「ボテロ展 ふくよかな魔法」を2022年7月16日(土)~9月25日(日)に、名古屋市美術館にて開催いたします。南米コロンビア生まれの芸術家フェルナンド・ボテロ(1932-)。1950年代後半から注目を浴び始め、今日では現代を代表する美術家の一人に数えられています。彼の手にかかると、楽器や果物、動物、さらにはあのモナ・リザさえもが、丸くふくよかな姿となって現れます。ボテロ作品のふくらみが持つ形の豊かさは、「観る者を突き動かすような官能を伝える」というボテロの言葉通り、ユーモアやアイロニーなどさまざまな要素を絡めつつ、生の喜びを湧き上がらせてくれるような魅力を持っています。一度見たら忘れられなくなるボテロ・スタイル誕生のきっかけは、ボテロ24歳のとき。ある日、マンドリンを描こうとしたボテロは、楽器の音響孔を、実際よりも小さく、黒い点のように描き入れました。すると、その小さな孔との対比によって、マンドリンの丸いボリューム感がより際立って表れてくるのに気づきました。ボテロは、この不意に生まれた造形の豊かさに芸術的な美を見出したのです。ボテロの作品は、各地の美術館で世界中の人々を魅了し続けています。日本で26年ぶりとなる本展は、今年で90歳を迎えたボテロ本人監修のもと、初期から近年まで、世界初公開作品を含む油彩・水彩・素描70点を紹介いたします。ふくらみの中に託したボテロの魔法を、ぜひ目の当たりにしてください。フェルナンド・ボテロ《コロンビアの聖母》(部分) 1992年 油彩/カンヴァス【みどころ】★モナ・リザの横顔、世界初公開フェルナンド・ボテロが世界に注目されるきっかけとなったのは、1963年、ニューヨークのメトロポリタン美術館でレオナルド・ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》が展覧されたとき、ボテロの《12歳のモナ・リザ》がニューヨーク近代美術館(MoMA)のエントランス・ホールに展示されたことです。一夜にして、ボテロの名前はニューヨーク中に知れ渡りました。「モナ・リザ」はボテロが描き続けているテーマの一つで、本展では2020年制作の《モナ・リザの横顔》が世界初公開されます。90歳を迎えた今もなお、美術家として探求し続ける気迫の伝わる一枚です。フェルナンド・ボテロ《モナ・リザの横顔》2020年 油彩/カンヴァス★国内では26年ぶりの大規模展フェルナンド・ボテロの展覧会は、1995-96年の巡回展以降、実に26年ぶりに日本国内で開催される大規模絵画展となります。ボテロ本人の監修により、初期から近年までの油彩ならびに水彩・素描作品など全70点で構成される本展は、展示作品のほとんどが日本初公開という注目のラインナップです。初めてボテロ作品に触れる方にも、ボテロファンにとっても、新たな発見のある展覧会となります!フェルナンド・ボテロ《象》 2007年 油彩/カンヴァス★世界中で愛される、ふくよかな作品1951年のコロンビアに始まり、ヨーロッパ、北米、南米、アジアなど世界各地でこれまで70年以上にわたり数えきれないほどの個展が開かれてきました。観る人を惹きつけてやまないのは、ふくよかでユーモア、ときに風刺を交えた独特な作風、そして作品自体の大きさにも圧倒されます。豊かで、生の喜びをも感じさせるボテロ作品の数々を、ぜひ会場でお確かめください。フェルナンド・ボテロ《バーレッスン中のバレリーナ》 2001年 油彩/カンヴァス★なぜ、ふくよかな絵を描き続けるのか?ボテロのボリュームへの関心は、17歳の頃描いた作品《泣く女》(1949年)にすでに見出せます。その後、ヨーロッパ、特にイタリアで学んだ経験は、彼のボリューム感、官能性、デフォルメ表現に対する基盤を確固たるものにしました。ボテロは言います、「ボリュームを表現することで、芸術的な美を表現することを目指しているのです」、「私の作風は、私の作品の代名詞であるだけでなく、私が後世に残す遺産でもあるのです」と。【作品紹介】第1章 初期作品ボテロは20歳であった1952年、コロンビア国内の展覧会で受賞した賞金でヨーロッパに渡り、そこで3年間学びます。