フランス国王ルイ16世の王妃マリー・アントワネットの生涯を題材にした能『~薔薇に魅せられた王妃~現代能 マリー・アントワネット』が12月12日(火)に上演される。それに先駆け記者発表会が行われ、演出と出演の人間国宝の観世流シテ方能楽師・梅若玄祥、振付・長唄作調の藤間勘十郎、脚本の植田紳爾、女優の未沙のえる、プロデューサーの西尾智子が登壇した。能『~薔薇に魅せられた王妃~現代能 マリー・アントワネット』チケット情報宝塚歌劇団の名作『ベルサイユのばら』を手掛けた植田が脚本を担当し、霊的な存在が主人公となる「夢幻能」として描かれ、アントワネットの後半生を描く本作。玄祥と植田は、漫画『ガラスの仮面』(原作・美内すずえ)を題材にした新作能『紅天女』(2006年初演)以来のタッグとなる。植田は「宝塚歌劇団で『ベルサイユのばら』を再演する度に原作漫画を読み直し、アントワネットの資料を読み直してくる中で、こんなに悲劇的な女性はいないという思いが深くなってきました。僕が一番謎に思っているのは、目隠しもせずに堂々とひとりで断頭台に上がっていったときの思い。恐怖や恨みがある中で、目隠しも断り、首を落とされた。そのときの彼女の心境について今回、脚本を書くうえで感じたのは、アントワネットというひとりの女性が、最期の日に未来が見られたのではないかということ。だからこそああして上がっていったんだと考えました。今回の脚本はそういったことをテーマにしています」と内容を明かす。玄祥は「僕も宝塚が好きなものですから、『ベルサイユのばら』は何十回と拝見していて、その中で、いつかこのマリー・アントワネットという女性を演じてみたいと思っておりました。植田先生には、見事に夢幻能として、死後の世界でマリー・アントワネットが語る、舞うというカタチを取っていただきました。私共にとっては演じやすいカタチになりましたが、題材が題材です。人気がある作品を能としてやるというのは難しいことかもしれないですが、挑戦してみます」と語った。未沙は「宝塚時代に『ベルサイユのばら』初演にも出演しておりました。伝統芸能である能に携わらせていただくだけで本当に光栄。今はドキドキワクワクしています!」、玄祥の息子でもある勘十郎も「なにせ植田先生がいらっしゃいますし、父はどんなものでもすぐお能にしてしまいますので(笑)、見事なマリー・アントワネットをつくると思います。すごい先輩方がおられますから、存分に自分の力を発揮したいと思います」と期待を語る。西尾も「話を知っていると、とっつきやすい」と話すなど、能を知らない層の初めての作品にもオススメだ。公演は、12月12日(火)に東京・国立能楽堂にて。同日15時開演の追加公演のチケットが現在発売中。
2017年11月01日アメリカで初めて黒人音楽をラジオで紹介した伝説のDJ、デューイ・フィリップスの半生を描いて話題を呼んだミュージカル『メンフィス』が、早くも再演される。舞台は1950年代のメンフィス。人種差別が根強く残り、音楽にさえ人種の壁があった時代に、その壁を越えようとした白人の男と黒人の女。あの感動の物語が、ボン・ジョヴィのデヴィッド・ブライアンが手がけたソウルフルな音楽とともに再び立ち上がるのである。この再演では、主演を務める山本耕史が演出に加わることも決定。山本とともに物語を推進していく濱田めぐみが、再演への思いを語った。ミュージカル『メンフィス』チケット情報濱田が演じるのは、兄が経営するクラブで歌う黒人女性フェリシア。クラブを訪れた音楽好きの白人ヒューイ(山本)と恋に落ち、やがてDJとなった彼の応援を得ながら本格的に歌い手を目指していくという役だ。黒人と白人の恋に非難の目を向けながらもひるまず夢を追う女性を演じた舞台上の濱田は、実にパワフルだった。「フェリシアは、黒人が差別されることが当たり前だった時代に、それは当たり前じゃないと思っていたちょっと先進的な人。自分にも人としての権利があるはずだと思っている。だから、テーマ的には重く深いものを扱っているんですけど、演じていてあまり重々しくならず、毎日、『よし、明日も頑張ろう』と思えていました」。おそらくその力強さが観客に届いたのだろう。舞台は連日のスタンディングオベーション。「お客様がもう一度観たいと思ってくださってることがひしひしと伝わってきました。ヒューイとフェリシアの関係とか、楽曲の力とか、すべてが充実した作品だったと思います」。再演に向けては、「初演のときから、(山本)耕史さんは演出の目を持っていろいろアイデアを出してくださってましたから。耕史さんのセンスで一緒に突き進んでいけることがいちばんだと思います」と、演出に加わる山本に全幅の信頼を寄せる。その中で、「前のフェリシアをなぞることなく、その瞬間に生まれてきたことを大事にしたい」と言う濱田。「というか、自然と前のことを忘れちゃってるんですけどね(笑)。おかげで毎回真っ白な状態で入れる。我ながら役者向きの体質だなと思います」。歌についても、「そのとき生まれた感情で歌うので、毎回同じようには歌えない」のだという。だからこそ、濱田の歌声は多くの心を捉えるのだ。「そのときの真実はその瞬間にしかない」と濱田。舞台の本質を突くその言葉が、また新たな『メンフィス』を見せてくれることを予感させる。公演は12月2日(土)から17日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場にて。チケットは現在発売中。また10月21日(土)~26日(木)の期間限定で、購入者から抽選で『メンフィス』制作発表が当たる【ミュージカル『メンフィス』 | S席/制作発表抽選付チケット】も発売中。取材・文:大内弓子
2017年10月24日2016年、石丸幹二主演、ヒロインに安蘭けいを迎えガブリエル・バリー潤色・演出の新バージョンとして世界初演されたミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』が今秋、早くも再演される。フランク・ワイルドホーン作曲による愛と勇気の冒険活劇は1997年にブロードウェイで初演。2008年には宝塚歌劇団星組トップスター安蘭けい主演、小池修一郎演出で宝塚版が初演、今年も星組で再々演されるなど宝塚歌劇の人気作としても定着している。主演の石丸幹二に再演への思いを聞いた。ミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」チケット情報1789年、フランス革命勃発。元貴族らが次々と処刑される恐怖政治が続くなか、イギリス貴族のパーシー(石丸幹二)はフランスの有名女優だった妻マルグリット(安蘭けい)に内緒で仲間と「ピンパーネル団」を結成、無実の人々を救うため秘密裏に活躍する。フランス政府特命全権大使ショーブラン(石井一孝)は“元同志”で恋人でもあったマルグリットにピンパーネル団の素性を探って欲しいと囁くのだが……。マルグリット唯一の肉親で最愛の弟アルマン(松下洸平)を巻き込みながら、疑心と愛憎渦巻く物語がスリリングに展開する。初演で石丸は、パーシー役について安蘭にも意見を求めたという。「安蘭さんのパーシーはさほどマルグリットには関心を寄せていなかったそうです。逆に僕はいつも彼女を見ている。その解釈の違いは、今回の新演出版が大人の恋の駆け引きに物語の重点を置いているから。観客にはどちらの解釈もありだと受け止めて貰えたと思います」。出会って6週間というふたりの結婚式の場面では、パーシーがマルグリットに関するある秘密を耳にする。「それが事実かも問いただせぬままパーシーは彼女に冷たくあたる。マルグリットとの気持ちにズレが生じたまま物語が進んでいくので、観客からすると『早く聞けばいいんじゃないか?』となると思います(笑)。その焦れったさ。愛しているけど疑ってしまう人間の性(さが)や苦しさをそれぞれのキャラクターが磨き上げることで、作品の面白さがより際立ってくるんじゃないかな」再演では正義の味方、ピンパーネル団のキャストが一新。先陣を切るパーシーは変装して敵方ショーブランの陣地に潜入するなど、石丸の七変化も話題だ。「男性の役にしては珍しく7、8着着替えます。裏では複数のスタッフがワッと集まって一斉に衣装を脱がして、かつらから髪の装飾品まで一気に着せ替えてくれる。面白い体験でした(笑)。楽曲は役の個性が際立ち、大胆なキーチェンジがワイルドホーンの手法のひとつ。一曲の中で崖から急降下して滝壺に飛び込むような落差があり、聴き応えがあると思います。ピンパーネル団の活躍と最後には夫婦が心を通わせる、気分爽快な点がこの作品が愛される理由です。新キャストも加わり、必ずご期待に添える作品にしたいと思います。ぜひ劇場に足をお運びください」大阪公演は11月13日(月)から15日(水)まで梅田芸術劇場メインホールにて、東京公演は11月20日(月)から12月5日(火)までTBS赤坂ACTシアターにて上演。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2017年10月24日スズカツこと鈴木勝秀が作・演出を手がける朗読劇『SISTER』が、東京・博品館劇場で、10月23日(月)から4日間上演される。本作は男女ふたりだけで演じられる姉弟の物語。そこで23日(月)19時の回に出演する、彩吹真央に話を聞いた。朗読劇『SISTER』チケット情報弟の成長を見守る姉と、そんな姉を煙たがりながらも頼りにしている弟。そんなどこにでもいそうな姉弟の会話を中心に、物語は衝撃のラストへと向かっていく。「私は脚本を読んだ時に、“清々しい”という印象を受けました。というのもこのふたりは姉弟なので、男女の恋愛のように取り繕う必要がないんですよね。無条件にすべてを受け入れる関係性だからこそ、とても清々しい。ただこの姉の立場で弟に言うことが、とても残酷にも思える瞬間があって。そしてそれこそがこの作品全体の死生観であり、死を感じることで逆に生を強く感じる。生きていくということと温かく向き合える作品だなと思います」。今夏上演の『グローリアス!』