タレントの中島知子が16日に自身のアメブロを更新。自販機で見かけるとよく購入する品を紹介した。この日、中島は「カレーのレトルトを最近買っておいて、朝からとかちょっと時間ない時に助かります」と説明。「このグリーンカレーココナッツきいててかなりいいお味でした」と写真とともに商品を紹介し「ごちそうさまでした~」と堪能した様子でつづった。その後に「本当に濃い目で美味しい」というタイトルで更新したブログでは「自販機で見かけたらよく買いますね」とアサヒ飲料『カルピス THE RICH』の写真を公開。「カルピスは美味しいだけでなく、お腹にも調子良い感じです」と述べ「そして、今夜も飲むという、、、」とお茶目につづり、ブログを締めくくった。
2022年05月17日元オセロでタレントの中島知子が、11日に配信されたABEMA・ABEMA SPECIALのトーク番組『デマ投稿を許さない』#2に出演し、コンビ解散の真相を語った。坂上忍がABEMA初のレギュラーMCを務める同番組は、ゲストが抱えるデマ投稿に斬りこみ、議論していくトークバラエティ。「真実を言っても炎上するだけ」「本当のことを言う場所がなかった」というゲストの胸の内を、公平な立場から解き明かしていく。11日に配信された#2には、番組初のゲストとして中島が登場し、抜群のトーク力で盛り上げた。SNS上で囁かれていた「大分のスナックで働いていた?」という噂を坂上がぶつけるると、中島は「元々カラオケが好きなんです。知人の紹介を経由し、大分のラウンジでホステス修行しました」と2019年頃にホステスとして勤務していた過去を告白。さらに坂上からの「お客さんに口説かれたことあるの?」に対して、「私、ないですね。金がないと女芸人はモテないですから」と当時の苦悩を振り返った。また、自身のコンビ解散についても言及。坂上の「仲が悪いの?」という率直な質問には「円満に会ってコンビ解消をしました」と真相を明かしていた。
2022年05月12日タレントの中島知子が、11日放送のABEMAバラエティー『デマ投稿を許さない』に出演。かつて松嶋尚美と結成していたお笑いコンビ「オセロ」について、MCの坂上忍からコンビ仲を聞かれると「円満に会ってコンビ解消をしました」と明かした。同番組は坂上がSNS上のうわさを直球でゲストに切り込むトークバラエティー。現在大分県を拠点にタレント活動を行っている中島だが、今も変わらない切れ味バツグンのトーク力を坂上は絶賛する。「大分のスナックで働いていた?」といううわさについては、2019年頃に大分市内でホステスとして勤務していた過去を告白。坂上が「お客さんに口説かれたことあるの?」と質問すると、「私…ないですね」「金がないと女芸人はモテないですから」と静かに苦悩を打ち明けた。自身の騒動を振り返りつつ芸人仲間への思いを語るなかで、「元相方に黒魔術をかけてる?」という噂の投稿に、坂上が目を丸くする場面も。「仲が悪いの?」という坂上の率直な質問には、「円満に会ってコンビ解消をしました」と回答し、解散の経緯や思いを告白した。怒涛のトークが飛び交う収録を終えた中島は、「好きな話をして、好きなことを言ってしまったので、他の出演者のみんなぐったりされてました。坂上さんと(企画の鈴木)おさむさんといろんな話ができたのは、すごい楽しかったです」と明るい表情で感想を述べた。
2022年05月12日元オセロでタレントの中島知子が、11日にABEMA・ABEMA SPECIALで配信されるトーク番組『デマ投稿を許さない』(毎週水曜23:30~)に出演する。坂上がABEMA初のレギュラーMCを務める同番組は、ゲストが抱えるデマ投稿に斬りこみ、議論していくトークバラエティ。「真実を言っても炎上するだけ」「本当のことを言う場所がなかった」というゲストの胸の内を、公平な立場から解き明かしていく。11日配信の#2には、現在、大分県を拠点にタレントとして活動している中島が登場。番組冒頭から軽快なトークを披露し、今後の芸能活動について語ると、坂上は「やっぱり中島知子ってスゲーなって」「この間会った時に矢作(おぎやはぎ)とやっぱり抜群に面白いな、あの人って話をしたんだよ」と中島のトーク力を絶賛した。また、現在の拠点・大分県での活動に関わる世間の噂も紹介。「大分のスナックで働いていた?」「交際の噂があった芸能人との真相は?」「6,000万円でセクシービデオオファーがあった?」など、多くの噂やデマの真偽を明かし、セクシービデオオファーについては、「あの国民的アイドルより高い値段だったのに……」と当時のやり取りを回顧した。コメントは以下の通り。■中島知子坂上さんと(鈴木)おさむさんについて「こんなゴールデンコンビで新しく組んで……!」と思いました。呼んでもらえるのは嬉しいんですけど、「これはまたいろんなネタを披露しないといけないんだな」と思って、ちょっと怪しみながら来ました。実際にはおさむさんが「そういうことじゃない。もうちょっと優しい番組なんですよ」と話していたので、来て良かったです。
2022年05月11日タレントの中島知子が11日に自身のアメブロを更新。俳優の坂上忍の彼女について言及した。この日、中島は同日放送される坂上がMCを務めるトークバラエティ番組『デマ投稿を許さない』(ABEMA)に出演することを報告。坂上について「いつ見ても男前」と述べ「男前なんで必要以上に喋ってしまったかも」とお茶目につづった。続けて「ちなみに彼女も美人」と坂上の彼女について言及し「これはデマじゃなく実話」とコメント。最後に「ぜひ、ご覧ください~」と呼びかけ、ブログを締めくくった。
2022年05月11日タレントの中島知子が、11日放送のABEMA『デマ投稿を許さない』(毎週水曜後11:30)に出演。現在は大分県を拠点に活動を行っている中島が、MCの坂上忍とともに、赤裸々トークを展開する。現在や今後の芸能活動についての話が上がると、坂上は「やっぱり中島知子ってスゲーなって」「この間会った時に矢作(おぎやはぎ)とやっぱり抜群に面白いな、あの人って話をしたんだよ」と中島のトーク力を大絶賛。中島の大分県での活動に関わる世間の噂も紹介され「大分のスナックで働いていた?」「交際の噂があった芸能人との真相は?」「6000万円でセクシービデオオファーがあった?」など、多くの噂やデマと対峙した。セクシービデオのオファーについては「あの国民的アイドルより高い値段だったのに…」と当時のやり取りを回顧。思い悩んだ中島が取った選択とは。収録を終えた中島がコメントを寄せた。■中島知子さんコメント全文坂上さんと(鈴木)おさむさんについて「こんなゴールデンコンビで新しく組んで…!」と思いました。呼んでもらえるのはうれしいんですけど、「これはまたいろんなネタを披露しないといけないんだな」と思って、ちょっと怪しみながら来ました。実際にはおさむさんが「そういうことじゃない。もうちょっとやさしい番組なんですよ」と話していたので、来て良かったです。
2022年05月10日タレントの中島知子が3日に自身のアメブロを更新。コンビニで衝撃を受けて即購入した品を紹介した。この日、中島は「カプリコグレープジュース味」というタイトルでブログを更新し、江崎グリコ『ジャイアントカプリコ呪術廻戦<グレープジュース味>』の写真を公開。「紫のチョコが新鮮すぎて若干衝撃ですが」と述べつつ「コンビニで見つけて速攻買いました」と明かした。続けて、味については「かなりグレープなので、美味しい」とコメント。「呪術廻戦のキャンペーン中のパッケージなので、コンビニでかなり目立ってました」と報告し、ブログを締めくくった。
2022年05月04日Netflix『全裸監督』ワールドプレミアでの伊藤沙莉(’19年7月)若手実力派女優・伊藤沙莉(27)の熱愛が明らかになった。熱愛発覚の伊藤沙莉、ネットも祝福ムードのワケ相手は、脚本家の蓬莱竜太(46)。食事デートから愛の巣に帰るところを写真誌に直撃されると、「えーまじで、まじで。こういう感じなんですね(爆笑)。びっくりしたー!」彼女は気さくに対応。報道された翌日には、自身のツイッターで、「彼から猛アプローチっていうのはwwwお互いにってやつですよ(略)#18歳差」と、報告した。なお「#18歳差」というのは、20歳差と報じられたのを訂正したものだ。そこに兄の芸人・伊藤俊介(オズワルド)も便乗。「M-1も妹もおじさんに獲られました。(略)#俺とは13歳差」とツイートして、笑いをとった。注目すべきは世間の反応で、とにかく祝福ムード一色。そこから見えてくるのは、彼女が今、めったにないほどのおいしいポジションにいるということだ。というのも、彼女はいわゆる「美人女優」という枠で勝負していない。メインを張れるほどの顔ではないことが子役時代からコンプレックスだったとして、「容姿だけで、視界に入れてもらえなかったこともあって、それが嫌だった」と、告白している。しかし「美人女優」枠から早期に降りたことにより、彼女は演技で勝負している実力派という評価を獲得。身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ、とはこのことだ。そして、もうひとつのコンプレックスというのが低音のハスキーボイスだ。これもまた、ナレーションや声優の仕事などでも武器になっているほか、特に同性からの好感度につながっている。なぜなら、女性が女性の性格を想像する際、声やしゃべり方によって判断するところが大だからだ。甘えた高音で舌足らずに話す女性が、女性に好まれる「サバサバ」タイプに認定されることはまずない。伊藤本人は自らを「粘着質」だと分析。共演経験のある千葉雄大から「付き合っていた彼氏全員に、明日、私が死んでも後悔しないくらい私を愛してと伝えていた」というエピソードも暴露されている。そんなところもほどよくカムフラージュされるのである。では、実際、彼女はどういう人なのか。興味深いのは、今年2月『あさイチ』(NHK総合)でしていた発言だ。伊藤沙莉は“不思議ちゃん”占い師に「あなたは人間じゃない、妖精なんです」と言われたと告白。サンタクロースの手伝いをする種族だそうで「どうりでクリスマスも好きだし」と納得したという。子役時代にも共演した高岡早紀から「沙莉って妖精みたいだよね」とも言われたそうで「私、妖精ってカミングアウトしてないのに」と続け、MCたちのビミョーな反応に「不思議ちゃんになりたいわけじゃないんですけど」と付け加えた。いや、それって十分に不思議ちゃんだろう、と思わずツッコんでしまったが──。そんなところが熱愛の相手である、18歳上のおじさん業界人にはたまらない魅力なのだと思われる。しかも、不思議ちゃんは女優として売れ続けるために有利なキャラ。古くは大竹しのぶ、最近だと綾瀬はるか、吉高由里子などがこのタイプだ。思えば、熱愛の相手がイケメンの人気俳優とかではないのもよかった。まさに、嫌われない要素の集合体である。こうしてみると、伊藤ほど「持ってる」女優もなかなかいないのではないか。これほどおいしいポジションにいることを、世間に気づかせないところも含めて。PROFILE●宝泉薫(ほうせん・かおる)アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)
2022年04月27日タレントの中島知子が26日に自身のアメブロを更新。“ヤバ目な朝食”を公開した。この日、中島は「今月はあまり家にいる時間がなかったので、自炊も滅多にしませんでした」と切り出し「家でご飯を食べる時は、殆どコレ。このでっかいウインナー」とウインナーの写真を公開。「これをヨシダソースで焼いて食べる」と食べ方を明かした。続けて「最初は1本ずつ焼いてたけど、結局追加でもう一本たべたくなるので、最近は最初から2本焼くことにしました」とつづり「写真じゃわかりにくいですが、直径22cmのフライパンに結構ぎゅうぎゅう」と説明。「朝から塩分過多ですが」と述べつつ「今朝は、それプラス甘味で、さらにヤバ目な朝飯。ローソンのモンブランケーキ」と写真とともに告白した。最後に「あまり意味ないかもしれないけど、食べ終わったら打ち合わせ場所(別府高崎)まで歩いて行こう~」とコメントし、ブログを締めくくった。
2022年04月27日ものまねタレントのみかんが24日に自身のアメブロを更新。タレントの中島知子との共演を果たし歓喜した日のエピソードをつづった。この日、みかんは「ついにこの日が…」というタイトルでブログを更新。23日に放送されたバラエティー特番『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦スペシャル』(フジテレビ系)に出演していたといい「見てくれた方ありがとうございました」と感謝をつづった。続けて「まさか!まさか!こんな日がくるなんて」「ご本人の中島知子さんとの共演」と中島と共演したことを報告。“相方”として共演したものまねタレントのミラクルひかるについて「18年前からやってる中島さんのものまねこの日が初対面」と明かし「もちろん私もですけど」と補足した。また「いつも以上に緊張しました」と収録時の心境を明かし「本当、あっという間にネタの時間が終わってしまった」と回想。「夢のような時間だった」と嬉しそうにつづった。さらに「実はやったネタはご本人が昔やってた完コピだったんです」と披露したネタについて説明。一方で「オセロさんはツッコミ担当が中島さんでボケ担当が松嶋さんですが、なぜかミラクルとやると私がツッコミになってしまう」といい「ミラクルはずっとボケるから」と役割が逆になる理由を明かした。最後に「今回は中島さんにしっかりツッコんでもらえて気持ちよかった」と満足そうにコメント。「夢のような時間を作ってくれた、ご本人、スタッフ、相方のミラクルにも大感謝です」とつづり、ブログを締めくくった。
2022年04月26日女優の伊藤沙莉(27)が12日、ツイッターを通じ、自身の熱愛報道を受けて「温かく見守っていただけると幸いです」とつづった。前日のFRIDAYデジタルで、脚本家・蓬莱竜太(46)との熱愛が報じられた伊藤。記事では知人の証言として「蓬莱さんが猛アプローチをかけ」とあったが、「彼から猛アプローチっていうのはwww」と笑い飛ばして「お互いにってやつですよ」と訂正し、「#18歳差」のハッシュタグを添えて「ひとまず、温かく見守っていただけると幸いです」と呼びかけた。多くの祝福の声が寄せられる中、兄のオズワルド・伊藤俊介もこのツイートに反応。「#俺とは13歳差」「M-1も妹もおじさんに獲られました。一旦辞めさせて頂きます」と胸の内を明かしている。
2022年04月12日タレントの中島知子が30日に自身のアメブロを更新。名古屋発の全国コーヒーチェーン店『コメダ珈琲店』の季節限定メニューを堪能した様子をつづった。この日、中島は「モーニング」というタイトルでブログを更新。「朝からコメダの季節限定ぶどうジャムセットをアイスコーヒーと頼みました」と報告し、季節限定モーニングサービス『トースト&ぶどうジャム』の写真を公開した。続けて「ぶどうジャム超うまいすオリゴ糖配合」と絶賛。「コールスローのキャベツもやたら美味かった」と感想を述べ「春キャベツなんかな!?」と推測した。その後、更新したブログでは「曇ってて暗めですが、きれいです」と桜並木の写真を公開。「満開予報は3月30日。今日ですね」とつづり、ブログを締めくくった。
2022年03月31日フィギュアスケート選手の宮原知子が26日に自身のアメブロを更新。現役の引退を決断したことを報告した。この日、宮原は「本日は、私の24歳の誕生日です!」と切り出し「このような日に、私から皆様へご報告したいことがあります。この度、現役を引退することを決断いたしました」と報告。「唐突なご報告で申し訳ございません」と述べ「いつが良いか思案した結果、自分の誕生日にしよう!と思い、本日となりました」と説明した。続けて「今シーズン、スケート人生で1番、自分と向き合い、毎日を大切に過ごしてまいりました」と振り返り「これまで以上に、もうこれ以上はできないと納得いくまで練習し、試合に臨んだシーズンでした」とコメント。「私の中で悔いはなく、やりきったという気持ちでいっぱいです」と心境を明かした。また、今後について「夢は沢山ありますが、まずはプロスケーターとして自分のスケートを極め、新境地を開いていけるよう、これまでの経験を活かして頑張っていきたい」と説明。「詳細につきましては4月1日にメディア公表をいたします際にお話しさせていただきます」と予告した。最後に「スケート人生を通してサポートしてくださったコーチの方々、家族、友達、スケート連盟の方々、スポンサーの方々、ファンの皆さま、関係するすべての方々に感謝申し上げます。本当に本当に本当にありがとうございました」とつづり「一言では伝えきれない気持ちでいっぱいです。この気持ちを少しでも自分のスケートで恩返しという形でお伝えできますよう、精進いたします」と決意のコメント。「新しい幕を切り開いた、新しい宮原知子を今後ともどうぞよろしくお願い致します」と呼びかけた。
