岡田将生、染谷将太、成海璃子ら実力派の若手キャストが顔を揃える新感覚アクション映画『ストレイヤーズ・クロニクル』。劇中、岡田さん、染谷さん、成海さんら中心となるキャストが初めて顔を揃えての初めての撮影が9月上旬に行われ、その一部が報道陣に公開された。本多孝好の人気小説の実写化で『ヘブンズ・ストーリー』、『アントキノイノチ』の瀬々敬久監督がメガホンを握り、『桐島、部活やめるってよ』の喜安浩平が脚本を担当。ある実験の下で、それぞれ常人にはない特殊な能力を有して生まれた若者たちが、葛藤や復讐心を胸に宿命を背負って戦う姿を描く。岡田さん、染谷さんに成海さんのほか、白石隼也、清水尋也、瀬戸利樹、柳俊太郎、鈴木伸之の出演が本作製作決定の第一報の段階で報じられ、続いて黒島結菜、高月沙良、松岡茉優らの出演が徐々に発表されてきたが、この主要若手キャストの多くが初めて顔を揃えたのが、この9月上旬の撮影だ。場所は東京湾が見渡せるビルの高層階。余談だがこの日も含め、本作は夜のシーンが多く、昼夜逆転で夜中に撮影が行われることが多かったという。劇中、岡田さん演じる主人公・昴を筆頭に沙耶(成海さん)、良介(清水さん)、隆二(瀬戸さん)、亘(白石さん)の「昴チーム」と染谷さん演じる車椅子の青年で恐るべきウイルスとその抑制抗体を体内に併せ持つ学(マナブ)をリーダーに、モモ(松岡さん)、静(高月さん)、ヒデ(柳さん)、壮(鈴木さん)、碧(黒島さん)が属する「アゲハチーム」の2つのチームが激突。この日はまさに、そんな彼らが初めて対峙するシーンが撮影された。先に、アゲハチームの面々が自分たちがどのように作られたのか?さらにはその先に待ち受ける運命について知らされるというシーンがあり、その後、アゲハを追いかける昴らと対面を果たす。報道陣に一部公開されたのは、アゲハチームの面々が、東京湾と夜景をバックにしたシーンの撮影。細かくカットを割って、カメラは一人ずつの表情を捉えていく。撮影・近藤龍人&照明・藤井勇という『桐島、部活やめるってよ』、『私の男』のコンビにより、スタイリッシュ&クールな映像に仕上がっていることが現場のモニター越しにも感じられる。暗闇の中のほのかな明かりに浮かぶ染谷さん、松岡さん、黒島さんらの表情に彼らの心情がありありと映し出される。現場には、瀬々監督の誰よりも大きな「OK!」という声が響きわたっていた。それぞれのキャラクターが異なる“特殊能力”を有しているのが本作の見どころのひとつだが、特に肉体を変化させる能力を持つ面々は、シーンによって必要に応じて特殊メイクが体に施される。この日の現場では、体を硬化させ爪を伸ばす能力を持つヒデ役の柳さんが、黒く長い爪をつけた状態でいる姿なども見られた。残念ながら公開されたのはごく一部であり、もちろん、この日以外にも先々のシーンで彼らが再び顔を合わせ、戦闘を交わすシーンも!ちなみにアクションに関しては『GANTZ』シリーズのスタントチームが参加し、相当ハイクオリティなものになっているとのこと。原作の計3巻の単行本を映画ではミックスし、さらに原作とは異なるクライマックスを用意しているとのこと。現場のプロデューサーは本作を「戦う『桐島』」と表現していたが、どのような物語に仕上がるのか?いまから完成が楽しみだ。『ストレイヤーズ・クロニクル』は2015年6月、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年11月19日佐藤健&神木隆之介の主演で人気コミックを実写映画化する『バクマン。』で、染谷将太がふたりのライバルとなる天才マンガ家・エイジ役を演じていることが発表された。染谷は「今回演じる新妻エイジというキャラクターは、掴みどころがなく突拍子もないところが魅力なんですけど、演じるのは本当に難しい役でした」と語り、CGバトルシーンがあることを明かした。その他の写真映画の原作は、『DEATH NOTE』の大場つぐみ×小畑健のコンビが漫画制作の裏側を描いた同名コミック。高い画力を持った真城最高(佐藤)と、巧みな物語を書く高木秋人(神木)がコンビを組み、週刊少年ジャンプの連載を勝ちとるまでを描く。『モテキ』の大根仁監督がメガホンを執り、佐藤と神木のほか、小松菜奈、桐谷健太、新井浩文、皆川猿時、山田孝之、リリーフランキー、宮藤官九郎という個性豊かなキャストが出演する。劇中で主人公ふたりの前に突然現れ、彼らの遥か前を行く若き天才漫画・エイジを演じる染谷は、「原作のままの感じを残しつつも、エイジのセリフのニュアンスが割りと淡泊で、感情があるようでないような感じなので、猫背でひょこひょこ動いたりしたらおもしろいかなと思って、監督とも相談しながら新たに作っていった部分もありました」と説明。さらに「エイジの演技には、全体的にアクションが多いので本当に苦労しましたね。ペン入れのシーンでは、映画の為に作った特殊なペンを途中で回しながら、擬音を発して、セリフも言わなければならなかったので、結構難しかったですね。擬音はボイスパーカッションと言われましたけど(笑)。CGバトルシーンもあるんですけど、どうなっているのかがすごい楽しみです」と明かし、「人間ドラマは人間ドラマでしっかりとベースにあるんですけど、漫画を描く作業って一見地味だと思われているじゃないですか、それを逆手にとって映像として遊んでいる部分がどれだけ躍動感のあるものになっているのか、本当に作品の完成が楽しみです!」とコメントを寄せている。『バクマン。』2015年全国東宝系にて全国公開
2014年11月17日岡田将生が本格アクションに初挑戦し、染谷将太、成海璃子に高月彩良、黒島結菜ら若き実力派の豪華キャストが“特殊能力”を持つ若者たちを演じる映画『ストレイヤーズ・クロニクル』。このほど、岡田さん演じる“昴(スバル)”チームと敵対関係にある、染谷さん演じる学が率いるアゲハチームのメンバー・モモ役に、「あまちゃん」「銀二貫」「GTO」などで活躍する若手演技派女優、松岡茉優が決定。哀しみを背負った“人間マシンガン”を演じていることが分かった。本作は、次々と作品が映像化されている気鋭のベストセラー作家・本多孝好による新感覚アクション巨編小説を、『アントキノイノチ』の瀬々敬久監督と『桐島、部活やめるってよ』の脚本・喜安浩平により完全映画化。宿命を背負う若き異能者たちと、彼らの周囲で暗躍する政治家たちによる群像劇を、鮮烈な映像表現といまをときめく実力派俳優たちが高次元の融合で実写化する。今回新たに発表されたのは、『桐島、部活やめるってよ』の野崎沙奈役や、NHK朝ドラ「あまちゃん」東京編の「GMT47」リーダー・入間しおり役が高い評価を受けた、松岡茉優。松岡さんといえば、映画・テレビで活躍し、最近では「オサレもん」や「めざせ!2020年のオリンピアン」でMCを務めるほか、2015年には反町隆史主演のNHK土曜ドラマ「限界集落株式会社」(1月31日スタート)や『リトル・フォレスト冬・春』『サムライフ』(ともに2月公開)が控える注目の女優。松岡さんが演じるモモは、口内の歯の矯正器具から鉄びょうを発射させるという能力を備え、あるときは後方から味方を援護、あるときは敵の急所にヒットさせ致命傷を与える役割を担い、スクリーンを所狭しと躍動する。彼女が所属する殺戮集団“アゲハ”のメンバーには、リーダー・学を『神様の言うとおり』『寄生獣』など引っ張りだこの染谷さんが演じるほか、敵を幻惑させて動きを止め、キスで毒素を注入する静(シズカ)を『思い出のマーニー』の高月彩良、身体硬化能力を持つヒデを「弱くても勝てます」「黒服物語」の柳俊太郎、超高速で移動できる豪腕の壮(ソウ)を「劇団EXILE」の鈴木伸之、そして通常の人間には聞こえない高周波を発射して捜敵するレーダー能力を持つ碧(アオイ)を新鋭の黒島結菜が、いずれも体当たりで演じている。本作の瀬々監督は、松岡さんについて、「若い出演者が多い中で、ただ一人、円熟の芸域に達していると言ってもよいのが松岡さんでした。他の人の芝居を確認して、生かし、その中で自分のベストバウトを提示していく姿勢、そして演技力の高さ。まるで小津安二郎の映画の中の杉村春子のようでした(笑)」と往年の名女優を引き合いに出し絶賛。さらに「(彼女は)昭和顔。ホッとさせられます。芝居の中にも昭和的な情念を発する瞬間が何度もありました。それでいて、勢いがあって、POPで、松岡茉優さんは女優版“椎名林檎”だと密かにずっと思っています」と言い切っている。また、松岡さんも「瀬々監督から頂戴したコメント、ちょっと言い過ぎだよと思いながらも嬉しくて、母に送りました(笑)」と喜びを表し、さらに「『桐島、部活やめるってよ』で佐藤プロデューサーとご一緒させていただいてから、久々に声をかけていただいたのが、いままで演じたことのない役柄でキャラクターとしても興味深い設定だったので、感謝しています」と真摯にコメント。「モモは“テンションが高いとき”と“非常に現実的なとき”の両側面を持った女の子で、逆手にとると何でもありの役でした」と、その役どころをふり返りながら「その何でもあり感は楽しかったです」と演技派の片鱗を覗かせた。そんな松岡さんのオーラには、主演の岡田さんも「思わず『松岡さん』と敬語で話しかけてしまうほど(笑)」(佐藤プロデューサー)だったとか。スタッフ、キャストから絶大なる信頼を寄せられている彼女の、さらに磨かれた演技力に期待がかかる。映画『ストレイヤーズ・クロニクル』は2015年6月、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年11月13日染谷将太と前田敦子がラブホテルを舞台に倦怠期の同棲カップルを演じる、「R15+」指定の話題作『さよなら歌舞伎町』。このほど本作初の映像となる予告編、さらにポスタービジュアルが到着した。本作の主人公は、一流ホテルマンと周囲に嘘をついている、ラブホテルの店長・徹(染谷将太)。彼はミュージシャンを目指す沙耶(前田敦子)と同棲しているがちょっぴり倦怠期。