岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「デモ音源」です。楽曲を制作するとき、アレンジを外部に発注する場合はまずデモ音源を作ります。絵を描く前の下描き、ラフスケッチのようなものです。僕のデモの場合、そのラフスケッチがガチで“ラフ”です。本当に簡単な線だけで描いている落書きのようなものと思っていただいていい。ドラムの簡単なビートを入れて、ピアノでコード進行を白玉(全音符)だけでじゃーん、じゃーんと弾いて、メロディを適当な歌詞で歌う。漫画で言えば、ネームもなければコマ割りもしてないような、だいたいこういう話で、こういうトーンになる予定ですよ、ということだけわかるもの。自分で編曲まですべてする際はここから肉付けしていくのですが、アレンジャーに依頼する場合は、「ここから先はお任せします」とお渡しします。アレンジャーの方々には、「こんなにざっくりとしている自主性のないデモは初めてだ」とよく言われます。いや、そのまったく主張のないデモが岡崎体育らしさです。それがいいのか、よくないのか。アレンジャーの方からすると両方の意見があるようです。「もう少し固めてから渡してほしい」という方と「自由度があって腕が鳴る」という方と。たとえば、「Knock Out」という楽曲は、ハードコア・バンドPaleduskのDAIDAIくんにアレンジをお願いしたのですが、これはマジで僕の中でもラフ中のラフで彼にお渡ししました。DAIDAIくんもどうアレンジするべきか、とても悩んだと思います。でもその結果、彼自身の色をめちゃくちゃ出してくれて、とてもかっこいいアレンジを施してくれた。あがってきた楽曲を聴いて、「こんなに生まれ変わるんだ!」と、誰かと一緒に楽曲を作り上げる楽しさを実感したことを覚えています。いやいや、一緒というよりDAIDAIくんの力量ですね、これは。そんなわけで岡崎体育はデモ音源集を出すのはまず無理ですね。はっきり言って聴いていられない!……でも、あえて聴いていただくのもいいかもしれません。できあがった曲と比較したらアレンジャーのみなさんのすごさがわかると思います。僕たち作曲家は0から1を生み出しますが、それを100にも1000にもしてくれるのがアレンジャー。編曲の力でその曲がヒットするかしないかも決まる。僕の主張のないデモをどう進化させてくれているのか、いつか知ってもらえたらいいかもしれません。おかざきたいいく自身初となるEP『Suplex』(SME レコーズ)配信中。「岡崎体育Zepp Tour 2024」がスタート。4/21札幌、4/27名古屋、4/29福岡、5/12大阪(ベイサイド)、6/2東京(ダイバーシティ)で開催。※『anan』2024年4月24日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年04月22日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「Zepp Tour」です。いよいよ、4月14日から「岡崎体育 Zepp Tour 2024」がスタートします。横浜、札幌、名古屋、福岡、大阪そして東京の全国6都市を巡ります。全体のテーマとして今回、アメイジングモンスターズというキャラクターを召喚しました。4月14日横浜の“無神経ペガサス”にはじまり、“社会派ケンタウロス”“冷静ドラゴン”“心配性ケルベロス”…など、会場ごと異なるモンスターが公演のタイトルになっています。この“アメモン”たちのトレーディングカードなどグッズをあれこれ配ったり売ったりする予定です。ぜひみなさんに、全部の“アメモン”を集めるために全通を試みていただけたらと思っています。チケットは…まだあります!また、今回のツアーをより良いものにしたいとツアースタッフのみなさんと決起集会という名の飲み会を行いました。前回のライブハウスツアーを踏まえて、Zepp Tourはどんなライブにするべきかをざっくばらんに話し合い、岡崎体育にはやっぱりZeppが似合うという話で盛り上がりました。岡崎体育のライブは映像を入れたり、照明をバチバチに利かせたりなどギミックたっぷりのほうがより盛り上がる。アジテーターとしての岡崎体育が映えるというお褒めの言葉をいただきました。実際に広いフロアでみんなで盛り上がれるような高揚感をお届けできる新曲もできています。その他いま構想中の内容も絶対に面白いし、Zeppという会場との相性もいいはず。ぜひ多くのみなさんに足を運んでいただきたいです。繰り返しになりますが、チケットは…まだあります!その一方で、決起集会では「最近、円くなりすぎなのでは?」との指摘も受けました。「守りに入りすぎなのではないか」「もっと尖った人であってほしい」と。確かに、それは加齢もありますし、好感度の高いCMにも出演させていただいています。円くなっても仕方ないのでは?というか、スタッフと話し合った通りにここまでやってきたのに、それでいい波に乗っているだろうに、なぜ「円くなるな」と言われてしまうのでしょう…。いや、でも、ずっと僕のことを見てきてくれた方々がそう言うのであれば、いまの僕はちょっとエッジ感が足りないのかも。ツアーでは、お客さんを置いてけぼりにするくらいの尖った仕掛けも準備したいと思います。いまの岡崎体育の尖り具合をぜひZeppに確かめに来てください!おかざきたいいく自身初となるEP『Suplex』(SME レコーズ)配信中。「岡崎体育Zepp Tour 2024」は、4/14横浜、4/21札幌、4/27名古屋、4/29福岡、5/12大阪(ベイサイド)、6/2東京(ダイバーシティ)で開催。※『anan』2024年4月17日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年04月13日シンガー・ソングライターの岡崎体育が、春ツアー『岡崎体育 Zepp Tour 2024』をめぐり、「キッズエリア」開設について混乱を生み、自身のX(旧ツイッター)で謝罪。9日、岡崎のマネージャーが自身のXであらためて説明を行った。ツアーは、4月14日~6月2日にかけて、横浜・札幌・名古屋・福岡・大阪・東京のライブハウス「Zepp」をめぐるもの。1Fはスタンディング、2Fは指定席とされている。岡崎は8日にXで「今回キッズエリアを設けることになりました!お子様連れでも安心してライブにお越しいただけます!この機会にぜひ!!! 集まれ!生まれてまもない人たち!」と告知。さらに「キッズエリアというのは最後方の1区画だけですので、最後列付近でゆっくりご覧になりたいお客様も尋常にお楽しみいただけますのでご安心いただけますと幸いです!」と呼びかけた。一方でライブ自体は、未就学児は入場を認めておらず、混乱を招いた。ファンからの指摘を受け、岡崎は「キッズエリアという言い方などに問題がありました小学生エリアでした」「申し訳ございませんでした」と訂正した。これを受け、9日に「岡崎体育マネージャー松下」のXでは、「この度はキッズエリアに関しまして、こちらの言葉足らずで皆様に混乱を招いてしまい大変申し訳ございません。下記の画像をご一読いただけますと幸いです」とし、経緯や「お知らせ(訂正)」を掲載した画像が投稿された。経緯について「券売活動の為、色んな方の意見を日々拝見する中で本人より、キッズエリアを作ったらお子様連れの方も喜んでくれるのではないかと提案がありました。急遽各イベンター様、制作様や会場様に確認をいたしまして、やれる範囲でやってみようとなりました。もちろん後出しの情報になってしまう事に懸念はございましたが、できるだけ沢山の方に楽しんでいただけるならという思いで告知をさせていただきました」と説明。そして「チケット販売開始時ではなく、後出しの施策となってしまった事を深くお詫び申し上げます。また、スタッフ側で手配した文章が言葉足らずのわかりにくいものだった事も重ねてお詫び申し上げます」と謝罪した。その上で「岡崎体育のライブでは非常に大きな音が出ます。特に前方スピーカー前の方はお気をつけいただくよう会場でもアナウンスさせていただいております。その為、キッズエリアは後方に設置、そしてイヤーマフの装着していただくことを推奨しております。ご理解とご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます」と伝えた。なお、岡崎は子ども番組『いろりろ』(読売テレビ)で“たいいく兄ちゃん”を務めている。■お知らせ(訂正)・各会場キッズエリアを1階後方スペースに設置いたします。・キッズエリアへのご入場は小学生のお子さまを対象とさせていただきます。※未就学児童入場不可。キッズエリアのご利用のお子様分のチケットも必要となります。※保護者の方はエリア付近でご覧いただく事になりますので、予めご了承ください。・スペースに限りがございますので全てのお子様をご案内できない場合もございますが予めご了承ください。・各会場で運用が異なる場合もございますので当日スタッフの案内に従ってください。
2024年04月09日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「お蔵入り」です。2週連続で告知をさせてください。3月27日にEP『Suplex』を配信リリースしました。熱心な岡崎体育ファンはご存じかと思いますが、僕はアルバムに1曲か2曲“捨て曲”を入れます。よくCD屋さんのポップなどで「捨て曲ナシ!」などと書かれていることがありますが、僕は自ら「捨て曲はアリ」としています。サクッとできた、いい意味で気の抜けた曲が“捨て曲”。今回だと「宇宙と長野」がそれです。メロディラインも5分ほどでできたくらい、妙に肌なじみのいい曲です。キーも自分に合っているのでとても歌いやすい。あまりにスルッと生まれて、サクッと収録も決められたのでまさに“捨て曲”です。一方で、レコーディングもしたのに収録をせず、考えに考えた末にお蔵入りさせてしまった楽曲もありました。実は、こういうふうに曲を“お蔵入り”させることは岡崎体育としてはほぼ初めてのことです。岡崎体育はソロアーティストではありますが、レコーディングに辿り着くまでにはたくさんの方に協力していただき、みなさんにいろいろな仕事をご担当いただいて一曲を仕上げます。そのほぼ終わりまで近づいた曲をお蔵入りにするのは、ちょっと悩ましいものがありました。レコーディングをしているスタジオだって、予約をしてわざわざレンタルしているのに……とか、もったいないことをしたくない性格ゆえ、そういう余計なことまで考えてしまいました。それでも、「今リリースするタイミングではないかも」とスタッフと話し合って何曲かを蔵に入れました。いや、蔵といえるほど大層なところにしまい込んでいる感覚もありません。ちょっとだけ外に干しておいてみよう、一回あえて寝かせてみよう、くらいの感覚です。しばらく置いておくといい味が出るかもしれません。なので、もう少ししたら違った形でみなさんにお届けできると思っています。スタッフにも、「レコーディングしたけどお蔵入りにすることなんて、普通によくあることだよ」と励まされました。僕が大好きなロックバンド、リンキン・パークもそういえばそうだったと思い出しました。2003年発売の名アルバム『メテオラ』でお蔵入りしていた未発表曲を、昨年アルバム発売20周年を記念してリリースされた特別盤に、突如収録してファンを驚かせた。そういうサプライズにもなるかもしれないので大事に置いておきたいと思います。おかざきたいいく自身初となるEP『Suplex』(SMEレコーズ)を引っ提げてのZeppワンマンツアーが、4/14横浜からスタート。4/21札幌、4/27名古屋、4/29福岡、5/12大阪(ベイサイド)、6/2東京(ダイバーシティ)の全国6か所で開催。※『anan』2024年4月10日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年04月06日タレント・野々村真(59)と野々村俊恵(60)夫妻の長女・香音(22)が1日、自身のインスタグラムを更新。香音は「この度、私、香音は、2024年3月31日をもちまして13年お世話になったスターダストプロモーションを退社し、ホリプロに所属させて頂くことになりました」と伝え「ここまで自分の道を共に歩んでくださったスターダストの社員の皆様、たくさんのことを学ばせて頂いた数々の先輩方には心から感謝しております」とつづった。続けて「これからも女優として、芝居を追求し、モデルとして、自分の創り出す世界観を伝えられるよう、より一層精進してまいります」と決意を新たにし「これからも応援よろしくお願いします!」と呼びかけている。
2024年04月01日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「初EPをリリース」です。今号が発売になる本日、3月27日にEP『Suplex』を配信リリースします。岡崎体育史上初となるEPのリリースです。なのですが、そもそも“EP”とはなんなのでしょう。Googleで調べてみると「Extended Playingの略。収録時間がLP(フルアルバム)よりは短いが、シングルよりは長い」ものを指してEPと言うそうです。今回の僕のEPも5曲入り。昨年よりアルバムのリリースを予告していますが、先にいいものが5曲まとまったので早く聴いていただけるならそれに越したことはない、とリリースすることにしました。僕的なマインドとしてはラーメン&半チャーハンセットの半チャーハンのようなものです。ファンのみなさんを空腹でお待たせするのは忍びなく、先に半チャーハン、食べておいてねと思っています。収録されているのは、とても思い入れのある5曲です。すでにライブで披露している「サブマリン」や「宇宙と長野」、B.LEAGUE 2022‐23 SEASONの公式テーマソング「Insane」のセルフカバーも収録しています。まっさらの新曲も2曲入っています。「失恋ソング」はまさにタイトル通りで、岡崎体育としては珍しいラブソング。最近、僕の周囲でみんな失恋しているなと思ったので、それならと明るくポジティブな失恋ソングを書き下ろしてみました。この曲は本日、ミュージックビデオも公開になるので、それもぜひ見てほしいです。もう一曲の新曲はこの連載でも話をしていた、人間を脅かすAIをテーマにした「Rebirth」というダンスチューン。バラエティ豊かな5曲になったのではないかと思います。個人的にもとても満足しています!タイトルの“Suplex”はプロレスの技の一つ。相手の背後に回って担ぎ上げ、そのまま体を反らして後ろに投げ飛ばす技です。この技はかけている本人もどこにどう飛んでいくのかわからない。今後の行き先がどうなるかわからない、そんな僕の気持ちが込められています。……というのも実は今思いついたくらい、これからの岡崎体育は未知数です!このEPを引っ提げてのZeppワンマンツアーも4月から始まりますし、もう少ししたらフルアルバムもリリースする予定です。アルバムは現在鋭意制作中で、さまざまな方向性の曲をどうまとめるか吟味中の段階。どんな未来が待っているか、一緒に目撃してください。おかざきたいいくZeppツアーは、4/14横浜のほか、4/21札幌、4/27名古屋、4/29福岡、5/12大阪(ベイサイド)、6/2東京(ダイバーシティ)の全国6か所で開催。