「ランドセルをロッカーにしまいましょう!」と何度も先生に注意されたリュウ太は!?ADHD(注意欠如多動症)とASD(自閉スペクトラム症)がある息子リュウ太は、現在26歳。一昨年結婚しました。5歳年下のお嫁さんとリュウ太の母である私は一つ屋根の下で同居しています。母の私から見れば今でも立派とは程遠いですが、リュウ太の学童期は特に課題がたくさんありました。小学1年生~小学3年生の期間、担任の先生から「リュウ太くんがランドセルをしまってくれません」と報告を受けること数知れず……。机の横に置いたり机の上に置いたままだったり、学童帽子も同じく片付けられなくて、教室ではかぶったままだったりします。「ランドセルはロッカーにしまいますよ」と優しく促してくれる先生に対して「やだ!」とか「ムリ!」というような返事しかしなかったのです(先生談)。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。注意を受けても動かないリュウ太に先生は言い疲れてしまったのか、「リュウ太くんが自主的に片付けるのを待ちます!」ということなりました。しかし、なかなかランドセルをロッカーにしまわないのでクラスメイトからは机の横を通る際に「ジャマだな」とか「通りにくい」など文句も出ていました。なのにリュウ太は「仕方ないだろう」と言い返し、通行の迷惑になっていることに気がつきませんでした。周囲からは自分さえよければお構いなし!という身勝手な行動にみられてしまっていたと思います。ランドセルをロッカーにしまえるようになったのは小学4年生の時。担任の先生が何度も何度も無視できないほど注意を促してくれたからでした。(えーー!就学してから丸3年間もかかる?ってお思いになる読者もいるかしら、はははは)。リュウ太にどうして片付けたくないのか聞いたことがあるのですが、こんな理由だったそうです。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。「ロッカーは遠いからイヤだよ。ロッカーにしまう、っていうルールがイヤなんだ。自分の持ち物はいつも手に届く場所にないと不安だから机の横に置いているだけ、それの何がいけないの?」目に入らなくなったものはリュウ太にとってはないものと同じです。あると認識するには常に目に入る位置に置いておかないと失くしてしまう特性があります。また「失くすとお母さんに怒られるから恐い」という思いから物がないと不安になるとも言われました。はい……私がしつけと称して怒りすぎたことが原因かもしれません。反省です。この行動はクラスメイトや先生にとって迷惑行為だったと思いますが、リュウ太は小学3年生にして自分の特性に気づきはじめていて、本人なりの物の管理の工夫の一つだったのではないか?とも思いました。とはいえ、周りから苦情が来てるんだから、周りの声にも気づこうね!と思う母でした。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:初川先生より)リュウ太くん小学校低学年時代のランドセルがしまえないエピソード、ありがとうございます。面白いですね。とても興味深く読みました。見えないところに物があると「ない」となってしまう子いますね。大人でもいらっしゃいますね(ストックを買っても、しまいこんでしまうと存在を忘れて、また安いタイミングで買って、しまおうとしてストックの棚を開けると「あ……」となるような)。ランドセルや自分の持ち物を手元に置いておかないと不安だ、失くしたくない。そういう気持ちがあってのランドセルをそばに置いておく。友逹に苦言を呈されても「仕方ないだろ」という返しなのはそういうことだったのですね(「うるさいなぁ」じゃないのが興味深いです。仕方ないのですね。本人なりに、ランドセルロッカーにしまうほうがいいのは分かっている、しかしできない、だから「仕方ない」といったところでしょうか)。一口に「片付けができない」「物の管理ができない」と言っても、やり方が分からない、やる気がわかない(めんどくさい)、そして、物が遠くに置かれるのが不安だ、視界から消えるのが不安だというパターンもあるのだなと改めて思いました。小1の頃のリュウ太くんはさすがにそこまで説明できなかったかもしれません。ただ、今回こういったエピソードを知ると、同じように物の片付けで独特のこだわりや難しさを持つお子さんにかける言葉かけのバリエーションが増えるように感じました。視界から消えるのが不安なのであれば、もしかしたら、教室前方の邪魔にならないところにランドセルを収納できる可能性も出てきますね。ところで余談ですが、このエピソードを読んで、私は子どもが小さかった頃、抱っこ紐で子どもを連れていた時期が長かったので、ベビーカーに乗せて出かけるときはたかだか1メートル程度でも子どもと距離ができることが不安だったことを思い出しました。大切な存在をそばに置いておきたい気持ちは分かる気がします。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年06月25日結婚生活におけて愛情が冷める瞬間もあるかもしれません。今回は、結婚後も注意が必要な、愛情が急激に冷める瞬間を紹介します。相手に寄り添う気持ちが欠如した瞬間長い間一緒に過ごしていくうちに、パートナーの知らなかった一面が見えてくるかもしれません。寄り添う気持ちが欠如していると感じる瞬間は、愛情が冷めてしまうことも…。すべてを簡単に受け入れられるわけではありませんが、理解し合うことで信頼関係が深まることでしょう。価値観の違いや生活スタイルへの疑問は生じるかもしれませんが、努力を惜しまなければ相手を「理解できるパートナー」として信頼を築くことが可能かもしれません。相手の短所が気になった瞬間恋愛や結婚を進めるうちに、相手の欠点が気になり始めるのは自然なことかもしれません。理想と現実の間に生じるギャップに苦しむこともあるでしょう。相手の短所が気になり、愛情が冷めてしまった場合は、短所ばかりに目を向けず長所を見ることで深い理解と信頼を育むことができるかもしれません。相手の気持ちがわからないと思った瞬間コミュニケーション不足により、相手の気持ちがわからないことで冷めてしまうこともありえます。健全な関係を築くには、しっかりと会話することが大切です。相手の気持ちを考えない「夫に頼まれてお弁当を作ったのですが、帰宅した夫に『ごめんお弁当作らなくていいよ』と言われました。理由を聞くと『茶色くて彩りも悪いじゃん?』と言われ『え…』と一瞬で冷めました」(30代/女性)日々の小さなことが積み重なっていつの間にか気持ちが冷え切ってしまうケースもあります。事態を客観的に捉え、冷静に対処することが求められるでしょう。(愛カツ編集部)
2024年06月02日整体師として個人サロンで働きながら、3匹のハムスターの日常をSNSに投稿している、飼い主(@entachiryouin)さん。中でも、天真爛漫でフリーダムなとろ美ちゃんの行動に、飼い主さんは日々翻弄されているようです。ソファに座れない飼い主その理由に「完全に占領している」「かわいいから許す」飼い主さんは、そんなとろ美ちゃんの新たな写真を、X(Twitter)に投稿。「これは危機感が欠如しているハムスター」とコメントが添えられた、とろ美ちゃんの姿に、あなたもきっと「逃げて!」といいたくなるでしょう。実際に投稿された1枚をご覧ください。とろ美ちゃんは、お皿の上に乗せられ、今にも食べられてしまいそうだったのです!皿のすぐ近くには、オモチャのナイフとフォークが添えられており、とろ美ちゃんの命が危ない…と思いきや、当の本人はケロッとした表情。自分の身に危機が迫っているとは知らず、お皿の上にちょこんと丸まる姿が、なんともかわいいですね。まさに「食べちゃいたいぐらいかわいい」と思える、とろ美ちゃんの姿に、多くの人が癒されたことでしょう。【ネットの声】・おいしそうなお饅頭ですね。・かわいい!でも、食べられちゃうから逃げて。・アニメ『トムとジェリー』の世界観ですね。飼い主さんは、この姿を見て「まだ慌てるような時間じゃないと、いわんばかりの冷静さ」と解説。もしかしたら、とろ美ちゃんは、危機感がないのではなく、かなり肝が据わっているだけなのかもしれませんね![文・構成/grape編集部]
2024年05月20日誠実さに惚れた!!男性が【注意】されて嬉しかったことって?誰かにビシッと注意されることが苦手な人もいますよね。しかし、相手のことを思ってきちんと注意ができる女性に好感を抱く男性もいるようです。今回は、男性が注意されて嬉しかったことを紹介します。マナーが悪かったとき「一緒にレストランに来たとき、ソファに足を引っかけていたのを注意されました。言われてみれば、僕の行為はマナーに反していました。彼女がそれを正面から指摘してくれたことが本当にうれしかった」(24歳/男性)アルコールが入ってテンションが上がりすぎたときなど、マナー違反を指摘してくれることに感謝を示す男性もいます。マナーが悪いと指摘できるということは、その女性自身がマナーを理解している証です。そんな女性からなら、指摘されても素直に受け入れられるのでしょう。時間にルーズ「待ち合わせに遅れてきたときにキツく叱られてしまいましたが、そこで僕は彼女の心の中に『ダメなことはダメ』という明確な線引きがあることに惹かれました」(26歳/男性)遅刻については、注意されたことに納得している男性が多いです。一度だけの遅刻は許容範囲内かもしれませんが、毎回の遅刻を甘やかしてしまうと結局自分自身にマイナスとなるでしょう。ダメなことを許してしまって常態化すると、相手に軽く見られる可能性もあります。繰り返し遅刻することがあれば、しっかりと注意してみてください。怠惰な態度「感染症流行が原因で休みが増えてしまい、その結果怠惰になってしまった自分を正面から注意してくれた彼女に、今でも感謝の気持ちでいっぱいです」(22歳/男性)彼にとって有益な注意をしてくれる女性は「自己改革を後押ししてくれるパートナー」という強い印象を与えます。常に完璧な人はいないですし、怠惰な時期をすごすこともあるでしょう。そんなときに、話を聞いて共感しながらも、気持ちが低下しないように注意してくれる女性は、確かな魅力を持っています。理由ある注意「ただ『ダメ』と言われるのではなく『〇〇だからやめてください』と理由まで明示してくれることで納得でき、より反省して改善ができるようになりました」(30歳/男性)注意は、理由をはっきりさせることによって受け入れやすくなることが多いです。なぜ怒っているのか、どうして注意してほしいのかを明確にするだけで、彼も彼女の心情を理解しやすくなり、素直に受け入れられるでしょう。論理的に理由をつけて注意することが、モテる注意の仕方かもしれません。男性の背中を押す!注意されても、その気持ちをいい方向へと導いてくれる女性は、男性にとって理想のパートナーでしょう。ビシッと指摘しつつも、一方的な否定をしないように心がけてみてください。(愛カツ編集部)