特にイタリアでは、クワトロチェント(1400年代)の名画、そしてバーナード・ベレンソンやロベルト・ロンギといった当時の偉大な理論家たちの著述との出会いを通じ、自らの絵画の理論的基盤を形成し、発展させました。ボテロのボリュームへの関心は17歳の時の作品《泣く女》(1949年)にすでに見出せますが、イタリアでの修行はそれを自覚的で継続的なものとしたといえるでしょう。第2章 静物1956年のある晩、ボテロはアトリエでマンドリンを描いていました。マンドリンの穴をとても小さく描くと、大きな輪郭と細部とのコントラストが生じ、楽器がふくらんで見えました。この時、彼は自分の仕事にとって、重要で決定的なことが起こったと感じたのです。ボテロの様式は、かたちの官能性とボリュームの強調にあります。「ボリュームを通して、生命の高揚感が生み出されるが、デフォルメにより芸術には不均衡が生じる。それは再構築されなければならないが、一貫した様式によってのみ、デフォルメは自然となる」と、ボテロは言います。静物画はボテロが繰り返し描くテーマの一つですが、彼の様式は、これを通してこそ生まれて来るものといえるでしょう。フェルナンド・ボテロ《黄色の花》(3点組) 2006年 油彩/カンヴァス第3章 信仰の世界ボテロの全ての作品においては、青年時代の記憶が創作活動の主題となっています。宗教的なテーマへの関心は、聖職者の世界とそこにあるかたち、色彩、衣装、そしてその造形的で詩的な側面を絵画的に探究するためのものであり、ボテロはユーモアと風刺をもって人物にアプローチしています。司教、修道女、司祭、枢機卿は1930年代から40年代のボテロの故郷メデジンでは突出した地位にあり、彼らを描くことで作品には、ある種の懐かしさとともに風刺とユーモアがあふれてくるのです。こうした作品は、ときに予想外で驚きに満ち、起こりそうもない世界を表現してもいます。フェルナンド・ボテロ《守護天使》2015年 油彩/カンヴァス第4章 ラテンアメリカの世界1956年、23歳のボテロはメキシコ芸術に出会いますが、このことは一つのターニングポイントとなります。自らのルーツや故郷コロンビアでの子ども時代の記憶にまなざしを向け、自作の中心的テーマとするようになったのです。同時にメキシコ芸術の大胆な色使いもボテロを触発し、彼の画面を色鮮やかなものへと変容させました。近年ボテロは大型カンヴァスに水彩で彩色したドローイングを描くシリーズを制作していますが、そこでもラテンアメリカの世界は主題として生き生きと描写されています。第5章 サーカス2006年、ボテロはメキシコ南部の都市シワタネホの訪問中、ラテンアメリカの趣のある質素なサーカスに出会いました。悲しみを内に秘めた人物だけではなく、何よりもその計り知れない詩的な味わいやかたちと色の造形性が、彼を驚かせました。この出会いは、ピカソ、マティス、ルノワールをはじめとする巨匠たちの作品によって高められた、サーカスという大きな可能性を秘めるテーマへと彼の想像力の扉を開きます。サーカスの役者たちは、盛んに動いているにもかかわらずボテロ作品の人物に典型的な静けさと美学をも湛え、ダイナミックさと静寂の間を揺れる逆説的な感覚を伝えています。フェルナンド・ボテロ《空中ブランコ乗り》 2007年 油彩/カンヴァス第6章 変容する名画1952年に初めて欧州へ渡航して以来、ボテロは、ベラスケス、ピエロ・デラ・フランチェスカ、ヤン・ファン・エイク、アングルなど、美術史における主要な芸術家たちへ造形的なオマージュを数多く捧げてきました。過去の巨匠たちの名作を基にした一連の作品では、ボテロ独自の様式により他の芸術家たちの作品を全く異なるものへと変容させています。「芸術とは、同じことであっても、異なる方法で表す可能性である」というボテロの言葉を、強く思い起こさせるシリーズです。【オフィシャルサポーター】BE:FIRST「ボテロ展 ふくよかな魔法」のオフィシャルサポーターに、7人組ダンス&ボーカルグループ、BE:FIRSTが就任しました。