※『anan』2024年4月3日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年03月30日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ひとりっ子」です。僕は兄弟姉妹のいない、ひとりっ子です。ひとりっ子であることが自分の人格形成に大きく作用しているということをこの歳になってより強く感じています。ひとりっ子は基本的に天の邪鬼だと思います。まず、上下関係を意識させる兄弟姉妹という属性を持たずに育ったことで、逆に属性を求める傾向があります。家の中で子どもはずっと自分ひとり。それゆえに、寂しさからつい誰かを求めてしまうところがあるんです。その一方で、周囲は大人ばかりだから甘やかされているし、自由になんでもできる環境で育っているので自分勝手なところも。誰かといたい寂しがり屋だけど、実はひとり好き。そんな天の邪鬼さがひとりっ子の最大の特徴です。僕はまさにそんなひとりっ子カルマを背負ってミュージシャンになったのだと実感しています。だってそもそもはバンドを組みたかった。仲間と一緒にグループで音楽活動をしたかったのに他のメンバーに寄り添うことがうまくできず、チームをまとめられなかった。誰かとやりたい気持ちとワンマンプレーの性格がまったく噛み合わず、バンド存続は叶わなかった。それは、ひとりっ子ゆえのわがままさからだと感じています。一方で、ソロアーティストとして夢を叶えることができたのも、ひとりっ子ゆえの自己顕示欲の強さからだと思っています。大人の中で育つと自分ひとりがみんなの注目を独占でき、ちやほやされると思われがちですが、僕は逆の側面もあると思います。大人しかいないので同じ世界を共有できる同世代が家にいない。大人は仕事や家事で常に忙しそう。誰も自分のことを見てくれない、わかってくれないというジレンマが生じ、それが強い自己顕示欲となって僕の「音楽を通じて誰かに伝えたい」というモチベーションになったのでは?そのことに数々のインタビューを受ける中で気づかされました。アーティストへのインタビューって子どもの頃からを振り返らせるものがとても多い。自分の根本について考えすぎて、それはすべてひとりっ子ゆえの衝動からくるものだと気づいてしまったんです。ひとつの悟りでした。自分の強い衝動が、過去のトラウマが…とかじゃなく単に「ひとりっ子だったからかい!」とわかって以降、肩の力がちょっと抜けました。それなら音楽だけじゃなく、何に挑戦してもいいよな、と活動の幅を広げるきっかけにもなったのでした。おかざきたいいく4月14日のKT Zepp Yokohamaを皮切りに、6月2日のZepp DiverCity(TOKYO)まで、全国6か所でのZeppワンマンツアーを開催。※『anan』2024年3月20日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年03月17日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「スキルアップ」です。人生、何歳になってもスキルアップしたいものです。僕が今もっとも欲しいのは、何かを作ることができるスキル。料理は味の良し悪しやスピードなど精度を求めなければ一人でひと通りできるようになったので、次に作れるようになりたいのは、日用のいろいろなモノ。いわゆる工具を使ってDIYできる技術を手に入れたいです。将来、子どもが生まれてお父さんになったときに、おもちゃをサッと直せるとか、椅子とか机を作ってあげられるだとか、そういうことができるようになりたいです。それができれば自分の人生がより良くなるような予感がひしひしとします。とはいえ、実は過去にDIYにチャレンジしたことはあるんです。ミュージシャンなので、僕はキーボードを使います。その本体を置く台を自作してみようと思い立ちました。しかもその台にはキャスターをつけて、机の下に収納できるようにしようと思いました。サイズを測り、ホームセンターに行って「このサイズに板を切ってください」とお願いして、電動でネジが留められるドライバーもわざわざ購入しました。道具と材料が揃い、いざDIYスタートです。しかし、ネジを打ち込むたびに板が割れます。割れると幅が想定より広がり、測っていたサイズも意味がなくなり、ガタガタしたひどい仕上がりとなりました。このときの虚無感は半端なかったです。何もできない人間なんだ自分は…と、かなり落ち込みました。それでも行動を起こせただけいい、安定感はいまいちでも完成させることはできたんだと自分を奮い立たせ、次のスキルアップに向けて前向きに考えるようにしています。そんな僕が今、作りたいと思っているのは「踏み台」です。換気扇のフィルターを掃除したいのですが高くて手が届かない。僕はまあまあ体重がある方なので、椅子に乗ってその作業をするのがちょっと怖い。だったら、僕が乗っても大丈夫なしっかりとした2段くらいの踏み台があるといいなと考えています。しかし、相手は2段とはいえ階段です。天板に脚をくっつけるだけのキーボード置きでさえ苦戦した僕が、段差のあるものをDIYすることができるのでしょうか。今から、かなり不安です。いつか上手に作ることができたら、ぜひこの場で自慢させてください。ちなみに、自作したキーボード置きは結局、やっぱりいらんと処分してしまいました。おかざきたいいく4月14日のKT Zepp Yokohamaを皮切りに、6月2日のZepp DiverCity(TOKYO)まで、全国6か所でのZeppワンマンツアーを開催。※『anan』2024年3月13日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年03月10日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「YouTubeの旅チャンネル」です。前号で仕事でタイへ行った話をしましたが、それ以降、海外旅行への関心が高まっています。そんな時によくYouTubeで見るのが「無職旅 musyokutabi」さんのチャンネル。会社員を辞め、無職ゆえの節約ひとり旅動画を投稿して注目を集めている方です。毎回、ひとりで旅に出て、ひとりで帰ってきます。すでに世界130か国を巡られているそうです。なにが良いかというと、無職旅さんの穏やかなパーソナリティ。いわゆるYouTuberっぽくない、落ち着いた語り口で旅することの楽しさを伝えてくれるんです。無職旅さんが声を張って「イエーイ!!!」とか言っているのを見たことがない。そこがいいです。現在チャンネル登録者数は14万人ほど。この穏やか、かつ、ゆったりしたテンションでこれだけの登録者数を獲得しているのは、大きな声を出して派手なことやっているYouTuberの100万フォローに値します。かっこいいです。無職旅さんの旅スタイルは、anan読者のみなさんにも刺さるところがあると思います。まず、ひとりで行動することの楽しさを教えてくれます。あと、節約旅行の楽しみ方も。お気に入りの回は、最近公開されたタイと香港旅のもの。ちょうど自分もタイを訪れたばかりなので、とても共感して見ることができました。ヨーロッパをグルッと回られている時のものも面白い。特にチェコ共和国へ行かれた動画が好きです。日本人が初めてヨーロッパ旅行をしようと思い立った時に、なかなか初手でチェコへ行こうとは思わないはず。まず、イタリア、フランス、ドイツなどメジャーどころへ行ってみようとなると思う。でも、チェコってこんなに面白いんだ、いいところなんだというのを教えていただいて、ヨーロッパ未履修の僕はとても興味を持ちました。いつか僕も無職旅さんのようなチェコの各地を巡る旅をしたいなと思いました。無職旅さんの動画は、ひとり旅なので常にひとり語り。カメラに向かって話をしながら旅をします。穏やかな語り口で、すごく実直な感想を話すのもいいんです。最近、いろんな場面で自分が感じたことや思ったことを言語化することが大事だと思うことがあります。無職旅さんは、その言葉にする力が、飾らず、誇張せず、すごくちょうどいい。こうやって言葉にすると相手に気持ちがよく伝わるんだという学びにもなると思います。おかざきたいいく4月14日のKT Zepp Yokohamaを皮切りに、6月2日のZepp DiverCity(TOKYO)まで、全国6か所でのZeppワンマンツアーを開催。※『anan』2024年3月6日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年03月02日岸谷香デビュー40周年の記念イヤーの始まりを告げる『岸谷香 感謝祭2024』が2024年2月23日、東京のEX THEATER ROPPONGIで開催された。この『感謝祭』は2020年から毎年2月に開催されている岸谷主催のイベントで、毎回豪華なゲストを招き、その夜にしかないスペシャルなコラボレーションを行うところに特色がある。5回目の開催となる今回は、岸谷の同級生でもあるトータス松本(ウルフルズ)と永井真理子という豪華なゲストを迎えての開催となった。『感謝祭』の趣旨は大きくふたつある。ひとつ目は観に来た人へ感謝の気持ちを音楽にして届けること、ふたつ目は参加するゲストに楽しんでもらうこと。つまり観る側も演奏する側も大いに楽しむことが最大の目標なのだ。この日、目標をはるかに越えて、楽しすぎる夜となった。『ポップンルージュ』(1989年から放送されていたラジオ番組)のジングル(番組の始まりで流れる短い音源)が流れて、ポニーテール姿で岸谷が登場すると、大きな拍手が起こった。2024年から一気に1989年にタイムトラベルしたかのような粋な演出だ。「まさか57になって、『ポップンルージュ』をできるとは思わなかったな。ラジオの前のみなさん、最後まで楽しんでいってね。本日のゲストは月曜日担当の永井真理子ちゃんです!」と岸谷の紹介で永井が登場すると、歓声が起こった。実は1989年当時の『ポップンルージュ』の月曜担当が永井、水曜担当が岸谷で、同じ帯番組のパーソナリティー同士という接点があったのだ。ラジオ番組という設定のもと、永井が1989年のヒット曲「ミラクルガール」を歌い始めると、さらに1989年ムードが色濃くなった。永井の伸びやかな歌声に、岸谷がキーボードを弾きながらハモっている。演奏はUnlock the girlsのメンバーで、下手側からYuko(Gt/Cho)、Yuumi(Ds/Cho)、HALNA(Ba/Cho)、そしてセンターには岸谷(Vo/Gt/Key/Cho)。懐かしさがありつつも、今の瞬間のキラキラとした輝きもある。観客がシンガロングする場面もあった。歌もコーラスも演奏も、そしてこんな空間が存在していること自体もミラクルと言いたくなる。ステージ上にはラジオのブース風のスペースがあり、テーブルを挟んでふたり向き合ってのトークコーナーもあった。「懐かしいなあ。超うれしいんだけど」と永井。「まさかこんな年になって、同じステージで歌える日がくるなんてね。真理ちゃん、あのころと全然変わってないよ」と岸谷が言うと、「香ちゃんこそ。ポニーテール、かわいい!」と永井。客席からも「かわいい!」の声。ふたりの息の合った会話が楽しい。当時のラジオリスナーにとっては、たまらない演出だろう。いや、当時を知らない人にも、この楽しい空気は届いたに違いない。永井のエネルギッシュな歌声とロックテイストあふれる演奏が会場内を揺らした「ハートをWASH!」では、永井のかけ声に合わせて、会場内が一斉にジャンプする場面もあった。「23歳のころをがむしゃらに生きた自分たちを振り返って、愛おしさも込めて、アレンジしました。真理ちゃんへのプレゼントです」との岸谷の言葉に続いて、永井の「23才」が披露された。23歳の頃の自分たちへのエールを送るような、温かさといとしさが詰まった歌と演奏だ。当時の思いと現在の思いとがミックスされた深みのある世界を堪能した。23歳以上の人の中には、もれなく今も23歳だったころの自分は存在しているだろう。演奏メンバーの3人は30代。多面的な「23才」の歌の世界が出現した。「ZUTTO」は永井の歌と岸谷のピアノとコーラスだけでの披露。ひとつひとつの歌詞を丁寧に紡ぐような、永井の丹念な歌声と、岸谷のたおやかなピアノが印象的だ。「ZUTTO」と「ミラクルガール」の作詞は亜伊林。2023年11月に逝去した作詞家の三浦徳子の別名義である。さまざまな思いが交錯するような歌声が深い余韻をもたらした。「感無量です。涙が出ちゃいそう」と永井。永井のゲストコーナーの最後は、「真理ちゃんにぴったりなナンバーを選んでみました」とのことで、プリンセス プリンセスの「だからハニー」が披露された。永井が歌い、Unlock the girlsのコーラスが加わると、会場内がドリーミーな空気に包まれた。1コーラス目のリードボーカルは永井、2コーラス目は岸谷で、かけあいコーラスもあり。永井と岸谷が並んでいる構図のなんと絵になることか。このふたりを観ているだけで、こちらの体の中にもエネルギーがあふれてきそうだ。夢のような共演だが、夢ではなく現実。「呼んでくれて、ありがとう」と永井。「こんなふうに出会えた奇跡に感謝だね」と岸谷。『ポップンルージュ』の「明日に乗り遅れないでね」という定番のフレーズをふたり一緒に発して、永井のゲストコーナーを締めくくった。続いてはUnlock the girlsのコーナーだ。岸谷はポニーテールから一転して、ミディアムヘアで登場。まずは、2023年のツアーでも披露している新境地を開拓した新曲「Beautiful」を演奏した。エレクトロ・テイストのあるダンスミュージックを、高揚感と浮遊感の漂うバンドサウンドとビビッドなコーラスワークで鮮やかに表現。Yuumiの自在なドラムに体が揺れる。岸谷がハンドマイクを持ち、ステップを踏みながら歌う姿が新鮮だ。セスナのエンジン音を連想させるHALNAの骨太なベースで始まったのは、プリンセス プリンセスの「世界でいちばん熱い夏」。この日は肌寒い天気だったが、冬から夏へ一気にワープするようなホットな演奏だ。「感謝祭、今年で5回目です。毎年毎年、なんでこんなに次から次へと楽しいことが出てくるんだろう、音楽って楽しいことがいっぱいあるんだなと、毎回思い知らされています」と岸谷。「また恋ができる」では、開放感と広がりのある歌声と演奏の中でたゆたっているのが気持ち良かった。この曲はラブソングであると同時に、音楽への愛の歌とも解釈できそうだ。岸谷とYukoのチャーミングなかけあいが楽しかったのは「Wrong Vacation」。メンバーそれぞれのソロプレイもあり、バンドの楽しさも伝わってきた。スケールの大きさと深遠さとを兼ね備えた歌と演奏が圧巻だったのは「Signs」だ。岸谷とYukoのエモーショナルなギター、YuumiとHALNAの伸びやかなコーラスも印象的だった。個々の声の特性を活かした自在な組み合わせのコーラスワークもUnlock the girlsの魅力のひとつだろう。Yuumiの力強いドラムとともに2人目のゲストであるトータス松本が登場すると、キャーという歓声。「エブリバディ・セイ・イエイ!」とトータスが叫び、客席とのコール&レスポンスが起こった。そのまま挨拶替わりに「ガッツだぜ!!」へ突入。トータスのパワフルな歌声に女性コーラスが加わる構図が新鮮だ。「紅一点」ならぬ「黒一点」。エネルギッシュなボーカルに応えるように、バンドの演奏もガッツにあふれている。<男も女も盛り上がってgo!>というフレーズが、この日のこの場面にぴったりだ。赤紫色のスーツ姿のトータスは、野に咲く花々を照らす朝陽のようでもあった。