意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「北朝鮮の実情」です。予想外に開かれた平壌。互いに知ることが重要では?8月に平壌を視察してきました。想像以上に発展しており、現地の新聞や雑誌には、新しい工場建設の見出しが日々躍っていました。また、街なかでは外国人が多く歩いていました。北朝鮮と国交を断っている先進国はアメリカとフランスと日本のみ。世界の98%の国とは交流があるので、決して閉ざされた国ではないんですね。北朝鮮の人たちの話を聞くと、彼らの希望はとにかく経済発展させること。これまで国家予算は核開発にあてられ、国民は厳しい生活に耐えてきましたが、核兵器が完成して、ようやく生活や科学技術の向上を望めます。農村部との格差をなくすために、AR(拡張現実)技術を使って遠隔操作で教育を施すなど、教育にも力を入れていました。非核化に関しては、「アメリカが核を持っているかぎりは難しい」とコメント。ただ、9月9日の軍事パレードで大陸間弾道ミサイルの展示はなく、それは、米朝間交渉を円滑に進めるための配慮だといわれています。経済制裁のダメージは受けていて、ある女子学生は「おしゃれな雑貨が入ってこなくなった」と話していました。最新医療現場では日本やドイツ製の医療機器も置かれており、すべてを自国製で賄うのは難しいため、一刻も早い国際社会との連携を願っています。拉致問題について学生に意見を聞いてみると、そんなことが自国であったことに衝撃を受けた、と話していました。でも彼らの主張は、それよりもまず戦時賠償解決のほうが先立つんですね。交流を断っているため、お互いに50年くらい前のイメージのまま止まっています。これは両国政府の反日、反北朝鮮プロパガンダが浸透しているといえます。北朝鮮の方々は、過去の日本に対しては厳しい認識を持っていますが、日本の国民性や技術力に対しては期待を抱いており、互いに協力したいという声もたくさん聞きました。北朝鮮も日々変化しています。外交官同士が雑談レベルで話せる関係を持ち、互いの最新のニーズを知ることが大事だと思います。韓国や中国との間にある問題と同様、対立する道具にするのではなく、知恵を出し合って、解決する機運を高めていきたいですね。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年10月17日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年10月14日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「エドテック」です。教育格差や不登校、地方創生など、諸問題の解決にも。エドテック(EdTech)とは、Education(教育)とTechnology(科学技術)を組み合わせた造語で、教育分野にイノベーションを起こそうと、世界中に広がっている取り組みです。アメリカでは、貧困問題、教育格差を解消するために、10年以上前に政府が貧困地域にノート型パソコンを配布し、授業カリキュラムを配信しました。現在では、スタンフォード大学やハーバード大学がインターネットで授業を公開するなど、遠隔地に高等教育を届ける仕組みを作っています。エドテックの最たるものとして、人気を集めているのが、アメリカのミネルバ大学。この学校にキャンパスはなく、全寮制なのに授業はすべてオンライン。サンフランシスコを皮切りに、学期ごとに学生は世界の7都市を巡って授業を受けます。世界中の教師が参加し、オンライン・ミーティングの形で授業を進行。学生の発言はすべて記録され、AIによって個々の弱点などを検出。一人一人に適切な指導が行われるのです。教室内で生徒のレベルに差があることや、不登校や引きこもりの問題は日本でも深刻化しています。平成28年度の不登校を含む引きこもりは、小学生で約7万人。中学生は約14万人、高校生は約8万人です。ニートの大人の2割は元引きこもり児だったという統計もあり、減少する労働人口を補う上でも、インターネットを使って、家にいながら安心して学べる仕組みを作ることは重要です。ネット環境さえ整えば、都市の学校に行かずとも、離島でもどこでも最新の授業を受けられますから、地域による格差もなくなり、地方創生にも一役買うことができるでしょう。これからは単純な仕事はAIやロボットが担いますから、暗記した知識より、それらに適切な指示を与えられる、そんな人材が必要になります。そこで、経済産業省はIT企業やNPOと協力し、「未来の教室」という名を掲げ、効率的な知識習得と、課題の発見・解決能力を育成する学習プログラムの開発を行っています。エドテックは学校教育にとどまらず、人生100年時代のリカレント教育、ITや医療などの専門分野の学習にも生かされています。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年10月10日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年10月09日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「災害支援とボランティア」です。確実な支援には、的確なニーズを知るのが肝要。熊本地震の経験をふまえ、西日本豪雨では、安倍政権は「プッシュ型支援」を取り入れました。災害が起きたとき、これまでは地元の自治体からの要請を受けて、必要物資を送っていましたが、自治体や職員が被災した場合、どうしても後手に回ってしまいます。そこで今回は、要請を受ける前に、国のほうから業務用エアコンやスポットクーラー、簡易トイレ、無線機などを必要と思われるところに送りました。ただ、愛媛県大洲市では、送られてきた仮設トイレの管理方法が決まらず使われなかったなど、一部ミスマッチが生じました。こういう問題は試行錯誤しながら徐々に整備していくものなので、多少の齟齬は仕方ないと思います。今回は、自衛隊も現地の情報収集・連絡専門要員を約200人派遣。災害直後は混乱していますから、具体的なニーズを把握することがとても大変です。専門要員がいたことで的確、迅速な支援につなげることができました。ニーズを把握することは、ボランティアをする上でも重要です。「なにか助けになれば!」と災害発生直後に駆けつける方がいらっしゃいますが、被災地側はまだ指示できる状況ではなく、手持ち無沙汰になることも。もしもボランティアをしたいと思ったら、まず地元の災害ボランティアセンターか、社会福祉協議会に問い合わせましょう。現状を知り、ボランティア保険に入り、心構えのレクチャーを受け、県外の人も募集しているかなど条件を確認してください。ボランティアは誰でも歓迎されるとは限りません。駐車場の確保の問題もありますし、「地域の人のみに限る」というところもあります。ボランティアの車が渋滞を引き起こし、自衛隊や救急車両が入れなくなるというトラブルも起きます。また、泥かき要員だったら、基本的には道具は持参しなければいけません。不衛生な環境もあるため、マスクやゴーグルも必須です。社会福祉協議会では、ボランティアの作業マニュアルを作り、道具や服装について明記していますので、ぜひ参考にしてください。善意の押し付けにならないためにも、被災地に迷惑をかけないボランティアのあり方を知る必要がありますね。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年9月26日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年09月19日これからの行楽シーズンに欠かせない “お弁当”。そのさまざまな魅力を体感できる参加型の展覧会『BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン』が現在、上野の東京都美術館で開かれています。インスタでもちょっと話題になっている展覧会、その様子を取材してきました!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 124『BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン』では、おなじみの “お弁当” をコミュニケーション・デザインの視点からとらえ、写真や映像、参加型のインスタレーション作品などで紹介。歴史や食文化など、知っているようで知らないお弁当の魅力を、見て感じて再発見できる楽しい展覧会です。まずはお弁当箱!最初の展示室でまず目に入るのが、江戸時代など昔のお弁当箱。インパクトが強めのものも並んでいます!例えばこちらは、個人蔵の《楼閣型弁当》。沈金(ちんきん)という技法を使って、楼閣の広間などが描かれています。このお弁当箱、いったいどんな構造になっているのか、どこにおかずを詰めるのか気になりませんか? 会場では分解された写真も一緒に展示されているので、ぜひ確認してみてください。さらに、手袋をつけて触れるお弁当箱もあります。実際手にしてみると、質感や温もりなどが感じられて楽しいです!お弁当の精霊がかわいい~!次の章では、現代作家2名によるインスタレーション作品が展示されています。まず、オランダで活動されているイーティング・デザイナー、マライエ・フォーゲルサングさんの作品《intangible bento》(2018)から体験。体験前に、係の人から音声ガイドのような機械「精霊フォン」を借りてください。これで精霊の声を聞きながら、リボンで囲まれたbentoの世界に入っていきます。作品を上から見ると、こんな感じ。ひとつひとつがお弁当箱のようになっています。このリボン空間の中に何が入っているのかというと……例えばこんな感じのかわいい精霊に会えたりします! 精霊は全部で10種類いて、ふだんは見えないお弁当のさまざまな側面について、語ってくれます。“おすそわけ” を楽しむ!続いて上の階に行くと、展示室内に市場のような空間が広がっています。これは、北澤潤さんのインスタレーション作品《FRAGMENTS PASSAGE ―おすそわけ横丁》(2018)。 “おすそわけ” しながら人とつながっていくお弁当のマインドを空間で表現したもので、アジアの屋台風の場所に雑貨や服、本、玩具など、さまざまなおすそわけ品が並んでいます。そして、ここでは来場者も “おすそわけ” に参加できるんです! 家におすそわけしたい品がある人は、まずスタッフの方に声をかけてください。そして専用ボックスを預かります。なぜおすそわけしたいのか、そのストーリーもぜひ考えてみてください。あとは品物を持ってくればOK。再訪の際、このボックスを入口で見せると、2回目の入場料は無料になります。ちなみに…、もしおすそわけしてもらいたいモノがあった場合は、スタッフの方に相談してみてくださいね。来場者のおすそわけ品で、展示風景も変わっていきます。美術館での貴重なおすそわけ体験、参加して知らない誰かとつながってみるのも楽しいですよ。父娘のお弁当にほっこり最後の章では「お弁当から考えるコミュニケーション・デザイン」と題して、森内康博さんの《Making of BENTO》(2018)と小山田徹さんの《お父ちゃん弁当》(2017)の写真や映像などが展示されています。小山田さんは、幼稚園に通う息子さんのためのお弁当を、小学生の娘さんが描く指示書に従って作っています。その記録がパネルになっているのですが、これが本当におもしろい。娘さんが出すテーマは動物や植物などシンプルなものから「光合成」や「傾斜地層」など学校で習ったことまでバラエティに富んでいます。どんなテーマでも、お父ちゃんはおいしそうなお弁当に仕上げています。父娘が小さな弟に喜んでもらおうと作業している姿が目に浮かび、なんとも言えずほほえましい気持ちになります。時には「おじさん犬弁当」など無茶振りされても見事に完成させるお父ちゃん、かっこいいです!すべての展示を見終わると、改めて “お弁当” という食文化の奥深さに気づきます。大切な誰かのためにつくるのも、また誰かにつくってもらうのもうれしいお弁当。人と人をつなぐ最強ツールの新たな魅力を会場で発見してみませんか?Information会期:~10月8日(月・祝)時間:9:30~17:30*金曜日は20時まで開室。入室は開室の30分前まで。休室:月曜日。9月18日(火)、25日(火)。ただし9月17日(月・祝)、24日(月・休)、10月1日(月)、8日(月・祝)は開室。料金:一般¥800/大学生・専門学校生¥400/65歳以上¥500/高校生以下無料*10月1日(月)は「都民の日」によりどなたでも無料
