●中学時代はむしろ数学が苦手だった「数学者」と聞くと、オイラーやガウス、ラマヌジャンといった歴史上の天才数学者たちが頭に思い浮かび、「数学者たちの頭の中って、いったいどうなってるんだろう?」と、つい考えてしまう。凸幾何学およびポテンシャル論を専門とする数学者である宮崎大学 教育文化学部(2016年4月から教育学部に改組予定) 数学教育講座の坂田繁洋 講師にお話をうかがい、その実態に迫った。○「数学者」を志したきっかけ―「数学者」と聞くと、小さいころからすでに数学がものすごく得意だったのではというイメージがあります。中高時代、数学は好きでしたか?私はむしろ、中学1~2年生のころは苦手なほうでした。文章題が解けなかったんです。数学にハマったのは、それまで通っていた塾を変えて、新しい先生に教えてもらうようになってからですね。特に、三平方の定理がおもしろいと感じました。補助線の引き方を1本見つけられると一気に問題が解けるというところが、ある種のゲーム感覚というか。―大学では「数学科」で学ばれていたそうですが、多くの学科のなかから数学科に進学しようと思った理由を教えてください。もともと学校の先生になりたかったので、高校2年の文理選択の際には、教育学部に行くために文系に進もうと思っていたんです。そうしたら先生たちに「お前はどう考えても理系だろう」と言われてしまい(笑)、理学部や工学部でも教員免許が取れるとのことなので、理系に進みました。さらに、数学科に在籍しているという予備校のティーチングアシスタントの先生から、数学科では数学をたくさん勉強できるうえに、教員免許も取れるという話を聞いて「こんなにおいしい話はない!」と、数学科への進学を決意しました。―教員志望だった坂田先生が研究者の道へ進もうと思ったのは、いつ、どうしてですか?高校3年生のとき、予備校の先生から「πとeはそれぞれ無理数だけど、これらを足した“π+e”が有理数なのか無理数なのかということはいまだにわかっていない※。この問題を解けたら世界中に名前が知られることになる」と教わった際に、「こんなに素朴な問題がまだ残っていて、これを解くだけで賞賛されるなんて、数学の研究はすごい」と感じました。それと同時に、このまま学校の先生になったら高校数学までの世界のなかで考えなければならないと思い、とても窮屈な気持ちになりました。大学で数学を勉強して学者になれば、いくらでも新しいことを発見し続けられるというところに可能性を感じて、そのころから大学院の博士課程に進むことを考えるようになりました。※1+πと1-πはともに無理数だが、(1+π)+(1-π)=2は有理数。無理数+無理数は無理数とは限らない。○高校数学と大学数学の壁―高校数学と大学数学はまったく違うものだ、という話を聞いたことがあります。坂田先生は高校と大学の「壁」を感じることはありましたか?はい、大学1年生のゴールデンウイーク前にさっそくその壁にぶち当たりました。そもそも、大学生は授業に出なくてよいものだというイメージを抱いていたので(笑)、授業が始まったばかりのころはサボっていました。授業が本格化したころを見計らって出席しはじめたのですが、すでにちんぷんかんぷんでした。講義形式と演習形式の授業がありましたが、どちらも大学受験のときとは全然別の感覚で、巻き返しを図ろうと思ってもまったく身に付いてこないんです。課された演習問題に2日~3日かけても解けないことは日常茶飯事でした。そこで先生のところに「3日考えたのに解けなかったのでヒントをください」と相談に行ったのですが、「3日で解けないなら、3カ月あれば解けるんじゃない? 大学の数学とはそういうものだよ」と言われてしまった。高校までは限られた時間のなかで問題を解くという"処理能力"を問われていたけれど、大学は学問をやる場所なのでしっかり理解しなければならないということに気づきました。それからは、講義ノートを読み返したり、問題を解いたりと、休日はカフェや図書館にこもって1日10時間くらい勉強しましたね。こうして大学1年生前期の段階で一生懸命勉強したことで、数学に対する心構えと習慣が身に付きました。―数学に対する心構えと習慣とは、具体的にどういったものでしょうか?高校数学の場合、ひとつの問題に対して、5分~10分考えてわからなかったら解答をみて解法を覚えるというような勉強の仕方があると思います。私はそうでした。