公益財団法人ソニー音楽財団による、第19回(2020年度)「斎藤秀雄メモリアル基金賞」のチェロ部門受賞者は、新倉瞳(チェロ)に決定した。※指揮者部門の該当者はなし。若手チェリスト、指揮者を顕彰することを目的とした「斎藤秀雄メモリアル基金賞」は、チェリスト・指揮者として高名な故・斎藤秀雄(1902-1974)氏に因み、2002年に創設された。過去の受賞者には、第1回(2002年度)植木昭雄、第2回(2003年度)古川展生等、日本を代表するチェリストが受賞している。一方、今回は該当者がなかった指揮部門においては、第1回(2002年度)大野和士、第2回(2003年度)広上淳一など、こちらも現在、第一線で活躍する指揮者を輩出。若手チェリスト・指揮者を世に送り出す重要な機会を提供し続けている。●新倉瞳/Hitomo Niikura(チェロ)幼少期をアメリカとドイツで過ごし、8 歳よりドイツでチェロを始める。桐朋学園女子高等学 校音楽科を経て桐朋学園大学音楽学部を首席で卒業、卒業時には皇居桃華楽堂新人演奏会に出演、御前演奏を行う。その後、バーゼル音楽院ソリストコース・教職課程の両修士課程を最高点で修了。これまでにJan Vymyslicky、毛利伯郎、堤剛、Thomas Demenga、Martin Zaller (バロ ック・チェロ) の各氏に師事。室内楽を徳永二男、原田幸一郎の各氏に師事。 2014 年より Camerata Zürich のソロ首席チェリストをつとめている。2003年いしかわミュージックアカデミーにてIMA音楽賞を受賞し、アメリカ/アスペン音楽 祭に奨学生として参加。2007年第28回霧島国際音楽祭にて霧島国際音楽祭賞を受賞。2009 年ル ーマニア国際音楽コンクール室内楽部門にて第1位を受賞。2015年スイスのベルンで開催されたOrpheus Kammermusikwettbewerbにて入賞。同年、ポルトガルのリスボンで開催された Internacional Verão Clássico 2015 チェロ部門にて第1位を受賞。2016年5月スイス/ルツェルンの高級時計ブランド Carl.F.BuchererよりPathos Woman Awardを受賞。2017年第18回ホテルオークラ音楽賞受賞。2006年8月桐朋学園大学在学中には、EMI Music Japan(現ユニバーサル・ミュージック)よ り「鳥の歌」をリリースし、紀尾井ホールにてデビュー。これまでにEMI Music Japanから3枚のアルバム、Live Notesよりピアニスト佐藤卓史とのライヴCD「ブラームス&ラフマニノフ:チェロ・ソナタ」、F.S.L.レーベルよりアコーディオニスト佐藤芳明とのDuo「魂柱と鞴」、ア ールアンフィニ・レーベルより、最新CD「ダンツァ」や高橋多佳子、礒絵里子との「椿三重奏団」を含む4枚のアルバムが発売されている。今年秋には5人の作曲家に新曲を委嘱した「委嘱作品集」が同レーベルより発売予定。また、チューリッヒを拠点の人気クレズマーバンドCheibe Balaganのメンバーとして2014年から参加し、様々な音楽祭に招かれ、音楽の幅を広げている。現在はCamerata Zürichのソロ首席チェリストとしてスイスを拠点に活躍する中、ソリスト、室内楽奏者として全国各地でリサ イタル、オーケストラとの共演を重ね、司会、番組ナレーション、音楽劇、演奏家のためのドレスM Maglie le cassettoのプロデュース等、活動の幅を広げ音楽の素晴らしさを広く深く伝えようとする姿勢は多くの共感を集めている。使用楽器は、宗次コレクションより貸与されたGiovanni Grancino(1694年製)。
2021年03月03日医療従事者への先行接種がスタートした新型コロナウイルスワクチン。効果への期待と同時に、副反応を懸念する声もあるが、専門家の女性たちはどう見ているのだろう。緊急アンケートを実施した――。米国・ファイザー社製の新型コロナウイルスワクチンは、2月12日の第1便、2月21日の第2便に続き、3月1日に第3便の到着が予定されている。「感染者数の拡大はピーク時よりは抑えられているものの、まだまだ予断を許さない状況が続いています。新型コロナウイルスの特効薬がない状況で、期待されているのがワクチンです」(医療関係者)世界では欧米諸国を皮切りにすでにワクチン接種が始まっており、国内でも2月17日からワクチンの接種が開始された。第1弾のワクチンは安全性調査に参加する医療従事者に先行接種を行い、次いで診療に関わる医療従事者、65歳以上の高齢者……と進めるのが政府の方針で、一般の人へのワクチン供給は夏以降になるとみられている。日本で承認の申請がなされているワクチンは2種類。米国のファイザー社のほか、英国アストラゼネカ社が2月に厚生労働省に申請を提出している。ワクチンに関する最大の関心事がその安全性、副反応だ。今回のワクチンでは、アナフィラキシー(急性アレルギー反応)が主な副反応として挙げられているが、そのほかにも倦怠感や発熱、体の痛みなどが報告されている。欧米で行われているワクチン接種のデータには、ファイザー社製のワクチンで接種後に起こったアナフィラキシーは100万回に5件、アストラゼネカ社製では10万回に1~2件という統計がある。副反応の7割は接種後15分以内に起こるという報告があるため、副反応に対する態勢を整えておけば、深刻な事態を防ぐことができると考えられている。ワクチンについては、予防のために一刻も早く受けたいという肯定派と、年齢や抱えている疾患などの理由からしばらくは様子を見たいという慎重派の人とがいる。実際に現場での診察に当たっている医師はどう考えているのだろう。今回本誌では、女医の先生方に《新型コロナウイルスワクチンを接種しますか?》というアンケートを実施した。日々接している医療現場の状況から寄せられた声は、とても貴重なものばかりだ。さっそく結果についてみていこう。回答を寄せてくれた23人のうち、《接種する》と答えた医師が20人、《見送る》が3人となった。《接種する》といった肯定派のコメントでもっとも目立ったのは、《医療従事者という立場にいるから》という意見だった。《多くの患者さんに接種することを考慮すると、自分がワクチンを接種して抗体を持ち、患者さんへの感染源にならないようにすることは、医者として必要なこと》(中山晴美先生、麻酔科・ペインクリニック)《複数の高齢者施設と関わりがあり、自分が感染して施設に持ち込むことは避けねばならない》(岩井裕子先生、外科・消化器外科)《現時点ではこのウイルスに対してワクチン以外に有効な治療薬はなく、この仕事をする限り、打たないという選択肢はない》(渡邊千寿子先生、耳鼻咽喉科)このように、医療現場で感染を広げないためにワクチンを接種するといった意見が多く見られた。■ビッグデータの協力になるためにも受けるまずは自分が見本となって、打つ姿勢を見せたいというコメントも複数寄せられた。《ワクチンを打つことで感染しづらくなるのと、症状がひどくならない可能性が上がるのでメリットのほうが大きいと考えているが、医療従事者としてまず先に打つことが、一般の方への安心にもつながると考えている》(廣瀬能華先生、美容皮膚科)《現段階ではほかに手段がなく、医療従事者としてまず自分が接種してから患者にすすめるべきだと考えている》(おおたわ史絵先生、総合内科専門医)個人的な視点だけでなく、社会的観点による意見も散見された。《ワクチン接種することで集団免疫を獲得しないと新型コロナウイルスの蔓延は終わらない》(竹内聡美先生、呼吸器内科)《新型コロナウイルスによって社会活動が制限されている現在、しない理由がない》(濱木珠恵先生、内科・血液内科)《未知のワクチンだが、副作用が出るなら(自分が打って)その情報を公開する義務がある》(前出・渡邊先生)《ビッグデータの協力になる》(井上留美子先生、整形外科)肯定派のスタンスで、副反応について触れられたコメントを見ていくと、次のような意見が。《ワクチンによる死亡はなく、新型コロナウイルスの死亡率が多い》(本田まりこ先生、皮膚科)《すでに海外で報告されている副反応、アナフィラキシーショックの確率は小さく、治療可能だと考える。接種しないリスクのほうが大きい》(山口トキコ先生、肛門科)《有効性が高いデータが出ているし、副反応も許容範囲》(板根みち子先生、循環器内科)このように、接種に対する前向きな意見が多いが、今回のワクチンで議論になる理由の一つに、製法がある。新型コロナウイルスワクチンは、これまでにない遺伝子を使った方法で作られたワクチンなのだ。世界ですでに接種されているファイザー社製とモデルナ社製のワクチンはmRNAワクチン、アストラゼネカ社のワクチンはウイルスベクターワクチンと呼ばれる“遺伝子ワクチン”だ。総合内科専門医のおおたわ史絵先生は次のように説明する。「従来のワクチンは、ウイルスの抗原の一部分に近いものを弱毒化させて体内に入れる『弱毒性ワクチン』や『不活化ワクチン』ですが、今回のコロナワクチンは、ウイルスに対する抗体を作るための核酸を体内に入れ、それが体内でDNAやRNA遺伝子を複製させるというまったく新しい作り方をとっています。そのため、長期的な副反応などが未知数という側面があるのも事実です。新しいものに対して不安を抱くのは、人間として当然のことでしょう」医療法人康梓会Y’sサイエンスクリニック広尾の日比野佐和子先生も、人々が不安になることを理解しつつ、ワクチン研究が“現在進行形”であることを強調する。「これまでのワクチン開発とは異なり、史上最大規模の財政的・人的資源の投入がごく短期間で行われているのが今回のワクチン開発の特徴です。つまり、副反応を含めたワクチンのデータもものすごい勢いで蓄積されていますから、さまざまなことが見えてくるスピードも別格なのです」ただし、海外でもワクチンの接種が始まったのは、ほんの1~2カ月前のこと。まだまだ未知である副反応に対する不安は、先生たちの反応からもうかがえる。《コロナ感染が流行しているなか、乳がん発生も減少せず続いている。医療者として、がん治療をきちんと行うためにも、ワクチンの短長期的な影響について不安がないとはいえないが、打つ》(土井卓子先生、乳腺専門医)《短期間で開発され、長期的なリスクについては不明なワクチン接種にまったく不安がないわけではないが、幸い自分には特に強いアレルギーがない(ため打つ)》(亀井倫子先生、ペインクリニック内科)一方、ワクチン接種を《見送る》と答えた慎重派の先生たちからは次のような意見があった。《新型コロナはインフルエンザよりもはるかに死亡率、罹患率が低い疾患。しかもほとんどの人が感染しても無症状。国民全員がワクチンを受ける必要性があるのか疑問》(小林有希先生、内科)《ワクチンを打つことによるベネフィット(利益)とリスク(不利益)を天秤にかけて十分に検討する必要がある》(正木稔子先生、耳鼻咽喉科専門医)《従来のワクチンの製法とは異なる遺伝子型ワクチンで、副反応がわかっていないという段階で使用を開始するのは危険。ワクチンを打つ前に必ず副反応を調べる必要がある》(星子尚美先生、内科)いずれも、今回のワクチンが異例の状況下で、短期間で開発されたことに対する懸念だ。■詳細な情報提供が十分にできないと悩む医師も「医師がワクチンに関して基本知識として知っているのは、生ワクチンと不活化ワクチンで、新型コロナウイルスのワクチンはどちらにも属していません。そのため、詳細な情報提供が十分にされていないのが現状です。何かが起こる可能性や、何が起こるのか、その程度や割合など、何も知らされていない状態で接種するのには同意できません」(正木先生)通常、ワクチンの開発には長い年月がかかる。しかし、新型コロナウイルスのワクチンは、その過程がわずか1年足らず、異例のスピードで認可されている。「『ワクチンファクトブック』(米国研究製薬工業協会が発行しているワクチンの手引書)によると、ワクチンは治験を含め、開発に10年程度かかるものです。特に治験は安全性の確認作業で、通常、最も時間がかかる部分ですが、新型コロナウイルスのワクチンは、発見から1年たたずに治験まで済んでいるといいます。mRNAワクチン、DNAワクチンは人類に初めて使用するものなのに、この程度の治験で実施に踏み切ってよいのでしょうか」(正木先生)検証期間については、次のような意見も寄せられた。《これは、人類初の“遺伝子組み換えワクチン”で、通常なら数年~10年以上及ぶべき検証期間を省いた、安全性のまったく確認されていないワクチン。飛びつかなければならないほどの切迫性はまったくない》(前出・小林先生)医療現場の専門家ですら、肯定的な意見と慎重な意見が出るコロナワクチン。親や子ども、また持病のある家族がワクチンを打つか打たないか、家庭内で意見が分かれることもあるだろう。そうした不安の声に、前出のおおたわ先生は次のようにアドバイスする。「中高年になると、糖尿病や高血圧など生活習慣病を抱える方が増えます。これはすなわち、新型コロナウイルスにかかったときの重症化のリスクが上がるということです。それも加味したうえで、ご自分がワクチンを接種するかどうかをよく考えていただきたいと思います」かかりつけの医師に相談する人もいるだろうが、“100%効果的で安全だ”と断言することはどんな医師にもできないとおおたわ先生は話す。未知のウイルスとの戦いが一日も早く落ち着き、日常が戻ってくることを願うばかりだ。「女性自身」2021年3月2日号 掲載
