オラクルナイツ/ピウス主催、人狼TLPT『トランスミッション』が2023年5月7日(日)~5月14日(日)にシアターサンモール(東京都新宿区新宿1-19-10 サンモールクレストB1)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて4月15日(土)10:00より発売開始です。カンフェティにて4月15日(土)10:00よりチケット発売開始 公式ホームページ 【あらすじ】C7というドラッグがある。人狼伝説を再現し最強の兵士を作り上げる、という米軍の研究により生み出された7種類のドラッグのことである。コーディネーターによって、13人のプロフェッショナル達が集められた。彼らは悪党。裏社会の仕事人だった。彼らに与えられたミッションは、政府の特殊施設に保管されたC7を強奪するというものだった。依頼主が用意した報酬は5億ドル。裏社会の仕事人である13人は、それぞれの能力を活かしてミッションを遂行した。多少のトラブルはあったが強奪に成功し、彼らは国を捨て東南アジアへと逃亡した。あとは報酬を受け取るだけ。それだけのはずだった。殺人を好む人狼と、より多くの報酬を望む悪党たち。金と命を賭けた最悪の戦いが始まろうとしていた。人狼TLPTとは?“これより始まるは……今をおいて他にない、たった一度の物語。”舞台『人狼 ザ・ライブプレイングシアター』(人狼TLPT)はステージ上の13名が言葉を尽くし、千変万化の物語をアドリブで紡ぐライブ・エンターテインメントです。出演者がルールに用いるのは人気パーティーゲーム「人狼」。脚本はオープニング以外まったくなく、開演直前に6種類13枚のカードで決まる役割に従い人間 vs 人狼の戦いを即興で繰り広げます。13名の中に潜んでいる3匹の人狼を、人間たちは処刑できるのか? それとも人狼たちが正体を隠し通し、ついに彼らを滅ぼしてしまうのか? 繰り返される昼と夜が、手に汗握る人間ドラマを描き出します。さらに誰と誰と誰が“人狼”なのか、客席の正解者には記念品をプレゼント!ーーアナタは、巧妙なウソにダマされる。公演概要人狼TLPT『トランスミッション』公演期間:2023年5月7日(日)~5月14日(日)会場:シアターサンモール(東京都新宿区新宿1-19-10サンモールクレストB1)原案:「人狼 ザ・ライブプレイングシアター MISSION」オープニング脚本:広瀬格(dopeAdope)演出:畑中智行(キャラメルボックス)人狼TLPT企画:桜庭未那(オラクルナイツ)人狼TLPT構成:属結司(オラクルナイツ)■出演者足立英昭池永英介石井由多加ウチクリ内倉(dopeAdope/UZR)加藤靖久鐘ヶ江洸小林涼佐藤弘樹高士幸也畑中智行(キャラメルボックス)毎熊宏介増田裕生三上俊【コーディネーター役】渡邊隆義※ 本編(人狼ゲーム)へのご出演はございません。■公演スケジュール5月7日(日)13時開演/18時開演5月12日(金)13時開演/19時開演5月14日(日)12時開演/17時開演■チケット料金S席:指定席 前方2列 特典付 7,700円A席:指定席 5,500円(全席指定・税込)S席特典内容:集合ブロマイド 2L版2枚セット×2種特典はキャラクター別に2種ご用意しています。お渡し時にお選びいただきます。【企画・制作・主催】オラクルナイツ/ピウス 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年04月12日2023年1月19日(木)~22日(日)に東京・六行会ホールにてソンモ(ex超新星)主演、中野智行(PaniCrew)演出のMUSICAL「リフレインする君の声〜encore 2023〜」が上演される。今回、主演のソンモからの意気込みコメントが到着した。一般チケットはカンフェティにて大好評販売中。稽古も順調に進行中。カンフェティにてチケット発売中! 公式HP: 公式Twitter: (@BigupStage)いよいよ開幕が迫る中、応援企画やアフタートークイベントも決定。すでにほぼソールドアウトという回もあるが、チケット一般販売は1月15日(日)23時までとなっている。当日券が争奪戦になる回も予想されるので、お早めのチケット確保がおすすめだ。そして、主演を務める韓国出身アーティストのソンモが合流しての集中稽古も順調に進行中!演出の中野を中心として、緊張感をもちながらも、休憩時には笑顔が溢れる稽古場。ミュージカル初出演となる山田恭(円神)、ライバル役の内海大輔、プロデューサー役の松浦司らとのチームワークも見所。そんなソンモから意気込みコメントが到着!「日本語でのミュージカルで不安もありましたが、共演者のみなさん、スタッフさんたちのおかげで今は楽しみな気持ちでいっぱいです。期待してください!俳優としての新たな一歩にもなるように頑張ります!」当日券情報、その他ニュースは公式Twitterでも随時発信中!開幕に向けて一緒に熱くドキドキしよう!ーーこれは音楽人生を賭けた、ミュージシャン達のガチバトル MUSICAL!ーー公演詳細MUSICAL「リフレインする君の声〜encore 2023〜」出演:ソンモ(ex 超新星) / 山田恭(円神) / 松浦司 / 真田貴裕 / 上枝恵美加 / 鈴木亜里紗 / 森重秀太(Zero PLANETグループ) / 森脇梨々夏 / 高畑元翔/ 古畑恵介 / 水田達貴 / ミヤタユーヤ / 高橋なな / 望月こと葉 / みそ。 /田中優希 / 豊原皇介 / 川代峻平 / 内海大輔 / 五十嵐啓輔原案・演出 : 中野智行(PaniCrew)音楽プロデュース:RUI(ex CODE-V)脚本 : 平野建(アフリカ座)脚色 : DrG.YOU主催・企画・製作 : BIG UP協力:株式会社EARLY WING / 株式会社R&J / 株式会社 サンミュージックブレーン / スペースクラフト・エージェンシー株式会社 / 株式会社2PS / 合同会社Tripod Bishop / 株式会社パルムプロモーション / 株式会社プラチナムプロダクション / 株式会社ミューズエンタープライズ / 吉本興業株式会社 / 株式会社和奏AGENCY / 株式会社ワタナベエンターテインメント (50音順)◆日程2023年1月19日(木)~22日(日)1/19(木) 14:00公演★ / 18:30公演★1/20(金) 13:00公演★ / 18:30公演★1/21(土) 13:00公演 / 18:30公演1/22(日) 12:00公演 / 16:00公演※全8公演※開場時間:開演の30分前予定★の回はアフタートーク開催◆会場六行会ホール(東京都品川区北品川2丁目32−3)◆チケット全席指定席※年齢制限 :4歳以上◇一般6,500円(税込)12/24(土)10:00~1/15(日)23:00■チケット取扱いカンフェティ ■問い合わせメールアドレス: bigupstage@gmail.com 電話番号:03-6902-0508 (平日12:00~17:00)公式HP: 公式Twitter: (@BigupStage)◆ストーリー不幸な境遇で育ちビッグになることを夢見るボーカル「志音」徐々に視力が奪われていく網膜色素変性症を抱えるギターリスト「結弦」そしてふたりに共感し共に音楽を追求するメンバーやスタッフ達が織りなす奇跡の物語彼らの追求する命(ライブ)の先にあるものは何なのか…#アンコール2023 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年01月12日ツアー詳細はこちら : 釧路オンラインツアー釧路オンラインツアーは、ご参加者様のご自宅から気軽にZoomで参加して、お二人と一緒に旅行気分をお楽しみいただけます。また、ネットワーク環境があれば日本全国どこからでもご参加いただくことが可能なオンラインイベントです。気軽に旅行に行くことが出来ない昨今でも、気軽にツアー気分を楽しんでいただきたい。どこにいても、身近にエンターテインメントが楽しめる環境を作りたい。そんな想いから、2021年9月から4本のオンラインツアーを提供して、今回の釧路オンラインツアーは更に進化しました。演劇界での長いキャリアで築き上げたお二人の魅力と、多田さんの故郷・釧路を舞台に、釧路で活動するクリエイティブ集団「大人×2(おとなのじじょう)」の脚本・演出の多田ヒカリさん(多田さんの実姉)の書き下ろしショートストーリーをツアー中に「本読み・立ち稽古・ロケーション撮影」を3つのパターンで演じ分けて、それぞれ釧路のロケーションに合った場所で配信します。1日限りの配信の中で、演劇と観光地の魅力を掛け合わせたオンラインツアーをお届けいたします。尚、当ツアーはGoToイベント事業のオンライン配信イベントとして開催いたします。新型コロナウイルス感染予防対策を十分に行い、出演者とスタッフはPCR検査で陰性を確認した上で催行いたします。<プロフィール>多田直人(ただなおと)所属:演劇集団キャラメルボックス/ナッポスユナイテッド演劇集団キャラメルボックス『無伴奏ソナタ』、『鍵泥棒のメソッド』他、数々の主演を務める。舞台『容疑者Xの献身』、舞台『かがみの狐城』他、多数出演。畑中智行(はたなかともゆき)所属:演劇集団キャラメルボックス/フリー演劇集団キャラメルボックス『夏への扉』、『ゴールデンスランバー』他、数々の主演を務める。舞台『ショーシャンクの空に』、舞台『天国への階段』他、多数出演。ツアー概要名称 :一緒に体験!畑中先輩と行く多田直人オンラインツアー!~釧路で演劇と海鮮にまみれるふたり~日程 :2021年10月31日(日) 生配信(2週間のアーカイブ配信あり)参加費 :特典付き9,300円(税込)※GoToイベント適用。2000円引き後価格URL : ロングランプランニング株式会社とは2004年の創業以来「エンタテインメントを、もっと身近なものに。」という理念のもとに、日本のエンタテインメント産業の市場規模拡大を目指して日々取り組み、芸術団体のサポートを行ってきました。