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こんにちは、阿久津です。いよいよMicrosoftは1月21日(米国時間)に「Windows 10 The next chapter」を開催し、Windows 10コンシューマープレビューとモバイル向けのWindows 10 for Phones(仮)を発表する見込みです。筆者もテスト用にWindows Phoneデバイスを用意しないと……と昨年末辺りから悩んできました。現行のLumiaシリーズはバックカバーにNOKIAロゴが残されており、Microsoftロゴに移行したのはLumia 535のみ。上位モデルのLumia 930はNOKIAロゴ採用のため、どうせなら3月のMobile World Congress 2015で発表されるであろう「Lumia 1330」まで待とうか思案中です(図01)。さて、Windows 10はUI(ユーザーインターフェース)にまつわるいくつかの改良が加わっており、過去の連載でも新機能を有効にするチューニングを紹介してきました。今週はサインイン画面に注目してみましょう。ビルド9879となるWindows 10テクニカルプレビューのサインイン画面はWindows 8.1と同じものですが、以下のチューニングを行うことで新たなサインイン画面を有効にできます(図02)。1. 管理者権限でRegistry Editorを起動します。2. Registry Editorが起動したら、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\ CurrentVersion\Authentication\LogonUI\TestHooksキーを開きます。3. DWORD値「Threshold」を開き、dataを「1」に変更します。4. Registry Editorを終了します。5. Windows 10テクニカルプレビューからサインアウトします。これでチューニングが完了しました(図03~07)。早速結果を確認してみましょう。サインイン画面には従来のロック画面の画像が表示されず、日時を示した半透明のロック画面が現れます。こちらをタッチ操作やマウスのドラッグ操作で上方向に動かすと、サインインするユーザーアカウントを選択する画面に切り替わりました(図08~09)。さらにユーザーアカウントを選択することで、Windows 10テクニカルプレビューへのサインインが可能になります。半透明のロック画面は日時の位置が微妙ですが、この辺りは今後のビルドで改善されることでしょう。なお、以前の状態に戻すには、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\ Authentication\LogonUI\TestHooksキーのDWORD値「Threshold」を開き、Dataを「0」に変更してください(図10)。それでは、また次号でお目にかかりましょう。阿久津良和(Cactus)
2015年01月14日LINEにGoogle+ハングアウトなどなど、インターネット上で電話機能を提供するアプリケーションやサービスが隆盛だ。携帯電話の音声通話を使う機会は減る一方で、筆者もSIMフリー版スマートフォンへ乗り換えた際に電話番号を破棄して、インターネット電話のみの環境にしたばかりだ。そして、中でも強い存在感を示しているのが「Skype」である。Microsoftは2011年にSkypeを買収し、現在は自社のサービスとして展開している。他のインターネット電話サービスと比べて、Skypeの存在感を際立たせているのが、リアルタイム翻訳を実現する機能「Skype Translator」だ。Windows 8.1ユーザーを対象にしたプレビュー版では、英語とスペイン語による相互通訳と40言語以上のIM(インスタントメッセージ)翻訳機能を備えている。YouTubeの動画では、メキシコと米国の小学校をSkypeでつなぎ、児童たちがリアルタイム翻訳を通じてコミュニケートしているのを見て取れる。本機能の背景には、Microsoftが音声認識や自動翻訳、機械学習技術へ10年以上も投資してきたという土台がある。そして、本レポートでも2012年に報告したように、リアルタイム翻訳の研究を続けてきたのがMicrosoft Researchである。2014年のWPC(Worldwide Partner Conference)で英語とドイツ語の同時通訳を行うデモンストレーションを披露したのは記憶に新しい。その足跡をたどれるのがMicrosoft ResearchのSpeech-to-speech milestonesである。機械翻訳のパイオニアに数えられるWarren Weaver氏が書いたメモ「Translation」や、IBMとジョージタウン大学が研究した英語/ロシア語の翻訳システムを紹介しつつ、同研究所とアルバータ大学の共同論文「Dependency Treelet Translation: Syntactically Informed Phrasal SMT」を発表したのが2005年。ちょうど10年前だ。ここから2007年に「Bing翻訳」のもととなるWindows Live Translatorベータ版を発表。2010年には、Microsoft Research Asiaが音声認識と機械翻訳を組み合わせた「The Translating! Telephone」をTechFest 2010で初披露した。こちらはSkype Translatorの原型といえるだろう。○精度向上と日本語対応に期待が集まるSkype Translatorの公式サイトにはプレビュー版の登録リンクが用意されている。筆者も公開直後から申し込んでいるが、今のところ招待状は届いていない。もっとも今、使用可能になっても筆者は英語もスペイン語も話せないため、宝の持ち腐れになってしまうだろう。現在Windowsストアでは、「Skype Translator preview」を公開している。誰でもインストール可能だが、未招待者アカウントでサインインを試みると、"Invitation Only"とはじかれてしまった。Skype Translatorでは、通話を始める際に「Translator」スイッチをオンにすると、通話相手の言語と入力する言語が選択可能になり、同時通訳/翻訳が有効になる仕組みのようだ。21世紀を迎えても街にリニアモーターカーは見かけず、チューブ型道路も実現していないが、世界中の誰とでも話せる"テレビ電話"は現実味を帯びてきたといよう。筆者が気になるのはSkype Translatorを実際に使用した際、どの程度の精度で翻訳されるかだ。冒頭の動画にしても各デモンストレーションにしても、すべてMicrosoftが用意したものであり、ユーザーが実際に使用したものではない。会話に関しても平素な単語を使っているように見受けられる。また現在のところ、文法が大きく異なる言語間の機械翻訳については、精度が高いとは言い切れない。だが、Skype Translatorは機械学習技術を併用しているため、使用するユーザーが増えることで学習量の増加と精度向上が期待できるという。だからこそ、初めてSkype Translatorに触れるユーザーを落胆させないだけの精度を備えた上で、パブリックベータもしくは公式リリースに至ることを期待したい。阿久津良和(Cactus)
2015年01月12日他社製品の買収から10年以上が経過し、すっかりMicrosoft自社製品の体を見せているセキュリティソフトの「Windows Defender」。Windows Vista時代はスパイウェア以外にも、ウイルスなどのマルウェア対策が可能になった「Microsoft Security Essentials」がリリースされた。現在のWindows 8.1は、マルウェア対策を統合したWindows Defenderを標準搭載している。今回はWindows Defender用定義ファイルの更新に関するTipsを紹介しよう。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○マルウェア対策のキホン「Windows Defender」Windows Defenderとは、ウイルスやスパイウェア、ルートキット(侵入経路などを管理者から隠匿するツール)、トロイの木馬(自己増殖機能のない侵入型攻撃ツール)などに代表されるマルウェアから、PCを保護する無償のセキュリティ対策ソフトウェアである。Windows 8以降はOSと完全統合し、ブートプロセス時のセキュリティ対策やPC負荷の軽減などいくつかの改良が加わった。なお、Windows 7などで動作する「Microsoft Security Essentials」とは異なり、コンテキストメニューからファイル/フォルダーのスキャン実行、スケジューリングの詳細設定が省かれている。ただし、パターンファイルとなるウイルス/スパイウェアの定義ファイルは同一だ。○定義ファイルの更新タイミングとはWindows Defenderの定義ファイルはWindows Update経由による自動更新、もしくは「更新」タブの「更新」ボタンから手動更新、という2つの方法が用意されている。昨今のセキュリティ更新プログラム導入時のトラブル発生を踏まえ、手動更新に切り替えた方も少なくないだろう。自動更新の場合、「ローカルグループポリシーエディター」を使うことで更新タイミングを変更可能だ。コンソールツリーの「コンピューターの構成\管理用テンプレート\Windowsコンポーネント\Windows Defender\スキャン」に並ぶ「定義の更新をチェックする間隔(時刻、曜日)を指定する」を編集すれば、Windows Updateとは異なるタイミングで更新される。ただし、ローカルグループポリシーエディターを使用できるのはWindows 8.1 Proに限られ、無印のWindows 8.1は使用できない。そこでコマンドラインからWindows Defenderを制御するTipsを紹介する。○コマンドラインから定義ファイルを更新するWindows Defenderは、「MpCmdRun.exe」という実行ファイルでコマンドラインからの操作を可能にしている。しかし、MpCmdRun.exeを格納する「%ProgramFiles%\Windows Defender」フォルダーにはパスが通っていないため、実行のたびにフルパスを入力しなければならない。この操作を手軽にするのが環境変数「Path」の設定だ。上記の手順を実行することで、コマンドプロンプトからは「MpCmdRun.exe」を実行するだけで使用可能になる(なお、大文字小文字は区別されず、拡張子も省略可能)。定義ファイルを更新するには、「-SignatureUpdate」オプションを使用すればよい。具体的には「MpCmdRun -SignatureUpdate」と実行する。この際エラーコード「0x80070652」が示されるが、これはWindows Updateに起因するため、定義ファイルの更新とは直接関係ない。ログファイル「%LOCALAPPDATA%\Temp\MpCmdRun.log」を確認すると、定義ファイルのインストールは正しく終えており、Windows Defenderの「更新」タブでも最新バージョンが適用されたことを確認できる。この続きは次回紹介しよう。阿久津良和(Cactus)
2015年01月09日●1月 - Windows 10コンシューマープレビューリリース新CEOが就任して大胆な方針転換を行ったMicrosoftは、どんな2015年を展開していくのだろうか。Windows 10を筆頭に新製品・新サービスのリリースを控えていることは確実である。そんな同社の動向を新年の座興として推測してみよう。○1月 - Windows 10コンシューマープレビューリリース既報のとおり、Microsoftは2015年1月21日(米国時間、以下同)にWindows 10に関するイベントを開催する。2014年9月の発表会と同じくOperating System Group担当EVPのTerry Myerson氏と、同グループCVPのJoe Belfiore氏が登壇予定。以前から注目を集めている音声アシスタントシステムの「Cortana」などWindows 10の新機能を紹介し、プレビュー版を公開するとみられている。また、PC以外のデバイス展開を発表するという情報もあり、そのひとつにXbox Oneが含まれる線も濃厚である。同イベントにおける登壇者にMicrosoft Studios担当CVPのPhil Spencer氏の名が連なっているからだ。Spencer氏は2014年12月上旬のツイートで、「Windows上のゲームについて話す時が来た」と述べている。Windows 10テクニカルプレビューのビルド9901に「Xbox」というWindowsストアアプリが存在することを踏まえると、何らかの新しい発表があってもおかしくないだろう。○1月 - Windows 7、Windows Server 2008/R2のサポート終了1月にはもうひとつ大きなイベントがある。それは1月13日をもって、Windows 7各エディションおよびWindows Server 2008/R2のメインストリームサポートが終了するというものだ。これにより、無償サポートライセンスやライセンスプログラム、仕様変更・新機能のリクエスト、セキュリティ関連を含まない修正プログラムの作成リクエストの受け付けが終わる。OSのサポートライフサイクルはService Pack(SP)の提供タイミングも考慮しなければならない。Windows 7は2020年1月14日を延長サポート終了日とし、SP提供日から24カ月間のサービスパックライフサイクルが適用される。だが、Windows 7 SP1はメインストリーム期間内の2011年2月9日に提供されており、今後SP2をリリースしない場合は2020年1月14日が"End of Win7"の日となる。○3月 - 7年ぶりの「WinHEC」開催!Microsoftは2015年3月にWinHEC(The Windows Hardware Engineering Conference)を開催すると発表した。Windows系ハードウェア開発者向けカンファレンスであるWinHECは、1992年から2008年まで開催されていたが、その後はPDC(Professional Developers Conference)とともにBuildに統合されていた。MicrosoftのOperating System Groupに属するSPiCE(Silicon, Peripheral and Component enablement)チームのMatt Perry氏は、「IT業界の技術革新は加速的に進んでいるため、ハードウェアエコシステムを中心としたワークショップを開催する」とWinHECの開催意義を説明している。WinHECではMyerson氏の基調講演も行われることから、1月のWindows 10に関する発表のフォローアップ、そしてBuild 2015につながるハードウェア系の情報が明らかにされそうだ。●4月 - Build 2015開催! 気になる発表内容は○4月 - Build 2015開催! 気になる発表内容は開発者向けカンファレンスである「Build」は4月29日~5月1日からサンフランシスコで開催される。昨年のBuild 2014では、"Windows for IoT"と出したIoT(Internet of Things)への取り組みや、クロスプラットフォーム戦略、各OSのアップデート内容などを披露した。Build 2015では、Windows 10に関する大々的な発表に加え、Visual Studio 2015のRTMを公開するだろう。Windows 10のマイルストーンによれば、コンシューマープレビュー版リリース後に開発者向けのSDKをリリースするとしていることから、Visual Studio 2015と足並みを揃えてくるはずだ。○5月 - 日本で2回目となる「de:code」を開催Microsoftの最新技術を詳しく知りたいなら国内開催の「de:code」も注目だ。技術系では「TechEd」も有名だが、国内では東日本大震災のあった2011年を最後に開催していない。そのため、米国で発表したBuildの内容とTechEdの良いところを統合したカンファレンスが国内開催のde:codeとなるわけだ。日本マイクロソフトの関係者によれば、近未来的な特色よりもIoTなど直近の技術を学ぶセッションを増やすそうだ。○7月 - Windows Server 2003サポート終了Windows Server 2003も7月15日でサポートが終了する。Windows 7とは異なり延長サポートフェーズが終了することから、日本マイクロソフトと延長契約を結ばない限り、脆弱性発覚時のセキュリティ更新プログラムや、バグを修正する修正プログラムが提供されることはない。そのため日本マイクロソフトも2014年から情報周知に努めてきた。オンプレミスサーバー用OSであるWindows Server 2003からの移行は、"End of XP"の時とは大きく異なる。運用環境によってMicrosoft Azureなどのクラウドサーバーにシフトするか、オンプレミスサーバーのままWindows Server 2012 R2へアップグレードするか、両者を併用するハイブリッドサーバーを運用するか、システム管理者としては頭の痛いとこだろう。●OfficeやSurfaceの動きは?○8月 - Windows 10がRTMに到達か!?本稿を執筆している2014年末時点では推測の域を超えない。だが、MicrosoftのCOOであるKevin Turner氏の「来年晩夏と初秋」という発言や、Windows Vista以降のリリースタイミングを参考にすれば、この時期に完成するのは確実だろう。Windows 8.1では日本独自機能として、日本マイクロソフトの開発チームが参加した"ヒーローアンサー"で検索するデータの選定や、日本語フォントの修正などを加えたが、Windows 10でも同様の変化が加わるとみるのが自然だ。たとえばIMEは2014年時点で、書はもちろん変換エンジンのブラッシュアップなど数多くの改善を加えている。UIなど外見的変化が加わるか不明だが、関係者は「より使いやすいものを目指す」と意気込みを語っていた。○OfficeやSurfaceの動きは?この他にも2015年は、次期「Office 16」や「Office for Android」の正式リリースや「Microsoft Security Essentials for XP」のパターンファイル配信終了が控えている。関係者は堅い口を開かないが、新デバイスを発表する可能性も高い。それがWindows Phoneの国内販売なのか次期Surface Pro、もしくはスケジュールキャンセルされたというSurface Miniなのか筆者も断言できないが、昨年に引き続き注目に値しそうだ。阿久津良和(Cactus)