2021年03月01日稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾による「新しい地図」と日本財団により設立された基金「LOVE POCKET FUND」(愛のポケット基金)の「新型コロナプロジェクト」第7弾支援先が23日、発表された。今回、感染後の重症化リスクが高い高齢者に寄り添う医療・介護従事者への支援が決定した。左から稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾第7弾支援先は、日本財団在宅看護センター事業所75拠点に勤務する看護職員等(1,125人)で、支援金額は8000万円(予定)。同基金は「高齢者の皆様に寄り添う医療・介護従事者のうち、特に高い専門性をもって活動されている在宅/訪問看護師等の皆様が少しでも安心して介護事業に専念できるよう、定期的にPCR検査が受けられる機会を提供いたします」と説明。「こうした医療従事者の皆様は、常に感染拡大のリスクを感じながら職務に従事しています。今回の支援により、医療現場の安全を確保し、重症化リスクの高い人々への感染を防ぐとともに、利用者ならびに家族の安心の一助となることを願います」としている。同基金は、「生きにくさ」を抱えている女性や子ども、地方創生に関わる支援が目的。まずは新型コロナウイルス対策として、最前線で闘っている医療関係者やその家族の支援、両親・ひとり親感染家庭の児童の預かりなどの支援を行うことを目的として、「新型コロナプロジェクト」を立ち上げ、新しい地図として3000万円寄付した。
2021年02月23日「高齢者はたとえばインフルエンザワクチンを接種しても、予防効果が一般的な成人と比べて低いといわれています。理由は、加齢とともに免疫細胞が弱まっているから。そのため、抗体を作る力が落ちてしまっているのです。新型コロナのワクチンでも同じです。免疫細胞が弱ったままだと、ウイルスに対抗する強い抗体を作ることができません。しっかりとワクチンの効果を出すためにも、今から免疫力を高めておくことが重要といえるでしょう」こう語るのは国産ワクチン開発の第一人者でもある、大阪大学大学院の森下竜一寄付講座教授だ。2月17日から国内でも新型コロナウイルスのワクチン接種が始まった。まずは医療従事者から接種が始まり、4月からは65歳以上の高齢者が対象となる。そんななか、森下教授は「ワクチンの効果を高めるためにも、高齢な方々は特に今のうちから免疫力を高めておくべき」だと訴えたいという。そもそも、免疫力とは何なのか。教授はこう解説する。「簡単に言うと、体内にある免疫細胞たちの力です。免疫には自然免疫と獲得免疫があります。自然免疫には、NK細胞などと呼ばれるものがあります。ウイルスが侵入するとすぐ食べにきてくれる、警察のような存在です。いっぽうで獲得免疫には、ヘルパーT細胞などがあります。こちらは一度体内に入ってきたウイルスを覚え、抗体を作って攻撃してくれます。しかし先ほど申し上げたとおり、体を守ってくれる免疫細胞たちは年齢とともに弱まっていきます。そうして、体の免疫力も落ちてしまうんです」■免疫力は40歳でピーク時の半分ほどに実は、免疫力のピークは18歳前後。働き盛りの40歳でも、免疫力はピーク時の半分ほどになっているというのだ。厚労省が発表した昨年7月時点での新型コロナウイルスによる年齢別死亡率を見ても、60代から急激に高くなっている。ワクチンの効果を高めるためにも、重要な免疫力。それを高めるカギは、「ミトコンドリアを活性化させること」だという。森下教授が続ける。「ミトコンドリアとはいわば、細胞の中にあるエンジン。細胞を動かす原動力です。ヒトは、およそ37兆個の細胞でできています。その細胞に必要なエネルギーの90%以上を、ミトコンドリアが作り出しています。さらに、免疫反応全体のバランスをとる司令塔でもあります。ですからミトコンドリアを活性化させると、細胞が元気になります。そして免疫力アップにつながるというわけです」では、ミトコンドリアを活性化させるにはどうすればいいのだろうか。教授は7つのポイントを語ってくれた。「まず1つ目は、運動をすることです。体を動かすことで、細胞が活性化されます。ただ、やりすぎは禁物。細胞を活性化させるためには、適度な運動であることが重要です。軽いジョギングや20分程度の散歩、家でできる簡単なエクササイズなどで十分です。2つ目は、十分な睡眠をとること。7~8時間くらいが理想です。そして3つ目は、体を温めること。細胞を活性化させる体温は、36度前後といわれています。ただ筋肉量が落ちると体温も下がるので、高齢者は低くなりがち。なのでたとえば湯船につかったり白湯を飲んだりしていると、基礎体温が上がります。毎朝検温する習慣もつけましょう」■笑うことは、非常にいいことさらに、食事の重要性についてもこう指摘する。「4つ目は、食生活の見直しです。体を作るのは、なんといっても食事。できるだけ、バランスのよい食事を心がけるようにしましょう。栄養面はもちろん、食べすぎないようにも注意してください。そして5つ目は、コエンザイムQ10を取ること。ミトコンドリアが細胞のエンジンなら、コエンザイムQ10は細胞のエンジンオイル。ミトコンドリアの機能をスムーズにしてくれます。イワシや豚肉や牛肉、ブロッコリーやオリーブ油などに多く含まれています。ただ食事から摂取できる量は限られているので、サプリメントを取り入れてもよいでしょう」また意外にも、精神面の影響が大きいようだ。森下教授は次のように明かす。「6つ目は、笑うことです。細菌に感染した細胞を死滅させる、NK細胞というものがあります。それが笑うことで活性化され、免疫力アップにつながるという報告があるのです。また、セロトニンという心の安定を保つホルモンも分泌されます。だから笑うことは、非常にいいことなんです。そして最後の7つ目は、ストレスをためないことです。慢性的なストレスは体や心の疲労につながり、不眠を引き起こします。そうした悪循環に陥り、どんどん免疫力が落ちてしまうのです。最近は“コロナうつ”も増えているといいますからね。ワクチンの効果を高める意味でも、精神的に安定できる生活を心がけましょう」■接種の直前に頑張っても難しいちなみに、免疫力は季節の変わり目に低下しやすいという。「冬より夏場のほうが、要注意といわれています。夏バテで体力も落ち込みがちですからね。ワクチン接種の時期とかぶる方は、いっそう気をつけてください」そして最後に、森下教授はこう結ぶ。「高齢者は新型コロナウイルスにかかった場合のリスクも高いので、順番がきたらワクチンを打ったほうがいいと思います。ただし免疫力を高めておかないと十分な効果が出ない可能性もあると、理解しておくべきです。ワクチンを接種する直前に頑張ったところで、すぐに免疫力をアップさせるのは難しい。だから接種前の今こそ、体作りを始めましょう」いざ接種するときに慌てないためにも、早めの準備が重要といえそうだ。「女性自身」2021年3月9日号 掲載
2021年02月23日「できる限り2月下旬の(医療従事者を対象とした)接種開始を目指して準備したい」1月22日の会見で、新型コロナウイルスのワクチンについて語った河野太郎“ワクチン担当相”。日本で真っ先に接種が始まるのは、米ファイザー社と独ビオンテック社が共同開発したワクチンだが、1月中旬には、世界の医療関係者が注目した報道があった。「ノルウェーで両社のワクチンを接種した約4万2千人のうち33人が、発熱や吐き気などの副反応を示し、接種後数日以内に亡くなったと報じられました。大半は80歳以上の高齢者だったそうです」(医療ジャーナリスト)ファイザー株式会社の広報担当者は、本誌の取材に対し、次のような見解を示した。《(亡くなった方の)ご冥福をお祈りするとともに、ご家族の皆様にお見舞いを申し上げます。ノルウェー当局は老人ホームの入居者等に対するワクチンの接種を優先していますが、その多くは非常に高齢で基礎疾患を有しており、中には終末期の方もいます。ノルウェー医薬品局は、医学的にリスクの高い人に対する本剤の接種と死亡の関連性は完全には否定できないものの、ワクチン接種との直接的な因果関係を示すエビデンスは得られていないと表明しています。今回の件を受けて、ノルウェー保健局は重度のフレイル患者(例えば、Clinical Frailty Scale 8以上)、および終末期患者に対するワクチン接種のガイダンスを改訂し、ワクチン接種によって得られるベネフィットとリスクを慎重に評価するよう求めています。》■「追跡調査の期間が足りない」と指摘する専門家もこの件について、日本の専門家はどう見ているのだろうか。大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授の宮坂昌之さんは、「ノルウェーは日本と同じように高齢者が多い国ですし、その状況は今後も注視すべきだと思います。しかし、いっぽうで“ワクチン接種は危険なのではないか”というイメージだけが独り歩きしてしまうことを心配しています。ファイザーや米国のモデルナが開発したのは“mRNAワクチン”という種類のものです。ファイザーのワクチンは有効性が95%、モデルナは約94%と、非常に優秀です」だが軽重はともかくとして、あらゆるワクチンに“副反応”はつきものだという。「基本的には打った部分が腫れる、接種後に発熱する、関節痛のような痛みが生じる、といった症状です」(『ワクチン診療入門』の著書もある、ナビタスクリニック川崎の医師・谷本哲也さん)新潟大学名誉教授の岡田正彦さんはこう語る。「mRNAワクチンには、たんぱく質などを安定化させるポリエチレングリコール(PEG)が使用されていることが判明しています。“PEGによるアレルギー反応は不明”という論文もあり、その点について私は懸念を抱いています」PEGについて、前出の宮坂さんは、「薬品や化粧品などにも添加されている物質ですが、調査によればPEGによりアレルギー反応を引き起こされる人も多いのです。だから医師仲間の間では、『ワクチン接種後に、PEGによるアナフィラキシー(アレルギーの原因物質が体内に入ることによって、一つの臓器にとどまらず複数の臓器に強い症状が現れる過剰反応)が発生する可能性もあるのでは』という話はしていました。しかし幸い、アナフィラキシーに関して言えば、注射後の15?30分で反応が出ますので、医療機関の付近にいれば救命措置をとることもできます」“ワクチン反対派ではない”という岡田さんだが、接種後すぐに判明する副反応よりも、将来の不安を感じているという。「特に英国のアストラゼネカが開発したウイルスベクターワクチンで、すでに日本で治験が始まっています。人工合成したDNA遺伝子そのものを、無毒化したアデノウイルス(風邪のウイルスの一種)に組み込んで注射します。いままで人類が経験したことのない新型ワクチンですので、本来であれば、発がん性の有無などを確認するために、5年以上は追跡調査すべきだったと思います。長期的な安全が証明されていないわけですから、私自身は打つことを考えていません」『AERA』(1月25日号)には医療関係者1726人への調査結果も掲載されている。『ワクチンを接種しますか』という設問に対しては、「する」が31.4%、「種類による」が27.3%、「しない」が11.8%、「わからない」が29.5%と、意見も割れているようだ。■「若い人も高齢者も副反応は同じ」今回取材した専門家たちに、“接種を控えるべき条件”について聞いてみた。「ワクチン接種によりコロナ感染を防ぐというメリットと、接種による副反応というデメリットのバランスを、個別に判断していくことが必要となります。その際に、一つの尺度となるのが、“病気の重篤度”です。たとえば、高齢で、認知症のために寝たきりのような状態の方であれば、ワクチンの副反応が出たときに、体に致命的な影響が及ぶ可能性もあるでしょう。また心臓が弱っている方の場合、ワクチン接種で高熱を発することで、さらに心臓への負担がかかり、亡くなってしまうというケースもあるかもしれません」(谷本さん)現在は、医療従事者についで、高齢者が優先的に接種できるという方針が示されている。1月25日に厚生労働省は、65歳以上の高齢者への接種券を3月中旬以降に発送するといったスケジュールを明らかにした。だが、岡田さんは違和感を覚えているという。「ワクチンを製造している会社の論文を読むと、若い人も高齢者も副反応は同じ、とありますが、たとえばインフルエンザワクチンも私の経験では高齢者のほうが副反応は強いです」また、深刻なアレルギーを持つ人も注意が必要だという。「イギリスでは医薬品や食品、あるいはワクチンに対して重大なアレルギー反応が現れたことのある人には接種しないように呼びかけています」(宮坂さん)「アナフィラキシーを起こしたことがある方は避けたほうがいいと考えています」(谷本さん)最後に宮坂さんは、こんなアドバイスをしてくれた。「一般の人に接種の順番が回ってくるまで、あと数カ月は必要になるでしょう。その間に、世界のワクチンに関するデータは積み上がっていきます。そのデータを見て、自分は打つべきかどうか最終的に判断してはどうでしょうか」自分や家族の身を守るために、感染状況だけではなく、ワクチンの影響にまつわるニュースも注視していく必要があるのだ。「女性自身」2021年2月9日号 掲載
