こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。納得いかないことばかりの建築条件付きの家づくりに最後までジタバタし、設計はほぼ完了の段階まできた鳥夫婦でしたが……。■ ヤメテ監理建築士は「設計」だけではなく「監理」という重要な役割も担うとのこと。現場をチェックしたり、重要な箇所の写真を提出させたりして、自らが設計した図面通りに施工業者に建てさせるよう働きかけるのだそうです。保奈美さん(40代半ばだと思われる女性設計士さん)に「あの、監理はやはり保奈美さんが?」と聞いてみたところ、「Yes」。……。鳥夫が心配して、「建築業界ってちょっと荒っぽいというか、怖い男の人が多い印象があるのですが、女性の保奈美さんが監理ってやりづらくないんですか?」と聞いたところ、「逆に女の方が可愛がってもらえるというか、”お願いしますよー”って頼めばうまくいきやすいところがあるので、逆に言うこときいてくれるんですよー(笑)」と、珍しく女を出した四十路の保奈美。直後に恥ずかしくなったのか、デコルテがピンク色に染まるのを、鳥は見逃しませんでした。普段だったら、恥じらった熟女がほんのり肌を紅潮させる風情に「うぅ~ん、艶っぽいじゃ~ん、ヒューヒュー!」ともてはやす鳥ですが、この状況での保奈美さんには残念さしか感じませんでした。ある日の打合せで、それとなく鳥夫が「保奈美さんは、注文住宅の設計とかもされるのですか?」と聞いたところ、「私は建売しかやったことないんですよねー」というご回答……。本当に申し訳ないのですが、「私が設計した家」「自分の作品」とプライドを持って仕事しているようには見えない保奈美さん。監理などという、施工業者を巻き込み・手綱を締めて・しっかりとした施工へと持っていかせる、という気力のいる仕事を、保奈美さんができるのでしょうか?■ ヤメテ工務店監理に期待できないとなると、施工T社が「監理の眼などなくても、実直で真面目な仕事をするさ!」という矜持を持った工務店であることに期待するしかないのですが……。コンサルさんは最初からおっしゃっていました。「T社は、本当の注文住宅を建てられないと思いますよ」規格住宅のみ繰り返しているようだから、多様な建築士の設計に柔軟に応えられる技術力はないだろうとのこと。さらにコンサルさんは施工T社のホームページや業界の評判も調べてくれて、「ほら、ここを見てください。これこれこうでしょう?T社自身は施工しないでしょうね。T社からどこかの孫請け工務店に丸投げされるんですよ。そしてね、通常、孫請けに丸投げされた場合は……」などと、懸念される施工の問題について教えてくれました。そして「良い工務店とはどういうところか」についても、いろいろ教えてくださいました。■ 新宿くん(※土地)への執着「設計面だけではなく施工面までも不安だらけか……」ここまでマイナス要素が出揃っても、まだ新宿くんの足元にしがみついてしまう鳥夫婦。実は、新宿くんと出会った後も、他の仲介業者さんには黙っていました。建築条件を白紙解除する可能性も考え、引き続き土地情報を送ってもらうために。しかし新宿くんを知ってしまった後では、全く魅力を感じない土地ばっかり……。笑えるのは、新宿くんの契約をした数週間後に、同時分譲の南向き角地の情報が来たこと。「まだ土地さえ未分譲の段階で、仲介Y社から情報をもらって、半地下ではないし500万円以上安かった一区画を契約済みですよ……」とは言えず、適当な理由をつけてお断りしました。(営業さんは「すごくオススメの非公開物件なんですよ!」と渋っていました)「こんなに希望通りの土地には、もう出会えない気がする……」そう思うと、とても新宿くんを諦めきれませんでした。もしかしたら読者の方々には、鳥夫婦が、家づくりにこだわりがあるように見えているかもしれません。でも単に「心配性」で「コスパにうるさい」性格だからジタバタしているだけであり、そもそも鳥夫婦の価値観は「土地(立地)>家」であり、「上物は消費財であるコスト」という認識です。西新宿に惚れ直してしまった今、ここまで希望を裏切る家づくりでも、やはりこの土地を諦めきれなかったのです……。(鳥)■この連載の一覧を見る■
2018年09月20日「注文住宅で理想のマイホームを建てたい」と思ったときに、設計事務所にお願いするのか、工務店にお願いするのか、ハウスメーカーにお願いするのか――。さまざまな選択肢があるため、どこにお願いしようかとても悩みますよね。その中でも、ハウスメーカーで建てたいという方は多いのではないでしょうか?メーカーによってはたくさん広告で保証やアフターサービスを謳っているため、なんだか安心できそうな気がしますよね?ですから、逆にハウスメーカーで建てることのデメリットも気になると思います。そこで今回はハウスメーカーにしぼって、ハウスメーカーで建てることの「メリット」「デメリット」をご紹介していきたいと思います。ハウスメーカーで家を建てるメリットメリット1. 相談したいことをほとんど1社にまとめられるcba / PIXTA(ピクスタ)家を建てるには、いろいろなことを検討する必要があります。建物の間取りやインテリアだけでなく、資金計画や土地を所有していない人は土地探し、なかには相続税対策など、ひとりではなかなか解決できないものばかりです。なので、専門家に相談しなければいけませんよね。ハウスメーカーであれば、資金計画は、そのメーカーの付き合いのあるファイナンシャルプランナーに相談したり、土地探しだったら不動産部門など、トータルで相談できます。建てると決めたメーカー1社で、さまざまな相談ができるのは、手間がかからずとても便利ですよね。メリット2. ZEHなどの最新の家を建てやすいpixelcat / PIXTA(ピクスタ)最新の技術や設備を積極的に取り入れているため、ZEHなどの家に比較的簡単にすることができます。さらにメーカーによっては、最新の家にすることによって補助金をもらえることがあるので、お得に取り付けられます。エコや最新設備などに興味のある人は、ハウスメーカーで建てることにメリットがあります。メリット3. 将来的に売却しやすいTATSU / PIXTA(ピクスタ)最近では空き家問題がニュースなどでもたびたび取り上げられていますよね。空き家問題にはさまざまな要因や時代背景がありますが、中古住宅として売れないため、解体する費用と更地にしてしまうと固定資産税が上がることを懸念して、結果的に放置されてしまっていることも大きな要因のひとつです。その中古住宅の流通を活発にするために発足されたのが「スムストック」です。スムストックに加入することで、将来転勤やライフスタイルの変化などで自宅を売却する必要が出た際に、住宅の価値をしっかりと審査してくれます。これはスムストックに加入しているハウスメーカーに限りますが、保証の長さなどから、住宅の価値を保つことができるのです。ハウスメーカーで家を建てるデメリットデメリット1. 自由設計も言いつつ、間取りに制約がある場合もふじよ / PIXTA(ピクスタ)一概には言えませんが、ハウスメーカーの場合、1階と2階の壁がしっかり乗っているか、耐震性的にこの壁を外して大丈夫か、といったことを特に重要視しているので、間取りの制限が出てきてしまう場合もあります。デメリット2. 担当者との相性が重要になってくるcba / PIXTA(ピクスタ)ハウスメーカーはたくさんの営業マンや設計士がいます。ですから、会社の良し悪しというよりは、担当するスタッフによって良い家づくりができるかどうか左右されてしまいます。どうしてもそのメーカーで建てたいけれど、担当するスタッフと合わないと感じたら、担当者を変えてもらうことも可能です。その会社の商品も大切ですが、良い家づくりするには、自分たちの要望を理解してくれた上で提案してくれるスタッフとつくっていくことが大切です。デメリット3.しっかり保証内容を確認しないと損をするかも?TATSU / PIXTA(ピクスタ)ハウスメーカーの良さは、独自の保証体制をとっていること。だから、何かあったときも安心できるようにと、高い金額をかけてでも購入される人もいるかと思います。よくある「耐久性〇〇年」などの文言に惑わされてしまい、長持ちする家だと勘違いしてしまう方が多いようです。大切なのは「〇〇年保ちます」や「耐久性が〇〇年」ではなく、メンテナンス費用などが具体的に載っている資料でしっかりと説明してもらうことです。それを知らずに建ててしまうと、後悔するケースもあるかもしれません。まとめSIBOK18 / PIXTA(ピクスタ)ハウスメーカーで建てるメリットとデメリットをご紹介しましたが、いかがでしたか?何を選ぶにも良し悪しは当然あります。ハウスメーカーを選ぶ理由はさまざまですが、やはり安心感や信頼感で選ぶ方が多いのではないでしょうか?ですのから、デメリットをしっかりと考慮しつつ、検討されることをオススメします。【参考】※SumStockスムストックのメリット
2018年09月15日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。R社との建築条件付きの家づくりが佳境に入ってきたのですが、概算見積書しかもらえず、窓・ドア・照明・etc、の金額がわからない。コストダウン(減額調整)さえまともにできない家づくりに、どんどん気力が失われてゆく鳥夫婦です……。■ 手すり I 型でも最後の気力を振り絞り、一番重要な3階パソコン部屋に、鳥の儚い願い、大好きな肘掛窓をリクエストしました。(肘掛窓:座って肘を掛けられるくらいの高さに設けた窓のこと)しかしリクエストして数日後、保奈美さん(40代半ばだと思われる女性設計士さん)から以下のようなメールが*************************************メーカーより連絡があり、手摺バーを部屋内に1本付けるだけですと保証ができないので、添付カタログのような手摺を外側に付けないとダメと解答がきてしまいました。カタログの画像と合わせてご検討いただければと思います。*************************************嫌な予感しかないが、添付ファイルを開いたところ……「あたし、前世で悪事でも働いたのかな?」人の心って、報われないことが続くと、自己攻撃で納得し始めるらしいですね……。■ 家づくりのベストなフローって?コンサルさんが口酸っぱくおっしゃっていたアドバイス。「工事請負契約を交わす前に、実施設計図を出してもらってください」施主にとってコントロールしやすいフローは、お家欲しい!→ 設計士選び→ 基本設計図作成→ 設計契約→ 実施設計図完成→ 工務店相見積り→ 工事請負契約であるのに対し、今回のR社のフローはお家欲しい!→ (土地に紐づいて)設計士・工務店が勝手に決まっている→ 基本設計図作成→ 設計契約・工事請負契約→ 実施設計図完成というものでした。設計士も選べないし、工務店も選べないし、相見積りも取れないのです。つまりR社に主導権があるフロー。R社の言いなりにならざるを得ず、見積額が高くなる可能性が高いのです。■ 契約後に金額アップされる可能性も!?さらに契約後に実施設計図完成となると、見積額は変わらないのに仕様がグレードダウンされていた諸事情のため設計図が変更になり、見積額が増額された概算見積では予算内だったのに、最終見積では数百万円高かったなどをされても、法律上文句は言えないとのこと!このような窮地に追い込まれてしまったら地獄ですよね……。鳥は無駄に強い不安感から、家づくりに関するネット掲示板などで、先輩方の実際の体験談も読み漁っていたのですが……。実際に上記のような窮地に追い込まれ、怒りのあまり、その体験を業者の実名を晒して書き込んでいる先輩方も少なくありませんでした。残念ながら、建築業界では決して珍しい話ではないのです。一応、保奈美さんに「契約後に見積額が増額されるようなことはないですよね?」と確認したところ、「それはないですよ!」とのご回答。しかし過去に、とっくに平面図も確定し構造計算も終了していた段階で、「大変申し訳ありません!実は北側斜線に引っかかってしまうことが判明しました。建物の角度をほんのちょっとだけ西に回転させてください!」という基本的なミスが発覚したことで、もうこいつ……ごほん、彼女は信じ切れない……。この調子だと、工事請負契約後に、「大変申し訳ありません!確認申請に出したところ、これこれの理由が判明したので、このように変更させてください!」などという重要な変更・増額を申付けられそうな気が……。だって、「北側斜線でやむを得ず」「確認申請でやむを得ず」などという大義名分付きで言われちゃったら、こちらとしては何も言えないしさ。これは鳥の妄想とは限りません。なぜなら最初にいただいていた仕様書にも、しっかり変更の可能性がちらついています……。これってさ、「いただく」「ございます」なんて大変丁寧な言葉遣いで書かれているけど、実質言っていることって、「こっちの都合で勝手に変えるからよー。でも文句言うなよな」ってことでしょ……。都合のいい女になりたくないのに、新宿くんに惚れた弱みよ……。(鳥)■この連載の一覧を見る■
