今年で3年目を迎えるPFF(ぴあフィルムフェスティバル)による映画賞「大島渚賞」の授賞式が4月4日、東京・丸ビルホールで行われ、受賞を果たした藤元明緒(ふじもと・あきお / 33歳)監督が出席。自身にとって所縁が深いミャンマーの情勢や、ウクライナ侵攻に触れながら「映画は無力じゃない。そう信じて作っていかないと強く思いながら、優しい世界につながるような映画を仲間たちと届けていきたい」と決意を語った。2019年に創設され、映画の未来を拓き、世界へ羽ばたこうとする、若き才能に授与される同賞。「日本で活躍する映画監督(劇場公開作3本程度)」、「原則として前年に発表された作品がある」監督を対象に、高い志を持って世界に挑戦した大島渚監督に続く次世代の才能を期待と称賛を込めて顕彰してきた。坂本龍一氏が審査員長を務める。第1回は『鉱 ARAGANE』や『セノーテ』が世界各国で高い評価を受ける小田香監督が受賞。昨年の第2回は「該当者なし」という結果を経て、今回、ベトナム人女性労働者たちを描く長編第2作『海辺の彼女たち』が昨年公開され、話題を集めた藤元監督の受賞となった。4月16日からは、インドとミャンマーの国境地帯で日本兵の遺骨発掘作業に携わる少数民族ゾミ族を描いた短編連作『白骨街道 ACT1』(監督/脚本/編集)が公開される。壇上で挨拶に立った藤元監督は「映画を志して上京した10年前には想像もつかないこと。まだ実感が湧いていないが、大先輩の名前を冠した賞をいただき、うれしいですし、お客様の映画に対する思いやりに背中を押される」と喜びの言葉。ミャンマーに暮らす映画製作の仲間が逮捕されたり、行方不明になったりしていると明かし「映画って本当に何ができるんだろうと考えた1年でした。立ち向かうものが強大すぎて、精神的にもきついものがあった。映画を作る、映画を観るという行為は、平和な環境と人びとの健康があって成立するもの」と涙ながらに訴える場面もあった。表彰式には審査員の黒沢清(映画監督)、荒木啓子(PFFディレクター)が出席。黒沢監督は『海辺の彼女たち』について「観た瞬間、胸がざわざわとかきむしられる感覚で、随所にハッと凝視してしまう、映画に吸い込まれるような瞬間があった。堂々と世界に『こういう日本映画がある』と胸を張って推薦できる、大島渚賞にふさわしい作品」と絶賛。一方、選考過程で坂本が「これはドキュメンタリーでも良かった。フィクションである理由が今ひとつ理解できない」と語ったことも明かした。その坂本からはメッセージが届き、荒木氏が代読。坂本は「やっと大島渚賞の意味が明確になりつつあります」と意義を再確認する一方で、「毎回、候補に挙がる作品の質が低いことに、忸怩たる思いを抱えている。最近の日本映画の大きな傾向として、他者を傷つけることを極度に恐れている」と厳しい言葉も。「これこそ、大島渚賞にふさわしいと言える作品に出合えることに大いに期待しています」と今後の展望を見据えていた。取材・文・写真=内田涼
2022年04月04日第94回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』。作品の大部分でロケ地となった広島は 、2つの世界遺産を有し、旅行先としてもオススメ。広島出身のライターがロケ地を中心に広島の魅力をお伝えします。ドライブ・マイ・カーのロケ地巡り映画『ドライブ・マイ・カー』は、西島秀俊さん演じる舞台俳優兼演出家の家福悠介が、広島で三浦透子さん演じる寡黙な専属ドライバー渡利みさきと出会い、彼女との静かな会話の中で、これまで目を向けることのなかったことに気づかされていく、というストーリー。要となるシーンで、広島の美しい光景が多く登場します。その中から、特にオススメのスポットを3か所を厳選。また、広島の定番の観光スポットを3か所、ニュースポットを1か所紹介します。絶対に行くべき『ドライブ・マイ・カー』ロケスポット3選ロケ地巡りにオススメのスポットを紹介します。中工場(広島市環境局中工場)スタイリッシュで近未来的なこちら、一体何の工場だと思いますか?答えは、ごみ処理場。建築家の谷口吉生さんによる設計で、2004年に竣工されました。2階部分は吹き抜けがある設計になっています。筆者は、映画内でその理由を初めて知り、胸がアツくなりました。広島平和記念公園広島にある2つの世界遺産のうちのひとつ、原爆ドームがある公園。建築家の丹下健三さん設計です。敷地内には、広島平和記念資料館や、映画内で演劇祭の練習場となった広島国際会議場があります。映画の出演者全員が登場するこちらも、広島平和記念公園内にあります。新天地公園物語が大きく動く出来事の発端となる場所。公園周辺エリアは、古くから飲み屋街として知られています。何度でも行きたい広島の定番観光スポットロケ地以外の、広島の定番観光スポットを紹介します。宮島広島の観光スポット第1位といえば、やはり宮島ではないでしょうか。修学旅行で行ったことがある、というかたも多いかもしれません。世界遺産である厳島神社をはじめ、千畳閣、水族館、もみじ饅頭屋、眺めの良いカフェ、工芸品の店など、魅力的な観光スポットが多数あります。オーソドックスなアクセス方法は、JR山陽本線宮島口駅または、広島電鉄広電宮島口駅から宮島行きのフェリーに乗車し、島に上陸というもの。フェリーから宮島のシンボルである大鳥居(2022年12月末まで工事の予定)が見えると、いよいよ宮島だ!と広島に住んでいても胸が高鳴ります。この経路ももちろん良いのですが、一度宮島へ行ったことがある人は「世界遺産航路」がオススメ。その名の通り、広島にある2つの世界遺産を結ぶ航路。広島のもうひとつの世界遺産である原爆ドームすぐ横を流れる元安川から出航しています。乗船時間は約45分。原爆ドームから公共交通機関を乗り継いで宮島へ行くには、何度か乗り換えが必要なので、とてもアクセスが楽なルートです。ちなみに、この世界遺産航路では、先に紹介した中工場を船から眺めることができます。尾道市大林宣彦監督による尾道三部作の舞台で、近年はサイクリストの聖地として有名です。尾道市と愛媛県今治市を結ぶ全長約60kmの道「瀬戸内しまなみ海道」は、日本で初めて海峡を横断できるようになった自転車道。瀬戸内海の島々を眺めながらサイクリングが楽しめます。海沿いにある、ホテル、飲食店、自転車店、雑貨店の複合施設が人気です。坂道が多い町で、山あいにある千光寺からは、尾道の町が一望できます。優しく輝き、穏やかな瀬戸内海は、非常に心が癒されます。また、町猫が多く、尾道市立美術館の警備員さんと猫さまとのやり取りはSNS上でしばしば話題になっています。呉市かつて軍港として栄えた町。大人気アニメ映画『この世界の片隅に』の舞台としても有名です。大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)が人気観光スポットになっています。ちなみに、呉市で一番高い山、灰が峰の標高と呉市の郵便番号は、どちらも「737」です。広島市内の新たな観光スポットここ数年で、広島市内には新しい観光スポットがいくつか誕生しています。おりづるタワー2016年にオープンした、広島の新たな観光スポット。原爆ドームからほど近く、展望台、物産館等ある複合施設。屋上の展望台からは、川の多い広島の街を一望できます。展望台から1階までは、エレベーターだけでなく、ゆっくりとスロープで行き来することも可能。なんと、スロープの中央にはすべり台が設置され、すべりながら降りられるようになっています。また、広島駅西側の飲み屋さん街(通称エキニシ)、広島東洋カープの本拠地であるMAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島もオススメ。食に関しては、ソウルフードの「お好み焼き」はもちろんのこと(広島において「広島風お好み焼き」はNGワード)、夏限定で毎年6月10日に漁が解禁される小イワシの刺身は、ぜひ一度食べていただきたい名物です!見どころ満載の広島ここ数年で、広島の観光スポットはかなりパワーアップしています。『ドライブ・マイ・カー』のロケ地や、定番のスポットを巡りにぜひ広島へ行ってみんちゃい!文・小田原みみ文・小田原みみ
2022年03月28日2022年のアカデミー賞作品賞のほか、助演男優賞、脚色賞の計3部門を受賞した『コーダ あいのうた』。今年初めに行った、シアン・ヘダー監督の単独インタビューをお届けします(2022年1月20日配信記事)。『コーダ あいのうた』【映画、ときどき私】 vol. 448豊かな自然に恵まれた海の町で、耳の不自由な両親と兄と暮らす高校生のルビー。4人家族のなかで唯一耳が聞こえるルビーは、家族のために幼い頃から“通訳”となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。新学期に入り、ルビーは秘かに憧れるクラスメイトのマイルズと同じ合唱クラブを選択。ルビーに歌の才能があることに気がついた顧問の先生から、都会の名門音楽大学への受験を強く勧められる。ところが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じることができず、家業のほうが大事だと大反対。家族を選ぶ決断をした娘に対し、父は意外なある行動を取ることに……。2014年に製作され、大ヒットとなったフランス映画『エール!』をリメイクした本作。昨年開催されたサンダンス映画祭では史上最多受賞に加え、映画祭史上最高額となる約26億円で配給権が落札されたことでも大きな話題となりました。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。シアン・ヘダー監督本作の脚本と監督を務め、その実力が高く評価されているヘダー監督。今回は、取材を重ねるうえで得た気づきや手話から学んだこと、ろう者と作り上げた現場で感銘を受けた出来事などについて、語っていただきました。―最初は、脚本家として本作の依頼を受けたそうですが、監督も手掛けることになったいきさつから教えてください。監督私はもともと監督も脚本も手掛けるフィルムメイカーなので、脚本家として雇われた当初から監督もしたいという思いはありました。製作陣としては、私がどんな脚本を出すかで監督も任せるか検討しようと考えていたようですが。その後、脚本の出来に満足していただけたので、監督も任せてもらえることになりました。―この作品に惹かれた理由はどんなところですか?監督オリジナルの作品を観たとき、物語をより深く掘り下げるポテンシャルがすごくある作品だなと感じました。たとえば、家族の描かれ方やそれぞれのキャラクターをより立体的に描けると思ったんです。特にこの家族というのは、聴者とろう者の両方に属しているようで、両方ともに属していないような存在なので、そんな彼らの道のりをしっかりと見せたいと考えました。取材を通して、いろいろな発見があった―タイトルのコーダ(CODA)とは「Children of Deaf Adults」のことで、⽿の聴こえない両親に育てられた⼦どものことを指していますが、今回は実際にコーダと呼ばれる子どもたちにも取材を行ったそうですね。彼らと出会ったことで脚本に影響を与えた部分もあったのではないでしょうか。監督すごくいい質問なので、この話ができるのはうれしいです。