中国では、近年、経済成長に伴なう所得の増加や、生活水準が向上し平均寿命が延びたことによる高齢化の進展、ライフスタイルの変化で糖尿病などの生活習慣病が増加したことなどにより、医療費が増加しており、ヘルスケア(医療)市場も急成長しています。医療へのニーズが拡大する一方、中国では「看病難、看病貴」(医療機関にかかることが難しく、その費用も高い)といわれる社会問題が生じており、その対応として政府は、国民皆保険制度の実現を進めるとともに、医療機関の整備や高度化、民間・外国資本の医療への参入規制緩和などで、医療へのアクセスを改善する政策を打ち出しています。また、新たな産業育成の観点から、バイオ医薬品や中国医学(漢方薬)の育成・支援なども掲げています。特にバイオ産業は重点分野とされ、複数の国家バイオ産業基地が建設されているほか、3月に米製薬大手と中国のバイオ医薬品会社が提携するなど、取り組みが進んでいます。一方、政府は増加する医療費を抑制するため、国家基本薬品制度を創設し、一般大衆に必要と判断した医薬品をリストアップして指導価格を示し、公開入札することで薬価の引き下げを図っています。そのため、一部の薬価が大幅に値下がりするなど、医薬品メーカーの価格競争は厳しくなっており、6,000以上あるとされる国内医薬品メーカーの競争力強化に向けた再編につながる可能性も指摘されており、今後の動向が注目されます。足元で、中国の経済成長率は鈍化傾向にあるものの、国民生活の変化や政府の医療改革などにより、今後も医療費は増加が続くと予想されているうえ、対GDP比でみた中国の医療費は、主要先進国と比べ低水準にあり、成長余地が大きいと考えられることなどから、中国のヘルスケア市場のさらなる拡大が期待されます。(※上記は過去のものおよび予想であり、将来の運用成果等を約束するものではありません。)(2015年4月17日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、マーケットの旬な話題が楽に読める「楽読」からの転載です。→「楽読」※1 当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。※2 投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
2015年04月20日大阪市立大学は、糖尿病の血糖コントロールが悪化することで睡眠の質の劣化を伴う睡眠障害が引き起こされること、ならびに睡眠障害が早朝高血圧を起こすことで糖尿病の心血管障害の原因となることを明らかにしたと発表した。同成果は、同大大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学の稲葉雅章 教授らによるもの。詳細は4月14日付でオープンアクセスジャーナル「PLOS ONE」に掲載された。糖尿病患者は、肥満に伴う閉塞性睡眠時無呼吸症候群を除いた場合でも一般人に比べ約2倍の不眠が見られると言われており、さまざまな原因が検討されてきた。また、近年の研究から、睡眠時間が短くなると糖尿病の有病率が上昇することや、睡眠障害を有する患者では2型糖尿病の発症確率が有意に高くなることから、睡眠障害による糖尿病増悪の可能性が示唆されていたものの、直接的な関与はよくわかっていなかった。今回、研究グループは、63名の2型糖尿病患者に対して脳波計を用いた精密な睡眠の質判定を実施。その結果、血糖コントロール指標であるHbA1cの増悪につれて、深睡眠の程度を示すレム睡眠潜時が短縮すること、ならびに血糖コントロール増悪により深睡眠の徐波睡眠相が減少することなどが判明したとするほか、深睡眠の障害が動脈硬化進展につながる可能性も示唆されたとする。これらの結果を受けて研究グループは、現在、睡眠障害により特異的に有効とされるオレキシン阻害薬を用いることで睡眠障害を改善させ、それによりどのような効果が得られるのかについての解析などを行っており、予備段階の研究では、睡眠障害による交感神経系の活動性低下や血糖コントロール改善が認められているとのことで、今後、患者数を増やして睡眠障害に対する治療の位置づけを確立することを目指した研究を進めていく計画だとしている。
2015年04月16日九州大学はこのほど、ウイルス感染による糖尿病発症に関わる遺伝子を発見したと発表した。同成果は九州大学大学院医学研究院保健学部門の永淵正法 教授と、生体防御医学研究所、宮崎大学医学部、佐賀大学医学部、大分大学医学部、愛知県衛生研究所、シカゴ大学医学部らの共同研究グループによるもの。4月7日付け(現地時間)の国際学術誌「Nature Communications」に掲載された。ウイスル感染によって糖尿病を発症する可能性はこれまでも指摘されており、糖尿病を誘発する脳心筋炎ウイルスD株(EMC-Dウイルス)が一部の系統のマウスのみに高率に糖尿病を誘発すること、さらにその感受性遺伝子は単一であることが知られていたが、その責任遺伝子はわかっていなかった。一方、近年の研究でEMC-Dウイルスの感染によって糖尿病になるかどうかは、自然免疫が重要であることが明らかとなっていた。今回の研究では、ウイルス感受性の高い系統のマウスでは、ウイルス感染の防御に働くインターフェロンの効果を発揮するために必要なTyk2遺伝子に異変が起きていることがわかった。また、これらTyk2遺伝子異変マウスの通常の細胞では、高濃度インターフェロン刺激によりウイルス抵抗性が回復したが、インスリンを作る膵臓のランゲルハンス島β細胞では回復力が少なかった。このことから、ウイルス感染を受けてもTyk2遺伝子が正常に働かず防御機能が低下し、インスリンを作るランゲルハンス島β細胞が破壊されてしまい糖尿病が発症していたことがわかった。今回の成果は、マウスに比べてよりウイルス感染に感受性が高いヒトにおいてもウイルス感染が糖尿病の危険因子の1つとなり得ることを示すもので、今後、ウイルス糖尿病の病態の解明、糖尿病を起こしやすいウイルスの発見、わらにはそのワクチンの開発につながることが期待される。
2015年04月10日理化学研究所(理研)と東京大学は4月9日、メタボリックシンドロームに関連する分子として注目されているアディポネクチン受容体の立体構造を解明したと発表した。同成果は理研横山構造生物学研究室の横山茂之 上席研究員と、東京大学大学院医学系研究科の門脇孝 教授、山内敏正 准教授らの共同研究グループによるもので、4月8日(現地時間)付の英科学誌「Nature」オンライン版に掲載される。アディポネクチン受容体は、細胞膜に存在する膜タンパク質で、脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンというホルモンによって活性化し、細胞において糖と脂質の代謝を促進し、抗糖尿病、抗メタボリックシンドローム作用を発揮する。タンパク質の立体構造を知ることは、創薬において有用とされる。特に、膜タンパク質は細胞外からの情報を細胞内へと伝達する役目を担っているため、薬の標的分子として注目されている。しかし、アディポネクチンは試料調整が難しく、その立体構造情報を得ることができていなかった。同研究では、高純度の膜タンパク質を大量に製造する手法や、結晶化手法などを使い、アディポネクチン受容体の結晶化に成功。この結晶を大型放射光施設「SPring-8」を用いてX線解析することでその立体構造を調べたところ、同受容体は現在までに知られている膜タンパク質とは異なり、膜貫通部位に亜鉛イオンを結合するなど新規の構造をしていることが判明した。今回の研究成果はアディポネクチン受容体の情報伝達メカニズムの解明につながるだけでなく、メタボリックシンドローム・糖尿病の予防薬や治療薬の開発に有益な情報となることが期待される。