「ボテロ展」テレビCMへの出演や音声ガイドにも挑戦するなど、BE:FIRSTのメンバーがボテロ展の魅力を伝えるためにサポート活動をしていきます。お楽しみに!【音声ガイド】ボテロの作品にかけられた“ふくよかな魔法”。そこにはたくさんの秘密が隠されています。作家本人のことばを引用しながら、彼の人生や様式、作品のテーマについて解説。幸せな魔法の世界へと一緒に旅してみましょう。スペシャルゲスト:BE:FIRSTオフィシャルサポーターを務める彼らが、音声ガイドにも初挑戦!BE:FIRSTの7人が作品を見て感じたこと、気になったことを語りあうことで、ボテロの作品を身近に感じることができます。スペシャルトラックでは、中学生の頃にボテロの「モナ・リザ」を自分風に描いたことがあるというSOTAさんや、小さいことから絵を描くのが好きというRYUHEIさんたちが、今回の出展作品のなかで“皆さんへお勧めしたい作品”についても語っています。ナレーター:伊東健人ボテロの人生や様式、作品のテーマについて解説するのは、伊東健人さん。ときに作家本人のことばを引用しながら、ボテロの“ふくよかな魔法”の世界へと誘います。アニメの声優のほか、テレビ番組のナレーション、映画の吹き替えなど幅広く活躍される伊東さんですが、美術展の音声ガイドのナレーターを務めるのは初めてだそうです。音声ガイド視聴方法【会場レンタル版】展覧会会場入口にて、専用ガイド機を気軽にレンタル!貸出料金:お一人様1台650円(税込)【アプリ配信版「聴く美術」(iOS/Android)】販売価格:730円(税込)配信期間:2022年4月29日(金・祝)~12月11日(日)(予定)※会場レンタル版とは、BGMが一部異なります。※お客様ご自身のスマートフォンやタブレットにアプリをダウンロードしてご利用いただく形となります。【カタログ・グッズ】展覧会カタログ〔価格〕2,700円(税込)〔サイズ〕B5変形(252mm×195mm×20mm)展覧会カタログも「ふくよか」!出展作品全70点のカラー図版と解説を収録した公式カタログ。論文やコラム、年譜なども資料も充実の一冊です。ふくよかシール〔価格〕660円(税込)ふくよかなボテロ作品の「ふくよかなシール」です。様々な作品からモチーフを抜き出しました。どの作品にいるか、ぜひ探してみてください。アクリルキーホルダー(ブラインド)〔価格〕各550円(税込)人気のアクリルキーホルダーは全11種類。中身は開けてみてのお楽しみ「ブラインドパッケージ」仕様です。※いずれか1個が入っています。BALLON フラワーアロマオーナメント(全3種)〔価格〕各5,445円(税込)アロマデザインブランドBALLONとのコラボグッズ。花を飾るように、香りを飾るフラワーアロマオーナメント。ボテロ展特別仕様です。トートバッグ〔価格〕各2,200円(税込)作品が大きく描かれたトートバッグ。マチ無しタイプなので、折りたたんで持ち歩くのも便利です。カタログ・グッズ【開催概要】展覧会名 : ボテロ展 ふくよかな魔法BOTERO - MAGIC IN FULL FORM会期 : 2022年7月16日(土)~9月25日(日)会場 : 名古屋市美術館〒460-0008 名古屋市中区栄二丁目17番25号(芸術と科学の杜・白川公園内)TEL:052-212-0001 FAX:052-212-0005 開館時間 : 午前9時30分~午後5時9月23日を除く金曜日は午後8時まで(いずれも入場は閉館の30分前まで)休館日 : 毎週月曜日(7月18日・8月15日・9月19日は開館)、7月19日(火)、9月20日(火)主催 : 名古屋市美術館、中京テレビ放送公式サイト: Twitter : Instagram : 観覧料 : 一般1,800(1,600)円、大学・高校生1,000(800)円 ※中学生以下無料・()内は前売及び20名以上の団体料金・前売券は2022年5月7日(土)から7月15日(金)まで販売・名古屋市交通局発行の「ドニチエコきっぷ」「一日乗車券」を当日利用して来館された方は当日料金から100円割引。