「呼んでくさってありがとうございます」とトータス。「同い年だけど、プリプリとウルフルズ、一緒になったことないんですよね」と岸谷。「ないですよ。だって(プリプリは)大先輩ですから」とトータス。ふたりがイベントで一緒になり、岸谷が『感謝祭』への出演を依頼し、トータスが快諾した経緯がある。Yuko、Yuumi、HALNAにとっては、多感な時期に出会ったのがウルフルズの音楽だった。演奏したい曲を挙げていったら、10曲(メドレーは8曲)になってしまい、どの曲も外せないとのことで、岸谷がアレンジして完成させたのが、このスペシャルメドレーだ。「ウルフルズメドレー、本邦初公開、前代未聞!」というトータスの紹介に続いて、メドレー1曲目の「笑えれば」が始まった。トータスのアコースティックギターの弾き語りに、Unlock the girlsのコーラスが加わる意外性のある構成だ。トータスの明朗な歌声と流麗なコーラスの組み合わせがいい。後半はバンドサウンド全開。観客全員をもれなく笑顔にする「笑えれば」だ。メドレーの曲名を挙げていくと、「笑えれば」~「かわいいひと」~「それが答えだ!」~「いい女」~「大阪ストラット」~「バカサバイバー」~「サムライソウル」~「ええねん」という8曲、16分あまり。次から次へと繰り出される名曲の数々に身を任せているのは、至福のひとときだった。いい歌、いい演奏、いい男、いい女たち。音楽的なアイディアも豊富で、工夫を凝らしたアレンジも見事だった。ぬくもりのある歌と演奏が染みてきた「かわいいひと」、爽快感あふれる「それが答えだ」、岸谷の歌声で始まり、トータスのハープが入る「いい女」、岸谷のクラビネット風キーボードと合いの手のようなキュートなコーラスが入り、途中で“六本木ストラット”へワープする「大阪ストラット」、フリ付きでの演奏となった「バカサバイバー」などなど。原曲の持ち味を生かしながらも、Unlock the girls風味も加えつつ。ゴスペル色のある岸谷のピアノとトータスの凜としたな歌声で始まったのは「サムライソウル」。ここではトータス、岸谷、Yukoのトリプルギターも実現。会場も一体となって歌ったのは「ええねん」だ。かつてトータスへの取材時に、「“ええねん”のもとになったのは“エーメン(アーメン)”という言葉の響き」と語っていたことがある。祈りと許容と肯定の思いの詰まったヒューマンな歌声は、時空を越えて今の時代にも真っ直ぐに届いてきた。ウルフルズの楽曲の素晴らしさを再認識するとともに、ウルフルズの音楽への愛とリスペクトにあふれるUnlock the girlsの演奏とコーラスにも胸が熱くなった。笑顔と涙を同時にもたらすステージだ。「こんな壮大なメドレーを作ってくれて、ありがとう」とトータス。トータスのコーナーの最後は「バンザイ~好きでよかった」。トータスと岸谷の歌声のハモリでの始まり。曲に込められた愛に、さらにこれでもかと愛を詰め込んでいくような歌と演奏だ。ウルフルズの音楽の根底には、愛とガッツが流れている。“人が人を思うことのかけがえのなさ”を描いた歌がたくさんある。そうしたウルフルズの音楽の根幹にある要素を、Unlock the girlsが見事に消化して表現していた。ルーツの音楽のジャンルは違うが、それぞれの音楽の核にある感情や衝動は、重なるところが大いにあるのだろう。本編最後のコーナーは再びUnlock the girls。ワイルドなシャウトで始まったのはファイティングスピリッツあふれる「WAR」だ。岸谷とYukoのユニゾンのギターもあり。YuumiとHALNAの生み出すグルーヴもダイナミックでエネルギッシュだ。戦火がモチーフになっていると思われる「And The Life Goes On」では、聴き手の意識を覚醒させるよう印象的なリフを織り交ぜながら、硬質なバンドサウンドを展開。終わりなき青春賛歌と表現したくなったのは「STAY BLUE」だ。最新のロックなUnlock the girlsの姿が見えてくる演奏の連続。岸谷の切れ味の鋭いテレキャスター、Yukoのニュアンス豊かなレスポールスペシャルというタイプの異なるツインギターを軸としたバンドサウンドも、Unlock the girlsの魅力のひとつだ。本編ラストはTRICERATOPSの和田唱との共作曲「ミラーボール」。ミラーボール型LEDの放つ七色の光が輝き、観客のハンドクラップも加わり、会場内にハッピーな空気が充満していく。演奏が終わった瞬間、客席から盛大な拍手とともに「最高!」との声がかかった。アンコールで、岸谷がシニヨンの髪型で登場して、Unlock the girlsのメンバーを紹介。さらにトータス、永井というゲスト陣も再登場して、プリンセス プリンセスの「Diamonds<ダイアモンド>」を全員でにぎやかに披露した。トータス、永井、岸谷が順番にリードボーカルを取ったのだが、トータスのパートでは、<悪いことしてへんで><ダイアモンドやね><オレを動かしている そんな気持ち>など、関西弁・男子バージョンになっていた。永井バージョンはキュート&カラフル。会場内が「フーッ」と一緒に歌っている。岸谷と永井がハモると、ワクワク感が倍増していく。同級生トリオとUnlock the girlsの放つ音楽という光が、会場内をキラキラ照らしていた。「世の中、いろいろなことがある中、コンサートができて、一緒に歌える世の中が戻ってきたことに感謝しながら、そして、私たちの音楽が何かの力になって届けばいいなと思いながら、ステージに立っていました」との岸谷の言葉もあった。アンコールの最後を締めたのは、Unlock the girlsによるプリンセス プリンセスの「HIGHWAY STAR」。この曲の<時を越えて旅は続いてく>というフレーズは、次のツアーの予告にも当てはまりそうだ。バンドは日々進化し続けている。それぞれの個性がさらに際立ち、より深いところで化学変化が起こっていると感じた。6月からUnlock the girlsでバンドツアーを行うことも発表された。40周年記念ツアーということで、プリンセス プリンセスのアルバムを1枚丸ごと演奏する企画もあるとのこと。観客が口々にアルバム名を叫んでリクエストする場面もあった。この企画は懐かしさとともに新鮮さをもたらすことになるだろう。どのアルバムが演奏されるかはツアー当日のお楽しみだ。『感謝祭』は、岸谷が聴き手への感謝を表す趣旨のイベントだが、「こちらこそ、おおきに」と感謝したくなるような、貴重な瞬間の連続だった。関西弁になったのは、もちろんトータスの影響である。ミラクルとガッツとキラキラが満載のスペシャルな感謝祭。令和の時代に昭和の空気をもたらし、冬に夏を到来させ、大阪から六本木へワープする。音楽とは時間も季節も空間も越えて届くものであることを実感した夜でもあった。時を越えて音楽の旅は続いていく。Text:長谷川誠Photo:MASAHITO KAWAI<公演情報>『岸谷香 感謝祭2024』2月23日 EX THEATER ROPPONGIセットリスト■w/永井真理子01.ミラクル・ガール02.ハートをWASH!03.23才04.ZUTTO05.だからハニー■Unlock the girls06.Beautiful07.世界でいちばん熱い夏08.また恋ができる09.Wrong Vacation10.Signs■w/トータス松本11.ガッツだぜ!!12.メドレー「笑えれば」~「かわいいひと」~「それが答えだ!」~「いい女」~「大阪ストラット」~「バカサバイバー」~「サムライソウル」~「ええねん」13.バンザイ ~好きでよかった~■Unlock the girls14.WAR15.And The Life Goes On16.STAY BLUE17.ミラーボール■ENCOREw/永井真理子、トータス松本18.Diamonds<ダイアモンド>■Unlock the girls19.HIGHWAY STAR<ツアー情報>岸谷香40th Anniversary LIVE TOUR 20246月14日(金) 神奈川・CLUB CITTA’6月16日(日) 宮城・仙台Rensa6月29日(土) 福岡・福岡トヨタホールスカラエスパシオ6月30日(日) 広島・CLUB QUATTRO7月13日(土) 北海道・札幌ペニーレーン247月20日(土) 大阪・心斎橋BIGCAT7月21日(日) 愛知・名古屋DIAMOND HALL7月27日(土) 東京・Zepp DiverCity(TOKYO)■ぴあアプリ先行受付:3月3日(日)23:59まで■岸谷香公式サイト:
2024年03月01日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「タイ」です。とある撮影のため1月半ばにタイのバンコクへ行ってきました。思っていたよりもさらに暖かく湿度もあって、寒い日本とのコントラストがすごくて不思議な感覚になりました。東南アジアの国はガヤガヤしていてバイクがいっぱい走っているというのが、僕がなんとなく持っていたイメージでしたが、初めて訪れたタイはまさにその通りの国でした。今回は、2泊3日のコンパクトな滞在。到着したその日に撮影をし、翌日は一日フリーで僕も観光をすることができました。現地のコーディネーターさんが同行してくださったので、迷うことなくあちこちに行くことができました。まず、エカマイ駅近くにある『ホーム・ドゥワン』でカオソーイをいただきました。カオソーイとは、タイ北部の名物であるカレーラーメンのこと。これがカルチャーショック的においしかったです。日本ではなかなか食べる機会がなかったですが、ココナッツ風味のカレーとラーメンがこんなに合うなんて!その後、歴史ある王宮寺院「ワット・ポー」へ行き、巨大な涅槃像などを拝観し、ショッピングセンターにも連れていってもらいお買い物も堪能。充実した一日になりました。コーディネーターの方に教えていただきタイ語も覚えました。発音に自信があるのは“カノムチーンナムギョウ”です。これは料理名で“ナムギョウ”とは豚とトマトのスープのこと。麺を入れて食べるのが一般的なようですが、僕はスープだけでいただきました。せっかく覚えたので日本のタイ料理店で“カノムチーンナムギョウ”を注文し、自分の発音が通用するのか試したいです。おいしい食べ物のほかで驚いたのは、タイの撮影スタッフのみなさんのこと。とんでもないくらいみなさん仕事が早くてテキパキされていた。撮影もスケジュール通りのオンタイムで終了しました。僕は常日頃、タイムスケジュールは巻くことも押すこともなく、ちょうどぴったりで進行するのがなにより素晴らしいことだと考えているので、タイのスタッフのみなさんの気の利く働きぶりに感動しました。次、なにか自前の撮影があるときは、このスタッフのみなさんを呼びたい、または僕がまたタイを訪れてここで撮影したいと思ったほど。そんな思いもあったからか、日本に帰ってきてすぐタイのパッケージツアーを検索してしまいました。タイ・バンコクは帰ってきた瞬間にまた行きたいと思える場所でした。おかざきたいいく4月14日のKT Zepp Yokohamaを皮切りに、6月2日のZepp DiverCity(TOKYO)まで、全国6か所でのZeppワンマンツアーを開催。※『anan』2024年2月28日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年02月24日岸谷香が、「元気に楽しく音楽をやれていることに感謝し、お客様に喜んでいただけるように毎回ゲストを迎えて特別なセッションをする」恒例のコラボイベント『岸谷香感謝祭2024』を2月23日に東京・六本木のEX THEATERにて開催した。今回のゲストは、永井真理子とトータス松本(ウルフルズ)。永井真理子とは、曜日違いでお互いパーソナリティーをしていたTBSラジオ『ポップン・ルージュ』をオマージュし、ラジオ番組調にライブを展開。簡易スタジオブースも作り、当時の番組表などを紹介したり、トークでは架空のハガキも読む、徹底ぶり。「曲紹介し、そのまますぐにステージで演奏」というトーク&ライブ形式で展開。当時リスナーでもあった観客も多く、フロアを大いに盛り上げた。「昨年出会ったイベント現場で今回の参加を口説いた」と嬉しそうに岸谷が説明したトータス松本とのステージ。ゲスト決定後、自身のバンドUnlock the girlsメンバーとのミーティングで「あの曲はやりたい!」と意見が飛び交い収拾がつかず、結果、8曲を入れ込んだ大メドレーをリハーサルで固めデモ音源とし、ダメもとで共演スタイルを打診。トータスは「スタッフから話だけ聞いていたときは(8曲のメドレーは)『長いな』とは思いましたが、届いたリハ音源には岸谷さんとバンドの熱意がしっかり詰まっていて、それを聞いたら断る理由も全くなく、喜んでお受けしました」とMC。満員の会場からは惜しみない、割れんばかりの拍手を一手に受けとめた。アンコールでは、ステージ上の岸谷から、2024年の周年ツアー『岸谷香40th Anniversary LIVE TOUR 2024』の開催が発表に。しかも内容は「プリンセス プリンセスのアルバム、どれか1枚をフルカバーする」という周年ならではのもの。デビュー40周年。いつも前向きに音楽活動を続ける岸谷香に今年も大きな注目が集まりそうだ。40周年ツアーのチケットは、3月3日(日)までぴあアプリ先行を受け付けている。<ツアー情報>岸谷香40th Anniversary LIVE TOUR 20246月14日(金)神奈川・CLUB CITTA’open18:15 start19:006月16日(日)宮城・仙台Rensaopen16:15 start17:006月29日(土)福岡・福岡トヨタホールスカラエスパシオopen16:15 start17:006月30日(日)広島・CLUB QUATTROopen16:30 start17:007月13日(土)北海道・札幌ペニーレーン24open16:30 start17:007月20日(土)大阪・心斎橋BIGCATopen16:15 start17:007月21日(日)愛知・名古屋DIAMOND HALLopen16:15 start17:007月27日(土)東京・Zepp DiverCity(TOKYO)open16:15 start17:00■ぴあアプリ先行受付:3月3日(日)23:59まで
