映画『月』の主演・宮沢りえと石井裕也監督が10月4日、第28回釜山国際映画祭のオープニングイベントに参加。アジア最大規模の会場は5,000人のキャパシティを埋め尽くし、大盛況のオープニングとなった。コロナ明けからは2回目の開催となる今年の釜山国際映画祭は、日本からのゲストも多く来韓しており、宮沢さん、杉咲花、田中麗奈ほか華やかな出で立ちの俳優たちが参加。映画祭のナビゲーターとして韓国のスター、『パラサイト 半地下の家族』『ベイビー・ブローカー』のソン・ガンホが登壇し、レッドカーペット上では石井監督、宮沢さんらと握手も。そのほか、ファン・ビンビンやチョウ・ユンファら中国のスターたちも参加し、映画祭がスタート。初めて釜山国際映画祭に参加した宮沢さんは、レッドカーペットを歩く前に「まだホテルの周りしか見れておりませんが、空港からホテルに着くまで文化的な伝統ある風景と、近代的なビルが混在していてとてもエネルギッシュな街だと思いました。あと、参鶏湯が美味しかったです(笑)」と初の映画祭への期待を覗かせた。さらに、釜山映画祭は10年ぶりという石井監督は「釜山に来るときはいつも気分が高揚するので、今回も楽しみにしています」とコメントした。石井裕也監督「どうしても自分がやらなければならない映画」また、主人公を演じる上で宮沢さんは、「(自身が演じた)洋子が持っている様々な葛藤から逃げ出さずに、向き合い続けるということにとてもエネルギーが必要でしたし、時々逃げ出したくなることもありましたが、精神力を保つことが一番大変でした。でも監督のエネルギー、スタッフの誠実さ、そして頼もしいキャストの皆さんに支えられて逃げ出さずに来れたと思います」と作品に対する険しい道のりを語った。さらに、石井監督はこの題材を映画化することについて「チャレンジングな題材だということはわかっていたので、怖いという思いが先行しましたが、同時にこれはどうしても自分がやらなければならない映画だということは確信しました」と覚悟を持って作品に挑んだことを明かした。出演した俳優に関しても監督は、「名実ともにトップの俳優の方々が覚悟を持って集まってくださいましたし、その上この映画をやり遂げるという強い思いと覚悟を持って挑んでくださった」と明かし、「現場では幸せな思いをずっと持っていました」とふり返った。同作が出品されているジソク部門(Jiseok部門)は、2017年から設定されていた本映画祭プログラミング・ディレクターの故キム・ジソク氏にちなんだ賞を独立させ昨年新設された部門で、新人をのぞけば唯一のコンペティション部門となる。本年は10本の作品の中から最大2作品にキム・ジソク賞が送られる。これまで『羊の木』(吉田大八監督)、『義足のボクサー』(ブリランテ・メンドーサ監督)がキム・ジソク賞を受賞。授賞式は10月13日を予定している。映画『月』は10月13日(金)より新宿バルト9、ユーロスペースほか全国にて公開。第28回釜山国際映画祭は10月13日まで開催。(シネマカフェ編集部)■関連作品:月 2023年10月13日より新宿バルト9、ユーロスペースほか全国にて公開(C)2023『月』製作委員会
2023年10月05日昨年、香港特別行政区設立25周年を記念して開催され、連日満員御礼の大盛況となった「香港映画祭Making Waves - Navigators of Hong Kong Cinema香港映画の新しい力」が今年も開催。アーロン・クォックとトニー・レオンの初共演『風再起時』の日本初上映、グラディス・リー&ロレッタ・リー出演の『ブルー・ムーン』ほか、全7本のラインアップおよび上映スケジュールが決定した。本映画祭は、才能豊かな新人監督作品や、いまなお輝きを放ち続けるクラシックの名作など、選りすぐりの香港映画を上映する企画で、今年もイタリア・ウディーネ、インドネシア・バリ、デンマーク・コペンハーゲン、スウェーデン・ストックホルムなど世界各地を巡回し、日本では11月2日(木)~5日(日)、YEBISU GARDEN CINEMAにて開催する。全7作品のうち今回が日本初公開となる新作映画は、2022年度アカデミー賞国際長編映画賞部門の香港代表作品に選出された犯罪ドラマ『風再起時』(2022)、香港の人気ボーイズグループ「MIRROR」のアンソン・コンが主演を務めた、サスペンス色豊かなホラー映画『7月に帰る』(2023)、東京国際映画祭をはじめ世界各国の映画祭で絶賛された『リンボ』ソイ・チェン監督が、前作につづいてラム・カートン主演で放つ最新作『マッド・フェイト』(2023)、ルイス・クー、アーロン・クォック、ラウ・チンワンの豪華共演とド派手なアクションが異彩を放つ『ホワイト・ストーム世界の涯て』(2023)、それぞれに秘密を抱える家族の再生を描いた『ブルー・ムーン』(2023)の5作品。『ブルー・ムーン』また、今年2023年の旧正月に公開され香港映画史上初の1億香港ドルを突破し、歴代興収第1位(※2023年9月1日時点)に輝いた法廷ドラマ『毒舌弁護人~正義への戦い~』(2023)が上映されるほか、レスリー・チャン演じる売れない映画監督がポルノ映画にチャレンジする姿を通し、映画業界の内幕を描いた香港版『アメリカの夜』とも評される傑作コメディ『夢翔る人/色情男女』(1996)の2Kデジタル・レストア版が上映される。『夢翔る人/色情男女』現地・香港で公開され大ヒットした作品から、これからの香港映画界を担う期待の新人監督作品まで、充実の7作品が揃った。『風再起時』※オープニング作品/日本初上映1960~70年代、汚職が横行していた暗黒時代の香港を舞台に、実在した汚職警察官を描いたクライム・サスペンス。「四大天王」アーロン・クォックと、香港が世界に誇る俳優トニー・レオンの初共演が大きな話題となった。本作でトニー・レオンが2023年アジア・フィルム・アワード最優秀主演男優賞を受賞したほか、『Mr.BOO!』シリーズで知られるベテラン俳優マイケル・ホイが汚職捜査機関「廉政公署(ICAC)」の委員を演じ、2023年香港電影金像奨最優秀助演男優賞を受賞。『ブルー・ムーン』※世界初上映コンビニで働く娘、妻との別居を隠している息子、そして彼らの母。それぞれに秘密を抱える家族の再生を描く。2023年大阪アジアン映画祭で上映された『深夜のドッジボール』(2022)でヒロインを演じたグラディス・リーと、昨年香港で大ヒットを記録した『6人の食卓』で三男ルン役を演じたピーター・チャンが姉弟役に。2人を女手一つで育ててきた母親役に『最後勝利』(87)など80~90年代の香港映画で活躍したアイドル出身の俳優ロレッタ・リーが好演。『7月に帰る』※日本初上映香港の人気ボーイズグループ「MIRROR」のサブリーダーAKことアンソン・コンが主演を務めた、サスペンス色豊かなホラー映画。幼い頃から陰と陽の目を持ち、幽霊を見ることができるホンウィンは、ある日母親が自殺未遂をしたという知らせを受け、かつて暮らした家に戻る。慣れ親しんだ場所に帰ってきた彼に、次々と奇妙な出来事が起こる――。ホラー小説家でもあるネイト・キーが、映画製作会社「MM2」による新進監督プロジェクト賞を受賞し、本作で長編監督デビュー、脚本も手掛けている。『マッド・フェイト』※日本初上映「運命」をキーワードに描かれる、残虐で重厚なサスペンス。東京国際映画祭をはじめ世界各国で絶賛された『リンボ』(2021)のソイ・チェン監督が、『リンボ』に続いてラム・カートンを主演に迎え、ジョニー・トープロデュースで放つ最新作。今年2023年のベルリン国際映画祭でプレミア上映され、第47回香港国際映画祭のオープニングを飾った。占い師を演じるラム・カートンはもちろん、サイコパスを演じる、香港の人気ボーイズグループ「MIRROR」のリーダー、ヨン・ロッマンの演技も見どころ。『ホワイト・ストーム世界の涯て』※日本初上映アウ(ルイス・クー)は潜入捜査官チャン(アーロン・クォック)とともに麻薬王カン(ラウ・チンワン)の組織で働いており、3人は兄弟の絆で結ばれている。香港警察に追われたカンはタイに逃亡するが…。2013年『レクイエム 最後の銃弾』、2019年『ホワイト・ストーム』に続く「掃毒」シリーズ第3弾だが、続編としてストーリーの関連性はなく、麻薬捜査班と麻薬組織の激闘を描くというテーマのみを引き継いだ最新作。爆発連続のど派手なアクションが壮大なスケールで繰り広げられる。『毒舌弁護人~正義への戦い~』2023年の旧正月に公開され、香港映画史上初の1億香港ドルを突破し、歴代興収第1位(※2023年9月1日時点)に輝いた法廷ドラマ。昨年香港で大ヒットした『6人の食卓』でも主演を務めた国民的スター、ダヨ・ウォンが人々のため、香港のために法廷で戦う“毒舌弁護人”を熱演しているほか、『アニタ』のルイーズ・ウォン、『リンボ』のフィッシュ・リウら豪華キャストが顔を揃える。監督のジャック・ンは、ダンテ・ラム監督『クリミナル・アフェア 魔警』(2014)などの脚本家として知られ、本作で監督デビューをはたした。夢翔る人/色情男女[2Kデジタル・レストア版]売れない映画監督のシン(レスリー・チャン)のもとにやってきた新たな仕事は低予算のポルノ映画。しかも主演の新人女優モニクは我がままな大根役者で、映画作りは空回りする一方…。映画業界の内幕を描いた、香港版『アメリカの夜』とも呼ぶべき映画愛溢れる傑作コメディ。劇中のワンシーンをレスリー自身が監督したことも話題に。モニクを演じたスー・チーは、本作で香港電影金像奨新人賞と助演女優賞をダブル受賞し大ブレイクした。公開当時「出演作中最も好きな映画」とレスリーが公言していた愛すべき作品がスクリーンに蘇る。「香港映画祭2023Making Waves - Navigators of Hong Kong Cinema香港映画の新しい力」は11月2日(木)~5日(日)までYEBISU GARDEN CINEMAにて開催。(シネマカフェ編集部)■関連作品:毒舌弁護人~正義への戦い~ 2023年10月20日よりシネマート新宿ほか全国順次公開© 2022 Edko Films Limited, Irresistible Beta Limited, the Government of the Hong Kong Special Administrative Region. All Rights Reserved.