ある日、徹は勤め先の歌舞伎町のラブホテルでいつもの苛立つ1日を過ごすはずだった。そこに集まる年齢も職業も違うさまざまな男と女たち。彼らの人生が鮮やかに激しく交錯したときにあらわれる欲望や寂しさ、そして秘密。徹の人生もまた予期せぬ方へ変わっていく…。前田さん扮する沙耶の「ねぇ、しよ?」というどストレートな“お誘い”で幕を開ける、この予告編。一方の染谷さん演じるラブホテルの店長・徹は、ブルーのジャージ姿で「オレはね、今はこんなところで燻ってるけど、ここにいる人間じゃないんだ」と言いながらカップラーメンをすすり、まさに“ダメ男”全開な様子がうかがえる。さらに、南果歩、松重豊、村上淳、田口トモロヲ、イ・ウンウらが演じる一癖も二癖もある個性的なキャラクターが繰り広げる男と女の悲喜交々が綴られるが、映像の終盤には徹の勤めているラブホテルに沙耶が別の男やってきてしまい、そこでまさかの鉢合わせしてしまう…という一幕も。修羅場になりそうなシーンも、ゆる~いテンションから生み出れる絶妙な“間”が癖になりそうな本作。迷える大人たちの愛の巣箱で巻き起こる、のんびりとした濃いドラマを覗いてみて。『さよなら歌舞伎町』は2015年1月24日(土)よりテアトル新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年11月07日染谷将太と前田敦子が共演する映画『さよなら歌舞伎町』の予告編映像とポスタービジュアルが解禁された。ラブホテルに集う男女のある1日を描いた作品で、トロント映画祭や釜山映画祭に出品されるなど、公開前から大きな注目を集めている。『さよなら歌舞伎町』予告編映像映画は、新宿・歌舞伎町のラブホテルにやってきた年齢も職業もばらばらな訳アリな男女の1日を描いた群像劇。『ヴァイブレータ』『やわらかい生活』の廣木隆一監督と脚本家の荒井晴彦が3度目のタッグを組むほか、南果歩、松重豊、大森南朋、村上淳、忍成修吾、田口トモロヲ、イ・ウンウらが出演する。ポスタービジュアルは、ラブホテルを被写体にした作品を撮り続けているフォトグラファー、TAKAMURADAISUKEが新宿の街で撮り下ろしたもので、染谷は本作で一流ホテルマンだと彼女に嘘をついているラブホテルの店長・徹を演じる。予告編映像は、前田演じる、徹とマンネリな同棲生活を続けている沙耶の「ねぇ、しよ」というひと言からはじまり、秘密を抱えた男女がラブホテルという人間の性があらわになる場所で、交錯していくさまが映し出されている。なお、11月8日(土)よりテアトル新宿ほかで、本作の特典付き前売券の発売が開始され、劇場窓口で購入すると先着で“歌舞伎町ポストカードセット”がプレゼントされる。『さよなら歌舞伎町』2015年1月24日(土)テアトル新宿ほか全国順次公開
2014年11月07日10月30日(木)、第27回東京国際映画祭にてクロージング作品『寄生獣』の完成報告会見が行われ、主演の染谷将太、深津絵里、橋本愛、東出昌大、山崎貴監督が登壇した。原作は、人間に寄生し、支配と捕食を行うパラサイトとの共生と戦いを描いた、累計1200万部の売上を誇る岩明均の大人気コミック。パラサイトの襲撃を受けながら、脳だけは乗っ取りから免れた高校生・新一(染谷さん)と、新一の右腕に寄生したパラサイトのミギー(声:阿部サダヲ)が、さまざまなパラサイトたちと遭遇し、戦う姿を描く。「VFXの仕事を始めた時から、いつかVFXを担当したいと思っていた作品で、まさか監督を務めることになるとは」と、長年にわたる念願が叶った喜びを語り、感無量の面持ちを浮かべた山崎監督。一度はハリウッドが映画化権を獲得した経緯などをふり返り、「アメリカに嫁に行ったものと思っていたものが戻ってくることになって、だったら自分のところに嫁に来てほしいと思った」と、本作への熱い想いと執念を感じさせた。だがその一方で、劇中でパラサイトの寄生によって“顔が割れる”ことになる深津さんにオファーをするのは「怒られるんじゃないかと思って、言いづらかった」と告白。これに対し、深津さんは、顔が割れた自分の映像を観た時のことを「抵抗はありませんでした。気持ち悪かったですが、欲が出てしまって、『もっと割れろ』と思ってしまいました」と述懐し、笑いを巻き起こした。さらに、右手を乗っ取ったミギーがCGで描かれるため、ミギーとのやりとりをパントマイムのように演じた染谷さんは「阿部さんがアクション・キャプチャーで魅力的なミギーを作ってくれたので、ミギーが自分を魅力的に見せてくれるし、僕もミギーを魅力的に見せられるようにと思って演じました」と語り、「長い道のりだったけど、(完成した映画で)ミギーに出会えて涙が出そうでした」と喜びを語った。そして、「あっという間に終わってしまって、早く完結編を見せろと思いました」と、完結編への期待ものぞかせ、「ミギーが右手にいるのは世界で自分だけなので自慢なんですけど、ちょっと顔も割れたいです…」と茶目っ気たっぷりに語り会場を沸かせていた。映画『寄生獣』は11月29日(土)より全国東宝系にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年10月30日2015年2月11日(水)に東京・サントリーホールにて『Ryoko Classics2』を開催する森山良子が、ぴあのインタビューに答えた。『Ryoko Classics』は2013年に第1回が開催。アンコールを望む声が多く寄せられ、その期待に応えて、再びオーケストラとの共演が行なわれる運びとなった。公演ではオリジナル曲に加え、映画音楽やミュージカルのレパートリーも披露される予定。幅広いファンが楽しめる夢のコンサートになりそうだ。まずは、昨年2月にリリースしたアルバム『Ryoko Classics』について話を聞くと、「実は、声楽のトレーニングはつねにずっと続けているんですよ。私が子供の頃に出会った先生がいて、70歳半ばを越えられていますが、今でもレッスンを見ていただいてます。フォルテを出すときにも、正しいイメージの作り方を教えてくださって、声の小さな歪みも正していただける。先生自身も勉強をして、つねに前進されているんです。『Ryoko Classics』にはスペシャルサンクスを捧げたい人がふたりいて、それは音楽に厳しかった母と先生なんです」と語った。さらに、「歌う」ということに話が及ぶと「ピッチ(音程)って、最近ではあまりうるさく言われないものなのかも知れませんが、私は子供の頃から鼻歌を歌っていても、父と母から『低い低い、フラットしてる』といつも注意されていたんです(笑)。音楽はまずピッチありきなんですね。今ちょうどレコーディングの最中なのですが、スタッフはそれほど細かく気にしないんです。私はどうしても正しいピッチで歌いたいので、(コンピューターで)波形を見て、少しでも下がっているとやり直します」とこだわりを見せた。また、今回の公演のように80名のオーケストラと歌う時も発声は変わってくるそうで、「こんなふうに歌っていたのが(ラララ…とリラックスした声)、こんなふうに(オペラ歌手のようにボリュームのある輝かしい声)に変わります(笑)。オーケストラと共演するのは楽しいですよ。オーケストラ・アンサンブル金沢やNHK交響楽団とも共演してきましたが、毎回大きな刺激を受けます。アレンジもオリジナルですから新しい楽譜を作ることも大事な目標になります。クラシックの既成の譜面をそのまま使うのではなく、自分なりのニュアンスが出るスコアを、アレンジャーの方に作って頂いています」と明かした。最後に、来年2月の公演における選曲に関して「クラシカルな楽曲と、私がずっと歌ってきた『さとうきび畑』『涙そうそう』『この広い野原いっぱい』といった“森山良子はこういう曲”というものを盛り込みながら、映画音楽の名曲やミュージカルも歌う予定です。映画から生まれた曲には素晴らしいメロディがたくさんあります。そういった音楽をオリジナルとともに楽しんで頂きたいです」と語った。チケットは発売中。(取材・文:小田島久恵)
2014年10月29日ラブホテルを舞台に染谷将太&前田敦子が倦怠期の同棲カップルを演じる、「R15+」指定の話題作『さよなら歌舞伎町』。先日14日に終了した第39回トロント国際映画祭ワールドプレミアで高評価受けた本作が、10月2日(現地時間)より始まる第19回釜山国際映画祭「アジア映画の窓」部門に出品、この度、染谷さん、前田さんを含めたキャストが現地入りすることが明らかになった。一流ホテルマンと周囲に偽るラブホテルの店長・徹(染谷将太)。彼は有名ミュージシャンを目指す沙耶(前田敦子)と同棲しているがちょっぴり倦怠期。ある日、徹は、勤め先の歌舞伎町のラブホテルでいつもの苛立つ1日を過ごすはずだった。そこに集まる年齢も職業も違うさまざまな男と女たち。彼らの人生が鮮やかに激しく交錯したときにあらわれる欲望や寂しさ、そして秘密。徹の人生もまた予期せぬ方へ変わっていく…。メジャーからインディペンデントまで多彩な作品を手掛け、官能的な映像で男女の心の機微をすくい取ってきた廣木隆一が監督を務める本作。主演の徹役には、『TOKYO TRIBE』『神さまの言うとおり』『寄生獣』など次々と話題作に出演する染谷さん。相手役・沙耶を、トップアイドルから本格派女優の道を歩む前田さんが好演する。さらに群像劇を彩るのは脚本の面白さに集結した南果歩、松重豊、大森南朋、村上淳、忍成修吾、田口トモロヲほかキム・ギドク最新作『メビウス』出演の女優イ・ウンウと豪華個性派俳優陣たち。出品が決定した第19回釜山国際映画祭では、2日のオープニングセレモニー/レッドカーペットにて、南果歩、イ・ウンウ、廣木監督が参加、2回目の公式上映には染谷さん、相手役の前田さんが廣木監督とイ・ウンウとともに登壇する予定だ。本年度は浅野忠信&二階堂ふみがタブーの愛憎劇を描き話題となった『私の男』が同部門での出品を決定している。