・障害のある方、難病患者の方は、手帳または受給者証(ミライロID可)の提示により本人と付添者2名まで、当日料金の半額でご覧いただけます。・「名古屋市美術館常設展定期観覧券」の提示で当日料金から200円割引。・国際芸術祭「あいち2022」現代美術展チケット(1DAYパス、フリーパスいずれも可)を持参の方は、当日料金から100円割引。・いずれも他の割引との併用はできません。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年07月13日対象に極度な丸みを帯びさせて描くことで知られるコロンビア出身の美術家、フェルナンド・ボテロ。今年90歳になる彼が監修した展覧会『ボテロ展ふくよかな魔法』が、Bunkamura ザ・ミュージアムで7月3日(日)まで開催されている初期から近年まで、70点の作品の多くが日本初公開となる大規模展だ。画家、フェルナンド・ボテロ(1932~)は南米コロンビア出身の美術家。あらゆるかたちをぷくぷくと膨らませ描く彼の画風は、とてもユーモラスで、見る人によっては皮肉めいても見える不思議なものだ。同展は、日本では26年ぶりとなる彼の大規模展覧会。ボテロの作品をさまざまな角度から捉え、その魅力に迫っていく。展示風景より展覧会は6章構成。第1章「初期作品」では、独自のふくよかな作風となる前の作品を紹介する。《泣く女》はボテロが17歳のときの作品。まだ彼の特徴となる強烈なデフォルメはないものの、巨大な手や肉付きのよい足などにこれからの片鱗を伺える。フェルナンド・ボテロ《泣く女》1949年フェルナンド・ボテロ《バリェーカスの少年(ベラスケスにならって)》1959年第二章「静物」では、ボテロのみっちりとした静物画を紹介する。ボテロが現在の画風を「発見」したのは、実は静物画がきっかけだ。1956年のある夜、マンドリンを描いていたボテロは、マンドリンの穴をとても小さく描いたとき、その輪郭と細部に大きなコントラストが生じ、楽器が膨らんで見えることに気づいた。この気づきから彼はボリューム感あふれる作風を進んでいく。展示作品も、静物でありながらむちむちとしており生命感をも感じさせるものが多い。《楽器》は1998年の作品。極度に小さく描かれているギターの穴を見ていると、ボテロの「発見」が追体験できそうだ。フェルナンド・ボテロ《楽器》1998年フェルナンド・ボテロ《黄色の花》、《青の花》、《赤の花》2006年第3章は「信仰の世界」。1930年代から1940年代、ボテロが若い時を過ごした故郷のメデジンでは、聖職者がとても高いステータスにあったという。その世界をユーモアと風刺を交えて描いている。展示風景より1956年、23歳のボテロはメキシコ芸術と出会い、自分自身に眼差しを向けるようになっていく。第4章「ラテンアメリカの世界」では、ボテロ自身のルーツであるラテンアメリカを描いた作品を紹介する。展示風景より展示風景より第5章は「サーカス」。2006年、ボテロは毎年1ヶ月ほど滞在するメキシコ南部の都市シワタネホでサーカスと出会い、その様子を描き始める。彼の描くサーカスの情景は人物や動物は華やかなダイナミックな動きをしているにもかかわらず、画面からは静けさや憂いも感じられる独特な世界になっている点が興味深い。フェルナンド・ボテロ《象》 2007年そして、最終章となる第6章「変容する絵画」は、ボテロの人気シリーズである名画へのオマージュ作品が並ぶ。彼はベラスケス、ピエロ・デラ・フランチェスカ、ヤン・ファン・エイク、アングルなど、さまざまな名画を自らの作風で描いてきた。同じ構図、同じ色合いで描いた作品であるにもかかわらず、どの作品もボテロそのもの。また、最新作であり世界初公開となる《モナ・リザの横顔》も公開される。フェルナンド・ボテロ《ピエロ・デラ・フランチェスカにならって》1998年フェルナンド・ボテロ《アルノルフィーニ夫妻(ファン・エイクにならって)》2006年フェルナンド・ボテロ《モナ・リザの横顔》2020年もりもりとした人物、動物、ものを描き、90歳のいまもなお活躍中のボテロ。彼のふくよかな魔法をたっぷりと楽しんでみよう。取材・文:浦島茂世【開催情報】『ボテロ展ふくよかな魔法』4月29日(金)~7月3日(日)、Bunkamuraザ・ミュージアムにて開催※会期中すべての土日祝はオンラインによる入館日時予約が必要