でスズカツの現場を経験したばかりの彩吹。「やる側に猶予を与えてくださり、やりたいことを存分にやらせてくださる」とその稽古を振り返る。しかしスズカツの書き下ろし、かつ朗読劇ゆえ稽古期間は1日のみという本作では、また違ったアプローチを要することになりそうだ。「やっぱりご自身が生み出したものに対する信頼感を強く感じるんですよね。スズカツさんの中では100パーセントの素材があって、あとは誰がどう演じても自由だよっていう自信を。つまりこのセリフを読んでいれば絶対に姉になれると思うので、今回自分からこうしたいといったことはあまり加えないようにしたいなと思います」。彩吹にとって唯一の共演者にして、弟役を演じるのが橋本淳。「やっぱり橋本さんとの姉弟なので、自分の中だけでつくり込むのではなく、ふたりの空気感、ふたりが姉弟なんだなって匂う何かを醸し出せたらいいですよね。橋本さんとの共演は初めてですが、一度ご挨拶させていただいた時、この方が弟だと想像したら勝手にしっくりきてしまって(笑)。すごく自然体な、シンプルな感じが私と似ているなと。きっと弟役に関してもほぼ等身大で演じられるでしょうし、ご一緒するのがすごく楽しみです」。彩吹&橋本以外に、今回は7組のキャストが出演。「いろんなキャスティングでやれる面白さがこの作品にはあると思いますし、他のペアの方の公演も観ていただけたら、きっと面白さが倍増すると思います」。公演は10月23日(月)から26日(木)まで東京・博品館劇場にて。取材・文:野上瑠美子
2017年10月23日7月に東京で初日を迎え、大好評を得たミュージカル『ビリー・エリオット』の大阪公演が10月15日、大阪・梅田芸術劇場メインホールにて開幕した。ミュージカル「ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~」チケット情報本作は、映画『リトル・ダンサー』をもとに、映画版脚本家のリー・ホールが脚本・歌詞を、監督スティーヴン・ダルドリーが演出を手がけ、エルトン・ジョンが音楽で加わりミュージカル化したもの。2005年にロンドン・ウエストエンドで初演され、翌年の英国ローレンス・オリヴィエ賞4部門を受賞したほか、ブロードウェイでもトニー賞10部門を受賞するなど、全世界で80以上の演劇賞を獲得している大ヒット作だ。舞台は1984年のイギリス、炭鉱不況に喘ぐ北部の町ダラム。ひょんなことからバレエに出合い、才能を見出された11歳の少年・ビリーが、周囲の反対を押し切って名門ロイヤル・バレエ・スクールの受験を目指す姿が描かれる。厳しい社会情勢の中でもがく大人たちの傍らで、ときには感情を爆発させながら、まっすぐな気持ちでバレエと向き合うその懸命な姿が、観る者の涙を誘う。公演初日を前に行われた囲み取材では、1346人の中からビリー役に選ばれた加藤航世、木村咲哉、前田晴翔、未来和樹、山城力の5人と、お父さん役の吉田鋼太郎が登場。吉田の印象をビリー役の5人は「最初は怖かった」と口をそろえるが、「舞台に出る前に“イキイキしていこうな!”って言ってくれるから、楽しく演じられる」(木村)、「本番前の“よし、行こう!”という吉田さんのお言葉でスイッチが切り替えられる」(山城)と語るなど、吉田は舞台袖でも父親のような存在だ。一方、公演を重ねるごとに成長し続ける5人を見て吉田は「本当にうまくなった!ダンスと歌はレッスンをすれば進歩があるけど、お芝居は相手とのコミュニケーションが重要。心で会話することを分かってきて、本当にお芝居が上手になった。今や保護者というよりも戦友のような存在です。彼らに勉強させてもらっています」と称える。そして、「誇張なしで、彼らの歌、踊り、芝居、すべてのレベルが非常に高いので、すべてのシーンが見どころです。大人が観ても何か忘れてしまったものはないか、やり残したことはないか、もう一回頑張ってみれるんじゃないかという気持ちにさせてもらえるし、ショーとしても素晴らしい。いろんなものを持ち帰っていただける作品です。これを観なかったら、観る芝居はないです!」と、力を込めて魅力を語った。ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』は、11月4日(土)大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。
2017年10月17日10月11日、東急シアターオーブ エントランス特設会場にて「ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド2017」お披露目ミニライブが開催された。【チケット情報はこちら】本公演は、巨大ツリーや渋谷の街並み、氷の世界などの豪華なセットをバックに、誰もが口ずさめるクリスマスソングの数々をブロードウェイで活躍するシンガーたちの歌、一流ダンサーたちによる迫力溢れるダンスにタップ、さらには華麗なアイスショーによって披露される夢の舞台。昨年日本に初上陸、“劇場”で最高のクリスマス気分が味わえると話題になり、今年も上演が決定。この日登場したのは、2年連続で応援サポーターを務めるフィギュアスケーターで女優の本田望結とホテルの料金比較サイト「トリバゴ」のCMをきっかけにバラエティ番組への出演やMC番組も決まるなどブレイク中のシンガーソングライター、ナタリー・エモンズ。昨年、自身の振り付けでスケートショーを披露した本田は、「今年も参加できるのがすごく楽しみです!昨年はキャストの皆さんが作られているシーンや物語を私が演技する中で壊してしまわないように気をつけて踊ったのですが、今年は一層皆さんと一体感を持って滑れるように頑張りたいです。」と目を輝かせながら意気込みを語った。また今年のショーにシンガーとして出演することが決定したナタリー・エモンズは『レット・イット・スノー』、『All I want for Christmas is you 恋人たちのクリスマス』の2曲を披露。伸びやかで華やかなその歌声に、会場中が一気にクリスマスムード一色に。本田も「歌声がものすごくキレイ!吸い込まれそうだった」とウットリ。ナタリーは今回の出演に「歌うこともクリスマスも大好き!アメリカのクリスマスショーを日本の皆さんとシェアできるのが嬉しいです。」とCMと同様の流暢な日本語で話し観客を和ませた。司会から「今年の公演での楽しみは?」と聞かれ、ナタリーは「望結ちゃんのスケートショーを見るのが楽しみ!」とコメント。本田も「ナタリーさんの歌声を今度はシアターオーブの会場で聞けるのが本当に楽しみです!」と答え、ふたりとも期待に胸を弾ませていた。げきぴあでは本田望結とナタリー・エモンズの対談を掲載中。気になる方は下記関連リンクよりご確認を。クリスマスショー「ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド」は12月15日(金)から25日(月)まで、東京・東急シアターオーブで上演。チケットの一般発売は10月14日(土)午前10時より。取材・文:ミカマイコ■ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド2017日程:12月15日(金)~25日(月)会場:東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11階)(東京都)料金:【平日】S席8,800円 / A席5,800円(ともに税込)【土日祝】S席9,800円 / A席6,800円(ともに税込)
2017年10月13日アミューズの若手俳優によるファン感謝祭、通称『ハンサム』が今年も12月25日(月)から27日(水)まで東京・TOKYO DOME CITY HALLで行われる。2005年に始まり、三浦春馬や佐藤健らも参加してきた年末恒例行事が、今年は『HANDSOME FILM FESTIVAL 2017』と題し、新たなチャレンジを行う。小関裕太、富田健太郎、正木郁、溝口琢矢に話を聞いた。HANDSOME FILM FESTIVAL 2017 チケット情報昨年までのLIVE中心から、フィルム(映像)が中心となる今年の『ハンサム』。脚本・構成に鈴木おさむを迎え、映像クリエイター7人とコラボレーションしてつくる映像とともに企画を展開するといい、彼らの本業・俳優の姿が全面に出る内容になりそうだ。今年の出演者は、石賀和輝、石原壮馬、太田将熙、甲斐翔真、金子大地、神木隆之介、小関裕太、富田健太郎、正木郁、松岡広大、溝口琢矢、吉沢亮(※石賀は25日、松岡は26日のみの出演)。20~24歳(公演時)という同世代が揃った。小関は「今回は“僕らの時代”という気持ちがすごくあります。先輩方から受け継いでいるもの、ハンサムへの愛も持ちながら、ワクワクする新しいハンサムのあり方を、この年代でつくりたいです」。映像で共演することを「楽しみ」と語る4人。溝口は「初めに“フィルム”って聞いたときは普段の仕事と一緒だと思いました。でもそうじゃない。鈴木おさむさんと映像クリエイターの方々というものすごいお力添えに対して、経験の浅い僕らはきっと全員で“一枚岩”となって戦うことでやっと成立するんじゃないかと思うんです。通常、映像の仕事で共演者に関与するってほとんどないので、(“一枚岩”になることで)普段とは全く違うカタチで取り組めると思います」。富田も「先輩方のような経験値がない分、軽はずみな気持ちでやるとどうしようもない作品になってしまう可能性もあるわけで。だけど一歩引くようなことはせず、全力でぶつかり合っていいものをつくりたい。そうしたらこの年代にしかできない何かが生まれるんじゃないかな。そこにすごくワクワクします!」。この10月でアミューズに入って2年の正木は「去年のハンサムは僕にとって全てが挑戦で、精一杯でした。まだやっぱり経験は浅いですが、年代は同じなので。新人っていう枠に甘えたくないですし、負けたくない。今年も新しいことにぶつかりながら、ハンサムを愛してくれる人に、僕なりの感謝やしあわせを届けていけたらと思います」。それに対して芸歴が長い小関は「対等でいたいです。『こうしたほうがいいんじゃない?』って言われたいし。逆に隆さん(神木)は尊敬する先輩だけど、ここでは真っ向からいくつもりです!」と笑顔を見せた。公演は12月25日(月)から27日(水)までTOKYO DOME CITY HALLにて。チケットぴあでは10月13日(金)11:00から15日(日)23:59まで、二次プレリザーブを受付。取材・文:中川實穗