会員108万人のチケットサイト「Confetti(カンフェティ)」や、創刊16年のフリーペーパー「Confetti(カンフェティ)」、NYブロードウェイ発のディスカウントチケット販売ブース「TKTS(ティーケーティーエス)」の運営を行っております。・会社概要社名: ロングランプランニング株式会社所在地 : 〒162-0828東京都新宿区袋町25番地代表者 : 代表取締役榑松 大剛(くれまつ ひろたか)設立年 : 2004年2月資本金 : 3千万円主な事業 : 劇場フリーペーパー「Confetti (カンフェティ)」の発行チケット販売サイト「Confetti(カンフェティ)」の運営その他興行支援、芸術団体のサポート業務旅行業ディスカウントチケット販売ブース「TKTS」の運営URL: 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2021年10月04日NAPPOS PRODUCE 舞台『トリツカレ男』が、10月16日(土)に開幕する。初日を約1ヵ月後に控えた稽古前の想いを、キャストの野田裕貴(梅棒)、畑中智行、原田樹里の3人に尋ねた。いしいしんじの小説(新潮文庫)を演劇集団キャラメルボックスが舞台化し、好評を博した本作。2009年にはアトリエ・ダンカンプロデュースによる音楽劇も上演された。レストランでウェイターとして働くジュゼッペは、何かを好きになると寝食を忘れて没頭することから“トリツカレ男”と呼ばれている。三段跳びに熱中した結果、世界新記録まで出すほどの彼が次に取り憑かれたのは、外国から来た少女ペチカだった──。初演(2007年)・再演(2012年)とジュゼッペを演じた畑中を横に、2021年版で同じ役に扮する野田は「先輩が偉大すぎて自分でよろしいんでしょうか……」と不安げ。すると畑中はすかさず「野田くんが楽しんで演じれば、おのずとオリジナリティは発揮されるから大丈夫!」と背中を押す。聞けば野田自身には“アイドルオタク”な一面があるらしく「何かに“トリツカレ”てしまうジュゼッペに共感しながら演じられそう」という。劇中で、ジュゼッペは原田演じるペチカに恋をする。その恋路を応援するのが、畑中扮するハツカネズミのトトだ。同じ作品内での役替わりを、脚本・演出を務める成井豊から「主人公の幸せをいちばんに願うバディ役は、これまでジュゼッペを演じて気持ちを掴んでいる畑中が演じるにふさわしい」と語られたエピソードを明かした畑中は、「とにかく野田くんが楽しんでくれるよう“給水”します」と稽古場での女房役も買って出る。二人の様子を微笑ましく見守っていた原田は、本作の初演を観てキャラメルボックス入団を決意し、再演にはジュゼッペ幼なじみのカメラマン・イザベラ役として出演している。人生の岐路を左右したこの作品の魅力について聞くと、「出番の多寡を問わず、登場人物すべてに存在意義があるんです」と熱っぽく語る。原田は続いて「中にはジュゼッペの気質をバカにする人もいると思うけど、ペチカを想って懸命にひた走る彼を周りのキャラクターが全力で支える姿を見たら『欠点含めて、ありのまま生きていいんだ』と肯定されます」と作品が発するメッセージにも踏み込む。野田と畑中も「迷いや葛藤している人が観たら励まされるよね」と同意し、インタビューを結んだ。公演は10月24日(日)まで、東京・こくみん共済coopホール / スペース・ゼロにて。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2021年09月22日キャラメルボックスの最新作、『リトル・ドラマー・ボーイ』が12月1日、東京・八王子市芸術文化会館で幕を開けた。【チケット情報はこちら】12月のある日、恩師の病気の報を受け、18年ぶりに地元である八王子に帰ってきた矢野トオル(鍛治本大樹)。右手で触れただけで他人の怪我や病気を治す能力を持つ彼は、その力が人に知られないよう居場所を点々と変えて生きてきた。ところが恩師の家から帰る途中、瀕死の男(畑中智行)を発見したトオルは、思わずその力を使ってしまう。翌日、トオルの家に十文字(阿部丈二)と名乗る男がやってくる。トオルを縛り上げ、男の行方を問いただす十文字。十文字の仕事は殺人代行業、つまり殺し屋だった……。成井豊の書き下ろし新作である今作。往年のキャラメルファンなら「あれ?」と思うのではないだろうか。ヒーリング能力を使うたびに自らの身体を犠牲にしていくという青年・矢野トオルは、1996年に上演された『TWO』の主人公。そして昭和マニアでうんちくを延々と語り続ける殺し屋・十文字は、昨年公演『ティアーズ・ライン』に登場し強烈な印象を残した。いわばクロスオーバー作品というわけだ。魅力的なキャラクターには、物語を動かしてゆく力がある。特に今回は人を“救う”能力を持つ男と、“殺し屋”という対象的な組み合わせ。そこにトオルが助けた男の謎めいた行動、病の恩師を助けたいというトオルの葛藤、トオルを呼び寄せた幼馴染の本意など、さまざまな人の思惑が絡んでストーリーが進む。十文字によるトオルの監禁シーンから回想形式で物語がスタートするのは『ティアーズ・ライン』と同じ構成。昨年公演を観ているとクスリとなる、これも“お楽しみ”のひとつだ。トオルを演じた鍛治本は、キャラメルボックス本公演での主役は初めて。彼自身が持つ、不器用ながらも優しそうな雰囲気が、トオルという役柄にぴったりとはまった。自己犠牲的なトオルの力は、結局は彼の家族を傷つけることと紙一重だ。それでも力を使ってしまう、そんな“弱さ”をも魅力に昇華している。ユニバース世界の映画ではないが、再び彼が登場したら?……そんな未来へのワクワクも感じさせてくれる。タイトルは、キリスト生誕のエピソードを歌ったクリスマスソングから。三賢者のように贈り物はなくても、代わりに太鼓を叩いた貧しい少年のように、“他者のために何かをしたい”と思うのがそもそものクリスマスではなかったか。そんな本来のスピリットを改めて感じさせてくれるような、心温まる作品だ。公演は12月7日(金)から9日(日)大阪・サンケイホールブリーゼ、12月15日(土)から25日(火)まで東京・サンシャイン劇場で上演される。取材・文:川口有紀
2018年12月05日『リトル・ドラマー・ボーイ』という曲をご存知だろうか?曲名でピンと来ない人も聴けば必ず納得する、定番のクリスマスソングだ。12月から始まるキャラメルボックスのクリスマスツアーは、この曲名を冠した新作を上演する。【チケット情報はこちら】昨年冬公演『ティアーズ・ライン』に登場し、強烈なインパクトを残した“昭和マニアの殺人代行業者”十文字が再び登場する今作。「十文字は、これまで自分が描いてきたキャラクターの中でも極めて特殊なんです。彼でまた別の物語を作りたい、と考えたところからスタートしました。そこで“誰と出会ったら面白いか?”を思案し、浮かんだのが1996年に上演した『TWO』のトオルだったんです」そう語るのは作・演出の成井豊。人の怪我や病気を治す不思議な力を持つ青年・トオルを演じるのは、劇団本公演で初めての主演に抜擢された鍛治本大樹。「トオルは素朴で純粋な人なんですが、自分にもダメージを与えるので能力を使ってはダメだと言われているのに使ってしまう、そんな弱い部分もある。言ってしまえば“へなちょこ”。で、へなちょこといえば鍛治本だろうと(笑)」そんな裏話を語る成井の横で「喜んでいいのかなあ」と苦笑する鍛治本。劇団主催の俳優教室を経て2007年に入団、成井曰く「怒っているのを見たことがない」という素の優しげな雰囲気は、トオルにぴったりだと思える。「入団してすぐに主役をやるタイプではなく、“こいつはどうなっちゃうんだろう”と思ったりしたことも。でも外部への客演をきっかけにぐっと変わっていって、近年の鍛治本には僕も驚かされっぱなしです」と成井。今作で大きな期待を寄せられる鍛治本だが、やはり成井作品での主演は初めて感じることも多いようだ。「キャラメルボックスの主役って大変なんだな、といま実感しています。セリフ量も多いし、いろんな人と会話をしながら、自分でも物語を転がしていかなきゃいけない。毎日の稽古は、洗濯機の中でぐるぐる回されて目が回ってるような感覚。でもこれは、やってみないとわからなかった」稽古場では、まさに奮闘する鍛治本の姿が。殺陣稽古で俳優の大内厚雄がアクションをつけていく。さらに細かい動きで気になるところを畑中智行が指摘する。どちらもキャラメルでは数々の作品の主役を背負ってきた“先輩”たちだ。「稽古中はいろんなアドバイスをくださったり、導いてくれる。先輩方って凄いな、と思いますね」(鍛治本)。その言葉通り、劇団員が一体となって作品を作り上げていく姿勢に“劇団”ならではの強さを垣間見た。疾走感あふれるストーリーながら、イエス・キリスト生誕を歌ったタイトル曲の如く、作品の根幹にはクリスマススピリットがあふれている。1年の締めくくりにふさわしい舞台となりそうだ。公演は12月1日(土)の東京・八王子を皮切りに、大阪を巡演、12月15日(土)から25日(火)まで東京・サンシャイン劇場で上演。なお八王子では、公演に先がけ無料の公開稽古を11月24日(土)から11月27日(火)まで実施。詳細は公式HPに記載。取材・文:川口有紀
