39年の短い生涯の中で、数々の傑作を生み出し、昭和の文学界の担い手の一人としていまなお愛される、太宰治。生誕100周年を迎え、まさに“太宰イヤー”と言うにふさわしく『斜陽』、『パンドラの匣』、『人間失格』と続々と著書が映画化される中、浅野忠信、松たか子ほか豪華キャストで贈る傑作ラブストーリー『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』が、このたびモントリオール世界映画祭のコンペティション部門に正式出品することが決定した。どちらかと言えば、自虐的で暗いというイメージで捉えられがちな太宰だが、実は細やかな心理描写とユーモアあふれる表現で男女の様々な「愛」の形を小説に残している。そのうちの一つである本作は、文才を持ちながらも放蕩を繰り返す夫と、そんな夫を受け止め、しなやかに逞しく生きる妻の愛を綴った物語。妻・佐知役には松たか子、夫・大谷役に浅野忠信、さらに大谷の愛人に広末涼子、佐知に想いを寄せる青年に妻夫木聡、再会した佐知に惹かれてしまう弁護士に堤真一と豪華俳優陣が、国内外で高い評価を得る根岸吉太郎監督(『雪に願うこと』)のもとに集結した。本作を鑑賞した同映画祭の創設者兼ディレクターのセルジュ・ロジーク氏は、松さんの演技を「彼女はスクリーン上で“別の生き物”に豹変した」と手放しで称賛、共演キャストたちとのハーモニーを称えた。さらに、「一見、日本特有の男女関係を描いたように見えるが、実際は普遍的なもの、どの国の人が見ても理解できる内容。監督が美しい作品に仕上げた」とコメント。映画祭コンペ部門への招待を即決した。この快挙について、松さんは「『ヴィヨンの妻』が海を渡ることにとても大きな喜びを感じております。この光栄な出来事を、関わった全ての人と共に誇りにしたいと思います。この作品が観て下さった方に愛されることを祈っています」、浅野さんも「海外の方にも受け入れられたことがとても嬉しいです!」と喜びの声を寄せている。モントリオール世界映画祭といえば、昨年は『おくりびと』がグランプリを受賞した、日本の作品とも縁深い、名誉ある映画祭。今年は本作のほかに西川美和監督作『ディア・ドクター』も同部門に出品されるが、果たして日本映画に2年連続で栄冠がもたらされるという快挙なるか、注目が集まる。なお、本作の公式上映は、現地時間の9月6日を予定、浅野さんと根岸監督が揃って現地入りする予定だ。『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』は10月10日(土)より全国東宝系にて公開。■関連作品:ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜 2009年10月10日より全国東宝系にて公開© 2009 フジテレビジョンパパドゥ新潮社日本衛星放送ディア・ドクター 2009年6月27日よりシネカノン有楽町1丁目ほか全国にて公開© 2009『Dear Doctor』製作委員会パンドラの匣 2009年10月10日よりテアトル新宿ほか全国にて順次公開© 「パンドラの匣」製作委員会人間失格 2010年初春、角川シネマ新宿ほか全国にて公開斜陽 2009年5月9日より全国にて順次公開© KAERUCAFE DIGITAL CINEMA CIRCUS.■関連記事:「本物の方が怖いかも(笑)」『ディア・ドクター』西川美和が描く、愛すべきニセモノ瑛太、鶴瓶と過ごしたひと夏の思い出にニンマリ「本当にずーっと一緒にいました」鶴瓶&瑛太が深酒で倒れた?余貴美子も病院送りの恐るべき『ディア・ドクター』誰しもが抱える“嘘”から見る人間の“揺れ”西川美和最新作『ディア・ドクター』初主演・笑福亭鶴瓶×瑛太!『ディア・ドクター』試写会に10組20名様ご招待
2009年08月11日木村拓哉主演で大ヒットを記録した『武士の一分』、日本アカデミー賞で全部門優秀賞受賞の快挙を成し遂げた『たそがれ清兵衛』など、近年、映画化が続く文豪・藤沢周平の作品がまたひとつ映画化。珠玉の短編小説「花のあと」(文春文庫刊)が映画化されることになり、主人公の以登を北川景子が演じることが決まった。「花のあと」は、藤沢さんが郷里の山形県・鶴岡をモデルに創作した海坂藩を舞台にした短編を集めた作品集「海坂藩大全」の中に収められた一編。女でありながら、男顔負けの剣術の腕を持つ以登は、ただ一度、竹刀を交えた江口孫四郎に一瞬にして恋心を抱く。だが、以登、孫四郎ともに決まった許婚があった…。凛とした佇まいの以登を演じる北川さんは今回が時代劇初挑戦となる。今回の出演について「元々、時代劇はずっと挑戦してみたいと思っており、藤沢映画は演技をする者みなの憧れの作品でもあるので迷わず出演させていただきました。藤沢作品にしては珍しく、女性が主人公だと聞いたことも興味深く、一生に一度あるか分からない藤沢作品との出会いで役者として成長したい、という気持ちで臨みました」とコメント。また、撮影については「最初は着物に慣れることが大変でした。着物を身に付けた状態での歩き方、座り方などの所作はとても難しく、クランクイン前にたくさん稽古しました。今回は、殺陣も吹き替えなしでやるということで、立ち回りのシーンもかなり練習が必要とされたので苦労しました」とふり返った。以登がほのかな恋心を抱く孫四郎を演じるのは、熊川哲也率いる「Kバレエカンパニー」に所属するバレエ界の期待の新星、宮尾俊太郎。以登の許婚の片桐才助には甲本雅裕が扮し、以登の父・寺井甚左衛門を國村隼が、そして孫四郎を罠に陥れる藩の重鎮・藤井勘解由を市川亀治郎が演じる。メガホンを握るのは、原田眞人監督や篠原哲雄監督の下で助監督を務め、2008年に阿部寛主演の『青い鳥』で劇場映画デビューを果たした新鋭・中西健二。監督にとってもこれが初の時代劇となる。これまで映画化された藤沢作品において『たそがれ清兵衛』では宮沢りえが、『隠し剣 鬼の爪』では松たか子が、主人公が恋に落ちるヒロインを、『武士の一分』では檀れいが盲目の主人公を支える妻の役を演じた。北川さんが演じる以登は、たおやかさと、凛とした独立心を併せ持った女性。女性剣士としてどのような姿を見せてくれるのか?『花のあと』は2010年春、全国にて公開。■関連作品:花のあと 2010年春、全国にて公開
2009年08月04日