2021年01月29日稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾による「新しい地図」と日本財団により設立された基金「LOVE POCKET FUND」(愛のポケット基金)の第6弾支援先が23日、発表された。左から稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾第6弾支援先は、学校法人聖路加国際大学(支援額:1500万円)。新型コロナウイルスの感染拡大が広がる第3波の中、新型コロナウイルス感染症と複合災害に備えた救急医療施設への緊急支援として、支援を決定した。実施内容は、医療資機材(PCR検査用資材、放射線防護具、液晶モニタ 等)の整備、職員施設の衛生設備工事、また、研究助成マスク着用の有用性評価、入院患者のデータ解析など。なお、12月23日9時30分時点での支援金額は、3億7289万9465円(新しい地図からの支援金3000万円を含む)。「今後も、同基金では金銭、物資面に限らず支えを必要とする皆さんに寄り添っていく取り組みも展開していく予定です」としている。同基金は、「生きにくさ」を抱えている女性や子ども、地方創生に関わる支援が目的。まずは新型コロナウイルス対策として、最前線で闘っている医療関係者やその家族の支援、両親・ひとり親感染家庭の児童の預かりなどの支援を行うことを目的として、「新型コロナプロジェクト」を立ち上げ、新しい地図として3000万円寄付した。7月17日に支援者の名前が公表された際に、SMAPとしてともに活動していた中居正広も寄付していたことが明らかになった。
2020年12月24日ウーマンエキサイトの皆さま、こんにちは! 前回 、娘たちのインフルエンザワクチンの2回目を予約しようとしたところ、「今季分は受付終了」との答えが返ってきました。▼前回のお話 予約激戦!? インフルエンザワクチンの予約が取れなくて焦った話(前編)【ムスメちゃんとオコメちゃん 第94話】 いや、完全に甘くみてました…、リサーチ不足でした。焦って電話するも、すでに受付終了している病院がほとんど。小児科以外の病院は、通院している人限定や、大人のみというところも多かったです。そりゃそうだ…。姉に助けを求めて、穴場の病院を発見! なんとか娘たちの分を確保できました。あぁよかった!その間もずっとぶつぶつ言って落ち込んでいた娘たちでしたが、あと1回、何とか頑張ってもらおうと思います!ちなみに、私もその後無事、違う病院で接種できたのですが、私はなぜか「予防接種を受けた年に限ってインフルエンザにかかる」という法則(ジンクス?)を持っているので、今年は必ず回避して、ジンクスを断ち切りたい! 決意でこの冬を乗り切りたいと思っています! 皆さまもどうかお大事に!!
2020年12月12日コロナのワクチンに大きな期待が寄せられる中、開発競争の舞台裏を描くドキュメンタリーが進行していることがわかった。タイトルは『Race for the Vaccine』。製作するのはCNNフィルムズとBBC。監督は、元ウィルス学者でフィルムメーカーのイギリス人キャサリン・ゲールと、医療ジャーナリストでフィルムメーカーのアメリカ人ケイレブ・ヘラーマンが共同で行う。ナレーションは、CNNの医療コレスポンダントで医師のサンジェイ・グプタが担当する。来年春、アメリカではCNN、イギリスではBBC Twoが放映する予定。文=猿渡由紀
2020年12月11日ウーマンエキサイト読者の皆さま、こんにちは。暖かい秋だなぁと思っていたら急に寒さが厳しくなったりして、なんだかんだ冬になったことを実感しております。さて、冬といえば風邪やインフルエンザがはやる季節。わが家にはワクチンを打ってもなぜか毎年のようにインフルエンザにかかってしまう長女ムスメがいるので、重症化しないためにもワクチン接種が必須だと思っているのですが…。(ちなみに次女オコメは感染せず毎回陰性。不思議です)かかりつけ医は、予防接種類は全て専用の予約サイトを使っての予約方法でして…。まぁ予想通り、ちょっと大変でした。でも電話で戦うよりは楽かもしれないですね。(余談ですが、接種履歴や各子供たちの、現在予約可能な予防接種の一覧も見られたりします。便利な時代になりました…)娘たち…というか、長女ムスメは予防接種の予定を聞いてしまうと、いくら先でももうずっと気になってしまう性格で。これまでもなるべく前日または当日に伝えるようにしていたのですが、今回は速攻バレてしまいました。もうそこからは本当、毎日のようにため息をついていて…、いや~ごめん!(でもちょっとは忘れてもいいと思うよ!?)母、やらかしました。続きます。
2020年12月05日コロナから日常を取り戻すために、もっとも期待されているのがワクチンの開発。米国では12月中には接種が始まるという。日本にはいつ入ってくるの?最新事情を聞いたーー。「ファイザー が12月にも米国で承認されれば、年内は流行が深刻な米国と欧州に優先的に供給されるでしょう。海外で良好なデータが得られれば、年明け早々にでも日本国内での手続きが進むと思います」そう語るのは、米国国立研究機関の病理専門医・峰宗太郎さん。日本に供給される予定のワクチンは、米国の製薬会社であるファイザーとモデルナ、英国のアストラゼネカのワクチンで、3社から合計1億4,000万人ぶんを調達する予定だ。現在、日本国内ではファイザー、アストラゼネカが、第3相試験まである治験の第1、2相試験中、モデルナは準備段階だ。「今回は緊急性も要しているので、日本国内の治験は簡略化されるでしょう。新型コロナ治療薬として、抗ウイルス薬のレムデシビルがスピード承認されたように、海外の治験データが参考にされることになるはず。最短であれば、1月後半から2月前半くらいに承認されるのではないかと予想します。2月初めくらいから、まずは医療従事者や重症化リスクのある高齢者から摂取開始されるのではないでしょうか。ワクチン接種は公費負担される見通しなので、無料となる予定です」菅義偉首相(71)は「来年前半に国民全員の数量を確保」と語った。五輪前の6月ごろには国民に行き渡る見通しだ。ただ、注意したいのは接種開始となっても、直ちに日常が戻るわけではないということ。「接種者はある程度自由な行動が可能になると思われますが、未接種者はしっかりと感染対策をしなければなりません。日々の感染対策を行いながら、ワクチンによって地固めをしていくイメージです」また、開発されて間もないために、抗体がどれほど長く維持できるかも未知数だという。「1年に1回の接種なのか、数年に1回なのか、数カ月に1回接種する必要があるのかは、今後の経緯を見る必要があります」安全面、有効性を見ても、ワクチンがコロナ禍終息への希望の光であることは間違いない。しかし、現在の“第3波”はワクチンなしに乗り切らなくてはならない。「重症者数の推移を見ると、医療崩壊が現実的になってきました。個々の徹底した感染対策が求められます」「女性自身」2020年12月15日号 掲載
2020年12月03日コロナから日常を取り戻すために、もっとも期待されているのがワクチンの開発。米国では12月中には接種が始まるという。その有効性は?日本にはいつ入ってくるの?最新事情を聞いたーー。「米国製薬大手ファイザーが、FDA(米国食品医薬品局)に新型コロナワクチンの緊急承認申請を提出しました。順調にいけば、12月中に米国で接種が開始される見通し。これで良好なデータが示されれば、来年の東京五輪までに日本でワクチンが行き渡る可能性が高くなります」期待を込めて語るのは、米国国立研究機関の病理専門医・峰宗太郎さんだ。ただ、通常10年かかるといわれるワクチン開発が、わずか1年弱で承認されるとなれば、安全性が気になるところ。まずは日本に供給される予定の3つのワクチンの仕組みから、峰さんに解説してもらおう。米国の製薬会社であるファイザーとモデルナが採用したのはmRNAワクチン。「従来型のワクチンは、ウイルスの毒性を弱めた生ワクチン、“死んだ”ウイルスを利用した、不活化ワクチンなどを注射し、体内に抗体を作るという仕組みです。一方、mRNAワクチンは新型コロナウイルスの一部のゲノム情報を持った化学物質のみを注射して、体内で抗体を作り、本物のウイルスがやってきたときに戦ってくれるという仕組み。これまで、一部の研究分野でしか存在しなかった、新タイプのワクチンです」そのため、開発当初から安全性に関して不安視する専門家も多くいた。峰さんもその一人だった。「しかし両社で行われた4万人の治験者の中で、死亡者は1人も出ませんでした。副反応も軽い発熱、頭痛、倦怠感が主体で、従来のインフルエンザワクチンなどと大差ありません」一方、英国のアストラゼネカが採用したのはウイルスベクターワクチンだ。「まったく別のウイルスに、新型コロナウイルスのゲノム情報を埋め込み、体内で抗体を獲得するタイプです。ウイルスそのものを体内に入れるので、強く副反応が出ることが懸念されていましたが、治験データを見る限り、副反応はファイザーとモデルナのものと変わらず、現段階では大きな問題は見つかっておりません。個人的な感想ですが、どちらのタイプも、安全性は高いと考えています。もちろん、接種が開始されれば、大規模なデータを注視しなければなりません」安全性の次に気になるのは、その効果だ。「ワクチンの効果は有効率で表します。たとえばワクチンを打たない場合、100人中10人が発症するとします。一方、ワクチンを接種した100人だと1人しか発症しなかった。この場合、90%発症が減ったので、ワクチンの有効率は90%ということになります。ファイザー、モデルナのワクチンは有効率が約95%で、アストラゼネカは70〜90%と報告されています。インフルエンザワクチンが30〜60%なので、極めて高い有効性を示しています。また、ファイザー、モデルナの試験では、ワクチン投与群では重症者がいないことも確認されました。つまり、ワクチンを接種していれば、仮に感染をしても、重症化を抑制する効果があるのではないかと考えられているのです」数量に関しても、従来型のワクチンと異なり、合成が簡単で大量生産できるという。政府はファイザー、モデルナ、アストラゼネカの3社から合計1億4,000万人ぶんのワクチンを調達する予定だ。3社のワクチンとも2回接種しなければならない。ファイザーは1回目から3週間、モデルナは1回目から1カ月後に2回目を摂取することになるという。「女性自身」2020年12月15日号 掲載
