明治大学大学院農学研究科 環境バイオテクノロジー研究室の西井 麻貴(博士前期課程2年)、小山内 崇准教授らの研究グループは、紅藻シアニディオシゾン (シゾン) のクエン酸シンターゼの生化学的な性質を明らかにし、シゾンのクエン酸シンターゼが高い触媒効率をもつことを発見しました。<研究成果のポイント>・クエン酸シンターゼは、クエン酸回路の一段階目の反応を触媒する、クエン酸回路全体の反応速度に大きく影響する重要な酵素だが、その生化学的な性質は真核藻類で明らかにされていなかった。・ シゾンのクエン酸シンターゼは、他の生物のクエン酸シンターゼと比べて、高い触媒効率を示すことが分かった。・本研究の成果は、シゾンのクエン酸回路酵素の性質および炭素代謝の理解につながることが期待される。要旨シゾンは、イタリアの温泉から単離された紅藻で、酸性温泉に生息します注1)。モデル光合成生物として細胞生物学の研究が盛んに行われてきた一方、酵素の特徴を生化学的に解析した研究は少なく、代謝の仕組みの理解があまり進んでいません。クエン酸回路は、エネルギーやアミノ酸生産に関わる、生物にとって重要な代謝経路です。クエン酸シンターゼ (CS) は、一般にクエン酸回路の律速酵素で、アセチルCoAとオキサロ酢酸からクエン酸とCoAを生成するクエン酸回路の第一段階の反応を触媒します。シゾンのミトコンドリアには、クエン酸回路酵素が一式含まれており、シゾンに4つ存在するCS遺伝子のなかで、CS4が唯一ミトコンドリアに局在します。そこで、本研究では、シゾン由来のCS4 (CmCS4) の生化学解析を行い、CmCS4の触媒効率や金属塩の影響を明らかにしました。その結果、CmCS4のオキサロ酢酸とアセチルCoAに対する触媒効率は、既にCSの生化学的な性質が明らかにされている微細藻類のシアノバクテリア (シネコシスティス、ミクロシスティス、アナベナ) のクエン酸シンターゼよりずっと高いことが判明しました。また、CmCS4の活性を阻害するKClおよびMgCl2存在下においても、CmCS4の触媒効率は、3種のシアノバクテリアのものより高いことが分かりました。CmCS4のオキサロ酢酸とアセチルCoAに対する高い触媒効率は、シゾンのクエン酸回路への炭素流入量を増加させる要因である可能性が示唆されました。本研究で示されたCmCS4の高い触媒効率は、シゾンが酸性環境下でより多くのATP (エネルギー) を生産するために、効率的なクエン酸回路を有していることを示唆しています。本研究は、真核藻類におけるCSの触媒効率や金属塩よる阻害などの知見を提供します。本研究は、明治大学大学院農学研究科 西井 麻貴(博士前期課程2年)、小山内 崇(准教授)らのグループによって行われました。JST戦略的創造研究推進事業先端的低炭素化技術開発ALCA、JSPS科研費基盤B(代表小山内崇)の援助により行われました。本研究成果は、2023年3月8日に国際誌「Plant Molecular Biology」に掲載されました。※研究グループ明治大学 大学院農学研究科環境バイオテクノロジー研究室准教授 小山内 崇(おさない たかし)博士前期課程2年生 西井 麻貴(にしい まき)助教 伊東 昇紀(いとう しょうき)1.背景化石燃料は、私たちの日常生活に欠かせないものとなっています。しかし、化石燃料は有限であり、化石燃料を燃焼すると、地球温暖化の原因となる二酸化炭素などの温室効果ガスが排出されます。化石燃料の枯渇や地球温暖化への懸念が高まる中、微細藻類を利用した物質生産が注目されています。微細藻類は、食糧と競合しない、増殖が速い、効率良く太陽エネルギーを取り込むなどの特性から、持続可能なエネルギー源としての利用が期待されています。微細藻類の中でも、本研究で用いたシゾンは、イタリアの温泉から分離された紅藻で、pH 1ー3、40ー50℃の酸性温泉に生息します (図1)。真核藻類としてはじめてゲノムが決定されており、細胞構造がシンプルなため、モデル光合成生物として細胞生物学の研究が盛んに行われてきました。一方、微細藻類のシアノバクテリア (光合成を行う細菌) で行われてきたような酵素の特徴を生化学的に解析した研究は少なく、代謝の仕組みの理解があまり進んでいません。クエン酸回路は、エネルギーやアミノ酸生産に関わる、生物にとって重要な代謝経路です。クエン酸シンターゼ (CS) は、一般にクエン酸回路の律速酵素で、細菌から動物までほとんどの生物に存在し、アセチルCoAとオキサロ酢酸からクエン酸とCoAを生成するクエン酸回路の第一段階の反応を触媒します (図1)。シゾンのミトコンドリアには、クエン酸回路酵素が一式含まれていることが分かっています。シゾンのゲノムには4つのCS遺伝子がコードされていますが、CS4のみミトコンドリアに局在することが確認されています。シゾンでは、CSを含むクエン酸回路酵素の局在や遺伝子発現に関する研究は行われていますが、クエン酸回路酵素の生化学的な特徴に関する知見は、シアノバクテリアと比べて乏しいです。シアノバクテリア (シネコシスティス、ミクロシスティス、アナベナ) のCSは、生化学的に解析され、特徴が明らかにされていますが、真核藻類におけるCSの生化学的性質はあまり分かっていません。そこで、真核藻類のさらなる代謝メカニズムの理解のために、シゾン由来のCS4 (CmCS4) の生化学解析を行い、CmCS4のオキサロ酢酸およびアセチルCoAに対する触媒効率や金属塩の影響を明らかにしました。2.研究手法と成果本研究グループは、組換えCmCS4タンパク質を大腸菌で発現させて精製し、酵素活性を測定しました。さまざまな温度やpHで酵素活性を測定したところ、CmCS4は、48℃、pH 7.8で最も高い活性を示しました。このCmCS4の最適条件において、様々な基質濃度でCmCS4活性を測定し、酵素の性質を表す値を算出しました。その結果、CmCS4のオキサロ酢酸とアセチルCoAに対する触媒効率は、3種のシアノバクテリア (シネコシスティス、ミクロシスティス、アナベナ) のCSのものよりもはるかに高いことが分かりました (図2)。次に、CmCS4活性に対する様々な金属塩の影響を検討しました。10-100 mMのKClと1-10 mMのMgCl2存在下でCmCS4活性を測定した結果、両金属塩に対して濃度依存的にCmCS4活性が低下しました。そこで、50 mM KClと5 mM MgCl2存在下においても、CmCS4のオキサロ酢酸とアセチルCoAに対する触媒効率を調べました。その結果、阻害剤のKClおよびMgCl2存在下においても、CmCS4の触媒効率は、3種のシアノバクテリアのものより高いことが明らかになりました (図2)。以上の研究から、CmCS4は、オキサロ酢酸およびアセチルCoAに対して高い触媒効率を示すことが分かりました。好酸性の藻類は、細胞質のpHを中性に保ち、酸性環境へ適応するため、大量のATP (エネルギー) を消費することが報告されています。そのため、酸性環境で生育するシゾンは、クエン酸回路酵素の触媒効率を高めることで、クエン酸回路を介してATPを大量に生産している可能性が考えられます (図3)。3.今後の期待本研究は、真核藻類のCSの生化学的な性質を明らかにしました。本研究の成果は、真核藻類におけるCSの触媒効率や金属塩による阻害、クエン酸回路への炭素の流れなどの知見を提供します。今後、CmCS4の構造解析やアミノ酸配列の比較により、CmCS4の高い触媒効率の理由が明らかになる可能性があります。さらに、シゾンのCS以外のクエン酸回路酵素の生化学的な性質の解明が、さらなるシゾンのクエン酸回路についての理解につながると期待されます。4.論文情報<タイトル>Citrate synthase from Cyanidioschyzon merolae exhibits high oxaloacetate and acetyl-CoA catalytic efficiency(日本語タイトル Cyanidioschyzon merolae由来のクエン酸シンターゼは、高いオキサロ酢酸およびアセチルCoA触媒効率を示す)<著者名>Maki Nishii, Shoki Ito, Takashi Osanai<雑誌>Plant Molecular Biology<DOI>10.1007/s11103-023-01335-75.補足説明注1)シアニディオシゾン(通称シゾン)学名は、Cyanidioschyzon merolae。イタリアの温泉で発見された、単細胞の紅藻。光合成真核生物としてはじめて全ゲノムが解読された。参考図図1. シゾンのクエン酸回路クエン酸回路の酵素の1つであるクエン酸シンターゼは、オキサロ酢酸とアセチルCoAからクエン酸を生成する不可逆な変換を触媒する。図2. CmCS4とシアノバクテリアのCSのオキサロ酢酸 (左) とアセチルCoA (右) に対する触媒効率CmCS4の触媒効率は、阻害剤のKClまたはMgCl2存在下においても、3種のシアノバクテリアのCSのものより高い。図3. シゾンのクエン酸回路におけるATP生産シゾンのクエン酸シンターゼは、高い触媒効率を持つ。好酸性の藻類は、酸性環境に適応するため、大量のATPを消費する。そのため、酸性環境に生育するシゾンは、クエン酸回路酵素の触媒効率を高めることで、クエン酸回路を介してATPを大量に生産している可能性が考えられる。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年03月15日現在公開中の大泉洋主演映画『月の満ち欠け』より、有村架純と田中圭が演じる夫婦の緊張感溢れる本編映像が公開された。有村さんが演じるのは、主人公・小山内堅(大泉さん)の娘と同じ名前を持つ謎の女性、正木瑠璃。その夫・竜之介を田中さんが演じている。今回到着した映像では、居間でくつろぐ竜之介と、食事の準備をする瑠璃の姿が映し出される。どこか険悪なムードが漂う中、瑠璃が「別の女性とやり直したほうがあなたにとって良いと思うんです」と沈黙を破るように切り出す。これに対して竜之介は「君を手放す選択肢は僕にはありませんよ」と返し、事態はさらに悪化してしまう。鑑賞者からも多くの反響が集まっている夫婦のシーン。有村さんは田中さんについて「数日しかご一緒できませんでしたが、非常にタフな方なんだろうなと思っていたら、やっぱりタフな方でした(笑)。正木とのお芝居自体は重たいものも多かったのですが、田中さんのお芝居されている姿は軽やかでエネルギッシュでしたね」と撮影をふり返っている。『月の満ち欠け』は全国にて公開中。(cinemacafe.net)■関連作品:月の満ち欠け 2022年12月2日より全国にて公開©2022「⽉の満ち⽋け」製作委員会
2022年12月13日映画『月の満ち欠け』より、幸せいっぱいの小山内家の様子を収めたホームビデオ映像が公開された。本作は、2017年に第157回直木賞を受賞し、累計発行部数56万部を超える佐藤正午による同名小説を原作とした実写映画。主人公・小山内堅役で大泉洋、小山内の娘と同じ名前を持つ謎の女性、正木瑠璃役で有村架純、正木瑠璃と許されざる恋に落ちる大学生・三角哲彦役で目黒蓮(Snow Man)、小山内の妻・小山内梢役で柴咲コウ、正木瑠璃の夫・正木竜之介役で田中圭、小山内にある事実を伝える、娘の親友・緑坂ゆい役で伊藤沙莉が名を連ねている。公開された映像には、愛娘・瑠璃(菊池日菜子)の誕生日パーティーで食卓を囲む堅と梢夫妻、そして瑠璃の親友である緑坂ゆいの4人の姿が。ゆいの提案で小山内家のホームビデオを撮影することになり、カメラが回ると「どうして、ママと結婚したんですか?」といきなり瑠璃からの容赦ない質問が堅に投げかけられる。困ったように照れ笑いを浮かべながらも、ワインをぐいっと飲み、大学時代に食堂で梢を見かけてから夢中だったと話し始める堅。隣で微笑みながら話を聞く梢の優しい表情にもフォーカスが当たり、終いには堅は「俺には、この人しかいないって、ずっと、今でもそう思っている」と愛の告白。堅の梢に対する深い愛情、そして瑠璃も含めた家族3人での幸せいっぱいの日常が切り取られた内容となっている。しかしこの後、梢と瑠璃にある悲劇が起こってしまい、堅は数奇な運命に巻き込まれていく。映画『月の満ち欠け』は12月2日に全国公開される。映画『月の満ち欠け』小山内家ホームビデオ映像<作品情報>映画『月の満ち欠け』12月2日(金) 全国公開映画『月の満ち欠け』ポスタービジュアル (C)2022「月の満ち欠け」製作委員会原作:佐藤正午「月の満ち欠け」(岩波書店刊)監督:廣木隆一脚本:橋本裕志主演:大泉洋出演:有村架純 目黒蓮(Snow Man) 伊藤沙莉 / 田中圭 柴咲コウ菊池日菜子 小山紗愛 阿部久令亜 尾杉麻友 寛一郎 波岡一喜 安藤玉恵 丘みつ子関連リンク公式HP:::