そして今回の映画祭参加に併せて本作の第一弾ビジュアルが解禁。「不器用で愛おしい人々へ―― 新宿 歌舞伎町のラブホテルのある1日。身も心も触れ合う場所で、さまざまな男女の人生が交錯したとき、きっと何かが見えてくる――」というキャッチコピーのもと、自転車に主演の染谷さんと彼女役の前田さんが新宿の街を2人乗りして疾走する姿が。彼らの向かう先に何があるのか?2人が前を向く姿勢に温かみを感じるビジュアルに思いを馳せてみて。『さよなら歌舞伎町』は2015年1月24日(土)よりテアトル新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年09月30日岡田准一(V6)が12月2日(月)、主演作『永遠の0(ゼロ)』の完成披露試写会に出席。共演した染谷将太を「可愛くてしょうがない」と評し、「撮影中『この映画は、君にかかっているよ』と追い込むと、いいリアクションをしてくれた」とデレデレだった。百田尚樹の同名ベストセラーを映画化。現代を生きる青年が、誰よりも「生きて帰りたい」と願いながらも戦場に赴き、いまの自分と同じ年で特攻に散った祖父の人生について調べ上げていくさま、60年の時を超えて明かされる深い“愛”を壮大なスケールで描き出す。東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催された完成披露試写会には、5,000人のファンが駆けつけ、岡田さんや染谷さんを始め、出席した三浦春馬、井上真央、濱田岳、新井浩文、染谷将太、三浦貴大、上田竜也、山崎貴監督に熱い声援を送った。岡田さんは“帝国海軍一の臆病者”と称された天才零戦パイロット・宮部久蔵を演じ、「しんどい役でした。当時を知っていらっしゃる方に認めてもらいたいという思いがあったので」と胸中を告白。その分、本作への思いは格別で「壮大な愛の物語。現場が命を削りながら、大切に撮りあげた作品なので、みなさんにとっても大事な作品になれば」と期待を寄せていた。現代を生きる青年役の三浦さんは、戦時下に生きた自身の祖父のエピソードを披露しながら「自分のルーツに触れるきっかけになった」と感慨深げ。また、田中泯、橋爪功、今年5月に亡くなった夏八木勲さんらと共演し、「素晴らしいキャリアを積み上げたみなさんのお姿に、刺激を受けました」としみじみ語った。また、井上さんは久蔵の妻・松乃を演じており「誰かを大切に思う気持ちは、時代を超えて共感できる部分。愛に包まれた絆を感じられる作品なので、ぜひ女性にも観ていただければ」とアピールしていた。『永遠の0』は12月21日(土)より全国東宝系にて公開。(内田涼(cinema名義))■関連作品:永遠の0 2013年12月21日より全国東宝系にて公開(C) 2013「永遠の0」製作委員会
2013年12月02日映画『人類資金』が10月19日(土)に公開を迎え、主演の佐藤浩市を始め、共演の香取慎吾、森山未來、観月ありさ、岸部一徳、オダギリジョーに原作者の福井晴敏、阪本順治監督が都内劇場で行われた舞台挨拶に登壇した。“M資金”と呼ばれる、旧日本軍が敗戦を前に祖国復興のために隠匿したという巨額の財産の存在を軸に、この10兆円で世界の仕組みを変えようとする者たちの姿を描いた経済サスペンス。30年以上前に“M資金”に関する本と出会って以来、ずっと映画化することを思い描いていたという阪本監督は、夢の結実に「昨日は眠れませんでした。いままでの映画(の公開時)で感じたことのなかった感動を覚えてます」と感慨を口にした。企画を立ててからも「人類(=人材)はあったけど、資金がなかった…(苦笑)」となかなか企画が進まない時期もあったが、「いま、経済が一番ホットな時期に公開を迎えてよかったなと思っています」と満足そうに頷いた。主演の佐藤さんは「完成に向けて、みんなが疾走していました」とスタッフ・キャスト陣の思いを代弁。香取さんは「最初に監督から『慎吾に世界を救ってもらいたい』と言われました(笑)。意味が分からなくて、台本を読んでも難しくて、こんなに何度も読み返したのは初めてというくらい何度も読んだ」と明かす。佐藤さんに森山さん、仲代達矢らとの共演は「毎日、緊張の日々でした」とふり返った。原作小説を手がけた福井さんは「今回ほど受け止められ方が予想できない作品は初めて」と語り、映画を観終えたばかりの観客に「どうでしたか?」と質問。拍手が沸き起こると、ホッとした表情を見せたが「難しかったと感じましたか?」とさらに質問。ここでも「難しかった」という意味の拍手が聞こえると、「そうですよね」と頷きつつ「もう1回観るとよく分かります。さらによく分かるために原作の小説も売ってます」とアピールし、会場は笑いに包まれた。暗殺者役で出演した韓国人俳優のユ・ジテからは祝福の手紙が届いたが、監督は彼が10年ほど前に日本に住んでいた頃からの知り合いであることを明かし「彼は本来主役を演じる俳優さんですが、ルワンダにボランティアに行ったり、ミャンマーに学校を作る活動をしており、僕が作ろうとしている世界観を理解してくれると思って、脚本がない状態でお願いした」と明かす。ユ・ジテとのアクションに挑んだ森山さんは、軍隊経験もあり、さらに本作のために体を鍛えた彼とのアクションで「(台本にあるように)跳ね返そうとしてもできないことがあった」と苦労を述懐。観月さんも、彼が190センチ近くある長身であり「顔が高くてキックするのも大変だった」とふり返る。さらに香取さんは「うろ覚えの韓国語や英語で話しかけたら、日本語ベラベラでした(笑)」と明かすなどユ・ジテとのエピソードに花を咲かせる。終いには直接の共演シーンのなかったオダギリさんまで「遠くでユ・ジテさんを見てました」と明かすなど、何故かみんな、ユ・ジテが大好き…?一方、佐藤さんは同じく共演したハリウッド・スターのヴィンセント・ギャロの存在に触れ「ヴィンセント・ギャロからは手紙届いてないの?」と不服そうに語り、会場は再び笑いに包まれた。ロシアにニューヨーク、タイと巡った本作の撮影の総移動距離は5万キロ超でおよそ地球1.3周分。これについて最後の最後でコメントを求められた佐藤さんは「難しい」とムチャぶりに困惑しつつ、「マイル貯めときゃよかった!」と語り、最後まで笑いの絶えない船出の舞台挨拶となった。『人類資金』は全国にて公開中。(黒豆直樹(cinema名義))■関連作品:人類資金 2013年10月19日より全国にて公開(C) 2013「人類資金」制作委員会
2013年10月19日俳優の森山未來が10月10日(木)、都内で行われた出演作『人類資金』のプレミア試写会にワイルドな“ヒゲ面”で登場。オスカー受賞作『アルゴ』で主演を務めたベン・アフレックを彷彿とさせる新たな魅力の開花に、ファンも熱視線を送っていた。映画は旧日本軍の秘密基金と言われる“M資金”を題材にした骨太エンターテインメント作品。プレミア試写会には森山さんを始め、主演の佐藤浩市、香取慎吾、石橋蓮司、寺島進、三浦誠己、岸部一徳、阪本順治監督、福井晴敏(原作者)が勢揃いした。日本映画界を代表する名優たちの集結に、香取さんは「そうそうたる先輩方の中で、とても緊張しながら、演じさせていただいた。未來くんだけ年下なので、先輩面していました(笑)」。森山さんも「こんな強者(つわもの)と肩を並べて、熱量がこもった作品に参加できたことを誇りに思います」と胸を張った。一方、“さすがの余裕”を見せつけたのが佐藤さん。本作に出演している観月ありさを引き合いに、「観月がいないと、こんなにむさ苦しいもんなんだ」と男だらけのステージに、苦笑いを浮かべて、客席の爆笑を誘っていた。主人公は金融ブローカーからM資金詐欺を繰り返して生きる男・真舟雄一(佐藤さん)。そんな彼の前に、“M”と名乗る謎の男とその腹心・石優樹(森山さん)が現れ、「10兆円あるM資金を一緒に盗み出して欲しい。報酬は50億円」と話を持ちかける…。2012年5月に邦画としては史上初めて、米ニューヨークの国連本部でロケを敢行し、森山さんの演説シーンを撮影。しかし、その時点では本作の製作に正式なゴーサインは出ていなかった。それでも同年秋から、国連の補修修理が始まってしまう関係で、ロケが“強行”されたのだとか。佐藤さんは「正直、行かないほうがいいとも思ったし、監督も『もし製作できないなら、国連っていう短編にする』って言っていましたよね(笑)」と裏話を暴露。阪本監督にとって、M資金という題材は30年来、構想を温めてきた念願の企画だけに「国連に行くことで、我々の本気度を示すことができ、映画製作の“資金”を集めることができました」と感慨しきりだった。『人類資金』は10月19日(土)より全国にて公開。(内田涼(cinema名義))■関連作品:人類資金 2013年10月19日より全国にて公開(C) 2013「人類資金」制作委員会
2013年10月10日小栗旬、森山未來らが出演するアクション・エンターテインメント大作『髑髏城の七人』の予告編映像がこのほど公開された。『髑髏城の七人』予告編本作は、劇団☆新感線の人気公演をデジタル技術を駆使してスクリーンで楽しむ“ゲキ×シネ“の記念すべき第10弾。天下統一をかけて武将たちが割拠していた戦国の世を舞台に、たった7人で2万を擁する関東髑髏党に戦いを挑んだ者たちの活躍を痛快に描く。本作は、中島かずき作、いのうえひでのり演出による劇団の代表作のひとつで、小栗、森山、早乙女太一、小池栄子、勝地涼、仲里依紗ら若手キャストを迎えて昨年上演した舞台を18台ものカメラを駆使して収録。このほど公開された予告編では、ひょんなことから戦乱に巻き込まれる捨之介(小栗)、関東髑髏党を束ねる最強の男・天魔王(森山)ら主要な登場人物を次々に紹介しながら、ダイナミックな殺陣、ポジション/ポーズまで完璧に計算された登場シーン、耳に残るキメ台詞の数々、そして観客を魅了する熱い人間ドラマの一端が紹介されている。エンターテインメントであることを純粋に追求し、重厚な劇世界を構築しながら毎公演、面白さとカッコよさを失わずに走り続けてきた劇団☆新感線だけに、予告編も痛快な描写が続々登場。映画館の客席が一体になるような、思わず歓声があがるような興奮必至の作品になりそうだ。『髑髏城の七人』2013年1月12日(土)より全国ロードショー
