特別支援教育のくふうを取り入れると、どんな子どもにもわかりやすくなる『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。「特別支援教育は、発達に課題や凸凹がある子だけが受ける特別な指導」であると、一般的には思われているかもしれません。でも、私はそうではないと考えています。私は30年間、幼児や小学生を指導する現場で仕事をしていました。そこでさまざまな子どもたちと接してきました。また、自閉症のある息子は小学校入学時から特別支援教育を受けてきました。そしてその中で、できることが増えていったことを実感しています。その経験から、どんな子どもにも有効なくふうが、特別支援教育の中にはあるのではないかと感じています。そこで、「子どもが大人の話に集中できる環境づくり」「子どもを飽きさせないための“演技力”」「子どもに指示を出す時のくふう」の3つの観点から、特別支援教育のさまざまな場面での有効性を具体的にご紹介します。子どもが大人の話に集中できる環境づくり例えば、狭い喫茶店にいる時、隣の席に座る見知らぬ人の会話が丸聞こえ…ということがあります。でも、目の前の友人と話を始めたとたん、隣の席での会話は不思議と気にならなくなりますよね。私たちには、自分に向けられている声の主の言葉を「選択的に拾おう」とする脳のシステムがあるようです。ところが、これが難しく、自分に関係のない音がドンドン入ってきてしまうという特性がある子どももいます。例えば、教室で窓際の席に座っていると、校庭で行われている体育の授業での号令が聞こえてきてしまい、気になって仕方がありません。でもこれは、気になる程度は違っても、障害がない子どもにだって同じことが言えるのではないでしょうか。私は保育園の中でひらがなを指導する仕事をしていました。授業中、隣のクラスから音楽や歌い声が聞こえてくると、字の練習をしながら歌を歌う子がちらほらいました。こんな時は指導者側が「隣のクラスが静かな学習をしている時は、歌ではなく絵画制作をする」などのくふうをする必要があると感じました。このことは、家庭生活にも応用することができます。例えば子どもに何かを伝えたい時、兄弟姉妹が遊んでいる声やテレビの音が耳に入ってくると、子どもは集中して話を聞くことができません。こういう時は、テレビを消して物音がしないところに行き、子どもが話だけに集中できる環境を用意するとよいでしょう。聴覚だけでなく、視覚にも同じことが言えます。視界に関係のない情報が入ってくると、子どもは「今はどれを見なくてはならないのか?」と迷ってしまいます。例えば、これは小学校1年生に算数を教える時に使ったホワイトボードの画像です。どちらが集中できますか?Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子後者ですよね。「ホワイトボードを見ましょう」と言われても、そこに関係ないたくさんの情報があると、子どもたちは意識して「今、見るべきもの」を探さなくてはなりません。ADHD(注意欠陥・多動性障害)の傾向がある子どもは、さまざまな刺激に影響されやすいという特性があります。関係ない情報がたくさんある中から、必要な情報を選び取ることが難しいので、「ここを見ましょう」と言われても、全く違う場所を見てしまうこともあります。でも、障害の有無に関わらず、子どもは低年齢であるほど、興味があること以外には集中が続かないものです。教室の壁面や黒板いっぱいに飾りつけをしている学校・幼稚園がありますが、その中で何かを指示しても、子どもは選択的に見るべきものを探せないかもしれないので、くふうが必要です。必要のないものはかくし、必要なものだけにして見せる。シンプルであることが大切です。この考え方も、家庭生活に応用することができます。机の上に物が散乱していたり、部屋に子どもの好きな玩具が散らかっていたりする中で、何かを伝えようとしても、子どもは話に集中することが難しいかもしれません。そういう時は、普段は使っていない(ものが少ない)部屋に連れて行くなどして、気が散らない環境をつくったうえで子どもに話をするほうが話に集中してもらえるでしょう。子どもを飽きさせないための“演技力”幼稚園・保育園時代は、保育者がピアノを弾いて歌を歌ってくれたり、手遊びをしてくれたりします。けれども、小学校ではそういう訳にはいきません。1クラス35名程度の大勢の子どもたちを集中させるには、内容そのものよりも、教師の声の出し方や身体の動き、小道具の使い方などがポイント。ここで「飽きさせないくふう」が必要になります。どんなに良い内容の授業をしていても、モゴモゴ話していたり、話し方にリズムテンポがなかったりすると、集中の続かない幼い子どもにはうまく伝わりません。それでも子どもたちは「授業中45分間はじっとしていなくてはならない」とがんばるのですが、だんだん集中が切れて、よそ見をしたりモゾモゾ動き出したりします。こういう時は、子どもたちに「真面目に授業を受けなさい」と言うよりも、まずは教師側に「退屈させないくふう」が必要だと思います。「発達障害がある子どもは扱いにくい」と言われることもありますが、私はむしろ「こういう子どもたちを集中させることができる教師は、指導力や技量もきっと高いのだろう」と感じます。これも、家庭で取り入れることが可能です。言葉の内容だけで言うことを聞かせようとするのではなく、声のトーン、スピード、テンポにも気を配る。服装も、エプロンを外したり、きちんとした格好をするなど、「いつもと違う」という雰囲気を出すと、子どもは「ああ、聞かねばならない」と察するのです。Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子子どもに指示を出す時のくふう「早くしなさい」「きちんとしなさい」日常生活の中でこうした言葉を発する場面は少なくありませんが、この曖昧な言い方も、もっとわかりやすく変えることができます。例えば大人だって、病院が混雑している時に「もう少しお待ちください」と言われても、10分なのか30分なのかもわからず、すごく待たされている気持ちになってしまいます。でも「診察まで待ち時間あと20分」と言われたら、見通しが立ってわかりやすいので、待つことができます。まだ人生経験が浅い子どもには、漠然とした言い方では伝わりません。「早くしなさい」と言うよりも、具体的にいつどんな行動をするのか写真で示すと伝わりやすくなります。自然と時計も読めるようになり、親に「早く、早く」と急かされなくても自主的に行動するようになるのです。Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子部屋が散らかる原因のひとつは、物の指定席が決まっていないことにあります。片づけをしていない子に「ちゃんと片づけなさい」と言うのではなく、入れてほしいおもちゃの指定席の写真を貼って「同じように入れてね」と伝える方が、どの子にとっても断然わかりやすいと思います。これは、ある保育園でされていた道具箱のくふう。中身が整理整頓された状態の写真を、箱の裏に貼ってあります。保育士がいちいち指示をしなくても、子どもたちが自分で写真を見て整理整頓できるようくふうされています。このように見える化すると、やるべきことがわかりやすくなり、子どもは自分で考えて行動することができるようになります。Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子どんな子どもにもわかりやすく、伝わりやすいくふうを「住みやすい社会を作るためには、社会的立場の弱い人に話をきくのが一番確実」だとよく言われますが、私も子どもや障害がある人が安心して暮らせる社会は、どんな人にとっても快適で、安心して暮らすことができると思います。特別支援教育の中で使われる方法には、さまざまなくふうが織り込まれています。それは、障害がある子どもだけでなく、どんな子どもにとってもわかりやすいものです。幼児教育に携わり、また障害がある子どもを育てる中で、その実感は確かなものになっていきました。ぜひどんな子どもに対しても、活用してみてください。
2019年03月02日藤井聡太七段(*)が幼いころ受けていたことで注目を集めている『モンテッソーリ教育』。その歴史は古く、とくに海外では優秀な人材を育てる教育法として確固たる地位を築いています。一方で、「興味はあるけど、近所にモンテッソーリ教育の幼稚園や保育施設がない……」と諦めている方もいるのではないでしょうか?たしかにモンテッソーリ教育は、専門の知識を身につけた教員のもと、専用の教具を使わなければ学ぶことが難しいと思われがちです。しかし、自宅でもその要素を取り入れて遊ぶことは可能なのです。今回は、モンテッソーリ教育を取り入れた遊びの紹介と、それによって子どものどんな能力が伸びるのか、詳しくご説明します。*…2019年1月現在自立心と自己肯定感が育まれる独自の教育メソッドまずは、モンテッソーリ教育について簡単におさらいしましょう。■モンテッソーリ教育とは?女性医師であり教育家でもあったマリア・モンテッソーリによって、20世紀初頭にイタリアで考案された、子どもの自発性を重視する教育法。「子どもには自分を育てる力(自己教育力)が備わっている」という考え方が根本にあり、「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」ことがモンテッソーリ教育の目的。40年以上にわたりモンテッソーリ教育を実践している『愛珠幼稚園』の園長・天野珠子先生は、「子どもの自主性を尊重し、それを大人が気づき、手伝うことで子どもの自立につなげていくことを大切にしています」と話します。つまり、親がすべきことは、「手取り足取りフォローしてあげるのではなく、挑戦する心を育てて応援すること」なのです。天野先生は「一人でできることが増えるほど、子どもの自己肯定感は育ちます」と述べています。モンテッソーリ教育とは、子どもを自立へと導き、自分で考えて物事に対応できるようになる、いわば“生きる力”を育む教育法でもあるのです。■モンテッソーリ教育の特色子どもは、その時期の発達に沿って「一人でやりたいこと」が出てくる。それは、“ある時期”に“ある行為”のみに現れることがわかっており、その時期を『敏感期』と呼ぶ。敏感期には、その時期に合わせた専用の教具を使って遊ぶ。それらの教具を使ったあらゆる学習活動を『お仕事』と呼び、子ども自身が自由に選んで遊ぶことで発育と自立をうながす。天野先生によると、「敏感期に合わせて、夢中になることを満足するまでやらせてあげるという経験が子どもの成長には必要」とのこと。敏感期に適切な環境に出合うと、子どもは集中現象を起こします。そして、集中現象が次々に満たされていくと心が満足し、お腹が空いたのも忘れるほど夢中になるらしいのです。私たち大人は、子どもが夢中になって何かに取り組んでいる様子を見守りたい反面、時間の都合や周囲への遠慮などから「さ、もう充分遊んだでしょ?」と切り上げてしまうことがよくあります。しかし、子どもの“夢中”は、大きな成長につながる重要な鍵です。時間や状況が許す限り、満足するまでとことんやらせてあげましょう。続いて、『敏感期』と『お仕事』について詳しくご説明します。敏感期に寄り添う優れた教育プログラムまず、本格的な『敏感期』に入る前に幼稚園で最初に行うのは【日常生活の練習】です。これはモンテッソーリ教育の基礎にもなるので、しっかりと身につけなければなりません。その後、【感覚教育】【言語教育】【算数教育】【文化教育】と続きます。■日常生活の練習大人のまねをしたがる「模倣期」と、身体が発達する「運動の敏感期」を利用して、自分の体を意志通りにコントロールする能力を身につけることが目的です。・ボタンをかける・室内を掃く・洗濯をする・ものを磨く・縫うなど、日常生活で行うさまざまな動作を大人がお手本を見せながら練習します。「自分のことを自分でできるようになる」という自立心や独立心のベースを築くことができます。■感覚教育言語・算数・文化教育という知的教育分野の基礎となります。感覚器官を使ってさまざまなことを練習し、感覚を洗練させることで、外界からより繊細な情報を収集できるようになり、知性や情緒が発達します。・対にする・段階づける・仲間分けするという3つの操作法が組み込まれた教具を使うことで、「ものを観察する能力」と「ものを考える方法」が身につきます。■言語教育絵カードや文字カードを使い、ことばの発達段階に合わせてきめ細やかなステップを踏んで、語彙を豊富にしたり文法を覚えたりします。「日常生活の練習」や「感覚教育」と合わせて行うことで、自然と文字の読み書きができるようになります。■算数教育算数教具を手で扱いながら、数の概念の基礎、十進法から簡単な計算までを学びます。ビーズを使い、数の具大量や十進法で桁が上がることを体感したり、数種類の切手を交換して掛け算を覚えたりします。■文化教育「ことば」と「数」以外の幅広い分野を学びます。世界地図パズルや時計などの教具に触れながら、子どもの知りたいという要求に応えるのです。分野を統合した「総合学習」のようなものです。幼稚園や教育施設で使用される教具は360種類にものぼり、すべて体系的につながっています。赤、青、黄の三原色をベースにした色鮮やかなものが多く、優れた教育的効果を発揮するだけではなく、子どもが思わず触りたくなるような魅力あふれるものばかりです。モンテッソーリで学ぶ子どもの「お仕事」モンテッソーリは著書の中で、「大人の仕事が生産的労働であるならば、子どもの仕事は人間を形成すること」と述べています。「つまみたい」「並べたい」といった衝動も、子どもの内面からあふれる自立への強い欲求であると言えるでしょう。つまり、家庭の中での自立や人間形成につながる事柄はみんな、子どもが自分自身を創るための「お仕事」でもあるのです。「モンテッソーリのメソッドを家庭で取り入れるためには、何よりも大人の子どもに対する接し方を重視する必要があります」と語るのは、モンテッソーリ教育施設「吉祥寺こどもの家」園長の百枝義雄先生。まずは、子どもをよく「観察」することから始めましょう。親にとっては不可解に見える子どもの行動にも、子どもが大きく成長するヒントが隠されているのです。子どもの “こだわり” と “伸びる能力” の関係性は以下です。同じことを同じ順序で繰り返したい「順序へのこだわり」→段取り力へ発展同じことを同じようにしたい「習慣へのこだわり」→集中力を育てる同じ場所に同じ人がいないと気持ちがわるい「場所へのこだわり」→倫理観へ発展高いところに乗って歩きたい「運動へのこだわり」→バランス感覚をつける3本指を使いたい「指先運動へのこだわり」→器用な手先をつくる(引用元:東洋経済ONLINE|家でもできる「モンテッソーリ教育」のコツ)このように、「こだわりを満足させることで伸びる能力」について理解できていれば、家庭でもモンテッソーリのメソッドを取り入れやすくなるはずです。家庭で子どもの能力を引き出すポイント次に、モンテッソーリ教育を取り入れた簡単な遊びをご紹介します。おすすめは「親指・人差し指・中指」の三指を使うお仕事です。【あけ移し】トングなどを使って豆や石を一方の容器からもう一方の容器に移します。100円ショップでも手に入るシュガートングが、子どもの手にはちょうどいいですよ。慣れてきたらピンセットを使って、大きめのビーズのあけ移しにも挑戦してみましょう。仕切りのあるケースを使えば、色別に分けて入れることもできます。色を認識し、判断して選り分けるという工程が生まれるので、難易度もアップしますよ。【お料理のお仕事】玉ねぎの皮むきや茹でたじゃがいもの皮むき、またはゆで卵の殻をむく、など「むく」という作業は料理を始める最初のステップとして非常に有効です。指先を使うだけの作業なので危険度が低く、すぐに達成感が得られるのもいいですね。また、前出の百枝先生による『「自分でできる子」が育つ モンテッソーリの紙あそび』(PHP研究所)では、モンテッソーリ園と同じ「お仕事」を自宅で再現する方法が紹介されています。この本を参考に、ハサミやのり、とじ針と毛糸などの道具を用意すれば、付属の型紙を使って気軽に「お仕事」に挑戦できます。たとえば、型紙を写して線に沿って「切る」、線に沿って一定間隔で描かれた点を目印にして「穴をあける」または「縫う」など、モンテッソーリのメソッドに基づいた手法で遊ぶことができるのです。そして、あの藤井七段が子どものころ100個作ったことで話題になった「ハートバッグ」の型紙と編み方も載っています。最後に、子どもが興味を抱き「やってみたい!」となったとき、親は次の点に注意しましょう。・親のお手本を子どもが見ているときには話さない・説明するときは動きを止める・手出しや口出しはしない・子ども自身が試行錯誤するチャンスを奪わない・出来ばえを評価しない穴をあける道具(「かるこ」など)や、抜い差し用の針は、初めて使わせるとき「危なくないかな?」と心配になるかもしれません。使うときは危なくないように見守ったり、子どもの手でも扱いやすい小さめの道具を用意したりと、「どうしたら子どもがうまく使えるか」ということを考えて取り組ませるといいでしょう。『「自分でできる子」が育つ モンテッソーリの紙あそび』(PHP研究所)***モンテッソーリ教育を家庭でも取り入れるには、道具を揃えるより先に「親の心がけ」が必要です。子どもが夢中で取り組んでいる様子を黙って見守り続けるーー簡単なようで難しいですよね。しかし、子どもには大人が思っている以上の能力が備わっています。子どもの自己教育力を信じて、見守ってあげましょう。(参考)Study Hacker こどもまなび☆ラボ|藤井聡太六段、Amazon共同創立者ジェフ・ベゾスが幼児期に受けていた「モンテッソーリ教育」とは?日本モンテッソーリ教育綜合研究所|モンテッソーリ教育についてStudy Hacker こどもまなび☆ラボ|子どもの自主性を尊重し、集中力と柔軟な対応力を育む「モンテッソーリ教育」【愛珠幼稚園園長 天野珠子先生】Study Hacker こどもまなび☆ラボ|子どもたちが自ら育つ力を応援する「モンテッソーリ教育」のメソッド【愛珠幼稚園園長 天野珠子先生】産経WEST|天才・藤井四段も学んだ「モンテッソーリ教育」とはー集中力と自分らしさ、周囲に流されず「好きなことをとことん追求する子供」に『できる子になる!0歳からのお手伝い』クーヨンBOOKS12,2015年6月,クレヨンハウス.東洋経済ONLINE|家でもできる「モンテッソーリ教育」のコツ百枝義雄・百枝知亜紀 著(2018年),『「自分でできる子」が育つ モンテッソーリの紙あそび』,PHP研究所.