そうではなく、5分~10分考えてダメならいったん心を落ち着けてもう一度問題文を読んでみようとか、それでもダメなら明日またチャレンジしよう、といったように、気長にひとつの問題について考えることでしょうか。ちなみに「3カ月あれば解けるんじゃない?」と先生に言われた問題は、その後1週間ほど考えたら解けました。やはり、高校までの習慣がよくなかったと思います。数十分の制限時間内に問題を解くことが求められる高校数学では、少し計算が込み入ってくると自分の方針が不安になってきて、そこで手を止めてしまう。しかし、この問題では、面倒な計算でも、気長に計算して押し切ったら解けるのではないかと考えました。演習形式の授業のなかで、黒板の端から端まで使って説明することになりましたが、私の考えた解答で合っていました。○三角形の公園をいちばん明るく照らすには?―学部生のころにそうして数学の基礎知識を身につけていった後は、誰も解いたことのない問題、いわゆる論文になるような問題に挑むことになると思うのですが、それはいつごろでしたか?修士1年のときです。セミナーで、指導教官が仕入れてきた問題を後輩に紹介していたのですが、それを自分でも考えてみたんです。後輩は解く気がなかったし、先生も問題を出したことを忘れていたのですが(笑)、試行錯誤の跡を先生に見せた際に、これを修士論文のテーマにしようということになりました。―それはどういった問題だったのでしょうか?文部科学省の学習到達度調査(PISA)にあったものなのですが、三角形の公園に街灯を一本立てる際、どこに街灯を立てるのがよいかという問題です。PISAの解答は、「外心(外接円の中心)」だったのですが、それでは納得できず、公園をいちばん明るく照らす「灯心」という新しい中心を考えた研究者がいました。私は、三角形だけでなく、ほかの図形の場合も考えることにしました。数学者はまず、そもそも「灯心」というものはいつでも存在するのかどうかということを考えます。これは早々に解けたのですが、修士論文のメインの結果とするには弱かった。そこで「灯心」が存在する場合、果たしてそれはひとつだけだろうかということを考えました。灯心を2個以上もつ公園が存在することはわかっていたので、この考察には意味があります。その結果、公園が線対称でかつへこみがない(凸領域)ならば、灯心は公園の対称軸上にひとつだけ存在するということがわかりました。―修士論文のテーマは指導教官のアイディアがベースになっていると思うのですが、数学の研究では一般的に、どのようにして研究テーマを見つけるのでしょう。博士課程では、修士論文で用いた計算手法のアイディアを、ほかの"由緒正しい"数学の問題に流用できないか考えてみることにしました。大学1年生のときに使っていた微分積分学の教科書をなんとなく眺めていたときに、熱方程式の解が、修士論文で研究した関数に似ていることに気づいたのです。「これで由緒正しい偏微分方程式に新しいことが見出せた!」と思ったのですが、20年前にすでに同じことを考えていた研究者がいました。そこで私は、公園の問題と熱の問題が両方とも一度にわかる、普遍的な枠組みを作ろうと思ったのです。これが博士論文のテーマとなりました。しかし、これでもまだ人のやっていることの真似ごとをやっているような気がして、何か新しいブレイクスルーがほしいと悩んでいるところではあります。●数学なんて役に立つんですか?○「定理を思いつく」ってどういうこと?―「シャワーを浴びているときに定理を思いつく」という坂田先生のエピソードを聞きましたが、"定理を思いつく"というのは、いったいどういう状態なのでしょうか?「○ならば××」という形の証明の必要な主張を「定理」と呼びます。「定理を思いつく」というのは面白い仮定「○」と結論「××」のペアに気づくことを言います。この段階では正確には「問題を思いついた」と表現すべきでしょうが、証明できたことにして、先走って「定理を思いついた」と言ってしまうことがあります。もちろん、ちゃんと証明もできた後は「定理を思いついた」と堂々と言っています。一方、「○ならば××」という主張は先にあって、その証明をしようとするときに、計算の難しさなどの理由で、途中で行き詰まることがあります。その証明の困難を突破できたときは「定理が得られた」や「定理の証明を思いついた」という表現になりますね。