脚本を書き始めたころ、まずはSNSや友人を通じてコーダの経験がある人たちを探したんですが、話を聞いていくと、人によってまったく違う経験もあれば、共通点もあり、いろいろな発見がありました。そのなかでも、興味深かったのは、大人同士の会話の通訳をしなければいけなかったので、まだ心の準備ができてない年齢からかなり大人な話題に触れなければいけないということ。彼らは早く大人になることを求められてしまうんですよね。ときには「どうして自分だけこんなに頼られなければいけないんだ」とコーダであることを重荷に思うこともあるそうですが、同時に「自分は家族にとってすごく重要な人間なんだ」という誇りも持っていると感じました。そういった彼らの心にある矛盾はおもしろいと思ったので、キャラクターにも反映させています。劇中でも描いているように、性的な話を何でもはっきり言ってしまう親がいる人や家のなかの音がうるさくて大変だったという人など、リサーチのなかでは笑える話もたくさん聞かせてもらいました。手話は人と人をつなげてくれる言語だと感じた―劇中では手話の持つ表現力の美しさも感じましたが、監督ご自身も手話を習得されたとか。実際に体験してみていかがでしたか?監督手話で話すときは、中身のない話をする余地がないように感じました。というのも、いまそこで起きている真実だけを話し、それを心から信じて伝えるので、社交辞令や沈黙が怖いから意味のないことを口にする、みたいなことがない言語というのが私の受けた印象です。あと、手話ではスマホを見ながら話したりできないので、人の目を見ながらでないと話せないという意味でも人と人とをつなげてくれる言語なのではないかなと。100%相手と向き合うこと、しっかりと考えてから自分の思いを伝えること、言葉の選択など、いろいろなことを手話から学びました。―なるほど。本作は超高額で配給権の争奪戦が行われたり、各賞レースでも有力候補として注目を集めたりしていますが、いまの状況をどう受け止めていますか?監督とにかくワクワクして興奮しています!今回の作品を通して、現場の作り方やコミュニケーションの取り方も変わりましたし、聴者とろう者が一緒になって作品づくりをする過程もとても誇らしく思っていたので。実は映画が完成した時点で、「私は人生で最高の経験をしてしまった」と感じていたので、そこがピークだと思っていたんです。なので、そのあとに起きたことは予想もしていなかったことばかりで、本当に奇跡のような出来事。こんなふうに評価をされ、作品がさらに成長していくとは思っていなかったので、いまはただ喜びでいっぱいです。うれしかったは、ろう者の俳優たちが評価されたこと―出演者のみなさんも、同じお気持ちだと思います。監督あとは、自分の作品に出てくれた俳優たちが称賛を受けているというのが、何よりもうれしいです。母親を演じたマーリー・マトリンは、オスカーの受賞経験がありながらいままであまり多くの機会が与えられていませんでしたし、父親役のトロイ・コッツァーと兄役のダニエル・デュラントもあまり知られていない俳優でしたから。いろいろな賞にノミネートされていて、感動しました。いままで苦労してがんばってきた彼らがこの作品で報われてよかったです。―本当に、素晴らしい演技でした。耳の聞こえない人の役は聴覚に障がいのある人に演じてほしいというのが、監督の当初からのこだわりだったとうかがっています。実際に彼らと現場をともにして、気づかされることもあったのでは?監督最初は、現場に手話の通訳を入れて彼らと話をする計画でしたが、初日の撮影をした際、彼らが私ではなくて通訳さんのほうしか見ていないことに気がつき、うまくつながれていないように感じてしまったんです。そこで、できれば通訳を介さずに進めたいと彼らに相談をしました。当時は私の手話もまだ流暢ではなかったので、表情や目を使ったり、お互いの体を触れ合わせたり、照明で合図をしたり、いろいろな形でコミュニケーションを取ることに。撮影を進めながらやり方を探していくような感じでしたが、それはとても親密なプロセスとなりました。彼らとは手話や言葉を使わなくても理解できるほどになったので、さまざまな発見とともに楽しい現場でしたね。自分が思うほど、他人との違いは大きくない―まもなく公開を迎える日本には、どのような印象をお持ちですか?監督実は日本にはまだ行ったことがないんですが、すごく行きたい場所のひとつではあります。日本の文化や食事が大好きなので、ぜひ日本を訪れてさまざまな経験をしたいです。―それでは最後に、日本の観客に向けてメッセージをお願いします。監督この映画では、ある家族を中心に描いているものの、普遍的な物語になっているので、ろう者でも聴者でも、誰でも共感していただける作品になっていると思います。あとは、この作品がきっかけで、ろう者の方々とコミュニケーションを取ってみたいと手話の勉強を始めていただく方が増えたらうれしいですね。いまの時代は自分と違うものに対する恐怖心が大きくなっており、他者とつながれないと感じている人も多いと思うので、この映画を通してそういった“バリア”を少しでも壊せたらいいなと。誰もが同じ人間で、同じような葛藤や家族の問題を抱えているものなので、自分が考えているほど他人との違いは大きなものではないというのも知ってほしいと思っています。家族の愛に、胸も目頭も熱くなる!理想と現実という名の“荒波”にもまれながらも、夢が広がる大海原へと飛び込む少女から勇気をもらえる本作。そして、家族がお互いを想う涙あり笑いありの愛には、誰もが魅了されてしまうはず。耳も心も虜にする美しい歌声とともに、爽やかな感動に包まれてみては?取材、文・志村昌美心が震える予告編はこちら!作品情報『コーダ あいのうた』1月21日(⾦)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー※バリアフリー字幕版も上映決定(詳細はHPの劇場情報欄にて)配給:ギャガ© 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS
2022年03月28日第94回アカデミー賞授賞式が3月28日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、作品賞に仏映画をハリウッドリメイクした『コーダ あいのうた』(シアン・ヘダー監督)が輝いた。同作は脚色賞、助演男優賞にもノミネートされており、そのすべてを受賞。見事3冠を達成した。最多部門を受賞したのは『DUNE 砂の惑星』で6部門(撮影賞、音響賞、視覚効果賞、作曲賞、編集賞、美術賞)。また、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が国際長編映画賞に輝き、日本映画の同賞受賞は『おくりびと』以来13年ぶりの快挙を達成した(『おくりびと』は外国語映画賞)。一方で、作品賞をはじめ、最多11部門12ノミネートで“本命”と目されていた『パワー・オブ・ザ・ドッグ』は、ジェーン・カンピオンが監督賞を受賞するのみという結果に。今回もNetflix映画が作品賞に輝くことはなかった。『コーダ あいのうた』は2014年製作のフランス映画『エール!』のリメイク。家族の中で唯一の健聴者である少女が、歌の才能を見いだされ、ろう者の両親の大反対を受けながら、名門音楽大学への進学を目指す。題名の“CODA”は、“Children of Deaf Adults”(耳の聴こえない両親に育てられた子ども)のこと。主人公の父親を演じたトロイ・コッツァーは男性のろう者の俳優として、初めて助演男優賞を受賞。手話による感動的なスピーチで、授賞式は一度目のピークに達した。主演男優賞は大本命だった『ドリームプラン』のウィル・スミス。過去2度同賞候補になっており、“3度目の正直”で悲願の初受賞を果たした。世界最強のテニスプレーヤー姉妹、ビーナス&セリーナ・ウィリアムズ誕生に隠された驚きの実話を描く同作で、テニス未経験ながら、独学で二人の娘を世界チャンピオンに育てあげた破天荒な父親を熱演。かつて主演男優賞にノミネートされた『ALI アリ』『幸せのちから』に続いて、今回も実在の人物を演じている。一方、主演女優賞に輝いたのは『タミー・フェイの瞳』のジェシカ・チャステイン。1970年代から80年代にかけて、愛あふれたメッセージと寛大な人柄で視聴者を熱狂させた実在のテレビ伝道師、タミー・フェイを演じ、初受賞を飾った。本人そっくりに変ぼうした姿も注目を集め、同作はメイクアップ&ヘアスタイリング賞も同時受賞している。なお、今年の主演女優賞はチャステインをはじめ、候補者5人の主演作すべてが、作品賞候補に挙がっていない異例の事態となり、近年まれに見る混戦となった。助演女優賞に輝いたのは『ウエスト・サイド・ストーリー』のアリアナ・デボーズ。ヒロイン・マリアの兄のベルナルドの恋人、アニータを演じ“アメリカにおける自由と不平等”を男女の掛け合いで歌う名曲「America(アメリカ)」では、抜群の歌唱力とダンスで圧倒的な存在感を放った。劇場とApple TV+での配信が同時に行われた『コーダ あいのうた』が作品賞に輝いたほか、多様性の観点から画期的な結果を生み出すことになった第94回アカデミー賞。会場も例年通りドルビー・シアターに戻るなど、映画業界全体がアフター・コロナを見据え、新たな一歩を踏み出した。一方で放送時間短縮を目的に、美術賞、音響賞、作曲賞、編集賞、メイクアップ&スタイリング賞、短編アニメ賞、短編映画賞、短編ドキュメンタリー賞が“事前収録”となり、反発を招いた点は大きな課題(結局、3年ぶりに司会者が復活したせいもあり、放送時間の大幅な短縮につながらなかった)。ウィル・スミスの“激おこ”事件については、愛する家族を守ろうとしたスミスの勇気に賞賛が集まると同時に、後味の悪さが残ったのも事実だ。【第94回アカデミー賞】◇作品賞『コーダあいのうた』◇監督賞ジェーン・カンピオン『パワー・オブ・ザ・ドッグ』◇主演男優賞ウィル・スミス『ドリームプラン』◇主演女優賞ジェシカ・チャステイン『タミー・フェイの瞳』◇助演男優賞トロイ・コッツァー『コーダあいのうた』◇助演女優賞アリアナ・デボーズ『ウエスト・サイド・ストーリー』◇脚本賞ケネス・ブラナー『ベルファスト』◇脚色賞シアン・ヘダー『コーダ あいのうた』◇視覚効果賞『DUNE デューン砂の惑星』◇美術賞『DUNE デューン砂の惑星』◇撮影賞『DUNE デューン砂の惑星』◇衣装デザイン賞『クルエラ』◇長編ドキュメンタリー賞『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』◇短編ドキュメンタリー賞『The Queen of Basketball(原題)』◇編集賞『DUNE デューン砂の惑星』◇国際長編映画賞『ドライブ・マイ・カー』(日本)◇音響賞『DUNE デューン砂の惑星』◇メイクアップ&ヘアスタイリング賞『タミー・フェイの瞳』◇作曲賞ハンス・ジマー『DUNE デューン砂の惑星』◇長編アニメーション賞『ミラベルと魔法だらけの家』◇短編アニメーション賞『The Windshield Wiper(原題)』◇主題歌賞“No Time To Die”ビリー・アイリッシュ『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』◇短編実写映画賞『The Long Goodbye(原題)』文=内田涼
