岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「令和に流行る音楽は?」です。時代は令和です。でも、体感としては令和の時代に生きているという感覚はまったくないですね。音楽業界を見回してみても、令和になって何か大きな変化があったか、というとそういうものも感じないですし、平成の終わりころから変わらずにずっと続いている感じです。でも、きっとそういうものなんでしょうね。年号が変わったことで世の中は新しい時代がきたと思っているけれど、実際に変化が形になるのはもう少し先のことなんじゃないでしょうか。機運が熟するのには時間がかかる。平成を代表する歌姫、安室奈美恵さんがデビューしたのも平成4年のことです。時代が変わったという大きな区切りは確実にあるので、その時代の象徴は必ず登場すると思います。で、それが何になるかは、今は正直予想したくない。僕も驚きたいですから。うわ、こんなんきたんやってびっくりしたいです。…って、びっくりしている場合じゃないですよね。その時代の象徴を作る可能性は僕自身にもあるわけで。センセーショナルな時代の流行を作るのは岡崎体育かもしれない。…それはその通りなんですけど、でも僕はぶっちゃけそういうタイプではないと思う。自分が時代をパイオニアリングすることはないと思うし、どちらかというと、僕はそれに乗っかりたいタイプです。流行っているものをいじったり、ひと口かましてくれ!とやっかんでいるのがちょうどいいポジション、というのが正直なところです。今のところでいうとソロアーティストの方が注目を集めていますよね。女性だとあいみょん、男性だと星野源さんや米津玄師くん。でも僕が思うに、何か新しい流れを作るのはそういう正統や本流のところ以外のような気がします。違う畑の、レールの外から道ができてくるのが令和の時代なんじゃないでしょうか。ユーチューバーとかティックトッカーとか、そういう場所で知名度がある人が音楽もやって新しいヒットが生まれるんじゃないかなと。あとは、業界自体がボーダーレス化していますよね。アイドルも国籍混合のグループが多数登場しています。韓国、中国、タイなどアジアと音楽業界は共有されるようになっていきそうです。それ狙って、岡崎体育はソニー・ミュージックのモンゴル支社を立ち上げたいと思います。アイドルの原石探し出して、日本発信のモンゴルアイドルを仕掛けたいですね。モンゴルと日本の懸け橋になれたら最高です。おかざき・たいいく6/9に、たまアリで行われたワンマンコンサートのDVDとBlu‐rayが、10/30に発売に!来年2/11、エディオンアリーナ大阪で、ワンマンライブ「OKAZAKI ROCK FESTIVAL 2020」開催!※『anan』2019年10月2日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年09月30日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「民族音楽」です。前回、アーティスト写真の撮影でモンゴルに行ったと書きましたが、現地の伝統的な音楽を鑑賞する機会がありました。モンゴルの民族舞踊や馬頭琴の演奏、2つの音を同時に発声する独特な歌唱法のホーミーなどとても興味深かったです。民族音楽のエキゾティックな響きはとても刺激的です。ミュージシャンはそういうものにとても敏感だと思います。旅先などで出合った現地の音楽に触発されて、自身の制作に影響されるなんて話もよく聞きます。僕ももしかしたら、次のアルバムで馬頭琴の音を使ったり、ホーミーの歌い方を取り入れているかもしれません。あの難しいと言われるホーミーを奇跡的に習得できたらの話ですけど…。実は僕自身、民族音楽や楽器には小さいころに触れてきた記憶があります。というのも、僕が通っていた小学校が音楽にとても力を入れていて、世界中の音楽に触れる機会を作っていたんです。音楽準備室もめちゃくちゃ広くて、いわゆる金管楽器や和太鼓だけじゃなく、インドの太鼓のタブラや西アフリカがルーツの打楽器タンボールなんていうかなりマニアックな民族楽器まで揃っていた。実家には小4のころにタンボールを演奏するホームビデオが残っていると思います。秋には音楽発表会があって、学年ごとに様々なテーマで披露します。小5のときはお題が東北で「会津磐梯山」を歌って踊りました。あとはバンブーダンスやハワイアンダンスとかも。そんな音楽体験の中でとくに記憶に残っているのは、バリの民族音楽「ケチャ」をやった授業。「ケチャ」といえば今やアイドルのヲタ芸として知られていますが、僕がやったのはそれとはまったく違うガチのケチャです。いま思うと「ケチャ」を題材に取り上げるなんてめっちゃ攻めてる授業でええな!と思いますが、当時は「ククチャク チャク クチャ ククチャク チャクチャク」とかをクラスメイトとずっと繰り返し合唱するというのがなんか恥ずかしくて、照れながらやったのを覚えています。世界中には様々な音楽があり、その存在を教えてくれ触れさせてくれたのはありがたいことだったなと思いますし、僕の音楽制作にも少なからず影響を与えていると思います。岡崎体育の音楽って、なんでもアリだし間口が広いと思う。いろんな国の音楽、そこにしかない楽器の音色やリズムなんかもこれからどんどん取り入れていきたいと思います。おかざき・たいいく6/9に、たまアリで行われたワンマンコンサートのDVDとBlu-Rayが、10/30に発売に!来年2/11、エディオンアリーナ大阪で、ワンマンライブ「OKAZAKI ROCK FESTIVAL 2020」開催!※『anan』2019年9月25日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年09月23日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「海外で仕事」です。新しいアーティスト写真の撮影などで7月下旬にモンゴルへ行ってきました。岡崎体育として、初の海外。僕、個人としても大学の卒業旅行以来なので、ほぼ10年ぶりの海外。もちろん、モンゴルは初めてです。飛行機は苦手ですが、日本から5時間ほどですし、時差も1時間程度しかなく、しんどさはほとんど感じませんでした。ただ、ご飯大好き和食党の僕には、主食が羊肉とパンであることと、温水洗浄便座がほとんどないモンゴルはなかなかのアウェイでした…。アウェイと思いながらも、僕の容姿や骨格的にはかなり大陸の雰囲気を備えているので、民族衣装をまとい、馬に乗って草原を駆ける姿は、かなりの本物感があったと思います。現地の方もその馴染みっぷりに驚いていましたし、僕もすごく自分のルーツを感じてしまいました。でも、帰る場所はここではない。やっぱり宇治の実家がいいと思いました。初めての海外でわかったことは、ミュージシャンにとって、自分が活動している国以外にいるというのは居心地がいいんだなということ。僕みたいな三流ミュージシャンでも、日本にいれば気づかれてしまいます。僕は自分のことでヒソヒソ話をされるのがすごく苦手なので、人の多い場所などに行くときは帽子を深くかぶって、コソコソとしてしまう。でも、モンゴルではそういうことを一切気にせずに、堂々と素のままでデパートでおみやげを買ったり、市場を歩いたりできた。よくミュージシャンが海外でレコーディングをするとか聞くと、調子にのってるな…とやっかんでいましたが、今回その理由がよくわかりました。レコーディングのような集中したい時期などは余計なストレスがかからない場所に行きたい。精神的に休まる場所に行きたいから、日本を出るのだと。でも、僕は実家で楽曲制作ができてしまうし、海外ツアーをするにもネタ曲が日本語以外だと通用しないと思うので、なかなか国外に出るのが難しいですが、今回、せっかくモンゴルに連れていっていただけたので、またMV撮影とか写真撮影で海外に行けたらいいなと思います。でも次にハワイとか行ったら、岡崎体育おもんないと言われてしまいそうで緊張します。次も“そこ行くんか!?”というところに行って、みなさんをびっくりさせたいと思います。おかざき・たいいく12/15(日)、Zepp Fukuoka「ベリーグッドマンへの道 TOUR 2019~武者修行編~」に出演。来年2/11(火)、エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)でワンマンコンサート開催!※『anan』2019年9月18日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年09月14日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「路上ミュージシャン」です。京都は路上ミュージシャンが多いんだそうです。それは、投げ銭をしてくれる人がたくさんいるからだそうで。海外からの観光客もいるので、みなさん温かい目で路上ミュージシャンを見てくれているのかもしれません。かく言う岡崎体育は、路上で歌うということを今まで一度もしたことがありません。路上からキャリアをスタートさせたミュージシャンの方ってけっこう多いと思うので、これ、なかなかぶっちゃけて言うのが難しいんですけど…僕は路上で歌うのは、否定派です。インディーズ時代からライブハウスで活動をしていて、お客さんが呼べないとノルマといって2万とか3万とか演者がライブハウスにお金を払うんです。それでも、これしか方法がないからリスクを負ってライブ活動に励んでいたんです。でも、路上で歌っているだけの人らは、何もリスクを負ってない気がして。確かに経費はゼロ円です。さらに、多くの知らない人に聴いてもらうこともできる。でも、道路交通法にはたぶんですけど違反しています。やはり、ルールは守らなあかん。そう思うわけです。一方で、海外のストリートでジャズミュージシャンがセッションをしていたり、地下鉄の駅でサックスを吹いていたりとかいうのはええなあと思うわけです。あと、先日観た、星野源さんの楽曲にMPCプレイヤーとして参加しているSTUTS(スタッツ)くん。彼がNYのハーレムでゲリラライブをしている動画なんかも、かっこええなあと素直に思えるんです。この違いは何なんやろと考えると、純粋に音楽を楽しんでいたり、通りゆく人に音楽を提供したいという気持ちからやっているものには、そんなに抵抗がない、なんなら、めっちゃいいと思えるのかもしれない。