2018年09月12日襖や掛け軸を見るだけで心が躍る! 趣ある特別な空間東京都・神田にある「いせ源 本館」は、現代的な街並みの中に佇むノスタルジックな建物。店内は畳の大広間が広がり、特別な日は事前に予約をすれば個室も利用可能です。襖や掛け軸も風情があり、個室ではゆったりと特別な時間を過ごすことができます。古き良き日本にタイムスリップしたような時間の流れの中で、あんこう料理を堪能しましょう。江戸時代末期から受け継がれる伝統「いせ源 本館」は、のれんを掲げて185年以上続く伝統あるお店。大正12年の関東大震災でお店が全焼してしまい、現在のお店は昭和5年に建て直されました。老若男女、多くの人にあんこうの魅力を伝えたいという店主の思いで、都内唯一のあんこう専門店として営業しています。店名は、初代がつくったお店「いせ代」と2代目の名前「源四郎」を合わせて「いせ源」と名付けられました。1830年に造られた東京都選定の歴史的建造物風情ある建物は東京都選定の歴史的建造物に認定されています。外観はもちろん、内装で使われている木材の風合いに時代の変化を感じます。照明、掛け軸、襖、簾などお店に置かれたすべてのものに歴史が感じられ、食事の時間も一層思い出深いものになるでしょう。あんこうづくしの料理を心ゆくまで堪能できます。秘伝の割り下で煮立てた伝統の味を堪能できるお店一番の人気メニューが「あんこう鍋」。新鮮なあんこうを下ごしらえした後、秘伝の割り下で煮立ててあります。あんこうの味わいが堪能でき、心も体も温まる一品です。あんこうはもちろん具材全てにしっかりと味が染みこんでおり、お鍋の締めには「おじや」がおすすめ。あんこうの単品料理も充実しているのでチェックしてみてください。津軽海峡風間浦沖で水揚げされた活あんこうお店で使われるあんこうは、青森県下北半島の津軽海峡風間浦沖にて水揚げされた活あんこうだけを厳選して使用。風間浦は、漁港から近距離の場所で入手できるため、生きて水揚げされたあんこうの鮮度を、キープしたまま帰港できるのが特徴です。「いせ源 本館」は都内で唯一、風間浦のあんこうが堪能できる場所。活〆の状態でお店まで18時間以内に直送されてきます。店舗は、東京メトロ丸ノ内線「淡路町駅」A3出口から徒歩2分ほどの場所にあります。情緒あるお店で、絶品あんこうを堪能してみてください。スポット情報スポット名:いせ源 本館住所:東京都千代田区神田須田町1-11-1電話番号:03-3251-1229
2018年09月07日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。建築条件付きの家の設計にはまったく満足できないのに、土地は手に入れたいという気持ちに変わってしまい、より苦しくなってしまった鳥夫婦です。■ 上物はいらない、土地だけ欲しい不良(ワル)な四ツ谷くん(※土地)に熱を上げ、大人しい新宿くん(※土地)に対しては、「いざとなったら白紙解除すればいいしぃ」というヤリ逃……ごほん、遊びのつもりで関わっていた鳥。それが新宿くんと関わっているうちに、新宿くんに本気になってしまいました。そうなると急に執着が出てきます。「この人を手放したくない」と……。しかし二人の恋路を、姑(R社)が阻みます。(妄想族なため、設定がコロコロ変わっていきますが、気にしないでください)今回のR社の設計にまったく満足できていない。あんな外観の家で暮らすなんてムリ。じゃあ建築条件を外してもらうしかないが、これ以上土地にお金をかけられないし(すでに予算を400万超えている)、建築条件を外してくれない可能性もある。この土地を諦めて別の土地を探すか?でもこんな好条件の土地、もう二度と手に入らないのでは?やはり土地を手に入れるためだけに家は妥協するか……。いや、でもあんな外観の家……。ぐるぐるぐるぐる。そうこう言っているうちに、どんどん建築条件の白紙解除の期限が迫ってきます。やはりコンサルさんの言う通り、期限までは最大限検討するしかありません。■ 概算見積書は出てきたけれど…さあ、とりあえず見積書の件です。コンサルさんから「とにかく早く詳細見積書を出させてください。期限が非常に短いので、先に先に検討しないといけないので。先方は別に検討する時間を与えるつもりはないでしょうから、こちらが引っ張っていかないといけません!」とのアドバイス。しかしアドバイス通りに「一式見積りではなく、詳細見積りを下さい」と頼んでも、姑はお茶ばかり飲んで、なかなか出してくれません。諦めず(鳥夫が)保奈美さん(40代半ばだと思われる女性設計士さん)にしつこく頼み、さらに施工T社の営業くんにも伝えたりなどしてがんばったところ、やっとこさ以下の「概算見積書」が出てきました。「一式見積書」の段階では「本体工事」という名でまとめられていた以下の赤枠部分が、分割されて記載されているのものです。ちなみに、以下のオマケ資料付き。まあ、本来であれば一式見積書しか出さないところを、 なんとかここまで出してくれただけでも「私達のために動いてくれた」と言えますが……。■ でもこれじゃ減額調整ができない!でもこちらがやりたいことは、「このWICのドアをやめることで、いくらコストダウンできるか?」「この寝室の窓をワンサイズ小さくすることで、いくらコストダウンできるか?」という「見積調整」「減額調整」なのです。最小限の予算で、満足のゆく家が欲しいのですから。この概算見積書では、相変わらず「減額調整」などできないまま。だってドアも窓も「建材工事」っていう一項目にまとめられちゃっているのですもの。でも窓は鳥のこだわりポイントです。他の部分はもうしょうがないので我慢するとしても、どうしても窓は……窓だけは……!鳥の好みに少しでも近づけてくれないか……!!気力を振り絞り、保奈美さんに伝えました。「見積書ありがとうございます。でもすみません、この見積書ではそれぞれの窓の値段がわからなくて、この窓をやめるとか、違う窓に取り替えるとかの意思決定ができないです……」すると次回の打合せで、保奈美さんがサッシメーカーのカタログを手に「どういう変更がしたいですか?」と聞いてきました……。ポツリポツリと場当り的に伝えるたびに、保奈美さんはカタログをペラペラとめくり、「あった!」とつぶやいてはその窓の価格を教えてくれます……。でも、そもそもカタログに掲載されているのは定価で、実際の価格でもないですし……。一生懸命対応してくれる保奈美さんに申し訳ないと思いながらも、もう本当にR社との家づくりに気持ちが萎え萎え……。(鳥)■この連載の一覧を見る■
2018年09月03日ガラスの表面にカットを入れる江戸切子は、東京都・国指定の伝統工芸だ。1834年、江戸大伝馬町のビードロ屋がガラスの表面に彫刻を施したのがはじまりだと伝えられている。明治時代に入るとヨーロッパのカットグラスの技法が導入され、多彩な柄が増えはじめた。【堀口切子】は、1921年に堀口市雄氏(初代秀石)が江戸切子技術伝承者に弟子入りし、前進となる「堀口硝子」を創業したことにはじまる。現在は三代秀石 堀口 徹氏がその伝統を継承している。堀口氏は、「ガラスを加工して、使い手を驚かせ魅了するというのが、江戸切子の本質と思える」と語る。その言葉の通り【堀口切子】の江戸切子は驚くほど美しく、受け継がれる伝統の技をベースに、シンプルなものから複雑なデザインのものまで多種多様なものが揃う。その繊細なカットや磨きといった技のひとつひとつが唯一無二の美しいグラスを生み出すのだ。また大切なのは、使い手のもとで完成を迎えることであるという。美しさは実際に酒を注いだときにより引き立つ。Tみ口や持ち手など、場所によって、ときに大きく、ときに小さくカットの形状を変えながらカットした面がきらきらと反射する様は見ていて飽きない。その瞬間が、堀口氏のいう「完成を迎える」ということなのだろう。堀口切子住所:東京都江戸川区松江5丁目10-番 2号電話番号:050-3735-3755
2018年08月26日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。3F(不安・不快・不満)の連続だったR社との建築条件付きの設計作業が、いよいよ終盤に入ってきた鳥夫婦です。■ 衝撃!キノコの生える家まだ鳥がピチピチジューシーな女子大生だった太古の記憶。今でも印象に残っている、お昼のワイドショーの映像があります。ご自慢のデザイン住宅(←当時、家に興味のなかった鳥でもスタイリッシュな印象を受けた)を背に、顔にモザイク、ヘリウムガスを吸ったような声で、めちゃくちゃテンション低くインタビューに答えている男性施主。次の画面で、そのスタイリッシュなデザイン住宅の窓枠がアップで映し出されたのですが、なんと、にゅうっと突き出している複数のキノコが……。衝撃でした……。キノコ……。刈っても刈っても生えてくるという……。それはそうでしょう。もうその窓枠の木材に、菌糸はびっしり入り込んでいるのですから……。生物の奥深くに組み込まれた増殖のプログラムに抗うことは不可能です。外国にある巨大なアロエとか、癌細胞の映像とか、あの無心に増殖へと突き進む生物の映像を見るたびに、鳥は無力感を感じます。しかもその施主曰く、「デザイン性の高い建材を海外から取り寄せて建てたので、取り替えるにも、同じ建材がもう手に入らないんですよ……」。輸入建材を採用してまでオシャレでクールにキメた施主が、キノコハウスと化したマイホームを背にインタビューを受けている図……。鳥が「マイホーム」といわれると「欠陥住宅」を連想してしまうようになったのは、このワイドショーの衝撃映像からでした。■ 恐怖!壁を剥がしたらカビだらけの家残念ながらこの衝撃映像しか覚えていないのですが、おそらくキノコハウスを生み出した要因は、いい加減な施工(雨漏り)か、結露対策の甘さでしょうね。他にもYouTubeで「欠陥住宅」などと検索していたら(鳥の心配性活動の一環)、「咳が止まらなくなり、体調が悪くなっていきました。来客にも “この家、カビくさいよ” と言われたため、壁を剥がしてみたら……カビだらけで……」と言いながら、壁を指さす被害男性の映像も見ました。確か、これは結露が原因だったかと思います。鳥夫は、なぜかカビが大嫌い。生理的に拒否するらしい(おそらく前世で、感染症かなにかで死んだのでしょう)。「結露対策をしっかりしないと、壁内がカビだらけになる可能性があるよ!」と鳥夫をたきつけたところ、予想通り、結露対策へと走り出しました。■ R社の家の結露対策は?もう読者の方々も予想できていると思いますが、当然R社の基本仕様は、別段結露対策もされていないものでした。コンサルさんには推奨する建築工法がありまして、その工法は結露対策もしっかりしているとのこと。鳥夫婦も、どうせ自分達にはわからないしと、素直にコンサルさんご推奨の工法で建ててほしいと思いました。そして保奈美さんに「この工法で設計してくれ」と頼んだのですが、「それに対応するサッシがないので」「今回はこれこれの方法のため対応できないので」とアッサリ却下。この頃は最後の追い込み時期で、鳥が(前回記事に書きました)肘掛窓の件、鳥夫が結露対策の件にこだわり、R社相手に粘っていました。しかし、肘掛窓に「手すりI型」がつくショックで、鳥はKO負け。「手すりI型」が致命傷となり、ハートが引き裂かれてしまった鳥は、家造りから引きこもってしまいました。その間、鳥夫はまだ粘り強く戦い、コンサルさんの推奨する工法は却下されたものの、「Tハウス」で用いられている「外壁通気工法」を採用してもらうことに成功。そして、以下がお約束のオプション見積書です。これが、鳥夫婦が検討したオプション見積書の、最後となりました。(鳥)■この連載の一覧を見る■
2018年08月24日東京お台場に日本トップクラスの花火師が集結!2018年8月11日(土)お台場海浜公園にて、「東京花火大祭〜EDOMODE〜」が開催されました。江戸時代から伝わる顔見せの文化のように、日本トップクラスの花火師が一同に会する花火大祭です。当日は、火縄銃鉄砲隊の演武にはじまり、内閣総理大臣賞受賞クラスの花火師たちによる花火が続々と東京の夜空を彩りました。世界で初めて子どもがデザインとプログラミングをした「子ども花火」や、著名アーティストの楽曲とコラボレーションした「ミュージック花火」が打ち上げも大成功。歌舞伎×花火の歴史上初共演「アクアシティお台場」の「歌舞伎エリア」では、歌舞伎俳優・市川海老蔵さんがオープニングを飾ってくれました。海浜公園で打ち上がる花火と歌舞伎の融合は、まさにコンセプトである「江戸と東京モードのフュージョン」を表現しており、現代と伝統的な江戸文化を感じることができました。豊富なアーティストコンテンツ開演と同時に会場を盛り上げてくれたのは、ドイツのテクノシーンの第一線で活躍する「Der Dritte Raum(ダー・ドリッテ・ラウム)」。「Hale Bopp」や「Electric Friends」といった名曲を生み出し、数えきれないほどのプロダクションをリリースしてきたベテランです。ほかにも「JYONGRI(ジョンリ)」をはじめ、注目のアーティスト達も夕暮れの「お台場海浜公園」に彩りを与えてくれました。火縄銃演武も登場!1853年、ペリーの浦賀来航に危機を感じた江戸幕府は、6つの台場(砲台)を築造しました。それが、現在のお台場にある「台場公園」だそう。海岸沿いに甲冑(かっちゅう)姿の「獅子の会」の方々が立ち、夕陽に染まる海に向かって火縄鉄を発砲する演武を披露しました。甲冑姿で火縄銃を構え発砲している勇姿を見ていると、過去にタイムスリップしたような気分に。川越藩 火縄銃鉄砲隊保存会「獅子の会」「獅子の会」は、甲冑の歴史や製作技術を研究して、甲冑の優秀性を後世に伝え続けています。いにしえを偲ぶことを目的に、甲冑を実際に着用して伝統行事に参加するなど、さまざまな活動を行っています。会場を温かい雰囲気に包んだ「子ども花火」子ども向けのプログラミング教室「プロスタキッズ」に通う子ども達が、デザイン・プログラミングをした10作品の花火がお台場の夜空を彩りました。昔ながらのゲームキャラクターや桃など、子ども達の思いが詰まったかわいらしい花火が会場を包み込みます。子どもたちの花火と音楽が素敵にマッチした「デジタルスターマイン」も登場。シミュレーションソフトを使ってプログラミングした作品が会場を沸かせました。音楽と花火のコラボレーション江戸時代から進化しつづける花火ショーのパイオニアが魅せる「江戸の花火」。現代のプログラミング技術と伝統的な日本の花火のコラボレーションはとても幻想的です。クラシック音楽に合わせた演出やダンスミュージック、アーティスト・米津玄師さんの「Lemon」とPerfumeの「無限未来」に合わせた花火の演出など、多彩な音楽に合わせた花火作品が会場を包み込みます。米津玄師さんの「Lemon」ではレモンカラーの花火が夜空に咲き、Perfumeの「無限未来」では色とりどりの鮮やかな花火がテンポよく打ち上がり美しいフィナーレを飾ってくれました。「東京花火大祭〜EDOMODE〜」は、来年も満席必至。いち早くチェックして、ぜひ良席で見てくださいね。
