaが言うように「これらは我々が享受する魔法の瞬間である」を体現する存在となるだろう。阿久津良和(Cactus)
2015年01月27日●システム要件とインストール時の注意点2014年11月12日(以下すべて現地時間)にリリースしたWindows 10テクニカルプレビュー ビルド9879から数えて約2カ月。Microsoftは「Windows 10: The Next Chapter」と題したメディアブリーフィングを開催し、2015年1月23日に新しいビルドをリリースした。メディアブリーフィングでは、Windows 10以外にも新Webブラウザーとなる予定の「Spartan」や、仮想世界を現実に近づける「Microsoft HoloLens」など数多くの新製品の存在を明らかにしている。だが、やはり注目すべきはビルド9926に達したWindows 10テクニカルプレビューだ。今回はインストール・アップデートに関して報告する。○システム要件とインストール時の注意点Windows 10の開発に対して事実上の広報担当を担っているエンジニアリングジェネラルマネージャーのGabriel Aul氏は、2015年1月15日の時点で「Windows 10のシステム要件はWindows 8と同じく、Windows Vista/7と大差はない」と、Twitterで発言している。Windows 10テクニカルプレビューのシステム要件はこちらのWebページで確認できるとおり、これまでのOSと大差はない。Windows 10テクニカルプレビューのシステム要件・プロセッサ: 1GHz(ギガヘルツ)以上・メモリー: 1GB(ギガバイト: 32ビット版)/2GB(64ビット版)・HDD: 16GB以上の空き容量・GPU: DirectX 9以上に対応し、WDDMドライバーを持つビデオデバイス・その他: Microsoftアカウント、インターネット アクセスこの時点である程度の安定性を実現したと見るべきだが、OSグループCVPのJoe Belfiore氏は1月21日開催のメディアブリーフィングで、「新ビルドは来週リリースする」と述べたものの、1月23日の時点でAul氏は、Twitterやブログを通じて、ビルド9926のリリースを明らかにした。システム要件を踏まえると、ビルド9879からプレビュー版を使ってきた環境であれば、今回もそのまま使用できるわけだ。ただし、執筆時点でロールアップ更新プログラムを通じて、エクスプローラーの予期せぬハングアップ、アプリケーションのインストール関する問題、バッテリ寿命の改善など多くの問題を修正している。また、Surface Pro 3を使用する場合はWindows Update経由で最新のビデオドライバーに更新しなければならない、とAul氏はTwitterで発言した。いずれにせよ、ビルド9926インストール直後はWindows Update経由で更新プログラムなどを適用すべきである。なお、本ビルドからWindows Updateはコントロールパネルから取り除かれ、「設定(Settings)」から実行するように仕様変更しているので注意してほしい。ところで、先のFAQを徒然と眺めていて改めて気付いた箇所がある。その1つが「Windows 10プレビュー版インストール後は、Windows Media PlayerによるDVDビデオ再生は不可能」だ。これはWindows 8からMPEG2コーデックを削除したためである(正しくはWindows 7の上位エディションや、複数のPCベンダーがプリインストールアプリでサポートしていた)。さらに「Windows 10プレビュー版をインストールすると、Windows Media Centerは削除される」とあるように、Windows Media Centerの使用はWindows 8.1止まりとなる。そして「Windows 10プレビュー版はWindows RT 8.1で動作しない」という記述も注目すべきだろう。こちらのWebページにあるアップグレードシナリオの説明どおり、現在のWindows 10プレビュー版はIntel系CPUを対象とし、ARMプロセッサは未サポートだ。さらに海外メディアが報じているようにWindows RT向けWindows 10はフルバージョンではなく、Windows 10の機能をいくつか含むエディションをリリースするようである。筆者を含むWindows RTユーザーには気になるところだが、Windows Phone 8にアップグレードできないデバイス向けに一部機能を備えたWindows Phone 7.8をリリースする形を取ると見るのが適切だろう。●アップデート後に言語パックで日本語化○アップデート後に言語パックで日本語化さて、Windows 10の開発は以前の記事でも述べたように「Ring Progression」と呼ばれる開発工程で進んでいるため、ビルド9926へのアップデートも直接実行できる。ただ、本稿をお読みになる読者の多くは日本語を選択すると思われるものの、Windowsは基本的に異なる言語間でのアップグレードインストールをサポートしてこなかった。ところが、英語版のビルド9879にビルド9926日本語版のISO形式ファイルからセットアッププログラムを実行したところ、言語パックに関する注意は現れるものの、そのままアップデートできるようだ。