はじめに生命保険は「助け合い」「相互扶助」の仕組みを商品化したものといえます。助け合いの制度を維持する上で重要なことは、加入者がリスク(年齢や健康状態等)に応じた保険料を支払う公平性の確保と、契約した生命保険の保障を長期にわたって維持していくことです。以下、生命保険の仕組みを理解する上で必要となる3つの予定率、「予定死亡率」「予定利率」「予定事業費率」についてみていきます。予定死亡率とは過去の統計に基づき、性別や年齢別の死亡者数(生存者数)を予測して、将来の保険金支払にあてるための必要額を算出する際に用いられるのが予定死亡率です。予定死亡率は、大数の法則に基づいて計算されます。予定死亡率は、男女別では男性が高く、年齢別では年齢が高いほど高くなります。同額の保障で比較した場合、保険料は、死亡保険では同じ年齢ですと男性が女性に比べ高くなります。逆に個人年金保険では、女性の方が男性に比べて長生きし、多くの年金を受け取る可能性が高いので、保険料は女性の方が高く設定されます。予定利率とは保険会社は、加入者から集めた保険料を将来の保険金支払に備えて運用する時に、保険会社が得られる収益をあらかじめ見込んだ上、その分を保険料から割り引いています。その割引率を予定利率といいます。同額の保障(保険金や給付金)で比較した場合、予定利率が高い保険の方が予定利率の低い保険に比べて保険料を低くすることができます。予定利率は、保険会社が加入者から受け取った保険料を、主に国債等の債券を中心に運用するため、世の中の金利の動向に左右されます。運用が予定利率を上回るほど保険会社の利益は増えます。逆に運用が予定利率を下回ると保険会社の負担になります。学資保険や養老保険、個人年金保険等、満期金や給付金のある保険や、解約返戻金のある終身保険等は、予定利率の高低が保険料の設定に大きく影響する生命保険です。また、利差配当付の生命保険では、運用が予定利率を上回ると、加入者に配当金が支払われます。予定事業費率とは生命保険会社では、契約の締結、保険料の収納、契約の維持管理や社員の給料等、事業運営に必要な諸経費をあらかじめ保険料に組み込んでおり、その割合を予定事業費率といいます。予定事業費率は、定期保険や終身保険等といった保険の種類の違いより、保険会社の販売体制(店舗中心、通販、ネット専業等)が大きく影響します。一般的に、従来の保険会社の予定事業費率は高く、ネット専業は低く設定されます。以上、生命保険の仕組みについて、3つの予定率の内容と、生命保険の種類と予定率の関係についてみてきました。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年11月11日東京大学は9月16日、ダウン症脳でアストロサイトという細胞の数が多くなる異常が起こる仕組みを発見したと発表した。同成果は同大学大学院理学系研究科附属遺伝子実験施設の倉林伸博 助教と眞田佳門 准教授らの研究グループによるもの。9月15日に欧州分子生物学機構の学術誌「EMBO reports」オンライン版で発表された。ダウン症脳では神経細胞の数が少なくなると同時に、アストロサイトの数が多くなることが知られている。これは21番染色体の数が2つではなく3つあることで、21番染色体上にある遺伝子の発現量が1.5倍になることが原因とされる。しかし、どの遺伝子の発現量が多くなることでアストロサイトが増加するのかはわかっていなかった。同研究グループは、ヒト21番染色体上の約88遺伝子に相当する遺伝子が3つに増えているマウス(ダウン症モデルマウス)においては、神経前駆細胞からアストロサイトが誕生しやすくなっていることを発見。アストロサイト分化におけるヒトの21番染色体上の遺伝子の影響を調べた結果、DYRK1Aというタンパク質リン酸化酵素を見出した。そこで、DYRK1A遺伝子をマウス胎児脳の神経前駆細胞に導入したところ、DYRK1Aが通常の1.5倍程度に過剰発現された場合に、神経前駆細胞の働きが改変され、アストロサイトが生み出されやすくなった。反対に、同遺伝子の発現量を減少させるとアストロサイトが生み出されやすいという現象が緩和されたという。さらに、ダウン症モデルマウスの脳では、アストロサイト分化に重要な役割を持つ転写因子STAT3の働きが異常に活性化しており、それにDYRK1Aの過剰発現が影響していることがわかった。これらの結果から、21番染色体上に存在するDYRK1A遺伝子が神経前駆細胞の働きにとって重要な役割を担っており、ダウン症ではこの遺伝子の量が増え、STAT3の働きが異常に亢進することによって、神経前駆細胞が正常に働かなくなることが示された。今後、脳の正常な形成や発達に重要な役割を果たす21番染色体上の遺伝子の正体を明らかにすることで、ダウン症の発症の仕組みが解き明かされ、症状を緩和する治療法の確立につながることが期待される。
2015年09月17日岡山大学は8月18日、イネが籾殻にケイ素を優先的に分配・蓄積するための仕組みを解明したと発表した。同成果は同大学資源植物科学研究所の山地直樹 准教授、馬建鋒 教授らと農業環境技術研究所の櫻井玄 研究員の研究グループによるもので、8月17日付(現地時間)の「米科学アカデミー紀要」オンライン版で公開された。植物は土壌からケイ素を吸収し、葉の表面などにシリカとして沈着させる。このシリカ沈着はさまざまなストレスから植物を保護する働きを持つ。特にイネは多くのケイ素を蓄積する性質があり、その蓄積は米の生産性に極めて重要とされている。イネは蒸散の少ない籾殻に高濃度のケイ素を蓄積する仕組みを持っており、その中で葉と茎の接点である「節」の働きが重要であることがこれまでの研究でわかっている。しかし、その具体的なメカニズムは断片的にしか明らかにされていなかった。今回の研究では、すでに明らかにされているケイ酸を透過する輸送体Lsi6に加えて、ケイ酸を細胞外に排出する輸送体Lsi2とLsi3の計3種類の輸送体タンパク質が節でのケイ酸の分配に協調的に働くことがわかった。具体的には、Lsi6は葉につながる肥大維管束の周縁部にある「木部転送細胞」の導管に面した側面に、Lsi2は肥大維管束を包む細胞層「維管束鞘」の外側面に、Lsi3は肥大維管束と上の節または穂につながる「分散維管束」の間の複数の細胞層に発現していた。このことから、葉へと続く肥大維管束の導管にケイ酸を含む蒸散流が流れ込むと、まずLsi6によって選択的にケイ酸が木部転送細胞に取り込まれ、続いてLsi2とLsi3によって上の節や穂へと続く分散維管束の導管に再び積み込まれる、ケイ酸の「維管束間輸送」が行われていると考えられた。また、「肥大維管束」の肥大による蒸散流の減速、「木部転送細胞」のひだ状構造による表面積と輸送体発現の増加など、「節」の特徴的な構造が効率的な「維管束間輸送」に寄与していることも判明。特に、Lsi2が発現する「肥大維管束」の「維管束鞘」に新たに見出された、細胞間の水や溶質の透過を妨げるバリアーは、Lsi6とLsi2-Lsi3の連携によって「分散維管束」側へとケイ酸を濃縮するために欠かせない堤防の役割をしていることがわかった。このケイ素の分配メカニズムは、他のミネラル元素の分配メカニズムを理解するためも重要なモデルケースになると考えられている。今回の成果をベースに、それらのメカニズムを解明し、各栄養素や毒性元素の殻粒への分配を選択的にコントロールできれば、イネ科作物の生産性や栄養価、安全性の向上が期待できる。
