「老後資金2,000万円問題」のニュースを涼しい顔で見ていたあなた。落とし穴にハマれば、一気に困窮することも。危険がわかれば、回避法も見えてくるーー。「老後資金『2,000万円足りない』問題が金融庁の報告書で指摘されたのが2年前(’19年6月)のこと。多くの人が不安に陥れられましたが、やりくり上手の人のなかには『どうにかなりそう』と安心していた人もいるのでは?しかし、油断をすると、瞬く間に貯蓄は底をつくんです」こう警告するのは、マネー管理術に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。老後には“落とし穴”がたくさん。実例を見ていくとともに、専門家に対処法を聞いていこう。【落とし穴1・投資詐欺】“高額配当”に騙されて「『500万円で健康器具を買って、レンタルに出すと年6%の利益が出る。いざとなれば器具を売ればいいからリスクもない』。そんな甘言につられて老後資金を投入。でも、実際は、器具は存在しておらず、数回のレンタル料が払われたあと、その会社は潰れてしまった。これは実際にあった例です」そう解説するのは全国紙記者。’17年12月に倒産したジャパンライフ。被害総額はおよそ2,000億円、被害者の多くは高齢者だったという。’20年9月、同社の元会長らは詐欺容疑で逮捕、起訴された。「同様の事件は多いんです。ケフィア事業振興会という会社が、年利10%超の高額な配当をうたって、食品事業などの“オーナー”を募集。結局、’18年に1,300億円超の負債を抱えて倒産してしまいました」(前出・新聞記者)自分は甘い話に引っかからないと思っている人も、退職金が入った後には、「気持ちが大きくなる傾向がある」と加谷さん。「投資の初心者であればあるほど、退職金で得たお金を『すべて資産運用に回そう』と考えてしまう。知識がないから、騙されるんです」〈対処法〉甘い話には裏がある。特に退職直後には注意。【落とし穴2・投資で失敗】銀行を信じたばかりに時に、銀行に“騙される”ことも。「夫が定年退職した2年前、2,000万円の退職金が出ました。すると銀行員から『金利7%の高利回りの新興国債券』をすすめられ、飛びついてしまって……。しかし、債券は急落。1,000万円投資して、200万円の損失に」(50代主婦)“銀行がすすめるものだから”と安心してしまう人も多いという。「銀行に言われるままに買ったことがいちばんの失敗です。顧客が損をしても売れば手数料が銀行に入る。すすめてくる商品のなかにはリスキーなものも。外貨建てというのは難易度が高く、プロでも尻込みするものなんです」(加谷さん)一方、「投資ばかりが運用ではない」と説くのは、ファイナンシャルプランナーの中村薫さんだ。「私は、貯蓄に回すことをおすすめします。家族や夫婦の今後を考えれば、退職金は堅実に預金しておくべき。減ったり、騙されませんし、『預金も立派な運用』です」〈対処法〉銀行の言いなりにならない。理解できないものに手を出さない。
2021年08月20日「老後資金『2,000万円足りない』問題が金融庁の報告書で指摘されたのが2年前(’19年6月)のこと。多くの人が不安に陥れられましたが、やりくり上手の人のなかには『どうにかなりそう』と安心していた人もいるのでは?しかし、油断をすると、瞬く間に貯蓄は底をつくんです」こう警告するのは、マネー管理術に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。老後には“落とし穴”がたくさん。実例を見ていくとともに、専門家に対処法を聞いていこう。【落とし穴1・田舎移住】夢の代償は1,000万円「夫婦とも都会育ちで、第二の人生は『田舎で暮らそう』と決めていました。夫の退職を機に、住んでいた都内の家を売って、中部地方に畑付きの中古の一軒家を1,000万円で購入。400万円かけてリフォームしました。理想の田舎暮らしが始まると思ったんですが……」そう嘆くのは60代主婦。リタイア後の田舎暮らしにあこがれる人は多い。だが、これも“落とし穴”。「どこに行くにも車が必要でガソリン代がかかります。100円ショップなどもないので、必需品は定価で購入。コンビニもないので、夜は買い物ができません。都内より月5万円ほど生活費が増えました。さらに、地域のつながりも強く、村八分とかではないですが、やはりどこまでもよそ者扱いで……」ストレスに、いずれ車が運転できなくなるという不安も手伝って、3年で家を売却、都内にUターンした。物件も半値ほどでしか売却できず、都内の新しい家の敷金礼金もかかった。気づけば引っ越し前よりも1,000万円も貯蓄が減っていたという。田舎暮らしこそ“高コスト”と話すのは加谷さん。「車なしでは移動できず、ディスカウントショップもありません。都会では電話一本ですぐ来てくれる水道工事も、『町内の水道屋さんに頼んで明日来る』では、不便です。そのような“ストレスフリー”のぶんも含むと考えれば、都会のほうが安上がりだといえます」この夫婦の失敗は、よく検討せずに引っ越したこと。最初は賃貸などで田舎の生活を体験してから、決めるべきだったと言う。〈対処法〉実際に引っ越しをする前に、“田舎体験”を。【落とし穴2・介護】高額交通費で貯蓄減「2年前、九州の実家で独り暮らしをしていた母が骨折して、急に要介護状態に。私たち夫婦が住んでいる東京に呼び寄せようとも思ったのですが、自宅は狭いので受け入れられず、いい施設も見つかりませんでした。とりあえず、独り暮らしを続けてもらいながら、受入れ態勢を整えることに」(60代主婦)介護保険を使えば原則1割の自己負担で介護サービスを受けられるが、細かい日々の雑用や役所の手続きまではやってくれない。「月に2回ほど、実家に帰って面倒を見ないといけなくて……。飛行機に介護割引があるんですが、それでも1往復で2万〜3万円ほどかかります。すぐに東京で受入れ態勢を作るつもりでしたが、コロナ禍などもあって延び延びになって。結局、この2年で貯蓄を150万円以上取り崩しました」加谷さんは「親の介護はいつか来る問題とわかっていても、準備していない人は多い」と指摘する。「この事例のように、けがから急に要介護になる例は多い。親との相談は、すぐにでもやっておいたほうがいい優先課題です」〈対処法〉親が元気なうちに相談を。人生の最後にこんな大誤算が待っているなんて!そんなふうに嘆かないで済むように、落とし穴を知っておこう。
2021年08月20日新橋演舞場、大阪松竹座にて上演される、『喜劇 老後の資金がありません』。垣谷美雨の小説を原作に、平凡な主婦に襲い掛かる仕送り、年金、葬式資金と、誰にも覚えがある「老後の資金」問題を、脚色・演出にマギー、主演に渡辺えり、高畑淳子を迎え、喜劇として描き出す。渡辺が演じるのは主婦の後藤篤子。夫は家計に無頓着、姑へは仕送りがあり、さらに長女の派手婚と、様々な問題が降りかかる自身の役について、普通の人などいないとしながらも「地味な、目立たない、普通の人になりますね」と話す。「派遣の契約社員として働く中で、娘が派手婚を決めて、急に出ていくお金が増え、自分を犠牲にして夫や娘のために尽くしてしまう。家計をやっていくというのは難しいんだな、というのを再認識させられる」と、自身の役を現代社会が抱える延長にいる人物と捉えたコメント。高畑演じるのは、夫と小さなベーカリーを営む神田サツキ。「基本たくましそうな人に見えるけど、そういう自分になりたかったというセリフがあって」と高畑が語る通り、年金を当てにしていたが姑が認知症になり……とサツキもまた問題を抱える役だ。お互いの色々な作品を観ていたというが、意外にも二人は舞台初共演。しかし、老後資金問題について「話題になった当時、周りの演劇人で2000万の貯蓄がある人なんていなかった」と渡辺が話せば、「貯金額を言わなきゃいけないみたい……」と高畑が返し、二人で笑う姿は息ぴったり。劇団3〇〇の女優と仲が良く、渡辺について「天才だ」と長らく聞いていたという高畑は「やっぱり話がすごく面白くって」と渡辺について語る。「私は稽古自体をやるというよりも、余計なことを考えたり喋ったりすることで作品の根っこが深くなると思うタイプ。こういう考え方もあるんだとか、そういう時間がふんだんに持てることが楽しみですよね(高畑)」と話すと、渡辺も「いろんな話をしながらやっていけるだろうということは、楽しみでしょうがないです」と初共演に期待を寄せた。「老後の資金がないことを、暗く演じても仕方がないので、明るくやりたい。こんな時代だからこそ、楽しいお芝居を、力をあわせてがんばって行きたいと思います」と意気込んだ渡辺。誰にも降りかかる問題を解く本作、喜劇だからこそのパワーをぜひ劇場で感じてほしい。公演は8月13日(金)8月26日(木)まで東京・新橋演舞場、 9月1日(水)~ 9月15日(水)まで大阪・大阪松竹座にて。チケットは発売中。
2021年08月18日渡辺えり、高畑淳子のダブル主演の「喜劇 老後の資金がありません」が8月13日、東京・新橋演舞場にて開幕した。本作は、垣谷美雨による大ベストセラー小説「老後の資金がありません」をマギーの脚色・演出で、初の舞台化となる。初日前会見では渡辺、高畑が登壇。渡辺は「コロナ禍で色々大変な世の中ですが、歌って陽気にがんばっておりますので、ご声援の程どうぞよろしくお願いいたします」と挨拶。続く高畑も「できる限りの力を出して努めさせていただきたいと思います。その力が不安定な状態ではございますが(笑)」と話し、笑いを誘った。今回は「喜劇」だが、劇中に歌やダンスのシーンが盛りこまれ、物語が進んでいく。歌、ダンスについて「えりさん、とても歌が上手いですよ。『天使にラブ・ソングを…』という感じです(高畑)」「ダンスは複雑な振り付けがあるのですが、66歳で私たちよくやっていますよ!(渡辺)」と話すが、さらに高畑にはラップという大きな見どころが。ラップについて、本当に毎晩夢に見る、という高畑に、渡辺は「お上手ですよ。私が感動したのは『もう一回お願いします!』と必ず率先して稽古をするんですよ、18歳の新人みたいに」と話す。高畑は「お客様はお金を払っていらしてくださるわけですから。でもラップは難しい、10回に1回くらい間違えるんですよ、本当に頑張らないと」と意気込んだ。「老後の資金」をテーマに、誰にでも訪れる介護、葬式、子どもの結婚、雇用、年金と、様々な問題に普通の主婦が四苦八苦する姿を描く本作。ゲネプロでは一幕が披露された。結婚が決まった娘の派手婚にかかる費用を計算し、夫・章(羽場裕一)のいう通り援助していったら老後の資金がなくなることに篤子(渡辺えり)が叫ぶと、「老後の資金がありません」と歌い上げる歌唱シーンに突入。篤子の息子・勇人役・原嘉孝、篤子とサツキ(高畑淳子)が火曜生花教室の先生 城ケ崎役・松本幸大もジャニーズならではの華やかなダンスで場を盛り上げ、様々なシーンで活躍。またベーカリーを営むサツキの夫でパン職人の克也役・宇梶剛士のダンスにも注目だ。誰にでも起こりえる問題だからこそ、立ち向かっていく篤子、サツキの姿に勇気をもらえる本作。笑って泣ける喜劇は、ぜひ劇場で。公演は8月26日(木)まで東京・新橋演舞場にて、また9月1日(水)~9月15日(水)まで大阪・大阪松竹座にて上演。チケットは発売中。
2021年08月18日2011年に刊行され34万部を突破した垣谷美雨の同名ベストセラー小説を天海祐希主演で映画化した『老後の資金がありません!』より、本ポスターとコメントが到着した。日本最強のコメディエンヌであり、バリバリの仕事人間を演じることの多かった天海さんが本作で演じるのは、身近な主婦。子育ても落ち着き老後は安泰のはずが、親の葬式、子どもの派手婚、夫の失職、セレブ姑との同居と、あらゆるお金の災難に立て続けに襲われてしまう。監督は『こんな夜更けにバナナかよ愛しき実話』で、ユーモアを交えた秀逸な演出で観客を魅了した前田哲。映画主題歌は、アーティストとして音楽ジャンルを超えて進化し続ける氷川きよしが担当している。今回解禁された本ポスターでは、いつもクールでかっこいい姿が記憶に残る天海さんには珍しい困り果てた表情を披露。天海さんの顔の周りには彼女を困らせるバラエティ豊かな面々が大集結しており、いまにも彼女の心の叫びが聞こえてきそうなインパクトのあるビジュアルに仕上がっている。また今回のビジュアルについて天海さんは「10月30日公開の映画『老後の資金がありません』の新ビジュアルが出来ました!私、頭に乗られ、髪やほっぺたを、引っ張られてますね(笑)そして!ご出演の皆様の、なんと魅力的な事か!一悶着では済まされそうもないでしょ?この作品、どなたにも起こり得る、数々の出来事に立ち向かい、それぞれの生き方を見つける、ハートウォーミングな映画です。1年の公開延期をし、お待たせしましたが、やっと皆様にお届けできます。ぜひご一緒に、笑い、泣き、怒り、そして良かったなぁと楽しんで頂けたら嬉しいです」とコメントを寄せている。『老後の資金がありません!』は10月30日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:老後の資金がありません! 2021年10月30日より全国にて公開©2020映画『老後の資金がありません!』製作委員会