2024年02月24日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ロングセラー」です。長い間ずっと好きなものといえば、僕には長年憧れている車があります。それはトヨタのランドクルーザー“70”。トヨタのジープをルーツに持つランドクルーザーは、国産SUVの人気車種のひとつ。なかでもランクル70はヘビーデューティ系ランドクルーザーとして1984年に初登場以降、多くのファンを獲得してきました。何がいいかといえば昭和の時代から変わらない、角ばった車体です。今、主流になっている走りを重視したツルッとした流線形のデザインとは一線を画す、ゴツゴツとしたレトロ感のあるフォルムがとても味があって好きなんです。そんなランクル70は過去にも再販されていたのですが、昨年の秋に9年ぶりに外観だけでなくインテリアのデザインもほとんど変わらずに再再販がされることになりました。もちろん僕もこれは手に入れたい!とエントリーをしようとしたのですが…、日本中(どころか世界中)に熱心なランクル支持層が多数いてオーダーが殺到。工場で生産できる台数は限られているので、新参者の僕は抽選に参加するところまでも辿り着けませんでした…。いい作戦ではないのですが、どうしても手に入れたかったのでディーラーさんに相談の電話をする際、「岡崎体育といいますが…」とアーティスト名をあえて名乗らせていただき著名人効果を期待しましたが、ランクル人気の前ではまったく意味なく「無理ですねー」とあっさり返されてしまいました。僕が憧れの車のオーナーになるには、もう少し待たないといけないようです。こういう状況は音楽のジャンルでも同じことがあるのではないかと思いました。リバイバルブームや古い楽曲がリマスターされて新たに発売されるなど、若い世代が昭和の時代の音楽に触れて「これ、好きかも」と開眼する。でも、掘り下げていこうとすると、もうそのジャンルは長年愛好している“古参ファン”がすでにいてハードルがすごく高くて仲間に入りにくくなっていたり、新参者がレコードなどの“レア盤”を入手するのは困難だったりする…。若者が昔からあるものに魅力を感じることで、楽曲や作品の寿命は延びていくのだと思います。だから、できるだけたくさんの人に愛されるものは、新しいリスナーやファンに門戸を広げていてほしいなあと個人的には思います。まあでも、なかなか手に入りにくいからこそ魅力的に感じる、というのもあると思いますが。おかざきたいいく4月14日のKT Zepp Yokohamaを皮切りに、6月2日のZepp DiverCity(TOKYO)まで、全国6か所でのZeppワンマンツアーを開催!※『anan』2024年2月21日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年02月18日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「再生数」です。かつてミュージシャンが、自分の楽曲がどれくらい聴いてもらえているかを知るのに数値化できる指針は、CDの売上枚数くらいしかありませんでした。ラジオリクエストのオンエア回数が加味されることもありましたが、それでもCDの売上枚数が多いことが音楽チャートの上位に入るための唯一の条件でした。指針はそれ一択だったんです。それが今では、CDのセールスだけでなく、ストリーミング再生数やYouTubeなどの動画再生数も重視されるように変わってきています。今はミュージシャンとしてメジャーシーンで生き残るためには、自分のCDを買ってもらう以上に、どうすれば再生数が伸びるかを考える必要があるといえます。なかでもメディアなどで最もフックにされるのがストリーミング再生数。みなさんも音楽番組で「ストリーミングで何億回再生!」なんてキャッチで紹介されているアーティストを見かけたことがあると思います。多くの人がApple MusicやSpotifyをはじめとする音楽配信サービスに加入していると思います。それだけでさまざまなアーティストの曲に触れることができます。これって改めて考えると、本当に革命的なことだと思います。だって昔は、CDを買わないとそのミュージシャンの音楽は聴けなかった。新品じゃなくても中古にしろレンタルにしろ、対象となるミュージシャンを目的に購入しないと音楽には触れられなかったわけです。そりゃ、どれを選ぶか必死で考えます。でも今は、チャートやリコメンドをザッピングしながら、アーティストのことをよく知らなくてもピンポイントにおすすめされた一曲に辿り着くことができる。アーティストの背景やジャンルの流れなど知らなくてもいい。これは、どちらがいいという話ではなく(どちらにもいいところがあると思います)、昔と今の音楽の聴き方の違いでしかない。再生数を伸ばすためにはこの、ポンと辿り着くわかりやすいルートを開拓しないといけません。その道筋を作るのが、TikTokだったり、ユニークなMV動画だったりします。つまりここでもまた再生数との戦いです。再生数が再生数を呼び、さらに再生数を伸ばしていく…。でも正直に言えば、再生数が伸びてなくても“いい曲”ってたくさんある。これを読んでいるみなさんにはそういう自分だけのいい音楽を自分の耳で見つけてほしいです。おかざきたいいく4月14日のKT Zepp Yokohamaを皮切りに、6月2日のZepp DiverCity(TOKYO)まで、全国6か所でのZeppワンマンツアーの開催が決定!※『anan』2024年2月14日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年02月13日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「綾小路 翔さん」です。僕が最初に氣志團に触れたのは、NHK Eテレで放送されている『天才てれびくん』。清水ミチコさんとてれび戦士の子どもたちに歌を教えるコーナーで氣志團の「One Night Carnival」が取り上げられたんです。当時、僕は小学校6年生。初めて聴いた「One Night Carnival」が、子どもながらに曲良すぎるなと感動したのでした。イントロのギターリフ、「俺んとここないか?」のセリフの位置、サビのところでメロディが不意にマイナーになるところとか…めちゃくちゃ気が利いていて、これは話題を呼ぶ曲でしかないと確信して惹きつけられました。その後、僕も音楽活動をするようになるのですが、いわゆる有名人で僕のライブに初めて来てくれたのが氣志團の綾小路 翔さん、“翔やん”なんです。2016年、デビューしたばかりのころの3マンライブ。誰かを通じてとかではなく普通にチケットを買って来てくださったんです。感動です。しかも、なんで来てくれたのかというと、そのちょっと前にツイッター(現X)で岡崎体育の「BASIN TECHNO」パーカが欲しいとコメントした翔やんに、生意気にも「氣志團万博のトリやらせてくれたらプレゼントしてもいいスよ」と返したんです。そうしたら、本当にその年の氣志團万博のクロージングアクトに僕を抜擢してくれた。気の利いたシャレを実現するために、事前にどんなライブするやつなのか、翔やんはその目で確かめに来たんだと思います。自分のイベントに呼ぶ以上は、たとえシャレであったとしてもきちんと自分で確認する。その行動にまずリスペクトを感じますし、デビューしたてのわけわからんイキった世間知らずの新人が仕掛けたかみつきに、こんな真剣に向き合って、しかもきれいにオチまでつけて処理してくれるって、マジですごい人だなと思いました。デビュー当時からお世話になっていますが、さらに4年前から僕はソニー・ミュージックアーティスツに所属させていただいているので氣志團さんは直属の先輩になり、今ではより明確な関係性を築くことができています。翔やんとはCMでも共演させていただき、初めてLINE交換させていただきました。房総のヤンキー史の話を現場でたくさん伺って、でももっと聞きたくて、続きを教えてくださいと連絡先を交換しました。翔やんの語りがうますぎなんです。ananでも確実に連載できると思います。おかざきたいいく4月14日のKT Zepp Yokohamaを皮切りに、6月2日のZepp DiverCity(TOKYO)まで、全国6か所でのZeppワンマンツアーの開催が決定!※『anan』2024年2月7日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年02月03日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「1曲の尺」です。曲を作る時に理想の尺=曲の長さというのがあります。今の時代、1曲だいたい3分前後くらいが好まれます。あまり長くないもののほうが飽きられずヒットする傾向にあります。TikTokでバズる曲などは3分を切ることも多いです。僕がいちばん作りやすくてちょうどいいなと感じるのが「3分10秒」くらい。テンポにもよりますが、BPMがだいたい120~130くらいで、基本の構成はイントロがあって、1番のAメロ、Bメロ、サビ(Cメロ)、2番のAメロ、Bメロ、サビ(Cメロ)、それにDメロを足しても、ひとつのセクションが15~25秒くらいで作ると3分からちょっと出るくらいで、ちょうどよく収まると思います。たまにサビが4回くらい繰り返す曲とかありますが、個人的にはやりすぎじゃないのかと思うこともあるので、サビを繰り返すのは2~3回でいいのではないかと思います。とはいえ、これはあくまで現在のJ‐POPにおける楽曲制作の定石的なこと。クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」のように1番、2番のない、構成もオリジナルなものも多数ありますし、僕も曲構成のルールをできるだけ度外視して考えたいと思っています。逆に3分前後よりぎゅっと短い、1分、2分くらいの曲が、アルバムに1曲ぽんっと入っていることも。バラード曲とかでサビもなく1番でさらっと終わってしまうようなもの。そういうフックになるような曲も好きです。サビや2番をつけず定石の流れから外れることで、聴く人の脳に違う印象を与えます。これは、伝えたい歌詞やメロディをとても明確にする効果があると思います。強いメッセージやいいメロディがあれば、極端に短くする戦法をとるのもありということ。繰り返さなくても伝わると思えばできることなので、なかなか高度なテクニックですが、多くのミュージシャンが実践しているものです。でも、もし読者の方で初めて曲を作りたいと思っている方がいるとしたら、まずは先ほど言った定石の構成を3分10秒程度の尺感で作ってみることをおすすめします。それが1回できると、自分の型みたいなものができると思うので。できた自分の型は、次の曲にも応用することができます。例えるなら4コマ漫画の枠みたいなものです。枠が決まれば、描くことも自ずと決まるはず。素人がいきなり長編漫画は描けませんから、コツコツ4コマから試してみてほしいです。おかざきたいいく4月14日のKT Zepp Yokohamaを皮切りに、6月2日のZepp DiverCity(TOKYO)まで、全国6か所でのZeppワンマンツアーの開催が決定!※『anan』2024年1月31日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年01月27日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「JAPAN TOUR II総括」です。昨年の話になりますが、10月からスタートした「okazakitaiiku JAPAN TOUR II」が12月の東京公演を最後に、無事終了しました。全部で17都道府県19公演、富山などこれまでライブをしたことがない地方にも足を運ぶことができました。今回のツアーでは、行ったことがない場所で開催するという目的に加えてもうひとつ、前回の「JAPAN TOUR」でチケットがソールドアウトしなかったところを訪れて、今度こそチケットを完売させるぞ!という意気込みをもって挑みました。全19公演中、ソールドアウトは16公演。そのほかソールドアウトみたいなものが2公演、ソールドアウトと言っても過言ではない公演が1公演……。というわけで、完全にソールドアウトすることができました。みなし完売の公演の中でも、仙台と盛岡は本当に会場がお客さんでパンパンだったんです。その状況を見て、僕が「これはもうソールドアウトや!」と公演中に宣言し、それ以上チケットを売ることはしませんでしたし、公式にソールドアウト扱いにさせていただきました。キャパに対してチケットの販売券数を決めるのは僕ではありません。ライブハウスごとに定員数の決まりがある。しかし、僕はパンクバンドでもないし、そんなにギュウギュウで揉みくちゃになるような人数を入れる必要はない。一人ひとりのスペースを確保しながら、老若男女が楽しく観られるライブをお届けしたい。それに見合ったソールドアウトでいいんです。観に来てくれる方に優しくできるのが岡崎体育のライブハウスツアー。それを今後も念頭に置きたいと実感したツアーでした。また、この連載でもたびたび話をしていますが、今回のツアーではライブ終演後に公演に来てくれたみなさんをお見送りさせていただきました。1人当たりにすれば目が合うのは1~2秒かもしれませんが、それでも一人ひとりの顔がわかる距離で挨拶ができるのはとても良かったです。最初、お見送りをやろうと決めた時に、ライブ後の疲労感満載の岡崎体育をお見せして果たして大丈夫だろうか…?とも思ったのですが、きれいごとでなく「初めて来たよ」とか「また来るね」と声をかけてもらえることは、ライブ後の疲労感をとても軽減させてくれました。このライブハウスツアーはこれで終わりではなく、今後も3、4とシリーズを重ねていけたらいいなと思っています。目指せ、いつかは全国制覇です!おかざきたいいく4月14日のKT Zepp Yokohamaを皮切りに、6月2日のZepp DiverCity(TOKYO)まで、全国6か所でのZeppワンマンツアーの開催が決定!※『anan』2024年1月24日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年01月21日新ドラマ『アイのない恋人たち』に出演する、福士蒼汰さんと岡崎紗絵さんにインタビュー!その時代が直面する社会問題をテーマに、ドラマ『ハケン占い師アタル』や『となりのチカラ』などのヒット作を生み出してきた脚本家・遊川和彦さん。新ドラマ『アイのない恋人たち』では、“自分が望むような自分”になれずに行き詰まった、アラサー男女7人を描く。人を愛することで、人生や自分自身を変えていくというラブストーリーだ。福士蒼汰さん(以下、福士):数々の名作を生み出してきた遊川さんがこんなに可愛いラブストーリーを書かれているのが印象的でした。7人のいろんな恋愛事情をどうやって書き分けているのだろう、もしかしたらこういう友達がいるのかな…と遊川さんへの関心が湧いてしまって。お話し好きな方なので、今度お会いしたら聞いてみようと思います。岡崎紗絵さん(以下、岡崎):そうなんですか?私はまだお会いしていなくて。(※取材時、11月末時点)福士:話が止まらない方です。「俺、喋っちゃうからさ~。でも今日は喋らないようにするよ」と話した5分後には話し始めていました(笑)。岡崎:私が台本を読んでまず思ったのは、繊細なニュアンスがすごくうまく描かれているということでした。読みながら、もうその情景が映像でイメージできるぐらい面白くて、一気に読み終えました。それぞれのキャラクターもすごく濃いので、この7人が実際に集まったらどうなるんだろう、という興味が止まらなくなったんです。――今作で、福士蒼汰さんは売れない脚本家・久米真和を、岡崎紗絵さんはブックカフェを経営する今村絵里加を演じている。福士:夢に向かうことで自分を正当化しようとしている真和は、自分はみんなとは違う、と自らを棚にあげて人を遠ざけているような人。“一番未熟な長男”のようなイメージです。そんな言い方しなくても…という発言をしてしまう人なので、なるべく嫌われるように演じたいと思っています(笑)。岡崎:絵里加も、他人や家族との距離感を詰められない女性です。結婚には縁がないと思っていて、一人で生きていくと決めているようにも見えますが、でも心の底では誰かと繋がっていたいと思っていて。そんな絵里加に共感するところは、衝動的ではなく、何か考えを持って行動するところかな。福士:いろんな考えを持って生きている7人には、僕たちだけではなく見ている方にとっても、どこかリアルに映る部分があるのかも。