2017年10月12日劇団四季のミュージカル『オペラ座の怪人』が、12月27日(水)より6年ぶりに京都劇場で上演される。2015年より演出スーパーバイザーを務める北澤裕輔に、作品への思いや京都公演にかける意気込みを聞いた。劇団四季「オペラ座の怪人」チケット情報本作は、ガストン・ルルーの同名小説をもとにしたミュージカルで、パリ・オペラ座の地下に棲み、歌姫クリスティーヌに恋をする“怪人”の悲しい愛を描いた物語。『キャッツ』や『エビータ』なども手がける“21世紀のモーツァルト”アンドリュー・ロイド=ウェバーによる、美しくも重厚な旋律で紡がれる人気作だ。北澤も本作の楽曲に魅了され、劇団四季に入団したという。「元々、音楽大学でオペラ歌手を目指していたこともあり、クラシックに近い、オペラのような曲があることが、僕の琴線に触れました。全曲歌いたいし、聴いていたいと思える作品ですね」。四季入団後、同作ではアンサンブルから始まり、オペラ座の新しいスポンサーのラウル・シャニュイ子爵、支配人ムッシュー・アンドレなどを演じてきた北澤。演出スーパーバイザーとして関わる今、「ますます作品への愛が深まっている」という。「俳優として出ていると、演じることに一生懸命なので、本当の素晴らしさに気付いていなかったのかもしれません。今は曲を聴いているのもワクワクするし、だからこそ作品の立体感や曲のよさを引き立たせたい。今の四季の俳優たちは全体的に歌唱のレベルが上がっているので、高度なことが要求できます。彼らのポテンシャルを最大限に引き出して、お客様を圧倒したいと思います」。醜い容姿を隠すために仮面をつけ、オペラ座の地下深くに身を潜める“怪人”。そんな彼が見せるクリスティーヌへの一途な愛が、胸を締め付ける。「好きという感情を通り越して、恥も外聞もなく愛するあの姿に惹かれますよね。そんな風に生きてみたい。2幕は怪人が必死であればあるほど、ラストシーンがより印象深くなると思うんです。だからそこは感情にまかせて、とにかく必死に愛して、出し切ってほしいと伝えています」。『ノートルダムの鐘』でも演出スーパーバイザーを務めた北澤。京都劇場は「横に広くなく、音をダイレクトに伝えやすいから、緊張感と迫力で魅せたい」と語り、「観たことがない方にはぜひ劇場で圧倒されてほしいし、観たことがある方にも“やっぱりすごい!”と思っていただけるように作っていきたい」と意気込みを見せた。公演は、11月19日(日)まで広島上野学園ホールにて、12月27日(水)より京都劇場にて上演。チケットは発売中。取材・文:黒石悦子
2017年10月11日2015年に日本に初登場し好評を博したミュージカル『タイタニック』が、2018年10月に東京・日本青年館ホール、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで再演される。本作は豪華客船タイタニック号沈没事故をもとにした物語で、1997年にブロードウェイで初演。『NINE』『グランドホテル』『ファントム』など、数々のヒットミュージカルを手がけたモーリー・イェストンの楽曲と、ピーター・ストーンの緻密なドラマが高い評価を得て、同年度のトニー賞で最優秀ミュージカル作品賞、最優秀ミュージカル脚本賞、最優秀作詞作曲賞、最優秀ミュージカル装置デザイン賞、最優秀編曲賞の5部門に輝いた傑作だ。日本人キャストをそろえて上演された日本版『タイタニック』は、『パジャマゲーム』や『グランドホテル』などの名作を手がけてきた気鋭の演出家トム・サザーランドが初めて日本で演出した作品。本作で登場するのは、設計士・アンドリュースをはじめ、乗船していた実在の人物たち。彼らが胸に抱いていた夢や希望をテーマに、それぞれの“人生”に着目した物語が描かれる。今回、加藤和樹、鈴木壮麻、藤岡正明、戸井勝海らが初演より続投するほか、石川禅、相葉裕樹、霧矢大夢ら実力派の新キャストが集結。また、現在絶賛上演中のミュージカル・コメディ『パジャマゲーム』会場では、同公演のアンケートにご協力いただいた方に、ミュージカル『タイタニック』の特別先行受付のご案内を送付。初演で大きな話題となった本公演、さらにブラッシュアップされたステージに期待しつつ、いち早く先行情報の入手を!
2017年10月11日10月8日、ミュージカル『レディ・ベス』が東京・帝国劇場で開幕した。『エリザベート』『モーツァルト!』などのクリエイター、ミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイが脚本と音楽を手がけ、日本ミュージカル界が誇る鬼才・小池修一郎が演出し2014年に同劇場で世界初演された作品の待望の再演。初日直前の7日にはメインキャストである花總まり、平野綾、山崎育三郎、加藤和樹が取材に応じ、その魅力と意気込みを語った。ミュージカル『レディ・ベス』チケット情報約45年もの長きにわたり女王として君臨し、イギリスに繁栄をもたらしたエリザベス1世。その女王即位までの波乱にとんだ半生を、知られざる恋なども絡めながら描き出す歴史ロマン大作。主人公であるレディ・ベス(エリザベス1世)は花總と平野が、そしてその恋の相手であるロビン・ブレイクは山崎と加藤がダブルキャストで演じる。好評だった初演キャストがほぼ続投となる再演だが、「初演かのような濃密さでお稽古してきました。いろいろと変更点もあり、新しい『レディ・ベス』をお客さまにお見せできる日がいよいよ来たんだなとドキドキしています」と花總。平野も「新曲もありますし、ずいぶんブラッシュアップされました。登場人物ひとりひとりの心情が繋がっている。ベスも、親子の関係性、家族間の問題、当時のイギリスの情勢が掘り下げられ、それによってロビンとの恋が浮き彫りになってきています」と、初演との違いをアピール。ロビン役のふたりも「ショーアップされていたところが演劇的になり、お芝居の要素が強くなった。前回から比べてかなり濃密な、深みのある『レディ・ベス』になっています」(山崎)、「この物語のテーマは『自由とは何なのか』と『自分は何者なのか』。そこを、演出の小池さんが、それぞれの役に対して明確に与えてくれている」(加藤)と語り、充実の再演となっている様子を話した。近年、映像での活躍も目覚しい山崎は、本作が今年初の舞台出演。山崎は「1年ぶりに舞台の世界に戻ってきて、みんな声デカイな、ミュージカル俳優ってこんな大きい声で喋ってるんだ!と思った(笑)。でも僕はここ(舞台)で育ち、ここがホームグラウンド。ミュージカルに縁のなかった方にもご覧いただいて、これがミュージカルなんだぞという素敵なものをお届けできれば」と心境を語っていた。公演は11月18日(土)まで同劇場にて上演。その後大阪公演もあり。10月25日(水)18:00、11月11日(土)17:00、11月13日(月)18:00はぴあ半館貸切公演、こちらのチケットも発売中。
2017年10月10日大阪が世界に誇る伝統芸能「文楽」の魅力をもっと多くの人に届けたいと、2015年にスタートした『うめだ文楽』。20代から40代の若手技芸員たちによる熱演や、テレビ局が主催する公演ならではの、バラエティ豊かなゲストと技芸員によるトークショーも親しみやすいと好評だ。「うめだ文楽2018」チケット情報毎公演、世代やジャンルを問わず多彩なゲストが登場するトークショー。今回は落語家の桂南光、ヴァイオリニスト・作編曲のNAOTO、モデル・アーティストの三戸なつめ、タレントの石田靖、作家の三浦しをんに決定。公演回ごとにさまざまな目線で文楽の魅力を知ることができそうだ。4度目の開催となる今年は、『傾城恋飛脚~新口村の段~(けいせいこいびきゃくにのくちむらのだん)』を上演。近松門左衛門の『冥土の飛脚』を改作したもので、実際に起こった横領事件をもとにした、歌舞伎でも上演される人気作だ。「新口村の段」は遊女梅川を身請けするため300両の金を横領した忠兵衛が、実父・孫右衛門の住む大和国・新口村へと逃げていく場面から始まる。梅川の孫右衛門を思いやる気持ち、目隠しで対面を果たす父と子など、涙なしには見られない『傾城恋飛脚』のクライマックス。降りしきる雪の中を追っ手から逃れようとする忠兵衛と梅川、美しくも悲しいふたりの姿は必見!『うめだ文楽2018』は、2018年2月2日(金)から4日(日)まで大阪・グランフロント大阪 北館4F ナレッジシアターにて開催。チケットは10月28日(土)10:00より一般発売開始。