2022年11月15日明治大学大学院農学研究科環境バイオテクノロジー研究室の伊東 昇紀助教、片山 徳賢(博士後期課程2年)、小山内 崇准教授らの研究グループは、光合成を行うバクテリアであるラン藻のクエン酸回路では、リンゴ酸がピルビン酸に変換されることを発見しました。<研究成果のポイント>・一般的なクエン酸回路では、リンゴ酸脱水素酵素という酵素の働きによってリンゴ酸がオキサロ酢酸に変換されるが、ラン藻では、リンゴ酸脱水素酵素の活性が低く、リンゴ酸がどのように変換されているのか不明瞭であった。・ラン藻は、リンゴ酸をピルビン酸に変換するマリックエンザイムという別のリンゴ酸変換酵素をもっているが、この酵素が、リンゴ酸脱水素酵素の代わりにクエン酸回路で働いているかはわかっていなかった。・本研究の解析によって、ラン藻のクエン酸回路では、マリックエンザイムによって、リンゴ酸が“ピルビン酸”に変換されることが判明した。・本研究成果は、これまで生物全体で広く保存されていると考えられてきたクエン酸回路の酵素(酵素反応)が、生物ごとに異なることを示唆しており、本研究で行ったような解析の必要性を示している。要旨クエン酸回路は、生命活動に必要なエネルギーやアミノ酸の生成に関わる代謝経路です。酸素発生型の光合成を行うバクテリアであるラン藻も、クエン酸回路をもっています。クエン酸回路は、8つの酵素反応によって構成されており、それらの酵素は生物全体で広く保存されています。一般的に、クエン酸回路において、リンゴ酸は、リンゴ酸脱水素酵素(MDH)によって、オキサロ酢酸に変換されます。しかしながら、以前の研究で、ラン藻のMDHの活性は、著しく低いことが判明しました。ラン藻は、リンゴ酸を変換する他の酵素として、リンゴ酸をピルビン酸に変換するマリックエンザイム(ME)という酵素をもっていますが、MEがMDHの代替として働くかは分かっていませんでした。本研究グループは、ラン藻のMEとMDHに着目した解析を行い、どちらの酵素が、クエン酸回路でリンゴ酸を変換しているかを調べました。MEのリンゴ酸への反応効率は、MDHの反応効率の約14倍でした。MEをもたないラン藻の変異株は、MDHをもたない変異株と異なり、細胞内に過剰にリンゴ酸を蓄積しました。ラン藻の中で、MEをもつ種は、MDHをもつ種よりも多いことが分かりました。以上の結果から、ラン藻のクエン酸回路では、MEによって、リンゴ酸が“ピルビン酸”に変換されることが示されました。本研究の結果は、これまで生物全体で“決まっている”と考えられてきたクエン酸回路の酵素反応が、生物ごとに異なることを示唆しています。今後は、本研究で行ったような解析を他の生物でも行い、クエン酸回路の酵素反応を生物ごとに特定する必要があります。本研究は、明治大学大学院農学研究科 伊東 昇紀助教、片山 徳賢(博士後期課程2年)、小山内 崇准教授らのグループによって行われました。JST戦略的創造研究推進事業先端的低炭素化技術開発ALCA(代表小山内 崇)の援助により行われました。本研究成果は、2022年10月31日発行の米国微生物学会の国際誌「mBio」に掲載されました。※研究グループ明治大学 明治大学大学院農学研究科環境バイオテクノロジー研究室助教 伊東 昇紀(いとう しょうき)博士後期課程2年生 片山 徳賢(かたやま のりあき)准教授 小山内 崇(おさない たかし)研究技術員 岩住 香織(いわずみ かおり)生物物理学研究室准教授 鈴木 博実(すずき ひろみ)1.背景ラン藻(別名:シアノバクテリア)は、植物と同じ酸素発生型の光合成を行うバクテリアの総称です。ラン藻は、糖を炭素源として生育する大腸菌や乳酸菌などの他のバクテリアと異なり、光合成によって取り込んだ二酸化炭素を唯一の炭素源として生育することができます。地球温暖化などの環境問題や化石燃料の使用が世界的な問題となっている昨今では、ラン藻を利用して、二酸化炭素からプラスチックや燃料をつくる物質生産が注目を集めています。ラン藻は、形状や生育する環境が異なる多様な種が存在しており、全遺伝情報が分かっている種だけでも100種以上が存在しています。そのラン藻の中でも、初めて全遺伝情報が解明された種が、シネコシスティス注1)という種です。シネコシスティスは、球形の1つの細胞からなるラン藻で(図1)、淡水に生息しています。シネコシスティスは、人為的な遺伝子改変や凍結保存が容易に行えるといった実験生物として多くの利点をもっているため、ラン藻のモデル種として、様々な研究に利用されています。クエン酸回路は、生物がもつ最も重要な代謝経路の1つです。クエン酸回路は、8つの酵素反応によって構成されており、それらの反応を担う酵素は、バクテリアからヒトまで広く保存されています。通常、クエン酸回路は、酵素反応によって代謝産物を酸化していく過程で、NADHというエネルギーをもつ物質を沢山生成します。そのため、クエン酸回路は、細胞内でのエネルギー生成において中心的な役割を担っています。ラン藻も、このクエン酸回路をもっていますが、ラン藻のクエン酸回路では、NADHに加えて、NADPHという別のエネルギー物質も生成されるという点で、他の生物と異なっています。また、コハク酸やフマル酸といったクエン酸回路の代謝産物は、食品添加物やバイオプラスチックの原料としての用途がある有用物質です。そのため、近年では、ラン藻のクエン酸回路を利用した様々な有用物質の生産が盛んに検討されています。特に、シネコシスティスにおいて物質生産の研究が進められており、これまで4種類の有用物質の生産が報告されています。このように、ラン藻において、クエン酸回路は、生命活動と物質生産の両方で重要な代謝経路となっています。リンゴ酸は、クエン酸回路の代謝産物の1つです。一般的に、クエン酸回路の中で、リンゴ酸は、リンゴ酸脱水素酵素(MDH)という酵素の働きによって、オキサロ酢酸に変換されます(図1)。しかしながら、以前の研究によって、シネコシスティスのMDHは、リンゴ酸に対する活性が他の生物のMDHと比べて低く、逆反応に特異的に活性を示すことがわかりました。また、MDHの反応は、NADHの生成を伴う反応ですが、エネルギー物質の生成を伴う他のシネコシスティスのクエン酸回路の反応は、NADPHの生成反応となっています。要するに、MDHの反応は、ラン藻のクエン酸回路の反応の中で仲間外れでした。そのため、ラン藻では、MDHがクエン酸回路でリンゴ酸を変換しているか不明瞭であり、リンゴ酸を変換する酵素はまだ決定づけられていませんでした。ラン藻は、リンゴ酸を変換する他の酵素として、マリックエンザイム(ME)という酵素をもっています。MEは、リンゴ酸をオキサロ酢酸ではなく、ピルビン酸に変換する酵素です(図1)。MEの役割は生物によって様々で、哺乳動物では脂肪酸の合成に寄与し、トウモロコシなどの植物では光合成に関わる反応として機能することがわかっています。このMEをラン藻ももっていることは、20年以上前から分かっていましたが、ラン藻のMEの性質や細胞内での働きを調べるような研究は行われていませんでした。2.研究手法と成果今回、本研究グループは、MEとMDHに着目した3種類の解析を行い、MDHではなく、MEが、ラン藻のクエン酸回路でリンゴ酸を変換することを明らかにしました。はじめに、シネコシスティスのMEとMDHを精製し、シネコシスティスの細胞内を模倣した条件下で、その性質を比較しました。その結果、MEは、MDHよりも約14倍高い反応効率を示すことがわかりました(図2)。また、MEの反応は、MDHの反応(NADHの生成を伴う反応)と異なり、他のクエン酸回路の反応同様、NADPHの生成を伴う反応でした。次に、MEとMDHそれぞれをもたないシネコシスティスの変異株を作製して、細胞内にどれくらいリンゴ酸が蓄積しているかを調べました。その結果、MEをもたない変異株は、変異をいれていない通常の株と比べて、約3倍のリンゴ酸を蓄積しました(図3)。リンゴ酸は、MEの基質であるため、変異株におけるリンゴ酸の蓄積は、MEが細胞内でリンゴ酸を変換していることを意味しています。一方で、MDHをもたない変異株のリンゴ酸量は、通常の株と同程度でした(図3)。最後に、MEとMDHをもっている種がラン藻の中でどれくらい存在するかを、ラン藻の遺伝情報をパソコン上で解析することで調べました。その結果、全遺伝情報が分かっている130種のラン藻のうち、MEをもっている種が102種(78%)であるのに対し、MDHをもっている種が66種(51%)であることがわかりました(図4)。また、MEだけを持っている種が存在するのに対し、MDHだけを持っている種が存在しないこともわかりました(図4)。以上の結果から、ラン藻では、MDHではなく、MEが、主にクエン酸回路でリンゴ酸を変換することが示されました(図5)。ラン藻のクエン酸回路では、リンゴ酸が、オキサロ酢酸ではなく“ピルビン酸”に変換されます(図5)。また、このMEを利用するクエン酸回路は、一般的なクエン酸回路と異なり、NADHではなく、NADPHを生成する経路となっています(図5)。3.今後の期待本研究グループは、ラン藻のクエン酸回路の酵素反応の一部が、一般的なクエン酸回路と異なることを明らかにしました。さらに、ラン藻のクエン酸回路から生成されるエネルギー物質がNADPHであることを明らかにしました。この成果は、ラン藻のクエン酸回路から生成する有用物質の増産につながる新たなアプローチを浮き彫りにすると期待されます。また、本研究の結果は、これまで生物全体で広く保存されていると考えられてきたクエン酸回路の酵素(酵素反応)に多様性があることを示唆しています。そのため、今後は、ラン藻以外の生物に対しても、本研究で行ったような解析を実行し、クエン酸回路に関わる酵素反応を各生物で明らかにする必要があると思われます。4.論文情報<タイトル>Malic enzyme, not malate dehydrogenase, mainly oxidizes malate that originates from the tricarboxylic acid cycle in cyanobacteria(日本語タイトル リンゴ酸脱水素酵素ではなくマリックエンザイムが、主にラン藻のクエン酸回路に由来するリンゴ酸を酸化する)<著者名>Noriaki Katayama, Kaori Iwazumi, Hiromi Suzuki, Takashi Osanai, Shoki Ito<雑誌>mBio<DOI>doi:10.1128/mbio.02187-225.補足説明注1)シネコシスティス最もよく研究されている単細胞性のラン藻。淡水性で、窒素固定を行わない。直径1.5-2.0マイクロメートルほどで、球形をしている。1996年に、ラン藻としては初めて全ゲノム配列が決定された。増殖が速く、遺伝子改変が容易で、凍結保存が可能であるなどの利点を有する。そのため、モデルラン藻として、ラン藻の基礎研究・応用研究の両分野で広く利用されている。学名は、Synechocystis sp. PCC 6803である。参考図図1. 本研究で着目したMEとMDHによるリンゴ酸の変換MEはリンゴ酸をピルビン酸に変換し、MDHはリンゴ酸をオキサロ酢酸に変換します。図2. シネコシスティスのMEとMDHのリンゴ酸に対する反応効率反応効率は、基質を生成物に変換するときの効率です。縦軸が、リンゴ酸に対する反応効率を表しています。MEは、MDHよりも約14倍高い反応効率を示します。図3. シネコシスティスの変異株の細胞内リンゴ酸量縦軸は、細胞内リンゴ酸量の相対値(%)で、変異をいれていない通常の株を100%としています。MEをもたない変異株は、MDHをもたない変異株と異なり、細胞内に過剰にリンゴ酸を蓄積します。図4. ラン藻の中でMEとMDHをもつ種の割合(ベン図)全遺伝情報がわかっているラン藻(130種)のうち、MEをもつ種が102種(78%)で、MDHをもつ種が66種(51%)です。そして、MDHをもつ全ての種が、MEももっています。図5. MEがリンゴ酸を変換するラン藻のクエン酸回路このクエン酸回路では、リンゴ酸はピルビン酸に変換されます。また、NADHの代わりにNADPHが生成されます。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年11月10日今年4月に性加害疑惑が報じられた映画監督の園子温氏(60)。11月7日、偽名で仕事復帰していたと報じられて波紋を呼んでいる。4月、「週刊女性」によって性加害をしていたと報道された園氏。記事では複数の女優たちが、作品への出演と引き換えに園氏から性行為を迫られたと証言している。すると園氏は翌日、自身の公式サイトに謝罪文を掲載。そこには、こう綴られている。「関係者の皆様にご迷惑とお騒がせをしてしまいました事、また作品をみてくださった視聴者の方を含め、皆様にお騒がせをしてしまっていることにつきまして、深くお詫びいたします」「映画監督としての自覚のなさ、周りの方々への配慮のなさを自覚し、今後のあり方を見直したいと思っております」いっぽうで5月19日、園氏は公式サイトで「記事の内容が事実でないことを明らかにして参りたい」といい、「週刊女性」の発行元に対して訴訟を起こしたと発表した。この報道以来、表舞台から姿を消していた園氏だが、密かに“復帰”が決まっていたという。11月7日に配信された「SmartFLASH」の記事によると、園氏は12月に公開される映画「もしかして、ヒューヒュー」に“山本孝之”という名前で脚本家として参加。関係者は「園氏が直筆で書いたものを、別の関係者が書き起こして使用した」と述べたという。そこで「FLASH」が直撃したところ、園氏は俯き気味に小声で否定。ところがその後、事務所の社長である妻の神楽坂恵氏は書面でこう回答したという。「原案を園子温が作成し、それをもとに関係者が完成させたということ自体は事実です。また、この作品の脚本として紹介している山本孝之という人物が、園子温であることは事実です」「脚本として『園子温』という名が公表されることで、作品にほかの園作品と同様の色がつくことを避け、純粋に作品を、演技を楽しんでもらいたい」園氏サイドは「純粋に作品や演技を楽しんでほしい」という。しかし、園氏の“偽名復帰”は物議を醸すことにーー。ネットでは、厳しい声がこう上がっている。《園子温が名前を変えて復帰とかあるけど、本当にご自身の疑惑に一切後ろめたいことがなければ名前を変える必要ないと思うんですがね》《本人側は戦うと言ってたわけよね。なら、そちらをスッキリさせてから、正々堂々復帰したらいいのに。彼は何も恥じることはしてない、園氏の才能に惚れ込んでいると言うなら、なぜ、何もかも中途半端な状況で、コソコソ復帰させようとするの?》《とりあえず、公式の場で彼の口からきちんとした説明を行ってから復帰すべきだと思います。このやり方は汚いと思います》《作品に対する熱意であろうと、商業的な目的だろうと、敢えて偽名を使うことにやましさを感じます》《ダサいな》