2018年09月14日「UENOYES バルーンDAYS 2018」が開催!2018年9月28日(金)~30日(日)の3日間、社会包摂をテーマにしたプロジェクト「UENOYES(ウエノイエス)」のキックオフイベントとして、「上野恩賜公園」を舞台に「UENOYES バルーンDAYS 2018(ウエノイエスバルーンデイズ)」を開催。イベント開催概要名称:UENOYES バルーンDAYS 2018(ウエノイエスバルーンデイズ2018)会期:2018年9月28日(金)、29日(土)、30日(日)時間:10:00~17:00会場:上野恩賜公園 竹の台広場(噴水前広場)、国立国会図書館国際子ども図書館主催:上野文化の杜新構想実行委員会、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)参加費:無料※雨天・荒天の場合、一部屋外でのプログラムは開催中止となる場合があります。詳細はUENOYES公式サイトでご確認ください。平成30年度文化庁国際文化芸術発信拠点形成事業UENOYESとは「UENOYES」は、子供から大人まで人種や国を超えたさまざまな人々とともに、年間を通して多彩なプログラムを展開しています。上野から世界に向けて、文化を起点に人々の新たな社会参画を発信しているプロジェクトです。子供を対象としたプログラム(参加型プログラム)スタチュー写生大会スタチュー写生大会イメージ屋外彫刻のような格好をした「路上パフォーマー(スタチュー)」をモデルに描く写生大会が、公園の中心にある「竹の台広場(噴水前広場)」で3日間開催。誰もが参加できる開放的なアトリエで、講師の東京藝術大学の在校生や卒業生にアドバイスを受けながらスケッチができます。ここで描かれた子供の絵のなかから、UENOYES総合プロデューサー・日比野克彦さんが数点を選び、2018年10月2日(火)より「東京藝術大学大学美術館」で開催されるイベントで展示されます。■概要日程:2018年9月28日(金)、29日(土)、30日(日)時間:・午前の部 10:00~12:00子供を対象とした写生大会(希望者のみ、描いた絵を当日17:00まで公開します)対象:18歳まで(保護者同伴可)定員:75名※事前予約制。詳細はUENOYES公式サイトでご確認ください。・午後の部…13:00~17:00自由参加の写生大会(どなたでも空いている席でスケッチに参加できます)対象:子供から大人まで。経験不問。事前予約不要。場所:上野恩賜公園 竹の台広場(噴水前広場)講師:東京藝術大学の在校生や卒業生スタチューパフォーマー:Shiva・紫穂・たかくわみえ・POTE・ボールド山田持ちもの:使いたい画材がある方は各自ご持参ください。(画用紙/コンテ/イーゼル/画板/椅子は無料貸出)※雨天・荒天の場合は、場所の変更もしくは開催中止の場合がありますのでご了承ください。ホセ・マリア・シシリアによる東北のアートプロジェクト東北の復興や防災をテーマに、アーティストが中心となって、誰もが参加できるプロジェクトを展開。スペイン出身のアーティスト「ホセ・マリア・シシリア」による「東北のアートプロジェクト in 上野」では、3つの防災・食をテーマとしたアートプログラムが展開されます。イベント:東北と上野を結ぶ星屑屋台スペイン出身のアーティスト「ホセ・マリア・シシリア」が、東日本大震災後に東北で継続的に行ってきた活動を紹介し、その活動に携わった人々や、震災を経験した人々とともに震災や作品について語り出会えるスポットを創出します。参考図版■概要日程:2018年9月28日(金)、29日(土)、30日(日)時間:10:00~17:00※予定場所:上野恩賜公園 竹の台広場(噴水前広場)協賛:株式会社イケックス工業※雨天・荒天の場合は、場所の変更もしくは開催中止の場合がありますのでご了承ください。展覧会:想起の力で未来を「アクシデントという名の国」音を分析して二次元・三次元に形象化する作品を多く発表する画家「ホセ・マリア・シシリア」。東日本大震災の際の津波の轟音をもとに制作した作品「アクシデントという名の国」と、宮城県南三陸町で住民に津波警報を発し続け亡くなった、遠藤未希さんの声やその死から発想した連作「数千年にわたる遠藤未希への想い」などをご紹介します。参考図版「ホセ・マリア・シシリア、福島・冬の花」福島県立美術館2013年 Photo © Paula Fujiwara■概要日程:2018年9月28日(金)~2019年2月24日(日)開館時間:9:30~17:00※図書館の開館スケジュールに順じます。休館日:月曜日・国民の祝日・休日・年末年始・第3水曜日場所:国立国会図書館国際子ども図書館 レンガ棟3Fホール/ラウンジトークイベント:想起に導かれて東北の子供たちとともに東日本大震災以降、岩手県・宮城県・福島県の被災地を何度も訪れ、震災のトラウマを抱える子供たちと数多くのワークショップを手がけてきたシシリアさん。同時開催の展覧会出品作と、東北でのワークショップについての講演後、上野文化の杜国際部門ディレクター・岡部あおみさんとトークセッションを行います。「国立国会図書館」による「国立国会図書館東日本大震災アーカイブ事業」や「東日本大震災関連児童書」のご紹介も行います。撮影:岩手未来機構■概要日程:2018年9月28日(金)時間:13:00~14:30場所:国立国会図書館国際子ども図書館 レンガ棟3Fホール※入退場自由定員:100名程度(当日先着順、予約不要)日英逐次通訳および日本語の手話通訳付き※トークはスペイン語と日本語で行います。小山田徹による公開ラジオトーク「きき耳ラジオ」『きき耳』2000年霧島アートの森(鹿児島)美術家・小山田徹さんとゲストが園内を散歩し、「防災」をテーマに地域の防災や食など、独自の切り口でトークをする公開ラジオ。参加者も園内を一緒に散歩しながら語り合います。■概要日程:2018年9月28日(金)、29日(土)時間:13:00~14:00 / 16:00~17:00(予定)場所:上野恩賜公園 竹の台広場(噴水前広場)※詳しい集合場所はUENOYES公式サイトでご確認ください。ゲスト:上野消防署隊員・高橋祐亮(デザイナー/昆虫食研究者)・日比野克彦(UENOYES総合プロデューサー)など※ゲストは毎回変わります。参加方法:各自ラジオ受信機とイヤホンをご持参ください。当日はラジオ受信機の無料レンタルあり(各回先着80台)。音声は日本語/英語対応です。※雨天実施。荒天の場合は中止。ARTS TIME PROJECT(参加型プログラム)上野にある文化資源や歴史を独自の視点で探求し、社会包摂をテーマとしたアートプログラムを展開します。「新人Hソケリッサ!」によるダンスパフォーマンス「プラザ・ユー Plaza・U」撮影:中村順アオキ裕キが率いる「新人Hソケリッサ!」が、およそ2カ月半に渡る「噴水前広場」での公開稽古を経て、新作パフォーマンスを行います。公園の歴史や文化施設、多様な人々が集う場所をリサーチ。そのなかから生まれた肉体表現作品を披露します。日々「生きる」ことに向き合わざるを得ない環境にいる路上生活経験者の肉体に、生きることのリアルさを見出したアオキによって、現代社会の自由を問いかける肉体表現を行います。■概要日程:2018年9月28日(金)、29日(土)、30日(日)時間:16:15〜17:00場所:上野恩賜公園 竹の台広場(噴水前広場)※詳しい場所はUENOYES公式サイトでご確認ください。※当日はどなたでも発表をご覧いただけます。※雨天・荒天の場合は、場所の変更もしくは開催中止の場合がありますのでご了承ください。「新人Hソケリッサ!」によるダンスワークショップ参加者それぞれの個性や身体に合わせた踊りを作るダンスワークショップ「森のストレッチとソケリッサ!踊りの生まれ方ワークショップ」も登場。ストレッチを通じて自分の身体を観察することから始め、自分にしかできない踊りを模索します。■概要日程:2018年9月28日(金)、29日(土)、30日(日)時間:11:00〜12:30場所:上野恩賜公園 竹の台広場(噴水前広場)※当日はどなたでもご参加いただけます。※雨天・荒天の場合は、場所の変更もしくは開催中止の場合がありますのでご了承ください。「全身の耳になる、全身の目になる」2015年燈著你回來、寶藏巖國際藝術村、台北耳の聴こえにくい・聴こえない方々や、目の見えにくい・見えない方々と対話を重ねたアーティストが、事前に一般から公募した参加者とともに耳や目、手足や体の使い方を見つめ直すワークショップを実施。当日は、ワークショップの参加者と共に公園の空のもと、パフォーマンスを発表。■概要日程:2018年9月28日(金)、29日(土)、30日(日)時間:11:00~12:00/14:15~15:15場所:上野恩賜公園 竹の台広場(噴水前広場)※当日はどなたでも発表をご覧いただけます。※雨天・荒天の場合は、場所の変更もしくは開催中止の場合がありますのでご了承ください。トーラスヴィレッジによる参加型合唱パフォーマンス「シング・パーク・ハルモニア」表現(Hyogen)「サウンド・ダイアログ」2015佐藤公哉が率いる「トーラスヴィレッジ」を中心に、簡単に歌えるフレーズの組み合わせで生まれるハーモニーや、ソリストの見せ場などによって構成した、誰でも参加できる合唱パフォーマンスです。事前に参加を希望される方向けのワークショップを複数回実施。当日はフラッシュモブのような演出で、決まったステージではなく公園のさまざまな場所から始まった歌が集まり、響きを作っていきます。アーティストとワークショップ参加者が全体の合唱をリードするので、会場で配布される楽譜を見ることで、通行中の方々も飛び入りで参加したり鑑賞することができます。■概要日程:2018年9月28日(金)、29日(土)、30日(日)時間:12:30~/15:15~/16:00~場所:上野恩賜公園 竹の台広場(噴水前広場)※事前のワークショップの詳細および参加予約についてはUENOYES公式サイトでご確認ください。※当日はどなたでもご参加いただけます。(予約不要)※雨天・荒天の場合は、場所の変更もしくは開催中止の場合がありますのでご了承ください。北澤潤による「FIVE LEGS Factory」作品イメージ「FIVE LEGS」は、インドネシアの路上を行き交う移動式屋台「KAKI LIMA(カキリマ)」を、異なる⽂化をもつ都市の⽇常へと「翻訳」していくことで、上野に新たな路上の⾵景を⽣み出すプロジェクトです。公園内で「KAKI LIMA」を制作し、最終日には完成した「KAKI LIMA」が出現。⼈が集まる場所を感知し、同時に⼈が集まる場所⾃体にもなる「KAKI LIMA」を媒介に、公園に新たな人々の集いの風景を生みだします。■概要日程:2018年9月28日(金)、29日(土)、30日(日)時間:10:00~17:00(予定)場所:上野恩賜公園 竹の台広場(噴水前広場)※雨天実施※当日はどなたでもご覧いただけます。山本高之による「チルドレンズ・プライド、上野恩賜公園」「チルドレンズ・プライド、サンフランシスコ」2013子供たちと一緒に、願いごとや言いたいことを、大きな声で言ってみませんか。プラカードや旗を掲げて、みんなで公園を練り歩きます。朝起きてから寝るまでの間に「こうなったらいいのになぁ」と思うことをプラカードに書き、パレードをします。パレードでは子供たちの願いを「コールアンドレスポンス」することで、夢や希望・願いをシェアします。日程:2018年9月30日(日)時間:・13:00~15:00…プラカード制作対象年齢:4歳~12歳(保護者同伴可)定員:30名 ※事前予約制。詳細はUENOYES公式サイトでご確認ください。・15:15~16:00…パレード(プラカード制作をした子供たちと一緒に上野公園をパレードします。)自由参加です。子供から大人までどなたでも参加できます。場所:上野恩賜公園ほか※雨天実施持ちもの:音のなるもの(マラカス、笛、タンバリンなど)、雨具イベント情報イベント名:UENOYES バルーンDAYS 2018催行期間:2018年09月28日 〜 2018年09月30日住所:上野恩賜公園 竹の台広場(噴水前広場)、国立国会図書館国際子ども図書館