なんか下心が見えると急に醒めるというのがあるかも。「偶然、通りかかったレコード会社の敏腕ディレクターの目にとまり、瞬く間にデビューが決まった」みたいなエビで鯛を釣るような話はそうそうありません。路上で広めたい気持ちもわかるけど、まずはちゃんとノルマ払ってライブハウスですべきでは、と思うんです。または、今の時代、ライブの生配信ができるSNS環境もめちゃくちゃ充実している。そこにこそ、たくさんのリスナーが待っていると思う。道端で歌ってスターダムを目指すより、インターネットで世界中とつながるほうがよっぽど早いと思います。おかざき・たいいく12/15(日)、Zepp Fukuoka「ベリーグッドマンへの道 TOUR 2019~武者修行編~」に出演。来年2/11(火)、エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)でワンマンコンサート開催!※『anan』2019年9月11日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年09月04日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「緊張」です。僕はライブ前だとかテレビの生放送、ドラマの撮影現場など、みんなが緊張するやろな~という場面でも意外と緊張しません。テレビの生放送では普段通りにいすぎて「岡崎体育、やる気ない」などと叩かれてしまうほど、いつでもけっこうニュートラル。じゃあ、そんな僕がどんなときに緊張してしまうかというと、女性と対峙したときです。この間も、ミュージシャン仲間の阿部真央ちゃんと久しぶりに会って、めちゃくちゃ緊張してしまいました…。彼女とは、同い年だし、彼女の楽曲に参加したこともあるし、僕のラジオにも出演してもらってる。はっきり言ってめちゃくちゃ仲いいはずなんですけど、会った瞬間から緊張モードを発動してしまいました。自分で言うのもなんですが、とても気持ち悪い感じだったと思います。なんでそうなってしまうかというと、必要以上に気を使ってしまうからなんですよね。変なふうに思われたらイヤだなとか、僕の言葉で傷つけてしまったらどうしようとか考えて、それで頭の中で「何を言うべきか」と言葉を練りまくってしまい、結果、モジモジしてばかりいて、気の利いたことも言えないまま、汗ばかりかきまくる岡崎体育というのが出来上がってしまうんです。それで、あとでひとり家に帰って反省するんです…。でもこれは、対女性ミュージシャンや対アイドルだけに発動するわけではなく、近所のスーパーでバイトしていたころからそうなんです。買い物に来た同級生に「久しぶり」と声かけられてもしどろもどろになっていたので、ずっとそんな感じです。でも、なんかそれでええかなと思っている自分もいます。とくに克服したいとも思っていません。なぜなら、チヤホヤされるだけの芸能人になんて僕はなりたいとは思わないからです。全然、派手に遊ぶことへの憧れとか願望はないですね。ミュージシャン仲間でも、飲み会の席に「女の子も呼ぼうよ」と言う人がたまにいます。でも僕は、女の子来たら緊張するし、仲間内だけでしか話せないこともあるから、なんか面倒やなと思ってしまう。男だけで気楽に飲んでるほうが楽しいやん、と。だから、僕はこれからも女性トラブルとかないでしょうね。たくさんの女性とお付き合いしたいとも思っていないので。好きな人は一人いればそれで十分。いずれ結婚もすると思いますけど、伴侶となる人が一人いてくれればそれでいいと考えてます。おかざき・たいいく6/9に行われた、たまアリのワンマンライブが、8/31(土)21:00~、TBSチャンネル1でTV初放送。来年2/11(火)、エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)でワンマンライブ開催!※『anan』2019年9月4日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年09月01日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「弾き語り」です。僕、「弾き語り」という言葉を本当に5年くらい前まで、まるで理解していなかったんです。僕の中ではギター漫談とかギターを持って“しゃべっている(=語っている)”スタイルを「弾き語り」というものだと考えてました。だって、みんな歌ってるやん、と。本来の言葉の意味でいえば「弾き唄い」のほうがしっくり合っていると思うんですけど。さらにもっとツッコまさせていただくと、一般的に「弾き語り」といえばギターやピアノを弾きながら歌っていることを指しますよね。でも、バンドで演奏していたって、ギターがメインボーカルで弾きながら歌っていたら、それは弾き語りになるのではないか?その辺、疑問に感じてしまいます。とはいえ、僕なんかはパソコンに入れている楽曲を「ポン」と押して歌っているだけなので弾き語りじゃないし、もっとはっきり言えば単なるカラオケですから。僕のライブなんて、おっさんがカラオケ流して歌っているだけなので、本来偉そうなことは何も言えません。ライブでお題をもらってその場で歌う即興ソングをするときなどは、僕もキーボードでいわゆる「弾き語り」をしますが、できてもそのレベル。楽器1本だけを携えてする、みなさんが想像するような弾き語りライブは、デビュー前から振り返っても、やってみようと思ったことさえないです。大阪で何回か開催されているライブイベント「そこから奏でまSHOW!」では、奥田民生さんやYO-KINGさんなどギター1本で勝負しているみなさんとステージを共にして、めちゃくちゃかっこいいな、といつも思います。ギターが最高の武器に見えて、その瞬間だけは俺も練習しよう…となるんですけど、家に帰ると、やっぱ面倒やな…打ち込みのほうが俺の味がでるし…と思い直すというのを繰り返しています。1つの楽器と歌だけで聴かせることって、確かな技術や実力がないとできないと思います。ギターのコードと歌のメロディだけだと曲の本質がそのまま伝わるし、歌声の良し悪しもダイレクトにわかる。そして、むき出しにされるのは曲だけじゃなくて、アーティストの魅力もそうですよね。シンプルな分、ステージとの距離もより近く感じられると思います。だから、みんな「弾き語りライブ」が好きなのかな。その感覚はわかります。でも、岡崎体育はこれからも基本、パソコン1台です。おかざき・たいいく6/9に行われた、たまアリのワンマンライブが、8/31(土)21:00~、TBSチャンネル1でTV初放送。来年2/11(火)、エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)でワンマンライブ開催!※『anan』2019年8月28日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年08月25日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「これからの夢」です。デビュー以来、僕の目標は「さいたまスーパーアリーナでの単独公演」でした。なので、それを達成したら表舞台から引退する気だったんです。だって、田舎から出てきたビジュアルがいいわけでも歌がうまいわけでもないヤツが、さいたまスーパーアリーナで1万8000人のキャパを埋めたわけですから、もうそこまでできたら十分やろと思っていたんです。そのあとは裏方にまわって、好きな曲をネット配信でリリースしたり、プロデュース業をしたり、どちらかといえば気楽な音楽生活を送ろうと決めていました。ですが、岡崎体育としてみなさんに楽しんでもらい、笑ってもらうという充実感を得てしまい、少なからず期待もいただいている。そんな中で、自分の体が悪いわけでも声が出ないわけでもないのに退くというのは失礼なことだと思うようになりました。だから、引退宣言は撤回し、次の岡崎体育としての目標に向かって進もうと決めたんです。もともと、僕はソロ音楽活動をはじめた当初から4つの目標を立てていました。そのひとつが「たまアリのステージに立つこと」。残りの3つはというと「日本一のアイドルを作る」「アルバムを死ぬまでに30枚出す」そして「ひとつのアルバムで10万枚セールスする」というもの。7年間の活動で4つのうち、やっとひとつ達成できたことになります。「アイドルを作る」というのは、どちらかといえばプロデューサー的な夢ですね。パフォーマー岡崎体育とは別の話なのでここでは置いておきます。「アルバム30枚」も還暦くらいまでに叶えられたらええやんと思っていることなのでこれも先の長期的目標。なので、必然的に岡崎体育として直近で、もっとも叶えたい夢は「アルバムの10万枚セールス」。これです。この令和の時代に10万枚売るってことは、どれだけ大変なことなのか。それはメジャーデビューしてからの3年間で、痛いほど理解しているつもりです。でも、困難だからこそ挑戦したい。「いつか、さいたまスーパーアリーナのステージにひとりで立ってライブします」というのも、お客さんが3人きりだったライブハウス時代から言い続けていたこと。10万枚売るのだって、同じことです。言霊に乗せて願い、努力すれば、いつか叶うと僕は信じています。おかざき・たいいくドラマ10『これは経費で落ちません!』(NHK総合 毎週金曜22時~)の第3話(8/9放送)に出演。来年2/11(火)、エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)でワンマンコンサート開催!※『anan』2019年8月14日‐21日合併号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年08月19日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「夏休み」です。デビューから3年、ここまで必死で走り抜けてきました。そして夢だったさいたまスーパーアリーナでの単独公演を達成し、僕はちょっとひと休みさせていただくことにしました。この夏は、誠に申し訳ないのですが各フェスへの参加を辞退させていただき、夏フェスは参加ほぼゼロ(先日行われた、エビ中結成10周年記念の“MUSiCフェス”のみ参加しました)。岡崎体育“第2章”へ向けてのシフトチェンジの期間にしようと思っています。