2023年10月03日第36回東京国際映画祭ラインアップ発表の記者会見が、9月27日(水)に行われ、フェスティバル・ナビゲーターの安藤桃子監督と、コンペディション部門に選出された『曖昧な楽園』の小辻陽平監督、『わたくしどもは。』の富名哲也監督が登壇した。開催まで1か月を切ったなか、東京日比谷ミッドタウンBASE Q HALLにて行われた第36回東京国際映画祭のラインアップ発表記者会見。今年の映画祭は、10月23日(月)から11月1日(水)の10日間、昨年に引き続き日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催。また、昨年同様にオープニングのレッドカーペットを日比谷仲通りにて開催が予定されている。また、4年ぶりのフィジカル開催となる映画祭併設のマーケット・TIFFCOMは、10月25日(水)~27日(金)の3日間の同時期開催。今年は総勢約600人以上の海外ゲストが招へい予定であり、コロナ禍では積極的に実施が行えなかった「交流ラウンジ」などの映画人の交流の場を充実させ、世界中の映画人とファンとの交流が活性化していく年となる。東京国際映画祭チェアマン安藤裕康による開催の挨拶で会見は始まり、本年度の映画祭の特色として「コロナ禍を乗り越えて、さらなる飛躍をしたいと目指しております。作品の質・量ともにグレードアップしていく必要があると考えており、作品数は219本(昨年は174本)と約25%増えております。国際交流を大いに強化したいと考えて、海外からもたくさんのゲスト(現時点で600人以上)に来ていただき、日本の映画人や一般の方と交流していただくということを目指したいと思っております」とコメント。「関連イベントでは小津安二郎監督の誕生120周年ということで様々なイベントを実施し、小津監督作品をほぼ全作に近い35本上映いたします」と言い、「また今後の方向性として、アジアの国々との連携を強化してアジアの映画祭としての特色をより鮮明に出していきたいと思っております。今回上映する作品の6割以上がアジアの作品であり、お呼びするゲストの半分以上の方々がアジアからいらっしゃいます」と発表した。続けて、本年の審査委員長であるヴィム・ヴェンダース監督からのコメントも到着。『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』など多くの映画祭受賞作を手掛け、最新作の『PERFECT DAYS』ではカンヌ国際映画祭にて主演の役所広司が最優秀男優賞を受賞、東京国際映画祭は第24回(2011年)以来4回目の参加となる。ヴェンダース監督は「東京国際映画祭にまた戻ってこられることを嬉しく思います」と語り、「今年の東京国際映画祭は私が敬愛する巨匠・小津安二郎監督の死後60年、生誕120年の記念すべき年に開催されるもので、そんな機会に参加できることは私にとっては特別なことです」と寄せている。また、昨年まで俳優・女優が歴任してきた「アンバサダー」を、映画祭をより楽しんでもらうための案内人である「ナビゲーター」という肩書きに名を変え、同ナビゲーターに就任した安藤桃子監督が登場。フェスティバル・ナビゲーター安藤桃子監督安藤監督は「今年から『アンバサダー』から『ナビゲーター』という肩書きに変わったのが、すごく大きな東京国際映画祭の指針にも感じられました。これから先、私たちがどこに向かっていきたいかという道を示していくことが、“ナビゲーション“だと思っていますので、東京国際映画祭もそういったことを意識されたんじゃないかなと感じて、ぶっ飛ぶほどに光栄に感じました」と任命された思いをコメント。今回の映画祭では「本当に数年ぶりに各国から、世界中からいらっしゃるゲストと出会って、”今”の世の中のこと、これから先私たちがどんな道に向かいたいかを、是非とも直接肌で語り合いたいなと思っております」と希望を語った。プログラミング・ディレクターの市山尚三からは、「コンペティション部門」15作品の紹介に続き、「コンペティション部門」に選ばれた日本映画3作品、岸善幸監督の『正欲』、小辻監督の『曖昧な楽園』、富名監督の『わたくしどもは。』が発表に。『曖昧な楽園』『曖昧な楽園』の小辻監督は「この作品のきっかけになったのは、私の祖父が亡くなった時の最後の時間をもとにして映画を作りました。曖昧で漠然とした瞬間を写したいと考え、実際の人生に近いような複雑であったり、漠然とした感覚に近い映画になれたならと思って作りました」とコメント。『曖昧な楽園』の小辻陽平監督富名監督は「今回の『わたくしどもは。』という作品は新潟県の佐渡島で撮ったのですが、1作目『Blue Wind Blows』(18)も佐渡島で撮っており、メイン舞台の佐渡金山という場所を初めて訪れた時、その場所から得たインスピレーションを受けたものを映画にしました」と語った。『わたくしどもは。』富名哲也監督さらに、今年の新たな取り組みが発表され、国内外の独自で豊かな映画文化を紹介し、刺激や感動と出会い、交流する場である「第1回丸の内映画祭」と、ジェンダー平等、環境、貧困、多様性、差別といった現代の重要な社会テーマに向き合った作品が対象の「エシカル・フィルム賞」、また昨年復活した「黒澤明賞」や「Amazon Prime Videoテイクワン賞」「交流ラウンジ」など、その他の部門の紹介、カンヌ国際映画祭でも実施されている映画界やアート界の様々なポジションで活躍する女性たちに光を当てるケリング「ウーマン・イン・モーション」のトークプログラム、ヴェネチア国際映画祭生涯功労賞受賞の俳優トニー・レオンによる主演作『2046』上映後のマスタークラスなど、例年以上の盛り上がりが予測される様々なイベントも紹介された。『わたくしどもは。』なお、映画業界での性暴力・性加害の問題提起を受け「東京国際映画祭としてのハラスメントに対する対応や声明など」について問われると、安藤チェアマンは「性加害の問題や人権の問題などについては、非常にセンシティブに真剣に向き合っていき、人権を侵すようなことは断固として許されるべきではないと考えております」と語り、「私たちとしても非常に、真剣に注視していきたいと思っております」とコメント。また、ジェンダーバランスについては、「今年の傾向について、全部門での女性監督、男性監督の割合というのは男性77%、女性21%(その他2%)と男性の方が多くはなっておりますが、常にジェンダーバランスを意識しながら映画祭としては作品本意で選定を行なっておりますので、割合のバランスを注意を払っていきたいと考えております」と回答。ちなみに、女性監督の作品は全体219本の中の35本(約20.6%)となり(※同じ監督による作品は作品の本数に関わらず1人としてカウント。ex.小津安二郎監督作品は35本あるが1人としてカウント)、昨年度の女性監督作品は男女共同監督作品を含めて174本中45本(全体の約23.2%)となる。「映画祭に携わるスタッフについては、意識的にできることが多いので女性の割合を多くする配慮を行っております(今年度の割合は男性37%、女性62%)。また、コンペティション部門審査委員についてはジェンダーバランスが5:5になるように、そのほか各部門に関しても女性に入っていただくように配慮をしております。我々はこういった取り組みを通じて、ジェンダーバランスについてを常に注意を払っていきたいと思っております」とチェアマンは語った。【コンペティション部門出品作品一覧】※プレミア表記は下記の通りWP=ワールド・プレミアAP=アジアン・プレミアIP=インターナショナル・プレミア『正欲』『西湖畔に生きる』WP グー・シャオガン 中国『正欲』WP 岸善幸 日本『曖昧な楽園』WP 小辻陽平 日本『エア』WP アレクセイ・ゲルマン・ジュニア ロシア『ゴンドラ』WP ファイト・ヘルマー ドイツ/ジョージア『真昼の女』IP バルバラ・アルベルト ドイツ/スイス/ルクセンブルク『野獣のゴスペル』WP シェロン・ダヨック フィリピン『ロングショット』WP ガオ・ポン 中国『開拓者たち』AP フェリペ・ガルベス チリ/アルゼンチン/オランダ『ペルシアン・バージョン』AP マリアム・ケシャヴァルズ アメリカ『雪豹』AP ペマ・ツェテン 中国『ロクサナ』WP パルヴィズ・シャーバズィ イラン『タタミ』AP ザーラ・アミール・エブラヒミ、 ガイ・ナッティヴ ジョージア/アメリカ『鳥たちへの説教』WP ヒラル・バイダロフ アゼルバイジャン『わたくしどもは。』WP 富名哲也 日本【オープニング・クロージング作品】オープニング作品『PERFECT DAYS』AP ヴィム・ヴェンダース 日本クロージング作品『ゴジラ-1.0』山崎貴 日本第36回東京国際映画祭は10月23日(月)~11月1日(水)、日比谷・有楽町・丸の内・銀座エリアにて開催。(シネマカフェ編集部)■関連作品:正欲 2023年11月10日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開ⓒ 2021 朝井リョウ/新潮社ⓒ 2023「正欲」製作委員会PERFECT DAYS 2023年12月22日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2023 MASTER MIND Ltd.