2022年11月07日大泉洋主演映画『月の満ち欠け』より、有村架純と目黒蓮(Snow Man)のメイキング写真と現場レポートが公開された。有村さんと目黒さんが演じるのは、主人公・小山内(大泉さん)の娘と同じ名前を持つ謎の女性・正木瑠璃と、彼女と許されざる恋に落ちる大学生・三角哲彦。2人の撮影は、主に80年代パートで舞台となる高田馬場で行われたそう。早稲田松竹を80年代風に作り込み、瑠璃と三角の2度目の再会シーンが撮影された際は、突然の2人の登場に思わず立ち止まる歩行者が続出したものの、2人共に最後まで役に集中し、大きな混乱もないまま、撮影は無事終了したという。また、近くの川沿いでは、瑠璃と三角の微笑ましい初デートシーンを撮影。憧れの女性と奇跡的な再会を果たし、どこか舞い上がっている様子の三角が初々しいこのシーンも、廣木隆一監督の求める自然さ・リアリティが徹底されている。台本にはない動きやセリフが、当たり前のように追加されているが、どこまでがセリフか分からないほど、ナチュラルな佇まいで臨む2人。クレーンカメラが一度もカットを割ることなく、長回しで2人を追い続けた同シーン。4分近いシーンとあって、現場には緊張感が漂っていたが、撮影の合間には、よく晴れた空を見上げ、「天気いいね」と談笑する様子も見られたという。そんな2人は、本作が初共演。有村さんは目黒さんについて「一言一言を大切にセリフを言われる方だなと思えたので、瑠璃として気持ちを動かしながらやり取りができたと思います」と話し、一方の目黒さんは「役としてもリードしてくれましたし、僕としてはすごく心が救われました。役者さんとしては引き出しの多さに日々驚かされました」とコメント。公開された初デートシーンのメイキング写真では、次第に緊張がほどけてきた2人が、監督を交えてディスカッションしている姿が写し出されている。『月の満ち欠け』は12月2日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:月の満ち欠け 2022年12月2日より全国にて公開©2022「⽉の満ち⽋け」製作委員会
2022年10月04日週刊誌『週刊女性』などで女優らに対する性加害疑惑が報じられた園子温監督が19日、公式サイトを通じ、同誌を発行する主婦と生活社を被告として提訴したことを明かした。同報道を受けた先月上旬、「映画監督としての自覚のなさ、周りの方々への配慮のなさを自覚し、今後のあり方を見直したいと思っております」と自省しながらも、「事実と異なる点が多く」「自分自身以外への関係者にも多くのご迷惑がかかっていることを考慮し、代理人を通じて、しかるべき措置をとって参る所存です」と法的措置を示唆していた園監督。19日に公開した直筆署名入りのコメントでは、「2022年4月5日発売号の週刊女性の記事」と「翌週の4月12日発売号の記事」について事実と異なる点が多々あると改めて主張し、「損害の賠償と謝罪広告、インターネット上の記事の削除を求める訴訟を提起しました」と報告した。全文は以下の通り。■園子温監督コメント関係者及びファンの皆様ご報告この度は、一連の報道につきまして、ご迷惑とお騒がせをしておりますことを心からお詫び申し上げます。お伝えしておりました通り、2022年4月5日発売号の週刊女性の記事の内容は事実と異なる点が多々ございます。また、翌週の4月12日発売号の記事の内容も同様です。そのため、代理人と相談の上、昨日、週刊女性の発行元である主婦と生活社を被告として、損害の賠償と謝罪広告、インターネット上の記事の削除を求める訴訟を提起いたしました。今後、この裁判の中で記事の内容が事実でないことを明らかにして参りたいと考えております。この度は多大なるご心配とご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございません。園子温2022年5月19日
2022年05月19日『愛のむきだし』『ヒミズ』『冷たい熱帯魚』などの映画を手がけた映画監督の園子温が、複数の女優に対する性加害を「週刊女性PRIME」で報じられたことについて直筆の文書でコメントを発表した。自身の映像制作会社「シオンプロダクション」の公式HPにアップされた文書は、4月5日の日付入りで「関係者の皆様にご迷惑とお騒がせをしてしまいました事、また作品を見てくださった視聴者の方を含め、皆様にお騒がせをしてしまっていることにつきまして、深くお詫びいたします」と映画関係者や映画ファンに向けて謝罪するも、被害者への言葉はなかった。「映画監督としての自覚のなさ、周りの方々への配慮のなさを自覚し、今後のあり方を見直したいと思っております」と胸中を語った。続けて「しかし、今回の週刊誌報道の記事については事実と異なる点が多く、自分自身以外への関係者にも多くのご迷惑がかかっていることを考慮し、代理人を通じて、しかるべき処置をとって参る所存です」と報道内容についてコメント、法的処置をとる可能性があることを示唆した。今回の週刊誌報道は、映画監督で俳優の榊英雄や俳優の木下ほうかによる立場を利用した性行為強要などが相次いで表面化したことで、園氏に対して複数の女優が告発したもの。園氏はニコラス・ケイジを主演に迎えたハリウッドデビュー作『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』が昨年公開され、監督・脚本・編集・音楽を担当し、ワークショップを経て俳優たちを選出した『エッシャー通りの赤いポスト』が現在、順次公開されている。(text:Reiko Uehara)■関連作品:エッシャー通りの赤いポスト 2021年12月25日よりユーロスペースほか全国にて順次公開
2022年04月06日『愛のむきだし』(09)、『冷たい熱帯魚』(11)、『地獄でなぜ悪い』(13)などで知られる園子温監督が6日までに、制作会社・シオンプロダクションの公式サイトを通じ、性加害報道に対する直筆コメントを公開した。週刊女性PRIMEは4日、園監督による女優らへの性加害疑惑を報じ、被害を受けたとされる数名の証言を掲載。これを受け、シオンプロダクションは公式サイトで「関係者各位の皆様にご迷惑とご心配をおかけしてしまい、心よりお詫び申し上げます」と謝意を示し、「事実関係を整理して、改めて発表いたします」としていた。その後、同サイトには園監督の直筆文がアップされ、「この度の2022年4月5日発売号の週刊女性の記事におかれましては、関係者の皆様にご迷惑とお騒がせをしてしまいました事、また作品を見てくださった視聴者の方を含め、皆様にお騒がせをしてしまっていることにつきまして、深くお詫びいたします」と謝罪。「映画監督としての自覚のなさ、周りの方々への配慮のなさを自覚し、今後のあり方を見直したいと思っております」と自省した。その一方で、「今回の週刊誌報道の記事については事実と異なる点が多く」とも主張し、「自分自身以外への関係者にも多くのご迷惑がかかっていることを考慮し、代理人を通じて、しかるべき措置をとって参る所存です」と法的措置も示唆。「この度は多大なるご心配をご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございませんでした」と重ねて詫び、直筆文を締めくくっている。
2022年04月06日日本が誇る鬼才・園子温監督の最新作にして、自身初となる本格ワークショップから誕生した話題作『エッシャー通りの赤いポスト』がいよいよ公開を迎えます。そこで、すでに海外の映画祭でも熱い支持を得ている本作について、こちらの方々にお話をうかがってきました。藤丸千さん、黒河内りくさん、モーガン茉愛羅さん、山岡竜弘さん、小西貴大さん【映画、ときどき私】 vol. 440697名もの応募があったなかで、ワークショップの参加者に選ばれたのは51名ですが、そのなかでもメインキャストに抜擢された5名。ある新作映画のオーディションを舞台に繰り広げられる本作で、訳ありの女・安子役の藤丸さん(写真・中央)、若き未亡人・切子役の黒河内さん(左から2番目)、カリスマ映画監督・小林役の山岡さん(右)、小林を支える恋人・方子役のモーガンさん(右から2番目)、小林を尊敬する助監督・ジョー役の小西さん(左)がそれぞれの役を熱演しています。今回は、撮影の裏側や園監督の現場ならではの経験などについて語っていただきました。―まずは大勢のなかから選ばれたと知ったとき、どんなお気持ちでしたか?小西さん園子温監督の作品に出られるというのは、すごいチャンスだなと思いました。でも、そのぶん不安も大きかったですね。モーガンさん私は楽しみが100だったかな。初めての映画を園監督のもとでできることがうれしかったので。出演が決まった聞いたときはあまりにうれしくて、一回電車を降りてホームでガッツポーズしてしまいました(笑)。藤丸さん51名に選ばれた時点では、まだ役は決まっていなかったので、キャスティングに向けて気を引き締めていました。絶対に安子を演じたいと思っていたこともあり、かなり気合は入っていましたね。―役の争奪戦もあったようですが、どのようにキャスティングが決まったのでしょうか。小西さん挙手制だったんですけど、女性たちはけっこう熾烈でしたよね。いい意味で。モーガンさん確かに、女性陣のほうがメラメラしていたかも。藤丸さんそんなに熾烈だった?まあ、誰かが安子に手を挙げたら「迎撃するぞ!」とは思ってましたけど……。山岡さんそういうところだよ!一同(笑)モーガンさんでも、オーディションが本番というくらい、みんな本気でした。藤丸さんしびれるような熱い3日間で楽しかったです。園監督からは愛しか受け取っていない―黒河内さんは、実は園監督の作品を1本も観たことがないまま応募されたとか。その後、監督の“霊感”が働いて、そのことがバレたそうですが……。黒河内さん応募してからは観ましたが、申し訳ないことにそれまでは園監督の作品を観たことがありませんでした。ただ、このことは誰にも言っていなかったのに、途中で「あなたの映画は実は⼀度も観たことがありません。オーディション会場では、『昔からのファンです』と嘘つきます」というセリフが追加されたんです。あとで、事実を監督に話したら「そうだったの?」と監督も驚いていましたが。山岡さん園監督ってそういうところあるよね。藤丸さん“洞察の鬼”だからこその直感なんでしょうね、きっと。黒河内さん本当にドキッとしましたが、おかげでより役とリンクできました。―園監督は「つい厳しくなることもあった」とおっしゃっていますが、現場できつかったこともあったのでしょうか。藤丸さん監督の話を聞いて、私たち5人はみんな「そんなことあった?」と思っていました(笑)。ピークに持っていくためのアシストはしてもらいましたが、怖い印象はないです。小西さん甘えさせない厳しさはあったし、決してゆるい現場ではなかったですけど、僕らは全部愛としてしか受け取ってないですから。理不尽に怒られることもなく、いい意味で追い込んでくださいました。山岡さんあとは、納得いかないと思っていたときに、「もう1回だけだぞ」とチャンスをくれることも。モーガンさん特に方子と小林のシーンでは、なかなか思い通りにいかなくて、深夜1時を回っているのに、何テイクもしてくださって、すごく応援してくれました。山岡さん監督からは「お前の自由だから、好きなようにやれ」と言っていただきましたし、そういう思いも映り込むようにしてくださいました。なので、セミドキュメンタリーみたいな作品になっていると思います。いまでも園監督の言葉は背中を押してくれる―そのほかにも、園監督からかけられた言葉で印象に残っているものがあれば、教えてください。小西さん僕は撮影の中盤で「いまからお前は世界の反対側にいる人たちの心臓めがけて伝えろ!」と言われたんですが、そこで不思議とすべてのことが腑に落ちるのを感じました。まさに“園監督マジック”ですね。藤丸さん私はマスコミに向かって吠えるシーンを撮ったとき、セリフを言い終えたのに、カットがかからなかったので、とりあえず続けたんです。そしたら、撮影が終わったあと、「そのまま自由にいけ」と。その言葉は、いまでもふとしたときに私の背中を押してくれています。―撮影中に大変だったことやハプニングはありましたか?小西さん声を張り上げるシーンが多かったので、まったく声が出なくなったことはありましたね。黒河内さん私も熱が出たり、のどが痛くなってしまったりしたので、小道具の裏にのどあめを隠しながらやっていました。藤丸さん暑さのせいもありましたが、頭にグッと力を入れたせいで、鼻血が出たことも。血のりまみれのシーンではありましたが、リアルな血も出てしまったのはハプニングでした(笑)。山岡さん僕は急遽川に飛び込むことになったシーンですね。しかも、小林監督の親衛隊である“小林監督心中クラブ”のみんなが僕をつかまえようと本気で乗っかってきたので、溺れかけました……。小西さんさすがの園監督も「小林が死ぬから手を放してやれ!」って横で走りながら叫んでましたよね(笑)。モーガンさんハプニングではないですけど、ペンキをみんなにかけるシーンでは衣装の関係で、絶対に一発で成功させないといけなかったのはかなりプレッシャーでした。しかも、そのあとに半ページ分はある長ゼリフ。やり遂げたときは思わず笑みがこぼれました。藤丸さんその撮影のあとみんなで銭湯に行ったのも、思い出深いよね。