お受験2.0お受験コンシェルジュ&戦略プランナーのいとうゆりこさんが、東京都・神奈川県の小学校受験を中心に、学校説明会や幼児教室ではなかなか教えてくれないリアルな“お受験情報”を発信。小学校受験本番を迎える、幼稚園年長のお子様方に焦点を当て、保護者共々一年間どのように戦い抜いていけば良いのか各月ごとのポイントを教えてくれます!東京の私立小学校は合否が出揃い、いよいよ国立の試験がスタート。そこで12月編となる今回は、残念ながらご縁がいただけなかったご家庭がチャレンジしたい私立小学校の二次募集や補欠事情について、さらには受験シーズン後にやってくる行事事情についてお話していきます。■■国立の試験スタート。各学校の補欠事情とは?国立大学附属小学校の合格発表をもって、東京神奈川の主要な私立小学校の合否は出揃いました。各お教室でもご案内があったかと思いますが、まだ合格をいただいていないもののどうしても私立小学校に……と考えている場合、二次募集もございます。最後まで諦めず、ご家族のライフスタイルに合った学校を探してみてください。(※出願が終わっている可能性もございますので、本年度の受験生の方は学校のホームページやお教室などで詳細をご確認ください)。そして、国立の試験に関しましては、最終的に“抽選”という壁があります。こればかりはどうにもならない部分でございます。受験番号の早い方、学校と同じ区内や近隣のご家庭が優先になるのでは、といった神話もございますが、まったく根拠がありませんので、抽選結果が悪くてもクヨクヨせず、すべてを結果として受け入れてください。言い方を変えれば、“当たったらラッキー”くらいに思っていてくだされば。同時に、この結果によって動くのが私立小学校の“補欠”です。まず、11月15日の幼稚舎の合格発表の後、その入学手続きが完了する11月20日頃から、暁星小学校、立教小学校、学習院初等科、白百合学園小学校、雙葉小学校などで補欠だった方に繰り上げ合格の連絡が入りはじめていることかと思います。さらに12月19日の筑波大学附属小学校の発表を最後とする国立の合否が出た後、若干数ではございますが慶應幼稚舎、早稲田実業初等部、慶應横浜初等部の補欠の方にも繰り上げ合格の連絡が入ります。補欠連絡をする期限を設けている学校もありますが、最終的には3月までは補欠が繰り上げ合格となる可能性が残されています。というのも、国立の筑波と私立の慶應幼稚舎の両方に合格されたご家庭が、どちらに進学するか3月まで悩み、なかなか合格を手放さないケースがあるからです。12年間の学費を考えたら悩むのも当然です。実際、慶應幼稚舎をお断りし、筑波に進学を決めた知り合いの方も、最後まで悩まれておりました。しかし、家族会議の結果、高い学費や保護者同士の“見栄合戦”に惑わされたくないという点、慶應大学しか行けない幼稚舎よりも、慶應も東大も視野に入れることができる筑波に行かせたいというご主人の意見を採用し、最終的に筑波に決められたそうです。つまり最後の最後まで、何が起こるかわからないのが小学校受験となります。お受験界では“受験は水物”とも呼ばれておりますが、あまり気負いせずに、ひとつの通過点ととらえて挑んでいただきたいです。また、3月なかば以降になると、無理に補欠を動かさずに欠員のまま、新小学校2年生、3年生などで編入試験をして欠員補充をする学校もございます。1人欠員となると、年間約100万円(学校により80万~180万円)の赤字となります。学校法人の経営にとってこの100万円は大きいですよね。それゆえ、編入試験を実施する学校も多くございますので、こちらもチェックしておきたいところです。■■受験シーズンが終わり…保護者は休むヒマなし?受験シーズンが終わると、幼稚園では卒園準備がはじまります。クリスマス会、学芸会、バザーや謝恩会……と、さまざまな行事に振り回され、受験を終えてひと息つく間もなく保護者は卒園式まで走り抜けることになります。昨年の事例ではございますが、スポーツ教育で定評のある、とある幼稚園では、子どものお遊戯発表だけでなく、保護者の方々も総出でお遊戯をされたそうです。子ども達の衣装とまったく同じ大人用の衣装を作り、子どもの練習風景を撮影した動画を参考にしながら、それぞれ自分の子どものお遊戯を完全コピー。謝恩会でサプライズ発表したそうです。またその幼稚園では、卒園式の後、子ども達を祖父母や友人宅に泊まりで預け、保護者は先生方を囲んで懇親会を催すそうです。そこでは、先生方も嵐などを熱唱して一緒に大騒ぎ。パイ投げまでしたり、毎年異なるテーマのもと保護者が出し物をするそうです。昨年のテーマは大ヒットした「クイーン」だったとのことで、お父様方がタンクトップにつけ髭で変装して登場。総勢30人のフレディによる大合唱のパフォーマンスをされたそうです。その後、3次会、4次会と続き、結局朝の4時に朝焼けのなか帰宅されたとのこと。保護者にとっても思い入れの強い濃厚な3年間だったそうで、何時になっても別れるのが辛かったとおっしゃっていました。しかし、進学先がまだ消化しきれていない保護者にとっては、こういった行事ですらも苦悶に感じることでしょう。制服や学校グッズの話をするなど浮かれている保護者の方々と、仲良く“卒園準備”なんてしていられないですよね?また、なかには中学受験だけは負けられないと、すでに戦闘態勢に入ってしまうお母様方も多いことかと思います。しかし、いまはじっと我慢。無事にお子様を卒園させ、小学校入学後、少なくとも1学期のあいだくらいは少しのんびりしてみてください。お子様とじっくりと向き合い、甘えさせてあげてください。きっとその時間は、今後お子様にとって人格形成の大事な基盤になるはずです。“親の期待に応えられなかった自分”という呪縛にいつまでも囚われ続けると、この先お子様が迷走することにもつながってしまうかもしれません。受験後の冬休み、卒園までの過ごし方は大切です。受験結果はすべて忘れ、家族で新しい目標に向かって過ごしてくださいね。<著者プロフィール>いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、
2019年12月27日この連載では、息子の小学校受験(2018年)を通して学んだことを振り返りつつ、「小学校受験に興味はあるけど、まだよく分からない」という読者のママ向けに【小学校受験のイロハ】をお伝えしていきます。番外編親の成長も記録しようこれまで、10回にわたり小学校受験の体験記を書かせていただきました。今回は番外編として、親の成長に焦点をしぼってみたいと思います。繰り返しになりますが、小学校受験は私たち親の選択です。にも関わらず、学習の到達度や生活面の成長を測られるのは子どもだけ……というのは、ちょっと不公平な気がしませんか?小学校受験を選んだのは私たち。だから、成長の主役も、子どもではなく親の私たち。そのくらいに思っていたほうが、子どもの出来不出来にとらわれずに済むかも知れません。親である自分の「できる・できない」に意識を向けてみる。では、親としての成長って何でしょう?これは、一人ひとり違うと思います。のんびり屋さんで規則正しく生活するのが苦手なママもいれば、待つのが苦手で、いつも子どもを急かしてしまうママもいるでしょう。自分の意見を言葉にするのが苦手というママもいるかも知れません。パパはパパで、まったく違う課題を抱えているはずです。親になったとはいえ、苦手なこと・避けたいことは、あって当然。そのままで済むならラッキーなのですが、いかんせん、子どもよりも親の苦手が、小学校受験の最難関ハードルになるのです。だからこそ、これから小学校受験をする読者ママのみなさんにオススメしたいのは、自分自身の成長記録です。「今週は図形プリント枚!」と、子どもの学習計画を意気込んで立てる前に、「夕食のしたくを朝に済ませる」「イライラしたら6秒数える」「ニュースを見たら、一言感想」など、ママの目標を具体的に立ててみてください。ここで気をつけたいのは、高すぎる目標を掲げないこと。子どもと同様、大人もスモールステップが大事です。例えば、自他共に認めるのんびり屋さんが「これから毎日18時に夕食!」みたいな目標を掲げるのは大変キケンです。かく言う私も、生まれ持った自分の気質を無視して「良いママ」に近づこうと必死になり、挫折を繰り返してきました。「ぴーすけが自発的に片づけるのを笑顔で待つ」とか。確かに、それが理想なのですが……100%無理なんです。受験期間中は、親としての自分の目標を何度も何度も見直しては試みるという、試行錯誤の連続でした。「イライラしたら鬼キャラを演じてみる(イエローカード)」「自然観察のつもりで、ぴーすけが片づけ始める時間を記録しておく(クールダウン)」「どうしても怒りたくなったら夫に電話(バトンタッチ)」など、我ながらジタバタしたものです。自分の立てた目標に少しでも近づけたら、欠かさず記録しましょう。「今日の私は、いつもより褒め上手だったかも」「珍しく30分早起きして、洗濯を片づけた」「ぴーすけがつまづいていた観覧車の問題、いい教え方をついに発見!」……こんな調子です。※うまくいかなかった記録は、読み返してもあまり生産性がないのでオススメしません。正反対の夫婦だからこそ、お互いのスキルアップの助けになる。私は当初、子どもの「苦手」ばかり気にして、自分の「苦手」は棚に上げていました。しかし、おかげさまで、小学校受験をきっかけにハッキリと認識し、向き合うチャンスを得たのです。私の苦手科目はズバリ、「甘える」「手を抜く」「テキトーにやる」でした。自覚は一応あったのですが、これがもう、根っから苦手な人間だったんですね。ギリギリまで独りで頑張りすぎてしまうタイプでして……。良く言えば「しっかり者の努力家」ですが、子育てにおいては、致命的なハンデになることも。なぜなら、自分が甘え下手だと、子どもにも厳しくなりがちです。手を抜けないと、親子ともに息切れしてしまうし、テキトーにやらないと、楽しむ余裕がなくなってしまうのです。そんな私のお手本になってくれたのが、自分が苦手なことは、どしどし妻にアウトソージングしてくる我が夫でした。子どもの成長に躍起になってしまうと、どうしても行く手を阻む厄介キャラに見えてくる夫なのですが、私自身の成長を目的にすると、あーら不思議、「甘える」「手を抜く」「テキトーにやる」達人に見えるではありませんか。そんな風に目からウロコが落ちたのは、恥ずかしながら第一志望の小学校に落ちた後でしたが、現在通っている小学校の面接では、背のびせず、等身大で臨めました。また、プレッシャーだったエントリーシートの記入や面接の準備も、達人を見習って夫にアウトソージング。夫は目をクルンクルン回しながらも奮闘してくれました。夫婦ともに、小学校受験の後半戦で自分の苦手にチャレンジ出来、母親としても父親としても、大きく成長できたのです。そんなドタバタ夫婦を見て、ぴーすけは何を感じている事やら。親歴まもなく7年目の私たち。教科書も成績表もない子育ては、つかみどころがなく不安なことも多々ありますが、小学校受験を経て、自分の「宿題」が何なのか、ようやく分かってきた今日この頃です。ライター安藤陽子ライター・コーディネーター。ボケもツッコミも苦手な大阪出身の夫と、ドタバタ子育て真っ最中。鉄オタから妖怪マニアに転身した小1の息子と、乙女な笑顔で家族を意のままに操る2歳の娘の母。2019年春、長男の小学校入学を機に、都心から多摩エリアの文教地区に移住。特技は声を七変化させて絵本を読み聞かせること。この連載を最初から読む
2019年12月17日12月12日の朝日新聞朝刊に掲載された、小説『十二国記』シリーズ(新潮社)の全面広告がSNSで話題だ。『十二国記』は小野不由美によるファンタジー小説で、2019年10月12日に18年ぶりとなる書下ろし長編小説が発売された。シリーズ発行部数は累計で1,200万を突破。2019年12月4日には、Yahoo!検索大賞2019の【小説部門賞】を受賞した。今回の広告は、作品名にちなんで12月12日を『十二国記の日』として盛り上げ続けたファンへの感謝として企画されたもの。『十二国記』公式Twitterアカウントは《この新聞広告は、『「十二国記」の日』の名付け親であり、長年にわたり作品を支え続けてくださる皆様への感謝のしるしです》と説明している。誌面の内容は、新聞の販売地域によって4種類展開。それぞれに作中の主要人物のイラストと、ファンの感想が掲載されている。これに対し、Twitterでは「すべて集めたい」という声が続出。《朝日新聞、号外全部ゲット!「十二国記の日」満喫しております》《今朝の朝日新聞朝刊、出かけるついでに駅のキオスクで買った。店員さんが「あらあら今日は何だかいつも買わない人が買うわね~」と目を丸くしていた。 今日限りの十二国記特需です》《朝日新聞の朝刊、各地域の欲しい。 十二国記の全面広告載っているらしいから!どなたか、譲って下さいませんか?》フリマアプリ『メルカリ』には、該当誌面が100件ほど出品。一部300円~500円程度で取引されるなど、社会現象のようになっている。
2019年12月12日お受験2.0【小学校受験のお作法2.0】親子力を合わせ、厳しいお受験を乗り越えるためにも、先人たちのリアルな合格体験談はあらかじめしっかりと知っておきたいもの。しかし、幼児教室などで登壇する合格者の経験談は、幼児教室の先生たちのフィルターがかかった内容になりがち。実際にはいろいろな教室に行っていたのに「我が家は本当にこちらの教室のみでした」とコメントされることもあるそう。そこでここでは、お受験コンシェルジュ&戦略プランナーのいとうゆりこさんが、合格者のお母様たちにインタビューを実施。合格するまでの道のり、そして入学後の様子など“生”の声を伝えてくれます。あくまでもひとつの参考とされてみてくださいね。双子ママのお受験戦記「双子を妊娠しているとわかったとき、クリニックはどうしようと、最初はパニック状態でした」と語るのは、開業医として邁進し続ける歯科医師のお母様。仕事をしながらのお受験、双子の合否の行方は。■ご家族のスペック・お父様:都内出身、桐蔭高校から慶應義塾大学卒業、上場企業勤務・お母様:地方出身、私立歯学部卒業、開業歯科医・お子様:男女双子、都内有名お受験幼稚園――お受験をしようと思われたきっかけは何ですか?「出産10日前まで私は診察を続け、代診の先生に助けられながら無事に双子を出産、産後2ヶ月からは週に数時間だけの勤務をはじめ、半年で完全復帰。双子は義理の両親やベビーシッター、保育園などをフル活用し、育児よりも仕事を優先した結果、子どもと触れ合うのは夜のお風呂や就寝時のみ。たまに、義母がお風呂もご飯も済ませておいてくれたりすると、寝顔しか見られないなんてこともありました。……と、そんな生活を続け、双子が2歳になって言葉が出はじめた頃、衝撃的な出来事があり。寝言で、“ばあばー”と発したんです!さらにクリニックで、部下たちにその話をすると、“先生は産み落としただけだと思っていました!”と言われまして。もちろん冗談でしょうが、微妙に傷つき、主人に相談したんです。主人は“別に他人の評価なんてどうでもいいんじゃない?君が好きで仕事しているんでしょ?”と言ってくれたのですが、この機会に何か目標を持って子どもと向き合ってみようと思い、はじめたのが受験でした」――どちらの学校を受験されようと思いましたか?「双子は男女でしたので、必然的に“共学で主人の出身校でもある、慶應幼稚舎を目指そう!”と考え、近所の保育園をやめて幼稚園に通い、受験対応の託児所でもある『シンガーズ』(※『伸芽’Sクラブ』のこと)に入会しました。これが素晴らしいシステムでして。私は朝、双子を幼稚園に送るだけ。あとは、お迎えからはじまり、保育後、幼児教室『伸芽会』の教室に通わせてくださって、さらにその授業が終わったらピアノや英語、絵画などのレッスンもしてくださり、最終的には20時まで預かってくれるんです。これなら診療が終わってからでもお迎えに行けるので、朝の自宅から幼稚園までの送り、『シンガーズ』から家までの帰宅時に、子どもともいろいろと話すことができて、本当に合理的で便利でした。保育中や授業中の様子なども細かくフィードバックしてくれますし、子どもたちも慶應に入りたいという自我が芽生え、家族全員で“えいえいおー!ごー!けいおー!”が合言葉となっていました」――『伸芽会』以外でも何か受験準備はされましたか?「ある日、患者さんと子どもの受験話になったとき、“幼稚舎はお金かコネが関係するから、お腹のなかにいるときから合否が決まっているようなもの”といった、恐ろしいホラー映画のような話を聞いたんです。私は幼稚園ママや塾ママとのコミュニケーションがほとんどなかったので、いわゆる“お受験情報”にはまったく精通していなかったので驚きまして。慌ててクリニックの昼休み、外に優雅なランチにも行かずにパソコンにへばりつき、いろいろな掲示板やお受験情報サイトを覗き見し、“ひょえーっ!”と声を上げながら、おにぎりをつまむ日々が続きました。そんな私をそっとしておいてくれる、歯科衛生士や受付のスタッフには感謝しかありません。加えて、ネットでさまざまなお受験バイブルも購入し、読み漁りました。こうした研究をするのがもともと好きなので、約1ヶ月でだいたいの情報を整理することができました。ちょうどこのときが年少の秋だったのですが、幼稚園の年長さんの受験結果が出た頃でもあったので、保護者のあいだで受験話も活発になっていたんですね。そこで、いつもなら幼稚園の前で子どもをおろしたら、そのまま早めにクリニックに出勤するのですが、近くの駐車場に車を停め、歩いて双子を送り、幼稚園ママさんとも徐々にコミュニケーションを開始し、朝カフェするまで仲良く(実際はどうかわかりませんが)なることができました。そして、この幼稚園に通うほぼ全員が慶應幼稚舎を目指しているという驚愕の事実を知ったんです……。さらに、みなさん両親のどちらかが出身であるか、兄弟がすでに在学中とかなんですよ。お受験掲示板に書いてあった慶應幼稚舎にまつわるドラマみたいな話が目の前にあったんです!」――お受験の実態に初めて触れたと。「ええ、掲示板でたまに名前が出る、慶應専門の特別な人しか通えない個人の教室や、体操教室、お絵かき教室などが実際に存在したんですよ!!ママさんたちの会話を聞いていて、コーヒーを吹き出しそうになるのを必死に堪えて飲み込み、平常心を装って多くを語りませんでしたが、本当に驚きました。みなさん、幼稚園が終わってから一緒に公園で遊び、時間調整をし、一緒にそのようなお教室に通われているそうです。しかも普通に。シンガーズに丸投げの私には知る由もない、降園後のルーティンワークがあったんです。ただ、いまさら何をやっても結果がどうこうなるわけでもないので、いつも勉強をみてくださっている『伸芽会』の先生にご相談しながら、できる準備はしっかり進めていきました」――最終的に幼稚舎以外はどのような学校に出願されましたか?「『伸芽会』の先生からのアドバイスもあり、複数の学校に出願しました。幼稚舎のほか、青学と都市大付属、あとは、国立を受験することにしました。結果、兄だけが幼稚舎に合格、妹は不合格、青学は逆で兄が不合格、妹が合格、そして都市大は双子で合格できました。双子の性格からして、兄の方がコツコツと頑張るタイプなので、将来なりたいと言っている医者になるために、医学部のない青学に進んだとしても、他大学の医学部や歯学部の受験はできるのではないかなと思ったり……。この結果を双子にどう伝えればええっちゅーねん!と、家族では大騒ぎになりました。双子で進学できる都市大にすべきか、もしくは国立を目指してもうひと頑張りするか……。とりあえずすべての学校に入学手続きを済ませ、国立に挑みました。朝早くから頑張って並んだんですが、筑波、竹早(※東京学芸大学附属竹早小学校)、お茶の水、すべて抽選で落選したんです」――難しい選択を迫られましたね。「そうなんです。もう12月に入っていたので、幼稚舎に合格していると噂のあった幼稚園のお母様に思いきって、朝カフェにお誘いし、相談しました。すると“幼稚舎を蹴るなんてもったいないから、兄は幼稚舎、妹は青学に進学させるべきよ!妹は中学でもう一回、慶應中等部や藤沢(※慶應義塾湘南藤沢中等部)を受けても良いんだし、だいたい幼稚舎を蹴る人なんて、世界中に一人もいないわよ!”と言われました。なんだか気持ちがスーっとして、ずっと一緒だった双子が、別の道を歩む良い機会にもなるととらえ、結局兄は幼稚舎、妹は青学に進学させました。ちなみに、これはあとになって聞いた話なのですが、なんと双子には双子の受験の仕方があるそうなんです。なんでも、幼稚舎も青学も国立も、実験的な意味合いで同性の双子、男女の双子は毎年一組ずつ合格させているそうで。そのため、その枠に入りたいならば、ほかにどんな双子がいるのかと、大手のお教室で積極的に情報を集めたり、月齢別の対策をするなど、もっともっと準備をしなくてはならなかったみたいなんです。入学したら、たしかに幼稚舎にも青学にも双子がいて、それも同性と男女の双子が一組ずつだったんです。あー、やり直したい!でも、双子がそれぞれの学校で楽しく過ごしているようですので、結果的には良かったと思っていますが」――入学後の生活はいかがですか?「小学校に入学後も、低学年のあいだは引き続き『シンガーズ』の学童にお世話になり、宿題をやらせてもらったり、塾機能も利用しておりました。私はけっして回し者ではございませんが、『リソー教育グループ』(※学習塾などを事業展開する企業体)のシステム、本当に素晴らしいですよ!入会金は一度払えば、兄弟やグループ内の教室は無料となるので、現在は同グループが運営する学習塾『TOMAS(トーマス)』や英語教室に通っています。長い夏休みや冬休みは泊まりのキャンプや合宿もあります。私立って休みに入るの早いじゃないですか。いろいろと仕事を調整したりしないといけないのですが、合宿に出せると、気にせず仕事にも集中できますので、楽させてもらえています」■取材を終えてーー経済的に余裕のある開業医のご家庭だからこそ、できる技だったとは思います。お受験を趣味の一環として、ゲーム感覚でやられていたんだなと感じました。お受験の形はいろいろです。このくらい力を抜いて、お受験を楽しまれる形もあるのだなと、お話を伺っていて感じました。決して、この方がされていたことは間違いではございません。ただ私は、任せっぱなしではなく、ご家庭で、家族の手のなかでコツコツ準備される方が良い結果を引き寄せられるものだと信じております。<著者プロフィール>いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、