2022年03月28日第94回アカデミー賞授賞式が3月28日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が国際長編映画賞に輝いた。日本映画の同賞受賞は『おくりびと』以来13年ぶり、2作目となる(当時は外国語映画賞)。昨年のカンヌ国際映画祭で日本映画として史上初となる脚本賞を受賞。加えて、国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞の独立賞も受賞し、4冠獲得の偉業を果たした本作だが、それは快進撃の序章に過ぎなかった。その後もニューヨーク映画批評家協会賞の作品賞、ワシントンD.C.映画批評家協会の外国語映画賞、ボストン映画批評家協会賞の作品賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞の作品賞、ゴールデングローブ賞の非英語映画賞、全米映画批評家協会賞の作品賞、トロント映画批評家協会賞の作品賞、インディペンデント・スピリット賞の外国映画賞、放送映画批評家協会賞の外国語映画賞、英国アカデミー賞(BAFTA映画賞)の非英語作品賞など、名だたる映画賞で賞を獲得。先日発表された第45回日本アカデミー賞では、作品賞をはじめ、8部門で最優秀賞を手にした。第94回アカデミー賞では国際長編映画賞に加えて、日本映画として初めて、作品賞、監督賞、脚色賞(濱口竜介、大江崇允)にノミネート。鮮やかに“走り”続けた本作が、ついに大本命と目されていた国際長編映画賞の受賞に至った。村上春樹による短編小説を映画化した本作。主人公である演出家の家福(西島秀俊)は、愛する妻と満ち足りた日々を送っていたが、その妻は秘密を残して突然この世を去ってしまう。2年後、演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさき(三浦透子)と出会う。行き場のない喪失を抱えて生きる家福は、みさきと過ごす時間を通して、あることに気付かされていく。(英語で)ありがとうございます。(手に抱えたオスカー像を見ながら)あなたがオスカーですね(笑)。アカデミーのみなさまに感謝申し上げます。(映画会社の名を挙げ)『ドライブ・マイ・カー』をアメリカへと持ってくることができました。ありがとうございます。(終了のBGMに)ちょっと待ってください!ここにいる俳優のみなさんにも感謝申し上げます。(日本語で)西島秀俊さん、岡田将生さん、霧島れいかさん、ジン・デヨンさん、パク・ユリムさん、ソニア・ユアンさん、アン・フィテさんおめでとうございます。そして、そして!ここに来られなかった全ての俳優のみなさんにも感謝いたします。特に赤いサーブ900を運転してくれた三浦透子さんに感謝します。(日本語で)みなさん獲りました!ありがとうございます!(text:cinemacafe.net)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2022年03月28日世界中の映画祭や映画賞で受賞を重ね、今月27日(現地時間)に発表される第94回アカデミー賞でも日本映画初の作品賞、脚色賞ほか、監督賞、国際長編映画賞と計4部門にノミネートされている濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』。この評価の高さは国境を越えて作品の強さやメッセージが伝わったことの証しであり、それらは英語字幕を介して届けられている。2年前には、韓国映画『パラサイト 半地下の家族』の北米ヒットの裏に、韓国独特の単語を巧みに英訳した字幕の妙があることも話題になったが、日本映画がより多くの人の目に触れるための英語字幕の重要性は、動画配信サービスの普及等もあり、ますます高まっていきそうだ。『ドライブ・マイ・カー』の英語字幕翻訳を手がけたのは、字幕翻訳に従事して25年以上の礒崎美亜さん(正しくは、「崎」は「たつさき」)。劇中劇、多国籍の俳優による多言語での掛け合いなど、本作のセリフは多様で情報量が多い。そのうえ、上映時間は2時間59分。観客の心を捉えて放さない英語字幕ができるまでの裏側を語っていただいた。――英語への翻訳というと、日本語ネイティブにはハードルが高いイメージがあります。礒崎さんは英語圏での暮らしが長かったのですか?生まれは東京なのですが、6歳から15歳頃までアメリカで暮らしていて、大学時代にも2年間カナダで過ごしました。「どのくらい英語が話せるの?」とよく聞かれるのですが、「今、行っているこの会話を、日本語と変わらない感覚でできます」と答えています。――早速『ドライブ・マイ・カー』の話をうかがっていきます。英語への翻訳に、濱口竜介監督はどのくらい関わられたのですか?事前の指示や要望などは特にありませんでした。監督には初稿が整った段階で字幕原稿を提出し、細かいニュアンスのチェックーー例えば、私が使った英語の表現の確認だったり、私が映像を見ただけでは拾いきれなかった部分の表現だったりーーをいただいて、修正するという作業を行いました。――監督からのチェックは多かったですか?濱口監督は、そうでもないんですよ。中には、びっしりチェックを入れて戻してくる監督もいらっしゃるのですが、濱口監督は本当に、要所要所の細かい表現の確認だけでした。『寝ても覚めても』でも英語字幕を担当させていただいたのですが、その時も同様だったと記憶しています。『ドライブ・マイ・カー』では、クライマックス部分のひとつ、家福(西島秀俊さん)とみさき(三浦透子さん)の2人のシーンで、たとえば「家福は、ここの時点で気づいているから時制を変えてほしい」など時系列に関する細かい指摘があったりしましたが、あとはそれほどなかったですね。――韓国、台湾、フィリピンなどさまざまな所から俳優が参加する多言語演劇が大きな要素です。手話も加わって9言語が飛び交う作品になっていますが、字幕の出し方にご苦労はありましたか?1つ1つ言語を識別できるようにすべきなのか、もし、そうするとしたら、どういう形で表示しようかなど、初稿の段階でいろいろと考えました。でも、字幕そのものの情報量が多くなると、観客は内容から気がそれてしまいます。結局、「ここは外国語で話している」と分かる程度の情報量でいいということにして、シンプルに日本語以外の言語はすべて括弧でくくりました。手話の部分は斜体にしています。――劇中劇の感情を乗せない本読みのシーンのような淡々としたセリフや、書き言葉っぽいセリフが多い作品ですよね。英語字幕には、あのようなトーンも反映させたのですか?喋っているトーンを出すことは意識していなかったですね。あくまで内容がちゃんと伝わるかということだけを考えました。字幕翻訳者がこういうことを言うのもあれなのですが、字幕って、本当はない方がいいじゃないですか?字幕なしで伝わるなら、それが一番。でも、字幕を付ける以上は“透明”になるようにする。そこに出ていることを忘れるような感じになるよう意識する。それは、この作品に限らず、常に心がけていることです。また、別の作品のプロデューサーに言われたことなのですが、母語が英語ではない人も見るので、内容から大きく乖離しない限り、できるだけ簡単な言葉で訳すことを心がけています。例外として「すごく知的レベルの高いキャラクターなのに簡単な言葉ばかり使っている」みたいな字幕は変ですけど、できるだけシンプルな言葉、わかりやすい言葉を使いますね。――劇中劇の形で、「ゴドーを待ちながら」「ワーニャ叔父さん」という2つの戯曲のセリフが重要な役割を果たします。英語翻訳はオリジナルですか?「ワーニャ叔父さん」はもともとロシア語の戯曲で、その英語訳は既にパブリックドメインになっているのでネットなどにも出ているのですが、字幕的にそのまま使うわけにいきません。長さを調整した上で、きちんと内容が伝わるようにする修正や編集などを行う必要がありました。古い作品なので、現代語とは少し違う感じになるようにも心がけましたね。「ゴドーを待ちながら」は、オリジナルがフランス語で、劇作家の(サミュエル・)ベケット本人が英訳しているんです。その権利がまだ切れていなくて、許可をとった上で使用しているので、元の英訳をカットしないよう頑張って字幕に入れ込みました。――人間の心理に迫る、意味を含んだセリフが多いですよね。翻訳は難しかったのでは?こんなことを言うと怒られるかもしれませんが、面白い映画って、訳していて面白いんですよ。後出しジャンケンみたいな言い方ですけど、この作品は最初に見た時から、「すごいな」「いいな」と思ったので、翻訳は面白くて、そんなに苦労してないというか……(笑)。当然、私が見て分からない映画は訳せません。だけどこの映画は心にすごく響いたので、「こういうことが言いたいんだな」「こういう英語にすればいいんだな」という感覚が、たまたま当たったという感じです。――私も字幕翻訳をすることがあるのですが、脚本に破綻があると訳しづらいと感じます。優れた脚本は訳しやすい、と言えるのかも……。そうですね。脚本が詰められていないと意味が分からなくて苦労します。例えば、リアクションがすごく唐突だったり、「なぜ、そこでそんなことを言うの?」という流れになったりすると、なんと訳せばいいのかすごく悩みますね。『ドライブ・マイ・カー』のように、脚本や俳優の演技がちゃんとしていて、なぜそれがそうなっているのか、きちんと分かる作品は訳しやすいです。――第94回アカデミー賞の結果も楽しみです。ノミネートを聞いた時の気持ちはいかがでしたか?本当に「ほっとした」というのが感想です。作品の持つ力が伝わったんだなという安堵ですね。私はただ、作品が持っているものを、そのまま英語にしただけです。決して私がものすごく優秀な翻訳者であるということではなくて、そこにあるものを、そのまま英語にしたら、それがうまく伝わったというだけのこと。すべて作品が持っている力だと思います。(text:Rie Nitta)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2022年03月26日プロデューサー組合賞(PGA)が発表された。劇場用映画賞を受賞したのは、『コーダ あいのうた』。オスカーの作品賞と同じ投票方式を採用し、投票者のかぶりも多いPGAは、オスカー予測で非常に重視される。ひと足先に『コーダ〜』は俳優組合賞(SAG)も受賞しており、フロントランナーである『パワー・オブ・ザ・ドッグ』を深刻に脅かすことになった。ドキュメンタリー映画賞は、『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった日)』。劇場用アニメーション賞は『ミラベルと魔法だらけの家』。テレビドラマ賞は『メディア王〜華麗なる一族〜』、コメディシリーズ賞は『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』、ミニシリーズ賞は『メア・オブ・イーストタウン/ある殺人じ事件の真実』だった。文=猿渡由紀