2021年08月04日私たちを悩ませる、老後資金問題。貯めよう、貯めようと思ってもいつの間にか60歳に……。2,000万円なんてとても無理!と悩んでいるそこのあなたへ、専門家から現実的で確実な起死回生のご提案ですーー。「今年4月、PGF生命が現在60歳の2,000人にアンケートを取ったところ、貯金が100万円以下が25%、つまりほぼゼロという人が4人に1人という衝撃の数字が出ました。昨年の同調査では20%で、ここ1年で5%も増えたことになります」こう話すのは“年金のプロ”として老後資金の問題にくわしいファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん。2年前、金融庁の市場ワーキング・グループが「老後資金は2,000万円が必要」と報告して話題になったが、2,000万円どころか、60歳世帯の4分の1が老後資金をほとんど用意できていないのが現実なのだ。この老後貧乏に私たちはもう絶望するしかないのだろうか?「いいえ、決して楽ではないですが、明るい老後を迎える起死回生の手段は残っています」と、長尾さん。いったいどんな方法か。長尾さんが教える老後貧乏脱出法は次のとおりだ。【1】70歳まで働くと決める「人生百年時代というように、いまの60歳は元気ですし、65歳以上で働いている人も現実に非常に増えています」(長尾さん・以下同)たしかに内閣府の『高齢社会白書(令和2年版)』をみると、65歳以上が占める労働力の割合は、年々増えており、全体の13.2%になっている。「企業の再雇用制度も減収を伴うとはいえ、着実に実施されていますし、全体的な人生のタイムスケジュールが後ろに大きくずれ始めているといってもいいでしょう。ですから、老後資金を60歳までにどうしても貯める必要がなくなってきている。70歳まで働いて、それ以後はなんとか年金で暮らせるようにすると考える時代がきていると思います」【2】年金受給を70歳からにする<夫婦共働きの世帯>夫・厚生年金=16万4,770円、妻・厚生年金=10万3,159円。合計26万7,929円。《年金開始年齢:年金額》65歳:26万7,929円66歳:29万0,435円67歳:31万2,941円68歳:33万5,447円69歳:35万7,953円70歳:38万0,459円<会社員+専業主婦の世帯>夫・厚生年金=16万4,770円、妻・基礎年金=5万3,699円。合計21万8,469円。《年金開始年齢:年金額》65歳:21万8,469円66歳:23万6,820円67歳:25万5,172円68歳:25万5,172円69歳:27万3,523円70歳:31万0,226円「前述の年金額を見てください。65歳から年金だけで暮らそうとすると、夫が会社員で妻が専業主婦の場合、平均で月22万円程度しか受給できず、月々の生活費が3万円以上赤字になると試算されます。これが『老後資金2,000万円問題』と言われる背景にあるのですが、頑張って、70歳まで働き、その間は、年金を受け取らない繰下げ受給制度を活用すれば、70歳から月31万円が受け取れます。これなら年金だけで、基礎的な家計はどうにかやりくりできる金額。【1】と合わせて実行すれば、70歳からは余裕の老後が待っています」【3】妻も夫が70歳になるまで厚生年金加入ができるパートで働く「現在、パートを含む社員500人以上の企業ではパート社員も厚生年金に加入できます。こうした企業を選べば、夫婦で受け取れる年金額が少しでも多くなり、70代以降の生活が楽になります」【4】がん保険以外は解約するここからは、長尾さんによる、60歳までの現役生活中の無駄やぜいたくの見直しだ。最初に長尾さんが指摘するのは保険の解約。「がんは年齢とともにリスクが高まる病気ですから、がん保険はそのまま。それ以外の保険は子どもが成人したら、不要と考え、思い切って全部解約しましょう。これだけで年間10万円以上の節約になるはずです」【5】孫への支出を見直す「孫への年間支出は平均13万円という調査もあります。お年玉ぐらいはあげてもいいと思いますが、毎回食事をおごったり、お小遣いをあげたりしているだけで、じつは大きな支出になっています。お小遣いは盆と正月と決めるなど、孫への支出のルールを決めることが大切になってきます」このほかに、スマホを3大キャリアから格安スマホに替える。クレジットカードも有料のゴールドカードから一般カードに替えるなどの節約を長尾さんはすすめる。「70歳から月30万円で暮らすとしたら、いましているプチぜいたくを切り詰めなくてはいけません。生活水準を下げることはたいへん難しいですが、老後破綻をしないための絶対条件と思ってがんばってください」60歳貯金ゼロでも老後貧乏にならないための鉄則5。ぜひ参考にしてほしい。
2021年07月26日「皆さんが考えている以上に、老後生活は長いのです。’25年に65歳を迎える女性の64%、’35年に65歳を迎える女性の67%が、90歳まで生存すると予想されています。100歳まで生存する割合も、それぞれ17%、19%です。老後資金はそれまで持ちますか?」このような長生きリスクに警鐘を鳴らすのは、『人生にお金はいくら必要か』(東洋経済新報社)などの共著があるファイナンシャルプランナーの岩城みずほさんだ。「“老後2,000万円問題”が話題となりましたが、ご家族ごとの収入・生活レベルはそれぞれなので、一概にはいえません。かといって専門家などにライフプランの作成を依頼すると、手間も費用もかかる。しかも、せっかく作ったプランも、夫の給料の減少や子の就職の失敗などによって、変化がつきものなのです」そこで岩城さんが経済評論家の山崎元さんと共同作成したのが、状況の変化に合わせていつでも自分で計算できる、老後資金にまつわる穴埋め式計算法だ。「資産額や、今後の予想手取り年収などから、安心な老後を迎えるには、65歳までに年収の何%を貯めればいいか導き出す計算式です」岩城さん運営のホームページ「オフィスベネフィット」にて、6つの数字を入力すれば、自動的に「必要貯蓄率」を計算してくれる。それでは、空欄に入れるべき数字の解説をしてもらおう。■老後生活費率現役時代の生活費に対する、老後の生活費の割合。「一般的に老後生活に入ると、食費や交際費なども減り、生活費が安くなります。家計調査などでは、生活費は現役時代から3割減。具体的にイメージがつかない人は0.7と書き込みましょう」■平均手取り年収ポイントは“これまで”ではなく“これから”の平均手取り年収。「手取り額は健康保険料や所得税、住民税などがあるため、額面の75%ほどです。55歳から役員定年で2割減、60歳からの再雇用でさらに3割減ほどになることも考えて計算します。妻が正社員などで、今後も安定的に働く場合は、夫婦で合算した額を書き込みます。フリーランスやパートの方の収入は、不安定な要素もあるので、現在の年収よりも1〜2割少なく見積もっておくといいです」■年金額終身でもらえる年金の額。「50歳以上の人は『ねんきん定期便』の数字を参照。また50歳未満でも『ねんきんネット』に登録すれば、年金予想額がわかります。公的年金以外にも、終身で受け取れる企業年金、民間の終身年金などもあれば、合算してください」■資産額おもに現在の預貯金、株、債権、投資信託(時価)などの合算。「iDeCoや個人年金保険など有期で受け取れる年金もこちらに計上。たとえば“年間120万円を10年間受け取れる”保険商品の場合は、1,200万円を加算。退職一時金や、売却予定の不動産の評価額、親の遺産も計上します」反対に、将来予想される大きな支出はマイナスにする。「住宅ローンの残債を退職金で一括返済する場合や、家のリフォーム費、車の買い換えの費用などです」■老後年数いまの時代は95歳まで生きることを前提にするべき。「65歳でリタイアすれば、老後年数は30年。年の差夫婦で妻が若い場合は、老後年数を35年と少し増やしてみましょう」■残りの現役年数リタイアするまでの年数。「50歳の人の場合、会社員なら65歳までが一般的なので15年、自営業で70歳までは現役を続けられそうなら20年と記入します」現在の家計状況と、現実的な未来を見据え、老後設計をしよう。「女性自身」2021年6月1日号 掲載
2021年05月21日「皆さんが考えている以上に、老後生活は長いのです。’25年に65歳を迎える女性の64%、’35年に65歳を迎える女性の67%が、90歳まで生存すると予想されています。100歳まで生存する割合も、それぞれ17%、19%です。老後資金はそれまで持ちますか?」このような長生きリスクに警鐘を鳴らすのは、『人生にお金はいくら必要か』(東洋経済新報社)などの共著があるファイナンシャルプランナーの岩城みずほさんだ。「“老後2,000万円問題”が話題となりましたが、ご家族ごとの収入・生活レベルはそれぞれなので、一概にはいえません。かといって専門家などにライフプランの作成を依頼すると、手間も費用もかかる。しかも、せっかく作ったプランも、夫の給料の減少や子の就職の失敗などによって、変化がつきものなのです」そこで岩城さんが経済評論家の山崎元さんと共同作成したのが、資産額や年金額などから、老後に月いくらまで使えるか導き出せる穴埋め式計算法だ。「これから老後を迎える人は導き出された金額で生活ができそうか考えてみてください。すでに老後を迎えた方は、いまの自分の生活費が適切かどうかの判断基準にできるはずです」計算式は、岩城さん運営のホームページ「オフィスベネフィット」で見ることができる。それでは、空欄に入れるべき数字の解説をしてもらおう。■年金額終身でもらえる年金の額。「50歳以上の人は『ねんきん定期便』の数字を参照。また50歳未満でも『ねんきんネット』に登録すれば、年金予想額がわかります。公的年金以外にも、終身で受け取れる企業年金、民間の終身年金などもあれば、合算してください」■資産額おもに現在の預貯金、株、債権、投資信託(時価)などの合算。「iDeCoや個人年金保険など有期で受け取れる年金もこちらに計上。たとえば“年間120万円を10年間受け取れる”保険商品の場合は、1,200万円を加算。退職一時金や、売却予定の不動産の評価額、親の遺産も計上します」反対に、将来予想される大きな支出はマイナスにする。「住宅ローンの残債を退職金で一括返済する場合や、家のリフォーム費、車の買い換えの費用などです」■未年金年数正社員などが退職してから、年金をもらうまでの期間。「65歳で退職後も、継続雇用などで働いて、年金を繰り下げれば、未年金期間は延びますが、受給できる年金の額は増えます」■未年金期間の年収「未年金期間中に、働いて得る年収。再雇用で働いたり、パートで得る収入などです」■未年金期間に働く年数「多くの人は『未年金年数』と等しくなるかと思います」■残したい金額「葬式代に200万円、子どもへの遺産など、自分が死んだとき、使い切らずに残しておきたいお金です」厳しい数字が出た場合は働く期間を延長して貯蓄を増やしたり、生活を見直して老後生活費率を下げる努力を。そして、定期的に再計算してみよう。「女性自身」2021年6月1日号 掲載
2021年05月21日「老後資金をどう作ろうか」とお悩みの人も多いだろう。会社員なら、公的年金と退職金が老後資金の中心になるだろう。そんな退職金は、会社を辞めるとドンと手に入る。人は大金を持つと、気が大きくなって使いたくなるものだが、定年後の人生はおおよそ30年。もらってすぐ派手に使うのはNGだ。「ムダ遣いしないように、小分けして支給して」と考え、年金型での受取りを選ぶ人もいるかもしれない。「退職金の受け取り方は、よく考えて!」と、税理士の板倉京さんは助言する。「退職金には『退職所得控除』という大きな非課税枠がありますから、これを最大限活用するのがお勧めです」退職所得控除は、勤続年数で決まる。勤続20年以下の方の退職所得控除は40万円×勤続年数。勤続20年超なら、40万円×20年+70万円×(勤続年数-20年)。「退職所得国所を最大限活用するなら、退職金は、年金型より一時金で受け取るほうがよいでしょう。そのほうがお得になる方が多いと思います」たとえば22歳で入社、38年勤めあげ、60歳で退職するAさんを例に考えよう。「Aさんは勤続38年ですから、退職所得控除として2,060万円もの非課税枠があります。これを活用するのです」非課税枠が2,060万円ということは、そもそも退職金が2,060万円以下なら、税金は不要だ。たとえ2,060万円を超えていても、退職金から非課税枠である2,060万円を差し引いた額の2分の1に税率をかけて納税額を算出するので、税額はかなり抑えられる。「逆に、年金型で受け取った場合は、退職所得控除は使えません。1年間の退職金の受取額と公的年金を合わせた額から『公的年金等控除』を差し引き、税額を計算することになります。公的年金等控除は、退職所得控除と比べると額が少なめなので、納税額が多くなってしまう傾向があるのです。さらに、年金型で受け取る退職金は、公的年金と合わせて『収入』とみなされ、この収入を元に、社会保険料が計算されます。退職金が上積みされている分、収入が増え、社会保険料も高くなりがち。さらに、収入が高いと、高齢の低所得世帯への優遇措置などを受けられないこともあります」会社に預けておくと、比較的高利回りで運用してくれるという好条件があっても、退職所得控除を最大限活用できる一時金で受け取ったほうが、メリットが大きいのだ。板倉さんは「知らないと大損する!定年前後のお金の正解――会社も役所も教えてくれない手取りを増やす45のコツ」(ダイヤモンド社刊)を上梓。お得ワザを知って、老後資金をがっちり貯めよう。
2020年12月24日「コロナ禍以降、経済の先行きが不透明になり、会社員でも雇用や収入に不安を抱く方が増えています。こうした状況では老後の資金確保にも焦りを感じやすいものですが、目先の利益に飛びつくと失敗を招いてしまいます」こう話すのは、お金にまつわるセミナー開催やコンサルティングを請け負う「ぜにわらい協会」会長の吹田朝子さん。吹田さん自身も、これまで3,300件以上の相談を受け、さまざまな家庭のお金の使い道を設計してきた。「お金に振り回されやすい人は、老後のお金でも失敗しがち。一度ご自身のお金にまつわる考え方をチェックしてみましょう」老後資金にまつわる代表的な不安といえばまっさきに浮かぶのが「老後2,000万円問題」。’19年、金融庁が公表した報告書の中で、夫65歳、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯で、今後20〜30年生きるとした場合、年金を受給しても約1,300万〜2,000万円が不足すると報告され、議論を呼んだ。吹田さんは、こう指摘する。「誤解されている方が多いのですが、この数字はあくまで統計上の平均値であって、必ずしもすべての家庭に当てはまるわけではありません。家族構成や家庭の事情によって、必要な老後資金は変わってきます」特にリタイア後の生活資金は家庭によって大きな差が出る。都市部か地方なのか、旅行などのレジャーに積極的に出かけたいのか、家庭菜園を楽しみながら自宅中心の生活を送りたいのか、それだけでも違うのは明らかだ。「ですから、2,000万円と聞いて慌てて貯金に走る前に、老後にどんな生活を送りたいのか、そのためには毎月どれくらい生活費が必要なのかをあらかじめ夫婦で話し合い、具体的にイメージしておくことが大切です。金額だけを目標にしてしまうと、途中で挫折したり、節約のストレスから浪費がふくらみがち。『こんな生活を送りたい』という目的をはっきりさせましょう」必要な金額がイメージできれば、根拠のない不安から焦ることも少なくなる。老後資金についても、家計と同様に見える化して考えよう。特に資金を「守りのお金=年金・保険」と「攻めのお金=投資・運用」の2つに分けると、具体的に何をすべきか見えてくる。その結果、不安が減り、失敗が少なくなるのだ。「50歳以上なら、毎年誕生月に送られてくる『ねんきん定期便』で、将来受け取る年金の見込額を確認できます。その金額さえわかれば、夫婦でイメージしている老後の暮らしを送る場合、毎月の不足分がいくらになるのか、おおよそ予測できるでしょう。不足額がわかれば、投資計画が立てやすくなります。不足分を補うには、どんな金融商品が適しているか、毎月いくらを何年間ほど積み立てればいいのかといったことも見えてくるはずです。