2019年01月29日教育資金は、人生三大資金の1つとされ、子育て世帯の方々からしますと、子供が誕生したことをきっかけに、貯金や資産運用などといった方法であらかじめ教育資金の準備をする方が多いと思います。しかしながら、いざ、教育資金が必要な時期になった際、準備していたお金よりも足りない場合も十分に考えられることから、時には教育ローンなどの借入に頼らざるを得ない場合もあることは確かです。そこで本記事では、教育ローンの借入を検討している方を対象に、教育ローンの総合案内記事として、教育ローンの基本的なポイントから、教育ローンの審査・金利・おすすめなど、多くの方が持っている疑問や教育ローンで押さえておきたいポイントまとめて紹介します。教育ローンとは教育ローンとは、おもに、子供の進学にかかる教育費用や授業料などの支出に充てることを目的としたローン(借金)で、大きく国の教育ローンと民間の教育ローンに分けられます。厳密に解説しますと、教育ローンは、子供の教育資金だけに借入が限られているわけではありませんが、通常、教育ローンは、子供のまとまった教育資金を準備するために活用されることが多くなっているのが現状です。また、基本的に教育ローンは、両親が教育ローンを申し込んだ金融機関からお金を借入することも多いため、教育ローンを申し込む時点において、借入する方が、定職に就いていることや個人信用情報に問題がないことなど、細かな事情も問われることになります。併せて、教育ローンは、完済までの返済期間が長くなってしまうことが一般的であるため、何も考えずに借入するのではなく、ライフプランを考えた借入のメリットとデメリットもあらかじめ知っておくことがとても大切です。以下、教育ローンの基本的な部分から教育ローンのメリットおよびデメリットも紹介した記事が同サイト内で公開されておりますので、そちらも合わせて読み進めてみることをおすすめします。教育ローンの返済計画を立てた借入をしっかりと行いましょう教育ローンは、通常、借入から完済までの返済期間が長くなってしまうことが多いため、あらかじめ、教育ローンの返済計画を立てた借入をしっかりと行う必要があります。特に、教育ローンの返済計画を立てる上で大切なポイントは、家計確認をすること、そして、教育ローンの返済シミュレーションを実行することの2つは絶対に欠かせないポイントと言えます。また、できる限り、教育ローンの繰上返済も考慮した返済計画を立てることができれば、将来のライフプランにゆとりが持てる結果につながるとも考えられます。教育ローンを借入する際は、限度額いっぱいで借入しないこと教育ローンは、いくらくらい借りるのが良いのか?といった疑問を抱えている方も多いと思いますが、こちらの考え方につきましては、住宅ローンの考え方と同じように、限度額いっぱいで借入することは厳禁です。この理由は、借入できるお金を借りたとしても、そのお金を借入から完済までの長い期間に渡って滞ることなく返済できなければ本末転倒だからです。では、どのような考え方で教育ローンを借入する必要があるのでしょうか。それは、ご自身の懐具合に合わせた返済可能額で借入する必要があります。返済可能額とは、その名前の通り、毎月余裕を持って返済していくことができる金額のことを指し、具体的に、毎月の手取収入から家計支出などを差し引いた後の実際に余るお金を考えなければなりません。なぜならば、新たに教育ローンの借入を行うということは、返済時期は別として、毎月の収入から家計支出などを差し引いた後の余るお金から新たに教育ローンの返済が支出されることになるためです。そのため、返済可能額を考えずに教育ローンの借入を行った場合、毎日の生活に支障が生じることが考えられ、多重債務の原因や最悪な場合は、自己破産といった結果を招いてしまう原因にもなり兼ねません。教育ローンと奨学金のどちらを使うのが良いのか?まとまった教育資金を準備するための方法には、教育ローンを借入するほかにも、奨学金を活用する方法もありますが、教育ローンと奨学金のどちらを使うのが良いのか?といった疑問を持たれている方も多いと思います。上記表を見ますと、教育ローンも奨学金も、いずれも教育資金を目的とした借入であることには変わりありませんが、借入する人や資金の受け取り方など、細かな点を比較して見ていきますと、大きく異なることが一目でわかります。ただし、いずれの借入をするにしても、特に、保護者の方には、教育ローンを借りる前に知っておいていただきたいお金の考え方があり、先に解説した返済計画を立てる場合やシミュレーションをする場合も「教育ローンと奨学金を借りる前に知っておきたい考え方とは?金利や損得以前に押さえるべきポイントを紹介」記事を通じて確認することができます。ご自身の将来のライフプランにも活かされる内容となっておりますので、併せて読み進めてみることをおすすめします。教育ローンや奨学金を活用して失敗しないために必要なこと教育ローンや奨学金は、お金を借入する人が異なるものの、いずれも長期の借金でありますから、計画的な準備と対策をしておかなければ、後々、生活が困窮する原因や最悪な場合、自己破産などに追い込まれる危険性があります。このような失敗をしてしまう一番の原因は、お金を借入する本人の考え方や事前行動の欠如にあると筆者は率直に感じておりますが、すでに紹介した返済計画や事前対策をあらかじめ行っておくことで、失敗することは簡単に避けられることは確かです。人の振り見て我が振り直せと言われることもありますが、どのような考え方が失敗することになるのか、以下、教育ローンや奨学金の質問から典型的に失敗する原因を個別に解説している記事がありますので、教育ローンや奨学金を活用する予定がある方は、以下の記事も読み進めておくことを強くおすすめします。教育ローンの審査に通過するためのポイント教育ローンを借入するためには、教育ローンを申し込んだ金融機関の審査に必ず通過しなければなりませんが、どの金融機関でも審査される一般的な審査項目は以下の通りです。個人信用情報に著しい問題がないか安定した収入があるのか教育ローンが、収入に対して多重債務にならないか上記の審査項目に対して、1つでも問題がある場合は、教育ローンを借入することは難しくなる可能性が高くなりますが、これら3つの具体的な解説につきましては、以下記事からそれぞれ個別に確認することができます。将来的に教育ローンの借入をする予定がありそうな方は、特に、読み進めていただきたい内容となっており、中には、教育ローンの借入が必要だからといって、短い期間で一時的に対策しようとしてもどうにもならないこともありますので、要チェックです。教育ローンの借入をするには、どこがいい?教育ローンの借入をするには、どこから借入すれば良いのか気になる方も多いと思いますが、この疑問を解決するためには、国の教育ローンと民間の教育ローンについて、それぞれ特徴を知ることが大切です。また、国の教育ローンや民間の教育ローンは、金利や融資限度額にもそれぞれ違いがあることから、特徴を知るだけではなく、それぞれを比較検討していくことも大切になります。なお、以下、同サイト内で公開している記事では、国の教育ローンと民間の教育ローンの違いについて比較しており、併せて、金利や特徴についても紹介しているため、教育ローンの借入をどこからしたら良いのか疑問を抱えている方にはおすすめです。教育ローンを比較検討するためのポイント教育ローンを比較検討する際のおもなポイントは、以下の通りです。金利は、どのような種類があるのか年利率は、どのくらいなのか保証料や保証人が必要なのか借入金額はどのくらいまで可能なのか返済期間はどのくらいまでなのか融資の対象となる条件はどうなのか上記の内容は、金融機関によってすべて異なるほか、いわゆるメガバンクと呼ばれる有名な銀行だからといってお得な融資条件であるとは限りませんので、やはり、複数の金融機関同士で比較検討することがとても大切です。教育ローンの金利を考える上でのポイント教育ローンや住宅ローンを借入する上で、金利を見て借入を検討することは当然のことである一方、目に見える金利(表面金利)だけで選ぶことは厳禁です。また、教育ローンには、おもに3つのリスクがあると考えられ、教育ローンを借入する前のリスク、教育ローンを借入している在学中のリスク、卒業した後における返済途中のリスクについて考えておくことも大切です。そのため、教育ローンの金利だけではなく、これら3つのリスクについて、どのようなリスクでどのような対策を考えておく必要があるのか、あらかじめ知っておくことをおすすめします。教育ローンを銀行から借入する場合の注意点教育ローンを銀行から借入するということは、民間の教育ローンを借入することを意味し、担保や保証料について、あらかじめ注意しておかなくてはなりません。これは、国の教育ローンに比べて民間の教育ローンは、種類が様々あることに加え、担保の有無によって金利や借入限度額が異なるほか、保証料があるといった特徴があるためであり、結果として、これらは将来返済していくことになるお金に直接の影響を与えるためです。ちなみに、国の教育ローンは、銀行に比べて金利が低く、保証料や担保も必要ないことから、優先して教育ローンの借入を検討されることをおすすめしたいのですが、借入できる金額が少ないことや同居している親族以外の保証人が必要などといった縛りもありますので、この辺の注意点も知った上で、どちらの教育ローンを活用するのが得策なのか検討する必要もあるでしょう。教育ローンについてのおすすめ記事を紹介教育ローンは、借入から完済までの返済期間が長いものであるからこそ、借入計画や返済計画を立てることは、とても大切になりますが、何よりも教育ローンを無事完済し終えた成功者の体験談を知ることは大切だと考えます。成功談、失敗談から学べることはたくさんあるわけでありますから、教育ローンを借入する前は、教育ローンの完済に成功した方の体験談を目通しすることで、これからの借入に活かすことをおすすめします。なお、教育ローンは、住宅ローンの借入と同じように、長い期間に渡って返済をしていかなければならないことが多いため、返済期間中に、借り換えを検討される方もおられると思います。こちらに関しましても、教育ローンの借り換え効果について考察したものを公開しておりますので、併せて読み進めておくことで、より、教育ローンを初めて借入する際の大切さがおわかりになると思います。教育ローンまとめ教育ローンの総合案内記事として、教育ローンの借入から完済までに必要なことを幅広く紹介させていただきましたが、本記事の内容を一通り目通しいただきまして、関連記事を読み進めていただくことで、無理のない教育ローンの借入ができるものと思います。教育資金は、人生三大資金の1つにあたり、多くのみなさまにとって極めて重要なお金にあたりますが、教育ローンを借入する場合は、計画的な借入と返済計画をあらかじめ立てておくことでうまくいくことは確かです。本記事が、これから教育ローンを借入するみなさまにとって有意義なものになっていただければ幸いです。
2019年01月18日2020年に日本の教育が大きく変わると言われています。学習指導要領の改訂と大学入試改革が行われます。変わるとは知っていても具体的にどんな風に変わるのか、意外と知らない方も多いのではないでしょうか。「うちの子はまだ小さいから早いな」と思う方もいるかもしれませんが、小学校の勉強がどう変わるのかを知って、早くから対策をすることは決して無駄にはなりません。まずは改革の概要をしっかり理解しましょう。1. 学習指導要領の大幅な改定学習指導要領とは、日本教育の大まかな指導目標です。都度見直されていますが、2020年には小・中・高校で全面的に見直されます。教科・科目面では、小学校3・4年生で「外国語活動」、5・6年生で「英語」教科化、高校では「公共」「歴史総合」「地理総合」「理数探求」などが新設されます。さらに学びの特徴として以下のようなものが導入されます。(1) アクティブラーニングの導入アクティブラーニングとは「主体的・対話的で深い学び」を示し、教科ではなく授業方法です。正解を先生が教える一方的な授業ではなく、解き方を班ごとに話し合ったり個々に意見を出し合ったり、という双方向、対話的な学びのスタイルを取ります。(2) プログラミング教育の実施小学校でプログラミングが必修化されます。プログラミング言語や技術を学ぶというよりは「プログラミング的思考」を学びます。プログラミング的思考とは、何か問題があるとき解決するための最適な方法を考え、予測し、それをトライ&エラーで解決することです。今までの、知識を詰め込みいかに覚えるかという教育から、覚えたことをどう使っていくかに重点が置かれていきます。解決力や、持っている知識をどう使うかが問われるようになります。2. 英語改革年々進むグローバル化に向けて、英語教育についても改革が行われます。使える英語力を目指し、学習開始年齢の前倒し・4技能(聞く、話す、読む、書く)の取得を求めての改革となります。・小学校3・4年生週1コマ程度の「外国語活動」年間35コマの授業聞く・話すことの言語活動・小学校5・6年生週2コマ程度の「英語」年間70コマの授業成績(数値による評定)がつく活字体の読み書き語順への気付き・中学生・高校生英語の授業は英語で行うことを基本とする高校では「論理・表現」の科目新設(スピーチ、プレゼンテーション、ディベート、ディスカッションなど)覚える単語数も、現状は中学で扱う英単語が1200程度ですが、小学校の間に600~700語学びます。現状の中学生レベルの半分以上を、小学校卒業までに学ぶということですね。そして英語についても、覚える授業から、コミュニケーションを重視とした内容に変わっていきます。より実践的な話す力が求められることになります。但し2020年に向けて既に任意で英語を取り入れる小学校も増えています。私の息子が通う小学校では、外国人講師を招いた外国語活動を隔週1回程度行っているようです。3. 大学入試も大きく変わる2020年の改革では、大学受験も大きく変わります。まだ幼稚園や小学校低学年だとピンとこないかもしれませんが、成長と共に関係してくる部分ですので今の内から理解しておきましょう。大きく変わるのはマークシート方式の「センター試験」が廃止となり、「大学入学共通テスト」に移行します。数学・国語で80~120字の記述があるなど、思考力・判断力・表現力も評価されます。英語についても、今までの「読む・書く」から「読む・書く・聞く・話す」を評価され、民間資格や検定試験も評価されます。活用できる資格・検定試験は「ケンブリッジ英語検定」「TOEFL」「TOEIC」「IELTS」「TEAP」「英検」「GTEC」で、高校3年生の4~12月に受検した2回までの結果が採用されます。今までの知識を詰め込む教育からどのように変わるのかお分かりいただけたでしょうか。ただ、思考・判断するためには当然知識が必要となります。知識があるのはあくまでスタートラインということになり、そこから考える・自分の意見を言う力が必要になってきます。それを試験やテストで発揮するためには、日頃からの勉強方法を少しずつ変えていく必要があるでしょう。大学受験を考えていない場合でも、こういった能力は将来社会で必ず必要となってきます。頭の柔らかい小学生の内から意識することで、無理なく少しずつ力がつくはずです。学校や塾の勉強も大切ですが、一番良いのは家庭でコミュニケーションを取っていくことです。是非会話の時間を多く持ち、子どもにたくさん質問を投げかけることを意識してみて下さい。教育改革に負けない地頭を作っていきましょう。
2018年12月21日「子どもの発達に合わせて、そのときにもっともふさわしい教育をする」ことが特徴の「シュタイナー教育」(インタビュー第1回参照)。実際の教育現場ではどのような授業がおこなわれているのでしょうか。東京賢治シュタイナー学校で1年生のクラス担任を務める鴻巣理香先生は、その特徴を「世界とのつながりをとおして学ぶこと」だと語ります。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビュー・校内撮影のみ)記事冒頭画像:東京賢治シュタイナー学校 校内子どもには遊びでも明確な教育の意図がある――シュタイナー教育では1年生を「ならし期間」としているそうですが、一般の学校とどうちがうのでしょうか。鴻巣先生:当校には幼児部もありますが、学校にはいろいろな幼稚園、保育所から子どもたちが入学してきます。ですので、子どもたちの緊張がほどけて「仲間」になるまでには時間が必要です。そのため、最初に取り組むのは、「共同の生活の場」をつくること。一般の学校ではいきなり授業がはじまりますよね。でも、その前の段階が十分にできていないと、まだ幼児の延長上にある1年生は落ち着いて学べません。学びの特徴として、当校の1年生の席は円形になっていることが挙げられます。――それにはなにか大きな意味があるのでしょうか。鴻巣先生:これは「みんなが出会える場所」だということを意識したものです。入学当初の子どもたちが持っているのは「わたしと先生」という感覚。「わたしがみんなの一部」という感覚がまだないのです。だから、みんなが一斉に先生と話そうとする。そこで、「ひとりずつね」「誰かが話しているときは一緒に聞いてね」と話し、聴くことを練習していくなかで、子どもたちは「みんな」になっていくわけです。――いわゆる授業の内容はどんなものですか?鴻巣先生:いまお話した、円形に座ってお話をすることが1日のはじまり。そして、詩を唱えたり、歌を歌ったりします。これがもう授業なんです。椅子をしまって「ライゲン」(ストーリーを語りながら動物などを演じる教師を子どもが真似るリズム遊びのようなもの。※詳しくはインタビュー第2回参照)をすることもあります。お話をしながらいっぱい動くのですが、子どもたちにとっては遊びみたいなものでしょう。でも、教師としては、日本語のリズムで詩を一緒に唱えて覚えさせる、体の大きな動きやこまかい動きを練習させるといった、明確な意図があるものです。そして、これらの活動のなかには「共同でやること」、そして「自分自身が取り組み練習すること」が必ず含まれます。それが1年生にとっての学びなのです。「土台」ができあがれば学習速度が一気に上がる――一般的な授業とは大きく異なるようです。鴻巣先生:もちろん、国語や算数など、一般的な教科に該当する授業もあります。ただ、シュタイナー教育では、最初に学ぶための「土台」をつくることを重視します。先ほどお話したように、これらは子どもにとっては遊びみたいなものですから、親御さんに「今日は学校でなにしたの?」と聞かれると、子どもは「先生と遊んできた」と答える。ですから、親御さん、特にお父さんのなかには心配してしまう方もいますね。「この学校、大丈夫かな」って(笑)。ただ、わたしたちは、子どもがどんな時期なのかということに重きを置いて、人間の成長に合わせた無理のない学びにしているだけのことです。まわりから見ると、3年生まではすごくゆっくり学んでいるように見えるでしょう。ですが、きちんと土台ができあがると、4年生以降ではかなり早く学びが進むのです。――「エポック授業」というものが大きな特徴だと伺いました。鴻巣先生:これは、すべての学年の1時間目におこなわれる110分の授業です。110分というと長く感じると思いますが、1年生だったら最初の45分から1時間くらいは、先ほどお話したライゲンなどをして子どもたちは動いています。そして、30分くらい集中して勉強をする。そして最後の15分は教師の話を聴きます。勉強の内容は、一般の学校の国語、算数、理科、社会にあたる教科です。しかも、2週間から4週間ほどのスパンで、毎日、同じ教科の同じ内容を集中的に学びます。そして、その教科が終わったら、次の教科に集中する。前の教科で学んだことは、1回寝かせます。たとえるなら味噌のようなもので、寝かせて発酵させるわけです。――寝かせることにはどういう意味があるのでしょうか。鴻巣先生:寝かせているのですから、他の教科に取り組んでいるときには、学んだことが頭のなかに出てくることはありません。でも、しばらくたってふたを開けたときには熟成されている。しっかり潜在意識に刻まれ、強化された記憶のなかから「こうだった!」と取り出すことができるわけです。子どもの成長段階をしっかりと見つめる――貴校の授業で特に強く意識していることがあれば教えてください。鴻巣先生:一般の学校で学ぶ内容も、より生活に根差したものとしてとらえるということです。3年生の算数ではものの単位を習います。ただ、それを「紙の上」で終わらせることはありません。1kmを学ぶためには、1mのロープを10本つなげて10mのロープにして、それをみんなで持って実際に測ります。なぜなら、わたしたちのまわりには「世界と切り離されたもの」はなにひとつないからです。世界とのつながりをとおして学ぶことは、実際にそこにあるものの見方――「観点」を学ぶということ。だからこそ、授業でならったもの以外のものを見ても、学んだことをきちんと活かせるようになる。応用が効くと言ってもいいかもしれません。これは「紙の上」だけでの学びでは得られないものです。――一般の学校に通う子どもを持つ親御さんでも生かせる貴校の教育の考え方はありますか?鴻巣先生:まずは、いまお子さんがどういう時期にあるのか、しっかり見てあげてほしいですね。1年生は幼稚園児と比べると大きくなったように見えますが、さまざまな場面でまだ親の支えが必要な段階です。いまの子どもたちには、「できないことはいけないこと」という感覚があるように思いますが、できなくても平気なんですよ。失敗してもまたやってみたらいい。ただ、親が一緒にやってあげる必要があります。そして、もう支えがいらないのか、助けてほしいけど言えないだけなのか、そういうことをきちんと見抜いてあげてほしいと思います。■ 東京賢治シュタイナー学校■ 東京賢治シュタイナー学校幼児部たんぽぽこどもの園■ 東京賢治シュタイナー学校 インタビュー一覧第1回:「点数」で子どもを評価しない――力強い意志を育む「シュタイナー教育」の本質第2回:「模倣となりきり」で想像力が伸びる――感覚がフル稼働する「シュタイナー教育の1日」第3回:お片づけに“小人さん”が登場!?――「豊かなイメージ」が日々の子育てにも生きる第4回:1年生が「円形の席」で学ぶこと――シュタイナー教育が重視する「学びのベース」【プロフィール】東京賢治シュタイナー学校1994年、30年以上にわたり公教育に携わった鳥山敏子氏が公立学校を退職し、天地人のつながりのなかに生きようとした宮沢賢治の生き方を理想として長野・美麻に若者のための学びの場「賢治の学校」を立ち上げる。その後、ドイツのシュタイナー学校の見学をとおして「子どものための学校」こそ必要だとし、1997年に東京・立川に拠点を移して前身である「東京賢治の学校」を創設。1999年に幼児部、2005年には高等部を開設。2013年より現校名となる。鴻巣理香(こうのす・りか)東京賢治シュタイナー学校教師(1年生クラス担任)。「正直であるというところから人間は真の強さを生み出す」を信念とする。