2015年01月05日過去のレポートでも何度か登場したWindows FundamentalsチームのGabe Aul氏は、Windows 10テクニカルプレビューリリース以降、Microsoftのスピーカーとして務めている。公式ブログ「Blogging Windows」でも、ほぼ毎月Windows 10に関する進捗状況を公開してきた。また同氏のTwitterアカウントでは、テクニカルプレビューとセキュリティ更新プログラムの衝突問題など、数多くの情報を得ることができる。そこで今回はAul氏の記事からWindows 10の開発状況に関するレポートをお送りする。Aul氏は2014年12月17日(米国時間、以下同)掲載のブログ記事で、Windows Insider Program登録ユーザー数が150万人を突破したことを報告するとともに、新たな進捗状況を公開した。ビルド9888やビルド9901といったリーク版Windows 10の存在に触れつつも、10月のファーストリリース以降、初めて12月のアップデートをスキップしたことについて、「1月21日のリリースに向けて、コードの安定化や統合問題の修正、新たなUX(ユーザーエクスペリエンス)のブラッシュアップを実現するためのハードワークに努めている」と現状を説明している。この状況で気になるキーワードが「FBL_AWESOME」だ。Aul氏は「毎日(デイリービルドに相当するWindowsへ)各コードをチェックインし、開発を続けている。我々は(このビルドを)"FBL_AWESOME"と名付けた」と説明している。FBLという略称の意味は確認できなかったが、Microsoftは以前からパートナー向けビルドに同名を用いてきた。光ケーブルを用いて航空機の飛行制御を行うFly-by-light辺りを引用し、一時的なリリースを意味するのだろう。そしてAWESOMEは「素晴らしい」などを意味する俗語。つまり、現時点で開発チームはWindows 10に自信を持っているのだろう。冒頭で述べたようにWindows 10テクニカルプレビューを使用するために加わる「Windows Insider Program」への参加者は150万人を超えているが、その中でも約3分の1にあたる45万人は非常にアクティブなユーザーだという。過去のプレビュープログラムと比較したのが下図に示したグラフだ。Windows 7ベータ、Windows 8デベロッパープレビュー、Windows 8.1ベータ、Windows 10テクニカルプレビュー4つの使用率を比較したもので、横軸はデバイス使用率、縦軸は1日あたりの使用時間を示している。Windows 8.1ベータはもっとも低い数値を示しているものの、Windows 10テクニカルプレビューは4つの中でも好成績を収めていることから、使用頻度の高いPCにインストールしているユーザーが多いことがわかるだろう。これらの情報分析にはクラッシュログに代表される自動レポート送信機能や、Windows Feedbackによる手動送信情報を用いているが、Aul氏は「トリッキーなバグを捕まえられる。希な例ではエクスプローラーのOneDriveアイコンが、Outlookアイコンと置き換わってしまうバグも見付けた」と語っている。Microsoftは過去のベータ版OSでもWindows Feedbackを用意してきたが、パブリックなプレビュープログラムにおいてはフィードバックの数も段違いなのだろうさらに最初のパブリックプレビュー版となるビルド9841から、10月のビルド9860、11月の9879の3ビルドをもとに、一意的なレポート(フィードバック/バグ報告)数をグラフで示している。ビルド9841を例にあげれば、1,000を超えるレポートをMicrosoftは受け取り、そのうち800近くのバグやミスを修正した。3ビルドを合計すると修正点は1,300を超えたそうだ。ただし、レポートの中にはUX改善といったバグ以外の報告も少なくない。例えば「エクスプローラー起動時に最初に開くフォルダーを選択するオプション」のリクエストが多かったという。その他にもエクスプローラーの「Home」に加わった参照ファイル/フォルダーの列挙を無効にする機能の有無、アニメーション効果の有無なども含まれるが、Aul氏は「公開するタイミングを待っている」と述べるにとどまっている。最終的な判断結果は2015年1月のコンシューマープレビューで明かされそうだ。筆者はまだ経験していないが、Windows 10テクニカルプレビューでも、BSoD(BlueScreen of Death)が発生する報告例を、ユーザーモードとカーネルモードに分けてグラフで示している。多発しているのはビルド9879にパッチを当てた環境だそうだ。横軸の説明がないため詳細は不明だが、ユーザーモードは最大で9パーセント程度、カーネルモードは最大で32%程度に達している。Aul氏は比較的高いBSoD発生率についてユーザーに詫びつつも感謝し、「Windows 10リリース時は岩のように固くなる」と高い完成度を目指すことを表明した。Windows 10テクニカルプレビューは、エクスプローラーに潜んだバグが原因でGDIリークやクラッシュを引き起こしているが、この問題を解決する更新プログラムが12月18日にリリースした「KB3025380」だ。このタイミングはFBL_AWESOME以降の更新プログラムにあたり、Windows 10コンシューマープレビューに至るまでも多くの改善が加わっている。Windows 10テクニカルプレビューは表示言語も英語に限られるため、コンシューマーユーザーが常用するには少々厳しかった。しかし、Aul氏が見せる自信やバグフィックスの状況を鑑みると、あと1月足らずで登場するであろう次のプレビュー版は、トラブル解決のスキルを持つユーザーであれば、既存のWindows 7やWindows 8.1 Updateから移行対象となりそうだ。阿久津良和(Cactus)
2014年12月31日Windows 8.1が備えるモダンUIベースの設定機能「PC設定」は、マウスポインタもしくは矢印キーの使用を強いられる。コマンドラインから各種項目を呼び出せれば、Windows 8.1の操作性はさらに向上するはずだ。今回は「PC設定」をコマンドラインから呼び出す方法を紹介する。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○「PC設定」を実行するコマンドとは「PC設定」を使うには、設定チャームバーの「設定」をクリック/タップするか、直接設定チャームを呼び出して「PC設定の変更」をクリック/タップする必要がある。モダンUI(ユーザーインタフェース)の設計上、キーボードで使いにくいのはしかたないところだ。だが、ちょっとした操作で「PC設定」を呼び出せることが分かった。それが下記のコマンドである。explorer.exe shell:AppsFolder\Windows.ImmersiveControlPanel_cw5n1h2txyewy!microsoft.windows.immersivecontrolpanel詳しい方なら分かると思うが、Explorer.exeからShellスキームを利用して、Applicationsフォルダーの「PC設定」を呼び出すというものだ。explorer.exe shell:AppsFolder\Windows.ImmersiveControlPanel_cw5n1h2txyewy!microsoft.windows.immersivecontrolpanel○ショートカットファイルを作成する上図のように「ファイル名を指定して実行」やコマンドプロンプトから起動できるが、正直なところ筆者も空(そら)でこのコマンドタイプするのは難しい。そこで利用したいのがショートカットファイルである。explorer.exe shell:AppsFolder\Windows.ImmersiveControlPanel_cw5n1h2txyewy!microsoft.windows.immersivecontrolpanel先のコマンドを元にショートカットファイルを作成すれば、容易に「PC設定」を呼び出すことが可能になる。ショートカットファイルにショートカットキーを割り当てる方法もあるが、筆者がおすすめしたいのは、タスクバーへのピン留めだ。このようにショートカットファイルをピン留めすれば、「Win」+数字キーを使ったショートカットキーが利用可能になるため、設定チャームを経由するより簡単に呼び出せるだろう。実はPC設定の項目も同様にコマンドラインから呼び出せるのだが、そちらについてはまた機会を見て紹介する。阿久津良和(Cactus)
2014年12月27日Windows 8.1には、システムファイルなどを再インストールする「PCのリフレッシュ」や、すべての状態を出荷状態に戻す「Windowsの再インストール」といった機能がある。だが、特に自作PCの場合、システム全体をリセットするには「クリーンインストール」のほうが気持ちいい。そこでMicrosoftが先ほどリリースした「Windowsインストールメディア作成ツール」の使い方を紹介する。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○Windowsインストールメディア作成ツールまずはWebブラウザーで、マイクロソフトのWebサイト「Windows 8.1用のインストールメディアを作成する」にアクセスする。説明を読むと分かるように、Windows 8.1インストールメディアをISO形式でDVD-ROMやUSBメモリーに展開可能にする、「Windowsインストールメディア作成ツール」を入手可能だ。Internet Explorerなどの場合「メディアの作成」ボタンを押すと現れる情報バーの「実行」ボタンをクリック/タップすればよい。なお、システム要件はWindows 8.1のそれに準ずるが、完成するセットアップメディアは4GBほどになるため、ローカルディスクにもそれ以上の空き容量が必要だ。事前に確保するなど準備してから始めてほしい。さて、先の手順で自動実行した「mediacreationtool.exe」が起動すると、最初に「インストールファイルの種類」選択がうながされる。次はインストールメディアの選択だが、光学ドライブを備えていないタブレットなどはUSBメモリー、通常のPCであればISOファイルを選択するとよい。ここでは利用性の高さを踏まえてUSBメモリーを選択しよう。今回はUSBメモリーを対象にWindows 8.1インストールメディアを作成したため、ダウンロード後も30分程度の時間を要したが、この辺りはお使いのPCやUSBメモリーのアクセススピードによって異なる。下図のように「~準備ができました」というメッセージが現れれば作業完了だ。なお、上図の画面にある「次の作業」を選択すると現れるのは、「作成したメディアからブートしてパーティションにインストールする」というWebページである。誤ってWindowsインストールメディア作成ツールを閉じてしまった際はご覧頂きたい。○「Windowsインストールメディア作成ツール」の仕組み前述の操作方法でWindows 8.1のセットアップメディアの作成は完了した。ロジックを簡単に説明しておこう。「mediacreationtool.exe」を実行すると、自身を「%TEMP%{GUID}\MediaCreationToolExpanded」フォルダーに展開し、「%LOCALAPPDATA%\Microsoft\WindowsInstallationMediaCreationTool\Panther」に設定ファイルやログを出力しつつ、Windows 8.1のイメージ展開を実行する仕組みだ。肝心のデータは「%TEMP%{GUID}\MediaCreationToolExpanded\WindowsInstallationMediaCreationTool\Download」フォルダーに暗号化した状態でダウンロードし、「%HOMEDRIVE%\ESD\Windows」フォルダーに復号およびイメージ展開が行われる。そしてISO形式ファイルの作成や、USBメモリーへ書き込まれる、というのが大まかな流れである。Windows 8.1インストールメディアの不要ファイルはすべて削除されるが、ツール本体である「%TEMP%{GUID}\MediaCreationToolExpanded」フォルダーの内容や、「%LOCALAPPDATA%\Microsoft\WindowsInstallationMediaCreationTool\Panther」はそのままだ。前者は一時フォルダー以下にあるため、システムメンテナンスなどで自動削除される。後者は、ログファイルを参照する機会がないのであれば、「WindowsInstallationMediaCreationTool」フォルダー下を削除しても構わない。阿久津良和(Cactus)