2018年09月14日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「高度プロフェッショナル制度」です。6月、8つの法律から成る働き方改革関連法が成立。長時間労働をなくすため、残業時間の上限が原則月45時間、年間360時間に定められました。上限を超えると使用者側に6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられます。また、「同一労働同一賃金」を導入。同じ企業で同じ仕事内容の場合、正規雇用と非正規雇用の待遇格差を是正することになりました。8つの法律の一つが「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」です。年収1075万円以上の専門職は、残業や休日、深夜労働などの割増賃金の支払い対象から外すというもの。証券アナリストや医薬品開発の研究者、経営コンサルタントなどが対象とされています。残業せずに自分の裁量で効率よく働けばいいという制度なのですが、現実問題、自分の仕事が終わったからと、残業せずに帰ることができるでしょうか。上司に新たな仕事を頼まれ、サービス残業を強いられるのではないか。家族が過労死した遺族らはこの法案に反対していました。優秀で責任感の強い真面目な人こそ、過労に至ります。本来、法律はそういう働き手を守るためにあるべきなのに、「高プロ」はそうではないと肩を落としていました。実はこの法案、第1次安倍内閣のころにも「ホワイトカラー・エグゼンプション」という名で推し進められましたが、猛反対にあい、潰されました。安倍内閣が、なんとしてもこの法律を通したかった背景には、アメリカからのリクエストがあります。「日米投資イニシアティブ」という、経済的にパートナーシップをとろうという交渉のなかで、アメリカは日本の雇用環境を、従来の終身雇用型の家族的なあり方ではなく、成果主義ですぐに首を切れる外資系スタイルに変えることを要望。そうして、日本企業でアメリカ人の雇用を増やすことを望んでいるのです。高プロは、労働者側に、拒否する権利を与えています。しかし、有給休暇の申請さえしづらい日本の職場環境で、対象者は拒否できるのか。また、現在は一部の高所得者、専門職のみが適用対象になっていますが、それも将来もっと広げられるのではないかと、危惧する声も上がっています。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年9月5日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子
2018年09月04日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「政治家と官僚」です。間接的には国民も官僚の人事に関わっています。森友学園をめぐる文書改ざん、自衛隊の日報隠蔽、加計学園の獣医学部新設など、政治家と官僚にまつわる問題が度々起きています。ここで政治家と官僚の違いについて改めて整理すると、政治家は、国民が選挙によって選んだ、「私たちの代表」です。これに対し官僚は、各省庁ごとに採用された公務員で、国民の代表ではありません。基本的には、政治家が官僚に対して指示を出し、官僚はそれを実行する立場にあります。なにか不祥事を起こした場合、政治家ならば、次の選挙で当選させない、ということができますが、官僚については国民が人事に関わることはできませんでした。しかし、官僚機構のなかだけで人事を決めることで、官僚と民間の癒着構造ができ、天下り問題が取りざたされるようになりました。省庁のトップに上がれなかった人たちの受け皿として、機能していない公益法人を作り、無駄な税金が使われた。そこで、第1次安倍政権は「官民人材交流センター」を内閣府に設置。国家公務員の再就職先を民間企業と相談しながら支援するというもの。その後、民主党政権になり、官僚の勝手にはさせないと、政治主導にしようとしたのですが、うまくいきませんでした。第2次安倍政権になり、平成26年に国家公務員法の一部を改正。「内閣人事局」を作って、国家公務員の幹部の人事を政府が行うことになりました。主に官房長官に一任されており、最大の人事権を持つのは内閣総理大臣です。こうして、間接的ではありますが、国民は官僚の人事に関われるようになったんです。ところがそこで起きたのが、出世したい官僚が、人事権を持つ政治家に擦り寄り、忖度するようになったということ。その結果、冒頭のような問題を引き起こました。官僚の指揮命令系統は大変整っているため、あってはならない文書改ざんまで、上司の命令が通ってしまいました。裏を返せば、よいこともスムーズに処理されているということですが…。原因は内閣人事局の設置ではないと、僕は思います。問題再発を防ぐには、各省庁に適切な人材を配置できる政治家を、私たちが選ぶということなのではないでしょうか。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。新刊『堀潤の伝える人になろう講座』(朝日新聞出版)が好評発売中。※『anan』2018年7月11日号より。写真・樽木優美子(TRON)スタイリスト・有咲ヘア&メイク・尾口佳奈(KOHL)インタビュー、文・菅野綾子(by anan編集部)
2018年07月08日上野の東京都美術館では、「おべんとう」をコミュニケーション・デザインの視点から捉えた参加体験型の企画展「BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン」を、7月21日から10月8日まで開催する。私たちの生活の中に深く根付いているお弁当。行楽弁当など誰かと一緒に食べる共食(きょうしょく)のお弁当は、地域の共同体を維持し、そのつながりを深めるソーシャル・ツールとして、日本古来、農耕社会のハレの場などにおいても重要な役割を果たしてきた。誰かが誰かのために作るひとり用のお弁当は、その一つひとつに作る人と食べる人をつなぐ物語があり、作る人から食べる人への贈りものともいえる。同展では、日本独自の食文化であり、人と人をつなぐ「おべんとう」をコミュニケーション・デザインの視点から捉え、その魅力を来場者自身が体験しながら発見できる空間を展開。「おべんとう」から見えてくるコミュニケーション・デザインをテーマに、遊び心のある江戸時代のユニークなデザインのお弁当箱や、現代の作家たちのインスタレーション、参加型の作品などを展示する。《あゆみ食堂のお弁当》2017年 料理:大塩あゆ美、写真:平野太呂見どころの一つ、“発酵デザイナー”小倉ヒラクによる新作のアニメーション作品は、口ずさみやすいメロディと歌詞、振り付けで、歌って踊ると自然とお弁当のことがよくわかる。親しみやすいキャラクターが登場し、男女年齢問わず来場者にお弁当のことを思い起こさせる。「おべんとう」が生み出すコミュニケーションに注目した作品も登場。読者からの「誰々にこんなお弁当を作ってあげたい」という便りに応えて、大塩あゆ美がお弁当を作り、平野太呂が撮影、読者にレシピとお弁当箱が届けられるプロジェクト「あゆみ食堂のお弁当」や、お弁当を黙々と食べる姿から、食べている人とお弁当を作った人との関係性にまで想いが馳せられるような、NHK番組「サラメシ」でも有名な“お弁当ハンター”、写真家・阿部了の作品『ひるけ』を紹介する。小山田徹《お父ちゃん弁当》2017年小山田徹は自身が日々実践する家族とのお弁当づくりのアーカイブ『お父ちゃん弁当』を展示。保育園に通う弟のために、小学生の姉がお弁当の指示書を書き、父親である小山田がそれを作る。その指示書に描かれた桜島の噴火や蛇行する川と三日月湖といったテーマは、夜寝る前に読んだ本や散歩のときに見つけた植物や虫から着想されることも。森内康博は、中学生が親の手を借りず自分でお弁当を作る様子を子どもたち自身がドキュメンタリー映像にするワークショップを行い、そのプロジェクトを映像作品として展示する。マライエ・フォーゲルサング《intangible bento》イメージスケッチ私たちの慣れ親しんだお弁当を、普段とは違う視点で捉える参加型作品も紹介。この分野の第一人者でもあるオランダ在住のイーティング・デザイナー、マライエ・フォーゲルサングは、お弁当の「触ることや見ることができない」側面、例えば人と人とのつながりや記憶、その未来像などを、生き生きとした物語として表現し、その物語に来館者を誘う。北澤潤は、お弁当を「箱」と「布」によって自由にコミュニケーション空間を創出するツールとして捉え、美術館の中に、お弁当の「おすそわけ」マインドを考える『おすそわけ横丁』という異空間を作り出す。来館者自身が、よくみて、考え、お弁当を再発見することができる実験室のような空間が出現する。北澤潤《FRAGMENTS PASSAGE -おすそわけ横丁》イメージスケッチ 2018年この他、宴などの共食の場で使われたユニークなデザインが施された江戸時代のお弁当箱や、食べる状況に応じてデザインされたひとり分のお弁当箱、そして世界のお弁当箱を展示。目的に合わせてデザインされたプロダクトとしてのお弁当箱に注目する。関連イベントとして、こどもたちのために閉室日を特別にオープンし、親子でゆったり楽しめる「キッズデー」や、アーティストと一緒に同展を楽しむプログラムも開催される。大人もファミリーも楽しい、見る・聞く・触れる、参加体験型の展覧会で、「おべんとう」が生み出す人との繋がりを感じてみては。【展覧会情報】BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン会期:7月21日~10月8日会場:東京都美術館 ギャラリーA・B・C時間:9:30〜17:30、金曜日9:30~20:00(ただし7月27日、8月3日、10日、17日、24日、31日はサマーナイトミュージアムにより21:00まで)※入室は閉室の30分前まで料金:一般800円 大学生・専門学校生400円 65歳以上500円 団体(20名以上)600円 高校生以下無料 ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料、この他割引の詳細は特設サイト(bento.tobikan.jp)にて休室日:月曜日(ただし8月13日、9月17日、24日、10月1日、8日は開室)、9月18日、25日