2018年11月22日演劇集団キャラメルボックスの最新公演『夏への扉』が、3月14日、東京・サンシャイン劇場で開幕した。キャラメルボックス『夏への扉』チケット情報ロバート・A・ハインラインの同名SF小説の舞台化。初演は2011年、権利関係の困難を乗り越え“世界初の舞台化”となったことでも話題を呼んだ。今回はキャストの大半が変わり、フレッシュな座組での再演となる。1970年のアメリカから物語は始まる。大学で機械工学を学び、親友とふたりで会社を設立したダニエル・デイヴィス(畑中智行)は、婚約者と親友に裏切られ会社も、開発したロボット「ハイヤードガール」の権利も、全てを失ってしまう。彼に残されたのは飼い猫のピート(筒井俊作)だけ……。ダニエルは裏切り者ふたりへの復讐を誓うが、逆に彼らの手にかかり30年間コールドスリープで眠り続けることに。再び目覚めたのは2000年、憎きふたりの消息はわからないどころか、不可解な出来事が次々に起こり……。原作を知らずこの舞台を観たなら、最初はディテールのはしばしに「あれ、この感じどこかで知っているかも?」となるかもしれない。『夏への扉』が発表されたのは1956年、今から60年以上前だ。つまりこの作品こそが“SFにおける古典”であり、“元祖”というわけなのだ。しかし、この作品が名作たるゆえんは「挫折したひとりの青年がいかに再起するか、しかも起死回生の一手で」というストーリーの面白さだろう。スピーディーに展開されるリベンジの鮮やかさ、時空を越えて成功させる伏線回収の見事さは、まさに“爽快”のひと言!初演からの続投でダニエルを演じる畑中は、どん底まで落ちながらも周囲の支えもあり、見事に復活を果たす主人公を好演。物語が進むにつれ、ダニエルの復讐は「人」へ向かうのではなく、彼がリベンジを果たすのは、“自分自身の人生”であったことがわかる。畑中の繊細な演技により、ダニエルの成長譚でもあることを改めて気付かされた。愛猫・ピートをユーモラスに演じた筒井とのコンビネーションも絶妙で、ふたりでストーリーテリングを巧みに担ってゆく。ダニエルに好意を持ち彼の味方となるリッキイを演じたのは木村玲衣。11歳から21歳まで、少女から大人の女性への演じ分けを見事にこなす。ダニエルを裏切る婚約者ベルを演じた原田樹里は、バービー人形のようなビジュアルや今までにない“悪女”っぷりで存在感を放つ。初演時は公演中に東日本大震災が発生。劇団としても満を持しての再演であり、“リベンジ”でもある。新たな一歩を踏み出すことが多いこの季節に、前へと向かう原動力を貰えるような作品だった。東京公演は3月25日(日)までサンシャイン劇場、関西公演は3月28日(水)・29日(木)に兵庫・明石市民会館大ホール アワーズホールにて上演。取材・文:川口有紀
2018年03月16日キャラメルボックスの最新作、『ティアーズライン』が12月15日、東京・サンシャイン劇場で開幕した。キャラメルボックス「ティアーズライン」チケット情報今回の作品は、実に1年半ぶりとなる成井豊のオリジナル新作。探偵社の調査員・横手道朗(畑中智行)が謎の男・十文字(阿部丈二)に監禁される場面から物語は始まる。十文字は自分の職業は殺人代行業……つまり殺し屋で、横手とその同僚・鯉川(多田直人)を殺すよう依頼を受けたという。しかし今日は特別に道朗の「死にたくない理由」に納得すれば見逃してやる、とも。そこで、この24時間にあった出来事を話しだす道朗。その内容は「オーストラリアに旅行に行き、現地で倒れ昏睡状態のはずの母親・克子(大森美紀子)が、なぜか自分の目の前に現れた」というにわかには信じがたいものだった。一方、文部科学大臣の息子・能代翔平(山崎雄也)のスキャンダルを探っていた鯉川が窮地に陥り、道朗はそちらのトラブルにも巻き込まれてしまうことに。舞台上では道朗と十文字の会話と、道朗の過去の場面が展開されてゆく。いきなり“事件”から始まり、謎が少しずつ解き明かされていく展開はミステリー小説のようでもあり、スピード感はまさに「ジェットコースター演劇」。けしてシンプルな物語ではないが、情報量の多さを感じさせないのは俳優たちの熱演と、キャラクターの魅力によるところが大きい。特に今回の公演は、畑中、阿部、多田という近年劇団公演で主役をつとめることが多い3人がメインキャストに揃い踏みし、三者三様の魅力を見せている。「昭和マニアの殺し屋」という濃いキャラクターで緊張感と笑いを振りまく阿部、これまでの出演作品の中でも一番コミカルで飄々とした役なのでは?という多田。そして「等身大の青年」を演じさせたら随一の畑中も、一見普通ながら大きな喪失を抱えているという難しい役どころ。どの俳優たちも新境地が見え、かつちゃんと魅力的に見えるのは、劇団公演の書き下ろし作品ならでは、だ。また、主軸となっているのは「母と子」の物語。道朗と克子という「一見ありふれた母と子の関係」と、それとは対照的な文部科学大臣・妻成美(坂口理恵)と翔平という母と子も描かれる。後者の関係性は、観客によってはかなり胸をえぐられる人もいるのではないだろうか?前者は母の愛が息子を本当の意味で“救済”し再生させ、後者はトラブルの中でふたりの関係が再生してゆく。このコントラストが物語に深みを与え、改めて家族や身の回りの“大切な人”について考えさせてくれる。まさにクリスマスシーズンにふさわしい作品といえるだろう。公演は12月25日(月)まで東京・サンシャイン劇場、12月28日(木)・29日(金)に兵庫・明石市立市民会館大ホールで上演される。チケットぴあでは公演前日までチケット発売中。取材・文:川口有紀
2017年12月19日7月19日、東京・サンシャイン劇場にて鈴井貴之作・演出・出演の舞台『天国への階段』が開幕した。本作品のテーマは、孤独死の現場を清掃し遺品を探す“特殊清掃員”。一見ヘビーなテーマではあるが、鈴井独自の視点で掘り下げ、笑いもふんだんに取り入れたエンターテインメントとしてひとつの舞台が完成。「観客が一番楽しめる舞台を作りたい」という鈴井の思いが伝わる、ライトな笑いとダークなテーマが融合した内容となった。【チケット情報はこちら】OOPARTSプロジェクトとしては今回が4度目の公演。過去には舞台全体にシーソーやネットを張り巡らすなど、予測のつかない舞台装置で観客の度肝を抜いてきたが、今回は『天国への階段』の舞台である“時間の経過した孤独死現場”を表現するため、家屋を連想させるようなセットを展開。随所に空いている穴を使った予測不可能な動きが役者に緊張感を与えると共に観客を驚かせる効果を生んでいた。出演は鈴井のほか、人気劇団・ヨーロッパ企画より永野宗典、キャラメルボックスより畑中智行、そして菊地美香、根岸拓哉、平田薫、吉田悟郎、戸澤亮(NEXTAGE)が参加。また「水曜どうでしょう」(北海道テレビ)のディレクターでありOOPARTS作品には常連として参加する藤村忠寿も脇を固める。更に、北海道出身で2017年3月にSKE48を卒業した東李苑が卒業後初の舞台出演を果たした。初日を終えた鈴井貴之から、以下のコメントが寄せられた。「毎回、幕が開くまでは不安もあるんですが、今回は特に、お客様が本当に待ち焦がれていてくださって、参加するぞという能動的な意識で見ていただいていると感じました。公演中もこちらが戸惑うくらいの拍手もいただけて、やはり舞台はお客様と一緒に作り上げるものなんだなと。今回は「孤独死」という非常に重い題材を選んだ上で、かつ笑いもあるポップな内容にするという目標でしたが、それもお客様に助けられて達成できているのかなと思います。本当に心から感謝です。今回も特殊な舞台セットを考えて、役者の皆さんには大変な思いをさせておりますが、それがこの「OOPARTS」の醍醐味。怪我なく千秋楽まで、全員で頑張ります!」東京公演は7月25日(火)まで。その後、8月4日(金)から6日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演後、札幌、仙台、松本を巡演。
2017年07月20日HTB「水曜どうでしょう」の”ミスター”こと鈴井貴之のプロジェクト「OOPARTS(オーパーツ)」の第4回公演『天国への階段』が決定した。今回のテーマは「特殊清掃員」。7月から8月にかけて、東京を皮切りに大阪、札幌、仙台、松本を巡演する。2010年より鈴井貴之のソロプロジェクトとして活動をスタートさせた「OOPARTS」は、同年に『CUT』、2014年に『SHIP IN A BOTTLE』、そして2016年『HAUNTED HOUSE』と舞台公演を行ってきた。鈴井の創り上げるステージは、これまでも舞台上にシーソーを敷き詰め難破船を表現したり、ネットを張り巡らせ不安定なステージ上でアトラクション感を表現するなど、独特の感性が光る“鈴井ワールド”が見どころのひとつ。第4弾のテーマは「特殊清掃員」。孤独死した人が住んでいたアパートを片付け修復する特殊清掃員の話をOOPARTSらしくコミカルに作り上げるという。キャストにはキャラメルボックスから畑中智行、俳優集団D-BOYSの根岸拓哉、北海道出身で元SKE48メンバーの東李苑、今回で3度目のOOPARTS出演となる「水曜どうでしょう」の盟友・藤村忠寿などを迎え、新たな鈴井ワールドが展開される。<公演情報>【作・演出】鈴井貴之【出演】永野宗典(ヨーロッパ企画) 畑中智行(キャラメルボックス)根岸拓哉 吉田悟郎 戸澤 亮(NEXTAGE)菊地美香 平田 薫 東 李苑藤村忠寿(北海道テレビ)鈴井貴之【チケット】料金:6,800円(税込)一般発売:2017年6月3日(土)
2017年04月13日3月4日、演劇集団キャラメルボックス『鍵泥棒のメソッド』終演後に、原作映画の監督である内田けんじを迎えたトークイベント「鍵泥棒のメソッドのメリット」が開催された。初演、再演ともに出演している岡田達也司会のもと、脚本・演出の成井豊、2014年の初演に出演した多田直人、今回ゲストとして参加している久保田秀敏が登壇。5人それぞれの作品に対する思いなどが語られ、大いに盛り上がった。キャラメルボックス『鍵泥棒のメソッド』チケット情報この日に行われた公演は、キャラメルボックス31年の歴史の中でも初めての試みとなる「新人抜擢ステージ」。物語の主軸となるふたりを入団3年目の若手が演じるというチャレンジングなものだった。内田は「自分の子どもである作品が成井さんと結婚して、かわいい孫が生まれたよう。だから『何をやってもかわいい』というおじいちゃんのような気持ちで見ていました」と人一倍楽しんだ様子。それを受けて多田が「身内ながら、メンバーがみんな助け合って演じているのがいいなと思う」、岡田も「ドキュメンタリーな部分も見せていくのが劇団の強み」と話す。ゲストの久保田は「キャラメルボックスはセリフ回しがとにかく速い。最初はついていくのに必死でした」と告白すると、成井が「劇団をはじめて10年くらいは、たっぷり演技する力がないから速くなってしまっていた。それからゆっくりやってももつようになってきたけれど、今映像を見ると『遅い!』と思ってしまう」と、あえてテンポを速くして密度を上げていると明かす。『鍵泥棒のメソッド』も、初演に比べると5分ほど短縮されているという。内田が「自分が描いたキャラクターにぴったりすぎてはつまらない。自分でも『この人がやったらどうなっちゃうんだろう?』とワクワクするような人を選ぶようにしている」というキャスティングのコツを明かすと、成井がすかさず「内田さんは日本の芸能界全員の中から選べるからいいですよ! うちは劇団員の中からなんとか選ばないといけないんですから」と言い、会場はその日いちばんの爆笑に。とはいえ、成井も「わりと合っている役と、そうでもない役を交互に演じてもらうようにしている」「ベテランにこそ楽できない役を与える」と、劇団ならではのキャスティングの秘訣を語っていた。キャラメルボックスにとって、映画を原作とした舞台は初めてのこと。岡田や多田は初演時、「どうやって演じるべきか、映画を穴があくほど観ました」と振り返る。さらに多田が「行き着いた先は顔芸でした」と笑いを誘う。その顔芸は再演の畑中智行にも受け継がれているのだとか。さらに岡田が「千秋楽に向けて、ひとつでも笑いを増やしていけたら」と意欲を見せた。原作者も太鼓判をおす舞台版『鍵泥棒のメソッド』は、今後さらに面白さを増していきそうだ。東京公演は3月12日(日)まで。3月18日(土)から20日(月・祝)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。取材・文/釣木文恵
