私には小児てんかんの長男がいるため、けいれん時の対処法などを担当医から指導してもらっていました。しかし、当時2歳の次男が高熱を出し、初めて熱性けいれんになったときは、私も大いに慌てふためいてしまいました。そのとき、とっさにスマホで動画撮影をしたことが病院での説明に役立った私の体験談をお伝えします。 症状を伝えるには動画撮影が有効長男は4歳のとき、初めてけいれんを起こしました。当時は初めての経験だったので、夫と私で大パニック! とにかく救急車を呼び、私は子どもの名前を叫ぶだけで何もできず。 しばらくして脳波に異常が見つかり、小児てんかんと診断されました。そして担当医からは、「てんかんの発作が今後起こったときはまずは冷静になり、体のどこがけいれんしているのか、何分けいれんしているのかを教えてほしい。それが難しい場合は、スマホでの動画撮影が有効です」と伝えられました。スマホでの撮影なら私にもできそうだと思い、また長男にけいれんが起こるようであれば、次こそは親としてしっかりと観察をしなければと心に誓ったのです。 次男が高熱で初めてのけいれんそんなある日、2歳の次男が夜から39度の高熱を出しました。次男の通っている保育園では夏風邪が流行っていたので、とりあえず1日様子を見ることに。そして午前10時を過ぎたころ、急に次男が叫び声を上げました。目をやると、そこにはけいれんを起こした次男の姿。私はとっさに次男の体を横に向け、スマホを片手に動画を撮影しました。夫も仕事が休みだったため、動画撮影を代わってもらい、私が次男の体を横向きに支えます。幸い、けいれんは1分以内におさまり、その後は救急車で近くの大きな病院へと向かったのです。 動画撮影が状況説明に役立った!病院へ着いたあと、すぐに病院の先生が次男を診察してくれました。そして「けいれん時の状況を詳しく説明してほしい」と言われたので、伝え漏れがないよう、夫と一緒に撮影した動画を見せることに。先生は動画を見終わると、夫と私を交互に見つめ「貴重な情報をありがとう。とても参考になりました。これは熱性けいれんで間違いありません」と、にこやかに会釈をしてくれました。極度の緊張下にあった私は、そのときやっと肩の力が抜け、深く息を吐き出すことができたのです。結局次男は夏風邪のヘルパンギーナと診断され、翌日には薬のおかげもあり、元気な姿に戻りました。 「子どもが苦しんでいるときに、動画撮影なんて不謹慎だ」と思う方もいるでしょう。しかし、けいれんの様子をうまく説明できない私にとっては必要な手段でした。これからも子どもたちに何かあれば、症状の経過や変化をしっかりと確認しつつ、必要であれば写真や動画を撮り、病院での説明時に役立てていこうと思っています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/ののぱ監修/助産師REIKO著者:堀江ゆうき二男の母。現在第三子を妊娠中。現在はフリーランスとして育児をしながら、体験談・出産・妊娠についての記事を執筆。
2021年01月24日ベビーカレンダーをご覧のみなさま、こんにちは。高齢育児中のイラストレーター、やましたともこでございます。 長女N子が熱性けいれんを体験したことで「うちも!」「うちの子も!」と、同じく子どもが熱性けいれんを起こしたことのあるお父さんお母さんから沢山の熱性けいれん談を聞かせて頂く機会がありました。 色んな方に色んな話を聞いたのですが、その中で、パピーちゃんのお父さんの麻雀仲間の70歳くらいのおばあちゃんから「おっめでとう」と言われました。 熱性けいれんでおめでとう?って聞き間違いかと思ったのですが、そのおばあちゃん曰く、熱性けいれんを起こす子は繊細できめ細やかなので何でもできる大物になるとのことでした。実際、そのおばあちゃんの息子さんは今は東京の某有名芸能事務所の社長さんをしているとのことでした。(※このおばあちゃんの個人的な意見です。医学的な根拠は一切、全く、1ミリもございません)。 現在9歳になった長女N子。今のところ、かなりの大味で「繊細さ」や「きめ細かさ」とは無縁の子どもに仕上がっていますが、熱性けいれんを起こした当時は、何度もけいれんを繰り返すことがあるという恐怖からネガティブな感情しかわかなかったので、そのおばあちゃんのポジティブで温かい言葉は、気休めでもとてもうれしかったです。 イラストレーターやましたともこの「脱力系ゆる育児日記」は、毎週1回お届けしています! 著者:イラストレーター やましたともこ高知県生まれ大阪市在住。お固い系の商社で働いた後に大胆転職。グラフィックデザイナーを経てイラストレーターに。おんなこどもをメインターゲットにヤングでゆるめなイラスト描いてます。
2021年01月06日ベビーカレンダーをご覧のみなさま、こんにちは。高齢育児中のイラストレーター、やましたともこでございます。 今回、わが家の長女N子が1歳のときに経験した「熱性けいれん」という病気。 発熱から24時間以内に起こることがほとんどらしく、何の前触れもなく突然!と感じる人が多いと聞きました。更に、小学校へ上がるくらいまで何度も繰り返す子も少なくないと教えて頂きました。(実際、N子は合計3回けいれんを経験しました)。 そこで、もし又けいれんが起きたら、どうしたら良いのか保育園の先生や救急隊員の方や救急病院の先生にお話を聞いたので、そのことを描かせてください。 私が教えてもらったポイントは3つでした。1。時間を計る2。手足が左右対称に動いているかどうか3。目がどうなっているか いきなり子どもがけいれんを起こしたらパニックでそんな余裕はないと思いますが、上の3つのポイントがけいれんの種類や他の病気ではないかなどを判別するのにとても大切なことだと聞きました。今だと携帯で撮影するのも病院で経過を説明する際に役立つとネットに書いていました。 何もないのが一番ですが、いざという時のために何となくでも頭の片隅に置いといて頂けるとうれしく思います。 あなたのお子さまがけいれんを起こすタイプではありませんように♡ イラストレーターやましたともこの「脱力系ゆる育児日記」は、毎週1回お届けしています! 著者:イラストレーター やましたともこ高知県生まれ大阪市在住。お固い系の商社で働いた後に大胆転職。グラフィックデザイナーを経てイラストレーターに。おんなこどもをメインターゲットにヤングでゆるめなイラスト描いてます。
2020年12月30日少しずつ寒くなってくるこの時期、私は常に不安を抱えています。なぜならば私の2人の娘は、こういう寒い季節に熱性けいれんを起こしたことがあるから。熱性けいれんは突然起こります。そしていつ、だれに起こるかわかりません。しかし、どんな症状なのか、どんな対応をしたらいいのかを知っていれば、少し冷静でいられます。私がこれまでわが子で5回経験した熱性けいれんについて、どんな症状だったのか、そして対処法などをお伝えします。初めて目の当たりにした熱性けいれん朝からゴキゲンな娘とおでかけ現在6歳の長女が1歳半のときのことです。上手に歩けるようになり、外を歩きまわることがとても楽しい時期でした。その日は休日で、朝からニコニコとゴキゲンでパパと手を繋ぎ、家族でスーパーまで歩いて行きました。人が多かったのでカートに乗せて買い物をしましたが、レジに並んでいた時、異変に気づきました。カートでお辞儀をするように前のめりになって動かない娘。寝ちゃったのかなと思ったのですが、手の色が少し青ざめていることに気づきました。娘の名前を呼びましたが、反応がありません。上半身を起こしてみると、口から泡を吹いた状態で視線も合いません。私も夫も、とにかく店員さんに助けを求めることしかできませんでした。お店の方がすぐに救急車を呼んでくださいました。もしも家だったら、どうしたらいいのか迷い、すぐに救急車を呼べなかったと思うので、お店の方には本当に感謝しています。急な高熱!?救急隊員にいろいろ聞かれるも…救急車が到着する直前、娘の泣き声が少し聞こえました。「よかった生きてる」心からそう思えた瞬間でした。救急隊が体温を測ったところ、熱が高いことが判明。朝は熱はなかったのに…。「意識がなくなったのは何時ですか?」「目はどちらを向いていましたか?」「手足の震えは両方ありましたか?」そんなことを聞かれましたが、あまりの動揺に「おそらく」の情報しか答えられませんでした。そのまま救急車で救急病院へ。その後、熱性けいれんと診断されました。