そうすれば、焦ってリスクの高い金融商品に投資したり、あやしい投資話に引っかかったりする可能性はぐっと低くなります」(吹田さん)投資と聞くと「難しそう」「損をするんじゃないか」と苦手意識を抱く人も多いが、失敗する理由がわかれば、怖がる必要はない。投資・運用のアナリスト、石川紀子さんと、多くの顧客の資産形成に携わる丸山哲也さんの2人が“攻めのお金” の攻略法を伝授。「投資の失敗でありがちなのは、資金が貯まってから一気に始めようというケース。実践経験がゼロの状態で大金をつぎ込むことになるので、大失敗につながります。投資を始める際は、目安として生活費の半年分程度の貯金があれば大丈夫。まずは少額の投資から始めて、少しずつ勉強していきましょう。毎日、株価をチェックするだけでも、どんなときに値動きがあるのか、徐々にわかるようになってきます」(石川さん)さらに丸山さんは、最初は少額でも長く続けることの重要性を力説する。「投資には、複利効果があります。たとえば投資信託で一定額を積み立てていくと、収益が発生します。この収益を元本に組み込み、同じことを繰り返していくと、その額は雪だるま式に大きくなっていく。これが複利効果です。最初は小さくても、長く続けるほど大きくなるので、早めに始めたほうが大きな成果が出やすいのです」老後資金対策として、初心者にも始めやすい投資の代表が「つみたてNISA」と「iDeCo(個人型確定拠出年金)」だ。つみたてNISAは、年間40万円の積立額を上限として、最長で20年間、得られた利益が非課税となる。そのメリットを最大限生かすため、20年間、換金しないことを前提に運用しよう。「商品は、信託報酬が低めのインデックスファンドがおすすめ。過去3年以上の運用実績があり、100億円以上の資産残高があるものを選びたいですね。信託報酬とは、管理・運用のために証券会社に継続して支払う手数料のこと。信託報酬が2%前後と高報酬の商品は、利益が出ても相殺され、元金が増えないケースもあるので注意して」(石川さん)iDeCoの場合は運用の利益が非課税になるだけでなく、掛け金の全額が所得控除の対象となり、所得税と住民税が軽減される。ただし60歳まで引き出せないので、無理のない金額で投資しよう。商品は、日本株、世界株、世界債券、REIT、ゴールドなど4〜8種類に分散させて。「積み立ては自動的に行われますが、定期的に途中経過をチェックするようにしましょう。一時的な増減で一喜一憂せず、なぜ上がったのか、下がったのかを運用報告書やネットの情報を調べるなどチェックして。将来性に疑問を感じたなら、ほかの商品への乗り換えも検討すべきです」(丸山さん)いざ老後生活に突入すれば、準備してきた資金を引き出すときがやってくる。間違っても、運用中の口座を一気に解約しないように気をつけたい。「所得控除が受けられるなど、税制上のメリットのある口座から解約を。投資の利益が元金に対して50%以上出ているときは、全体の3分の1程度の金額を取り崩し、その後も運用を続けましょう。たとえば、100万円を元金として50万円の利益が出ている場合は、利益分の50万円だけ取り崩します。利益がそこまで出ていない場合は、そのまま運用を続けたいので、銀行の預貯金口座から引き出していきます」(石川さん)複数の銀行口座、証券口座を持っている場合は、万が一のときに整理しやすいよう、使い勝手のいい口座5つ程度を目安に、徐々に絞っていこう。数字を見える化して分析できれば、投資・運用だって怖くない!「女性自身」2020年11月10日号 掲載
2020年11月19日年を取ってくると“いまさら人に聞けない”話が増えてくるものですが、ことお金にまつわる話題は特にそうなりがち。でも、老後のお金の話こそ“知ったかぶり”は厳禁ですーー!「コロナ禍以降、経済の先行きが不透明になり、会社員でも雇用や収入に不安を抱く方が増えています。こうした状況では老後の資金確保にも焦りを感じやすいものですが、目先の利益に飛びつくと失敗を招いてしまいます」こう話すのは、お金にまつわるセミナー開催やコンサルティングを請け負う「ぜにわらい協会」会長の吹田朝子さん。吹田さん自身も、これまで3,300件以上の相談を受け、さまざまな家庭のお金の使い道を設計してきた。「お金に振り回されやすい人は、老後のお金でも失敗しがち。一度ご自身のお金にまつわる考え方をチェックしてみましょう」次のチェックリストで、該当する項目が5個以上ある人は、「老後資金」を間違える可能性大!□ 安物買いを後悔することが多い□ 元が取れないと悔しく感じる□ あのとき、投資をしていれば……とよく思う□ 結婚相手に望むのは高年収と安定□ 家を買うならマンションより一軒家□ 他人の貯蓄額が気になる□ 子どもは私立に行ったら、その分一生懸命に勉強してほしい□ 週3日で月収20万円ならけっこういいと思う□ 働くなら福利厚生を重視する□ 老後は年金だけでは不安だ老後資金については、家計と同様に見える化して考えよう。特に資金を「守りのお金=年金・保険」と「攻めのお金=投資・運用」の2つに分けると、具体的に何をすべきか見えてくる。その結果、不安が減り、失敗が少なくなるのだ。「50歳以上なら、毎年誕生月に送られてくる『ねんきん定期便』で、将来受け取る年金の見込額を確認できます。その金額さえわかれば、夫婦でイメージしている老後の暮らしを送る場合、毎月の不足分がいくらになるのか、おおよそ予測できるでしょう。不足額がわかれば、投資計画が立てやすくなります。不足分を補うには、どんな金融商品が適しているか、毎月いくらを何年間ほど積み立てればいいのかといったことも見えてくるはずです。そうすれば、焦ってリスクの高い金融商品に投資したり、あやしい投資話に引っかかったりする可能性はぐっと低くなります」(吹田さん)吹田さんは、“攻めのお金”のオプションとして、“ライフワーク副業”を提案する。「ライフワーク副業とは、ご自身の趣味や得意分野を生かして、老後もライフワークとして続けられるような副業のこと。たとえば、長年ペットを飼育してきた方ならペットシッター、話を聞くのが得意な方ならカウンセラーなど。無理のない範囲で長く続けることが大事です。80歳程度まで、夫婦で月3万円でも稼げれば、老後の資金計画はかなり改善します」老後も年金に加えて月3万円の副業収入がある場合と、年金しか収入がない場合では、どの程度、収支に差が出るのか。吹田さんが次の条件で試算した。■65歳時の貯蓄額が1,800万円(住宅ローンなどはゼロ)■年金収入が夫婦で月額20万円(年間240万円)■年間生活費が65〜69歳まで300万円、70歳以降270万円(食費や医療費・健康管理費は年1%程度の上昇を見込む)「年金だけで生活する場合、100歳になる前に貯蓄残高が赤字に。病気や事故など不測の出費があれば、もっと早く貯金が尽きてしまいます。いっぽう、月3万円の副収入がある場合、80歳までは貯蓄残高をほぼ取り崩さずに生活でき、100歳まで生きたとしても約400万円貯蓄が残せる計算です」投資でお金を増やしつつ、早いうちに副業を始めて慣れていけば、メインの収入が年金に変わっても、大きく生活を変えずに100年人生を送れる。大病をすると大きな出費となるので、健康に気を使って生活していきたい。「これからの時代は常識が変わる可能性もあり、先入観にとらわれない柔軟な考え方が重要になります」「女性自身」2020年11月10日号 掲載
2020年11月18日「コロナ禍以降、経済の先行きが不透明になり、会社員でも雇用や収入に不安を抱く方が増えています。こうした状況では老後の資金確保にも焦りを感じやすいものですが、目先の利益に飛びつくと失敗を招いてしまいます」こう話すのは、お金にまつわるセミナー開催やコンサルティングを請け負う「ぜにわらい協会」会長の吹田朝子さん。吹田さん自身も、これまで3,300件以上の相談を受け、さまざまな家庭のお金の使い道を設計してきた。「お金に振り回されやすい人は、老後のお金でも失敗しがち。一度ご自身のお金にまつわる考え方をチェックしてみましょう」老後資金にまつわる代表的な不安といえばまっさきに浮かぶのが「老後2,000万円問題」。’19年、金融庁が公表した報告書の中で、夫65歳、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯で、今後20〜30年生きるとした場合、年金を受給しても約1,300万〜2,000万円が不足すると報告され、議論を呼んだ。吹田さんは、こう指摘する。「誤解されている方が多いのですが、この数字はあくまで統計上の平均値であって、必ずしもすべての家庭に当てはまるわけではありません。家族構成や家庭の事情によって、必要な老後資金は変わってきます」特にリタイア後の生活資金は家庭によって大きな差が出る。都市部か地方なのか、旅行などのレジャーに積極的に出かけたいのか、家庭菜園を楽しみながら自宅中心の生活を送りたいのか、それだけでも違うのは明らかだ。「ですから、2,000万円と聞いて慌てて貯金に走る前に、老後にどんな生活を送りたいのか、そのためには毎月どれくらい生活費が必要なのかをあらかじめ夫婦で話し合い、具体的にイメージしておくことが大切です。金額だけを目標にしてしまうと、途中で挫折したり、節約のストレスから浪費がふくらみがち。『こんな生活を送りたい』という目的をはっきりさせましょう」(吹田さん)必要な金額がイメージできれば、根拠のない不安から焦ることも少なくなる。逆に『足りないかも』と潜在的な焦りがあると“おいしい話”に引っかかりやすい。多くの顧客の資産形成に携わる丸山哲也さんは、こう警鐘を鳴らす。「老後資金の用意が間に合わないかもと、焦りから一気に投資に手を染める人が後を絶ちません。特に相続などでまとまったお金が手に入って、気が大きくなっているようなときは気をつけて。予備知識がないまま投資セミナーに参加し、営業マンにすすめられる商品にそのまま投資してしまうケースが少なくありません」特に不動産投資にはリスクがつきもの。賃貸物件として貸し出しても、空室が続いて賃料収入が途絶えたり、環境が変わって不動産価値が急落することもある。手放したくても売却先が見つからず、赤字に転落というシナリオも。「会社員の場合、ローンが組みやすく、契約のハードルが比較的低いことも引っかかりやすい理由の1つ。預貯金の半分ほどが一気に出ていく高額な金融商品は、失敗したときのリスクが大きいので慎重になるべきです」(丸山さん)ほかにも丸山さんは“あやしい投資話”にはいくつかの共通した傾向があると続ける。「仮想通貨や自然エネルギーなど話題のテーマを絡めた投資話や著名人とのつながりをアピールするもの、金融機関以外が元本保証や極端な高金利をうたったものなどは要注意。また、配当金にかかる所得税など、税制上の扱いについて質問をしても、すぐに返事がないものは疑うべき。20〜30代までと違って、50代以降の損失は取り返しがつかないと心得ましょう」投資初心者は、まずは少額から、信頼できる金融商品に長期的に投資するつもりで始めましょう。いっぽうで、毎月の家計からコツコツと老後資金を積み立てるのも忘れずに。投資ができるのも、地道な貯金があってこそだ。そこで吹田さんが提案するのが、「住まい費:生活費:将来準備費=3:4:3」の黄金比率。「貯金を増やそうと無理に生活費を切り詰めたり、コスパ重視の節約法に夢中になったりするとストレスがたまって挫折しがち。家計支出を住まい費、生活費、将来準備費の3つに分けたときに、その比率が3:4:3になるようバランスを調整すると、生活を楽しむ余裕が生まれ、安定して貯金を続けられます」住まい費とは、住居費、車費、水道光熱費。生活費は、食費などの日常生活費、通信費、レジャーや被服費、小遣いなど。最後の将来準備費に、貯蓄と投資、保険料、子どもや自分への教育費といったものが含まれる。「住まい費がふくらむとほかの2つにしわ寄せが行くので、バランスに注意しましょう。コロナ禍以降、リモートワークにより出勤の回数が減った家庭は、家賃の安い郊外への住み替えを検討してもいいかもしれません」(吹田さん)「女性自身」2020年11月10日号 掲載
2020年11月18日2,000万円必要といわれる“老後のお金”問題を解決するために、資産の切り札である「持ち家」を活用する手段を紹介。“老後の理想の暮らし”を思い描きながら、持ち家の活用術について考えてみようーー。「年をとったら家をバリアフリーにリフォームしたい」「将来は高齢者住宅に住み替えたい」などと、セカンドライフの希望はたくさんあるが、ネックとなるのが“お金”。特にコロナ禍の今、収入が減少して老後の資金計画が狂ったという人も少なくない。「定年後、主な収入源は公的年金のみとなってしまいます。手元資金を使ってリフォームや建て替え、住み替えをするとその後の生活に支障をきたしてしまうことがあります。また、保有している資産は主にマイホームだけ、という人は意外と多く、“持ち家”を活用してセカンドライフの希望をかなえる『リバースモーゲージ』という方法に注目が集まっています」そう語るのは、ファイナンシャルプランナーの菱田雅生さん。「リバースモーゲージ」とは、高齢者向けの貸付制度のひとつで、所有する自宅などを担保に金融機関などから融資を受けて、亡くなったときにその自宅を売却して一括返済する仕組み。【リバースモーゲージのしくみ】(1)金融機関・社会福祉協議会などに、利用者が自宅を担保として提供(2)金融機関・社会福祉協議会などから、利用者に融資(3)死亡後、担保を売却などで返済【リバースモーゲージが向いている人】・自宅をリフォームしたいが、資金がたりない・持ち家はあっても年金が少ない・高齢者住宅に引っ越したいが、資金が不足している・子どもがいない。または、家を継ぐ子どもがない【リバースモーゲージのメリット】・住宅や土地を担保にして、借り入れができる(ただし、資金用途は金融機関によって限定されていることが多い)・毎月の支払いは利息のみ。借入人が亡くなったら売却する・自宅を子どもに残す必要がない人は相続税対策になる【リバースモーゲージのデメリット】・相続人の同意が必要・建物、土地の価値が下落すると、融資限度額を見直されることがある・変動金利なので金利上昇リスクがある・長生きすると融資がたりなくなることがある持ち家を活用した、セカンドライフの夢のかなえ方を菱田さんに教えてもらった。【ケース】年金しか主な収入がないA子さん夫妻(60代後半)都内に住むA子さん夫妻(60代後半)は、子どもたちが巣立った後、夫と将来について考えていた。「収入は年金しかなく、貯金は介護が必要になったときのためにとっておきたい。問題なのは家で、子どもは独立したので継ぐ人がいない、バリアフリーにして住み続けるか、高齢者住宅に移り住むのかまだ決めていませんが、いずれにしても先立つもの“お金”が足りないので、どうしたらいいのか悩んでいます」(A子さん)リバースモーゲージはメガバンクなどの金融機関や社会福祉協議会といった公的機関でも融資を行っている。「金融機関のリバースモーゲージは銀行によって条件に差がありますが、年齢は主に55歳以上が融資の対象で、一括でまとまった金額を受け取れる一括融資方式、決められた金額内であればいつでも融資が受けられる随時融資方式などがあります。金利は変動金利で、毎月利息を返済する、融資する金額に利息を組み入れるコースがあります。また、お金の使い道は、趣味や旅行など自由に使えるものから、住み替えや家のバリアフリーの資金にも使えるものまで。一方、公的機関が扱うリバースモーゲージは65歳以上が対象で、毎月定額しか受け取ることができません。融資の対象となる不動産も一軒家に限定されることが多く、資金の使い道も生活費などに限られているので、セカンドライフを決めてから金融機関を比較することをおすすめします」(菱田さん)金融機関によっては、借入金の用途や担保となる不動産が、マンションは不可など、制限されていたり、保証人が必要となったりすることもある。さらに、いつまでも元気で長生きなのは喜ばしいが、借入額が融資限度額を上回ってしまい、追加融資を受けられないため、自宅を売却せざるをえないケースも出てくる。地価が下落して担保割れすると、途中で一括返済を求められるといったリスクもあるので、メリット・デメリットをよく確かめよう。「女性自身」2020年11月17日号 掲載
