野村萬斎が7年ぶりの映画主演を果たした歴史スペクタクル『のぼうの城』のジャパンプレミアが20日に東京・六本木ヒルズアリーナで開催され、野村をはじめ、榮倉奈々、成宮寛貴、山口智充、上地雄輔、山田孝之、佐藤浩市ら豪華キャストが本作の“出陣”に雄叫びを上げた。舞台上には滝をイメージした水のカーテン。前方では炎が上がるという本作の世界観を再現するド派手な演出に、キャスト陣は汗だくだった。その他の写真発行部数130万部を突破した和田竜のベストセラーを『ゼロの焦点』の犬童一心監督と『ローレライ』の樋口真嗣監督が共同でメガホンを執り映画化。家臣から“のぼう様”と呼ばれる忍城(おしじょう)の城代・成田長親(野村)が、外見からは想像もできない才能と人望によって、天下統一を目指す豊臣秀吉の2万の大軍を相手に、たった500名の兵で圧倒的な戦いを見せる様を描く。昨年9月に公開される予定だった本作。しかし、東日本大震災を受け、映画のクライマックスである“水攻め”の表現が、時節柄ふさわしくない描写であるとの判断で、公開が延期されていた。念願の公開決定に、野村は「とにかく嬉しい」と喜びを爆発させ「泣いて笑って、ビックリしてズッコケて……。ぜひ映画から活力をもらって、家に帰ってもらえれば」と“のぼう様”顔負けの熱弁でアピールした。一方、佐藤は「なんで監督がふたりだったの?」と今更ながら、素朴な疑問。「面白い作品が作れるという確信があって、樋口を誘った」(犬童監督)、「マネする人が増えると困るから、大きな声では言えないが、監督が2人いるのは大変良かった。演出が“当社比2倍”ですから、ツインターボを搭載しているようなもの」(樋口監督)と経緯を説明し、さらに「面白くって、つい5回も観ちゃった」(犬童監督)と並々ならぬ自信だ。「ロマンスの要素もあるので、女性にも楽しんでもらえる」(榮倉)、「壮大な時代劇であり、同時に人間ドラマ」(成宮)、「家族三代で楽しめる作品」(山田)、「僕の衣装は“そで”が無いので、ぜひ二の腕フェチの皆さんには注目してほしい」(山口)。上地は先月、本作のプレミア上映が行われた第36回モントリオール世界映画祭に参戦し「現地のみなさんのリアクションがとても大きかった」と手応えを感じていた。『のぼうの城』11月2日(金) ロードショー
2012年09月20日芸能界における幼なじみ。こちらのそんな指摘に神木隆之介はチラリと隣りの大後寿々花を見やり「そうなんです。珍しいでしょ?」とニッコリと笑う。共に1993年生まれで役者としてのデビューの時期もわずか1年違い。ドラマ「あいくるしい」や映画『遠くの空に消えた』など、これまでもたびたび共演してきた2人がまもなく公開される『桐島、部活やめるってよ』で高校のクラスメイトという間柄を演じている。この春、高校を卒業した2人だが、撮影が行われたのは在学時。彼らの生の息吹が映画に焼きつけられていると言える。高校生活ならではの葛藤、気持ちの変化原作は朝井リョウが大学在学中に著した同名処女小説。バレー部のキャプテンで人気者の桐島がバレー部を退部したといううわさが校内を駆け巡る。彼の周囲の人間がこのうわさに翻弄されていく過程で若者たちの心の内が鮮やかに浮かび上がっていく。「脚本を読んで、高校生活独特の複雑な気持ちや葛藤、心の些細な動きが文面からだけでもひしひしと伝わってきた」と神木さん。大後さんも「本当に何気ない高校生活を描いているんですが、学生にとっては本当に共感できる物語だなと思いました」と頷く。多くの若い俳優陣が出演しているが、吉田大八監督の下で撮影の1か月ほど前からワークショップを実施。劇中のクラス内のグループや所属する部活ごとに分かれて行動し、さらに監督からは自分の役柄の生い立ちや性格といった“裏設定”をレポートとして提出するように指示されたという。原作小説をヒントに自分の役を作り上げていく者もいれば、神木さんのように「全くゼロから前田涼也という役の歩んできた道をオリジナルから考えて作った」という者もいた。