もっとも英語版のままビルド9926へアップグレードし、その後表示言語を変更する方法を選択するのが一番簡単だろう。ただし言語パックは、主要部分のみをローカライズしたLIP(Language Interface Pack)と、さらにロケールリソースをサポートした"一部ローカライズ言語パック"、そして言語およびロケールリソースを100パーセントローカライズした"完全ローカライズ言語パック"の3種類がある。そのため、ビルド9926へアップデートした後に日本語を選択するのはLIPもしくは一部ローカライズ言語パックとなる可能性が高い。もっとも正式リリース前のプレビュー版でこだわる部分ではないが、気になる方はこちらのWebページからISO形式ファイルをダウンロードすることをお勧めする。基本的には上図の手順で日本語表示に切り替わるが、今回試したところ日本語の言語パックをダウンロードするボタンが現れないことがあった。その際は何度かオプションを開き直すか、英語の言語パックをインストールし、<Set as primary>ボタンで英語を第1言語に切り替えると現れるようなので試してほしい。さらにアップデート直後の注意点として、"文字化け"が発生する場合はロケール設定を見直すといいだろう。通常であればシステムロケールは「日本語」が選択されているはずだが、英語版のまま(地域や入力言語として日本を選択しなかった)インストールした場合、システムロケールとして英語を選択している可能性がある。その際はコントロールパネルから「地域」の<管理>タブを開き、「Unicode対応ではないプログラムの言語」セクションの内容を<システムロケールの変更>ボタンで「日本語」に変更すればよい。また、起動時にブートメニューが現れるという問題も確認されている。どうもアップグレードインストールと同じプロセスを行うバグが含まれているようだ。こちらは「システム構成(msconfig.exe)」を起動し、<ブート>タブに並んでいる「Windows Rollback」を削除すれば解決可能だ。ただし「$Windows.~BT」フォルダーなど以前のWindowsフォルダーも残っているため、「ディスククリーンアップ」を起動して「以前のWindowsのインストール」などを削除すべきである。筆者が確認した限りでは10GB前後のストレージ空き容量をひっ迫していた。このようにビルド9926は、コントロールパネルから「設定」への機能移行など各所で変更点が確認できる。ただし、注目のパーソナルデジタルアシスタントCortanaがサポートする言語は英語に限定しているため、日本語に切り替えると使えなくなってしまうようだ。つまり、Windows 10の新機能を余すことなく体験するには、英語版のまま使った方が都合がよいのである。いずれにせよWindows 10テクニカルプレビューの新機能は次回から紹介していくが、最後に試用期限について述べておこう。ビルド9926に達したことで試用期限は2015年10月2日に延長している。あくまでも推測の域を超えないが、試用期限から察するにWindows 10の正式リリースはやはり今秋、RTMは従来どおり今夏辺りになりそうだ。阿久津良和(Cactus)■前回の記事はこちら・短期集中連載「Windows 10」テクニカルプレビューを試す(第9回) - 多くのユーザーフィードバックを反映した「ビルド9879」登場■バックナンバー 一覧へのリンク
2015年01月26日●Windows 10の新ビルドは1月最終週リリース2015年1月21日(米国時間)、Microsoftは「Windows 10: The Next Chapter」を開催し、Windows 10コンシューマープレビューをはじめとする製品・サービスを発表した。本稿では、日本時間の午前2時(現地午前9時)から行われた、メディアブリーフィングで明らかになったポイントを報告する。登壇したのはCEOのSatya Nadella氏、OSグループEVPのTerry Myerson氏、OSグループCVPのJoe Belfiore氏、Microsoft StudiosグループCVPのPhil Spencer氏という顔ぶれだ。これだけでも同社が今後見据えるビジョンやWindowsを核とするOS群、そしてコンシューマーゲーム市場に関する発表が行われることは想像に難しくない。○Windows 10の新ビルドは来週リリース最初に登壇したMyerson氏は、「我々はWindowsを製品ではなくサービスとして捉える」と述べ、Windows 7およびWindows 8.1、そしてWindows Phone 8.1からのアップグレードシナリオを明らかにした。具体的にはWindows 10発表後、1年間限定でWindows 7/8.1/Phone 8.1からの無償アップグレードを可能にするというもの。これまで同社はWindows 10の価格について明言を避けてきたが、これで既存ユーザーがWindows 10に安心して移行できる道筋が示された。また、Myerson氏はPC向けWindows 10の新ビルドを来週(1月最終週)に、Windows 10 for phonesを2月にリリースすることも明らかにした。今回のサポート言語は25言語であることから、日本語のサポートも期待できるだろう(Windows 10 テクニカルプレビューは英語/簡体字中国語/ポルトガル語の3言語だった)。