なのでお休みとはいっても、制作をしたり今後の展開を練ったりしているので、何もしないでゴロゴロしているわけではありません。やりたいことはいろいろあります。でも、ちょうど時期も夏休みですし、せっかくだから夏休みっぽいこともしてみたい。旅に出るとか。デビューしてから毎日音楽漬けの日々でしたから、正直ちょっと音楽から離れてみたいという気持ちもあります。これはミュージシャンあるあるで、みなさんそういう思いを抱く時期ってあるのではないでしょうか。先日も、仲良くしているLOSTAGEの五味(岳久)さんのレコードショップへ挨拶に行って話をしましたが、最近、胸が熱くなった音楽ってないなあ…と二人でしんみりとなりました。中高生のころのように誰かの新譜を聴いてワクワクしたい、初めて聴く音楽に胸を高鳴らせたい。そんな思いはあるんですが「音楽=仕事」の生活を3年間続けてきて、感覚が麻痺してどこかドライに音楽と向き合うようになってしまったなあという自己反省があります。だから、せっかくのオフですし、ちょっと仕事という意味での音楽とは距離を置いてみて、自分のやりたいことをやってみたいと思います。具体的にどこ行きたいとか、何したいとかはないんですけど、圧倒されるような大自然の中に飛び込んでみたい。オーロラ見るとかそういうやつ。でも、オーロラって飛行機乗って行かないと見られへんやつですよね。僕、飛行機に乗るのが怖いし、機内で寝られへんし、まずそれに挑むことがなかなか難しい。宇治から4駅先くらいのとこで見られる場所ないですかね…。いや、そういうところもあかん。飛行機しんどい、暑いのしんどい、虫しんどいとか、しんどいことが多すぎて、夏を楽しめないきらいがあるので、そういうところも克服する夏にしたいです。おかざき・たいいくドラマ10『これは経費で落ちません!』(NHK総合 毎週金曜22時~)の第3話(8/9放送)に出演。来年2/11(火)、エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)でワンマンコンサート開催!※『anan』2019年8月7日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年08月04日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「たまアリを振り返る(後編)」です。前回に続き〈さいたまスーパーアリーナ〉での単独公演のことを振り返ります。現場入りは前日6月8日。たまアリ目の前のホテルを取っていただいて、部屋入ってカーテン開けたらもうたまアリしか見えない、みたいな近さで。めちゃくちゃ会場の圧を感じながらライブ前夜を過ごしました。正直、こんなど真ん前のホテルにアーティスト泊まる?もうちょっとほどよく離れたホテルなかったん?と思いましたが、まあ、これもいい思い出です。でもあまりに近すぎて寝付けず、深夜にたまアリのまわりを散歩してしまいました。寝間着のままで歩く姿は、密着のカメラが回ってたらめっちゃええ画が撮れてそうやな…いう感じで、カメラなんていないのにちょっと気取って歩いてしまいました。当日は大きなトラブルもなく、いつも通りの感じで進みましたね。念願のライブだからとマネージャーと特別な会話をすることも、担当ディレクターと熱い抱擁を交わすとかもなく、エモさは微塵もなかったです。でも、それが僕にとってちょうどよかったです。とはいえ、会場にはいつもよりもたくさんの友達や家族が来てくれて、本当にうれしかったです。シークレットゲストとして演出に参加してくださった藤木直人さんはじめ、いろんな方が「感動したよ」と言ってくれたり、高橋優さんも「ライブ終わってからずっと岡崎くんの曲を聴いているよ」と言ってくれたり。地元の友達も交通費や宿泊代を自腹で払ってわざわざ足を運んでくれた。ライブ後の関係者挨拶でも「泣いた」と言ってくださる方がたくさんいて、今までライブで「思い切り笑った!」と言っていただくことはあったけれど、僕のステージを観て泣いてくれるなんてことがあるんだなと感慨深かったです。僕自身は、ステージでは涙を流さないようにしていましたね。泣きそうな場面はすごくたくさんあったんですけど…。ライブ前、ミュージシャン友達のビッケブランカに「ステージで泣くとダサいぞ」「イチローは引退試合で泣かなかった。だからかっこいいんだ」と言われて。それは「せやな」と思ったので、ぐっと堪えました。でもライブを終えて実家に帰ったら、家族が「たまアリ独演おめでとう」と居間に横断幕を飾って迎えてくれて。それはちょっと泣けました。「独演ってナニ…」と思いましたけど、すごくうれしかったです。おかざき・たいいく6/9に念願のさいたまスーパーアリーナでの単独公演を成功させ、来年2/11(火)にエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)でワンマンコンサートを開催することを発表した。※『anan』2019年7月31日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年07月27日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「たまアリを振り返る(前編)」です。ソロで音楽活動を始めてからの7年間、そのステージに立つことを夢みてきた〈さいたまスーパーアリーナ〉での単独公演を6月9日に無事、開催することができました。集まってくれた1万8000人の観客のみなさんには感謝しかありません。この日を迎えるために、僕はとにかく準備を徹底してしようと心に決めました。サッカーなどのスポーツや登山なんかは、どんなに準備しても当日の運や体調、天候などで100%うまくいかないことがある。でも、ミュージシャンのライブにはそれがない。準備をすればするほど、それは成功として返ってくるし、お客さんの満足度は高まる。それなら準備を自分が納得できるまでやろうと決めました。ライブ用の新曲を準備したり、すでにあるネタ曲も今までと同じことをやりたくなかったので、すべてたまアリ仕様に作り直しました。とにかくみんなに楽しいと思ってもらえるアリーナライブにしようと、そればっかり考えました。構想としては1年前くらいからコツコツと練っていたんですが、最初にどうしてもやりたいと思った演出は花道です。ライブ会場に入ったらすでに3つ面白いことがある、というのは以前から公言していたのですが、そのひとつが「花道がめっちゃ細い」というもの。これ、1年前にまず最初にスマホにメモっておいた念願の演出で。でもけっこう気づかれなくて、「岡崎体育のライブに来たけど、花道細すぎ」とかSNSに誰かつぶやいてないかと開演前にチェックしていましたが、全然見当たらなかったです。もうひとつ、花道の先のセンターステージ周縁にエノキが飾ってあるというのはけっこう気づかれていたようですが、花道は盲点だったみたいです。そのほかアリーナ規模でしかできない、火柱があがる特効とかワイヤーアクション、トロッコの演出も考えて実行しました。トロッコは、以前、ゴールデンボンバーさんのライブで公演が全部終わってから4人でトロッコに乗って外周まわるっていうのを観て、これは満足度高くてええなと思って真似させていただきました。先輩のいいところは積極的に見習っていこうと。でも僕の場合、一人だけなので会場全部を見きれてないし、手を振りきれてない感、めちゃくちゃありました。バンドやアイドルは人数いるからできることであって、トロッコ外周一人きりは無理あるな…と、そこはちょっとソロアーティストの限界を感じましたね。おかざき・たいいく6/9に念願のさいたまスーパーアリーナでの単独公演を成功させ、来年2/11(火)にエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)でワンマンコンサートを開催することを発表した。※『anan』2019年7月24日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年07月20日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ルーティン」です。レコード会社のスタッフによると、ホールクラスを回るくらいのミュージシャンになると、多かれ少なかれバンドやアーティストごとの“決まりごと”ができあがってくるそうです。ライブ前のリハなどのスケジュールの流れや用意してほしいもののリクエストがあり、それを準備するのもライブ制作スタッフの仕事となっていくわけです。そんな中、さいたまスーパーアリーナクラスのライブをする岡崎体育には、ルーティンが一切ありません。すごく考えたのですが、ライブの前はこれを食べたいというのもないし、ライブ中はこの飲み物でないといけないというものもない。水も常温でも冷えていても大丈夫ですし、ライブ前にやっておきたいストレッチやマッサージも特にないです。ステージ上のパソコンを置く台だって、レコード会社に台を買ってもらったのでいまは毎回それを使っていますが、それ以前は、ライブハウスに適当な台を借りて置いていました。高さとかなんでもいいし、なんならパソコンを地べたに置くのでも構わない。ゲンを担いでなにかするということもないですし、ライブ前にスタッフたちと円陣を組んで声を掛け合うなんてこともしません。唯一あるとすれば、レコード会社のディレクターに、開演前に「岡崎くん、頑張って、楽しんで」と声かけてもらって、「はい」と会釈するくらい。それも背中バンッとかガッチリ握手するとか体の接触は一切ありません。そう考えると僕はライブドキュメンタリーの撮り甲斐がまったくないミュージシャンかもしれないです。円陣のシーンとか絶対欲しいやつでしょ?でも、それないですし、やりたいとも思わない。よくフェスとかで知り合いのバンドが円陣しているのをみかけて、「円陣、ええなあ…」とか言って笑いにしていますけど、それもシャレで言っているだけで本心はそんなでもない…。あ、ひとつ用意しているものがありました!塩せんべいです。僕は嘔吐反射が強く、ちょっとしたことでえずいてしまう。それを抑えるのには塩分摂取がいいと聞いてから、ステージ脇に常に塩せんべいを用意しています。でも、ライブ中に塩せんべいって水分がっつり持っていかれて、口の中がぱっさぱさになるのでこれも考えものだな、と思っています。…なんか、もっとかっこいいルーティンないですかね?