日立製作所の子会社である日立メディコは9月11日、超電導MRI装置の冷凍機の故障とその原因を事前に検知する新たな保守サービス「Sentinel Analytics」の提供を10月1日から開始すると発表した。同社では従来、IoTシステムである「Sentinelカスタマーサポート」を利用し、装置の各種センサーデータに閾値を設定した上で超電導MRI装置の冷凍機の状態監視を行っていた。しかし、閾値判定では故障予兆の把握が数日前になり、故障発生後に交換修理を行う事後保全となる場合があり、MRI装置を使用できないため検査が実施できなかったほか、緊急修理による保全コストが増加していたという。同サービスは、故障発生の数ヵ月前に故障の予兆を検知できるため冷凍機が故障する前に計画的に部品の修理・交換が可能で、故障を回避する予知保全を実現できる。例えば、技術者の経験・ノウハウに基づくデータ分析では検知が難しかった微量な液体ヘリウムの減少を、いち早く検知することができ、故障予兆診断が可能となる。同サービスを試験的に導入した結果、導入前に比べてMRI装置が故障により使用できない時間(ダウンタイム)を16.3%低減した。また、同サービスは日立製作所の「Global e-Service on TWX-21 故障予兆診断サービス」と「Pentaho」の2つの診断アルゴリズムを活用。Global e-Service on TWX-21 故障予兆診断サービスは独自のクラスター分析技術に基づく診断アルゴリズムを活用し、機器の異常状態を早期に検知することができ、機械学習技術を応用して機器ごとの正常状態のセンサーデータを学習させ、個別に診断。装置の特性や設置場所の違いによる使用状況の差異などを加味した診断が可能で、故障の予兆を検知できる。Pentahoは2006年からサービスを開始しているSentinelカスタマーサポートの長年の運用で蓄積したビッグデータを活用して分析し、各種故障原因をパターン認識により検知。なお、Sentinel Analyticsは日立メディコが利用するサーバのソフトウェア更新のみで導入できるため、超電導MRI装置でSentinelカスタマーサポートを利用している顧客であれば、標準でSentinel Analyticsの故障予兆診断サービスが適用されるという。
2015年09月13日日立製作所(日立)と京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は9月7日、健常人iPS細胞パネルの構築に向けた協力をすることで合意したと発表した。CiRAでは、さまざまな病気の患者の細胞からiPS細胞(疾患特異的iPS細胞)を樹立し、公的な細胞バンクに寄託することで、多くの研究者や企業が使用できる環境を整備している。研究を進める上では、疾患特異的iPS細胞やそれに付随する診療情報で構成された「疾患特異的iPS細胞パネル」に加えて、これらの疾患を持たない人の細胞から樹立したiPS細胞と健康に関するデータで構成された「健常人iPS細胞パネル」の整備も不可欠となる。今回の合意により、今後、日立が運営する日立健康管理センタで、健康診断に訪れる健常人からドナーを募り、CiRAにおける日立の健常人iPS細胞パネル(日立iPS細胞パネル)の構築を進めることになる。具体的には、9月以降から同センタで、ドナーから血液を採取し、匿名化した健診データとともに、CiRAに提供。その後、CiRAが血液細胞からiPS細胞を樹立し、さまざまな年齢、性別の人からなる100名程度の「日立iPS細胞パネル」の構築を目指す。なお、樹立したiPS細胞のうち、ドナーの同意を得たものは、公的な細胞バンクである理化学研究所バイオリソースセンターに寄託される。健常人iPS細胞パネルの構築には、多数の健常人ドナーを確保するとともに健診データと関連付ける必要があるが、日立健康管理センタは、長期にわたり継続的に健診データを収集・活用してきた実績をもち、有用性の高い「日立iPS細胞パネル」の構築に貢献できると考えられている。同合意について日立は「『日立iPS細胞パネル』の構築は、iPS細胞の医療応用に向けた重要なプラットフォームを構築するものとして、社会的意義も極めて高いと考えています。」とコメント。健常人iPS細胞パネルの構築や疾患特異的iPS細胞パネルとの比較研究を通じて、特定の病気の発症原因および進行過程など、これまでわからなかった病気の詳しい原因の解明や、新たな治療法・医薬品の開発などにつながることが期待される。
2015年09月07日日立製作所は9月4日、野村証券の本社・営業店の約1万5000人が利用する仮想デスクトップ環境(Virtual Desktop Infrastructure:VDI)のシステム基盤を構築し、本社・全営業店で稼働を開始したと発表した。同システム基盤は、2014年度に順次導入が進められていた。システム基盤には、日立アドバンストサーバ「HA8000」約300台と、ユニファイドストレージ オールフラッシュモデル「Hitachi Unified Storage VM all flash9台など採用。サーバOSには日本マイクロソフトのMicrosoft Windows Server 2012 R2を採用し、同OSに搭載されている仮想化機能「Hyper-V 」などを活用してクライアントOSが動作するVDIを構築した。野村証券では、情報漏洩を防止するため、外部ネットワークから遮断された企業内ネットワーク接続用環境と、社外とのメールの送受信やWeb利用などを行うインターネット接続用環境を分離してきたが、2つの環境を1つのPC内で動作させていたためPCへの負荷が大きく、応答速度の改善が課題となっていた。今回、インターネット接続用環境をVDIへ移行してデータセンターで統合管理することで、PCの負荷を軽減して操作性を向上するとともに、ユーザープロファイルディスク機能などの活用により、インターネット接続用環境へのログインに要する時間を従来の数分から数十秒へ短縮したという。また、基盤のOS領域に重複除去機能を採用し、Windows 7のシステムファイルなど、各ユーザーのVDIで共通して保存されるデータを共有することでディスクの利用効率を向上しているほか、ユーザーグループごとに独立した構成を採用し、障害発生時の影響を最小化するなど、業務継続性も強化している。
2015年09月04日日立製作所の英国における鉄道システム事業会社である日立レールヨーロッパ社は9月3日、英国ダーラム州ニュートン・エイクリフにおいて、総額約8200万ポンドの費用を投じた鉄道車両工場の開所式を開催したと発表した。新工場では、英国運輸省の都市間高速鉄道計画向けの車両やスコットランド向け標準型近郊車両「AT-200」などの製造を予定している。開所式には、パトリック・マクローリン運輸大臣、クレア・ペリー運輸政務次官および林景一駐英国特命全権大使などが参加した。開所式では、パトリック・マクローリン運輸大臣が、日立の幹部とともにタイムカプセルを工場の敷地内に設置。設置されたタイムカプセルには、日立が都市間高速鉄道計画向けに納入を予定しているClass800/801車両のミニモデル、近隣地域の子供たちが描いた電車の絵を撮影したデジタルデータ、ニュートン・エイクリフの地図、工場の設計を担当した建築家である二宮正行氏のプロフィールなどが格納されているという。英国の首相であるデイビッド・キャメロン氏は「日立による巨額の投資は、力強く成長する英国経済への信頼の表れ。新しい鉄道車両工場は、雇用の創出や、次世代の都市間鉄道車両の生産を通じ、鉄道利用者の利便性を向上させると共に、英国経済がさらに成長するために必要な、インフラの強化に大きく貢献することを期待している」というコメントを寄せている。