2015年08月19日『ネット広告&通販の第一人者が明かす100%確実に売上がアップする最強の仕組み』(加藤公一レオ著、ダイヤモンド社)の著者は、一貫してネットビジネスを軸としたダイレクトマーケティングに従事してきたという人物。現在は株式会社 売れるネット広告社代表取締役として、やずや、味の素、エーザイ、花王、サンスター、日清食品、ハウス食品、森永乳業、山田養蜂場、ライオン、ロート製薬など大手通販から中小通販まで、企業数を絞った限定コンサルティングを行なっているのだそうです。つまり本書は、そんな経験をもとに、ネット広告で費用対効果と売上を100%確実に上げるノウハウを明かしているわけです。■ポイントは“儲かる仕組み”!ネット通販の世界で売れる決め手は、ずばりネット広告。ただし、ネット広告をやる前に、まずは“儲かる仕組み”をつくることが重要。仕組みができてこそ、広告が生きてくるという考え方です。■儲かる決め手は“3高ルール”では、儲かる仕組みとはなんでしょう?それは、ネットで効率を劇的に上げ、売上を最大化すること。具体的には、次の3つのルールに沿ったプロセスを継続的に行なうことだといいます。(1)高いレスポンス高いレスポンスとは、つまり広告を通じて、多くの見込み客を効率よく集めるということ。他社と比較検討される前に、無料モニター(サンプル・お試し)などを通じて、商品を購入する可能性が高い見込み客リストを入手してしまおうという手法です。(2)高い引上次の段階は、そうして得た見込み客の多くを、実際に注文してくれる既存客へと引き上げること。見込み客は、面倒な申し込みフォームを記入してくれた潜在顧客。そこでメールで「本商品を申し込みませんか?」と徹底的にフォローし、高い確率で商品を購入してくれる既存客に引き上げるわけです。(3)高いリピートネットに限らず、どんな商売においても、売上を最大化するためにも重要なのは高いリピートを実現すること。そこで既存客に何度もリピートしてもらい、固定客にするのがこの最終部分。実際にネットで成功している通販会社は、顧客に何度もリピートしてもらうのだとか。つまり継続的に購入してもらう固定客を増やすことにより、広告費を回収し、膨大な利益を生み出しているということ。すべての基本といえるこの3高ルールからはじまって、以後もネット広告の活用法が克明に明かされています。ネットビジネスに携わる方にとっては、とても参考になる内容だと思います。(文/印南敦史)【参考】※加藤公一レオ(2015)『ネット広告&通販の第一人者が明かす100%確実に売上がアップする最強の仕組み』ダイヤモンド社
2015年06月13日東京大学(東大)は5月27日、一般相対性理論から導き出される重力の基礎となる「時空」が、さらに根本的な理論の「量子もつれ」から生まれる仕組みを計算を用いて解明したと発表した。同成果は、同大国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の大栗博司 主任研究員、カリフォルニア工科大学数学者のマチルダ・マルコリ教授と大学院生らの物理学者と数学者からなる研究グループによるもの。詳細は米国物理学会が発行する学術誌「Physical Review Letters」に掲載された。世界は、「電磁気力」「強い力」「弱い力」「重力」の4つの力が存在しているとされているが、このうち重力を除く3つの力については量子力学を基礎とした理論を用いて統一的に説明できることが分かっていたが、重力も含めて統一的に説明するためには、重力も量子化する必要があった。一般相対性理論では、ある時空に含まれる情報は、その内部ではなく表面に蓄えられるとする原理「ホログラフィー原理」により、量子効果から重力現象の基礎となる時空が生じるとされてきたが、その仕組みはよくわかっていなかったという。今回、研究グループは、量子効果から時空が生じる仕組みの鍵は量子もつれであることを見出し、中でもエネルギー密度のような時空中の局所データが、量子もつれを用いて計算できることが示されたとしており、これにより、量子もつれが重力現象の基礎となる時空を生成することが示されたとする。なお研究グループでは、今回の成果について、一般相対性理論と量子力学とを統一する理論の構築に向けた研究の前進に寄与することが期待されるとコメントしている。
2015年05月28日ソニー銀行はこのたび、6月1日より募集方式の満期日繰り上げ特約付き仕組み預金「円定期plus+」の取り扱いを開始すると発表した。「円定期plus+」は、ソニー銀行の判断により当初定められた満期日を繰り上げることのできる(預け入れ期間が短縮される)特約を付加した仕組み預金で、デリバティブを活用したリスクのある預金商品。顧客は満期日を自身で選択できないかわりに、通常の円定期預金よりも高い金利(募集時点における、預け入れ期間が同じ当社定期預金との比較)を受け取ることが可能だという。2年目以降1年ごとに金利が上昇する「ステップアップ型」、預け入れから満期まで金利が一定の「フラット型」の2タイプから選ぶことができる。○金利水準が異なる2つのタイプから選ぶ満期日繰り上げの判断は、募集の際に設定された繰上判定日にソニー銀行が行う。繰上判定日時点での市場金利が経済情勢の変化などにより同預金預け入れ時の適用金利よりも低い場合は、満期日が繰り上がる可能性が高くなるという。反対に、市場金利が適用金利よりも高い場合は、満期日が繰り上がる可能性は低くなるとしている(考え方の目安であり、同預金の満期日繰り上げに関する決定に際しては当てはまらない場合もある)。今後もソニー銀行は、多様な資産運用ニーズに応える新たな商品を提供していくとしている。
2015年05月26日熊本大学は4月30日、乳がん細胞がホルモン療法に対し耐性化する仕組みを明らかにしたと発表した。同成果は熊本大学発生医学研究所細胞医学分野の斉藤典子 准教授、中尾光善 教授らと、同大学院生命科学研究部乳腺・内分泌外科学分野の冨田さおり 医師、岩瀬弘敬 教授、九州大学医学研究院の大川恭行 准教授らの共同研究によるもの。4月29日付(現地時間)の英科学誌「Nature」に掲載された。乳がん治療では、エストロゲンという女性ホルモンとその受容体の働きを阻害する薬剤が使用される。しかし、この治療を長期にわたり受けていると、がん細胞が薬剤に耐性をもって再発する可能性がある。再発したがんは周りの組織に広がっていったり、リンパ節に転移するなど難治性となってしまう。研究グループはエストロゲン受容体を作る遺伝子で、活性化すると乳がん細胞の中でエストロゲン受容体が過剰に働くようになることで知られるESR1に注目し、ホルモン療法が効きにくい状態におけるESR1遺伝子の変化を調査した。その結果、難治性の乳がん細胞ではエストロゲン受容体およびESR1メッセンジャーRNA の量が数倍に増加していた。また、核内のESR1遺伝子の近くに非コードRNAの大きな塊ができていることも判明。エストロゲン受容体をもつ乳がん細胞では、ESR1遺伝子の近くに多量の非コードRNAが蓄積していると考えられた。この非コードRNAを調べたところ、難治性細胞においてESR1遺伝子の働きを高く維持していることがわかった。これらの研究結果から、エストロゲン受容体をもつ乳がん細胞は、ホルモン療法によってエストロゲンを長期に枯渇すると、ゲノム中のESR1遺伝子とその周囲の部分から非コードRNAが誘導されて、エストロゲン受容体を多量につくるように変わることで、ホルモン療法に対して耐性化すると結論づけられた。なお、研究グループはポリフェノールの一種であるレスべラトロールが、その非コードRNAとESR1遺伝子の高発現を阻害し、乳がん細胞の増殖を抑制することを突き止めており、今後新しい乳がん治療の開発につながることが期待される。