おかざき・たいいく6/9に念願のさいたまスーパーアリーナでの単独公演を成功させ、来年2/11(火)のエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)でのワンマンコンサートの開催を発表した。※『anan』2019年7月17日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年07月15日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ライブの登場の仕方」です。ライブにおけるミュージシャンの登場の仕方について、みなさん注目したことはありますか?バンドの人とかって結構、トボトボと歩いて出てきて、みんながわーきゃー盛り上がっている中、淡々とアンプの上の水をちょっと飲んでみたり、タオルで顔をふいたり、機材のチェックしたりとかして、なんならちょっとだるそうにしてますよね。楽しいライブのはじまりが、なんでそんなだるそうなん!?と思いますが、でも、めっちゃクールに決めている系のバンドが袖から全力疾走してきて、「こんばんはーっ!」って言われても「なんで!?」と引いてしまいそうなので、まあ、だるそうにしながら出てくる感じもパフォーマンスのひとつなのだと解釈しています。登場シーンは、アーティストのあり方が色濃く出るもの。そこに注目してライブを観るのも楽しいと思います。ライブもライブハウスだと袖から出てくるのが普通ですが、規模が大きい会場になれば登場の仕方もいろいろとバリエーションを考えられます。先日開催された念願のさいたまスーパーアリーナでのライブは3部構成だったので、登場シーンが3回できたんですね。だから、楽しんでもらえるようにちょっと工夫を凝らした登場を3回演出させていただきました。基本、僕のライブは僕しかステージに立ちません。だから、やっぱり派手な登場演出は必須なんです。うっかりだるそうになんか出てきてしまうと、あれ?いま出てきた人が岡崎体育?と、お客さんも気持ちの切り替えができないと思うんですよね。よくあるんですが、フェスなどの客前リハでステージ上にぬるっと立つと、誰にも、まったく、気づかれないんです。普通のTシャツに短パンでオーラもないし当然といえば当然なんですけど。ひどいときには、客前リハの真っ最中にPAのスタッフさんに「では、本人さんに入ってもらってくださーい!」と言われて、「あ、僕が本人です…」と答えるという辱めを受けたこともあります。だから、僕は、基本的にステージにはいつもバーンッて出ますね。ステージの真ん中までグワーッて走っていって、バーンッて立って、「どうもーっ!岡崎体育でーす!」って、はっきりと見せつけてやります。それで「ここからが岡崎体育のライブですよ」とわかりやすく説明してあげるんです。わかりやすさ、伝わりやすさが第一。そんなアーティスト性でやっています。おかざき・たいいく6/9に念願のさいたまスーパーアリーナでの単独公演を成功させ、来年2/11(火)のエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)でのワンマンコンサートの開催を発表した。※『anan』2019年7月10日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年07月06日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「締め切り」です。メジャーレーベルに所属するようになると、自分の楽しみだけでは音楽を作れなくなります。TVコマーシャルのようなタイアップ曲や様々な番組で使用するテーマ曲、他アーティストの楽曲制作などオファーをされて作る曲には必ず納期が発生します。発注から納品までのスケジュールはどんなものなのかというと、本当にいろいろです。2か月くらい猶予がある場合もあるし、2週間くらいで作ってほしいというなかなか無茶なお願いもあります。僕の場合は、ラジオやライブなど決まっている通常業務があるので、その隙間で制作をしないといけない。オフの日をまるまる制作にあてることもよくある話です。気づけば一年中、何かしらの納期に追われている僕ですが、基本的に締め切りを厳守する性格なので、レコード会社からの信頼も厚いほうだと思います(多分)。受験勉強や夏休みの宿題も早めにスタートしないと不安になるタイプだったので、それがそのまま今につながっている。周りの顔色を窺いながら他人と歩幅を揃えるように生きてきた人生なので、音楽家になったからといって急に破天荒にはなれないです。そもそも、僕なんてまだデビュー3年目のおもいっきり若手。締め切りを何週間や何か月もぶち破るなんてやんちゃなことをやったら、簡単に首を切られてしまいそうです。とは言いながらも、自分の作品となるとついルーズになりがちなところもあります。実際に、最新アルバムである『SAITAMA』は当初の予定では秋口にリリースするはずでした。喉の調子が悪いなど体調面の不備があったことに加え、曲へのこだわりや葛藤から発売は年明けの1月に。結局、2か月くらい延期してもらいました。「締め切りが作品を作る」とよく言われていますが、音楽は芸術作品なのでこだわろうと思えばいくらでも詰め込めるし、変えられる。サグラダファミリアと一緒で、いくらでも作っていられるんです。だから「ここまで」という締め切りはやはり設定しておかないと完成しない。それに締め切りを設定した以上、そこに向けて動いているのは自分だけではないですから。「多少、締め切り過ぎても大丈夫だよね」と、制作者があぐらをかいてしまうのは違うと思いますね。そこには、「大丈夫」にするためにしわ寄せを受けてもがんばってくれている方がいることを忘れてはいけないと思います。おかざき・たいいく総合酒類会社「眞露」とのコラボレーション企画“岡崎体育÷JINRO”第2弾楽曲「今宵よい酔い」ミュージックビデオ公開中。※『anan』2019年7月3日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年06月29日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「バンドの解散」です。ロックバンド好きの方なら人生で一度は、自分が好きだったバンドが解散して悲しむという経験をしてしまうんじゃないでしょうか。バンドが解散するにはいろいろな理由がある。でも、いつも解散のニュースを目にするたびに、その理由の「ふわっ」とした感じにモヤッとなってしまいます。「音楽性の違い」とか言われてもファンの方は納得できないですよね。「ギターとベースで恋愛絡みのトラブルあって辞めます」とか「俺が全部曲作っているのにギャラ4等分とか割に合わないから辞めます」とか、ゴリゴリの理由をもっともっと聞かせてほしい…。でも、恋愛と一緒で原因は一つということではないから、結局はふんわりまとめて「音楽性の違い」になってしまうのでしょうね。ただ、不仲だからといっても、必ず解散するというわけではないのがバンドの面白いところです。以前、とあるバンドに「バンド仲はいいの?」と聞いたら、「ほとんど話さないし、めちゃくちゃ悪いよ!」とストレートにぶっちゃけられて思わず笑ったことがあります。バンドの在り方って、メンバーによって様々です。プライベートでも遊ぶほど仲の良い人たちもいれば、このように必要最低限の会話で十分という方たちもいる。長続きするには、お互いにとって最適の距離感をみつけることが肝心です。…って、みなさん、「それをお前が語るんかい!」と、いま思ってますよね?正直言うと僕はバンド、無理でしょう。大学生のころに組んでいたことはありますが、そのときも僕がワンマンで突っ走り、協調性がなく解散してしまいました。いまバンドをやることを想像しても、「なんで俺ばっか曲書いて、クレジットはバンド名義やねん」とかすぐに思ってしまいそうなので、やはり向いてないと思います。一度、仲良しのバンド、夜の本気ダンスのドラムの鈴鹿くんに「ボーカルが曲作っている間、君は何やってんの?」と聞いたことがあります。そのとき、鈴鹿くんは「ドラムの練習をしている」と言っていました。「ボーカルの作った曲を信頼しているから、彼がやりたいことを忠実に再現するのが俺の仕事だ」と。そうやって仲間の才能を信頼し、信じ続けることもバンドの長続きに必要なのかもしれません。結成当時の気持ちを忘れずに、リスペクトし合えるメンバーに巡り会うことはとても尊いし、難しいことなんです。おかざき・たいいく6/22に「『MUSiC』フェス~私立恵比寿中学開校10周年記念 in 赤レンガ倉庫~」出演。総合酒類会社「眞露」とのコラボ企画“岡崎体育÷JINRO”第2弾楽曲「今宵よい酔い」MV公開中。※『anan』2019年6月26日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年06月22日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ナレーション」です。先日、NHK岡山放送局からオファーがあり、『@okayama』という番組で放送された「“eスポーツ”にかける青春」のナレーションを担当しました。僕はナレーションがけっこう好きなんです。もっとこういうお仕事をやっていきたいと実は思っています。そもそも、僕の母がMC業で結婚式やイベントの司会をしていました。その血が流れているので、滑舌よく、流れるように話すことにはとても憧れがあります。小学校のころ、国語の宿題で教科書を朗読してくるとかよくあったと思うんですけど、うちの母はそのころから指導が厳しかったです。抑揚がついてないとか、間のとり方が悪いとか。小学生の朗読ですよ?それなのにプロ並みの指導をまだ年端もいかない僕にしてくるので、いつも泣きながらやっていましたね。「本読みカード」というものがあって、そこに親が上手に読めていたかの評価をするんですけど、それもめちゃくちゃ辛辣で。担任の先生も事情をわかっていたので、「岡くんとこは仕方ないよね」と笑って同情してくれていました。まあそういう背景もあって、声優の人やナレーターの方、アナウンサーの方が美しくナレーションをしているとすごく尊敬してしまうんです。自分が滑舌が悪く、なかなかうまくできないからこそいいなと思うし、心地よく話せる人に少しでも近づきたい、自分もそうなりたいと思ってしまう。