曜日と時間で使い方が変わる1階井の頭線池ノ上駅からほど近い、線路の土手に面して建つ建築家の江頭 豊さんの自邸は、フレキシブルに人と人をつなぐ装置として設計されている。一家4人で夕食を囲む自邸の1階『DOTEMA』は、平日の昼間はコワーキングスペース、週末はワークショップやキッチンスタジオ等のイベントスペースにもなる。そして同じ敷地内に、4戸の賃貸ワンルームも併設している。豊さんは朝食を1階のカウンターでゆっくりと摂るのが日課なのだそう。「子どもたちがバタバタと2階で朝ごはんを食べている間に、僕は1階で優雅にコーヒーなど楽しんでいます(笑)。家族で1階で夕食をとったあとは、そのままここでお酒を飲んで、プロジェクターで映画を楽しむことも多いですね」平日はノートパソコンを広げて仕事もする。まさにひとつの空間の使い方を臨機応変に変えているのだ。外のデッキスペースは、1階の土間からシームレスにつながっており、イベント時の交流の場となったり、賃貸の住人達との交流の場になったり、近くの子どもがやって来てブランコで遊ぶ。自在な使い方ができる“間”が、人と人との関係を紡ぎ、豊かなコミュニティを創造している。カフェのようなお洒落な空間だけれど、自宅のリビングでもある。棚いっぱいのCDとレコードは豊さんのコレクション。キッチンのカウンターの並びにはターンテーブルも。ブルーのタイルが空間に色を添えている。カウンター下のガラスタイルも美しい。照明器具は、ひとつひとつ違う場所で買い集めたものだそう。天井の6面体のスピーカーが空間全体に良い音を響かせる。天井の照明用レールに渡した小さな粒つぶのLEDライトが可愛い。オールステンレスの本格的なキッチン。将来、飲食店としても活用できるように、ダブルシンク、大型食洗機の設備を整えた。カウンターはグルリと回遊できるので、子どもたちはキックボードや自転車でグルグル回って遊ぶのがブーム。書籍は自由に手にとって閲覧できる。1階には小上がりも(手前)。「1段高い場所はイベントの際にステージとしても使えます」。プロジェクターも設置。トイレの鏡には女優ライトが。「既存の照明器具を6つ配置しています」。2階の洗面所の鏡も同様の仕様。4戸の賃貸住宅を併設自邸の隣は4戸の賃貸住宅になっている。江頭さんの以前のお宅は、賃貸住宅があった場所にあったのだそう。「家の隣に空いていたスペースを買い受けて敷地を広げ、現在の家を作りました」ウッドデッキは、江頭さん家族、賃貸の住人、そして『DOTEMA』を利用する方の共通の庭。賃貸の住人たちとここでバーベキューを楽しむこともあるのだそう。ガルバリウムを平葺きした外観。手前の4戸がワンルームの賃貸住宅。現在は満室。敷地の奥が自邸と『DOTEMA』。ウッドデッキではバーベキューを楽しむ。コンクリートの擁壁はコの字に曲げてベンチとして使えるようにしている。賃貸の4部屋は、それぞれ壁の色が違う。1階はモルタルの土間があり、2階の部屋はロフトが付く。1階は、週末や夜間、ガラリと雰囲気を変える。1階には豊さんの仕事部屋も。ステンシルを使い番号をDIYしたロッカーは、コワーキングスペースを利用する方に貸し出している。2階の自宅部分はくつろげる雰囲気に2階は家族のプライベート空間。針葉樹合板の木目を活かした、ナチュラルでリラックスできる雰囲気の第2のリビング。交流の場である1階の『DOTEMA』とは違った魅力を楽しめる。窓からの眺めも、1階は線路の緑の土手を、2階からは風景の広がりを堪能できる。天井高を活かし、ロフトを造っている。普段使わないモノや、季節の衣類を収納している。右側の引き戸を開けると、2階への階段が現れる。1階をパブリックな使い方をする場合に、この引き戸でプライベートな住居と分けている。2階のリビングはたっぷりとした天井高。針葉樹合板の壁がくつろげる雰囲気。2階の窓の外は大きく開けていて眺めがいい。「遮る高い建物もないので、遠く三軒茶屋のキャロットタワーも見えます」下駄箱は2階に。靴を横向きに並べてディスプレイするように収納するスタイルは、靴のデザインを楽しめる。靴好きなら真似したい方法だ。2階にはロフトも。ロフトは白に塗装。収納として利用している。晴くんと優ちゃんの勉強はリビングで。愛想のいい猫のララちゃんが乗っているカウンターテーブルは、子どもたちと一緒にDIYしたのだそう。扉のないシームレスなリビング寝室とリビングの間は扉をつけず、シームレスな空間に。寝室の傾斜のある天井は巣ごもり感たっぷり。ゆっくりと朝まで熟睡できる。「今はベッド2つ並べて4人川の字に寝ています」子どもたちの成長に合わせて2階の空間も、そして1階で育む人々との絆も、変化しながら豊かに成長していくに違いない。右側がリビング、左側が寝室。扉はつけず、壁でゆるやかに仕切っている。水道管で作ったラックに家族の服を収納。この家と広場の模型は7歳の晴くんの作品!「建物が好きなようで、ゲームの『マインクラフト』でもカッコいい建築を作ってますね」と建築家のお父さんは目を細める。視線が抜ける柱の向こうが2階のミニキッチン。主に葉月さんが使っている部屋。将来は子ども部屋にすることも可能。「バスルームは換気を良くしたかったので、ベランダに面した場所に作りました。目隠しのために柵を高くしています」洗濯機が一段高い位置にあるのは、この下が2階に上がる階段になっているため。「洗濯物を出し入れする際、腰をかがめなくて良いので楽です」江頭邸設計江頭 豊(DOTEMA)+越浦太朗建築設計事務所所在地東京都世田谷区 構造木造規模地上2階 延床面積195㎡
2020年07月06日建築ジャーナル(2020年5月号)にプライムの作品が掲載されました。住宅建築、一般建築、子供の空間など、多くの作品が掲載されています。建築ジャーナル(2020年5月号)にプライムの作品が掲載されました。住宅建築、一般建築、子供の空間など、多くの作品が掲載されています。是非ご覧いただければと思います。掲載作品一覧:【青谷福音ルーテル教会】【白鷺の家】【末広の家】【フラッツCN】【Bridge-桜上水の家】【ブーメラン・プランの家】【東邦電気工事ビル】【山に向かう家】【いまいづみ幼稚園未来館】【フラッツAL】【加賀の子ども】【まついハウス】【Onefor3-柿の木坂の家】【天遥かな家】【にぬふぁ保育園】プライム一級建築士事務所
2020年06月08日寺田倉庫株式会社が運営する建築倉庫ミュージアムは、緊急特別企画として、「隈研吾・西澤明洋が語るアフターコロナの建築とデザイン -建築倉庫×クリエイティブナイト-」を2020年5月14日19時よりYouTubeにてライブ配信いたします。建築倉庫ミュージアムは現在、新型コロナウイルスの感染予防および拡散防止のため臨時休館しておりますが、この期間にも建築および建築模型の魅力をより多くの方に伝えるべく、オンラインコンテンツの充実に力を入れております。今回は、建築倉庫ミュージアムの取り組みのひとつである「建築領域における可能性の拡張」に対し、様々なジャンルのクリエイターを招いたトークセミナー「クリエイティブナイト」を主宰する株式会社エイトブランディングデザインに共鳴いただいたことから、本コラボレーションが実現いたしました。登壇者には、同社代表であり、アーキテクチュアル・シンキング(建築的思考術)を提唱するブランディングデザイナー・西澤 明洋氏と、建築倉庫が運営する模型保管サービス「ARCHI-DEPOT ONLINE」にて、数多くの建築模型を保管する建築家・隈 研吾氏をお迎えいたします。「アフターコロナの建築的思考術」、「建築×ブランディング」、「建築模型の価値」等をキーワードに、第一線で活躍する両氏が、「今」考える建築とデザインについて語ります。【開催概要】タ イ ト ル:緊急特別企画「隈研吾・西澤明洋が語るアフターコロナの建築とデザイン -建築倉庫×クリエイティブナイト-」日 時 :2020年5月14日 19:00~20:10(終了予定)配 信 URL:建築倉庫ミュージアム公式YouTubeチャンネル 視 聴 方 法:詳細は建築倉庫公式サイトおよび各種SNSをご確認ください。公式サイト:公式SNSTwitter :: :料 金 :無料【隈研吾氏について】 年生まれ。東京大学建築学科大学院修了。1990年隈研吾建築都市設計事務所設立。2009年~2020年3月、東京大学教授。2020年4月より東京大学特別教授。1964年東京オリンピック時に見た丹下健三の代々木屋内競技場に衝撃を受け、幼少期より建築家を目指す。大学では、原広司、内田祥哉に師事し、大学院時代に、アフリカのサハラ砂漠を横断し、集落の調査を行い、集落の美と力にめざめる。コロンビア大学客員研究員を経て、1990年、隈研吾建築都市設計事務所を設立。これまで20か国を超す国々で建築を設計し、(日本建築学会賞、フィンランドより国際木の建築賞、イタリアより国際石の建築賞、他)、国内外で様々な賞を受けている。その土地の環境、文化に溶け込む建築を目指し、ヒューマンスケールのやさしく、やわらかなデザインを提案している。また、コンクリートや鉄に代わる新しい素材の探求を通じて、工業化社会の後の建築のあり方を追求している。【西澤明洋氏について】 年生まれ。株式会社エイトブランディングデザイン代表。ブランディングデザイナー。「ブランディングデザインで日本を元気にする」というコンセプトのもと、企業のブランド開発、商品開発、店舗開発など幅広いジャンルでのデザイン活動を行っている。「フォーカスRPCD(R)」という独自のデザイン開発手法により、リサーチからプランニング、コンセプト開発まで含めた、一貫性のあるブランディングデザインを数多く手がける。主な仕事にクラフトビール「COEDO」、抹茶カフェ「nana’s green tea」、ヤマサ醤油「まる生ぽん酢」、サンゲツ「WARDROBE sangetsu」、芸術文化施設「アーツ前橋」、手織じゅうたん「山形緞通」、純金工芸「SGC」、農業機械メーカー「OREC」、ブランド買取「なんぼや」、ドラッグストア「サツドラ」、博多「警固神社」、など。著書に『アイデアを実現させる建築的思考術』(日経BP社)、『ブランドをデザインする!』(パイ インターナショナル)などがある。グッドデザイン賞をはじめ、国内外100以上の賞を受賞。企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2020年05月10日この面積で暮らせるのか保坂邸は約19㎡。建築面積ではなく延床でだ。これはさすがにとてつもなく狭いのではないか、そう思って訪れたが、室内を拝見してまず最初に「意外と大きい」と感じた。たぶん、この印象は上に大きく抜けた吹き抜けから受けたものだろう。この吹き抜けがなかったら「大きい」という印象はなかったに違いない。建築家である保坂さんでさえ、この床面積ではたして住むことができるのかとの思いをずっと抱きつつ設計を進めていたくらいなのだ。「この大きさのものは設計したことがないので実績がない。不安でしょうがなかった」という保坂さん。実は当初、2階建てでの設計を考えていたという。通勤を考えて購入した土地は横浜に建てた前の家と敷地の大きさもプロポーションも似ていた。当然ながら同じ2階建てで考えていたが、ある日、要望を出してほしいと伝えていた妻のめぐみさんからの話で変更することに。グリーンが狭い空間に潤いをもたらす。椅子の下も収納スペースに使っている。道路から室内を見る。窓の部分も収納に活用。棚はコンクリートに付けた凹みに載せているだけ。平屋でつくる「そのときちょうど読んでいた江戸時代の生活の本の話をしたんです。当時は家族4人で4畳半でも決して狭くないという生活をしていて、それがここでは2部屋以上取れる。それくらいの広さだと考えたらまったく狭くないと思ったのでその話だけをしました。そしたら保坂に“わかった”って言われて、“えーっ、わかったの?”って思ったんですけれど、そのあとは何を聞かれるわけでもなく、しばらくして出てきたが平屋の案でした」平屋案に至ったのには横浜の家とは異なる敷地条件もかかわっていた。「決定的に違うのは南北に7階建てのマンションが立っている点で、2階建てにすると床と天井の高さが近くてトップライトを開けると空よりもマンションが見えている印象が強くなってしまうんです」(保坂さん)奥にベッドが置いてありそのまた奥の外部にバスタブがある。間にキッチンがあるため、手前のテーブルのところで夜遅くまで起きていても奥で寝ている人には気にならないという。左右の壁の間の寸法はいちばん広いところで2425mm。キッチン側から道路側を見る。キッチンと奥のスペースの間には段差が設けられている。キッチンに並ぶものには料理好きのめぐみさんのこだわりが感じられる。オーディオ関係は前の家の時よりも大きなものに取り替えた。レコードはちょうどその幅の分凹ませたコンクリートの壁に立てかけられている。ポジティブに考えるとはいえ床面積は横浜の家と比べほぼ半分。「前の家でもすごくコンパクトな生活だなと思っていたのにその半分になる。ふとんのサイズは半分にならないし椅子だって半分の大きさにはならない」。しかもめぐみさんからは大きなベッドがほしい、冷蔵庫を大きくしたいという要望も出ていた。自身もオーディオ関係を大きなものに取り替えたいと思っていた。いずれの要望も厳しい敷地条件とは逆方向を向くもの。さらに、トップライトからの採光のシミュレーションをしてみると11月から2月の半ばくらいまでまったく直射光が入らないことが分かったという。