芥川賞を受賞した西村賢太の同名小説を映画化した『苦役列車』が完成。6月14日(木)、完成披露試写会でのお披露目を前に主演の森山未來、高良健吾、前田敦子(AKB48) と山下敦弘監督が記者会見に臨んだ。19歳にしてその日暮らしの肉体労働者として三畳一間に暮らし、稼いだそばから酒と風俗に金を遣い、読書が唯一の趣味という北町貫多。現場で親しくなった同世代の正二や思いを寄せる大学生の康子らとの青春を飾り気なしに描き出す。森山さんは本作を「花粉症対策映画」というキャッチフレーズでアピール。その心はというと「抗菌、滅菌のものにしか触らずにいるから花粉症になる。本当に汚いもの、菌に触れば免疫ができます。この映画は免疫を高めてくれる映画」とのこと。「ぜひ触ってほしい」と呼びかけた。高良さんはインタビューなどで常々、一緒に仕事をしたい監督として山下監督の名を挙げていたそう。「現場では緊張して病気じゃないかってくらい汗が出ました。映画を観て『山下作品に自分がいるんだ!』と感じました」と感激を口にする。前田さんも「口癖で『ああ幸せ』とよく言うんですが、6日間の撮影で、毎日『幸せ』と言えていました。決して爽やかな映画ではないんですが、私が出ているところは『これって青春!』と言える爽やかさがあるので、ホッとしてほしいです」と自らの出演シーンの見どころを明かした。森山さんは役になりきるために実際に三畳のアパートで生活し、風呂にもろくに入らない生活を送ったそう。「三畳の閉塞感を実際に感じたかったんです。役にかこつけてゴールデン街にも行けました」とニッコリ。共演シーンの多かった高良さんは、髪の毛から日々、汚れていく森山さんの変化を感じていたとか。森山さんは飲み明かした状態で現場に来ることもあったそうだが「(むくみで)顔をパンパンにして、森山さんが遅刻してくるとみんなが『すごいぞ!』って褒めて、『早く撮ろう』となるいい現場でした(笑)」と明かした。山下監督も「『痩せてくれ』と言われてそうする役者はいるでしょうが、太るのは…。撮影が終わるころにはミニ西村賢太になってました」と絶賛していた。前田さんは、森山さん扮する貫多と高良さん演じる正二のどちらが好みかを問われると「貫多といるときの正二は完璧なキラキラ男子。貫多は最初、ひどい男だと思いましたが見るにつれてかわいくてしょうがなくなってくる。本当にかわいいです!だからどちらが気になるかと言われれば貫多」と告白。森山さんは喜びつつも「気になる部分はあっても触れたいかは別だと思いますよ」と、一筋縄ではいかない主人公を知り尽くした様子で苦笑を浮かべていた。『苦役列車』は7月14日(土)より全国にて公開。■関連作品:苦役列車 2012年7月14日より全国にて公開© 2012「苦役列車」製作委員会
2012年06月14日『時をかける少女』『サマーウォーズ』の細田守監督の新作『おおかみこどもの雨と雪』で、菅原文太、染谷将太、谷村美月、麻生久美子が声優を務めることが発表された。その他の写真『おおかみこどもの雨と雪』は、“おおかみおとこ”と結婚し、“雨”と“雪”というふたりの子を授かった人間の女性・花が、都会を離れて自然の豊かな土地で懸命に子どもを育てる姿を描いた物語。主要キャストとして“おおかみおとこ”を大沢たかおが、母親・花を宮崎あおいが担当することが決定している。本作で菅原文太は、都会からやってきた花たち家族を助ける、村の長老のような存在の韮崎を演じ、厳しい自然の中で、自給自足の生活をしようと奮闘する花に、農作業の手ほどきをするという。自身も山梨県で農業を行なっている菅原は、「日本の農業は、戦後50年である意味死んでしまったんだ。農業というものはもっと単純で、本当は楽しいもの。風や水や空気に囲まれてコツコツと作っていくものなんだということを、“おおかみこども”たちが今の若い日本人に気付かせてくれるといいね。監督、そういう作品を作りな」と力強く語っている。本作は、海外で定評の高い細田監督作品とあって、既に8月29日(水)からフランスで公開されることが決定している。『おおかみこどもの雨と雪』7月21日(土)より全国東宝系にてロードショー
2012年05月30日自身の壮絶な過去を綴り、第144回芥川賞を受賞した西村賢太氏の私小説を、『マイ・バック・ページ』の山下敦弘監督が映画化した『苦役列車』から、森山未來と前田敦子の共演シーン画像が初公開された。その他の写真本作は、日雇い労働にすがる19歳の主人公・北町貫多役に森山を迎え、貫多の職場の新入りで専門学校生の日下部正二役を高良健吾、映画オリジナルのヒロイン・桜井康子役を前田が演じる。今回公開された画像は、古本屋で店番をする康子に一目惚れした貫多が、日下部の協力を得て読書好きを理由に彼女と友達になり、家を訪れた場面。中学卒業後、他人を避け、ひとりぼっちで過ごしてきた貫多だけに、公開された画像からも、康子とどう接したら良いのか戸惑う貫多の不器用さが伝わってくる。6月2日(土)より特典付き劇場前売鑑賞券が全国の劇場で発売。前売特典は、貫多が日雇い労働でもらう給料袋をイメージした“貫多の給料袋”。中には、貫多と日下部、康子の写真が入ったデザインのお札メモが入っている。『苦役列車』7月14日(土)全国ロードショー
2012年05月25日オフ・ブロードウェイで上演され、熱狂的なファンを生みだした『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』。日本でもかつて三上博史、山本耕史が演じたこの作品に、森山未來がいま、新たな命を吹き込もうとしている。8~9月の上演に先がけ、森山に現在の心境を訊いた。『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』チケット情報「声をかけていただいてまず思ったのは、この作品は音楽が素晴らしいので、そこをもっと信用してもいいということですね。だからこそ、いわゆるミュージカルという言葉で想像する形とは違ったライブ感あふれるものにできないかと思っています」。映画『モテキ』でタッグを組んだ大根仁が上演台本・演出を手がけることも、ドラァグクイーンであるイツァーク役にミュージシャンの後藤まりこを起用することも、森山の発案だ。「ライブ仕立てにするからには、できるだけ演劇の匂いがしない方がいい。大根さんは音楽の知識が豊富で、ライブやフェスに自ら足を運ぶ、生の音楽をすごく信じている人。特にパンク好きだということも重要でした。過去の作品である『ヘドウィグ』を今の人に観てもらうためにも、ある種の破壊は必要だという思いがあったので。後藤まりこさんは『モテキ的音楽のススメCOVERS FOR MTK LOVERS盤』で広末涼子さんのカバーがとてもよくて。彼女は破壊班になるかもしれません(笑)」。ヘドウィグを壊す。それは原作のジョン・キャメロン・ミッチェルの「どの時代にも、世界中にもヘドウィグという存在はいる」という言葉のとおり、2012年の日本でしかできないものを見せるということ。「いまここで僕がヘドウィグという存在を演じるのに、アメリカ人になる必要はないと思っています。まだどうなるかわかりませんが、大根さんとも『ドメスティックにしていこうか』と話し合っています」。話を聞けば聞くほど、森山未來プロデュースと謳ってもいいほどの関わり方をしている今作。しかし、本人はあくまで役者というポジションを崩そうとしない。「いま、劇作家や演出家の意図に従うように個性を抑えている役者さんが多いような気がしているんです。もちろんそのやり方も否定はしませんが、僕は役として立ちながらも森山未來でしかない、という感じで舞台に立ちたいんです」。抽象画家バーネット・ニューマンの絵との出会いやアインシュタインの相対性理論など、一見関係なさそうな話を重ねながらも「意志を持つ役者」として今作に挑む気持ちを、言葉を尽くし、様々な表現で語ってくれた森山。その思いは並のものではない。「とにかく音楽が好きで舞台に馴染みのない人にも観てほしい。スタンディングでも足腰を疲れさせないようなステージを成立させられるか、かなり悩んでいますが、楽しみです」。公演は8月29日(水)から9月10日(月)まで東京・Shibuya O-EASTにて上演。チケットは5月26日(土)より一般発売開始。その後、大阪、愛知、福岡と各地を回る。取材・文:釣木文恵
2012年05月25日3月の映画化発表後、4月10日(火)にクランクインし順調に撮影を進めている三池崇史監督×伊藤英明主演の話題作『悪の教典』。問題だらけの高校で教師が生徒全員を皆殺しにするという衝撃的な題材を扱う本作で、伊藤さん扮するサイコパス教師・蓮実のターゲットとなる生徒役に『ヒミズ』の二階堂ふみと染谷将太、林遣都が抜擢!さらに教師役として山田孝之が共演することが明らかとなった。2010年に発売された貴志祐介の同名ベストセラーを原作に、いじめやモンスターペアレンツ、セクハラ、淫行などの問題がはびこる現代の学校を舞台にした、教師による生徒の惨殺事件を描くサイコサスペンス。問題の教師・蓮実が担任する2年4組クラスの生徒で、直感が鋭く、蓮実への不信感を抱いている片桐怜花役には二階堂ふみ、クラスは異なるが怜花に想を寄せる同級生で、集団カンニングの首謀者・早水圭介役には染谷将太が抜擢。二階堂さんと染谷さんと言えば園子温監督作『ヒミズ』での共演が記憶に新しく、ヴェネチア国際映画祭で最優秀新人俳優賞にあたる“マルチェロ・マストロヤンニ賞”を受賞した若手注目株。園組に続く三池組での新たなる化学変化が期待されるが「思い焦がれていた三池組です。最高のエンターテインメントになるよう、現場に激しく片桐怜花をぶつけていきたいと思います」(二階堂さん)、「赤にもいろいろな赤があると思いますが、三池大先生のイメージする赤色の血を、流したいと思います」(染谷さん)と万全の意気込み!怜花と同じクラスの生徒で同性愛者であり、蓮実の同僚教師と関係を持っている前島雅彦役には『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』、『莫逆家族バクギャクファミーリア』など冒険的な役どころが続く、林遣都。「確実に衝撃的な作品になると思うので、完成を楽しみにしながら撮影の日々を送っています。自分は孤立していて少し変わった役柄なのですが、一つの学園の中でのお話なので、生徒のみんなと良い雰囲気を作ることを心掛けたいと思います」と頼もしいコメント。そして、蓮実の同僚で、生徒にセクハラをする体育教師の柴原徹朗役には山田孝之が抜擢!『クローズZERO』シリーズ、『十三人の刺客』に続く三池作品への出演となるが、「台本を読んでストーリーや役に惹かれたのと、やはり三池さんの作品には出たいという気持ちからオファーを受けました。三池さんや伊藤さん、先輩方からまだ知らないことを教わりたい、遣都やふみちゃんたちを見て、新鮮な感覚を取り戻せたら」とその胸中を語る。なお本作は、今夏開催される第69回ヴェネチア国際映画祭への出品を目指すことを発表。実は、三池監督と伊藤さんを含む4人のキャスト勢には、同映画祭経験者という共通点が。海外映画祭の常連である三池監督は2007年の『スキヤキ・ウエスタンジャンゴ』で伊藤さんと、2010年には『十三人の刺客』で山田さんと同映画祭に参加。二階堂さんと染谷さんに至っては、先述の通りの功績を挙げている。同作の核となる殺戮シーンはこれから撮影されるようだが、どのような三池ワールドが完成するのか?『悪の教典』は11月10日(土)より全国東宝系にて公開。■関連作品:悪の教典 2012年11月、全国東宝系にて公開■関連記事:伊藤英明、三池崇史との再タッグで“悪”の教師に衝撃作「悪の教典」映画化決定!