2012年11月14日アニメ映画化がその他の画像決定した『聖☆おにいさん』のメインキャラクター声優を森山未來(イエス役)と、星野源(ブッダ役)が務めることが発表され、ふたりからコメントが届いた。..『聖(セイント)☆おにいさん』は、“モーニング・ツー”にて連載中の中村光の同名コミックを映画化するコメディ作品。ブッダとイエスが、東京・立川でアパートをシェアし、下界でバカンスを満喫する様を描く。監督は、アニメ『THEIDOLM@STER』シリーズの演出を手がけた高雄統子。..共に声優初挑戦となる森山と星野。小学生の頃にキリストの伝記を、中学生の頃に手塚治虫の『旧約聖書物語』や『ブッダ』に触れていたという森山は、「『聖☆おにいさん』は何年か前に人からのすすめで単行本で読ませて頂いたんですが、中に盛り込まれている宗教的な小ネタがどれもわかるだけにたまらなく、これは日本ならではの距離感だなと感じた記憶があります」と言い、「イエスを演じるどうこうというより、とにかくアニメーションに言葉を乗せるという行為自体が初めてなので、自分にとって新しい現場をブッダ演じる源ちゃんとのコンビネーションも含めてとにかく楽しめればいいなと思っています」とコメント。..ブッダ役の星野は「元々アニメが大好きなので、『聖☆おにいさん』も新巻が出れば買っていました。違う価値観のふたりが一緒に暮らしているのがすごく好きです。人間は皆バラバラなのだ、と常々思っていたんですが、天界も同じだったのかと(笑)。でもそのふたりが相手を思いやりながら生活している。ある意味、すごく人間的で普遍的な話だなと思っていました。自分とお金に厳しく、シルクスクリーンが好きなブッダとして生きられるよう、頑張りたいと思います」と意気込みを語っている。..『聖☆おにいさん』.来春、東宝系にて全国ロードショー
2012年10月16日男女の性器が入れ替わる斬新なアイデアで恋とセックスの根源的関係を描く、異色の青春ラブストーリー『恋に至る病』。本作に出演した染谷将太が、木村承子監督が提示した強烈な世界観に圧倒されながらも、自分なりに答えを出したという本作のテーマについて語った。その他の写真新人監督の木村承子氏が、第21回ぴあフィルムフェスティバルのスカラシップを得て撮り上げた長編デビュー作。超絶妄想少女の女子高生ツブラ(我妻三輪子)と彼女が好意を抱く高校の生物教師マドカ(斉藤陽一郎)の“性器”が突然入れ替わってしまい、ツブラを慕う同級生のエン(佐津川愛美)と彼女を追いかけるマル(染谷)の四角関係を軸に、恋愛にまつわる人同士のコミュニケーションについて問う一作だ。染谷は「全体像が最初はイメージできず、撮影中も不思議な感覚でした」と特異な世界観に戸惑ったものの、完成した映画を観て「ツブラは木村監督そのものだと思いました(笑)」と感想を抱いたという。木村監督のパーソナルな想いを投影したと染谷が指摘するツブラは、愛するマドカと“溶けて混ざってひとつになったらいい”と妄想する、他者とつながりたい主人公だ。そこにある木村監督のメッセージについて、「男女は違う、別々の生きもので、どうしても分かり得ない壁がありますよね。この映画は明確に提示しないけれど、マルを演じる上でも出てきた壁でした」と語る染谷。違うからこそひとつになりたい衝動が生まれるわけだが、「女性特有の葛藤だと僕は思いました。木村監督だからこそ撮れたテーマで、ご本人の意見を僕も聞きたいです(笑)」と主題の解説を木村監督に委ねていた。本作を読み解くヒントとして、4人の名前―ツブラ、マドカ、エン、マル―が、すべて漢字の“円”で表現できるということを指摘しておきたい。染谷も“女性特有の葛藤”としながらも、「男女が完全に分かり合うことは無理にしても、ぶつかってまとまるしかないってことは考えました(笑)」と自分なりに答えを出した。単なる青春映画の枠を超えて、恋愛コミュニケーションの本質についても言及した本作。公開後の反響が楽しみな意欲作だ。『恋に至る病』2012年10月13日(土)より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー取材・文・写真:鴇田 崇
2012年10月12日来年1月に劇場公開される、劇団☆新感線の舞台を映像に収めたゲキシネ第10弾『髑髏城の七人』(どくろじょうのしちにん)の特報動画が到着し、小栗旬、森山未來、早乙女太一ら出演者の躍動感あふれる姿が披露された。特報動画『髑髏城の七人』は、中島かずき作、いのうえひでのり演出による劇団☆新感線の“いのうえ歌舞伎”と呼ばれる演目のひとつ。1990年に初演され、キャストを変えて7年ごとに上演されてきた人気作で、戦国の世を舞台に、たった7人で2万を擁する関東髑髏党に戦いを挑む者たちの活躍を描く。今回、劇場上映されるのは、小栗、森山、早乙女、小池栄子、勝地涼、仲里依紗ら若いキャストをむかえ、2011年8月から10月にかけて大阪と東京で上演された舞台『髑髏城の七人』を収録したもの。ストーリーや登場人物を新たな着想で再構築し、通称“ワカドクロ”と呼ばれ人気を博した本公演を、18台ものカメラを駆使し、カメラのアングルや音響など、臨場感にこだわって編集されている。このたび公開された特報動画は、小栗、森山らそれぞれの風貌や殺陣の演技などが収められた鬼気迫る内容となっており、特報は6日より各上映館でも観ることができる。『髑髏城の七人』2013年1月5日(土)より新宿バルト9先行公開2013年1月12日(土)より全国ロードショー
2012年10月09日主演・森山未來、演出・大根仁という組み合わせによる『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』が8月29日に東京・Shibuya O-EASTで開幕した。性転換手術の失敗で股間に「アングリーインチ(怒りの1インチ)」が残ってしまったロックシンガー、ヘドウィグ。愛と自由を求め続ける彼の半生を描いたこの物語は世界中で公演され、熱狂的なファンを持つ。今回はどんなヘドウィグが生み出されるのか、公演前から注目を集めていた。会場に一歩足を踏み入れると、通常の舞台では考えられないスタンディングエリアが際立ち、まさに音楽のライブ開演前の雰囲気。舞台上にはバンドセットが組まれ、その後方には部分的に骨がむき出しになった大きな壁。そこに投影されるのは地震、津波、原発……そんな言葉が躍る新聞だ。ひときわ大きな音楽が鳴りだすと、ものものしい防毒マスクをつけたギタリストが登場し、ギターをかき鳴らす。ドラム、ベースと次々にバンドメンバーが登場したところで、叫び声をあげながら客席から拡声器を持った小柄な人物がステージに登場した。マスクを外すと、イツァーク役の後藤まりこだ。彼女に気をとられているとステージ上方からつぎはぎのマントを身にまとった森山が降りてきた。大きく盛られた金髪、マントの下にはミニ丈のドレスに10㎝はあろうかという赤いヒール。真っ直ぐな視線を客席に投げかける彼の圧倒的な存在感が、既にこの作品の成功を予感させる。フラフラと階段を降りてきたかと思うとサングラスを投げ捨て「わかる?私はゆるい天国とゆるい地獄の間に立ちはだかった日本の新しい壁」と叫び、歌い始めた。舞台背景は3月11日以降の日本。このヘドウィグは立ち入り禁止区域の壁の向こう、スラム街で生まれた存在。そんな大胆な改変に違和感を持つことなくステージに見入ってしまう理由は、森山の立ち方だ。前方で撮影しているカメラマンに声をかけたり、客席に対して「ブスな反応ね!」と吐き捨てたりする森山ヘドウィグに、客席は戸惑いながらのめり込んでいく。そこに立つのはヘドウィグなのか、それとも森山本人なのか。フィクションとノンフィクションの間にそびえた壁が揺らぐ。2012年の東京・渋谷にしか生まれ得ないヘドウィグがそこにいる。まさにライブそのもの、ふたつとして同じ夜がないであろうこの舞台を体験できる幸運を噛みしめたい。ロック・ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』は、9月10日(月)までShibuya O-EAST、9月14日(金)から17日(月・祝)まで大阪・Zepp Namba(OSAKA)、9月22日(土・祝)・23日(日)に愛知・Zepp Nagoya、9月25日(火)・26日(水)に福岡・Zepp Fukuokaにて上演。その後、東京に戻り、9月28日(金)から30(日)までZepp DiverCity(TOKYO)にてツアーファイナルの公演が行われる。取材・文:釣木文恵