2023年09月28日アジア最大級の国際映画祭『東京国際映画祭』とコラボレーションした第1回『丸の内映画祭』が、10月28日(土) から30日(月) にかけて丸ビル7階丸ビルホールで開催されることが決定した。東京国際映画祭のミッションである「東京から映画の可能性を発信し、多様な世界との交流に貢献する」ことを目的とした丸の内映画祭は、東京国際映画祭に来日するゲストたちにフォーカスし、深く紹介する「特集」と、日本の映画監督が独自の視点で「映画の楽しみ方」を拡げる「日本映画企画」という2本柱で構成され、上映とゲストトークを展開。記念すべき第1回は、東京国際映画祭に審査委員長として来日するヴィム・ヴェンダース監督を特集。『東京画』『夢の涯てまでも』『リスボン物語』『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』の計4本が上映される。また日本映画監督では、今泉力哉監督が創作秘話を告白するプログラムなどを実施。『ちひろさん』『ハッシュ!』『裸足で鳴らしてみせろ』など、国内外から高い評価を受けている3作品を上映する。さらに、各日上映作品にまつわるレクチャーやトークショーも実施される予定だ。■今泉力哉監督 コメント企画のお話をいただいた時、すぐに『ちひろさん』と橋口亮輔監督の『ハッシュ!』の2本立てにしたいと思いました。2本続けて観たら、明確に2つのシーンの類似に気づくと思います。ひとつは構造(場面設定)について。もうひとつは構図について。それはともに『ちひろさん』を観た人たちが「あの場面が好きだ」と語ることの多いシーンで、ちょっとだけ悔しいです。でも『ハッシュ!』を観ておいてよかった。映画もトークもぜひお楽しみに!<イベント情報>第1回『丸の内映画祭』10月28日(土) ~30日(月) 丸ビル7階丸ビルホール特設サイト:チケット情報:
2023年09月28日環太平洋地域にフォーカスした新しい国際映画祭「第一回 Cinema at Sea - 沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル」のメインビジュアルが完成。メインプログラムである、特別セレクション「Director in focus」にて、クリストファー・マコト・ヨギ監督の特集が決定した。同映画祭は、優れた映画の発掘と発信を通じて、各国の文化や民族、個々人の相互理解を深め、将来的に沖縄が環太平洋地域において、新たな国際文化交流の場となることを目指し始動。環太平洋の各国・島々で製作された映画作品を対象に、コンペティション形式による優秀作品の選考と上映を行うほか、製作者向けに国際共同制作を促進するプログラムやワークショップなども企画中で、沖縄を拠点に環太平洋地域の映画産業を盛り上げる長期的な施策を構想中。完成したメインビジュアルを担当したのは、水や光、人と自然の無意識感覚をテーマにアート活動をしている山田祐基。「海の上の交差点」を表現するビジュアルには、太平洋を巡る潮流が沖縄に戻ってくる「環(わ)」が描かれている。そしてメインプログラム「Director in focus」では、環太平洋地域の島々から注目の監督を取り上げ、当該地域の優秀な映像作家を紹介。特集が組まれたヨギ監督は、沖縄にルーツを持つハワイ・ホノルル生まれ。長編デビュー作『August at Akiko's』、長編2作目『I Was a Simple Man』が名だたる映画祭でワールドプレミア上映され、世界中の映画評論家たちから高い評価を受けるなど、いま世界で注目を浴びる新鋭監督の4作品を、日本初上映する。『August at Akiko’s』ヨギ監督は「ハワイで生まれ育った沖縄人として、いつか沖縄を訪れて自分の作品を上映することが私の生涯の夢でした」と話し、「沖縄の文化を探求して学び、沖縄の家族や親戚を訪れ、そして環太平洋地域からの他の映画製作者やアーティストに会えることをとても楽しみにしています」とコメントしている。なお、「MotionGallery」でのクラウドファンディングや、「沖縄・環太平洋映画インダストリー」の企画公募もスタートした。「第一回 Cinema at Sea - 沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル」は11月23日(木・祝)~29日(水)那覇市ぶんかテンブス館テンブスホール、桜坂劇場、那覇文化芸術劇場なはーとをメイン会場に開催。(シネマカフェ編集部)
2023年09月27日朝井リョウによるベストセラー小説を、稲垣吾郎と新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香を迎え岸善幸監督が映画化した『正欲』が、第36回東京国際映画祭コンペティション部門に正式出品されワールドプレミア上映されることが決定。キャスト陣5人のコメントと新場面写真が解禁された。原作小説は、家庭環境、性的指向、容姿、様々に異なる背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出していく衝撃的な物語。これをある種のラブストーリーとして、『あゝ、荒野』『前科者』などを経てその手腕にさらに期待が高まる演出家・岸善幸と、原作を大胆に再構築しながら監督の演出の可能性を拡げていく脚本家・港岳彦が映画化した。検察官として横浜検察庁に務め、妻と息子と3人でマイホームに暮らす寺井啓喜役に稲垣吾郎。広島のショッピングモールで契約社員として働く桐生夏月役に新垣結衣。両親の事故死をきっかけに広島に戻ってきた夏月の同級生・佐々木佳道には、磯村勇斗。そして佐藤寛太がダンスサークルで活動し、大学の準ミスターに選ばれるほどの容姿を持つ諸橋大也、東野絢香は大也と同じ大学に通う神戸八重子を演じている。物語が進むにつれ、別の場所でそれぞれの人生を歩んできた彼らの関係は、少しずつ交わっていく。この度の出品決定に際し、本作メインキャスト陣からコメントが到着。さらに、豪華キャスト陣の出演シーンを写し出した新たな場面写真も解禁。家族団らん中のはずが、啓喜(稲垣さん)を見る妻・由美(山田真歩)と息子・泰希(潤浩)の表情は穏やかではない様子。ショッピングモールでの接客中の夏月(新垣さん)は何かをこらえるようにうつむき、佳道(磯村さん)は何とも言えない表情で一心に誰かを見つめているようだ。ダンスサークルのリーダー・高見優芽(坂東希)が同席する中、学祭実行委員として大也(佐藤さん)にイベント出演依頼をする神戸(東野さん)や、啓喜にある事件の資料を渡す検察事務官の越川秀己(宇野祥平)、パソコン画面をのぞき込む子どもたちと由美、右近(鈴木康介)。目を閉じて一心不乱に水を浴びる中学生時代の夏月(滝口芽里衣)と佳道(齋藤潤)など、物語を彩る様々な登場人物たちの気になる場面写真が到着している。キャストからのコメント◆稲垣吾郎観た後、それぞれ違った感じ方をしていただきたい映画になっていると思います。全てに疑問を持ちながら、純粋な気持ちで演技に向き合うことができました。◆新垣結衣問われている感覚が、原作を読んだ時から、映画が完成した後もずっとそばにあります。自分が想像しえない世界は確実にあって、そこにいまも生きている人がいる。それがどういうことなのかを常に考えながら撮影した作品でした。◆磯村勇斗観終わった後、温かい気持ちになり、自分を大切にしようと思いました。この『正欲』を通して、我々と観て下さった方が「何か」を共有し育み、互いに勇気を持って、一歩でも半歩でも自分の人生を進めていけるようなれたら嬉しいです。◆佐藤寛太善く生きるということ。人と共存するということ。人生の意義を考えること。暮らしのなかでは保留することができる答えのない問いが、映画という実態を伴って眼の前に現れました。僕はこの作品を引きずって大人になっていこうと思います。◆東野絢香完成された『正欲』は、人間の命がとても美しく描かれた映画でした。上手に息が吸えない私たちに、今を生きるための酸素を送り届けてくれる作品です。この映画が、少しでも多くの方に届く事を、心から願っております。『正欲』は11月10日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:正欲 2023年11月10日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開ⓒ 2021 朝井リョウ/新潮社ⓒ 2023「正欲」製作委員会
2023年09月27日第36回東京国際映画祭(10月23日~11月1日)のラインナップ発表会見が9月27日、都内で行われ、今年のフェスティバル・ナビゲーターに就任した安藤桃子監督、コンペティション部門に日本から選出された小辻陽平監督(『曖昧な楽園』)、富名哲也監督(『わたくしどもは。』)が出席した。安藤監督は「映画は、我々の未来と人生を導いてくれるメディア」だと力説し、「技術的にどんどん発展、進化し、いつでもどこでも映画が観られる時代だからこそ、変わらない本質が際立つと思うし、映画はより原点回帰すると思う。各国から東京にいらっしゃるゲストの皆さんと、いまの世の中、そしてこの先、どこに向かいたいのかを直接語り合いたい」と意気込みを語った。今年のコンペティション部門は2023年1月以降に完成した長編映画を対象に、114の国と地域から1942本の応募があった(昨年は107の国と地域から1695本)。審査委員長を務めるヴィム・ヴェンダース監督をはじめ、アルベルト・セラ(映画監督)、國實瑞惠(プロデューサー)、チャン・ティ・ビック・ゴック(プロデューサー)、チャオ・タオ(俳優、プロデューサー)が審査員として、コンペティション部門の全15作品を審査する。小辻監督は「国内外のすばらしい映画が集まる、日本を代表する映画祭。自分にとっては、雲の上の存在で、まさか参加できるとは」と感激しきり。『曖昧な楽園』はSF映画のような雰囲気をまとい、生と死をめぐるふたつの物語を描き出す167分の大作で「物語を収束させるのではなく、実際の人生と同じく、複雑で漠然とした感覚で映画を作れたらと思った」と着想についてコメント。「大きな舞台で、作品に関わってくれたスタッフ、キャストをより多くの人に知っていただければ」と国際舞台でのお披露目に期待を寄せた。富名監督の『わたくしどもは。』は、記憶をなくした女性(小松菜奈)が、同じく記憶を持たない男(松田龍平)と出会い、恋に落ちる幻想的なラブストーリー。新潟県・佐渡島で撮影した本作について「土地から得たインスピレーションから映画を撮った。俳優陣は豪華だが、撮影そのものの規模は小さな作品なので、この機会にワールドプレミアで、皆さんに見てもらえれば」とアピールしていた。第36回東京国際映画祭は、10月23日(月)~11月1日(水)、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。オープニング作品は、ヴェンダース監督の最新作で、主演の役所広司が第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した『PERFECT DAYS』、クロージング作品は、山崎貴監督による『ゴジラ-1.0』が上映される。世界の国際映画祭で注目された話題作や邦画の最新作などを上映するガラ・セレクション部門には、第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で最高賞の金獅子賞を受賞した『哀れなるものたち』(ヨルゴス・ランティモス監督)をはじめ、『ネクスト・ゴール・ウィンズ』(タイカ・ワイティティ監督)、『ほかげ』(塚本晋也監督)、『首』(北野武監督)、『怪物の木こり』(三池崇史監督)など、全14本がラインナップされた。また、小津安二郎生誕120年を記念した大規模な特集上映や関連イベント、「Nippon Cinema Now」部門で精力的に作品を発表し続けている城定秀夫監督の特集、昨年までのジャパニーズ・アニメーション部門からコンセプトを新たに再スタートするアニメーション部門など、多彩なプログラムが企画されている。なお、関連イベントとして、10月28日(土)~10月30日(月)、丸ビルホールにて「丸の内映画祭」の開催も決定した。記念すべき第1回は、ヴェンダース監督にフォーカスし、その代名詞とも言えるロードムービーや、珠玉のドキュメンタリーの他、ヴェンダース監督が敬愛してやまない小津安二郎監督との関わりをドイツの研究者が解説するスペシャル講義も企画。また、次世代に反響し続けるヴェンダース映画の魅力を、新鋭の映画監督が語りつくすイベントも開催される。併せて、日本映画企画として「今泉力哉監督 創作の秘密を語る」として、今泉監督の『ちひろさん』と橋口亮輔監督の『ハッシュ!』が2本立て上映される。■開催情報「第35回東京国際映画祭」期間:10月23日(月)~11月1日(水)会場:日比谷、有楽町、銀座地区で開催公式サイト()オープニング作品:『PERFECT DAYS』(ヴィム・ヴェンダース監督)クロージング作品:『ゴジラ-1.0』(山崎貴監督)「TIFFCOM2023」期間:10月25日(水)~10月27日(金)公式サイト()会場:東京都立産業貿易センター浜松町館「第1回丸の内映画祭」期間:10月28日(土)~10月30日(月)会場:丸ビルホール