2017年03月06日3月2日、キャラメルボックスの『鍵泥棒のメソッド』が東京・サンシャイン劇場にて開幕した。内田けんじ監督による同名映画を舞台化したこの作品は、2014年の初演から3年ぶりの上演。今回、中心となる3人には初演から岡田達也、畑中智行が続投、そして実川貴美子が新たに参加し、初演のよいところを活かした“決定版”ともいえる再演となっている。キャラメルボックス『鍵泥棒のメソッド』チケット情報売れないまま35歳になってしまった舞台俳優、桜井(畑中)。銭湯に行くと、目の前で男が転倒。転がってきた彼のロッカーの鍵を、つい出来心で自分のものと交換してしまう。転倒した男、コンドウ(岡田)はそのショックで記憶をなくしてしまい、所持品から自分を桜井と思いながら生きることに。さらに雑誌編集長の香苗(実川)がコンドウと出会う……。今回はコンドウとして生きる桜井に厄介な依頼を持ちかける工藤に文学座の石橋徹郎、その手下である土屋に久保田秀敏が出演。石橋はひと筋縄ではいかない裏社会の男を、久保田はその有能な右腕を好演している。また、ふたりとももうひと役、かなり癖の強い役柄で登場し、ほかではなかなか見られない振り切った演技を見せる場面も。映画を舞台に仕立てるにあたって、キャラメルボックスが選んだのは「原作に忠実に演じる」こと。役者たちも「自分らしさを出そう」と気負うのではなく、映画に込められた魅力を再現することに楽しさを見出している様子が演技の端々に見てとれる。舞台を目で追っていると映画の記憶がところどころでよみがえり、それがシンプルなセットで表現された舞台にさらなる彩りを与える。一方で、映画を観ていない観客にとっては、これが映画原作であることが意外に感じられるかもしれない。それくらい、舞台ならではの表現方法も随所にちりばめられているからだ。特筆すべきは序盤、コンドウが記憶喪失に陥る瞬間の表現。CGにもワイヤーにも頼らない表現によって、ダイナミズムと笑いが同時に押し寄せる名場面が生まれている。またふたつの人生の交差を象徴的な白と黒のドアによって表現していく面白さは、まさに舞台でしか味わうことのできないもの。舞台俳優の桜井と、謎の仕事をするコンドウ。ふたりとも、演技すること、誰かの人生を盗んでその人になりきることを必要としている。そのため、セリフにはしばしば演技論に関する言葉が織り込まれている。そのセリフが発せられると、ふと映画で演じられた役柄を舞台で演じるというこの状況自体に意識が及ぶ。物語に現実が重なることで、思いがけない深みを与えているのだ。こんな構造のなかで役者たちが素直に演じることを楽しんでいる様子からして、この作品はキャラメルボックスにとって、新たなる代表作のひとつといえるのではないだろうか。ちなみに、舞台俳優の男が所属していた劇団について話すくだりにちょっとしたお楽しみが潜んでいるので、ぜひ注目してほしい。東京公演は3月12日(日)まで。3月18日(土)から20日(月・祝)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。取材・文/釣木文恵
2017年03月03日『ライブミュージカル「プリパラ」 み~んなにとどけ!プリズム☆ボイス2017』が、1月26日に開幕。その前日、公開ゲネプロと囲み取材が行われ、主人公たち6人を演じる茜屋日海夏、芹澤優、久保田未夢、山北早紀、澁谷梓希、若井友希と、舞台オリジナルキャラクターを演じる高柳明音(SKE48)、畑中智行が登壇した。ライブミュージカル「プリパラ」 み~んなにとどけ!プリズム☆ボイス2017 チケット情報本作は、アイドルテーマパーク「プリパラ」を舞台にアイドルを夢見る女の子たちの姿を描いた同名アニメが原作。昨年2月に初演され、アニメで主人公たち6人を演じる声優がそのまま自身の役柄を演じることでも話題を集めた。今作ではさらに新キャラクター・ジュルルの登場や、アニメ3期の新曲ライブシーンの追加、アニメ版エンディングテーマでもおなじみのPrizzmy☆から高橋果鈴、宮崎妃夏も出演&ライブを披露するなど、さらにパワーアップした内容となっている。アニメ第1クールオープニングテーマ曲『Make it!』で舞台はスタート。主人公たちによるポップなパフォーマンスが一気に劇場の熱を上げる。物語は舞台オリジナルで、ひょんなことから過去にタイムスリップしてしまったらぁら(久家 心・石井心愛/Wキャスト)が、その時代のらぁら(茜屋)と協力し、青井めが姉ぇ(高柳)・青井めが兄ぃ(畑中)の邪魔をかわしながら未来を変えないようにみんなを導くストーリー。 アニメの映像もふんだんに使用されており、そらみスマイルやドレッシングパフェなどアイドルたちのライブパフォーマンスでは、背景で流れるアニメとリンクした動きで本当にそこから飛び出してきたかのような楽しさが味わえる。また、暗闇をサイリウムで照らしたり一緒に歌ったりと、客席から参加できるシーンもたっぷり。客席も一緒に作り上げるライブミュージカルとなっている。また、毎公演後には「プリパラ」アニメキャラクターの声優によるスペシャルミニライブも。毎回異なるキャストで開催され、ゲネプロでは緑風ふわりを演じる佐藤あずさが登場。アニメの劇中歌『コノウタトマレイヒ』などを披露した。囲み取材で茜屋は「今回は畑中さんもアンサンブルのみなさんも舞台の経験がある方で、熱量がすごくて、それをそのまま私たちも受け継いでやれています」。山北は「前回はキャラを守って演じることを重視してたんですけど、今回は更に、いかに自分の個性やアドリブを出すかが加わっていて。それが『プリパラ』のアフレコの現場みたいで楽しいです」と話した。公演は1月29日(日)まで、東京・Zeppブルーシアター六本木にて。撮影・取材・文:中川實穗
2017年01月27日キャラメルボックス 2016クリスマスツアー『ゴールデンスランバー』の東京公演が開幕した。【チケット情報はこちら】小説作品の舞台化を数多く手がけている同劇団が、伊坂幸太郎作品に初めて挑んだ今回の公演。舞台は杜の都・仙台。首相暗殺の濡れ衣をある日突然着せられてしまった宅配便ドライバー・青柳雅春(畑中智行)が、巨大な権力と陰謀から逃げ続ける姿を描く。原作が人気作品かつかなりの長編であり、2010年には映画化もされ、そちらのイメージも強い、というハードルがあった今回の舞台化。だからこそ、今作は「演劇ならではの強み」を利用することで、物語の面白さをより凝縮することに成功している。主人公が唐突に犯人に仕立て上げられるところからスタートするこの作品、青柳は縦横無尽に仙台の街を逃げ続ける。それを表現するため、舞台上にあるのは非常にシンプルなセットのみ。あえて具体的な舞台美術を最小限にすることで、仙台の街並み、マンションの部屋、公園、下水管など様々なシーンが、次から次へと観客の目には舞台上に〝見えて〟くる。初日開幕前に行われた囲み会見で、作・演出を手がける成井豊は「稽古は近年でも1、2を争う大変さだった」と語ったが、頼るのは役者の肉体と音響・照明などの演出だけという潔さで、観客は物語の疾走感を損なうことなく楽しめる、という結果に。物語のリアリティを、目の前の俳優から体感できるというのも演劇ならでは。主演の畑中智行はまさに2時間全力疾走!走り続ける彼の姿が、唐突に彼に降り掛かった不条理と緊張感を観客に知らしめる。また、青柳を助けることになる連続殺人事件犯・キルオを演じたのはキャラメルボックスには2作目の出演となるゲストの一色洋平。彼のトリッキーなアクションシーンは要注目だ。青柳の友人である森田が原作よりもフィーチャーされ、物語の「語り」として存在するのも今作ならではの大きなポイント。演じるのはゲストの山崎彬ということもあり、舞台上には居つつも物語を俯瞰して見ているというポジションにいい意味での〝異質さ〟がうまくはまっている。そして、キャラメルボックスの俳優陣達が主要キャストだけでなく、群衆など非常に多くの登場人物を演じていくのも「劇団作品」ならでは。普段は主役級を演じている俳優陣がきっちりと脇を固めることで、作品の安定感を増している。その盤石のフォーメーションが、逃げ続ける青柳を助けていくさまざまな人物たちに重なる。物語はサスペンスだが、観終わったあとには、キーとなる言葉「人間の最大の武器は、習慣と信頼だ」がしみじみと胸に迫ってくるはず。キャラメルボックスらしい〝クリスマスプレゼント〟と言えそうだ。東京公演は12月25日(日)までサンシャイン劇場で上演される。
