成長しても「何でも口に入れる」息子。外出時も……息子は赤ちゃんの頃から、自分の指はもちろん、固いおもちゃから柔らかいおもちゃ、絵本など何でも口に入れてしまうところがありました。赤ちゃんとはそういうものかもしれません。でも、息子は大きくなってきてもそれを止める気配がありませんでした。特に冷たくてつるつるしたものを口で確かめたくなるようで、家の中では床や窓ガラスに口をつけていることが多かったです。外でも油断は禁物で、できるだけ気をつけていましたが、防ぎきれないこともあったので、常に除菌ウェットティッシュを持ち歩くようにしていました。注意するとその場では止められるけれど、また気づくとどこかに口をつけている……という状態でした。Upload By メイついに恐れていたことが!幼稚園年少での誤飲トラブル物をなめたり口の中に入れたりする癖が災いし、息子は幼稚園の年少の時、小銭を飲み込んでしまったことがあります。その日私が家事をしていると、急にむせるような息子の声が聞こえました。慌てて息子のもとに駆けつけましたが、息子はけろっとしています。周りを見ると、幼稚園への支払い用に準備してあったお金が散らばっていました。金額を確認すると50円足りません。息子に、「もしかしてお金飲み込んじゃった?」と聞くと「うん」と答えました。Upload By メイ急いで口の中を見ましたが、もう飲み込んでしまっていて、口の中に50円玉はありませんでした。息子は何事もなかったかのように平気そうな様子でしたが、異物を飲み込んでしまうのは初めてのことだったので、どうしたらいいか分からず、かかりつけの小児科に電話をかけました。その時はすでに夜だったのですが、かかりつけの先生の勧めで夜間もやっているこども病院を受診することにしました。子ども病院の夜間救急を受診。レントゲンを撮ってもらうと……こども病院で、お腹のレントゲンを撮ってもらいました。すると、50円玉が胃の中にあることが確認できました。Upload By メイお腹の中まで入ってしまっていたら後は出てくるのを待つしかないということで、ちゃんと50円玉が出てくるか、これからしばらくの間は便を確認するように言われました。それから数日間、息子が排便をするたびに割り箸を使って探しましたが、結局見つかりませんでした。その後再びこども病院で診察をしてもらい、もうお腹の中に50円玉はないということを確認してもらいました。一度だけ息子が自分で便を流してしまったことがあったので、その時にもしかしたら入っていたのかもしれません。この時は大事に至らずに済んでよかったのですが、もしうまく胃の中まで入らず、途中の食道で引っかかって止まってしまっていたら、手術をしないと取り出せなかったかも……とお医者さんに言われてゾッとしました。小学生になった今も「物を口に入れる癖」は残っていて……実は小学生になった今も、食べ物ではないものを口に入れたがることがあります。さすがに懲りたのか、小銭を口に入れることはありませんが、プラスチックのお菓子のゴミやティッシュなどを口に入れている時があります。Upload By メイ特に宿題をしている時に口に入れていることが多いので、何かしらのストレス発散になっているのかもしれません。学校や外ではやっていないようですが、誤って飲み込まないように注意しつつ「それはゴミだから口に入れるものじゃないよ」ということはその都度伝えています。最近では何か口に入れたくなった時のために、ボトルのガムを常備するようにしていて、異物を口に入れることは少しずつなくなってきています。執筆/メイ(監修:新美先生より)乳児期を過ぎても何でも口に入れてしまうことが続くタイプのお子さんがいます。口腔内の感触でどのようなものか確かめたい場合や、口腔内の触感の刺激を好んでいる場合、口腔内の感触で気持ちが落ち着く安らぐ場合などがあります。大人から見ると誤飲・窒息のリスクが高いことはもちろん、衛生面の心配や、周りからどう見られるかマナー面での心配などがあり、やめさせたい行動ですが、無意識的にやっていることも多く、やめさせるのがなかなか難しいこともあります。まず、誤飲・窒息を避けなければいけないので、口の中に入るサイズのものや、たばこ・薬など少量でも毒性のあるものは、絶対に、子どもの手の届く場所に置かないというのは大人の責任でやっていくしかありません。親戚の家に遊びに行ったときなどは、もう、目を離さず見ているしかないでしょう。……とはいえ絶対に目を離さないということは現実的ではないし、どんなに気をつけていてもついうっかりと言うことは、あるものですよね。本当に大変です。ある程度理解できるようになってきた場合、なぜ、口の中にものを入れてはいけないのかを、4コマ漫画などを使って視覚的に具体的に伝えることで、本人が自覚してやめようと思えるようになることもあります。この際は本人が気にしていること……例えば病気になるのが怖いお子さんだったら、衛生面から病気になる可能性があることを伝えるなど、本人が納得しやすい観点から理由を説明するとよいでしょう。消しゴムをかむのをやめられない子どもが腹痛で入院した時に、お医者さんから指導されて、消しゴムをかむのはやめられた……なんていうエピソードがあったりもします。何かのきっかけで本人が納得できるとやめられることもあります。本人が、その行動をやめようと思えた場合であっても、代わりになる行動を提案しないと、無意識的にやってしまうことはあります。なめたりかんだりしても差し支えないもの、ガムやカミカミグッズ(かんでもOKなタオルや、それ用に販売されているグッズもあります)などを手に取りやすい場所に置いておくなどがいいかもしれません。集中したい時にかむ刺激があることで集中できるお子さんもいます。じゃあ、ガムで!といっても、ガムの味や触感が好きじゃないという子どももいて、どうしても不適切なものをかんでしまうことをやめられない場合もあります。TPOを考慮する(学校など公共の場ではしないけれど家ならOK)など、徐々に折り合いをつけていけるといいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月18日ヘルプマークって?みなさんヘルプマークをご存知でしょうか?発達がゆっくりな子どもを持つ親御さんは、一度は聞いたり見たりしているのではないかと思います。一般的には「外見では分からない、見えない疾患や障害がある方など、援助や配慮を必要としている方々が、そのことを周囲の方に知らせることができるマーク」として周知されていると思います。 私自身、子どもが生まれる前……独身時代からテレビや電車の掲示で存在は知っていましたが、どちらかというと「ペースメーカーや内臓の疾患などの外見で分からない方が使用するマーク」という認識が強かったと思います。2歳半で息子がASD(自閉スペクトラム症)と診断され、療育などいろんな手続きをしているうちに、発達障害がある場合でもヘルプマークを使用するケースがあることを知りました。Upload By 海乃けだまヘルプマーク、つける?つけない?……悩んだ末に息子は年少・年中の年は療育園に通い、年長の年から地域の幼稚園に転園したのですが、まず最初にヘルプマークをつけようか悩んだのはこの転園のタイミングでした。というのも、療育園と違い、地域の幼稚園は定型発達の子どもが大半だったので、その親御さんたちの中に「発達障害のことをよく知らない方もいるのでは?」と思ったからです。私自身息子の診断がなければ、発達障害についてこんなに深く調べることもなかったでしょうし、実際育児の"い"の字も知らない独身時代は「子どもは保護者のしつけ次第」なんてお恥ずかしいことを思っていました……(恥)。転園する頃には、一応一通りの生活動作は自立していた息子ですが、なんせ何事にも時間がかかり、場面の切り替えも苦手で、特に運動面と食事動作は「本当に5歳?」と初めて会ったお友達に言われるほどでした。幼稚園児といえど、もう年長……定型発達の子どもたちは自分と他人の違いも分かっている年齢……。診断名をカミングアウトとかそんな大それたことはせずとも、ほかの親御さんに息子が発達ゆっくりさんであることをそれとなく知ってもらうためにヘルプマークをつけようか迷いました。メリット、デメリット、そして息子本人の気持ち……(息子には診断名は伝えていませんが、改まったカミングアウトという形ではなく、日常的に「お友達よりも苦手なことがある、難しくて時間がかかってしまう。でも息子のペースでできるようになるからね」という話はしていました)。夫とも話し合った結果、幼稚園での生活では、先生が常に子どもたちのそばにいて見守りをしてくれているし、登園降園も必ず保護者が付き添うので、ヘルプマークはつけない選択をしました。いよいよ小学校入学。ヘルプマークをつけようと思った理由。そしてヘルプマークを見た上級生の子が……!?無事幼稚園を卒園し、いよいよ小学校入学となりました。幼稚園は少人数で3クラス(年少・年中・年長)、そして異年齢の交流も多々あったので、園児のみんなが息子のことを知っていました。しかし小学校は1年生~6年生、異学年の子どもたちは名前も知らなかったり……。そんな中で、登下校には息子が慣れるまで付き添いをするつもりでしたが、学校生活では息子のことを知らない子どもたちが多いのでヘルプマークが必要だと感じました。地域の登校班で登校する初日、息子のランドセルにヘルプマークをつけて、息子以上にドキドキしながら集合場所に到着しました(上級生の親御さんたちには軽く息子が発達ゆっくりさんであることを話しました)。道徳の授業でヘルプマークについても習っていることを聞いていたので、子どもたちがどんな反応をするかドキドキでしたが、初日は歩き慣れてない息子が「疲れたーー!ランドセル重いー!」と不機嫌になるのをなんとか励ましながら歩くのが精一杯で、ほかの子どもたちを気にすることができませんでした(汗)。やっとの思いで校門に到着し、息子を見送ろうと手を振っていた際、目撃してしまったのです……!!上級生の女の子が息子のランドセルを指さして(ヘルプマークがついてるあたり)、お友達に耳打ちしている姿を……。Upload By 海乃けだまやっぱりつけないほうがよかったかも……落ち込んで帰宅。翌日からの周りの反応は?上級生の女の子がランドセルを指さして耳打ちをしている姿を見てしまった後、見送りの帰り道は頭の中でずっと「あの子はお友達になんて言ったんだろう。ヘルプマーク、つけないほうがよかったかな」とマイナスなことばかり考えていました。家事も手につかず(←いつも手につかず(笑))、息子に申し訳ないことをしてしまったんじゃないかと気持ちも沈んでいました。落ち込んでいても仕方ないので、下校のお迎えに行った際に息子との距離感をそれとなく確かめようと思いましたが、その上級生の女の子とは下校時間が違い会えませんでした。そして翌日……昨日の登校よりさらにドキドキして集合場所に行きました。「昨日耳打ちしてた女の子はどの子だったかな……」と考えていると、上級生の女の子2人が息子の近くに寄ってきて「ひとでくん、一緒に手繋いで歩こう?」と声をかけてくれたのです…… (感動)!!そう、その女の子たちは昨日耳打ちしていた女の子とそのお友達でした……!!耳打ちしているところを見たことで、悪い方向に考えてしまっていた自分を恥じました。今ではその優しい上級生の女の子たちのことがとっても大好きな息子。毎朝姿が見えると「〇〇ちゃーん!」と息子からニコニコ寄っていきます。Upload By 海乃けだま入学して3ヶ月経った今でも登下校には必ず付き添っていますが、元々インドア志向で登校しぶりのある息子が楽しく登校できているのはこの上級生の女の子をはじめ、優しい登校班のお友達のおかげです。ヘルプマークをつけるか、つけないかとても迷い、悩み・葛藤がありましたが、今のところつけていて良かったと思います。執筆/海乃けだま(監修:新美先生より)お子さんのランドセルにヘルプマークを付けることにした経緯とその反響についてのエピソードを聞かせていただきありがとうございます。ヘルプマークは、援助や配慮を必要とされるすべての方が、「援助や配慮をしてほしい」という意思を示す目印です。対象となる障害や疾患が特に決まっているわけではなく、必要な方は誰でもつけることができます。メリットは、援助や配慮が必要になる場合があるということを明示できることです。例えば、「がんの治療中で体力がない」ということをわざわざ言わないで優先席に座っていても、ヘルプマークがあれば何らかの事情があるのだろうと理解してくれるかもしれません。ヘルプマークの意味を認知している人の中には、困っている様子を見て声をかけてくれることがあるかもしれません。また、緊急事態のために、ヘルプマークの裏面に必要事項をメモしておくことも可能です。緊急連絡先やしてほしい対応などを書いておくこともできます。デメリットもないとは言えません。なんらかの「障害」がある人とみなされて、差別や偏見の目で見られることがないとは、今の世の中で言えません。また、お子さんの場合、ご本人が自発的にというのではなく、保護者が良かれと思ってつける場合、お子さんが物心ついて、ヘルプマークの意味を知った時に、疑問を抱いたり、自分の意志とは無関係につけられていたことに反感を持つかもしれません。周囲の子どもから「なんでこれをつけているの?」と聞かれて、困ってしまうというようなことも起こり得ます。今回は、ヘルプマークをつけることで、理解のある上級生が声をかけてくれるきっかけになったという、あたたかいエピソードをきかせていただきほっこりした気分になりました。ヘルプマークをつけるかどうかは、ご本人の性格・特性や周囲の環境を考えて、メリット・デメリットを検討して、各自に決められたらよいかと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月15日年少になる直前に離婚、2人だけの生活がスタート!!コチ丸が保育園の年少になる直前、コチ丸パパと私は離婚をしました。離婚後、私は実家の隣町で保育園近くのマンションを借りて、コチ丸との2人暮らしを始めました。仕事は以前と変わらず、名古屋にある育児関係の会社で働いていたので、毎日1時間半かけて電車通勤をすることになりました。そのため、コチ丸は朝7時半頃には保育園に登園し、帰りは19時頃。まさに保育園のヌシのように「一日中園にいる男」でした(笑)。当時、私は正社員だったもののお給料はそれほど高いわけではなく、家賃や光熱費などは毎月ギリギリ。「来月電気止めますよー」、「家賃引き落とせませんでしたよ」という紙をポストに入れられたことも何回かありました。そんな生活だったので、この頃の私は心に余裕がなく、常に気が立っていました。Upload By あき波乱の2人暮らし。保育園児にして家出騒動勃発!あらゆる面で余裕のない生活に追い討ちをかけるように、マイペースでこだわりの強いコチ丸との暮らしは、怒鳴り合いの大喧嘩の連続でした。当時の私は、「なぜこんなにも育児がうまくいかないのか」と理由も分からず苦悩していました。ちょっとしたことで言い合いになったり、怒ってコチ丸が床をドンドン足踏みしたり……。当時はマンション住まいだったので、隣の方から壁をドンドンと鳴らして騒音への無言の苦情をうけることもありました。わが家の騒音に耐え切れなくなって、隣の方が乗り込んでこられるかもしれないと、常にハラハラしていました。ある日、いつものように大喧嘩をしたあと、疲れ果てた私が部屋でテレビをぼんやり見ていると、隣の部屋にいるはずなのに妙に静かなコチ丸。気になってそっと部屋を覗き込むと、自分の大事なおもちゃや本、三輪車などを玄関から廊下を通り部屋まで全て一列に並べているところでした。Upload By あき「何やってるの?」と恐る恐る尋ねると、「ママなんか嫌いだ!これから家出する!」当然、並べた荷物たちがコチ丸について動くわけもなく(笑)、全て持ちきれもせず、コチ丸の人生初の家出計画は失敗に終わりました。どんな人生を歩んで欲しいか?保育園の頃から考えていた私この時期からコチ丸のじっとしない様子は顕著に表れるようになっていました。病院や買い物なども、家に1人では置いていけないので連れていくしかないのですが、3分と同じところでは待てません。2人きりの外出では、いかにコチ丸の気を長く引けるかが常に課題でした。そんななかでも私はコチ丸には早くから大人と付き合う環境を意識して与えてきました。「手が掛かる子」という私だけの偏った見方で育てるのは良くないという気持ちが強かったからです。シングルで育てているがゆえに私の考え方の押し付けが強く出てしまわないよう、コチ丸にはいろんな大人の考えに触れて、「環境」に育ててもらいたいと思っていました。今もコチ丸が地元に帰ってくると髪を切りに行く美容院がありますが、そこへ通い始めたのもこの頃からです。初めてお店に行った時、座っているのが嫌で店内で大暴れ(焦)して、保育園児にして店長に出禁を食らいそうになったコチ丸……。今となっては店長と男同士の大事な話(主に下ネタ)をする仲です(大感謝)。Upload By あき歯医者さんもこの時期から定期的に通っていましたがやはり最初は大暴れ。首にエプロンが掛かるのがイヤなど敏感なところが多いコチ丸でしたが、担当の歯科助手さんが根気よく付き合ってくれました。コチ丸が歯医者でエプロンを掛けられるようになったのは中学に入ってからでした(笑)。私たち親子の周りには、コチ丸を子ども扱いせず、同じ目線で話してくれる方が多く、幼いうちからいろんな世界観や選択肢をコチ丸は親以外から与えてもらって育ったと思います。子どもを1人で育てていくことへのプレッシャーのなかで過ごした2年間コチ丸との2人暮らしは、ほかにもいろんなことがありました。大雨の中、膝まで水に浸かりながらコチ丸をおんぶして保育園から帰ったり、私が割れた皿で手を深く切ってしまい、コチ丸を病院の待合室で待たせたまま緊急縫合手術を受けたり(怖)。この時期が一番大変だったなと、今振り返っても思います。もちろんコチ丸のマイペースさや、個性に翻弄されていたことも事実ですが、それよりも「私が子どもを自分の力で育てなければいけない」というプレッシャーが常に続いていました。Upload By あきしかし本当にあの頃はよく頑張ったな、私。と褒めてあげたいです、とりあえず(笑)。そして何より、「よくこんな母に1人でめげずについてきてくれたな、コチ丸」と、もっともっとコチ丸も褒めてあげたいです。ありがとう。執筆/あき(監修:鈴木先生より)母子家庭であることだけでも大変なのに、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)のコチ丸さんを頑張って育てている私こと、お母さまはよく考えて行動していると思います。お母さまの努力は決して無駄にはなりません。最終的にコチ丸さんが自立できればいいのです。北海道での寮生活がさらにコチ丸さんの社会性を磨いていることでしょう。「かわいい子には旅させよ」の精神で、早めの親離れはお母さまにとっては寂しいかもしれませんが、コチ丸さんご本人の自立性を磨くにはいい機会だと思います。数年後には必ずやお母さまに恩返ししてくれることでしょう。会えなければ手紙でもいいので寮で頑張っているコチ丸さんを褒めてあげてくださいね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月08日「ランドセルをロッカーにしまいましょう!」と何度も先生に注意されたリュウ太は!?ADHD(注意欠如多動症)とASD(自閉スペクトラム症)がある息子リュウ太は、現在26歳。一昨年結婚しました。5歳年下のお嫁さんとリュウ太の母である私は一つ屋根の下で同居しています。母の私から見れば今でも立派とは程遠いですが、リュウ太の学童期は特に課題がたくさんありました。小学1年生~小学3年生の期間、担任の先生から「リュウ太くんがランドセルをしまってくれません」と報告を受けること数知れず……。机の横に置いたり机の上に置いたままだったり、学童帽子も同じく片付けられなくて、教室ではかぶったままだったりします。「ランドセルはロッカーにしまいますよ」と優しく促してくれる先生に対して「やだ!」とか「ムリ!」というような返事しかしなかったのです(先生談)。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。注意を受けても動かないリュウ太に先生は言い疲れてしまったのか、「リュウ太くんが自主的に片付けるのを待ちます!」ということなりました。しかし、なかなかランドセルをロッカーにしまわないのでクラスメイトからは机の横を通る際に「ジャマだな」とか「通りにくい」など文句も出ていました。なのにリュウ太は「仕方ないだろう」と言い返し、通行の迷惑になっていることに気がつきませんでした。周囲からは自分さえよければお構いなし!という身勝手な行動にみられてしまっていたと思います。ランドセルをロッカーにしまえるようになったのは小学4年生の時。担任の先生が何度も何度も無視できないほど注意を促してくれたからでした。(えーー!就学してから丸3年間もかかる?ってお思いになる読者もいるかしら、はははは)。リュウ太にどうして片付けたくないのか聞いたことがあるのですが、こんな理由だったそうです。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。