2020年12月03日都道府県の「貯金」である財政調整基金が危機的な状況を迎えている。コロナ対応のために大きく取り崩されているのだ。将来、私たちの生活にも影響が出る可能性がーー。「都道府県が貯金として積み立ててきた財政調整基金が、新型コロナウイルス対応に使われ大幅に目減りしています。災害や不況など税収減の場合に財政調整基金が取り崩されますが、第3波が来ているコロナ対応のために歳出は今後も増加する一方、税収の落ち込みが確実。地方財政は大きな危機を迎えています」そう語るのは、地方財政に詳しい一橋大学大学院の佐藤主光教授。本誌は地方自治体に緊急アンケートを実施。10月末時点の財政調整基金の残高を調べてみたところ、都道府県すべての“貯金”は4,592憶円。’19年度末(1兆9,370億円)から4分の1以下に落ち込んでいることがわかった。「自治体の貯金が大きく減ったとしても、国から支援として補助金や交付金があるため、すぐに学校や病院が閉鎖されたり、行政サービスが低下したりすることはありません。しかし、地方圏の自治体は少子高齢化で働き手が減り、税収も落ち込んで財政的に厳しい。そこにコロナ対応という負担がのしかかった。国も財政的に厳しくなり支援が滞ってしまえば、福祉や教育などの財源にも影響が出る。突発的な災害があっても対応できないことも考えられます」(佐藤教授)財政調整基金ワースト1位は、貯金残高がゼロの熊本県。県の担当者は語る。「今年7月の豪雨災害への対応で、財政調整基金を含めた財政調整用の熊本県の基金(貯金)残高はゼロに。感染拡大がおさまらないコロナ対策を拡充したいが……国の強力な支援が欲しいです」2位となった京都府の財政調整基金の残高は、’19年度末と変わらず2,000万円。ほとんど底をついた状態だった。「府の方針として貯金として財政調整基金を貯めこむことよりも、その分、早急に府民サービスに対応してきました。医療提供体制の整備や休業要請を受け入れた中小企業支援などのコロナ対応には一般財源や地方創生臨時交付金を充てています」(京都府担当者)なかには財政調整基金をほとんど取り崩していない県もある。17位の岐阜県は、県庁舎を建て替える目的で貯めていた特定目的基金を使い、コロナ対策の費用をひねり出している。20位の千葉県と21位の埼玉県も“貯金”には手を付けずに、特別会計から100億円借り入れ、コロナ対策を実施しているが……。「財政調整基金を取り崩さなかったといっても安心はできません。千葉県も埼玉県も原資は特別会計からの取り崩し。いずれ“返済”する必要があります。どちらの県も交付団体、つまり国から地方交付税が入りますが、東京都市圏のため、ほかの地方圏の自治体に比べると額は圧倒的に少ない。今後、その借金が重くのしかかってくるのです」(佐藤教授・以下同)残高が多いからといって安心ではない。13日には4日連続で200人超の新規感染者が出た44位の大阪府はどうだろう。「すでに半分以上も財政調整基金を取り崩している大阪府は、大都市のため企業も多く、法人税の税収減が確実な状況。そのうえ、雇用を守るため休業協力金を支給し、感染者数の多い都市部では医療提供体制を整えるための歳出が増加。コロナ禍が長引けば長引くほど、財政事情は厳しくなり、財政調整基金がいつ底をついてもおかしくはありません」では、財政調整基金の蓄えがもっともある東京都(47位)は安心してもいいのだろうか?「財政調整基金からのコロナ対策の取崩しはワースト1位。東京都は国からの交付金が入らない不交付団体。国から財政支援がない分、自前でコロナ対策をする必要があります。経済が回復すれば、目減りした分の財政調整基金を取り戻すことはたやすいが、コロナの影響が長く続けば、豊かな東京だとしても財政的には厳しくなるでしょう」都道府県を火の車にした新型コロナウイルス。私たちの生活に密着しているだけに、国のバックアップ態勢が必要だ。「女性自身」2020年12月1日・8日合併号 掲載
2020年11月29日まだまだ日本全国で感染者が増え続けている新型コロナウイルス。各地で重症者も増加するなか、待望されているのがワクチンだ。WHOによると、新型コロナウイルスに対するワクチンの候補は170品目以上あり、うち30以上が臨床試験に入っている。日本では、厚生労働省が8月7日に「英国のアストラゼネカ社が開発中のワクチンについて、1億2,000万回ぶん供給を受けることに基本合意した」と発表。早ければ、来年’21年初頭から、日本でも接種が開始されるというが……。「日本国内での治験を十分に行わず承認に踏み切った場合、重篤な副反応が問題になるケースも考えられます。アストラゼネカ社が開発中の『アデノウイルスベクターワクチン』は、“多少副反応が強くても、効果を重視する”というコンセプトワクチン。実際、公開されている治験結果を見ると、高い割合で副反応が出ているのです」そう警鐘を鳴らすのは、ナビタスクリニック川崎の医師で、『ワクチン診療入門』(金芳堂)の著書もある谷本哲也さん。拙速なワクチンの承認には、つねに安全性の問題がつきまとう。ロシアでは、国立研究所が「スプートニクV」という新型コロナへのワクチンを開発した。しかし、最終段階の臨床試験が終了して効果が証明されるのを待たず、接種を開始すると政府が発表。世界の専門家はワクチンの接種が、ウイルスの有害な変異を促す恐れがあると警告している。日本国内で採用される予定の「アデノウイルスベクターワクチン」についても、西村経済再生担当相が8月22日、《ワクチンの安全性、有効性は不明ですが、国民に必要なワクチン確保に全力を挙げる》とツイッターに投稿。これに対し、《国民相手に実験するつもり?》《“不明”ってどういうこと?》という声が寄せられているのだ。従来に比べ開発が早く、現在主流となっている“遺伝子組み換えワクチン”について、国立遺伝学研究所の教授・川上浩一さんはこう解説する。「遺伝子組み換え技術というのは従来のワクチンでも使われていました。従来のワクチンはウイルスの一部であるタンパク質を所定の製造工場で生み出し、それを人間に接種することで免疫を獲得するという仕組みです。しかし、アデノウイルスベクターワクチンは、人間の体自身をウイルスが持つタンパク質の製造工場に変えてしまうのです」同ワクチンが働く仕組みを、もう少しかみくだいて説明してもらおう。■アストラゼネカ社が開発「アデノウイルスベクターワクチン」の仕組み【1】新型コロナウイルスの表面にある「突起」(スパイク)のタンパク質から遺伝子を採取する。【2】チンパンジーから一般的な風邪のウイルス(アデノウイルス)の遺伝子を採取し、ヒトの体内で増殖しないように無害化する。【3】1で採取した遺伝子を再配列し、2のアデノウイルスに組み込むことでワクチンが完成する。このワクチンがヒトの細胞に入り込むと、抗体やT細胞などの免疫抗体が生成される。新型コロナウイルスに遭遇すると、抗体やキラーT細胞が召集されウイルスに取り付いて撃退する。「新型コロナウイルスが持つタンパク質の遺伝子を、『アデノウイルス』というチンパンジーの風邪のウイルスに組み込みます。それを人間に接種することで細胞内に取り込まれ、そこで新型コロナウイルスのタンパク質が作られるようになります。それによって、免疫を獲得しようという狙いがあるのです」(川上さん)大阪府の吉村洋文知事が治験に積極的になっているバイオベンチャー企業・アンジェス社と大阪大学が共同で開発中の「DNAワクチン」のほか、すでに日本が6,000万人分の供給を受けることで基本合意した米ファイザー社の「mRNAワクチン」なども、同じ遺伝子組み換えワクチンにあたる。川上さんは「短期間の治験で、億を超える数の人間に打つことは“壮大な遺伝子組み換え実験”に相当する」と警鐘を鳴らす。川上さんがとくに危惧するのは、一度人体に入ったウイルスやDNAが“どんな挙動を示すかわからない”という点だ。「アデノウイルスベクターワクチンとDNAワクチンは、遺伝物質であるDNAが私たちの細胞に取り込まれます。以前、難病患者に対して行われていた『レトロウイルスベクター』を用いた遺伝子治療では、白血病を高頻度で引き起こし、レトロウイルスベクターは使用されなくなったという事例がありました」川上さんは「可能性は低い」としながらも、アデノウイルスベクターの挙動によっては、がんやその他疾患のリスクもぬぐいきれないと話す。「今回のワクチンのように億単位の人が接種した場合、何が起こるかわかりません。人間の生殖細胞に入り込む可能性もまったくゼロとは言い切れない。そうなれば、次世代に引き継がれて生物の歴史に影響を与えてしまいます。ワクチンの安全性が高まるまで、まずは検査を拡大し、感染者を隔離することで感染拡大を止めるべきではないでしょうか」アストラゼネカ日本本社(大阪府)は本誌に対して「生殖細胞にウイルスベクターが侵入したりする懸念はないと考えている」と答えたが、“ゼロ”と言い切れないかぎり、そこにリスクはつきものだーー。「女性自身」2020年9月15日 掲載
2020年09月03日辞意表明の会見時、「冬の到来を見据えたコロナ対策を決定した」と語った安倍首相。全国民ぶんのワクチンを確保するとも報道されたが、専門家からは安全面を懸念する声がーー。まだまだ日本全国で感染者が増え続けている新型コロナウイルス。各地で重症者も増加するなか、待望されているのがワクチンだ。WHOによると、新型コロナウイルスに対するワクチンの候補は170品目以上あり、うち30以上が臨床試験に入っている。日本では、厚生労働省が8月7日に「英国のアストラゼネカ社が開発中のワクチンについて、1億2,000万回ぶん供給を受けることに基本合意した」と発表。早ければ、来年’21年初頭から、日本でも接種が開始されるというが……。「日本国内での治験を十分に行わず承認に踏み切った場合、重篤な副反応が問題になるケースも考えられます。アストラゼネカ社が開発中の『アデノウイルスベクターワクチン』は、“多少副反応が強くても、効果を重視する”というコンセプトワクチン。実際、公開されている治験結果を見ると、高い割合で副反応が出ているのです」そう警鐘を鳴らすのは、ナビタスクリニック川崎の医師で、『ワクチン診療入門』(金芳堂)の著書もある谷本哲也さん。拙速なワクチンの承認には、つねに安全性の問題がつきまとう。ロシアでは、国立研究所が「スプートニクV」という新型コロナへのワクチンを開発した。しかし、最終段階の臨床試験が終了して効果が証明されるのを待たず、接種を開始すると政府が発表。世界の専門家はワクチンの接種が、ウイルスの有害な変異を促す恐れがあると警告している。日本国内で採用される予定の「アデノウイルスベクターワクチン」についても、西村経済再生担当相が8月22日、《ワクチンの安全性、有効性は不明ですが、国民に必要なワクチン確保に全力を挙げる》とツイッターに投稿。これに対し、《国民相手に実験するつもり?》《“不明”ってどういうこと?》という声が寄せられているのだ。谷本さんによると、アデノウイルスベクターワクチンは、従来とはまったく異なるという。「従来のワクチンは、ウイルスの活性を奪って成分にする“不活化ワクチン”などが主流でした。いっぽうアストラゼネカ社が開発したワクチンは、最新のバイオテクノロジーを駆使し、遺伝子を操作したウイルスを成分に用いています。新型コロナについては、各社も新たな方法で遺伝子ワクチン開発に精を出している。ひとくちにワクチンといっても、従来型と遺伝子ワクチンは、ウーロン茶とコーラくらい大きな成分のちがいがあるんです」谷本さんはアデノウイルスベクターワクチンについて、「理論上安全とされているが、新しいワクチンなだけに未知数な部分が大きい」と語る。開発を急ぐあまり、本来の治験期間をかなり短縮しているという。「ワクチンは、接種してから約1週間以内でおもな副反応が生じますが、長期的な副反応もゼロではありません。ですから、治験では接種後も1年くらいかけて副反応に関するデータを集め確認するのが一般的なんです」アデノウイルスベクターワクチンは、短期的な副反応でさえ強く出ている。「公開されている論文を読むと、軽度から中程度の頭痛や発熱、筋肉痛、倦怠感などを訴える治験者が多数いる。こうした副反応を軽減するため、アセトアミノフェン(パラセタモール)という鎮痛剤を4,000ミリグラム(1日に投与できる最大量)も同時に投与しています。私もこの鎮痛剤を処方することがありますが、せいぜい3分の1の量を使う程度。欧米は、新型コロナの罹患率や死亡率が高いので、副反応が強くても効果を優先して治験を行っているのでしょう」厚労省は同ワクチンについて、海外で承認が下りれば国内での治験を省略できる“特例承認”も検討している。そうなると、日本での治験が行われない可能性も……。「たとえ欧米で重篤な副反応が出ていなくても、人種や体質の違いがある以上、国内でも数千人規模の治験は行うべきです。年齢層や基礎疾患の有無によっても副反応は異なる場合があります」とくに重篤な副反応が懸念されるのは、高齢者だという。新型コロナに罹患すると重症化しやすい高齢者ほど、ワクチンが必要に思われるのだが……。「いちばん心配されるのは『抗体依存性感染増強(ADE)』という事例です。これは、ワクチン接種によって得られた免疫が過剰に反応し、罹患したときにかえって重症化してしまうというケース。最悪の場合、死につながることさえあるのです」蚊が媒介する「デング熱」のワクチン接種プログラムを行っていたフィリピンでは、このADEによる感染の重症化が多発した疑いが強まり、ワクチンの認可が取り消された。アデノウイルスベクターワクチンにおけるADEの懸念について、本誌がアストラゼネカ日本本社(大阪府)に回答を求めたところ、「感染動物モデル(第1段階)において、ADEの兆候は認められていない」という返答が。「とはいえ、ワクチン開発は第1から第3段階まで、接種する量や回数、対象年齢などを変えて、早くても4〜5年、長い場合は10年以上かけて治験を行うのがふつう。デング熱ワクチンのように製造販売後に初めて重篤な副反応がわかるケースもあります。最終段階まで観察しても何が起こるかわからないからこそ、治験は慎重に進めるべきなのです」(谷本さん)取り返しがつかないことにならないよう、政府には慎重な見極めを求めたいところだ。「女性自身」2020年9月15日 掲載