「前田はヘタレで臆病者なのですが、実はすごく我慢強くて熱いものを内に秘めていて意志も人一倍強い子だと思います。それは脚本を読んだときやレポートを書いたとき、それから演じているときも強く感じていました」。大後さんが演じた沢島亜矢は吹奏楽部の部長。決して目立つ存在ではないが、前田同様に芯の強さを持った女の子であり、自らに重なる部分もあったようだ。「女子がまとまって騒いでてもそれを遠目に見てるタイプです。でも、すごく純粋で好きな男の子の方を思わず見ちゃうところなんかはかわいいですよね。心の中で思っていることはたくさんあるけど、勇気がなくて言えないところは私と似てます(笑)。沢島が感情を高ぶらせるシーンは、まさに私自身と重ねて言葉にならない思いを感じながら演じました。それから吹奏楽のシーンは音楽の力にすごく助けられましたね」。2人の間で役作りは必要なかった?冒頭で2人の劇中での関係をクラスメイトと書いたが、前田と沢島は決して仲が良いわけではない。そんな2人がそれぞれの“事情”を抱えて少しずつ交差していく。幼い頃から互いを知り尽くしている神木さんと大後さんが、恋愛感情も友情もない何とも微妙な前田と沢島の関係性を作り上げているところがおもしろい。神木さんは「あのシーンについて、2人で事前に演技について話をすることは全くなかったんですよ。ね?」とイタズラっぽい笑みを浮かべる。「噛み合わない前田と沢島だけど、どこかで互いに分かり合える部分を持っていると思うんです。だからこそ前田の沢島に対する最後の言葉が出てきたんだろうな、と。大後さんとは何度も共演して、互いにお芝居の仕方だけでなくひとりの人間としての中身もよく知っている。それがあったからこそ、あのどこかで繋がっている2人の関係性をきちんと表現することができたんじゃないかなと思うんです。逆に、例えば橋本(愛)さんのことは僕はほとんど知らなくて、一緒のシーンがある最終日まで『おはよう』しか会話を交わしたことがなかった。実際にぎこちなくて、映画の中の前田とかすみ(橋本)の関係そのままなんです(苦笑)。芝居をしていても互いに距離感が掴めずにズレをすごく感じる。撮影後にようやく喋れるようになったのですが、そういう意味でこの映画はキャスト同士の距離感が絶妙だったと思います」。安心感がある。心地よい幼なじみの関係幼なじみにして、同じ俳優としての道を歩んできた同志でもある2人。この機会に改めて互いの性格や魅力についてマジメに語ってもらおう。神木さん、ずばり大後さんはどんな人?「すごく頭がいいです。とにかく回転が速い!周りに気を遣えるし、しっかりしています、近寄りがたいくらいに(笑)。それが、芝居となるとフワーっと優しく包み込んでくれるんです。僕のイメージでは、黄緑色の薄いカーテンに包まれるような心地いい感じ(笑)。あの感じはいつも共演しながら『すごいな』と思って尊敬してます」。そんな神木さんの言葉に大後さんは頬を赤らめながら、神木さんが共演者にもたらす「安心感」を語ってくれた。「神木さんとは本当に小っちゃい頃から一緒なので、私もリラックスして気負いなく現場にいられます。どんな芝居をしても受け止めてくれる安心感があるんです。普段の神木さんは…すごく優しいですよ(笑)。本当にそのひと言に尽きます。お芝居のことでもそれ以外のことでも、私が考え込んでいるときにその空気を察してフッと温かいひと言をかけてくれる。それがすごく嬉しくて、悩んでたことも『そんなに悩まなくていいんだな』って思えたり。ひと言で私を変えてしまうくらいすごく影響を与えてくれます」。これからも幾度となく共演することになるであろう2人だが、この作品に閉じ込められている感情は間違いなくあのとき、あの場所でしか表現することができなかったものである。懐かしさを感じるもよし、胸の痛みにのた打ち回るもよし、モヤモヤとした何とも言葉にできない、だが限りなく美しい感情を2人の姿を通じて感じてほしい。(photo/text:Naoki Kurozu)■関連作品:桐島、部活やめるってよ 2012年8月11日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2012「桐島」映画部©朝井リョウ/集英社