2019年11月30日お受験2.0【小学校受験のお作法2.0】親子力を合わせ、厳しいお受験を乗り越えるためにも、先人たちのリアルな合格体験談はあらかじめしっかりと知っておきたいもの。しかし、幼児教室などで登壇する合格者の経験談は、幼児教室の先生たちのフィルターがかかった内容になりがち。実際にはいろいろな教室に行っていたのに「我が家は本当にこちらの教室のみでした」とコメントされることもあるそう。そこでここでは、お受験コンシェルジュ&戦略プランナーのいとうゆりこさんが、合格者のお母様たちにインタビューを実施。合格するまでの道のり、そして入学後の様子など“生”の声を伝えてくれます。あくまでもひとつの参考とされてみてくださいね。青山学院初等部に合格した女の子の場合成城学園出身のお母様が娘に通わせたかったのは女子校である聖心女子学院初等科。しかし、最終的に選ばれたのは、共学の青山学院初等部でした。■ご家族のスペック・お父様:東京都出身、私立大学卒、メーカー勤務・お母様:東京都出身、中学から成城学園で同大学卒業、専業主婦・お子様:女子校付属幼稚園――お受験をしようと思われたきっかけは何ですか?「女の子が生まれたときに、幼稚園や小学校受験をすでに考えていました。というのも私自身、成城学園に中学受験で入ったのですが、小学校から上がってきた内部生たちのあのキラキラ感が忘れられなかったもので。お金持ちのギラギラした感じとも違う、人生に余裕がある感じというか。また、私が通っていた地元公立小学校では8割以上が中学受験をするので、みんなやってるから……、みんなが渋渋(※渋谷教育学園渋谷中学校)を目指してるから……、といった感じで、とくに自分で決めたわけじゃない目標に向かい、小さい頃から習っていたバレエもやめて、小学校高学年からは週に3、4回塾に通って勉強して。子どもながらにそんな中学受験に対して疑問があったんです。だから娘には、小学校のあいだくらいは勉強のことを考えずに思いきり遊ばせたいという思いもあり、幼稚園か小学校から入れてしまおうと考えたんです」――お教室にも通われましたか?「はい、娘が1歳半のときに『ジャック幼児教育研究所』のキンダーガーデンクラスの門を叩いたのですが、すでに満席で入れず、お受験って中途半端な気持ちではやってはいけないのだなと痛感しました。その後、たまたま空席のあった『伸芽会』に入会し、幼稚園受験の準備をはじめました」■話を聞けば聞く程揺れ動く志望校――お教室に無事入会され、どちらの幼稚園を目指されたのですか?「当然、最初に志望したのは成城の幼稚園です。幼稚園から大学まで、あの自由で守られた雰囲気のなか、健やかに育って欲しいと思ったからです。そこで、中学からの同級生に相談などもしながら準備をしましたが、残念ながら成城幼稚園ではご縁をいただけませんでした。そのため、『伸芽会』の先生のススメもあり、自宅の近くから幼稚園バスで登園できる女子校付属の幼稚園に入園しました」――入園されてみていかがでしたか?「とても穏やかな雰囲気の幼稚園でした。女子は高校まで付属があるので、このまま通って大学受験でもいいなと思っていたのですが、入園後、ママ友なるお母様方から聞くお話で、ちょっと考え直し……。というのは、この幼稚園に入園してくる女子の半分近くが、白百合学園の幼稚園に落ちた方々だったんです。そのため、お母様方からは“どうする?小学校も再チャレンジする?”“聖心や田雙(※田園調布雙葉)を受ける?”というお声が聞こえてきまして……。小学校までしかない男子生徒が小学校受験を考えるのはわかるのですが、高校まで付属の女子校があるのに小学校受験をするなんてどうなのかな……と、ちょっと疑問を持ちながらも、我が家も小学校で再び成城に再挑戦する方向で動きはじめました。具体的には、少しでも幼稚園から距離の離れたお教室で、夫も私も送迎がしやすい場所にあった『ジャック』の渋谷教室に、年中のときに入会をしました。『ジャック』の先生からは、他校に小学校受験をするのであれば、通っている幼稚園の先生にも仁義を切るなど、根回しが大切だと伺ったので、年中の秋に、幼稚園の先生に、“娘は共学の学校の方が合うと感じるので受験を考えている”とお伝えしました」――成城以外の学校では、どのような学校が候補に?「『ジャック』で一通りの授業を受けながら、成城やほかの学校を念入りに調べていた最中、中高の同級生がご主人の仕事の都合で海外へ転居することになり、送別会で集まる機会があったんですね。子どもを成城の小学校に入れている同級生もいたので、相談に乗ってもらったりしていたのですが、会話のなかである同級生の男性が次のように話していたんです。“やっぱり、聖心の女の子って高嶺の花って感じだったよな。あの微妙にダサい制服にグラっときてたよなー!”と。男子ウケなんてそれまで考えてもいなかったのですが、たしかに女子校の女の子って健気な感じがして、かわいいなと思い直し。その点、成城は共学なので、受験をやめてこのまま女子校で進ませるか、もしくはほかの女子校も見てみようかと、説明会めぐりをしました」■決め手はやっぱりプロの意見――そのようななか、共学である青山学院が候補になったのはなぜですか?「当初、共学は成城以外考えたこともありませんでした。家族で合同説明会に出向いたときに、各学校のブースやミニ説明会をまわりながら、主人が“青学ってさ、オレのオフィスから見えるんだよね。都会のど真ん中だけど、すごい緑がいっぱいで。あのなかに幼稚園から大学まで全部あるのって便利じゃない?”と呟いていましたが、そのときにも“ふーん、青学ねぇ”くらいにしか思っておりませんでした。しかし、年長になり、『ジャック』で学校別の夏期講習の申し込みをしていたときに、授業終わりに先生に引き止められたんです。“お嬢様は聖心タイプではないかもしれません。ペーパーがいまひとつ伸びません。成城以外に青学も出願しませんか?(『ジャック』渋谷校では)青学は担当校なので、少しはお役に立てるかもしれません”と。そこで初めて青学を意識するようになり、夏期講習にも申し込み、短い期間ではございましたが対策をいろいろと教えていただきました。そして、お話を伺えば伺うほど、同じ共学の付属小学校でも、おっとりした成城とはまた異なった魅力があり、都会的で活発な学校だなと感じました。またミッション系ということもあって、幼稚園の3年間で神様やマリア様に触れていた娘にとっても、すんなり受け入れられるかな、とも感じました」――そして見事合格したと。「はい、幼い娘に選ばせても判断はできないと思っておりましたので、一応受験して、受かったところが娘に合っている学校なんだと覚悟しまして。青学もあまり気負いせず、夫婦ともども、記念受験のつもりで挑戦しました。そして成城の試験の前日、意外なことに青学から合格をいただいてしまったのです!!これも何かのご縁と思い、成城の入学試験は辞退し、青山学院に進学を決めました」“ラッキー合格?”と感じられる方も多いかと思いますが、きっとご家庭では、日々の生活のなかでしっかりご準備されていたのだと思います。お母様の行かせたい学校=お子様に合う学校ではないということ。プロの目から見た、的確なアドバイスも功を成したようですね。<著者プロフィール>いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、
2019年11月30日こんにちは、タマタマヨです。前回からの続きです!!絶対正産期になってから産みたい! と決意したものの、その決意はもろくも崩れ去る威力のイキミたい感が襲ってきました。助産師さんからもOKが出て、次の陣痛が来たらイキむことになりました! ここまできたらあとはふんばるだけだと、思いきや、↑陣痛中(イキむ)↓陣痛おさまる(休息)※この間はイキんでも出てこない出産とはこの繰り返し。ツルンと産む人と私は何が違うのか…ようやく、頭が挟まったままの感覚あり! ここまできたらゴールは近い?いつの間にか助産師さんが2人体制になっている!私はやれる! やれる!(自己暗示)もうね、おなかや腰の痛みはなくて(感じないだけ?)ただいきむだけ、ただただふんばるのみ。※会陰切開はしない病院です。※実際はネネが怖がらないようにサイレントでいきんでおります。心の中の叫びを再現しました。そして、あー、これこれ。100年分のウ◯コを排出した気分(スッキリ)ようやく、赤ちゃんをこの胸に抱ける!!さあおいで、ママの胸に! カマン! ベイビー!!つづく
2019年11月19日最終回中学受験への親のかかわり方はどうあるべき?中学受験についてのあれこれを書いてきましたが、いよいよ最終回。この連載の初めに「中学受験は親子でできる最後の共同作業」と言いました。今回はそのことについてお話ししたいと思います。中学受験へのかかわり方は、親50%、子ども50%実際に中学受験をするのは小学6年生の子どもです。中学受験を目標に塾に通い始めるのはだいたい小学校4年生から。このくらいの子どもが、自分で「中学受験をしたい」と言うことはまずありませんから、中学受験は親主導で始まるケースがほぼ100%です。遊びたい盛りの子どもが受験勉強を進めていくには親のサポートが欠かせませんし、学校見学や学校選びも十分な情報を持たない子どもではなく、親が中心になるのが現実です。「中学受験は親の受験」と言われるゆえんです。しかし、最初から最後まで、親主導の中学受験では、うまくいきません。親子ともがんばって中学受験に挑み、第一志望に合格してもしなくても「いい経験ができたね」と言い合えるのが理想の中学受験。そういうときの、親子のパワーバランスは、親50%、子ども50%。若干、子どものほうが大きい、くらいならいいのですが、親が大きすぎるとまずうまくいきません。いきすぎると、最近問題になっている「教育虐待」なんて言われてしまうかもしれません。なぜ「中学受験は親子でできる最後の共同作業」なのか親も子も、同じ目標に向かって本気で取り組む。それが中学受験です。そして、それができるのは、子どもが小学校までなのです。中学校になると、子どもは心も体も大きく成長します。小学校のころのように、どこに行くにも送迎することもなくなるし、子どもは、家族でどこかに出かけるよりも友達と遊びに行くことのほうを好むようになるでしょう。思春期を迎えると、学校で何があったとか、以前のようには話してくれなくなるかもしれません。もう親子で同じ目標を追いかける機会もなくなります。高校受験、大学受験も、子ども主体。親は完全に蚊帳の外状態になります。だから、「中学受験は、親子でできる最後の共同作業」なのです。大変だけど、「これが最後だ」と思って乗り越えて中学受験は、正直言って大変なプロジェクトです。子どもはもちろん、親も大変です。塾の送迎、お弁当づくり、勉強を見てあげたり、スケジュール管理をしたり。週末も学校見学などでつぶれます。受験直前になると、併願計画に頭を悩ませたり、受験料や入学金など、タイミングを考えながらお金のやりくりをしなければなりません。大変だからこそ、小学校4年生から6年生までの3年間、「これが最後の共同作業なのだ」と楽しみながら、親子で過ごしてほしいのです。子ども扱いをやめ、一人の大人としてリスペクトする「12歳の子どもには判断力がないから、中学受験が親主導になるのはやむを得ない」と考える方もいるかもしれません。しかし、長年、中学受験生とかかわってきた経験から言えば、12歳の子は、自分で判断もできるし選択もできます。親の目からすれば、まだまだ子どもだと思っても、中学受験を機に、ぜひ、お子さんを一人の大人としてリスペクトしてあげてほしい。進路について考えるときは、「あなたはどう思う?」「どうしたい?」と意見を聞いてほしい。そうすることで、その子の精神的な成長につながります。「私は親から信頼されている」「親は私の選択を尊重してくれている」と思える子は、「親が言うからやらなければ」ではなく、自分で目標を設定し、自分の意志でがんばることができます。そして、そういう子が、中学受験でもいい結果を出しているものです。もちろん最初から、子ども一人で最適な選択ができるわけではありません。最初は、ある程度、親が筋道を立てたり、選択肢を絞るなどしなければならないでしょう。でも、最後は子ども主体で決めさせることが大事です。自分で決めたのだから、失敗 しても自分のせい。「ママが決めたことだから」と逃げるわけにはいきません。だからがんばれるし、それが子どもの自立につながります。男の子の場合は、女の子よりも精神的な成長がゆっくりなので、自分で選択することが難しいことがあります。その場合も、全部でなくても「ここは子どもが自分で決めた」という場面 をつくってあげるといいでしょう。たとえば、「AとBならどっちがいい?」と選択肢を絞って決めさせる。日々の勉強でも、「算数を30分しなさい」ではなく「算数は何分やる?」と聞いて、子どもが決める。そうすることによって、子どもの自信になりますし、モチベーションにもなります。親は 伴走者に徹する受験をするのは、親ではなく子どもです。親は、あくまでも子どもの伴奏者という意識をくずさないようにしてください。模擬テストの結果に、子どもと一緒に一 喜一憂するようではいけません。かといって、やみくもに励ますのも違うと思います。伴走者として大事なことは、事実を観察すること。何ができていて、何ができていなかったのか。うまくいっていないことには、必ず理由があります。単純なミスなのか、本当に理解していないのか、子どもと話しながら一つひとつつぶしていく。わかっていないのなら、「塾で先生に聞いてきて」と促す。勉強を教えるのは塾に任せて、親は時間管理や、子どもが勉強に向かう環境 づくりなど、マネジメントに徹しましょう。「今日、塾でどんなことを勉強したの?」「この問題、ママにも説明して」と聞いてあげるのもいいでしょう。1日3分でかまいません。「へえ、そうなんだ。すごいね~」と聞いてあげれば、子どもは喜んで 説明 してくれます。人に説明 することで、自分の理解が深まりますし、わかったつもりでわかっていなかったことに気づくこともできます。中学受験はゴールではない言うまでもなく、中学受験はゴールではありません。お子さんの人生はその後も続いていきます。わが子が幸せな人生を歩んでいくためには、今、この3年間をどうがんばればいいか、この子の人生の中で中学受験をどう位置付 けるのかという視点 をもって、中学受験に挑んでほしい。大変なこともあったけど、やってよかったね、という中学入試で終わってほしい。親だけががんばる、子どもだけががんばる、だけでなく、共同作業として取り組んでほしいと思います。小澤珠美さん学生時代に元文部科学大臣・下村博文氏が主宰する学習塾で、アルバイトで塾講師を始める。大学卒後、15年大手進学塾、株式会社早稲田アカデミーで高校受験・中学受験の指導に従事。特に中学受験において、女子の算数指導、受験指導、保護者の方のサポートに尽力し、合格実績に貢献。2010年に独立し、2013年に市ヶ谷に移転。2018年春より、働くパパ・ママを応援するため民間学童保育・放課後スクールMOCOPLA(モコプラ)を四谷に開設。2019年春、自立を育む学びの場(学習塾、プログラミング教室、アルゴクラブ、英会話)Credo久が原オープン。また一般社団法人日本青少年育成協会認定準上級教育コーチ・PM級トレーナーとして、パパ・ママの笑顔、その先にある子どもたちの笑顔を支援するため、教育コーチングをベースにした「子育てセミナー」「ワークショップ」などを開催。また公立・私立中学校PTA、地方教育委員会、新宿区男女共同参画課等から保護者向けコーチングセミナーを受託。著書:中学受験超成功法『ママは楽しく息を抜く』(ギャラクシーブックス)共著:『輝く女性起業家16人:未来を創る~私たちが選んだ道』(カナリアコミュニケーションズ)取材・構成 石井栄子この連載を最初から読む
2019年11月04日お受験2.0【小学校受験のお作法2.0】親子力を合わせ、厳しいお受験を乗り越えるためにも、先人たちのリアルな合格体験談はあらかじめしっかりと知っておきたいもの。しかし、幼児教室などで登壇する合格者の経験談は、幼児教室の先生たちのフィルターがかかった内容になりがち。実際にはいろいろな教室に行っていたのに「我が家は本当にこちらの教室のみでした」とコメントされることもあるそう。そこでここでは、お受験コンシェルジュ&戦略プランナーのいとうゆりこさんが、合格者のお母様たちにインタビューを実施。合格するまでの道のり、そして入学後の様子など“生”の声を伝えてくれます。あくまでもひとつの参考とされてみてくださいね。■成城学園初等学校に合格した男の子の場合「実は第一志望は暁星だったんです…」と語り出したお母様。暁星に思い入れを持ちながらも、成城学園初等学校に進学したという男の子のお母様にお話を伺いました。■ご家族のスペック・お父様:地方出身、私立大学卒、自営業・お母様:東京都下出身、成城短大卒・お子様:世田谷区人気幼稚園――成城を目指された志望動機をお聞かせください。「私自身、暁星幼稚園に通っていたんです。初恋もその幼稚園の同級生だったんですよ。卒園後は、小学校受験で女子校を受験するも第一志望に落ちて、公立小学校から中堅女子校、そして成城大学短期大学部に進学しました。結婚し、男の子を出産したので、ぜひ暁星に入れたいと思っていましたが、主人に幼稚園受験は反対され……自宅から近く、芸能人も多いという受験幼稚園に通わせました。1才から実家近くのベビー公文と体操教室、カワイ音楽教室のリトミックに通わせていましたが、幼稚園ではほとんどのご家庭が小学校受験をされるので、主人も何となく周りに流され、年中になるときに『ジャック幼児教育研究所』に入会しました。すると、3割近くが同じ幼稚園の子で……いろいろとありました」――いろいろというのは?「志望校やどんな準備をしているのか、コネがあるのかなど、必要以上に根掘り葉掘り聞いてくるんです。幼稚園自体はとても伸び伸びしている幼稚園だったこともあり、どこのご家庭もそれほどお受験にガツガツしているようには見えなかったんです。でも、『ジャック』で顔を合わせた途端、ほかのお母様方から受ける空気が変わり……急に当たりがきつくなって。とくに、私が暁星幼稚園出身というレアキャラだったこともあり、男の子ママからのマークが厳しかったんだと思います。しかし暁星一択、あとは学大世田谷(東京学芸大学附属世田谷小学校)を記念に受けたい、ほかの成城や都市大(東京都市大学付属小学校)などは受けないつもりだという旨を伝えたところ、少し落ち着かれたようで、また仲良くキャンプやこどもの国などに遊びに行くようになりました」――それがなぜ成城になったのでしょうか?「まぁ暁星に落ちまして、一応出願しておいた成城にご縁をいただけたという感じです。受験自体は、暁星と立教に出願し、11/2に両校が重なるかな……と心配しておりましたが、無事に両校受験することができました。ペーパーは毎朝30枚、朝から川沿いを親子でランニングしたりと、暁星に向けての準備に余念はなかったのですが、一次試験で敗退してしまいました。しかし、暁星の準備が功をなし、立教には合格をいただくことができました。合格したものの、立教進学に悩んだ点は二点あり、通学が遠いことと、同じ幼稚園の苦手なご家族も進学されるであろうということでした。基本的に小中高の12年間と大学4年間を合わせ、16年間通う学校となりますので、良く考えて出願した成城学園の試験も受け、結果、無事にご縁をいただきました。幼稚園でも進学先について話題になりましたが、立教のことは話さず、暁星はご縁をいただけず、成城に進学すると話すと、私自身が成城短大だったこともあり、意外にもすんなり受け入れてもらえました。ちなみに、同じ幼稚園からは息子を含め、男女5人が入学しました」――実際に入学されてみていかがですか?「噂以上にとても派手な学校ですね。運動会などでは、大物芸能人の方を目にすることも多いので、平常心を装いながらもかなりドキドキします。たまたま実家近くのレストランでのお食事会に誘われたのですが、地元だった私も知らないお店で、ナビに住所を入れても山の中。突然現れる御殿のようなレストランに驚くと同時に、お見えになる際のみなさんの車が凄すぎて……ベンツのCクラスが軽自動車に感じるほどでした。現在は中学に進級していますが、中学からの子たちがかなり優秀なんです。そして、大学付属でありながら、他大学への受験も積極的な方々が多いので驚きました。国立に進むのは数名ですが、早慶も10名ほど、上智は20名を超える年もあるみたいです。また、学内は本当にのんびりしていて、生徒さんたちは小学校からの子も中学校からの子も別け隔てなく仲良しです。いま考えると、小学校受験で汗をかくほどの学校ではなかったかな……とも思いますが。中学でもう一度、暁星にチャレンジしてからでも良かったかな、と。しかし、最近は心配な事件も多いなか、セキュリティに関しては万全ですし、良い仲間と出会えたことが何よりの財産になったと思っています」<著者プロフィール>いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、