2017年10月10日2016年、石丸幹二主演、ヒロインに安蘭けいを迎え、ガブリエル・バリー潤色・演出の新バージョンとして世界初演されたミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』が今秋、早くも再演される。フランク・ワイルドホーン作曲による愛と勇気の冒険活劇は1997年にブロードゥエイで初演。2008年には小池修一郎演出により宝塚歌劇で初演され、安蘭は当時星組男役トップスターとして主演を務めている。ガブリエル・バリーはこのことを尊重し、本作の初演では彼女のために“見せ場”が設けられたほど。安蘭に再演への思いを聞いた。ミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」チケット情報1789年、フランス革命勃発。元貴族らが次々と処刑される恐怖政治が続くなか、イギリス貴族のパーシー(石丸幹二)はフランスの有名女優だった妻マルグリット(安蘭けい)に内緒で仲間と「ピンパーネル団」を結成、無実の人々を救うため暗躍する。フランス政府特命全権大使ショーヴラン(石井一孝)は“元同志”で恋人でもあったマルグリットにピンパーネル団の素性を探って欲しいと囁くのだが……。マルグリット唯一の肉親で最愛の弟アルマン(松下洸平)を巻き込みながら、疑心と愛憎渦巻く物語がスリリングに展開する。夫と元恋人の間で揺れ動く三角関係が肝の話かと思いきや、安蘭マルグリットの見解は少し違うよう。「活動家でもあったマルグリットは信念のある強い女性。ショーヴランに対しては今も昔も同志以上の想いはなかったと思います。一方、パーシーとは出会って6週間のスピード婚だったので一目惚れだったのかな。女性としての気持ちが芽生え、初恋のように弱い部分が出てしまう。また、原作にはパーシーが英国一のお金持ちであったため、セレブ生活に憧れたマルグリットが打算的に結婚したことも描かれていて、なるほどなと。マルグリットも普通の女性なんだなと思ったら、面白く演じられそうだと思いました」初演の際、演出のガブリエルは安蘭が宝塚版初演でパーシーを演じたことを尊重し、「ファンの期待に応えたい」と急遽、マルグリットに歌と立ち回りの場面が追加されたと明かす。「(宝塚版パーシーの劇中歌)『ひとかけらの勇気』は歌詞を変えて数フレーズのみでしたが、私の声であのメロディを聴けてゾワゾワした、と喜びの声も頂きました。終盤の立ち回りはまさかの二刀流!あまりに強くて場面を少し削ったほど。マルグリットの役柄に必要な要素かも悩みましたが、最後はファンサービスの意味も込めて戦い切りました(笑)」。再演では石丸さち子が演出に加わり、ピンパーネル団の顔ぶれも一新される。「繊細に役を深めつつ、石丸(幹二)さんとも相談しながらパワーアップした内容でお届けしたい。前回チケットが入手できなかった方も大勢いらしたので、この機会にぜひご覧頂ければと思います」大阪公演は11月13日(月)から15日(水)まで梅田芸術劇場メインホールにて、東京公演は11月20日(月)から12月5日(火)までTBS赤坂ACTシアターにて上演。チケットは発売中。取材・文:石橋法子
2017年10月10日「現代演劇ポスター展2017-演劇の記憶、時代の記憶、デザインの記憶、都市の記憶」が、渋谷ヒカリエ・渋谷キャスト・アツコバルーで開催される。期間は、2017月12日21(木)から2018年1月10日(水)までを予定している。「現代演劇ポスター展2017」は、ポスターを貼る事で“街”と“演劇”と“デザイン”と“観客”を繋げてきたポスターハリス・カンパニーの30周年を記念して開催されるもの。ポスターハリス・カンパニーが所蔵する、2万点にも上る現代演劇のポスターコレクションから、厳選した約300点を渋谷に点在する3つの会場に展示する。3つの会場を行き来し、周遊することもある意味の“展覧”。まさに渋谷の街全体を巻き込んだ展覧会だ。展示されるポスターは、宇野亞喜良や横尾忠則をはじめとする名だたるグラフィックデザイナーの手掛けた、現代美術として評価の高い作品が多数を占める。そこからは、当時の時代性や世相、演劇、デザインの歴史を感じることができるだろう。なお、会期中は、演劇人やデザイナーなど多彩なゲストを招いてのトークショーやイベントも開催予定となっている。【詳細】「現代演劇ポスター展2017-演劇の記憶、時代の記憶、デザインの記憶、都市の記憶」会期:2017年12月21日(木)~2018年1月10日(水)※1月1日は休業日場所:・ヒカリエホールホールB住所:渋谷区渋谷2-21-1渋谷ヒカリエ9階・渋谷キャスト スペース住所:渋谷区渋谷1-23-21渋谷キャストGF・アツコバルー arts drinks talk住所:渋谷区松濤1-29-1 クロスロードビル5F料金(3会場フリーパス):前売一般 1,300円、大学生 500円、当日/一般 1,500円、大学生 700円、高校生以下無料チケット発売日:未定 ※詳細は後日HPに掲載。問い合わせ先:ヒカリエホール03-5468-5088
2017年10月08日Kバレエカンパニーの新作『クレオパトラ』が開幕。これまで様々な全幕バレエに魅力的な再振付を施してきた熊川哲也が、満を持して、原作のない完全オリジナルの全幕作品創作に挑んだプロダクションだ。10月6日(金)の初日に先立ち、リハーサルの一部が公開された。Kバレエカンパニー「クレオパトラ」チケット情報第1幕第1場冒頭。舞台は紀元前1世紀、エジプトの首都アレクサンドリアの王宮の居間だ。山本雅也演じるプトレマイオス13世は、あどけない少年の風情。3人の官僚が彼の後見人として剣を教えるが、プトレマイオスにはまだ王としての自覚や能力が身についていない様子。そこに、中村祥子扮するプトレマイオスの姉で妻のクレオパトラが侍女たちを従えて現れる。その威厳に圧倒されるプトレマイオス。クレオパトラに太刀打ちできない彼の弱さが、踊りを通して浮き彫りになっていく。力なく去るプトレマイオスを尻目に、クレオパトラたちは、エジプト絵画さながらの横向きのポーズや独特の手つきで、妖しくエキゾティックな踊りを展開――。公開はここまでだったが、この先、クレオパトラとプトレマイオスの権力争い、カエサルやアントニウスとの恋愛などがどう描かれるのか、気になるばかり。デンマークの作曲家カール・ニールセンの劇的な音楽、斬新な空間使いが特長的なダニエル・オストリングの美術、華麗な中に現代的感性も光る前田文子の衣裳など、見どころ聴きどころは多そうだ。その後の囲み会見で熊川は本作創作の理由を「カンパニーを立ち上げて18年。バレエ団のレパートリーを蓄えていくという使命が、古典芸能を担う人間にはあります。バレエには古典と言えるものが、18世紀後半から1900年代頭までに作られた10数作と、オペラや音楽に比べて少ない。バレエを継承し、裾野を広げていく上では、新しいものにチャレンジしなければなりません」と説明。また、今回挑んだ異国情緒あふれる動きについて「エジプトの民族舞踊にもざっと目を通しましたが、バレエとはやはり違うので、それよりも、自分が培ったセンスや先人たちからお教えいただいたマナーなどを集約してひとつのピースにしました」とし、クレオパトラ像に関しては「国家を背負う女王という運命を背負った女性の賢さ、美しさを表現できればと。最終的には人間だから、そこに情や愛が存在しないといけませんが、愛され魅了されるべき女性に仕上がったのではないかと思います」と述べた。「ご覧いただいたのは作品のごく一片ですが、その後、ナイル川を渡る舟に乗ったり、オクタヴィアヌスがアントニウスを追って鬼気迫るバトルフィールドを展開したりと、興奮せざるを得ないシーンが続きます。満足できる作品が仕上がりました。Kバレエカンパニーから世界に発信できるレベルのものを作ることができたことを誇りに思います」と語る熊川の表情には、手応えと興奮が表れていた。熊川哲也 Kバレエカンパニー Autumn Tour 2017「クレオパトラ」は10月6日(金)、東京・オーチャードホールで開幕。取材・文:高橋彩子
2017年10月06日宝塚歌劇星組公演ミュージカル『ベルリン、わが愛』、タカラヅカレビュー90周年『Bouquet de TAKARAZUKA(ブーケ ド タカラヅカ)』が9月29日、兵庫・宝塚大劇場で幕を開けた。宝塚歌劇星組『ベルリン、わが愛』/『Bouquet de TAKARAZUKA(ブーケ ド タカラヅカ)』チケット情報『ベルリン、わが愛』は、ハリウッドと並ぶ映画の都として栄華を誇った1920年~30年代のドイツ・ベルリンが舞台。ナチスの圧力が強まる中で、理想と現実の狭間で苦悩する映画人たちの姿をドラマチックに描いた物語だ。階段にズラリと座って映画館の客席を表現したり、モノクロ映像を効果的に取り入れるなど、凝った演出でも楽しませてくれる。サイレント映画からトーキーへと移り変わる頃。倒産の危機に瀕しているドイツ随一の映画会社UFAでは、低予算で大衆が喜ぶ娯楽作品を製作することに。そこで名乗りを上げたのが、トップスター紅ゆずる(くれない・ゆずる)演じるテオ・ヴェーグマン。彼は歌入りトーキー映画を格安で製作し、必ずヒットさせるとプロデューサーに約束する…。信頼する仲間と共に、「大衆が喜ぶもの」を作り上げていくテオ。どんなことがあっても揺らがない映画への熱い想いや、目的を共にする仲間を大切にする様は、舞台を愛し、星組を率いる紅の姿にも重なる。トップ娘役・綺咲愛里(きさき・あいり)演じる女優ジル・クラインとのロマンスや、礼真琴(れい・まこと)演じる絵本作家エーリッヒ・ケストナーとの友情は、ナチスが社会に暗い影を落とす緊迫した状況の中で、より温かく、強い絆として浮き立って見える。綺咲が演じるジルは、自信を持てないレビューガールから、テオによって秘めた実力と美しさを引き出され、一躍注目を集める。ジルが内面から成長していくその様を、綺咲は初々しさをまといながら繊細に表現している。礼のエーリッヒは、柔らかい空気感。テオとは強い信頼関係を持ち、お互いに支え合っているような存在だ。また、専科の凪七瑠海(なぎな・るうみ)は、ナチス宣伝全国指導者のヨーゼフ・ゲッベルス役。表情を変えずに淡々と、冷酷な人物として時にゾクッとするような存在感を放っている。第二幕のレビューは、“タカラヅカレビュー90周年”のステージとして、パリのレビューを中心に、華やかなムードで展開。『モン・パリ』などの名曲と共に、幻想的なシーン、ポップなシーン、ジャジーで大人っぽいシーンなど、多彩に繰り広げられていく。クラシカルでありながら、新鮮な演出も取り入れたステージで、紅をはじめ、星組生の個性がキラリと輝きを放っている。11月6日(月)まで兵庫・宝塚大劇場にて上演中。東京公演は11月24日(金)から12月24日(日)まで東京宝塚劇場にて。東京公演のチケットは、10月22日(日)10:00より一般発売開始。取材・文:黒石悦子