2018年07月04日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「公文書」です。明確なルールが不十分。国民の財産という意識を。森友学園や自衛隊の日報など、公文書にまつわる問題がたびたび取りざたされています。公文書とは、国や地方公共団体などの機関、公務員が作成する文書を指します。日本では長い間、公文書についての明確なルールが決められておらず、「公文書管理法」という法律が整備されたのも2009年、麻生内閣のとき。年金の納付記録漏れなどが発覚し問題になった時期でした。公文書管理法の第1条には、「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るもの」と記載されています。公文書は国民の大切な財産。のちに政策や意思決定の経緯を検証するための重要な資料となります。日本には、太平洋戦争で敗戦が濃厚になったときに、軍が書類を焼却処分したという苦い過去があります。たとえば、満州で陸軍の731部隊が、生物兵器の人体実験を行ったのではないかといわれている件も、関係資料が残っていないために実証ができておりません。現在、公文書は内容に応じて最長30年保管され、その後も歴史的に必要と判断されたものは、国立公文書館に移されます。公文書にするかどうかは各役所の判断に委ねられており、公文書にすると決まったら、文言もいろいろ整えてから作成されるのだそうです。短期で目的を終えると担当者が決めたら「1年未満文書」として、管理簿へ記載されず、審査を受けることなく廃棄できます。自衛隊の日報があとから見つかったという問題も、日報を公文書とするかどうかの意識にズレがあったからではないかといわれています。アメリカには国立公文書記録管理局があり、誰でも自由に閲覧できます。僕もサンオノフレ原発事故について調べたときに、民間企業の担当者の連絡先まで辿ることができました。「不都合になりそうなことは隠す」のではなく、公益性を考え、社会にとって必要な情報は公開する。民主主義国としてアメリカは先輩格だなと実感しました。徹底した管理をするには、人員が足りていないという問題もあります。今後の公文書のあり方、情報公開と保存についてしっかりと整備し、ルールを作り上げていくことが望まれます。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。新刊『堀潤の伝える人になろう講座』(朝日新聞出版)が好評発売中。※『anan』2018年6月6日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年06月10日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「18歳成人」です。少年法や保護者の責任期限など、要検討事項も多々。3月の閣議で、政府は成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案を決めました。それに合わせ、結婚できる年齢を女性も18歳に変更、2022年4月の施行に向けて、現在、細かな法律の整備を進めています。成人年齢引き下げのきっかけとなったのは、4年前に憲法改正の是非を問う国民投票の投票年齢を18歳としたことです。続けて一昨年、選挙権も18歳に引き下げられました。今回、飲酒や喫煙、公営ギャンブルができる年齢は20歳のまま据え置きになりますが、親の承諾なしにクレジットカードを作ったり、ローンを組むことが可能になります。高校を出たての若者が悪徳商法に引っかかるなどの被害が出ないかと、心配の声も上がっています。一番懸念されているのは、少年法の適用年齢を引き下げるかどうかです。現在、未成年の犯罪の場合は少年院に送られ、更生指導を受け、一般社会に戻されます。ところが、もしも18~19歳でいきなり刑務所に送られることになれば、社会経験のないまま、更生の機会も得られず、再び社会に放り出されることにもなりかねません。刑期を終えたあと、2年以内の再犯率は11.5%。この数字が増えてしまうことになるかもしれません。未成年でも凶悪事件は刑法で裁かれる場合もあるので、20歳のままの年齢設定でもよいのではという意見も出ています。また、成人年齢引き下げでしっかり議論すべきなのが、保護者が責任を持つ年齢です。児童養護施設にいられる年齢、養育費の支払い義務は何歳までになるのか。18歳から成人となれば、大学費用の負担がシングルマザーやファーザー家庭で増えたり、あるいは子ども本人に負担が及ぶでしょう。世界では、成人年齢を18歳に定めている国がほとんどです。世界のスタンダードに合わせ、自立する年齢が早まるのはよいことですが、そのかわりに、税金や労働法、経済の仕組みやリテラシーなど、社会に出て必要とされることの教育プログラムを作る必要があると思います。ブラックバイトの問題が後を絶たないのも、それらが違法だという知識が、雇われるほうにないのが一因なんですね。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。新刊『堀潤の伝える人になろう講座』(朝日新聞出版)が好評発売中。※『anan』2018年5月30日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年05月23日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「死刑制度」です。世界は廃止が主流。加害者の人権をどう捉えるか。1989年~‘95年に起きた一連のオウム真理教事件。関連する刑事裁判がすべて終結し、麻原彰晃死刑囚をはじめ、死刑が確定した13人の刑の執行もまもなく行われるといわれています。日本の死刑の歴史は古く、5世紀の仁徳天皇時代からあり、現在の刑法に定められたのは明治40年です。しかし、世界では死刑制度は廃止の方向に進んでいます。1990年時点で、死刑制度のあった国は96か国、廃止国は80か国。2009年には死刑存置国は58か国に減り、廃止国は139か国に増えました。イギリス、フランス、ドイツなど、ベラルーシ以外の欧州諸国や南米諸国は廃止。アフリカでも廃止国が増えており、アメリカで死刑が存置されているのは一部の州のみです。中国も国際社会からの批判を受け、適用を厳格化することにしました。多くの国が死刑制度を廃止にした主な理由は、人権的な問題と、実は死刑が凶悪犯罪の抑止力にはならないと証明されたからです。国連人権理事会は、日本政府にも死刑制度の廃止や一時停止の勧告を行いましたが、政府は世論が求めていないからと、検討する構えを見せていません。平成26年度の内閣府の世論調査によると、80.3%の人が「死刑もやむを得ない」と答えました。「死刑は廃止すべき」が9.7%、「わからない、一概にいえない」が9.9%。「やむを得ない」と答えた人のうち5割以上の人が、その理由を「被害者やその家族の気持ちがおさまらない」「凶悪な犯罪は命をもって償うべき」としています。そして、「死刑を廃止すると、凶悪犯罪が増える」と考える人が57.7%いました。しかし一方で、袴田事件や名張毒ぶどう酒事件といった死刑判決が確定した事件が、再審でのDNA鑑定により冤罪だったことなど、問題も複数起きており見過ごせません。日弁連は、人権擁護の観点から死刑制度廃止を訴え続けていて、再来年、国連犯罪防止刑事司法会議が日本で開催されるまでに、進展を見せたいと考えています。加害者とはいえ、人が人を殺してもよいのか。終身刑ではなく、死刑でなくてはならない理由は何か?みなさんはどう思いますか?堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。新刊『堀潤の伝える人になろう講座』(朝日新聞出版)が好評発売中。※『anan』2018年5月23日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年05月16日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「仮想通貨の現状」です。仕組みが不安定。投資目的の購入はリスクが高すぎる。今年1月、仮想通貨交換業者の大手コインチェックで、ハッキングにより仮想通貨「NEM(ネム)」580億円分が流出する事件が起きました。仮想通貨の技術を支えるのはブロックチェーンという仕組み。世界中の複数のサーバーで情報を共有。互いに監視、管理するシステムなので安全だと言われていました。なので流出後のNEMも追跡できていましたが、遂には、ダークウェブといわれる、一般ではアクセスしづらいインターネット最深層部にある闇の取引所で取引され、細かく分散、換金されてしまいました。そのため、全てのNEMの追跡は実質不可能に。流出したお金の最終的な行き先は、独裁国家の可能性も高いと言われています。仮想通貨の取引に関して、取り締まる法がなかったため、金融庁は、昨年4月に改正資金決済法を施行。仮想通貨交換業者に登録制を導入しました。コインチェックは、まだ申請段階の「みなし業者」だったんですね。この事件を受け、他のずさんな業態の交換業者にも処分命令を出し、登録審査の基準も厳しくしました。またZaif(ザイフ)という仮想通貨取引所では、2月にビットコインが0円と表示され、ある利用者が21億BTC(時価総額2246兆円)をタダで購入するというトラブルが起きました。翌日それは無効になり、後にZaifはシステムエラーによるものと謝罪。ただ、そもそも発行総量が2100万BTCと決まっているビットコインが、なぜ総量を上回って購入できたのか、ネット上では疑問の声が上がりました。最近は「ICO」といい、株のように仮想通貨を発行して資金を調達する仕組みも出てきました。様々な仮想通貨が生まれましたが、変動が大きすぎて安定した売買ができず、もはや通貨ではなく、ただの投資のためのデータになってしまっているものもあります。仮想通貨はまだ過渡期。勉強のための少額購入ならよいですが、まとまったお金を投資するにはリスクが高すぎると思います。先日、コインチェックはネット証券のマネックスグループに買収されました。仮想通貨はあくまで、ブロックチェーンという技術を世界に浸透させる先導役なのだと思います。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。新刊『堀潤の伝える人になろう講座』(朝日新聞出版)が好評発売中。※『anan』2018年5月2・9日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年05月07日「BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン」が、2018年7月21日(土)から10月8日(月・祝)まで、東京都美術館 ギャラリーA・B・Cにて開催される。お弁当を通じてコミュニケーションを考える「BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン」展は、日本独自の食文化であり、人と人とをつなぐ役割を果たしてきた「おべんとう」をコミュニケーション・デザインの視点から捉えた展覧会だ。会場には現代の作家たちによるインスタレーション、来場者自身が見る・聞く・触れることができる参加体験型のコンテンツ、江戸時代の遊び心溢れるデザインのお弁当箱などが用意される。展覧会のみどころアニメーションでお弁当の世界へ展覧会は、発酵デザイナー・小倉ヒラクのお弁当をテーマとした新作アニメーションからスタート。親しみやすいキャラクター、口ずさみやすいメロディ、歌詞、振り付けが、観る者をお弁当の世界へと誘ってくれる。お弁当から垣間見える人と人とのつながり続くのは、お弁当を通じて人と人とのコミュニケーションを再考させられるような作品群。たとえば朝日新聞デジタル&Wで2年間連載された《あゆみ食堂のお弁当》を紹介する。