○Cortanaと連動するWindows 10続いて登壇したBelfiore氏は、音声認識によるパーソナルデジタルアシスタント「Cortana」をWindows 10に標準搭載することを明らかにした。同氏はCortanaを使用し、Webページの検索や天気予報を音声で問いかけるデモンストレーションを披露。約1年前のBuild 2014ではWindows Phone 8.1を使ってCortanaの動作を紹介していたが、見慣れたデスクトップ上でCortanaが動作するのは不思議な気分だった。1年前と違うのは、Cortanaでデスクトップ操作も行える点である。Belfiore氏は「昨年10月に撮影した写真」とCortanaに問いかけることで、ファイル検索と連動する機能を備えていることを明らかにした。Windows 10におけるユニバーサルアプリは、"One Windows"の名のもと、PCやスマートフォン、さらいはXbox One上で同一のアプリケーションとUX(ユーザーエクスペリエンス)を提供するのが目標だ。今回のメディアブリーフィングでは、PCとスマートフォン上のOfficeアプリケーションが同一のルック&フィールを備え、同じ感覚で操作できるというデモンストレーションを披露した。また、標準搭載のアプリケーションもユニバーサルアプリ化し、Windows 10/Windows 10 for phoneの差を最小限にした。●新Webブラウザ「Spartan」と3D対応HMD「Microsoft HoloLens」○新Webブラウザ「Spartan」Windows関連でポイントとなるのは、新たなWebブラウザー「Spartan (開発コード名)」の存在だろう。ユニバーサルアプリとしてPCやスマートフォンに同じUIを提供し、キーボード&マウスやタッチ操作両方をサポート。また、詳細は語られなかったが、従来のTridentとは異なる新レンダリングエンジンを搭載するという。現時点ではシンプルさと、Webページへの直接書き込みやOneNote経由のクリッピング、表示ページに関連する情報を提供するサイドバーなど、IEから機能を強化したにとどまるSpartanだが、ポイントはCortanaとの統合。説明ではユーザー情報に基づいたアシストレベルにとどまっているようだが、国内では音声検索自体がさほどポピュラーではないため、Cortanaの存在がどの程度の利便性が生み出すのか興味深い。○新たなUXを生み出す「Microsoft HoloLens」その他には、4K 84インチという巨大なディスプレイを備えた「Surface Hub」や、Xbox OneとWindows 10との連動。目の前に3D映像を映し出して、仮想世界と現実世界をつなげる「Microsoft HoloLens」を発表した。Microsoft HoloLensは視野内すべてをスクリーンとし、装着したユーザーの手をポインターとして仮想オブジェクトを自由に操作できるというもの。デモンストレーションでは、ツールボックスから各種オブジェクトを取り出して、UFOのようなオモチャを作っていたが、アイディア次第では、新たなUXを享受できるアプリケーションやゲームを生み出しそうだ。阿久津良和(Cactus)
2015年01月22日日本テレビ系の朝の情報番組『ZIP!』などに出演している、モデルでタレントの阿久津ゆりえ(26)が21日、自身のブログを更新し、結婚を報告した。「今日はご報告があります」との書き出しで阿久津は「結婚しました!」と喜びの報告。「もちろん、今後もかわらず仕事は続けていきます」と明かし「いつも暖かく応援してくださるみなさまに心から感謝しています!本当にありがとうございます」とつづった。さらに、今後は「自分自身さらに成長していけるよう努力していきます」と決意を新たにすると「どうぞこれからもよろしくお願いします」と呼びかけている。阿久津は『ZIP!』をはじめ、女性誌『SEDA』『Mina』『Spring』などでモデルとして活躍。そのほか、数々のCMに出演している。
2015年01月21日Windows 8.1はユーザーアカウントの種類として、一般的な操作を行う「標準(アカウント)」と、システム全体を管理する「管理者(アカウント)」を用意している。この仕組みはWindows NT時代から備えていたが、違いが顕著になったのはWindows Vistaで導入された「UAC」(ユーザーアカウント制御)からだ。現在のWindows 8.1では、日頃は標準アカウントを使用し、場面に応じて管理者権限を付与するのが一般的になりつつある(意識することは少ないかもしれないが)。そこで今回は、管理者権限でアプリケーションを実行するTipsを紹介しよう。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○管理者権限が必要なケースとは標準/管理者の違いは以前の記事をご覧頂きたいが、マルウェアなどの不正侵入・設定変更を抑止するため、通常は標準アカウント権限でアプリケーションを実行している。これは使用中のユーザーアカウントがAdministratorsグループに参加していても同様だ(Administratorsグループ属するユーザーアカウントは管理者権限を持つ)。