2014年12月26日日本マイクロソフトは12月16日、日本国内のデータセンターから法人向けOffice 365の提供を開始すると発表した。Microsoftは世界各国にデータセンターを展開しており、現在80拠点以上を数えるという。我々コンシューマーから見れば、データセンターの設置場所は国内外を意識するものではない。だが、日本マイクロソフト執行役専務エンタープライズビジネス担当の小原琢哉氏は、「官公庁や金融機関など、国内でデータを保持しなければならない法人向けの選択肢が拡大する」と、国内データセンターを活用するメリットをアピールした。ここでデータセンターの役割を思い返してみたい。そもそもデータセンターとは各種コンピューターを設置する施設を指す。我々が何気なくアクセスしているWebサーバーや、企業データを保持するファイルサーバーなどを運用するコンピューターがラックに設置されている。さらに身近なところでは、OneDriveのようなオンラインストレージの格納スペースもデータセンターを利用している。現在Microsoftはデータセンターを自社建設するパターンと、各地域パートナーの借り受けるパターンの2通りで運用してきた。2014年2月から運用を開始した日本データセンター(東日本リージョン/西日本リージョン)は後者のパターンだと、日本マイクロソフト業務執行役員 プラットフォーム戦略本部長の越川慎司氏は説明する。Microsoftは各国にデータセンターを開設するにあたり、Microsoft AzureやOffice 365を開発・管理する製品グループのビジネス部門が、どの地域に需要があるかをあらかじめ調査。その結果を、どの地域に設備を設置すればよいか判断する設備部門「GFS(Global Foundation Services)」の総合的結論でデータセンターの設置に至るという。GFSの役割は多岐にわたる。現在Microsoftはビジネス&コンシューマー向けサービスとして200を超えるクラウドサービスを展開中だが、そのインフラはもちろん、10万人以上のMicrosoft社員用のインフラを支えるのも役割のひとつ。その他にもデータセンターの建物やラックのデザインを担当する部門、ストレージ容量を総合的に管理する部門、ソフトウェアライセンスを発行するMOC(Microsoft Operation Center)、料金設定やセキュリティ、法令遵守もGFSの仕事だ。面白いのは自動化ツールを用いて各データセンターやサーバーの状態を監視する部門である。ここで運用していたツールをもとに同社の「System Center」が生まれたという。そして、なぜ日本にデータセンターを設置したか、という質問に対して越川氏は次のように説明した。第一に顧客需要とMicrosoftによる潤沢な投資能力、次に日本が太平洋を中心としたアジアのハブに位置している点。そして、自然災害に耐えうるデータセンター運用が可能になった点だという。さらにその背景には興味深い話があった。日本マイクロソフトがデータセンターを設しようとした際、米国のビジネス部門は色よい返事を出したが、GFSは先の東日本大震災など自然災害が多いことを理由に回答を渋っていたという。結果的に設置まで3年半の月日を要したが、一気に改善したのが、CEOにSatya Nadella氏が就任したタイミングだ。彼がサーバー部門の責任者であったことは有名ながらも、GFSの責任者であったことはあまり知られていない。同氏のリスクを取ってもコミットする姿勢が、日本リージョンの設立に一役買ったことになる。この他にも日本リージョンに増設する施設の模型をもとに、データセンター全体の構造について説明が行われた。東日本に増設したデータセンターは、積層ゴムと呼ばれる"ゴムの柱"で支えて地上から浮いた構造になっているそうだ。地上からの震動をビルに伝えない構造になっているという。さらにオイルダンパーなど免震用システムを組み合わせ、ビル全体の"揺れ"を大幅に軽減。ちょうど東日本大震災時は今回増設したビル内で工事中だったが、現場の関係者は地震発生に気付かなかったそうだ。仮にビル自体が半壊しても地下50メートルに設置した耐震通信トンネルを経由して、国内の別リージョンへデータを移すことが可能。また、ユーザーが許可を出せば緊急対応として海外リージョンへ逃がす選択肢もあるという。さらに緊急時に自動復旧などを可能にするレジリエントネットワークも強化し、Microsoft Azure機械学習をベースにしたモニタリングシステムと組み合わせて、トラブルが発生する前に機材を入れ替えるシステムの導入を予定している。越川氏は「我々は東日本大震災に関するデータを持っているからこそ、自然災害が多い日本でのデータセンター運用を可能にしている」と自社データセンターのシステムに自信をみせていた。以上、今後のIT社会・ネットワーク社会において重要な役割を担うデータセンターの現状を認識する一助として報告したい。阿久津良和(Cactus)
2014年12月22日Windowsアプリケーションの多くは「メニューバー」と呼ばれるGUIパーツを備えてきた。一部のアプリケーションは現在でもメニューバーを多用する操作性なので、当たり前のような存在に感じる方も少なくないだろう。今週はWindows 8.1で部分的に登場するメニューバーに関する情報やTipsを紹介する。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○メニューバーとはメニューバーの歴史を紐(ひも)解くと、DOS以前……いや、パロアルト研究所の「Alto」までさかのぼる。使い慣れた存在のメニューバーも、Windows 8.1のエクスプローラーなどには、メニューバーと呼ばれる部分が存在しない。厳密に述べればリボンの上部に並ぶ「ファイル」タブ、「ホーム」タブもメニューバーの1種と言えるかもしれないが、プルダウンメニューが現れない以上、似て非なる存在だ。○一貫性がないメニューバーの動作「リボン上部のパーツはメニューバーではない」と述べたが、メニューバーの定義が「メニューからアクションを選択する」というモノであれば、メニューバーもタブから呼び出す仕組みも同じである。だが、「表示」や「管理」といったタブはリボンのボタンが並ぶパネルが現れるものの、「ファイル」タブを選択した場合は従来のプルダウンメニューが現れる。そこに一貫性がないため、ユーザーの混乱を招くことになるのだ。さて、「新しいウィンドウを開く」ひとつとっても、そのままクリック/タップすれば文字どおりのアクションを実行し、三角のボタンをたどればサブメニューが現れるほうが効率的だ。UX(ユーザーエクスペリエンス)デザインの観点から見れば柔軟な姿勢は必要ながらも、同じパーツで結果が異なることに違和感を覚えるのは筆者だけではないだろう。また、「Alt」キーには非表示のメニューバーを呼び出すという伝統的な役割が備わっているが、リボンを採用したアプリケーション(エクスプローラーやペイントなど)は、リボンアクションを呼び出すショートカットキーを示す仕組みに変わっている。これもWindows 7以前のユーザーが混乱する一因だ。○ここでは使えるメニューバーWindows 8.1でメニューバーは完全排除されたのかと言えば、答えは否である。リボンを組み込んでいない各所にメニューバーは残されているのだ。さらに、Windows 7まであったツールバーは機能的にリボンと衝突するため、Windows 8.1は「リボンのみ」か「メニュー&ツールバー」と新旧が入り乱れた状態となる。この混乱を招くメニューバーは、「フォルダーオプション」ダイアログの「表示」タブに並ぶ「常にメニューを表示する」を有効にすることで、常に表示することが可能だ。Windowsの操作に不慣れなユーザーに実行できるアクションを明示するという意味で有効なTipsとなるだろう。阿久津良和(Cactus)
2014年12月19日こんにちは、阿久津です。本誌でも既報のとおり、Microsoftはコンシューマー向けWindows 10の記者発表会を2015年1月21日(現地時間)に開催することを発表しました。当日は内容をストリーミングで公開する予定だとか(図01)。発表会では新しいWindows 10テクニカルプレビューや、「Windows 10 mobile SKU(Windows PhoneとWindows RTを融合したエディション)」を披露するという噂も流れていますが、その片鱗をうかがえるのが先頃リークしたビルド9901です。とある機会を得て目にしたところ、第319回で紹介したタスクバーの検索ボックスが既定で有効になっていました。さらに海外のリーク版スクリーンショットを目にしますと、音声アシスタントシステム「Cortana」を呼び出しているものもあります。しかし、筆者が仮想マシン上で試したところ、デバイスドライバー周りをうまく制御できないためか、テキストボックスへの入力はできませんでした。さて、Windows 8から加わった「トースト通知」は、既存のバルーン通知などに換わる存在のため、後から参照する仕組みを用意していませんでした。他方で各スマートフォン向けOSは同様の通知機能を備えています。そのため、Windows 10はWindows Phone 8.1の通知機能を移植した「Notifications Center」が加わりました(図02~03)。しかし、Windows 10テクニカルプレビューを使っていて不思議に感じるのが、トースト通知の現れる場所です。アプリケーションによってデスクトップの右下や右上に現れるので、当初はアプリケーション側でコントロールするものと思い込んでいましたが、どうやら違うようです(このあたりはWindows 10用SDKとドキュメントがリリースされれば解決するのですが……)。この表示位置に関しては、レジストリ上で制御できることがわかりましたので、今週もWindows 10テクニカルプレビュー(ビルド 9879)を対象に、トースト通知の場所をコントロールするチューニングをお送りしましょう。1. 管理者権限でRegistry Editorを起動します。2. Registry Editorが起動したら、HEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorerキーを開きます。3. DWORD値「DisplayToastAtBottom」を開き、データを「1」に変更します。4. Registry Editorを終了します。5. Explorerを再起動します。これでチューニングが完了しました(図04~10)。それでは結果を確認してみましょう。トースト通知が必ず現れるアクション(USBメモリーの接続など)を実行してください。するとチューニング前は画面右上に現れていたトースト通知が、右下に現れるようになりました(図11~12)。このようにDWORD値「DisplayToastAtBottom」のデータが「0」の場合は、Windows 8.1と同じく画面右上にトースト通知を表示し、データが「1」の場合は右下に表示する仕組みです。冒頭で述べた新しいテクニカルプレビューでも利用できるか保証できませんが、Windows 10を常用しているものの、トースト通知の場所に違和感を覚えている方はお試しください。それでは、また次号でお目にかかりましょう。阿久津良和(Cactus)
2014年12月18日ネット上にWindows 10 ビルド9888がリークされた。流出経路などは不明だが、目にした限りでは開発途中に登場するフェイクではなく、Microsoftがビルドした正規版のようだ。11月にリリースしたビルド9879と比べて、一目でわかるような変化は加わっていない。だが、各所を眺めていくと、わずかながら更新された部分が確認できた。まずはアニメーション効果。ビルド9879で一度削除したウィンドウ描画時のアニメーション効果が復活している。Windows FundamentalsチームのGabe Aul氏はビルド9879における変更点として、「不評だったため(アニメーション効果を)軽減した」と述べていた。だが、異議を唱えるフィードバックが増えたのか、Microsoft内部で意見が分かれたのかは不明だが、本ビルドでは復活している。Task Manager(タスクマネージャー)を眺めていて気付いたのは、<Processes<タブのアプリケーション名において、32bitか64bitかを示す文字列を変更した点だ。「32bit」と表記していたの部分を「WoW」に置き換えている。そもそも64bit版Windowsは、Win32アプリケーションを実行する際に、WOW64(Windows 32-bit On Windows 64-bit)システムを利用している。今回の変更は32ビットのOSやアプリケーションを過去のものとする時期にきたことを意味するのだろう。Windows 10では、settings(PC設定)と異なるモダンUIベースの設定ツール、通称「zPC」を用意すると言われていたが、ビルド9888では両者を融合している。そして新たに検索ボックスを追加した。残念ながら検索ボックスに入力したキーワードは、検索チャームを用いるため意味をなしていない。もちろんこのままリリースするとは考えにくく、settings内で設定項目を絞り込み表示するような仕組みを実装するのではないだろうか。そして、各所で報じられたようにカーネルバージョンを「10」に変更しており、「ver」コマンドによる結果は「10.0.9888」だった。2015年1月に新たなビルドのリリースを予定していることを踏まえると、2014年内にビルド9879以降の新しいアップデートをリリースする可能性は乏しいだろう。さて、前回のレポートで「Windows 10のリリースタイミングが早まる」と予測したが、MicrosoftのCOO(最高執行責任者)であるKevin Turner氏の発言によれば、「来年晩夏と初秋」を予定しているという。通常であれば「と」ではなく「から」という表現になるが、Neowinをはじめとする海外報道では、「late summer and early fall」と"and"を使っている。ここでWindows 8のリリースタイミングを思い出してほしい。RTM(Release To Manufacturing version)に達したのは2012年8月1日(以下、すべて現地時間)、一般リリース日は同年10月26日だ。さらにWindows 7はRTMが2009年7月22日。一般リリース日は同年10月22日である。とすると晩夏にRTM、初秋に一般リリースとこれまでと変わりないリリースタイミングとなる可能性が強まってきたのだ。さらにCredit Suisse Technology ConferenceでTurner氏は「Windows 10の価格体制を発表しておらず、(集客効果を狙った価格設定を行う)特売品になります」「関連するサービスで新たなビジネスモデルへ移行します」と発言している。つまり以前から噂されていたWindows 10の無料化、もしくは無料アップグレードという可能性がさらに強まったのである。すでにOS自体が収益向上に適したソフトウェアではなく、その上で動作するアプリケーションやサービスで稼ぐというビジネスモデルが浸透しつつある。Microsoftがこの方向に進むという声がプラットホームやサービス担当役員ではなく、業務執行を統括するCOOが発したのは重要なポイントと言えるだろう。すでにMicrosoftの中心にWindowsはなく、Microsoft AzureやSurfaceと同列の存在になりつつある。近年の同社がアピールする「デジタルワーク&デジタルライフ」を見てもそれは明らかだ。2015年晩夏と初秋に登場するWindows 10が、現在のシェアをさらに押し上げるか否かは、OSの完成度やMicrosoftの体制が大きく影響するため、その時が訪れなければわからない。ただ、他のサービスや製品と同列に並んでも、ベースとなるWindows 10の成否が同社の鍵を握っている。阿久津良和(Cactus)
2014年12月15日●女子中高生がプログラムを学ぶ意味とは○IT技術者が世界レベルで足りない独立行政法人IPA(情報処理推進機構)が2014年4月に発表した「IT人材白書」によれば、人材が不足していると回答した企業は2009年度調査の48.8パーセントから、2013年度の82.2パーセントと急増している。もちろん、この数字を俎上(そじょう)に載せても意味がない。背景には、IT技術者のキャリアコースや、受注した案件をそのまま下請けに出す企業体質など、多くの弊害要素があるからだ。それでも、IT技術者が足りないという問題は、目の前で起きている現象である。しかも世界レベルでだ。このような事情から2013年には、米国内の学校にコンピューターサイエンス教育の実施を目指す非営利団体「Code.org」が立ち上がった。Microsoft創業者兼テクノロジアドバイザーのBill Gates氏らは活動に賛同し、協力している。そのCode.orgは、12月8日から14日(米国時間)の間、世界中の子どもたちにコードを書く(プログラミングをする)体験を提供する、「Hour of Code(コーディングを学ぶ時間)」キャンペーンを開催中だ。既に180以上の国から1億人以上が参加し、Microsoft現CEO(最高経営責任者)のSatya Nadella氏も活動に参加している。米国のMicrosoft本社と歩みをそろえる日本マイクロソフトもHour of Codeキャンペーンの一環として、日本マイクロソフト社員などが講師役としてプログラミングの楽しさを教えるイベントを開催中だ。ここでは、2014年12月12日に東京都の戸板女子中学校・高等学校で行われた学生向けプログラミング講座の内容を紹介する。○女子中高生がプログラムを学ぶ意味とは今回のイベントに参加したのは、私立戸板中学校・女子高等学校(以下、戸板校)の中学3年生から高校2年生の36名。参加者を募ると最後は抽選になるほど、生徒の興味は高かったと、同校で情報科を教える斉藤春香氏は説明する。また、司会進行を担当したのは、日本マイクロソフトとともにプログラミング講座を開催したライフイズテック取締役の讃井康智氏だ。生徒が教室に集まると、Microsoftが2011年に作成した動画「Productiviry Future Vision」を各PCで再生し始めた。動画の内容はリンク先のYouTubeでご覧頂きたいが、簡単に説明するとMicrosoftが提唱する未来のデバイス利用シーンを映像化したもの。当初は教室のあちらこちらから生徒の声が聞こえてきたが、映像が進むごとに視線と意識がPCに集中。