2012年08月30日森山未來と満島ひかりが共演するミュージカル『100万回生きたねこ』の制作発表会見が8月14日行われ、森山と満島と共に、演出・振付・美術を手がけるインバル・ピントとアブシャロム・ポラックが登壇した。『100万回生きたねこ』チケット情報佐野洋子のベストセラー絵本『100万回生きたねこ』を基に、2013年1月にミュージカルとして上演する本作。1996年に『DORA~100万回生きたねこ』のタイトルで上演されたものをリメイクする。今回は、イスラエルでの活動をベースに世界で活躍しているインバル・ピントとアブシャロム・ポラックが、原作絵本の圧倒的な美しさに共鳴し、演出・振付・美術を担当。また、戯曲は演劇界で注目を集めている若き劇作家、FUKAIPRODUCE羽衣の糸井幸之介、鉄割アルバトロスケットの戌井昭人、柿喰う客の中屋敷法仁の3名が執筆し、これを東京芸術劇場の芸術監督・野田秀樹の監修により1本の戯曲にまとめる。森山はタイトルロールの100万回生き返るトラ猫を、満島はトラ猫が初めて愛する白猫を演じる。会見で森山は「みなさんがイメージするミュージカルではないかもしれませんが、間違いなく楽しんでもらえる作品になると思う」と自信を見せる。ミュージカル初挑戦の満島は「小さいころからこの絵本が大好きで、何度も読んだ記憶があります。(出演者として)こういう形でこの絵本にまた出会えたのは嬉しいです」と本作に参加できる喜びを語った。既に4度目の共演となるふたり。お互いの印象を訊かれると森山は「映画、ドラマ、ストレートの芝居、ミュージカルを一緒にやる人は初めて!すごく信頼している人です」と話し、「本の中では“100万回生きた”とは言わない“死んだんだ”と言うんですよ。最後に、白猫と一緒にやっと死ぬことができる。どういう風に満島に殺してもらえるのか楽しみ」と期待を寄せる。これを受けて満島は「最近森山さんの顔が変わったなって思うんですよ。最初に出会った頃と違うんですね。久しぶりに会ったら素敵な男性になられていて。舞台は大先輩なので頼っていきたい。最終的には白猫になってこうできる感じになれればいいな」と抱きかかえるゼスチャーを交えつつ抱負を語った。既にワークショップを行っているアブシャロム・ポラックは「とても大きなチャレンジになると思っています。インバルと私は科学者がとても難しい実験を試みるような立場にあると思います。作品を創るレシピはまだ決まっていませんが、素晴らしい俳優とダンサー、ミュージシャンたちと一緒に創った作品をご覧いただいて、(観客を)あっと驚かせたい」とコメント。インバル・ピントは「原作を初めて読んだ時、感銘を受けました。この絵本の中には人生の中で非常に重要なメッセージが書いてあります。愛が何よりも大切であり、愛にたどり着くことが大切であると。直感を大事にして創っていきたい」と語った。公演は2013年1月8日(火)から27日(日)まで東京芸術劇場・プレイハウスにて上演。その後、大阪、北九州、広島で巡演する。チケットは9月1日(土)より一般発売開始。
2012年08月15日昨年、芥川賞を受賞した西村賢太の小説を気鋭、山下敦弘監督が映画化する『苦役列車』。本作が7月14日(土)から公開されるのを前に、主人公・北町貫多を演じた森山未來がインタビューに応じた。その他の写真作者の分身とも言える19歳の肉体労働者、貫多は始末に負えないひねくれ者。そんな主人公が初めて体験する青春らしき時間のあれやこれやを、森山は獰猛さと愛らしさが入り混じった絶妙な距離感で体現している。「中学を卒業してから、まともに誰かとかかわったことがなかった貫多は、19歳という年齢でたまたま康子(前田敦子)という女の子と、正二(高良健吾)という男の子と出逢う。それまではひとりだったし、これから先もひとりかもしれない。たとえば“恋愛”や“友達になる”というプロセスを踏んでいない。そんな貫多の“抜け落ち感”を伝えたいと思った。どこか自分のなかだけで完結してしまうところがあるんですよね。一気に卑屈になったり、一気にポジティブになったり」。とはいえ貫多というキャラクターに対して距離は感じなかったという。「すごく楽しかったです。居心地は悪くなかったし、ヘンに共感する部分も多かった。逞しさをわけてもらうようなところもありました。人って、何かしら守るものがあって強くなる、とよく言われますが、貫多って何も持ってないんですよ。それでも、這いつくばっても堂々と立ってられる強さがある。あの逞しさに『ありがとう』と言いたいですね」。特異な役でありながら、どこか観客が寄り添いたくなるのは、きっと森山のそんな心持ちによるところも大きいのだろう。「僕はいま、映画や舞台をやらせてもらうことで、なんとか自分を保てている部分があるけれど、もしこれがなかったら、いつだって貫多のようになる自信はあります(笑)。でも、どこかで、たとえどうなったって生きていける、とも思っている。貫多もそうなんですよ」。そう、『苦役列車』は、ふてぶてしくも、まぶしい生命力を感じさせる男の子の物語である。『苦役列車』7月14日(土)全国ロードショー取材・文:相田冬二写真:藪内 努(クラッカースタジオ)ネイビーシャツ/STUDIOUS/STUDIOUS PRESSROOM/\12600ワークパンツ/JANTIQUES/\9030サンダル/OURET/Sian PR/\34650ショップリストSTUDIOUS/PRESSROOM/東京都渋谷区渋谷2-2-3 ルカビルⅡ2F/03-6662-5525Sian PR/東京都渋谷区渋谷2-2-3 ルカビルⅡ3F/4F/03-6662-5525
2012年07月03日映画『苦役列車』の完成報告会見が14日、都内で開催され、主演の森山未來をはじめ、高良健吾、前田敦子(AKB48)、山下敦弘監督が出席した。その他の写真作家・西村賢太の芥川賞を受賞した同名私小説を映画化した本作。三畳一間に住み、日雇い仕事で生計を立てる19歳・北町貫多のひねくれた青春を描き出す。森山は本作を「花粉症対策映画」と表現。「土に触らず、滅菌・抗菌のものにしか触らず、本当に汚いものに触れないでいる人が多いけれど、菌に触れることで免疫ができる。この映画は人間の免疫を高めるのでぜひ触れてほしい」と力説した。高良は、高校2年生の時に山下監督の短編映画『その男狂棒に突き』を観て以来のファンだったそう。「高3で初めて監督の(作品の)オーディションを受けたときは落ちたけど(笑)、今回、参加できて幸せでした。現場に行く前は緊張して、病気なんじゃないかってくらい汗が出ました」と、念願かなって山下作品へ参加できた喜びを語った。同じく前田も山下監督の大ファンだったとあって「幸せ」を連発。「よく口癖で『あぁ、幸せ』って言うんですが、撮影の6日間は毎日ずっと幸せでした」と満面の笑み。完成した映画についても「自分が出ているとか関係なく、久しぶりに『映画観てるな』という感じでうれしい感情に浸りました。“山下ワールド”ってこれだって言う感じ。スパイスがたくさん入ってます!」と熱弁をふるった。森山は役の貫多になりきるために新宿にある三畳・共同シャワーのアパートを借り、そこで生活しながら現場に通ったという。「役にかこつけて毎日ゴールデン街に行けました。毎朝、顔を(むくみで)パンパンにして現場に向かいました」と明かした。そんな森山を高良は絶賛。「3つしか違わないのに、そういう役者との出会いは初めてでした。森山さんが顔をパンパンにして遅刻してくると、みんなが『すごいぞ!』ってホメて、むくみが取れないうちに『早く撮ろう!』となるいい現場でした(笑)」と一体感のある現場をふり返った。前田は森山が表現した貫多を「映画を観るにつれ、かわいくてしょうがなくなる!」と語り、山下監督もそんな森山の役へのなりきりぶりを「撮影が終わるころには“ミニ西村賢太”になってた」と称賛をおくった。『苦役列車』7月14日(土)全国ロードショー取材・文・写真:黒豆直樹
2012年06月14日芥川賞を受賞した西村賢太の同名小説を映画化した『苦役列車』が完成。6月14日(木)、完成披露試写会でのお披露目を前に主演の森山未來、高良健吾、前田敦子(AKB48) と山下敦弘監督が記者会見に臨んだ。19歳にしてその日暮らしの肉体労働者として三畳一間に暮らし、稼いだそばから酒と風俗に金を遣い、読書が唯一の趣味という北町貫多。現場で親しくなった同世代の正二や思いを寄せる大学生の康子らとの青春を飾り気なしに描き出す。森山さんは本作を「花粉症対策映画」というキャッチフレーズでアピール。その心はというと「抗菌、滅菌のものにしか触らずにいるから花粉症になる。本当に汚いもの、菌に触れば免疫ができます。この映画は免疫を高めてくれる映画」とのこと。「ぜひ触ってほしい」と呼びかけた。高良さんはインタビューなどで常々、一緒に仕事をしたい監督として山下監督の名を挙げていたそう。「現場では緊張して病気じゃないかってくらい汗が出ました。映画を観て『山下作品に自分がいるんだ!』と感じました」と感激を口にする。前田さんも「口癖で『ああ幸せ』とよく言うんですが、6日間の撮影で、毎日『幸せ』と言えていました。決して爽やかな映画ではないんですが、私が出ているところは『これって青春!』と言える爽やかさがあるので、ホッとしてほしいです」と自らの出演シーンの見どころを明かした。森山さんは役になりきるために実際に三畳のアパートで生活し、風呂にもろくに入らない生活を送ったそう。「三畳の閉塞感を実際に感じたかったんです。役にかこつけてゴールデン街にも行けました」とニッコリ。共演シーンの多かった高良さんは、髪の毛から日々、汚れていく森山さんの変化を感じていたとか。森山さんは飲み明かした状態で現場に来ることもあったそうだが「(むくみで)顔をパンパンにして、森山さんが遅刻してくるとみんなが『すごいぞ!』って褒めて、『早く撮ろう』となるいい現場でした(笑)」と明かした。山下監督も「『痩せてくれ』と言われてそうする役者はいるでしょうが、太るのは…。撮影が終わるころにはミニ西村賢太になってました」と絶賛していた。前田さんは、森山さん扮する貫多と高良さん演じる正二のどちらが好みかを問われると「貫多といるときの正二は完璧なキラキラ男子。貫多は最初、ひどい男だと思いましたが見るにつれてかわいくてしょうがなくなってくる。本当にかわいいです!だからどちらが気になるかと言われれば貫多」と告白。森山さんは喜びつつも「気になる部分はあっても触れたいかは別だと思いますよ」と、一筋縄ではいかない主人公を知り尽くした様子で苦笑を浮かべていた。『苦役列車』は7月14日(土)より全国にて公開。■関連作品:苦役列車 2012年7月14日より全国にて公開© 2012「苦役列車」製作委員会