2022年03月22日各国の映画祭を席巻、第94回アカデミー賞脚本賞・国際長編映画賞ノミネートの話題作、7月1日公開 『The Worst Person In The World(原題)』の邦題が『わたしは最悪。』に決定し、シーン写真が3点解禁となった。本作は、『テルマ』『母の残像』などのノルウェーの奇才ヨアキム・トリアー監督の最新作。映画初主演のレナーテ・レインスヴェの熱演も大いに話題となり、カンヌ国際映画祭では女優賞を受賞した注目作だ。今回新たに解禁されたのは、主人公ユリアが恋人アクセルに隠れて別の男性と楽しむ様子や、打って変わって華やかなパーティで着飾った姿、オフモードで湖畔で佇む様子などのシーン写真3点。いずれも<ユリヤの日常>を切り取ったものだ。時に自己嫌悪に陥り、周りを傷つけながらも、自分の気持ちに正直に人生の選択をしていくユリア。その姿に全世界から共感の声が続々とあがっている。レナーテは、奔放でありながらも、その年代特有の女性が持つ繊細な心の機微と葛藤を、大胆かつ繊細な表現力で見事に演じ切った。本作の監督ヨアキム・トリアーは、「この映画を作るきっかけは、レナーテだった。彼女の舞台での演技に魅了され、主演を務めたことのなかった彼女のために脚本を書いた。主人公のキャラクター造形、複雑な心境を作っていくうえで、彼女に助けられたことが沢山ある。人間ドラマ、コメディなどたくみに演じられる素晴らしい才能を持っている、今一番の女優だと思う」と、レナーテの演技を絶賛している。『わたしは最悪。』は7月1日(金)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2022年03月22日監督組合賞(DGA)が発表された。劇場用長編映画賞を受賞したのは、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のジェーン・カンピオン。この受賞で、カンピオンのオスカー監督賞受賞は、より確かなものになった。1949年から昨年までの間に、DGAの結果とオスカー監督部門の結果が一致しなかったことは7回しかない。劇場用映画初監督賞の受賞者は、『ロスト・ドーター』のマギー・ギレンホール。ドラマシリーズ部門は『メディア王〜華麗なる一族〜』のマーク・マイロード、コメディシリーズ部門は『Hacks』のルチア・アニエロ」、テレビ用映画またはミニシリーズ部門は『地下鉄道〜自由への旅路〜』のバリー・ジェンキンスが受賞した。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』Netflixで配信中文=猿渡由紀
2022年03月14日13日(現地時間)、英国アカデミー賞(BAFTA)授賞式が開催された。作品賞はジェーン・カンピオン監督の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』。カンピオン監督は、全米監督協会賞で監督賞を受賞してから、24時間経たずして、英国アカデミー賞でも監督賞を受賞する快挙。Netflix映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』日本からは濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が非英語映画賞を受賞。受賞スピーチで「非英語映画賞のカテゴリーには、とても素晴らしい映画がたくさんあります。この映画に限らず、映画には言語や国境を超える力があります」と力強く語った。同作は、3月27日に行われるアカデミー賞で、脚色賞、国際長編映画賞、監督賞、作品賞の4部門の候補となっている。これまでにゴールデングローブ賞(非英語映画賞)、ボストン映画批評家協会賞(作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞)などすでに数々の賞を受賞している作品。主な受賞結果は以下の通り。作品賞『パワー・オブ・ザ・ドッグ』監督賞ジェーン・カンピオン(『パワー・オブ・ザ・ドッグ』)非英語映画賞『ドライブ・マイ・カー』(日本)主演女優賞ジョアンナ・スキャンラン『アフター・ラヴ』主演男優賞ウィル・スミス 『ドリームプラン』助演女優賞アリアナ・デボーズ 『ウエスト・サイド・ストーリー』助演男優賞トロイ・コッツァー『Coda コーダ あいのうた』英国作品賞『ベルファスト』(ケネス・ブラナー監督)オリジナル脚本賞『リコリス・ピザ』脚色賞『コーダ あいのうた』(Hiromi Kaku)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2022年03月14日「第45回日本アカデミー賞授賞式」が3月11日(金)に開催され、『ドライブ・マイ・カー』が最優秀作品賞を受賞した。8部門において優秀賞を受賞している『ドライブ・マイ・カー』だが、作品賞以外にも監督賞、主演男優賞などすべてにおいて最優秀賞に輝き、圧倒的な強さを見せつけた。『ドライブ・マイ・カー』は、『寝ても覚めても』の濱口竜介監督が、村上春樹の同名短編小説を原作に、自ら脚本も手掛けた意欲作。愛妻を亡くした舞台演出家・家福(西島秀俊)が喪失感と向き合い、再生へのきっかけをつかむまでを戯曲もシンクロさせつつ描き、観る者の心を揺さぶった。本作は第74回カンヌ国際映画祭で4つの賞を受賞したのを皮切りに、世界の名だたる映画賞を席巻、第94回米アカデミー賞では日本映画史上初となる作品賞ほか、4部門でノミネートとなる快挙を達成している。檀上に西島さんと共に立った濱口監督は、ブロンズ像を手にし、「ありがとうございます。関わったキャスト、スタッフの皆さんのおかげで獲れた賞です」と挨拶。その前に受賞した最優秀監督賞のスピーチで、濱口監督はこれまでの自身の作品や思いについて触れながら、「1日1日の仕事が未来を作っていくと思います。間違えることもあるかもしれないけど、引き返して、今いるところから進んでいくしかないと思います。少しでもいい社会やいい世界に…と言うと大げさですけど、この場所からしか始まらないと思います。映画界の今の仲間、未来の仲間と一緒に映画を作っていけたらうれしいです」と心を込めた。最優秀主演男優賞を受賞した西島さんも、「本当にありがとうございます。世界で見ていただいているのも、世界の大きな波みたいなものかなと思っています。平和が訪れるように、人々が心の絆を取り戻せるように、心から祈っています。この作品が希望の光になる、そのために必要なものが何か耳を傾ける、そのことを伝えているのかなと思っています。濱口監督の言う通り、自分のやれることを今後も精一杯やっていきたいと思います」とスピーチした。そのほか、最優秀アニメーション作品賞は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が受賞。ブロンズ像を受け取った東映の紀伊宗之は、「皆さんが長い時間と心血を注いで作ったものです。2度延期になりましたが、東宝さんと一緒に配給の仕事をして、本当にほっとしたというのが感想です。カラーの皆さんも喜んでいると思います。持って帰ってお伝えしようと思います」とやわらかい表情で話していた。(cinamacafe.net)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2022年03月11日西島秀俊が『ドライブ・マイ・カー』で、第45回日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を受賞した。本作では、アジア人俳優として初めて全米批評家協会賞主演男優賞に輝くなど、言葉の壁を超えて海外の観客の心も震わせていた西島さん。日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を受賞するのも初となった。主演男優賞では、ベテランから若手俳優まで豪華な顔ぶれが揃った。『護られなかった者たちへ』の佐藤健、『花束みたいな恋をした』の菅田将暉、『孤狼の血 LEVEL2』の松坂桃李、そして『すばらしき世界』の役所広司と、まさに誰が最優秀を受賞してもおかしくない、そんな空気が会場を漂っていた。『ドライブ・マイ・カー』にて、西島さんは妻を亡くした喪失感を抱える舞台演出家であり、俳優の家福悠介を演じた。常に穏やかで冷静にふるまう家福だが、専属ドライバーのみさき(三浦透子)との交流を通じ、無意識下にあった本心に気づき、すべての感情をさらけ出す。控えめながら揺れる心の機微を、もの悲しさを漂わせる圧巻の演技で披露した。タイトル通り、車の中でのシーンが多かった本作。その大変さを尋ねられると、西島さんは「撮影は車を走らせずにすることが多いですけど、監督は実際の風景が流れたり、音がしたりすることが演技に影響する(と感じている)ので、リアルに車を走らせていたんです。演技にとにかく本当を突き詰めるひとつの形だったのかなと思います」と、徹底的な現場作りを刊行した濱口組に愛を寄せていた。授賞式のスピーチでは、西島さんは「驚いています。名誉な賞をいただいて感謝しています。濱口監督、スタッフの皆さんの力でいただいた賞だと思います。そして岡田将生くん、霧島さん、世界中から参加した俳優の皆さん、三浦さん、僕たちはとにかく毎日ホン読みしていました。改めて相手の言葉に耳を澄ますことが、自分の演技のためではなく相手のそこにいることにすごく影響を与えると、改めて実感させてもらえた現場でした」と、全員で獲った賞だと改めて感謝を伝えた。最後に、西島さんは「そして、今世界が混乱していて、いろいろなつながりが切れている中、今日は3月11日ということで東日本大震災から11年経ちました。人とのつながり、魂の再生の物語がこうやって賞をいただいたことは何か大きな意味があるのではないか、と思っています。これからも人生、それから人に寄り添う希望を持つような素晴らしい作品に参加したいと思います。日本映画のためにこれからも身を捧げたいです」と力強いメッセージを送っていた。(cinamacafe.net)
2022年03月11日第45回日本アカデミー賞の授賞式が11日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪にて行われ、受賞者たちが登場した。優秀助演女優賞を受賞したのは、石原さとみ、清原果耶、草笛光子、西野七瀬、広瀬すず。『護られなかった者たちへ』で最優秀助演女優賞に輝いた清原は「『護られなかった者たちへ』という作品と役を通して、人間の生きる原動力だったり、動くきっかけだったり、そういうものは人それぞれさまざまな理由があるんだろうけど、皆が報われるような世の中になればいいなと思いました」と思いを表す。「俳優として、映画を愛する人間としてこれからも成長できるように、これからも精進してまいります」と、瞳を潤ませながら挨拶をした。撮影では初めて「てっぺん越え」(24時以降の撮影)を経験したという清原。「朝4時半ぐらいまで撮影をしていたんですけど『こんなに大変なの』って本当にびっくりしました」と明かす。司会の長澤は「大変ですよね。頭が回らなくなっちゃったりして、きっとこういう作品だと集中するから大変だろうなと察します」と同意していた。(C)東京写真記者協会