2022年03月26日圧倒的な強さから『霊長類最強女子』として知られる、元レスリング選手の吉田沙保里さん。現役引退後は、タレントや解説者など幅広く活躍しています。そんな吉田さんが投稿した何やら意味がありげな写真に、ネットがざわついでいるようです。吉田沙保里の投稿した写真に「まさか…!」の声2021年10月31日、吉田さんは自身のInstagramに複数枚の写真を投稿しました。投稿文には「Happy Halloween」という10月31日にちなんだメッセージと、「#happyday」「#ありがとう」「#20211031」というハッシュタグが。何気ない文章の投稿が話題になっている理由は、添付された写真にありました。※写真や動画は複数あります。スライドしてご確認ください。 この投稿をInstagramで見る 吉田沙保里(@saori___yoshida)がシェアした投稿 写っているのは、吉田さんと思われる女性と、同年代に見える男性の姿。2人は一緒にブランコに乗ったり、手をつないだり、肩を組んだりと、とても親しい関係に見えます。そう、この写真と意味ありげな投稿文を見た人たちは「もしかして、吉田さんに恋人がいるのでは…!?」と予想したのです。吉田さんの投稿はまたたく間に話題になり、Instagramのコメント欄だけでなく、ネットのあちこちで反響が上がっています。・ま、まさか…近いうちにご結婚されるのでは…!?・素敵な方だし、おめでたい発表が近いうちに来たら嬉しい!・どんどん美人になってるもんね。写真見てニヤニヤしちゃった。テレビ番組で「好きな人とうまく話すことができない」といった悩みを明かすなど、かわいらしい一面も持つ吉田さん。『霊長類最強女子』として試合に挑む勇ましい姿とのギャップも、魅力の1つといえるでしょう。もしかすると、近いうちに何か発表があるのでしょうか…![文・構成/grape編集部]
2021年10月31日米倉涼子が演じる「ドクターX~外科医・大門未知子~」第7シリーズが10月14日から放送開始。非常に危険な“ラッサ熱”の登場に「初回の緊迫感ヤバい」「未知子大丈夫なのか!?」などの声が続出。“ラッサ熱”がトレンド入りを果たす事態になっている。その妥協を許さない外科医としての強い信念と技量で、病院という組織のなかで数々の騒動を巻き起こしながらも己の道を突き進む大門未知子の姿を描く医療ドラマとなる本作。今回の第7シリーズでは100年に1度のパンデミックによって感染治療と内科を最優先し、不要不急の外科手術は延期する方針となった日本最高峰の大学病院「東帝大学病院」を舞台に、未知子の前に “新たな敵”が立ちはだかる…というストーリーが展開する。キャストは米倉さん演じる未知子をはじめ、内田有紀演じる城之内博美に岸部一徳演じる神原晶。遠藤憲一演じる海老名敬、勝村政信演じる加地秀樹、鈴木浩介演じる原守、今田美桜演じる大間正子、西田敏行演じる蛭間重勝らが続投。今シーズンからの新キャストとして、未知子と出会い人生の転機を迎える呼吸器外科医・一木蛍役で岡田将生。「東帝大学病院」の院長代理も兼任する、元外科医で内科部長の蜂須賀隆太郎役で野村萬斎が出演。また1話のゲストには冨永愛を迎える。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。1話ではニュージーランドの副首相をオペすることになった未知子が、第一助手の一木と出会い日本に帰国。参議院議員・一橋由華(冨永さん)主催のパーティーに招かれるのだが、実は由華、一木の勧めで胆石症のオペを未知子に頼もうとしていた。そんな由華がパーティー会場内で急性胆のう炎を発症して倒れる。未知子は一木と共に由華に付き添い搬送先の「東帝大学病院」へ。一刻を争うと判断し緊急オペを断行しようとする未知子だが、そこに蜂須賀が現れる。未知子が何者か知らない蜂須賀はその腕前に懐疑心を抱きながらも、由華の意向を汲んでオペを許可するのだが、その後由華が主催したパーティーでクラスターが発生してしまう。さらに一木の体調が悪化、新型コロナ変異種かと思われたが、彼はアフリカで非常に危険なラッサウイルスに感染。ラストでは一木を手術した未知子まで倒れてしまう…というストーリーが展開。「今回のドクターX、コロナの存在する世界なの!?」など、コロナ禍をストーリーに取り入れたことに驚きの声が上がるとともに、コロナ仕様となった“御意”ポーズに「飛沫が飛ばない御意のポーズで笑い死んだwww」「内科陣営の御意ポーズジワる、割とすき」「内科の御意ポーズ流行るといいなww」といった反応も。また自主隔離中に激しい頭痛とともに倒れてしまった未知子に「未知子……!初回の緊迫感ヤバい」「ドクターX観たけど未知子おおおお(;_;)ってなってる」「初回からとんでもない展開だった未知子大丈夫なのか!?」など不安の声が続出。また一木が感染したラッサ熱がトレンド入りを果たすなど大きな注目を集めている模様で、「みんなラッサ熱調べるから、厚生労働省のホムペが重いんじゃあ」「ラッサ熱とはなんぞやと思って厚労省のページ開こうと思ったら鯖落ちしてるのか開けない」などの投稿も寄せられている。(笠緒)
2021年10月14日2021年7月スタートの新テレビドラマ『プロミス・シンデレラ』(TBS系)の追加キャストが発表されました。同作は、俳優の二階堂ふみさん演じるバツイチアラサーの主人公の桂木早梅が、眞栄田郷敦さん演じる高校生・片岡壱成と出会い、金と人生を賭けた『リアル人生ゲーム』を繰り広げていくラブコメディ。早梅と壱成とともに劇中で三角関係におちいる、壱成の兄で旅館の若旦那・片岡成吾に、『EXILE』『三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE』のメンバーとしても活躍する岩田剛典さんの出演が決定しています。松村沙友理、ドラマ出演決定にコメント旅館で働く仲居、坂村まひろ役に、同年7月13日でアイドルグループ『乃木坂46』での活動を終了することを発表している松村沙友理さんが決定。新入りの早梅に、旅館や片岡家の内部事情をあれこれ教える人物として、物語に大きく関わる役柄を演じます。さらに、動画配信サービス『Paravi』では、松村沙友理さん主演のオリジナルストーリーの配信も決定。松村沙友理さんは今回のドラマ出演、さらには自身が主演となるオリジナルストーリーの配信に「より一層身が引き締まる思い」と意気込みを語ります。松村沙友理さんコメント今回、自分自身にとって節目となる時期にこのような素敵な作品に参加できて、より一層身が引き締まる思いです。私の演じる坂村まひろは、見た目はほんわかとした雰囲気ですが、心には強い信念を秘めている凄く魅力的な女の子です。まひろちゃんの良いところを少しでも多くの方に感じてもらえるよう大切に演じさせていただきます。Paraviオリジナルストーリーでは、坂村まひろを中心としたラブコメに挑戦させていただきます! 本格的なラブコメは初めてですが、観てくださる皆さんに楽しんでいただけるよう、精一杯頑張ります。本編と合わせてよろしくお願いします。松村沙友理さん主演のオリジナルストーリーの配信日時は後日発表予定。個人としての活動をスタートさせる松村沙友理さんが、同作で見せる演技に注目です![文・構成/grape編集部]
2021年06月21日読めたらすごい!難読漢字を4つご紹介します。「秋沙」って、なんと読むかわかりますか?「あきしゃ」ではありませんよ。今回はすべて鳥の名前です。「鵤」「大鷭」「小雀」いくつ読めるか挑戦してみてくださいね。秋沙=あいさ「秋沙」は「あいさ」と読みます。カモ科アイサ属の鳥の総称で、11〜12月に飛来する冬鳥のことです。くちばしが長く、ノコギリのような鋸歯(きょし)状の刻みがあることから、「ノコギリバガモ」とも呼ばれています。「秋」は季節の秋、「沙」は「早い」と「去る」を指し、冬鳥なので「秋が去った頃にくる鴨」という意味から「秋沙」と名付けられたと言われています。鵤=いかる「鵤」は「いかる」と読みます。灰色の体に黄色のくちばしが特徴の、全長20cmくらいの鳥です。木の実をくちばしでまわしたり転がしたりするため、古くは「マメコロガシ」や「マメマワシ」、木の実を好んで食べることから「マメウマシ」や「マメワリ」などと呼ばれていました。鳥名の由来は、鳴き声が「イカルコキー」と聞こえることからきていると言われていますが、定かではありません。大鷭=おおばん「大鷭」は「おおばん」と読みます。全長30cm〜40cmくらいの鳥で全身黒色、額に白い板状の隆起があるのが特徴です。足の指には葉状の水かきがあり、泳ぎが上手な水鳥として知られています。鳥名の由来は、ハトくらいの大きさの鳥「鷭(ばん)」よりも大きいことから、「大鷭」と名付けられました。英名の「coot」は、鳴き声に由来するという説もあります。小雀=こがら「小雀」は「こがら」と読みます。全長12cmほどで体の上部分は薄茶色、お腹部分は白色をしている鳥です。頭部が黒いのが特徴で、まるでベレー帽をかぶっているように見えることから「鍋かむり」と呼ぶ地域もあります。鳥はオスとメスで色合いが異なることが多いですが、「小雀」はオスメス共に同じ色をしています。難読漢字いくつ読めた?4つの難読漢字を紹介しましたが、いくつ読めましたか?「秋沙」は「あいさ」と読み、11〜12月に飛来する冬鳥だということがわかりました。日常会話で使うことは少ないと思いますが、いい機会なのでぜひ覚えておいてくださいね。"
2021年06月18日「その批判は当たらない」「LGBTには生産性がない」「障害者は不幸を生むだけ」--。政治家による無責任な言葉や誰かの尊厳を傷つける言葉が幅を利かせ、そのことに嫌悪感を抱き、「おかしい」と感じながらもうまく言葉にできないモヤモヤを抱えている人は、決して少なくないのではないでしょうか。そんな言葉や社会が「壊れつつある」現状について考えた、荒井裕樹さんの『まとまらない言葉を生きる』(柏書房)が5月に発売されました。同書は、「マイノリティの自己表現」をテーマに研究している文学者の荒井さんが、障害者運動や反差別闘争の歴史の中で培われてきた「一言にまとまらない魅力をもった言葉たち」と「発言者たちの人生」を紹介しながら、言葉によって人間の尊厳をどう守っていけるのかを考えたエッセイ集です。私たちが日々抱いているこのモヤモヤの正体は何?社会や人間のつながりを断ち切る言葉に抗(あらが)うにはどうすればいい?荒井さんにお話を伺いました。前後編。「自己責任」の変異株——後編では「私たちのつながりを断ち切る言葉に抗(あらが)うために大事なこと」をテーマにお話を伺えればと思います。第14話の『「黙らせ合い」の連鎖を断つ』では、近所の公園で高いところに登ろうとしていた子どもに声をかけたら、「ケガしても自己責任だから」と返されたというエピソードを紹介されています。荒井さんはこのことに、とても驚いたとつづっていらっしゃいます。荒井裕樹さん(以下、荒井):たぶん10歳かそこらの子どもが「自己責任」と言ってきた時は、本当にびっくりしました。教育現場でも「自分で責任を持ちなさい」ということがよく言われるのですが、「そもそも、自分で責任を持つというのはどういうことなのか」を分かっておく必要がありますよね。私は、「自分で責任を持つことができるようにいろいろなことを教える」のが教育だと思っています。学校教育であれ、家庭での親子の関わりであれ、自分で責任を持つとはどういうことなのか?そもそも責任とは何か?ということは、それについてみんなで話し合ったり、考え合ったりしながら体得していくものだと思うんです。でも、そういったときに「自己責任」という言葉の何が怖いかというと、これ以上はこちらも関わらないし、おたくも関わってくれるな、というメッセージになることなんですよね。——職場でも「風邪をひいたのは自己責任なので」と同僚が言っていた時にうすら寒いものを感じたのですが、まさに社会や人々の分断を象徴する言葉だと思っています。荒井:最近思うのは、「自己責任」という言葉の“変異株”みたいなものが出てきているのではないか、ということです。——“変異株”というのは?荒井:「自己責任」という言葉が話題になったのは2004年のイラク邦人人質事件がきっかけでしたが、あの頃から比べると、随分その意味合いが広がってきたと思います。女性が性暴力の被害に遭うのも自己責任、社員を搾取するような企業に入ってしまったのも自己責任、というように、使われ方が広くなってきた。こうした意味の膨張も不気味だったんですが、最近はまた別の不気味な変異を起こしつつあるような気がします。例えば、「会食したせいで(コロナに)感染してしまったのはあなたの自己責任だ(だから自分でなんとかしろ)」という言い方はこれまでもあったと思うのですが、「感染しても自己責任だから飲みに行きます(だから放っておいてください)」という使われ方を最近見聞きして、最初に耳にしたときは「あれっ?」と思いましたね。あなたが負うリスクについて私は関与しませんという使われ方だったのが、これは自分が引き受けることだから他人にとやかく言われる筋合いはない、という意味に変わってきている。「自己責任」という言葉の何が怖いかというと、人と人との関わりを断ち切る言葉だからなんです。確かに、だれかと関わり合うって面倒くさいし、その関係を断ち切りたくなるときもあるわけですが、一方で、人ってゆるやかにつながっていることも大事だと思います。そこで「断ち切る」ことばかりが強調されてしまうと、「私のことなんだから、あなたにはどうでもいいことでしょう?」とか「好きなようにやらせろよ」というふうに、言葉がざらついた感じに変異していってしまう。こういう言葉が広まっても、おそらくは誰も幸せにならないだろうな、と思います。人と関わるのって悪くない——「自己責任」がまかり通る社会って殺伐としていて誰にとっても生きづらいと思います。なんとか抗(あらが)っていきたいと思うのですが、そこでポイントになるのが「ゆるくつながる」ということなのでしょうか?荒井:そうですね、ゆるやかにつながっていることが大事なんだろうな、と。でも「絆」って言うと、うっとうしいですよね?——うっとうしいですね……。「絆」とか言われるとしんどいです。荒井:「絆」という字は、もともと「ほだし」とも読むんです。情にほだされるって言いませんか?あの「ほだし」です。もともとは家畜をつなぎとめておく綱の象形文字ですから、人をつなぎとめておくもの、拘束するものでもあるんですよね。そういう押し付けがましくない形での、ゆるやかなつながりを模索していく必要があるのでしょう。私は1970年代の障害者運動の研究をしています。「人権闘争」などと言うと、いかにも崇高な闘いをイメージされる方も多いのですが、当時の闘い方を調べていると、みんな「ただなんとなく集まっている」んですよ。何かテーマを決めて議論するというよりかは、ポテトチップみたいなお菓子やビールを持ち寄って、誰かのアパートに集まって、ただ話し合っているんです。解決策は見えないし、答えも出ないんだけど、とにかく集まって話す。そうすることで、一人一人が孤立しないよう、ゆるくつながっていたのですよね。とにかく「孤独にはしない・させない」という、その感じがいいのかな、と思います。仲の良さを確認し合うために特別なイベントを催すでもなく、「同じ酒を飲まなきゃ真の友達じゃない」という暑苦しい感じでもなく、何かあったらとりあえずゆるやかに集まってみる。そうやって凝り固まった自分の考え方や言葉を中和していく。そういう場がコロナ禍で奪われているからこそ、より大切に思います。——「孤独にしない・させない」というのは意識していきたいですね。荒井:もちろん、人それぞれ、できることもやれることもバラバラです。でも、だからといって「できることをそれぞれやりましょう」とだけ言っちゃうと、結局みんな個人としてバラバラになって、最終的には孤立させられちゃうんですよね。だから、そうさせないことが大事。——荒井さんご自身は、ゆるくつながっていますか?荒井:今は子育てで手いっぱいですが、でも、子どもの友達の家族同士で、子どもを預かったり預けたり、というのはやっていますし、とても助かっています。以前、友達の子どもを預かって、お昼に冷蔵庫にあった食材で簡単にハヤシライスを作ったところ、出した途端にペロッと食べられちゃって、「ぜんぜん足りない!」と言われて打ちのめされました。子育てしてるのに「子どもが食べる量」をきちんと見積もれなかった自分っていったい何なんだろう?って落ち込みました(笑)。そんなこともありつつですが、ゆるくつながっていきたいと思っています。——お話を伺っていて、人と関わるって傷つくこともあるし、しんどいこともあるけれど、それでも可能性というか希望を持ちつづけたいと思いました。荒井:この本には、私が深く関わってきた障害者運動家も登場します。私が私の人生を生きるだけだったら、こうした人たちと関わらなくても生きていけたと思います。でも、それでも関わりを持ったわけです。付き合う中で大変なことやしんどいこともたくさんありましたが、楽しいこともたくさんあった。だから、私自身の個人的な経験としても、「人と関わることはそんなに悪いことではないぞ」という実感があるんですよね。私自身、一人でいることは全然しんどくないし、むしろ人といるほうがしんどいのですが(苦笑)、人と関わることも悪くないなと思えたのは、まさに、この本に登場する人たちのおかげなんだと思っています。(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:山本ぽてと)