2016年12月12日演劇集団キャラメルボックスの2017年第一弾公演が『鍵泥棒のメソッド』に決定した。本作は内田けんじ監督の同名映画(2012年公開)をキャラメルボックスが2014年に舞台化したもの。公演は東京と大阪で3月に開催される。キャラメルボックス『鍵泥棒のメソッド』チケット情報物語は腕利きの殺し屋・コンドウと売れない役者・桜井の人生がひょんな事から体が入れ替わり、事件に巻き込まれていく痛快アクションコメディ。キャラメルボックスにとっては、映画をそのまま舞台化するという初めての挑戦だったが、演劇ならではの手法や、舞台上で繰り広げられるスピーディな展開で初演は大成功を収めた。その人気作を来年、早くも再演。出演は畑中智行、実川貴美子、岡田達也ら劇団メンバーに加え、ゲストに文学座の石橋徹郎、若手人気俳優の久保田秀敏が決定。また、新しい試みとして「新人抜擢ステージ」を設定。入団2年目の山崎雄也と大滝真実を主演に据え、主軸が脇に回って支える未来のためのチャレンジステージを実施する。公演は3月2日(木)から12日(日)まで東京・サンシャイン劇場、3月18日(土)から20日(月・祝)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて。「新人抜擢ステージ」は東京が3月4日(土)17:00と9日(木)19:00、大阪が3月19日(日)18:00の計3回。チケットは12月25日(日)発売開始。
2016年11月25日今年結成31年目を迎え、これまでも小説作品の舞台化を数多く手がけているキャラメルボックスが、初の伊坂幸太郎作品に挑むこととなった。『ゴールデンスランバー』は2010年には映画化もされた人気作。脚本・演出を手がける成井豊は「初めて読んだときから舞台化したいと思っていた」という。キャラメルボックス『ゴールデンスランバー』チケット情報「小説を読んで『面白い!』と思うと、『舞台でやりたい!』と反射的に思ってしまうんですけど、この小説もそう。魅力はやはりストーリーの面白さですよね。伊坂さんの作品はそれまでもずっと読んでいましたが、それを上回る強烈なストーリーだった」(成井)首相暗殺の濡れ衣を着せられた男の逃亡劇を描いたこの作品。主演・青柳役を演じるのは劇団員・畑中智行だ。「もともと伊坂作品のファンだったし『自分の劇団で舞台化できる』ということが単純にすごく嬉しいです」(畑中)原作はかなりのボリュームがある長編小説だが、実は描かれているのは約2日間の物語。成井がこの物語の「スピード感」を大切にするために今回考えているのは、あえての“原点回帰”だという。「ストーリー上、場面転換が非常に多くなってしまうんですよ。これは全部セット転換で見せると非常にわずらわしい。なので今回は“役者の身ひとつ”で場面転換を見せるような部分を多くします」(成井)つまり、舞台化するにあたり選んだのは“演劇ならではの手法”ということ。「昨日本読みを初めてやってみたら、どっと疲れました(笑)。でも、やりがいを感じるんですよ。もともと舞台役者ってどこか『ごっこ遊び』の延長感がある気がして、楽しみながら作れるんじゃないかと。劇団の若手にもいい刺激になるんじゃないかな」(畑中)また、オーディションで募集されたキルオ役には前回公演『嵐になるまで待って』にも出演した一色洋平が選ばれる、という番狂わせ?も。「キャスト聞いてアゴはずれそうになりました(笑)」(畑中)「書類が来た段階で『なんで応募するの!?』と(笑)。一応オーディションだけ出てもらって落とそうと思ってたんですけど、一番彼が合っていたんですよ。仕方ない」(成井)成井曰く「出演者17人の、2時間における総消費カロリー数は劇団史上最大」という今作。「この作品が描きたいのは、最終的には人とひとの結びつきの大切さ。ラストシーンまで見ていただければ、これをクリスマスにやる意義はわかっていただけるかと」(成井)「役者の肉体表現で想像力をフル回転させ、お客様と一緒に空間を作る。それができる作品になると思います」(畑中)物語の面白さだけでなく、“演劇の底力”も堪能できる作品になる予感。キャラメルボックスからのひと足早いクリスマスプレゼントとなりそうだ。11月30日(水)から12月4日(日)まで兵庫・新神戸オリエンタル劇場、12月10日(土)から25日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて上演。取材・文:川口有紀
2016年11月08日キャラメルボックスのサマーツアー2016が、7月30日に東京・サンシャイン劇場にて初日を迎えた。男女のラブストーリーをそれぞれの視点で描き、二本立ての作品として同時期に上演する劇団初の試みだ。男性の視点から見た物語は『彼は波の音がする』、女性の視点から見た物語は『彼女は雨の音がする』 というタイトルでどちらも新作。脚本・演出は、成井豊と真柴あずきが担当。キャラメルボックス『彼は波の音がする彼女は雨の音がする』チケット情報『彼は波の音がする』は、舞台俳優の新宮弘樹(畑中智行)が主人公。新作映画のオーディションを受けて合格した直後、事故に遭い死亡。だが迎えにきた天使(福澤朗)の話から、死ぬのは人違いだったことが判明する。ところが、生き返ろうにも彼の体は火葬された後。渋々、もうじき死ぬ予定の初老の大富豪・浦神信雄(西川浩幸)の体に入ることにした新宮。そこへ白浜若菜(実川貴美子)という女性がやってきて……。若い新宮の魂が、浦神という年齢も立場も違う男の体に入ったことで巻き起こるドタバタ劇に、客席は爆笑の連続。映画の出演を諦めきれない弘樹の心に火をつけるのがヒロイン・若菜。共に困難に立ち向かっていく前向きな明るさが、周囲に変化をもたらしていく。観ている人の心にも温かさが灯るようなラブストーリーだ。天使役で出演しているフリーアナウンサーの福澤は、滑舌の良さを活かしたキャラクター設定で、まさにはまり役。その存在感の大きさで物語を牽引していく。『彼女は雨の音がする』は、小説家を目指す白浜若菜が主人公。ある日、彼女のもとに大富豪・浦神の自伝を執筆するという、ゴーストライターの仕事が舞い込んでくる。浦神が母親の元恋人であり、一方的に母を捨てたと知った若菜は、浦神の真の姿を暴いてやろうと、その仕事を引き受ける。浦神に会いに行くと、なぜか彼は必死に発声練習をしていた……。『彼女は~』では若菜の抱える事情が細部まで描かれることで物語に深みを与えている。両作品に参加する武田航平は、『彼は~』の時とはまた違う顔をみせるもの面白い。この二本には共通するシーンもあり、『彼は~』では見えていたものが『彼女は~』では見えない設定になっているなど、同じ物語でありながら、視点が変わるだけで全く別の見え方に変化するのもユニークな仕掛けだ。両作品観れば味わえる醍醐味なので、ぜひ二本とも観劇することをオススメしたい。新作ニ本を同時期に上演するという、創立30年を超えてなお新しいことにチャレンジするキャラメルボックスの心意気をぜひ劇場で確かめて欲しい。東京公演は8月14日(日)までサンシャイン劇場にて、大阪公演は8月18日(木)から8月23日(火)までサンケイホールブリーゼにて上演。前売チケット発売中。なお、チケットぴあでは公演前日まで当日引換券を発売する。取材・文:片桐ユウ
2016年08月01日舞台『トンマッコルへようこそ』が5月4日、東京のZeppブルーシアター六本木にて開幕した。2002年のソウルで初演、2005年には映画化され韓国で大ヒットとなった本作。今回の上演では劇団桟敷童子・東憲司が演出を手がけ、畑中智行、神永圭佑、平田裕一郎らエネルギ-あふれる若い俳優たちが出演している。初日直前に行なわれたゲネプロを観劇した。舞台『トンマッコルへようこそ』チケット情報物語は、ある作家(山崎彬)が一枚の古い写真を見付けたことから始まる。撮影されたのは朝鮮戦争下の1950年。人里離れた山の中にある村・トンマッコルで撮られたその写真には、連合軍のアメリカ兵、敵対する国防軍と人民軍、そして村人たちが笑顔で写っていた。時は当時に遡る。人々が平和に暮らすトンマッコルに連合軍の飛行機が不時着し、アメリカ人パイロット・スミス(イアン・マーティン)がやってくる。言葉は通じないものの、どうにかしてコミュニケーションを図ろうとする村人たち。そこへ国防軍のヒョンチョル(平田)とサンサン(永嶋柊吾)、人民軍の兵士であるチソン(畑中)、ヨンヒ(筒井俊作)、テッキ(神永)までもが村へやってきて鉢合わせしてしまう。国防軍と人民軍は敵同士。互いに向かって武器を構え一触即発の状態に。だが緊迫した空気を村人たちが解きほぐしていく。トンマッコルとは「子供のように純粋な」という意味。その言葉通り、明るくおおらかに生きてきた村の人々が、戦闘モードだった彼らの心を穏やかにし、いつの間にか心が通い合っていく様は、ユーモアと優しさが溢れていた。人民軍を率いる隊長・チソンを演じる畑中は、戦いに疲れた兵士の哀愁を漂わせながらも、若い兵たちをしっかりと率いる落ち着きぶり。人民軍の兵士・テッキを演じる神永は、恐れを知らない若者らしさと、村の少女・イヨン(木村玲衣)に淡い恋心を抱く柔らかさを真っ直ぐに表現。永嶋が演じる国防軍の軍人・サンサンも年若い兵士。無邪気な笑顔と歌声が清涼剤だ。平田が演じるヒョンチョルは悲惨な過去を抱く軍人。終盤の苦しげな独白が胸を抉る。戦時下で起こった奇跡のような出来事を描いたファンタジー。不穏な今の時代だからこそ、人間が持つ優しさ、平和への希望という、本作に込められた願いがリアルに伝わってきた。公演は5月4日(水)から5月8日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木にて上演。取材・文:片桐ユウ