2015年09月04日日立製作所と日本アキュレイは9月2日、日立メディコの柏事業所内に「日立高精度放射線治療研修センター」を開設した。同研修センターは、放射線治療システム「トモセラピーシステム」のサポート体制の拡充ならびに両社の放射線治療システム事業の強化・拡大を目的とする。具体的には、米アキュレイが提供するトモセラピーシステムを設置し、放射線腫瘍医や診療放射線技師、医学物理士が実機に触れながら、操作や管理方法などの一連の研修プログラムを学ぶことができる施設となっている。「トモセラピーシステム」は、CTスキャナと放射線治療システムを統合した医療機器で、治療前に患者の位置合わせを行うことにより、がんに対して高精度に放射線を照射することができる。また、放射線の強度を変化させて照射できるため、がんの形状に合わせた放射が可能だ。○効果は手術と同等も普及に課題同システムなどを用いる高精度放射線治療は、従来の放射線治療とは異なり、がんにピンポイントに照射することができるため、ほかの臓器へのダメージを抑えることができ、副作用を抑えることができるというメリットがある。また、その効果も手術と同程度であるとされ、欧米ではがん患者の約5割が放射線治療を受けているという。これに対し、国内で放射線治療を受けているがん患者は約3割にとどまり、日本での普及はまだこれからといった段階にある。普及が進まない一方で、同研修センターの開所式に先立って講演を行った東京大学医学部付属病院 放射線科の中川恵一 准教授は国内における必要性の高さを次のように説明する。「生活習慣の変化によって日本人のがんの種類も"欧米化"しており、昔は胃がんが多かったが、現在は男性では前立腺がん、女性は乳がん、全体では大腸がんが増えている。胃は手術しやすいが大腸は奥にあるから手術しにくい」。がんが欧米化しているのであれば、治療法も欧米化する必要があるというわけだ。また、「がん治療といえば手術」という図式が出来上がっていることも普及を阻害している。上述のように手術しやすい胃がんがこれまでは多かったことも一因だが、中川准教授は「日本ではドラマや漫画などの影響で『がん治療といえば手術』という思い込みがある。もっと学校でがんの治療法について教えることで、(一般の人が)治療法について正しい認識を持てば放射線治療がもっと普及する。」と語り、選択肢を認識することの重要性を強調した。このほか、日本では4種の病態しか保険でカバーされていない(米国は18種)、機器がまだ高価かつ大規模になってしまい導入ハードルが高いといった課題もあり、高精度放射線治療の本格普及に向けて道のりは長い。しかし、患者に対して負担が少ないという同治療法の特長は、高齢化が進む日本ではメリットが大きく、ニーズはますます拡大すると予想されるだけに、「日立高精度放射線治療研修センター」は高精度放射線治療の浸透に向けた拠点のひとつとなることが期待される。
2015年09月03日日立製作所(日立)は8月25日、日立物流の協力のもと、物流倉庫での集品作業の自動化に向けた自律移動型双腕ロボットの制御技術を開発したと発表した。同技術により、双腕型ロボットが目的の商品が保管されている棚まで移動して商品を取り出し、箱詰めまで行うことができるようになる。移動しながら目的の商品を見つけてアームをのばす動作や、1本のアームでは取り出せない商品を2本のアームで取り出す動作など、人と同様の動作が可能になるという。同制御技術の開発にあたり日立は、走行台車の上に、高さを調節する昇降台を載せ、2本の市販の産業用アームと、手に相当するグリッパを搭載したロボットを製作。柔軟で素早い動作を実現するためには各機構を連携させる必要があるが、各機構間で頻繁に通信を行うと通信量や演算量が膨大となる。これに対し新開発の制御技術では、各機構を少ない通信量で効率的に連携させることができる。ロボットが動作するにあたって各機構が必要とする最低限の情報や、各機構が動作する際の適切なタイミングを事前に定義することで、通信量を抑制するという。具体的には、商品の取り出し動作の際、走行台車は商品保管棚に到着する1mほど手前でカメラを搭載するアームに商品を認識するように通知し、それを受けたアームは停車予定位置でグリッパが商品の直前に来るようアーム自らが動作しつつ、昇降台に動作開始を指示する。走行台車は停車直後に、停止予定位置とのズレをアームへ通知し、アームがその情報に基づいてグリッパの位置を補正することで、停止直後に素早く正確に商品を取り出すことができる。また、2本のアームを用いて商品を取り出す際、取り出す商品の材質やグリッパの性能に基づいて、アーム同士に多少の位置ずれが生じても動作を継続できる許容範囲をあらかじめ登録しておくことで、アーム同士が相手の姿勢に厳密に合わせることなく連携することができ、片方のアームで商品を支えながら一方のアームで商品を取り出すといった連携動作を一度の通信で行うことが可能だ。日立によれば、商品を取り出す作業において、各機構が連携していないロボットが7秒かかっていたものを、同制御技術を用いることで3秒へ短縮することができたほか、1本のアームでは取り出せない箱を片方のアームで支えて取り出す動作や、保管箱の中に入っている500mlペットボトル飲料を引き出して取り出す動作、片手に持っている箱に商品を詰める動作など、倉庫の集品作業に必要とされるさまざまな動作を素早く確実に実行できることを確認したという。近年、通販市場の拡大やニーズの多様化に伴い、多品種少量の商品を扱う倉庫が増えている一方で、こうした倉庫ではさまざまな形状や重さの商品に対応するため、集品作業は主に人の手によって行われており、同制御技術を搭載したロボットを活用することで、集品作業を効率的かつ安定的に実施することが期待されるとしている。
2015年08月25日日立製作所の英国における鉄道システム事業会社である日立レールヨーロッパは7月30日、鉄道運行会社のFirstGroup plcとファーストグループ社の子会社であるFirst Great Westernが運営する英国南西部の路線に向けた、標準型都市間車両「AT-300」173両(29編成)の納入および車両の保守に関する正式契約を締結したと発表した。今回の案件は、英国都市部のロンドン・パディントンから英国南西部のプリマスおよびペンザンスを結ぶ主要路線で利用されている、40年前に製造された高速車両を置き換えるもの。納入する車両「AT-300」は、2012年に受注したDfTの都市間高速鉄道計画(以下、IEP:Intercity Express Programme)向けに設計されたClass 800シリーズをベースにしており、電化区間だけでなく、非電化区間でも走行するために、車両の床下にディーゼルエンジン付き発電機を装備している。また、デボン州やコーンウォ-ル州での急勾配に対応すべく、エンジンの出力をIEP向けの車両よりも向上しているほか、ロンドン-ニューベリー間の電化区間に加え、プリマス-ペンザンス間の長い非電化区間をディーゼルエンジン付き発電機からの電力を使用して走行するため、IEP向けの車両よりも大型の燃料タンクを備えている。