2020年09月03日稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾による「新しい地図」と日本財団により設立された基金「LOVE POCKET FUND」(愛のポケット基金)の第4・5弾支援先が5日、発表された。左から稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾第4弾支援先は、公益社団法人 東京都看護協会(支援額:488万円)。新型コロナウイルス感染症対応における第2波への備えとして、地域の医療崩壊を防ぎ、医療提供体制を確保するため、緊急措置として看護職員派遣を実施する場合、緊急時(クラスター発生など)に派遣される看護職員(災害支援ナース)に対して「特殊看護派遣手当」を支給する。また、派遣にあたって必用となる研修を実施する。第5弾は、新型コロナウイルス感染症と複合災害に備えた救急医療施設への緊急支援として、学校法人日本医科大学(支援額:1337万円)、国立大学法人東京医科歯科大学(支援額:1338万円)、独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院(支援額:2294万円)の3医院へのドクターカー等の整備支援を決定した。同基金は、「生きにくさ」を抱えている女性や子ども、地方創生に関わる支援が目的。まずは新型コロナウイルス対策として、最前線で闘っている医療関係者やその家族の支援、両親・ひとり親感染家庭の児童の預かりなどの支援を行うことを目的として、「新型コロナプロジェクト」を立ち上げ、新しい地図として3000万円寄付した。先月17日には支援者の名前が公表され、SMAPとしてともに活動していた中居正広も寄付していたことが明らかになった。
2020年08月05日2020年4月27日に、『新しい地図』の稲垣吾郎さん、香取慎吾さん、草彅剛さんたちが、日本財団会長の笹川陽平さんとともに、新型コロナウイルス対策などを目的に日本財団と立ち上げた『LOVE POCKET FUND』。同年7月17日時点で、支援金額は2億8千万円を超えています。また、同基金ではウェブサイト上で都道府県別に寄付した人の名前を記載しており、その中に元SMAPの中居正広さんがいることが話題に。この日、同基金は公式HPで都道府県別に寄付した人の名前(一部愛称)を公表したが、1万5000人を超える名簿の中、東京の欄に「中居正広」の名も。サンケイスポーツの取材に、関係者は「中居さんが基金の趣旨に賛同し、寄付してくださったのは事実です」と認めた(金額は非公表)。サンケイスポーツーより引用中居さんといえば、稲垣さん、香取さん、草彅さんらとともにアイドルグループ『SMAP』として活躍していました。現在、SMAPは解散しており、稲垣さん、香取さん、草彅さんはジャニーズ事務所を退所後、『新しい地図』として活躍。中居さんもまた、同年3月にジャニーズ事務所から退所し、新たに個人事務所『のんびりなかい』を設立し、再始動しています。一部ではSMAPメンバーの不仲説をウワサする声もありましたが、それぞれ別の道を歩み始めた今、直接的な再会ではないとはいえ、互いに協力し合う姿に、ファンからは喜びの声が上がりました。・こうして再びメンバー同士が集うのは、ファンとしては嬉しい!・中居くんも個人事務所になってから、動きやすくなったのかな。・自分から公表しないのが、中居くんらしくてかっこいい。称賛の声が寄せられている一方、一部では支援者の名前の公表にネガティブな意見も。著名人が寄付を公表した結果、「売名行為」などとバッシングされることは珍しくありません。しかし、影響力がある人の行動で感化される人も多くいるはずです。中居さんの寄付は、『LOVE POCKET FUND』の設立目的に賛同したからという理由だけでなく、こうした助け合いの輪を広げることも目的にあるのではないでしょうか。[文・構成/grape編集部]
2020年07月17日稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾による「新しい地図」と日本財団により設立された基金「LOVE POCKET FUND」(愛のポケット基金)の公式サイトで17日、支援者の名前が公表された。その中に中居正広の名前もあり、寄付していたことが明らかになった。左から稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾同基金は、「生きにくさ」を抱えている女性や子ども、地方創生に関わる支援が目的。まずは新型コロナウイルス対策として、最前線で闘っている医療関係者やその家族の支援、両親・ひとり親感染家庭の児童の預かりなどの支援を行うことを目的として、「新型コロナプロジェクト」を立ち上げ、新しい地図として3000万円寄付した。これまで多くの寄付が寄せられ、第1弾では、「全国こども食堂支援センターむすびえ」へ4125万円を寄付、第2弾では、医療従事者の移動支援として、1医療機関あたり100万円分、50カ所計5000万円分のタクシーチケットを提供。第3弾では、「公益財団法人 全国里親会」に1974万円を寄付し、全国約7000箇所の里親家庭に衛生用品(消毒用アルコール、非接触型体温計、防護服等)の支援を行った。このたび、プロジェクト発足から6月15日までに寄付した人たちへの感謝の気持ちを届けるため、支援者の名前を同基金公式ホームページ上で発表。発表と同時に、笹川陽平日本財団会長、そして稲垣、草なぎ、香取の3人から感謝の言葉も寄せられた。さらに、支援者からの希望に応え、17日より「毎月寄付」のシステムを導入。新型コロナウイルスの脅威が続き、予断を許さない状況が続いている中、引き続き同基金では様々な形で支援を続けていく。
2020年07月17日世界中で日夜、研究開発が続けられている新型コロナウイルスへのワクチン。日本も来年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、安倍晋三首相は開発が順調に進んでいることをアピールしていた。実際、日本での新型コロナのワクチン開発の状況はどうなっているのか。「いま最も注目されているのが、DNAワクチンです。これは、弱毒化したウイルスなどを使うワクチンとは異なり、ウイルスの遺伝子情報を体内に注入して、抗体を作らせようというもの。英米などで開発しているワクチンにくらべて安全性が高く、製造のスピードも断然速いといいます」(医療関係者)このDNAワクチンの開発に実際に携わるなど、日本のワクチン開発の最前線にいるのが、大阪大学大学院の臨床遺伝子治療学・森下竜一寄附講座教授だ。取材を申し込むと、「ADEのリスクについて、僕に聞きますか?」と苦笑いしつつも、真摯に応じてくれた。そもそも、ワクチンとは発症や重症化を予防するために投与する、弱毒化または無毒化した抗原のこと。あらかじめ投与して病原体に対する抗体を獲得しておき病原体が侵入してきても感染あるいは重症化を抑えられるという仕組み。しかし、本来はウイルスから体を守るはずの抗体が逆に細胞への感染を促進し、重症化を引き起こしてしまう現象がADE(抗体依存性感染増強)だ。「ADEというのは、どのワクチンでも起こるリスクはあります。デング熱のワクチンでは後に重症化することがわかり、使えなくなりました。ただし、実際に開発されたワクチンではほかにあまりそういった事例はありません。今回の新型コロナワクチン開発においてもADEの懸念はあります。厚労省も含め、ワクチン開発している研究者は、みんな気にしています。ADEのリスクは事前にはわからないのです。動物実験段階ではワクチンを打った動物を新型コロナウイルスに感染させますが、そもそも動物での感染モデルでは、大きな症状がないので重症化するかどうか確認できないかもしれません。少なくとも、従来行われたDNAワクチンの臨床試験ではADEが懸念されるデータは今のところないです」次のステップとなる人間への臨床試験はワクチン投与だけで、実際に感染させる実験は困難だ。「つまり、ワクチンが開発できても、投与した人が自然に感染するまで、ADEが起きるかどうかわからないということです。ADEのリスクは0.0何%といわれていますが、新型コロナの場合、高齢者や基礎疾患を持つなどハイリスクの人の致死率は10%を超えます。どちらのリスクを選択するか。危険性を十分認識したうえで、接種する人のリスクを検討する必要があると思います」現在、森下教授らが開発中のDNAワクチンはADE以外の安全性は既存の医薬品としての実績もあり、「基本的には安全性に関する問題は少ないと思います」と語る。「しかし、開発が成功しても早くて来春です。東京五輪までワクチンを国民全員が接種することは難しいと思います。到底、数が足りません。ですから、個人的にはハイリスクの人にまずは接種すればいいと思っています。たとえば、クラスターの起きやすい介護施設や医療現場で使えばいいのではと思っています。最終的には国が判断する話ではありますが……。今後、海外から人を受け入れ始め、大流行が起きたら医療崩壊のリスクもある。だからこそ、それまでに一つの選択肢としてワクチンは用意しておかなければいけません。そのため、本来ベストにするには3年ほしいですが、それでは遅いので、ベストに近いベターにしようと努力しています」現在、開発状況は「7合目」だという。東京五輪に向けワクチン開発を急ぐあまり、国民の安全を置き去りにしてはいけない――。「女性自身」2020年7月7日号 掲載
2020年06月25日「早ければ年末には接種できるようになるかもしれない」安倍首相は6月14日、米国・モデルナ社や英国・アストラゼネカ社と新型コロナウイルスのワクチンの交渉中と高らかに語った。「安倍首相はワクチンの開発が順調に進んでいると認識して、18日に予定どおり、移動自粛の全面解除を表明しました」(全国紙記者)だが、東京の感染者数は連日40人を超えるなど、コロナウイルスの脅威は全く収まっていない。「ウイルスは人が運んでいるものなので、人の往来が増えればまた流行するでしょう。本当に東京五輪を開催するなら、世界中から人が日本に来ます。それを受け入れるためには集団免疫が重要。その鍵がワクチンなのですが、このワクチンに重大なリスクがあることはあまり知られていません」そう語るのは、『人類対新型ウイルス私たちはこうしてコロナに勝つ』(朝日新書)の日本語版補遺を執筆した、科学・医療ジャーナリストの塚崎朝子さんだ。「各国がワクチン開発に急ピッチで取り組んでいますが、実は抗体依存性感染増強(以下、ADE)という現象が重大な問題となる可能性もあります」そもそも、ワクチンとは発症や重症化を予防するために投与する、弱毒化または無毒化した抗原のこと。あらかじめ投与して病原体に対する抗体を獲得しておき病原体が侵入してきても感染あるいは重症化を抑えられるという仕組みだ。「しかし、本来はウイルスから体を守るはずの抗体が逆に細胞への感染を促進し、重症化を引き起こしてしまう現象がADEなのです。同じコロナウイルスが病原体のSARSやMERSでは、ワクチンの動物実験でADEが確認され、ワクチン開発は断念されました。ワクチンを打ったにもかかわらず、ウイルスに感染して、より重症化するということが起きたのです」ADEのメカニズムはまだ不明だが、今回の新型コロナウイルスのワクチンの実用化に向けても、ADEが懸念されているという。「通常、ワクチンの開発には何年もかけて効果と安全性の検証を行います。今回のワクチンは世界中で臨床試験に入っており、信じられないスピードです。日本でもいろいろハードルを下げ短期決戦で挑んでいますが、安全性の担保とのせめぎ合いでもあります」また、病気の治療薬とは違って、ワクチンは“健康な人”に打つ点も十分に考慮されるべきポイントだという。「今後、新型コロナワクチンが開発されれば、高齢者や基礎疾患のある人から投与が始まるでしょう。効果的で安全なワクチンならいいのですが、有害なワクチンを使ってかえって健康を害するということだけは避けなくてはなりません」ADEを引き起こすなど、ワクチン接種で重症化という副反応が生じる恐れがあるのだ。東京五輪に向けワクチン開発を急ぐあまり、国民の安全を置き去りにしてはいけない。「女性自身」2020年7月7日号 掲載