2022年05月20日おなじみ“謎の微笑み”をうかべる膨らんだ風船みたいにふくよかな「モナ・リザ」。日本で26年ぶりの開催となるフェルナンド・ボテロの展覧会『ボテロ展 ふくよかな魔法』で世界に先駆けて公開される最新作《モナ・リザの横顔》だ。今、最も愛される画家の一人であるボテロの名を知らしめたのは1963年のNYで起きたある事件。メトロポリタン美術館でレオナルド・ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》が展示されたとき、ニューヨーク近代美術館ではボテロの《12歳のモナ・リザ》(※今回の出品はなし)を展示。新たなモナ・リザ像の登場は大きなインパクトを与え、以来、西洋美術史上の名画を独自の様式でデフォルメする作品は彼のライフワークに。〈芸術を通して伝えることができるふくよかさ、包容力、官能性が好きだ。現実はドライだから〉という自身の言葉が物語るように、ボテロの描くモチーフは人物も花も動物もはち切れそうに膨らんでいる。まるで世界のすべてが「ふくよかであること」を自らに許したかのように。故郷のラテンアメリカ、信仰、サーカスなどをテーマにした作品は、おおらかでユーモラスながら“ふくよかではない”実際の世界への風刺としても響いてくる。今、私たちの現実があまりに痩せ細り、幸せを感じられないのだとしたら。彼の絵筆がふりまく「ふくよかな魔法」にちょっぴりかかってみたくなる。フェルナンド・ボテロ《モナ・リザの横顔》2020年油彩/カンヴァス136×100cmフェルナンド・ボテロ《守護天使》2015年油彩/カンヴァス130×101cmフェルナンド・ボテロ《象》2007年油彩/カンヴァス112×84cm『ボテロ展 ふくよかな魔法』Bunkamura ザ・ミュージアム東京都渋谷区道玄坂2‐24‐1‐B1東急百貨店本店横開催中~7月3日(日)10時~18時(金・土曜~21時。入館は各閉館時間の30分前まで)5/17休一般1800円ほかTEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)※会期中、すべての土・日・祝日はオンラインによる入館日時予約が必要。公式ウェブサイトを参照。※『anan』2022年5月18日号より。文・松本あかね(by anan編集部)
2022年05月15日麻薬カルテルが台頭するメデジンを舞台にした、暴力とドラッグだけでない新たなラテン映画、巨匠フェルナンド・トルエバ監督最新作『あなたと過ごした日に』(原題:El OLVIDO QUE SEREMOS)の日本公開が決定。予告編も公開された。父と同じ名を持つエクトルは、5姉妹に囲まれた唯一の男子として深い愛情を注がれて育つ。公衆衛生が専門の大学教授である父、エクトル・アバド・ゴメス博士の家庭は寛容と愛の心を育む教育により、活気と創造性に満ち溢れていた。そんな中、姉妹の一人が恐ろしい病魔に冒される。それをきっかけに、悲しみと怒りに突き動かされたアバド・ゴメス博士は、政治活動にのめり込んでいき、エクトルら家族の日常も次第に変化していく。分断されたメデジンの社会では、テロが多発し、自由を信奉する博士の声を封じようと準軍事組織の動きが加速していくが、家族の心配をよそにメデジン市長選への出馬を決意する――。本作は、70年代の麻薬カルテルが台頭するコロンビアのメデジンを舞台に、著名な公衆衛生専門家のエクトル・アバド・ゴメス博士の半生を息子の視点で描いた物語。