どちらも、シャワーを浴びているときだけではなく、気晴らしにジムで運動をしているときや、テレビをみながらうとうとしているとき、散歩をしているときも経験したことがあります。机に一生懸命向かっているときは、頭が凝り固まっていてつまらないアイディアしかでてこないんですよ。―気晴らしだと思っていても、常に数学のことが頭のどこかにあるということなんでしょうね。「数学なんてやってなんの役に立つのか」と言われることがときどきあると思いますが、これについてはどのようにお考えですか?数学は科学の共通語ですから技術立国である日本の土台を支えています。しかし、数学を直接用いて自分の身のまわりの生活を豊かにしている人はほとんどいないという意味で、数学は役に立たないでしょう。少なくとも私は食事や掃除をするときに数学は使いません。数学を勉強して「あぁ、役立ってるなぁ!」と感じている人は理工系に限ってもごく少数の人たちだと思います。しかし、小中高で学ぶ算数や数学は、多くの人に対して、間接的に役に立っていると思います。数学では「仮定がこうならば結論はこう」と人に納得できるように説明しますが、人と話すときにはこういった習慣が大切です。感情のままに喋って最初と最後で言っていることが違うと、商談や家族会議などの大事なところで人間関係が崩れますよね(笑)。数学を真面目にやっておくと、「こういうことが目的で、現状はこうで、こうしていくと計画的に無理なく目標達成できる」といったように、論理的にものごとを考える習慣を身に付けることができます。これは世の中をまわしていくために人として必要な力だと思います。―なるほど、それは研究や学問の営み全般に言えそうな気もしますが、数学は特にその傾向が強いかもしれません。数学に取り組んでいて、いちばんうれしい瞬間はどんなときですか?世の中の誰も知りえなかったことを自分がいちばん先に発見した瞬間は最高ですね。修士論文の定理が得られたときの感動は忘れられません。教科書を読んでいて詰まったときによくよく考えてみて、理解できた瞬間のおもしろさというのもあります。―数学者としての今後の目標を教えてください。今は学生時代の指導教官が与えてくれたテーマを大きくしているという状況なので、今後はその指導教官に報告した際に驚いてもらえるような、誰も想像しえなかった結果を出したいです。「そんなことがなりたつのか」「よくそんな問題設定が思いついたね」と言われるような問題提起をしたい。そのために、頭を柔軟にして、常に新しい視点を入れていきたいです。また教育のほうですが、民間企業へ就職したい人や主婦になりたい人、どんな道に進むとしても、大学で学問をするということの幸せを味わってくれる学生を増やしていきたいと思っています。最近は、「こんなことは将来の役に立たない」とか「英語は役に立つからやっておけ」といったように効率を優先する風潮がありますが、私は損得を抜きにして、学問にどっぷり浸かることのおもしろさを伝えたい。おもしろくないのであれば、おもしろくないと言い切れるだけ、その学問に向き合ってみてください、と言いたい。そういう価値観があることを学生に紹介していきたいと思っています。
2015年12月25日こんにちは。深沢真太郎です。ビジネスパーソンを数と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。「論理的に考えて!」「論理的に説明して!」特に若いビジネスパーソンなら、先輩からこんなことを言われた経験もあることでしょう。そこで1つ問題提起。そもそもあなたは、「論理的に考える」「論理的に説明する」ことを誰に教えてもらいましたか?ご両親?小学校の先生?あるいは大人になってから会社の先輩に……?そして失礼ながら、その論理的は本当に正しい「論理的」なのでしょうか。実は深沢の場合、学生時代、数学から「論理的」を徹底的に教えてもらいました。■数学は計算をする学問ではない?言うまでもなく、数学は考える学問です。(好きか嫌いかは別にして……)論理的に考え、難しい問題を解決していく学問です。誤解されている方が多いのですが、数学は計算する学問ではありません。とにかく徹底的に「論理的思考」を鍛える学問なのです。とはいえ、このような説明をされても、ピンとこない方もいるでしょう。そこで、例をあげて、数学と論理的思考の関係を説明します。たとえばある数学の問題を使って、あなたの論理的思考力をテストしてみましょう。