2019年10月30日お受験2.0【小学校受験のお作法2.0】親子力を合わせ、厳しいお受験を乗り越えるためにも、先人たちのリアルな合格体験談はあらかじめしっかりと知っておきたいもの。しかし、幼児教室などで登壇する合格者の経験談は、幼児教室の先生たちのフィルターがかかった内容になりがち。実際にはいろいろな教室に行っていたのに「我が家は本当にこちらの教室のみでした」とコメントされることもあるそう。そこでここでは、お受験コンシェルジュ&戦略プランナーのいとうゆりこさんが、合格者のお母様たちにインタビューを実施。合格するまでの道のり、そして入学後の様子など“生”の声を伝えてくれます。あくまでもひとつの参考とされてみてくださいね。■早稲田実業学校初等部に合格した女の子の場合“絶対に女子校の聖心白百合雙葉!”と最初は思っていたものの、次第に共学校に惹かれ、最終的に早稲田実業学校初等部に見事ご縁をいただけたという女の子のお父様にお話を伺いました。■ご家族のスペック・お父様:地方出身、国立大学卒、マスコミ勤務・お母様:地方出身、地方短大卒、専業主婦・お子様:地元の一般的な幼稚園――お受験をしようと思われたきっかけは何ですか?「もともと地方出身だった私たちは、娘を私立の小学校に入れるなんて考えもしないで子育てをしていました。住んでいる地域にも私立の小学校に通わせている家庭はほとんどなく、幼稚園も自宅から通いやすい幼稚園バスがある地元の園を選んでいました。しかし、娘が幼稚園の年中になる少し前、同僚たちと子育ての話をしているとき、いわゆる“お受験”の話に展開していき、驚いたことに、小学生の子どもがいる同僚は全員、私立の小学校に通わせていたんです。当たり前のように受験をするというのです。あからさまに突っ込んで聞くのも恥ずかしいので、その場では聞き流し、通っているという教室の名前だけはしっかり覚え……翌日はその名前をもとに、終日パソコンでいろいろと検索をしました。ためしに妻に“娘を受験させないか?”と聞いてみると、東京の女子校に憧れていたとのことで。小学校受験ガイドブックを購入し、夫婦で付箋をつけながら、何校かピックアップしていきました。その頃は、何も知らなかったんです。そのなかには、いわゆるコネがないと合格できない学校があるのだということを……」――ピックアップした学校を目指して、お教室にも通われましたか?「はい、同僚が話していた『伸芽会』や『ジャック幼児教育研究所』の資料を取り寄せましたが、どの教室も自宅から通いにくい場所にあり……。かろうじて週末に家族で出かけるついでに通えるであろう『伸芽会』を選びました。しかし入ったものの、みなさんもっと小さい頃から通われているようで、送迎の際にも保護者の輪に入ることができず、隅っこで妻と授業が終わるのを待っているという感じで半年ほど過ごしていました。そんななか、同僚に話を聞くと、教室のほかにも体操教室や絵画教室、さらには縄跳び特訓、自然体験教室など、数えきれないほどの習いごとをさせていることが判明。素人の私には何もわからなかったので、思いきって教室長に面談を申し込んで聞いてみました。すると、“いろいろなお稽古をされている方はいます”とおっしゃるだけで、はっきりと答えてもらえず……。そこで受験、体操、お稽古などの検索ワードを使って調べ、ネット掲示板などで評判もチェックし、有名そうなお稽古をいくつかピックアップし、そのリストとともに再度、教室長に相談しました。しかしそれでも、“やりすぎることは良くない”“目的を持ってお稽古はしてください”と、また答えをにごされてしまい。イライラしていたときに、お受験情報の掲示板で気になる個人の教室を見つけたので、体験に行ってみました」――体験されてみていかがでしたか?「住宅街にあるその教室は、先生2名のみの小さな教室でした。しかし、生徒数は30人強。このエリアでは有名な教室だったようです。ご挨拶のあと志望校を伝えると、最初に聞かれたのが“お母様は出身ですか?”ということ。もちろん、違うという旨を伝え、志望動機を聞かれたので、“東京で有名な女子校に入れたい”と答えたところ、お説教がはじまりました。どうやら、志望している女子校は、お母様が出身であることが大前提で、さらに代々卒業生というご家庭が大半だとか。みなさん、お腹のなかにいる頃から受験準備をしていると。そこで、“お受験とは?”という根本的なところから、気がつけば1時間以上、詳しくお話を伺いました。結果的に、こちらのお教室でお世話になることになりました」――そのお教室のほかにもお稽古などはされましたか?「娘と様々なお稽古を見学し、娘の希望でピアノとテニスをはじめました。テニスなら家族でもできますし、ピアノは大きなグランドピアノに大興奮し、喜んで通っていました。そのほか、お教室からデイキャンプの自然体験教室などがあることも教えていただきました。本当にこの教室には感謝以外の言葉はなかったです。新年長と呼ばれる11月からは本格的な受験クラスがスタートし、『伸芽会』は引き続き週1回、その個人の先生は週に3回、ピアノ、テニスは週1回と、気がつけば日曜日以外はすべてお稽古になっていました。日曜日でさえデイキャンプに行く日もあったりと、忙しく駆け抜けた感じでしたね。送迎する妻はぐったりしていましたが、意外にも本人が楽しく通っていたんです。ペーパーと呼ばれる勉強も嫌がらず、私がネットで買った、『理英会』や『こぐま会』のテキストも自らしていましたし、授業も積極的に参加していました。『伸芽会』の先生からは、ピアノやテニスが良い息抜きになっているのでしょうと言われました」――同じくその個人のお教室で、志望校についてはどのようなアドバイスを受けましたか?「どうしても女子校を希望するのであれば、実力重視で合格の可能性がある聖心と白百合、日本女子大豊明、立教女学院、東京女学館を。共学の場合も、慶應幼稚舎や青学、学習院、成城といった、卒業生や関係者以外の“フリー”と呼ばれる枠内での合格はなかなか難しいという学校は回避し、実力重視の早稲田実業、成蹊などをすすめてもらいました。そのアドバイスを受け、それぞれの学校案内やホームページなどを見て、初めて学校説明会に参加したのが年中の9月だったのですが、実際に女子校の説明会に参加してみると、学校が高級住宅街や独特の雰囲気のある地域にあったりしたため、夫婦で萎縮してしまい……。また、女性の校長先生が校風や教育方針について品良く話されるので聞き入ってしまいましたし、どの学校も大変素晴らしかったのですが、周りの雰囲気に飲まれたのか、夫婦ともにぐったりしてしまいました。その後、年長になったGW明け頃からは、子どもも参加できる学校説明会や行事にも参加するようになりました。すると、当たり前ですが、女子校は女子しかいないんですよね。しかし、その女子のパワーがすごかったんです。生徒による演奏や合唱のある学校もあり、同じ制服を着て並んで演奏したり歌っている姿を拝見していると、見ている我々も襟を正さないと……と、緊張が走りました。一方、共学の早稲田実業の説明会は、大学の講堂で行われたのですが、私が高校生のときに地方から電車を乗り継ぎ、キャンパス見学をしたことがありました。何か懐かしい感じと、説明会の内容も自然に心に入ってくるというか……とても居心地が良かったんです。共学の方が堅苦しくなくて合っているのかなと思い、大本命としました」――模擬試験などは順調でしたか?「ひと通り説明会が終わった7月頃になると、5月辺りから受け出していた模擬試験の結果が届きました。驚いたことに、総合的な模擬試験だと平均値を取れているのですが、女子校の模擬試験は下から数えて一桁に入っているんです。ペーパーの点数は悪くはないのに何でだろうと先生に質問したところ、どうやら行動観察でマイナスになっていると。というのも、女子校志望の子たちは精神年齢も高く、ちょっとズル賢いところがあるようで。たとえば、みんなで決めごとをするときも、“○○はどう?”“賛成の人は手をあげて!”など、積極的にその場を仕切る子が多いそうです。また、自分が反対だった場合も“みんながそれが良いならそうしよう!”と満面の笑みで同調することもあるそうで。先生がおっしゃるには、娘は輪に入るタイミングを失ってしまい、ただ参加しているだけの状況になっていたとのことでした。かといって自己主張をすれば良いのかといえば、そういうことでもないらしく。話を聞けば聞くほど、“行動観察”という考査内容の難しさを痛感しました」――それをどのように克服されましたか?「『日本総合教育舎』のデイキャンプに参加したときのことですが、ちょっとしたハプニングがあったそうなんです。お弁当を食べていたとき、持ってきたお弁当を全部ひっくり返してしまった子がいたらしいのですが、娘は自分のお弁当の蓋におかずを少し入れ、さらにみんなから寄付を集めて、そのお友達にあげようとしたんだそうです。アレルギーなどがあってはいけないので、同隊していたスタッフが予備のお弁当を渡したらしいのですが、その様子を見ていたスタッフの方が、“一年近く様子を拝見していますが、周りを良く見れるようになってきましたね”と声をかけてくださいました。こうしたデイキャンプでの経験を積み重ねることで、集団行動に慣れ、協調性も身につき、周りを良く見ることができるようになっていったのかなと思います」――お受験本番の様子をお聞かせください。「『伸芽会』からは、“挑戦しなければはじまりませんよ”と教えられていたので、片っ端から受験できるところは受ける覚悟で願書を集めていました。しかし先生には、合格圏にありそうな女子校を二校と、第一志望の女子校一校のみ出願し、そのほかは大本命の早実や成蹊の試験日程にかぶらない学校のみ受けていきましょうとアドバイスをいただきました。実際に受けたのは、白百合、日本女子大豊明(白百合の試験終了後、距離的に成蹊の時間が間に合わず棄権し豊明へ)、学習院、東京女学館、そして早実でした」――結果はいかがでしたか?「結果は、白百合と学習院は不合格。白百合ではなく、成蹊を受けに行けば良かったと後悔しました。そして大本命の早実は、一次試験を通過し面接に進むことはできましたが、残念ながら合格をいただくことはできませんでした。日本女子大豊明と東京女学館は合格をいただいておりましたので、“もともと女子校志望だったじゃないか!その女子校には行けるんだ!”と、家族でお祝いをし、両親にも報告してほっとしていたんですね。しかし、11月末に早実からご連絡をいただき、なんと追加合格になったんです!!補欠合格というものがあることは噂では聞いていましたが、早実は補欠のない学校だと思っていたので、本当にこんなことが起こるなんて……と、ビックリしました」――そこでやはり大本命だった早実を選ばれたのですね。「ただ娘本人は、合格をいただいた女子校のセーラー服にかなりテンションが上がっておりましたので、どう説明しようか悩み、個人の先生に相談しました。すると、お子様を連れて教室にきてくださいと言われたんです。訪れてみると、早実在校のお姉さんがブレザー服を着て、先生と一緒に待っていました。まず、お教室に入ると娘は奥のお部屋に案内され、お姉さんと遊んでもらいました。一緒にお菓子を食べたり、ブロックで遊んだりしたそうです。その間、進学を決めた学校へのご辞退の方法、納めた入学金などの返金される金額は僅かであること、早実へ進学する場合の寄付金の話など、丁寧に説明してもらいました。30分くらいしたら、先生が二人を呼び、お姉さんは先生の隣に、娘は妻の隣に座るように促されました。そしてお姉さんが娘に手紙をくれたんです。その場で“開封してみたら?”と先生に言われ、開いてみると、かわいいカードに“早実はとても楽しい学校です。○○ちゃんにも来て欲しいな”と書いてありました。娘はその場で笑顔で頷きました」――実際に通われてみていかがですか?「体育会系でバンカラなイメージのある早稲田ですが、最近では有名人パパママも増えて、華やかなイメージになりましたよね。イメージ通り、スポーツに力を入れてくれるので、娘は初等部に入るとテニス以外にゴルフもはじめました。校則も学内の勉強も厳しいのですが、それ以外の時間はのびのびと過ごし、好きなことをしているようです。受験勉強に疲弊することなく、大学まで進める点が大学付属小学校の良いところだと思っています。お受験って最後まで何が起こるかわかりません。家族全員が謙虚な気持ちで真摯に向き合い努力すれば、必ず結果は出ると思います」<著者プロフィール>いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、
2019年10月29日お受験2.0お受験コンシェルジュ&戦略プランナーのいとうゆりこさんが、東京都・神奈川県の小学校受験を中心に、学校説明会や幼児教室ではなかなか教えてくれないリアルな“お受験情報”を発信。小学校受験本番を迎える、幼稚園年長のお子様方に焦点を当て、保護者共々一年間どのように戦い抜いていけば良いのか各月ごとのポイントを教えてくれます!無事に出願も終わり、面接がはじまっている学校も多い頃かと思います。そこで10月編では、試験における面接時の注意点を中心にお話していきたいと思います。■■面接時の注意点は?東京近郊の小学校で面接を行なっていない代表的な私立校は、慶應幼稚舎、慶應横浜初等部、桐朋学園、桐朋小学校の4校、国立では筑波大付属、学芸大付属、横浜国立大学付属あたり。ですので、ほとんどのお受験校で面接は行われます。そしてこの面接は大きく2パターンに分けられます。親のみの“両親面接”を実施する学校と、子どもと両親の“親子面接”を実施する学校です。つまり、ほぼすべての学校で入学前に親御さんの様子を対面で確認しているということです。学校側は、直接ご家庭そのものを見極めたいと思っているんですね。面接で両親に問われるのは、(1)学校の教育方針をしっかり理解し賛同しているか?家庭の教育方針と学校の教育方針が合致しているか?(2)この学校が第一志望かどうか?入りたいという熱意があるか?(3)学費などの経済面の確認(4)モンスターペアレンツにならないか?の4点でしょう。質問は必ずしも直球でくるとは限りませんが、おおよそこの4点に行き着くような質問で攻めてきます。そこで必要となってくるのは、質問の意図を一度で理解し、学校側が求める答えをすること。これは就職活動の面接と同じですね。“たった10分程度の限られた時間に、どれだけ自己アピールができるか?”、“質問対し、上手に経験談やエピソードを織り交ぜながら答えることで相手の心を掴むことができるか?”が大切になってきます。学生時代に戻ったつもりで入念に質疑応答集を作って準備をしてください。また、面接ではお子様の長所や短所を聞かれることも多いです。良い子どもに思わせたいがために褒めちぎる保護者も多いそうですが、学校側は“我が子を冷静に、かつ客観的に見ているか?”、また“短所を包み隠さず正直に話しているか?”という部分を見ています。面接は自慢大会ではありません。“うちの子どもはこんなに凄い”、“我が家は経済力もあるので学校側にもメリットある”ということを伝えたいのであれば、言葉や表現を選んで謙虚にお伝えできるようにいたしましょう。そして、面接は入室時の第一印象で決まるといっても過言ではありません。ご自身で扉を開ける学校、扉を開けてくれる学校とがありますが、入室の際の扉は、父親が“失礼いたします”と声をかけてから開けて先頭で入り、続いてお子様、最後に母親が入って扉を閉め、全員が入室したら横一列に並び、呼吸を合わせて頭を下げる。終了後は“ありがとうございました”と御礼を伝え、扉に近い順に退室し、最後に退室する者がもう一度一礼してから扉を閉めるのが基本でしょう。読んでいるぶんには簡単な流れに見えますが、お試験本番は非常に緊張します。入退室はお教室やご家庭でしっかりと練習しておきましょう。緊張のあまり、お子様が面接の答えを練習通りにできない場合もあります。そんなときでも、助け舟は出さないほうが良いでしょう。また、あからさまに不機嫌な顔をしてお子様を見てもいけません。めちゃくちゃな回答を隣で子どもがしている場合でも、動じずに終始にこやかにしっかりと前を向いて、先生方のご様子を伺ってください。最後に、面接は願書をもとに行われていることも忘れないでください。出願した願書の内容は丸暗記しておきましょう。■■ひと足早い神奈川県の考査。東京が本命なら結果は教える?神奈川県の私立校(慶應横浜初等部を除く)は、10月後半に本番の試験が終了、早い学校では10月半ばには合否が出ています。そのため東京の学校が本命の場合、結果をお子様に伝えるか否かが大きな鍵となります。正解は、“絶対に結果はお子様には伝えない”です。国立も受験する場合、試験は12月まで続きます。そうなると、神奈川県の学校の面接は9月の半ばからはじまりますので、約3ヶ月の長丁場となります。マラソンに例えると、折り返し地点で1位を独走していても、最後に追い上げてくるランナーに抜き去られては意味がないのと同じです。しかし、お受験幼稚園では、ご両親が結果を本人に伝えていなくても、ほかの保護者から入学手続きをしていたところを目撃され、その情報をもとにお子様同士で合否の話をすることもあるそうです。お子様本人から聞かれても、“まだお手紙届いてないよ。何かの間違いじゃない?まだ○○学校のお試験があるから一緒に頑張ろうね!”と上手に子どもを誘導してください。■■試験1週間前の過ごし方直前期になると、お子様よりもご両親が焦ってしまい、“どうしてこんなこともできないの?”と強くお子様に当たってしまいがちです。しかし、5歳や6歳の子どもが直前の数日間に詰め込んでも、それをすぐにアウトプットできるようにはなりません。それよりも、いままで積み重ねてきたことをできる範囲でしっかり実力発揮できるように環境整備してあげることが大切です。以前、実地体験がいちばん大切だとお話ししましたが、お子様に成功体験を思い出させ、“あの時の○○君/ちゃんは本当に凄かったよね!あのときと同じようにお試験でも頑張ったら絶対に大丈夫だよ!”と励ましてあげましょう。運動会のかけっこで一等になった話でも良いですし、山を登りきった話でも良いです。もし、成功経験ができなかったと感じているご家庭があれば、いまからでも間に合います。たとえば一緒に目玉焼きやパンケーキを作ってください。そして、美味しい美味しいと褒めてあげてください。ほめ殺しではありませんが、子どもなんて単純です。ほめられたら、ほかのことも突然できてしまったりするのです。本番はたったの一回です。いままで積み上げてきた努力をしっかり出しきれるよう、お膳立てしてあげるのも、子どもに小学校受験をさせてしまっている親の責任だと思います。最後に、例年にも増して流行っているインフルエンザの対策について、おすすめグッズをご紹介いたします。まず、お試験の前はなるべくマスクを着用し、早い段階で予防接種を打っておいてください。手洗いうがいはもちろん、常にお母様は除菌ウェットティッシュや抗菌化スプレー、ジェルなどを携帯しておきましょう。また、直前期は風邪や発熱していても、無理に教室に連れていらっしゃる方が多いです。『ウイルスガード』(除菌剤)をお洋服の邪魔にならない場所に安全ピンで付けたり、『イータック』(抗菌化スプレー)をかばんや洋服などにふりかけておくのもおすすめです。少し高額にはなりますが、お部屋まるごと除菌してくれる『ジアイーノ』(除菌脱臭機)をご自宅にご用意されている方もいらっしゃいます。購入場所など詳しい情報は、『ウイルオフバリア』(空間除菌剤)『イータック』『ジアイーノ』といった単語で検索されてみてください。<著者プロフィール>いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、
2019年10月22日この連載では、息子の小学校受験(2018年)を通して学んだことを振り返りつつ、「小学校受験に興味はあるけど、まだよく分からない」という読者のママ向けに【小学校受験のイロハ】をお伝えしていきます。第10回 小学校受験で得た結論。親の勝負どころとは?!早いもので、本連載も今回が最終回です。最後に何を書こうかな……といろいろ考えたのですが、究極のところ、小学校受験で、親はどこに向かって何を努力すれば良いのか。私がたどり着いた答えについて紹介したいと思います。少しでも参考になれば幸いです。小学校受験の勝負どころは「勉強」ではありませんでした。この連載で私が一番お伝えしたかったのは、「小学校受験は能力テストではない」という考え方です。人よりも早く〇〇ができる、〇〇を知っている……。そういう相対的な評価で子どもたちを選考している小学校は少ないのではないかと思います。では、合格につながるポイントは何なのか。共通する土台は「自己肯定感」ではないかと思うのです。できる・できないに関わらず、親はどんな自分も信じて応援してくれるという絶対的な安心感。これは、小学校受験における一つの大きなモノサシと考えて良いのではないでしょうか。つまり、親の勝負どころは、「〇〇をできるようにさせること」ではなく、「学び(興味関心、気づき・発見)を楽しませてあげること」「失敗を恐れず、苦手なことにも挑戦できるよう導いていくこと」なのです。自己肯定感を育むには「子どもの特性(生まれながらの得意不得意、好き嫌い、興味関心など)をよく把握して、その特性に合わせた学習方法を選ぶこと」が大切です。今でこそ、実感をもってそう言えますが、受験前の私は、勝負どころを間違えていたと思います。子どもが〇〇できない 焦り、不安、イライラ常に受け身な夫 焦り、不安、イライラこれでは、親も子も全然楽しくありません。緊張を無駄に高めてしまいます。頭では、何となく分かっていました。でも、どうしても焦ってしまう。不安で押しつぶされそうになる。イライラしてしまう。もともと、こんなことで悩まないタイプのママなら良いんです(そういうママを私は心から尊敬しています)。もし、筆者のように、焦り・不安・イライラに飲み込まれやすいタイプだと自覚がある読者ママさんは、負のループにハマって後悔しないよう、できる限りの予防をオススメしておきたいです。家中にママがハッピー気分になれる工夫を繰り返しになりますが、ママの勝負どころは家庭学習を楽しませてあげること。「できる」がゴールではなく、「楽しむ」がゴールです。そのために大切なのは、問題集をこれ以上買い足すことではありません(笑)。ママがハッピーな気持ちでいられるアイテムを、家中に仕込んでおくことです。「子どもが〇〇できない」にイライラしたら:生まれたばかりの子どもの写真や、0歳の頃の可愛い写真を、目につきやすい場所に飾る。 家庭学習の際、手元に置くのも良いでしょう。イライラしたら、写真をそっと撫でてみて。「受け身な夫」にイライラしたら:一番気に入っている夫婦のツーショット写真をバーンと飾っておく。大好きな香りのハンドクリームやアロマオイルを常備。(嗅覚からもリラックス)生花を飾る。(一輪挿しでもOK。気持ちを明るくしてくれます)好きな柄やキャラクターのスタンプ・シールなどを活用。(子どもの好みだけに合わせるのではなく、ママ自身が好きなアイテムを取り入れてみる)ささやかな工夫ではありますが、ぜひ手を変え品を変えながら、試してみてください。家庭学習の記録は、本番までの大きな励みになる。そのほか取り組んできたことは、受験がすべて終わってから褒める・ねぎらうのではなく(笑)、1ヶ月ごと、3ヶ月ごとなど小まめに取り組みをふりかえって、どんなふうに成長できたかを、親子で確認するというものです。わが家のぴーすけは、なわとびやボールのドリブルなどの運動がものすごく苦手だったのですが、どんなに小さなことでもトライした記録をつけておき、「ほら、このとき勇気を出して、初めて1回できたときは嬉しかったよね〜!」「最初は1回もできなかったけど、1ヶ月続けたら、なんと3回もできるようになったね〜!」というふうに、成功体験をいつでも振り返れるようにしました。ぴーすけも、これを見ると「あのときみたいに、またできるかなぁ」と笑顔になれました。苦手なものは特に、1ミリでも2ミリでも前に進んでいる事実を見える化する工夫が大事だと思いました。また、目標を達成したときは、表彰状や折り紙でメダルを作って盛り上げました。さらに言えば、子どもだけに成長を求めるのではなく、親としての成長も、子どもに見せていくことが大切だと感じました。わが家の場合、夫は完全なるインドア派で、子どもと外遊び=公園だけだったのですが、受験をきっかけにキャッチボール、アスレチック、釣り、キャンプ、登山、プールなどいろいろなアクティビティに親子で挑戦。今では夫が一番楽しんでいます。そんな思い出の写真を振り返りながら、「お父さんも受験をきっかけに随分変わったよね〜」なんて、ぴーすけと笑ったりしています。私自身は、正直なところ自分の成長を後回しにして、ぴーすけや夫にプレッシャーをかけてばかりいたダメダメな母親でした。でも、今になってようやく、「なんだ〜、自分が楽しめばぴーすけのやる気を引き出せるんだ」という手ごたえをつかみつつあります。最近では、1日の終わりに自然に「ひとこと褒め合いタイム」が始まることもあります。「お母さんは今日も1日笑顔で過ごせましたーパチパチパチ」と褒められる日が増えてくると、「あー良かった。私もやればできるのね」と自信が持てます。大人になっても、褒められるのは大事ですね。最初はなんだかわざとらしく感じてしまうかもしれませんが、さりげなく褒め言葉を交わす習慣は、家族全員の自己肯定感を確かに育んでくれることでしょう。これから小学校受験に挑戦する読者ママの皆さん、そのご家族が、「小学校受験してよかった」と思えるよう、心より応援しています。最後までお読みいただき、ありがとうございました!ライター安藤陽子ライター・コーディネーター。ボケもツッコミも苦手な大阪出身の夫と、ドタバタ子育て真っ最中。鉄オタから妖怪マニアに転身した小1の息子と、乙女な笑顔で家族を意のままに操る2歳の娘の母。2019年春、長男の小学校入学を機に、都心から多摩エリアの文教地区に移住。特技は声を七変化させて絵本を読み聞かせること。この連載を最初から読む