でも、きっと僕にナレーションをオファーくださるときって、そういうアナウンサー的なうまさを求めてないですよね。それよりも、僕の個性だったり、キャラクターだったりが反映されたナレーションがいいはず。そのあたりもうまくバランスをとってできるようになりたいなぁ。あとは『チコちゃんに叱られる!』のチコちゃんだったり、『ねほりんぱほりん』のモグラだったり、中の人の面白みや機転が求められるようなものとかが、僕には向いているかもしれないです。どちらにせよ、やるとなったら怖いのは母のダメ出しです。ナレーションにしろ、声優にしろ、言葉の仕事をするとめちゃくちゃ言われるんです。そもそものキャラクター設定からダメ出しされますから。「あの感じやったら、もうちょっと明るく高いキーで発声せんと」とか。キャラ設定とかよりも、僕はシンプルに滑舌をよくしたいだけなんですけどね…。おかざき・たいいく総合酒類会社「眞露」とのコラボレーション企画“岡崎体育÷JINRO”第2弾楽曲「今宵よい酔い」のミュージックビデオが公開中。※『anan』2019年6月19日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年06月14日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「耳がいい」です。「耳がいい」は、いろんな解釈ができると思います。単純に、遠くの音や小さな音までよく聴きとれるとか、何Hzまで聞こえるというような聴力が優れている「耳がいい」や、1度聴いたメロディを再現できたり、人の歌い方や喋り方などのモノマネがすぐにできるのも「耳がいい」と言います。僕はどうなのかというと、実は前者のほうで言うと、めちゃくちゃ耳、悪いんです。大学のときに音楽解析のゼミをとっていたので自分の聴力を調べる機会があったんですが、60代の聴力と言われました。なんか生まれつき高音がとても聴きとりにくいそう。モスキート音なんて絶対に聞こえません。これは音楽家として本当にディスアドバンテージやなと思っています。だって僕がわからないところで妙な高音が鳴り響いているかもしれない。だから音源のミックスのときなどは気をつけていますね。一方で後者の意味での「耳がいい」については、けっこう自信があります。1回聴いたものを再現したり、真似る能力は高いはず。英語っぽく聞こえる曲「Natural Lips」や、先日も取り上げたMONKEY MAJIKとのコラボ曲「留学生」なんかは普段、英語で映画を観たり、洋楽を聴いたりして耳に馴染んでいる音の表現を形にしたもの。そういう意味での耳の良さを伸ばすにはどうしたらいいかというと、注意深く聴くことです。曲を1曲聴くとしてぼんやり全体で聴かずに、いつもどこかに着目して聴いてみる。今日はシンセの上物だけに注目してみようとかベースの音の流れだけ聴こうとか。そうするといろんな発見があるんです。なんかこのAメロめっちゃ気持ちええな、なんでやろと思ったときに、一つ一つの音に注目しながら聴くと「あ、この木琴のリズムがめっちゃおしゃれなんや!この音の動きでグッときたんやな」と理解できる。そういう分析ができるとより深く音楽を楽しめるし、アーティストの意図も理解できてちょっと感動します。ときには作り手の遊びに気づくこともあります。裏にこっそり違うメロディを忍ばせていたりだとか。実は、僕も最近、エビ中に提供した「Family Complex」という曲のAメロに、以前作った「サドンデス」のメロディをうっすらと入れてみたんです。聴いた人が、「あれ?これもしかして!?」と気づいてくれると、こっちもうれしいものです。おかざき・たいいく6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年6月12日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年06月10日6月9日、叶美香がブログを更新。さいたまスーパーアリーナで行われた岡崎体育(29)のワンマンライブを観に行ったと報告した。また岡崎も同日、Twitterを更新。さいたまスーパーアリーナでのワンマンライブは7年越しの夢だったとつづった。実は、過去に叶と岡崎の間で“プレシャスな約束”が交わされていたという。叶のブログによると、かねてより岡崎が「さいたまスーパーアリーナでワンマンライブをする際は来てください」とお願いしていたとのこと。叶は今回、その約束を守ったかたちだ。岡崎といえば、2016年にアルバム「BASIN TECHNO」でメジャーデビュー。17年12月にはTwitter上で、デビューしてから初めて連絡先を交換した女性が叶だったと明かしていた。当時、ファンに叶から連絡先を聞いてきたのかと問われた岡崎は《俺みたいなバッドルッキングガイからいけるわけない》と返答。写真撮影からの自然な流れで連絡先を交換したとつづっていた。また叶も岡崎のことを《とってもキュートで礼儀正しい岡崎体育さん、大好きですよ》とブログで告白していた。そんなきっかけがあって今回、ライブを訪れた叶。その際には、お祝いに紅白のバラを178本プレゼントしたという。ファンからは《お約束なさっていたのですね》《感激しました》《叶姉妹様の素晴らしいところ。それは約束を絶対守る事》《見習いたいと思います》と叶の義理堅さを絶賛する声が上がっている。
2019年06月10日岡崎体育が、6月9日にさいたまスーパーアリーナにて単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催する。京都宇治市在住の男性ソロプロジェクト・岡崎体育。2016年4月に公開した“ミュージックビデオあるある”を題材にした『MUSIC VIDEO』のMVが大きな話題を呼び、同年5月発売のメジャーデビューアルバム『BASIN TECHNO』でオリコンウィークリーチャート初登場9位、iTunesのJ-POPチャートで最高位1位を獲得。また数々の大型フェスやイベントにも精力的に出演し、その独創的パフォーマンスが老若男女問わず幅広いファンの支持を集めている。『MUSIC VIDEO』「30歳までにさいたまスーパーアリーナでライブをやる」というのが昔から岡崎体育の大きな目標のひとつだったという。デビューアルバム『BASIN TECHNO』、2ndアルバム『XXL』とアルバムにはこれまで自身を体現するタイトルがつけられてきたが、今年1月にリリースされたアルバムは『SAITAMA』と冠しており、ここからも自身の夢にかける意気込みが感じられる。ネタ的な要素で注目を集めることが多い岡崎体育だが、このアルバムは“より音楽的な側面をクローズアップした”作品と本人も語っている通り、ミュージシャン岡崎体育の魅力が再発見できる作品となっている。そもそもなぜ「さいたまスーパーアリーナ」を目標に掲げていたのか。同会場に懸ける想いをニッポン放送『ミュ~コミ+プラス』にゲスト出演した際本人が語っていたが(出典: )、大学生時代友達に誘われて足を運んださいたまスーパーアリーナでのライブを観て「悔しい」と感じたことがきっかけだったそう。そんな岡崎体育にとってまさに有言実行のタイミングでライブが実現するわけだが、彼のライブではいつもたくさんの人が笑っていて、ユーモアとネタ満載の演出には面白さを超えて感動するほどだ。念願のさいたまスーパーアリーナという夢の会場でも、大勢のファンを笑顔にしてくれることだろう。なお、岡崎体育の楽曲『FRIENDS』にも参加しているペンギンの友達“てっくん”(岡崎体育のステージ上唯一の友達として知られている)が、『フェイクファー』というタイトルで6月9日にメジャーデビューを果たすという。岡崎体育プロデュースによる同作は、6月9日のさいたまスーパーアリーナ公演にて会場限定で販売されるとのことだ。『FRIENDS』公演情報「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」日程:2019年6月9日(日)会場:さいたまスーパーアリーナリリース情報『フェイクファー』発売:2019年6月9日(日)価格:¥1,000(税込)※会場限定盤<収録内容>01.フェイクファー02.キャラクター
2019年06月09日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「SE」です。ライブが始まる前にかかっている音楽のことをSE(Sound Effect)と言います。ライブ前の場の雰囲気を作るのに欠かせないもので、基本的にその日にライブをする演者が決めていることが多いですね。友達のライブに行って、開演前に流れている曲で、「あ、この曲、絶対ボーカルの子が選んでるわ」とか思うことあります。こだわっている方だと、ライブ後にSNSなどでその日のSEのプレイリストまで公開する人もいますしね。僕も自分のツアーでは、そのときに気にいっている曲を流すことが多いです。またはコンセプティブなツアーをするときは、雰囲気作りにSEを利用することもあります。「シマウマの中でも比較的凶暴なほう」ツアーのときには、サバンナの雰囲気を作りたくて、ずっと『ライオンキング』のサントラをかけてみたり、「キミイロハートII」ツアーは、恋愛シミュレーションゲームがテーマだったのでファミコンの音源を流してみたり。好きなアーティストのライブに行ったら、開演前に会場で流れている曲をちょっと気にしてみるといいと思います。アーティストの考えが詰まっていることは間違いないと思います。僕が苦手なのは、開演前やバンドとバンドのセットチェンジの間に音源を流すのではなくDJが入るパターンのやつ。僕は開演前とか転換の間はゆっくりしたり、友達と見たライブの感想などをしゃべったりしたいんです。でもDJたちは、踊らそうとしたり、ちょっと盛り上げようとしてくるから、休む暇がない。そんなことされるならヒーリング音楽の「イマージュ」とか流して、ライブに備えて心穏やかに待ち時間を過ごさせてくれるほうがずっといい、と僕は思ってしまいます。でも、まあこれも個人の意見です。DJ入れるのも、アーティストの方がよかれと思ってしていること。そのほうが盛り上がりが持続していいという人も多いでしょう。もうすぐ、僕のさいたまスーパーアリーナの単独公演です。そのときのSEはどうしようかな…。実はまだ何も考えてないんです。…必ずしも音楽である必要はないかもしれないですよね。