さっそく、問題です。「3の倍数は無限にある」この主張は正しいでしょうか?もし正しいなら、それをどう論理的に説明しますか?いくら論理的思考の書籍や研修でフレームワークを学んだところで、いざ実際に使えなければ何の意味もありません。こんな問題に対して「なんとなく正しい気がする」だけでは、ちょっと寂しいですね。■数学的な人は論理的思考のプロ!結論から言うと、「3の倍数は無限」という主張は正しいです。その根拠を、深沢ならこう説明します。「まず、この主張が誤りだと仮定します。つまり、“3の倍数は有限だ”ということですね。そこで、Aという数字を“これより大きい3の倍数はない”数字と定義します。すると、(A+3)という数字も、3で割り切れることになってしまいます。つまり、Aより大きい3の倍数が存在することになってしまい、定義に矛盾します。ゆえに、この主張は正しいと結論づけることができます。以上、証明終わり」この論述に、いっさいの矛盾はありません。そして、ポイントとなる箇所で使っている言葉はすべて論理表現です。つまり、数学を正しく学んだ方は、特に何かを新しく勉強などしなくても、論理的思考など自然に身についているのです。そのため、数学的な人は、論理的思考のプロでもあるのです。■中学校レベルの数学を正しく学ぶそろそろまとめましょう。論理的に考えたり、論理的に説明したりすることが苦手と感じている方に本当に必要なのは、何か?ネーミングだけは立派な“使えないフレームワーク”ではありません。中学校レベルの数学を、正しく学び直すことで論理的思考が身に付けられるものなのです。それは、数学が論理的思考を鍛える学問だから。数学を学ぶのは嫌ですか?そうですよね……(苦笑)恐らく、数学の問題を見るだけでゲンナリしてしまう方もいるでしょう。ならば、問題をいちいち解かずに読書感覚で教科書や参考書を読み進めるだけでもOKです。そのとき、論理表現の使われ方に注目しながら読み進めるのがコツ。たったこれだけで、あなたの論理的思考力が自然に鍛えられますよ。ぜひ、騙されたと思ってチャレンジしてみてください。(文/深沢真太郎)【参考】※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社
2015年12月05日大人になると、学校で習った数学って忘れがちですよね。でも、数学的センスって意外と大事。数学の問題って、実は人間関係と少し似ているものがあるんです。そこで今回は、そんな数学の問題を出題したいと思います。数学が苦手な人も、クイズだと思って軽い気持ちで挑戦してみてください!■数学的センスがわかるクイズ・問題編「時計の長針と短針は、一日に何回重なるでしょう?」これは、あのGoogleの入社試験に出たことで一躍有名になった問題です。アナログ式(針で時間を示す12時間表示タイプ)なら、腕時計でも壁時計でもかまいません。簡単そうでありながら、私たちの数学センスを鍛えるのには絶好な問題なので、ちょっと一緒に考えてみましょう。■数学的センスがわかるクイズ・回答編何回かわかりましたか?この問題の答えは、22回です。「1時間に1回重なるはずだから、24回じゃないの」と考えた方が多いと想像しますが、それは間違い。どうして2回少ないのでしょう。腕時計でも壁時計でもいいので、よくある12時間表示の時計を思い浮かべてみてください。例えば、1時台なら、いつころ長針と短針は重なりますか。そう最初の方の時間でいえば“1時5分”くらいの所で長針と短針は重なります。2時台なら、2時11分頃。3時台なら、3時16分頃。4時台なら、4時22分頃と徐々に後ろにずれていきます。それでも、10時台まではかろうじて重なる時があるのですが(10時55分頃)、問題は11時台です。ここで、11時ぴったりの時計を想像してみてください。その時点で、短針は11ちょうどを指し、長針は0の所です。一生懸命に長針(分)は遙か先の“11”にある短針(時)に追いつこうとするのですが、11時台に追いつく事は出来ずに、なんとか追いつくのは“12時ぴったり”の時です。つまり“11時台”にだけ、長針と短針は重なりません。一日に11時台は2回あるので、24−2=22となり、問題の答えは“一日に長針と短針が重なるのは22回”となります。■時計と人間関係はかなり似ている!時計は一日に何度も見るものだし、12時間表示の腕時計をしている方も多いでしょう。