「ロッカーは遠いからイヤだよ。ロッカーにしまう、っていうルールがイヤなんだ。自分の持ち物はいつも手に届く場所にないと不安だから机の横に置いているだけ、それの何がいけないの?」目に入らなくなったものはリュウ太にとってはないものと同じです。あると認識するには常に目に入る位置に置いておかないと失くしてしまう特性があります。また「失くすとお母さんに怒られるから恐い」という思いから物がないと不安になるとも言われました。はい……私がしつけと称して怒りすぎたことが原因かもしれません。反省です。この行動はクラスメイトや先生にとって迷惑行為だったと思いますが、リュウ太は小学3年生にして自分の特性に気づきはじめていて、本人なりの物の管理の工夫の一つだったのではないか?とも思いました。とはいえ、周りから苦情が来てるんだから、周りの声にも気づこうね!と思う母でした。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:初川先生より)リュウ太くん小学校低学年時代のランドセルがしまえないエピソード、ありがとうございます。面白いですね。とても興味深く読みました。見えないところに物があると「ない」となってしまう子いますね。大人でもいらっしゃいますね(ストックを買っても、しまいこんでしまうと存在を忘れて、また安いタイミングで買って、しまおうとしてストックの棚を開けると「あ……」となるような)。ランドセルや自分の持ち物を手元に置いておかないと不安だ、失くしたくない。そういう気持ちがあってのランドセルをそばに置いておく。友逹に苦言を呈されても「仕方ないだろ」という返しなのはそういうことだったのですね(「うるさいなぁ」じゃないのが興味深いです。仕方ないのですね。本人なりに、ランドセルロッカーにしまうほうがいいのは分かっている、しかしできない、だから「仕方ない」といったところでしょうか)。一口に「片付けができない」「物の管理ができない」と言っても、やり方が分からない、やる気がわかない(めんどくさい)、そして、物が遠くに置かれるのが不安だ、視界から消えるのが不安だというパターンもあるのだなと改めて思いました。小1の頃のリュウ太くんはさすがにそこまで説明できなかったかもしれません。ただ、今回こういったエピソードを知ると、同じように物の片付けで独特のこだわりや難しさを持つお子さんにかける言葉かけのバリエーションが増えるように感じました。視界から消えるのが不安なのであれば、もしかしたら、教室前方の邪魔にならないところにランドセルを収納できる可能性も出てきますね。ところで余談ですが、このエピソードを読んで、私は子どもが小さかった頃、抱っこ紐で子どもを連れていた時期が長かったので、ベビーカーに乗せて出かけるときはたかだか1メートル程度でも子どもと距離ができることが不安だったことを思い出しました。大切な存在をそばに置いておきたい気持ちは分かる気がします。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年06月25日発達相談で受けたアドバイスを実践。しかし……1歳半健診の時点で、まだ発語や指差しが見られなかった長男りー。その際に発達相談を担当した方に受けたアドバイスから、「おかしや飲み物など、りーに好きなものを選ばせる」という方法を試すことにしました。りーは選ぶところまではできるようになり、さらに何か欲しいときには両手を重ねて、上下に動かし「ちょうだい」という意思をアクションで伝えることができるようになりました。しかし、相変わらず「ものを指さす」などの行動は見られず、なかなか次のステップには進んでいないように感じました。知育の本や「言葉の発育を促す」とうたうおもちゃも試してみました。りーは楽しんでいましたが、それでも指さしをする、言葉を話すという効果は感じられませんでした。多動で買い物にも四苦八苦。知り合いの児童発達支援施設へ相談Upload By かし りりあまた当時りーと買い物に行くのは恐怖でした。カートに乗ってほしいのですが、ベルトを締めてもするりと抜け出してしまうので、仕方なくカートからおろすと売り場をダッシュ。周りの方の目が気になって欲しいものは買えずじまい。仕事が終わり、祖父母宅に迎えに行くまでの限られた時間でしか買い物には行けませんでした。いろいろと手は尽くしてみましたが、うまくいかず……幼稚園入園が迫ってきた頃、知り合いの児童発達支援施設の先生へ連絡しました。こちらへは以前からりーの発達のことを相談していて、「利用することになるかもしれない」と話していたので、まずは施設を見学することになりました。児童発達支援施設ってどんなところ?見学してみると……見学に行くと、この児童発達支援施設で行っていることの説明を受けました。専属の先生がつき、少しずつでもりーのできることを増やしていく。保護者の困りごとや願い(できるようになってほしいこと)に寄り添い、それが達成できるように療育をしていくところだということを教えてもらいました。Upload By かし りりあ両親、祖父母以外につながりのないりーに必要なものはコレだ、と思い療育に通うことを決め、役所での申請を行い、週2回の療育を始めました。Upload By かし りりあ実際療育に通ってみると、指先を動かす課題や、片足で立つ課題など、りーの発達段階に応じた療育を行ってくれました。また連絡帳やお迎えの時間を通じてりーの様子を伝えてくれ、言葉を話せないりーの状態を詳しく知ることができました。療育の次は幼稚園探し。発達ゆっくりな息子に合う幼稚園はある?療育に関してはひとまず安心した私たち。療育の手続きと同時に幼稚園探しをスタートさせました。まずは、児童発達支援施設の先生から教えてもらった、発達のゆっくりな子どもへの対応が良いという幼稚園へ連絡しました。りーの様子を伝えて通えるか問い合わせたところ……今通っている子どもへの対応にいっぱいいっぱいなようで、りーの対応ができないとやんわりとお断りされてしまいました。Upload By かし りりあ少しショックではありましたが、感傷に浸っている暇はありません。そこから本腰を入れて幼稚園を探し始めました。何件か見学をして、りーの様子を伝えました。そして受け入れてくれそうな幼稚園を2つ見つけました。縦割り保育で人数が多い(年度ごとにクラスが変わる)A園、少人数で年齢ごとのクラス分け(学年が持ち上がり)のB園。夫婦で相談し、少人数のB園に入園することを決めました。結果的にB園は児童発達支援施設との連携をしっかりとってくれ、幼稚園でできる配慮を行ってくれました。Upload By かし りりあクラスのお友達も穏やかなりーのことを弟のように温かい目で見てくれ、遊びに誘ってくれたり、りーのできることを一緒に喜んでくれたりしました。あまり人に関心のなかったりーですが、幼稚園での生活が始まると、お友達の顔をのぞき込んだり、お友達がやってくれるにらめっこに大笑いしたりと、りーなりに人への興味関心を広げていきました。こうして幼稚園、児童発達支援施設に通う生活がスタートしましたが、新たに気になることがでてきました。それはまた別の機会に書いていきたいと思います。執筆/かしりりあ(監修:新美先生より)りーくんが児童発達支援に通い始め、幼稚園にも入園した頃について詳しく教えていただきありがとうございます。児童発達支援施設は、主に未就学(0~6歳)のお子さんを対象に個別や集団で療育を行う施設です。母子(父子)で通う場合、お子さんのみで通う場合、幼稚園や保育園のように毎日通うタイプ、一定の頻度で通うタイプ、専門的な療育を受けられるタイプ、長時間過ごせるタイプ(いわゆる預かり型)などさまざまあります。幼稚園や保育園と並行して通う場合もあります。りーくんの通い始めたところでは、ご本人の発達段階に合わせてスモールステップでできることを増やすかかわりをしてくれて、親御さんへのフィードバックもあり、信頼できる施設に出合えたようでよかったです。また、幼稚園・保育園は、園によって人数、運営方針、活動内容などがさまざまです。入園したB園で、よい刺激を受けてりーくんが人への興味が増えたのはうれしかったですね。児童発達支援施設選び、幼稚園・保育園選びは、大変ではありますが、広く情報を集めて見学に行くなどしてお子さんに合ったところに入れると安心できますね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年06月24日初めての参観日。うれしすぎて離席を繰り返すタクにビックリUpload By もっつんタクはイヤイヤ期は激しかったものの、後追いはありませんでした。幼稚園に通い始めた当初でも行き渋りはほぼありませんでした。初めての保育参観の時のエピソード。教室の後ろのほうから静かに授業を見守ろうと思っていたけれど、私を見つけたタクは「ママ!ママが来た〜!」と一目散に駆け寄ってきました。突発的に動いてしまう特性が強く出ていたと思います。席に戻るようにたしなめても、うれしくて興奮している様子で、なかなか声が届きません。先生に手を引かれて渋々戻っていったけど、ほかの保護者やお友達からも注目されて、恥ずかしくて困惑しました。その後も何度も立ち歩いたり、キョロキョロと落ち着かない様子のタク。そんなタクを先生方は叱るようなことはなく見守ってくださいましたが、どのような声がけをすればよいのか少し困っている様子でした。きちんと自分の席に座って先生の話を聞くお友達を見て、なんて落ち着いてるんだろう……とびっくりしたのを覚えています。集団行動の中で一人だけ違う行動……目立つ息子Upload By もっつんまた体操の参観の時には、タクなりのこだわりを強く感じる場面がありました。玉入れをする時に、タクはなかなか玉を投げようとしないのです。両手いっぱいに玉を集めることに夢中で、最後まで一つも投げてくれませんでした。先生やお友達が玉を投げている姿は目に入らないのか、まるで興味がない様子でした。ルールが分かっていないだけなのか、分かっていて違うことをやっているのか周りの人には分かりません。ほかにも、列に並ばない座らないなど集団行動を乱すことが多く、母としていつもヤキモキしながら見学していました。当時の録画した映像を見ると「あぁ……ちゃんとやってよ……はぁ……」と私の音声が録音されていました。10年経った今は笑い話にできますが当時は本当につらくて、居心地が悪くて、頼むから周りの子と同じように行動して!と何度も念じていました。キチンと目を見て丁寧に説明すれば理解はしているようだけど、集団の中に入ると指示の通りにくさがあったのだと思います。集団生活のルールを教えるのは難しいUpload By もっつん人との距離感を計るのが苦手で、どんどん距離を詰めてしまう。悪気なく、誰にでも構わず抱きついてしまうこともありました。好意の伝え方がスキンシップ以外にピンと来ていなかったのかもしれません。そんなタクと仲良くしてくれる子もいれば、なんとなく合わない子も出てきました。家庭の事情で保育園に転園した際は、気が合わない子と上手くいかずケンカになってしまいました。タクが遊びのルールを守らない、気まぐれで自分勝手な行動を取ろうとするのがケンカのキッカケになっている様子でした。タクの言い分も聞きながら「タクの気持ちは分かるけど、勝手に歩き回ったりするところは良くないと思うから、明日は止めてみてね」と言ってみてもなかなか行動は変わりませんでした。先生が根気よく子どもたちそれぞれに話を聞いてくれて、その都度仲直りするというのを繰り返して段々仲良くなることができました。誤学習で笑いを求めるタクUpload By もっつんお友達と小さなトラブルを起こしつつも、タクは保育園が大好きでした。目立ちたがり屋でお調子者な面もあったので、あの手この手を使って周りの注目を集めていました。ある日、お着替えの時にズボンと一緒にパンツまで下ろしておしりが丸出しになってしまい、周りの子から大笑いされたことがあったそう。タクはみんなに爆笑されたことがうれしくて、何度もパンツを下げる行動を取るようになりました。数日経って、もう周りの子が笑ってくれなくなっても繰り返しパンツを下ろすようになってしまったと、先生からの連絡帳で知りました。「おしりを出す = 皆が笑ってくれる」と誤学習してしまった結果だったと思います。その後、おしりを出すことで笑いを取るのは間違っているという事を、家でも先生からも根気強く言い続けてなんとか止めさせることができました。具体的には、おしりを見せても一切笑わずに、「おしりを何度も見せても面白くないよ」「トイレ以外でおしりを見せるのは失礼なことだよ、嫌な気持ちだよ」「あの時に皆が笑ってくれたのは、いろんな要因が重なった偶然の笑いなんだよ」とかみ砕いて簡単に説明するように。そして、最終的にズボンとパンツを戻すまで無視をするのを徹底しました。転園の中で、タクも私も必死だった日々Upload By もっつん保育園生活では年齢が上がるにつれて、お友達トラブルが少しずつ増えてきました。皆と同じ動きがなかなかできずに、別の遊びを続けていることもあったようです。わが家の場合は家庭の都合で2度転園をしてしまったので、幼いタクにも負担をかけてしまいました。家庭内で元気にしていたけど、外ではさらに外弁慶になってフラストレーションを発散していたのかもしれません。この頃タクは、短期間ですがまばたきチックを発症してしまいました。短期間で転園で、私と先生との信頼関係を築ける時間が少なかったのが悔やまれます。もしずっと同じ園だったら……先生から発達について相談されたり、療育を勧められたのかな?と考えてしまいます。3歳児健診で言われた「この子は発達障害じゃない。考えすぎですよ」という言葉を完全に信じて、ほとんど動けてなかったなぁと思いました。もしも発達障害の可能性を感じて、こちらから先生方にご相談できていれば、タクの園生活がもう少し落ち着いて過ごせたのかな……と考えてしまうこともあります。しかし小学校1年生の終わりに発達障害の診断を受けるまでに、タクに向き合ったことで親子の信頼関係は大きく育ちました。悩んだ期間や試行錯誤は決して無駄ではなかったと思っています。執筆/もっつん(監修:初川先生より)幼児期のタクくんの集団でのエピソードをありがとうございます。同級生らの中でだと落ち着きのなさやルール理解のズレを保護者が感じることも多いと思います。集団の中でのルールにのっとった行動やよき振る舞いというものは、先生から言葉での説明がなされたり、周りのお子さんの適応的な行動を見て真似したりということで身についていくことが多いので、初期はそのように対応されると思います。ただ、言葉での理解は個人差が大きかったり、聞いた時は分かっていても(言葉は)消えてなくなってしまったり、周りの子の言動まで目に入っていなかったりで、発達につまずきのあるお子さんには個別の手立てが必要になることがあります。そうした場合、家庭でだけ、園でだけというよりも、連携しながら一緒に同じようなことに注意しながらやっていけるといいでしょう。今回のお話の中では、おしりを出して気を引く行動を誤学習したという話がありましたが、園でも家庭でも同じように「おしりを出すのは良いことではない」ということを伝えて行けたのがよかったと思います。言葉のみならず絵を使って、あるいは映像を使ってなどさまざまやり方はあると思いますが、そのお子さんの特性として伝わりやすい方法で伝えてゆけるとよさそうです。もっつんさんは事情があって転園が多かったこと、また、検診での医師のコメントなどがあり、なかなか先生方と密に一緒にやっていくことが難しかったり、発達障害かもという、お子さんのつまずきを理解する上での縦軸を持ちづらかったりしたのだと思います。もっつんさんが書かれている通り、さまざま悩み、逡巡する時間も大切な時間・プロセスになります。早く気づいて早く手立てが取れることももちろん良さはあります。しかしそうでなかったとしてもダメだということでは全くありません。のちに「悩んだ期間や試行錯誤は決して無駄ではなかった」と感じられていること、何よりだなと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年06月21日外出先での癇癪、大泣き。通りすがりの人に怒られてしまい……息子が1歳くらいの頃、ショッピングモールに連れて行った時のことです。息子が泣き出してしまい、なかなか泣き止まず困ったことがありました。その時はとりあえず、人のいない奥まった場所に連れて行ってなだめていたのですが、近くを通った男性に「うるさい!」と怒られてしまったことがあります。また別の日に、いつものスーパーに行った帰り道で泣き始めてしまい、なかなか帰れなかったことがありました。困って立ち往生していたら、通りすがりの方に「親なら泣き止ませろ」と怒られたことがありました。Upload By メイこんなふうに外で怒られることは何度かありました。泣き始めたらいろいろと対処してもうまくいかないことも多く、どちらかと言うと切り替えが上手くなかった息子なので、時間がかかることがほとんどでした。親として対応に手を抜いているつもりはありませんでした。ただ、大声で怒ったり怒鳴ったりしても息子には無意味だと分かっていたので、穏やかな声かけだったり、タイミングを見ようと様子を伺って観察していたりすることも多く、周りの人から見ると、迷惑をかけているのにちゃんと対応していないように見えたのかもしれません。厳しくしているほうがちゃんとしているように見えるものなのかもしれません。息子と外出するのが怖くなり、家にこもりがちに……外で人から怒られてしまうと、私も外出するのがだんだん怖くなっていきました。買い物など家にいながらインターネットでいくらでもできる状況でしたし、外に出ず、家で息子と2人で引きこもって過ごしていたほうが、私にとっても周りの人にとっても良いのではないかと考えました。Upload By メイでも、肝心の息子にとって、それが良いことなのかどうか考えるようになり、やっぱり私はちゃんと息子と外に出て、買い物をしたり遊んだりしたいと思いました。周りの人に迷惑をかけてしまうこともあるかもしれない。それでも私は、息子の成長のために行動していきたいと思ったのです。困ったときには、助けてくれる人もたくさんいるこんなふうに怒られる経験ばかりではなく、反対に周りの人から助けられたケースもありました。息子は消防車が好きで、消防車を見かけると立ち止まってじっと見ていることがよくありました。ある日、消防署の前で立ち止まって動かなくなってしまったことがあります。帰らなければいけない時間になってもなかなか動くことができず困っていたのですが、その時に消防士さんが出てきてくれて、息子に「消防車好き?また見に来てね」と言って、消防車の形の消しゴムをくれたのです。消防車の消しゴムをもらって、息子はすんなりと帰宅することができました。Upload By メイまた、息子が幼稚園の年少の頃、私は生まれたばかりの娘を抱っこ紐で抱いて、息子の幼稚園のお迎えに行きました。帰り道で息子が私に抱っこしてほしいと泣いてしまい、私は娘を抱っこして息子をおんぶして何とか歩いていました。その様子を見た通りすがりの方が息子に声をかけてくれて、「今買ってきたばかりだから」と言って、お菓子を息子に渡してくれました。その方は、「お母さんを助けてあげてね」と、息子に言ってくれました。外で注意されたり怒られたりして、人の目が怖くなって、人とできるだけかかわらずに生活したほうが良いのではないかと考えてしまったこともありました。でも、困ったり落ち込んだりした気持ちを救ってくれるのもやっぱり人との関わりの中で生まれるものだなぁと、今では思っています。Upload By メイ小学生になった今、外で癇癪を起こすことはなくなったけれど息子は今では小学生になり、外で大声で泣いたり癇癪を起こしたりすることはなくなりました。ただいまだに、びっくりしたり不安な気持ちになったりしたときには、思わず大きな声を出してしまうこともあるので、その都度注意して気をつけていっている現状です。まだまだ教えることはたくさんありますが、少しずつ成長して、少しずつ社会に溶け込んでいっているのではないかと思います。執筆/メイ(監修:鈴木先生より)スーパーなどで「うるさい!」と言う方はもしかしたら聴覚過敏がある方だったのかもしれません。世の中にはちょっとした音に敏感で、特にお子さんの泣き声が嫌いな方もいるのです。そういう時には「すみません」とひとこと言ってその場を去るしかありません。電車などの公共機関で静かにすることが難しい場合、周囲に迷惑をかけないように車で移動するケースもあるかと思います。世の中にはいろいろな人がいます。ひきこもるよりは勇気を出して外の空気を吸いながらいろいろな人に触れ合うことで子どもは成長していくものです。その中で相性の合う方がいれば、それだけでも救われますね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年06月18日呼んでも振り向きもせず、手を繋ぐのも拒否してひたすら歩き回る息子わが家の息子ねこ太は現在小学校2年生。ADHD(注意欠如多動症)グレーゾーンで特別支援学級に在籍しています。ねこ太は運動発達に遅れがあり、2歳3ヶ月でようやく歩けるようになりホッとしていましたが、歩けるようになったとたんに息子の歩みが止まらなくなりました。外に出かけると一度も立ち止まることなくひたすら歩きまわるのです。