8月10日に発足した第2次岸田改造内閣。岸田文雄首相(65)は同日の記者会見で「数十年に一度とも言われる難局を突破する」と述べ、防衛力の強化や経済再生、新型コロナウイルス対策などを掲げた。そのかたわら、安倍晋三元首相(享年67)の銃撃事件を機に、政治家と統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)の密接な関係が次々と判明し問題視されている。岸田首相は記者会見で、統一教会に関する問題について次のように明かした。「国民の疑念を払拭するため、組閣にあたり、閣僚に対して政治家の責任において、それぞれ当該団体との関係を点検し、その結果も踏まえて厳正に見直すことを厳命し、それを了解した者のみを任命した」ところが、わずか5日後の15日、岸田内閣は統一教会と閣僚ら政務三役の関係について、「個人の政治活動に関するもので、調査を行う必要はない」とする答弁を閣議決定したのだ。改造内閣では統一教会やその関連団体との関わりを認めた閣僚7人が交代したが、その後も閣僚ら政務三役と統一教会との接触が相次いで判明している。複数の報道によると、新たに葉梨康弘法相(62)や山田美樹環境副大臣(48)、木村次郎防衛政務官(54)らも関連団体のイベントに出席していたことなどが明らかに。今回の人事で統一教会と接点があった閣僚ら政務三役は、少なくとも合計30人にものぼると報じられている。全国紙記者が言う。「岸田首相は『点検・見直し』を“閣僚らの自己責任”と強調しましたが、人事決定後も新閣僚らに統一教会との関わりがあったことが次々と判明しています。これでは、“任命責任逃れ”と見なされかねません。一方で、統一教会と接触を持った政治家のなかには、『気づかずにつき合っていた』と釈明する人も見受けられます。教団の関連団体のイベントに出席したり、関連媒体のインタビューを受けたりするなど、関係の深さはそれぞれ異なります。それゆえ、自己責任でチェックするのは限界があるでしょう。第三者機関による調査実施や、接触や関わり方について明確な基準を設けることが必要ではないでしょうか。にもかかわらず、問題を放棄するような決定は、国民の不信感をさらに募らせてしまうでしょう」実際に、調査の必要性を感じている国民は多いようだ。時事通信が11日に公表した8月の世論調査では、「統一教会と政治家の関わりについての実態解明が必要かどうか」との質問に対して、77.3%が「必要」と回答。「必要ない」の回答は11%だったという。当初、岸田首相は政治家と統一教会との関わりについて、「社会的に問題になっている団体との関係については、政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明をしていくことは大事だと思っています」と述べるにとどまっていた。内閣改造にあたって統一教会との関わりを認めた閣僚7人を交代させたが、その後は「調査しない」と閣議決定――。Twitter上では、岸田内閣によるこの決定を疑問視する声が相次いでいる。《ついに開き直ったか…岸田》《まじか!国葬といい、どんだけ特権階級なの閣議決定って?これじゃ独裁と同義じゃね?》《岸田内閣、最低最悪、卑怯極まりない。選挙やり直して》“ひろゆき”こと西村博之氏(45)は16日、《日本政府として、政府内の統一教会との関係は闇に葬る事が決まりました。「岸田内閣の大臣、副大臣、政務官の統一教会との関係を調べない」という閣議決定》とツイート。共産党の志位和夫委員長(68)も《「開き直り」を続ければ、国民はそのうち慣れていくだろう、という卑劣な打算を、決して許してはならない》と批判した。冒頭の記者会見では、「昨年総理大臣に就任して以来大切にしてきた、国民の声を丁寧に聞き、信頼と共感を得る政治を実現するという基本からぶれることはありません」とも語った岸田首相。“国民の声”は聞き流されてはいないだろうか。
2022年08月17日岸田文雄首相(65)が8月10日に内閣改造を行った。そこで現閣僚のうち、統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)やその関連団体との関係があった7名を交代。しかし、ネットでは火に油を注ぐ事態となっている。今回の内閣改造で交代となったのは岸信夫防衛相(63)や末松信介文部科学相(66)、二之湯智国家公安委員長(77)、小林鷹之経済安全保障担当相(47)、野田聖子地方創生担当相(61)、山口壮環境相(67)、萩生田光一経済産業相(58)の7名の閣僚たち。この7名はこれまで選挙の応援を受けたり、イベントに登壇するといった統一教会および関連団体との親密な関係が明らかとなっている。閣僚も含めて、統一教会と何らかの関係があることが指摘されている自民党議員は100人規模にのぼるとみられている。しかし、自民党は、“旧統一教会と政治家の関係”の追及に対して消極的だ。岸田首相は先月31日、この問題について初めて会見で言及。しかし「政治家の立場から、それぞれ丁寧に説明していくことが大事だ」と語るにとどまっていた。さらに茂木敏充幹事長(66)も今月3日、党として旧統一教会との関係について個別に調査を行わず、それぞれの自発的な説明に委ねるとの意向を示していた。「全国霊感商法対策弁護士連絡会は、先月の会見で、統一教会やその関連団体の集まりに政治家が出席したりすることで、旧統一教会が社会的に承認されているという“お墨付き”を与えることになるという考えのもと、政治家に繰り返し配慮を求めてきたことを明かしています。しかし、連日“統一教会と政治家の癒着問題”が報じられても自民党はその場しのぎの対応を続けています。今月4日、立憲民主党の西村智奈美幹事長(55)が『旧統一教会をめぐる被害を調査する国会調査委の設置を提案したところ茂木幹事長に拒否された』ことを明かしています。内閣改造で関係のあった閣僚を7人外したことで“火消し”も狙ったのかもしれませんが、世論の納得は得られていない様子です」(全国紙記者)“統一教会外し”が見え隠れした内閣改造を行った岸田首相に対して、ネットでは根本解決を求める声が上がっている。《統一教会関係を誤魔化す火消し内閣改造、、、丁寧な説明は一切無い》《まさか統一教会と関連があった閣僚を交代させることで一件落着、ということにしないでしょうね。それでは根本的な解決には至りません。統一教会が政党と深い関わりを持ち、それを容認してきたということを一掃しない限り、国民は納得はしないと思います》《本当に党として、「統一教会問題に取り組もうとした」というよりは、「臨時国会で追求されないように、一旦閣僚から外した」という印象》《閣僚人事はリセットできても、旧統一教会の被害はリセットできない》なお、朝日新聞によると、新体制の内閣から加藤勝信厚労相(66)、山際大志郎経済再生担当相(53)、寺田稔総務相(64)の3閣僚に統一教会との接点が確認されたという。内閣改造ですべて“リセット”というわけにはいかなそうだ。
2022年08月10日「この冬、最大で原発9基の再稼働を進めます」7月14日、岸田文雄首相はこう語った。現在、休止中の原発も順次再稼働させ、9基が同時に稼働している状態を作るという。だが、前日の13日には、東電の旧経営陣4人に対し、東京地裁が合計13兆円超の損害賠償を命じる判決を下したばかりだった。その理由は、「国の地震予測に基づき、15.7メートルを超える津波を予測できていたのに対策を怠った」ためだという。つまり、経営者らの怠慢が福島の過酷事故を招いたと裁判所は判断したのだ。再稼働を急ぐあまり、対策がいい加減になり、同じ過ちを繰り返すことにならないのか。9基の問題点を専門家と検証した(表参照)。■平均値超えは“想定外”「すべての原発に言えることですが、原発がどれくらいの地震に耐えられるかを示す“基準地震動”の設定が非常に甘い。大飯原発(福井県)3・4号機の場合、関西電力が算出している地震動は856ガル。しかし、揺れの“ばらつき”(平均値を超える値)を考慮すると、1150ガルに跳ね上がる可能性もあるのです」そう指摘するのは、数々の原発関連訴訟の弁護団長を務める井戸謙一弁護士だ。原子力規制委員会(以下、規制委)の「地震動審査ガイド」にも〈揺れのばらつきを考慮すべき〉と記されていた。しかし、関西電力はばらつきを考慮していなかったとして、2020年12月、大阪地裁は大飯原発3・4号機の設置許可取消の判決を下している。「ところが、この判決のあと規制委は、『わかりやすくするため』と言って、設置取消の根拠となった地震動審査ガイドの文言から、ばらつきを考慮するという記述を削除してしまったのです」ばらつきを考慮せず耐震対策を行った場合、平均値を超える揺れは“想定外”とされてしまう。懸念されるのが活断層の存在だ。「大飯原発の非常用取水路の下には、活断層の疑いがあるF6破砕帯が走っています。専門家の間でも活断層か否かの判断が分かれていて、地層を3次元的に捉える“3次元の反射法地震探査”で調査すれば、すぐ判別できると専門家も指摘しているのに、関電は調査しないまま再稼働しようとしています」■老朽化が懸念される稼働40年以上の原発さらなる懸念が老朽化だ。「福島原発事故を教訓に、原発の稼働年数は原則40年というルールが設けられました。しかし、新規制基準に合格すれば、一度だけ20年延長できるという“例外”が設けられた。この例外が初めて適用されたのが、8月12日に再稼働を控える美浜3号機です」(井戸さん)元東芝原発設計技術者で川内原発(鹿児島県)の特別点検を検証する委員のひとりである後藤政志さんは、こう指摘する。「40年も運転すれば、圧力容器や炉内構造物などに中性子線が当たり続けて割れてしまったり、また、配管等の腐食が進んだりする場合もあります」実際に2004年、美浜原発3号機で老朽化による配管の腐食を放置したことで蒸気噴出事故が起き、作業員11人が死傷する惨事が起きた。「点検できるのは膨大な数ある部品のうち、代表的な一部分に過ぎません。点検できない場所で劣化が進んでいる可能性は十分ありえます」(後藤さん)再稼働に不安を抱いた近隣住民たちは、美浜3号機の再稼働差し止めを求める仮処分裁判を起こしている。その審理は7月に終了し、再稼働後の9月に決定が下る。■ウクライナの戦争で露わになったテロリスク世界有数の火山国である日本は、噴火のリスクもつきまとう。先日噴火した桜島の約50メートル先には、前出の川内原発が立地。また、伊方原発(愛媛県)や、玄海原発(福岡県)から約160メートルの距離には、阿蘇山カルデラがあり、“破局的噴火”が起これば、これらの原発への影響も計り知れない。「川内原発では、非常用発電機に火山灰対策用フィルターを設置したりして対応していますが、大噴火が起きて灰が降り注ぐなか、常にフィルターを交換し続けるなど現実的ではありません。そもそも、火砕流が発生すれば原発の対応どころではなくなります。それこそ安全神話ではないか」(後藤さん)ウクライナでは原発がロシア軍の攻撃を受け、占拠され、放射能が漏れる事態が起きた。テロへの備えも懸念点だ。「新規制基準では、大型航空機の衝突やテロなどにより原発が被害を受けた場合、離れた施設(特定重大事故等対処施設)から原発を冷却し続けることになっています」だが、一部原発では設置期限を過ぎても、施設は未完成。だが、それでも再稼働は行われた。「そもそも、ウクライナのような事態は想定していない。原子力規制委員会の更田豊志委員長も、『武力攻撃に耐えるようにという要求をしているわけではない。検討も議論もしていない』と述べています。つまり原発が攻撃を受けたり占拠されたら、敵に核兵器を渡すのと同じです」(後藤さん)東電管轄の柏崎刈羽原発(新潟県)では、社員が同僚のIDカードを使って中央制御室に不正侵入するなど、極めてずさんな管理実態が明るみに出ている。少数の武装集団でも、原発が占拠されてしまう危険性をはらんでいるのだ。再稼働を目指す9基のうち5基を管轄する関西電力は、もろもろのリスクをどう受け止めているのか。「原子力事故は二度と起こさないという強い決意のもと、国の新規制基準に適合することはもとより、規制の枠を超えて自主的に徹底した安全対策を講じています」岸田首相には、ぜひ客観的な目で問題点を再検討してほしい。
2022年08月04日●増量したほうが「松尾さんの愛らしい感じが出るのかな」現在ディズニープラスで配信中のドラマ『拾われた男』で主人公・松戸諭(まつどさとる)を演じている俳優の仲野太賀。劇中、主人公の諭は、数々の数奇な出会いによって、自らの人生が開けていく姿がコミカルかつハートフルに描かれているが、仲野自身「自分と重なるところがとても多い」と強く感情移入したという。「僕も拾われてきた人生」とつぶやいた仲野が、これまでの俳優人生を振り返ると共に、モデルとなった俳優の松尾諭に近づけるための役作りについても語った。松尾が自ら執筆した自身の半生を描いたエッセイを映像化した本作。俳優を目指して上京した松戸諭が、自動販売機の下に落ちていた航空券を拾ったことから起こる数奇な運命を描いている。実在する人物、しかも同じ世界に身を置く人間を演じるという、ある意味でハードルの高いチャレンジに挑んだのが仲野だ。「松尾さんはもちろん存じ上げている方でしたが、そこまで面識があったわけではないんです。でも原作を読ませていただいて、松尾さんの愛おしい部分をすごく感じられました。特に同じ俳優として、悔しい思いをしたときの気持ちや、セリフがあってもなくても仕事をもらったときの喜びなど、すごく丁寧に書かれていたので、共感する部分は多かったです。実在して、しかもいまも活躍されているという意味では、これまでと違う感覚はありましたが、クランクイン前に松尾さんとご一緒する機会があり『なにも気にせず、自由に演じてください』とおっしゃってくださったので、プレッシャーみたいなものは感じずに演じることができました」。本人にとらわれることなく、自由に松戸を構築することができたという仲野。それでも画面に登場した松戸は、いつもの仲野よりも大きく、松尾に似た風貌に映った。かなりの増量を試みたのではないのだろうか――。「自分はどちらかと言うと痩せ形体型だったので、もう少しボリュームがあった方が、松尾さん自身の愛らしい感じや、憎めない雰囲気が出るのかなという思いはありました。最終的には10キロぐらいは増やしましたね。ここまで増量したのは初めてですが、増やし方にもいろいろあって、食べるだけだとお腹が出てしまうだけなので、まずは筋トレをして骨格ができあがってから、増やしていく感じでした。こうして体を変えることで、違うものが見えてくるんだなというのは、今回気づきとしてありました」。一方で、体重を増加させたり、メガネをかけたり、方言をマスターしたりという外見を寄せることだけに終始してしまうと「話が小さくなってしまう」という危惧もあったという。