2019年10月18日ウーマンエキサイトをご愛読のみなさま、タマタマヨです。みなさま、ご存じでしょうか。子どもが小学2年生になると、生まれた日のことや初めての離乳食のこと、初めて立った日、歩いた日、、、事細かに質問責めされる日が来ることを・・・生活科の授業で生まれてから今日までの自分の成長をまとめて、自分の成長がいかに家族やたくさんの人たちに支えられてきたかを学ぶのです。2人目の育児となると、なかなかパッと思い出せないんですよね。(うちだけか?)でもね、出産のことだけは忘れないんですよね、痛みは忘れたとしても。これは、今から8年前の、私もまだ今より少し若かった(特に見た目と体型が)頃のお話です。インフルエンザか?というくらいの熱、のど、鼻、頭痛、というオールマイティな風邪にやられてました。激しい咳をしていた時、咳の勢いで下着に違和感が!とりあえずトイレで確認。もともと、前置胎盤気味で妊娠中は何度か出血を繰り返していた私でしたが、こんなにも大出血をしたのは初めてのことでした。怖い、どうしたらいいの?!この日は幸い旦那氏も正月休み中。私が風邪に冒されていることもあり、ネネは旦那氏の実家に遊びに行っておりました。大至急産婦人科へ。子宮内感染症、これがまたとっても厄介のようで後からその怖さを知ります。ズン!と頭が降りてきたような感覚がありました。旦那氏の声で出ようと決めたんじゃあるまいな?まだ早いってば!破水は生暖かい、お湯がじわ〜っと漏れていくような感覚で、出血とは違う感じです。私が「ナースコールして!」と頼もうとしたら、突然、何も言わずにフラ〜っと部屋を出ていこうとする旦那氏の姿が!ひとりにしないで〜!腰が割れるくらい痛い! ブァシャーっとまた破水! なんだか進みが早い!ただの破水とは思えないぃいぃー。上の子の時とは全く違う進み具合いに身の危険を感じたのでした!続く!!※この体験記に記載された症状や治療法は、あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。
2019年10月17日第9回幼児期に身につけておいてほしい力これまで、学校の選び方、塾の選び方、受験にかかる費用など、中学受験について書いてきました。今回は、直接中学受験に関係ないように思うかもしれませんが、幼児から9歳くらいまでの間に、ご家庭でしておいてほしいことについて話したいと思います。実際にはこの時期の親のかかわり方は、後々、中学受験にも大きく影響していきます。今どきの子どもは数の感覚が乏しくなっている!私は、受験塾の代表として中学受験・高校受験の指導をしているほか、幼児から小学生を対象としたアフタースクール(学童保育)の運営もしています。最近のお子さんを見ていて感じるのは、数の感覚が非常に乏しくなっているということ。今の子は、お金を持っていません。バスや電車に乗るのも、コンビニでお菓子を買うのも、PASMOやSuicaなどの交通系ICカードが1枚あればこと足りてしまうからです。だから、使ったらお金が減るという感覚もないし、おつりをもらうという経験もありません。私たちが子どもの頃は50円とか100円を持って駄菓子屋に行き、このお金をどうやりくりすればよりハッピーになれるかと頭を働かせたものですが、今の子たちはそういう経験をするチャンスがないのです。自分でお金を払ってモノを買うという経験がないから、たとえば算数の「1本200円のチューリップを5本買ったらいくらになりますか」といった問題で、うっかり2000×5といった式を立てて答えを間違ってしまったりする。一般的な金銭感覚があれば、「あれ?お花5本で10,000円っておかしいな」と気づきそうなものなのですが……。数の感覚を養うために日常生活の中でできることこういう感覚って、ある日突然芽生えるものではありません。ですから、幼児のうちから生活の中で自然と育むよう、保護者の方には意識してほしいなと思います。たとえば一緒に買い物に行くだけでもいい。世の中のモノがいくらくらいで売られているのか。同じようなものでも高いもの、安いものがあるのはなぜか、といったことを親子で話しながらお買い物をするだけで、ずいぶん違ってくると思います。食事の時間も、上手に利用しましょう。たとえば、大皿に盛ったおかずを「一人何個ずつなら平等に分けられるかな」と考えさせてみたり、「何個食べたら何個残る?」と聞いてみたりしてもいいでしょう。時間の感覚についても、日常生活の中で身につけさせましょう。最近は、アナログの時計が読めない幼児が少なくありません。だから、「あと何分」という感覚がわかりません。できれば、リビングなどよく見えるところに大きめのアナログ時計を置いて、「今何時?」「あと何分で6時だね」というように声かけしてあげましょう。それだけでも、時間の感覚が育っていきます。幼児向けのドリルで計算問題をさせるよりも(子どもが喜んでやるのならいいですが)、そういうことのほうが大事ではないかと思います。自然体験、家庭内での会話も大事!自然体験もたくさんさせてほしい。塾でも4年生の理科で、植物について学ぶのですが、実際の植物を見たことがないという子が大変多いです。霜柱も見たことがない。教科書で初めて見たと言う子もたくさんいます。体験がないと、教科書に書かれた情報をただ読んで覚えるだけの勉強になってしまいます。理解もしづらいし、面白くない。面白くないから覚えられない。社会でも、実際に山や川に行って、地形を見た経験のある子とない子では、理解の仕方が全然違います。そして、最も大切なのは、言葉や表現です。お子さんにぜひたくさんの言葉をなげかけ、そしてたくさん傾聴してあげてください。お子さんのボキャブラリーを増やし、表現豊かにしていくことは、中学受験はもとより、人生においても大きな財産となるでしょう。中学受験の勉強って、12歳の子にとってはかなりハードな内容です。でも、学校では習わないような生活に根差した問題も多く勉強します。とくに理科や社会ではそういう問題が多く出されます。そのためだけに、自然経験をしてください、日常生活でいろいろな経験をさせてくださいというわけではありませんが、実体験が多い子のほうが有利なのは確かです。もちろん、経験に根差した知識や知恵は、中学受験のもっと先、大人になったときにも一般常識として役立っていきます。その土台となる力は、幼児期のうちにつけておいてほしいのです。その力は、中学受験をするしないにかかわらず、必ずその子の人生を豊かにしてくれるはずです。小澤珠美さん学生時代に元文部科学大臣・下村博文氏が主宰する学習塾で、アルバイトで塾講師を始める。大学卒後、15年大手進学塾、株式会社早稲田アカデミーで高校受験・中学受験の指導に従事。特に中学受験において、女子の算数指導、受験指導、保護者の方のサポートに尽力し、合格実績に貢献。2010年に独立し、2013年に市ヶ谷に移転。2018年春より、働くパパ・ママを応援するため民間学童保育・放課後スクールMOCOPLA(モコプラ)を四谷に開設。2019年春、自立を育む学びの場(学習塾、プログラミング教室、アルゴクラブ、英会話)Credo久が原オープン。また一般社団法人日本青少年育成協会認定準上級教育コーチ・PM級トレーナーとして、パパ・ママの笑顔、その先にある子どもたちの笑顔を支援するため、教育コーチングをベースにした「子育てセミナー」「ワークショップ」などを開催。また公立・私立中学校PTA、地方教育委員会、新宿区男女共同参画課等から保護者向けコーチングセミナーを受託。著書:中学受験超成功法『ママは楽しく息を抜く』(ギャラクシーブックス)共著:『輝く女性起業家16人:未来を創る~私たちが選んだ道』(カナリアコミュニケーションズ)取材・構成石井栄子この連載を最初から読む
2019年10月15日小学校の先生に自閉スペクトラム症の疑似体験ができるワークショップを実施!Upload By LITALICO研究所「CREST認知ミラーリングプロジェクト」では、VRを用いて自閉スペクトラム症(ASD)のある人の非定型な視覚を疑似体験するワークショップを実施してきました。その中で、発達障害の子どもをもつ保護者の方から、「ぜひ学校の先生に体験してほしい」という声を多くいただきました。学校では、多様な子どもたちへの教育的ニーズにどのように対応していくかが重要な課題の一つとなっています。2012年の文部科学省の調査で、小・中学校の通常の学級に在籍する生徒のうち、発達障害の可能性があり特別な教育的支援を必要とする児童生徒が6.5%いるとされました。40人のクラスに2~3人いる計算になります。多様な子どもたちが同じ場所で学ぶ小学校において、どのように子どもたちの教育的・生活的ニーズを理解し、応えていくことが可能なのでしょうか。そこで、視覚、聴覚、嗅覚などの感覚過敏・鈍麻への理解を手掛かりにして、小学校の先生たちと一緒に考えました。通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児 童生徒に関する調査結果について | 文部科学省講義やVR体験、そして活発なディスカッションが埼玉県戸田市は、県南部に位置する人口14万人の市で、荒川を境にして東京都に隣接しています。今回ワークショップを行った喜沢小学校は、戸田市の東部に位置する、児童数約370名、全14学級の小学校です。Upload By LITALICO研究所ワークショップでは1.ASDのある人の非定型な知覚についての講義2.VRを用いたASDのある人の視覚世界の疑似体験3.当事者が語る映像の視聴4.感想やアプローチを議論するワークを行いました。講義では、ASDのある人がどのように世界を見ているのか、なぜASDのある人には知覚の過敏や鈍麻が起こりやすいのかといったASDの非定型な知覚の背景にあるメカニズムについて学びました。VR体験では、まぶしい場所やにぎやかな場所でどのように見えているのか、実際に学校の教室がどのように見えるのかを疑似体験しました。ワークでは、実際に小学校に在籍している児童の事例をもとに議論を行いました。子どもたちの行動を表層的に捉えるのではなく、目に見えている行動の背景にどのような要因があるか、そしてそれらの要因に対してどのようなアプローチが可能かを、先生たちと、発達が気になるお子さまの支援を行っているLITALICOジュニアのスタッフで一緒に考えていきました。例えば、「ノートのマス目に合わせて文字を書くことに困難さがある」児童の背景にはどのような特性的要因や、物的・人的環境要因があるかを思いつくかぎりたくさん挙げていきます。Upload By LITALICO研究所先生方は、講義やVR体験を通して感じたこと、思ったことをもとにたくさんの背景要因を挙げ、活発な議論をしていました。さらに、VRで体験した視覚だけでなく、聴覚や固有受容覚などその他の知覚的要因も含めて考えていました。印象的だったのは、形を整えて文字を書くことが苦手な児童の事例に関して、ある先生が「もはや鉛筆とノートで授業を受けるという前提を問い直さなければいけないのではないか」と言っていたことです。学校では、皆が同じものを使って、同じ教科を同じペースで学びます。このような学校の「当たり前」に疑問を持ち、本来多様である子どもたちが、学びやすく過ごしやすい環境についてさまざまなアイディアを出し合っている先生たちは、とても楽しそうで生き生きとしていました。多様な子どもたちに対してどのような手だてを行っていけばいいかということは、それぞれの教室によって、子どもによって異なるため、一律の答えやハウツーを出すことはできません。しかし、子どもたちの行動や発言の背景要因を探り、手立て・アプローチの「引き出し」を増やしていくことで、子どもたちが学びやすく過ごしやすい学校環境につながります。参加した先生方に感想を伺いましたワークショップに参加された先生2名に感想を伺いました。1人目は福田先生です。Upload By LITALICO研究所―― ワークショップに参加されていかがでしたか?福田先生:以前クラスにASDのある生徒がいたのですが、今日の内容をもっと早く勉強していたらその子への対応が変わっていたと思い、すごく反省しています…。保護者の方から「感覚過敏がある」と聞いていて、知識としては理解していたのですが、VR体験をするまで、ピンときていなかったなと思いました。やはり、経験してみないと分からないですね。先にVR体験をしていたら、座席配置を工夫するなど、もっと別のアプローチが可能だったと思います。今日の研修で、できることの引き出しが広がりました。ありがとうございました。2人目は横地先生です。Upload By LITALICO研究所―― ワークショップに参加されていかがでしたか?横地先生:クラスに、聴覚過敏があり、小さな音でもすぐにびっくりする子が在籍していたことがあります。その子が音に驚くと、他の子どもたちも反応して、クラス全体が騒がしくなってしまいます。今日の研修で、聴覚過敏のある子には、同じ音でも、他の人よりも大きく聞こえているかもしれないということが分かりました。これまでは(驚いて騒いでしまう子や、それに反応して騒がしくなるクラス全体に対しても)静かにさせる方向で指導していましたが、なぜその子が驚くのか理解できたので、少し待ってみる、そもそも音が出にくいように教室の環境を工夫するなど、今後は別のアプローチも試してみようと思いました。他の先生方からも、「同じものを同じ場で同じように提供したとしても、人によって見え方、感じ方が異なってくることを頭に入れながら、今後の授業に生かしていきたいと思います」「子どもの困難さの要因は、考え方次第ではたくさんあり、自分の考え方が少し広がったように感じます」などの感想をいただきました。今回のワークショップでは、同じ学校の先生同士で、実際に明日から学校でできる手立てを議論することができました。とても有意義な時間になったように思います。目指す学校像とは?校長先生に聞きました喜沢小学校校長の手塚浩先生に、ワークショップを実施しようと思った動機や感想、目指す学校の在り方などを伺いました。Upload By LITALICO研究所―― どうして研修を実施しようと思われたのですか?校長先生:学校には障害のある子だけでなく、外国籍児童など本当に多様な子どもがいます。一人ひとり価値観も育った背景も違う、多様な子どもたちがいるなかで、学校教育がその子たち一人ひとりにあった十分な支援や指導ができているのかというと正直難しいというのが現状です。さらに通常学級は30人、40人いますから、どうしても個人を集団に適応させようとしてしまいがちです。そこで、研修を通して先生たちに、障害が個と周囲の環境との間にあるということを学び、子どもたちに対するさまざまなアプローチを知ってほしいと考え、研修をお願いしました。―― 研修はいかがでしたか?校長先生:先生たちは、人によって見え方に違いがあることをVRで体験して、新鮮な驚きがあったと思います。そして、当事者の方はこれだけの生きづらさや苦労があることを知り、ではどうやって支援していけばいいのだろうかということに関して新しい気づきがあったのではないでしょうか。―― 今後もこのような研修を続けるご予定でしょうか?校長先生:今後も続けて研修を行っていきたいです。特別に支援を要する子たちへの支援は一人ひとりそれぞれ違うので終わりがありません。そしてその分できることも無限にあり、今後もさまざまな研修をして多様な子どもたちに少しでも対応できるような教育をしていかなければいけないと思っています。―― 手塚先生が目指す学校とは、どのような学校でしょうか?校長先生:本校では、障害のあるなしや国籍は関係なく、どの子も実社会につながる学びを進めています。学校のなかには通常学級や特別支援学級といった多様な学びの場がありますが、将来的には全ての子が社会の中で生きていかなければなりません。そこにつながる学びを学校教育として行っていく必要があると思っています。そのためにはまず、全ての子が楽しいと思える居場所と必要な学びへのアクセスを保障していかなければいけません。やらなければならないことはまだまだたくさんあると思っています。戸田市全体で行っていることですが、STEAM教育、PBL(プロジェクト型学習)、協働的な学びなど、これからの時代を生きる子どもたちに必要な新しい学びも取り入れていきます。今後も全ての子どもを伸ばす、全ての子どもの良さを伸ばす学校を目指していきたいと思います。「CREST 認知ミラーリングプロジェクト」のこれから今回は、学術研究の知見を小学校という教育現場で共有するとともに、先生たちが子どもたちの行動の背景要因を理解し、対応するための選択肢の幅を広げる取り組みとして、戸田市立喜沢小学校の先生方に向けて行った、ASDのある人の知覚を学ぶワークショップについてレポートしました。ASDのある人の「非定型な知覚」を理解すると聞くと、障害が個人にのみ起因しているように感じるかもしれません。しかし、周囲の環境が変わることで、当事者が感じる困難さを軽減することができます。例えば、脳に入ってくる情報の取捨選択が難しいことで、見え方にノイズが起き、授業に集中できなくなってしまう場合。教室の掲示物を減らしたり、仕切りを使用したり、イヤーマフの使用を許可したりすることで、これまでよりも学びやすくなったり、生活しやすくなったりするかもしれません。「CREST 認知ミラーリングプロジェクト」では、今年度、学校、少年院、企業などでASD知覚体験ワークショップを行っています。その様子を今後も報告していきますので、楽しみにしていてください。撮影:鈴木 江実子
2019年10月08日この連載では、息子の小学校受験(2018年)を通して学んだことを振り返りつつ、「小学校受験に興味はあるけど、まだよく分からない」という読者のママ向けに【小学校受験のイロハ】をお伝えしていきます。第9回 入試シーズン到来!学校説明会でのチェックポイントは?秋に入り、紺スーツに身を包んだ親子を見かける機会がぐんと増えてきました。今年の受験組は、学校説明会にはすでに参加済みかと思いますが、来年度以降に受験する可能性がある場合は、ぜひ今年度中に足を運んでおくことをオススメします(10月以降にも学校説明会を開催している小学校があります)。今回は、まったくの私的感想ではありますが、体験をふまえて学校説明会でのチェックポイントを挙げてみたいと思います。1. 先生と生徒の表情、立ち居ふるまいインターネット上で情報を調べるのと違って、小学校に足を運ぶと「見られる側」にもなりますので、けっこう緊張しますよね。もちろん、服装や言動などは失礼のないようにしなければなりませんが、あまり過敏になると、選択する立場としての視点を見失ってしまいがちです。当日配布されるパンフレットや資料に目を通すのは、自宅でもゆっくりできますので、現地を訪れた時にはぜひ、五感をフルに使って「わが子が自分らしく伸び伸び過ごせるかどうか」という点をじっくり検討してみてください。私たち夫婦が一番重視したのは、先生と生徒の自然な笑顔、そして挨拶です。どんなに偏差値が高くても、訪問者に無関心だったり、ニコリともしないようでは「大丈夫かな?」と思ってしまいます。知っている・知っていないに関わらず、目が合ったら笑顔を交わす。そんなホスピタリティの高い人たちが多い小学校だったら、なんだかホッとしますよね。ぴーすけが現在通っている小学校も、この点がピカイチでした。説明会や入試のときに先生方が昇降口に立ち、とびきりの笑顔で出迎えてくれる姿を見て、なんて素敵な小学校なんだろうと思いましたし、教育の現場で「笑顔」ってすごく大きな要素なんだなと、あらためて感じた次第です。ただでさえ緊張して訪れている親子が、リラックスできる雰囲気づくり。これは、学校のチーム力の賜物だと思いました。また、生徒さんたちについては、「礼儀正しさ」ばかりに目がいってしまいがちですが、個人的には「お利口」すぎず、話しかけると気さくに答えてくれたり、友だちとケラケラ笑い合いながら遊んでいるような姿が見られるほうが、魅力を感じました。その小学校が「子どもらしさ」をどのように考え、大切にしているか。それは、現場でないと感じ取れない部分なので、気に留めてみてはいかがかなと思います。2. 説明会の運営のスムーズさ、書類の分かりやすさ次に挙げたいのは、会運営のスムーズさ、書類の分かりやすさです。どんな組織にも言えることだと思うのですが、チームワークが良い組織は、会の運営がスマートです。校内で迷わないように、きちんと案内が掲示されているかどうか、マイクは聞こえづらくないか、大人数が校内を移動する際の安全でスピーディな誘導、配布資料の文章の読みやすさなど、ささやかなところに「配慮」があるかどうかもチェックポイントになるでしょう。日ごろの会の運営力は、地震や台風など緊急時の対応力にもつながると思います。また、詳細なカリキュラムや時間割、採用している教科書の種類、専任教師の専門性、英語学習の方法(4技能別、留学の有無など)といった学習面については、なぜそのような教育方法を取っているのかという根拠をしっかりと説明してくれる小学校かどうかも評価ポイントの一つに挙げられるでしょう。学びのスタイルは、子どもの強みや特性によって、合う・合わないがあると思います。人気の小学校だからといって、わが子にぴったりの学習方法とは限らないのです。特に、国立の場合は学校ごとに研究テーマがあり、それに基づく個性的な授業が行われているので、わが子の特性や成長過程(今の段階で、できること・できないこと)に合っているかどうかは、できる限り検討しておいてあげたいところです。一例ですが、わが家のぴーすけが通う小学校では、英語の授業について、単語を多く知っているとか、発音がいいということよりも、非言語も含めたコミュニケーションの姿勢(傾聴力、思いやりなど)を重視するという話があり、とても共感を覚えました。知識や技術だけではなく、「人格をどう育むか」という観点も、大切な視点だと思っています。 3. 校長先生の話の短さ、分かりやすさ、そして……最後の決め手は、ずばり校長先生です。校長先生というと、ちょっと身構えてしまいがちですが、校長先生の人柄に触れて、素敵だな、尊敬できるなと思えたら、安心して受験して良いのではないでしょうか。私は、学校説明会のとき、柔らかな物腰の校長先生が、教育の理念と実践について情熱と確信をもって話されているのを聴き、受験を決めました。何百人もの多様な子どもたちの学びを6年間にわたって支えるのですから、その中心にいる校長先生が何をどう語るのか、ここはしっかりと耳を傾けておきましょう。その中で生まれた共感は、面接の時に語る志望動機の核にもなるはずです。<参考>東京私立初等学校協会関東地区私立小学校連合会ライター安藤陽子ライター・コーディネーター。ボケもツッコミも苦手な大阪出身の夫と、ドタバタ子育て真っ最中。鉄オタから妖怪マニアに転身した小1の息子と、乙女な笑顔で家族を意のままに操る2歳の娘の母。2019年春、長男の小学校入学を機に、都心から多摩エリアの文教地区に移住。特技は声を七変化させて絵本を読み聞かせること。この連載を最初から読む