2015年07月31日アシストは7月27日、アシストが取り扱うBRMS(ビジネスルール管理システム)「Progress Corticon」と、日立製作所が開発・販売するWebアプリケーションサーバ「uCosminexus Application Server」とを組み合わせた高速開発ソリューションを推進していくことを発表した。「Progress Corticon」は、ビジネスルールをアプリケーションから独立させて管理することができるソフトウェア。後工程での仕様変更が可能で、100%コーディングレスでビジネスルールの追加・変更を迅速にシステムへ展開できる。また、「uCosminexus Application Server」は、ミッションクリティカルなシステムでの実績を持つWebアプリケーションサーバ。トラブルシュート機能を強化したJava VMを搭載し、万一障害が発生しても影響範囲が局所化でき、障害から自律的に回復できるなど、堅牢性の高いシステム開発を可能とする。今回、アシストは、新たに両社の製品を組み合わせて、ビジネスルールは「Progress Corticon」で管理し、アプリケーションは「Cosminexus」を基盤として構築することで「変化への強さ」と「堅牢性」を兼ね備えたシステム基盤を実現するという。
2015年07月27日大日本住友製薬、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)、日立製作所(日立)は7月24日、ヒトiPS細胞を用いたパーキンソン病に対する再生医療の実用化に向けた共同研究に着手すると発表した。同研究では、ドパミン神経前駆細胞の生産方法の確立などに関する基盤技術および評価手法の開発を目指す。具体的には、抗体を用いたセルソーティングプロセスや中間体および最終製品などの細胞凍結保存の評価手法の開発、細胞自動培養装置の導入に伴う加工プロセス改良時の妥当性評価、非臨床試験での細胞の有効性と安全性についての予備検討ならびに理論構築などが含まれている。3者は同共同研究の成果を用いて、高い安全性と一定の品質を確保した細胞を効率的に大量生産し、安定供給するための生産方法などの確立を目指すとしている。
2015年07月27日日立製作所は7月22日、賛否が分かれる議題に対し、大量のテキストデータを解析し、肯定的もしくは否定的な意見の根拠や理由を英語で提示する技術を開発した。開発された技術は、意見を述べる際に人やコミュニティに重要と考えられる健康や経済、治安などの価値に着目し、世の中の事象とそれぞれの価値との相関関係を用いて、大量のニュース記事から、より確実性の高い根拠や理由を抽出。複数の価値を基準にすることで、1つの側面に偏ることのない根拠や理由を提示する。同技術は、人とコンピュータの論理的な対話を可能とする人工知能の実現に向けた基礎技術であり、将来、企業が持つ文書や公開されているレポート、病院の電子カルテなどを解析し、業務を支援するデータや意見を生成するシステムへの応用が期待されるという。具体的には、「賛否の根拠や理由を抽出するための基準となる価値体系辞書の作成」「大量のテキストデータから事象と価値の相関関係データベースの作成」「抽出した根拠や理由となる可能性のある文について確実性の算出」「多数のアルゴリズムを非同期かつ分散的に実行するアーキテクチャの構築」を行う。価値体系辞書の作成にあたっては、人やコミュニティが判断をくだす際の根本にある価値をリスト化するとともに、それらの価値と関係が深い単語をデータベースでの使用頻度に基づいて抽出し、価値に対してポジティブかネガティブかに振り分けた。さらに、使用頻度に応じて重要度を付与することで、価値とそれに関連する単語を体系的に整理し、例えば、「健康」という価値においては、「運動」はポジティブ、「病気」「肥満」はネガティブなどのように単語の関連性を体系的に整理している。事象と価値の相関関係データベースの作成にあたっては、大量のニュース記事の中で使用されているさまざまな文章の中から、記載されている事象がどのような価値をもたらしているかを抽出した。この手法により、約970万件のニュース記事から、約2億5千万からなる相関関係データベースを作成したという。そのほか、価値体系辞書と相関関係データベースを活用して抽出した文を、引用元の記載や数値データの有無、使われている表現などの指標を用いて数値化することで、議題に対して関連性の高いものであるかどうかを判定する。根拠や理由となる可能性のある全ての文にこの処理を行い、数値を算出することで、より確実性の高い文を選出し提示することができる。今回開発されたアーキテクチャは、1つのアルゴリズムを並列に分散処理するとともに、次のプロセスへの非同期な処理を行うことで、指定した時間内に根拠を抽出することができる。なお同技術は、東北大学(総長:里見進)大学院情報科学研究科の乾・岡崎研究室の協力を得て開発された。
2015年07月23日日立製作所、日立メディコおよび日立アロカメディカルは7月21日、ヘルスケア事業の強化・成長を目的に、2016年4月1日付で、日立メディコと日立アロカメディカルの製造部門を統合した製造子会社を設立し、日立が日立メディコおよび日立アロカメディカルを吸収合併すると発表した。日立はこれまで、ヘルスケア事業拡大のため、2011年3月に日立メディコによるアロカ(現日立アロカメディカル)の完全子会社化、2014年3月に日立による日立メディコの完全子会社化を実施し、2014年4月にはヘルスケアグループおよび社内カンパニーであるヘルスケア社を新設したほか、2015年4月には日立メディコおよび日立アロカメディカルの一体運営を行うなど、組織体制を強化し、事業の強化と効率的な経営体制作りに取り組んできた。今回の再編により、日立、日立メディコおよび日立アロカメディカルで重複している国内外の拠点の集約・効率化および経営の完全一体化を進めていく。また、製造子会社を設立することで、日立メディコおよび日立アロカメディカルの製造コア技術、ノウハウを融合し、高品質・低コストのモノづくり力を強化し、製品競争力の向上を図るとしている。今後は、診断・臨床、検査・試薬、インフォマティクスという3つのコア領域を強化するとともに、これらを組み合わせたソリューション、情報・通信システム社などの日立の各社内カンパニーと連携したサービスの提供などを通じ、ケアサイクル・イノベーション、医療イノベーションに注力する。
2015年07月22日日立製作所は7月14日、ANAが利用する新たなITインフラ環境としてプライベートクラウドを構築し、従量課金制のPaaS型クラウドサービスとして提供開始したことを発表した。日立は、ANAに対してプライベートクラウドを従量課金制のサービスとして提供。ANAはこれまで各部門が個別に構築・運用・管理していた業務システムの大半を、同プライベートクラウド上に統合・集約する。これにより、各業務システムの要件に応じて、最適な性能、容量、信頼性を備えたITリソースを必要な時に必要な量だけ柔軟に利用し、ITインフラの運用・管理にかかる業務負荷やコストを低減することが可能になる。同プライベートクラウドの基盤には、統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」やディスクアレイシステム「Hitachi Virtual Storage Platform」、統合システム運用管理「JP1」などを採用するとともに、日立のクラウド「Hitachi Cloud」の提供を通じて培ってきたシステム構築ノウハウを活用した。今後、ANAは2019年までに運航系システムや整備系システムなどANAグループの大半の業務システムを本プライベートクラウド上に順次移行する予定。