2012年05月10日太宰治賞を受賞した辻内智貫の小説を、俳優としても活躍している伊勢谷友介が映画化した『セイジ-陸の魚-』のトークイベントが17日にテアトル新宿で行なわれ、森山未來、渋川清彦、滝藤賢一、伊勢谷監督が登壇。韓国公開の決定と台北で行われる第14回台北映画祭、ドイツで行われる第12回ニッポン・コネクションへの正式招待の決定が発表された。トークイベントの模様本作は、学生最後の夏休みを迎えた主人公(森山)が、一人自転車旅行に出かけた先で出会ったセイジ(西島秀俊)と、その個性的な仲間たちとの交流を通して成長していく姿を描く。映画の公開から、毎週末に伊勢谷監督のティーチ・インを実施したテアトル新宿では、リピーターが続出するほどのヒット記録をたたき出し、動員1万人を突破。最終回となるこの日のトークショーには森山と渋川が登壇し、伊勢谷監督とのトークショーを繰り広げた。森山は、今回監督としてメガホンを執った伊勢谷監督について「モノづくりでは、常にイメージを持って行動している人。何かあった時の対応もフレキシブル。受け皿が広い人ですね」と振り返り、渋川は「格好いい監督。瞬発力があるし、トラブルを結果うまく持っていく人」と、終始絶賛していた。また、この日発表された、韓国での上映決定、台北とドイツで行われる映画祭の正式招待について伊勢谷監督は、「海外で評価されて映画館に行くのではなく、みなさんがこの映画を支えてくれたから、他の方にも観なきゃいかんと伝わっていく映画になった。僕にとって一番嬉しい形になった」と、映画ファンへの感謝の気持ちを述べた。本作は29日(木)より、日本やヨーロッパの単館アート映画を韓国で多く配給する「SPONGE ENT」直営の映画館「SPONGE HOUSE」で公開。台北で行われる第14回台北映画祭は、6月29日(金)から7月21日(土)まで、ドイツで行われる第12回ニッポン・コネクションは、5月2日(水)から5月6日(日)まで開催される。『セイジ-陸の魚-』公開中
2012年03月19日3月7日よりフランス・ドーヴィルにて開催されていたヨーロッパ最大のアジア映画の祭典「第14回ドーヴィル・アジア国際映画祭」で、メインコンペティション部門に正式招待された『さや侍』の上映にあわせて、松本人志監督が舞台挨拶を行った。ドーヴィル・アジア映画祭は、1999年にアジア映画に特化した映画祭としてスタート。アジアの注目監督と若手監督の発掘に力を入れており、映画人からの注目度の高い映画祭のひとつ。3月23日に監督作である『大日本人』、『しんぼる』、『さや侍』が特集上映される映画の殿堂「シネマテーク・フランセーズ」に表敬訪問をした松本監督は、その翌日、翌々日とフランスの有力メディアからの取材に応じ、その足で映画祭の舞台挨拶へと臨んだ。『さや侍』の上映会場に登場すると、1,500名の観客で埋め尽くされた客席からは盛大な拍手の歓迎。挨拶を促された監督は「ピュターンジャドーフランス(くそ!フランスが好きすぎる)!ピュターンジャドーカマンベール(くそ!カマンベールが好きすぎる)!メルシーボクー(どうもありがとう)」とフランス語でまくし立て、フランスの現地ネタを取り入れた挨拶に笑いが沸き起こった。舞台挨拶を終えて緊張も緩んだ様子の松本監督は、舞台挨拶の出来について「(100点満点中)75点ぐらいかな。この舞台挨拶のパターンがあれば、色々な海外の映画祭で使えますね」と手ごたえを感じたよう?今後、「シネマテーク・フランセーゼ」での特集上映のみならず、5月9日からはフランス国内15館にて『さや侍』の一般公開も決定しており、反響が気になるところだが、「ヨーロッパの人は映画に温かいので、フランスが楽しみですね」と期待を寄せた。ちなみに、同映画祭では『さや侍』と同じく、園子温監督の『ヒミズ』(全国にて公開中)がコンペティション部門に出品されていたが、本作は批評家賞を受賞。前年度のドーヴィル・アジア映画祭でも『冷たい熱帯魚』で同賞を受賞した園監督にとっては2年連続の快挙となる。昨年のヴェネチア国際映画祭での新人俳優賞という快挙を皮切りに、こちらの作品も海外で高い評価を集めてきたが、いま現在、17の海外映画祭での出品が決定しており、リトアニア、ベルギー、イギリス、デンマーク、ボスニアの映画祭で上映されるなど、今後一層の海外での活躍が期待される。■関連作品:さや侍 2011年6月11日より全国にて公開© 2011「さや侍」製作委員会ヒミズ 2012年1月14日より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:染谷将太、「周りでどんどん人が死んでいく」現場に困惑染谷将太×二階堂ふみ、ガチの殴り合い!原作にない『ヒミズ』本編映像が到着第66回毎日映画コンクール最高賞は『一枚のハガキ』、男優賞に『モテキ』森山未來染谷将太が二階堂ふみの現場でのイタズラ告発するも「覚えてないですね」『ヒミズ』染谷将太×二階堂ふみインタビュー重なり合う若き魂、互いをどう見てる?
2012年03月13日映画『生きてるものはいないのか』が2月18日(土)に公開され、石井岳龍監督を始め、染谷将太、白石廿日、飯田あさと、高橋真唯、池永亜美、札内幸太、羽染達也、青木英李、田中こなつ、渋川清彦、津田翔志朗、芹沢興人、杉浦千鶴子、村上淳の総勢15名による舞台挨拶が行われた。石井監督の『五条霊戦記 GOJOE』(’00)以来となる長編映画で、前田司郎の戯曲を映画化。怪しい都市伝説がささやかれる大学を舞台に、次々と謎の最期を迎える登場人物たちの姿を描いていく。石井聰互から石井岳龍へと改名した監督は「心機一転、デビュー作のつもり」と語る。キャスト陣14人には、制限時間30秒の中での自己紹介と、監督の改名にちなんで「自分自身の変えたい部分」というお題が与えられた。それぞれ「性別を変えたい」(津田さん)、「性格を変えたい」(飯田さん)、「肩こりがひどいので肩から首筋を替えたい」(杉浦さん)などなど、個性豊かな回答がなされた。渋川さんの口からは「浮気性なところを変えたい!」と意味深発言が飛び出したが、これには村上さんがなぜか壇上で大爆笑。最後の最後に順番が回ってきた染谷さんは「こんなに考える時間があったのに、何も思いつけないダメな自分を変えたい…」と嘆息まじりに語り、会場は笑いに包まれた。さらに「爆発してしまうときは?」という奇妙なお題が出されたが、渋川さんは「彼女とケンカしたとき…あのときは爆発してますね」とプライベートネタで堂々と勝負!村上さんは「日々、映画館で爆発してます」と飄々とした表情で謎の回答を寄せた。そんな2人を見ながら染谷さんは「僕も先輩方くらい爆発したいです…。石井監督が長編を撮られると聞いて役者として以前に、個人的に興奮しました。まさか自分が参加できるとは思ってなかったので、現場では爆発しっぱなしでした」とキレイにまとめた。『生きてるものはいないのか』はユーロスペースほか全国にて公開中。■関連作品:生きてるものはいないのか 2012年2月18日よりユーロスペースほか全国にて公開© DRAGON MOUNTAIN LLC.■関連記事:染谷将太、「周りでどんどん人が死んでいく」現場に困惑ヴェネチア映画祭新人賞の染谷将太主演『生きてるものはいないのか』試写会に5組10名様ご招待染谷将太、「トイレでふと思い立って」役作りで喫茶店のバイトを経験
2012年02月20日俳優の伊勢谷友介が8年ぶり2度目のメガホンを取った『セイジ−陸の魚−』。辻内智貴の同名小説を映画化した本作に西島秀俊、森山未來という人気・実力を兼ね備えた2人がW主演で顔を揃えた。映画ファンならば期待せずにはいられない監督×キャストの化学反応は事実、観客の想像をはるかに超えるものとなった。伊勢谷監督からの熱烈オファーに「本当に行動力がある人」(西島さん)、「他人の巻き込み方がすごいんです(笑)」(森山さん)と応えた2人は、いかに本作と向き合い、伊勢谷ワールドの住人となりえたのか。学生最後の夏休みを利用し、あてのない自転車旅行に出かけた“僕”(森山さん)は、山道で軽トラックと衝突。手当てを受けるため連れて行かれたドライブイン・HOUSE475には、雇われ店主のセイジ(西島さん)の姿があった。物静かだが、発する言葉は不思議な力を持ち、ドライブインに集う常連客からも慕われる存在だ。「普通の人とは違った視点で生きる人間を演じてみたかった。セイジは僕らより、はるかにいろんなものを達観している人物だと思います」と西島さん。あえて演じる役柄に対し、理解や共感できる要素は求めなかった。「例えば、僕は殺人犯じゃないです(笑)。でも演じることはできる。その人物の奥底に潜む“何か”に触れてみたいという気持ちがあれば、演じられると思います」。セイジという人物に関しては、「特に彼が抱える心の闇を捕まえたかった。いや、捕まえられるという確信がありました。根拠はないんですけどね(笑)」。根拠なき確信。これぞ俳優にしか分かりえない、芝居の不可思議な魅力だ。実は西島さん、本作撮影の前後にアミール・ナデリ監督の『CUT』にも出演していた。暴力にさらされながら、自らの映画愛を狂おしいほどに貫く映画監督・秀二を演じ、肉体的にも精神的にも追い詰められた状態だったという。「本来なら、絶対に時間を空けて取り組むべきなんですけど、今回は伊勢谷監督も『連続でやったほうがプラスなんじゃないか』と言ってくれて。設定は全然違いますが、何か自分よりも大きなもの、例えば罪といったものを背負ってしまった点はセイジも秀二も似ているかもしれない。確かに『CUT』で得た狂気のエネルギーを、そのまま『セイジ』に持ってきて、違う形で広げることができたと思います」(西島さん)。一方、森山さんが演じる“僕”は、セイジと彼を取り巻く人々や環境を見つめる傍観者という立ち位置。演技にもまた、共演者との微妙な距離感が求められた。「“僕”自身、セイジが抱える背景は知らないし、ちゃんと向き合うこともしない。それに斜に構えた性格だから、セイジさんに確信的なことを言われると、しゃくに障るというか、腑(ふ)に落ちない…でも、やっぱり気になっちゃうというグルグルした感じですね」(森山さん)。そこでたどり着いた答えは「もう、ただただセイジさんや周りの人たちに振り回されればいいやって」という達観。単なる師弟の関係性で、セイジを慕うような“僕”にはしたくなかったという。もちろん“僕”はただ振り回されるだけの存在ではない。森山さんは“僕”に近づく役作りの一環として、東京からロケ地となった栃木県・日光まで役柄そのままに一人自転車を走らせ、現場入りした。「まあ、そういうのはだいたい悪ノリですけどね」と森山さん(すぐさま、西島さんが「そんなことないでしょ」とツッコミを入れた)。「確かに自転車を走らせながら、“僕”を少しずつ作り上げた部分はありますね。正直、現場に行って“スイッチポン”で役に入れるタイプじゃないので、俳優である僕にとっては、必要なことだったと思います」。役柄へたどり着く旅路は、演じる俳優にとって千差万別。「正解はないんです」という森山さんの言葉が印象的だ。果たして伊勢谷ワールドの住人となった西島さんと森山さん。シンプルでどこか牧歌的な空気が流れる前半から一転、凄惨な事件によって、すべての歯車が狂い始めると、2人の演技はより深遠に、そして予想不可能なベクトルへと歩み始める。傷ついた魂の救済を目指すセイジ、もはや傍観者ではいられない“僕”が出した答えとは?決して言葉では説明できない決断が、俳優2人の演技によってのみスクリーンに結実する瞬間は、映画ファンに苦しくも至福の喜びを与えるはずだ。(photo / text:Ryo Uchida)■関連作品:セイジ-陸の魚- 2012年2月18日よりテアトル新宿ほか全国にて公開(C) 2011 Kino Films/Kinoshita Management Co.,Ltd