しかし狭さに関しては読んでいた本から、「“やってみればできるかもね”ってポジティブになれた」し、光に関しても「北欧でも直射日光がまったく当たらない季節があるので、ある意味冬は北欧のような生活ができる」というふうにポジティブな方向に頭を切り替えた。「冬は直射光が入らないんですが、トップライトから天空光が柔らかく入るのでそれを楽しむ空間にしようと。夏は燦燦と光が入るので北欧から南国までの光の変化を楽しめるというコンセプトで行こうということになりました」天井を見上げる。トップライトは2つの円弧からできている。ぶら下がっているコンクリートの壁は南からの光を反射させてベッド上の天井を照らす。トップライトからの光が時間ごとに違う場所に光の筋をつくり出す。ベッド側から天井を見る。狭くてもなんでもある内部の設計コンセプトも狭さゆえに向かう方向とは逆の方向で基本方針を立てた。「面積からするとヴィジュアル的にも生活的にもいろいろとそぎ落とす方向に行きかねないところで古代ローマのハドリアヌス帝などが大事にしていた〈学問、入浴、演劇、音楽、美食」という5つの要素を、こういう小さな家でも大事にできるようにしよう」と。こうして露天風呂も加わった保坂邸。保坂さんは冒頭にも書いたように実際に住み始めるまで不安でしょうがなかったというが、すべて杞憂に終わりお2人とも充実した日々を過ごしているようだ。「すべてがここにあるという感じがしています。前の家ではモノをなるべくもたない生活を楽しんでいたんですが、ここではほしいものはなんでもあってそれを楽しむ生活をしている感じがします」とめぐみさん。めぐみさんは「都会で露天風呂をつくっても入らないのでは」と思ったがとても快適で2人とも毎日入っているという。大きめのシャワールームが風呂の隣のスペースにつくられている。キッチン側から奥を見る。狭いためトイレとシャワールーム以外は扉をつくらないという方針のもと、コンクリートの仕切りの間のスペースをクローゼットとしている。保坂さんもこう話す。「日本でも戦前までは多くの人が狭くても豊かに住んでいましたが、現代はそうした生活とは完全に一回切れて住宅事情というのができていて脈々と受け継がれてきたものが途絶えている気がします。でも実際にこの狭いスペースで自分が生活をしてみると、このぐらいでも住めるというかむしろ楽しく暮らせる。そして、生活で大事にしているものをすべて入れ込んでいるから密度も濃い感じがしますね」住み始めて、狭くても楽しく豊かに過ごせるだけでなく、さらにまったく予想だにしなかった楽しみも生まれているという。「引っ越してガラス戸のすぐ向こうを人が通るなんてまったくイメージもできなかったし、想像すると少し怖い感覚すらあって窓を開けられないんじゃないかとも思っていました。でも今はふつうに窓も開けていて、そうすると話しかけてくる人がいたり中には“家の中を見せて”っていう人もいるんです」(めぐみさん)。そうしたコミュニケーションが楽しく近所の方ともつながりができたという。前の家とはまた異なる楽しみを何重にも感じながら暮らしているお2人の話の端々から暮らしの充実ぶりがうかがえた。窓の上には旅行先で購入した小物などが置かれていた。コーナー部分も本の収納スペースに。反対側のコーナーにも同様に本が置かれている。コンクリート壁にいくつかニッチをつくって収納スペースにしている。奥は保坂さんがよく使うペンのペン挿し。左のコンクリートの段差はハンコや付箋などの小物を置くためにつくられたもの。家の前の道路も保坂邸の敷地。ここを近所の人たちが通勤や買い物などで通り、室内のお2人に声をかけてくる人もいるという。玄関は右の側面につくられている。保坂邸設計保坂猛建築都市設計事務所所在地東京都文京区構造RC造規模地上1階延床面積18.84㎡
2020年03月23日元SMAPの中居正広が21日、都内で会見を開き、3月いっぱいでジャニーズ事務所を退所することを発表。30年以上所属した事務所への感謝の思いを語った。中居は「ジャニーズ事務所は中居さんにとってどんな場所でしたか?」と聞かれ、「僕自身、実力があるとか、テクニック、力がある人間とは…何か秀でたものがあるわけでもない僕をここまで押し上げていただいたのは会社のおかげ以外なにものでもない」と感謝。「5万人の前で歌ったり、歌えないのに歌わせてもらえたり、運と会社の後押しだけでここまでこられたと思っています」と笑いを交えて話した。続けて、「よく『プロとして…』『我々プロは…』って言いますが、ずっとアマチュアみたいな感じでやってきたので、プロって言われたときに胸張って言えるものはないなって。ずっとアマチュア感、はったりでやってきた感じですかね」と自身について言及。「でも、自分のメッキがはがれているのも、うすうす感じていたりもします」と語った。そして、「今まで会社の力やSMAPのブランドで好きにやってきましたけど、人よりも努力を重ねてここまできたっていうのでもないし、そう考えると本当にここまでしてもらったのは間違いない」と改めて事務所に感謝。「会社の力でここまでこれたっていうのがありますから、出るっていうのは、自分が試される。でもそれくらい環境を変えなければならないと感じた3年だった」と心境を明かした。事務所の中で一番感謝している人を聞かれると、「ジャニーさん」と昨年7月に亡くなったジャニー喜多川さんの名前を挙げ、「それは間違いないと思います」ときっぱり。会見の途中にジャニーさんの遺骨をポケットに忍ばせていることを明かし、遺骨を入れた小瓶を披露。「『力をくれ』って思いながらポケットに入れたんですけど、まだ力くれてない」と笑いを誘った。
2020年02月21日モダニズム建築の宝庫といわれるインディアナ州コロンバスを舞台に、建築の声に耳をすませる対照的な男女を描いた映画『コロンバス』の公開日が3月14日(土)に決定、その予告編映像が解禁された。主人公のジンは、『スター・トレック』シリーズや『search/サーチ』で知られ、今年1月にはJホラー『THE JUON/呪怨』のリブート作品『ザ・グラッジ/The Grudge』(原題)が全米公開、先日は第92回アカデミー賞ノミネート発表を担当したジョン・チョー。ケイシー役には『スプリット』『スウィート17モンスター』で注目を集める若手女優ヘイリー・ルー・リチャードソン。予告編では、高名な建築学者の父を見舞うため、モダニズム建築の街として知られるコロンバスを訪れるジンの姿が。渋々、この街に滞在することになったジンは、地元の図書館で働くケイシーという女性と出会う。ジンは父親との確執から建築に対して複雑な思いを抱える一方、この街の建築に誰よりも詳しいケイシーは薬物依存症の母親のため、この街に留まり続けるしかない。そんな対照的な2人が巡る、街中にあふれる有名建築物たちが次々に映し出され、“建築のもつ人を癒す効果”を感じさせる映像となっている。メガホンをとったのは、これまでロベール・ブレッソンやアルフレッド・ヒッチコックについてのドキュメンタリーを撮り、名匠・小津安二郎の作品に欠かせない脚本家の野田高悟(のだ・こうご)に因んでコゴナダと名乗る新進監督。奥行きを生かした画面の構図や、間の取り方など、小津の芸術性を研究し、全てのシーンで「映画の教科書」のような巧みな構図を実現している。『コロンバス』は3月14日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:コロンバス 2020年3月よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開©2016 BY JIN AND CASEY LLC ALL RIGHTS RESERVED
2020年02月07日俳優の伊原剛志が20日、インスタグラムを通じ、昨年末に所属事務所・ケイダッシュを退所して個人事務所を設立したことを発表した。伊原は「新しい冒険にでます!」の書き出しから、「子どもの頃の遠足の前日の気持ちです。明日はどんな事が起こるんだろう?ってワクワクし過ぎて前日なかなか寝つけないような子どもでした」と心境を表現。「2019年末、たいへんお世話になった芸能事務所ケイダッシュを卒業しました」と報告した。そして、「快く送り出してくれたケイダッシュの会長はじめ社長そしてマネージャーに、感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました」と周囲への謝意を示し、「そして今年から個人事務所“IHARAオフィス”での出発となりました。2020年の“伊原剛志”にご期待下さい」と呼び掛けている。1963年11月6日生まれの大阪出身。NHK連続テレビ小説『ふたりっ子』(96)・『花子とアン』(14)、大河ドラマ『新選組!』(04)・『花燃ゆ』(15)、クリント・イーストウッド監督作『硫黄島からの手紙』(06)など、数多くのドラマや映画などで活躍している。
2020年01月20日20世紀以降の国内外のアンビルト/未完の建築に焦点を当てた展覧会『インポッシブル・アーキテクチャー ―建築家たちの夢』が、国立国際美術館で3月15日(日)まで開催されている。この展覧会は、これまで完成に至らなかった構想、提案に留まった刺激的なアイディア、技術的には可能であったものの、社会的条件や制約で実施できなかったプランなど、アンビルト/未完の建築を、約40人の建築家、美術家による図面、模型、関連資料を通して読み解いていくもの。展覧会のタイトルに使われている「インポッシブル」という言葉は、単なる「不可能」という意味ではない。ここでの不可能は、建築の可能性の境界を問い、不可能性に焦点をあてること。つまり、建築における極限の可能性や潜在力を浮かび上がらせようとすることが、この展覧会のねらいである。例えば、展示される《ウラジーミル・タトリン、第3 インターナショナル記念塔》のCG映像やヤーコフ・チェルニホフの書籍挿絵にあるように、1930年代のロシアでは、大胆な曲線を描いた建築を構想していた。実際つくるには相当の技術が必要であろうが、当時の社会的な制約により実現には至っていない。そのようにこの展覧会を見て行くと、完成や実現がなされなかった建築には、既存の制度に対して批評が込められていたり、作者の夢や思考がより直接的に表現されているのではないか、ということに気づくはずだ。なかなか見ることも考えることもできない、貴重な建築の側面が分かる、とても興味深い展覧会である。【関連リンク】 国立国際美術館( )映像制作:長倉威彦《ウラジーミル・タトリン、第3 インターナショナル記念塔》CG 映像 1998 年ヤーコフ・チェルニホフ 書籍『建築ファンタジー 101 のカラー・コンポジション、101 の建築小図』より 挿図 1933 年 個人蔵ブルーノ・タウト《生駒山嶺小都市計画、遠望図、1933 年12 月》1933 年 大和文華館蔵制作監修:瀧澤眞弓《瀧澤眞弓、山の家、模型》1986 年 個人蔵安藤忠雄《中之島プロジェクトⅡ―アーバンエッグ(計画案)公会堂、断面図》1988 年 ギャラリー ときの忘れもの蔵山口晃《都庁本案圖》(会田誠提案による)2018 年 個人蔵 撮影:宮島径
2020年01月08日モダニズム建築の宝庫として知られるインディアナ州コロンバスを舞台に、2人の対照的な男女の出逢いと心象風景、そして建築物の声に耳をすませ新たな人生に向かって歩き出す姿を描いた『コロンバス』の公開が決定。併せて、ポスタービジュアルと場面写真が解禁となった。■ストーリー韓国系アメリカ人のジンは、講演ツアー中に倒れた高名な建築学者の父を見舞うため、モダニズム建築の街として知られるコロンバスを訪れる。父の容態が変わらないためこの街に滞在することになったジンは、地元の図書館で働くこの街の建築に詳しいケイシーという女性と出会う。ジンは父親との確執から建築に対しても複雑な思いを抱え、コロンバスに留まることを嫌がり、ケイシーは薬物依存症の母親の看病を理由に、コロンバスに留まり続ける。どこまでも対照的な2人の運命が交錯し、互いの共通項である建築を巡り、語ることで、それぞれの新しい人生に向かって歩き出す…。■小津安二郎へオマージュを捧げたコゴナダ監督初長編作1920年代に機能主義の建築として成立し、ル・コルビュジエをはじめ現在も建築デザインに多大な影響を与え続けているモダニズム建築。本作の舞台は、エーロ・サーリネンによるミラー邸(アレキサンダー・ジラルドの内装)やノース・クリスチャン教会をはじめ、I.M.ペイ、リチャード・マイヤー、ジェームス・ポルシェックなどの代表作が建ち並ぶモダニズム建築の宝庫インディアナ州コロンバス。建築を巡る2人の心象風景を美しく描き出した珠玉の物語は、全てのカットが巨匠たちによる建築へのラブレターとも言うべき映像美に彩られ、サンダンスをはじめ23の映画祭にノミネートされ8冠を獲得。是枝裕和監督が2度監督賞を受賞しているクロトゥルーディス賞では、『君の名前で僕を呼んで』を抑えて撮影賞を受賞。11月25日(月)現在、全米映画批評No.1サイト・ロッテントマトでは満足度97%を記録している。本作は、これまでロベール・ブレッソンやアルフレッド・ヒッチコックについてのドキュメンタリーを撮り、小津映画に欠かせない脚本家の野田高悟に因んでコゴナダと名乗る新進監督による長編デビュー作。