岡崎:そう思います。生き方や悩みの違う7人が交わることで生まれる変化や成長は、視聴者の方にも共感していただける気がします。――自分のペースや生活を大事にしているキャラクターを演じる二人。それぞれ、プライベートでゆずれないものはあるのだろうか。岡崎:朝はヘルシーなものを食べること。例えばコーヒーにオーツミルクを入れて飲んだり、なるべく野菜やフルーツを食べるようにしていて。あと最近、発酵玄米を始めました。福士:大変じゃないんですか?岡崎:発酵させるために3~4日放置できるので、全然大変じゃなくて。むしろ楽で、ラッキーなんです(笑)。福士:そうなんだ。僕は、毎日じゃないけどジムに行くことかな。筋肉を鍛えていると、体も心もすごく気持ちよくなるんです。だから行けない日が続くと、頭がグーッて締め付けられるような感覚になってしまって。ちなみに腰、お尻、腿裏を鍛えるトレーニングが好きで、昨日もやってきました。今の体の仕上がりは…理想の10%ぐらいかな(笑)。ドラマ『アイのない恋人たち』脚本家・遊川和彦によるオリジナル作品で、2024年の東京を舞台に恋愛偏差値が低いワケありアラサーたちが織りなす不器用な恋愛模様を描く。1月21日より毎週日曜22:00~、朝日放送テレビ・テレビ朝日系にて放送。ふくし・そうた1993年5月30日生まれ、東京都出身。近年の主な出演作に、ドラマ『弁護士ソドム』『大奥』など。『THE HEAD Season2』では、念願の世界進出を果たした。W主演映画『湖の女たち』が2024年5月公開予定。セットアップ(JUNOJUNO/JUNO 恵比寿店 TEL:03・5778・3031)パールネックレス¥2,024,000※掲載時点の価格(TASAKI TEL:0120・111・446)おかざき・さえ1995年11月2日生まれ、愛知県出身。2012年、雑誌『Seventeen』(集英社)のモデルオーディションを経て、モデルデビュー。俳優としても活躍中で、主演ドラマ『花嫁未満エスケープ』ほか多数出演。ドレス(ソフィーエトヴォイラトウキョウ TEL:03・5928・4122)ピアス¥586,300リング、右手¥348,700左手¥286,000ブレスレット¥869,000※すべて掲載時点の価格(以上TASAKI)※『anan』2024年1月17日号より。写真・内山めぐみスタイリスト・髙橋美咲ヘア&メイク・佐鳥麻子(福士さん)サイオチアキ(Lila/岡崎さん)インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2024年01月17日岸谷香が、1月14日、六本木のBillboard Live TOKYOでビッグバンドを従えた特別なライブツアーのファイナルを敢行。満員の観客を大いに沸かせた。本公演は横浜、大阪、東京と3カ所(全6公演)を回るBillbordツアー。ピアノ兼バンドマスターに岸谷の盟友Sugarbeansを迎え、ドラム、ベース、トランペット×2、トロンボーン、アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックスの豪華編成に。セットリストも大好きなElla Fitzgeraldのジャズナンバーを盛り込み、PRINCESS PRINCESS、奥居香、岸谷香、それぞれの時代からも選曲。岸谷香のヒストリーを垣間見れる凝縮されたステージ内容となった。MCでは「こんな風に豪華な演奏陣に囲まれて大好きな歌を歌えて、そしてそれを聴きに来て下さる皆さんがいて。本当にしあわせです」と感無量な笑顔を見せた岸谷。終演後も、満員の観衆からの惜しみない大きな拍手を全身で受け嬉しそうに応えていた。来月開催される、毎回ゲストを迎える恒例自主企画『岸谷香感謝祭 2024』(ゲスト:トータス松本、永井真理子)もソールドアウト。今年、デビュー40周年を迎え、ますます勢いに乗る岸谷香。今年も大きな注目を集めそうだ。<公演情報>『岸谷香 KAORI PARADISE 2024 新春スペシャル @Billbord LIVE TOKYO』1月14日(日) 東京・Billboard Live TOKYO【セットリスト】01. Mack The Knife (Ella Fitzgerald)02. Lullaby of Birdland (Ella Fitzgerald)03. Honeysuckle Rose (Ella Fitzgerald)04. ROLLIN’ ON THE CORNER (PRINCESS PRINCESS)05. 奇跡の時(奥居香)06. Ice Age ~氷河期の子供たち~(岸谷香)07. ジュリアン(PRINCESS PRINCESS)08. ある朝魔女になってたら(奥居香)09. VANISHING(奥居香)10. Diamonds〈ダイアモンド〉(PRINCESS PRINCESS)11. 台風の歌(PRINCESS PRINCESS)※()はオリジナルアーティスト<イベント情報>『岸谷香 感謝祭 2024』2月23日(金・祝) 東京・EX THEATER ROPPONGI開場 16:45 / 開演 17:30出演:岸谷香 / Unlock the girlsゲスト:トータス松本(ウルフルズ)永井真理子岸谷香 OFFICIAL SITE:
2024年01月15日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「僕のファン」です。今回は僕、岡崎体育のファン層について考えてみたいと思います。僕のファンは基本的にとてもいい方たちばかりです。僕が提供したものを120%楽しんでくれる存在です。おすすめのお店を紹介したら、わざわざ予約を取って行ってみてくれるし、僕が阪神タイガースを応援していたら、ファンのみなさんも応援してくれる。ライブでのマナーもとても良く、自慢できるファンのみなさんだなと、日頃から感じています。実は、コア層は年齢高めでライブに足繁く通ってくださるのも40代~50代の方が多いです。僕の活動的に自分と同年代の男性に響くのではと自己分析していたのですが、意外と年齢層が高いのはファミリーで応援してくださる方が多いからなのではと思います。あと、上の世代に響く最大の理由は、うちの母にあるようにも感じています。実家時代は曲ができたらまず母に聴いてもらって、有り無しのジャッジをしてもらっていました。レコード会社より先にお母さんです。それゆえに、母と似た感性、感度の方々に響く何かがあるのかもしれません。東京に来てからは母のジャッジは受けていないので、これからの岡崎体育のファン層はどう変化していくのか…、楽しみでもあります。もちろん、これまでファンでいてくれた方々には変わらず楽しんでもらえるようにがんばりたい。これからは、子どもたちによりアプローチをしたいです。自分が子どもだった頃を思い返すと、『ポンキッキーズ』に出ていたBoseさんがラッパーだとは、番組を見ている時は知らなかった。高校生になって初めてスチャダラパーの楽曲に触れて、めっちゃかっこいいやん!と気づいた。僕も子どもたちにそんなふうに思ってもらえたらええなあと思っています。今『おはスタ』を見ている子どもたちは、僕のことをおもろいお兄ちゃんくらいにしか認識してないかもですが、聴く音楽を自分で選ぶようになった時に、あの時のあのお兄ちゃんの曲も聴いてみるかと、手に取ってもらえたらうれしいです。12月に終わった「okazakitaiiku JAPAN TOUR II」では、親子連れの方も多かったのですが、ライブ後のお見送りの時に、目を合わせないように通り過ぎる子が多かったんですよね。恥ずかしいのか、現実にいる人とまだ信じてもらえてないのか…。実在すると認めてもらえるようアピールし続けたいです!おかざきたいいく4月14日のKT Zepp Yokohamaを皮切りに、6月2日のZepp DiverCity(TOKYO)まで、全国6か所でのZeppワンマンツアーの開催が決定!※『anan』2024年1月17日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年01月14日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「2023!」です。早いものでもうすぐ2023年が終わります。僕の2023年はNHK大河ドラマ『どうする家康』の撮影で始まりました。4月からは新しく関西ローカルの子ども向け番組『こどもちょうせんバラエティ いろりろ』のおにいさん役も務めさせていただき、そのほかのラジオやTVのレギュラー番組も順調に継続し、話題性のあるTVCMにもお声がけいただきました。主軸である音楽活動は、3枚目となるコンセプトアルバム『OT WORKS III』をリリース。TVアニメの主題歌をはじめシングル曲も3曲発表しました。そして10月からは2022年に続き2回目となる、全国のライブハウスを巡る「okazakitaiiku JAPAN TOUR II」もスタート。こちらのツアーは先日、無事大団円を迎えています。この連載でも何度か、制作を続けていることをお伝えしているオリジナルのフルアルバムのリリースこそ年内に間に合いませんでしたが、こちらも新曲がもうほぼ出揃い、レコーディングも進んでいます。年明けにはいいお知らせができるのではと思っています。こうやって振り返ると本当に内容の濃い一年だったなと感じています。『まつもtoなかい』をはじめTVで歌唱させていただく機会もあり、岡崎体育を知らない方々にもたくさんアピールできたのではないかと感じています。プライベートでの2023年を振り返ると、外にごはんに行く回数が増えた一年だったかなと思います。東京生活ももう4年目を迎えて、木村昴さんやフワちゃん、土佐兄弟の有輝くんだとか、友達も徐々にですが増えていると思います。オンラインゲームを通して仲良くなった方々と一緒にごはんに行くことも増えました。ミュージシャン仲間だけでなく、いろんな方面に幅が広がって、交友関係を築けたことが2023年の大きな収穫の一つではないでしょうか。なので、振り返ってみて心配になるのは健康面だけかもしれません。精神的には、仕事面でもプライベートでも大変満たされており、自己肯定感が高いのですが、どうしても体がついてきません。睡眠時間が不規則だったり、運動不足だったり。疲れが溜まってしまい体がしんどくなってしまう。この悪循環をどうにかしたい!2024年もより良い活動ができるように、まずは己の体調を整えます。2024年の岡崎体育も楽しみにしていただけるよう、まずは人間ドックを受けて、今の自分を冷静に見つめ直したいと思います。おかざきたいいく2024年4月14日のKT Zepp Yokohamaを皮切りに、6月2日のZepp DiverCity(TOKYO)まで、全国6か所でのZeppワンマンツアーの開催が決定!※『anan』2024年1月3日‐10日合併号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年01月04日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ファッションモデル」です。ananなのでたまには僕もファッションの話をしようかと思います。岡崎体育デビュー7年半のキャリアの中で、先日初めてファッションモデルとしてオファーを受けました。レーベルメイトであり、楽曲提供もさせていただいているアイドルグループ、私立恵比寿中学のメンバーのひとり星名美怜ちゃんが、自身がプロデュースするブランド『mILLELIz』(ミレリズ)を立ち上げたんです。ユニセックスなアイテムを中心に扱うブランドとのことで、男性も着られるものがある。そこでその男性モデルとして、ローンチとなる第1弾アイテムの着用モデルに僕を抜擢してくれたんです。美怜ちゃんと一緒に撮影をさせていただいたのですが、持ち前の撮影スキルを活かして、めちゃくちゃいい仕上がりになったのではと自負しています。撮影のときってよくカメラマンさんが「すごくいいです!」とか「かっこいい!」と声をかけてくださいますが、僕はその褒め言葉が飛べば飛ぶほど自信が湧くタイプ。今回の撮影でも、自分のフォトジェニックさを思い切り披露できたのではないかと思っています。ファッションモデルの役割は洋服を魅力的に見せることかもしれません。でも僕は今回、僕自身が『mILLELIz』の服を着て、めっちゃテンションが上がっていく姿をお伝えしたかった。それは、かなりうまく実現できたのではないかと思います。『mILLELIz』のアイテムはデザイン性はもちろん着心地も抜群。おしゃれなセットアップなどもあって、サイズも幅広いのでカップルでコーデするのもよさそうです。僕のようなファッション初心者も楽しめるアイテムが揃っているのでぜひ、みなさんチェックしてほしいです。美怜ちゃんは、ファッションブランドを持つことが長年の夢だったそうです。それを叶え、これまでやったことのないジャンルに挑戦しているのは素晴らしいことだと思います。応援したいです。…実は岡崎体育もアパレルラインを持っているんです。『studio hitoricco』というブランドです。僕が作りました。デビュー前に作ったのですが、たしかTシャツを10枚くらいデザインしてライブ会場などで販売したと記憶しています。かなり幻のブランドではあるのですが、今後、岡崎体育のブランド展開として新たに動かしてみるのもいいかもしれません。岡崎体育、ファッション業界にも進出したいと思います!おかざきたいいくコンセプト・アルバム『OT WORKS III』とアナログ盤12インチシングル『サブマリン』が発売中。全国17都道府県19公演のライブハウスを巡る「okazakitaiiku JAPAN TOUR II」(12/23まで)が開催中!※『anan』2023年12月27日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年12月25日岸谷香のデビュー40周年のタイミングで開催される主催イベント『岸谷香感謝祭2024』のゲストは、トータス松本と永井真理子というバラエティーに富んだ組み合わせとなった。3人とも同学年という共通点がある。今回も、このイベントでしか観られないスペシャルな共演が実現するだろう。ここでは、岸谷と永井との対談をお届けする。このふたりは同学年である以外にも、いくつかの共通点がある。80年代末から90年代前半にかけての大きなムーブメントを乗り越えてきたこと、子育てのために約10年にわたる休止期間を経て、音楽活動を再開していること、『ポップン・ルージュ』というラジオ番組で、それぞれ曜日違いのパーソナリティーを務めていたことなどだ。当時の懐かしい話、音楽の再開の仕方、さらには『感謝祭』のアイデアまで、さまざまな話題に話が及んだ。――おふたりは同学年なんですね。永井そう、同学年なんですよ。生まれた年は私のほうが1年早いんですけどね。岸谷えっ、そうなの?ごめんなさい(笑)。私、ずっと自分が年上だと思ってた。80年代の時のイメージがあったから。永井私、あの頃って、子供みたいだったもんね。岸谷そう(笑)。ショートカットで、いつもタートルでジーンズで。そのイメージが強かったからね。そうか、同学年なんだ。永井そうなの。一緒なんですよ。――2024年の「感謝際」のもうひとりのゲストであるトータス松本さんも同学年なんですよね。永井そうか。