2012年02月16日俳優としても活躍する伊勢谷友介が8年ぶりにメガホンを執った映画『セイジ -陸の魚-』の完成披露試写会が10日に都内で行われ、主演の西島秀俊、森山未來と伊勢谷監督が登壇した。その他の写真本作は、太宰治賞に輝く辻内智貫の同名小説を映画化。美しい自然を舞台に、大学最後の夏休みに自転車でひとり旅をしていた“僕”(森山)と、国道沿いのドライブインで純粋に生きる男セイジ(西島)とのひと夏の日々を描く。この日集まった350人以上の観客からの大歓声で迎えられた伊勢谷監督は「5年かけた作品をみんなに観てもらえると思うと嬉しい」とあいさつ。撮影現場の話題になると、伊勢谷監督は「とにかく西島さんの体がすごくて。俺、『明日のジョー』であんだけ頑張って鍛えたのに、彼に現場で全部持って行かれました!」とチクリ。西島は苦笑しながら「セイジの役に近づくために余分なものをそぎ落として、精神的にも研ぎ澄まされた感じで演じることができました」と話し、撮影中は食事を控えるなど減量に徹したようだ。また、伊勢谷監督は「今回、自分の好きな役者さんたちを集めました。僕のつたない脚本を120%、150%以上にと高めてくれる瞬間に立ち会えたことが、たまらなかった!」と出演者を賞賛。さらに西島は森山に対し「日本で一番エグい俳優」と語ると、伊勢谷監督は森山が西島を「こんなに映画狂いな役者いないよね(笑)」「この変態!」と言っていたことを明かすひと幕もあった。最後に伊勢谷監督は「年齢によって、さまざまな捉え方があると思うので、1回観たらまた5年後に観てほしい」と締めくくり、作品をPRした。『セイジ -陸の魚-』は18日(土)より公開。『セイジ -陸の魚-』2012年2月18日(土)より、テアトル新宿ほか全国順次ロードショー(C)2011 Kino Films. All rights reserved.写真:内田涼
2012年02月10日太宰治賞に輝く辻内智貫の小説を伊勢谷友介が映画化した『セイジ -陸の魚-』。伊勢谷、主演の西島秀俊、森山未來という映画愛に満ちた3人が個性を競い、「マイウェイで疾走した結果、危ういバランスの作品に仕上がった(森山)」という渾身作。西島、森山が語った。その他の写真本作は、国道沿いのドライブイン"HOUSE475"を舞台に、大学最後の夏休みに自転車でひとり旅をする"僕"が、ドライブインで純粋に生きる男"セイジ"と出会い、共同生活をおくる人間ドラマ。「"セイジ"のように自然と人間の境界にいるような存在を演じてみたかった(西島)」、「伊勢谷さんが監督で、西島さんがいて、そしてバックには自然が広がっていて、すごく危ういバランスを感じました。その雰囲気を想った時に、"僕"を演じてみたいと思いました(森山)」と出演理由を明かす2人。俳優でもある伊勢谷が『カクト』以来8年ぶりに監督を務めることも大きく、「このキャスティングは伊勢谷監督が化学反応を求めてのことだったと思う(西島)」とシナジーへの期待は3人の中で共通する想いだった。やがて"僕"は抗しがたい"セイジ"の魅力に惹き込まれ、人生の意味を自問自答しながらも、仲間たちと楽しく日々を過ごす。しかし、ある日、街で凄惨な事件が起きてしまい、"人生の本質"や"救い"というテーマがシリアスな色彩に変調しながら、危うい関係の登場人物たちの葛藤によって問い直されていく。その見事な映像表現は伊勢谷によるコントロールだけではなく、「伊勢谷監督も僕も森山君も、すごくマイペースのままでよかった。基本的に自分のやり方を貫くので、3人とも同じで(笑)。それがよかったと思います(西島)」、「マイペースというか、マイウェイ(笑)。伊勢谷監督は僕らのことを"とっぽい"と言っていましたが、映画を観て監督が一番"とっぽい"なと(笑)。それが相乗効果じゃないかなという気はしました(森山)」と三者の個性が競り合った現場を回想していた。「3人が全員同じ方向へ走っているというよりは、バラバラに走って散って行って、それが結果的に作品になっている(西島)」、「マイウェイで疾走した結果、危ういバランスの作品に仕上がった(森山)」と本作の手応えを実感する2人。映画愛に満ちあふれ映画に愛された伊勢谷、西島、森山の才能が激突した『セイジ -陸の魚-』。この化学反応を見逃すな!『セイジ -陸の魚-』2012年2月18日(土)より、テアトル新宿ほか全国順次ロードショー文:鴇田 崇
2012年02月01日誰にで3度は訪れるという「モテ期」。最近では森山未來さん、長澤まさみさんなどが出演する映画「モテキ」も話題になりましたよね。「モテ期」を経験したことがあるというマイナビニュース読者に、当時のエピソードをアンケートしました。調査期間:2011/11/1~2010/11/7アンケート対象:マイナビニュース会員有効回答数 978件(ウェブログイン式)■万年モテ期です。婚約者がいる今でもほかの人から告白されることあります。(23歳/女性)すごいですね。私も一度でいいから困るくらいモテてみたいものです。■19歳の誕生日に時間差で3人の男子とデートした。誕生日を迎える真夜中、日中、夕方から夜にかけて。 (25歳/女性)ダブルブッキングならぬトリプルブッキング。モテというより、その体力に感服です。■大学生のとき、バイトの取引先の会社でファンクラブができていた!(25歳/女性)まるでアイドルなみの扱い。握手会でも開けば行列ができそうですね。■高校1年生のとき、20人に告白された。月に1、2人ずつ。(21歳/女性)もはや誰に告白されたか分からなくなってしまいそうなレベルです。■18歳の時。チューをいっぱいした。(29歳/男性)けしからんですな。チューは大切な人とだけしましょう。■小学校高学年のときに、クラスのかわいい子4人くらいと授業中にいちゃついてた。「鉛筆貸してよー」「えー、やだーもー」的な。(36歳/男性)こちらも、けしからんですな。女子といちゃつくのは大人になってからにしてください。これらのエピソードを読んで、自分は今まで何をやってきたのかと、心が折れそうになった方もいるのではないでしょうか。三度どころかまだ一度もモテ期が来ていないという方は、いつか来るはずのモテ期を夢見て、今はただ気長に待つしかないのかもしれません……。(宮崎智之/プレスラボ)
2012年01月27日映画『生きてるものはいないのか』のプレミア試写会が1月24日(火)に都内劇場で開催され、石井岳龍(※石井聰亙改め)監督を始め、染谷将太、高梨臨、高橋真唯、白石廿日、飯田あさと、田島ゆみか、池永亜美、札内幸太、師岡広明、羽染達也、青木英李、田中こなつ、津田翔志朗、芹澤興人の15名が登壇した。石井監督にとって10年ぶりの長編映画となる本作。劇作家・前田司郎の戯曲を原作に、怪しい都市伝説がささやかれる大学で登場人物たちの奇怪な最期の瞬間が次々と描き出されていく。撮影はシーンごとに別々に行われたため「これだけのキャストが顔を合わせるのは初めて」と石井監督は興奮気味に語る。オーディションでキャストを選んだが「日本映画の若手たちと映画が作れて勇気づけられました」と若手俳優の台頭を喜んだ。染谷さんは「周りで次々と人が死んでいくのは味わったことのない感覚でした」とふり返った。また「リハーサルで田中さんと歩いているときに人が死んでいくという場面で、僕はラストシーンに向けて行かなくちゃいけないんだけど、監督に『助けないのか?』と言われて葛藤を味わいました」と個性的な石井監督の演出の一端を明かした。ほかのキャスト陣からも「オーディションのときから『派手に死んでほしい』と言われて、死ぬシーンはプレッシャーでした」(札内さん)、「いかに派手に無様に死ぬか…。隣の部屋から『ギャーッ!』って声が聞こえてきました(笑)」(高梨さん)など“死にざま”にまつわるエピソードが次々と語られた。キャスト陣を代表して、タイトルにちなんで「生きている」と実感する瞬間を尋ねられた染谷さんは「俺に聞かない方が…」と苦笑。司会者から「演じてる瞬間は?」と助け舟を出されるも「いや…(演技中は)いっぱいいっぱいです!」と照れくさそうに語っていた。『生きてるものはいないのか』は2月18日(土)よりユーロスペースほかにて公開。■関連作品:ヒミズ 2012年1月14日より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ生きてるものはいないのか 2012年2月18日よりユーロスペースほか全国にて公開© DRAGON MOUNTAIN LLC.■関連記事:染谷将太×二階堂ふみ、ガチの殴り合い!原作にない『ヒミズ』本編映像が到着第66回毎日映画コンクール最高賞は『一枚のハガキ』、男優賞に『モテキ』森山未來染谷将太が二階堂ふみの現場でのイタズラ告発するも「覚えてないですね」『ヒミズ』染谷将太×二階堂ふみインタビュー重なり合う若き魂、互いをどう見てる?二階堂ふみの「朝帰り」願望にどよめき