2017年10月06日12月27日(水)より6年ぶりに京都劇場で上演される劇団四季『オペラ座の怪人』。開幕に向けて、9月28日、劇中ナンバーの披露と合同取材会が金剛能楽堂にて行われた。劇団四季「オペラ座の怪人」チケット情報本作は、フランスの作家ガストン・ルルーの同名小説を原作に、パリ・オペラ座の地下に棲み、歌姫クリスティーヌに恋をする“怪人”の悲しい愛を描いた物語。“21世紀のモーツァルト”と称されるアンドリュー・ロイド=ウェバーが楽曲を手がけた名作で、劇団四季では1988年の東京初演以来、総公演回数6877回を数える人気演目だ。2002年には京都劇場のこけら落とし公演として上演され、同劇場では今回が6年ぶり3度目の上演となる。合同取材会では、演出スーパーバイザーの北澤裕輔とクリスティーヌ・ダーエ役の候補苫田亜沙子が登壇。「本作が大好きで劇団四季に入団した」という北澤は、クリスティーヌの恋人ラウル・シャニュイ子爵などを演じた後、2015年より本作の演出スーパーバイザーとなった。「『オペラ座の怪人』は、楽曲も構成もすべてが完璧だと思っています。演出としては、台本に書かれている楽曲の正確性を一番大事にしたいです」(北澤)。また、『オペラ座の怪人』で初舞台を踏み、クリスティーヌを10年以上演じているという苫田は、「この作品はどこを切り取っても美しいなと思います。20代の頃より30代になった今のほうが、随所により繊細な美しさを感じます。衣裳、舞台美術、すべてが美しいのですが、物語の内容自体がとても美しい。演じるたびにその魅力を感じさせてもらえる作品だなと思います」と作品の魅力を語る。それぞれに印象的な曲やシーンを尋ねると、「クリスティーヌがコーラスガールからメインキャストに上り詰めるシーンで歌う『シンク オブ ミー』という曲が大好き。シーンとしてはやはりラストシーン、クリスティーヌが去ってしまうところでいつも泣いてしまいます」と北澤。苫田は「2幕の『墓場にて』というソロナンバー。その一曲でクリスティーヌはすごく成長するんです。すごく好きでやりがいがあるなと思っています。2幕最初の『マスカレード』という華やかなシーンは、ぜひ楽しんで観ていただければと思います」とコメント。合同取材後、怪人役候補のひとり村 俊英が『ザ・ミュージック・オブ・ザ・ナイト』を能舞台で披露。優しくも切ない、情感あふれる歌声で歌い上げた。公演は、11月19日(日)まで広島上野学園ホールにて、12月27日(水)より京都劇場にて上演。広島公演のチケットは発売中。京都公演は10月7日(土)10:00より一般発売開始。一般発売に先駆け、10月6日(金)12:00より「ぴあスペシャルシートS1席」の先行先着プリセールを実施。取材・文:黒石悦子
2017年10月06日11月13日(月)に開幕するミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』の公開稽古と囲み取材が行われ、取材には主演の石丸幹二、安蘭けい、石井一孝、演出の石丸さち子が登壇した。ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』チケット情報本作は、昨年秋にガブリエル・バリー潤色・演出のもと、石丸幹二主演で上演された作品の再演。ブロードウェイ版をベースにフランク・ワイルドホーンの新曲が加わり、“世界初の新バージョン”として好評を博した。1年ぶりの上演となる今作は、新キャストが加わり、演出は石丸さち子が手掛ける。物語の舞台は、フランス革命直後、新政府が元貴族らを次々と処刑する恐怖政治が続くフランス。イギリス貴族・パーシー(石丸)は「ピンパーネル団」を結成し、無実の人々を断頭台から救う活動をしているが、そのことは妻・マルグリット(安蘭)さえも知らない。そんなピンパーネル団の素性を暴こうとフランス政府特命全権大使・ショーヴラン(石井)は執念を燃やす――。公開されたのは、マルグリットに対して夫・パーシーを裏切るよう迫るショーヴランと、そこにとぼけて現れるパーシーという1シーン。芝居、歌唱によって、三者の絡み合う思惑が鮮やかに伝わってくる。最後にピンパーネル団ら全員で歌うシーンは迫力満点で、5分ほどの場面ながら作品の魅力が詰まった公開稽古となった。石丸幹二は稽古について「前回もこの3人でやったシーンですが、1年経ってそれぞれの変化が見えて。今後ほかのシーンも同じようなことが起こるのではないかと期待しています」と手応えを感じた様子。石井は「僕はニコリともしない役なのに、幹二さんが面白いこと言ってくる。笑いを我慢する日々がまた来るんだなと思いました。安蘭けいちゃんもときどき差し込んできますからね!」と笑顔。本作の宝塚歌劇団による日本初演(2008年)でパーシーを演じた経験もある安蘭は「パーシーの台詞を聞いて懐かしさを感じました。『私、もう今は女なんだな』『あの頃には戻れないんだな』と思いました(笑)」と、世界で初めてパーシーとマルグリット二役を演じた女優ならではの感想も。前回は演出補佐として参加し、今作で演出を手掛ける石丸さち子は「前回、ガブリエルさんと苦労してつくりましたので、そこは本当に大事に守りたいです。でも今日、読み合わせをしたら、新しいメンバーが入ることですごく新しい風が吹いてきた。それを生かしながら、知恵と勇気でこの時代を戦う素晴らしい物語を、一致団結して新たにつくりあげたいです」。公演は、11月13日(金)から15日(水)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホール、11月20日(月)から12月5日(火)まで東京・TBS赤坂ACTシアターにて。取材・文・撮影:中川實穂
2017年10月05日10月5日(木)に開幕する、劇団四季『ソング&ダンス65』の公開舞台稽古が3日、東京・自由劇場で行われた。来年2018年に創立65周年を迎える四季の記念公演である。劇団四季「ソング&ダンス65」チケット情報『ソング&ダンス』シリーズは、これまでも劇団の節目ごとに上演されてきた、ショー形式のステージ。劇団のレパートリー作品を中心に、スタンダードナンバーやまだ日本上陸前のミュージカルナンバーなども盛り込み、劇中とは違うアレンジで魅せていく人気シリーズだ。幕開けは、平和への祈りを訴えかける『ウェストサイド物語』の「サムホエア」。今回のコンセプトは「劇団四季の誕生から未来」「祈り」「願い」とのことだが、その思いがダイレクトに伝わってくるナンバーだ。その後も『ライオンキング』『コーラスライン』『ウィキッド』『リトルマーメイド』『クレイジー・フォー・ユー』と、四季が誇る人気作が畳み掛けるように登場。楽器演奏や、シリーズでは初の試みであるフラメンコへの挑戦もあり、様々な角度から、“今の劇団四季”が楽しめる。中には、今年5月に逝去した劇団創立メンバーのひとり、日下武史さんを偲ぶ場面もあり、65年という歴史の重み、そして俳優たちの舞台へかける思いまでもが伝わってくる。2幕では『アラジン』といったディズニー・ミュージカル、『キャッツ』『オペラ座の怪人』などのロイド=ウェバー作品を中心に展開。劇団四季らしい、そして劇団四季にしかできない、これぞといったシーンが続いていく。このシリーズは2000年の『ソング&ダンス オーヴァー・ザ・センチュリー』から、構成・振付・演出を加藤敬二が担ってきたが、今回は新たに脇坂真人、松島勇気、永野亮比己という3人の俳優が振付に参加して作り上げているのも注目ポイント。「もっと劇団の中でクリエイターが育たなきゃいけないんじゃないかと思いました。現役でバリバリ踊っている人たちが、どんどんそういう仕事をしていくことは、劇団にとって必要なこと。思った以上にそれぞれの個性が出ていて、とても面白いリハーサル期間でした。65周年以降の劇団の大きな財産になっていくんじゃないかと思います」と加藤。四季の長い歴史の中に、確実に新しい一歩を刻む記念公演。ファンならずとも、必見だ。東京公演は11月26日(日)まで同劇場にて上演。その後2018年4月より、全国各地での上演を予定している。
2017年10月04日ぴあが毎号特別編集にて、演劇&ミュージカルの最新情報を発信するフリーペーパー『ステージぴあ関西版』。生活の豊かさを求める“大人のリスナー”に向け、常にクオリティーの高い情報を提案する『FM COCOLO 765』。このふたつがコラボレーションし、FM COCOLO DJ加美幸伸の人気プログラム「THE MAGNIFICENT FRIDAY」内にて、全く新しい演劇専門コーナー「ステージぴあSPOT-LIGHT(スポットライト)」をスタートする。FM COCOLO「ステージぴあ SPOT-LIGHT(スポットライト)」番組情報同コーナーでは、毎週おすすめの作品にスポットライトを当て、出演者や作・演出家などにインタビューしたり、時にはチケット先行受付やモニター招待などリスナーにお得な情報も発信予定。演劇フリークからビギナーまでが楽しめる耳寄りな情報をたっぷりとお届けする。10月6日(金)の第一回放送では、話題騒然のミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』に出演する柚希礼音が登場!公演の魅力を余すことなく紹介する。自身も大の演劇好きであるDJ加美とのトークだからこそ、より公演を面白くさせる見どころが聞けたり、裏話も飛び出すはず!オンエアを楽しみに待っていてほしい。【番組概要】10月6日(金)スタート■FM COCOLO THE MAGNIFICENT FRIDAY「ステージぴあ SPOT-LIGHT(スポットライト)」【放送日時】 毎週金曜15:20~15:40【DJ】 加美幸伸【ゲスト(10/6(金))】 柚希礼音(ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』出演)