2021年06月17日「その批判は当たらない」「LGBTには生産性がない」「障害者は不幸を生むだけ」--。政治家による無責任な言葉や誰かの尊厳を傷つける言葉が幅を利かせ、そのことに嫌悪感を抱き、「おかしい」と感じながらもうまく言葉にできないモヤモヤを抱えている人は、決して少なくないのではないでしょうか。そんな言葉や社会が「壊れつつある」現状について考えた、荒井裕樹さんの『まとまらない言葉を生きる』(柏書房)が5月に発売されました。同書は、「マイノリティの自己表現」をテーマに研究している文学者の荒井さんが、障害者運動や反差別闘争の歴史の中で培われてきた「一言にまとまらない魅力をもった言葉たち」と「発言者たちの人生」を紹介しながら、言葉によって人間の尊厳をどう守っていけるのかを考えたエッセイ集です。私たちが日々抱いているこのモヤモヤの正体は何?社会や人間のつながりを断ち切る言葉に抗(あらが)うにはどうすればいい?荒井さんにお話を伺いました。前後編。このたび『まとまらない言葉を生きる』を上梓した荒井裕樹さん“隣町の人”に読んでほしい——『まとまらない言葉を生きる』は、ポプラ社が運営するウェブメディア「WEB asta*」で2018年2月から1年間にわたって連載された『黙らなかった人たち』を改題・加筆修正して書籍化したそうですね。執筆にあたり意識されたことは?荒井裕樹さん(以下、荒井):障害者や人権についての話題って、どこか「遠い話」と思われたり、「重い」とか「真面目だ」と捉えられたりすることが多いので、まずはその意識をずらしたいと思いました。これらの問題を語ろうとするときに、学者とか先生っぽい口調で語るのではなくて、私自身が日々使うような「暮らしの言葉」で話したい気持ちがありました。“隣町の人”に読んでもらえるように書く、というのかな。そういう意味でエッセイを執筆するのはとても貴重な体験でした。——“隣町の人”というのは?荒井:例えば、身内に障害のある人がいたり、ご自身に障害があったりすると、障害や差別の話題は身近ですよね。関連する書籍も手に取ってもらいやすいのですが、そうでない人たちにも読んでほしいわけです。障害や人権の話ってなんだかハードルが高いな、と思っている人や、社会の問題に興味関心はあっても障害者差別にまでは踏み込んでいない、むしろちょっと距離を置いてしまうような人たちに届く言葉って何だろう?というのはずっと考えていました。——連載のきっかけは?荒井:ちょうど5年前に起きた相模原障害者施設殺傷事件がきっかけの一つです。こんなことあってはならない、この事件に対してちゃんと怒れなかった社会はおかしい、自分も何かしなくては、と思うものの、ずっとどうしたらいいのか分からない状態が続きました。でも結局、私にできることは文章を書くことなので、「この社会はいま、変になっているよね」ということを言葉によって問題提起したい、そのことについてみんなで考えたい、と思ったのです。そのきっかけとして、社会に対して真正面から「おかしい!」と声を上げた人たちの言葉を紹介することにしました。でも、連載中は不安しかなかったです。ウェブでの連載は初めてだったので、「ちゃんと伝わるのだろうか」という不安は常にありました。——連載を振り返ってみて思うことはありますか?荒井:例えば、元日にアップした記事(第13話として収録)がものすごく読まれたのですが、「正月からこんな重い文章が読まれるんだ」と思いました。もちろん、自分が書いたものについては事実関係に間違いがないよう責任を持つのですが、そこから先は予測がつかない読まれ方をするんだな、と。読者の反応がダイレクトに分かるのは新鮮でしたね。「そうじゃなくても良くない?」という視点を大事にしたい——本では、荒井さんが日々の暮らしの中でおかしいと思ったり、モヤっとした言葉をとっかかりに、障害者運動や社会運動に携わった人の言葉やエピソードが紹介されています。特にウーマン・リブの活動家の田中美津さんの「いくらこの世が惨めであっても、だからといってこのあたしが惨めであっていいハズないと思うの」という言葉に、違う視点を与えられたというか時代を超えて励まされました。荒井:障害の問題やダイバーシティについての話題って、「そもそもそうじゃなくても良くない?」というように、別の視点をたくさん出すことが大事だと思うんです。「スーツって着なきゃダメ?」「制服って着なきゃダメ?」「障害者がやりたいことやっちゃダメ?」とか。「別の視点」がたくさんあることで、緩和される息苦しさがある気がします。私は研究者であると同時に学校の先生なんですけれど、別に聖人君子ではないし、いつも「そんなに真面目に頑張らなくても良くないですか?」と思っています(笑)。この本を通して、そういう視点をどこかで感じてもらえたらいいですね。——「そうじゃなくても良くない?」と思ったきっかけはあったのですか?荒井:きっかけというか、子育てをしているというのは大きかったと思います。うちは共働き夫婦で子どもが1人いるのですが、互いの両親は遠いところに住んでいるので頼れないから、自分たちだけでやっていかなければいけない。でも、いまの日本においては、そんなの“無理ゲー”です。世の中にはこまごましたハードルがたくさんあって、例えば小学校に入学すると「上履きはこういう袋に入れてください」に始まって、体操服のゼッケンのサイズや縫い付け方まで、本当に細かいルールが定められています。「それって本当に意味あるんですか?」ということがたくさんあるし、「お父さん」や「お母さん」として求められる役割もまだまだ多い。そういう誰が決めたのかもよく分からないルールがたくさんあって、モヤモヤが自分の中にも降り積もっていたんです。だからこの本は、自分が子育てしていたから書けたというのがあるかもしれません。「まえがき」では政治批評のようなものから始めましたが、それだって「こんな国会答弁、子どもにはとても見せられないな……」と思ったからなんですよ。私の価値観で言えば、あれは子どもに見せてはいけない大人の姿です。——政治家の記者会見を見ていても相手の質問に答えていないと思うことが多いです。荒井:学生にも見せられないですよね。大学のゼミナールでもあの受け答えをやったらNGです。こういうおかしなことに対して怒ったり、批判したりするのはとても大事なことで、やらなければいけない。でも、じゃあ逆に、「良い言葉って何だろう?」と説明しようとすると難しいわけですよね。だからこの本では、むしろ言葉がもつ説明しづらい力について考えています。そういう力のある言葉って、「世界の偉人名言集」みたいなものと違って、ある文脈や背景、それぞれの抱える日々の事情の中から生まれてくるものなので、そこと切り離して紹介するのも難しいのですよね。私がそういう言葉とどのようにして出会ったか、自分の体験とともに語ってみることでしか伝えられないものがある気もしました。それが最終的にうまくいったかどうかは読者の判断にゆだねますが、そういうことに挑戦してみたのが今回の本なんです。コロナ禍での不自由さをきっかけに考えてほしいこと——今はコロナ禍で連載当時とはまた違った社会状況ですが、注目している変化はありますか?荒井:今は渦中なので、まだまだ分からないことがたくさんあるのですが、「行動」と「事情」が切り離されて、ものすごく短絡的に善悪が判断されてしまうような空気がまん延している気がしていて、それが不気味です。例えば、どうしても「飲み会」をしないといられない、せざるを得ない人というのはいて、たぶん、いろんな事情があるんでしょうけど、「非常時」という状況が「個々の事情」を置き去りにして、「行動」の表面的な部分だけで裁いてしまう。もちろん医療現場で働いている人たちのことを思えば、リスクが高い行動を続ける人にモヤモヤする気持ちも分かります。私も身内が医療機関で働いてますから。でも、飲む人にも、きっといろんな事情がある。いま政治家に求められているのは、「いろんな事情がある人たち」を説得するため言葉のはずですが、これまで、そうした誠意ある言葉を受け取った記憶はありません。個々の事情が切り離されて、行動そのものにキツい目が向けられるような過剰な倫理観が、この「非常時」が収まってもなお、変な形で社会に定着してしまうとしたら、それはすごく怖いことだと思います。ただ、コロナの問題で考えてみてほしいのは、今、私たちはいろいろ不自由じゃないですか。人と会えないとか、不要不急の外出をやめてほしいとか。国会図書館も各種資料館も、予約制になったり閉館になったりして、資料を調べに行こうと思っても行けない状況になりました。これまでは「午後にちょっと時間できたから立ち寄ろうかな」と気軽に足を運べていたことが、今はできなくなっている。——確かにお店やどこかの施設に行くときはネットで調べたり電話したりして営業しているか聞くのがいつの間にか習慣になりました。荒井:でもね、障害のある人たちは、こういう不便や制約をずっと昔から受けていたんですよ。つまり、ちょっと出かけようと思ったら、予約や事前に連絡しなければいけなかった。混み合った電車に乗ろうと思ったら、「それ今じゃないとダメなの?」と言われたりもした。ずっとそうだったんですよね。——先月も電動車椅子を使うコラムニスト伊是名夏子さんがJR東日本に無人駅での移動介助をいったん断られた経緯をブログで問題提起をしたところ、「事前に連絡をすべき」などと、激しいバッシングを浴びました。荒井:コロナ禍になり、障害のある人たちが日頃感じてきた不自由を、障害のない人たちも感じることがあると思うので、だからこそ、想像力を働かせてみてほしいな、と思うのです。障害のある人とない人と、もちろん「同じ考え方」にはなれませんが、「同じ方向」は見られるのではないでしょうか。もう一つ言うと、昨年の今頃、アベノマスクが配られましたよね。あの頃はウイルスについてまだ分からないことも多く、不安なことがたくさんありました。そこに配られたのが、布マスク2枚。私は、自分の命が軽んじられた、すごくぞんざいな扱いを受けた、と思いました。障害がある人は、ずっとそういう扱いを受けてきたと思うんです。昨年、アメリカの一部州では、知的障害者に対して人工呼吸器を装着しない可能性がある、というガイドラインが示されました(後に撤回)。国や社会から命を軽んじられる、後回しにされる、という経験は、今に始まったことではなく、ちょっと目をこらしてみればこれまでもたくさん起きていたんです。——隣町どころか自分の町で起こっていたことなんですね。荒井:だからこそ、想像力を働かせてみてほしい。そのためには、モヤっとする問題に出会ったときに一足飛びに解決しようとせず(もちろんそんなことできないのだけど)、その引っかかりを持ちつづけることです。モヤモヤしつづけること、と言いますか。「なんか変だよね」「なんかおかしいよね」と思えるって、自分が置かれた理不尽な環境に対して、まだ自分自身が染まりきってないということだから、そこで踏みとどまって、立ち止まって考えることが大事なんだと思います。※後編は6月17日(木)公開です。(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:山本ぽてと)
2021年06月15日自分の欠点ではなく才能に注目して強みにしていくためのアメリカ発のビジネス書『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』(トム・ラス著、日本経済新聞出版)が2001年の発売以来、2020年9月に100万部を突破しました。 *出版元のギャラップ社は人の良いところを説明するための共通言語として「学習欲」や「共感性」、「戦略性」など「34の資質(才能)」を開発。オンラインでアセスメントを受けると自分の資質が分かり、その生かし方や磨き方がわかります。コロナ禍で再び売り上げを伸ばしているという同書の翻訳者で、ギャラップ認定ストレングスコーチの古屋博子(ふるや・ひろこ)さんにお話を伺いました。*2001年に出版された旧版『さあ、才能(じぶん)に目覚めようあなたの5つの強みを見出し、活かす』と2017年に出版された新版『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』の累計。「頑張っているのに評価されないのはなぜ?」と思っている人へ——後編では、具体的な職場の悩みにどうストレングス・ファインダーが役立つのかを伺えればと思います。「自分はすごく頑張っているのに評価されない」という悩みをよく聞くのですが、本人の評価と周りの評価が一致していないのでは?と思いまして。古屋博子さん(以下、古屋):それに関しては二つ提案があります。一つは、自分が思っている自分をストレングス・ファインダーを使いながら深掘りしてみる。他人が見ている自分と、自分は知っているけれど他人には見せていない自分とのギャップを埋めていくイメージです。例えば、自分はこう思っているけれど他人は違うことを言っているときに、「どうしてだろう?」と考えてみる。相手からのフィードバックをもらってもいいかもしれません。誤解やギャップが生まれているのはどの資質が関係しているのだろうか?と自分を客観視してみるのにストレングス・ファインダーを使えるかなと思います。そうすると個人攻撃をされている気にはなりません。一つ自分の資質という要素が入るだけで、「どの資質が誤解を招いているんだろう?」「足を引っ張っちゃっているんだろう?」と自分を俯瞰して見られるようになるんです。するとこれまで見えてなかった部分がクリアになるかもしれないです。もう一つは、自分という人が分かっていると、他人から何か言われたときに、それが自分のすべてだと思わなくなるんですね。逆に自分の強みが分かっていないと相手の言うことをうのみにしてすべてを受け取ってしまってしんどくなってしまいます。——それで自分は評価されていない、ダメなんだと思って転職してしまった人もいます。古屋:そうですよね、「私はこんなにやっているのに」とそれが自分のすべてだと思ってしまうんですよね。でも、強みの軸がちゃんとあったり、自分のこんなところが良いところでモチベーションになっているというのが分かっていると、できない部分は自分の一つの側面でしかないと自分を相対化して見られるようになります。全体の一部と思えるので、「ではどう変えていこうか?」とか「自分を必要としてくれている人が絶対にいる」と思えるようになります。——自分の良いところを知るってすごく大事なことなんですね。古屋:学校の面談で1時間、自分の良いところを話してもらった記憶ってありますか?なかなかないですよね。でも、すごく大事なことなんです。持っているのに見えていないんです。「なんでできないの?」が口癖のあなたへ——これもあるあるだと思うのですが、例えば同じチームで働いているメンバーに「なんでこれができないの?」とイライラしちゃったり、逆に相手からそう思われていたりするのも、ストレングス・ファインダーを使って良い方向に持っていけるのでしょうか?古屋:すごく分かりやすくなりますよ。例はたくさんあるのですが、よく言うのが「自分は仕事ができない」と思って会社を辞めようと思っている部下がいて、チームビルディングセッションをしてみたら上司の資質に「達成欲」があったんです。達成欲って、完了したい資質なんです。毎日がゼロからスタートのように感じて1日が終わるまでに具体的に何かを達成したい。だから終わらせるまで寝ないし、週末だろうが休みだろうがおかまいなしにメールを送ってしまう。そんな上司のせいで部下は自分は上司と比べて仕事ができないと思っていたけれど、これは上司のニーズなんだと気付いたんです。一方、上司のほうは自分とみんなは違うと気付いた。そこで週末はメールを控えるようになったり、部下も自分の上司は達成欲があるからチームの生産性が高く保たれているんだなと気付き、感謝できるようになったそうです。別の例ですが、こんな話もあります。チームの中で花形プレイヤーがいてそれに比べて自分はと思っていたのですが、チームビルディングセッションをやったら、自分の持っている資質がチームで唯一と分かったんです。自分がいないとチームが大変なことになると分かってすごく晴れやかな顔になった方もいらっしゃいました。——自分の強みを生かした役割があると思えるようになったんですね。古屋:そうなんです。だから自分は毛色が違うと思ってたり、つい花形や目立っている人と比べたりしていたのが、自分の強みや役割が分かったおかげで他人に嫉妬しなくなったという方も多いです。それまではすごく張り合っていたのが張り合わなくなったとか。これもある方の例なのですが、後輩たちが力をつけて焦りを感じていた女性がいたのですが、コーチングセッションで判明したのは、後輩たちが力をつけて伸びてきたのは彼女の姿を見ていたからだったんです。彼女の「学習欲」に刺激されて部下は伸びたんです。——実は自分が育てていたのですね。古屋:彼女は「ポジティブ」という資質も高くて、後輩たちが楽しく仕事ができる環境を整えていたんです。部下と上司間でも夫婦間でも、相手の見えてなかった内面を見ようとしたり、聞こうとしたりするのが大事です。一つの共通言語として、相手の見えてない部分や表面的ではない部分に理解してみようと使うとうまくいく例が多いです。前編でもお伝えしましたが、それが分かると、自分が自分らしくあることも、他人が他人らしくあることも受け入れられるようになります。——やっぱりセッションを受けたほうが自分のことが明確になるのでしょうか?古屋:結果が出るのが早いとは思います。元々、アメリカでクライアントさんのパフォーマンスを伸ばすために開発されたものなので、ギャラップのコーチが一対一のコーチングをするのが前提だったんですね。その効果が大きかったので多くの人に自分の資質を知ってほしいと一般公開されたんです。もちろんコーチングセッションを受けられたらいいのですが、難しい場合はまずは自分の結果を知って自分を知る入り口に立ってほしいなと思います。■お知らせ6/15(火)20時から開催される「日経ビジネス ウェビナー」に古屋博子さんが登壇します!詳しくは「日経ビジネス ウェビナー」ページをご参照ください。(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:稲垣純也)
