運動をした後、昔だったらすぐに筋肉痛になったのに、気がつけば翌々日に筋肉痛が起きた……。なんていう経験はありませんか?「年をとってしまったなぁ」なんて落ち込まないでください。よく、「年をとると筋肉痛が遅く出る」といわれていますが、実はこの説、科学的には解明されていません。とはいうものの、「確かに昔より筋肉痛が出るのが遅くなった」と実感している人も多いはず……。その理由について考えてみました。■「すぐに出る筋肉痛」と「遅れて出る筋肉痛」筋肉痛には2種類あることをご存じですか?運動している最中に発生するのが「現発性筋肉痛」で、乳酸の蓄積が原因といわれており、焼けつくような痛みを感じることがあります。運動後数時間で蓄積された乳酸が代謝され、痛みはなくなります。運動の数時間後から数日後に発生し、その後数日間続くのが「遅発性筋肉痛」です。一般的に「筋肉痛」というとこの遅発性筋肉痛を指します。遅発性筋肉痛が発生するのは、筋肉が引き伸ばされる伸張性収縮運動をしたときだといわれています。急な坂道や長い階段を駆け降りると、その場ですぐにではなく、翌日や翌々日に太腿(ふともも)などに筋肉痛が発生しませんか?これが遅発性筋肉痛です。■筋肉痛のメカニズム筋肉痛が起こる原因とされてきたのが、「運動で生じる疲労物質である乳酸の蓄積によって鈍痛を引きおこす」という説でしたが、いまでは有力ではなくなっています。それよりも、筋繊維や周辺の結合組織が運動によって損傷して、その修復の際に発生する痛みの誘発物質が炎症を起こしたり、神経を刺激したりするという説が有力です。遅発性筋肉痛が遅れて発生するのは、筋肉が回復する時に生じる痛みだからだといわれていますが、詳細についてはわかっていません。筋肉痛の詳しいメカニズムは解明されていませんが、一般的には、強度(負荷)が低い運動の場合は筋肉痛が早く出て、強度が高い運動をした時には筋肉痛が遅く出るといわれています。つまり、筋肉痛が発生する時間は、年齢ではなく、運動の種類(負荷)によって変わってくるといえるのです。■それでも年齢が関係するとしたら?遅発性筋肉痛の発生と年齢の関係については明らかになっていませんが、「年を取ると筋肉痛が遅く出る」といわれている理由をいくつか挙げることはできます。ひとつは加齢による筋力の低下です。筋繊維には、瞬発力を備えた速筋と持久力を備えた遅筋があり、加齢によって衰えやすいのは後者です。速筋が衰えると、大きな力を急激に発揮するのが難しくなります。つまり、若いころと同じ運動でもより筋肉への負荷が大きくなるため、筋肉痛が遅れて発生するというわけです。もうひとつは、加齢による回復力の低下。「加齢によって筋繊維の修復に時間がかかるようになるため、筋肉痛の発生が遅くなる」という説ですが、いずれにしても、筋肉痛のメカニズムも年齢との関連も正確なところは今のところわかっていないのです。では、遅れてやってくる筋肉痛を予防する方法ないのでしょうか。わかりやすくて始めやすいのは、加齢による筋力の低下を抑えること。日ごろから全身を鍛え、1日1回は自分の中の最大筋力を発揮し、速筋を鍛えましょう。また、普段から運動している人は、していない人よりも運動による筋肉への負荷を軽く感じるため、筋肉痛の発生が早くなります。健康維持のためにも、普段からの運動が大事だということですね!(COBSONLINE編集部)【関連リンク】筋肉痛もスマートに解決!?世界中で愛用されてるアスピリンとは……【コラム】その使い方って正しい?薬のウソ?!本当?!【コラム】専門医に改善策を聞くダイエット失敗集!~運動編
2011年10月01日