2017年10月03日ミュージカル「HEADS UP!」の製作発表及びミニライブが9月26日、東京都内にて行われた。ミュージカル「HEADS UP!」チケット情報本作は、ラサール石井が構想を10年温めていたという、舞台のスタッフに焦点を当てた、日本発オリジナルのバックステージミュージカル。舞台の仕込みからバラしまで全てを見せるという構成は「バラしまで見せると物悲しい展開になるのでは」と、脚本家・倉持裕に懸念を抱かれながらも、最終的にはすごく希望のある展開の作品に。大反響を呼び、第23回読売演劇大賞演出家部門優秀賞を受賞している。2年ぶりの待望の再演ということで、今回のイベントには、ほぼ全キャスト及びクリエイターが参加。最初のミニライブでは、「劇場で起こること」「HEADS UP」「チケットは売れている」「古い劇場」の4曲をスペシャルメドレー形式で披露。舞台への期待を盛り上げた。初演から2年経つが「毎日のLINEが絶えない」(芋洗坂係長)というほどに仲の良いカンパニー。今回から参加という池田純矢とオレノグラフィティ、外岡えりからは「皆さんと一緒に並んでいることが夢のようで、愛がすごく詰まった作品なので、その作品の一員として必死に食らいついていきたい」(外岡)と身を引き締めた。2年前の初演が初ミュージカルだったという哀川翔は、本作にかける思いもひとしお。「ここ(製作発表会場)にいらっしゃる方にも是非見てもらいたい」と作品をアピール。中川晃教や橋本じゅん、今拓哉らは、本作の可能性について述べる場面も。「こういうオリジナルのミュージカルが、日本から生まれるというドキドキワクワクを体験できたということが、自分にとっての何よりの財産でした」と中川が述べると、橋本、今らも「この作品が今後のスタンダードとなってほしい」(今)と続いた。原案・作詞・演出を手がけるラサールは、「初演を見ていただいた方にも『ああ、これこれ!』と喜んでいただけるようにしたいので、ものすごく変えるつもりはないが、お客様にわからないくらいのところを“実は良くなっている”という風にブラッシュアップをしていきたい」と再演に向けて意気込んだ。「見ていただいたお客様にも、必ず帰りには一緒に歌っていただけるようなナンバーが沢山ある」(大空ゆうひ)という本作は、12月14日(木)から12月17日(日)まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 ホールにて上演。その後、富山、長野、大阪、名古屋を巡演後、2018年3月2日(金)から3月12日(月)まで東京・赤坂ACTシアターにて上演予定。チケットの一般発売は9月30日(土)午前10時より(大阪公演のみ11月18日(土)午前10時より)。
2017年09月29日今秋、2014年に上演、大好評を博したブロードウェイ・ミュージカル『アダムス・ファミリー』が再演される。橋本さとし、真琴つばさ、昆夏美、今井清隆ら続投キャストに加え、壮一帆、村井良大、樹里咲穂、戸井勝海、梅沢昌代らが新たに参加。パワーを増したステージを見せてくれるに違いない。中でも、ルーカスを演じる村井は前回に引き続き演出を担当する白井晃の作品に出演することを熱望していたと語る。【チケット情報はこちら】「白井さんの演出は、稲垣吾郎さん主演『No.9―不滅の戦慄―』が印象的でした。映画の1シーンのような雑踏の表現が素敵で。プレイヤーとしては、『趣味の部屋』が僕のベスト・オブ・ベスト。白井さんのコミカルでミステリアス、的確な芝居が勉強になりました。だから今回のお話は“ようやく来た!”。がんばってくらいついていきたいですね」ルーカスはアダムス家の長女・ウェンズデーのボーイフレンド。両親と共にアダムス家を訪ねるが、お化けである彼らの言動に翻弄され、ウェンズデーとの恋も暗雲がたちこめる。「とてもかわいらしい話なんですよね。爽快な音楽で、思わず楽しくなっちゃうナンバーも多い。でもすごく切なくてやるせなかったり、お化けと人間のギャップがシュールでおかしかったり。心に響く言葉も多くて、ぜひ家族やカップルで観てほしい作品です」ルーカスとウェンズデーのピュアな恋心も、ときめきと笑いが交錯する。「ふたりのかけ合いは、すごく変(笑)。ウェンズデーは人間の感覚からは相当ズレているし、ルーカスも“作家か検死官になりたい”っていうセンスの持ち主だし。第1幕ではウェンズデーに対してまっすぐで、男の子らしいところも見せるルーカスですけど、第2幕で少し雰囲気が変わる。そこからが、いかにもアメリカンで“楽しんだ者勝ち” なおもしろい展開なんですよ(笑)。これはぜひ、劇場で楽しんでいただきたいです」『アダムス・ファミリー』はチャールズ・アダムスが雑誌『ニューヨーカー』に発表した1コマ漫画を原作にTVドラマやアニメが作られ、1991年に製作された映画も大ヒット。日本でも映画に加えて車のCMに起用され、ゴシックかつポップなキャラクターとテーマ曲が子どもから大人まで幅広く知られるようになった作品。それがどのようにミュージカルとして調理されているのか、確かめたい人はぜひ劇場まで。公演は10月28日(土)から11月12日(日)まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉にて上演。10月1日(日)にはMARK IS みなとみらいにて制作発表&楽曲披露イベントの開催も決定。チケット発売中。取材・文:金井まゆみ
2017年09月28日2014年に帝劇で世界初演を迎え、美しく壮大な世界観と物語が絶賛を浴びた歴史ロマンミュージカル『レディ・ベス』。英国女王として45年間、君臨したエリザベス1世の若き日を描いた本作は、16世紀のイギリス、激動の時代の中で揺れ動く彼女の苦難、淡い恋、そしてひとりの女性として生きる道を描いた大作だ。この秋には待望の再演が決定し、最強のクリエイター陣とキャストは初演からほぼ続投。少女のベスが恋心を抱く相手、吟遊詩人・ロビンを演じる加藤和樹もそのひとりだ。ミュージカル「レディ・ベス」チケット情報ベス役は花總まりと平野綾のWキャスト。「花總さんは、戴冠式を経た後に表れる女王の風格に“ああ、ベスだな”って思いましたね。でも、それまではすごくキュートで“なんかずるいなぁ”って(笑)。平野さんは、時々ワガママでぶっきらぼう、ロビンに対する姿が“ツンデレ”なところがかわいいです」とそれぞれの魅力を語る。ロビン役も山崎育三郎とのWキャスト。演じる人間が変われば作品の世界観もおのずと変化する。その違いを楽しめるのも本作の見どころだ。初演で印象に残ったシーンを尋ねると、ラストシーンで自身と役の感情がぴたりと重なり、無意識のうちに感情がこみ上げたことがあったと振り返った。「最後に、山口祐一郎さん演じるアスカムとふたりでいるシーンで、山口さんの手が僕の肩に乗る場面があって。いつもならふわっとした感覚なのですが、ある日の公演だけぐっと力が込められていて。その手が“ロビンはベスにとって意味のある存在だったんだ”と語ってくれていて、もう感情が溢れてダメでした…(笑)。あのときほど自分の感情に素直になったお芝居はなかったです」。再演ではどんな感情が込み上げるのか、同じキャストでも日によって異なるだけに、幕が開けてみないと分からないと話す。「ベスは、女王の星の下に生まれて、そのことを受け入れていかなければならないという使命感があります。だからこそ、ひとりの女性としての幸せを前に揺れ動く姿がとても人間らしくて素敵で。ベスは自分の運命をちゃんと受け入れていく強い女性の象徴だと思うので、初めて観る方はそんな姿を見てほしいです。初演をご覧になった方は、別の作品を観るぐらいの気持ちで劇場に来てください。僕たちも同じものを作ろうとは思っていません。“生まれ変わった”というくらいの気持ちで作って、舞台に立つつもりです」と意気込む。10月8日(日)から11月18日(土)まで東京・帝国劇場、11月28日(火)から12月10日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。
2017年09月27日2018年2月、振付家ジョン・ノイマイヤーが芸術監督を務めるハンブルク・バレエ団が日本公演を行う。2016年春、7年ぶりに実現した日本公演は独特の熱気に包まれ、ノイマイヤー作品、またこのカンパニーの根強い人気を印象づけたが、彼らの代表作を携えての今回の来日は、その興奮を再びもたらすものと期待される。ハンブルク・バレエ団 チケット情報上演作品のひとつ、『椿姫』はパリ・オペラ座バレエ団による上演でも知られ、もっとも有名なノイマイヤー作品といってもいいかもしれない。ヴェルディのオペラ『椿姫』と同じく原作はデュマ・フィス。パリの高級娼婦と純粋な青年の悲恋を描いた傑作だが、ノイマイヤー版は全編ショパンの音楽を用い、原作の世界をより細やかに表現、物語バレエの最高傑作と賞賛されている。あらためて、ノイマイヤーのもとで切磋琢磨を続けるダンサーたちの演技で観たい作品だ。もうひとつは、伝説的ダンサー、ヴァスラフ・ニジンスキー(1890~1950年)の半生を描いた『ニジンスキー』。ウクライナに生まれ、ダンサーとして才能を開花、ディアギレフのバレエ・リュスに参加し、舞踊史に輝かしい足跡を残しながら、不遇のなかで生涯を終えた彼の数奇な運命を描いたバレエだ。作中には彼が演じた傑作の役柄が次々と登場、そこに立ち現れる、美しくも切ない天才ダンサーの姿が大きな感動を呼ぶことだろう。ガラ公演〈ジョン・ノイマイヤーの世界〉も見逃せない。前回の日本公演で初演され、その2日目には当日券売り場に長蛇の列ができたという、予想を遥かに超えた反響と感動が思い出される。ノイマイヤーの数々の傑作からの単なる名場面集にとどまらない、その作品世界の多彩な魅力を一夜にして体験できる、圧巻のスペクタクルである。これを踊るカンパニーのダンサーたちも、その実力は世界最高峰と評されるが、そこでの日本人団員の活躍も注目だ。2012年、ローザンヌ国際バレエコンクールで第1位入賞を果たして話題となった菅井円加は、現在このハンブルク・バレエ団でプロとして活躍、今回初めて『椿姫』への出演が決まり、ヒロインの友人プリュダンスという大役を任される。「一番好きな作品で、いつか関わりたいと思っていた」とインタビューに応えた菅井。「『ニジンスキー』にも何度か出演していますが、ラストシーンでのニジンスキーの狂気は、自分も出演していることを忘れてしまうほどの迫力」とダンサーの素晴らしさを強調、「両作品ともぜひ、キャスト違いもご覧になって、それぞれの魅力を味わっていただきたいです」と訴えている。公演は2018年2月2日(金)から2月12日(月・祝)まで、東京文化会館にて。チケットはチケットぴあにて9月29日(金)より先行発売。取材・文:加藤智子