2020年11月11日「定年=老後」と考える時代はもう終わり。現代の60歳はまだ若く、少しだけ働きながら、好きなことに時間を費やせる最高の時期です。老後は80歳からでいい。月15万円で豊かに暮らす、60代夫婦のカタチを紹介ーー。■「5年前、養鶏場にカフェを併設。趣味だったコーヒーと、物々交換で手に入れた食材をメニューにして」齋藤博さん(66)、直子さん(65)養鶏業を営んでいる齋藤さん夫妻が、敷地内にカフェをオープンしたのは5年前。「これから先、だんだん体力が落ちていくことを考えると、養鶏だけじゃなく、ほかにも何かせなあかんな、と思ったのがきっかけでした」と、直子さん。カフェを併設するにあたり、養鶏業は縮小。現在は、150羽のニワトリを平飼い、ときどき放し飼いで育てている。飼料は健康を考えた自家配合で、卵は有精卵。直売所で販売するほか、近所にある牧場で物々交換したり、もちろんカフェでも使用している。そもそも、「安心して食べられるものをつくりたい」と、夫妻が大阪からここ、千葉いすみ市に移住したのは20代のころ。移住者の多いいすみ市でも先駆者的な存在で、今では土地の人と移住者をつなぐ存在だ。カフェは、そんな人々の憩いの場にもなっている。「以前からいろんな人が遊びに来ていたので、いっそカフェにしたらいいんじゃないか、と思ったのも理由のひとつでした。計画したのは15年前ですが、設計から施工まですべて自分でやったので、けっこう時間がかかってしまって。まだまだ“カフェごっこ”のような感じです」とは、博さん。じつはカフェだけでなく、自宅も鶏舎も「モノづくりが大好き」という博さんの自作なのだ。「素人ですから時間はかかりますが、着実に上達していて、次はこんなふうにしよう、と考えるのも楽しいですね。カフェも思い描いた感じの空間に仕上がりました。自作したり、もらったり、拾ったりといろいろですが、好きなものばかりが詰まっています」メニューも同様だ。コーヒー、ココア、チャイ、ハーブティー、ピザ、オムレツと、好きでこだわっているもの、得意なもの。そして、自宅でとれた卵や野菜、物々交換した乳製品をふんだんに使用し、安心して食べられるものを届けたい、という思いも生きている。気になる家計のことを博さんに尋ねてみた。「メインの収入は養鶏です。あとは、少しずつですがカフェの収入と年金。畑もやっていますし。トイレは循環させるなど工夫が必要ですが、そのぶん土地の賃料はリーズナブル。もともと生活費のためというより、やりたいことのために働いている感覚なので、月15万円もかからず楽しく暮らしています。そうそう、最近、楽しみがまたひとつ。日本みつばちが来てくれるようになったんです。来年あたり、ハチミツがとれるんじゃないかな、と期待しているんですよ」「女性自身」2020年11月10日号 掲載
2020年10月30日「定年=老後」と考える時代はもう終わり。現代の60歳はまだ若く、少しだけ働きながら、好きなことに時間を費やせる最高の時期です。老後は80歳からでいい。月15万円で豊かに暮らす、60代夫婦のカタチを紹介ーー。■「“週末のみの田舎暮らし”から始め、今は畑仕事をメインに生活。いずれは完全移住を予定しています」遠藤節夫さん(73)、みどりさん(69)「老後を漫然と暮らすのはイヤでしたし、いつかは農的な暮らしをしたい、というのが新婚当時からの夫婦共通の夢でした」そう話すのは、遠藤節夫さん。忙しい仕事の合間を縫って50代から土地探しをスタートし、“週末田舎暮らし”を始めたのが60代目前。10年前に自営業をたたんだのを機に、田舎での畑仕事がメインの暮らしにシフトした。「どんなに疲れていても土をいじるだけでリフレッシュできていましたから、今の暮らしが楽しみで仕方ありませんでした。とはいえ畑仕事は初めてで、最初はへっぴり腰を笑われましたが、失敗しては本や先達から学び、なんとか納得のいく作物ができるようになってきました。土も手をかければかけるほどよくなる。畑仕事の合間に果樹を育てたり、薪小屋をつくったり、とにかく毎日が発見です」畑を担当しているのが、節夫さん。その作物をどうおいしく調理し、ときに加工し、保存するかを考えるのが、妻のみどりさん。「育てた作物から、かんぴょうやこんにゃくづくりにも挑戦していますが、手前みそながら、これが本当においしくて。その手間をかけられるのも、この年代だからこそですよね。畑でとれる野菜も、土がよくなるにつれてどんどんおいしくなり、それをいただく私たちも元気になっていく。食の大切さを、今さらながら感じています。2人とも食いしん坊で、現役時代はストレスもあったのでしょう。節夫さんは体重が100キロもあったんです。病気にならないかとハラハラしていましたが、この暮らしを始めてから、ダイエットもしていないのに30キロ減って。これもいいごほうびですね」現在、生活費のメインは年金で、2人で15万円ほど。「畑からの収穫があるので、食費は最低限です。水は井戸水、暖房は太陽光を利用した床暖房と薪ストーブ。薪は近くの方からいただいた木材を利用しているので、光熱費もそれほどかかりません。限りある資源をどう有効活用するかを考えるのも楽しみのひとつですし、本当に必要なものしか買わなくなりました。」と、みどりさん。作物は少量多品目、コンポストで安全な肥料をつくり、果樹を植え、住まいは平屋の1LDK。「これが、必要十分。『ときを貯める』という言葉が好きで、土もそうですが、お金ではなく時間をかけることで豊かになることを実感しています」と、節夫さんは言う。朝の散歩と食事は夫婦一緒に、あとはお互いの自由時間。それぞれのときを、存分に楽しんでいる。「女性自身」2020年11月10日号 掲載
2020年10月30日お笑いコンビ・霜降り明星のせいやが16日、コンビの公式YouTubeチャンネル「しもふりチューブ」に公開された動画で、老後のビジョンについて語った。「老後のビジョンはある?子供は欲しい?60歳以降の夢が意外すぎる!!【霜降り明星】」と題して公開された動画で、せいやは「老後のビジョン」として、「芸人ももちろん頑張るっていうのは大前提。師匠になったり、劇場に出たりしたい」としたうえで、「大学の客員教授がしたい」と語った。せいやは「俺、大学めっちゃ好きやねん、大学に行ってたし。先生になろうと思ってん、もともと。教壇に立ってみたいねん。教壇に立って、今から何にでもなれる可能性のある人たちと歳とってから関わりたいのよ」と熱弁。「だから、どこかで本とか出したり、自分なりに論文を書いたり、客員教授になるためのステップを踏まなあかん」と、具体的なプランも明かした。そして、「おもろい大学の先生」になりたいと述べ、「おっさんになって大学の名物講師になるのが夢やな」と願望を口にした。
2020年10月17日住宅の購入の援助、孫の教育資金、孫一家を連れての旅行など思わぬ出費で老後資金が底を尽く。社会のひずみが生み出している側面もあるが「孫かわいさ」はほどほどにーー!「孫にお金を使っているうち、老後資金がいつの間にか消える『孫破産』という悲劇が増えていることをご存じでしょうか?」こう話すのは、老後資金の問題にくわしいファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん。孫で破産する?にわかに信じられないが、多くの祖父母世代に「孫破産」は忍び寄っていると、長尾さんは警告する。「第一生命経済研究所の『シニア夫婦世帯の別居家族との交流に関する調査』(’16年)によると、孫と一緒に旅行した場合、8割以上が祖父母が多く費用負担をしたという結果が出ています」この調査では、自分の老後資金について「家計にゆとりはなく、多少心配である」または「家計が苦しく、非常に心配である」と答えた人でも、75.8%の人が費用負担をしていると答えている。「6人分(祖父母、親夫婦、孫2人)の旅行費は、1回30万円以上。海外旅行だと100万円近くかかります。こんな使い方をしているうちに、老後資金と思って準備しておいたお金がドンドン減っていき『孫貧乏』になっているシニア世代が増えている。これがなにかのきっかけで『孫破産』へと転落してしまうのです」こうした「孫破産」を防ぐにはどうしたら、よいか?長尾さんは3つの提案をする。【1】見えを張らない「子ども夫婦の相手親と競うことはありません。自分の余裕資金の限度で付き合うべきです」【2】孫に使う限度額を設定「外食や旅行で年間30万円までなど、家計に『孫枠』を作っておけば使いすぎは防げます」【3】子どもや孫は介護してくれないと心得よ「老後、いま手元にある資金から、今後の生活費を除いた金額が余裕資金と考えがちですが、介護になったら、お金はいくらでも必要。そう考えると、孫に回せる資金はほとんどないと考えるべきです」孫と一緒にいるのは、生きがいにもつながる大切なこと。しかし生活が苦しくなるまで老後資金をつぎこむのは本末転倒。すべてはほどほどが無難のようだ。「女性自身」2020年10月27日号 掲載
2020年10月17日「孫にお金を使っているうち、老後資金がいつの間にか消える『孫破産』という悲劇が増えていることをご存じでしょうか?」こう話すのは、老後資金の問題にくわしいファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん。孫で破産する?にわかに信じられないが、具体的な例をもとに、長尾さんに解説してもらおう。■孫のために住宅支援贈与をしたばかりに、自宅売却!50代のAさん夫婦には2人の息子がいた。ともに独立、結婚し、孫も誕生。Aさん夫婦は毎月、どちらかの孫と週末を過ごす幸せな日々を送っていた。「先に長男が住宅の購入のため、お金の援助を求めてきました。いまは住宅取得資金贈与の特例で500万円までは非課税になります。長男の嫁の両親は、これを利用して500万円支援してくれるというのです。相手の親に対する見えもあり、Aさん夫婦も老後資金から500万円を長男夫婦に贈与せざるをえませんでした」すると、続けて次男から「実家の近所に住むから、これからは毎日、孫と会えるよ」と、住宅購入支援の話がくる。長男に500万円贈与したので、当然、次男からも同じ金額を期待され、老後を万全にと貯めていた虎の子の1,000万円が泡のように消えた。貯金が底をついたその矢先、新型コロナ不況が直撃。Aさんの仕事先が倒産。自宅のローンが払えなくなってしまったという。「長男、次男も自分たちの生活にきゅうきゅうとしていて、とても親を助けられる状況にはありません。やむなく、Aさんは自宅を手放すことになったのです」これが典型的な「孫破産」。新型コロナがなければこうした悲劇は起きなかったかもしれないが、そもそも孫かわいさから、老後資金を使ってしまわなければ、自宅を手放すこともなかったのだ。「アットホーム『住宅購入時の“親の資金贈与”実態調査』によると、親からの平均贈与額は平均564万円。親が同じ地域に住む場合は、さらに増えて平均642万円です。贈与額500〜600万円が全体の22.9%で、1,000〜1,500万円も13.0%にのぼります。近くに家を建てると、支援額が増えるのは、これは孫がそばに住んでくれるということや自分の介護を頼みやすいからということの表れでしょう。決して、Aさんの事例はひとごとではありません」孫と一緒にいるのは、生きがいにもつながる大切なこと。しかし生活が苦しくなるまで老後資金をつぎこむのは本末転倒。すべてはほどほどが無難のようだ。「女性自身」2020年10月27日号 掲載
2020年10月17日「孫にお金を使っているうち、老後資金がいつの間にか消える『孫破産』という悲劇が増えていることをご存じでしょうか?」こう話すのは、老後資金の問題にくわしいファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん。孫で破産する?にわかに信じられないが、具体的な例をもとに、長尾さんに解説してもらおう。■孫の大学入学費用を肩代わりして生活保護に70代のBさんは、先日、夫を亡くし、月6万円の老齢基礎年金とわずかな貯金で、細々とアパートで一人暮らしをしていた。いちばんの楽しみは高校生になる孫の成長を見守ることだった。「ところが3年前、娘夫婦が離婚し、シングルマザーになったことから、歯車が狂いだしました。娘はパートで必死で働いていますが、生活は困窮。『孫の大学入学金が払えない』と、Bさんのもとに、娘がお金を無心にきました」孫の大学入学費用は初年度学費も合わせて、約100万円。「それさえ払えれば、あとは奨学金とアルバイトで卒業できる」と言われ、Bさんは、手元にあったなけなしの貯金を渡したという。いくら女性の一人暮らしとはいえ、月6万円の年金だけでは生活は立ち行かない。貯蓄が尽きた彼女は生活保護を申請し、年金と生活保護の受給で、なんとか生活を維持しているとか。「Bさんのように、子どもがシングルマザーになると、孫の進学もままならなくなる。祖母として、自分を犠牲にしても、孫の手助けをしたいという気持ちは痛いほどわかります。老齢基礎年金だけでは生活できないという社会保障の問題も含め、社会のひずみが『孫破産』を生み出しているという一面もあるといえそうです」孫と一緒にいるのは、生きがいにもつながる大切なこと。しかし生活が苦しくなるまで老後資金をつぎこむのは本末転倒。すべてはほどほどが無難のようだ。「女性自身」2020年10月27日号 掲載
