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巨匠ルキノ・ヴィスコンティに見出され、『ベニスに死す』(71)で主人公を破滅に導く少年タジオを演じたビョルン・アンドレセンに迫ったドキュメンタリー『世界で一番美しい少年』。この度、彼の妹が兄と母親について知られざる秘密を語る本編映像がシネマカフェに到着した。到着したのは、ビョルンとその妹が幼い頃の思い出や自身の母親について語る場面の本編映像。本作が描き出すビョルンの心の旅を語る上で欠かせないのが、彼が辿る実母バルブロについての記憶である。この本編映像で、ビョルンのそばで語るのは妹のアニケ。アニケは、かつて学校の教師から渡された手紙を見ながら母の失踪当時のことをふり返る。2人は母と異なる父の間に11か月違いで生まれた“疑似双子”で、「子供時代を通じてとても近しい存在で、お互いどんな友達よりもずっと仲がよかった。本当にいつも一緒だった」とアニケは明かし、ビョルンも「1人でいた記憶がない。どんな時も2人だ」と語る。本作では、兄妹、そして母が一緒に写る膨大な写真やフィルム映像を通して、生前の母と過ごした濃密な日々が伝わってくる。ビョルンは母親を最後に見た時のことについて、劇中で詳しく語る。『ベニスに死す』出演前の彼が11歳のころ、通学の途中で母親が手を振ってくれ、手を振り返すとまた手を振ってくれたという思い出だ。彼は、そのとき「これが母を見る最後かな」と直感したといい、その後、母親は突然姿を消した。そして母が失踪した翌年、2人は祖母を訪ねてきた警官から母の遺体が発見されたことを聞かされたという。アニケによると、その日を境に家族や周りで自分たちの母のことについて口にする者は誰もいなくなったという。わずか12歳の少年だったビョルンが抱いた母の死の真相を知りたいという強い想いは、長年彼の心を支配することになる。母バルブロについてのくだりを通して、本作がビョルンが抱えてきた心の痛みに寄り添いながら丁寧に作られていることが伝わるはずだ。『世界で一番美しい少年』は12月17日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:世界で一番美しい少年 2021年12月17日よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国にて公開© Mantaray Film AB, Sveriges Television AB, ZDF/ARTE, Jonas Gardell Produktion, 2021
2021年12月14日巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督作『ベニスに死す』(71)で主人公を破滅に導く少年タジオを演じ、その50年後に『ミッドサマー』で現れたビョルン・アンドレセンの衝撃の真実を描いたドキュメンタリー『世界で一番美しい少年』から日本版予告編が解禁された。日本版予告編で冒頭に映し出されるのは、ヴィスコンティが“世界一の美少年、タジオ”を探すために行った大規模オーディションの1コマ。集められた多くの少年の中からアンドレセンの姿を見つけたヴィスコンティは、彼に歩み寄り、「美しい」と言葉をかける。アンドレセンの運命を変えたその瞬間をカメラは捉えていた。続いて『ベニスに死す』でのカンヌ国際映画祭の華やかな狂騒から、アンドレセン来日時の日本ファンの熱狂や芸能活動の様子など、豊富なアーカイブ映像により1本の映画をめぐる映画史をも描き出していく。「ベルサイユのばら」で知られる池田理代子氏も登場している。また、本作ではアンドレセン家が残してきたホームビデオや音源なども多く使用。同作出演前に記録された、行動的でありながら音楽好きといった彼のごく普通の少年としての一面なども映し出される。そして、世界に衝撃を与えた『ミッドサマー』(19)出演時のメイキング映像も。また、彼は熱狂の“あの頃”に訪れた都市を再び巡り、自身の記憶をたどる言葉をノスタルジックな映像美とともに映し出していく。ビョルン・アンドレセンというひとりの人間の魅力と悲劇をめぐる旅、そして彼の知られざる人生そのものに光を当てていることが伝わる映像となっている。これまで語られなかったアンドレセン自身の物語を明かすことで、再び歩き出そうとする彼に寄り添い、本作を5年をかけて製作した監督のクリスティーナ・リンドストロムとクリスティアン・ペトリは、連名で「私たちは単純な返事よりも興味深い問いかけを信じ、これは簡単な物語ではないことも理解しつつ、魅惑的なものとなっていることを心から願っています。そして、多くの層が重なった物語を伝えることで、ビョルン自身の複雑で深みのある人間性がさらに前に向かっていくことを信じているのです」と製作意図についてコメント。さらに、「私たちは、この映画があの少年が他人によって作られたイメージ、アイコン、ファンタジニーとなり、青年期の人生を奪われた物語に耳を傾ける機会を観る者に伝えることが出来ればと願っています。2021年は『ベニスに死す』のワールド・プレミアで、ルキノ・ヴィスコンティがビョルン・アンドレセンを『世界で一番美しい少年』と高らかに宣言してから50年となる年です。その年に、あの少年が真の姿で帰ってきたのです」とも語っている。『世界で一番美しい少年』は12月17日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:世界で一番美しい少年 2021年12月17日よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国にて公開© Mantaray Film AB, Sveriges Television AB, ZDF/ARTE, Jonas Gardell Produktion, 2021