2017年09月27日20周年を迎える新国立劇場に、世界的な評価を得る舞踏カンパニー「山海塾」が登場。11月に開幕する『海の賑わい 陸(オカ)の静寂―めぐり』を前に9月22日、主宰の天児牛大(あまがつうしお)が新国立劇場の舞踊芸術監督・大原永子と共に会見に出席した。山海塾「海の賑わい 陸の静寂-めぐり」チケット情報舞踏を「重力との対話」と捉え、誕生や死をテーマに作品を発表し続けてきた山海塾。設立から42年、ヨーロッパ進出から37年が経つが、新国立劇場登場は今回が初めて。大原芸術監督は以前から山海塾の評価をヨーロッパの現地の人々から耳にしていたそうで「日本人としてとても誇らしかった」と語り、新国立劇場での上演実現への感謝を口にした。今回の『めぐり』はパリ市立劇場、シンガポールのエスプラネイド・シアターズ・オン・ザ・ベイ、北九州芸術劇場との共同制作による作品であり、モチーフは“生きた化石”とも称される深海生物のウミユリ。舞台上にはウミユリを模した美術が置かれる。天児は「ツアーで海外を訪れたとき、自然史博物館に行くのが好きなんです。2億5千万年前に日本の海で繁栄していたウミユリが化石となって、いま我々と向かい合っている。“賑わい”とは生きていることの示唆であり、静寂は死した状態のこと。とてつもない時間を巡っていて、そこに不動のものはなく、常に揺れ動いているというのが私たちのベース。人、感情、希望、絶望を賑わいと静寂で対比させつつ、ひとつの作品として成立させました」と語る。7つの場面で構成され、天児を含む8人の踊り手が出演。音楽は数々の映画やTVの音楽を担当してきた加古隆、パーカッショニストのYAS-KAZ、そして山海塾の同カンパニーの活動初期から音楽制作に携わってきた吉川洋一郎の3人が担当しており、天児は「三者三様。彼らが作った音楽をどの場面で使用するかは私が決定しており、(タイプの)異なる音楽を使いながら作品を成立させています」と語った。40年以上にわたって活動し、世界的にも評価されているが、謎めいたイメージも強く、作品の制作過程などはあまり知られていない山海塾だが、天児は「テーマやタイトルはなく、稽古の最初に“今回はこういう形、方向性のものを作りたく、美術はこんな感じ”というレクチャーをします」、「稽古では基本、質問には答えるけど、質問される前に余計なことは言わない」、「稽古場には音がなく、鏡も使わない。はたから見たら何やってんのかわからない空間でしょうね(笑)」など、知られざる制作現場の一端を明かした。これまで世界46か国を回ってきたが「よくここまで続いたと思います。最初は男ばかり、白塗りの日本人ということで珍しさもあったろうけど、ここまで持続したということは、舞踊の一ジャンルとして、こういうアプローチもあると認められたのではないか」と感慨深げだった。『海の賑わい 陸の静寂―めぐり』は11月25日(土)・26日(日)に東京・新国立劇場 中劇場にて上演。チケットは発売中。取材・文・撮影:黒豆直樹
2017年09月25日こんにちは、島本薫です。男性がチュチュやトウシューズを身につけて躍る、男だけのコメディ・バレエがあるという話、どこかで聞いたことはありませんか?聞いたことはあっても、「観た」ことはない人が多いのではないでしょうか。ううん、それはもったいない。彼らの踊りはキワモノと決めつけるにはあまりに楽しく、意外な美しさがあるものなのですから……!今回は、爆笑しながら元気と感動をもらえるバレエ、トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団の魅力をお届けしましょう。■男だけのコメディ・バレエ「トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団」とは?“誰もが気軽に楽しめるバレエ”を目指し、1974年にニューヨークのオフ・オフ・ブロードウェイで産声を上げたトロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団(通称トロックス)。彼らがつくりあげたのは、世界初の「コメディ・バレエ」でした。舞台に上がるのは男性だけ。入念なメイクで女性に扮し、艶やかなチュチュをまとい、トウシューズを履いてポアント(つま先立ち)で舞う男性バレリーナに、世界が目を見張り、称賛の声を送りました。そこに繰り広げられていたのは、ただの女装バレエにとどまらない、バレエへの愛とリスペクトと遊び心あふれるステージだったからです。踊りをおろそかにすることなく、笑いの要素を取り入れる。女性のつもりで踊るのではなく、男性として、自分らしく女性の役を踊る。観客を楽しませ、自分たちも存分に楽しむ。そんな彼らの評判はすぐに海を越え、国内はもとより国外でのツアーもスタート。1982年には初の日本公演が行われ、追加公演を余儀なくされるほどの大盛況に。それ以来、日本はほぼ毎年ワールドツアーに組み込まれるようになりました。2006年には名誉ある「英国批評家協会ダンス賞」最優秀賞を受賞するなど、実力も折り紙付き。2016年にはトロックスのダンサー、チェイス・ジョンジーが「英国ナショナルダンスアワード最優秀男性ダンサー賞」に輝きました。性別を超えた役で評価を受けたのは、史上初のことです。そんな彼らが、どんなおもしろマジメな舞台を届けているのかといいますと……。■爆笑しながら元気と感動をもらえるバレエステージいっぱいにずらりと並ぶ、白い衣装のバレリーナたち。これから夢の舞台が始まるのかと思いきや、舞台袖から出てきたダンサーが男性役の隣でポーズをとるダンサーに歩み寄り、「ちょいとアンタ、そこはアタシの場所よ!」と、ひと騒動かましてくれるではありませんか。さすがはトロックス、出だしからやってくれます。音楽が鳴り、いざ踊りが始まると、誰もがトウで立つ男性バレリーナの迫力に圧倒されることでしょう(どう考えても2メートル以上はあるのですから……)。なのに、意外なほどの軽やかさとバレエらしさで魅せてくれるかと思うと、わざとドタドタ舞台を踏み鳴らしてみたり、すまし顔で女性役が男性役をリフトしてみたり。舞台の片隅には決めポーズで蹴飛ばされたダンサーがいたり、「何すんのヨ!」と小競り合いが始まったりと、踊りに笑いに全力投球。さあ気を取り直して、と言わんばかりにポーズを取り直すしぐさなど、もう爆笑もの。ただすべてがバレエとしての流れとテクニックの中で鮮やかに表現され、コメディでありながらアートと言うにふさわしいのです。頼りない王子様や、筋肉ムキムキのお姫様。女性顔負けのしなやかさを見せる白鳥の姫君もいれば、美しくも笑いあふれる踊りで観る者を瀕死の状態にいざなう白鳥もいて、バレエってこんなに楽しく素晴らしいものなんだと素直に思えてくるのです。トロックスの2017年オフィシャルサポーター、美川憲一さんは、その魅力をこのように述べています。「バレエはお行儀よく鑑賞するもの、という常識をぶっ壊したのが“トロ”なのよね。でもあそこまで壊しても成り立つのはやっぱり、基礎がちゃんとできているから」「好奇心が強い方が生きていて楽しいわよ。『バレエなんて』じゃなくて、そういうモノを一回見てみようっていう刺激って、生きてく中でとっても大切なことなのよ」隅々までバレエの愛と遊び心とファンサービスのあふれるトロックスの舞台。劇場で、あなたも愛と笑いと感動をもらってみませんか。トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団 2017年日本公演9月9日(土)~10月1日(日)まで、東京・大阪・九州など日本各地で公演オフィシャルサイト:
2017年09月23日来年2月に4度目となる『うめだ文楽2018』の開催が決定した。大阪が世界に誇る「文楽」という芸能の魅力をもっと分かち合いたいという思いで2015年2月から始まった本公演。拠点の国立文楽劇場を飛び出し、大阪駅からすぐのグランフロント大阪内にあるナレッジシアターで上演を重ね、2016年、2017年と3年連続で公演を成功に導いた。「うめだ文楽2018」チケット情報「文楽」を初めて見る人にも親しみやすい演目を、ナレッジシアターという劇場構造を生かした演出を取り入れて上演する。通常公演では主役を担うことのない大曲に若手技芸員たちがチャレンジする場でもあり、豊竹希太夫、鶴澤寛太郎、吉田幸助ら将来を嘱望される担い手たちのキラキラとした熱情も会場を満たしている。また、日替わりゲストとのトークショーも好評で、文楽をあらゆる角度から楽しめると好評だ。2018年は『傾城恋飛脚~新口村の段~』を上演する。本作は近松門左衛門の『冥土の飛脚』を改作したもので、実際に起こった横領事件を基にした、歌舞伎でも上演される人気作だ。「新口村の段」は遊女梅川を身請けするため300両の金を横領した忠兵衛が、実父・孫右衛門の住む大和国・新口村へと逃げていく場面から始まる。梅川の孫右衛門を思いやる気持ち、目隠しで対面を果たす父と子など、涙なしには見られない『傾城恋飛脚』のクライマックス。降りしきる雪の中を追っ手から逃れようとする忠兵衛と梅川、美しくも悲しい二人の姿は必見だ。10月28日(土)の一般発売に先駆け、ぴあスペシャルシートの先行受付が9月30日(土)より始まる。