景色なんて全く見ず、呼んでも振り返らないし止まらない。ベンチに座って休憩したりレジャーシートを敷いてお昼ご飯を食べることは不可能で、とにかくずーーーっと歩いていました。手を繋ぐと嫌がって振り払われるので、安全な場所では手を繋がずに歩かせていました。そのうち疲れて止まるだろうと思っていたのですが、全く疲れる気配なく歩き回り、大人の方が疲れてクタクタになるくらいでした。Upload By 鳥野とり子あまりにも周囲を見ず動き回る息子に違和感を感じ、療育の先生に相談してみたけれど…あまりにも歩き回って止まらないことに少し違和感を感じたので療育の先生に相談したところ「ようやく歩けるようになって嬉しくて動きたくてたまらないんだと思いますよ」とのこと。「なるほど、動きたくてたまらないだけなのね」と納得したのですが、数ヶ月経っても動きは収まるどころかエスカレートしていき、ねこ太を連れている時にATMでお金をおろしたりレジでお会計するのが大変になってきました。ATMではねこ太を股に挟んで動きを封じその間に操作をするしかないくらい、とにかく1秒も大人しくしていてもらえなくて大変でした。Upload By 鳥野とり子ハーネスをつけて外出すると周りから白い目で見られ日に日に歩く力がついて公共の場でも全くじっとしていることができないねこ太に困った私は、子ども用のハーネスを使ってみることにしました。ある日郵便局の窓口で小包を発送する時にどこかに行ってしまわないようにねこ太にハーネスをつけていたのですが……走りたがって泣くねこ太をハーネスで引っ張った時にふと周囲を見ると、周りがハーネスを見て引いていることに気づきました。ハーネスはだいぶ一般的になったとは言え、泣いて嫌がる子どもに着けていると見た目は決して良いものではなく、子どもの動きを制限しているように見えたのかもしれません。とても便利なアイテムなのですが使うことに後ろめたさを感じるようになってしまいました。Upload By 鳥野とり子独特の動きをするようになってきた息子歩けるようになって半年ほどたった頃から、ねこ太は木の周りをグルグル歩くのにハマり始めました。大きめの木の周りを飽きることなくずーっとグルグル歩いているのです。そしてこの頃あることに気づきました。木やフェンスを横目で見ながら走っているのです。それは独特の目つきで、黒目を寄せられるだけ端に寄せて物を見るのです。顔や体は進行方向を向いたまま、横目で木を見てグルグル走っていました。独特すぎる動きに「あぁ、これは絶対なにかある」と確信した私は、この行動についてインターネットで検索しました。すると【横目はASD(自閉スペクトラム症)によく見られる行動】という記事が……。私は「あぁ、やはりねこ太は発達障害なんだろうな」と思いました。Upload By 鳥野とり子てっきり診断を受けるのかと思いきやねこ太のこの行動を医師に相談したところ、「歩けるようになったばかりなので、少し様子を見ましょう」と言われました。私はてっきりASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けると思っていたので診断名がつかないことに戸惑いましたが、医師に言われたとおりにねこ太の様子を見ていると、3歳を過ぎたあたりから徐々に多動が落ち着いてきて、ひたすら歩いて行ってしまうことが減り横目も全くしなくなりました。3歳半になる頃にはベンチに座って休憩したり、お花を愛でたりできるようになったのです。ねこ太を連れているとレジでお会計をするのも苦戦するほどの多動だったので急な変化に驚きました。一連の行動が落ち着いたことで結局診断は受けないまま。短期間だったとは言え、かなり特徴的な行動をしていたので診断名がつかなかったことは不思議なのですが、発達障害の診断はそれくらい慎重なものなのだなと思いました。Upload By 鳥野とり子執筆/鳥野とり子(監修:鈴木先生より)ASD(自閉スペクトラム症)やADHDの診断は医師のセンス(知識と経験)によってかなり違いがあります。何かほかのお子さんと違うなと思ったら、まずはかかりつけ医に相談するといいでしょう。ただ、神経発達症の診断には経験と知識が必要です。年齢が低いほど神経発達症の診断をするリスクは高いのですが、できるだけ早期介入ができるように小児科神経外来のある総合病院で相談するのがいいと思います。投薬治療やリハビリで感覚統合訓練ができるからです。そのためには1歳半または3歳児健診で医師や保健師さんに相談してみるとスムーズに運ぶことができますよ。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年06月17日育児業界で学んだ知識や情報と現実の息子に翻弄される日々……私が働き始めた会社は育児関係の事業を行っており、ベビーマッサージのインストラクターを養成する講座を開催していました。ベビーマッサージが赤ちゃんとお母さんのアタッチメント(愛着関係)を育むのにも良いツールだということを発達心理学の考えを使いながら伝えていました。入社当初、育児関係の会社なら自分の育児や生活にも何か役立つ情報が得られるのでは?という期待もありました。案の定、スタッフとしてテキストの製作過程で内容を読み込むうちに、発達心理学をはじめとした心理学や子どもの発達については結構詳しくなり、自分でも本を買い漁って勉強するほどになりました。ただ、当時の私が独学で得た知識の中で気になったのは、発達障害ではなく愛着障害(※)という言葉でした。当時はまだ、コチ丸は「手がかかる子」という感覚でしかなかった私は、コチ丸の困り事と発達障害とが全く結びついていませんでした。育児にも自信がなかった上に、一度癇癪を起こすと何をしても泣き止まず手に負えないコチ丸につい怒鳴って叱ってしまったり……。もしコチ丸が愛着障害だとしたら、思い当たる節が多すぎて(汗)、ますます「私の育て方が悪いのかも」という考え方が強くなりました。※ICD-10では小児期の反応性愛着障害、DSM-5TRでは反応性アタッチメント症とされており、乳幼児期に長期にわたって虐待を受けたり、両親の死やその他の要因で養育者と安定した関係が結べなかったりして、保護者との愛着関係を結ぶことができなくなることで引き起こされるとされています。参考:友田 明美著「アタッチメント(愛着)障害と脳科学」『児童青年精神医学とその近接領域』59 巻 (2018) 3号 p.260-265Upload By あき1歳半健診では別室に呼び出され、思わぬ大事にそんな中、1歳半健診がありました。コチ丸は保健師さんと目を合わせず、声かけにも反応せずでした。それまでもなんとなく「あれ?聞こえてないのかな?」と不思議に思うことがたまにあり、その日は別室に呼ばれて生活で困ったことはないかなど聞かれた末、念のためにと総合病院で聴力の検査をすることになりました。コチ丸を眠らせて検査する予定でしたが、途中で目を覚ましてしまったため、しっかり検査することはできませんでした。さらにその頃、コチ丸は中耳炎を何度かやっていたので、果たして耳が聞こえづらいのか、聞こえていても反応しないのか……何が原因かを特定するのはもう少し様子をみようということになりました。当時は中耳炎のほかにも、よく熱を出して仕事中にお迎えの連絡が来ましたが、さすがに育児関連の会社だけあって、早退や遅刻には寛容な会社でした。まだコチ丸も小さかったので、大変ありがたかったです。Upload By あき目を離したらすぐ行方不明!身につけるもので迷子を阻止!!そんなコチ丸もやがて歩けるようになりました。が、そうなると最早、私の手には負えず(汗)、とにかく足が早く、気になるものがあるとそこにめがけて一直線。スーパーや広いところに行くとしょっちゅう姿を見失いました……。当時、常に時間に追われていた私からしたら、買い物に行く時間すら惜しい状況なのに、さらに「コチ丸を探す」ことに時間を取られ日々のイライラが増すばかりという悪循環でした。そんなことが続いたので、当時からコチ丸の服選びには蛍光色や派手な柄物など、遠くからでも姿を確認しやすい目立つものを選ぶようにしていました(笑)。本人にとっても、視覚的に目立つ色の持ち物なら自分の物と認識しやすいかなとも思っていたので、靴や服はほとんど派手なものばかりでした。単純なことですが、意外に効果はてきめんでした!とにかくチカチカ目立つコチ丸を追いかけて日々翻弄されていました……(笑)。Upload By あき当時から変わらないもの、変わったもの高2になった現在は、好きなもののためには一人でバスや電車に乗って勝手に出掛けてしまうコチ丸。寮生活をしている北海道からバスを乗り継ぎ、飛行機に乗って一人で地元の愛知まで帰ってくるくらいなので迷子にもなりませんが(笑)。中3になりたての頃、好きなゲームの聖地巡礼のため、愛知から広島の呉まで、夜行バスや新幹線を駆使して、二泊三日の一人旅をしたのが大きな自信になったようです。駅に見送る時に、振り返りもせず改札を抜ける後ろ姿を見ながら、1歳の頃スタスタと勝手に歩いてどこかへいってしまった姿となんとなく重なりました。未だに母は案ずるばかりで(笑)、一生心配しているものなのかもな、と思っています。Upload By あきさらにコチ丸が自分で服や靴を選ぶようになってから気づきましたが、意外にモノトーンや地味な色が好きなようです(笑)。反していまだに派手な服や靴をコチ丸に選びがちな私ですが、これも成長と子どもの意見を取り入れて派手な服や靴は封印しつつあります(笑)。執筆/あき(監修:新美先生より)1歳頃の、まだ診断にたどり着く前の育児不安について聞かせてくださりありがとうございます。あきさんは、当時、育児関連業界のお仕事をされていたのですね。子どもの発達について学ばれたとのことで、得るものがたくさんあった半面、もしかしたら一般的な多数派の発達を知ることで、個性の強いわが子の行動とは異なるところが気になってしまうこともあったかもしれないですね。また「愛着」という観点は、子どもの基本的信頼感を形成するうえで大切な視点であるものの、発達の個性によっては、愛着、基本的信頼感の形成の道筋が異なることもあります。子どもを叱ったことがない親はいないので、「愛着障害」という観点からみると、親としての関わり方が悪かったのではないか?という過度の後悔にさいなまれることは、あるあるなのです。でも、精神医学的に「愛着障害」という診断になることは非常にまれな事例に限られており、中途半端に“愛着障害”というワードを使われることで、保護者に罪悪感を抱かせてしまうのはあまりよくないのではないかと、個人的には感じています。コチ丸くんが歩けるようになってからの迷子対策に、「蛍光色や派手な柄物」の衣服を身につけるというのは、応用しやすいライフハックですね!勉強になります。そして、歩けるようになった頃からどこまでも一人で行ってしまっていたコチ丸くんは、中3で二泊三日、愛知から広島までの一人旅ってめちゃくちゃ行動力ありますね!!自立心旺盛という形で三つ子の魂百までの行動力を発揮されている、素敵なその後まで聞かせて下さりありがとうございました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年06月12日高学年になってからの学校トラブル。先生の叱責がきっかけで、からかいのターゲットにある日学校で、ハルはクラスの男子たちが純粋そうな女子に対して「〇〇って知ってる?」と性的な言葉をわざと使って質問し、からかっている場面に遭遇しました。困惑している女子を見て、ハルは「僕も分からないから、辞書で調べてみるよ」と辞書を開こうとしました。すると、男子たちはさらに騒ぎ立て、慌てていた担任の先生はハルのその行動にビックリしてしまい、「やめなさいハル君!!」とすごい剣幕で叱りました。ハルはなぜ自分が叱られたのか理解できず、ぼくが悪かったのか……と困惑し、落ち込んでしまいました。その後、その出来事をきっかけに、強めな男子たちはハルをからかいのターゲットにするようになりました。わが子が置かれた状況を知り、激しく動揺。これ以上からかわれないために「強く言い返しなさい」と伝えたが……元気がなさそうなハルの様子が気になっていた私は、ハルに学校で何かあったのかたずねました。ハルから事情を聞いた私は、激しく動揺しました。「もっと毅然と強くならなければ、ハルはこれからもからかいの対象になってしまう!」と感じ、ハルに「強く言い返さないままだと、もっとからかわれる。言い返すことができないのなら家で練習してみなさい」と言ってしまったのです。すると、ハルは「僕はできない……強く言い返すとか、そんなことしたくない!」と泣きだし、過呼吸になってしまいました。その様子を目の当たりにし、やっと自分の対応が間違っていたことに気がついた私は、ハルへかけた言葉を心から後悔しました。Upload By 安田ふくこすぐにハルに謝り、抱きしめながら「お母さんが間違ったよ、本当にごめん。大変な状況の中、葛藤して頑張っていたんだよね……。あなたは間違っていないし、決して弱くもなかった。むしろ優しさという“本当の強さ”を持っているって、お母さん気がついたよ」と伝えました。強く言い返すことができない気持ちごと受け止め、本質にあるハルの優しさを認めることこそ、母親としての役割なのだと痛感しました。するとハルは「自分にとって納得できない、大変なことを“やれ”って言われるのは苦しい。つらくても頑張ってる時は、家族にはそんなふうに“あなたは間違ってない、とても頑張ってる”って言ってもらいたかった」と泣きながらも、自分の思いを伝えてくれ、落ち着きを取り戻しました。「もっとこうしなさい」ではなく「一緒に考えてみる」ことで得た気づきとは?それからは、気が強く支配的なところのある男子が、たとえひどい言葉で“自分たちに従わず、周囲とは反応が異なる溶け込めないハル”を傷つけようとしてきても、以前ほどには気持ちが動揺しなくなりました。しかし、引き続きハルの気持ちを見守ってはいました。小6のある日、ある強気な男子にひどい言葉で傷つけられ、ハルが落ち込んだことがありました。その頃の私は「もっとこうしなさい」ではなく「ハルと一緒に考えてみる」という発想を持つようになっていました。そして「なぜハルはひどいことを言われるのか?」だけではなく、「なぜ相手はひどい言葉で傷つけてくるのか?」と、ハルと一緒に客観的に考えてみるようにもなりました。これまでどうしても私は、発達が独特でゆっくりなハルを心配するあまり、「早く周囲に溶け込めるように、周囲と足並みを合わせられるように……」と考えてきました。ですが、そう考えることを少し改め、今ある状態を多面的に捉えることで分かったことがありました。攻撃してくる相手は、実は自分自身の心の弱さを隠しているのだということ。周囲とは異なる人を攻撃することで自分を保っている、そんな弱いところがあるのだということです。Upload By 安田ふくこそのことに気づいたハルも「じゃあ自分の心は、そんな小さなものに囚われなくて良いんだね」と前を向き、一回り成長したように見えました。それからはハルも私も、「強く見えるだけ」ではない「本当の強さ」とは何かを、いつも心に留めるようになりました。トラブルを経験して、親子共に大きく変わった考え方この高学年で経験したトラブルがきっかけで、親子の関係も大きく変わったように感じます。周囲に無理にでも溶け込ませよう、溶け込もうとするよりも、「そういうところがあるんだね。それも大切なあなた。よく頑張って生きている。人とは違うそんな面も、私はとっても素敵だと思う」、そんなスタンスで向き合ったほうが、子どもにとっても親の自分にとっても良いということを心の底から感じたのでした。Upload By 安田ふくこそして、そんなふうに至った思いは長男が高校生となった今でも、私と長男の関係の基盤となっており、日々を支えてくれているように思います。執筆/安田ふくこ(監修:森先生より)小学校も高学年ともなると、大人の目が行き届きにくくなったり、人間関係の悩みも複雑になることが増えてきますよね。親に相談できない子どもも多いところ、ふくこさんとお子さんは、日頃からしっかりとコミュニケーションを取っていて信頼関係が築けているのですね。子どもから相談されると、親としては良かれと思って「あなたはもっとこうしたほうがいい」というアドバイスをしがちです。しかし、アドバイスは、心が弱っているときには、「批判」のように感じてしまうことがあります。まずは「家族はそのままの自分を受け入れてくれる」という安心感が必要なのです。外の世界でどんなに理不尽な思いをしても、家庭が子どもにとって「心の安全基地」としてしっかり機能していると、子どもは傷付いた心を回復することができます。そしてまた外の世界に冒険に出ることができるようになるのです。まずは「つらかったね」「がんばったね」と受け入れてあげましょう。その上で、同じ目線から対策を一緒にたてるといいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年05月30日2024年5月に調査実施徐々に気温も上昇し、今年も熱中症のリスクと隣り合わせの梅雨、そして盛夏がやってきます。その前にいまいちど、正しい熱中症対策を復習しておくべき時期がやってきました。熱中症は、気温の上昇や水分摂取の不足による高体温と脱水によって起こる、身体のさまざまな器官がダメージを起こす病気です。体温調節機能が未熟な子ども、また、体温調節機能が衰え始める高齢者においては特にリスクが高いといわれますが、正しい健康管理をしていなければ誰にでも熱中症になるリスクがあります。「水分を摂ればいい」、「塩分を摂ればいい」といった断片的な知識では、熱中症は予防できません。また、熱中症になりにくい身体を作るための長期的な栄養対策、いざ熱中症リスクが急激に高まる暑熱環境における短期的な栄養対策も、実は異なります。「適度に摂取することで熱中症対策に役立つ栄養素」と認識しているものは?熱中症対策の栄養管理に関して正しい知識を持つ人はまだまだ少なく、大正製薬株式会社が2024年5月に実施した調査によると、熱中症対策として摂取したい栄養素(たんぱく質、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、タウリン、ロイシン(アミノ酸のひとつ)、ビタミンB1、カルシウム、ビタミンC)のうち、それらの栄養素が熱中症対策になると知っているかを聞いたところ、1200人中の353人、3割弱の29.4%の人が「どれも知らない」と回答。すべて認知していた人はわずか27人(2.3%)でした。また、認知している人が多い栄養素順では右のグラフのような結果になっています。今回は熱中症の対策に詳しい医師の谷口英喜先生に、熱中症になりづらい体づくりのために知っておきたい、食生活からの熱中症対策について伺います。【調査概要】調査名称:「適度に摂取することで熱中症対策に役立つ栄養素」として認識しているものは?調査機関:Freeasy調査対象:全国の 20 代~70 代の男女 1200 人(年齢・性別 均等割付)調査方法: Web アンケート調査日:2024年5月8日監修者プロフィール谷口英喜先生熱中症からいのちを守る済生会横浜市東部病院患者支援センター長/周術期支援センター長/栄養部部長医師谷口英喜先生麻酔・集中治療、経口補水療法、体液管理、臨床栄養、周術期体液・栄養管理のエキスパート。日本麻酔学会指導医、日本集中治療医学会専門医、日本救急医学会専門医、TNT-Dメディカルアドバイザー。1991年、福島県立医科大学医学部卒業。学位論文は「経口補水療法を応用した術前体液管理に関する研究」。2024年5月に新刊『熱中症からいのちを守る』(評言社)が刊行。その他の著書『いのちを守る水分補給~熱中症・脱水症はこうして防ぐ』(評言社)など。暑くない時期から継続する、長期的な食の対策熱中症になりづらい身体づくりは、まだ暑くない今の時期から開始しましょう。一年を通して継続するべき長期的な対策としては、「貯水しやすい身体」と「暑熱順化(しょねつじゅんか=暑熱環境への順応)」を意識した栄養素の摂取が重要になります。体内の水分は、約半分の量が筋肉に貯蔵されます。そのため、筋肉量を増加させるたんぱく質を積極的に摂取して身体を動かし、長期的に筋肉が維持できるようにすることが重要です。また、膠質浸透圧(こうしつしんとうあつ。血管中に水分を引き込む浸透圧のこと。アルブミンという血漿に含まれるたんぱく質が豊富でないと血管内へ水分を引き込みにくくなります)を維持するためにもたんぱく質が必要になります。特にロイシンというアミノ酸は筋肉の合成を促す効果が高いので、ロイシンを豊富に含む肉や魚を積極的に食べましょう。また、暑熱順化のためには、タウリン、ビタミンCも重要です。魚介類や栄養ドリンクに豊富なタウリンは筋肉疲労を回復する効果でも有名ですが、身体のさまざまな機能を調節する働きがあることがわかっています。近年、深部体温を下げる働きがあることも研究結果からわかっており、熱中症対策として意識したい栄養素です。ビタミンCには抗酸化作用があり、体内の活性酸素を減らすことで細胞を守り、炎症を軽減し、暑熱順化をサポートする役割を果たしてくれます。タウリンもビタミンCも水溶性なので、魚介類や野菜を煮てスープのようにしたお料理を汁ごといただくのは、食事からのたっぷりの水分摂取にもつながり非常におすすめです。