2015年04月30日カスペルスキーが民間航空機のリアルタイム追跡サービス「Flightradar24」の仕組みを、同社のブログ「Kaspersky Daily」で解説している。Flightradar24は、民間航空機のフライト情報をインターネット上で追跡するサービス。利用者は、航空機の位置情報をリアルタイムに把握するのに役立てられる。カスペルスキーによると、インターネット上で航空機を追跡できるサービスの多くは、各航空機会社のフライト情報を随時更新できていないという。その原因は、航空会社が持つフライト情報がサービス各社に行き渡ってないことだと指摘している。Flightradar24は、他のサービスと異なり、フライトに関するデータを(から直接受信できることが特徴だ。これを可能にしているのが、放送型自動従属監視(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast:ADS-B)という技術で、最近の航空機はほとんどがADS-Bを採用している。ADS-B技術は、従来型のマイクロ波レーダーより正確に航空機の位置を特定できるよう、ディスパッチャー(運航管理者)向けに開発された。ディスパッチャーだけでなくパイロットも、飛行情報、天候、地形などを把握するための機能を備える。さらに、ADS-B Mode-S機能により、GPS位置データ(緯度、経度、高度)のほか、速度(昇降率など)、機体固有の「アドレス」、便名が、1090 MHzチャンネルで定期的に(約1秒に1回)送信される。この機能によって、航空機からフライト情報を直接受信できているのだという。航空機から送信されるデータの「スクォーク(トランスポンダーコード)」は、コードで表した情報が送信することもできる。例えば、緊急時には7700、ハイジャックされたときは7500が設定されるる。そのためどんな非常事態も完全に追跡できるのだという。フライト情報は、すべて暗号化されていないチャンネルから送信されているため、誰でもアクセスできる。1090MHz周波数帯のアンテナを手に入れ、簡単な無線受信機を組み立てられればデータを受信できるという。また、USBインタフェース付きの一般的なテレビチューナーをeBayやAliExpressなどの中国製品を扱うマーケットプレイスで探し(10~20ドルで購入できる)、カスタムドライバーをインストールするといった方法もあるという。ADS-B信号は、航空機の位置から240km離れている場合でも受信できるという。○Flightradar24はWebページ版とアプリ版を用意Flightradar24で飛行情報を見るには、専用のWebサイトかスマートフォン向けのモバイルアプリを使う。モバイルアプリには、有料版と無料版がある。機能面では、Webサイトのほうが優れる。便名(IATAまたはICAO)、航空機の登録番号、「スクォーク」コード、航空会社名、航空機のモデルなどの多彩な検索条件を指定できる。便名で検索することで、航空機の位置をリアルタイムで確認できる。すでに終了したフライトでも、航路上のある地点での飛行パラメーターなどの詳しいデータを知ることができる。一般の利用方法は、例えば、搭乗を希望しているフライトの航空機を簡単に知ることができる。これにより、どんなフライトになりそうか予測したりして楽しめる。追跡の機能は、「航空機が地図上を動く」「コックピットビュー」を搭載する。ビューの画像は、航空機の現在の高度から投影された衛星の地形画像を基に生成される。航路のデータがときどき消えたり、画面上の飛行機のノーズが突然写ることもある。モバイルアプリは、Android、iPhone、iPad、Windows Phoneの各プラットフォームに対応し、無料版と有料版の2つがある。Web版にはない拡張現実機能が利用できる。各超現実機能は、飛行中の航空機にデバイスのカメラを向けて使う。スマートフォンはGPSモジュール経由で航空機の位置データを取得し、加速度計と内蔵コンパスによって補正する。これで、アプリが航空機を認識し、航空機の写真と飛行データが画面上に表示される。
2015年04月27日岡山大学は、1920年代に開発され、未だに既存の治療薬が効かないてんかん患者に効果を発揮する難治性てんかん治療薬である「ケトン食療法」の仕組みを解明することに成功し、ケトン食療法に基づく新たなてんかん治療薬が開発可能であることを示すことに成功したと発表した。同成果は、同大大学院医歯薬学総合研究科(薬)の井上剛准教授、佐田渚大学院生らの研究グループによるもの。詳細は2015年3月20日付で米国科学振興協会(AAAS)発行の科学誌「Science」に掲載された。てんかんは、脳が発する電気活動の過剰興奮を特徴とし、全人口の約1%が罹患していると言われているが、そのうちの約3割の患者は、既存のてんかん治療薬でコントロールできない難治性てんかん患者で、そうした患者には1920年代に開発されたケトン食療法が効果的であることが知られていた。今回、研究グループはケトン食が引き起こす代謝変化が、どのように脳の電気活動を変化させるのか調査。その結果、脳内のグリア細胞から神経細胞へ乳酸を運ぶ代謝経路が、電気活動に重要であることを発見したほか、この乳酸経路上に位置する乳酸脱水素酵素を阻害することで、電気活動が抑制され、てんかんマウスの発作が抑えられることを確認したという。さらに研究グループは、乳酸脱水素酵素を阻害する化合物の探索も実施。その結果、小児の難治性てんかんの治療薬として近年承認されたスチリペントールが、乳酸脱水素酵素の阻害剤であることを見出したほか、スチリペントールの化学構造を変化させることで、より強力な抗てんかん作用を示す乳酸脱水素酵素阻害剤となることを見出したとする。今回の結果について研究グループでは、乳酸脱水素酵素とスチリペントール類似体を用いることで、新たなてんかん治療薬開発の具体的な道筋を示すことができたとしており、今後、今回の知見を生かし、代謝を制御する分子(代謝酵素)を標的とする新たなコンセプトのてんかん治療薬の開発が期待できるようになるとコメントしている。
