俳優の水川あさみさんが、2021年1月23日にInstagramを更新。水川さんが主演した映画『喜劇 愛妻物語』で、『第75回毎日映画コンクール』の女優主演賞を受賞したことを報告しました。『喜劇 愛妻物語』で水川さんは、チカという1児の母親を演じ、役作りのため体重を53増量していたといいます。水川さんは投稿で、撮影当時の自身の体型を振り返りました。※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 この投稿をInstagramで見る 水川あさみ(@mizukawa_asami)がシェアした投稿 昨日、毎日映画コンクールの女優主演賞をいただきました。ありがとうございます。嬉しい。賞をいただくと、作品と長く関わる事が出来るからこれまた喜びです。3枚目からの写真は撮影時のチカちゃんと愛しき贅肉達をお届けします笑mizukawa_asamiーより引用二重アゴや、ふっくらした背中、たくましい二の腕などを披露した水川さん。役作りのために増量していた姿に、ファンからはさまざまな声が上がりました。・受賞おめでとうございます!リアルな母親の体型で驚きです!・気取らないところが本当に素敵。・水川さんの撮影当時の姿、自分の今の体型だ…!いつもきれいなのは、努力のたまものなのだなと感じました。役作りのために、体重を増やしたり減らしたり…プロフェッショナルな仕事ぶりに驚かされますね。[文・構成/grape編集部]
2021年01月24日第75回毎日映画コンクール各賞の受賞作品と受賞者が22日、明らかになった。同賞は毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社などが主催している映画賞。日本映画大賞に輝いたのは、大森立嗣監督の『MOTHER マザー』。日本映画優秀賞は『アンダードッグ』(武正晴監督)が受賞し、男優主演賞の森山未來、撮影賞の西村博光、録音賞の藤丸和徳、瀬川徹夫と合わせて最多4冠を獲得した。女優主演賞には『喜劇 愛妻物語』の水川あさみが輝き、男優助演賞は『罪の声』の宇野祥平、女優助演賞は『朝が来る』の蒔田彩珠が受賞し、監督賞の河瀬直美と合わせて『朝が来る』は2冠を獲得した。また『許された子どもたち』の上村侑、『37セカンズ』の佳山明にはスポニチグランプリ新人賞が贈られる。田中絹代賞は梶芽衣子が受賞となった。脚本賞は『一度も撃ってません』の丸山昇一、美術賞は『ばるぼら』の磯見俊裕、露木恵美子、音楽賞は『ミッドナイトスワン』の渋谷慶一郎が受賞。アニメーション映画賞は『魔女見習いをさがして』(佐藤順一、鎌谷悠監督)、大藤信郎賞は『音楽』(岩井澤健治監督)、ドキュメンタリー映画賞は『れいわ一揆』(原一男監督)がそれぞれ受賞した。外国映画ベストワン賞は『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ監督)が選ばれ、さらに特別賞は昨年亡くなった大林宣彦監督の妻であり、映画プロデューサーの大林恭子に決まった。映画ファンが選ぶTSUTAYAプレミアム映画ファン賞・日本映画部門は『ミッドナイトスワン』(内田英治監督)、外国映画部門は『TENETテネット』(クリストファー・ノーラン監督)が受賞した。なお、表彰式は、めぐろパーシモンホールで2月17日の開催が予定されている。○第75回毎日映画コンクール 受賞結果日本映画大賞:『MOTHER マザー』(大森立嗣監督)日本映画優秀賞:『アンダードッグ』(武正晴監督)外国映画ベストワン賞:『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ監督)男優主演賞:森山未來『アンダードッグ』女優主演賞:水川あさみ『喜劇 愛妻物語』男優助演賞:宇野祥平『罪の声』女優助演:蒔田彩珠『朝が来る』スポニチグランプリ新人賞(男性):上村侑『許された子どもたち』スポニチグランプリ新人賞(女性):佳山明『37セカンズ』監督賞:河瀬直美『朝が来る』脚本賞:丸山昇一『一度も撃ってません』撮影賞:西村博光『アンダードッグ』美術賞:磯見俊裕、露木恵美子『ばるぼら』音楽賞:渋谷慶一郎『ミッドナイトスワン』録音賞:藤丸和徳、瀬川徹夫『アンダードッグ』アニメーション映画賞:『魔女見習いをさがして』(佐藤順一、鎌谷悠監督)大藤信郎賞:『音楽』(岩井澤健治監督)ドキュメンタリー映画賞:『れいわ一揆』(原一男監督)TSUTAYAプレミアム映画ファン賞・日本映画部門:『ミッドナイトスワン』TSUTAYAプレミアム映画ファン賞・外国映画部門:『TENETテネット』田中絹代賞:梶芽衣子特別賞:大林恭子(映画プロデューサー)
2021年01月22日「第75回毎日映画コンクール」の受賞作品と受賞者が決定。大森立嗣監督の『MOTHERマザー』が日本映画大賞に輝いた。2020年1月1日から12月31日までに国内で14日間以上、有料で劇場公開された作品(アニメーションおよびドキュメンタリー部門は、同期間に完成もしくは上映された作品)が対象となっている今回。昨年発表された「日本映画大賞・日本映画優秀賞」の候補作には、『朝が来る』『アンダードッグ』『海辺の映画館 キネマの玉手箱』『スパイの妻劇場版』『MOTHERマザー』がノミネートされていたが、日本映画大賞は『MOTHERマザー』、日本映画優秀賞は『アンダードッグ』が受賞する結果に。さらに『アンダードッグ』は、森山未來が男優主演賞を受賞したほか、撮影賞、録音賞と合わせて最多の4冠を獲得した。また女優主演賞は、『喜劇 愛妻物語』の水川あさみ。『朝が来る』は、蒔田彩珠が女優助演賞、河瀬直美が監督賞と2冠を獲得。新人賞は『許された子どもたち』の上村侑と『37セカンズ』の佳山明に、アニメーション映画賞は『魔女見習いをさがして』、田中絹代賞は梶芽衣子に贈られる。なお、女優・男優主演賞を含む最多10ノミネートとなっていた黒沢清監督の『スパイの妻劇場版』は、惜しくも受賞を逃した。「第75回毎日映画コンクール」受賞結果一覧日本映画大賞『MOTHERマザー』(大森立嗣監督)日本映画優秀賞『アンダードッグ』(武正晴監督)外国映画ベストワン賞『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ監督)男優主演賞森山未來『アンダードッグ』女優主演賞水川あさみ『喜劇 愛妻物語』男優助演賞宇野祥平『罪の声』女優助演賞蒔田彩珠『朝が来る』スポニチグランプリ新人賞(男性)上村侑『許された子どもたち』スポニチグランプリ新人賞(女性)佳山明『37セカンズ』監督賞河瀬直美『朝が来る』脚本賞丸山昇一『一度も撃ってません』撮影賞西村博光『アンダードッグ』美術賞磯見俊裕、露木恵美子『ばるぼら』音楽賞渋谷慶一郎『ミッドナイトスワン』録音賞藤丸和徳、瀬川徹夫『アンダードッグ』アニメーション映画賞『魔女見習いをさがして』大藤信郎賞『音楽』ドキュメンタリー映画賞『れいわ一揆』TSUTAYAプレミアム映画ファン賞・日本映画部門『ミッドナイトスワン』TSUTAYAプレミアム映画ファン賞・外国映画部門『TENET テネット』田中絹代賞梶芽衣子特別賞大林恭子(映画プロデューサー)第75回毎日映画コンクール表彰式は2月17日(水)めぐろパーシモンホールにて開催予定。(cinemacafe.net)■関連作品:パラサイト 半地下の家族 2020年1月10日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVEDMOTHER マザー 2020年7月3日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開(C)2020「MOTHER」製作委員会アンダードッグ(2020) 2020年11月27日よりホワイトシネクイントほか全国にて【前編】【後編】同日公開ⓒ2020「アンダードッグ」製作委員会
2021年01月22日映画の世界に携わる人たちにお仕事の内容について根掘り葉掘り聞く「映画お仕事図鑑」。連載第6回目となる今回、ご登場いただくのは、海を渡りハリウッドで映画のポスターのデザイナーとして活躍されている暁恵ダニロウィッチさん。インタビュー【後編】では現在、在籍している映画・TVの広告デザイン会社GRAVILLISのポスター制作の仕事の詳細についてお聞きします。アイディア出しとプレゼンの連続! 過酷なコンペティション――「GRAVILLIS」でのお仕事、ポスターデザインの流れについて詳しく教えてください。まず“ブリーフィング”というのがあって、クリエイティブ・ディレクターとアート・ディレクターから「こういう仕事が来ました」という説明があります。そこで、映画の趣旨やテーマ、ターゲットなどマーケティングに関する情報、また作品によってはスクリーニング、台本、そして写真が渡されます。それをもとに各デザイナーがそれぞれ、作品について調べ、アイディアシートというものを作ります。これは、インターネットや本などから、その自分のポスターデザインのアイディアに役に立ちそうな素材を集めてスクラップにしたもので、それを参考にラフなポスター案を作ります。これをアート・ディレクターに見てもらうんですが、私はひとつの作品で5つくらいの案を提出して、3案通れば良い方で、「まだ足りない」と言われたら、さらにいくつかの案を出します。そこでOKが出た案に関しては、アート・ディレクターがさらに上のクリエイティブ・ディレクターにプレゼンをします。クリエイティブ・ディレクターからもOKが出たら、実際に制作にとりかかります。制作は基本的にPhotoshop(※画像編集ソフト)を使うんですが、最近はみんながPhotoshopを使うので飽きてきているというのもあって、手でペイントしたり、紙を切り貼りしたり、面白い加工をすることが流行っていますね。映画のロゴもデザインするんですが、既存のフォントを使うのではなく、自分で書いてみたりもします。私も書道の筆を使ってみたりとか、いろんな工夫をするようにしています。ひとつの作品に参加しているデザイナーは、私一人ではなく何人かいて、クリエイティブ・ディレクターはそこでOKを出したいくつかの案について、クライアントにプレゼンをします。そこでクライアントが「この案とこの案で」とOKを出した案は、さらにもうひとつ上のステージに上がっていく感じで、ラウンド2、ラウンド3…という風に勝ち抜き戦で進んでいきます。当然、映画スタジオが仕事を依頼している会社はひとつではなく、いくつかのデザイン会社がコンペティションに参加しています。作品の規模にもよりますが、常に3~5社の代理店が、それぞれ20くらいの案を最終的なクライアント(=スタジオ)にプレゼンすることになるんじゃないかと思います。だから、クライアントは100案くらいの中から選択することになるんです。なので自分のアイディアが最終的に採用されることは、本当に、本当に限られてます。そんなことを毎日、毎日、繰り返してます(笑)。――凄まじい競争率ですね…。本当にすごいです…(苦笑)。だから、選ばれたときはすごく嬉しいですね。ただ、そこに行き着くまでに、いくつもの関門をくぐり抜けなくてはいけなくて、そのプロセスで自分だけでなくいろんな人の手が加えられるし、修正の依頼も来るわけです。例えば最近、ある有名な女優さんが出演している作品で自分の案が選ばれたんですけど、その女優さんの顔が笑っていないので、笑わせてくれという依頼があって、CGを使って無理やり笑わせたり(笑)。顔や手の向きを変えたり、服の色を変更することもよくありますね。作品によっては予算がなくて、(劇中の)写真の撮影ができなかったという場合もあって、予告編の動画の中からスクリーンショットで画像を抜いたり、場合によっては写真を使わずにイラストにしてしまうこともあります。――ちなみに仕事の受注は基本的にコンペティション形式なんでしょうか? 映画会社から直接、指名されることはあるんですか?そういうこともありますね。ハリウッドで働く人の割合はいまだに白人が高いですが、私がいるGRAVILLISの社長は黒人で、もともと音楽業界にもいた経験があり、そうしたコネクションもあります。スパイク・リー監督や個人的に繋がりのあるミュージシャンが制作に関わっている作品の仕事をつながりで受注するケースもあると思います。うちの会社に限らず、ハリウッド全体で見ても、コネクションの存在というのはすごく大きいと思います。このスタジオの作品はいつもあのデザイン会社が受注しているというケースもよくあります。私自身、ワーナーという大きなスタジオにいて、見てきた部分もありますが、(実力第一、成果主義と思われがちな)アメリカでも、仕事において人間関係が左右する部分はすごく大きいです。とはいえ、大きなスタジオの場合、予算も潤沢なので、その予算が(コンペティションなど)いろんな形で配分されるんです。だから、先ほども言ったようにコンペで最後まで勝ち抜く確率は決して高くはないんですが、勝ち目は少なくともコンペ自体にはうちの会社もどんどん参加するわけです。競争と緊張の毎日「同僚が急にいなくなることもしょっちゅう」――お話を聞いていると、常に競争にさらされている、緊張感のある日々を過ごしていらっしゃるのが伝わってきます。緊張感はありますね(笑)。社内での競争率もすごく高くて、入社して最初の3か月は試用期間だったんですが、実際にその期間で切られてしまう人も多いし、私は幸運にもここまで約1年半、仕事を続けていますが、同僚の誰かが急にいなくなる(=解雇される)こともしょっちゅうあります。