2012年06月14日自身の壮絶な過去を綴り、第144回芥川賞を受賞した西村賢太氏の私小説を、『マイ・バック・ページ』の山下敦弘監督が映画化した『苦役列車』から、森山未來と前田敦子の共演シーン画像が初公開された。その他の写真本作は、日雇い労働にすがる19歳の主人公・北町貫多役に森山を迎え、貫多の職場の新入りで専門学校生の日下部正二役を高良健吾、映画オリジナルのヒロイン・桜井康子役を前田が演じる。今回公開された画像は、古本屋で店番をする康子に一目惚れした貫多が、日下部の協力を得て読書好きを理由に彼女と友達になり、家を訪れた場面。中学卒業後、他人を避け、ひとりぼっちで過ごしてきた貫多だけに、公開された画像からも、康子とどう接したら良いのか戸惑う貫多の不器用さが伝わってくる。6月2日(土)より特典付き劇場前売鑑賞券が全国の劇場で発売。前売特典は、貫多が日雇い労働でもらう給料袋をイメージした“貫多の給料袋”。中には、貫多と日下部、康子の写真が入ったデザインのお札メモが入っている。『苦役列車』7月14日(土)全国ロードショー
2012年05月25日オフ・ブロードウェイで上演され、熱狂的なファンを生みだした『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』。日本でもかつて三上博史、山本耕史が演じたこの作品に、森山未來がいま、新たな命を吹き込もうとしている。8~9月の上演に先がけ、森山に現在の心境を訊いた。『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』チケット情報「声をかけていただいてまず思ったのは、この作品は音楽が素晴らしいので、そこをもっと信用してもいいということですね。だからこそ、いわゆるミュージカルという言葉で想像する形とは違ったライブ感あふれるものにできないかと思っています」。映画『モテキ』でタッグを組んだ大根仁が上演台本・演出を手がけることも、ドラァグクイーンであるイツァーク役にミュージシャンの後藤まりこを起用することも、森山の発案だ。「ライブ仕立てにするからには、できるだけ演劇の匂いがしない方がいい。大根さんは音楽の知識が豊富で、ライブやフェスに自ら足を運ぶ、生の音楽をすごく信じている人。特にパンク好きだということも重要でした。過去の作品である『ヘドウィグ』を今の人に観てもらうためにも、ある種の破壊は必要だという思いがあったので。後藤まりこさんは『モテキ的音楽のススメCOVERS FOR MTK LOVERS盤』で広末涼子さんのカバーがとてもよくて。彼女は破壊班になるかもしれません(笑)」。ヘドウィグを壊す。それは原作のジョン・キャメロン・ミッチェルの「どの時代にも、世界中にもヘドウィグという存在はいる」という言葉のとおり、2012年の日本でしかできないものを見せるということ。「いまここで僕がヘドウィグという存在を演じるのに、アメリカ人になる必要はないと思っています。まだどうなるかわかりませんが、大根さんとも『ドメスティックにしていこうか』と話し合っています」。話を聞けば聞くほど、森山未來プロデュースと謳ってもいいほどの関わり方をしている今作。しかし、本人はあくまで役者というポジションを崩そうとしない。「いま、劇作家や演出家の意図に従うように個性を抑えている役者さんが多いような気がしているんです。もちろんそのやり方も否定はしませんが、僕は役として立ちながらも森山未來でしかない、という感じで舞台に立ちたいんです」。抽象画家バーネット・ニューマンの絵との出会いやアインシュタインの相対性理論など、一見関係なさそうな話を重ねながらも「意志を持つ役者」として今作に挑む気持ちを、言葉を尽くし、様々な表現で語ってくれた森山。その思いは並のものではない。「とにかく音楽が好きで舞台に馴染みのない人にも観てほしい。スタンディングでも足腰を疲れさせないようなステージを成立させられるか、かなり悩んでいますが、楽しみです」。公演は8月29日(水)から9月10日(月)まで東京・Shibuya O-EASTにて上演。チケットは5月26日(土)より一般発売開始。その後、大阪、愛知、福岡と各地を回る。取材・文:釣木文恵
2012年05月25日映画『生きてるものはいないのか』が2月18日(土)に公開され、石井岳龍監督を始め、染谷将太、白石廿日、飯田あさと、高橋真唯、池永亜美、札内幸太、羽染達也、青木英李、田中こなつ、渋川清彦、津田翔志朗、芹沢興人、杉浦千鶴子、村上淳の総勢15名による舞台挨拶が行われた。石井監督の『五条霊戦記 GOJOE』(’00)以来となる長編映画で、前田司郎の戯曲を映画化。怪しい都市伝説がささやかれる大学を舞台に、次々と謎の最期を迎える登場人物たちの姿を描いていく。石井聰互から石井岳龍へと改名した監督は「心機一転、デビュー作のつもり」と語る。キャスト陣14人には、制限時間30秒の中での自己紹介と、監督の改名にちなんで「自分自身の変えたい部分」というお題が与えられた。それぞれ「性別を変えたい」(津田さん)、「性格を変えたい」(飯田さん)、「肩こりがひどいので肩から首筋を替えたい」(杉浦さん)などなど、個性豊かな回答がなされた。渋川さんの口からは「浮気性なところを変えたい!」と意味深発言が飛び出したが、これには村上さんがなぜか壇上で大爆笑。最後の最後に順番が回ってきた染谷さんは「こんなに考える時間があったのに、何も思いつけないダメな自分を変えたい…」と嘆息まじりに語り、会場は笑いに包まれた。さらに「爆発してしまうときは?」という奇妙なお題が出されたが、渋川さんは「彼女とケンカしたとき…あのときは爆発してますね」とプライベートネタで堂々と勝負!村上さんは「日々、映画館で爆発してます」と飄々とした表情で謎の回答を寄せた。そんな2人を見ながら染谷さんは「僕も先輩方くらい爆発したいです…。石井監督が長編を撮られると聞いて役者として以前に、個人的に興奮しました。まさか自分が参加できるとは思ってなかったので、現場では爆発しっぱなしでした」とキレイにまとめた。『生きてるものはいないのか』はユーロスペースほか全国にて公開中。■関連作品:生きてるものはいないのか 2012年2月18日よりユーロスペースほか全国にて公開© DRAGON MOUNTAIN LLC.■関連記事:染谷将太、「周りでどんどん人が死んでいく」現場に困惑ヴェネチア映画祭新人賞の染谷将太主演『生きてるものはいないのか』試写会に5組10名様ご招待染谷将太、「トイレでふと思い立って」役作りで喫茶店のバイトを経験
2012年02月20日俳優の伊勢谷友介が8年ぶり2度目のメガホンを取った『セイジ−陸の魚−』。辻内智貴の同名小説を映画化した本作に西島秀俊、森山未來という人気・実力を兼ね備えた2人がW主演で顔を揃えた。映画ファンならば期待せずにはいられない監督×キャストの化学反応は事実、観客の想像をはるかに超えるものとなった。伊勢谷監督からの熱烈オファーに「本当に行動力がある人」(西島さん)、「他人の巻き込み方がすごいんです(笑)」(森山さん)と応えた2人は、いかに本作と向き合い、伊勢谷ワールドの住人となりえたのか。学生最後の夏休みを利用し、あてのない自転車旅行に出かけた“僕”(森山さん)は、山道で軽トラックと衝突。手当てを受けるため連れて行かれたドライブイン・HOUSE475には、雇われ店主のセイジ(西島さん)の姿があった。物静かだが、発する言葉は不思議な力を持ち、ドライブインに集う常連客からも慕われる存在だ。「普通の人とは違った視点で生きる人間を演じてみたかった。セイジは僕らより、はるかにいろんなものを達観している人物だと思います」と西島さん。あえて演じる役柄に対し、理解や共感できる要素は求めなかった。「例えば、僕は殺人犯じゃないです(笑)。でも演じることはできる。その人物の奥底に潜む“何か”に触れてみたいという気持ちがあれば、演じられると思います」。セイジという人物に関しては、「特に彼が抱える心の闇を捕まえたかった。いや、捕まえられるという確信がありました。根拠はないんですけどね(笑)」。根拠なき確信。これぞ俳優にしか分かりえない、芝居の不可思議な魅力だ。実は西島さん、本作撮影の前後にアミール・ナデリ監督の『CUT』にも出演していた。暴力にさらされながら、自らの映画愛を狂おしいほどに貫く映画監督・秀二を演じ、肉体的にも精神的にも追い詰められた状態だったという。「本来なら、絶対に時間を空けて取り組むべきなんですけど、今回は伊勢谷監督も『連続でやったほうがプラスなんじゃないか』と言ってくれて。設定は全然違いますが、何か自分よりも大きなもの、例えば罪といったものを背負ってしまった点はセイジも秀二も似ているかもしれない。確かに『CUT』で得た狂気のエネルギーを、そのまま『セイジ』に持ってきて、違う形で広げることができたと思います」(西島さん)。一方、森山さんが演じる“僕”は、セイジと彼を取り巻く人々や環境を見つめる傍観者という立ち位置。演技にもまた、共演者との微妙な距離感が求められた。「“僕”自身、セイジが抱える背景は知らないし、ちゃんと向き合うこともしない。それに斜に構えた性格だから、セイジさんに確信的なことを言われると、しゃくに障るというか、腑(ふ)に落ちない…でも、やっぱり気になっちゃうというグルグルした感じですね」(森山さん)。そこでたどり着いた答えは「もう、ただただセイジさんや周りの人たちに振り回されればいいやって」という達観。単なる師弟の関係性で、セイジを慕うような“僕”にはしたくなかったという。もちろん“僕”はただ振り回されるだけの存在ではない。森山さんは“僕”に近づく役作りの一環として、東京からロケ地となった栃木県・日光まで役柄そのままに一人自転車を走らせ、現場入りした。「まあ、そういうのはだいたい悪ノリですけどね」と森山さん(すぐさま、西島さんが「そんなことないでしょ」とツッコミを入れた)。「確かに自転車を走らせながら、“僕”を少しずつ作り上げた部分はありますね。正直、現場に行って“スイッチポン”で役に入れるタイプじゃないので、俳優である僕にとっては、必要なことだったと思います」。役柄へたどり着く旅路は、演じる俳優にとって千差万別。「正解はないんです」という森山さんの言葉が印象的だ。果たして伊勢谷ワールドの住人となった西島さんと森山さん。シンプルでどこか牧歌的な空気が流れる前半から一転、凄惨な事件によって、すべての歯車が狂い始めると、2人の演技はより深遠に、そして予想不可能なベクトルへと歩み始める。傷ついた魂の救済を目指すセイジ、もはや傍観者ではいられない“僕”が出した答えとは?決して言葉では説明できない決断が、俳優2人の演技によってのみスクリーンに結実する瞬間は、映画ファンに苦しくも至福の喜びを与えるはずだ。(photo / text:Ryo Uchida)■関連作品:セイジ-陸の魚- 2012年2月18日よりテアトル新宿ほか全国にて公開(C) 2011 Kino Films/Kinoshita Management Co.,Ltd