2019年10月04日白百合学園【小学校受験のお作法2.0】親子力を合わせ、厳しいお受験を乗り越えるためにも、先人たちのリアルな合格体験談はあらかじめしっかりと知っておきたいもの。しかし、幼児教室などで登壇する合格者の経験談は、幼児教室の先生たちのフィルターがかかった内容になりがち。実際には色々な教室に行っていたのに「我が家は本当にこちらの教室のみでした」とコメントされることもあるそう。そこでここでは、お受験コンシェルジュ&戦略プランナーのいとうゆりこさんが、合格者のお母様たちにインタビューを実施。合格するまでの道のり、そして入学後の様子など“生”の声を伝えてくれます。あくまでもひとつの参考とされてみてくださいね。■白百合学園に合格した女の子の場合自らも白百合女子大学を卒業され、ご息女が白百合学園小学校に合格したお母様にお話を伺いました。努力の結果が必ず身を結ぶ「白百合学園」編です。■ご家族のスペック・お父様:地方出身、MARCH卒、一部上場企業勤務・お母様:地方出身、白百合女子大卒、元客室乗務員・お子様:都内人気お受験幼稚園――お母様は地方の高校から白百合女子大を受験されたということですが、なぜ白百合を選ばれたのでしょうか?また学生生活はいかがでしたか?「お嬢様大学であり、付属高校から進学してくる学生は学内の半数以下、大学の偏差値もさほど高くなかったので、地方から東京の女子大を目指す高校生にとっては狙いやすい大学だと思ったからです。実際に通ってみると、キャンパスがある都会から離れた京王線の小さな駅は、当時は殺風景で私の地元よりも田舎に感じるくらいでした。大学の規模もこぢんまりとしたアットホームな雰囲気のところで、学生も都心に校舎がある女子大生の華やかさはなく、地味な装いの方が多かったです。サークルは、明治や中央、日大との交流が多いようで、東大や早稲田、慶應の有名な人気サークルからの勧誘はほとんどなく、少し残念でした。それなのに、大学内では地方出身ということで侮辱され続けました……。授業で隣になった付属校や系属校からの学生さんに“どこ出身?”と聞かれ、あからさまに地方のことをバカにされたり。付属校あがりの内部生に、偉そうな態度を取られるいわれもないけど……と思いながら、4年間淡々と過ごしていました。大学生活を通して感じたことは、当たり前のことなのですが、付属高校のある女子大に大学4年間だけ通っても、お嬢様になれるわけではないのだということ。なので、娘が生まれたら絶対に付属の幼稚園から白百合学園に入れると決めていました」――その決意通り、白百合学園幼稚園を受験されたと?「はい、たまたま大学の同級生の結婚式二次会で、白百合小学校からの卒業生でも幼稚園には入れなかったという話を聞いていたので、大学生活での嫌な思い出を払拭するかのごとく、娘を1歳から『伸芽会』に入会させ、白百合学園幼稚園受験を目指しました。しかし残念ながら、3年保育、2年保育ともにご縁はいただけず、小学校受験が最後の挑戦となりました」――白百合学園小学校以外では、どのようなところを受験されましたか?「滑り止めとして、白百合学園の姉妹校とも言われ、白百合女子大に指定校推薦がある、ヨゼフ学園を併願しました。教育方針も似ているので願書も面接も対策しやすかったです。ちなみに、聖心女子学院は受けていません、母親が白百合女子大卒ということもあって、そこには違和感がありました」――白百合学園小学校の受験はいかがでしたか?「白百合卒業生の多くは、校長先生の面接室に呼ばれると聞きますが、私どもは残念ながら違う面接室に割り振られました。たまたま面接の先生が男性教員でしたので、家族でハワイ・ホノルルマラソンの10キロランに挑戦した話など、あえて白百合の“お嬢様”というイメージとは異なる、娘の活発な部分を推して面接に挑みました。卒業生とは違う新鮮な空気も学校側は取り入れたいだろうなと思い、実際、先生と盛り上がることができました。ペーパー(筆記試験)、個別試験対策、運動、行動観察は大手幼児教室の白百合クラスでしっかり仕上げていただいており、願書と面接で失敗がなければ、模試でも合格圏内に入っておりましたので、大きな失敗もなく面接が終了した時点で少し気持ちに余裕を持って考査を迎えることができました。考査自体は約4時間と長い待ち時間があり、保護者は学内の講堂で待機しています。私は本一冊のみ持参しましたが、ウワサ通り編み物や刺繍をして待っているお母様もいらっしゃいました。娘の受験した年は、女子御三家(聖心・白百合・雙葉)の人気が分散したと言われる年であり、また人気共学校(慶應幼稚舎・早稲田実業)の女子のスタートが11月1日となった年であったことも功を奏し、例年より倍率が低かったんです。そのため講堂で待機されている保護者は150人程度、定員60人と補欠20人ほどと考えると可能性はあると感じました。無事に合格通知を受け取った11月3日は、大学時代から約15年に渡る私の呪縛が解け、すべての戦いが終わったと感じる瞬間でした」――学校生活はいかがですか?「実は正直、ガッカリしています。というのは、3年保育、2年保育と、2回も落とされた付属の幼稚園から上がってくる生徒の質がちょっと……。幼稚園からの内部生複数人が集まり、小学校からの外部生に対して“幼稚園で落ちた子だよね?”といじめたりしていたみたいなのです。こんな子たちに負けたんだと、最初の数ヶ月は苛立ちが隠せませんでした。あからさまに保護者会でにらんだりしていましたね(笑)。しかし高学年になると、学内の勉強もかなり厳しくなり、幼稚園組が落ちこぼれていくのを見ていると、小学校受験のために行ったペーパー試験の勉強が、日頃から鉛筆を持ち、机に向かう習慣に結びついているんだと感じ……まぁ、これも負け惜しみですが(笑)。小学校受験も無駄ではなかったと思うようになりました。そして、入学して勘違いしていたと思ったことがもうひとつ。それは、白百合学園の高校から白百合女子大に入学を希望する生徒は、学内の成績が下位グループに入っているということなんです!中学の偏差値は御三家に筆頭する難関校であり、成績優秀者は大学受験で東大や医学部を目指すレベル。これまで私は「白百合」というブランドを気にしすぎて、歴史や宗教教育ばかりを意識しておりましたので、そういった大学進学の事情を調べておらず、中学から大学受験校になるだという認識がなく、甘かったです。今後、娘も他大学への受験を想定しながら学園生活を送っていかなくてはならないんですよね。そのあたりは本人に任せますが、私としては白百合女子大に進学し、16年間通うことで正真正銘の白百合生になって欲しいとも思っております」<著者プロフィール>いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、
2019年10月01日第8回中学受験にかかるお金の話中学受験をすると決めたら、お金のことも考えておかなければなりません。何にいくらくらいかかるのか、あらかじめ知っておきましょう。塾にかかる費用は、3年間で250~300万円まず、塾の費用です。小学校4年生から塾に通わせると、ざっくりいくらかかるのでしょうか。早稲田アカデミーの場合は、4年生の月謝は4科コースで27,000円/月、5年生は4科コース42,230円/月、6年生は4科コース43,200円/月。これプラス、年会費2,850円(税込)/月が必要です。さらに、教材費が月4,000~5,000円、必須テストが月12,000円くらい。夏期講習・冬期講習・春期講習の費用(全部ひっくるめて30~50万円)、有料の模試の費用やオプションの土曜講座や志望校別コースの費用もかかってきます。これらを合計すると、3年間でおおよそ250~300万円になります。多少の差はあれど、他の塾も似たようなものだと思います。一般的に、学年が上がるごとに、授業料は上がっていきますが、受験が近くなると授業数が増えるためで、時間単価はそれほど変わっていないと思います。たとえば当塾では、6年生になると日曜授業もあるので、その分、4年生5年生よりも授業料が高くなります。授業が週4~5回、自習も含め1週間の大半の時間を塾で過ごす子も少なくありません。前回お話しした、ダブルスクールの場合、上記の塾費用に加えて、たとえば家庭教師を週2回、1回につき2時間お願いするとしたら、安くても5万円前後がかかるかと思います。中学受験のプロ講師となると、月8万~10万円というケースもあります。併願校のことを考えると受験料もばかにならない!受験には、受験料がかかります。ほとんどのお子さんは、第1志望と併願校を合わせて平均5校前後は受験しますから、1校あたり20000円~30000円としたら、受験料だけでかなりのお金が必要です。そして合格がいただけたら、入学納付金を収めなければなりません。お父さんお母さんの時代には、併願校の入学納付金を納付したあと、第1志望に合格した場合、先に払った併願校の入学納付金はもどってこないことが当たり前だったかと思います。今も基本はそうですが、伝統のあるブランド校や人気校は除き、ご家庭の負担も考慮して、入学納付金の締め切りを後ろ倒しにする「延納制度」をとっている学校が多いです。一度収めた入学金は返ってきませんから、併願校を考えるときには、延納制度の有無や、入学納付金の締切日も考慮して、できるだけお金を無駄に払わなくてすむように受験の日程を組む必要があります。私学の初年度納付金はだいたい100万円!中学校は義務教育なので、公立校なら授業料はかかりませんが、私学の場合はどのくらいかかるのでしょうか。東京都の調査()によると、2019年度の初年度納付金(入学金+授業料+施設費+その他)の平均は959,770円。最も高いのは、玉川学園中学部(IBクラス)の1,876,000円。逆に、もっともリーズナブルなのが八王子実践の548,000円でした。私学に入れば、塾に通わなくても大学入試対策はバッチリ!?公立ならお金がかからないところ、私学なら100万円近くのお金が毎年かかるわけですが、中学受験をする人からよく聞くのが「私立なら、大学受験対策をしっかりしてくれるので予備校に通わずにすんで、結局お得なのでは?」ということ。しかし、実はそうとも限りません。面倒見がいい学校もあれば、生徒の自主性を重んじるという校風のもと、手厚い受験指導をしない学校もあります。自分でこつこつ勉強できるタイプの子ならいいですが、そうでなければ、やはり予備校や塾に通ったほうがいいかもしれません。また、授業についていけなくて入学早々個別指導塾に通い始めたという生徒さんもいます。ただ、私立の授業は公立校よりも先取り学習になっているため、仮に予備校に行くとしても、2年の途中や3年からでも間に合うので、予備校の費用が少し抑えられる、ということはあるかもしれません。あるいは、普段は学校の授業だけで、夏休みなどの長期休暇だけ予備校に通うという生徒さんもいます。その場合も塾の費用は抑えられますね。学校で、夏休みや冬休みに補習を組んでくれる私立学校もあります。受講料は授業料に含まれている場合、有料の場合がありますが、有料だとしても1講座1000円とか、とても良心的です。授業以外にもこまごましたお金がかかるので要注意!私立に入学してみると、公立校に比べて、授業料以外にいろいろお金がかかるものです。まず制服。スカート、パンツ、シャツ、ジャケット、セーター、ベスト、ソックス、靴などアイテム数が多いのに加え、自分でコーディネートが楽しめるよう色違いのバリエーションがあったりして、フルに揃えると、5万円から10万円くらいかかる場合があります。そのほか、電子辞書、パソコンの購入費、最近では、海外語学研修がカリキュラムに組み込まれている学校も増えているので、その費用が20万~50万円前後かかります。まるまる1年間留学コースが組まれているような学校では、100万~150万といったお金が別途かかることもあります。中学受験を一瞬ちゅうちょされる方もいらっしゃるかもしれません。お子さんにかかる教育費は、大学まで考えると一大投資とも言えるでしょう。今は、大学は2人に1人の学生がなんらかの奨学金を利用するなどしています。先のことにはなりますが、奨学金や教育ローンの情報も集めておくといいでしょう。教育ローンは日本政策金融公庫が行っている、「国の教育ローン」や、銀行でも低金利の教育ローンを扱っているところがあります。国の教育ローンの場合は年収制限がある、銀行の教育ローンは年収制限はないが審査が必要など、それぞれに特徴があるので、ご家庭の事情に合わせて選ぶといいでしょう。小澤珠美さん学生時代に元文部科学大臣・下村博文氏が主宰する学習塾で、アルバイトで塾講師を始める。大学卒後、15年大手進学塾、株式会社早稲田アカデミーで高校受験・中学受験の指導に従事。特に中学受験において、女子の算数指導、受験指導、保護者の方のサポートに尽力し、合格実績に貢献。2010年に独立し、2013年に市ヶ谷に移転。2018年春より、働くパパ・ママを応援するため民間学童保育・放課後スクールMOCOPLA(モコプラ)を四谷に開設。2019年春、自立を育む学びの場(学習塾、プログラミング教室、アルゴクラブ、英会話)Credo久が原オープン。また一般社団法人日本青少年育成協会認定準上級教育コーチ・PM級トレーナーとして、パパ・ママの笑顔、その先にある子どもたちの笑顔を支援するため、教育コーチングをベースにした「子育てセミナー」「ワークショップ」などを開催。また公立・私立中学校PTA、地方教育委員会、新宿区男女共同参画課等から保護者向けコーチングセミナーを受託。著書:中学受験超成功法『ママは楽しく息を抜く』(ギャラクシーブックス)共著:『輝く女性起業家16人:未来を創る~私たちが選んだ道』(カナリアコミュニケーションズ)取材・構成石井栄子この連載を最初から読む
2019年09月24日お受験2.0【小学校受験のお作法2.0】親子力を合わせ、厳しいお受験を乗り越えるためにも、先人たちのリアルな合格体験談はあらかじめしっかりと知っておきたいもの。しかし、幼児教室などで登壇する合格者の経験談は、幼児教室の先生たちのフィルターがかかった内容になりがち。実際にはいろいろな教室に行っていたのに「わが家は本当にこちらの教室のみでした」とコメントされることもあるそう。そこでここでは、お受験コンシェルジュ&戦略プランナーのいとうゆりこさんが、合格者のお母様たちにインタビューを実施。合格するまでの道のり、そして入学後の様子など“生”の声を伝えてくれます。あくまでもひとつの参考とされてみてくださいね。■学習院初等科に合格した女の子の場合ご息女が学習院初等科に入学されたお母様にお話を伺いました。■ご家族のスペック・お父様:関西出身、関西私立大学卒、自営業・お母様:東京出身、私立女子高校から学習院大学卒、元会社員・お子様:都内人気お受験幼稚園――保育園から幼稚園に移られたということで、その経緯を教えていただけますか?「もともと、長女を保育園に預け、私は会社員を続けていたのですが、その長女が3歳になる直前、長男を出産しました。それを機に、このまま保育園でいくか、二人目の産休育休を利用して幼稚園に入園させるか悩んだので、保育園のママ友に相談をしたんです。日頃から公園で一緒に遊んだり、保育園の行事でも協力し合ったり、休みの日に一緒に家族旅行にも行ったりと、心を許せるママ友でした。すると、“共働きのくせに、有名幼稚園とか考えてるの?まさか、小学校受験もするとか言い出さないわよね?”と思いもよらぬ攻撃をされたのです。そこで気がついたんです。ママ友って所詮、子どもを介して親しくなっただけで、自分の友達ではなかったんだと。よくよくこれまでを振り返ってみると、“ご主人、社長さんなのにどうして働いているの?”“さすが社長夫人、バザーの寄付も太っ腹ね?”などと、嫌味を言われていたことに思い当たり。そういったことを言ってくる保育園のママ友たちに何か違和感を抱きはじめました。そんななか、会社の先輩がお子様を私立小学校に入学させたんです。そのご夫婦にお話を伺って相談していくなかで、私たちも私立小を目指すのに有利な有名幼稚園に娘を入れようと決意しました」――幼稚園に入園されてみていかがでしたか?「幼稚園では、お母様が働いている方なんてほとんどいませんでした。我が家は幼稚園の朝の送りは主人との当番制、迎えは私が会社に週に2回ほど早退の申請をし、残りの3日は送迎シッターさんに依頼。幼稚園行事は仕事を休める方が休む、といった感じで長女の幼稚園生活をスタートしました。しかし、働いていない幼稚園のママさんたちは、朝、幼稚園に送るとそのまま“朝お茶会”、週に1度はランチ会、幼稚園帰りは公園でお遊び会と、とにかく皆様“お暇”なようで。集まれば小学校受験の話、人の悪口大会、マウンティング合戦ばかり。そんなものに何時間も無駄なお金を使って付き合うのが馬鹿馬鹿しくなるほどでした。そして働くママを何かと見下してくるんです。自分の経験よりも“ご主人の地位”や“財産”でランク付けされているようで、保育園ママとはまた違った価値観で攻めてくるんですよね。たとえば、ある日、私がとある有名女子校出身だという話をしてしまったら、“その女子校からどうして学習院大学なの?早慶も狙える高校なんじゃない?お勉強苦手だった?”と言われました。ただ、そう言ってくるママさんは大学も卒業していないんですよね。ハワイに遊学していたそうです。もちろん働いた経験もないそうです。なかには、再婚した年の離れたご主人が有名な企業の社長さんだという元ホステスのママさんもいましたが、彼女が幼稚園のボスママ的存在でした。こんなママさんたちのお子様が慶應幼稚舎や聖心、白百合などの「名門小」に進学を希望されているなんて、なんか笑っちゃいましたよ。私は絶対に子どもの小学校受験を成功させて、このママさんたちを見返そうと思いました」――どのような小学校受験準備をされましたか?「娘が年長、息子が年少になったとき、思い切って長年勤めた会社のフルタイム勤務を辞め、小学校受験の準備に本腰を入れました。色々な小学校の説明会をまわり、自分なりの分析をし、お教室の先生に進路相談をしたところ、小学校受験は大きく3つに分類されることがわかりました。まず出身や関係者に有利な学校、そして、ペーパー(筆記試験)や運動、実力重視の学校、最後に家柄重視の学校の3つです。このなかで、変なママさんたちに悩まされない学校は「家柄重視」の学校に分類されるなと。それが学習院初等科だったのです。学習院であれば、同大学卒業の我が家にも可能性があるかもしれない!と思い、塾の先生に相談すると、“大学だけ卒業なんてまったく効力はない、フリーで受験するつもりで準備をするように”とアドバイスをいただきました。そこで、『ジャック幼児教室』と『伸芽会』の大手教室で、それぞれ学習院クラスを掛け持ちし、さらに難関ペーパー校向けの個人の先生、行動観察教室にも通わせることにしました。授業料だけで1ヵ月30万円以上。自営業の主人は“経費として、まったくおろせない金額”と失笑しながらも協力してくれました」――学習院の試験は実際に受けられてみていかがでしたか?「学習院の入試はとても特殊で、第一志望の家庭を最優先に考えてくれている学校だと感じました。というのも、学校説明会や見学会、イベントなど、ほとんどすべての行事が氏名の登録制であり、他校と被る日程も多いんです。そのため、行事に参加している家庭は学習院を第一志望としていることが学校側にも伝わるようになっています。また、面接は子どもの考査中に両親のみで行われます。子どもが同席していないなか、じっくりと面接されるのです。大人対大人となるわけですから、こちらも本気でないと簡単に見破られます。合格者数も男女共に40名、補欠20名の合計120名。合否発表当日は、校門付近の掲示板に受験番号が掲示され、その場で合格書類を校庭を進んだところにある事務室にて受け取ります。そのため事務室への道は、校門付近でそそくさと退陣する方を横目に合格者のみが歩ける“栄光ロード”と呼ばれているんですね。幼稚園で散々私をディスっていた開業医夫人も、この栄光ロードを渡ることなくご夫婦で去って行きました」――入学されてみていかがでしたか?「入学後に保護者を見まわしても、同じ幼稚園の方はいませんでしたし、多くの保護者は両親どちらかが初等科もしくは中等科や女子中等科出身、あるいは代々ご出身であったり、一族系企業の方ばかり。もちろん皇族関係者や旧華族出身など、歴史の教科書で出てくるような名字の方もいます。我が家なんて初等科のなかでは、一般以下の家庭です。しかし皆様、変わりなく接してくださいます。こういうところが保護者の質といいますか、お家柄といいますか、お育ちなんでしょうね。本当に身分の高い方々は、下々の人間を馬鹿にしたりしないんです。娘も息子も、錚々(そうそう)たる方々のなかで上手くやっていけるか心配な面はありますが、日本人として美しい人格と教養を身につけさせてくれる素晴らしい学校なので、学習院の生徒として、保護者として、家族4人、多くのことを学ばせていただこうと思っています」<著者プロフィール>いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、