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年12月14日「シュタイナー教育」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ドイツで誕生した教育思想ですが、おそらく多くの人にとって耳慣れないものでしょう。日本でシュタイナー教育をおこなう東京賢治シュタイナー学校の取材をとおして見えてきたのは、一般常識や他人の意見でぶれることのない、力強い「意志」を育てる教育でした。同校幼児部教師・池田真紀先生(写真右)と、学校教師・鴻巣理香先生(写真左)にお話を聞きました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビュー撮影のみ)ドイツで生まれ日本の風土に合わせて発展――そもそも、「シュタイナー教育」とはどんなふうにはじまったものでしょうか。池田先生:もともとはオーストリアの哲学者であるルドルフ・シュタイナー氏がはじめた教育です。当時は第一次大戦のさなか。「健全な人間が育たないと健全な社会には変えられない」という、社会運動の一端としてはじめられたそうです。鴻巣先生:当時のドイツの普通教育は、いまの小学4年生くらいまで。その後は、上の学校に進むのか、あるいは社会に出て徒弟制度のなかで働くのか、その時点で決めないといけませんでした。その頃、シュタイナーの講演を聴いた大きなタバコ会社の社長が、彼に「学校をつくってほしい」と依頼しました。従業員のほとんどはごく短い期間の普通教育を受けただけだったということもあり、従業員たちが「子どもたちには彼らに合う場でしっかり学ばせてあげたい」と社長に要望したのだそうです。そうして、はじめてのシュタイナー学校が誕生しました。池田先生:その後、日本に伝わった当時は、ドイツでの手法をそのまま踏襲していたようです。でも、日本のなかでそれぞれの学校や幼稚園が試行錯誤しながら、その地域に合ったシュタイナー教育をおこなうようになっています。ただ、根本となる「人間」とはなにか、というとらえ方は、どこのシュタイナー教育も同じものです。子どもたちの年齢と成長に合った教育――その根本である、シュタイナー教育の特徴というとどんなものになるのでしょうか。池田先生:「子どもの年齢や発達にふさわしい教育を与える必要がある」という発想ですね。まだ合わないものを早くさせたり、逆に必要なことをさせなかったりということではなく、そのときそのとき、成長を続ける子どもに合ったカリキュラムを組んでいます。鴻巣先生:シュタイナー教育は1919年にはじまり、2019年に100周年を迎えます。でも、100年たったからといって、子どもが育っていくために必要なものは変わりません。子どもの年齢、成長に合ったものを手渡していくということが、シュタイナー教育のいちばんの特徴だと思います。当校の教師は、一般の公立校や私立校で教師をしていた者がほとんどですから、一般の学校とのちがいをよくわかっています。そのちがいとは、人間のとらえ方、発達に関する観点ですね。幼児期に体ができてはじめて勉強ができる――シュタイナー教育では、0〜7歳、7〜14歳、14〜21歳という7年単位で人間の成長をわけて考えているとのこと。実際に、7年が区切りになっていると感じますか?鴻巣先生:本来、人間の成長はひとつながりのものです。でも、学校制度のなかでここからは上の学年だというふうにわけざるを得ません。そういうなかで子どもたちをどう発展させるかというところは、学校であり教師が工夫するしかない。わたしたちの教育は、幼児だからここまで、1年生だからこれをやる、2年生だからこれをやると押し付けるものではありません。もちろん、各学年で取り組むべきカリキュラムはあります。それは、それぞれの「時期に合っている」もので、「彼らの成長を助ける」ものだということです。池田先生:7歳を例にすると、「歯が抜ける」ことが大きなサインとなります。乳歯が抜けるのはだいたい1年生の前後です。それが、シュタイナー教育では、「きちんと体ができた」「勉強ができるようになった」というサイン。0歳から7歳までのあいだは、勉強させるのではなく、きちんと体をつくってあげることが大きなテーマなのです。鴻巣先生:乳歯が抜けると、すでにその下には永久歯が準備されていますよね。ということは、体のなかでもっとも硬いものをつくっていた大きな力が余っているということ。その力を使って「覚える」ということが可能になる、とシュタイナー教育では考えているのです。一般の学校だと、1年生になるといきなり勉強に入ります。でも、まだ体ができあがっていない幼児の名残がある状態では、「覚える」ことがすごく難しいのだと私たちは見ています。シュタイナー教育が育む自分を信じる力――シュタイナー教育を受けた子ども、そうでない子どもで、その後にどんなちがいが出るものでしょうか。鴻巣先生:卒業生がよく口にするのは、「根拠のない自信がついた」ということ(笑)。それは、小さい時期を競争しないで育っているからだと思います。もちろん、高等部など上の学年に進めば切磋琢磨することも必要ですが、基本的には「この子は100点、この子は50点」というふうに点数で子どもを評価しません。そうすると、「これは自分がしっかりできる」「この子はこういうことが上手だから教えてもらおう」という考えが身について、なにかが「できないから責められる」という経験がないのです。それが「根拠のない自信」につながっているのではないでしょうか。――とはいえ、大学進学などを考えれば、競争も必要になってきます。鴻巣先生:当校の卒業生たちは、「点数」で進路を選びません。偏差値がいくつだからこの大学に行くというようなことはしないのです。「○○先生がいるから」「学びたいことを学べるから」と明確な志望理由を持っていますし、進学しない子にもきちんと理由がある。そして、「ちがう」と思ったら、また戻って自分がやるべきこと、やりたいことを探している。その「へこたれない力」は、本当にすごいと思いますね。もちろん、卒業後に夢を持ちながらもまだ中途半端な状態にある子もいます。若者ですから、そういう時期があって当然でしょう。ただ、そんな子も、「いまの仕事が一生の仕事ではないけど、学ぶところがあるからいまはこれをやる」というふうに、自分が立っている位置をきちんと理解しています。池田先生:当校の教師が、いろいろな生き方を認めていることも大きいかもしれません。普通だと、高校卒業の時点で進学先や就職先など送り出す先が決まっていないと、教師も心配しますよね。でも、当校の教師はいろいろな可能性を認めて待ってあげている。それで、「先生たちは自分をちゃんと受け止めてくれている」「ひとりじゃないんだ」「やっていける」と感じているのではないでしょうか。■ 東京賢治シュタイナー学校■ 東京賢治シュタイナー学校幼児部たんぽぽこどもの園■ 東京賢治シュタイナー学校 インタビュー一覧第1回:「点数」で子どもを評価しない――力強い意志を育む「シュタイナー教育」の本質第2回:「模倣となりきり」で想像力が伸びる――感覚がフル稼働する「シュタイナー教育の1日」(※近日公開)第3回:お片づけに“小人さん”が登場!?――「豊かなイメージ」が日々の子育てにも生きる(※近日公開)第4回:1年生が「円形の席」で学ぶこと――シュタイナー教育が重視する「学びのベース」(※近日公開)【プロフィール】東京賢治シュタイナー学校1994年、30年以上にわたり公教育に携わった鳥山敏子氏が公立学校を退職し、天地人のつながりのなかに生きようとした宮沢賢治の生き方を理想として長野・美麻に若者のための学びの場「賢治の学校」を立ち上げる。その後、ドイツのシュタイナー学校の見学をとおして「子どものための学校」こそ必要だとし、1997年に東京・立川に拠点を移して前身である「東京賢治の学校」を創設。1999年に幼児部、2005年には高等部を開設。2013年より現校名となる。池田真紀(いけだ・まき)(写真右)東京賢治シュタイナー学校幼児部教師(クラス担任)。「古くならないいまの時代に合ったシュタイナー教育」を目指す。鴻巣理香(こうのす・りか)(写真左)東京賢治シュタイナー学校教師(1年生クラス担任)。「正直であるというところから人間は真の強さを生み出す」を信念とする。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年12月08日日本が誇る世界的大企業・ソニー。その巨大企業は、じつは科学教育発展のための助成財団を運営しています。その助成財団「ソニー教育財団」は1959年から大本となる活動を開始し、現在ではその活動の幅を大きく広げています。公立校の教員が抱える問題の解決のため、また、2020年から小学校ではじまるプログラミング教育必修化のサポートのため、ソニー教育財団がおこなっている活動について、理事長・高野瀬一晃さんにお話を聞きました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)大小さまざまな規模の研修で教員のネットワークづくりを支援わたしが理事長を務めるソニー教育財団が小中学校の先生の助成をはじめたのは、1959年から。理科の先生から理科教育論文を募り、優秀な論文を執筆した先生に助成金やソニー製品を贈呈するという「ソニー小学校理科教育振興資金」です(インタビュー第1回参照)。すると、その活動が新たな展開を生みました。1963年、優秀な論文を執筆して受賞した先生が所属する学校が「ソニー理科教育振興資金受賞校連盟」というものを組織し、先生同士でネットワークをつくって互いに切磋琢磨していこうという動きが起きたのです。そこで、その先生たちの研修などに必要な費用をソニーが提供することにしました。「ソニー理科教育振興資金受賞校連盟」は、「ソニー科学教育研究会」(SSTA)と名称を変え、理科教育に関心のある先生ならだれでも参加できる会として、現在も活動を続けています。会員の先生の数は、いまでは約2000人。みなさん、理科教育に本当に熱心な先生たちです。SSTAの会員の多くは公立校の先生。じつは、公立校の先生たちはひとつの問題を抱えています。異動があっても市町村内の別の学校に行くだけということがほとんど。市町村外に異動することがあっても、都道府県内の異動にとどまります。すると、先生たちは他の都道府県の先生とのネットワークをほとんど持つことができないのです。しかも、教員独特のメンタリティーなのか、なにか授業で問題が起きたとしても、同じ市町村内の先生にはアドバイスを求めにくいらしい。おそらくは、互いにコンペティターだと認識しているのでしょう。その問題を解決するため、わたしたちはSSTA会員の先生を対象とした3泊4日の全国特別研修会というものを開催しています。集まるのは全部で約100人の先生たち。そこで、たとえば北海道、青森、広島、福岡の先生がグループとなって授業の単元(学習活動の題材)開発をおこなってもらう。こうして、先生たちは「同じ釜の飯を食った」仲になる。全国に先生同士のネットワークができ、先生たちは互いにアドバイスを求めたり、アドバイスをしたりできるようになるわけです。また、全国特別研修会の他にも、全国を4つのブロックにわけておこなう「ブロック特別研修会」や都道府県単位の支部ごとの研修会も実施しています。これらにより、草の根運動ではないですが、学校現場の授業の質を上げることに貢献できていると自負しております。プログラミング教育のキモはプログラミング言語習得ではないこういった先生たちの研修のサポートの他に、ソニー教育財団では新たな試みをはじめています。わたしはもともとソニー株式会社では資材調達に携わってきました。ビジネスの現場に長く身を置いてきた立場からも、今後のソニー教育財団がどういうミッション、ビジョンを共有し、どこに向かって活動すべきかを考えています。ソニー創業者の井深大の考えも高く掲げながらも、未来志向が必要だと思うのです。その未来志向のなかではじめたのが、プログラミング教育のサポート。いま、日本のビジネスの現場にはソフトウェアエンジニアが圧倒的に不足しています。そのため、2020年から小学校でプログラミング教育が必修化されるのですが、問題はそれを教える先生たちにそのスキルや指導経験がないということ。そういう先生たちを、なんとかサポートしなければなりません。たまたまではあるのですが、ソニーでは異なるグループ会社がそれぞれにプログラミング教材を開発しました。ひとつは「MESH(メッシュ)」というもの。これは、人感センサーや光センサーなど、さまざまなセンサーやスイッチ機能を持ったブロック形状の電子タグとアプリを組み合わせ、プログラミングすることでいろいろなアイデアをかたちにできるというものです。画像提供:ソニー教育財団もうひとつは、「KOOV®(クーブ)」。こちらは、子どもたちの大好きなカラフルなブロックと電子パーツで動物やロボットなどのかたちをつくり、そこにアプリからプログラムを転送することで、自分でつくった作品を動かすことができるというものです。(本記事冒頭画像もKOOV)画像提供:ソニー教育財団わたしたちは、これらをSSTAの先生たちに無償で貸し出し、プログラミング教育に役立ててもらっています。その授業はたとえばこんな内容です。教室にゴミが散らかっているという問題があるとしましょう。そこで、MESHをつかってみんながちゃんとゴミ箱にゴミを捨てるようにするための方法を子どもたちに考えてもらう。たとえば、ゴミ箱を開けると、ゴミ箱のなかの光センサーが反応して、あらかじめ録音していた「きちんとゴミを捨ててくれてありがとう」という音声が流れるようにするとか。MESHもKOOV®も直感的に使えるビジュアルプログラミングを採用しているので、プログラミングの専門的な知識がなくても問題ありません。重要なのは、「○○すれば△△が起きる」といった、プログラミングの基本的な考え方を身につけることです。プログラミング教育というとコンピューター言語を覚えるといったイメージをするかもしれませんが、その根本となる考え方、「論理的思考」を身につけることが、重要なプログラミング教育だと思うのです。■ ソニー教育財団理事長・高野瀬一晃さん インタビュー一覧第1回:ソニーが“子ども投資”を59年間も続ける深い理由第2回:世界のソニーが手がける「プログラミング教育サポート」第3回:卒業生400人、みんな理系じゃないから面白い。ソニーの凄すぎる自然教室の全貌(※近日公開)第4回:日本人教員がビックリするのも納得。豪州が取り組むSTEAM(スチーム)教育の凄さ(※近日公開)【プロフィール】高野瀬一晃(たかのせ・かずあき)1954年1月18日生まれ、東京都出身。早稲田大学教育学部卒業。1990年、ソニー株式会社入社。資材調達のエキスパートとして1993年からドイツ、ハンガリー、フランス、スウェーデンなどヨーロッパ各国に赴任。2005年に本社へ復帰し、DI事業本部、テレビ事業本部の資材部門部門長、調達本部本部長、調達担当役員(SVP)などを歴任し、2015年に定年退職。その後、公益財団法人ソニー教育財団理事長を務める。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年11月20日「レッジョ・エミリア教育」を知っていますか?優れた幼児教育として、世界中の保護者から注目を浴びています。その発祥となったイタリアの都市レッジョ・エミリアは1991年、米国の週刊誌『ニューズウィーク』により、幼児教育における国際的なロールモデルとして挙げられました。米Googleの社員が利用できる預かり保育にも、レッジョ・エミリア教育が取り入れられているそう。いったい、一般的な幼児教育と比べてどのような特徴があるのでしょうか?今回は、小さな子どもに関わる者ならぜひ知っておきたいレッジョ・エミリア教育について、簡単にご紹介します。レッジョ・エミリア教育の発祥レッジョ・エミリア教育の始まりは、第二次世界大戦の終戦直後でした。北イタリアの都市レッジョ・エミリアの近くにあるヴィッラ・チェッラ村の人々は、戦争で破壊された建物からレンガや石を集めたり、ドイツ軍が残した戦車を売り資金を集めたりして、学校を建てはじめたそう。地元の教員だったローリス・マラグッツィ(1920~1994)はそれを見て感動し、ローマで教育心理学を学びはじめます。1950年に学位を取得するとレッジョ・エミリアに戻り、学校の運営を手伝ったり新たな幼児教育施設を建てたりしたそうです。マラグッツィは市当局と協働し、1963年に公立としては初めての幼児教育施設をオープンさせました。その後も公立の施設は増え、レッジョ・エミリアの保育施設は18に、幼児教育施設は51にまでなったそう。これらの施設で行われている教育が、レッジョ・エミリア教育と総称されているのです。レッジョ・エミリア教育の理念レッジョ・エミリア教育における指導者的存在となったマラグッツィは自身の教育理論を本として残しておらず、レッジョ・エミリア教育に体系的なメソッドはありません。しかし、マラグッツィによる詩「100の言葉」は、レッジョ・エミリア教育の理念を象徴するものとして知られています。以下はその一部です。子どもは100の言葉を持っている(そしてもっともっと何百も)けれど99は奪われている学校と文化が頭と体を切り離す彼らは子どもにこう言うのだ手を使わずに考えなさい頭を使わずやりなさいよく聴きなさいしゃべってはいけません楽しまずに理解しなさい(引用元:St Joseph’s School|The Hundred Languages of Children)この詩のなかでは、従来の幼児教育が冷たいものとして非難されています。そして、その反対がレッジョ・エミリア教育だといえるでしょう。「100の言葉」は子どもが持つ無限の可能性の象徴です。そして、人にはそれぞれ異なる価値観や個性があることを意味しています。2010年代の「多様性社会」を先取りしたものといえるかもしれません。レッジョ・エミリア教育の実践では実際に、レッジョ・エミリア教育では何が行われているのでしょう?以下ではレッジョ・エミリア教育の特徴を紹介します。1.プロジェクトレッジョ・エミリア教育の大きな特徴は、「プロジェクト」と呼ばれる活動です。これは、長ければ1年にも及ぶ長期間、一つのテーマを掘り下げるというもの。テーマは子ども同士の話し合いによって決定され、工作や調べ活動が行われます。子どもたちが議論しやすいよう、プロジェクトは4~5人の小グループで行われることが多いそう。また、グループには保育士だけでなく、保護者や地域住民といった大人も加わって、話し合いや見守りをします。このプロジェクト活動において子どもが学べることは多くあります。幼児教育を専門とする冨貴田智子・准教授(愛知江南短期大学)が、幼稚園で1カ月に渡るプロジェクト活動を行ったところ、以下のように子どもたちの「自律性」および「協同性」の成長が見られたそうです。自律性:-子どもたちだけで設計図について話し合っていた。-自由遊びの時間にも自主的にプロジェクト活動を進めていた。協同性:-自分の意見を強く主張しつつも、他者の話に耳を傾けて考えを変えた。-他者を批判したら逆に批判されたことにより、新たな気づきを得た。2.ドキュメンテーション「ドキュメンテーション」も、レッジョ・エミリア教育を語るには欠かせないものです。子どもたちが活動する様子は、文字や写真・動画によって記録されます。そしてパネルとしてまとめられ、誰もが見られる場所に展示されます。子どもがそれを見て、自分たちの活動を振り返ることにより、次に活かすのが目的です。もちろん、保育士にとっても指導の参考資料となり、保護者や地域住民といった来園者に活動を紹介する有効な手段ともなります。幼児教育学を専門とする伊東久実教授(身延山大学)は2011年、レッジョ・エミリア教育を実践する米国の保育施設を視察したところ、ドキュメンテーションは以下のように作成されていたそうです。-造形美術の専門教師(アトリエリスタ)と保育士による、2~3人のグループが担当。-子どもが活動している様子を多数の写真に収め、録音する。-子どもが興味を示したことに関して、1枚もしくは数枚の写真をピックアップする。-活動の過程や子どもの考えが分かるような言葉を添える。-教室や廊下に掲示する。具体的に、ドキュメンテーションには以下のようなことが書かれていたそうです。子どもたちの行動や発言が細かく記録されているので、その場にいなかった人でも様子をありありと思い浮かべることができますね。エレーナは来てすぐにライトテープルの脇にいるフェリックスのもとに直行した。四角や三角などの異なる形を見ながら、エレーナは「丸のかたちはないの?」と尋ねてきた。しかし、丸の形がないと知ると、彼女は自分で丸を作り始めたのだ。彼女が三角形をつなぎ合わせれば円を作れる、という直感を持っていたことに私は驚いた。エレーナ:私は丸を作ったよ。今度は丸を分解していくの。フェリックス:僕は四角を集めてる。これってマグネットなんだ。マグネットがいっぱい!エレーナは、円を作るために組み合わせた三角形をひとつひとつ指さしながら言った。エレーナ:青、だいだい、緑、だいだい、だいだい、緑。フェリックス:これとこれは同じ色だ。(だいだい色の三角形を2つ指し示しながら)(後略)(太字による強調は編集部で施した)(引用元:身延山大学 リポジトリ|レッジョ・アプローチによるドキュメンテーションの実例検討 (長澤市郎先生退職記念号))伊東教授によると、この施設におけるドキュメンテーションは、以下の3つの観点に基づいて行われていたそう。1.子どもの思考を視覚化できるよう、効果的にレイアウトする。2.結果報告ではなく、子どもたちの探究活動の経過の記録である。3.子どもを「多大な可能性を持つ存在」としてとらえ、尊敬する。日本でも、子どもたちが工作や遠足をしている写真を掲示している保育園・幼稚園はありますが、あくまで「活動の簡単な紹介」にとどまっているのではないでしょうか。ドキュメンテーションのように、文字による詳しい説明はほぼ見られませんよね。子どもたちを尊敬し、彼らが何を行って何を考えているのかを客観的に分かりやすく表現するドキュメンテーションは、レッジョ・エミリア教育を体現しているものといえるでしょう。3.教育環境レッジョ・エミリア教育を取り入れている施設には、「アトリエリスタ」という美術専門の教師がいます。一つの園につき1人が配置され、プロジェクト活動やドキュメンテーションの作成に関わります。「ペダゴジスタ」という教育学専門家の存在も、レッジョ・エミリア教育における特徴のひとつです。ペダゴジスタは複数の施設を担当しており、週に1回程度訪問する日には、保育者とアトリエリスタとで徹底的に話し合うそう。教育に関してアドバイスをするほか、運営にも関わるそうです。レッジョ・エミリア教育においては、施設のデザインも重要です。レッジョ・エミリア教育の施設には、「ピアッツァ(広場)」と呼ばれる空間があります。イタリアの都市は広場を中心として展広がっており、そこは噴水や市場があって人々が集まるスペースとなっているのですが、レッジョ・エミリアの施設でも同様。たとえばレッジョ・エミリア市のある乳幼児センターでは、ピアッツァは建物の奥にあり、年齢の異なる子どもたちの教室に囲まれています。着替え遊びができるコーナーや「劇場」のコーナーがあるそうです。