でも、改めて「長針と短針は毎時必ず重なるか」と問われると、ちょっと迷いますよね。まさか11時台にだけ穴があるなんて、なかなか思いつかない。実は、数学だけでなく人間関係でもそんな事はあるかもしれません。長時間一緒にいるし、よく知っているはずの相手。でも、実はあなたの知らない部分が、普通は1~2つはあるものです。別に隠しているわけでなく、普段見せているのに、たまたま気づかない特定の部分です。この数学の問題は、そんな部分もあるのだと改めて私達に気づかせてくれます。数学って、無味乾燥ではなくて、むしろ人間くさいことを沢山気づかせてくれるのでないかと思う今日この頃です。(文/シール坊)
2015年06月01日大人になると、学校で習った数学って忘れがちですよね。でも、数学的センスって意外と大事。これ、お金が絡むと、実感できるものなのです。そこで今回は、そんな数学の問題を出題したいと思います。数学が苦手な人も、クイズだと思って軽い気持ちで挑戦してみてください!■数学的センスがわかるクイズ・問題編3人連れの女性がリゾート地でホテルに入りました。ホテルのオーナーが、「空いているのは総額一晩3万円の部屋だけだ」と言ったので、この3人の女性は1万円ずつ出して泊まりました。しかし翌朝、ホテルのオーナーは「女性のみのグループは2万5,000円に割引キャンペーン中」だったことを思い出しました。そのため、間違えて多くもらってしまった5,000円を返すよう、ボーイに言いつけて手渡しました。しかしボーイは、「5,000円は3人で割り切れない」と考えて、自分の懐に2,000円ネコババしました。それで、3人の女性には「女性割引です」と言って1,000円ずつ返しました。さて、3人の女性は最終的に部屋代を1人9,000円ずつ出したことになります。計2万7,000円です。それにボーイがネコババした2,000円を足すと2万9,000円。あとの1,000円は、どこに消えたのでしょうか?■数学的センスがわかるクイズ・解答編宿泊代2万7,000円に、ネコババ2,000円を足して「2万9,000円」と言っていますが、そもそもこれが間違いの元。2万7,000円の内訳は、「サービス宿泊代2万5,000円+ネコババ2,000円」です。2万7,000円の中に最初から含まれているんですね。それなのに、さらに足すから計算がおかしくなります。これが、間違いやすい計算方法。2万7,000円(宿泊費+ネコババ2,000円)+2,000円(ネコババ)=2万9,000円なのです。ネコババを2回計算しているのが分かりますね。それでは、本来足すのは何でしょうか?そう、本来足すのは女性に返した3,000円です。3万円=宿泊費2万5,000円+ネコババ2,000円+返却3,000円になります。これ、元は夏目漱石の弟子の小説家・内田百閒さんが小説の中で出した数学問題です。設定もホテルでなくて宿屋で、値段も3万円でなくて30円でした。でも、その秀逸な構造から今でも形を変えて数学問題として、よく使われます。私たちはお金には敏感だけれども、数字構造にはちょっと弱い所がありますよね。そこをうまく突かれた問題だと思いませんか?知らず知らずのうちに、日常生活の中で、誰かが仕掛けた数字構造に騙されてしまっていることが私たちにはあるかもしれません。微分積分など学校のお勉強以上に、こうした数学的センスは生きていく上で大事なものだと改めて感じる問題のご紹介でした。(文/シール坊)
2015年05月29日数学力向上を図る日本数学検定協会は、昨年4月から今年8月に実施された「実用数学技能検定」で出題された、3項以上からなる「四則計算」(たし算、ひき算、かけ算、わり算)の問題について調査。その結果、かっこ(括弧)がある問題に比べ、かっこがない問題では正答率が低下する傾向があると発表した。同調査から例を挙げると、「(36-12)÷4」の正答率は98.6%にのぼるのに対し、「71+29×18」の正答率は68.0%まで低下している。原因として考えられるのは、「四則計算」を行う際のルール「たし算・ひき算よりかけ算・わり算を優先させる(かっこがない問題の場合)」を無視して左から順に計算を行ったことだ。また、「かっこがない問題」の中でも、「32×14-56÷8」の正答率が84.7%であるのに対し、「71+29×18」の正答率は68.0%。