2012年08月08日東京・世田谷区の公共劇場、世田谷パブリックシアターの平成24年度の劇場プログラムに関する発表会が4月11日に行われた。会見には芸術監督を務める野村萬斎と、主催公演を担当する栗山民也、長塚圭史、三浦康嗣、白井晃、森新太郎が登壇した。『南部高速道路』チケット情報会見で萬斎は「劇場も15周年になります。古典から新作まで、時代を意識しながら民間では出来ないことをやりたい」と挨拶。その中で、昨今の税に対する関心の高さを意識してか、「みなさんの税金を使ってやっていることもあります。売れるに越したことはないですが、(出席者に向けて)価値のある作品づくりをお願いしたい」との要望も。それに応えるように、6月にラテンアメリカの作家、フリオ・コルタサルの短篇小説『南部高速道路』をもとに新たな作品を作る長塚は「(この本は)渋滞に巻き込まれ、終わらないというシンプルな話。頼もしい俳優に集まってもらい、いい形で稽古も進めている。税金も無駄にしないんじゃないか」と自信をのぞかせた。6月はもう1本、井上ひさし生誕77フェスティバル2012の第4弾として萬斎主演で『藪原検校(やぶはらけんぎょう)』を上演する。これは井上ひさしの存命中から企画していたもの。演出の栗山は「井上さんの芝居は声が重要なファクターになる。(萬斎主演の)『国盗人』を観て、(主人公の)杉の市と萬斎さんがなぜかだぶった」とキャスティングした理由を明かした。これを受けて萬斎は「指名してもらい光栄です。久々に腰が上がりました。『オイディプス』以来です」と嬉しそうに話していた。また、井上ひさしの希望もあり、初演時と同じく井上の兄(井上滋)の音楽を使用する。10月は3人の先鋭的作家がタッグを組み、既存のミュージカルや音楽劇に囚われない、次世代の音楽劇『魔笛』(仮)を上演する。脚本は第54回岸田國士戯曲賞を受賞した柴幸男、音楽は□□□(クチロロ)の三浦康嗣、振付はモモンガ・コンプレックス主宰の白神ももこが担当。ただし、三浦曰く「現状ではどういうものを作るのかまったく決まっていない」そうで、担当するパートも変わる可能性があるとか。タイトルもモーツァルトとは関係ないと説明し、「演劇を観に来ているはずなのに、いつの間にか音楽のルールで観ているような錯覚」といった、音楽と演劇の壁を越えたようなものを目指していきたいと意欲を見せた。この他、11月は川村毅が書き下ろした作品を白井晃が演出する、死刑制度に纏わる話『「4」four』を、12月は英国の人気劇作家リチャード・ビーンの作品を、日本初登場で上演。演出は期待の若手森新太郎が担当する。2013年2月から3月は「シェイクスピア×野村萬斎」の第3弾として、2010年に初演した『マクベス』を再演。演出も手がけた萬斎は「決まってないが海外出品も考えている」と構想を明かした。『南部高速道路』は6月4日(月)から24日(日)までシアタートラム、『藪原検校』は6月12日(火)から7月1日(日)まで世田谷パブリックシアターで上演。その他の公演詳細は公式サイトで随時発表する。