また、市内の別の施設のピアッツァは、やはり教室に取り囲まれています。着替え遊びのコーナーのほか、合わせ鏡で作られた空間に入って遊ぶ「万華鏡」という遊具もあります。さらに、レッジョ・エミリア教育を取り入れた保育園を日本で経営する、ナチュラルスマイルジャパン株式会社代表取締役の松本理寿輝氏によると、レッジョ・エミリア市の保育園では、閉園時間になると街の人々がワインやチーズを持った人々がピアッツァに集まって会話を楽しむそう。子どもも自然と加わるとのことです。街と保育施設が分断されず、住民と子どもが場所を共有しているのは理想的ですね。レッジョ・エミリアの保育施設にとっては、「アトリエ」も重要です。ここには芸術活動に必要な用具・材料が置かれ、ドキュメンテーションや子どもの作品が飾ってあります。「まるで実験室のよう」と表現する人も。保育施設全体で使われる大きなアトリエのほか、各教室に備わっている「ミニアトリエ」もあります。アトリエには、小石や葉っぱなどの自然物が丁寧に保管されており、子どもの興味・関心を刺激します。日本にレッジョ・エミリア教育の施設はある?さて、ここまで読んでみたら、レッジョ・エミリア教育を取り入れた施設に子どもを通わせてみたくなったかもしれませんね。日本には、レッジョ・エミリアの保育園や幼稚園はあるのでしょうか?実は、レッジョ・エミリア教育の考えを取り入れている施設は都内では珍しくありません。アトリエリスタやペダゴジスタといったプロフェッショナルの確保、ピアッツァの設計など、日本にそのまま輸入するには難しい点もありますが、レッジョ・エミリア教育の基本的な理念を実践している施設をご紹介しましょう。-代沢インターナショナルスクール(世田谷区、渋谷区)「レッジョ・エミリア・アプローチ」を全面に打ち出し、一人一人の個性を尊重することを重視しています。プロジェクト活動はもちろん、ドキュメンテーションも実施。写真・子どもの発言・先生のコメントから成る「ジャーナル」を作成し、保護者が子どもの学習活動を把握できるようにしているそう。また、スクールのコミュニティ形成のため、イベントや課外活動には保護者の積極的な参加を求めています。-まちの保育園(練馬区、港区、武蔵野市)・まちのこども園(渋谷区)上述したナチュラルスマイルジャパン株式会社の運営する、レッジョ・エミリア教育の考えを重視した施設です。アトリエの設置や、外部の人も見られるようなドキュメンテーションの掲示など、レッジョ・エミリア教育の方法論を積極的に実践しています。それだけではなく、施設を開放して保護者や地域住民向けのイベントを開いたり、カフェを併設したりなど、施設と地域コミュニティを一体化させようという姿勢は、まさにレッジョ・エミリア教育の思想を体現したものといえるでしょう。レッジョ・エミリア教育を家庭で取り入れるにはレッジョ・エミリア教育に興味があっても、近くに施設がなかったり、費用がネックになったりする場合もありますよね。そんなときには、レッジョ・エミリア教育のエッセンスを家庭生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?たとえば、プロジェクト活動。休日の過ごし方を、子どもと話し合って決めてみてはどうでしょう。展覧会やワークショップなどの情報が載った冊子やWebサイトを子どもに見せ、どれに参加したいか自分で考えさせるのです。なぜそれを選んだのか、どんな点に興味を持ったのかを説明してもらうのもよいですね。また、以前に出かけた場所の感想を聞いてみて、気に入ったようであれば同じような場所に行ってみると、子どもの興味・関心がさらに広がりそうです。ドキュメンテーションの作成にもチャレンジしてみてはどうでしょうか。ノートやスクラップブックに、子どもが活動しているときの写真を貼り、子どもが発した言葉をそのまま記録すればOK。このとき注意したいのが、ドキュメンテーションは「思い出のアルバム」とは異なるということ。カメラ目線でポーズを取った「記念写真」ではなく、子どもが作品の制作や読書に熱中しているときの写真を選びましょう。ドキュメンテーションはあくまで「探究活動の経過の記録」です。子ども本人や親が見返して「気づき」が得られるよう、客観的に編集することを意識してみましょう。そして家族がいつでも手に取れるよう、リビングなど共有スペースに置いてくださいね。レッジョ・エミリア教育を知る本「レッジョ・エミリア教育をもっと知りたい!」という方には、本を一冊読んでみることをおすすめします。まずは、『驚くべき学びの世界~レッジョ・エミリアの幼児教育~』(ACCESS、2011年)。レッジョ・エミリア市の協力により2011年にワタリウム美術館(渋谷区)で開催された、「驚くべき学びの世界展」の内容がたっぷり詰まっています。レッジョ・エミリア教育のなかで子どもたちの作り上げたアートの美しい写真をふんだんに収録。読者の感性に直接訴えかけてくるような紙面を見ると、それだけでも子どもに対する考え方が変わりそうです。ほかに日本語で読めるものとしては、イタリア語・イタリア文化を教えるダンテ・アリギエーリ協会を創設したアレッサンドラ・ミラーニ氏による『レッジョ・アプローチ 世界で最も注目される幼児教育』(文藝春秋、2017年)があります。日本のプレスクールにおいてどのようにレッジョ・エミリア教育を実践したか、という経験に基づいて書かれたので、日本人の親にとっても共感しやすいのではないでしょうか。電子書籍版もあるので、気になったらワンクリックですぐに読むことができます。***プロジェクト活動やドキュメンテーションからうかがえるように、レッジョ・エミリア教育では子どもを一人の人間として尊重し、自主性を重んじているのですね。「幼児教育にはこんなアプローチもあるんだ」と、新たな視点を与えてくれます。就学前のお子さんをお持ちなら、近くにレッジョ・エミリア教育の施設があるか、調べてみてはいかがでしょうか。(参考)StudyHacker|レッジョ教育Newsweek|The Best Schools In The WorldHowStuffWorks|Google Benefits and Day CareThe Atlantic|Reggio Emilia: From Postwar Italy to NYC’s Toniest PreschoolsReggio Children|Loris MalaguzziReggio Children|Reggio Emilia – City of a Hundred Languages和光大学|レッジョ・エミリア・アプローチとの対話St Joseph’s School|The Hundred Languages of ChildrenJWCPE Repository|レッジョ・エミリアの幼児教育と保育環境愛知江南短期大学|プロジェクト活動を通した子どもの自律性・協同性が育つ過程の検討StudyHackerこどもまなび☆ラボ|イタリアの革新的なアート教育「100人には100通りの考え方がある」個性を大切にするレッジョ・エミリア・アプローチ身延山大学 リポジトリ|レッジョ・アプローチによるドキュメンテーションの実例検討 (長澤市郎先生退職記念号)政策シンクタンクPHP総研|子どもたちがまち中の人と出会える環境を代沢インターナショナルスクールまちの保育園ワタリウム美術館|驚くべき学びの世界展
2018年11月18日ウーマンエキサイトで連載中のちゅいママさんの記事 「日本の義務教育で本当に教えて欲しいことは? 夫婦で話し合ってみた」 で、日本の義務教育に関するアンケートを実施。「義務教育で今後重視してほしいと思うこと」「今の義務教育で見直した方がいい(減らしてもいい)と思うこと」について、さまざまな意見が集まりました。■“お金”にまつわる社会の仕組みを教えて!2020年度から小学校でのプログラミング教育、英語の必修化が始まります。パパやママは、子どもたちが自分たちの小学校のときとは違う教育を受けることに不安や期待を抱いているのではないでしょうか。ちゅいママさんとご主人も、これを機に「義務教育」について話し合ったそうです。おふたりがまず「義務教育で今後重視してほしいと思うこと」は、ずばり “お金” のこと。お金は貯金するだけでなく、「増やす」「活用する」方法もあるんだということを教えてほしいということで、それに共感するコメントや、税金や年金といった“お金”にまつわる社会の仕組みについて「教えてほしい」という意見が多数集まりました。社会の仕組みについて、しっかり学習すべきと思います。給料をもらうと、いくら、どこに、なぜ納税するのか。働き方、正社員と派遣社員、自営業の仕組み。年金や保険制度の意義、どんな場合にどのような社会保障があるのか教えてほしい。お金、税金、社会保険などなどの社会の基本的な仕組みを知らない人が多すぎる。確定申告(自分の税金の計算)くらい自分でできるようになるべき。FPの勉強内容を授業でやってほしい。政治についても、若い意見がより反映されやすいように選挙に行く姿勢を養ってほしい。性についても、生理が始まる頃から教えるのではなく、保育園、幼稚園から男女の違いを教えるべき。知ることが自分の身を守る事になると思うから。■多様性を認めないと、世界から遅れていくちゅいママさんご夫婦からは、「自分の意見を自分で考えて述べる」教育をしてほしいという意見も。これにも賛同の声が挙がり、 “ディスカッション” や “ディベート” を積極的に取り入れてほしいとのコメントが寄せられました。●ディスカッションと、働くことディスカッションは、自分の意見を持つこと、発信することの大切さ、さらには協調性や気配り、視野を広くもつ重要性を学べると思う。応用編でディベートも取り入れるとおもしろい。働き方について。まずは働くことの意味、働き方の選択肢、マイナーな職業についてなど小学生から取り入れてほしいです。マイナーでも生活を支えているお仕事も早くから知ってほしい。●性教育日本では、恥ずかしい事として隠してしまう傾向がある。でも、小さなときから性に関してオープンにして、きちんと知り理解する機会があれば、性の問題や不妊治療、望まない妊娠・中絶などで苦しむ人たちが今より少なくなるのでは? と思う。●人権・権利の大切さもっとかみ砕いて分かりやすく教えて欲しいです。いじめも、性犯罪も、暴力も、差別も、すべて相手の人権・権利を軽視・無視した結果起こるものだと思うので。相手を尊重することの大切さを具体的に伝えて欲しいです。●多様性を認める「みんなと同じが良い」という風潮、日本にはありますよね。多様性を認めないところに日本という国が他の国に遅れをとり、伸びていかない理由があると思います。その子らしさを認め、それを伸ばすような教育を。そして平均的に良いよりも、何か得意なこと、好きなことを見つけ伸ばすような教育が良いと思います。●インターネットリテラシー(インターネットを正しく使うための知識、能力のこと)子どもたちは生まれたときから当たり前のようにある世界。親が思ってるより子どもたちはネットの世界を自分たちでも使いこなすけど、それに伴うリスクなどは無知な子どもが多いと思います。だから学校でインターネットを使ったたくさんのメリットやそれにまつわる良くないことも教育していってほしいと思います。●交渉能力アクティブラーニング、生徒が能動的に学べるような授業を行うこと。●環境問題使い捨てが主流になりつつあるけど、その先を見据えて使い捨てているのか。もっと積極的に環境問題を取り上げて欲しい。そして、教育するべき問題だと思う。未来を生きるのは自分たちだから。親は未来の環境はどうにもしてあげられない。■「英語」「プログラミング」「道徳」は必要ない?一方、「今の義務教育で見直した方がいい(減らしてもいい)と思うこと」についてはどんな意見が集まったのでしょうか。「見直してほしい教科」としては、2020年に新たに導入されることになる「英語」「プログラミング」、そして本年度から新たに教科化となった「道徳」に関しての意見が集まりました。●道徳の授業・違う意見を考える人をあぶりだして、弾くことにしかならないと思う・自分の意見を出したら先生からおかしいと言われ認められなかった。道徳の授業は、大人の考えの押し付けだと思う。・核心を教えない、上っ面だけの道徳の時間。学校の先生ではなく、ちゃんと心のスペシャリストを呼んで教えさせてほしい。●英語・数年先には機械が簡単に翻訳して話してくれる。それより自国の文化や習慣、言葉遣いは必須であり、自国を紹介できないのに多国語を喋れるだけになっても意味はない。・漢字学習ですら覚えるの大変なのに、なぜ英語までさせるかわかりません。・ムダな日本語英語習わせなくてもいいと思う。そんなのでは身につかない。いまの時代、言葉が通じなくても機械が何とでもしてくれる。他にすべき事を伸ばすべき。・英語のゲームや歌などはお遊び過ぎてまったくもって時間のムダ。●プログラミング・プログラミングは、教育する側の体制が整っていないなら、時期尚早かと。そもそも学校の先生、プログラミングの授業できるんですか?・子どもが大人になったら全然違う言語や仕組みになっていそうなので、役に立たないのでは?・義務教育でしなくてよくないですか。選択肢を与えて各々やりたい子に興味ある分野を深く学ばせたらいい。・いま習っても、習わなくてもパソコンはいつかは使えるようになる。パソコンなどのハード面に投資するのももったいない。その費用と時間を貧困対策や教育格差解消に使って欲しい。●計算・解き方がわかれば電卓つかっていいと思う。筆算ができるようになるメリットって?・計算するだけの宿題は不要英語教育を必要ないと考える人の根底にあるのは、「正しい日本語を使えるようにすることの方が大切では?」という意見が多くあるように思えます。またAI化が今後ますます進むことを考えたときに、コンピューターが得意とする分野(計算、翻訳を含む英語)に力を入れたり、暗記させるよりは、自分の考えを言えるための力やその土台となる国語力を育む教育をしてほしいとするコメントを多くみかけました。意見がかなりわかれたのが、歴史。「必要ない」とする人、「日本の黒歴史も教えるべき」とする人、「世界の国からみた日本の歴史を教えてほしい」など、意見がかなりわかれました。■個性をつぶす日本の教育方針を見直してほしい学校の教科だけではなく、勉強や学校の在り方から日本的教育方法など、大きな視点での意見も集まりました。みんな同じ、みんな一緒を重視する教育をやめるべき。海外の飛び級制度のような、個人の能力に合わせて教育を受けれるようにしてほしい。多様性の受け入れにもつながる。個性が認められる社会を作るきっかけにもなり、いじめも減る。「先生に注意されるから」、「みんなそうだから」、「集団生活を学ぶ場だから」、「何でかわからないけど決まりだから」と、いまだに個性をつぶす教育が横行している点は、早急に見直した方が良い。通知表も、他人の評価ばかり気にする子になってしまうから自己評価表にするべき。学力テストでの学力の差別化、子どもの能力の数字化はやめてほしい。授業のほとんどがただのテスト勉強に。過去問題をただ単にたくさんやった子が点数取れるテストなど意味がない。宿題は、時間がない先生が採点に忙しいだけ。宿題よりもっと家族や友人や地域で育む時間など大切なことがある。失敗してもいいって教えて欲しい。子ども自身の人生や自分自身の歩み方についての勉強や学びが、本当に少ないなと思います。教科書どおりに学ぶのではなく、子ども自身が興味があることを伸ばしつつ、それに基づく勉強もしっかりすればいいのかなもしれないなと思いました。好きなことや、やりたいことを摘み取ってしまったら悲しいし、何より時間がもったいないなと思います。それなら、もっと遊ぼうよ!と思ってしまいますね(笑)小学校でも留年させてほしい。教育を受ける権利。理解してから進級してください。分数を理解してない大人、人生損してるよ!学校は、足並みを揃えすぎ。はみ出た子どもを気にしすぎ。学校側から管理しやすいというのはわかるけど、人は人、自分は自分です。ほかに、校則や服装、生活指導といったルールの見直しを訴える声や、「1クラスの生徒数を少人数にして手厚い対応ができるようにしてほしい」といった意見も出ました。日本の平等教育とは、「同じ内容を一斉に教える」という一斉教育が主流で、そこには「理解している」は含まれていないこともあります。しかし海外などで考える「平等」とは、「ここまでは理解させて上の学年に行く」というもの。日本ではほとんどない留年も、海外ではあるとされています。「本当の教育とはなにか?」親自身も今後ますます考えていかなければいけない時代なのかもしれませんね。■パパママが望む“義務教育”のあり方とはアンケート結果を見てみると、パパやママによって義務教育に“重視してほしい”点、そして“減らしてもいいと思う”点はさまざまでした。かつて自分が学校で学んだことがどれだけ“今”に役立っているか。逆にどんなことを学校で学びたかったか。そんな経験を踏まえてパパやママが望むのは、教科というよりも、生きる力…、“将来子どもが生き抜くための力”を養ってほしいと思っているように感じました。必修科目が増え、今後どうなるかわからない点もありますが、学校、先生、地域、そして家庭でうまく連携を取りながら、子どもたちの豊かな成長を促していければいいですね。Q.「義務教育で今後重視してほしいと思うこと」についてのご意見をお書きください。回答数:184Q.「今の義務教育で見直した方がいい(減らしてもいい)と思うこと」についてご意見があればお書きください。回答数:159アンケート集計期間:2018/9/21~9/25ちゅいママさん記事で使用したデータ: 「こんな教育をしてほしい! 親が望む義務教育でやってほしいこと【パパママの本音調査】 Vol.298」
2018年10月18日早めの幼児教育を!街に出かければ、幼児教育を専門にしている塾があるほどです。でも塾に行かせるほどでもないし、私たちは何をしたらいいのやら…と悩みますよね。誰かに相談するにも、ママ友もいないし、思い悩んでしまいがち。今回は、そんな0歳児から出来る教育方法をパピマミ編集部が紹介していきます。絵本の読み聞かせは0歳からの赤ちゃん教育絵本の読み聞かせって教育なの? と思われるかもしれません。しかし0歳の赤ちゃんでも、きちんとした教育のひとつになります。というのも、読み聞かせにはさまざまな効果があります。まず赤ちゃんにとってママの声や温もりを感じる精神的な発達を促します 。赤ちゃんにとってママの声は安心しますから、たくさん読んであげてください。絵本を持っていなくても、保健所の乳児健診のときに絵本を貰ったり、図書館でお子さんの月齢にあった絵本をレンタルできます。月数の浅い赤ちゃんは、内容を理解しづらいかもしれません。しかし、読み聞かせてあげることが何より大事なのです。子育て支援センターは大事な教育の場子育て支援センターは、赤ちゃんと何をしたらいいか分からないママたちの学校 でもあります。施設によって保健師さんや看護師さん、栄養士さんに相談できます。もちろん、ママの学びの場だけでなく、赤ちゃんの発達に繋がることがあります。他の赤ちゃんに触れると、観察力や感情の発達にも繋がります 。月数の早い赤ちゃんの行動を真似してみたり、たくさんの人たちに囲まれてみたり。我が子の成長を一緒に楽しみましょう。支援センターにあるおもちゃは、消毒されていたり安全な物ばかりなので子供たちもたくさんの物に触れられます。開催されているイベントの多くは、ママだけじゃなくパパも参加できるので近くの施設をチェックしてみてください。0歳の赤ちゃんだから出来るリトミックの教育法「リトミック教室」を知っていますか?リトミックとは、スイスで生まれた音楽の教育法 です。音楽に合わせて手遊びをしたり踊ったり、音を鳴らしてみたりと、家ではやりづらいことを行います。もちろん、お友達を作って一緒に楽しめますし、パパも参加できます。楽しみながら音楽に集中すれば、豊かな表現力が養われます。踊りにもメリットがあり、基礎体力やリズム感を身につけられます。また自分とは違う他人の表現力を感じられると、他人を受け入れる精神も身につき、友達も作りやすくなります。リトミック教室に通うと、大人になるにつれて必要な精神力と体力を養える のです。教室によって雰囲気ややり方も違うので、まずは近くの色々な教室を覗いてみましょう!0歳の赤ちゃんは家の中での生活が教育の場になっている赤ちゃんは、家の中の生活でも成長に繋がる経験 をたくさんしています。まだ新生児の赤ちゃんは、目が見えなくてもママやパパの声、ママのおっぱいの味、洋服の肌触りや沐浴の水の触り心地を理解しています。そのうち目がはっきり見えてくるようになると、いつも置いてある家具やおもちゃに興味を持ったり、思考力や感情にも変化 をもたらします。離乳食が始まると食べ物の存在や味覚を認識し、もっと赤ちゃんの世界が広がっていきます。ハイハイを始めて色んな場所に狙いを定めて移動することや狙ったものを手で掴むこともまた成長の過程では必要なこと。優しい目で見守るだけで、赤ちゃんは勝手に成長 していきます。まとめ赤ちゃんの教育は他にもたくさんあります。0歳から海外生活をすれば2カ国語を難なく話せます。0歳から出来ることは無限にあり、子どもの可能性が大きく広がります。0歳からの教育を重視するママもどんどん増えてきて、今では0歳から当たり前のように習い事をしています。ぜひ、考えてみてください。●文/パピマミ編集部