2023年09月27日俳優の稲垣吾郎と女優の新垣結衣が共演する映画『正欲』(11月10日公開)が、「第36回東京国際映画祭」(10月23日~11月1日)のコンペティション部門に正式出品されることが27日、明らかになった。朝井リョウ氏による小説『正欲』を、監督・岸善幸氏、脚本・港岳彦氏で映画化。家庭環境、性的指向、容姿――様々に異なる背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出していく物語を、原作とは違い、ある種のラブストーリーとして描く。検察官として横浜検察庁に務め、妻と息子と3人でマイホームに暮らす寺井啓喜役に稲垣吾郎。広島のショッピングモールで契約社員として働く桐生夏月役に新垣結衣。両親の事故死をきっかけに広島に戻ってきた夏月の同級生・佐々木佳道には、磯村勇斗。そして佐藤寛太がダンスサークルで活動し、大学の準ミスターに選ばれるほどの容姿を持つ諸橋大也、東野絢香は大也と同じ大学に通う神戸八重子を演じている。このたび、「第36回東京国際映画祭」のコンペティション部門に正式出品されることが決定。同映画祭が『正欲』のワールドプレミアとなる。出品決定に際し、メインキャスト陣からコメントが到着。稲垣は「観た後、それぞれ違った感じ方をしていただきたい映画」、新垣は「自分が想像しえない世界は確実にあって、そこにいまも生きている人がいる。それがどういうことなのかを常に考えながら撮影した作品」と述べ、磯村、佐藤、東野もそれぞれコメントで寄せている。さらに、新たな場面写真も公開。家族団らん中のはずが、啓喜(稲垣)を見る妻・由美(山田真歩)と息子・泰希(潤浩)の表情は穏やかではない様子で。ショッピングモールでの接客中の夏月(新垣)は何かをこらえるようにうつむき、佳道は何とも言えない表情で一心に誰かを見つめているようだ。ダンスサークルのリーダー・高見優芽(坂東希)が同席する中、学祭実行委員として大也(佐藤)にイベント出演依頼をする神戸(東野)や、啓喜にある事件の資料を渡す検察事務官の越川秀己(宇野祥平)、パソコン画面をのぞき込む子供たちと由美、右近(鈴木康介)、目を閉じて一心不乱に水を浴びる中学生時代の夏月(滝口芽里衣)と佳道(齋藤潤)など、物語を彩るさまざまな登場人物たちの気になる場面写真が到着した。○■稲垣吾郎観た後、それぞれ違った感じ方をしていただきたい映画になっていると思います。全てに疑問を持ちながら、純粋な気持ちで演技に向き合うことができました。○■新垣結衣問われている感覚が、原作を読んだ時から、映画が完成した後もずっとそばにあります。自分が想像しえない世界は確実にあって、そこにいまも生きている人がいる。それがどういうことなのかを常に考えながら撮影した作品でした。○■磯村勇斗観終わった後、温かい気持ちになり、自分を大切にしようと思いました。この『正欲』を通して、我々と観て下さった方が「何か」を共有し育み、互いに勇気を持って、一歩でも半歩でも自分の人生を進めていけるようなれたら嬉しいです。○■佐藤寛太善く生きるということ。人と共存するということ。人生の意義を考えること。暮らしのなかでは保留することができる答えのない問いが、映画という実態を伴って眼の前に現れました。僕はこの作品を引きずって大人になっていこうと思います。○■東野絢香完成された『正欲』は、人間の命がとても美しく描かれた映画でした。上手に息が吸えない私たちに、今を生きるための酸素を送り届けてくれる作品です。この映画が、少しでも多くの方に届く事を、心から願っております。(C)2021 朝井リョウ/新潮社(C)2023「正欲」製作委員会
2023年09月27日小松菜奈と松田龍平がW主演、ベルリンやヴェネチアなどで認められた富名哲也監督・脚本の映画『わたくしどもは。』が第36回東京国際映画祭コンペティション部門に公式出品決定。2024年に劇場公開されることも決定し、場面写真・ティザーポスター・特報が一挙解禁された。本作は、ヴェネチア国際映画祭が新鋭監督を支援するプロジェクト「Biennale College Cinema 2018-2019」において、インターナショナル部門9作品のうち日本から唯一選ばれた企画。香港国際映画祭、昨年の東京国際映画祭など多くの国際映画祭でも映画化の期待と注目を浴びており、企画から5年の月日を経て、10月23日(月)に開幕を迎える東京国際映画祭のコンペティション部門公式出品作品として念願のワールドプレミアを迎える。江戸時代、無宿人と呼ばれる戸籍を剥奪された人々が内地から佐渡島に連れてこられ、金山で過酷な労働を強いられた結果、多くの方が命を落とした。佐渡島を訪れた富名監督は、この金山跡地の片隅にひっそり佇む墓地、“無宿人の墓”の存在から本作の着想を得たという。戸籍のない“無国籍者"は、遠い過去の出来事ではなく、日本そして世界的にも増加し現在の問題となっている。「この社会に記録上存在していない、無宿人と無国籍者は、亡くなってもその存在は永遠に認められることがないまま、その魂は“彷徨える魂”としてこの世を漂っている。忘れ去られないためにもこれをテーマに映画を作りたかった」と監督。さらに続けて、「この映画の物語を支えるプロットとし、佐渡金山を象徴する二つに割れた山、道遊の割戸と呼ばれる金山が大切な役割を担っている。じっと眺めていると、その割れた裂け目はあの世とこの世を繋ぐ出入口に思えたことが映画の強いインスピレーションになった」と作品への強い思いと着想を得た瞬間について語った。富名監督は、英国ロンドンフィルムスクールで映画を学んだ後、2013年、短編『終点、お化け煙突まえ。』(主演:岸井ゆきの)を監督・脚本し、第18回釜山国際映画祭の短編コンペ部門を始め、第8回JOGJA-NETPAC Asian Film Festivalの短編部門ではグランプリを受賞、世界10か国以上の国際映画祭に招待され上映された。2018年、続く長編初監督作品『Blue Wind Blows』(内田也哉子・内田裕也 父娘初共演)は、第68回ベルリン国際映画祭ジェネレーション・コンペティション部門正式招待されたのを皮切りにサンパウロ国際映画祭ほか、台湾、インドネシア、スペイン、ポーランド、オーストラリアの映画祭などで上映。主演に小松さんと松田さんを迎えた本作が待望の長編監督第2作となる。監督・脚本の富名哲也は、「叶わぬ恋をした悲運の男女のその後を描いています。二人は“彷徨える魂”として、生きているのか死んでいるのかわからないままこの世を漂い続けているのです。そんな現実離れした物語の難しい人物像を、主演の二人である小松菜奈さんと松田龍平さんが圧倒的な存在感でこの映画に説得性をもたらしてくれました」とコメント。「私のプロデューサーでもある妻(畠中美奈)と製作した本映画の独特で不思議な世界観を、劇場で多くの人に体感して頂けたらと思っています」と寄せている。【あらすじ】舞台は佐渡島の金山跡地。倒れている女(小松菜奈)が目覚める。女には過去の記憶がない。女は、清掃員の女性キイに助けられ、家に運ばれる。そこにはアカとクロという名の女の子も暮らしている。名前を思い出せない女はミドリと名付けられ、キイと一緒に清掃員として働き始める。ミドリはそこで警備員の男(松田龍平)と出会う。男もまた名前と過去の記憶がないという。そんなミドリと男は互いに惹かれ合っていく…。『わたくしどもは。』は2024年、公開。(シネマカフェ編集部)
2023年09月27日11月10日(金) に公開される映画『正欲』が、第36回東京国際映画祭コンペティション部門に正式出品されることが決定した。原作は、第34回柴田錬三郎賞を受賞した朝井リョウによる同名小説。家庭環境、性的指向、容姿など“選べない”背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出していく衝撃的な物語を、原作とは違い、ある種のラブストーリーとして映画化される。第36回東京国際映画祭は10月23日(月) から11月1日(水) に開催。本映画祭が『正欲』のワールドプレミアとなる。今回の出品決定に際し、主人公の検察官・寺井啓喜役を演じた稲垣吾郎は、「観た後、それぞれ違った感じ方をしていただきたい映画」とコメント。また、広島のショッピングモールで契約社員として働く桐生夏月役を演じた新垣結衣は「自分が想像しえない世界は確実にあって、そこにいまも生きている人がいる。それがどういうことなのかを常に考えながら撮影した作品」と、あらためて完成した本作への思いを語っている。併せて本作の新たな場面写真が公開となった。■稲垣吾郎 コメント全文観た後、それぞれ違った感じ方をしていただきたい映画になっていると思います。全てに疑問を持ちながら、純粋な気持ちで演技に向き合うことができました。■新垣結衣 コメント全文問われている感覚が、原作を読んだ時から、映画が完成した後もずっとそばにあります。自分が想像しえない世界は確実にあって、そこにいまも生きている人がいる。それがどういうことなのかを常に考えながら撮影した作品でした。■磯村勇斗 コメント全文観終わった後、温かい気持ちになり、自分を大切にしようと思いました。この『正欲』を通して、我々と観て下さった方が“何か”を共有し育み、互いに勇気を持って、一歩でも半歩でも自分の人生を進めていけるようなれたら嬉しいです。■佐藤寛太 コメント全文善く生きるということ。人と共存するということ。人生の意義を考えること。暮らしのなかでは保留することができる答えのない問いが、映画という実態を伴って眼の前に現れました。僕はこの作品を引きずって大人になっていこうと思います。■東野絢香 コメント全文完成された『正欲』は、人間の命がとても美しく描かれた映画でした。上手に息が吸えない私たちに、今を生きるための酸素を送り届けてくれる作品です。この映画が、少しでも多くの方に届く事を、心から願っております。<作品情報>映画『正欲』11月10日(金) 公開(C)2021 朝井リョウ/新潮社(C)2023「正欲」製作委員会関連リンク公式サイト::
2023年09月27日難民をテーマとした映画を通じて、難民問題への関心を高める取り組み「第18回難民映画祭」が開催されることが決定した。これまでに世界各地から集められた260作品を上映し、10万人以上が参加している「難民映画祭」。今年は、難民となった人たちの困難を力強く生き抜く姿に焦点をあてた、日本初公開の5作品、2021年に上映した1作品を上映。『南スーダンで生きる ~ある家族の物語~』日本初公開作品は、指揮者グスターボ・ドゥダメルを描く『ビバ・マエストロ! 指揮者ドゥダメルの挑戦』、家族と国を調和させようとする3人の女性の世代を超えた対話を描く『南スーダンで生きる ~ある家族の物語~』、「第16回難民映画祭」の上映作品『シャドー・ゲーム』の続編『マインド・ゲーム ~自分の道を信じて~』などがラインアップされている。『マインド・ゲーム ~自分の道を信じて~』なお、10月12日(木)10時より公式サイトにて予約受付開始。劇場開催(東京)は、先着順で定員に達し次第、締め切りとなる。「第18回難民映画祭」は11月6日(月)~30日(木)オンライン開催、11月6日(月)/23日(木・祝)/25日(土)劇場開催(東京)。(シネマカフェ編集部)
2023年09月26日11月中旬まで音楽や演劇、美術、映画など、計15以上の公演・企画を展開中の「Bunka祭」。その中で、今回はBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下で満喫する「映画×食×本」を紹介。現在、複合文化施設「Bunkamura」は、隣接地の再開発工事に伴い、オーチャードホールを除き、2027年度中まで長期休館中だが、渋谷を中心とした代替施設で活動継続中。6月、ミニシアターの街・渋谷で30余年培ってきたBunkamuraカラーを携え、渋谷駅前・宮下エリアに誕生した「Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下」。今秋は、名作の一挙フィルム上映に始まり、愛される偉人たちの生き様や言葉が胸を打つドキュメンタリーから社会派サスペンス・スリラーまでバラエティに富んだラインアップとなっている。ワーナー・ブラザース創立100周年記念上映“35ミリで蘇る ワーナーフィルムコレクション”selected by ル・シネマワーナー・ブラザース作品の中から、厳選した全15作品を貴重な35ミリフィルムで上映する「ワーナー・ブラザース創立100周年記念上映“35ミリで蘇る ワーナーフィルムコレクション”selected by ル・シネマ」が、9月29日(金)より特集上映。そして、愛にあふれたローマ教皇の真の姿に迫る『旅するローマ教皇』、衝撃の実話の映画化『私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?』、作家パトリシア・ハイスミスの素顔を映し出す『パトリシア・ハイスミスに恋して』、第35回東京国際映画祭で主要3冠を獲得した心理スリラー『理想郷』が、順次公開スタートとなる。『旅するローマ教皇』また、「ドゥ マゴ パリ」が、ル・シネマ 渋谷宮下の各階ロビーで小さなスタンドカフェ「ドゥ マゴ パリ プチカフェ」としてオープン。プチサイズにリニューアルされた名物・タルトタタン、オリジナルブレンドのホットコーヒーをはじめ、特別な映画体験に寄り添うメニューを提供。29日(金)からはプチ・キッシュ、赤ワインにクレーム・ド・カシスを加えたカクテル・カーディナルは『旅するローマ教皇』公開日より提供予定。「プチ・キッシュ(三元豚のベーコンキッシュ)」500円(税込)※9/29より提供ロビーで目を引く「LIBRAIRIE」コーナーには、アートショップ「NADiff」による特別なキュレーションがなされたブックストアも併設。映画鑑賞の前後にはもちろん、映画を観ない日にも、行くだけでなにかある空間が広がる。(シネマカフェ編集部)
