胃の周辺が痛む「胃痛」はよくある不調の1つ。更年期は自律神経が乱れやすく胃酸の分泌が過剰になるため、更年期世代に多い症状ともされています。しかし、胃痛が起きても市販薬で済ませてしまうことも多いのではないでしょうか? 総合診療医の菊池大和先生は、胃痛が起きたら受診することをすすめます。自己判断で軽く考えてはいけない理由を聞きました。教えてくれたのは…監修/菊池大和先生(医療法人ONEきくち総合診療クリニック理事長・院長)地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、地上波メディアにも出演中。Q:「胃痛」とはどんな症状?A:みぞおちあたりに痛みが起こることみぞおち付近に痛みを感じることを胃痛といいます。胃痛は多くの場合、胃酸過多による胃粘膜の炎症(胃炎)により引き起こされます。胃酸は強力な酸であり、食物と一緒に胃に入ってきた細菌を殺菌したり、消化を促したりする働きがあります。通常は胃粘液によって胃は胃酸から守られています。ところが暴飲暴食、ストレス、自律神経の乱れなどが引き金となり胃酸の分泌が過剰になると、胃酸と胃粘液のバランスが崩れ、胃がダメージを受けてしまうのです。Q:市販薬で症状が治まったら受診しなくてもいい?A:痛みは個人差があり。他の内臓の病気のケースも胃痛は日本人によく見られる症状です。病院には行かず、市販薬で治す方も多いでしょう。ただ胃の周りには、胆のう、すい臓、肝臓等多くの臓器が集まっていて、胃痛を伴う消化器系の病気も疑われます。特に胆のうや胆管の痛みは胃痛と似ているので注意が必要に。そもそも痛みの感じ方は個人差があるので、自己判断はおすすめできません。また胃がんの初期症状で痛みが生じることは少ないですが、ある程度進行すると胃痛が起こります。胃の痛みは放置せず速やかに受診しましょう。Q:胃痛は更年期のせいでは?A:更年期障害であるとは限りません先ほども触れましたが、更年期になると女性ホルモン(エストロゲン)が急減し、自律神経のバランスが乱れやすくなります。この影響により胃酸の分泌が活発になり、胃痛が引き起こされることがあります。ただし更年期障害の場合は「除外診断」といって、さまざまな検査をしても原因がわからないとなったときに「更年期障害ではないか」と診断することになります。そのため、「更年期に起きた胃痛は更年期障害です」と単純には言えません。Q:バリウム検査で問題がなければ心配ない?A:病気が隠れている、見逃されている恐れもバリウム検査(胃部X線検査)ではバリウムの流れ方から胃内部の凹凸を観察し、異常や病気がないかを確認します。胃炎、胃ポリープ、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどを発見しますが、凹凸が浅いなど小さな変化は見逃されがちです。バリウム検査で引っかからなかったとしても、胃の不調がある場合は受診しましょう。Q:胃を守るために何をしたら良い?A:40歳を超えたら1年に1度は胃カメラ検査を胃酸過多を防ぐため、暴飲暴食、早食いは避け、胃の刺激となる飲食物(カフェイン、アルコール、酸味の強いもの、塩分の多いものなど)をとり過ぎないようにしましょう。胃はストレスの影響を受けやすいので、じょうずに発散できるといいですね。そして何より大事なのが定期的な胃カメラ検査(内視鏡検査)です。内視鏡検査は胃炎、胃ポリープ、胃潰瘍、早期の胃がん、逆流性食道炎、食道がん、十二指腸潰瘍などの病気、胃がんの原因となるピロリ菌の有無がわかります。40代から胃がんのリスクが高まります。この年代以上の人は病気予防のためにも1年に1回のペースで内視鏡検査をおこなうことをおすすめします。まとめ筆者は胃痛と定期健診で、これまで3回内視鏡検査をおこなったことがあります。口、鼻、鎮痛剤使用とそれぞれ違う方法でしたが、個人的には鎮痛剤が最もラクでした(ただし費用は高め)。最近は検査前の問診をオンラインでできる病院も増えていて内視鏡検査のハードルも低くなったように感じます。