その後も何度も熱性けいれんを経験『けいれん』と聞くと、「身体がビクビク震える」ものと思われがちですが、それだけではありません。「声をいくらかけても受け答えしない」、「目を見てもまったく視線が合わない」、そんな症状も出るのです。これらの症状が出たとき、私は今まで見たことのない状態の娘を目の当たりにして生きた心地がしませんでした。実はわが家ではこのときだけでなく、長女はこの後に1回、次女は3回の熱性けいれんを起こしています。次女がはじめて熱性けいれんを起こしたときは、意識を失って、座っていたイスから落ちて口を切ってしまい、血を流して意識を失っていたのでさらに焦りました。このように、娘たちの熱性けいれんを何度も経験している私ですが、もちろん慣れることはありません。毎回苦しく辛い思いをしています。しかし、経験しているからこそ、冷静にこれだけはやらなきゃと実践していることもあります。救急隊員に状況を伝える時や医師が診察時に必要な情報もあるので、ぜひ頭に入れておいてほしいと思います。熱性けいれんを起こしたときの対処法子どもがけいれんを起こし、意識がないとき、私が行っているのは以下の4点です。【熱性けいれんを起こしたとき】・けいれん、意識消失を起こした時間をすぐに確認・救急車を呼ぶ・身体を横に向ける(嘔吐物などを詰まらせないように)・けいれん、意識消失が治まった場合はその時間を確認どのくらいの時間、けいれんを起こしていたのかが、医師が診断を行う際にとても重要になります。気が動転していると、とても時間が長く感じてしまいますが、時間を確認すると2分ほどだったこともありました。けいれんの時間がかなり長いと、また別の病気の可能性も出てきます。必ずけいれんの『始まり』と『終わり』の時間を確認してください。また、けいれんをしてすぐにおさまるかどうかはわかりません。だからこそ「けいれんを起こしたら迷わず救急車を呼んでほしい」、とわが家のかかりつけ医からは言われています。身体を横に向けるのは、嘔吐物などをのどに詰まらせて窒息しないために行います。次女が口を切って血を流していたときも横に向けることの必要性を感じました。熱を急激に上げないための工夫また、娘たちに関しては熱がぐんと上がった時にけいれんを起こしやすいことがわかってきました。そのため、かなりの高熱になりそうな時には、脇、頭から背中全体などを保冷剤で冷やし続け、急に熱が上がらないように心がけています。解熱剤を使うと、解熱剤の効果が切れた時に急に熱が上がることもあるようなので、私は解熱剤は使わずに外側から冷やすようにしています。ただ、医師によると、熱が高すぎて子どもが苦しんで寝つけないなどの時は、解熱剤を使ってあげた方がよいとのことでした。上:背中全体を冷やす大きな保冷剤下:リュックのように脇につけられる保冷剤。これをわが家は2人分常備しています熱性けいれんを起こしたら、できるだけ落ち着いて対処してほしい長女と次女がこの5年ほどの間に5回熱性けいれんを起こし、救急病院やかかりつけ医含め、さまざまな先生に診ていただきました。それぞれの先生によって見解が異なることもあり、今回の記述がすべての人にあてはまるわけではありませんし、今後の医療の発展によって、よりよい対処法が出てくるかと思います。今回の記事は、現在のかかりつけ医にも確認した点を含めて執筆しました。お子さんが熱性けいれんを起こした際は、それぞれ担当した医師に改めて確認してください。これから寒くなり、小さなお子さんは熱が出ることが増えるかと思います。もし熱性けいれんを起こした場合、大切なのはできるだけ落ち着いて対処することです。その難しさを私も実感していますが、そうなったときはこの記事を思い出していただけたら幸いです。熱性けいれん何度も経験しましたが、元気にすくすく成長してくれています<文・写真:ライターyukari>
2020年11月19日次男は1歳のとき、熱性けいれんを起こしました。風邪をひいて熱が出ただけだと思っていたのに、まさかけいれんを起こすなんて……。なんとかパニックにならず落ち着いて対処することができた経験をお話しします。 けいれんするとはまったく考えていなかった1歳の誕生日がくる前の休日、せっかくの休みの日に次男が朝から熱を出してしまいました。病院も休みだったので地域の休日診療に行き、風邪の薬をもらい家に帰りました。 水分やごはんも少しですがとることができ、薬を飲ませ昼寝をしだしたので、このまま熱が下がればと思っていたのです。熱は38度後半でしたが、このときはまさかけいれんを起こして救急車を呼ぶなんて考えてもいませんでした。 熱性けいれんは本当に突然に!夕方になり、昼寝から目を覚ました次男。少しラクになったのかニコニコと笑うことができるほどになっていて、私も安心していた矢先のことでした。上の子が次男を笑わせて遊んでいると、突然様子が変わり、笑っていたはずの次男が白目になって手足がピクピクと動き、けいれんし始めたのです。 本当に突然過ぎて驚き、慌てて駆け寄り次男の名前を呼び続け、同時に私自身も焦らないように心の中で「落ち着け! 落ち着け!」と考えていました。 けいれんしたときの対処法をおこなってみる以前けいれんについての記事を読んだことがあり、その際にあった対処法を思い出し実行しようと考えました。 とにかく大声を出したり抱きかかえたりしないようにし、すごく不安ですができるだけ静かに名前を呼びながら様子を見ていました。もし嘔吐しても危なくないように顔だけ横に向け、あとで病院で状況を説明する際に役立つと思いスマートフォンで動画を撮影することに。 同時に夫は救急車を呼んで、症状や家の場所の説明など対応してくれていました。 落ち着いたものの疲れ果てる慌てていたのではっきりと覚えていませんが、けいれんの時間は5分以上はあったのではないかと思います。救急車がきたころにはけいれんが治まっていましたが、手足の軽い硬直や意識があるのかわからない表情でグッタリしていました。 病院に着いてからダイアップというけいれん予防の坐薬を入れてもらいました。意識が戻ってきて安心しましたが、けいれんはすごく体力を使うようで次男は疲れていて、坐薬の作用もあり、落ち着いたらすぐに眠ってしまいました。 ただの風邪だと油断していたので、突然けいれんが起きたときは本当に焦ってしまいました。いざとなるとどうしていいかわからなくなるものです。現在2歳ですが、再び熱性けいれんになったときも不安になりましたので、もっと落ち着いて行動できるようにしたいと思いました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKOイラストレーター/まっふ著者:中西まむ4歳・2歳・0歳の男の子3人のママ。夫は出張が多くほとんどいないため、ワンオペ育児に奮闘中。自身の経験をもとに、子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2020年11月01日1歳になるまで病気らしい病気をしたことがなかったわが子ですが、1歳を過ぎたころに40度の高熱が続きました。やっと落ち着いてきたと思ったら、34.4度まで熱が下がってしまい家族中で大慌て。初めて救急車を呼び、本気で子どもの死を意識しました。熱が上がってくれたときは、心底ほっとしました。下半身をピーンとつっぱらせたけいれんで、白目をむいた状態。尋常ではないわが子の様子に慌てて救急車を呼び、自宅から車で30分の総合病院に運び込まれました。救急車がくるまでけいれんの時間を計っていたところ、24分間続きました。 病院では血液検査をしたり、レントゲンを撮ったりしたのですが、発熱もけいれんも「原因不明」。解熱剤や抗けいれん剤の点滴を打ち、やっと症状がおさまりました。 そのまましばらく様子を見て、再発しなかったので夕方自宅に連れて帰りました。病院に電話したところ、「体温が低いのはとにかく温めるしかない」と電話口で看護師さんに言われ、毛布でくるみ、その上をさらに電気毛布でくるみ、温め続けました。熱が上がってきたなと思って毛布から出すとすぐにまた下がってしまうので、ずっと毛布にくるんでいました。 その後、病院に連れて行って診察を受けたり様子を見たり、6時間くらい病院にいました。わが子は泣く元気もなく、ぐったりしたまま。体温が35.5度ほどに戻ってきたときに、やっと泣き始めました。泣いてくれてあんなにほっとしたことは初めてです。家に帰って翌日36度を超えたころ、全身に発疹が出始めました。再度受診したところ、診断は「突発性発疹症」。発疹は1日半くらいでだんだん消えてきて、本人も元気を取り戻しました。 高熱が続いたときも心配でしたが、熱が34度台になったときは「このままだと死んじゃう」と、本当に怖かったです。子どもが泣くのも聞いていてつらいですが、「泣く元気もない」という状態がどれだけ恐ろしいかを身をもって知った経験でした。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。※生後3カ月未満で38℃以上の発熱がある場合は、他の症状の有無に関係なく夜間・休日にかかわらず必ず受診してください。※生後6カ月以上で発熱のみで活気があれば様子を見て、自宅で安静にして過ごさせて外出は控えましょう。3日を経過しても熱が下がらない場合は無条件で受診してください。※41度以上の高熱が出た場合は、無条件で早急に受診してください。 監修/助産師REIKO作画/まっふ 著者:ライター 銀鏡あゆみ二児の母。生まれ育った町で、自身の父母・祖母・夫・子ども2人との大家族で暮らす。地元を中心に取材・撮影・執筆を行うライター。