「整数のかけ算・わり算+整数のかけ算・わり算(a×b+c÷d型、a×b+c÷d型)」または「整数のかけ算・わり算-整数のかけ算・わり算(a×b-c×d型、a÷b-c×d型)」よりも、「整数+整数のかけ算・わり算(a+b×c型、a+b÷c型)」または「整数-整数のかけ算・わり算」(a-b×c型、a-b÷c型)」の問題での正答率の低さが目立つ結果となっている。これについては、文部科学省が8月に公表した「全国学力・学習状況調査」でも報告されており、今回の調査が裏付ける結果となった。同協会では、「このような単純な認識不足によるミスをなくすことが、学習において重要だと言えそうだ」とまとめている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月26日日本数学検定協会は「数学甲子園2012」の本選を、9月16日に東京ベルサール飯田橋ファーストで開催。4度目の出場となった海陽学園海陽中等教育学校Dチームが初優勝した。同財団が実施する「数学甲子園」は、全国の中学生・高校生が団体戦で数学の能力を競う大会。数学の問題を解く力だけではなく、「問題解決能力」「チームワーク力」「創作力」「プレゼンテーション能力」など幅広い能力が問われる。2011年は過去最高の43校62チームが参加した。2012年は予選会場を大幅に増やし、9月16日に東京で本選を実施。参加応募数は過去最高となる全国87校147チームとなり、2011年度の2倍となった。本選出場校は、第1回大会より連続出場となる愛知県立時習館高等学校や三重県立津高等学校、中学生ながら2チーム本選出場を果たした灘中学校など。23校31チームの学生が集まった。激闘の末、優勝を果たしたのは、海陽学園海陽中等教育学校Dチーム。リーダーの渡辺さんは、「強豪校がそろう中で“優勝”という結果が残せたのは、共に戦ってきた5人の力が発揮できたから。学問に打ち込む楽しさを教えてくれたのが数学であり、これからも学ぶ姿勢を持ち続けたい」と頼もしいコメントを残した。準優勝は愛知県立明和高等学校Pioneerチーム、敢闘賞は攻玉社中学校・高等学校数学研究愛好会チーム。今年新たに設定された特別賞トライアルでは、愛知県立時習館高等学校Aチームに落語家の林家久蔵さんより「林家久蔵賞」が贈られた。また、若いメンバーながら検討を見せた栄光学園中学校・高等学校πチームには、「ベストホープ賞」が授与された。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月04日財団法人 日本数学検定協会は、3月14日の数学の日(円周率にちなむ)に合わせ「第1回数学川柳&数学俳句コンクール」の大賞を発表した。これは作家の森村誠一氏を選考委員長に迎え、2月29日までに応募された18,924句(川柳:15,437句、俳句:3,487句)の中から選ばれたもの。大賞のほか、優秀賞、特別賞も発表された。「第1回数学川柳&数学俳句コンクール」は、「数」「算数」「数学」のイメージを詠み込んだ句のことで、数や算数・数学の楽しさを広めるという主旨のもと、今年第1回目が開催された。選考委員長は作家の森村誠一氏。その他の選考委員は、やすみりえ(川柳作家)、榎本好宏(俳人)、林家久蔵(落語家)、塚越孝(フジテレビアナウンサー)など。1月10日から2月29日までの期間に集まった作品は、総数18,924句(川柳:15,437句、俳句:3,487句)で小学生以下から90歳以上までと幅広い年齢層から応募があった。また、日本だけではなく、海外から応募されたものもあったという。【大賞】川柳御破算で願いましては次の恋(兵庫県 松下弘美さん)【大賞】俳句初雪や三角定規ほどの坂(千葉県 須賀毅さん)【優秀賞】川柳だしひいてわってかければ卵とじ(静岡県 笹原勝志さん)【優秀賞】川柳早口で言えば舌かむ七の段(石黒元規さん)【優秀賞】俳句分数を解いている間に雪がふる(愛媛県 近藤泰樹さん)【優秀賞】俳句大声で九九暗唱の菖蒲風呂(北海道 江田耕三さん)【特別賞森村誠一賞】俳句黙祷の一分長し不如帰(大阪府 木本康雄さん)【特別賞やすみりえ賞】川柳九九だけは老いた脳にもリズミカル(奈良県 植松悦子さん)【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年03月15日中学数学までがギリギリです飲み会の場で割り勘をしようと思ったけど暗算できないなど、日々の暮らしで「数字に弱いなぁ~」と実感する女性も多いのではないでしょうか。