2018年10月16日いま、教育資金は「情報戦」です。たとえば、教育関係の公的な助成・補助金は、申請するからこそ、もらえるお金。申請しなければ、もらえません。また、いまや大学は、返さなくていい給付型の奨学金をこぞって増やしている時代です。これらを「知っている」のと「知らない」のでは、大違い! 充実してきた教育支援制度の情報を、教育資金に詳しいファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんにピックアップしてもらいました。【「教育費どうしようかな?」と思ったら】 第1話 “情報格差”で、子どもの進路に影響が出る!? 第2話 普通の進路でも、老後破産する!? その落とし穴とは 第3話 児童手当が大学資金に! “いつの間にか貯まる”教育資金ワザ ■低所得のひとり親家庭に給付するお金児童扶養手当死別や離婚などで母親または父親、父母がいない場合は祖父母などひとり親家庭で18歳未満の子どもを養育している人が、低所得の場合にもらうことのできる手当です。受け取れる額は、「養育している子どもの人数」と「親の収入(所得)」によって違い、とても複雑なので、詳細はお住まいの市区町村窓口に問い合わせをすることが大切です。申請をした後、1~3ヶ月程度の認定審査があり、認定日の月の翌月分から支給が開始されます。■幼稚園の月謝、入園費の補助私立幼稚園就園奨励費補助金私立幼稚園に通う場合は、ぜひ「私立幼稚園就園奨励費補助金」の活用を!国が自治体に依頼している補助金制度で、満3歳児から5歳児(年長)までの月謝と入園費を対象に受けることができます。きょうだいの人数、年齢、親の収入(住民税の額)、そして住んでいる自治体などで補助金の額は異なります。なお、千葉県野田市のように公立幼稚園に通う世帯にも助成しているところもあります。一方で市区町村によっては制度がない場合や国の基準よりも厳しく設定しているところなど助成額も異なるため、まずは自治体に問い合わせをしましょう。■高校の授業料の無償化高等学校等就学支援金(国の制度)家庭の所得に応じて、高等学校の授業料が支給されるシステムです。現金で直接、生徒や保護者が受け取れるというものではなく、学校設置者(学校法人など)が生徒本人に代わって受け取り、授業料と相殺されます。申請書類は、入学時は4月に、継続して支給を受ける届け出手続き関係は6月~7月頃に高校から配布されます。ただし、モデル世帯(給与所得のみの夫婦・16歳以上の高校生一人・中学生一人の4人世帯の例)で言えば、年収約910万円以上になると就学支援金は受けられません。■返さなくていい奨学金!?今回の取材で、筆者が一番驚いたのは、「返さなくていい奨学金」が増えていること。そのなかでも、最近の一大トレンドとなっているのは、「予約型」の奨学金です。これはおもに地方からの受験生が対象で、受験前に申し込み、合格したら支給をされる奨学金のことです。申し込みは、前年度の秋のことが多く、それゆえ「予約型」。つまり、現役生の場合は、この情報を「知っていて」、高校3年生のときに応募しておかなければなりません。現在、多くの大学は、予約型の奨学金を設けています。●早稲田大学「めざせ! 都の西北奨学金(予約型)」半期(春学期)の授業料が免除。●慶應義塾大学「学問のすゝめ奨学金(予約型)」地方の新入生500人に年額60万円~90万円を卒業まで支給します。国立大学でも、たくさんの奨学金給付があります。たとえば、一橋大学の「一橋大学学業優秀学生奨学金制度」では、前年度にとくに優秀な成績を収めた学部生12名以上に月8万円(年96万円)を毎月送金します。支給は1年間限定ですが、親の年収制限を設けるなど家計の経済状況は加味されません。奨学金といえども、返済義務があるものは、大学を卒業した途端、数百万円もの借金を背負うもの。返さなくていい奨学金を上手に活用することで、親の家計への負担を減らし、子どもの進学に役立てることができます。そんな時代がやってきたのは、喜ばしいこと。みなさんに制度を知ってもらい、活用して欲しいです。いかがでしたか? いつの時代も、「わが子にできるだけのことをしてあげたい」というのは、当然の親心。けれども、先行き不透明ないま、教育資金作りに不安を感じる人も多いことでしょう。この連載が、教育資金の「情報格差」を解消し、前向きな教育資金作りの第1歩を踏み出すキッカケになるとうれしいです。■今回のお話を伺った竹下さくらさんのご著書 『「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本』 竹下さくら著/日本経済新聞出版社 ¥1,500(税別)竹下さくらさんファイナンシャル・プランナー(CFP)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。慶応義塾大学商学部にて保険学を専攻。卒業後、損害保険会社・生命保険会社の本店業務部門等を経て、1998年よりFPとして独立、現在に至る。主に個人向けのコンサルティングに従事し、講師・執筆活動なども行っている。
2018年09月29日前回、ごく普通の家庭が「知らぬ間に陥りがちな2つの落とし穴」についてファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんに教えていただきました。【「教育費どうしようかな?」と思ったら】 第1話 “情報格差”で、子どもの進路に影響が出る!? 第2話 普通の進路でも、老後破産する!? その落とし穴とは 第3話 児童手当が大学資金に! “いつの間にか貯まる”教育資金ワザ 第4話 「もらえる」教育費がトレンド! 充実の教育支援制度を活用するには -->落とし穴に落ちないためには、教育資金は、あらかじめ資金計画を立て、長い時間をかけてコツコツと計画的に準備する必要があります。今回は、具体的な教育資金づくりについてお話しを伺います。■児童手当が大学資金となる「教育資金づくりで大切なことは、子供が小さいころからコツコツと積み立てることです」(竹下さん)。そのための軍資金として心強いのが「児童手当」です。児童手当から受け取れる額は、次の表のとおりで、0歳から15歳までの総額は、198万円(※)にもなります。まさに、「ちりも積もれば山となる」ですね!大学進学に合わせて備えておきたい額は、国公立・自宅通いケースの学費総額をもとに200~300万円が一つの目安と言われていますが、児童手当を積み立てるだけで、この最低ラインは賄える計算となります。※児童手当の0~15歳までの総額198万円=15,000円×12ヶ月×3年+1万円×12ヶ月×12年:第1子、第2子の場合の例。一人あたり。▼児童手当の対象年齢と支給額■児童手当は、さかのぼってはもらえない!児童手当で覚えておいて欲しい注意点は、「申請が遅くなった際、その分をさかのぼってはもらえない」ということです。子どもが生まれた場合は、出生届が受理されて初めて、児童手当の申請を市区町村の役所が受理する流れになっています。ですから妊娠中に必要な書類などを役所の窓口やホームページなどで確認し、出産後は速やかに申請することが大切です。出産直後のママが動くことが厳しい場合も多いので、申請手続きの流れをパパと一緒に、シミュレーションしておくと良いですね。 ■「学資保険」はなぜおすすめなのか教育資金づくりの「はじめの一歩」は、児童手当を軍資金に、家計とは切り分けて積立てを始めることです。その手段として、おすすめしたいのが「学資保険(子ども保険)」です。「マイナス金利の影響もあり、最近お得度が下がり気味ではありますが、根強い人気が続いています。理由はおもに3つあります」(竹下さん)。▼学資保険の魅力3つ魅力その1確実に教育資金を準備できる安心感がある学資保険は、親の死亡時には以後の保険料支払いが免除になった上で満期金がうけとれる“保険ならでは”のしくみがあるプランが人気です魅力その2税制優遇がある満期などで受け取るお金は一時所得扱いになるので、増えて得した額が50万円を超えなければ実質的に非課税です。預貯金で積立した場合、得した額の約20%は税金として源泉徴収されます魅力その3子供のお金として色づけができる家計が苦しくなったり、住宅ローン返済が滞りそうになった時でも、学資保険は「取り崩しにくい心理が働く」と言われています出典: 「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本 より一部抜粋筆者としては、学資保険は保険商品ならではの「強制力」が大きな魅力だと感じています。有無を言わさず(←ここ、とても大事です)、自動的に指定口座から保険料が振り替えられているので、最初から「そのお金が無いこと」で生活する習慣がつきます。ですから、「いつの間にか貯まっている感」があるのです。■学資保険を選びときにチェックすることどの学資保険を選ぶか? というときに最初にチェックしたいのは、「返礼率」です。返礼率とは、支払った保険料に対して、受け取れる保険金の割合を示す率。たとえば、返礼率105%だったら、保険料を100万円支払えば、合計で105万円受け取れるということになります。ちなみに、これだけおすすめしておきながら、筆者の学資保険デビューは、長男を出産した1年後(汗)。初めての出産後、慣れない育児で手一杯になってしまい、教育費のことまで頭が回りませんでした。いまは、妊娠中から入ることができる学資保険も増えているので、プレママ時代に、学資保険のリサーチ&契約しておくのもアリだと思います。学資保険の注意点としては、途中で解約すると、ほぼ間違いなく損をする点。その時点の解約返戻金(解約することで戻ってくるお金)は、それまで支払った保険料より少なくなるのが通常です。確実に満期まで続けられるよう家計に無理のない保険料での利用が無難です。■「低解約返戻金型終身保険」vs「学資保険」最近は、保険ショップで「学資保保険に入りたいのですけれど」と相談すると、低解約返戻金型終身保険をすすめられることが多くなっています。低解約返戻金型終身保険とは、一生涯を保障する生命保険である「終身保険」の一種です。この終身保険を、適当な時期に解約して、解約返戻金を教育資金にあてるという使い方をします。この保険について、メリットとデメリットを整理しておきましょう。▼「低解約返戻金型終身保険」のメリット①教育資金として現金化できるタイミングを選べる「学資保険」が満期日(18歳の誕生日など)まで現金化できないのに対して、この保険であれば、保険料払込期間を経過していれば、いつ解約しても、ほぼ損をしません。たとえば、AO入試や推薦入試で合格すると、高校3年生の秋には入学金を支払う必要があり、お金の工面に困ることも考えられます。②親にもしものことがあった場合の死亡保障が大きい「親の死亡保障確保の点から言えば、同じ保険料の学資保険に入るよりも、死亡保障額が大きいので、費用対効果が高いです」(竹下さん)▼「低解約返戻金型終身保険」のデメリット保険料払込期間中に解約するとペナルティが大きい保険料払込期間とは、保険契約者が保険料を支払う義務がある期間で、保険契約を結ぶ時の条件として定められています。最初に取り決めをするので、あとから保険を見直すとペナルティが大きく、少ししか解約返戻金を受け取ることができません。「低解約返戻金型終身保険の利用は、家計に無理のない保険料水準が大前提で、しくみをしっかり理解できる保険中級者なら、視野にいれて検討するのも一策です」(竹下さん)■今回のお話を伺った竹下さくらさんのご著書 『「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本』 竹下さくら著/日本経済新聞出版社 ¥1,500(税別)竹下さくらさんファイナンシャル・プランナー(CFP)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。慶応義塾大学商学部にて保険学を専攻。卒業後、損害保険会社・生命保険会社の本店業務部門等を経て、1998年よりFPとして独立、現在に至る。主に個人向けのコンサルティングに従事し、講師・執筆活動なども行っている。
2018年09月28日まるでお城のよう! お店に入る前からワクワクが止まらない大阪・天王寺の大通りから少し奥まった場所に位置する「Ristorante Betsujin(リストランテベツジン)」。お城のような外観が目印です。エントランスのアーチにはカウントダウンの数字が刻まれています。それは別世界にたどり着くまでのカウントダウン。「ベツジン」になれる世界が待っています。天井が高い店内は、優雅で落ち着いたオトナ雰囲気ウェディングにも使われるというダイニングは、落ち着いた大人の雰囲気。外の世界とは全く違う、優雅な時間が流れます。どこかの伯爵家にお邪魔したかのような異国情緒あふれる空間です。この店のコンセプトは、「いつもの自分とは"ベツジン”になって、心ゆくまでおいしい料理やお酒を楽しんでほしい」。その想いが伝わります。やわらかくてとろける「山形牛のサーロインのグリル」お店ではグリルに、国産・山形牛を使っています。適度な霜降りがあり、やわらかさとまろやかさが山形牛の特徴です。そのとろけるような舌ざわりは絶品。豊富に取り揃えているワインと合わせて食べたくなります。経験豊富なスタッフに相談すれば、料理を引き立たせてくれるワインを優しくおすすめしてくれるはず。2種類の海老を使った贅沢な「自家製トンナレッリ」トンナレッリとはお蕎麦のような四角い断面のパスタのこと。この店で提供するトンナレッリは、シェフ自慢の自家製パスタです。シェフのスペシャリテ「オマールエビと天使のエビのパスタ」は、2種類の海老を使った贅沢な逸品。甲殻類の旨味がこの一皿に凝縮しています。外観や雰囲気、味だけではない魅力料理に使う食材にもこだわりがあるそう。美味しい・安全な食材を求めて、実際に生産者の元を訪れています。生産者の想い・情熱を受け止め、その素材が一番引き立つ調理法で料理を提供。そのこだわりが、料理においしさとして染み出しているのです。シェフの職人魂によって紡ぎ出される絶品料理の数々に、コンセプトに沿う店内の雰囲気が相まって「Ristorante Betsujin」の魅力に繋がっています。JR各線・OsakaMetro各線「天王寺駅」徒歩3分。春・秋はテラス席も開放されるそう。いつもよりおしゃれをして、「ベツジン」になれる空間を楽しんでほしいお店です。スポット情報スポット名:Ristorante Betsujin住所:大阪府大阪市天王寺区悲田院町4-14電話番号:06-6772-9485
2018年06月13日小さなお花を見つけてカワイイ! と足を止めるお子さんも多いのではないでしょうか。子ども目線だから気づく発見も育児中にはたくさんあると思います。ハンバーグを握りつぶすムスメさんの次のターゲットはお花!? 人気インスタグラマー、きたあかりさんの書き下ろしコミックエッセイです。ムスメとおはなつい先日あった、夫から聞いた出来事です。すっかり暖かくなってきた公園にお散歩しに行った時、芝生に混ざって小さな花がたくさん咲いてたそうで。普段から握力の試し斬りというか…餌食になっていたハンバーグや米同様、花も握りつぶそうとするムスメ。普段は花を見つけると「きれーい。きれーいねー」とか可愛いことも言うのですが、それとこれとは別なようで本当に容赦ないです…。それを見かねた夫が後ろからアテレコで花の断末魔を聞かせてみたところ、「ごめーんね」と呟いて握っていた手を離したそうで。私はその場に居ませんでしたが、初めてムスメの思いやり的な行為を見られた気がして、小さなお花に感謝したのでした。
2018年04月29日最近ではほとんどの学校で実施している性教育ですが、親子間での教育はまだまだされていない家庭も。今の親世代が子どものときには、家庭内でなんとなくタブーとされていた性教育。今、親となって子どもにどう伝えたらいいのか悩む人もいるようです。Q.子どもの性教育、いつから始めますか?1.未就学児 4.1%2.小学校低学年 6.7%3.小学校高学年 43.2%4.中学生 23.6%5.高校生 4.1%6.その他 7.2%7.家庭ではしない 11.2%小学校高学年が43.2%ともっとも多い意見となりました。女の子は初潮のタイミングがきっかけになることが多いようです。一方、家庭ではしないという人も11.2%いるという結果になりました。■聞かれたら親としてはっきり伝えたい子どもに聞かれたら包み隠さず話すべきと考える人が多いようです。学校での性教育がきっかけで、家で聞かれることもあるようですが、恥ずかしいことと思わずに誠実に答えていきたいと考えているようです。「現在小1ですが、先日学校で性教育の授業がありました。男女の体の違いなどの話で、まだ性教育と言えるほどではないかもしれませんが、子どもに質問されたら話せる範囲で答えていくつもりです」(北海道 30代女性)「聞かれたらその都度、当たり前に話しています。母が産婦人科に務めていたので、私も小さなころから隠すことなく伝えてもらいました。男の子は女の子を大切にするため、女の子は自分の身を守るために教えています。家庭で教えなければ、学校では足りませんし、誤った知識が先に入ると困るのはかわいそう。親の責任だと思っています」(東京都 40代女性)「我が家では『結婚しなくても赤ちゃんは生まれる?』などの子どもからの質問には、隠さず本当のことを教えています。普段から性に対して恥ずかしいことではないと思われていれば、親にも相談してくれてます」(愛媛県 30代女性)「体の変化がある時期には、はっきり伝えなければいけないと思う。親のつとめとして。聞かれたらそのままのことは、今も伝えるようにしています。自然なことであって、いけないことではないけど、自分の体は自分で守れるようにしてあげたいです」(北海道 30代女性)■自分が性教育を受けていないだけに悩む現在のパパママ世代は学校ではもちろんですが、家で親とそういった話をしたことがある人は少数派。だからこそ、自分の子どもにはどう伝えたらいいか悩んでいる人もいました。「どこまで教えるべきなのか悩みます。私の世代の性教育は避妊、避妊、避妊と、とにかく避妊についてが多かったですが、不妊についてはなにも教わっていません。不妊が増えているこの時代、妊娠適齢期と不妊についても学ぶべきだと思います」(東京都 20代女性)「私自身、6年生のときに結婚しただけでは子どもができないと初めて知り、両親がそういう行為をしたという事実があまりにもショックで大泣きした記憶があります。子どもにはどう教えるか悩むところです」(茨城県 40代女性)「家庭で教わった覚えがないので、どうしたら良いのかわかりません」(新潟県 30代女性)「小4、小3、0歳のママです。正直、性教育はいつから始めたらいいのか悩んでいます。3人目を妊娠してから、長男に『どうやったら赤ちゃんができるの?』と聞かれて、なんて答えていいか迷いながら、神様が運んでくれると言いました」(奈良県 30代女性)「どのタイミングで、どう話してよいかわかりません」(神奈川県 40代女性)■小さなときから年齢に応じた伝え方が大切 性教育はいつから始めるというよりも、年齢やその子の成長に合わせて説明していくというのが理想的なのかもしれません。性教育というと抵抗があるかもしれませんが、命の話としてしっかりと伝えられるといいですね。「『おなかの中に赤ちゃんのベッドがあるんだよ』と月経のことを教えたのは、息子が4歳くらいのときでした。一緒にお風呂で出血を見るわけですから、堂々と教えたかった。そのころ、『赤ちゃんはどこから生まれてくるの?』という質問にもちゃんと答えました。『すごいことなんだよ、こんな狭いところから生まれてくる赤ちゃんは命がけなんだよ、あなたは本当に頑張って生まれてきてくれた宝物だよ』って。男女間の性についてもいずれ愛を持って話したいと思います」(鳥取県 40代女性)Q.子どもの性教育、いつから始めますか?アンケート回答数:4498件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2018年04月13日まずは母語を完璧に。自分の意見を話す訓練も大事ですね。グローバル化が進むなか、2020年度より、英語教育(外国語活動)の開始を小学校3、4年生に早め、5、6年生からは英語が正式な教科となることが決まりました。現在、文部科学省では指導計画を考案中です。僕自身、英語習得に苦労したので、英語教育のスタートが早くなるのは、とてもいいことではないかと思います。早期英語教育の話が出ると、「母語の教育をおろそかにしてはいけない」という反論がよく上ります。母語はとても重要です。必ずしも日本語でなくても構いませんが、複雑な気持ちを表現できる言語を何か一つ、徹底的にきちんと身につけるのは、生きていく上で必要なことです。言葉は人に気持ちを伝えるだけでなく、自分の思考を深める助けにもなるからなんですね。母語も新しく学ぶ言語も未熟な状態を「ダブルリミテッド」または「セミリンガル」といいます。それだと“アイデンティティ・クライシス”に陥りやすく、モヤッとした気持ちを伝えられないと不安が募り、暴力的になったり、引きこもりになることもあります。勘違いされやすいのは、その言語環境にいれば子供は勝手に言葉を話せるようになるだろう、ということ。しかし、思考を深めるくらいの言語を習得するには専門的な教育が必要です。日本語であれば、国語の授業や小論文ですね。これにより言葉の表裏を知り、表現が鍛えられます。ですから、早期英語教育を始めるにあたっては、母語教育が重要なんですね。ダブルリミテッドは避けなければいけません。海外で日本人が苦労するのは、言葉以前に、自分の意見を話すということではないでしょうか。英語力があっても、意見がなければコミュニケーションにはなりません。文科省では、討論や発表を通じ、自ら問題を見つけ解決できる学習を、英語だけでなく各教科で導入していこうと計画しています。日本人以外の非英語圏の人たちは、多少文法が間違っていたり、発音が訛っていても、たくましく自分の意見を英語で伝えようとします。日本人が英語が苦手な理由は、「間違ったら笑われる」という不要な羞恥心が邪魔をしているのかもしれませんね。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年3月28日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年03月25日子どもの学校選びで、様々な学校を調べているママも多いと思いますが、「教育モデル校」という言葉が出てくることはありませんか?そうした学校に通わせることで、先進教育に触れる機会を増やせるため人気は高いようですが、そもそもモデル校ってどうやって選ばれるの?教育ジャーナリストの中曽根陽子さんに聞きました。モデル校のテーマは多岐にわたるまず、モデル校はどれくらいあるのかを聞こうとしたところ、「ひと口にモデル校といっても、たくさんあるので数はわかりません。各教育委員会にお問い合わせください」と中曽根さん。「たくさんある」とは、どういうこと?「例えば、最近では、英語学習・プログラミング教育・道徳教育などテーマはたくさんあります」(中曽根さん、以下同)実際、「平成29年度東京都教育委員会研究指定校一覧」を見てみると、かなりの数が…。中曽根さんの言う通り、そのテーマは様々で、「安全教育推進校」「人権尊重教育推進校」「日本の伝統・文化の良さを発信する能力・態度の育成事業」など、学習以外のことでもモデル校が指定されているようです。モデル校を指定する目的・基準は?何を目的としてモデル校を指定するのか、というのも気になるところ。これに関して、中曽根さんは、「文科省がその時そのときに力をいれようとしているテーマを推進するために、モデル校を作り施策の実現をはかるため」と話します。先ほどの「平成29年度東京都教育委員会研究指定校一覧」にも記載されているので、一部紹介します。【日本の伝統・文化の良さを発信する能力・態度の育成事業】「2020東京オリンピック・パラリンピック教育における伝統・文化に関する取組について、地域の専門的な知識や技能を有する外部人材の活用を通して、児童・生徒の専門性を高めるとともに、外国人と積極的に関わり、意見交換する機会等を設定し、日本の良さを発信する能力や態度を育成する」【安全教育推進校】「学習指導要領及び都教育委員会教育目標等に基づき、学校において、幼児・児童・生徒に危険を予測し回避する能力と、他者や社会の安全に貢献できる資質や能力を育成するため、効果的な安全教育を実践的に研究し、その効果を普及することをねらいとして、安全教育推進校を指定する」このように、テーマごとによって、目的も異なるのです。また、もうひとつ気になるのは、誰がどうやってモデル校を決めるのか。中曽根さんいわく、「明確な基準が開示されているわけではありませんが、各学校、特に学校長が手をあげて、学校の実状や地域のバランスなどを鑑みて、教育委員会が決定することが多いと思います」とのこと。また、「場合によっては、教育委員会から学校側に打診されることもあると思います」とも。都道府県や市町村ごとに、モデル校一覧をまとめていることもあります。自分の子どもが通う学校は何かのモデル校になっているか、もしくは力を入れて学んでもらいたいことのモデル校はどこかなど、事前に確認してみてはいかがでしょうか?(文・明日陽樹/考務店)