2015年04月09日長瀬産業は3月26日から29日まで岡山県で開催された「日本農芸化学会2015年度大会」において、発酵オタネニンジンによる血糖上昇抑制効果などに関する新知見を発表した。健康食品などに利用されているオタネニンジン(高麗人参、Panax ginseng C.A. Meyer)は、抗ストレスや抗がん、糖尿病改善などさまざまな効果をもつことが知られている。そして、これらの効果はオタネニンジンの含有成分「人参サポニン」の作用によるものと考えられている。代表的な人参サポニンのひとつである「Rb1」は、摂取された後に腸内細菌によって代謝された成分「M1」になってから血液中に取り込まれて、さまざまな生理機能を行う。ただ、腸内細菌のこの代謝活性には個人差があり、Rb1をM1に代謝できずに十分なニンジンの効果を受けられない人が少なからずいる。そのため、同社はあらかじめM1を高含有する機能性食品素材「発酵オタネニンジン」を開発したという。同社は発酵オタネニンジンのストレス下での睡眠障害改善作用など、脳神経系に関わる効果を見いだしてきた中で、今回は「インクレチン」による糖尿病改善効果に着目した。インクレチンとは、消化管より分泌されるホルモン。膵(すい)臓のβ細胞からのインスリンの分泌を促進して血糖値を一定に保つ役割をもつため、糖尿病の予防・改善を考える上で近年、注目されているとのこと。同社が培養細胞を用いて試験した結果、インクレチンのひとつである「GLP-1」の分泌促進活性は、オタネニンジン抽出物よりも発酵オタネニンジン抽出物の方が強いことが明らかになった。また単一成分で比較した場合、Rb1と比べてM1の方が強くGLP-1の分泌を活性化することも判明しているという。今学会ではさらに、M1によるGLP-1の分泌促進の作用メカニズムを解析した結果について発表。M1はMAPK(細胞分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ)などを活性化し、これらを通じた細胞内情報伝達によってGLP-1の分泌が活性化されていることが示唆されたとのこと。同社は「発酵オタネニンジンに含まれる人参サポニン代謝物・M1は、消化管からのGLP-1分泌を活性化し、糖尿病の予防と改善に寄与することが期待できます」としている。
2015年04月07日武田薬品工業4月3日、同社のホームページにて糖尿病治療薬「リオベル配合錠LD」に通常とは異なる識別番号の刻印が施された錠剤の混入が確認されため、一部製品を自主回収することを明らかにした。同社によると、錠剤を製造している大阪工場において、「リオベル配合錠LD」(識別番号:382)の識別番号を刻印するきねの交換作業時に、誤って「リオベル配合錠HD」(識別番号:383)のきねを打錠機へ装着し、「リオベル配合錠LD」を生産したことが今回のトラブルの原因だという。同社は今回の誤った刻印がされた錠剤を、「リオベル配合錠LD」として服用した場合、健康被害が生じることはないとの認識を持っている。ただ、「異なる識別番号の記載により、『リオベル配合錠HD』として処方・服用された場合、有効性に問題が生じる可能性が否定できない」との考えから、一部の「リオベル配合錠LDの100錠包装品」および「リオベル配合錠LDの500錠包装品」の自主回収決断にいたったとしている。なお、詳細は同社のホームページでも確認できる。
2015年04月03日塩野義製薬はこのほど、糖尿病患者3,580名と医師298名を対象に実施した「糖尿病患者と医師の治療行動に関する意識調査」の結果を明らかにした。調査期間は2015年1月。医師を対象に、患者に対して「脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなる」というリスクについて説明しているか尋ねたところ、93.3%が「行っている」と回答した。しかし、「説明を受けたことがある」と回答した患者は49.1%だった。そのほか、「腎障害(透析)になることがある」「失明することがある」「足を切断することがある」という合併症などのリスクに関しても、医師の「説明している」より、患者の「説明をうけたことがある」が下回っており、リスクに関する医師の説明が患者に認識されにくいことが明らかとなった。治療継続について尋ねたところ、糖尿病の治療について「継続しなければならない」と回答した患者は89.4%だったが「患者自身が治療を継続しなければならないと思っている」と回答した医師は62.1%だった。また「治療を続けることで合併症を予防できる」という質問に「そう思う」と回答した患者は84.6%であるのに対し、「患者はそう思っている」と回答した医師は57.6%だった。患者は医師が思っているよりも、"治療継続意識・合併症予防の必要性"を認識しているようだ。続いて、患者に「医師に指示された運動や食事の管理をやっているか」と尋ねたところ、「運動をしっかりやっている」は30.3%、「食事の管理をしっかりやっている」は32.5%だった。いずれも約3割にとどまり、医師が期待するほど生活習慣の改善は実践できていないという結果になった。糖尿病治療に関して、「医師以外に関わりのある医療関係者はいるか」という問いに対し、64.9%が「いない」と回答した。医師以外の医療関係者(看護師・栄養士・薬剤師など)にもっと相談したいと思うか尋ねたところ、「相談したい」と回答した患者は21.7%だった。
2015年03月30日文化放送は、4月に「文化放送 糖尿病予防キャンペーン」を実施するのにあわせ、新コーナー『ラジオ糖尿病講座』を開始する。同キャンペーンは、自身や家族のため、糖尿病を正しく知って、正しく向き合っていくことを目的に実施する。キャンペーンスピーカーには野村邦丸アナウンサーを起用。野村アナは、キャンペーンスポットCMを放送するほか、『くにまるジャパン』(毎週月~金曜、9時00分~13時00分生放送)内にて新コーナー『ラジオ糖尿病講座』も担当する。同講座は、全16回にわたり、日替わりで糖尿病に詳しい医師をゲストに迎えて放送する。「どんな人が糖尿病になるのか」「自覚症状」「家族ができること」「糖尿病予防のメニューのポイント」「高齢者の注意点」など、さまざまなテーマで展開する。毎回、医師から糖尿病に関するクエスチョンが出され、それに野村アナが答える形で進行する。放送日程は、4月1~3日、6~10日、13~17日、27・28・30日。放送時間は12時18分頃~28分頃(『くにまるジャパン』内)。
2015年03月27日生活習慣病を予防する可能性のある新規化合物を研究するフレグライド研究会はこのほど、「8年熟成恒順香醋」から肥満などの予防効果が期待される新成分「FRAGLIDE1(フレグライド1)」を発見したことに関する記者発表会を開催した。香醋(こうず)とは、もち米を原料に製造された中国の「黒酢」のこと。江蘇省鎮江市の名産品であり、中国国内の80%以上の香醋を江蘇恒順社が生産・販売しているとのこと。江蘇恒順社の香醋の中でも最高級とされているのが、8年間熟成させて作ったという「8年熟成恒順香醋」。その特殊な製法は、中国の無形文化財に指定されているほど。さらに、生産量も鎮江市で製造される香醋年間総生産量の0.2~0.3%とごくわずかであるため、中国国内では市販されておらず、政府などの御用達の品として取り扱われているという。8年熟成恒順香醋は、体内ではつくることができない必須アミノ酸8種類を含む17種類のアミノ酸を含有。その中でも、体内での消化・吸収に優れるといわれる遊離アミノ酸は、総アミノ酸量の30%以上を占めている。そして、江蘇恒順社の日本総代理店および8年熟成恒順香醋の独占販売企業として、2001年に設立されたのが日本恒順だ。同社は日本国内で「恒順香醋 8年熟成」(10ml×14本・税別1,800円 / 150ml・税別1,800円 / 500ml・税別4,000円)を販売する傍ら、同商品に含まれる有用成分の研究を行ってきたという。その過程で、北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルサイエンス研究科の辻野義雄教授らの研究グループが、肥満などの生活習慣病を予防する可能性のある新規化合物を発見。香醋(fragrance vinegar)の「FRAG」とButenolide化合物の「LIDE」、今後も同様の機能性物質が見つかることを期待した「1」を組み合わせて、「FRAGLIDE1(フレグライド ワン)」と名付けたとのこと。そして今回、辻野教授ら5名が発起人となってフレグライド研究会が発足した。日本恒順は同研究会の代表企業を務める。日本恒順代表取締役社長・桝谷文武氏は、「私はこの15年間、8年熟成恒順香醋を毎日飲んでいます。職業柄、1日5回ほど会食をしていますが、糖尿病にもならずに健康です」とコメント。そして、「肥満で苦しむ人は日本だけでも約2,000万人いるといわれますが、その方々が本当に欲しいと思っているものを届けたいと思って研究してきました。