2024年04月25日発達障害のひとつ、ADHD (注意欠如・多動症)をテーマにした話題の映画『ノルマル17歳。― わたしたちはADHD ―』が先日公開し、東京・アップリンク吉祥寺にて上映中です。ADHDは「注意欠陥多動性障害」を意味する英語名・Attention-Deficit Hyperactivity Disordersの頭文字をとった略称。「ADHD」の主な特徴としては、「集中力がない」「忘れ物が多い」「じっとしていられない」といったものが挙げられますが、実際には個々で特性が異なり、子どもが成長するまで気づきにくい場合も。社会に出てから「もしかして自分は?」と考えて診断を受ける人もいますが、その特性は子どもの成長段階で起こり得るものも多くあり、「我が子がどうも育てにくい」と感じているママたちの中には、「もしかしてうちの子、発達障害?」と悩む人たちも少なくありません。近年「発達障害」への関心は高まり、言葉としての認知度は広まってきてはいるけれど、その特性を持った子どもたちの実態や感情、そしてその家族たちについては、あまりよくわからない…といった方も多いでしょう。そんな今、『ノルマル17歳。― わたしたちはADHD ―』は、発達障害の子どもを取り囲む家族や社会の問題から、“普通とは何か”を問いかける映画です。<ストーリー>物語の主人公は、ADHDという共通点を持つ2人の女子高生。進学校に通う絃(いと/西川茉莉)は物忘れがひどく、大事なテストの日に目覚まし時計をかけ忘れて寝坊してしまう。絃はそのまま登校せず、気づけば見知らぬ公園へ。そこで派手な格好をした女子高生・朱里(じゅり/鈴木心緒)に声をかけられる。朱里はいきなりADHDであることを絃に告白。驚く絃を強引に街へと遊びに誘う。初対面の絃(写真右)に「あたし発達障害あってさ。ADHDっての。知ってる?」と話しかける朱里(写真左)。朱里に連れて行かれた場所は、いつも家と学校の往復しかしない絃にとって新鮮な世界。やがて2人は友達になるものの、朱里の派手な身なりに不快感を持つ絃の母(眞鍋かをり)に交際を禁じられてしまう。絃の母は子どもたちに「普通」の価値観を押しつけようとする。一方で朱里は自身の物忘れが原因で姉(花岡昊芽)との喧嘩が絶えない上、父(福澤朗)や母(今西ひろこ)からも厳しくされ、家庭内で孤立。朱里は次第に部屋に引きこもるようなる。絃との距離も次第に離れていく朱里。見た目や行動は対照的だけれど、ADHDという同じ悩みを持つ2人の女子高生の葛藤、彼女たちを取り巻く両親や学校との軋轢が描かれており、どんな立場の方でも「普通とは何か?」を考えさせられるストーリーです。ADHDや発達障害という言葉だけが一人歩きしてしまい、「障害だってわかっているなら対策すればいいでしょ?」「自覚していて治せないなら甘えじゃないの?」といった誤解も生まれやすくなっています。しかし実際には発達障害の特性にはグラデーションがあり、ひとりひとり個性があるのです。当事者でなくても発達障害を取り巻く現状を知り、寄り添っていくことがとても大切です。まずはこんな映画をきっかけに、考えてみてはいかがでしょうか。映画『ノルマル17歳。-わたしたちはADHD-』出演:鈴木心緒、西川茉莉、眞鍋かをり、福澤 朗、村野武範 、小池首領、今西ひろこ、花岡昊芽 ほか監督:北 宗羽介 脚本:神田 凜、北 宗羽介音楽:西田衣見 撮影:ヤギシタヨシカツ(J.S.C.)エグゼクティブ・プロデューサー:下原寛史(トラストクリエイティブプロモーション)プロデューサー:北 宗羽介、近貞 博、斎藤直人製作:八艶、トラストフィールディング 配給:アルケミーブラザース、八艶後援:一般社団法人 日本発達障害ネットワーク(JDDnet)、NPO法人えじそんくらぶ ほか 文化庁「ARTS for the future!2」補助対象事業©2023 八艶・トラストフィールディング /80分/カラー/5.1ch公式サイト:
2024年04月12日ADHD(注意欠如多動症)とは?ADHDは注意欠如多動症とも呼ばれていて、「不注意」「多動性」「衝動性」といった特性によって日常生活や園での活動などに困難が生じる発達障害の一つです。不注意では「人の話を最後まで聞けない」「一つの作業に集中し続けることが難しい」、多動性では「落ち着きがなく常に動いている」「席にじっと座っていることが難しい」、衝動性では「おしゃべりが止まらない」「思いついたことをすぐ実行する」などの特性があります。特性の表れ方は人によって異なっており、不注意が表れやすいタイプ、多動性と衝動性が表れやすいタイプ、不注意と多動性、衝動性が混在しているタイプと主に3つに分けられています。ADHD(注意欠如多動症)の診断は上記のような特性が6ヶ月以上、家庭と園など複数の場所でみられ、実際に困り事が発生していることなどが条件となっています。また、特性が12歳未満で表れていることも診断の条件となっています。しかし、4歳、5歳頃の子どもにとって、集中が途切れたり、思いつきで行動したりするなどはよくあることで、この頃に診断することは難しく、小学生以降に診断を受けることが多いと言われています。ADHD(注意欠如多動症)の原因はまだ明確になっていませんが、遺伝は要因の一つだと考えられています。また、脳内の神経伝達物質の異常、低出生体重、頭部の怪我、脳の感染症なども要因としてあげられています。それらの要因が複雑に関係し、相互に影響し合うことで、ADHD(注意欠如多動症)の発症リスクが高まると言われています。ADHD(注意欠如多動症)は脳機能の偏りによるもので、治るというものではありません。そのため、ADHD(注意欠如多動症)の特性と周りの環境をうまく合わせていく環境調整を行って、園などで困り事が軽減するような対策をしていくことになります。また、服薬によって特性の表れ方を和らげる方法もあります。低年齢の子どもの場合、主なADHD薬のなかで処方できるものはありません。今後の服薬については主治医と相談して対応を決めていきましょう。参考:注意欠如・多動症(ADD,ADHD)|MSDマニュアルプロフェッショナル版4歳、5歳児頃から表れるADHDの特徴とは?多動?落ち着きがないだけ?気になるサイン4歳、5歳の子どもは、保育園や幼稚園の年中や年長にあたり、友達との会話を楽しんだり、ルールを決めた中で遊んだりとできることも増えてくる時期です。そのため、ADHD(注意欠如多動症)の子どもは園での活動や友達との関係で困り事が生じる傾向がみられるようです。ここでは特性ごとによくみられる特徴を紹介します。不注意・保育士が話していることを最後まで聞けない・遊んでいる最中にほかのことに気を取られることが多い・保育士から指示された課題を最後まで続けることができない・よく物をなくしたり、忘れたりする・集中力が必要なことを嫌がる多動・衝動性・落ち着きなくそわそわ動いたり、身をよじったりしている・席に座る場面でじっと座っていることができない・話を聞く場面で走り回ったり、おしゃべりをしたりする・保育士の話をさえぎってしゃべりだす・ほかの子どもが何かしようとするのを遮る・ほかの子どもが使っているおもちゃを横から取ってしまう・順番を待つことができずに割り込む・保育士の指示は聞いていても自分のしたいことを優先するただし、4歳、5歳頃にはこのような行動が多くみられるため、ADHD(注意欠如多動症)かどうかを判断するのは難しく、診断自体は7歳頃に受けることが多いと言われています。参考:第2章(子どもの発達)に盛り込むことが考えられる事項(たたき台案)|厚生労働省参考:注意欠如・多動症(ADHD)|MSDマニュアル家庭版参考:注意欠如・多動症(ADD,ADHD)|MSDマニュアルプロフェッショナル版もし子どもが友達との関係や課題への取り組みなどで園でトラブルを起こした際は、どのように対応するといいか紹介します。対応方法としては、環境調整、声かけの工夫、生活の安定などがあります。環境調整子どもの特性を考慮して困り事が生じないように周りの環境を調整していく方法のことです。例えば、気になるものがあると課題に集中できない子どもには、席を一番前にしたり、パーテーションをつけたりして、視界に入る情報を減らすといった方法があります。ほかにも、じっと座っていることが苦手な子どもには、動いていい時間と静かに座っている時間を明確に分けることでメリハリをつけて実行しやすくする方法もあります。また、子どもの安全を考えて急に走り出しても危険がないように、ぶつかると危ないものをあらかじめ撤去しておくことも環境調整の一つです。声かけの工夫できたことをほめて好ましい行動を増やしていく方法のことです。順番を待つことができたら「待ててえらいね」「最後までよくがんばったね」などと、具体的にできたことをほめていくことで、子どもが次からもその行動をする動機をつくっていきます。