2018年08月21日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。恋焦がれた四ツ谷でもないし、質に期待できない建築条件付きの家づくり。「こんな物件、さっさと白紙解除して逃げ出したい!」という気持ちでいっぱいだった鳥夫婦でしたが……?■ 黄昏時の西新宿新宿くん(※土地)との婚約時、鳥は四ツ谷くん(※土地)のことが忘れられていませんでした。婚姻届(※土地契約書)に判を押した後、四ツ谷くんが恋しくて悲しくて、電車内で泣いたのはまだ少し前のこと。でも設計が始まると、何度も新宿くんの元へと足を運び、土地や隣家の形状などを確認しなくてはなりませんでした。新宿くんに会いにゆくときは、せっかくなので、最寄りの地下鉄駅ではなくJR新宿駅で降りることが多かったです。新宿駅の西口から出て、西新宿の高層ビルの谷間を散歩しながら向かう。宵っ張りの鳥夫婦が西新宿に着くころは、いつも夕方。あの、落日後の残り陽のなか、街灯や信号の光が潤む時間。鳥が一番好きな時間。西新宿のビル達も、直線的な形状をたたえたまま、美しく切なく潤んでいます。「ああ、やっぱり、西新宿はいいなあ」そう感じながら、何度も鳥夫と歩きました。(もともと鳥が東京で一番好きだったところは新宿であり、四ツ谷は土地探し中に惚れたエリアでした)西口周辺は人混みが激しいですが、5分も歩くと、もう閑散とし始めます。オフィスビル街なので、週末は人がいないのです。さらに歩くと、高層マンションも混じってきます。大型の建造物は、足元に空地を作らねばならないので、広々としています。空地には緑や水が積極的に取り入れられているので、「西新宿なんて、高層ビル街で殺伐としているのではないか」という予想に反して、意外とおっとりさが感じられるのです。平日はサラリーマンで溢れているであろう、ビルごとにある喫茶店も、週末は空いて居心地の良いことを知りました。精緻な高層ビル街を抜けて住宅街に入ると、庶民的で優しい空気感へと変わり、灯りの点る窓からは炊事の音が聞こえたりして。でも振り向くと、錚々たる高層ビル街の夜景。このギャップ。「もしかして住むかも」と思うと、西新宿についてさらに調べるようになり、歴史・未来(再開発)・出来事・特徴など、知れば知るほど改めて魅力を感じるようになっていきました。■ 時間とともに気持ちは馴染んでいくそう、建築条件付きの家造りにジタバタ飛び回っている間に、いつしか鳥の心は、四ツ谷くんから新宿くんへと移っていったのです。別件の用事があり、数か月ぶりに四ツ谷くんに会いに行ってみたところ、「えっ……こんな感じだったっけ……?」ケイセイ / PIXTA(ピクスタ)四ツ谷くん周辺の私道はかなり幅が狭めだったため、「こんな狭かったっけ……あれ……あれ……」と違和感を感じてしまったのです。あんなに恋い焦がれていた四ツ谷の空気感にも、心がときめかない。見上げた空に、私を取り囲んで見下ろすビル達がいない。「ああ、私は、いつのまに新宿くんが馴染んでしまった」と気づいた瞬間でした。まだまだ先の話ですが、晴れて希望通りの注文住宅が建てられた直後にも、鳥は新築ブルーになりました。でも、それも時間とともにおさまっていきました。人の心って、このように、時間とともに順応してしまうのですね。しかし新宿くんに気持ちが移っていったことで逆に問題が大きくなりました。希望すれば100%叶うであろう「白紙解除する」という方針から、「R社の仕様の家はイヤだ。でもこの土地は逃したくない。R社に建築条件を外してもらわないといけない」という意向に変わってしまったのですから。(鳥)■この連載の一覧を見る■
2018年08月21日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。R社との建築条件付きの家づくりが始まって以来、安心材料がひとつも出てこない状況に、ただただ追い詰められていった鳥夫婦です……。■ 設計・施工業者との関係図マイホームの建て方で最も多い形って、ハウスメーカー(HM)や工務店と契約し、設計・施工の両方を一括で請け負ってもらう形ですよね。また先に書いてしまいますが、鳥夫婦が最終的に採用できたのは、設計事務所に設計を依頼し、工務店に施工してもらう形でした。そしてR社との建築条件付きの家づくりはちょっと特殊で、以下のようにR社が間に立っている形です。だから鳥夫婦はこれまで一度も施工のT社と接触したことがなかったのです。しかし、ある日コンサルさんから「住設機器なども実際に目で見て触った方が良いですよ。”積極的でうるさい施主だ”という印象を持たせる方が良いので、ぜひT社のショールームに行かれたらどうでしょう」というアドバイスを受けました。追い詰められていた鳥夫婦は、さっそく保奈美さん(40代半ばだと思われる女性設計士さん)に頼み、T社に訪問しました。■ 自分たちの家なのに情報を秘密にされるって…T社は直接施主からの依頼(B to C)も受ける工務店ですが、今回はR社が依頼主である「B to B」のお仕事。対応してくれたT社の営業くんも「B to B」部署所属でした。営業くんに案内されながらショールームで住設機器を見学し、今回の仕様についても説明してもらいました。そしてある程度会話が進んだところで、鳥夫が質問しました。「あの一式見積りというものが、どうも私達一般人には受け入れがたいのですが……。R社とどのような契約の仕方をされているのですか?やはり坪単価で話をつけているのでしょうか?」↑以前の記事に掲載した見積書の再掲です営業くん「そうですね……確かにそう思われるのはごもっともだと思うのですが、業界的にそういうやり方でして……。今回はこれこれこういう仕様で坪単価いくら、という契約の仕方なんです。逆に一から見積もったらとても金額が高くなってしまうと思いますよ」鳥夫「それはちょっと困った話ですね……。でも我々としても、あの一式見積書ではちょっと……。厳密なものではなくても、大体でも良いので、なんとか詳細見積書をいただきたいのですがねー」営業くん「うーん……。保奈美さんと相談してみますね」鳥夫「営業くんは、我々がR社から提示されている坪単価はご存じですか?ぶっちゃけ、御社とR社では坪単価いくらで契約しているのでしょうか(笑)?」営業くん「それはちょっと答えられないですね(笑)。あと保奈美さんから鳥夫婦さんにいくらで提示されているのかは、こちらは存じておりません」なんかこの関係性に違和感……。なんでうちの家なのに情報を開示されないの?うちの家じゃなくてR社の家みたいに感じるのは鳥がおかしいの?■ 照明の数さえも標準超えるとオプション!鳥「最初R社さんは別の工務店さんを検討されてましたが、最終的に御社に決まりましたよね?最終的に御社に決まった理由は何でしょうか?」営業くん「その工務店さんのお話は聞いていませんでしたが、そうですねー……、うちは坪単価が低い割に標準仕様が豪華なんですよ。私は前職も今と同じ仕事をしていたのですが、T社に転職してきたとき、”え、ここまで付くの?”って驚いたんですよ。例えば今回の坪単価だと、他の工務店では絶対に食洗器は付かないですね!」でも私達に提示されている坪単価は、R社がたんまり上乗せした後のものでしょ……。いくらT社が安く提供してくれたってR社が儲かるだけじゃん……。せっかく営業くんに付き合ってもらったのですが、鳥夫婦が「このまま素直にR社とT社に建ててもらおう」という気持ちになることはありませんでした。むしろ営業くんとの会話の中で「照明の数も”標準”があり、超えるとオプション」ということを知ってしまい……。「我が家の設計テーマは”ランプの点る家”にしよう!」などと考えるほど照明にこだわろうと思っていた鳥には、さらに萎える結果となりました……。(鳥)■この連載の一覧を見る■
2018年08月10日時の流れを感じる店内で味わうやさしい甘さの団子「言問団子(ことといだんご)」は、歴史情緒あふれるのれんをくぐると、時代を遡ったかのようなどこか懐かしい甘味処の雰囲気を感じることができます。隅田川沿いにあるため、散歩の合間にふらっと立ち寄る人も多いです。メニューは、お店の看板メニューでもある「言問団子」と、手土産に便利な「言問最中」の2種類のみ。ゆったりとした時の流れの中で味わう、上品な甘さは格別。老舗ならではの趣ある店内は、歴史好きにもおすすめ!江戸時代末期、植木屋を営んでいた当時の創業者が団子を作って振舞ったところ、評判が良かったため商売として始めたのがお店の原点。シンプルな甘さと串に刺さずに爪楊枝を使っていただくスタイルは、創業以来変わっていません。言問団子というのは、その昔、古今和歌集の歌人でもある在原業平朝臣が、東国を旅していた際に読んだ和歌にちなんで名づけられました。団子を頬張ると、文学の香りを感じさせる雅な名称も相まって、まるでタイムスリップしたかのような感覚を楽しむことができます。時代を超えて愛される名物メニュー「言問団子」店名にもなっているこのお店の定番商品。白餡、小豆餡、味噌餡の3種類の餡に、もっちりとした白玉が包まれています。原料にもこだわった餡は、少量でもしっかりと豆の存在感を感じられる一品。余分なものをすべて省き、上品な甘さと滑らかな食感が際立つその味は、長い歴史の中で多くの人が愛したのもうなずける感動のおいしさです。コロンとした都鳥の中には餡がたっぷり「言問最中」もう一つの商品である「言問最中」。都鳥の形の皮の中には、餡が隙間なくぎっしりと詰められています。餡は小豆餡と白餡の2種類あり、手の中に収まるほどのかわいらしいサイズながら、しっかりと満足感を与えてくれる最中です。「言問団子」が一日しか日持ちしないため、手土産にできるお菓子を作ろうということで生まれたのが「言問最中」。東京土産としてもおすすめです。江戸時代から愛されてきたシンプルで本物の味創業以来、品数を増やさず、製法を変えずにずっと続いてきたのは、その味が多くの人に愛されてきた証拠です。余計なものをいれないシンプルなおいしさが、訪れた人の心をほっとさせてくれます。団子のおいしさはもちろんですが、店内にも歴史を感じさせるものが飾ってあり、眺めているだけでも現実を忘れさせてくれる空間も魅力のひとつ。東京観光の際には、ぜひ味わってほしい東京の名品です。東武伊勢崎線「東京スカイツリー駅」から徒歩12分。店舗駐車場はないため、来店時には公共交通機関を利用しましょう。東京スカイツリーや浅草からも近い場所にあり、東京散策のスポットとしても人気のお店。言問団子の上品な甘さとかわいらしい見た目は、ほっと一息つきたいときにぜひ立ち寄ってみてください。スポット情報スポット名:言問団子住所:東京都墨田区向島5-5-22電話番号:03-3622-0081
2018年08月03日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。R社との建築条件付きでの設計が始まりましたが、勝手に耐震等級や窓の枚数が決められており、「標準」を外れると「オプション」とされる家づくりに違和感ありまくりの鳥夫婦です。■ ローン仮申請のために作った外観図外観図といえば、ローン仮申請のために作った仮プランの際にもいただいていました。でも、あの頃はまだ建築条件付きの家づくりについて無知で、ネット上で見ていたようなスタイリッシュな家ができると思っていた頃。「この外観図って、設計ソフトで自動的に出力されるやつだよね?ローン仮申請のためのイメージ図だよね?」と本当に当たり前に思い込んでしまっていたのです。「まさか私達の家がこのようなデザインであるはずがないでしょ。あはは」って……。そして無事ローンの仮申請が通り、R社と契約を結び、保奈美さんとの家づくりが始まりました。1か月半もすると、鳥の言いなりの間取り・標準枚数に収められた窓・7枚以上の耐力壁などが加味された平面図(間取図)ができあがってきました。そしてそれと同時に外観図(パース図)も渡されたのですが……「えっ……まさか……本当に……この外観……なの……?」あまりの衝撃に、鳥は言葉を発することができませんでした。■ 鳥夫婦の希望する外観イメージ時は少しさかのぼり、保奈美(40代半ばだと思われる女性設計士さん)さんと初めてお会いした日。実は鳥夫婦からマイホームの「希望イメージ集」なるものをお渡ししてあったのです。それは、鳥が「素敵だな」と感じたネット上の画像を貼って、特徴を明記したもの。以下が外観についてのページでした。ここに記載されている通り、外観における鳥の希望はシンプルモダン四角いでした。白いシンプルな壁に、シンボルのように配置された窓……。今宵もその窓から、家人が今・ここで生きている証の灯がもれ……。道往く人々の心まで点すような、計算された美しさ……。ここまでは語ってはいませんが、「四角くてシンプルな外観にしてほしい」とは保奈美さんに伝えてありました。チンク / PIXTA(ピクスタ)設計部長さんとメールだけで設計したローン仮申請とは違い、今回は正式に保奈美さんと相談しながらの本設計です。住設機器などは決められた既製品で仕方がないにしろ、デザイン的な面は(既製品などないのだから)希望通りにしてもらえるものと思い込んでいました。そんな無邪気でバカだった鳥が、保奈美さんから外観図を渡されたときの衝撃をご想像いただけるでしょうか?さあ……、保奈美さんから渡された外観図は……、こちらです!何?この三流音楽家の髪型のような屋根……。何?この乳みたいにうつむいた正面の双璧……。また見るたび脱力したのは、「鳥さんが、四角い外観がご希望とのことなので……」と付けてくれたというこの立ち上がり壁……。(古い商店街に行くと、この立ち上がり壁のある建物をよく見かける)建築家物件を見て憧れてつけてもらった「横長の地窓」が、皮肉にも鳥の儚い憧れを思い出させるシンボル窓となってしまいました……。想像していたイメージとのあまりのギャップに、その日は落ち込みのあまり食欲をなくしてしまいました。(鳥)