熱中症対策時期・食生活の注意事項・ポイント・摂取する栄養素気温が上がってきてからの短期的な食の対策気温が上がってからの短期的な予防策では、暑熱環境で汗をかいて失われた水・電解質・ビタミン類を補うことを意識します。長期対策のための栄養素に加えてほしいのが、電解質であるミネラルであるナトリウム、カリウム、マグシウム、ビタミンB1です。ナトリウムは塩に含まれますが、ナトリウムを適度に摂取しつつ水分補給をしないと体内には吸収されにくく、また残りにくいのです。水だけを多量に摂ると、いわゆる水中毒となり、体内の塩分濃度が極端に下がってしまうと低ナトリウム血症を起こすリスクもあります。逆に塩分のみで水分を摂取しないことも水分の実質的な補給に繋がらずに危険です。塩飴だけ、梅干しだけ、ではなく、必ず塩飴、または梅干し1つにコップ1杯の水分をあわせて摂ることを忘れずに。真水だけを1時間に1リットル以上飲むと危険です。必ず塩分が含まれた水分か食事とあわせて摂るようにしましょう。野菜や芋類、藻類に豊富なカリウムは尿を出しやすくし、体温を下げることに役立ちます。緑黄色野菜や豚肉に豊富に含まれるビタミンB1は熱中症の症状を緩和させてくれます。暑さによる疲労感をやわらげ、食事から摂取した糖質を体内で燃やして効率的にエネルギーを作ることで必要な身体作用をサポートしてくれます。これらをいっぺんに摂ることができるのが、ビタミンB群もビタミンCも豊富に含むキウイをはじめとする果物やトマト、きゅうり、かぼちゃなどの夏野菜です。豚肉を入れた夏野菜カレーなどもおすすめのメニューです。これって熱中症?そんな症状が出てしまったら…万が一、体温が上昇し、めまいや激しい汗、頭痛など、熱中症を疑う症状が出た場合は、固形物を食べるのは避け、体温をさらに上昇させてしまうたんぱく質も避ける必要があります。汗で失われた電解質とともに水分をたっぷり摂る必要があるので、水、ナトリウム、カリウムを迅速に適正濃度で摂取できる経口補水液をできるだけ早い時期に沢山飲むことで対処してください。基準として、ペットボトルのふたを自力で開けて自分で飲めないくらいの重症の場合は、迷わず病院に受診するようにしましょう。体力を回復し、自律神経を整える習慣を栄養管理も重要ですが、あわせて日々体力を蓄え、体温調節にも密接に関わる自律神経を整えておくための生活習慣も欠かせません。こまめな水分補給、食事からの水分補給量も非常に大きいので朝食を抜かない(食事で1リットル、水分補給で1リットルの1日2リットルが目安)、天気予報で熱中症注意報を意識した無理のない行動計画を立てる、日傘、帽子、首冷却アイテムなど、暑熱環境で危険のない対策アイテムを持ち歩く、エアコンをきちんと使用し、涼しい環境で良質な睡眠・休養を取ることなども大切です。【大正製薬】熱中症対策に関するリリース_谷口英喜先生監修.pdf : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2024年05月22日息子と二人で家から少し遠いスーパーへ。機嫌よくしていた息子が号泣!?1歳頃の息子は、癇癪や他害がひどかったので、児童館や公園など同年代の子どもたちがいる場所には連れて行きにくいと感じていました。ですから、たまにいつもと違う、少し家から離れたスーパーに買い物に行くことが、わたしと息子にとってのささやかなイベントになっていました。この日は、家から3キロほど離れたスーパーに、自転車に乗って息子と出かけて行きました。機嫌よく買い物に付き合ってくれた息子でしたが、帰りがけに大泣きしてしまうことに。なぜかというと、お菓子コーナーにあった小さな画面に夢中になってしまったからです。その画面には、とあるお菓子のCMが、繰り返し流されていました。Upload By メイお菓子のCMを何度も繰り返し見たがり、動かなくなってしまった息子何度か見たらそのうち満足して離れられるかもしれないと、しばらく様子を見ていましたが、一向にその気配はなく、予告の声掛けをしたあとにその場から引き離しました。予告の声掛けは残念ながら効果がなく、息子は号泣。出口までなんとか連れて行ったものの、息子はスーパーの前で動こうとしません。大泣きする息子をなんとか連れて帰ろうと、自転車に乗せようとしましたが、息子は座席から立ち上がって拒否していました。そんな状態のまま自転車で走るのは危険だったので、私は息子を自転車に乗せることをあきらめ、片手で暴れる息子を押さえ、反対の手で自転車のハンドルを持ち、少しずつ押していきました。これが想像以上に大変で、少し進んでは止まって休憩して、また少し進んでは休憩を繰り返していました。ずっと泣き続け、全力で拒否し続ける息子に疲れ、泣きそうになりながら自転車を押していた時、一人の女性に声を掛けられました。女性は、今進んでいる大通りの先にある駅まで行くところだから、そこまで自転車を押しましょうかと言ってくれたのです。女性はしばらく一緒に歩いていましたが、電車の時間が迫っているということで先に行き、駅の前に自転車を停めておいてくれました。Upload By メイとてもありがたい女性の手助けに、少し気持ちが軽くなった私でしたが、その後もまだ息子は泣き止みませんでした。自転車に乗れていれば20分もあれば家に着いていたはずなのに、すでに2時間が経過して、あたりは薄暗くなってきていました。Upload By メイどんなになだめても泣き止まない息子。疲れで感情が乱れてしまい……優しく声をかけてなだめようとしても全然ダメだし、もう疲れた……。だんだんお腹の中で、イライラとかムカムカとか、なんとも言えない感情がぼこぼこと湧いてきました。この膨れ上がる感情を、一体どうしたらいいのか分からず、この場を立ち去ってしまいたい衝動に駆られました。Upload By メイUpload By メイ結局私は、3歩ほど息子から離れたところで立ち止まりました。落ち着かないといけない、冷静にならないといけない。そのためには、このお腹の中のモヤモヤを、どうにかしないといけない。でもこの場を離れるわけにはいかない。私は寝転がって大泣きしている息子のそばに座り込んで、気が済むまで地面を叩きました。そんなことするなんてヒステリックですごく嫌だと思ったけれど、ほかに気持ちを発散できる方法が思い浮かびませんでした。Upload By メイ落ち着きを取り戻した私は、ひたすら息子を待つことに決めました。しばらくして、息子の泣き方が少し変わってきたタイミングで、帰ろうかと声を掛けました。息子はグスグス言いながら、私に寄ってきました。Upload By メイちなみに自転車は持って帰れなかったので、あとから夫に取りに行ってもらったのでした。どう対応すればよかった? 今も考え続ける息子との関わり方この時の出来事は、今でも何が正解だったか分かりません。息子のやりたいことに延々と付き合ってあげられたらいいけれど、外出先だったり時間の余裕がなかったり、そうできない場合もあります。今回のことは、息子の気が済むまでスーパーでCMを見せてあげていたほうが、結果的に早く家に帰り着いていたかもしれません。でもそれは、あとからだから言えることでもあります。トラブルがあるたびに、こうすれば良かったああすれば良かったと、いろんなパターンをシミュレーションしてきました。そうして少しずつ、息子との関わり方を学んできたような気がします。執筆/メイ(監修:森先生より)愛情を持っていれば持っているほど、子育ては「こうすればよかった、ああすればよかった」の連続ですね……。お子さんを楽しませたくて少し遠くのスーパーに行ったり、帰りたがらないときもはじめから無理に連れ出さずに気が済むまで付き合おうとしたり、予告の声掛けをしたりと、メイさんはお子さんのために努力されていますね。うまく癇癪がおさまらないことは少なくありません。一般的な「子育てのコツ」を勉強して、お子さんの気持ちを考えて寄り添って……全てを頑張ってもうまくいかないことはありますよね。親も人間ですから、イライラしてしまうこともあります。お子さんを無理に自転車に乗せて自転車から落ちる、お子さんが車道に飛び出してしまう、といった大きな危険をできる限り回避したというだけで満点の対応ではないでしょうか。それだけで満点なのに、あの時どうすればよかったかを考えてさらに学ばれているということですので、素晴らしいですね。同じような環境にいる子育て中の皆さん、迷いや後悔は常にあるかもしれません。後悔の度合いは愛情に比例します。すでに充分頑張られていますので、どうかご自身を褒めてあげてください。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年05月18日熱中症に備える保険が注目を集めています。代表的なものは、キャッシュレス決済のPayPayアプリから加入する「熱中症お見舞い金」という保険で、2022年から熱中症シーズン限定で販売しています。2024年は4月22日から受け付けを始めると、1週間で約4千件の申し込みがあったといいます。熱中症お見舞い金は、熱中症に特化した保険です。熱中症になって点滴治療を受けたら「治療保険金」、1泊2日以上の入院をしたら「入院保険金」が受け取れます。保険期間は2種類あります。1つは月単位で加入する「月額型」。「お手軽プラン」だと保険料は月200円で治療保険金が5千円、入院保険金が1万円です。昨年も加入した人には保険料が10円引きになる「リピート割」があります。もう1つはイベントなどに合わせて1~7日までの期間を選んで加入する「期間選択型」。保険料は1日100円~7日170円で、治療保険金が1万円、入院保険金が3万円受け取れます。特徴は手続きが簡単なことです。加入も保険金の請求もPayPayアプリからでOK。特に保険金の請求は病院の領収証と診療明細書をアップロードするだけ。2023年は記録的な猛暑で、熱中症での救急搬送は2022年より約2万人増えて9万人超でした(総務省)。今年も猛暑が予想されるので、不安な気持ちはわかります。■安い保険料でも保険会社は損しないように設計されてですが、保険の本質は自分の支払い能力を超える事態に備えることだと思います。仮に大黒柱が亡くなったら、今の貯蓄では子どもの教育費がまかなえないから死亡保険に加入する、などです。熱中症保険は保険の本質からずれている気がします。熱中症の治療費を払えない人はあまりいないでしょう。最近はスマホアプリで簡単に安く加入できる保険がたくさんあります。アウトドア、ゴルフ、スキー・スノボなど、どれも100~300円という安い保険料のため、「それくらいなら加入したほうが安心」と思う人が多いのでしょう。ただ保険に加入しても、病気や事故に遭わないわけではありません。万が一の際に保険金が下りるだけ。保険が解決してくれるのはお金の問題だけなのです。加入を検討する際はまず、お金の心配が必要かを考えましょう。次に、なぜ保険料が安いのかも考えてください。保険会社は決して損はしないように保険を設計しています。つまり、安い保険料でも保険会社が損しないほど、保険金を支払う事例が少ないのです。 先述の熱中症による救急搬送9万人超も日本人全体の0.75%。確率が高いとはいえません。さらに、医療保険などでも熱中症で入院すれば入院給付金が出るものが多いです。新規加入の前に、すでに加入済みの保険のご確認を。円安や物価高が家計を襲う昨今、わずか数百円もムダにできません。保険を頼る前に、適切なエアコンの利用や水分補給など熱中症にならない対策をとりましょう。
2024年05月17日年中からいよいよ幼稚園に入園。事前にASD(自閉スペクトラム症)の診断や娘の特性は伝えていたけれど……Upload By マミヤ事前に発達の相談の面談もしていただき、無事に年中から幼稚園に入園した娘。娘の発達のことも伝えているし、診断書も提出しました。そのかいあってか娘のクラスには加配の先生が入ることになりました。加配の先生は娘個人につくのではなく、クラス全体の補助ということでした。でも、いざ園生活が始まると、娘ではなく、別の園児1人に加配の先生はつきっきりになっていました(園長先生の話では1クラス中で3人が診断書を出してくれたら、加配の先生が1人つけられるとの説明でした)。娘に加配の先生の補助が入っていないと聞いて不安もありました。ですが娘の園生活での課題は給食が苦痛になりやすいとか、一斉指示が聞こえていないとか、何個かの指示のひとつを忘れてしまうというもので、ひっそりと困っているタイプでした。もっと小さい頃は癇癪が激しかったのですが、 その頃は泣いたり怒ったりなどの強い感情は、外ではあまり出さなくなっていたので、困りごとがあっても気づかれにくい子なんだなと思いました。遠足で運動場に行った時に、クラスの皆は水筒を1ヶ所に置いてグラウンドを走っていたのですが、娘1人だけ水筒を持って走っているのを見た時は「ああ……指示聞いてなかったんだ……そして気づいてもらえてないんだな……」と感じました。それでも、当時の担任の先生は、面談などで娘の特性や困りを伝えるとしっかり聞いてくれ、声がけなど工夫してくれていました。年長になり新しく担任になった先生。明るくていい人だけど、「娘さんは大丈夫」と繰り返すばかりUpload By マミヤ年長になり新しい担任の先生になりました。今度の担任の先生は明るくて大らかな方なのですが、娘の特性を伝えても「でもしぇーちゃんは大丈夫ですよ。できてますよ。問題ないですよ」と答える方でした。娘のことをほかの定型発達の子どもと同じように見ている……初めは「それって良いこと、うれしいことかも?」と思いました。でも娘は、次第に幼稚園へ行き渋りをするようになりました。なぜ幼稚園に行きたくないのか聞くと、給食の時間に約束した量を完食したのに、担任の先生に「あと一口頑張ろう」「もっと頑張って食べよう」と声がけをされるからだというのです。事前にあった先生との面談で、私は「給食がとても苦手なので、約束した分を食べたら無理させないでほしい」と配慮を求めていましたが、 娘は苦手な給食を毎日頑張らなくてはいけなくなっていました。 また娘がヘルプを出しても「あとでね」や「大したことないよ」と言う先生に、娘は不信感を持ってしまっていました。3学期には週に1回お休みしながら通いました。担任の先生に娘の困りは最後まで伝わらなかったのかなと思います。就学相談で、親子共に「特別支援学級」を希望。判定は?Upload By マミヤそして年長になったので、就学相談が始まる時期でもありました。小学校には親のみで1回、娘を連れて1回の計2回見学に行きました。特別支援学級ではクラスにあるオモチャに興味津々、通常学級では後ろで飼っている生き物ばかり気にしており「見学に意味はあるのか……」とも思いましたが、娘は迷いなく特別支援学級を希望しました。人数が少なく静かなところが気に入ったようでした。また小集団療育で通っていた病院で、夏頃にWISC−Ⅲの発達検査を受けた結果と、小集団療育での様子もふまえて「娘には情緒障害特別支援学級を希望しよう」と決めました。発達検査の結果を見てはじめは「通常学級でいいのでは?」と言っていた夫も、娘が笑顔で通えるならと納得してくれました。特別支援学級への就学希望を決断してすぐ行ったことは、療育の先生と娘の特性や困りごとについて話し合い、A4の紙にすべて書き出すことでした。その年はコロナ禍で、親子面談や教育委員会の方が園に娘の様子を見学に行くことなどが中止になっていたため、特別支援学級の判定は「医師の診断書」と「幼稚園の担任の先生が書いた園での娘の様子についての書類」で決まると言われました。申し訳ないのですが幼稚園の担任の先生は娘の困りを詳しく書いてくれるか不安があったので、療育の先生とまとめた娘の特性や困りごとに関する文書を幼稚園に提出し、「療育の先生に療育での娘の困りも書いてもらったので、一緒に書類へ記載してほしい」とお願いしました。幸い担任の先生は快く引き受けてくれ、結果として娘は無事に情緒障害特別支援学級への在籍が決まりました。これでめでたしめでたしとなればいいのですが、就学後は就学後でまた大変な生活が待っていました。また別の機会に就学後のことも書きたいと思います。執筆/マミヤ(監修:室伏先生より)マミヤさん、幼稚園生活から小学校への進学に至るまでの道のりを詳しく共有してくださり、ありがとうございました。しぇーちゃんの困りごとや課題を見極め、それを踏まえた就学先の検討、そして入念な情報収集、しぇーちゃんの小学校生活のため、丁寧にご準備されたことが伝わりました。就学にあたって、特別な配慮・教育を希望される場合(特別支援学校、特別支援学級、通級指導教室など)、もしくは発達に不安があり就学先について相談・検討をしたい場合には、各自治体で行われている就学相談を受ける必要があります。就学時健診とは異なり、就学相談には保護者からの申請が必要となります。マミヤさんは、しぇーちゃんの特性や園でのご様子から、特別支援学級への就学をご希望されたとのことですが、どのような進路がお子さんに合っているのか判断がつかず希望する進路が決まっていない方も多くいらっしゃいます(周りでそういった進路に進まれている方がいらっしゃらない場合にはイメージも湧きにくいと思います)ので、相談を申し込む時点ではご希望を決められる必要はありません。また、申し込みをすると必ず特別な支援を受けなくてはならないのかと不安に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、就学相談は教育に関わるプロの方が、お子さんが小学校で楽しく充実した生活を送るためにはどのような環境や配慮が必要かを検討し、保護者に提案するものです。就学相談を受けても、検討の結果、現状では通常学級の進学のほうが望ましいとの判断になる場合もありますし、特別な支援を受けたほうがよいとの判断がおりてもご家庭での相談の結果、さまざまな事情で通常学級に通うことを希望され通常学級へ通われる場合もあります。特別支援学級でどのような授業が行われているのか、どのようなお子さんがいらっしゃるのか、学校によっても異なりますので、マミヤさんのように、実際に特別支援学級の見学をされるのもとても大事なことだと思います。また、特別支援学級は知的発達症(知的障害)のあるお子さんが通う場所と思われている方もいらっしゃるかと思いますが、知的発達症(知的障害)がなくてもコミュニケーション・対人関係の面や、感情や衝動性のコントロールの面、その他情緒面で援助が必要なお子さんが通われる場合も多く、自治体にもよりますが、知的発達症(知的障害)のあるお子さんのためのクラスと情緒面に困難さのあるお子さん(ASD/自閉スペクトラム症やADHD/注意欠如多動症など)のためのクラスに分かれている場合もあります。就学相談への申し込みに不安や葛藤のある保護者様もいらっしゃるかと思いますが、みんなでお子さんのこれからを考える場として、前向きに捉えていただけるといいなと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年05月16日出産は比較的楽……だったはずが、生まれてからの悩みが……コチ丸は、出産予定日より2週間ほど早く生まれました。出産の時は私もほかのお母さん方同様、陣痛との闘いでしたが、最後のほうはスルッと生まれてくれて、会陰切開も会陰縫合もなく、「綺麗な出産だねー」と看護師さんに言われたくらいの安産でした。私自身も「根性がないママのために早く生まれてきてやるか」とお腹の中でコチ丸が気を利かせてくれたのだと今でも信じて疑いません(笑)。ほかのママ友たちの出産の話を聞いていても、楽に生まれてきてくれたほうなのではないかなと思います。しかし、スムーズだった出産と比べて、育児のほうはそううまくはいかず、悩みの連続でした。コチ丸はもう少し小さかったら低出生体重児に入る、2520gで生まれてきました。初めての出産だった上にめちゃめちゃ小さかったので、3つ年上の甥っ子が生まれた時と比べてしまい、当時は本当に心配でした。Upload By あき吸う力が弱いのか母乳もあまり飲まなかったので、面倒くさがりの私は母乳を飲ませることは早々にあきらめミルクにしました。周りには母乳で育てることに結構こだわりを持っている人が多くいましたが、私は「初乳は飲んだし、あとは楽な方法で育てればいいや!」くらいの楽観的な考え方だったので、そこにはあまり抵抗はありませんでした。しかし、1ヶ月健診の時には体重がほとんど増えておらず、黄疸も出ていたので、どうしたものか……と途方にくれたのを覚えています。何より、それまで仕事をバリバリやってきた自分が、母親としては何もできない……ということに自分の無力さを痛感していました。当時はフリーランスでウェブデザイナーをしていたため、出産当日まで仕事をして、出産1週間で育児しながら仕事再開……という状況でした。当然ですが、仕事も思うようにはできず、疎かになってしまいました。あんなに母乳にこだわりのない楽観的な(笑)私も、当時は大分メンタルをやられました……。Upload By あき生まれてすぐから敏感な子ども。産後うつ状態に。さらにコチ丸はとても敏感で、昼間は抱っこして寝かしつけても布団に置くとすぐに泣き出したり、ちょっとした物音にも敏感で起きてしまったりしていました。毎晩寝る前には儀式のように1時間近くギャン泣きしていたので、私のメンタルはますます弱りました。これってほかの子もそうなのか?うちの子だけがこんなに敏感なのか?