2015年03月24日京都大学は1月19日、魚類の胎生に関る新しい仕組みを見出したと発表した。同大学再生医科学研究所の飯田敦夫 助教、同 瀬原淳子 教授、北里大学医学部の西槇俊之 技術員らによる成果で、英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。卵を体内で受精して成長した子供を出産する胎生は、哺乳類で最も普及している繁殖様式である。実は哺乳類以外の脊椎動物においても、爬虫類、両生類、魚類など幅広い種で胎生種が分布しており、そのほとんどは胎盤や臍帯(へその緒)を使用する哺乳類とは異なる胎生機構を獲得している。しかし、魚類の胎生機構についての研究はこれまで形態や組織の記載に留まり、分子機構まで踏み込んだ解析は未開拓であった。同研究ではまず、メキシコ原産の淡水魚・ハイランドカープを飼育・繁殖した後、胎仔を観察した。ハイランドカープは雌雄1対での交尾行動により体内受精し、交尾から約5週間後に1.5cmほどの稚魚を10~30匹出産する、グーデア科の胎生魚。胎仔は肛門部に栄養リボンという構造物を持ち、母体から分泌された栄養分を吸収して成長すると考えられており、ハイランドカープにおいても交尾後2-4週間の胎仔で栄養リボンが観察された。この栄養リボンは出産時には消えていることから、出産に先立ち栄養リボンは母体内で退縮を始めることが予想された。このことを組織の観察および細胞死マーカーを用いて調べたところ、栄養リボンではプログラム細胞死「アポトーシス」が起こっていることがわかった。これは母体外で不要となる構造物をあらかじめ分解・吸収して出産に備えるためだと考えられた。このような退縮機構は哺乳類をはじめとする胎生動物において他に報告がないとのこと。同研究グループは今後、細胞死を誘導するスイッチを探索するとともに、母体側での妊娠維持機構を解析することで、グーデア科魚類で胎生を構成する仕組みを理解したいとしている。
2015年01月20日北海道大学(北大)は1月5日、生体内でB型肝炎ウイルス(HBV)が認識される仕組みを解明したと発表した。同成果は北大、名古屋市立大学、国立感染症研究所、米ロックフェラー大学、東京都医学総合研究所、フェニックスバイオらによるもので、12月31日付(現地時間)の米免疫学雑誌「Immunity」に掲載された。同研究グループは、HBVがヒト肝細胞に感染した際のセンサー分子は何か、またHBVを認識した後にどのような免疫応答が発生するのかについて、自然免疫に着目して研究を進めた。その結果、DNAウイルスであるHBVが、細胞内のRNAセンサーとして知られるRIG-Iによって認識されることを発見。その下流で抗ウイルス活性のあるインターフェロンを産生し、感染防御を誘導することがわかった。また、RIG-Iは、センサー分子として働くだけでなく、直接的にウイルスの複製を阻害する働きを持っていることも判明した。さらに、この複製阻害の仕組みに基づいたB型肝炎治療の創薬を支持する結果が、ヒト肝臓を移植したヒト化マウスモデルを用いた実験で得られたという。今回、生体内での分子センターを同定し、その認識機構の一端を明らかにしたことに加え、ウイルスの抑制の可能性を示唆する結果も得られたことによって、新たな視点でのHBV治療薬の開発につながることが期待される。
2015年01月05日東京大学は12月22日、スーパーコンピュータ「京」を駆使することで、計算機の中で鉄系高温超伝導体の超伝導を再現することに成功し、さらに超伝導が起きる仕組みも明らかにしたと発表した。同成果は、同大大学院 工学系研究科 物理工学専攻の三澤貴宏助教、今田正俊教授らによるもの。詳細は、「Nature Communications」に掲載された。鉄系超伝導体は2008年に、東京工業大学の細野秀雄教授のグループにより発見されて以来、この物質群に属する化合物が多数発見されている。物質が超伝導を示す温度(転移温度)が-220℃を上回る高温超伝導体を含むことから、この物質群で超伝導が起きる仕組みを明らかにすることで、より高い転移温度の超伝導体を作る指針になると考えられ、全世界で精力的な研究が行われている。しかし、超伝導が生じる仕組みは未だよく明らかにされていない。その1つの原因として、最近まで鉄系超伝導体のような複雑な化合物の理論模型を調べる有効な方法がなかったことが挙げられるという。研究グループは、スーパーコンピュータ「京」を活用し、鉄系超伝導体を第一原理計算によって理論解析することで、従来はあまり重要と思われていなかった一様な電荷感受率と呼ばれる電子密度のゆらぎの増大が超伝導の原因であることを見出した。具体的には、量子力学・統計力学の法則に従って、鉄系超伝導体の物質構造だけを入力して、実験結果と一致する性質を持つ超伝導状態を計算機の中で数値的に生み出すことに成功した。さらに、実験では直接制御することが困難な物質中の電子間に働く相互作用をコンピュータの中で制御することで、超伝導を生じさせている主な要素を突き止めた。その結果、電子密度のゆらぎが増大するときに例外なく超伝導が生じるという証拠を得た。これは長年の高温超伝導の仕組みを解明しようとする基礎研究の中で重要な意義を持つものであるという。また、この研究で得られた超伝導の仕組みをガイドラインにした物質を設計することで、超伝導体になる温度を上昇させる実験探索にはずみがつくことが期待できるとコメントしている。
2014年12月25日●Apple Payの仕組みiPhone 6/6 Plusの目玉機能のひとつが「Apple Pay」だ。これまで頑なにiPhoneへのNFC (Near Field Communication)搭載を拒否してきたAppleが突然、方向転換し、多くの銀行や小売店パートナーを獲得して大々的にモバイルペイメント事業へと乗り込んできたことは、業界関係者にさえ驚きを与えた。すでにApple Payに関しては多数の報道が出ており、その概要が日本の読者の方々の耳にも入ってきているだろう。ここでは、複数回に分けて、Apple Payに関する素朴な疑問に答える形で、情報を整理してみたい。まずは、Apple Payの仕組みと既存のサービスの違い」について。○Q1.Apple PayはApple独自の特別な仕組みなのか?仕組み自体は既存のインフラを利用している。日本を除く海外ではType-A/Bという方式を採用した非接触ICによるNFCの決済インフラが構築されつつあり、Apple Payはこの仕組みをそのまま利用しただけで、特別なものではない。ただし、現状ではiPhone 6/6 Plusの2種類の端末のみが店頭での決済サービスを利用可能で、iPad Air 2やiPad mini 3などのタブレットでは店頭での利用できない(アプリ内でのオンライン決済は可能)。●Apple Payのビジネスモデルは?○Q2.Apple Payと既存サービスとの違いは? どのあたりが注目なのか?2点ある。1つはAppleの「プライバシーポリシー」で、もう1つは「ビジネスモデル」にある。前者は、「AppleがユーザーのApple Payによる取引に直接介入しない」というのがポイントとなっている。* 取引への非直接介入についてApple Payでは、同サービスを利用可能な提携銀行が発行したクレジットカード/デビットカードがあれば、それをiPhoneのカメラでスキャンし、後はカード後ろの3桁の数字のセキュリティコードを入れれば登録できるようになっている(その後に電話認証でアクティベーションが必要なケースもある)。Apple IDを持っていて、iTunes Storeにクレジットカード番号を登録しているユーザーであれば、その情報をコピーしてくることも可能だ。Apple Payではカード番号がiPhone本体に搭載された「セキュアエレメント(SE)」に記録されるが、カードを登録する際にカードブランド(MasterCard、Visaなど)が発行する「トークン」と呼ばれる16桁の数字で本来のカード番号とは異なる認証番号が設定され、これがSEに記録された状態で決済が行われる。