2016年05月06日舞台『トンマッコルへようこそ』の開幕が近付いている。2005年にヒットした韓国映画が有名だが、2002年にソウルで初演された舞台がもとになっている。今回は劇団桟敷童子・東憲司の演出に若い俳優たちが参加する。4月某日、稽古場を訪れ、出演の畑中智行、神永圭佑、平田裕一郎に意気込みを聞いた。舞台『トンマッコルへようこそ』チケット情報物語は朝鮮戦争下の1950年。人里離れた平和な村・トンマッコルに、連合軍の飛行機が不時着。さらに敵対する国防軍と人民軍の兵士が村で鉢合わせしてしまう……。過酷な戦時下で起こった奇跡のような出会いを描く感動作だ。畑中は「バックボーンは重いですが、とてもキレイで繊細なお話。人は優しい生き物なんだと気付かされます」と語る。平田も「国や人種、偏見。全部の括りを外して触れてみると気付けることがある。絶対に観て後悔しない作品です」とアピール。平田は30歳を迎えて第一作目の舞台。「思い描いていた30歳はもっと大人だったけど、今回こんなに良い脚本で素敵な方々と舞台に立たせて頂ける。そのことに感謝してやっていきたい」と決意を見せた。最年少参加の神永は「どれだけ恥をかいてもいいから、ベテランの方々と一緒にやって教わりたいと思っていたので、今すごく勉強になっています。食らいついていけたら何か扉が開ける気がする」と意気込む。そんなふたりに対し、畑中は「全くスレていないんです。純粋に取り組んでいる姿勢が見ていて気持ち良い」と微笑んだ。稽古場を覗くと、出演者は発声と歌唱練習を1時間かけてたっぷり行っていた。歌唱練習は本作の翻訳も担当している洪明花が主導する。チャンゴ(長鼓)のリズムに合わせ、韓国の民謡「トラジ」を歌いながら一体感を養っていく。劇中で人々が歌い踊る楽曲「シンラ(新羅)の夜」では、ソロパートを歌う永嶋柊悟が美声を響かせた。芝居の稽古では、人民軍の3人、チソン(畑中)、ヨンヒ(筒井俊作)、テッキ(神永)のシーンからスタート。密かに山中を進む3人が、銃がどう火を噴くかも知らない村の娘・イヨン(木村玲衣)と出会う。悲壮感を漂わせていた兵士たちが一変、少女の言動に翻弄されるコミカルなシーンだ。東の演出は細部まで一貫して丁寧。そして怖ろしい程に明瞭。全ての動機付けが作品のリアリティに繋がっていく。東から「良い声が出てきている」と声をかけられる神永。畑中は東に負けない熱意を持って演技プランを提案する。続いて人民軍と国防軍が出会う重要な場面。敵を前に身構えるヒョンチョル(平田)の姿勢に、軍人のプライドと哀しみが滲み出ていた。人と人との歩み寄りが描かれる本作。今、この時代だからこそ、舞台を通して人間の温かみを思い出したい。公演は5月4日(水)から5月8日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木にて上演。取材・文:片桐ユウ
2016年04月28日○直販のデルから直間両立のデルへ。ソリューションカンパニーのデルへ。そして次へ。既報の通り、8月1日付けで、デル株式会社の代表取締役社長に平手智行(ひらてともゆき)氏が就任する。現在の代表取締役社長である郡信一郎(こおりしんいちろう)氏は、米国デル社のAPJ担当副社長となる。7月24日には、平手智行氏の就任会見が行われた。まず現社長の郡氏が登壇して、4年間の社長時代を振り返った。社長就任時は「これからのデルは、ソリューションを提供できる、そして信頼できるパートナーであることをお客様にお伝えしたい。そのために組織を変え、社員のマインドを変えて行く」と発言しており、デルはその後、180億ドルの投資によって30社以上を買収し、その8割がソフトウェアとITセキュリティの会社だったことを紹介した。買収の成果をいち早く日本の市場に投入すべく、2013年に「Dell Software」とセキュリティ運用管理サービスプロバイダー「Dell SecureWorks」を設立。翌年には、アジアで初となるSOC(Security Operations Center)も開設した。Software-Defined Network / Storageやコンバージシステムの分野にも早くから取り組んでいる。また、直接販売・間接販売の両方に対応するべく、人員を倍増する一方、パートナーと製品型番を共通化することで受発注の手間を半減。エンドツーエンドのセキュリティ製品やコンサルティングの提供も行った。これらの施策の結果、これまで競合と思われていた企業も、協業するパートナーへと変化。1,000社以上に顧客に対して行った「デルは真のソリューションパートナーと思っている」というアンケート結果も、4年前は10%の方がノーと答えていたのに対して、昨年10月にはノーが1%未満に減ったとして、顧客の意識を変えることができたと自負していた。また、SecureWorksは海外展開している中で最も高成長を遂げ、SonicWall VPNは日本でトップシェアを占めるようになったという。この「ソリューションプロバイダーとしてのデル」をさらに推進するのが、後任となる平手智行氏だ。郡氏は平手氏を、日本IBMや米国IBMの副社長を務め、その後ベライゾンジャパンの社長を務めるなど、25年を超える営業経験があるだけでなく、日本とグローバルの視点で実績を積んでいるリーダーシップを高く評価しているという。今後のデルソリューション提供に向けて、幅広いネットワークを持っていることも強みに上げていた。平手氏は、7月から副社長としてデル株式会社に入社しており、現在は社長への引き継ぎ業務と顧客へのあいさつ回りを行っているところ。その際に「多くのお客様から(IT業界へ戻ってきたので)お帰りなさいと言われてうれしく思っている。デルでこれらのお客様やIT業界に恩返しをしたい」と語っていた。創業者であるマイケル・デル氏とも対話する機会があり、(非上場化によって)中長期的な戦略で顧客や市場のために役立ちたいという熱い思いを感じたことが、社長就任の後押しになったという。まだ具体的な方針は決まっていないとしながらも、顧客が今年求めるソリューションと来年求めるソリューションは異なり、その時に最適のソリューションを展開するとビジョンを述べた。一方、「デルは一貫してお客様の視点であり、オープンなスタンスを変えていないことがIBM時代にはなかった強み」として、これからのIoT時代でもデルのオープン性が有用に働くとした。
2015年07月24日劇団結成30周年を迎えたキャラメルボックスが『カレッジ・オブ・ザ・ウィンド』の東京公演にてアフターイベントを行うことを発表した。【チケット情報はこちら】アフターイベントは、キャストによるロビーでの見送りや、出演者がセットや舞台裏を紹介するバックステージツアー、通算1500ステージを迎えた畑中智行による1507秒ソロトークや、劇団代表・成井豊の演劇生活35周年記念アフタートークが行われる。イベントは、当日チケットを持っている人であれば誰でも参加可能。バックステージツアーのみ、事前の参加申込みが必要となる。イベントの開催日時など詳細は公式サイトなどでご確認を。キャラメルボックス30th vol.2『カレッジ・オブ・ザ・ウィンド』は5月30日(土)から6月14日(日)まで、東京・サンシャイン劇場で上演。また、このあとキャラメルボックスは、劇団創立30周年記念の第3弾舞台『時をかける少女』を7月28日(火)から8月9日(日)まで東京・サンシャイン劇場、8月20日(木)から24日(月)まで大阪・サンケイホールブリーゼで上演。明日、5月16日(土)午前10時より一般発売開始。■キャラメルボックス30th vol.2『カレッジ・オブ・ザ・ウィンド』東京公演5月30日(土)~6月14日(日)サンシャイン劇場■『カレッジ・オブ・ザ・ウィンド』東京公演イベント情報「等身大のカーテンコール」6月2日(火)19:30/6月10日(水)19:00 終演後「30周年記念300人限定・[男衆ガイド付き]バックステージツアー」6月4日(木)19:00/6月9日(火)19:00/6月12日(金)19:00の終演後「畑中智行1507ステージ記念1507秒ソロトーク」6月5日(金)19:00終演後「成井豊演劇生活35周年記念アフタートーク」6月11日(木)19:00終演後■キャラメルボックス30th vol.3『時をかける少女』7月28日(火)~8月9日(日)サンシャイン劇場(東京都)8月20日(木)~24日(月)サンケイホールブリーゼ(大阪府)
2015年05月15日創立30周年を迎えたキャラメルボックスの記念公演第2弾『カレッジ・オブ・ザ・ウィンド』が、5月9日、新神戸オリエンタル劇場で初日の幕を開けた。1992年の初演が開幕したのもこの劇場。劇団屈指の人気作の4回目、8年ぶりの上演とあって、場内は幅広い年代の観客たちの熱で溢れていた。脚本・演出の成井豊が「初期の代表作であると同時に、その後のキャラメルボックスの方向性を決めた記念碑的な作品」と言う通り、劇団が大切にする“人が人を想う気持ち”を真正面から捉えた、清々しくも深みのある快作だ。キャラメルボックス『カレッジ・オブ・ザ・ウィンド』チケット情報大学生の高梨ほしみは、家族6人でキャンプに向かう途中交通事故に遭い、祖母や両親、妹と弟を一瞬で失う。病院でほしみは、幽霊となってついてきた家族5人と明るく会話。コメディの要素も交じった丁々発止のやり取りの中に、実はバラバラだった家族の事情が見えてくる。ほしみの父・ギンペイ役の福本伸一(ラッパ屋)と、ほしみの母・ナミコ役の西牟田恵の頼もしい客演で、複雑だけどシリアスになり過ぎないラインが保たれ、ほのぼのとしたムードも。趣向を凝らした“ゴースト・ダンス”も目に楽しい。さらにほしみの叔父・鉄平が、ほしみの病院に逃げ込んでくる。新聞記者の鉄平はあるメモリーカードを手に入れたことから、事件に巻き込まれていた。彼を追う刑事たちの言動さえあやしく見えてくる二重構造で、謎は深まるばかり。この謎がほしみの家族の物語と巧く絡み合い、同時進行しながら怒濤のクライマックスへと突入してゆく。ほしみ役を演じたのは入団7年目の原田樹里。自然と家族をひとつにする屈託のない笑顔と確かな演技力で期待に応えた。ときに全身を振り絞るかのように訴える一途な想い。交通事故だけでなく彼女に降りかかる苦難は相当なものだが、可愛くも屈強なこのヒロインが放つ台詞に、観客は本当の優しさ、本当の強さを教えられる。きっと誰もが愛する家族を思い出さずにいられないのではないか。魂が浄化されるような瞬間が確かに存在し、客席からはすすり泣きが聞こえた。また菊川(多田直人)という存在ゆえに生まれる鉄平の心の闇も、男女を問わず引きつけるはずだ。鉄平を熱演した畑中智行が、肩をふるわせながら妻・あやめ(渡邊安理)への想いを打ち明けるとき、そしてふたりがある奇跡を起こすとき、夫婦という矛盾だらけな関係の先にある尊さに感動を覚える。舞台上を占める病院のセットは、蜘蛛の巣などでところどころ覆われどこかの廃墟のようだ。ここにテーマ曲である小田和正の『風のように』が流れ、白いライトが照らされると、まるで天国のようにも見える。「あの風のようにやわらかく生きる君がはじめて会った時から誰れよりも好きだった」という歌詞が、いつまでも頭から離れない。神戸公演は5月14日(木)まで。その後、5月30日(土)から6月14日(日)まで東京・サンシャイン劇場で公演。東京公演の終演後イベントの実施も決定。詳細は5月12日(火)発表予定。取材・文:小野寺亜紀