はたまた私がやっぱり根性がないのか?と思っても比べるものがないので分からず。私は若い頃にちょっと心を病んで通院・投薬をしていた経験からなんとなく、「あぁ、これはうつだな」という感覚はありましたが、病院にいく間もありません。出産からしばらく経った頃に、ギャン泣きするコチ丸の泣き声に耐えかねて、泣いているコチ丸を布団に置いたまま、部屋を出て近所を裸足でさ迷い歩いていたこともありました。相当病んでいましたね……(笑)。コチ丸パパもそんな私を見かねて、休みの日にマンションから近い自分の実家にコチ丸を預けるなどしてくれましたが、それはそれで義父母に「子育ても満足にできない嫁」と思われているようで素直に預けることはできませんでした。今思い返せば本っっ当にありがたい話なのですが……。当時はそこまでの心の余裕がなかったんだと思います。そんな中でもありがたかったのは実母の存在でした。出産の際に実家に里帰りしたものの、妹の家族も実家で暮らしており、なんとなく居心地が悪く感じた私は1週間で自分の家に戻りました。当時、私とコチ丸とコチ丸パパは、愛知県北部の実家から30キロ離れた名古屋のマンションに住んでいましたが、私が泣きつく度に実母は実家から車で駆けつけて、コチ丸の面倒を見てくれたのには救われました。未だに実母は当時のことを思い出すと「あの時は大変だった……」というので実母への負担も結構なものだったのかと思います。それでも当時、実母がコチ丸を見ていたのは1日のうちの数時間、かつ動き回る時期ではなかったので、まだ「コチ丸の本気」を知らなかったのです……。Upload By あき生後8週から保育園へ登園。良いバランスが保てるようになったのも束の間……。そんな現状を打破できたのは、生後8週から預かってくれる保育園を見つけたことでした。とにかくもっとしっかり働きたい!という気持ちと、フリーランスなので、お客さんをいつまでも待たせていられないという現状もあり、一刻も早く保育園に……と思っていたところ、家から車で10分くらいのところに保育園を見つけたのです。幸いなことに空きもあり、すぐに預けられることになりました。当時はまだ寝返りすらできないコチ丸をクーハンに入れて保育園に通っていました。預けられる時間は9時~14時くらいまででしたが、仕事にも集中でき、迎えのあとはギャン泣きのコチ丸とも向かい合える余裕ができたので良かったです。Upload By あき息子が高校から北海道に行ってしまった今、当時を振り返ってみると、「もう少し一緒の時間を過ごせたら良かったのかな」という思いも少なからずありますが、やはりあの時のメンタルで子どもと無理に一緒にいるよりは、あれで良かったのかなと納得しています。自分の心が健全でなければ子どものことも健全に見ることができないなと思うので、「離れる時間」というのも二人の関係性を保つのに大切なことだったと思います。都合の良い解釈なのかもしれないですが、親と子も相性は少なからずあるのではないかなと思っていて、親子であっても私とコチ丸はそこが相反するタイプだったために、離れたことによって心地いい距離感が生まれたのかな?と感じています。そんな良い感じの関係性で生活ができていたのも束の間(笑)。すぐに寝返りができるようになり、座れるようになり……立ち上がった頃には「コチ丸の本気」が始まりました(汗)。執筆/あき(監修:鈴木先生より)ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは感覚が敏感なので寝付かせるのが大変です。抱っこして揺らしていると泣き止むので親御さんはずっと立っていなければならなくなります。しかし、最近は電動で揺れる揺りかごなどもあり、こうした便利な育児用品を活用できれば、少しは親御さんの苦労も減るかもしれません。誰でもそうですが、ずっと一緒にいると細かいところも気になり過干渉になりがちです。親子とも離れたことでお互いに気にせずリフレッシュできたものと思います。親の子離れ、子の親離れも時には必要なのです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年05月09日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「花粉症」です。先日、「正月から取り憑かれたように毎日ヨーグルト食べてたら花粉症治ってんけど」とXにポストしたら、それが瞬く間に拡散され、ネットニュースにまでなって驚きました。きっと、それくらい花粉症に苦しめられている人がたくさんいるのでしょう。僕も昨年まではそのうちの一人でした。発症したのは20代前半の頃。年々ひどくなり、ここ数年はくしゃみは止まらないし、目が痒すぎて開けていられないほど。夜も鼻が詰まって眠れなくなるし、本当に「春、キライ!」という状況でした。花粉症は、ミュージシャンという稼業にとってかなりの天敵です。鼻声ではレコーディングもろくにできませんし、喉がイガイガしていてはライブにも支障が出まくりです。僕もこの春Zepp Tourが控えていたので、花粉症がひどくなったら嫌やなと思っていました。花粉症対策は、もはやミュージシャンとして欠かせないものなのかもしれません。業界の先輩方からもさまざまな治療法があることを教えてもらっていました。あそこのお医者さんがいいだとか、舌下治療が効果あるとか…。しかし、僕は今年自力で脱・花粉症を実現しました。きっかけは、口臭予防でヨーグルトを食べ始めたことです。実践したことも、Xに事細かにポストしました。僕がやったことは、(1)継続期間は今年のお正月から2か月間ほぼ毎日ヨーグルトを摂る。(2)1日2回(朝と寝る前)。(3)ヨーグルトの種類はコンビニに売ってる飲むヨーグルトの大きいサイズのやつ(朝)と、スーパーに売ってる4個セットのやつ(寝る前)。これを続けていたら、みんなが「今年の花粉はひどい」とどんなに言っていても、花粉症らしい症状が出ていません。ヨーグルトは腸内環境を整えてくれるので、それがよかったのかなと思っています。あとは、花粉が飛び散る前からやっていたのがポイントだったのかなとも思いました。これが万人に効くのかどうかと言われるとエビデンスが僕1人なのでなんとも言えませんが、そういう方法もあるんだと参考程度にしていただけたらと思います。春の花粉シーズンはそろそろ終わりますが、このヨーグルトルーティンをいつまで続けるべきかを実は今、悩んでいます。やめた途端、なにかしらの花粉アレルギーが始まったらどうしよう?と怖くて。謎のヨーグルト療法カルマを背負ってしまっています……。おかざきたいいく自身初となるEP『Suplex』(SME レコーズ)配信中。「岡崎体育 Zepp Tour 2024」開催中。4/27名古屋、4/29福岡、5/12大阪(ベイサイド)、6/2東京(ダイバーシティ)。※『anan』2024年5月1日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年04月28日春が来ると思い出す……大量購入した物たち!Upload By 丸山さとこADHD(注意欠如多動症)がある息子のコウは、なくし物や忘れ物がとても多いです。家から持っていくのを忘れたり学校に置き忘れたりするのならまだよいほうで、コウが首をかしげながら「家にも学校にもない、どこにあるのか分からない……」と言い出すと、もはや紛失事件は迷宮入りです。コウは基本的に物の管理があいまいなため、「いつまで持っていた?最後に見たのはどこ?」と聞いてみても、「全く分からない」と頭を抱えるばかりでヒントが出てきません。大体の物は彼の行動経路を追っていけば見つかるのですが、小学生の頃は集団登校の集合場所や通学路の途中で落としたらしい物も多くありました。コウが保育園の頃は保護者や園の先生がガッツリと管理をしているため『なくし物や忘れ物の多さ』は目立っていませんでしたが、家庭内での様子を見ていると「小学校入学後はよく物をなくすかもな……」という予感がヒシヒシと感じられました。そのため、コウの入学に伴い『なくし物・忘れ物対策』として、私は大量の学校用具を用意しました。主に大量購入したものは、筆記用具・給食袋・ハンカチとティッシュ・水筒・歯磨きセットです。Upload By 丸山さとこ特に、消しゴムや鉛筆などの小さな消耗品は大量にストックが余っても困ることはありませんので、箱単位で多めにストックしておくよう心がけていました。残念ながら「予想よりストックは使わなかったな。余って困ったな~」と思う機会は全くなく、筆記用具はどんどん足していくスタイルのまま、コウは小学校を卒業しました。給食袋は4袋学校に置き忘れたことがありましたし、水筒は3本で足らずにペットボトルを持たせたこともありました。中学生になった現在はこんな感じです中学生以降は頻繁に筆記用具をなくすことは減ってきたため、シャープペンシルやボールペンを安心して持たせられるようになりました。とはいえ、中学2年生になってからも1週間でペンケースを2つ紛失したので、まだまだ油断ならない状況ではあります。先日は、中学生にして初めて『給食袋5袋全部使い切り』を達成してしまい、「小学生の頃も使い切ったことはなかったのに!?」と驚きました。Upload By 丸山さとこ小学生の頃は、給食袋が3袋以上溜まっていると先生から「持ち帰ろうね」と促されていたため、5袋全部が学校に行ってしまうことはありませんでした。ランドセルも容量が小さいために、ランドセル内に複数の給食袋を溜め込むことはできなかったのだと思います。そう考えると、5袋の給食袋を学校やリュックに溜められるようになったのは、中学生ならではなのかもしれません。私からすると全く嬉しい変化ではありませんが、良くも悪くも『ずっと同じ状況』が続くことはないのだなと思います。中学校に入って新しく見えるようになった困り事もあれば、中学生になったことで自然に解決していった困り事もあります。私はついつい目先の出来事に一喜一憂してしまいますが、目の前のことに対してできることを実行していくこと、狭い範囲だけ見て判断を焦らないことを丁寧にやっていきたいと思います。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:森先生より)「よく物をなくす」、「忘れ物が多い」というのは、発達障害やグレーゾーンの方にとても多い困り事です。「やる気がない」「だらしがない」などと誤解されがちですが、本人としてはやる気がないわけではなく、「どうしてもうっかりしてしまう」というケースも多いのです。「今度は忘れないように気合いを入れる」といった対応にはあまり意味がありません。さとこさんのように、「物をなくす」「忘れる」ことを前提として準備することがとても大切です。「物理で解決」が最も強い解決策なのです。「よくなくすものはたくさん買っておく」「忘れたくないものは玄関のドアにかけておく」「朝出かける前にスマホに表示されるようにスケジュール登録しておく」といった、忘れることを前提とした行動を取るといいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年04月23日息子と娘は、こんな子ですはじめまして。メイと申します。わが家は、子どもたち2人と私と夫の4人家族です。夫は仕事が忙しく、平日はどうしてもワンオペになってしまうのですが、子どもたちと助け合いながら楽しく過ごしています。まずは、息子と娘のことを紹介します。○息子トールUpload By メイトールは1歳半健診の時に言葉の遅れを指摘されました。気持ちの切り替えが苦手で、癇癪を起こすことも多く、児童館などでは他害も見られていました。定期的に発達の相談をしていたのですが、遅めではあるけど息子なりの成長がみられていましたので、発達検査はずっと受けていませんでした。息子が発達検査を受けたのは小学校1年生の時で、その際に医師の診察も受けた結果、ASD(自閉スペクトラム症)・ADHD(注意欠如多動症)と診断されました。○娘リンUpload By メイリンは3歳児健診の時に、発達検査を受けるよう勧められました。人見知りせず活発な性格の娘については、それまで発達に関して心配をしたことがなかったので、指摘されたことはわたしにとっては驚きでした。その後発達検査を受けて、3歳の終わり頃にASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。夫は仕事が忙しく、平日はなかなか子どもたちと関わることができません。とにかくポジティブで陽気な性格で、明るさに助けられることも多々あります。地声が大きいのが長所でもあり短所でもあります。わたしは息子を産んでから、ずっと専業主婦をしています。息子を産んだ頃は、友達も全くいない、実家からも遠い土地でのワンオペ育児に、不安でよく泣いていました。新しくできたママ友とも、息子の他害や癇癪がひどくなるにつれて疎遠になってしまい、つらいと感じたこともあったのですが、その分息子と向き合って過ごしてきたなぁと思っています。Upload By メイ息子の発達にずっと悩みながらも、夫の転勤や私の出産・育児などが重なり、なかなか支援につながることができず、小学1年生で診断されるまでは一人で悩んだりしていました。しかし、自分なりに発達障害のことも勉強しながら、今ではブログやSNSで子どもたちとの日々を発信しています。発達ナビでも、わたしたち家族のこれまでの歩みを書いていけたらと思っています。どうぞよろしくお願いします。Upload By メイ執筆/メイ(監修:新美先生より)メイさん、はじめまして。異なる個性の2人のお子さんを平日はワンオペで子育てされている大変な中で、今ではブログやSNSでの発信もされているとのこと。とてもパワフルですね!!発達ナビのコラムでもいろいろな記事を読ませてもらえるのが楽しみです。これからよろしくお願いいたします。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年04月18日発達障害のひとつ、ADHD (注意欠如・多動症)をテーマにした話題の映画『ノルマル17歳。― わたしたちはADHD ―』が先日公開し、東京・アップリンク吉祥寺にて上映中です。ADHDは「注意欠陥多動性障害」を意味する英語名・Attention-Deficit Hyperactivity Disordersの頭文字をとった略称。「ADHD」の主な特徴としては、「集中力がない」「忘れ物が多い」「じっとしていられない」といったものが挙げられますが、実際には個々で特性が異なり、子どもが成長するまで気づきにくい場合も。社会に出てから「もしかして自分は?」と考えて診断を受ける人もいますが、その特性は子どもの成長段階で起こり得るものも多くあり、「我が子がどうも育てにくい」と感じているママたちの中には、「もしかしてうちの子、発達障害?」と悩む人たちも少なくありません。近年「発達障害」への関心は高まり、言葉としての認知度は広まってきてはいるけれど、その特性を持った子どもたちの実態や感情、そしてその家族たちについては、あまりよくわからない…といった方も多いでしょう。そんな今、『ノルマル17歳。― わたしたちはADHD ―』は、発達障害の子どもを取り囲む家族や社会の問題から、“普通とは何か”を問いかける映画です。<ストーリー>物語の主人公は、ADHDという共通点を持つ2人の女子高生。進学校に通う絃(いと/西川茉莉)は物忘れがひどく、大事なテストの日に目覚まし時計をかけ忘れて寝坊してしまう。絃はそのまま登校せず、気づけば見知らぬ公園へ。そこで派手な格好をした女子高生・朱里(じゅり/鈴木心緒)に声をかけられる。朱里はいきなりADHDであることを絃に告白。驚く絃を強引に街へと遊びに誘う。初対面の絃(写真右)に「あたし発達障害あってさ。ADHDっての。知ってる?」と話しかける朱里(写真左)。朱里に連れて行かれた場所は、いつも家と学校の往復しかしない絃にとって新鮮な世界。やがて2人は友達になるものの、朱里の派手な身なりに不快感を持つ絃の母(眞鍋かをり)に交際を禁じられてしまう。絃の母は子どもたちに「普通」の価値観を押しつけようとする。一方で朱里は自身の物忘れが原因で姉(花岡昊芽)との喧嘩が絶えない上、父(福澤朗)や母(今西ひろこ)からも厳しくされ、家庭内で孤立。朱里は次第に部屋に引きこもるようなる。絃との距離も次第に離れていく朱里。見た目や行動は対照的だけれど、ADHDという同じ悩みを持つ2人の女子高生の葛藤、彼女たちを取り巻く両親や学校との軋轢が描かれており、どんな立場の方でも「普通とは何か?」を考えさせられるストーリーです。ADHDや発達障害という言葉だけが一人歩きしてしまい、「障害だってわかっているなら対策すればいいでしょ?」「自覚していて治せないなら甘えじゃないの?」といった誤解も生まれやすくなっています。しかし実際には発達障害の特性にはグラデーションがあり、ひとりひとり個性があるのです。当事者でなくても発達障害を取り巻く現状を知り、寄り添っていくことがとても大切です。まずはこんな映画をきっかけに、考えてみてはいかがでしょうか。映画『ノルマル17歳。-わたしたちはADHD-』出演:鈴木心緒、西川茉莉、眞鍋かをり、福澤 朗、村野武範 、小池首領、今西ひろこ、花岡昊芽 ほか監督:北 宗羽介 脚本:神田 凜、北 宗羽介音楽:西田衣見 撮影:ヤギシタヨシカツ(J.S.C.)エグゼクティブ・プロデューサー:下原寛史(トラストクリエイティブプロモーション)プロデューサー:北 宗羽介、近貞 博、斎藤直人製作:八艶、トラストフィールディング 配給:アルケミーブラザース、八艶後援:一般社団法人 日本発達障害ネットワーク(JDDnet)、NPO法人えじそんくらぶ ほか 文化庁「ARTS for the future!2」補助対象事業©2023 八艶・トラストフィールディング /80分/カラー/5.1ch公式サイト:
2024年04月12日今回みなさんに紹介するのは【EmmaTaylor】の”マウンテンパーカー”です。シーズン感がたっぷりで、さらに「多機能」なのが嬉しい1着♪Instagramアカウント@_____ma.k.oさん、@tomomiyu0920さんの投稿から、まとめてお届けしていきます!【EmmaTaylor】「3WAYフレアーマウンテンパーカー」が優秀!出典:Instagram@_____ma.k.oさんが投稿されているこちらが、今回お届けする「3WAYフレアーマウンテンパーカー」です。投稿によると「撥水効果」「花粉ガード」「機能的にも優秀」とのことで、春シーズンで活躍しそうな1着◎フレアシルエットが可愛すぎる♡出典:Instagram裾に向けて大胆に広がるフレアシルエットが魅力ポイント!スリーブもボリューミーなデザインなので、体型カバーとしても活躍しそうです。豊富なカラーバリエーションで好みの1着が見つかる出典:Instagram定番のブラックやネイビーはもちろん、ライトベージュやカーキも揃っているのが嬉しいポイント。@tomomiyu0920さんが投稿されているカラーはネイビーで、デニムとの相性がとてもいいですね♪「マウンテンパーカー」で春ファッションを楽しんで出典:Instagram@tomomiyu0920さんは投稿で「大人気の多機能マウンテンパーカー」と絶賛されています。インスタグラマーさんたちが絶賛するアイテムを、ぜひみなさんも一度試してみてくださいね。※こちらの記事では、mako(@_____ma.k.o)様、TOMOMI SUZUKI(@tomomiyu0920)様のInstagram投稿をご紹介しております。※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※アカウント名含む記事内の情報は、記事作成時点のものになります。価格変更や、販売終了の可能性もございます。最新の商品情報は各お店・ブランドなどにご確認くださいませ。