芝居ではなく、真実が映っている―渋谷でのゲリラ撮影もあり、大変だったのではないかなと。黒河内さん確かに、渋谷のスクランブル交差点だったので、かなり周りからは注目されましたね。モーガンさん私が撮影を見に行ったとき、園監督が「Sono Sion Films」と書いたTシャツを着てかなり目立っていたので、それに周りがざわついていておもしろかったです。一同(笑)藤丸さん本編でも本気で生きている人に感化されていく様子が描かれていますが、それが現実とリンクしているようなところがあったので、私たちが雑踏のなかで発した「立ち上がれ!」という言葉を一人でも覚えてくれていたらうれしいですね。黒河内さんあのシーンは、芝居ではなく真実だったと思っています。―そのほかにも、忘れられない出来事はありましたか?モーガンさんワークショップの初日のことで鮮明に覚えているのは、初めての顔合わせのときのこと。藤丸さんの第一声を聞いた瞬間に「この人は絶対に安子だ」と強く思いました。山岡さん僕も「こんなお芝居をする人がいるのか」と衝撃でした。演技と言うよりも、とんでもない人がいるなと事件を目撃しているような感覚に陥ったのを覚えていす。藤丸さん実際のパーソナリティは、まったく違いますけどね。うれしすぎて、いまマスクの下で口角がめっちゃ上がってます(笑)。初めての現場でありがたいスタートを切れた―今回、山岡さんは応募を相談した先輩の1人から「もしかしたら⼈⽣変わるかもしれないね」と言われて応募したそうですが、実際にこの作品に関わったことで、人生が変わったと感じている方はいますか?藤丸さんもし、本当に変わるとしたら、それは公開のあとの話になるのかなと。ただ、すでに海外の映画祭で観てくださった方から感想をたくさんいただいていて、それはすごく支えになっています。小西さん僕は色んなチャンスに声をかけてもらいやすくなりましたね。それだけ園監督の作品に出たということに対する期待値が業界のなかで高いんだなと。改めて、園監督の偉大さを感じています。山岡さん僕は世界の見つめ方が変わりました。園監督がいろいろなことを楽しんでいる姿を見たことによって、日々が瑞々しくなったと言いますか。撮影から2年半、ずっと夢のなかにいるような気分です。その眼差しを持ち続けていれば、これからももっと変えていけると思うので、いまは期待でいっぱいですね。モーガンさん私はこの映画が初めてだったので、まだ変化はわからないですけど、いろいろなことを試せた現場で、ありがたいスタートを切ることができたと感じています。小西さん園監督には、「地球にナイフを突き立てろ」とよく言われましたが、この映画ではみんなが爪痕を残し合っているので、そういう生き方をしたいですし、自分を出すことを臆さないという姿勢に変われたと思います。園監督の映画の素晴らしさを見てほしい―劇中では、みなさんそれぞれに見どころがありますので、「自分のここを見てほしい」と思うシーンやポイントについて教えてください。小西さん僕は川原で小林監督と走ったあとにお別れするシーンです。藤丸さん私は安子が中盤に再登場するアパートのシーンに注目してほしいですね。でも、ラストも好きなので、正直言うと全部です(笑)。あと、実はスタートと言われる前から撮られていた部分も使われていたりするので、そのあたりも見ていただけたらと。モーガンさん確かに、本番前の映像もけっこう使われていたりするよね。そういった部分も楽しんでほしいですが、劇中で使っている方子のカメラは実際に私が仕事で愛用していたカメラを使いました。カメラ好きの方には、喜んでもらえるかなと思います。黒河内さん切子に関しては、抑圧されている人の象徴のようなところがあるので、心情的にリンクする方は多いのかなと。なので、特定のシーンを挙げるというよりも、周りの人に支えながら花開いていく様子や切子の心情に思いを馳せながら観ていただくとおもしろいと思います。山岡さん何度か観ているなかで気がついたのは、仮面を外したような純粋な顔をする小林の顔が随所に差し込まれていること。見逃しがちなところではありますが、そういう部分にも園監督の映画の素晴らしさが表れていると思うので、ぜひ見ていただけるとうれしいです。―この経験を経て、今後はどんな役者になりたいと思っていますか?藤丸さん今回はちょっとエキセントリックな役でしたが、どんな役でも演じられる役者になるべくがんばりたいです。モーガンさんこの作品がきっかけで藤丸さんと一緒にアクションのレッスンを受けているので、いつかアクション映画に出たいと思っています。強い敵をどんどん倒すような“最強の女”をやってみたいですね。黒河内さんまずは、黒河内りくとして実生活でいろんな経験をしながらそれを役に生かしていけたらと思っているので、幅広くいろいろなことに視野を広げていきたいです。小西さんわかりやすく言うと、「売れたい」です。今回の作品では無名でも実力があって、役に合っていればキャスティングされるということを実現しているので、風穴を開けたこの映画の意味をつなげるためにも、1人でも社会に認められる人が出てほしいし、僕自身もそうなりたいです。山岡さん僕はお芝居が大好きなので、自分がまだ触れたことのないような表現で作家さんの思いを伝えられたら最高ですね。それを一生続けていきたいですし、個人それぞれの芸術が尊ばれる世界になったらいいなと思っています。この映画で、世界中を元気にしていきたい―それでは最後に、どなたか代表して作品の見どころをメッセージとしていただきたいのですが……。藤丸さん監督役ということで、ここはやっぱり山岡さんを推薦します!モーガンさん・黒河内さん・小西さんこれは全員一致ですね。山岡さんいやいや、無理だって。―では、みなさんの期待を背負って山岡さんお願いします!山岡さんわかりました。この映画では、51名それぞれの人生が、虹色どころか、51色の繊維の束のようになり、それが映画のなかでうねるように……。一同(笑いがもれる)モーガンさん繊維の束?小西さん言い方が芸術的過ぎるから(笑)。もう少しわかりやすくお願いします。山岡さんすみません、気を取り直して。キャストみんなの人生が映画に乗っかり、それが面白さにもつながっているので、いままでの映画にはないものに仕上がっています。公開の延期もありましたが、コロナ禍でふさぎこんでいるいまこそもっとも届けたい映画になったので、一人でも多くの方にご覧いただきたいです。この映画で、日本中、そして世界中が元気になることを願っています。小西さん観た方の何かが変わるような映画なので、それを確かめてほしいです。キャストみんなが命がけで前に進もうとしている姿も見ていただけたらと。藤丸さん51名の登場人物全員が主役なので、みなさんには自分に一番響く主人公を見つけていただきたいです。インタビューを終えてみて……。濃密な時間と経験を一緒に過ごした仲間だからこそ生まれた絆に触れることができた今回の取材。みなさんが目を輝かせながら話す姿を見ているだけで、この作品に対する思いと園監督への愛をひしひしと感じました。みなさんが今後どのような役者になるのか、ますます楽しみです。人生には立ち向かうべきときがある!ほとばしる熱量がスクリーン全体から溢れ出し、圧倒的な演技で観る者を魅了する本作。「人生のエキストラでは終われない!」と、誰もが胸のなかに湧き上がるものを感じずにはいられないはず。新たな年を迎える前のいまこそ、観ておきたい1本です。写真・北尾渉(藤丸千、黒河内りく、モーガン茉愛羅、山岡竜弘、小西貴大)取材、文・志村昌美ストーリー鬼才のカリスマ映画監督・小林正は、新作映画のために演技経験の有無を問わず出演者を募集する。参加者は、浴衣姿の劇団員、小林監督の親衛隊“小林監督心中クラブ”、俳優志望の夫を亡くした若き未亡人・切子、殺気立った訳ありの女・安子など。オーディションではそれぞれの事情を語り、演じて見せる。助監督のジョーたちに心配されながら、脚本作りに難航する小林の前に現れたのは、元恋人の方子。脚本の続きを書いてくれるという彼女に励まされながら、制作に打ち込んでいたが、エグゼクティブプロデューサーからの無理な要望で、自暴自棄に陥ってしまうことに……。衝撃が走る予告編はこちら!作品情報『エッシャー通りの赤いポスト』12月25日(土)より全国ロードショー配給:ガイエ©2021「エッシャー通りの赤いポスト」製作委員会写真・北尾渉(藤丸千、黒河内りく、モーガン茉愛羅、山岡竜弘、小西貴大)
2021年12月24日園子温監督最新作、映画『エッシャー通りの赤いポスト』が、2021年12月25日(土)より全国の劇場で順次公開される。園子温監督最新作は“役者の卵たち”と創り上げた映画映画『エッシャー通りの赤いポスト』は、園子温監督が再び原点であるインディーズ映画に立ち返り、自身のワークショップに参加した役者の卵たちと共に創り上げた最新作。ストーリーは、鬼才のカリスマ映画監督・小林正の新作映画のオーディションに参加した有名無名の役者たち、それぞれの物語が、“赤いポスト”を起点に展開していくという遊び心と映画愛に満ちた内容だ。<映画『エッシャー通りの赤いポスト』あらすじ>エキストラでいいんか!?人生のエキストラで!?立ち向かえ鬼才のカリスマ映画監督・小林正は新作映画『仮面』に、演技経験の有無を問わず広く出演者を募集する。浴衣姿の劇団員、小林監督の親衛隊である“小林監督心中クラブ”、俳優志望の夫を亡くした若き未亡人・切子、殺気立った訳ありの女・安子、プロデューサーにまとわりつく有名女優など様々な経歴の持ち主たちが、オーディション会場に押し寄せて来る。それぞれの事情を持った参加者たちは、小林監督の前で語り、演じて見せる。一方、助監督のジョーたちに心配されながら、脚本作りに難航する小林の前に、元恋人の方子が現れる。彼女は脚本の続きを書いてくれるという。1年前のある出来事を忘れることが出来ない小林は、方子に励まされながら『仮面』に打ち込み、刺激的な新人俳優たちを見つけ出すことで希望を見出すが、エグゼクティブプロデューサーからの無理な要望を飲まなければならなくなる。自暴自棄に陥った小林は、姿が見えなくなった方子を探すが......。ワークショップの応募から役者51人を選抜これまで一度もワークショップを行ったことがなかった園子温監督がワークショップを行うらしいという噂は、役者たちの間に瞬く間にひろがり、ワークショップの応募としては異例となる697人の志願者が殺到。すべての応募書類に監督自身が目を通し、書類選考と面談を経て、最終51人が選ばれた。その選抜51人と3日間に渡る濃密なワークショップを行い、その後、怒涛の映画撮影をスタートしたという。当初から最終的に映画作品が作ることはアナウンスされており、映画の物語もオーディションを軸としていることから、参加した役者たちは「すでに本編撮影がはじまっている?」と錯覚してしまう環境にあったそう。物語の中でカリスマ映画監督・小林役を務める山岡竜弘は、ワークショップの面接時点から、本来は園が座る“監督席”に座り「園子温」として面接を行わされた。園子温監督本人はというと、清掃のおじさんを装って現場で様子をうかがっていたというエピソードも。ハリウッドデビューを果たした“役者の卵”もまた、『エッシャー通りの赤いポスト』の撮影は、園子温監督のハリウッドデビュー作『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』の撮影前に実施されたことから、可能性を見出された役者たちの中には、そのままハリウッドデビューを果たすことになった人物もいる。メインキャスト殺気立った訳ありの女・安子...藤丸千俳優志望だった亡き夫の遺志を継いでオーディションに応募する切子...黒河内りく映画監督の小林を支える恋人の方子...モーガン茉愛羅映画監督の小林...山岡竜弘助監督のジョー...小西貴大その他、ベテラン俳優の藤田朋子もワークショップに自ら応募し、選考を経て選抜された51名の1人として参加。さらに渡辺哲、諏訪太朗、吹越満といった園作品でおなじみのベテラン俳優たちが脇を固める。【詳細】映画『エッシャー通りの赤いポスト』公開日:2021年12月25日(土)ユーロスペースほか全国順次公開監督・脚本・編集・音楽:園子温企画:松枝佳紀プロデューサー:髙橋正弥、小笠原宏之出演:藤丸千、黒河内りく、モーガン茉愛羅、山岡竜弘、小西貴大、上地由真、縄田カノン、鈴木ふみ奈、藤田朋子、田口主将、諏訪太朗、渡辺哲、吹越満制作プロダクション:ヒコーキ・フィルムズ インターナショナル特別協賛:カーコンビニ倶楽部 特別協力:東京コネクション製作会社:ヒコーキ・フィルムズインターナショナル/アクターズ・ヴィジョン/AMG エンタテインメント配給・宣伝:ガイエ@2021「エッシャー通りの赤いポスト」製作委員会