胃の健康のために内視鏡検査を検討してみてはいかがでしょうか?取材・文/中澤夕美恵(50歳)出版社、編集プロダクションを経てフリーになって約20年。スポーツジム通いに目覚め、せっせと運動に励むものの1年で1kgしか減量しておらず、ズッコケる。いつか痩せると信じて今日もジムへ……。著者/監修/菊池 大和 先生医療法人ONE きくち総合診療クリニック 理事長・院長。地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、地上波メディアにも出演中。
2024年02月21日10代のときに胃腸の病気をしたのですが、何年も薬を飲み続けたので自分では完治したと思っていました。ですが、まさかの30代での再発。当時と同じくらいの激痛で、もん絶しました。原因は、自分自身の生活習慣。そんな私のお話です。10代で突然の十二指腸潰瘍10代のときに十二指腸潰瘍になった経験があります。水を飲んだだけで激痛が走り動けなくなるほどの症状で、これはいくらなんでもおかしいと思い病院に行くと、十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)と診断されました。10代での発症はとても珍しいそうです。原因は、過度のストレスと睡眠不足。痛みで起き上がることもできなかったので、学校はしばらく休むことになりました。薬で痛みは落ち着いたのですが、結局5年以上薬を飲み続けることになり、その後は痛みが出たときのみ頓服という形になったので完治したと自分で判断しました。まさかただのストレスによる胃腸の痛みがここまで長引き、持病のようになるとは思っていなかったので、少しの痛みでも放置するのは本当によくないと、このときに学びました。30代になってまさかの再発30代になり、なぜかまた胃腸が痛くなることが増えてきました。しかも、毎回うずくまるほどの痛さが発作的に起こり、夜も眠れなかったり、日中に痛みが発症すると冷や汗をかいて歩けなくなったりということが続きました。「この痛みはもしや」と思い病院に行くと、やはり十二指腸潰瘍の再発でした。しかも思ったより重症。そのころは毎日元気に過ごしていたのですが、海外と日本を行き来する生活で、自分が思っていたより疲れがたまっていたことと、不規則な生活が原因だそうです。生活習慣が胃腸の負担に特に不規則な生活に加えて、気が向いたときに好きなものだけを少し食べるという適当な食生活をしていたことが胃腸の負担になっていました。また、小さいことも考え過ぎるネガティブな性格が関係していると言われ、定期的にカウンセリングにも通うことになりました。正直、「まさか自分が……」といった思いでした。30代になってまた潰瘍になるとは思ってもいませんでした。日々そこまでストレスは感じていなかったのですが、やはり生活習慣によって胃腸そのものが弱ってしまっていたようです。また、一度潰瘍になった人は再発しやすいということも初めて知りました。まとめストレスを自分では感じていなくても、体は素直で病気となって現れることもあることを知りました。過去の病気が10年過ぎてから再発するとは思っていなかった油断もありました。医師から30代は胃腸の病気が出やすいとも言われたので、今後は今まで以上に自分の体調に気をつかい、規則正しい生活を送りたいと思います。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/里村仁志先生(里村クリニック院長)消化器疾患が専門。2003年 獨協医科大学医学部卒業、2005年獨協医科大学第1外科、2016年さいたま赤十字病院外科を経て、現在に至る。文/ゆき著者/ウーマンカレンダー編集室40歳を過ぎて心と体の変化に戸惑い、悩むオトナ女子を応援するメディア「ウーマンカレンダー」の編集室です。オトナ女子がおこなっているコスパ良し!時短!ズボラでもできる!リアルなアンチエイジング情報をお届け。医師解説の記事も満載!