2018年08月02日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。勝手に決められている「標準」内での設計、鳥の言いなりの間取り、目を疑うダサさを誇る外観図に、とうてい満足できるはずもない鳥夫婦。そしてコンサルさんの指示通り、断熱・シロアリ対策についても確認したのですが……。■ 断熱について問うコンサルさんから「断熱工法を教えてもらってください」との指示を受け、保奈美さん(40代半ばだと思われる女性設計士さん)に質問してみました。すると「グラスウール(重さ10kg・厚み75mm)を壁面に敷き詰める予定です」とのご回答。断熱材については主義主張によって評価が変わり、どれが優れているのかは一概に言えないようですね。ただいずれにしろR社の「グラスウール(重さ10kg・厚み75mm)」という選択は、「それが最も断熱性能に優れている」からではなく「最低限の性能を確保するための選択」だろうと思いました。耐震等級と同じく。保奈美さんに一応「断熱性能についても気がかりなのですが……」と伝えたのですが、「まあー、でも昔に比べれば、今の家は暖かいですよ」という返答だけ……。ちなみに今回の施工業者に決まっているT社は、「Tハウス」という高気密高断熱工法をウリにしている工務店でした。だったらそのご自慢のTハウス仕様で建ててくれれば良いものを、今回の仕様はそうはなっていない。保奈美さんに「Tハウス仕様にしてほしい」と頼んだところ、「Tハウスそのものは無理だが(理由はおそらく保奈美さんが設計できないため)、せめて断熱材はグラスウールからTハウス用の断熱材に変えてくれる」とのこと。も・ち・ろ・ん、オプションで。なんかさ、コンサルさんのアドバイス通り、「自分たちの要望をぶつけて、できる限り良い家にしていただく」べく対応してもらっても、根本的なツギハギ感が否めないのよね……。ジップアップのフリースを作るお店に行って、「ジップアップのフリースなんて嫌よ!」「フリース生地ではなくダウン生地に変えて!」「裾はロングに伸ばして!」と要望をぶつけて、無理やり仕立てさせているみたいな……。フリース用の型紙なのにダウン生地に変えてしまってズレは出ないのか?ロング丈に伸ばすのにジップアップのままで良いのか?だったら、はなからオーダーメイドのお店に注文した方がスムーズに仕立ててもらえますよね?まさにニーズと合わないお店に行ってしまったということです……。■ シロアリ被害の実体験またコンサルさんから、シロアリ対策についても確認するよう指示がありました。ちなみに、鳥の実家はRC造なのですが、築10年ぐらい経った頃だったかしら……、突然、階段の踊り場に大量の羽蟻が出現しました!第一発見者はまだ若かりし頃の鳥だったのですが、いつものごとく無防備な心持ちで階段を駆け上がったところ……、Tevarak / PIXTA(ピクスタ)この突然目の前に現れた「本能が拒絶する光景」に、「ヒィッ!」と短い悲鳴をあげました(「キャーッ」という悲鳴って、現実には出ないですよね)。それから毎年、春になると、律儀に階段の踊り場から出現するようになった羽蟻たち。あいつら、風の強い日に出てくるんですよね……。きっと風に乗って、明るい未来へと旅立っていくつもりなんでしょう。最初は怯えまくっていた鳥も鳥姉も、いつしか春の風物詩として慣れてしまい、羽蟻が出ても無言でキンチョールだの掃除機だので処理するようになりました。ちなみに今ではもう羽蟻は出ていないようです。RC造りでも断熱材の種類によっては喰われることがあるとのこと。もう羽蟻は鳥実家の断熱材を喰い終わったのかもしれません。■ シロアリの大好物「ホワイトウッド」が柱に!?さて、このような実体験があるために、鳥は人一倍シロアリを怖れていました。やっと見せてもらえた詳細仕様書によると、構造材の仕様は以下のようなものでした。コンサルさん曰く、この通し柱・隅柱・管柱に採用されている「WW」とは「ホワイトウッド」のことらしいのですが……なんとこのホワイトウッドは腐朽菌にも弱い上に、シロアリの大好物とのこと!(ホワイトウッドの産地はシロアリの生息していない北欧)にもかかわらず、国産の木材に比べて安価ゆえ、コストダウンのために数多く流通しているとのこと。R社もさすがに土台にまで採用することはしていませんが、「シロアリの大好物が柱に使われる家」なんて知ってしまった鳥夫婦の気持ちは、あえて書かなくてもわかっていただけますよね……。(鳥)
2018年07月27日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。コンサルさんを黒幕に据え、建築条件付きの家づくりを少しでも良いものにしてもらおうと積極的に働きかけている鳥夫婦です。■ 耐震等級を上げるにはいくらかかる?すると保奈美さん(40代半ばだと思われる女性設計士さんのことです)曰く、「それはちょっと……難しいですね。最初にご説明した通り、構造計算は一度しか行いませんので」とのこと。コンサルさんの入れ知恵通り、「え、いまどき、手計算というわけではないですよね?専用ソフトで自動的に出るのですから、ざっくりで良いので、それぞれの等級で計算して、どのくらいのコストが上がるのか教えてほしいのですが」と再度頼みました。しかし一旦持ち帰った保奈美さんから、数日後に改めて「やっぱりできません。構造計算を等級ごとにするなんて聞いたことがないです。でもコストがわからないと決められないというのはあると思いますので、本当にざっくりですが、仮の追加コストをお渡ししますね」という回答とともに、以下のようなオプション見積書を渡されました。耐震等級を3にするには200万円もかかるんだ!?しかも「これはあくまで仮なので、実際に等級を上げるとなったら、これ以上かかる可能性があることをご了承ください」とのこと……。実際に耐震等級3でお願いし、契約してしまってから「やっぱり500万円アップでしたー。テヘッ」などと言われたら困ります!!何十年も暮らすことになる家が耐震等級1で良いのか悩みましたが、このような状況で、耐震等級を上げる意思決定はできませんでした。■ 鳥夫婦が家づくりに求めたもの結局中途半端な結果でしたが、少なくとも「今回耐震等級を上げたいとなったら、最低でもこのぐらいお金がかかる」ということがわかり、「だったら耐震等級1のままで良い」という意思決定をすることができました。コンサルさんの入れ知恵がなければ、鳥夫婦は耐震等級のことなど知らないまま、耐震等級1で建てられていたことでしょう。このように「自分達が認識しないところで勝手に進められる」という状況が、すごく嫌でした。予算が低いのはこちらの問題なので、どうせ最終的に一番低い仕様を選択するかもしれない。それでも「自分達がわかったうえで選択した」というプロセスを踏みたい!R社との建築条件付きの家造りは、このように、自分達が無知であることの漠然とした不安がつきまとうものでした。■ 標準・オプションって何なのさ!?保奈美さんが設計中によくしていた仕草は、1階の耐力壁の数を数えることと、全体の窓の数を数えることでした。耐力壁について数えていたのは、耐震等級1を確保するためです。そして窓について数えていた理由は、最初はわからなかったのですが、あるとき、「1、2、3枚……、うん、この枚数だったら大丈夫ですね……」とつぶやいていたことから、標準仕様の枚数を超えないかどうか確認されていたのだとわかりました。実は、窓は鳥夫婦の家造りにおける優先順位の3位に上げられます。それほど重要なポイントであるのに、知らないうちに勝手に決められた標準に合わせて、枚数・サイズ・形が合格か不合格か判断されている(不合格だとオプション判定される)。だからこちらから何も言わないと、バルコニー面には掃き出し窓、その他にはやや長方形の引違い窓が自動採用されてしまうのです。ネットで建築家物件を拝見しながら「素敵だな~」と思っていた、上げ下げ窓・横長窓・横長の地窓・肘掛窓の数々は一切提案されない。当然、鳥夫婦のライフスタイルに合わせた窓の提案など、ひとつもない。このことに、とにかく強い違和感を感じました。(鳥)
2018年07月19日江戸版猫カフェ「江戸ねこ茶屋」 が両国にオープン!「-両国- 江戸NOREN」に隣接するJR両国駅西口イベント広場「両国駅広小路」(東京都墨田区)に、2018年6月15日(金)から8月31日(金)まで、浮世絵世界で本物の猫と遊べる江戸版の猫カフェ「江戸ねこ茶屋」が期間限定で開催中です。両国は江戸にまつわる史跡が多く、「猫の恩返し(回向院の猫塚)」をはじめ、猫とも縁の深い街として知られています。そこで「両国のとある江戸長屋の住民は全員が猫との噂。そんな噂を聞きつけた旅人が全国から覗きに来る」というコンセプトのもと、本イベントは両国の地で開催されることとなりました。-両国- 江戸NORENでは、「江戸ねこ茶屋」と様々なタイアップ施策を実施しており、本イベントを通して街全体の活性化に貢献していきます。江戸世界で生活する猫たちと遊べる新感覚の体験を提供長屋をモチーフにした建物の中には「ねこ茶屋」「ねこ遊郭」「ねこ湯」「ねこ長屋」「ねこ広場」などのゾーンを設け、浮世絵の画像データと立体造形を組み合わせ江戸の町並みと雰囲気を表現。そこに猫用の出入口や通り道、階段などを配置し、まるで江戸世界で生活する猫たちを眺めたり、一緒に遊んだり、写真を撮ることができる新感覚の体験ができます。会場内はどこでも猫との写真を撮ることができるほか、使用した浮世絵の解説を通して、江戸から続く人と猫との深い関係も知ることが出来ます。グッズや食べ物も盛りだくさん!保護猫救済も!会場ではクッションや巾着袋など多数のオリジナルグッズを販売しているほか、お茶や団子を味わうこともできます。また「江戸ねこ茶屋」では保護猫問題への関心を高める一助となることを目指し、収益金の一部を同問題解決のための活動支援金として寄付します。こうした考えにご賛同いただいた猫好きのアーティストの方々にもご協力いただき、各限定一枚のオリジナル絵馬を制作していただきました。会場の猫はすべて保護猫で、希望すれば里親になることもできます(面談や審査あり)。写真は「江戸ねこ茶屋」で購入できる猫好きアーティストが制作したオリジナル絵馬写真は「江戸ねこ茶屋」で購入できるオリジナルグッズ写真は「江戸ねこ茶屋」で味わえる緑茶とみたらし団子「-両国- 江戸NOREN」とのタイアップ施策「江戸ねこ茶屋」のオープンに伴い、「-両国- 江戸NOREN」では様々なタイアップ施策やオープン特別特典をご用意しています。ぜひお食事や休憩にもお立ち寄りください。写真は「江戸ねこ茶屋」特典①「-両国- 江戸NOREN」各店舗からお得な特典をサービス!6月15日(金)~8月31日(金)まで!「江戸ねこ茶屋」のチケット持参で「-両国- 江戸NOREN」各店舗からお得な特典をサービス!特典②「江戸ねこ茶屋」の入場料¥100キャッシュバック!6月15日(金)~8月31日(金)まで!「-両国- 江戸NOREN」内でお食事・お買物をしたレシート持参で「江戸ねこ茶屋」の入場料¥100キャッシュバック!※入場時の提示に限ります。※当日のレシートのみ有効です。※入場料のキャッシュバックはレシート1枚につき3名様までとなります。■江戸ねこ茶屋概要■特別企画「江戸ねこ茶屋」開催日時:2018年6月15日~2018年8月31日11:00~20:00(最終入場19:00)開催場所:JR両国駅西口イベント広場「両国駅広小路」(東京都墨田区)最寄り駅:JR総武線「両国駅」西口から徒歩1分入場料金:60分/税込大人 : 1,500円 中学生・高校生:1,200円(延長料金:20分ごとに500円)主催:江戸ねこ茶屋製作委員会後援:墨田区/(株)テレビ東京特別協力:東日本旅客鉄道(株)/(株)ジェイアール東日本都市開発協力:株式会社きゃりこ企画制作:KIRINZI inc.企画監修:長井裕子(国際浮世絵学会常任理事/那珂川町広重美術館主任学芸員)※天災地変またはその他の予期せぬ事由が発生した場合、開催日を変更する場合がございます。※詳しくは「江戸ねこ茶屋」HPをご確認ください。■-両国-江戸NOREN概要■施設名:-両国- 江戸NOREN所在地:東京都墨田区横網1-3-20(JR両国駅西口隣接)開館時間:10:00~23:30※営業時間は店舗により異なります■アクセス■JR両国駅西口隣接都営大江戸線両国駅徒歩7分イベント情報イベント名:江戸ねこ茶屋催行期間:2018年06月15日 〜 2018年08月31日住所:JR両国駅西口イベント広場「両国駅広小路」(東京都墨田区)電話番号:0570-063-050
2018年07月12日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。庶民にとって人生をかけた買い物なのに適当なことを言うR社社長、職人気質が感じられない設計士保奈美(40代半ばだと思われる女性設計士さん)との家づくりで、気持ちが萎え萎えの鳥夫婦です……。■ 土地の諸条件今回、鳥夫婦が契約した土地は、約20坪北側接道(北向き)北側以外は全方位が隣家に囲まれているという住宅密集地の狭小地です。1階の陽当りなど期待できません。いわゆる「ヨンパチの東南角地」等を希望される方々からは、敬遠される物件でしょう。でもありがたいことに(?)鳥夫婦は陽当たりや角地にこだわりがありませんでした。人それぞれの好みでしょうが、鳥夫婦が譲れなかったのはとにかく立地!陽当たりが悪い・狭小3階建て・隣家が近い・旗竿地などは、とにかく立地さえ好みであれば気になりませんでした(でも極端すぎて資産価値が低いのはNGです)。■ 狭小地でも南向き角地って良いものなの?日本人は南向きを好むのため、北向きの土地やマンションは価格が安く設定されますよね。北向きでも全くかまわなかった点も、鳥夫婦が安く土地を手に入れられたポイントだったと思います。新居は、3階南向きの一番良い部屋をパソコン部屋としたのですが、明るすぎて眼やフローリングを傷めるので、日中はブラインド閉めっぱなしです。結果として、窓をたくさん作った北向きリビングよりも暗くなっています。また狭小地となると、南向きの土地は(北側斜線のため)家が半地下になってしまうケースもあります。土地探しをしている時期、ある仲介業者さんから、「昨今のゲリラ豪雨で、半地下の家の被害が増えているんですよ。だから弊社としては半地下の物件を積極的にはお勧めしていません」と教えてもらいました。それ以来、カビ恐怖症の鳥夫により「半地下は対象外」となりました。あと角地も、狭小地の場合はデメリットになりえます。家のすぐ横が道路になるので、窓から通行人の気配がするでしょうし、散歩中のお犬様にマーキングされるリスクがあります。ということで、狭小地の場合は一概に「南向き」「角地」が良いとは限らないと思っています。それでも、鳥夫婦が購入した土地と同時分譲された南向き角地は、鳥夫婦の土地よりも坪数も少なく・変形地・家は半地下という条件にも関わらず、土地代が15%も高く設定されていました。日本人の「南向き信仰」が良く表れているなあと思いました。■ しっかり勉強してから契約しましょう……さて、保奈美さんとの設計の話。3F(不安・不信・不快)に満ちた悪夢の家造りとなってしまい、「ああ、もう、止めたい、逃げたい……」と本気で思いました。しかし、コンサルさんから「とにかく3か月間は白紙解除のことを考えずに、真剣に取組みましょう」と言われているので、なんとか踏ん張って保奈美さんと作業を続けました。それでもやはり根本的な諦めモードは否めず……。保奈美さんに伝えた間取図への要望は、その後の注文住宅の建築士さん相手に伝えたことの30分の1ぐらいでしたかね……。でもこの状況って、別にR社や保奈美さんが悪いことをしているわけではなく、R社の今回のサービスと鳥夫婦のニーズが合っていないだけなんですよね。強いて言えば、家づくりの勉強もせずに無知な状態で建築条件付きの土地契約をしてしまった鳥夫婦の責任です……。いや……。そうではないな……。ほら、あの場には、悪意(法律用語)の第三者がいたじゃないか……。そう。営業Sさん、お前だーーーー!!Sさんなら「鳥夫婦の要望的には建築条件付きではない」とわかっていたはず。にもかかわらず、そのことを鳥夫婦に教えてくれないまま契約させました。マイホームは人生にダメージを与えかねない高額な買い物なので、ほんと自分たちが勉強して身を守らないといけません……。(でもSさんには後々良い仕事をしてもらえることになるので、恨んでいません・笑)そして、この打合せの数日後、保奈美さんからメールで最新の間取図が送信されてきました。その間取図をコンサルさんに転送して見てもらったところ、「いろいろ質問や伝えたいことがありますので、電話で打合せを」という返信が送られてきました。(鳥)■この連載の一覧を見る■