2015年07月15日日立製作所と日立システムズは7月6日、マイナンバー制度への対応に必要な業務をワンストップで代行する事業者向けの「マイナンバー対応BPOサービス」を発表した。価格は個別見積。7月7日から販売開始し、提供開始時期は10月1日。両社は2018年度末までに累計65億円の販売を目指す。新サービスは、同社グループが持つマイナンバー制度対応のノウハウを利用し、従業員などのマイナンバー収集・登録から廃棄までの管理、法定調書の印刷代行、ヘルプデスクまで、対応。日立が公共分野でのマイナンバー対応実績・ノウハウを基にIDデータ管理や帳票出力を行う「マイナンバー管理システム」を開発し、日立システムズが同システムを中核に自社のデータセンターやコンタクト・センターなどと組み合わせ、BPOサービスとして提供する。同サービスの利用により、事業者はマイナンバーの管理・運用体制・設備を最小限にでき、マイナンバー管理・運用業務にリソースを割くことなく本来業務に専念することが可能という。例えば源泉徴収票を提出する場合、事業者は、各従業員の支払金額など必要な情報を現行システムからデータを提供することで、その後のデータ照合や帳票への印刷、封入・封緘までの業務を委託でき、納品された源泉徴収票を各省庁へe-TAX(国税電子申告・納税システム)や郵送などにより提出するだけで手続きを済ませられるとのこと。現行業務やシステムを大きく変えることなく、リーズナブルなコストで同社グループと同等のセキュアなマイナンバー管理・運用体制を実現できるとしている。同サービスは、現行業務・システムを大きく変えない管理・運用、機密性の高い独立区画でのデータ登録、高セキュアなデータ管理、監査レポートの発行、きめ細かな問い合わせ対応窓口といった特長を持つ。現行業務・システムを大きく変えない管理・運用では、マイナンバー収集・登録から廃棄までの管理、法定調書の印刷代行、ヘルプデスクまでを代行。データ登録に関してはまず、マイナンバーの収集を、記入者の作業効率化と誤記載の抑止を可能とした「マイナンバー収集キット」を用い、信書として授受する。マイナンバーの授受が確実になされたことを確認するため、郵便物の追跡サービスにも対応する。収集した大量のデータは、日立システムズのBPOセンター内に設置した機密性の高い専用の独立区画においてOCRによる自動入力と目視での確認を併用してシステムに登録する。データ管理は、マイナンバーをインターネットと直接接続しない場所に設置した「マイナンバー管理システム」により、第三者が利用できないように高度な手法で暗号化したIDデータとして保存する。作業を行うスタッフの挙動はセキュリティ・オペレーション・センターでログを監視し、情報漏洩を防ぐ。マイナンバーを記載する必要のある申告書や法定調書の印刷代行や封入封緘作業、またシュレッダーによる書類廃棄なども日立システムズ内で一括して行うため、情報流出リスクを最小化できるとしている。監査レポートは、業務を委託する企業の監督義務に対応する特定個人情報保護評価書(全項目評価書)に対応したレポートを発行する。問い合わせ対応窓口は、管理者や従業員からの問い合わせに対して、マイナンバー制度に関する社内外の認定取得者や教育を受けた日立システムズのコンタクト・センターのスタッフが、きめ細かに対応するとのこと。
2015年07月07日日立製作所は7月2日、野村證券が本社や営業店およびコールセンターなど全国約170カ所で利用する約2万8000台の電話機の通話録音システムを更改し、稼働を開始したと発表した。同システムは、野村證券の利用者や社員、コールセンターのオペレーターなどの通話内容を録音し、音声ファイルとしてデータ管理を行うシステム。通話録音システムの中核ソフトウェアには、日立情報通信エンジニアリングが提供する音声録音システム「RecwareIII」が利用されている。音声ファイルをデータセンターにあるサーバ上で一元管理し、企業内ネットワーク上において容易に検索・再生できる。今回、通話録音システムを更改するにあたって、社員配布のスマートフォンを対象とした通話録音を可能としたほか、音声ファイルへのアクセス権限の変更を自動で行うことができるなど管理・運用の負荷を軽減している。また、1サーバ当たりの同時通話録音処理性能を高めることにより、センター設置のサーバ台数を従来比約45%削減している。
2015年07月03日日立製作所(日立)と日立産業制御ソリューションズ(日立産業制御)は7月1日、新型の指静脈認証端末を開発し、本端末を搭載した入退室管理システム「SecuaVeinAttestor」を2015年10月中旬から国内向けに販売を開始すると発表した。本端末は、従来機種(AFV-730-TC、FVTC720)に比べ、逐次認証方式の適用により他人受入率を約15分の1に低減できるとともに、約3倍の認証速度の向上を実現するという。逐次認証方式とは、1人につき2指を登録し、1回目の認証で本人と確定できなかった場合に2本目の指で認証することで、認証精度を大幅に向上させる認証方式。これにより、ICカードなどの媒体を必要とせず、指静脈のみによる多人数の認証にもスムーズに対応できるとしている。また、本端末の横幅を従来機種の半分以下にスリム化したことにより、これまで以上にさまざまな場所への設置が可能となっている。指静脈データやインタフェースについては、従来機種との互換性を有しているため、導入済みの入退室管理システムにおける認証端末のみの更新や増設にも対応できるという。
2015年07月02日リアライズ・モバイル・コミュニケーションズ、日立製作所、サイバー創研の3社は6月30日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「クリーンデバイス社会実装推進事業」の委託予定先に採択されたことを受け、「クリーンビーコンを用いたヒューマンナビゲーション社会実装実証事業」に着手すると発表した。現在、「iBeacon」などBluetooth Low Energy(BLE)による近距離無線技術を用いたビーコン機器を利用し、スマートフォンなどの情報端末にトリガーを与えてクーポン配布や位置情報取得などを行う、各種のサービスが普及している。今後も訪日外国人の急増や防災防犯意識の高まり、地方活性化などの社会的ニーズを満たす技術として、ビーコンを用いたヒューマン・ナビゲーションは、市場の拡大を期待できる。一方、動作に電源を必要とするビーコン機器を広範囲・大量に設置すると、管理や電池交換などのメンテナンスの問題が発生する。今回の実証事業では、無給電で24時間動作しメンテナンスフリーな「クリーンビーコン」を実現・製品化することで、これらの問題の解決を目指すとしている。クリーンビーコンは、日立が持つ技術「環境発電エネルギーマネジメント回路」を利用する。これにより、室内照明などの低照度の環境エネルギー下でも短時間での動作開始が可能になるほか、ビーコン機器の動作に必要な電力の蓄電も同時に行うことができるといい、夜間や停電時など環境エネルギーを得られない場合でも一定時間、動作を継続できる。今回の実証実験では、クリーンビーコンの動作環境・機能・性能などを検証し、実用化に向けた信頼性・安全性の向上を図るという。