「ちゃんとフィクションとして成立させないと、観る人の間口が狭くなってしまう気がしたんです。だからこそ、外見で寄せる部分は寄せつつも、松尾さんから独立して、松戸諭としてしっかり観てもらえるようなさじ加減は、監督と現場で話しながら進めていきました」。○■兄役の草なぎ剛は「なんて奥行きのある方なんだろう」仲野演じる諭には、武志という兄がいる。終始無表情でなにを考えているのか分からないと諭は思っているが、武志は突然アメリカに旅立ってしまう。諭と武志の関係も、作品に深い彩を与える。武志を演じるのは、草なぎ剛だ。「今回、ご一緒できるのを楽しみにしていたのですが、草なぎさんの芝居は本当にすごくて。もう武志なんですよ、兄貴にしか見えない。どこかで調整するみたいな概念がないように感じました。表現が難しいのですが、憑依するという言葉が一番伝わりやすいのかもしれません。とにかく吸い込まれる感じで、自然と弟になれました」。仲野にとって草なぎは、子供のころからテレビなどで見ていた大スター。「国民みんなの草なぎさん」ということで、自然と「こんな人なのかな」という先入観があったという。しかし、対峙してみて奥の深さに驚きを隠せなかったという。「アイドルとしての草なぎさんはもちろん、役者としてもたくさん作品を観てきたので、勝手に知った気でいたんです。でも一緒にお芝居して『なんて奥行きのある方なんだろう』とビックリしました。年を重ねていくにつれ、どんどん素敵になっていく草なぎさんの姿を見ていると、勉強になったのはもちろんですが、『もっと輝くことができるのかもしれない』と勇気づけられたというか、頑張らなければと強く思うことができました」。●「僕が“拾われた”ように」若い人の役に立てれば多くのことを学べた『拾われた男』の現場。なかでも松戸諭という男を演じて「人と人との出会いの大切さ」を痛感した。「この作品を通じて自分の人生を振り返ったとき、『俺も拾われてばっかりの人生だな』と改めて気づかされたんです。本当にその瞬間に多くの手を差し伸べてもらったからこそ、いまの自分があるんです」。今年5月に行われた橋田賞の授賞式。仲野は「自分自身が誇れるものは、実力でもなんでもなく、僕はいろんな人との出会いが誇れるものだと思っていて、たくさんの方に出会っていろんな場面で手を差し伸べていただけて今日があると思っています」と話していた。「本当にこれまでを思い返すと、どこから感謝していいのか分からないぐらい、多くの人に拾われてきた気がします。それこそ、劇中諭が航空券を拾ったように、僕は岩松了さんのワークショップのオーディションのチラシを拾って、受けに行ったことから始まり、たまたま近所に住んでいた石井裕也監督との縁もそうです。さらに人生初めてのオーディション会場の扉を開いたときにいたのが染谷将太だったり……。なんかそういう縁が、いまの僕のすべて繋がっているように感じるんです」。生きることの楽しみは人と出会うこと――。そんなことを実感させてくれるという本作。人との出会いによって“いま”があるという仲野。「幸運なことに僕は好奇心が旺盛で、いろいろな人に触れていたいという思いがある。現場が好きなんです。そこに行けばなにかが起こる。気づいたら足を運んでいるんです。そこでの出会いがいまの僕を作り上げてくれている。たくさんの人に拾っていただきました」。だからこそ、受け取った“縁”はしっかりと繋げていきたいという思いがある。「自分がそんな立場にあるのかは分かりませんが、もし昔の僕のように、なにかを求めて目を輝かせている若い人がいれば、僕が“拾われた”ように、なにか役に立てればいいなと思っています」。“拾われた”人間が、またその縁を感じて、誰かを“拾う”。「良い作品を世に送り出したい」という純粋な思いで繋がるプラスの循環。こういう思いが、人の心を豊かにする作品を生み出す要因になるのだろう。■仲野太賀1993年2月7日生まれ、東京都出身。2006年にドラマ『新宿の母物語』で俳優デビュー。近年の主な出演作は、ドラマ『あのコの夢を見たんです。』『この恋あたためますか』(2020)、『コントが始まる』『#家族募集します』(2021)、映画『今日から俺は!!劇場版』(2020)、『すばらしき世界』『あの頃。』『ONODA 一万夜を越えて』(2021)など。第64回ブルーリボン賞助演男優賞、第45回日本アカデミー賞 優秀助演男優賞、 第76回毎日映画コンクール 男優助演賞、2022年エランドール賞 新人賞を受賞。現在、ディズニープラスにて主演ドラマ『拾われた男』が配信中。
2022年07月16日株式会社文藝春秋コミック編集部では、マンガ『拾われた男 上』(原作・松尾諭、漫画・勝田文)を2022年6月9日(木)に全国書店、主要電子書店で発売いたします。本作は、『シン・ゴジラ』『SP 警視庁警備部警護課第四係』などの映画、ドラマに出演されている俳優・松尾諭さんの「自伝風マンガ」です。『風太郎不戦日記』(講談社)や『マリーマリーマリー』(集英社)などを手がけた漫画家・勝田文さんが、青年・マツオが俳優として一人前になっていく様子をユーモアたっぷりに描きます。■ 『拾われた男』あらすじ「カツゼツ悪いね」俳優を志して上京したものの、どの劇団にも入れず途方に暮れる青年・マツオ。偶然拾った航空券を警察に届けたら、落とし主は芸能プロダクションの社長だった。社長から「昨今 稀に見る昭和顔だわ…!」と気に入られて、マツオはレッスンやオーディションを受けることになるのだが……。人気バイプレイヤーはこうして生まれた…のかも?第1話を読む: ■ 一部書店では、勝田文さん描きおろしの「栞」をプレゼント!一部書店限定で、『拾われた男 上』をご購入いただいた方に、勝田文さん描きおろしの栞をプレゼントします。数量限定なのでご注意ください。栞配布書店は、文藝春秋 営業推進部(@bunshun_eisui)のツイートをご確認ください。 ■ 原作文庫も好評発売中。解説は高橋一生さん松尾諭さんによる原作『拾われた男』も、文庫・電子書籍ともに6/7より発売中です。解説は俳優の高橋一生さんです。商品URL(文庫): 商品URL(電子書籍): また、松尾諭さんのインタビューを「文春オンライン」で公開中です。上京直後の思い出や、高橋一生さんとの関係についてお話を伺っています。定職なし&借金ありでも「何とかなる」…松尾諭が崖っぷちの上京生活を乗り越えられたワケ (c)文藝春秋■ 6/26(日)よりドラマ『拾われた男』がディズニープラスで独占見放題配信!ドラマ『拾われた男』はディズニープラスで6/26(日)より独占見放題配信されます。主人公・松戸諭を仲野太賀さん、その兄・武志を草彅剛さん、そして諭の運命の女性である比嘉結を伊藤沙莉さんが演じます。笑いあり涙ありのヒューマンドラマを、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』、NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』の井上剛監督が手がけます。(c) 2022 Disney Enterprises, Inc.書誌情報書名:拾われた男 上著者名:原作・松尾諭 漫画・勝田文定価:880円(本体800円+税10%)発売日:2022年6月9日(木)商品URL(紙): 商品URL(電子書籍): 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年06月08日俳優・松尾諭が自らの波瀾万丈なサクセスストーリーを描いたエッセイをドラマ化した『拾われた男』が、6月26日よりDisney+(ディズニープラス)「スター」で見放題独占配信される。このたび“本人役”で出演する追加キャスト6人が発表された。持ち前の人を惹きつける魅力と強運で、他人に“拾われる”ことで人生を切り開く主人公・松戸諭を演じるのは仲野太賀。その兄・武志を草なぎ剛、諭の運命の女性である比嘉ユイを伊藤沙莉が演じる。監督は、NHK連続ドラマ小説『あまちゃん』、NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』の井上剛氏が務め、脚本は、映画『百円の恋』『喜劇・愛妻物語』の足立紳氏が務める。今回解禁となったのは、最強の“運”と“縁”に恵まれている主人公・松戸諭の物語を彩る“本人役”追加キャストたち。役者を目指して上京した松戸諭を拾った芸能事務所FMC一番の売れっ子“癒し系”女優として、井川遥が出演。ひょんなことから諭は彼女の運転手になり、意外な本心を吐露されるほど頼られる。井川は「もちろん、まわりのキャストの方の中で浮くだろうなぁ、無理があるだろうなあと思いました。でもこれは原作と違って〝ドラマはフィクションです!”と乗せられて笑。自分であって、ある意味破茶滅茶でいいんだな、と受け取って(笑)演じようと思いました。実際のところかなり寄せているところとフィクションが入り混ざり…仕上がりはどんなことになっているのか怖いような楽しみのような気持ちです」とコメント。そして、松戸諭の“物語”の原作者である松尾諭本人も、劇中内で物語を書いていく〝転がし役“として出演。夏帆演じる、敏腕編集者・芥川マリと共に自身の過去を振り返りながら、“松戸諭”の物語を“書き”進めていく。その他、松戸諭が上京して初めて受けた劇団・東京乾電池のオーディションで、劇団の結成メンバーである柄本明、ベンガル、綾田俊樹の3人が審査員として出演し、実際のオーディション並みの迫力を見せる。柄本明は「松尾諭さんとは近所に英会話できる空間があって、そこで挨拶をして、ちょこっとお会いしたことあります」と、原作者・松尾諭との“意外な縁”を明かし、本人役を演じることについては「特に何も考えず演じています」と、“本人役”だからこそ自然体で挑めたことを伝え、「楽しく観ていただければ幸いです」とコメントを寄せた。また、松戸諭がアルバイトをしているビデオレンタルショップTATSUYA渋谷店の客として、塚本晋也監督が登場。要潤演じる、映画監督志望“塚本”との接点にも注目だ。(C)2022 Disney & NHK Enterprises, Inc.
2022年06月07日4月29日から東南アジアとヨーロッパを外遊した岸田首相は、5月5日にイギリスで講演し「インベスト・イン・キシダ(岸田に投資を)」と訴えた。最近は株も円も“日本売り”状態で、株価は低迷し円安が続く。日本の国際的信用度が低下するなか、なんとか日本に投資を呼び戻そうと先の発言になったのだろう。とはいえ、お願いだけで投資は戻らない。そこで飛び出したのが「資産所得倍増プラン」だ。その中身について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。■給与低迷のなかでの投資はリスクが高い資産所得とは、投資商品や不動産などから得られる利益のこと。現在、日本には2,000兆円もの個人金融資産があるといわれますが、その多くが預貯金です。岸田首相は「これこそが日本のポテンシャル」として、個人の預貯金を投資に振り向け、日本市場を活性化し、投資からの所得を倍増させると大風呂敷を広げたのです。これから株価が上昇する魅力的な日本市場に、どんどん投資してほしいと。ただ貯蓄から投資への誘導はこれまでと同じなのに「倍増」というには、’24年に改定される「NISA(小額投資非課税制度)」が根拠ではないかと思います。NISAは、投資の利益にかかる20.315%の税金が不要になる制度です。おもに一般NISAとつみたてNISAがあり、一般NISAは年間120万円までの投資が5年間、最大600万円の投資が非課税で行えます。いっぽう、つみたてNISAは年間40万円までの積立投資が20年間、最大800万円の投資が非課税になります。このうち一般NISAが’24年に改定され、2階建て構造に変わります。1階部分はつみたてNISAと同様の積立投資を年間20万円まで。2階部分は株式投資も可能で年間102万円まで。なお、投資初心者は1階の積立投資を行わないと、2階を利用できません。国としては、1階は金融庁の基準を満たす積立投資信託から選ぶので、初心者も安心して一歩を踏み出し、少し慣れてから2階で本格的な投資にチャレンジできる構造にして、投資のすそ野を広げたいのでしょう。ですが、思惑どおりに進むとは思えません。というのも新NISAは複雑で、投資が不安な初心者はますます手が出しづらい。これでは、資産所得倍増はおろか、投資人口を増やすこともむずかしいでしょう。そもそも、日本は給料が上がっていません。公的年金も2年連続の減額です。生活に余裕がないのに、リスクのある投資に手を出す人は限られているでしょう。なにより今は給料が上がることが肝心。自民党総裁選で岸田首相が公約した「令和の所得倍増計画」に、今こそ取り組むべきです。最近の株式市場は乱高下を繰り返し、初心者にはきびしい相場です。また、不景気なのに物価が上がる「スタグフレーション」も進行中。こんなときは“借金減らして現金増やせ”。コツコツ貯金で家計を守りましょう。【PROFILE】荻原博子身近な視点からお金について解説してくれる経済ジャーナリスト。著書に『「コツコツ投資」が貯金を食いつぶす』(大和書房)、『50代で決める!最強の「お金」戦略』(NHK出版)などがある
2022年05月20日5月13日、岸田文雄首相(64)は衆院内閣委員会で、新型コロナウイルス対策のマスク着用について「子どもを含め感染の基本的予防策として大変重要だ」と考えを述べた。子どものマスク着用に関しては、東京都医師会の尾崎治夫会長が10日、マスクで顔が見えないために上手くコミュニケーションを取れない子どもがいることを指摘。子どもの発達に「5年、10年先に影響が出るのではないか」との懸念を示していた。11日には山際大志郎経済再生担当相(53)も、全国知事会とのビデオ会議で「社会を守るために、子どもたちにも我慢してもらうということではない」と発言。科学的な知見に基づき、子どものマスク着用の見直しを検討するとの考えを表明した。子どものマスク着用を見直す動きが広がるなか、マスクの必要性をたびたび力説してきた岸田首相だが……。「岸田首相は12日にも『今の段階でマスクの着用を緩和するのは現実的ではない』と述べるなど、原則的には大人も子どももマスクを着用すべきという考え。しかし、GW中、岸田首相は東南アジアとヨーロッパの各国を訪問。その様子は首相官邸のホームページやTwitterで写真とともに発信されていますが、マスクをせず至近距離で会話している場面も多かったのです。9日の記者会見で松野博一官房長官は『首相の海外出張時の首脳会談におけるマスク着用は、相手国の防疫措置を踏まえて決定されている』と説明していましたが……」(前出・全国紙記者)外遊先ではノーマスクだった岸田首相がマスクの必要性を力説したことに、インターネット上ではツッコミが続出している。《いやあんた海外でさんざんノーマスクで談笑してたやん》《なんで、この人は日本に帰ってくるとマスクする?ねー、なんで?》《岸田さん、先日海外へ対談に行かれた時、マスク外してましたよね?なぜ、国民にはマスク推奨なのですか?》《海外の会談で外してた人の説得力のないコメント》