今回フレグライド1が発見されたことで、これまでの"見つけるため"の研究から、砂糖や塩のように"供給するため"の研究に転換していきたいと考えています」と語った。○8年熟成恒順香醋にしか含まれない新成分「フレグライド1」とは?発表会では、同研究会代表を務める辻野教授が、フレグライド1の細胞実験(2010年)と動物実験(2014年)の成果について発表した。細胞実験の結果、フレグライド1が「PPARγ」を活性化させることを確認。PPARγとは、脂肪組織の細胞核内に多く存在するタンパク質のこと。これが活性化すると、インスリンの抵抗性(インスリンが正常に働かない状態)の改善を促し、肥大化した脂肪細胞を減少させ、代謝しやすい小型の脂肪細胞の増加を誘導するという。「この働きにより、メタボリック症候群、動脈硬化、高脂血症などの生活習慣病の予防や改善が期待できます」と辻野教授。さらにフレグライド1のPPARγの活性化作用により、「白色脂肪細胞」を「褐色脂肪細胞」へ変化させる効果が示唆されたとしている。白色脂肪細胞は皮下や内臓に多く見られ、体内では消費できなかったカロリーを脂肪として蓄積するとのこと。一方で褐色脂肪細胞は、鎖骨、肩甲骨、胸まわりに多く分布し、脂肪を燃焼させてエネルギーに変換させる働きを持つとされている。しかし褐色細胞の数は、新生児の頃を最多として成長とともに徐々に減少し、成人する頃には4割程度しか残らないという。褐色脂肪細胞には、脂肪を燃焼させる"工場"としての役割を持つミトコンドリアが数多く存在し、それを動かしているのが、タンパク質「UCP-1」だという。フレグライド1は、このUCP-1の発現量を増やす働きをするため、脂肪をより効率よく燃やすことが期待できるとのこと。○体重や内臓脂肪の増加などを抑制3カ月にわたって実施した動物実験では、高脂肪食を与えたマウスを「高脂肪食・フレグライド1投与群(以下フレグライド1投与群)」と「高脂肪食・フレグライド1非投与群(以下コントロール群)」に分け、通常の食事を与えた「ノーマル群」とともに比較した。なおフレグライド1の投与量は、人が食品として摂取する場合に非現実的にならないように配慮し、1日に1kgあたり0.037~10μgと設定した。その結果、フレグライド1投与群は最小投与量0.037μgで、「体重変化」「内臓脂肪量」「血中アディポネクチン濃度」「レプチンの分泌量」「インスリンの分泌量」において、良好な結果が得られたという。まず体重に着目すると、コントロール群は実験期間中に継続して体重の増加が見られたのに対し、フレグライド1投与群は増加を約26%抑えることができた。また、フレグライド1投与群はコントロール群と比べて、そけい部の皮下脂肪の増加が約35%抑制されていた。加えて精巣周囲脂肪、腎臓周囲脂肪、腸間膜脂肪といった内臓脂肪の増加も、平均で約15%抑えられていた。さらに、脂肪細胞から分泌されるタンパク質である「アディポネクチン」の濃度にも変化が見られた。アディポネクチンは、細胞内の脂肪を減らしてインスリン受容体の感受性を上げる作用のほか、動脈硬化抑制、抗炎症などの作用が報告されている。その血中濃度を比較したところ、コントロール群では血中濃度が低下したのに対し、フレグライド1投与群では大きな減少は見られなかった上に、投与量の増加に比例して分泌量が増加することがわかった。続いて、レプチンの分泌量を比較。レプチンは肥満の抑制や体重増加の制御の役割を果たすペプチドホルモンだが、過剰分泌すると血圧を上昇させるといわれている。実験の結果、フレグライド1投与群で過剰な分泌は見られず、その副作用は起こらないと判断できるとのこと。最後に、血糖値の上昇を抑える働きを持つという「インスリン」の分泌量に異常がないかどうかを調べた。結果として、コントロール群では過剰分泌が確認されたのに対し、フレグライド1投与群では分泌量が下がり、あわせて血糖値の上昇を抑えることが示唆された。なお、投与量を変えて毒性の有無についても調査を行ったところ、1日の最大投与量を1kgあたり10μgにした群でも、副作用などの問題は見られなかったとしている。同研究結果は、3月28日に岡山大学・津島キャンパスにて開催する「日本農芸化学会2015年度大会」で発表予定。辻野教授は、「フレグライド1は、まだ実験や効果検証が始まったばかり」としながら、今後について「引き続き肥満や糖尿病について実験で効果を検証し、臨床実験では有効性や安全性を検証していく予定です。将来的には、健康食品や機能性食品、医薬品などにも展開できればと思っております」と期待を込めて話した。
2015年03月26日安眠のためにアロマを焚いている人は多いと思います。しかし、安眠だけでなく、目覚めも良くなったら、一挙両得だと思いませんか?そんなアロマを睡眠専門医の監修の下、日本香堂が発売しました。名前は「anming plus(アンミングプラス)」です。それでは、どんなアロマなのかを見ていきましょう。睡眠というのは副交感神経が優位な状態で、目覚めというのは交感神経が優位な状態です。なぜ、真逆ともいえる効果が同時に得られるのでしょうか?不眠症の患者さんの寝つきを良くする効果が!「アンミングプラス」を監修したのは、スリープクリニック調布院長である遠藤拓郎医学博士です。遠藤院長は、祖父、父、息子の三代で、80年以上睡眠研究を続けている世界で最も歴史がある睡眠医療施設の後継者ですから、期待が持てますよね。眠りを誘うアロマとして有名なのは、鎮静効果のあるラベンダーなどですが、遠藤院長は、柑橘系の香りに着目しました。遠藤院長はこう言います。「柑橘系の香りというとリフレッシュ効果で心地良い目覚めを招くことが知られていますが、当院に通う不眠症の患者さんにアンケート調査をしたところ、寝つきも良くなるという結果が得られたのです」。寝つきが良くなったのは、心身の緊張をほぐすリラックス効果が得られたためだと推察できるといいます。遠藤院長は、柑橘系の香りの中でも特にその効果の高いとされるベルガモットとオレンジを選んで商品化しました。手軽に使えるアロマグッズアロマといっても、わざわざ焚く必要はないので使い方は簡単です。商品はミスト、ルームフレグランス、入浴剤、ボディオイル、リネンミストの5種類。リネンミストなら、シーツや枕、カーテンなどのリネンやファブリックから30cmほど離して、2~3回スプレーするだけ。バスエッセンスやボディオイル、入浴剤として使用するのも楽ちんで良いですよね!手軽にリフレッシュでき、リラックス効果も得られるというこのアロマ、今までのアロマで効果がなかった方はお試しになってはいかがでしょうか?Photo by lauren rushing
2015年03月06日岐阜大学は3月3日、国際基準を満たす治験薬製造設備を設置し、同設備によりクロイツフェルト・ヤコブ病(ヤコブ病)の治験薬の開発を進めると発表した。治験薬製造には無菌状態が不可欠で、国際基準を満たす必要がある。今回設置された設備はそれを満たすもので、高温高圧下の環境で数十種類の有機化合物を合成して製薬し、無菌状態の設備内で分包することができる。こうした設備を大学で導入するのは世界で初めてとのことで、大学内で人体へ使用可能な治験薬を製造することが可能になる。ヤコブ病は数カ月にわたる進行性痴呆や視力障害、錯乱、めまい、無感情などの症状が見られ、発病から3~12カ月で死亡する希少難病。原因は神経細胞に存在する「プリオン」と呼ばれるタンパク質が破壊され、異常構造となり毒性を帯びて神経細胞を殺すためとされているが、現在のところ有効な治療法は確立されていない。同大学の大学院連合創薬医療情報研究科の桑田一夫 教授を中心とした研究グループはこれまでの研究で、プリオンタンパク質の正常構造を安定化させ、異常構造への変換を抑制する化合物「メディカルシャペロン」を治験薬として開発している。新設備の設置により人体への治験が可能となることで、ヤコブ病を始めとするプリオン病の治療法の確立へとつながることが期待されるほか、アルツハイマー病など他の認知症の治療薬研究にも役立つと考えられている。なお、ヤコブ病に対する治験は2年後を予定している。