2024年04月08日小学校1年生の終わりに発達障害の診断を受けましたUpload By もっつん息子のタクは小学校1年生の終わりに発達障害の診断を受けました。精神障害者保健福祉手帳は2級です。タクは在胎30週で産まれてきた極低体重児で、赤ちゃんの頃はとても心配しましたが、元気すぎるほど元気いっぱいに育ってくれました。現在は中学3年生!義務教育も終わりに近づいてきて、これからの生き方を模索中です。人の話を最後まで聞くのが苦手で、後先考えずに衝動的に動いてしまう……などの特性はまだまだ色濃くありますが、とっても優しい息子です!今ハマっていることは、卓球と小説を読むこと。個性豊かな家族を紹介しますUpload By もっつん妹こっちゃん・定型発達です。いわゆるきょうだい児です。私はもっつん・大人になってから発達障害と診断されました。精神障害者保健福祉手帳は3級です。学生時代はずっと天然ちゃんと呼ばれていて、自分ではポンコツ人間だと思っていました。時間管理が特に苦手!!!旦那パパもつ・ハチャメチャな私と子どもたちを受け止めてくれる頼りになる夫。ポジティブなんだけど、考え方が固くて発達障害への理解はまだまだ……。常に走り回って騒がしい…激しすぎる幼少期で、母のメンタルは限界でしたUpload By もっつん初めての子育てで毎日疲労困憊でしたが、「あれ?この子って育てづらい?」と思ったのは2歳頃。2歳頃はイヤイヤ期と言われているので、ある程度覚悟はしていましたが、・5cm程の段差を怖がる・三輪車を後ろから押そうとするだけで泣きさけぶ・ごはんを食べる手伝いをしようとすると猛烈に怒る・後追いがなく、すぐ迷子になるなど、私は悩みに悩む日々でした。そんな時にインターネットで見た「発達障害・多動児」という言葉が気になり、もしかして……と思うようになりました。しかし周りに相談できる人がおらず、1人で悩む日々。3歳児健診で保健師さんに相談したところ「考えすぎですよ、本当の多動の子はもっと大変ですよ」とアドバイスが。そのタイミングでたまたまタクはイスに座って遊んでいたのです。それからは、どこかに相談しようと考えなくなりました。私生活では離婚や引越しなども重なり、息子の発達障害のことをじっくりと考える余裕がなくなっていきました。あの時、保健師さんがおっしゃった「もっと大変な人がいる」その言葉が心に引っかかったまま数年過ごしました。精密機械や鉱石が大好き!ガラクタは彼の宝物Upload By もっつん小学1年生で発達障害の診断を受けたあとも、特性ゆえの行動なのか、悪いことと知っていてわざとやってる行動なのか判断が難しいことが多々ありました。精密機械が好きだから、壊れた家電を分解用に与えると大喜び! しかし、だんだん壊れていない家電にも手を出すようになってしまい大変な目にあいました。しつけが足りないんだと周りから叱咤されたことも。私は、どうにかして息子をきちんと育ててあげたい! という思いが強くて感情が暴走したこともあります。思うように行動してくれない息子に対して、強烈な怒りが抑えられなくなったのです。それがキッカケになり、児童相談所のお世話になった時期もあります。あの頃は本当につらくて……思い出すだけでも涙が出てきます。それらのお話は今後、紹介させていただきますね。つらい日々もあったけど、過去があるから今があるUpload By もっつん子育ては大変なことも多く、発達障害があるとさらに何十倍も悩むことがあると思います。1人で抱え込まずに、たくさんの人に相談することや助けを求めることがとても大切だと私は思います。私自身の失敗談ですが、以前は実親には心配をかけたくないと思って相談をしていませんでした。「うまくやってるよ」「楽しくやってるよ心配しないで」と良い面ばかりを見せて自分にも言い聞かせていました。しかし強がっていても問題を解決することはなく、どんどん悩みは大きくなる一方でした。人に弱音を吐くのは、決して悪いことではありません。むしろ助けを求めることは、状況を改善する第一歩! 現在の私は、実親を始め、学校の支援の先生や県の家庭支援センターに定期的に面談に行っています。人の助けを借りながら、子育てを楽しいものにしていきたいですね。執筆/もっつん(監修:藤井先生より)初回のコラムありがとうございます。現在は中学3年生になるタクさんの育児を通して、さまざまな経験をされたと思います。一人で抱え込まず、相談すること、大切と分かっていてもなかなか行動しにくかったり、以前嫌な思いをすると行動に移すのを躊躇されることもあるかと思います。「もっと大変な人もいる」の言葉にひっかりながらも、再度相談され、発達障害と診断された経緯なども今後お伺いしたいなと思いながら読みました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年04月03日1歳からトイトレ開始Upload By ネコ山息子がトイトレ(トイレトレーニング)を始めたのは1歳頃でした。なぜなら、私自身がオムツが取れたのは、1歳過ぎだったと母から聞いていたので、「息子もできるだろう」と思ったからでした。息子の1歳の誕生日過ぎにおまるを購入、これからオムツではなくここで(おまるで)おしっこしようね!とおまるを渡してみました。すると息子はおまるを分解してしまいました……。「使い方が分からないのかな?」と思い、私が座って見本を見せましたが、息子はおまるの構造に興味津々。おまるに座る様子が見られなかったので、私は1歳でのトイトレを早々にあきらめました。2歳半の夏が来た。しかし、尿意を感じない息子時はすぎ、息子が2歳半の夏が来ました。いよいよ幼稚園入園を意識してトイトレに本腰を入れなければいけない、私は自分を奮い立たせました。「いきなりおまるを使うのは難しいのかな」と考え、息子に布でできたトレーニングパンツをはかせてみることに。何度かトレーニングパンツに漏らすことで尿意や漏らしたときの気持ち悪さを感じてもらうことが狙いだったのですが……。初め息子はおしっこが床に流れ落ちたことに驚いていた様子でしたが、次第になんとも思わなくなり、ついにはおしっこの水溜りで遊んでしまうように。尿意も感じていないようで、食事中でも気づいたら出てしまう有様。Upload By ネコ山「息子にはトレーニングパンツはまだ早かったのかな」と思い、濡れた感じが分かりやすいトイトレ用のオムツを着用し「出た」ことを教えてくれるようになるまで待つことにしました。しかし……。3歳、トイトレ絶望!しかも、幼稚園はオムツで登園できないと知りトイトレ用のオムツを着用して1ヶ月が経っても、息子は出たことを教えてくれる様子はなく、それどころかオシッコとうんちでタプタプになっても、気にも留めない様子でした。排泄予告も事後報告もできず、オムツが汚れても気にならない、もちろん便座やおまるに座っても出せたことはない……「トイトレ無理じゃない?」と私は絶望しました。「幼稚園はオムツで登園してもいいんだろうか?」気になった私は春から入園予定の幼稚園に問い合わせてみました。すると「失敗は大歓迎なので、布パンツで来てください。トイレトレーニングはできる限り終わらせておいてください」とのことで、ある程度トイレで排泄できるようにしておかなくてはいけないことが分かりました。入園まであと3ヶ月……私は心を鬼にすることを決意しました。尿意は分かるようになったものの、頑なにオムツでしかしない息子この頃息子は少し成長したのか、なんとなく尿意が分かるようになって来ていました。しかし、おまるやトイレで排泄することに不安があるようで、オムツ以外で出すことを頑なに拒みました。そんな息子の姿に私も根負けしてしまい、結局オムツを履かせてしまうことに。息子の気持ちになってみると「ずっとオムツで排泄して不自由なかったのに、おまるやトイレでするメリットないよな……」と、私はふと気がつきました。そこで、おまるやトイレで出すメリットを感じるように、仕方なくご褒美で釣ることに。トイレかおまるでオシッコができたら好きな車のおもちゃを買うことを、息子に提案しました。車が大好きな息子は、好きな車種の車のおもちゃを買ってもらえるならと、不安もありながらも割とあっさりおまるに座り、初めてオムツ以外にオシッコを出すことができました。入園2ヶ月前の出来事です。それ以降ほぼオムツを卒業し布パンツで過ごせるようになりました。そして尿意すら分からなかった息子が「オシッコでそう!」と教えてくれるように。新たな問題勃発!おまるでしかしなくなり……。ついに、トイトレ成功Upload By ネコ山しかし新たな問題が……。息子はおまるでしか排泄せず、トイレの便器を使うことを頑なに拒みました。「トイレでしたらかっこいいよ!」と声掛けしてみましたが、かっこいいとかに興味がない息子にその言葉は響かず、座ることすらしてくれません。入園まであと20日となり、ご褒美シールやトイレの仕掛け絵本を使ってみましたが、全く効果なし。もともと癇癪やこだわりが強い息子に一度定着したことを覆すことは至難の技でした。入園まであと5日、私はかなり焦っていました。「おまるがあるからおまるを使いたがるんだ……!」私はおまるに逆恨みし、おまるを撤去することに。オシッコがしたい息子がおまるがないことに気づき、私におまるはどこにあるのかと聞いてきました。私は「どこに行ったのかなー?」と、とぼけ「仕方ないからトイレでしてみる?」と誘うとやはりトイレでの排泄を拒否。しかしオシッコがしたいし漏らすのは嫌と思ったのか、息子は自分から「トイレ、座る」と言い便器に座りました。しかしいつもと違う状態での排泄は簡単にはいかず、便器に座っても出ません。息子は慣れないトイレでの不安と闘うように何度か座って降りてを繰り返し、やっとのことでオシッコを出すことができました。Upload By ネコ山3歳3ヶ月、幼稚園入園5日前の出来事でした。息子のトイレ成功を家族全員で喜び、ご褒美に特別に大きめのおもちゃを買ってあげ、息子の頑張りを褒めました。その後息子はおまるを1度も使うことなく、トイレでオシッコをするようになりました。(ちなみにこの時うんちはオムツでしかできず、トイレでうんちができるようになるのは年中になってからでした)。執筆/ネコ山(監修:新美先生より)トイレトレーニングが入園5日前にトイレ成功したエピソードを聞かせて下さりありがとうございます。劇的な展開にハラハラしました。さてさて、トイレトレーニングの時期や手順は個人差が非常に大きくて、どんなに頑張っても入園までに間に合うとは限りません。トイレトレーニングを始める準備段階として、膀胱にある程度尿が貯められるようになり、まとめて排泄できるようになっている、尿意を感じられる、ある程度コミュニケーションが取れ、まねをする、ほめられるとうれしいと思えるなどが育ちつつある時点で始めるとスムーズに行きやすいです。ASD(自閉スペクトラム症)などの発達の偏りがあるお子さんの中には、排泄の生理機能の発達がゆっくりだったり、尿意・便意などの内部感覚が鈍かったり、まねをする、コミュニケーションをとるなどのコミュニケーション・社会性の発達がゆっくりだったりする子も少なくないので、トイレトレーニングはややゆっくり進む子が多いかもしれません。またトイレを怖がったり、こだわり行動につながることも多いです。ネコ山さんも書かれていたような、排便はオムツを履いてするというのも、よく見られるこだわりですね。ネコ山さんに聞かせていただいたエピソードからは、息子さんが尿意を感じられるようになった時点で、本人にトイレで排泄するメリットがあるようにごほうびを設定してモチベーションを高めるのはポイントだったと思いました。ネコ山さんも息子さんもよく頑張りましたね。お疲れ様でした。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年03月18日認知症は高齢者がなるもの、というイメージを持っている人が多いですが、若い人でも認知症になるケースはあります。それが「若年性認知症」です。また、認知症自体も、原因によってもいくつかの種類があり、症状や対処法が異なります。今回、きくち総合診療クリニック理事長・院長の菊池大和先生に、認知症の種類と、認知症になりやすい人などについて聞きました。教えてくれたのは…監修/菊池大和先生(医療法人ONEきくち総合診療クリニック理事長・院長)地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、地上波メディアにも出演中。「4大認知症」の特徴と症状認知症は発症した原因によりいくつかの種類に分類されますが、その中でも多く見られる4つの認知症を「4大認知症」と呼びます。1、アルツハイマー型認知症日本人に最も多い認知症で、全体の70%弱を占め、女性に多く見られます。原因は、アミロイドβ(ベータ)などのたんぱく質が何らかの要因により、長い年月をかけて脳にたまってしまうこと。それにより、脳が萎縮し、認知症が引き起こされます。症状は、記憶障害(もの忘れ)から始まることが多く、少しずつ時間をかけて進行していきます。文字を読む・書く・話す・理解することが難しくなったり、物や人の顔などが認知できなくなったりして、日常生活に支障を来たします。認知症は病気の名前ではなく、病気によって引き起こされる症状の総称です。一方、アルツハイマー病は記憶や行動に問題を起こす脳の病気で、認知症を引き起こす代表的な病気の1つ。アルツハイマー病が原因で引き起こされた認知症を、「アルツハイマー型認知症」と呼びます。2、血管性認知症認知症の20%を占めるのが、血管性認知症です。脳梗塞や脳出血といった脳血管障害が原因で、脳の血液循環が悪くなり、脳細胞が破壊されることで引き起こされます。男性に多く見られます。症状は脳血管障害を起こした場所によって異なり、もの忘れや記憶障害、判断力障害、歩行障害など多岐に渡ります。手足のしびれや麻痺、感情のコントロールができないなどの症状を伴う場合もあります。症状には波があり、認知機能はまだらに低下していきます。3、レビー小体型認知症脳にレビー小体というタンパク質がたまることで、神経障害が引き起こされる認知症です。症状として、実際には存在しないものが見える「幻視」や、手足が震えて転びやすい、歩きにくいなどのパーキンソン症状、睡眠中に夢を見て大声を出すなどがあるのが特徴です。調子の良いときと悪いときを繰り返していたかと思うと、急速に進行することもあります。4、前頭側頭型認知症脳の約4割を占める前頭葉と側頭葉の神経細胞が変性し、徐々に進行する認知症です。認知症の中で唯一、指定難病(患者の医療負担を軽減するため、医療費助成制度の対象としている難病)を受けています。初期には、ぼんやりする時間が増えたり他人への興味がなくなったりします。進行すると、今までの人格とは著しく異なる行動を取ったり、同じ行動を繰り返したり、言語がしゃべれなくなるなど、さまざまな症状が見られます。65歳以下で発症する「若年性認知症」65歳未満で認知症を発症した場合、高齢者の認知症と区別して「若年性認知症」と呼びます。全国の若年性認知症の人の数は推計で3万5700人。人口10万人当たり50.9人となります。若年性認知症で一番多いのは血管性認知症で、次がアルツハイマー型認知症。前頭側頭型認知症も高齢者の場合に比べて割合が高くなっています。女性より男性に多く、その理由は、男性のほうが生活習慣病(高血圧、脂質異常、糖尿病)が多く、脳血管障害(脳出血、脳梗塞)が多いためと考えられます。若年性認知症の人の多くは現役で仕事や家事をしているため、認知症になるとそれらに支障が生じます。しかし、本人や配偶者はそれが認知症によるものだとは思わず、診断や治療が遅れて認知症が進行してしまうケースが少なくありません。年齢に関係なく誰でも認知症になる可能性はあると認識し、気になる症状があるときは、早めに適切な治療を受けること大切です。認知症になりやすい人ってどんな人?「認知症は遺伝するのでは?」と不安に思う人が多いですが、遺伝子が関係する認知症はたった10%以下。ほとんどの認知症は、遺伝とは関係なく誰でも発症します。近年の研究では、認知症は生活習慣や環境が関わっていることがわかっています。認知症を引き起こしやすい生活習慣・環境を知っておきましょう。NG習慣1:偏った食事が習慣になっている栄養バランスの悪い食事は、体調に大きく影響します。特に過剰な塩分や高脂質な食事は高血圧の原因になり、高血圧は脳梗塞や脳出血を引き起こしやすくなります。結果として、脳血管性認知症になりやすくなると言えます。また、過剰な糖分は糖尿病を引き起こすことがあります。糖尿病はアルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβの蓄積を進行させるので、脳血管性認知症になりやすくなります。適度にお酒を楽しむ程度なら問題はありませんが、過度の飲酒はアルコール依存症とともに「アルコール性認知症」を引き起こす原因になります。アルコールを過剰に摂取することで、栄養を吸収しにくくなり、脳の萎縮や機能低下を招いて認知症へとつながるのです。また、脳梗塞などの脳血管障害を引き起こして認知症へとつながる場合もあります。NG習慣2:運動不足が続いている運動不足になると、筋力が低下します。すると活動量が低下して脳への刺激が減り、認知症のリスクを高めます。ウォーキングやストレッチ、手足を動かすなど軽い運動でも十分脳への刺激になりますので、何歳になっても適度に体を動かすことを心がけることが大切です。NG習慣3:睡眠不足の日が多いアルツハイマー型認知症は、脳におけるアミロイドβなどのタンパク質の蓄積が原因で発症しますが、アミロイドβは夜間の睡眠中に脳から血液中に排泄され、肝臓に運ばれて無毒化されます。睡眠不足になると、この排泄が低下して蓄積しやすくなるため、アルツハイマー病になりやすいと考えられています。NG習慣4:たばこを吸うたばこを吸うと、ニコチンの血管収縮作用により血液の流れが悪くなります。すると脳への酸素が供給されなくなり、脳の神経細胞がダメージを受け、認知症を引き起こす恐れがあります。NG習慣5:人と会ったり話したりすることがほとんどない例えば、定年になって仕事を辞めたり、子どもが自立して夫婦2人だけになった後、家に引きこもって運動もせず、誰とも会わない生活をするようになった人が、認知症を発症するケースは珍しくありません。これは、こうした生活により脳への刺激が極端になくなり、脳が萎縮して認知症が引き起こされると考えられます。認知症は初期段階で適切な治療を受ければ元に戻れる!認知症の約70%を占めるアルツハイマー型認知症には、必ず2~3年ほどの前段階があります。それを「軽度認知障害」と言います。軽度認知障害の代表が「記憶力の低下」です。最初は本人がもの忘れを自覚することもありますが、徐々に自覚が薄れていきます。また、今まで興味のあったことに無関心になったり、情緒不安定になったりもしますが、日常生活は送れるのが特徴ですこの軽度認知障害の段階で生活習慣の改善や運動をすれば、50%の方が元に戻れます。その後の段階であっても、できるだけ早く治療を始めることで、進行のスピードを遅らせることができるのです。認知症は早期発見、早期治療することがとても大切。それによってその後の生活が大きく変わることを知っておきましょう。まとめアルツハイマー病型認知症は長い年月をかけて脳にタンパク質がたまって発症します。つまり「高齢者になってから気を付ける」のでは遅く、30〜40代のときから生活習慣を見直すことが予防に大きくつながるのです。上の「認知症になりやすい人」の生活習慣に1つでも心当たりがある人は、今から改めて、認知症になりにくい体を作っていきましょう。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。取材・文/かきの木のりみ4つの編集プロダクションで紙媒体の編集をしつつWebの学校に通い、Webと紙両方の編集に携わるようになって約20年。スポーツは観るのもやるのも好きなのだけど、最近はすっかり観るほうに……。ウーマンカレンダー/シニアカレンダー編集室著者/監修/菊池 大和 先生医療法人ONE きくち総合診療クリニック 理事長・院長。地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、地上波メディアにも出演中。
