6月1日生放送のFMラジオ番組『キラメキ ミュージック スター「キラスタ」』(Nack5)に登場した三浦祐太朗(33)。ニューアルバムからの「推し曲」だと言ってこう切り出した。 「僕の推し曲を、まあアルバム全部が推し曲なんですが……聴いて下さい。『さよならの向こう側』」 この放送は父の三浦友和(65)も生で聴いていたようだ。女性パーソナリティが「友和パパが聴いていたみたい。番組にメールが届きました」と言うと、本人も「メールが来た、メールが来た」と喜んでいた。おそらく夫の横にいたであろう百恵さん(58)も、期待と不安が入り混じった心境で聴いていたのだろう――。 このアルバム『Im HOME』は山口百恵の大ヒット曲8曲を息子の祐太朗がカバーし、7月5日にリリースされる。今年4月、母の名曲を祐太朗がカバーすることに対する期待感が伝わってくる、こんな出来事があった。 「祐太朗君はバースデーライブのとき、ライブ中盤で百恵さんの『さよならの向こう側』を歌ったんです。そうしたら拍手が鳴りやまなくて、お客さんはみんな泣いているんですよ。彼を通して百恵さんのことを思い出している人も多かったんでしょう」(芸能関係者) ライブの客層は幅広く、祐太朗ファンに混じって年齢がかなり上の百恵ファンと思われる人も多かったという。祐太朗にとって今回のカバーアルバムは自信作に仕上がったようだ。 「レコーディングの際、祐太朗は何度もオリジナルを聴き返して万全の態勢で臨みました。歌入れは長丁場を覚悟していたのですが、本番は2、3回歌ってOKが出たようです。本人も『レコーディングに関してはすべて神がかっていた』と漏らしていました」(音楽関係者)これまで祐太朗が出した作品の売れ行きは決して満足がいくものではなかった。08年、バンド『Peaky SALT』のボーカルとしてデビューしたが、2年でバンドは活動停止。11年にソロで再出発するものの、シングルチャートの最高位は46位と目立ったヒットには恵まれなかった。そんな息子を、百恵さんは彼女なりのやり方で支えてきた。 「バンドとレコード会社の契約が切れたとき、彼から相談を受けても『どうして私に頼るの?もう私はあなたたちの世界にはいないのよ』と突き放しました。いっぽう彼が初めて俳優業に挑戦したときには、優しい言葉を連ねたメールを送っています。音楽活動にはついては直接口を出さないまでも、常に息子のためを考え見守って来たんです」(芸能関係者)母に心配をかけまいと、今回は「本気」をみせている祐太朗。カバー曲の楽曲を作った谷村新司、さだまさし、宇崎竜童、阿木燿子といった大物たちに自分で挨拶に行き、許可やアドバイスをもらった。4月には谷村新司のライブに参加し、『いい日旅立ち』をデュエットもしている。そんな息子の姿を見て、百恵さんも心を動かされたようだ。いままで、息子の音楽活動に対して距離を置いていた百恵さんが、初めて“歌唱指導”をしたという。 「百恵さんから祐太朗くんにLINEを通じて『鼻濁音を発音するとき、濁らないように力を入れすぎないように意識したほうがいい』とアドバイスがあったようです」(芸能関係者) LINEを通じての母子のやりとりはこれまでもあったという。 「去年テレビの音楽番組で『秋桜』を歌ったときも『祐太朗がカバーしてくれてうれしいよ』と、メッセージが送られてきたそうです。やはり百恵さんも祐太朗くんが自分の後を引き継いでくれるのを喜んでいるのだと思います」(芸能関係者) 別の音楽関係者はこう語る。 「もし今回のカバーアルバムがヒットして祐太朗さんが紅白歌合戦に出ることもあったら、彼が歌う『百恵ヒット曲メドレー』のバックに百恵さんの映像が流れるかもしれませんよ。そんな“母子共演”が実現したら、これは世代を問わず見たいと思う人は多いでしょう」 息子の歌声を通して百恵さんの名曲がどう生まれ変わるか、今から楽しみだ。