2015年03月03日メニエール病という病気をご存知でしょうか? 最近、人気男性アイドルがメニエール病と診断されたというニュースが話題になったので、名前だけは聞いたことがあるという人もいるかもしれません。今回は、メニエール病と睡眠の関係についてお届けします。メニエール病とは?メニエール病は、めまい・耳鳴りなどの症状が繰り返し起こる病気で、場合によってはうつ病を併発することもあると言われています。冒頭の男性アイドルは、ある日を境にめまいなどによって立ち上がることもできなくなってしまったそうです。メニエール病は原因不明の病気と言われています。ただ、現在では耳の中にリンパ液が溜まることが一因という報告もあるのです。睡眠障害がメニエール病を引き起こす原因に?一見すると睡眠と関係なさそうなメニエール病ですが、この病がじつは「睡眠障害から引き起こされている可能性がある」という論文が発表されました。その論文の根拠になった実験は、メニエール病の患者、数十人に入院してもらい、睡眠中の呼吸や脳波を測定するというもの。その結果、睡眠時間は健康な人よりも30分ほど長かったものの、ノンレム睡眠(深い睡眠)が少なく、レム睡眠(浅い睡眠)が多いということがわかったそうです。このことから、メニエール病の患者は1~2割の確率で睡眠障害も併発している可能性がある、と考えられています。早期発見のためにも検査を!確かに、常にめまいや耳鳴りに襲われている状態を想像すると、ぐっすり眠ることはできなさそうですよね。この結果を踏まえてメニエール病患者に専用マスクと食事指導で治療を行ったところ、半年間ほどでめまいや睡眠時無呼吸などの症状は改善されたそうです。夜の睡眠中にはさまざまな難病を治すヒントが隠されているとも言われています。検査を受けることで、思わぬ病気の早期発見につながるかもしれません。気になる症状がある方は早急に医師に相談するようにしましょう。photo by Robo Educational Toys BV
2015年02月19日東芝は2月16日、糖尿病が重症化する可能性が高いハイリスク者を抽出・分析し、その結果に基づく保健事業の立案、実行、効果検証までのPDCAサイクル全体を支援するサービスを健康保険組合向けに2月末日から開始すると発表した。今回、保険者の健診データとレセプトデータを独自の手法により分析することで、糖尿病でありながら医療機関において十分な治療を受けていない、あるいは未受診であるハイリスク対象者を高精度に抽出する手法を開発した。また、透析治療、インシュリン治療、投薬治療の治療ステージごとの状態の人数変動を確率として算出し、保健事業にかかる費用を算定する手法も合わせて作成した。さらに、開発した手法を適用し、東芝健康保険組合と共同で糖尿病ハイリスク対象者の抽出および受診推奨などの介入を行う実証を実施した。その結果、高精度にハイリスク者を抽出することで介入の効率性が高まり、約90%の介入対象者が治療を開始するとともに健診値の改善が確認できたという。一方、厚生労働省は、全ての健康保険組合に対し、健康診査(健診)やレセプトなどの健康医療データの分析、それに基づく加入者の健康保持増進のための事業計画である「データヘルス計画」の作成・実施を義務化している。そこで今回、「データヘルス計画」を作成する健康保険組合を支援するための新サービスを開発したという。今後は、まず糖尿病ハイリスク者分析から保険者向け保健事業支援サービスに参入し対象疾病を拡大していくとともに、地域包括ケアも見据えた事業へと展開していくとコメントしている。
2015年02月17日DeNAライフサイエンスはこのほど、バレンタインデーに向けてチョコレートと糖尿病の関係性について明らかにした。東京医科大学とハーバード大学の研究チームによると、チョコレートには糖尿病になるリスクを低減させる効果があるとのことで、栄養学の国際誌であるアメリカン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション誌のオンライン版にも同研究内容が報告されている。同研究グループは、米国の健康な男性1万8,000人以上のデータを分析し、チョコレートと糖尿病発症についての関係を調査した。その結果、チョコレートを多く食べている人は、全く食べない人と比べて糖尿病のリスクが低くなっていることが判明した。糖尿病リスクを板チョコに換算すると、月に半分~1枚半摂取で7%減、週に半分で14%減、週に1枚で17%減となった。週に板チョコを1枚食べると、糖尿病のリスクが最大で17%も減少できる可能性がある計算になる。ただ、このような効果が見られたのは、65歳以下でBMIが25以下の健康な標準体重の男性だけであったため、注意が必要とのこと。そのほかにも、チョコレートに含まれるカカオ・ポリフェノールは、糖尿病の危険因子となるインスリン抵抗性や酸化ストレス、炎症に対して予防効果があることも報告されているという。同社のアドバイザーの高橋陽子管理栄養士によると、チョコレートはカロリーや脂質が高いため、継続的な食べすぎは肥満のほか脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病を引き起こしかねない、としている。「健康効果を期待するのであれば、カカオ含有量の多いものをあくまでも『適量』食べるようにしましょう」とコメントしている。
2015年02月12日昼食後、会社での仕事ってどうしてあんなに眠くなるのでしょうか。とはいえ、眠くても眠れないのがビジネスマンのつらいところ。今回は食後の眠気と糖尿病との関係についてご紹介します。食後の眠気は、昔はなかった!?人類は、農耕を始める前は「食後の眠気」とは無縁だったという説があります。農耕が始まってから食事による糖質摂取→食後に高血糖になる→眠気が起こるというパターンになったと言われています。食後の眠気とは無縁だった時代は、獣などの外敵に襲われるリスクも少なくなかったのでしょうね。現代でも、糖質制限食にすると食後の眠気がなくなるという人も実際にいるようです。逆に、普段は糖質制限食を主食としている糖尿病患者が糖質を摂取すると、血糖値が上がり眠気やだるさを訴えることもあるのだとか。糖質は眠気と深いかかわりがあるということが分かります。糖尿病の症状?なかには低血糖でも眠気が出る人がいるのだそうです。私たちの身体は、糖質を摂取すると一時的に血糖値が上昇しますが、インスリンを分泌することで血糖値を下げようとします。通常は、血糖値が100mg/dlを切るとインスリンの分泌は止まるものですが、そのまま分泌が続き、結果的にインスリンを渇上に蔓延させてしまうタイプの人もいるのだそうです。このようなタイプの人を機能性低血糖症と呼びます。この病気の患者は食後数時間すると血糖値が60mg/dlを切り、低血糖になって眠気、動悸、だるさなどを訴えるのだそうです。糖質制限食をお試しあれ健康な人は、インスリンの分泌が途中で止まるので低血糖になることはないのだそうです。ただし、健康の過信には要注意。糖質をとれば、程度の差こそあれ、食後に高血糖になるため、眠気は生じるようです。つまり、高血糖でも低血糖でも、健康な人でも糖質を摂取すれば食後は眠くなるということです。食後の眠気に悩んでいる方には、米やパン、麺類、イモ類などの糖質が主成分のものを控える糖質制限食がおすすめです。一度試してみてはいかがでしょうか。Photo by Chloe Hague