AppleはSE内に記載された情報は把握しておらず、iPhone自体も直近に行われた過去1回の決済内容を把握しているのみだ。つまりAppleは決済にはいっさい介在しておらず、決済情報はユーザーがカードを発行した銀行に問い合わせて確認するしかない。本来であればAppleは決済情報を記録して別のビジネス(行動把握による情報販売やお勧め紹介など)の展開が可能にもかかわらず、これを放棄している点が非常に面白い。* Appleのビジネスモデルについてただし、これではAppleがApple Payから得られるものは何もない。そこで取引内容を把握している銀行から直接料金を徴収する「ビジネスモデル」を採用したといわれる。Financial Timesの報道によれば、100ドルの買い物あたり15セントということで、この手数料は0.15%ということになる。通常カード決済は、取引を仲介する銀行(もしくはカード発行会社)が取り決めにより、引き落とし総額(つまり決済金額)から一定額(「"インターチェンジ"費」と呼ばれる)を差し引き、以後は決済を中継するカード決済ネットワークから、アクワイアラや決済代行業者が手数料を引いていき、最後に残った金額を、商品を販売する小売店が手にする形となる。この間に引かれた手数料の合計が「カード決済手数料」といわれるものだ。一般に小売店はカード決済手数料を販売額に上乗せできないため、カード取り扱いを嫌がる小売店がいるというのもこうした理由による(カードを導入したぶんだけ売上を増やさなければメリットが薄いため)。Apple Payの場合、前述の手数料は仲介業者としてではなく、カードを発行する銀行から直接徴収するモデルを採用しているといわれ、Apple Payを利用することによる追加負担は、ユーザー個人や小売店には発生しないとされている。一説には前述インターチェンジ費用の一部から銀行に拠出させているという話があり、Appleが何らかの理由で有利な条件を勝ち取ったのだと考えられている。
2014年11月29日日本経済新聞出版社は25日、書籍『日本人が保険で大損する仕組み』を発売した。著者はターアイ・ジャパン代表取締役で、ビジネスコンサルタントの橋爪健人(たけと)氏。価格は1,500円(税別)。保険という「お守り」に、年収の5分の1を費やすのは日本人だけという。同書は、高コストで経済合理性の低い日本の生保商品がなぜ売れるのか、本当に効率的な保険とは何かを、具体的に解説。日本の保険の特殊性や保険選びのポイントなどを、長く保険業界で働いた専門家がわかりやすく説明している。主な内容は、「プロローグ 日本の保険はぜいたく品」「第1章 こうして私たちは保険で損をしている」「第2章 世界でも特殊な日本の事情」「第3章 『保険料は、高くて当然』の裏事情」「第4章 人生の必需品? それともぜいたく品?」「第5章 危険水域に入った保険料負担からの脱出策」など。著者の橋爪健人氏は1974年東北大学卒、1984年米国デューク大学修士。日本生命保険に入社後、ホールセール企画部門、米国留学などを経て、米国日本生命副社長に就任。帰国後、損保会社出向、ジャパン・アフィニティ代表取締役などを務めた後、2004年に独立。企業向け保険ビジネスのコンサルタントとして活躍している。ターアイ・ジャパン代表取締役。
2014年11月27日体内時計は全身にあるが、脳が全身の体内時計を司る役割をしています。体内時計の仕組みを理解して、睡眠のリズムを整えましょう。体内時計のズレとそのリセット方法体内時計の周期には個人差があります。人によって24時間より長いか、24時間より短いリズムを刻んでいます。本来は1日を24時間とは把握できないメカニズムをもっているのが体内時計なのです。しかし体内時計を1日24時間としてリセットできるメカニズムも、持っています。腕時計のリューズを毎日、秒単位で時刻合わせをするように、人間の体内時計も時刻合わせができるようになっています。それが朝の光です。夜の光が体内時計のリセットを妨げる脳の視床下部に体内時計を司る組織があります。ここに朝や昼の太陽などの強い外光が伝えられることで、体内時計はリセットされます。無意識のうちに1日を24時間のリズムと把握できるようにリセットされるのです。夜になろうとしている時間帯に、強い光を浴びると、体内時計は「まだ昼間が続いている」と誤解して、時計の針を戻すことになります。これが不眠症の原因となることがあります。もちろん日中に強い外光を浴び続けても、体内時計の針は変化しません。生命を支える体内時計体内時計の仕組みは、メカニズムの詳細に違いはあっても、地球上で生活するすべての生物に共通しています。地球上に生命が誕生して、ある種は生存し、進化を続け生き残りました。ある種は、絶滅してしまいました。その理由のひとつに、活動期と休息期をリズム良く刻む体内時計のメカニズムが挙げられるでしょう。体内時計によって、自然に眠り、体内時計によって自然に目覚めるメカニズムです。太古の昔に、体内時計の仕組みを獲得した生物だけが、過酷な自然環境を乗り越えて、地球に生き残ることができたと考えられるのです。体内時計は、生命を支えてきた身体の仕組みだといえるでしょう。参考文献『睡眠のはなし – 快眠のためのヒント 』日本大学医学部付属病院精神科教授/内山真著中央公論新社【提供:武田薬品工業株式会社】
2014年10月03日厚生労働省は14日、公的年金制度の仕組みや見通しなどをわかりやすく解説するホームページ「いっしょに検証!公的年金」をオープンした。同ホームページは、多くの人が感じている公的年金に対する疑問や不安を解消し、理解を深めることを目指したもの。Webマンガを採用し、公的年金制度の意義や仕組み、財政検証の結果などをわかりやすく説明している。また、本文にもイラストを多く取り入れ、読みやすくなるように工夫したほか、幅広い世代の人が閲覧できるよう、世代別に関心が高いと思われる項目を取り上げたページも用意したという。主なコンテンツは、「公的年金の意義」「公的年金制度の仕組み」「公的年金の財政」「人口と経済」「2009年財政検証結果」など。なお、現時点では2009年の財政検証結果を基に作成しているが、2014年財政検証が公表され次第、内容を差し替えていく予定とのこと。