2017年06月09日歌舞伎俳優の坂東巳之助が、窪田正孝主演の映画『東京喰種トーキョーグール』(7月29日公開)に出演することが26日、わかった。同作は、石田スイによる同名コミックの実写化。これまでTVアニメ化、舞台化、ゲーム化など、さまざまなメディアミックスが展開され話題を呼んできた。物語の舞台は、食人の怪人"喰種(グール)"が潜む東京。ある喰種に襲われたことで、半喰種と化してしまった大学生・金木研(カネキ/窪田)が自分自身と向き合っていく。坂東が演じるのは、マスク屋を営むウタ役で、原作でも人気キャラクターのひとり。多くの喰種のマスクを作成し、半喰種となってしまったカネキのためにもマスクを作る。スーパー歌舞伎II『ワンピース』でのボン・クレー役がはまり役と話題になった巳之助だが、今回は頭の左半分を大胆に刈り上げたワンサイドのツーブロックという髪型に、ピアス、全身タトゥー、パンク・ファッションという個性的な見た目に挑んだ。○坂東巳之助コメント正直、最初にお話を頂いた時はすごく迷いました。ウタさんと自分の共通点なんて、眉毛がない事とサイドが刈り上げな事くらいなので…。ですが、タトゥーにピアス、服装から常時赫眼に至るまで、スタッフの皆様が完璧なウタさんセットを用意して下さったので、腹を括って演じさせて頂きました。僕自身が原作の大ファンなので不安もありますが、同じ原作ファンの方々にも受け入れて頂けるウタさんになれていたら幸いです。(C)2017「東京喰種」製作委員会(C)石田スイ/集英社
2017年05月26日ダニエル・キイスの同名小説が原作のミュージカル『アルジャーノンに花束を』が3月2日に開幕。それに先がけ公開ゲネプロと囲み取材が行われ、主演の矢田悠祐、水夏希が登壇した。ミュージカル『アルジャーノンに花束を』チケット情報原作は1959年に発表された名作小説。世界3か国で映画化され、日本でも2度テレビドラマ化されている。ミュージカル版は、2006年に浦井健治主演で日本初演され、2014年にも同じく浦井主演で再演。今作でキャストが一新され、矢田が自身初となる主演に抜擢された。脚本・作詞・演出は、矢田が出演したミュージカル『王家の紋章』(2016年)の荻田浩一が初演から手掛けている。物語は、32歳になっても幼児なみの知能しかないチャーリィ・ゴードン(矢田)に、ある話が舞い込むことから始まる。それは、大学の先生が「頭を良くしてくれる」というものだった。この申し出に飛びついた彼は、白ネズミのアルジャーノン(長澤風海)を競争相手に連日検査を受ける事に。やがて手術によりチャーリィは天才に変貌したが――。ゲネプロ前に行われた囲み取材で、初主演の心境を聞かれた矢田は「正直どうなるかわからなくて。終わったときにどういう気持ちになるんだろうなっていうのが今の心境です」と緊張の滲む発言。本作の魅力について「SFなんですけどリアリティがあって、どの瞬間もどの関係も誰もが体験したことがあるようなエピソードが詰まっています。身につまされたり、嬉しかったり、悲しかったり、励まされたり…その瞬間瞬間が一人ひとりのお客さまの心を揺さぶる」と水。自身の役柄について矢田は「シーンによって全然違う人になった気分。すごいスピードでどんどん階段を上っていくので、その成長の段階や心の動きに自分が追いつかないときがあって。そこに食らいついていくのが今も大変です」。前作との違いを問われ「演じる人間が違うし、荻田さんは演じる人の個性に合わせて演出をしてくださるので、自然と違う形になってるかなと思います」(矢田)と話した。幕が開き、幼児並みの知能のチャーリィとして登場した矢田は、ピュアな魅力を纏い美しい歌声で物語の世界に誘い込む。全てひらがなで話していたような言葉は、知能が高まるにつれ少しずつ漢字が混じって聞こえ、あっという間に容易に理解できない言葉になる。しかし、言葉の成長スピードに追い付けない情緒面の成長。そんな特殊な状況にあるチャーリィの戸惑いや苦しさを、矢田の芝居と歌が一つひとつ真っ直ぐに届けた。アルジャーノンが踊る美しい世界に登場人物の生々しい感情が浮かび上がる本作は、3月12日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場、3月16日(木)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演。取材・文:中川實穗