奥行きを生かした画面の構図や間の取り方など小津安二郎監督の芸術性を研究し、全てのシーンで「映画の教科書」のような巧みな構図を実現した彼は、小津監督と同じような感覚を現代につなぐことに成功した本作で一躍注目を集めた。主人公のジンを演じるのは『スター・トレック』『search/サーチ』のジョン・チョー。ピープル誌の「最も魅力的な男性50人」にランクインするほど人気上昇中の彼は、『THE JUON/呪怨』のリブート作品『The Grudge』(原題)への出演が決まっている。ケイシー役には『スプリット』『スウィート17モンスター』の若手注目女優ヘイリー・ルー・リチャードソン。さらに、“インディーズ映画の女王”と称されるパーカー・ポージーや、マコーレー・カルキンの実弟ロリー・カルキン、ミシェル・フォーブスなど実力派のバイプレーヤーが競演。一方で“建築のもつ人を癒す効果”が鍵となる本作では、第2の主人公として街中にあふれる建築物たちが、ポストロック・バンドの「ハンモック」による美しい音楽とともに、効果的に演出されている。今回解禁されたポスタービジュアルには、遠くの建築物を望むジンとケイシーの姿が。「美しいこの街で二人は出逢い、そしてまた歩き出す…」のコピーが添えられ、建築物巡りを通して2人の関係性がどのように発展していくのかにも期待が膨らむ1枚に仕上がっている。『コロンバス』は2020年3月よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2019年11月27日街の一角に建つ癒しの空間「街の中の庭となる、そんな家にできたらなと思いました」。古谷デザイン建築設計事務所の古谷俊一さんのご自宅は、昭和の風情の残る街並みに、まるでオアシスのように緑を湛えて佇んでいる。「子供の頃から田舎というものをもっていなかったので、緑を渇望していたところがあるんです。20年くらい植物を育ててきた経験を活かして植栽のプランを立てました」。1階の外構から2階、3階のバルコニーまで、緑の溢れる外観は、古谷さんがリノベーションを担当した、向かい側の「大森ロッヂ」との連続性も考えられている。「8棟の木造住宅が並ぶエリアに、庭のようにつながる建物にしたいと考えました。ちょうど真向かいに建てた店舗付き住居と相対する形で、フロアのレベルや意匠も揃えています」。改修した長屋の立ち並ぶ路地の入り口にある、街に向けて開かれた建物は、住居でもありサテライトオフィスでもあり、グリーンのナーセリーでもある。敷地をぐるりと取り囲むようにグリーンが生い茂る。それぞれの方角に適したグリーンを植樹。住宅街の路地の一角に、向かい側の店舗付き住居と対峙するように建つ。3層の木造住居。3階までグリーンが連続し、街の中にひとつの景観を生み出すかのよう。日本の建築物を踏襲したいむき出しの軒柱に、建物の隅にそれぞれ設けられたバルコニー。空間に“欠け”のある独特の外観が開かれた印象を与える。「この辺りは準防火地域なので、柱を現しにはできないんです。そこを、通常より太い燃え代設計にすることでクリアしています」。現しにこだわったのは、親しみやすさ、分かりやすさ、だという。「今は何でも包み隠してしまうけれど、建物がどういう構造で建っているのか、現しにすれば分かりますよね。お寺や昔の日本家屋の良さを、できるだけ踏襲したいという思いがあります」。軒柱のあるバルコニーは、書院造りの濡れ縁のイメージ。ここを介して、中と外が曖昧に区切られる。そして家全体を、頂点から四隅へ同じ角度で傾斜する宝形屋根が包む。「向かい側の家のデザインに合わせているのですが、御神輿をかついでいるような雰囲気で、縁起がいいじゃないですか(笑)。雨よけにも合理的なんです」。軒柱を現した設計は、縁側のある昔の日本家屋を思い起こさせる佇まい。自邸の玄関側。自然な木目の外壁は“選びに選んだ”サイディング。「縦に張ったことでつなぎ目が目立ちにくくなっています」。玄関には京都の「BOLTS HARDWARE STORE」の照明を外灯に使い、カッティングボードで名前を貼ることで表札代わりに。内でも外でもない廊下1階のサテライトオフィスとグリーンのナーセリーから、外階段でつながる2階には、居室とバスルームが。ここは廊下を外部テラスに見立てた。「外構の延長として、外からつながっている感じにしたいと思いました。天井に照明をつけたり、ドアノブを取り付けたりすると一気に室内の感じが出てしまうので工夫しています」。照明の代わりに、床の上に小さなライトを行灯のように配置。夜にはほのかな明かりが、3階につながる階段まで誘導する。取っ手の形状にこだわったドアノブとモルタライクの床も、室内という雰囲気を和らげている。「室内でも外でもない、そういう曖昧な空間が好きなんです。できるだけそんな場所をつくりたいですね」。玄関脇にはマンガの書庫を設けることを決めていた。家族全員の愛読書は2000冊程。「ここにあるのは2軍なんです(笑)」。シューズインクローゼット。奥の鏡は扉のように手前に引くことができ、外出前に全身をチェックできる。「BOLTS HARDWARE STORE」の照明を行灯のように点在させて。廊下の床はモルタライク。半室内のような空間が3階LDKヘとつながる。天然の素材感が心地いい2階の主寝室。緻密に計算して棚を取り付けたクローゼットを、カーテンで仕切っている。バスルームはFRPで。床には冷たさを感じにくいLIXILのサーモタイルを使用。洗面、バルコニーに接続させて動線も確保。生活のしやすさをベースに「妻が“ルーフバルコニーは絶対に欲しい”と言ったことが、設計のスタートです。コンセプトは実は後付けで(笑)。住宅は生活しやすいことがいちばんなので、そこから入っていかないと」。空中庭園のようなバルコニーの先に街が広がる3階のLDKで、そう語る古谷さん。「とってつけたようにしたくない」と設計したバルコニーにより、結果、室内はジグザグの形状になり、リビングとダイニングキッチンが緩やかに分かれている。「これによって隣家との距離感が保たれる、という効果も生んでいます。ただ、すべて居心地のよさを考えた結果なんです」。上を見上げると屋根の稜線の先に青い空が広がる。外から見ても癒されるグリーンの建物は、中にいても心地よく、開放感を味わえる空間だった。宝形屋根の欠けの部分から光が差し込む3階のLDK。リビングにはセルジュ・ムーユのシーリングランプを。LDKからフラットにつながるバルコニーでは、南側北側の二隅に無機の土を盛って屋上緑化を図り、空中庭園を造園。保水力が高いためプランターよりよく育つそう。南側にはエゴノキやアメリカハナズオウ、北側にはハギやヤマボウシなどを植え、四季折々の表情を楽しんでいる。バルコニーの配置により、LDKはジグザグに分かれる。奥のダイニングキッチンは、カウンターが緩やかな仕切りに。システムキッチンのまわりにカウンターを造作したことでコストもカット。収納の扉はグレーとブルーのリバーシブルで、アレンジが可能。リビングには、あぐらをかいて座れるIDÉEのソファー・AGLASを。たくさんの本を整然と収納できるよう、予め本のサイズを計って棚を造作。飾り棚にはスリランカ、北欧、台湾など旅先で買ってきた雑貨をディスプレイ。ブラインドは斜めになった開口の形に合わせ、スイスの「CRÉATION BAUMANN」社にオーダーしたもの。古谷デザイン建築設計事務所代表の古谷俊一さん。1階のサテライトオフィスで。古谷邸設計古谷デザイン建築設計事務所所在地東京都大田区構造木造規模地上3階延床面積142.05㎡
2019年11月20日毎年秋に開催されるイベント『生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪(イケフェス大阪)』が10月26日(土)から始まるが、ひと足早く連携企画『大阪〈生きた建築〉映画祭2019』がシネ・ヌーヴォで開幕する。大阪は長い歴史の中で巨大建築や有名建築家が設計した価値のあるビルが建ち並び、庶民の親しみやすさやエネルギーが活気ある街並みを生み出してきた。また、天王寺の再開発や、大阪駅周辺の新ビル建設ラッシュなど、大阪は現在も新陳代謝を繰り返しており、歴史ある建築の価値はよりいっそう高まっているといって良いだろう。そこで魅力ある建築を公開して、大阪の生きた建築を楽しめるのが“イケフェス大阪”だ。映画祭はその関連企画で、現在ではもう見ることのできない大阪の“かつての街並み”が登場する映画作品を上映する。今年は4作品を上映。昭和初期が舞台で法善寺横丁や戦前の路地、生國魂神社の参道が登場する『夫婦善哉』をはじめ、旧松坂屋大阪店屋上、かつての心斎橋筋歩道橋が記録されている『黒薔薇昇天』、味園ビル地下のダンスホール・スタジオ80、梅田地下街が映し出される『ガキ帝国』、2000年代の阿倍野歩道橋、法円坂住宅団地などが描かれる『ナショナルアンセム』が揃った。両方に参加することで、セットやデジタル合成では決して描くことのできない“かつて”生きていた建築と街の風景をスクリーンで堪能し、現在も大阪で生きている建築をイベントで楽しむことができる。なお“イケフェス大阪”はこの他にも関連イベントが多数予定されており、詳細は公式サイトに掲載されている。大阪〈生きた建築〉映画祭201910月19日(土)から25日(金)までシネ・ヌーヴォで開催上映作品『夫婦善哉』『黒薔薇昇天』『ガキ帝国』『ナショナルアンセム』生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪10月26日(土)、27日(日)に開催
2019年10月19日こんにちは、婚活FP山本です。「老後資金として2000万円が必要」などと言われて以降、にわかにファイナンシャル・プランナー(FP)や人生設計(ライフプラン)が注目を集めていますね。しかし人生設計といわれても、多くの人は「何をどうしたらいいのか分からない」と、困惑するばかりなのが実情です。そこで今回は人生設計の専門家である筆者が、人生設計の基本的な立て方やポイントをお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。人生設計は「将来どうしたいか」が出発点!まずは順を追って、人生設計の立て方をお伝えします。まず人生設計は、「自分の人生を、将来どうしたいか」を考えて相応に決めることが出発点です。人生設計も一種の「計画」ですから、つまりは「ゴール・目標」を明確に定めることが最初にすべきこととなります。「将来」と言われてもあまりに抽象的だからこそ、多くの人は困惑しがちですね。具体的にいえば、例えば「どこに住むのか」「どこで働くのか」「どんな生活をしたいのか」などです。今後、変わってもかまわないので、「ひとまずの目標」を一つずつ決めることが出発点になります。ゴールが不明瞭では、どんな計画も計画の意味を成しませんから、一番大切な部分です。未来であればあるほどイメージしにくいでしょうが、まずは考えられるだけ考えてみましょう。自分の一生涯を考えることが大切将来への願望は、個々人で違うのが普通です。また現在置かれている環境も、たとえお隣さんや同僚であっても違うのが普通といえます。だからこそ、人生設計は「自分はどうしたいのか」を考える必要があり、それを一生涯のスパンで考えることが極めて大切です。今まで、ひたすら親や周囲に合わせてきた方には、早速の難題かもしれませんね。しかし、人生設計には「自分の意志や考え」が必要です。ぜひ人生設計を通して、自立心も養っていきましょう。理想を叶えるためには一定のお金が必要次に、先ほど決めた「将来どうしたいのか」という理想を叶えるために必要な「お金」を考えます。たとえば「子供を大学に通わせたい」が目標なら、最近の大学費用平均が「一人約700万円」です。こういった数字は調べれば出てきますから、ひとまず相場を調べましょう。なお、中には「本当にいくらかかるか分からない」ものもあれば、「将来的には値上がりするかもしれない」ような目標もあります。このような目標の時には、それぞれ「ひとまずの予算を見積もる」「多めに見積もる」という対処が必要です。いずれにしても、何をするにしても「お金」が必要になります。このため理想とする未来を、一つずつお金という数字に落とし込んでみることが大切です。こうやって、一つずつの目標を「具体化」していきましょう。理想が大きいほどに多額のお金が必要?当然ながら、理想が大きいほどに多額のお金が必要です。しかし一方、「理想なんてない」「普通でいい」という方であっても、「普通に実行するにはいくら必要か?」を考える必要があります。理想が小さいほどに少額のお金で足りるものでもない点に、強い警戒が必要です。それこそ、「普通に暮らすには老後資金として2000万円必要」などと国が発表したわけですからね。「自分の場合にはいくらが必要か」を、目標とともに存分に計算してみましょう。今のままで必要な貯蓄はできるのか逆算する今度は、「今のままで必要な貯蓄はできるのか」を逆算します。これは先ほどのお金と、「そのお金が必要になる時期」で計算が可能です。たとえば「60歳までに老後資金2000万円」なら、あなたが40歳なら年100万円、50歳なら年200万円貯蓄できれば達成できます。仮にあなたが現在40歳で、実際に毎年100万円を貯蓄できているなら、少なくともこのままいけば老後資金は大丈夫となるわけです。しかし実際には50万円程度しか貯蓄できていないとすれば、少なくともこのままでは達成できない……ということになります。実際の人生では何が起こるか分からないとはいえ、「何が」の多くは「マイナス的なこと」です。