2014年05月15日早稲田大学(早大)は、オスの攻撃性を制御する仕組みを明らかにしたことを発表し、1月15日には早大 先端生命医科学センター(TWIns)にて、研究を実施した早大 教育・総合科学学術院/TWInsの筒井和義教授(画像1)による記者発表を行った。なお、今回の成果は筒井教授に加え、同教授の研究室に所属する産賀崇由 研究助手らによるもの。研究の詳細な内容は、現地時間1月15日付けで英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。筒井教授は会見で自らを「小さな研究者」とし、偉大な研究者たちと同じ土俵で真っ向勝負するためにどうするかということを考え続け、それが「ゼロから発見すること、新しい道を開拓すること」であり、そして見出したのが、「生体機能を調節する新規「脳ホルモン」の探索」というテーマだった。ホルモンというと、ホルモン焼きを想像してしまう人も多いかも知れないが、そちらではなく生体内において特定の内臓や器官において分泌される生理活性物質の総称だ。脳ホルモンということからわかるように、脳内(神経細胞)で分泌されるものを指し、未発見の脳ホルモンがまだまだあるという。筒井教授らは特に生体機能、つまり成長や生殖に関連するものに注目し、「ニューロ(神経)ペプチド(ホルモン)」や「ニューロステロイド(ホルモン)」などがある。ペプチドとはアミノ酸がつながった(単鎖状の)分子のことで、ホルモンもペプチドの1種である。ステロイドとはホルモンの1種だ。そして今回の話は、ニューロペプチドの1種の話となる。また有名な脳ホルモンとしては、約40年前に米国の研究者のアンドリュー・ウィクター・シャリー氏とロジャー(ロジェ・シャルル・ルイ)・ギルマン氏が13年におよぶ研究成果競争を繰り広げ、1977年にノーベル生理学・医学賞を共に受賞した「生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)」(生殖機能を高めるホルモンの放出を促すホルモン)などがある。GnRHは脳の視床下部の「視索前野」で分泌されて脳下垂体に作用する。視床下部は大脳の下の間脳の最も奥深いところにあり、生理機能や本能的行動を制御する非常に重要な場所だ。そして2種類の生殖腺刺激ホルモンの、「黄体形成ホルモン(LH:Luteinizing hormone)」と「ろ胞(卵胞)刺激ホルモン(FSH:Follicle stimulating hormone)」が分泌されるというわけだ。LHは性腺からの性ホルモンの賛成を刺激し、FSHは女性の場合は卵巣内で未成熟の卵胞の成長を刺激して成長させ、男性の場合は睾丸で精子形成に関わるのである(画像2)。なお、この生殖腺刺激ホルモンはバランスが必要で、ひたすら亢進していくだけでは、生物は困ったことになってしまう。そこで予想されたのが、抑制するためのホルモンの存在だ。しかし、抑制ホルモンはGnRHの発見から30年間発見されなかった。それほど見つけにくかった「生殖腺刺激ホルモン放出抑制ホルモン(GnIH)」を2000年に発見したのが、筒井教授なのである(画像3)。GnIHもニューロペプチドの1種であり、産生するのは視床下部の中の「室傍核」にあるニューロンだ。そして脳下垂体に作用して、生殖腺刺激ホルモンの放出を抑えるのである。GnRHとGnIHの産生箇所とそれがどのように血液中に放出されるのかを示したのが画像4で、「下垂体門脈」という視床下部につながる血管があり、そこにつながるターミナルから放出されて血液に乗って運ばれ、「脳下垂体前葉」に到達して作用し、前述したようにLHやFSHの放出や抑制を行って、卵巣や精巣といった生殖機能の中核部分に作用するというわけだ。GnIHは最初に鳥類(ウズラ)で発見され、その後も筒井教授らが研究を続けた結果、すべての脊椎動物に存在していることが確認されている。もちろん、我々ヒトにも存在することは確認済みだ。ヒトに存在することがわかった結果、ヒトにはさまざまな生殖機能障害の疾病があるが、GnIHが正しく働いていないケースもあり得るとしている。よって、GnIHに着目した新たな治療法が期待されており、研究が進められているというわけだ。そして、GnIHの研究を進める中でわかってきたのが、産賀研究助手らが2012年に発表した、GnIHが動物の攻撃性を抑制するという新しい機能だったのである。今回は、その攻撃性の抑制作用の仕組みを明らかにすることを目的として研究が行われた形だ。今回の研究では、モデル動物として再びウズラ(オス)が使われた。その理由は、ウズラは小さな鳥なのでそういうイメージを持っている人は少ないのではないかと思うが、実は脊椎動物の中にあって最も攻撃性が高い動物だからだ。端的ないい方をしたら、ケンカっ早いということである。オスのウズラは2匹を狭い場所に閉じ込めると、強い方がまず威嚇することから始め、突っつき、くちばしで羽根などをくわえて相手を抑え込み、さらには相手の上に乗っかり、そして最後は激しい攻撃を加えるようになるのだが、一晩そのままにしておくと弱い方は殺されてしまうという(画像5)。それほど、オスのウズラは攻撃性が高いのだ。そしてメスのウズラはというと、通常はこのようなことはしないという。またヒトの社会も含めて、一般的に生物はオスの方が攻撃性が高く、メスは攻撃性が低い。ヒトでも、暴力行為におよぶのは男性の方が圧倒的に多いのは誰もが納得のいくところだろう。そして女性の方が暴力的なケンカはせず、闘いを好まないのは間違いのない事実のはずだ。画像6~8は、ウズラのオスの攻撃行動と性行動をGnIHが抑制するのを示したグラフだ。左と中央のグラフの「Aggressive Behavior」とは攻撃行動という意味で、左は威嚇行動、中央は突っつき行動についてである。右の「Sexual Behavior」は交尾などの性行動だ。この実験では、RNA干渉法を用いてGnIHをノックダウンさせる(完全に欠失させるノックアウトではなく、発現しないようにする)と、攻撃性が著しく高くなることがわかった。同じく性的行動でも、GnIHが発現しないようにすると、活発になされることがわかったのである。このことから、GnIHは、攻撃性と性行動の発現を抑えるということが証明された形だ。次に、どのような仕組みでGnIHが攻撃性と性行動を抑制するのかが調べられた。このオスの攻撃性に関わるのが、精巣が作る男性ホルモンの「テストステロン(Testosterone)」だ。攻撃性が発現する仕組みは、精巣がテストステロンを大量に分泌して脳に届き、そこで酵素「アロマターゼ(Aromatase)」の作用で女性ホルモン「エストラジオール(E2)」に変換され(つまり、E2はテストステロンがベースである)、攻撃行動につながるのである(画像9)。つまり、このE2こそが攻撃行動の発現に不可欠というわけだ。ただし、どんな動物もオスは精巣を取られてしまうと、一気に大人しくなってしまうことから、まずテストステロンが作られることも攻撃性には重要なことはわかっている。またこうした仕組みは、現在の研究においては、すべての動物にとって共通の仕組みである。そこで筒井教授らは、GnIHがアロマターゼの活性を抑えることで、E2の合成(テストステロンからの変換)が抑えられ、E2が少ししか作られず、その結果として攻撃行動が抑制されるのではないかと、最初は考察したという。ところが、事実はまったく逆だったのである。画像10と11のグラフからわかるように、GnIHは女性ホルモン合成酵素の活性を高め、女性ホルモンの合成を促進していたというわけだ。画像10のグラフは、GnIHの量(単位は分子量モル(M))の違いによるアロマターゼの活性を表したもの。GnIHの量が増えるにつれ、アロマターゼの活性が増えているのがわかる。画像11のグラフは、E2が作られる量を表したもので、「Vehicle」は通常、「GnIH+RF9」はGnIHとGnIH受容体阻害剤を加えたもの、「GnIH+FAD」はGnIHとアロマターゼ阻害剤を加えたものだ。GnIHのみが同様に最も量が多い。つまり、GnIHはアロマターゼを刺激して、E2をより著しく増産するということがわかったのである。結果、E2が増えることが攻撃行動を抑えるということが判明したといわけだ。なお、今回のGnIHによるアロマターゼを介した女性ホルモンを増加させる仕組みは、初めての発見となる。