2021年11月11日今年、生誕100年となる写真家ヘルムート・ニュートンに迫るドキュメンタリー映画『ヘルムート・ニュートンと12人の女たち』。公開に先駆け、名女優シャーロット・ランプリングがニュートンによって撮られた自身のヌード写真について回顧する本編映像がシネマカフェに到着した。長年にわたって一流ファッション誌で女性を撮り続けたファッション・フォトグラファーの世界的巨匠ヘルムート・ニュートン。2004年にロサンゼルスで自動車事故により不慮の死を遂げた後も、長く人々の記憶に残り続けている写真家のひとり。そしてシャーロット・ランプリングといえば、脇役で映画デビューしてから数年後、ルキノ・ヴィスコンティ監督に見初められ『地獄に堕ちた勇者ども』(69)に出演、その後、リリアーナ・カヴァーニ監督作の『愛の嵐』(73)で脚光を浴び、そのスキャンダラスな役柄から大センセーションを巻き起こした。撮影当時は20代半ばを過ぎたころで、自身のイメージを探っていた時期だったという。フランス・アルルのノールピニュ・ホテルで行われた撮影では、ランプリングもニュートンもお互いにヌード撮影は初だったという。「私はどこか反抗的だったと思う。近づかないで、干渉しないで、という態度をとっていた」というランプリングだが、撮影が始まるとニュートンの作り上げたイメージのなかで、新しい自分のイメージを作り上げる自由と楽しさに気づいたという。そのときのヌード写真は、いまふり返っても「私の写真の最高傑作」だと言い切る。映画では、ランプリングのほかに、大女優と名監督を父母にもつデヴィッド・リンチ作品でも有名なイザベラ・ロッセリーニや、英国貴族の生まれで歌手でもあるマリアンヌ・フェイスフル、グレイス・ジョーンズ、ハンナ・シグラといった女優たちが登場し、ニュートンとの時間をふり返る。自由で自立した女性たちが毅然とした態度で語る姿からは、ニュートンの人となりが浮かび上がると同時に、いまは亡きニュートンが彼女たちの何に惹かれて被写体としていたのかも伝わってくるようだ。『ヘルムート・ニュートンと12人の女たち』は12月11日(金)よりBunkamura ル・シネマ、新宿ピカデリーほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ヘルムート・ニュートンと12人の女たち 2020年12月11日よりBunkamura ル・シネマ、新宿ピカデリーほか全国にて公開© Foto Helmut Newton, Helmut Newton Estate Courtesy Helmut Newton Foundation
2020年12月13日3月2日(月)放送の日本テレビ「映画天国」では、『郵便配達は二度ベルを鳴らす』や『若者のすべて』など数々の名作で知られる名匠ルキノ・ヴィスコンティ監督の『ベニスに死す』をオンエアする。1906年にイタリア・ミラノの貴族の家に生まれ、1942年に『郵便配達は二度ベルを鳴らす』で映画監督デビュー。その6年後には『揺れる大地』を発表。『ベリッシマ』『夏の嵐』、ドストエフスキーの小説を映画化した『白夜』などを世に送り出すと、アラン・ドロンらを起用した『山猫』ではカンヌ映画祭のパルム・ドールに輝き、『熊座の淡き星影』ではヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。1967年にはカミュの『異邦人』を映画化するなど、映画史に残る名作の数々を生み出してきたヴィスコンティ監督。彼が1971年に製作したのが本作となる。ドイツの高名な老作曲家アッシェンバッハ(ダーク・ボガード)は静養のために赴いたベニスで、究極の美を体現したような美少年タージオ(ビョルン・アンドレセン)に出会う。ゆるくカールした金髪と澄んだ碧眼の瞳。まるでギリシャ彫刻のようなタージオにアッシェンバッハは次第に心を奪われてゆく…というストーリー。アッシェンバッハ役には『召使』『ダーリング』で英国アカデミー賞に、『わが恋は終りぬ』ではゴールデングローブ賞にノミネート、ヴィスコンティ作品には本作のほか『地獄に堕ちた勇者ども』にも出演しているダーク・ボガード。タージオ役には本作への出演で一躍アイドル的な人気を博し、日本でも熱狂的なファンを生んだビョルン・アンドレセン。またタジオの母役で『デューン/砂の惑星』などのシルヴァーナ・マンガーノも出演する。映画天国『ベニスに死す』は3月2日(月)深夜25時59分~日本テレビで放送。(笠緒)
2020年03月02日イタリア発の高級文具ブランド「ピネイダー(Pineider)」の日本取扱が、2018年9月下旬より全国の百貨店および筆記具専門店でスタートする。1774年にイタリア・フィレンツェで創業した「ピネイダー」は、ファインペーパー発祥の高級筆記具ブランド。19世紀には高級筆記具とレザーアイテムも発表し、現在ではその3つの製品群を柱として展開している。古くはナポレオン一世、ルキノ・ヴィスコンティ、マレーネ・ディートリッヒなど、特にヨーロッパの文学や演劇の歴史を代表する人物がその顧客に名を連ねており、現在でもデザイナーや各界で活躍するセレブリティから高い支持を得ている。ファインペーパー類は、豊富なカラーバリエーションが魅力のグリーティングカードや封筒等を展開。透かし加工や、コットン繊維を多く含有する紙に行う縁取りの染色などをイタリアの職人が手作業で行っており、カード装飾の工程で手彫りの加工を行う数少ないメーカーの一つとしても知られている。高級筆記具もまた、ブランドを代表するアイテム。純度の高いプレシャスレジン(高級樹脂)を磨き上げることで生まれる、一点ずつ模様の異なる万年筆やボールペンは、イタリアらしい華やかなカラーが魅力だ。日本では順次展開予定となっているレザーアイテムも、フィレンツェの革加工の伝統を受け継ぎ職人が仕上げる、機能性と耐久性を第一に考えたデザインの数々が用意されている。【概要】「ピネイダー(Pineider)」日本取扱開始時期:2018年9月下旬取扱店舗:全国の百貨店および筆記具専門店価格例:ル・プティボックス(カードと封筒 各10枚入り) 4,500円+税、ラ・グランデ・ベレッツァ・ジェムストーン 万年筆 60,000円+税、アヴァター 万年筆 32,000円+税※レザーアイテムは順次展開予定【問い合わせ先】DKSH ジャパン カスタマーサービスTEL:03-5441-4515(土日祝日を除く 10:00〜17:00)
2018年09月01日ミラノと言えば、日本のイタリアンレストランで目にするミラノ風リゾットやミラノ風サラダなどの“ミラノ風”メニューだったり、全国各地にある映画館の名前にミラノが入っていたり、日々の生活のなかでよく見聞きしている名称です。そして旅におけるイタリアの都市ミラノと言えば、やはりオペラハウスの最高峰として君臨するスカラ座。今回ピックアップするのは、そのスカラ座の歴史をたどるドキュメンタリー『ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿』です。18世紀に誕生したスカラ座の240年の歴史をふり返りながら、2014/2015年シーズンの開幕公演「フィデリオ」の準備に追われる劇場スタッフの姿を通しながら、なぜスカラ座がオペラハウスの最高峰であるのか、なぜ特別であるのかを映し出していきます。あまりオペラに馴染みのない人にとっては、次から次へと登場するスカラ座に関わってきた人たちが歴史的に有名な人であっても知らない場合もあると思います。けれどパフォーマンス映像やアーカイヴ映像のなかには──たとえばマリア・カラスやルキノ・ヴィスコンティ、グレース・ケリー、イングリッド・バーグマンなど、映画でもお馴染みの人物も登場。知っている人物が数人いるだけでも興味が湧いてきます。「スカラ座はどういう場所か?」スカラ座で働く人やステージに立つ人たちにその質問すると「美しい場所」「特別な場所」「最高の場所」「大切な場所」「劇場自身が生きている」「私の故郷」…という答えが返ってくるように、102分のこのドキュメンタリーを観終わる頃には、もっとオペラについて知りたい、観てみたい、できることならスカラ座に行ってみたい!と心を奪われているはず。オペラ好きはもちろん、初心者にとってオペラの入口となる絶好の1本です。(text:Rie Shintani)(text:Rie Shintani)