2012年01月25日昨年のヴェネチア国際映画祭で、日本人初の快挙となる最優秀新人賞(マルチェロ・マストロヤンニ賞)を染谷将太と二階堂ふみがW受賞して以来、一気に脚光を浴び、先週末より満席続出の大ヒットを記録している『ヒミズ』。世界の映画通たちを唸らせた注目の若き才能の圧倒的な存在感を証明する、本編の見どころ映像の一部がシネマカフェに到着した!「行け!稲中卓球部」で知られる古谷実の漫画を原作に、“普通の大人になること”を願う住田(15歳)と“愛する人と守り守られ生きること”を夢見る茶沢(15歳)が、ある事件を発端に対面する壮絶なドラマを描いた青春感動作。今回シネマカフェに届いたのは、本編から厳選された2本の映像。一本目は原作にはない園監督によるオリジナルシーンで、染谷さん扮する住田と二階堂さん扮する茶沢が“ガチ”で殴りあうシーンだ。どしゃ降りの雨の中、茶沢が「5・7・5」の韻に合わせて住田にいきなりビンタを喰らわせれば、最初は戸惑っていた住田も売られたケンカを買ったとばかりに容赦ないパンチで茶沢を追い込む始末…。本人談によれば「お互い本気で叩き合っていた」というが、「生まれて初めて女の子をビンタしました」という染谷さんに対して「カットがかかった瞬間、(染谷くんは)『大丈夫?』って急に優しくなるんです。優しくされると涙が出そうになるからやめてくださいって(笑)」(二階堂さん)というエピソードも。その次に映し出されるのは、原作漫画を忠実に再現したシーンの一つ。普通の中学生でありたいと願いながらも親に捨てられてしまった住田のもとに茶沢が押しかけ、慰めつつも住田以上にパニックに陥っている姿は可笑しくもある。迫真の混乱ぶりを見せる二階堂さんとマイペースな染谷さんのあうんの呼吸を感じさせる、こちらも見逃せないシーンだ。初日を迎えた週末には園子温監督や原作ファンなどのコア層に加えてシニア層やカップルまで幅広い客層を集客し、渋谷シネクイントでのレイトショーでは立ち見も出るほどの大盛況を見せている本作。芸能界の著名人の数々が自身のブログ等で本作をプライベートで鑑賞したという書き込みも多く見られているのだとか。観た人の多くが絶賛するワケとは?それを裏付ける、世界に誇る2人の堂々の演技をこちらで確かめてみて。『ヒミズ』は新宿バルト9、シネクイントほか全国にて公開中。※こちらの映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:ヒミズ 2012年1月14日より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:第66回毎日映画コンクール最高賞は『一枚のハガキ』、男優賞に『モテキ』森山未來染谷将太が二階堂ふみの現場でのイタズラ告発するも「覚えてないですね」『ヒミズ』染谷将太×二階堂ふみインタビュー重なり合う若き魂、互いをどう見てる?二階堂ふみの「朝帰り」願望にどよめき被災地支援、出産、離婚までセレブたちの2011年をふり返り
2012年01月19日毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社が共催する「第66回毎日映画コンクール」の受賞作品並びに受賞者が1月18日(水)に発表され、御年99歳の巨匠・新藤兼人監督の『一枚のハガキ』が最高賞にあたる日本映画大賞を含め5部門にて受賞。さらに、昨年大ヒットを記録した『モテキ』の森山未來が男優主演賞に輝いた。先日、発表された第35回日本アカデミー賞では優秀監督賞、第36回報知映画賞でも特別賞を受賞した新藤監督は、日本映画界を支えてきた大ベテランの底力を見せつける結果となった。ベテラン勢で言えば、園子温監督作『冷たい熱帯魚』での好演が高く評価された俳優のでんでんが男優助演賞を獲得し、新藤監督同様にほかの映画賞と併せて3度目の受賞を果たした。一方、若手勢では興業収入21億円を突破した大ヒット作『モテキ』の主演・森山未來が男優主演賞を獲得。その年に活躍した若手俳優を称えるスポニチグランプリ新人賞では、現在公開中の『ヒミズ』でヴェネチア国際映画祭にて新人賞にあたる「マルチェロ・マストロヤンニ賞」を受賞し注目を集めている染谷将太(『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』)、『マイ・バック・ページ』でヒロインを演じた忽那汐里がそれぞれ受賞。注目の女優主演賞には『毎日かあさん』の小泉今日子が、熾烈な女の戦いを制し見事受賞。第35回日本アカデミー賞で最多12部門を受賞した『八日目の蝉』は、永作博美の女優助演賞の1部門のみの受賞に留まった。そのほか作品部門の日本映画優秀賞には、邦画でこれまであまり描かれることの無かった“移民”をテーマに生々しい街の姿を描いた富田克也監督の『サウダーヂ』。外国映画ベストワン賞には昨年のアカデミー賞受賞作『英国王のスピーチ』が選出された。また、インターネットによる投票で決める「TSUTAYA映画ファン賞」では、日本映画部門に三谷幸喜監督の『ステキな金縛り』、外国映画部門では昨年シリーズに幕を閉じた人気ファンタジー最終章『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』など個性豊かな作品が並んだ。表彰式は、2月13日(月)に川崎市のシネマコンプレックス、チネチッタにて行われる予定。受賞結果(主要部門)一覧■作品部門・日本映画大賞:『一枚のハガキ』・日本映画優秀賞:『サウダーヂ』・外国映画ベストワン賞:『英国王のスピーチ』■監督賞、脚本賞・監督賞:富田克也(『サウダーヂ』)・脚本賞:新藤兼人(『一枚のハガキ』)■俳優部門・男優主演賞:森山未來(『モテキ』)・女優主演賞:小泉今日子(『毎日かあさん』)・男優助演賞:でんでん(『冷たい熱帯魚』)・女優助演賞:永作博美(『八日目の蝉』)・スポニチグランプリ新人賞:染谷将太(『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』)、忽那汐里(『マイ・バック・ページ』)・田中絹代賞:大楠道代■ドキュメンタリー部門・ドキュメンタリー映画賞:『ショージとタカオ』■アニメーション部門・アニメーション映画賞:『蛍火の杜へ』・大藤信郎賞:『663114』■TSUTAYA映画ファン賞・日本映画部門:『ステキな金縛り』・外国映画部門:『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』『モテキ』<レンタル>3月9日(金)よりBlu-ray&DVDレンタル開始<セル>「モテキ Blu-ray豪華版(2枚組)」価格:7,035円(税込)「モテキ DVD豪華版(2枚組)」価格:6,090円(税込)「モテキ Blu-ray通常版」価格:4,935円(税込)「モテキ DVD通常版」価格:3,990円(税込)発売日:3月23日(金)発売元:テレビ東京・電通販売元:東宝公式サイト:© 2011 映画「モテキ」製作委員会■関連作品:八日目の蟬 2011年4月29日より全国にて公開© 2011「八日目の蟬」製作委員会一枚のハガキ 2011年8月6日よりテアトル新宿ほか全国にて公開© 2011「一枚のハガキ」近代映画協会/渡辺商事/プランダスモテキ 2011年9月23日より全国東宝系にて公開© 2011映画「モテキ」製作委員会毎日かあさん 2011年2月5日より全国にて公開© 2011映画「毎日かあさん」製作委員会嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 2011年1月22日より角川シネマ新宿、シネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開© 2010 「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」製作委員会冷たい熱帯魚 2011年1月29日よりテアトル新宿ほか全国にて順次公開© NIKKATSUヒミズ 2012年1月14日より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:第35回日本アカデミー賞発表!女優陣の健闘で『八日目の蝉』最多12部門受賞染谷将太が二階堂ふみの現場でのイタズラ告発するも「覚えてないですね」『ヒミズ』染谷将太×二階堂ふみインタビュー重なり合う若き魂、互いをどう見てる?二階堂ふみの「朝帰り」願望にどよめき被災地支援、出産、離婚までセレブたちの2011年をふり返り
2012年01月18日現在、世界のダンスシーンでもっとも注目されている振付家シディ・ラルビ・シェルカウイ。最新作『テ ヅカ TeZukA』は、以前から手塚治虫の世界観に読者として共鳴し、大ファンだったというシェルカウイが手塚へのオマージュとして創作したダンス作品。手塚を愛し、研究したことから日本の文化や生活にも影響を受け、そのイメージを『テ ヅカ TeZukA』に込めた。昨年9月に、世界初演となるロンドン公演を終え、今年は東京公演を含めた海外ツアーが予定されている。また、2月6日(月)のローマ公演からは俳優の森山未來が出演を予定している。森山の印象や、本作品に込めた思いをシェルカウイに聞いた。『テ ヅカ TeZukA』チケット情報「未來は本当に才能豊かな人。3年前一緒にワークショップをやった時から、体の記憶力が優れているだけではなく、動きに求められているエネルギーを毎回新しく生み出せる人だと思いました。また、彼は子供の頃から手塚治虫を知っていて、手塚作品とともに育っています。手塚作品とのリアルなつながりを彼が持っていることが僕の作品にも活かされています」と森山のダンサーとしての魅力を語った。手塚がシェルカウイに与えた影響は?「手塚作品の“両側をみる”という考えに深く感銘を受けました。善悪で物事を決めるのではなく、両方を理解するという捉え方ですね。良い例が『鉄腕アトム』。アトムは、ロボットと人間の心という異なる性質を持ちながら、一歩進んで互いを理解するにはどうしたら良いかを常に考えているキャラクター。特にヨーロッパでは善悪をはっきりさせたがる傾向を感じるので、刺激を受けました。また、手塚作品では自然の力に対する畏敬の念や自然の脅威が描かれています。これも西洋ではあまり無い考え方です。日本は自然に対する謙虚な心が常にあり、生活にも現れています」 。東京公演は2月23日(木)から27日(月)まで東京・オーチャードホールで上演される。チケットは27日(月)の追加公演分を発売中。なお、森山が出演する海外ツアーはローマの他、香港、ニュージーランド、ルクセンブルクを予定。※手塚治虫の「塚」は旧字。
2012年01月16日古谷実の漫画を映画化した『ヒミズ』が1月14日(土)に公開初日を迎え、主演の染谷将太、二階堂ふみ、園子温監督が舞台挨拶に登壇した。普通に生きたいと願いつつもクズのような親のせいで苦難の道を歩むことになる中学生・住田。彼と彼を愛する同級生の茶沢が死よりもつらい現実を乗り越え、生きていくさまを描き出す。これまでオリジナル作品だけを世に送り出してきた園監督。「原作の魂に忠実でありたい、原作の良いところを壊さないようにと思って取り組んだ」と初の原作ものの映画化について語る。染谷さんは園監督の現場について「とてつもなく自由な現場でした。やりたいことをやっていい雰囲気を監督が作ってくれました」と述懐。「泥だらけになるシーンもその日、雨だったからそうしたんです。想像もできないような発想を現場で監督がくださって、毎日刺激を受けてました」と感謝の思いを込めてふり返った。二階堂さんはクランクアップの翌日、学校に登校する途中に事故に遭いかけたことを告白。あまりに役に入り込んでいたことで、撮影終了後もなかなか役が抜けず、日常になじめずにいたという。撮影現場でのエピソードを尋ねると、染谷さんが「(二階堂さんが)控室でちょっかい出してきて、イライラしました」と明かしたが、告発された二階堂さんは「覚えてないですね。私は真面目に現場に取り組んでたんで…」としらを切り通す。これに対して染谷さんは「メイキングを見てください!」と怒り心頭の様子。2人のやり取りに会場では温かい笑いが起こった。園監督は2人の芝居について、染谷さんに「65点」、二階堂さんに「64点」という採点をつけたが「満点あげようかとも思ったけど、まだピークではないからね。まだ天狗になるときじゃない」とエール。「2人とも現場では、まだまだ素晴らしい芝居ができるはずだと可能性を信じて、どんどん成長していった」と称賛を贈った。この日はさらに、映画に感動したという原作者の古谷さんから、劇中の2人の様子を描いたメッセージ入りのイラストが届けられた。染谷さんは「映画をやらせてもらった身として、(原作者との)距離の取り方が難しいものですが、嬉しいです」とホッとした表情を見せていた。『ヒミズ』は新宿バルト9、シネクイントほか全国にて公開中。■関連作品:ヒミズ 2012年1月14日より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:『ヒミズ』染谷将太×二階堂ふみインタビュー重なり合う若き魂、互いをどう見てる?二階堂ふみの「朝帰り」願望にどよめき被災地支援、出産、離婚までセレブたちの2011年をふり返り染谷将太と二階堂ふみが“ヴェネチア”トロフィーとご対面!なんとモグラも祝福!?衝撃の青春感動作『ヒミズ』夫婦&カップル限定試写会に35組70名様をご招待