特に「GRAVILLIS」はアイディアをすごく重視する会社なんです。映画のポスターにも、こういうレイアウトにするとコンペに通りやすいといったものがあるんですけど、GRAVILLISはそれに縛られず、デザイナーは常に「クレヴァーなアイディアを出してくれ」と言われるんです。私はこの会社のそういうところがすごく好きなんですけど、とはいえ、人間のアイディアなんて、そんなに常に出てくるもんじゃないですよね(苦笑)。朝、ある映画のアイディアを5つを出して、昼に別の作品のために5つを出して、夜、また違う作品用に5つ…って生活していると、ときどきおかしくなりそうになりますね(苦笑)。アイディア出しは本当にストレスで、私はその段階が終わって、実際に作っている段階が一番ホッとしますね。「あぁ、よかった! やっと作れる」って(笑)。――ここまでに携わってきた作品、コンペに参加されたことについて、可能な範囲で教えてください。以前の会社で、DVDやブルーレイのデザインに携わった作品としては『ゴースト・イン・ザ・シェル』、『ラ・ラ・ランド』、『猿の惑星』シリーズ、『レディ・プレイヤー1』、『カンフー・パンダ3』、『ザ・プレデター』、『ツイン・ピークス:リミテッド』、『レゴアイズド』、『メイズ・ランナー コレクション』、『ペット・セメタリー』、『グリース 製作40周年記念』、『レッド・スパロー』、『スター・トレック:ロッデンベリー・アーカイブス』、『プリンスムービーコレクション』などがあります。この中には世界三大広告賞のひとつであるクリオ賞で金賞を受賞したデザインもあります。いまの会社では、『ザ・ウェイバック』、『ガンズ・アキンボ』という映画で私のデザインが選ばれました。また、タイトルは出せないんですが、私の案が採用されて、いま公開に向けて準備している作品もあります。その他、『シカゴ7裁判』、『ジョーカー』、『Candyman』、『Charm City Kings』、『ザ・ファイブ・ブラッズ』、『JUDAS AND THE BLACK MESSIAH』、『サイレンシング』、それからドラマシリーズですが、HBOの「Lovecraft Country」(邦題:ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路)や「ウォッチメン」などのコンペにも参加しましたが、最終的に私のデザインは選ばれませんでした。――この仕事にやりがいや喜びを感じる瞬間は?やっぱりアイディアが採用された時ですね。苦労して、苦労して、苦労して…「まさか」と思いつつ最終ステージまで残って、ようやく仕事を取れた瞬間は嬉しいです。でも、だからって私にボーナスが入るわけでもないんですよ(笑)! さっきも言いましたが、コンペティションで案を出すだけでも会社にはお金が入ってきて、勝てばさらに大きな額が払われるはずなんですけどね。――ちなみに報酬は固定給なんですか?そうです。年俸制ですね。残業代も出ないです(笑)。でも、24時間の中で起きている時間はずっとどこかでデザインのアイディアについて考えているようなものなので、普段、映画やドラマをプライベートで観るのがイヤになりますよ(苦笑)。――初めて自分のデザインが採用されて、掲出されているのを見た時は…。すごく嬉しかったですね。ただ、さっきも言いましたけど、私だけのデザインじゃなく、コンペの過程でいろんな人からの修正が加えられたりするので、SNSに「これ、私がデザインしました!」とポスティングするのは気が引けてしまうというか…(笑)。「あの人のアイディアも入ってるし、上司がここを修正してくれて通ったんだよなぁ」とか。そう考えると、やっぱりチームワークなんですよね、この仕事。――先ほど、「映画のポスターにもコンペに通りやすいレイアウトがある」、「GRAVILLISはアイディアを重視する」というお話がありましたが、実際にアイディアを考えたり、デザインを制作する際に重要なことはどういったことですか? ハリウッドの傾向なども含めて教えてください。まず、いま私がいるGRAVILLISは「コンセプト重視、アイディア重視」の会社なんですね。でもハリウッドの大作映画は、大きな予算で有名なキャストを数多く起用していて、そこまでアイディアを重視せずとも、有名な俳優を前面に出すことで十分に成り立つんです。メインキャストをどう見せるかみたいな部分が重要で、あまり物語そのものの深みを伝えるようなアイディアは採用されません。そこで、GRAVILLISのようにコンセプト重視で勝負しても、なかなか勝てないというのはあります(苦笑)。私が以前いたBONDという会社はそういう大作のポスターを取るのが多かったんですが、GRAVILLISはどちらかというと、予算のあまり多くないインディペンデント系の映画、コンセプチュアルな作品のポスターを担当することが多いですね。先ほども名前が出たスパイク・リー監督の作品もそうですし、『アス』や『Candyman』(原題)を監督したジョーダン・ピールの作品などもよく担当しています。アートとマーケティングのはざまで大切にすべきこと――そんな中で、ご自身でデザインする上で、大切にしていることは?制作に関して言うと、私自身はその映画について――監督やスタジオ、出演者のことまで、すごくリサーチするようにしています。それこそ監督や俳優のインスタグラムの内容とかも含めて、趣向をリサーチします。それは昔、広告代理店で営業の仕事をしていた経験があるからかもしれません。多くのデザイナーさんは、当然ですが自分のクリエイティブを発揮したいと考えるし、デザインとしてかっこいいものを作ろうとするものなんですけど、私はそれだけでなく「この人(監督)はきっとこういうことを考えている」とか「このスタジオはマーケティング的にこういう層をターゲットとして重視しているだろう」みたいな裏側の部分や心理を意識するようにしています。「この俳優さんはきっと、顔の向きはこっちのほうが好きなはず」「この角度はきっとダメだろうな」といったこともインスタを見るとわかったりします。ただ、GRAVILLISはあくまでもコンセプト、アイディア重視なので、入社後に上の人から「きみはいつも『獲ろう』と狙っているよね? それはやめなさい」って何度も言われました(苦笑)。極端な話「獲らなくていいからクリエイティブを重視しろ」って。でも私からしたら、映画のポスターって芸術作品ではなくて、人々に映画館に来てもらうためのもので、マーケティングの要素もすごく大事だと思うんです。いくらスタイリッシュなものを作っても、ターゲット層と合わなければ、ただのかっこいいデザインというだけで終わってしまって、映画は観に行かないかもしれない。もちろん、コンセプトは大事なんですけど、同時に自分の経験を活かせるように頑張っていますし、そこに私の強みがあると思っています。――この1年ほどの新型コロナウイルスの感染拡大はお仕事にどのような影響をもたらしていますか?まず、業界全体で言うと、一昨年から準備してきたのに制作自体がストップしたり、延期になってしまった作品はいっぱいありますね。映画館で公開されるはずだったのに、配信での公開に切り替わった作品も多いです。それから、これはコロナの影響とは別の話になってしまいますが、Black Lives Matter運動をきっかけに、ハリウッドで黒人の人権などについて描く作品が増えているというのは感じます。特にロサンゼルスは抗議活動がかなり激しかったので。私自身の仕事の進め方もコロナで大きく変わりまして、いまは基本的に出社せずに家で仕事をしています。ブリーフィングなどもオンラインでやっていますね。今後、映画の制作そのものが感染対策のために少人数で行われるようになったり、いろんな面で変わってくると思いますし、それに伴ってポスター制作も変わってくる部分はあると思います。一緒に撮影ができなかったり、これまでのように海外でのロケができなくなったりして、バラバラに撮られたキャストの写真や背景の画像をくっつけて、CGを使って…といったやり方は増えてくると思います。基本的にいま(※インタビューの実施は12月下旬)、カリフォルニア州は外出を控えるようにと言われているんですが、こちらの人たち、特に西海岸の人たちは“自由”を求める精神が強くて、束縛を嫌うので、気にせずに外出しているという人も多いですし、レストランなども結構、お客さんがいっぱいで、その影響もあってロサンゼルスは感染者数が全米でもかなり多くなっています。私と夫は基本的に家で仕事をしているんですが、ずっと家の中にいても気が滅入ってしまうし、頭をリフレッシュさせないとインスピレーションも失われてしまうので、週末に人が少ない山のほうに行ってハイキングしたり、海辺でビーチヨガをしたり、自転車で走ったりしてリセットするようにしています。コロナ禍だからこそ外国人も活躍できる? 自分にできるポスターデザインをアピールすべし!――ハリウッドで仕事を続けていく上で大切なことはどんなことだと思いますか? これからハリウッドで仕事をしたいと考えている人たちへのアドバイスをお願いします。“仕事を得るまで”と“働き始めてから”のそれぞれの局面で大事なことはあると思いますが、どうしても日本にいると、常識や周りの空気に流されてしまう部分ってあるじゃないですか? それこそ、29歳で「仕事辞めて渡米します」なんて言い出したら怒られますよね(笑)。「何考えてるんだ?」って。でもアメリカにはそもそもそんな常識はなくて、29歳で学校に通い始めて、31歳で仕事を探してても全然大丈夫なんです。だからまず日本の常識にとらわれず、自分が「やりたい」と思ったら行動に移したらいいと思います。アメリカでは、いくつになっても“入口”はあるので。私自身、日本で周囲に流されることが多かったのですが、流されたままになっていると、自分が本当にやりたいことが何なのかわかんなくなっちゃうんですよね。流されずに、遠回りしてもいいからやりたいことを探して、やればいいし、やっているうちにいろんなビジョンが明確になってくると思います。――言葉の壁やビザのことなども含めて、どうしてもアメリカに渡って仕事を見つけるというのは、相当ハードルが高いんじゃないか? と考えてしまう人も多いと思います。暁恵さんから見て、ハリウッドで日本人を含む外国人が活躍できる余地はあると思いますか?十分にあると思います。言葉に関しては、デザイナーというのはそこまで英語が流暢じゃなくとも、受け入れられやすい仕事だと思います。営業の仕事などとは違って、デザインのスキルがあれば、それを相手に見せることができるので、最低限の英語ができれば大丈夫なんです。実際、そこまで英語ができないけど、すごくクオリティの高いポスターをデザインして活躍している外国人のデザイナーはいっぱいいます。私が最初に在籍したワーナーでも、前の会社でも外国人のデザイナーはいましたし、いまの会社の同僚にもいます。日本の方は慎重な人が多いので「難しいんじゃないかな?」と考えてしまうと思うんですが「映画のポスターのデザインがしたい!」という人たちが世界中からハリウッドに来ています。あと、コロナの影響で逆に外国のデザイナーをどんどん起用しようという傾向もあるんです。例えば、映画がまだ全く撮影されていない段階で、ポスターの企画を考えなくてはいけない時、スケッチ・アーティストと呼ばれるデザイナーが、絵を描いてアイディアを説明するんです。うちの会社ではそのスケッチ・アートをタイに在住のデザイナーさんに外注でお願いすることもあります。おそらくなんですけど、タイのデザイナーさんは自分でポートフォリオを、うちの会社に送ったんだと思います。いまは基本的にほとんどリモートで仕事を進めているので、どこに住んでいようと、ネットさえつながれば、全く問題がないんです。グラフィックデザインもイギリスのデザイナーさんに外注したり、外国の人たちが自分の国で暮らしながら、ハリウッドの仕事を請け負い始めているんです。――暁恵さんのようにハリウッドに行かなくても、日本にいながらにしてハリウッドの仕事ができるかもしれないということですね。そう思います。ただ、日本の方は謙虚で、あまり強く自分を売り込もうとしないかもしれないので、強く自分をアピールしてほしいなと思います。そういう意味で、私からおすすめしたいのが、自分のアイディアでデザインしたハリウッドのポスターを作ってみて、それをポートフォリオに入れて送るということですね。日本の学校でデザインを勉強していたとして、映画のポスターと全く関係のないデザインや学校での制作物だけを見せてもあまり意味がないんですよ。私の転職時もそうでしたが、実際に映画のポスターを作るスキルがあるのかどうかを会社は知りたいので。インターネットにある素材などを使って、例えば過去に公開された映画を題材にして「私なら『ジャスティス・リーグ』のポスターはこんなふうにデザインします」というのを見せたり。そのアイディアが優れていたら、「ちょっと依頼してみよう」となると思います。――暁恵さんが、これから実現したいことや将来のビジョンなどはありますか?私はいずれ独立したいと思っています。会社で働いていると、どうしてもその会社のブランド、スタイルの枠の中でしか、表現することができないんですよね。個人として仕事をして「この人のデザインはこうだから」という形で評価してもらって、自分のスタイルで仕事ができるようになったらいいなと思ってます。また、これから映画のポスターデザイナーになりたいと思っている人たちに私の経験やスキルをシェアして、新しいデザイナーが活躍できるような手助けがしたいです。――作品として、こういう映画のポスターをデザインしたいとか、この監督、スターの作品を担当したいというのは?うーん、これまで広くいろんな作品に関わってきたので、とくに「この人の作品を」というのはないんですけど、やはりどうしてもインディ系の作品のほうがクリエイティブを発揮できる幅は広いので、いろんな事ができて面白いというのはありますね。――最後にプライベートについても少しだけ。ご結婚はそちらに渡ってから現地でされたんですね?はい、2年ほど前です。夫は前の会社の近くにあるアートギャラリーにいた人です。――おふたりともアートに関わるお仕事をされているんですね。そうなんです。でも、彼はエンターテインメント関連の仕事ではなくアーティストでして、それがお互いにすごくいい刺激になっていて、インスピレーションを受けたり、彼の仕事を参考にデザインを考えたりもしていて、すごくいい影響を受けています。(text:Naoki Kurozu)