2023年09月26日第76回カンヌ国際映画祭Acid部門選出、アヌシー国際アニメーション映画祭2023長編アニメーション部門で最高賞クリスタルを受賞した映画『リンダはチキンがたべたい!』(原題『Chicken for Linda!』)が、2024年日本公開決定。第36回東京国際映画祭アニメーション部門にてジャパンプレミア、第10回新千歳空港国際アニメーション映画祭コンペティション長編部門にも選出された。本作は、『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』で、その独特な映像スタイルが日本でも注目されたセバスチャン・ローデンバックと、N.Y.インディーズ映画界のハル・ハートリー監督作品でお馴染みのルーマニアのエリナ・レーヴェンソンを追った実写映画『Simple Woman』(原題)を手掛けたキアラ・マルタの夫婦による共同監督作品。フランスのとある団地でのストライキの日を舞台に、かつて父が作ってくれたチキン料理をどうしてもたべたい8才の少女リンダと料理が苦手な母ポレット、ニワトリをめぐるふたりの騒動に巻き込まれる街の人びとを描いたコメディ。美しい線と色が躍動するアニメーションならではの生き生きとした喜びに満ちた唯一無二の映像、はつらつとした生命力いっぱいのチャーミングなキャラクターたち、いまは亡き父(夫)をめぐるエモーション――。アヌシーの観客を虜にした珠玉のスラップスティックコメディが日本に上陸する。『リンダはチキンがたべたい!』は2024年、全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:リンダはチキンがたべたい! 2024年、全国にて公開©2023 Dolce Vita Films, Miyu Productions, Palosanto Films, France 3 Cinéma
2023年09月25日米国アカデミー賞公認、アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア(SSFF & ASIA)」は、10月19日(木)~22日(日)に東京都写真美術館にて、また9月28日(木)~10月27日(金)にはオンライン会場にて「秋の国際短編映画祭」を開催する。25年目を迎えたSSFF&ASIAには今年も世界120の国と地域から5215点が集まり、約200作品が上映。秋の国際短編映画祭では、6月に発表された世界で唯一のジョージ・ルーカスの名を冠したグランプリ受賞作品『希望のかけ橋』(ポーランド/日本)、ライブアクション部門(ジャパン)優秀賞を獲得した永山瑛太主演作品『半透明なふたり』を含む、来年のアカデミー賞候補となる可能性を秘めた各部門受賞作品を上映。『半透明なふたり』そのほか、観客の支持をもっとも集めたオーディエンスアワード受賞作品として、野村萬斎が初監督した窪田正孝主演『虎の洞窟』など、今年のベスト・オブ・ベストのショートフィルムと、映画祭プログラマーがセレクトした作品を「Kids are Alright」「さまよえる魂」「あの人の足跡」「敵は誰だ!?」「チガウを巡る物語」「うつろいゆくものたち」といった6つのテーマでキュレーションし上映・配信する。『虎の洞窟』また、特別企画として、韓国のショートフィルムを特集するプログラムでは、ソ・イングクによる監督作品『TRAP by Seo In Guk』含む、映画祭プログラミングチームがセレクトした韓国ショートフィルムを紹介。『TRAP by Seo In Guk』さらに、東京都写真美術館の会場では、約2,000点の応募作品から選ばれた「ニコンフォトコンテスト2022-2023」動画部門の上位入賞作品も特別上映される。「SSFF & ASIA 2023秋の国際短編映画祭」期日および会場<オンライン会場>オンライン・グランドシアター9月28日(木)~10月27日(金)オンラインサテライト会場1「DOOR」 シアター 期間同上2ブリリア ショートショートシアター オンライン 10月4日(水)~4週に渡りハロウィン特集<リアル会場>赤坂インターシティ コンファレンス 10月17日(火)東京都写真美術館ホール 10月19日(木)~22日(日)サテライト会場1東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場(HIBIYA CINEMA FESTIVAL 2023内上映)10月13日(金)~22日(日)2シアターギルド代官山 10月16日(月)~18日(水)※プログラムにより上映開始時間が異なります。ウェブサイトにてご確認ください。(シネマカフェ編集部)
2023年09月23日10月23日(月)~11月1日(水)にて開催となる第36回東京国際映画祭の予告編が解禁。世界の国際映画祭で注目された話題作や邦画大作の最新作を含むガラ・セレクション部門全14作品が決定した。オープニング作品は『PERFECT DAYS』、クロージング作品は『ゴジラ-1.0』。そのほか、ヴェネチア国際映画祭やトロント国際映画祭で大きな話題を巻き起こした、サーチライト・ピクチャーズ提供の3作品が決定。まず、『哀れなるものたち』(2024年1月26日公開)はジャパンプレミア。『女王陛下のお気に入り』のヨルゴス・ランティモス監督、エマ・ストーンが再集結して描く、映画史上最も大胆で、空前絶後の感動に満ちた待望の最新作。先日開催された第80回ヴェネチア国際映画祭で最高賞である金獅子賞を受賞し、早くもアカデミー賞最有力候補として話題沸騰中。なお、日本での劇場公開同様、オリジナル無修正R18+バージョンで上映する。タイカ・ワイティティ監督が、第92回アカデミー賞脚色賞を受賞した『ジョジョ・ラビット』以来、サーチライト・ピクチャーズと2度目のタッグを組んだ最新作『ネクスト・ゴール・ウィンズ』(2024年2月23日公開)はアジアン・プレミア。2014年に『ネクスト・ゴール!世界最弱のサッカー代表チーム0対31からの挑戦』としてドキュメンタリー映画化もされた奇跡の実話をベースに、『ソー:ラブ&サンダー』などのハリウッド大作から『ジョジョ・ラビット』といったセンスとユーモアにあふれた心打つ感動作まで幅広く手掛けるワイティティが監督・脚本を務め、独自の世界観とユーモアを盛り込みつつ描く。マイケル・ファスベンダーが主演。アンドリュー・ヘイ監督作『異人たち』(2024年春公開)も本映画祭でアジア初上映。日本を代表する名脚本家・作家、山田太一が1987年に発表した長編小説「異人たちとの夏」(新潮社刊)を、『荒野にて』『さざなみ』が世界で絶賛されたアンドリュー・ヘイ監督の手により再映画化。テルライド映画祭でのワールドプレミア以降、絶賛の声に溢れ、「テルライド映画祭で最も成功した映画」「本年度アカデミー賞に絡むこと間違いなし」といった声が早くも上がっている。さらに、北野武監督の『首』、三池崇史監督の『怪物の木こり』、塚本晋也監督の『ほかげ』など日本作品を含め、「ガラ・セレクション」部門全14本中11本の映像が予告編には収められている。また、今年のFUJI ROCK FESTIVAL ’23でも圧巻のパフォーマンスで会場を沸かせた「TESTSET」(砂原良徳×LEO今井×白根賢一×永井聖一)の楽曲「Japanalog」が“第36回東京国際映画祭フェスティバルソング”として起用が決定。全編英語詞でロック、テクノ、ファンクの要素を孕んだジャンルレスなディスコチューンは日本発のオリジナルスタイルともいえ、東京国際映画祭の目指す方向とも合致していることから今回フェスティバルソングとして選出された。「TESTSET」(LEO今井)は「我々TESTSETの『Japanalog』という曲も、映画の世界を通して誰かの想像力に突き刺さされば嬉しい限りです」とコメントを寄せている。第36回東京国際映画祭は10月23日(月)~11月1日(水)、日比谷・有楽町・丸の内・銀座エリアにて開催。(シネマカフェ編集部)■関連作品:ネクスト・ゴール・ウィンズ 2024年2月23日より全国にて公開©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.哀れなるものたち 2024年1月26日より全国にて公開©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.ゴジラ-1.0 2023年11月3日より全国東宝系にて公開©2023 TOHO CO.,LTD.PERFECT DAYS 2023年12月22日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2023 MASTER MIND Ltd.異人たち 2024年、公開(C)2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
2023年09月22日10月23日(月) から11月1日(水) に開催される第36回東京国際映画祭の予告編が公開された。今回の約60秒の予告には、オープニング作品の『PERFECT DAYS』とクロージング作品の『ゴジラ-1.0』のほかに、世界の国際映画祭で注目された話題作や邦画大作の最新作などを上映する「ガラ・セレクション」部門の全14本中11本の映像が含まれている。また予告編には、TESTSET(砂原良徳×LEO今井×白根賢一×永井聖一)の楽曲「Japanalog」が本映画祭のフェスティバルソングとして使用されている。全編英語詞でロック、テクノ、ファンクの要素を孕んだジャンルレスなディスコチューンは、日本発のオリジナルスタイルともいえ、東京国際映画祭の目指す方向とも合致していることから、今回フェスティバルソングとして選ばれたという。なお予告編は、本日9月22日(金) より都内近郊の各劇場でも上映される。■LEO今井(TESTSET)コメント音楽の世界に憧れる前から、映画の世界に憧れていました。今となっては、新しい音楽情報を追っかけるよりも、映画のサウンドラックを通して新たに好きな曲やアーティストに出会う事の方が多いです。我々TESTSETの「Japanalog」という曲も、映画の世界を通して誰かの想像力に突き刺されば嬉しい限りです。第36回東京国際映画祭 予告編<イベント情報>第36回東京国際映画祭開催期間:10月23日(月)~11月1日(水)会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区公式サイト:
2023年09月22日「このミス大賞」受賞作を映画化した『怪物の木こり』より場面写真が解禁。さらにシッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭への出品も決定した。鬼才・三池崇史監督が亀梨和也、菜々緒、吉岡里帆らを迎えて贈る本作は、凶器の斧で脳を奪い去る連続猟奇殺人事件の犯人と狂気のサイコパス弁護士、そして警察が三つ巴の攻防を繰り広げる、先読み不可能な“超刺激”サスペンス。三池監督作品初参加で主演を務めた亀梨さんは「非常に難しいなと思いましたが、すごく良い意味でやりがいがありました。非常に特殊で、序盤から中盤に向けてのストーリーの構築や、”サイコパス”という変わった設定の部分が大きい一方、本質的な人間の心の動きも丁寧に描かれていたので、そこは大切に演じきりたいなと思いました」と語る。事件の真相を追う刑事でありながら自身もどこか怪しげで独特のオーラを纏う戸城嵐子を演じた菜々緒さんは「怒涛の展開の連続で、あっという間に読み終わってしまいました。嵐子自身がサイコパスな一面を見せるような描かれ方がされている部分もあり、そういったところをどのように演じていくかを考えながら、台本を読ませていただきました」とふり返っている。その本性を知らずに二宮に優しく寄り添う婚約者、映美を演じた吉岡さんは「主人公があまり見たことのないタイプのキャラクターですごく面白いなと思いましたし、同時に常に切なさが同居しているように感じました。”怪物”と一言で言ってしまうと恐ろしくて怖いものというイメージがありますが、怪物の悲しさみたいなものがこの台本の魅力だなと感じました」と役柄同様に二宮のキャラクターに寄り添うようにコメント。三池監督作品には度々出演している染谷さんも「ドキドキしました。ミステリー要素が強く、どうなっていくのか?犯人は一体誰なんだ?何が起きているんだ?と、どんどん読み進めていってしまいました。」と本作のストーリー展開には衝撃を隠し切れない様子だった。この度解禁された場面写真は6点。血を流しながら深刻な表情を浮かべる“サイコパス弁護士・二宮”や事件の真相を追いかける刑事・戸城、物憂げな表情を浮かべる映美など、個性豊かなキャラクターたちが切り取られている。中には二宮が戸城の眉間にナイフを突きつけるシーンや、遠くに佇む不気味な“怪物の木こり”の姿を捉えた一枚も。そしてこの度、本作が、第56回シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭で、世界中から選りすぐりのスリラー・サスペンス・アクションなどの作品がセレクトされるÒRBITA(オービタ)部門と、アジアの新作のショーケースであるFocus Asia部門、2部門で出品されることが決定。ÒRBITA部門ではクロージング作品としての上映を予定している。三池監督作品としては観客賞、最優秀美術賞を受賞した『十三人の刺客』(10)以来、13年ぶりの受賞の可能性に期待が高まる。また今回、主演の亀梨さんと三池監督がスペインへ渡航、本映画祭のレッドカーペット&プレミア上映に参加することも決定。スペインの観客の前での登壇に向け、亀梨さんと三池監督からコメントが到着した。亀梨和也 コメント『怪物の木こり』という作品を通して三池監督と繋がれた事。そしてこの作品と共に海を渡れる事。非常に光栄です。国を超えて沢山の方々に楽しんで頂ける事を願っています。初スペイン、初シッチェス映画祭。自分の細胞レベルでしっかり感じて来たいと思います。三池崇史監督 コメント欧州のファンタ野郎が大集合な歴史ある映画祭。シッチェス万歳!ビーチに美食と亀梨和也。『怪物の木こり』と共に最高の時を過ごせそうだ。『怪物の木こり』は12月1日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:怪物の木こり 2023年12月1日より公開©2023「怪物の木こり」製作委員会