だからこそ、気持ち厳しめに逆算することも大切といえます。できないなら、できる方法を考えてみよう少なくともこのままでは達成できないなら、できるようになる方法を考えることが必要でしょう。できないなら仕方ない……のなら、計画の意味がありません。結果論としてできたとしても、それは単なるラッキーに過ぎません。運に任せた人生は極めてリスキーでしょう。100万円の貯蓄が必要なのに50万円足りないなら、50万円分の工夫や努力が必要となります。月単位に直せば4万円程度です。「どうやったらできるようになるか」を存分に考えましょう。生涯の全てについてシュミレーションする最後は、目標の数だけ生涯の全てについてシュミレーションするわけです。全ての目標が、あなたの人生に降りかかってきますからね。目標が多いほどに計算が複雑になり、必要なお金が多いほどに対処方法を考えるのが大変になります。でも、がんばりましょう。一例を挙げると、40歳の方が700万円の教育費と2000万円の老後資金を目標としました。教育費が10年後に必要なら年70万円の貯蓄が必要です。すると、老後資金の年100万円と合わせて年170万円の貯蓄ができているかどうかが、一つの分かれ道となります。足りていないなら、足りるだけの方法を考えることが必要です。他にも目標があるなら、もっとお金が必要になります。つい甘めに計算する人も多いですが、むしろなるべく厳しめに計算しましょう。一生分を計画したものがライフプラン!実際の人生では、教育費と老後資金にしかお金を使わないようなことはありません。日常の生活費、住居費、旅費、交際費、介護費……色んなことにお金が必要です。そのような一生分のお金について計画したものこそが「ライフプラン」となります。特に「今は使っていないお金」は、イメージしにくく注意が必要です。そして、今は使っていない大きなお金に備えることこそ、ライフプランが必要になる理由の一つになります。[adsense_middle]立て方の基本は「最後からの逆算」ここからは、人生設計に関するポイントをお伝えします。まず、計画事は何でも「最後からの逆算」が基本であり、これは人生設計でも変わりません。つまり、最優先に考えるべきは「人生の最後」です。人生設計はゴールが沢山あるからこそ、立て方に迷ったときは基本を思い出しましょう。人生の最後とは、自分の葬儀や相続、その手前の介護あたりが基本です。これらに必要なお金が見えてきたら、次にその手前となる老後資金について考えます。葬儀や介護が何歳で必要になるかは不明ですが、余裕があるなら「100歳まで生きる」前提で計画しましょう。人生設計は一種の「収支・資金計画」ですが、実際の収入は多い分には、支出は少ない分には一切問題ないものの、それぞれ逆は大問題ですからね。支出は多めに考えておきましょう。ダメだったらどうするのかも考えよう計画というのは計画通りに進めるのが基本ですが、実際には計画通りに進まないことも多いです。元々がムリな計画、経済環境が予想外に変わった、心変わりで目標が変わることもあります。そのような「計画外の出来事」を、どこまで想定できるかも大切です。少なくとも、一本調子で計画するのではなく、当初の計画がダメだったらどうするのかも考えておいたほうが無難といえます。第二第三の計画も整え、どう転んでも幸せな人生を歩めるよう図っていきましょう。「叶えられる将来」には限界がある?次に、「叶えられる将来には限界がある」という点です。叶えたい全ての将来をお金で考え、叶えられるよう計画するのが人生設計ですが、残念ながらお金は無限には稼げません。稼ぐお金を増やすことも大切ですが、それでも限界があります。その限界の範囲で将来を考えることも大切でしょう。また、稼ぐお金には限界があるからこそ、将来について「優先順位」を付け、バランス良く計画を立てることも大切となります。たとえば目先の教育費に全財産をつぎ込み、無貯金で老後に突入すれば、結局は子供の世話にならざるを得なくなってしまうでしょう。そもそも、多くの人にとっては「老後資金2000万円」でさえ厳しいのが実情です。そのような時代だからこそ、しっかりと人生を設計して、まずはこの2000万円を準備できるよう励んでいきましょう。ライフプランの意味は「経済的成長」!たとえば、東大や医者を目指して勉強を重ねれば、成功すれば嬉しい一方、仮に失敗しても準ずる程度の成功は収めやすくなるでしょう。少なくとも、行けるところに行く姿勢の人とは、結果が大きく違ってくるはずです。ライフプランにおける目標とは、そのような意味合いもあります。叶う叶わないも大切な一方、少しでも家計を経済的に成長・上向きにすることが大切です。叶えられる将来を少しでも大きく増やすためにも、最初の目標を元に人生を設計してみましょう。人生設計は「今すべきこと」も見える!人生設計は、「このままなら将来どうなりそうか」を計算するからこそ、「今すべきこと」も見えてきます。たとえば、新婚夫婦が「このままだと将来ヤバい」と分かっていたらどうでしょう。できうる限りの努力を考える一方、「子供の数」さえ計画的に調整できることになります。産んでから教育費を知っても、もうお返しはできません……。同じことは住宅購入時や転職時にもいえます。そもそも実行すべきなのか、いくらなら実行してもいいのか……将来や他のことも視野に入れて考えれば、おのずと結論が出るはずです。「お金以外の要素やリスク」も考えることができれば、さらに結論も出やすくなるでしょう。現代は、どう転んでも誰もが幸せになれるような時代ではありません。自己防衛・自助努力が欠かせない時代です。人生設計を通して、常に「今は何をすべきか」を考えて、動いていきましょう。失敗しにくくなり、成功しやすくなる!人生設計も万能ではなく、結局は個々人次第です。「来年で定年なのに貯金ゼロ」といった状況では、多くの場合は実質的に手遅れといえます。お金とともに時間にも限りがあり、それを超えてしまえばどうにもならず、残りが少ないほどに挽回は困難です。その一方、若いうちから人生設計をして計画的に動くほどに失敗しにくくなり、成功しやすくなります。未来とは「現在の積み重ね」です。その「現在すべきこと」を、人生設計を通して考えていきましょう。[adsense_middle]FPでも、どうにもならない事もある?最後に、ある意味で一番大切なことをお伝えします。そもそも、将来というのは将来であるほどに考えることが困難です。若いほどに、老後のことなどイメージすらできないことも普通といえます。しかも、将来や現状は刻一刻と変わってくるものなので、その都度人生設計も調整が必要です。数字や状況を調べたり学んだりするのも、相当な時間と労力が必要になります。このため、まずは自分で設計してみることも重要ですが、限界を感じたら専門家であるFP(ファイナンシャル・プランナー)に設計を早めに依頼したほうが無難です。自分で自分の人生設計をすると、どうしても都合よく甘めに考えてしまうことも多いので、尚更かもしれません。なお、FPでも依頼者の状況によってはどうにもならないこともあります。そのような状況になってから依頼しても大きな意味がありません。少なくとも人生設計の重要性だけは理解し、必要に応じて早めにFPを頼りましょう。女性は元より、男性でも厳しいのが現代!現代は、ただ働けば一生安泰という時代ではありません。むしろ一生懸命に働いても、なお困窮してしまう時代です。しかも女性は元より、比較的年収の高い男性でも変わりません。老後資金2000万円を考えてみれば、何となくでもイメージできるのではないでしょうか。それほど厳しいのが現代だからこそ、人生設計を通して計画的に動き、限りあるお金を計画的に使っていくことが重要です。そのためにも、まずは出発点である「将来どうしたいか」について、存分に考えてみましょう。人生設計で、生涯を安心して暮らそう!今は無計画に動き、お金を使えば破綻しやすい時代です。しかし人生設計を通して計画的に動き、努力を重ねれば現代でも生涯を幸せに安心して暮らせます。ただし、人生設計には時間が必須です。少しでも早くから計画をスタートさせ、余裕を持って人生を歩んでいきましょう。
2019年10月16日ちひろ美術館・東京では、企画展『「ちひろさんの子どもたち」谷川俊太郎×トラフ建築設計事務所』を開催中。詩人の谷川俊太郎による“子どもの詩”や、トラフ建築設計事務所による“子どものへや”が登場し、いわさちひろの絵の中の子どもたちに新たな息吹を吹き込む。生涯にわたり子どもをテーマに描いた絵本画家、いわさきちひろ(1918~1974)。水彩絵の具を駆使したやわらかな色合いで、のびやかに描かれる子どもや花の作品は、今なお高い人気を得ている。同展は、そんなちひろが描いた子どもたちをテーマに谷川俊太郎が書き下ろした詩、“ちひろさんの子どもたち”をテーマに、谷川とトラフがコラボレートする企画展だ。詩人として第一線で活躍している谷川俊太郎。その幅広い詩作の中で、子どもに向けた詩や、子どもの目線で描いた詩を、ちひろの絵とともに展示。ちひろの絵に谷川が言葉を寄せた絵本『なまえをつけて』の作品も紹介され、詩と絵の組み合わせによる豊かな世界が立ち上がる。また、鈴野浩一と禿真哉からなるトラフ建築設計事務所は、ちひろの絵の中で多くの子どもが帽子をかぶっていることに着目し、そこから大きな麦わら帽子の形をした“子どものへや”を設計。さらに、トラフの代表的なプロダクトで、形を自由に変えられる紙の器「空気の器」のインスタレーションも館内に広がる。会期中は、アーティストトークやワークショップ、コンサートなど、さまざまな関連イベントも開催。ちひろの絵を見て、言葉に触れ、その空間に入り込む。個性あふれる谷川とトラフの感性を感じ取りながら、いわさきちひろの世界をより深く味わいたい。【関連リンク】 ちひろ美術館・東京()
2019年08月06日俳優の満島真之介(30)が6月3日夜、自身のインスタグラムを更新。所属事務所の移籍を報告した。インスタには《お知らせ、事務所が変わりました》として、新たな所属事務所のリンク先を掲載。これまで知り合った関係者への感謝をつづったうえで、《これからこの場所からはじまる新たな旅。さぁ!!旅立ちの準備は整った。風が示す道を歩こう》と心機一転の思いをつづった。もともと芸能プロ「ユマニテ」に所属していたが、同社サイトも真之介とのマネジメント契約終了を報告。姉で女優の満島ひかり(33)も同社に所属していたが、昨年3月に独立してフリーで活動している。「真之介さんはもともと姉の芝居に心を打たれて芸能界入り。姉と同じ事務所に入って順調にステップアップしていましたが、新事務所の設立日は今年5月7日。新元号での独立に向けて準備を進めていたようです」(映画関係者)以前は、役者としての“格”は姉が大きく上回っていた真之介。しかしここ数年は目覚ましい活躍で、NHKの大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」に出演。テレビ朝日系の5夜連続ドラマ「白い巨塔」では主要キャストをつとめ、大ヒット公開中の映画「キングダム」にも出演するなどオファーが途切れない。「姉と同じように独り立ちして行ける自信がついたうえでの独立だったようです。きょうだい仲の良さが知られるだけに、いずれはひかりも合流するのではと噂されています」(芸能記者)姉との共演作で“役者魂”をぶつけ合う姿が見たいものだ。
2019年06月04日東京・品川の建築倉庫ミュージアムでは、企画展「Wandering Wonder -ここが学ぶ場-」を、2019年5月22日(水)から9月1日(日)までの期間で開催する。“学び・育ちの場”に焦点本企画展は、戦後の⺠主化とともに大きく発展を遂げてきた、日本の教育施設と生涯学習施設に焦点を当てたもの。学びの場・育ちの場と聞いて連想される場所は様々だが、幼稚園から大学までの教育施設、図書館や美術館といった生涯学習施設の枠にとどまらず、福祉施設、体験型学習施設、アフタースクール、オルタナティブアートスペースなども含め、学びや育ちの場として計画された建築作品を、全14組の建築家による計18作品21点の建築模型と、写真などの関連資料を通じて紹介する。横河健、隈研吾、シーラカンスアンドアソシエイツら出展出展建築家・作品は、横河健/横河設計工房「六町ミュージアム フローラ」、隈研吾建築都市設計事務所「愛徳幼稚園」、⻑坂大 東畑建築事務所 Méga「KYOTO Design Lab」、シーラカンスアンドアソシエイツ「流山市立おおたかの森小・中学校、おおたかの森センター、こども図書館」など、幼稚園から美術館まで様々。少子高齢化や都市部への人口集中、グローバル社会、ワークライフバランス推進、あるいは学校教育における授業時間数の変更といった社会的な要素が及ぼす影響と共に多様化している、様々な建築空間を知ることが出来る。また、内部が一般公開されていない建築物についても、一部の作品は内部の画像をディスプレイで展示。展示室内には椅子も配置されているので、模型と画像をじっくりと見ながら、その設計意図に思いを馳せることが出来るのも、本企画展ならではの魅力の一つだろう。開催概要「Wandering Wonder -ここが学ぶ場-」会期:2019年5月22日(水)〜9月1日(日)※7月1日(月)〜7月19日(金)の期間は休館※同時開催:展示室A「ガウディをはかる-GAUDIQUEST-」〜2019年6月30日(日)会場:建築倉庫ミュージアム展示室B(東京都品川区東品川2-6-10)開館時間:火〜日 11:00〜19:00(最終入館18:00)、月曜休館(祝日の場合、翌火曜休館)※障害者手帳の所持者とその付添者1名は無料。入場料:一般 3,000円、大学生/専門学校生 2,000円、高校生以下 1,000円※展示室Aの観覧料含む。※オンラインチケット制。詳細は公式ウェブサイトより。<出展建築家>山本理顕設計工場横河健 | 横河設計工房隈研吾建築都市設計事務所坂茂シーラカンスアンドアソシエイツ⻑坂大東畑建築事務所 Méga梓設計川原田康子+比嘉武彦 | kw+hg アーキテクツ佐藤慎也+古澤大輔+馬場兼伸+黑川泰孝ブルースタジオ吉村靖孝建築設計事務所原田真宏+原田麻魚|MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO⻄田司+一色ヒロタカ+勝邦義+岩崎修 | オンデザイン山﨑健太郎デザインワークショップ