2018年07月12日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。自分達の希望から全くかけ離れた規格住宅仕様の設計をしなければならない状況になってしまい、コンサルさんを黒幕に据えて、なんとか理想イメージに近づけようと奮闘する鳥夫婦です。■ 自分たちの無知を思い知る保奈美さん(40代半ばだと思われる女性設計士さん)謹製の間取図を、さっそくコンサルさんに転送して見てもらった鳥夫婦。コンサルさんから次々とツッコミが入りました。「1階・2階・3階で、水回りの位置が見事にバラバラですねえ。揃えた方が建築費も安くなりますし、後々のトラブルにも対応しやすいですが……。このままで大丈夫ですか?」「工法はおそらく在来工法ですよね。ところで耐震等級はどうなっているのですか?」「断熱はどう取るのでしょうか?」「柱に使う木材の種類は聞いていますか?太さは?」「白アリ対策は? おそらく防蟻処理された木材だと思いますが、木材の種類は何になりますか?」「とにかく早急に詳細仕様書と矩計図をもらうようにしてください。それを見れば大体わかるので」素人の鳥夫婦にはちんぷんかんぷんなことばかり。初めて耳にする専門用語も……。コンサルさんからの質問にほとんど回答できなかったことからも、いかに鳥夫婦が無知なままR社任せの家造りをしているのかが良くわかりました。■ 家づくりについて勉強スタート!さあ、これから、少しでも良い家を建ててもらえるように、R社に働きかけてゆかねばなりません。しかし、あくまでコンサルさんは黒幕であり、保奈美さんに質問や依頼をするのは鳥夫婦です。コンサルさんの受け売りのままだとおかしい。ニートのお兄さんに、親戚の幼稚園生が「はたらいてこそ、いちにんまえなんだよー!!」とか言うようなものです。ということで、まずコンサルさんから聞いた内容を自分達が理解しなくてはなりませんでした。もちろんコンサルさんは解説・説明をしてくれますが、初めて聞く専門的な話を一度聞いたぐらいでは理解できません。それからは、コンサルさんにアドバイスいただいた後にまずネットで調べて理解し、理解できたら保奈美さんにお願いするのが日課となりました。白紙解除までの3か月間、このようにコンサルさんに報告相談コンサルさんから指示を受けるまずはお勉強して理解する保奈美さんにアクション保奈美さんから対応受けるコンサルさんに報告相談というプロセスが繰り返されましたが、工法だの断熱だのの話がこみあってくるごとに鳥はついていけなくなり、脱落……。最後はほとんど鳥夫がやってくれました(鳥夫は設計の中身に興味が持てて楽しかったようで、助かりました)。鳥はとりあえず「親戚にもう定年した建築士のおじさんがいて、いろいろアドバイスをくれる」という嘘をつき、「白蟻ガー!!」「耐震ガー!!」「見積りガー!!」「矩計図ガー!!」と騒ぐ、心配性な奥様の役をこなしていました。■ 耐震について問うそんなある日、コンサルさんから「耐震等級はどうなっているのですか?」と聞かれました。鳥夫婦「耐震……等級?すみません、ちょっとわかりません……。ただR社の設計士さんが、”東西に壁が7枚はほしいので”と言いながら壁の数を増やしていましたが……。とりあえずそれも聞いてみますね」そしてまず耐震等級について調べてみました。耐震等級1:建築基準法レベルの建物強さ耐震等級2:建築基準法の1.25倍の建物強さ耐震等級3:建築基準法の1.5倍の建物強さとのこと。要は最低限でも耐震等級1になるようですね。そして保奈美さんに聞いてみたところ、「今回の仕様は耐震等級1で設計しています」とのご回答。え、そんなこと、初めて聞きましたよ……。そういうことも勝手に決められているのですね……。それまで耐震等級のことなんて全く意識になかったくせに、知ってしまったら気になります。「建物強さが1.5倍になったからといって安全なのか?」という根本的な疑問もあり、自分達が耐震等級を高めたいかどうかもわかりませんでしたが、タダで耐震等級を上げられるなら上げてもらいたいものです。やはりお金の問題ということになります。そこで、コンサルさんからのアドバイス通り「耐震等級1、2、3の場合、それぞれでいくらコストが上がるのか教えてほしい」と保奈美さんに聞いてみました。(鳥)
2018年07月06日建築家の長坂常と江戸小紋職人の廣瀬雄一のコラボレーションによる展覧会「亜空間として形成する伊勢型紙 江戸小紋の世界」が、表参道のEYE OF GYREで7月17日から8月26日まで開催。19世紀後半、欧米社会に押し寄せたジャポニスムの波から1世紀半を超えて、今また日本の文化に熱い視線が寄せられている。その潮流の中、アール・ヌーボーにも、そしてリバティ・プリントにも影響を与えた伊勢型紙の世界を、100周年を迎える廣瀬染工場の伝統的技術によって染め上げられた反物や着物を展示することによって、現代に甦らせようとする試みが今回の企画だ。さらに、江戸小紋の世界観にインスパイアされた建築家長坂常が、廣瀬染工場の4代目、廣瀬雄一とコラボレーションすることによって、実験的な反物や着物の製作に関わり、江戸小紋のあり方を今一度捉え直す機会ともなっている。デザインには伝統的幾何学的なものから、花鳥風月を象徴化したもの、江戸の人々の現実感覚や遊び心を映し出したものまで無数のバリエーションがある。幕末にシーボルトが浮世絵とともに膨大な型紙を持ち帰ったとの逸話もあり、そして、グラフィカルなこともあって、19世紀のヨーロッパの工芸、デザインに少なからず影響を与えたといわれている。実際の型紙は単なるデザインとは異なり、デザインが染めに生かされるためには、紙、道具、工程のひとつひとつにわたって職人の長い経験の上に培われた、知識を超えた身体的な感覚としての「技」が刷り込まれている。江戸小紋の二次元空間に包摂されているミクロの多元的な世界観を、ブルーボトルコーヒーの店舗などを手がける長坂常とのチャレンジングなコラボレーションによって、通常の物理法則が通じない時空連続体ともいわれている「亜空間」を創出することを試みる。7月19日には長坂常と廣瀬雄一の2人によるトークセッションを開催する予定。時間は19時から20時まで。【イベント情報】亜空間として形成する伊勢型紙 江戸小紋の世界会期:7月17日~8月26日会場:EYE OF GYRE住所:渋谷区神宮前5-10-1 GYRE3F
2018年06月22日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。コンサルさんを黒幕に据えて、海千山千の業者(R社)相手に、建築条件付きでもなんとか質の高い、納得のいく家造りを進めようと奮闘し始めた鳥夫婦です。■ R社の女性設計士さん登場R社との建築条件付き家造りの、初回打合せの日。ローン仮申請のための間取図作成は、男性の設計部長さん相手にやり取りしました。しかし初回打合わせの日は、入室するなり鈴木保奈美様風の40代半ばだと思われる女性設計士さんを紹介され、「今後は彼女が設計を担当させていただきます」と伝えられました(以下、保奈美さんと呼ぶ)。保奈美さんはサバサバした感じで「それでは、あとは、もう大丈夫ですので」と言い、さっさと設計部長さんに退出を促しました。そして保奈美さんはおもむろに以下のスケジュール表を出し、今後の流れについて説明して下さいました。この表を見て、「えっ、たった1か月で間取り確定!?」と驚きました。また今回は3階建てのため構造計算が法律で義務付けられており、ついては専門の構造設計事務所へ外注しなくてはならないとのこと。「間取図が確定したら、これ以上は変更しないというサインをしていただきます。サイン入りの間取図で構造計算にかけます。構造計算は費用がかかるので一度しか行いません。もしどうしても二度以上行いたいという場合は、追加費用をいただきます。ただ他の区画の方々もいらっしゃるので、鳥夫婦さんだけ進みが遅れるというのはちょっと困るのですが……」と説明を受けました(追加の構造計算代は説明されなかったので不明)。■ 3F(不安・不満・不快)に満ちた設計スタートこのスケジュール表には「工事請負契約」という項目が明記されていませんが、白紙解約の期限を迎える3か月後までには締結させるためのスケジュールだったのですね。すでにローン仮申請のために間取図は作成してあるものの、あんなの、設計部長さんとメールのやり取りだけで、仕方なく急いで作っただけの代物です。この間取りなら私達は幸せに暮らせるという確信が微塵も感じられていないのに、あと1か月で間取図を確定させなければならないのか……!?「人生で二度とないかもしれない大きな買い物なのに、こんなんでいいの??みんなこんな短期間で決めているものなの!?」3F(不安・不満・不快)でいっぱいになりながらも、保奈美さんとの間取図作成が始められたのですが……。鳥があーだこーだと言うばかりで保奈美さんは言いなり状態!しょせん鳥は素人です。木を見て森を見ず状態になっているかもしれません。てっきり、鳥の自由気ままな要望を受け取りつつ専門家らしい現実的な意見や提案を加えてブラッシュアップしてもらえるものだと思っていたので、ほぼ鳥の言いなりになっているだけの保奈美さんに強い不安を感じました……。■ 悪夢のマイホーム設計それとなく鳥夫が聞いてくれました。「土地契約の際に社長から”注文住宅のように建てられる”と言ってもらえたのですが、何かお話は聞いてらっしゃいますか?」保奈美さん「え?それはちょっと聞いていない……ですね……。鳥夫婦さんのところも今回の仕様で建てるのだと聞いておりますが……」鳥夫婦「……」庶民にとっては人生をかけた大きな買い物なのに、適当なことを言う社長。一級建築士の資格はあれど、職人気質が感じられない保奈美さん。どうせ注文住宅に変えてもらったとしても、信頼感の感じられないこのR社に設計してもらう限り、不安な家造りであることに変わりはない。しかも前回の適当な間取図による見積りですでに2,200万円に達しているのに、さらにお金がかかるであろう注文住宅に変えるなど、もう現実的に無理です……。「ああ、もう、止めたい、逃げたい……」この頃の鳥夫婦にとって「夢のマイホーム」という言葉は、「悪夢のマイホーム」という意味でしかありませんでした。(鳥)■この連載の一覧を見る■
2018年06月22日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。自分達が契約した「建築条件付き」というものが、「土地代を安く見せて客寄せし、上物の建築費で土地の利益分も取り戻す手法」だと知って、一気に落ち込んだ鳥夫婦です……。■ 一度会ったきりのコンサルさんに連絡を取ってみたマイホームは、一庶民には人生をかけた大きな買い物です。「安い買い物でもない」「おそらく上物の質は期待できない」「鳥も四ツ谷を忘れていない」となったら、もう白紙解約という文字が浮かびました……。「でも白紙解除ってそう簡単にできるの?たくさんの人の時間と労力を使って契約までしておいて、自分たちの都合でキャンセルできるの??それなりの理由がないと先方も納得しないんじゃないの???」不安に駆られた鳥夫婦は、あれから事後報告もせず放置してしまっていたことに罪悪感を感じながらも、あのコンサルさんに相談してみることにしたのです。メールしてみたところ、すぐにネット電話で相談にのってくれることになりました!建築条件付きの意味がわからないまま、土地を契約してしまった無知な素人の鳥夫婦では、どんな質の家なのかさえわからないいざとなったら白紙解約したいが、海千山千の業者相手に解約できるか不安などと説明し、サポートをお願いしたのですが、難色を示されお断りされてしまいました……。でも何千万円という人生かかった契約を締結してしまい、追いつめられている鳥夫婦。なんとか喰らいついて、「今回の家がどういう質のものなのか教えてもらえるだけで良い。あとは自分たちで意思決定するので!」と頼み込みました。するとやっとコンサルさんが「R社に恨まれるのは困るので、私の名前は決して出さずに黒幕のままでよければ、鳥夫婦さんの家造りの知識の一助にならせていただきます」と、サポートを引き受けてくださることになったのです!■ コンサルさんからのサポートメールそしてR社との初回打ち合わせの前日に、コンサルさんから以下のようなメールが届きました。*************************************明日以降の先方との打ち合わせについて、付け加えさせていただきたいことをお送りいたします。2点ございます。ひとつは、期限の日まで時間がありませんので、積極的に働きかけて、可能な限り打ち合わせを行うようになさってください。理由は工事契約前に、どの程度詳しい実施設計図と仕様書を出してもらえるか、わからないからです。そしてもうひとつは、(現時点では)あまり先方を追い詰めないよう、心がけながら進められた方がよいと感じております。私も付いておりますから、どうしても強気に出たいと感じる場面が出てくると思いますが、そこはグッとこらえて、先方を上手にコントロールするつもりで進めて行きましょう。なお、その場で即答してはいけないと感じたものについては一旦持ち帰り、ご質問くださいませ。これからお二人は大変な思いをされると思いますが、私は鳥夫婦の家づくりを楽しませていただくことにいたします(笑)。-追伸-「どうしても納得が行かない」ということになるまで、白紙撤回のことは一切考えず、工事契約するつもりで進めて行ってくださいね!*************************************■ コンサルさんを黒幕にして家造りスタート建築条件付きのからくりについても契約後に知ったほど情けない状態だったので、このように家造りのことを十二分にわかっている専門家がバックについていてくれるのは、非常に心強い思いがしました。それからは、R社との打ち合わせをしてはその内容をコンサルさんに話し、R社の家造りの思惑や甘さを解説してもらったり、次の対策を指示されたりするという日々が始まりました。初めてお会いしたときのように会話の中で引っかかるものはあれど、助けられることの方がよほど多く、「コンサルさんが居てくれて、本当に良かったね(泣)」と夫婦で日々感謝していました。メールにある通り、あくまでも契約するつもりで取り組むよう指示を受けてはいましたが、当然ながらコンサルさんはR社の家造りに批判ばかり……。たまにコンサルさんの口から「こうしてR社とやり取りしている内容は、決して無駄にはならないですから」「この家で、本当に良いのですか?」という本音めいた言葉も漏れていました。おそらくコンサルさんは、「鳥夫婦さんの性格で、建築条件付きでの家造りに満足できるはずがない」「この土地は白紙解約して、新たな土地に注文住宅を建てることになる」という見通しを持っていたのではないかと思います。(鳥)