2023年09月21日第36回東京国際映画祭が、10月23日(月) から11月1日(水) に開催される。このたび、目玉企画として実施される映画監督・小津安二郎の生誕120年を記念した特集上映とイベントの詳細が発表された。2023年は小津の生誕120年、没後60年にあたる。今回の特集上映は、新たにデジタル修復した多くの作品が初公開されるほか、国立映画アーカイブでの小津安二郎監督週間(10月24日(火) ~29日(日))のフィルム上映と合わせるとほぼ全ての小津作品が網羅される大々的な内容となる。また、世界的に活躍する映画監督を招き、それぞれの視点から小津を考える国際シンポジウム「SHOULDERS OF GIANTS」を10月27日(金) に三越劇場で開催する。シンポジウムは、冒頭にヴィム・ヴェンダースによる小津へのオマージュ(讃辞)に続き、『お早よう デジタル修復版』を上映。その後、黒沢清、ジャ・ジャンクー、ケリー・ライカートといった映画監督が登壇し、小津作品をめぐるトークセッションが行われる。そのほか、この1年の日本映画を対象に特に海外に紹介されるべき日本映画という観点から選考された作品を上映する「Nippon Cinema Now」部門では、デビューから100本以上の作品を手がけ、昨年だけでも『愛なのに』『女子高生に殺されたい』『ビリーバーズ』『夜、鳥たちが啼く』などの話題作が立て続けに公開された城定秀夫監督を特集。さらに、昨年までのジャパニーズ・アニメーション部門は、アニメーション部門として今年からコンセプトも新たに再スタート。まずひとつめの柱は「ビジョンの交差点」と題して海外での話題作も取り上げ、国内の最新作と合わせて9作品を上映。レトロスペクティブは「海外映画祭と監督」というテーマで、海外映画祭で賞に輝いた監督の作品を3作品上映する。各企画の詳細は東京国際映画祭の公式サイトでチェックを。<イベント情報>第36回東京国際映画祭開催期間:10月23日(月)~11月1日(水)会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区公式サイト:
2023年09月20日海外に行くと、生まれ育った国との文化の違いに驚かされることがあるでしょう。なかでも毎日食べる料理には、その違いが顕著にあらわれるもの。フランス人のパートナーであるガイックさんと、2人の間に生まれた息子さんとフランスで生活をする、しばひろ(@hirokokokoron)さんは、食文化の違いを目の当たりにしたようです。『クリーム入りクロワッサンへのフランス人の反応』ある日、クロワッサンの食べ方についてガイックさんと論争が勃発したという、しばひろさん。ほかのフランス人に意見を求めたようですが…。2人がいい争っていたのは、クリーム入りクロワッサンはアリかナシかという問題。クロワッサンといえば、バターが折り込まれたサクサクの生地が特徴の、フランス発祥のパンですよね。日本では近年、クリームやチョコレートなどが入ったクロワッサンの人気が高まっており、しばひろさんもおいしいと感じていたのだとか。しかし、本場であるフランス出身のガイックさんは『クリーム入りクロワッサン』に対して「だめなことだ」と反発!ほかのフランス人の意見も聞いたところ、「異端」「なんで台無しにするの」「冒とくだ」と散々ないわれようです。フランス人のクロワッサン愛の強さに「そ、そんなに…?」とたじろいでしまう、しばひろさんだったのでした…。【ネットの声】・日本に例えると、寿司にチーズをかけたり、タルタルソースをかける感じなのかな?・『クロワッサン愛』がすごい…!国によっては食べ物へのこだわりや、タブーがあるのですね。・『あんバタークロワッサン』を知ったらどうなるんだろう…。ガイックさんにとってクロワッサンは、バターの味やサクサクとした食感を楽しむものなのだそう。そのため、クリームを入れてしまうのはもったいないと感じてしまうようです。フランス人のゆるぎないクロワッサンへのプライドを、ひしひしと感じますね…!また、しばひろさんはX(Twitter)のほか、Instagramとブログでもさまざまなエピソードを公開しています。そちらもご覧ください。【しばひろ】Instagram:hirokokokoroブログ:ガイックとのフランス暮らし[文・構成/grape編集部]
2023年09月17日「漫画界のカンヌ映画祭」と呼ばれるフランス・アングレーム国際漫画祭にてオフィシャルセレクションに選出されるなど国内外から熱狂的な人気を誇る伝説的漫画を、真木よう子主演で映画化した今泉力哉監督の『アンダーカレント』。真木さん演じる銭湯「月乃湯」を営むかなえの前に「働きたい」と現れる謎の男・堀を演じているのは、本日9月15日に誕生日を迎える井浦新。その場面写真が到着した。井浦さんは、1974年9月15日生まれ。今年49歳を迎える。1998年に映画『ワンダフルライフ』に初出演。『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』(12)で日本映画プロフェッショナル大賞主演男優賞、『かぞくのくに』(12)でブルーリボン賞助演男優賞を受賞。『かそけきサンカヨウ』より今泉監督作品は『かそけきサンカヨウ』(21)に出演。近年の主な出演作は『朝が来る』(20)、『恋する寄生虫』(21)、『麻希のいる世界』『ニワトリ☆フェニックス』『こちらあみ子』(22)、『福田村事件』(23)など数多くの映画・ドラマに出演している、引く手あまたな実力派俳優だ。本作で井浦さんが演じるのは、かなえが営む銭湯「月乃湯」に住み込みで働くことになる謎の男・堀。銭湯組合からの紹介で月乃湯を訪れ、そのまま働くことに。九州の出身だというが訛りはなく、職も住居も転々としており、自分のことは語らない。黙々と働き静かに寄り添うようにかなえを支え、彼女の弱さにも気づいていく…という難しい役どころ。そんな中でも、堀の意外な一面が垣間見られる場面写真2点を初公開。1つは、銭湯の湯舟につかり、リラックスしている様子。もう1つは、食べたことのないどじょう料理にとまどう様子。どちらもあまり感情を出さない堀の人間味が感じられ、本作のメインストーリーにどのように関わってくるのか期待が膨らむシーンとなっている。また、本作に続き、深川麻衣共演の映画『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(11月3日公開)にも出演、どちらも井浦さんの自然な演技に注目だ。『アンダーカレント』は10月6日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:アンダーカレント 2023年10月6日より全国にて公開(C)豊田徹也/講談社(C)2023「アンダーカレント」製作委員会
2023年09月15日新千歳空港国際アニメーション映画祭では、2023年11月2日(木)~6日(月)の5日間、北海道新千歳空港にて「第10回 新千歳空港国際アニメーション映画祭」を開催いたします。この度、映画祭のメインビジュアルを公開しました。「第10回 新千歳空港国際アニメーション映画祭」メインビジュアル市川春子による、第10回映画祭を飾るメインビジュアルを公開!9月14日より新千歳空港館内での装飾・ポスター掲出も順次開始本年映画祭の顔となるメインビジュアルの担当作家は、「月刊アフタヌーン(講談社)」にて、現在『宝石の国』を連載中で学生時代を北海道で過ごした漫画家 市川春子(いちかわはるこ)氏です。作家本人の映画祭来場経験をもとに描かれた本ビジュアルは、記念すべき10周年を迎える映画祭に、過去現在未来を超え様々な種族や北海道の生物たちが集まる、映画祭開催への期待感の高まりを感じさせるビジュアルとなっています。本メインビジュアルは、2023年9月14日(木)以降、順次新千歳空港館内での装飾やポスター、映画祭公式サイトなど各所で展開してまいります。詳細は映画祭公式サイト( )をご確認ください。作家コメント赤と青が動脈と静脈のように交わる生き生きとした空港シアターに、様々な種族や伝統的あるいは未来的な人々、そして開催地である北海道の生物が集まり、シームレスで楽しい映画祭が始まりそう、というイメージを描きました。素敵な時間になると良いですね。市川春子(漫画家)市川春子(いちかわ はるこ)プロフィール学生時代を札幌で過ごす。投稿作『虫と歌』で「アフタヌーン2006年夏の四季大賞」受賞、『星の恋人』でデビュー。初作品集『虫と歌 市川春子作品集』が第14回手塚治虫文化賞・新生賞受賞。「アフタヌーン」にて『宝石の国』を連載中。『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』の人物キャラクターデザインを一部担当。メインビジュアル : 新千歳空港国際アニメーション映画祭とは新千歳空港国際アニメーション映画祭は、北海道と世界を結ぶゲートウェイである新千歳空港ターミナルビル(北海道千歳市)を会場とした、アニメーション専門の国際映画祭です。記念すべき10回目の開催となる今年は、2023年11月2日(木)~11月6日(月)の5日間で、国内外の話題作など招待作品の上映はもちろん、アニメーションの意義を拡張する様々なプログラムを展開し、アニメーションの意義を拡張するような新しい価値を生み出す「遊び場」として、エネルギーを持ち帰ることができる文化交流拠点の創造を目指します。第10回 新千歳空港国際アニメーション映画祭 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年09月14日お笑い芸人・福田麻貴(3時のヒロイン)、加納(Aマッソ)、サーヤ(ラランド)が出演する短編映画『蟹から生まれたピスコの恋』がイギリス最大級の国際映画祭「レインダンス映画祭」にノミネートされ、このたびキャストと監督がコメントを寄せた。○■福田麻貴、加納、サーヤが出演する短編映画『蟹から生まれたピスコの恋』テレビ朝日のバラエティ番組『トゲトゲTV』(毎週水曜 深夜24:15~)に出演中の3人が、佐藤寛太(劇団EXILE)、長久允監督と制作し、今年4月にTELASA(テラサ)で配信された今作。「差別」という重いテーマを、カニの父と人間の母の間に生まれた女子高生・石田ピスコ(加納)の恋物語と半生に乗せて真面目さと不真面目さが絶妙に交錯するブラックユーモアをもって鮮烈に描いた。そんな今作が、10月25日から英国ロンドンで開催される「第31回レインダンス映画祭」のフィクション短編部門にノミネートされた。今作はすでに、9月28日からカナダで開催される「第42回バンクーバー国際映画祭」の国際短編部門や、9月2日から英国で開催中の「Short Com International Comedy Film Festival」でもノミネートが決定している。レインダンス映画祭ノミネートを記念し、加納が映画の主人公・ピスコとして歌った主題歌「蟹から生まれたピスコの恋」が、Apple MusicやSpotifyなど各種音楽配信サービスでサブスク配信を開始。この楽曲は長久監督が作詞、アーティスト・春ねむりが作曲を担当。中盤のポエトリーリーディングともいえるエモーショナルな語り部分にも注目で「愛とかいう人間じゃなかってんけどなー」と、ポツリとつぶやくピスコのセリフに、加納の表現力の高さが凝縮されている。○■加納(Aマッソ)/石田ピスコ・役コメントレインダンス映画祭にノミネートされるなんて、すごいですよね! 海外の人は英語字幕で見るんですよね? 一体どんなふうに見られるのか楽しみです。上映時は我々がコメディアンであることや、バラエティ番組から端を発した映画ということは伏せて、「映画界の巨匠が鬼才アクター3人のスケジュールを何とか調整して撮った作品」という感じで打ち出していけたらいいなって思います(笑)。私が歌った主題歌がサブスク配信されることも、ありがたいです。すごくロック・テイストの曲なので、親がうっとうしい時なんかにぜひ聴いてほしいです。ただ、自転車に乗っている時や水回りの作業中は聴かないでください。……って、なんで聴かないでほしい時の話になるねん!? 意味わからへん(笑)。○■福田麻貴(3時のヒロイン)/ピスコの母(石田みつみ)・役コメントノミネートしていただいて、ありがとうございます。私たちからにじみ出る華もあったかと思いますが(笑)、すべては長久監督のおかげです。長久ファミリーになれて、とても光栄です。イギリスから見た日本の映画としては斬新なんじゃないかと思うので、何かしらの賞は取るだろうなと思ってます。○■サーヤ(ラランド)/くぼかよ・役コメント日本の少子化がなぜ進んでいるか……そのすべてが『蟹から生まれたピスコの恋』で描かれています。この作品を通して、イギリスの皆さんにも日本の社会問題を見ていただけたらなと思います。○■長久允監督コメント『蟹から生まれたピスコの恋』が、由緒あるクールなレインダンス映画祭にノミネートされたこと、心よりうれしいです! 最高です! 思わずダブルピースしちゃいます。加納さん、サーヤさん、福田さん、佐藤寛太さんの演技のおかげです! 爆音で上映されて映画館でラストにモッシュが起きたらいいなと思っています。この作品が、ヨーロッパを皮切りに、もっともっと世界中の必要な人に届くことを願っています! ちなみに英語タイトルは『Pisko the Crab Child is in Love』です。ご唱和ください!