2020年10月17日少子高齢化が進み、公的年金だけでは老後の生活が成り立たないと、ほとんどの人が不安を感じています。特に、国民年金だけで厚生年金のような上乗せがない自営業者は、より一層不安が大きいことでしょう。今回は、自営業者の人の老後の支えになる公的年金の基礎知識と、老後のための自助努力について解説します。自営業の公的年金制度についての基礎知識厚生労働省ホームページ国民年金の年金額はどのくらい?公的年金でもらえる金額は?では、国民年金の年金額は厚生年金に比べてどのくらい少ないのでしょうか。厚生労働省が公開している「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、会社員などの第1号厚生年金被保険者に対する厚生年金の平均支給額は、月に143,761円です。これに対し、国民年金の平均支給額は月に55,809円です。夫婦ともに国民年金の世帯では、月当たりの年金額が10万円強ということになります。これでは、住宅ローンなどもなく質素な暮らしをしたとしても、生活していくことは難しいでしょう。もちろん、健康であれば働けるだけ働くことも可能ですし、それが自営業のメリットでもあります。ただ、将来にわたって健康である保証はなく、若いうちから年金増額対策をコツコツ積み重ねることは必須といえます。自営業者が加入できる年金の上乗せ制度とは?それでは、具体的に自営業者が年金上乗せの自助努力として利用できる制度について見ていきましょう。自営業者が利用できる年金対策の制度は主に以下のようなものがあります。iDeCo(個人型確定拠出年金)小規模企業共済国民年金基金[adsense_middle]iDeCo(個人型確定拠出年金)iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、個人である加入者が掛け金を積み立て、自分で選んだ商品で運用を行い、60歳以降に年金または一時金として受け取ることができる私的年金制度です。運用の成果によって、将来受け取る年金額は変化します。iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入条件iDeCoは原則として日本在住で20歳以上60歳未満、国民年金や厚生年金などの公的年金に加入している人であれば加入できます。iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛け金iDeCo(個人型確定拠出年金)は月々5,000円以上1,000円単位の掛け金から始めることができます。掛け金には上限額があり、自営業者の場合は月額68,000円が上限となっています。iDeCo(個人型確定拠出年金)のメリット掛金が全額所得控除iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛け金は全額、所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となります。この節税メリットはiDeCo(個人型確定拠出年金)の最大の魅力といっても過言でありません。個人の税引き後の資金で運用するのに比べ、断然有利になります。運用益に対して非課税個人の資金を投資信託などで運用した場合、運用益に対して所得税が課税されますが、iDeCoでの運用益には課税されません。受取時にも税制優遇60歳以降にiDeCoの積立金を受け取る場合、分割して受け取る年金方式と一括で受け取る一時金方式、または両者の併用から選ぶことができます。年金の場合は公的年金等控除、一時金の場合は退職所得控除の対象になります。インフレ対策が可能iDeCoでは株式や不動産(リート)などに分散投資が可能となっており、老後までに徐々にインフレが起ったとしても対策することができます。iDeCo(個人型確定拠出年金)のデメリット60歳まで引き出しできないiDeCo(個人型確定拠出年金)の積立金は原則として60歳になるまで引き出しはできません。iDeCo(個人型確定拠出年金)は老後資金を自助努力で準備する制度であるため、税制が優遇されています。それゆえ、目的外の資金の利用は制限されるのです。また、一度加入すると、掛金の減額はできますが脱退はできません。元本保証ではないiDeCo(個人型確定拠出年金)の運用は加入者が自ら行います。運用商品の中には元本保証でない投資信託も含まれます。運用がうまくいけば高い収益を得ることができる半面、場合によっては元本割れを起こす可能性もあります。ただ、iDeCoの毎月定額での運用商品の買い付けは長期で続けるほど平均購入単価が下がり、リスクを抑えることにつながります。小規模企業共済小規模企業共済とは、個人事業主や会社役員などが事業を廃止・会社を退職する際に、それまで積み立てた掛金に応じて給付金を受け取る退職金制度のことです。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営しており、全国で約132万人の加入者がいます。小規模企業共済の加入資格常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主および会社の役員小規模企業者たる個人事業主に属する共同経営者(個人事業主1人につき2人)一定規模以下の企業組合・協業組合及び農業組合法人の役員常時使用する従業員が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員なお、加入年齢の制限はありません。小規模企業共済の掛金毎月1,000円以上で500円単位で自由に設定可能で、上限は月額70,000円です。増額、減額も可能です。小規模企業共済のメリット積み立てた以上の金額が受け取れる事業の廃業や退職時に、それまで積み立てた金額を「共済金」として受け取ることができます。20年(240ヶ月)以上積み立てていれば、掛金の支払額以上の給付が見込めます。掛金が全額所得控除小規模企業共済の掛け金は全額、所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となります。受取時にも税制優遇小規模企業共済の共済金を受け取る場合、分割して受け取る年金方式と一括で受け取る一時金方式、または両者の併用から選ぶことができます。年金の場合は公的年金等控除、一時金の場合は退職所得控除の対象になります。契約者貸付制度あり払い込んだ掛金の範囲内で、無担保・無保証人にて事業資金の貸付けが受けられます。小規模企業共済のデメリット掛け捨てと元本割れのリスクあり納付月数が12ヶ月(1年)未満で解約となった場合は掛け捨てになります。また、加入期間が20年未満の場合は、元本割れしてしまいます。国民年金基金国民年金基金とは、国民年金の第1号被保険者が任意に掛金を拠出することによって将来の年金受給額を増やす制度です。各都道府県ごとに設立された「地域型国民年金基金」と、同じ職種ごとに全国規模で設立された「職能型国民年金基金」があります。国民年金基金の加入資格20歳から60歳になるまでの間の人で、国民年金の保険料を納めている第1号被保険者日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の国民年金任意加入被保険者国民年金基金の掛金掛金月額は加入時に選択した給付の型、口数、年齢、性別に応じて変わりますが、将来も一定です。国民年金基金のメリット掛金が全額所得控除国民年金基金の掛け金は全額、所得控除(社会保険料控除)の対象となります。将来、受け取る年金額が確定している国民年金基金では加入時の予定利率が将来にわたって変わらないため、将来受け取る年金は運用状況などによって変動することはありません。終身年金を選択できる国民年金基金に加入する場合、少なくとも最初の1口目は、終身年金を選択することが必要です。終身年金は一生涯、年金を受け取ることができます。そのため、長生きのリスクに対応することが期待できます。国民年金基金のデメリット一度加入すると解約できない国民年金基金への加入後は原則として解約できません。掛金の支払いが困難な場合は、減額や支払い猶予を利用できます。インフレ対応ができない国民年金基金の予定利率は加入時から将来にわたって変わらないと述べました。これは、将来の年金額が確定しているということであり、インフレによる物価上昇には対応できません。国民年金基金は遠い将来のための制度ですが、将来のインフレリスクに対応できないことは大きなデメリットといえます。自営業者の年金に関するまとめ自営業者の老後の公的年金は国民年金しかないため、それだけで生活していくことはほぼ不可能です。対策としては働けるうちは働き、働いている間に国民年金だけでは足りない部分を自助努力で準備することが考えられます。自助努力のために活用できる主な制度は、iDeCo(個人型確定拠出年金)、小規模企業共済、国民年金基金があり、それぞれにメリット、デメリットがあります。加入を検討する際は、自分が重視する点は何かなどをよく考えましょう。
2020年09月02日2019年6月に金融庁の報告に端を発した「老後2000万円問題」ですが、老後資金について不安に思ったり、対策を考えたりする機会になった人もいる一方、よく分からないのでそのままという人もいらっしゃると思います。 今回は、「老後2000万円問題」と老後に必要な金額の考え方について、子育て世帯の皆さんが老後資金を考えるきっかけにしていただければと思います。 「老後2000万円問題」とは?「老後2000万円問題」とは、金融庁が2019年6月3日に提出した報告書の中で、95歳まで生きるには平均的な夫婦で約2000万円が必要になるとの試算を示したことに麻生太郎金融担当大臣が金融庁に対して撤回を求め、後に金融庁が撤回したことが話題になり、老後資金が年金だけでは不足することが問題とされた事柄です。 メディア等で「老後に2000万円足りない」のフレーズだけが繰り返し伝えられたため、老後は年金だけでは足りないとの印象が多くの人に残りました。実際には、老後に2000万円足りないかどうかは、ご家族の構成や退職時の年齢、退職金の有無や老後にかけたい費用など条件はそれぞれ異なりますので、2000万円で足りない人もいれば、半分の1000万円でも足りる人もいます。 老後に必要な金額の考え方は?子育て中のご家庭は、お子さんの教育や生活に費用がかかるため、老後まで目が向かないことも多いのですが、ライフプランにおける三大費用(準備資金)は、「教育費用」「住宅費用」「老後費用」の3つといわれています。お子さんが小さいころは「教育費用」「住宅費用」の割合が高いのは問題ありませんが、お子さんの成長とともに「教育費用」から「老後費用」に割合を変えていけるかどうかを早いうちから考えることができるとよいでしょう。老後に必要な資金の考え方は、月の老後の想定生活費(想定できない方は現在の生活費の60%~80%程度)×老後の年数×12カ月+老後の生活費以外のイベント費用(家のリフォーム・旅行費用など)となります。例えば、現在の月額生活費が25万円、老後の生活費を70%の17.5万円と仮定し、老後の年数を25年、老後のイベント費用を300万円とした場合、17.5万円×12カ月×25年+300万円=5,550万円となります。これをすべて用意する必要はなく、年金と退職金を差し引いて不足した金額が老後に必要な金額となります。例として、夫婦で受け取れる年金が年額180万円、退職金が500万円とした場合、180万円×25年+500万円=5,000万円となりますので、不足している金額は550万円となります。 これを一度に用意すると大変ですが、これを30年で用意できるとしたら、利息を0とした場合でも月15,300円の積立で可能です。 上記の計算はあくまでも一例ですので、実際の金額や年数はそれぞれ異なりますので、ご自身やご家族の状況を踏まえて判断しましょう。 現状と将来の予定を確認しましょう老後に必要な金額は人それぞれですが、これを把握するためのポイントは以下のとおりです。【1】現在の生活費を確認しましょう(老後の生活費を想定する場合は子どもの教育費・生活費は含まず計算しましょう) 【2】老後の年数を確認しましょう(年数を決められない場合は、退職から90歳までの年数を目安にしましょう) 【3】老後のイベントを確認しましょう(リフォーム、旅行、趣味、介護など費用から必要なものを設定しましょう) 【4】年金の金額を確認しましょう(ねんきん定期便やねんきんネットで確認・試算をしましょう)【5】退職金制度を確認しましょう(退職金は約8割の企業で実施しています。金額や制度を確認しましょう) 【6】老後までの年数を確認しましょう(不足している老後資金を積み立てできる年数となります) 【1】〜【6】のポイントを前項の計算例に置き換えると、ご自身の老後に必要な概ねの金額が計算できますので、ご参考になさってください。 子育て世代は目の前の教育費や住居費の割合が高いのは一般的ですが、老後はいずれやってきます。お子さんが独立してから準備しても間に合う人もいれば、同時進行で老後資金を準備する必要がある人もいます。この記事をきっかけに老後に必要な金額を確認いただければと思います。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2020年08月07日老後2,000万円が不足するとの報道が出て以降、老後資金について心配する人が増えているようです。実際のところ、老後にはどのくらいの金額が必要になるのでしょうか。本記事では、老後のために備えておくべき金額の目安や考え方、具体的な貯蓄方法について、実際の事例を紹介しながら詳しく解説します。老後資金の蓄えはなぜ必要か老後の生活資金というと、真っ先に年金を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。「老後は年金をもらうから、老後資金の準備なんて必要ない」、なんて思っている人は少なからずいるのではないかと思います。そんな風に思っている人に質問です。みなさんは老後にいくら年金をもらえるかご存知でしょうか。年金事務所などから定期便で支払い状況が送られてきますが、見てもイマイチいくらもらえるのかわからない、と思っている人は多いのではないかと思います。ここからは平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況をもとに解説します。共働き世帯の夫婦が定年退職後もらえるお金夫婦が共働きの会社員だった場合、もらうことができる年金は次のようになります。ちなみに、20歳から60歳までもれなく保険料を納めた場合の金額です。男性:平均受給月額165,000円女性:平均受給月額103,000円会社員の場合は、国民年金のほかに厚生年金がもらえるので、自営業者に比べるともらえる年金額が多くなります。