原作は、手洗いの大切さを説き、貧しい地域の子どもたちのために「Future of Children」(子供達の未来)というプロジェクトを立ち上げ、公衆衛生に人生を捧げ、自由を信奉し平等な社会の実現を目指し、医者としての責務を果たそうとしたエクトル・アバド・ゴメス博士の半生を、スペイン語文学のいまを代表する作家であり息子のエクトル・アバド・ファシオリンセが、息子の視点から綴った回想録だ。映画化では、最優秀賞男優賞と助演男優賞、2度のゴヤ賞を獲得した個性派俳優ハビエル・カマラがエクトル・アバド・ゴメス博士を、父を慕う少年時代の息子を新鋭ニコラス・レジェス・カノ。青年時代の息子を、『MEMORIA メモリア』でティルダ・スウィントンと共演したフアン・パブロ・ウレゴが演じている。監督を務めたのは、カルロス・サウラ、ペドロ・アルモドバルらと並ぶスペインが世界に誇る巨匠フェルナンド・トルエバ。『ベルエポック』(’93)でアカデミー賞外国語映画賞に輝き、アニメーション映画『チコとリタ』(’10)ではアカデミー賞長編アニメーション作品賞にもノミネートされた映像の魔術師だ。音楽は、セザール賞作曲賞2回受賞の経験を持つポーランドの作曲家ズビグニエフ・プレイスネルが担当。また本作は、2020年アカデミー賞国際長編映画賞コロンビア代表作に選出され、2020年カンヌ国際映画祭正式出品、2021年ゴヤ賞最優秀イベロアメリカ映画賞を受賞している。『あなたと過ごした日に』は7月20日(水)より東京都写真美術館ホールほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)■関連作品:あなたと過ごした日に 2022年7月20日より東京都写真美術館ホールほか全国にて公開© Dago García Producciones S.A.S. 2020
2022年05月15日7人組ダンス&ボーカルグループ・BE:FIRSTが28日、東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで行われた「ボテロ展ふくよかな魔法」の取材会に出席した。SKY-HIが率いるBMSGに所属する、SOTA、SHUNTO、MANATO、RYUHEI、JUNON、RYOKI、LEOからなる7人組ダンス&ボーカルグループ・BE:FIRST。4月29日から7月3日まで同所で開催される「ボテロ展ふくよかな魔法」のオフィシャルサポーターを務め、音声ガイドにも初挑戦した。7人そろってほぼ初の囲み取材に挑んだ7人は、「びっくりしました」と圧倒された様子。「シャッターの数、フラッシュの数にびっくりしました」と話した。LEOは「ボテロさんの素敵な絵を直接初めて見たのですが、こんな素敵な絵のオフィシャルサポーターをやれることはうれしく思います。たくさんの人の愛を受けてこの場所に立っていられるんだなと改めて感謝しましたし、誇りに思っています」と心境を述べ、SHUNTOは「アーティストとしてアートのオフィシャルサポーターになれるというのはすごくうれしいことだし、誇らしいことだと思っているので、こういう機会をいただいてありがたいと思います」と感謝。JUNONは「オフィシャルサポーターになれたことを誇りに思いますし、自信を持って皆さんにお勧めしたいものだと思いました」と話し、MANATOは「僕は美術館に来たことがほかのメンバーより少ないと思いますが、今回でいろんな絵に興味を持ち、表現するのが絵と音楽という違いだけだったので、刺激をもらうことがたくさんあり勉強になりました」と語った。SOTAは「音声ガイドだったり、ここに来ての映像撮影だったり、今日まで意気込んで頑張ってきました。僕たちが思うボテロ展の魅力が皆さんに届いて、少しでも興味を持つ人が増えたらうれしいです」と期待し、RYOKIは「個人的にも美術館や絵の展覧会がすごく好き。今回久々に来させていただいて、この独特の空間がやっぱり好きだなと感じました。絵と見つめ合って、自分の時間が作れる場所だなと改めて感じ、自分とも見つめ直せる時間になるので皆さんにもお越しいただきたいです」とメッセージ。RYUHEIは「ボテロさんが長年かけて描いてきた歴史が詰まっているということで、その音声ガイドをやらせていただいているのですが、絵の魅力を正確に説明するために丁寧にゆっくり話すことを意識しました。皆さんにもぜひ来てほしいなという思いでいっぱいです」と語った。南米コロンビア出身の美術家フェルナンド・ボテロは、1950年代後半から欧米で高く評価され、今日では現代を代表する美術家のひとりに数えられている。あらゆるかたちがふくらんでいるという特徴のあるボテロ作品は世界各地の人に愛され、人気を博している。同展は、ボテロ本人の監修のもと、初期から近年までの油彩ならびに水彩・素描作品など全70点で構成される。