また、「ちゃんとしなさい」という漠然とした表現でなく、「背中を椅子につけて座る」といった具体的に分かりやすい表現で伝えることも大切です。生活の安定ADHD(注意欠如多動症)の子どもは生活習慣が乱れやすいため、1日のスケジュールを決めて行動するようにすると生活が安定し、そのことが心身の安定にもつながると言われています。スケジュールを決める際には子どもの意見も考慮することや、イラストなど視覚的に分かりやすい方法で伝えていくと取り組みやすくなります。また、園と家庭の情報共有も重要です。家庭で実行して、子どもが落ち着いたり集中できたりしたことを園に伝えることで、園でも同様の対応をしていくことができます。その逆に園で効果があったことを家庭に共有していくことも可能で、情報共有することで子どもに対する効果的な対応を増やしていくことができます。そのほかの対応として、ペアレント・トレーニングの一つである「親子相互交流療法(PCIT)」などもあります。PCITは1970年代にアメリカで考案されたプログラムで、子どもと保護者の絆を強め、より良い行動につなげていくというものです。一部の医療機関などで実施しているので、気になる方はご確認ください。参考:PCITJAPANADHD(注意欠如多動症)の子どもの行動に焦点をあて、その特徴を理解し、それに対して効果的な対処法を親が学ぶペアレントトレーニングは、ADHD(注意欠如多動症)の治療法として認識されています。肯定的な注目などのスキルを親が手にし、親の行動のあり方を変えることにより、ADHD(注意欠如多動症)を持つ子どもとの関係性が改善し、良い親子関係へと転換していきます。服薬ADHD(注意欠如多動症)は服薬によって特性を和らげる方法もあります。よく使用される薬としてはコンサータやストラテラ、インチュニブ、ビバンセなどがありますが、これらは6歳以上に処方される薬のため、4歳、5歳の子どもには用いられません。詳しいことは主治医とご相談ください。4歳、5歳児に表れることの多いADHDの特性をチェックUpload By 発達障害のキホン※発達や成長に加え症状や特性には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐにADHD(注意欠如多動症)と診断されるわけではありません。子どもの発達が気になったらどこに相談すればいい?子どもにADHD(注意欠如多動症)の傾向がみられたり、園でトラブルがあったりして悩んでいる場合は、専門の機関に相談する方法もあります。相談することで心が楽になったり、対応方法が分かったり、状況を踏まえてほかの支援機関を紹介してもらえたりとさまざまな利点があります。子どもに関して相談できる場所として以下のような機関があげられます。保健所・市区町村保健センター保健所や保健センターは地域の保健衛生に関する専門機関です。子どもの障害についても相談することが可能で、保健師などの専門家による相談対応や医療機関、支援機関の紹介などを行っています。かかりつけの小児科小児科医は診察などをするだけでなく、子どもの発達に関して相談することもできます。これまでの子どもの様子も知っているため、状況に応じてほかの医療機関の紹介などをしてもらえます。児童発達支援センター障害のある子どもへ、日常生活や集団生活に必要なスキルなどを習得するための支援を行っている専門機関です。児童発達支援センターでは支援のほかにも子どもの発達に関する相談も受けつけています。発達障害者支援センターADHD(注意欠如多動症)などの発達障害のある方本人や家族を対象に、幅広い支援を行っている専門機関です。状況に合わせたアドバイスをもらえるほか、医療機関や支援機関の紹介も行っています。また、診断を受けていなくても相談可能です。就学相談今後就学に不安がある方は、「就学相談」を受けることもできます。就学相談とは障害や発達が気になる子どもにどのような進学先が合っているかを、専門家と保護者で相談しながら決めていくことです。就学相談を受けるにはお住まいの地区の教育委員会に申し込む必要があります。気になる方は一度問い合わせてみるといいでしょう。参考:困ったときの相談先|厚生労働省まとめADHD(注意欠如多動症)は不注意、多動性、衝動性という特性のある発達障害のことで、4歳、5歳頃だと「席に座っていられない」「落ち着きがなく常に動いている」「ほかの子のおもちゃを取ってしまう」などが困り事としてよくみられます。ただ、上記のような行動はこの年頃の子どもにはよくみられるので、判断がつかずに悩んでいる保護者の方もいると思います。気になる様子があったら、園と連携して環境を調整していくことや、子どもとの関わりを工夫していくことが大事です。また抱え込んでしまうのではなく、身近な専門機関に相談することも検討してみてください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年02月24日ADHD(注意欠如多動症)とは?ADHD(注意欠如多動症)とは「不注意」「多動性」「衝動性」という特性がある発達障害の一つです。それぞれの特性を簡単に説明します。・不注意:一つのことに集中し続けることが困難・多動性:じっとしていることができずに常に動いている・衝動性:思いついたことを考えずに実行するADHD(注意欠如多動症)の子どもはこれらの特性と周囲の環境が合わないことで、さまざまな困りごとが生じると言われています。また、子どもによって不注意が強く表れるタイプ、多動性と衝動性が強く表れるタイプ、どちらも混在しているタイプと3つのタイプに分類されています。ADHD(注意欠如多動症)の原因については、さまざまな研究が進められていますが、まだはっきりとは解明されていません。脳内の神経伝達物質であるドーパミンなどの機能異常が関係していると考えられており、遺伝的要因や環境要因などが相互に影響し合い、ADHD(注意欠如多動症)の症状として表れているのではないかと言われています。診断は専門の医師によって行われ、年齢に比較して不注意などの特性が強く表れていることや、複数の環境で困りごとが生じていることなどが基準となっています。また、ADHD(注意欠如多動症)は特性によるものであり、治すという概念ではなく、環境調整や薬物療法などで困りごとが表れないようにしていくという形で治療が行われます。参考:注意欠如・多動症(ADHD)|MSDマニュアル家庭版参考:注意欠如・多動症(ADD,ADHD)|MSDマニュアルプロフェッショナル版参考:ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療|e-ヘルスネットADHD(注意欠如多動症)の特徴は2歳児頃から表れる?違和感や発達の遅れ、気になるサインADHD(注意欠如多動症)の特徴は4歳、5歳頃から表れることが多く、7歳頃から診断されることが多いと言われています。しかし、2歳頃から特徴が表れることもありますので、この後紹介していきます。2歳頃になると子どもはボールを投げたり、ジャングルジムに登れるようになったり、簡単な問いかけには言葉で答えるようになるなど、できることが増えていきます。それにともないイヤイヤ期と呼ばれる自己主張が激しくなる時期にも差し掛かります。この時期に表れるADHD(注意欠如多動症)の特徴は以下のようなものがあります。2歳頃に表れる不注意の特徴例・指示に従わずに物事をやり遂げられないことが多い・ほかに気になるものがあるとすぐ気がそれてしまう・物をなくしたり忘れることが多い・話しかけられても聞いていないように見える・使ったおもちゃを片づけることが苦手2歳頃に表れる多動性・衝動性の特徴例・ずっと話しかけてくる・友達のおもちゃを一方的に取り上げることがある・エンジンで動かされているように活発に動く・手足を動かしたり身をよじる動作が多い・周囲を確かめずにいきなり走り出すことがあるADHD(注意欠如多動症)があると以上のような特徴がみられることがあります。ただ、これらの特徴は、この時期の定型発達の子どもにもよくみられるため、気になる様子がある場合も自己判断せずに専門家に相談するようにしましょう。参考: 0歳児から2歳児の発達過程|東京都教育委員会参考:注意欠如・多動症(ADHD)|MSDマニュアル家庭版ADHD(注意欠如多動症)の子どもはわざと周囲が困ることをしているのではありません。じっとしていることができないときに、「じっとしていなさい」「なんで動くの?」と叱っても、子どももどうしていいか分からなくなってしまいます。そして、叱られることが多くなることで自己否定の気持ちが強くなってしまい、自尊心が下がってしまう恐れもあります。そのため、特性を理解したうえで適切に対応していく必要があります。子どものADHD(注意欠如多動症)の対応としては、環境調整、行動への介入、薬物療法といった方法があります。まず、環境調整とは、特性に応じて困りごとが起きないように環境を整える方法です。例えば一つの遊びに集中できない子どもの場合は、部屋のカーテンを閉めたりほかのおもちゃを隠したりと、視界に入る刺激を少なくします。また、外で急に走り出す子どもには、道路の近くで遊ばない、広い公園で遊ぶようにするなど危険が少ない状況をつくるというのも環境調整の一例です。次に、行動への介入とは、望ましい行動は積極的に褒め、望ましい行動を促していく方法です。例えば、話を最後まで聞けたときは「しっかり聞けたね」などどういった行動が良かったかを具体的に褒めていきます。ただし、2歳児だとまだ物事の良し悪しを理解することが難しい可能性もあるため、行動の介入よりは環境調整により危険を少なくしていく方法を取ったほうがいい場合もあります。最後に薬物療法ですが、服薬により不注意などの特性を緩和していくことができると言われています。ADHD(注意欠如多動症)の治療薬としてコンサータやストラテラなどが処方されることがありますが、基本的には6歳以上の子どもに用いられ、2歳児には処方されません。