そして画像12は、それを証明するために行われた、投与実験だ。E2の量を変えることで(横軸)、ウズラの攻撃行動(縦軸)がどのように変化するかというのを表したグラフである。E2は前述したように、攻撃行動にも必須であることから、低濃度の1ngの時は最も攻撃性が高くなっている。しかし、その10倍の高濃度になると一気に減り、大人しくなっているのが見て取れるはずだ。なお、その後の100ng以降になるとまた増えているが、これは、この量になると通常の脳内では産生されない量であるため、その影響が出ているという(増えたところで脳に影響はないそうである)。この低濃度は攻撃性が高い、高濃度は攻撃性が低いというのは、ヒトを含めて自然界でも証明されている。つまり、元々卵巣があることからE2など女性ホルモンが多いのがメスであり、それだけ多くが脳に作用するので、実際に攻撃性が低いと考えられるというわけだ。オスは精巣でテストステロンしか作らないので、脳に至ってそこでアロマターゼが働いて初めてE2が誕生するわけで、元々少ないのである。画像13は、GnIHニューロンがアロマターゼニューロンに投射していること、アロマターゼニューロンにGnIH受容体が存在することを示した蛍光顕微鏡写真だ。赤く染色されているのがGnIHニューロンで、緑がアロマターゼニューロン。hの画像の青い部分はGnIH受容体だ。GnIHももちろんそうだが、E2も脳の神経細胞に受容体があることで、そこに接合することで脳の攻撃性を高めたり低くしたりするそうである。いうまでもないが、人間社会の秩序を混乱させる主要な要因の1つが攻撃性の異常な高まりだ。今回の研究はウズラを使ったものなので、ヒトの場合はそっくり同じ仕組みではない可能性もあるが、攻撃性を制御する仕組みの一端が解明されたといえるだろう。筒井教授らは今後、実際に人間にも同じ仕組みが存在するかどうかを明らかにするため、引き続き研究をしていくとした。ただし、ヒトの脳の研究はおいそれと頭を切り開いて研究するわけにもいかないため、次のステップとしてマウスなどのヒトとは別のほ乳類を使って今回と同様の仕組みがあるのかどうかの研究も行われている。もし研究が進んでヒトにも同じ仕組みが備わっていることがわかれば、ヒトの攻撃性の高まりを安定させる方法の開発が可能となり、社会における平和や秩序の維持への貢献が期待されるという。ちなみにE2は食べ物に混ぜたり薬として飲んだりしても胃腸で分解されずに吸収され、なおかつ通常は関門があるので届きにくい脳内にもステロイドなので届くので(ペプチドは届かない)、攻撃性を抑えるための飲み薬などにしやすいという。もちろんこれからの研究においても、飲むだけで脳内のE2の量を変えられる点は非常に実験をしやすいとしている。ただし、前述したようにヒトの場合は頭を開いて検査するわけにはいかないので、E2を計測するための新しい技術は必要だという。また筒井教授らはヒトでの生殖抑制作用の研究として、脳の機能が関わる中枢性の生殖機能障害という疾病があることから、次世代シーケンサを用いてそうした患者の遺伝子を解析して、GnIHの発現がどうなのか、GnIHの受容体はどうなのか、または変異が入っているのかどうかなどの研究を行っているとした。さらにヒトの場合はもう1つ、女性によく見られる性成熟が早く訪れてしまう「思春期早発」という疾病があり、それはGnIHがうまく働いていない(発現が低い)から早期に成熟してしまうのだが、こちらの疾病に関しても解析を進めているとしている。なお、今のところ、攻撃性と性行動は連動していると考えられており、攻撃性を沈めれば性行動も抑制される可能性が高い。いわゆる性的な興味が高くなりがちな人の場合もGnIHが薄いもしくは薄くなりやすいといった可能性もあるという。世の中、性欲を抑えることを不得意とする男性も多いわけで、そうした性行動との関連というのも調べられているという。余談だが、なぜ攻撃行動と性行動が連動しているのかというのは、野生動物の子孫繁栄のための行動を見ればわかる。多くの動物がメスを巡ってまずオス同士が序列を作ったり、よりよいエサ場のある広いテリトリーを確保したりするために決闘を行うのはご存じだろう。オス同士の戦いに勝って初めてメスを手に入れられチャンスが出てくるわけで、ある意味、攻撃性が高ければ高いほど子孫を残せる可能性も高くなるというわけである。そうした子孫繁栄のためのシステムを人類も受け継いできているわけで、だから男性の方が性行為に積極的で、どちらかというと女性の方が消極的になるというわけだ。ただしここは思考能力のあるヒトのことなので、日本のように「女性はおしとやかに」といった文化的な影響などもあるだろうし、子育ては簡単にできないといったことから性行為を拒否するといった判断も働くわけで、野生動物のように単純にはならないのである。研究が進めば、攻撃行動と性行動を切り離して、攻撃行動だけを抑制させることもできる可能性もあるというが、現在のところはその点はまだわかっていないという。どちらにしろ、攻撃性というのは自分の身を初め、家族や仲間とか財産とか、不当な行為や暴力によって傷つけられたり奪われたりするようなことから、守るためにも必要なわけで、まったくなくなってしまうというのも危険な気はする。ただし、加害行為に出てしまうのはよくないのは間違いのない事実である。繁華街や満員電車などでの小競り合い的なケンカから、過激なサッカーファン、いわゆるフーリガンのような死者も出るような暴動とか、悪辣なテロリズムまで、暴力も色々とレベルはあるが、それらが取り除かれれば、より安心・安全に暮らせるというものである。さらに、女性や幼児・児童などへの親などの虐待もそうだし、学校でのイジメなどもあるだろう(もっともイジメの場合は、今は直接的な暴力よりも陰湿な傾向が強いわけだが)。それら全部が全部、脳内におけるE2の量の問題だけとは限らないかも知れないが、今回の研究が進むことで、そうした事実もわかってくるはずだ。現段階でも、E2を服用しさえすれば攻撃性を抑えられ可能性があるわけで、研究が進めば、さらに精神を容易にそして影響なく落ち着かせられるような薬の作り方もわかってくることだろう。研究が進展して、それが実現することをぜひ期待したい。
2014年01月17日オークションサイトを運営する楽天オークションは27日、衣類や文房具などの物品を公益財団法人やNPO法人などの非営利団体(以下「団体」)に寄付できる仕組みを新たに導入したと発表した。このたび導入する仕組みは、寄付に関心のある楽天会員が、楽天オークションサイト内の「オークションゆうパックで寄付しよう」のページから申し込みを行い、選択した団体に物品を送付することで、寄付できるというもの。利用者は、申し込みに伴い発行されるQRコードか、問い合わせ番号のいずれかを利用して、全国のローソン店舗に設置されている店頭端末「ロッピー」から宛名伝票を出力することで、手軽に配送を行うことができる。今回の配送には「オークションゆうパック」を利用する。また楽天オークションは、このたびの仕組みを利用して発送した物品1送付あたり10円を、利用者が寄付する団体へ寄付する。寄付先となる団体は「公益財団法人 ジョイセフ」、「公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン」、「認定特定非営利活動法人ブリッジ エーシア ジャパン」、「認定特定非営利活動法人 日本救援衣料センター」、「特定非営利活動法人 聴導犬普及協会」の5団体で、今後順次拡大していく予定。