2019年09月23日お受験2.0【お受験コンシェルジュ&戦略プランナーのいとうゆりこさんが、東京都・神奈川県の小学校受験を中心に、学校説明会や幼児教室ではなかなか教えてくれないリアルな“お受験情報”を発信。小学校受験本番を迎える、幼稚園年長のお子様方に焦点を当て、保護者共々一年間どのように戦い抜いていけば良いのか各月ごとのポイントを教えてくれます!】願書の清書も終わり、入学考査料の振込みや面接の際の服装選びなど、試験に向けての準備も最終段階に入られているころかと思います。そこで9月編では、願書の投函日時にまつわる“郵便局の消印の神話”、面接時の持ち物事情を中心にお話したいと思います。■■郵便局の消印の神話……いつ・どこから提出するのがベスト?そもそもなぜ願書の投函日時が重要なのかというと、受験番号と関わってくる場合があるからです。受験番号は、願書到着順に振り分ける学校、生年月日順、名前順に振り分ける学校とがありますが、この番号によって考査の日にちや時間が変わってくるので、前者の場合にはしっかり計算して郵送したいところ。郵便というのは、学校の最寄りの管轄郵便局に一度集められ、配送されますので、自宅の最寄りではなく、志望校の管轄郵便局に行かれる熱心な方も多いのが現状です。東京地区の私立学校の多くは10月1日が願書消印有効日のため、慶應幼稚舎の管轄と噂される渋谷郵便局では9月30日の深夜23時半を過ぎると、宮益坂沿いにハザードランプを点灯させた自家用車が列をなして駐車されており、運転席にお父様かお母様、夜間窓口にもう一方が並ばれます。お子様のため、ご自身のために……と必死なお気持ちだと存じますが、深夜に苛立ちながら並ばれているお姿は、正直あまり美しいものではございません。何より、毎年多くの方が訪れているものの、慶應幼稚舎に関しましては受験番号は生年月日順となりますので、深夜に並んでも無意味です。たしかに、10月1日が願書消印有効日かつ受験番号が到着順に割り振られる学校の場合、なるべく遅い受験番号をとりたければ、学校から少しでも遠い郵便局から10月1日23時59分あたりに出すなど多少の工夫が必要となってくるかと思います。しかしそういったケース以外は、自宅の最寄りの郵便局から10月1日朝一番に投函するのがベストだと思います。いずれにせよ、大手のお教室などで学校別の諸注意事項を再度ご確認ください(※聖心の管轄郵便局は、深夜にいらっしゃる方々の件で毎年学校にクレームを入れるそうですので、とくにご注意ください)。また、“東京中央郵便局に一度すべての郵便が集められるため、そこから出せば最短で学校最寄裏の郵便局に配達される”という話を信じておられる方もいらっしゃるようで、例年かなりの人数がそちらに並ばれます。昨年も、学校のお名前入りの封筒を何通も抱えたお父様お母様方が9月30日の24時直前から並び出し、24時前に順番がまわってきそうになると、一般の方に順番をお譲りになったり、24時を過ぎて窓口が一つから二つに変更になった途端に、少しでも早く出そうと二組のお父様が揉めておられる光景を目にしました。窓口はあくまでも消印を押すだけで、大きな箱に一度まとめて放り込まれた後、方面別に仕分けされ、各管轄の郵便局に配達されます。管轄内の郵便局以外の場合は、どちらの郵便局から投函されても深夜作業時間帯であれば到着日時に変わりはありません。気になるようでしたら、投函予定の各郵便局にお問い合わせください。郵便局側も毎年のことで慣れておりますので、最善の方法を細かく教えてくださいます。■■面接の際の服装選び、要注意は雨の日?考査内容に運動がある学校の場合、考査中は汗をかくので半袖が好ましい場合もありますが、試験のはじまる11月1日頃の天候は、昨年に続き今年もまったく予想ができません。というのも、数年前の11月1日は非常に寒く、半袖の洋服の上にセーター、コートの装いが大半でしたが、昨年は11月1日でも暖かく、ジャケットやセーターも必要ありませんでした。さらに一昨年などは、早朝から大雨になってしまったため、学校最寄り駅までは長靴を履き、サブバッグに予備の靴下や革靴、考査用の上履き、両親のスリッパなどを入れなくてはならなくなり、通常のサブバックだけでは入りきらない大量の荷物になってしまったとおっしゃっていたお母様もいらっしゃいました。あるいは、傘立ての準備をしてくださらない学校もありますので、濡れた傘入れ、破れてしまった場合の予備のビニール、床を濡らしてしまった場合の雑巾などが必要となって荷物が増えてしまい、朝から大慌てだった方も。当日、二校受験される方においては、ご両親が大きな荷物を二つ抱え、お子様も自分で上履き入れを持って傘をさしたため、学校に到着する前にグッタリしてしまった方も多かったようです。お教室のなかには、学校最寄りに控え室を準備してくださっているところもございますので、そうした控え室やコインロッカーなどを活用しながら、荷物は最小限にしましょう。学校の保護者控え室もけっして広いわけではありません。大量の荷物で他の方にご迷惑がかからないようにしたいですね。そして試験を掛け持ちする場合、学校間の移動時間を短縮するために、タクシーで移動する方も多いと思いますが、なかにはタイミングよくタクシーがつかまらず、焦った方もいらっしゃると思います。最近ではタクシーの予約も簡単になったので、事前に移動するであろう時間帯の渋滞予想などもシュミレーションしておきたいですね。また、学校に入るとまずは受付を通過します。受付の方はお名前の横に受験生の受付通過時間も記入していることもあるので、早すぎず、遅すぎず、時間に余裕を持って受付を通過しましょう。受付時も、受験生が自ら名乗らなくてはならない学校と、保護者が受験票を提出する学校とがあります。この受付から考査はすでにはじまっています。さらには、通学路から先生を配置している学校もありますので、学校最寄り駅から気を引き締めて行動してください。■■併願校、滑り止めをいま一度考える7月編でも申し上げましたが、併願校や滑り止めの受験を軽んじず、いま一度しっかりと考えてください。6年間もしくは12、16年間と、お子様とご両親が通う学校のスタート地点です。どうしても魅力を感じなかったり、お子様、もしくはご両親がしっくりとこない学校には無理に出願せず回避しましょう。無駄な時間と労力を使う必要はありません。小学校受験がすべてではありません。学校によっては編入試験を実施している学校、中学受験の方が間口の広い学校もあります。編入試験や中学受験は筆記試験で点数が取れれば入学できますが、幼小受験は必ずしもそれだけではありません。点数以外の“何か”も大きなポイントとなります。最近ニュースにもなりましたが、理不尽な部分も少なからずある入試である、という事実も受け入れておいた方が良いかと思います。<著者プロフィール>いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、
2019年09月22日この連載では、息子の小学校受験(2018年)を通して学んだことを振り返りつつ、「小学校受験に興味はあるけど、まだよく分からない」という読者のママ向けに【小学校受験のイロハ】をお伝えしていきます。第8回 お受験塾って、行かせるべき? 迷ったら確認したい3つのコト読者ママさんの中には、塾に通わせようかどうか迷っている方もいらっしゃると思います。わが家は年少の12月から2年間、いわゆる受験塾にお世話になりました。結果的には通って良かったと思っていますが、事前にもっと検討しておけば良かったな…という点もあります。1.塾で得られるもの、手放すもの。もっとよく検討しておけば良かったなと感じるのは、塾通いで得られること、手放すこと。特に後者についてです。「なんとかなるだろう!」と勢いでスタートしてしまうと、わが家のように途中で息切れしてしまいます。受験塾=時間とお金の投資ですから、「手放すもの」についてはシビアにイメージしておいたほうが良いでしょう。振り返りになってしまいますが、わが家のケースはこんな感じです。<塾に通ったからこそ得られたもの>・受験情報(出題傾向、試験の詳細な流れ、服装など)・志望校情報(入学後の実際。合格した塾の卒業生から話を聞く機会など)・子育て&ライフスタイルの根本的な見つめ直し・毎日の学習習慣・園以外の友だち・子どもの得意、不得意の把握・模擬面接やエントリーシートチェック<塾に通う代わりに手放したと思うもの>・家族でくつろぐ時間・多様な体験をさせる時間・まとまった資金「志望校情報」は、わが子にぴったりな小学校を見極める上では、塾に通うメリットの一つと言えると思います(塾の卒業生親子からの口コミが蓄積されているので)。ただし、目指す小学校が限定されている塾を選んでしまうと、それ以外の小学校の情報はほとんど入ってきませんので、志望校が完全に固まっていない、あるいは受験しようと考えている志望校が複数で、出題傾向にバラつきがある場合は、多様な分野をバランスよく学べる塾を選んでおいたほうが、柔軟に対策を進めていけるでしょう。また、試験の雰囲気に慣れるという意味では、定期的に、また大人数で模試を実施している大手塾が望ましいかも知れません。(外部生でも模試を受けられる塾はあります)一方、受験塾に通うとなると相当な時間を費やすことになります。投じるお金は安くて月2〜3万円、8〜10万円以上かけている家庭も珍しくはありません(2年分を合計すると海外旅行に何回も行けそうです)。ここで大切なのは、それだけの時間とお金を「受験塾」にかけた上で、「自分たちらしい休日の過ごし方」「多様な体験の機会」も大切にできるかどうかです。いま、多摩エリアの豊かな自然の中で、受験塾に通っていた期間にはなかなか実現できなかった休日を過ごしています。動物や昆虫と触れ合ったり、広大な公園で身体をたくさん動かしたり、ドライブやサイクリングを楽しんだり。そんな時ふと「あの2年間、こういう休日をもっとたくさん過ごしてきたら……?」と思うことがあるのです。ハードな通塾を経験したからこそ、こうした休日を過ごせるありがたさを実感できるのかもしれません。しかし、幼少期の家族時間は、記憶はかすかであっても、子どもにとっては大切な心の土台となるもの。合否をいったん横に置いて、家族の価値観とよくよく照らし合わせてみることをオススメします。2. 同じくらい時間とコストを投資して、合格に近づく道はないか。これまでお伝えしてきたように、ペーパーテストで出題されるものの多くは「体験」を通して、あるいは「人」「自然」「本」などとの出会いを通して身につく問題が数多く出題されます。集団観察や面接で学校側に伝わるのも、こうした体験や出会いによって育まれる「人間性」と言ってよいのではないでしょうか。受験=塾という先入観はものすごく強いですが、豊かな体験・出会いのチャンスは、「受験塾」に限らずたくさんあります。例えば……・国内旅行、海外旅行・語学留学、ホームステイ・キャンプ、登山、マリンスポーツなどの自然体験・農業体験、漁業体験・ボランティア・地域行事など一芸に秀でること、個性を際立たせていくことがグローバル時代を生き抜く条件とさえ語られる時代です。「他の親子には決して語れない個性」を磨いていくために、大切な時間とお金をどう使うのがベストなのか。そのような視点で、じっくり考えたいところです。3. 合否結果を抜きにしても、塾の理念・教育実践に共感できるかさて、ここまで書くと、「じゃあ、結局、受験塾には行かないほうがいいの?」と言われてしまいそうですが、少なくとも、わが家の場合は、「その時期に手放したものもたくさんあったけど、通ってよかった」という結論です。なぜなら、今のぴーすけを見ていて「輝いているなぁ!」と思うところ(毎日の生活習慣が自律している、図鑑を見て熱心に絵を描く、自然の生物や理科的な実験が大好き、苦手でも粘り強く挑戦するなど)は、その塾で身につけたことが多いからです。塾に行かせてみて初めて気づけた価値観というものもあります。最終的には、その塾の先生に「人として」魅力を感じるかどうか。実はここが一番大事なチェックポイントなのかも知れません。塾を選ぶ場合には、知名度や実績だけではなく、志望校選びと同じように、理念や教育実践に「共感」できるかどうかを、ぜひ検討してみて下さい。ライター安藤陽子ライター・コーディネーター。ボケもツッコミも苦手な大阪出身の夫と、ドタバタ子育て真っ最中。鉄オタから妖怪マニアに転身した小1の息子と、乙女な笑顔で家族を意のままに操る2歳の娘の母。2019年春、長男の小学校入学を機に、都心から多摩エリアの文教地区に移住。特技は声を七変化させて絵本を読み聞かせること。この連載を最初から読む
2019年09月20日自分に合った環境なら、「みんなと違う」は気にならないUpload By 楽々かあさんこんにちは。「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法」著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。私は、発達障害の「障害」とは、その子の「個性」と「環境」の間にある…と考えています。ですから、本人側から環境に合わせる努力や工夫も大事ですが、自分が適応しやすい環境を選ぶことでも、「みんなと違う」が気にならなくなる場合もあると思います。現在中学2年生の長男は、私立中高一貫校を受験し、第一志望校に無事合格。自分の個性に合った環境で充実して過ごせるようになり、私はそこに「障害」を感じなくなりました。中学受験は、あくまで「環境選び」の1つの選択肢に過ぎませんが、独自の校風や教育方針などの「環境」が、その子の「個性」とぴったり合っていれば、少々個性的でも学校生活を楽しく過ごせるお子さんは結構いるように思います。ただし、私立中学の場合、特別支援学級設置校は現在全国で1校のみ(文部科学省H29年度資料より)ですし、障害者差別解消法による「合理的配慮」も「努力義務」の範囲になるため、基本的に「特別支援教育」や「特別な配慮」は、現状あまり期待できないと思っていた方がいいでしょう(※ただし、発達障害・不登校対応ができる学校や、公言せずとも一定の理解や配慮がある学校もあります)。そのため、まずは、入学の前提条件として、お子さんがある程度、特別な配慮がなくても教室で落ち着いて過ごせ、通常学級での授業や学級活動への参加に大きな支障がないことが必要な場合が多いと思います。また、将来の自立に向けて必要な、ソーシャルスキルや生活スキルを身につけるための発達支援(療育)・トレーニングは、必要に応じて医療・支援機関の手も借りながら、家庭が主体となって学業と並行して継続的に取り組んでゆく必要もあるでしょう(これは、公立中学の通常学級、フリースクール・ホームスクール等で学ぶ場合や、高校進学〜それ以降の進路を選択した場合も同じです)。その上で、もし、中学受験をお子さん自身が強く希望したり、ご家庭の教育方針と合うのであれば、様々な学校を実際に見学し、比較検討してみるといいでしょう。その際、うちの経験上、発達障害傾向のある子の場合、志望校選びの段階で偏差値や知名度などよりも、ずっと優先して考えた方がいいことがあります。環境の影響を受けやすい発達障害傾向のある子は、毎日の小さな負担の積み重ねが、いつの間にか、「適応できない」「努力では乗り越えられない」大きな障害物となってしまうこともあるからです。発達障害&グレーゾーンの子が中学受験を考え始めた時に、志望校選びのポイントを7つ、ご参考までに独自の「発達障害目線」で、2回に渡ってお伝えします。今回の<前編>では、その子の個性を活かしやすい、前向きな志望校選びのポイント4つです。文部科学省「特別支援教育資料(平成29年度)」より出典 : まずは校風です。校風とは「学校の雰囲気」という漠然としたものですが、校訓や募集要項やアドミッション・ポリシーなどで、「こういう子に来て欲しい」と学校側は意思表示していますから、学校の公式HP・資料請求などで、すぐに確認できます。そして、教育方針。私立学校は特色ある独自の教育を打ち出していることが多く、「サイエンス教育に重点を置いている」「国際教育に力を入れている」「スポーツの強豪校である」「情操教育を大事にしている」…などなど、学校自体も個性的です。つまり、「学校の個性」と「その子の個性」がピッタリ合っていれば、同じ子の同じ部分が短所から長所に変わることも。例えば、うちの長男の「空気が読めない」という部分を、現在の中学では「積極的に自分の意見が言える」と肯定的に高く評価してくれます(こういった学校の考え方は、建学の精神、校訓や募集要項、過去問等にもハッキリ表れていました)。そして、凸凹差が大きくても、特定の分野に興味関心が高い子、一芸に秀でた子、一つのことに集中できる子等を歓迎し、得意分野を伸ばしてくれる教育方針とマッチすれば、「できる子」として扱ってもらえる可能性も高いでしょう。また、留学生や帰国子女を積極的に受け入れるなど、多様な個性や文化背景のある生徒が集まる学校や、博愛精神を大事にする学校などでは、多様性を認める教育がなされ、多少の個性やものの感じ方・考え方の違いは、大らかに受け容れてもらえることも。こういった、個性的な生徒を求めている学校は、「推薦・AO型入試」などを実施している場合も多いので、入試方式も早めにチェックしておきたいところ(推薦・AO型入試は、説明会への参加、事前の資料準備や面談、面接練習などが必要なことが多いです)。出典 : 学校の規模も、発達障害傾向のある子にとっては、大事な要素だと思います。感覚過敏があると、教室でのザワザワ音や他の人の動きなどが気になってしまい、負担が大きくなります。うちの長男は「人が多ければ多いほど、集中できない」とのこと。また、グレーゾーンの次男も人の顔と名前が覚えにくく、学級数が多い小学校ではクラス替えによる負担が大きく、対人関係でなかなか自信が持てませんでした。こういった子は、小規模校や少人数クラス編成の学校のほうが負担が少なく、落ち着いて過ごせる可能性が高いでしょう(ただし、クラス数が少ないと、いじめやトラブル等の際にクラス替えによる解決が難しくなることも。また、少人数でも静かとは限りません)。そして、中学では小学校と違い、担任の先生がずっと同じ教室にはいないので、大人の目が届きにくくもなります。また、集団の規模が大きくなればなるほど、「個別に、柔軟に」は、物理的に難しくなるでしょう(ただし、「干渉されない大規模校のが気が楽」「ビシッと管理されるほうが落ち着く」という子もいると思うので、一概に大規模校が合わないとは言えません)。そのため、小規模校や少人数クラス編成の学校は、アットホームな雰囲気で先生方も生徒一人ひとりの顔を覚えやすく、目も届きやすいでしょう。また、大規模校でも、副担任制の採用や少人数授業や補習制度など、教員の配置が手厚く面倒見の良い学校も。生徒数・クラス数・教員数も、学校の公式HPや学校案内・募集要項等に大抵記載されています(ただし、入試の際の募集定員数と実際の在籍生徒数がかなり違う学校もあるため、「実際のところ」も、よくご確認を)。出典 : 思春期は、いわゆる「フツーの子」でさえ、身体面・精神面で不安定になりがちです。ましてや発達障害傾向のある子は、環境の変化に敏感なことも多く、心身に大きな負担のかからない、安定した生活環境が大事だと思います。ただし、設備の「体感」は公式HPや学校案内だけでは掴めないので、実際にお子さん自身が見学会や文化祭・体験授業等に足を運んで確認してくるのがいいでしょう。学校の設備面のチェック・ポイントは…・エアコンの設置・稼働状況(各教室の他、体育館や部活動の施設なども)・教室環境(教室の広さ、机と机のパーソナルスペース、教室前方のモノや掲示物の配置など)・教室の照明、黒板・ホワイトボードの色(視覚過敏やLDのある子に見やすい色・明るさか)・個人ロッカーの有無(忘れ物の多い子、体力に不安のある子等は、「置き勉」の可否)・保健室や図書室、自習室やオープンスペースの有無(静かに休息できる場所はあるか)…など、「その子にとって特に負担がかかりやすい部分」を重点的に、よく見ておくべし!また、味覚や触覚過敏で偏食傾向のある子は、食の選択肢がある、弁当持参や学食・購買が充実している学校などが、負担が少ないでしょう。その中学のランチはどうなっているか、学園祭などで在校生に「お昼、どうしてますか?」って聞いてみるのもテ。それから、一般的には楽しいハズの行事・イベントも、「いつもと違うこと」が多いと負担になる子もいるでしょう(ただし、私立は運動会や各種セレモニーなどの事前練習等はほとんど行わないか、あっても効率的な場合が多いと思います)。年間行事予定も、学校HPや学校案内に大抵写真付きで載っていますから、一緒に眺めて「こんな行事があるんだね」「修学旅行はここに行くんだね。大丈夫そう?」等、親子で話し合いながら、お子さんの反応を見ておくといいでしょう。出典 : 傾向のある子は特に、ICTの導入状況はよく確認しておきたいポイントです。ICTが全校で導入され、iPadやPCが一人一台使える環境なら学習への負担が減りますし、特別な許可も必要ないので「〇〇くんだけズルイ」だなんて思われることもありません。また、ICTが普及していれば、校内の無線LANや電子黒板等も整備され、先生方もデジタルツールに慣れているので、デジタル教科書や電子辞書の使用、作文・課題のワープロ提出、ノート代わりの黒板の撮影なども、柔軟に理解されやすいと思います。長男の学校の場合、全校生徒1人1台iPadを所有し、授業中の電子辞書アプリの使用や、課題のワープロ打ち提出などは、特に先生の許可も必要なく、発達障害のある・なしに関係なく「みんなフツーにそうしてる」とのこと。そして、学習面では、授業内容やレベルなど「何を学ぶか」も大事ですが、「どう学ぶか」の学習手段・方法のほうが、より重要なポイントだと私は考えます。先生が一方的に話して、ひたすら黒板を写す…という伝統的な講義型の一斉授業だけでは、負担が大きかったり集中できなかった子も、「その子に合った学び方」なら、学習意欲と学力を大きく伸ばしてもらえる可能性も。多様な学習手段・方法の例は、ICTの活用の他にも…・実験やフィールドワークなどの体験型・探求型の学習・教科を越えた問題解決型の統合的な学習・言葉で学びをアウトプットするプレゼンテーションや、ディベート形式の学習・少人数授業、習熟度別クラス編成、個別課題や補習など、それぞれのペースや到達度に合わせた学習…など、近年様々に試みられていますが、その学校で取り入れている中で「その子に合った学び方」があるか、じっくりチェック。学校側が柔軟に新しい方法を取り入れてアップデートし、「学び方」の選択肢が多ければ、その子の凸の強みが活かせるチャンスも増えます(「その子に合った学び方」は何かが分からなければ、事前に専門家に相談し把握しておくといいでしょう)。また、柔軟性・合理性の高い学校なら、個別の事情に合わせて、ちょっとした私物の持ち込みや学用品のカスタマイズ程度なら、気軽に理解が得られることも。学習環境の確認は、小学生向けに体験授業などを行う学校も増えているので、気になる学校があれば参加してみるといいでしょう。その子の個性を活かしやすい環境を…出典 : 今回の<前編>では、「発達障害目線」から「こんな環境なら、その子の個性を活かしやすい」という、私立中学の志望校選びの前向きなオススメポイントを中心にお伝えしました。次回<後編>では、入学の学校生活を考えると「ちょっと不安な点・心配な点」に対して、押さえておきたい現実的なポイントを中心にお伝えします。大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法』2016年/刊/ポプラ社