2023年09月13日今年5月、『PERFECT DAYS』でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞した役所広司が、「2023金馬映画祭」で「焦点映画人」に選ばれたことが分かった。公式サイトによると役所さんは台北で開催される同映画祭に出席し、自身の出演作を紹介&上映するという。上映作品は『PERFECT DAYS』『失楽園』と、役所さん自身が選んだ『KAMIKAZE TAXI』『Shall we ダンス?』『CURE』『EUREKA』『キツツキと雨』の計7本。映画主催者は、「7本の作品によって、映画ファンは伝説的な俳優の魅力と多彩な演技を目の当たりにすることができるでしょう」と自信をのぞかせている。公式サイトでは、40年以上にわたる俳優としての役所さんのキャリアを詳しく紹介。日本アカデミー賞の常連であり、1996年から7年連続で最優秀主演男優賞または優秀主演男優賞に選ばれたことなども書かれている。ヴィム・ヴェンダース監督とタッグを組んだ『PERFECT DAYS』は、カンヌ国際映画祭で配給会社「Neon」が北米配給権を獲得した。日本代表としてアカデミー賞国際長編映画賞に出品されることも決まっている。日本公開は12月22日。「2023金馬映画祭」は11月9日から26日まで開催予定で、チケットは10月28日に発売。(賀来比呂美)■関連作品:PERFECT DAYS 2023年12月22日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2023 MASTER MIND Ltd.
2023年09月13日9月11日(現地時間)、監督作『Wildcat(原題)』がプレミアを迎えるトロント国際映画祭にて、主演で娘のマヤ・ホークとレッドカーペットを歩いたイーサン・ホーク。実は、イーサンが飛行機トラブルに遭い、長距離バス(グレイハウンド)に乗ってなんとかイベントに出席できたという裏話があったという。マヤは「父はバスに乗ってきました。みんなの話題になっていますよ。すべての飛行機が欠航になってしまって、ここまでバスで来るしかなかったんです」と「People」誌に語った。イーサンは「3便のフライトがキャンセルになり、『空港のせいでイベントを欠席するわけにはいかない!』と思って。だからバスターミナルに行ってバスに飛び乗りました」と補足した。その時イーサンと一緒にいたのは妻と仕事のパートナーで、マヤとは別々に向かっていたのだという。「バスの中では、だれも他人のことなんて気にしていません」「快適ではないですね」と長距離バスの感想を語ったイーサン。「私は後ろの方で身を隠すようにして、ただ本を読んで、なんとか間に合うようにと祈っていました」とドキドキしながら乗っていたそうだ。その結果、無事に間に合い、親子でレッドカーペットを歩くことができた。(賀来比呂美)
2023年09月13日2007年、トロント映画祭で上映された主演映画『JUNO/ジュノ』で大ブレイクを果たしたエリオット・ペイジが、トランスジェンダー公表後初めて主演した『Close to You(原題)』を引っ提げ、再び同映画祭に帰ってきた。本作はメガホンを取ったドミニク・サヴェージ監督が、映画祭の前に「この映画はエリオットと一緒に、エリオットによって、エリオットのために作られた作品」と語っており、本作のルーツはエリオット自身の“旅”であると認めている。エリオットが演じているのは、トランスジェンダーの主人公サム。4年前に性別移行してから父の誕生日を祝うために初めて実家を訪れるという話だ。青年期のほとんどを鬱との闘いに費やしたサムは、トランスジェンダーの男性としてついに幸せを見つけたが、家族の反応は…?『Close to You』の上映後、観客から歓声と拍手を受けて登壇したエリオットは、作品について「私のキャリアにおいて本当に素晴らしい経験の一つになりました」と感慨深げに語った。また、サヴェージ監督との再タッグを熱望。「シーンがずっと続いて深まっていき、演技の最も純粋な喜びを感じられるんです」と即興的な演技がしやすいアプローチをとってくれる監督を称えた。(賀来比呂美)
2023年09月12日9月8日(現地時間)、トロント国際映画祭で宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』がオープニング作品として上映された。上映前にギレルモ・デル・トロ監督が舞台にサプライズ登場し、プレゼンターを務めた。これまで何度も引退宣言を行い、撤回&復帰してきた宮崎監督。今作こそがいよいよ最後の作品かとうわさされ、海外でもそう報じるメディアもあったが、スタジオジブリの広報・学芸担当スーパーバイザーの西岡純一氏によると、これは事実ではないという。同作のプロモーション中に、西岡氏は「これが宮崎監督の最後の作品と言われているようですけれど、監督は全くそのようには思っていないんです。監督はいま、新しい作品のための構想を練っているところです。毎日オフィスにやってきては、そうしています。今回は、引退宣言しませんよ。いつもと変わらず仕事を続けています」とコメント。宮崎監督に代わって引退報道を否定した。海外の映画ファンは「素晴らしいニュース」「神様ありがとう」「新たな作品を楽しみにしています」などの喜びの声や「こんなことが起きるなんて!また何回目かの引退宣言があると思っていたのに!」といった驚きの声を上げている。米映画評論サイト「Rotten Tomatoes」で批評家(現時点で28人)からの支持率が100%と高い評価を受けている『君たちはどう生きるか』。全米公開は12月8日を予定している。(賀来比呂美)■関連作品:君たちはどう生きるか 2023年7月14日より公開©2023 Studio Ghibli
2023年09月11日第80回ヴェネチア国際映画祭が閉幕。コンペティション部門へ正式出品された濱口竜介監督最新作『悪は存在しない』(英題:Evil Does Not Exist)が「銀獅子賞(審査員大賞)」を受賞。最高賞の金獅子賞はヨルゴス・ランティモス監督、エマ・ストーン主演『哀れなるものたち』に。また、オリゾンティ・コンペティション部門に正式出品されていた塚本晋也監督の最新作『ほかげ』がNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞した。濱口監督は、映画『偶然と想像』で第71回ベルリン国際映画祭の審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞、映画『ドライブ・マイ・カー』(21)では第74回カンヌ国際映画祭で日本映画初となる脚本賞を含む計3部門を受賞(第94回米アカデミー賞国際長編映画賞も受賞)、それに続くヴェネチアでの受賞という世界3大映画祭を制覇する快挙となり、日本人では黒澤明監督以来となった。さらに今回、映画祭本体とは別機関からの「並行賞」として、国際映画批評家連盟によって選ばれる、ヴェネチア国際映画祭の独立賞のひとつ「国際批評家連盟賞」と、「企業の倫理」について考察を与える映画に送られる賞「映画企業特別賞」、特に「環境問題」に対する現代的アプローチに対して贈られる「人・職場・環境賞」と3つの賞も受賞している。『悪は存在しない』石橋英子の音楽が「導いてくれました」授賞式で濱口監督は、「このような素晴らしい賞をいただけるとは、この企画が始まった時は思いもよりませんでした。音楽の担当でもありこの企画の発案者でもある石橋英子さんに感謝をしたいと思います。彼女の音楽が、私を今まで体験したことがないところへ導いてくれました」と、『ドライブ・マイ・カー』でもタッグを組んだ音楽の石橋さんに言及。「そして主演の大美賀均さん、そこで(客席を指差し)カメラを構えている撮影の北川喜雄さん、この3人で脚本を書く前に一緒にドライブをして薪割りをしてこの映画をどのようなものにしようかと考えていました。この旅をしながらここまで来られて嬉しく思っています。そしてキャスト、スタッフ全ての力があってこのような素晴らしい賞をいただけたと思ってます」と語った。また、公式カンファレンスでは、「この映画はアートハウス系の映画でかつ非常に小規模のチームで作られました。小規模で自由に作った映画がこのように評価を受けるということは、映画制作の見方そのものを変えるきっかけになるのではないかとは思います」と、自身の考えをコメント。その後のメディア取材で、主演の大美賀均も「先ほど濱口監督がお話されていますが、すごく小さなチームから始まりました」と語り、「その頃の想像よりはるかにすごいところまで連れてきていただいてありがとうございます」と感謝。今回のコンペティションの中でアジアの作品として唯一だったことについて、濱口監督は「全体的にどういう風に自分たちの作品が位置付けられているか分かりませんけれども、きっと他にもいいアジア映画があったと思います。たった1本であったというバランスについて、選んでいただいたこと自体はとてもありがたいことですけれども、そのバランスは本当なのかっていうことは多少思うところではあります」とコメント。『偶然と想像』のベルリン国際映画祭銀熊賞に続いて、今回は銀獅子賞で、最高賞に届きたかったかと問われると、「そういう思いは、本当に少しもないです(笑)」と濱口監督。「こうやって賞をいただくことも思ってもみなかったので。そういう気持ちもそもそもないですね。それが正直なところです。自分達にとっては一番いいものをいただいたという感じです」と話していた。『悪は存在しない』は2024年、公開予定。塚本晋也監督『ほかげ』がNETPAC賞、日本人監督受賞は初また、日本人監督の受賞は初となる快挙となったのが、『ほかげ』。NETPAC(正式名称Network for the Promotion of Asian Cinema)とは、1990年にアジア各国の良質な作品や優秀な若き映画製作者を世界に広めるために設立された国際団体。同団体の審査員により選ばれるNETPAC賞は、最優秀アジア映画賞として世界の60以上もの映画祭に設けられている。ヴェネチア国際映画祭でNETPAC賞が授与されたのは、ジャ・ジャンク―監督『プラットホーム』(00)、ババク・パヤミ監督『1票のラブレター』(01)、ゲラ・バブルアニ監督『13ザメッティ』(05)に続き4度目。