岸谷この学年って、「ROOT 66」にちなんで、「66年の会」というのがあって、みんなで集まって、ライブをやっているんだけど、私は67年生まれだから、入ってないのね。永井私、66年生まれだけど、呼ばれたことがないよ。――ほぼ男性ミュージシャンの集まりのようです。岸谷66年生まれのミュージシャン、たくさんいるのよ。永井でも丙午(ひのえうま)だから、女性の人口は少ないんだよね。“この年に生まれた女が強い”と言われている世代だから、産むのを控える傾向があったから。でも実は女性アーティストは、多いんですよ。渡辺美里さん、中村あゆみさん、みんな一緒だよ。岸谷そうか、でもみんな、強そうだよね(笑)。――おふたりは同学年という以外にも、いろいろな共通点があります。80年代末から90年代にかけての大きなムーブメントを経験し、ともに武道館など大きなステージに数多く立っています。また、子育てもあり、10年ほどブランクがあったうえで、音楽活動を再開していることも共通します。岸谷ラジオも共通点ですね。『ポップン・ルージュ』という同じ番組をやっていて、真理ちゃんが月曜日、私が水曜日だったんですよ。永井そうそう。――まず、永井さんを『感謝祭』に誘った経緯を教えていただけますか?岸谷ふたりの共通の友人であるチエちゃん(長井千恵子さん)というギタリストがいて、昔から真理ちゃんと一緒にやっていたんだよね。永井やってた。20年くらい前からかな。岸谷それで、チエちゃんに会うと、いつも「真理ちゃんがね」という話はよくしていました。だから私もつい、「真理ちゃん」ってなれなれしく言っちゃうんだけど。チエちゃんを通してのつきあいで、真理ちゃんとは個人的に遊んだりはしてなかったけれど、同じラジオ番組だったから、横のつながりはあったんですよ。たまに特番があって、月曜から金曜までのパーソナリティーが全員集まったりしていたのね。永井そうそう。岸谷当時のラジオ番組は活気があったから、どこかで飲んでいて、「今日って、月曜日だから真理ちゃんの日じゃない?」って言って、酔っ払ったまま菓子折りを持って、真理ちゃんの番組に顔を出したり(笑)。そんなことができる番組だったんですよ。それで89年から90年まで一緒にすごしてきて、久しぶりに再会したのも、チエちゃんを通じてだったよね。永井そう。岸谷「真理ちゃんがオーストラリアに移住して、日本に戻ってきて、音楽を再開するにあたって、聞きたいことがあるみたいよ」「香ちゃんがボイトレどうやっているのか、知りたいみたいよ」って、チエちゃんが話していたのね。それで、3人で会ったんだよね。永井それがもう6年前のことだよね。私が復帰したころのことです。岸谷その時は、「イベントやフェスで会ったら楽しいよね。じゃあまたどこかで」って、バイバイしました。『感謝祭』が恒例になってきて、ふたりゲストがいるなら、ひとりは女性がいいなあと思っていたのね。それも一緒にいろいろやってくれる人が良くて、「ここをこう変えてもいい?」って言ったときに、一緒に楽しんでくれる人がいいなあって。それで温めていた隠し球にお願いしました(笑)。――永井さんは岸谷さんの誘いをどう感じましたか?永井とてもうれしくて。最初、チエちゃんを通じて聞いたんですよ。それでチエちゃんのLINEに、「うれしい!」「めちゃくゃ光栄!」って書きこみました。逆に、「こっちこそお願いします」って返事したのかな。岸谷いいお返事をいただけて、こちらこそ、ありがたかったです。私たちのファンって、長年応援してくだっている方も結構いらっしゃるので、そういう方にはツボなんじゃないかな。永井私も発表したときに、ファンの方が大喜びで。“あのラジオが流れていた頃の青春が蘇ってくる”そんな気持ちになったみたいなのね。岸谷私はその『ポップン・ルージュ』の時の作家の方ともまたご縁もあって、『オールナイト・ニッポン』の作家もやってもらっているのね。だから新しい試みとして、ラジオ的な演出をやるのもおもしろいかなって考えています。会話だけ、当時のラジオ風にしてみるとか。一瞬、観に来た人たちが、ラジオを聞いている感覚になるのもありかなって。永井それはおもしろそう!――当時のラジオを聞いていた人にも感涙のイベントになりそうです。永井きっと喜び、そして泣いちゃうと思います(笑)。岸谷もしかしたら、スタッフが当時のジングル音源とか、持っているかもしれない。「月曜日の永井真理子です」「水曜日の奥居香です」って、そんなことを言いながら、ジングルを使ってもいいし。永井それは最高にいい!(笑)岸谷曲紹介をラジオ風にやるのもおもしろいかも。話をしていると、いろいろアイデアが湧いてきます。やっぱり、当時の本物がふたりいるって素晴らしい!(笑)『感謝祭』って、お招きするアーティストの方にも楽しんでもらうのが大きなテーマなので、気楽に楽しんでください。永井良かった!おおいに楽しませてもらいます。うれしいです。――話が戻ってしまいますが、80年代にそういう形で出会って、お互いについて、どんな印象を持っていたのですか?岸谷しつこいようだけど、真理ちゃんと言えば、ショートカットで黒いタートル、ジーンズのイメージ(笑)。白いTシャツもあったね。黒いタートルか白いTシャツ。永井そうそう、あれは全部自前なの(笑)。――永井さんから見た岸谷さんは?永井もうピカピカしていましたね。そして、プリプリしていました(笑)。忘れられないのは、テレビで共演させていただいたことがあって、大きな楽屋で一緒になったときのこと。香ちゃんは覚えてないと思うけれど、「あっ、プリプリさんがいる!」と思って、楽屋のすみっこのほうで固まっていました。面と向かっては見られないんですが、鏡越しに見えちゃうわけですよ、そのピカピカが(笑)。ドキドキしちゃって、挨拶もうまくできなかった。岸谷えー、なんで?同い年でしょう。永井いやいやいや、先輩です。だって1年、プリプリのほうがデビューも早かったしね。で、鏡越しに見ていると、「なんだか、テレビを観ているみたいだぞ」って、「ダイアモンドだね~♪」ってつい口ずさみそうになって、ダメだ、今は本人がいるぞって(笑)。岸谷真理ちゃんはヨーグルトのCMやってたでしょ。永井やってた(笑)。岸谷そういうのを断片的に覚えているんだよね。――80年代末から90年代前半には、それぞれ大きなムーブメントを体験された共通点もあります。“ガールポップ”という言葉も生まれました。当時のそうした流れをどう感じていましたか?岸谷“ガールポップ”という言葉は強烈に覚えていますね。私たちはバンドだったから、その“ガールポップ”の仲間に入っていたのか、入れてもらってなかったのか、ちょっとイメージはわからないんだけど、真理ちゃんとか、あと、千里ちゃん(森高千里さん)とか、谷村有美ちゃんとか、女性アーティストがたくさん出てきた時代でもあったよね。永井そうだね。わりとソロの人が多かったのかな。岸谷華やかな時代というか、“ガールポップ”のイベントもあったよね。永井イベントもあったし、雑誌もあった。私としては、かなりボーイッシュだったので、「“ガールポップ”に入っていいんですか」みたいな感覚だったんだけどね。岸谷確かに髪は短かったけど、そこまでボーイッシュでもなかったというか、そんなに強そうでもなかったよね。永井うん。ちっちゃかったしね(笑)。岸谷真理ちゃんは、“ガールポップ”の象徴みたいなイメージがあるよね。私たちは、バンドのイメージが強かったんだと思うけど。あと、当時はイカ天から始まって、バンドブームもあったから。永井いろいろなブームが入り混じっていたと思います。――そうしたムーブメントの中で、おふたりともとても忙しいハードな日々を送っていたと思います。どのようにして、自分のペースを作り、乗り越えてきたのでしょうか?永井忙しかったでしょう?岸谷忙しかったと思うけど、若かったし、どっちかというと、“やった~! お客さんが増えたぞ”みたいな気持ちのほうが強かった気がする。会場がどんどん大きくなっていったことについても、まだ子供だし、怖い物知らずなところがあった気がする。不安もそんなになかったんじゃないかな。今とは時代が違うし。今は忙しくなると、メンタルが辛くなって、お休みするアーティストもたくさんいると聞くけれど、私たちの時代って、そっちに行かなかったんですよ。むしろ、「忙しくなってきた。やったぜ!」みたいな。永井それはバンドだからというのはあると思う。岸谷真理ちゃん、しんどかった?永井私はソロだから、まわりから、「もっとこっちがいいんじゃないか」「いや、あっちがいいんじゃないか」っていろいろと言われることがたくさんあるわけ。岸谷そうなんだ。永井そう。バンドは全部自分たちで作品を作るじゃない?で、「これしかないし」って言えるじゃない。でもソロだと、いくらでも味付けの仕方はあるわけで。だから、気がつくと、“えっ、こんな番組、私できないよ”みたいなことがあふれてしまって、気持ちがバーンと落ちてしまう時があったのね。“私は本当に自分を出せているのかな。苦しい苦しい苦しい”って。岸谷そっか。そこはやっぱりソロとバンドの違いなのかもしれないね。バンドだと、5人一緒になって、誰かの悪口を言って、発散することもできたしね。「なんだよ、アレ!」みたいな(笑)。永井私の場合は、そういうことを言ったら、逆に「いや、今は頑張りなさい」「走りながら悩みなさい」みたいな。岸谷ええっ!そうだったんだ。永井当時は葛藤があったけれど、そういう時があったから、今は何がやりたいとかやりたくないとか、しっかり選択できるようになったんだよね。あの時は若かったがゆえの苦しさでもあったし、今はそうした経験も良かったのかなと思っている。岸谷真理ちゃんにとってはハードな時代だったかもしれないけれど、当時は世の中もバブルだったし、なんでもかんでもキラキラしていた気がする。番組に出れば、誰か知っている人がいて、気安くしゃべっていたし。私としてつらい時があったとしたら、バンド内で、音楽の方向性について意見の違いが出た時かな。永井バンドはそこは難しいところだね。岸谷一長一短なんだよね。外部に対しては、みんなで一緒になって、悪口も言えるけれど、バンドの内部で意見が割れたときは、深刻だったし、解散することになったわけだし。そういう意味では、真理ちゃんは今も昔も永井真理子だよね。私の場合は、バンドだったのがひとりになり、休憩があって、またひとりだし、名前も変えちゃったしね。だから“ゼロから再出発”という感覚があった気がする。永井私はハタから見ていて、そういうところがかっこいいなと思っていた。ちゃんと名前も変えて、新しくゼロからスタートしているんだな、素敵だなって。岸谷あまり深く考えずに、子供ができた時に、名前も変えちゃったのね。離婚したらどうするんだろうと、ふと思ったんだけど、どうせプリンセス プリンセスじゃないんだったら、奥居香じゃなくたっていいやぐらいに考えていたというか。それはそれで良かったのかなと思いながら、今に至っています。永井ふたつ違う形で音楽ができるってことだしね。岸谷求められるものはそんなに変わらないというか、昔のものを求められることも多いんだよね。とは言え、やりたいことはぶっちぎってやっていこうと思っている。母親になると、少し視点が変わってくるから、昔のようなラブソングは書けなくなるのね。 書いてるつもりでも愛情の対象がずれてきたりするし、描くものが変化してきているし。でもそれは自分の中の自然の変化だからね。もう前とは名前も違うし、許してね、みたいな。そこは楽だったかもしれない。逆に真理ちゃんはずっと永井真理子だから、大変なところもあったんじゃない?永井いや、そんなにはないかな。――おふたりとも、子育てで10年ほど音楽活動を休止していたという共通点もあります。以前、岸谷さんが「自分の中からドレミファソラシドが消えた気がする」とおっしゃっていました。永井さんはお休みの間、音楽との関係は、どんな感じでしたか?永井私は真っ白になりました(笑)。とくに私はオーストラリアに行っちゃったし、子育てもしたかったし、1回真っ白になって、今までのことを見つめ直そうかなと思ったんですね。でも、海外に行くと、まったく日本の音楽を聴かなくなるから、自分は何者だったのかもわからなくなっちゃうの。岸谷そうだったんだ。永井立ち位置もわからなくなるし、自分なんか全然必要がないものなのかな、本当にステージに立っていた人間なのかなってところまで、いっちゃった。岸谷へぇー。永井気持ちが離れすぎちゃって。だから、そこからまた音楽に戻るエネルギーがなかなか湧いてこなかった。岸谷確かにエネルギーがいるよね。永井すごいいるでしょ。特にお休みした後なんかは、なかなか戻れない。だから、10年以上あいちゃった。――その間は、音楽を聴いたり、楽器にふれたりというのは?永井普通に一般人として、ラジオから聴こえる音楽にふれたりはしてました。洋楽だけですけど。これ、かっこいいなとか、そういう感じ。岸谷なぜオーストラリアだったの?永井本当はアメリカとかイギリスとか、音楽がいっぱいあるところに行きたかったんだけど、子供を抱えていくから、子供のいちばん過ごしやすいところがいいわけで、オーストラリアがいちばん受け入れ体制があったの。子供に優しくて、教育もとても良かったから。岸谷言葉は?永井言葉は全然わからなかったので、辞書を抱えて勉強した。岸谷学校に行ったの?永井子供はオーストラリアの地元に学校に行って、私も英語学校に通ったよ。全然うまくならなかったけどね。向こうで英語で仕事をしていれば、うまくなるけど、家の中では日本語を話しているから、一向にうまくならない(笑)。――休止期間があったことについて、岸谷さんはどう思っていますか?岸谷子育てをして、音楽から丸々離れちゃったことを、私は良かったなと思っています。1回違うことをすることで、リフレッシュするというか。私たちって、さんざん子育てやったわけじゃない?永井やったやった(笑)。お弁当を作って、学校に送ってね。岸谷“もう後悔はない”“うんざりしたよ”“疲れたよ”っていうくらい、子育てしたじゃない?そうやって子育てをやりきって、“はい、もうお終い!”ってとこまでやったから、「そろそろお母さんも好きなことをやっていい?」ってことで、音楽に戻ってこれたところはあるのね。永井それはとてもいいね。だったら、迷いなんてないよね。岸谷だから逆に、子供を産んですぐ仕事をしている子を見ると、“もったいないなあ”と思うことがあります。“初めて子供が立った瞬間を見逃しちゃうじゃん”って。永井私も休んでいる間は、完全におかあさんだけやっている日々でした。学校の送り迎えをしたり、お弁当を作ったり、子供のスポーツの試合に行って応援したり。――それぞれ音楽活動を再開するきっかけを教えてください。岸谷大きなきっかけになったのは、プリンセス プリンセスの再結成ですけど、その前に、夫が年に1回、AAAというエイズチャリティーのコンサートを武道館でやっていて、そこに参加していたことも大きかったと思っています。子育て中とはいえ、チャリティーだし、1日ぐらい出かけてもいいのかなって、年一だけで武道館に歌いにいってたのね。その時にイントロを聴いても、普通に歌い出せない瞬間があったの。ドレミファソラシドを確認したいなって。それまでは“パブロフの犬”じゃないけど、イントロが鳴ったら、黙っていても、歌が勝手に出てくるみたいな感じだったのね。それがシンガーだと思っていたんだけど、ドレミファソラシドを探さなきゃって思ったときに、私は本当に音楽家じゃなくなったんだなって悲しくなっちゃって。それで、リハビリみたいなことをバンドと始めたのが、音楽を再開するきっかけ。永井ああ、そうなんだ。震災がきっかけなのかと思っていた。岸谷震災がきっかけでもあるんだけどね。