2019年05月10日猫が9匹もいる生活……。想像してみると家の中は汚れそうだし脱走も心配。しかし、心から猫を愛する飼い主と建築家は、人も猫も安全で快適な住まいを実現しました。そんな猫と飼い主が安心して暮らす家、神奈川・川崎市のHさん邸をご紹介いたします。■ 格子戸で猫の”動き”が自由になるもともとは犬を飼っていたというHさんとお母様。あるとき、散歩中に犬が茂みの中で鳴いている猫の赤ちゃんを見つけ、それが現在10歳になったつかさ(オス)とつくし(メス)。手前が最年長のつかさ。奥は黒猫のるい(7歳・オス)その後も捨て猫や弱っている野良猫などを見過ごせず、保護しているうちに9匹に。さすがに以前に住んでいた家は手狭になり、戸建てを購入するに至ったそう。新居は3階建てなので、猫たちに上下運動を楽しんでもらえると思っていましたが、”ドア開閉時に万一脱走したら”と思うと玄関も開けられないと思い、不便さを感じていました。そこでHさんは、猫を通じて知り合いになった「猫と建築社」の中村裕実子さんに相談し、”玄関からの脱走防止”と”キッチンへの侵入防止対策”を施すことになりました。さずがは、猫の習性を熟知している中村さん。1階廊下とキッチンに開閉時に猫がすり抜けにくく、なおかつスペースを取らない引き戸を設置。風も視線も抜ける格子戸は最適で、既存のインテリアに違和感なく溶け込むようデザインされているのもポイントです。さらにこの格子戸、両側から開閉でき、鍵も取り付けられているから安心。玄関からの暖かな光が差し込み、ホールが柔らかな雰囲気に包まれます。縦格子は軽やかで、猫がよじ登る心配もなく、猫がなめても安全な塗料を使用しています。キッチンにも格子戸を設置したことで、「安心して料理ができるようになった」とHさん。この他に、洗面所や納戸など猫の立ち入りNGの部屋は、ドアノブを縦向きに付け替えました。「危険な場所に立ち入る心配がなく、1階から3階まで自由に行き来できて、お互いにストレスがなくなったと思います」とHさん。実はお互いが知らず知らずのうちに気を遣っている、”動物との生活”。Hさん邸は、格子戸によってストレスをなくすだけでなく、猫たちが快適にそして健康に生きていけるポイントがたくさん!そんなHさん邸の猫にとっての快適な生活の工夫を見ていきましょう。キャットタワーは”突っ張り棒”タイプ!猫のいる生活と言えば、”キャットタワー”。Hさん邸のキャットタワーは、なんと天井で突っ張るタイプのもの。景色に上手に溶け込んでいるキャットタワーを紹介してくれるのは、そうじろう(9歳)です。安定感抜群のこちらは、Hさんがネットで見つけて購入されたんだとか。ポールに麻紐が巻いてあるので、好きなだけ爪とぎでき、広々ステップでくつろぎ度は満点。お部屋に溶け込むシンプルな色味で圧迫感も感じません。ついつい時間を忘れて、猫たちが軽快に動き回る姿を眺めてしまいそうです。■ 健康管理、衛生管理も万全の専用ゲージお留守番のときでも、猫たちが安全に快適に過ごせる工夫が施されています。誤って何かを口にしたり、ケガをしないように、不在時には基本的にケージで過ごてもらいます。他の猫のごはんを盗み食いしたり、不要な争いを避けるためにもなるんだそう。さらに、ケージに慣れておくと震災など、いざというときにもストレスなく過ごせるというもしもの時の備えにもなるんです。ゲージの数はなんと1匹に1個。ゲージが9つ並ぶリビングの眺めは何とも壮観です!ゲージの中はメゾネット式で、トイレとベッド、ごはん台を装備し、猫たちは自分の”部屋”をきちんと覚えているんだとか。とってもかわいいいベッドはIKEAの人形用のもので、通気用のすのこはなんとHさんの手作り。ベッドにも愛情いっぱいです。人見知りのとら(4歳・オス)はトイレに避難。猫だって自分だけのスペースは欲しいのです!「これだけ猫がいると毎日の掃除は欠かせませんが、ケージはキャスター付きなので簡単に動かせて便利です」とお母様。「うんち管理表」を作成し、9匹の体調管理をしているというHさん。2人に助けられた9匹の猫たちは、清潔な住まいで愛情に包まれて暮らしています。トップライトから光が入るダイニングで、猫たちとまったり。キャットタワーを眺めながらお茶するなんて、贅沢でうらやましい!たまにもめごとが起こる猫たちですが、お互いが適度な距離感を保って上手に生活しているそう。甘えん坊だったり、一匹狼だったり……自分のスペースをもつことで猫の“個”が尊重され、それぞれの猫がのびのびと幸せに過ごしている、Hさん邸。動物と暮らすうえで、真似したくなるポイントにあふれていました!いかがでしたか?H邸は、”動物を迎い入れるのだから…”というプレッシャーではなく、”猫も人間も主役”という思いが伝わってくるあたたかな住まい。9匹の猫たちが何とも伸びやかに過ごしている姿をみると、猫になってこのお家に住みたい……と思ってしまうほど。もっと詳しく見たい方は、ぜひ「住まいの設計2019年2月号」を参考にしてみてくださいね。リノベーション設計/猫と建築社(by design office neno1365)撮影/水谷綾子住まいの設計2019年2月号豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン【巻頭特集】「猫だってハッピーにしてほしい!猫と一緒に暮らすための家」 【第二特集】「自分らしいインテリアと暮らしています」
2019年05月03日中村邸は、陶芸家の妻のアトリエと建築家の夫のアトリエを兼ねた職住一体の住まい。こうした機能をもたせながら、敷地面積は約16坪、さらに間口の狭い細長い敷地という厳しい条件でした。設計をした夫の高淑さんはどのように、これら条件をクリアしたのでしょうか。あらゆる面で興味深い中村邸をご紹介しましょう。■ キッチンに隣接する陶芸アトリエ中村さん夫妻の家は、間口わずか2.77m。南北に長い建物は、3階建て。その2階に妻、直子さんの陶芸アトリエがあります。まずは気になる陶芸アトリエをご案内しましょう。妻の陶芸アトリエは、2階のダイニングキッチンと同じフロアにあります。写真奥がダイニングキッチン、手前がアトリエスペースになっています。ダイニングキッチンとアトリエを仕切っているのは、視線の通るガラス。その部分に棚をしつらえてギャラリーとして活用しています。こちらが陶芸アトリエです。西側の大きな窓から光が注ぐ明るい空間。閉じこもって没頭するよりも、暮らしと創作が緩やかにつながる直子さんのスタイルが伝わってきますね。音や光、人の気配が伝わり、家事と創作の切り替えもスムーズだそうです。ここでこだわりのものといえば?無垢ブラックウォールナットの作業テーブルだそうです。塗装した天板で粘土を練るとくっついてしまうため、無塗装の板を探し、銘木の店で見つけ出しました。「陶芸は孤独な作業ですが、私の場合ひとりだと寂しくなってしまうんです。案外、人が近くにいたほうが集中できる気がしますね」「陶器は、生活で使うものがつくれるのが楽しい」と器や陶壁、アクセサリー、花器なども広く制作。ペンダントライトは高淑さんのオーダーで、高淑さんが設計した住宅に納品したもの。ドットからこぼれ出る光が楽しめます。ギャラリーとして使用する棚は、近づくとこんなふう。ガラスなので、ダイニングキッチン側からも作品を見ることができます。ちなみに直子さんは東京・自由が丘で陶芸教室を主宰しているそうですよ。■ 細長い敷地を最大限に使う間口の狭い地上3階建ての外観は、ショップのようなたたずまい。「時代や用途に合わせて住宅以外にも転用できる設計で、長く生きる建築を目指しました」と高淑さん。右隣の建物も高淑さんが設計しただけあり、2棟の建物はぴったり調和が取れています。木とコンクリート、ガラスのミックスが共通していますね。さて、どのように難しい土地の形状を克服したのでしょうか。間口は2.77mで、縦に長く、奥行きがあります。特徴としては、ガラス面が多いことが分かりますね。やはり構造がポイントでした。細長い敷地を有効に使うため「薄肉ラーメン構造」を採用しています。左右に見える偏平な木製壁柱がフレームになって支えるため、室内に柱型や梁型、耐力壁が現れず、広く使えるのです。構造体である壁柱以外の壁はすべてガラスを使い、間仕切り壁も最小限に。どこにいても視線が抜け、広がりを感じさせてくれます。では、他の部屋はどのようになっているのでしょう。3階はプライベートなフロア。主寝室にも、窓からたっぷり光が注ぎます。寝室側から北側を見たところ。ガラス窓とまっすぐな廊下により視線が抜けます。廊下の右手にゲストルーム、奥の扉の先にバスルームとトイレがあります。バスルームと洗面室、トイレは壁や廊下を設けずワンルームに収め、狭さを感じさせない設計に。洗面室は2面をガラスにして光を取り入れ、広がりも演出。カウンター下に洗濯機をビルトインし、背面に室内干しスペースを設けて家事動線に配慮しました。日当たりがよくて、愛猫もウトウト。「お気に入りはベッドの上。窓から光が入ってポカポカするの」■ ギャラリーも兼ねる多目的ガレージ1階はガレージとガレージ奥に高淑さんのアトリエ、という構成。1階はRC造です。柱型が現れないため、間口が狭いながらも愛車のポルシェが収まるガレージを実現しました。ガレージはギャラリーやイベントスペースも兼ね、夫妻で2人展を開催したりガレージセールを開いたこともあるそうです。黒い螺旋階段が、より空間をシャープでおしゃれな印象に。右手の壁は、直子さん手焼きの陶壁で、微妙に色の違う陶板が繊細なグラデーションを描きます。ポルシェの赤が映える空間ですね。こちらは1階奥の高淑さんのアトリエ。コンパクトながら収納するものを徹底的に採寸し、ぴったり合う家具を造作しているため必要十分な空間。打ち合わせには2階のダイニングを使うこともあります。設計から引っ越しまで2年を要したという高淑さん。間口の狭い敷地をいかに有効に使うか、何度も模型をつくって検討を重ねたそうです。敷地を存分に有効活用したお宅ですが、ガレージがイベントスペースになったり、ダイニングが打ち合わせ場所になったりと使用目的を定めないことでも、実際の面積以上の広がりを感じさせるんですね。練りに練った設計によって、仕事も暮らしも快適かつスムーズな中村邸でした。もっと詳しく見たい方は、ぜひ「住まいの設計2017年7-8月号」を参考にしてみてくださいね。設計/中村高淑(unit-H 中村高淑建築設計事務所)撮影/桑田瑞穂住まいの設計2017年7-8月号豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン【巻頭特集】「安心!安全!高品質! 信頼で選んだハウスメーカーの家」 【第二特集】「毎日元気になれる『趣味の家』」