2022年05月13日「岸田首相が『新しい資本主義』を掲げ、金融資産の運用益に対し一律20%だった課税率を引き上げる考えを示したことなどにより、自民党総裁選出時に3万円だった日経平均株価は、直近で2万5,000円台まで下落しました。リーマンショックならぬ“岸田ショック”といわれる動きを、一部の投資家だけに影響があると考える人も多いでしょう。しかし、岸田ショックに加え、コロナ禍やウクライナ情勢など、直近の株価のマイナスは、私たちの年金資金にも深く関係してくるのです」こう指摘するのは、1級FP技能士の古田拓也さんだ。古田さんは、実は誰もが“間接的な投資家”だと説明する。「たとえば銀行は、一般の人から預金を集め、その資金を運用に回して利益を出しています。運用で利益が出なければ、振り込みやATM利用時の手数料が高くなるなど影響が出ることも。私たちの年金の原資の一つである積立金も、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)によって国内外の株式や債券で運用されているため、残高は株価の影響を受けやすいのです」(古田さん)『2020X金融資産消滅』の著書がある、野村投信(現野村アセットマネジメント)の元ファンドマネージャー・近藤駿介さんは、次のように試算している。「GPIFが運用している年金積立金は、昨年末までに総額約200兆円ありましたが、米国の利上げなどのあおりを受け、あくまで概算ですが、現在までに9兆円ほど減っている可能性があります」この年金積立金は、高齢社会を迎える前に、年金受給者へ支払う以上の保険料が集まったことから将来のために積み立てられ、’06年度からGPIFが運用することに。「アメリカでは、年金の“2階部分”の資金が株式で運用されているケースはありますが、“1階部分”の基礎年金に関しては、非市場性の国債で運用。リスクは極めて低いです」(近藤さん)GPIFもかつては積立金の60%はリスクの低い国内債券を中心に運用していたが、安倍政権時の’14年に、リスクのある株式運用の割合を24%から50%へと倍増させた。その結果、’15年度の中国の景気後退では約5兆3,000億円、’18年度の米中貿易戦争時は約14兆8,000億円の損失を出すこともあった。それでも「株価は変動するもの。一喜一憂せず、長期的視野でみるべき」と楽観視されてきたがーー。「現役世代の保険料や国庫だけでは年金を維持できず、GPIFの資金を取り崩す時期も迫っています。長期的な運用ができる状況ではなくなりつつある」(近藤さん)現在、コロナ禍による業績悪化で国民の賃金が下がり、それに伴い集まる年金保険料が減少しているとみられている。そのしわ寄せはすでに受給額にも表れており、厚労省は、4月からの年金支給額を、昨年より0.4%引き下げると発表。厚生年金のモデル世帯の受給額は、月額22万496円から903円減額となる。年間では1万836円のマイナスだ。■この先20年で年金の積立金が枯渇する可能性もこのように、年金財政は待ったなしの状況。近藤さんは、GPIFの資金は早ければ年内にも取り崩されると予想する。「年間の年金支給額は55兆円ほどですが、そのうちの5兆円前後をGPIFの積立金でカバーすることになりそうです」しかし、コロナ禍やウクライナ情勢など、先行きが不透明な状況が続くなかで5兆円分の株を売却すれば、さらなる株価下落を招くことにもつながってしまうという。「海外株式に関しては、売却時に円に換金するため、株安を招く円高を誘発します。株価が下落し、企業の業績が悪化すれば、私たちの賃金はさらに下がることになります」(近藤さん)すると年金保険料がいっそう集まりにくくなり、それを補填するためにGPIFがさらに株を売却し年金積立金を取り崩し、株安を招く--。こうした負のスパイラルに陥りかねないのだ。「年金を『100年安心』にするため、GPIFの資金は30年、40年かけて少しずつ取り崩していくことを目標としているはずですが、早ければ20年ほどで枯渇すると考えています」(近藤さん)20年後といえば、いま50代の人が年金生活に入るタイミングと重なる。仮に積立金が枯渇した場合、私たちの年金受給額はどれほど減額されるのか--。’19年に厚生労働省が年金の未来予想をした「財政検証」を発表して以来、本誌でもたびたび警鐘を鳴らしてきた経済評論家の平野和之さんが言う。「財政検証では、厚生年金に40年間加入した、平均月収35万7,000円の会社員夫と専業主婦がモデル世帯となっています。将来、モデル世帯の夫婦が平均月収に対し、いくら年金を受給できるのか、その割合が『所得代替率』です」現在、所得代替率は61.7%。月収35万7,000円の夫婦であれば、2人の年金受給額は約22万円だ。「現状の所得代替率を維持することは困難だと予想されており、積立金が枯渇した“最悪のシナリオ”では、将来的には所得代替率が36~38%になると算出されています。現在のモデル世帯で所得代替率が36%だとすると、年金受給額は月12万8,000円ほど。じつに9万円以上も減額される計算。最悪のシナリオとはいえ、財政検証はもともとコロナや自然災害などが考慮されておらず、想定が甘いため、現実味のあるシナリオだと思います」株価低迷が続くなか、岸田政権から明るい兆しをもたらすような施策やメッセージは届いてこない。今後、年金受給開始年齢の引き上げ、さらなる減額が予想されるなか、私たちは老後を安心して迎えられるのだろうかーー。
2022年03月10日株式会社文藝春秋コミック編集部は、マンガ『拾われた男』(原作・松尾諭、漫画・勝田文)を1月25日(火)より文春オンラインで連載開始いたします。本作は、俳優・松尾諭さんの自伝風エッセイを『風太郎不戦日記』『マリーマリーマリー』などを手がける漫画家の勝田文さんによってコミカライズしたものです。■ あらすじ俳優を志して上京した兵庫県尼崎生まれのマツオ(24)。自動販売機の下に落ちていた1枚の航空券を拾ったことから、彼の環境はめまぐるしく変わり始めーー。借金あり、貯金なし。崖っぷち俳優(志望)の行先は? 俳優・松尾諭さんによる自伝風エッセイが待望のコミカライズ。第1話は1月25日(火)に公開。毎月第2・4火曜日に更新します。第1話を読むにはこちらから: ■ 松尾諭さん、勝田文さんからのコメント松尾諭さんマンガ化の話をいただいた時は驚きました…いや、実は薄らと期待はしていたのです。でちょうどその頃『風太郎不戦日記』を読んでいて、勝田文先生に描いていただけたら最高だなと、ダメ元でお願いしてもらったところ、まさかのご快諾!しかも出来上がりが期待の斜め上を行く面白さで、僕自身一刻も早く続きが読みたいです。勝田文さん原作の軽妙な雰囲気をそのままマンガにできたら嬉しいです!■ 2022年初夏に「ディズニープラス」で実写ドラマを配信開始『拾われた男』は2022年初夏、実写ドラマ化します。監督は井上剛さん。主演に仲野太賀さん、他にも伊藤沙莉さん、草彅剛さんの出演が決まっています。■ 原作エッセイも好評発売中原作単行本は紙・電子書籍で好評発売中です。商品URL(単行本): 商品URL(電子書籍): 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年01月25日12月6日、岸田文雄首相(64)が、現在住んでいる東京都・赤坂の衆院議員宿舎から、11日にも首相公邸に引っ越すことが明らかになった。首相が公邸に入居するのは、民主党政権の野田佳彦首相以来、およそ9年ぶりとなる。「安倍晋三元首相は都内の自宅から、菅義偉前首相は、議員宿舎から首相官邸に通勤していました。野党は長らくこの通勤スタイルを『緊急時に対応できない』と批判し続けてきました」(全国紙政治部デスク)岸田首相が就任したばかりの10月7日午後、千葉県北西部を震源とする最大震度5強の地震が発生。真夜中の揺れに、首都圏の住民は恐れおののいたが――。「このとき、首相は発生から11分後に自身のツイッターで政府の速報を引用し、国民に呼びかけました。この直後に官邸に入ったのは、発生から35分後。ただ、菅前首相と比べると『官邸入りが15分遅い』と報じられたりもしました。菅前首相は官房長官時代から危機管理にあたっていた経験があったからか、緊急時の動きが非常にスピーディーでした。官房長官時代に、走って危機管理室に向かう菅氏を、若い番記者が追いかけてもまったく追いつけなかったという逸話もあるくらいで、首相になってからも健康管理や緊急時対応に気を配っていました。かたや岸田首相は、衆院選の公示日に北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際、遊説で東京を離れていて、しかも松野博一官房長官も遊説に出かけていたということが『危機管理対応に隙があったのでは』と批判を浴びました。そうしたこともあったために、岸田首相は公邸への引っ越しを考えていたそうで、“危機管理対応を重視している”という姿勢を改めてアピールする狙いがあるのでしょう」(官邸担当記者)現在の公邸は2005年に改修を施されている。もともと、1929年に首相官邸として建設された建物だったが、この改修で茶室や和室のダイニングなど外国からの賓客をもてなす部屋が新たに作られ、燃料電池による発電・熱供給システムなどの設備が導入された。しかし、この公邸には“幽霊が出る”として、永田町でまことしやかに囁かれてきた。「森喜朗さんが総理だったとき、『寝入りばなに足音がして目が覚めて、寝室のドアを開けたら音が遠ざかっていった』という体験をしたそうです。あと、鳩山由紀夫さんの奥さんの幸さんは、実際に『幽霊を見た』とか……。“公邸の幽霊”については、ずいぶん昔から話題にこと欠きません。小泉純一郎さんは『幽霊に出会ったことはない、一度会ってみたかったけど』なんて冗談を飛ばしていましたし、入居しなかった安倍さんは、『幽霊が出るから嫌なんです、一緒に住んでくださいよ』と会食相手に話していたそうです。2013年に、野党が『幽霊が出るとの噂があるが事実か。安倍首相が公邸に引っ越さないのはそのためか』と政府に対して質問主意書を出し、安倍政権は幽霊の噂について、閣議決定をしたうえで『承知していない』と回答しました。その後の記者会見で、官房長官だった菅さんは“幽霊の気配を感じたことはあるか”と問われて、『言われてみればそうかな……』と笑っていました。かつては『五・一五事件』や『二・二六事件』の現場として、血が流れたこともある古い建物で、銃撃を受けた痕も残っていたほどです。不気味さを感じてしまうのは無理もないのかもしれません」(自民党ベテラン秘書)だが、そんな“いわくつき”の公邸にわざわざ岸田首相が入居するのには、危機管理上望ましいということのほかにも理由があるというのだ。■そもそも議員宿舎に入居資格がなかった“疑惑”が11月29日、岸田内閣閣僚の保有資産が公開された。首相の資産は2億868万円だったが、その内訳を巡って、波紋が広がった。「岸田首相は、東京都渋谷区、静岡県伊東市、広島市内に土地や建物を合わせて1億7595万円に上る不動産を所有し、定期預金は1千万円と申告しています。妻の裕子さんは、広島県三次市の不動産2273万円と乗用車1台となっています。一部のメディアから問題視されているのは、渋谷区のマンションの存在です。東京23区内に自宅がある場合、議員宿舎に入居できないと議院運営委員会が定められているためです。規則違反を追及されないように公邸への引っ越しを進めたのではないか、という指摘もあるのです」(与党担当記者)この渋谷区内のマンションは、首相が外相を務めていた2013年5月にも問題視されていた。岸田首相が保有している物件は、原宿駅からほど近い閑静な住宅地の6階建てマンションの一室。その広さは、約92平方メートルもある。「2013年5月27日付の『読売新聞』夕刊で、『23区に住居なら都心宿舎ダメ24議員入居規制骨抜き』と報じられています。読売の取材に、岸田事務所は『相続した共有不動産で母親が住んでいる。赤坂の議員宿舎には所定の手続きを経て入居している』と回答しています。議運が定めている『入居基準』には、『都内住居に家族が住んでいて議員本人が住めない』といった理由で、議員宿舎への入居が認められるケースがあります。ただ、議員たちが都心の一等地に、3LDKで月額10万円台という相場よりも低い家賃で住めることは、昔から“好待遇すぎる”と指摘する声は根強いものがあります。しかも、『日刊ゲンダイ』は11月26日に、岸田首相の母親は昨年5月に亡くなっていて、現在『母親が住んでいる』という理由は通じないと報じています。同紙の取材に岸田事務所は、『入居許可を得て居住しています』と回答しただけでした」(前出・全国紙政治部デスク)ウェブ上にも、こうした“疑惑”に首を傾げる声が上がっていた。《都内に億ションをお持ちと、報道されていましたからね。遅かったけど》《本来なら岸田総理は赤坂議員宿舎には入居資格はなかったはず。野党からの追求を交わす狙いかな》ある自民党関係者もこう話す。「一部では“分譲価格は1億円以上”と報じられています。タイミングが悪いことに、いま月額100万円の文書通信交通滞在費についての法改正が議論されている最中です。総理は公邸に引っ越してしまうとはいえ、“億ション”を所有しながら“特権”を甘受していたという批判は免れません。説明責任を果たさなければ、来年の参院選にも悪影響が出かねません」新居で引っ越しの荷解きをしながら、岸田首相は旧居について説明を求められるのか――。