2023年12月01日「昨年の夏、胃が痛みだしまして。最初は空腹時にシクシク痛くて。食べれば治まるんです。20代で十二指腸潰瘍を患ったときと似た痛みだったので、『あ、また潰瘍だな』と浅い知識で勝手に決めて考えていたんですね」そう苦笑いするのは女優・東ちづる(61)。昨年末に胃がんが発覚し、今年2月に手術。1週間と少しで仕事復帰を果たした。そんな彼女が悔いているのは、体調の異変を感じてから半年以上も医療機関への受診を先延ばしにしていたことだったという。「コロナで医療従事者も大変な最中で『胃が痛いくらいでお手を煩わせるのはいかがなものか』と考えたり、院内感染するのではという恐怖もあったんですよね。医療機関は最大限の感染対策をしていると理解はしていましたが、要はおっくうだったのかな(苦笑)。そもそもふだんから健康だし、めったに病院に行かなかったですからね」その後、東は「コロナ禍で仕事も延期や中止。全てが自分の時間」のなか、「深酒しても支障ないし、ジムも閉館。全てが今までの生活とは変わってしまった状態のまま過ごしていた」という。「昨年12月に瞬間的な激痛を感じるようになっていたんです。ある朝すごく調子が悪くて、外に出て歩こうとしたら5メートルくらいでフラフラしちゃって。自宅に戻ってもキッチンに立っていられなくて夫に『なんかつらいんだけど』と言ったら『顔が真っ白だよ』と。すぐに病院に連絡したら車いす出して待っていてくれて、即座に検査入院になったんです」検査の結果、出血性の胃潰瘍で1週間入院することに――。「先生は『このまま貧血が続くと命も危ない』と。そこから点滴だのなんだの、気づいたら胃カメラのんでて眠る薬から覚めたら手術が終わっていました。すでに黒色便は何度かあったんです。でも鮮血ではないし、腸ではないなと。胃が痛いんだから、多少は出血してこうなるんだろうくらいに考えていたんですね」退院時、医師からは「生体検査の結果は99%良性でしょう」と言われ安堵していたという。「2日後に電話がきて『なるべく早く病院にいらっしゃいませんか』と言われたんです。『あ、残りの1%だったんだ』と思って即座に夫に『初期の胃がんだと思う』と冷静に話したんです」■「医師からの説明を録画して家族に送信」早期の胃がんと診断された東は家族に客観的な判断をしてもらうために、ある行動に出た。「まず、説明は録画させてくださいと伝えました。胃カメラの画像も撮影したかったのでお願いしたんです。夫や親や妹にLINEで全部送って『これが全てです』って。私が先生の話を聞いたうえで家族に説明したら、自分の余計な先入観が入るかもしれないし、間違うかもしれない。専門用語も多いですし、ノートにメモでは追いつかない。インフォームドコンセントは、この方法をお勧めします」治療は当初、胃がん手術のスタンダードだという胃の3分の2~2分の1の切除手術を提案された。「自分の人生は自分で決めたいのでいろいろ聞きました。だから先生からも『こんなに質問される患者さんは初めて』と(笑)。私の場合、胃を取らなくてもいいレベルだろうけど切除することで安心して生活できると。『手術で切るほどじゃなかったとなる確率は?』と聞いたら『90%』だと。それならば最後の選択肢として出てきた『内視鏡的粘膜下層剥離術』を選びました。リンパ節に転移がなく、場所や大きさが条件に合ったからこそできる手術です」手術は胃カメラ室で2~3時間程度で終了したという。東が自分の病いと冷静に向き合えたのは、29年間の医療関係のボランティア活動での自身の経験で培ったもの、そして、夫の闘病も影響しているようだ。’12年、夫の堀川恭資さん(58)が首の筋肉が意思とは関係なく傾く難病「ジストニア痙性斜頸」に。治療法が確立されていないため自宅療養しかできず「夫が寝たきりだった2年間強が、本当にしんどかった」と振り返る。「ですから夫には心配かけないよう最初から驚かせないような言い方をしていました。“今の時代は2人に1人はがんになるし、治療法のある病気だから”と。