2012年01月15日2人が醸し出しているのは“独特の存在感”なんていう生やさしいシロモノではない。異彩、違和感…いや異物感?10代にして染谷将太と二階堂ふみは、ほかの同世代の俳優たちにはない、形容しがたい“何か”を身にまとっている。そしてそれは映画『ヒミズ』において、鬼才・園子温の手を介して化学変化を遂げ、衝撃と共に観る者の心を貫く。彼らの叫びは、言葉にならない魂の咆哮は、痛みはどのように生まれたのか?2人に話を聞いた。「行け!稲中卓球部」などのギャグ漫画で知られる古谷実が笑いを封印して送り出した異色の漫画作品を原作とする本作。一切の夢も希望も持たず、ごくごく普通に生きることだけを望みつつも、そんな思いとは裏腹に絶望的な非日常に巻き込まれていく住田と彼を慕ってやまない茶沢の壮絶な青春を描き出す。さらには3.11の東日本大震災発生を受け、設定を「震災後の日本」に変更し、全ての撮影が終わった後で被災地での撮影が敢行された。少年は佇む。雨の中に、崩れ落ちた被災地の静寂の中に。もがき、這いずる。泥の中を。住田という役を演じる上で、園監督に染谷さんが与えられたのは、ただひたすらの“自由”。だが、自由に演じるほど難しいことはない。「(脚本の)ト書きがないんです。いや、あるけど関係ない。無視して勝手に動いて、セリフも自分が言いたいように変えながら演じました。でも単に『自由に』と言われてもできなかったですよ、最初。一番初めのリハーサルなんて(二階堂さんと)2人で突っ立ってただしゃべってるだけでしたから。確かにそれじゃ面白くないですよね(笑)。自由にやらせてくれるんですが、自由にやれるように園さんはリハーサルを何度も重ねてくれたんです。そうやってリハーサルを重ねるにつれて体が軽くなっていくのが分かりました」。本作に限らず、ひと癖もふた癖もある役どころを演じることが多い染谷さん。役柄へのアプローチについては「毎回、監督によって違いますが…」と前置きし“捨てること”の重要性を説く。「調べ物をして知識を蓄えたり、用意したりするんですが、常に一貫しているのは、クランクインしたときにそれらを全て一度、捨てるんです。正確に言うと捨てざるを得ない。(蓄えてきたものが)無意識に出ること?はい、それはありますよ。でも意識すると出過ぎちゃう。なるべく影響されないように…と言ってもどこかしらで影響されるものなので。何て言うか…やってみたら分かるんですよね」。二階堂さんは時に強烈なパンチを浴び、河原を転げ落ちながら、突飛で破天荒でひたむきな茶沢を体現した。「基本的にあまり考えるタイプではないので、いわゆる“役作り”はしません」。真っ直ぐな瞳でこちらを見つめながら茶沢になりきっていく過程を明かしてくれた。「特に今回は現場で感じたままをそのまま出すのがいいかなと思いました。とにかくやってみようと、現場でのテンションや雰囲気、空気感を大切にしました。役柄に関してはどんな役もやっぱり私自身だから、演じながら『この子はこういう子だな』とか感じたりすることはほとんどないんです。その中で今回、茶沢になって、ものすごく住田が好きで、『守ってあげたい、守りたいよ』という気持ちが素直に込み上げてきましたね。クランクインしたその日から、自分が茶沢としてそこに立っているというのがすごく感動的でした。茶沢として成長するというよりも、私にとっては住田との距離を縮めていくということが何より重要でしたね。2人の距離が茶沢に直結しているというか…日に日に住田との距離が近くなっていくのをひしひしと感じていました」。「住田と茶沢の若さがエネルギーの塊だったと思う」(二階堂さん)、「人間力…人の力ってすごいなというのをこの映画に関わる役者や全てのスタッフを見て感じた」(染谷さん)と、2人はこの作品の根底にある“強さ”を分析する。特に観る者の心に突き刺さってくるのが、ヴェネチア国際映画祭でも反響を呼んだという、茶沢による「がんばれ住田!」の連呼。汗と涙にまみれながら茶沢は住田を励まし続ける。気安く言われたら腹が立つ「がんばれ」という言葉だが、少女の叫びは素直に心に響くと同時に一緒に叫び出したくなるような衝動さえももたらす。「心の底から…本当に嘘のない『がんばれ』を言いましたね。セリフではなく自然と出てくる言葉でした。ラストがああいう形で本当によかったと思うし、私自身もあのシーンでオールアップだったんですが、ものすごく感動しました」(二階堂さん)。役柄やシーンについて2人で話し合うことは「全編を通じて一度もなかった」(染谷さん)という一方で、撮影の合間には他愛もないおしゃべりで盛り上がることもあったとか。映画の中でこれだけの“化学反応”を見せている2人が普段はどのように絡み、互いをどのように見ているのか気になるが…。染谷さんが明かす。「ふみちゃんはイタズラっ子ですね。どんなことされたか?いや、特にイタズラされてないかもしれないんですが(笑)、何かイタズラっぽい悪い顔をするんですよね。(二階堂さんを指しつつ)ほら、こういう顔です(笑)」。一方の二階堂さんは染谷さんについてしみじみとこう語る。「お父さん…ですかね(笑)?父親のように見守ってくれます。前世ではきっとお兄ちゃんですね。兄妹だったんじゃないかって思ってます」。ここに描き出されるのは底なしの絶望でも単純な希望でもない。生と死、肯定と否定、愛と憎悪が入り混じり、3.11以降の新しい世界を静かに照らし出す。2つの若き魂が引き起こしたディープインパクトを肌で感じてほしい。(photo/text:Naoki Kurozu)■関連作品:ヒミズ 2012年1月14日より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:二階堂ふみの「朝帰り」願望にどよめき被災地支援、出産、離婚までセレブたちの2011年をふり返り染谷将太と二階堂ふみが“ヴェネチア”トロフィーとご対面!なんとモグラも祝福!?衝撃の青春感動作『ヒミズ』夫婦&カップル限定試写会に35組70名様をご招待ヴェネチア国際映画祭で喝采!『ヒミズ』レビュアー限定試写会に15組30名様ご招待
2012年01月12日まもなく公開となる映画『ヒミズ』のヒット祈願イベントが1月11日(水)に市谷亀岡八幡宮にて開催され、染谷将太と二階堂ふみが出席した。「行け!稲中卓球部」で知られる人気漫画家・古谷実がギャグを封印して描いた異色の作品を映画化。中学生にして人生に夢も希望も持てない少年と、彼に恋心を抱き自らも傷を抱える少女の生きる姿が鬼才・園子温の手で描かれる。染谷さんは袴、二階堂さんは着物姿で登場。二階堂さんは「普段、着る機会がないので頑張りました。青春色の水色で、(目許の)ラインストーンがポイントです」と笑顔を見せた。昨年のヴェネチア国際映画祭では揃って最優秀新人俳優賞にあたるマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞。ついに今週末より公開となるが「撮影は5月で、長かったような短かったような…。楽しみです」(染谷さん)、「早く観ていただきたい気持ちともう少し『ヒミズ』と関わっていたいという寂しいような思いです」(二階堂さん)と心境を語った。今年20歳を迎える染谷さんは、新年にあたり「新」という漢字を色紙に書き記した。二階堂さんはこの春、大学受験を控えているが「力強く、いっぱい米を食べて元気に」という思いを込めて「米」と書いた。ちなみに、染谷さんは20歳になったらやってみたいこととして「20歳とは関係ないけど、旅行とか行きたいですね。ブータンに行ってみたい。惹かれます」とコメント。二階堂さんは今年18歳だが、大人になったらしてみたいことを尋ねられると「朝帰りです」。集まった報道陣は一瞬どよめいたが「夜中にいろんなところを歩いて、疲れ果てておうちに帰りたい」と笑顔で明かした。未成年の2人だが、この日、ヒットを祈願し鏡開きを行ない、絵馬を奉納。その後、本堂で祈祷を受けた。『ヒミズ』は1月14日(土)より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて公開。■関連作品:ヒミズ 2012年1月14日より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:被災地支援、出産、離婚までセレブたちの2011年をふり返り染谷将太と二階堂ふみが“ヴェネチア”トロフィーとご対面!なんとモグラも祝福!?衝撃の青春感動作『ヒミズ』夫婦&カップル限定試写会に35組70名様をご招待ヴェネチア国際映画祭で喝采!『ヒミズ』レビュアー限定試写会に15組30名様ご招待山田孝之はロールキャベツ男子!?司会者の珍発言に本人苦笑い