2022年04月28日現代を代表する美術家のひとり、南米コロンビア出身のフェルナンド・ボテロ(1932~)。日本では26年ぶりとなる大規模展『ボテロ展 ふくよかな魔法 BOTERO―MAGIC IN FULL FORM』が、4月29日(金・祝)よりBunkamura ザ・ミュージアムにて開催される。1963年、ニューヨーク・メトロポリタン美術館でレオナルド・ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》が公開された際、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のエントランス・ホールでは、ボテロの《12歳のモナ・リザ》が展示され話題に。それをきっかけにボテロの名はニューヨーク中に知れ渡ることとなった。ボテロ作品は人物も動物もふくよかに描かれている。果物は熟れきっているかのように膨らみ、楽器や日用品さえも膨張しているが、そこには、官能、ユーモアやアイロニーなど複雑な意味合いが含まれている。ボテロの生誕90年を記念して開催される同展では、ラテン・アメリカの人びとの日常や信仰、サーカスなどを題材にした作品から、その名を一躍有名にした古典の名画を題材とした作品まで、ボテロ本人の監修のもと、貴重な初期作品から近年の作品まで、油彩画、水彩画、素描など70点を紹介。描き続けているテーマのひとつである「モナ・リザ」の最新作《モナ・リザの横顔》が世界初公開されるほか、展示作品のほとんどが日本初公開となる。また、展覧会オフィシャルサポーターに、7人組ダンス&ボーカルグループBE:FIRST が就任し、『ボテロ展』テレビCMへの出演や音声ガイドを担当。展覧会開幕日と同じく4月29日(金・祝)より、フェルナンド・ボテロの素顔と、独創的な作品の数々に迫るドキュメンタリー映画「フェルナンド・ボテロ 豊満な人生」がBunkamura ル・シネマ他にてロードショー公開される。フェルナンド・ボテロ《泣く女》1949年フェルナンド・ボテロ《楽器》1998年フェルナンド・ボテロ《踊る人たち》2002年フェルナンド・ボテロ《象》2007年フェルナンド・ボテロBE:FIRST【開催概要】『ボテロ展 ふくよかな魔法 BOTERO―MAGIC IN FULL FORM』会期:2022年4月29日(金・祝)~7月3日(日)会場:Bunkamura ザ・ミュージアム時間:10:00〜18:00、金土は21:00 (入館は閉館30分前まで)休館日:5月17日(火)料金:一般1,800円、大高1,100円、中小800円展覧会公式サイト: ※会期中すべての土日祝は【オンラインによる入館日時予約】が必要
2022年04月07日独自の画風を確立したコロンビアの巨匠フェルナンド・ボテロの波乱万丈な人生と、多幸感あふれる創作の秘密に迫るドキュメンタリー『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』から、ポスタービジュアルと予告編が解禁された。人間も静物もなぜだかみんなふっくら、ぷっくりと膨らみ、素朴でユーモアあふれる作風が愛されるフェルナンド・ボテロ。90歳のマエストロは現在も毎朝アトリエに通い、多幸感あふれる独創的な作品を生み出し続けている。