2024年03月17日診断書が県外では使えない!?想定外の事実が判明それまで私たちが住んでいた自治体では、受給者証がなくても発達支援センターで療育を受けることができていました。しかし、引っ越し先で療育に通うためには受給者証が必要、かつ受給者証発行には医師の診断書が必要とのことだったので、発達支援センターで医師の診断を受けた際に、診断書の発行をお願いしていました。診断書発行の依頼を済ませた私は、申請手続きを再度確認するため、引っ越し先の県の市役所に電話をかけました。受給者証の発行手続きは簡単だと思っていたら、想定外の事実が判明しました。なんと、「引っ越し先の市の病院で発行される診断書でないと受給者証は発行できない」というのです。つまり、私が用意している診断書は、引っ越し先での受給者証の申請には使えないということでした。これには驚きました……このやりとりの前に、市役所で受給者証の件を問い合わせた時には、そんなこと、ひとことも教えてもらえなかったからです。また、新しい病院で診断書を書いてもらうためには、初診を何ヶ月も待たなくてはならず……。せっかく療育に行き始めて娘への効果を感じていたのに、すぐ通えないなんて……と、私はとてもガッカリしてしまいました。落ち込む私に救世主が現れるUpload By マミヤそんな時、たまたま発達支援センターの担当の方から電話がきました。私は、せっかく書いてもらった診断書が引っ越し先で使えないことを伝えました。すると、担当の方は「では、こちらで受給者証を発行してから引っ越ししましょう!それならすぐに使えますから。引っ越し前に発行して受け取れるように私から市役所に連絡を入れておきます」と言ってくれたのです。受給者証を取得した後なら、変更手続きさえすれば、引っ越し先でもすぐに使えるとのことでした。私は翌日、発達支援センターに行って診断書を受け取り、その足で市役所へ行って、受給者証を申請することができました(受給者証は翌日手元に届きました)!担当の方には何度もお礼を伝えたいくらい感謝しています。準備を終えてホッとしていた引っ越し前日……動物園で事件発生!Upload By マミヤ受給者証問題が解決し、引っ越し前日。荷造りなどほぼやることが終わりホッとしていた私は、これが最後になるかもしれないと思い、娘と何度も訪れた動物園に行くことにしました。初めて訪れた時は、入り口すぐの場所にあるキャラクターが描いてある自動販売機の前から30分は動かず、動物に目もくれず走り回り、階段の登り降りを繰り返していた娘。そんな娘も動物をしっかり見て、小走りしつつもたまにこちらを振り返る姿に、成長を感じていました。その動物園の園内には、遊具がありました。娘はそこがお気に入りだったので、最後にそこで遊ぶことにしました。少し遊んで帰る、そんな気楽な気持ちで行ったことが、最大の誤算でした。引っ越し作業が続き、外へなかなか遊びに行けていなかったこともあり、久しぶりの遊具に娘は大興奮。私の声も届かないほどに夢中で遊んだ結果、娘は何かの拍子に遊具のロープから手を離し、顔から地面に滑り落ちてしまったのです。幸いすぐに泣き止みましたが、娘の顔は大きく擦りむけ、出血もしていました。急いで病院に連れて行くと、見た目は派手だけど深刻な怪我ではないと言われましたが……新天地へは顔に大きな傷をつけての出発となってしまいました。引っ越し作業中、多動の娘はどうする?実母のサポートに感謝Upload By マミヤ引っ越しには、私の実母が手伝いに来てくれることになっていました。夫と話し、「多動の娘が引っ越し作業中に部屋の中にいるのは危険だよね……」ということになったので、荷物の搬出の立ち合いなどは夫に任せ、私と娘はひと足先に引っ越し先の県に行き、近くのホテルに泊まることにしました。しかし、私1人では動きの予測できない娘との移動と宿泊に不安があったので、母も一緒にホテルに泊まってもらいました。翌日、3人で引っ越し先の家に向かいましたが、荷物が到着する前の掃除など、娘の面倒を見ながらではとても手が回らなかったので、母のサポートがあってとても助かりました。今思い出してもこの時期は本当に大変で、いろんな方に助けていただいてなんとか引っ越し作業が終わった気がします。わが家の引っ越し事情はこんな感じでした。執筆/マミヤ(監修:鈴木先生より)他県への引っ越しの場合、医療機関の選択も考慮する必要があります。私のクリニックでは全国に神経発達症を診られる仲間がいるので、名刺を見せて携帯で写真を撮ってもらい、後日電話してもらうことにしています。もちろんその名刺宛の紹介状も添えます。それがたとえ海外であっても同じです。逆に、海外や他県から私のクリニックがあるつくば市へ引っ越される方は、クリニックのWebサイトを通じて院長へのメール宛にまずは診られるかどうか相談が来ることも多いです。予約は基本的には受付に直接の来院が必要ですが、海外や他県の方は無理なので電話での予約方式をとっています。電話はなかなか繋がらないことがありますが、メールなら確実に繋がります。私のクリニックの例を紹介しましたが、皆さんの参考になればと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月16日認知症は現在、治療で進行を遅らせることはできても、治すことはできません。でも、初期の段階で適切な治療を受ければ、認知症に進まず元の状態に戻れることを知っていますか? 認知症にじょうずに対処するには、正しい知識を知って早期発見・早期治療をすることが最も効果的。きくち総合診療クリニック理事長・院長の菊池大和先生に、私たちが知っておくべき基本知識を聞きました。教えてくれたのは…監修/菊池大和先生(医療法人ONEきくち総合診療クリニック理事長・院長)地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、地上波メディアにも出演中。そもそも「認知症」とは?認知症とは病気の名前ではなく、症状の総称です。人は、何らかの原因で脳の神経細胞が死んでしまうと、物事を覚えたり判断したり、行動したりすることができなくなっていきます。そうして社会生活に支障をきたした状態を、「認知症」と呼びます。日本の認知症高齢者の数は、2012年で462万人と推計されており、2025年には約700 万人、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になると予想されています(※)。※出典:厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(概要)」認知症の原因原因によって大きく4つに分けられる認知症になる原因は300以上あると言われ、その原因によって4つの種類に分けられます。認知症の中で最も多いのが「アルツハイマー型認知症」で、全体の70%弱を占めます。原因は、脳内の老廃物であるアミロイドβ(ベータ)などのたんぱく質が、異常に蓄積してしまうこと。それが神経細胞を破壊し、脳が萎縮することで発症します。次に多いのが「血管性認知症」で全体の20%弱です。脳出血や脳梗塞などが原因で脳の組織が破壊され、引き起こされます。その他、脳にレビー小体というたんぱく質のかたまりができることで引き起こされる「レビー小体型認知症」と、前頭葉や側頭葉の神経細胞が変性するなどして進行する「前頭側頭型認知症」を加えた4つを「4大認知症」と呼びます。認知症の症状症状の現れ方には段階があります。ここでは、最も一般的なアルツハイマー認知症の症状について見ていきましょう。ポイント1:初期段階=軽度認知障害認知症というと、徘徊したり、家族の名前も憶えていないような状態を想像しますが、いきなりそうはなりません。認知症には必ず前段階があり、それを「軽度認知障害」と言います。この期間が2~3年あり、まず「記憶力の低下」が起こります。最初は本人がもの忘れを自覚することもあります。今まで興味のあったことに無関心になったり、情緒不安定になったりもしますが、日常生活は送れている状態です。人は誰でも年を取れば、もの忘れが増えます。思い出したいことがなかなか思い出せなかったり、記憶力が低下したりもします。すると「このまま認知症になるのでは?」と不安に思う人もいるでしょう。しかし、これらは加齢によるもので、認知症とは異なります。認知症のもの忘れは、食事したことそのものを忘れてしまう、駅から家に帰る道がわからなくなるなど、ある体験を丸ごと忘れてしまい、日常生活に支障を来たすのが特徴です。ポイント2:中期段階中期段階は4~5年あります。日常生活に支障が出てくる期間で、家族が一番介護が大変な時期になります。物の場所がわからない、食べたことを覚えていないということが起き、夕飯を何度も食べたり、買い物に行って帰って来られない、昼夜逆転して夜眠れない、徘徊(はいかい)、幻聴、幻覚、失禁などが見られます。ポイント3:後期段階後期段階は、何もできなくなります。食事、着替え、排泄、入浴は、やり方がわからないため本人は動けません。興味もなくなります。家族に「あなた、誰?」と言うのもこの時期です。もしかして認知症かも、と思ったら認知症は初期段階(軽度認知障害)で生活習慣の改善や運動などをすれば、50%の人が元に戻れます。つまり、早期発見・早期治療がとても大切なのです。家族の様子に少しでも違和感や不安を感じたら、迷わずかかりつけ医に相談しに行きましょう。認知症の検査をし、異常がなくても定期的に通院して、主治医に自分の状態を知ってもらうと安心です。内科などのかかりつけ医を持っていない場合は、脳神経内科や脳神経外科、認知症外来などで診てもらうと良いでしょう。認知症の治療方法は?認知症の治療には、「薬物治療」と「非薬物治療」があります。ただし、認知症を完治させる治療法はまだわかっていません。現在の治療は、あくまで症状を緩和したり、進行を遅らせたりすることが目的です。方法1:薬物治療薬を服用する治療です。症状によっては、抗精神病薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、睡眠薬などが使われる場合もあります。2023年発売の最新治療薬「レカネマブ」とは、認知症の最大の原因であるアルツハイマー病の原因物質・アミロイドβに働きかけ、除去して減らす作用が認められ、進行を抑えるとされている世界初の治療薬です。2023年12月より発売され、保険適用になりました。この薬の対象となるのは、軽度認知障害や早期の認知症と診断された人で、専門的な検査などが受けられる医療機関でのみ投与が可能です。なお、体重によって投与量が変わるため、価格は個人で異なります。方法2:非薬物治療薬物を用いないアプローチで、ストレッチや簡単な運動をしたり、脳を活性化させる回想法や音楽療法など、症状などによってさまざまあります。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門家の指導のもとでおこないます。家族が認知症になったらときの対応は?できるだけ寄り添いましょうどのような症状が出ているかで対応は異なりますが、基本的な心構えは同じです。認知症になった家族の立場や気持ちに、できるだけ「寄り添う」ことがとても大切です。ポイント1:自尊心を傷つけない認知症による行動や発言を否定したり、何もできないからと赤ちゃん扱いしたりするのは、認知症の人の自尊心を大きく傷つけます。すると自信をなくしたり、心を閉ざしたりして、さらに症状が進行してしまう場合も。認知症になっても、プライドや自尊心は残っています。自尊心を傷つけず、尊重することが最も大切なポイントです。ポイント2:本人のペースに合わせる認知症になると、思考力や動作が遅くなるため、1つのことをするにも時間がかかります。それでも、ゆっくりやればできることが多くありますので、イライラして急かしたりせず、本人のペースに合わせましょう。ポイント3:つらくなったときは専門家を頼る認知症の症状によっては、介護者が身体的・精神的な負担を抱え、疲労してしまう場合もあります。家族が倒れてしまっては、元も子もありません。今はさまざまな介護支援サービスがありますので、じょうずに活用して介護の負担を減らしましょう。それでもつらくなったら、専門家や施設に頼ることも大切。距離を取ることで、認知症の方も介護者も気持ちが落ち着き、関係が良くなることもあります。まとめ認知症の基本知識を、菊池先生に教えてもらいました。認知症にも種類があるなど、意外と知らなかったことも多いのではないでしょうか。認知症を予防するためにも、また、認知症の家族と安心して暮らしていくためにも、正しい知識を身につけることが大切です。取材・文/かきの木のりみ4つの編集プロダクションで紙媒体の編集をしつつWebの学校に通い、Webと紙両方の編集に携わるようになって約20年。スポーツは観るのもやるのも好きなのだけど、最近はすっかり観るほうに……。ウーマンカレンダー/シニアカレンダー編集室著者/監修/菊池 大和 先生医療法人ONE きくち総合診療クリニック 理事長・院長。地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、地上波メディアにも出演中。
2024年02月29日思いがけない難所にぶち当たるいよいよ3歳半健診を迎えた長男あー。関門は健診当日を迎える前にすでに用意されていた……それは視力検査と聴力検査!わが自治体では、時間短縮のためか当日の緊張による検査拒否回避のためか、「視力検査と聴力検査は自宅で済ませてきてください」というルールがあります。聴力検査は、一定の距離からささやき声で話しかける声が聞こえているか。視力検査は、あらかじめ配布されていた紙を見てこれまた一定の距離を空けて質問に答えられるか……というもの。まず聴力検査。多分聴こえてる……んだろうけど答えてくれない!どっか行っちゃう!待って!行かないで……(涙)!そんで視力検査、これまたどっか行っちゃう!ようやく引きつけても……聞かれている意味が分からない?のか答えてくれない……(白目)。というわけで戦う前からボロボロとなり、白紙で提出したのでした……(でもどうにかなった)。Upload By よいこ3歳半健診会場で、同年齢の子どもたちの落ち着きっぷりに衝撃3歳半健診の会場に行って驚いたのは、なんと言ってもほかの子どもたちの落ち着きです。幼稚園でも同年齢の子どもを見ているけれど、幼稚園は彼らにとっていわばホーム。思い思いのびのび過ごしているので、わんぱくだったり時に大人の言うことを聞かなかったり、そんなことはよくある光景……。 ということもあって、当時の幼稚園で、あーはそこまで目立っていなかったんですね。それがいつもと異なる空間に放り出されたら……。ほかの子どもはいつもと違うことに少し緊張しているし、社会性が芽生え始めている頃なのでかしこまりがちなんです。おとなしく、親御さんの隣で座って待っている。絵本なんか読んだりしてね。一方のあーは……いつもと違うところ、というのはあーにとってはパニックのトリガー。テンションマックスになりその辺を走り回る……。絵本やお絵かきでごまかそうとしても全然収まってくれない!やっと座ってくれたと思ったら、だらーんと椅子から崩れ落ち(体幹が弱い)、だらしなく見える……。もう……お母さん穴があったらダイブしたい……(号泣)Upload By よいこ健診はスムーズに進み、いよいよ小児科の先生の診察へ……そんなあーですが、意外と健診自体はこなせるタイプです。要は待つ、とかそういう「何もない時間」が耐えきれないわけで、3歳半健診で聞かれる「この色は何色ですか」みたいな問診には落ち着いて答えられるんですよね。内科系の診察も全部パスしていました……(注射など痛いことがなければ大丈夫なのです)。Upload By よいこ複雑な思いと全身疲労を抱え、最後に迎えた小児科の先生の診察。私は思い切って先生に言いました。「発達に不安があるんです」すると先生は、「なるほど。電車の名前とかいっぱい言ったりする?」とたずねてきました。電車……の名前は言わない……言わないぞ!言わない!これは……この子は違うのでは!?私の中にほんの一瞬、ほそーい光が差した次の瞬間のことでした。あーが壁に貼ってある大好きなアニメキャラクターのカレンダーに張り付いて、そこにいるキャラクターの名前をはじから全部言い出したのです(キャラクター多すぎアニメで、ぎっしりキャラクターが描かれているデザインだった……)!そんなあーを見て、先生はニコッと笑って「発達相談に回すね」とおっしゃったのでした。……そうですよね、知ってた!!!もろくも崩れ去った母の小さな希望はさておき……いよいよ、3歳児健診で絶対すると決めていた、発達相談に臨むことになったのでした。Upload By よいこ執筆/よいこ(監修:鈴木先生より)どの親御さんにとっても、ご自身のお子さんの障がい受容は難しいものです。「障がい者」というレッテルを貼られたくない気持ちがあります。私はASDを障がいではなく「特性」だと日頃から保護者の方にはお伝えしています。将来的に、その特性を生かした仕事ができればいいので今日から一緒に向き合っていきましょう、とお話しします。不安を持った親御さんにも、そしてお子さんにも寄り添って診察していくことが重要なのです。困っていることを一つひとつ解決へ導き、ストレスのない生活が親子で送れることを願っています。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月28日ADHD(注意欠如多動症)とは?ADHDは注意欠如多動症とも呼ばれていて、「不注意」「多動性」「衝動性」といった特性によって日常生活や園での活動などに困難が生じる発達障害の一つです。不注意では「人の話を最後まで聞けない」「一つの作業に集中し続けることが難しい」、多動性では「落ち着きがなく常に動いている」「席にじっと座っていることが難しい」、衝動性では「おしゃべりが止まらない」「思いついたことをすぐ実行する」などの特性があります。特性の表れ方は人によって異なっており、不注意が表れやすいタイプ、多動性と衝動性が表れやすいタイプ、不注意と多動性、衝動性が混在しているタイプと主に3つに分けられています。ADHD(注意欠如多動症)の診断は上記のような特性が6ヶ月以上、家庭と園など複数の場所でみられ、実際に困り事が発生していることなどが条件となっています。また、特性が12歳未満で表れていることも診断の条件となっています。しかし、4歳、5歳頃の子どもにとって、集中が途切れたり、思いつきで行動したりするなどはよくあることで、この頃に診断することは難しく、小学生以降に診断を受けることが多いと言われています。ADHD(注意欠如多動症)の原因はまだ明確になっていませんが、遺伝は要因の一つだと考えられています。また、脳内の神経伝達物質の異常、低出生体重、頭部の怪我、脳の感染症なども要因としてあげられています。それらの要因が複雑に関係し、相互に影響し合うことで、ADHD(注意欠如多動症)の発症リスクが高まると言われています。ADHD(注意欠如多動症)は脳機能の偏りによるもので、治るというものではありません。そのため、ADHD(注意欠如多動症)の特性と周りの環境をうまく合わせていく環境調整を行って、園などで困り事が軽減するような対策をしていくことになります。また、服薬によって特性の表れ方を和らげる方法もあります。低年齢の子どもの場合、主なADHD薬のなかで処方できるものはありません。今後の服薬については主治医と相談して対応を決めていきましょう。参考:注意欠如・多動症(ADD,ADHD)|MSDマニュアルプロフェッショナル版4歳、5歳児頃から表れるADHDの特徴とは?多動?落ち着きがないだけ?気になるサイン4歳、5歳の子どもは、保育園や幼稚園の年中や年長にあたり、友達との会話を楽しんだり、ルールを決めた中で遊んだりとできることも増えてくる時期です。そのため、ADHD(注意欠如多動症)の子どもは園での活動や友達との関係で困り事が生じる傾向がみられるようです。ここでは特性ごとによくみられる特徴を紹介します。不注意・保育士が話していることを最後まで聞けない・遊んでいる最中にほかのことに気を取られることが多い・保育士から指示された課題を最後まで続けることができない・よく物をなくしたり、忘れたりする・集中力が必要なことを嫌がる多動・衝動性・落ち着きなくそわそわ動いたり、身をよじったりしている・席に座る場面でじっと座っていることができない・話を聞く場面で走り回ったり、おしゃべりをしたりする・保育士の話をさえぎってしゃべりだす・ほかの子どもが何かしようとするのを遮る・ほかの子どもが使っているおもちゃを横から取ってしまう・順番を待つことができずに割り込む・保育士の指示は聞いていても自分のしたいことを優先するただし、4歳、5歳頃にはこのような行動が多くみられるため、ADHD(注意欠如多動症)かどうかを判断するのは難しく、診断自体は7歳頃に受けることが多いと言われています。参考:第2章(子どもの発達)に盛り込むことが考えられる事項(たたき台案)|厚生労働省参考:注意欠如・多動症(ADHD)|MSDマニュアル家庭版参考:注意欠如・多動症(ADD,ADHD)|MSDマニュアルプロフェッショナル版もし子どもが友達との関係や課題への取り組みなどで園でトラブルを起こした際は、どのように対応するといいか紹介します。対応方法としては、環境調整、声かけの工夫、生活の安定などがあります。環境調整子どもの特性を考慮して困り事が生じないように周りの環境を調整していく方法のことです。例えば、気になるものがあると課題に集中できない子どもには、席を一番前にしたり、パーテーションをつけたりして、視界に入る情報を減らすといった方法があります。ほかにも、じっと座っていることが苦手な子どもには、動いていい時間と静かに座っている時間を明確に分けることでメリハリをつけて実行しやすくする方法もあります。また、子どもの安全を考えて急に走り出しても危険がないように、ぶつかると危ないものをあらかじめ撤去しておくことも環境調整の一つです。声かけの工夫できたことをほめて好ましい行動を増やしていく方法のことです。順番を待つことができたら「待ててえらいね」「最後までよくがんばったね」などと、具体的にできたことをほめていくことで、子どもが次からもその行動をする動機をつくっていきます。また、「ちゃんとしなさい」という漠然とした表現でなく、「背中を椅子につけて座る」といった具体的に分かりやすい表現で伝えることも大切です。生活の安定ADHD(注意欠如多動症)の子どもは生活習慣が乱れやすいため、1日のスケジュールを決めて行動するようにすると生活が安定し、そのことが心身の安定にもつながると言われています。スケジュールを決める際には子どもの意見も考慮することや、イラストなど視覚的に分かりやすい方法で伝えていくと取り組みやすくなります。また、園と家庭の情報共有も重要です。家庭で実行して、子どもが落ち着いたり集中できたりしたことを園に伝えることで、園でも同様の対応をしていくことができます。その逆に園で効果があったことを家庭に共有していくことも可能で、情報共有することで子どもに対する効果的な対応を増やしていくことができます。そのほかの対応として、ペアレント・トレーニングの一つである「親子相互交流療法(PCIT)」などもあります。PCITは1970年代にアメリカで考案されたプログラムで、子どもと保護者の絆を強め、より良い行動につなげていくというものです。一部の医療機関などで実施しているので、気になる方はご確認ください。参考:PCITJAPANADHD(注意欠如多動症)の子どもの行動に焦点をあて、その特徴を理解し、それに対して効果的な対処法を親が学ぶペアレントトレーニングは、ADHD(注意欠如多動症)の治療法として認識されています。