2016年12月27日オスカー女優ナタリー・ポートマンの夫で振付師のバンジャマン・ミルピエの“挑戦”に密着した『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』と、音楽史に輝く偉人たちに愛された世界最高峰のオペラハウスに迫る『ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿』という、世界二大劇場を描くドキュメンタリーが共に12月23日(金・祝)より公開される。年の瀬は、目にも耳にも美しい優雅な映画を見て、気持ちよく新しい1年を迎えたいもの。そんな気分にピッタリな、厳かで豪華絢爛の世界二大歌劇場のドキュメンタリーには、オペラやクラシック・バレエ好きはもちろんのこと、ふだん「ちょっと敷居が高いな」と感じている人にもオススメの貴重映像が満載となっている。まず、『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』は、『ブラック・スワン』でも知られるバンジャマン・ミルピエが、バレエの殿堂パリ・オペラ座において新作を完成させるまでの40日間に密着する。ミルピエはニューヨーク・シティ・バレエ団でキャリアを積んだ後、2013年、錚々たる有力候補を押しのけ、史上最年少でオペラ座の芸術監督に大抜擢された。団内の階級制度を否定し、初めて黒人ハーフダンサーを主演に起用するなど、伝統ある名門に大胆な変化をもたらしていくが、ダンサーの怪我やストライキ、衣装の不具合など次々にトラブルが襲い掛かる。果たして、公演は無事に初日を迎えられるのか――?伝統と革新のせめぎ合いに挑んだミルピエが見出した、次世代スターダンサーたちの躍動的な演技は息をのむほどに美しい。また、ともに公演を創り上げる気鋭のクリエイターやスタッフたちの仕事ぶりも丹念に描かれ、開幕に向けた興奮と喜びを鼓舞していく1作となっている。さらに、『ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿』は、母国イタリアはもとより、世界中から称賛と羨望を集めるオペラハウスの歴史と、現在の活動の両方を同時に体感することができるアート・ドキュメンタリー。「シーズン初日」に向けて働く劇場スタッフ、アーティスト、劇場幹部などが臨場感たっぷりに紹介され、実際にオペラ公演を訪れたとしても知ることのできない貴重な“舞台裏”が満載。合間には、スカラ座の歴史的なエピソードが、俳優による再現ドラマと、実際のアーティストによる舞台映像、インタビューを使って語られ、240年に及び偉人たちと共に創り上げられてきた「伝説」が生まれる瞬間に、時空を超えて立ち会うことができる。劇場に縁のある芸術家たちには、ジュゼッペ・ヴェルディ、ジャコモ・プッチーニ、アルトゥーロ・トスカニーニ、マリア・カラス、ルキノ・ヴィスコンティ…と枚挙にいとまがないほどの豪華な顔ぶれ。なぜ、スカラ座はこれほどまでに人々を魅了し、世界最高峰のオペラハウスになりえたのか、本ドキュメンタリーはその秘密にも迫っていく。『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』『ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿』は12月23日(金・祝)よりBunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2016年12月18日映画『ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿』が、2016年12月23日(金・祝)よりBunkamuraル・シネマ他全国ロードショー。240年もの歴史に彩られた、イタリア・オペラの最高峰とされる歌劇場「ミラノ・スカラ座」。ジュゼッペ・ヴェルディ、アルトゥーロ・トスカニーニ、ルキノ・ヴィスコンティといった偉人たちと結びついた伝説は長年受け継がれ、今日に至るまで神聖さを保ち続けている。スカラ座の魅力は、オペラ発表の場に留まらず、人気ダンサーを生み出すバレエ団・バレエ学校を併設するほか、管弦楽団や合唱団の公演も行われ、芸術の殿堂として名高い。本作では、出演者の練習風景や準備に追われるスタッフの様子から、歴史的な建物の外部と内部、歌劇場の構造設備を鮮明な映像で紹介。また「スカラ座」とゆかりのある著名人のインタビューや貴重なアーカイブ映像も交えている。撮影監督は『グレート・ビューティー/追憶のローマ』のルカ・ビガッツィが担当。予告編では、音楽監督のダニエル・バレンボイム、バレエダンサーのロベルト・ボッレ、世界三大テノール歌手のプラシド・ドミンゴらが登場し、「この劇場は生きている」「その美しさは格別だ」と、口々にスカラ座への賛辞を重ねていく。映像の中盤では、煌びやかな衣装に身を包み、微笑む伝説の歌姫マリア・カラスや、モナコ公妃グレース・ケリー、革命的指揮者のアルトゥーロ・トスカニーニの姿も捉えられ華々しい仕上がりだ。【作品詳細】映画『ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿』公開日:2016年12月23日(金・祝)よりBunkamuraル・シネマ他全国ロードショー原題:Teatro alla Scala : The Temple of Wonders2015年/イタリア映画/102分/配給:コムストック・グループ©Rai Com - Skira Classica - ARTE France - Camera Lucida Productions 2015