彼女たちはいわゆるデジタルネイティブ世代だからこそ、映像の中の世界をリアルな"近未来"に感じたのだろう。さらに続けて「The Hour of Code is Here」を各PCで再生した。こちらは前述のCode.orgが作成した動画だ。Bill Gates氏や米国大統領など各界著名人が、世界中の小中高学生にプログラミングの楽しさを伝えるという、今回のお題をそのまま映像化したものだ。讃井氏は「この映像には、ITに関する大きな変化が込められている」と述べ、前者の映像にはITの進化を表していると解説した。手に持ったiPhoneを見せながら「iPhoneがリリースされてから7年、先の絵像には約7年後(2020年)の未来が描かれている」と語る。さらに後者の映像については「誰もが"ITを作る側"に回れる時代がそこまで来ている」と、今回の講座を開催する意義を生徒に説明した。講座開始に先立って登壇したマイクロソフトディベロップメント 代表取締役社長 兼 日本マイクロソフト 業務執行役員 最高技術責任者の加治佐俊一氏も、「自分で作ったアプリケーションを世界中で使ってもらうような時代は目前。グローバル化した社会でチャンスにつなげるためのスキルを身につけてほしい」と、生徒たちに語りかけた。続けてIT業界の転換期についても説明し、「今後も大きく変化する可能性がある。だからこそプログラミングを通じて理論的な思考を身につけてほしい」と、今回のプログラミング講座を受講する意義を生徒に優しく説明していた。●ゲームでアルゴリズムを学ぶ○ゲームでアルゴリズムを学ぶ生徒の一部は、プログラミングの基本となる論理的思考(アルゴリズム)をゲーム感覚で習得する、課題解決型ゲーム「アルゴロジック」を経験済みだという。それでも最初からコーディングを行うのは難しいため、スマートフォン向けゲーム「Angry Birds(アングリーバーズ)」をプレイ。もちろん同じゲームではない。プログラミングの基礎であるアルゴリズムを学ぶため、「前方に移動」「左に曲がる」「右に回転」といったアクションを事前に組み立てて、目的の結果を導き出すというものだ。ライフテックのメンバーや日本マイクロソフトの社員、戸板校の先生などがプログラミングを手助けしつつ、生徒のコーディングが始まった。基本的な操作は、アクションをコード部分にドラッグ&ドロップし、最後に実行ボタンを押すだけとシンプル。生徒たちは皆マウスを手に握りしめ、真剣にディスプレイを見つめていた。割当時間は30分程度だったが、会場からは10分ほどで次々とステージをクリアする生徒が続出。当初は目標を10ステージとしていたが、全20ステージをクリアする生徒も現れるほどだった。はじめはキャラクター移動だけのブロックを使っていれば済むものの、ステージを進めると繰り返し(for)や条件分岐(if)が登場し、アルゴリズムの基礎が自然と身につく形になっている。興味を持たれた方は、Code.orgのWebサイトを訪れて見て、生徒たちが体験したゲームをプレイしてほしい。プログラミングに成功すると、生徒たちから歓声が上がる。だが、陽気な声を上げた直後にそのままディスプレイを真剣に見つめている姿は、「解く楽しみ」を感じているようだった。そもそもプログラミングには、最初のお題目(要求分析)をもとに頭の中でパズルを組み立て(ソフトウェア設計)、実際にコードを記述する(コーディング)、その結果が正しく動作するか確認(テスト)という流れがある。今回の講座では、ドラッグ&ドロップ操作およびブロック選択がコーディング部分に相当する。力業でキャラクターをコントロールする生徒もいれば、条件分岐などを用いてアルゴリズムを正しく導く生徒もいた。讃井氏は「基礎的なプログラムは今回のように簡単な仕組みで動作する」と生徒に語り、さらに「友達と語り合いながら楽しんだように、実際のコーディングも楽しんでほしい」と講座を締めくくっていた。実際にプログラミングを体験した中学3年の高橋蕗さんと高校2年の岩﨑綾乃さんは、2人ともプログラミングの概要自体は理解しているという。岩﨑さんは大学に進学してもプログラミングにチャレンジしたいと語るものの、実際にスマートフォン向けアプリの開発経験を持つ友人を引き合いに出して、「世界が相手となると、(小さい頃からプログラムを勉強している子どもが多いため)経験面で厳しそう」と語っている。高橋さんも「自分が怖がらずにチャレンジすれば、誰でもプログラムできるの」と自信を見せつつも、世界を相手にするという話題になると「その自信を持てなさそう」と10代の素顔を見せた。●Visual Studio 2013を使った講座も第2部では、Windowsストアアプリを実際に開発するため、Visual Studio 2013を使った講座も開催。既存コードをコンパイルして実行するところから始まり、ボタンの作成やアクション変更、数値や変数を部分的に変更するといったコーディング方法も紹介した。やはり生徒たちは真剣なまなざしで講師の説明を聞きつつ、実際のコーディングにチャレンジしていたが、初めて触れるであろうVisual Studioの操作に迷う場面も少なくなかった。戸板校の学園長 大橋清貫氏は、「日本の教育は長きにわたって"受け身"の授業が多かった」と前置きし、今回のプログラミング講座を受けたことで「生徒が受け身ではなく、作る側、発信する側に立つことで、劇的な成果が生まれる」と感想を述べている。使い古された言い回しで恐縮だが、今回の取材でもっとも感じたのは、"IT教育の重要性"だ。冒頭でも述べたように世界レベルでプログラマー不足が叫ばれ、日本でも2013年6月発表の成長戦略で「プログラミング教育」という単語が踊っている。もちろん講座を受けた生徒が皆プログラマーを目指す必要はない。だが、教育の場を提供する大人の立場から見れば、学生の選択肢が広がることは喜ばしいの一言に尽きるはずだ。近年のMicrosoftおよび日本マイクロソフトは、「Microsoft Imagine」というブランドのもと、IT教育に注力している。IT企業である同社の裾野を広げるという意味合いもあるが、関係者も「将来プログラマーになならなくても構わない。ITビジネスや社会貢献につながればよい」と活動の意義を語っていた。今回の講座を受けた彼女たちが、日本のIT産業をけん引する一員となることを願いたい。阿久津良和(Cactus)
2014年12月13日Windows上で動作するソフトウェアは「プロセス」という単位で管理されている。詳細は割愛するが、プロセスをユーザーレベルで管理するのが「タスクマネージャー」だ。初期のWindowsから受け継がれてきたタスクマネージャーは、Windows 8からシステム状態を可視化する機能も備えた。今回はタスクマネージャーの見落としがちなTipsを紹介しよう。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○「タスクマネージャー」を起動するWindows 8.1の「タスクマネージャー」は、スタート画面にもアプリビューにも並んでいない。タスクマネージャーの起動方法はいくつもあり、下記に並べたのはその一例だ。このほか、「Ctrl」+「Shift」+「ESC」キーを押すことでも起動できる。カスタマイズ結果を反映させるために、エクスプローラーを終了させた後などは、こちらのショートカットキーが使いやすいだろう。○「タスクマネージャー」を詳細表示に切り替える通常ではあればタスクマネージャーは、下図のようにシンプルな状態(簡易表示)で起動するが、より詳細な情報を確認する場合は詳細表示に切り替えればよい。最初の「プロセス」タブは、ユーザーレベルで起動したアプリケーションが「アプリ」に並び、自動スタートアップやサービス、タスクスケジューラーなどから自動起動したプロセスは「バックグラウンドプロセス」に分類される。各列の項目をクリック/タップすることで、項目に即した並び替えが可能だ。分かりにくいのが「状態」だろう。理由はさまざまだが、ネットワーク上の存在しないリソースにアクセスした場合や、実行中のソフトウェアに不具合が生じている場合などに、「応答なし」と示される。アプリケーションのタイトルバーにも「応答なし」の記述が加わるので、過去に目にした方も多いだろう。その際は、タスクマネージャーから対象のプロセスを選択し、「タスクの終了」ボタンを押せばよい。少し異なるのは「エクスプローラー」のプロセスだ。エクスプローラーは、スタート画面やデスクトップなど各所を管理するプロセスのため、常に稼働していなければならない。よって、タスクマネージャーでエクスプローラーのプロセスを選択すると、前述した「タスクの終了」が「再開」へと変化し、ボタンの役割も強制終了から再起動に変化する。○システムの状態を視覚化する次は「パフォーマンス」タブに切り替えてほしい。こちらはCPUやメモリー、ネットワークといった、ハードウェアリソースの使用率を数値やグラフで示す機能だ。ここで左側に並ぶサマリー部分をダブルクリック/タップしてほしい。するとタスクマネージャーはタブや詳細情報などを非表示にし、シンプルな状態に切り替わる。こちらは「要約ビュー」という名称だ。さらに、サマリーの右クリックメニューから「グラフの非表示」を選択すれば、文字どおりグラフが表示されないため、数値だけを確認したいユーザーには見やすくなる。Windows 8以降はデスクトップガジェットが廃止されたため、その代わりに使うと便利ではないだろうか。阿久津良和(Cactus)
2014年12月13日ネットワークインフラの普及により、オンラインストレージの利便性も高まってきた。WindowsでもOneDriveをシームレスに使えるため、複数のWindowsデバイスを使っているユーザーはますます便利に感じているだろう。だが、後方互換性を重視する場面では、使いにくい部分も残っている。今回はOneDriveをドライブとして扱うTipsを紹介しよう。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○OneDriveフォルダーに対応できないケースとはWindows 8.1からOneDriveを重視する設定が増えてきた。その1つが、デスクトップアプリやWindowsストアアプリでファイルを保存する際の既定フォルダーである。従来はローカルのドキュメントフォルダーが用いられていたが、Windows 8.1の既定はOneDriveに変更された。多くのアプリケーションは問題なく動作するが、問題は一時的にデスクトップへ保存したファイルや、動作が異なる古いアプリケーションを使う場合である。また、コンテキストメニューの「新規作成」からファイルを作成した場合、ドキュメント/OneDriveフォルダーに移動する手間が発生しまうこともあるだろう。1つの対策として、OneDriveフォルダー(内にある任意のフォルダー)をショートカットファイルとして作成し、コンテキストメニューの「送る」に入れることもできる。だが、この場合のアクションは「移動」ではなく「コピー」になるため、ファイル管理が煩雑になってしまうはずだ。○OneDriveフォルダーをドライブとしてマッピングそこで思いつくのが、OneDriveのドキュメントフォルダーをドライブとしてマッピングする方法だ。今回は「subst.exe」コマンドを使用する。subst.exeコマンドは、パスを仮想ドライブとしてアクセスするため、DOS時代から引き継がれてきたコマンドの1つだ。コマンドの引数(コマンド名の後に記述するオプションやファイル名など)は、1つめに割り当てるドライブ名、2つめにパスを指定する。今回の例では、OneDriveのドキュメントフォルダーを「Xドライブ」にマッピングした。エクスプローラーで「PC」を開くと、そのXドライブを確認できるはずだ。なお、マッピングした仮想ドライブを削除するにはオプション「/d」を使用する。今回の例なら「subst x: /d」と実行すればよい。subst.exeでマッピングした仮想ドライブは、PCを再起動すると解除されてしまう。さまざまな対処法があるのだが、今回はスタートアップフォルダーにバッチファイルを作成する方法を紹介する。以下、メモ帳で入力する内容(ドライブ名やパスは環境に合わせて変更してほしい。)@echo offsubst x: "C:\Users\kaz\SkyDrive\ドキュメント"なお、旧SkyDrive時代(OneDriveの前身)は、Web上のOneDriveをネットワークドライブとしてマッピングできたが、今回OneDriveで試したところ、正しく動作しなかった。阿久津良和(Cactus)
2014年12月12日さまざまな理由で人は過去の記憶が抜け落ち、ちょっとしたことが思い出せなくなる。「喉まで出かかっているのに…」「アレはなんて言うんだっけ?」と、言葉に詰まる場面に遭遇した経験を誰でもお持ちだろう。この「あと一歩」を解決してくれるのが、「ATOKナントカ変換サービス」である。ATOKナントカ変換サービスは現在、ジャストシステムの「ATOK Passport」ユーザー向けに提供するクラウドサービスの1つとして、2015年1月13日までの試用版を提供中だ。そこでさっそく試してみた。○クラウドサービスATOKナントカ変換サービスを利用するには、入力時に「なんとか」を先頭に付ければよい。例えば「○屋根」という単語を呼び出すには「なんとかやね」と入力すると自動的に推測候補が現れる。この時点で並ぶのは代表的な変換候補だが、さらに「Tab」キーを押せば省略していた候補も表示されるといった具合だ。このトリガーは「なんとか」に限らず、初期状態では「まるまる」や「?」も使用可能。ダイアログから最大5つまで追加できるため、既存のトリガーを削除して異なるトリガーを追加することもできる。ただし、既存のトリガーと重複するものは登録できないため、「??」を追加するには既存の「?」を削除すればよい。「なんとか」や「まるまる」は副詞や名詞として使われることが多いため、文章に出てくる機会が少ないトリガーに変更しておくと使いやすそうだ。実際に使ってみて便利に感じたのが、例えば名字が曖昧な作家名や、施設名を簡単に引ける点である。その一方で、各府省名を確認しようと「なんとかしょう」と入力してみると、その候補は400単語にもおよぶ。分母が大きいと使いにくい場面もある。また、トリガーは文字列中やサフィックス(接尾辞)としては動作せず、あくまでもプレフィックス(接頭辞)として指定しなければならない。そのため名詞の後半部分が思い出せない場合、ATOKナントカ変換サービスは使えない。あくまでも筆者の推測だが、この辺りはクラウド辞書構造の問題のため、今後対応するのではないだろうか。ATOKナントカ変換サービスは便利な機能だが、欠点もある。それは使用時にインターネット接続環境が必要な点だ。推測するに、トリガーに続けて文字を入力する際、クラウドサーバーにアクセスして変換候補をリストアップしてくるため、インターネットに接続していない状態では使用できない。最近はネットワークインフラが充実しているので大きな問題ではないかもしれないが、場面を選ぶ機能であることは確かだ。さて、家庭やオフィスのデスクトップPCなど、インターネット常時接続に問題がない環境における、ATOKナントカ変換サービスの価値を考えてみよう。冒頭で述べたように、単語が思い出せない場面に出くわすことは少なくない。その観点から見れば、ATOKナントカ変換サービスは、言葉を紡ぎ出すためのツールとして順当な機能強化と言える。既にATOK Passportユーザーは利用していると思われるが、現行バージョンである「ATOK 2014 for Windows」ユーザーや、2015年2月に発売する「一太郎2015」や「ATOK 2015 for Windows」といったパッケージを購入した場合、使用できるのは利用開始日から1年まで。その後も使い続けるには「ATOK Passport(税別286円/月、プレミアム版は税別476円/月)」に申し込まなければならない。さらに、ATOK 2014 for WindowsにはATOK Passportの1年間利用権が付属していたが、「ATOK 2015 for Windows プレミアム」には付属せず、「ATOKナントカ変換サービス」単独の1年間利用権が付属する形となる。現在、ATOK 2014を利用しているユーザーは、任意のタイミングでATOK Passportへ移行したほうが、最新のATOKを使い続けることができるため、お得なライセンス形態となる。ATOK Passportの概要は、ジャストシステムのWebサイトを参照いただきたい。このようにライセンス形態が複雑化し、ATOKをパッケージ単体で購入するメリットが薄れてきているのは、古い時代からのユーザーとして寂しくもある。とはいえ、ATOKナントカ変換サービスの試用版を使ってみて継続したいと感じたなら、ATOK 2015のリリース(2015年2月6日)を待つよりも、ATOK Passportへ移行したほうが色々な意味で快適かもしれない。阿久津良和(Cactus)