2020年08月09日3歳を過ぎたころ、急に娘の身に起こった「熱性けいれん」。私は娘の症状を初めて目の当たりにし、顔が青ざめ言葉が出ませんでした。娘が熱性けいれんを発症し感じたことやすべきこと、やってはいけなかったこと……実際に身をもって経験したことをお伝えしたいと思います。 いつもの風邪の症状と思っていると突然に出掛けた日の夕方に、鼻水と咳が出始めた3歳の娘。週末ということもあり、病院は休診。熱もなく軽い風邪の症状だろうと思い、翌日に病院へ行く予定でした。 夜になると37.4度の微熱も出ましたが機嫌は悪くなく、子どもは夜に熱を出しやすいと把握していたので、気にせずそのまま就寝しました。ところが……。1時間ほどしたあと、私はふと目覚め、娘の様子を伺い驚愕しました。娘は手足をビクビクとけいれんさせ、唇は紫色になり泡を吹いて失神していたのです。 指示を仰ぐため小児科救急へ電話娘の身に何が起きているの? 目の前にある光景は現実? 起きたての私には娘の状態がまったく理解できず、頭が真っ白になってしまいました。そして我に返り、失神している娘の意識をまずはしっかりさせなくてはと思い、私は震える手で娘の体を軽く揺すったり声を掛けたりしました。 私の声に目を覚ました夫は娘を見て驚き、焦っていたと思います。夫が目を覚ましたことで少し冷静さを取り戻した私は、携帯を手に取り小児科救急相談窓口に電話を掛けました。 救急病院へ。何が必要なのかわからない小児科救急相談窓口で娘に起きている症状を看護師さんに伝えると、むやみに動かしてはいけないと指示され、そのまま救急に繋いでくれました。救急車が到着するのを待って、けいれん時の症状と時間を伝え、病院に向かうことになりました。付き添いが必要なので、私は慌てて保険証、医療証に財布を準備し救急車を待ちました。 そこで、焦っていると忘れがちな持ち物があるとわかったので紹介したいと思います。 必要なものは貴重品以外にもあった!救急隊の方が寝室から娘を運び、私は娘の付き添いのため慌てて準備した貴重品等を持って救急車に乗り込もうとしました。そこで救急隊の人に呼び止められ「持ち物は貴重品以外にも必要なものがありますよ。言いますので準備してください」と言われたのです。 子どもの靴に靴下、院内での診察待ちや会計時、帰宅時に羽織る私と娘の防寒具などでした。軽装で過ごしていた自宅から救急車で病院に、しかも娘は抱えられて車に乗り込んだので靴や靴下を履いていないということにも頭が回っていなかったと気がつきました。 お医者様いわく、発症時は子どもを横に向け呼吸しやすくし、けいれんの時間を計り、どのような状態だったのかメモをしておくことが大切なのだそうです。いざけいれんしているわが子を目の前にするとパニックになってしまいますが、しっかりしなくては……と感じた体験でした。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 ◆関連動画赤ちゃんの熱性けいれんの実例とあわてない対処法(監修/葛飾赤十字産院 院長 三石千左子) 原案/佐藤ひより作画/やましたともこ監修/助産師REIKO
2020年08月04日私には小児てんかんの長男がいるため、けいれん時の対処法などを担当医から指導してもらっていました。しかし、当時2歳の次男が高熱を出し、初めて熱性けいれんになったときは、私も大いに慌てふためいてしまいました。そのとき、とっさにスマホで動画撮影をしたことが、病院での説明に役立った私の体験談をお伝えします。 症状を伝えるには動画撮影が有効長男は4歳のとき、初めてけいれんを起こしました。当時は初めての経験だったので、夫と私で大パニック! とにかく救急車を呼び、私は子どもの名前を叫ぶだけで何もできず。 しばらくして脳波に異常が見つかり、小児てんかんと診断されました。そして担当医からは、「てんかんの発作が今後起こったときはまずは冷静になり、体のどこがけいれんしているのか、何分けいれんしているのかを教えてほしい。それが難しい場合は、スマホでの動画撮影が有効です」と伝えられました。スマホでの撮影なら私にもできそうだと思い、また長男にけいれんが起こるようであれば、次こそは親としてしっかりと観察をしなければと心に誓ったのです。 次男が高熱で初めてのけいれんそんなある日、2歳の次男が夜から39度の高熱を出し始めました。次男の通っている保育園では夏風邪が流行っていたので、とりあえず1日様子を見ることに。そして午前10時を過ぎたころ、急に次男が叫び声を上げました。目をやると、そこにはけいれんを起こした次男の姿。私はとっさに次男の体を横に向け、スマホを片手に動画を撮影しました。夫も仕事が休みだったため、動画撮影を代わってもらい、私が次男の体を横向きに支えます。幸い、けいれんは1分以内におさまり、その後は救急車で近くの大きな病院へと向かったのです。 動画撮影が状況説明に役立った!病院へ着いたあと、すぐに病院の先生が次男を診察してくれました。そして「けいれん時の状況を詳しく説明してほしい」と言われたので、伝え漏れがないよう、夫と一緒に撮影した動画を見せることに。先生は動画を見終わると、夫と私を交互に見つめ「貴重な情報をありがとう。とても参考になりました。これは熱性けいれんで間違いありません」と、にこやかに会釈をしてくれました。極度の緊張下にあった私は、そのときやっと肩の力が抜け、深く息を吐き出すことができたのです。結局次男は夏風邪のヘルパンギーナと診断され、翌日には薬のおかげもあり、元気な姿に戻りました。 「子どもが苦しんでいるときに、動画撮影なんて不謹慎だ」と思う方もいるでしょう。しかし、けいれんの様子をうまく説明できない私にとっては必要な手段でした。これからも子どもたちに何かあれば、症状の経過や変化をしっかりと確認しつつ、必要であれば写真や動画を撮り、病院での説明時に役立てていこうと思っています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:堀江ゆうき二男の母。現在第三子を妊娠中。現在はフリーランスとして育児をしながら、体験談・出産・妊娠についての記事を執筆。