2016年11月14日20世紀最高の歌姫(ディーヴァ)、マリア・カラスをはじめ、音楽史に燦然と輝く偉人を世に送り出してきたオペラハウスの最高峰、“ミラノ・スカラ座”。いまなおイタリア・オペラの代名詞的存在として栄華を紡ぐ歌劇場の「全貌」を鮮やかに紐解くアート・ドキュメンタリー『ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿』が、12月より公開されることになった。240年もの歴史に彩られた、イタリア・オペラの最高峰とされる歌劇場“ミラノ・スカラ座”。ジュゼッペ・ヴェルディ、アルトゥーロ・トスカニーニ、ルキノ・ヴィスコンティといった、数々の偉人たちと切り離しがたく結びついた伝説は長年受け継がれ、今日に至るまで神聖さを保ち続けている。50年代には、ヴィスコンティ演出による『椿姫』で劇場に記録的収益をもたらした、スカラ座屈指のスター、マリア・カラスが生まれ、全盛期を迎える。オペラだけでなく、数多くの人気ダンサーを生み出すバレエ団・バレエ学校を併設するほか、管弦楽団や合唱団の公演も行われ、まさしく「芸術の殿堂」としての名声を欲しいままにする、スカラ座の“すべてに迫る――。本作は、出演者の練習風景や、シーズンを迎える準備に追われるスタッフの様子から、伝説を生み出した歴史的な建物の外部と内部、歌劇場の構造設備を鮮明な映像で紹介するほか、リッカルド・ムーティ、プラシド・ドミンゴ、ロベルト・ボッレなど、スカラ座とゆかりのある著名人のインタビューや貴重なアーカイブ映像で綴られるドキュメンタリー。アカデミー賞外国語映画賞に輝いた『グレート・ビューティー/追憶のローマ』の撮影監督ルカ・ビガッツィによる圧巻の映像美も、大きな見どころの1つだ。指揮者で総監督のダニエル・バレンボイムに、「この劇場は生きている」と言わしめるスカラ座。観客は、いまなお生々しく新たな芸術を育むオペラハウスの“現在”から“過去”を目の当たりにし、時空を超えた歴史の旅へといざなわれていく。オペラ初心者にとっても、格好の歌劇&歌劇場ガイダンスであり、芸術の創造の記録となるだろう。『ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿』は12月、Bunkamura ル・シネマほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年09月22日『羊たちの沈黙』のジョナサン・デミ監督が、「身震いする緊張感、戦慄の映画」と評し、2015年ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門で監督賞と初長編作品賞を受けた映画『シークレット・オブ・モンスター』。このほど、本作で独裁者=“モンスター”の幼少期を演じた新星トム・スウィートの場面写真が大量解禁。予告編の解禁以来、その天使のような容姿に、SNS上で多くの女性陣から「可愛過ぎる!!」との声が上がった美少年俳優のさまざまな姿が明らかになった。1918年。ヴェルサイユ条約締結を目的にフランスに送り込まれた米政府高官。彼には、神への深い信仰心をもつ妻と、まるで少女のように美しい息子がいた。しかし、その少年は終始何かに不満を抱え、教会への投石や部屋での籠城などを繰り返し、不可解な言動の数々に両親は頭を悩ませていた。次第に、少年の性格は恐ろしいほど歪み始め、ようやくヴェルサイユ条約の調印を終えたある夜、ついに彼の中の怪物がうめき声を上げた――。本作は、ジャン=ポール・サルトルの短編小説「一指導者の幼年時代」から着想を得て、アメリカから来た政府高官の幼い息子が、やがて狂気のモンスター=“独裁者”へと変貌してしまうまでの謎に迫る驚愕の心理ミステリー。キャストには、『アーティスト』『ある過去の行方』のフランスの実力派女優ベレニス・ベジョや、『ニンフォマニアック』『ハイ・ライズ』のステイシー・マーティン、『ディーン、君がいた瞬間』『トワイライト』シリーズのロバート・パティンソン、「ゲーム・オブ・スローンズ」の“玉葱の騎士”ダヴォス役のリアム・カニンガムと豪華キャストが集結。そんな中、本作で映画デビューを果たしたのが、トム・スウィートだ。ルキノ・ヴィスコンティの『ベニスに死す』(’71)の美少年を彷彿とさせるだけでなく、常に不満の中にいる未来の独裁者という難役を完璧に演じて、その天才子役ぶりをアピール。今回は、アート作品のように美しい場面写真16点とともに、5枚セットになったムビチケカード購入特典のポストカードの絵柄も一挙に解禁。カメラに向かって挑戦的な視線を送る写真や、憂鬱な表情の写真、はたまた無防備に眠り込んでいる少年らしい写真など、トム・スウィートの魅力が詰まったものばかり。ほかの登場人物たちが少年に戸惑いの表情を浮かべる姿も収められており、その怪物ぶりが気にならずにいられない場面写真となっている。『シークレット・オブ・モンスター』は11月、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年09月19日イタリアが生んだ孤高の巨匠ルキーノ・ヴィスコンティ監督の生誕110年&没後40年を記念し、彼の代表作2作を上映する「ヴィスコンティと美しき男たち~アラン・ドロンとヘルムート・バーガー~」。ヴィスコンティに寵愛された2人のイタリア美男の姿が最高画質で蘇る特集上映で、特にヨーロッパの“最も美しき王”を描いた『ルートヴィヒ』のデジタル修復版は今回が日本初上映。しかも、ディズニーランドのシンデレラ城のモデルとなった、“世界で一番行きたいお城ランキング”1位に輝くノイシュヴァンシュタイン城を舞台にしている。『ルートヴィヒ』は、美貌の王として知られた第4代バイエルン国王ルートヴィヒII世の狂気と官能を豪華キャストと全編オールロケで壮大に描く、237分の豪華絢爛超大作。18歳で国王に即位したものの、オーストリア皇后エリザベートへの恋は叶わず、心酔する音楽家ワーグナーにも想いが通じず、芸術と孤独に逃避していくルートヴィヒII世。本作は、理想と現実に引き裂かれ、失意と孤独に生きた国王が40歳で謎の死を遂げるまでを重厚に描き出す。ヴィスコンティの『地獄に堕ちた勇者ども』『ベニスに死す』に続く「ドイツ三部作」最終章を飾る傑作として知られる本作。酷寒のドイツ、オーストリア・ロケがたたった彼は、一度は血栓症に倒れるも、執念で回復、約240分の作品として完成させたが、劇場では契約によりやむを得ず185分に編集したものが公開された。ヴィスコンティの死後、当時のスタッフが本人の意図に限りなく近い形で237分の作品に復元させた。ルートヴィヒII世といえば、ワーグナーのパトロンとして知られ、音楽、芸術、建築に浪費に次ぐ浪費を繰り返し、“狂王”とも呼ばれたほど。特に、城の建築に夢中になり、ヴェルサイユ宮殿を模したヘレンキームゼー城、大トリアノン宮殿、リンダーホーフ城など、数々の有名な城を建設。中でも、東京ディズニーランドのシンデレラ城のモデルとなったといわれ、世界最大級の米旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」による“死ぬまでに行きたい世界のお城ランキング”や、日本有数のランキングサイト「ランキングシェア」にて“一度は行ってみたい!世界のお城ランキング”の1位に輝くノイシュヴァンシュタイン城は、いまでは観光地として大人気。