2014年12月09日Microsoftは12月1日(現地時間)、モバイルデバイス向けのメールアプリケーションをリリースしているAcompliを買収したことを発表した。国内ではあまり聞かないソフトウェアベンダーだが、複数のメールアカウント管理やメールの振り分け、カレンダーの管理、各オンラインストレージを1つのアプリケーションで操作できるという特徴を備えている。一見すれば何ら珍しい出来事ではない。2010年代を振り返っても2011年にはSkypeを85億ドルで、2013年にはNokiaの携帯端末事業を37億9000万ユーロで買収している。さらに振り返れば、ビジネスユーザーご愛用のPowerPointですら、1987年当時のForethoughtを買収して自社製品としたものだ。このようにMicrosoftが買収した企業・事業部門は100を超える。今回のポイントは"今さら"メールクライアントを買収した点だ。しかも創業2年にも満たない企業をである。このたびMicrosoftがAcompliを買収したのは、自社アプリケーションの開発が何らかの暗礁に乗り上げていたことが理由ではないだろうか。WordやExcelといったOfficeアプリケーションはすでにiOSやAndroid向けにリリース済み(Androidはプレビュー版)。だが、Outlookに相当するアプリケーションはいまだ噂にも上らない。MicrosoftはExchange ServerやOutlook.comといったメール製品・サービスをリリースしているが、モバイルデバイスからのアクセスは他社製アプリケーションに任せてきた。だが、定番のGmailはExchange Serverのサポートを2013年1月で終了し、見直しを求められていたものの、CEOの交代など社内事情により素早い判断を下せていない。そのため、Acompliを自社アプリケーションとして迎え入れるのは自然な流れともいえる。さらに、Acompliは既存の機能を取り下げるようなことはないという。つまり、Exchange ServerやOutlook.comはもちろん、GoogleやiCloud(Apple)など他社のサービスもサポートするということだ。以前のMicrosoftでは思いも寄らないような出来事だが、同社CEOであるSatya Nadella氏の戦略と照らし合わせれば不思議ではない。もう1つ狙いはメールビジネスの拡大ではないだろうか。個人ではSNSやIMによるコミュニケーションが主流になりつつあるが、ビジネスシーンはいまだメールを使うシーンが多い。MicrosoftはAcompliをモバイルデバイス向けメインクライアントに沿えることで、彼らビジネスユーザーの取り込みとExchange Serverをさらに押し上げるため意図があるのだろう。他方でGoogleがリリースした「Inbox by Gmail」のように、メールに対するアプローチが変化しつつある流れも見逃せない。同アプリケーションは、メールをTODOやリマインダーのように操作し、操作名称もDone(完了)やSnooze(保留)といったものに置き換わっている。このような変化はInbox by Gmailに限らない。Web版Gmailのカテゴリ表示やDropboxがリリースする「Mailbox」も似た機能を備えてきたが、Inbox by Gmailはさらに先を行く概念を盛り込んだメールクライアントである。ただ、新しい概念やUIが使いやすいか否かは別問題で、筆者もiOS上で1カ月ほど使ってみたが、現時点では以前のGmailクライアントに戻してしまった。このように変わるもの・変わらざるものを求めるユーザーへの回答として、MicrosoftがAcompliをどのようなアプリケーションに進化させるのか、実に興味深い。阿久津良和(Cactus)
2014年12月08日●組み込みシステム用OSでトップシェアを誇るTRONすべての"モノ"をインターネットにつなげるIoT(Internet of Things)はIT各社が注目し、2014年のキーワードに数えてもおかしくないほど認知度を高めた。そのIoTを実現する可能性の1つにTRON(トロン)プロジェクトがあるのをご存じだろうか。リアルタイムOSの仕様策定を核に、「どこでもコンピューター=ユビキタスコンピューティング環境」を目指しながら、1984年から坂村健氏を中心に続けてきたプロジェクトだ。今年で30周年を迎えるTRONプロジェクトを記念し、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所は、最新の成果を紹介する「TRON Symposium -TRONSHOW-」を、2014年12月10日~12日の期間で開催する(場所は東京ミッドタウンホール)。IoTプラットフォームとなる「T-Kernel」や「μT-Kernel」といった組み込みリアルタイムOS、IoTの基盤となるuIDアーキテクチャ2.0を中心としたユビキタスID技術などが披露されるという。技術協賛として、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)を迎えている。それに先立ちYRPユビキタス・ネットワーキング研究所は、都内で記者会見を開催した。坂村氏いわく「そろそろ東大も"お役御免"になりそうな歳」としながらも、相も変わらずパワフルな発言や、TRONプロジェクトの現状をレポートする。○組み込みシステム用OSでトップシェアを誇るTRONちょうど2014年12月で30周年を迎えるTRONプロジェクト。坂村氏は「感無量。世界を見回しても、ここまで続けたプロジェクトは数えるほどしかない」と、長き渡る月日を振り返りながらも、「日本のコンピューター技術は世界に通用するものが少なく情けない」と吠える。TRONの活躍する場は我々が意識していないだけで、実は身の回りに数多く存在する。有名なところでは、過日(2014年12月3日)に打ち上げ成功した小惑星探査機「はやぶさ2」の制御システム、デジタルカメラのファインダー制御部分などに用いられている。組み込みシステム向けのリアルタイムOSである「ITRON」は、世界的に見ても幅広く使われているのだ。しかし、今やTRONが表舞台に立つことは少ない。PCやスマートフォンのような派手さがなく、組み込み(エンベデッド)システムの世界でTRONは"ネジや釘"のような存在になるため、部品のように扱われてきたからだと坂村氏は語った。だが、この状況が変わりつつあるという。それがIoTやビッグデータという概念・ソリューションだ。"モノ"をインターネットにつないで情報を相互に制御する基盤として、我々が普段使っているWindowsやモバイルデバイス向けのOSは、あまりにも肥大しすぎている(Microsoftは組み込みデバイス向けOSとしてWindows Embeddedをリリースしている)。そこで、当初から組み込みデバイスを対象に設計したリアルタイムOSのITRONが、脚光を浴びることになったそうだ。その結果、これまでTRONプロジェクトを支援した組織や団体の数は、1,023(うち企業は910、学術組織は112)におよぶ。坂村氏は「今年のTRONSHOWで、協賛企業・団体の名前を読み上げようと思ったが、それだけでイベントが終わってしまうので諦めた」と笑いを誘った。また、T-Kernel(T-Engineプロジェクトで生まれた組み込みOSの一種)、および関連ソフトウェアの利用契約締結数も8,236を数える。これはあくまでもT-Engineフォーラムに申請があった数だけであり、坂村氏は「我々の知らないところで使われた例はカウントしていない」と述べる。締結組織の所属国数をカウントすると、世界76カ国で使われているそうだ。坂村氏が今注目しているのは、アフリカ大陸の国々に代表される工業製品の浸透途上国だという。「日本のiPhoneシェアは異常に高いが、世界的に見れば大半はAndroidを使っている。だが、工業製品の浸透途上国では高額なスマートフォンではなく、従来型のフィーチャーフォンが好まれる」(坂村氏)。コスト面の優位性を含め、国内でも多く使われてきたTRONを採用した安価なフィーチャーフォンを、新たに生産する企業が増えていることを明らかにした。●坂村氏、30年間を振り返る○坂村氏、30年間を振り返るここで坂村氏がTRONプロジェクト30周年を記念して、過去のプロジェクト成果物を次々と紹介した。坂村氏は電脳建築学の分野でも名を馳せているが、ここではIT関連に絞って取り上げたい。往年のPCユーザーとって懐かしいのは、やはり「BTRON」だろう。日本のIT産業が世界の流れに乗り遅れないため、新たなオープンアーキテクチャに基づくPCとして、1985年からBTRONの開発プロジェクトが始まっている。坂村氏は今だから語れるエピソードとして、BTRONを取り巻く当時の状況を語った。1986年、文部省(旧)と通商産業省(旧)が作った組織を通じて、BTRONアーキテクチャを"教育用PC"とする流れがあったものの、USTR(米国合衆国通商代表部)が外交貿易障害リストの候補にBTRONを加えた。新聞などで大きく報じられたため、覚えている方も少なくないだろう。「風評的な被害を受け、他国から日本は(BTRONを)やめろという空気が流れた。当時はMicrosoftの圧力だといわれたが、同社は(TRONプロジェクトの)協賛メンバーでもある」(坂村氏)と噂を完全否定。「大人げないため、ここでは語らないが、(発表会で配った雑誌「TRONWARE」を手に)ここで書いた」と述べた。その一文を引用しよう。「実は米国の企業ではなく日本人だということは後年分かったことだ。(中略)孫氏は(中略)TRONつぶしに動いたらしい」と記述している。これは1999年に刊行した大下英治著「孫正義 起業の若き獅子」を元にしたものだ。個人的には日本のIT産業を左右する存在だったBTRONが各方面から支持されていれば……と"たられば"話を頭に描いてしまう。ただ、やはり"たられば"ではあるが、BTRONが日本で発展したとしても、世界的にはいわゆる「ガラパゴス化」した可能性もある。物事には多くの視点があるので、結果としての現状を中立的に受け止めるべきだろう。続く成果物の紹介で「TRONCHIP」が登城すると、「当時からARMと同じことをやってきた。結果的に失敗したのは未来を先取りしすぎた」(坂村氏)と過去を振り返った。当時は大型コンピューターがまだ主流だったため、TRONCHIP上でCOBOLコンパイラをどのように開発すべきか、といったズレた意見が少なくなかったという。T-Engineプロジェクトについても「Raspberry Pi」と比較し、販売戦略の面で後塵を拝したことを認めていた。T-Engineのハードウェアは仕様に沿って各社が販売するため高額になってしまったが、Raspberry Piは数十ドル程度。「クラウドファンディングのように流動的な協力環境がある米国と、ネット時代に即した制度やシステムがない日本では難しい」(坂村氏)と、当時から現在に続くプロジェクトの苦労を改めて振り返っている。筆者には「日本でなければ(T-Engineはもっと)成功したかもしれない」という坂村氏の発言が印象的だった。いずれにせよ30年という長き月日を振り返ると、TRONプロジェクトはすべてにおいて「発表するのが早かった」のだろう。一足早く未来を先取りしても、妨害する人々や制度上の理由で苦難を強いられた例は枚挙にいとまがない。だが、坂村氏の発言は明るい。「ダメだといい続けると本当にダメになってしまう。だからこそ『次』を目指す活動が必要だ」、「プロプライエタリソフトウェアではなく、ソフトウェア開発者自身が社会に役立つことに価値を見いだせるソフトウェアソリューションを目指したい」と語っていた。そんな坂村氏を始めとする各プロジェクトチームは、TRONプロジェクト30周年を記念したWebサイト「TRON PROJECT 30th Anniversary」を公開し、2014年12月10日~12日、東京ミッドタウンホールで最新の成果を紹介する「2014 TRON Symposium」を開催する。坂村氏が目指すTRONの世界を知りたい方は、訪れてみてはいかがだろうか。阿久津良和(Cactus)
2014年12月07日ドワンゴとスタジオカラーが日本アニメーションの可能性を探るプロジェクト「日本アニメ(ーター)見本市」の第5弾作品『安彦良和・板野一郎原撮集』(構成・編集:庵野秀明)の本編が12月5日、公式サイトで公開された。『安彦良和・板野一郎原撮集』は、その名の通り、今年で放送開始から35周年を迎えた第1作『機動戦士ガンダム』において中核を担ったアニメーターの安彦良和氏、板野一郎氏の原撮集。両氏が手がけた『機動戦士ガンダム』の原画を、庵野氏が構成・編集し、原画と実際のアニメーションを比較する形で映像化している。庵野氏は兼ねてから、安彦氏、板野氏の原画の重要性、そして動撮の素晴らしさを説いており、2013年7月に行われた「機動戦士ガンダムの誕生とアニメーター安彦良和展」のトークショーにおいて「動撮という、アニメと違って色が乗ってない動画があるんですよ。これが素晴らしい。色をつけると迫力が半減するんです。動きとタイミングだけ、という必要な情報しかそこにないのが気持ちいい。線だけで構成されているものが気持ちいいとは普通わからない」と述懐。同年5月には、庵野氏自身が編集した『安彦良和アニメーション原画集 機動戦士ガンダム』も発売している。今回の『安彦良和・板野一郎原撮集』は、主に1981年より公開された『機動戦士ガンダム』の劇場版三部作の新作カットを中心に構成。原画と実際のアニメーションを比較するこれまでにない映像に仕上がり、両氏の原画のクオリティの高さを改めて示す同時に、劇伴も相俟って『機動戦士ガンダム』の軌跡を今一度追う作品となっている。劇場版三部作において安彦氏は、全カットにレイアウトとラフ原画を提供。その人肌を感じさせる柔らかな作画は、ガンダム人気をさらに押し上げた。そして、当時の制作現場では、まだルーキーだった板野氏が動画から原画に昇格。やがてメカ作画に革新をもたらす萌芽を示し始めていた。庵野氏は、この両氏の仕事に絶大な影響を受け、アニメーターとしての第一歩を踏み出すことになる。アニメーターからアニメーターへと受け継がれ、発展していった「原画」の力。本作は、その原点を「オリジナル原画を映像作品にする」ことによって確認し、アニメ業界にも多大なる影響を与えた両氏の功績を称えつつ、後世に「アニメーションのすばらしさ」として伝えるため、庵野氏が企画したという。また、12月8日22:00~23:00には動画サービス「ニコニコ生放送」にて「日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-」第5回が放送。庵野氏が出演し、『安彦良和・板野一郎原撮集』に込めた思いが語られるという。■「日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-」第5回放送日時:2014年12月8日(月)22:00~23:00(予定)番組URLはこちら出演者:庵野秀明「日本アニメ(ーター)見本市」は、『新世紀エヴァンゲリオン』などで知られる庵野秀明監督が代表を務めるアニメ製作会社・スタジオカラーとニコニコ動画を運営するドワンゴが共同で行う短編映像シリーズ企画。若い才能に"挑戦の場"を提供するべく立案されたもので、さまざまなアニメーターたちが決められた予算と時間の中でオムニバスアニメーション作品を自由に創作し、毎週金曜日に1話ずつ公開していく。作品は公式サイトおよび公式スマートフォンアプリにて無料で視聴できる。(C)創通・サンライズ