さらに、クリーンビーコンの設計仕様を公開し、デバイスの標準化・共通化を進めることで、普及拡大を目指す。将来、各種のビーコン機器を異なるエリアに大量に設置した場合、それらを束ねて統一管理できるプラットフォームは現時点では存在しないため、事業者がサービスを展開するためにはそれぞれ専用のビーコン・インフラを新たに構築する必要が生じ、コスト負担や二重投資が普及拡大の障壁になっているという。ビーコン機器のマルチベンダー化を図り、広範囲に敷設した多様かつ大量のビーコンを集中管理できるプラットフォームを構築し、サービス事業者へ開放する仕組みを整備することで、複数の事業者が既設のビーコン・インフラを相互利用でき、よりリーズナブルにサービスを展開可能になるという。さらに、これらの事業者がインフラ提供者に利用料を支払うといった新たな仕組みを構築することで、サービスを展開せず、インフラ敷設・整備のみを行うといった新たな事業形態による新規市場の創設にも繋がるとしている。今回の実証事業では、観光・防災・購買促進など異なる分野のサービスを異なるエリアで実施し、ビーコン・インフラを相互利用できる実証を行うことで、プラットフォームの有効性・信頼性を確認すると共に、仕様を公開して2年後の実証事業終了後の事業化を目指す。なお、リアライズ・モバイル・コミュニケーションズはプラットフォーム設計・構築・事業化検討を、日立はクリーンビーコンの製造およびヒューマン・ナビゲーション・ミドルウェアの提供を、サイバー創研はクリーンビーコンおよびプラットフォームの標準化を、それぞれ担当する。
2015年07月01日通天閣観光と日立製作所(日立)は6月18日、環境省が実施する「CO2削減/ライトダウンキャンペーン」の趣旨に賛同し、大阪市の通天閣LED・ネオン広告(通天閣ネオン)の消灯を通じて同キャンペーンに参加することを発表した。環境省は2003年から、地球温暖化の防止のためにライトアップ施設の消灯を呼び掛ける「CO2削減/ライトダウンキャンペーン」を実施しており、2015年は6月22日~7月7日までを啓発期間とし、ライトアップ施設や家庭での消灯を呼び掛けている。通天閣と日立は、市民の環境配慮意識の向上とCO2排出削減に貢献するべく、環境省による呼び掛けが始まった2003年から、通天閣ネオンの消灯を通じ同キャンペーンに参加している。2015年は6月22日(20:00以降)と7月7日(終日)の2日間、ネオン全面および照明設備の消灯を行う予定。これより、CO2削減量で約135kg-CO2に相当する総電力量約245kWhを削減する見込みだ。なお、消灯スケジュールは、電力需給の逼迫などの状況に応じて変更する可能性があるとしている。
2015年06月19日日立製作所と日立化成のグループ会社である新神戸電機は6月4日、東京電力の協力を得て、東京電力伊豆大島発電所敷地内に、日立と新神戸電機が開発した1.5MWハイブリッド大規模蓄電システムを電力系統に接続する据付工事を完了し、実証試験を開始したと発表した。同実証試験は、ハイブリッド大規模蓄電システムによる、短周期変動の抑制や電力のピークシフトなどの機能およびその寿命などを検証するもので、6月から開始した。実証試験では、独立した系統であるため再生可能エネルギーの大量導入時に系統への影響が大きい伊豆大島の電力系統に、1.5MWハイブリッド大規模蓄電システムの実証設備を接続し、短周期変動抑制やピークシフトなどの機能や寿命など、蓄電システムの有効性についての検証・評価を行う。実証試験は2015年6月から2016年2月まで実施し、蓄電システムの制御技術を確立するとともに、既設発電所の運転への影響を評価するなど、島しょ部マイクログリッドにおける電力安定供給への貢献度も検証する。
2015年06月05日Workday(米国ワークデイ)は米国時間の5月26日に、2016年度第1四半期(2015年2月~4月)に、日立製作所やザ コカ・コーラ カンパニー、Dellなど各社が、Workdayを採用したと発表した。Workdayの顧客満足度は、同社によると業界最高水準の97%で、925社を超える顧客のうち、すでに70%以上の企業で導入工程を終え、本稼動を開始しているという。また、同社が提供する人事ソリューション「Workday ヒューマン キャピタル マネジメント」に関して、AdobeやeBay、Sanofiなどが、グローバルで本稼動を開始したことも発表された。同社によると、米ガートナー社が同社顧客へのインターネット調査をまとめた最新レポート「Seven Ways to Compare the Enterprise HCM Suite ’Big Three’」によると、米国ワークデイは製品満足度や顧客満足度のすべての基準において平均以上と評価された唯一のベンダーだったという。財務・会計ソリューション「Workday ファイナンシャルマネジメント」に関しては、135社以上の顧客に導入されたと発表があった。新たに採用を決めた、あるいは本稼働を開始した企業は、AcxiomやKing Digital Entertainment Plc、Louisiana State University、Nevada System of Higher Educationなどが挙げられている。米ガートナー社が同社の顧客194社に対し2014年に実施した、主要財務管理システムベンダー15社に関する最新調査レポート「Survey Analysis: Core Financial Management Applications Deliver Benefits Both On-Premises and in the Cloud」によると、米国ワークデイは、「ベンダーと製品の総合満足度」と「次回も同じベンダーと製品を使用する見込み」の項目においてトップスコアを獲得したという。
2015年05月29日日立製作所は5月20日、データを効率的に送受信してネットワークの負荷を低減する情報指向ネットワーク技術(ICN: Information-Centric Networking)の新たな通信方式を開発したと発表した。情報指向ネットワーク技術とは、センサーやカメラなどのネットワークに接続された機器から送信されるデータに、識別子と呼ばれるデータを特定するタグを付与することで、効率的にデータの送受信を行う技術。識別子が付与された一つ一つのデータを保存する場所を経路情報として、全通信サーバで共有することで、データの保存場所を意識することなく、識別子を指定するだけでデータを送受信できることが特徴だという。これにより、データの発信元である機器から近距離のサーバやデータセンターに分散してデータを保存することができ、必要なときにのみ、識別子に基づいて効率的にデータの送受信を行うことで、ネットワークへの負荷を低減することが可能となるという。一方で、情報指向ネットワーク技術における従来の通信方式では、データの発信元である機器の場所が移動し、データの保存場所が変わる度に、保存場所を示す経路情報をネットワークに接続された全通信サーバ間で共有させる必要があり、経路情報を更新する通信処理が頻繁に発生し、ネットワークに高い負荷がかかることから、特に車載装置など大容量のデータを移動しながら送受信する機器では、情報指向ネットワーク技術の適用は困難とされていた。