2012年01月11日第68回ヴェネチア国際映画祭で最優秀新人俳優賞にあたる「マルチェロ・マストロヤンニ賞」を受賞した『ヒミズ』の完成披露試写会が、12月22日(木)、東京・日比谷の東商ホールで開催され、同賞受賞の栄冠に輝いた染谷将太と二階堂ふみを始め、共演の渡辺哲、でんでん、メガホンを取った園子温監督が舞台挨拶を行った。実は染谷さんと二階堂さんは、同賞を受賞後、一度もトロフィーを目にしたことがなかったといい、この日が初めてのご対面。「感無量です。これからも頑張ります!」(染谷さん)、「感謝の気持ちでいっぱいです。撮影中に監督から『頑張れば、レッドカーペットだって歩けるんだぞ』と言われて、実際に(ヴェネチアで)歩いてみるとしみじみした」(二階堂さん)と喜びを再確認した。舞台挨拶には、なんと作品のモチーフでもあるヒミズ(トガリネズミ目モグラ科)も登場。体長わずか10センチということで、客席からその姿は確認できなかったが、染谷さんらは興味津々の様子だった。“普通の人生”を望む男子中学生の住田祐一(染谷さん)と、愛する人と守り守られ生きることを望む茶沢景子(二階堂さん)。そんな2人の願いは、ある事件をきっかけに奪われてしまい、“普通”とは程遠い青春を強いられることに…。現代を生きる若者の心の闇と、そこから抜け出そうとするパワーが、園監督ならではの力強いタッチで描かれる。原作は2002年まで「ヤングマガジン」(講談社刊)で連載された古谷実の同名人気コミックス。東日本大震災を受けて「2011年のリアルを描くため」(園監督)、ラストの変更と被災地でのロケが行われた。染谷さんは、あらゆる暴力にさらされた現場を「はたから見れば戦場に見えたはず」。それでも「確かに痛いなって思う瞬間はあったが、心に響く痛みだったから、演じるのは楽しかった」と満足そうにコメント。一方の二階堂さんも「現場はいい意味でピリピリしていた。原作が大好きだったし、出演が決まったときは怖さもあったが、現場の空気に触れることで怖さはなくなった」とふり返る。そんな2人に対して、園監督は「自分の限界を勝手に決めずに、もっと頑張れるはずというパワーを感じた。日ごとに大きくなり、自由を獲得する姿は本当に嬉しかった」と誇らしげな表情を浮かべていた。フレッシュな2人の対極にある、いぶし銀の演技を披露する渡辺さんと、でんでんさん。「二階堂さんがひどい目に遭っていて、本当にかわいそうだなって思いましたよ」(渡辺さん)、「2人ともピュアできれいな目をしている。大きく世界に羽ばたいて、そんときは、おじさんも一緒に連れてってよ」(でんでんさん)とベテランらしい温かな眼差しを送っていた。『ヒミズ』は2012年1月14日(土)より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて順次公開。■関連作品:ヒミズ 2012年1月14日より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:衝撃の青春感動作『ヒミズ』夫婦&カップル限定試写会に35組70名様をご招待ヴェネチア国際映画祭で喝采!『ヒミズ』レビュアー限定試写会に15組30名様ご招待山田孝之はロールキャベツ男子!?司会者の珍発言に本人苦笑い園子温&神楽坂恵が婚約を改めて報告「私の“恋の罪”でお騒がせして」と照れ笑い海外での活躍に期待する俳優は?「acteur」最新号を5名様にプレゼント
2011年12月22日今年度のダンス界の各賞を受賞する活躍で、いま世界中でもっとも注目されている振付家シディ・ラルビ・シェルカウイ。彼の最新作『テヅカTeZukA』の海外ツアーに、俳優の森山未來がローマ、香港、ニュージーランド、ルクセンブルクの4都市への参加が決まった。森山はダンサーとして初の世界進出を果たすことになる。『テ ヅカ TeZukA』チケット情報『テヅカTeZukA』は、以前から手塚治虫の世界観に読者として共鳴し、大ファンだったというシェルカウイが手塚へのオマージュとして創作したダンス作品。人間のすべての所業に理解を示し、質量ともに膨大な作品を遺した手塚から刺激を受け、数年前から日本でワークショップを重ね、マンガやアニメだけでなく手塚を育んだ日本の文化や歴史へも理解を深めていった。象形文字をルーツとする漢字とマンガの関係や、筆を踊らせる書道とダンスとの共通点、そして、手塚が描いた未来と3.11 以降の日本……。ダンサーの美しく強靭な身体とともに、紙、筆、映像などさまざまなものを駆使して、シェルカウイ独自の手塚ワールドが展開する。現時点で予定されている森山が出演する海外ツアーは以下の通り。【森山未來出演『テヅカTeZukA』海外ツアー】2月6日・7日(予定) ローマ Equilibrio Festival月17日から19日 香港 Hong Kong Arts Festival月3日から6日 ウエリントン(NZ) St.James Theatre月23日・24日 ルクセンブルク Theatres de la Ville東京公演は2月23日(木)から27日(月)まで渋谷のBunkamuraオーチャードホールで上演される。なお、森山が出演する東京公演のチケットは追加公演も含め現在発売中。※手塚治虫の「塚」は旧字。
2011年12月19日自身の波乱万丈な人生を基に私小説を書き続ける西村賢太の名を広めた、第144回芥川賞受賞作「苦役列車」が早くも映画化されることが決定!メガホンを取るのは『天然コケッコー』『マイ・バック・ページ』などで高い支持を集める山下敦弘監督。主演に森山未來、共演に高良健吾を迎え、「中卒」「風俗」「日雇い労働」という言葉が並ぶ話題の原作の映像化に挑む。主人公は、中卒の北町貫多、19歳。日当5,500円の日雇い労働でその日暮らしをしている。港湾労働で知り合った専門学生・日下部正二に友情めいた感情が芽生えるも、将来の選択肢が豊富な彼に嫉妬を抱くようになり、さらに好意を寄せる桜井康子にも拒絶されてしまう。誰にも相手にされず、酒と風俗に溺れる貫多。その頃、唯一人生で興味を持ち始めた作家の作品を片手に、筆を執り始めたのだった――。自身の素行の悪さと劣等ぶりに加え、父親の犯罪からくる引け目、中卒から日雇い労働の日々、酒と風俗に溺れる主人公を通して、満たされない毎日の息苦しさ、孤独、それを越える生命力を描き出す本作。主人公・貫多を演じるのは、大ヒットを記録した『モテキ』での演技が記憶に新しい森山未來。今回の出演について「台本を読んだときに、『モテキ』に続いてまたダメな男の役をやるんだと(笑)。山下さんとはぜひ一緒にやりたいけど、ストレートに“やります!”とは言えませんでしたね。考えながら飲み屋で飲んでいたら偶然、山下組常連の山本浩司さんと新井浩文くんが入ってきたんです。その瞬間、これは啓示かもと思い、2011年はこの“ダメ男”で締めくくることにしました」と本音を明かす。さらに、演じる貫多について「絶対友達にはなりたくないタイプかもしれませんが、生命力があって、たくましく感じます」と共感を寄せる。一方、かねてより山下監督作品への出演を切望していた、共演の高良さんは「好きな監督だからって考えすぎず、自分のしたいことをしよう。監督に嫌われてもいいくらいのつもりで(笑)。森山さんのことは大好きなので、緊張してます。今回ガッツリ共演するのは初めてなので、足引っ張らないように、しょっぱい感じにならないように頑張ります」と意気込みを語る。話題作のメガホンを託された山下監督は、「原作も映画も貫多のキャラクターが全てだと思います。貫多も実際、身近にいたら面倒な奴だと思います。でも、どこか人間味あふれる憎めない奴にしたいと思っています」とコメント。これに対して、原作者の西村さんは「この小説には、大向こう受けする要素が一切ない。多彩な登場人物もなければ、起伏に富んだストーリーもない。一人の落伍者の内面描写が眼目だから、いわば活字でしか成立し得ない世界。しかし、これを異能の山下敦弘氏が手がけられると聞き、その映像化への危惧は霧散した。全てを委ね、客観的に完成を待ちたい」と監督の手腕に期待を寄せる。映画『苦役列車』は11月25日よりクランクインしており、和やかな雰囲気で撮影が進んでいるという。日本映画界を引っ張る山下組から生み出される“人間臭い”ドラマに期待したい。■関連作品:苦役列車モテキ 2011年9月23日より全国東宝系にて公開© 2011映画「モテキ」製作委員会■関連記事:長澤まさみが生で「ドロンします」を披露し会場はメロメロ森山未來インタビューわずかに成長?“中二病”主人公にけじめの決別宣言!長澤まさみ「大人にならないと演じられない役」に嬉し恥ずかし『モテキ』でPerfumeが映画初出演!森山未來が4人目のPerfumeメンバーに?新宿コマ劇場の跡地に地上130メートルのシネコン&ホテル建設
2011年12月03日石井聰亙改め石井岳龍監督の『五条霊戦記 GOJOE』以来10年ぶりとなる劇場長編『生きているものはいないのか』の完成披露試写会が11月16日(火)に開催され、石井監督と主演の染谷将太が舞台挨拶に登壇した。劇作家であり、芥川賞候補となった「グレート生活アドベンチャー」(新潮社刊)や竹野内豊主演で映画化もされた「大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇」(幻冬舎刊)など小説家としても活躍する前田五郎の岸田國士賞受賞の同名戯曲を映画化した本作。病院に併設され、妖しい都市伝説がささやかれる大学を舞台に、18人の登場人物が次々と不可解な最期を遂げていくという不条理劇が展開する。久々の劇場公開作品のお披露目ということで「緊張してます」と石井監督。この10年間の沈黙について「いろいろ企画はあったんですが、いろんな理由で残念ながら実現しなかった」と悔しさをにじませる。だからこそ「私が大切だと思うような映画、面白いと思うような映画が、いまの日本映画界では作りづらくなってしまいました。何としてもこの作品を成功させたい」と強い思いを訴える。改名は2年ほど前。「勝手に変えて申し訳ない(笑)」と頭を下げつつ、その理由を問われると「元々、前の名前に思い入れがなくて、必ず間違われるのでいつか変えたいと思ってたんです。神戸で人材の育成に携わったり、今回の映画のきっかけとなるプロダクションを作ったので心機一転。(社名が)『ドラゴンマウンテン』なので岳龍です(笑)」と説明した。染谷さんは、劇中で展開される脱力系のギャグと不条理な物語について「言葉にできない不気味な面白さがあって惹きつけられました」と語る。石井監督からのオファーを喜ぶ一方で、監督について「最初は怖いイメージがあった」と述懐。「リハーサルをみっちりやったんですが、監督はけっこう静かで、少ない言葉で的確な指示を出してくださるんです。基本的には任せてくれるんですが、自問自答しながらグルグルしてました」と苦労を明かした。役柄は喫茶店の店員だが、実際に役作りのために喫茶店でのアルバイトまで経験したという。「普段は役作りとかはしないんですが、リハーサルが終わって『どうしたらいいんだ?』と悩んで、トイレで用を足してたら隣に監督が来たんです。そのとき、ふと思い立って『石井さん、バイトして来ます』と言いました(笑)」とそのときのやり取りをふり返った。敢えて監督に質問はせず「試練だと思って感じたままやった」と染谷さん。石井監督はそんな染谷さんについて「『パンドラの匣』を観たんですが、久々にスクリーン映えする、アップになって力を感じさせる俳優が出てきたなと思い、ぜひ仕事したいと思った」とその実力を高く評価。染谷さんは「監督から自分のことについて聞くのは初めてですが、嬉しいです」と照れくさそうに笑みを浮かべていた。『生きているものはいないのか』は2012年2月18日(土)より公開。■関連作品:生きてるものはいないのか 2012年2月18日よりユーロスペースほか全国にて公開© DRAGON MOUNTAIN LLC.