2022年03月11日2021年・第74回カンヌ国際映画祭でパルム・ドール(最高賞)に輝いた『TITANE/チタン』で主演を射止めたのは、映画初出演のアガト・ルセル。この度、彼女が演じた“チタン”により変異する女性の場面写真とメイキング写真がシネマカフェに到着した。『RAW~少女のめざめ~』(16)で鮮烈なるデビューを飾ったジュリア・デュクルノー監督の長編2作目となる本作。主人公のアレクシアを演じるのは、本作で長編映画デビューを飾ったアガト・ルセル。幼い頃、交通事故のため頭蓋固定手術でチタンプレートが埋め込まれ、車に対して異常な執着心を持つようになり、危険な衝動に駆られ殺人を犯す役柄に挑んでいる。今回、アガトをキャスティングした理由として、デュクルノー監督は「アレクシアが〈突然変異〉するとき、人々が目にしたことのある女優の変化を見ていると思ってほしくなかったのです。つまり、観客がどんな思い込みも持たない人が必要だったのです」とコメントしている。インスタグラムから発掘された彼女は、ジャーナリスト、モデル、写真家として活躍するなど多彩な経歴を持つ。今回解禁となった場面写真は、シャワー室から出てきて不安気な表情を浮かべるシーン。そしてメイキング写真は、監督から真剣な演技指導を受けるアガトの様子が伺える2枚。難しい役どころに体当たりで挑戦し、デュクルノー監督に「スクリーンを支配していた」と言わしめるまで見事に表現しきったアガトの演技に注目だ。『TITANE/チタン』は4月1日(金)より新宿バルト9ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:TITANE/チタン 2022年4月1日より新宿バルト9ほか全国にて公開© KAZAK PRODUCTIONS – FRAKAS PRODUCTIONS – ARTE FRANCE CINEMA – VOO 2020
2022年03月08日アニメーションドキュメンタリー映画『FLEE フリー』が、2022年6月10日(金)に公開される。第94回アカデミー賞国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞、長編アニメーション賞ノミネート作品。ある青年が祖国からの脱出を語るドキュメンタリーアニメ映画『FLEE フリー』は、アフガニスタンで生まれ育ち、デンマークへと亡命した研究者アミンが、20年以上も抱え続けていた秘密を、親友である映画監督に初めて打ち明け、語るドキュメンタリー。主人公アミンをはじめ、周辺の人々の安全を守るため、ドキュメンタリーでありながらアニメーション作品として制作された。タリバンとアフガニスタンの恐ろしい現実や、祖国から逃れて生き延びるために奮闘する人々の過酷な日々、そして、ゲイであるひとりの青年が自分の未来を救うために過去のトラウマと向き合う物語を、アニメーションだからこそ再現できたアミンの過去の実景と繊細な心情描写とともに紡いでいく。<映画『FLEE フリー』あらすじ>アフガニスタンで生まれ育ったアミンは幼いある日、父がタリバンに連行されたまま戻らず、残った家族とともに命がけで祖国を脱出した。やがて家族とも離れ離れになり、数年後たった一人でデンマークへと亡命した彼は、30代半ばとなり研究者として成功を収め、恋人の男性と結婚を果たそうとしていた。だが、彼には恋人にも話していない、20年以上も抱え続けていた秘密があった。あまりに壮絶で心を揺さぶられずにはいられない過酷な半生を、親友である映画監督の前で、彼は静かに語り始める…。第94回アカデミー賞3部門にノミネート映画『FLEE フリー』は、ドキュメンタリー、アニメーションというジャンルの垣根を越えて、各国の賞レースを席巻。2021年のサンダンス映画祭にてワールド・シネマ・ドキュメンタリー部門の最高賞であるグランプリを獲得、アヌシー国際アニメーション映画祭でも最高賞となるクリスタル賞ほか3部門を受賞。第94回アカデミー賞では、史上初となる国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞、長編アニメーション賞の3部門同時ノミネートを果たしており、受賞にも期待がかかっている。個人的でありながら世界の人々に響く物語映画『FLEE フリー』が伝えるアミンの物語は、非常に個人的なものでありながらも、紛争、難民、人種差別、LGBTQ+など現代社会を覆う数々のテーマが内包されている。自身も迫害から逃れるため、ロシアを離れたユダヤ系移民であるヨナス・ポヘール・ラスムセン監督は、「難民であることはアイデンティティではありません。それは誰にでも起こりうる状況です。アミンは難民ですが、彼はそれだけではありません。彼は学者であり、家の所有者であり、夫なのです」とコメント。痛ましい争いや権力による武力行使が起こる今の世界において、アミンの苦しみは対岸の火事ではなく、いつか我々の身にも起こるかもしれない物語として世界中の人々の胸に響く。なお、製作総指揮は、『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』でムスリムとして初めてオスカー候補となったリズ・アーメッドと、ドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」のニコライ・コスター=ワルドーの2人。アミンの物語に心を打たれた2人が、エグゼクティブプロデューサーとして『FLEE フリー』をサポートしている。【詳細】映画『FLEE フリー』公開時期:2022年6月10日(金) 新宿バルト9、グランドシネマサンシャイン 池袋ほか全国公開監督:ヨナス・ポヘール・ラスムセン脚本:ヨナス・ポヘール・ラスムセン、アミン・ナワビ製作プロダクション:Final Cut for Real製作総指揮:リズ・アーメッド、ニコライ・コスター=ワルドー英題:FLEE製作国:デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フランス合作言語:デンマーク語、英語、ダリー語、ロシア語、スウェーデン語日本語字幕:松浦美奈後援:デンマーク大使館配給:トランスフォーマー■ムビチケ発売日:4月22日(金)・通常版 1,500円 ※数量限定、取扱有無は各劇場まで問い合わせ。・チャリティ付特製大きめエコバッグセット 2,000円 ※メイジャー通販サイト限定、売上から1枚につき500円が国連UNHCR協会に寄付。
2022年03月06日第45回「日本アカデミー賞」で優秀外国作品賞を受賞した映画『テーラー 人生の仕立て屋』が配信開始となった。本作は、本国ギリシャ最大のテッサロニキ国際映画祭でギリシャ国営放送協会賞、青年審査員賞、国際映画批評家連盟賞の3冠に輝き、イタリアのベルガモ・フィルム・ミーティングで最優秀監督賞と観客賞をW受賞、タリン・ブラックナイト映画祭、コスモラマ-トロンハイム国際映画祭、クリーブランド国際映画祭に正式出品されるなど、世界中の映画祭から喝采を浴びた話題作。日本でも昨年9月に劇場公開されスマッシュヒットを記録、第45回「日本アカデミー賞」優秀外国作品賞を『ノマドランド』や『ミナリ』、『009/ノー・タイム・トゥ・ダイ』、『DUNE/デューン 砂の惑星』という錚々たる作品群と並び受賞した。舞台は別名「太陽の国」と呼ばれる、ギリシャ。アテネの市街地や郊外、エーゲ海沿いなどの心躍る風景。そして楽しくにぎやかなギリシャの結婚式や活気に満ちた市場など、異国情緒あふれるシーンが垣間見え、まるでギリシャを旅したかのような気分を味わえる。また、主人公ニコスが仕立てるウェディングドレスは、すべて衣装デザイナーのジュリー・ルブランがデザインし、そのが、本作のもうひとつの主人公ともいえる。監督・脚本は、次世代のアキ・カウリスマキとも期待される新鋭女性監督ソニア・リザ・ケンターマン。若くしてロンドンで映画製作や美術を学んだ経験を基に、バスター・キートン、ジャック・タチ、ジャン=ダニエル・ポレなど、往年の無声映画やフランス映画の巨匠たちの作品をヒントに、主人公のキャラクターや、スタイリッシュながらどこか懐かしい独特の映画スタイルを作り上げていった。太陽が降り注ぐギリシャの街角を舞台に、市井の人びとの悲喜こもごもだけではなく、美しいドレスがもう一つの主人公のように躍動する、日本アカデミー賞「優秀外国作品賞」を受賞した、希望あふれる極上の感動作を配信で堪能してほしい。■配信情報『テーラー 人生の仕立て屋』現在配信中URL: ■リリース情報『テーラー 人生の仕立て屋』現在発売中価格:4,180円(税込)
2022年03月02日27日(現地時間)、第28回全米映画俳優組合賞授賞式(以下、SAGアワード)が行われた。アカデミー賞の行方を占う賞として重要視されている同賞で、最高賞の位置付けにあるキャスト賞には『コーダ あいのうた』が選ばれた。ほかの候補作品は『ベルファスト』『ドント・ルック・アップ』『ドリームプラン』『ハウス・オブ・グッチ』だった。テレビ部門では、昨年Netflixで大ヒットし、最高賞にあたるアンサンブル賞(作品賞)、ドラマシリーズ男優賞、同女優賞、スタント・アンサンブル賞の計4部門にノミネートされた「イカゲーム」が作品賞を除く3部門を受賞した。※第28回全米映画俳優組合賞の受賞結果は以下の通り【映画部門】■キャスト賞『コーダ あいのうた』■主演女優賞ジェシカ・チャステイン『タミー・フェイの瞳』■主演男優賞ウィル・スミス『ドリームプラン』■助演女優賞アリアナ・デボーズ 『ウエスト・サイド・ストーリー』■助演男優賞トロイ・コッツァー『コーダ あいのうた』■スタント・アンサンブル賞『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』【テレビ部門】■ドラマシリーズ作品賞「キング・オブ・メディア」(別タイトル:サクセッション)■ドラマシリーズ女優賞チョン・ホヨン「イカゲーム」■ドラマシリーズ男優賞イ・ジョンジェ「イカゲーム」■コメディシリーズ作品賞「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」■コメディシリーズ女優賞ジーン・スマート「Hacks」■コメディシリーズ男優賞ジェイソン・サダイキス「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」■テレビ映画・リミテッドシリーズ女優賞ケイト・ウィンスレット「メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実」■テレビ映画・リミテッドシリーズ男優賞マイケル・キートン「DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機」■スタント・アンサンブル賞(コメディ&ドラマシリーズ)「イカゲーム」■生涯功労賞ヘレン・ミレン(Hiromi Kaku)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-コーダ あいのうた 2022年1月、全国にて公開© 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS
2022年02月28日「日本アカデミー賞」において、唯一、一般の映画ファンが投票に参加できる「日本アカデミー賞 話題賞」の投票が2月4日に締め切られ、最終結果が「ナインティナインのオールナイトニッポン」内で発表された。45回目の開催を迎える「日本アカデミー賞」。この話題賞は、1980年の第3回日本アカデミー賞から創設され、「オールナイトニッポン」リスナーの投票を元に、今年、最も話題を集めたと思われる作品と俳優を決定する。今回の日本アカデミー賞 話題賞は、作品部門で庵野秀明総監督作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。俳優部門では、『花束みたいな恋をした』で熱演を見せた菅田将暉が選ばれた。ニッポン放送では、受賞者のスペシャルインタビューも交え、今年も日本アカデミー賞授賞式の模様を「オールナイトニッポン0(ZERO)~第45回日本アカデミー賞スペシャル~」とし2時間に渡って放送する。ニッポン放送「オールナイトニッポン0(ZERO)~第45回日本アカデミー賞スペシャル~」は3月11日(金)27時~全国ネットで放送。(cinemacafe.net)■関連作品:シン・エヴァンゲリオン劇場版 2021年公開予定花束みたいな恋をした 2021年1月29日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開©️2021『花束みたいな恋をした』製作委員会
2022年02月25日第42回青龍映画祭をはじめとした韓国の主要映画賞を席巻し、第25回釜山映画祭パノラマ部門にも出品された韓国映画『Three Sisters』(英題)が、邦題『三姉妹』として6月17日(金)より公開することが決定した。日本では第16回大阪アジアン映画祭の特別注視部門に出品され、上映後にはSNS上に絶賛のコメントが並び、観客の心を掴んだ本作。『ペパーミント・キャンディー』(99)でデビュー、『オアシス』(02/ともにイ・チャンドン監督)で第59回ヴェネチア映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞)に輝き、以後もパク・チャヌクやホン・サンスといった韓国の名匠監督たちとタッグを組み世界を魅了してきた名優ムン・ソリが、その脚本に感銘を受け、主演を務めるとともに共同プロデュースを買って出た三姉妹の物語。韓国・ソウルに暮らす三姉妹。長女ヒスクは別れた夫の借金を返しながら、しがない花屋を営んでいる。ひとり娘には疎まれ相手にされなくても“大丈夫なフリ”をして日々をやり過ごす。次女ミヨンは熱心に教会に通い聖歌隊の指揮者も務める模範的な信徒。高級マンションに暮らし“完璧に”家庭でも振舞うが、そんな日常は次第にほころびを見せ始める。三女ミオクは劇作家としてスランプに陥り自暴自棄となって昼夜問わず酒浸りの日々を送り、夫の連れ子である息子の保護者面談に“酔っていないフリ”で乗り込む始末。性格、仕事、生活スタイル、全てが異なる人生を送る彼女たちは、父親の誕生日を祝うために久しぶりに一堂に会し、蓋をしていた幼少期の心の傷と向き合うことに。真正面から自らと対峙し、もがき、苦しみながらも新たな希望を見出していく三姉妹の姿を、ユーモアを交えながらも激しく活写した。長女ヒスクを演じたのは、日本でも一大ブームとなったドラマ「愛の不時着」で北朝鮮の人民班長ナ・ウォルスク役を人情味あふれながらもコミカルに演じたことで話題を呼び、名バイプレイヤーとして知られるキム・ソニョン。今回も悲哀に満ちながらもどこか可笑しみを感じさせる熱演を披露する。プロデューサーでもあるムン・ソリは、完璧な人間として気丈に振る舞いながらも徐々に仮面が剥がれていく次女ミヨン役に。三女ミオクには、長年トップモデルとして第一線で活躍し、2015年の韓国で年間1位の興行収入を記録した『ベテラン』で映画デビューを果たしたチャン・ヨンジュが抜擢され、自暴自棄になり感情を爆発させる劇作家ミオクを体当たりで演じている。監督は、キム・ソニョンが出演した長編デビュー作『Communication & Lies』(英題/15)で第20回釜山国際映画祭NETPAC賞に輝き、本作が長編3作目となるイ・スンウォン。イ・チャンドン監督もその手腕を激賞する。韓国の主要映画祭である第42回青龍映画祭(最優秀主演女優賞・最優秀助演女優賞)、第57回百想芸術大賞(最優秀助演女優賞)、第41回韓国映画評論家協会賞(最優秀主演女優賞・最優秀助演女優賞)、第30回釜日映画賞(最優秀助演女優賞)の女優部門で次々に受賞を果たし、韓国映画界を席捲。イ・チャンドン監督も「非凡な映画。何を想像しても、それ以上」と絶賛のコメントを寄せている。『三姉妹』は6月17日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2022年02月18日映画『わたしは最悪。』が、2022年7月1日(金)より公開される。カンヌ国際映画祭<女優賞>受賞、第94回アカデミー賞【脚本賞】【国際長編映画賞】ノミネート作品。ヨアキム・トリアー監督のアカデミー賞ノミネート作品映画『わたしは最悪。』は、『⺟の残像』『テルマ』で話題を呼んだ北欧を代表するヨアキム・トリアー監督の最新作。“異彩を放つ”ラブストーリーとして世界の賞レースを席巻しており、カンヌ国際映画祭では主演のレナーテ・レインスヴェが<女優賞>を受賞。第94回アカデミー賞では【脚本賞】【国際長編映画賞】にノミネートされている。“異彩を放つ”ラブストーリー映画『わたしは最悪。』は、理想と現実の間で揺れ動きながら、自分の気持ちに向き合い行動する主人公ユリヤと、その周りの人たちを、時にロマンティックに、時に痛烈に描き出すというストーリー。海外メディアは、「これは新しい!恋愛ドラマに⻘春モノを掛け合わせて、こんなにも⽢美で魅惑的なものができるとは」「⼤爆笑と悲痛が同居するヨアキム・トリアー監督のベスト作品」などと評している。<映画『わたしは最悪。』あらすじ>ユリヤは30歳という節目を迎えたが、人生はどうにも方向性が定まらない。学⽣時代は成績優秀で、アートの才能や⽂才もあるのに「これしかない!」という決定的な道が⾒つからず、いくつもの才能を無駄にしてきた。いまだ⼈⽣の脇役のような気分のユリヤは、グラフィックノベル作家として成功した年上の恋⼈アクセルからしきりに妻や⺟といったポジションをすすめられる。ある夜、彼女は招待されていないパーティに紛れ込み、若くて魅力的なアイヴィンに出会う。ほどなくしてアクセルと別れて新しい恋愛に身を投じ、今度こそ人生の新たな展望を見出そうとするが――。新星レナーテ・レインスヴェがカンヌ国際映画祭<女優賞>受賞■主人公・ユリヤ...レナーテ・レインスヴェ30歳という節目を迎えたが、人生の方向性が定まらない主人公。時に自己嫌悪に陥り、周りを傷つけながらも、自分の気持ちに正直に人生の選択をしていく。主演を務めるのはノルウェーの新星レナーテ・レインスヴェ。奔放でありながら、その年代特有の心の機微を大胆かつ繊細な表現力で演じ切り、カンヌ国際映画祭<女優賞>をはじめ、各国の賞レースで高い評価を得ている。監督のヨアキム・トリアーも、「この映画を作るきっかけは、レナーテだった。彼女の舞台での演技に魅了され、主演を務めたことのなかった彼女のために脚本を書いた。主人公のキャラクター造形、複雑な心境を作っていくうえで、彼女に助けられたことが沢山ある。人間ドラマ、コメディなどたくみに演じられる素晴らしい才能を持っている、今一番の女優だと思う」とレナーテ・レインスヴェの演技を絶賛した。■アクセル…アンデルシュ・ダニエルセン・リーユリヤの年上の恋人で、グラフィックノベル作家として成功。ユリヤに妻や母として生きることを勧め、身を固めたがっている。演じるのは、『パーソナル・ショッパー』『ベルイマン島にて』のアンデルシュ・ダニエルセン・リー。■アイヴィン…ヘルベルト・ノルドルムパーティでユリヤと出会う若い青年。主にコメディ作品で⾼い⼈気を誇る、ノルウェーの俳優ヘルベルト・ノルドルムが演じる。【詳細】映画『わたしは最悪。』公開日:2022年7月1日(金)監督:ヨアキム・トリアー脚本:ヨアキム・トリアー、エスキル・フォクト出演:レナーテ・レインスヴェ、アンデルシュ・ダニエルセン・リー、ハーバート・ノードラム原題:The Worst Person In The World2021/ノルウェー、フランス、スウェーデン、デンマーク/R15+
2022年02月17日「第76回毎日映画コンクール」の表彰式が15日、都内で行われ、各賞を受賞した佐藤健、尾野真千子、清原果耶、片山友希、宮本信子らが登場した。今年で76回目を迎える同賞は、毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社などが主催している映画賞。1935年に創設された「全日本映画コンクール」を前進に、第2次世界大戦を経て1946年に現在の「毎日映画コンクール」がスタートした。以降、時代の変化とともに選考方法や賞の区分を変えながら、作品、俳優、映画スタッフ、アニメーション、ドキュメンタリーなど幅広い分野において顕彰を続け、映画業界はもちろん、映画ファンからも高い支持を集めている。男優主演賞には『護られなかった者たちへ』で主演を務めた佐藤健が選ばれた。「改めて素晴らしい映画に携わらせていただいたという思いで、お声を掛けてくださったことに感謝したいし、現場でも自分自身の力はちっぽけで、支えられた皆さんに本当に感謝したいです」と共演者やスタッフに感謝の言葉を口にした佐藤。本作は、震災から生活保護にとデリケートなテーマを扱っており、役作りについては「自分が頑張ったというより空気に身を委ねました。震災当時の学校を再現してくださったりして美術さんのお力をお借りし、その空気に身を任せて撮影していたという感じです」と振り返り、「コロナ禍ということもあって普段のように一緒にご飯を食べることもありませんでした。阿部寛さんとの共演を楽しみにしていましたが、挨拶ぐらいで話す機会もなく、本当ならもっと話したかったなと思っていました。また別の機会に今回の皆さんとはご一緒したいと思います」と共演した阿部らとの再会を臨んでいた。女優主演賞には『茜色に焼かれる』 の尾野真千子が受賞。『茜色に焼かれる』からは尾野をはじめ、和田庵と片山友希が新人賞にも選ばれた。「頑張った結果ですね。本当にもがいたんですよ。ここにいないキャストはもちろん、スタッフさんや監督さんみんながもがいて苦しみ、色んなことを考えながら絞り出したような毎日を過ごしてお芝居をしました。その結果がこうやって繋がり、2人の自信とか色んなことが出たんだろうと思います。本当に母のようにうれしいです」と自身の受賞はもちろん、和田と片山の受賞を喜んだ。尾野の演技を間近で見た片山は「本番が始まる直前に尾野さんはいっぱい喋られていて笑顔だったんですが、スタートすると号泣されてすごいな~と思いました。私は気持ちを自分の中で考えないと撮影ができないことが多くて、切り替えのすごさは今まで出会ったことがない女優さんだと思ったしシンプルに格好良いと思いました」と絶賛し、「目指す女優さんは尾野さん? おこがましいですよね。尾野さんに憧れてますって簡単に言ってはいけない人だなと思ったので言えません」と恐縮しきり。すると尾野が「いや、もう黙っていて欲しいです」と笑いを誘っていた。なお、各賞の受賞者は、以下の通り。○■受賞一覧日本映画大賞:『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)日本映画優秀賞:『すばらしき世界』(西川美和監督)外国映画ベストワン賞:『ノマドランド』(クロエ・ジャオ監督)(ウォルト・ディズニー・ジャパン 目黒敦)男優主演賞:佐藤健『護られなかった者たちへ』女優主演賞:尾野真千子『茜色に焼かれる』男優助演賞:仲野太賀『すばらしき世界』女優助演賞:清原果耶『護られなかった者たちへ』スポニチグランプリ新人賞(男性):和田庵『茜色に焼かれる』スポニチグランプリ新人賞(女性):片山友希『茜色に焼かれる』監督賞:濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』脚本賞:吉田恵輔『空白』撮影賞:笠松則通『すばらしき世界』美術賞:原田哲男『燃えよ剣』音楽賞:林正樹『すばらしき世界』録音賞:浦田和治『孤狼の血 LEVEL2』アニメーション映画賞:『岬のマヨイガ』(川面真也監督)大藤信郎賞:『プックラポッタと森の時間』(八代健志監督)ドキュメンタリー映画賞:『水俣曼荼羅』(原一男監督)TSUTAYA 映画ファン賞・日本映画部門:『るろうに剣心 最終章 The Final』(大友啓史監督)TSUTAYA 映画ファン賞・外国映画部門:『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(東宝東和 山﨑俊)田中絹代賞:宮本信子特別賞:岩波ホール(エキプ・ド・シネマの活動)(岩波ホール 岩波律子)