2021年12月10日“公的価格の抜本的見直し”を掲げていた岸田文雄首相(64)。しかし実際に閣議決定されたのは“雀の涙”ほどの賃上げで、「期待はずれ」などと怒りの声があがっている。政府は19日、保育職・介護職は平均で月9,000円、看護職は平均で月4,000円の賃金の引き上げを決定した。来年2月から実施される。看護師については、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関の看護職員に対象が絞られる。また、将来的には収入の3%程度の賃上げを目指しているとはいうが、財源に令和3年度補正予算を充てる来年2月から9月までは、収入の1%程度(月4,000円)の賃上げにすぎない。来年10月以降の措置は今後検討されるという。このわずかばかりの賃上げに、Twitter上では不満の声が続出している。《コロナ禍でこれだけ世のために貢献してくれた看護師にたった4000円の値上げしかしない岸田政権!?こんなのが経済対策!?国会議員は1日でも100万円貰えるのに国民はどーでもいいのか!?》《岸田政権の言っていた所得倍増とはこういうことですか??与野党でまともに働いていない議員の給与を全額看護師や保育士、介護士に回してもバチは当たりませんよ。》自民党総裁選で勝利した際の記者会見でも、「看護師、介護士、保育士の方々の給料は、仕事の大変さに比べて低いのではないかという指摘がある」と言及していた岸田首相。9月末に都内の特別養護老人ホームを訪れたときには、「処遇を改善してほしい」と訴える介護士の声に、「介護士や看護師などの処遇の水準は国が決めるので、思い切って引き上げ、社会全体の給与を上げる仕掛けを考えている」と寄り添う姿勢を見せていた。そうしたことから看護、保育、介護に携わる人々の所得向上が期待されていたが、岸田首相の「聞く力」は果たして発揮されているのだろうか。
2021年11月24日“選挙の顔になり得ない”と辞職に追い込まれた菅義偉前総理に代わり、捲土重来で新総理の座についた岸田文雄氏。所信表明演説での力強い話ぶりは、今月行われる衆議院選挙の自民党勝利をいくらか手繰り寄せたようにも感じられた。しかし、自民党の中では国民的知名度の高い河野太郎氏、小泉進次郎氏、石破茂氏といった面々のいない新閣僚の顔ぶれは、あまりに心許ない。今回本誌では、女性読者に対して岸田内閣の大臣に関するアンケートを実施。(10月8日~10月11日)。その知名度と期待する政策について聞いてみた。【岸田内閣の大臣の名前を見て、顔が思い浮かぶ議員はだれ?】という質問で、総理以上に票を集めたのが、内閣府特命担当大臣(地方創生少子化対策男女共同参画)の野田聖子氏。実に74%もの読者が「顔が浮かぶ」と答えた。続いては岸田文雄内閣総理大臣。総理としては残念な第2位という成績で、67%の読者が顔と名前が一致すると答えた。第3位は意外にも萩生田光一経済産業大臣。岸田総理と大差のない59%となった。その後は、岸信夫防衛大臣(39%)、茂木敏充外務大臣(33%)、牧島かれんデジタル大臣(31%)と続く。しかし内閣が発足したばかりとは言え、認知度50%を超える大臣が3人しかいないというのは、寂しすぎる結果ではないだろうか。岸田内閣に政策で期待することとしては、「消費税減税」「コロナ対策の現金給付」「申し込んだ人だけが恩恵を受けられるような対策ではなく、国民全員平等に受けられる対策を打ち出してほしい」といった、新型コロナで打撃を受けた人たちからの給付に関するコメントが多く寄せられた。“選挙の顔”を立てるために行われたはずだった自民党総裁選だが、結果誕生した岸田内閣は、安倍内閣、菅内閣と比べてもまるで“顔なし”。有権者にとっては、ますます誰を選べばいいのかわからなくなった!?【岸田内閣の大臣の名前を見て、顔が思い浮かぶ議員全員をチェックしてください】1位:野田聖子内閣府特命担当大臣(74%)2位:岸田文雄総理大臣(7%)3位:萩生田光一経済産業大臣(59%)4位:岸信夫防衛大臣(39%)5位:茂木敏充外務大臣(33%)6位:牧島かれんデジタル大臣(31%)7位:堀内詔子東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当(19%)8位:鈴木俊一財務大臣(17%)9位:松野博一官房長官(11%)10位:西銘恒三郎復興大臣(7%)
2021年10月18日「今回の新内閣を幕の内弁当にたとえると、岸田首相が掲げた『老壮青』のバランスを取って、うまく盛り付けたように見えます。ところが、肝心の中身と味はどうかというと、そのおかずは何?というものがたくさんあって、しかも薄味(笑)。そんなイメージです」こう語るのは、政治情勢に詳しい共同通信の編集委員兼論説委員の久江雅彦さん。岸田内閣では、初入閣が20人中13人と、6割超を占めた。最年長は77歳、最年少が44歳。女性は3人だけだが、中堅、若手議員を多く登用したことで、見た目だけはたしかに「老壮青」のバランスが取れているようにも思える。だが、安倍元首相の実弟・岸信夫防衛相が留任したほか、麻生太郎副総裁の義弟・鈴木俊一財務・金融相が、義兄と入れ代わりで就任するなど、相変わらず世襲議員が内閣のほぼ半数を占めている。さらに、“顔と名前が一致しない小粒が多すぎる”といった声も少なくない。「組閣では、各派閥から順送りの名簿が作られて、基本的にそこから閣僚を選んでいきます。つまり、すべての閣僚を適材適所で選んでいるわけではありません。今回はとくに目玉もいなかったことから、“こんな人いたんだ”と、口にする与野党関係者が何人もいました。なかには、“出がらし内閣”“あなた誰?内閣”と言っている人も(笑)」(政治部記者)この閣僚の人事の裏では、3Aと呼ばれる安倍晋三元首相、麻生太郎副総裁、甘利明幹事長の意向が大きく働いているとされる。内閣発足直後、報道各社が行った世論調査では、岸田内閣の支持率はいずれも50%前後。歴代内閣と比べると、発足時としては低水準のスタートとなった。「その理由は、岸田内閣は安倍氏、麻生氏の操り人形という印象が強いこと。さらに、政治とカネの問題を引きずっている甘利氏が、党の幹事長に就いたことが支持率に大きく影響したのだと思います。岸田首相は、“生まれ変わった自民党をしっかり国民に示す”と力強く言いましたが、国民の目には、“何も変わってない”と、映ったのでしょう」(自民党関係者)さらに前出・久江さんは、新しく任命された閣僚にも問題があると指摘する。「たとえば、ワクチン担当大臣になった堀内詔子氏。彼女は任命直後のインタビューで、“浅学非才の身ですので大変驚いた”と言ったんです。国民はこの発言にドン引きしたのではないでしょうか。ワクチン担当大臣は、今のコロナ有事の中で重要な一角を担うポストです。これから勉強します的な人物が、そのトップに立つわけですから、国民は安心できる内閣とは、とても思えないでしょう」ワクチン未接種者の存在、ブースター接種の実施、そして第6波の感染拡大が懸念されているなか、新内閣はコロナ関連の3つのポスト(厚生労働、経済再生、ワクチン)のトップを総入れ替えした。本来であれば、どういう理由でトップを代えるのか。岸田首相が国民にしっかり説明しなければいけないはずだが……。「今はコロナ有事です。各派閥のバランスにこだわって、人事を決めている場合ではなかったはず。もっと国民に対して安心、納得できる人物を閣僚に選ぶべきだった、そう思います」(久江さん)そんな国民の不安をよそに、3Aの1人、安倍元首相は今回の閣僚・党役員人事には、不満を漏らしていると言われている。「安倍氏は党内への影響力維持を狙う目的で、内閣の要である官房長官に萩生田光一氏、党の幹事長には高市早苗氏を置きたかった。ところが、岸田首相はそうしなかった。あまりにも安倍カラーが強いと、森友、加計学園の問題や、『桜を見る会』をめぐる疑惑が、今後の政権運営に支障をきたす可能性が出てくる。だからできるだけ安倍カラーを排除したかったのでしょう」(政治部デスク)しかし、そのもくろみむなしく支持率は低調なスタートになった。岸田“出がらし”内閣の船出は前途多難?
2021年10月14日岸田新内閣では、初入閣が20人中13人と、6割超を占めた。最年長は77歳、最年少が44歳。女性は3人だけだが、中堅、若手議員を多く登用したことで、見た目だけは「老壮青」のバランスが取れているようにも思える。だが、安倍元首相の実弟・岸信夫防衛相が留任したほか、麻生太郎副総裁の義弟・鈴木俊一財務・金融相が、義兄と入れ代わりで就任するなど、相変わらず世襲議員が内閣のほぼ半数を占めている。さらに、“顔と名前が一致しない小粒が多すぎる”といった声も少なくない。そこで、本誌は取材をもとに、岸田首相を含む新閣僚21人のプロフィールを紹介。【総理】岸田文雄(64)/衆院広島1区、当選9回あだ名は“キッシー”。人柄は温厚でマジメで、政界きっての酒豪として有名だが、発信力不足との指摘も。外相を4年半務めた。【総務】金子恭之(60)※初/衆院熊本4区、当選7回無所属を経て自民党入り、当選7回で初入閣の苦労人。水俣病やハンセン病などの問題に取り組んできた。趣味はウオーキング。【財務・金融】鈴木俊一(68)/衆院岩手2区、当選9回父は鈴木善幸元首相、義兄は麻生前財務相という政界のサラブレッド。温和な人柄で趣味は料理。エプロン姿を披露したことも。【外務】茂木敏充(66)/衆院栃木5区、当選9回英語が堪能。趣味は海外ドラマの観賞で、ワインに詳しい。“タフネゴシエーター”として、安倍政権で経産相などを歴任。【法務】古川禎久(56)※初/衆院宮崎3区、当選6回東大法学部卒。代議士になる前、焼き鳥店を営んでいた。郵政民営化に反対し、自民党を一時離党。総裁選では河野候補を応援。【文部科学】末松信介(65)※初/参院兵庫、当選3回座右の銘は「あるがまま」。兵庫県議を20年務め、国政に進出。参議院のバリアフリー化を議員運営委員長として推進した。【厚生労働】後藤茂之(65)※初/衆院長野4区、当選6回大蔵省出身。ニューヨークに留学中、メトロポリタンオペラに80回近く通ったという。民主党から初当選するも離党し、自民党に。【農林水産】金子原二郎(77)※初/参院長崎、当選2回(衆院当選5回)長崎県議→衆院議員→長崎県知事→参院議員と、46年の長いキャリアを持つ。好きな女優は栗原小巻。父の岩三氏も元農水相。【経済産業】萩生田光一(58)/衆院東京24区、当選5回八王子市議、東京都議を経て衆院議員となった「たたきあげ」。安倍元首相の側近で、加計学園の問題では “キーマン”といわれる。【国土交通】斉藤鉄夫(69)/衆院比例中国ブロック、当選9回名前のごとく、自他ともに認める大の鉄道マニア。愛読書は時刻表。自民党と連立を組む公明党からの入閣で、元環境相。【環境】山口 壯(67)※初/衆院兵庫12区、当選6回元外交官。民主党の期待の若手だった。野田政権では外務副大臣などを務めたが、野党転落後に離党。自民党に。二階氏の側近。【防衛】岸 信夫(62)/衆院山口2区、当選3回(参院当選2回)安倍元首相の実弟。実父は安倍晋太郎元外相、祖父は岸信介元首相、大叔父は佐藤栄作元首相。母方の伯父に養子入りし岸姓に。【官房・拉致問題】松野博一(59)/衆院千葉3区、当選7回松下政経塾出身。酒豪で交友関係が広く、永田町では“いちばん人柄のいい政治家”という評判も。これまでに文科相などを歴任。【復興・沖縄・北方】西銘恒三郎(67)※初/衆院沖縄4区、当選5回父親は元沖縄県知事。県議を経て’03年に初当選。初入閣を果たしたが、“ガールズスナック”への政治活動費の支出が報じられた。【国家公安】二之湯智(77)※初/参院京都、当選3回京都市議を17年務め、全国市議会議長会の会長も経験。’04年に参院議員に。来年に“引退”予定で、“思い出作り入閣”と指摘も。【少子化・地方創生】野田聖子(61)/衆院岐阜1区、当選9回今回の総裁選では岸田首相と戦う。森友問題の再調査にも言及し、3Aとの距離も見せた。「夫は元暴力団員」との報道が出た。【経済再生】山際大志郎(53)※初/衆院神奈川18区、当選5回獣医師。東大大学院時代にクジラを研究。捕鯨問題についての著書も。自民党神奈川県連の公募を経て政界入り。甘利氏に近い。【デジタル・行政改革】牧島かれん(44)※初/衆院神奈川17区、当選3回わな猟の狩猟免許を持つ。河野洋平元衆院議長の選挙区を引き継ぎ、’12年に初当選。NTTから豪華接待を受けていたことが発覚。【経済安全保障】小林鷹之(46)※初/衆院千葉2区、当選3回身長186センチ。岸田首相の母校・開成高校を卒業し、東大を経て、大蔵省に。甘利氏の右腕といわれる。趣味はマラソン。【ワクチン・五輪】堀内詔子(55)※初/衆院山梨2区、当選3回夫は富士急行社長、義父は堀内光雄元通産相。親類に大久保利通や吉田茂などがおり、天皇陛下の“お妃候補”と報じられたことも。【万博・消費者】若宮健嗣(60)※初/衆院東京5区、当選4回セゾングループの代表だった堤清二氏の秘書を6年務め、その後政界入り。外交、安全保障の分野に精通。趣味は森林浴。「組閣では、各派閥から順送りの名簿が作られて、基本的にそこから閣僚を選んでいきます。つまり、すべての閣僚を適材適所で選んでいるわけではありません。今回はとくに目玉もいなかったことから、“こんな人いたんだ”と、口にする与野党関係者が何人もいました。なかには、“出がらし内閣”“あなた誰?内閣”と言っている人も(笑)」(政治部記者)
2021年10月14日先の自民党総裁選で、立候補した4人の筆跡から、いち早く「岸田氏勝利」を自身のブログで事前予想。見事的中させた筆跡仕事人・芳田マサヒロさん。今回は、岸田氏の書いた色紙の筆跡から“首相の器”について診断。まずは、首相に求められる「リーダーシップ力」から。「ポイントは文字の中の横線の上に突き出た縦線の長さ。名前の『雄』が特徴的です。ほとんど上に突き出ていない(写真の(1)参照)。これはカリスマ性のあるリーダーというより、周りの空気を読みながら指揮を執るタイプに多い。さらに押しにも弱く、押しの強い人に押し切られてしまうことも」(芳田さん・以下同)3A(安倍晋三元首相、麻生太郎副総裁、甘利明幹事長)は押しが強そうだが、大丈夫だろうか?次は「コミュニケーション力」。これもリーダーに必要不可欠だ。「漢字のへんとつくりの間の広さから、周りの意見やアドバイスを受け入れる“聞く耳”を診断できます。『縫』、『雄』のへんとつくりの間は、ビッチリ閉まっていて、見るからに極狭です(写真の(2)参照)。こういう字を書く人は、話を聞くといいながら、実は話半分で聞いているタイプに多い。コミュニケーション力はあまり高くないかも」岸田首相の特技は「人の話をしっかり聞くこと」だったはずだが……。最後は一国の首相としての「責任感」。「責任感の強さは、はねの強さで見ます。『衣』のはねの強さはハンパなく、責任感に関しては申し分ない(写真の(3)参照)。粘り強さや忍耐強さがありますが、あきらめの悪さも兼ね備えている。一人で背負いすぎてしまうところがあるので、ストレスを抱え込むことも。その他、気になる特徴としては『天』『衣』『無』『文』など、文字の横線の右上がり度が強いことです(写真の(4)参照)。これは慣習や伝統を重んじるタイプで、組織主義的で保守性が強い。機転がきかない」責任感はあるが、リーダーシップ、コミュニケーション力にやや難あり。はたして岸田内閣の運命はいかに!