2020年01月01日その日は39度近い熱があった当時1歳の次男。寝入って5分ほどすると、急に「ギャーッ!」という叫び声が聞こえました。慌てて見に行くと、全身をガクガク震わせて目の焦点が明らかにおかしい次男の姿がありました。動揺しながらも私がそのときとった対処法についてご紹介します。 けいれんは1分以内におさまったけど明らかに症状がおかしい長男がてんかん持ちのため、けいれん時の対処法はすでに医師から教わっていました。けいれんを発見後、すぐに横向きに寝かせて気道を確保。服をめくり上げ、胸の動きを直接見て呼吸をしているか確認し、何分けいれんしているか時間を計りました。 幸い1分以内にけいれんはおさまりました。しかし、なかなか目の焦点が合わず、手足がピクピクしている次男を見て不安になり、かかりつけの医師に電話で相談することに……。 意識がもうろうとしているときは救急搬送の要請を!かかりつけの医師に経緯と症状を説明すると 、「熱性けいれん後の意識がもうろうとしている状態の場合は、救急搬送をしてもらったほうが良い」との返答。 次男が寝入っているのか、意識を失っているのかの判断が私にはできなかったため、救急搬送の要請を出しました。長男のてんかんでけいれんには慣れているものの、次男の初めての熱性けいれんを前に精神的にもショックだった私は、救急車のサイレンが聞こえてくるときには涙が出ていました。 RSウイルスに感染、発熱によって熱性けいれんを発症救急車で市内の大きな病院へ行き、すぐに診察してもらったところ、RSウイルスによる夏風邪との診断結果が出ました。病院へ着くころにはしっかりと私の目を見て、意識もしっかりしており、医師の話しかけにも頷いている様子が見られました。大事に至らず、その日はけいれんを抑える薬を処方してもらって、すぐに帰宅することができました。 私は、長男が初めてけいれんを起こしたときは対処法がわからず、舌で気道を狭めて呼吸困難にさせてしまったという苦い経験がありました。その経験をふまえ、次男の熱性けいれん時にはすぐに気道確保ができ、大事には至らずホッとひと息。「けいれん時は、まず横向きに寝かせる」という簡単な対処法ですが、どれほど重要なことかを痛感しました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師REIKO著者:堀江ゆうき二男の母。現在第三子を妊娠中。現在はフリーランスとして育児をしながら、体験談・出産・妊娠についての記事を執筆。
2019年12月20日今、SNSで話題になっている「熱性けいれん」。娘さんが熱性けいれんを起こして救急車に運ばれた状況を他の方のためにと綴ったものです。このママは正しい知識があったため助かったようですが、正しい知識を持っているママやパパは意外と少ないもの。そして、生後6カ月以上の赤ちゃんが38度以上の発熱をしたときに起こりやすいのが「熱性けいれん」。けいれんしている赤ちゃんをみると、ママは動揺してしまいがちですが、冷静に対処することが大切です。ここでは原因や適切な処置方法をご紹介します。 熱性けいれんを起こしたときの対処法1)熱性けいれんは、小児期でもっとも多いけいれんとされていて生後6カ月~5歳の間、38度以上の発熱にともなって引き起こります。一般的には数十秒で終わりますが、時に、1分以上続くこともあります。2)けいれんが起きたときに、赤ちゃんを揺さぶったり、大きな声で赤ちゃんを呼んだりしてはいけません。余計な刺激を与えることで、けいれんが長引いてしまう恐れがあります。落ち着いて、赤ちゃんのそばにいて状況を観察しましょう。3)赤ちゃんの衣服を緩め、(特に首回り)4)横向きに、寝かせましょう。5)その際、嘔吐したら、嘔吐物を喉に詰まらせないよう拭き取り顔を横に向けます。6)慌てて口の中に指やタオルを入れないようにしてください。7)けいれんを起こしたときの状況(体温・発症時間・けいれんの持続時間など)をわかる範囲でメモしておきましょう。8)クーリング(氷まくらなどで体を冷やすこと)をしていない場合は、クーリングを開始しましょう。タオルケットなどをかけている場合は、減らしたり薄手のものに交換しましょう。9)また、医師からけいれん止めの坐薬が処方されている場合は、必ず医師の指示に従って、用法・用量を守って使用しましょう。 受診の判断についてその後、受診するかどうかの判断は、かかりつけ医や休日・夜間であれば、救急病院、#8000(子ども医療電話相談)に電話をして相談してみましょう。ただし、・初めての熱性けいれん(特に1歳未満)・けいれんが5分以上続く・短い間隔で繰り返しけいれんが起き、意識もうろうとしている・けいれんに左右差がある・けいれんを起こしたときのお熱が38.0度以下だった等の場合は、受診してください。熱性けいれんの際に大事な “おしゆはき”お…落ち着いてし…静かにゆ…衣服を緩めるは…離れないき…状況を記録する 実際にわが子が、熱性けいれんで苦しんでいる場面を見ると、パニックになってしまうかもしれません。しかし、そこをぐっとこらえて、あわてず、落ち着いて状況を観察することが大事です。きっと一番心細いのは赤ちゃん本人なので、ママはなるべく赤ちゃんのそばから離れず見守っていてあげましょう。 監修者:医師 葛飾赤十字産院院長 三石 知左子 先生東京女子医科大学小児科入局後、東京女子医科大学母子総合医療センター小児保健部門講師などを経て、現在、葛飾赤十字産院院長、東京女子医科大学非常勤講師。
2019年12月14日3歳を過ぎたころ、急に娘の身に起こった「熱性けいれん」。私は娘の症状を初めて目の当たりにし、顔が青ざめ言葉が出ませんでした。けいれんを発症し、感じたことやすべきこと、やってはいけなかったこと……実際に身をもって経験したことをお伝えしたいと思います。 いつもの風邪の症状と思っていると突然に出掛けた日の夕方に、鼻水と咳が出始めた3歳の娘。週末ということもあり、病院は休診。熱もなく軽い風邪の症状だろうと思い、翌日に病院へ行く予定でした。 夜になると37.4度の微熱も出ましたが機嫌は悪くなく、子どもは夜に熱を出しやすいと把握していたので、気にせずそのまま21時には就寝しました。 1時間ほどした後、私はふと目覚め、娘の様子を伺い驚愕しました。娘は手足をビクビクとけいれんさせ、唇は紫色になり泡を吹いて失神していたのです。 指示を仰ぐため小児科救急へ電話娘の身に何が起きているの? 目の前にある光景は現実? 起きたての私には娘の状態がまったく理解できず、頭が真っ白になってしまいました。そして我に返り、失神している娘の意識をまずはしっかりさせなくてはと思い、私は震える手で娘の体を軽く揺すったり声を掛けたりしました。 私の声に目を覚ました夫は娘を見て驚き、焦っていたと思います。夫が目を覚ましたことで少し冷静さを取り戻した私は、携帯を手に取り小児科救急相談窓口に電話を掛けました。 救急病院へ。何が必要なのかわからない小児科救急相談窓口で娘に起きている症状を看護師さんに伝えると、むやみに動かしてはいけないと指示され、そのまま救急に繋いでくれました。救急車が到着するのを待って、けいれん時の症状と時間を伝え、病院に向かうことになりました。付き添いが必要なので、私は慌てて保険証、医療証に財布を準備し救急車を待ちました。 そこで、焦っていると忘れがちな持ち物があるとわかったので紹介したいと思います。 必要なものは貴重品以外にもあった!救急隊の方が寝室から娘を運び、私は娘の付き添いのため、慌てて準備した貴重品等を持って救急車に乗り込もうとしました。そこで救急隊の人に呼び止められ「持ち物は貴重品以外にも必要なものがありますよ。言いますので準備してください」と言われたのです。 子どもの靴に靴下、院内での診察待ちや会計時、帰宅時に羽織る私と娘の防寒具などでした。軽装で過ごしていた自宅から救急車で病院に、しかも娘は抱えられて車に乗り込んだので靴や靴下を履いていないということにも頭が回っていなかったと気がつきました。 病院に到着後、娘はダイアップという座薬を投与されました。また解熱剤も時間をおいて投与可能とのことで、投与後に経過観察をし、入院はせず帰宅できました。お医者様いわく、発症時は子どもを横に向け呼吸しやすくし、けいれんの時間を計り、どのような状態だったのかメモをしておくことが大切なのだそうです。いざけいれんしているわが子を目の前にするとパニックになってしまいますが、しっかりしなくては……と感じた体験でした。著者:佐藤ひより5歳と3歳の姉妹のママ、第3子妊娠中。毎日やんちゃな姉妹に振り回されている。時短家事や育児の体験談などを中心に執筆中。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 ◆関連動画赤ちゃんの熱性けいれんの実例とあわてない対処法(監修/葛飾赤十字産院 院長 三石千左子)