2021年01月21日若手音楽家の登竜門・第89回日本音楽コンクールが昨年10月に開かれ、今年度の栄えある受賞者が決定した。3月に開かれる受賞者発表演奏会では、俊英たちが瑞々しい演奏を披露するが、中でも要注目は、チェロ部門を制し、全受賞者の中で最も印象的な演奏をした奏者に与えられる増沢賞をはじめ、4賞を獲得した水野優也。「もっと聴きたい、と思っていただける演奏ができれば」とステージに向けた抱負を語る。「日本最高峰のコンクールでの優勝は、光栄であると共に、これをステップとして、さらに次の挑戦を続けてゆきたい、と強く思いました」と水野。「最近、海外のコンクールにも参加し始めていたのですが、コロナ禍で中止・延期が相次ぐ中、何か自分の中で目標を見つけたい、との思いで出場を決めました。結果だけではなく、自分の実力や経験値が高まって、とてもいい体験ができました」と振り返る。実は、本格的に演奏家を志すきっかけのひとつも、日本音楽コンクールだった。「中学2年の時に本選を聴きに行って、ただただ感動して、何かのスイッチが入りました。その3年後には、自分が本選の舞台に立つことになった(結果は3位)のですが…」。“最優秀賞”である増沢賞も併せての受賞に「本当に嬉しかった。ピアノ伴奏で協奏曲を弾くにあたって、スケール感など、作品の魅力をどう伝えるか、自分なりに色々と工夫したので」と話す。発表演奏会では、三ツ橋敬子指揮の東京フィルハーモニー交響楽団と共演、チャイコフスキー「ロココの主題による変奏曲」を弾く。「与えられた時間の中で、『どう自分の魅力を出すか』『演奏会で聴く意義があるか』を考えると、この曲以外になかった。美しくて優美で、哀愁もあって…チェロの魅力が詰まっています。これまで何度か弾きましたが、いっそう内面的なものを加味できて、一段と違う『ロココ』を披露できれば、嬉しいですね」。チェロを始めたのは、6歳。「近所にスズキメソードの教室があって、体験レッスンを受けたら楽しくて…。母はピアノが弾けたので、簡単な伴奏を付けてくれたりして、毎日やっていても、全く苦ではなくて、むしろ自発的に取り組んでいました」。ソリスト活動の一方、2018年9月からハンガリー国立リスト音楽院に在籍。今年で73歳となる巨匠ミクローシュ・ペレーニの下で、さらなる研鑽を積んでいる。「今の年齢でなお成長してゆける、音楽への姿勢や態度は、心から尊敬できます。彼は自分の思う“最高のモノ”を生徒たちに引き継いでもらいたいと考えていて、懸命に教えてくれるのですが、なかなか追いつけない。そこで、つい『とてもできない』と口走ってしまったことがあるのですが、そんな時、彼が『絶対に“できない”とは言うな』とおっしゃられて…。後で思い返すと、とても深い一言だったと感じています」写真:宮森庸輔そんな水野が、こだわり続けたいのが、“音色”。「自分の中で強みにできるのは、これかなと…」。そして、師ペレーニのような、音楽への“姿勢”だという。「今まさに音楽の本質を学んでいる最中です。以前は感情のまま、自由に弾くことを優先していましたが、楽譜に書いてある“意味”を読み取る作業を一番大切に。そこへ自分の感情などを、うまくミックスしてゆければ、と考えています」。コロナ禍を経験して、「音楽に対して、よりいっそう、感動できるようになった」と水野。「演奏会が全くなくなってしまった時期を経て、改めてステージに立てた時、弾いている自分自身がまず心動かされたし、お客様の雰囲気も、ホールの空気感も、全てのものが、以前とは違うように感じました。おそらく、その場にいた全員が、その気持ちを共有していたと思います」と語る。自分にとって、チェロを“一番付き合いの長いパートナー”、音楽を“不可欠なもの”と表現。「今も残っているクラシック音楽は、神聖で、揺るぎない存在。そんな音楽に一生かけて向き合ってゆける演奏家になるのが、夢ですね」。そして、「僕を含めて、入賞者発表演奏会の出演者にとって、ここからが本当の挑戦です。もっと聴きたいと思っていただける演奏をして、今後も見守っていただけたら、最高ですね」。熱っぼく語った。第89回日本音楽コンクール受賞者発表演奏会(東京公演)3月4日(木) 19時開演予定東京芸術劇場コンサートホール(東京都豊島区西池袋1-8-1)取材・文:寺西肇
2021年01月15日国内で最も権威と実績の映画賞「毎日映画コンクール」。第75回となる同コンクールの各賞のノミネート作品、ノミネート者が決定した。「毎日映画コンクール」は、1946年、日本の映画産業の振興に寄与し、国民に映画の楽しさを広く伝えることを目的に、毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社によって創設された国内最高峰の映画賞。今回の対象作品は、2020年1月1日から12月31日までに国内で14日間以上、有料で劇場公開された作品となっている(アニメーションおよびドキュメンタリー部門は、同期間に完成もしくは上映された作品)。<日本映画大賞・日本映画優秀賞>候補作には、『朝が来る』『アンダードッグ』『海辺の映画館 キネマの玉手箱』『スパイの妻劇場版』『MOTHERマザー』が決定。特に、黒沢清監督が初めて歴史の闇に挑んだ、ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)受賞も話題となった『スパイの妻劇場版』は、劇中で夫婦役を演じた蒼井優と高橋一生の女優・男優主演賞を含む最多10ノミネートとなった。次いで、8ノミネートとなったのは、森山未來、北村匠海、勝地涼がメインキャストで出演する、人生から見放された三匹の負け犬たちがリングの上で巡り合う『アンダードッグ』。森山さんが男優主演賞、勝地さんと北村さんが男優助演賞、ほかスタッフ部門でノミネート。ほかにも、<男優主演賞・女優主演賞>には石橋蓮司、草彅剛、森崎ウィン、芦田愛菜、土村芳、長澤まさみ、水川あさみ。<新人賞>には岡田健史や宮沢氷魚、芋生悠、森七菜ら注目の若手が。<外国映画ベストワン賞>には、シアーシャ・ローナン、ティモシー・シャラメ、エマ・ワトソンらが出演する『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』、クリストファー・ノーラン監督最新作『TENET テネット』、アカデミー賞受賞で大きな賑わいを見せたポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』ほか。<アニメーション映画賞・大藤信郎賞>には、現在も大ヒット公開中の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』、市川染五郎と杉咲花が参加する『サイダーのように言葉が湧き上がる』、「おジャ魔女どれみ」20周年を記念して製作した『魔女見習いをさがして』などがノミネートされている。なお、発表は来年1月下旬の毎日新聞、スポーツニッポン新聞紙上で行われ、その後、表彰式も行われる。<主なノミネート作品&ノミネート者>【作品部門】■日本映画大賞・日本映画優秀賞『朝が来る』『アンダードッグ』『海辺の映画館 キネマの玉手箱』『スパイの妻劇場版』『MOTHERマザー』■外国映画ベストワン賞『異端の鳥』『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』『TENET テネット』『はちどり』『パラサイト 半地下の家族』『燃ゆる女の肖像』【俳優部門】■男優主演賞石橋蓮司『一度も撃ってません』草彅剛『ミッドナイトスワン』高橋一生『スパイの妻劇場版』森崎ウィン『本気のしるし劇場版』森山未來『アンダードッグ』■女優主演賞蒼井優『スパイの妻劇場版』芦田愛菜『星の子』土村芳『本気のしるし劇場版』長澤まさみ『MOTHERマザー』水川あさみ『喜劇愛妻物語』■男優助演賞阿部サダヲ『MOTHERマザー』宇野祥平『罪の声』勝地涼『アンダードッグ』北村匠海『アンダードッグ』成田凌『窮鼠はチーズの夢を見る』東出昌大『スパイの妻劇場版』■女優助演賞浅田美代子『朝が来る』神野三鈴『37セカンズ』岸井ゆきの『空に住む』ベッキー『初恋』蒔田彩珠『朝が来る』渡辺真起子『37セカンズ』■スポニチグランプリ新人賞(男性)上村侑『許された子どもたち』岡田健史『望み』奥平大兼『MOTHERマザー』下倉幹人『アイヌモシリ』宮沢氷魚『his』寄川歌太『滑走路』■スポニチグランプリ新人賞(女性)芋生悠『ソワレ』佳山明『37セカンズ』工藤遙『のぼる小寺さん』服部樹咲『ミッドナイトスワン』モトーラ世理奈『風の電話』森七菜『ラストレター』【アニメーション部門】■アニメーション映画賞・大藤信郎賞『生きる壁』『いしのしし」『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』『劇場版ごん -GON, THE LITTLE FOX-』『音楽』『かたのあと』『サイダーのように言葉が湧き上がる』『The Balloon Catcher』『ジョゼと虎と魚たち』『DINO!』『どうにかなる日々』『Birth-めぐるいのち-』『附子』『魔女見習いをさがして』『Radio Town』『レベッカ』『わたしたちの家』第75回毎日映画コンクールの表彰式は2021年2月17日(水)めぐろパーシモンホールにて開催予定。(cinemacafe.net)■関連作品:朝が来る 2020年10月23日より全国にて公開©2020『朝が来る』Film PartnersMOTHER マザー 2020年7月3日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開(C)2020「MOTHER」製作委員会アンダードッグ(2020) 2020年11月27日よりホワイトシネクイントほか全国にて【前編】【後編】同日公開ⓒ2020「アンダードッグ」製作委員会スパイの妻 2020年10月16日より新宿ピカデリーほか全国にて公開©2020 NHK, NEP, Incline, C&I
2020年12月23日東京・国立映画アーカイブにて、上映企画「中国映画の展開――サイレント期から第五世代まで」が開催。期間は2021年1月5日(火)から1月31日(日)まで。1920年代から1980年代の中国映画全29作品を上映現代では北米と肩を並べる世界有数規模の映画市場となり、次々と気鋭の映画監督を輩出する中国映画界。しかし、現在に至るまでの20世紀の道のりは平坦では無く、激動する中国社会の歩みの中で、作り手たちは人々の葛藤や困難を物語として昇華させてきた。本企画では、そんな中国映画史における、サイレント期から第五世代までの代表作を特集。現存最古の中国映画『八百屋の恋』(1922)から、1930年代上海の名作群、新中国への希望を描いた1940年代後半から1950年代、産業発展期の1950年代後半から1960年代前半、そして国際的な評価を高めた1980年代の作品まで、多彩な全29作品を上映する。中国映画史を代表する古典的名作を厳選注目となるのが、上海を中心に先進的な映画文化が開花した1930年代の名作『女神』『大いなる路』『十字路』『深夜の歌声』『田舎町の春』といった作品たち。中でも世界映画史上における傑作として名高い『田舎町の春』は必見のコンテンツだ。映画を通して見る中国の歴史清朝末期から共産党政権樹立までを市井の人物を主人公に描いた『私の一生』、実話をもとに革命への戦いを描いた『上饒収容所』や『紅色娘子軍』、文革期の傷跡を描いた『標識のない河の流れ』『青春祭』では、中国の社会的大変動時の情勢を色濃く反映。映画を通して、作品が制作された当時の歴史を感じることが出来る。喜劇やアクション、ホラーまで多様なジャンルをラインナップまた、全29作品は喜劇やアクション、ホラーまで幅広いジャンルの映画で構成。社会的矛盾をユーモラスに描いた『三毛の放浪記』『未完成喜劇』『雑居アパート大騒動』をはじめ、アクション映画『双旗鎮刀客』、そしてディズニー映画『ムーラン』と同じ唐時代の伝説を描いた武俠映画『木蘭従軍』などをラインナップする。なお、サイレント映画作品はピアノ伴奏付き上映も開催。こちらも是非チェックして欲しい。【詳細】中国映画の展開――サイレント期から第五世代まで会期:2021年1月5日(火)~1月31日(日)会場:国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール OZU住所:東京都中央区京橋3-7-6※1月12日(火)~上映ホールでの収容率50%以下として上映。※前売指定券のみの販売。会場でのチケット販売は無し。※障碍者(付添者は原則1名まで)・国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズも、要前売指定席券。※上映ラインナップおよびスケジュールの詳細は公式ホームページ参照。<前売指定券>発売日:2020年12月25日(金) 10:00~チケットぴあにて発売料金:・通常回一般 520円、高校・大学生・65歳以上 310円、小・中学生 100円、障碍者(付添者1名) 無料、キャンパスメンバーズ 無料・伴奏付上映回一般 1,050円、高校・大学生・65歳以上 840円、小・中学生 600円、障碍者(付添者1名) 無料、キャンパスメンバーズ(教職員) 500円、キャンパスメンバーズ(学生) 400円<サイレント映画ピアノ伴奏付上映>・1月22日(金) 19:00~『女神』 伴奏 上屋安由美・1月23日(土) 13:00~ 『八百屋の恋』『嵐の夜』伴奏 長谷川慶岳【問い合わせ先】国立映画アーカイブTEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