2021年10月14日9月29日の自民党総裁選を勝ち抜き、岸田文雄新総裁(64)が誕生した。10月4日の国会での首相指名選挙を経て、第100代の首相に選出される。岸田氏は、総裁選への出馬を表明してから、総裁を除く自民党役員の任期を「1期1年、連続3期まで」とする党改革案を掲げ、中堅・若手を大胆に起用し、権力の集中を避けると主張し、じりじりと世論の支持を高めた。総裁に選出され、壇上にあいさつに立った岸田氏は「私たちは、生まれ変わった自民党をしっかりと国民の皆さんに示し、支持を訴えていかなければなりません」と宣言。直後の記者会見でも、「自民党改革への思いは1ミリたりとも後退していない」と述べた。注目されていたのは、幹事長という選挙活動の指揮や候補者に対する公認権、党財政を管理する重要ポストに誰がつくか。絶大な権力を振るってきた二階俊博氏(82)の後任とあって、党改革を掲げる岸田新総裁にとっては最初の重要な人事だった。だが9月30日、甘利明党税調会長(72)が内定したと報じられるやいなや、SNSやネット上には、岸田氏への失望の声が広がった。《生まれ変わった自民党とやらも結局3A支配か》《自民党を変えると言った翌日にこれか》《幹事長の甘利氏…政治とカネの問題など大丈夫か》《これじゃ変わってないのと一緒だ》《誰が総裁選を勝ち抜いても何も変わらないから期待しない》甘利氏といえば、2016年に「政治とカネ」の問題で経済再生担当相を辞任している。千葉県の建設会社が、都市再生機構(UR)に対する“口利き”を甘利氏側に依頼し、当時の秘書が現金500万円を受領、甘利氏本人も大臣室などで現金100万円を受け取ったという報道が発端だった。「現金を受け取ったその元秘書は、建設会社側に高級車の『レクサスを買って』と“おねだり”していたという疑惑も浮上し、甘利氏も国会でも相当な追及を受けました。甘利氏と秘書は、あっせん利得処罰法違反と政治資金規正法違反の疑いで刑事告発され、一時は東京地検特捜部が捜査に動きましたが、結局不起訴となりました。甘利氏は、疑惑が浮上した後に『睡眠障害』を理由にして国会を1カ月欠席。捜査の終了を待ち構えていたかのように、国会に復帰していました」(政治部記者)10月1日、幹事長就任後の共同記者会見で、甘利氏は改めて自らの関与を否定。「改めて、お騒がせしたことをおわびいたします」とし、「一番の問題は、私が事件に関して事情をまったく知らされていないんです。寝耳に水」と述べ、説明責任は果たしているという認識を示した。■「麻生副総裁」就任にも反発広がる――だが、こうした甘利氏の姿勢に、反発する声が広がっている。《そういう人物を幹事長に起用する意味がわからない》《誰も再調査しない加計問題、森友問題、桜を見る会と同じ》《もう元気に出てきたのならもう一回ちゃんと解明した方が良いのでは?》《あなたが幹事長ポスト?国民の方が寝耳に水だよ》こうした意見がネット上を覆うなか、自民党内からも疑問の声が上がっているという。「甘利さんは経済再生相を辞任表明した時、『しかるべきタイミングで公表する機会を』と述べ、復帰した後に弁護士の“調査”を発表し、『捜査と異なる結論を導く事実は見当たらなかった』と説明しましたが、弁護士の名前を明かしませんでした。選挙に勝つことで“禊は済ませた”という理屈は立つかもしれませんが、大臣室で現金を受け取ったと報じられたのに、これで説明が十分だったとは思えません」(自民党関係者)甘利氏の幹事長就任につづき、麻生太郎副総理兼財務相(81)が副総裁に就任することとなった。これにも多くの批判の声が上がっている。《岸田さん言ってることとやってることが違う》《なんだこの人事は、まったく期待外れの組閣だわ》《この人事ではとても選挙対策にならないでしょ》永田町では、甘利氏と麻生氏に、安倍晋三元首相(59)の3人は「3A」と呼ばれる。「3人は古くから懇意で、第2次安倍政権発足後から甘利氏の辞任までは菅義偉前首相を加えて『3A+S』と呼ばれ、政権を維持するうえで中心となっていました」(官邸関係者)といい、岸田新政権では、再び「3A」の影響力が大きくなっているのだ。■首相側近は“安倍人脈”で固められ――党役員が正式決定した後は、閣僚の人事が注目を集める。なかでも、首相の“右腕”とされる官房長官には、松野博一元文科相(59)が起用されると見られている。この人事の裏には、安倍晋三元首相(67)の陰がちらつく。「当初から、安倍氏が事実上率いる細田派が官房長官ポストを要求していました。官房長官は首相の“右腕”として政権中枢を取り仕切るので、自民党政権では、同じ派閥に所属するなど、首相と近い立場の議員から選ばれることが多いんです。松野氏は安倍元首相が『細田派四天王』と持ち上げたことがある同派の幹部。政権のど真ん中に“安倍カラー”の強い人物を選んだということに、岸田氏が安倍氏に相当配慮していることがよくわかる人事といえます。安倍元首相は総裁選で高市早苗氏を支援していましたが、水面下で岸田さんにも手を回していました。首相だったときの最側近である今井尚哉元首相秘書官兼補佐官(61)に“岸田四本柱”の策定に協力させていたし、“岸田首相”になった際の政策のすり合わせを、岸田・高市両陣営で済ませていました。また、安倍政権で内閣情報官を務めていた北村滋元国家安全保障局長は、岸田氏と同じ開成高校のOB。岸田氏が立候補を表明する前から陣営と接触し、安倍氏と岸田氏のパイプ役を担っていたとも報じられています。その論功行賞とばかりに、官僚組織のトップとなる事務担当の官房副長官への起用される見込みです。いまの杉田和博官房副長官は北村氏と同じ、公安部門を担当してきた警察官僚。北村氏が就任すれば、副長官は二代続けて警察庁出身となり、これは初めてのことです」(全国紙政治部デスク)新政権が発足し、岸田氏の独自性が期待されていたのにも関わらず、強まる“安倍カラー”。野党・立憲民主党の安住淳国対委員長も、「岸田さんの顔をした安倍内閣」と、国会内で記者団に語っている。さらに――。「9月30日午後、安倍事務所に今井元秘書官、佐伯耕三元首相秘書官、長谷川榮一元内閣広報官と、安倍官邸から霞が関を支配した経産省出身の“官邸官僚”が参集。今後の“振り付け”を協議したとみられています。しかも、政務担当の首相秘書官に、嶋田隆元経産事務次官(61)が就任します。嶋田氏は、今井氏の同期入省組。安倍氏や今井氏の“お目付け役”が官邸に送り込まれているようなものです」(与党担当記者)“キングメーカー”安倍元首相の高笑いが聞こえるかのようだ――。
2021年10月02日9月29日に自民党総裁選で勝利し、自民党総裁に就任した岸田文雄氏(64)。10月4日に臨時国会で行われる内閣総理大臣指名選挙を経て、第100代首相に選出される見込みだ。そんな岸田氏だが、早くもインターネット民から“徹底マーク”されているーー。総裁選に勝利した日の夜、岸田氏は自身のTwitterを更新。お好み焼きとソースが映った写真とともに、このように投稿した。《帰宅すると、妻の裕子がお好み焼きを作ってくれていました。インスタライブで私が、「妻の作ってくれるお好み焼きが大好きです」と言っていたからです。いつも最高に美味しいけど、今日は、一生忘れられない美味しさでした。ありがとう》総裁選で勝利した喜びと、妻・裕子(57)さんへの感謝を表した感動的な内容。多数のフォロワーが「当選おめでとうございます」「最高の奥様ですね」といった反応を示していた。だが、一方で“意外な指摘”が入り始めた。「一部のネットユーザーが、ソースのメーカーを特定し始めました。さらには画像を拡大し、ラベル部分に記載されていた賞味期限に注目。“2021.07.03”と書かれていたことを受け、『賞味期限が切れている!』と指摘し始めたのです。ソースの賞味期限が切れるなんて、どこの家庭にもあることです。しかし多くは親近感が湧くという声だったものの、『“お好み焼き大好き”でよく食べていれば、ソースの賞味期限が切れることはない』などと言い出す人も出てきました。またその後もお箸の製造元を特定する人や、使われているお皿が20年以上前の景品であると指摘する人まで……。次々と、特定合戦が繰り広げられました。いずれも、普通に見ているだけではまず気がつきません。それだけ、つぶさに”監視”をしているということでしょう」(ITジャーナリスト)岸田氏といえば、昨年9月にも家Twitterの投稿が話題になっていた。当時の岸田氏は安倍元首相(67)辞任後の総裁選に立候補し、多忙な日々を送っていた。そんななかで夕食が置かれたテーブルに座る岸田氏と、その姿を立って見守る妻・裕子(57)さんの映った画像とともに《夜のテレビ出演の合間に、地元から上京してきてくれた妻が食事を作ってくれました。ありがたいです。#岸田文雄 #自民党総裁選 #束の間のひととき #妻の手料理》と投稿。すると《素敵な夫婦》と好意的な意見が多く寄せられたいっぽうで、《関係が対等ではない》《亭主関白》と意見する人が出てきたのだ。「その後、岸田さんは『私は妻に対してそんなに強い立場にない』とわざわざ釈明することになりました。当時でさえ、それだけ大きな騒動に発展したわけです。ましてや総裁になってからは、さらに一部のネット民からの監視が強まることでしょう。今後は画像を投稿する際にも、細心の注意を払う必要がありそうです」(前出・ITジャーナリスト)
2021年10月02日「再調査をするとか、そういうことを申し上げているものではない」こう発言したのは、自民党の岸田文雄前政調会長(64)。これは6日放送のインターネット番組内で、学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる公文書改ざん問題について語ったもの。菅義偉首相(72)の総裁任期満了に伴い、自民党総裁選への立候補を表明した岸田氏だが、“一貫性のない”態度に批判が集まっている。9月2日に出演した報道番組で森友学園問題の再調査について問われた際、「国民が納得するまで努力をすることは大事だ」と力強く語っていた岸田氏。菅政権では、コロナ対応や、政治とカネ問題に関する「説明不足」が国民の不信感を高めていただけに、説明責任を果たそうとする岸田氏の姿勢には好感を寄せる視聴者が少なくなかった。しかし、その4日後に冒頭のようにまさかの“前言撤回”。岸田氏の一貫しない主張の陰には、安倍晋三元首相(66)が潜んでいるとある全国紙の記者は言う。「岸田氏はもともと優柔不断で、総理としては不適格ではと言われていました。しかし今回の立候補にあたっては、菅首相と真っ向から反対する動きを見せていて、“変わった”と、期待が高まっていた。しかし、再調査発言の2日後に安倍前首相が高市早苗氏(60)を支援する考えを表明します。これは、森友学園問題に踏み込んだ岸田氏に対する“牽制”の側面もあると言われています。結局、安倍氏を敵に回すことはできなかったようです。岸田政権が誕生しても安倍前首相の傀儡政権になる可能性もあります」岸田氏にとっては、国民の声よりも安倍氏の動きの方が重要ということなのか。早速ブレブレの岸田氏に対し、ネット上では呆れの声が相次いでいる。《やはり岸田文雄氏は安倍前首相の傀儡でしかない。》《安倍に擦り寄る岸田。期待できない。》《多少まともに見えてもやっぱり同じ穴のムジナ》《安倍前首相が怒ったから、前言撤回ですか。やっぱりチキンですな。》相変わらずの優柔不断さを見せた岸田氏。安倍氏の支持を取り付けたとして、朝令暮改をする首相に、国民がついていくことはあるだろうか――。
2021年09月07日「初めて会った瞬間、『私、この人と結婚するんじゃないかな』と思ったんです」そう語るのは、岸田文雄政調会長(63)の妻・裕子さん(56)だ。衆議院議員だった父・文武さん(享年65)の跡を継ぎ、広島県広島市を地盤とする岸田政調会長。いっぽう裕子さんの実家は、かつて広島県三次市で造酒業や銀行業を営んでいた旧家。2人の出会いはお見合いだったが、当初から“縁”に恵まれていた。「まず祖母同士が同級生で、友人同士だったのです。主人の祖父や父のこともとても人柄の良い人だと聞いていました。だから、不安はありませんでした」さらに岸田政調会長は、故・宮澤喜一元首相(享年87)と親戚関係にある。父・文武さんの妹が宮澤元首相の弟と結婚していたためだ。実は、ここにも“奇縁”があったという。裕子さんが続ける。「まだ中選挙区制だったころ、私の実家のある所が宮澤喜一元首相の選挙区でした。そのため実家の一角に、元首相の事務所があったんです」結婚後、3人の息子に恵まれた岸田夫妻。夫は、東京で単身赴任生活。その間、裕子さんが地盤を守りながら3児の子育てにも奔走してきたという。「やはり、たいへんでした(笑)。ふだんは父親が家にいない分、厳しく育ててきたつもりです。幼いころはまだ言えばちゃんと理解してくれていましたが、成長するにつれて息子たちも反抗期をむかえますからね。中学や高校になると、だんだん力ではかなわなくなってきます。それでも『ここで引いてはいけない!』と思い、育ててきました」また岸田政調会長といえば、Twitterの投稿が炎上したことでも話題になった。《妻が食事を作ってくれました》として夫婦写真をアップしたところ、“妻を立たせて夫が食事する構図”に批判が殺到したのだ。だが、裕子さんはこう語る。「あの日は夜遅く、主人から『テレビ出演中に、20分だけ時間ができた。家に帰ると何か食べるものがあるか』と連絡がきたんです。ただ私たちはすでに食事を済ませていたので、さっと作って出しただけです。家でマスクをしていたのも、テレビ局のスタッフさんが10人くらいいたためです。ふだんの主人は料理こそしませんが、お風呂掃除などは手際よくやってくれます。忙しい毎日の主人ですが、家では家族への気づかいもしてくれますよ」結婚から32年。これまでどおり夫婦は“あうんの呼吸”で総裁選に臨む――。「女性自身」2020年9月22日号 掲載