2021年10月03日園子温ハリウッド監督デビュー作『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』より、主演のニコラス・ケイジとヒロインのソフィア・ブテラのメイキング写真が公開された。本作は、架空未来都市サムライタウンを舞台に繰り広げられる、痛快エンターテインメント。今回到着したメイキング写真では、園監督の世界観を表現すべく、悪名高き銀行強盗ヒーロー役のニコラス、ヒロイン役のソフィアが、それぞれゴーストランドでの演技について、園監督と入念に打ち合わせする姿が収められている。また、アクションが見どころとなるサムライタウンでの動きについて、2人が園監督に相談している場面や、クランクアップ時のスリーショットも併せて到着した。『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』は10月8日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:プリズナーズ・オブ・ゴーストランド 2021年10月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開©2021 POGL SALES AND COLLECTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2021年09月27日園子温監督のハリウッド監督デビュー作、『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』より日本版メインビジュアルが到着した。本作は、数々の問題作を世に送り常に日本映画界の話題をさらい続けている園子温が、監督の『アンチポルノ』を気に入り、園監督作品への出演を熱望していたというニコラス・ケイジを主演に迎え、ハリウッドで作り上げた痛快エンターテインメント。ニコラスのほか、ソフィア・ブテラ、ビル・モーズリー、監督としても活躍する名優ニック・カサヴェテスらが出演。日本からはTAK∴(坂口拓)、栗原類、渡辺哲、潤浩(ゆんほ)などが参加した。この度解禁されたポスタービジュアルは、ニコラス演じる主人公の「ヒーロー」が額に皺を寄せ遠くを見つめているショットを中心に、周りには「悪こそ正義」「狂暴かつ強烈!!」の文字が踊る1枚。混沌の中にも園子温ワールドを存分に感じられる日本版ビジュアルとなっている。ちなみに、ビジュアルの制作途中においてニコラス本人から「ちょっと賑やかすぎない…?」との助言があり、デザインを変更したというエピソードも。完成したビジュアルを見てニコラスは「タイトルのフォントと色味もイイネ!」と太鼓判を押した。「間違いなく crazy!」「ヤバイ!最高に楽しい映画だ!」との海外評をひっさげ、いよいよ日本公開が迫る。この秋、日本でも多くの映画ファンを驚かせてほしい期待の一作だ。『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』は10月8日(金)よりTOHO シネマズ日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:プリズナーズ・オブ・ゴーストランド 2021年10月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開©2021 POGL SALES AND COLLECTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2021年09月05日園子温監督とニコラス・ケイジがタッグを組む、映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』の場面写真6枚が一挙公開された。本作は園監督のハリウッドデビュー作であり、架空の未来都市“サムライタウン”を舞台とした痛快エンタテインメント。悪名高き銀行強盗のヒーロー(ニコラス・ケイジ)はある日、街を牛耳る悪徳支配者ガバナー(ビル・ モーズリー)のもとから逃げ出したバーニス(ソフィア・ブテラ)を連れ戻すよう命令を受ける。一度はその命令を拒んだものの、制限時間を超えると爆発するスーツを無理やり装着され、ゴーストタウンまでバーニスを追う羽目に。決められた時間内にサムライタウンに戻らねば自身の命が危ないヒーローは、果たして無事時間内にバーニスを連れ戻すことができるのか。観るものをハラハラドキドキさせる、緊迫したドラマに『キングスマン』のソフィア・ブテラ、数々の作品で怪演を披露してきた伝説的俳優ビル・モーズリー、監督としても活躍する名優ニック・カサヴェテス、日本からアクション映画で活躍するTAK∴、映画・ドラマ・舞台に幅広く出演する栗原類、日本映画界を支える名バイプレイヤー渡辺哲、NHK連続テレビ小説『エール』に出演した潤浩などが参加した。この度公開された場面写真は6枚。「人生初の海外作品に関わることができて本当に嬉しい!」と自身のTwitterで喜びの声を呟き、人間をマネキンに閉じ込めてしまうというゴーストランドの住人キュリを演じる栗原と、バーニスを探しにやってきたヒーロー演じるケイジの共演ショットが公開となった。また、TAK∴が、モーズリー演じる悪徳ガバナーの用心棒としてヒーローとの真剣勝負を繰り広げる、息を呑むような緊張感が伝わるショットも。他にもサムライタウンにて真っ白なスーツに身を包み手下達を引き連れたガバナーの姿や、そのガバナーと対峙するヒーロー、バーニスが涙ながらになにかを訴えるシーンなど、緊迫したドラマを期待させるショットが満載となっている。映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』10月8日(金)より公開
2021年08月27日ニコラス・ケイジを主演に迎えた、園子温監督のハリウッドデビュー作『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』の日本人追加キャストが明らかに。合わせて、30秒の特報が公開された。『冷たい熱帯魚』や『新宿スワン』など、常に自身の最高作を更新し続ける園子温監督がついにハリウッドデビュー。主演に迎えるはアカデミー賞(R)主演男優賞受賞俳優であり、現在も八面六臂の活躍を続ける怪優ニコラス・ケイジだ。世界を牛耳る悪徳ガバナーの魔手を逃れたバーニスを、ゴーストタウンから連れ戻すことを命じられた悪名高き銀行強盗ヒーローを演じる。脇を支えるのは『キングスマン』のソフィア・ブテラ、監督としても活躍するニック・カサヴェテス、ホラー界のレジェンド、ビル・モーズリー、そしてサムライ俳優TAK∴(坂口拓)、園監督が発掘した新星・中屋柚香。この度公開された狂暴かつ強烈な30秒特報では鎧を着た何者かが立ちはだかるシーンからスタート。スーツ姿のケイジが一転、革のボディスーツに身を包み、サムライタウンで素手や銃、そして日本刀で華麗な立ち回りを見せる。フェリーニ、ホドロフスキーに通じる悪夢的世界、マカロニウェスタン、チャンバラ、SFなど、ジャンルを横断する「フィクションならではの映画の楽しみ」が溢れる特報が完成した。また、日本人追加キャストも発表され、映画・ドラマ・舞台で活躍中の栗原類、そして、『冷たい熱帯魚』など、園子監督作の常連で、日本映画を支える名バイプレイヤーである渡辺哲、最後にNHK連続テレビ小説『エール』などで活躍した潤浩(ゆんほ)が、無垢な笑顔で園子温ワールドに登場。『キングスマン』のソフィア・ブテラ、『悪魔のいけにえ 2』はじめホラー界の伝説的存在ビル・モーズリー、『きみに読む物語』など監督としても活躍するニック・カサヴェテスらさまざまなジャンルで活躍するハリウッド俳優たちと肩を並べた。不可能に挑戦し続ける、狂暴かつ強烈なふたつの才能の、奇跡的な融合から生まれた痛快エンターテインメント『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』は10月8日(金)より公開される。『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』30秒特報『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』10月8日(金)より公開
2021年08月17日ニコラス・ケイジを主演に迎えた、『愛のむきだし』『ヒミズ』などの園子温監督のハリウッドデビュー作『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』のティザービジュアルが完成し、10月8日(金)より日本公開されることが決定。合わせて、日本人キャストも明らかとなった。この度解禁となったビジュアルには、「狂暴かつ強烈!!」「悪こそ正義(ヒーロー)」のキャッチコピーが添えられ、映画監督・園子温と、これまでアルコール依存症の男や、FBIエージェント、怒り狂う父親など幅広い役を演じ分けてきたアカデミー賞俳優ニコラス・ケイジ、ふたつの狂暴かつ強烈な才能が奇跡的に融合した本作を象徴するキャッチコピーとなっている。また、今回発表となった日本人キャストは、園監督作品常連の日米で活躍するサムライ俳優TAK∴(坂口拓)、園監督が発掘し「愛なき森で叫べ」(19/Netflix配信)でデビューした新星・中屋柚香、園子温監督作『TOKYO TRIBE』(14)で主演を務めたYOUNG DAIS(ヤングダイス)のほか、園監督作品出演経験のある古藤ロレナ、縄田カノンの5名。さらに『キングスマン』『CLIMAX クライマックス』のソフィア・ブテラ、『悪魔のいけにえ2』をはじめとするホラー界の伝説的存在ビル・モーズリー、『きみに読む物語』など監督としても活躍するニック・カサヴェテスら、さまざまなジャンルで活躍するハリウッド俳優たちと肩を並べる。『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』は10月8日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:プリズナーズ・オブ・ゴーストランド 2021年夏、全国にて公開
2021年07月31日黒羽麻璃央、鳥越裕貴、眞嶋秀斗ら2.5次元俳優たちが出演する舞台『結婚しないの!?小山内三兄弟』(3~7日)のゲネプロが2日、東京・草月ホールで行われた。近所では超美形と評判なのに、なぜか恋人ができず、異常なほど仲良しな長男・唯一(黒羽)、次男・天授(鳥越)、三男・外(眞嶋)の“小山内三兄弟”が繰り広げる『小山内三兄弟』シリーズ。今回の舞台は「結婚」という人生の一大イベントをテーマに、三兄弟と仲間たちがドタバタ劇を展開。従来のパジャマ姿に加え、結婚式ということでキャストたちが一張羅のスーツ姿も披露している。YouTubeのドラマとしてスタートし、地上波、上映会、ファンミーティング、さらにはバラエティ番組と、メディアやジャンルを横断して展開してきたが、いよいよ舞台俳優の“ホームグラウンド”というだけあって、これまでのシリーズからドタバタっぷりがさらに増強。キャストたちが水を得た魚のように舞台狭しと走り、飛び、踊り、倒れ、そして叫びまくる。楽日には、全員体がアザだらけになり、声も枯れてしまうのではと心配してしまうほどのパワーだ。『小山内三兄弟』の名物といえば、セリフなのかアドリブなのか分からないシーン。以前、黒羽・鳥越・眞嶋へのインタビューで、脚本のじろう(シソンヌ)が台本に「ここはお任せします」と、ト書きして演者に任せる場面があることを明かしていたが、今回もそんなシーンが随所に登場する。中でも、猪俣役の田中涼星(日替わりゲスト:3・4日出演)と楢原役の高橋健介は、突如ショートコントを振られたり、ビンタ合戦が勃発したりと大活躍。他のメンバーも、それぞれの見せ場はもちろん、“モノボケ”コーナーにまで巻き込まれ、芝居と素の表情が目まぐるしく入れ替わる舞台となっている。場面転換時には幕間映像が流れ、こちらでもキャストたちは全力投球。ここには、あの『有吉の壁』からまさかのゲストも登場し、会場を大いに盛り上げてくれた。ゲネプロを終え、キャストたちは手応えをつかんだ様子。以下のとおりコメントしている。■小山内唯一(ゆいち)役・黒羽麻璃央小山内唯一役の黒羽麻璃央です。稽古やゲネプロも終わり残すはあとは本番のみです。この作品の注目していただきたいポイントは全てです!映像も会話もよくわからない動きだって見逃してほしくはございません。おバカ要素たっぷりのシーンだって一つ一つ丁寧に真摯に作り上げてきました。このメンバーで舞台ができるのをとても幸せに思えます。是非、最後まで楽しんでいただけたらと思います。ではでは、舞台上で暴れてきますね!■小山内天授(てんじゅ)役・鳥越裕貴小山内天授役の鳥越裕貴です。短期間の濃い集中稽古で小山内三兄弟ワールド全開の舞台に仕上がっていると思います。YouTubeを経て地上波を経た、舞台幕間映像も見応えあり、ゲストもありで本当に豪華です!もう何を観ているのか途中でわからなくなります!笑癒し系パジャマコメディーを存分に味わって頂けるよう、皆でこの作品に挑みます!■小山内外(がい)役・眞嶋秀斗衣装がずっとパジャマだったので…まず、スーツが慣れません。舞台はまさかの「結婚」のお話!小山内三兄弟と仲間たちの関係性も新しいところが見えてくると思います。また稽古を通して、小山内ファミリーの結束力もグッと上がったと感じています。今回、特別にみんなで練習したこともあるのでお楽しみに…!これまでシリーズを応援してくださった皆様へ感謝の気持ちを込めてたくさんの方に小山内ワールドを好きになっていただけるように頑張ります。■楢原快人役・高橋健介今回の小山内三兄弟は舞台です!!舞台がベースのキャスト陣ということでドラマの時より更にみんなパワーアップして楽しんでやっております!そして全員公私共に接点のあるキャストなので息ピッタリの芝居、息ピッタリの笑い、息ピッタリのスベりをお届けします!今の世の中状況で大きな声で笑うことは難しいかもしれません。しかし、息を吐きながら笑うのではなく、息を吸いながら笑ってみるのはどうでしょうか?それでは舞台で、お家でお会いしましょう!!■蒔苗役・橋本祥平いよいよ初日の幕が開きます。ドラマからずっと一緒に作ってきたチームで挑む舞台。気の知れたメンバーだからこそ稽古場は毎日楽しく、コメディ作品を作りやすい環境でした。どのキャラクターもそれぞれの個性を活かせてる作品に仕上がっております。いや、むしろ…濃さがましてます。笑お客様と一緒に楽しめるシーン、笑えるシーン、温かなシーン、そして引き締まるシーン…喜怒哀楽が詰まった芝居です。