2015年01月22日米国ポテト協会はこのほど、米国医師会雑誌(「ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション」)に掲載された研究結果を踏まえ、健康に対するポテトの有益性を発表した。同研究では、「GI値」(食後の血糖値の上昇度を示す指標)は、すでに健康に良い食事をとっている人にとって最終的にはそれほど重要ではない可能性があることが示されたという。具体的には、低GI食は、血圧の低下、血中コレステロール値の改善、インスリン感受性の向上につながらないことが明らかになったとのこと。これらはすべて心血管疾患と糖尿病のリスク要因として知られている。米国のジョンズ・ホプキンス病院およびブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究グループは、体重過多で高血圧の成人163名を対象に、GI値(高または低)と炭水化物含量(高または低)が異なる4つの食事療法における心臓の代謝効果を研究した。健康に良い「ダッシュ食(DASH、Dietary Approaches to Stop Hypertension:高血圧を防ぐ食事法)」の食事パターンに従って、すべての食事、軽食、飲料が研究参加者に提供された。ポテトは、避けるべき高GI食品として分類されることが多いが、同研究では低GI食および高GI食の両方で使用されたという。5週間の食事療法が終了した時点で、高GI食を摂取した参加者と比べても、低GI食を摂取した参加者の血圧、インスリン感受性、血中脂質レベルには、大きな改善は見られなかったとのこと。同協会栄養顧問および炭水化物代謝の専門家であるキャサリン・ビールス博士(管理栄養士、米国スポーツ医学会フェロー)は、「GI値の支持者は、低GI食は糖尿病と心血管疾患のリスク要因を削減できると主張しています。しかし、これらの研究結果からは、健康に良い食事においては、GI値はあまり関係ないことがわかりました。インスリン感受性、HDL/LDLコレステロール値、収縮期血圧の改善という点で、低GI食は高GI食よりも効果があるわけではありませんでした」とコメントしている。なお、中サイズの皮付きポテト1個(約150g)のカロリーは約110キロカロリーで、バナナ1本分よりもカリウムが豊富(620mg)に含まれ、ビタミンCの1日の摂取量の約半分(45%)を摂取することができるという。さらに、脂肪、ナトリウム、コレステロールは含んでいないとのこと。
2015年01月20日米国ポテト協会はこのほど、米国医師会雑誌(ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション)に発表された研究結果をもとに、健康に対するポテトの有益性について発表した。ポテトは栄養が豊富な食材の一つ。皮付きの中サイズ1個(約150g)の大きさで、一日の摂取量の約半分(45%)のビタミンCや、バナナ1本分よりも多いカリウム(620mg)を摂取することができる。しかも脂肪、ナトリウム、コレステロールは含んでおらず、カロリーも110キロカロリーと低めとなっている。一方、ポテトはグリセミック・インデックス(GI値)が高い食品として分類されている。GI値は食後血糖値の上昇度を示す指標のことで、高GI食品は、一気に血糖値を上昇させるため、血液中の糖の処理に多量のインスリンが分泌されたり、分泌が追いつかなくなったりするとされている。そのため、心血管疾患や糖尿病のリスク要因とも考えられてきた。しかし今回、同誌に発表された新たな研究結果によると、GI値はすでに健康に良い食事を摂(と)っている人にとっては、最終的にはそれほど重要ではない可能性があることが示されたという。研究グループは、体重過多で高血圧の成人163名を対象に、GI値(高または低)と炭水化物含量(高または低)が異なる4つの食事療法における心臓の代謝効果を研究した。健康に良いダッシュ食(高血圧を防ぐ食事法)の食事パターンに従い、全食事、軽食、飲料を研究参加者に提供。避けるべき高GI食品として分類されることの多いポテトは、低GI食および高GI食の両方で使用した。5週間の食事療法が終了した時点で、低GI食を摂取した参加者の血圧、インスリン感受性、血中脂質レベルは、高GI食を摂取した参加者に比べて大きな改善は見られなかった。この結果から、低GI食は血圧の低下や血中コレステロール値の改善、インスリン感受性の向上につながらない可能性が示唆された。米国ポテト協会栄養顧問のキャサリン・ビールス博士は、「GI値の支持者は、低GI食は糖尿病と心血管疾患のリスク要因を削減できると主張している。しかし研究結果からは、健康に良い食事においては、GI値はあまり関係ないことがわかった」とコメントしている。
2015年01月19日東京大学は12月9日、ヒト白血球抗原(HLA)の安定性を解析し、1型糖尿病のかかりやすさに関連するHLA遺伝子型が、安定性が顕著に低いHLAタンパク質を作ることを見出したと発表した。同成果は同大学大学院医学系研究科の宮寺浩子 助教(研究当時)、徳永勝士 教授らの研究グループによるもので、12月8日付(現地時間)の「The Journal of Clinical Investigation」オンライン版に掲載された。1型糖尿病は主に免疫系の細胞が、インスリンを生産する脾臓のβ細胞に対して免疫応答を起こすことによって発症し、特定のHLA遺伝子型を持つと1型糖尿病の発症率が高くなることが報告されている。同研究グループは、HLAのタンパク質の安定性が自己免疫疾患のかかりやすさに関わる可能性に着目し、HLAタンパク質の安定性を推定するための測定手法を構築した。その手法を用いて約100種類の主要なHLA遺伝子型の安定性を測定したところ、1型糖尿病のかかりやすさに関連するHLA遺伝子型が、安定性が顕著に低いHLAタンパク質を作ることを発見した。さらに、HLAタンパク質の安定性制御に関わるアミノ酸残基を変える遺伝子多型を同定し、その遺伝子多型が1型糖尿病のかかりやすさに強く関連することを明らかにした。同研究グループは「HLAのタンパク質安定性という、これまで着目されてこなかった特性も自己免疫疾患の発症率に大きく影響を与える可能性が示されたことは、従来の定説とは異なる発症機序が自己免疫疾患に関わる可能性を示唆します」とコメントしている。
2014年12月09日過食や高脂肪食のとり過ぎなどが原因とされる「糖尿病」。そして塩分のとり過ぎや飲酒などが主な要因となる「腎臓病」。これらの治療には投薬と併せて行われる食事療法が不可欠とされている。食事療法で提供される食事は、カロリー制限がしっかりされてしまって…というイメージをお持ちの方も多いと思うが、中にはゼリーやジュースなど、一般的には制限した方がよさそうな甘いお菓子類を「病態対応食」として販売している食品メーカーもある。今回、病態対応食であるジャネフのハイカロシリーズを展開するキユーピーの家庭用本部武井宏さんに、病態対応食について聞いてみた。○通常の食事をとりづらい方に――病態対応食であるジャネフは、どのような経緯ではじまったのでしょうか。そして、そもそも「病態対応食」とは何でしょうか「昭和30~40年代の高度経済成長期に、日本の食生活が大きく変化したことから”成人病”が注目されるようになりました。健康を気にされる方が増加したことに伴い、昭和38年に果汁やジャムなどを「キユーピーヘルスフード」として販売したことが、ジャネフのはじまりです。「病態対応食」とは、食事療法が必要になった方に対して、病院などの医療機関や施設で提供される食事のことです。主に食事療法が治療の基本と考えられている糖尿病食、腎臓病食が一般的に病態対応食と言われています。当社では、糖尿病の方向けにカロリーを低減した商品や、腎臓病の方向けにカロリーを増やした商品、たんぱく調整の商品を中心に、減塩食やカルシウム強化食などもジャネフとして販売しています。特にハイカロシリーズは、腎臓病の方向けの商品となっています」――病院・施設用食品であるジャネフは、通常売られているような御社のジャムやマヨネーズなどとどのような点が異なるのでしょうか。「一般商品との違いは、食事療法をされている方や、通常の食事をとりづらい方に特に配慮して開発している点ですね。ただ、塩分・たんぱく質などの栄養素に配慮しながらも、通常の食品と変わらないおいしさにこだわっています」――病気のために美味しさをあきらめていた人にとっては、嬉しいこだわりですね。ハイカロシリーズのパッケージを拝見しますと、「パラチノース配合」などと記載されています。使用されている原材料などはどのような基準で選定されているのでしょうか。「最近、糖尿病から腎臓病に移行する方が増えていることから、高カロリーにするために配合する糖質については、できる限り血糖値を急激に上げない機能性のある糖質を選定し、安心してお召し上がりいただけるように配慮しています。パラチノースも、腎臓病患者様でも安心して召し上がっていただけるというのが理由で配合しています」腎臓病への対策としては、たんぱく質を摂取することで起こる尿素窒素等の排泄を抑制し、腎臓への負担を和らげることが肝要となる。そのためにはたんぱく質をとり過ぎないことが大切になってくるのだが、一方でエネルギーが不足してしまうと体内のたんぱく質が分解されてしまう。そのためその作用を起こさないためにも高いカロリーの食事をとる必要がある。パラチノースとは、砂糖と同じ1gあたり4kcalの“糖“でありながら、小腸での吸収がゆっくりなため血糖値が急激に上昇しない特性を持つ天然の糖質のこと。すなわち、血糖値を急激に上げすぎないながらも、砂糖と同じカロリーが摂取できるパラチノースという機能性糖質の配合は、腎臓病患者向けの病態対応食として有用であるというわけだ。いくら病気を治療するための食事とはいえ、あまりにストイックになりすぎると辟易してしまう。その「普通の食事」と変わらない食事を実現してくれるのが、ジャネフ ハイカロシリーズのような病態対応食であり、それを可能にするのがパラチノースなのだ。