2020年12月21日Instagramで大人気のニシカタさん(Instagram@c_nishikata)の育児エピソードをお届けします。2018年1月生まれのえみりんのほっこり可愛いお話しです。 「これかくすから みつけてね」と言うけれど、えみりんは待てなすぎて……!? はやる気持ち、抑えられない……。そんな待てないえみりんなのでした。しかし、このマンガを描こうと思ってから数日、数週間経ち……今ではちょっと待てるようになりました。 成長のはやさよ!!!そして最近、かくれんぼ中に笑ってしまったことがありました。「絶対向こうの部屋にいるけどじらしちゃおう」と思って、大きい声で「あれぇいないなぁ!ここにもいなーい、どこだろう?おかしいな?音がしたのにな」と散々白々しい演技をしたあと、疑惑の部屋に入ったら、えみりんがその部屋のど真ん中に立ってたんです。ど真ん中に立っている!隠れてないの!新しいスタイルか!なんか爆笑してしまいました。えみりんはおしゃべりが達者になり、本当に感心します。そして例に漏れず鬼滅フィーバーの影響を受けて紅蓮華歌ってます。 ニシカタさんの最新マンガはInstagramやアメブロで更新中です。ぜひチェックしてみてくださいね。 この投稿をInstagramで見る ニシカタ(@c_nishikata)がシェアした投稿 - 2019年11月月25日午後7時52分PST著者:イラストレーター ニシカタ2018年1月、長女を出産。インスタで出産、産後、育児レポートマンガを更新し、人気に。ゲームと海外ドラマとデパ地下が好き。
2020年12月15日映画芸術科学アカデミーが、第93回アカデミー賞授賞式のプロデューサーを発表した。ジェシー・コリンズ、ステイシー・シェール、スティーヴン・ソダーバーグの3人。コリンズはここ数年連続でグラミー賞、BETアワードなどの制作を担当。そのほかにも数々の授賞式やテレビ番組のプロデューサーを務め、エミー賞にノミネート経験もある。ツイッターで「このような素晴らしい機会をありがとうございます!」とアカデミーに感謝を伝えている。シェールは『エリン・ブロコビッチ』『ジャンゴ 繋がれざる者』で2度アカデミー賞作品賞にノミネートされたほか、『パルプ・フィクション』『コンテイジョン』などの多数の有名作品でプロデューサーまたは製作総指揮を務めてきた。ソダーバーグは『トラフィック』でアカデミー賞監督賞を受賞。メガホンを取った『エリン・ブロコビッチ』では、シェールとともに仕事をした。アカデミーの会長デヴィッド・ルービンとCEOのドーン・ハドソンは連名で「来るオスカーは、授賞式の可能性を再構築、そして刷新するのに素晴らしい機会です。いまの時代に直接反応を見せてくれる、夢のようなチームを結成しました」と3人を紹介している。第93回アカデミー賞授賞式は、2021年4月25日に、バーチャル開催ではなく通常通りのスタイルで開催予定。(Hiromi Kaku)
2020年12月09日そごう横浜のグルメイベント「第2回 芋博」が、2020年12月2日(水)から7日(月)までの期間で開催される。さつまいもスイーツが集結、そごう横浜で「第2回 芋博」今回で開催2回目を迎える「芋博」は、スイーツを中心とする様々なさつまいも料理に特化したグルメイベント。会場には実演販売も含めて24店舗が出店し、各店自慢のさつまいもグルメを披露する。個性の異なる全14品種が味わえるやきいも中でも特に注目したいのは、「よっしーのお芋屋さん」(神奈川)、「神⼾芋屋 志のもと」(兵庫)、「OIMO cafe」(埼玉)の3店舗が販売するやきいも。蜜感と甘みが強く特徴的な食感をもつ「さつまミライ」、ねっとり甘く水飴のようなコクの「シルクスイート」、上品な甘さがある希少な在来種「紅赤」など、計14種類に及ぶバリエーション豊かな銘柄のやきいもが楽しめる。定番から変わり種まで多種多様なメニューがラインナップこのほか、芋の天ぷら専門店「Tempura Motoyoshi いも」のパフェ、高級芋菓子「しみず」が提案する和のスイートポテト、焼き芋専門店「芋やす」の焼き芋サンドなど、定番から変わり種まで様々なさつまいもグルメが用意されている。開催概要「第2回 芋博」開催期間:2020年12月2日(水)~12月7日(月)会場:そごう横浜店 8階=催会場※最終日は17:00閉場。※イートインラストオーダーは閉場の1時間前まで。
2020年12月03日広井王子総合演出、少女歌劇団ミモザーヌ12月30日(水)第1回公演『Begin~始まりの歌~』のチケット販売が開始された。本舞台の第1回公演ではカバー楽曲を含む計13曲が披露される。11月15日に本格始動第1弾としてお披露目ショーケースを生配信し、ダイジェスト映像が公開中の少女歌劇団ミモザーヌ。こちらの動画では、計5曲のダイジェストを視聴できる。また、オリジナル曲である「ミモザのように」のミュージックビデオがYouTubeにて公開中。ミモザを持った少女たちが可憐に歌う内容となっている。■お披露目ショーケースダイジェスト映像■MV「ミモザのように」少女歌劇団ミモザーヌとは「少女歌劇団プロジェクト」から生まれた広井王子総合演出のレビューカンパニーであり、12歳~19歳の少女たちで結成。第1期メンバーは応募総数736名の中から14名の少女たちが選出されていて、メンバーは20歳で退団となる。グループ名である少女歌劇団ミモザーヌは花の「ミモザ」から由来。ミモザの花言葉は「感謝」のほかに「友情」「優雅」とも言われており、小さな丸い花びらがたくさん集まって可憐に咲くミモザをイメージしている。少女歌劇団mimosane. 第1回公演「Begin~始まりの歌~」チケット概要◆配信日時12月30日(水)配信開始16:00~※見逃し視聴は1月6日(水)16:00まで※別途よしもとID登録が必要購入はこちらから:
2020年12月02日映画ファンの祭典「第30回映画祭TAMA CINEMA FORUM」内にて「第12回TAMA映画賞授賞式」が11月29日(土)、府中の森芸術劇場 どりーむホールにて行われ、本年度、最も活力溢れる作品の監督及びスタッフ・キャストに対し表彰される「最優秀作品賞」に『海辺の映画館-キネマの玉手箱』と『ラストレター』が選出され、監督やキャストが揃って登壇した。「TAMA映画賞」は2009年にスタートし、前年10月から当年9月に一般劇場で公開される作品及び監督・キャスト・スタッフを対象に、市民ボランティアの実行委員が選考。「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優」を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰する映画賞。『海辺の映画館-キネマの玉手箱』は大林宣彦監督が20年振りに尾道を舞台に撮った1作。出演した常盤貴子は、「『海辺の映画館』も初日舞台挨拶ができずにいました。でも、この4名(主要キャスト)は、一昨年の夏に監督の分身となって頑張ってずっと撮影を続けてくれました。そのおかげで『海辺の映画館』は映画という旅を自由に飛び回れたんだと思うんです。私からのお願いでもあり、監督からのお願いでもあると思って、4名に皆さまから大きな拍手をいいただけないでしょうか?」と、観客に呼び掛けた。客席からは大きな拍手が鳴りやまず、主要キャストの厚木拓郎、細山田隆人、細田善彦、吉田玲は興奮で瞳を輝かせていた。また、豪華俳優が出演する岩井俊二監督によるオリジナルラブストーリー『ラストレター』に主演した福山雅治、そして共演の森七菜は岩井監督とそろって登壇。福山さんは、「監督のイメージしているものにどれだけ近づけるかと全員向かっていったので、集中力の高い現場だった。監督が悩む間の待ち時間も愛おしい現場でした」と愛情たっぷりにコメント。「素晴らしい皆さんに受けていただいて。非常に撮りがい、撮影しがいがありました。至福な時間でした」と話す岩井監督。森さんを撮影しての感想を聞かれると、「何というか…小リスのような(笑)。かごから出すと、ピュッとどこに行くかわからない感じ(笑)。カメラのどの辺に立つんだろうってところからスリリングな演技で、素敵でしたね」と目じりを下げていた。一方、『君が世界のはじまり』にて、本年度最も飛躍した監督、もしくは顕著な活躍をした新人監督を表彰する「最優秀新進監督賞」を受賞したふくだももこ監督は、先週、出産を終えたばかりのハードな状況にも関わらず、元気に出席!その事実が公表されると、会場からはどよめきの声と「おめでとう!」の拍手が巻き起こった。今後の抱負を聞かれたふくだ監督は、「映画業界で出産や育児をしているスタッフが、少しでも働きやすくなるように保育部を作りたいなと思っています。そのために、監督に子どもがおることは結構な圧力になるんじゃないかと。切実に、みんなが考えてくれるのではという理由もあって、早く子どもがほしかった。少しでもいろいろな人が働きやすいようにしていけたら」と働くママの環境をもっとよくするべく、映画業界での働き方の向上を訴え、温かい拍手を贈られていた。そのほか、「最優秀新進監督賞」にはHIKARI監督、映画ファンを魅了した事象に対し表彰する「特別賞」には城定秀夫監督、及びスタッフ・キャスト一同が、岩井澤健治監督、及びスタッフ・キャスト一同が受賞した。(cinamacafe.net)■関連作品:ラストレター 2020年1月17日より全国東宝系にて公開ⓒ2020「ラストレター」製作委員会
2020年11月29日第5回マカオ国際映画祭が、12月3日から8日までバーチャル開催される。このたび公式サイトで、是枝裕和監督が特別賞の「スピリット・オブ・シネマ」賞を受賞することが発表された。これまでの同賞の受賞者にはチェン・カイコー監督、リー・シャオホン監督らがいる。是枝監督は、映画談義コーナー「イン・カンバーセーションズ」に参加することも決まっており、こちらは無料で視聴が可能。是枝監督のほか、ヴィゴ・モーテンセン、ホ・ジノ監督、ドイツ人女優のニーナ・ホス、今年の審査員長を務めるニン・ハオ監督もそれぞれ個別に「イン・カンバーセーションズ」に登場する。日本からは「ワールド・パノラマ」部門に春本雄二郎監督の『由宇子の天秤』、西川美和監督の『すばらしき世界』、「スペシャル・プレゼンテーションズ」部門に二宮健監督の『とんかつDJアゲ太郎』、「ショートフィルム・コンペティション」部門にユー・マン・ライ監督の『The Smoke That Blinds Us』(香港・日本合作)が出品されている。作品はオンラインで24時間~48時間レンタル視聴が可能。視聴チケットは13日に発売開始となる。(Hiromi Kaku)
2020年11月11日第33回東京国際映画祭が開催中の東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで11月9日、葛飾北斎の知られざる生涯を描く映画『HOKUSAI』がクロージング作品として公式上映された。北斎の青年期、老年期をそれぞれ演じた柳楽優弥と田中泯、メガホンをとった橋本一監督、企画・脚本を手がけた河原れんが舞台挨拶に登壇。この場で本作が2021年5月に全国公開されることが明らかになった。代表作「冨嶽三十六景神奈川沖浪裏」をはじめ、生涯を通じ、約3万点の作品を残したとされ、19世紀には欧州でジャポニズムブームを巻き起こした江戸時代後期の浮世絵師、葛飾北斎の知られざる生きざまを映画化。公開延期を経て、東京国際映画祭のクロージングを飾ることになり、「こうして皆さんに見ていただけるのは、うれしいですし光栄です」(柳楽)、「今、ヨーロッパやアメリカは(新型コロナウイルス感染の再拡大で)映画が見られない状況。ここにいる“選ばれた”皆さんは、特別な時間を体験なさるはずなので、正直に反応してもらえれば」(田中)と挨拶にも熱がこもった。青年期の北斎を演じる柳楽は「最も興奮したのは、時代劇でアーティストを演じるということ」と振り返り、「青年期の情報が少ない中で、監督と僕たちの北斎像を作り上げ、見応えのある作品に仕上がった」と強い手応え。「写楽や歌麿といった同時代のスターに対して『ああ悔しいな、もっとうまくなりたい』と抱く思いは、俳優である僕にも共通していた」と役柄に自身を重ね、「日本映画に成長させていただいたき僕が、日本映画の大ファンとして、皆さんに元気を与えられるような俳優になりたい。その一発目が『HOKUSAI』です」と力強く宣言していた。一方、田中は老年期の北斎を演じ「小さな頃から北斎(の作品)と触れることの多き人生だったので、身をもって演じることができ、本当に光栄。この上ない幸せな日々でした」としみじみ。北斎生誕260年での映画お披露目に「北斎が一番待っていたタイミングなんじゃないかなと。(北斎が)喜んでくれたら、皆さんもうれしいですよね」と喜びを示していた。同日、第33回東京国際映画祭は「TOKYOプレミア2020」部門32本を対象に観客が投票する「観客賞」に『私をくいとめて』(大九明子監督/日本)を授与し、クロージングセレモニーの実施をもって閉幕した。同部門は昨年まで実施していた「インターナショナルコンペティション」、アジアの新鋭監督を集めた「アジアの未来」、日本映画の気鋭作品をそろえた「日本映画スプラッシュ」の3部門を1つに統合したもの。大九監督が同賞に輝くのは「勝手にふるえてろ」(第30回・2017年)以来2度目となり、「前回いただいたときとは、世界がまったく違っていまして、いろいろな映画祭がリモートや配信で行われる中、東京国際映画祭は実際にお客様が同じ時間、同じ場所で一緒にスクリーンに向かうことを実現させた。本当にすばらしいこと。足を運んでくださり、投票いただいたおひとりおひとりが、私どもにこの賞を授けてくれた」と感謝の挨拶。主演を務める女優ののんは、「私事ですが、何年かぶりの主演映画を応援していただき、本当に本当に心から喜びでいっぱいです。映画は見ていただき、初めて完成するもの。なので、この賞を大切に受け止めたい」と喜びを示していた。取材・文・写真=内田涼『HOKUSAI』2021年5月TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