思い切って語りとか?僕が夢を叶える場所で、「夢を叶える方法」をライブの前に1時間にわたって語り続けるとかどうでしょうか。大きい会場だとモニターもあるだろうし、映像を使ってみるというのも面白いかも。おかざき・たいいく6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年6月5日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年06月01日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「アーティスト写真」です。プロフィールを掲載するときなどに使う宣材写真。アー写といわれ、ミュージシャンの場合は、自身のホームページで使用したり、フェスに出るときなどの参加アーティスト一覧になったり、テレビやウェブのニュースに載るときに出たりします。自分の宣伝のために使うものなので、新しいシングルやアルバムをリリースするたびに写真も変えるっていう方が多いです。そんな中、僕はデビューしてから2年くらいアー写を変えなかったんです。なんか、そこに労力とお金をかけるのがもったいないと思ってしまうんですよね。でも、2年目に入ってからマネージャーに「体育さん、体型変わっているし、このままだと詐欺と言われるから撮り直してほしい」と懇願されて、重い腰をあげました。それで1年くらい前に撮ったのが今のアー写です。気に入っているので、しばらくはまたこのままでしょうね。その写真は、僕があらかわ遊園のイモムシ型のジェットコースターに乗っているもの。撮るときのこだわりとしては、きちんと顔が写っていることでしょうか。やはり顔は、ちゃんとわかるようにしたいものです。これ、ミュージシャンの悪いとこが出がちなんですけど、芸術性に重きをおきすぎて顔が煙で隠れているとか、そもそも顔が写ってないとか、そういうアー写も多いじゃないですか。おしゃれやし、かっこいいと思うんですけど、初見の人にとっては何のこっちゃわからない。すごい不親切ですよね。まあ、尖った活動をしているミュージシャンならそれはそれでいいと思うんですが、僕みたいな感じのスタンスのミュージシャンがそれやっても、何を急にイキっとんねん?と思われてしまう。だから、岡崎体育は親切第一でやっていきたいと思っています。個人的に注目しているのは、インディーズバンドのアー写です。ここに面白いアイデアが潜んでいることが多いんです。お金がないからプロのカメラマンに頼むことなんてまずできない。でも、個性的で目を引く一枚にしないといけないからみんな工夫して、いろんなアイデアを練るんです。僕もその当時は、自撮り写真を加工して真四角に引き伸ばして、下駄みたいになった顔を使っていました。今思えば、なんでそんなことしてたんやろ?と。もしかしたら、その下駄時代が岡崎体育の歴史の中でもっとも尖っていたアーティスト写真だったかもしれません。おかざき・たいいく6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年5月29日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年05月27日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「オマージュ」です。今年1月にオリジナルサードアルバム『SAITAMA』をリリースしました。たくさんの方に聴いていただき本当に感謝しています。で、いろいろレビューなどもしていただいたのですが、その中で気になる言葉があり、それを今回の議題にしたいと思います。その言葉とは「オマージュ」です。僕はいろんなタイプの楽曲を作るので、曲ごとに“これはクラブミュージックのオマージュ”“これはラウドロックのオマージュ”と、1曲ごとにっぽいと言われがち。でも、オマージュってなんなん?と思います。確かに以前、星野源さんにも「岡崎体育は、いろんな音楽ジャンルのおいしいとこ取りをするのが上手」と褒めていただいたことがあるし、浅く広くですがいろんなジャンルの音楽を好きで聴いてきたから、その影響を受けていることは間違いないです。でも、楽曲を作るときに「よし、今回はこの感じをオマージュしたるぞ!」と作るわけではないです。現代のミュージシャンで、聴いてきた音楽に影響を受けていない人などいないと思うので、すべてのミュージシャンはオマージュの塊であると言えると思うんです。パンク一筋のパンクバンドも過去にいたパンクバンドのオマージュをしているはずです。でも、ことさらに「それはオマージュだ!」とは言われない。そんな中で、僕が「オリジナル」と言われずに「オマージュばっかり」と言われてしまうのは、やはり手広くいろんなジャンルの音楽をやっているからなのでしょうか。だって、パンクバンドの方はアルバムの中にわざわざ1曲ヒーリングミュージックを挟んだりしませんから。僕のそういうメタ的な制作スタイルが、批評をする多くの方たちに、岡崎体育は常に他者を強く意識して音楽を作っていると勘違いさせているのかもしれない。でも、実はそんなことはないんです。“こういうの、ちょっとやってみよ”くらいのテンションです。以前、ある音楽評論家の方に「岡崎体育は新しいパンク精神を持ったアーティストだ」と言っていただいて腹にすっと落ちたことがありました。そうなんです。僕は過去をトレースしたいんじゃない。ネタ元があるならもっと自由に裏切りたいし、ジャンルにだって縛られたくない。オマージュと言われるより、これ、岡崎体育らしいねと言われるものをもっと確立したいんです。…で、オマージュってどういう意味?おかざき・たいいく6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。5/27には、マイナビBLITZ赤坂で公開リハーサルも開催!※『anan』2019年5月22日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年05月17日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「校歌」です。みんなで一緒に歌を歌うと気持ちがひとつになれる。まあ、そんな簡単に人はひとつにはなれんやろ!という本音もありつつ、でも、やはり高校野球で校歌斉唱をしている場面を見たりなんかすると胸にグッとこみ上げるものがあります。僕、甲子園は毎年見ているので、智辯学園和歌山高等学校の校歌は完璧に歌えます。もちろん、自分の出身小学校、中学校の校歌も覚えていますし、高校の校歌も今でも歌えます。僕の出身高校は公立だけど新設校だったので、新しいことへのチャレンジを前面に出すタイプの学校でした。校歌もちょっと斬新でサビが英語詞だったんです。当時はそれがすごく恥ずかしくて。ほかのみんなも同じだったようで、朝礼で全校生徒で歌っていてもサビになるとぐっと声量が下がっちゃうんですよね。いちばんええとこやのに、みんなちょっと口ごもる。サビが英語って、なんかええやん!と今なら言えるんですが、現役の子たちはどうなんやろ。恥ずかしがらずに歌えているのかな。気になります。でも、そういう新しい感覚の校歌が今、増えているみたいです。それこそ2011年夏と2017年春に甲子園に出場したときに話題になった、愛知県の至学館高等学校の校歌「夢追人」とか。まるでJポップのような歌詞、メロディです。そういう校歌らしくない校歌が流行るというのも今の時代っぽいですよね。それはそれでいいと思いますが、僕はいわゆるベタな校歌がやっぱり好き。校歌を卒業生やその土地にゆかりのあるミュージシャンが作るというのもよく聞く話ですが、もし僕の出身校からオファーがきたら前向きに考えたいところです。そのときは作るとしたらやはりゴリゴリのトラディショナルな校歌にしたい。EDM入れてノリノリの校歌とか作って、サビ前で校長が「飛べー!」とかいうのも面白いかもしれませんが、僕は意外と伝統を重んじるタイプです。それに、校歌を歌うのなんて、本当に学生時代だけのことですから。校歌というジャンルを歌える時代に、きっちり歌っておくのもええ経験やと思います。大人になってからは本当に歌いませんから。以前に、同じ中学出身のヤバTのこやまくんと「中学のときの校歌を思い出すインスタライブ」をしたことがあって、そこで歌ったくらいかな。同窓会でみんなで肩組んで歌うとか、まだそういうのもちょっと恥ずくてできないですね。おかざき・たいいく6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。5/27には、マイナビBLITZ赤坂で公開リハーサルも開催!※『anan』2019年5月15日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年05月11日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「コラボ」です。MONKEY MAJIKがいろいろなアーティストとコラボするアルバム『COLLABORATED』に僕も「留学生」という楽曲で参加させていただきました。現在、YouTubeで350万回再生くらいいっていて、話題になっています。そもそもは、MONKEY MAJIKのプラント兄弟とNHKの連続テレビ小説『まんぷく』で共演させていただいたことがきっかけ。そこで意気投合して一緒にやろうとオファーをいただき、実現しました。彼らは当然、英語ネイティブ。それと、僕の英語風日本語を組み合わせたら面白いんじゃないかという発想で生まれたのがこの楽曲です。究極の空耳ソングで、それぞれの特色を生かしたこれぞコラボという意味のある作品に仕上がっています。曲作りの土台はMONKEY MAJIKが用意してくれたので、僕はそこに乗って楽しむだけ。すごく充実した環境で制作できました。今回のコラボをきっかけに気づいたんですけど、僕ってコラボ映えするんですよね。岡崎体育を単体で見たときのミュージシャン力って著しく乏しい。でも、誰かと組んだときその相手を際立たせる力がすごくあるんじゃないかという、僕の新しい才能に気づきました。僕といるとみんな“映え”ちゃうんです。それは昨年から、うすうす気づいていたんですよ。w‐-inds.とツーマンライブをやった際に、アーティスト写真を撮ったんですよね。あの3人の中に僕が入るとw-inds.