2014年11月28日NTTデータはこのほど、レセプト(診療報酬明細書)データ等を活用した糖尿病性腎症重症化予防対策を埼玉県にて開始したことを明らかにした。糖尿病は現在、1,000万人が罹患(りかん)している病気だが、初期は自覚症状が出にくく、医療機関を受診しない人が4割近くいるという。そのまま放置して病状が進むと、目のかすみや手足のしびれ等の症状が出るだけではなく、重症化すると人工透析等のリスクも高まる。人工透析に移行すると週3回(1回当たりの治療時間4~5時間)ほどの頻度で治療をする必要が生じ、QOL(生活の質)が低下する可能性もある。さらに重症化すると、失明や壊疽(えそ)による足の切断などのリスクも高くなる。糖尿病の重症化を予防することは、生活の質を維持するとともに医療費適正化の効果もある。そこで埼玉県下18市町(※1)在住の国民健康保険の被保険者約100万人を対象に、糖尿病性腎症重症化予防対策事業を行う。すでに10月から糖尿病の重症化リスクが高い人を抽出する準備を進めており、今後、医療機関未受診者や治療中断者に対する受診勧奨および通院中の方に対する食事・運動等の生活指導を行う。このように、レセプトデータ等を活用して複数の市町村が共同して実施する糖尿病性腎症重症化予防対策事業は、全国で初となる。※1川越市、所沢市、飯能市、狭山市、羽生市、鴻巣市、上尾市、草加市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、八潮市、三郷市、日高市、鳩山町、幸手市、さいたま市の計18市町(入間市は市単独で4月から同様の事業を行っている)。
2014年11月26日フィリップス エレクトロニクス ジャパンはこのほど、全国の30~60代の糖尿病患者300名を対象に実施した「食事制限に関する調査」の結果を明らかにした。調査実施日は10月30日~11月4日。同調査は、世界保健機構(WHO)が定めた11月14日の「世界糖尿病デー」に際して実施したもの。調査は、食事制限を行っている糖尿病患者を対象に行った。まず、食事制限で過去に挫折した経験はあるか尋ねたところ、6割以上が「ある」(64.7%)と回答した。挫折の理由について聞くと「食事量が少ないから」(40.7%)、「カロリー計算が面倒だったから」(39.7%)、「ごはん・パン・麺などの主食があまり食べられなかったから」(37.1%)が上位を占めている。食事制限中に最も強く食べたいと感じる料理は何か聞くと、最も多い回答は「ごはん」(29.7%)で、「麺料理」(25.3%)がそれに続いた。主食を満足いくまで食べたいという欲求が高いことがうかがえる。次いで「揚げ物料理」(18.7%)、「肉料理」(16.3%)となっている。現在行っている食事制限の方法について尋ねると、一般的な「食事全体のカロリーを管理する」(66.7%)、「主食の量を減らす」(58.7%)が多くを占めたが、4割が「低糖質の食品を選ぶ」(40.0%)と回答している。カロリー計算や食事量が原因で、食事制限に挫折したことがある患者が多い中、「糖質制限」という選択肢が増えつつあることがわかった。食事制限において求めることを聞くと、「美味しい料理が食べたい」(57.7%)に続き、「糖質の低い食品が、もっと手軽に購入できるようになって欲しい」(40.3%)が挙げられた。手軽に購入できる「糖質の低い食品」が増えつつあり、そのニーズが高まっている現状がうかがえる。
2014年11月20日協和発酵キリンはこのほど、妊娠中の女性特有の病気である「妊娠糖尿病」の病気の症状や原因、リスクの現状について明らかにした。厚労省によると、日本国内で糖尿病と糖尿病予備群の総数は2,050万人と推計されている。糖尿病患者の増加とともに、最近増えているのが「妊娠糖尿病」である。妊娠中は胎児に糖を与えるため、母体はインスリンが効きにくい状態になる。食生活や生活習慣に気をつけていても、糖のバランスが取れず血糖値が高くなり、軽度の高血糖をきたすことがあるという。妊娠糖尿病の診断基準は2010年に大きく変化し、世界共通の診断基準が提唱された。現在、「妊娠中に初めて発見、または発症した糖尿病にいたっていない糖代謝異常である」と定義されている。妊娠糖尿病の罹患(りかん)率は、全妊婦の10%前後だという。妊娠中に血糖のコントロールができなくなる状態が続くと、早産や尿路感染症、妊娠高血圧症候群、羊水過多症などのリスクが上昇。また、胎児が巨大児になり難産となったり、出生後の赤ちゃんが低血糖を起こしたりする可能性も高くなる。同社では妊娠糖尿病になりやすい主なリスクファクターとして、「糖尿病の家族歴」や「肥満」「35歳以上の高年齢」などを挙げている。「巨大児分娩既往」「原因不明の習慣流早産歴」「原因不明の周産期死亡歴」「先天奇形児の分娩歴」を持つ場合も注意が必要だ。「尿糖強陽性または2回以上反復する尿糖陽性」「妊娠高血圧症候群」「羊水過多症」も罹患するリスクが高いとのこと。妊娠糖尿病は、定期的な検診と適切な治療で血糖値を管理していくことが重要となる。出産後には血糖値は元に戻るが、将来、糖尿病を発症するリスクが高いことが報告されている。
2014年11月18日(画像はイメージですHans Splinter)パルミチン酸が悪玉、それと戦う女性ホルモン受容体テキサス大学サウスウエスタン医学センター(米)はチリ大学などとの共同研究で、高脂肪食を取ったときの脂肪酸の代謝および運動機能低下等の肥満に対する男女差にはパルミチン酸代謝が原因であることを明らかにしました。研究内容はCell Reportsにオンライン版で2014年10月16日から公開されています。研究内容高脂肪食は肥満と中枢神経系の炎症を引き起こします。(画像は文献Graphical Abstractより)エストロゲンとエストロゲン受容体アルファ(ERアルファ)は閉経前女性を炎症による代謝系の合併症と肥満関連の疾患になることを防御。今回の研究によると高脂肪食をマウスに与え続けると、体重の増加に雌雄差はありませんでしたが、中枢神経におけるパルミチン酸とスフィンゴ脂質はメスに比べてオスで有意に増加したとのこと。ERアルファを過剰発現することでパルミチン酸由来の炎症を抑えることも見いだしています。高脂肪食を与え続けたオスでは筋肉機能が低下したのに対し、メスでは筋肉機能の低下は認められないとのこと。考察閉経前の女性は高脂肪食による肥満になっても肥満の合併症が少ないことが疫学的に知られています。今回の研究ではその一つの原因は視床下部における脂質代謝の違いであることが分かりました。パルミチン酸が悪玉として働くのをエストロゲンやエストロゲン受容体アルファが防御しています。閉経後には肥満による合併症が増えることが疫学的に証明されていることから、パルミチン酸の産生を抑える薬剤は、肥満の合併症を抑える可能性があることを今回の研究は示唆しています。【参考】・Cell Report 文献Hypothalamic PGC-1α Protects Against High-Fat Diet Exposure by Regulating ERα
2014年10月24日神奈川県と漢方デスクが「未病チェックシート」の活用に包括協定締結2014年10月7日、漢方デスクは神奈川県作成の「未病チェックシート」を活用して、「未病を治す」ために必要な情報提供を行うために、神奈川県と包括協定を締結したことを明らかにしました。(画像はイメージです病草子「風病のおとこ」)未病チェックシート神奈川県が「健康寿命」日本一の達成に向けた取組として作成したのが、「未病チェックシート」。パソコンやスマートフォンで未病チェックシートにアクセスし、自分の体調、体質などの質問に答えて、自分の「証」を知ります。また、その証に基づいた健康状態のアドバイスを得ることができます。「証」とは自身の体質、体調などの心身の状態を漢方のものさしで評価したものです。このシステムは慶應義塾大学SFC研究所が神奈川県からの依頼で、3万件を超える症例の解析に基づいて作成したとのこと。漢方デスクの取組漢方デスクは漢方や薬膳のポータルサイトを展開しています。神奈川県の作成した「未病チェックシート」の「証」に基づいて、詳しい体質改善アドバイスを行います。具体的には食事療法(おすすめ食材、注意すべき食材、おすすめレシピ)、ツボ療法、生活習慣の改善(おすすめの生活習慣、避けた方が良い生活習慣)あるいは一般薬局でも購入可能な漢方薬の紹介を行っています。