2019年03月21日小さな商店街の途中にある、3層から成る間口の狭い建物。ここは、設計事務所のアトリエ+二世帯住宅です。1階は建築家の清水貞博さん、松崎正寿さん、清水裕子さんの3人が共同で営む「atelierA5建築設計事務所」。2・3階には清水さん夫妻と中学生の長女、貞博さんの両親が二世帯で暮らしています。たくさんの要素が詰まった建物ですが、その敷地は間口が狭い31坪、さらに三方に隣家が迫った「うなぎの寝床」。「室内はさぞコンパクトなのでは?」と思いながらドアを開けると、そこには驚くほど明るく開放的な空間が広がっていたのです。■ RC造と木造でパブリックとプライベートを切り替える2つの世帯の住宅、そして事務所。3つのスペースが快適さとほどよい距離感を保っている秘密は、プランと構造の工夫にあります。1つが、1階のアトリエはRC造、その上に木造2階建ての住まいが載る混構造にしたこと。2階の住まいには、玄関からアトリエ隣の階段を上がってアクセスします。「2階から1階に下りてくるとスイッチが切り替わります」と裕子さん。コンクリート打ち放しのアトリエは両サイドの壁に扁平な柱が入った特殊な構造で、室内に柱や梁の出っ張りがないトンネル状の大空間を実現しています。■ 「外」を挟んで光と風を採り入れ、適度な距離感をつくる構造上、1階左右の壁に開口部は少ないですが、中央に中庭がありガラス越しに光が入るため、閉塞感はありません。この中庭を挟んで手前が打ち合わせ室、奥が設計室になっています。2階に上がると、中庭の上はグレーチング(金属の格子)を張ったテラスになっていて、テラスを挟んで道路側に親世帯、奥に子世帯のLDKをレイアウトしています。まるで路地を挟んで2軒の小さな家が建っているような佇まい。テラスは両世帯と階下のアトリエにも光と風をもたらし、世帯間のほどよい緩衝帯にもなっています。「上下で完全に分離した二世帯住宅は、ろくに顔も合わせない生活になりがちですよね」と貞博さん。テラスを挟むことで「おいしそうなものを食べてるなとか具合が悪そうだなとか、相手の様子がちらちら見えるぐらいがいいと思いました」と裕子さんが続けます。普段の暮らしは別々ですが、子世帯のダイニングで一緒に食事をすることもあるそう。こちらは親世帯のLDKからテラスを見たところ。長女が2階にひとりでいるときも、テラス越しに見守ってくれる祖父母の存在に安心できそうですね。■ 特殊な構造で室内がぐんと広く、伸びやかにもう一つの工夫が、住宅部分の構造です。周りに見える斜めの柱で建物を支えることで邪魔になる柱や壁をなくし、木造ながらここまで開放的な空間を叶えました。テラスに面して全面開口があるうえ、残り3面にも高窓があるので2階全体が半戸外のよう。バスルームは使う時間帯がずれるため、二世帯共有にすることでゆとりある広さを確保しました。正面のハイサイドライトや左手にある小さなテラス越しに入る光で、明るさも十分です。家具のようにシンプルで美しいキッチンは二世帯で同じデザインに。こちらは親世帯のキッチンです。■ プライベートスペースは広がりと落ち着きの空間にガラス張りの開放的な2階とは対照的に、寝室などプライベート空間を集約した3階はガルバリウム鋼板張りに。子世帯の3階にあるプライベートリビングは高い天井高を確保し、開口部を抑えて広がりと落ち着きを両立しています。子世帯の主寝室は、上に予備室のロフトを作ったため天井高を抑えてコンパクトに。正面に見える壁際の配管スペースをニッチとして活用しました。主寝室の隣は中学生の長女の部屋。トップライトから吹き抜け越しに光が注ぎ、コンパクトながら開放的です。寄棟状の屋根の形を表しにした親世帯の寝室は、伸びやかで気持ちのいい空間です。シャワールームを設ける案も検討したそうですが、清水さんの妹や弟一家が頻繁に泊まりにくるため、部屋の広さを優先しました。外部空間をうまく織り交ぜることで適度な距離を保ち、自然に気配を伝え合う住まい。職住近接に二世帯同居と、これからの暮らしを考えるヒントになりそうですね。もっと詳しく見たい方は、ぜひ「住まいの設計2018年3-4月号」を参考にしてみてくださいね。設計/清水貞博+松崎正寿+清水裕子(atelierA5建築設計事務所)撮影/桑田瑞穂住まいの設計2018年3-4月号豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン【巻頭特集】「だって大好きなんだもん!猫と暮らす、犬と暮らす幸せな家のつくり方」 【第二特集】「家にも働いてもらおう!併用住宅と二世帯住宅」
2019年03月20日3月15日発売の「住まいの設計2019年4月号」では、家好き芸人、アンガールズ・田中さんが建築家の自邸を突撃取材する4回目の連載が掲載されています。アンガールズ・田中さんは広島大学工学部第四類建築学部卒業。大学では建築の構造を研究し、得意分野は日本建築だそうです。今回は、四方を建物に囲まれた旗竿敷地で快適に暮らす、浜崎一伸さんのお宅を取材しました。■ 2つの中庭にはさまれ借景の緑も楽しめる開放感あふれる空間周囲を住宅に囲まれた旗竿敷地にRC造の平屋を建てた浜崎一伸さん。「最初にここに来たとき、『本当に囲まれているな』と思いました。真ん中だけポツンと残った状態で、どう建てても周りは迷惑だろうな、と。それで平屋にしました」と語ってくれました。「旗」の部分に配された平屋には、2つの中庭が。1つは屋上への階段がある中庭で、もう1つには大きなシマトネリコが植えられています。その2つにはさまれるようにあるのが、リビングダイニング。「中庭から光が入るので、室内は明るくて気持ちがいいですね」と田中さん。ダイニングの横長の窓からは、隣の庭の緑を借景として取り込んでいます。「あっちの緑も、光が差して影がカッコいい!」と、田中さんはリビング側のコンクリート壁に設けられた窓を指していました。■ いろいろな楽しみ方できる!高低差のある屋上次は、中庭の階段を上って屋上へ。「気軽に屋上に行けるのって、大事なポイントだと思います」と、上りながら語る田中さん。部屋ごとに異なる天井高を反映して高低差が生まれたルーフテラスは、芝生スペースに菜園、ウッドデッキの物干し場と、変化に富んでいます。「寝室のロフトからも屋上に出られるので、子どもが小さい頃はよく友達と鬼ごっこをしていました。階段を下りて、またロフトから出てきて。今は、ロフトの窓からそれぞれ部屋に乾いた洗濯物を投げ入れています(笑)」と浜崎さん。浜崎さん自身も、芝刈りや菜園の水やりなどで、頻繁に屋上に上がるそう。「いろんなところから気軽に屋上に行けるのもいいし、ご近所との関係性もちょうどいい感じですね」(田中さん)。こちらは、中庭を見下ろす田中さん。中庭の両サイドのサッシはフルオープンになっていて、室内に光と風を行き渡らせています。各部屋から眺められるシンボルツリーのシマトネリコは、ルーフテラスの上にも大きく枝を伸ばして成長中!■ 階段のある中庭で仕切られた仕事スペース階段のある中庭の南側は、浜崎さんの仕事場。玄関脇の仕事場も中庭によって明るい空間になっています。中庭で分けつつ、居住空間との回遊性も確保。■ ゲートの道路側のフェンスには半透明のガラスを採用田中さんが立っているガラスフェンスの手前は“ミニ生産緑地”の予定地で、実現したらガラスのフィルムをはがして緑を見せる予定だそう。「この半透明のガラスも、圧迫感がなくていいと思います。」と田中さん。家を見終わった田中さんは「庭や中庭、屋上も広々していて、大変魅力的だった」と満足気でした。もっと詳しく見たい方は、「住まいの設計2019年4月号」をご覧ください!【取材協力】株式会社And Associates東京都中央区日本橋茅場町2-13-8 FLAT4代表の浜崎一伸さんは、1969年香川県生まれ。’93年東京大学工学部建築学科卒業、’95年同大学大学院修士課程修了。竹中工務店、谷口建築設計研究所(出向)などを経て、2010年よりAnd Associatesを主宰。撮影/水谷綾子住まいの設計2019年4月号豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン【巻頭特集】「家族のシアワセのときが流れるキッチン&バスルームあります」 【第二特集】「HOUSE with SMALL SHOP小さなお店のある暮らし」
2019年03月15日できるだけ施主の夢を実現するため、様々な要望を受け入れ、設計図面として表現するのが、我々設計者の仕事。しかし仕事をしていくなかで、「お施主さんにされると、これは困ってしまうな」ということもあります。今回は設計者側から施主にあえて苦言を呈しながらお伝えすることで、より良い信頼関係を構築していけるようお願いする内容にしたいと思います。その困ることを3つご紹介します。■ 1. 施主が自分でプランを書いてくる場合WorldWideStock / PIXTA(ピクスタ)たまに自分でプランを描いてくるお施主さんがいらっしゃいます。夢を自分の手で形にしたい想いは尊重したいですが、それを設計者に見せることはできれば控えてほしいです。なぜかというと、その案ありきで進んでしまうからです。そうなると家づくりに発展が生まれず、滞ってしまう可能性があります。もう少し具体的に説明すると、設計者は、つくったプランを実現に結びつけるうえで、法規や構造、施工など様々な問題に直面していきます。それを解決しやすく、かつ施主の要望をくみとるプランを設計者はつくっています。施主が考え出したプランは設計図ではなくて、自分の要望図なのであるということを認識してほしいと思います。■ 2. 施工業者を施主が指定する場合Ushico / PIXTA(ピクスタ)施主と施工業者が知り合いである場合などに、こういうことがよくあります。ここで設計者として気になるのは、指定された施工者が過去にどんな仕事をしてきたかということです。たとえば設計事務所との仕事を一切やったことがない施工業者の場合、技術やイメージ、意志の疎通が取りにくく、作業がなかなか進まなかったり、余計な費用が発生したりする場合が出てきます。それによって被害を受けるのはお施主さんです。でもお施主さんは施工業者と知り合いということで、なかなか言いたいこともいえない……。そんな状況になると設計者も調整ができず、能力を十分に発揮しづらくなります。施主、設計者、施工業者の3者はほどよい距離感をとった関係性でないと、チームとしての緊張感を保てないことをご理解いただければと思います。■ 3. 施主が商品を自分で発注(施主支給)する場合あけび / PIXTA(ピクスタ)見積もり金額を安くするために、施主側で商品を発注して工事で取り付けてもらう場合があります。施主支給ともいいます。これは施工者に対して敬意を払っていない行為であると私は感じます。商品に何かトラブルがあったとき困るのはお施主さんです!極楽蜻蛉 / PIXTA(ピクスタ)どういうことかというと、何か不具合があったとき、施工側が責任をとれない、ということです。施工業者は何か不具合などが生じたときに、メーカーの保証、もしくは会社で入っている保険などを活用しながら、工事後のメンテナンスを行うことが多いようです。それを施主が引き受けるというのは手間やお金、苦労がかかってしまうのです。そのときちょっと安く仕上がることよりも、長期的な視野を持って家づくりを行ってほしいと我々は考えます。YsPhoto / PIXTA(ピクスタ)いかがでしたか?上記は我々設計者だけが困ることではなく、工事をする施工者、そして家をつくる施主本人にまでつながります。これらが発端でトラブルになることも多いです。家づくりはこれからの家族の将来を描くとても楽しい作業です。でも小さくても何かしらトラブルはおきます。そのトラブルをできるだけ早く解消するため、お施主さんと我々作り手はチームとして動いているわけです。その関係性を大事に考え、行動していただければと思います。
2019年02月26日20世紀を代表する建築家、ル・コルビュジエ。彼の建築作品で世界文化遺産でもある国立西洋美術館(本館)で、ル・コルビュジエの絵画とそのルーツに迫る展覧会『ル・コルビュジエ絵画から建築へ—ピュリスムの時代』が開催されている。『ル・コルビュジエ絵画から建築へ—ピュリスムの時代』()
2019年02月26日今回は、女性一級建築士である筆者が、失敗しない間取りにするために注意すべき3つのポイントについてお話いたします。家を建てる際に間取りを決められないという人は意外と多いようです。1年近くも打合せしても、なぜか堂々巡り……。どのようにすれば、理想の間取りにすることができるのでしょうか?■ 1.インターネットの情報だけに踊らされない!Mills / PIXTA(ピクスタ)インターネットの利用によって、多くの人が、家に関しての情報を得ることも、発信することもできるようになりました。リビングにサンルームを造ったら、室内物干しができて便利だった!玄関に、キッチンからも出入りできる収納をつくったら、家事が楽になった!上記のような「便利だった!」「よかった!」という情報を、我が家にも取り入れたいと思うことは、決して間違ってはいません。しかし、家の設計は、敷地や道路、方位、法令などの条件から作成していくため、まったく同じ条件の家はありません。そのため、取り入れたい間取りが、自分の家で可能であるとは限りませんし、無理に取り入れたことで、別の場所が使いにくい間取りになることもあるのです。インターネットの情報は、参考程度にして、設計者や施工者など、専門家の意見を大切にしましょう。マハロ / PIXTA(ピクスタ)■ 2.間取りへの要望は「引き算」で考える!プラナ / PIXTA(ピクスタ)「明るくて広いリビングダイニングがほしい」「庭でバーベキューがしたい」「書斎がほしい」「家事コーナーでよいから、私専用のスペースがほしい」。ふじよ / PIXTA(ピクスタ)このように、家族それぞれの希望はたくさんあると思います。しかし実際には、敷地や予算の制限から、ご家族すべての希望をかなえるのは難しいのが現状です。間取りの要望をまとめて設計者に伝えるには、以下のようにするのが最適です。まず初めに、家族それぞれが自由に、家への要望を紙に書きだす家族で重なった要望は、「家に求めるもの」として残す要望が重ならない、または意見が拮抗するものは、引き算をして要望から消していく残った要望を紙にまとめ、設計者に渡すRina / PIXTA(ピクスタ)こうすることで、家族の思いもまとまりやすく、また設計者にも「家に求めるもの」のイメージが伝わりやすくなります。また、同時に「家に求めないもの」も補足として伝えてみてください。余計なところにお金をかけない配慮が可能になり、具体的な家へのイメージが設計者に伝わります。■ 3.専門家のセカンドオピニオンを聞く要望を整理し、設計者に伝えたけれども……、なかなか希望通りの間取りにならない、間取りにピンと来ない場合も多いと思います。そんなときは思い切って、専門家のセカンドオピニオンを聞く方法もあります。IYO / PIXTA(ピクスタ)病院と並び、建築の世界も、専門家によるセカンドオピニオンを聞くことが普通になってきています。そして設計事務所や不動産コンサルタント事務所では「間取り相談」や「間取り診断」を実施しています。「間取り相談」のメリットとしては、建築士が変われば、まったく違う間取りができることが多いデメリットとしては、今の設計者との空気感が、若干、悪くなる場合があるなどです。こちらの図面は「間取り相談」を行う前のものです。セカンドオピニオンの意見を参考に建物の大きさや配置は一切変えずに、間取りだけ変えると以下のようになりました。ここまで間取りを変えることができます。いかがでしたか?マイホームへの夢は、十人十色、さまざまです。間取りづくりのポイントをおさえ、後悔や失敗のないマイホームづくりを進めてくださいね。(しかまのりこ)