「誰々にこんなお弁当を作ってあげたい」という読者のリクエストに応えて、大塩あゆ美がお弁当を創作、平野太呂が撮影し、依頼主にレシピとお弁当箱を届けるというプロジェクトだ。また、NHKのテレビ番組「サラメシ」で有名な“お弁当ハンター”の写真家・阿部了がお弁当を黙々と食べる人の姿を映した《ひるけ》は、お弁当を食べる人と作った人との関係性に想いを巡らせたくなる作品に仕上がっている。美術家・小山田徹は自身が家族と一緒に実践しているお弁当づくりのアーカイブ《お父ちゃん弁当》を展示。保育園に通う弟のために、小学生の姉がお弁当の指示書を書き、父親である小山田がその通りにおかずを調理し弁当箱に詰める。弁当にアートのように描かれた桜島の噴火、蛇行する川、三日月湖といったモチーフは、夜寝る前に読んだ本や散歩の時に見つけた植物や虫にインスピレーションを得たというものも。森内康博は、過去に開催したワークショップの様子を映像作品として上映。中学生が親に手伝ってもらうことなく自分でお弁当を作る姿を子供たち自身がドキュメンタリー映像にするという内容だ。体験型コンテンツも来場者が実際に参加することができる作品も展示。食べることをデザインするイーティング・デザイナーのマライエ・フォーゲルサングは、お弁当の「触ることや見ることができない」側面、たとえば人と人とのつながりや記憶、未来像といったストーリー性を生き生きと表現し、来場者をその物語の中へと導くような体験型インスタレーションを展開する。お弁当を「箱」と「布」によって自由にコミュニケーション空間を生み出せるツールだと考える北澤潤は、美術館の中にお弁当の「おすそわけ」マインドを考える《おすそわけ横丁》を創り上げる。江戸時代や世界各国の弁当箱さらに、時代や国境を越えた様々なお弁当箱を通じて、食べる目的や状況に合わせてデザインされた"プロダクト"としてのお弁当箱に注目するといった企画も。宴など誰かと一緒に食べる共食の場で使われた江戸時代のお弁当箱から、現代日本のひとり分のお弁当箱、そしてアジア、アフリカ、ヨーロッパなど世界のお弁当箱などが並べられる。ワークショップも「BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン」に出品するアーティストや、東京・代々木上原の弁当販売店チオベン(chioben)の山本千織らが参加するワークショップ・プログラムも開催される予定だ。【詳細】BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン会期:2018年7月21日(土)~10月8日(月・祝)休室日:月曜日、9月18日(火)、9月25日(火)※ただし8月13日(月)、9月17日(月・祝)、24日(月・休)、10月1日(月)、8日(月・祝)は開室。時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)、金曜日は20:00まで※ただし7月27日(金)、8月3日(金)、10日(金)、17日(金)、24日(金)、31日(金)はサマーナイトミュージアムのため21:00まで。会場:東京都美術館 ギャラリーA・B・C住所:東京都台東区上野公園8-36TEL:03-3823-6921観覧料:一般800円/大学生・専門学校生400円/65歳以上500円/団体(20名以上)600円※高校生以下は無料。身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳持参者とその付添い1名まで無料。※毎月第3土曜日と翌日曜日は「家族ふれあいの日」により、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住、2名まで)は、一般当日料金の半額。8月15日(水)、9月19日(水)はシルバーデーにより、65歳以上は無料。いずれも証明できるものを持参。※10月1日(月)は「都民の日」により誰でも無料。■サマーナイトミュージアム割引7月27日(金)、8月3日(金)、10日(金)、17日(金)、24日(金)、31日(金)の17:00以降は、一般600円、大学生・専門学校生無料(証明できるものを持参)。■相互割引特別展「没後50年藤田嗣治展」の観覧券(半券可)を本展会場入口で提示すると一般料金から300円引き(1枚につき1名1回限り)。「おべんとう展」の観覧券(半券可)を館内のチケットカウンターで提示すると、「没後50年藤田嗣治展」の当日券が100円引き(1枚につき1名1回限り)。
2018年03月31日「嵐」松本潤と有村架純が共演した映画『ナラタージュ』のBlu-ray&DVDが5月9日(水)にリリース。この度、Blu-ray&DVDの豪華版に収録される松本潤×行定勲監督×プロデューサーによるオーディオコメンタリーの収録が先日行われ、その際のレポートが到着した。オーディオコメンタリーでは、主演の松本さん、行定監督、そしてプロデューサーの3人が作品を観ながら撮影当時の想いや裏話を語り合った。本編スタート早々、10年温めてきた作品の映画化に至った経緯について話し始める行定監督とプロデューサーは、「キャスティングが全て」と述べ、本作で松本さんが演じた高校教師・葉山について、行定監督は「プロデューサーから松本潤はどうか、と言われて、もともと持っていた松本くんのイメージと葉山が違うので、驚いた」と言うも、「松本くんは強い印象があるので、この“弱い”部分のある葉山を松本くんで観てみたい、と思った」と決めた理由を明かす。さらに、プロデューサーも「また来年の3人(松本さん、有村さん、坂口健太郎)だったら、全然違っていたと思う」とタイミングが良かったと語っている。一方、松本さんは今回の撮影では感情を抑えることを心がけたそうで、「泉の記憶の中にいる葉山、というシーンが多かったから、泉の目線というか、泉がどう(葉山を)記憶しておいてほしいか、を意識して演じた。いつもの考え方とは違う演じ方をしていて、面白いアプローチだった」「いつもなら、葉山がどう思ったか、葉山ならどうするか、を考える。例えば、“葉山だったらこんなに大きい声を出して言わない”というところも、今回は泉には声を荒げているように見えた、ということを意識していた」とふり返っている。ヒロインの有村さんについて行定監督は、「自分はこれだけ深い恋愛をしたことがないので不安だ、とはじめは言っていたけど、いろんなことを理解していろんな表情で演じてくれた」と話し、松本さんも「有村さんがすごい思い入れを込めて泉を演じていて、それでぶつかってきてくれたことで、また自分も引き出された部分があった」とコメント。さらに行定監督曰く、「良い恋愛映画ってツッコみたくなるもの」だそうで、葉山が泉に“ごめん”と謝ってしまうシーンや、小野が感情を抑えられず泉を責めてしまうシーンなどでは、「男ってほんとに…」とツッコんだり、泉の発言に対して「これを言われちゃうと…」と葉山や小野に同情する場面も。手料理を披露するシーンでは、普段料理をするかが話題となるなど、プライベートな話も交えたコメンタリーとなっていた。収録を終え行定監督は、これからBlu-ray・DVDで映画を観る方に向けて見どころとして、「自分でもいま見直して、俳優たちの表情がすごくいいと思った。作った自分たちには何処かでわからないところもあって、観客の方々が何かを感じてくれれば良い(と思っている)。有村架純の胸がしめつけられているような辛そうな顔とか、松本潤の“ごめん”って謝った後の、憂いのある目線や表情、坂口健太郎のある種暴力的でありながら、非常に愚かな男の辛さがにじみ出る表情とか、それぞれが心に残る表情、目線を送っているというところが一番の見どころだと思う」とアピールしている。今回発売されるBlu-ray&DVD豪華版には、このオーディオコメンタリーに加え、メイキングや未公開シーン集、特番など、計180分を超える映像特典が収録。こちらもファン必見の内容となっている。『ナラタージュ』Blu-ray&DVDは5月9日(水)リリース&レンタル開始。(cinemacafe.net)■関連作品:ナラタージュ 2017年10月7日より全国にて公開© 2017「ナラタージュ」製作委員会
2018年03月13日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「平昌五輪と北朝鮮」です。五輪を機に募る南北融和ムード。問題は閉会後。新年早々、約2年ぶりに韓国と北朝鮮の南北閣僚級会談が開かれ、北朝鮮は平昌オリンピックに参加することになりました。女子アイスホッケーは南北合同チームで出場するなど、南北融和ムードが広がってきています。会談は、北朝鮮がリードする流れになり、「朝鮮半島の問題は2国間で話す。核やミサイルは、アメリカがこちら側に銃口を向けているから身構えているだけ。我々の問題に水をさしているのはアメリカだ」というメッセージを国際社会に打ち出しました。金正恩体制の一番の脅威はアメリカ。友好関係にあるアメリカ、韓国、日本の分断を狙っているといわれています。北朝鮮にとっては、慰安婦問題や竹島問題など、日本と韓国の間も火種を抱えていたほうが都合がいいんですね。韓国の文在寅大統領は、公約で、南北問題に関しては融和政策をとると宣言していました。しかし、日本やアメリカとの良い関係は保ちたく、国内世論も気にしています。以前、取材で、韓国の退役軍人数名に北朝鮮についての思いを聞いたところ「アメリカ軍と行動を共にするけれども、北には自分らの親戚も住んでおり、かつての同胞なんだ」と、複雑な表情で本音を漏らしていました。もし、ここで北朝鮮が平昌オリンピックに参加しなかったら、国際的な緊張関係はますます高まったでしょうし、北朝鮮は交渉のカードを1枚失うことになります。また、北朝鮮国内に対しても、国際社会の一員であることを示すために参加は必須でした。問題はオリンピック後でしょう。核兵器やミサイルの問題が解決されないまま、韓国と北朝鮮の友好ムードが吉と出るか凶と出るか。鍵を握るのは中国、ロシア、アメリカです。最悪のシナリオは、このまま北朝鮮の核の保有を世界が認めるということ。そうなれば、日本と韓国は安全保障を根本から見直さなければなりません。また、他の国々も核の保有を主張しだすかもしれません。いずれにせよ、北朝鮮にとって、いま平昌オリンピックが開催されたことは、自国を優位に持っていくための絶好のチャンスだったんですね。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年2月28日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年02月25日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ICAN」です。昨年、ノーベル平和賞に輝いた「ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)」とは、101か国468団体が参加している国際NGO。「核兵器禁止条約」が国連で採択されるよう働きかけた功績が認められ受賞に至りました。ICANは、核戦争防止国際医師会議という組織を母体とし、2007年にオーストラリアで発足し、2011年からジュネーブに国際事務所を置いています。日本からはNGO「ピースボート」が参加し、幹部を担っています。ピースボートは被爆者の方々とともに船で世界中を回り、各国で核廃絶を訴えてきたんですね。国際条約では、地雷や毒ガス、化学兵器などが使用を禁止されており、違反すれば国際刑事裁判所で処罰されます。核兵器もそれらに加え、開発や保有も禁止しようというのが、核兵器禁止条約。昨年7月の国連で122か国の賛成を得て採択されました。ところが、肝心の常任理事国やNATOに加盟するヨーロッパの国々、インド、パキスタン、イスラエルら核保有国、そして日本もこの条約の交渉会議に参加しなかったのです。日本はアメリカの核の傘に守られているため、核兵器保有も禁止する条約には反対の立場。より現実的な対策として「核兵器廃絶決議」を24年間連続して国連総会に提出しています。この決議案は、核の保有は認めながらも段階的に減らして、「核兵器不拡散条約(NPT)」を完全に実施しようというもの。中国、北朝鮮、ロシア、シリアが反対しているものの、アメリカや欧州諸国など156か国の賛成を得て採択されました。しかし、ICANのベアトリス・フィン事務局長は1月に来日し、「世界唯一の被爆国である日本こそが、核兵器禁止条約に賛成し、核廃絶のリーダーシップをとるべき」と訴えました。核兵器は絶対に使われてはなりませし、被爆者のみなさんのメッセージは後世まで広く伝え続けなければいけません。けれど、大国同士が核を保有していることが抑止力となり、戦争を回避できているという現状も否めません。もし世界から核兵器がなくなったとしたら、何が抑止力となるのでしょうか。みなさんはどう思いますか?堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年2月14日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子