肯定的な注目などのスキルを親が手にし、親の行動のあり方を変えることにより、ADHD(注意欠如多動症)を持つ子どもとの関係性が改善し、良い親子関係へと転換していきます。服薬ADHD(注意欠如多動症)は服薬によって特性を和らげる方法もあります。よく使用される薬としてはコンサータやストラテラ、インチュニブ、ビバンセなどがありますが、これらは6歳以上に処方される薬のため、4歳、5歳の子どもには用いられません。詳しいことは主治医とご相談ください。4歳、5歳児に表れることの多いADHDの特性をチェックUpload By 発達障害のキホン※発達や成長に加え症状や特性には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐにADHD(注意欠如多動症)と診断されるわけではありません。子どもの発達が気になったらどこに相談すればいい?子どもにADHD(注意欠如多動症)の傾向がみられたり、園でトラブルがあったりして悩んでいる場合は、専門の機関に相談する方法もあります。相談することで心が楽になったり、対応方法が分かったり、状況を踏まえてほかの支援機関を紹介してもらえたりとさまざまな利点があります。子どもに関して相談できる場所として以下のような機関があげられます。保健所・市区町村保健センター保健所や保健センターは地域の保健衛生に関する専門機関です。子どもの障害についても相談することが可能で、保健師などの専門家による相談対応や医療機関、支援機関の紹介などを行っています。かかりつけの小児科小児科医は診察などをするだけでなく、子どもの発達に関して相談することもできます。これまでの子どもの様子も知っているため、状況に応じてほかの医療機関の紹介などをしてもらえます。児童発達支援センター障害のある子どもへ、日常生活や集団生活に必要なスキルなどを習得するための支援を行っている専門機関です。児童発達支援センターでは支援のほかにも子どもの発達に関する相談も受けつけています。発達障害者支援センターADHD(注意欠如多動症)などの発達障害のある方本人や家族を対象に、幅広い支援を行っている専門機関です。状況に合わせたアドバイスをもらえるほか、医療機関や支援機関の紹介も行っています。また、診断を受けていなくても相談可能です。就学相談今後就学に不安がある方は、「就学相談」を受けることもできます。就学相談とは障害や発達が気になる子どもにどのような進学先が合っているかを、専門家と保護者で相談しながら決めていくことです。就学相談を受けるにはお住まいの地区の教育委員会に申し込む必要があります。気になる方は一度問い合わせてみるといいでしょう。参考:困ったときの相談先|厚生労働省まとめADHD(注意欠如多動症)は不注意、多動性、衝動性という特性のある発達障害のことで、4歳、5歳頃だと「席に座っていられない」「落ち着きがなく常に動いている」「ほかの子のおもちゃを取ってしまう」などが困り事としてよくみられます。ただ、上記のような行動はこの年頃の子どもにはよくみられるので、判断がつかずに悩んでいる保護者の方もいると思います。気になる様子があったら、園と連携して環境を調整していくことや、子どもとの関わりを工夫していくことが大事です。また抱え込んでしまうのではなく、身近な専門機関に相談することも検討してみてください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年02月24日アルツハイマー型認知症になった実母のことや、アラフィフ主婦の日常をあれこれ書き連ねるワフウフさん。自身の体験をマンガにしています。母・あーちゃんの認知症が進行していく中で迎えたお正月。ワフウフさんは、あーちゃんを連れて姉・なーにゃんの家に行き食事をしました。そこで、食事よりも先にデザートとして用意されているお菓子を、他人の分まで完食してしまったあーちゃんを見て、もう自分では食欲が制御できないことを悟りました……。お正月も終わり、新年最初の通院。あーちゃんが待ち合わせに遅れるというトラブルもありましたが、無事に終了。お茶をしようとお店に入ると、あーちゃんがケーキを選び始めました。持病の糖尿病も心配なので我慢するように言うと「甘い物は我慢している!」と言います。今まさに目の前でケーキを選んでいたのに……。この調子だと、甘い物の自制は難しそうです。 認知症といってもいろいろ… これまでに接してきた認知症は、家族の中で3人。いずれもアルツハイマー型認知症です。 祖母は、とにかく徘徊(はいかい)がすごくて、周りも大変でした……。 義父は、せん妄(せんもう:意識の混乱)がひどく、ビックリ発言も多かった……。 そんな3人にも、共通点があるような気がします。 つらいのは、皆一緒……。 あーちゃんは、私と通院したことをすっかり忘れていました。 そして、また病院帰りのお茶でケーキを食べようとして、姉に制止されると……。 追及する姉に向かって……。 と、反論していましたが……。 たんたん:あーちゃんの夫 結局、白状してしまっていました! 認知症といっても、いろいろな種類があります。私が今まで接したことがある認知症は、祖母とあーちゃんと義父の3人。いずれもアルツハイマー型認知症で、問題行動もそれぞれですが、「認知症を認めない」「言うことを聞かない」「お金への執着」は、共通点だと感じています。 もしかして、これらは認知症全体の「あるある」なのかもしれませんね。突然暴言を吐かれてしまうのも、同じ話がループするのもストレスですが、苦しんでいるのは皆同じだと思うと、少し救われます。皆さん頑張りましょう……! あーちゃんの認知症は、相変わらずです。新年最初の通院はすっかり忘れ、病院帰りにまたケーキを食べようとして今度は姉に注意されるも、甘い物は我慢しているとドヤ顔。でも、押入れに隠し持っていたお菓子を指摘されると、かわいく白状してしまったらしい。……このへんが、なんだか憎めないところです。 --------------認知症といっても、問題行動や進行の度合いも違うので、そのときにベストだと思う行動を取るしかできませんよね。手探りの毎日だからこそ、押入れにお菓子を隠していたことをうっかり白状しちゃうお茶目な姿を見られたりすると、ほっこりしてしまうのではないでしょうか。 ※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。>>次の話 シニアカレンダー編集部では、自宅介護や老々介護、みとりなど介護に関わる人やシニア世代のお悩みを解決する記事を配信中。介護者やシニア世代の毎日がハッピーになりますように! 著者:マンガ家・イラストレーター ワフウフ
2024年02月23日ADHD(注意欠如多動症)とは?ADHD(注意欠如多動症)は、「不注意」「衝動性」「多動性」という特性があり、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。5~15%の子どもにADHD(注意欠如多動症)があるという調査もあり、家庭や園などでさまざまな困り事が見られることがあります。ADHD(注意欠如多動症)の子どもは、不注意特性によって「集中が続かない」「話を最後まで聞けない」、多動性・衝動性特性によって「常に体を動かしている」「順番を守れない」などの特徴が表れることがあります。症状の表われ方によって3つのタイプがあり、不注意傾向が強いタイプ、多動性・衝動性傾向が強いタイプ、どちらも表れるタイプと分かれています。ADHD(注意欠如多動症)の原因はまだはっきりとは分かっていませんが、遺伝などの傾向もあると言われています。診断は症状が6ヶ月以上続いていることや、症状が2つ以上の場所(家庭と園など)で表われていることなどの基準があり、保護者が書いた質問票や子どもの様子を参考にして医師により判断されます。ADHD(注意欠如多動症)はあくまで特性であって治るものではなく、環境調整や服薬によって困り事が出ないように対処します。参考:注意欠如・多動症(ADHD)|MSDマニュアル家庭版参考:ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療|e-ヘルスネット3歳児頃から表れるADHDの特徴とは?違和感や発達の遅れ、気になるサイン子どもは3歳頃には、手を使わずに階段の昇り降りができたり、三輪車に乗れたり、ごっこ遊びができるようになったりと心身が成長します。また、園などでほかの子どもたちと集団行動することも増えていきます。そういった状況の中で表れてくるADHD(注意欠如多動症)の特徴を紹介します。ADHD(注意欠如多動症)の特徴は4〜5歳頃までに表れると言われていますが、3歳頃の年齢の子どもは活動的でじっとしていられないことも珍しくありません。合併症として睡眠障害(入眠障害・中途覚醒)の症状も見られることもあります。実際にADHD(注意欠如多動症)の診断は小学校入学後の7歳頃に受けることが多いと言われています。次に挙げる特徴に当てはまっても、必ずしもADHD(注意欠如多動症)とは限りません。3歳頃に表れる不注意の特徴例・一つの遊びに集中することが難しい・気になるものがあるとすぐ気がそれる・保育士や保護者の話を最後まで聞くことが難しい・遊びで使った道具の片づけが苦手・園などでよく物をなくす・話したことを忘れることが多い3歳頃に表れるの多動性・衝動性の特徴例・手足を絶えず動かしている・席にじっと座っていることが難しい・急に話し出したり、走り出したりすることがある・静かにしている場面でも話したり動いたりすることがある・友達と遊んでいても順番を待てないことがある・友達のおもちゃを取ってしまうことがある3歳頃になると園でも集団行動をする機会が多くなり、それに伴う困り事も表面化してきます。ですが、座って話が聞けないなどは3歳頃の子どもにはよくみられることなので、それだけでADHD(注意欠如多動症)の傾向があるとは言えません。気になる様子が複数あり心配な場合は、後ほど紹介する専門機関に相談しましょう。ADHD(注意欠如多動症)の特性があると突発的な行動や集団活動でのトラブルなどが多くみられます。ただ、子どもは意図して問題となる行動を起こしているわけではありません。そのため、「落ち着きなさい」「順番を守りなさい」などとっても、本人もどう直していいのか分からず、「自分はなんでできないんだ」と自己否定につながってしまいます。そういった状況が続くと、気分が落ち込んだり、不安感がコントロールできなくなったりして、精神的な症状が表れる可能性もあります。ADHD(注意欠如多動症)の子どもへの対応としては、環境調整や行動への介入、薬物療法によって困り事を減らしていくことが有効です。環境調整とは、困り事が表われないように特性に合わせて周りの環境を整えていくことです。例えば、席でじっとしていられない子どもには、周りに気が散るものが目に入らないような席に変えることや、「5分だけ座っていようね」など短い時間で区切るなどの方法があります。また、行動への介入とは環境調整によって席に座ることができたときに「座れて偉いね」「最後までできたね」など、できた行動を褒めていくことです。そうすることで、望ましい行動を増やし、望ましくない行動を減らしていく効果があると言われています。また、療育を受けることも有効です。ほかにも、急に走り出しても危なくない場所で遊ぶことや、ハサミなど不注意によって怪我につながる道具を使わないといった、危険に対する環境調整をしていくことも子どもの安全を守るうえで重要です。薬物療法では、ADHD(注意欠如多動症)の症状を緩和する薬が処方されます。代表的なものとして、コンサータ、ストラテラ、インチュニブ、ビバンセなどがありますが、主に6歳以上に使用が認められているため、3歳児には処方しません。随伴する症状として、睡眠障害があるために寝かしつけや、日中の活動に支障がある場合には、漢方薬などを使用することもあります。参考:3歳児健康診査|奈良県医師会参考:注意欠如・多動症(ADHD)|MSDマニュアル家庭版参考:ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療|e-ヘルスネット3歳児に表れることの多いADHDの特性をチェックUpload By 発達障害のキホン※発達や成長に加え症状や特性には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐにADHD(注意欠如多動症)と診断されるわけではありません。子どもの発達が気になったらどこに相談すればいい?3歳頃の子どもの発達が気になった時に相談できる窓口を紹介します。まず、保健センターで実施している3歳児健診の際に相談することが可能です。3歳児健診では子どもの発達の様子を医師によって見てもらうことができるため、不安なことがある保護者はその際にADHD(注意欠如多動症)についても相談してみるといいでしょう。また、健診とは関係なく、保健センターにADHD(注意欠如多動症)について相談することもできます。予約が必要な場合もありますので、あらかじめWEBサイトなどをご確認ください。ほかにも子どもの発達について相談するには以下のような場所があります。・児童家庭支援センター・児童相談所・児童発達支援センター場所によっては対面ではなく電話などで相談することもできますので、確認したうえで相談しやすい場所を利用しましょう。参考:困ったときの相談先|厚生労働省参考:3歳児健康診査|三鷹市まとめADHD(注意欠如多動症)は3歳では診断は難しいですが、3歳児は身体の発達や集団活動の増加などによって、それまでとは違った困り事が表れてくることがあります。この頃に「ADHD(注意欠如多動症)かもしれない」と感じる保護者も多くいると思われます。ADHD(注意欠如多動症)の困り事は特性によって起こるため、むやみに叱ったり言い聞かせても困り事がなくなるわけではありません。また、叱られ続けることで自己否定が強くなり、精神的な症状につながる可能性もあります。ADHD(注意欠如多動症)の子どもには、環境調整や行動への介入によって困り事を減らしていくことが有効と言われています。気になる様子があったら3歳児健診の際や、自治体の窓口などに相談し、適切な対処をしていくことが大切です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年02月18日ADHD(注意欠如多動症)とは?ADHD(注意欠如多動症)とは「不注意」「多動性」「衝動性」という特性がある発達障害の一つです。それぞれの特性を簡単に説明します。・不注意:一つのことに集中し続けることが困難・多動性:じっとしていることができずに常に動いている・衝動性:思いついたことを考えずに実行するADHD(注意欠如多動症)の子どもはこれらの特性と周囲の環境が合わないことで、さまざまな困りごとが生じると言われています。また、子どもによって不注意が強く表れるタイプ、多動性と衝動性が強く表れるタイプ、どちらも混在しているタイプと3つのタイプに分類されています。ADHD(注意欠如多動症)の原因については、さまざまな研究が進められていますが、まだはっきりとは解明されていません。脳内の神経伝達物質であるドーパミンなどの機能異常が関係していると考えられており、遺伝的要因や環境要因などが相互に影響し合い、ADHD(注意欠如多動症)の症状として表れているのではないかと言われています。診断は専門の医師によって行われ、年齢に比較して不注意などの特性が強く表れていることや、複数の環境で困りごとが生じていることなどが基準となっています。また、ADHD(注意欠如多動症)は特性によるものであり、治すという概念ではなく、環境調整や薬物療法などで困りごとが表れないようにしていくという形で治療が行われます。参考:注意欠如・多動症(ADHD)|MSDマニュアル家庭版参考:注意欠如・多動症(ADD,ADHD)|MSDマニュアルプロフェッショナル版参考:ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療|e-ヘルスネットADHD(注意欠如多動症)の特徴は2歳児頃から表れる?違和感や発達の遅れ、気になるサインADHD(注意欠如多動症)の特徴は4歳、5歳頃から表れることが多く、7歳頃から診断されることが多いと言われています。しかし、2歳頃から特徴が表れることもありますので、この後紹介していきます。2歳頃になると子どもはボールを投げたり、ジャングルジムに登れるようになったり、簡単な問いかけには言葉で答えるようになるなど、できることが増えていきます。それにともないイヤイヤ期と呼ばれる自己主張が激しくなる時期にも差し掛かります。この時期に表れるADHD(注意欠如多動症)の特徴は以下のようなものがあります。2歳頃に表れる不注意の特徴例・指示に従わずに物事をやり遂げられないことが多い・ほかに気になるものがあるとすぐ気がそれてしまう・物をなくしたり忘れることが多い・話しかけられても聞いていないように見える・使ったおもちゃを片づけることが苦手2歳頃に表れる多動性・衝動性の特徴例・ずっと話しかけてくる・友達のおもちゃを一方的に取り上げることがある・エンジンで動かされているように活発に動く・手足を動かしたり身をよじる動作が多い・周囲を確かめずにいきなり走り出すことがあるADHD(注意欠如多動症)があると以上のような特徴がみられることがあります。ただ、これらの特徴は、この時期の定型発達の子どもにもよくみられるため、気になる様子がある場合も自己判断せずに専門家に相談するようにしましょう。参考: 0歳児から2歳児の発達過程|東京都教育委員会参考:注意欠如・多動症(ADHD)|MSDマニュアル家庭版ADHD(注意欠如多動症)の子どもはわざと周囲が困ることをしているのではありません。じっとしていることができないときに、「じっとしていなさい」「なんで動くの?」と叱っても、子どももどうしていいか分からなくなってしまいます。そして、叱られることが多くなることで自己否定の気持ちが強くなってしまい、自尊心が下がってしまう恐れもあります。そのため、特性を理解したうえで適切に対応していく必要があります。子どものADHD(注意欠如多動症)の対応としては、環境調整、行動への介入、薬物療法といった方法があります。まず、環境調整とは、特性に応じて困りごとが起きないように環境を整える方法です。例えば一つの遊びに集中できない子どもの場合は、部屋のカーテンを閉めたりほかのおもちゃを隠したりと、視界に入る刺激を少なくします。また、外で急に走り出す子どもには、道路の近くで遊ばない、広い公園で遊ぶようにするなど危険が少ない状況をつくるというのも環境調整の一例です。次に、行動への介入とは、望ましい行動は積極的に褒め、望ましい行動を促していく方法です。例えば、話を最後まで聞けたときは「しっかり聞けたね」などどういった行動が良かったかを具体的に褒めていきます。ただし、2歳児だとまだ物事の良し悪しを理解することが難しい可能性もあるため、行動の介入よりは環境調整により危険を少なくしていく方法を取ったほうがいい場合もあります。最後に薬物療法ですが、服薬により不注意などの特性を緩和していくことができると言われています。ADHD(注意欠如多動症)の治療薬としてコンサータやストラテラなどが処方されることがありますが、基本的には6歳以上の子どもに用いられ、2歳児には処方されません。詳しいことは主治医に相談してみましょう。参考:ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療|e-ヘルスネット2歳児に表れることの多いADHDの特徴をチェックUpload By 発達障害のキホン※発達や成長に加え症状や特性には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐにADHD(注意欠如多動症)と診断されるわけではありません。子どもの発達が気になったらどこに相談すればいい?2歳児は、定型発達の子どもの場合も落ち着きがないことはよくあります。特徴にあてはまる行動があっても心配しすぎることはないでしょう。しかし、気になる様子があって心配な場合は専門家に相談することも検討してみましょう。保育園に通っている場合は、まずは担当の保育士に相談してみるといいでしょう。子どもの普段の様子も考慮して、アドバイスやほかの相談先について教えてもらえるかもしれません。そのほかにも、子どもの発達が気になる際の相談先には以下のような場所があります。・保健センター・児童相談所・児童家庭支援センター・地域子育て支援センターまとめ2歳児におけるADHD(注意欠如多動症)の特徴やサインについて紹介してきました。2歳児は成長によって行動範囲が広がってくることや、イヤイヤ期と呼ばれる自己主張が激しくなる時期であることもあり、ADHD(注意欠如多動症)の特徴と似た行動がみられるようになります。そのため、気になる様子があっても判断することが難しく、悩んでいる方もいらっしゃると思います。そういったときは一人で抱え込まずに相談することが大切です。相談先は、身近な保育者への相談や専門機関の窓口などがあります。また、電話での相談ができる機関もありますので、まずは相談しやすい場所から問い合わせてみるといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年02月17日