2012年02月16日俳優としても活躍する伊勢谷友介が8年ぶりにメガホンを執った映画『セイジ -陸の魚-』の完成披露試写会が10日に都内で行われ、主演の西島秀俊、森山未來と伊勢谷監督が登壇した。その他の写真本作は、太宰治賞に輝く辻内智貫の同名小説を映画化。美しい自然を舞台に、大学最後の夏休みに自転車でひとり旅をしていた“僕”(森山)と、国道沿いのドライブインで純粋に生きる男セイジ(西島)とのひと夏の日々を描く。この日集まった350人以上の観客からの大歓声で迎えられた伊勢谷監督は「5年かけた作品をみんなに観てもらえると思うと嬉しい」とあいさつ。撮影現場の話題になると、伊勢谷監督は「とにかく西島さんの体がすごくて。俺、『明日のジョー』であんだけ頑張って鍛えたのに、彼に現場で全部持って行かれました!」とチクリ。西島は苦笑しながら「セイジの役に近づくために余分なものをそぎ落として、精神的にも研ぎ澄まされた感じで演じることができました」と話し、撮影中は食事を控えるなど減量に徹したようだ。また、伊勢谷監督は「今回、自分の好きな役者さんたちを集めました。僕のつたない脚本を120%、150%以上にと高めてくれる瞬間に立ち会えたことが、たまらなかった!」と出演者を賞賛。さらに西島は森山に対し「日本で一番エグい俳優」と語ると、伊勢谷監督は森山が西島を「こんなに映画狂いな役者いないよね(笑)」「この変態!」と言っていたことを明かすひと幕もあった。最後に伊勢谷監督は「年齢によって、さまざまな捉え方があると思うので、1回観たらまた5年後に観てほしい」と締めくくり、作品をPRした。『セイジ -陸の魚-』は18日(土)より公開。『セイジ -陸の魚-』2012年2月18日(土)より、テアトル新宿ほか全国順次ロードショー(C)2011 Kino Films. All rights reserved.写真:内田涼
2012年02月10日太宰治賞に輝く辻内智貫の小説を伊勢谷友介が映画化した『セイジ -陸の魚-』。伊勢谷、主演の西島秀俊、森山未來という映画愛に満ちた3人が個性を競い、「マイウェイで疾走した結果、危ういバランスの作品に仕上がった(森山)」という渾身作。西島、森山が語った。その他の写真本作は、国道沿いのドライブイン"HOUSE475"を舞台に、大学最後の夏休みに自転車でひとり旅をする"僕"が、ドライブインで純粋に生きる男"セイジ"と出会い、共同生活をおくる人間ドラマ。「"セイジ"のように自然と人間の境界にいるような存在を演じてみたかった(西島)」、「伊勢谷さんが監督で、西島さんがいて、そしてバックには自然が広がっていて、すごく危ういバランスを感じました。その雰囲気を想った時に、"僕"を演じてみたいと思いました(森山)」と出演理由を明かす2人。俳優でもある伊勢谷が『カクト』以来8年ぶりに監督を務めることも大きく、「このキャスティングは伊勢谷監督が化学反応を求めてのことだったと思う(西島)」とシナジーへの期待は3人の中で共通する想いだった。やがて"僕"は抗しがたい"セイジ"の魅力に惹き込まれ、人生の意味を自問自答しながらも、仲間たちと楽しく日々を過ごす。しかし、ある日、街で凄惨な事件が起きてしまい、"人生の本質"や"救い"というテーマがシリアスな色彩に変調しながら、危うい関係の登場人物たちの葛藤によって問い直されていく。その見事な映像表現は伊勢谷によるコントロールだけではなく、「伊勢谷監督も僕も森山君も、すごくマイペースのままでよかった。基本的に自分のやり方を貫くので、3人とも同じで(笑)。それがよかったと思います(西島)」、「マイペースというか、マイウェイ(笑)。伊勢谷監督は僕らのことを"とっぽい"と言っていましたが、映画を観て監督が一番"とっぽい"なと(笑)。それが相乗効果じゃないかなという気はしました(森山)」と三者の個性が競り合った現場を回想していた。「3人が全員同じ方向へ走っているというよりは、バラバラに走って散って行って、それが結果的に作品になっている(西島)」、「マイウェイで疾走した結果、危ういバランスの作品に仕上がった(森山)」と本作の手応えを実感する2人。映画愛に満ちあふれ映画に愛された伊勢谷、西島、森山の才能が激突した『セイジ -陸の魚-』。この化学反応を見逃すな!『セイジ -陸の魚-』2012年2月18日(土)より、テアトル新宿ほか全国順次ロードショー文:鴇田 崇
2012年02月01日映画『生きてるものはいないのか』のプレミア試写会が1月24日(火)に都内劇場で開催され、石井岳龍(※石井聰亙改め)監督を始め、染谷将太、高梨臨、高橋真唯、白石廿日、飯田あさと、田島ゆみか、池永亜美、札内幸太、師岡広明、羽染達也、青木英李、田中こなつ、津田翔志朗、芹澤興人の15名が登壇した。石井監督にとって10年ぶりの長編映画となる本作。劇作家・前田司郎の戯曲を原作に、怪しい都市伝説がささやかれる大学で登場人物たちの奇怪な最期の瞬間が次々と描き出されていく。撮影はシーンごとに別々に行われたため「これだけのキャストが顔を合わせるのは初めて」と石井監督は興奮気味に語る。オーディションでキャストを選んだが「日本映画の若手たちと映画が作れて勇気づけられました」と若手俳優の台頭を喜んだ。染谷さんは「周りで次々と人が死んでいくのは味わったことのない感覚でした」とふり返った。また「リハーサルで田中さんと歩いているときに人が死んでいくという場面で、僕はラストシーンに向けて行かなくちゃいけないんだけど、監督に『助けないのか?』と言われて葛藤を味わいました」と個性的な石井監督の演出の一端を明かした。ほかのキャスト陣からも「オーディションのときから『派手に死んでほしい』と言われて、死ぬシーンはプレッシャーでした」(札内さん)、「いかに派手に無様に死ぬか…。隣の部屋から『ギャーッ!』って声が聞こえてきました(笑)」(高梨さん)など“死にざま”にまつわるエピソードが次々と語られた。キャスト陣を代表して、タイトルにちなんで「生きている」と実感する瞬間を尋ねられた染谷さんは「俺に聞かない方が…」と苦笑。司会者から「演じてる瞬間は?」と助け舟を出されるも「いや…(演技中は)いっぱいいっぱいです!」と照れくさそうに語っていた。『生きてるものはいないのか』は2月18日(土)よりユーロスペースほかにて公開。■関連作品:ヒミズ 2012年1月14日より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ生きてるものはいないのか 2012年2月18日よりユーロスペースほか全国にて公開© DRAGON MOUNTAIN LLC.■関連記事:染谷将太×二階堂ふみ、ガチの殴り合い!原作にない『ヒミズ』本編映像が到着第66回毎日映画コンクール最高賞は『一枚のハガキ』、男優賞に『モテキ』森山未來染谷将太が二階堂ふみの現場でのイタズラ告発するも「覚えてないですね」『ヒミズ』染谷将太×二階堂ふみインタビュー重なり合う若き魂、互いをどう見てる?二階堂ふみの「朝帰り」願望にどよめき
2012年01月25日昨年のヴェネチア国際映画祭で、日本人初の快挙となる最優秀新人賞(マルチェロ・マストロヤンニ賞)を染谷将太と二階堂ふみがW受賞して以来、一気に脚光を浴び、先週末より満席続出の大ヒットを記録している『ヒミズ』。世界の映画通たちを唸らせた注目の若き才能の圧倒的な存在感を証明する、本編の見どころ映像の一部がシネマカフェに到着した!「行け!稲中卓球部」で知られる古谷実の漫画を原作に、“普通の大人になること”を願う住田(15歳)と“愛する人と守り守られ生きること”を夢見る茶沢(15歳)が、ある事件を発端に対面する壮絶なドラマを描いた青春感動作。今回シネマカフェに届いたのは、本編から厳選された2本の映像。一本目は原作にはない園監督によるオリジナルシーンで、染谷さん扮する住田と二階堂さん扮する茶沢が“ガチ”で殴りあうシーンだ。どしゃ降りの雨の中、茶沢が「5・7・5」の韻に合わせて住田にいきなりビンタを喰らわせれば、最初は戸惑っていた住田も売られたケンカを買ったとばかりに容赦ないパンチで茶沢を追い込む始末…。本人談によれば「お互い本気で叩き合っていた」というが、「生まれて初めて女の子をビンタしました」という染谷さんに対して「カットがかかった瞬間、(染谷くんは)『大丈夫?』って急に優しくなるんです。優しくされると涙が出そうになるからやめてくださいって(笑)」(二階堂さん)というエピソードも。その次に映し出されるのは、原作漫画を忠実に再現したシーンの一つ。普通の中学生でありたいと願いながらも親に捨てられてしまった住田のもとに茶沢が押しかけ、慰めつつも住田以上にパニックに陥っている姿は可笑しくもある。迫真の混乱ぶりを見せる二階堂さんとマイペースな染谷さんのあうんの呼吸を感じさせる、こちらも見逃せないシーンだ。初日を迎えた週末には園子温監督や原作ファンなどのコア層に加えてシニア層やカップルまで幅広い客層を集客し、渋谷シネクイントでのレイトショーでは立ち見も出るほどの大盛況を見せている本作。芸能界の著名人の数々が自身のブログ等で本作をプライベートで鑑賞したという書き込みも多く見られているのだとか。観た人の多くが絶賛するワケとは?それを裏付ける、世界に誇る2人の堂々の演技をこちらで確かめてみて。『ヒミズ』は新宿バルト9、シネクイントほか全国にて公開中。※こちらの映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:ヒミズ 2012年1月14日より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:第66回毎日映画コンクール最高賞は『一枚のハガキ』、男優賞に『モテキ』森山未來染谷将太が二階堂ふみの現場でのイタズラ告発するも「覚えてないですね」『ヒミズ』染谷将太×二階堂ふみインタビュー重なり合う若き魂、互いをどう見てる?二階堂ふみの「朝帰り」願望にどよめき被災地支援、出産、離婚までセレブたちの2011年をふり返り