年1くらいで集まって、リハビリと称してライブをやっていたからこそ、震災が起こったときに、“自分たちのできることをやるために、プリンセス プリンセスを再結成しよう”って、決断できたんだと思う。真っ白なままだったら、あんなふうにはやれてなかったと思う。だって、かつてやったことのなかった東京ドームまでやったんだから、すごい道のりじゃない?永井そうだね。少しずつやることって大切だね。岸谷本当にそうなの。“3歩進んで2歩下がる”を繰り返して、“気づいたら5歩ぐらいは進んでた”っていうところで再結成を決めたのね。で、再結成して活動していったら、やっぱり音楽って楽しいなあって、改めて感じたのね。永井音楽を休んでた時間があるから、余計にやりたくなったんだよね、きっと。だから、休んでいた間もすごくいい時間だったんだと思う。岸谷真理ちゃんは再結成とか、そういうことではないじゃない?ボイストレーナーの先生を紹介した時が、音楽を再会する時期だったと思うけれど、なんでまたやろうと思ったの?永井あの時はちょうどデビュー30周年を迎える年で、年齢も50歳になる年だったのね。かと言って、声も体力も、今まで休んでいたところから、急にやれるようになるわけはないじゃない?岸谷どちらかというと、あちこちガタがくる年頃だしね(笑)。永井そうそう。でもそのタイミングで不思議と、今までお付き合いのあったミュージシャンとかファンの人が、“なにかまた始まるんじゃないか”って、私の背中をワイワイ押してくれたのね。私はそういうつもりじゃなかったんだけど、まわりが私の気持ちを底上げしてくれて、だんだんその気になってきたんだよ。逆にこれが最後のジャンプなのかもしれない、もしかしたらエネルギーが吹き上がるかもしれないと思って、香ちゃんにボイトレの先生を紹介してもらったの。でも、紹介してもらって良かった。岸谷本当に?永井本当に良かった。私、女性が年齢とともに高い音域が出なくなることを知らなくて、自分の声がちゃんと出なくなって、もう終わったと思っていたのね。発声を変えていかなきゃいけないということも知らなかったから、すごく悩んだんだけど、ボイトレの先生から喉の筋肉を鍛えることを教えていただいて、半年かけて、ライブをやったのね。岸谷オーストラリアは引き払ったの?永井そう。岸谷じゃあ行くのも転機だけど、引き払って戻って来るのも転機だね。永井そうなの。日本に帰ってきてから、2、3年あってから、音楽活動を再開したんだけど、自分でもよく始めたなと思う。10年休んでいたから、復帰するのに10年かかると思っていた。休んでいる期間が長ければ長いほど、若い時とは違うから、リハビリも長くかかるかなって。岸谷私も同じボイトレの先生に習っていて、最近も結構かよっているんだけど、我々の年代、女性は更年期もあるし、いろんなことが変わるじゃない。だから昔に戻ろうとしなくなったかな。永井あ、そうそう。それはある。岸谷だから、新しいプチシニア世代の自分になればいい、みたいなことは思った。永井それは私も思っている。岸谷昔のようにはできないわけだし、昔のようにやれたところで、やりたいことはそれじゃないかもしれないなって思う。休んでいた分、変身していいんだよねって。永井そう。私もまた新しく始められる気がした。声もやっぱり、少し下に下がったのね。でも上が減った分、下が広がったので、音域の広さ自体はそんなに変わっていないの。今の声って、嫌いじゃなくて。今の自分の言いたいことには、そっちの声のほうが合ってるっていうか。若い時にはピーピーした声が若い時の気持ちに合うのかなって。だったら、逆もいいのかもって思う。岸谷コンスタントに続けている人も、それなりにつらい時もいっぱいあるだろうしね。私たちはたまたま与えられた“子育て”という最高の理由があったから、気分を変えて、また戻ってこれたところはあるかもしれない。永井そういうところはあるね。岸谷私は子育て中は、外国のアーティストをまったく聴かなかったのね。来日しても観にいく時間がないから、2000年から10年、15年は洋楽の知識もぽっかり空いている。『感謝祭』で一緒にやるバンド、Unlock the girlsの若い子たちに教えてもらって、新たに今いろいろ聴いているところなの。それはそれでとてもいいものだなって。永井そうなんだ、すごい!しかもまた下の世代から教わるのが新鮮だね。岸谷バンドの子たちって、みんな89年生まれだから、私たちの当時の活動なんて、知らないのよ。だから曲の解釈も全然違うし、そこがおもしろいなって感じている。真理ちゃんの「ミラクル・ガール」もあの子たちだったら、全然違う解釈になるし、楽しくできたらいいなって思っています。永井あっ、それは私も楽しい。一緒に何か新鮮なものを作っていきたいな。岸谷結構極端にやるかもよ。永井極端にやってほしい(笑)。きっと観ている方も楽しいと思う。岸谷『感謝祭』はいつも、バンドの子たちとみんなで練りに練って、「これ、イエスと言ってもらえるかなあ」っていいながら、あれこれアレンジするのが楽しいんだよ。永井楽しみ。なんだかうれしいプレゼントみたい(笑)。――永井さんは久々に音楽活動を再開して、日本の音楽シーンについて感じたことはありますか?永井もう完全に浦島太郎状態ですね。全然わかりません。音楽のことも芸能界のこともわからないので、ポカーンです(笑)。岸谷日本のJ-POPだって独特の発展の仕方だしね。浦島太郎、わかる。日本に住んでいたって浦島太郎だよ。永井音楽は変わったと思いました。配信が主になったしね。私たちのころはCDしかなくて、下手したらアナログの時代だから。岸谷『感謝祭』の時にいつも思うのは、私たちの世代を知っていて、しかもこの世代を観ることをうれしく思ってくれる人が観にくるわけじゃない?今って、個人でチョイスする時代だから、こういう音楽が好き、ああいう音楽が好きって、チョイスして、そのグループの中ではよく知っているけれど、他のグループに行くと、誰もしらないという時代でしょ。だから『感謝祭』も、80年代の匂いやラジオを一緒に楽しくやっていた時代の匂いを楽しみたい人が来ると思うのね。そういう人たちに喜んでもらえるように、しっかり考えたい。永井そこにバンドのメンバーの若い子たちも入ってくるから、おもしろいよね。岸谷しかも、そこにトータス松本さんも参加するんだから、楽しいよね。トータスさんは、同学年だけど、デビューした時期が遅いから、私たちの世代のアーティストではないわけじゃない?――ウルフルズの「バンザイ」がヒットした頃って、おふたりとも活動を休止する時期ですもんね。永井そうなの。だから私は共演したことがないです。岸谷トータスさんとイベントで一緒になった時に、「『Diamonds』をバイトで皿洗いしながら、聴いていた」って言うから、「えっ、年は一緒じゃない?」って言ったら、「デビューが遅かったんだよ」って。あ、そうなんだと思ったことを覚えている。永井私は初めてお会いするんですよね。岸谷私もそんなに共演したことはないんだけど、トータスさんって、存在感があるし、私がやっている音楽とはちょっとジャンルも違うし、そういうところも楽しみ。あと、同い年でありながら、先輩風も吹かせられるしね(笑)。永井そっか。それは楽しみすぎる。――トータスさんが今回の『感謝祭』に参加される経緯は?岸谷トータスさんとは、今年3月に両国国技館で開催されたギターの弾き語りのイベント『J-WAVE TOKYO GUITAR JAMBOREE 2023 supported by 奥村組』で一緒になったのね。参加者全員が土俵のあるセンターステージで弾き語りをするイベントで、出番が最初のほうだったの。自分のステージが終わって、メイクも落として帰ろうかなという時に、トータスさんがやってきたので、「久しぶり~」って挨拶したんですね。その時に、「私はこういうイベントをやっているんだけど、良かったら出てよ?」って言ったら、「えっ、なんか目が怖いな」って。「怖くないよ、優しいよ。出てよ」って言ったら、「いいよ」って言ったんですよ。「今、いいよって言ったよね」って。それで本当に出てもらうことになりました。いい男だな、素敵な人だなと思って感激しました。同級生だけど、同級生じゃないみたいな不思議な感じ。――先ほどもラジオの話が出ましたが、『感謝祭』について、現時点で考えていることはありますか?岸谷今考え中ですね。真理ちゃんは女の子バンドとやったことはあるの?永井女の子バンドでは3年前くらいに『女祭』という企画イベントでやったことがある。若い子たちと一緒に。岸谷そっか。とにかく女の子バンドで一緒にやったら楽しいこと、考えます。まずともかくラジオがらみだね。永井懐かしいものとか、歌おうかな。岸谷曲に関してはご相談だけど、みんなが知っている曲は盛り上がるから、それもやって、一緒にやったら楽しい曲とか、考えます。――最後に観にくる人にメッセージをいただけますか?岸谷2020年からだから、『感謝祭』も5年目になるのかな。毎年、「今年は最高だったな。これ以上おもしろいことできるかな?」って思うんですけど、やりたいこと、やれることって、アーティストの数だけあって、ゲストが違うと、毎回カラーも変わるから、その中に入っていくのがすごく楽しいんですよね。今回は本当に同世代で、一緒に時代を駆け抜けた真理ちゃんだから、そこにヒントがある気がします。こうやって会って話しているだけで、どんどんアイデアが出てきているし。今後、ある時からちょっと気持ち悪いファンみたいに、ずっと真理ちゃんのことを考えるモードに入る予定です。寝ても覚めても、夢の中でも、ずっと真理ちゃんのことを考えて、アイデアを練ると思います。永井そうかそうか。私はまず、その仲間に入れていただけて、うれしいな。だから、できることはなんでもやります。岸谷言ったな(笑)。永井言ったよ。でも大丈夫(笑)。岸谷じゃあ、当時の私物のTシャツとジーンズ、持ってきてください(笑)。永井入るかな。っていうか、もう持ってないし(笑)。岸谷でも真理ちゃんはルックスの強烈な印象もあるし、例えば、みんなで真似したらおもしろいよね(笑)。みんなでお揃いのデニムとか、何か考えよう。私も衣装、探さなきゃ(笑)。Text:長谷川誠Photo:吉田圭子<公演情報>『岸谷香感謝祭2024』公演日:2024年2月23日(金・祝) 16:45開場/17:30開演会場:EX THEATER ROPPONGI出演:岸谷香/Unlock the girls/トータス松本(ウルフルズ) /永井真理子料金:全席指定9,000円※ドリンク代別途必要★チケット情報はこちら()関連リンク岸谷香 オフィシャルサイト:永井真理子 オフィシャルサイト:
2023年12月23日岡崎ビジネスサポートセンター(センター長 高嶋 舞、愛知県岡崎市、通称 オカビズ)がサポートをする、地域おこし協力隊として活動をしている松田 紗代(岡崎市)は田舎体験プログラム「ヌカトリップ」を始動します。その第1弾として1月13日に「もちつきツアー。」を実施します。ヌカトリップ「もちつきツアー。」「ヌカトリップ」は、岡崎や名古屋をはじめ都市部の田舎体験をしたいニーズに対し、たくさんの額田魅力を掘り起こしてきた松田が「額田」を第二の故郷にする人を増やすプロジェクトです。年4回の開催を予定。地域おこし協力隊の任期が終わる来年度以降の額田での事業の可能性を探ります。■事業開発の背景3年前、地域のことに興味があり、地域課題を考えるオンラインセミナーに出ました。そのセミナーのフィールドワークで取り上げられたのがたまたま岡崎でした。そこで出会った地域の人たちが地域のことをたくさん語れることにとても衝撃を受け、もっとこの地域の人の話を聞きたいと思いました。さらに地域の人に出会い、林業のことや地域の取り組みをしている人に出会う中で、こんなにも地域のことを考えている人がいるということに衝撃を受け、自分もここでいろんなことがやれたら面白いと感じるようになりました。そんな時に出会ったのが、「地域おこし協力隊」の応募でした。地域おこし協力隊で、2年間活動をしてきました。最初は地域に馴染むことにも苦労をしました。コロナ禍で人に会うこと自体が難しい中でも、地域の行事やクリーン活動など、集まりがあれば参加し、地域の活動を積み重ねる中で、これまで知らなかったこと、地域の人しか参加できないレアな体験、昔はあったと聞いたことがある習慣など、たくさん出会うことができました。そして何よりも本当に地域をたくさん想った人たちに出会ってきました。こんなに面白い、こんなに魅力的な地域はない。そう感じました。地域おこし協力隊の仕事は、SNSの発信がメインです。額田がどんな場所か分かるように、田舎の美しい風景、食べること、行事など、普段の暮らしの中で自分が見てきたことを背伸びせずに発信し、魅力を少しでも感じてほしいと取り組んできました。額田の魅力を発信中2年の活動が過ぎ、いよいよ3年目に突入しています。自分の中ではこんなにたくさんある魅力にもっと出会ってもらい、触れてもらい、感じてもらいたい、という思いが日々強くなっています。どこからだったら、誰にだったらこれをまず体験してもらえるんだろうか。そう考える中で、今回、まずは知ってもらう、面白がってもらうプログラムとして、また何を面白いと感じてもらえるのかを、私自身感じるため、年4回のプログラムをまずは始めてみるに至りました。■プログラム概要<もちつきツアー。>昔はどの家でも餅をついたもの。現在は餅をついたことも見たことのない世代も増えています。しかし、額田にはまだまだその風習が残っています。杵と臼でつき、でき立てを食べる。きな粉を自分で大豆から作る。そんな一つ一つを体験する田舎の暮らし。開催日程 : 2024年1月13日(土)参加人数 : 最大20名(最小遂行人数6名)開催場所 : 愛知県岡崎市中金町※名古屋から40分(新名神「岡崎東 IC」最寄)※最寄バス:名鉄バス「二瀬橋」停留所参加費用 : 5,500円(税込)申込/問い合わせ: Instagram : <ヌカトリップ>季節の里山暮らし体験プログラム。手ぶらで気軽に田舎のおばあちゃん家に帰省するような気分で家族で参加するプログラム。田舎体験を通じて、家族一人一人と向き合い、知ることで家族みんなで喜び合える思い出を増やします。▼費用1人5,500円(税込)、年間パック19,800円(税込)▼プログラム内容春:山の素材収集(山菜採り、インテリア素材の収集)夏:山の夏休み (川遊び、マスつかみ、星空)秋:山の感謝祭 (米収穫、里山の食事づくり)冬:山の新年 (もちつき)都市部の人たちが、額田の自然や人に触れ、体験することを通して、豊かな自然や暮らしの知恵を知り、気持ちもほぐれていく。一過性の観光ではなく、地域の人たちの背伸びをしない日常を通して「居心地のいい地域の形・関係性」を築いていく。度々訪れる場所、帰っていく場所、「思い出を増やしていく場所」として、「つながっていく」ことを目指しています。■プロフィール/松田 紗代稲沢市出身で、岡崎市初の「地域おこし協力隊」として21年10月から活動。額田地区(旧額田町)を拠点に地域の魅力を発掘し、交流サイト(SNS)などを通じて情報発信に力を入れる。■岡崎ビジネスサポートセンターのサポート額田地域の活性化を担う地域おこし協力隊の任期が2024年秋に終わることを受け、任期終了後も額田で事業を起こしたいと相談を受けました。松田さんはこれまで額田で発掘してきた魅力を活かした事業展開を模索されていました。そこで、「コト消費」の事例などをもとに、魅力の棚卸し、そして事業の付加価値の整理をお手伝いしました。また、ターゲットやコンセプトを提案し、その設計をお手伝いしました。