詳しいことは主治医に相談してみましょう。参考:ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療|e-ヘルスネット2歳児に表れることの多いADHDの特徴をチェックUpload By 発達障害のキホン※発達や成長に加え症状や特性には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐにADHD(注意欠如多動症)と診断されるわけではありません。子どもの発達が気になったらどこに相談すればいい?2歳児は、定型発達の子どもの場合も落ち着きがないことはよくあります。特徴にあてはまる行動があっても心配しすぎることはないでしょう。しかし、気になる様子があって心配な場合は専門家に相談することも検討してみましょう。保育園に通っている場合は、まずは担当の保育士に相談してみるといいでしょう。子どもの普段の様子も考慮して、アドバイスやほかの相談先について教えてもらえるかもしれません。そのほかにも、子どもの発達が気になる際の相談先には以下のような場所があります。・保健センター・児童相談所・児童家庭支援センター・地域子育て支援センターまとめ2歳児におけるADHD(注意欠如多動症)の特徴やサインについて紹介してきました。2歳児は成長によって行動範囲が広がってくることや、イヤイヤ期と呼ばれる自己主張が激しくなる時期であることもあり、ADHD(注意欠如多動症)の特徴と似た行動がみられるようになります。そのため、気になる様子があっても判断することが難しく、悩んでいる方もいらっしゃると思います。そういったときは一人で抱え込まずに相談することが大切です。相談先は、身近な保育者への相談や専門機関の窓口などがあります。また、電話での相談ができる機関もありますので、まずは相談しやすい場所から問い合わせてみるといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年02月17日ADHD(注意欠如・多動症)とはADHD(注意欠如・多動症)は発達障害の1つで、不注意、多動性、衝動性などの特性があり、日常生活に困難を生じます。特性の多くは12歳以前にあらわれますが、幼い子どもにみられる特徴と区別することが難しいため、就学期以降に診断されることが多いと言われています。また、個人差はありますが、成長に伴って多動性が弱まるなど、特性のあらわれ方が変化することもあります。ADHD(注意欠如・多動症)に見られる特徴は、「人の話に集中できない」「落ち着きがない」「ものを良く壊す」「順番が待てない」「なくしもの・忘れ物や遅刻が多い」などです。ADHDの特性があらわれ始めるのは2歳ごろで、幼稚園~小学校に入学するころから目立つようになることが多いと言われています。さらに、特性のあらわれ方によって、多動・衝動性の傾向が強いタイプ、不注意の傾向が強いタイプ、多動・衝動性と不注意が混在しているタイプの3つに大別されます。ADHD(注意欠如・多動症)は生まれつきの脳機能障害です。乳幼児期の育て方によって発症するものではありません。ADHDのある人の脳では、前頭葉や線条体と呼ばれる部位において、ドーパミンなどの神経伝達物質の機能障害が起きていると考えられています。また、遺伝的要因も関連していると言われています。参考:e-ヘルスネットADHD(注意欠如・多動症)の診断基準には、アメリカ精神医学会の「DSM-5」(「精神疾患の診断・統計マニュアル」第5版)が多く用いられています。ADHDには、話を集中して聞けない、作業が不正確、なくしものが多いといった「不注意」、体を絶えず動かす、離席する、おしゃべり、順番を待てないなどの「多動性」「衝動性」の特性があり、日常生活に困難を生じます。また、これらの症状が12歳になる前に出現します。しかし、定型発達の場合でも、2~3歳ごろまではじっとしていられず、集中力も長くは続かない子どもが多いため、上記の条件を満たしていても就学期ごろまで診断がつかないこともあります。ADHDの診断は、医師が診察において患者の行動特徴を観察し、その結果と診断基準を照らし合わせ、ほかの精神疾患と鑑別された上で行われます。参考:厚生労働省「ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療」ADHD(注意欠如・多動症)の治療には、療育や教育などの心理・社会的アプローチと、薬物療法などの医療的アプローチがあります。療育では、環境調整・ソーシャルスキルトレーニング・ペアレントトレーニングといった手法が用いられます。このような発達支援は、発達障害専門の病院や公立・民間の「児童発達支援」「放課後等デイサービス」などで受けることができます。現在、ADHDを完全に治癒させる薬はありません。しかしながら、不注意・多動性・衝動性の症状を緩和する対症療法としての薬物治療はしばしば行われています。ADHDの治療に主に用いられているのは、メチルフェニデート徐放錠(コンサータ®)、アトモキセチン(ストラテラ®)、グアンファシン徐放錠(インチュニブ®)です。また、2019年12月からは、リスデキサンフェタミン塩酸塩カプセル(ビバンセ®)が使用可能になりました。それぞれの薬剤は用量、用法や、効き方、副作用などが異なるため、状況に応じて使い分けられます。障害者手帳とは、障害のある人が取得できる手帳の総称です。身体障害者手帳(視覚障害、聴覚障害、肢体不自由など)、療育手帳(知的障害)、精神障害者保健福祉手帳などの種類があります。障害者手帳を取得することで、障害の種類や程度に応じてさまざまな福祉サービスを受けることができます。ADHD(注意欠如・多動症)や、二次障害としての精神障害が原因で日常生活へ支障がある人は、精神障害者保健福祉手帳を取得できる可能性があります。また、知的障害を伴う場合、療育手帳の対象となることもあります。精神障害者保健福祉手帳の申請には医師による診断書が必要ですが、療育手帳の申請には医師による診断書は不要です。詳しくはお住まいの市町村にお問合せください。ADHD(注意欠如・多動症)と併存しやすい障害や疾患と、症状の例ADHD(注意欠如・多動症)はさまざまな併存症があると言われています。自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害・限局性学習症(LD・SLD)、発達性協調運動症(DCD)、知的発達症(知的障害)、うつ病、双極性障害(躁うつ病)なども併存することがあります。自閉スペクトラム症(ASD)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の1つです。学習障害・限局性学習症(LD・SLD)は、学習における技能に困難さがみられる発達障害の一つです。読むことやその内容を理解することの困難さ、書くことの困難さ、数の理解や計算をすることの困難さなど大きく3つの分類があります。これらの困難が、知的発達症(知的障害)によるものでないこと、経済的・環境的な要因によるものでないこと、神経疾患や視覚・聴覚の障害によるものではないこと、学習における面のみでの困難であること、という場合に限り診断されます。学校教育が始まる就学期になって診断されることがほとんどですが、就学前の段階で言語の遅れや数えることの困難、書くことに必要である微細運動の困難などがあることでその兆候に気づかれることもあります。参考:学習障害(限局性学習症)|e-ヘルスネット参考:学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について|文部科学省発達性協調運動症(DCD)とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害です。別名、不器用症候群とも呼ばれていました。知的発達症(知的障害)とは、発達期までに生じた知的機能障害により、認知能力・社会適応能力の発達が全般的に遅れた水準にある状態を指します(発達期とはおおむね18歳までを指し、それ以降に事故や病気などで知的機能が低下しても、知的障害とは言いません)。うつ病とは気持ちが落ち込み、その感情を抑えることができずいつも通りの生活を送ることができなくなる精神疾患です。双極性障害(躁うつ病)は、気分が著しく昂揚した状態の「躁状態」と、そもそも楽しさを感じない、楽しい出来事に興味がわかない状態の「うつ状態」の2つの精神状態が繰り返し現れる病気です。ADHD(注意欠如・多動症)のある子どもとの生活の様子は?特選連載コラムADHD(注意欠如・多動症)のあるお子さんをもつ発達ナビの連載ライターさんの厳選コラムをご紹介。「あるある」と共感したり、今の悩みを解決するヒントが見つかるかも…?大人のADHD(注意欠如・多動症)関連コラム大人の場合は、ADHD(注意欠如・多動症)の症状と考えられる特性によって日常生活や仕事にさまざまな支障をきたしてしまい、自分自身では解決できないという状況がおこりえます。その他のADHD(注意欠如・多動症)関連コラムコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月21日不安しかない⁉ADHD小2の息子が結婚式に招待されて息子は、ADHD(注意欠如・多動症)があります。気が散りやすく、興味があることにすぐ気を取られてしまいます。そんな息子が、小学2年生のとき、私の弟(息子にとっては叔父さん)の結婚式に出席することになりました。飽きっぽく、じっとしていられない息子が、結婚式、披露宴と長い時間落ち着いていられるのか…。さまざまな心配事が浮かんできました。ですが、息子は今回結婚する私の弟のことが大好きなのです。弟は、息子をとてもかわいがってくれていました。