2012年01月19日古谷実の漫画を映画化した『ヒミズ』が1月14日(土)に公開初日を迎え、主演の染谷将太、二階堂ふみ、園子温監督が舞台挨拶に登壇した。普通に生きたいと願いつつもクズのような親のせいで苦難の道を歩むことになる中学生・住田。彼と彼を愛する同級生の茶沢が死よりもつらい現実を乗り越え、生きていくさまを描き出す。これまでオリジナル作品だけを世に送り出してきた園監督。「原作の魂に忠実でありたい、原作の良いところを壊さないようにと思って取り組んだ」と初の原作ものの映画化について語る。染谷さんは園監督の現場について「とてつもなく自由な現場でした。やりたいことをやっていい雰囲気を監督が作ってくれました」と述懐。「泥だらけになるシーンもその日、雨だったからそうしたんです。想像もできないような発想を現場で監督がくださって、毎日刺激を受けてました」と感謝の思いを込めてふり返った。二階堂さんはクランクアップの翌日、学校に登校する途中に事故に遭いかけたことを告白。あまりに役に入り込んでいたことで、撮影終了後もなかなか役が抜けず、日常になじめずにいたという。撮影現場でのエピソードを尋ねると、染谷さんが「(二階堂さんが)控室でちょっかい出してきて、イライラしました」と明かしたが、告発された二階堂さんは「覚えてないですね。私は真面目に現場に取り組んでたんで…」としらを切り通す。これに対して染谷さんは「メイキングを見てください!」と怒り心頭の様子。2人のやり取りに会場では温かい笑いが起こった。園監督は2人の芝居について、染谷さんに「65点」、二階堂さんに「64点」という採点をつけたが「満点あげようかとも思ったけど、まだピークではないからね。まだ天狗になるときじゃない」とエール。「2人とも現場では、まだまだ素晴らしい芝居ができるはずだと可能性を信じて、どんどん成長していった」と称賛を贈った。この日はさらに、映画に感動したという原作者の古谷さんから、劇中の2人の様子を描いたメッセージ入りのイラストが届けられた。染谷さんは「映画をやらせてもらった身として、(原作者との)距離の取り方が難しいものですが、嬉しいです」とホッとした表情を見せていた。『ヒミズ』は新宿バルト9、シネクイントほか全国にて公開中。■関連作品:ヒミズ 2012年1月14日より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:『ヒミズ』染谷将太×二階堂ふみインタビュー重なり合う若き魂、互いをどう見てる?二階堂ふみの「朝帰り」願望にどよめき被災地支援、出産、離婚までセレブたちの2011年をふり返り染谷将太と二階堂ふみが“ヴェネチア”トロフィーとご対面!なんとモグラも祝福!?衝撃の青春感動作『ヒミズ』夫婦&カップル限定試写会に35組70名様をご招待
2012年01月15日2人が醸し出しているのは“独特の存在感”なんていう生やさしいシロモノではない。異彩、違和感…いや異物感?10代にして染谷将太と二階堂ふみは、ほかの同世代の俳優たちにはない、形容しがたい“何か”を身にまとっている。そしてそれは映画『ヒミズ』において、鬼才・園子温の手を介して化学変化を遂げ、衝撃と共に観る者の心を貫く。彼らの叫びは、言葉にならない魂の咆哮は、痛みはどのように生まれたのか?2人に話を聞いた。「行け!稲中卓球部」などのギャグ漫画で知られる古谷実が笑いを封印して送り出した異色の漫画作品を原作とする本作。一切の夢も希望も持たず、ごくごく普通に生きることだけを望みつつも、そんな思いとは裏腹に絶望的な非日常に巻き込まれていく住田と彼を慕ってやまない茶沢の壮絶な青春を描き出す。さらには3.11の東日本大震災発生を受け、設定を「震災後の日本」に変更し、全ての撮影が終わった後で被災地での撮影が敢行された。少年は佇む。雨の中に、崩れ落ちた被災地の静寂の中に。もがき、這いずる。泥の中を。住田という役を演じる上で、園監督に染谷さんが与えられたのは、ただひたすらの“自由”。だが、自由に演じるほど難しいことはない。「(脚本の)ト書きがないんです。いや、あるけど関係ない。無視して勝手に動いて、セリフも自分が言いたいように変えながら演じました。でも単に『自由に』と言われてもできなかったですよ、最初。一番初めのリハーサルなんて(二階堂さんと)2人で突っ立ってただしゃべってるだけでしたから。確かにそれじゃ面白くないですよね(笑)。自由にやらせてくれるんですが、自由にやれるように園さんはリハーサルを何度も重ねてくれたんです。そうやってリハーサルを重ねるにつれて体が軽くなっていくのが分かりました」。本作に限らず、ひと癖もふた癖もある役どころを演じることが多い染谷さん。役柄へのアプローチについては「毎回、監督によって違いますが…」と前置きし“捨てること”の重要性を説く。「調べ物をして知識を蓄えたり、用意したりするんですが、常に一貫しているのは、クランクインしたときにそれらを全て一度、捨てるんです。正確に言うと捨てざるを得ない。(蓄えてきたものが)無意識に出ること?はい、それはありますよ。でも意識すると出過ぎちゃう。なるべく影響されないように…と言ってもどこかしらで影響されるものなので。何て言うか…やってみたら分かるんですよね」。二階堂さんは時に強烈なパンチを浴び、河原を転げ落ちながら、突飛で破天荒でひたむきな茶沢を体現した。「基本的にあまり考えるタイプではないので、いわゆる“役作り”はしません」。真っ直ぐな瞳でこちらを見つめながら茶沢になりきっていく過程を明かしてくれた。「特に今回は現場で感じたままをそのまま出すのがいいかなと思いました。とにかくやってみようと、現場でのテンションや雰囲気、空気感を大切にしました。役柄に関してはどんな役もやっぱり私自身だから、演じながら『この子はこういう子だな』とか感じたりすることはほとんどないんです。その中で今回、茶沢になって、ものすごく住田が好きで、『守ってあげたい、守りたいよ』という気持ちが素直に込み上げてきましたね。クランクインしたその日から、自分が茶沢としてそこに立っているというのがすごく感動的でした。茶沢として成長するというよりも、私にとっては住田との距離を縮めていくということが何より重要でしたね。2人の距離が茶沢に直結しているというか…日に日に住田との距離が近くなっていくのをひしひしと感じていました」。「住田と茶沢の若さがエネルギーの塊だったと思う」(二階堂さん)、「人間力…人の力ってすごいなというのをこの映画に関わる役者や全てのスタッフを見て感じた」(染谷さん)と、2人はこの作品の根底にある“強さ”を分析する。特に観る者の心に突き刺さってくるのが、ヴェネチア国際映画祭でも反響を呼んだという、茶沢による「がんばれ住田!」の連呼。汗と涙にまみれながら茶沢は住田を励まし続ける。気安く言われたら腹が立つ「がんばれ」という言葉だが、少女の叫びは素直に心に響くと同時に一緒に叫び出したくなるような衝動さえももたらす。「心の底から…本当に嘘のない『がんばれ』を言いましたね。セリフではなく自然と出てくる言葉でした。ラストがああいう形で本当によかったと思うし、私自身もあのシーンでオールアップだったんですが、ものすごく感動しました」(二階堂さん)。役柄やシーンについて2人で話し合うことは「全編を通じて一度もなかった」(染谷さん)という一方で、撮影の合間には他愛もないおしゃべりで盛り上がることもあったとか。映画の中でこれだけの“化学反応”を見せている2人が普段はどのように絡み、互いをどのように見ているのか気になるが…。染谷さんが明かす。「ふみちゃんはイタズラっ子ですね。どんなことされたか?いや、特にイタズラされてないかもしれないんですが(笑)、何かイタズラっぽい悪い顔をするんですよね。(二階堂さんを指しつつ)ほら、こういう顔です(笑)」。一方の二階堂さんは染谷さんについてしみじみとこう語る。「お父さん…ですかね(笑)?父親のように見守ってくれます。前世ではきっとお兄ちゃんですね。兄妹だったんじゃないかって思ってます」。ここに描き出されるのは底なしの絶望でも単純な希望でもない。生と死、肯定と否定、愛と憎悪が入り混じり、3.11以降の新しい世界を静かに照らし出す。2つの若き魂が引き起こしたディープインパクトを肌で感じてほしい。(photo/text:Naoki Kurozu)■関連作品:ヒミズ 2012年1月14日より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:二階堂ふみの「朝帰り」願望にどよめき被災地支援、出産、離婚までセレブたちの2011年をふり返り染谷将太と二階堂ふみが“ヴェネチア”トロフィーとご対面!なんとモグラも祝福!?衝撃の青春感動作『ヒミズ』夫婦&カップル限定試写会に35組70名様をご招待ヴェネチア国際映画祭で喝采!『ヒミズ』レビュアー限定試写会に15組30名様ご招待
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