セキュリティの観点から見れば理にかなっているものの、古いデスクトップアプリを使用する場合、管理者権限を要する場面もいまだ存在する。UACを完全に無効化することも可能だが、するとWindowsストアアプリが正常に動作しなくなるなど、いくつかの問題が発生するのが現状だ。○スタート画面/アプリビューでの選択方法各デスクトップアプリを管理者権限で起動するには、主にコンテキスト(右クリック)メニューを利用する。スタート画面の場合はアプリケーションのタイルを右クリック/長押しすると、メニューに「管理者として実行」が現れる。こちらをクリック/タップすればよい。なお、アプリビューでも操作方法は同じだ。○タスクバーでの選択方法タスクバーにピン留めした(デスクトップアプリの)ボタンも、同様に右クリックから操作する。ただし、「Shift」キーの併用が必要だ。ボタンをそのまま右クリック/長押しすると通常のジャンプリストが現れるものの、そこで「Shift」キーを押しながらデスクトップアプリ名(画像では「電卓」)を右クリック/長押しすれば、さらにサブメニューが現れる。ここから「管理者として実行」をクリック/タップすればよい。デスクトップアプリが未起動・起動済みの場合によっても操作方法は異なり、起動済みの場合は前述したジャンプリストから操作する。だが、未起動時の場合は、そのままボタンを右クリック/長押しすれば直接コンテキストメニューが開くので、こちら方が簡単だ。○エクスプローラーからの選択方法エクスプローラーの場合、そのままコンテキストメニューから「管理者として実行」を選択するだけでよい。このメニュー項目が加わるのは実行形式ファイルに限られ、具体的には環境変数「PATHEXT」で定義済みの拡張子「.exe」「.com」「.bat」などだ。ただし、ショートカットファイル(拡張子「.lnk」)など一部の形式にも適用される。○タスクマネージャーを利用する以前の「ファイル名を指定して実行」には、管理者権限を付与する機能が備わっていたのだが、Windows 8.1はその機能は取り除かれている。「タスクマネージャー」から呼び出す「新しいタスクの作成」には、「このタスクに管理者特権を付与して作成します」がオプションとして用意されている。よって、管理者権限の付与は簡単だ。○常に管理者としてデスクトップアプリを実行する対象となるデスクトップアプリが常に管理者権限を要する場合、ショートカットファイルの設定情報を変更することをおすすめしたい。詳細プロパティダイアログにある「管理者として実行」を有効にすれば、メニューからの操作をスキップできる。また、古いデスクトップアプリであれば、「互換性」タブの「設定」セクションに並ぶ「管理者としてこのプログラムを実行する」を選択してもよい。阿久津良和(Cactus)
2015年01月18日他社製品の買収から10年以上が経過し、すっかりMicrosoft自社製品の体を見せているセキュリティソフトの「Windows Defender」。Windows Vista時代はスパイウェア以外にも、ウイルスなどのマルウェア対策が可能になった「Microsoft Security Essentials」がリリースされた。現在のWindows 8.1は、マルウェア対策を統合したWindows Defenderを標準搭載している。今回はWindows Defenderの「スキャン」について解説しよう。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○自動実行するクイックスキャンWindows Defenderは、マルウェアが侵入していないかを、任意のタイミングでシステムファイルを検査する機能を備えている。具体的には、感染の可能性があるシステムファイルや実行中のアプリケーションを検査対象とする"クイックスキャン"、すべてのファイルを対象とする"フルスキャン"、任意のフォルダーやファイルを対象とする"カスタムスキャン"の3つだ。だが、Microsoft Security Essentialsとは異なり、Windows Defenderはスキャンを実行するスケジュール設定を用意していない。Windows Defenderのメイン画面を見ると、そこには「最後に実行したスキャン~」というメッセージとともに、クイックスキャンを実行した旨を確認できる。Windows 8.1のWindows Defenderは、(少し言い方は悪いが)ユーザーが意図しないところで、マルウェアが侵入していないか調査しているのだ。○タスクで処理を自動実行では、Windows Defenderはいつ、どのようにスキャンを実行しているのだろうか。ヘルプなどでは「自動スキャンが定期的に実行されます」と述べるにとどまっているが、トリガーとなるのは「アクションセンター」の「自動メンテナンス」だ。説明にある「ソフトウェア更新」はWindows Update、「システム診断」はトラブルシューティングの1部、そして「セキュリティスキャン」がWindows Defenderのクイックスキャンにあたる。さらに具体的なアクションとして注目したいのが、「タスクスケジューラ」の「タスクスケジューラライブラリ\Microsoft\Windows\Windows Defender」に並ぶ「Windows Defender Scheduled Scan」だ。