彼は現状治療法のない病気なので“治せるしね”と彼なりに納得していました」今回の胃がん手術を経て、ライフスタイルを見直したという。「食生活は一変しました。野菜をよく摂取するようにして今は14時間以上胃を空けるようにしています。コロナ禍では深酒や、好きなもの好きに食べていましたから。お酒は“たしなむ量”にしておいしく飲めるようになりました(笑)。ピラティスもより熱心になったり、あとは考え方を前向きに、ポジティブに意識するようになりました。おかげさまで先日の生体と映像検診では問題なし」■間寛平さんから受けたアドバイスに助けられた「夫の難病に悩んでいた当時、間寛平師匠と東京駅でばったり会ったときに『元気か!』と声をかけていただいたことがあったんです。『私は元気なんだけど今、夫の病気がわからなくて』と打ち明けたら間髪入れずに『人間は強いから大丈夫やで!』と。妙に納得しちゃって。根拠ないんですけど(笑)。でも根拠のない自信って結構重要なのかなと思い返したんです」今後の夫妻の人生設計にも変化が生じていると語る。「2人の老後については話し合い中です。コロナ禍で東京以外でも仕事できる可能性が出てきました。私の周りの同業者でも東京を離れた人がいますし、彼なんて“日本じゃなくてもいい”と言ってます。あとは“いつかやりたい”ではなく“今やろうね”になりました。2人が病気をしたこともありますけど、何が起こるかわからない環境になっていますから……」11月4日に日本対がん協会などが発表した統計によれば、コロナ禍でがん検診受診者が減り、胃、肺、大腸、乳、子宮頸がんで計約4万5千人の診断が遅れたと推計されるという。東も改めて検診の大切さを訴える。「自分の記念日に受けるとか、『感謝の気持ち』的なプレゼントで、家族に記念日に送るとか。そして検査後は映画に行くとか、買い物に行くとか、自分にワクワクすることをやるといいと思います。私も来年の誕生日に検査予約を今から入れておこうと思います」屈託のない笑顔には病いを“生きる力”に変える強い信念がうかがえた――。
2021年12月08日便の異常とつらい腹痛が続く「潰瘍性大腸炎(UC)」とは?出典 : 潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis:UC)は、大腸の粘膜に炎症が起きて、びらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患です。びらんも潰瘍も粘膜が傷ついた状態を指しますが、傷の深さが異なります。びらんは粘膜の表面がただれている程度なので、傷は浅く症状も比較的軽めです。一方で潰瘍は傷が深く、粘膜の深部まで傷が及んでいるので重症な場合が多いです。潰瘍性大腸炎は、病変の広がりや症状の重さなどによって下記のように分類されています。1)病変の拡がりによる分類:全大腸炎、左側大腸炎、直腸炎2)病期の分類:活動期、寛解期3)重症度による分類:軽症、中等症、重症、激症4)臨床経過による分類:再燃寛解型、慢性持続型、急性激症型、初回発作型炎症は一般的に肛門に一番近い直腸から広がっていき、その範囲によって大きく3つに分けられます。・大腸全体に炎症が広がる「全大腸炎」・直腸から大腸の左側部分(左側結腸)まで炎症が及ぶ「左側大腸炎」・直腸のみに炎症が起こる「直腸炎」潰瘍性大腸炎は完治が難しく、治療は、症状が一時的に軽くなる、もしくは消える「寛解」と言う状態を目指します。また、症状がおさまる寛解期(かんかいき)と、治療によって落ち着いていた症状が再燃する活動期を繰り返すのが特徴です。再び悪化する可能性もあるため、定期的な検査や寛解を維持する治療をしていく必要があります。潰瘍性大腸の患者数は増加傾向。男女比率や発症年齢は?出典 : 日本での患者数は毎年増えていて、平成25年度末時点では16万6,060人を超えました。その後も急速に増加し続け、潰瘍性大腸炎の患者数は指定難病の中で最も多くなっています。