2014年12月05日Windows Me(2000年リリース)の時代から実装した「システムの復元」。一定のタイミングで保存したシステムファイルを復元し、以前の状態に戻す機能に助けられたユーザーは少なくない。この機能は改良を加えつつ、現在のWindows 8.1にも引き継がれている。今回は改めてシステムの復元の概要や復元ポイントの作成について紹介しよう。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○システムの復元機能とは?Winodws 8.1における「システムの復元」は、Windowsの動作に必要なシステムファイルを一定のタイミングで保存する機能だ。この保存したファイル群をまとめて「復元ポイント」と呼ぶ。何らかの理由でWindows 8.1の動作がおかしい場合や、PCが起動しなくなった場合、復元ポイントとして保存したシステムファイルを書き戻し、以前の状態に戻すというものだ。ポイントとなるのは、保存対象がシステムファイルに限られている点である。ここにはユーザーがインストールしたプログラムファイルやレジストリも対象に含まれるが、ドキュメントフォルダーなどに保存したユーザーファイル(文章や写真など)は対象外だ。そのため、システムの復元を実行してもユーザーファイルに対する影響は基本的に発生しないが、誤ってファイルを削除してしまった場合の救済策とはならない。○復元ポイントはいつ作られる?「システムの復元」機能を使う上で疑問を抱くのは、復元ポイントの作成タイミングだろう。基本的に以下に並べたタイミングで作成される。・自動(システムチェック)・Windowsバックアップ使用時・Windows Update実行時・特定のインストーラー使用時・復元ポイントでロールバック(復元)後・ユーザーが手動で作成この中で分かりにくいのは「自動」だろう。こちらはPCが10時間動作し、2分以上のアイドル状態が続いた際に復元ポイントが作成される。この条件を満たさない場合は、24時間経過後および2分以上のアイドル時に作成する仕組みだ。「Windowsバックアップ使用時」「Windows Update実行時」は文字どおり各機能を実行した際に復元ポイントを作成し、「特定のインストーラー使用時」は、MSI(Microsoft Software Installer)テクノロジーやInstallShield 6.1 Pro以降を用いたインストーラー使用時に復元ポイントを作成する。「復元ポイントでロールバック後」は、別の復元ポイントでロールバックした際に作成する復元ポイントだ。ただし、セーフモードでロールバックを実行した際はその限りではない。最後の「ユーザーが手動で作成」はユーザー自身が手動で作成する復元ポイントである。レジストリの編集やシステムファイルを対象にしたカスタマイズを行う際に作成すると安心だ。以下の操作で復元ポイントを作成しておこう。誌面が尽きてしまったので、この続きは次回お送りする。阿久津良和(Cactus)
2014年12月05日ドワンゴとスタジオカラーが日本アニメーションの可能性を探るプロジェクト「日本アニメ(ーター)見本市」の第5弾作品『安彦良和・板野一郎原撮集』(構成・編集:庵野秀明)の予告映像が公式サイトで公開された。『安彦良和・板野一郎原撮集』は、その名の通り、今年で放送開始から35周年を迎えた第1作『機動戦士ガンダム』において中核を担ったアニメーターの安彦良和氏、板野一郎氏の原撮集となる。安彦氏を師と仰ぐ板野氏は、"板野サーカス"と呼ばれる誘導ミサイルの変態的な軌道や機動メカの高速運動などの独自の演出手法を編み出したことで知られ、安彦氏は言わずと知れた『機動戦士ガンダム』 のキャラクターデザインおよび作画監督を担当したアニメ界の巨匠。両氏は例えば、2015年2月28日から全国13館にて2週間限定でイベント上映される『機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル』にも、共に名を連ねている。(総監督:安彦氏、演出:板野氏)今回の作品は、視聴者のみならず、現在のアニメ業界にも多大なる影響を与えた両氏の功績を称え、その原画を映像作品として後世に残すべく第5弾作品として企画されたという。公開された予告編は、一枚のキービジュアルに山寺宏一のナレーション、そして『機動戦士ガンダム』タイトルコールのBGMが流れるという、これまでの予告とは一線を画した構成に。本作の構成・編集は庵野秀明監督が担当し、制作はスタジオカラー、製作・著作はサンライズ。12月5日に本編の公開が予定されている。また、12月8日22:00~23:00には動画サービス「ニコニコ生放送」にて「日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-」第5回が放送。製作陣が『安彦良和・板野一郎原撮集』に込めた思いなどが語られるという。■「日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-」第5回放送日時:2014年12月8日(月)22:00~23:00(予定)番組URLはこちら番組内容:「安彦良和・板野一郎原撮集」について(C)創通・サンライズ
2014年12月01日Windows 10の周辺が賑やかになってきた。海外のIT系ニュースサイトThe Vergeは「Microsoftが2014年1月上旬に、Windows 10コンシューマープレビューのプレス向けイベントを計画している」と報じている。そもそも最初にWindows 10を発表した2014年10月時点で、OS担当EVP(エグゼクティブ・バイスプレジデント)のTerry Myerson氏は「2015年始めにコンシューマープレビューについて多くの情報を明らかにする」「『Build 2015』まで続ける」と語っていた。上図のスケジュールを見ると、2015年はコンシューマープレビュー版の後にデベロッパー、そしてその後にLaunch Wave(波状的に開始)と並んでいる。Windows 8のプレビューは最初にデベロッパー版をリリースしていたが、Windows 10においてはAPI群の整理や未確定だった機能を決定し、SDKのリリースに至るとみるのが自然だろう。開発者向けカンファレンス「Build 2015」は2015年4月29日から5月1日に開催される予定だが、2014年と同様に多くの新機能を開発者向けにアピール・解説する場となる。この時点でWindows 10が未完成、もしくは機能的に未確定の部分が残っているとは考えにくい。また、Windows 10コンシューマープレビューでは、スタート画面とスタートメニューをデバイスの接続状況に応じて切り替える「Continuum」や、OSやアプリケーションの通知をまとめる「Notifications」の機能を確定し、音声アシスタントシステムの「Cortana」を搭載するとみられている。つまり、Windows 10コンシューマープレビューで機能面の開発を終える。以後、Myerson氏が示した「Developer」はSDKなど開発周りの準備、「Launch Wave」は「Build 2015」からWindows 10リリースまでの道筋を表しているのだろう。○Windows 10のリリースは早期化される!?過去のパターンをひも解けば、各Windowsは夏頃にRTM(Release To Manufacturing version)が完成し、秋にリリースするというスケジュールで動いてきた。だが、Myerson氏の示したスケジュールを踏まえると、当初予想していたよりも早く、Windows 10はリリースされるのではないだろうか。筆者がこのような推論に至った理由は二つある。一つめが「WinHEC」の再開だ。Microsoftは以前から、開発者向けにさまざまなイベントを開催してきた。「WinHEC(Windows Hardware Engineering Conference and Exhibition)」はデバイスを中心とした新テクノロジーの紹介を開発者向けに行うイベントで2008年まで開催されていた。2009年から「PDC(Professional Developers Conference)」に統合され、2011年から現在の「Build」に再統合された。そのWinHECが2015年3月18・19日に中国の深セン市で開催されるのだが、Windows 10の開発スケジュールにおける「Developer」と合致するとみても不思議ではない。もう一つの理由が、とある関係者からの情報である。PCベンダーへのOS提供が2015年4月頃になるというのだ。一般的なWindowsプリインストールPCの場合、事前にOEM PC用イメージングをMicrosoft/日本マイクロソフトから取得し、デバイスドライバーや自社独自のカスタマイズを行ってからPCの量産に取りかかる。当然のことだが、コンシューマーよりも圧倒的に早く、最新のOSを手にしているのだ。真偽の裏付けがない噂レベルの情報だが、これらを先のスケジュールに当てはめていくと、Windows 10のリリース日は2015年5~6月、遅くとも7月と考えるのが自然だ。当初は2015年後半リリースと見る関係者も少なくなったが、Windows 10のリリースタイミングは2015年中旬になりそうだ。阿久津良和(Cactus)
2014年12月01日長年PCを使い続けていると、気付かぬうちにディスクドライブの空き容量が足りなくなることがある。撮りためた画像/動画ファイルは外付けHDDやNASなどに待避すべきだが、それでも足りない場合はどうすればいいのだろうか。今回は「ディスクのクリーンアップ」を使った方法を紹介する。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○標準ツール「ディスク(の)クリーンアップ」の重要ポイントとはディスクドライブのプロパティダイアログには、以前から「ディスク(の)クリーンアップ」という機能が用意されている。Webページ閲覧時に発生するインターネット一時ファイルや、ごみ箱(フォルダー)の中身などを1ステップで削除するツールだ。Windows 9x時代から備わってきた機能のため、Windows OSを使い続けてきたユーザーならまず知っているだろう。デスクトップアプリが生成する一時ファイルや、OSが生成したエラーレポート、OSアップグレード時の一時ファイルも対象とするため、月に1回くらいは実行するとよい。だが、重要なのは標準ユーザーの管轄下にあるファイルではない。システム管理者レベルでしか削除できないシステムファイルのクリーンアップである。Windows Updateで適用した更新プログラムやデバイスドライバーパッケージ、一部のログファイルを対象とし、これらも一緒に削除しないと、ディスクドライブの容量を無駄に消費してしまうことになるのだ。○不要なファイルをすべて削除するまずは「ディスククリーンアップ」を実行するが、前述したGUI操作だけではなく、コマンドラインからも起動可能だ。「システムファイルのクリーンアップ」ボタンを押してモードを切り替えれば、すべてのファイルが削除対象となる。各項目の概要は「説明」セクションを参考に選択してほしい。ポイントは「その他のオプション」タブにある「システムの復元とシャドウコピー」セクションだ。そもそもWindows 8.1(を含む以前からのWindows)は、一定時間ごとや更新プログラム、アプリケーションインストール前に復元ポイントを作成し、システムファイルの保護を行っている。そのため、復元ポイントの数はディスク容量が許す限り(または、ユーザーが指定した領域をすべて使うまで)増えていく仕組みだ。そしてもう1つのシャドウコピーは、ユーザーファイルやシステムファイルなどを対象にファイルのスナップショットを作成する機能である。本機能は前述した復元ポイントの作成やバックアップ時に利用するが、これらがディスクの空き容量をひっ迫するケースが少なくない。ここでいうスナップショットとは、ある時点のファイルを保存しておき、もし不具合が起きても復元できるようにするもの、と考えておけばよい。上図の手順で不要な復元ポイントとシャドウコピーを削除したことになるが、筆者が普段執筆に使っているPCの場合、7GBほど増えている。この操作を頻繁に行う必要はないものの、ディスクドライブの空き容量が心もとなくなった際に思い出してほしい。阿久津良和(Cactus)
2014年11月29日古くからデスクトップの定番カスタマイズとして楽しまれてきた壁紙(背景画像)。スマートフォンなどで撮影した写真(画像)や、ネットで見付けたお気に入りの画像を使用している方も少なくない。そこで改めて、スタート画面/デスクトップの背景画像に関するカスタマイズを紹介する。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○好みの写真を背景画像に用いる背景画像に関する基本的な操作は過去の記事で紹介しているため、今回は併読しながら進めていただきたい。さて、特定の画像をデスクトップの背景として指定するには、「個人設定」の「デスクトップの背景」から指定する。これでユーザーのピクチャフォルダーを対象に、背景画像の選択が可能になる仕組みだ。自動的にピクチャフォルダー内すべての画像ファイルを選択し、一定時間ごと(既定値は30分)に画像を変更する仕組みが稼働する。また、ピクチャフォルダーに複数のサブフォルダーが存在する(大量の画像ファイルを格納している)場合、好みにそぐわない画像ファイルも対象に加わってしまうことが多い。これを回避するには、1度「すべてクリア」を押してから、背景画像に用いる写真をクリック/タップや、ドラッグで選択する。○特定の画像ファイルを背景画像に用いる大半の画像ファイルはピクチャフォルダーに保存するのが常だが、異なるフォルダーに格納した画像ファイルを背景画像に用いるケースも少なくない。その場合は、(1)「デスクトップの背景」の「参照」ボタンを使用しよう。もう1つの方法として、(2)画像ファイルを右クリックした際のメニューから指定する方法もある。複数の画像ファイルを格納したフォルダーを使う場合は前者(1)、単独の画像ファイルを用いる場合は後者(2)の手順を用いるといいだろう。さらに前者(1)の問題点は、「画像の場所」のドロップダウンリストにフォルダーが加わってしまう点だ。この情報はレジストリで管理されており、実体となるフォルダーを削除した後に再サインインすることで消えることもあるが、そのロジックは明確になっていない。○「最高ランクの写真」とは「画像の場所」のドロップダウンリストを眺めると、「最高ランクの写真」という項目が並んでいる。この機能を使わない方は多いと思うが、なぜこのような項目が並んでいるか疑問に感じたことはないだろうか。このヒントは画像ファイルの「評価」に隠されている。ここで4ツ星以上の評価を持つ画像ファイルだけが「最高ランクの写真」に並ぶ仕組みだ。「個人設定」はWindows Vista時代に導入し、基本的な機能はWindows 8.1まで受け継いでいる。当時は「Windows Liveフォトギャラリー」などのデスクトップアプリを使って、撮影した画像をPC上で管理するのが一般的だったため、星印による評価をOS側でもサポートしたのだろう。フォルダー構成などを変更せず、背景画像に用いるお気に入り画像だけ高評価を下せば、同ロジックを利用した背景画像によるスライドショーを楽しめる。たくさんの画像ファイルをローカルディスクに格納しているユーザーは、1度試してみると面白いだろう。阿久津良和(Cactus)
2014年11月28日●法人市場で拡大するSurface Pro 3のシェア日本マイクロソフトの12型Windows 8.1タブレット「Surface Pro 3」は、2014年7月17日から国内販売が始まり、ノートPCとしても使える2-in-1 PCとして脚光を浴びている。OEM PCベンダーのように特筆する特徴は控え気味ながらも、個人市場だけではなく法人市場へのアピールも強化してきた。先ごろ発表した、レアル・マドリードCFのデジタル変革を推進する合意締結もその1つである。とかくPC市場の縮小が取り沙汰される状況下でも、比較的好調なSurface Pro 3について日本マイクロソフトは、販売パートナーの拡大や年末商戦に向けた取り組みを説明する記者会見を開催した。今回はコンシューマーユーザーが気になるポイントを中心に、会見の様子をレポートする。○法人市場で拡大するSurface Pro 3のシェア最初に登壇したWindows本部長の三上智子氏は、冒頭から法人向け市場における好調さをアピールした。Surface Pro 2の発売直後と比べると11倍の注文を受け、現在では法人2,500社がSurface Pro 3を導入している。自社ハンズオンラボでSurface Pro 3のタッチ&トライを開催したところ、86パーセントのユーザーが満足と回答したそうだ。初代Surface Proは2013年2月(国内は同年6月)にリリースし、さらにCPUなどをパワーアップしたSurface Pro 2を2013年10月にリリースしたのは周知のとおりである。この2年間でSurface Proが持つ能力や利便性が高く評価された結果として、法人市場に反映されたのだろう。三上氏はSurface Pro 3の導入事例として、前述したレアル・マドリードCFとの提携や、NFLオフィシャルタブレットに採用された点を紹介した。アメフトは非常に頭脳的なプレイが必要だが、MicrosoftおよびNFLは専用のアプリケーションを用意して、プレイヤーのアクションを撮影。数十秒後には監督やコーチの手元にデータが届き、次の指示や采配に役立てているという。今や試合をトラッキングしてデータ分析に役立てるのは珍しい話ではないが、このような現場でもSurface Pro 3は活躍しているそうだ。興味深いのは地方議会の導入事例だ。北海道の上士幌町議会はペーパレス化を進めるため、数年前から紙からデジタルデバイスへの移行を検討していたらしい。その際、iPadやAndroidタブレットも検討材料に上ったが、アウトプット面で不満が残り、最終的にSurface Pro 3に落ち着いたという。