2020年09月09日自店をオープンして14年たっても変わらない価値観――白金台時代から14年。自店を営業してきて思うことはありますか?岸田周三(以下、岸田):14年間、店をやりながら、スタッフと話し、反省も重ねどんどん変化してきました。常に試行錯誤し、向上を日々のテーマとしているので、オープン当時よりはるかにいい店になった自信はあります。――オープン当初からの、〝素材〟〝火の入れ方〟〝味付け〟の追求というテーマは変わらないですか。岸田:はい。流行を追いかける人も多いけれど、僕が大切だと思っている価値観は変わらない。外部からインプットしたものでなく、自分の中から湧き出るものを料理していますから。『山羊乳のババロア』開業当時からのスペシャリテ。――『山羊乳のババロア』などのスペシャリテも長く愛されていますね。岸田:あれは、フランスでの修業時代に生まれた料理です。当時、佐藤伸一さん(元【パッサージュ53シェフ)とよくホームパーティをしながら、自店を開店する時のために、いろんな料理の試作をしました。200以上はあったんじゃないかな。。山羊乳とオリーブオイルってあうなと感じていて、さらに乳脂肪と植物性油の組み合わせがいいなと思って。最初は少し違うスタイルでしたが、そこからブラッシュアップをして今の形に落ち着きました。この料理は、塩とオリーブオイルを主役にしたもの。オリーブオイルを搾汁する11月頃に、各社から取り寄せ、試食を繰り返し、ブレンドする三種類のオイルを決めます。自分の味のイメージに近づけるため、オイルの銘柄は決めていません。そしてそこで三種類のブレンドを決めたら、一年間その組み合わせで通す。塩は天日干しのフルール・ド・セルです。ユリ根とマカデミアナッツは食感を作るため。強烈な個性は放たない、縁の下の力持ちになる食材を選んでいます。『山羊乳のババロア』は〝料理に使われる、うちのベースはこれですよ〟という、いわば名刺代わりの料理としてお出ししています。今、振り返っても完成度が高いと思います。――パリでは【アストランス】のパスカル・バルボシェフのもとで働かれました。きっかけはなんですか?岸田:パリに行った時に食べ歩いて衝撃を受けた店が【アストランス】でした。彼の料理は素材を尊重し、ソースの必要性に疑問を呈するような、非常に新しいものでした。クラシックフレンチをやってきた僕にとっては衝撃的で。海外の食材も良いと思えば使う。日本人の僕をスーシェフにしてくれたのにも驚きました。〝おいしさ至上主義〟で、偏見が一切ない柔軟な人でした。スーシェフになった時に、パスカルさんに恩返しがしたい、とその年の「ゴ・エ・ミヨ」で絶対に最高点をプレゼントしたいと思ったんです。チームみんなで一致団結して、19点(満点)を取ったときは嬉しかったですね。同じ年に、ミシュランでも一つ星から二つ星になりました。2005年、パリで【アストランス】スーシェフになった年に「ゴ・エ・ミヨ」で満点を獲得その時フランスで購入した本は、今でも大切に手元に置いてある――パスカルさんとの出会いは大きいものだったんですね。岸田:はい。特別なものです。当時、彼のような素材を重視し、素材へのアプローチを積み重ねながら料理をしていくシェフはほとんどいませんでした。固定概念を崩し、フランス料理はこんなに自由なんだと教えてくれました。〝おいしいさ至上主義〟の彼に感銘を受けました。おいしくなければ、皿の上で語る哲学や、技術さえも意味がない。たとえば熱いものは熱く、冷たいものは冷たく提供し、卓上で漂う料理の香りについては非常に大切にしていることの一つです。僕の料理は、写真映えはしませんが、食べた人にしかわからない”何か違う”と感じるおいしさを伝えられたらと思っています。――先ほど、ミシュランのお話が出ましたが、【カンテサンス】は現在、14年連続ミシュラン三つ星です。星の維持は意識しますか?岸田:そこまで強くは意識していません。評価を追いかけるとおかしな方向に行ってしまいます。日々の生活を崩してしまうことはしないです。――でも、フランス料理人にとってミシュランは特別なものでは?岸田:そうですね。料理人を目指した頃から憧れていたものではあります。フランスから認められているということは非常に大事。自店をやるからには、三つ星という価値のある店をつくりたいとは思っていました。世界に誇れる店をつくりたい。それは最初から思っていたことです。『ホワイトアスパラガスのグラチネ』。ゆでずに焼いて味と香りをしっかり残す。未来に向けてできることを料理人として考えて実行する――ミシュランといえば、去年はドラマ『グランメゾン東京』の料理監修もされましたね。岸田:あれはお話をいただいたときに、すぐにお受けしたわけではなかったんです。「どうしても、岸田さんに監修をしていただかないと駄目なんです」と話してくださったプロデューサーの真剣な思いに心を動かされ、また、料理界のお役に立てられればと思い、一旦は承諾しました。けれど、いざ第一話の台本をいただいた時に想像以上に大変なことが判明して。これは営業に支障が出てしまうと「申し訳ないですが、やはり受けられない」と断ったんです。――え!?そうなんですか?岸田:はい。でも、プロデューサーの方が、〝こうしてくれないとできない〟と言ったことをすべてクリアし、再度依頼に来てくれた。この調整は、大勢の人を動かさなければならず、簡単なことではないものでした。けれどそれをやってのけた。そこに、彼のプロとしての仕事を見た気がしました。この人の仕事を間近で見てみたい。自分もきっと何か学びがあるのではと思い直し、継続してお引き受けしました。この仕事で、ドラマの撮影がこんなに多くの人が関わり、時間と情熱をかけてつくっているんだ、ということを知りましたね。もうドラマを見るときは、正座してテレビに向かうような気持ちで見ています。『石鯛のロースト』。大きな塊で焼き、中をほんのりレアに仕上げて切り分ける魚料理はスペシャリテの一つ。――劇中の、鈴木京香さんが演じる早見倫子シェフの店、【グランメゾン東京】の料理を岸田さんが考案したんですよね。岸田:そうですね。台本の大まかな流れにあわせ、旬の食材を、マニアックすぎず、オリジナリティある料理にしました。脚本は大まかなところしか決まっていないんです。第一話の、倫子さんが、木村拓哉さん演じる尾花夏樹の料理を食べるシーンありましたよね。制作サイドからは”カフェのような簡単な調理場でさっとできる料理”とだけ伝えられます。そこで、料理を考えるのが僕の仕事です。このシーンでは複雑ではないけれど、この一皿で倫子さんが尾花さんの料理に心を動かされるようなものでなければならない。色々考えて、料理方法は食材の持つ水分で軽く蒸すように火を通す”エチュべ”にしました。フライパンひとつでできますから。それから、例えば10話の「リードヴォーとクスクスのサラダ」。山から戻ってくる途中、アクシデントがあって食材が店に時間どうり到着しない。それで料理ができないわけですが、ライバルが食材を分けてくれて、危機を乗り越える……という流れは決まっています。けれど、その食材をどういうものにして、どんな料理にして、というのは決まっていません。ですから、”マタギの人がとってくる食材だから、山のもの。しかも冬に採れるものと考えると、セリにしよう”となるわけです。そこで、じゃあ、その素晴らしいセリをどういう調理しようか。そのようにして、ドラマの内容から食材が決まり、組み立てながら料理を生み出しました。――放映のたびに、料理が話題になりましたね。見ていても、知っている食材だけれど、この料理はどんな味がするのだろう?と想像も楽しく、臨場感があり、食べたくなりました。岸田:一度登場した食材、調理法は重ねて使えないので、後半にメニューを一新します、と言われた時には大変でした。過去のレシピもひっくり返して、全力で考えました。2ヶ月に1回はメニューを変更する。スペシャリテの2品を残して、基本的に他は一新料理は岸田シェフが仕上げてゲストへ――最後、尾花夏樹がマグロの料理を悩んで、悩んで、悩んで完成させていたシーンが思い浮かびます。岸田:僕も、尾花夏樹さん以上に悩みましたよ(笑)。実は、あのマグロの料理には裏話があるんです。僕の中で、マグロをいかに料理にするか、というのはずっと取り組んでいた課題だったんです。マグロというのはフランス料理では難しい、いわば禁断の食材。10年前、NHKの「プロフェッショナル」という番組で、このマグロの料理にチャレンジをしているところを取材されたことがありました。ところが4ヶ月間の密着取材期間中に、思いつく限りのアイデアに納得することができずに、料理は完成しなかったんです。当時のプロデューサーさんに「どうしても、これ以上アイデアが出ないです。撮影期間中に料理ができなくてすみません」と謝リました。ドキュメンタリーだから、結局”できない”という結果が真実で、そのままの放送となりました。その「プロフェッショナル」を見て、マグロ料理が完成しなかったことを覚えていてくれた今回のドラマのプロデューサーの方が、”10年たって、あの時の答えが料理できたらいいですね。マグロでいきましょう!”と言ってくださったんです。僕にとって、マグロというのは相変わらず難しい食材で、未だ自分のお店でも出していません。マグロの最大の問題点「加熱すると良さが出ない」ということをいかにクリアし、納得のいくものをどう作るか。本当にギリギリまで悩みました。結局納得がいくか、というと自分の中では100%イエスとは言い切れない部分もあります。けれど、今、マグロを代表する海洋資源の問題にも視聴者の方に知っていただきたくて、そうしたことも含めて”マグロ”という食材をあえて出しました――岸田さんは『Chefs for the Blue』の理事として海洋資源の問題にも取り組んでいらっしゃいます。ドラマでそうしたことに触れるシーンがあって、視聴者の方に現状を伝えるいい機会になったのではないでしょうか。岸田:海洋資源は今、本当に危機的な状況です。太平洋黒マグロが乱獲されていなくなってしまった。ドラマでもマグロの状況を説明するシーンを加えていただきました。自分が表に立って話す機会がある場所ではできるだけその問題についてお話ししています。白紙のメニューは ”すべておまかせください“というメッセージ。――あのドラマで、料理人になりたいと思う若い方が増えたのでは?岸田:料理人に光が当たるというのも引き受けた理由の一つでした。実は料理人志望者の減少には前から危機感を覚えていました。労働時間が長い料理人は、他の業種と比べると優秀な人の確保が難しい。そんな時代がまさに来ていると思っています。――レストランの働き方改革。みなさん悩まれている部分だと思います。去年、【カンテサンス】は営業時間を変更しましたね。岸田:ランチとディナーをやっていた時、僕の労働時間は一日16時間でした。自分のことを考えても、この働き方をいつまでやるのかと疑問も感じていた。従業員の給料を払うには、一日にお迎えするゲストの数は減らせない。そこで、17時からと20時半からの1.5回転にし、労働時間を減らして売り上げとのバランスをとりました。ビジネスシーンでの利用などを考えると、悩みましたが結果うまくシフトできたと思います。―― 何が起こるかわからない時代。残るために必要はことは何でしょう。岸田:今、できることをやりぬくこと。やっていることの目的を忘れないこと。それは、どんな仕事においても言えることではないでしょうか。BGMは客のさざめき。ゆったりと間隔を取った店内は、肩ひじ張らずにくつろげる編集後記予約が取れないレストランになって長くたった今も岸田氏は自身の熱量を内に秘め、何かを声高に語ることはない。自分がいいと思うものを信じ、考え、つくって、誰よりも深く積み重ねて生まれる純度の高いダイヤモンドのような料理が、唯一無二の輝きを放ち、自然と人々を魅了し続けているのだと感じた。どんな時代もブレずに鍛錬して信念を貫く。その姿勢は、こうした不安定な時代にこそ必要なのではと感じた。Quintessence(カンテサンス)【エリア】品川【ジャンル】フレンチ【ランチ平均予算】10000円【ディナー平均予算】30000円【アクセス】品川駅 徒歩13分
2020年06月23日NHK Eテレ『みいつけた!』のエンディングテーマとして、岸田繁(くるり)が書き下ろした楽曲「ドンじゅらりん」のセルフカバーが、6月3日(水)より配信されることが分かった。「ドンじゅらりん」は、3月9日より放送されている番組『みいつけた!』のエンディングテーマ。幼児向け番組の楽曲を初めて手がけたという岸田が、“恐竜”をモチーフに、子どもの想像力が膨らんだ楽しい世界を表現している。同番組では、メインキャラクターのスイちゃんが歌詞を歌い、同じくキャラクターのコッシーとともに岸田がコーラスを担当しているが、今回配信されるのは、そのセルフカバー。岸田は、「朝の楽しみ『みいつけた!』に、こういった形で関わることができて幸せです。楽しく作ることができました。子どもたちのワクワク、ドキドキのこと……時間の感じ方、身近な存在のこと、知り得ぬ存在のことを、ひとつの世界の中で表現してみました。みんなで歌ってみてください!」とコメントしている。岸田繁「ドンじゅらりん」セルフカバー6月3日(水)より配信開始
2020年06月02日俳優として数々の作品で活躍している松尾諭(まつお・さとる)さん。2016年に公開された映画『シン・ゴジラ』や、2020年前期の朝の連続テレビ小説『エール』(NHK)でも注目を集めています。そんな松尾諭さんが出演するドラマや映画、キスシーン、女優・多部未華子(たべ・みかこ)さんとの関係性、さらに『文春オンライン』での連載など、さまざまな情報を紹介します!松尾諭、『シン・ゴジラ』のペットボトルのシーンは台本になかった?松尾諭さんは2016年に公開された映画『シン・ゴジラ』で、保守第一党政調副会長・泉修一役に抜擢。特に、劇中で泉修一が主人公・矢口蘭堂に水のペットボトルを渡しながら「まずは君が落ち着け」といさめるシーンが話題になりました。超プレミアポスターの前で竹野内センパイと。シンゴジラ公開まであと5日! #シンゴジラ pic.twitter.com/BMYwZPN4pc — 松尾 諭 (@matsuo_satoru) July 24, 2016 そんな名シーンについて、松尾諭さんは2016年8月24日に行われた上映会イベント『女性限定鑑賞会議』に出演した時に「このシーンは台本にはなかった」と驚きの告白。台本に「ペットボトルを差し出す」とだけ書いてあったため、悩んだ松尾諭さんは矢口蘭堂の胸に、水のペットボトルをドンと押し付けるアドリブを見せたのだそう。松尾諭のキスシーンはどんな映画? ほかにはどんな映画に出演?松尾諭さんは2009年公開の映画『のんちゃんのり弁』に出演。同作では役者人生初のキスシーンを経験したことを自身のツイッターで報告しています。岸部一徳さんの衣装タグの時につぶやき忘れたんですが、緒方明監督の「のんちゃんのり弁」公開中です。もうすぐ終わっちゃいますけど、僕の役者人生初の、そして恐らく最後のキスシーンが…あんなキレイな人と。— 松尾 諭 (@matsuo_satoru) November 5, 2009 さらに、映画『テルマエ・ロマエ』には、伊丹登役で出演。上戸彩(うえと・あや)さん演じるヒロイン・山越真実のお見合い相手をコミカルに演じています。そんな松尾諭さんがこれまで出演した、主な映画作品はこちらです。松尾諭主な出演映画・『亡国のイージス』・『五億円のじんせい』・『羊の木』・『ミックス。』・『LAST COP THE MOVIE』・『後妻業の女』・『シン・ゴジラ』・『珍遊記』・『進撃の巨人』・『友だちと歩こう』・『謝罪の王様』・『のんちゃんのり弁』・『県庁おもてなし課』・『テルマエ・ロマエ』松尾諭、そっくりな田口浩正と朝ドラ『エール』で間違われる?これまで数々の朝ドラで活躍してきた松尾諭さん。2020年前期の連続テレビ小説『エール』(NHK)にもレギュラー出演し、窪田正孝さん演じる主人公・古山裕一が勤める銀行員の先輩・鈴木廉平役を演じています。同作には、俳優の田口浩正(たぐち・ひろまさ)さんがゲストで登場。すると、2人の容姿が似ていることから、視聴者から「同じ人が2人いる!」「よく似ていますね」といったコメントが寄せられました。こちらが、田口浩正さんです。いよいよカツベン!です‼️周防正行ワールド炸裂です‼️鼓叩いてます。お楽しみ下さい。(田口) #カツベン ! pic.twitter.com/S0zJvhbO7Y — 田口浩正&スタッフ(公式) (@taguchihiromasa) December 13, 2019 松尾諭さんは自身のツイッターを更新し、「今日は一人二役でした(嘘)」とお茶目にツイート。今日は一人二役でした(嘘) #エール — 松尾 諭 (@matsuo_satoru) April 14, 2020 この投稿は、ファンからかなり好評だったようです。松尾諭は『わろてんか』ほか、朝ドラに多く出演!朝ドラ『エール』のほかにも松尾諭さんは、2017年後期放送の連続テレビ小説『わろてんか』(NHK)に川上四郎役で出演していました。同作では広瀬アリスさん演じる秦野リリコの、漫才の相方役を好演。