2017年03月07日歌舞伎俳優の坂東玉三郎と太鼓芸能集団・鼓童の共演作『坂東玉三郎×鼓童 特別公演幽玄』が5月に上演される。その制作発表会見が行われ、坂東玉三郎、鼓童の石塚充、中込健太、北前船代表取締役社長の青木孝夫が登壇した。『坂東玉三郎×鼓童 特別公演 幽玄』チケット情報2000年に初めて鼓童の演出を手掛け、12年からは鼓童の芸術監督も務める玉三郎。その玉三郎と鼓童の共演作は『アマテラス』(06年・13年)に次ぐ2作目。本作では世阿弥が見た世界を「羽衣」「道成寺」「石橋」などの能の代表演目を題材に表現し、不世出と評される玉三郎の優雅な舞と世界の絶賛を浴びる鼓童の太鼓に、花柳壽輔をはじめとする花柳流舞踏家の舞踏が華を添える。玉三郎が「“鼓童とも歌舞伎とも違った世界に”という意味で、『幽玄』を題材にさせていただきました」と話す本作は、鼓童創立35周年記念ツアーの締めくくりの公演でもある。「『みんなどんなものが創りたいの?』という話になったときに『“日本のもの”をやりたい』と。それからいろいろ考えて、一昨年から“日本のもの”に向かって創りはじめました。もちろん和太鼓は日本のものなのですが、日本の様式のものをやるというのは大変難しい。和太鼓の世界であればそれなりのものができますが、“日本の様式を持った美しさ”のある舞台を創るのは大変なことだと思っています」と、一つの挑戦であることを明かす。今回は鼓童のメンバーが謡(うたい)をうたうなど、今までにない演出も。玉三郎は「能楽の楽器を使うわけではなく、ひとつの様式というものを学んで、鼓童の楽器あるいは演奏法に翻訳していくわけですから、そこが大変ですね」。石塚も「演奏や音楽の形式として日本のものを扱うのは初めてです。普段、鼓童は人間が生活の中で自然に歌うように出てきた音楽を土台にすることが多かったのですが、今回はなにか人間じゃないところにいく、ということをすごく要求されている。お能のお囃子の間の取り方、声の出し方、先生方の呼吸の仕方も、人間であるというところを超えているような印象がありまして、そこを目指しているのがすごく大変なことです」、中込は「例えば音と音の間が尋常じゃないくらい長く感じたりとか、自分たちにないテンポ感とか音楽の形を耳で聴いて解読するところから始まりました。能は物語があるということで、音の出し方も違うと感じています。能の謡を合わせたとき、自分たちの太鼓の音が全然違う風に聞こえてきたところは驚きでした」と話すなど、玉三郎と鼓童の新たな姿を楽しめる公演になりそうだ。公演は5月16日(火)から20日(土)まで、東京・Bunkamuraオーチャードホールにて上演後、新潟、愛知、福岡、京都を巡演。取材・文:中川實穗
2017年02月03日デザイナーの津村耕祐は10月29日、神田で行われる「TRANS ARTS TOKYO 2016」でオリジナル山車と巫女衣装を発表する。津村は昨年、「ビルを着る」というコンセプトで参加した。同イベントは2012年より行われているアートイベントで今年が5回目。今年は10月15日から30日まで東京都心北東部の谷根千、湯島、本郷、上野、神保町、秋葉原、神田など半径2キロで様々な会場で、多数のアーティストが参加して行われている。今回、津村耕祐が参加するのは五十一八クリエイティブ・プロジェクト【アーティスト山車】で、神田錦町の五十通り周辺で行われる。自らがデザインしたオリジナル山車「夢夢(ゆめゆめ)神社」とオリジナル巫女衣装に、神主役として津村本人も参加する。お賽銭は同プロジェクトを通じて被災地に寄付される。同イベントには他に若林拓哉&つばめ舎建築設計が参加する。夢夢神社の四方に下がっている新旧取り混ぜた鈴を鳴らして未来に夢を送る。山車に乗って移動する現代のノマド通信装置が、土曜日の夕方、神田錦町の五十通り周辺を巡る。津村耕佑は三宅一生の下、主にパリコレクションに関わり、1994年「究極の家は服である」という考えを具体化した都市型サバイバルウエアーFINAL HOMEを考案。1982年装苑賞受賞、1992年現代日本美術展準大賞受賞、1994年毎日ファッション大賞新人賞を受賞している。【イベント情報】「TRANS ART TOKYO 2016」五十一八クリエイティブ・プロジェクト【アーティスト山車】会場:東京都千代田区神田錦町五十通り周辺会期:10月29日時間:16:00~18:00(予定)※荒天中止、雨天決行入場無料