2015年05月11日今年、劇団結成30周年を迎えている演劇集団キャラメルボックスのアニバーサリー公演第2弾『カレッジ・オブ・ザ・ウィンド』がまもなく開幕する。4月末、この作品の稽古場を取材するとともに、作・演出の成井豊、メインキャストの原田樹里、畑中智行に話を聞いた。キャラメルボックス『カレッジ・オブ・ザ・ウィンド』チケット情報物語の主人公は、年に一度の家族旅行の道中で事故に遭い、自分以外の家族全員をなくしてしまった大学生・高梨ほしみ。病院に運ばれたほしみだったが、その目には亡くなったはずの家族が見えていた。彼らは幽霊になって家族旅行を続けていたのだ。さらに、ほしみの叔父・鉄平もまた、ほしみのいる病院へ逃げ込んでくる。彼は何故か刑事に追われているようで…。切なくも温かい家族の物語にスリリングな展開が交錯し、劇団を代表する名作との呼び声が高い。1992年の初演から数え、今回で4回目の上演だ。人気作ながら8年ぶりの上演となった理由を、成井は「劇団結成30年ですので、過去の代表作を再演をせねばと思ったらやっぱりこの作品しかない。さらに、今だったら過去3回と比較してもベストの『カレッジ~』を作れる役者が揃った。一番ベストのタイミングで、“満を持して”ですね」と力強く語る。ヒロイン・ほしみを演じるのは入団7年目の原田。健康的で溌剌とした笑顔が魅力の女優だが、彼女については成井が「普段の原田がほしみにぴったり」、畑中が「ほしみは演じる人を選ぶ、本当に特殊な役。人間性が求められ、求心力のある人じゃないとできない。彼女は稽古中でもそういう“居方”をしてくれている」と、共に太鼓判を押す。その原田は「ほしみという役にすごく共感と憧れを抱き、いつかやりたいと思っていました。家族との関係性もすごく自分と似ているんです。我が家もほしみと同じく6人家族で、仲は良いけどうまくいかない部分もあり、でも年に一度必ずスキー旅行に行っているんです。その時はみんなすごく仲良いんですよ」と思い入れを語り、「本当にこれにすべてを賭ける、私の身体も心もほしみちゃんにあげる! というつもりでやっています」と意気込んだ。ほしみと家族の物語の一方で、展開の読めないミステリアスなパートを担うのが鉄平を演じる畑中。この日の稽古場では飄々とした顔を見せたかと思えば、やるせない思いを迸らせ、男の切なさを全身で表現していた。「この台本は役者の手を加えやすい、自由度の高い本。逆に言えば、ただセリフをしゃべるだけでは成立しない。4度目の上演ですが、僕たちは一から改めて台本に向き合っています。自分たちも頑張りますので、絶対に楽しんでいただけると思います!」とアピール。成井も「テーマは“家族”。家族を愛しなさいとか偉そうなことを言うつもりはありませんが、例えばこのお芝居を観て、ケンカしていたお母さんに家に帰ったら謝ってみようかなとか、そんな風に思っていただければ」と話した。ベストかつ意気込み充分なキャストで名作がどう生まれ変わるのか期待したい。公演は5月9日(土)から14日(木)まで兵庫・新神戸オリエンタル劇場、5月30日(土)から6月14日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて。チケットは発売中。
2015年05月08日今年、劇団結成30周年を迎えたキャラメルボックスの、アニバーサリーイヤー第1弾となる公演が2月21日、大阪・サンケイホールブリーゼにて開幕した。演目は、人気の『クロノス・ジョウンターの伝説』シリーズで、10年ぶりの再演となる『クロノス』と、新作『パスファインダー』を2本立てで上演。異なる雰囲気の2作ながら、どちらも熱量の高いステージが展開されている。キャラメルボックスクロノス・ジョウンターの伝説 チケット情報SF作家・梶尾真治の短編小説を原作にした『クロノス』は、2005年に上演された作品。物質を過去へ飛ばせる機械、クロノス・ジョウンターをめぐるタイムトラベルものだ。主人公は、機械の開発に携わる吹原(すいはら)和彦。ある日、想いを寄せる蕗来美子(ふき・くみこ)が勤める花屋に、タンクローリーが衝突。吹原は彼女を救うべく、クロノスに乗り、事故が起きる直前へと自分自身を跳ばした…。ひとりの男が、大切な人を守るために奔走する純粋なラブストーリーは、キャラメルボックスの真骨頂だ。“不完全なタイムマシン”に乗り、何度も失敗し、体力を消耗しながら愛する人を助けようとする吹原。その吹原に扮する畑中智行の全身全霊の熱演が、観る者をグイグイと惹き込み、心を揺さぶる。一方の『パスファインダー』は、脚本・演出家の成井豊が書き下ろした新作。39歳の研究員・笠岡光春が、23年前に亡くなった兄の秋路(しゅうじ)に会うため、タイムスリップする物語。キャラメルボックスが得意とする“家族”の絆を軸に、そこで出会った少女リンとの不思議な縁が描かれている。39歳になっても「世界を変えるような発見」もできず、焦燥感に駆られる光春。しかし彼が過去に戻ることで、いろんな人の人生や心境に影響を与え、自分自身も変わっていく。岡田達也がその光春の姿を丁寧に表現している。また、客演に迎えた陳内将が、周囲から理解されずとも、やりたいことに突き進む秋路を好演。ナチュラルにキャラメルボックスの世界観に溶け込んでいる。両作とも、テンポ感の良さが心地良い。主人公はほぼ出ずっぱりで、ライティングの切替えを駆使しながらシーンを展開。緊迫感の中にも随所に笑いを交え、緩急つけた演出で楽しませてくれる。西川浩幸はクロノスに人生のすべてをかける研究者・野方役として、どちらの作品にも出演。同じ役ながら、『クロノス』ではピリッと舞台を締め、『パスファインダー』ではコミカルさを交えて柔軟に演じ分け、ベテランの貫録を見せる。また、『パスファインダー』では、秋路のセリフに劇団の想いを重ね、30周年を迎えたキャラメルボックスの演劇への熱を改めて観客に提示。演劇の力を信じるキャラメルボックスのブレない姿勢に、今後も期待したい。大阪公演は25日(水)まで。東京公演は3月6日(金)から22日(日)までサンシャイン劇場にて上演。チケット発売中。一部のぴあ店舗ではハーフプライスチケットの取り扱いもあり(詳細は公式HPに掲載)。取材・文:黒石悦子
2015年02月23日キャラメルボックス 2014 クリスマスツアー『ブリザード・ミュージック』が、11月22日、新神戸オリエンタル劇場で開幕した。1991年の初演以来4度目の再演となる人気作。心温まるファンタジーながら初日の舞台では、来年30周年を迎える劇団の“決意”のようなものを感じた。それは“一本の芝居を作る”という物語の中に詰め込まれた演劇人の率直な思い、そして4年ぶりに主役を演じる西川浩幸の役者魂ゆえだろう。キャラメルボックス『ブリザード・ミュージック』チケット情報西川は初演よりずっと梅原清吉役を演じている。13年ぶりの再演となった今回も自らの強い意志でこの役に挑んだ。「若人よ来たれ!君もクリスマスに芝居をやらないか!」という新聞広告を出した90歳の清吉。彼はなぜ、宮沢賢治の未発表童話『ペンネンノルデの伝記』を基にした脚本を書き、自ら主演すると言い出したのか。70年前の彼の秘めた想いが次第に明らかになっていく。物語は清吉の芝居を、クリスマスまでの1週間で作り上げるのを軸に展開していくが、いくつもの波乱が巻き起こる。まず大金をはたいた清吉に対して家族たちが大反対。特に息巻く息子の清一郎を演じた阿部丈二の、顔芸とも言える演技に笑いが起きる。3人の孫や清一郎の妻・妙子(坂口理恵)らは、いつの間にかサポート側に転じているのが微笑ましい。家族に向けた成井豊(脚本・演出)の温かい目線、さらに宮沢賢治へのリスペクトが作品を普遍的なものにしている。一方泥臭いぐらい熱いのが役者チーム。頼もしい筋トレを披露する釜石(三浦剛)、元タカラヅカ男役だと言う水沢(前田綾)、ジャッキー・チェーンに憧れる久慈(畑中智行)ら演技スタイルも様々な5人が、エチュードで芝居を作り上げるから支離滅裂でオカシイ。5人は宮沢賢治が生きた時代の若者を演じるうちに絆を深めていく。さらにキーパーソンとなるのが、清吉がつれてきた24歳の看護師・ミハル。彼女は清吉にとっての“ミューズ”なのだが、渡邊安理演じるミハルは現代的で明るくちょっと勝気な女性。だからこそ終盤、彼女が着物で演じ切ったもうひとりのミハルの意外な行動と台詞が心に響く。舞台は劇場という空間のみ。無造作に置かれた大道具を役者自らの手で動かし、命が吹き込まれる。物語は特に後半、ZABADAKの音楽と共に時空の壁を一気に超えるような爽快感と緊張感で加速していく。学生服を着た90歳の清吉じいさん。頑固な中にあるくもりなき純粋さ、死生観にまでたどり着くような台詞を、西川は強い目力で伝え切った。初日のカーテンコールでは、「今日のことは一生忘れないと思います」(西川)と感無量な表情。まさに劇団にとっても観客にとっても、忘れられない再演となるはずだ。神戸公演は11月27日(木)まで。その後東京・サンシャイン劇場で12月5日(金)から25日(木)まで上演。なお、東京公演では10日(水)から24日(水)まで、ほさかよう作、成井演出の新作『太陽の棘彼はなぜ彼女を残して旅立ったのだろう』を同時上演する。取材・文:小野寺亜紀