2021年06月14日自分の欠点ではなく才能に注目して強みにしていくためのアメリカ発のビジネス書『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』(トム・ラス著、日本経済新聞出版)が2001年の発売以来、2020年9月に100万部を突破しました。 *出版元のギャラップ社は人の良いところを説明するための共通言語として「学習欲」や「共感性」、「戦略性」など「34の資質(才能)」を開発。オンラインでアセスメントを受けると自分の資質が分かり、その生かし方や磨き方がわかります。コロナ禍で再び売り上げを伸ばしているという同書の翻訳者で、ギャラップ認定ストレングスコーチの古屋博子(ふるや・ひろこ)さんにお話を伺いました。*2001年に出版された旧版『さあ、才能(じぶん)に目覚めようあなたの5つの強みを見出し、活かす』と2017年に出版された新版『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』の累計。コロナ禍で読まれている理由——『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』は去年ついに100万部を突破しました。コロナ禍で読まれているということですが、その理由を教えてください。古屋博子さん(以下、古屋):私がストレングスコーチになって13年以上たつのですが、この本の新版が出版された2017年の前年に「女性活躍推進法」が制定され、2019年に「働き方改革」の波がやってきて、ストレングス(強み)に対するニーズがムーブメントになってきました。女性管理職を増やしたり、働き方改革をやらなければいけないのだけれど、どうすればいいのか分からないと右往左往していたところにストレングス・ファインダーがヒントになると。そんな流れがあって、コロナ禍でリモートワークが推進されるようになってまた一気に働く環境が変わりました。一人暮らしで孤独を感じている人、リモートで部下をどうマネジメントしていいか分からないマネージャー、これまでできていた雑談ができなくなってコミュニケーション不足に悩んでいる人などが出てきましたし、家庭内でも妻も夫も在宅勤務になってもめ事が増えたとか。働く環境の変化に戸惑っている人にとって「こういうふうにチームビルディングセッションをやってみてはどうですか?」とか「こうすればオンラインでもコミュニケーションがうまくいきますよ」というやり方が役に立ったのかなと思っています。あとは、特に先が読めない時代になり、大企業でも終身雇用制度が崩れてきたのもあって「うちの会社でこのまま続けていっていいのかな?」「自分の強みってなんだっけ?」と考えている人が多くなった気はします。才能と強みの違いは?——欠点ではなく良いところに注目するのがすごくいいなあと思いました。小さい頃から「できないことをできるようになることが良いことだ」と言われて育ってきて、つい自分の欠点に目が行く人は多いと思います。古屋:ダメなところを補強するのは穴が開いているところを平らにするというか、雑草を全部抜く感じで、花を咲かせるのとは全然別のことなんですよね。いくら地面を平らにしても花は咲かないんです。花を咲かせるためには種をまいてあるところを特定してそこに水をあげたほうがいい。翻って、じゃあ私も花のように才能を咲かせようと思っても、みなさん「自分の良いところって何だろう?」と分からないんですよ。個人的に思うことなのですが、資質も強すぎるからマイナスに出ることもあるんです。つまり、良いところとダメなところって表裏一体なことがあって、多くの人が自分はコンプレックスと思っているところが実は良いところだったりする。なので、あなたの才能はこんなところにあるんじゃない?と示してくれるのがストレングス・ファインダーだと思います。——私も早速やってみたのですが、自分はこの資質があるだろうなと予想をつけていたのとは違った資質が出てきて驚きました。むしろ絶対これじゃないだろうという資質が出てきました。古屋:統計学と心理学に基づいているアセスメントで客観的な指標として自分の脳のクセが出てきます。なので、一見「なんでこれが?」と思う資質でも、コーチングで深く話を聞いていくと「そういえばこんなことがありました!」と出てくる場合もあるんです。この「ああ!」が起こるのが大事で、視界が開けると利用される方もいらっしゃいます。——ここで確認をしたいのですが、才能と強みの違いは何でしょうか?古屋:「才能」はダイヤモンドの原石という言い方をよくするのですが、自分が自然にとる思考、行動、感情のパターンで自然に繰り返し出てきて良い結果を出すものと思っていただければいいと思います。「強み」は才能とはまた違って、一貫してポジティブな良い結果を生み出す能力を指します。才能というダイヤの原石を磨き上げて初めて強みになるんですね。まずは自分を知ってみる——この本はどんなふうに活用すればよいでしょうか?古屋:まずは自分の資質の解説を読んでいただいて特に自分らしいなと思った単語に丸をつけたり線を引いてみたりすると、自分にとっての資質の意味が見えてきやすくなります。自分の資質を知って、仕事やチームに生かしたいと思ったときに、まずは自分を知るのが本当に大事なんです。自分の脳の傾向というか、自分が見えてる世界というか、自分が見えてるように他人は世界を見てないということをまずは知る。自分のことが分かるとそれが分かると思います。すると自分が自分らしくあることも、他人が他人らしくあることも受け入れられるようになります。まずは自分を理解することを目標にやってみてほしいです。コーチングセッションをやるとその部分が深くなるのですが、できない場合はストレングス・ファインダーの結果やレポートを見ながら友人や知人と話してみるのもいいと思います。なるべく聞き上手な人と話すのがいいですね。——聞き上手な人と話すというのは?古屋:資質の結果を見て、「あなたってこういうところあるよね」と決めつけないほうがいいんです。これはマネージャーの方に気をつけてほしいのですが、本人が話して自分のことを理解していく過程が重要になってくるので、聞き上手な人に聞いてもらって「それってどういうこと?」「なんでそんなふうに思ったの?」と自分に喋らせてくれるような、うまく質問してくれる相手がいいと思います。——ジャッジをしない人を選ぶってことですね。家庭内やプライベートの関係でも活用できますか?古屋:もちろんできます。これは「話していいよ」と許可を取ったクライアントの話なのですが、共働きでうまく家事分担ができていなかったカップルがいたんです。妻のほうは計画するのは得意だけれどやり遂げるのが苦手なタイプで、夫は決めたことを粛々とやるのが得意な人だったんです。そこで、妻が計画を立てて実行部隊は夫にしたら、すごくうまく回るようになったと話されていました。そんなふうに使うのもいいと思います。——仕事だけじゃないってことですね。古屋:コロナ禍で在宅時間が増えて、改めて家事分担が課題になってきている方も多いと思います。そんなときに活用してもいいですね。自分を知れば無駄に落ち込まない——まだまだ自分が知らない自分がいるということなんですね。古屋:自分を知れば人から言われたことに影響されすぎないで済みます。——どういう意味ですか?古屋:私のクライアントで昨年、転職活動をしている女性がいたのですが、キャリアがあるのになかなか決まらなくてどんどん負のスパイラルに陥っていったんです。コーチングセッションの最初の1時間はすごく声が低かったのですが、自分の強みを話していってハッとふに落ちたときから声のトーンが変わっていきました。コーチングを終えて、「今まで転職活動がうまくいかなかったのは経済状況が悪いから仕方ない。どんどん挑戦していこう」と前向きになれた。その後も活動を続けていたら今年のはじめに就職が決まりました。彼女は「これは自分が大事にしていることで得意なことだと思い出したときから、『いくら落ちても大丈夫。次に行けばいいだけ』と思えるようになった」と話していました。特に今はコロナ禍で落ち込んでいる方も多いと思うのですが、自分が得意なことを毎日する機会がある人はストレスの度合いがそうでない人と比べて低いというデータもあります。自分の良いところを見つめていくだけで過度に落ち込まなくて済むし、「この仕事は向いてないな」と思っていても自分の得意なやり方でやったらできるようになることもあります。まずは自分を客観的な指標で知るところから始めてほしいですね。■お知らせ6/15(火)20時から開催される「日経ビジネス ウェビナー」に古屋博子さんが登壇します!詳しくは「日経ビジネス ウェビナー」ページをご参照ください。(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:稲垣純也)
2021年06月09日中学時代にいじめを受けたことをきっかけに不登校になり、7年間引きこもっている長男とその家族の姿を描いた林真理子さんの小説『小説8050』(新潮社)が4月28日に発売されました。80代の親が50代になった子供を支えるいわゆる「8050問題」を題材に、ある一家の絶望と再生を描いた物語で『週刊新潮』での連載当時から話題になり、単行本も発売前に重版が決定。8万部を突破しました。はたから見たら恵まれた生活を送っているかに見える歯科医・大澤正樹は、長女の結婚をきっかけに引きこもりの長男と向き合う決心をします--。後編では正樹の長女・由依に込めた思いについて林さんにお話を伺いました。「努力したことはちゃんと評価されないと」由依に込めた思い——後編では翔太の5歳上の姉・由依について伺いたいです。由依は中高一貫の女子校を出た後、現役で早稲田の政経に入り、損保会社に入社します。東京出身の家柄の良い一橋卒の男性と出会い、結婚の話が出たところで家族に引きこもりの弟をなんとかするように迫ります。ウートピ読者の中にも由依に自分を重ねて読む人がいると思いますが、由依のキャラクターはどんなふうに作っていったのでしょうか?林真理子さん(以下、林):由依ちゃんは自分にとって結婚のデメリットにしかならない弟を隠そうとするなど、ちょっと「冷たい」と感じる行動や言動があるのですが、彼女は確実に幸せになる人だと思います。私は努力したことはちゃんと評価されるべきだと思っているので、弟のせいで評価が下がるのはかわいそうなので、由依ちゃんに同情して書きました。——個人的に私も由依に自分を重ねて読んだのですが、由依のしたたかさが気持ちよかったです。林:自分で努力して良い大学に入って、良いところに就職して、それなりの男の人を捕まえた。彼女が弟を隠そうと思うのは、当然だと思うんです。——逆に由依がもっと気が弱い子だったら、つぶれてたというか家族の“犠牲”になっていたかもしれないですね。林:したたかだけど憎めない人物です。だってこの子は一生懸命勉強したんだから。私が由依ちゃんの年頃の女性だったら同じことをすると思いますよ。何とかまず地固めして、結婚相手の親にはうまくなんとか取り繕う。——由依は林さんにとって分身みたいなキャラクターですか?林:そうですね。私自身の性格を取り入れているかもしれない。私がこの年だったら、こういうふうに振舞ってるみたいな。「その時の役割を果たしたら、解散したっていいんじゃないの」——まわりを見ていても家族との関係で悩んでいる女性も多いです。真面目で家族思いで“いい子”だからこそ負担がいってしまうというか、自分を後回しにしてしまう。由依を見習ったほうがいいくらい。そこで林さんに家族との向き合い方を伺いたいです。林:介護で言えば、どこで切り上げるかがすごく大切な問題だと思います。親の介護が始まると、自分の生活を犠牲にして田舎に帰るという話もチラホラ聞きますが、それはちょっと違うんじゃない?と。もちろん人それぞれだし、事情はあるでしょうが、もし介護が始まったら、公的なものに頼っていいと思いますし、そのために税金を払ってきたんですから。私は介護の小説も書いていますけれど、本当に介護って終わりが見えないしキリがないんですね。ここまでやろうと思っても、ズルズル引きずられちゃう。だから、週に1回は様子を見に行くと決めたらそれはそれで守って、もし動けなくなったら施設に入るとか今後のことを元気なうちに話しておいたほうがいいと思います。——まわりに助けを求めたり、手を借りたりするのが苦手な人が多い印象もあります。林:手を借りなければダメですよね。共倒れになったら元も子もないから。母と娘の結びつきが強いほど、娘は人生をささげてしまって、最後は二人とも生活に困っちゃう。よっぽどの資産があれば別ですが、そんな恵まれた家がどのくらいあるでしょうか?母と娘って手堅い絆で結ばれていることも多いけれど、いったんクールにならないといけないと思います。子供が勤めをやめて親の介護をするのも「ちょっと待って」と言いたいですね。仕事は絶対にやめちゃダメ。介護にお金や手間ヒマかけたとしても、公的な手も借りないとダメです。ある程度はお金が解決してくれるので、そのためにも自分で稼がなきゃいけないし仕事はやめないほうがいい。——家族のことは家族でという風潮や自己責任論も根強いです。林:小説の中で由依ちゃんに「家族なんて、その時の役割を果たしたら、解散したっていいんじゃないの」って言わせています。そこまでクールになれとは言わないけれど、いったん距離を置いてみるのも大事だと思います。家族だからってべったりするのが幸せとは限らない。距離を置いてみて、それでもやみがたい感情があるのならば、それを大切にするというのでいいんじゃないでしょうか。夫婦や家族を自分に問い直す——コロナ禍で在宅時間も増えました。家族との距離感も変わった人もいると思うのですが、林さんは変化はありましたか?林:私は夜にフラフラ出かけるタイプですが、今はそれもできないし、そもそも仕事が引きこもりのようなものなので実はあまり変わってないですね。夫が出かけないのがちょっとウザいなって(笑)。——家族や同居人と一緒に過ごす時間が増えたことでの戸惑いの声も耳にします。林:私は、成人した子供は、家から出ていくべきだと思っているんですね。夫婦がもう一度対になって、そこでいろいろ考え直すっていうのが一番良いのかなって。由依ちゃんの言う「解散」もいいかもしれない。下重暁子さんの『家族という病』が話題となりましたが、家族に引きずられるのはやめたほうがいいんじゃないかって思っています。子供が自分の手から離れた段階で「何のために結婚したんだろう?」ってもう1回問い直してもいいかもしれない。私たちの年代だと、結婚しなきゃいけない風潮があったからしちゃったけれど、今はしなくてもいいわけだから。しなくてもいい人たちがしたからには、結婚にメリットがないとおかしいですよね。ただ、結婚の厄介なところはメリット・デメリットだけではなくて情のようなものも出てくること。この情がいろんな決断を邪魔するんですけれど、それも悪いことじゃない。