このように法人市場にリーチしてきた日本マイクロソフトだが、2013年11月時点でのリセラーは8社だった。その理由として三上氏は、日本マイクロソフトがPCハードウェアビジネスへの初参入だったことと、法人ユーザーのニーズに応える体制が万全ではなかったと回答。そして今回から、法人向け認定リセラーが約700社まで拡大したことをアピールした。当初、Microsoft/日本マイクロソフトのハードウェアに首をかしげていた方にとっては、予想外の結果につながったことを知る一例だろう。●ユーザーに評価されるSurface Pro 3のポイントとは○営業の現場で顧客に評価されるSurface Pro 3のポイント次に登壇したのは、日本マイクロソフト ビジネスプラットフォーム統括本部 デバイス&モビリティ本部 本部長の榊原洋氏。法人営業担当として、顧客がSurface Pro 3を評価する8つのポイントを挙げたが、筆者が興味を持った点だけをピックアップしたい。1つめは「3 in 1」というフレーズを用いた多様性である。一般的な「2 in 1」はPC/タブレットを指すが、榊原氏は純正アクセサリのドッキングステーションを併用した「デスクトップPC」としての利用性を強調した。ドッキングステーションが備えるGigabit Ethernet対応の有線LANポートにより、仮想マシンのゲストOSデータやCADデータなどを、通常のデスクトップPCと同じ感覚でやりとりできる点が顧客から評価されたと説明。確かに、筆者もノートPCをメインの原稿執筆マシンとしていたころ、有線LANのパフォーマンスを欲して、ドッキングステーションの類いを必ず購入していたことを思い出した。さらに榊原氏は、昨今のモビリティ状況やテレワークを踏まえたワークスタイル変革が広がりつつある点を踏まえ、ドッキングステーション利用時はケーブル類がすべて背面に回り込む点も評価されたことを明らかにしていた。次に興味を引いたのが「12インチ」というフレーズ。言わずもがなSurface Pro 3のディスプレイサイズである。商談の場では、10インチクラスのタブレットを利用する場合、顧客や複数のユーザーで1つのタブレットをのぞき込むのは少々厳しいと説明した。榊原氏は主観であると前置きしながらも、12インチというサイズがちょうどいいという。ここで思い出すのが過去モデルの存在だ。Surface Pro 3を旧モデルと比較すると、大きく異なるのがディスプレイサイズである。初代および第2世代は10.6インチだが、Surface Pro 3は12インチ。筆者は未だに初代モデルを使っているため、12インチというサイズが便利という点では共感できないが、榊原氏の「複数で~」という点においては深い説得力を感じた。このほかにも無段階キックスタンドや業務仕様に耐えうるペンデバイスなど、多数のアピールポイントを挙げていた。さて、そろそろコンシューマー向けの情報に移ろう。●多様性を持つコンシューマーへのアピールポイント○多様性を持つコンシューマーへのアピールポイント再び登壇した三上氏は、第三者調査機関における調査結果で50パーセント以上のユーザーは、外出先でタブレットを利用するサラリーマンやフリーランスが占めていると説明する。さらに、米国でAdobe Systemsが開催した「Adobe Max 2014」や国内開催の「CREATE NOW "Best of MAX"」を例に、Surface Pro 3の購入検討ユーザー層がAdobe製品を使用しているクリエイター層に多いという。(基本的にはMicrosoft主導ながらも)日本マイクロソフトもコンシューマーユーザーターゲットを「モバイルプロフェッショナル」「クリエイター」の2つにリーチすることを明らかにした。そしてMicrosoftとAdobe Systemsの戦略的提携に伴い、Adobe製品におけるペンおよびタッチ操作へ最適化したAdobe CC(Creative Cloud)製品の開発にいたったという。前述したイベントに参画したMicrosoftがユーザー意識調査を行ったところ、7割以上が(Surface Pro 3に)興味があると回答したそうだ。ここで日本マイクロソフト 轟氏によるAdobe Illustrator CCとSurface Pro 3に関するデモンストレーションが行われた。下図はSurface Pro 3にType Coverを取り付けた状態と取り外した状態の同アプリケーションである。見比べるとUIが大きく異なっていることがわかるだろう。これまではキーボードやマウスに意識を向けなければならなかったが、タッチ/ペン操作ならば純粋にクリエイティブな操作に集中できそうだ。さらにペンやタッチ操作で適当に描いたラフイラストも、簡単なアクションで修正できる操作や、デジタル定規で直線や罫線を自由に描ける直感的な操作を強く強調。このようなペンによる描画ができるのは、現時点でSurface Pro 3のみであることも明らかにし、今後もAdobe Systemsと協力してタッチ/ペン操作UIの改善や可能性を広げていくという。会場で流したYouTubeの動画を観る限り、クリエイティブ分野とタッチUIの親和性は非常に高く、デジタルクリエイティブの世界を新たなステージに押し上げてくれそうだ。三度(みたび)登壇した三上氏は、既報のとおり、「Surfaceスクリーンプロテクター」を12月12日より発売すると発表した。薄さ0.5mm、重量は60グラム、コーニング社製のGorilla Glassを採用し、参考価格は4,980円。当然のように会場で質問があがり、「Surfaceスクリーンプロテクター」がどのゴリラガラスを採用しているか担当者は明確にしなかったが、Gorilla Glass 4の出荷が2015年初頭であることを踏まえると、現行モデルとなるGorilla Glass 3を採用していると思われる。実際に手にするとかなり軽量で、下手な保護シートよりも安心感はあった。なお、初代Surface Proや同Pro 2はディスプレイサイズが異なるため、事実上Surface Pro 3専用になる。確かにSurfaceスクリーンプロテクターは一般的な保護シートと比べると高額だが、現在Surface Pro 3を使っているユーザーにとってはマストアイテムになるだろう。このほかにも、自社製アクセサリだけでは顧客のニーズに100パーセント応えることは難しいため、サードパーティベンダーも参画する「Design for Surface」プログラムを国内でも実施することを明らかにした。以前から「Blades」など自社独自のアクセサリや多様性を研究してきたMicrosoftだが、同プログラムの実施により、米国では100種類以上のアイテムが既にリリース済み。三上氏は日本独自のアクセサリも提供したいと語り、今後の展開に注力するという。阿久津良和(Cactus)
2014年11月27日Windows 8.1には、「SlideToShutDown.exe」というコマンドが用意されている。文字どおりスライド操作でPCをシャットダウンするものだ。タッチ機能を持たないPCでは意味がないコマンドだが、タッチ対応のWindowsタブレットなら有用な存在となる。今回は同コマンドの使い方を解説しよう。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○シャットダウンを実行する「SlideToShutDown.exe」Windows 8.1を搭載したPC/タブレットは、チャームバーやスタート画面、コマンド「shutdown.exe」を用いて、再起動やシャットダウンといったアクションを実行する。いずれの操作も、少々冗長な感じだ。チャームバーなら、「設定」→「電源」ボタン→メニューからアクションを選択という数ステップの操作を必要とする。最近、筆者は外出時にWindowsタブレットを持ち歩いているが、この操作を面倒に感じるのだ。そこで冒頭に述べた「SlideToShutDown.exe」の出番。こちらのコマンドはPCを半ロック状態(?)にし、スライド操作でシャットダウンもしくはキャンセルを実行する。○ショートカットファイルから実行するそれでは「SlideToShutDown.exe」の使い方を紹介しよう。一番簡単なのはデスクトップにショートカットファイルを作成する方法だ。これならデスクトップやスタート画面から簡単に呼び出せる。ちなみに、ショートカットファイルを作成する際は、エクスプローラーがアクティブな状態で「Slide~」とキータイプすれば、「SlideToShutDown.exe」を見付けやすくなるので試してほしい。○スタート画面にピン留めする続いて、スタート画面の「SlideToShutDown.exe」を実行するタイルを作成しよう。一部のタブレットは電源ボタンが非表示となるケースがあるので、代用機能として使えるはずだ。以上の手順で「SlideToShutDown.exe」のピン留め、およびアイコンの変更が可能になる。なお、キーボードを多用する環境の場合は、以下の手順でショートカットキーを割り当てるとさらに便利だ。今回、タスクスケジューラから呼び出す方法も考えたが、タブレットの場合はスリープ機能とバッティングする場面もあるため見送ることにした。気になる方はMSDNライブラリ.aspx)の情報を参考にして、アイドル時に「SlideToShutDown.exe」を起動するタスク作成にチャレンジしてほしい。阿久津良和(Cactus)
2014年11月22日Windowsを使っていると突然デスクトップが暗転し、そのまま確認を求められたり、管理者アカウントのパスワード入力を求められたりすることがある。Windowsは「標準(ユーザーアカウント)」と「管理者(アカウント)」という2種類を用いてOSの表層部分を管理している。今回はこのアカウントについて解説しよう。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○標準ユーザー/管理者の違いまずは下図をご覧頂きたい。Windows 8.1を新規インストールした際、最初に作成したユーザーアカウントだ。Windowsは1つ以上の管理者アカウントを必要とするため、他のユーザーアカウントが存在しない場合、「標準」を選択することはできない。上に並んだもう1つの図は、今回の記事用に作成したローカルアカウントだ。通常の操作方法で新たにユーザーを作成する場合、必ず標準(ユーザーアカウント)となる。通常は標準アカウントで大半の操作をまかなえるが、他のユーザーやセキュリティ設定、アプリケーションのインストール/アンインストールといった操作は管理者権限が必要だ。昔の感覚で言えば「そんなのは面倒」とも思う。ただ、昨今のマルウェアなどに代表されるオンラインバンキングの被害を思い出してほしい。マルウェアは侵入経路としてアプリケーションやWebブラウザー(またはそれらの脆弱性)を悪用している。だからこそ、普段はアプリケーションのインストールが許されていない標準(ユーザーアカウント)の使用が推奨されるのだ。○ユーザーアカウント制御一方で、アプリケーションの導入や整理、OSのメンテナンスを行うたびに、サインインするユーザーを変更するのは面倒である。そこでWindowsには、「ユーザーアカウント制御(以下、UAC)」という機能が加わった。Windows Vista時代に導入したUACは、標準ユーザーでWindowsにサインインしているときに、管理者のアクセス許可を一時的に得るための機能だ。ここで疑問を覚える読者もおられるだろう。「自分のアカウントは管理者なのに、UACダイアログが現れる」と。その理由は、Windows 8.1の既定値が、「アプリケーションがPCに変更を加えようとする際にUACダイアログを発する」という設定になっているからだ。これは前述したマルウェアの被害を最小限に防ぐため、通常はそのまま使用するべきだが、内容をよく理解したユーザーなら、以下の手順でUACダイアログのタイミングを変更できる。いずれにせよ、利便性とセキュリティ対策はトレードオフの関係にあるため、UACダイアログの表示タイミングを低下させると、セキュリティ面の問題が生じることは理解しておきたい。阿久津良和(Cactus)
2014年11月21日Satya Nadella氏がCEO(最高経営責任者)の席に就いてから、Microsoftは「モバイルファースト、クラウドファースト」というキーワードを掲げて、パッケージやオンプレミス製品からクラウド製品への移行を推し進めている。Nadella氏がMicrosoft Cloud and Enterprise GroupのEVP(執行副社長)出身というのも、同社の戦略に大きな影響を与えているのだろう。○iPhone/iPad用Officeを無料で使用できる機能は限定的そして既報のとおり、11月6日(米国時間)に新たなサプライズとして、iPhone/iPad用の「Microsoft Word」「Microsoft Excel」「Microsoft PowerPoint」の無料提供を開始した。プレスリリースのタイトルは「Microsoft brings Office to everyone, everywhere」、意訳すると「Microsoftは、いつでもどこでも誰にでもOfficeを提供する」という具合だろうか。ここで少し過去を振り返ってみよう。2013年10月には前CEOであるSteve Ballmer氏がiPad用Officeをリリース予定にあることを明らかにし、2014年3月下旬に「Microsoft Word for iPad」や「Office Mobile for iPhone」など各Office製品をリリースした。ただ、あくまでも無料使用範囲はビューアーにとどまり、編集できるのはOffice 365サブスクリプションユーザーに限定している。だが、今回発表されたバージョンは基本的な編集機能も可能だ。このiPhone/iPad用Office製品を語るうえで、最初に述べなければならないのが「完全に無料ではない」ということだ。実際にiPhone/iPad用Office製品を起動してみると、Microsoftアカウントによるサインイン後に「プレミアム機能」使用の有無をうながされる。ここで多くのユーザーは「プレミアム?」と疑問に思うことだろう。iPhone/iPad用Officeでは一部の機能はロックされており、アプリ内課金「Office 365 Solo(1,200円/月)」によって、下図で示したような機能が使用可能になる。筆者はExcel以外のアプリケーションは使用頻度が低いため、正しい評価を下せないが、Excelにおけるグラフ追加・編集がプレミアム機能に属していることに不便を感じて、必要な当月のみ課金してしまうのではないだろうか。このようなパターン課金ユーザーが増える可能性は大きい。つまり、今回リリースしたiPhone/iPad用Officeは「Office 365への呼び水」のような存在と言えるのだ。○iPhone/iPad用Officeは「Office 365 Solo」と同等の存在かここで思い返してほしいのが「Office 365 Solo」の存在だ。「Office Premium」はPCプレインストール製品であり、ユーザーが新規購入するのはOffice 365 Soloのみである。こちらは1,274円/月(12,744円/年)の料金を支払うと、2台のPC/Mac+2台のタブレット/スマートフォンのライセンスに加えて、1TBのオンラインストレージ、60分間/月のSkype通話、アンサーデスクによるサポートが付随する仕組みだ。ライセンスフィーの価格設定などを踏まえると、iPhone/iPad用Officeのプレミアム機能とOffice 365 Soloは同等の存在と言える。さらに月額課金というハードルの低さは、従来のデスクトップアプリ版である「新しいOffice(Office 2013)」から移行する際、有効な選択肢となるのではないだろうか。さらに米国で先行発表したOneDriveの容量無制限を日本国内製品においても適用する。11月12日に行われたWDLC年末商戦向けパソコン販売促進施策記者発表会で、日本マイクロソフト 執行役 コンシューマー&パートナーグループオフィスプレインストール事業統括本部長の宗像淳氏は、Webやプレミアム機能の説明が1TBのままであることに対して、「時期は未定だが、早々に準備を終えて発表する」と、OneDrive容量無制限化を近々実施すると説明した。Microsoftは「Office for Android Tablet」を2015年初頭にリリースすること、そして、新たなタッチ操作に最適化したWindows 10向けOfficeの存在も明らかにしている。現在のMicrosoftが、Microsoft AzureによるクラウドプラットホームとOfficeのクラウド化で、AppleやGoogleといったライバル企業との接戦を勝ち抜き、"10年の競争を有利"に進めようとしているのは明白だ。日本国内のOffice 365は法人導入が基本的に前提となるが、コンシューマー向けは、プレインストール版のOffice Premium、単独購入するOffice 365 Solo、そして今回のiPhone/iPad用Officeと足並みがそろったことなる。我々コンシューマーもパッケージ/オンプレミス製品にとどまる時期は終わったようだ。阿久津良和(Cactus)