2018年06月15日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。帰宅ラッシュの終わっていない中央線に揺られながら、「四ツ谷に注文住宅を建てる夢が忘れられない……。まさにマリッジブルーという感じ……。大好きな人以外と結婚するのが怖い……」と泣いて告白した鳥です。■ 好きではない土地と結婚する恐怖土地契約って結婚にそっくりですよ。今後の長い長い暮らしのなかで、自分が日々なにを感じて生きてゆくのか、相手からの影響は計り知れません。人それぞれ感じ方は違うと思いますが、鳥の場合は相手の将来性や条件などは二の次で、とにかくその時好きな人とじゃないと絶望してしまいます。大好きじゃない人と結婚するなんて……、ううう、もう怖くて怖くてしょうがない。普段からしばしば「もし自分がどこかの小国のお姫様で、お国のために別国の王子と政略結婚させられたとしたら……」と妄想しては、「ううう、どうしよう、絶対イヤだ……!」と無駄に苦しんで遊んだりしているぐらいです。この時はとにかく四ツ谷が大好きで、「四ツ谷≒幸せな未来が待っている」と思い込んでいました。整形地・破格・車庫も作れる・駅近・スーパーも便利という西新宿の土地の方が条件的には良いことはわかっているのに、鳥夫婦の予算では傷物の土地しか望めない四ツ谷に惹かれる心を忘れられなかった。でも自らの足でY社に行き、自らの手でたくさんの書類にハンコを押してしまった……。そんな状況に追い詰められていました。そんなときに鳥夫から「どうしたの?嬉しくないの?」と問われ、人目も憚らず泣き出してしまったのです。■ 鳥夫の反応マイホームは、夫から妻への愛のプレゼントです。こんなに大きな決断をしたのに、肝心の妻が喜んでくれないことに、いつも温厚な鳥夫もさすがに感情を露わにし、「なんでもっと早く言わないの!今更どうするんだよ!」と怒りをぶつけてきました。鳥はボロボロ泣きながら、「自分でもどうしたらいいかわからなかった。あそこがすごくいい土地だとよくわかっている。私だって新宿は大好きだし、あそこに地縁があるとも感じているし。あとは私の四ツ谷への執着だけ。私の気持ちだけが流れに逆らっているだけじゃない。それがわかっているから、早く気持ちを変えようと思っていたけど、そう簡単に気持ちが変えられなくて…。でも白紙解約の期限まで3か月あるから、その間にまた気持ちも変わっていくかと思って……」と説明するしかありませんでした。優しい鳥夫はすぐに鳥の告白を受容してくれましたが、それでも感情を押し殺しながらの抑揚のない声で「まあ、いざとなったら白紙解除できるから……。どうしても四ツ谷が良かったらやめればいいし……。でも、そう簡単に白紙解除ってできるものなのか不安だけど……」と言いました。■ 建築条件付きのからくりを知る契約が済むと、家造りについてほとんど勉強ができていないままに、すぐに建築条件付きでの家造りが始まりました。すでに住宅ローン仮申請のための間取図作成において、住宅性能の話はなかった建材の説明はなく、住設機器などの説明しかなかった標準仕様が決められていて、それ以外はオプション料金一式見積書しかもらえない間取りの相談しかされなかったという違和感を強く感じていました。そして建築条件付きの家造りについて調べて行くうちに、「建築条件付きとは、土地代を安く見せて客寄せし、上物の建築費で土地の利益分も取り戻す手法」だということを知ったのです!建築条件付きの物件に対して「土地だけ売ってもらいたい」と頼むと、1~2割の利益を上乗せされることが多いとのこと……。多めに見積もって2割だとすると、鳥夫婦が契約した土地は、3,500万円 × 1.2 = 4,200万円となります。まだこの付近の土地相場(ネットからの公開物件)に比べれば安いですが、鳥夫婦が契約に踏み切った理由である「破格感」「掘り出し物感」はない……。しかも、これから「実は見積金額よりよっぽど品質の低い家造り」が始まると思うと、もう、もう、暗い未来しか描けなくなってしまいました……。(鳥)
2018年06月12日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。破格の土地価格(※ただし建築条件付き)の契約を迫られ、「100万値引いてくれるなら契約するけどォ」とSさんのシナリオに黒いインクを落とした鳥です。※過去の記事を読む■ やり手Sさんの活躍ネットから得られる公開物件相場よりも、もともと坪40万ほど安かったので、鳥も内心「無理かなー」と思っていました。でも少しはこっちのためだけに動いてもらわないと!鳥ばかり妥協させられている犠牲感がぬぐえないし!さて、そんな鳥の挑戦状に対し、やり手の営業Sさんはどうしたかというと…縦横無尽に飛び回り、獅子奮迅の働きを見せて、非公開物件&安価だった物件にもかかわらず、なんと80万円値引きを獲得して来やがった。その方法とは、隣の分譲区画もY社が仲介中。しかも別の営業くん(若造)が担当今回の物件はベテランSさんの伝手で持ってきた話だから、その営業くんに「値引きはさせるなよ」とプレッシャーをかける売手R社に「隣の区画は決して値引きさせないので、なんとか鳥夫婦の区画は値引きしてくれないか」と頼み込むR社の社長と懇意の上司にも同行してもらい、何度も頼み込むというものでした……。どこまで本当の話か分かりませんが、80万円値引きを獲得してくれたのは事実です。ハラハラしていた鳥夫、さらに大喜び!■ 土地契約に運命を感じる人は多いここまで来ると、なんか変な感覚が生まれました。鳥の意思で決めるものではない感じ。川面に浮かぶ一葉のように、抵抗してもくるくると乱れるだけで、結局、地縁のある土地へとつながれてしまう感覚。思わず、空に向かって問いかけました。「ねえ、運命って決まってるの?」あとは鳥の気持ち次第。困ったことにすぐには「四ツ谷がいい」という気持ちに変化がありそうにない。でもこんなに強く「流れ」を感じているのに拒絶する勇気もない。「建築条件付きだから、いざとなったら白紙解約できるし……。とりあえず、とりあえず今は、契約しよう……」運命に抗う勇気も持てない鳥には、最終意思決定を先延ばしにすることが精一杯でした。■ とうとう土地契約!土地契約の日。退社後に鳥夫と待ち合わせ、Y社へと向かいました。Y社には、すでにR社の社長がお待ちになっていました。営業Sさんと宅建主任さんが横につき、淡々と契約締結のプロセスが進められていきます。現金で持参した分厚い手付金もお渡ししました。鳥夫が、たくさんの書類に氏名を書き込んでは、印鑑を押し続けます。契・約・締・結。事務作業が終わり手持無沙汰の雰囲気が流れると、どちらかともなく会話が始まり、話は家の設計に。鳥夫が「妻は注文住宅のような家が希望なので、そこだけが気がかりなんですが……」と伝えてくれました。するとR社社長は「うちは注文住宅も手掛けていますから!やれないことはないと思っていただいて大丈夫です!なんでしたら注文住宅専門の部署の設計士もいますので、もちろん料金はかかるのですけど、そちらに設計させることもできますから!」とニコニコ笑いながら言ってくれました。家造りの勉強をしていくにつれて、徐々に建築条件付きへの不安も強くなっていた鳥。社長の言葉を聞いて心底ほっとし、思わず「あ、そうなんですか……。良かったあ」と漏らしました。しかし後に、この社長の言葉は何の意味もなかったと思うことになるのですが…。■ まさにマリッジブルー!?Y社を後にし、電車で帰る道すがら。鳥夫は、大きな決断をした夜に興奮しています。山と川に囲まれる自然豊かな地方に生まれ育ち、毎晩のように「オールナイトニッポン」を聴きながら恋い焦がれた東京。その憧れの東京に、狭小地ながらも一国の主となれたのです。こうして多額のローンを背負う覚悟を決めるまでに、鳥夫もたくさん怖れの感情を越えてきました。その一方で、いまいち浮かない顔の鳥……。実は、鳥は「四ツ谷がいい」という本心を鳥夫に話せないままこの日を迎えていたのです。間取図作成・ローン審査・契約締結などなど、それなりに前向きな姿勢がないと進められなかったので、鳥自身も自分の気持ちに蓋をして走り続けてきたのです。いつも喜怒哀楽のはっきりしている鳥が、いまいち歓喜していない様子を見て、鳥夫が尋ねました。「どうしたの?嬉しくないの?」その一言を聞いて、堰を切ったようにぽたぽたと大粒の涙が流れ落ちました。「四ツ谷に注文住宅を建てる夢が忘れられない……。まさにマリッジブルーという感じ……。大好きな人以外と結婚するのが怖い……。将来が見えない……」まだ帰宅ラッシュの終わっていない中央線のなかで、鳥は泣きながら告白しました。(鳥)■この連載の一覧を見る■
2018年06月05日「サンタフェ リー・ダークスコレクション浮世絵最強列伝―江戸の名品勢ぞろい―」展が、2018年7月3日(火)より、京都・相国寺承天閣美術館で開催される。日本美術を愛する収集家、リー・ダークスの浮世絵コレクションを初公開今回、その多大な所蔵作品を公開するリー・ダークスは、空軍士官として日本に駐留したのを契機に日本文化に関心を持って以来、浮世絵版画の名品を収集してきた米国人コレクター。浮世絵の祖・菱川師宣、美人画の喜多川歌麿、役者絵の東洲斎写楽、そして葛飾北斎や歌川広重など、代表的な浮世絵師の優品のみを集めたコレクションの数々を紹介する。華麗な色調を残した貴重な作品群浮世絵200年の歴史を網羅した稀品、著名作品で構成されているダークスコレクションは、浮世絵の歴史を語る上での重要性を持つだけにとどまらず、その大半が極めて良好な保存状態にあり、まるで今摺り上がってきたかのような華麗な色調を残しているのが特徴だ。200年の歴史と共に鑑賞する、浮世絵の真の芸術性展覧会は全六章で構成。菱川師宣や鳥居清信・清倍など、江戸独自の浮世絵文化を形成した浮世絵師に迫る第一章からはじまり、美人画・役者絵の国貞、武者絵・戯画の国芳、名所絵の広重と、幕末・天保期の浮世絵界を牽引した歌川派の絵師たちの作品を紹介する第六章まで、浮世絵の歴史を辿りながら、その真の芸術性を鑑賞出来るものとなる。浮世絵をモチーフにしたオリジナルグッズもまた、会場では浮世絵をモチーフにした展覧会オリジナルグッズも販売。本展における代表的な浮世絵を、光を吸収・蓄える特殊な素材でプリントした蓄光Tシャツ、ポップな色調と浮世絵を組み合わせたメガネケースなど、様々なグッズが用意されている。開催概要「サンタフェ リー・ダークスコレクション浮世絵最強列伝―江戸の名品勢ぞろい―」展会場:相国寺承天閣美術館開催期間:<前期>2018年7月3日(火)〜8月5日(日)<後期>2018年8月8日(水)〜9月30日(日)休館日:8月6日(月)、8月7日(火)開催時間:10:00〜17:00(最終入館は16:30)※前期、後期で全点展示替えを行う。チケット:一般 1,000円(800円)、65歳以上・大学生 800円(600円)、小中高生 500円(300円)、団体 800円(20名以上・一般のみ)※( )内は前売料金※リピーター割引あり(会期中2回目以降の鑑賞は、半券と引換にて100円割引※前売券は5月28日(月)から7月2日(月)までの限定販売。チケットぴあ(Pコード:769-039)、ローソンチケット(Lコード:52637)ほか、主要プレイガイド、コンビニエンスストアなどで販売■巡回展・山口県立萩美術館・浦上記念館会期:<前期>2018年4月28日(土)〜5月13日(日)<後期>5月15日(火)〜 5月27日(日)住所:山口県萩市平安古町萩市平安古586-1・横浜髙島屋会期:2018年10月10日(水)~10月22日(月)住所:神奈川県横浜市西区南幸1-6-31・日本橋髙島屋会期:2019年1月9日(水)~1月21日(月)住所:東京都中央区日本橋2-4-1・大阪髙島屋会期:2019年2月23日(土)~3月11日(月)住所:大阪府大阪市中央区難波5-1-5