2019年09月20日この連載は…娘が、女子御三家と言われる名門私立中学・桜蔭に合格したママの体験記です。当初は中学受験なんてまったく視野に入っていなかった親子が、なぜ最難関に挑戦するにいたったのか。その軌跡をたどります。塾のクラス分けと部活問題夏休みで夫の実家へ行き、直前に勉強ができず、クラス分けのテストの日を向かえてしまいました。のんきといえどもテストとなると、不安や緊張も。娘も「どうしようどうしよう」と不安がっていましたが、腹をくくってテストを受けることにしました。心配していましたが休み前に蓄積してきた分が効いたのか、結果は良く、S組に入ることができました。当時4年生のクラスは上からS、1、2、3組と20人ずつのクラス編成でした。Sや1組になると、先生も力がある先生に受け持ってもらえるようでした。算数は娘が気に入っていたY先生のほか、国語のI先生や社会のE先生など教え方が上手な先生がそろっていました。先生たちは保護者会などで冗談を交えながらテンポの良い説明をされ、子どもたちに受け入れられることに納得しました。4年生の間は順調でS組に残ることができました(その後変動がありました)。うちは「授業をしっかり聞いて、出された宿題はきっちりこなす」というシンプルな勉強スタイルでした。娘は先生に言われたことには応えたいというタイプで、そこそこの見栄っ張りでもあったので「恥ずかしいことはしたくない」という気持ちもあったと思います。娘は先生や塾が言ったことに対しては一生懸命応える努力はしますが、自分から「こういう勉強をしたい」「もっとたくさん勉強したい」という意欲は持たない子で、それ以上もそれ以下もありませんでした。S組には入れましたが、クラスの中で上位ではなかったと思います。優秀な子は月末の塾全体のテストでほぼ毎回好成績を取り、テスト後、全国の塾生に配られる会報誌に成績順に名前が掲載されていました。うちの娘は、4年生のときも5年のときも載ったことはありませんでした。名前が載っている同級生は別世界の人のように親子でぼんやり思っていました。名前に特徴のある常連の子は、子どもも親も自然と名前を覚えてしまい、のちに桜蔭に入り、全国の成績上位リストの常連の子を見かけたり、同じクラスになったりすると娘は芸能人と会ったような「さんがいた!」と大騒ぎしていました。塾では学校の学年より一足早く冬期講習後から4年生ではなく、5年生になります。受験のために入塾する子もさらに増え、クラスも2クラスほど増えていきました。うちは4年の時の成績が良かったので、このまま受験する方向へ固まってきました。ところが三学期、学校から帰るなり娘は「部活に入りたい!」と言い出しました。「え?ええええええ!!!!」私はびっくり仰天。娘が入ると言い出したのは、文化系の体育会と言われる合奏部。部活を見学に行って、楽器を演奏する上級生に心惹かれたようでした。朝練夕練とあり、土日も練習だったり演奏会があったりします。「受験で忙しくなるなら無理じゃない?」と私が聞くと、「ちゃんも塾行きながら部活するって言っていたから大丈夫」と言います。「塾が始まる前に部活は抜けてるのは構わない」と、顧問の先生がおっしゃったそうです。物理的には無理ではなさそうですが、果たして両立ができるものなのかと思い悩むことになりました。つづく葉月なつフリー編集者・ライター。空気を読みすぎて流されやすい、ブレブレな19歳の長女と、生まれた時から「俺は俺」という「俺道」を突き進むマイペースな12歳の長男を持つ2人の母。長女が3歳まで出版社勤務。0歳児から長女を保育園へ預けフルタイムで働いていたが、長女が精神的に不安定になり、長女が3歳になったときに退社。以後専業主婦となり、パート勤務のみで家中心の生活。家族の理解を得て、昨年フリー編集者・ライターとして再スタート。この連載を読む第1回【桜蔭中学・合格ママの体験記】うちの娘は「ゆとり世代」その実態に、焦り始めるママたち第2回【桜蔭中学・合格ママの体験記】1年生になったばかりの娘が通い始めた塾。そこでのテスト結果で知った事実とは…?!第3回【桜蔭中学・合格ママの体験記】のんびりムードは3年生まで。4年生になる直前は本格的に「受験」を意識することに…!?第4回【桜蔭中学・合格ママの体験記】こんなに特徴がある!中学受験に特化している大手塾4つ第5回【桜蔭中学・合格ママの体験記】里帰りには塾のテキストも一緒。夫の家族との温度差が顕著に。
2019年09月12日Jリーグ サッカー親子応援記・28この連載は……ライターの坂田ジエイ子さんによる、「Jリーグ サッカー応援記」。子育てでつらい思いを抱えていた時期、「母親が笑っていれば子どもは幸せだ」という友人の言葉からサッカーに目覚めた坂田さん。同じくサッカー好きな息子さんと一緒に、おもにJリーグを応援する楽しさを綴ります。と同時に、息子さんが中学受験を控えていることもあり、受験絡みの話題も。さて、今回のテーマは……?中学受験は異常事態! 小6の勉強量は半端ない!こんにちは! 気づけば9月、中学受験の天王山と塾にさんざん煽られた小6の夏休みが終わりました……。「まじめにやれば偏差値10は上がるぞ」と塾の先生に脅された息子、弁当2個持参で朝から晩まで塾に住み続け、コツコツと彼なりに取り組んだようですが、果たしてその頑張りは報われるのか……。まずは9月頭のテスト結果次第といえそうですが、これで結果がよくなかったとしても私は彼を責めるつもりはありません。ゴールはそのテストではなく、あくまでも2月の本番ですし、なんてたって毎日塾に朝10時から夜9時までいたんですよ。11、2歳の子どもがそんな長時間机に向かって問題を解き続けるなんて、現実なんですけど、ありえない! と思いませんか。だから、私はそれだけでも「頑張った!」と称えたいです。中学受験中の親は井の中の蛙になりやすく、やるべき膨大な課題を前にすると、ついもっともっと! ちゃんとやりなさい! と尻を叩きたくなる。だからこそ、教育虐待なんて言葉も出てくるわけです。私もそちらに流れそうになることもある。だから、自分に言い聞かせています、中学受験は異常事態なんだと。これが小6の当たり前の日常ではない、1日のほとんどを勉強に費やす、それだけでも「偉業」なのだと。とまぁ、そんな個人的な意気込み(?)で、息子とともに勝負の夏を過ごしたわけではありますが、秋以降はどの塾も過去問を解きまくる期間に入るそうで、そろそろ志望校をガッチリと決めないといけません。ひとり暮らし先を決めるのと同じように、何を優先するのかは人それぞれ。よく吟味して子どもに合った学校を選びたいものです。そこで、今回は志望校選びの指針となる8つのポイントを私が聞いた小ネタと合わせてざっくりとご紹介します!どうやって決めればいい? 志望校を選ぶポイントよく言われる志望校選びのポイントは下記の通り。・共学か別学か・進学校か付属校か・通学時間・偏差値・教育方針、授業カリキュラム・校風・行事・部活動・大学合格実績※順不同共学か別学か本当に何を持って優先順位とするかは、ご家庭によると思います。ということを踏まえたうえで、まずは「共学か別学か」について。難関中学3年の息子を持つA子さんのお話です。「うちはさ、女子うぜぇってタイプで男子校を第一希望にしたの。だから、1、2年の頃はとっても楽しんでた。でも、最近、第2志望で合格した共学校に行けばよかったって悔やんでるのよ。上に兄弟がいる同じ学校のママ友から聞いたんだけど、男子って単純だから、中学生のうちは男だらけを超楽しめるんだけど、高校に上がる頃になると、ようやく目覚めて女子がいない現実に気づくんだって。それで、どんよりする子が多いらしいよ」お嬢さま学校に通う高1の娘を持つB子さんも、「うちも女子大は絶対行かないって言ってる。もう飽きたんだろうね」なるほどですよね。個人により合う合わないはあるとしても、このような事態になる可能性は大いにありそう。女子校出身の私はとても共感できました。とはいえ、男女それぞれに見合った学習が必要と説く別学校もありますし、親子でよく話し合いのうえ決めるべきことなのでしょう。進学校か付属校か続いて、「進学校か付属校か」。前にも書かせていただきましたが、私大の定員厳格化やセンター試験の廃止に伴い、大学受験を敬遠する動きが出て、大学付属校人気が高まっているといいます。大手企業に入りやすいといわれる難関大の付属校に入れれば、親としてはひとまず安心できますが、中学受験の段階でそこまで伸びず、世間的にそこそこと言われる大学の付属校に入ってしまったら、多くが高い割合で内部進学できるなか、そこから他大受験をするのはかなり大変といわれます。ですから、付属校に行くからには難関を目指すべき、という声が多いのも事実。とはいえ、他大受験を積極的に行う付属校も近年出ているようなので、しっかりとしたリサーチが必要ですね。通学時間標準的な通学時間はだいたい片道1時間以内と言われています。難関校に通う中2の息子を持つC子さんから、こんなお話を聞きました。「1時間以上かけて通ってくる子がクラスにいてね、最近その子が起立性機能障害になって、ほとんど不登校になってしまったの。その病気は朝体が動かないほどしんどいけれど、時間が経つにつれて回復してくるらしいのよ。だから、家が近ければ遅刻で済むのだけど、遠いとなると休むしかないみたい」起立性機能障害というのは、小学校高学年~中学生の約10%がなるといわれている自律神経の乱れからくる病気です。朝起きれない、血圧低下、立ち眩みなどの症状があるそうで、息子の友だちもなっている子がいます。この場合に限らず、長時間の通学は心身に負担がかかりますし、災害などを考えると、学校は家から近いに越したことはない、と言えそうですね。偏差値もっともわかりやすいポイントですよね。これだけで選ぶのではなく、偏差値を起点に他のポイントと照らし合わせて学校を絞っていくのが簡単な方法といえそうです。難関高校に合格した息子を持つD子さんから聞いたのは……。「難関校を受ける子は多くが賭け。一か八かでチャレンジするのよ」その一方で難関女子校に通う中1の娘を持つE子さん。「入れたはいいけど、その先落ちこぼれずにやっていけるか心配」難関校に入った子の多くは、第一志望が自分の偏差値より上のチャレンジ校なのかもしれません。でも無事入れたものの、E子さんが危惧するような落ちこぼれ、いわゆる深海魚といわれる子になってしまう場合もあります。背伸びするか、身丈に合ったところにするか、その子の性格を考えて慎重に選びたいですね。教育方針・授業カリキュラムこれまで少ないながらも、いくつかの学校の説明会に行っていますが、教育方針は聞くのがとてもおもしろいです。理数に特化していたり、英語に力を入れていたり、その学校の特徴がとても出ると思います。学校もアピールしてくるので、HPや説明会で必ずチェックしておきましょう。また、授業カリキュラムも大学受験を見据えて、どのように組まれているのかは、確認しておきたいところです。校風管理する学校と、自主性を尊重する学校とでは、校風はかなり異なります。これによって、生徒の気質も影響してくると思うので、文化祭や体育祭などで、在校生の声を参考にするとよさそうです。これは、難関女子校に通うF子ちゃんから直接聞いたお話。「制服がないから、私服で行っています。肩だししている先輩とかいるけれど、先生は何も言わない。ピアス?パーマ? さすがにしている人はいない。でも校則で禁止されていません」日本トップレベルの女子校ともなると、常識ある子が多いがゆえに、このような自由を与えられるのでしょう。説明会やパンフレットだけでは、なかなかわからないのでぜひ生の声を聞きましょう。行事・部活動息子は重要視しています。サッカー部があり、かつ芝生であること。これが彼の譲れない条件のようです。好きなこと、得意なことが強い学校に行きたいと思う子は多いよう。説明会と同時に部活見学も開催する学校も多いので、見学されることをおすすめします。また、海外研修や留学なども積極的に行っている学校も多いです。大学合格実績そりゃ実績があるほうがいいに決まっています。ですが、これは塾の説明会で聞いたのですが、「単純に合格者数だけを比較するだけでは、実績は測れない」といいます。それはひとりが複数の大学を合格しているのべ合格者数であるかもしれず、母数が異なり比較できないことも多いからとのこと。「現役合格率」や「合格者数が伸びている大学・学部」などに注目すべきなのだそう。以上、志望校の選び方をご紹介しました。これから中学受験を考えている人は、親だけでも情報収集ははやいほうがいいですよ。そして、今まさに子どもが受験勉強中というみなさん、志望校別特訓も絶賛開催中ですから、既に決めた方も多いことでしょう。秋以降は秒的に時間が進むのがはやいと聞きます。つまり、インフルエンザに怯える季節があっという間にやってくるということ。家族全員健康第一で、この過酷な期間を乗り越えていきましょう!坂田ジエイ子ananのオリジナルコンテンツweb「ananweb」制作スタッフ兼ライター。同じくセレッソ大阪サポーターでサッカー少年の小6長男、ごっこ遊びに夢中の小3長女を持つ二児の母。仕事の合間に、チームや選手名をハッシュタグ検索しては、ニヤニヤしている日々。趣味は他に嵐、バレーボール。愛猫2匹をモフモフする時間も宝物。この連載を最初から読む
2019年09月10日この連載では、息子の小学校受験(2018年)を通して学んだことを振り返りつつ、「小学校受験に興味はあるけど、まだよく分からない」という読者のママ向けに【小学校受験のイロハ】をお伝えしていきます。第7回 一石五鳥!? 受験に役立つ親子クッキングもし、もう一度、小学校受験をやり直せるとしたら、私が一番時間を割きたいのは「親子クッキング」です。なぜなら、料理のプロセスには、小学校受験で出題される知識や技能がぎゅっと凝縮されているから。いきなりプリント学習に入るよりも、親子で料理をする習慣を作った上でプリント学習に入ったほうが、色々な問題がすんなり理解できると思うのです。そこで今回は、料理を通して学べるペーパーテストの問題をご紹介します。たった1品作るだけで、多岐にわたる学習ができる!ぴーすけが2年間通った塾の先生のモットーは、「受験のためだけの勉強はさせない」ということでした。その中でも特に強く勧められたのが、親子クッキングです。心に余裕がないとなかなかできないのですが、実際にやってみると、たった1品作るだけで、じつに様々な学習ができることを実感!子どもの記憶にも断然定着しやすいので、ぜひ家庭学習のルーティンとして取り入れてみてはいかがでしょうか。1. 買い物リストの作成メニューを決めたら、買い物リストを作りましょう。「キャベツ1つ」「ナス7ほん」「パン6まい」などのように、数を数える・様々な数詞の存在に気づかせる機会にもなります。2. 買い出しリストができたら、近くのスーパーでおつかいにチャレンジ!自立心を養う第一歩になります。目当ての品物が見つからなかったとき、「しょうゆはどこにありますか?」などと店員さんに尋ねる練習になりますし、手が届かない場所にある場合は「一番上の棚の、左から3番目のチーズを取ってください」などと位置を正確に伝える練習になります。ちょっとハードルは高いですが、レジで支払いをするのも良い勉強になりますよね。親以外の見知らぬ大人と話す経験は、面接などで極度に緊張しないためにも積んでおいたほうが良いと思います。3. 材料の下準備野菜を洗うときには、水に浮かぶ野菜・沈む野菜を確認しましょう。また、幅の広い容器と細長い容器、それぞれに水面が同じ高さになるよう水を入れ、例えば同じ大きさの卵を入れたときに水面の上がり方がどう違うかといった観察も、よく出題される理科系の問題です。野菜を切った断面図や中身の色も要チェック。これらは「常識」として出題されるケースがあります。葉の形や花の色、育つのは土の中か外か、それぞれの旬の季節は……など、料理を通して身につけられる常識(というか教養)はたくさんあります。4. 調理たった10数分のクッキングでも、たくさんの言葉を使います。まぜる・こねる・ふるう・わる・いためる・むす・やく・ゆでるなど「動作」の言葉、フライ返し・しゃもじ・さいばし・おたま・まないた・ほうちょう・ざるなど「道具」の言葉、甘い・しょっぱい・辛い・苦いなど「味覚」の言葉を、実際に使いながら、体感しながら身につけられます。5. 盛り付け・配膳盛り付けは巧緻性を磨く絶好の機会です。ドレッシングやマヨネーズなどのフタの開け閉め、しゃもじでご飯を、おたまでお味噌汁をよそうなど。テーブルを拭く、箸や食器を正しく並べることもマナーを学ぶ第一歩です。食後は、食器洗いやお皿拭きが必要なこともきちんと伝えておきたいところです。<日記やアルバムにまとめよう>ぴーすけとは、春巻、餃子、お味噌汁、パン、抹茶のムースなど色々作ってきましたが、どれもものすごく楽しんでいました!料理を楽しんでくれると、お手伝いも前向きに取り組んでくれますし、本人の自信にもつながる気がします。1品作ったら、レシピを日記やアルバムにまとめておくと、後々も使える立派な教材になりますので、ぜひお試しを。ライター安藤陽子ライター・コーディネーター。ボケもツッコミも苦手な大阪出身の夫と、ドタバタ子育て真っ最中。鉄オタから妖怪マニアに転身した小1の息子と、乙女な笑顔で家族を意のままに操る2歳の娘の母。2019年春、長男の小学校入学を機に、都心から多摩エリアの文教地区に移住。特技は声を七変化させて絵本を読み聞かせること。この連載を最初から読む
2019年09月06日お受験2.0【小学校受験のお作法2.0】親子力を合わせ、厳しいお受験を乗り越えるためにも、先人たちのリアルな合格体験談はあらかじめしっかりと知っておきたいもの。しかし、幼児教室などで登壇する合格者の経験談は、幼児教室の先生たちのフィルターがかかった内容になりがち。実際にはいろいろな教室に行っていたのに「わが家は本当にこちらの教室のみでした」とコメントされることもあるそう。そこでここでは、お受験コンシェルジュ&戦略プランナーのいとうゆりこさんが、合格者のお母様たちにインタビューを実施。合格するまでの道のり、そして入学後の様子など“生”の声を伝えてくれます。あくまでもひとつの参考とされてみてくださいね。■慶應幼稚舎に合格した男の子の場合(1人目)御三家幼稚園(*愛育幼稚園・枝光会附属幼稚園・若葉会幼稚園)に入って情報収集を行いながら、慶應幼稚舎に合格した男の子のお母様にお話を伺いました。■ご家族のスペック・お父様:関東出身東京大学法学部卒業会社経営・お母様:関東出身都内私立短大卒・お子様:港区御三家幼稚園――なぜ慶應幼稚舎を受けようと思われましたか?「実は最初、東大法学部卒業の主人には、小学校受験なんてくだらないと相手にもされなかったんです。というのも、主人は高校受験で最難関の県立高校へ進学し、慶應の高校は滑り止めだったようで。しかし、最大取引先の社長さんが幼稚舎から慶應と聞き、慶應大学、それも下からでもずいぶんと立派な人間もいるものだと感心したそうです。東大卒よりも、幼稚舎卒のほうがカリスマ性があると感じたようで、主人のほうから“息子を幼稚舎に入れるってどう?”と言ってきました」――どのような準備をされましたか?「知り合いに幼稚舎の方なんていなかったので、まずは御三家幼稚園に入れて情報を得る作戦をとりました。入園後は、われわれは何も知らない地方出身者であるということ、そして主人は東大なので、小学校受験をするとしたら東大が視野に入る暁星や国立小くらいしか受けないということを強調し、幼稚舎を目指すグループを安心させて懐に入りこみ、あらゆる情報を得ました」――実際にどのような情報が得られましたか?「幼稚舎に入るには“代官山のH先生”と、“体操教室K”、“広尾の絵画教室”に通うと有利になるということです。しかし、ご紹介者もおりませんし、卒業生でもないのに、そんなお教室に入り込めるわけもありません。入ったとしても、その瞬間、いままで仲よくしていた幼稚園のママさん全員を敵に回してしまいます。しかし、ある日、大人の絵画教室で恐ろしいレベルの作品を目にし、先生に伺ったところ、現在、高校生の子が小学校低学年のころに描いた作品だと。展覧会でそのお母様を先生にご紹介いただき、お話を伺いましたら、描いた息子さんは幼稚舎から慶應とのことでした。いろいろとご相談をさせていただき、港区ママがあまり来そうにない、個人の先生や絵画教室をご紹介してくださったので、そこに通いました。また周囲から誤解されないよう、暁星専門の体操教室やペーパー教室、行動観察のエスポワール、そして定番でもあるジャック(お受験教室)の暁星クラスにも通い、受験準備を始めました。そのほか、バイオリンと水泳教室にも通い、毎日毎日、お稽古をはしごしながら3年間、息子とともに戦いました。主人はお金を出すだけで、何も手伝ってくれませんからね」――暁星対策も幼稚舎受験に役立ったのでしょうか?「暁星を目指している方の多くは、幼稚舎と早実は併願しています。そして、暁星に合格できれば、早慶の可能性も出てきます。幼稚舎と暁星では学校側の求める生徒像はまったく異なるとは思いますが、運動もペーパーも絵画も言動も、“できればどこでも受かる”ということですかね?やれることは全部やらせ、お金を惜しみなく注ぎ込めば、結果は必ず出ると確信しました」■慶應幼稚舎に合格した男の子の場合(2人目)「私、慶應幼稚舎っていうブランドに憧れていたんです」そう語りだすお母様。慶應幼稚舎に合格した男の子のケースをお届けします。■ご家族のスペック・お父様:地方出身国立大学卒一部上場企業勤務・お母様:地方出身MARCH卒・お子様:都内人気お受験幼稚園――慶應幼稚舎受験にいたるまでの経緯を教えていただけますか?「女子のMARCH出身は青学と立教以外はとにかくモテず、東大や早慶の男性とは縁がなく……。お食事会でやっと出会ったのがいまの主人です。結婚後は港区に住むのが夢だったので、レインボーブリッジなどの夜景がきれいな湾岸エリアのタワーマンションを購入。子どもは芸能人御用達の病院で出産。あとは子どもを幼稚舎に入れるだけと、必死に息子を鍛えていました」――どのような準備をされましたか?「幼稚園では“国立志望”と宣言していたので、幼稚園ママたちからマークされることもなかったです。通っていたのは、大手のお教室ではなく、自宅近くの中小の教室です。主人の知り合いで、息子さんを幼稚舎に入れている方にご紹介してもらいました。そのほか、港区で人気の絵画教室と体操教室、バイオリン、かけっこクラブに通っていました。当の息子はいろいろとできるようになるのが遅く、いつもイライラしてばかりでしたが、年長の夏を過ぎたころに、やっとみんなに追いつきました。運動会のかけっこで1位になれたころから本人も自信がついたようで、ぐんぐん伸びていきました」――実際の受験はいかがでしたか?「青学、立教を受験するも不合格となり、ペーパーがとくに苦手だった息子には、筆記試験問題を重視する学校はやはり合わなかったか……と思っていましたが、幼稚舎の試験までには何とか気持ちを切り替え、軌道修正することができました。幼稚舎の試験日程は女子から割り振られた年でしたので男子は少し遅かったんですね(※立教・青学の試験日程は11/1~、幼稚舎は11/5前後~)。加えて、息子のイケメンっぷりも手伝って見事に合格をいただきました(笑)!インターネットで合格の文字を見た瞬間、港区じゅうに響き渡るのではないか?というくらいの絶叫をしてしまいました!SNSにも、瞬時に“幸せ”と意味深な書き込みもしてしまいました(笑)」――幸せの絶頂といった感じですね。「はい、もう欲しいものはすべて手に入れた気分です。私たち家族だけではなく、祖父母、親戚、すべてを幸せにできる“幼稚舎”ってすごいですよね!?襟に特徴のある制服姿で毎日登校する息子の姿を見るたびに、そして幼稚舎の門を通過すると学校から届くメールを目にするたびに幸せを感じています。何年たっても幸せです」「こんなに幸せでいいのか?」と終始、口元が緩みまくりのお母様のお話を伺いながら、この笑顔の裏で泣いているお母様がいるのだと思うと、複雑な気分になりました。<著者プロフィール>いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、