2014年10月14日「糖尿病なんて、もっと年取ってから心配する病気。まだ、私には関係ない」と思っているあなた、本当に大丈夫?「最近、よく眠れない……」。そう感じているとしたら、糖尿病はすでにすぐそこまで忍び寄ってきているかもしれません。最近やけに食欲がある!これって元気の印?「食欲があるのは元気な証拠。何も心配なんかいらない!」というのが一般的なイメージかもしれません。確かに、「あんまり食欲ない……」という人よりも、健康に見えたりしますよね。でも、これって本当なのでしょうか?最近の調査結果によると、睡眠不足は肥満につながりやすいことが分かってきました。睡眠が不足すると、レプチンと呼ばれる食欲抑制ホルモンの分泌が低下して、グレリンと呼ばれる食欲増進ホルモンの分泌が増えるからです。ですから、「最近、やけに食欲がある!」と感じている人は、睡眠不足も感じていませんか?「食欲がある」=「元気」という式は成り立たないかもしれません。ちょっと睡眠不足、でも食べたい……どうすればいい?残念なことに、睡眠不足も食欲増進もすでに経験済みという人もいらっしゃるでしょう。そんな人は、この負のスパイラルから早く脱したいと思っておられるはず。でも、一旦できてしまったスパイラルから脱するのは、なかなか難しいことですよね。これまでも、いろんなことを試しては挫折……といったことを繰り返してこられたかもしれません。でも、あきらめるのはまだ早い!ぜひ専門のお医者さんに相談してみましょう。睡眠不足は感じているものの、まだ糖尿病は発症していないのなら、ぐっすり眠れるようにお薬を処方してくださるかもしれません。また、生活スタイルの改善のためのアドバイスなどもしてくださるでしょう。糖尿病薬で睡眠の質が改善!?その心地よい効果とは?こんなニュースがあります。佐賀大学医学部循環器内科の野出孝一教授らの研究チームが、糖尿病治療薬「DPP4阻害薬」が血糖値を下げるだけでなく、不眠の改善にもつながることを突き止めました。なぜ不眠が改善されたのかは、今のところ解明されていないようですが、生活習慣病とされる2型糖尿病の患者さんには、睡眠障害を抱える人も多いそう。糖尿病だけでなく、睡眠障害まで一気に良くなるなら、生活の質もずいぶん改善されるはずです。とは言え、治療に至るまでにならないで済むなら、その方がベターです。日頃から、質の良い睡眠をとれるよう気を配り、食べ過ぎには注意しましょう!Photo by Emiliano De Laurentiis
2014年10月13日もはや社会でも日常的に使われるようになった生活習慣病。国内外を問わず、生活習慣病が原因で命を落としている人が後を絶たないが、実は食生活をほんのちょっと変えるだけでその罹患(りかん)リスクを低減できるのはご存じだろうか。医学博士でもある日本生活習慣病予防協会の池田義雄理事長に、生活習慣病の原因と罹患(りかん)リスクを回避する方法を伺った。○世界の死因の6割が生活習慣病体によくない日々の習慣が積み重なって引き起こされるのが生活習慣病で、代表的なものがメタボリックシンドロームだ。これが内臓脂肪型肥満とともに高血圧、糖尿病、脂質異常症をもたらし、心臓病や脳血管疾患(脳卒中)、糖尿病合併症、さらにはがんをも招く。中高年に患者が多い生活習慣病による死亡数は、世界でも非常に多い。世界保健機関(WHO)が発表した「2012年世界保健統計」によると、2008年の世界の総死亡数(5,700万人)のうち、6割以上の3,600万人の死因が生活習慣病だった。WHOは、2030年までには生活習慣病由来による死者が年間5,500万人に増加するだろうと予測しており、今後も世界中の人々の大きな死因の一つとなりうることが考えられる。「日本では年間に約100万人の方が亡くなられていますが、そのうちの6割にあたる60万人の方は生活習慣病が原因といわれています。そのおおよその内訳は、30万人ががん、15万人が心臓病、15万人が脳血管疾患です」と池田理事長は語る。○糖尿病を招きやすい食後高血糖とは多くの生活習慣病の原因となるのが、メタボリックシンドローム。池田理事長は、メタボリックシンドロームの人は食後にある特徴が見られると話す。「メタボリックシンドロームでは、腹腔内に脂肪がたまるという生物学的異常が見られます。そういった異常を呈している人の食後の血糖値を見ると、普通の人よりもそれが高く推移する『食後高血糖』という症状が見られます」。この食後高血糖の人の血中には、血糖値を下げるホルモンとして知られている「インスリン」が大量に分泌されており、かつそれが働きにくい「インスリン抵抗性」が示されている。そしてこの過剰なインスリンは、動脈硬化やがんを誘導する可能性があることが知られている。内臓脂肪が過剰に蓄積されている人では、血圧を上げたり、インスリンの働きを阻害したりする成分などもここから異常に分泌されてくるため、その結果として、生活習慣病リスクが一層高まってしまう。すなわち健康体でいるには、内臓脂肪をためこまないようにして、インスリンを過度に分泌させないことが必要になってくるというわけだ。○糖の吸収速度を緩やかにするパラチノース内臓脂肪の沈着を防ぐには、適度な運動やバランスのよい食生活などが必要となってくるが、多忙な日々を送る人たちにとっては、それらを日々実行することは難しい。そこで、池田理事長はふだんの食生活にパラチノースという甘味料を取り入れることを提唱する。パラチノースとは、はちみつなどに微量に含まれている天然の糖質で、砂糖に似たすっきりとした味わいが特徴だ。「ブドウ糖と果糖が結合したパラチノースは、砂糖と同じ1gあたり4kcalですが、小腸での吸収速度が砂糖に比べて5分の1という特徴があります」。糖質の吸収速度が緩やかだと、血糖値の上昇も緩やかになり、結果としてインスリンの分泌が抑制される。さらに、糖質が小腸をゆっくりと移動することにより、糖代謝をコントロールするホルモン「インクレチン」が効率よく分泌されるというメリットもあるという。さらに、内臓脂肪をつきにくくするというデータもある。ブラジル在住の日系人30人を対象としたヒト試験では、パラチノース配合糖(パラチノース9割:スクロース1割)を1日45g、16週間にわたって摂取してもらった結果、内臓脂肪面積が対照群(スクロース単体摂取)と比較して有意に低くなったという研究成果が得られている。○スローカロリープロジェクトとはさまざまなメリットがあるパラチノースに着目し、池田理事長は販売元である三井製糖らと共同で「スローカロリープロジェクト」を提唱。「元気で太りにくい健康な体を創る」という理念の下、ゆっくりと消化吸収できるレシピを紹介するといった啓発活動を続けている。「パラチノースは砂糖と同じカロリーで、より食後の血糖値を上がりにくくしてくれます。また、味わいも砂糖と同じくらいおいしいと言われています。そのため、食後の血糖値が高めに推移する人には、ふだん使用している砂糖をパラチノースに置き換えるという選択肢もお奨めです」。