2016年10月27日オムニバス短編映画『TOKYO CITY GIRL』のヒロイン決定オーディションが17日、都内で行われ、女優の飯田祐真(19歳)がグランプリに選ばれた。新進気鋭監督と若手女優がタッグを組む本作は、2015年に公開された『TOKYO CITY GIRL』の第2弾。今秋に公開予定の2016度版は、マイナビが運営する「マイナビウエディング」、「マイナビ賃貸」、「マイナビバイト」とコラボレーションする。「マイナビウエディング」ヒロインの座をかけた最終オーディションには、応募者1,600人の中から書類選考を通過した10人が参加。審査員を務めた山田能龍監督らの前で、ナチュラルな演技を披露した飯田は、「絶対にこの役をとってやろうと思っていたので純粋にうれしい」と大感激。また、モデルの金城茉奈が、2代目「マイナビウエディング」ガールに選ばれ、「CMに出たいと思っていたのでうれしい。感激です!」と喜びを語った。グランプリの飯田は、女優としてドラマ『チア☆ドル』(ABCテレビ 関西地区のみ放送)に出演したほか、モデル、写真家など多岐に渡って活動中。オーディション終了後は、「前作の女優さんたちが実力派だったので、その仲間入りができてうれしい。私が出るからには、良い作品にしたい」と力強く語り、「この映画を機にステップアップして、自分の色を出せる女優になりたい」と笑顔で意気込んだ。また、イベント合間には、本作の男性出演者として発表されたモデルでタレントの栗原類、元「テラスハウス」メンバーで俳優の宮城大樹が登場。「女性を力強く繊細に描く作品」とアピールした栗原は、「僕もお芝居を始めて間もないけど、作り込まず自然に見せることが重要。オーディションに受かったということはチャンスが来たということ。このチャンスをものにして、更なる道に進んで頑張ってほしい」と祝福しながらエールを送った。
2016年01月18日どの舞台でもキラリと光る個性が魅力の大空祐飛が、ドイツのベストセラー作家フェルディナント・フォン・シーラッハの最新作(翻訳書名『禁忌』)を世界で初めて舞台化する『TABU』に挑む。刑事事件弁護士であるシーラッハのこれまでの作品は、本屋大賞に選ばれるなど日本でも人気が高く、大空も、まず原作の不思議な世界観に惹かれたと言う。「頭脳プレーと感覚的な世界が共存しているような、理数系と文系が融合された緻密さを感じます。今まで触れたことのない感覚ですね。そこが非常に魅力的で面白いなと思いました」。『TABU』タブー ~シーラッハ 禁忌より~ チケット情報大空が演じるソフィアは、写真家として成功するものの、若い娘を誘拐、殺害した容疑で逮捕される名家の御曹司セバスチャンの恋人。幼い頃に父を亡くし、母の愛も失ったセバスチャンにとって、ソフィアは特別な存在だ。彼女は彼を救うため、弁護士ビーグラーと共に真実を探し求める。「小説の文章から受ける印象では、ソフィアはとても魅力的です。モノクロ写真のように、暗いスタジオに光が射し込んで、そこに輪郭が溶け込んでいるような柔らかさと言うか、独特の美しさを持つ女性で、セバスチャンと同じフィルターを通して物を見て、彼を理解しようとします。自分がそうなれるかは置いておいて(笑)、演じるのはとても楽しみです」。セバスチャン役にはジャニーズJr.の真田佑馬、ビーグラーはベテラン橋爪功が演じる。ふたりとは初共演だが、配役の妙も楽しめそうだ。「異色ですよね(笑)。違う色同士が混ざってどんな色になるのかも面白いところだと思います。真田さんが、不思議な魅力を持ったセバスチャンという役をどのように作られるか。それによって、私も彼に共感し理解していくソフィアを作っていきたいですね。橋爪さんはシーラッハの『犯罪』と『罪悪』を朗読されたことがあって、原作の面白さも理解されているので心強いです」。カンパニーに溶け込むのに時間がかかるという大空にとって、演出家を含め、周囲とどんなコミュニケーションが取れるかも気になると言う。「演出の深作(健太)さんとも初めてですが、気さくな方でホッとしました。稽古では、相手の方を知っていくことでお芝居がスッと馴染んだりするので、緊張感も楽しみながら、うまくコミュニケーションを取りたいです」。公演は6月5日(金)から14日(日)まで東京・新国立劇場 小劇場にて。その後、愛知、石川、兵庫、福岡、北海道、宮城を巡演。取材・文:原田順子