2020年11月09日村上春樹の短編小説「ドライブ・マイ・カー」が映画化。同作は第94回アカデミー賞にて日本映画初となる作品賞、脚色賞に加えて監督賞、国際長編映画賞にノミネートされる快挙を達成。そして、2022年3月28日(月)に開催された第94回アカデミー賞 授賞式にて、国際長編映画賞を受賞した。日本映画が同部門を受賞するのは滝田洋二郎監督の『おくりびと』以来13年ぶりだ。村上春樹の短編小説が「ドライブ・マイ・カー」映画化村上春樹が2013年に発表した短編小説「ドライブ・マイ・カー」。舞台俳優の家福(かふく)を主人公に、亡き妻の記憶が呼び起こす深い喪失感と仄かな希望を綴ったこの物語を、『寝ても覚めても』(カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品)、『スパイの妻〈劇場版〉』(ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞)で脚本を担当した気鋭・濱口竜介が映画化する。登場人物/キャストかねてから『ドライブ・マイ・カー』の映画化を切望していたという濱口のもとに集まったのは、実力を備えた豪華キャスト達。『サイレント・トーキョー』『奥様は、取り扱い注意』の西島秀俊を主演に、『ロマンスドール』の三浦透子、『さんかく窓の外側は夜』の岡田将生、『ノルウェイの森』の霧島れいかが、メインキャラクターを演じる。主人公・家福悠介(西島秀俊)舞台俳優・演出家。脚本家の妻・音と満ち足りた日々を送っていたが、秘密を残したまま妻は死去。そして、演劇祭で演出のため、愛車のサーブで広島へと向かう。そこで、寡黙な専属ドライバーみさきに出会う。家福の希望へと一歩踏み出す心の機微を、西島秀俊が繊細に表現する。渡利みさき(三浦透子)主人公・家福の愛車を運転するドライバー。寡黙でありながら、芯のある女性。みさきと過ごすことで、家福は目を背けていたあることに気づかされていく…。⾼槻耕史(岡田将生)家福の妻・音と親密そうな気配を漂わせる 俳優。物語を大きく動かすキーパーソン。家福⾳(霧島れいか)秘密を抱えたままこの世を去った、家福の妻。脚本家。日本映画史上初、第94回アカデミー賞で作品賞&脚色賞にノミネート映画『ドライブ・マイ・カー』は、第94回アカデミー賞にて作品賞・脚色賞・監督賞・国際長編映画賞の全4部門にノミネート。作品賞・脚色賞にノミネートに日本映画がノミネートされるのはアカデミー賞史上初の快挙となり、映画史に新たな歴史を刻む作品となった。なお、監督賞ノミネートは1986年の黒澤明監督映画『乱』以来、国際長編映画賞は2019年の是枝裕和監督映画『万引き家族』以来となる。第94回アカデミー賞で国際長編映画賞『おくりびと』以来13年ぶり3月28日(月)開催の第94回アカデミー賞 授賞式で、映画『ドライブ・マイ・カー』は国際長編映画賞を受賞。日本映画が同部門を受賞するのは滝田洋二郎監督の『おくりびと』以来13年ぶりだ。<濱口竜介監督 国際長編映画賞 受賞コメント>Thank you very much. Ohh..You are the Oscar.アカデミーの皆さまへ感謝いたします。ヤヌスフィルムとサイドショウとワーナーメディア150とシネティック、この映画をアメリカに持ってきてくれてありがとう。ここにいる出演者のみなさんに感謝します。⻄島秀俊さん、岡田将生さん、霧島れいかさん、パク・ユリムさん、ジン・デヨンさん、アン・フィテさん、ソニア・ユアンさんおめでとうございます!また、ここに来れなかった出演者のみなさんにも感謝します。特に赤いSAAB900を見事に運転してくれた三浦透子さんに感謝します!みなさん獲りました!第74回カンヌ国際映画祭で脚本賞なお、第74回カンヌ国際映画祭では、日本映画として初となる脚本賞を受賞。また授賞式を前に発表された同映画祭の独立賞である国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞も獲得した。国際映画批評家連盟賞を日本映画が受賞するのは黒沢清監督『回路』以来20年ぶり。また、AFCAE賞は、これまでにパルムドール受賞作『パラサイト 半地下の家族』などの受賞歴がある名誉ある賞だ。第79回ゴールデングローブ賞で非英語映画賞受賞(旧外国語映画賞)また第79回ゴールデングローブ賞においては、<非英語映画賞受賞(旧外国語映画賞)>を受賞。日本映画として、同映画賞の外国語映画賞にノミネートされる日本映画は、是枝裕和監督『万引き家族』(2019)以来3年ぶりの出来事であり、受賞は62年ぶりだ。第56回全米批評家協会賞では、作品賞、監督賞(『ドライブ・マイ・カー』『偶然と想像』の2作品に対して)、脚本賞、主演男優賞の主要4部門を受賞。第45回日本アカデミー賞8部門で優秀賞第45回日本アカデミー賞では、作品賞を含む最多8部門で最優秀賞を獲得し、賞レースを席巻した。<映画『ドライブ・マイ・カー』あらすじ>舞台俳優であり、演出家の家福悠介。彼は、脚本家の妻・音と満ち足りた日々を送っていた。しかし、妻はある秘密を残したまま突然この世からいなくなってしまう――。2年後、演劇祭で演出を任されることになった家福は、愛車のサーブで広島へと向かう。そこで出会ったのは、寡黙な専属ドライバーみさきだった。喪失感を抱えたまま生きる家福は、みさきと過ごすなか、それまで目を背けていたあることに気づかされていく…。◆作品詳細映画『ドライブ・マイ・カー』公開日:2021年8月20日(金) TOHO シネマズ日比谷ほか全国ロードショー監督・脚本:濱口竜介出演:西島秀俊、三浦透子、岡田将生、霧島れいか原作:村上春樹「ドライブ・マイ・カー」2013年初出、短編小説集『女のいない男たち』(文春文庫、2014年)所収配給:ビターズ・エンド
2020年11月01日第33回東京国際映画祭のオープニングセレモニーが10月31日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで行われ、本年度のフェスティバル・アンバサダーを務める俳優の役所広司らが出席した。また、最新作『TENETテネット』が日本でも大ヒットを記録したクリストファー・ノーラン監督からビデオメッセージが到着。「映画を観る喜びを再認識し、映画の未来への希望の光を灯す」「映画を通じて国際的な連帯を強める」「コロナ後の映像文化についての考察を深める」という3つの目的を掲げ、開幕を迎えた。新型コロナウィルスの感染拡大が続くなか、各国の映画祭が中止や延期、縮小といった影響を受ける中、実施される今年の東京国際映画祭。上映作品の総タイトル数は、例年に比べて約3割減となったが、映画館でのフィジカルな上映を基本とし、感染症対策を十分講じながら、シンポジウムやゲストのトークなどにオンラインも活用した多様なプログラムを通して“映画の力”の結集を目指す。挨拶に立った安藤裕康チェアマンは「新型コロナウィルスの苦境が続くなかで、今年の春から開催すべきか悩み続けました」と明かし、「困難の中にありますが、映画の力を信じ、未来への灯を燃やし続けたい」と強い思いを表明。「感染症対策に万全を期しながら、リアルで開催しようと決意した」と映画祭の開幕に感無量の面持ちだった。また、“映画祭の顔”である役所は「今回の映画祭開催は、今までと違う形ですので、準備する実行委員会の皆さんの苦労はとても大変だったと思います」と労をねぎらい、「大きなスクリーンで映画を観られるのは、映画ファンにとって、最高のプレゼントだと思います。気の抜けない開催期間だと思いますが、コロナ禍での映画祭開催っていうのは、今後に生かされるんじゃないかと思います。みんなで知恵を絞って、映画祭を続けられるように頑張っていきたい」と意気込みを語った。昨年まで実施していた「インターナショナルコンペティション」、アジアの新鋭監督を集めた「アジアの未来」、日本映画の気鋭作品をそろえた「日本映画スプラッシュ」の3部門が、「TOKYOプレミア2020」という1部門に統合されることに。日本、アジア、欧米といった地域のバランスは保ちながら、従来のコンペ部門の選定視点も残し、32本のプログラムを予定。各賞を競う形式ではなく、その中の全作品を対象に観客が投票する「観客賞」が設けられた。加えて、例年通り「特別招待作品部門」「Japan Now部門」「ワールド・フォーカス部門」「ジャパニーズ・アニメーション部門」「日本映画クラシックス部門」「ユース部門(TIFFチルドレン/TIFFティーンズ)」の実施も決定している。●クリストファー・ノーラン監督からのメッセージ皆さん、こんにちは。『TENET テネット』の監督、クリストファー・ノーランです。今年の第33回東京国際映画祭の開催、おめでとうございます。このような厳しい時期に、皆さんが大きなスクリーンで映画を観ることを称え、そして、楽しむ道を見出してくれたことは、私にとって、そして、世界中の映画製作者にとってインスピレーションの源となります。そして、映画を観ることの感動、さらには大きなスクリーンで映画を楽しむことのワクワク感を大切にすることは、日本の映画ファンのみならず、世界中の映画ファンの心を躍らせてくれるものです。改めて、おめでとうございます。そして、映画祭を楽しんでください。■開催情報「第33回東京国際映画祭」期間:10月31日(土)~11月9日(月)会場:六本木ヒルズ、EX シアター六本木ほか公式サイト: オープニング作品:『アンダードッグ』(武正晴監督)クロージング作品:『HOKUSAI』(橋本一監督)「TIFFCOM2020」期間:11月4日(水)~11月6日(金)会場:ザ・プリンスパークタワー東京公式サイト: TIFF
2020年10月31日第42回アヌシー国際アニメーション映画祭でグランプリを獲得した、心揺さぶる家族の物語を描く映画『FUNAN フナン』の日本公開が決定。予告編とポスタービジュアルも到着した。カンボジア、1975年4月。武装組織クメール・ルージュによるプノンペン制圧のニュースを境に、多くの住民が強制労働のため農村に送られる。一家で農村へ移動する道中、息子ソヴァンと離れ離れになってしまった母チョウ。農村での革命組織(オンカー)の監視による苛酷な労働や理不尽な扱いは、彼女と夫クンを、そして共に生活する家族を一人、また一人と追い詰めていく――。「Netflix」との提携も発表された名門アニメーションスクール「ゴブラン・レコール・デュ・リマージュ」出身のドゥニ・ドーが監督&脚本を務めた本作。フランス生まれでカンボジアにルーツを持つドー監督が、自身の母親の体験を基に、クメール・ルージュの支配とカンボジアの人々の抵抗を描いた。長編初監督作品ながら、「高畑勲監督の名作『火垂るの墓』に続く芸術大作」(Variety)、「アニメーションの可能性を広げた」(Indiewire)などと、世界中で高い評価を受けた本作は、エミール賞では脚本賞とサウンドデザイン賞を受賞している。到着した予告編では、クメール・ルージュによるプノンペン占領の一報とともに、生活が様変わりしていく様子が描かれていく。オンカーの誘導によって農村へ送られる途中、息子と離れ離れになってしまった家族。そのまま時は流れ、絶望と苛立ちに襲われ、母は夫に心ない言葉をぶつけてしまう…。またポスタービジュアルは、こちらを見つめるチョウの目とカンボジアの風景、そして2人の男女が描かれている。アートディレクターには、『怪盗グルーの月泥棒 3D』で主要アニメーターを務めたミッシェル・クルーザ。声の出演には、主人公のチョウを『アーティスト』のベレニス・ベジョ、チョウを支える夫のクンを『グッバイ・ゴダール!』のルイ・ガレルが担当。エンディング曲はイギリスのシンガー・ソングライター、レベッカ・ファーガソンの「Running」が起用されている。『FUNAN フナン』は12月25日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、シネ・リーブル池袋ほかにて公開。(cinemacafe.net)