2020年06月25日アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督、ギレルモ・デル・トロ監督、サルマ・ハエックらが、母国メキシコの映画・テレビ業界のスタッフのために緊急支援基金「Sifonoforo」を立ち上げた。メキシコもほかの国と同様、新型コロナウイルスにより制作の中止、映画館の閉鎖などで、映画・テレビ業界――特に技術スタッフが打撃を受けているという。メキシコ映画芸術科学アカデミー(以下、AMACC)によると、3万以上を超える家庭が収入源を失っており、仕事の再開の目途も立っていないとのこと。これを受けてイニャリトゥ監督ら前述の映画人に加え、アルフォンソ・キュアロン監督、ディエゴ・ルナ&ガエル・ガルシア・ベルナルらも自身の制作会社などを通じて「Sifonoforo」を支援。現在までに1,000万ペソ(約4,700万円)の寄付金が集まっている。イニャリトゥ監督は「Sifonoforo」の運営を担うAMACCの会長らとオンライン会議を行い、その模様を公開。「Sifonoforo」は、政府のいかなる支援や協力を受けず、映画業界の個人それぞれの熱い想いから誕生したと話した。申請期間は今後2か月または、資金が尽きるまでだが、設立者たちは「寄付を続けてくれればそれだけ多くの家庭を助けられる」として寄付を呼び掛けている。申請者は2万ペソ(約9万4,000円)を受け取ることができる。(Hiromi Kaku)
2020年06月12日Netflixは5月22日、日本国内の映画やテレビドラマの制作従事者の生活を支援する“Netflix 映画・テレビドラマ制作従事者支援基金”を設立し、特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)に事務局を委託したことを発表した。新型コロナウイルス感染症の影響により、現在世界中で数多くの映画やテレビドラマの制作が延期、もしくは停止を強いられる状況が続いている。国内の映画・テレビドラマ制作に従事する方々の中でも極めて生活への影響が大きい方々を短期的に支援することを目的とした“Netflix 映画・テレビドラマ制作従事者支援基金”。VIPO内に設立し、同法人に募集から支給までの事務局業務を委託することとなった。なお、Netflixは本基金設立にあたり、今年3月に発表したクリエイティブ業界を支える目的で設立された支援基金より約1億円をVIPOに拠出した。Netflixコンテンツ・アクイジション部門ディレクターの坂本和隆は「人々に喜びをもたらす作品を届けることが、コンテンツづくりの使命です。これまでNetflixがメンバーに数多くの素晴らしい作品をお届けしてこられたのも、日本の制作関係者の存在があったからこそです。VIPOにご協力を頂く今回の取り組みが、現在大きな打撃を受けている映画やテレビドラマの映像制作に関わる方々の支援に繋がることを願っています」と述べている。またVIPO事務局次長の槙田寿文は、本基金設立を受け「特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)は、この度のネットフリックス社の救済基金の趣旨に賛同し、事務手続きの代行をすることとなりました。困難な状況にある映像制作スタッフの皆様の一助となれば幸いです」と述べている。救済基金へ応募できる対象者は、各制作・技術部門におけるメインスタッフ、アシスタント、コーディネーターなどの、フリーランススタッフに該当する方を原則とし、救済基金ページに近日中に公開するオンラインフォームから申込の受付を開始する。応募方法や対象に関する詳細は、後日VIPO基金事務局より発表される。■“Netflix 映画・テレビドラマ制作従事者支援基金”概要・支給対象:国内の映画・テレビドラマ制作に従事するフリーランススタッフで、コロナウイルスの影響によるプロジェクト延期・停止が証明できる方(※Netflixオリジナル作品を除く)・対象職種:支給対象者のうち、以下制作・技術部門におけるメインスタッフ、アシスタント、コーディネーターなど演出部門(助監督等)制作部門(制作進行・演技事務・車両担当等)撮影部門(特撮・特機・視覚効果等、助手も可)照明部門(助手も可)録音部門(音響・効果等、助手も可)美術部門(装置・装飾・衣装・結髪・メイキャップ・ヘアメイク・特撮美術等、助手も可)編集部門(助手も可)スクリプター部門(助手も可)【関連リンク】 救済基金ページ()・申込開始日時:5月28日(木)13時頃・申込期間:申込開始日~6月末日(先着順で応募数が支給可能額に達した時点で募集終了)・支給時期:申込から2週間程度・支給額(一口):10万円・支給可能人数:1,000人程度
2020年05月22日稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾による新しい地図と日本財団は先月27日、基金「LOVE POCKET FUND」(愛のポケット基金)の設立を発表。まずは支援が急務とされる「新型コロナプロジェクト」を立ち上げたが、1つ目となる支援先が「全国こども食堂支援センターむすびえ」に決定したことが14日、明らかになった。なお、14日9時30分時点で支援基金総額が1憶8939万4689円に達した。稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が日本財団とともに「LOVE POCKET FUND」(愛のポケット基金)を設立「全国こども食堂支援センターむすびえ」への支援金は4125万円で、期間は5月中旬~8月末予定。生活に困っている世帯の子ども達などへの弁当・食材提供支援や、地域飲食店や地域団体と連携した子どもへの食事提供および相談支援に充てられる。同基金は、「生きにくさ」を抱えている女性や子ども、地方創生に関わる支援が目的。まずは新型コロナウイルス対策として、最前線で闘っている医療関係者やその家族の支援、両親・ひとり親感染家庭の児童の預かりなどの支援を行うことを目的として、「新型コロナプロジェクト」を立ち上げ、新しい地図として3000万円寄付した。
2020年05月14日稲垣吾郎(46)、草なぎ剛(45)、香取慎吾(43)の3人からなる「新しい地図」が日本財団とともに基金「LOVE POCKET FUND」を設立したと4月27日に発表した。すでに新型コロナウイルス関連の寄付も続々と集まっているようだ。「LOVE POCKET FUND」の公式サイトによると、同基金は「生きにくさ」を抱えている女性や子供を中心とした支援、そして高齢者や地方創生に係る支援を行なっていく。また「新型コロナウイルスプロジェクト」を立ち上げており、医療関係者やその家族への支援、そして両親・ひとり親感染家庭の児童の預かりなどの支援に寄付金を役立てる。「新しい地図」の面々も、そのプロジェクトに3,000万円を渡したという。「生きにくさ」を抱えた人たちの支援につながる「LOVE POCKET FUND」。ネットではその意図を讃える声が上がっている。《何が良いって弱者に寄り添う気持ち。単純な医療従事者支援は多いけど家族も支援はなかなか行き届かない。もともとの基金設立も弱い立場にいる女性や子供、高齢者全般への支援ってところも寄り添う気持ちが伝わる》《医療従事者やその家族への差別的行為が出て来てしまっている今、彼らのような存在が支援をアピールする意味は結構大きいのでは》《私が新しい地図に落としたお金が、ラブポケットファンドを通じて、今もっとも支援してほしい医療従事者に届き、平時は社会的弱者である女性や子ども、高齢者の支援に使われる。しみじみとうれしい。ありがとう》また早速「新型コロナウイルスプロジェクト」に寄付をした人たちも続出している。Twitterでは《微力ですが…寄付させていただきました》《さまざま対応してくださる方々へ少しでも協力できればと、LPFへ寄付しました》《少ない金額ですが、少しでもお役に立ちますように……。どこに寄付していいかわからなったから新しい地図が立ち上げてくれて助かりました》との声が。「新しい地図」の行動は、誰かの未来につながっている。
2020年04月28日新しい地図の稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾は27日、日本財団とともに基金「LOVE POCKET FUND」(愛のポケット基金)をスタート。まずは新型コロナウイルス対策として、最前線で闘っている医療関係者やその家族の支援、両親・ひとり親感染家庭の児童の預かりなどの支援を行うことを目的として、「LOVE POCKET FUND」内に「新型コロナプロジェクト」を立ち上げた。そして、新しい地図として同プロジェクトに3000万円を寄付することも発表した。稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が日本財団とともに「LOVE POCKET FUND」(愛のポケット基金)を設立同基金の設立が決定したのは昨年。「新しい地図」が始まってから2年という節目に、「どんな時でも応援していただいている皆さん(NAKAMA)の支えにより現在の自分たちが存在している、この感謝の気持ちを何かの形にしたい」という新しい地図の申し出に、日本財団が応え、協力を決定し、「皆が一つになった時にそれが大きな力になる」との思いから、一つのポケットに皆さんの愛を入れていく「愛のポケット基金」構想が誕生した。主に「生きにくさ」を抱えている女性や子供への支援や高齢者・地方創生に係る支援を行っていく基金を、2020年春に立ち上げ、ファンミーティングにて発表するよう準備を進めていたが、そんな矢先、新型コロナウイルス感染拡大という世界中を巻き込む大きな禍に飲み込まれてしまったため、まずはコロナ対策に取り組むことを決意。最前線で闘っている医療関係者やその子供を含めた家族の支援、両親・ひとり親感染家庭の児童の預かりなどの支援を行うことを目的として、「LOVE POCKET FUND」内に「新型コロナプロジェクト」を立ち上げる事となった。同時に、「『新型コロナプロジェクト』のポケットに、『新しい地図』で皆さんから受けているたくさんの愛情と共に、3000万円を入れることを決めました」と発表した。今後、同ファンドでは金銭、物資面に限らず支えを必要とする人たちに寄り添っていく取り組みも展開していく予定とのこと。全支援先、支援内容については「LOVE POCKET FUND」ホームページ上で随時、報告していく。日本財団会長の笹川陽平氏、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾のコメントは以下の通り。■日本財団会長の笹川陽平氏かねてより新しい地図の稲垣吾郎さん、草なぎ剛さん、香取慎吾さんには、災害の時など、協力をしていただいておりました。昨年からは3人のご発案で財団とともに、主に「生きにくさ」を抱えている女性や子どもを中心とした支援や高齢者、地方創生に係る支援を行う「LOVE POCKET FUND」を立ち上げようと準備をしておりました。そして現在世界中で大きな問題となっている新型コロナウイルスとの戦いは長期化が見込まれ、みんなの協力が必要となっていることに対して何かできないか、「LOVE POCKET FUND」の最初のプロジェクトとして、 新型コロナプロジェクトとして医療最前線で活躍している医師、看護師、ボランティアやその子どもたちの支援などを行ってくことになりました。日本財団は間接経費を一切いただくことなく、皆様からいただいたご寄付はすべて支援活動にしっかりと使わせていただきます。どうぞみなさんのチカラで「LOVE POCKET FUND」をより大きなものとしていきしょう。よろしくお願いいたします。■稲垣吾郎事態が収束し、一日も早く全ての人々が穏やかな暮らしを取り戻せることを祈って。これからも一緒に頑張っていきましょう。■草なぎ剛「LOVE POCKET FUND」を通じて、辛い思いをされている方、悲しみや苦しみの中にある方に一緒に寄り添っていけたらと思います。■香取慎吾今、僕らの為に頑張って下さっている方々に、みなさんの愛を届けます。上を向いていっしょに、がんばりましょう!