皆様の応援があったからここまで来る事ができました。舞台でも是非、お力添えの程よろしくお願い致します。■白藤かつき役・長江崚行本当に楽しい稽古場で、幕が開くのが待ち遠しくてたまりません。休憩中も誰かがふざけて誰かがツッコんで、ひたすら笑っていました。それが本作の面白さにも繋がっているのではないかと思います。たくさん笑って、笑い疲れて眠りに落ちる。そんな舞台だったら良いなと思います。皆さんが眠りに落ちた真夜中に、きっと三兄弟たちは舞台の続きを繰り広げてると思うので、彼らの存在を夢の中でも感じていただけたら嬉しいです。■太地役・横田龍儀今回、稽古を経て感じたのが、とてもエンターテイメント性の強い舞台だなということです。お客様も一体になり、舞台を観てるような、お笑いのステージを見ているような気持ちになると思います。ぜひお客様には、一緒に楽しんで頂き、声を出すことは出来ませんが、沢山の拍手など頂けたら嬉しいです。特に、とあるシーンでは、お客様の拍手がとても僕達の心を和らげてくれるシーンがあります。多分ここだろなと思った方は、沢山拍手してみんなを支えてください。よろしくお願いします。■猪俣役・田中涼星この度、ゲスト出演で猪俣役として参加させていただきます!今回は舞台の小山内三兄弟にも参加できて嬉しく思います。撮影で行っていたものを、画面を飛び出して生で見て頂けるので小山内三兄弟の魅力をさらに感じていただけると思います。僕が演じる役は楢原家の執事の役なので、僕も微力ながら皆さんを小山内三兄弟の世界へ導くお手伝いができたらと思います。楽しんでいただけるよう頑張ります!なお、初日(3日)14:00/18:00(日替わりゲスト:田中涼星)と、楽日(7日)13:00/17:00(日替わりゲスト:植田圭輔)の4公演は生配信を実施。販売価格は3,900円(税込)で、Streaming+(イープラス)とHuluストアで、生配信終了から1週間はアーカイブ配信もされる。さらに、8月25日にはBlu-rayが発売。特典として「メイキング映像」「爆笑必至! 日替りコーナー映像集」「一緒に踊ろ! カーテンコールスペシャルダンス」が収録され、9,500円(税別)で販売される。
2021年03月03日ハリウッドデビュー作『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』の公開も待ち遠しい園子温監督が、役者の卵たちと作り上げた遊び心と映画愛あふれる最新作『エッシャー通りの赤いポスト』の公開が決定した。鬼才のカリスマ映画監督・小林正の新作のオーディションに有名無名の女優たちが集結。興味本位で応募してきた者、夫の意思を継ぎ女優を目指す若き未亡人、「小林監督心中クラブ」のメンバー、浴衣姿の劇団員、やらせの有名女優、殺気立った訳ありの女…etc!?一方、小林監督はエグゼクティブプロデューサーの無理な要望に苦悩し、シナリオ執筆もうまく進まない。そんなとき、昔の彼女が監督の目の前に現れるが…。撮影は園監督の退院後、2019年8月に行われた本作は、脚本・編集・音楽を園監督が担当。園監督節全開のオリジナルストーリーで、個性豊かな登場人物たちの物語が、赤いポストを起点に展開していく。園監督は「ワークショップをやる事を決意して、生徒たちを実践的に教えるためには映画を作るしかない、と思い立ち、あれよあれよと言う間に、怒涛の如く始まった」と製作のきっかけを明かし、「まるで22歳の時にはじめて作った8ミリフィルムの自主映画みたいに情熱だけで作り上げた」と語っている。また本作は、すでに世界6か国の映画祭で上映され、第49回モントリオール・シネヌーヴォー映画祭では観客賞を受賞。『地獄でなぜ悪い』に続き2度目の受賞となり、2度受賞するのは映画祭史上初となった。そして、今後もベルリン批評家週間(2/27-3/7)を含む4つの映画祭での上映が決定している。なおキャストには、藤丸千、黒河内りく、モーガン茉愛羅、山岡竜弘、上地由真、縄田カノン、鈴木ふみ奈ら役者の卵たちのほか、藤田朋子、田口主将、吹越満、渡辺哲、諏訪太朗が出演している。『エッシャー通りの赤いポスト』は秋、ユーロスペースほか全国にて順次公開予定。(cinemacafe.net)
2021年02月23日園子温監督の最新作『エッシャー通りの赤いポスト』(今秋公開)の公開が23日、明らかになった。同作は園監督が、インディーズ映画にカムバックし、役者の卵たちと作り上げた最新作。鬼才のカリスマ映画監督・小林正の新作のオーディションに有名無名の女優たちが集結。興味本位で応募してきた者、夫の意思を継ぎ女優を目指す若き未亡人、「小林監督心中クラブ」のメンバー、浴衣姿の劇団員、やらせの有名女優、殺気立った訳ありの女等々が集まる一方、小林監督はエグゼクティブプロデューサーの無理な要望に苦悩し、シナリオ執筆もうまく進まない。そんな時、昔の彼女が監督の目の前に現れる。撮影は、2019年2月心筋梗塞による緊急搬送&入院を経た園監督の退院後、2019年8月に行われた。園監督が、脚本・編集・音楽を担当し、藤丸千、黒河内りく、モーガン茉愛羅、山岡竜弘、上地由真、縄田カノン、鈴木ふみ奈ら役者の卵たちのほかに藤田朋子、田口主将や、園組常連の吹越満、渡辺哲、諏訪太朗が出演している。また本作はすでに、世界6カ国の映画祭で上映され、2020年10月に開催された第49回モントリオール・シネヌーヴォー映画祭では「観客賞」を受賞、今後もベルリン批評家週間(2月27日〜3月7日)を含む4つの映画祭での上映が決まっている。2021年は園監督のハリウッドデビュー作、ニコラス・ケイジ主演の『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』も公開され、今作と併せて両極端な振り幅を見せる。○監督・脚本・編集・音楽:園子温 コメントワークショップをやる事を決意して、生徒たちを実践的に教えるためには映画を作るしかない、と思い立ち、あれよあれよと言う間に、怒涛の如く始まった。まるで22歳の時にはじめて作った8ミリフィルムの自主映画みたいに情熱だけで作り上げた。あの頃の無心になって追いかけていた映画の神様、映画作りに燃えるマグマみたいな魂を抱えて、もう一度、原点回帰して、邪心ゼロで作っちまった童心映画!病みつきだぜ! また、やりたい! また、作りたい!○企画:松枝佳紀(アクターズ・ヴィジョン)まだ無名の俳優たちを映画の中で活躍させることができたら、どんなに素晴らしいだろう。本作はその願いを叶えてくれました。これは園監督にしか作ることのできない映画です。○ベルリン批評家週間アートディレクター:デニス・フッター コメント今回、選考委員会は園子温監督の遊び心とアイロニーに興奮しました。監督としての長いキャリアを経て、このような根源的に繊細な作品を生み出す彼の能力には目を見張ります。『エッシャー通りの赤いポスト』は、今日の日本のインディペンデント映画の”製作の今”を鋭く正確に表現し、映画製作の将来について多くの疑問を投げかけています。
2021年02月23日舞台『結婚しないの!?小山内三兄弟』(3月3日~7日、東京・草月ホール)に日替わりゲストとして出演する田中涼星と植田圭輔のソロビジュアルが公開された。今回は「結婚」という人生の一大イベントをテーマに、小山内三兄弟(黒羽麻璃央、鳥越裕貴、眞嶋秀斗)と仲間たちが舞台で大騒ぎ。これまでのシリーズとは打って変わって、一張羅のスーツを身にまとい、しっかりとキメた姿がお披露目された。猪俣役の田中は「昨年から小山内三兄弟に参加させていただいた身ですが、ドラマにバラエティにとても濃い時間を過ごさせていただき、今度は舞台にも参加できることがとてもうれしいです! ドラマで明かされた猪俣と楢原の関係性にも注目していただきたいですし、観に来てくださる皆さんに楽しんでいただけたらなと思います」とコメント。江里山役の植田は「舞台化が決まったと聞いて『それで僕は呼ばれるのか!?』という気持ちになりました(笑)。今回は日替わりゲストという形ですが参加することができて、ようやく正式に“小山内ファミリー”になれたのか気になります! このメンバーだから起きる芝居の化学反応を、ぜひお楽しみください!」と呼びかけた。さらに、あっくん役の北村諒が映像で特別出演することが決定。「『小山内三兄弟』舞台化おめでとうございます! 結婚するあっくん、新郎のあっくん、もはや主役といってもいい、あっくん。出たかったよーーーー!!と、言いたいところですが。ここは、やはり三兄弟。きっと楽しい作品になることでしょう。僕は映像出演という形で、お力添えさせてもらいます! よろしくお願いします!」と意気込んでいる。
2021年02月20日園子温監督が初めて手がける英語の作品『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』が、サンダンス映画祭でプレミアされた。主演はニコラス・ケイジ。銀行強盗に失敗し、逮捕された“ヒーロー”(ケイジ)が、その地域を支配する“ガバナー”(ビル・モーズリー)より、彼のもとから逃げ出した女性(ソフィア・ブテラ)を連れ戻すよう命令されるという物語。映画の世界は侍ものとアメリカのウエスタンをミックスしたような感じで、登場人物たちは日本語も英語もしゃべり、街の看板などにも日本語と英語両方が出てくる。警察官は現代のような制服だったり、自動車があったりと、時代もごちゃ混ぜだ。女性を探してヒーローが出かけていく街の外がタイトルにある“ゴーストランド”で、そこでも奇怪な光景が展開する。プレミアに先立つヴァーチャルの“舞台挨拶”で、園監督は、「英語で映画を作ることになったらぜひサンダンスに出したいと思っていた」と、喜びのコメントをした。また、今作は本来ならばほかの場所で撮影するはずだったが、心筋梗塞になり、ケイジから「ならば日本で撮影したらどうだ」と提案されたのだとも明かしている。上映後のヴァーチャル会見では、もともと予定されていたロケ場所はメキシコで、セルジオ・レオーネのようなマカロニウエスタンにするつもりだったと語った。舞台が日本になったことから映画の世界観が大きく変わり、今回のような映画になって、むしろよかったと受け止めているそうだ。脚本を書いたのはアーロン・ヘンドリーとレザ・シクソ・サファイ。他人が書いた脚本をもとに映画を作ることについては、「英語で映画を作るのは初めてなので、他の人の台本でやった方がいいかなと思っていた」と述べ、自分のイマジネーションを取り入れて自分のものにすることもできたと語った。今作は今年、日本で公開されることが決まっている。文=猿渡由紀
2021年02月03日俳優の黒羽麻璃央、鳥越裕貴、眞嶋秀斗らが主演する日本テレビのシチュエーションドラマ『小山内三兄弟』シリーズ初の舞台化が決定した。『結婚しないの!?小山内三兄弟』と題し、3月3日から東京・草月ホールで上演される。YouTubeから始まった『小山内三兄弟』は総再生回数約700万回を記録し、昨年10月には地上波ドラマ第2弾やHuluでのオリジナルバラエティ番組が放送・配信され、大きな話題を呼んだ。今回の舞台には、唯一(黒羽)の後輩・楢原快人役の高橋健介、小説家を目指す青年・蒔苗(まかない)役の橋本祥平、白藤(しらふじ)かつき役の長江崚行、農家で働く青年・太地(たいち)役の横田龍儀がドラマに引き続き登場。さらにスペシャルゲストとして、楢原家の執事・猪俣役の田中涼星(3月3日・4日公演)、唯一の上司・大橋課長役の長谷川忍(シソンヌ、3月6日公演)、外(眞嶋)の所属する芸能事務所の社長・江里山役の植田圭輔(3月5日・7日公演)が日替わりで出演する。脚本は前作に引き続き、じろう(シソンヌ)が完全オリジナルストーリーを書き下ろし。総合演出も前作に引き続き『有吉の壁』や『マツコ会議』などバラエティの演出や『恋、ランドリー。』などの配信ドラマの監督を手がける日テレの橋本和明氏が担当する。演出は「ヨーロッパ企画 イエティ」名義で、プロデュース公演を多数手がける大歳倫弘氏(ヨーロッパ企画)が務める。今回の舞台は、「結婚」をテーマに三兄弟と仲間たちが舞台ならではのリアルなドタバタ劇を繰り広げる。友人の結婚をきっかけに妄想に浸って暴走する唯一と巻き込まれる弟たち。そんな三兄弟を時に見守り、時に突き放す仲間たちとの息の合った掛け合いが見どころだ。舞台のチケット情報は近日中に発表。また、地上波ドラマ第2弾『ただいま!小山内三兄弟』のBlu-ray&DVDも予約受付中。本編に加え110分を越える大ボリュームの特典映像(メイキング・主題歌「一人で寝たくnight!」・スイカ割り大会・せーので揃えましょうゲーム)が収録されている。1月31日まで受付の特設サイトでは「メイキング特典にも入らなかったしょーもない動画集」が限定特典となっている。