本作の舞台としてもふんだんに使用され、その豪華で耽美な雰囲気は劇中でもたっぷりと堪能できる。また、主演のヘルムート・バーガーが演じた孤高の王は、妖しく光を放つ月のような狂気を帯びて、観客を陶酔の世界へと導くはずだ。一方、もう1本の『山猫』も、4K修復版での劇場公開は日本初。アラン・ドランが演じた若きシチリアの貴族は、混沌する時代の変動期に太陽のように人々を魅了。全編の約3分の1を占める大舞踏会シーンは、撮影に36日間を費やし、メインキャスト20人のほか、実際のシチリア貴族を含む240人のエキストラが参加、映画史上の伝説の1つとして数えられている。衣装、細部の調度品にいたるまで、全てにヴィスコンティの美意識によって選び抜かれた本物が使用された『山猫』は、あのマーティン・スコセッシも「私たちの最高の宝物が返ってきたのだ。その完全なる美しさをまとって」とコメントを寄せており、スコセッシが設立した「ザ・フィルム・ファンデーション」と「グッチ(GUCCI)」の資金提供により、退色と損傷の激しかったフィルムが1万2,000時間かけて4Kにて修復されている。まるで夢のようなお城や舞踏会…。その優美で絢爛な世界観の中で、イタリアを代表する美しき男たちと巨匠の細微にいたるまでの美へのこだわりを堪能してみては。「ヴィスコンティと美しき男たち~アラン・ドロンとヘルムート・バーガー~」『山猫 4K修復版』『ルートヴィヒ デジタル修復版』は、5月14日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2016年05月10日ルキーノ・ヴィスコンティ生誕110年没後40年を記念した特集上映「ヴィスコンティと美しき男たち〜アラン・ドロンとヘルムート・バーガー〜」が、2016年5月14日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMA他にて全国で順次開催される。イタリア貴族文化の洗練に育まれ、独自の美学で唯一無二の作品を遺したルキーノ・ヴィスコンティ。フランシス・フォード・コッポラ、ベルナルド・ベルトルッチ、マーティン・スコセッシらにも大きな影響を与えている、映画史に燦然と輝く孤高の巨匠だ。今回は、ヴィスコンティ作品の中でも抜きん出た人気を誇る『山猫』と、ヨーロッパでもっとも美しき王の孤独と狂気を描いた『ルートヴィヒ』の2本が、現代最高の技術で甦った圧巻の映像でスクリーンに映し出される。4K版の『山猫』は、イタリアを代表するブランド、グッチ(GUCCI)の支援により、マーティン・スコセッシ率いるザ・フィルム・ファンデーションが1万2千時間をかけて修復したもので、『ルートヴィヒ』もデジタル修復版は日本初公開となる。20世紀の映像遺産とされる両作品は、ヴィスコンティによって見出されたふたりの俳優、アラン・ドロンとヘルムート・バーガーが、その最も美しい一瞬を映像に刻み付けた作品でもある。ヴィスコンティの世界を堪能出来る至極の2本を、この機会に是非大スクリーンで鑑賞してみてはいかがだろう。【開催概要】特集上映「ヴィスコンティと美しき男たち〜アラン・ドロンとヘルムート・バーガー〜」公開日:2016年5月14日(土) YEBISU GARDEN CINEMA他にて全国で順次公開上映作品:『山猫 4K 修復版』(原題:IL GATTOPARDO)『ルートヴィヒ デジタル修復版』(原題:LUDWIG)上映劇場:東京 YEBISU GARDEN CINEMA北海道 札幌シアターキノ愛知 名演小劇場大阪 シネ・リーブル梅田兵庫 神戸アートビレッジセンター京都 京都シネマ広島 サロンシネマ/シネツイン福岡 KBCシネマ熊本 Denkikanほか※公式Facebookページ(にて随時情報更新
2016年04月17日『まぼろし』(’01)『スイミング・プール』(’03)とフランスの鬼才フランソワ・オゾン監督作に相次いで出演し、久々の主演作品となった『さざなみ』(原題:『45 Years』)で自身初の米国アカデミー賞「主演女優賞」にノミネートされた英国の大女優シャーロット・ランプリング。2月5日に70歳の誕生日を迎える彼女は、今年、女優生活51年目に突入した。数々の巨匠たちに愛され、先日のノミネートの際にはグザヴィエ・ドランやオゾン監督も祝福ツイートを贈ったという、元祖“クールビューティー”の軌跡に迫った。映画『さざなみ』は、結婚45周年の記念パーティを控えた、ある熟年夫婦の物語。土曜日に結婚記念パーティを控えたジェフとケイト。だが、月曜日に1通の手紙が届いたことで、彼らの土曜日までの6日間は、それまで45年の結婚生活を大きく揺るがしていく。山岳事故で死んでしまったかつての夫の恋人の存在が、突如として夫婦の関係に入りこんできたとき、夫は過去の恋愛の記憶を日毎に蘇生させ、妻は存在しない女への嫉妬心を夜毎、重ねていく。それはやがて、夫へのぬぐいきれない不信感へと肥大していくのだった…。夫婦が重ねた45年とはいったい何だったのか?長い年月は互いの不信や嫉妬の感情を乗り超えることはできないのか?男女の結婚観、あるいは恋愛観の埋められない溝と決定的な違いという普遍のテーマを、本作は突きつけていく。いまなお、多くの女性誌に特集されるその変わらぬクールビューティーな美貌や、幾多の男性遍歴と2度の結婚、著名なビジネスマンと15年以上婚約状態でありながらも結婚する意志はないという結婚観など、自立した女性として多くの女性から支持され続けるシャーロット・ランプリング。1946年、イングランド・エセックス州スターマー生まれ。1965年、ロンドンで秘書の仕事の傍ら、ファッションモデルをやっていたシャーロットは、当時まだ無名だったジェーン・バーキンやジャクリーン・ビセットらと青春コメディ『ナック』で女優デビューを果たす。翌年、変わり者の女性を演じた『ジョージ・カール』(’66)では、次世代スターとして取り上げられた。その後、ロンドンのロイヤル・コート・シアターで演技を本格的に学び、イタリアの巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督に見出され『地獄に堕ちた勇者ども』(’69)に出演、退廃的な魅力を発揮し世界中から注目の的となると、女流監督リリアーナ・カヴァーニのもと演じた『愛の嵐』(’73)で、華奢な裸にサスペンダー、ナチ帽をかぶった姿でバレエを踊るという妖艶なシーンを披露し、世界中に衝撃を与えた。1985年には、故・大島渚監督の『マックス、モン・アムール』(’86)にチンパンジーに恋をする人妻役で出演し日本でもその名を轟かせることに。映画以外でも、ファッションフォト界の巨匠ヘルムート・ニュートンの撮影で芸術ヌードも発表したことも。そして、2000年代に入ると、オゾン監督の『まぼろし』『スイミング・プール』に主演し、円熟味を帯びた凄みのある演技を見せ、最旬若手女優とも絶妙な化学反応を起こし再び注目を集めた。