出典:潰瘍性大腸炎(指定難病97)|難病情報センター発症年齢のピークは男女ともに20代で、性別による差はありません。0歳から高齢者まで、どの年齢でも発症します。参考:特定疾患医療受給者証所持者数|難病情報センター潰瘍性大腸炎の症状は?重症になるとどうなる?出典 : 潰瘍性大腸炎で多く見られる症状は、便の異常(血便、下痢、軟便など)や腹痛です。「軽症」であれば、1日の排便回数も4回以下と少なく、下痢や血便の程度も軽いです。ただし「重症」になると、1日の排便回数が6回以上と多くなり、37.5度以上の発熱や体重減少、強い腹痛、貧血などの症状も現れます。潰瘍性大腸炎は、起きている間だけでなく寝ている間も症状が出るので、質の良い睡眠が取れなくなってしまいます。またトイレに自由に行けない環境に不安を感じる場合も多く、生活の質は著しく下がります。精神的に落ち込む人も少なくありません。ちなみに軽症と重症の中間の症状を「中等症」、重症よりもさらに重篤な状態を「劇症」と呼びます。劇症になると、38.5度以上の持続する発熱や1日に15回以上の排便などの症状が起こり、早急な治療が必要になります。出典 : 潰瘍性大腸炎になると、合併症を発症することもあります。合併症には、腸管(小腸・大腸)に起こる合併症と、腸管外に起こる合併症があります。腸管の合併症では、腸管に穴があいたり(穿孔:せんこう)、狭くなったり(狭窄:きょうさく)、大量出血したりといった症状から、中毒症状を引き起こす中毒性巨大結腸症などが見られます。これらの合併症が出た場合は、緊急手術が必要になる可能性が高いです。腸管外の合併症としては、皮膚症状、関節や眼の痛みがあります。例えば口内炎や関節炎、脊椎炎、結膜炎などがあり、全身に症状が現れます。手術率は、発症時の重症度と炎症範囲によって決まります。重症で炎症範囲が広いほど、手術率は高くなります。潰瘍性大腸炎の死亡率はきわめて低く、潰瘍性大腸炎の患者とそうでない人の平均寿命は大体同じです。ただし、重症の場合の早期手術、大腸がんの早期発見が重要です。潰瘍性大腸炎の原因は?ストレスや食生活の乱れは関係があるの?出典 : 潰瘍性大腸炎のはっきりとした原因は、いまだに分かっていません。しかし、潰瘍性大腸炎の炎症に白血球が関わっていることは確認されています。白血球は本来、体内に入ってきた異物を食べて体を守る働きをします。ところが、免疫機能の異常が起こると、白血球が自分の腸管粘膜を外敵だと判断して攻撃してしまいます。その結果炎症が起き、潰瘍性大腸炎の発症につながってしまうのです。どうしてこのような免疫機能の異常が起こるのかは不明です。最近では、遺伝的要因、食生活の変化、環境要因など、さまざまな要因が絡み合って潰瘍性大腸炎を発症すると考えられています。潰瘍性大腸炎の診断・検査出典 : 潰瘍性大腸炎の診断はたいてい以下の流れで行われます。1.症状の経過と病歴などの問診…便の状態、排便回数、お腹の調子、これまでにかかった病気を聞かれます。いつから調子が悪いのか、血便は出ているか、発熱はあったかなど、答えられるようにしておくことがポイントです。2.血液検査…炎症の程度や栄養状態を調べるために行われます。3.便潜血検査 / 便培養検査…便に血液が混ざっていないか、血便を起こす菌がいないかを調べます。4.大腸内視鏡検査や注腸X腺検査、腹部X腺検査など…どの部位まで炎症が広がっているのか、炎症状態はどの程度か、腸内ガスは溜まっていないかを調べます。これらの検査から総合的に診断されます。潰瘍性大腸炎とクローン病の違いは?出典 : 潰瘍性大腸炎と見分けにくい疾患としてクローン病があります。どちらも原因不明の慢性炎症性疾患であり、難病に指定されている病気です。患者数も増加傾向で、現れる症状(下痢、腹痛、体重減少)も似ています。潰瘍性大腸炎とクローン病の大きな違いは、炎症が起こる部位です。