の美しさが映えること、映えること!自分が芋虫かと思いました。…って、そこまで卑下することはないんですけど、でも、僕ってすごいワンポイントになれるみたいなんです。ちょっとバンドに差し色ほしいな、とか、甘いスイカに塩振りたいわ、みたいなときに、ぜひ岡崎体育とのコラボをご検討ください。また、一方で僕が主体で誰かを招いてコラボをしてみたいという気持ちも強まりました。今の僕の目標は、さいたまスーパーアリーナにたった一人で立つことなので、そこまでは一人でがんばるつもりですが、たまアリが終わったら、より自由に音楽を追求しようと思っています。だから、コラボもアリなんじゃないかなと。一応、構想があって「フィーチャリング」って曲だそうかなって。歌姫的な人を招いてフィーチャリングするんですけど、歌姫が歌おうとすると僕が邪魔して延々ラップとかして、歌姫まったく歌えへんって曲。みなさん、聴きたいですか?『COLLABORATED』MONKEY MAJIK英語詞はラブソングとして成立していて空耳部分も日本人留学生の心情とマッチする、相当練りこんだ高度な仕上がり。僕のラップ部分にも空耳で“モンキーマジック”と聞こえる仕掛けが。繰り返し聴いてほしい。おかざき・たいいく6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。5/27には、マイナビBLITZ赤坂で公開リハーサルも開催!※『anan』2019年5月1日‐8日合併号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年04月29日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「アンコール」です。本来アンコールって公演が終わった後、客席からの拍手や歓声が鳴りやまずに、その声に演者が応える形で行われるもの。あらかじめ用意せずその場の空気感で行われるのが自然やと思うんです。でも、現在の日本のライブシーンにおいては、アンコールはやらなあかん感じになっていますよね。アーティストもセットリストを考えるときにそれを含めて曲の構成を考えている。これ、ヤラセもいいところです。いつからこうなってしまったのでしょう。「このシステム、始めたの誰なん?」と聞きたい。そうは言いつつも僕もセットリストを考える際には、必ずアンコールまで考えてしまいます。6月に予定している、さいたまスーパーアリーナの公演では、ダブルアンコールまで考えていますよ。ええ、もうここで先に言っておきます。たまアリのダブルアンコールで僕は「Explain」をやります!ライブの冒頭でアンコールの曲数を発表してしまうのは、僕がよくやるパフォーマンス。これも形骸化したアンコール文化への僕なりのアンチテーゼなんだと思います。もちろん、日本のミュージシャンの中にはアンコールしませんと宣言している方々もいらっしゃいますし、海外のミュージシャンは会場入り口に「本日アンコールはございません。あらかじめご了承ください」と貼り紙をすることもあるそうです。そういうスタイルもありと思いますが、僕は僕のライブらしいアンコールのやり方を模索していきたい。もうひとつ気になるのは、アーティストがはけた後の「アンコール!」という定型化したコール。あれももっといろいろバリエーションがあると面白いですよね。以前、SEKAI NO OWARIのライブに参加させていただいたとき、アンコールの際にファンのみなさんが「スターライトパレード」のサビをループして歌っていた。あれはなかなか痺れましたね。でもみんなが歌える歌ならいいですが、うっかりB面曲のようなあまりメジャーでない曲を歌いだしたらどうするのでしょう…。客席は演者に出てきてほしくてコールする。それを逆手にとって「早く出てこないなら」を口火にみんなで「帰る!」「帰る!」とコールするのはどうでしょう?僕が「待って帰らんといて~」って出てくるんです。「曲用意してんねん。照明もかっこいいの作ってるから!」って。これ、かなりハピネスな空間になりそうです。次のライブでみなさんぜひ!おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年4月24日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年04月20日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「EDM」です。EDMとは“Electronic Dance Music”の略です。シンセサイザーやサンプラーなどを使った電子音楽の中でも、フロアの人々を踊らせる高揚感のあるダンスミュージックを総称してそう呼びますね。ここ数年で、日本でもEDMという概念が広く普及しましたが、欧米ではすでにひとつの音楽市場として確立しています。ベルギーの「Tomorrowland」、アメリカ・マイアミの「Ultra Music Festival」などのフェスは10数万人規模の動員がある。なので、世界にはEDMのDJで、ばちくそ稼いでいる人たちがたくさんいます。僕と同い年のドイツ出身のDJ、Zedd(ゼッド)なんて17億円の豪邸に住んでいるとか。ネットでお宅拝見の動画を見たんですが、家の中にジムもプールもある上に、トイレットペーパー置くだけのコストコルームなんちゅう部屋まで持っている。日本ではEDMのDJ一本でそこまで稼いでいる人はまだいないと思いますが、音楽ジャンルとしてはこれからも盛り上がっていくと思います。では、僕がEDMのクラブやフェスに足繁く通っているかというとそんなことはありません。そういうところはパリピっぽい人が多いので正直、苦手です。基本、ひとり家で聴いています。自室のロフトベッドの上をDJブースに見立てて、YouTubeにあるEDMメドレーをヘッドホンで聴きながら、DJのマイクパフォーマンスを真似してひとりでぶち上がってます。EDMのDJは、選曲はもちろんですが“さあここから盛り上がりますよ!”というフックとなるポイントでうまく煽ることが重要。限られた拍数、小節の中で自分の言いたいことをお客さんにどのように伝えるのか。そのテクニックを海外のDJたちからかなり学んでいると思います。日本って、ライブでみんな同じ動きをしてません?なんか右手だけ挙げてればいいか、みたいな。僕はそれが残念で。自分の好きな動きでノればいい、人真似なんてしなくていいはず。だからライブでは、EDMを使った楽曲を採用するんです。それは、単純にみんなに踊ってほしいから。4つ打ちのビートに陽気なサウンド乗せたら、直感的にダンスしたくなるはずです。EDMには、シャイな日本人特有の恥ずかしさを取り払って、己を解放してくれるパワーがある。僕のライブでは、自由に好き勝手に踊ってみてほしいですね(人に迷惑かけない範囲で…)。おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年4月17日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年04月13日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「京都」です。京都出身のミュージシャンといえば、くるりと10-FEETがまず思いつきます。それぞれ日本を代表するトップランナーであり、ジャンルは違えどシーンを引っ張っている存在です。この先輩方が全国区で活躍し、京都に帰ってきてフェスを開催するなどしてくれたおかげで、京都で音楽をやってみたいと思う若者の流れができたと思います。くるりや、10-FEETの系譜を継いだバンドがめちゃくちゃ増えたんじゃないでしょうか。かくいう僕も、くるりのギターロックや日常を切り取った詩の世界観に影響を受けているし、ヤバT(ヤバイTシャツ屋さん)のこやまくんも10-FEETがいたからこそ、ああいうバンドスタイルになっているのでは、と思います。京都でバンドやろうという人たちはどんな人かというと、基本的に“アー写が笑ってない”感じです。なんていうんやろ、張りきって前へ前へ出るというより、ちょっと後ろに立って腕組んで見てるような、常に半歩引いているような印象。プライドが高いわけじゃないんですけど、あまり自分に無理しない。はんなり上品に佇んでいるほうが京都っぽい。そんなちょっと“雅”なイメージです。…って、僕えらそうに語っていますけど「お前が京都を語るな」と言われそうで今びくびくしています。だって、僕は京都の人らに「宇治の人やろ?(笑)」と言われます。京都は、この洛中・洛外の意識がとんでもなく強いんです。伝統や歴史が残る街だからこそ、京都の人はどこか閉鎖的で排他的なのかもしれません。京都在住のミュージシャンにもそんなヒエラルキーがあるように感じてしまい、僕自身は京都市内よりどちらかというと奈良が好きで、そちらばかりに行っていました。奈良はライブハウスもミュージシャン人口も少ないので、ライブをやるとなるとオールジャンル、誰でも大歓迎。なんでもアリのゆるさと壁のない感じが僕は好きでした。とはいえ京都は有名な神社仏閣もあるし、おしゃれなスポットもあるし、クラブもライブハウスも充実しているので遊びに行くのはおすすめです。一乗寺界隈はラーメン店の激戦区。どこ入ってもうまいラーメン食べられるのでぜひ行ってみてほしい。あと名物と言っていい“鴨川等間隔”もぜひ一度見てほしいですね。三条から四条あたりの鴨川の河川敷に、僕の歌そのままにカップルが並んで座っているのは必見です。おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年4月10日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年04月06日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ひとりだち」です。年度末ですね。平成最後の年度末です。入学や就職、転勤など新しい旅立ちのシーズン。この時期、引っ越しをされる方も多いのではないでしょうか。僕も正直、引っ越ししたい。いいかげん実家に居すぎやな…という思いがあります。ここでひとつ、みなさんにはっきり発信したいことがあります。僕は現在、地方の実家暮らしで自室の学習机から音楽をお届けしていますが、一生このまま実家で暮らすつもりはございません!