2019年08月21日子どもに多い病気として熱性けいれんがあり、100人中約8人くらいの頻度で起こります。眼の前で子どもが白目を向いてガクガクとしだしたら、びっくりしてパニックになってしまうでしょう。そういった時、親はどのようにすればよいでしょうか?■熱性けいれん「どうする?」正しい対処法まず、熱性けいれんは5歳以下の乳幼児によく起こります。38℃以上に発熱して、最初の数時間でけいれんすることが多く、突然白目を向いて体が突っ張ったり、手足がガクガク震えたりします。多くは数分程度でおさまりますが、それ以上に長く続くこともあります。一般的に、けいれんの時は以下のように対応するよう指導されます。「熱性けいれんを起こしたら、子どもを横に向けて誤えんを防ぎ、けいれんが何分続くか、左右対称かどうかを確認します。けいれんが5分以上続く場合は救急車を呼びましょう」これはこれで正しい対応ですが、はじめてけいれんを見た人にとってはハードルが高いかもしれません。そこで、まずは「子どもを横に向けて誤えんを防ぐ」。これができればOKです。もし、ソファの上やお風呂場などでけいれんを起こした場合などは、安全な場所に移動させましょう。けいれんが起こった時点では何分続くかわかりませんし、様子を観察するのは何度か子どものけいれんを見たことがある人ではないとなかなか難しいものです。救急車をよんでも構いませんし、もし小児科が近ければそのまま受診しましょう。けいれんというと、舌をかまないようにと口にタオルを入れたり、割り箸をはさんだりすると覚えている人がいるかもしれませんが、これは避けたほうがいい行動です。なぜなら口の中にものを入れますと、のどが刺激されておう吐、窒息してしまうおそれがあります。もし、舌をかんだとしても、その出血がもとで窒息することはありません。口の中には何も入れないと覚えておいてください。■けいれんを繰り返す「複雑型熱性けいれん」一般的な対応として、けいれんの時間をはかる、左右対称かどうかを見ることをご紹介しました。なぜ、その対応が必要なのでしょうか。これは診断にとても重要だからです。熱性けいれんは、以下の2種類に分類されます。1.単純型熱性けいれん2.複雑型熱性けいれん単純型熱性けいれんは、けいれんが左右対称で、その時間が15分以内におさまり、24時間以内に反復しないことが条件です。これにあてはまらないものは複雑型熱性けいれんにあたり、けいれんが反復します。そのため、反復しやすさなどを予測するために、左右対称かどうかと持続時間の確認が必要なのです。両親いずれかの熱性けいれん家族歴、または1歳未満の発症の場合は再発率が50%ですので、これらに該当する場合は再発に注意を払ったほうがいいでしょう( 日本小児神経学会「熱性けいれん診療ガイドライン2015」 )。ただし、熱性けいれん全体の再発率は約30%ほどですので、再発しないことのほうが多いです。熱を下げたらけいれんしなくなるのでは? と考えるかもしれませんが、解熱剤で熱を下げてもけいれんの発症リスクを下げることはできません。とはいえ、解熱剤でけいれんが起こりやすくなることもないので、高熱でつらそうな時は解熱剤を使っても構いません。■「抗けいれん薬が効かない」熱性けいれん以外の可能性診断が熱性けいれんであれば、後遺症を残すことはほとんどないものです。けいれんをしている最中、有効な呼吸はできていないので脳は酸素不足になりますが、数分であれば脳への影響はないでしょう。数分の熱性けいれんは自然に止まりますが、けいれんが5分以上になれば、自然に改善する可能性は低く抗けいれん薬の投与が必要になります(救急受診の目安が5分と指導されているのもそのためです)。けいれんを起こした時点では何分続くかわかりませんし、初めての時は熱性けいれんかどうかもまだわからないでしょう。診察を受けて、全体をふりかえった結果、診断されます。例えばインフルエンザにかかっている場合、インフルエンザ脳症ということもあるかもしれません。けいれんを起こしたら原則、受診してほしいと思います。ひとつ、小児に多いけいれんで、熱性けいれん以外のものを紹介しておきましょう。これはノロやロタウイルスなど胃腸炎にかかったときに起こす軽症胃腸炎関連けいれんです。発熱はなくてもけいれんを起こすもので、数分間の短いけいれんがあり、短時間のうちに反復します。抗けいれん薬を使うと改善しますが、熱性けいれんとは治療薬が異なるため区別が大切です。熱性けいれんの治療をしても改善しないため、けいれんの時は下痢やおう吐があるかという情報も大事になります。初めてけいれんをしている我が子を見たら、気が動転するのは当然です。救急車の中で涙を流しているお母さんもしばしばいらっしゃいます。正直言って、私も医者になって初めてけいれんを見た時は焦りました。何度か経験しないと冷静になることは難しいでしょう。突然やってくるその時に備えて、やるべきことを決めておくことが大切です。まずは、誤えんしないように子どもを横向きに寝かせる、救急車を呼ぶ(小児科を受診する)の2つができれば大丈夫です。
2019年08月02日「気軽に専門家に質問ができて、さらに返信も早い」とママから日々感謝の声が寄せられているベビーカレンダーの人気コンテンツ【助産師に相談】の掲示板。その中から特に注目をあつめた質問の内容を一部抜粋してご紹介します。今回は、赤ちゃんの熱性けいれんに関するご相談です。 Q. 熱性けいれんの正しい対処法がわかりませんネットで育児ブログなど読み、熱性けいれんのことを知りました。ただ、熱性けいれんの正しい対処法がわかりません。どのような症状が出たら救急車を呼んでいいのでしょうか? 子どもが熱性けいれんになってしまったとき、私はパニックになってしまいそうで怖いです。 高塚あきこ助産師からの回答熱性けいれんは、乳幼児が発熱の際に、全身がリズミカルにガタガタとけいれんするものです。一般的には38.0度以上の発熱時に起こると言われていて、パパさんかママさんのどちらかが、熱性けいれんを起こしたことがある場合には、お子さんも熱性けいれんを引き起こす確率も高くなると言われていますよ。また、熱性けいれんを何度も起こす確率は、15%程度と言われていますが、ご両親の熱性けいれんの既往や1歳未満で熱性けいれんを発症したことがある、発熱して1時間も経たずにけいれんした、熱が39度以下でけいれんした、のいずれか1つでも当てはまる場合は、再発率は30%と高くなると言われています。目の前でお子さんが熱性けいれんを起こしてしまうと、ママさんはパニックになってしまいますよね。お気持ちよくわかりますよ。ですが、熱性けいれん自体が生命に関わる可能性は低いと言われていますので、まずは、冷静に落ち着いて対応することが大切です。 熱性けいれんは、長いように感じても1〜2分で収まることも多く、けいれん後に泣いたり、ご家族のことを認識できたり、意思疎通が可能であれば、慌てずに様子をみてくださいね。あまり余裕はないかもしれませんが、動画などに収めていただくと、受診の際に、診断しやすいこともありますので、もし、状況が可能なら、動画などを取っておくといいかもしれません。 特にその後の様子にお変わりなければ、かかりつけの小児科に受診してくださいね。また、もしけいれんが持続する、けいれんは止まっているけれど目が合わない、意識がはっきりしないようなときには、すぐに救急車を呼んでくださいね。※参考:ベビーカレンダー「助産師に相談」コーナー※診断や具体的な治療については医師の指示にしたがってください 熱性けいれんを起こしたときの対処法 1)『熱性けいれん』は、小児期でもっとも多いけいれんとされていて生後6カ月~5歳の間、38度以上の発熱にともなって引き起こります。一般的には数十秒で終わりますが、時に、1分以上続くこともあります。 2)けいれんが起きたときに、赤ちゃんを揺さぶったり、大きな声で赤ちゃんを呼んだりしてはいけません。余計な刺激を与えることで、けいれんが長引いてしまう恐れがあります。落ち着いて、赤ちゃんのそばにいて状況を観察しましょう。 3)赤ちゃんの衣服を緩め(特に首回り) 4)横向きに、寝かせましょう。 5)その際、嘔吐したら、嘔吐物を喉に詰まらせないよう拭き取り顔を横に向けます。 6)あわてて口の中に指やタオルを入れないようにしてください。 7)けいれんを起こしたときの状況(体温・発症時間・けいれんの持続時間など)をわかる範囲でメモしておきましょう。 8)クーリングをしていない場合は、クーリングを開始しましょう。タオルケットなどをかけている場合は、減らしたり薄手のものに交換しましょう。 9)また、医師からけいれん止めの坐薬が処方されている場合は、必ず医師の指示に従って、用法・用量を守って使用しましょう。 ※参考:ニュース(医療)「赤ちゃんの『熱性けいれん』、実例と小児科医による対処法を動画で解説!」【監修者:医師 三石 知左子 先生 小児科 | 葛飾赤十字産院院長】 ベビーカレンダーは、妊娠や育児のお悩みを抱えたママさんの強い味方でありたいと思っています。自分だけではどうしても解決できなかったとき、不安で仕方がないときは本物の助産師や管理栄養士がリアルタイムでお悩みや質問にお答えする『助産師に相談』『管理栄養士に相談』の掲示板をぜひご活用ください!