2020年10月30日「第33回東京国際映画祭」は、六本木ヒルズや東京国際フォーラムほかにて開催されるが、今年ならではの“オンライン企画”も実施されることが分かった。映画本編はあくまで映画館でのフィジカルな上映を基本としつつ、今年は招聘が叶わなかった海外ゲストに関して、Q&Aなどのトークをオンラインで繋ぐトーク企画を複数用意。視聴者が参加して質問することができる「視聴者参加型」と、ゲストによる「シンポジウム型」のオンライントークが行われる。外国映画の監督たちのトーク「TIFFトークサロン」来日が叶わない外国映画の監督たちをオンラインで繋ぎ、鑑賞者からの質問を受け付けるトーク「TIFFトークサロン」。従来、上映後に監督や俳優を迎え行っていたQ&Aを、オンライン上で実施する。ここでは、「TOKYOプレミア2020」「ワールドフォーカス」「ユース(ティーンズ)」部門の約40作品が対象、作品の監督と俳優が参加。また今回は、上映とは別の時間を改めて設け、PCやスマートフォンでZoomにアクセスした上で閲覧可能。参加可能者は、当該作品チケット購入者、及びプレスパス保有者で、参加にあたっては事前に映画祭公式サイトから申込みが必要。実施時は、ZoomのシステムのQ&A機能を使用して質問を送ることが可能。また鑑賞のみの場合は、同時刻に配信される映画祭公式YouTubeでも視聴可能となっており、その場合の事前申込は不要だ。豪華ゲストが様々なテーマでトーク「アジア交流ラウンジ」国際交流基金アジアセンターと東京国際映画祭の共催事業により、アジア各国・地域を代表する映画監督と、第一線で活躍する日本の映画人とのトークを11月1日~8日の期間、毎日発信。今回の新たな取り組みは是枝裕和監督が発案し、検討会議メンバーと共に企画。当初は、各国の映画人が自由に交流できるリアルなラウンジを構想していたが、オンライン形式となり、豪華ゲストが様々なテーマでトークを展開する形に。またライブ配信の特性を活かし、ZoomのシステムのQ&A機能を使用して世界中からの質問も受け付ける。視聴参加には、映画祭公式HPの「アジア交流ラウンジ」各プログラムのページから登録が必要だ。アニメーション&特撮の監督や製作者が参加「マスタークラス」「マスタークラス」は、「ジャパニーズ・アニメーション部門」に関わるアニメーション及び特撮の監督、製作者などがゲスト参加。プログラミング・アドバイザーの藤津亮太がモデレーターを務めながら、3つのテーマでシンポジウムを行う。「2020年、アニメが描く風景」イシグロキョウヘイ監督、タムラコータロー監督、村野佑太監督、佐藤順一監督をゲストに迎え、昨年から今年にかけて公開されたアニメーション映画の背景美術に注目し、各作品の取り組みに迫る。「スーパー戦隊シリーズの歩み」ゲストに誠直也(「秘密戦隊ゴレンジャー」海城剛役)、荒川稔久(脚本家)、渡辺勝也(監督)、坂本浩一(監督)、白倉伸一郎(東映株式会社取締役)を迎え、スーパー戦隊シリーズはどのようにその魅力を保ち続けてきたのか、シリーズの歩みをふり返りながら、関係者が語り合う。「ジャパニーズ・アニメーションの立脚点 キャラクターと映画」日本のアニメにとって“キャラクター”はどんな意味を持つのか?また、アニメはどのようにして“映画”を志向してきたのか?アニメを媒介にしつつ、キャラクターと映画の関係について考察することで、日本のアニメーションの立脚点を探る。アニメのシンポジウムは、YouTubeで配信するのみのものと、会場に観客を入れてのリアルの参加及びYouTubeで配信の2通りの方法で実施。リアルの参加は、事前予約が必要だが、YouTubeでの参加は誰でも参加することができる。なお、併設マーケットの「TIFFCOM」では、パラマウント映画の会長兼CEOのジム・ジアノプロスによる基調講演なども行われる。「第33回東京国際映画祭」は10月31日(土)~11月9日(月)六本木ヒルズ、EX シアター六本木、東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場、東京国際フォーラムほかにて開催。「TIFFCOM2020」は11月4日(水)~6日(金)オンラインにて開催。(cinemacafe.net)
2020年10月22日今から40年前の1980年、堀米ゆず子はエリザベート国際コンクールで優勝した。“日本人で初の快挙”、“堀米さん 日本人で初栄冠”などの見出しが新聞各紙に並び、“欧州各地から演奏依頼続々”と期待を寄せる見出しから、“無名から世界へ”とズバリ書き放つ紙面まで、当時の新聞を見返すだけでも面白い。まだメールもインターネットも無かった時代、ヨーロッパははるか遠い国だった。西洋伝統音楽であるクラシックを、しかもその本場で東洋人が奏でることは、2020年の今風に言えば、はるかに“ハードルの高い”ことだった。その高いハードルを乗り越え、時にはおそらくなぎ倒し、優勝を果たした堀米は、以後、世界へと大きく飛翔する。真に音楽を欲する堀米は、オーケストラとの共演でソリストとして活躍するという華やかな舞台に固執せず、地味と揶揄されることも多い室内楽への探求心を持ち続けてきた。ルドルフ・ゼルキン、マルタ・アルゲリッチ、ギドン・クレーメル、ミッシャ・マイスキーなど、文句無しに超一流のトップアーティストと共演してきた日本人演奏家はどれくらいいるだろうか。その原点には、J.S.バッハの無伴奏ヴァイオリン曲があり、「バッハは私の背骨、音楽の核」と語ってきた堀米が楽壇生活40年の節目に挑む“勝負曲”は、やはりバッハ。サントリーホールの大きな舞台にたった一人で立ち、バッハに向き合う道を選んだ。ブリュッセルに拠点を置く堀米は教授として世界各地の生徒を教えてきた。今では日本のオーケストラに客演すると弟子がいて、「堀米先生」という声が聞こえてくることも。演奏活動のみならず、教育活動にも傾けるその熱量は、すごい。「弟子はいつまでも弟子だからね」と面倒見の良さも評判だ。当時のコンクールのレセプションは豪華で期間も長く、現地在住の日本人の方に着物を着せてもらって出席していた。二十歳そこそこの日本人女性には非日常の世界だった。ある日、レセプションが終わり着替えようと思ったら自分の洋服がない。いくら探しても見つからず、仕方なくそのまま帰りいざ着物を脱ぎ始めたら、「下から洋服が出てきた!」と豪快に笑う。あれから40年。にっぽんの“肝っ玉母ちゃん”の底力を、何もかも想定外の2020年、今こそ味わってほしい。楽壇生活40周年 無伴奏ヴァイオリン・リサイタルを11月11日(水)、19時より東京・サントリーホールにて開催。チケットぴあにて好評発売中。
2020年10月22日世界でただひとつ“歴史”をテーマにした、京都ヒストリカ国際映画祭の第12回が、10月31日~11月8日に開催される。この度、本映画祭の内容が発表された。今年は初めて、“シアター”と“オンライン”を併せたハイブリッド型での開催にチャレンジ。多彩な全85作品が上映予定となっている。
2020年10月08日第32回東京国際映画祭のコンペティション部門にて、最高賞にあたる「東京グランプリ/東京都知事賞」を獲得したデンマーク映画『わたしの叔父さん』が日本公開されることが決定した。デンマーク・ユトランド半島の静かで美しい農村。27歳のクリスは、幼い頃に家族を亡くして以来、叔父さんとふたりで暮らしてきた。毎朝早く起きて、足の不自由な叔父さんの世話をし、家業の酪農の仕事をこなす。夕食の後はコーヒーを淹れてくつろぎ、週に一度買い物に出かける。そんな決まった毎日を繰り返すクリスだったが、ある出来事をきっかけに、かつて抱いていた獣医になる夢を思い出す。さらに、教会で出会った青年マイクからデートに誘われ、次々と訪れる変化に戸惑いながらも胸のときめきを隠せない。将来の夢と恋に悩むクリスに気づいた叔父さんは、姪の幸せをそっと後押しするが…。本作は、デンマークの静かで美しい農村で年老いた叔父さんと家畜の世話をしながら暮らす若い姪のクリスが、かつて抱いていた夢や恋愛に葛藤する愛の物語が描かれる。監督は、デンマーク映画界の新鋭フラレ・ピーダセン。淡々とした日常の中にさりげなくユーモアを効かせ、家族の心の機微を細やかに描く演出は、『東京物語』をはじめとする小津安二郎監督作品から学んだという。世界各国の映画祭で受賞を重ねている本作。昨年の東京国際映画祭の授賞式では、審査委員長のチャン・ツィイーが「詩のような語り口で、我々に穏やかに物語ってくれました。監督は抑制的で、繊細なカメラワークをもって、忘れ去られる人間の情感をとても力強く表現しました」と称賛した。恵比寿ガーデンプレイス内の改装に伴い、2月28日に一時休館が決定しているYEBISU GARDEN CINEMA。本作は、同館の休館前最後のロードショー作品となる。『わたしの叔父さん』は2021年1月29日(金)YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて順次公開。(cinemacafe.net)■関連作品:わたしの叔父さん 2021年1月29日よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開©2019 88miles
2020年10月08日例年2月に行われてきたが、来年は新型コロナウイルスの影響により4月25日に開催される第93回アカデミー賞授賞式。今年は劇場閉鎖が長く続き、通常通りに映画上映ができる状況にないことから、主催者の映画芸術科学アカデミーは、来年のオスカーに限定して出品ルールをいくつか変更している。たとえば、「ロサンゼルス郡の劇場で7日間上映しなければならない」という出品ルールを今回に限り撤廃。いくつか条件はあるものの、劇場上映せずにVODなどのデジタル配信のみで公開された(またはこれから公開される)作品も、作品賞や一般部門の選考作品として扱われるというのが1つ。昨日、新たにそのルール変更にプラスされたのが、劇場公開ができる場合はロサンゼルスに限定せず、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコ/ベイエリア、シカゴ、マイアミ、アトランタの6都市の1都市で7日間連続して上映を行えばいいというもの。1日に3回、少なくとも1回は午後6時から10時までに上映することが必要。さらに、画期的な変更がもう1つ。ドライブインシアターでのみ上映された作品にも、応募資格を与えるというものだ。上記の6都市のいずれか1都市のドライブインシアターで、7日間連続して1日1回上映すれば出品可能になったという。(Hiromi Kaku)
2020年10月08日第12回TAMA映画賞 受賞作品・受賞者が8日、明らかになった。最優秀作品賞には『海辺の映画館-キネマの玉手箱』『ラストレター』が選出された。同映画賞は、多摩市及び、近郊の市民からなる実行委員が「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる"いきのいい"作品・監督・俳優を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰」するもの。最優秀作品賞には、「戦争とは何かを明示しつつ、映画の未来は明るいと観客に希望を託した」として、大林宣彦監督の『海辺の映画館-キネマの玉手箱』、及び「初恋の記憶が手紙に呼び起こされ、人生を歩みつづける希望として現在に差し込んでいくさまを、瑞々しい映像で描きあげた」と、岩井俊二監督の『ラストレター』が選ばれた。『ラストレター』主演の福山雅治は最優秀男優賞、出演の森七菜は最優秀新進女優賞に。また、『喜劇 愛妻物語』の濱田岳、水川あさみがそれぞれ最優秀男優・女優賞に選ばれ、『MOTHER マザー』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』の長澤まさみも最優秀女優賞に輝いた。最優秀新進男優賞には、宮沢氷魚と北村匠海、最優秀新進女優賞には森に加え松本穂香が選出された。■最優秀作品賞『海辺の映画館-キネマの玉手箱』(大林宣彦監督、及びスタッフ・キャスト一同)『ラストレター』(岩井俊二監督、及びスタッフ・キャスト一同)■特別賞城定秀夫監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『アルプススタンドのはしの方』)岩井澤健治監督、及びスタッフ・キャスト一同 (『音楽』)■最優秀男優賞福山雅治 (『ラストレター』『マチネの終わりに』)濱田岳 (『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』ほか)■最優秀女優賞水川あさみ (『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『ミッドナイトスワン』)長澤まさみ (『MOTHER マザー』『コンフィデンスマンJPプリンセス編』)■最優秀新進監督賞HIKARI監督 (『37セカンズ』)ふくだももこ監督 (『君が世界のはじまり』)■最優秀新進男優賞宮沢氷魚 (『his』)北村匠海 (『サヨナラまでの30分』『思い、思われ、ふり、ふられ』『影踏み』ほか)■最優秀新進女優賞松本穂香 (『君が世界のはじまり』『わたしは光をにぎっている』『酔うと化け物になる父がつらい』『his』ほか)森七菜 (『ラストレター』『青くて痛くて脆い』『地獄少女』『最初の晩餐』)