2015年06月02日自主制作した短編『フミコの告白』で注目を集め、『陽なたのアオシグレ』で劇場デビューを果たした石田祐康監督が、YKKとスタジオコロリドのコラボレーション作品『FASTENIG DAYS』を完成させた。“ファスナー”を題材にしたアクション作品だ。その他の写真本作は近未来を舞台に、主人公ケイとヨージがファスナーを使ったハイテクマシンで街を守り、人の気持ちを“つないで”いく様を描いた短編作品。劇中には伸張性ファスナーや水密ファスナー、蓄光ファスナーなどYKKのアイテムをモチーフにしたファスナーが登場。現在、Youtubeで全編が無料公開されており、好評を集めている。石田監督は4人の仲間と短編『フミコの告白』を、次作『rain town』を自身を含む2人だけで制作した。しかし、現在はスタジオコロリドに籍を置き、数十人のスタッフを率いて制作にあたっている。「最初の頃はスタッフに自分の意図を伝えるのが大変でしたけど、今では自分ひとりではなしえない物量、アイデア、クオリティを求められるので、集団でやる意味を感じています。この作品に登場する“ファスニングマシン”のメカニックなアイデアや、アクションのアイデアも、別のスタッフが考えてくれたんです」。一方で石田監督は、規模は大きくなっても自身と“つながり”を持てるスタッフと作品づくりをしていきたいと考えているようだ。「これから少数精鋭で、共通理解をちゃんと得られる人たちと、“濃い”ものを作っていきたいですね。少数精鋭のスタッフが各々に“想い”を込められるような度量のある作品が濃くなると思います」。監督の“想い”は日本だけでなく、世界各地のファンにも伝わっている。石田監督はデビュー時から作品をネットにアップしており、観客は世界各国に存在するからだ。「感想は励みになりますね。海外の感想を日本語訳してくれているサイトを見つけて読んだりしていますし、海外からの反応は何よりもうれしいです。ネットに触れる以前から何かを描いて人に見せることが前提というか、人に見せてコメントをもらうことが楽しかったので、それが原動力になっていますね。それはアニメーションを作るようになってからも変わらなくて、笑ってくれたり、話のネタにしてくれたり、人にアクションを起こさせることが楽しいんです」。石田監督にとって作品づくりは“表現”だけではなく、その先の“コミュニケーション”も含んでいる。デジタル技術の進化によって少数でのアニメ制作が可能になり、ネットにアップすることで瞬時に世界中に作品を送り出し、観客とつながることができる現在、石田監督の作品は今後も多くの観客をつなぎ、そのネットワークを広げていくだろう。『FASTENINGDAYS』公式サイト、YouTubeで公開中
2014年11月28日アリエル・ドーフマンの心理サスペンス劇『死と乙女』が大空祐飛、風間杜夫の出演で、2015年3月19日(木)より、東京・シアタークリエで上演されることが決まった。作品はローレンス・オリヴィエ賞 最優秀戯曲賞に輝いたドーフマンの傑作戯曲で、1994年ロマン・ポランスキー監督により映画化もされている。チリの独裁政権崩壊後が舞台。かつて学生運動に加わり過酷な拷問を受けた女が、偶然にも自分を蹂躙した男と再会する。被害者と加害者、そして被害者の夫。シューベルトの名曲『死と乙女』をモチーフに、3人の男女が密室で火花の散るような葛藤を繰り広げる。演出は新進気鋭の谷賢一。公演は2015年3月19日(木)から28日(土)まで。チケットの一般発売は12月13日(土)より。