家が離れているので3ヶ月に1度くらいしか会えませんが、一緒にお出かけをしたり、遊んだりしてくれる叔父さんに会える日を息子はいつも心待ちにしていたくらいです。私は、息子に叔父さんの結婚式に行きたいか聞いてみました。息子は、結婚式がどういうものか分からないようでしたが、大好きな叔父さんに会える!と出席を快諾。さらに、なんと息子はリングボーイのお役目を務めることになったのです。私は息子にそんな大役が務まるのかとハラハラしましたが、息子は、大好きな叔父さんやみんなにいいところを見せたいと、張り切っていました。慣れないタキシードでリングボーイを立派に務めた息子窮屈だと嫌がりながらも、慣れないタキシードに着替えた息子。服は気になるようでしたが、結婚式へ行くことは楽しみでたまらないといった様子でした。順調に式場へ到着し、我々はリングボーイのリハーサルに参加しました。実際に式を行う教会の中で神父様と指輪を運ぶ息子。神妙な顔で一生懸命に取り組んでいる真剣な姿を見て、私は立派だな、頑張っているなとうれしく感じました。その後の本番は大成功!落ち着いて役目を果たした息子は、大役が果たせたことが自信につながったようです。最初は不安でしたが、とてもいい経験をさせてもらえました。Upload By ユーザー体験談大役が終わって気が抜けた…?だんだんと落ち着きがなくなっていって…その後始まった披露宴。最初はスムーズに参加できていたのですが、大人でさえ長く感じることもある披露宴です。ADHDのある息子はもっと長く感じているでしょう。スタート時点はよかったものの、ある程度食事も食べ終わり、スピーチが続くようになったころからソワソワし始めました。息子はやることがないままただ座っているということが難しいので、どうしたらいいか困りました。もっと小さいころは、シールブックや絵本などを与えていましたが、もう小2ですのでそういうものには興味を示してくれません。ですが、さすがに結婚式場でゲームをやらせるわけにもいきません…。披露宴が中盤に差し掛かるころには、蝶ネクタイは苦しいと外し、いつのまにかズボンに入れていたシャツは外に出ている…という状態の息子。なんとか上着は着ていてくれましたが、それもいつ脱ぎたいと言い出すか分からない状況でした。Upload By ユーザー体験談飽きてしまった息子を救い、周りも笑顔にしたアイテム…それは!?なんとかしなければと思った私は、息子に自分のデジタルカメラを渡し「カメラマンになって、いい写真撮ってきて!」とささやきました。すると息子はパッとイキイキとした表情になったのです。これが大成功!「写真を撮る役割」をもらって、息子はうれしかったようです。カメラをもって新郎・新婦のところへ行ったり、来賓客のテーブルをまわって写真を撮りだしました。本人も楽しそうだし、周りの方も「ちびっこカメラマンだ!」とかわいがってくれました。新郎・新婦もピースサインで、満面の笑顔。ほかにも息子は、プロのカメラマンさんの横にちゃっかりお邪魔して一緒に撮ったり、小さい体を生かして人の隙間へ入って行って、最前列で写真を撮っていました。仕事を与えて暇をつなぐという方法が、息子には見事にハマったのです。Upload By ユーザー体験談叔父さんからの「ありがとう」に喜びと自信をもらった息子披露宴の終わり、叔父さんから「ありがとう!」と言ってもらえた息子は、とてもとてもうれしそうでした。大好きな叔父さんの結婚式で役割を果たせたことは、息子にとって、とてもいい思い出にもなりました。最初は不安でしたが、出席して本当によかったです。Upload By ユーザー体験談その3年後、小5になった息子は、今度は夫の弟の結婚式に出ることになりました。3年前より落ち着いてはいますが、飽きっぽいところは相変わらずな息子。このときも前回の経験を生かしてカメラマンをお願いしました。ただこのころには、落ち着かなくなると自分でロビーに退出するなどコントロールが取れるようになっていたので、前より問題なく終えることができました。息子の成長を感じた出来事です。イラスト/taekoエピソード提供/カプゴジラ(監修:新美先生より)冠婚葬祭の場に子どもを連れていくことはなかなかハードルが高く感じることもあります。例えば本人がよく知らない親戚の葬式など、モチベーションも持てなくて、内容も我慢することばかりなら、出席しないという選択肢もあるかもしれません。今回のように、本人が大好きな叔父さんの結婚式ということで、ご本人に出席のモチベーションがあることが何より成功ポイントですね。リングボーイの大役が果たせて、ご本人も、叔父さんも、親御さんもみんなうれしかったですね。読ませていただいてこちらまでほっこりしました。しかし、披露宴は長時間にわたり、よく知らない人の長いスピーチなど、じっと聞いていられない場面も続きます。「何もしないで待つ」ということは子どもにとって苦痛でしかないことです。そんなとき、カメラマンの役割を任せるというのは、なんとも素晴らしいアイデアですね!これは、披露宴に限らず、学校の行事(運動会、音楽会)でも応用できるアイデアだと思いました。お子さんの状況によっては、中座する、そもそも出席しない、リモート参加するといったことも選択肢にはなりますが、このようにふさわしい役割をもらって、本人も充実感を持って参加できるという工夫は素晴らしいと思いました。ありがとうございました。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月06日【今週の悩めるマダム】私の夫はADHD(注意欠如・多動性障害)の疑いがあり、片付けができません。仕事もできて穏やかな人なのですが、なかなかものを捨てられず、指摘したり手伝おうとすると怒鳴られます。部屋が汚なすぎてこの10年は友人どころか両親すら呼べません。あと30年もこの家で暮らすのかと思うとゾッとします。(50代主婦)ADHDはなかなかデリケートな病ですからね。根本的に治ることはないと言われていますし、ご家族の苦労もよくわかります。これは非常に難しい問題ですね。手伝おうとすると怒鳴られるということですが、たしかに苦しい状況ですね。しかし、ご主人が病気の疑いがあるなら、正攻法では厳しいでしょう。奥様はこれまでとは違うアプローチでご主人と向き合ってみる必要があるかもしれません。少し話が逸れますけれど、奥様がここに書かれた相談内容、実は、僕にも当てはまるのです。片付けはやろうと思えばできますが、好んでやらないので、部屋は散らかりっぱなし。まぁ、ある意味、僕は仕事も好きですし、どちらかというと穏やかな性格です。でも、なかなかものを捨てられず、家は謎のもので溢れかえっています。とくに箱が捨てられず、部屋の一角に木箱が積み上がっているのです。例えば、お茶の入った木箱とか、湯呑みの入った木箱とか、ワインの木箱とか、絶対捨てられないのです。息子に「なんでこんな意味のないもの、集めているの?」と聞かれ、「お前にはわからないんだ。もったいないし、いつか使えるかもしれないじゃないか」と答えている自分、たしかにちょっとおかしいですね。もっとも怒鳴り散らすことはありませんけど、息子には呆れられています。と、ここまで書いて気がつきました。僕の周りの同世代の男性はこの傾向に当てはまる人が多いです。なので、ご主人はADHDの疑いがあるのかもしれないですが、僕とそれほど変わらないということにもなります。僕も病院に行ったらADHDと診断されてしまうかもしれないですね。知り合いに、「辻さんは、多動症の気がありますよね」とよく指摘されています。ご主人も自分のどこが病気なのか、わかっていない可能性があります。そうだとしたら、まずはしっかり話し合って、理解し合うことが重要です。その上で、お医者さんのアドバイスをもとに、日常生活のなかで病と向き合う生活へとシフトしていくのがよろしいかと思います。人間の心というのは、とてももろく、わかりづらいものです。この10年という歳月のなかで、ご主人の心にどんな変化があったのでしょうか。詳しい状況はわかりませんが、奥様一人ですべてを抱えて頑張っていくのはあまりに過酷じゃないでしょうか?ご両親が健在ならば相談し、ご家族やご親戚の力を借りて、もしくは医師や専門家の力を借りて、ご主人の心に寄り添ってみるという方法もあります。楽しかった日々もあるわけですから、そのことを心の支えに、もう少し頑張ってみてもいいかもしれません。別れる・別れないの最終的な結論はその後でもいいように思います。とにかく一人で背負わないようにしましょう。【JINSEIの格言】奥様一人ですべてを抱えて頑張 っていくのはあまりに過酷じゃないでしょうか?ご両親が健在ならば相談し、ご家族やご親戚、もしくは医師や専門家の力を借りる方法もあります。