2018年02月12日アイドルグループ・嵐の松本潤が7日、都内で行われた明治ミルクチョコレート バレンタインPRイベントに登場した。松本自身は、バレンタインについて「幼稚園の頃、同級生に駄菓子屋のお嬢さんがいまして、毎年ものすごい数のチョコレートを貰えたのがすごく印象に残ってて」と思い出を振り返る。「ビニールに入ったものすごい量のチョコレートをもらって、毎日少しずつ食べるのが嬉しかったですね」と語り、「何個も食べて鼻血出ることもあったくらい、印象が強烈に残ってます」と明かした。また、誰にチョコレートをあげたいかを聞かれると「以前、チョコレートの職人の役をやったことがありまして」とドラマ『失恋ショコラティエ』に触れる。"テンパリング"も経験したため「今でも作れると思う」と自信を見せた。手作りチョコをあげる相手について、ドラマの共演者なども検討したものの「女性がいろいろ用意するかもしれないので、僕が用意しても」と配慮。「メンバーの、"スイーツ部"ですかね」と結論を出し、「ここ1、2年で、嵐の中でスイーツ部が出来て流行ってるんですよ。現場でもチョコレートケーキとか食べてる」と説明した。「ちょっと重たいかもしれないですね」と心配しつつ、「長年やってるので、そういう共有する時間があるといいなと思う」とメンバー愛を見せる。「まあメンバーが一番、どっちも傷つかなくていいかな」と語った。イベントではさらに、渋谷109のイベントスペースに設置されるフォトスポットを披露。松本と赤い糸で結ばれたような写真が撮れるこのフォトスポットは、2月11日限定で登場するという。自分と赤い糸でつながった松本は「複雑です。なかなか自分と自分でって、ないと思うので」と苦笑。さらにサプライズで松本のチョコ像"チョコ潤"がお披露目されると、松本は「大晦日に明治のスタッフの方がNHKに現れて、頭とか目のサイズなどを計られた」と思い出し、「みなさん、松潤がチョコ潤の隣にいますよ」と紹介していた。
2018年02月07日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「マイナンバーカード」です。普及率の伸び悩みは、利便性の実感がないから。マイナンバー制度が始まって、今年で3年目になります。ところが、マイナンバーカードの普及がなかなか進まず、政府は頭を抱えています。交付開始前に政府が掲げた目標交付枚数は2019年3月末で8700万枚。実際には、昨年8月末の時点で1230万枚、人口比でいうと普及率は9.6%にすぎず伸び悩んでいるのです。住民票や基礎年金、健康保険被保険者証などにはそれぞれに番号があり、個人の特定に労力を費やしていました。マイナンバー制度はそれらを一本化して、「社会保障、税、災害対策」の分野で活用するために始められましたが、いまはまだ過渡期にあり、マイナンバーカードでできることといえば、コンビニで住民票の写しや印鑑登録証明書が取れるくらいです。法務省は、今後マイナンバーを使い、婚姻届やパスポートの発給申請、老齢年金請求に必要な戸籍証明書が不要になる、戸籍法改正案を来年の通常国会で提出する方針を発表しました。地震災害が発生したときには罹災証明書が発行されるのですが、世帯ごとに1通のみ。2世帯以上で住んでいた大家族が、被災して一つの家に住めなくなったとき、子供や孫の世帯は罹災証明書を受け取れないという問題が熊本地震で起こりました。これも、マイナンバーカードで個人を特定して証明書を出すという案が検討されています。マイナンバーカードには、生体認証にも使えるICチップが入っています。この認証機能が活用できれば、健康保険証や銀行のキャッシュカード、転売不可のチケットなどに有効活用される可能性を秘めています。ただ、これからの時代に「カード」という形態がふさわしいのか。総務省は、マイナンバーカードを持ち歩かなくても、スマートフォンにカード情報を取り込み、本人確認ができるような実証実験も進めているそうです。しかし、これには対応する端末を開発しなければならないため、企業側の努力も必要になります。いまは、住所や名前に加えて、マイナンバーの記入を要請されますが、今後、マイナンバーカードひとつで全てこと足りるくらいになったら、便利さを実感できるのかもしれませんね。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年1月24日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年01月22日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「2017年3大トピックス」についてです。今年もさまざまな出来事がありましたが、まず僕が注目したのは、AI本格化時代の到来です。AIは、金融業界でいち早く取り入れられ、ゴールドマン・サックスのニューヨーク本社の現物株式取引では、600人いたトレーダーがいまや2人。あとはAIに取引は任されています。日本でも、みずほ、三菱東京UFJ、三井住友のメガバンク3行で3万2000人超分の業務削減を発表。リアル店舗は縮小し、AIの担う業務が増えていきます。メディアでも、映像の粗編集やラジオパーソナリティのアシスタント業務、専門用語の文章チェック作業などはAIができるようになりました。そんななか、今秋Google、Amazon、LINEがAIスピーカー(スマートスピーカー)を発売。AIスピーカーに話しかければ、調べものも家電操作も、雑談の相手までしてくれる。AIの波はついに家庭にまで押し寄せてきたんですね。2つ目は仮想通貨。第4次産業革命といわれる、金融とITの融合、フィンテックが大きく前進したのを実感した一年でした。象徴的なのがビットコインです。中国は「貨幣として認めない」と宣言し、ゴールドマン・サックスは「リスクが多大なので社員に取引を禁じる」と発表。ビットコインを使ったVALUも盛り上がりました。4月には、情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する、通称「仮想通貨法」が施行されました。三菱東京UFJは独自の仮想通貨「MUFGコイン」を発行。今後、お金革命が本格化しそうです。3つ目は、訪日外国人旅行者の増大。観光庁は欧米豪に照準をあて、訪日プロモーションを強化しました。LCC整備を受け入れ、専用ターミナルを作り、Airbnbのサービスも広げた。それらが功を奏し、2016年の訪日客数は2400万人になり、増え続けています。政府は2020年に4000万人の観光客誘致という目標を掲げました。富裕層向けの旅行誌『コンデナスト・トラベラー』の読者投票で、「世界で最も魅力的な都市」に東京が2年連続1位に選出。異文化が入り、日本の様相も変わっていきそうです。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年1月3・10日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子
2017年12月31日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「NPO」です。社会問題の数だけ必要とされるのが非営利団体・組織。NPOとは、Nonprofit Organizationの略で非営利団体のこと。よく混同されるNGOはNon‐Governmental Organizationで、非政府組織。どちらも社会的問題に対応した事業を行い、営利目的ではない民間団体という意味では同じです。日本では、一般的には、街づくりや子育て、教育など国内の課題に対して活動を行っている団体をNPO、人道支援や紛争解決など、国際的な取り込みをしている組織をNGOと呼び分けています。日本でNPOの活動が注目されるようになったのは、阪神淡路大震災がきっかけといわれています。ボランティア組織だけでは支援が足りず、たくさんのNPOが立ち上げられました。NPOは非営利団体と訳されますが、利益を生んではいけないわけではありません。NPO職員にも給与は必要ですし、事業も継続させなければいけません。株式会社のように、利益を再分配したり、それを元に資金運用などをしてはいけないということなんです。平成10年には特定非営利活動促進法が施行され、特定非営利活動を行う団体を法人化できるようになりました。「特定非営利活動」とは、保健医療、福祉、社会教育、人権擁護など、国が定める20の分野に該当する活動を、社会全体の利益増進のために行うこと。欧米に比べ、社会的信頼の低い日本のNPO。法人化することで信頼が高まり、社会貢献活動がしやすくなります。子どもの貧困、虐待や自殺対策、高齢者の移動支援、環境問題…。お金よりやりがいを重視して、NPOを立ち上げ、それらの社会的課題を事業により解決しようとする若い世代も増えています。ある官僚は、いま日本が直面している社会問題のリストを公開しました。国や自治体でも補助金を出して、すでに問題解決に取り組んでいるNPOに手を挙げてもらい、代わりに活動してほしいと考えているのです。すばらしい活動をしているNPOはたくさんありますが、世に知られていません。NPOと一般市民をつなぎたくて、僕は「GARDEN」という場(会社)を作りました。NPOの活動は今後もっと必要になってくると思います。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年にニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。※『anan』2017年12月27日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年12月20日バラエティ番組『要博士の異常な映画愛~勝手にセリフ変えてみました~』について、MCを務める俳優の要潤さんにお話を伺いました。ボケもいとわず!?初冠番組で見事なMCぶりを披露!豪華絢爛な衣装に身を包み、バラエティ番組のメインMCを務める要潤さん。オファーが来た時は「まさか冠番組のバラエティにキャスティングされるとは」と驚いたそう。引き受けたのは、映画史に残る名画に、新しい台詞をつけて遊ぶという企画が面白かったから。