2022年02月16日俳優の佐藤健が2月15日、都内で行われた第76回毎日映画コンクールの表彰式に出席。主演作『護られなかった者たちへ』で男優主演賞を初受賞し「大変光栄です。支えてくださったすべての皆さんに感謝を伝えたいと思います」と喜びを語った。ベストセラー作家・中山七里の同名ミステリー小説を佐藤健&瀬々敬久監督という『8年越しの花嫁奇跡の実話』コンビ、阿部寛の共演で映画化。東日本大震災から10年後、宮城県内の都市部で発生した連続殺人事件を描く同作で、佐藤さんは捜査線上に浮かび上がる元模範囚・利根泰久を演じ、新境地に立つ演技が高く評価された。大友啓史監督&佐藤健また、佐藤さんが主演を務めた『るろうに剣心 最終章 The Final』がTSUTAYA 映画ファン賞・日本映画部門を受賞し、メガホンをとった大友啓史監督とともに同賞を受け取り、「我々が頑張ったあの日々が報われましたね。投票してくださった皆さんの愛を感じました。その気持ちをしっかり受け止めましたので、それを原動力に変えて、今後も精進していきたいと思います」とファンに感謝を伝えていた。毎日映画コンクールは1946年、日本の映画産業の振興に寄与し、国民に映画の楽しさを広く伝えることを目的に、毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社によって創設された映画賞で約80人が選考に関わる。第76回となる今年は、日本映画として初めて米アカデミー賞作品賞にノミネートされている『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)が、日本映画大賞を受賞。西川美和監督が『すばらしき世界』が日本映画優秀賞をはじめ、最多4冠を達成した。佐藤健男優主演賞受賞のコメント大変光栄です。ここに立てているのは間違いなく、瀬々(敬久)監督をはじめ、スタッフ、共演者の皆さんのおかげです。支えてくださったすべての皆さんに感謝を伝えたいと思います。ありがとうございます。改めてすばらしい映画に携わらせていただいたと思います。現場では自分の力はちっぽけなもの。皆さんの支えがあって、何とか演じ切ることができたので、皆さんに感謝したいです。(役作りについて)自分ですごく頑張ったということではなくて、本当に(現場の)空気に身を委ねたという言い方が近いですね。全編宮城で撮影させていただき、僕も実際に2ヶ月ほど宮城に滞在しました。その空気を感じながら、当時の様子を再現してくださった技術の力を借りながら、撮影した感じですかね。撮影中はコロナ禍ということもあって、普段なら一緒にご飯に行ったりするんですけど、そういうこともできず…。他の映画と比べて、共演者やスタッフの皆さんとコミュニケーションを取る時間はあまりなかったです。阿部(寛)さんとの共演もすごく楽しみにしていたんですけど、ほぼほぼ挨拶するしか時間なくて。(容疑者と刑事という)役柄の関係性もあると思いますが、本当はもっと話したかったなと。また、別の機会に今回の現場の皆さんとはご一緒できればと思っています。【第76回毎日映画コンクール 受賞結果】日本映画大賞:『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)日本映画優秀賞:『すばらしき世界』(西川美和監督)外国映画ベストワン賞:『ノマドランド』(クロエ・ジャオ監督)男優主演賞:佐藤健『護られなかった者たちへ』女優主演賞:尾野真千子『茜色に焼かれる』男優助演賞:仲野太賀『すばらしき世界』女優助演賞:清原果耶『護られなかった者たちへ』スポニチグランプリ新人賞(男性):和田庵『茜色に焼かれる』スポニチグランプリ新人賞(女性):片山友希『茜色に焼かれる』監督賞:濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』脚本賞:吉田恵輔『空白』(土に口のよし)撮影賞:笠松則通『すばらしき世界』美術賞:原田哲男『燃えよ剣』音楽賞:林正樹『すばらしき世界』録音賞:浦田和治『孤狼の血 LEVEL2』アニメーション映画賞:『岬のマヨイガ』(川面真也監督)大藤信郎賞:『プックラポッタと森の時間』(八代健志監督)ドキュメンタリー映画賞:『水俣曼荼羅』(原一男監督)TSUTAYA 映画ファン賞・日本映画部門:『るろうに剣心 最終章 The Final』TSUTAYA 映画ファン賞・外国映画部門:『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』田中絹代賞:宮本信子特別賞:岩波ホール(エキプ・ド・シネマの活動)(text:cinemacafe.net)■関連作品:護られなかった者たちへ 2021年10月1日より全国にて公開©2021映画「護られなかった者たちへ」製作委員会
2022年02月15日2月8日(現地時間)に第94回アカデミー賞ノミネーションが発表され、濱口竜介監督が村上春樹の短編を映画化した『ドライブ・マイ・カー』が、「国際長編映画賞」と「脚色賞」、「監督賞」「作品賞」の4部門にノミネート。日本映画が「国際長編映画賞」にノミネートされたのは『万引き家族』(第91回アカデミー賞)以来3年ぶり、「作品賞」のノミネートは初となる。第74回カンヌ国際映画祭にて日本映画初の脚本賞を含む4冠を受賞したのち、第56回全米批評家協会賞では作品賞、監督賞(『ドライブ・マイ・カー』『偶然と想像』の2作品に対して)、脚本賞、主演男優賞(西島秀俊)の主要4部門を受賞。先日発表された第79回ゴールデン・グローブ賞では非英語映画賞を受賞、第42回ロンドン映画批評家協会賞では非英語映画賞、脚本賞の2部門での受賞。これまで数々の賞を受賞し、世界中で高い評価を得ている。授賞式は2022年3月27日(現地時間)に開催される。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2022年02月08日6日夜(現地時間)、第42回ロンドン映画批評家協会賞授賞式がロンドンのメイフェアホテルでバーチャル開催された。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』が4冠の栄光に輝いた。同作のジェーン・カンピオン監督にとって、ロンドン映画批評家協会賞の作品賞を受賞するのは『ピアノ・レッスン』以来28年ぶり。2冠を手にしたのは濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』、ジョアンナ・ホッグ監督の半自伝的映画『The Souvenir: Part II』、レベッカ・ホールの初監督作『PASSING -白い黒人-』だった。新型コロナウイルスの影響により、2年連続でバーチャル開催という形がとられたロンドン映画批評家協会賞授賞式だが、同協会は今年末に今年の受賞者たちを祝う対面イベントを計画しているという。主な受賞作品・受賞者は以下の通り。作品賞『パワー・オブ・ザ・ドッグ』監督賞ジェーン・カンピオン『パワー・オブ・ザ・ドッグ』非英語映画賞『ドライブ・マイ・カー』脚本賞濱口竜介&大江崇允『ドライブ・マイ・カー』主演女優賞オリヴィア・コールマン『ロスト・ドーター』主演男優賞ベネディクト・カンバーバッチ『パワー・オブ・ザ・ドッグ』助演女優賞ルース・ネッガ『PASSING -白い黒人-』助演男優賞コディ・スミット=マクフィー『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(Hiromi Kaku)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会【Netflix映画】パワー・オブ・ザ・ドッグ 2021年11⽉19⽇より一部劇場にて公開、12月1日よりNetflixにて配信
2022年02月07日スペインのアカデミー賞と称される、ゴヤ賞を主催するスペイン映画芸術科学アカデミーは、ゴヤ賞において「International Goya Award」(国際ゴヤ賞)を創設したことを発表。初の受賞者にケイト・ブランシェットを選出したことを明らかにした。「国際ゴヤ賞」は、「異なる文化や人々を結び付け、媒介者として映画に貢献してきたアーティストを称えるための賞」だという。ケイトは「映画界において並外れた人物」であり、「私たちの記憶に残る、忘れられない役を演じてきた」ことが評価されたという。インターネットでは「ケイトにふさわしい賞!彼女は史上最高の俳優の一人」「本当にすごい俳優。どの映画を観ても異なる英語を話すから、どこの出身か知らなかったけれど、オーストラリア人なんだね」と受賞に「納得」という声が寄せられている。ケイトは、俳優業では、米アカデミー賞を2度受賞し、ゴールデングローブ賞と英国アカデミー賞は3度受賞。その他の賞の受賞歴は数知れず。近年はプロデューサーとしても手腕を発揮している。母国オーストラリアで権威のあるシドニー・シアター・カンパニーの舞台監督を務めたこともあった。本業以外には、環境問題や人道支援にも取り組んできた。国際ゴヤ賞は2月12日に開催される第36回ゴヤ賞授賞式にて、ケイトに授与される。(Hiromi Kaku)