情にすがって「もう何年かはやっていけるかな」と思ったらやってもいいし。子供が独立したときに解散するのもいいんじゃないかなって。——離婚や解散というとマイナスのイメージがありますが、悪いこととは限らないですね。どんな意味を与えるかは個人に委ねられている。林:そう。私のまわりには離婚届を出さずに別居している人も多いです。夫が実家に帰って看病するとかね。義両親の介護を“嫁”がしなければいけない時代でもないですし、みんながそれぞれ言いたいことを言ってどんなふうに人生を生きていきたいかを話し合えるといいですよね。——この本を読んで家族との関係を見直すきっかけになればいいですよね。林:本当にそう思います。この物語も息子が変化していくにしたがって、今まで見て見ぬフリをしてた夫婦の亀裂が明らかになってくるので。「いろんな生き方がある」という言葉に思うこと——最後に、由依世代の女性へメッセージをお願いします。林:最近よく耳にする「いろんな生き方がある」という言葉に幻惑されないほうがいいと思います。確かにいろんな生き方があるし、結婚してもしなくてもいいとは思うけれど、その言葉って突き放しているようで愛がない気がするんですよ。「勝手に生きていけば」ってことだから。——私たちも使うことが多い言葉です。ある意味、とても便利な言葉なんですよね。だからこそ思考停止になる危険性があるのかもしれません。林:世界で一番貧しい大統領として知られるホセ・ムヒカ元大統領が「人生を1人で歩まないでください」*と言っていたんです。「家族をつくれ」って。私はこの言葉に深い愛を感じました。*引用元:「それから、ぜひ家族を持ってください。家族というものは、単純に血のつながった家族ということではありません。そうではなくて「考え方の家族」という意味です。同じように考える人です。人生を1人で歩まないでください」——『小説8050』にも家族に限らずいろんなつながりが書かれていて希望が持てました。林:家族をつくらない生き方もあると思うけれど、私は「多様性」という言葉に冷たさを感じてしまう。「家族は突き離してもいい」とか「距離を置くのも必要」とか言いましたが、その前に家族をつくってみるのも決して無駄なことじゃない。まずは1回つくってみたらいかがでしょうかね?まあちょっと違ったかなって思えば訂正すればいいじゃないですか。軌道修正なんて全然できます。人生100年時代でこんなに長生きするんだから、一生同じ人と結婚する必要もないしね。そんな感じでいいと思います。(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)
2021年06月03日中学時代にいじめを受けたことをきっかけに不登校になり、7年間引きこもっている長男とその家族の姿を描いた林真理子さんの小説『小説8050』(新潮社)が4月28日に発売されました。80代の親が50代になった子供を支えるいわゆる「8050問題」を題材に、ある一家の絶望と再生を描いた物語で『週刊新潮』での連載当時から話題になり、単行本も発売前に重版が決定。8万部*を突破しました。*2021年5月28日現在はたから見たら恵まれた生活を送っているかに見える歯科医・大澤正樹は、長女の結婚をきっかけに引きこもりの長男と向き合う決心をします--。「発売前からこんなに反響のある作品は、作家生活40年で初めて」と話す林さんにお話を伺いました。前後編。「7年前のことでも裁判は可能」目の前が開けた瞬間——『小説8050』は2019年5月に起きた農林水産省の元事務次官が息子を殺害した事件をきっかけに執筆されたと伺いました。執筆の経緯を教えてください。林真理子さん(以下、林):小説を執筆する際は、私からこのテーマで書きたいとお伝えするときもあるのですが、今回は新潮社さんから引きこもりの問題、いわゆる「8050問題」をテーマにどうですかと提案されました。正直に申し上げると最初は気乗りしませんでした。重いテーマなので、そのまま書いても小説にならないと思いました。その時は、新聞や雑誌の連載も抱えて大変な時期だったのですが、私にとって都合がいいことに新潮社の事情で連載が1年延期になったんです。そのおかげで、2年くらいは資料を読む時間も取れました。でも資料を読めば読むほど切実で、どんなふうに小説にしたらいいのか本当にわかりませんでした。そんなときに「過去に自分をいじめたクラスメートを裁く」という展開を思いつきました。実際に可能なのか弁護士の先生に伺ったところ「7年前のことでも裁判は可能です」とおっしゃった。目の前がパーっと広がるような気がして「それなら書ける!」と思いました。——執筆する上で意識されたことは?林:深刻な現実をそのまま書いても読者の興味を引けないので、希望が持てる小説にしようと思いました。「8050問題」は「80」代の親が「50」代の子供の生活を支えることを指しますが、それでは遅すぎると思い、年齢を下げて50歳の父と20歳の息子という設定にしました。——7年前に息子をいじめたクラスメートを訴えると決めたところから父と息子のドラマがさらに盛り上がりを見せます。裁判という展開にしたのは?林:いじめで学校に行けなくなってしまった子はよく「復讐(ふくしゅう)したい」と口にします。私自身も、社会的に裁いてもらわないと救われないと思いました。いじめられた子は、自分が自殺すればいじめっ子が社会的に制裁を受けると思うかもしれないですが、未成年なので名前も公表されません。そしていじめたほうはそんなこともいつの間にか忘れて、普通に社会に出ていく。だったら自殺なんてしないで生きて戦わないといけないと私は思います。年を取ってからの女の友情っていい——正樹の妻・節子は会社員時代の上司の葬式でかつての同僚・奈津子と再会します。2人がそれぞれ家族の問題を抱えながらも”女の友情”を育んでいく姿に希望が持てました。林:そう読んでくださったのはうれしいです。若い時って、学歴や旦那の収入なんかで同窓会に行くのに気後れしたりもしますが、私くらいの歳になると親の介護の話ですごく盛り上がるんです。私の親は亡くなりましたが、親の介護をしている同世代って多い。いくら相手がお金持ちやエリートでも、親の介護を口にした途端、すごく心が寄り添うんです。年取ってからの女の友情っていいですよね。——奈津子の影響で節子自身も変化していきます。林:奈津子が浅草の仏壇屋の女房というのも気に入っています。浅草の仏壇屋という設定にしたのは、昔、バラエティ番組に山口もえさんのご実家(浅草の大手仏具店)が出ていてそれが頭に残っていたからなんです。——小説を執筆する際、人物の設定はどんなふうに決めていくのですか?林:予定のない日は、夕方から夜までずっとテレビを見ているので、いつの間にか頭の引き出しに入っているのかもしれないですね。あとは街へ出かけたりして見聞きしたものも大体引き出しに収められているので「どんな仕事にしようかな」と考えたときに引っぱり出してくるんです。不思議なのが、モデルにしようと考えている人がいたとして、「まるまる同じ設定にするのはよくないな」と思ってちょっとズラすとまったくリアリティがなくなっちゃうことなんです(笑)。例えば、仏壇屋のおばさんも「仏壇屋そのままはマズイから洋品店にしよう」と変えると、人物のイメージが全然違ってきちゃうんです。なんとか2人には幸せになってほしい——裁判の場面を執筆するにあたり、裁判所に足を運ばれたと伺いました。執筆する上で大変だったことは?林:東京地裁に行って弁護士さんが模擬裁判のようなことをしてくださったんです。私は忙しい編集者に付き合わせるのは申し訳ないからと一人で行ったんですが、頭の容量を超えちゃって。「今度からは若い人を連れてきてください」と言われちゃいました。次からは担当編集さんが同行してくれて全部テープに起こしてくれました。法廷なんて私が一番苦手な分野なので頭の中がこんがらがっちゃって噴火しそうになりました。でも、自分がわからないまま書いても読者に伝わらないので、自分自身が理解できるように言葉や表現を言い換えたりして書いたのですが、今回はいろいろなことがわかったし勉強になりましたね。弁護士の先生からは「リーガルドラマの見過ぎです」って笑われましたけど。——週刊誌での連載を経て、一冊の本になってみていかがですか?林:本当に大変でした。私の得意分野ではないので一つの挑戦でしたが、こんなに反響をいただいてびっくりしました。引きこもりは100万人と言われています。書く前は「本当かな?」と思っていましたが、反響の大きさを見ると本当なのかもしれないと思い至りました。長い間連載していたせいか、だんだん(長男の)翔太くんやお父さんが生きているような気がしてきて、最後はなんとかこの2人には幸せになってほしいと思って書いていました。人生はフルに使わないともったいない——最後に読者へのメッセージをお願いします。林:この小説は、父と子の物語であり、家族の物語です。沢木耕太郎さんに「世界は『使われなかった人生』であふれてる」という本があって、これは私の好きな言葉なのですが、私たちは実は人生を6割くらいしか使っていないんじゃないかと思っています。この話は、息子を奮い立たせて、使い切らないまでも、人生を使用中にしようと奮闘するお父さんの物語です。この本を手に取って、せっかく人生を与えられたのなら使わないともったいないと思っていただければうれしいですね。特に若い女性には人生をフルに使い切ってほしいです。※後編は6月3日(木)に公開します。(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)
2021年06月01日東京・吉祥寺にある人気パン屋「ダンディゾン」と「ギャラリーfève」を営む引田かおりさんのフォトエッセイ『「どっちでもいい」をやめてみる』(ポプラ社)が4月に発売されました。同書では、引田さんが気持ちよく生きるために選び抜いた器や洋服、長年集めたかごやガラス製品などの「お気に入り」がたっぷりと紹介されているほか、引田さんが「どっちでもいい」をやめたきっかけについても綴(つづ)られています。引田さんにお話を伺いました。まずは「選ぶ」練習からしてみる——まずは『「どっちでもいい」をやめてみる』を執筆された経緯から教えてください。引田かおりさん(以下、引田):ギャラリーとパン屋を営みながら、たくさんの方々と接しているうちに、小さなことから大きなことまで、「どっちでもいい」という生き方をしてる人が、実はすごく多いのではないかと実感するようになりました。でもせっかくの人生、大切な判断を人任せにしているのは、本当にもったいないことなのではないかと思って、「何か本を作りませんか」とお声をかけていただいたときに、「『どっちでもいい』をやめてみるというテーマはどうかしら?」と担当編集さんに提案して始まりました。——他人任せにしている人が多いと感じますか?引田:そうですね。私はギャラリーを営んでいるのですが、たとえ自分が手にしたものを「良い」と思っても、誰かの後押しがないと、自分で判断しかねる方が少くない印象があります。「どれが一番売れていますか?」と、周囲の評価や評判を気にしている方も多いですね。若い方と話していても「幸せになりたい」とは思っているけれど、幸せに向けて本気で行動している人が少ないように思えて……。自分で決断しないと、自分の人生を生きた」と思いにくいんじゃないかなと思います。だからと言って、自分で選ぶ習慣がない人が、いきなり大きな決断をするのは難しいですよね。どんなものごとでも、やっぱり練習が必要だと思います。お菓子屋さんのショーウィンドウでどのケーキを選ぶかとか、たくさんの洋服の中からどれを選ぶかとか、そういうことを積み重ねていくことでできるようになるはずです。「これが一番人気です」というものばかり手にしていると、いつの間にか自分の本質的な望みが見えにくくなってくるんじゃないでしょうか。——「今日は何を食べようか?」から始めるのでも……。引田:いいと思います。「選ぶのが苦手」と思っている人も実は選んでいます。今日のランチはどうするとか買い物に行ってリンゴにするかバナナにするかで選んでる。選ばなくては暮らしていけないと思います。でも「自分は選べない」という思い込みがあるから、「私はどうしたいの?」と問いかける練習が必要なんですよね。些細(ささい)な事柄の決断を積み重ねることが大事だと思います。——本では引田さんの「お気に入り」が写真で紹介され、かつなぜそれを選んだのかも引田さんの経験や考えを交えて綴(つづ)られています。本を書く上で意識されたことは?引田:あまり説教くさくならないようにしたかったです。読む人が「はいはい、もうわかったから」と言いたくなる感じの本にはしたくなかったのと、「コロナ禍の世の中で明るい気持ちになれればいいね」と担当編集さんと話しました。ページをめくるだけでも、ワクワクする要素があればいいと思ったので、写真が多めの構成にしました。失敗することもあるけれど…——「これがいいな」と思って買っても「失敗だった」と後悔することもあります。引田さんでも失敗することはあるのでしょうか?引田:私も失敗はたくさんあります。でも失敗を恐れないほうだと思いますね。そして、失敗してもあまり引きずらない。失敗したことを「学習した」と思うようにしています。「自分に合わないことがわかってよかった」みたいな。——失敗を恐れるあまり、どうしても人気や評判が気になってしまいます。SNSで口コミも細かくチェックするのですが、だんだん自分が本当に欲しいものがわからなくなってきてしまって……。引田:先ほど「どれが一番売れてるか?」を気にする人が多いと言いましたが、他者の基準も大事なんですよ。評判がいいものや人気が高いものにはそれなりの理由がありますから。でも買ってみて自分で検証するのも大事なので、そこはあまりこだわってないです。ただ、私の場合、基本的には自分自身の欲しい気持ちを優先させて、欲しいと思ったらあまり我慢はしないですね。自分で選ぶ=自分で責任を取ること——「自分で選ぶ=わがまま」なのかなと思ってしまうこともあります。与えられたものや環境に感謝してないみたいに感じてしまって……。引田:「自分で選ぶ」ということは、同時に「自分で責任を取る」ということでもあるんです。選べない、誰かに決めてほしい、誰かの言う通りにするって、自分で責任を取らなくて済むんですよ。ある意味とっても謙虚で、奥ゆかしくて、良いことのように聞こえますけど、その本質をよく分解していくと、自分で責任を取りたくないのかもしれません。別にどのケーキを選んでもいいんですよ。でも実はそんな日々の些細(ささい)な決断が大きなことにつながっているのかもしれないと思うんです。誰と結婚してどこに住んで何の仕事に就くか……そういう大切なことを人任せにはしたくないですよね。流されたまま生きてきて、どこかで「私はこの人と本当は結婚したくなかった」「こんなところに住みたくなかった」「こんな仕事は嫌だった」というのは、自分の人生に責任を取っていないことになるのではないでしょうか。かつては私も「妻だから」「母親だから」を言い訳にしていた時期がありましたが、練習をくり返していくことによって、「自分がこれを選んだのだ」と、誰のせいにもしないことが、私にとっては気持ちよく、清々しいことなのだと気付くようになったのです。「良い」「悪い」のジャッジをやめてみる——病気や大事な人を失ってしまうなど、自分では選べないこともあります。自分ではどうにもできないことが起こったときはどう対峙(たいじ)していますか?引田:極論ですけど、病気にしても、どこかで自分が必要としていたと考えたいと思ってます。人はつい「良いこと」と「悪いこと」と分けて考えがちなんですけど、なるべく分け隔てを少なくしていきたい。例えば誰かに会ったときに、自分の得意不得意、好き嫌いで、「この人はいい人」とか「嫌な人」とか、つい色をつけて見てしまうと思うんですよね。でもありのままを受け入れられたら、AさんはAさんだし、BさんはBさんでしかないんです。誰しも病気が悪くて元気が良いって考えがちですけど、長い人生を振り返ったときに、あそこで病気をして乗り越えたことで、自分が人間として奥行きが出たし、人にも優しくできて、本当に良い体験だったと捉えることもできるわけですよね。ある理論物理学者の方が、「未来は過去を変えられる」とおっしゃったんですけど、私の座右の銘でもあるんです。大学受験に失敗しても、失恋しても、そのときは最悪な出来事だったと思っていても、今、未来の自分が「良し」と思えるんだったら、あの経験があって良かったって思えますよね。——確かに何かが起こると瞬間的に「良い」「悪い」でジャッジしちゃいがちです。引田:もちろん私も、ついジャッジしがちですけどね。でも例えば病気で療養することになったとしても、原因は働き過ぎかもしれないし、何かすごく我慢が積み重なっていたのかもしれないし、食生活が乱れていたのかもしれない。何かを見直すきっかけにはなるわけですから、あながち悪いことではないとは思っています。——コロナ禍で引田さん自身に心境や生活の変化はありましたか?引田:やっぱり今までいろいろなことをやり過ぎてたんだなと思いました。人と会うことも、出かけることも、やり過ぎていた。仕事にしてもみんなで満員電車に乗って決まった時間に出社しなくていいと気付いた人もいると思います。いろいろ制限ある中で、自分の気持ちをどうやったら前向きにできるのかをすごく考えました。その中で本づくりができたのは、すごくありがたかったし、意味があったのではないかと思っています。コロナをきっかけにいい方向に変えていけることもあると思います。コロナをただの疫病で終わらせないためにも、この機会に社会の仕組みだったり自分の生き方だったり、よくしていけることはたくさんあると思います。——改めてこの本を読む人に向けてメッセージをお願いしたいです。引田:「どっちでもいい」をやめる、がテーマの本ですが、「すぐにできなくても大いに悩んで、大いに迷って、ジタバタしていいんですよ」と伝えたいです。私はたまたま「『どっちでもいい』をやめる」にたどり着きましたけど、それぞれたどり着く場所があるはずなので。そしてそれは、今日という1日を積み重ねて到達するところだと思います。今の自分の気持ちにウソをつかないことと自分がどう世界と調和していくかを考えて、自分が元気で幸せになる方法を見つけることができれば本当にうれしいですね。(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)