このたびの仕組みの導入により、楽天オークション利用者に対し、従来の出品に加えて団体への寄付という新しい選択肢の提案が可能になる。一方、団体にとっては、活動内容や寄付受入商品を楽天オークションサイトで紹介することにより、団体の認知度向上および寄付の増加を図ることができる。楽天オークションは、今後も利用する顧客へ利便性の高いサービスを提供し、満足度の向上を目指していくとしている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月28日気になるあの人に、自分を好きにさせることができれば……。そんなふうに思っている人も多いのでは?なんと、脳の仕組みを利用すれば、それも不可能ではないとか!片思いの人の「恋愛スイッチ」をオンにする方法を、脳科学者の塩田久嗣先生にお聞きしました。■脳を錯覚させることでスイッチを入れる!?――先生、相手が自分を恋愛対象と見ていないような場合も、「恋愛スイッチ」を入れることができるのでしょうか?直ちに自分を好きにさせるという魔法のようなことは難しいのですが、脳を錯覚させることで、好感を持ってもらうことは可能です。それには、「感情脳」を刺激するといいでしょう。「感情脳」というのは、私が独自に提唱している言い方なのですが、人は刺激を受けると、感動などの感情が動き、感情の振れ幅が大きい人のことを、「感情量が多い」などと表現しています。あなたと一緒にいるときに「感情脳」が刺激されれば、相手はそれを恋愛感情と錯覚することもありえます。――では、どうやって「感情脳」を刺激すればいいのでしょう?相手の好きなこと・興味のあることをさせるのが一番です。人は、興味のあることや自分の好きなことの話をしているときは、目がキラキラしているものです。これは網膜の細胞にドーパミンが分泌されているためであることが分かっているのですが、こういう時は、その人の「感情脳」が刺激されているとき。ですから、相手の興味のある話題をふるとか、相手の趣味に合わせた場所へデートに行くとかして、感情脳を刺激し、目がキラキラするような状態を作り出します。すると、「好き」「面白い」「楽しい」というポジティブな感情と、あなたと一緒に過ごしたという記憶が一緒に脳に刷り込まれて、「この人と一緒に過ごしたから楽しかった」と脳は錯覚を起こします。――『錯覚』というとちょっと微妙なような気もしますが、「喜んでもらおう」「楽しんでもらおう」という思いやりが、好感を持ってもらえる結果になるんですね!その通りです。もちろん、そこから恋愛に発展するかどうかは、相性もあるでしょうし継続的な努力も必要でしょう。しかし、恋愛でも友達関係でも、まずは「好感を持ってもらう」ことが人間関係の入り口。脳というのは、精密にできているようでも、こうした錯覚を起こすもの。そこをうまく利用するのは、とても有効な方法です。■男女で異なる恋愛スイッチのポイント――先ほどは、男女共通の恋愛スイッチの入れ方でしたが、男女別のお話もあればお聞かせください。やはり人間も動物ですから、異性を意識する際には、「子供をつくったらどうなるか」という部分が無意識であります。男性の場合は、女性の容姿がとても重要。顔も気にしますが、特に大事なのはプロポーションです。大部分の男性にとっては、腰のくびれが最も大切なポイントです。きゅっとくびれたウエストと、豊かなバスト・ヒップは、女性らしさを感じさせるとともに、安産の象徴でもあります。「自分の子孫を残してくれそうな健康な女性」ということで脳が反応して、異性として意識することになります。バストに関しては小さいほうが好きという人もいますが、一般的にはどんな文化圏でも大きいほうが好まれますね。「特に気にしない」という男性でも、胸の大きい女性と小さい女性の写真を見比べさせると、前者のほうをより注視しているなどの実験結果もあります。――だぼっとした服よりも、ボディラインがある程度分かる服装が男性に好まれるのは、そういう点では当たり前なんですね。では、女性のほうはどうでしょうか。女性の場合は、男性の見た目よりも会話や性格を重視します。子供ができたときに自分を守ってくれるかどうかが大事ですから、外見より内面。特に、自分を気遣ってくれる「やさしさ」は大切ですね。見た目であっても、肩幅が広い人や胸板が厚い人など、頼もしく見えることが大事です。――まずは、人として好感をもってもらう。そして、異性として意識してもらう。この2点の「恋愛スイッチ」を押さえれば、片思いもうまくいく……かも!?(取材/スタープレス)●塩田久嗣先生プロフィール1962年生まれ、脳科学者。ブレインサイエンス・ラボラトリー所長。京都大学卒業後、脳や心の研究に従事し、それまでの脳科学の常識を覆す「感情量」という独自の概念を提唱している。人気携帯サイト『男子脳×女子脳』の企画・監修をはじめ、執筆活動やTV出演も多数。おもな著書に、『99.9%成功する脳の使い方』(中経出版)、『"成功脳"の秘密がわかった!「扁桃体パワー」が幸せを引き寄せる』(徳間書店)など。【関連リンク】【コラム】 最近、彼が私を大事にしてくれない。そんなときに効く心理テスト【コラム】大人の恋愛の始まりに「付き合おう」ということばは必要?【コラム】 自分に自信がなく恋愛に臆病になっていたら……
2011年07月31日科学の力でお化けを生み出すことに成功――?相武紗季、溝端淳平ら人気俳優陣を迎えて送る映画『NECK ネック』の本編を含んだ「お化けが生まれる仕組みを理論的に説明する」特別映像が到着した。覆面作家・舞城王太郎の原案を映画化した本作。お化けを生み出すことを研究テーマとする大学院生・真山杉奈(相武さん)の実験が、杉奈に好意を寄せる後輩・首藤(溝端くん)や人気作家の越前魔太郎(平岡祐太)、魔太郎の担当編集・赤坂(栗山千明)らを巻き込みながら、恐るべき事態を巻き起こしていく。杉奈の実験に欠かせない道具が“ネック・マシーン”と呼ばれる装置。劇中では、さらにこの装置を魔太郎が改良した“新ネック・マシーン”も登場するが、今回到着した特別映像では、理論的に、分かりやすく(?)、この装置およびお化けが生み出される理論“ネック理論”について説明。相武さん、溝端さんが登場する本編映像を交えて、お化け誕生について、NHK教育チャンネルばりに説明が行われる。さてさて、その実験結果やいかに?まずはこちらの映像で、お化け作りを予習すべし!映画『NECK ネック』は8月21日(土)よりシネマサンシャイン池袋、新宿バルト9ほか全国にて公開。※こちらの特別映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:NECKネック 2010年8月21日よりシネマサンシャイン池袋、新宿バルト9ほか全国にて公開© 2010『NECK』製作委員会■関連記事:相武紗季、溝端淳平らがネック・マシーン除幕式でくいだおれ太郎と対面!舞城王太郎が『NECK』Twitter上で新小説の連載をスタート!小松彩夏5年間の“初恋”は「気持ちを確かめ合っただけ」ドキドキを体験!『NECKネック』カップル限定試写会に45組90名様ご招待ドキドキ満載“胸キュンホラー”『NECK』携帯クリーナーを10名様プレゼント
2010年07月22日