2012年04月12日「人のために優しくなれる女優になりたい」──大人顔負けのセリフをさらりと語るのは、弱冠16歳にして数多くの映画やドラマに出演する大後寿々花。今年だけでも『おっぱいバレー』や『カムイ外伝』など、話題作への出演が続く売れっ子女優だ。本作『女の子ものがたり』は「毎日かあさん」のテレビアニメ化、「いけちゃんとぼく」の実写映画化が記憶に新しい漫画家・西原理恵子の自叙伝的漫画が原作。西原の分身とも言えるヒロインの菜都美(なつみ)を深津絵里、その高校時代を大後寿々花が演じている。「その場で自分が感じ取ったまま動いてみよう、と」子役として多くの役を演じてきた彼女だが「子供から大人に変わる瞬間を演じるのは初めてだった」と、これまでとは一味違う挑戦があったと話す。「小学生、高校生、現在──なつみは3世代に分かれていて、私はその真ん中の時代を演じました。大人になっていく変化を演じるのは初めてでしたが、原作のなつみと、映画のなつみの両方を大切にすることで、その繋がりをうまく演じられるのかなと思いました」。11歳のときに出演した『SAYURI』でハリウッドデビューを果たしているだけあって、役に対するアプローチも子役の域を優に超えている。そんな彼女があえて深く考えずに演じたシーンがあると言う。それはずっと仲良くしてきた3人に訪れる、別れの瞬間。女の子の喧嘩とは思えない取っ組み合いの大喧嘩が描かれる、何とも印象的な一幕だ。3人それぞれの感情も高まる緊張感あるシーンで、きみこ役の波瑠はあまりにも感情移入し過ぎて撮影が終わるまでほかの2人と距離を置いたというほど。だが、大後さんはその逆。考えずに挑んだその理由は?「なつみはきいちゃんから“この街から出て行け”なんて言われるとは想像していなかった。だから、その場で自分が感じ取ったまま動いてみようと思ったんです。最初は男の子の喧嘩みたいにお腹を蹴ったりするシーンが多くて、前日にはスタントの人を交えてリハーサルをしたりしました。でも、女の子の喧嘩はもっとこうなんじゃない?ああなんじゃない?と、現場で意見を出し合ってシーンが変わっていきました」。脚本を読んだときから、とても大切なシーンになると思ったと言う。また、3人の感情を高めるために監督は、現場でそのシーンに合った音楽を流すことがあり「音楽でイメージをつかむという演出は初めてだったけれど、音楽を聴いていると自然に涙が出てきたりして…言葉に表せないものを感じることができました」。新しい感覚を手にしたと語る。「大抵は“大丈夫”と言って隠してしまう性格」楽しいことも、辛いことも、情けないことも、全てを受け入れてくれる友達の存在は何にも代え難い宝物。大後寿々花もなつみを演じながら「この3人の、自分をさらけ出せる関係が羨ましい!」と思ったそう。「なつみが泣きながら“何も知らないことは恥ずかしいことなんだよ…”って自分のことを話すシーンがとても印象的で。というのは私自身、友達に相談をしたり、友だちの前で泣いたりしたことはあるけれど、大抵は“大丈夫”と言って隠してしまう性格なんです。だから、なつみを通じて感情をさらけ出したことが思い出深いんです」。ちょっぴり遠慮がちなその性格も彼女の個性のひとつ。けれど、今回の現場では「撮影をしていくうちにどんどん仲良くなっていくのが嬉しくて。私が一番年下なので、しばらくは敬語でしたけど(笑)」。やはり彼女らしい。新しい友情を得た16歳の女優が今後どんな一面を見せてくれるのか楽しみで仕方ないが、まずはいくつもの変化をもたらしたという『女の子ものがたり』の大後寿々花を見てほしい。(text:Rie Shintani/photo:Yoshio Kumagai)「シネマカフェsweet」『女の子ものがたり』特集 interviewvol.1 波瑠vol.2 高山侑子vol.3 大後寿々花■関連作品:女の子ものがたり 2009年8月29日よりシネクイントほか全国にて公開© 2009西原理恵子・小学館/「女の子ものがたり」製作委員会■関連記事:「明るくて変な子なんですよ、みさも私も(笑)」『女の子ものがたり』高山侑子の素顔持田香織が熱唱も、だんだん足が開いてしまう?“女子力”の低さに苦笑波瑠、大後寿々花と本気で取っ組み合い!?「あんなに感情的になったのは初めて」女子の友情は最強!『女の子ものがたり』ノベライズ版を3名様にプレゼント大後寿々花ら女友達3人、浴衣姿で『女の子ものがたり』×「毎日かあさん」コラボ
2009年08月25日