内訳としては、国民年金で約56,000円が支給され、残りの部分が厚生年金部分です。厚生年金部分は収入に応じて金額が変化するため、女性よりも男性の年収のほうが高い傾向になるので上記のように差が出ます。夫婦合わせればある程度の生活は可能かもしれませんが、仮に独身者だったとすると新卒の初任給にも満たないような金額ですから、現役時代を比べてかなり生活レベルは落ちてしまうことが予想されます。自営業者1人世帯の年金額とは年金額で注意が必要なのが自営業者の方です。自営業者は厚生年金に加入していないので、月額の受取額は約56,000円しかありません。正直なところ金額的にはバイト代のような水準なので、とても生活費が足りるとは思えませんよね。貯蓄などの蓄えが一切ない状態で老後を迎えてしまうと、事実上生活していくことができないと思う必要があります。資産形成か生涯現役かかつての老後生活というと、定年退職して悠々自適の生活を送るイメージがあったかもしれませんが、現在では退職金制度がない企業も増えてきたこともあり、定年退職せずに生涯現役で働くことが想定されてきています。そのため、定年退職後に楽しく気ままに余生を送りたいと考えているのであれば、若いうちからしっかりと資産形成しておくことが必須なのです。このように国民年金の水準が非常に低いのは、事前の資産形成か生涯現役のどちらかを国民に迫っているからといえるでしょう。定年後までに準備すべき金額の目安事前の準備なくして悠々自適な老後はないことがお分かりいただけたところで、次に具体的な金額について考えてみましょう。一体老後はいくらの収入があれば、問題なく暮らしていけるのでしょうか。老後必要になる金額についてはさまざまな推計がされていますが、大前提として考えなければならないのが今現在の消費支出額です。よく年収別に必要となる消費支出の目安について論じられることがありますが、実際のところ消費支出額を考える上で大切なことは、自分自身の生活水準を把握することにあります。夫婦共働きしていた世帯なのか、自営業者の1人世帯なのかによって受け取れる年金額に大きな差が生じることから、準備すべき目安となる金額は世帯によって変わってきます。夫婦2人暮らし世帯の必要額平成29年の総務省「家計調査報告(家計収支編)」によると、高齢者夫婦世帯が1ヶ月に消費する金額の平均は合計で263,717円だそうです。夫婦が現役時代に共働きだったとすると、年金月額は268,000円なのでギリギリ足りる可能性がありますが、医療費が変動する可能性も踏まえて考えると、予備費として毎月3万円程度は確保しておきたいところです。そうすると年間で36万円、老後生活20年と仮定して720万円程度が事前に準備すべき必要額といえます。自営業の単身世帯の必要額自営業で単身者となると、年金額は国民年金の約56,000円なので生活費としては全く足りなくなります。仮に年間200万円で生活すると仮定したとしても、年金で賄えるのは672,000円だけで、残りの1,328,000円は別で準備しなければならないのです。ここまでの金額になると、貯蓄を切り崩すだけでは非常に厳しいので、老後もある程度の収入が得られるような対策が必要になってきます。そうはいっても、現役世代の方からすると、老後資金の不足と聞いてもなかなか実感が湧かないのではないでしょうか。そこで次項では、老後生活を甘く見ていたせいで生活が破綻しかけてしまった事例についてご紹介したいと思います。下流老人が増えるわけ最近下流老人が増えているという報道を時々耳にします。下流老人とは生活水準が低い老人のことで、悠々自適とはほど遠い老後を送っている人たちのことをいいます。下流老人と聞くと、現役時代もあまり高給取りではなかったのではないか、と思うかもしれませんが、実は下流老人の多くは年収800万円以上稼いでいた一流サラリーマンだったケースも多いのです。では、なぜそんな人まで下流老人になってしまうのでしょうか。[adsense_middle]下流老人の実例私が実際に聞いた実例についてお話ししたいと思います。現役時代は年収1,000万円という高給取りだったXさんが定年退職された後の話です。結論からいうと、この方は最終的に自己破産のスレスレまで行ったのですが、その原因がなんだったのかについて探ってみましょう。高額の退職金が出たのに一流企業に勤務していたXさんは、定年退職する際に2,000万円ほどの退職金が支給されました。これだけでもかなり高額ですが、そのほかにも現役時代の預金として500万円を蓄えていたそうです。一見すると老後の好スタートを切っているように見えるかもしれませんが、Xさんは退職金と預金の一部を使い、老後の住まいとして都心部のタワーマンションを購入したのです。そして、これがのちに大きな痛手となります。引越した当初は、年金と貯蓄で十分生活ができていて何不自由ない生活を送っていたのですが、あることをきっかけに少しずつ歯車が狂い始めます。妻の認知症が発覚老後生活を始めた間もなく、奥さんが認知症になってしまい、自宅での介護が難しいと考えたXさんは奥さんを介護施設へ入所させることを選択したのです。介護施設は費用が安いところはなかなか入所ができない状況で、契約したところは月額10万円以上するような施設しか見つかりませんでした。それでもXさんは年金でまかなえるだろうと見込んで、奥さんの介護施設への入所を決断したのです。増える医療費で生活が維持できない奥さんの介護施設への費用を支払うと、生活に当てられる金額はわずか数万円だったそうです。それでもなんとか人並みの生活はできていたそうですが、Xさんを次なる不幸が襲います。持病の腰痛が悪化し、病院への定期的な通院が必要になり、月額の医療費がかさみ始めたのです。若いうちは医療費といっても、大きな手術をしなければそこまで多くの金額がかかることがないため、真剣に向き合う機会が少ないかもしれません。老後の医療費というのは若いころとは違い、治療して終わりというものではなく、数年や一生涯治療を継続していかなければならない持病にかかってしまうことがよくあるのです。今は医療が進歩しているので、かなり多くの病気は治療によって助かるようになりましたが、その一方で助かるが故の継続的な医療費負担という問題が出てきています。例えば、がんでも手術で除去して終わればよいのですが、継続的に薬などで治療が必要になるケースでは、医療費がランニングコストとして重くのしかかるのです。医療費は健康や命に関わる部分なので、支出の中でもどうしても削ることができません。Xさんの事例のように、自身や家族が病気になったことで生活が維持できなくなったという人は少なくないのではないでしょうか。消費者金融からの借り入れは危険結局Xさんは年金だけでは生活が維持できなくなったせいで、ついに消費者金融から借金をすることになってしまいました。最初は数万円程度で軽い気持ちだったようですが、毎月のキャッシュフローが赤字だと、借金も毎月積み重ねていくことになってしまうので、気がついたときには数百万円の借金ができてしまったのです。子供に相談すればよかったのではと思う人もいるかもしれませんが、現役時代にそれなりの収入があった人ほど子供に頼りたくないと強く思う傾向があります。この方も子供に迷惑をかけたくないという理由から、相談はしなかったそうです。自宅を売却して賃貸にXさんは最終的には老後の住まいとして購入したタワーマンションを売却し、それで得たお金を使って借金を完済し、自身は家賃6万円程度のアパートに引越したそうです。しかも、売却価格は購入時の7割くらいにまで落ちてしまったため、実質的には退職金をほぼ失ったような形になってしまいました。幸い自己破産を免れたそうですが、人によってはこのような状況で自己破産に追い込まれてしまう人は少なくないのではないでしょうか。老後生活の困窮を回避する3つのポイントXさんの実例をもとに、老後安定した生活を送るためのポイントについて考えてみたいと思います。ポイント1:退職金を一気に使い切らない退職金が出る人は非常にラッキーですが、今回の事例のように一括でマンションを買うなど一気に消費してしてしまうと、その時はよくてもXさんのように奥さんの認知症など後発的な状況に対応できなくなる可能性があります。そのため、退職金はできるだけ全額を使うことはせず、ある程度の金額を手元に残しておくことをおすすめします。また、どうしても新居の購入やリフォームなどでまとまったお金を支出する際には、事前に人間ドックを受けるなどして自分や家族の健康状態を把握してから判断するほうがよいでしょう。ポイント2:医療費を甘く見ない老後生活を脅かす1つの原因が医療費負担です。若いころはそこまでかからなくても、定年後の医療費は非常に大きな負担となります。特に注意が必要なのが薬です。がん治療などで使用する薬は高額なものも多く、1粒数万円というものもよくあるので、たとえ命が助かったとしても生活が助からないということも十分ありえます。ポイント3:家族に相談するさまざまな対策をとったとしても、何らかの事情で生活が回らなくなることも十分考えられます。このような場合、Xさんのように1人で抱え込んでしまうとさらに傷口が広がってしまうので、できるだけ家族に早い段階で相談して解決させることが大切です。老後生活資金を準備する方法老後生活を豊かに安定的に過ごすためには、やはり準備が必要なことは間違いないでしょう。ただ、準備といってもただ貯蓄しておけばいいという単純な問題でもありません。老後のためにできることには、大きく分けて次の3つがあります。[adsense_middle]年収の3倍程度の貯蓄人によって個人差はありますが、できれば最低でも年収の3年分程度の貯金があると非常に安心です。実際はもっと必要になることのほうが多いですが、あまり多くの金額を貯蓄に回そうとすると、現役世代のときの生活レベルが落ちてしまうので、無理をしすぎない範囲で3年分を目安にしましょう。なお、退職金制度がある会社であれば、その分貯蓄に回さなければならない金額は減ります。ただ、途中で転職する可能性も含めて考えると、あまり退職金ありきの資産形成はお勧めではありません。医療保険に加入する30代後半くらいからは、高額な医療費リスクをヘッジするために医療保険への加入も検討しましょう。若くして手術をしたり入院したりすると、医療費はもちろんですが収入が途絶えることになるので老後どころではありません。特に40歳を過ぎると持病なども発覚し始めるころなので、できれば保険料が安くて加入できるうちに加入しておくと、将来の医療費に対してリスクヘッジできるでしょう。収入源を作る今の日本で老後を迎える場合、最も重要といえるのがこれです。老後の収入源が年金しかないと、生活レベルはどうしても落ち込みますし、医療費が賄えなくなる危険性もあります。人生100年時代をいわれる昨今、65歳の定年退職後も何らかの収入源を確保しておくことが、老後資金対策としてとても大切です。例えば、現役時代の収入があるときに賃貸物件を購入しておき、老後はその家賃収入を生活費にあてるやり方がよく用いられます。そのほかにも株式投資による配当金や個人年金など、老後も定収入を生み出す方法がいくつかありますので、ぜひ早めから実践してみるとよいでしょう。専門家に相談することが大切これらの対策を講じる際には、必ずファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してから始めることが大切です。ベストな対策はご家庭によって変わってきますので、より効果的に老後資金対策をするには、まず専門家に自分自身の家計をベースに診断してもらうことから始めるとよいでしょう。対策のベースとなる情報が違っていたら的外れな対策になってしまうので、必ず何かを始める前に現状把握から始めることが大切です。老後資金にいくら必要かに関するまとめ今回は老後資金対策について解説してきました。年金だけで老後がやりくりできると考えていると、気がついたときには下流老人になっている可能性があります。早いうちから対策をとることで、老後も現役時代と同じくらいの水準で余生を送れる可能性がありますので、まずは早めに専門家に相談してみましょう。
2020年07月25日9月18日(金)の公開を予定していた天海祐希主演の『老後の資金がありません!』が、公開時期を来年に延期することが発表された。今回、昨今の新型コロナウイルスに関連する社会状況を鑑みて協議をした結果、公開時期を来年に延期することが決定。今後の公開予定については、決定次第、速やかに告知される。本作は、天海さんが老後資金問題をはじめ、あらゆる問題が立て続けに襲ってくる中、悩みもがき奮闘しながらも逆境に立ち向かう主婦を演じ、コメディエンヌぶりを発揮していることでも話題。浪費家の姑を名女優の草笛光子、定年間近で会社が倒産し失業に陥る夫役を名バイプレイヤー・松重豊が演じるほか、突然結婚相手を連れ、派手婚を報告する娘役を新川優愛、その結婚相手を加藤諒、大学生の息子役を瀬戸利樹が演じるなど、豪華キャストが集結している。『老後の資金がありません!』は2021年公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:老後の資金がありません! 2021年、全国にて公開©2020映画『老後の資金がありません!』製作委員会
2020年07月13日天海祐希が老後資金問題をはじめ、あらゆる問題が立て続けに襲ってくる中、悩みもがき奮闘しながらも逆境に立ち向かう主婦を演じる映画『老後の資金がありません!』。この度、本作初の映像となる特報、第2弾キャストとして草笛光子、松重豊、瀬戸利樹、加藤諒、高橋メアリージュン、三谷幸喜ら19名が発表された。今回新たに発表された19名が演じるのは、天海さん扮する主婦・後藤篤子を翻弄する(!?)個性的な登場人物たち。まず篤子の家族には、篤子たちと同居する浪費家の姑・芳乃役を、日本を代表する名女優の草笛光子。定年間近で会社が倒産し失業に陥る夫・章役を、現在放送中のミニドラマ「きょうの猫村さん」が話題の名バイプレイヤー・松重豊。突然結婚相手を連れ、派手婚を報告する娘・まゆみ役を新川優愛。家庭内のムードメーカーで大学生の息子・勇人役を瀬戸利樹が演じる。また、まゆみの結婚相手でヘビメタバンドマン・松平琢磨を加藤諒、篤子の主婦友達・神田サツキを柴田理恵、篤子と対立する章の妹・志津子を若村麻由美、志津子の夫・秀典を石井正則。そのほか、葬儀社の社員役で友近、ヨガ教室の講師役でクリス松村、シングルマザーのキャバ嬢役で高橋メアリージュン、琢磨の両親役で佐々木健介と北斗晶、篤子の両親役で竜雷太と藤田弓子、章の元同期役で哀川翔、本作のキーともなるサツキの父役で毒蝮三太夫、区役所委員役で三谷幸喜、本人役で荻原博子(経済ジャーナリスト)が出演する。篤子を振り回す最大の原因でありながらも、どこか憎みきれない姑を演じた草笛さんは「前田監督と最初にお会いした時に『草笛さんは役作りせずそのままで』と言われました。女優にとってこれほど難しい注文はありません。続けて『そのままで十分おかしいですから』と。劇中ではとんでもない姿をお見せするのですが『もうどうにでもなれっ』と飛び越えてしまった感じ。私の姿を見てみなさんはどう思われるでしょうか、私も早く見たいような怖いような」と話し、「色々な意味でこんな作品は初めて。私にとっては恐ろしい映画です」とコメント。前田哲監督は「80歳を過ぎても現役バリバリのザ・女優である草笛光子さんには、今までやられたことのない、ありえない!ことにトライしてもらいました。時に大胆に時に繊細に全身全霊で役に取り組み、いきいきと楽しんで演じるチャーミングな姿に、スタッフもキャストも、まるで『映画の女神』のようだと驚嘆でした」と草笛さんの出演について語っている。また同時に到着した特報映像では、頭を悩ます主婦・篤子をはじめ、その悩みの原因ともなる家族たちが登場。さらに篤子が、浪費家の姑の高額なカフェ代にストレス爆発!「お安くないんじゃ!」とブチ切れるシーンも映し出されている。『老後の資金がありません!』は9月18日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:老後の資金がありません! 2020年9月18日より全国にて公開©2020映画『老後の資金がありません!』製作委員会