2014年11月04日ファスナーのトップメーカーYKKがブランディングショートアニメ『FASTENINGDAYS』を製作し、『フミコの告白』で注目を集める石田祐康が監督を、砂原良徳が音楽を、Perfumeがエンディングテーマを務めることが発表された。『FASTENINGDAYS』YKKは創業以来80年に渡ってファスナーや繊維テープなどの分野で世界をリードしているトップメーカー。世界各国でもYKKの製品は圧倒的な信頼を得ており、Fasten=“つなぐ”ことの大切さをさらに広めるために新作アニメーションを製作することになった。監督を務める石田は2009年に手がけた『フミコの告白』が文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞するなど高い評価を集め、昨年には『陽なたのアオシグレ』で劇場デビューも果たした人物。本作では近未来を舞台に、主人公ケイとヨージがファスナーを使ったハイテクマシンで街を守る姿を描いており、劇中には伸張性ファスナーや水密ファスナー、蓄光ファスナーなどYKKのアイテムをモチーフにしたファスナーがたくさん描かれる。ケイの声を白石涼子が、ヨージの声を大浦冬華が務め、Perfumeの『Hurly Burly』がエンディングテーマに起用される。作品は公式サイトとYoutubeで全編無料公開中で、英語、スペイン語、フランス語、中国語の4か国語で全世界向けに公開されるほか、各国のYouTube上でコマーシャル映像として展開される予定。『FASTENINGDAYS』公式サイト、YouTubeで公開中
2014年10月30日12月、「坂東玉三郎特別公演」として、泉鏡花作『日本橋』が上演される。日本橋の花柳界を舞台に、お孝と清葉のふたりの芸者、医学士・葛木、お孝の馴染みの男・伝吾それぞれの姿を描いた名作だ。今回、玉三郎は斎藤雅文と共同で演出を手がけ、また、1987年の新派公演以来25年ぶりにお孝を演じる。玉三郎に本作への思いを訊いた。坂東玉三郎特別公演「日本橋」 チケット情報「『日本橋』は、ずっと上演したいと思いながら、なかなかできずにいました。というのもこの作品は、お孝、清葉、葛木、伝吾を演じる俳優が4人、きちんと揃わないと出来ないと思うのです。今回は経験のある方々が集まってくださいました」と玉三郎。奔放で艶やかなお孝と対照的に奥ゆかしく誠実な清葉を演じるのは、高橋惠子。また、清葉に思いを寄せながらもかなわず、やがてお孝と恋仲になる葛木役に、松田悟志。身を持ち崩しながらお孝に執着し続け、最後はお孝に殺される伝吾役には、永島敏行が扮する。「鏡花にとって、理想的な女性である清葉と、全てを持ち合わせた女性であるお孝は、ふたりでひとりの女性なのだと思います。醜いドロドロとした感情が制御されているのが清葉、全ての感情を持ち合わせているのがお孝。同じように、葛木と伝吾も、ふたりでひとりの男性です。鏡花はそうやって、別々のキャラクターとして表現しながら、結局はひとつの魂の境地を書いています」。独自の美学に貫かれた『日本橋』の世界。「花柳物であるとか男女の物語であるといったことより何より、その魂の在り方を観ていただきたいのです」との言葉に、作品への深い思いがうかがえる。「鏡花は芸術家と医者を尊敬していました。清葉は笛の達人ですから芸術家、葛木は医学士です。彼らは純粋な魂を持っていますが、お孝は人間の煩悩に翻弄されます。葛木も一瞬、お孝によって煩悩の世界へ引き入れられるけれども、出家することで断ち切って行くわけです。そして葛木と清葉は生き残ります。一方、お孝は、伝吾を殺し、自分自身をも殺すことで、伝吾と自分の煩悩を退治して魂を浄化して行きます。そして、清葉の笛の音、つまり芸術の手引きによって、あの世へと旅立つのです」。こうした鏡花ならではの境地が今回、日生劇場という空間で新たに表現されるのも見どころだ。「一石橋での朧月や、雪の情景など、非常に陰影の深いものになると思います。美術には、淡彩を基調とする、ある意味で抽象的な美術も考えています。幻想的な世界を、ぜひ皆さんに楽しんでいただきたいですね」。公演は12月3日(月)から26日(水)まで東京・日生劇場にて上演される。チケットは9月20日(木)より一般発売開始。 なおチケットぴあでは観劇とディナーがセットになった「ぴあ12月年忘れスペシャルディナーセット」のチケットをWEB限定で発売する。取材・文:高橋彩子