『吉本新喜劇』を観て育ったこともあって、「お笑いにリスペクトがあり、バラエティ対応力も素晴らしい」(番組P)とキャスティングされたものの、やはり役者の現場とは勝手も違うよう。「役者は決められた台詞を言いますが、バラエティで芸人さんたちは、何もないところから面白いことを言っていく。その過程がクリエイティブで新鮮です。それと、スピード感。ドラマではカットを細かく割るけど、バラエティはいったん始まるとノンストップ。舞台に近い感覚かも」お笑い芸人たちが予測不能なトークを繰り広げても、ゆったりと構え、時には要さんからボケるなど、余裕の感じられるMC術が、お見事!「流れに身を任せているだけで、普段の僕を知ってる人からは“素だね”と言われます。ゲストの方がいろんなパターンでくるので対応は大変だけど、芸人さんが生み出す笑いや流れは潰したくないですね。自分がボケて現場が盛り上がるなら、カットされても全然構いません(笑)」現場の流れで生まれるボケ以外に、「ちなみに、この映画は、〇〇〇回観ました」という、要博士の映画愛のすごさを強調する、定番の回数ボケも。では、要さんご自身がリアルに、もっとも多く観ている映画は?「『スター・ウォーズ』ですね。100回以上観てるんじゃないかな。ストーリーは追わなくてもわかってるので、BGMみたいに流してます」番組では名画のワンシーンに、「異常な映画委員会」の会員たちが全く新しい台詞をあてることで、作品の新たな味わいを見出していく。会員は、芸人、落語家、放送作家など多ジャンルで活躍する人たち。「みなさんまったく違う角度から台詞を作られるので、毎回、ワクワクしながら見ています。僕とは脳みその作りが違うんだろうなあ」番組を通じて、古い作品を観ることが勉強になるとも。「映画作りは、あの時代の映画人が作り出したことがすべてのベースにあり、その延長線上で僕らはやってるんだと感じますね。CGもなく、編集技術が限られた中で、生身の人間が演じるさまはすごいですよ。今は役者が守られているところがあるから、あの時代に生きていたら自分にできただろうかとすら思います」名画に独自の切り口で台詞をつけ、新しい味わい方を提案する動画バラエティ。12/4のゲストは、柴田英嗣(アンタッチャブル)、小沢一敬(スピードワゴン)。テレビ東京にて毎週月曜深夜0:12~放送中。かなめ・じゅん1981年、香川県生まれ。’01年、『仮面ライダーアギト』でデビューしてから、昼ドラ『新・愛の嵐』や大河ドラマ『龍馬伝』など数々の作品に出演。現在、映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』が12月9日より公開。※『anan』2017年12月6日号より。写真・内山めぐみインタビュー、文・小泉咲子(by anan編集部)
2017年12月08日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「投票率」です。有権者の約半分の意見しか反映されてない!?10月の衆議院議員選挙の自民党の圧勝は、投票率の低さにも大きく起因しています。日本の投票率は現在50%台。先日の衆院選は、台風という悪天候も影響しましたが、戦後2番目に低い53.68%でした。約30年前、昭和の時代の投票率は70%前後でした。ところが、平成2年を境に急降下します。リクルート事件や東京佐川急便事件など、政治家の汚職事件が相次いで起こり、国民の政治不信が募ったからです。2009年に民主党政権が誕生したときには一瞬盛り上がり、69.28%に上がりました。しかし、民主党政権は実行力が伴わず、マニフェストはただの理想にすぎないことを思い知らされます。国民の政治離れは進み、投票率は再び下降しました。政治腐敗は中選挙区制にあると、1994年に小選挙区比例代表並立制が導入されました。選挙自体は簡単にはなったのですが、与党の自民党と野党第1党の社会党が絶妙なバランスでいた「55年体制」が崩壊し、小政党が乱立。国民は、どの政党を選べばよいのかが、わからなくなってしまいました。大学生などに、投票に行かない理由を聞いてみると、政治に関心がないわけではなく、将来を託せる政治家がいない、自分の一票がダメな政治家の後押しをしてしまうのが怖いと言います。問題はあるものの、トランプ大統領ともいい関係を築き、経済面でもそれなりの成果を出しているという点で、やはり自民党に、と今回の圧勝につながりました。世論調査では、「自民党は支持するが、安倍さんは支持しない」という回答も多く上がっています。選挙のたびに投票率の低さが話題になりますが、その前に、票を入れたくなるように政治家ももうちょっと公約を実現させてください、という気持ちにもなりますよね。また、選挙はゴールではありません。当選後、その政治家が国会でどんな発言をしているか。公約を法案にまで進められたか。それらをチェックするのも国民の務めです。前にも言いましたが、他人が決めたルールで生きてよいなら、選挙に行かなくても構いません。でも、自分の望む未来があるのなら、それを作るために投票するべきだと僕は思います。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年12月13日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年12月07日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「『保守』と『リベラル』」です。政策で見ると両者は矛盾だらけ。二分はできない。衆議院選挙は自由民主党の圧勝に終わりました。選挙のニュースなどでもよく使われた「保守」と「リベラル」ですが、実は「保守」の対義語は「リベラル」ではなく「革新」なんです。そもそも保守派とは、受け継がれてきた慣習や伝統、地域のルール、家族を重んじ、慎重に歩みを進める姿勢を指します。対して、革新派は、古いものを打破して新しいものを作り上げていく姿勢。1970年代の学生運動のころは、まさに革命を求める人たちが革新派と呼ばれてきました。時代とともに、いつの間にか「革新」は「リベラル」と言い換えられるようになりましたが、「リベラル」は、個人の自由を尊重するという主義ですから、意味合いが少し違うんですね。政党でいうと、自由民主党が保守の政党とされています。伝統を守り、昔ながらの家父長制度、家族観を大事に守ります。農家や企業を守り、地域地盤を固めることに腐心します。それに対して、家族や企業、地域を優先するのではなく、あくまで個人の幸福追求を基本にして成り立つ社会を目指すのが「リベラル」。共産党や社民党、立憲民主党はリベラルといわれていますが、ひとつひとつの政策を比べてみるとまた、矛盾が生じてしまうんです。たとえば原発。原子力発電というエネルギー自体は、石油をベースにするエネルギーからすれば革新的なものです。自民党は賛成しており、その他の政党は反対しています。TPPを自民党は推進していますが、TPPを進めれば、海外の安いものがたくさん日本に入ってきて、従来の日本の農林水産業は脅かされる恐れもある。地域産業を尊重する自民党のスタンスとは真逆になりますよね。つまり、「保守」や「リベラル」は、政党をわかりやすく色分けするためにメディアが使っている言葉。実際には明確に分けることはできません。自民党員に聞くと「党内には保守の人もリベラルの人もいる」と話しています。わかりにくいと思われるかもしれませんが、最も大事なのは政党ではなく政策。自分が賛同できる政策をうたっているのは誰なのか、有権者はそれを見極める必要があるんですね。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年11月15日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年11月10日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「自殺予防週間」です。日本は自殺大国。9 月はとくに注意月間なんです。9月10日は世界自殺予防デー。それにちなんで、日本では9月10日~16日を自殺予防週間に定めています。期や年度の替わる3月と9月は、自殺する人が多いのですが、18歳以下に限ると9月1日が突出して自殺者が多いんです。1972年~2013年に自殺した18歳以下の子どもの数は1万8048人。平均すると1日約50人ですが、9月1日に自殺した数は131人で平均の2.6倍にものぼります。また、9月2日は4番目、8月31日は5番目に多く、夏休み明けのプレッシャーが精神を不安定にさせるようです。いじめ問題もありますが、学校に行かせようとする親の期待に応えられないことから、自分を責め、存在意義を見失い、自殺に至るケースも少なくありません。自殺者数が把握できる世界90か国で、人口10万人あたりの自殺者数を比べてみると、日本はワースト6位。女性に限ればワースト3位に入っています。それほど、日本は自殺大国なんですね。厚生労働省の自殺対策白書によれば、平成10年以降、14年間連続で3万人を超えていた自殺者の数が、平成24年には2万人台にとどまり、日本全体で見れば、減少方向にはあります。しかし、問題は10代後半~30代の若年層の自殺者が増えていること。平成27年の15歳~39歳の死因のトップは「自殺」だったんですね。自殺の原因はいくつもの要因が複雑に絡んでおり、特定はできませんが、遺書などから推測すると、「うつ病などを含む健康不安」「経済、生活面の不安」「家庭問題」「勤務問題」などが上位に挙がっています。政府はこの現状を重く受け止め、平成18年に「自殺対策基本法」を制定し、国を挙げて自殺防止に取り組もうとしています。NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」では、借金やいじめ、人間関係など、トラブル別の電話相談窓口を紹介しています。いつなんどき、あなたやお友達が崖っぷちに追い込まれるかわかりません。ぜひ元気なうちにウェブサイトを覗いてみてください。学校でも会社でも、命を落としてまで、通わなければいけない場所はどこにもありません。無理をせずに逃げてほしいと思います。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2017年9月13日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2017年09月08日人気アイドルグループ・嵐の松本潤(33)が17日放送のフジテレビ系『VS嵐』で、ジャニー喜多川社長の天然エピソードを明かした。 この日はゲストに山下智久(32)を迎え、サンドウィッチマン、永野ら芸能事務所グレープカンパニー所属のお笑い芸人らと対決。番組内で山下は、KAT-TUNの亀梨和也(31)とユニット「亀と山P」で音楽番組に出演した際、衣装が真っ黒のスーツだったため、ジャニー社長が「YOUたち黒くて見えないよ」と、その場でバラの造花を用意してくれたという秘話を告白した。山下は「愛だな、と思った。そういうのがJr.時代から変わらずあってほっこりしました」と振り返った。 つづいて松本も、ジャニー社長の印象的だったエピソードを公開。嵐のリハーサル現場の隣でジャニーズJr.も練習をしていたため、見に来ていたジャニー社長と久しぶりに会ったという。 そこで「最近引っ越して、僕の家すごいんだよ。YOUたち今から見においでよ」と誘われ、ジャニー社長の自宅へ移動中、突然「ヤバイ、僕らつけられているよ。後ろに車がたくさんいるよ」とジャニー社長が慌てだしたというのだ。 実は、嵐とジャニー社長を尾行していた車は、全て嵐の移動車。しかし、ジャニー社長は気づかない様子で「絶対あれ(週刊誌の)記者だよ、ヤバイ」と困り顔だったという。 ジャニー社長の知られざる天然な一面に「かわいい」とスタジオは大きな笑いに包まれた。