2019年02月18日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。ほぼ諦めていた「建築条件外し」がとんとん拍子に実現してしまい、愛する新宿の土地を手に入れられることになり、喜びと戸惑いが冷めやらぬ鳥夫婦です。■ 営業Sさんは最後までやり手さて、晴れて新宿くんと結婚できることになった鳥夫婦。Sさんから電話を受けた一週間後にはY社へと伺い、「建築条件外し合意書」に判を押しに行きました。Sさん「保奈美さん(40代半ばだと思われる女性設計士さん)には何か話されました?」鳥夫婦「いいえ、まだ何も。近々謝罪の電話でもしようかと思っていたのですが……」Sさん「あ、それは、ちょっと、待っていてもらえますかね?」Sさんの指示通り、その後はR社に何もアクションしないようにしていました。そして次にR社の人と接することになったのは、土地決済日。銀行の来客室にて、R社の設計部長さんと久しぶりにお会いしました。設計部長さんさんは鳥夫婦の顔を見るなり立ち上がり、「このたびは、大変申し訳ございませんでした!」と謝罪されました。ビックリしてしまい、「いえいえ、とんでもありません!こちらこそ……」と慌てて鳥夫婦も頭を下げました。この状況から、Sさんが、すべて、うまくやってくれたのだと察しました。きっと「R社の方が良くなかった」という流れに持って行ってくれたのでしょう。だから建築条件外しの土地代も請求されなかったのかもしれません。本当にSさんには良くしていただきました。竣工の暁には、Sさんに写真と御礼メールを送らせていただこうと思いました。(しかし竣工後にメール送ったところ、宛先不明で返ってきてしまいました。残念ながら転職されていたみたい)また、保奈美さんには会わないまま「保奈美さんにも、申し訳なかったとよろしくお伝えください」と設計部長さんに伝える形で終わりました。■ なぜ土地代アップなしで建築条件外しができたか?個人的な状況なのでお役に立たないと思いますが、一応、今回のありがたい結末を迎えた要因について、まとめておきます。以下がSさんからお聞きしたもの。今回の分譲地は、諸事情あり、手続きの結果によっては分譲の話自体がなくなるリスクがあったので、そもそもR社が弱腰だった(当初の契約書にも、もし分譲不可能になっても了承するよう記載されていた)最初から「建築条件を外せ」と要求していたら、おそらく土地代アップを求められていただろうが、鳥夫婦も検討した上での要求であったY社は老舗、R社は新しい会社であり、つながりで成り立っているこの業界でY社の立場は強かった(R社はいつも非公開で仲介業者に売ってもらっている)R社社長とマブダチの反町(隆史似の)支店長が、ちょうど2か月前にSさんの支店に配属されてきたのもラッキーだった以下は鳥の思う、その他要因。複数棟を同時設計&施工することによるコストダウンが得られず、1棟分だけまた新たに客を探して設計し直し&施工するのは、R社としてもやりたくなかったのではないかR社がちょうど今後の経営方針に「個人住宅の注文住宅設計に力を入れていく」と打ち出していたので、社内的に「設計力を高めよう」「設計力がないといけない」という自省の雰囲気があったのではないか老舗のY社、やり手のSさんに担当してもらえた地縁があったということで、ほとんど運によるところが大きいですかね……。でもね、ジタバタ努力すると、運が(同情して)向いてくれると思うんですよ!(鳥)
2019年01月18日1月15日発売の「住まいの設計2月号」では、家好き芸人、アンガールズ・田中さんが建築家の自邸を突撃取材する3回目の連載が掲載されています。アンガールズ・田中さんは広島大学工学部第四類建築学部卒業。大学では建築の構造を研究し、得意分野は日本建築だそうです。今回は、緑に囲まれた落ち着いた住宅街に溶け込むように建つ、建築家・佐藤重徳さんのお宅を取材しました。■ 大開口により感じつつ薪ストーブの温もりに包まれる佐藤重徳さんは12年前、長女が小学校に入学したのを機に土地を購入し、RC造3階建ての家を建てました。「緑が多い住宅地ですけど、ちょっと面白い立地ですよね」と田中さんが言うように、北と南の2つの道路に挟まれている敷地。「せっかく道が2つあるから、トンネルのような家にして両方の道とつなげようと思いました。近くの公園とも緑を通してリンクすれば、大きな居住地になると。街並みに楽しく緑を提供。環境をつくることも建築家の仕事ですから」(佐藤さん)。「薪ストーブはどうですか?」と田中さんが尋ねると、「南の大きなガラス面から冷気が下りてくるので、薪ストーブの暖かさで空気のバリアをつくっています。最新の薪ストーブはとても性能がよくて、快適」と佐藤さん。剪定した庭木も薪に使うと聞いた田中さんは、「無駄がなくて、めちゃくちゃいいじゃないですか!」と大絶賛。「ヨーロッパやアメリカでは、車と同じように薪ストーブの性能検査があるんです」(佐藤さん)との話に興味津々の田中さんでした。■ 吹き抜けに浮かぶ「ブリッジ」が空間のダイナミックさを強調!ブリッジからLDKを見下ろし、「これだけ大きな“抜け” があると、かなり開放的ですね」と、田中さんがその眺めに圧倒されていると、「うちの両親は、『ここに部屋が2つはつくれる』って言うんです(笑)」と、2階から奥さんの声。「たしかに2部屋つくりたくなる気持ちも分かりますけど(笑)、あえて思い切って“抜く” ことで余裕が生まれて、こんなに気持ちいいっていうことを、みんなにぜひ分かってほしい!」と田中さんは力説していました。「南側の隣家は幸い2階建てですが、将来3階建てが建つ可能性もあるので、そうなっても採光できるように吹き抜けを設けています」(佐藤さん)。3階北側には子ども室が配されており、吹き抜けに面した通路には本棚とデスクを設置した家族共用のライブラリーを配置しています。また上部には、トップライトが設けられています。「この家は自然の光をたくさん取り入れていますね」と田中さんが言うと、「本が日焼けしちゃうので、トップライトにすだれを掛けたほうがいいかなと思っています」と佐藤さん。トップライトには屋根に出られるようハッチが設けられており、佐藤さんは自分でガラスや煙突の掃除をしているそうです。こちらはブリッジからLDKを眺めた写真。南面の大開口が開放感をもたらすリビングダイニングは、窓を開けると外にいるようです。さらに、佐藤さんがデザインした円形のダイニングテーブルが、四角い空間にやさしい表情を与えています。■ 鳥のさえずりと植栽の緑にホッとひと息するバルコニーこちらは南の庭に植えられた2本のシマトネリコの緑が美しい、リビングからの眺め。バルコニー越しに見える緑がとてもきれいです。バルコニーの庇は2階が深く、3階は浅めにすることで、夏の日差しをカットし冬は奥まで光を取り入れている。「鳥の巣箱にシジュウカラが来るんですって」と田中さん。3階にも2階と同様にバルコニーが設けられており、窓拭きが可能。田中さんはちょっと怖そうでしたが、街を見渡すこともできます!もっと詳しく見たい方は、「住まいの設計2019年2月号」をご覧ください!【取材協力】佐藤重徳建築設計事務所東京都府中市府中町1-30-2-101年生まれの佐藤重徳さんは、レミングハウス(建築家・中村好文氏)勤務を経て、’97年に佐藤重徳建築設計事務所を設立。住宅のほか、保育園の設計、家具デザイン、薪ストーブの開発などを手掛けている。撮影難波雄史住まいの設計2018年12月号豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン【巻頭特集】「猫だってハッピーにしてほしい!猫と一緒に暮らすための家」 【第二特集】「自分らしいインテリアと暮らしています」
2019年01月15日インテリアスタイリストの窪川勝哉です。実は私、昭和32年築・前川國男設計のテラスハウスを入手してしまいました!フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエとともに近代建築の3大巨匠と言われる、ル・コルビュジエ。そのル・コルビュジエに師事し、日本のモダニズム建築の旗手と言われた、前川國男。その前川國男が昭和30年代に設計した、三角屋根が特徴のテラスハウスシリーズをご存じでしょうか?■ 昭和32年に建てられた前川國男設計のテラスハウス2軒が一続きになったテラスハウス形式当時は郊外といわれた東京西部の阿佐ヶ谷と烏山と鷺宮に建てられ、なかでも通称「阿佐ヶ谷住宅」は、広大な敷地とコモンと呼ばれた緑地を持ち、著書も出版されるなど、コアなファンに大人気の物件でした。惜しまれつつ2013年に解体された阿佐ヶ谷住宅についての本も出版されています。前川國男の評伝も、読みごたえがあります現在では阿佐ヶ谷と烏山は残念ながらすでに取り壊されてしまい、唯一現存するのはこの3兄弟のなかで最初(昭和32年)に建てられた鷺宮の物件だけに。ゆったりとした敷地はやはり魅力的!■ 物件情報を古い順にソートし、どれだけ古い物件が現存しているかを楽しんでいたら…ところが先日この物件がなんと売りに出ていたのです!!普通の人がインターネット等で物件を探すときは予算やエリアのほか、築年数が新しい順にソートしたりするのが一般的かと思います。ですが、私はいつも古い順に並べ、どれだけ古い物件が現存しているかを楽しむほうでして(笑)。階段まわりは竣工時のまま先日いつものそれを楽しんでいたら、以前から存在を気にしていたこの物件に出会ってしまいました!現状の水回りはこんな感じ最新のスタイルでなく、当時のレトロさを残したスタイルにリノベーションを、と考えていたところ、友人から連絡があり、解体予定の家からレトロで状態の良いキッチンを外したものをプレゼントしてくれました。サンウエーブの琺瑯(ほうろう)製のキッチン。偶然にも今の私の家のキッチンとまったく同じキッチンです!まだまだすべてがまったくノータッチの状態で、室内も要リノベーションなのですが、少しずつ手を加えて完成させていくつもりです。リノベーションの進捗などは、またぜひ報告させていただけたらと思います。窪川勝哉さんインテリアスタイリストとして雑誌、広告、テレビなどで幅広く活躍中。2011年に渡英、2013年から再び拠点を東京に移し活動中。
2018年12月29日建築事務所が手がける新キオスク建築家が手がける千代田区一番町のキオスク「BIRD BATH&KIOSK(バードバスアンドキオスク)」では、「Biople by CosmeKitchen(ビープル バイ コスメキッチン)」が厳選したオーガニック商品の取り扱いを開始しました。いつでも気軽にオーガニックアイテムを「BIRD BATH&KIOSK」は、建築家谷尻誠氏らの手によって企画設計された、キオスク型のコーヒースタンド。“水飲み場”という意味の同店は、小鳥が羽を休める止まり木のような、ほっとできる空間作りがされています。そんなコーヒースタンドで取り扱われているのは、ナチュラル&オーガニックショップ「Biople by CosmeKitchen」がセレクトした、自慢のオーガニック商品の数々。通勤途中や休憩中に気軽に立ち寄り手に取ることができます。オーガニック食品や自然派コスメが、より身近な物になることでしょう。(画像はプレスリリースより)【参考】※株式会社マッシュホールディングスのプレスリリース