2012年09月18日歌舞伎俳優で人間国宝に認定された坂東玉三郎が主演・演出する舞台『日本橋』の制作発表会見が8月27日行われ、玉三郎と共演の高橋惠子、松田悟志、永島敏行、斎藤菜月が登壇した。本作は、1914年(大正3年)に小説として発表された泉鏡花の名作『日本橋』を舞台化したもの。物語は大正初期の日本橋を舞台に、医学士を巡ってふたりの芸者の意地の逢引を軸に描かれる。玉三郎は気風が良く奔放で妖艶さを持った主人公の芸者お孝を、彼女と相対する純粋で清楚さを備えた芸者・清葉を高橋が演じる。また、医学士の葛木には松田が、お孝と馴染みの男・伝吾には永島が扮する。今回が初舞台で、鼓童のメンバーだった斎藤は雛奴・お千世を演じる。玉三郎は「鏡花の芝居は『天守物語』『海神別荘』とたびたびやってまいりましたが、『日本橋』はなかなか上演する機会がなく、こんなに日にちが経ってしまったなという思いがございます」と感慨深げに語る。それもそのはず、玉三郎は1978年に初めて同役を務めてから過去4度演じているが、前回の上演(1987年)からは実に25年ぶりとなる。また本作への思いとして「ふたりの男とふたりの女を中心にした花柳界の話ではありますが、実はそこを借りて人間の本能と言いますか、煩悩というか、理想というか、そういうものを突き詰めた作品だと思うんです。ですからそこを楽しんでいただければと思います」とコメントした。今回、新人の抜擢も話題に。玉三郎からのオファーに斎藤は「最初お電話でお誘いいただいたときは、間違い電話なんじゃないかと、相手を間違っているんじゃないかと思いました」と当時の素直な気持ちを語ると、横で聞いていた玉三郎からも思わず笑いが。その後、「稽古を重ねていくうちに、舞台から見える景色がやっぱり好きで、この景色を見たいなと思いましたのでやらせていただくことを決意いたしました」と力強く語った。公演は12月3日(月)から26日(水)まで東京・日生劇場にて上演される。9月20日(木)より一般発売開始。
2012年08月28日東京・赤坂ACTシアターにて今秋上演される『ふるあめりかに袖はぬらさじ』の製作発表が都内で行われ、出演者の坂東玉三郎、檀れい、松田悟志らが記者会見を行った。有吉佐和子が劇作を手がけ、杉村春子の主演で『ふるあめりか~』が初演されたのは、1972年のこと。杉村の当たり役となった芸者・お園役は、1988年に玉三郎に受け継がれた。今回が10度目の出演となる玉三郎は、「新しい顔ぶれならではの新しい舞台ができれば。赤坂ACTシアターという空間の使い方を意識して、この戯曲をできる限りお客様に身近に感じていただけるようにしたい」と意欲を見せる。物語は、開港まもない幕末の横浜を舞台に展開する。通辞・藤吉(松田)とのかなわぬ恋に身を焦がす遊女・亀遊(檀)。彼女が自害すると、やがて、“外国人から操を守るためだった”という説が流れるように。亀遊の最期に居合わせたお園は、事実は違うと知りながらも、攘夷派の思惑にのせられ、そのプロパガンダに加担させられてしまう。檀が「すばらしい女優さん(波乃久里子、宮沢りえ、寺島しのぶら)が演じてこられている役なので、私もそれに負けないように、一生懸命取り組んでいきたい」と緊張気味に語る一方で、松田は「お話をいただいたとき、まず“どうして僕なのか”と思った。それで玉三郎さんに“僕に出来ますか?”とお訊きしたら、“大丈夫です”とのことでしたので、それを鵜呑みにしてがんばることにしました」とどこまでも屈託がない。玉三郎はそんなふたりについて、「檀さんは、劇団(宝塚歌劇団)で十分に経験を積んでいらっしゃる。優しいイメージの奥にある芯の部分が本番では出てくると思う。松田くんは、この記者会見で皆さんが持った印象どおりの人。そこをあの時代(幕末)にうまく持っていくことが大事だと思う」と語った。すでに玉三郎と松田は、5月3日から6日まで愛知・御園座、5月12日から27日まで京都・南座にて同作品を演じており、檀のみが東京公演からの参加となる。公演は赤坂ACTシアターにて、9月28日(金)から10月21日(日)まで開催。チケットぴあでは、6月1日(金)23:59までインターネット先着先行プリセールを受付中。一般発売は6月2日(土)より。