2014年11月17日●タスクバーの検索ボタンなどが表示/非表示可能に拙著記事で述べたように、Windows 10テクニカルプレビューは、「Ring Progression」と呼ばれる開発工程でプレビュープログラムを実施している。ファーストビルドの9841から始まり、10月22日(以下、すべて現地時間)にはRing Progressionを導入したビルド9860をリリース。そして11月12日、新たなビルド9879をリリースした。新ビルドではタスクバーに関する新たな改善と、高精度タッチパッドによるタッチジェスチャーなど新機能が確認できる。○タスクバーの検索ボタンなどが表示/非表示可能に次期OSとなるWindows 10はPCのメインOSとしてだけでなく、異なるサイズのタブレットやスマートフォンなど各デバイス上で動作するため、重要な位置を示す存在だ(Microsoftはスマートフォン向けOSであるWindows Phoneとの完全融合タイミングを明らかにしていない)。しかし、現在の開発途中にあるWindows 10テクニカルプレビューは、あくまでもユーザーの使い勝手を中心に改善を試みているように感じる。正にそれが今回の「ビルド9879」の変更点に見え隠れするのだ。たとえばタスクバーに加わった「Search」「Task View」ボタンは、タッチ操作を前提にした設計であれば正しい実装である。だが、デスクトップ操作を主たるユーザーにとっては、タスクバーの表示領域を狭める原因となり、筆者もWindows 95の開発途上版「Chicago」を思い返すような野暮ったい印象を拭いきれなかった。そのようなフィードバックが多かったか否か分からないが、本ビルドには各ボタンの表示/非表示を切り替える項目がコンテキストメニューに用意されている。<Show Task View button><Show Search button>はそれぞれ「Task View」ボタンと「Search」ボタンに連動し、チェックオフでタスクバーからボタンを取りのぞくことが可能になった。Windows FundamentalsチームのGabe Aul氏による説明によれば、ウィンドウの最小化/復元のアニメーションの効果が不評だったため軽減したという。こちらを図版や言葉で説明するのは難しいが、ビルド9860は最小化状態にあるウィンドウを1度アクティブにした状態で、元のサイズに拡大する仕組みだった。これらの効果がWindows 8.1以前に戻っている。Windowsストアアプリのウィンドウバーには<…>ボタンによる専用メニューが用意されていたが、こちらのデザインを漢数字の「三」に似た"ハンバーガースタイル"アイコンに変更(ブログでは3本線と説明している)。こちらはチャームやフルスクリーンボタンを見付けにくかったというフィードバックに応じた結果だ。外見的な変化は確認できなかったが、クラッシュやハングアップ時のレポート情報を元にしたマイナーなバグを数多く修正したとAul氏はブログで述べている。さらに同氏は我々テクニカルプレビューユーザーの使用が開発に直接貢献していると謝辞を加えた。●タッチパッドジェスチャーを可能にする「Snap Assist」○タッチパッドジェスチャーを可能にする「Snap Assist」本ビルドは昨日のTech Ed 2014 Barcelonaで披露した「Snap Assist」も当然サポートしている。本機能の実装はまだ必要最小限ながらも、デモンストレーション動画と同じく、高精度タッチパッド上で3本の指を上げれば「Task View」が起動。下げればデスクトップが現れる。また、左右にフリックするとアプリケーションの切り替え、ゆっくりと左右に移動すると[Alt]+[Tab]キーで起動するアプリケーションの切り替えが可能になる。個人的には、3本の指をそのまま高精度タッチパッドにタップするとスタートメニューが現れ、検索ボックスにカーソルが移動する機能だ。正直なところ前述のデモンストレーションを視聴した限り、Mac OS Xから拝借した機能という印象は拭いきれなかったが、人間工学に沿ったジェスチャーを追加することでSnap Assistは魅力的な機能になりそうだ。その他の新機能で気になったのは、エクスプローラーの「Home」セクションにピン留めする機能が加わった点である。フォルダーを右クリックするとコンテキストメニューに<Pin to home>が新たに加わり、選択することで「Frequent folders(よく使うフォルダー)」にリンクが加わる仕組みだ。地味なところではMKV(Matroska Video)形式のネイティブサポートも特徴の1つ。同形式はコンテナであるため、サポート自体は難しくなかったはずだが、Aul氏はXboxのMKV形式対応が影響をもたらしたと解説している。さらに同氏はH.265 HEVCのサポートを合わせて発表した。改めて述べるまでもなく、同圧縮形式はH.264/MPEG-4 AVCの後続形式にあたり、PC上でエンコードを可能にするツールも出回り始めている。まだまだ快適にエンコードできるとは言いがたいものの、Windows 10におけるH.265のネイティブサポートは注目に値するはずだ。Internet Explorerにも変化が生じている。右上に「Let us know what you think(ご意見をお聞かせください)」というメッセージを発するボタンが加わり、Webページが正しく表示されているか報告を行うというものだ。そもそも次期Internet Explorerは、"エッジレンダリングエンジン"という新たなWeb描画エンジンの開発にあたっており、エンジンのブラッシュアップやバグフィックスを目指している。機会を見て紹介するが、興味をお持ちの方はこちらのブログ(英文)をご覧頂きたい。最後は「OneDrive」。まずは下図をご覧頂きたい。こちらはWindows 8.1のOneDriveアイコンを開いたものだが、Windows 7のそれと違って最小限の設定項目しか並んでいない。そしてその次の画像がWindows 10テクニカルプレビューのOneDriveダイアログだ。よくよく見ればWindows 7と同じである(ちなみにビルド番号は、Windows 7が17.3.1229.0918、Windows 10 TPは17.3.4517.1013。Windows 8はOSのビルド番号と連動するので割愛する)。この点についてAul氏は「OneDriveの同期方法を変更した」と説明。内容を意訳すると、Windows 8.1はオンライン/オフラインといった物理的な相違が存在するが、この点が分かりにくいという多くのフィードバックを受け取ったという。そのため、エクスプローラーで表示したファイルはオフライン利用可能にすることを既定とするそうだ。ダイアログを見比べる限り、現時点で大きな変化は生じていないが、今後OneDriveの振る舞いが変化する可能性は高い。この他にもファイルやサブフォルダーを含むフォルダーのデザインが変化するなど、目に付く箇所は少なくないが、既にWindows 10テクニカルプレビューをお使いのユーザーはいくつか注意しなければならない。Aul氏の説明によれば、本ビルドは「我々はサインイン時やロック解除時に、ディスプレイがブラックアウトする問題を把握している。現時点ではハードリブート(シャットダウンした状態からの起動)で回避可能」「(Windows Serverなどで使用可能な)DFS(分散ファイルシステム)上の共有フォルダーへアクセスできない」という大きな問題が発生している。これらは近々に修正プログラムを提供するようだ。その他にも一部のシステムでデバイスドライバーの20GB以上の容量が必要と誤認するケースや、Skypeの着信が発生すると音楽再生が停止するトラブル、Lyncによる画面共有機能が正常に動作しない場合あるといった問題が確認されている。あくまでもWindows 10テクニカルプレビューは開発途上版のため、これら問題が存在することを理解して試してほしい。阿久津良和(Cactus)■前回の記事はこちら・短期集中連載「Windows 10」テクニカルプレビューを試す(第8回) - ビルド9860で搭載された「Action Center」
2014年11月14日最近は8型~11型クラスのWindowsタブレットが増えてきた。デスクトップPCやノートPCと同じWindows 8.1を搭載しているものは、省電力設定に関して異なる点が多い。そこでWindowsタブレットをベースに、Windows 8.1の省電力設定を見直すチェックポイントを紹介する。「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。○電力設定の確認方法Windows 8.1をインストールしたPCの電源設定を確認するには、2段階の方法がある。通知領域やコントロールパネルから「電源オプション」を起動して、プリセットされた電源プランを選択する方法と、「電源オプション」ダイアログから詳細なカスタマイズを行う方法だ。通知領域のアイコンが非表示の場合は、コントロールパネルの「電源オプション」をダブルクリック/タップして起動すればよい。一般的なデバイスの性能をすべて引き出す「高パフォーマンス」「Full Power」といった電源プランに加え、「バランス」「省電力」といった電源プランが選択可能だ。ただし、名称や選択可能なプランはPCベンダーによって異なる場合があるため、適時読み替えてほしい。上図のように、電源オプションの項目もお使いのPCによって異なるはずだ。下図は筆者のデスクトップPCだが、「Internet Explorer」「スリープ」といった項目が並ぶものの、上図は4項目しか並んでいない。基本的にはPCのハードウェア構成によって項目が異なり、上図のWindowsタブレットはIntelのBay Trail-Tと呼ばれるIntel Atom Z3740を搭載している。そのため、InstantGo(旧名Connected Standby)に対応している関係から、設定項目の種類や内容(詳しくは後述する)も異なっているのだ。○新規電源プランを作成する今回は個人所有のWindowsタブレットをBYODで仕事に用いるシーンを想定し、電源プランの新規作成から取りかかってみる。以下の手順では「省電力」という名称の電源プランを作成しているが、すでに同名の電源プランが存在する場合は変更してほしい。今回のWindowsタブレットでは、「デスクトップの背景の設定」「電源ボタンとカバー」「ディスプレイ」「バッテリ」の4つの設定を行えば済む。ここで注目すべきは「ディスプレイ」だ。バッテリ駆動のノートPCなどと同じく、電源/スリープボタンを押した際の動作をバッテリ駆動時/電源駆動時で選択する。ただし、既定値はすべて「スリープ状態」を選択している。これは前述したInstantGoによる動作を前提としているからだ。InstantGoの大きな特徴は「スリープ時も通信を維持する」機能であり、メールの定期的な送受信やSkypeメッセージの発着といった、スマートフォン的な動作を可能にするものである。だからこそ、InstantGo対応のWindowsタブレットは「スリープ状態」が既定値なのだ。先の「プラン設定の編集」で「コンピューターをスリープ状態にする」が調整できないのも、InstantGoによる影響だろう。ちなみに、日本マイクロソフトの「電源プラン : よく寄せられる質問」を見ると、「InstantGoをサポートするPC」の項目に「電源プランにはどのようなものがありますか。」という質問がある。回答は「InstantGo がサポートされている PC に Windows で提供される電源プランは、バランスだけです。」となっている。阿久津良和(Cactus)
2014年11月14日●2014年内に3割達成を目指す11月5日、日本マイクロソフトは2014年の年末商戦向け施策を発表した。発表会の内容は本誌既報の記事をご覧いただくとして、本稿ではWindowsタブレットのシェア拡大について着目したい。日本マイクロソフトがWindowsタブレットの拡販施策を実施するのは3回目。第1弾は3月にエイチ・アイ・エスと手を組んだ「タブレット×旅」、第2弾は5月にデータスタジアムと提携した「タブレット×スポーツ観戦」。今年はちょうどサッカーW杯開催というタイミングだったため、それなりの盛り上がりを見せたのではないだろうか。かく言う筆者も、試合終了後にWindowsストアアプリの「リアサカLIVE」を起動し、タブレットで「あそこで選手が相手を止めれば……」と"たられば"を繰り返していた。「タブレット×旅」キャンペーンの発表会で日本マイクロソフト 執行役常務の香山春明氏は、「2014年末には3割のシェアを取りたい」と発言している。2013年第4四半期におけるWindowsタブレットのシェアは26%。第3四半期までに比べ、倍増という大幅な成長だ。「タブレット×スポーツ観戦」キャンペーンの発表会ででは、同社業務執行役員(当時、現在は執行役)の金古毅氏が、同じくIDGの調査データを提示し、2014年第1四半期にシェア30.5%に達したことを報告した。続く7月。日本マイクロソフトは2015年度 経営方針記者会見を開催した。ここで取締役代表執行役社長の樋口泰行氏は、記者からの質問に「(個人・法人を対象に)50%を目指す」とWindowsタブレット市場の拡充を明言した。そして今回の「COOKレット」キャンペーンの発表会で同社執行役の高橋美波氏は、Windowsタブレットのシェアについて、最新のデータこそ提示しなかったものの「3割達成を目指したい」と述べている。樋口氏の言う「50%」との差に関しては、「3割はあくまでも2014年内の目標値」と期限の違いがあることを説明した。筆者が各所で取材した範囲では、今年後半は企業や官公庁へWindowsタブレットの普及が進んでいるように感じる。もちろん日本マイクロソフトだけではなく、OEMメーカーを含めた営業努力の賜物だが、Windowsタブレットが市場の3割以上を確保できるか否かは、Windowsタブレットを本来のタブレットとして活用するWindowsストアアプリの存在が大きいはずだ。Microsoft/日本マイクロソフトも努力しているが、Windows 8リリースから早2年。Windowsストアからは、いまだにキラーアプリは登場していない。強いて言えば「OneNote」が挙げられるが、これはMicrosoft純正のアプリでサードパーティのものではない。2015年中に登場するWindows 10もデスクトップ環境の強化が主たるアピールポイントであることを踏まえると、ソフトウェア開発者の間口を広げる施策が必要ではないだろうか。●タニタの体組成計とスマートウオッチが連動する可能性は?○タニタの体組成計とスマートウオッチが連動する可能性は?さて、今回のキャンペーンで日本マイクロソフトはタニタをパートナーに選んでいる。その理由は本誌記事をご覧いただきたいが、筆者の興味を引いたのは、タニタが展開中のサービス「からだカルテ」の将来的展望だ。「からだカルテ」はタニタの体組成計や体脂肪計からUSBやBluetooth経由で測定データを転送し、Webサイトやスマホアプリで閲覧して自己管理に役立てるというもの。筆者も以前からタニタ製体組成計を愛用しており、体組成データの変化をスマホアプリで視認できるのは実に便利である。だが、日々の食事内容の記録や睡眠時間は別のアプリケーションで記録しなければならない点は、日頃から面倒に感じていた。このような背景からウェアラブルデバイスの可能性に期待しているのだ。今回、タニタ代表取締役社長の谷田千里氏は「ITと健康ソリューションの親和性は高いため、今後は次世代の健康管理ソリューションを開発していく」と発言している。各社がリリースするスマートウオッチとの連携について同社に取材したところ、「市場が広がれば(連動機能の実装や展開を)検討したい」との回答を得た。しかし、タニタの体組成計や活動量計の信頼性が高いからこそ、将来的なソリューションというよりも今後の拡大が期待できるスマートウオッチと連動すれば、より便利になるのではと考えてしまう。タニタは独自の健康・身体情報プラットホームを構築し、新たなビジネスモデルを目指しているが、AppleのヘルスケアやMicrosoft HealthVaultとの連携も含め、ユーザーとしては期待したいところである。阿久津良和(Cactus)
2014年11月10日