2018年05月28日最新号の住まいの設計2018年7-8号の巻頭特集は、「私たちがハウスメーカーで家を建てたワケ」。日本のハウスメーカーの建てる住宅が優秀なことは、もう皆さんご存じですよね。でも、ハウスメーカーで家を建てる人が、それを決めるポイントってなんだと思いますか?意外に、そのポイントって知らなかったりしますよね。そこで今号ではそのポイント・ワケを解明すべく、ハウスメーカーで家を建てた人にお聞きしました。その答えには、あなたの「そこが知りたかった」が全部あります!また、第二特集では、いろんなカタチの二世帯住宅についてご紹介。その一部をのぞき見してみましょう。■ 【巻頭特集】私たちがハウスメーカーで家を建てたワケハウスメーカーで家を建てた人の声をここでちょっとだけ紹介します。三井ホーム木の温もりを感じながら高性能でいつも快適な家埼玉県・入間市のM夫妻が求めたのは、木の温もりが感じられ、インテリアも満足のいく高性能の家。そこで設計を依頼したのは、三井ホーム。選んだポイントは「引き出しが豊富」、「インテリアが高感度」……(ほかの3つは誌面で!)と教えてくれた。キッチンを中心に据え、家族がコミュニケートしやすい家が実現したと語るM夫妻のこだわりとは?キッチンセンタープランの1階。キッチンは、妻がイメージ をつかみ、三井ホームのインテリアコーディネーターに相談して製作を進めました。水晶を主素材とした硬質なワークトップは、広々として使いやすそうですリビングは木の温もりを生かしつつ、アクセントウォールが空間を引き締めています。塗装は友人なども参加し、DIYで行ったそう(撮影:中村風詩人)セキスイハイムソーラー発電+蓄電池で家事ラクの賢い暮らし夫の実家の敷地内に住まいを新築した茨城・つくば市Aさん一家。複数のハウスメーカーを検討する中で、夫妻の心を射止めたのはセキスイハイムの「スマートパワーステーション」でした。「スマートパワーステーション」とは、屋根一体型のソーラーパネルで大容量の発電が可能なうえ、蓄電池も完備したエネルギー自給自足ができる家のこと。当然セキスイハイムを選んだポイントには、「エネルギーの自給」を筆頭にあげていました。「8割を工場で生産」、他3つ・・・。共働きで忙しい夫妻の家事を、電気代を気にせず家電でサポートすることで、家事ラクの賢い暮らしを実現したというAさん。そのほか、セキスハイムにしたかったポイントを5つ伺いました。白ベースのシンプルな内装にアート作品が映えるLDKには、ポップでカラフルな家具を選んだというAさん。多忙な毎日の中でも、家電の助けを借りて家事を効率よくこなし、笑顔にあふれる家族の時間が育まれているとか(撮影:飯貝拓司)■ 【第二特集】みんなの希望を叶えましたいろんなカタチの二世帯住宅第二特集では、「みんなの希望を叶えましたいろんなカタチの二世帯住宅」。四世代が一緒に暮らす家など、現代の大家族が暮らす家をちょっとだけ見てみましょう。四世代が住む二世帯住宅家族をつなぐ街路のような路地空間神奈川・横浜市K・Nさんの家は、四世帯が住む二世帯住宅。この家の敷地の中央を走るのは、階段状の石貼りの路地(以下の写真中央部分)。この路地を囲むように小さな棟が計6棟建ち、空中の随所にブリッジがかかっている斬新な構成の二世帯住宅になっています。家族の自然な行き来を促す知恵が結集された家だというK・Nさん。四世代6人が暮らす分棟型ハウスの魅力をご紹介していきます。祖母のスペースから路地越 しに子世帯のLDKを見たところ(撮影:川辺明伸)その他にも、読み応えのある情報が満載!日本のハウスメーカーの「今」を大解剖!「知っているようで、実はよく知らない?日本のハウスメーカー大解剖」では、構造・工法はもちろん、工業化住宅の特徴、大企業ならではのメリットや住宅事業で培われたノウハウを生かした、住宅事業以外の取り組みなどもあわせて紹介します。先月号からスタートした、「住まいのあれこれ見聞録」。「住まいの設計」編集長が今気になったコトやモノを突撃取材しています。今号は、外国人も激賞する日本のトイレについて。日本のトイレの使い心地やトレンドなど、一体どこがそんなにスゴイのか?【家づくりに役立つ様々な情報が満載の住宅雑誌】「地元で評判の工務店を探せ!」では、あなたの地元にもきっとある実力派工務店の実例を紹介。ほかにも「LIVING UP」では最新のインテリア情報を「Sumaiの設備NAVI」ではデザインと機能性に優れた窓の数々を紹介。家づくりの役立つ盛りだくさんの内容をお届けします。もっと詳しく見たい方は、「住まいの設計2018年7-8月号」をご覧ください!住まいの設計2018年7-8月号私たちがハウスメーカーで家を建てたワケ日本のハウスメーカーの建てる住宅が優秀なことは、もう皆さんご存知ですよね。でも人はなぜ、ハウスメーカーで家を建てることを決意するのでしょうか。そこで今号ではその理由を解明すべく、ハウスメーカーで家を建てた人の声を聞きに行ってきました。あなたの「そこが知りたかった」にお答えします。ちょっと試し読みする【お詫びと訂正】現在発売中の「住まいの設計7.8月号」で誤りがありました。P36「住友林業」記事の中のデータ部分で仕上げの素材を「外壁/ガルバリウム鋼板」と表記しましたが、正しくは「外壁/モルタル」です。訂正してお詫び申し上げます。
2018年05月22日初夏の行楽気分を味わえるレシピ三品炊き込みではなく、出汁がけでいただくのが江戸の味『筍飯』浅蜊たっぷりの味噌汁をご飯にぶっかける、豪快な漁師飯『深川飯』徳川家康存命中は高嶺の花だった白魚をご飯に乗せた『白魚飯』『筍飯』(4杯分)「名飯部類」「黒白精味集」より炊き込みではなく、出汁がけでいただくのが江戸の味。■材料(4杯分)・筍…穂先から10cm程度・米…2合・水…400ml・鰹出汁…600ml・醤油…小さじ3・塩…小さじ1/2・木の芽…適量・三つ葉…1束・紅たで…適量・揉み海苔…適量■作り方1)筍の先の柔らかい部分を10015cmほどを切り取って塩茹でし、好みのサイズに切る。2)白米を通常通りに炊き、炊き上がった直後に切った筍を入れて蓋をし、しばらく蒸らす。3)これをざっくりと混ぜて深めの茶碗に盛り、木の芽、三つ葉、紅たで、揉み海苔などを乗せ、塩と醤油で味付けをした鰹出汁をかけていただく。江戸時代、三代将軍・徳川家光によって再興された目黒不動の門前には、「筍飯屋」が軒を連ねていました。ここで使われていたのは、現在の私たちが口にしているのと同じ、孟宗竹(もうそうちく)という種類です。甘くて柔らかい孟宗竹が、中国から琉球を経由して薩摩に渡来するまでは、日本では淡竹か真竹の筍が食べられていました。いち早く孟宗竹に目をつけたのは、江戸の京橋で廻船問屋を営む山路次郎兵衛という商人で、まずはこの筍を桐の箱に入れて高級感を出し、馬に乗せて販売することから始めました。孟宗竹の筍が評判になると、次郎兵衛は安永元年(1772年)、戸越村に別邸を構え、貧しい地元の農民のために、薩摩屋敷から孟宗竹の苗木を取り寄せて、栽培を推進しました。やがて目黒と荏原一帯は孟宗竹の産地となり、人々が多く集まる目黒不動では筍の市が立ち、茶飯屋と組んで筍飯を開発し、販売するようになったのです。この頃の筍飯は、炊き込みご飯ではなく、出汁がけだったと思われます。たくさんの薬味とともにいただく筍飯は、見た目も色とりどりで美しく、筍の香りや渋みがストレートに楽しめる逸品です。『深川飯』(二人前)浅蜊たっぷりの味噌汁をご飯にぶっかける、豪快な漁師飯です。■材料(二人前)・殻付き浅蜊…500g・長葱…1/2本・ご飯…2杯分(冷や飯でも可)・水…400ml・味噌…大さじ2・薬味…少々(お好みで)■作り方1)砂抜きした浅蜊を、殻をこすりあわせてよく洗う。長ねぎは1cm 幅に切っておく。2)鍋に水と浅蜊を煮立て、浅蜊の口が開いたらすぐに鍋から上げてスプーンで身を外す。3)浅蜊の煮汁に葱を入れ、火が通ったら浅蜊の身を鍋に戻して味噌を溶き入れ、ひと煮立ちさせる。4)器にごはんを盛り、3をかける。お好みで薬味や三つ葉を散らす。初夏の行楽の一つである「潮干狩り」が盛んになったのは、江戸時代のことです。「現在の4月から5月、芝浦・高輪・品川 沖・佃島沖・深川洲崎・中川の沖から、早朝より船に乗って沖に出る。卯の刻(午前6時頃)過ぎより潮が引き始めて、午の半刻(正午頃)には海底が陸地と変わる。ここに降り立って蛎蛤を拾い、砂の中にいる平目を踏み、引き残った浅汐で小魚を捕獲して宴を催した」と『東都歳時記』(1838年)に書かれています。 平目や小魚まで手に入れて、潮が満ちてくるまでその場で宴会とは、羨ましい限りです。また、海に面していた深川では浅蜊がたくさん獲れました。 深川の漁師たちが、味噌や醤油で煮た浅蜊と葱を、船の上でごはんにかけて食べた漁師飯が「深川飯」です。 当時は「ぶっかけ飯」や「浅蜊飯」と呼ばれており、「深川飯」と呼ばれるようになったのは昭和に入ってから。現在、深川名物となっている『深川めし』は、醤油ベースの煮汁ごとぶっかけるタイプと、炊き込むタイプの2種類があります。 炊き込むタイプは、『深川めし』を持ち運びできるようにと、近年考案されたものだそうです。『白魚飯』(二人分)「名飯部類」より徳川家康存命中は「御止魚(おとめうお)」。高嶺の花だった白魚をご飯に乗せて。■材料(二人分)・白魚…20匹程度・温かい御飯…2杯・海苔…2枚・鰹出汁…300ml・醤油…小さじ1・塩…少々・芽葱(小葱でも)…適量・山葵…少々(お好みで)■作り方1)白魚は水洗いして塩水に浸け、その間に蒸し器を温めておく。2)蒸し器に クッキングシート等を敷き、白魚を並べて軽く蒸し、自然に冷ます。(真っ直ぐな白魚にこだわらないのであれば、塩を入れた湯で軽く茹で、水気を切る)3)出汁に塩と醤油を入れて温め、器に盛った御飯にかける。その上に炙った海苔と2を乗せ、芽葱、山葵などを添える。成魚でも体長10cmに満たない白魚は足が速いため、夜の間に隅田川下流で漁を行い、魚河岸が開かれる早朝に合わせて出荷していました。白魚が江戸で初めて漁にかかった時、透けて見える脳髄が葵の御紋に似ていたことから、佃島の漁師が不思議に思って徳川家康に献上したところ、「三河の海で獲れる白魚が、江戸前の海でも獲れるとは吉兆なり」とたいそう喜び、好物である白魚の漁獲量を確保するため「御止魚」にしました。家康亡き後、解禁になった白魚は、公方様好みの魚としてもてはやされ、篝火に誘われて集まってくる白魚を、四手網(よつて0あみ)ですくい取る白魚漁は、江戸の風物詩になりました。 漁場に芸者を連れて小舟を出し、獲れたての白魚づくしの料理を海の上て0いたた0く、という贅沢な遊びもありました。
2018年05月14日伝統工芸「江戸切子」にチャレンジ東京の下町・浅草にある「グラスファクトリー創吉」は、グラス&バー用品の専門店。ここでは、江戸切子体験を楽しむことができます。江戸切子は、江戸時代末期に東京で始まったガラス細工で、緻密で繊細な柄が美しい東京の伝統工芸です。体験の所要時間は約90分。透明グラスの加工は3,000円(税抜)~、色のついたグラスの加工は4,500円(税抜)~。1人でも気軽に参加することができます。機械は18台あり、一度に18人、同じ団体であれば36人まで作業ができるので、友人達と一緒に体験をしてみるのもいいですね。しっかりとしたサポートで安心。夢中で楽しんでどんな江戸切子にするのか、数十種類のサンプルから選びます。柄とグラスの形が決まったら、作業開始。江戸切子の技法でカットをしていきます。まず、カットを施す場所に、ペンで印を付けます。印を付けたら、いよいよカット。高速回転しているグラインダーに、グラスを押し当ててカットしていきます。ガラスを当てるとき、割れてしまうのではないかと心配になりますが、意外と強くて丈夫なので、尻込みせずに押し当てましょう。もし失敗してしまっても大丈夫。先生が丁寧に修正してくれるので安心してくださいね。江戸切子体験は、単調ながらも繊細な作業なので、集中しすぎて思わず無言になるほど夢中で楽しむことができます。プレゼントにもぴったり!お店はグラスの専門店ということもあり、アーティストとコラボレーションしたグラスや、珍しい形のグラスなども販売しています。お祝いや記念品に、世界にひとつだけのオリジナルグラスを作ってくれるサービスも魅力的。「グラスファクトリー創吉」は、東京メトロ銀座線「浅草駅」の4番出口すぐのところにあります。浅草寺の雷門からは徒歩5分ほど。本格的な江戸切子体験を楽しめる「グラスファクトリー創吉」で、繊細で美しいグラスを作ってみませんか?自分で制作したグラスは大切な方への贈り物にもぴったりです。スポット情報スポット名:グラスファクトリー創吉住所:東京都台東区浅草7-2-14電話番号:03-6802-8948
2018年04月24日日本橋を望めるリバービューのテラス席が自慢のお店「ニホンバシ イチノイチ」の路面側はガラス張りで、エントランスはとてもシンプルな作りです。店内に入ると、落ち着いた色合いのシックな空間。間接照明が用いられ、大人っぽい雰囲気のバーカウンターがあり、その隣にはテーブル席が並びます。お店の自慢は、400年の歴史を刻む「日本橋」を望めるリバービューのテラス席があること。白いちょうちんが飾られたテラス席では風を感じることができ、仕事帰りのビジネスマンや女性客から人気があります。所在地の番地がそのまま店名になっているお店です。香りや食感も最高! 「牛ハラミ肉のほう葉味噌焼」「牛ハラミ肉のほう葉味噌焼」(1,780円)は、お店が太鼓判を押す人気メニュー。枯ほお葉の上に味噌と牛ハラミ肉を乗せて焼き上げた、飛騨地方で親しまれている郷土料理です。席に運ばれてくると、ほう葉と味噌の香りがふわっと広がり、食欲が刺激されます。牛ハラミは黒毛和牛で、やわらかくとろけるような食感。味噌は余ったら他のメニューに付けて楽しんでも良いでしょう。お酒のアテにピッタリの逸品です。後味サッパリ! 「抹茶パフェ」はデザートにおすすめ「抹茶パフェ」は大人気のスイーツメニュー。抹茶シャーベットやバニラアイスと一緒にグラスにのるのは、モチモチとした食感が楽しい黒糖ゼリーや抹茶味のわらび餅。さらにあんこや生クリーム、フルーツに白玉など、美味しいものがぎゅっと詰まっています。後味がサッパリとしているので、パフェを普段食べない人にもぜひ味わってもらいたい一品です。お店の名物! ふっくら炊き上げた「真鯛の土鍋めし」「真鯛の土鍋めし」は、「ニホンバシ イチノイチ」の名物メニュー。木の芽が添えられて上品な見た目のご飯は、鯛のうまみやだしの風味が全体に行き渡り、ふっくらとした仕上がり。土鍋でじっくりと炊き上げられているので、お米がひと粒ひと粒立っています。鯛の身をほぐして全体をかき混ぜてからお茶碗によそいましょう。1杯目はそのままいただき、2杯目はお茶漬けにして楽しむこともできます。お店を訪れたら外せないメニューです。洗練された空間で、絶品創作和食を楽しめるお店「ニホンバシ イチノイチ」では旬の素材を使ったおいしい創作和食を、洗練された多彩な空間で楽しめます。ダイニングルームやバースペース、ボックス席などがあり、さまざまなシーンで利用できます。また、16:00~19:00の時間帯は、1杯300円からのリーズナブルなハッピーアワーを開催しており、仕事を早く切り上げて足を運びたくなるお店です。東京メトロ・日本橋駅のB9出口からから徒歩1分と、そのアクセスの良さも人気の理由です。ニホンバシ イチノイチの落ち着いた空間で、江戸の風情を感じながら絶品和食に舌鼓をうちませんか。スポット情報スポット名:ニホンバシ イチノイチノイチ住所:東京都中央区日本橋1-1-1 国分ビルディング1F電話番号:03-3516-3111