2012年05月28日喜劇役者の藤山直美と歌舞伎俳優の坂東薪車が出演する舞台『年忘れ喜劇特別公演』が12月1日、東京・新橋演舞場で開幕する。この興行は、年上女房・おかつと甘えん坊の若い夫・清之助の物語を、笑いと涙でたっぷり描いた上方人情喜劇の名作『銀のかんざし』と、薪車が領主前田能登守と盗賊の赤鞘主水の2役を演じ、大立廻りもある『殿様茶店の恋日和』の2本立てだ。初日前日の11月30日、『銀のかんざし』の稽古を終えた藤山と薪車が取材に応じた。『年忘れ喜劇特別公演』チケット情報藤山は「おかつと清之助は今流行りの年の差夫婦なんですけど、薪車さんは“じじい”っぽいんですよね(笑)。本当は私の方が年上ですけれど、普通にやっております」と笑いを誘い、新車は「じじい、じじいってねぇ(笑)。見た目がちょっと老けているのかな」とおどけてみせた。また藤山との共演は「年上ってこんなにも心地良いものかとお芝居を通して改めて感じています。100%信頼して思いっきりやらせていただいています」と話し、『銀のかんざし』については「男の夢がつまっています。人間の絆、夫婦の絆というものを観ていただきたい」とみどころをアピール。藤山も、もう1本の『殿様茶店の恋日和』について「薪車さんの15分もあるすっごい立廻りは見物です。思わず『音羽屋!』(坂東薪車の屋号)と大向こうをかけたくなります」と力強く語った。そして「お芝居をご覧になったお客様が面白かったなぁ、楽しかったなぁと言っていただけるのが頂点の喜びです」と締めた。公演は同劇場で12月25日(日)まで上演。チケットは発売中。
2011年12月01日10月に東京・日生劇場で行われる『特別舞踊公演』に向け、坂東玉三郎が都内で記者会見を行い、現在の心境を語った。演目は、『傾城 吉原絵巻』『藤娘』『楊貴妃』の3本。『傾城~』は、広間での「くどき」の前に華やかな花魁道中を挿入した新たな構成の舞台で、移ろいゆく四季を風情豊かに表現する。初夏の彩りが目に鮮やかな『藤娘』、七夕を背景に描く『楊貴妃』と、いずれの演目も季節との結びつきが強い。坂東玉三郎特別舞踊公演チケット情報「春から急に夏になり、秋から急に冬になる。今の日本、特に東京では、春夏秋冬が感じられなくなってしまいました。でも、舞踊は本来、季節感に重ねて心情を表すものだし、衣裳も季節を考えてあつらえます。そこを意識することで、季節を感じにくい今のお客様に四季を疑似体験していただきたい。それが、まだ季節感のあったかつての東京を体感している僕の役目だと思います」2009年1月から2010年4月まで16か月にわたった〈歌舞伎座さよなら公演〉以降、芝居への出演が減った理由については、こう明かす。「さよなら公演で、力を使い果たしたんです(笑)。大きな節目ということで、ちゃんとしたものをお見せしなければならないという気持ちがあり、没頭しましたから。しばらくは、芝居から離れて、客観的になりたいなと。一方で、これからは、“若い”“きれい”ではない、新しい役に取り組んでいきたいという思いもあります。でも、次のステップに行くためには、続けながらだとわからないし、一度、自分を緩めてやりたかった」。久々に玉三郎の表現を心ゆくまで味わえる機会が、今回の舞台だ。舞踊公演への取り組みには、格別の思い入れが感じられる。「今は、歌舞伎俳優が中幕で踊る以外、どんどん舞踊の水位が低くなっています。そんな中で、舞踊単独の公演を1か月行うということを認知していただければ。そして、舞踊の専門家には、自分も公演をやりたいという気持ちを持ってもらえたらと思います。古典芸能にとっては非常に難しい時代だと思いますが、危機感を持っているだけではしょうがない。やるしかないんです」。『坂東玉三郎特別舞踊公演』は、10月2日(日)から26日(水)まで。1976年の『マクベス』以来、数多くの公演で登場した縁の深い場所ながら、日生劇場で玉三郎が舞踊公演を行うのは16年ぶりとなる。チケット発売中。
2011年09月16日