2021年01月22日映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』が2021年10月8日(金)に公開。監督を務める園子温のハリウッドデビュー作となる。園子温によるハリウッドデビュー作監督は、『愛のむきだし』、『ヒミズ』、香取慎吾、稲垣吾郎、草彅剛の「新しい地図」によるオムニバスムービー『クソ野郎と美しき世界』、『新宿スワン』シリーズなどを手掛けた園子温。これまで数々の問題作を世に送り出してきた園子が、悲願のハリウッドデビューを果たす。映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』は、2017年に、本作のプロデューサーで脚本家のひとりでもあるレザ・シクソ・サフィから脚本が届いたことがきっかけで始動。東洋と西洋の文化が交じり合う混沌が包み込む町“ゴーストランド”を舞台に、豪華ハリウッドキャストがアクションを繰り広げる痛快エンターテインメントに仕上げた。フェリーニ、ホドロフスキーに通じる悪夢的世界、マカロニウエスタン、チャンバラ、SF...ジャンルを横断する「フィクションならではの楽しみ」が、映画から溢れ出る。映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』あらすじ悪名高き銀行強盗ヒーローは、ある日、相棒のサイコとともにサムライタウンの銀行を襲撃するが、少年が差し出したガムボールをきっかけに捕まってしまう。投獄され、フンドシ一丁で手錠を掛けられるヒーロー。サムライタウンではこの世界のすべてを牛耳る悪徳ガバナーがいつも女を侍らせていた。傍らにはいつも用心棒のヤスジロウと少女のようなスージーをおいてご満悦だ。ある日、ステラ、ナンシーとともにガバナーの魔手から逃げたガバナーお気に入りのバーニスを連れ戻すことを条件にヒーローは自由を手に入れる。ただし、5日以内にバーニスを連れ戻さねば、爆弾を仕掛けられたボディスーツが爆発してしまう。バーニスが消息を絶った不思議な街ゴーストランドへヒーローもまた足を踏みいれる。ゴーストランドとは、入ったら最後、二度と出られない街。そこには、動かなくなった車を修理し続けるラットマン、人間をマネキンに閉じ込めるキュリ、すべてを見つめる男ナベたちがいた。ゴーストランドの住人達は言う。「ガバナーがいる限り、我々は時計を止めねばならない。そうしないと世界は爆発する」と。果たして、ヒーローはバーニスを見つけられるのか。ゴーストランドを脱出することはできるのか。そして、サムライタウンはガバナーの手に落ちたままなのか。主演はニコラス・ケイジ本作の主演を務めるのは、『カラー・アウト・オブ・スペース―遭遇―』で主演を演じたハリウッドきっての実力派俳優、ニコラス・ケイジ。女を連れ戻すべく、“ゴーストランド”へ迷い込む高名な悪党・ヒーローを演じる。<登場人物(キャスト)>ヒーロー(ニコラス・ケイジ)...悪名高き銀行強盗でありながら、市井の人々のために立ち上がるヒーロー。サイコ(ニック・カサヴェテス)...ヒーローの相棒。ガムボーイ(潤浩)...ヒーローが銀行を襲撃した際、捕まるきっかけを作った少年。ガバナー(ビル・モーズリー)...世界のすべてを牛耳る悪党。ヤスジロウ(TAK∴/坂口拓)…ガバナーの用心棒。スージー(中屋柚香)...ガバナーの傍らにいる少女のような女性。ステラ(古藤ロレナ)&ナンシー(縄田カノン)...ヒーローと共にバーニスを連れ戻そうとする。バーニス(ソフィア・ブテラ)...ガバナーのお気に入りの女性。不思議な街ゴーストランドで消息を絶つ。ラットマン(ヤングダイス)...動かなくなった車を修理し続けるゴーストランドの住人。キュリ(栗原類)...人間をマネキンに閉じ込めるゴーストランドの住人。ナベ(渡辺哲)...すべてを見つめるゴーストランドの住人。音楽は『グレイテスト・ショーマン』のジョセフ・トラパニーズ音楽は、映画『グレイテスト・ショーマン』を手掛けたジョセフ・トラパニーズが担当。園子温が作り出す世界に、どのようなミュージックを重ねるのか、注目したい。【詳細】映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』公開日:2021年10月8日(金)より、TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー監督:園子温出演:ニコラス・ケイジ、ソフィア・ブテラ、ビル・モーズリー、ニック・カサヴェテス、TAK∴、中屋柚香、YOUNG DAIS、古藤ロレナ、縄田カノン脚本:アロン・ヘンドリー、レザ・シクソ・サファイ音楽:ジョセフ・トラパニーズ原題:Prisoners of the Ghostland配給:ビターズ・エンド
2020年12月18日ニコラス・ケイジが主演する園子温監督のハリウッドデビュー作が『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』として、2021年初夏に日本公開決定!合わせて場面写真も4点お披露目された2019年2月に心筋梗塞で倒れた園監督が不死鳥の如く舞い戻り撮り上げた渾身の1作。主演にニコラス・ケイジという狂暴かつ強烈な2つの才能の融合から痛快エンターテインメントが誕生した。園監督は「ハリウッドで監督デビューすることは、自分にとって悲願でした」とコメント。「この映画が撮影に入る前に、心筋梗塞で集中治療室に運ばれ、死にかけました。そこから蘇り、いろいろなハードな山を越えて、撮影できました。感無量です」と力を込める。そして「ニコラス・ケイジがこの映画に出演することになったことが、この『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』を成功に導きました。彼は私の映画をとても愛してくれていたので、ものすごくやりやすかったのです。とっても困難な厳しい撮影を乗り越える事が出来たのも、すべてニコラスのおかげです」と語っている。本作のプロジェクトは2017年、L.A.から園監督に、本作のプロデューサーで脚本家のひとりでもあるレザ・シクソ・サフィから脚本が届き、それを園監督が気に入ったことから始動。2018年初頭にニコラスの出演が決定し、同年のカンヌ国際映画祭にてプレスリリースが出る。当初、アメリカでの撮影を予定していたが、2019年11月~12月、オール日本ロケ(彦根、東映太秦撮影所)にて撮影が行われた。STORY高名な悪党であるヒーロー(ニコラス・ケイジ)は銀行強盗をしくじり囚われ、一帯を牛耳るガバナーの支配から逃亡した女(ソフィア・ブテラ)を連れ戻すことを命じられる。特殊なボディスーツに身を包んだヒーローが女を探してたどり着いたのは、美しくも暴力的な世界“ゴーストランド”。東洋と西洋が混ざり合い、混沌が包み込む町から女を見つけ出すことはできるのか?ヒーローは自由の身になれるのか?『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』は2021年初夏、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2020年12月15日「韓国文学は昨今、良質な作品の邦訳が増えて、注目度が高まっています」と、ライターの瀧井朝世さん。ロングセラーから近作まで、さまざまなジャンルが発売され、多くの支持を集めている。自分の生き方を考えるきっかけに。「お隣の国だけに、文化的、社会的価値観において日本社会に通じる部分も多く、日本人が共感できる部分も多いのではないでしょうか。日本でもベストセラーとなった『82年生まれ、キム・ジヨン』は、その典型例です。物語の背景に歴史的、経済的な要素が盛り込まれていたりと、その時代、その社会の中での個人が描かれることも多い。そのため、価値観や人生観、社会観を見つめ直し、“今の時代に自分はどう生きるのか”ということを、さまざまな角度から考えさせてくれるところも、韓国文学の魅力となっています」『フィフティ・ピープル』チョン・セラン斎藤真理子 訳/亜紀書房「(中略)でも、傲慢にならずにいましょうよ。どんなに若い人にも、次の世代がいるのですから。しょせん私たちは飛び石なんです。だからやれるところまでだけ、やればいいんです。後悔しないように」とある大学病院に、何らかの形で関わるごく普通の人々50人の、それぞれのドラマが交錯する連作短編集。年配から子どもまで、さまざまな人が主役を務める。「引用したのは、老教授の言葉です。誰かが遠くに石を投げたら、次の世代がその落ちた石を拾ってまた遠くに投げてくれる、というたとえ話に続けて語られている。自分一人ですべてを成し遂げようと気負うのではなく、未来を信じて、今できることを頑張ろうと思わせてくれます」『四隣人の食卓』ク・ビョンモ小山内園子 訳/書肆侃侃房大きくなったり、積もったりしてから「たかが」で済ませられるものなど、この世には一つもない。“入居10年以内に子どもを3人もうける”ことを入居条件とする、国家の少子化対策の一環として作られた集合住宅に越してきた4組の夫婦。「育児などを協力し合おうとする彼らだが、家族同士、あるいは夫婦間で、価値観の違いにより、少しずつ軋みが生じていく。“たかがこれくらいは見過ごしておこう…”という違和感や不快感が、やがて耐えられないものになっていく状況は、きっと、誰しもにおぼえがあるのではないでしょうか」『わたしに無害なひと』チェ・ウニョン古川綾子 訳/亜紀書房愛ほど不公平な感情はないだろうと私はたまに思う。第51回韓国日報文学賞を受賞した、7つの作品を収録している短編集。その中の「砂の家」からピックアップした一文。「同じ高校に通っていた男女3人は、大学生になってから交流を深めていく。青春のきらめきと同時に、親しいからこそ傷つけ、傷つけられてしまう苦しさが、濃密に描かれています。恋愛感情だけに限らず、友情も含めて“愛”というものはアンバランスだという、切なさの詰まった一編になっています」『ワンダーボーイ』キム・ヨンスきむふな 訳/クオン理解とは、誰かの代わりに彼らについて語ること、そしてその話を通じて、ふたたび彼らを愛すること。父親の運転するトラックに乗っている時に遭遇した交通事故から、奇跡的に一命をとりとめた一人の少年。病室で目覚めると、人の心の声が聞こえるという不思議な能力を獲得していた。そのせいで、彼は軍部に利用されそうになるのだが…。「そんな少年に、ある人物が言った言葉です。誰かのことを理解することの難しさ、理解したと思ってしまうことの傲慢さと同時に、誰かを理解しようと寄り添うことの尊さをも教えてくれる言葉です」『こびとが打ち上げた小さなボール』チョ・セヒ斎藤真理子 訳/河出書房新社「暴力とは何か?銃弾や警察の棍棒や拳だけが暴力ではない。都市の片隅で乳飲み子が飢えているのを放っておくことも、暴力だ」急激な都市開発が進むソウルを舞台に、そこで虐げられた人々の怒りを映し出す。「軍事政権下での不平等に苦しむ、さまざまな立場の人間が描かれています。引用は、〈こびと〉と呼ばれ、家族のために懸命に働くものの報われない男の長男が、ノートに書き写していた言葉から。こうした類の暴力に無関心であるというのは、暴力に加担していることになるのではないか、と考えさせられます。1978年に発表されたロングセラーです」たきい・あさよライター。著書に『偏愛読書トライアングル』(新潮社)、『あの人とあの本の話』(小学館)、『ほんのよもやま話』(文藝春秋)。『恋の絵本』シリーズの監修を手がけている。『王様のブランチ』ブックコーナーのブレーン。※『anan』2020年9月23日号より。取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2020年09月18日2019年秋にNetflix映画として配信された、日本を代表する鬼才・園子温監督、椎名桔平主演による『愛なき森で叫べ』が、4月30日(木)よりNetflixオリジナルシリーズ「愛なき森で叫べ : Deep Cut」として再編集されて配信されることになった。『愛なき森で叫べ』は、実際の事件からインスパイアされた狂気と愛憎が渦巻く戦慄のサスペンス・スリラー。もともとドラマシリーズとして企画されて撮影された本作は、その後、編集過程で没入感を最大限に引き出すため、エピソードを区切らずにシームレスの形で151分の映画フォーマットとして完成された。オリジナル脚本をベースとしたドラマシリーズ版では、稀代の詐欺師・村田(椎名さん)の大胆な騙しの手口と残忍性、そんな村田をモデルにしたシン(満島真之介)たちの自主映画シーン、村田の餌食となる妙子(日南響子)と美津子(鎌滝えり)の高校時代などが追加。映画では明かされなかったキャラクターをより深く掘り起こし、また過激描写などを含めた園監督の世界観が贅沢に盛り込まれた全7話のドラマシリーズとなる。ストーリー1995年。愛知県豊川市から上京したシン(満島真之介)は、ジェイ(YOUNG DAIS)とフカミ(長谷川大)に声をかけられ、彼らの自主映画制作に参加。知人の妙子(日南響子)と美津子(鎌滝えり)に出演を依頼する。彼女たちは高校時代、憧れであったクラスメイトが交通事故で急逝するという衝撃的な事件から未だ逃れられずにいた。引きこもりとなっていた美津子に村田(椎名桔平)から電話がかかってきたのは、世間が銃による連続殺人事件に震撼していたころ。村田は「10年前に借りた50円を返したい」という理由で美津子を呼び出し、巧みな話術とオーバーな愛情表現で彼女の心を奪っていく。だが、村田は冷酷な天性の詐欺師だった。自身の姉も村田に騙されていた妙子によって彼の本性を知ったシンたちは、村田を主人公にした映画を撮り始める。やがて村田は、美津子の父・茂(でんでん)や母・アズミ(真飛聖)をも巻き込み、事態は思わぬ方向へ転がり始める...。Netflixオリジナルシリーズ「愛なき森で叫べ : Deep Cut」は4月30日(木)よりNetflixにて世界190か国で配信予定(全7話)。(text:cinemacafe.net)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