2018年04月23日こんにちは。新宿に注文住宅を建てて暮らしている鳥と申します。スタイリッシュな注文住宅をイメージしているのに、よくわかっていないまま、建築条件付きへの自動エスカレーターに乗ってしまった鳥夫婦です。※過去の記事を読む■ 希望が確定していないと押しに弱くなるとりあえず契約を締結するにあたり、住宅ローンの仮申請を通す必要がありました。そのためには間取図のたたき台を作り、見積りを算出しなければなりません。この頃のことは、もう数年前のことですし、詳細なやり取りについては覚えていません……。ただ、自分だけが四ツ谷に執着しているまま、現実がどんどん新宿の建築条件付き物件に向けて進められていくのを傍目に見ながら、「引き返すなら今だ」「でも四ツ谷でいい土地が見つかるとは限らない」「この新宿の土地を選ぶ方がマトモな選択なのだろう」「でも本当にこの仕様の家でいいの?この仕様の家に大金を払うの?」と逡巡していた感覚は良く覚えています。鳥夫が興味あるのは土地(立地)だけだったので、家(上物)に対する希望イメージはありませんでした。だから家のイメージや仕様については、鳥の感覚にかかっていたのです。「建築条件付きだから、いざとなったら白紙解除できるし…」という甘えの気持ちがあり、結局、鳥は周囲に流されることを選択してしまいました。ただ関係者が動いてくれればくれるほど、「私のワガママで白紙解除なんてそう簡単に言えそうにない…」というプレッシャーが積み重なっていきました。そんなやる気のない状態のまま、とりあえずの間取図ができて、見積があがってきてしまいました。■ 建築条件付きの見積書にビックリ間取図たたき台のざっくりとした条件は以下です。3階建て+搭屋(ルーフバルコニー付き)延床面積は約30坪そして出された見積書がこれです。2行目以降はすべてオプション。つまりオプションなしで建てれば1,650万円で建つということです。やはり建売仕様(かつ数棟同時着工)ですから安いですね。ここに土地の利益も入っているのですから、実際はもっと安い見積書のはずです。…と、今でこそ感触がつかめますが、当時の鳥夫婦はこれが安いのか高いのかもわからない状態でした。でもこの見積書を見て唖然としました。「1.本体工事」が1,650万円という大金なのに、内訳がブラックボックスなの?キッチンの3枚引戸が40万円もするの?ユニットバスのサイズを上げるだけで35万円も変わるの?洗面化粧台をワンサイズ上げるのと、床暖房取りやめが、ほぼ同じ値段??ルーフバルコニーは雨漏りしやすいというけど、この175万円の仕様って、どのレベルの施工なの?とりあえずこの家の仕様でこの金額って、妥当なの??数百円の日用品でさえ、ネットで一番安いサイトを探して、送料もチェックして買うタイプの鳥夫婦にとって、この見積書はあまりに受け入れがたいものでした。■ 営業Sさんになけなしの抵抗ざっくりの間取図による見積額2,027万円に、消費税8%をかけると、2,189万円です。土地代約3,500万円に、この上物約2,200万円で、合計約5,700万円。諸経費を入れたら約6,000万円。もともとSさんには、「予算は諸経費入れて5,500万円まで」と伝えてあったのに……。不動産屋には、最初から1~2割引いた予算を言えと言われるそうですね。こうやって予算オーバーの物件を勧められてしまうから。無事ローンの仮審査は通ったので、いよいよ鳥夫婦は土地契約を迫られました。土地(立地)が強く気に入ったため契約したい鳥夫。契約を急かす営業Sさん。鳥だけが抵抗勢力。ああ、みんなに迷惑をかけている、どうしよう……と焦っていたのですが、ふと気づきました。四ツ谷じゃなくなっている予算から大幅にオーバーしている既製品だらけの建築条件付き…なんかSさんのシナリオ通りに進んでいるだけじゃん……?…なんかイライラしてきた……ということで、「土地代100万値引いてくれるなら、(どうせ白紙解除付きだし)契約するけどォ」とちょっと困らせてやることにしました。(鳥)■この連載の一覧を見る■
2018年04月17日こんにちは、京都で戸建てを建てている紫苑です。現在進行形です。今回はそもそもなぜ家を購入することになったのか、購入するにあたって何を検討したのか、といったことについてご紹介したいと思います。※【京都で半注文住宅を建てる!】前回の記事を読む始まるよ!■ 半注文住宅を購入することになったキッカケそれまでは京都で賃貸物件に住んでいました。ところが、家主さんから退去してほしい旨の連絡があり、急に転居先を探さなければならなくなりました。突然賃貸を探すか、買うか、という問題が急浮上し、結果として家を買おうと決意しました。何年もかけて準備万端で、建てるぞ!と考えていたわけではなく、差し迫った状況に対応した結果、家を買うことになった、という感じでした。家を買うことになった動機や検討にかけた時間は、人生の大きな転機、最大の買い物のひとつと言われるものなのに、非常に単純であり短い時間でした。え?そんなことで、買うことを決めちゃったの?しかももう買っちゃったの?と、周囲にもちょっと驚かれたくらいです(苦笑)。普段わりと優柔不断なのに、ここぞという時は即断即決、オトコマエな決断っぷりでした。■ 京都で家に求める条件は?そんな、行き当たりばったりな感じの家探しが始まりました。大前提として、生活スタイルの関係で、マンションではなく、戸建て希望です。shiii / PIXTA(ピクスタ)でもここは京都。京都で戸建てとなれば、マンションよりも京都という土地柄の影響を強く受けます。それを反映して条件を定めなければなりませんでした。その条件とは以下の3つです。1.エリアに関する条件京都は盆地で狭いのに、住む人が多いので、どんどん範囲が広がっています。かくいう私も数年前京都に転居した際は、条件に合う物件が見つけられなくて苦労し、近郊の都市まで範囲を広げて探しました。そして、今は京都市ではなく近郊の都市に住んでいます。でも自分の所有物となるのであれば、やはり京都市でありたい、と考えました。shiii / PIXTA(ピクスタ)それは、今回の家が終の棲家ではなく、おそらく老後にマンションなどフラットな家に転居すると思われること、その際転売できる資産価値をそこそこ保っていたい、という気持ちからでした。京都の中心部でなくとも、「京都市」とそれ以外では、価格が変わってくると考えたのです。やはり、「京都」というブランドは大きいですからね……。2.公共交通機関へのアクセス京都市内は、意外と電車が少なく、JR2路線、地下鉄2路線、私鉄5路線しかありません。そして、それが近くに通っておらず、公共交通機関がバスのみという地域がとても多いのです。kenta57 / PIXTA(ピクスタ)私は仕事柄、京都市内や大阪、時には神戸まで移動することが多いので、なるべく鉄道の駅の近くに住みたい、できれば複数路線にアクセスできる場所が良いと考えました。3.土地と建物に関しての条件京都の一般的な戸建用の土地は、とても細長く、しかも三方囲まれた土地が多いのです。そういう土地での家の建て方は、だいたいどれも決まっていました。その難点は日照が限定的で、あまり望めないこと、横幅が狭くて窮屈な感じがすること、そして私にとって何よりダメだったのは、1階の部屋がたいてい狭いこと、でした。そこで、隣との距離が近くても、角地であれば少なくとも二方は開いているし、それがどの方角であれ、三方を囲まれているよりは日照が得られると考え、角地に絞って探すことにしました。広さと間取りについては、1階は7畳以上の独立した部屋、もしくは1階がLDKの場合はLDKを通らずに2階に上がることができ、7畳以上の部屋があること、間取りは3LDK以上であることを条件としました。日当たりは大事です!■ 長い目で見たら新築の方がおトク!?当初は新築は高いという思い込みのもと、中古で良いかなと考えて、物件紹介サイトで探し始めました。しかし、調べ始めて1週間位経つと、実は私が探している地域では、中古も新築もそれほど値段の差がないことがわかってきました。私が探していたエリアは築浅の物件が少なく、大抵の物件は築10年を超えていました。なかなか条件に合う物件が見つからないので、築年数を20年までとして探しましたが、中古物件は築年が古くなればリフォームが必要です。築年が古くなればなるほど、リフォーム代もかさみます。それなら、安い新築と変わらなくない?と思いました。freeangle / PIXTA(ピクスタ)さらに、築20年まで広げて物件をで探していて、ふと気付いたのです。自分の条件が20年までなのに、次に自分が転売する時、15年住んだとしても35年、20年住んだ後だったら40年になってしまいますよね。終の棲家にする気がない家なら、あとあと売却することも視野に入れなければならないし、その時に自分の現在の条件より劣ったら、ダメでしょ!でも新築なら、20年後だったとしてもなんとか中古物件として売れる範囲に入っていることもポイントでした。総額が1,000万円以上も違うなら、中古という選択肢が生きてくるけれど、差額が100万とか200万なら、新築一択じゃない!?そうして、私の選択は、新築物件に大きく舵を切ったのでした。※【京都で半注文住宅を建てる!】前回の記事を読む
2018年04月17日花見に季節にぴったりなレシピ三品海老の甘みが存分に楽しめる『芝海老飯』うまみと栄養がたっぷりつまった『蛤飯』この時期にぴったり、見た目も綺麗な『山吹飯』『芝海老飯』(二人前)「名飯部類」より柔らかくて甘みのある芝海老と、香り高い有明海苔を使った、春らしい彩りのご飯です。■材料(二合分)・芝海老…30匹・米…2合・三つ葉…1束・塩…小さじ1・酒…大さじ2・醤油…小さじ1・焼き海苔…適量■作り方1)芝海老は洗って頭と殻を剥き、爪楊枝を刺して背わたを抜き取る。2)芝海老の身は酒に浸けておき、頭と殻は500mlのお湯でアクを取りながら茹でて老出汁を取り、網で漉して冷ます。3)炊飯器に洗米と2を入れる。出汁が足りないようなら酒を足し、塩と醤油を加えて炊く。炊き上がったら2cm幅に切った三つ葉を加えてざっくりと混ぜ、焼き海苔を揉みほぐして散らす。江戸時代、芝浦で大量に獲れたため、その名がついた「芝海老」は、殻も柔らかいため、通常の調理法以外にも、当時は殻ごと煎り焼きにしたり、素揚げや天麩羅蕎麦のタネに使われたり、鮨ネタと酢飯の間に挟むおぼろに使われたりと、様々な調理法で食されていました。現在、この芝海老もトッピングの海苔も、産地として有名なのは、九州の有明海です。特に佐賀県太良町で獲れる、芝海老と海苔の漁獲量は全国1位で、佐賀県産品を使った朝ごはん推進プロジェクト、「あさご藩」のおかずの一品としても取り上げられています。『蛤飯』(二人前) 「素人包丁」より蛤をたっぷり使い、独活を散らした、粋で贅沢なご飯です。■材料(二人前)・蛤…12個程度・独活…6cm幅・温かい御飯…2杯分・水…3カップ(600ml)・酒…大さじ2・塩…少々・醤油…少々・胡椒…少々■作り方1)独活は皮を剥き、3cm×5mm程度の短冊に切り、水にさらす。2)鍋に水と酒と砂出しした蛤を入れて沸騰させ、蛤の口が開いたら身を取り外す。煮汁は塩と醤油で味を調えておく。3)茶碗に温かいご飯を盛り、蛤の身と独活を乗せて黒胡椒を振り、温めた煮汁をかける。「その手は桑名の焼き蛤」という地口で有名な、三重県・桑名宿の大蛤が全国的に知られるようになったのは、江戸時代からです。街道が整備され、人々が気軽にお伊勢参りか0できるようになったおかげて0、ご当地グルメが誕生したというわけです。江戸湾でも蛤は豊富に獲れましたが、桑名では6cm以上ある大蛤が獲れたため、焼いても食べ応えがありました。焼き方も洒落ていて、当時の浮世絵に、松ぼっくりや乾燥させた松の葉をかぶせて焼いている図が残っています。弥次さん喜多さんの珍道中でおなじみの『東海道中膝栗毛』にも、「桑名に着きたる悦びのあまり、名物の焼蛤に酒くみかはして……(中略)……箱にした囲炉裏のようなものの中へ蛤を並べ、松かさをつかみ込み、扇ぎたてて焼く」とあり、焼き上がった蛤は、大皿に入れて提供していました。この焼き方を再現した焼き蛤をいただいたことがありますが、松の良い香りが貝に移り、なんとも乙な逸品でした。また桑名では、「焼き蛤」に次いで名物だったのか0「蛤の時雨煮」で、旅人は現地で「焼き蛤」を味わい、土産に「時雨煮」を購入するのがお決まりだったようです。『山吹飯』(二人前) 「名飯部類」よりゆで卵の黄身を裏ごしし、山吹の花に見立てた色鮮やかなご飯です。■材料(二人前)・卵…3個・三つ葉の茎…1束分・温かい御飯…2杯分・鰹出汁…300ml・醤油…小さじ1.5・塩…少々■作り方1)卵を固ゆでにし、黄身だけを茶こしやザルなどで裏ごしする。三つ葉は小口切りにする。2)温かいご飯に1の黄身をかけ、三つ葉を散らし、醤油と塩で味を整えた、熱い鰹出汁をかけていただく。前述した蛤のように、環境破壊により、江戸時代は安価だったものが、現代では高価になってしまった食材は多々あります。逆に、江戸時代は高価だったものが、現代は安価になった代表格が、卵です。江戸末期に書かれた『守貞謾稿』によれば、かけそば一杯が十六文の時代に、ゆで卵は一個二十文で売られていた、という記述があります。仮に、一文を25円として換算すれば、ゆで卵一個が500円もしたということになります。それだけに、当時は病人のお見舞いや贈答品、もしくは女性を口説く際のプレゼントとしても買い求められていました。
2018年03月26日