2017年09月22日この秋、待望の再演を果たすミュージカル『アダムス・ファミリー』。お化け一家の主人ゴメスを演じる橋本さとしと、その長女ウェンズデー役の昆夏美は、初演でもユニークな役作りで大評判を取った。ミュージカル『アダムス・ファミリー』チケット情報「よく集めたなというくらい個性的なキャスト揃いで、初演の稽古場には日本人が欧米の作品をやる時の違和感が一切ありませんでした。今回また家族で集まることができると思うと、嬉しいです」と語るのは橋本。初演では、妻と娘を愛するチャーミングなパパを熱演し、読売演劇大賞優秀男優賞も受賞した。昆が「さとしさんが(妻モーティシア役の)真琴つばささんと一緒にノリノリでタンゴを踊られる姿、とても素敵だったんですよ。私はそれまでコメディタッチの舞台に出た経験があまりなかったので、さとしさんをはじめ皆さんの演技は勉強になりました」と振り返ると、橋本は「いやいや、滅多に笑わないウェンズデーだけど、ほくそ笑み方がめっちゃ上手で、しかも笑顔が可愛くなくて絶妙だった!劇中、ゴメスがウェンズデーに対して『娘が成長して嬉しいけど寂しい』という気持ちを表す場面があるのですが、これが実に微笑ましくて泣けるんですよ」と笑顔を浮かべた。再演では、キャストの一部が新メンバーに。モーティシア役には、初演からの真琴に加え、新たに壮一帆が参加。橋本と昆はふたりの妻/母を相手に演じる。橋本は「妻ひと筋のゴメスなのに、こっちにもあっちにも妻が!複雑ですよ」と笑いつつ「壮さんとは舞台『魔都夜曲』でもご一緒し、チークダンスを踊ったので、良い距離感ができています。新しく入って来られる方々から、僕らも新しいものをみつけさせてもらうのが楽しみですね」と期待をにじませる。また、橋本が「恋愛もので相手が複数キャストの場合、この人好き、この人好きになれない、とかあるの?」と昆に質問し、昆が「好きになれないことはないのですが、人によって、与える愛だったり受け入れる愛だったりと、ポイントが変わります。相手の方と一緒に呼吸し、反応しながらお芝居を作る面白さも難しさも、近年ますます感じています」と答えると、橋本も「そうだよね。役者としての技量だけでなく、人間としての度量や大きな意味での愛が試される」と頷いた。「とにかく愛が充満している舞台だし、家族や人種のことなど社会風刺もしている。そして白井晃さんの演出も絵本のような美術も本当におしゃれなので、ぜひ観ていただきたいですね」(橋本)「 ブラックなところもありつつ、ユーモアと家族愛がいっぱいのハッピーな作品。私自身は初演では手探りでしたが、今回は戦略的な笑いにも挑んで、お客様とのキャッチボールを楽しみたいです」(昆)本公演は10月28日(土)から11月12日(日)までKAAT神奈川芸術劇場ホールにて。10月1日(日)にはMARK IS みなとみらいにて製作発表&楽曲披露イベントの開催も決定。チケット発売中。取材・文:高橋彩子
2017年09月21日NHK Eテレ「おかあさんといっしょ」を卒業後、舞台やテレビと活動の幅を広げる横山だいすけ。そんな彼の念願だったというミュージカル・コンサートツアー『だいすけお兄さんの世界迷作劇場 2017』が、全国各地で開催されている。「だいすけお兄さんの世界迷作劇場2017」チケット情報公演は、だいすけお兄さんがみんなよく知るあのキャラクターに扮し、歌やダンス、芝居で魅せる物語仕立ての第1部と、大人気の『ぼよよん行進曲』をはじめ、テレビでもおなじみの曲が数多く披露されるコンサート仕立ての第2部の、二部構成。親子で楽しめる内容となっている。演出は劇団四季時代の先輩で、ミュージカル『魔女の宅急便』も手掛けた岸本功喜。公演オリジナル曲(歌詞/岸本功喜・作曲/小島良太)も満載で、そのどれもがだいすけお兄さんの優しくもまっすぐな歌声で届けられる。憧れのだいすけお兄さんを目の前にキラキラとした笑顔の子供たち、それを嬉しそうに見守る親たち、横山だいすけをはじめとするキャストとが一体となって織り成される、温かな空気感に、全国各地の劇場が包まれるだろう。チケットは順次発売開始。9月21日(木)11:00まで、広島、福岡、山口、岐阜公演の先行抽選を受付中。『だいすけお兄さんの世界迷作劇場2017』▼9月24日(日) 倉敷市民会館▼10月1日(日) 佐賀市文化会館 大ホール▼10月7日(土) 沼津市文化センター 大ホール▼10月15日(日) 呉市文化ホール▼10月21日(土) アルモニーサンク北九州ソレイユホール▼10月22日(日) 周南市文化会館▼10月28日(土) 大垣市民会館 ホール▼11月5日(日) 富山市芸術文化ホール オーバード・ホール▼11月23日(木・祝) サンポートホール高松 大ホール▼11月26日(日) 大田区民ホール・アプリコ 大ホール
2017年09月20日古舘春一の同名人気バレーボール漫画を舞台化したハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」の最新作"進化の夏"が9月8日(金)に開幕。その公開ゲネプロと囲み取材が行われ、主演の須賀健太、影山達也、小坂涼太郎、三浦海里、永田崇人、近藤頌利、吉本恒生、結木滉星、演出のウォーリー木下が登壇した。【チケット情報はこちら】2015年の初演からシリーズ5作目(再演"頂の景色"を含む)となる今作。今回は、「"進化の夏"ということで、インターハイ宮城県予選で烏野高校(主役校)が負けてしまい、そこからどう強くなっていくのか、それを見つけ出していく夏合宿がテーマになっています」(須賀)、「バレー部員である前にひとりの学生なんだなってことがすごくわかるようなつくりです」(永田)と、烏野高校・音駒高校・梟谷学園高校が参加する夏合宿を中心に、これまであまり描かれなかった彼らの高校生活も描かれる。 さらに舞台セットが初演からの定番となっていた八百屋舞台と全く違うものになったほか、影山飛雄役が影山達也に、西谷 夕役が渕野右登に引き継がれ、烏野排球部マネージャー・清水潔子(長尾寧音)、谷地仁花(斎藤亜美)をはじめとする新キャラクターも登場。初演から出演する須賀が「本当に新しい「ハイキュー!!」がお見せできるんじゃないかと思っています」と話した通り、演劇「ハイキュー!!」シリーズの新たな一歩となった。オープニングからガラリと違う顔を見せた今作。烏野高校排球部のメンバーを中心とした学校生活が描かれ、部活とはまた違う、試験に苦労したり、ふざけあったり、勇気を出して行動したりする姿が、本作ならではの、芝居、ダンス、音楽、照明、映像を駆使した演出でキラキラと眩しく展開していく。これまでは試合中の極限状態の中で自らの殻を破り成長を遂げる選手たちの姿が印象的だった本シリーズだが、今回は日常生活での何気ない会話や、新しい出会い、仲間たちと過ごす時間の中で、成長したり、強くなったり、パッと視界が開けたり…そんな一瞬の積み重ねから生まれる進化が描かれた。そんな中で注目は、それぞれに“勝ち”を求め食い違う日向&影山コンビ、そして「たかが部活」「なんでそんな風にやるんだ」と冷めた態度を取る月島 蛍。彼らが見つけるものをぜひ劇場で確認してほしい。全30人という登場人物がチームとして見せる3つの色は見事な鮮やかさ。そしてチームが混ざり合ったときに濁るのではなく一気にカラフルになる舞台上の光景は、演劇「ハイキュー!!」シリーズの変わらない魅力だ。公演は9月15日(金)から大阪、兵庫、宮城、福岡を巡演し、10月20日(金)から29日(日)までTOKYO DOME CITY HALLにて東京凱旋公演が行われる。大千秋楽10月29日(日)18:00開演 では、全国47都道府県の映画館でライブビューイング開催。取材・文:中川實穂(c)古舘春一/集英社・ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会
2017年09月19日笑福亭鶴瓶が毎年行っている「笑福亭鶴瓶落語会」。昨年、一昨年と好評を博した「山名屋浦里」。タモリ氏原案の同作は、中村勘九郎の手により歌舞伎化されるなど話題になった。さて、今年の独演会は?まずは表現者と代表作の関係について話を聞いた。【チケット情報はこちら】「少し前に松山千春が飛行機で歌って話題になったでしょ?出発が遅れてイラだつ乗客の空気を和ませたらしいですが、一番イライラしてたのは間違いなく松山千春です(笑)。本人にも電話しましたけど、さすがだなぁと。代表曲がある人でも、実際にあの行動ができる人はあまりいてないと思いますから。代表作という意味では、『山名屋浦里』が僕のそれになってくれたらうれしいし、実際に今年もあの噺をやってほしいとの声も関係者からはあったんです。でも、今年メインになるのは別のネタです。新しい挑戦をしたかったから」演目は『妾馬(めかうま)』。東京では『八五郎出世』の名で知られる人情噺。笑福亭鶴瓶は昭和の天才喜劇人・藤山寛美の大ファンなのだが、そのエッセンスを落語に盛り込めないかと試行錯誤を繰り返してきた。その挑戦は難しく成立には至らなかったが、今回、純粋におもしろそうと始めた『妾馬』を自分流にアレンジするうちに、その魅力が松竹新喜劇に通じていることに気づく。「お殿様にさえ歯に衣が着せられない、アホやけど魅力的な町人が主人公なんですけど、ある場面の八五郎がね、寛美先生なんです。自分としてはベタな笑いというものをいままで避けてきたんですけど、この噺でのその手のやりとりがラストの盛り上がりにちゃんとつながるんやなぁと気づけたのが発見でした。この間なんて、江戸時代の噺なのに小学生が笑ってくれて。『山名屋浦里』を作るまでにいろいろともがいた経験が活きている気がするし、落語には終わりがないなぁとも感じています。ただ、僕としてはそのおもしろさが松竹新喜劇の魅力に通じてると思うけど、『全然違う』とか『そもそも落語じゃない』という否定的な意見があってもうれしいです。岡本太郎さんの奥様が言うてたんですけど、賛否両論あってこその表現だと僕も思っていますから」鶴瓶流松竹新喜劇的落語の出来栄えとは?『青木先生』などの私落語、『山名屋浦里』に続く代表作がうまれるのか?ある意味で観客のハードルを上げる賛否両論OKの心意気に、落語家笑福亭鶴瓶が『山名屋浦里』でつかんだ手応えと、次のステージに向かっていることを予感せずにはいられない。笑福亭鶴瓶落語会は10月26日(木)大阪・森ノ宮ピロティホールを皮切りに全国で開催。取材・文:唐澤和也
2017年09月19日