2018年02月22日子どもへの英語教育に関心が高まるなか、学校以外にも「子どもの英語教育」に関心を寄せている親は少なくないだろう。そこで、実際に子に英語教育を始めている人は何歳ごろから、どんな学習を選択しているのか?ママテナの独自インターネット調査で「英語教育の実施状況や、2020年の英語教育義務化に関する本音」を探った(調査期間:2018年1月19日〜1月23日、有効回答数:172人)。●約8割の親は、学校以外での英語教育の必要性を実感まず子どもがいる親を対象に「英語教育についての現状」を質問したところ、次のような結果となった。1位現在子どもの英語教育を行っている……51.8%2位現在は行っていないが、将来的には英語教育を行いたい……27.4%3位子どもの英語を行う予定はない……20.7%「現在子どもの英語教育を行っている」親がかなり多く、さらに「現在は行っていないが、将来的には英語教育を行いたい」と考えている親も含めると、実に約8割は学校以外の英語教育が必要だと考えているようだ。英語教育を行っている人、行いたいと思っている人にその理由を尋ねると、一番多いのは「将来、英語が必要な時代になり、少しでも働くうえで選択肢が増えればと思って習いはじめました」(30代後半)「将来英語は話せて当たり前な世のなかになると思うので」(30代後半)など、国際化社会への対応を視野に入れた理由だった。一方で「小学校から英語が必修となるため、早くから英語に慣らせたかった」(30代前半)といった、2020年よりスタートする小学生の英語教育義務化を見据えた回答も目立った。小学校3年生より英語教育がスタートし、5、6年には教科として成績もつくようになるという。また意外に多かったのは「本人が興味を持ったから」(40代前半)など、子ども自身が英語教育に興味を持ったケース。すでに英会話スクールに通う友だちがいたり、英語のアニメに触れたりする機会があると、自ら英語に興味を持つことも多いようだ。●すでに始めている人の半数は、3歳以下からスタート!では、子どもに英語教育を行っている親は、どういった学習方法を選んでいるのか?同調査では「将来的には英語教育を行いたい」親も含め、その内容について調査。結果は次の通りだ。1位英会話スクール、英語教室などに通う……69.4%(将来的に行いたい66.7%)2位英語の教材やラジオなどで家庭学習させる……36.5%(将来的に行いたい37.8%)3位ネイティブスピーカーや英語が得意な人と関わりを持たせる14.1%(将来的に行いたい26.7%)4位外国で暮らす、留学……3.5%(将来的に行いたい13.3%)圧倒的に人気なのは「英会話スクール、英語教室に通う」。ほか英語の家庭学習も根強い人気だった。さらに子どもに英語教育を行っている親と、将来的には英語教育を行いたい親を対象に、英語教育を始めた(始めたい)年齢についても調査。その結果は後述の通りだが、こちらは始めた年齢と始めたい年齢で、大きく結果が異なっている。・英語教育を始めた年齢1位0歳から3歳……52.9%2位4歳から6歳……29.4%3位10歳以上……11.8%4位7歳から9歳……5.9%・英語教育を始めたい年齢1位10歳以上……31.1%2位4歳から6歳……24.4%2位7歳から9歳……24.4%4位0歳から3歳……8.8%すでに始めている人たちの半数以上は0歳から3歳からスタート。52.9%のうち、言葉がほぼ話せない0歳から1歳で始めている人も、21.2%いた。これから始めたい人たちで一番多いのは「10歳以上」。どうやら英語教育は赤ちゃんの頃から始めている層と、小学校高学年以上に始める層で大きく分かれているようだ。●小学校の英語教育義務化は賛成も、授業内容に不安さらに2020年から始まる小学校の英語義務教育化についての率直な感想を尋ねた。「良いことだと思う。教室に通わなくても学校の授業で同等の教育ができたらとてもありがたいことだと思う」(30代前半)といった期待を持つ意見もあるが、かなり目立ったのは「英語の早期教育はいいと思うが、学校、教師によってレベルや内容に偏りが起こりそうで心配」(30代前半)、「良いと思う、ただ今までのような文法重視の英語教育はやめて欲しい」(30代前半)といった、早期英語教育は必要としながらも、教育内容に不安を覚える意見だった。今回の調査結果で実感したのは、学校の英語教育に期待が持てない親がとにかく多いこと。だからこそ英会話スクールや家庭学習などの英語教育への関心も高く、高い実施率となっている。そんな親たちの期待や子どもたちの努力が果たして、将来的な英語力向上に実を結ぶのか?できれば親子の想いや努力が、報われる結果となってほしい。(取材・文:高山惠編集:ノオト)
2018年02月18日いよいよ我が家のおっとり長男も春から小学生です。同じく新1年生のお母さんたち、入学準備は着々と進んでいますか?我が家では年内に届いたランドセルに腕を通した長男の案外しっかりした背中に、ついこの間まであんなにぷくぷくで、ハイハイしていたあの子が…と早くも目頭が熱くなっちゃいました。小学校ではどんな生活が待っているのか、親子で期待に胸を膨らませつつ、でも最近ある情報を小耳に挟んでからちょっと不安なことがあります。それは、「2020年から、大規模の教育改革」があるということ。学校教育や大学入試も変わるとのことで、小学校でも英語が教科になるそうです。 英語の教育改革では、現在5・6年生で行われている「外国語活動」が3・4年生で実施され、5・6年生では、英語が教科となって成績がつくようになるとのこと。(一部の学校では、2018年度から先行実施される学校もあるそうです)英語が苦手すぎて、必修外国語に英語が無いという理由で進学先を日本史学科に選んだほどのコンプレックスがあるワタシ(恥)…。今でも外国の方を前にすると、急に寡黙な微笑みの精と化します。夫は反対に英語が得意な人ですが、本人いわく相当な努力の賜物だそうなので、小学校からの英語教育に子どもがちゃんとついていけるのか…今から心配になってしまいます。そんな中タイミングよく! ウーマンエキサイトさんからのお声がけで、教育のプロにお話を伺う機会をもらいました。英語教育について、気になっていたギモンをいろいろぶつけてみました!!小5から英語に「成績がつく」とは?tomekko:英語が教科になるってどういうことですか? これまでと何が違うのでしょうか。加藤さん:英語に慣れることから英語力の基礎を身につけることに目標がレベルアップし、身についたかどうかのテストがあるということです。実はすでに2011年度から、5・6年生に対しては「外国語活動」という教科ではないかたちで、週1回英語教育は行われています。教科書がなく、「英語に慣れ親しむ」という目的で、ゲーム・あいさつなどを行う簡単なもので、調査結果では、そのレベルに満足していない保護者も少なからずいらっしゃるようです。また、評価は評定(数値などの段階であらわされるもの)がつかない形で行われており、「積極的であったかどうか」などの意欲や態度を中心に記述される形で行われています。しかし2020年度からは、現在行われている「外国語活動」は3・4年生で実施となり、5・6年生は「教科」で週2程度行われ、「評定がつく」ようになります。どんな内容の授業を受けるの?tomekko:では5・6年生の授業はどのような内容になるのでしょうか?加藤さん:まずは「聞く・話す」が中心なことは変わりませんが「相手に通じるか」という点が重要となります。これまでは歌などでリピートするだけでよかった英語を、質問されたらその意味を理解して(聞く)、ちゃんとこたえることができる(話す)ようになるための授業です。しかし、突然できるようにはならないので、よく使いそうな状況と登場人物などを設定し、ロールプレイングする中で会話を聞いて真似をします。そして、日本語を学んだのと同じように、まずは耳から入ってきた言葉の意味を理解することからはじまります。例えば「ワッチュワネーム(what's your name)?」という音が、名前を聞いているということを理解して、自分でも使ってみます。そして、読んだり書いたりするときに初めて「ワッチュワネーム(what's your name)?」が3つの単語でできていて、単語の間にスペースを開けて書くことに気づく、という順番です。「読む・書く」のスキルについては、例文を声に出して読んだり、英語をみてそのまま書き写したりする程度。あくまでも読み書きは英語の文字に慣れ親しむことを大切にします。また、「聞く・話す」スキルは、ペーパーテストではわからないので面接形式や、外国人講師とのやりとりをみて、評定をつけるようになります。小学生では、「読む・書く」スキルよりも、まずは「聞く・話す」ことを重視して評価します。tomekko:文法は中学校で習うのでしょうか? 自分は文法が苦手で英語が嫌いになりかけたので…心配です。加藤さん:はい。文法理解などを始めるのは中学生からです。今までは中学生からいきなり「聞く・読む・話す・書く」の4技能をやっていますが、実はこれはかなり難しいことなんです。つまずく人が多いのは、これが原因です。たとえば、日本語を習得するときは、「聞く・話す」は6歳ぐらいまでゆっくりと身につけますよね。個人差はありますが、2歳までは特に「聞く」のみ。2歳ごろからやっとおしゃべりを始めて、「読む・書く」を習うのは小学1年生からですよね。英語は、中1から突然4技能をやり始めるからつまずく人が多かったんです。これは良くないと、現行の指導要領では、まずは小学生のうちに「聞く・話す」、次に「読む・書く」もはじめておく、など段階をつけることになりました。実は英語が母国語ではないアジアの国では、ほとんどの国が小3からやっていて、やはり、「聞く・話す」→「読む・書く」の段階的な英語学習を行っています。tomekko:え…そうなんですか! それなら小学校の早い段階で始めなくて良いのでしょうか?加藤さん:これは私の考えですが、まず、学校教育の最初の段階で日本語(母語)を学ぶ、思考能力などの基本的な部分をまず母語でしっかりさせることのほうが優先です。母語の基礎をしっかりすることが、他教科や外国語を学ぶ上でも必須だからです。ただし全く英語をやらない方がいいということではありませんよ! 年齢が若いというのは、言語学習が成功しやすいとも言われています。家庭で、親が子どもにできることって?tomekko:そうなんですね…! では具体的に、親が子どもにしてあげられることはありますか?加藤さん:一番大事なことは、英語を使いたい! というコミュニケーションへの意欲を高めることです。それは、義務感で「やりなさい」といっても全然ダメです。親も興味を持って、一緒に楽しむ気持ちでやりましょう。声がけも「ママも苦手だったからやらないと困るわよ」ではなく「お母さんも一緒にやってみようかな~♪」というのが大切です。乳児や幼児は、親が好きなものは興味を持つんです。例えば、外国の文化に興味を持って欲しければ、テレビで流れてきたニュースをママやパパが話題にすることなどは子どもにとてもいい影響です。と言っても難しいニュースについて話す必要はなく「○○で大きなサッカー大会があるよ。どこにあるのかな?」「日本語とは違う言葉を話しているね」などでもいいと思います。DVDなど、子どもが興味を持ったアニメなどを英語音声にしてみるのもいいですね。【1】日本語音声で見て【2】英語音声に変えて字幕で見る。意味がわかっていて英語が聞こえてくるから、学習効果も高くなります。tomekko:「聞く・読む・話す・書く」どれを先に取り組むのがいいんでしょうか?加藤さん:順番としては、まず聞く機会を増やすことです。わからなくても、なんとなく聞き続けるという能力は子どものほうが高いんです。その次に「話す」になるのですが、話す相手に興味を持って質問してみようという気持ちも必要になります。日本人に多いのは、質問されたら応えられるけれど質問ができない人です。これは、パーティで初対面の人とスモールトークが苦手な人が多いというのにもつながっていそうです。これからは、多様な人と関わっていく力、オープンな心も必須になってくると思います。また、小5・6以降になると「わからないことは恥ずかしい・失敗は嫌」という思いがどんどん高まっていきます。小さい頃から、間違えてもいいから英語を話すという体験をさせてあげるといいと思います。こういったことも、年齢が若い方が学習しやすいという理由です。tomekko:なるほど! やっぱり「聞く」「話す」が大事なんですね。英語の教材やスクールを選ぶときに大切なことはありますか?加藤さん:英語を使いたいという意欲を育てることを前提に、効果的な学習方法を選ぶというのが大切です。何が効果的なのかは、お子さまの性格にもよるのですが、タイミングと学習環境、そして先生(指導者)選びが大事です。例えば、シャイなお子さまは最初は子どもが大勢いる英語教室よりも安心できる家庭での学習教材がいいかもしれません。ただ、「シャイだから連れて行かない」など親が子どものポテンシャルを閉じる必要はありません。初めてでも意外とやれることもあるものです。特に幼児は体調や機嫌で変わってくることもありますので。長い目でみてあげましょうね。自宅で楽しく「使える英語」を学ぶには?おっとりした長男には、家庭学習が合ってるかもしれない…。自宅で学べて、しかも先生と話す機会もある教材なんてあるの…? と思ったら、それがかなうのがベネッセさんの「進研ゼミ 小学講座」とのこと。 気になったことを責任者の豊泉さんに聞いてみました!tomekko:どんなレッスン内容なのでしょうか?豊泉さん:「進研ゼミ 小学講座」は、小学生での学びでとても大切な「自分で考えられる力」を身につけられるよう、お子さまが夢中で考え抜く楽しさやわかるおもしろさを体験・実感できる家庭学習教材です。2018年度4月号からの英語学習は、英語4技能を身につけられる内容にパワーアップします!バランスよく4技能に取り組める毎月のレッスンに加え、4技能が本当に身についているか診断できるアセスメントが受けられるようになるんです。技能別の力を細かく診断し、個別アドバイスをお届けするので、お子さまの力にあわせて英語力をしっかり身につけていくことができます。もちろん、お子さまが楽しく学べる工夫をしており、ゲーム形式や物語形式でネイティブスピーカーの音声で短いフレーズに何度も触れられたり、外国人とやりとりをする擬似体験などもできるようになっています。もっと英語に触れたい、英語力を伸ばしたい方には、有料オプションの「Challenge English」もおすすめしています。パソコンやオリジナルタブレットで4技能を学ぶデジタルレッスンと、月1回外国人講師との「オンライン会話レッスン」もできる講座なんですよ。tomekko:小学生が学ぶことを重視した教材、というのがいいですね!豊泉さん:ゲーム感覚のロールプレイや、クイズ形式など、英語力を確認できる仕組みを取り入れ、お子さま自らがやりたくなるような仕掛けをたくさん作ってあります。そして、周りを気にせず、間違いを恐れず、どんどん英語を使ってもらうためには、リラックスできるご自宅で、毎日英語に楽しく触れられれることもポイントだと考えています。「英語が楽しくなった」「自信がついた」といううれしいお声をたくさんいただいています!tomekko:それは、良さそうです!! 自宅学習だと送り迎えもいらないし、何よりおっとり長男が無理なく続けられそうなのが魅力的です。今までと違い、英語力もより大事になってくる今の子どもたち。母もいろいろ情報を仕入れて、子どもにあった学習法を見つけてサポートしていきたいと思います! 自宅で外国人講師との会話レッスンを受けられる!「Challenge English」をWEBで体験してみよう 「進研ゼミ 小学講座」も追加料金なしで英語学習ができるように!>> PR:株式会社ベネッセコーポレーション
2018年01月18日「第11回 LITALICO 教育実践フォーラム 2017」開催!Upload By LITALICOニュース2017年11月18日(土)の13:30より、大阪・梅田の「AP 大阪梅田茶屋町」(D+E+F+Gルーム)にて、発達障害に対する学校教育での合理的配慮をテーマとしたイベント、「教育実践フォーラム」が開催されます。登壇者は、発達障害児への教育支援研究の第一人者である大阪医科大学LDセンター顧問 竹田契一先生、障害児のICT活用等の研究を進める関西学院大学教育学部教授 丹羽登先生、障害や不適応状態について「環境」と「個人」両方向からの心理的支援や教育を研究する鳥取大学大学院の井上雅彦教授ほか、小中学校・高校の教員、児童・生徒の保護者の方々。「障害のない社会をつくる」をビジョンに、児童発達支援事業や就労支援事業などを展開する株式会社LITALICOが主催し、教育を取り巻く課題と実践、未来の展望を考える「教育実践フォーラム」。2012年の初回企画から数えて、今回で11回目の開催となります。11回目のテーマは「合理的配慮」。どんな人々も個性を尊重され、過ごしやすい世の中になれば理想ですが、特定の個性や心身の症状を持っている人にとって生きづらい状況がまだまだ残っているのが現状です。たとえ障害のある方であっても、一人ひとりの困りごとや状況に応じた適切な配慮を受けることで、自分の力をより発揮しやすくなり、日常生活や社会生活を営むことが出来るようになる、という考えのもと進められているのが、「合理的配慮」です。今回は、専門家・現場の教員・保護者それぞれの立場から合理的配慮のあり方について考えていきます。第11回教育実践フォーラム専門家と保護者、それぞれの立場から語る教育現場の合理的配慮2016年4月に施行された「障害者差別解消法」(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)により、公立学校の教育現場でも合理的配慮が義務化されました。発達障害のある子どもにとって、学校生活における困りごととして、授業やテスト、成績評価、行事、さらには食事や排泄、友だちとの関わりなど、さまざまな場面が想定されます。フォーラムの基調講演では、発達障害に対する教育現場での合理的配慮に関して、発達障害児への教育支援研究の第一人者として長年ご活躍される竹田契一先生のお話を伺います。講師:大阪医科大学LDセンター 顧問 竹田契一先生Upload By LITALICOニュース竹田契一大阪医科大学LDセンター顧問、大阪教育大学名誉教授、一般財団法人特別支援教育士資格認定協会理事長。専門は発達障害児(LD・ADHD・高機能広汎性発達障害)への教育的支援など。主な著書は「高機能広汎性発達障害の教育的支援」(明治図書)他、多数。基調講演のあとは、障害児のICT活用について研究を重ねられている丹羽先生からお話を伺います。社会の情報化が急速に展開している中、授業の双方向性を高め、児童生徒の主体性・意欲・関心や知識・理解を高める効果があるとして、学校教育におけるICT活用が注目されています。指導内容や指導方法を変更・調整することが合理的配慮の1つとして求められていますが、お子さんによっては、タブレット端末等のICTの活用が効果的なことがあり、積極的な活用が望まれています。丹羽先生の講演では、教育現場での合理的配慮の手段としてのICT活用について考えていきます。講師:関西学院大学 教育学部 教授 丹羽登先生Upload By LITALICOニュース丹羽登特別支援学級や特別支援学校の教員として重度障害児教育に携わる傍ら障害児のICT活用等の研究活動を進める。文部科学省初等中等教育局特別支援教育課特別支援教育調査官を経て、関西学院大学教育学部教授。病弱教育や障害児のICT活用に関する著書・論文多数。最後に、専門家・保護者等それぞれの立場から教育現場の合理的配慮の実際と課題について語るパネルディスカッションです。コーディネーター: 鳥取大学大学院教授井上雅彦Upload By LITALICOニュース井上雅彦鳥取大学大学院 教授/LITALICO研究所所長(アドバイザー)応用行動分析学を理論的基盤として障害や不適応状態について「環境」と「個人」両方向からの心理的支援や教育を研究。ペアレントトレーニングシステムなどの支援プログラムの開発をはじめ、著書も多数。合理的配慮の導入を円滑にするためには、学校や本人・保護者が合理的配慮実現のための流れやしくみを共通理解し、コミュニケーションを密にすることが鍵となります。現場の教員の方々をパネリストに招き、保護者の方々にコメンテーターをしていただきながら、今現場で必要とされることについて考えていきたいと思います。第11回教育実践フォーラム詳細開催日時:11月18日(土) 13:30~18:45(受付開始 13:00)(教材等自由閲覧時間18:45~19:45)定員:240名参加費:無料(事前申込制)対象:小学校~高等学校、幼稚園、保育施設の職員、スクールカウンセラーなど子どもの教育や医療・福祉・行政機関など子どもの支援に関わられている方会場:AP 大阪梅田茶屋町 D+E+F+Gルーム(大阪府大阪市北区茶屋町1-27ABC-MART梅田ビル8F)アクセス:JR「大阪駅」御堂筋北口より徒歩約3分阪急電車「梅田駅」2F中央改札口より徒歩約1分地下鉄御堂筋線「梅田駅」北改札より徒歩約3分地下鉄谷町線「東梅田駅」北東改札・北西改札より徒歩約5分阪神電車「梅田駅」東改札口より徒歩約5分お申込み締切:2017年11月17日(金)13:00お問い合わせ:03-5704-7361(地域教育相談室 岡野)※お申込みは下部ボタンのお申込みフォームよりお願いいたします。主催:株式会社LITALICO(LITALICOジュニア)12:00~発達ナビ活用セミナー〈希望者のみ〉(50分)13:00~受付開始13:30~開会挨拶(30分)株式会社LITALICO執行役員 野口晃菜14:00~基調講演(60分)【講師】大阪医科大学LDセンター 顧問 竹田契一先生15:00~質疑応答&休憩(15分)15:15~講演(60分)【講師】関西学院大学 教育学部 教授 丹羽登先生16:15~質疑応答&休憩(10分)16:25~パネルディスカッション(120分)【コーディネーター】井上雅彦先生【パネリスト】小中学校・高校の教員など数名【コメンテーター】丹羽登先生、児童・生徒の保護者さま18:25~質疑応答、インフォメーション、閉会挨拶(20分)18:45~パネル展示・教材自由閲覧・発達ナビ活用セミナー〈希望者のみ〉(60分)19:45終了学校や幼稚園、保育園の先生やカウンセラーの方々、子どもの発達が気になる保護者様はじめ、学校教育における「合理的配慮」に関心のある方々はどなたでもご参加いただけます。たくさんの方のご来場をお待ちしております!