2014年10月09日三井製糖は、このほど長崎大学文教キャンパスで開催された「第69回日本体力医学会大会」で行われたランチョンセミナー「メタボリックシンドローム危険因子および糖尿病性腎症進展に及ぼす運動とパラチノース含有食併用の影響」に協賛した。同セミナーでは、東京慈恵会医科大学 臨床検査医学 鈴木政登先生が同社が、販売する糖類「パラチノース」について講演した。パラチノースは砂糖と同じ1gあたり4kcalだが、小腸での吸収速度が砂糖に比べて5分の1のため、摂取後の血糖値の上昇が緩やかになるという特徴がある。同社は、糖質の小腸での消化吸収速度がゆっくりな状態「スローカロリー」という概念を積極的に提唱している。同セミナーでは、運動とパラチノースに関するラットを用いた研究が鈴木先生より報告された。同研究では、「肥満・糖尿病モデルラット」(OLETF)と、正常なラット(LETO)を用いた。「肥満・糖尿病モデルラット」はそれぞれ、「安静を維持する群」「パラチノース摂取群」「運動療法群」「パラチノース摂取と運動療法の併用群」に分けられた。そして正常なラット群も含めて5週間にわたり、体重や血圧、糖などのメタボリックシンドロームの危険因子やアルブミン排泄量などの腎症進展指標を調べた。その結果、「パラチノース摂取群」で有意なインスリン抵抗性の改善や体脂肪率の減少などが見られたが、「パラチノース摂取と運動療法の併用群」では、その効果がより顕著に見られたという。この研究結果を踏まえ、鈴木先生は「運動療法とパラチノース摂取の組み合わせにより、メタボリックシンドローム危険因子の顕著な改善が見られ、糖尿病性腎症の進展も抑制されました。糖尿病の療法において、単なる摂取エネルギー制限ではなく、運動療法とともに食事療法にパラチノースを取り入れることが望ましいと思います」と話した。
2014年10月01日5人に1人が睡眠に何らかの悩みをもつという日本。そこで今回は睡眠障害の専門医である遠藤拓郎先生がすすめる「快眠のコツ」を5つご紹介したいと思います。今日からできることがたくさんあるかもしれませんよ!睡眠障害の専門医とは?今回は睡眠障害の専門医である遠藤拓郎先生が語る快眠のコツをご紹介します。遠藤先生は医学博士であり、睡眠医療認定医でもあります。また、親子3代にわたり睡眠の研究者というまさに日本を代表する睡眠界の第一人者なのです。そんな遠藤先生が提唱する「快眠のコツ」とは、どのようなものなのでしょうか?まず1つめ。意外ですが、睡眠は満足するよりも少し短くしたほうがよいのだそうです。遠藤先生が推奨するのは、平日は毎日6時間睡眠にして、週末は少し長めに眠ること。ただ、昼間まで寝てしまうとリズムが崩れてしまうので、遅くとも10時ぐらいまでに起床することをすすめています。快眠のコツを紹介!2つめは眠る時間帯。みなさんは何時から何時まで寝ていますか?ベストな時間帯は0時から6時なのだそうです。理由は、ノンレム睡眠とレム睡眠を両方とれるから。0時から3時間は深い睡眠のノンレム睡眠、3時から6時までは浅い睡眠のレム睡眠と両方をじゅうぶんにとることができると考えられています。この時間帯から大きくずれると2種類の睡眠のバランスが悪くなってしまうのだそうです。3つめは朝に太陽の光を浴びること。体内リズムは25時間周期と考えられていて、1日24時間とはずれています。その1時間を解消するため、朝に太陽の光を浴びることが必要だと考えられています。5つのポイントを取り入れてみよう!4つめは運動・ストレッチをすること。体内時計の9割は太陽の光で、残りの1割は運動と食事によって調整されているのだそうです。そのため、毎日の生活に運動をとりいれることが効果的です。ただ、翌日にまで疲れが残るようなハードなスポーツは要注意。おすすめはヨガやウォーキング、ストレッチなどの軽めの運動を夕方~夜の間に行うことだそうですよ。5つめは体温調整。人は体温が下がった時に眠くなるので、寝る前に体温を上げておくと眠りやすくなると言われています。そこで、就寝1時間前を目安に入浴をするとよいのだそうです。今回は5つのポイントをご紹介しました。ぜひ、みなさんも生活に取り入れてみてくださいね!【参考】京都西川「睡眠の専門医遠藤拓郎とは」日立ソリューションズ「CHAPTER1 20代の睡眠事情を探る」
2014年09月15日(画像はプレスリリースより)ホットな「冬のグラノーラ」2014年9月9日、味源は、パウダー状のグラノーラ「飲むグラ」シリーズ第2弾、ナッツ味の「飲むグラナッツ」を9月15日(月)より販売開始することを発表した。2013年12月の「国民健康・栄養調査結果の概要」では朝食を食べない人は男性で12.8%、女性で9.0%という結果が出ている。手間をかけずに、美容効果をもつ「ビューティーグラノーラ」とホットでももおいしい「冬のグラノーラ」をコンセプトとして「飲むグラナッツ」を開発。今回の主役はクルミとアーモンド。クルミは生活習慣病予防に効果を発揮すると報告があり、アーモンドは、ビタミンEが大変多く含まれている食品で、その抗酸化作用により活性酸素を抑制して、あらゆる細胞の老化防止に役立つとして注目。もちろんグラノーラの基本であるビタミン、「βグルカン粉」を使用し、「機能性大麦粉」や、食物繊維を豊富に含む「サイリウム(オオバコの種子)」を使用している。朝食と食べない子どもは2型糖尿病になりやすい?ロンドン大学の研究者は英国の9歳から10歳の子ども4,116人を対象に調査したところ、朝食を食べないときがある子どもは毎日食べる子どもに比べて、空腹時インスリン、インスリン抵抗性、HbA1c、血糖値、尿糖値すべてが高かった。この結果は肥満や運動状態を除いている。さらに食物繊維を含む朝食を食べている子どもたちはインスリン抵抗値が低かった。この研究に対して、校閲者(Editors)は9歳から10歳の子どもの4週間に限って検討したものであり、将来の糖尿病のリスクになるかどうかは不明である。しかし、朝食を取ること、特に繊維をたくさん含む朝食を取ることが大切であることを明らかにしたとのコメントしている。【参考】・味源プレスリリース
2014年09月13日最近、睡眠が足りない、良く眠れない。そんなあなたに忍び寄る、生活習慣病の魔の手。不眠は高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病等の発症リスクと考えられています。「健康づくりのための睡眠指針2014」の第3条は、次のようにうたっています。第3条良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。睡眠不足や不眠は生活習慣病の危険を高める睡眠時無呼吸は生活習慣病の原因になる肥満は睡眠時無呼吸のもと睡眠時間が不足している人や、不眠の症状がある人は、生活習慣病を発症するリスクが高いと考えられており、睡眠不足や不眠を解消することで、生活習慣病の発症を予防できる可能性があります。健康のためには、睡眠をおろそかにできないのです。睡眠時無呼吸症候群とは睡眠時無呼吸についていま一度、おさらいしましょう。睡眠時無呼吸症候群は、眠っているときに気道という喉の空気の通り道がふさがれてしまうことで起こります。眠っている間に呼吸が止まる症状です。1時間あたり10秒以上の呼吸停止が20回以上現れる場合には、中等症、重症の睡眠時無呼吸症候群と診断されます。睡眠時無呼吸症候群は、満体型の人や、過体重の人に多く発症する傾向が見られます。睡眠時無呼吸症を発症しないためには、まずは肥満にならないことが大切です。眠りが妨げられるため、深い睡眠が取れない眠っている最中に呼吸が止まると、血液中の酸素濃度が低下するため、これをきっかけに、フッと目が覚めます。そして再び呼吸をし始めますが、眠り出すと、呼吸は再び止まってしまうのです。睡眠時無呼吸症候群は、これを眠っている間中に繰り返すため、深い睡眠がとれません。日中に強い眠気を覚えることになります。仕事中などに居眠りをする人もいます。睡眠時無呼吸症候群が高血圧を引き起こし、高血圧が動脈硬化を引き起こす睡眠時無呼吸症候群になると、睡眠中の酸素濃度が低下するため、心臓は働きを強め、大量の血液を送りだそうとするために、高血圧を引き起こします。また酸素濃度の低下により、動脈硬化が進みます。動脈の血管の弾力性が失われて、硬く、細くなり、血液の流れが滞る状態を動脈硬化と呼びます。心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなります。血糖値やコレステロール値の上昇もさらに睡眠時無呼吸で熟睡できないストレスは、血糖値やコレステロール値の上昇を招きます。糖尿病や、高コレステロール血症をはじめとする、生活習慣病や、メタボリックシンドロームが深刻化してしまいます。血流の不良は歯周病も引き起こします。睡眠時無呼吸症候群を放置すると、心筋梗塞、脳梗塞、生活習慣病、そして眠気が原因の事故などを起こす危険があります。死亡率が高くなるため、すぐに専門医の治療が必要となります。参考文献『厚生労働省第3回健康づくりのための睡眠指針の改定に関する検討会』『厚生労働省健康づくりのための睡眠指針2014』『厚生労働省e-ヘルスネット』Photo by Christopher【提供:武田薬品工業株式会社】
2014年09月11日