2020年04月03日家の中で楽しめるエンタメや流行を本誌記者が体験する“おこもりエンタメ”のコーナー。今回は園子温監督のネットフリックスオリジナル映画『愛なき森で叫べ』をご紹介します。■Netflixオリジナル映画『愛なき森で叫べ』。10月11日よりNetflixで全世界190カ国に配信予定実際に起きた事件にインスパイアされた本作。園監督は過去にも映画『冷たい熱帯魚』(’11年)、『恋の罪』(’12年)と、猟奇的な殺人事件を基に作品を撮っています。これら過去作を知る人はさらに、そうでない人は視聴後、その世界観にしばらく圧倒されることでしょう。中心人物は、巧みな話術で人々を籠絡していく詐欺師・村田(椎名桔平)。その口のうまさでひきこもりの美津子(鎌滝えり)や上京してきたシン(満島真之介)らを精神的に支配、洗脳し、事件を起こしていきます。はたから見ればうさんくさい人物の行動も、洗脳されたらすべてが救世主に思えてしまう怖さ。残忍に人が殺され、被害者が一転して加害者にもなり事態は混乱の様相を呈していきます。私たちの日常は、会社や親、配偶者など、何かに支配されています。そこに規律があるから統制がとれているのですが、支配が洗脳に発展し、一度規律を超えてしまったものは、際限なく暴力という形で表出していくのだなと思いました。前半は少し牧歌的かとも思える展開ですが、しだいに愛情が渦巻き、迎える予想外の結末。英語のタイトルの意味が『愛の森』と邦題と逆なことにも混乱しますが、そこは意図的なのでしょう。
2019年10月20日『愛のむきだし』、『ヒミズ』、『冷たい熱帯魚』など、人間の裏表を強烈な映像で描き出し、国内外に熱狂的なファンを持つ園子温監督。そんな園監督の現場に、俳優の満島真之介が従事していたことは、広く知られたことだろう。園ワールドに魅せられ、映画の世界に飛び込み、助監督として作品に携わり続けた満島さん。やがて、彼の才能は演者としても花開き、今日の活躍に至る。ふたりが監督×役者としてタッグを組んだ3本目が、Netflixオリジナル映画『愛なき森で叫べ』である。実際の猟奇的殺人事件にインスパイアされ、大胆なオリジナルの物語として紡ぎ上げた戦慄のサスペンス・スリラーとなった『愛なき森で叫べ』。1995年、銃による連続殺人事件が世間を震撼させていた東京にて、田舎から上京したシン(満島さん)は、妙子(日南響子)と美津子(鎌滝えり)とともに、自主映画の撮影に参加する。その頃、美津子は村田(椎名桔平)という男に夢中になっていた。人当たりがよく紳士的に見える村田だが、実は天性の詐欺師で、美津子ならずシンたちまで支配していく。ふたりの関係性をなぞり、「師弟対談ですね」と水を向けると、園監督は「いやいや」と首を振ってみせたが、満島さんは大きな瞳を爛々と輝かせうなずいた。「園監督のもとで育った」という経験と誇りが満島さんの大きな軸となっていることに違いはなく、この後のインタビューでは、満島さん目線での園監督、園監督から見た満島さんの姿など、幾多もの貴重なエピソードや思いが語られることになった。久しぶりの再会で園監督が感じた満島さんの存在「姉貴以上に、吸収力がすごいのかな」――園監督と満島さんは、満島さんが10代のときからのお付き合いなんですよね。満島:そうです。18歳のときからなので。親元を離れてからの僕のことを知っているのは園さんぐらい。そんな人っていないだろうから、いわゆる「映画監督の園子温」という、皆さんとの距離感とは、ちょっと違うかもしれないですね。不思議なんですよ。お兄さんのような存在でもあるし、人生で切っても切り離せない関係なので。園さんと出会って「これだけ経ったんだな」と、いまになって感じることがたくさんあります。――本作で満島さんが演じたシンは、自主映画サークルの仲間たちと「ぴあフィルムフェスティバル」を目指すという、園監督の若いときを投影しているような役です。満島さんにオファーしたのは、これまでの関係性があったから、というのも大きいですか?園監督:やっぱり「もう1回やりたいな」って、そういう感じがあったんですよね。最初に満島真之介と出会ったのは、もちろん満島ひかりから紹介されて、なんですよ。高校卒業したての子で、何がしたいのかはよくわからないけど、毎日何かをしている感じで。雨になると、なぜか濡れるためだけに外に飛び出して「雨って最高!!」とか言っていて。満島:(笑)。園監督:俺が知っている真之介は、全然映画の知識もなくて、雨とか風とかに興味があって、電車でフラフラ旅に出たり、という人だった。とにかく、謎が多くて。けど、久しぶりに会ったら、映画もいっぱい観ているし、知識もすごいあって、同じ世代の役者と断然違う知識量と経験値を持っているから、もしかしたら姉貴以上に、吸収力がすごいのかなと思っちゃうときがあった。詳しくいろいろなことを知っているのは、日本の役者では稀有というか、珍しい存在だよね。とにかく視野が広いし、異様にワールドワイドに物事を考えられる人間だから。世界レベルで言えば当然なんだけど、その世界レベルに到達してる日本の役者はなかなかいないから、そういう意味では、彼は世界で戦える役者なんだなと思いますけどね。満島:でも、それは、俺がまだ何もない、何も知らないときに、園さんが調べていたこととか、観ていた映画だったり、読んでいた本、資料みたいなものがずっとそばにあったからです。社会や世界で起きていることにフォーカスを当てて、映画をどう作るかをずっと向き合っていた園さんが、楽しそうに調べている姿とか、映像を観ている姿を側で見ていたから、僕の中では当たり前だった。園さんが、18歳のときから見せてくれていた背中があったからこそ、自分が求めるものが、幅広いものになっちゃうんです。何も知らない自分に、スポンジが水を吸収するようにいろいろな情報や知識を伝えてくれたから、ひとりになっても、その先を求める自分がいるんですよね。同じ時間をまた共有できる喜び「園さんが作っている作品に常に関わっていたい」――園監督のもとで助監督をなさっていた満島さんですが、役者になると思っていましたか?園監督:思っていなかったし、そういう気配はなかった。けど、才能はあるだろうなと思っていました。しばらく全然会えない時期があって、それで、真之介が芝居をやり出したと聞いたんです。舞台とかを観に行ったりしたけど…最初のうちは自分とやらないで、どっかでやっているのを観て、「ちょっと歯がゆいな、俺もやってみたいな…」って。満島:(笑)。園監督:本当に最近になって、やっと会えるようになったんです。僕としては、まさかこういう形で真之介とちゃんと会うと思っていなかったところもあったから、あまりそういうことを思わないけど、当時、久しぶりに再会したときに「本当によかったな」と思って、それだけで十分幸福だった。幸せだったな。満島:最初、今回のお話がきたときはまだ準備稿だったんだけど、何も考えないで、すぐ「やります!」って返事をしました。やっぱり一緒に作品を作れる喜びは、本当に計り知れないんですよ。ありがたいことに、いろいろな人たちからオファーはいただきますけど、園さんはちょっと格別です。「役者として役をもらったからうれしい」とは違って、「同じ時間をまた共有できること」が、大きな喜びなんです。本当は、園さんが作っている作品全部に出たいんですよ、これから先も。常に関わっていたいという気持ちがあるのは、やっぱり特別です。――『愛なき森で叫べ』の現場も、特別でしたか?満島:現場も独特で楽しいんですよ!今回の役は、園さんの体験を追体験していると言ってもいいほど、園さんの昔のことが、このシンに詰まっているんです。メインの(村田の)お話がありつつ、シンという、園さんが若い頃に経験したことを盛り込んだ役をやれた。毎日現場で、「園さんと一緒に作っているんだな」という実感がありました。自分の人生、過去をちゃんと振り返って、「ああいうときもあったな」、「こうだったな」と、常に感じている毎日でした。そこに、新たなものがどんどん上乗せされていくから、全作品に関わりたくなるんです。もはや役者として出なくても制作側でもよくて、園さんが1から作品を作り上げるまで、ずっとそばで見ていたいんです。これからのふたり、これからはバトル――「東京ヴァンパイアホテル」、『ピアニストを撃つな!』に続き3作目ですが、これからもタッグを期待していていいですか?園監督:いまはまだ準備というか、『愛なき森で叫べ』は、ウォーミングアップ&ウェイクアップだよ。これから本気というか。満島:うん、それはわかる。これから先こそが本番です。園監督:「おう、久しぶりやな」って肩叩き合って、旧交を温めていたのがいままで。これから次にやるのは、一介の監督と一介の役者に戻って、もうちょっとバトルっつうか、『愛のむきだし』における、満島ひかりと俺の戦いのようなものを真之介と一回やらなきゃなと思ってる。いままでちょっと、あまりにも幸せで「フフフ」という感じでやっていたので、これじゃいかんなと。だから、これからのふたりも温かく見守ってくれれば。満島:ここから世界に向けて、園さんと新たな作品を作りたい気持ちがより強くなってきました。この作品は、ひとつのきっかけに過ぎないんじゃないかなと思っています。この間、僕はようやく30歳になったんですけど、やっと園さんとしっかり対峙できるような状態になり始めてきたな、と感じているんです。日本だけじゃなく、映画史に残る作品を一緒に戦って作りたい。そのときをいまかいまかと待ちわびています。(text:Kyoko Akayama/photo:You Ishii)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
2019年10月08日鬼才・園子温がNetflixと組んで贈る、『冷たい熱帯魚』や『恋の罪』と同様に実際の事件からインスパイアされた狂気と愛憎が渦巻く戦慄のサスペンス・スリラー『愛なき森で叫べ』。この度、待望の本予告とキーアートが解禁となった。先日、シッチェス・カタロニア国際映画祭2019 ニュー・ビジョンズ部門への正式出品が決定し、早くも世界中のファンから待望の声が寄せられている本作。主演の椎名桔平が演じる"村田丈"は、軽妙な話術で人の心を操りながら、人を人と思わぬ冷酷さを持つ“最狂の詐欺師”。大げさなポーズや誇大妄想のようなうそに笑いながらも、徹底した自己中心的な言動に背筋が凍るキャラクターとなっている。解禁となったキーアートは、そんな“最狂の詐欺師・村田丈(椎名桔平)”が不気味に微笑み、上京したばかりの青年・シン(満島真之介)、そして村田に惹かれる妙子(日南響子)と美津子(鎌滝えり)が取り囲み、騙す者と騙される者が交錯する不穏なもの。また、本予告では、村田のありえない騙しの手口と残酷さが止まらない!真っ白なスーツで芝居がかった劇的なプロポーズをしたり、これまでに騙してきた女性たちを集めてライブをしたりと大胆すぎる行動で人の心を掴みつつ、徹底的な暴力で身体を支配する村田。そんな村田を主人公に自主映画を撮ることにしたシン、ジェイ(YOUNG DAIS)、フカミ(長谷川大)の3人。村田に近づきすぎた彼らと、美津子の両親である茂(でんでん)、アズミ(真飛聖)をも巻き込み、惨劇の幕が上がる――。最後の銃声は、一体誰に向けられたものなのか、気になる映像となっている。Netflixオリジナル映画『愛なき森で叫べ』は10月11日(金)よりNetflixにて全世界190か国へ配信予定。(text:cinemacafe.net)
2019年09月18日日本を代表する鬼才・園子温が手掛け、『冷たい熱帯魚』『恋の罪』と同じく実際の猟奇的殺人事件からインスパイアされた戦慄のサスペンス・スリラー『愛なき森で叫べ』が、Netflixオリジナル映画として今秋、全世界独占配信。その場面写真が解禁となった。本作には、これまでの園監督作品を彷彿とさせるシチュエーションや、『HAZARD』(’06)、『自殺サークル』(’02)、『Strange Circus 奇妙なサーカス』(’05)、『冷たい熱帯魚』『恋の罪』(ともに’11)などに登場した村田、美津子、妙子、シンといった同じ名前の人物が次々と現れ、園監督ならではのユーモアとバイオレンスで突き進む。特に『冷たい熱帯魚』で狂気に満ちた存在感で圧倒した、でんでんによる初代"村田"は熱狂的なファンを生み出し話題となったが、本作『愛なき森で叫べ』で椎名桔平が演じる"村田丈"は、軽妙な話術で人の心を操りながら、人を人と思わぬ冷酷さを持つ最狂の詐欺師。大げさなポーズや誇大妄想のようなうそは笑いを誘いながらも、徹底した自己中心的な言動に背筋が凍るキャラクターとなっている。そしてこの度解禁されるのは、携帯を片手に不穏な表情で会話している村田丈(椎名さん)の姿をはじめ、上京してきたばかりの謎めいた青年・シン(満島真之介)、村田のターゲットとなる尾沢茂(でんでん)・アズミ(真飛聖)夫婦、妙子(日南響子)、美津子(鎌滝えり)といった主要な登場人物たちを捉えた7点の場面写真。園監督は、"村田"というキャラクターについて「僕が実際に出会った詐欺師の名前に近いんです。僕が本物の詐欺師から学んだその話術や口調をどの"村田"にも投影していますね」と、その誕生秘話を明かす。また、椎名さんは「園ワールドの歪んだリアルの中で発想した自分のアイデアを、カメラが回っているうちに監督に見せていくジャズ・セッションのような作業でした。この作品が配信されたら、映像の鮮烈さに世界中に衝撃が走ると思います」と、園監督と作り上げた作品と“村田”への自信あふれるコメントを寄せている。世界中に蔓延している猟奇的殺人事件の被害者の姿、そして彼らが加害者に転じてしまう人間社会の恐ろしさと闇を、独特のユーモアとバイオレンスで炙り出す本作。世界は再び、園子温に震撼することになりそうだ。Netflixオリジナル映画『愛なき森で叫べ』は秋、全世界にて配信予定。(text:cinemacafe.net)■関連作品:【Netflixオリジナル】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflixオリジナル】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
2019年08月21日