2021年03月30日ADHDとは?ADHD(注意欠陥・多動性障害)は不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状がみられる発達障害のことです。人によって症状の現れ方の傾向は異なり、大きく3つのタイプに分けることができます。1.多動性-衝動性優勢型:多動と衝動の症状が強く出ているタイプです。2.不注意優勢型:不注意の症状が強く出ているタイプです。3.混合型:多動と衝動、不注意の症状が混ざり合って強く出ているタイプです。子どもの20人に1人、成人の40人に1人にADHDが生じることが示されています。以前は男性(男の子)に多いといわれていましたが、現在ではADHDの男女比は同程度に近づいていると報告されています。参考:DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル年齢別に見たADHDの症状の現れ方■生後すぐから診断ができるの?ADHDは発達障害のひとつですが、発達障害は、言語・認知・学習といった発達領域が未発達の乳児では、症状が分かりやすく出ることはありません。ですから、生後すぐにADHDの診断が出ることはありません。また、ADHDの症状は他の発達障害の症状と共通するものもあるので、判断には注意が必要です。ADHDと診断された人たちの中には、乳児期を振り返ってみると、「なかなか寝付かない、寝返りをうつことが多く落ち着きがない、抱っこされることを嫌がる」といった傾向がみられる場合もあるようですが、このような行動は定型の成長過程でもあり、一概にADHDと結びつけることはできません。気になる場合には児童センターといった身近な相談機関や小児科などで相談してみましょう。■トラブルの原因となる行動をとることが多いADHDのある子は、成長するに従い、以下のような行動をとる場面が目立つようになります。ただ、前述の通り、ADHDの症状は他の発達障害の症状と共通するものもあります。必ずしもADHDとはかぎらないので、特徴はあくまで参考程度にしましょう。・他の子をたたいたり、乱暴をすることがある・落ち着きがなくじっとしていることができない・我慢ができないので癇癪(かんしゃく)をおこすことが多くみられる・物を壊すなど乱暴・破壊的な遊びを好むことがあるいくら言葉だけで注意しても、これらの同じ行動を繰り返してしまいます。■言葉の遅れがみられることもADHDのある幼児は、他の発達障害との合併症状として、言葉の遅れなどの特徴がみられることもあります。■しつけの問題なの?幼児期になると、落ち着きがなかったり癇癪を起こしやすかったりといった様子から、ADHDに気づくことが多いようです。また、保育園や幼稚園でも他の子どもとトラブルを起こしがちになってしまいます。そのような行動が原因で誤解され、しつけがされていないなどと言われることもありますが、ADHDは先天的な脳の機能障害によるもので、しつけや育て方の問題ではありません。■症状が顕著に現れてくるADHDの子どもが小学校に入学すると、着席しての学習や集団行動が求められるようになることもあいまって、以下のような症状が目立ってきます。・授業中でもじっと座っていることができず、歩き回ったりする・注意力が散漫になって、興味の対象も次々と変化する・物を忘れたり、なくしたりすることが多い・突然話しかけて他の人の邪魔をしたり、他の人に話しかけられてもぼーっとしてうわの空に見られる・突発的な行動をおこすことがあり、自分の怒りの感情をコントロールできない・友達と仲良くできずトラブルを引き起こしてしまうことが多い■結果的に周りから問題視される何度も同じことを繰り返し注意されたり、授業態度などから周りに問題視されたり、怠けていると思われたりすることがあります。しかし、本人からすれば悪気があってしていることでもなければ、怠けているわけでもありません。■ADHDの診断がはっきりと下される時期小学校に上がるころになると、ADHDの症状が顕著に現れるため診断される場合が多くなります。文部科学省の定義では7歳前、DSM-5によるとADHDは12歳前に症状が現れるとされていますが、必ずしもこの年齢でというわけではなく、この年齢以前から症状がはっきり分かる場合には診断が下されます。■思春期のADHDは、合併症状にも注意思春期なると、立ち歩いたり突然周りの人に話しかけたりといった、幼児期や小学生時代に目立っていたADHDの特性による行動は落ち着いてくることが多いようです。しかし、・親・教師への強い反抗・友人とうまく付き合えず、トラブルになることが多い・ルールに従うことができないなどの行動がみられることがあります。また、学習障害(LD)などの発達障害との合併症状が目立ってくることがあります。対人関係がうまく築けない場合、自閉症との合併症状がある疑いもあります。ADHDの症状がみられる人は他の発達障害を合併している可能性もありますので、よくチェックして疑いがある場合には診断を受けてみましょう。■他人と自分を比較する思春期になると、他人と自分を比べて悩みやすくなります。ADHDのある子どもも例外ではなく、他人と自分をよく比べるようになります。完璧主義の傾向が強いと“できないこと”に過敏になることもあります。そして、他人にはできて自分ができないことにコンプレックスを感じてしまいがちです。コンプレックスから次の行動につながる場合があります。・勉強への意欲の低下、学力の低下が著しくなる・やる気がなく投げやりな態度・自分の世界に引きこもりがちになる場合もある知的機能に問題がない場合でも、不注意の特性が強いと、集団での学習に集中できず、学力の低下に結びつくこともあります。この結果、不登校やひきこもりなどの状態になることもあります。■薬の服用を嫌がる自分の障害を受け止めることができず、薬の服用を避けたり量を自己判断で変えて服用したりすることがあります。思春期の不安定な気持ちに寄り添いながら、家族が上手にサポートしましょう。■大人になるとADHDはどうなるの?子どものころにADHDと診断された人の中には、成長につれて症状が目立たなくなったり、軽くなったりする人もいます。自分の特性を理解し、苦手な場面にもどのように対処するかを学ぶことで、日常生活の困難を乗り越えている人もいると考えられます。ですが、ADHDのある大人は、子どものころより困難が多いと感じることも多いようです。・親や教師のフォローがなくなる・やることが多くなる・大人としての行動や責任を求められるなど、周囲の環境の変化が大きいことがその理由と考えられます。そのため、大人になって日常生活を送るのが難しくなった、と感じるADHDの人が多くいます。また、大人になってからADHDと診断を受ける人、診断を受けていなくとも同じ症状で困っている人も多くおり、大人の発達障害のなかではADHDの割合がもっとも高いといわれています。■大人のADHDに現れる症状大人の場合、ADHDによる特徴にはどのようなものが多くみられるでしょうか。・計画を立てたり、順序立てて仕事や作業を行ったりすることが苦手・細かいことにまで注意が及ばないので、仕事や家庭でケアレスミスが多い・約束などを忘れたり、時間に遅れたり、締め切りなどに間に合わない・片づけが苦手で乱雑になってしまう・同時に多くの情報を取り入れるのが苦手なので、一度に多くの指示や長い説明をされると混乱する・手間がかかったり、時間がかかったりして、集中が必要なものは後回しにしがち・何かに「はまる」と、ほどほどで止めることができず、なかなか抜け出せない(読書やネットサービス、ゲームなど)・長時間座っていることが苦手で、手足がむずむずしてくるADHDをもっと知るためのリンク集「もしかしてADHDがある?」気になる症状があるときには、次のコラムが参考になります。大人のADHDの困りごとへの対策を具体的に解説!職場ではADHDを公表したほうがいい?|LITALICO仕事ナビ大人のADHDのある人が受けられる就労支援・経済的支援とは?|LITALICO仕事ナビまとめADHDは特徴の現れ方によって、大きく3つのタイプに分けられるほか、年齢や性別などによっても目立つ症状は異なってきます。早期にその特性に気づき、適切なサポートを受けることによって、少しずつ困りごとを改善してゆくことができます。他の発達障害との合併や二次障害に気を配りながら、慎重に見守りサポートしていきましょう。
2019年11月29日先日子どもの1歳6カ月健診に行ってきました。健診の内容の一つである歯科健診で、わが子も初めて歯を診てもらう機会があったのですが「先天性欠如」であることが判明しました。わが子は、生まれつき下の歯が1本足りない状態だそうです。 1歳6カ月健診でわかった「先天性欠如」1歳6カ月健診のころには上下で16本ほど歯が生えていた娘。歯磨きが苦手な子なので、歯磨きのじょうずな仕方を相談しようかなとは思っていたものの、他は特に気にしていませんでした。 しかし、先生に診てもらうとすぐさま「下の乳歯が1本足りないね」と言われました。娘の場合は下の歯が通常より1本足りないそう。それも、目立つ位置の前歯が足りないことがわかりました。さらに、生まれつき乳歯が欠如すると、永久歯も生えてこないとのことでした。 子どもの歯並びや発語が心配歯が1本足りないと、歯に隙間ができてしまったり、歯の大きさによっては歯並びが悪くなってしまうそうです。また、歯に隙間ができることにより、発音しにくい音があるなど発語も心配があると先生から言われました。 まだ1歳なので、「わんわん」「まんま」などの簡単な言葉しか話しませんが、私はこれから子どもが話し始めたときに不自由するのではないか、と心配になってしまいました。 実は母親である私も「先天性欠如」だった心配になった私は健診のあと、実母に娘が先天性欠如だったことを話しました。すると想像以上に反応が薄く「あんたもそうだよ」と驚きの発言が…! 実際に母子手帳を見せてもらうと、3歳ごろの健診で「先天性欠如・経過観察」と記載がありました。私は上の歯が1本足りなかったそうです。そのせいか現在でも前歯に少し隙間があります。ただ、かみ合わせが特別悪かったり、歯がガタガタというわけではありません。そのため、これまで歯列矯正等もすることなく現在も過ごしています。 娘の先天性欠如は「もしかして私のせい?」と思う一方、自分自身がそんなに苦労をせずに過ごせたので、あまり心配しすぎず見守りたいと思えるようになりました。歯が1本足りないと、隙間ができたりする心配もありますが、歯の大きさや生える順番などによっても歯並びは変わってくるそうで、個人差も大きいようです。これから小児歯科にしっかり通いながら、経過を見てもらおうと思います。著者:河相 さくら国内外問わず旅行が大好きな1歳女の子のママ。育休中に小学校英語指導者資格を取得。主に子育て・英語育児を中心に執筆中。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