具体的なスキャン処理はこのタスクが担っている。今回、履歴機能を有効にしてタスク処理を確認したところ、Windows Defenderが示していたスキャン実行タイミングにタスクが起動し、約15分後にクイックスキャンを終了。これが自動クイックスキャンの正体だ。○コマンドラインからスキャンを実行このように、Windows Defenderのクイックスキャンは自動的に毎日実行されていることを確認できたが、逆にフルスキャンは手動実行のみとなる。フルスキャンは1カ月に1回程度は実行すべきだが、さまざまなアプリケーションやユーザーファイルを格納するPCだと、かなりの時間を要してしまう(半日くらいかかることも)。さらに、フルスキャンの実行中はI/O負荷も発生するため、バッチファイルやタスクによるフルスキャンの自動実行はおすすめしない。PCの動作が重いなど違和感を覚えるようになったら、合間を見てフルスキャンを手動実行するのがベストだろう。Windows 8.1におけるWindows Defenderのフルスキャン実行は、GUIから選択する方法と、以前の連載で紹介した「MpCmdRun.exe」をコマンドラインから使用する方法の2つがある(レジストリを使えばコンテキストメニューなどから呼び出すことも可能だが、本連載では割愛する)。「MpCmdRun.exe」のヘルプメッセージのとおり、コマンドラインからスキャンを実行するには「-Scan」オプションを使用すればよい。また、スキャンタイプも個別に選択可能で、「-ScanType 3」とすれば、特定のフォルダーやファイルのスキャンも可能だ。例えば「C:\Data」フォルダーをスキャンする場合「ScanType 3 -File C:\Data」となる。クイックスキャンは「1」、フルスキャンは「2」が割り当てられているため、前者であれば「MpCmdRun -Scan -ScanType 1」を実行すればよい。結果は定義ファイルの更新と同じく、「%LOCALAPPDATA%\Temp\MpCmdRun.log」に記録される。Windows Defenderを活用しても万全とはいえないが、日頃からマルウェアの侵入に意識することで、全般的なセキュリティレベルは向上するはずだ。阿久津良和(Cactus)
2015年01月16日こんにちは、阿久津です。いよいよMicrosoftは1月21日(米国時間)に「Windows 10 The next chapter」を開催し、Windows 10コンシューマープレビューとモバイル向けのWindows 10 for Phones(仮)を発表する見込みです。筆者もテスト用にWindows Phoneデバイスを用意しないと……と昨年末辺りから悩んできました。現行のLumiaシリーズはバックカバーにNOKIAロゴが残されており、Microsoftロゴに移行したのはLumia 535のみ。上位モデルのLumia 930はNOKIAロゴ採用のため、どうせなら3月のMobile World Congress 2015で発表されるであろう「Lumia 1330」まで待とうか思案中です(図01)。さて、Windows 10はUI(ユーザーインターフェース)にまつわるいくつかの改良が加わっており、過去の連載でも新機能を有効にするチューニングを紹介してきました。今週はサインイン画面に注目してみましょう。ビルド9879となるWindows 10テクニカルプレビューのサインイン画面はWindows 8.1と同じものですが、以下のチューニングを行うことで新たなサインイン画面を有効にできます(図02)。1. 管理者権限でRegistry Editorを起動します。2. Registry Editorが起動したら、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\ CurrentVersion\Authentication\LogonUI\TestHooksキーを開きます。3. DWORD値「Threshold」を開き、dataを「1」に変更します。4. Registry Editorを終了します。5. Windows 10テクニカルプレビューからサインアウトします。これでチューニングが完了しました(図03~07)。早速結果を確認してみましょう。サインイン画面には従来のロック画面の画像が表示されず、日時を示した半透明のロック画面が現れます。こちらをタッチ操作やマウスのドラッグ操作で上方向に動かすと、サインインするユーザーアカウントを選択する画面に切り替わりました(図08~09)。さらにユーザーアカウントを選択することで、Windows 10テクニカルプレビューへのサインインが可能になります。半透明のロック画面は日時の位置が微妙ですが、この辺りは今後のビルドで改善されることでしょう。なお、以前の状態に戻すには、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\ Authentication\LogonUI\TestHooksキーのDWORD値「Threshold」を開き、Dataを「0」に変更してください(図10)。それでは、また次号でお目にかかりましょう。阿久津良和(Cactus)
2015年01月14日