2014年11月25日2007年の初演時に大好評を博した、演劇集団キャラメルボックスの人気作『トリツカレ男』(原作:いしいしんじ『トリツカレ男』<新潮文庫刊>)が、2月16日、東京・赤坂ACTシアターにて再演の幕を開けた。演劇集団キャラメルボックス『トリツカレ男』チケット情報イタリアの片田舎で、レストランのウエイターとして働くジュゼッペ。彼は何かひとつのものにハマると、その何かにとことん“トリツカレ”てしまうことから、周囲からは「トリツカレ男」と呼ばれていた。これまでに彼を魅了してきたのは、オペラに探偵、昆虫採集に外国語と、ジャンルはさまざま。三段跳びに至っては、なんと世界記録をも打ち出してしまったほどだ。そんな彼の前に、ひとりの少女・ペチカが現れる。母親の病気療養のためロシアからやって来たペチカに、一瞬にして心奪われてしまったジュゼッペ。“恋”にトリツカレたジュゼッペは、相棒であるネズミのトトと共に、ペチカを幸せにすべく奔走するのだが……。楽しくて、切なくて、そして心あたたまる、これぞ演劇集団キャラメルボックスといった作品。劇中、キャラメルボックスが得意とするダンスシーンに、陽気なイタリアを象徴するようなパフォーマンスなどが織り込まれ、観ているだけでワクワクするような、エンタテインメント性が高い作品に仕上がっている。主人公のジュゼッペを演じたのは、初演に引き続き劇団員の畑中智行。真っすぐに突き進む愛すべき青年役を、高い身体能力と豊かな感情表現により好演した。ヒロインのペチカ役には、キャラメル初参加となる星野真里。見た目のかわいらしさはもちろん、ペチカの複雑な心情を要所、要所ににじませ、観客の心をグッとつかむ愛らしいヒロイン像を作り上げた。ネズミのトト役には、こちらもキャラメル初参加となる金子貴俊。元々金子が備えているキュートなキャラクター性が、トトという役柄と見事にマッチ、その存在をしっかりとアピールして見せた。また観客の大きな笑いを誘っていたのは、インコのニーナ役の渡邊安理とギャングのボス・ロミオ役の阿部丈二。セリフの間やトーン、予測不可能な動きに加え、衣裳の派手さも目を引く。そんなふたりの演技は時に過剰とも思えるのだが、本作には不思議とピタリとハマり、逆に大きな魅力へと繋がっていた。脚本・演出の成井豊が、本作のテーマとして掲げるのは「人を好きになるということ」。その願いは、観客の心に確実に届いているはずだ。公演は同所にて2月29日(水)まで開催。その後、名古屋、大阪を回る。チケットは発売中。文:野上瑠美子
2012年02月17日いしいしんじのファンタジックな小説『トリツカレ男』をキャラメルボックスが舞台化。連日満員御礼となった2007年の初演は、劇団代表で脚本・演出を手掛けた成井豊が「ここ10年で1、2を争う、我々やる側の手ごたえとお客さんの好評が見事に一致した公演」というほどの成功を収めた。その自信作にふたりのゲストを迎え、5年ぶりに再演。初演より続投で主役ジュゼッペを演じる劇団員の畑中智行、ゲストの星野真里(ヒロインのペチカ役)、金子貴俊(トト役)に話を聞いた。キャラメルボックス『トリツカレ男』チケット情報星野演じるペチカは、外国から来た謎めいた少女。片言でしか話せないが、その胸にある悲しみを抱えている。「台本で読む限りでは本当にかわいらしくて、ジュゼッペが彼女の魅力にとりつかれてしまうのも無理はないというような女の子(笑)。でもそのイメージでやってしまうとアニメのキャラクターのようになってしまってしまうから、いろんな感情が渦巻く生身の女性として存在してほしいと先日成井さんに言われたところです」(星野)。金子演じるトトはジュゼッペの良き相棒で、なんとネズミ役!金子は成井演出の『つばき、時跳び』(2010年)の出演で成井からの信頼を得てのキャラメル出演となる。「前回、成井さんに『もっと、こうして』など指示された記憶が全くなくて。今回は、いろいろご指導いただいています。客演としての参加ですが、キャラメルの劇団員として接していただいている気がして嬉しいです。キャラメルの皆さんは普段のリアクションも舞台上みたい(笑)。もちろん稽古でも『わっ、次こう来たの?』の繰り返しで、今必死に戦ってますね!」(金子)。そのトトと行動をともにするジュゼッペ役の畑中は、初演との違いを予想する。「初演は、トトを演じた劇団の大先輩の岡田達也と僕との素の関係性が反映されて、親が子を叱るような構図でした(笑)。でも今回の金子さんとは歳が近いので、一緒に遊んで話を進めていくというような画になるのではないかと思います。初演よりだいぶやかましくなるかもしれませんね(笑)」(畑中)。東京公演は、劇団史上最大規模の赤坂ACTシアターでの上演。「ジュゼッペの三段跳びや大道芸など、大仕掛けで見せるシーンが多い作品。大劇場でやるともちろん迫力が増すはず!」(畑中)。それに加え、ラストシーンも初演以来5年越しとなる成井の思いが込められた、新しい趣向に変更予定だ。キャラメルのモットーの“人が人を想う気持ち”が巨大な空間に充満する、そんなハートウォーミングな体験をしにいこう。取材・文:武田吏都
2012年02月03日キャラメルボックス『トリツカレ男』の製作発表が1月23日、都内で行われ、主演の畑中智行、客演の星野真里、金子貴俊、脚本・演出の成井豊が登壇した。「トリツカレ男」のチケット情報いしいしんじの小説を原作にしたこの舞台は、2007年に初演し、劇団内でも高い人気を誇る。何かに凝りだすと寝食を忘れてしまう主演のジュゼッペ役は畑中が続投。彼を陰日向になって助ける友達のネズミ・トト役には金子、またジュゼッペが恋する外国から来た無口な少女・ペチカ役に星野が扮し、新たなキャスティングで挑む。レストランのウェイターであるジュゼッペ(畑中)はオペラ、探偵、昆虫採集、外国語と様々なものに熱中し、ついには三段跳びに手を出し、世界新記録を樹立してしまう。そんな彼になかなか上達しがたい恋という難題が降ってきた。外国からやってきて、ジュゼッペの国の言葉を話せない美しい少女・ペチカは、心の中に多くの哀しみを抱えていて……。稽古を始めて1週間という短期間ながら、既に現場の盛り上げ役となっているという金子はネズミ役を演じることについて訊かれ、「昔、“オカマウス”というオカマのマウスの役をやったことがあります」と答え、早速会場を笑わせる。成井との縁は、成井が脚本・演出を担当した2010年の明治座公演『つばき、時跳び』に出演し、次回作もやろうと声をかけられたことと話し、「新しい金子貴俊を見せられたら。この舞台は勝負の作品」と意気込む。一方、星野は「現場の雰囲気は、自分のことで精一杯なので、金子さんにお任せして」と謙遜しながらも、「姉が早稲田の演劇サークルに入っていまして、その直属の先輩方が作られたキャラメルボックスに出演ということで、私以上に姉が興奮しております。家族の期待にも応えられるよう、精一杯努力したい」と、劇団との意外なつながりも披露した。前回から続投となる畑中は、常に一緒にいるトト役が金子に変わったことについて訊かれ、「トトがお兄さん肌、ジュゼッペが叱られながら導かれる構図は変わらないと思いますが、初演のトトを演じた岡田達也は劇団の先輩で、プライベートの関係性がそのまま舞台に出た。今回は金子さんとは年がひとつ違いで、仲の良い同学年の兄弟のようなイメージで舞台に乗るのでは。初演よりもやかましくなるかも」と、早くも金子とのマッチングを楽しんでいるようだった。作・演出の成井はホームグラウンドのサンシャイン劇場から赤坂ACTシアターへ初進出すること、初演との演出の違いについて訊かれ、「劇場の高さ、深さ、(サンシャイン劇場より)客席2倍であることを考慮すると、今までと同じことをしたら半分のお客さんにしか伝わらないものになってしまう。演出も新たに一から考え直さなくてはいけない」と語り、稽古での試行錯誤の一端がうかがえた。東京公演は2月16日(木)から29日(水)まで、同劇場にて。その後3月10日(土)・11日(日)の愛知・名鉄ホール、3月15日(木)から20日(火・祝)までは大阪・サンケイホールブリーゼにて上演する。チケットはいずれも発売中。
2012年01月24日演劇集団キャラメルボックスの『賢治島探検記』東北応援無料ツアーが10月7日、作品のタイトルにもなっている宮沢賢治の郷土・岩手県の花巻市交流会館で初日を迎えた。前夜には大雨警報が発令されるほど荒れた天候も、朝にはすっかり回復。どこまでも晴れ渡る空の下、平日の午後にもかかわらず、この日を待ち望んでいた200名近い観客が詰めかけた。宮沢賢治をこよなく愛する地元の人たちの心にもキャラメルボックスが放つ演劇のパワーはしっかりと受け止められたようで、会場は笑いと涙で包まれた。宮沢賢治を題材にした同劇団の代表作『ブリザード・ミュージック』にも楽曲を提供している音楽ユニット・ZABADAKの吉良知彦が応援に駆け付け、開演前にはミニライブが開催された。ツアー初日の期待が高まる中、「賢治島」を探しにやってきた大学の文学部のゼミの一行を率いる教授(坂口理恵)の第一声で観客は一気に物語の世界に引き込まれていく。作者ゆかりの地ということも俳優たちに影響したからだろうか、全員の演技に自ずと熱が入っていくのが手に取るようにわかる。劇中劇として演じられる『セロ弾きのゴーシュ』をもとにした『ゴーシュ弾かれのセロ』は、終始コミカルな雰囲気で展開され、この公演の発案者でもある坂口の演技力、いや“人間力”とも言うべき魅力にあふれていた。一転、『銀河鉄道の夜』をもとにした『光速銀河鉄道の夜』では、原作の世界観はそのままに、ジョバンニ(畑中智行)とカンパネルラ(岡内美喜子)による細やかな演技表現が日本語の持つ言葉の美しさに改めて気付かせてくれる。『銀河鉄道の夜』で波にのまれた人たちが天上に行く行(くだり)は、今年3月の震災による津波の被害とオーバーラップするところもあり、花巻の地でも未だに沿岸部からの避難生活を強いられている人がいる状況下でどのように受け止められるのか。天候や災害に憂慮した生涯を送った原作者だからこそ描くことのできた作品に敢えて取り組んだキャラメルボックスの想いは間違っていなかったということを、食い入るような目で舞台を見つめ、涙し、割れんばかりの拍手を送った観客が証明していた。キャラメルボックスが少しずつ、しかし着実に、東北に元気を届け始めている。東北応援無料ツアーは10月8日(土)岩手県の沿岸北部・田野畑村アズビィホールへ。その後、宮城県・気仙沼市、仙台市、塩竃市、南三陸町、福島県・いわき市まで続く。詳細は公式サイトにて。取材・文:本田裕一郎
2011年10月08日