2019年08月25日この連載では、息子の小学校受験(2018年)を通して学んだことを振り返りつつ、「小学校受験に興味はあるけど、まだよく分からない」という読者のママ向けに【小学校受験のイロハ】をお伝えしていきます。第6回 勉強と気づかせないペーパー試験対策のススメ5、6歳の子どもが1つのことに集中できるのは何分くらいなのでしょう。個人差も大きいですし、取り組む対象や状況によっても変わると思いますが、よく言われるのは「年齢+1分」程度、15分続けば長いほうではないでしょうか。では、限られた時間の中で、前回取り上げたような幅広い科目をどのように学ばせていけばよいのか。今回は、その点を掘り下げていきたいと思います。<毎日の会話で時間感覚を磨こう>一番理想的なのは、勉強と気づかせず、本人も「気づいたら知っていた」となるように、教えていくことではないかと思います。そのために私が心がけてきたことのうち、毎日の会話を通して定着できたのが、時間と空間の感覚です。まず、アナログ時計の読み方です。時計の読み方自体がテストにでることはないのですが、・生活のリズムをつける・「毎日時になったら学習するんだ」という意識づけ・時間の流れを体感させるという意味で、時計を読めるようにしておくと、とても楽です。読ませる・覚えさせるというスタンスではなくて、毎日ことあるごとにアナログ時計を指さし、「あっ、今ちょうど8時だね。8時になったからパズルしようか?」とか、「今からお母さんは5分おそうじするよ。一番速い針が5回ぐるっと回ったら、この長い針が、ここからここまでくるから見ててね。よーい、ドン!」という感じで、とにかく1日のうちに何度も時計を見るクセをつけさせます。当時は受験を意識していたわけではまったくないのですが、言葉も発していない0歳の頃から、親子の会話のネタとして、ぴーすけを抱っこして時計を一緒に見る作業をしてきました。気づいたら年少さんの頃には時計を読めるようになり、「時になったらお迎えにくるよ」「時になったら帰ろう」「時になったら、おやつ食べようね」という会話が通じるようになりました。勉強時間の見通しが立つので、ぴーすけの安心感=落ち着きにも効果があったのではないかと思います。<家の中のものを使って問題を解く>時計以外にも、家の中にはさまざまな教材があります。例えば、カレンダーです。今日は月日曜日? 月日は何の日でしょう(ひな祭りなど年中行事)? 月に食べるおいしい食べ物なあに? 〇〇ちゃんの誕生日まであと何日?……という具合に、指さし確認しながらクイズを出すのを習慣にすると、昨日・今日・明日の関係性を理解できるようになり、季節感を養うこともできます。 親子で季節の絵を選び、カレンダーづくりをしてみるのも良いですよね。さらに、物をしまうときや取り出すときなど、会話の端々に「左から3番目のコップをとってね」とか「上から2段目の引き出しの右のほうにしまってね」など、「左右上下斜め」という位置を示す言葉を盛り込むのもおススメです。位置関係の理解は、鏡図形や点図形、観覧車などペーパーテストの問題はもちろん、指示行動でも必要になります。このように、できる限り勉強の場ではなく、普段の生活の中で理解していくものを増やせると、親子共にストレスが少なくて済むのではないかなと思います。ライター安藤陽子ライター・コーディネーター。ボケもツッコミも苦手な大阪出身の夫と、ドタバタ子育て真っ最中。鉄オタから妖怪マニアに転身した小1の息子と、乙女な笑顔で家族を意のままに操る2歳の娘の母。2019年春、長男の小学校入学を機に、都心から多摩エリアの文教地区に移住。特技は声を七変化させて絵本を読み聞かせること。この連載を最初から読む
2019年08月23日受験お作法2.0お受験コンシェルジュ&戦略プランナーのいとうゆりこさんが、東京都・神奈川県の小学校受験を中心に、学校説明会や幼児教室ではなかなか教えてくれないリアルな“お受験情報”を発信。小学校受験本番を迎える、幼稚園年長のお子様方に焦点を当て、保護者ともども1年間どのように戦い抜いていけばよいのか各月ごとのポイントを教えてくれます!8月編では、夏休みの体験談をお子様がうまく話せるようになるための秘訣、そして願書を書く際の注意点についてお話ししていきます。■■夏休みの体験談、お子様がうまく話せるようになるには…夏休みも折り返し地点を迎え、大手のお教室では夏期講習“後期”がスタートしていることかと思います。普段お顔を合わせている他のご家庭のお子様たちが、夏休み前半を経てひと回り成長していたとしても焦らないようにしてくださいね。子どもの成長は千差万別です。自分を見失わないように、しっかりと自らのご家族とお子様と向き合い、毎日を大切に過ごしてください。またこの時期は、夏休みだから……といろいろ詰め込みすぎた疲れが出てくる時期でもあります。1日くらいやらなくても……と思われる方もいるかもしれませんが、その“たった1日”が命取りになることを忘れないでください。早寝早起き、ラジオ体操、朝のペーパー、絵日記など、ルーティンワークをしっかりこなしましょう。そして夏期講習の後期では、夏休みの経験をもとにした絵画制作やお話作りなどが行われますので、これから旅行に行かれるご家庭は、荷物の準備、交通手段、経路、1日の計画立てなども、すべてお子様とご一緒になさってください。また旅行から帰ってきたら、すべての行動を“復唱”し、頭と身体に叩き込んでいただきたいです。なぜ、この場所に行くのか?と、旅行の理由を一緒に考えたり、地理(地図)も含めて確認をしておきましょう。昨年、お預かりしていたお子様の例となりますが、そのご家庭では、お父様が長期の休暇を取れなかったことと、お子様が自動車好きだったことから、旅先に名古屋のトヨタ博物館を選ばれました。興味のある自動車に関係のある旅行先に行くほうが、お子様からよい言葉や表現が生まれるだろうとも思われたようです。実際に、高速道路や「道の駅」など、寄り道も楽しもうと車で出発。お手洗いは早めに宣言しないと、渋滞中は簡単に行けないことなどもしっかり伝え、車中は“しりとり”や“あたまとり”などの言葉遊び、外の様子の観察などをされたそう。また、東名高速で直行するのではなく、行きは海岸コースを選択して、熱海で1泊、箱根まで上がって夏の山の景色も見せ、餃子を食べ、御殿場アウトレットでお買い物。大人も子どもも楽しめるコースで愛知県に入り、トヨタ博物館へ行ったそうです。博物館も思っていた以上に楽しむことができ、お子様も大興奮されたとのこと。しかし、説明員の方が豊田市と繰り返しおっしゃっていたのと、トヨタ自動車の社名がお子様の頭を混乱させてしまっていたようで、お教室での“発表会”では「家族でトヨタに行ってきました。自動車の仕組みを見たり、昔の車がいっぱいあって面白かったです」と言ってしまったそうです。決して間違いではないのですが、大人としては“名古屋”という誰にでもわかる地名を答えに入れてほしいところ。あくまで大人の勝手な都合なのですが、何度か修正しているうちに、「名古屋に行ってきました」と言えるようになり、トヨタは会社の名前で地名が由来していることも理解。10月の直前講習では「夏休みは家族でトヨタ自動車の本社がある名古屋に行ってきました。豊田市にあるトヨタ博物館で自動車の仕組みや昔の車を見ることができて楽しかったです」と発表できるようになったそうです。絵画や工作でも、博物館で見たタイヤの大きな昔の車を描けるようになり、「海外旅行や大きな経験はさせてあげられなかったものの、息子にとっては実りある旅行となった」と、ご両親も満足されていました。夏休みの経験は、秋の受験本番に向けてお子様自身に自信をつけてあげられるラストチャンスでもあるので、大切になさってください。■■願書を書く際に気をつけたいこと願書添削も佳境に入り、お教室の先生からいただいた修正アドバイスのもと、何度も書き直しているころかと思います。願書は“学校へのラブレター”です。どれだけ好きか、恋い焦がれているか、ひと言ひと言丁寧に伝えてください。ここで注意が必要なのは、面接のある学校では、この願書をもとに面接が行われるということです。うわべだけのきれい事を並べても、すぐに見抜かれてしまいます。本当に思っている“事実”を記入しましょう。また、多くの学校は願書に両親のプロフィールを書く欄はありませんが、備考欄や志望動機にアピールすべきポイントがある場合はうまく取り込みたいですね。とはいえ、数年前に添削しましたあるIT企業の経営者の方が書いたアピールポイントは少々行きすぎたものでした。「私は◯◯会社を経営しております。小学生のころから授業でパソコンを取り入れたり、プログラミングを学ばせていただけるということに感銘を受け、志望させていただきました。弊社としても貴校をサポートすることも可能でございます」と書かれていたのです。たしかに学校の教育方針と家庭の教育方針の合致が学校側の合格基準のひとつです。しかし、上から目線の“貴校をサポートする”という文言はいかがなものかと思います。願書はラブレターであり、謙虚な気持ちで“私の想いを受け入れてください”と表現しなければなりません。ちなみに、添削の内容としましては、「これからの時代、幼少期から正しい方法でパソコンに触れているのと触れていないのでは、将来大きな差が出ると仕事柄、危機感を感じております。貴校の低学年から授業でiPadを取り入れたり、プログラミングを学ばせていただける環境は大変ありがたいです」としてみてはどうかと、アドバイスさせていただきました。学校説明会、学校案内、ホームページ、卒業生や在校生などから、あらゆる情報を得て研究し、学校が求める生徒像とご家庭像を読み取り、学校側から“ご縁を持ちたい”と思われるよう文字と言葉でしっかり表現するためにも、あと1か月半でしっかり仕上げてまいりましょう。<著者プロフィール>いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、
2019年08月21日この連載では、息子の小学校受験(2018年)を通して学んだことを振り返りつつ、「小学校受験に興味はあるけど、まだよく分からない」という読者のママ向けに【小学校受験のイロハ】をお伝えしていきます。第5回 入学後に真価が分かる!小学校受験のペーパー学習これまでは、家庭の教育方針や生活習慣など親が取り組む内容を中心に書いてきました。ここからは、気になるペーパー(筆記)試験の話題に触れていこうと思います。<どんな問題が出るの? 多岐にわたるペーパー試験>小学校受験では、国立・私立ともに、多くの学校でペーパー(筆記)試験があります。これが、本気でやるとなると、なかなかの広範囲なのです。ざっと挙げてみると……<図形>点図形、線図形、同図形、座標、合成、分割、パズル、対称、鏡図形、回転、展開、四方からの観察、重ね図形、迷路など。<数量>数える、見えない数、たし算、ひき算、わり算、比較、同数発見、異数発見、1対多、数の構成、数のやりとりなど。<推理>比較、シーソー、観覧車、置き換え、ブラックボックスなど。<言語>色々な言葉(語彙)、しりとり、お話の記憶、お話作りなど。<巧緻性>切る、貼る、塗る、折る、結ぶ、たたむ、包む、絵画、想像画など。<知識>四季、生き物、食べ物、植物、自然科学、行事、文化、マナー、ルールなど。<運動>ボール、平均台、クマ歩き、イモムシゴロゴロ、片足立ち、両足跳び、ケンケンパ、スキップ、模倣運動など。<行動観察>数人のグループで遊ぶ、競争する、ゲームをする、工作するなど。いかがでしょうか。思い出すだけでも、頭がクラクラします……。1つの学校で全科目が出るわけではなく、この中からいくつかの科目が出題されるのですが、小学校受験をする人たちの多くは、まんべんなく学習して受験に臨んでいるのではないかと思います。<ペーパー学習で積み重ねたことは、小学校生活の土台にもなる>わが家は年少の秋から塾に通い始めました(年中は月2回、年長は週1回)。それから、幼稚園に行く前の毎朝15〜30分、塾でもらったプリントを解く日々がスタート。最初は解く時間も遅かったので、1日2〜3枚。年長のときは、1日平均10枚くらいでした。帰宅後は一切やっていなかったので、学習時間としては、おそらく短いほうではないかと思います。それでも、解いたプリントは2年間でダンボール1箱分になりました。私自身は、「これって小学校入学前にできなければいけないようなことなの??」という疑念を抱きつつも「試験に出る以上は、やるしかないんだ」という「受験のための子育て」に陥ってしまい、プリント学習は最後まで苦痛でした。ぴーすけにも相当なプレッシャーを与えてきたと自覚しています。ごめんね、ぴーすけ……。それでも、プリント学習の内容そのものについては、入学前に取り組んだ価値は、大いにあったと思っています。例えば、片足立ち。重いランドセルを背負ってバスや電車に乗るわけですから、体幹を鍛えておくことは安全に通学するためにも大切です。たたむ・包むといった巧緻性も、雨が降ってきた時にサッと折りたたみ傘を差したり、体操着をきちんとたたんでランドセルにしまったり、あらゆる場面で必要になります。それから、点図形。タテヨコに何列も並ぶ点と点を、見本と同じように正確に線で結ぶ……という問題で、これこそ「何のため?」と思いたくなる科目なのですが、これまた非常に奥深いのです。例えば、ひらがなをお手本どおりに書くときには、一筆ごとにマス目のどのあたりから、どのあたりまで線を引くのかを意識しなければなりません。点図形は、こうした模写の土台になります。また、上から何番目、左から何番目の点……というふうに、上下左右の「位置」を把握するトレーニングになりますので、地図を見たり、自分の立ち位置を確認する力も育まれると思います。ちなみに、わが家のぴーすけは、巧緻性や運動は最後まで大の苦手。問題を解くスピードも一向に速くなりませんでした。塾の先生にも「受験にはまったく向いていない、研究肌タイプ」と言われ、小学校入学後も、そのままのスタイルを貫いています。しかし、受験をきっかけに、植物や生き物などの図鑑を熱心に見るようになり、図鑑の絵を模写するのが一番の趣味になりました。物語を聴いたり作ったりすることも大好きで、ヒマさえあれば本を開くほどの「本の虫」になりました。また、料理も大好きになりましたし、洗濯物を自分でタンスにしまう習慣も定着しました。このように、それぞれの科目は、机上の学習に終始するわけではなく、小学校生活を送る上で役に立つ基本的な力を磨くものとして捉えることができます。その点を意識して取り組むと、「単なるお受験のためのペーパー学習」ではなく、小学校生活を支えてくれる、確かな力になるのではないでしょうか。ライター安藤陽子ライター・コーディネーター。ボケもツッコミも苦手な大阪出身の夫と、ドタバタ子育て真っ最中。鉄オタから妖怪マニアに転身した小1の息子と、乙女な笑顔で家族を意のままに操る2歳の娘の母。2019年春、長男の小学校入学を機に、都心から多摩エリアの文教地区に移住。特技は声を七変化させて絵本を読み聞かせること。この連載を最初から読む
2019年08月09日この連載は…娘が、女子御三家と言われる名門私立中学・桜蔭に合格したママの体験記です。当初は中学受験なんてまったく視野に入っていなかった親子が、なぜ最難関に挑戦するにいたったのか。その軌跡をたどります。夏休み突入。イベント三昧で勉強できず「早寝早起き」という習慣は、受験生にとっては通すことができない習慣と知った私たちは、切り替えて塾のスケジュールに合わせて生活するようになりました。それでも寝るのが好きな娘は、塾で遅くなる日は機嫌が悪く、帰宅してからはさらにスピードアップしてご飯、お風呂と済ませるようになりました。なんとかこなすようになり夏休みに突入。夏休みは、どこの塾でもそうだと思いますが、夏休みは通常授業はなくなり、「夏期講習」という別のプログラムになります。時間も夕方からではなく、ふだん学校に行っている昼間に授業があります。夏期講習では、また早く帰れるようになり、早寝早起き生活に戻りました。「夏の間はまあいいか」と、再びのんびり過ごしていました。塾の合間にプールや映画、友達の家に行ったりしたりと出かけることも多く、多くの小学生と変わらない夏休みを過ごしていたと思います。塾では夏期講習のプログラムのほかに「理科の実験教室」や「数学の特訓授業」など特別プログラムもありましたが、うちは通常の夏期講習のみしか選択しませんでした。「4年生の間はそれほど勉強勉強と詰め込まなくてもよいか」と思ったことと、単に節約。夏期講習は通常授業の月謝とは別料金がかかり、特別プログラムはそれぞれ別料金。それほどまでにお金をかけるものなのかとその頃は疑問だったので選択しませんでした(だいぶ経ってお金をかけて勉強させることの大事さにも気がつくのですが)。そうこうしているうちにお盆になり、恒例の夫の実家へ里帰り。お盆開けにはクラス分けのテストが待っていたので、塾のテキストは荷物に入れて帰りました。のんきといえども毎日宿題と復習はさせていたので、その習慣を崩したくなかったのです。実家では歓待してくれ、毎日のように誰かを呼んで宴会を開いてくれたり、いとこたちと花火をしたりバーベキューをしたりという毎回企画がてんこ盛り。夜も近くで温泉が湧いているのでみんなで温泉へと一日中イベントざんまい。これまでは楽しいだけでしたが、今回は休み明けのテストが・・・・・・。全部のイベントを不参加というわけにはいかないのですが、少々のイベントはやんわり断ることに決め、「では勉強を」と切り出そうものなら周りから猛反対。夫まで「こういうときはいいじゃないか」と同調する始末。夫の実家は地方で、私立の中学は1つあるかないかという場所でした。両親は自営で県外へは滅多に行くこともなく、夫の兄弟たちも高校までは地元の公立でした。「小学生が受験」ということがピンとくるようなことはなかったのです。説明してもわかってもらえません。嫁という立場で強行突破はできず、お盆開けのクラス分けのテストを迎えることになりました。つづく葉月なつフリー編集者・ライター。空気を読みすぎて流されやすい、ブレブレな19歳の長女と、生まれた時から「俺は俺」という「俺道」を突き進むマイペースな12歳の長男を持つ2人の母。長女が3歳まで出版社勤務。0歳児から長女を保育園へ預けフルタイムで働いていたが、長女が精神的に不安定になり、長女が3歳になったときに退社。以後専業主婦となり、パート勤務のみで家中心の生活。家族の理解を得て、昨年フリー編集者・ライターとして再スタート。この連載を読む第1回【桜蔭中学・合格ママの体験記】うちの娘は「ゆとり世代」その実態に、焦り始めるママたち第2回【桜蔭中学・合格ママの体験記】1年生になったばかりの娘が通い始めた塾。そこでのテスト結果で知った事実とは…?!第3回【桜蔭中学・合格ママの体験記】のんびりムードは3年生まで。4年生になる直前は本格的に「受験」を意識することに…!?第4回【桜蔭中学・合格ママの体験記】こんなに特徴がある!中学受験に特化している大手塾4つ
2019年07月29日京都市東山区の京都市立白川小学校跡地に「ミュージアム・ホテル」をコンセプトとした新ホテルが誕生。オープンは2022年の夏を予定している。出店するのは、100年以上の歴史を誇る元京都市立白川小学校の跡地。「ホテル コエ トーキョー(hotel koe tokyo)」などを手掛ける株式会社乃村工藝社をインテリアデザイナーに据え、京都の伝統と文化を感じられるホテルを演出する。「ミュージアム・ホテル」をコンセプトとした新ホテルは、京都の景観に溶け込む和建築で表現。客室・中庭は、和の美しさと現代的な機能性との両立も追求し、洗練されたデザインのなかに滞在時の居心地も配慮した。ロビーには、アートで飾られた舞台スペースを設置。館内には伝統工芸品や美術品を配置し、宿泊するだけでなく、まるで美術館のように歩いて楽しめる。さらに、茶の湯が学べる「日本茶&Bar」や、和の佇まいをプライベート空間で味わえる貸切風呂なども用意。京都の歴史や文化を体感しながら滞在ができそうだ。【詳細】ホテル名:未定オープン日:2022年夏を予定住所:京都市東山区三条通白川東入3夷町175-2他客室数:約170室施設構成:フロント、ロビー、レストラン、ジム、温浴施設、ギャラリー他
2019年07月27日