そこで日立は、経路情報の共有に伴うネットワークへの負荷を低減するために、データに付与される識別子をグループ単位で纏め、その経路情報を集約ノードと呼ぶ特定の通信サーバに割り当てることで、経路情報が更新された際は、全ての通信サーバではなく特定の集約ノードで更新する、情報指向ネットワーク技術の新たな通信方式を開発した。本通信方式により、これまで発生していた通信サーバー間で経路情報を共有するための通信回数を大幅に減らし、ネットワークへの負荷を低減できるという。これにより、従来の通信方式では実現困難とされた、自動車の車載装置やセンサーなどの広範囲を移動する機器から発生する膨大なデータを送受信することができるという。自動車向けでは、膨大な走行データを活用することで、渋滞緩和や走行支援などの実現が可能となる。また、今回開発した通信方式は、ネットワークへの負荷を低減できるため、保存されているデータを必要なときに受信するPull型通信のみならず、複数の機器へデータを送信するPush型通信を実現。これにより、情報指向ネットワーク技術においても、リアルタイムにデータの送信ができ、自動車の車々間通信に適用した場合、危険を感知し急な減速をした車の走行データを、リアルタイムにその車の周辺を走る他の車へ送信することで、事故を予防するようなシステムを実現することが可能となるという。
2015年05月21日日立製作所は、UNIXサーバ「EP8000シリーズ」に、POWER8プロセッサーを搭載したミッドレンジサーバ「EP8000 E850」を追加し、5月21日から販売を開始すると発表した。本モデルは最新のPOWER8プロセッサー搭載により従来モデル比で約1.8倍に処理性能を向上。メモリを従来モデル比4倍となる最大2TB、I/Oスロット(PCI Express 3.0準拠)を従来モデル比約2倍となる最大11本まで搭載可能とするなど、ハードウェアリソースも強化している。そのほか、従来ハイエンドサーバで提供している、システムを稼働させたままプロセッサーやメモリを柔軟に拡張できるCUoD機能や、メモリ障害によるシステム停止を防ぐ動的メモリ切替機能などを搭載する。さらに、「EP8000シリーズ」全モデルにおいて、I/Oドロワーの接続台数を増強。「EP8000 E880」においては、CPUドロワー従来モデル比2倍の最大4台まで接続可能としたことにより、POWER8プロセッサーを最大128way搭載できるハードウェア構成を実現する。価格は3,031万9,000円(税別)~で、出荷開始は7月31日。
2015年05月20日日立製作所は5月7日、ビッグデータの高速分析によるリアルタイムなデータ活用が可能なインメモリ・プラットフォームのSAP HANAと日立の最新のブレードサーバやストレージを組み合わせた、統合プラットフォーム「Hitachi Unified Compute Platform for SAP HANA」(UCP for SAP HANA)の新製品を発表した。5月8日から全世界で販売開始する。価格は個別見積、出荷開始は5月29日。新製品は、最新のインテルXeonプロセッサを搭載したハイエンド・ブレードサーバ「BS2500」や、2015年4月に発表した「Hitachi Virtual Storage Platform」のミッドレンジ・モデルなど、基幹業務に必要な信頼性を備えた最新のハードウェアとSAP HANAを組み合わせ、認定取得および事前検証を済ませた構成で提供するもの。同製品により、ビッグデータの高速分析を行うSAP HANA環境を迅速かつ容易に導入でき、企業の様々な業務システムにおけるリアルタイムなデータ活用を促進するとしている。なお、同製品の核となるハイエンド・ブレードサーバ「BS2500」の新製品も、5月8日から販売開始する。価格は260万2,000円(税別)から。プロセッサ数やメモリ容量をきめ細かく選択できるラインアップを用意し、スモールスタートからの導入でもビジネスの成長に合わせたシステムの拡張が可能とのこと。同社独自のサーバ論理分割機構である「Virtage」(バタージュ)を適用したモデルでは、1つのハードウェアを独立性の高い論理区画(LPAR)に分割した複数のLPAR上で、SAP HANAシステムを構築できるという。サービス事業者などはSAP HANAシステムの導入・運用コストを削減するとともに、マルチテナント環境での安定したサービス水準の提供が可能としている。Virtageモデルの出荷開始は7月6日の予定。同時に販売開始するハイエンド・ブレードサーバBS2500の「高性能サーバブレード」では、処理性能を従来プロセッサと比較して約1.2倍に向上する最新のXeon E7-4800 v3/E7-8800 v3製品ファミリーを搭載するなどの強化を行ったという。なお、今回提供開始するUCP for SAP HANAは、従来国内で「日立インメモリDBアプライアンス for SAP HANA」の名称で提供していたアプライアンス製品の後継にあたる。同製品ではグローバルで名称を統一し、国内外の企業へ積極的に展開していくとのことだ。
2015年05月07日日立製作所は4月28日、ディスク・アレイ・システム「Hitachi Virtual Storage Platform」(VSP)のミッドレンジ・モデル5機種を発表し、全世界で販売開始した。税別価格は165万6,000円から。新製品であるVSP G800・同G600・同G400・同G200・同G100は、2014年4月に販売開始したハイエンド向けディスク・アレイ・システム「VSP G1000」と同様のストレージ基本ソフトウェア「Hitachi Storage Virtualization Operating System」(SVOS)を搭載し、同社独自の仮想化機能「Hitachi Universal Volume Manager」や「global storage virtualization」などを利用可能とすることで、ハイエンド・クラスの高い拡張性や運用性を中小規模システムにも適用可能にするというストレージ・システム。ハイエンドからミッドレンジまでの全モデルに同一のストレージ基本ソフトウェアを搭載したことで、運用や管理方法を変更することなく、上位機種へ容易にアップグレード可能になるという。これにより、新規ビジネスの立ち上げ時は下位機種を導入して初期投資を抑えつつ、ビジネスの成長に合わせて迅速かつ容易にシステムの規模拡張や処理性能の強化を図ることが可能としている。新たに、アクセスが集中しているデータを高速なデータ・アクセスが可能なフラッシュ媒体へ即座に移動できる新技術「active flash」を搭載。データのアクセス頻度に応じてデータを自動的に最適配置するため、詳細なシステム設計は必要無く、データ量の増加に合わせてフラッシュ媒体を容易に追加できる他、市場環境の変化などにより生じる予測困難なアクセス頻度の変動にも迅速に対応するとのことだ。新製品の概要と税別価格は以下の通り。