2017年08月17日俳優の坂口健太郎が、松本潤主演の映画『ナラタージュ』(10月公開)に出演することが20日、わかった。同作は、作家・島本理生による同名の恋愛小説を実写化。高校の時の演劇部顧問教師・葉山(松本)に想いをよせる泉(有村架純)は、卒業以来1年ぶりの再会に想いをつのらせ、葉山の方もまた泉に複雑な感情を抱える。坂口は泉に想いを寄せ、一度は恋人になる大学生・小野玲二を演じる。葉山を忘れられない泉の姿に苦悩し、嫉妬する役どころとなる。坂口は「初めて本を読ませていただいた時、小野君は繊細な男の子で、どこか壊れてしまいそうな、少しづつ歪んでいく感情を表現する事が難しそうな役だと感じました」と役の印象について語った。さらに坂口は「切なく、悲しい気持ちに感情移入してみてくださる方もいるかと思います」と観客の心境を慮り、「楽しみにしていてください」とメッセージを贈った。メガホンをとった行定勲監督は、長年にわたり同作の映画化を熱望してきた。坂口について「普段はポーカーフェイスの彼が突然、笑み破顔する顔は誰もが心を奪われ小野の役にぴったりだと思った」と、キャスティングの経緯を説明。「ある意味、敵役のような存在ながら恋に苦悩する彼の表情に切なさが何度もこみ上げる瞬間がありました」と撮影時の様子を振り返り、「未来が楽しみな俳優に出会えました」と称賛した。
2017年01月20日人気アイドルグループ『嵐』のメンバー・松本潤さん(33)との交際が『週刊文春』によって報じられた、セクシー女優の葵つかささん(26)。交際報道後、サイン会を中止するなど活動を休止。Twitterの更新もお休みしていましたが、1月16日に投稿を再開。『今日から活動スタートします!昨年は色々と心配掛けてごめんなさい。でも、こんな私を応援してくれて、本当に本当にありがとう。今年もよろしくお願いします!』と活動を再開することをツイートしました。その後も変わらぬ様子でTwitterを更新。心配していたファンを喜ばせています。しかし、嵐ファンはさすがにこれを良く思っていないようで、ネット上では葵さんに対して批判の声が多数あがっています。●「面の皮の厚さにびっくり」「松潤にも引く」とネットは再び炎上活動を再開した葵さんに対しネット上では、『面の皮の厚さにびっくりした』『「こんな私を応援してくれて、本当に本当にありがとう」って、大スターにでもなったつもり?』『売名おつかれさまです』『どうせまた炎上するだけなんだからずっと休んでればいいのに』『売名成功?よかったね』『活動再開したってわざわざツイートしなくてもいいんだけど…』『売名成功でこれからも露出していくつもりみたいだね』『ジャニヲタ敵に回しても平然としていられるなんてすごい』『このたくましさはすごいと思う』など、批判的なコメントが多く、またもや炎上しているようです。一方、葵さんの活動再開で再び松本さんへの批判の声も高まっています。『松潤のゲスさも暴露された感じ』『松潤の株はかなり下がった』『テレビでは一切報じられてないけど、松潤のイメージダウンは免れない』『本当にこんなのと付き合ってたの?松潤にも引くわー』『こんな女を選んだ松潤にはほんとガッカリ』『人様のお通夜でナンパしたっって、松潤のほうが悪いと思うけど…』『松潤のバカさがバレちゃったね。ファンかわいそう』など、松本さんに落胆する人も少なくないようです。二人の交際が真剣なものだったのか、それとも遊びだったのか真相は謎ですが、嵐ファンにとっては衝撃的すぎる報道だったことに間違いはありません。葵さんとの交際報道によって大きくイメージダウンした感のある松本さん。今後、そのイメージを回復していくことはできるのでしょうか。●文/ぶるーす(芸能ライター)
2017年01月18日寒さによる冷えや乾燥が気になる季節になり、咳をしている方も多いですね。乾燥による不調を感じたら、蜂蜜で潤おしましよう。蜂蜜の優しい甘味と豊かな風味、蜂蜜の穏やかな作用は、心身を癒し、活力を与えてくれます。蜂蜜に含まれるオリゴ糖は腸の善玉菌を増やし、便秘や下痢を改善し、免疫力を向上させます。蜂蜜の糖分は、花の蜜。これを蜂が濃縮して果糖やブドウ糖になったものです。採れた場所や花によって風味や味が異なるので、違いを楽しみながら使うのも面白いですよ。そのまま舐めても◎ さらに喉に良い食材を加えて効果UP!・クルミ滋養強壮、咳止め、便秘解消に役立ちます。咳が出る時は、クルミと生姜を細かく刻んだものを蜂蜜と加えて食べると良いでしょう。痰が切れない時は、クルミをすり潰したものを蜂蜜に混ぜ、口の中で溶かす様に摂取すると良いでしょう。・タイム気管支を拡張して浄化し、痰を取り除く事から、気管支炎やぜんそくの症状を緩和します。タイムを蜂蜜に混ぜてなめると喉の痛みがやわらぎます。抗菌作用が高い!生姜や果物の蜂蜜漬けを常備【免疫力を高めたい時は…】・生姜の蜂蜜漬け生の生姜に含まれるジンゲロールは、免疫力を高めます。皮付のまますりおろして蜂蜜に漬けておくと、飲み物やお料理にも活用できます。ジンジャービールもおススメです。【喉の不調に】・大根の蜂蜜漬け咳やのどの痛みには、スライスした大根を蜂蜜で一晩漬けた大根の蜂蜜漬け飲むと良いとされています。・花梨の蜂蜜漬け花梨は、喉を潤おすだけでなく、咳止め、胃の機能を回復、むかつき、嘔吐、抗酸化作用があります。なにより生の花梨の甘い香りは、幸せな気分にしてくれます。花梨が手に入ったら、香りを充分楽しみ皮が黄色なったら、熱湯で洗い、皮ごとピューラーで剥くか、スライスし、種はお茶パックに入れます。消毒した瓶に果皮と種を入れ、それらが浸るぐらいの蜂蜜を注ぎ入れます。1週間ぐらい毎日かき混ぜ、2か月漬け、ザルで濾したものが花梨シロップになります。皮の部分は、乾燥させてお湯を注げば、風味豊かな花梨茶が楽しめます。蜂蜜のデトックス効果解毒作用があるのでデトックスしたい時は、ティースプーン1、2杯の蜂蜜を40度以下の白湯に加え、さらにレモンを2、3滴しぼった生蜂蜜レモンジュースを摂取します。出来るだけ空腹時に行い、さらに1回の食事の量を抑え、間食を控えると効果的です。蜂蜜の保湿効果蜂蜜は、保湿作用があるので乾燥してカサカサの唇にも活用できます。蜂蜜を唇に塗ってラップでパックし、数分おくと落ち着きます。◎咳などは症状が酷くなる前に、早めに病院で受診しましょう。◎蜂蜜は、混ざりもののない、純粋で非加熱のものを選びましょう。抗菌作用を高めたい時は、マヌカハニーがおススメです。◎蜂蜜は、沸騰させると味が変化し、ビタミンCも半分程度失われ、酵素が分解されてしまいます。栄養素や風味、作用を落とさず摂取するには、加熱をし過ぎないようにすると良いでしょう。食べ過ぎると胃腸に負担がかかるので、適量を心がけ、乳児ボツリヌス症の感染源になるので1歳未満の子には与えないようにしましょう。また、そばの蜂蜜は、アレルギーの方は注意しましょう。
2016年11月18日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「経済波及効果」です。***「広島東洋カープ優勝による経済波及効果が331億円」だとか、映画『君の名は。』のヒットで聖地に多くの人が訪れ「モデルとなった飛騨市への経済波及効果が100億円を超える予想」など、経済波及効果という言葉をよく耳にしますね。これは、何かものごとが起きることにより商品が売れ、生産者や直接の関係者の所得が増える。周辺の関連業界への好影響、さらにその人たちの消費が伸びることで、無関係の産業でも利益を生む、二次的波及までを含めた予測を指します。総務省のホームページには、経済波及効果を算出する「産業連関表」が掲載されています。この産業連関表は1936年、アメリカの経済学者のレオンチェフ博士が最初に発表。第二次世界大戦後のアメリカの経済を予測し、高い精度を示したことから、活用されるようになりました。日本の産業連関表は1951年に、当時の通商産業省によって作成されました。経済波及効果があったと報じられれば、人々の投資意欲や消費意欲を高めますよね。そうやって景気を良い方に向かわせるのはよいことなのですが、国が経済波及効果という言葉を持ち出したときには、少し懐疑的になったほうがよいかもしれません。なぜなら、推し進めたい政策を通すための説得材料として、都合のいい情報だけを流している場合もあるからです。日本銀行の算出によると、2020年までの東京五輪開催の経済効果は、訪日観光者数が約3300万人に達し、1人当たりの消費額も増加、建設投資総額は10兆円に。実質GDP成長率も'18年まで毎年0.2~0.3ポイント押し上げると予想されています。しかし、あくまで試算ですから、そこまで楽観視してよいかはわかりません。TPPに関しても、政府は日本が参加すれば、貿易が盛んになり生産性が上がり、賃金も雇用も増え、貯蓄や投資にお金が回り…と、良い循環が生まれると言っています。しかし、良い面だけでなく、農林水産省のホームページでは、農林水産物の生産減少額が1300億~2100億円と予想されています。このマイナスの経済効果の報道は、あまり聞こえてこないんですね。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年11月9日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年11月06日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「アフリカ開発会議」です。***8月に第6回アフリカ開発会議(TICAD)がケニアで開かれました。アフリカの開発支援のために、日本が世界に呼びかけて1993年に始まった会議で、5年に一度開催され、今年初めてアフリカで行われました。アフリカは人類発祥の地といわれ、ナイル文明など、豊かな文化や歴史があります。ところが19世紀に欧州諸国が肥沃な土地を奪い合うようになり、アフリカを勝手に分割統治、植民地にしてしまいました。その後、アフリカ諸国は独立しはじめますが、欧州各国によって決められた国境は、先住民族の文化や生活を無視した線引き。その問題は現在の内戦や民族紛争にもつながっています。また、アフリカはほかにも、食糧不足や干ばつ、感染症、教育を受けられない子どもたちなど、多くの問題を抱えていますね。近年のボコ・ハラムやアルカイダなど、テロ組織の暗躍も、根底にあるのは貧困や教育問題。経済を好転させることで解消される問題は多い。今年のTICADではテロとの戦いと国際協調が訴えられ、安倍総理は日本から3兆円の支援をすることを約束しました。これに対して、中国は「国連の常任理事国入りをしたい日本が、アフリカ諸国を味方につけようとTICADを政治利用している」と批判しました。近年、中国は、アフリカに携帯電話を普及させ、携帯電話による送金システムを輸出するなど、ものすごい勢いでアフリカに進出してきているんですね。水道も電気も通ってない地域で、携帯電話だけは使われているという異様な光景も。ほかにも道路や港を作る支援をし、代わりにレア・メタルの採掘権を得ようとしています。発展途上のアフリカには、たくさんのビジネスチャンスが眠っています。日本も開発支援だけでなく、民間企業がもっとアフリカと密接につながるといいのですが、距離的な問題もあり少々及び腰です。それでも、日本で消費されるバニラビーンズやカカオ豆、蚊取り線香に使われる除虫菊はアフリカ産がほとんどなんですよ。今後、アフリカと日本は、ますます結びつきが深くなっていくことでしょう。◇堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2016年11月2日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2016年10月30日