2011年11月16日俳優の伊勢谷友介が監督を務め、辻内智貴氏のベストセラー小説『セイジ』を5年かけて映画化した『セイジ-陸の魚-』の予告編映像がこのほど公開され、物語の一部が明らかになった。『セイジー陸の魚ー』予告編動画本作は、太宰治賞を受賞した辻内氏の同名小説を、伊勢谷が『カクト』に続く監督第2作目として映画化。美しい自然を舞台に、大学最後の夏休みに自転車でひとり旅をしていた“僕”(森山未來)と、国道沿いのドライブインで純粋に生きる男セイジ(西島秀俊)とのひと夏の日々を描く。先日開催された第24回東京国際映画祭の特別招待作品に選出され、前売鑑賞券が1分で完売するほど注目を集めている本作。このほど解禁になった予告編映像では、題名にもなっている“陸の魚”が「生きることを諦めてしまった人」をあらわし、ヒロインを演じる裕木奈江や、盲目の老人役の津川雅彦によって、西島演じるセイジの人物像が浮きぼりになっていく。映像の中には美しい田園風景や、ときに暴力的なシーンが登場し、引き込まれつつも予告編映像だけでは理解できないストーリーが気になるところ。伊勢谷監督が「この作品は、人間と自然との関わりあい、大きく傷ついた人たちがどうやって次のステップに行くのかを真剣に考えさせてくれる」と話す通り、実力派俳優の西島と森山がどのように関わっていくのかが見どころになりそうだ。本作は来年2月18日(土)より公開予定で、11月19日(土)より“魚型エアフレッシュナー”の特典が付いた前売り券が販売される。『セイジ-陸の魚-』2012年2月18日(土)よりテアトル新宿他ロードショー
2011年11月14日恋した相手を遠くから見つめていた日々、好きな人と2人きりになった時のドキドキ感、切なすぎて涙がとまらなかった想い出…誰にでも忘れられない“初恋”があるものだ。11月4日からスタートした日本映画専門チャンネル「First Love〜ボクらの初恋〜」特集では、“初恋”をテーマにした作品を毎週金曜日に放映中。『空気人形』、『サヨナラCOLOR』、『ウルトラミラクルラブストーリー』など、さまざまな視点から初恋を描いた映画が数多くラインナップされているほか、俳優の染谷将太がナビゲーターとして出演している。そこで、彼が主演する、誘拐監禁事件の被害者である男女のピュアで残酷なラブストーリー『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』について、染谷さん自身の初恋の想い出について、“初恋”をキーワードに19歳の俳優の今と過去とこれからを語ってもらった。染谷さんといえば、先日のヴェネチア国際映画祭で上映された園子温監督作品『ヒミズ』で、最優秀新人賞にあたるマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞したことで、一躍注目を浴びている期待の若手実力派。9歳の頃から子役として活躍、19歳を迎えた現在は「自分がこれからどんなところに向かっていくのか、それが楽しみなんです。単純に映画が好きなので、素晴らしい監督と素敵な役者さんたちとたくさんのスタッフと一緒に仕事ができていけたら、それだけで幸せ」と、映画の世界にどっぷりと身を置いている。彼が俳優として生きていこうと決意したのは『14歳』という映画への出演、それがきっかけだった。「周りの役者さんに刺激を受けて、初めて自分が“映画の現場にいる”っていうことを意識した作品でもあって──そのとき、俳優をずっとやっていけたらいいなと思ったんですよね」と、4年前の自分自身の決意を思い返す。よく行く場所は名画座、最近のブログに綴られているのは『シネマトグラフ覚書』、『宣戦布告』、『狂った野獣』といった作品。そこからも染谷さんがどれだけ映画の世界に惹かれているのか、容易に察することができる。長所は、好きなことはとことんのめり込むこと。短所は、苦手なものは触りもしないこと。自分の性格をそう分析する染谷さん。『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』では、まーちゃんを一途に愛するみーくんを演じているが、とことんのめり込む性格だからこその苦労もあった。「初めて台本を読んだとき、みーくんは純粋すぎるというか、純粋すぎて気持ち悪い正義のヒーローだなと思ったんですよね(笑)。撮影前の準備としては、監督の瀬田(なつき)さんからバスター・キートンの映画を観ておいてほしいと言われていたので、彼の作品は観ました。キートンの無表情なのにコミカルな動きというのが、みーくんに通じるものがあるんじゃないかという理由なんですけど、無表情だけど暗くならないように演じる、それがなかなか難しくて。実際、リハーサルの段階では全然みーくんをつかめていなかった…。でも、初日のファーストカット、本編ではカットされているシーンなんですけど、そのシーンを撮ったときに『これだ!』って思えたんです。(まーちゃんが通う)学校を探して道を歩いている、ただ歩くだけのシーン。セリフがなくて動きだけのシーンが最初の撮影だと役柄をつかみやすいんです。そういえば、『ヒミズ』も動きだけのシーンがファーストカットでしたね」。役が下りてくる、役が入り込む、そんな演技をする俳優はよく憑依型と言われる。染谷さんの話を聞いていると彼もまさにそのタイプであることは間違いなく、「役に集中するのはカメラの前に立ったときだけにしたいと思っているんです。性格上、そうしないと持たないというか。撮影が終わると、1週間ぐらい何もやる気が起きなくなるんですよね。“みーまー”をやっていたときは、まだ高校生だったんですけど、学校に行っても放心状態で。自分でも知らないうちに、映画の現場では常に興奮している状態にあるのかもしれないですね。なんていうか、小さな子供がディズニーランドに行って帰ってきて、遊び疲れてぶっ倒れる、そういう感覚に近いのかも(笑)」という話からも、演じているときの集中力の大きさが伝わってくる。もちろん、そこにたどり着くまで、撮影初日を迎えるまでにさまざまな準備をしている努力があってこそ。興味深いのは、準備で身につけた知識を撮影前に「すべて削ぎ落とすこと」が染谷流の取り組み方であることだ。「いろいろやってみて、削ぎ落ちたという感じですね。めちゃくちゃ大量の油を使って揚げた揚げ物の油を、クッキングペーパーで搾り取って、結果、芯しか残らなかったっていう感じ?毎回、どの現場でもそうなんですけど、準備期間中に監督といろいろと話をしたり、どれだけリハーサルを重ねても、初日にそれをぜんぶ壊しちゃう、ぜんぶ捨てちゃうんです。準備しているときは、後で捨てるぞ!とは思っていないですけどね(笑)」。凜としてキリッとした顔立ちからクールさを感じさせる染谷さん。その寡黙に見える美しい仮面の奥には、映画を愛して止まない、演技のことを話し出したら止まらない熱い情熱があった。けれど、初恋特集にちなんで自身の恋愛観に話が移ると、急に言葉数が少なくなり照れ出す──。とても正直な人だ。そして、はにかみながら語ってくれた初恋の想い出は、幼稚園の頃の想い出。「初恋は…幼稚園のときですね。初めて好きになった女の子に、ある日のお弁当の時間、好きな人はいるの?って聞かれたんですよ。僕、あなたですって(ストレートに)言っちゃったんですよね。そしたら、その場がシーンとなっちゃって。その後、向こうから話しかけてこないので、僕も話しかけづらくて。そのまま話さなくなって、あやふやのまま卒園しちゃったんです。別々の小学校に進んだんですけど、たまにすれ違うこともあって。でも、声をかけてもらえず…。それが僕の初恋(苦笑)。面と向かって“あなたです”なんて、今の自分じゃ絶対に言えないですけどね」。では、今だったらどう答える?「うーん…、それなりにいるんじゃないですかねぇ、とか言ってごまかしちゃうかな。基本、告白もしないし、待つこともしないタイプ。気になる子が自分のことを好きだって知って、攻めてこられると引いちゃうこともあるし。だから、いつの間にか付き合っている、というのが理想。ただ、これまでに友達から恋愛に発展したことはないので、たとえば、僕がその女の子を好きなことも、その子が僕のことを好きなのも両方好きなことを知っている友達がいて、その友達が仲介役になって自然に付き合うっていう、そういう始まり方なら…(笑)」。俺ってダメだなぁと言葉を詰まらせながらも、自身の恋愛観を語るその無器用さもまた魅力的。そして、『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』で演じたみーくんの一途さを「みーくんのまーちゃんに対する感情はとてもシンプル。愛しているだけ。ただまーちゃんを愛しているだけ、それに尽きると思います」と真剣に力強く訴えるその言葉にこそ、染谷さんの恋愛観があるような気がしてならないのは、やはり彼が演技派だからなのだろうか──。(text:Rie Shintani/hairmake&styling:Miyuki Abe)特集「First Love〜ボクらの初恋〜」CS日本映画専門チャンネルにて、11〜12月の毎週金曜、初恋をテーマにした映画作品を放送。TV初放送となる染谷さん出演の『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』を始め、さまざまな初恋の形を描いた邦画をセレクトしてお届け。映画本編の前後には、チャンネルだけでしか見られないオリジナルである染谷さん出演の映画紹介ミニ番組もあわせて放送。「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」放送日: 11月25日(金)23:30〜ほか日本映画専門チャンネル:■関連作品:嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 2011年1月22日より角川シネマ新宿、シネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開© 2010 「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」製作委員会■関連記事:大政絢、華やかミニスカートで登場し受験生にエール!大政絢インタビュー「仕事で泣きそうになること?ある…けど我慢してます(笑)!」大政絢20歳の抱負「柴咲コウさんみたいな女優に」大政絢主演!『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』試写会に20組40名様ご招待シネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第9回) 来年ブレイクしそうな俳優は?
2011年11月14日伊勢谷友介が、辻内智孝氏のベストセラー小説「セイジ」を5年の月日をかけて映画化した『セイジ-陸の魚-』の公開日が来年2月18日(土)に決定した。その他の情報本作は、太宰治賞を受賞した辻内氏の人気小説を、俳優の伊勢谷友介が『カクト』に続く監督第2作目として映画化。美しい自然を舞台に、若さゆえの自分探しの旅とその記憶を描写。大学最後の夏休みに自転車でひとり旅をしていた“僕”(森山未來)と、国道沿いのドライブインで純粋に生きる男セイジ(西島秀俊)とのひと夏の日々を描いた作品だ。セイジ役の西島と、物語の視点となる“僕”を演じる森山がダブル主演を務めるほか、新井浩文、渋川清彦、滝藤賢一ら、一癖ある顔ぶれが揃う。久しぶりの邦画復帰となる裕木奈江がヒロインを務めるのも注目したいところ。強烈な印象を残す盲目の老人役は、映画界屈指の名優・津川雅彦が演じる。今月22日(土)~30日(日)まで開催される東京国際映画祭では、特別招待作品として27日(木)に上映されるが、前売鑑賞券が1分で完売したということもあり、公開前からかなりの期待が寄せられていると言えるだろう。『セイジ-陸の魚-』2012年2月18日(土)、テアトル新宿他ロードショー(c)2011 Kino Films/Kinoshita Management Co.,Ltd