2015年04月30日日立製作所は4月16日、栃木銀行の新営業店システムを日立の統合チャネル・ソリューションである「FREIA21+ for NEXTBASE」(フレイア21プラス フォア ネクストベース)を利用して構築したと発表した。FREIA21+ for NEXTBASEは、日立の地域金融機関向け共同アウトソーシング・サービスである「NEXTBASE」の加盟行向けに、同社の統合チャネル・ソリューションである「FREIA21+」を適応させた、NEXTBASEの標準営業店システム。新システムは4月20日から栃木銀行本店で稼働開始し、2015年9月にかけて順次全営業店に導入する予定。栃木銀行は同システムを利用し、顧客の利便性向上と行員の事務作業の効率化・厳正化を図っていく。同システムにおいて、スタンド型スキャナやプリンタなどの営業店端末機器を刷新した。スタンド型スキャナでは、OCRで読み取った伝票の記載内容を自動認識してPC端末上に取引画面を自動的に表示できる他、口座番号などの情報を取引システム上に自動的に入力可能であり、手動での入力作業を削減すると共に入力ミスを防止。認識可能な伝票は従来の5種類から18種類に拡大したという。また、運転免許証などの本人確認書類をスタンド型スキャナで読み取り、必要な情報を自動的にマスキングした上でコピーできる「クイックコピー機能」を新たに導入。これにより、本人確認書類を顧客の目の届く範囲で安全に取り扱えるようになり、情報漏洩も防止できるとしている。さらに、テンキーパッドを新たに導入することで、窓口で預金者自身がキャッシュカードの暗証番号を登録できるようになったという。その他、現金入出金機の自動精査機能や通帳伝票プリンタの媒体セット位置補正機能(スキューアライナ)の導入などにより、窓口行員の事務作業の効率化・厳正化を図っている。事務作業を支援する機能では、複雑な処理を伴う事務作業の流れをPC端末の画面上に表示する「事務フローナビゲーション機能」を導入。また、事務作業の手順を管理・閲覧できる事務規程管理システムと連携し、PC端末画面に事務規程や操作マニュアルを、必要に応じて表示する。さらに、預金者の口座情報など元帳に含まれる情報の照会作業において、従来は専用帳票に印字した上で確認していたが、PC端末の画面に表示可能にした印字作業が不要になったという。これらの事務作業支援機能により、事務作業の迅速化とミス防止による厳正化を図るとしている。上位責任者である役席者の承認を必要とする取引については、従来の磁気カードを用いた承認を廃止し、PC端末上で承認登録が可能な「役席承認ワークフロー機能」を採用。これにより、窓口行員がフロア内を立ち歩く手間を削減し事務フローを効率化することで、顧客の待ち時間を短縮するという。併せて導入した顧客情報連携機能では、行員が窓口で各種手続きを行う際、PC端末に入力した口座番号を元に顧客の属性を取引画面に自動表示する。これにより行員が個々の顧客に対して、よりきめ細かく対応可能になるという。
2015年04月17日東京大学大学院情報学環、NTT、KDDI研究所、日立製作所、NEC、富士通は3月31日、日米欧を結ぶ仮想ネットワークにおいて、グローバルなマルチドメイン環境でソフトウェアによってプログラマブルに制御できる新たな仮想網の構築および新世代ネットワークアプリケーションの実験に成功したと発表した。今回、6つの実験が行われた。「日米欧3大陸スライス相互接続(KDDI研/日立/東京大学)」実験では、スライス・エクスチェンジ・ポイントを介して、日米欧のネットワーク仮想化基盤間で資源情報や制御情報を交換する技術の検証が行われ、世界規模のスライス(ネットワーク仮想化技術を用いて生成される論理的なネットワーク)の即時構築に成功した。「グローバルマルチドメイン環境での次世代映像配信実験(NTT)」では、相互接続された日米間のスライスで、端末やネットワークの状況に応じて映像の圧縮やマルチキャスト機能を仮想ネットワーク上に自動配備する次世代映像配信技術の実証実験を行った。「アプリケーション特化QoS制御(東京大学)」では、端末からのパケットに対し、端末内で利用しているアプリケーション識別タグを自動的に付加する仕組みを開発し、その識別タグをネットワーク仮想化ノードで検出し、アプリケーションごとに仮想化スライスに収容するネットワーク・アーキテクチャを実現した。この技術をネットワーク仮想化ノードのスライスに適用し、各スライスでアプリケーションに応じて、QoS制御やトラフィック・エンジニアリングがSDNのフレームワークを用いて実現できることが実証された。「IPON:IPアドレスによるスイッチング実験(日立)」では、ネットワーク仮想化テストベッド上のスライスでIPONプロトコルで動作するスイッチから構成されたIPONネットワークを構成し、そのネットワークに接続した仮想端末間でのIP通信実験を成功させた。IPONプロトコルは冗長なアドレスをIPアドレスに統一するだけでなく、Ethernetとは異なりループ(冗長性)のあるネットワークでも正常に動作することを確認した。「スライス内でのIPSによる通信制御実験(NEC)」では、ネットワークのプログラマビリティの検証のために、JGN-X上の仮想化テストベッドにてスライスを作成し、そのスライス内で1Gbpsを超える通信トラフィック環境において、クライアントからの動画ストリーミングアクセスに対する、ソフトウェアベースIPSと仮想OpenFlowスイッチvOFSによる経路制御の実証実験を行った。「ユーザ移動先を追随するデータ配置機能による応答性能の向上実験(富士通)」では、ユーザーの位置を検知して、ユーザーが利用するデータをユーザーの近くの仮想化ノードに事前配置することで、ユーザーアクセスの応答性能の向上を図る技術の検証実験を行った。各仮想化ノードに、「ユーザー移動先の検出」と「移動先を追随してデータ再配置」を行う通信制御アプリケーションを配備し、この通信アプリケーションの連携により、ユーザーが移動した場合に移動先の仮想化ノードを検出し、ユーザーに近い仮想化ノードにデータを移動・配置でき、ユーザーがデータにアクセスできることを確認した。
2015年04月01日日立製作所は3月23日、産業機器事業の競争力を高めてグローバルで事業を拡大していくため、産業機器事業を統合し、新たなカンパニーとして「インダストリアルプロダクツ社」を2015年5月1日付けで設立すると発表した。同カンパニーは、電力システム社の中・大型モーターや受変電機器、インフラシステム社のUPSなどのパワーエレクトロニクス製品や圧縮機、ポンプなどの中・大型の産業機器事業を統合する。また、小型の産業機器事業を手掛ける日立産機システムとの一体的な運営により、日立グループとして、小型から大型まで一貫した製品ラインアップを確立する。インダストリアルプロダクツ社社長には、日立製作所執行役常務 青木優和が就任し、日立産機取締役社長と兼務する。日立製作所5月1日付け事業グループ体制