そして、カズオ・イシグロ原作の『わたしを離さないで』、ラース・フォン・トリアー監督の『メランコリア』、オゾン監督の『17歳』などの出演を経て、久々に『さざなみ』で主演。さらなる成熟の域に達した千変万化のニュアンスを含んだ演技で、ベルリン国際映画祭「銀熊賞(女優賞)」をはじめ、ヨーロッパ、アメリカ各地賞で主演女優賞を獲得。70歳を迎える今年、初めてアカデミー賞にもノミネートされた。“多様性に欠く”と批判を受けている今回のアカデミー賞についても、その率直な発言が曲解されてしまい注目を集めたが、彼女の満を持してのノミネートには異論を唱える人はいないだろう。『さざなみ』は4月よりシネスイッチ銀座ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年02月05日イヴ・サンローラン(Yves Saint-Laurent)の激動の10年間を描いた映画『SAINT LAURENT』が、邦題を『サンローラン』として12月4日より日本公開される。20世紀のファッション界を席巻し、“モードの帝王”と呼ばれたサンローラン。同作では、“モンドリアン・ルック”や“スモーキング”で世界的に大ブレイクした直後である67年からの激動の10年間が描かれる。徹底的に美を追求しながらも、サンローランの心が満たされることはなかった。華麗な成功の裏に隠された、命を削るほどの創造の苦しみとスランプ。公には一切語られることのなかった彼の真実の姿が描き出される。天才デザイナーの喝采と孤独をフェロモンたっぷりに熱演したのは、人気実力派俳優のギャスパー・ウリエル(Gaspard Ulliel)。その他、『アデル、ブルーは熱い色』でカンヌ国際映画祭で一躍注目を集め、『007 スペクター』でボンドガールにも抜擢された女優レア・セドゥ(Lea Seydoux)、名匠ルキノ・ヴィスコンティ (Luchino Visconti)に愛されたヘルムート・バーガー(Helmut Berger)など、“近年最高のキャスティング”と話題になるほどの豪華キャストが名を連ねている。14年のカンヌ国際映画祭のコンペ部門に出品された他、セザール賞では最多となる10部門でノミネート。同年のアカデミー賞にもフランス代表として選出されるなど各所で絶賛を浴び、本国フランスでは大ヒットを記録している。映画『サンローラン』は、12月4日よりTOHOシネマズシャンテ他全国にて順次公開。
2015年10月05日アレッサンドロ・デラクア(Alessandro dell'Acqua)による「ヌメロ ヴェントゥーノ(N°21)」2015-16秋冬ウィメンズコレクションは、まるで映画を編集するかのように、いくつかの異なる要素をハイライトし、イタリアの魅力、色気をユニークにコンテンポラリーに物語った。ディテール、素材、アイテムなどあえて予測されないもの同士を組み合わせによって生まれる不一致感を、調和させることを試みたデラクア。カラーパレットのベースとなるのは、ホワイト、ペールピンク、ベージュ、落ち着いたパステルカラー、ブラック、ゴールドなど。ショーの前半に登場したのは、厚手のマニッシュなツイルと、ゴールドに輝くラミネート加工を施した素材によるアイテムの組み合わせ。男性的な精密さと、女性的な煌びやかさ、一見相反するもの同士はミステリアスな色気をまとって新たな女性像を創造する。続いて、タペストリープリントにジャカード刺繍を施し、絵画タッチに仕上げたニットコート、ペンシルスカート、ニットドレスや、木目柄をブラッシュモヘアで表現したセットアップ、コートなど、ビクトリア朝時代を彷彿させるゴージャスなムードを吹き込む。柔らかなペールピンクのシフォンで仕立てられたブラウス、プリーツ加工を施したティアードスカートは、レイヤードによって複雑な色の重なりを見せ、隠す、見せるを絶妙なバランスで保つ。今シーズンのインスピレーション源の一つである、ルキノ・ヴィスコンティの映画『Senso(夏の嵐)』の世界に描かれる豪華でありながらも隠されたセンシュアリティーが表現されているようだ。
2015年03月16日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「ナディッフ」各店がオススメする書籍を紹介します。今回は東京・恵比寿の本店、ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)です。■「Photographer of style」ホルスト・P・ホルストロンドンにあるVictoria&Albert Museumにて、今年1月4日まで開催された大規模写真展に合わせて発行されたファッションフォトグラファー、ホルスト・P・ホルストの作品集。本書では、「ヴォーグ」などに掲載されたファッション写真だけでなく、ココ・シャネルを始めとするファッションデザイナーや、サルバドール・ダリを始めとするアーティスト、映画監督のルキノ・ヴィスコンティなど、交流のあった有名人のポートレート、ヌード、植物写真や、ホルスト晩年の作品である欧米の裕福な家庭の家と庭を撮影したシリーズなど、1930年代から60年代に撮影された彼の幅広い作風を見ることができる。ホルストはドイツ出身。デザインスクールで建築を学び、1929年にパリへ渡りル・コルビュジエの事務所で下働きを始める。その後、様々な出会いを経てファッション誌「ヴォーグ」で写真を撮るようになった。収録された写真は戦間期に撮影されたため、モデルが着用するドレスのデザインに若干の古さを感じるかもしれない。しかし、建築やデザインに造詣があるホルストによる緻密な室内セットで撮影された作品は、いつ見ても美しく新鮮な仕上がりとなっている。【書籍情報】「Photographer of style」著者:ホルスト・P・ホルスト出版社:Skira言語:英語ハードカバー/336ページ/247mm×319mm発刊:2014年価格:1万120円
2015年01月08日フェンディ(FENDI)は、6月公開予定のウェス・アンダーソン監督の最新映画『グランド・ブダペスト・ホテル』のために、劇中に登場するコートやアクセサリーを製作した。同作は、ヨーロッパ随一のホテルを舞台に繰り広げるミステリー・エンターテインメント作品。フェンディは、アカデミー賞も受賞した映画衣装デザイナーのミレーナ・カノネロと協力し、エドワード・ノートンや、ティルダ・スウィントンら俳優達の衣装を手掛けた。ノートン扮するヘンケル警部が着るグレーのアストラカンファーミリタリーコートや、スウィントン演じるマダムDのまとうブラックミンクの襟、ラグジュアリーなイタリア製シルクベルベットケープの手描きのディテールと袖などもフェンディのデザイン。フェンディは以前にもルキノ・ヴィスコンティ監督『家族の肖像』のシルヴァーナ・マンガーノやアラン・パーカー監督『エビータ』のマドンナなどの衣装を手掛けている。フェンディのチェアマン兼CEOのピエトロ・ベッカーリは「イタリア、ヨーロッパ、そしてアメリカで製作される映画のために思い出に残る衣装を作るのは、フェンディのDNAと歴史に根ざしたもの」とコメントを発表している。