2017年10月06日プレミアムライフスタイルブランド「ウェッジウッド」から、旅をテーマにした異国情緒溢れる「ワンダーラスト」の新作コレクションが、10月4日(水)より数量限定で発売されます。世界旅行「グランド・ツアー」に着想創業者ジョサイア・ウェッジウッドの時代に、イギリスの富裕層の間で教養のたしなみとして流行した世界旅行「グランド・ツアー」に着想を得て誕生した「ワンダーラスト」。驚きや新鮮さに出会える「旅」をテーマに、世界各地からデザインアイデアを得た賑やかなパターンが特徴です。異国情緒溢れるワンダーラストは、「スキマ時間をいつもより大胆にリフレッシュしたい」「ムードを作ってちょっぴり日常からエスケープしたい」など、旅に出た時のように、非日常へと連れ出してくれるコレクションです。アイテムは5種類アイテムは、気軽に取り入れやすく汎用性が高い5種類です。インパクトのある絵柄のマグは、仕事中の休憩時間やご自宅でのリラックスタイムなどの気分転換におすすめで、視覚的な鮮やかさが、気分を盛り上げてくれます。スクエアトレイは、ティータイムのプレートとしてだけでなく、アクセサリーやキーなど小物のディスプレイトレイとしても、目を引きます。適度な深さのスモールボールは、お食事の器としてはもちろんのこと、汁気の多い和スイーツや杏仁豆腐などのデザートボールとしても映えるデザイン。また、同柄のスクエアトレイと合わせて、チャイや工芸茶を淹れるオリエンタルな茶器として使うのにも、粋なスタイルです。存在感のあるピクチャーフレームは、ヨーロピアン調やアジアン調などインテリアのテイストと合わせた写真や絵などを入れてアートフレームとして飾れば、お部屋の雰囲気がぐっと高まります。華奢なフォルムとエキゾチックな絵柄のコンビネーションが魅力的なティーカップ&ソーサーは、気分やシーンに合わせてコーディネイトを楽しめます。また、催事限定で、ワンダーラストティーも発売されます。ワンダーラストの5種類のパターンにインスパイアされた、ウェッジウッドからの新しい紅茶の提案です。華やかで個性が光るワンダーラスト。あなたの毎日に「遊び」と「彩り」を加えるコレクションです。お求めは、全国の有名百貨店内ウェッジウッドショップ、およびオフィシャルサイトにて。ワンダーラスト ラインナップ(一部)<イエロートンキン>マグサイズ:350ml税込価格:¥6,480<クリムゾンジュエル>スクエアトレイサイズ:14.5x14.5cm税込価格:¥3,780<カメリア>スモールボールサイズ:φ11cm税込価格:¥3,780<オリエンタルジュエル>ピクチャーフレームサイズ:22x18cm税込価格:¥9,720※ピクチャーフレーム各種(窓枠:12.5×8.5cm)縦/横置き、どちらでもお使いいただけます。ワンダーラスト ティー ラインナップ (一部)※催事限定、数量限定ウッディで爽やかな香りにザクロやローズの花びらが華やかな紅茶。名称:紅茶税込価格:¥1,296内容量:各24g(2gX12袋)問い合わせ先ウェッジウッドTEL:03-6380-8159オンラインショップ
2017年08月30日〜情緒のある暮らし〜昔は、夏を迎えるにあたり、衣替えだけではなく、生活空間も季節に合わせて変えたものです。夏になれば、障子をすだれにかえて、縁側に花ござを敷いて、軒先には風鈴を釣り、蚊取り線香を焚いたのです。街には金魚売りや風鈴売りが出ていたり、玄関先で打ち水をする姿が見られたり、それはそれは夏の風情を楽しむことができました。クーラーも何もない時代、こうして生活空間を変えることで涼を感じることができたのです。何もクーラーのある暮らしが悪いというわけではありませんが、それだけではロマンもありませんし、情緒も風情もありません。小物を使って季節ごとに空間を演出することこそが、情緒のある暮らしを生むのです。一見、無駄なことと思うかもしれませんが、けして無駄ではなく、皆さんの生活を豊かにするための必要不可欠なものなのです。風鈴がそよぐなかで団扇や扇子をあおいで夕涼み。可愛い線香花火もいいですね。夏のよき思い出になることでしょう。
2017年07月27日「シュタイナー教育」をご存知ですか?お子さんに少しでもいい環境を与えたいと願い、さまざまな教育論を調べたことがあるママなら、一度はその名を目にしたことがあるかもしれませんね。シュタイナー教育とは、オーストリアの思想家ルドルフ・シュタイナーが20世紀始めに提唱した教育方法です。7歳までの子どもたちは夢の中にいるようなものだとして、音楽や絵画など感性に訴えるアプローチで接することを掲げています。音楽のリズムに合わせて動く「オイリュトミー」というダンス、「にじみ絵」と呼ばれる独特の水彩画法が特徴です。今回は、都内のシュタイナー系幼稚園で働くG先生(50代女性/幼稚園教諭)から、自宅でできる「ゆるシュタイナー教育法」を聞いてきました。●(1)刺激は「子どもが欲してから与える」シュタイナー教育と聞いて最初に思い浮かぶのが「テレビを見せない」ということ。音や光の出るオモチャ、テレビゲームなんてもってのほか。遊ぶ道具は、石、木、布、羊毛といった自然素材だけなんですよね。でも、子育てママならそのハードルの高さはわかるはず。どうしたらいいのでしょうか?『子どもが求めてくる前に、親が先回りして強い刺激を与えてしまうことを避けてみてください 。テレビは、子どもが積極的に見たがっていないなら、あえて見せる必要はありません。プラスチック製のおもちゃも同じ。最初に与える遊び道具は、自然素材のもので十分です。でも、よそで見かけたり、他の子が持っていたりして、お子さん自身が興味を持ったなら、少しずつ与えてもいいと思いますよ』そうはいっても、家事をやっているあいだに子どもがテレビを見ていると助かるんですよね。夕方の幼児番組、「ほら!もうすぐ○○が始まるよ!ママ忙しいから、観てて〜!」なんて率先して付けちゃってましたが……それすらNGなんでしょうか?『そのあたりは、ママの裁量でいいと思いますよ。無理をしてまでノーテレビ育児にこだわり続けることはありません。ただ、7歳までは体のリズムを作る時期です。生活リズムをテレビに支配されないようにするのが大切ですね。大人がテレビなしの生活をしてみせるのも、時には必要です』なるほど。ということは、大人が観たい番組があるときは、録画をして子どもが寝たあとに楽しむのがよさそうですね。●(2)生活リズムづくりは「ゆるやかに」がコツシュタイナーの教えでは、毎日の生活リズムを作ることも重要視されています。決まった生活リズムを繰り返していくことが、子どもたちの心の調和と安定につながると考えられているからです。『家庭でも、ぜひ規則正しい生活を送っていきたいですね。まずは一日のスケジュールを組んであげましょう。ある程度大きなお子さんなら、親子で相談しながらスケジュール決めをするといいでしょう』でも先生、子どもってこっちの希望通りに動いてくれませんよね。うちの子はいつもノロノロしていて、スケジュールなんか決めても絶対守れません。守れないことでカリカリしてしまう自分も目に見えてますが、どうしたらいいですか?『細かく時間を定めてしまうと後がつらいので、最初は起きる時刻・寝る時刻・食事の時間帯をゆるく決めるくらいでOKです。「○時」ときっかり決めるより、30分程度の幅がある「時間帯」でスケジューリングしていく のがおすすめですよ。また、スケジュールを守れなかったときにお互いを罰しないことも重要です。お子さんの様子や発達段階を見極めながら、無理のないスケジューリングに組み直していきましょうね』●(3)子どもに「遊びを教えない」勇気を!シュタイナー教育で忘れてはいけないのが、オイリュトミーやにじみ絵などの独特な遊び方。これらは子どもたちの感性を伸ばすためのアプローチ法ですが、家庭で取り入れるにはどうしたらいいでしょうか。『子どもの遊び方に自由を与えてあげましょう 。最近のママたちを見ていると、やり方が決まっているオモチャを与え、子どもが考える間もなく「ほら、これはこうやって遊ぶのよ」と教えてしまっている方が多いんですよね。中には「その遊び方は間違ってる」とお子さんを叱っている姿も。これでは、子どもたちの感性は育ちようがありません。何に興味を持ち、それをどうするかはお子さんに全て任せてあげましょう。口出ししないことは、ママたちにはちょっと勇気がいるかもしれません。でも、グッとこらえて見守っていると、子どもの思わぬ発想にこちらが驚かされることもよくありますよ』つまり、オイリュトミーなど有名な方法論を知って、その形だけをなぞっても意味がないということですね。そういった各方法論の裏側にある理念をよく理解し、無理のない形で実践していくことこそが重要なのでしょう。----------いかがでしたか?今回G先生に伺った「ゆるシュタイナー教育法」は、特別で特殊な子育て方法ではありませんでした。むしろ、わが国の昔ながらの子育てに通じるところが多くあったように感じます。生活に無理のない範囲で取り入れていくと、子どもたちの豊かな成長と自立を促すことができるのではないでしょうか。●文/パピマミ編集部●モデル/貴子(優くん、綾ちゃん)
2017年06月30日付き合い出すと、恋人に「自分のすべてを受け入れてほしい」と思ってしまい、情緒不安定になっては別れる、ということを繰り返している――。そんな30歳女性からの投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。「私のような人間でも、相手とうまくやっていく方法はあるのか、割り切ってひとりで生きていった方が良いのか」と意見を求めています。■ いわゆる「甘え上手」な人は、どこが違う?長女で、幼少期から優等生タイプだったというトピ主さん。「周りに甘えることが苦手」「他人に否定されることに慣れていない」といった自己分析もされています。どうやら、ずっと心に押し込めてきた“甘えたいのに甘えられないフラストレーション”を、彼氏となる相手にすべてぶつけてしまうために、交際がうまくいかなくなる様子。ほどよく周囲に甘えられるようになることが、打開策になるかもしれません。その方法を探っていきましょう。まず、いわゆる“甘え上手”な人を観察すると、分かることがあります。彼・彼女らは「誰かが手伝ってくれたらラッキーだな〜」くらいのライトな気持ちで、近くにいるよさそうな人にヘルプの打診を試みている。本当は自分で取り組むべきこととは分かっていながらも、“ちょっと試しに”頼んでみている、といった様子です。断られたときにも、「ま、仕方ない」「やっぱダメか(笑)」などと明るく受け取ります。仮にすねたような態度を見せたとしても、本気で傷つくようなことはない。だからこそ、断る側も気楽でいられるし、「次に余裕があるときは助けてあげよう」などとも思われやすいようです。■ 「甘えたいのに、甘えられない」を克服するには?一方、「甘えたいのに、甘えられない人」というのは、断られることや拒否を恐れていることが多いです。甘えや依頼を断られると、ひどく傷つき、自分のすべてが否定されたような気持ちにもなりやすい。そのため、「この人なら絶対に拒否されない」と信じられる相手にだけ、日頃から溜め込んでいる「甘えたい気持ち」をぶつけてしまう――。しかしながら、「他人の甘えをいつでも、いくらでも受け止められる人」というのは滅多にいません。どんなに懐の深い人でも、気分や状況的に余裕のないときはありますよね。そんなときに、甘えや依頼を断ったからといって、「前は助けてくれたのに!」と責められたり、「もう私のこと嫌いなの?」なんて悲しまれたりされたら、どうでしょうか。この相手は受け止めきれない、と感じてしまうこともあるかもしれません。どんな相手も、自分と違う時間のなかを生きています。「他人と自分は違う存在なのだ」としっかり分かっていれば、甘えや頼みを拒否されたとしても、それは相手側のそのときの判断というだけで、こちらの存在まで否定しているたわけではない、と理解できるはず。そうしてむやみに傷つかなくなれば、余裕のなさそうな相手を見て、「どうしたの、何かあったの?」なんて思いやれることもあるかもしれません。特に恋人同士の場合、そのようにお互いに心を支え合えると、絆も深まりやすいです。その理解をした上で、「軽く甘えること」にも慣れていけるといいですね。最初は「断られるかもしれないけど、ま、やってみるか」などと思えるときに、周囲の誰かをちょっと頼ってみましょう。例えば高い場所の物を取ってもらうなど、些細なことで構いません。断られる前提でいれば、手伝ってもらえたときに大いに感謝の気持ちを持てるようになり、対人関係にも好循環が生まれていきやすいでしょう。■ 「今」と「未来」に焦点を当てていこう家庭環境の影響もあり、男性に対して「憧れ」と「敵意」が混在している、というトピ主さん。そういう側面もあるのかもしれませんが、過去にばかり焦点を当てすぎると、「過去のせいで私はこうなんだから仕方ない」といった諦めの論理にもなりやすく、本当に望む未来へ繋がりにくくなってしまうこともあります。のちの投稿では、「恋愛は今後一切諦める」などとも書かれていますが、そのようにネガティブな気持ちになってしまうときは、「うーん、今の私はこう思ってしまうな」などと、少し自分を俯瞰して捉えてみてください。その上で、現在と未来に焦点を当てていきましょう。30歳。ここからの人生は、まだまだ長いです。“パーフェクト”になんてなる必要はないし、自分を見つめる勇気を持っていれば“パートナーといい関係を築く力”も必ず上達していきます。「今の私には、こういうところがあるみたいだな。じゃあ次はこうすれば良くなるかな?」。そんなふうに試行錯誤していくことを、ぜひ諦めないでほしいなと思います。(外山ゆひら)
2017年06月26日小学校教育に新たな波がおとずれます。2020年より英語学習を前倒しする「早期化」と、5年生からの英語教育が成績のつく科目としての「教科化」がスタートすることになりました。英語が必要な時代が来ているとはいえ、この2点について親たちはどう考えているのでしょうか?Q.小学校の英語教育「早期化」「教科化」、どう思う?1.賛成 72.6%2.反対 7.2%3.わからない・どちらともいえない 20.2%小学校の英語教育「早期化」「教科化」に賛成という声が72.6%と大多数という結果になりました。グローバル社会で活躍する人材を育成するためには英語は必須と考える親が多くいるようです。■日常会話くらいは英語で話せる人に日本にもどんどん外国人が来るようになりますし、これから大人になるまでに海外に行くこともあると思います。そんなときにも日常会話くらいは英語で話せるようになってほしいというのが親の希望。そのための教育なのであれば賛成という声が多数です。「世界的に必要なこと。他国は母国語と英語、両方教えるのが普通」(東京都 40代女性)「日本語的英語ではなく、英会話力を伸ばしてほしいと思っています。聞き取った英語を素直に口に出せるようになったら最高だと思います」(佐賀県 40代女性)「英語に早くから親しむという点ではいいと思います。ネイティブの先生と英会話を経験する授業なら、導入としてはいいかもしれませんね」(千葉県 50代女性)■日本人なのだから英語よりもまずは国語反対派の多数の意見は、英語教育の前に日本語教育を学ぶべきというもの。美しい日本語や漢字などをしっかり学んでから英語を学んでも遅くはないという声や、学校の教員の英語レベルが気になるという声もありました。「単純に教科が増えるとすれば、他の教科がおろそかになる。PCやタブレットを使うために漢字の読み書きができない子が増えている。英語に力を入れるまえにもっとやらなければいけない課題がある」(静岡県 40代男性)「それ以前に日本人として正しい日本語を身につけさせることの方が重要なのではないかと思うのは私だけでしょうか?」(神奈川県 50代女性)■英語の早期教育のメリットとは音や発音は小さいうちにやったほうが効率的であることはすでにわかっています。苦手意識を持つまえに、自然と英語に触れて、話すことで英語力がついていくのが理想的。それが果たして小学校教育でできるのかが問題のようです。「英語教育は早ければ早いほど、国語と同じように自然に覚えられる利点があります。しかし、小学校教員の英語力には課題があるのが現状。映像やタブレット端末などを使用して、小学生のうちに日常会話には困らないようになってほしいです」(神奈川県 40代女性)Q.小学校の英語教育「早期化」「教科化」、どう思う?アンケート回答数:6408件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2017年06月06日アサリ出汁と白ワインが香る「ボンゴレビアンコ」アサリ出汁を最大限に活かして旨味と風味を引き出した「ボンゴレビアンコ」800円(税込)は、1度食べるとやみつきに。ランチの定番であるパスタこそ、シェフの腕の見せどころ。白ワインの優しい香りが心地よく漂い、食欲をそそります。マイルドな辛さがクセになる「ごろごろ鶏もも肉のグリーンカレー」タイと言えばグリーンカレー。「ごろごろ鶏もも肉のグリーンカレー」850円(税込)。その名の通り、鶏もも肉となすやパプリカなどがたっぷりと入っていてボリューム満点です。辛さは万人向けにややマイルドに、パルミジャーノがより濃厚な味わいを演出。動物性脂肪不使用!「野菜たっぷりヴィーガンラーメン with トリュフオイル」動物性脂肪を一切使用せず、野菜や昆布で出汁をとった「野菜たっぷりヴィーガンラーメン with トリュフオイル」670円(税込)。福岡・博多の定番ラーメンをヴィーガンの方でも食べていただけるようにアレンジしたアイデアメニューです。お好みで香り高いトリュフオイルをトッピング。「THE LIFE HOSTEL & BAR LOUNGE」で出会える多国籍ランチ。ランチメニューの中には、ディナータイムに提供されているメニューもあるのでお仕事帰りにもおすすめです。異国情緒溢れる料理を存分に楽しめます。取材・文/小松里紗スポット情報スポット名:THE LIFE HOSTEL & BAR LOUNGE住所:福岡県福岡市博多区祇園町8-13電話番号:092-292-1070
2017年05月22日海外旅行、大好き!だけど、まとまった休みを年に何度もとるのはさすがに難しいですよね。国内には、海外に行かずとも異国情緒をたっぷり感じられる良質宿が意外と豊富なことをご存知ですか?今回は都内から2時間程度で行ける女一人旅大歓迎の宿をご紹介します。日本にいながら、海外ならではの非日常的空間にひたっちゃいましょう!開放感あふれるスペイン宮殿風レストランPhoto by リブマックスリゾート軽井沢フォレスト東京から1時間40分、自然豊かな軽井沢にあるのが「リブマックスリゾート軽井沢フォレスト」です。このホテルの目玉はなんといっても開放感たっぷりのスペイン風レストラン!ライトアップされる夜はより幻想的な世界が広がり、魅惑のリゾート気分を味わうことができます。Photo by リブマックスリゾート軽井沢フォレスト和と洋を合わせた和洋室もクラシカルな内装でその世界観を壊すことがありません。鬼怒川直送の天然温泉による露天風呂もあって、体の疲れも癒してくれますよ。■リブマックスリゾート軽井沢フォレスト料金:1泊10,000円~(朝・夕食付き)アクセス:東京からJR北陸新幹線「軽井沢駅」まで1時間15分。そこから車で約18分英国の田舎町をイメージしたアンティークコテージPhoto by ガストホフあみ東京から1時間40分、日光にある「ガストホフあみ」は英国の田舎町に来たようなアットホームな雰囲気が魅力です。本館が4室、コテージが3室とこじんまりとした宿なので喧騒を離れ、ゆったりした時間を過ごすことができます。コテージの3室は4柱式ダブルベッドや家具、ステンドグラスなどアンティークもので統一し、英国コッツウオルズ地方の古民家をイメージ。気分はまるでヨーロッパ映画の主人公!Photo by ガストホフあみ部屋には露天風呂がついており、フラワーバスプランではこの露店風呂にたっぷりのランの花びらを浮かべてはいることができます。各部屋に50個用意された鮮やかな紫色のランはしっかりした花なので、何度入浴してもフラワーバスのうっとり気分を損ないません。またお風呂だけでなく、一品一品真心を感じられるフルコースディナーもこの宿の魅力となっています。■ガストホフあみ料金:1泊13,000円~(朝・夕食付き)アクセス:東京駅から新幹線で「宇都宮駅」まで約50分、そこからJR日光線で「日光駅」まで約50分絵画のような風景が広がる北欧文化ルームPhoto by ホテル・アアルト東京から約2時間のところにある「ホテル・アアルト」は、大自然の中にある別荘地を訪れたような広大な敷地と美しい風景が人気の高級リゾートホテルです。ロビーに入った瞬間から木の優しい香りに包みこまれ、時間に追われているような日常から解放されて穏やかな気分に……。Photo by ホテル・アアルト客室の中でもシンプル&ナチュラル、木の温かさを感じる北欧デザインを楽しめるのが304号室です。赤いエッグチェアと明るい印象のベッドカバーがかわいい!加水・加温の必要がない源泉かけ流しの温泉は24時間体制なので、心ゆくまでラグジュアリーな空間を堪能できますね。■ホテル・アアルト料金:1泊38,000円~(朝・夕食付き)アクセス:東京駅から電車で猪苗代駅まで2時間。そこから無料送迎。いかがでしたか?今回は異国の雰囲気を味わいながら、ひとりで気兼ねなく過ごせる宿をご紹介しました。日本にいながら海外気分を味わえるから、週末という短い時間でも明日への英気を養えるかもしれませんね。
2017年01月27日「子育てに取り入れるといいらしい」と耳にすることもあるモンテッソーリ教育が気になっているという方も多いのではないでしょうか。モンテッソーリとは、教具を使った「お仕事」(遊びの時間)や個別活動による自主性を重んじた教育活動が特徴の教育法のことです。保育所や幼稚園で取り入れられることもある“モンテッソーリ”がどんな教育方法なのか、家庭でも実践できるのか、など詳しくご紹介します。モンテッソーリとは? そもそもモンテッソーリとは、マリア・モンテッソーリ(1870〜1952年)というイタリア人女性医師が開発した教育方法のことです。「モンテッソーリメソッド」「モンテッソーリ教育」などさまざまな呼ばれ方をしますが、どれもマリア・モンテッソーリが提唱した教育方法のことを指しています。マリア・モンテッソーリは、女性医師として子どもと触れ合うなかで、ある物事に関して吸収力が大きくなる期間があることに気が付き、それを“敏感期”と呼んで注目し始めました。1907年にイタリアに「子どもの家」という保育施設を作り、子どもが本来もっている能力を適切な援助で引き出していくモンテッソーリ教育法を生み出しました。この教育法は、「子どもの発見」と呼ばれ、現在でもその考えを継承した教育を行う幼稚園や保育施設、学校は世界中に存在し高い評価を得ています。モンテッソーリ教育の目的 モンテッソーリ教育の主な目的は、子どもの自立にあります。モンテッソーリの教育法によって引き出していく自発的に行動できる力や考え学び続ける力などは自立によってかなえられるとされているためです。「子どもは自分で成長し発達する力をもって生まれてくる」ことがモンテッソーリの教育法の基本でもあります。そのため大人は“子どものサポート役として“援助”するだけで、子どもの自発的活動を妨げてはいけない”存在だとされています。これをマリア・モンテッソーリは「生命の援助」と呼び、いまでも大切な理念として根付いているのです。どんな方法で行うの? “ひとりでできるようになる”ために、環境を整えることと少しの援助を行うことが大人である親や先生には求められており、“子どもを見守る”ことが重要だとされているのがモンテッソーリの教育法です。自発的に活動できるよう、自由にやりたいことができるよう準備をすることが、“環境を整えること”です。その準備は、ただ教具と呼ばれるおもちゃなどを用意しておくだけでなく、成長過程に合わせた物を置くことや「やってみたいな」と思わせる物でなければなりません。大人は、あくまでその成長を援助する“人的環境要因”ではありますが、適切なサポートを行えるよう常に意識して子どもを見守っている必要があります。つまり、自由になんでも好きなようにさせるのではなく、そのとき個々人に必要だと思われる物を適切な時期に“自分で”選び取れるよう援助するのがモンテッソーリの教育方法なのです。モンテッソーリの特徴 モンテッソーリの教育法には、大きく分けて3つの特徴があります。モンテッソーリの特徴1.個別活動モンテッソーリといえば“個別活動”が大きな特徴です。集団で行動するためには、”だれか”に合わせて動かなければなりませんが、一人ひとり興味やそのとき必要としていることは異なります。そのためモンテッソーリの教育法では、個別活動を基本としています。個別活動が基本ではありますが、子ども同士が一緒に遊ぶことを禁じてはいるわけではありません。子どもたちが一緒に遊びたいという気持ちをもっていれば、それがその子どもたちの活動になります。大切なのは、“子どもが自主的に活動しているか”にあるため、「個別活動ばかりで友だちと遊ばせてもらえないのでは」という心配はいらないでしょう。モンテッソーリの特徴2.自発性を重んじる個別活動の前提でもありますが、モンテッソーリの教育法は“子どもの自発性を重んじる”ものです。自発的に「これがしたい」と考え行動できるようになることもモンテッソーリの目的のひとつであるため、大人(先生)は自発性を妨げないよう、環境を整えています。また、遊びのことを“お仕事”と呼んでいることも大きな特徴として覚えておきましょう。モンテッソーリの特徴3.集団生活をするときには縦割りが基本幼稚園や保育所、学校でモンテッソーリの教育法を取り入れるときには、“縦割り”でクラス編成を行います。これは、社会性や協調性を身につけるために、大体3歳程度の年齢幅でクラスをまとめているのも特徴のひとつです。