そして、任期終了前にテストマーケティングをされることを提案しました。プログラムのプレ実施の設計や打ち出しをお手伝いしました。岡崎市も力をいれて売り出している岡崎の奥座敷「オクオカ」での起業を、今後もお手伝いしていきたいと思っています。オカビズ相談の様子1オカビズ相談の様子2■岡崎ビジネスサポートセンター岡崎市が2013年に設立した、売り上げアップに特化した中小企業のビジネス相談所。10年間で約3,800社、約24,500件の相談を受ける。常に予約でいっぱいなことから、「行列の絶えない相談所」とも評される。URL: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年12月22日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「北海道グランクラスの旅」です。僕は今、「okazakitaiiku JAPAN TOUR II」で日本各地のライブハウスを巡っています。10月には北海道で2か所、函館と札幌で公演を行いました。東京から北海道に行こうと思う時、みなさんはどの交通機関を利用しますか?今回、僕のたっての希望で新幹線で函館まで行きました。そうです、僕は飛行機移動があまり得意でないんです。新幹線であれば地にしっかり接したままで移動ができます。この安心感はなにものにも代えられません。あと青函トンネルも通ってみたかった。東京から函館までは4時間ほどでした。飛行機は乗ってしまうとどこをどう移動しているのか、距離感の把握や実感があまりないのではと思います。でも、新幹線は常に景色が流れています。車窓からの景色を眺めながら移動することで、遠征ツアーに出ているなあというのを噛み締めながら移動できてとても良かったです。しかも、今回は事務所の粋な計らいでグリーン車のさらに上の車両、グランクラスで移動させていただきました。グランクラスはすごいです。おしぼりがもらい放題ですし、飲み物もいただき放題です。しかし、僕はどうしたことか、最初席についた時にアテンダントの方がメニューを持ってきてくれたのですが、ついうっかり「大丈夫です」と断ってしまい、その後、一切の飲み物をもらうことができませんでした。ずっと自分で持っていったペットボトルのお茶を飲んでいました。飛行機でもそうですが、僕はこういう時のアテンダントの方との交流が苦手。できるだけ接触しないようにしたいと思ってしまいます。この時も、塩チョコを配るという撒きイベントがあったので、それだけは丁重に受け取り、それ以外は自分の殻の中に閉じこもっていました。グランクラスのシートは全席独立型で、ゆったり包み込まれるデザイン。プライベート空間がしっかり守られています。僕のような性格の人間には非常にありがたかったです。フットレストもめちゃめちゃ上がるので、ほぼ水平で寝られるくらいリラックスできます。インテリアも上質で高級感があってとっても良かったです。到着したのは、初めて訪れる函館。いつか住んでみたいとずっと憧れていた土地なので、訪れることができて本当に良かった。やはり海鮮が新鮮で、なかでもいくらのお寿司が非常においしかった。住んだら食べすぎて痛風になりそうです。おかざきたいいくコンセプト・アルバム『OT WORKS III』とアナログ盤12インチシングル『サブマリン』が発売中。全国17都道府県19公演のライブハウスを巡る「okazakitaiiku JAPAN TOUR II」(12/23まで)が開催中!※『anan』2023年12月20日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年12月18日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「6年目の変化」です。この連載がスタートしたのは、2017年12月6日です。今号のananの発売日が2023年12月6日ですから、連載を開始して丸6年経ったことになります。いや、自分のことながら、こんな長い間、よう話すことあったなと思います。連載の過去の発言を振り返ってみると、今も変わってないなと同意できる部分と、当時とは考え方が少し変わってきているなと思うところもあります。6年もあれば人の考え方が変化することも、そりゃあります。まずは、それくらい長い期間、連載をさせていただいていることに感謝しています。みなさん、いつも読んでいただいてありがとうございます。若い頃は尖っていたミュージシャンやバンドが年齢を重ねてまるくなることはあるし、好みがガラッと変わることもある。僕は一人でやっているので、あまり大きなブレはないと自負していますし、自分の発言に整合性を持っていたいと常に意識していますが、それでも先ほど言ったように、考え方が変わるところもあります。最近の例で言うと、この連載でも宣言していた自分自身の目標に関すること。〈さいたまスーパーアリーナ〉でワンマンライブをすることに次いで僕が目標にしていたことの一つに、「オリジナルアルバムを10万枚売る」というのがあったと思います。この目標について、僕は連載初期に強く語っていたと思います。でもこの5~6年あまりで、CDメディアをめぐる環境は大きく変わりました。5年前も音楽のストリーミングサービスはありましたが、2023年現在、それがより浸透し、CDを10万枚売るということがより難しく、厳しくなってきている。だから僕はこの10万枚という数字を意識することから離れようと今は思っています。大きな変化と思う方もいるかもしれませんが、胸を張ってグレートエスケープさせてもらいます。この連載だけでなく、ファンの方に向けてもこの目標を達成したいと宣言したこともあります。もちろん今だって10万枚売りたいという気持ちは持っています。でも、プライオリティの最上位にそれを置くよりも別のことを目標にしたい、と考えが変わりました。今の自分の作風ややりたいことを大事にしながら、できることに挑戦したい。そういうポジティブな変化なので「岡崎体育、変わったな」と言わず、引き続きやさしく見守ってください。おかざきたいいくコンセプト・アルバム『OT WORKS III』とアナログ盤12インチシングル『サブマリン』が発売中。全国17都道府県19公演のライブハウスを巡る「okazakitaiiku JAPAN TOUR II」(12/23まで)が開催中!※『anan』2023年12月13日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年12月10日岸谷香のライブイベント『岸谷香 感謝祭2024』が、2024年2月23日(金・祝) に東京・EX THEATER ROPPONGIで開催されることが決定した。『岸谷香 感謝祭』は、「日ごろの活動に感謝して特別な一夜をお見せしたい!」という岸谷の想いから、毎年2月に行われている自主企画ライブ。2024年は岸谷のデビュー40周年となる記念イヤーでもあり、その幕明けを飾る第1弾として開催される。今回はゲストにトータス松本(ウルフルズ)と永井真理子を迎え、この日限りのコラボレーションをそれぞれ披露する。チケットはぴあアプリ先行を12月10日(日) まで受付中。『岸谷香 感謝祭2024』ぴあアプリ先行の詳細はこちら!()<イベント情報>『岸谷香 感謝祭2024』2024年2月23日(金・祝) 東京・EX THEATER ROPPONGI開場16:45 / 開演17:30出演:岸谷香 / Unlock the girlsゲスト:トータス松本(ウルフルズ) / 永井真理子【チケット情報】全席指定:9,000円(税込)※ドリンク代別途必要■ぴあアプリ先行:12月10日(日) 23:59まで詳細は こちら()岸谷香 オフィシャルサイト:
2023年12月04日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「今年いちばん響いた曲」です。先日、優里さんが1980年代の邦楽、全10曲をカバーしたカバーアルバム『詩‐80’s』をリリースされたというニュースを読みました。一体、どんな曲をカバーされたのだろう?と興味が湧き、曲目リストを調べてみたのですが、その中の一曲に「大きな玉ねぎの下で」がありました。この曲が爆風スランプさんの名曲のひとつであることは知っていましたが、そういえば曲をきちんと聴いたことがない。せっかくだから原曲に触れてみようと聴いてみたんです。そうしたら…この曲、めちゃくちゃいい!なにこれ!と響きまくりました。今年、いちばん響いた曲かもしれません。この曲の主人公は、遠く離れたペンフレンドのために貯金箱をこわして一枚のチケットを送ります。“大きな玉ねぎ”とは武道館の屋根にある飾り“擬宝珠”のこと。主人公は、武道館のライブでずっと会いたかった、会えなかったペンフレンドとついに対面できると心をワクワクとさせています。…でも、彼女は来なかった。アンコールの拍手を背に主人公は会場をあとにします。そのあとの、ひとりさみしく歩く風景の描写、心情の切なさが実にしみじみと見事です。武道館の象徴である擬宝珠を“澄んだ空に光る玉ねぎ”とかわいらしく表現することで、悲しさをどこか柔らかくしているところもとても粋ですし、素敵だなと思いました。歌詞も素晴らしいのですが、ストーリー展開に合わせて演奏のアレンジも変化させているのではないか、とも感じました。曲の途中にギターソロがあるのですが、その音はまるで歌詞の主人公が聴いているようなギターソロなんです。リバーブが効いたギターの音はこの曲の中でちょっと異質です。でもそれは、主人公がいる物語中の武道館で行われているであろう、ミュージシャンのライブの中の音なのだと思うとハッとさせられます。彼女の席は空席のまま、彼はひとりライブを観ながらそのミュージシャンのギターを聴いている…。そんな切ないシーンが頭に浮かび、とてもグッときました。これはもちろん僕の勝手な考察かもしれません。でも、そこまで想像させてくれるめちゃくちゃ泣いているいいギターソロなんです。この曲をあらためて深く聴いてみて、爆風スランプさんの神髄を感じましたし、なんで俺がカバーしてないねん!と思いました。優里さん、教えてくれてありがとう。おかざきたいいくコンセプト・アルバム『OT WORKS III』とアナログ盤12インチシングル『サブマリン』が発売中。全国17都道府県19公演のライブハウスを巡る「okazakitaiiku JAPAN TOUR II」(12/23まで)が開催中!※『anan』2023年12月6日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年12月02日京都の老舗お香専門店「松栄堂(しょうえいどう)」から「お香のカードゲーム くんくんくん」が登場。2023年12月1日(金)より、松栄堂各直営店などで発売される。京都のお香専門店「松栄堂」から“香り”のカードゲームが登場京都に創業して300年、宗教用の薫香から、茶の湯の席で用いられる香木や練香、手軽に使えるインセンスに匂い袋まで、様々なお香を作り続けている「松栄堂」。そんな老舗が新たに提案する「お香のカードゲーム くんくんくん」は、“香りでつながる”新感覚のカードゲームだ。ルールは全部で4種類カードゲームとして遊べるルールは、香りを頼りに同じカードを揃える「くんくんトレーニング」、3種の違う香り1枚ずつ揃える「ちがそろ! くんくんくん」、同じ香り3枚先に揃える「おなそろ! くんくんくん」、そして、香りについての質問を通して主役と同じ香りを当てる「しつもん! くんくんくん」の全4種類。自身の嗅覚を頼りに香りを揃えるシンプルなあそびかたから、質問形式で香りの表現を嗜むコミュニケーションゲームまで、様々な形で香りを楽しめるルールが用意されている。また、セットにはない追加のカードパックを購入すれば、香りの種類を増やしてゲームの難易度を上げることも可能だ。嗅覚のトレーニングキット、カードタイプのお香としてもこのほか、神経衰弱のように香りを判別することで嗅覚を鍛えるトレーニングキット、お気に入りのカードを名刺入れやお財布に入れて香りを楽しむカードタイプのお香としても利用できる。商品情報「お香のカードゲーム くんくんくん」発売日:2023年12月1日(金)価格:3,300円セット内容:お香カード3種(ピンク・黄・青 各3枚 保存袋入)/遊び方説明書/紙箱入販売場所:・松栄堂各直営店・香老舗 松栄堂 ウェブショップ・「ゲームマーケット2023秋」会場ブース日程:2023年12月9日(土)・10日(日)会場:東京ビッグサイト
2023年12月01日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ティーンエイジャー」です。10代の少年少女を指す、ティーンエイジャー。常に新しいものを発見し、ムーブメントを起こすのは、このジェネレーションです。特に今は速度感が命のSNS時代。流行は分単位…いや秒単位で変化していきます。ここ2~3年は彼らのマインドに合うものを理解していないといけないぞと、正直、意識の感覚を強めていました。それで気づいたのは、今はバズるためにはとにかく分かりやすさが最重要だということ。歌詞でもメロディでも、そこまで言わなくていいやろ…というところまで言い切ってしまうのがポイントです。曲の展開も分かりやすい方がウケます。流れが早いので、その分、パッと見、パッと聴きで分かるように情報が開示されていないと伝わらないんです。平成元年生まれの僕は、つい言葉にできない感情やないまぜになった気持ちを、行間でくみ取ってほしいと思ってしまいます。それをもったいないなあ、ワビサビがないなあと思ってしまう僕は、やはり今のティーンエイジャーの感性ではないですね。30代だから仕方ないです。30代にできることで勝負するしかないですよね。僕が作曲を始めたのも、ティーンエイジャーの時でした。今でも覚えていますが、初めて作ったのはイエティがテーマの曲。みなさん、イエティはご存じでしょうか。日本語で言うところの雪男で、ヒマラヤに生息するといわれている全身が白い毛に覆われているUMA(未確認動物)です。14歳のころ、テレビ番組でイエティ特集を見て、そこからイエティが人里に下りてきて、里の人間に恋をするけれど撃ち殺されてしまうという内容の歌詞を書きました。当時、僕はニンテンドーDS用ゲーム『大合奏!バンドブラザーズ』で作曲をしていました。ゲームがまだ残っていればその音源データも残っているはずです。でも、もう処分してしまったかもしれません。30代になった今思い返すと、なんでそんなテーマを選んだのかもよく分かりません。でも、テレビで見たもので一気に発想してその衝動のまま1曲作るって、なんかすごいパワーがあるなあと感じます。大人になるともう少し動機づけや仕事だからやらないと、という経緯が必要になってしまいます。後先考えないでモノ作りに没頭できるのもこの世代ならではの強みかもしれません。そう考えると、やはりその感性はすごく貴重だし、ちょっぴりうらやましいなと思ってしまいます。おかざきたいいくコンセプト・アルバム『OT WORKS III』とアナログ盤12インチシングル『サブマリン』が発売中。全国17都道府県19公演のライブハウスを巡る「okazakitaiiku JAPAN TOUR II」(12/23まで)が開催中!※『anan』2023年11月29日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2023年11月29日