2020年04月27日「LEAF&BOTANICS」がパワーアップ植物の恵みで素肌をすこやかに整えるボディ&スキンケアブランド「LEAF&BOTANICS(リーフ&ボタニクス)」がリニューアル。2020年3月18日(水)、一部商品が更にパワーアップして発売されます。リニューアルポイントは今回リニューアルされるアイテムは、シャンプー&コンディショナー、ボディソープ、ボディローションの4種類。ラベンダー精油とグレープフルーツ精油の香りが対象です。芳香成分としての天然精油の香りを高め、より豊かな香りを楽しめるようになりました。植物本来の爽やかな香りがバスルームに広がります。またシャンプーにはムクロジエキスとキラヤ樹皮エキスを追加して泡立ちアップ。コンディショナーにはアボカドオイルを配合し、しなやかでまとまりのある髪へ導きます。容量も使いやすいサイズに見直されました。(画像はプレスリリースより)【参考】※松山油脂株式会社のプレスリリース
2020年03月16日定期予防接種の1つであるHibワクチン。ワクチンに添付されている注射器の針にサビが発生し、製造販売会社が1月28日以降、出荷を一時見合わせていたため、ワクチン不足となっていました。2月25日、厚生労働省はサビが発生した原因の調査結果と今後の見通しについて公表しました。 サビの原因は?製造販売業者は、調査等の結果、注射器の製造などに問題は認められず、今回のできごとは複数の要因が重なることにより偶発的に発生したものと結論づけました。これをふまえ、製造販売会社は出荷前の検査を強化するとしています。 また、厚生労働省は製造販売業者に対し、抜本的な解決に向けて必要な対応をおこなうよう指導したとのことです。そして自治体に対して、Hibワクチンを取り扱う際は引き続き目視などで異常がないか注意深く確認すること、サビが発生したものの使用を避けるよう、関係団体や医療機関に周知するよう伝えています。 ワクチン不足はどうなった!?今回の調査を受けて、ワクチンの供給不足は解消されるとのこと。3月は 57.1 万本の供給を予定しており、2019 年の実績(28.5万本)と比較しても、今後、十分な量のワクチンが供給される見込みだそうです。 万が一、サビが発生した注射針を使用した場合の影響については、局所的な炎症性反応(注射したところが赤くなる、痛みが生じる、熱を持つ)などが生じる可能性は否定できないものの、全身性又は重篤な健康影響が生じる可能性は低いとしており、今のところ、健康被害の報告はないとのことです。 今回不足したHibワクチンは、Hib 感染症に対して日本国内で承認されている唯一の予防接種ワクチンです。ワクチン不足の影響を受けて予定通りに予防接種ができなかった……という方もいらっしゃるでしょう。スケージュール通りに予防接種ができなかった場合でも、定期接種が可能な期間であれば、引き続き定期接種としての接種が可能とのこと。今後の予防接種のスケージュールはかかりつけの小児科医に相談しましょう。ワクチン不足が解消されて一安心ですね。 ■参考:厚生労働省「乾燥ヘモフィルス b 型ワクチン(破傷風トキソイド結合体)(販売名:アクト ヒブ)の供給遅延の解消について」 監修者・著者:助産師 REIKO医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2020年03月03日みなさんは、朝のスキンケアにどんなアイテムを取り入れていますか?朝しっかりとスキンケアをおこない、潤いを与えることで、一日中乾燥しらずのすこやかなツヤ肌を叶えることができます。本日は、いつもの朝スキンケアにプラスすることで、ハリとツヤのあるお肌に導いてくれるアイテムを紹介します。みなさんは朝のスキンケアにどんなアイテムを使っていますか?朝は忙しく、スキンケアになかなか時間が取れない…という悩みを抱えている方は多いと思います。本日は、いつもの朝スキンケアに1アイテムプラスすることで、一日中元気でツヤのあるお肌に導いてくれるアイテムを3つ紹介します。朝スキンケアは一日のお肌を作る大切なもの朝はスキンケアの他にも、ヘアセットやメイク、着替えなど外出前にしなくてはならないことがたくさんあります。そのため、ついついスキンケアにかける時間が取れず、簡単に済ませてしまいがちですよね。しかし、朝しっかりとスキンケアをおこなうことで、メイクの「のり」や「もち」がグッと良くなり、一日中乾燥しらずのツヤ肌を叶えることができます。また、しっかりと保湿・保護されたお肌は、乾燥や花粉、ほこりなどの外的要因によるトラブルも起きにくくなります。朝スキンケアは、「化粧水・乳液・美容液・朝用クリーム」などを中心におこなうことをおすすめします。時間がない朝のスキンケア方法時間がある朝は、複数のアイテムを使って丁寧にじっくりとスキンケアができますが、時間がないときはアイテムを厳選して使うと良いでしょう。時間に余裕がなく、すぐにメイクをしなければならないのに、保湿感たっぷりのスキンケアをすると、日中のメイク崩れやよれが気になってしまいます。そのため、スキンケアのあとは、軽くティッシュで押さえてからメイクをすると、保湿感を保ちながら、メイク崩れを防止することができます。また、1アイテムで化粧水と美容液の役割を果たすものや、UVケアもできる乳液タイプの下地など、時短アイテムを選ぶこともおすすめです。時間が取れない朝でも、できるかぎり保湿感のあるアイテムを選び、お肌に常に潤いがある状態を保つようにすると、乾燥しらずのツヤ肌が叶います。それでは、朝スキンケアに取り入れることで一日中すこやかでツヤがあふれるお肌に導くおすすめアイテムを3つ紹介します。カネボウフレッシュデイクリーム(40ml/税込6,600円)出典:byBirthこちらは、赤ちゃんの未成熟でデリケートなお肌をふんわりと包みこむ、クリーム状の物質である「胎脂」をイメージして、独自開発されたクリーム処方、「ベビーソフトオイル処方」を使って作られた朝用のクリームです。アルテア根エキスやゴールデンカモミールエキスなど、植物由来の保湿成分である「モーニングボタニカルコンプレックス」が配合されています。保湿成分を豊かに含んだクリームが、お肌に溶けこむように優しくなじみ、触れたくなるほどしっとりすこやかな、やわ肌へと導きます。茶花の香りである「ティートピア」を基調としながら、シトラスやローズマリーなどの新鮮なハーブの香りを融合した、自然あふれるみずみずしい朝のお庭を思い起こす「モーニングガーデン」の香りです。出典:byBirthモーニングガーデンのフレッシュな香りでスキンケアをおこなうと、心も身体もスッキリと目覚めていくような、朝用クリームです。また、SPF15/PA+++処方であるため、日中の紫外線ケアもおこなうことができるところもおすすめです。日中の紫外線や室内外の乾燥した空気などの外的刺激による乾燥ダメージからお肌を優しく守り、お肌にあふれるような潤いを巡らせて、もっちりしなやかなハリとツヤを与えてくれます。さっぱりと軽いタッチのクリームで重たくないため、その後のベースメイクのよれも気になりません。一日中、乾燥しらずのなめらかなお肌が叶います。アルビオンエクサージュシマー バリア ジェルセラム(30g/税込6,600円)出典:byBirthこちらは、お肌を保湿し保護するセラミドなどの「バリアプラス成分」が配合されたジェル状美容液です。濃密でコクのあるベースがぴったりと密着して、お肌を守り高めます。また、保湿成分のカカオバターやムルムルバターも配合されているため、お肌が潤いに満ちあふれ、コンディションがすこやかに整えられていきます。出典:byBirthエッセンシャルオイルの香りに癒されながら、みずみずしく潤ったお肌は、乾燥に負けない、ツヤのあるしなやかな状態へと導かれていきます。化粧水・乳液のあとに使用すると、スキンケアで与えた潤いをしっかり保ってくれます。テクスチャーはジェル状であるため、重たくならないところもおすすめです。潤いのある、キメの整った素肌は、メイクの「もち」もアップします。ベネフィークハイドロミストジーニアス(57ml/税込2,860円)出典:byBirthこちらは、ケイヒエキス・サイコエキス・カスムナールエキス・グリセリンからなる保湿成分の「潤環美容成分」や、Wヒアルロン酸が配合されたジェリー状美容液ミストです。ジェリー状の美容液をきめ細やかなミストとしてお肌にのせることができるため、ぴったり密着して、お肌にスッとなじみます。お肌の角層すみずみまで潤いを届けて、しっとりしなやかな状態に導きます。出典:byBirth朝のスキンケアの仕上げとして使うことで、乾燥による日中のお肌のかさつきやメイク崩れを防ぎます。また、フローラルの優しくすっきりとした香りは、すがすがしい気分を誘ってくれます。スリムなボトルタイプのため、持ち運びしやすく、外出先でのメイク直しや乾燥が気になった際にも使いやすいところもおすすめです。こちらのパッケージは、「ハローキティ」と「M / mika ninagawa」がコラボレーションした限定デザインです。朝の丁寧なスキンケアは、一日のお肌コンディションを決める朝のスキンケアにプラスすることで、ツヤのあるお肌に導いてくれるアイテムを3つ紹介しました。忙しい朝はどうしてもスキンケアに気を配れないと思います。しかし、ほんの数分早く起きて、スキンケアの時間を多めに取るだけで、その日一日のお肌はすこやかに潤い、やっかいなメイク崩れの悩みも解消されていくはずです。