幼稚園では3・4・5歳児が混ぜられた異年齢クラスになり、保育所では0・1・2歳児と3〜5歳児の2段階でクラス編成されるケースが多く見られます。モンテッソーリの教育法5分野って? モンテッソーリの教育法は、5つの分野にわけられています。それぞれに適した教具があり、発達に沿った教具のレベルも分けられていますが、“大人が考えたカリキュラムの順番通りに進めていく”のではなく個々人に合わせて活動していきます。モンテッソーリの教育法1.運動運動=身体を動かす体育、ではなく、日常生活を営むうえで必要な動きを身につける分野が運動です。“思った通りに身体を動かして、自分のことは自分でできるようになる”ことを目的としています。大人の真似をしたがる主に2〜3歳頃を運動の敏感期と呼び、自立心や独立心といった基本となる心を養う時期として、適切な環境や援助を行っていきます。モンテッソーリの教育法2.感覚モンテッソーリの教育法では、2〜4歳頃を“感覚の敏感期”と呼び、他者との比較から自我の芽生えを援助する時期と考えています。生活のなかで自然と“持ち物の比較”などから自分と他者との違いを感じ始めたら、比較をテーマとした感覚教具を用意し、“同じ・違う”といった仲間分けなどを理解できるように援助していきます。モンテッソーリの教育法3.言語子どもが言語を習得するときには、“物には名前がある”ことを認識し、“性質を表す言葉”があることに気づき、“物をつなげて考えられる”ようになるという段階を踏むというのがモンテッソーリ教育法の考え方です。言語習得の流れの援助を行うために、適切な時期に絵や文字のカード(教具)を使って、話す・読む・書く力を身に着けていくのが言語分野です。モンテッソーリの教育法4.算数量=具体的な物、を理解することから始まり、徐々に“抽象的・論理的”な物の考え方ができるように導いていくのが算数分野で、そのための教具は細かな段階に分けられています。あくまで難しい計算ができるようになるのは結果であり、まずは考え方を身につけていくことを、モンテッソーリの教育法では大切にしています。モンテッソーリの教育法5.文化他の4分野の集大成ともいえるのが“文化”です。基礎的な力が身についたところで、歴史・地理・音楽などから、“文化を学び吸収する力”をつけていく分野となっています。モンテッソーリの“教具”モンテッソーリの教育法では、“教具”と呼ばれる道具が使われています。モンテッソーリ教育のおもちゃと言われることもありますが、正式には教具です。時期や子どもの成長に合わせて選んだものを“環境”のひとつとして置き、子ども自身が自主的に手に取るようにしなければなりません。本来“教具”は、おもちゃでも教育のためのアイテムでもないという扱いなのですが、感覚的には、おもちゃと教育グッズの中間に位置しているような存在と考えていてもいいでしょう。大切なのは、その“教具”を使うことを目的とするのではなく、“子どもが自発的に教具を使って遊び(=お仕事をする)、成長や発達のサポートになっている”ことにあります。その点をしっかりと押さえたうえで、教具を取り入れるようにしましょう。モンテッソーリ教育には資格が必要? モンテッソーリの教育法を行うための資格やモンテッソーリ教育が受けられる場所をご紹介します。モンテッソーリ教育の資格厳密には、モンテッソーリ教育を行うために必要な資格はありません。民間資格がいくつかあり、就職時に“○○資格の取得”が求められる可能性はありますが、保育士や幼稚園・小学校の教諭免許とは異なり、“絶対になくてはいけない”というものではないのです。ただし、モンテッソーリの教育法は、通常の“保育・教育”の勉強だけではなく専門的に学んだほうがよい部分もあるため、モンテッソーリ教育を行うプロになりたいと思ったときには、民間資格を取得するのがおすすめです。民間資格が受けられる機関日本で初めてモンテッソーリ教育の教師養成校を設立した公益財団法人才能開発教育研究財団/日本モンテッソーリ教育綜合研究所の「モンテッソーリ教育教師養成通信教育講座卒業資格」 モンテッソーリ教育 教師養成通信教育講座 | 公益財団法人 日本モンテッソーリ教育綜合研究所 国際モンテッソーリ協会公認の一般社団法人モンテッソーリ教育研究会で認定される「ディプロマ資格」 モンテッソーリ教育研究会 モンテッソーリ教育を受けられる場所日本では、モンテッソーリの教育法を取り入れている保育所・幼稚園・学校に通うことで、モンテッソーリ教育を受けることができます。保育所や幼稚園は、各地域にモンテッソーリ教育を取り入れているところがあり、近隣で探すと見つかることが多いですが、小学校になると数が少なくなるため、小学校でもモンテッソーリの教育法を受けさせたいと考えている方は、事前にしっかり調べておくことをおすすめします。小学生になると、アフタースクールや習い事として、モンテッソーリに触れるパターンもあるので、学校が見つからないときにはそちらも検討してみましょう。家庭でモンテッソーリ教育を行うコツ家庭でもモンテッソーリ教育を行うことはできます。その際は、“手を出しすぎない”ことを意識するのがコツです。モンテッソーリのもっとも大きな特徴が“自発性・自立”です。ついつい家庭だと、見守りきれずに手や口を出したくなってしまいますが、大人は援助をするのみ、“見守る”ことを常に意識して過ごすようにしましょう。また、モンテッソーリの教具は“おもちゃ”として販売されています。一度にすべてをそろえるのは大変なので、気になったものだけを取り入れてみるのもおすすめです。特に感覚教具や算数の教具は、モンテッソーリならではな特徴を感じられるものも多いため、最初の一歩として購入する物にピッタリです。「買ったのだからやって!」ではなく、家のなかに置いておき子どもが自然と手に取れるようにして、モンテッソーリの教育法の基本を押さえたうえで取り入れるようにしましょう。<参考> モンテッソーリ教育研究会 公益財団法人 才能開発教育研究財団 日本モンテッソーリ教育綜合研究所 モンテッソーリ学芸大学子どもの家オフィシャルサイト Mirai Kindergarten モンテッソーリ教育
2017年01月12日こんにちは。子育て研究所代表の佐藤理香です。教育業界では、これまでの教科的な教育を超えて、プログラミング教育や表現力を高める教育など、数々の新しい取り組みが始められています。最近では、幼児段階での取り組みも多くみられるようになりました。今回は“感性教育”についてお伝えしたいと思います。●感性教育とは?“感性教育”とは、明確な定義はありませんが、子どもの感性を育む教育のことです。“感性を育てる”とは、ものの感じ方を育てる ことです。感性そのものに正解や間違いはありません。『Nikon』が行った「こどもの感性教育に関する調査」では、興味深いことがわかりました。約9割以上のママが「感性教育は重要である」と考えている一方で、7割以上が「感性がどのように伸びるかを知らない」と回答しているのです。これは、感性が可視化できないために、教育方法が難しく、成長実感を得にくい ことと関連しています。特に、幼児は言語の力(話し言葉、書き言葉)がまだ乏しく、感じたことを絵や創作物で表現できるほど巧緻性(器用さ)が発達していません。そのため、子どもが瞬発的に感じたこと、直感で感じたことを表現するのが難しいのです。教育の分野では、感性の重要性が指摘されるものの、伸ばし方は課題のひとつになっています。●感性の伸ばし方子どもの感性を伸ばすためにおススメの方法を3つご紹介します。●(1)五感で季節を感じる五感とは、視覚、触覚、味覚、聴覚、嗅覚です。これは経験したことに起因するため、一気に育てようと思ってもなかなか難しい感覚です。日々の生活の中でも、ちょっとしたことで感性は育ちます。四季折々に、自宅の周囲でも景色が変わります。「夏に緑だった葉っぱが今は黄色だね。この後、どんな色になるかな?」「あんなに暑かったのに、今は寒くてほっぺが赤くなるね」など、親が感じたことを子どもに声掛けしてみましょう。子どもも素直にいろいろと感じてくれますよ。●(2)生き物や植物を育てる生死を教えることは難しく、子ども自身が参加してみて初めて気づくことも多いです。おススメなのが、生き物や植物を育てること。マンションなどの住宅事情もありますので、必ずしも大きな生き物でなくてもいいのです。例えば公園で見つけたダンゴ虫を飼ってみる、ヒヤシンスを育ててみるなど、ちょっとした工夫で子どもの感性を伸ばすことができます。筆者の例として、金魚すくいでとった金魚を飼っていました。子どもは図鑑で調べ、一生懸命に世話をしていましたが、ほどなく死んでしまいました。もちろん大泣きで、お別れの言葉まで述べて、お墓を作り埋めました。悲しい現実ではありますが、命と対峙する というかけがえのない経験と感性を育めたと思います。●(3)一緒に食事を作る子どもが2歳くらいになると、ちぎる、割く、こねるなどの作業ができるようになります。徐々に包丁などの道具も使えるようになるので、親子で一緒に食事を作るのも効果的です。食材の色や形、切り口、感触に味、調理したときに変わっていく形や色。味の変化はまるで実験だと思います。合わせて、食材の生産などにも触れれば、子どもは一段上のものの感じ方を身につけると思います。----------幼児の感性を可視化するのは難しいとお伝えしました。最後に、筆者がやっている方法のひとつをご紹介します。筆者は子どもにお古のカメラを持たせて、好きなように撮影させています。子ども自身が撮影を通して、発見や感動を写真として記録できます。カメラを近づけたり離したりと好きなように操って、あちこち動き回り、新たな発見を促すこともできます。カメラは、子どもが五感で感じた好奇心や感動の瞬間を表出させる一つの手だて として有効です。親としても、子どもが感じている視点を写真として確認でき、アドバイスをしたり、認めたりして感性の成長に繋がります。何よりも、このようなコミュニケーションが、子どもの社会性を育み、感性の成長を後押しするのかもしれませんね。【参考リンク】・ニコンイメージングジャパン、「こどもの教育に関する意識調査」を発表 こどもの育て方について「感性」を重視する母親は73.5% | 株式会社ニコンイメージングジャパン()●ライター/佐藤理香(株)●モデル/藤本順子(風悟くん)、ココア
2016年11月24日情緒障害とは出典 : 「情緒障害」とは、子どもが何らかの要因により感情面に問題が生じ、社会に適応できない状態にあることを指す言葉です。広義に解釈すると上記の意味ですが、実は「情緒障害」は、厳密かつ普遍的な定義がなく、その意味や内容は時代や社会的な背景とともに大きく変遷してきました。そのため現在実際に使われている「情緒障害」という言葉も、文部科学省、厚生労働省、医学のそれぞれにおいて定義や概念にばらつきがあります。情緒障害に含まれる具体的な障害もそれぞれの定義によって異なるため混乱を招くこともままあり、必要に応じて関係機関の定義を参照し、確認する必要があります。以下でそれぞれの定義を見ていきましょう。教育、福祉、医学、それぞれ違う「情緒障害」の定義出典 : ・情緒障害の教育的定義主に特別支援教育の場面で使われる、文部科学省による「情緒障害」の定義は以下の通りです。状況に合わない感情・気分が持続し、不適切な行動が引き起こされ、それらを自分の意思ではコントロールできないことが継続し、学校生活や社会生活に適応できなくなる状態をいう。平成25年教育支援資料Ⅶ 情緒障害|文部科学省HP・情緒障害の教育的定義に当てはまる症状教育の場で用いられる情緒障害にあてはまる症状の具体例としては、主に選択性緘黙(かんもく)を指し、その他、集団行動・社会的行動をしない、引きこもり、不登校、指しゃぶりや爪かみなどの癖、常同行動、離席、反社会的行動、性的逸脱行動、自傷行為をあげています。・教育的定義における情緒障害と発達障害の関係文部科学省では、情緒障害は心理的な要因から生じる後天的な問題であり、先天的な問題から生じる発達障害とは違うものと定義しています。・「情緒障害」の教育的定義の成り立ち教育の場で言われる「情緒障害」は、教育上の概念・分類であり、医学用語の「情緒障害」の定義とは必ずしも一致しません。現在、このようなわかりにくさを生んでいるのは、情緒障害という障害の概念が時代によって変遷していることと、特殊支援教育の歴史的背景に由来しています。公立学校に現在の特別支援学級の前身である情緒障害特殊学級が成立した1969年当時、自閉症などの先天性由来の障害も含めおおまかに「情緒障害」と定義していました。のちに、先天的な障害である自閉症は「情緒障害」から除外されたため、「情緒障害」は後天的な心理的問題により社会に適合していない子どもを分類するための概念と修正されました。平成18年には「学校教育法施行規則の一部を改正する省令」が発令され、平成21年には「情緒教育特別支援学級」の名称も「自閉症・情緒障害特別支援学級」と変更され、特別支援教育の場でも自閉症が情緒障害から分けられるようになりました。・情緒障害の福祉的定義厚生労働省管轄の情緒障害児短期治療施設などの福祉の場面で用いられる「情緒障害」は、厚生労働省が定義したものに沿っています。厚生労働省の情緒障害児の定義は以下の通りです。情緒障害児とは,家庭,学校,近隣等での人間関係のゆがみによって,感情生活に支障をきたし,社会適応が困難になった児童をいう。厚生白書(昭和53年版)・情緒障害の福祉的定義に当てはまる行動や状態不登校、引きこもり、かん黙、軽度の非行、チック、発達障害による二次障害、虐待により心理的に傷ついた状態など参考ページ:厚生白書(昭和43年版)第3章社会福祉|厚生労働省HP・福祉的定義における情緒障害と発達障害の関係厚生労働省が定義する「情緒障害」(情緒障害の福祉的定義)は、同省が定義する発達障害に含まれる、としています。参考ページ:発達障害者支援法の施行について|厚生労働省HP医学的な用語としての「情緒障害」は、主として、心理的な反応として起きる、情動が著しく不安定で激しい現れ方をする状態であり、病名ではないとするのが主流です。国立特別支援教育総合研究所によると、医学的な用語としての「情緒障害」は次のようにまとめられます。1)厳密で普遍性のある定義はない。2)病名ではなく症状もしくは状態像を指して用いられることが一般的。3)現在では、心理的要因が原因と想定されるものに主に用いられるが、例外もある。世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)においては、「情緒の障害」と表記されているものが、医学的な用語としての情緒障害とほぼ同義とされ、病名に相当する診断カテゴリーとされています。参考:発達障害と情緒障害の関連と教育的支援に関する研究・医学的見地における情緒障害と発達障害の関係基本的に、医学的には情緒障害と発達障害は別の区分とされています。就学相談などで使われる「情緒障害」のさす意味とは?出典 : 教育の場で「情緒障害」とされる状態は、具体的には2種類の問題行動があります。一つは、周囲から介入しない限り周囲に迷惑や支障を生じない、内向性の問題行動、もう一つは、周囲からの介入がなければその行動自体が周囲の人に迷惑や支障を生じる外向性の問題行動です。専門用語で「内向性行動問題」と呼ばれるもので、周囲が介入しない限り迷惑や支障を生じないものをさします。具体的な例として、・選択性緘黙(かんもく)・不登校、集団行動・社会的行動をしない・ひきこもり、指しゃぶりや爪かみなどの癖・身体を前後に揺らし続けるなどの同じパターンの行動を反復すること(常同行動)・自分の髪の毛を抜くことなどです。一般的にはただの「癖」と考えられているものでも、この行動が長期間頻繁に続き、学校での学習や集団行動に支障をきたすほどの場合には情緒障害としてとらえられます。専門用語で「外向性行動問題」と呼ばれるもので、周囲からの介入がなければその行動自体が周囲の人に迷惑や支障を生じる場合をさします。具体的な例は、・離席、教室からの抜け出し・集団逸脱行動・犯行、暴言、暴力、反社会的行動・非行、性的逸脱行動などです。これらの行動から、学校での学習や集団生活に支障をきたしてしまいます。攻撃性を示す場合が多く、その攻撃性が自分に向った場合である自傷行為も情緒障害としてとらえられます。教育の場で「情緒障害」としてあがることの多い、選択性緘黙と不登校について紹介します。・選択性緘黙文部科学省が定義する選択性緘黙は、以下の通りです。選択性かん黙とは,一般に,発声器官等に明らかな器質的・機能的な障害はないが,心理的な要因により,特定の状況(例えば,家族や慣れた人以外の人に対して,あるいは家庭の外など)で音声や言葉を出せず,学業等に支障がある状態である。(平成25年文部科学省教育支援資料)・不登校文部科学省の教育支援資料において、不登校は、以下のように定義されています。不登校の要因は様々であるが,情緒障害教育の対象としての不登校は,心理的,情緒的理由により,登校できず家に閉じこもっていたり,家を出ても登校できなかったりする状態である。そして,本人は登校しなければならないことを意識しており,登校しようとするができないという社会的不適応になっている状態である。したがって,一般的には,怠学や学校の意義を否定するなどの考えから,意図的に登校を渋る場合は,学校に登校しないという状態は類似しているが,ここでいう情緒障害の範囲には含まない。平成25年教育支援資料Ⅶ 情緒障害|文部科学省HP「情緒障害」の子どもには、どのような支援があるの?出典 : 自閉症・情緒障害通級指導教室通級指導教室とは、通常学級の学校に籍を置いて、通級指導の時間のみ通級指導教室に通って支援を受けるという制度です。子どもが在籍する学校に通級指導教室が無い場合は、通級指導教室がある他の学校に通って通級指導を受ける場合もあります。障害の種別に分かれ、その子に合った指導が受けられますが、情緒障害のある子どもは「自閉症・情緒障害通級指導教室」に通うことになります。・対象者通常の学級におおむね参加でき、一部特別な指導(社会的適応のための特別な指導や強化の補充指導など)を必要とする程度のものであるとされています。・どのような指導がされるか基本的には、特別支援学校などにおける、障害がある生徒の自立を目指した教育的な活動を参考とした指導が中心で、社会的適応性の向上が目的とされています。通級指導を受ける場合、大半の時間を通常学級で過ごし、通級指導を受ける時間は限られています。そのため、必要に応じて各教科などの補充的な指導は行っていますが、個別の指導内容を設定することはできません。自閉症・情緒障害特別支援学級特別支援学級とは、通常学級ではなく特別支援学級に籍を置き、よりきめ細かな指導を受ける少人数の学級です。もし、子どもに手厚い指導が必要な場合は、上記の通級指導教室ではなく特別支援学級に通う場合が多いです。情緒障害のある子どもは「自閉症・情緒障害特別支援学級」で指導を受けることになります。・対象者文部科学省は、自閉症・情緒障害教育の対象を以下のように定めています。一 自閉症又はそれに類するもので,他人との意思疎通及び対人関係の形成 が困難である程度のもの二 主として心理的な要因による選択性かん黙などがあるもので,社会生活へ の適応が困難である程度のもの平成25年教育支援資料Ⅶ 情緒障害|文部科学省HP選択性かん黙や不登校などの感情面での問題のために、通常の学級では学習を行うことが難しく、社会的適応のための特別な指導を行う必要がある子どもが対象者であるとされています。・どのような指導が受けられるか情緒障害や自閉症のある子どもなどが、人とのかかわりを円滑にし生活する力を育てることを目標に指導を受けることができます。 特別の教育課程を編成することができることが特徴です。基本的に主な授業は特別支援学級で受けますが、体育や図画工作、給食の時間は通常学級の子どもたちと過ごすこともあります。特別支援学校基本的には、情緒障害であるというだけで特別支援学校の支援対象となることはありませんが、情緒障害とされている子どもが、知的障害や病弱・身体虚弱を伴う場合は、知的障害、病弱などの区分での支援対象となることもあります。特別支援学校と特別支援学級・通級指導教室の違いについては、以下のコラムに詳しく解説されています。・放課後等デイサービス幼稚園・大学を除いた学校に就学中で、かつ障害のある子どもが、学校の授業終了後や長期休暇中などに通い、生活能力向上のための訓練および、社会との交流促進を行う施設です。施設利用にあたって療育手帳や障害者手帳は必須ではなく、障害児通所支援受給者証を申請し、認可が下りれば利用することができます。施設のタイプは、習い事型、学童保育型、療育型の大きく分けて3つのタイプに分けられます。詳しくは以下の記事をご覧ください。・情緒障害児短期治療施設(児童心理治療施設)情緒障害短期治療施設とは、学校教育との緊密な連携をとりつつ、医学的な心理治療を行う総合的な治療・支援施設です。情緒障害児短期治療施設の対象児童は、心理的困難や苦しみを抱え日常生活に生きづらさを感じている子どもたちであり、心理治療が必要とされる子どもたちであるとされています。知的障害児や重度の精神障害児は基本的に対象ではありません。利用方法は、宿泊入所、通所、外来相談の3つがありますが、施設によっては外来相談が設置されていない場合もあるため、一度お近くの情緒障害児短期治療施設に電話などで相談してみることをおすすめいたします。・児童相談所児童相談所とは、家庭や学校などから18歳未満の子どもに関するあらゆる相談に応じ、また、子どもおよび家庭に対して医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神保健上の判定や調査、調整を行う場所のことです。各相談所には精神科医師、児童心理士、児童福祉司などの専門職員が配置されています。・児童家庭支援センター児童家庭支援センターは、児童心理療育施設、児童養護施設、児童自立支援施設、母子生活支援施設、乳児院に設置されているもので、18歳未満の子どもに関する様々な相談を、子ども、家庭、地域住民から受け付けます。また、児童福祉施設などの関係する機関との連絡調整も行います。学校で子どもが直面する「情緒障害」の原因は?出典 : 教育的定義における「情緒障害」とされる状態を引き起こす原因としては、対人関係のストレス状況、学業・部活動の負担、親子関係の問題などが考えられるとされています。友人同士や教師との関係において、対等な人間関係が崩れた場合大きなストレスが生じます。いじめがその最たるものとされています。一方的、威圧的に教師や友人に接されることによりストレスが生じ、情緒障害とされる状態に陥る原因になります。学業、部活などにおいて、本人の能力に見合わない要求をされ、かつその環境から抜け出すことができない雰囲気がある場合、それがストレスとなり情緒障害の原因となると言われています。親子関係において信頼関係が築けていない場合に、教育的定義における「情緒障害」の原因となる可能性があります。親子の信頼関係が築かれていないパターンで、児童虐待なども含まれます。子どもと過ごす時間を十分にとることが信頼関係の構築において大切です。平成25年教育支援資料Ⅶ 情緒障害|文部科学省HP子どもが情緒障害の疑いがあるとき、どう対応すべきなの?出典 : 生活上の問題が生じたときは、できる限り早い段階でなんらかの対応をとることが必要です。・毎日の基本的な生活環境を整える子どもの成育には、障害の有無、障害の種類にかかわらず、安心して過ごせる環境作りが必須です。毎日の生活のなかで、家族関係の安定を意識し、なるべくお子さんをほめてあげること、そして、できるだけ一緒に過ごしてあげること。このような安心して過ごせる基本的な環境作りを心がけることこそが、お子さんの症状の回復のための基礎づくりとなります。・いじめはすぐ対処もし、お子さんがいじめを受けているように感じたら、本人に対処させるのではなく、いじめが起きている環境から保護することが最優先です。まず、教師に相談し、お子さんのいる環境を変えるなどの対応をし、それに加え児童精神科などで専門的な治療を受けることで、心の傷がこれ以上深まらないようにする必要があります。・医療機関を受診する身体症状が強い場合は小児科、情緒面の問題が強い場合は児童精神科を受診することをおすすめします。専門家の指示を仰ぎ、適切な指示を受ければ、ご家族もお子さんも、無為に苦しむことなく解決の糸口を見つけることができます。どうしても、医療機関の受診への敷居が高い場合には、スクールカウンセラーや各相談機関を利用するのも一つの手です。もし、近くに児童精神科がない場合は、大学病院や総合病院の精神科でも診療してもらえます。少しでもお子さんが何らかの問題を抱えているように感じたら、どうか一人で抱え込まずに、専門家の助けを求めてください。参考文献:杉山登志郎 /著『子どもの発達障害と情緒障害』2009年講談社/刊まとめ出典 : 「情緒障害」の定義はさまざまですが、一般に情緒障害とされる状態は、主に対人関係などの後天的なストレス要因から生じるとされています。先述の通り、お子さんの成育の基本となるのは安心して生活できる環境づくりであり、それには家族からの理解が不可欠です。お子さんをあたたかい目で見守ってあげることこそが、問題解決のための近道となります。とはいえ、保護者の方が、何のストレスも感じずお子さんに接し続けるのは難しいこともあります。専門家からアドバイスしてもらうことで、今までずっと悩んでいた問題から抜け出す解決の糸口が見つかることもありますので、少しでも悩み事がある場合は一人で抱え込まず、医療機関や相談窓口に連絡を取ることをおすすめします。平成25年教育支援資料Ⅶ 情緒障害|文部科学省HPあなたのそばの相談機関|情緒障害児短期治療施設(児童心理治療施設)ネットワークHP発達障害者支援施策について|厚生労働省HP厚生白書(昭和53年版)|厚生労働省HP情緒障害児短期治療施設運営指針|厚生労働省HP特別支援教育について|文部科学省HP 自閉症・情緒障害とは|国立特別支援教育総合研究所HP
2016年10月24日