劇中ではアコーディオン演奏で視聴者を圧倒させ、秦野リリコへの恋や上海への移住といった見せ場で、注目を浴びました。松尾諭さんが、これまでに出演した朝ドラ作品はこちらです。・『てっぱん』中岡徹役・『ひよっこ』益子次郎役・『ひよっこ2』益子次郎役・『わろてんか』川上四郎役・『わろてんかスピンオフ「ラブ&マンザイ〜LOVE and MANZAI〜」 第2話「リリコのボディーガード」』川上四郎役・『エール』 鈴木廉平役松尾諭『絶対零度』や『相棒』などでも活躍!松尾諭さんは朝ドラ以外にも数々の作品で存在感を示しており、2020年放送のドラマ『絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜 』(フジテレビ系)では諏訪樹生役として出演。また、ドラマ『相棒』(テレビ朝日系)にもシーズン15から弁護士・連城建彦役で出演しています。さらに2019年に放送されたドラマ『ノーサイド・ゲーム』(TBS系)ではゼネラルマネージャー・鍵原誠役を担当しました。同作では、ラガーマンだった経験を生かし、主人公率いるチームのライバルという役どころで、見事な演技を見せています。 View this post on Instagram A post shared by 松尾諭 (@satoru_matsuo) on Jun 27, 2019 at 4:20am PDT松尾諭は多部未華子とプライベートで友達松尾諭さんは人柄のよさから老若男女に好かれており、女優の多部未華子(たべ・みかこ)さんとも仲がいいことが明らかになっています。2020年4月10日に放送されたバラエティ番組『A-studio』(TBS系)に出演した多部未華子さんは、「プライベートだけでずっと仲よしです」と松尾諭さんとの関係を告白。さらに「よくうちに来ます」と明かし、MCの笑福亭鶴瓶(しょうふくてい・つるべ)さんを驚かせていました。明日よる11時~ #astudio +は #多部未華子 さん☆多部さんがプライベートで仲良しだという先輩俳優 #松尾諭 さんに #藤ヶ谷太輔 さんが極秘取材!!松尾さんとはムチャクチャ仲が良いと主張する #笑福亭鶴瓶 さんに多部さんは「聞いた事ないです」!?☆その場で松尾さんに電話することにしたのですが…!? pic.twitter.com/vXKsjkhhAb — A-Studio+ (Aスタプラス、Aスタジオ) (@a_studio_tbs) April 9, 2020 それだけでなく多部未華子さんは2011年に、松尾諭さんの娘に絵本のプレゼントをしています。2011.3.2多部未華子ちゃんから、遅ればせの出産祝いでうちの娘に絵本のプレゼントいただきました! 松尾 諭 (@matsuo_satoru) March 2, 2011 2人が本当に仲よしであることが伝わってきますね。松尾諭、文春でエッセイを連載!松尾諭さんは役者だけでなくライターとしても活躍しており、2020年5月現在、『文春オンライン』でエッセイ『拾われた男』を連載しています。同作の第1回目は文芸雑誌『文學界』の2017年4月号に掲載され、その多才さが話題に。名バイプレイヤーとしてだけでなく、文学シーンでも才能を見せる松尾諭さん。これからの活躍にも注目です!松尾諭 プロフィール生年月日:1975年12月7日出身地:兵庫県血液型:AB型血液型参考()身長:176.53所属事務所:エフ・エム・ジー役者の道を志して地元・兵庫県から上京し、2000年の映画『忘れられぬ人々』で俳優としてデビュー。その後、映画『亡国のイージス』や『シン・ゴジラ』など多数の話題作に出演している。NHK連続テレビ小説『わろてんか』などの朝ドラ作品の常連でもある。現在は連続テレビ小説『エール』に出演し、存在感ある演技を見せている。[文・構成/grape編集部]
2020年05月26日文学座アトリエの70周年記念公演として、岸田國士作『歳月』『動員挿話』を文学座アトリエの会が2本立てで上演。問題作『ジョー・エッグ』(2018年)を手がけた西本由香と、『いずれおとらぬトトントトン』(2019年)で怪作を世に送り出した所泰がそれぞれ演出し、文学座の創設者のひとりである岸田の作品を現代に甦らせる。『歳月』の舞台となるのは、大正8年、東京・山の手にある浜野家。隠居生活をおくる元知事・浜野計蔵のひとり娘・八州子は、信じる男の子どもを身ごもるが、相手が結婚を拒んでいることから自殺未遂にまで追い込まれる。妹のために兄・計一と弟・紳二は結束し、厳格な父の耳に入る前に最善策を探る。それから7年、さらに10年と歳月は過ぎ……。演出の西本は「岸田國士が、これが私の“戯曲を書くために何かしら云う”最後の作品となった、と記しているのが本作『歳月』です。活動の初期から創作の上で意識的に様々な実験を行ってきた彼にとってひとつの到達点ともいうべきこの作品に、同じだけの実験精神をもって臨みたい」と意気込む。もう1本『動員挿話』の舞台は、明治37年の夏、日露戦争真っ只中の東京。陸軍少佐・宇治の師団に動員令が下り、宇治は馬丁の友吉を連れて行こうと声を掛ける。だが、友吉の妻・数代は断固拒否。宇治夫人・鈴子の説得にも応じず、主従関係の断絶を言い渡されてしまう。まもなく宇治は戦地へ。その時、友吉と数代が選んだ道は……。こちらを演出する所いわく「戦争という狂気に巻き込まれた人たちのおはなし。短編らしいあっと驚く結末。そのボルテージの高さは岸田戯曲の中でも別格だと思います。ただ後味が良くありません。その後味の悪さを、2020年の観客はどう捉えるのでしょうか」。3月17日(火)から29日(日)まで東京・信濃町の文学座アトリエにて上演。なお今公演は、鵜山仁の監修のもと、昨年12月から今年12月まで1年にわたり、さまざまな演出家が岸田戯曲を連続上演する「岸田國士フェスティバル」の一環として行われる。文:伊藤由紀子
2020年03月16日《麗子像》などで知られる岸田劉生の没後90年を記念した大回顧展『岸田劉生展』が開幕。10月20日(日)まで東京ステーションギャラリーで開催された後、山口県立美術館(11月2日〜12月22日)、名古屋市美術館(2020年1月8日〜3月1日)に巡回する。日本の近代美術を代表する画家、岸田劉生(1891〜1929)。没後90年を迎えて開催される同展では、初期から最晩年までの厳選された名品が一堂に会する。監修の山田諭氏(京都市美術館学芸員)によると、「日本の近代美術が常にフランスの近代美術を後追いしていた時代に、劉生はただひとり、自己の価値判断によって、自己の歩む道を選択し、自己の絵画を展開していった」と言う。劉生のほとんどの作品は、画面に残されたサインや日記から制作年月日が明らかになっており、同展ではほぼ制作年代順に作品を展示。そうすることで、劉生がどの時期に、どのような刺激を受けて、自身の画風を意識的に変転していったのか、その歩みを理解できるようになっている。第1章では、独学で水彩画を制作していた劉生が、黒田清輝が主催する研究所で本格的に油彩を学び、雑誌『白樺』からゴッホやゴーギャン、マチスら後期印象派の画家たちから衝撃を受けた時代の作品を紹介する。東京ステーションギャラリー()
2019年09月04日アップサイクルとハンドメイドをコンセプトに掲げるブランド、ビームス クチュール(BEAMS COUTURE)と、ジップロック(Ziploc)によるコラボレーションアイテム全9型が発表。あわせて、女優の永野芽郁が出演するウェブムービーが公開された。 コラボレーションアイテムは、ジップロックのバッグシリーズを用いたトートバッグ(1万1,000円)や、サコッシュ(1,800円)、リュックサック(1万3,000円)、エプロン(1万円)、キャップ(9,000円)、傘(9,200円)、ウエストポーチ(8,800円)、サンバイザー(8,400円)、ポーチ(1,200円)、全9型をラインアップ。ジップロックのバッグが持つ魅力をそのままに、ビームス クチュールのデザイナー・水上路美のユニークなアイディアによって、身につけられるアイテムに生まれ変わった。取り扱いは、8月15日より東京・新宿のビームス ジャパン 1階にて展開されるポップアップショップの他、ビームス 名古屋、ビームス ストリート 梅田、ビームス 広島、ビームス 福岡にて。またビームス公式オンラインショップでは、8月20日より展開される。詳しくは、特設サイト()にてチェック。また永野芽郁と松尾諭が出演する、コラボレーションの世界観を表現したウェブムービーも公開。監督は、サカナクションや星野源などの話題のMVを数多く手掛ける映像ディレクター・関和亮。「BEAMS テレビショッピング」と題し、海外通販番組のMCに扮する永野芽郁と松尾諭の2人が、外国人も顔負けのオーバーリアクションとテンポのよい掛け合いで、ユーモアたっぷりにコラボアイテムを紹介する。さらに、目にすると思わずキュンと胸が苦しくなるような、レトロでセクシーな女の子やカップルをシンプルなラインで描き出す人気イラストレーター・たなかみさきが、同コラボレーションのために5作品を描き下ろし。東京・新宿のビームスジャパンにて原画を展示する他、ビームス公式サイト内「ビームス クチュール」のページでも公開される。【イベント情報】たなかみさき イラスト展示会期:8月15日〜9月11日会場:ビームスジャパン 1F住所:東京都新宿区新宿3-32-6
2018年08月15日NHK連続テレビ小説『ひよっこ』『わろてんか』をはじめ、ドラマに映画に大活躍中の個性派俳優・松尾諭が、草なぎ剛とともに戯曲家エンダ・ウォルシュによる『バリーターク』の舞台に出演。松尾は草なぎ演じる男1と日常生活を送る男2の役で、バリータークという村の話をひたすら語り続け、奇妙な共同生活を送っているという、ある種特異な物語だ。「もともと端のほうでギャーギャー言っているほうが性に合っている」と自己分析する松尾だが、今回は草なぎとのほぼ二人芝居というメインキャスト。数々の映画や朝ドラ効果について「でも、いまきている感はないですね(笑)」と謙遜するが、引く手あまたとなった人気俳優に、今回の舞台ことや今後の活動のことなど、俳優としての今に迫った。○高橋一生から聞いていた白井晃演出――今回の舞台『バリーターク』ですが、最初の感想はいかがでしたか?最初、わけわからんと思いました(笑)。ただ、演出の白井さんとは一度仕事をしてみたいと思っていて、白井さんの舞台に出てみたいともかねてから思っていました。高橋一生君と仲が良くて、彼がよく白井さんの舞台に出ていて。一生君の舞台を観に行くと白井さんの舞台ということが多く、彼からも白井さんのことはよく聞いていて、そういう意味でも楽しみなことが多かったですね。――具体的には?セリフがすごく多かったり、その意味が難解だということも含めて、楽しみだなということが最初の印象ですかね。いろいろな人に出ることを言いたかったけれど、発表するまで待たなくてはいけなかったので、待っている間誰にも言えなかったことがストレスでした(笑)。人に言いたくてしょうがなかったのですが。――今作も難解そうですが、そういうタイプの作品が好みですか?そうですね。以前出たドイツの劇作家の舞台も難解で、デヴィッド・リンチの映画も難解で、そういう作品が好きなんだと思います。答えはないだろうけれど、余白が多いので、そのスキマをこっちで埋めていくという作業が好き。今回もそれに近そうなイメージです。最初、白井さんに会って話を聞いた時に、デヴィッド・ボウイが原作のエンダ・ウォルシュと親交があったと聞いて、デヴィッド・ボウイはリンチの大ファンで作品にも出ているくらいですから、彼が好きだったと思いながら読み進めると入りやすくなった。確かに世界観などが共通していそうで、最初はわけがわからないと思っていた台本が、興味を持って読めるようになりましたね。――高橋一生さんのアドバイスはありましたか?「白井さんは俳優にとってとてもいいよ」と。「すごく好きだし、体育会系だから松尾君と合うと思う」と。その意味がいまいちよくわからなかったのですが(笑)、稽古が始まってわかったんですけど、白井さんは休憩をまったく取らない。一生君なりにオブラートに包みながら言ったことが、体育会という表現だったのかと。先日、野間口徹さんに会った時にも、「白井さんでしょ? 休憩全然取らないでしょ?」と言われて、そういうことかと。でも、白井さんもよく言われるみたいで、気をつけるようにはしていると言っていました。僕ももともと体育会系なので、楽しみながらやっています(笑)。○新鮮な中心人物を演じてみて――以前の会見で「もともと端のほうでギャーギャー言っているほうが性に合っている」と言われていましたが、こういうメインを務めることで何か思うことはありますか?最初、真ん中に出て行くほどセリフが多くなるので大変だなと思いましたけど、方法論が違うだけで、人様に見せるという意味ではやっていることは同じなんですよね。相手に対してセリフを投げるなど、根本的なことも一緒ですよね。端っこでギャーギャー言っていることも、内側でギャーギャー言っていることも、そうは変わらない。「こんな番手で無理です」ということもなかった。「おっしゃ、やったるで!」という意気込みも、端っこでも思っていることなので同じでしたね。――なるほど。来てみたら同じだったと。まあ何年も前であれば、もうちょっとビビっていたかもしれないですけど、いまはこういう機会を与えていただいて、十分楽しめるようになりましたね。幕が上がってみないとわからないですけど、すごく面白くなるんじゃないかなという期待も多いです。今回、小林勝也さんもいらして、3人で面白いものができればいいなと思っています。ちょっときれいごと言っていますけど(笑)。○朝ドラでの成長と反響――ところで、いまのご活躍ですが、二期連続で朝ドラにも出られて、朝ドラ効果も感じているところでしょうか。それはまったくないです(笑)。大阪で撮影していたので信号待ちなどをしていて、大阪のおばちゃんは見かけるとすぐ声をかけてくれることはありましたが、街中を歩いていてすぐ話しかけられるほどの反響はないですよ。ただ、『わろてんか』では広瀬アリスちゃんとふたりで漫才をやっていたので、今回も草なぎさんとのふたりの会話劇があって。どこか漫才ではないけれど、かけあいみたいなことがあったほうがいいみたいな話になった時に、直前まで『わろてんか』をやっていたので、同じ流れでできそうだなとは思いました。あのテンポ感はやっていてよかったなと思いました。――『シン・ゴジラ』の時は、「まずは君が落ち着け」がブームになりました(笑)。街中でペットボトルを渡されて、いきなり頼まれたことはありましたけど(笑)。だいたい僕のほうが落ち着いていないので、なんなら僕にやってほしいくらいです(笑)。『シン・ゴジラ』の時は現象としても凄かったので、そういう反響はありましたね。でも、今でも多いのは、実は『SP』なんです。10年くらい経っていますけど、『SP』のことを言われることは多いんです。人によってイメージが違うんですよね。――大注目されて、意識も変わったのではないでしょうか?仮に自分が主演ならと思うこともありますが、朝ドラの主演は無理です。負担がすごい。毎日膨大なセリフの量で、それを10カ月続けるなど無理(笑)。ちょっと無責任なほうがいいというか、もちろん責任をもって仕事をしていますが、主演は全然違う。『わろてんか』の葵わかなちゃんを見ていて、19歳なのにすごいですよ。守ってあげたいなとも思いつつ、10カ月も。