2014年03月24日“女が憧れる女”っていますよね。仲良くなりたいとか、あんな風になりたいとか、そんな単純な話ではなく、とにかく惚れ惚れするほどカッコイイ女。私にとって、ティルダ・スウィントンもその一人。クールビューティの代表格で、ちょっと怖そう。男に対しても、女に対してもまったく媚がない。面白くなければ笑わない。でも、その様子はエ○カ様みたいに不躾な感じでは決してなく、極めてエレガントです。もちろん仕事についても、役選びの渋さといったら映画好きにはたまりません。『カラヴァッジオ』『エドワードII』『オルランド』『BLUE』『ザ・ビーチ』『アダプテーション』『サムサッカー』『ブロークン・フラワーズ』『フィクサー』、そして『ナルニア国物語』シリーズ。いずれも作家性の際立つ作品ばかり。役柄を思い出しても、実に癖のあるものばかり。そのおかげで、登場するだけで場面が引き締まり、緊張感があふれ出す。アンジェリー・ジョリーのクールさとはひと味違い、彼女にはノーブル&インテリの香りが漂います。それもそのはず、スコットランドの名家出身で、ケンブリッジ大学卒業後はロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで演技を学んだサラブレッド。51歳とは思えない隙のない美貌は、“高嶺の花”のような近づきがたさもあります。公私ともに極めてクールな印象ですが、そんな彼女が、ふっと笑うと、「あ、笑った…」と意味もなくこちらまで嬉しくなってしまう。いい女って、そんなものなのでしょうか。そんな彼女がいつにも増して、ぴたりとはまっていたのが新作『ミラノ、愛に生きる』。友人のルカ・グァダニーノと製作に11年をかけて練り上げた作品で、社会という場で作られた考えからの超越がテーマになっています。ティルダが演じるのは、ミラノの富豪・レッキ家の後継者候補に見初められ、イタリアに渡ったロシア人のエンマ。彼女が息子の友人(料理人)と出会い、恋に落ちたことをきっかけに本当の自分へと戻っていくまでを描いています。冒頭のエンマは裕福に暮らし、二人の子供に囲まれ一見恵まれているようではあるものの、表情が乏しいのが気になるところ。そんなエンマのワードローブは、ラフ・シモンズがデザインするジル・サンダー。来日したティルダ曰く「ヒッチコックやルキノ・ヴィスコンティ、パゾリーニといった作家が作り上げたような、エモーショナルで官能的な作品を目指しました。そこで重要になったのが、ジル・サンダーでした」とのこと。本質的で、シンプル。それなのに表情豊か。エンマに寄り添いながらも、彼女の抑えた感情を補足するかのような美しいシルエット、カラフルな色合いの洋服は、役柄と相まって、それは魅力的にエンマという女性を縁取っていました。ジル・サンダーの服と合わせているのは、パールのネックレス(ブラックパールのロングネックレスは特にかっこいい!)や、大ぶりで質のよさそうなダミアーニのジュエリー、そしてエルメスのバッグ。バーキン、ケリー、マサイなどが、あくまでもカジュアルでエレガントな日常使いのバッグとして登場。貴族を筆頭とする特権階級の人々だけに許された金銭的、精神的余裕を感じさせる使い方を見るにつけ、これが正しいエルメス使いというものか…と感心してしまいました。当然、ティルダは素のままでお似合い。物も使い手を選ぶものなのですね。さて、服の話に戻りましょう。ティルダが言っていたように、ジル・サンダーの服は本作で重要な役割を担っていますが、実は、エンマがそれを脱ぎ捨ててからも印象的です。上流階級というしがらみを上質な服を脱ぐように捨て去り、年下の恋人のシャツをまとって別人のような姿を見せるエンマ。その時の美しさは、神々しいほど。きれいに整えられていたロングヘアは無造作なショートカットになり、化粧も施さず、木々に囲まれた場所で愛を交わす。自分に戻ることの心地よさを知り、本当に愛おしい人に巡り合った喜びを知ったことで、生き生きとした官能的な素顔を見せ始めるのです。固い表情ばかりだった顔にはバラ色の赤みがさし、表情は柔らかく優しくなっていくエンマ。思えば、年下の恋人と絡むシーンでは、恋仲になる以前から、ほかでは見せないキュートな笑顔を見せていました。特に、彼の作った料理を口にしたときの官能の表情も素敵!クールビューティがふと笑った時にこちらがつい感じてしまう幸福感を、ここでも味わうことができるのです。つまり、彼女が本物の愛を知って身に着けたのは、何も補う必要のないほどの最上の美。もはや上質なアイテムは必要なし。究極のシンプルから究極の洗練を生むと評判のジル・サンダーも、こうなるともはや手は出せません。ジル・サンダーに身を包み、エルメスを普段使いするクールビューティのエンマをかっこいいと思いながらも、やはり、すっぴんでノーブランドのシャツを嬉しそうに身に着けているナチュラルビューティのエンマの方が素敵だと思ってしまった私。物質的には決して補えない幸せがこの世にあり、それを手にした者は無敵なのだと改めて教えられる作品です。(text:June Makiguchi)■関連作品:ミラノ、愛に生きる 2011年12月23日よりBunkamuraル・シネマほか全国にて公開© 2009 First Sun & Mikado Film. All Rights Reserved■関連記事:ティルダ・スウィントン、“衣食住”が華麗なコラボ奏でる新作携え3度目の来日
2011年12月14日『フィクサー』(’07)でアカデミー賞助演女優賞を獲得したティルダ・スウィントンが最新作『ミラノ、愛に生きる』(ルカ・グァダニーノ監督)を携え来日し、10月25日(火)、本作がプレミア上映された東京・千代田区のイタリア文化会館で舞台挨拶を行った。日本の地を踏むのは『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』のPR来日以来、約5年半ぶり3度目。「本当ならもっとたくさん来たい場所なの。日本のファンは私たちが作る少し奇妙な映画にも興味を示し、大切にしてくれるから、まるで“ホーム”にいるような感覚なのよ」と誰もが見とれる美貌で、笑みを浮かべた。「私にとっては宝物のような作品。普通、映画作りは思い通りにならないものだけど、この作品は奇跡的にすべてが希望通りに仕上がったの」と語る新作『ミラノ、愛に生きる』は、ティルダ演じる富豪夫人・エンマが、息子の友人であるシェフのアントニオとの情事を通して、本来の自分に目覚め、心身ともに解放される姿が描かれる。