2021年05月22日クリエイティブディレクターの三浦崇宏(みうら・たかひろ)さんが10代から70代までの年齢も性別も職業もバラバラの9人と対談した『「何者」かになりたい 自分のストーリーを生きる』(集英社)が4月に発売されました。「何者」かってなに?「何者」かになったほうがいいの?今の時代特有の“しんどさ”って?仕事やコミュニケーションの悩みあるあるなど、3回にわたって三浦さんにお話を伺いました。答えを出すまでのスピードが速すぎる——第1回目で三浦さんが今の時代特有のしんどさとして「自分と向き合う時間がないこと」とおっしゃっていましたが、世界や自分に問いを投げかけるよりも答えを出すことを迫られている面もあるのではと思いました。三浦崇宏さん(以下、三浦):答えを出すまでのスピードがみんな速すぎるんですよね。「カレーとラーメン、どっち食いたい?」って言われて、「カレーです」ってすぐ答えるじゃないですか。でも、ラーメンかもしれないですよね。その瞬間はカレーかもしれないんだけど、本当にカレーかな?とか。体調悪いから今カレーだけど、本当はラーメン食いたかったのかもとか、いろんなエクスキューズがあるじゃないですか。つまり、みんな答えを出すのが速すぎて、そうじゃない可能性を検討する時間がなくなっちゃってるんですよね。——しかもすぐ答えたり、決断できたりするほうが“できる人”とされるからすぐに答えようとしちゃいます。三浦:でも本当は、その答えじゃない可能性もある。仕事論で「1週間寝かせて100点を目指すよりも、翌日70点のものを出せ」とか言われるじゃないですか。仕事はだいたいそうかもしれないですが、でも人生まではそうする必要はないですよね。——いつの間にか一緒に考えていました。三浦:今の彼氏と結婚したほうがいいんだっけ?しないほうがいいんだっけ?って。本当は100点を出したいんだけど、今の彼氏は70点だけど結婚しちゃおうみたいな。そうじゃない可能性もある。頭がみんな良いから、選択肢を勝手に絞って、その選択肢の中で勝手に答えを出してっていうのをすごいスピードでやってるんですよね。だけど、選ばないという答えもあるかもしれない。そもそもその質問が間違ってる可能性もある。その選択肢が合ってるのか?そもそも答えってあるんだっけ?とか、早いほうが本当に評価されるんだっけ?とか。いろんな検討要素があるのにも関わらず、みんな自分で勝手に切り捨てて、勝手に答えを出してるんですよ。でも人生は仕事や学校じゃないから褒めてくれる人なんて誰もいなくて、結局その答えを自分で引き受けなきゃいけないですよね。それがみんなしんどいんだと思いますよ。僕は会社のみんなに「前提を疑うことを前提にしろ」っていつも言うんです。例えば、ウートピの広告を作れ、予算は1,000万円でメディアはSNS、Twitterで女性向けにって言われたら、そもそも女性向けでいいんだっけ?男性も読むかもしれないじゃんって。男性と女性を分ける意味あるんだっけ?とか。1,000万円って言うけど、PVを3倍にしたいんだったら3,000万円かかるし、その3,000万円で別のメディアにしてタイアップしたら回収できるじゃんとか。そもそもTwitterとかSNSがいいんだっけ?みたいな。もっと言うと、ウートピの広告って言ってるけど、そもそも女性がメディアを見る習慣を作らなきゃいけないから、ウートピだけの広告を作ってもしょうがないんじゃない?とか。与えられた前提のすべてをもう一回疑い直すのが大事だと思います。——受験勉強もそうですが、そもそもの質問や問題文を疑うことをしないんですよね。三浦:所与の条件の中で最適解を出すことが、知的な態度だと思われているけれど、所与の条件そのものを考えることのほうがはるかに知的なんじゃないかって。学校ではテストがあって一番早く正解を出した人が勝ちだけど、現実世界ではそのテストを解いてる間に映画を見てるやつのほうが感性が豊かになって、結果人生得してるなんてことがいくらでもあるじゃないですか。だから、前提を疑うのがすごく大事。そのためには、すぐに答えを出さなきゃいけないとか、目の前にあるものの中から選ばなきゃいけないってことを、一回壊す必要がある。——早速、答えを聞いてしまいますが壊す方法は?自分で意識していくしかないのでしょうか?三浦:そうです、自分で意識するしかない。結構みなさん、魔法の杖みたいに思っちゃうんだけど。この記事を読んだから、明日からすべてのものを疑うようになるとか。——思っちゃいますね。三浦:別の取材でも「忙しい中でどんなふうに本を読んでいるんですか?」って聞かれたんですが、ないんですよ、そんなの。「仕事の量を減らさないでゆっくり眠れて本も毎週5冊読める特別な方法」みたいなことはないんですよ。睡眠時間を削るしかないです。だから、前提を覆すことを前提にしろって言いますけど、簡単に言うと、毎朝唱えるしかないですよね。——結構地道なんですね。三浦:地道、地道。僕も毎週のように、「前提をぶっ壊すことが前提なんだよ」って仕事のときに言いますし。やっぱり繰り返していくしかないですね。「これから初めてユーミンを聴ける幸せな人たちへ。」が教えてくれること——学校と言えば、「できないことをできるようにしましょう」と言われてきた人も多いと思うのですが、それについてはどう思われますか?最近は「できるところを伸ばしましょう」と言われることも多いですが。三浦:基本はできることだけ伸ばしていけばいいんだと思います。世の中パズルなので、僕ができないことが得意な人はいくらでもいるので、全部できる必要はないかなって。ただ最近ちょっと思ったのは、できないことを楽しむことができたらもっといいなって。——どういうことですか?三浦:何かの広告のコピーで、「これから初めてユーミンを聴ける幸せな人たちへ。」っていうのがありましたが、面白いなって。それと同じように「フットサルができない幸せ」とか「パワポで資料を作るのが下手っていう幸せ」もあると思ってる。いつかいい年こいて、趣味として始めることもできるじゃないですか。——確かにそうですね。三浦:できないことがストレスと思ってるからいけなかったんだなって。できないことを楽しめるようになったら、もっと面白いですよね。できるほうが偉いって思ってたから、できないことが良くないって思ってたんですけど。もちろん仕事はできたほうが偉いし、早くてうまいほうがいいので、仕事では良いところだけ伸ばせばいいと思うんですけど、日常生活ではできないことがあったとしても、それを人一倍楽しめるスタンスであってもいいんじゃないかって。「早い!」「うまい!」ばかりが求められて褒められてきた世の中なので。それをやってること自体が楽しいって思えたら無敵なんだと思います。(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)■連載を最初から読む【第1回】隣の芝生がめちゃくちゃ青い…今の時代特有の“しんどさ”って?【第2回】つい「何か面白いことしましょうよ!」って言っちゃいがちな人へ
2021年05月18日クリエイティブディレクターの三浦崇宏(みうら・たかひろ)さんが10代から70代までの年齢も性別も職業もバラバラの9人と対談した『「何者」かになりたい 自分のストーリーを生きる』(集英社)が4月に発売されました。「何者」かってなに?「何者」かになったほうがいいの?今の時代特有の“しんどさ”って?仕事やコミュニケーションの悩みあるあるなど、3回にわたって三浦さんにお話を伺いました。【前回は…】隣の芝生がめちゃくちゃ青い…今の時代特有の“しんどさ”って?別れ際は「ご機嫌よう」って帰ればいい——ホテルプロデューサーの龍崎翔子さんとの対談が一番しっくりきました。というのは、「相手の時間を奪うことについてすごく繊細」「人にお願いごとをするのが苦手」とかウートピの読者にとっても“あるある”なのではと思ったんです。「ご飯行こうね」と社交辞令で言ってしまって後悔するとか……。三浦崇宏さん(以下、三浦):「今度ご飯行こうね」っていうサヨナラがあるじゃないですか。やりたいことと、言いたいことしか言わないって決めたらいいんじゃないですかね。本気で「今度ご飯行こうね!」って思ってたら言えばいいし。——逆に、言ってしまったら社交辞令で終わらせないでちゃんと行ったほうがいいのでしょうか?三浦:うん、でも言わなくていいと思うんですよね。「ご機嫌よう」って帰ればいい。ビジネスパーソンの男性がよく言うのが、「何か面白いことしましょうよ」。でも、そう言っている人たちが一緒に面白いことしてるの見たことあります?ないですよね。だったら言わなくていいですよね、そんなウソ。「ご機嫌よう」でいいじゃないですか。だから、本当にしたいこと以外、口にしないって決めたらいいんですよ。頼られるってそれだけでうれしい——人にお願いするのが苦手というのもすごく共感しました。三浦:龍崎さんにもまったく同じことを言ったんですけど、「頼る」コミュニケーションもあると思うんですよね。頼られるってうれしいんですよ。「今度こういうことあるから、手伝ってくれない?」とか「教えてほしいことがあるんだけど」って言われると自然にうれしいじゃないですか。もっと言うと、この人に必要とされていることだからうれしいんですよ。自分が頼みごとをされたり相談されたらうれしいのに、自分が頼む側になると忘れちゃうんですよね。——そうなんです。自尊心が低いんでしょうか?こんな私がお願いをするなんて申し訳ないと思ってしまう。三浦:うーん、自尊心もそうですし、臆病というか、自分が傷つくくらいだったら自分でやったほうがマシって思っているのかもしれないですね。僕、一応「The Breakthrough Company GO」って会社の社長なんですけれど、みんなが仕事をしているときに「昼飯行こうぜ」って言っても本当に誰からも返事がないときがあるんです。これって恥ずかしいですよね?インターンの学生の前で社員6人くらいに「飯行こうぜ」って誘ってみんなから無視されることもあって、インターン生から言われるんですよ。「三浦さんって、意外にあまり尊敬されてないんですね」みたいな。割とド直球で言われるんですよ。「え?まあそうね」みたいな。まあそうやって傷つくのが嫌だから、最初から誰も誘わないで一人でご飯行く人が多いんじゃないかな。でも、タイミングが合わなかっただけで、誘われるのがウザいとまでは思ってないと思うんですよ。断ればいいだけなので。だから、頼まれたり誘われたりすることは、そもそも気分が良いことなんだってことを知っておいてもいいのかもしれない。——言われてみればそうかもしれないです。三浦:インスタで知り合いがみんなで旅行に行ってるのを見て、たとえ自分は都合が悪くて行けなかったとしても声かけてほしいと思いますもん。行けないけど誘ってくれてうれしいってあるじゃないですか。だから、頼んだことに対して相手が受けてくれなかったとしても、頼むこと自体が相手を一つ喜ばせてるって思ったほうがいい。あなたは私にとって必要だよってことだから。——さっきのランチに誘って誰もこないとき三浦さんは傷つきますか?三浦:もう慣れてきちゃいましたけど、みんなに断られると悲しい気持ちにはなりますよね。——それって慣れですか?三浦:慣れもあるし。でも1回1回ちゃんと傷ついていったらいいんじゃないですか?傷つくってすごい体験——結局傷つきたくないって思っちゃうんです。三浦:失恋もそうだけど、いや、格闘技のほうがいいかな。僕はすごく格闘技が好きなんです。応援してる青木真也さんや昔だったら桜庭和志さんとか有名な選手がいるんです。そういう応援している人が負けるとまるで親が死んだくらい落ち込むんですよ。悲しいなって思うんですけど、ある日ふとした瞬間に気付いたのが、なんで俺はこんなに金を払って悲しい思いをしなきゃいけないんだろうって……。でも、冷静に考えたら、親も誰も死んでないし、金も損してないし、なのにこんな悲しい思いができるってすごく幸福なことだなって思ったんです。それと同じように、たとえ失恋したとしても傷ついた経験自体は、すごく大切なことだと思うんですよね。悲しかったりつらかったりしても、それを体験した事実自体はプラスだと思う。お金をだまし取られたとか暴力をふるわれたとか、そういうことじゃない限りは。僕はよく「ライフ・イズ・コンテンツ」って言うんですけど、自分の人生を物語だと捉えたときに、傷ついたことってすごく大事なシーンだなって思える。たとえ悲しいことがあったとしても。——ちゃんと傷つくことが大事なんですね。第1回でもおっしゃっていた「自分に問いかけてみる」とつながる気がします。三浦:そうだと思います。なんで私こんなに悲しいんだろう?あの人のことが本当に好きだったんだなって思えたら、すごくすてきなことだと思います。※次回は5月18日(火)公開です。(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)