2020年05月14日平均寿命は女性がおよそ87歳、男性がおよそ81歳。長い老後はそのまま介護の長さに直結する。“ホントのところ”いくらくらい費用がかかるのか。実例をもとに学ぼう!「老後の介護資金を考えるとき、施設のパンフレットに記載される入居一時金や月額利用料ばかりに目を奪われる人が多いです。しかし貯蓄、年金収入、自宅の売却、利用者の健康状態、家族のサポートなど、それぞれの家庭ごとに異なる事情も考慮して、計画を立てなければなりません」こう語るのは、介護施設コンサルタント業務を請け負うスターパートナーズ代表の齋藤直路さんだ。「長寿社会の現在、あなたの親やあなた自身の介護を考えるとき、90歳や100歳まで生きることを前提にした計画を立てることが必要になってきます。長生きすることはうれしいですが、結果、資金的に追い詰められるリスクも……。介護施設に入居した人が、資金が尽きて、ふたたび家庭に戻るという例も最近は聞くようになりました」人生には想定外のことが起こるもの。だからこそ、さまざまなケースを知る必要がある。そこで、介護経験のある家庭の聞き取り取材をもとに、具体例を作り、その総費用を算出した。介護費用はすべて自己負担が1割の場合の金額だ。「介護は本人ばかりでなく、家族全体の問題です。これを機に親子や夫婦で話し合ってほしいですね」【ケース1】母が「高級有料老人ホーム」に入居した場合東京都内に住むEさんの母親は、ローンを完済した一戸建て住まい。十分な貯蓄もあり、遺族厚生年金と基礎年金を月15万円受給していた。そのため、75歳の母が「一人暮らしが不安。建物がきれいで、食事もおいしい介護付き有料老人ホームを見つけたので入りたい」言いだしたときも、Eさんは特に心配しなかった。実家を売って作った3,000万円と2,000万円の貯蓄と合わせて5,000万円の資金とし、念願の高級有料老人ホームに入ったEさんの母。75歳から80歳までは要支援2をキープし、楽しい毎日を過ごしていたが、物忘れが目立ち始めた81歳で要介護1に。そのころからレクリエーションに参加する機会も少なくなった。その後、83歳で要介護2、85歳で要介護4と上がり、87歳で天寿をまっとう。資金残高がゼロになり、年金で足りない分はEさんが資金援助する結果になった。【介護でかかった費用】・入居金3,000万円■75~80歳(要支援2)・介護費用:1万2,000円・施設の月額利用料(管理費・食費込み):25万4,000円・レクリエーション費:3,000円・合計(月額):26万9,000円■81~82歳(要介護1)・介護費用:2万円・施設の月額利用料(管理費・食費込み):25万4,000円・合計(月額):27万4,000円■83~84歳(要介護2)・介護費用:2万2,500円・施設の月額利用料(管理費・食費込み):25万4,000円・合計(月額):27万6,500円■85~87歳(要介護4)・介護費用:2万7,500円・施設の月額利用料(管理費・食費込み):25万4,000円・合計(月額):28万1,500円・13年の総費用:7,271万4,000円(1年あたり559万3,385円)「余裕を持った資金でしたが、13年という長期間の入居になると、5,000万円の資金は87歳の途中で底を突き、Eさんはおよそ70万円の金銭的負担をしなければなりませんでした。88歳以降もお母さんが生きていた場合、この生活を続けるために、Eさんは毎月13万1,500円の負担を強いられることになります。長寿時代の長い老後には、豊富な資金があっても、注意しなければならないのです」(齋藤さん)具体例を紹介したが、齋藤さんはこう注意を促す。「あくまで概算なので、各ご家庭の事情に照らし合わせてください。さらにこのほかにも、予想外の医療費など“アクシデント”は起こるので、さらに余裕を持った資金計画が必要です」また“ついのすみか”を決める際、お金ばかりでなく“人”もしっかりと見極めなくてはならないという。「利用料が安くても、介護レベルが高い施設はあります。その逆の可能性もあります。入居候補先には事前に見学、施設長に面談をし、理念や施設内の日常の様子も見ておきましょう。さらに、スタッフの離職率なども参考にしてください。次々に人が入れ替わる施設は、介護レベルの低い人材も紛れ込むため、要注意です」絶対に後悔をしないために、ついのすみかは慎重に選びたい。「女性自身」2020年5月12・19日合併号 掲載
2020年05月13日健康寿命が延びるのと同時に私たちが直面するのが、老後に必要となる生活費のこと。まずは現状でもらえる額を把握して、不安があれば50代からでもできる受給額アップのための対策に着手しようーー。「昨年6月、金融庁から報告書が出てからは『老後はそんなにお金が必要なのか』『どうやってお金をためたらいいのか』と、戸惑った人も多いでしょう。そもそも報告書は、総務省の家計調査がもとになっています。『高齢夫婦無職世帯』の毎月の赤字額は約5万円なので、年金で暮らす期間を30年とすると、約2,000万円資産の取り崩しが必要、とされていました。『老後に不足する額はライフスタイルなどによって大きく異なる』ともあり、2,000万円もかからない人もいれば、もっとかかる人もいます。一喜一憂しないことです」そう解説するのは『受給額が増える!書き込み式得する年金ドリル』(宝島社)の著者で、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。総務省家計調査(’18年)を見ると、高齢夫婦無職世帯の年金を含めた実収入は月額22万2,834円で、支出は26万4,707円。4万1,873円の不足だ。「ここでよく見ておきたいのは、実収入の大半を占めるものは年金収入であるところです。公的年金は会社員か自営業か、夫婦共働きかなど現役世代の働き方によって受け取る年金額にかなりの差が出てきます。一方で、年を重ねると食事の量が減って食費がかからなくなったり、行動範囲も自宅の周囲に限られて交際費などの支出が減ってきたりすることも考えられます。家計調査の支出ほど使わないという人もいるでしょう。住宅ローンを完済していない人、賃貸住まいの人は居住費がかかるので、収入が減る分、支出の負担が大きく感じられるでしょう。老後の生活費を把握するためには、受け取れる年金額を知っておくことが大切です」(井戸さん・以下同)いまや人生100年時代。健康で長生きしたいと思うと同時に、老後も安心した生活が成り立つのか不安がどうしてもつきまとう。そこで井戸さんに「年金を増やすワザ」を教えてもらった。■「付加年金」で増やす!(※第1号被保険者のみ)自営業者やフリーランス、アルバイトなど、国民年金の加入者(第1号被保険者)は、毎月支払う国民年金の保険料に400円プラスして支払うと、将来、年額に「200円×納付月数」を上乗せした額を終身でもらえる制度が「付加年金」。「たとえば20歳から60歳まで40年間付加保険料を払い続けたとします。40年間で支払う付加年金の保険料は400円×12カ月×40年(480カ月)で19万2,000円。これに対して年金を受給開始後1年間に受け取る額は、200×12カ月×40年で9万6,000円。2年間受け取れば元が取れます」付加年金の保険料は、社会保険料控除の対象になるので、納めている期間は所得税と住民税が安くなる。申し込みは市区町村の窓口で手続きをする。ただし、申し出があった月からの加入となり、さかのぼって加入することは不可。また、第2被保険者の会社員と公務員、第3号の専業主婦は付加年金に加入することはできない。■「国民年金基金・小規模企業共済」で増やす!(※第1号被保険者のみ)第1号被保険者の人も年金を“2階建て”にすることは可能だ。「1つ目は、国民年金に上乗せする形の公的な年金制度の『国民年金基金』で、都道府県ごとに設置されている国民年金基金に加入します。65歳から一生受け取れる終身年金(2種)と、一定の期間支給される確定年金(5種)があり、選択した給付の型と加入口数、加入時の年齢、性別によって掛金が決まります。2つ目は中小企業基盤整備機構が運営する『小規模企業共済』です。毎月掛金を積み立て、将来事業をやめたときに一括か分割で受け取る仕組みです。個人事業主やフリーランスのための共済で、専業主婦やアルバイトの方は利用できません」掛金の上限は国民年金基金が月額6万8,000円(確定拠出年金に加入している人はその額の合計)、小規模企業共済は月額7万円。掛金全額が所得から控除され、所得税や住民税が安くなるメリットがあるので上手に活用したい。「女性自身」2020年4月14日号 掲載
2020年04月08日健康寿命が延びるのと同時に私たちが直面するのが、老後に必要となる生活費のこと。まずは現状でもらえる額を把握して、不安があれば50代からでもできる受給額アップのための対策に着手しようーー。「昨年6月、金融庁から報告書が出てからは『老後はそんなにお金が必要なのか』『どうやってお金をためたらいいのか』と、戸惑った人も多いでしょう。そもそも報告書は、総務省の家計調査がもとになっています。『高齢夫婦無職世帯』の毎月の赤字額は約5万円なので、年金で暮らす期間を30年とすると、約2,000万円資産の取り崩しが必要、とされていました。『老後に不足する額はライフスタイルなどによって大きく異なる』ともあり、2,000万円もかからない人もいれば、もっとかかる人もいます。一喜一憂しないことです」そう解説するのは『受給額が増える!書き込み式得する年金ドリル』(宝島社)の著者で、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。総務省家計調査(’18年)を見ると、高齢夫婦無職世帯の年金を含めた実収入は月額22万2,834円で、支出は26万4,707円。4万1,873円の不足だ。「ここでよく見ておきたいのは、実収入の大半を占めるものは年金収入であるところです。公的年金は会社員か自営業か、夫婦共働きかなど現役世代の働き方によって受け取る年金額にかなりの差が出てきます。一方で、年を重ねると食事の量が減って食費がかからなくなったり、行動範囲も自宅の周囲に限られて交際費などの支出が減ってきたりすることも考えられます。家計調査の支出ほど使わないという人もいるでしょう。住宅ローンを完済していない人、賃貸住まいの人は居住費がかかるので、収入が減る分、支出の負担が大きく感じられるでしょう。老後の生活費を把握するためには、受け取れる年金額を知っておくことが大切です」(井戸さん・以下同)いまや人生100年時代。健康で長生きしたいと思うと同時に、老後も安心した生活が成り立つのか不安がどうしてもつきまとう。そこで井戸さんに「年金を増やすワザ」を教えてもらった。■「定年後も働いて」増やす!60歳以降も会社勤めをする人は、70歳まで厚生年金に加入することができる。「継続雇用で同じ会社で働く人や、ほかの会社に転職して働く人も増えています。その分、将来受け取る年金額は増えるので確認しましょう。たとえば、定年後の年収が400万円だとすると、増える年金の額は年間約11万円に。ただし、給料と年金の合計額によっては年金が受け取ることができないケースがあるので注意しましょう」60歳から64歳までの人は、1カ月の収入が、年金月額と給料をあわせて28万円を超えると、一定額または年金の全額が支給停止となる。65歳以上は47万円を超えた分が調整される。退職後に自営業、アルバイトなどで働き、厚生年金に加入していない人は、年金はカットされない。カットされた年金は1円も戻ってこないため、1カ月の働く時間は慎重に決めよう。■「任意加入」で増やす!国民年金の加入期間のうち、保険料を納めなかった期間に応じて、その分年金額は少なくなる。60歳から65歳未満の5年の間に、納付月数480月に達するまで保険料を納める「任意加入制度」があり、65歳から受け取る老齢基礎年金を満額にすることができる。「1991年3月までは20歳以上の大学生は加入が任意でした。老齢基礎年金の額を満額にすることができますが、厚生年金の加入者はこの制度が使えないので、定年退職してから納付することになります」「女性自身」2020年4月14日号 掲載