2019年04月10日ウーマンエキサイトをご覧の皆様こんにちは。もうすぐ桜の季節ですね。入園、入学準備で忙しい方もおられるのではないでしょうか。我が家も来年の春には、娘の入学と息子の入園が重なるので、大忙しになる予定です…恐ろしい…なので今年の春はお花見してゆったり過ごそうと思っています。さて今回は「わが家の緊急対応エピソード特集」ということで…子供を産んでから今までで「一番焦ったエピソード」をご紹介したいと思います。■突然訪れた娘の異変…皆さんは「熱性けいれん」をご存じでしょうか。熱性けいれんは、6ヶ月~5歳頃の子どもが急な発熱に伴って意識障害、けいれんを引き起こす病気です。私自身は、熱性けいれんのことは知っていましたし、対処法も心得ているつもりでした。■突然のけいれんに大パニック朝、熱を測った時には平熱だったし…鼻水も咳も出ていなかったので、風邪をひいているなんて思いもよりませんでした。「熱中症かもしれない」という気持ちもあって、病院に行かなきゃと思った矢先に起きた熱性けいれんだったので、私はもう大パニック!!!けいれんする娘を抱きかかえながら泣くことしかできませんでした。何もできない私に代わって友人たちが救急車を呼んでくれました。■あまりの動揺に記憶が曖昧知識はあってもその状況になってみないとわからないことばかりでした。テンパりすぎてお医者さんにもうまく説明できず…「反省! 反省! 反省! 」もっと何事も冷静に対応できる母になりたいものです。※結局、熱中症ではなく夏風邪でした。経験することで学ぶことは多い(緊急事態はできれば経験しないほうがいいんですが…)。こうやって経験と反省を繰り返しながら少しずつ「強い母ちゃん父ちゃん」に成長していくのかもしれませんね。
2019年03月20日風邪やインフルエンザなどの発熱をきっかけに起こる熱性けいれん。発作を起こした翌日に保育園に預けても大丈夫なのだろうか?東京都立神経病院 神経小児科部長の福田光成先生に聞いてみた。「通常の熱性けいれんは、平熱に下がったなら登園して大丈夫です」(福田先生以下同)ちなみに熱性けいれんは再発することもまれではない。通常の熱性けいれんでは、2回目の発作が再発する人は全体の約3割、3回以上繰り返す人は約1割といわれている。しかし、下記のようなケースでは、再発する確率は約2倍に上がるそうだ。・両親のいずれかに熱性けいれんを起こしたことがある・1歳未満での発症・発熱から発作を起こす間隔が短時間である(概ね1時間以内)・発作時の体温が39度以下再発の場合、保育園で熱を出して発作を起こすこともあるだろう。再発の可能性が考えられる場合、どのように園に頼んだらいいだろうか?「多くの保護者の方がけいれんを起こしたお子さんの様子に驚いて戸惑ってしまうように、熱性けいれんに慣れていない保育園の先生方も対応するのは大変かと思います。一度、熱性けいれんのお子さんを預かったことのある先生なら対処できるかと思いますが、受け入れを断られてしまこともあるかもしれません。預かってもらえる場合は、5分以上けいれんが続くようなら救急車を呼んでほしいこと、発作時の様子や担当医に聞いた対処の仕方を具体的に先生と共有してください」ダイアップの使い方は?熱性けいれんが再発する場合、坐薬のけいれん止め・ダイアップ坐剤が処方されることがある。けいれんを起こす前に使用すれば、熱性けいれんの再発を防げることも多い。患者向け説明用リーフレット『小児科診療・2014年・11号』にある「熱性けいれんマニュアル」によると、再発の予防の方法は以下の通りとなっている。・ダイアップなどの処方されたけいれん止めを使用する・37.5度から38度の熱が出始めたときにダイアップを速やかに使う。8時間後も発熱が続いた場合は、もう一回使ってもよい・解熱薬はダイアップの使用後から30分間隔をあけること・薬で眠くなったり、逆に興奮したりすることがある。またふらつくこともあるので、転んでケガをしないように見守る・最後のけいれんからおおそよ1~2年間。または4~5歳まで使用するでは、ダイアップを処方してもらえるように医師に頼むのがベストなのか。「最近では熱性けいれんのガイドラインが改定され、ダイアップは以前に比べて処方されない傾向にあります。脳炎や髄膜炎が潜んでいる場合、ダイアップを使用して眠気が誘発されて意識状態が確認しづらくなり、その兆候を見逃す可能性があるためです。ただ熱性けいれんの再発率は下がりますし、発作を未然に防ぐ効果はあるので、処方が必要かどうかを相談してもいいと思います」では、保育園の先生にもダイアップは渡した方がいい?「たまに熱を出す直前に発作を起こしてしまう子もいるので一概にはいえませんが、発作を未然に防げるならその方が保育園も対応しやすいかもしれませんね。頼める保育園なら先生と使い方を共有して、ダイアップを渡してもいいでしょう」熱性けいれんが親や兄弟などに既往歴があるとなりやすいって本当?ところで、親戚にてんかんの子がいたり、自分が子どものときに熱性けいれんを起こした経験があったりすると子どもがなりやすいというが…。福田先生に確認すると、やはり傾向としてあるそうだ。「遺伝的な要素というより体質的なものです。熱性けいれんにかかる割合として日本人は欧米人に比べると高いんですね。たとえば、親がアレルギー体質だと子どももそうであったり、親が花粉症だと子どももなりやすかったりすることと似ていると考えていいでしょう」熱性けいれんの症状や対処法は、その子の状態によってケースバイケースだ。医師や保育施設の先生とよく話し合って、対応していこう。(取材・文:石水典子編集:ノオト)
2018年06月02日38度以上の発熱をきっかけにして起こる熱性けいれん。風邪やインフルエンザなどにかかり子どもが発作を起こしたら、保護者はどのように対処するといいのだろうか?「子どもが熱性けいれんを起こしたら、5分間は様子を見るようにしましょう」そう話すのは、東京都立神経病院 神経小児科部長の福田光成先生。「子どもの急変した様子に時間の経過を長く感じることも多いでしょう。びっくりして周囲がパニック状態になってしまうものなので、難しいかもしれませんができれば携帯などを見て時間を確認できるといいですね」(福田光成先生以下同)発作が起きたら具体的に何をすればいい?福田先生と公立学校共済組合四国中央病院小児科の日野ひとみ先生が、患者向け説明用リーフレット『小児科診療・2014年・11号』内で作成した「熱性けいれんマニュアル」によると、発作が起きてからの5分間にするべき対応として推奨される項目は以下の通り。あわてない、5分間の観察が大切だという。・時間を見る(可能なら時計などで時間を確認)・気道を確保するために子どもの体を横にする(吐物に注意)・口のなかにものは入れない・熱があるか確認する(触る、余裕があれば体温計を使用)・けいれんの様子を観察する(目の向き・手足の動きに左右差はあるか、ガクガクしているのか、つっぱっているのか)「このとき、お子さんが舌を噛み切ってしまうことを懸念して、口のなかに手を入れようとする保護者の方がいます。通常、けいれん中の歯を食いしばった状態では手は入りにくいものですが、もし入ると強く噛まれてしまう危険があるので入れないでください。発作で舌を噛んで少し出血することもありますが噛みちぎることはありません。ただし、嘔吐して口のなかに吐物が詰まっている場合は、呼吸を阻害しないようにガーゼなどを指に巻いて口のなかからかき出してあげてください」また発作が収まったら、顔色や呼吸が正常かどうか、子どもの様子に異常がないか観察しよう。発作の後はそのまま寝てしまうことが多いそうだ。余裕があれば、発作の様子を携帯の動画で記録しておくといい。どのような症状であったかは、後に受診する際に治療の必要のない良性の単純型か否かなどを医師が確認する参考にもなるという。熱性けいれんの多くが治療のいらない単純型だが、重篤な疾患が潜むケースがまれにあるため、念のため特に初めてのけいれんのときには受診をした方がいいそうだ。「けいれんが5分以内に収まり、その後も異常が見られない場合は、慌てず翌日に受診するので良いと思います。