2020年10月08日市民がつくる映画ファンの祭典「第30回映画祭 TAMA CINEMA FORUM」が11月に開催。これに先駆け、「第12回TAMA映画賞」の受賞作品・受賞者が発表された。「TAMA映画賞」は2009年にスタートし、前年10月から当年9月に一般劇場で公開される作品及び監督・キャスト・スタッフを対象に、市民ボランティアの実行委員が選考。「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優」を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰する。本年度最も活力溢れる作品の監督及びスタッフ・キャストに対し表彰される、「最優秀作品賞」に選ばれたのは、大林宣彦監督が20年振りに尾道を舞台に贈る映画『海辺の映画館-キネマの玉手箱』と、豪華俳優が出演する岩井俊二監督によるオリジナルラブストーリー『ラストレター』。受賞理由については「大林監督の壮大かつ鮮烈なイマジネーションが炸裂し、戦争とは何かを明示しつつ、映画の未来は明るいと観客に希望を託した」(『海辺の映画館-キネマの玉手箱』)、「初恋の記憶が『手紙』に呼び起こされ、人生を歩みつづける希望として現在に差し込んでいくさまを、瑞々しい映像で描きあげた」(『ラストレター』)と説明。また、本年度最も心に残った男優・女優を表彰する「最優秀男優賞」と「最優秀女優賞」には、福山雅治と濱田岳、水川あさみと長澤まさみ。さらに、本年度最も飛躍した男優・女優、もしくは顕著な活躍をした新人男優・新人女優を表彰する「最優秀新進男優賞」と「最優秀新進女優賞」には、宮沢氷魚、北村匠海、松本穂香、森七菜が決定した。第12回TAMA映画賞受賞作品・受賞者一覧●最優秀作品賞『海辺の映画館-キネマの玉手箱』(大林宣彦監督、及びスタッフ・キャスト一同)『ラストレター』(岩井俊二監督、及びスタッフ・キャスト一同)●特別賞城定秀夫監督、及びスタッフ・キャスト一同(『アルプススタンドのはしの方』)岩井澤健治監督、及びスタッフ・キャスト一同(『音楽』)●最優秀男優賞福山雅治(『ラストレター』『マチネの終わりに』)濱田岳(『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『コンフィデンスマン JP プリンセス編』ほか)●最優秀女優賞水川あさみ(『喜劇 愛妻物語』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『ミッドナイトスワン』)長澤まさみ(『MOTHER マザー』『コンフィデンスマン JP プリンセス編』)●最優秀新進監督賞HIKARI監督(『37 セカンズ』)ふくだももこ監督(『君が世界のはじまり』)●最優秀新進男優賞宮沢氷魚(『his』)北村匠海(『サヨナラまでの30分』『思い、思われ、ふり、ふられ』『影踏み』ほか)●最優秀新進女優賞松本穂香(『君が世界のはじまり』『わたしは光をにぎっている』『酔うと化け物になる父がつらい』『his』ほか)森七菜(『ラストレター』『青くて痛くて脆い』『地獄少女』『最初の晩餐』)「第30回映画祭 TAMA CINEMA FORUM」各種上映プログラムは11月21日(土)~26日(木)東京都多摩市内2会場にて、TAMA 映画賞授賞式は11月29日(日)府中の森芸術劇場 どりーむホールにて開催。(cinemacafe.net)■関連作品:ラストレター 2020年1月17日より全国東宝系にて公開ⓒ2020「ラストレター」製作委員会
2020年10月08日米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)」は、「第33回東京国際映画祭」との提携企画として10月15日(木)~18日(日)の期間で「秋の映画祭」を開催する。イベントでは、先月催された「SSFF & ASIA 2020」の受賞作品を特集上映・配信。ジョージ・ルーカスアワード(グランプリ)、来年のアカデミー賞短編部門ノミネート候補となるオフィシャルコンペティション supported by Sony、ノンフィクション部門、そして本日2日発表の、男女の別なく光る演技を見せた役者を映画祭実行委員会が選出するベストアクターアワードと、オーディエンスアワードなど、選び抜かれた作品を一早く鑑賞することができる。今年ジョージ・ルーカスアワードを受賞したのは、イギリスの作品『11月1日』。息子を殺した男の死刑執行を見届けに向かう母親。彼女は男への復讐心と、娘との関係の溝に苦しんでいる――。こちらは、ほか3作品と共に「受賞プログラム1(AWARD1)」で上映される。ほかにも恒例のトークセミナーは、『サッドティー』が第26回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門に出品、以後、『愛がなんだ』『アイネクライネナハトムジーク』『mellow』などを手掛けてきた恋愛群像劇の名手・今泉力哉監督を迎え、“正解のない恋の形”というテーマでトーク。さらには、日本各地のストーリーを短編小説として創作した作家を迎えてのパネルディスカッションと、特別上映として「世界の美から日本の美を考える」をテーマとした「Discover Beautyプログラム」も用意されている。オンライン会場では、斬新で型破り、エキサイティングな現代ヨーロッパ・ショートアニメーションを紹介する、ニューヨーク発の映画祭「Animated Spirits」とコラボ。世界各国のアニメーションがラインアップされている。「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2020 -秋の映画祭-」は10月15日(木)~18日(日)東京都写真美術館及びオンライン会場にて開催。(cinemacafe.net)
2020年10月02日第33回東京国際映画祭のラインナップ発表会見が9月29日、都内で行われ、本年度のフェスティバル・アンバサダーを務める俳優の役所広司、「Japan Now部門」で特集上映が組まれる深田晃司監督、国際交流基金アジアセンターと東京国際映画祭が実施する、アジアのクリエイターたちによるトークイベント「アジア交流ラウンジ」を検討会議メンバーとともに企画した是枝裕和監督が出席した。挨拶に立った役所は「コロナ禍で決断も大変だったと思うが、時代の激変を乗り越えたときこそ、すばらしい映画が生まれるものだと信じている。大切なのは、続けること。それが映画祭の役割だと思いますね」と映画祭の開催を支持。自身も出演作の多くにストップがかかっていると明かし、「現場も苦難を乗り越えて、復活しようと頑張っている」と前を向いた。2010年に手がけた『歓待』が東京国際映画祭の「日本映画・ある視点部門」作品賞を受賞した深田監督。今回、本年度のカンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション2020に選出された最新作『本気のしるし《劇場版》』(2020年10月9日公開)を含め、『東京人間喜劇』(08)、『淵に立つ』(16)、『よこがお』(19)といった作品群が特集上映されることになり、「自分のキャリアに大きな意味がある東京国際映画祭に、(受賞から)10年という節目で呼んでいただき、ありがたいです。同時に『自分でいいんですか?』と驚いた。よくぞご決断してくださった」と感無量の面持ち。『本気のしるし《劇場版》』は上映時間3時間52分の大作だが「ぜひ怯まず楽しんでもらえれば。キャストの皆さんがすばらしい」とアピールしていた。依然として新型コロナウィルスが猛威を振るい、世界中の映画祭が中止や延期、縮小といった影響を受ける状況下で、今年の東京国際映画祭は「映画を観る喜びを再認識し、映画の未来への希望の光を灯す」「映画を通じて国際的な連帯を強める」「コロナ後の映像文化についての考察を深める」という3つの目的を掲げ、映画館でのフィジカルな上映を基本として実施。同時に、シンポジウムやゲストのトークなどにオンラインも活用していく。大きな変更点として、昨年まで実施していた「インターナショナルコンペティション」、アジアの新鋭監督を集めた「アジアの未来」、日本映画の気鋭作品をそろえた「日本映画スプラッシュ」の3部門が、「TOKYOプレミア2020」という1部門に統合されることに。日本、アジア、欧米といった地域のバランスは保ちながら、従来のコンペ部門の選定視点も残し、32本のプログラムを予定。各賞を競う形式ではなく、その中の全作品を対象に観客が投票する「観客賞」を設けることになった。加えて、例年通り「特別招待作品部門」「Japan Now部門」「ワールド・フォーカス部門」「ジャパニーズ・アニメーション部門」「日本映画クラシックス部門」「ユース部門(TIFFチルドレン/TIFFティーンズ)」の実施も決定。上映作品の総タイトル数は、例年に比べて約3割減となったが、感染症対策を十分講じながら、多様なプログラムを通して“映画の力”の結集を目指す。是枝監督はこの数年、批判も込めて東京国際映画祭に対し「提言を続けていた」といい、「監督たちが交流し、映画の現在と未来を語れる場所を実現したかった。映画の歴史に対する意識、未来に対する視線を映画祭として表明することが大切」とトークイベント実施の目的を説明。以前から、東京国際映画祭におけるコンペティションの実施は「反対している」と明かし、「今回、観客賞が設けられるということで、いい方向転換じゃないかと思う。未来の可能性を探る試みがあるのではないか」と期待を寄せていた。●フェスティバル・アンバサダー役所広司のメッセージこれまで東京国際映画祭では、美しい女優さんたちがアンバサダーとして華やかに彩りを添えていた印象がありました。新型コロナウィルス蔓延によって世界中の映画祭が中止、延期、縮小を余儀なくされている中、今回は少々むさ苦しい私ではありますが、第33回東京国際映画祭のアンバサダーの大役を務めさせていただくことになりました。今後、コロナパニックで世界の映画界がどうなっていくのか分かりませんが、今回の経験はきっと忘れられない記憶になると思います。東京国際映画祭は、これまで多くの芸術的に優れた作品、新たな才能を発見し、国内外に向けて発信してきました。そんな映画祭に今回スタッフの一員として参加できることを光栄に思います。今後、益々世界の映画人に愛され、芸術的な価値ある映画を発掘していく映画祭として成長していくことを心から願っています。取材・文・写真=内田 涼■開催情報「第33回東京国際映画祭」期間:10月31日(土)~11月9日(月)会場:六本木ヒルズ、EX シアター六本木ほか公式サイト: オープニング作品:『アンダードッグ』(武正晴監督)クロージング作品:『HOKUSAI』(橋本一監督)「TIFFCOM2020」期間:11月4日(水)~11月6日(金)会場:ザ・プリンスパークタワー東京公式サイト:
2020年09月29日第77回ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した黒沢清監督(『スパイの妻』)をはじめ、犬童一心、園子温、李相日、石井裕也らを輩出し、新人監督の登竜門として名高い第42回『PFF(ぴあフィルムフェスティバル)』が開催中の国立映画アーカイブにて9月25日、「PFFアワード2020」表彰式が行われ、石田智哉監督の『へんしんっ!』が見事グランプリに輝いた。新しい才能の発見と育成、新しい映画の環境づくりをテーマに1977年にスタートした自主映画のコンペティションをメインプログラムとした映画祭。第42回を迎える今年は、PFF アワードに480本の応募があり、17作品が入選。最終審査員として、大森立嗣(映画監督・俳優)をはじめ、齊藤工(俳優・映画監督)、樋口泰人(プロデューサー)、平松麻(画家)、古厩智之(映画監督)が審査にあたった。『へんしんっ!』は車椅子に乗った石田監督が、障がい者の表現活動の可能性を探ったドキュメンタリー。映画製作を通して、さまざまな人と関わりあう中で、多様な違いを発見していく。1997年生まれ、東京都出身。中学生の頃、自分に合った学習方法としてiPadを紹介され、映像制作に興味を持つように。立教大学入学後、映像制作系のゼミに所属し、ボランティアサークルでは、バリアフリー映画上映会も行っている。本作が初監督作品となり、「自分が監督すること、表現することに葛藤もありましたが、作っていて楽しく、自分らしい作品になりました」と受賞の喜びを語っていた。グランプリを発表した大森監督は「とにかく興奮しました」と『へんしんっ!』を激賞。「画面の中の(石田監督の)姿に最初はビックリして、でも、問われているのは僕ら観客なんじゃないかなと。彼が楽しんでいる姿が、本当に好きでしたし、思い焦がれていたものを見た気がしました」と作品が放つ魅力に圧倒された様子だった。また、齊藤は準グランプリを受賞した『屋根裏の巳已己』(監督:寺西涼)について、「完全に一目ぼれでした」とこちらも興奮しきり。「理屈ではわからない何かが、自分の中でこびりついて、すぐにもう1度見たくなった。監督の感性に支配され、魅了され、心地よい時間をいただいた」と振り返っていた。第42回を迎えた今年は、新型コロナウイルス感染予防のための消毒や検温、換気を徹底し、定員数を約3分の1に制限し、ソーシャル・ディスタンスを確保して実施。