特に文系の女性にとっては、数学は苦手科目だという人も少なくないはずです。今回はそんな数学に関するアンケート。中学の数学、どのぐらい覚えていますか?20代女性593名にアンケートしました。>>男性編も見るQ.中学の数学で分からないことを教えてください(複数回答)1位すべて分かる43.5%2位球の体積の求め方29.0%3位球の表面積の求め方26.8%4位円すいの表面積の求め方19.6%5位三平方の定理19.1%■すべて分かる……・「妹が中学生で、ときどき宿題の手伝いをさせられるから」(23歳/機械・精密機器/事務系専門職)・「理系なので数学は高校レベルまでは何とか分かるが、大学の授業はさっぱり理解できなかった」(25歳/学校・教育関連)・「中学数学まではすぐ分かるが、数3や数Cで挫折した」(25歳/食品・飲料/事務系専門職)・「辛うじて覚えているが、だんだん記憶力が落ちている。いとこに数学を教えてくれと言われたときに焦った」(25歳/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)・「中学の間はそれなりにまじめに勉強していたので大丈夫です。でも高校に入った途端、数列で挫折しました」(26歳/小売店/販売職・サービス系)■球の体積の公式( )……・「4分の3をかけるのか、3分の4をかけるのか悩むことがある」(24歳/学校・教育関連/事務系専門職)・「球の体積は全く思い出せない」(20歳/建設・土木/技術職)・「球の体積は高校でもあまり出なかったので、覚えていない」(22歳/医療・福祉/専門職)■球の表面積の公式( )……・「公式を忘れてしまった。数学は本当に苦手で、会議で数字の話になると全くついていけなくなってしまう」(24歳/情報・IT/技術職)・「『球体の表面積なんてやったか……?』と本気で分からなかった」(26歳/金融・証券/事務系専門職)・「この公式がまったく記憶にない!」(27歳/金属・鉄鋼・化学/営業職)■円すいの表面積の公式( )……・「友達がすぐに答えを言えたのに、私だけ答えることができなかった」(21歳/情報・IT/そのほか)・「球はあんまり使わないので忘れてしまった」(25歳/学校・教育関連/そのほか)・「公式をすぐ忘れてしまう」(27歳/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)■三平方の定理(直角三角形の斜辺をx、残る直角をはさむ二辺をy、zとした場合にx2 = y2 + z2となる)……・「このアンケートを見ていて、三平方の定理という言葉自体まったく分かりませんでした。中学の数学と書いてあるので、今がく然としています」(25歳/不動産/営業職)・「三平方って何それ?状態です」(24歳/情報・IT/技術職)・「公式自体を忘れている」(27歳/商社・卸/事務系専門職)総評「すべて分かる」が1位でした。数学は得意という女性は全体の約4割。男性編よりも少ないものの、得意教科だったという声も多くありました。ただこうした女性でも、自分の数学力のなさにガックリすることもあるようです。「割り勘のときのあれこれとか、支払いのときに端数をうまく出そうとして『あと50円ありますか』とか助言されると恥ずかしい」、「旅行会社勤務の子と商社勤務の私で海外旅行に行っても、レートの計算ができなかったときに二人で苦笑いした」。かつては自慢だった数学力も、時がたつにつれ衰えている方も少なくないようです。すべて分かるという人が4割ということは、残りの6割の女性は何らかの不安があるようです。どんな点が分からないのか見てみましょう。最も多い意見は「球の体積の求め方」でした。円の面積や円周の長さを求める公式は、パッと思いだせても、「球」になると思い出せなくなる人が多かったようです。5位の「三平方の定理」は女性編のみランクイン。図形分野では重要な定理ですが、何のことだかすっかり忘れているという方もいました。男性編のアンケートでは見られませんでしたが、出題した中学数学の内容はまったく分からないという人もいました。「数学大嫌い!正直何もわかりません……。もっと勉強しておくんだった……。」、「何一つ意味が分からなかった」などのコメントが寄せられています。実務に直結しないからと問題ないと思っている人もいるかもしれませんが、いつか困る日が来るかもしれませんよ!(文・ペンダコ)調査時期:2011年9月9日~9月26日調査対象:COBS ONLINE会員調査数:女性593名調査方法:インターネットログイン式アンケート■関連リンク【ランキング女性編】高校時代にもっと勉強しておけば良かった科目【ランキング女性編】高校時代に戻れるならやり直したいこと【ランキング女性編】学生時代にやっておいて良かったと思ったこと完全版(画像などあり)を見る