2018年12月26日寺⽥倉庫が運営する建築倉庫ミュージアムでは、企画展「- Green, Green and Tropical - 木質時代の東南アジア建築展」を2019年2月6日から5月6日まで開催する。Eleena Jamil「Bamboo Playhouse」2015年 © Eleena Jamil Architect同企画展は、東南アジア諸国で注目を集める新世代の建築家やデザイナーによる木質デザインおよび建築空間の新潮流に焦点を当て、建築や家具デザイン、さらには調査研究を通して俯瞰するもの。紫檀、黒檀、チーク、マホガニーといった高品質の木材だけでなく、竹や籐などの植物材料も揃う東南アジア圏。古くから地元住民の間で共有されてきたノウハウの蓄積によって、多種多様な木質建築に富んでいる。同展では、伝統的あるいは慣習的に展開されてきたスローテクノロジーとも分類されるような建築群を紹介すると共に、「科学的に再現できない素材と技術」に注目し、隠されたシステムを明らかにしていく。坂茂「Paper Temporary Shelter - Philippines」2014年 ©Voluntary Architects Network素材は、時間と環境の流れの中でそれ自体が少しずつ変化していく。本来、自然由来の生の素材は、加工されて“地域の土着材料”による製品として日々の生活に取り入れられていく。また、たとえ製品として完成されたものでも“再生材料”として再構築され活かされ続ける可能性を持ち、そして予期せぬ災害が発生した場合、人々は従来の材料や技術による“緊急対応”によって、自身の知恵を活かそうとする。会場では、東南アジア圏におけるこれらの素材活用方法に関する3つのテーマセクション「<Vernacular / Conventional>地域性と土着材料」、「<Recycled Materials>再生材料の可能性」、「<Emergency Response>緊急対応の建築」に加え、同地域で実施されてきた調査研究やフィールドサーベイの成果、未来を見据えたレジリエントな建築技術の展望が紹介される。Adi Purnomo「Tanah Teduh #4」2013年 ©Adi Purnomo,Riichi Miyake参加作家は、建築家のAhmad Djuhara、Adi Purnomo、Andry Widyowijatnoko、Eleena Jamil、Ling Hao、Eriksson Furunes&Leandro V. Locsin Partners+Boase、坂茂、芦澤竜一、柄沢祐輔、デザイナーのAlvin Tjitrowirjo、Kenneth Cobonpue、研究者の岡部明子、畑聰一+清水郁郎、Joseph Yumi Espina+サンカルロス大学など。2019年2月23日の14時からは、Eleena Jamilを始めとしたゲストによる記念対談も開催。参加費は無料、事前申し込みが必要となる。【展覧会情報】- Green, Green and Tropical – 木質時代の東南アジア建築展会期:2019年2月6日〜5月6日会場:建築倉庫ミュージアム 展示室B住所:東京都品川区東品川2-6-10時間:11:00〜19:00(最終入館18:00)入場料:一般3,000円、大学生・専門学校生2,000円、高校生以下1,000円(展示室Aの企画展示「新素材研究所」の観覧料含む)※障害者手帳をお持ちの方とその付添者1名無料休館日:月曜(祝日の場合、翌火曜休館)、2019年3月4日~3月26日の期間
2018年12月21日先日もご紹介した建築業で働いているカルロスさんの生活のアイディアを紹介します。どこの国でもそうなのかもしれませんが、家を建て直すときは古いものが邪魔になります。全部のものを大切にしまい込むということは少ないようです。特に親の家を譲り受けて建て直すときなどは、いろいろと古いものが出て来たりしますよね。しかし、カルロスさんはそのような古いものを無料か、かなり低価格で受け取り、自宅で使っています。今回は超レトロなアイテムの再生法をご紹介いたします。■ 「古いドア」大邸宅の大きすぎるドアを小さくして使う!まず玄関のドアです。このドアはだいたい400年前のドアだそうです。そのため、高さが3m以上あり大きすぎるので、家を壊すときに払い下げになりました。ちなみにドアは比較的売りやすいもののひとつです。というのは、古いドアは乾燥しているので良いギターが作れるからです。ギターを作る人は、街を歩いて取り壊すことが決まった古い家などを訪ねて譲ってもらいます。古いドアから何百万円もするギターが作られこともあるのです。しかし、このドアはカルロスさんのおかげで、ドアとして生き続けることが決まりました。実は大きすぎるドアの真ん中部分を切ってもう一度繋げ、現状に合った大きさのドアに作り変えたのです。古いドアの問題は鍵のセキュリティですが、このように古いドアに鍵を付け替えています。古いドアの鍵は開けにくいというデメリットもありますがこれなら大丈夫です。■ 「古い照明器具」温かい光が溢れる家に!ランプを使ったことがない人には、これがびっくりするものだとは感じないかもしれません。こういうデザインの照明器具だと思った人も多いと思います。でも、これはオイルランプをリメイクしているのです。元々は電球のところに本当の「火」が付いていたのです。昔のものはデザインが素敵ですよね。私はろうそくも好きですし、普段、火を見る生活を好んでしていますが、やはり現実的に考えると電気を使った照明の方が安全です。カルロスは、しばらくはオイルを使って利用していたそうですが、とても気に入っていたので電化することにしたのだそうです。こちらはアンティークな照明器具。スペインなら病院などに使われていたようなタイプのデザインです。こちらは書斎の机に置くタイプの照明器具を絵画の照明に。ピラミッド型の照明をあえて逆さにつけました。モロッコ製のエスニックなデザインが素敵です。これは、屋根瓦です。スペインの屋根瓦はこんな形。屋根瓦にペイントして、壁に取り付け、内部に電球を設置して照明器具として使っています。■ 「テラスの洗面所」台は昔、おばあちゃんが使っていた(と思われる)ミシン台これはテラスの洗面所。テラスの掃除やちょっとした手洗いなどに使います。洗面の下の台は、なんとなく見たことがあるもの?若い方は見たことがないかもしれません。昭和博物館にあったような……。これは足踏みミシンの台です。足踏みミシンは、簡単に電気ミシンにできるんです。電気ミシンに作り変えてもらうと、台が不必要になるのですが、カルロスはデザインがとても気に入り、ミシンの台に大きな陶器の深鉢を置いて洗面所にしたのです。■ 「洗面台」寝室にあったサイドベッドテーブルを使用!バスルームにもいろいろな工夫が見られます。こちらの洗面所は、寝室にあるサイドテーブルに昔のホウロウの白いタライを乗せています。こちらの角度の方がわかりやすいですか?奥に見えるのは、トイレットペーパー。植木鉢を置くアイアンの三脚の上に陶器の深鉢を置いてトイレットペーパー置きに。アイアンの三脚は結構色々使えますよ。こちらは別のトイレにあったペーパーホルダー。モルテロというスペイン版すり鉢を置くための台なんです。下の部分はスパイスを入れる引き出し。本来はキッチンにあるものですが……。■ 建築家ならでは!レトロアイテムを取り入れた暮らし捨てる前にこれは何かに使えないかなと考えて、まったく別の使い方をしていく暮らし。素敵なものが次々生まれて、楽しくなりますね。改めて、古いものをもっと大切にしたいと思いました。
2018年11月17日11月15日発売の『住まいの設計12月号』では、家好き芸人、アンガールズ・田中さんが建築家の自邸を突撃取材する連載の2回目が掲載しています。アンガールズ・田中さんは広島大学工学部第四類建築学部卒業。大学では建築の構造を研究し、得意分野は日本建築だそうです。今回は東京・北区で築18年、470.00平米(142坪)、鉄骨造5階建てのビルをリノベーションしたSTARの佐竹永太郎さん宅を取材しました。■ だ円形の「吹き抜け」と有機的な「螺旋階段」が美しい空間JR東十条駅から徒歩2分の場所にある5階建てのビルが、佐竹永太郎さんが代表を務める「STAR」の事務所兼自宅。ビルの入り口には明治16(1883)年製という趣のあるくぐり戸が設置されており、独特の世界観があります。この入り口には田中さんも驚いた様子でした。このビルは18年前にオーナーの依頼により佐竹さんが設計し、15年後に自身が買い取りリノベーション。1階はラウンジ、2階はオフィス、3階は倉庫、4・5階が自邸という構成になっています。さっそくエレベーターで4階に向かうと、中心に螺旋階段が設置されたLDKが。ソファに座って吹き抜けを見上げ、「螺旋階段って、もっと単調なイメージだったけど、こんな変わった形もできるんですね。計算は難しそうだけど」「はい、難しく計算すればできます(笑)」と、田中さん。建築談義に花を咲かせるふたりでした。■ 最上階のガーデンと寝室はまるでリゾートホテル!螺旋階段を上っていくと、寝室の外に広がる屋上ガーデン。「朝はまぶしくて自動的に目が覚めます」(佐竹さん)という寝室は、庭に面したホテルライクな空間になっていました。4・5階とも床暖を採用しているため、冬も快適に過ごせるそうだ。5階ホールの床にはアズサ、寝室には杉を採用している。「いろんな素材を使っているけど、ちゃんと調和している。個性派集団をうまくまとめる名監督みたいだな」(田中さん)。寝室からデッキテラスにそのまま出られるのも佐竹さんのこだわり。「駅前だけど、ここなら外からの視線を気にせずに過ごせますね。土があって、外の空気も感じられて…都会ではなかなかこういう空間を持てないですもんね」(田中さん)と、屋上ガーデンの開放感を満喫していました。■ 1階のラウンジは、能舞台の襖を設置したこだわりのおもてなし空間1階のラウンジは、バーカウンターのあるラグジュアリーなおもてなし空間だ。カウンターは大谷石、カウンターの天板にはアフリカンチークを使用。奥のミーティングスペースには、旧家の能舞台の襖が扉になっている豪華版です。「すごいな。設計事務所とは思えないですね。何でもやってくれそう(笑)」と、圧倒される田中さん。「“正しく古いものは、常に新しい” というのが僕の信念です。正しく時を重ねてきたものは、時を経ても古びない。そういうものの力を借りながら、オーダーメイドのスーツのように、住む人の体に馴染む空間をつくっていきたい」と佐竹さん。まるで、おしゃれカフェみたい!まさに、建築家の美意識を体現した住まいとなっていた佐竹さん邸。もっと詳しく見たい方は、「住まいの設計2018年12月号」をご覧ください!【取材協力】STAR(エスティエイアール)「クライアントの課題を美しいデザインで解決する」をミッションにデザインチームという独特の設計スタイルで活動。個性的なホテルや商業施設など企画より幅広く手掛ける。撮影山田耕司住まいの設計2018年12月号豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン【巻頭特集】「だから選びました!ハウスメーカーで建てたこだわりの詰まった家」 【第二特集】「毎日緑に触れられる幸せ…ガーデンハウスで暮らそう!」
2018年11月15日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。300万円値引きをしてもらえるなら建築条件付きの家の契約をしようと決断し、土地仲介の営業Sさんに交渉しに来た鳥夫婦です。■ やり手の営業Sさんに会う久しぶりに仲介Y社の営業Sさんにお会いする。あの、コロコロ笑いながら、ソフトな語り口で、相手の心を開かせながら、キチッと落としどころに落とさせるSさんに……。3か月前のあの日……。Sさんの運転する車に乗せられ、設計R社に連れて行かれた日……。道中の会話で、Sさんには奥さんとお子さんがいらっしゃって、数年前に東京の外れの建売住宅を購入されたと聞きました。「不動産業のプロは、建売を選んだんだ」と印象に残ったのと同時に、ご家庭でのSさんを垣間見てしまいました。こんなに紳士で礼儀正しいSさんも、腹を出したままブーと寝屁したりするのだろうか?風呂前に裸になると、腰振りダンスしながら家人に近づいたりするのだろうか?(え?鳥夫だけ?)仕事でやり手なSさんそのままに、夜もキッチリ落とすのだろうか?あの日、そんなことを考えながら車に揺られていたなあ……。やだねえ、下世話な男性雑誌の表紙を見ては「ったく、しょうもないな」と苦笑しているくせに、自分も同類じゃん。などとつらつら思いながら、Y社の最寄駅で、鳥夫を待っていました。■ 鳥夫婦で最後の戦略会議さて、腰振りながら……ではなく普通に現れた鳥夫と、しばらく二人で周囲を散歩しながら、最後のすり合わせをしました。「いいか、鳥は女だから、感情的な役をやってくれ。いかにもR社のプランニングに残念な気持ちでいるか、土地は気に入っているのに、R社の家を買わないといけないことが悲しいか、訴えるんだ。でも鳥は空気を読めず、余計なことを口走る癖があるからな。基本的にはしゃべるな。俺がしゃべるから」「わかった!!」万が一、建築条件付きを外してもらえる可能性も考え、いきなり上物の値引き話にいくのはやめました。「土地はとても気に入っている」ということを強くアピールし、「もし条件を外してくれるとしたら、いくら土地代をアップされるか」を聞き出すシナリオに微修正。Sさんのご尽力で土地代80万円値引きをしてもらったとはいえ、すでに当初の予算より400万円オーバー。建築条件外しにより土地代1割アップしたとして、さらに340万追加。これで当初の予算より740万円オーバー。こうなると、もう諦めざるを得ないのですが……。■ Sさんとの交渉スタート!!そしてY社のビルの前に着きました。階段を上り、念のため携帯の録音アプリをONにして、Y社のドアを開けました。「ああー、どうもどうも、お久しぶりですねえ」Sさんは、相変わらずコロコロとした笑顔にソフトな語り口で迎えてくれました。コミュニケーションがそれほど得意ではない上に緊張MAXの鳥夫。人見知りで狂女予備軍の鳥。二人とも気の利いた挨拶や世間話のひとつもできず、Sさんのそつないアイスブレイクの会話に、ニヤニヤ相槌を打つばかり。ましてや緊張に耐え切れず上の空状態である今は、世間話をする余裕などありません。顔を紅潮させた鳥夫が、メモを片手に、すぐに本題を切り出しました。Sさんに新宿くん(※土地のこと)をご紹介いただいた頃は、家造りの知識のまったくないド素人だった鳥夫。あれから約3か月。鳥夫は、コンサルさんにに教わった知識のおかげで、Sさん相手に説得力のある話を展開していきました!(鳥)■この連載の一覧を見る■
2018年11月15日