潰瘍性大腸炎は大腸のみですが、クローン病は口から肛門までのすべての消化管の部位に炎症が起こります。特に炎症が起きやすい部位は小腸や大腸ですが、どの消化管にも炎症が起こりうるのがクローン病です。発症年齢や男女比も違います。10歳代~20歳代の若年者に好発します。発症年齢は男性で20~24歳、女性で15~19歳が最も多くみられます。男性と女性の比は、約2:1と男性に多くみられます。また、クローン病は合併症が伴うケースも多く手術率も高い病気です。潰瘍性大腸炎と同様、再燃にも気をつけたい病気で定期的な検査が重要です。潰瘍性大腸炎では薬物療法がメイン。具体的な治療法は?出典 : 潰瘍性大腸炎の治療は、活動期にはまずは大腸の炎症を抑えて寛解させる治療を行います。症状が落ち着く寛解期には、寛解状態を維持して再燃させないための治療に移行します。・薬物療法と食事改善薬物療法では、大腸の炎症を抑える薬を使います。食事は、腸に刺激を与えるような食べ物や飲み物を控えることが重要です。例えば脂っこいものや香辛料は避けて、食物繊維を多く含む食品や発酵食品を摂取するようにします。・血球成分除去療法薬物療法で改善が見られない場合に用いられます。腕から抜いた血を専用の装置に通すことで、炎症を起こす白血球を取り除き、浄化された血を再び体内に戻す治療法です。1回の治療時間は1時間程度で、副作用に吐き気、発熱、頭痛などがありますが、一過性のものです。・手術(大腸の全摘出)最終手段として、切除手術が考えられます。大腸に穴があく(穿孔)、大量出血、重症なのに薬物療法や血球成分除去療法の効果がない、ガンの疑いがある場合などは、切除手術が必要な場合が多いです。術後は、潰瘍性大腸炎でない人とほぼ変わらない生活を送れます。潰瘍性大腸炎は再燃しやすい病気。普段から気をつけておきたいことは?出典 : 潰瘍性大腸炎は一度症状が良くなったと思っても、再び悪化することが多い病気です。ですが、自分に合った治療をきちんと続け、コントロールしていくことで、再燃させずに寛解を保つことができます。実際に、潰瘍性大腸炎にかかっていても、多くの人は仕事や学業を続けていて、妊娠や出産も可能です。再燃させないためには「質の良い睡眠」「規則正しい生活」が基本です。症状が落ち着いている寛解期に、食事の制限は特にありませんが、普段からバランスの良い食事を心がけておくと良いでしょう。腸を刺激しやすいアルコール、香辛料、脂っこい食べ物、冷たい飲み物、乳製品などはとり過ぎないようにして、よく噛んで食べるのも大切です。また発病後7、8年経つと、大腸がんを合併する可能性もあります。たとえ症状がなくても、1~2年に1回は内視鏡検査を受けることをすすめます。潰瘍性大腸炎は「医療費助成制度」を受けられる病気出典 : 潰瘍性大腸炎は国の指定難病に定められています。中等症以上の場合に限られますが、申請手続きをして認定されると「医療受給者証」が交付され、治療費の助成が受けられます。受給者証の有効期間は申請日から1年間で、医療費の自己負担割合が3割負担から2割負担になります。指定難病医に診断書を書いてもらい、お住まいの都道府県に指定難病であることを申請すれば手続きは完了です。所得や治療状況により、1ヶ月あたりの自己負担上限額が決まり、超過分は公費で助成されます。まとめ出典 : 潰瘍性大腸炎は原因不明の指定難病ですが、症状をコントロールできる病気の一つです。血便が出たり、排便回数が異常に増えたり、ひどい腹痛が襲ってきたりと、不安がつきまといますが、自分に合った治療を受けることで、再燃せずに過ごせる場合も少なくありません。治療には薬や手術だけではなく、普段の生活習慣(規則正しい生活リズム、バランスの良い食事)の見直しも有効です。中等症以上の患者さんは医療費助成制度を受けられるので、検討してみるのも良いと思います。