僕42歳ですが無理ですね(笑)。――また、俳優としての経験値については、朝ドラを経て思うところはありますか?今まできれいな女優さんとの距離が近い役どころがなかったんですけど、仮にあっても「僕みたいなものが見つめてすみません」みたいなコンプレックスがひどくて、でも今回はアリスちゃんで免疫がつきましたね。性格的に合ったということもあって、ついに美人に慣れたなあと。後は大阪の美味い店をさらに知ることができてよかったです(笑)。○草なぎと役柄チェンジで再演希望――『バリーターク』を経て、今後、どういう作品に挑戦したいですか?僕は作っている過程が好きで、ひとつの作品をじっくりと時間をかけて作り込みする作業は舞台ならではで、大好きです。舞台はライブ感ってよく言いますが、作り込みに惹かれます。ただ、舞台をやりたいとは思っていますが、実際時間がかかるし、稽古前にストレッチをよくするので、健康的にやせていくんですよね。あまりやせると不都合というか、イケメンと競合してしまうじゃないですか(笑)。――そんな心配が(笑)。いえ(笑)。作品は、いろいろな喜劇、シェイクスピアなども挑戦してみたい。この舞台を経て好評だったらアイルランドでも公演してみたいですし、草なぎさんの役柄とチェンジして再演もしてみたい。見えている世界が変わるような気がするんです。草なぎさんの視点になると、またセットも作品も違って見えそうで。本当に対照的なふたりなんですよ。機会があれば、僕の役柄を演じている草なぎさんの姿をみてみたいですね。舞台『バリーターク』は、4月14日から5月6日まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場、5月12日から6月3日まで東京・シアタートラム、6月16・17日に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて上演。■プロフィール松尾諭1975年生まれ、兵庫県尼崎市出身。2001年、映画『忘れられぬ人々』で俳優デビュー。2007年、フジテレビ系列のテレビドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』で主要SP役の人、山本巡査部長役に抜擢され、大きな注目を集め、以降、映画『テルマエ・ロマエ』(12)、『進撃の巨人』(15)、『シン・ゴジラ』(16)など、多数の映画・ドラマで存在感ある脇役として活躍中。NHKの連続テレビ小説には、2017年前期『ひよっこ』、2017年後期『わろてんか』と二期連続で出演。お茶の間にも強烈な印象を残す。現在、文春オンラインにて、「拾われた男」を好評連載中。■著者プロフィール鴇田崇映画&ディズニー・パークスを追うフリーライター。年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートをひたすら取材しまくる。ジョン・ラセター、アラン・メンケン、キャスリーン・ケネディ、バイロン・ハワード、ティム・バートンなど、ディズニー映画関連人物のインタビュー経験も豊富。世界のディズニー・パークスでは東京だけでなく、アナハイムも偏愛している。instagram→@takashi.tokita_tokyo※草なぎのなぎは弓ヘンに前の旧字の下に刀
2018年04月19日NHK連続テレビ小説『ひよっこ』『わろてんか』をはじめ、ドラマに映画に大活躍中の個性派俳優・松尾諭が、戯曲家エンダ・ウォルシュによる『バリーターク』の舞台で草なぎ剛と共演。松尾は草なぎ演じる男1と日常生活を送る男2の役で、バリータークという村の話をひたすら語り続け、奇妙な共同生活を送っているという、ある種特異な物語だ。「これは男が同棲している話です(笑)」と語るように草なぎとの共同作業がメインの作風で、実際草なぎの存在に「助けられています」と語る松尾。共同作業を経て輪郭がはっきりしてきた作品のこと、そして草なぎとの共演の感想を聞く。○草なぎの声の魅力を発見――まず本作に出ると決まった時、率直に何を思いましたか?僕にとっては5~6年ぶりの舞台だったので、まずそれがうれしかったですね。内容を知る前にテンションが上がりましたが、次に内容を聞いて草なぎさんとほぼ二人芝居だと知って「え!?」って、びっくりしました。僕は端っこのほうでわーわー言っているほうが性に合っていると思っていたので、衝撃は大きかったですね。舞台のチラシを見ていただいてわかるように、ほぼ真ん中にいますので(笑)。――草なぎさんとほぼ二人でメインを務めることについては、いかがでしたか?以前、ちょっとだけ仕事をしたことがあるのですが、それは本当にちょっとだけで、しかも草なぎさんは覚えていなくて、「初めまして」と言っていました(笑)。のちのち「そういえばあの時に(笑)」みたいな話にはなりましたが。以前、草なぎさんの舞台を観に行ったことがあって、すごく魅力があるお芝居をする方だなという印象が強かったですね。ご本人自体に魅力がある人だなという印象も含めて。――実際、今回の稽古などを通じて、それまでのイメージと違う点などありましたか?以前拝見した舞台では、男らしさもありながら、ちょっと中性的な役柄で、その感じがすごく素敵だったんです。でも今回、ご一緒していて、声がすごく印象的だと思いました。だからひとりで活字の台本を読んでいるのと、人の声を通して聞くのとでは全然違いますが、「ああそういうことか」と。草なぎさんも僕としても完全には物語を解釈してはいないですけれど、解釈とかそういうことではなく、男1として草なぎさんがしゃべっている姿を見ているだけで、話の世界にグッと近く入っていけた。それはすごく発見でしたし、びっくりしましたね。――向こうのほうから、歩み寄って来てくれている?どうでしょうか。「僕に歩み寄っていますか?」などと聞いたことないのですが(笑)。ただ、ここをこうしよう、ああしようとか、そういう会話はまったくしていないんです。そもそも、ふたりしてべちゃくちゃしゃべったりもしていないんですけど、立ちだしたら自然ですね。抽象的な台本なのでちょっとした動きの違いで、やっぱりセリフも変わってくるから、試そうと思って違う動きを毎回するのですが、草なぎさんもするんです。僕がすれば草なぎさんもついてきてくれるし、その逆もある。そういうことがスッとできるって、草なぎさんだからなのかなと。もしかすると、歩み寄って来てくれているのかもしれないですね(笑)。○草なぎの独特な感性と柔らかさ――『バリーターク』は、これという答えがないタイプの作品ですよね。ここがこうなってこうみたいなわかりやすい作品が多いなか、それとはまったく逆のタイプの作品で、ここにふたりの男がいて、もう一人男が来ます、あとはご自由に、みたいな感じですよね。観る側の人もちゃんと感じることができる作品なので、漫画よりも小説よりも文芸に近い作品かもしれないです。でも僕はすごく世界観が好き。僕は漫画も好きですが、どこかジョジョっぽかったりもするんです。そこまで小難しい話ではなくて、すごく通っているものが普遍的だったりもするんですけど、頭だけで考えるとわけがわからないかもしれない。ガチガチにならず、草なぎさんと僕が変なことしてしゃべっていると思えば、ラクに観られる。考えるよりは感じたほうがいい感じの作品だと思いますね。――お話をうかがっていると、草なぎさんとは相性が良さそうですね。草なぎさんはどう思っているかわからないですが、いままでに会ったことがないタイプの人ではありますね。感性も普通の人とは違う。僕はけっこうディスカッションなどが好きなので、演出の白井さんにもバカなふりをしていろいろと言うんですけど、草なぎさんは黙って聞いていて、あまり自分から言い出すことはないんです。でも先日、めずらしく、「これって実はこの人とこの人がグルなんじゃないですか?」って。そんなこと誰も考えたことがなかったのに、ああ意外にそうかもと。着眼点がまるで違うんです。考え方も柔軟ですし、芝居の対応もやわらかい。僕のほうが年上の役柄ですけど、草なぎさんのほうが年上でキャリアも上ですから、僕はもう安心して心の中ではお兄ちゃんと(笑)。でも、幕が上がるとギスギスするかもしれないですけどね(笑)。――休憩中など、どういう会話を?「それはどこのお茶なの?」とか「何を読んでいたんですか?」とか、わりと普通ですかね。球を投げたらパッと返ってきてすぐ終わり、みたいな感じで。おいおいもっと話すようにしようかなとは思いますが、かといってどういう話をするかはわからないですけどね。すごく優しいんです。もうちょい、プライベートに食い込んでみたいですね。――そういうほぼ二人だけのお芝居を経て、何か新たな発見はありましたか?これがひとりの芝居であれば、あわあわしていたかもしれないですね。でも逃げの発言じゃないけれど、全部ひとりで背負いこまなくていいんです。共有していける。草なぎさんもスッとそこに立っていて、そこも僕にはありがたい。やってみると、意外に気を使わずにやれているんです。でも始まったら、緊張でぐちゃぐちゃになるかもしれないですけれど(笑)。○「男たちが同棲している話です(笑)」――最後にうかがいますが、『バリーターク』は、どういうお話だと個人的に受け止めていますか?男たちが同棲している話です(笑)。でも、そうなんです。そこで生が死がと言い出すとややこしくなるんですけど、本当にふたりの男が一つの部屋で生活して、毎日を営んでいるところに、ある日波風が立つ。その生活を壊すことが幸せなのか、続けることが幸せなのか、そう考えると難しくなるんですけど。兄弟でもない、他人でもない、血もつながっていない、友情みたいなものは、もちろんあると思いますが。――人生で時に起こる大きな変化を受け入れる、というお話かもしれませんね。二人だけの生活を何十年もやってきたけど、他人ですからいつしか破たんがくる。日々同じように暮らしていることが幸せなのか、変化を求めてたとえば仕事を辞めることが幸せなのか、会社に骨を埋めるか転職するか、みたいなことですかね。そういう意味だと、普遍的なところもあって、難しい話ではない。ちょっと言葉の端々を捕まえて考えると、世界観が広まっていくとは思います。最初はゆるく観始めて、観終わった後に、いろいろと考えてほしい。そのほうが面白いと思う。描写がちょっと変わっているだけで、ごくごくありふれた人たちと、その男たちをとりまく話ですから。舞台『バリーターク』は、4月14日から5月6日まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場、5月12日から6月3日まで東京・シアタートラム、6月16・17日に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて上演。■プロフィール松尾諭1975年生まれ、兵庫県尼崎市出身。2001年、映画『忘れられぬ人々』で俳優デビュー。2007年、フジテレビ系列のテレビドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』で主要SP役の人、山本巡査部長役に抜擢され、大きな注目を集め、以降、映画『テルマエ・ロマエ』(12)、『進撃の巨人』(15)、『シン・ゴジラ』(16)など、多数の映画・ドラマで存在感ある脇役として活躍中。NHKの連続テレビ小説には、2017年前期『ひよっこ』、2017年後期『わろてんか』と二期連続で出演。お茶の間にも強烈な印象を残す。現在、文春オンラインにて、「拾われた男」を好評連載中。■著者プロフィール鴇田崇映画&ディズニー・パークスを追うフリーライター。年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートをひたすら取材しまくる。ジョン・ラセター、アラン・メンケン、キャスリーン・ケネディ、バイロン・ハワード、ティム・バートンなど、ディズニー映画関連人物のインタビュー経験も豊富。世界のディズニー・パークスでは東京だけでなく、アナハイムも偏愛している。instagram→@takashi.tokita_tokyo※草なぎのなぎは弓ヘンに前の旧字の下に刀
2018年04月18日岸田哲平によるHi-STANDARD初の写真集「SUNNY DAYS」の刊行を記念して、全国7都市を巡回する写真展を3月より開催。同展の開催に先がけて、「“SUNNY DAYS” POP-UP STORE -渋谷で3日間限定の写真集最速先行販売-」と題し、東京・渋谷 GALLERY XBY PARCOで3日間限定のプレミアイベントを開催する事が決定した。【チケット情報はこちら】また、このたび写真展の全会期と会場が発表された。3月16日(金)から26日(月)まで、広島・広島パルコ本館6FPARCO FACTORYを皮切りに、全国7都市で開催される。渋谷での同イベントでは写真集の先行販売が行われるほか、池袋パルコ本館7FPARCO MUSEUMで6月29日(金)から7月16日(月・祝)まで行われる写真展東京会場の入場チケットも販売される。■“SUNNY DAYS” POP-UP STORE -渋谷で3日間限定の写真集最速先行販売-日時:3月9日(金)~3月11日(日)11:00-20:00会場:GALLERY X BY PARCO(渋谷区宇田川町13-17)料金:無料■TEPPEI KISHIDA × Hi-STANDARD 写真展 “SUNNY DAYS”3月16日(金)~3月26日(月)広島パルコ本館6FPARCO FACTORY(広島県)4月13日(金)~4月22日(日)万代シテイビルボードプレイス3Fイベントスペース(新潟県)4月27日(金)~5月7日(月)心斎橋オーパ9Fhmv museum特設会場(大阪府)5月11日(金)~5月20日(日)仙台パルコ本館5FPARCO SPACE 5(宮城県)5月24日(木)~6月3日(日)名古屋パルコ南館8F特設会場(愛知県)6月8日(金)~6月24日(日)福岡パルコ本館8FPARCO FACTORY(福岡県)6月29日(金)~7月16日(月・祝)池袋パルコ本館7FPARCO MUSEUM(東京都)料金:1,000円 (特典付き:展覧会オリジナルパス)※新潟のみ500円※未就学児無料■“SUNNY DAYS” Hi-STANDARDPhotographsof TEPPEI KISHIDA判型:A4(297×210mm)製本:上製本頁数:224P予価:4000円(税別)
2018年03月01日SIMPLICITY代表・緒方慎一郎とプラントアーティスト・川本諭による共著『拈華(ねんげ)』が刊行される。本書は2016年4月、緒方 慎一郎が亭主を務める八雲茶寮において開催した緒方 慎一郎と川本 諭による二人展の作品を「静と動」の視点で写真に収めたもの。「現代における日本の文化創造」をコンセプトに、様々なかたちで日本の表現を試みる緒方 慎一郎が、川本 諭とともに挑んだ生け花でもフラワーアレンジメントでもない現代の花の軌跡である。ねん - げ【拈華】「拈華微笑(ねんげみしょう)」の故事より引用。霊鷲山で説法をした釈迦が花を拈って大衆に示したところ、摩訶迦葉だけがその意を悟って微笑し、仏教の真理が無言のうちに伝授されたことをいう。以心伝心で法を体得する妙を示す。【書籍情報】『拈華 - nenge -』著者:緒方慎一郎/川本 諭写真:池田裕一/小松原英介アートディレクション:緒方慎一郎出版社:株式会社青幻舎208ページ/B5価格:4,000円発売:2017年10月初旬(全国書店にて)
2017年10月18日