この度解禁された予告編では、“ボテリズム”と呼ばれる独自のふくよかな画風の絵を描き続けてきた、世界で最も有名な存命の芸術家フェルナンド・ボテロの、独創性を貫く信念と波乱万丈の人生が、ボテロ本人や家族によって語られ、ふくよかさに込められた意味が紐解かれていく。コロンビア出身という出自で差別され、ポップアートや抽象表現主義全盛期に具象画を描く頑なさを批判され、愛息の死、自身の利き手の一部を失う悲劇など、精神的にも肉体的にも作家生命が危ぶまれた衝撃の過去も明かされる。併せて解禁となったポスタービジュアルには、特徴であるふっくらとした女性が大きく描かれた自身の絵を眺めるボテロの姿が切り取られる。ただふっくらしているのではなく、計算されたメリハリのあるボリューム感がオリジナリティあふれるボテリズムは、一度見たら忘れられない強烈な個性と魅力に溢れている。彼の様々な作品をもっと見てみたくなるビジュアルが完成した。『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』は4月29日(金・祝)よりBunkamura ル・シネマほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:フェルナンド・ボテロ 豊満な人生 2022年4月29日よりBunkamuraル・シネマほか全国にて公開© 2018 by Botero the Legacy Inc. All Rights Reserved
2022年03月07日独特の画風で愛されるコロンビアの巨匠フェルナンド・ボテロに迫ったドキュメンタリー『BOTERO』が邦題『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』として公開されることが決定し、ティザービジュアルが解禁となった。また公開に併せて展覧会も開催される。89歳の現在も創作を続けるアーティスト、フェルナンド・ボテロ。世界中の人々から愛される、存命するアーティストのひとりだ。“最もコロンビア人らしい芸術家”と呼ばれ、人間や動物を誇張したふくよかな体型で表現した作品で注目されるようになった。彼の個性的なアート作品は多くの人を魅了しているが、彼がどのようにして「マエストロ」になったのかは広く知られていない。メデジンの田舎出身の無名画家が、いかに芸術界の頂点へと自らを導いたのか。貧困、長年の厳しい批判、4歳の息子の悲劇的な死、これらを乗り越えた彼の静かな決意と強さ、絶え間ない構想、揺るぎない信念とは?ヨーロッパ、ニューヨーク、中国、コロンビアで長年に渡り撮影されてきた映像と、ボテロ本人やファミリー、歴史家、キュレーターの証言を組み合わせ、その素顔と、独創的で多幸感あふれる作品の数々に迫る傑作ドキュメンタリーだ。自らの作品を全て寄付して作られたボテロ美術館の内部や、カリフォルニア大学バークレー校に寄贈されたアブグレイブ刑務所を描いた絵画など、様々な作品が映画の中で堪能できるのも見どころとなっている。公開決定とともに解禁されたティザービジュアルは、ボテロの代表作のひとつである太っちょのモナ・リザが大きく映された1枚。そのふくよかな微笑みは見る者を笑顔にする不思議な魅力がある。また併せて、Bunkamura ザ・ミュージアムで展覧会「ボテロ展 ふくよかな魔法」の開催も決定している。◆展覧会情報「ボテロ展 ふくよかな魔法」日時:4月29日(金・祝)~7月3日(日)場所:Bunkamura ザ・ミュージアム※国内では26年ぶりとなる待望の大規模展、≪モナ・リザの横顔≫世界初公開『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』は2022年4月29日(金・祝)よりBunkamura ル・シネマほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:フェルナンド・ボテロ 豊満な人生 2022年4月29日よりBunkamuraル・シネマほか全国にて公開© 2018 by Botero the Legacy Inc. All Rights Reserved
2021年11月30日