2018年06月11日俳優の梅宮辰夫が、きょう15日(22:35~23:35)に放送される読売テレビ・日本テレビ系バラエティ番組『ダウンタウンDX』に登場。今年7月に十二指腸がんの手術を受けた後、3日間記憶がなかったことを明かす。梅宮は、12時間におよぶ手術を受けたが、当初は8時間かかると聞いていたそうで、「考えたんだよね。8時間耐えられるかどうか。手術して半年で死んだら意味がない。手術しなかったら『1年は痛みがありません。でも、それから苦しいですよ』と聞いて受けようかなと…」と決意した経緯を語る。しかし、術後3日間の記憶がないそう。その間、他界した俳優や、大好きな女優がお見舞いに来るという幻覚か夢か分からない体験を明かし、「記憶がないとき、大変ですね」と振り返る。さらに梅宮は、40年前に肺がんを患ったというが、その際は手術をせずに治ったという信じられない経験も明かす。このほかゲストには、井上公造、羽根田卓也、柴田英嗣(アンタッチャブル)、三船美佳、ジャングルポケット、岡田結実、加藤紗里、桜雪が出演する。
2016年12月15日東京工科大学は11月20日、褐藻類シワヤハズ由来の「テルペノイド・ゾナロール」が、潰瘍性大腸炎を抑制することを発見したと発表した。同成果は同大学応用生物学部の佐藤拓己 教授らによるもので、米科学誌「PLOS ONE」11月19日号に掲載された。佐藤教授らが潰瘍性大腸炎モデルマウスを用いた研究で、褐藻類シワヤハズに由来する化合物であるゾナロールを経口投与したところ、大腸における潰瘍を抑制する効果を確認した。ゾナロールが転写因子Nrf2の活性化に作用し、炎症反応を抑制したと考えられている。褐藻類とは、コンブやワカメなど、褐色をした海産の多細胞の藻類を中心とする生物群。シワハヤズは日本、台湾など北太平洋に分布している。今後は製薬会社や食品会社と連携しながら、医薬品や健康食品への応用、新たな治療法の開発を目指していくという。
2014年11月20日東京大学医科学研究所はこのほど、血液型がO型の人はA型の人より十二指腸潰瘍になるリスクが高いことが明らかになったと発表した。成果は、同研究所シークエンス技術開発分野の松田浩一准教授らの研究グループによるもので、詳細は英国科学誌「Nature Genetics」電子版に4日付(現地日付)で掲載された。研究グループでは、十二指腸潰瘍患者7,072人と健常者2万6,116人について、遺伝子(約60万カ所)の違いを調査。その結果、血液型を決定するABO遺伝子と、細胞の分裂・増殖に寄与し、胃癌のリスク遺伝子としても知られるPSCA遺伝子の2つが、十二指腸潰瘍の原因遺伝子であることを発見した。ABO遺伝子について、健常者および十二指腸潰瘍患者における各血液型の頻度を調べたところ、O型の人はA型に比べて1.43倍も十二指腸潰瘍になりやすいことが判明。PSCA遺伝子については、十二指腸潰瘍になりやすいタイプ(CC型)では潰瘍のリスクが1.84倍に増える一方、胃癌のリスクが約半分(0.59倍)になることが分かった。さらに、十二指腸潰瘍のなりやすさが変わる理由を調査したところ、PSCA遺伝子の違いが、異なる長さのPSCA蛋白質を作ることを発見。長い蛋白質を生成するT型のPSCA遺伝子は、細胞の分裂増殖を促し、腸粘膜を早く修復して十二指腸潰瘍になりにくくするが、細胞の増殖が進むことで胃がんのリスクが増加する。一方、短い蛋白質を作るC型のPSCA遺伝子は、免疫細胞を活性化し、この免疫細胞の攻撃を受けることで十二指腸潰瘍のリスクが高くなるものの、胃がんのリスクは低減するという。また、これらの遺伝子タイプを人種間で比較した結果、日本人では胃がんになりやすく十二指腸潰瘍になりにくいタイプが、11の人種の中で最も多いことが明らかになった。研究グループは、血液型やPSCAの遺伝子を調べることで、十二指腸潰瘍や胃がんになるリスクが予測でき、予防や早期発見につながるとしている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年03月07日