世界三大映画祭を制した映画作家ロイ・アンダーソンの特集、PFFスカラシップ作品のお披露目など、オンライン配信を含めた貴重なプログラムで、「withコロナ」時代における映画祭の新たな可能性が模索された。<グランプリ>『へんしんっ!』(監督:石田智哉)<準グランプリ>『屋根裏の巳已己』(監督:寺西涼)<審査員特別賞>『未亡人』(監督:野村陽介)『頭痛が痛い』(監督:守田悠人)『MOTHERS』(監督:関麻衣子)<エンタテインメント賞(ホリプロ賞)>『こちら放送室よりトム少佐へ』(監督:千阪拓也)<映画ファン賞(ぴあニスト賞)>『LUGINSKY』(監督:haiena)<観客賞>『アスタースクールデイズ』(監督:稲田百音)<入選作17作品>『アスタースクールデイズ』38分 監督:稲田百音(18歳/東京都出身/成蹊高等学校)『霞姫霊異記』57分 監督:高階匠(31歳/東京都出身/映像制作会社勤務)『こちら放送室よりトム少佐へ』10分 監督:千阪拓也(22歳/兵庫県出身/日本大学 藝術学部)『頭痛が痛い』131分 監督:守田悠人(22歳/愛知県出身/酒屋アルバイト)『タヌキ計画』41分 監督:チェ・ユシン(24歳/台湾出身/東放学園映画専門学校)『追憶と槌』8分 監督:金井啓太(25歳/東京都出身/東京藝術大学 映像研究科メディア映像専攻)『遠上恵未(24)』26分 監督:遠上恵未(26歳/東京都出身/ENBUゼミナール 映画監督コース)『パンク』44分 監督:鈴木順也(31歳/神奈川県出身/横浜シネマ・ジャック&ベティ勤務)『Fear of missing out』36分 監督:河内彰(32歳/兵庫県出身/会社員)『フィン』36分 監督:小池茅(26歳/東京都出身/会社員)『冬のほつれまで』67分 監督:多持大輔(24歳/茨城県出身/武蔵野美術大学大学院 造形研究科)『へんしんっ!』93分 監督:石田智哉(22歳/東京都出身/立教大学 現代心理学部)『MOTHERS』63分 監督:関麻衣子(22歳/東京都出身/会社員)『未亡人』54分 監督:野村陽介(23歳/埼玉県出身/東京藝術大学 美術学部)『もとめたせい』30分 監督:矢部凜(22歳/滋賀県出身/京都造形芸術大学 芸術学部映画学科)『屋根裏の巳已己』102分 監督:寺西涼(24歳/神奈川県出身/清掃員アルバイト)『LUGINSKY』63分 監督:haiena(42歳/東京都出身/フリーランス)※作品名50音順。上映時間、年齢、職業(学校名)は応募時のもの取材・文・写真:内田 涼「第42回ぴあフィルムフェスティバル」【会期】2020年9月12日(土)から26日(土)まで※月曜休館【会場】国立映画アーカイブ(東京都中央区京橋3-7-6)
2020年09月25日作家主義を掲げ、アジアを中心に新たな才能を発掘・特集する「第21回 東京フィルメックス / TOKYO FILMeX 2020」のラインナップ発表会が9月24日、Web会議サービスZoom上で行われ、映画祭のプログラムディレクターを務める市山尚三氏が上映作品を紹介した。今年のコンペティション部門には、アジア各国から多彩な12本の作品が集結。フィルメックス初となるアゼルバイジャン作品など、中央アジアから3作品、監督デビュー作4作品を含む11人の監督(うち3人が女性)がコンペティションに初参加する。また、『泣く子はいねぇが』(佐藤快磨監督)、『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』(池田暁監督)など、日本映画は過去最多となる4作品が選出された。市山氏は「どれもレベルが高く、かついろんなタイプの作品がある」と理由を説明。また、『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』を例に挙げ、「VIPO(映像産業振興機構)が初めて長編映画を支援した作品。若手を育成しなければいけないという動きが起こっている」と日本映画界の変化に言及した。コンペティション部門は審査員長を務める映画監督の万田邦敏をはじめ、クリス・フジワラ氏(映画評論家)、坂本安美氏(アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム主任)、エリック・ニヤリ氏(プロデューサー)、トム・メス氏(映画評論家)が決定。コロナ禍にありながら、国際色あふれる計5名の審査員が審査にあたる。そして、オープニングを万田監督の最新作『愛のまなざしを』が飾るほか、デヴィッド・クローネンバーグの代表作で、昨年のヴェネチア映画祭でワールドプレミア上映された『クラッシュ』4K修復版や、ホン・サンス、リティ・パン、ツァイ・ミンリャン、アモス・ギタイ、ジャ・ジャンクー、原一男など、常に最前線に立つ巨匠たちの最新作が特別上映作品としてラインナップ。2019年カンヌ映画祭コンペティション作品であるエリア・スレイマン監督の『天国にちがいない』がクロージング作品に決まり、併せてスレイマン監督がこれまでに発表した長編映画3本の一挙上映も行われる。なお、今年は「第33回東京国際映画祭」(10月31日~11月9日)とほぼ同時期に開催。東京国際映画祭からの「カンヌ映画祭の大きな枠組みの中で独立性をもって開催される“カンヌ監督週間”のような連携を」という提案を受け、この時期の開催が決定した。「映画界の連携強化」の理念のもと、多様なメディアとも連携し、情報発信の相乗効果にも期待が寄せられる。東京フィルメックス・コンペティション(全12作品)『風が吹けば』(ノラ・マルティロシャン監督/フランス、アルメニア、ベルギー)『死ぬ間際』(ヒラル・バイダロフ監督/アゼルバイジャン、メキシコ、アメリカ)『迂闊(うかつ)な犯罪』(シャーラム・モクリ監督/イラン)『イエロー・キャット』(アディルハン・イェルジャノフ監督/カザフスタン、フランス)『マイルストーン』(アイヴァン・アイル監督/インド)『アスワン』(アリックス・アイン・アルンパク監督/フィリピン)『無聲 (むせい)』(コー・チェンニエン監督/台湾)『不止不休』(ワン・ジン監督/中国)『泣く子はいねぇが』(佐藤快磨監督/日本)『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』(池田暁監督/日本)『由宇子の天秤』(春本雄二郎監督/日本)『オキナワ サントス』(松林要樹監督/日本)●審査員長 万田邦敏監督のメッセージ第21回東京フィルメックスのオープニング作品として『愛のまなざしを』が上映されることは、私のみならずキャスト・スタッフ一同、たいへん嬉しく、また名誉なことと思っています。しかも、私が審査員長を務めることにもなり、身の引き締まる思いです。2020年は、不幸にも新型コロナウィルス禍の年として記憶されることになりました。日常の風景も一変しました。おそらく、今後作られる映画に描かれる人間、社会、風景、物語、すべてが新型コロナの影響からは逃れられないのだと思います。しかし、映画はこれまでも世界規模の災禍の後に、新たなテーマ、視点、技法、描写力を手に入れ、進化してきました。今回の映画祭に集う映画たち、映画人たち、そして観客が、最初の「次なる映画」の証人になることを私たちは信じています。取材・文:内田 涼「第21回 東京フィルメックス / TOKYO FILMeX 2020」開催概要会期:10月30日(金)~11月7日(土)会場:TOHOシネマズ シャンテ/ヒューマントラストシネマ有楽町/有楽町朝日ホール他上映プログラム:東京フィルメックス・コンペティション、特別招待作品公式HP:
2020年09月24日世界最大級の自主制作映画のコンペティション“PFFアワード”を擁する映画祭「ぴあフィルムフェスティバル」が9月12日、東京・京橋の国立映画アーカイブで開幕した。第42回を迎えた今年は、新型コロナウイルス感染予防のための消毒や検温、換気を徹底し、定員数を約3分の1に制限し、ソーシャル・ディスタンスを確保して実施。そのメインプログラムで、新人監督の登竜門としても名高いコンペティション部門「PFFアワード」は今年、480本の応募作の中から選ばれた17作品、18歳~42歳の監督がグランプリを競う。世界三大映画祭を制した映画作家ロイ・アンダーソンの特集、PFFスカラシップ作品のお披露目など、オンライン配信を含めた貴重なプログラムも多数用意されている。映画祭のオープニングを飾ったのは、PFFアワード2007グランプリを受賞した石井裕也監督(『舟を編む』『町田くんの世界』)の最新作『生きちゃった』。ワールドプレミアとなった上映後には石井監督をはじめ、出演する仲野太賀、大島優子、若葉竜也が登壇した。愛をテーマにアジア各国の俊英が競作する「B2Bプロジェクト」の日本代表に指名され、石井監督自身がプロデュースも手がけた本作。「虚構をひっぺ返し、初期衝動と本質を追求する映画作りを、もう1回やらなければいけないと思った」と語る石井監督は、「映画界にもいろんな地殻変動が起こるなか、果たして自分はどんなスタンスで世界と接するべきか、考えなければいけない時期だった」と新たな時代の映画作りに、持論を転換。その上で「映画は虚構、フィクションですが、俳優たちが身体で体現した姿は、紛れもなく真実。僕自身もこういうものこそ見たいと思ったし、確かなものは映画にあると思う」と熱弁した。仲野は「10代の頃から石井監督は、大きな存在で影響を受けている。俳優としてもいろんな気づきをくれた」と明かし、「芸名を変えた節目でもあったし、石井組に参加する機会がまわってきて、俳優として、人間として大きな転換点になると思った」と強い思い入れ。石井監督から受け取った脚本から「温度、熱量、情熱を感じた」といい、「映画に対する憧れと期待が宿っていた。これでダメなら、僕が一俳優としてのこだわりも揺らいでしまうかも…。そんなオファーだった」と振り返った。「この役、この作品に会えたことに感謝している。ぜひ映画館来てほしい」(大島)、「純粋に向き合い、新しい領域に行けた」(若葉)と共演陣にとっても、本作は新境地を切り開くターニングポイントになった様子。石井監督は「無謀な試みに賛同してくれた3人で、本当に奇跡的なキャスティング。この作品の凄みは、俳優の迫力と熱気、魂でしかないし、この3人だからこそ可能だった」とキャスト陣の奮闘を称賛していた。取材・文・写真=内田 涼「第42回ぴあフィルムフェスティバル」【会期】2020年9月12日(土)から26日(土)まで※月曜休館【会場】国立映画アーカイブ(東京都中央区京橋3-7-6)
2020年09月12日10月31日(土)~11月9日(月)に開催される「第33回東京国際映画祭」のオープニング作品とクロージング作品がそれぞれ『アンダードッグ』と『HOKUSAI』に決定した。毎年10月に行われてきた「東京国際映画祭」は、コロナ禍のなかでも「映画館で映画を観る喜び」を発信すべく、映画館でのフィジカルな上映を基本姿勢として今年も開催。そしてオープニング作品、クロージング作品は映画祭の顔ともいうべき作品となる。オープニング作品は『全裸監督』の武正晴監督が『百円の恋』以来、6年ぶりにボクシングを題材に描いた最新作『アンダードッグ』。森山未來が演じるのは、つかみかけたチャンピオンの道から外れ〝咬ませ犬〟となった崖っぷちボクサー。北村匠海は児童養護施設で育った才能ある若きボクサー、勝地涼は鳴かず飛ばずの芸人ボクサーをそれぞれ演じる。三匹の負け犬たちが夢を掴むために人生を賭けてリングに立つ姿を前・後編にわたって濃密に描く、男たちの魂の物語だ。クロージング作品は『HOKUSAI』。『冨嶽三十六景』で知られ、ゴッホやモネなどにも影響を与えたと言われる江戸時代の天才絵師「葛飾北斎」を独自の視点と解釈から「人間・北斎」を、そして彼が描いた「三つの波の秘密」を新たに描き出した物語となっている。監督は、『探偵はBARにいる』シリーズ、『相棒』シリーズの橋本一。W主演で葛飾北斎の青年期と老年期を演じるのは柳楽優弥と田中泯。日本が世界に誇るアーティストの唯一無二の生き様が北斎生誕260周年という記念すべき年に映画祭の終幕を飾る。2作品の監督からのコメントは以下の通り。『アンダードッグ』武正晴監督コロナ後の東京国際映画祭開催にご尽力くださった全ての関係者の皆様に深謝いたします。拙作『アンダードッグ』は2020年1月、2月に撮影を行った。コロナ前の我々が失った光景が記録されている。ボクサーというリング上の孤独者達は観客の歓声なしには殴り、殴られ続けることは到底かなわない。観客が試合をつくり、語り継いでいく。時に信じがたい名勝負を生み出す。1人では試合にならない。人生も同様だ。映画創りも同じだと考えている。観客が映画を最後に創り上げてくれる。2020年東京国際映画祭のオープニングで『アンダードッグ』という映画を観ていただける環境に感謝します。最後の仕上げは観客の皆様に委ね、語り継いでもらえたらと念じて止まないのです。どうか皆様その日までご無事で。『HOKUSAI』橋本一監督映画館、という暗闇の中で生き続けてきた『映画』。今、その闇が急激な変化を求められています。時代の流れ、と言うは易し。闇の中、見知らぬ人々が肩を寄せ、泣き笑い怒り楽しむ場所。そこに向けた僕らの想い、HOKUSAI。暗闇で……ご覧ください。■開催情報「第33回東京国際映画祭 開催概要」期間:10月31日(土)~11月9日(月)会場:六本木ヒルズ、EX シアター六本木ほか公式サイト: 「TIFFCOM2020」期間:11月4日(水)~11月6日(金)会場:ザ・プリンスパークタワー東京公式サイト:
2020年09月10日