2011年11月08日6割の男性が中学数学には死角ナシ社会人になると、学生時代にもっと勉強しておけばよかったと思うことがありますよね。特に国語や数学は、ビジネスにも深くかかわる科目だけに、今になってその大切さを実感しますよね。今回は、中学数学についてアンケートを実施しました!中学校で習う基本的な数学の内容を理解しているか20代男性221名に聞きました。>>女性編も見るQ.中学の数学で分からないことを教えてください(複数回答)1位すべて分かる60.6%2位球の体積の求め方19.5%3位球の表面積の求め方16.7%4位円すいの表面積の求め方15.4%5位三角すいの体積の求め方9.9%■すべて分かる……・「数学は一応得意科目だったので、すべて分かった」(22歳/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)・「理系のエンジニアなので基礎的な知識はあって当然」(25歳/電機/技術職)・「一応、塾講師のバイトを3年間やっていたから、中学数学はすべて分かる」(25歳/情報・IT/事務系専門職)・「大学で数学を専攻していたので、これらが分からないとさすがにまずい」(26歳/運輸・倉庫/事務系専門職)・「図形に関する公式など中学レベルの数学は、実際に仕事で製品体積などを計算するときなどに使っているので分かる」(25歳/機械・精密機器/技術職)■球の体積の求め方( )……・「妹に球の体積の求め方を聞かれたとき、答えられなかった」(22歳/金属・鉄鋼・化学/技術職)・「覚えていない。赤点常連だった」(24歳/金融・証券/営業職)・「もう一度教科書を見直さないと自信がない」(27歳/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)■球の表面積の求め方( )……・「公式を忘れた」(25歳/医療・福祉/技術職)・「公式を導き出す過程を忘れた」(26歳/機械・精密機器/技術職)■円すいの表面積の求め方( )……・「公式の類は普段使わないとなかなか覚えていられない」(22歳/農林・水産)・「覚えていない。意外と忘れているもんですね」(23歳/食品・飲料/営業職)■三角すいの体積の求め方( )……・「図形の計算が苦手だった」(25歳/自動車関連/技術職)・「公式を忘れた」(24歳/ソフトウェア/技術職)総評6割の方が、アンケート選択肢に挙がった中学の数学の内容を「すべて分かる」と答えてくれました。女性より約1割以上多い結果に。男性の方が数学が得意な人が多いようですね。ただ、「中学までは分かるが高校から分からないことが多すぎる」など、高校数学になると、途端に苦手意識を持つ人が少なくありませんでした。分からなかった問題でトップだったのは、「球の体積の公式」でした。中学時代はテスト勉強で公式を暗記していても、十数年たつと忘れていて自信がないという人が多いようです。3位以下も、「球の表面積の公式」、「円すいの表面積の公式」、「三角すいの体積の公式」と図形関係の公式がランクインしています。日常生活で使うことはあまりないので、覚えていない人が多かったです。公式の丸暗記ではなく、公式を導きだす過程も理解しておくと忘れないという声もありました。気になる方は、これを機に中学数学のおさらいをしてみてはいかがでしょうか。(文・ペンダコ)調査時期:2011年9月9日~9月26日調査対象:COBS ONLINE会員調査数:男性221名調査方法:インターネットログイン式アンケート■関連リンク【ランキング男性編】高校時代にもっと勉強しておけば良かった科目【ランキング男性編】高校時代に戻れるならやり直したいこと【ランキング男性編】学生時代にやっておいて良かったと思ったこと完全版(画像などあり)を見る
2011年11月08日