2015年03月24日日立製作所(日立)は3月9日、他拠点に分散したデータセンター間の通信や大規模データセンター内のネットワークを対象とした大容量・高信頼ネットワーク技術を開発したと発表した。近年、スマートフォンの普及、クラウドコンピューティングやビッグデータ利活用の進展によりデータセンターが扱うデータ量が急激に増加しており、サーバーやストレージの増加している。これに伴いルーターやスイッチの数も増えることで転送遅延が発生し、データセンター全体の性能向上を阻害する原因となっている。また、データセンターが大規模化していくと、災害などによるネットワークの遮断や、データセンターの停止による社会への影響が大きくなることから、トラブルが発生した際にデータを瞬時に移行して運用を継続できる多拠点、分散型のデータセンターが必要とされている。こうした状況の中、日立は「低遅延かつ効率よくデータセンター内のデータを集約する技術」、「400Gbpsでデータセンター間の大容量通信を実現する光多値伝送向け送受信技術」「複数の伝達路を持つマルチコア光ファイバーを用いた伝送経路冗長化技術」を開発した。まず「低遅延かつ効率よくデータセンター内のデータを集約する技術」は、データセンター内の各サーバーやストレージなどから出力されるデータ回線をビットごとに順番に1本の回線に集約し、各送信先に自動的に振り分けるというもの。データを集約する際に、あらかじめビットごとに送信する順番と送信先をひもづけし、転送後に自動的にデータを各送信先に振り分けることで、これまでのパケット通信で行っていた複雑な処理が不要となる。パケットよりもさらに細かいビット単位で1本の回線に集約するため、各種プロトコルの影響を受けず、サーバ向けLANやストレージ向けネットワークをまとめて集約できる。次に、「400Gbpsでデータセンター間の大容量通信を実現する光多値伝送向け送受信技術」では、光の波の振幅と位相を少しずつ変えて多値変調を行うことで、1度に4ビットのデジタル情報を送信することが可能になり、1波長で従来の4倍となる100Gbpsのデータ送信を実現する。さらに、これを4つの異なる光波長の信号で集約化し送信することで、1本の光ファイバーあたり400Gbpsのデータ通信が可能となる。「複数の伝達路を持つマルチコア光ファイバーを用いた伝送経路冗長化技術」では、これまでは1本の光ファイバーにはコアが1本しかなかったところを、7本のコアを持つマルチコアファイバーを用いて、一部のコアを平常時には予備のコアとする。また、1本のコアを通信断絶の検出および通信装置間での通信経路切り替え制御信号の交換に常時試用する。これにより、あるファイバーで通信断絶が発生した場合には、使用中だったコアの通信を呼びのコアに振り分け、通信路の遮断を回避する。日立は、北海道札幌市にある20kmの光ファイバーを用いて実証実験を行い、各技術の有効性を確認した。なお、同技術は3月10に開催される「電子情報通信学会 2015年総合大会」で紹介される予定。
2015年03月09日日立製作所(日立)は2月26日、ソフトウェアの脆弱性に対する攻撃リスクを自動的に算出して対策優先度を提示することで、情報システム管理者による迅速な対処を支援するセキュリティリスク評価技術を開発したと発表した。この技術により、サイバー攻撃の進入経路の推定や脆弱性対策の優先度付け等の処理を自動化して、容易かつ迅速にセキュリティ対策を行えるようになるほか、脆弱性対策に関わるコスト低減を実現する。典型的なWebシステムの場合、一般的な方法と比較して対策すべき脆弱性の数を約1/3まで絞り込むことが可能になるという。○脆弱性情報とシステム構成情報に基づく脆弱性の有無を特定する技術公開されている脆弱性情報には、脆弱性の内容とともに、対象となるソフトウェアの識別子が記載されている。識別子と構成管理ツールなどから取得するソフトウェア名称が一致しないケースが存在しており、機器内に存在する脆弱性を機械的に特定することが難しかったという。同社は、機器から取得したソフトウェア名称と識別子の類似度を算出することでこの問題を解決。公開脆弱性情報と突き合わせて、脆弱性の有無を自動的に特定する。○サイバー攻撃の侵入経路を考慮したリスク定量化技術これは、システムの構成情報からサイバー攻撃の到達可能性を自動解析し、侵入可能な経路を網羅的に抽出する技術。抽出するだけではなく、侵入経路をベイジアンネットワークで解析可能な有効非巡回グラフ化している。ベイジアンネットワークは、様々な原因と結果の関係性を記述したグラフから、発生しうる現象を確率的に推論するモデルのこと。このグラフによって、各経路における侵入確率と各脆弱性の影響度を算出。機器ごとの脆弱性の有無だけではなく、脆弱性のリスクを定量的に評価することで、脆弱性対策の優先度付けを一律に行えるようになるメリットがある。これらの技術は、3月5日、6日に法政大学で開催される「第68回コンピュータセキュリティ研究会(CSEC)」で詳細を発表するとしている。
2015年02月27日日立製作所は2月27日、2015年4月1日付で、現在の中央研究所、日立研究所、横浜研究所の国内3研究所とデザイン本部および海外研究拠点を、「社会イノベーション協創統括本部」、「テクノロジーイノベーション統括本部」、「基礎研究センタ」の2統括本部・1センタに再編すると発表した。今回の再編では、先端技術のベストマッチにより、フロントの研究者が顧客と共に課題解決のソリューションを協創する、顧客起点型の研究開発体制を確立する。新たに設立する「社会イノベーション協創統括本部」は、東京・北米・中国・欧州の4地域センタの研究者が、顧客と共に課題を共有し、新たなソリューションを協創するフロント組織となる。独自のサービスデザイン手法により、顧客とともに課題を可視化し、ビジョンや解決策の策定・検討などを行う。「テクノロジーイノベーション統括本部」は、日立研究所、横浜研究所と中央研究所の一部を統合し、機械、エレクトロニクス、材料、情報通信、制御、エネルギー、生産、システム、ヘルスケアの9つのセンタから構成される。社会イノベーション協創統括本部が開発するソリューションに必要な技術基盤の強化や技術の融合、革新的製品の研究開発に取り組む。「基礎研究センタ」では、将来の社会課題を解決することを研究テーマに、長期的視点で最先端の研究開発を進めるとともに、グローバル・オープンラボとして、さまざまな研究機関との連携を通じ、次の社会イノベーション事業の芽を創生する。今回の再編では、大学や各研究機関との連携を強め、オープンイノベーションによるさらなる基礎研究の強化を図っていく。
2015年02月27日日立製作所は、タブレット端末を活用した営業活動を支援する「金融機関向け日立モバイルクラウドサービス」を3月1日から提供開始する。各サービスの価格は個別見積もり。同サービスは、金融機関の営業活動などをタブレット端末で行うためのシステム基盤とWebアプリケーション群をクラウド形式で提供する月額課金制のサービスから構成される。金融機関におけるタブレット端末の導入・運用から営業活動に至る一連の業務を支援する。オプションとして、タブレット端末やインターネット接続、ヘルプデスクなどの機器・サービスも提供するため、金融機関は業務上のニーズに応じて最適なシステム環境を利用することが可能。同サービスで提供するWebアプリケーションは、店内外においてタブレット端末でのローンや投資信託といった金融商品の提案や申し込み手続き業務を支援する。例えば、タブレット端末に内蔵されたカメラによる申込者の本人確認やタッチパネルを利用した申込者の手書き署名の記録が可能なほか、モバイルプリンタに接続して契約書などの資料を印刷することもできる。また、Webアプリケーションは、金融商品ごとにテンプレートをカスタマイズでき、利用時の画面構成も営業担当者が顧客へ説明しやすい最適な流れとなっている。画面デザインは、2種類のパターンと複数の配色から選択可能で、Webアプリケーションが対応する金融商品も順次拡張される予定。Webアプリケーションは金融商品の提案や申し込み手続きなどを行う際にオフライン環境で利用できる。そのほか、タブレット端末上での申し込み手続きなどに関するデータをセンター内のサーバへ送信し端末から削除することで、端末紛失時の情報漏洩を防止するほか、通信データの暗号化などにより高いセキュリティを確保する。
2015年02月26日