2020年04月08日健康寿命が延びるのと同時に私たちが直面するのが、老後に必要となる生活費のこと。まずは現状でもらえる額を把握して、不安があれば50代からでもできる受給額アップのための対策に着手しようーー。「昨年6月、金融庁から報告書が出てからは『老後はそんなにお金が必要なのか』『どうやってお金をためたらいいのか』と、戸惑った人も多いでしょう。そもそも報告書は、総務省の家計調査がもとになっています。『高齢夫婦無職世帯』の毎月の赤字額は約5万円なので、年金で暮らす期間を30年とすると、約2,000万円資産の取り崩しが必要、とされていました。『老後に不足する額はライフスタイルなどによって大きく異なる』ともあり、2,000万円もかからない人もいれば、もっとかかる人もいます。一喜一憂しないことです」そう解説するのは『受給額が増える!書き込み式得する年金ドリル』(宝島社)の著者で、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。総務省家計調査(’18年)を見ると、高齢夫婦無職世帯の年金を含めた実収入は月額22万2,834円で、支出は26万4,707円。4万1,873円の不足だ。「ここでよく見ておきたいのは、実収入の大半を占めるものは年金収入であるところです。公的年金は会社員か自営業か、夫婦共働きかなど現役世代の働き方によって受け取る年金額にかなりの差が出てきます。一方で、年を重ねると食事の量が減って食費がかからなくなったり、行動範囲も自宅の周囲に限られて交際費などの支出が減ってきたりすることも考えられます。家計調査の支出ほど使わないという人もいるでしょう。住宅ローンを完済していない人、賃貸住まいの人は居住費がかかるので、収入が減る分、支出の負担が大きく感じられるでしょう。老後の生活費を把握するためには、受け取れる年金額を知っておくことが大切です」(井戸さん・以下同)いまや人生100年時代。健康で長生きしたいと思うと同時に、老後も安心した生活が成り立つのか不安がどうしてもつきまとう。そこで井戸さんに「年金を増やすワザ」を教えてもらった。■「iDeCo」で増やす!50歳前半であれば、60歳を迎えるまでの数年間で、自ら年金を増やす方法もある。「個人型確定拠出年金・iDeCo(イデコ)」は60歳まで毎月一定額を積み立てて、投資信託や預貯金など自分が選んだ金融商品で運用。60歳以降から70歳までに年金や一時金として受け取る。「個人型のメリットは大きく2つ。1つは積み立てた掛金が所得から全額控除されて、今年の所得税、翌年納める住民税が安くなります。さらに、運用で増えたお金は非課税に。そして年金で受け取るときには公的年金等控除が適用される点も魅力です」たとえば、月1万円の掛金を払うと、年間12万円の積み立てになる。所得税率が20%(課税所得330万円超695万円以下の場合)の人の場合は、住民税10%と合わせて税金が年間3万6,000円安くなる(復興特別所得税を除く)。年利換算で「年約30%」のリターンが得られる計算だ。自治体によっては均等割が加算されることがあるが、およその目安になる。「銀行の定期預金の利率と比較しても、税金の負担が少なくなるのは大きなメリットです。ただし、掛金の限度額は働き方によって異なり、いくら掛けてもいいというわけではありません。積み立てた金額は原則60歳になるまで引き出すことができないほか、専業主婦などそもそも所得税がない人はこの恩恵が得られないので、やみくもに加入するのはオススメできません」掛金の限度額は働き方によって異なる。フリーランス、自営業などの個人事業主は月額6万8,000円が上限。会社員は勤務先の企業年金制度によって1万2,000円〜2万3,000円。公務員は1万2,000円、専業主婦(夫)は、2万3,000円となっている。たとえば、48歳のときに加入し、60歳まで毎月2万円積み立てると288万円。額面どおり受け取るには運用次第となる。「iDeCoは銀行、保険会社、証券会社などの金融機関に専用口座を開くことから始めます。開設した口座には管理手数料など毎月コストが発生しますから、いくつかの金融機関を比較することをオススメします。金融機関を選ぶ際には口座管理料、商品の品ぞろえ、投資信託を保有するコストの3つからよく検討しましょう」「女性自身」2020年4月14日号 掲載
2020年04月08日いまや人生100年時代。健康で長生きしたいと思うと同時に、老後も安心した生活が成り立つのか不安がどうしてもつきまとう。「老後に2,000万円必要と言われても、退職金もアテにできそうもないので、将来が不安で……」そう語るのは専業主婦のA子さん(52・都内在住)もその1人だ。一人息子はすでに社会人になり独立。住宅ローンは完済のめどが立っているものの、夫(54)が管理職から外れる役職定年を目前にして、老後の生活が気になり始めた。「昨年6月、金融庁から報告書が出てからは『老後はそんなにお金が必要なのか』『どうやってお金をためたらいいのか』と、戸惑った人も多いでしょう。そもそも報告書は、総務省の家計調査がもとになっています。『高齢夫婦無職世帯』の毎月の赤字額は約5万円なので、年金で暮らす期間を30年とすると、約2,000万円資産の取り崩しが必要、とされていました。『老後に不足する額はライフスタイルなどによって大きく異なる』ともあり、2,000万円もかからない人もいれば、もっとかかる人もいます。一喜一憂しないことです」そう解説するのは『受給額が増える!書き込み式得する年金ドリル』(宝島社)の著者で、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。総務省家計調査(’18年)を見ると、高齢夫婦無職世帯の年金を含めた実収入は月額22万2,834円で、支出は26万4,707円。4万1,873円の不足だ。「ここでよく見ておきたいのは、実収入の大半を占めるものは年金収入であるところです。公的年金は会社員か自営業か、夫婦共働きかなど現役世代の働き方によって受け取る年金額にかなりの差が出てきます。一方で、年を重ねると食事の量が減って食費がかからなくなったり、行動範囲も自宅の周囲に限られて交際費などの支出が減ってきたりすることも考えられます。家計調査の支出ほど使わないという人もいるでしょう。住宅ローンを完済していない人、賃貸住まいの人は居住費がかかるので、収入が減る分、支出の負担が大きく感じられるでしょう。老後の生活費を把握するためには、受け取れる年金額を知っておくことが大切です」(井戸さん・以下同)まずは、年金に関して基礎からおさらいしよう。公的年金は職業などによって種類が異なり、自営業者やフリーランス、学生が加入する第1号、会社員や公務員は第2号、会社員や公務員の配偶者がいる妻(または夫)は第3号に分類される。20歳になると、全員が国民年金(老齢基礎年金)に加入する。会社員と公務員はさらに厚生年金(老齢厚生年金)にも加入するため、受け取る年金額は多くなる。国民年金は保険料が一律で、加入期間(保険料を納めている期間や保険料を免除されている期間)の長さに応じて支給額が決まるが、厚生年金は収入によって保険料が異なるため、支給額は加入期間と平均年収によって決まる。将来、年金がいくら受け取れるのかは日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」で確認できる。年に1度の誕生月にははがきで、35歳、45歳、59歳の年には封書で届く。「最初に加入期間を見てみましょう。特に女性の場合、20歳で国民年金に加入したら第1号、就職して厚生年金に入ると第2号、結婚退職して夫の扶養家族になったら第3号と、立場が変わるたびに、加入する年金の種類が変わってきます。過去に会社員や公務員だった期間が1カ月でもあれば、この期間に応じた額の厚生年金が支給されるので、加入歴がきちんと反映されているかどうかご自身の職歴とあわせて必ず確認しましょう。また、50歳以上の人に届く『ねんきん定期便』には、現在の収入のまま、60歳まで保険料を支払った場合の年金見込み額が記載されています。この金額が65歳以降に受け取ることのできる年金額の目安になります」Aさんの夫は、20歳から国民年金を納めて、22歳から60歳まで厚生年金に加入。平均年収は500万円。65歳から受け取れる老齢基礎年金は年額78万円(月額6万5,000円)、老齢厚生年金は年額105万円(月額約8万7,500円)だ。一方のAさんは国民年金に未納の期間はなく(受取額が月額6万5,000円)、7年間会社員だった期間がある。老齢厚生年金は年額13万4,750円で月額1万1,230円。1カ月の年金収入は夫婦合わせて約22万8,000円となった。「概算した金額に不安があるという人は、積み立てをしたり、受給開始を先延ばしすることで受け取る年金を増やすことが可能です」「女性自身」2020年4月14日号 掲載
2020年04月08日「『老後2000万円問題』で不安や疑問を覚えた今こそ、年金について学び始めるチャンスです」と言うのは、ファイナンシャルプランナーの横山光昭さん。学び始めると言われても、何をどうやって考え始めればいいの? 最初の1歩がわかりません!! そんな人のために、「2000万円より必要な人、少なくて済む人」の具体例を教えてもらいました。この記事は、 第1回「『老後が不安』で終わらせていいの?」 第2回「じつは『老後に2000万円必要』とは報告されてなかった!?」 の続きです。■そもそも「2000万円が不足」って、何?前回の記事で、 「2000万円問題は、ある一組の夫婦の資産の(例)にすぎない」 と、書きました。(例)となっている家計は、下記です。ポイントを3つあげておきましょう。●「2000万円問題」のモデルとなった家計のポイント3つ1)夫が65歳以上で妻も60歳以上。二人とも無職2)年金収入が約21万円なのに対し、支出は約26万円3)月額5万円の赤字が出る筆者作成家計の内訳は、次のとおりです。ご自身の家計と比べてみて、いかがですか? たとえば、この家計の住居費は、月額13,656円です。この金額ですと「家賃」というよりは、「持ち家でローンは完済。固定資産税などを月額割にした数字」なのではないでしょうか?■「どんな生活をしたいか?」で必要な金額は変わるこんなふうに、モデルとなった家計と、「わが家の家計」を照らし合わせてみる作業を、まず始めてみると良いと思います。その上で、「では、自分自身の老後をどんなふうにしたいか?」を、考え始めてみましょう。「まずは自分の老後のビジョンを決めることから始めましょう。そうでないと老後の必要額はわかりません」(横山さん)そう言われても、多くの人は「心配のない老後にしたい」というくらいしか、イメージが沸かないかもしれませんね…。そこで、23,000件以上の家計をみてきた、家計のプロ横山さんの出番です! 今回は、「2000万円」を基準にして、2000万円以上老後資金が必要な人、2000万円までなくても大丈夫な人の、「ありがちな収支パターン」を教えていただきました。●ありがちな収支パターン4例1) Aさん:2000万円では全然たりない人 2) Bさん:2000万円までなくても足りる人 3) Cさん:年金のみでもいける人 4) Dさん:Aさんのバージョン違いの「2000万円ではたりない人」 ※Dさんは、わりとよくみられるパターンだそうです。ここで、今回の「試算の条件」のポイント整理しておきましょう●今回試算条件1)「将来の収支予想の収入」は年金のみの収入で、年金のみで生活した場合2)年金受給額は、今後の加入状況や収入の状況を予測した概算3)予備費用は、リフォーム、介護、病気、旅行費用に充てるための金額筆者作成▼パターン1)Aさん 2000万円では全然たりない人【診断】 高支出メタボ家計Aさんは、こんな人 → ちょっといいもの症候群Aさんは、現役時代の年収が1100万円と非常に高いので、いわば「ちょっといいもの症候群」です。消費では、「ちょっといいもの」を選びがちなので、生活コストがかかります。また、資産形成は、「賢くできるはず!」という気持ちで堅実路線とは言い難いチョイスをしていますが、思うような結果は得られていません。▼パターン2)Bさん 2000万円までなくても足りる人【診断】 無駄のない節約家計Bさんは、こんな人 → 堅実な生活者Bさんの現役時代の年収は500万円で、「堅実な生活者」です。そもそも、現役時代に使えるお金が特別高いわけではないので、消費は、「地に足がついた感じ」です。普通の収入なので、生活もごく質素です。もっとも「質素」と「貧乏くさい感じ」は、まったく違います。家計の収支について、きちんと考えています。▼パターン3)Cさん 年金のみでもいける人【診断】 年金を貯蓄に回せる理想家計Cさんは、こんな人 → 老後は実家の田舎で暮らす予定の人Cさんの現役時代の年収は、600万円。老後は実家に戻って田舎暮らしを始める可能性があるそうです。住宅ローンは返済中ですが、これを完済して持ち家を売れば、1000万円くらいの資産になるかもしれません。田舎に戻ったあとは、親と変わらない近所付き合いをし、食材はもらったり安く買えたりしそうなので、生活コストは低そうです。▼パターン4)Dさん 2000万円より多く必要な人人【診断】 賃貸住宅が老後にも響く赤字家計Dさんは、こんな人 → 「老後の家賃」が厳しいタイプDさんの現役時代の年収は、700万円。比較的慎重派で、何千万もの住宅ローンを組んで持ち家にすることは考えていません。家は必ず買わなくてはいけないというものではありませんが、老後の限られた収入の中でやりくりするときには、家賃は、かなり負担の大きな支出となります。あなたの家計は、どのパターンが近かったですか? この記事をキッカケにして、老後というのは、「どこかの国の誰かの話」ではなく、「今日の私の地続きにある話」というイメージを持つことが、年金を自分事として考える第1歩なのだと筆者は考えます。■老後対策の柱は、3つ「老後生活を送っている自分」のイメージが持てるようになると、ようやく自分年金づくりのスタートラインに立ったということなのだと思います。では、スタートラインに立ったら、何から始めれば良いのでしょうか? 横山さんは、言います。「老後対策は、総じていえば、次の3つのアプローチから手をつけていくと、良いでしょう」●老後対策の柱3つ1)年金以外の収入の道を探る2)支出は現役世代のうちからコントロールする習慣をつける3)運用もできるだけ早いうちから始める出典: 『横山先生! 老後までに2000万円ってほんとうに貯められますか? 人生100年時代でも豊かに暮らす、資産と年金への向き合い方』(横山光昭著/KADOKAWA刊)より抜粋) ●「老後までに2000万円貯められる?」第3回のまとめ1)「2000万円問題」のモデルケースを知り、自分の家計と比べてみる2)老後は、「今日の私の地続きにある話」である3)「老後対策の柱3つ」を知っておく次回は、いよいよ「自分年金の作り方」について、具体的に考えてみます。※本連載で紹介する制度などに関する情報は、2020年2月26日時点のものです。■今回、取材を受けてくださった横山光昭先生の書籍 『横山先生! 老後までに2000万円ってほんとうに貯められますか?人生100年時代でも豊かに暮らす、資産と年金への向き合い方』 (横山光昭/KADOKAWA ¥1,540円(税込み))横山 光昭(よこやま・みつあき)さん家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで23,000万人以上の家計を再生。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。>> 「老後までに2000万円貯められる?」連載 記事を見る 第1回「「老後が不安」で終わらせていいの?」 \おすすめ動画もぜひご覧ください!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪
2020年03月17日