2019年06月02日コーナーの内容から「人権感覚の欠如」と非難の声が殺到した『かんさい情報ネット ten.』(読売テレビ)で5月13日、出演者らが謝罪した。しかし説明が十分ではなかったために、改めて厳しい声が。いまだ騒動はやみそうにない。ことの発端は、10日に放送された『迷ってナンボ!』というコーナー。レポーターの藤崎マーケットが“見た目では性別を判断できない人”の性別を知るため、胸を触ったり保険証を提示してもらうといったシーンがあった。するとVTR放送後、コメンテーターの若一光司氏(68)が「許しがたい人権感覚の欠如」「報道番組として、どういう感覚や。ちゃんと考えろよ!」と叱責したのだ。13日の放送では中谷しのぶアナウンサーが「街で出会った一般の方のプライバシー、そして人権への配慮を著しく欠いた不適切な放送をしてしまいました」と話し、「取材に応じてくださった皆さまにご迷惑をおかけしただけではなく、見てくださっている皆さまにも不快な思いを抱かせてしまいました」と謝罪した。中谷アナに続いて当日の解説デスクを担当していた小島康裕氏と、番組の責任者である報道局長・乾左登司氏も謝罪。また再発防止と信頼回復に努めるため、「迷ってナンボ!」は休止するとアナウンスされた。藤崎マーケットも14日にTwitterで謝罪。田崎佑一(38)は《ディレクターの指示の上やっていたとしても現場でロケ自体を止める事が出来たし止めるべきだったと反省しています》とつづり、トキ(34)も《違和感には気づいておりましたのでその場でカンペに口出すか編集にも立ち会うかすべきだったと今は後悔しております》と反省した。しかし番組への厳しい声が止まない。というのも田崎が「ディレクターの指示の上」の放送と明かしているため、ネットでは「制作側の責任を追及すべき」といった声が上がっているのだ。《面白い、面白くないはタレントの能力ですが、企画の良し悪しはディレクターの責任でしょう?タレントが謝ることをよしとする風潮も気持ちが悪い》《制作に関わった人たちは謝罪どころか画面に出てすら来ない。立場が下の人に全部責任を押し付けるとか、最悪すぎない?》また「どうしてこの内容で放送されることになったのか」といった経緯の説明を求める声も上がっている。《なんでああなってしまったのかの説明が無くて残念。あと、不快というよりは、恐怖を与えたよね》《いい機会だからトコトンこの問題を掘り下げてほしい。そうしてはじめて番組の信頼を取り戻せるのではないか》《調査結果を番組で紹介してほしい。きっと役に立つ情報になる。スタッフに、これはよくない、と思ったり、発言したりした者はいなかったのか、なぜ言えなかったのか、上司は考慮しなかったのか、チェックする部署はどう判断したのか。報道の姿勢を考える重要な機会だと思う》
2019年05月14日ADHDのH(Hyperactivity)=多動・衝動なんて、私にはないと思ってた!出典 : 私は「自閉スペクトラム症(ASD)」と診断されている。でも、ASDであっても、注意欠如多動障害(ADHD)のような衝動性を持っていたり、ADHDと診断されていても、ASDのようなこだわりがあったりする例も少なくない。かくいう私も、注意力が著しく欠如している。「とはいえあれだ、診断はASDだし、私には不注意はあるけど、多動や衝動性(Hyperactivity)はないから…」なんてことを雑談の中でつぶやいたら、「何言ってんの!? あんた、昔から衝動の塊じゃん!!」と、旧友から盛大な反論をされてしまった。彼女から指摘されたのは、20年前の出来事だ。東京で一人暮らしをしていた22歳の私は、失恋に失業、おまけに信頼していた人からの裏切りに遭うというトリプルコンボの不運に見舞われていた。今だったら屁でもない話なのだが、人生経験の少ない若い娘が喰らうには、ちょっとヘビーな出来事であったと言える。たまたま電話をくれた新潟在住の幼馴染が、私の置かれている状況を知り、「今すぐ帰って来な!」と言ってくれた。「わかった、帰る!」そう決めると、私はまず冷蔵庫を確認、日持ちのしないものは食べるなり処分して整理。洗濯物は幸い少なかったので、実家の洗濯機を借りようと、着替えなどと共に鞄に詰め、ブレイカーを落とし、戸締りをしっかりして新潟へと向かった。それから1ヶ月程度、実家で休養した私は生気を取り戻し、再び東京で生活を始めるのだが…。東京の友人たちの間で「希望が失踪した!」と騒ぎになっていた。そう、私は新潟に帰ることを、彼らに伝えるのをうっかり忘れていたのだ。携帯電話が今ほど普及していない時代、皆さぞかし焦ったことだろう。連絡し忘れたのは私の落ち度だ。しかし、れっきとした理由もあるし、これは衝動とはいえないのではないか?と訴えたのだが、「“今すぐ”と言われて、本当に今すぐ帰ろうとして支度を始めるのは衝動の成せる業でしょうよ。ほかのADHDさんだって、衝動なりの理由があるのだろうし」と返されて、私はぐうの音も出なかった。思い返せば「暇だし臨時収入もあったしなぁ」と、思いつきで新幹線に乗って出かけたり、自転車で近所のスーパーに行く途中、「確か今面白そうな展示をしていたはず」と、やはり思いつきで10km先の美術館へと向かうなど、突発的に行動することはしばしばあった。しかし、困りごととして、自分の中で上位に来るのはASDの特性と不注意だったので、ハイパーアクティブさがあるとは考えもしなかったのだ。思い起こせば…あったあった! ハイパーアクティブならではの失敗談出典 : 「私に多動と衝動性が?まっさかぁ~!!」などと笑っていた私だが、困ったことがなかったわけではなかった。時に、私はかなりの感激屋である。映画やテレビドラマ、小説に漫画に音楽に舞台、そして日常のあらゆることに感激し、毎日が大層忙しい。ただ感激して小躍りしたり、泣いているだけなら何の問題もないのだが、私は「この感激を誰かに伝えたい!」という衝動に駆られてしまう。伝えるにしても、SNSか何かに書き散らかしておけばいいものを、誰かに直接メッセージとして長文を送りつけてしまうのだ、しかも「そんな間柄じゃないだろ」という相手に。「冷静になれ」とたしなめられるのだが、そのときは冷静なつもりでいるのだから困りもの。冷静に考え、冷静に文章をつづっているつもりで、翌日辺りに「私は一体何をやっているのだ…!」と顔面蒼白。壁に頭を打ちつけたくなる。とりあえず謝罪のメールを送るが、「迷惑でしたよね?」なんて確認することもできないので、数日の間は不意に思い出しては大量の汗を書くはめになる。この悪癖は気をつけても直らない。加えて、不注意による失くし物、予定の失念なども日常生活に支障をきたすレベルなので、ストラテラ(ADHD用の内服薬)の力を借りている。意外にも? 困ったことばかりではない多動と衝動出典 : 困ることがある一方、ハイパーアクティブさに助けられる面がある。以前、「ASDゆえ、イレギュラーは苦手だが、仕事に関してはある程度対応できるようになった」とコラムで書いた。「急な仕事」が得意というか、好きになったのだ。ルーティンになると強みを発揮するASD特性で磨いてきたライタースキルの土台があったことが前提だが、ADHDの特性も合わせ持っていたことで火事場の馬鹿力が発揮できるようになったのかもしれない。とにかく、「急なんだけど、手伝って!」というような連絡を受け、手元の仕事との兼ね合いを見ながら進行、納期までに仕上げる達成感にドーパミンがドバドバ溢れ出ているのを感じるのだ。そうした依頼の場合、普段自分が手がけない分野のライティングであることも多く、楽しいというのもある。また、過集中のおかげで早く仕上げることができるので、先方にも重宝いただいている。もちろん、出張だって嫌じゃない。むしろ大好きだ。普段自宅にこもって仕事をしていることが多いため、県をまたいだ移動がリフレッシュになるのもある。どんどんお呼びいただきたい。私そっくり、ASDっぽいあの人の、ハイパーアクティブなエピソード出典 : さて、以前やはりコラムに書いた、「私そっくり、ASDっぽい」父には、多動や衝動性があるのだろうか。家族で出かけたとき、目を離すとすぐ父の姿が見えなくなり、母が困っていたことを思い出す。さほど遠くに行くことはないのだが、勝手に単独行動を始めるのだ。立派な多動おじさんである。また、実家で一緒に暮らしていたころは、「おい!お前に食わせたい蕎麦屋が山形の山奥にあるのを思い出したから、今から行くぞ!起きて支度しろ!」と、休日の朝4時半に起こされることがあった。かねてからの予定ではなく、完全にその日の朝に思いついての行動、衝動以外のなにものでもない(お蕎麦、おいしかったです)。そして、父に関する大好きな話がある。6人兄弟の4男として生まれた父の服は、兄たちのお下がりであることが多かった。そのため、自ら働くようになってシャツを仕立てたときは、大いに感激したらしい。嬉しくなってテンションが上がった若き日の父は、なぜか自転車を飛ばして海へ向かい、上半身裸になって、夜の日本海を泳ぎまくったそうだ。少し疲れて岩浜に上がると、風で飛んだのか誰かが持ち去ったのか、新品のシャツはなくなっていたのだった…。「なぜ海?」「どうして泳ぐ?」「シャツをわざわざ紛失の危険に晒した理由は?」など、突っ込みどころ満載ではあるが、ADHD傾向のある若者の、チャーミングなエピソードとして、私の心に残っている。発達障害が遺伝であるかどうか、また、かつての父のように私が可愛いADHD特性のある人間かは別の話として、私が父に似ているという説は、やはり納得の感がある。そして「ADHD、悪くないよなぁ」と笑ってしまうのであった。