NETPAC賞の審査員長を務めたザキール・ホセイン・ラジュ氏は、「第80回ヴェネチア国際映画祭にて、一番感動した映画として『ほかげ』を選出いたしました。ただの映画としてではなく、戦後の映画として人と人の関係が変わっていく様子などを映画的に、閉所な空間で衣装やセット、メイクなどでみせていく。あまりこのような映画は観たことがなかった」と称賛。フォトコールにて塚本監督は、「生まれたばかりで、まだどんな反応かわからないこの映画に対して、最初の評価みたいなものをいただけてホッとしました。一番にスタッフに伝えたいです」と喜びのコメントを寄せた。『ほかげ』は11月25日(土)よりユーロスペースほか全国にて順次公開。第80回ヴェネチア国際映画祭コンペ部門、主な受賞結果金獅子賞(最高賞):ヨルゴス・ランティモス監督『哀れなるものたち』銀獅子賞(審査員賞):濱口竜介監督『悪は存在しない』銀獅子賞(監督賞):マッテオ・ガローネ監督『Io capitano』(原題)男優賞: ピーター・サースガード『Memory』(原題)ミシェル・フランコ監督女優賞:ケイリー・スピーニー『Priscilla』(原題)ソフィア・コッポラ監督『哀れなるものたち』『哀れなるものたち』は2024年1月26日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:哀れなるものたち 2024年1月26日より全国にて公開©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.ほかげ 2023年11月25日よりユーロスペースほか全国にて順次公開©2023 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER
2023年09月10日堀田真由と小林薫が共演し、日本が誇る伝統工芸・津軽塗が繋ぐ父娘の物語を描いた『バカ塗りの娘』がバンクーバー国際映画祭に出品されることが決定。さらに新たな場面写真も解禁された。9月1日より全国公開となった本作は、「津軽塗の美しさに感動した」「故郷を思い出して、家族に会いたくなった」「それぞれの登場人物が踏み出す姿に勇気をもらった」「見終わった後、温かい涙が溢れ出た」など、絶賛の感想が続々と寄せられ、【ミニシアターランキング】では第1位(初週金土日の動員数 ※興行通信社調べ)にランクイン。300年以上も変わることなく受け継がれてきた津軽塗だが、近年は若手職人を中心に、現代のニーズに合わせ、若い感性を活かし新たな可能性を広げる取り組みもされている。劇中でも主人公・美也子(堀田真由)は、廃校になった小学校のピアノに津軽塗を施すという新しいことに挑戦する。この度、「津軽塗をやっていくことは簡単じゃない」と言う津軽塗職人の父の反対を押し切りながらも、既成概念にとらわれない新しい津軽塗に挑戦した美也子の姿と、出来上がった鮮やかなピアノを嬉しそうに眺める兄・ユウ(坂東龍汰)とユウのパートナー・尚人(宮田俊哉)の姿を切り取った場面写真が解禁された。ピアノにはカラフルな津軽塗の模様が施され、その美しく丁寧な仕上がりに思わず見入ってしまうほど。劇中で使用された津軽塗のピアノは、現在、弘前市立博物館にて展示中(9月18日まで)。また劇中において、美也子の塗った津軽塗のピアノがオランダで展示されることが決まるが、この映画『バカ塗り娘』自体も、青森から全国へと公開が広がり、海外映画祭が続々決定。今月オランダで行われる第18回カメラジャパン・フェスティバルへの出品に続き、9月28日から開催される第42回バンクーバー国際映画祭パノラマ部門への出品も決定した。劇中と同様に、世界へと羽ばたこうとしている本作に注目が集まる。『バカ塗りの娘』は全国にて公開中。(シネマカフェ編集部)■関連作品:バカ塗りの娘 2023年9月1日より全国にて公開※青森県先行あり(C)2023「バカ塗りの娘」製作委員会
2023年09月09日9月16日、トロント国際映画祭でシルベスター・スタローンのドキュメンタリー映画『Sly(原題)』がワールドプレミアを迎える。『ランボー』『ロッキー』『エクスペンダブルズ』シリーズに主演し、アクション俳優として確固たる地位を築いてきたが、画家という顔も持つスタローン。『Sly』のワールドプレミアに先駆け、7日(現地時間)開幕した同映画祭で彼のアートワークを展示する回顧展を開催中だという。1975年から2020年までにスタローンが制作した12の絵画やアートワーク、スタローンのサイン入りの『ロッキー』のオリジナル脚本や記念品も展示されているという。絵画には、スタローンが俳優のキャリアをスタートする際に力を貸してくれた最初のマネージャー、ジェーン・オリバーが亡くなった日に描いた「Death of Friend」などがある。ハリウッドでスーパースターになる前から絵を描いていたスタローン。フランス、ロシア、ドイツなどで個展を開いたこともあり、「大盛況」と報じられた。トム・ジミー監督(『エルヴィス・プレスリー:ザ・サーチャー ~キング・オブ・ロックの魂の記録~』)がメガホンを取った『Sly(原題)』は、11月3日Netflixで配信開始(アメリカ)。(賀来比呂美)
2023年09月08日映画祭『第45回ぴあフィルムフェスティバル2023』が9日(土)から東京の国立映画アーカイブで開催される。1970年代から始まった本映画祭も今年で45回目。記念すべき50回が視界に入ってきたこのタイミングで、超大型企画がスタートする。「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」は世界最大級の自主映画のコンペティション“PFFアワード”をメインプログラムにしている映画祭。全国から集まった自主映画を上映するだけでなく、名監督の作品や、観る機会の少ない名作、上映と講演を組み合わせたプログラムなど独自の企画で映画ファンの信頼を集めている。そんなPFFが50回目の開催まで連続して開催する超大型企画が、今年スタートする“イカすぜ!70~80年代”だ。このプログラムでは、PFFがスタートした1970年代から現代までを毎年10年区切りで扱い、自主映画のみならず当時の傑作の数々を上映し、時代を、歴史を体感する企画だ。50回を迎えるタイミングで何か大きな企画をやりたかった本映画祭のディレクターを務める荒木啓子氏は「50回を迎えるタイミングで何か大きな企画をやりたいとずっと思っていました」と語る。「そんなタイミングで、大森一樹監督、斎藤久志監督、日比野幸子プロデューサーが亡くなられました。追悼上映、という考え方もあるのかもしれないですが、いまは大森監督の映画を観たければ配信でいくらでも観ることができます。斎藤久志監督日比野幸子プロデューサーでも、その作品がつくられた1970年代や80年代の別の作品を一緒に観る人は少ない。“同時代の作品を横断して観る”経験をするのはいま非常に難しくなってきている。だからこそ、時代で区切って、同時代の複数の作品を同時に観る機会は映画祭にしかつくれないと思いました。今年からはじめて、来年は“80-90年代”と続いていって、PFFが50回目を迎える2028年に“これからは映画の新しい時代です”と言えれば、と思っています。8ミリの登場を考えると、自主映画もすでに70年ぐらいの歴史があるので、このタイミングで振り返っておく必要があるとも思いました」荒木ディレクターが語る通り、この企画はあえて複数のプログラムや企画が同時に開催され、それらを横断して観ることで発見や楽しさが増幅される内容だ。中でも、先ごろこの世を去った大森一樹監督の自主映画時代の作品は、いまの若い観客にも驚きをもって迎え入れられるだろう。とにかく若い監督たちにはたくさん映画を観てもらいたい「PFFにとって大森一樹監督はとても重要な存在。当時、大森一樹と森田芳光がいたことで、自主映画の未来が拓けたと多くの人が実感したと思います。だからこそ、大森監督が亡くなったタイミングでPFFができることは、大森監督の自主映画を上映することだと思いました。PFFは長年にわたって『8ミリ映画が消えてはならない』という想いで8ミリの作品をデジタル化してきたので、その成果を観ていただきたいという試みでもあります。〈大森一樹監督再発見〉より『革命狂時代』(大森一樹監督/8ミリ)〈大森一樹監督再発見〉より『明日に向って走れない!』(大森一樹監督/8ミリ)大森監督の8ミリ時代の作品を観ていただくと、彼がどれだけアメリカ映画が好きで、どれだけアメリカ映画みたいなものをつくろうとしていたのかがよくわかると思うんです。それは今回上映する小津安二郎監督も同じなんですよね。小津安二郎もアメリカ映画を愛して、アメリカ映画みたいなものをつくろうとしていた。好きな映画を真似したい、自分がカッコいいと思う映画をつくりたいという経験を若い監督たちにもしてもらいたいんです」〈斎藤久志再発見〉より『うしろあたま』(斎藤久志監督/8ミリ)PFFのプログラムの最大の特徴は、来場者はもちろん、PFFアワードに入選した若い監督たちにも観てもらいたい内容になっていることだ。「映画監督はたくさんの映画を観ることで磨きがかかる、というテーマがこの映画祭には常にあります。語られ続ける映画監督はとにかくたくさんの映画を観ているし、どれだけ映画を観てもそこで得たものを自分の映画に転化することができる。真似を恐れず、影響を恐れず、とにかく過去のアイデアを盗もう。このことはずっと言い続けていきたいと思っています。〈日比野幸子プロデューサー再発見〉より『風櫃(フンクイ)の少年』(侯 孝賢監督)映画だけでなく、絵画でも音楽でも、創作者は本当にいろんなものを観ている。いまは配信もあって、苦労せずにこれだけたくさんの映画を観られるので、とにかく若い監督たちにはたくさん映画を観てもらいたいんです」もし時間が許せば、映画祭の期間中、複数のプログラムに足を運ぶことをおすすめする。ひとつの作品だけでなく、同じ時期に製作・公開された映画も観ることで初めて見えてくるものがある。新たな視点が浮かび上がってくる。映画館では体験できない“映画祭ならでは”の驚きと発見を味わってほしい。『第45回ぴあフィルムフェスティバル2023』9月9日(土)~23日(土) 東京・国立映画アーカイブ10月14日(土)~22日(日) 京都文化博物館※月曜休館公式サイト()【招待部門】“イカすぜ!70~80年代”()
2023年09月08日