2021年05月13日クリエイティブディレクターの三浦崇宏(みうら・たかひろ)さんが10代から70代までの年齢も性別も職業もバラバラの9人と対談した『「何者」かになりたい 自分のストーリーを生きる』(集英社)が4月に発売されました。「何者」かってなに?「何者」かになったほうがいいの?今の時代特有の“しんどさ”って?仕事やコミュニケーションの悩みあるあるなど、3回にわたって三浦さんにお話を伺いました。「頑張りたくない私はダメなの?」女性に届いてほしいと思ったワケ——『「何者」かになりたい』は三浦さん初の対談集ですが、改めて女性読者も意識されたと伺いました。女性に読んでほしいのはなぜですか?三浦崇宏さん(以下、三浦):これまで3冊本を出してきたんですが、読者は男性が中心だったんです。それはありがたいことだし、今の世の中で男性と女性とで分けるのはナンセンスかもしれないですが、これまで僕の本を手に取ったことがない人にも届けたいと思って「女性にも読んでほしい」と考えました。——どんな女性たちに読んでほしいですか?三浦:現状、女性のほうが選択肢が少ないと思うんです。女性の場合は結婚や出産というライフイベントが働き方にどうしても影響してくる。だから女性がチャレンジすること自体がハードル高く感じられるというか、頑張ること自体がリスクだと思っている人が多いのかなと感じています。これは僕の友人の女性が言っていたんですが、「私はそこまで頑張りたくない。世間では頑張ることを良しとする風潮があるけれど、じゃあ頑張りたくない私はダメなの?」って。これはどちらが正しいとか正しくないとかではないと思うんです。頑張りたい人は絶対頑張ったほうがいいし、頑張りたくない人は頑張らなくてもいいと許されてもいいし。でも今って、正しいこととそうではないことがキッパリとあるような空気があって、頑張りたい人も頑張りたくない人もどちらも自分が否定されているような気がして悩んでいるんじゃないかな?と思ったんです。——確かにそんな空気を感じます。三浦:そうですね、だから、この本もいろいろしんどいことがあるけれど、その“しんどさ”に対して答えを出すよりは「俺も分かんないんだよね」みたいな寄り添う本にしたいと思いました。世の中や社会の中で居心地が良くなる本になるといいなって。一人一人と向き合って初めて見えてくる真実——ライターのくつざわさんやホテルプロデューサーの龍崎翔子さん、「ほぼ日」の糸井重里さんら9人のリーダーと対談していますが、対談形式にしたのは?三浦:対談形式にした理由は3つあります。一つは、どんな人でも悩んでいることを伝えたくて。一番のきっかけになったのはくつざわさんで、彼女は僕の友人でもあるのですが、すごく苦しそうに見えたんです。今はわりと肩の力が抜けたのかなと思っているんですけれど、当時はすごく苦しそうだった。——苦しそうというのは?三浦:例えば「お茶とオーツミルクどっちが飲みたい?」って聞いたら「私、いくつかの視点から検討していろいろ考えたんですけど、市場のトレンドから考えるとオーツミルクが飲みたいと思うんです」って答えちゃうみたいな……。もちろん例えなんですが、そういう感じの回答をしてくる子だったんです。僕もたまにあるから分かるんですけれど、ごまかしているときとか自分をよく見せたいときの話し方って何となく分かるんです。僕自身も基本的に同じようなことで悩んでいたりするから、ちょっと長く生きた分だけ何か伝えられることあるんじゃないかなと。二つ目が、亡くなってしまったのですが、博報堂時代に小沢正光さんというクリエイティブディレクターの大先輩がいたんです。その人が言っていたことで僕が今でも大事にしているのが「イノベーションは現場からしか生まれない」。ポン・ジュノ監督が『パラサイト 半地下の家族』でアカデミー賞監督賞を受賞したときにマーティン・スコセッシの言葉を引用して「最も個人的なことは最もクリエイティブなこと」とスピーチした内容とも重なるのですが、普遍的真理って個別に真剣に向き合ったときに初めて見えてくるものだと思うんです。「人間の真実って何だろう?」と言ってても全然思いつかないけれど、(対談相手の)カツセマサヒコさんや佐渡島庸平さんとか一人一人と話していくうちに人間の真実が見えてくるというか……。いろんな人と個別に向き合っていくことでしか見えてこない今の時代共通の真実があるんじゃないかなと思ったんです。三つ目は、同じ人とずっと話していても飽きちゃうから。今回対談した人は年齢も職業もみんなバラバラなんですが、話していて本当に面白かったです。9人との対談を通しで全部読んでいくうちになんとなく見えてくるものがあればいいなと思いました。隣の芝生がめちゃくちゃ青い時代を生きている——対談で見えてきた今の時代特有のしんどさがあるとしたらどんなものでしょうか?三浦:今の時代特有のしんどさって二つあると思うんです。一つは比べてしまうことですね。選択肢が可視化されているでしょう。例えば、結婚したあの子と仕事を頑張ってる私みたいな。TwitterとインスタとFacebookを開けば、その人が何してるか分かっちゃうから。——全部分かっちゃいますね。三浦:それが全部じゃないんですよ。みんないいことだけアップしてる。旅行とか誕生日会とか良いことばかりあげているんですよ。でも自分の人生って当然トイレにも行くし、絶望もするし、風呂も入り忘れるし……。——ああ、メイクしたまま寝ちゃうし……。三浦:そういうことのほうが多いじゃないですか。だから今って他人の芝生がめちゃくちゃ青い時代を生きている。すぐ他人と比べちゃうし、相手の良いところしか見えてないからすごく負けたような、自分が間違っているような気がしちゃう。互いに良いところしか見せ合わないし、必要以上に他人と比較しちゃう。必要以上に自分の人生よりも他人の人生が良いって思いがちな時代。それが一つのしんどさです。もう一つのしんどさは、自分と向き合う時間がなくなってること。朝起きてから会社に行って、LINEのやりとりやTwitterやインスタを更新して、仕事のタスクに追われて、終わったらヨガとか習い事をして、帰ってきて洗い物して、寝る前にストレッチしてお風呂入るじゃないですか。本当に今私この仕事楽しいと思ってるかな?とか、今引っ越ししたいって思ってるのかな?とか自分のことを考える暇はないですよね。自分のことを一番置き去りにするじゃないですか。——してますね。それでみんな自分が何したいか分からないって言いますよね。三浦:そうそう。でも、自分が何したいか分からないじゃないんですよ。自分が何したいかを聞く時間をみんな持ってないんですよ。——自分に聞いてないってことですか?三浦:そうです。一人になって、「あれ?この本、本当に読みたかったっけ?」とか、「本当にこの仕事したかったっけ?」とか自分に聞いていない。面倒くさいから今の仕事してるだけ。辞めるのが面倒くさいんですよ。辞めたり、転職先を探したり、人に相談することのほうがはるかに面倒くさい。だったら今目の前にある仕事を頑張ったほうが楽なんですよ。だけど本当にそれをやりたいかは、また別の話ですよね。——確かに転職するのって面倒です。エージェントに登録して職務経歴書を更新してとかいろいろ考えるとこのままでいいかって思っちゃう。三浦:そう、忙しすぎて、他の人からの要望や他の人との連絡が多すぎて、自分という他者の存在のことをないがしろにしてしまっている。自分のことが一番自分で分からない時代。その二つだと思います。他人と比較してしまうことと、自分のことをちゃんと思いやったり、自分のことをちゃんと考える時間がなくなってる。この二つが今一番しんどいんじゃないですかね。「そうだね、シャワー浴びたいね」っていう本——三浦さん自身は自分に問いかけますか?今自分が何をしたいのかとか。三浦:僕は自分で自分に取材するようにしてます。自分と向き合わざるを得ない時間をどうやってつくるか。多分、サウナがはやってるのもそれだと思います。そういう時間を持ちたいってみんな思ってるんじゃないですかね。だからこの本もそんなことを考える助けになればいいなと思いました。『「何者」かになりたい』というタイトルですけど、何者かになったほうがいいよっていう意味じゃなくて、何者かになるってどういうことなんだろう?そして、なったからって本当に幸せなんだろうか、いや意外とそんなことないよっていう本なんですよ。何者かになりたい、本当はなりたくないかもしれない。でもちょっとなってみたい、みたいな案配というか。今まで何冊か本を出してきましたが、こういうふうに学んだほうがいいよ、こういうふうにしたほうがいいよっていう“上から系”の本が多かったのですが、今回は寄り添う形を意識しました。これって俺も分かんないけど、あなたも分からないんだねって。分からないことを確認し合う本です。——「しんどいよね」って言い合う感じですね。三浦:そうそう。恋愛相談と一緒です。「彼氏のこういうところが気に入らなくて」って相談されたときに「じゃあ別れなよ」って言う必要は全然なくて。むしろ本人はそんなこと言ってほしくなくて。「そうなんだ」「そこが気に入らないんだね」ってことですよね。僕もお付き合いしてる人に、「忙しくてシャワー浴びる時間もない!」って言われたときに「じゃあ15分早く起きればいいじゃん」って言ったらすごく怒られたんです。「じゃあなんて言えばよかったの?」って聞いたら「そうだよね、シャワー浴びたいよね」でいいって……。それ以来、彼女に何を言われても、「そうなんだ、シャワー浴びたいね」って言うようにしてますね。そんな感じのシャワー浴びたいねっていう本です。※次回は5月13日(木)公開です。(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)
2021年05月11日英文学・女性学研究者の田嶋陽子さんがインターネットテレビ局「ABEMA」で5月1日に配信される『Wの悲喜劇』にゲスト出演。「怒れるフェミVSフェミ嫌い #わきまえないオンナたちの大激論SP」と題して、MCのSHELLYさんをはじめりゅうちぇるさんらとトークを繰り広げます。令和と元号が変わってもうすぐ丸2年。コロナ禍で私たちの生活や働き方は一変し、時代はどんどん変わっていっているのに男女格差やジェンダーをめぐる状況は昭和からあまり変わってないような気も……。このほど収録に臨んだ田嶋さんにお話を伺いました。前後編。私は田嶋陽子を生きてるだけ——田嶋さん自身はずっとフェミニズムをやってこられて……。田嶋陽子さん(以下、田嶋):私はフェミニズムを「やって」などいないよ。ただ生きてるだけ。私は田嶋陽子を生きてます。それだけです。フェミニズムは生まれた時から私の中にあって、私がさまざまな抑圧から自由になろうとするプロセスの中で、私と一緒に育ってきたものなんだよね。——いきなり個人的な話で恐縮ですが、うちの母は専業主婦で化粧水を買うたびに父に許可を取っていたんです。「化粧水が切れたから買ってもいい?」って。父はもちろん「いいよ」って言うんですが、そんな父にも許可を取るんだ、経済力ないってこういうことなんだと思ったのがフェミニズムを勉強しようと思ったきっかけなんです。田嶋:そういうことに気づくってことがフェミニズムなんだよね。大事なのは自分の心に誠実に生きること——20年前に私が学生だった当時よりもSNSを中心にフェミニズムについて関心を持つ人が多くなった気がします。田嶋さんから見て大きく変化したと思いますか?田嶋:選択的夫婦別姓ひとつとっても制度が変わらないから、みんな足踏みしている感じがある。一方で、収録でも言ったけど、やっぱり女の人がこうやって働いてるじゃない?みんな実力つけてますよ。ただどっかで迷ってるわけ。「結婚しなくちゃいけない」とか「子供を産まなきゃいけない」とか「〜しなければいけない」って。やっと自分で働いて食べられるようになったんだから、もっと自由に人生を選んだらいいのに。相変わらず世間の「女の生き方」を脱ぎ捨てられないでいる。——ひよっている?田嶋:うん、ひよってる。自分がない。女の人がみんな実力つけてきたことは分かってる。でも、どっかで、もうひとつなの。一貫してないの。それはフェミニズムでもなんでもない。ただ時代の空気に沿ってるだけ。——トレンドや時代の空気に合わせているだけ?田嶋:そう。だからやっぱり自分で考えながら、丁寧に生きていった人のほうがどういう形にしろ、納得した豊かな人生を送れると私は思う。途中で軌道修正したっていいし、方向転換したっていい。自分が考えてきたあかつきにするんだったら、誰も恨まないし、自分の責任じゃない?それがいいと私は思う。途中で迷ったときに、フェミニズムの力を借りたり、いろんなもの、例えば哲学の力を借りたり、先輩の力を借りたりいろんな力を借りればいい。フェミニズムっていうのは勉強できれば発見が多いし、力になるけれども、中途半端な理解の仕方だと、教条主義的になって自分も他人も苦しめる。観念でなくて、自分の生き方と表裏一体となるといいかなって。無理して自分の心に誠実に生きないのが一番良くないよね。子供欲しかったら、別に愛する男の子どもでなくてもいい。育てる力があれば一人で何人育ててもいい。経済力って大事。私が知ってるイギリス人の女の人なんか、子供3人ともみんな父親違うんだよ。でもパーティーやると、その3人の子どもたちの父親がみんな集まる。それぞれの父親も他に家庭を持っていて、ものすごく複雑な関係だけど、それでうまくいってる。自分が女に産ませた子供に対してはそれなりの責任を取る。だから、父親3人集まって和気あいあいとパーティーをやれる。面白いでしょ?そういうふうに人生が面白くならなくっちゃさ。——それでうまくいっているならいいですよね。3人分のつながりがあるってことだし。田嶋:そう。それできちんと運営できているんだったらいいんじゃない?って。最初は苦しんだり悩んだりしたでしょうけどさ、そうやって自分の人生を自分でつくって、つながりをつくって、楽しんでいければいいよね。断ち切りたければ断ち切ればいいしさ。自由じゃない。私が“わきまえない女”になったワケ——今回、田嶋さんにお話を伺うにあたり『愛という名の支配』を改めて読み返して、私はちゃんと自分になれただろうか?と己に問い直しました。田嶋:私はこの本を書くことで自由になったの。誰にも遠慮しない“わきまえない女”になっちゃったんだよね。怖い人がいなくなっちゃったの。地震や病気は怖いけど。私のいう意味、分かってくださる?それまでは母親が唯一人生で怖かったんだけど、その母親からも解放されたら、怖い人が誰もいなくなっちゃった。要するに、今の私なりの言葉で言うと、「自分になった」んだよね。女でも男でもない、田嶋陽子になったっていうのかな。そういう感じだよね。——私がまだちょっと怖いと感じてるのは、まだ自分になりきれてないってことなのでしょうか。田嶋:そうかな。あなた怖い人いるの?——世間が怖いです。他人の目がどうしても気になってしまいます。田嶋:私はもうそれもなくなっちゃった。散々テレビでたたかれて、それでも自分が言わなきゃいけないことは言わなきゃと思って頑張ってきて。その昔は、嫌われることが本当に怖かったよね。——そういうときもあったんですか?田嶋:『愛という名の支配』を書く前はね。誰かに嫌われることが怖くて怖くて。その誰かは正体ないよね。一番怖いのは母親だったんだけど。私にとって、母親が世間だったんだと思う。世間の代弁者ね。でもこの本を書いて、世の中の差別の仕組みが分かったら、何も怖いものがなくなっちゃった。自分が出演したテレビの悪口言われることもあるけれど「ああそう」で終わりなんだよね。いつかこの人たちも私の言っていることを自然に分かるようになるだろうって。テレビを見て、たとえそのときは私のことを「何だコイツ」って思った人がいたとしても「あんなことを言っていたけど、それってこういうことだったのかな」ってあとになって思ってくれるかもしれない。女の家事労働はタダ働きだとか、一生懸命言ってるのがいたなってどっかで思い出してくれたときに、役に立つこともあるかもしれない。いつまでも私のことが嫌いな人は嫌いだし、みんながどんなことを思うかは分からない。でも発信しなければダメじゃない。とりあえず、球は投げた。あなたたちがどう受け取ろうと勝手だよ。でも、もし私がわきまえないで怒ってたことを覚えてくれてる人がいるとしたら、それだけでも、いいよね。■番組情報男子は見なくて結構!男子禁制・日本一過激なオンナのニュース番組がこの「Wの悲喜劇」。さまざまな体験をしたオンナたちを都内某所の「とある部屋」に呼び、MC・SHELLYとさまざまなゲストたちが毎回毎回「その時どうしたのか?オンナたちのリアルな行動とその本音」を徹底的に聴きだします。Wの悲喜劇「怒れるフェミVSフェミ嫌い #わきまえないオンナたちの大激論SP」は2021年5月1日(土)午後10時から放送。(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)