2011年10月14日「モテる男はツラい」と言うが、この映画を観てるとツラいを通り越して痛々しくなってくる。誰しもが青春の過程で一度は通り過ぎ、封印したはずの自意識過剰で、思わず「勘弁してくれよ!」と叫びたくなるような情けない姿をこれでもかと見せつける。森山未來はそんな恋愛偏差値の低いセカンド童貞男・藤本幸世を「中二病」とバッサリ斬り捨てる。久保ミツロウの180万部を超える人気漫画を斬新な演出で連続ドラマ化して話題を集めた「モテキ」が、今度は久保さんの書き下ろしによるオリジナルストーリーで映画化!長澤まさみ、麻生久美子、仲里依紗、真木よう子が演じる4人の美女に囲まれつつも、この美女たちの中心で苦悩と自己嫌悪を叫び続ける幸世に森山さんが冷静にツッコむ!映画版は監督&原作者の“イタい恋愛あるある”?「僕はドラマで“やりきった感”が満載だったので、(映画を)やるとなったときは戸惑ったという以上に『これ以上何をやるんだろう?』という気持ちでしたね」と森山さん。一方で映画版の幸世は「微妙なサジ加減で(苦笑)」成長を遂げているとも語る。「ドラマでは幸世は自分の気持ちだけで突っ込んで行って、自分でシャットアウトして全速力で戻ってくる。結局、自己完結で自分の場所に逃げ戻ってくるんです。それじゃダメだというところで終わって、映画はそこから1年後。成長したいというのもあって就職するところから始まるので、仕事で使えないなりにも対人スキルとかは微妙に上がってますよ(笑)。モテ期と言っても四方八方にではなく、一途な方向に向かっているのも変化ですね。ただ、最終的にあるヒロインを追いかけるけど、彼女を追いかける動機が最初とどう変わっているのかが分からないんですよね(笑)。ドラマでは闇雲に走ってたけど、今回は目標を持って走っているという差異はあるよね、という話は大根さん(※監督)とはしましたね」。おぉ!永遠の“中二病”幸世にそんな成長が。だが、当然のことながら目を背けたくなるようなイタい姿も(大江千里の「格好悪いふられ方」<※歌詞付き>も健在!)。森山さん自身、情けない幸世を演じながら青春のかさぶたをはがされるような心の痛みを感じることはなかったのだろうか?「そういう部分はドラマでやっているうちに麻痺してしまいましたね(笑)。ただ、原作のストーリーはドラマで全て消化して、今回はオリジナルストーリーとして久保さんと大根さんの“イタい恋愛あるある”みたいなものを詰め込んだ作品なので『どうしておれがそんなものを引き受けないといけないんだろう…?』という思いになったりはしましたね(苦笑)」。そんな“痛み”を伴う撮影の中で、森山さんと大根監督の間には険悪なムードが!?「大根さんは不思議な人で、自分で書いているからというのもありますが、ものすごく僕(=幸世)に感情移入しちゃって、撮りながらイタくなってるんです。だから僕に対してものすごいイライラして『もういい。もういい、カット!!』みたいな状態が続いて、撮影が進むにつれて、あまり言葉を交わさなくなったりしましたね(笑)」。主人公・藤本幸世を演じて得たもの、彼に贈る最後の言葉は――?ドラマと映画でこの1年ほどの間に幸世が向き合ってきた女性は8人。イタい恋愛依存症の女性から、自由奔放な女性まで様々だが、この作品を通じての変化も踏まえつつ、森山さん自身の女性観を聞いてみた。「元々、僕は男性が女性に勝てるとは思ったことがないんです。やっぱり女性の方が強くて、それは草食系うんぬんということではなく絶対的にあると思いますね。それをごまかすために男は見栄を張ったり、肉体的な部分で誇示したりするんだろうな、と。それが(社会的にも)女性の地位が上がっていく中でその分、男性の居場所がどんどんなくなっていった。それで“草食系”というようなものも生まれたのかな、とも思います。女性は…強いですよね(笑)」。では、本作で幸世を演じて彼から得たものは?と尋ねると、「誰しも幸世のような感情を持ってたことはあるし、それをこじらせた人を“中二病”と呼ぶわけで、中学2年生だったことがある人は、どこかしらこの感情を共有できる。もちろん、僕もその気持ちは分かるんですが、どこかで僕は『もうそういうの卒業したいな』と思ってた頃合いに、この作品でまたそこに引き戻されたんです(苦笑)。ドラマから映画に至るまで、その気持ちが続いてるんですが、もうそろそろいいかな、と…。だからこの映画ですっぱりとけじめがつけばいいなと思ってます」。ではいま、森山さんから藤本幸世に贈る言葉は?「二度と僕に近づかないでもらいたいですね(笑)」。この冷酷な言葉こそが、森山さんが全身全霊で幸世を演じた証と言えるのかもしれない。(photo/text:Naoki Kurozu)<衣装クレジット>シャツ¥9,975 / MONSIEUR NICOLE(03-5778-5445)スニーカー¥9,975 / HIDEAWAYS(03-5778-5445)Stylist:Mayumi Sugiyama■関連作品:モテキ 2011年9月23日より全国東宝系にて公開© 2011映画「モテキ」製作委員会■関連記事:長澤まさみ「大人にならないと演じられない役」に嬉し恥ずかし『モテキ』でPerfumeが映画初出演!森山未來が4人目のPerfumeメンバーに?新宿コマ劇場の跡地に地上130メートルのシネコン&ホテル建設『モテキ』新キャスト発表豪華女優陣のハッピ姿に森山未來は「目のやり場に困る」
2011年09月20日園子温監督『ヒミズ』に主演した染谷将太と二階堂ふみが最優秀新人俳優賞「マルチェロ・マストロヤンニ賞」をダブル受賞し、日本人俳優初の快挙を伝えるニュースで湧いた第68回ヴェネチア国際映画祭。10日(現地時間)に発表されたコンペティション部門の受賞結果は以下の通りだ。最高賞にあたる金獅子賞はロシアのアレクサンドル・ソクーロフ監督の『ファウスト』。ゲーテの代表作とも呼ばれる「ファウスト」をソクーロフ監督独自の視点で脚色し、権力の腐敗に取り組み続けた監督の4部作の最終作。公式上映後から本命視されていたロマン・ポランスキー監督、ジョディ・フォスター主演の『Carnage』(原題)は無冠に終わった。対して『ファウスト』は上映後に賛否両論に分かれたが、審査員長のダーレン・アロノフスキー監督は「夢を見させる映画、泣ける映画、笑える映画もあれば、一度観たら人生が変わってしまう映画もある。これはそういう作品だ」と授賞理由を語った。銀獅子賞(優秀監督賞)は中国・香港の『人山人海』(原題)の蔡尚君監督。映画祭開幕後にサプライズ上映された同作は、中国国内の検閲を受けずに製作したという経緯があり、上映日までタイトルも含めて詳細はベールに包まれていた。優秀男優賞はイギリスのスティーヴ・マックイーン監督の『Shame』(原題)のマイケル・ファスべンダー、優秀女優賞は中国・香港のベテラン女性監督、アン・ホイの新作『Simple Life』(原題)で年老いた病身のメイドを演じたディニー・イップに輝いた。審査員特別賞はイタリアのエマヌエレ・クリアレーゼ監督の『Terraferma』(原題)。優秀技術賞(撮影)は「嵐が丘」をアンドレア・アーノルド監督が映画化した『Wuthering Heights』(原題)のロビン・ライアン、金のオゼッラ賞(優秀脚本賞)はギリシャの『Alpes』(原題)のヨルゴス・ランティモス&エフティミス・フィリップーが受賞した。また、先鋭的な作品がそろうオリゾンティ部門では最高賞のオリゾンティ賞を塚本晋也監督、Cocco初主演作の『KOTOKO』が受賞した。(text:Yuki Tominaga)写真は『ファウスト』で金獅子賞を受賞したアレクサンドル・ソクーロフ監督。© AP/AFLO■関連作品:ヒミズ 2012年春、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:ヴェネチア新人賞の染谷将太、被災地での撮影で「頭の中が真っ白になった」園子温監督、震災後に『ヒミズ』シナリオ変更し被災地で撮影していたことを明かす窪塚洋介、鈴木杏が『ヒミズ』で園子温作品初出演!西島隆弘&吉高由里子も再びヴェネチア、モントリオールにトロント…世界の映画祭での邦画の奮闘に期待!『冷たい熱帯魚』の衝撃再び?『ヒミズ』に吹越満、でんでんら“園組”が勢揃い
2011年09月12日第68回ヴェネチア国際映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人俳優賞)に輝いた『ヒミズ』の染谷将太と二階堂ふみが9月11日(日)、都内で会見を行い、受賞の喜びを語った。「行け!稲中卓球部」で知られる古谷実の原作を『冷たい熱帯魚』の鬼才・園子温が映画化した本作。ヴェネチア国際映画祭ではコンペティション部門に出品され、公式上映では8分間ものスタンディングオベーションが起こった。イタリアが誇る名優の名を冠した新人俳優賞を受賞した2人だが、まだ実感が伴わない様子。「いまもまだフワフワしています」(染谷さん)、「染谷くんからの電話で知りましたが、いまでもウソとしか思えない」(二階堂さん)と心境を語った。現地の反応については「スタンディングオベーションが初体験でした。(劇中の)『ガンバレ、スミダ』という日本語のセリフで声を掛けてもらいました」と染谷さん。二階堂さんは「拍手がずっと止まらなくてウルウル来てました。『ガンバレ』という言葉と拍手が一番心にきました」とふり返った。オーディションを経ての園監督の現場について染谷さんは「監督は段取りの後、テストなしで、ぶっつけ本番で撮影するんですが、いままでで一番、自由にやらせてもらった」と明かす。一方の二階堂さんは、リハーサルで監督から「(100点満点で)4点」とこき下ろされたこともあったとか。「次のリハでは笑顔で『よかったよ。12点』と言われました(苦笑)。60点を目指していたのでそう言ったら『60点に限りなく近い12点だ』って(笑)。優しい、愛のある監督でした」と語った。東日本大震災の発生を受けて監督は脚本を変更。原作とは異なる結末が描かれることになった。このラストについて染谷さんは「感動しました」と語り、「監督が『希望に負けた。希望を持たざるを得なくなった』とおっしゃっていて…。人間はどこかで希望を見つけ、すがるもの。それが描かれていると思います。僕らはこのラストに対して前向きでした」と胸の内を明かしてくれた。さらに撮影最終日には被災地でも撮影が行われたが、被災地に足を踏み入れた染谷さんは「それまで、どういう心情になるか想像できなかったんですが言葉が出ず、頭の中が真っ白になりました」と衝撃を語る。さらに「ここである意味、記憶が塗り替えられた」という監督の言葉を紹介し、「監督が決意しなかったらありえなかった映像を、海外の映画祭に持って行けたことを誇りに思います」と語った。二階堂さんは「震災を受けて立ち上がっていく同世代の人々への『頑張れ』という思いがあるのではと感じています」と今回の受賞を受け止め「魂のこもった作品なので、そのままの自分で、素直に感じ取ってもらえたら」と同世代の若者たちへの思いを語った。『ヒミズ』は2012年春、シネクイントほか全国にて順次公開。■関連作品:ヒミズ 2012年春、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:第68回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞はソクーロフ監督に。日本映画人も健闘園子温監督、震災後に『ヒミズ』シナリオ変更し被災地で撮影していたことを明かす窪塚洋介、鈴木杏が『ヒミズ』で園子温作品初出演!西島隆弘&吉高由里子も再びヴェネチア、モントリオールにトロント…世界の映画祭での邦画の奮闘に期待!『冷たい熱帯魚』の衝撃再び?『ヒミズ』に吹越満、でんでんら“園組”が勢揃い
2011年09月12日初演以来4回目の上演となる劇団☆新感線『髑髏城の七人』が、大阪公演を経て、9月5日(月)、東京・青山劇場にて幕を開ける。本作では、これまでのキャストを大胆に一新。通称“ワカドクロ”と言われ、小栗旬、森山未來、早乙女太一など、人気と実力を備えた豪華若手俳優陣による共演が大きな話題となっている。チケット情報豊臣秀吉の天下統一を目前に、あるひとりの男が関東制覇を企んでいた。その名を天魔王(森山)。関東髑髏党を率い、目的のためには手段を選ばないという男だ。そんなある日、髑髏党に村を襲われ、危機一髪の兵庫(勝地涼)らを救ったのが、捨之介(小栗)なる若者。彼らは髑髏党の襲撃で身よりのなくなった娘たちを連れて関東一の色里・無界の里へ。そこで里を取り仕切る無界屋蘭兵衛(早乙女)や極楽太夫(小池栄子)、沙霧(仲里依紗)らと出会い……。これまで同一キャストが演じてきた捨之介と天魔王役を、小栗と森山のふたりが演じたことで物語はより明確になった。さらにキャストの年齢層がぐっと下がったことで、非常にテンポと切れ味のいい新たなる『髑髏城~』へと仕上がった。小栗の捨之介は、軽やかさと同時に主役としての堂々たる存在感をも発揮。それは「舞台は日々進化していくもの。自分も日々進化出来るよう頑張っていきます」との言葉通り、常に高みを目指す姿勢が自然と舞台上にも表れるのだろう。森山の天魔王は、ひりひりするほどの狂気と執念が滲み出るような演技で、作品に深みと厚みをもたせていた。ステージは、奥行きのある青山劇場をフルに使った傾斜舞台。近作によく見られた大がかりな舞台装置や映像などは極力抑え、非常にシンプルな構造となっている。その理由は、舞台を埋め尽くす縦横無尽なキャストたちの動き。特に殺陣シーンの迫力、美しさは過去最高とも言えるほどで、なかでも2度目の新感線となる早乙女の殺陣は圧巻。彼独自の舞に新感線流を融合させた、力強くも華麗な殺陣を披露してくれる。森山はこう語る。「通称“ワカドクロ”と言われるだけあり、突っ走りながらもブレにブレ、揺れに揺られて最終的には大きなうねりとなって大阪公演を終われたような気がします。東京公演では、さらに大きなエネルギーをお客さまに届けられれば」。小栗や森山が発する若いエネルギーと、新感線というベテラン劇団のエネルギー。この2つのエネルギーをもってして、至極の演劇空間が生まれないはずはないのである。公演は10月10日(月)まで。取材・文:野上瑠美子
2011年09月05日