たとえば、とても寒い時期の深夜などは無理に移動しないで、自宅で暖かくして休ませてあげた方がいいと思います」5分以上続くようなら速やかに救急車を呼ぼうけいれんが5分以上続く場合は、緊急搬送してもらい治療を受ける必要がある。けいれんは長く続くと止まりにくくなり、30分以上続くと、脳障害や後天性てんかんといった後遺症が残ることもある。5分以上けいれんが続く場合は救急車を呼び、なるべく近くの病院に連れていこう。複雑型である場合に見られる症状はてんかん、もしくは髄膜炎や脳炎による発作である場合、どのような症状が見られるのだろうか?「体を硬直させてつっぱったり、ガクガクと震わせるけいれんが、全身ではなく左右非対称で起こるときや部分的であるとき、熱が高くない状態で発作を起こした場合は良性の熱性けいれんでない可能性もあります。そういった症状は医師に相談して必要に応じて検査を受けましょう」もし熱性けいれんだけでなく、てんかんなどの神経系疾患になった場合、専門の医療機関で診察を受けたいと思う方も多いだろう。東京都立神経病院は、日本で唯一の神経系専門の病院だが、外来はないそうだ。子どもを受診させるにはどうしたらいいのだろうか。「東京都立神経病院は外来やERがありません。都立小児総合医療センターの神経内科の先生方と一緒に我々神経病院のドクターも診療しています。熱性けいれんに限らず、発達の遅れやてんかんなどのけいれん性疾患などでご心配な場合には、まず都立小児総合医療センターの専門外来を訪ねてください」「紹介状をお持ちになっての受診をお願いしていますので、かかりつけの先生に書いていただきましょう。大学病院や大きな総合病院もそうですが、紹介状なしで直接外来に来られると、特別な初診料がかかってしまいます」とのこと。熱性けいれんであっても経過が思わしくなく心配な場合には、専門の医療機関で診察や検査を受けておくと安心だ。(取材・文:石水典子編集:ノオト)
2018年05月29日ひきつけや意識障害などの発作を起こす、子どもの疾患「熱性けいれん」。38度以上の発熱をきっかけになるもので、直面したら気が動転してもおかしくないだろう。その反面で「短時間で症状が収まり、その後に異常がない場合は受診をしなくてもよい」という情報を目にすることもある。本当に、受診しなくても大丈夫なのか、東京都立神経病院 神経小児科部長の福田光成先生に話を聞いた。一般的に緊急性が低いケースがほとんどだが、特に初めてのけいれんのときは受診しよう「熱性けいれんは乳幼児期の子どもによく見られる疾患で、そのほとんどが治療のいらない良性のものです。5分以内にけいれんの症状が治まり、発作が治まった後の子どもに異常が見られなかったら、ほとんどの場合は心配いりません。ただ、熱性けいれんにはまれに危険な疾患が潜んでいるケースがあるので、特に初めてのけいれんの場合は受診することをおすすめします」(福田先生以下同)具体的に、熱性けいれんを起こすと、どのような症状が起きるのだろうか?「けいれんとは、脳がコンピュータでいうショートしたようになり、体の筋肉が勝手に動いたり呼びかけに反応できなくなったりする状態です。熱性けいれんは一般的に、38度以上の発熱がきっかけとなる発作のことで、髄膜炎や脳炎などほかの疾患を持たないケース。手足をつっぱらせたりガクガクとするけいれんのほか、白目をむいたり、嘔吐やチアノーゼを起こすこともあります。確率としては低いですが、ぼーっとして脱力した状態になり、意識障害や失神を起こしているように見えるケースもごくまれにあります」福田先生によると、約8割の熱性けいれんの症状は、5分以内に発作が収まるそうだ。これは脳自体に消火器のようなけいれんを止める機能が備わっているため。ただし「5分以上けいれんが続く場合は止まりにくい場合もあり、救急車を呼ぶべき」とのこと。熱性けいれんには、治療の必要がない良性の単純型と、ほかの疾患が潜んでいる場合もある複雑型がある。5分以上けいれんが続く場合や、24時間以内に一度ではなく複数回の発作を起こした場合は、良性ではないことも考えられる。では、複雑型の熱性けいれんにはどのような疾患があると考えられるのか?「約1割ではありますが、脳炎や髄膜炎、急性脳炎などが潜んでいることも否定できません。またこれまで症状が見られずにてんかんが潜んでいて、熱をきっかけに発作が出てしまうこともあります」ちなみにてんかんは「発熱などのトリガーになる要因がなくても、突然に発作を起こしてしまう疾患」のこと。複雑型であることが疑わしい場合は、医師に相談しよう。CT検査や脳波の検査を勧められることもある。熱性けいれんを起こす子どもが多い理由とは『熱性けいれん診療ガイドライン2015』によると、熱性けいれんの多くは生後6カ月~5歳までの子どもが起こしており、日本では20人に1人の割合で見られる。また一般的に、緊急搬送で運ばれてくる子どもの1/2〜1/3がけいれんによるもので、そのうちの1/2〜1/3が熱性けいれんなのだという。なぜこれほど多い確率で熱性けいれんが起こるのだろうか?「これは脳の発育に関係していて、脳を抑制させる神経系統と興奮させる神経系統のアンバランスにより、保育園に通うくらいの年齢のお子さんの脳はけいれんが起きやすい状態になっているとも考えられます。熱性けいれんを複数回起こしている子でも、一般的には小学生になる頃には治ることが多いです。たまに中学生でインフルエンザなどにかかり、熱性けいれんを起こすお子さんがいらっしゃいますが、これは非常に珍しいケースで、成長と共にいずれ収まるものです」顔が紫色に変色してしまうチアノーゼや、白目をむいたひきつけ状態など、熱性けいれんに直面してパニックになってしまうのは当然だ。とはいえ珍しい疾患ではなく、熱性けいれんの多くが良性であるということを念頭に置いて、もし我が子が発作を起こしても慌てない対応を目指そう。(取材・文:石水典子編集:ノオト)
2018年05月26日熱性けいれんとは?出典 : 熱性けいれんとは、38℃以上の発熱に伴って起きるけいれんのことを指し、「ひきつけ」と呼ばれることもあります。生後6ヶ月~5歳の乳幼児期に発症することが多いとされており、発症率は7~11%ほどと言われています。発熱していた子どもが突然ブルブルとけいれんをはじめたら驚き動揺してしまいますよね。しかし実は、熱性けいれんは多くの場合、正しい知識を持っていれば冷静に対応することができます。本記事では、熱性けいれんが起きた場合の対処法、救急車を呼ぶ判断基準、似た症状を持つ「てんかん」との違いなどについて解説します。参考:「公益社団法人 母子健康協会」参考:「熱性けいれん診療ガイドライン2015(日本小児神経学会,2015)」参考:「すべてわかるこどものてんかん(皆川公夫,2014)」熱性けいれんの原因出典 : 熱性けいれんは風邪や感染症などによって体温が急激に上昇したときに脳がけいれんを起こしやすい状態になるために起こります。どうして熱が上がるとけいれんが起きやすくなるのかについて詳しい原因は分かっていませんが、発達途中の子どもの脳は高い熱に鋭く反応してしまうのではないかと考えられています。また熱性けいれんを発症する体質は、親やきょうだい間で家族性があるともいわれています。ただし家族に熱性けいれんを発症した人がいたとしても必ずしも発症するわけではありません。熱性けいれんの種類と症状出典 : 熱性けいれんには「単純型熱性けいれん」と「複雑型熱性けいれん」の2つの種類があります。ほとんどの例が単純型で、複雑型は1割ほどと言われています。単純型は良性の熱性けいれんなので後遺症が残ることはほとんどなく自然と治ります。一方、複雑型熱性けいれんは後にてんかんが発症する可能性があるので、場合によっては治療が必要になります。そのため、熱性けいれんが起きたときには複雑型かどうかを見極めることが重要です。その際、けいれんの様子、時間、回数が判断のポイントとなります。・全身でけいれんせず、体の一部または左右非対称のけいれんが起きる・発作が15分以上持続する・24時間以内もしくは発熱中にけいれん発作を数回にわたって再発するこのいずれか1つがみられる場合は複雑型熱性けいれんとなります。複雑型の疑いがある場合、検査を受けることが推奨されています。さきほども述べたように、熱性けいれんはそのほとんどが単純型です。