2021年04月30日5月7日から全国順次公開されるフランスの恋愛映画『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』。同作は、主人公が愛の試練に立ち向かうファンタジック・ラブストーリーで、フランスで大ヒットした『あしたは最高のはじまり』を手掛けたユーゴ・ジェラン監督の最新作です。仕事のことばかり考えている人気作家のラファエルと、小さなピアノ教室を開いているオリヴィアは、結婚から10年が経った夫婦。ある日ラファエルは、オリヴィアと立場が逆転した“もう一つの世界”に迷い込んでしまう。さらに、愛する妻は自分を知らなかった。元の世界に戻りたい一心でオリヴィアに接触を試みるが――というストーリー。そこで今回、ラファエルの妻で、“もう一つの世界”では人気ピアニストを演じたジョセフィーヌ・ジャピさんに、お話をうかがいました。“もう一つの世界”のオリヴィアも、人生に100%満足しているわけではない——まずは、オリヴィアを演じた感想をお聞かせください。ジョセフィーヌ・ジャピさん(以下、ジョセフィーヌ):今回の作品では、ルーツは一緒でも、まったく違う2人の女性を演じました。ラファエルの妻である“元の世界”のオリヴィアは、私に近いところがあって。自分の青春時代と似ている部分が多かったです。一方、“もう一つの世界”のオリヴィアは、“元の世界”のオリヴィアに比べ、自分に自信があって、よりフェミニンな印象がありました。そしてオリヴィアを演じるうえでは、ピアノがとても大事でしたね。私はピアニストではないので、コーチのもとで4カ月間練習しました。1日2~3時間はコーチについてもらって、2時間は自宅で練習して。そのなかで、ピアニストという職業は、毎日ピアノに向かって練習して、自分を律して生きている人なんだということを学びました。——“もう一つの世界”のオリヴィアはとても魅力的でした。その理由は、仕事で成功しているからでしょうか?ジョセフィーヌ:そうですね。やっぱり、何かを成し遂げている人は力強く、貫録がありますよね。“もう一つの世界”のオリヴィアは、自分自身の生き方に確信をもっていて、自信を持っています。おっしゃる通り、仕事の面で成功すると自信がついて、女性は強く美しくなると思います。ただ、“もう一つの世界”のオリヴィアも、自分の人生に100%満足しているかというと、そうでもなくて。あるシーンで、ラファエルに、「ピアノの練習ばかりしてる退屈な人生よ」と告白しますよね。彼女の人生に何が欠けてるのかというと、“元の世界”のオリヴィアが持っていた無邪気さだったり、将来のことをあまり考えない無頓着さだったり、そういうところなんです。“後悔のない人生”を送っている人なんて一人もいない——ラファエルを演じたフランソワ・シビルさんとの共演はいかがでしたか?ジョセフィーヌ:フランソワは、とても良い空気を作ってくれました。実は、この作品の前にも共演のお話があったのですが、頓挫してしまって。そのときに一度会ったのですが、この人とは波長が合うな、また一緒に仕事ができたらいいなと、ずっと思っていた俳優さんだったんです。なので、ユーゴ(・ジェラン)監督から、共演のお話を聞いたときは、すごく喜びました。そのあと、ユーゴ監督と彼と一緒に演技テストをしたときも、相性がいいとすぐに感じました。こんなことは、毎回起こることではないレアなこと。とてもうれしかったですし、悩むこともなく、スムーズに撮影の準備をすることができました。それは、フランソワだけでなく、ユーゴ監督や、バンジャマン・ラヴェルネさんに関しても同じで、良い空気のなか撮影を進めることができましたね。——誰にでも、「あのときこうしていれば……」「あんなことを言わなければ……」という後悔はあると思います。少しでも悔いのない人生にするために、大切にしていることがあれば教えてください。ジョセフィーヌ:今おっしゃったことが、この作品のメッセージの一つでもあるんです。人生では多かれ少なかれ、ほんの些細なことでも選択をしていかなければなりません。その選択によって、幸せな結果になったり、あるいは残念な結果になったり。それはとても興味深いことであると同時に、選択の連続にクラクラとめまいがすることも……。でもやっぱり、“後悔のない人生”を送っている人なんて一人もいないと思うんです。私が思うのは、本当に自分がやりたいことがあれば、自分自身をリスペクトしつつ、選択していくことが大切だと思います。だから、他人から「こうしなさい」「こうしたほうがいい」というアドバイスや意見は気にしません。あまり計算しないで、自分の思いに素直に生きていくことが、後悔の少ない人生につながるんじゃないかなと思います。世間にあふれる“女性のイメージ”に振り回されないで——周囲の意見に流されず、自分の思いに素直に生きるということですね。では、自分の本当の気持ちを聞くために、大切なことは何でしょうか?ジョセフィーヌ:確かにその問題は、一生かかってもずっと考え続けなきゃいけない、大きな問題ですよね。特に、女性にとってはそうだと思います。こういう生き方をしたいという道が見えても、その道をいかに離れずに歩んでいけるかは、女性のほうが難しい。だから、自分に自信をつけて強くなることが必要になってくるんです。私なんか、まだ若干25歳ですから、そのことを本当に毎日考えてるくらい(笑)。一つの答えとしては、何かをしたいという強い思いがあるときは、必ず理由があるので、その欲望を信じ込むことがとても大事なんじゃないかなと思っています。つまり、それを絶対にやり遂げるんだ!という信念ですね。また、今の時代は、SNSやネット上で“女性のイメージ”が氾濫していますが、そういうものに振り回されないことも大切です。私自身も、“女性のイメージ”というものに対して、ちょっと警戒心を持って眺めています。オファーがあった役柄に関しても、私の生き方とちょっと違うな、マッチングしないなと思ったら、お受けしていません。その点は、女優としても気を付けています。■映画情報タイトル:『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』配給:シンカ公開表記;2021年5月7日(金)全国順次ロードショー!コピーライト:(C)2018 / ZAZI FILMS – MARS CINEMA – MARS FILMS – CHAPKA FILMS – FRANCE 3 CINEMA – C8 FILMS(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)
2021年04月30日「メイクは身だしなみの一つとされているけれど、正直めんどくさい」「コスメは好きだけど使いこなせなくて、結局フリマアプリで売ってしまう」「オンライン会議で自分の顔を見続けていたらもっと自分に合うメイクを研究したくなった」そんなメイクの悩みを持つ人に向けて、自分自身に似合うメイク方法を商品購入後に動画で学べるサポート型コスメブランド「BeMe(ビーミー)」が4月6日に誕生しました。開発したのはSNS活用を支援する企業「テテマーチ」(東京都品川区)とヘアメイクアーティストの佐々木一憲(ささき・かずのり)さんです。化粧品メーカーではないベンチャー企業がなぜコスメを?開発担当者の齋藤香奈(さいとう・かな)さんと佐々木さんにお話を伺いました。【関連記事】BeMeってどんなパレット?詳しく見る身だしなみとされているのに…メイクを教えてくれる場がない——「BeMe」開発のきっかけを教えてください。佐々木一憲さん(以下、佐々木):雑誌やSNSで発信しているプロのメイクさんってメイクが好きな人に向けてさらにうまくなるためのテクニックを発信している人が多い印象でした。個人的には「コスメは好きだけど、メイクはあまりうまくない」「そもそもメイク自体がそこまで好きじゃない」人も多いんじゃないかなとずっと思っていて、プロが伝える超簡単なメイクを「#ササメイク」としてSNSで発信しはじめました。その中で「1パレットで簡単にメイクできる商品を作りたい」という内容のことをつぶやいたら、テテマーチさんが反応してくださって一緒に開発することになりました。齋藤香奈さん(以下、齋藤):私はクライアントから依頼を受けて、SNSの運用やコンサルティングを担当していたのですが、以前からブランドのコンセプト設計をプロダクト(商品)を作るところから関わってみたいと考えていました。そんなときに佐々木さんのつぶやきを見かけてお声がけしたことが開発のきっかけです。——それはいつ頃だったのでしょうか?齋藤:ちょうど去年の2月頃ですね。そもそも佐々木さんが感じているメイクの課題ってなんだろう?ユーザーのインサイトはどんなものだろう?というのを深掘りしていって、どんな人にどんな価値を提供していくのかを2、3カ月くらいすり合わせをしました。齋藤香奈さん——その中で見えてきた課題とは何ですか?佐々木:誰も教えてくれないことをやらなきゃいけないのって、メイクくらいなんですよ。学生時代はメイク禁止なのに社会に出たとたん、「メイクは大人のたしなみ」とされて、自分に似合うメイクを教えてくれる人がいないことに疑問を持っていました。メイクしなければいけないわけではないですが、メイクすることがスタンダードの風潮の中で、誰も教えてくれないのは大変だなって。商品を買うときにちょっと教えてくれるけれど、買ったあとは教えてくれないですよね。——確かに買った後の商品について教えてもらう機会はないですね。だからせっかくコスメを買っても結局使いこなせなくてしまい込んだり、フリマアプリに売ってしまう人も多いように思います。佐々木:せっかくコスメが手元にあってもうまくできなかったり、本当はメイクが好きじゃなかったりすると毎朝ちょっと憂鬱(ゆううつ)な気持ちになってしまいますよね。「ああ、今日もちゃんとできなかった」って。だから、まずはメイクが楽しいと思えるきっかけになればいいねというところからスタートしました。齋藤:私も含めて社内でも同じ悩みを持ってるメンバーが多かったんです。正しいメイク方法が分からないし、気軽に教えてもらえる場所もない。佐々木さんが抱いていた課題にすごく共感しましたし、周りにも同じようなニーズの人がいるのではないかと考え、市場調査をしてみたら、同じような悩みを抱えている方がいることが分かりました。——市場調査はどんなことをやったのですか?齋藤:リサーチ会社にお願いしてメイクの悩みを探ったり、弊社が持っているSNSの分析ツールで調査したりしました。商品紹介の投稿よりもメイクのやり方の投稿のほうが反応が良かったりして、市場的にも悩んでいる人が多いことがだんだん分かってきました。佐々木:僕のSNSでもメイクを簡単にしてからフォロワーが増えましたね。佐々木一憲さんBeMeに込めた思い…ターゲットは25歳前後の社会人女性——ターゲット層は定めたのでしょうか?齋藤:25歳前後の社会人で仕事が落ち着き始めた女性かなと思って、仕事もある程度慣れてきて、自分の見え方や時間にもお金にも余白がある中で、自己投資に関心がある人をターゲットに考えました。——私は30代後半なのですが、私でも使っていいのでしょうか?齋藤:もちろんです!自分に似合うメイクが分からないままという方は多いと思うので年齢にとらわれることなく、ぜひ試していただきたいです。——「BeMe」というブランド名にしたのは?齋藤:二つ理由があります。まずは自分自身を知って、自分らしいメイクを見つけようというのがコンセプトなんです。いろいろ考えたのですが「私になる」がシンプルで伝わりやすいのかなと。もう一つは、インスタグラムの「#beme」というハッシュタグがきっかけです。海外の方が「#beme」をつけて笑顔の自分らしい写真をたくさんアップしているのをみて、輝いていてすてきだなと感じました。この商品を使った方がこのハッシュタグにあるような自信を持った状態になってほしいという願いも込めて「BeMe」というブランド名にしました。——ほんとだ、インスタを見ると男性も女性もみんな自撮りしていますね。「メイクは100点じゃないと」って思ってない?——自信というお話がありましたが、佐々木さんはヘアメイクアーティストとして活動されている中で、自信がない人が多いと感じることはありますか?佐々木:仕事ではモデルさんにメイクをすることが多いので、そう感じることは少ないのですが、オンラインサロンやSNSでコミュニケーションをとっているとやっぱり多い気はします。無意識だと思うのですが、「メイクは100点じゃないといけない」という感覚があるように感じます。おうちでできる簡単な料理は100点じゃなくてもおいしく食べるのに、メイクだけ100点でなければいけないと思っている人は多い。70点や80点くらいできたら合格でいいと思うし、もっと気楽に考えてもいいのにと思いますね。でも、それはもしかしたら100点の発信しかしないこちら側の責任もあるのかもしれません。雑誌で「80点メイク」なんて企画を見かけることはほぼないですよね。——確かにないですね。ウートピでも「手抜き料理上等!」とか「仕事と家事の両立なんて無理ゲーだよ」など、「完璧じゃなくていい」という発信をしているのですが、美容やメイクのHowToに関してはあまりそういう発信をしてこなかった気がします。佐々木:そうですよね。メイクももっと楽に考えたほうが楽しくメイクできるし、100点を取らなければいけない状況が毎朝やってくるって考えたら結構つらいですよね。もっと気を抜いていいんだよというのは毎回伝えていますね。——それでちょっとでも失敗すると落ち込んでしまって、そのコスメから手が遠ざかってしまうんですよね……。佐々木:世の中に正解の発信が多過ぎるのかもしれないですね。イエベがどうとかブルベがどうとか。自分に合ったものが分かるけど分からないという状況に陥っちゃっているのかな。——まさにそうです!例えば私はくすみ色が好きなのですが、診断で「イエベ春はくすみ色は似合わない」と出てしまうと落ち込むし、似合う色は確かに失敗がないのかもしれないですが、ちょっとつまらないと思うこともあります。齋藤:今回、1商品しか出していなくてあえて1カラーなんです。世の中に情報があふれすぎていて何を使ったらいいのか分からない人が多いと思ったので、まずは王道の使用頻度が高くて誰でも似合う色味で作りました。モデルも一般の女性を起用…パレットのこだわり——それがこのブラウン系のパレットなのですね。商品について詳しく教えてください。佐々木:もともとブラウンで作るのは決まっていたのですが、色味をオレンジっぽくするとか何かに寄せることはしませんでした。オレンジっぽいブラウンとか黄味っぽい色ってトレンドですが、あくまでメイクのファーストステップで使いやすいように、まずは王道のブラウンを作りました。一見4色のパレットですが、質感がそれぞれ違います。眉毛とノーズシャドウ、アイシャドウとマルチに使えるようにしたかったので、最初に決まったのは右下のマットです。次に決まったのが左下のシアーマットでノーズシャドウにもアイシャドウにも使えるちょっと透け感がある色になっています。あとはグラデーションが苦手とかアイシャドウがムラになるのをカバーするためのクリームベースで、最後にラメを入れました。個人的にラメはあまり得意ではないのですが、あったほうがグラデーションをごまかせたり失敗しにくいんです。齋藤:筆にもこだわっています。眉毛の粉と筆が合うものが全然なくて、アイシャドウをお願いした会社とは違う会社さんを探してきて別々に発注をしました。——そんな苦労が隠されているのですね。アイタイプに合わせたメイク方法を動画で確認できるのは最大の特徴ですね。齋藤:一重、奥二重、二重の目の形と、求心か遠心かの目の場所によってアイタイプを6パターンに分けています。動画の配信期限などはないので、LINEとメールで配信するメイク動画でいつでも自分のアイタイプに合ったメイク方法を確認できます。——アプリではなくラインで配信するんですね。齋藤:なるべくアプリをダウンロードする手間をかけてほしくないのと、日常で使うアプリにお届けできたほうが楽かなと。あと商品と一緒にお届けする冊子に顔のイラストもつけました。いきなり動画と鏡を見比べながらメイクするのは難しいと思うので、まずはイラストで練習してメイクのコツをつかんでいただければと思います。——メイク動画のモデルさんはプロの方ですか?齋藤:実は一般の方に登場していただいています。モデルさんだと慣れていらっしゃるので、あえて佐々木さんに教えてもらいながら自分でメイクする動画を作りました。佐々木:僕がやっちゃうと、「プロだからできるんでしょ」ってなる可能性もあるので、自分でやってもらっています。——5280円(税込)という価格設定は?齋藤:品質を担保しつつ、アフターサポートを充実させるためのコストを考えこの価格設定にしています。提供するのはメイクのきっかけ…いつかは卒業してほしい——4月6日に発売されたばかりですが、今後の展望を教えてください。齋藤:まずは商品について知ってもらうのが第一で、今後はコミュニティを作っていければと。今回のサービスで全部を補うことは難しいと考えているので、リアルとオンラインの両方で個人個人にアプローチしていきたいです。皆さんの悩みを聞いてアウトプットという形で新しい商品も作っていければいいですね。でも、いつかは卒業してほしいという気持ちで商品を送り出しています。佐々木:自分の発信もそうなんですけど、最初のメイクを好きになるきっかけになればいいだけで、卒業していってもらって構わないんです。きっとメイクのことをもっと知っていけばだんだん高度なことをやりたくなると思うから。自分で決めていることは「もうトレンドは追わない」で、トレンドを追うと難しくなるし、メイクの意識が高い人が集まる場所になるのですが、トレンドよりも定番を狙っていきたいと考えています。いわゆるトレンドが終わったあとに残るものをキャッチすれば息が長いメイクになると思うので。例えば、最近で言うと「抜け感」も最初はトレンドだったんですが、今はみんな言ってますよね。まずは定番をおさえてそれをきっかけにいろんなメイクをしたいと思ったらどんどん次のステップに行ってもらえばと思います。——メイクをすると自分のコンプレックスや“欠点”と向き合わざるを得なくなると思うのですが、コンプレックスをどう扱っていけばいいと思いますか?佐々木:コンプレックスを受け止められるメイクや欠点をポジティブに捉えられるメイクを提案するしかないのかなと思います。でも、結構ないものねだりのコンプレックスもあるんです。「顔が濃く見えていや」という人がいたとして、濃く見られたい人はたくさんいるんですよね。逆に「平面的な薄い顔がいや」という人もいる。メイクのやり方を工夫するだけでも、きっと自分の顔が魅力的に見えることが分かると思います。自分がコンプレックスと思っている部分も他の人からみたらうらやましがられたり、チャームポイントに映ったりしていることもあるから。そこをうまく生かしたメイクを提案していきたいですね。齋藤:私自身、本当にコンプレックスが多かったんです。最近まで目が特にコンプレックスだったのですが、この商品を通じて自分自身のことも好きになりたいですし、同じように悩まれている方も同様にご自身のコンプレックスも含めて、好きになってほしいと思っています。(取材・文:ウートピ編集部・堀池沙知子)
2021年04月17日