2022年02月07日英国アカデミー賞のノミネーションが発表になった。濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』は、監督、脚色、非英語映画部門にノミネートされた。作品部門の候補は『ベルファスト』、『ドント・ルック・アップ』、『DUNE/デューン砂の惑星』、『Licorice Pizza』、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』。監督候補は、濱口監督のほかアリーム・カーン(『After Love』)、オードリー・ディワン(『Happening』)、ポール・トーマス・アンダーソン(『Licorice Pizza』)、ジェーン・カンピオン(『パワー・オブ・ザ・ドッグ』)、ジュリア・デュクルノー(『Titane』)。主演男優部門の候補はアディール・アクタル(『Ali & Ava』)、マハーシャラ・アリ(『スワン・ソング』)、ベネディクト・カンバーバッチ(『パワー・オブ・ザ・ドッグ』)、レオナルド・ディカプリオ(『ドント・ルック・アップ』)、スティーブン・グレアム(『Boiling Point』)、ウィル・スミス(『ドリームプラン』)。主演女優部門の候補はレディ・ガガ(『ハウス・オブ・グッチ』)、アラナ・ハイム(『Licorice Pizza』)、エミリア・ジョーンズ(『コーダあいのうた』)、レネーテ・レインスヴェ(『The Worst Person in the World』)、ジョアンナ・スキャンラン(『After Love』)、テッサ・トンプソン(『PASSING -白い黒人-』)。授賞式は3月13日。文=猿渡由紀
2022年02月04日英国アカデミー賞(BAFTA賞)のノミネーションが発表された。『DUNE/デューン 砂の惑星』が作品賞を含む11ノミネーションでトップ。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』が8ノミネート、『ベルファスト』が6ノミネートと続く。今年度の映画祭や賞レースで注目を集めている日本の『ドライブ・マイ・カー』は、非英語映画賞のみならず、監督賞の候補にも選ばれた。英国アカデミー賞授賞式は3月13日(現地時間)に行われる。主な候補作品・候補者は以下の通り。作品賞『ベルファスト』『ドント・ルック・アップ』『DUNE/デューン 砂の惑星』『リコリス・ピザ』『パワー・オブ・ザ・ドッグ』監督賞ポール・トーマス・アンダーソン『リコリス・ピザ』ジェーン・カンピオン『パワー・オブ・ザ・ドッグ』アリーム・カーン『アフター・ラヴ』濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』オドレイ・ディワン『Happening』(英題)ジュリア・デュクルノー『Titane』非英語映画賞『ドライブ・マイ・カー』(日本)『Hand of God -神の手が触れた日-』(イタリア)『Parallel Mothers』(スペイン)『Petite Maman』(フランス)『The Worst Person In The World』(ノルウェイ、フランス、デンマーク、スウェーデン)脚本賞『愛すべき夫妻の秘密』アーロン・ソーキン『ベルファスト』ケネス・ブラナー『ドント・ルック・アップ』アダム・マッケイ『ドリームプラン』ザック・ベイリン『リコリス・ピザ』ポール・トーマス・アンダーソン主演女優賞レディー・ガガ 『ハウス・オブ・グッチ』アラナ・ハイム『リコリス・ピザ』エミリア・ジョーンズ『コーダ あいのうた』レナーテ・レインスヴェ『The Worst Person In The World』(英題)ジョアンナ・スキャンラン『アフター・ラヴ』テッサ・トンプソン『PASSING -白い黒人-』主演男優賞マハーシャラ・アリ 『スワン・ソング』ベネディクト・カンバーバッチ 『パワー・オブ・ザ・ドッグ』ウィル・スミス 『ドリームプラン』レオナルド・ディカプリオ『ドント・ルック・アップ』アディール・アクタル『Ali & Ava』スティーヴン・グレアム『Boiling Point』助演女優賞カトリーナ・バルフ 『ベルファスト』アリアナ・デボーズ 『ウエスト・サイド・ストーリー』アーンジャニュー・エリス 『ドリームプラン』ルース・ネッガ 『PASSING -白い黒人-』ジェシー・バックリー『ロスト・ドーター』アン・ダウド『Mass』助演男優賞ウディ・ノーマン『カモン カモン』マイク・ファイスト『ウエスト・サイド・ストーリー』キアラン・ハインズ『ベルファスト』トロイ・コッツァー『Coda コーダ あいのうた』ジェシー・プレモンス『パワー・オブ・ザ・ドッグ』コディ・スミット=マクフィー『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(Hiromi Kaku)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2022年02月04日サンダンス映画祭の受賞結果が発表された。昨年は『コーダ あいのうた』が審査員賞、観客賞、監督賞、アンサンブルキャスト賞の4部門を受賞する圧勝ぶりを見せたが、今年は分散した結果になっている。USドラマティック部門では、『Nanny』が審査員賞、『Cha Cha Real Smooth』が観客賞を受賞。『Nanny』は、女性監督ニキャツ・ジュスによるスリラー。主人公はセネガルからの移民女性。母国からひとり息子を呼び寄せることを夢見つつ、ニューヨークで金持ちの白人家族のベビーシッターとして働くが、彼女は時に奇妙な幻想を見る。『Cha Cha Real Smooth』はダコタ・ジョンソンが出演。彼女はプロデューサーも兼任する。大学を出たばかりでアルバイト生活をしている主人公の男性(クーパー・レイフ。彼は監督、脚本も務める)が、ふとしたことで知り合いになった年上のシングルマザー(ジョンソン)に惹かれていくという恋愛映画、成長物語だ。監督賞は『Palm Trees and Power Lines』のジェイミー・ダック、脚本賞は『Emergency』のK.D.・ダヴィラ、アンサンブルキャスト賞はジョン・ボイエガが主演する『892』のキャストが受賞した。USドキュメンタリー部門の審査員賞に輝いたのは、ベン・クラインとヴァイオレット・コロンバスが監督する『The Exiles』。観客賞は、サプライズ作品として映画祭開催後に新たに加わったダニエル・ロアー監督の『Navalny』が受賞した。『Navalny』は「映画祭お気に入り賞」も受賞している。ワールドシネマ・ドラマティック部門の審査員賞は、ボリビア、ウルグアイ、フランス製作の『Utama』、観客賞はフィンランドの『Girl Picture』。ワールドシネマ・ドキュメンタリー部門の審査員賞は、インドとイギリス製作の『All That Breathes』、観客賞はブラジル、デンマーク、アメリカ製作の『The Territory』だった。ほかに、日本で撮影され、ミュージシャンの植野隆司、イッセー尾形が出演するブライアン・ラスト・グレイ監督の『blood』が、「妥協しない芸術的ビジョン賞」を受賞している。文=猿渡由紀
2022年01月31日プロデューサー組合賞(PGA)のノミネーションが発表された。劇場用映画部門に候補入りしたのは、『愛すべき夫婦の秘密』、『ベルファスト』、『コーダ あいのうた』、『ドント・ルック・アップ』、『DUNE/デューン 砂の惑星』、『ドリームプラン』、『Licorice Pizza』、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』、『tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!』、『ウエスト・サイド・ストーリー』の10本。PGAのノミネーションとオスカー作品部門のノミネーションは、かなりの確率でかぶるため、これらの作品には大きなチャンスが出た形だ。一方、劇場用アニメーション映画部門には、『ミラベルと魔法だらけの家』、『あの夏のルカ』、『ミッチェル家とマシンの反乱』、『ラーヤと龍の王国』、『SING/シングネクストステージ』が候補入りした。受賞発表は3月19日。
2022年01月28日第79回ゴールデン・グローブ賞にて作品賞(ドラマ部門)、助演男優賞にノミネートされるなど、映画賞レースを席巻している『コーダ あいのうた』。この度、劇中で家族で唯一の聴者・ルビー(エミリア・ジョーンズ)を見守る陽気な母ジャッキーを演じる、ろう者である俳優マーリー・マトリンのインタビューがシネマカフェに到着した。1歳半のときに聴力のほとんどを失ったマーリー・マトリンは、『愛は静けさの中に』(86)でアカデミー賞主演女優賞を受賞。近年は主にTVシリーズで活躍し、「ザ・ホワイトハウス」1~7(00~06)、「Lの世界」シーズン4~ファイナル(07~09)、「クワンティコ/FBI アカデミーの真実」ファイナル・シーズン(18)などに出演してきた。ろう者の役を実際にろう者の俳優が演じる本作が世の中に与える影響について聞かれたマトリンは、「この映画は、ろう者のコミュニティーを知るきっかけになると思いますし、世界中のろう者の人たちの存在を知り、彼らの声に耳を傾ける良い機会だと思います。私たちは聞こえないからといってすべてをあきらめるわけではないのです」と言い、「私たちだって実際にこうやって生きているんだ、という事実を知ってもらえたらいい」と語る。「世界中に、難聴者やろう者はいっぱいいます。この映画を見た人が、<ろう者である俳優が実際にろう者を演じ、ろう者のために、美しい手話を使って、音のない世界を伝えようとしている!>と思ってもらえたら、俳優としてこれほど嬉しいことはありません」と言い、そして「映画であれ、舞台であれ、テレビであれ、ろう者の人たちにもっと仕事が来ることを願っています」とその切なる想いを述べる。本作を手掛けたシアン・ヘダー監督については、「彼女のような人間に、私は今まで会ったことがないほど、素晴らしい女性!」と大絶賛、「私たちみんなと、物語について、キャラクターについて、深い会話ができるように、自ら手話を習得していました。私たちのことを、心から信頼してくれています」と語り、「自分の作品を信じていると同時に、私たちの仕事も信じてくれている。彼女だからこそ、今回の企画が実現できました。シアンのような監督が今後もっと増えることを願います」と明かす。映画業界で働く“耳の聞こえない人たちの機会の平等”について聞かれた際は「この映画が公開されたことはとても重要なこと」と言う。「耳の聞こえない俳優、監督、脚本家、メイクアップアーティスト、衣装デザイナー…裏方のスタッフの多くが、今までずっと映画業界に入ろうと必死に戦ってきました。この映画が公開されれば、エンターテイメント業界の人々の多くが知り、気づいてくれると思います。この映画の中には本当に耳の聞こえない人たちが出演しているんだ、だから真実味があるんだ、彼らはこの作品に不可欠なんだ、と感じてくれるはず」と力強く発言。さらに、「この映画を見た人に、この映画に登場するような、耳の聞こえない親を持つ子供が実際に存在するということを知ってもらいたい。私たちの生活に手話というコミュニケーション手段が欠かせないのだということも。それに、同じような物語は山ほどあります。毎日のように起きています。こういった物語を伝えていく必要があります。この物語を皆と共有できる機会を持てて、とても嬉しい」と感慨深く語った。『コーダ あいのうた』はTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開中。<バリアフリー字幕版>も全国の劇場にて上映。(text:cinemacafe.net)■関連作品:コーダ あいのうた 2022年1月、全国にて公開© 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS
2022年01月23日