単純型の場合、正しい対処を行えば後に大きな後遺症を負う危険性も少ないため、あまり大きな心配をする必要はありません。熱性けいれんが起きたときの対処法は、次の章で解説します。参考:「すべてわかるこどものてんかん(皆川公夫,2014)」参考:てんかん発作とけいれん発作の違い|大塚製薬 てんかんinfo参考:「熱性けいれん診療ガイドライン2015(日本小児神経学会,2015)」熱性けいれんが目の前で起こったときの対処法出典 : 子どもが突然けいれんを起こし、意識を失ったりしたら、驚いてしまう保護者の方も多いのではないかと思います。しかし、正しい知識を持っていれば冷静に対処することができます。子どもが熱性けいれんを起こしたときには、以下のような対処法を実践してください。<けいれん時の対処法>・首の周りなどを締め付けないように衣服を緩めてください・抱きかかえず、平らなところに寝かせてください・嘔吐や口の中に固形物がある場合は、顔を左に向けて吐いた物が気道に詰まらないようにしてください・口や鼻の周りの吐物を拭き取ってください・診察時にそなえて、けいれんの様子(左右差)や持続時間、体温などを確認しておいてください。余裕があれば不謹慎だと思わずに動画などを撮影してください(診察時、てんかんとの鑑別に役立ちます)。<してはいけないこと>・大声で名前を呼んだり、身体を揺すったりしない(刺激となり、けいれんが長引く場合があります)・「舌を噛まないように」と口の中に物を入れたりしない(熱性けいれんで舌を噛むことはほとんどありません。また、噛む力はかなり強いため、ケガをする恐れがあります)多くの場合、熱性けいれんは数分以内に治まります。数分以内で治まるけいれんであれば、ほとんどのケースにおいて救急車を呼んだり病院に行ったりする必要はありません。しかし中には、緊急性が高く救急車を呼ばなければならないケースや、緊急性は高くないが複雑型の疑いがあり検査の必要があるためけいれんが治まったあとに速やかに病院へ行ったほうがよいケースがあります。緊急性を判断する上では以下の目安を参考にしてみてください。【救急車を呼ぶ】・5分以上けいれんが続く・けいれんが終わったが、その後も意識障害が続く(睡眠とは別)【病院へ行く】・38℃より低い熱でけいれんを起こした・全身けいれんではなく、体の一部または左右非対称なけいれんがある【保護者がパニックで判断しにくい場合】・小児救急電話相談(#8000)に電話相談をする小児救急電話相談は厚生労働省がすすめる相談事業です。#8000番に電話すると、お住まいの都道府県の相談窓口つながります。そこで小児科医師・看護師からお子さんの症状に応じた適切な対処の仕方や受診する病院などのアドバイスを受けることができます。熱性けいれん時以外にも使用することができます。#8000番に電話をして状況を伝えることで、医師や看護師の適切な指示を受けることができ、子どもの保護者も、その場の対処や救急車・通院の判断を行いやすくなります。参考:小児救急電話相談事業(#8000)について|厚生労働省熱性けいれんの治療や予防法ってあるの?出典 : 熱性けいれんは一過性のものが多いため、治療をせずに成長とともに自然に治っていくのを待ちます。しかし1度に起こるけいれんの時間が長かったりする場合は座薬による治療をすすめられる場合があります。複雑型熱性けいれんによる部分発作(体の一部だけがけいれんする発作)が24時間以内に2回以上反復した場合やけいれんが5~10分以上続く場合に薬物治療の目安とされています。けいれん状態が長く続くほど危険な状態になっていくため、座薬(ダイアップ)を投与しけいれんを治めます。また家族に熱性けいれんになったことがある人がいる場合や、熱性けいれんの発症前から神経学的異常・発達遅滞がある人の場合は、座薬を使用することが多いです。出典:ダイアップ坐薬|独立行政法人医薬品医療機器総合機構参考:「熱性けいれん診療ガイドライン2015(日本小児神経学会,2015)」熱性けいれんは高熱が出ない限り発症することはありません。高熱が伴う風邪やインフルエンザなどの感染症に感染することを予防してください。日々の手洗い・うがいを徹底することが大切です。なお予防接種などを積極的に受けることもおすすめします。発熱時に解熱剤を使用することも効果的です。しかし解熱剤自体には、熱性けいれんを抑える効能はありません。参考:「熱性けいれん診療ガイドライン2015(日本小児神経学会,2015)」熱性けいれんとてんかんの違い、熱性けいれんと似ている病気って?出典 : 同じようにけいれんを症状とする疾患にてんかんがあります。てんかんとは、大脳の神経細胞が過剰に興奮することで発作が起こる慢性的な脳の疾患のことです。熱性けいれんが起こるのは主に発熱時に限られますが、てんかんの場合は発熱時以外にも発作が起こります。また熱性けいれんは主に乳幼児期に限って発症するのに対し、てんかんは発症してから長く治療し続ける疾患です。てんかんは、意識を失い全身をけいれんさせる大発作、身体の一部がピクッと動く発作、話の途中でぼんやりしてしまう発作などがあり、必ずしもけいれんを伴うものではないことも特徴です。一般的なてんかん発症率の0.5~1%に対して、熱性けいれんが発症した後のてんかんの発症率は2~7.5%程度といわれています。このため、何らかの関係が存在すると考えられていますが、詳しいことはわかっていません。参考:「熱性けいれん診療ガイドライン2015(日本小児神経学会,2015)」髄膜炎や脳症は熱性けいれんのように発熱とけいれんが伴います。髄膜は脳や脊椎を覆っている膜です。髄膜が炎症することによって高熱、激しい頭痛、悪寒、嘔吐など風邪に似た症状が発症し、けいれんや意識障害を引き起こす場合も珍しくありません。年間1000人の乳幼児が感染する疾患です。脳症はウイルスが直接脳に感染し、炎症を起こすことによって発症する疾患です。髄膜炎と同様に高熱やけいれん、意識障害がおこります。多いときには年間500人が発症し、1歳をピークに幼児期に感染者が多い疾患です。参考:細菌性髄膜炎とは|国立感染症研究所 NIID参考:痙攣重積型(二相性)急性脳症|難病情報センター熱性けいれんの検査出典 : 単純型熱性けいれんの場合は自然と治るため特に問題はありませんが、複雑型熱性けいれんの場合はてんかんなどとの合併症の疑いがあるため検査を行います。検査を行うのは大体2回目のけいれんが起こった後だといわれています。初めてのけいれんでパニックを起こしている状態でよく観察できていない場合や、けいれんが1回だけで終わる人もいるためです。・てんかんや急性脳症との鑑別が必要なとき発達の遅れ、発作後のマヒ、複雑型熱性けいれんで部分発作があった場合はCTとMRIを行います。・細菌性髄膜炎との鑑別が必要なとき髄膜刺激症状と30分以上の意識障害が伴う場合には髄膜検査を行います。髄膜刺激症状とは首の硬直や膝を曲げた状態で股関節を直角に屈曲し、そのまま膝を伸ばそうとすると抵抗があることをいいます(ケルニッヒ徴候)などがあります。その他にも医師が必要と認める検査を受けることがあります。まとめ出典 : 熱性けいれんを初めて目の当たりにすると、そのショッキングな症状に保護者や周囲の人はパニックを起こしてしまうこともあります。熱性けいれんの70~85%が一過性のもので再発することはないといわれていますが、保護者は子どもが発熱する度にいつ再発するか分からないという恐怖心が植え付けられます。しかしけいれんは数分で治まり、脳の発達によって5~6歳までに発症しなくなるといわれていますし、熱性けいれんは10人に1人がかかるような日常にありふれた疾患のひとつです。大きな病気ではないので安心して、その都度落ち着いて対応することを心がけましょう。熱性けいれんを起こさないためにも日頃から風邪や感染症を予防することは大切です。子どもだけではなく、周囲の大人たちも予防につとめましょう。もし熱性けいれんが起こった場合には、#8000番を利用するなど冷静な判断で対処・判断をしてください。はじめてけいれんが起こった際や単純型・複雑型どちらのけいれんか判断できない場合などは、迷わず病院へ行くことをおすすめします。
2017年08月17日