ティルダはプロデューサーとしても名を連ね、グァダニーノ監督と共に構想期間を含め12年間の歳月を本作に費やした。この日のティルダは、ジル・サンダーの華麗なドレスで登場。実は劇中の衣裳デザインを、同ブランドのクリエイティブ・ディレクターを務めるラフ・シモンズが担当しており、「ヒッチコックやルキノ・ヴィスコンティ、(ピエル・パオロ・)パゾリーニといった作家が作り上げたような、エモーショナルで官能的な作品を目指したの。そこで重要な要素となったのが、ジル・サンダーだったの」とティルダ。劇中で、ティルダが着こなす数々のコレクションは大きな見どころだ。また、愛人となるシェフが調理する料理も物語のカギ。例えば、彼が作る「甘酢ソースの海老とカポナータ」がエンマの中に眠る官能を目覚めさせる…そんなシーンも見せ場になっている。さらに舞台となるミラノの美しさは必見。ティルダ自身も「とても特別で愛すべき街なの。スコットランド育ちの私にとっては、エキゾチックな地だし、友人もたくさんいるわ」とその魅力を語っていた。エンマが暮らす豪邸内の調度品(シャンデリアやタペストリー、羽目板張りの壁、絵画や彫像などなど)にも思わずウットリするはず。まさに“衣食住”が華麗なコラボレーションを奏でる作品に仕上がったのだ。「映画が描くテーマは、“愛の革命”ね。それまでアバター(仮の姿)で生きてきた女性の人生が変わる瞬間を見てほしい。自然や愛、そして人生といったお金では買えない豊かさを描いているわ」と熱っぽく語るティルダ。知的でクールな表情の中に、映画に対する情熱があふれ出していた。『ミラノ、愛に生きる』は12月23日(金・祝)から渋谷Bunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開。■関連作品:ミラノ、愛に生きる 2011年12月23日よりBunkamuraル・シネマほか全国にて公開
2011年10月25日8月8日(土)の公開が決まった映画『ココ・シャネル』。前回ご紹介した『ココ・アヴァン・シャネル』が、シャネル王国を築くきっかけとなった最初の成功まで、つまりガブリエルの半生を綴ったものでした。対してこちらは、すでに有名となり、第二次世界大戦後、15年の沈黙を破って復帰しようとする70歳のココ・シャネルが、自らの人生をふり返るというスタイルをとっています。子供時代から、成功した後まで一気にふり返るので、やや急ぎ足の印象も。『ココ・アヴァン・シャネル』に比べて、当然ながら濃度は薄め。でも、シャネルについて伝記を読むようにいろいろ知りたいと思ったら、まずはこちらから観るのがおすすめです。公開時期も、シャネル関連映画の中で最も早いことですし。本作の比類ないところは、伝説の女優シャーリー・マクレーンが、伝説のデザイナーを演じるところ。服によって、女性の意識、そして女性自身のあり方を因習から解放した歴史的人物。すでに名声を得て、伝説となっている人物を演じるには、それ相応の迫力というものが必須となりますが、マクレーンなら文句なし。自らの人生をふり返るシャネルが、要所要所で入れるコメントが、解説を加えているようにも感じられ、現代にも強い影響を与えている女性像が見えやすく描かれています。もう一本のシャネル関連の話題作は、去る5月に行われた第62回カンヌ国際映画祭のクロージング作品、ヤン・クーネン監督の『シャネルとストラヴィンスキーシークレット・ストーリー』(原題:Coco Chanel & Igor Stravinsky)です。恋多きココと、彼女が愛し、サポートしたロシアの作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキーとの関係を描いています。見どころは、シャネルの現デザイナーであるカール・ラガーフェルドが直々に手がけたという衣裳。彼のお気に入りで、シャネルの顔としても活躍したアナ・ムグラリスが主演しているのも、あまりに出来すぎ。『ココ・アヴァン・シャネル』も、衣裳はシャネルから協力を受けていますから、さすがはフランス作品と唸らされます。さて、『シャネルとストラヴィンスキーシークレット・ストーリー』に描かれているように、ココは多くの芸術家を無名時代から支えています。ストラヴィンスキーはもちろん、パブロ・ピカソ、ルキノ・ヴィスコンティ、ジャン・コクトーら、『ココ・シャネル』でもその名が登場しています。そんな彼女に敬意を表し、“ピグマリオン”と呼ぶ人もいます。ギリシャ神話に語源を持つ“Pygmalion”とは、才能を信じ、支援して、開花させる人という意味。実は、彼女のピグマリオン精神はいまもブランドの核として息づいています。その典型が、「CHANEL PYGMALION DAYS CLASSICAL CONCERTS」。2005年からスタートしたこのプログラムは、若手音楽家たちを育てるために始まったプロジェクトの一環。今後の成長を見守り、応援していくというもので、シャネル銀座ビルディング4階にある「CHANEL NEXUS HALL」にて、無料で聴くことができます(抽選制)。私も何度か通いましたが、有名な演奏家とは、素人が聴いても明らかに違います。でも、演奏が楽しくてしょうがない気持ち、観客に語りかけようとする姿勢、フレッシュな魅力に満ちあふれていて、今後が楽しみ、頑張ってほしいなという気持ちが湧いてきます。資金で援助できなくても、こういった場に足を運び、演奏家に応援の気持ちを向けるだけでも、きっと意味のある援助となるはず。芸術家にとっても、数多くのLIVEを経験して場数を踏むということは大切なことですから。シャネル銀座ビルディングで体験する、ガブリエルのピグマリオン精神。シャネル関連の映画とともに、ぜひ味わってみてください。シャネル銀座ビルディング(text:June Makiguchi)■関連作品:ココ・シャネル 2009年8月8日よりBunkamuraル・シネマ、TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国にて公開© 2009 ALCHEMY/PIX ALL RIGHTS RESERVED.シャネル&ストラヴィンスキーシークレット・ストーリー 2010年、シネスイッチ銀座、Bunkamura ル・シネマほか公開ココ・アヴァン・シャネル 2009年9月18日より全国にて公開© Haut et Court - Cine@ - Warnerbros. Ent. France et France 2 Cinema■関連記事:世界で最も有名なデザイナー、伝説の物語『ココ・シャネル』イベント付き試写会に10組20名様をご招待ファッション小噺vol.108現役ミューズが演じる“シャネル”伝説世紀のデザイナーを熱演オドレイ「知られざるシャネルの喜びや悲しみを伝えたい」オドレイ・トトゥ&シャーリー・マクレーンそれぞれのシャネルが映す女の生きざま
2009年07月10日