2020年03月02日赤ちゃんの予防接種は生後2カ月から実施可能になっていますが、さまざまな種類を複数回接種する必要があり、スケージュール管理に頭を悩ませるママもいらっしゃるかと思います。ですが、今、あるワクチンが不足しているという話をご存知でしょうか? 不足しているワクチンって?今回、ワクチン不足が問題になっているのは、Hib(ヒブ=インフルエンザ菌b型)による感染症を予防する「Hibワクチン」です。 Hibワクチンは定期予防接種の1つです。生後2カ月~5歳の誕生日前日まで接種でき、標準的なスケジュールでは、4~8週間隔で3回、3回目から7カ月~13カ月以上あけて4回目を接種します。この予防接種を受けることで、重篤なHib感染症にかかるリスクを95%以上減らすことができると報告されています。 Hib感染症とは?Hibはヒトからヒトに飛沫感染し、特に乳幼児で発生に注意が必要であると言われています。名称に「インフルエンザ」とついていますが、季節性のインフルエンザとは別のものです。 Hibに感染しても症状が出ない場合もありますが、肺炎、敗血症、髄膜炎、化膿性の関節炎などの重篤な病気を引き起こすことがあります。そして、これらを起こした子どものうち3~6%が亡くなり、特に髄膜炎の場合は、生存した子どもの20%に難聴などの後遺症を残すと言われています。 Hib感染症の予防接種は受けられないの?Hib感染症の予防接種に使われるワクチンが入った注射器の針にサビが発生し、製造販売会社が1月28日以降、出荷を一時見合わせているとのことです。現在、原因の調査中で、今月末までに製品の出荷を再開するか、製造販売会社と厚生労働省が判断するそうです。 また、厚生労働省は、ワクチンが不足しやむを得ない場合には、特に医師が必要と認める場合などを除き、可能な限り1回目および2回目の接種を優先することとしています。 新型コロナウイルスによる感染症が広がりつつあるなか、予防接種が受けられないとなると不安も増してしまうかもしれません。まずは、月末の報告を待つしかないという状況ですが、今後の情報に留意し、予防接種のスケジュールなどはかかりつけの小児科に相談しましょう。 監修者・著者:助産師 REIKO医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2020年02月18日「風疹や百日咳は子どもの病気だと思っていませんか。実は大人もかかるんです。原因は小さいころに打ったワクチンの効果が薄れることにあります」こう話すのは、医療ガバナンス研究所の理事長で内科医の上昌広さん。小学生のころ、はんこ注射などの予防接種を受けた覚えのある人は多いだろう。でも、大人になってもう一度接種した人は少ないのではないだろうか。「平均寿命がまだ短かった昭和の時代なら、子どものときだけでよかったかもしれませんが、長寿社会の現代では通用しません。年齢を重ねるごとに、帯状疱疹(水ぼうそう)や百日咳、破傷風の抗体は減少します。50代以降は感染症の種類によっては、予防接種を受けていない人もいて、より感染リスクは高い。だからこそ“大人の予防接種”が必要なのです」そこで上先生に、50代以上こそワクチンを接種して予防したい感染症を教えてもらった。■百日咳「読んで字のごとく、約3カ月間、咳が続きます。国立感染症研究所(感染研)によると、’16年に感染した2,835人のうち25%は20歳以上。3週間咳が続いている人の約2割は百日咳が関与しているという報告もあります」グローバル化した現代では海外からの持ち込みもあるという。「世界全体の患者数は年間1,600万人。感染力も強く、流行するリスクはつねにあります」ワクチンの効果は4〜12年で下がるといわれている。「米国では成人にも接種が推奨されています」■帯状疱疹原因となるウイルスに初感染すると、全身に発疹が出る水ぼうそうになります。成人は子どもよりも重症化しやすく、髄膜炎や肺炎などを引き起こすこともある」1度かかった大人は感染しないと思っている人は多いが……。「ウイルスはずっと神経に潜んでいて、体内の抗体が減ると、再び暴れだし、激しい痛みをともなう帯状疱疹を引き起こします。抗ウイルス薬で治療しますが、痛みを抑えるのは難しい」50代以上に多く、80歳までに3人に1人が経験するとされるが、ワクチンで予防できる。「米国では有効なワクチンが開発されて、接種希望者が急増。品薄状態にまでなっています」■ジフテリア「鼻や耳などから感染した細菌の毒素が全身に回ると、心筋炎を発症することがあります。毎年の罹患者数は多くないですが、死亡率は約10%と、感染すると命に関わります」年齢が上がると、ジフテリアに対する免疫力は下がりやすく、感染研の報告では40歳を境に、予防に十分な量の抗体を持つ人の割合を示す抗体保有率が低下する。「米国では破傷風と同様、10年に1度の予防接種を推奨しています。40〜50歳をめどに検討してみましょう」■風疹「大人が発症しても症状は軽いですが、妊婦が感染すると、胎児に障害を引き起こすことがある。空気感染で、保菌者が少し離れた部屋にいてもうつります」米国の研究では、定期接種を2回行った子どもでも、成人になる前にワクチンの効果が薄れることが報告されている。「日本では30〜40代を中心に予防接種を受けていない人や1回のみの人がいます。今からでも遅くはないので、まずは不足分の接種をしてはどうでしょうか」紹介した感染症の予防接種はすべて成人でも受けられる。しかし、費用は自己負担しなければならない。「米国では成人も保険適用でほとんどのワクチンを接種できますが、日本はまだ、そこまで制度が充実していません。ただ、たとえばインフルエンザと3種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風)ワクチンを同時に打っても負担額は1万円程度。これで重篤な感染症を予防できると考えれば、高すぎるものではありません」自分だけではなく、大切な家族への感染を防ぐためにも、予防接種を検討してみよう。「女性自身」2020年2月18日号 掲載
2020年02月06日わが国の国立感染症研究所は1月31日、新型コロナウイルスの培養に成功したと発表した。中国では治療薬の試験投与も開始。ワクチン開発も進んでいると専門家は語るーー。1月29日、中国内の新型コロナウイルス感染者数が、’03年に流行したSARSの5,327人を超えたと大きく報じられた。日本国内では、ヒトからヒトへの2次感染が疑われる患者も見つかり、新型コロナウイルスの恐怖をより身近に感じている人は多いだろう。だがここで「過剰な不安を感じるよりも、冷静な目で見ること」が大切だというのは、アメリカ国立衛生研究所の病理専門医である峰宗太郎さんだ。「単に感染者数を見るだけでなく、重症化した患者数も見るべきです。現時点ではSARSの死者数(349人)と比べ、特に多い印象はありません。また、論文の報告によると死者や重症患者は、持病のある人と高齢者にとくに多く、大部分の人は風邪のように軽い症状で、3〜4日で治っています」患者数が急激に増えたのも、ウイルスが広がりやすい性質を持つこと以外に理由があるという。「検査方法が迅速に開発され、早い段階で感染の有無を中国全土で判定できるようになったのが一因でしょう。検査では、見逃しやすい無症状や軽症の感染者も発見しているので、これも感染者数が増えた要因かもしれません」もちろん、油断はできない。「中国では感染者1人が2.5〜3人にうつしていると考えられています。感染者が増えれば、日本でも流行は起こりえるでしょう」そこで期待したいのが、抗ウイルス薬だ。科学技術の発展と幸運が重なったことで、急速に開発が進んでいるという。「SARSのときはウイルスの遺伝子情報を集めるのに約1カ月ほど時間が必要でしたが、今は1日で解析できています。迅速に新型コロナウイルスの全体像を知ることができているのです」調査の結果、新型ウイルスはSARSやMERSと似ていることが明らかに。「これが幸運でした。SARSは’02年から18年も研究が続けられており、ウイルスの持つタンパク質の種類や性質はすでに判明していた。その知見を新型ウイルスに応用することができたんです」注目されたのはウイルスの増殖に関わるタンパク質。この働きを阻害する物質を見つければ、ウイルスの増殖を抑える薬を作ることができる。「さらなる幸運は、開発されていた薬のなかに、阻害効果の期待できるものが複数あったことです。中国の研究グループによると、エイズの原因ウイルスであるHIVの治療薬や多発性骨髄腫という血液がんの治療薬、漢方薬の成分などに効果がありそうで、なかでも2種類のHIV治療成分を混ぜた『カレトラ』という薬に注目が集まっています」通常なら、試験管内での実験や動物実験を経て、臨床試験を検討するのが一般的。だが、今回は、すでに市販されている抗HIV薬であることと、感染者が増えていることを踏まえて、中国は新型ウイルス感染者への投与を開始し、薬の効果を確かめる治験も同時に行っている。治療薬ばかりではなく、ワクチンの開発も進められている。科学雑誌『サイエンス』のオンラインニュースは、新興感染症に対するワクチンの開発を後押しする非営利団体「CEPI」が、3つの団体に合計1,250万ドルもの開発資金を提供したと報じた。資金提供を受けた団体の一つが、峰さんが所属する研究機関だという。「進められているのは、MERSの原因となるコロナウイルスのワクチンを応用した開発です。MERSワクチンの開発は、流行が収まったので資金が投入されず、停滞していましたが、かなり完成度の高いものがあります。新型ウイルスのワクチンはこのMERSワクチンを応用することでできる。2月中にも試験用のワクチンは出てくるでしょう」その後、動物実験や臨床試験などを経るため、ワクチン接種が始まるのは、早くても数カ月先になる見込みだが……。「アフリカで流行したエボラ出血熱のときは、その緊急性を鑑みて、コンゴでは動物実験を急ぎ、かなり早く人に投与されました。今回の新型肺炎に関しても、状況を見ながら、中国政府などが判断をしていくはずです」感染拡大を防ぐには私たちの努力も必要だ。「飛沫感染と考えられるので、咳エチケットや人混みを避けることなど感染予防の基本を守りましょう。うがいは水ですれば十分。感染の疑いがある場合は、広げないためにマスクの着用をするのが望ましいです」ウイルスが付着したドアノブや机などをさわった手で、鼻や口の周りを触割ると、感染リスクは高くなる。「そのため、なにより手洗いは重要。新型コロナウイルスは、アルコールや石けんなどの界面活性剤に弱いウイルスです。市販のアルコールジェルを買うときは、消毒効果がもっとも高いアルコール濃度70〜80%程度のものを選び、消毒するときは、手にしっかりつけて、乾くまでしっかり塗り込んでください」自己防衛を怠らず、科学技術が、新種のウイルスを克服するのを待ちたい。「女性自身」2020年2月18日号 掲載
2020年02月06日