そりゃ、これまでの活動を振り返れば、実家在住であることを堂々と宣言し、さらにはその自室をテレビの全国放送で流しているわけですから、岡崎体育=一生、実家で音楽活動するやつというイメージを持たれても仕方ないんですけど、でも僕には、いつか代官山に住んでデカイ犬を2匹飼う、という夢があるんです!東京の物件情報とか実はめっちゃ見てるんです!音楽をがんばって、その結果、稼いだお金で幸せに暮らしたい。一生、いい環境、いい精神状態で音楽を作り続けるための場所を自ら築きたい。これが僕の究極の成り上がりミュージシャンドリームです。さらに、引退後のセカンドライフは函館で暮らすというところまで自分の中で決まっています。実家の子ども部屋から発信した音楽で、さいたまスーパーアリーナの単独公演が実現できるのか、というのが岡崎体育・第1章の研究課題。で、それが今年6月についに達成を迎える。そのあとは第2章へと移行するはずなのですが、それがどういう目標になるのかは今の僕にもわからない。住む場所も、東京かもしれないし、違う土地かもしれない。でも、関西在住のバンドマンやミュージシャンも、成功するしないにかかわらず、夢を持って東京に移住する人はとても多い。これまでそういう人をたくさん見てきました。僕もどうなるかわかりません。ただ、実家は出ます。これは、せっかくだからここで断言したい。実家は出ます!…なんか正直なところ、30歳にもなってひとりで生きていく力が身についていないということがいよいよ情けなくて。ひとりで暮らして、世間並みの30歳くらいの社会人感覚や生活力を身につけたいんです。…と言ってみたものの、半年くらいでギブアップしてしまうかもしれません。そのときは、「岡崎体育、“もう、無理”。音をあげて宇治にUターン」というニュースを音楽ナタリーで出したいと思います。ださ。おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年4月3日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年03月30日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ベストアルバム」です。誰かのCDを買うときに最初にベストアルバムに手を出す人のことを「わかってないヤツ」と言うことがありますが、僕はそれまったく納得いきません。だって、アーティストが「これ最高によくできたのをまとめました」と言ってリリースしているんですよ。そのアルバムを聴けば、まずはそれでいいじゃないですか。僕は「とりあえずベストアルバム」推奨派です。そもそも、僕は後追いでアーティストを知ることが多かったので、いろんなアーティストのベストアルバムに助けられてきました。ベストアルバムを聴いて、彼らのヒットソングを聴く。その上で、さらに深く知りたいと思ったら気になる年代順でアルバムを買っていく。とくにヒットソングが多いアーティストだと、ベストアルバムは気軽に名曲を知ることができていいですよね。最近では、クイーンの『グレイテスト・ヒッツ』なんてめちゃくちゃ売れているんじゃないでしょうか。と、ベストアルバムを推しているものの、じゃあ自分がベストアルバムを出すかというと僕自身は出さないだろうなと思います。そもそもヒットソングが「MUSIC VIDEO」と「感情のピクセル」の2曲くらいしかない。ヒットソングといってもセールス的に当たったわけでなく、話題にまあまあなったのが2曲というくらいですから。これは、まだまだ僕はベストアルバムを出すレベルに達していないということです。デビューして3年もたってないですから、ちょっと気の早すぎる話なのかもしれません。でももし出すとしたら、ネタ曲ベストと普通の曲ベストの2枚組かな…とか想像します。あ、それか、ボツ曲を集めたベストというのもいいかもしれないです。僕は、楽曲ができたらまずオカンに聴いてもらうんです。で、オカンに「わかりにくい、やめとき」とか「サブい、やめとき」と言われたら、レコード会社に聴いてもらう前に即ボツにしています。そんな“オカンボツ曲”がかなりの数あるので、そこからあえて選曲してみたいです。オカンが選ぶ岡崎体育ベストと未発表ボツ曲ベストの2枚組なんていかがでしょうか。ライナーノートはもちろんオカンに全曲解説してもらって。なんなら全国キャンペーンも回ってもらいたいですね。ラジオにもバンバン出演してもらって。中島ヒロトさんやクリス・ペプラーさんといった名物DJの方々とのからみが、今から楽しみです。おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年3月27日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年03月21日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「日野市立七生緑小学校」です。ちょうど1年前のこの連載で合唱についてお話ししました。僕は合唱が好きで、なかでも日野市立七生緑小学校の歌声が大好きなんです。彼らは、ごく普通の公立小学校の生徒であるにもかかわらず、NHK全国学校音楽コンクール〈小学校の部〉にて6年連続金賞を受賞されている、すごい合唱団なんです。いつか、彼らと一緒に仕事がしたいとずっと思っていたんですが、その念願がついに叶いました。僕が作詞・作曲を手がけた、TVアニメ『ポケットモンスター サン&ムーン』(テレビ東京系)の新EDテーマ「心のノート」を彼らに歌ってもらうことになったんです。参加いただけることが決まってから、日野市で行われた彼らの合唱コンサートも観に行きましたし、レコーディングにも立ち会いました。その結果わかったことは、七生緑小学校の生徒さんたちは「誰よりもプロや」ということです。これは、ソニーミュージックで20年以上音楽業界に携わっているうちのディレクターも同じことを言っていたので、間違いないと思います。彼らはレコーディングの当日までずっと先生にダメ出しをされていた。いや、ダメ出しをされるだけじゃなくて、自分たちで意見を出し合って、どう修正していくか、どうよくしていくかを徹底的に考えてきてくれた。はっきり言って合唱の素人の僕からすると、「ええやん、全然この状態でいけるやん」と思ってしまうくらい完成度は高かったんです。それでも「いや、まだここが甘いんです」と修正を重ね続けてくれた。これがプロか…と、すっかり僕が教えていただきましたね。七生緑小学校の合唱団は4年生から6年生の生徒たちで構成されています。自分が小学校高学年のときを振り返ると、これだけ高い意識を持ってひとつのことに向き合えるか?と聞かれたら、絶対できないと即答できます。でもその不可能を可能にしているのは、合唱団を指揮する後藤朋子先生の存在。彼らの徹底したプロ意識を培ったのは、後藤先生の巧みな指導力の賜物。それが6年連続の王者の歌声を育てたんだと思います。小学生たちの真っすぐでピュアな歌声って実にすばらしいです。マジで心洗われます。彼らが昨年、金賞を受賞した自由曲「ああ ひまわり」なんて、本当にレベルが高くて聴くたびにゾクゾクするほどです。もっと、合唱曲の魅力、たくさんの人に届いてほしいです!おかざき・たいいく3rdアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年3月20日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年03月17日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「印税」です。印税はみなさんが考えているより素晴らしいものじゃないんです。レコード会社との契約次第だと思いますけど、一般的に2800円のCDを制作してアーティストのところに入るのは売り上げ1枚につき30円程度なんじゃないかなと思います。これ、むちゃくちゃ少なくないですか?僕はデビュー前、メジャーレーベルと契約さえすれば生活には困らない…、なんなら豪遊できるだろうと信じていたのですが、実際に1枚目のアルバムの印税が振り込まれた口座の金額を見て「こんなもんなんか…」とびっくりしました。ミュージシャンの中にはメジャーレーベルを離れ、自分でレーベルを立ち上げる方もいます。それはそれですべてが自分にかかってくるので大変なんですが、成功すれば還元率は100%ですから、裕福になっている方もたくさん見てきました。とはいえ、僕もそっちに行きたいというわけではないんです。現在のスタッフのおかげで僕は音楽を作る良い環境を作ってもらえているし、さまざまなお仕事もいただけている。ただ、CDが売れなくなったこの時代になにか改革していくシステムがないと、すべてのメジャーミュージシャンは幸せにはなれないんじゃないかと思うんです。それでもCDやネットの音楽配信はまだいい。もっと厳しいと感じるのがサブスクのシステムです。定額制の音楽配信サービスをみなさんも利用していると思います。これは、月額いくらという金額を世界中の何億人という人から集金し、その集めた総額を1曲ごとの再生数によってアーティストに分配するシステムになっています。この方法だと世界中で聴かれてないと利益が出ません。日本のみのガラパゴス的な活動をする僕のようなアーティストは、たとえToday’s Hitsに選ばれても、全世界の比率で考えたら分配される金額なんて総収益の何億分の、何千億分の1でしかない。このアーティスト格差が深まる仕組みには疑問があります。ぶっちゃけミュージシャンを国家公務員にしてほしいです。国民に娯楽をもたらすことを目的とした娯楽庁を作ってほしい。そして月々の俸給と社会保障を与えてほしい。まあ、それは大げさですけど、生活できないという不安やストレスを抱えながらいい音楽活動なんてできないと思うんです。贅沢したいわけではないですし、安定・安心のある中で音楽を創作したいと希望するのはそんなに難しいことなんですかね?おかざき・たいいくオリジナルサードアルバム『SAITAMA』発売中。6/9(日)、さいたまスーパーアリーナにて、単独公演「JINRO presents 岡崎体育ワンマンコンサート『BASIN TECHNO』」を開催。※『anan』2019年3月13日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2019年03月04日