2018年08月06日楽しみな予定ですらすっぽかす、ADDの私出典 : (注意欠如障害)のある私は、とにかく忘れっぽい。過去の何気ないエピソードは仔細に記憶している半面、今日明日のタスクや来週の予定などを失念しやすいのだ。仕事については、日課となっているメールチェックで確認するし、前日からの流れで把握することができる。問題はイレギュラーな予定、月数回の通院などだ。通院は楽しくないから忘れやすいのではないか、と言ったらそうではない(実は結構好き)。楽しみな予定ですら忘れてしまうのだ。例えば観たいテレビ番組があったとする。その予定も覚えていられる自信がない。「テレビをつけっぱなしにしておけば?」というアドバイスをいただいたことがある。しかしわが家はテレビをつけっぱなしにする習慣がないというか、そもそもテレビの存在を忘れていることが多いのだ。そこで考えたのが、太字のペンでメモ書きをし、テレビに貼りつけることだった。これで見逃すことは激減した。Upload By 鈴木希望問題は前述した通院である。私はてんかんなどの持病があるため、うっかりすっぽかして薬を切らすと大変なことになる。とはいえ回数が多いため、テレビに通院予定メモを貼りつけたところ、今度はテレビ周りの情報の多さに疲れてしまい、逆にそちらを見なくなってしまったのだ。周りからのアドバイスも、「変化が苦手」で受け入れられず…。Upload By 鈴木希望もちろん手帳やカレンダーに、予定をきちんと書き込んでいる。それでも忘れてしまう私を見かねて、周りの皆さんがさまざまな解決案を提供してくださった。付箋紙を活用する手帳術、毎日ざっくりとした予定を書き込んでいくタイプのノートなど。ここで私のASD(アスペルガー)味、「慣れないものを受け入れられない」が発動する。気に入ったものを毎年買っている私にとって、タイプの違う手帳に変えることは、なかなかにして勇気がいることなのだ。ちなみにスマートフォンのアラームは、びっくりしすぎて具合が悪くなるもので、使うことができない。とりあえず、情報の多さに耐えながら、テレビ周りにメモを貼ることでしばらくはしのいでいた。しかしあるとき、ひょんなことから私は、毎日手帳をしっかり確認する人間に変わるのだった。「見ずにはいられない」きっかけは偶然に!?すごいぞ「推し」パワー!2017年の夏、私が応援している俳優さん(以下、推し)のソロ・コントライブがあった。チケットには先行予約があり、特典は推しのサイン入り生写真。これを逃してなるものかと、私は受付開始10分前からPCの前に正座し、時報と共に申込用WEBページをクリックした。そして公演当日入手したその特典を、汚したり折ることがないように、手帳のカバー内側、そで部分にしまい込んだ。Upload By 鈴木希望すると翌日以降、ちゃんと開くようになったのだ、手帳を。どこにしまったか忘れたり、その存在を忘れることさえ珍しくなかった手帳を、だ。それも毎日。日に数回。推しの写真見たさに開き、そのついでにスケジュールをちゃんとチェックするようになったのだ。あらゆる手帳術が意味をなさず、困り果てていた私が、スケジュールをチェックできるようになるなんて…。推しパワー、すごい。有効なライフハックは人それぞれ。「推し」がいる皆さん、いかがでしょうか?出典 : 以来、私は診察予約をすっぽかすことがなくなった。ついでに言うと、忘れたくない予定は全て手帳に書き込むようになったため、テレビにメモを貼り付けることも減った(たまに貼る)。発達障害当事者向けのライフハック(生活や仕事における工夫)はさまざまであり、それらには試す価値が大いにあると思う。しかし、発達特性の出方やグラデーションもさまざまであるため、全ての方法が全ての当事者に有効だとは限らない。それぞれの性格にもよるだろう。私は目の前にニンジンをぶら下げられたら、嬉々として走り回るタイプの動物なので、たまたま得たこの方法がてきめんだった。しかし全てのADD当事者にすすめられるものではない。とはいえ、「寝ても覚めてもその人ばかり。その人の話なら鼻息荒く何時間も語れる」という存在が、2次元3次元問わずいるという方は、一度試してみても損はないと思う。効果の保証はいたしかねますが。
2018年01月16日発達障害については「悩んでない」—いい悪いじゃなく、そうやって生まれたからインタビューの中でも、この「LITALICO発達ナビ」の連載コラムの中でも、鈴木さんが繰り返し語られていたのは、自分が発達障害であることで「悩むことはない」ということ。鈴木希望さん(以下、鈴木): 私だって日々の生活で悩むことはありますけど、それは、「誰だって生きていれば悩みの一つや二つある」ぐらいの普通なことであって、特別に発達障害“だから”悩むとか、発達障害“そのもの”について悩むことはもう無いんです。発達障害がある人間として生まれて「良かった」とは言わないけれど、「障害じゃなくて個性だよ」とか「大変なのに頑張ってるね」と、周囲に変に気を遣われるのもなんだか違和感があるし…良いも悪いもない、これが“基本設定”って感じです。もちろん、感覚過敏や相貌失認など、発達特性の凸凹によって“困る”ことはある。でも、原因がわかっていれば対処のしようがあるし、特性は変わらないのだから、その上でどう生きていくか考えるだけ…と、鈴木さんはあっけらかんとした口調で語ります。算数障害はあっても、大人になった今は電卓を使いこなせば計算には困らない。音や光、匂いに対する過敏性があるけど、自覚していればなるべく苦手な刺激を避けることができるし、どうしても苦手な環境で過ごさなければいけないときは、早めに休憩を入れるようにする…「これは特性なのか」「この場合はこういう対処をすればいいのか」と、自分の思考や言動のパターンと発達障害の特性を照らし合わせながら分析し、対処を考える行為には、ある種の“面白さ”も覚えるとのこと。日頃から自分の特性をよく観察し、受け止めているからこそ、他人に対しても比較的フラットに自分の発達障害のことを話せるそうです。鈴木: 先日、ネットを通してつながった、共通の趣味のある友人たちと集まったんですが、「こういう特性があって、初対面の人とは目を合わせにくいんだけど…」と説明すると、「あぁそうなんだ」って向こうもあまり特別視することなく受け止めてくれたんです。そういうときはすごく楽な気持ちになりますね「痛いところがあったら早く治せるように、薬を家に置いておくのと同じだね」—自分以上に発達障害をあっさりと受け止めた息子について今でこそ「発達障害で悩むことはない」と語る鈴木さんですが、学生の頃や働き出してばかりの頃など、医師の診断を受ける前には、やはり思い悩んだ時期があったそうです。こんなに人付き合いや仕事でつまづくのは、自分の性格が悪いのか、それとも努力が足りないのか…何が原因なのかも、修正の方法もわからず、「自分のことを理解できない生きづらさ」に苦しんでいたあの頃。「分からないまま悩み続ける」ことがどれだけ辛いかを痛いほど知っているからこそ、同じ発達障害の診断を受けた息子さんに対しては、早いうちから告知をしたそうです。すると…鈴木: 本人に告知してみたら、私の予想以上にあっさり受け止めたんですよ。「あんた、発達障害ってのがあるらしいよ」「ふーん、そうなんだ!」ぐらいのリアクションで…おまけに、お医者さんのところに連れていくことに対しても「痛いところがあったら早く治せるように、薬を家に置いておくのと一緒だね」なんて一人で納得する始末で…笑わが子ながらいい例えをするなぁって感心しましたよ。息子さんにとっての発達障害診断と通院は、いざという時のために救急箱を用意しておくぐらいの感覚…鈴木さんより早いうちから発達障害の告知を受け止めた息子さんは、母親であり、同じ診断を持つ鈴木さんも驚くほどに、自分の特性を自分の一部として受け入れ、成長していっているようです。「なんとかなるし、なんとかするしかない」合言葉を胸に、“同志”として共に生きるそんな鈴木さんの息子さんは、現在小学校二年生(2017年度時点)。マイペースに過ごしながらも、同級生の間で独特のポジションを確立し、みんなに愛されているのだとか。鈴木: 鬼ごっことか、自分が好きな遊びだったら集団遊びにもアクティブに参加するんですけど、いつもそういうわけではなくて、興味がないときは集団の輪の外からニヤニヤ笑いながら一人で眺めてるらしいんです。でも、集団に参加しないからといって仲間はずれにされてるってわけでもなくて、「ハルくん(息子さんの愛称)はそういうもんだから」と、クラスメイトからも“そういう立ち位置”として普通に認知されてるみたいなんですね(笑)面白いのが、先生曰く、そんなハルでも体調崩して休むと「クラスの均衡が崩れる」らしいんですね。ニヤニヤして遠くから眺めてるだけなのに、それがクラスの調和を保つピースの一つとして、自然に溶け込んでいる。あと、他人に興味がなくて一人でいるわけではなく、なんだかんだ周りのことはよく見ていて、誰かが困っていたら一番に駆けつけるらしいんです。私が心配するまでもなく、しっかりやってるんだなぁ…と。出典 : 同じ診断を受けた鈴木さんと息子のハルくん。自分の幼少期と比べて、似ているところもあれば全く違うところもある。そして、凸凹がありながらも彼は彼でたくましく学校の中で成長している。そんな息子さんの様子を眺めながら、「いずれ困るときもやってくるだろう」と予想する鈴木さん。鈴木: 今は本人も自覚していないけど、学年が上がったり環境が変われば、困り感が出て来ることもあると思います。私の予想では、4年生ぐらい。だから、親としてはある程度の心の準備はしているんですけど、正直、それほど心配していないんです。だって、彼の人生を生きるのは彼であって、私じゃないから。あまり心配しすぎるのも彼に失礼かなって。「まぁ困ったことがあれば話してくれよ、一緒に考えようぜ」ぐらいのスタンスでいます。親子と言っても、自分と息子は他人だから、それぞれの人生を歩んでいく。親としてサポートはするつもりでいるけど、彼自身が道を切り開く邪魔をしてはいけない。そんな考えを取材中繰り返し語ってくれた鈴木さん。「なんとかなるし、なんとかするしかない」それが、鈴木家の合言葉だそうです。発達障害による困りごとがゼロになるわけではない。自分がそうであったように、これからのわが子の人生にも色々あるだろう。だけどきっと、彼なら「なんとかする」と信じている。日々成長していく小さな“同志”を横目に、鈴木希望さんも、自分の人生を歩んでいきます。
2017年11月19日